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1998-04-10 第142回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月十日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 安倍 基雄君   理事 荒井 広幸君 理事 田野瀬良太郎君    理事 西田  司君 理事 根本  匠君    理事 桑原  豊君 理事 松崎 公昭君    理事 河合 正智君 理事 吉田 幸弘君       佐藤  勉君    下村 博文君       滝   実君    棚橋 泰文君       西川 公也君    野田 聖子君       古屋 圭司君    渡辺 喜美君       玄葉光一郎君    永井 英慈君       古川 元久君    井上 義久君       田端 正広君    中島 武敏君       前島 秀行君  出席政府委員         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 林  桂一君  委員外出席者         参  考  人         (作   家) 堺屋 太一君         衆議院調査局国         会等移転に関         する特別調査室         長       白兼 保彦君     ————————————— 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   渡辺  周君     古川 元久君 同日  辞任         補欠選任   古川 元久君     渡辺  周君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国会等移転に関する件      ————◇—————
  2. 安倍基雄

    安倍委員長 これより会議を開きます。  国会等移転に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として作家堺屋太一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安倍基雄

    安倍委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 安倍基雄

    安倍委員長 この際、参考人一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  我々、ずっと審議しておりますけれども、原点に立ち返って、堺屋先生の多岐にわたる御意見をお聞きして、今後の審議参考にいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  なお、議事の順序ですけれども、まず堺屋参考人から二十分程度意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと思います。  御発言着席のままで結構でございます。  それでは、堺屋参考人にお願いいたします
  5. 堺屋太一

    堺屋参考人 本日は、お招きいただきまして参考意見を述べる機会を与えていただいたこと、大変ありがたく、深く感謝いたします。  首都機能移転につきましては、私は、古くからこれを主張してきているところであります。  現在、首都機能移転が必要であると考えられる第一、首都機能移転の目的と効果であります。  まず、日本歴史をさかのぼってみますと、あらゆる時代の名称が首都機能存在場所で呼ばれております奈良時代平安時代鎌倉時代室町時代安土時代桃山時代江戸時代、そして現在は東京時代でございます。つまり、すべての時代が、その首都機能移転すれば時代は変わった。二つの首都機能所在地をあわせて一カ所に呼ばれることもまずございませんし、逆に、首都機能移転がなくして時代が変わった、抜本的に変わったという例もございません。  平安時代は三百九十八年も続きました。空海の時代平清盛時代の間には関ケ原と今日ほどの違いがありますが、その間にいろいろな変化がございましたけれども、やはり平安時代平安時代という一色文化であり、社会構造であり、政治勢力でございました。平清盛などは、四百年たった平安時代を何とか改良しようとして相当乱暴な大改革をやりました。けれども、結局、平安京の人脈と構造の中で変革ができないということがわかりまして、晩年に至って福原遷都、今の神戸市あたりに遷都しようとしたのでありますが、彼の寿命は尽きてしまいました。  それで、その後、源頼朝鎌倉幕府を移します。そして、これは文化経済機能は全く移さないで首都機能だけを移したのでございますが、たちまち世の中は変わって、時代が変わっただけではなくして文化もその時代の精神も全く変わってしまいます。この間十年余りでございますが、四百年変わらなかったことが一遍に変わってしまった。  この鎌倉幕府がまた行き詰まって、鎌倉幕府の比較的安くつく武士が治めるというコンセプトが崩れた。そうしますと、室町幕府が移ります室町幕府が移ると、今度は高級武士貴族化が起こって、金閣寺、銀閣寺というような文化が起こる。  これが行き詰まって、十六世紀になりますとどうしようもなくなるのでございますけれども、それでも世の中はなかなか変わりません。三好長慶とか松永弾正とかいうような非常に乱暴な改革者が出てまいりまして、人を殺すことも東大寺を焼くこともしますが、その程度では全然変わらない。  ところが、織田信長が出てきて、首都機能安土に移しますと、一遍に世の中が変わりました。それをまた秀吉が大阪・伏見に返します。そして徳川時代江戸幕府が開かれると、世の中戦国時代とはまた全く違う世の中になりました。江戸幕府も二百六十年にわたって続きますが、これまた享保改革とかいろいろな改革が行われますが、改革されるたびに悪くなる一方でございまして、統制政治が行われ経済が停滞するばかりでございます。  ところが、幕末に至って、黒船が来ても日本世の中は何ら変わりませんでした。文久二年に至って、将軍家茂後見役の今大河ドラマになっております慶喜、それから各大名がことごとく京都に移って、この文久二年から首都機能江戸から京都に移りました。  そうしますと、わずか五年の間に世の中は全く変わって、すべて新しい明治という時代に変わってまいります。それで改めて、京都に一たん移った首都機能東京と名前を変えました江戸移転をし、そして文明開化という時代が進む。近代工業社会を目指したコンセプトが続くわけであります。以来、ことして百三十年になりますけれども、日本コンセプトはずっと同じ一色で続いてきているのではないか、こう考える次第でござい  ます。  やはり、日本歴史の中で、首都機能移転なくして抜本的に改革されたことは一度もなかった。だから、今度も我が国を、近代工業社会規格大量生産官僚主導世の中から、本当に民主的で大規模な多様な社会をつくるということになりますと、これは首都機能移転する以外にないのではないかと考えております。  また、現在の東京は一極集中が極端に進んでおりまして、世界でも先進国としては類例がないほど極端に進んでおりまして、さまざまな弊害が出てきております。  日本は、明治以来ずっと規格大量生産近代工業社会を目指すというコンセプトのもとに、官僚主導業界協調体制でやってまいりましたが、この結果、日本は非常に近代工業の発達した世の中になりました。その反面、さまざまな問題が起こりました。  現実東京の生活は、地価が高騰し、通勤距離がどんどん延び、ごみ処理水供給が困難になり、国際機関東京は高くついて困るというような時代になっています。バブルの崩壊によりまして東京地価や家賃は低下したと言われておりますけれども、関東三県に拡張したことを考えますと、東京一極集中は依然として相当な勢いで続いております。  特に、最近のコンピューターソフト関係テレビ発信関係、そしてインターネット関係が出ますと、急速に東京集中が今進行しつつあります。世間では、インターネットができればどこにいても同じだから分散するのではないか、また、こういう人が地方に行ったというような目立った例は言いますが、数からいいますと、大体青山から代官山の間に相当な数の人々全国から集まってまいりました。この結果、地方空洞化、特に情報発信空洞化は非常に進んでおります。  第三に、この結果、我が国文化多様性情報公平性は著しく失われることになりました。東京一極に集中しておりますので、雑誌を見ていただくとわかるように、どの雑誌も同じようなことを書いております。  特に問題は、マスコミ情報発信です。現在、日本マスコミは約九兆円ほどの発信をしておりますけれども、そのうち、約半分が県境を越えた広域発信、半分が県内にとどまる地域発信でございます。この広域発信を見ますと、人口一人当たりについて、東京は十九万円強でございますが、二番目の福岡県が一万九千円、大阪府が一万七千円、そして三十一の道県がゼロでございます。したがって、世論調査いたしましても、東京世論だけが突出して反映される。一票の重みという言葉がございますけれども、一言重みの格差は物すごく大きくなっているということであります。このため、ことごとく東京世論というものが日本を支配し、また行政機関に反映されていると言えるでしょう。  四番目の問題といたしましては、国家社会の安定が得られない。東京において大地震、大災害等が起こりますと大変な被害が出ることは、阪神大震災の例から見ても明らかであります。  その上、東京集中した機能が崩壊いたしますと、日本全国が非常に困る、いわゆる第四次災害が発生いたします。第一次災害というのは地震でつぶれること、二次災害はそれによって起こる火災、三次災害は、地震によって起こりますライフラインの破壊等によって生じる困難、そして第四次被害というのは、一つ地域が破壊されることによって生じます全国的、全世界的影響をいうのでありますが、この第四次被害が極大になって、日本経済並びに世界経済に甚大な影響を与えると思われます神戸の例で見ますと、公務員被災者であると同時に救済者になることが極めて困難なことがわかっておりまして、国家公務員が同時に被災するというのは危険なことであります。  これをもし東京の改造によって救おうといたしますと、どんなに独裁権を持ちましても、五十年、百兆円以上かかることはすべての人が認めておりまして、民間建築家等が出している案でも、一番安いのが百七十兆円であります。  第五番目には、国民士気、新生への自信であります。  現在の日本は、非常な閉塞感低迷感にあふれております。この日本閉塞感を超えて、日本が変えられる国だという自信をもたらすためには、やはり大きな変革、目に見える変革が必要でありましょう。平安時代江戸時代も、長く続いた時代最後には、この国民士気の高揚のために最大効果を上げたのは首都機能移転であり、それ以外には変えられなかったことを思い出していただきたいと思います。  第六に、全国地域構造変革経済的な、財政的なコストの節約であります。  この点、非常に誤解されておりまして、首都機能移転費用がかかるという説がありますが、これは後に詳しく申し上げますように全く間違っております。現在、東京一極に集中しておりますために、東京経由でないと地方とつながらない、これは交通網もそうですが、情報網マスコミもそうであります。これをネットワーク化いたしまして、全国相互にアプローチすることになりますと、経費も軽減されます公共事業効果も上がります。また、情報公平性も得られます。  第七番目に重要なことは、新技術蓄積が行われることであります。  二十世紀軍事技術世界をリードした時代でございました。恐らく、二十一世紀都市技術環境技術世界をリードする時代になると思います日本のような豊かで技術の高い国が首都機能所在地を新たにつくるとなりますと、世界じゅうからソフト、ハードの知識が集まりまして、我が国に二十一世紀を開く最高技術蓄積が生まれ、これが国際的にも大きなバーゲニングパワーとなり、人類文化をリードすることになるのではないかと思います。  さて、第二の問題といたしまして、首都機能移転費用効果でございます。この点についてかなり誤解があるようなので、特に申し上げたいと思います。  首都機能移転費用につきましては、一九九六年三月に完了いたしました首都機能移転調査会国会等移転調査会で報告がありました。この場合は、行革が全く進んでおりませんでしたので、行政改革に手をつけないで現在の機能が全部移転する場合というケースだけを計算いたしまして、最大限人口六十万人、面積九千ヘクタール、費用十四兆円というものを出しました。これは上限でありまして、極めて非現実的な姿であります。  それで、昨年でございますが、九七年に、国会等移転審議会に提出された試算は、第一段階国会開設までの十年間に必要な面積は千八百ヘクタール、人口十万人、費用四兆円となりました。このうち、公的な費用負担は二兆三千億円であります。これは、今回の補正予算で話題になっている数字に比べましても、それほど大きなものではありません。また、現在の中央官庁行政機関の二分の一を移転する、何年か後、何年かけて移転いたしましても、必要面積は四千八百ヘクタール、人口三十万人、総費用は七兆五千億、このうち公費負担するものは三兆円にすぎません。行政改革地方支分局への分散地方分権などを進めるといたしますと、首都機能移転費用がこれを上回るとは考えられません。  ちなみに申しますと、ドイツは今ベルリンに首都移転しておりますが、費用は当初予定をどんどん下回るようになりまして、二百億マルクで済んでおります。  第二に、移転費用の大半は民間支出であります。  移転費用には、公的支出公的財産取得公益企業投資及び純粋民間投資の四種類がございまして、それぞれに分けておりますが、これで究極的に見ますと、公的な資金として出すのは二分の一の場合で約三兆円であります。  別表が二枚後についております。「移転費用モデル的試算について」、これは審議会に提出されました国土庁試算でございますけれども、第一段階では公費は二兆三千億円、この中には土地買収費が含まれております。それから、二分の一ケースで三兆円、そして最大ケースで四兆四千億、最大ケースまでいくことはないと思いますが、それでも四兆四千億であります。これによって倹約できるものは大変たくさんございます。いろいろなものと比較していただきますと、この費用がいかに経済的で、財政にプラスになるかは明らかであります。  首都機能移転にかかわる費用は以上のようでありますが、これを比較いたしますと、一九八四年から九三年までに投資されました全国公共事業の約一%、東京都の費用の一割以下、東京都がやっております臨海副都心の二分の一ぐらい、国の営繕の二分の一以下というような数値でございます。  さて、首都機能移転調査重要性について述べたいと思います。  現在我々が審議会でやっておりますのは調査でございますが、ここで、ます第一に三権集中移転ということについて調査会が答申いたしました。調査会においては、行政改革についての議論ができないまま最大限試算をいたしまして、立法行政司法三権最高機関を一括して移転する、国会官庁最高裁判所を一括して移転するという結論を出しました。  しかし、いかなる問題にも絶対はございませんで、一つを立てれば他方が損なわれることがあります。今後の審議においては、最終的に国権の最高機関である国会が決定していただくわけでございますが、この場合、立法行政司法三権を二ないし三に分割したらどれほどの不便が生じるか、どのような分け方でどれほどの不便が生じるかというようなこともシミュレーションしていただきたいと思っております。できるだけ国会にいろいろな選択肢を提供できるよう、我々の審議会においても複数調査をしたいと考えております。  また、第二といたしまして、行政組織改革手法変更を考えてみる必要があります。  今の霞が関をそのまま移転するということは余り効果がありませんし、考えられないことであります移転するとなると必ず変わります。したがいまして、その場合のリストラクチャリング、これは今度の行政改革で一府十二省というのは決まりましたけれども、その内容についてはこれからいろいろ議論があります。また、行政手法変更、これはりエンジニアリングでございますが、特にこちらについてはまだ十分に行われておりません。それによりまして段階的なシミュレーションを行いまして、現状の霞が関役人の数を三分の一、二分の一のケースを想定したシミュレーションが必要だと思います。  三番目には、つくりやすさよりも使いやすさであります。  こういう議論をいたしますと、とかくつくりやすいことに目が向きまして、あそこに空き地があるからつくれという話がよく出るわけであります。しかし、首都機能というものは国の本社のようなものでございまして、最も便利のいい、使いやすいところになければ意味がありません。そして、使いやすいところにあればこそ、国の効率、国の文化に役立つわけであります。  そういう意味で、これは三地点が今候補地になっておりますが、三地点それぞれかなり広大なところでございますので、その中のどこにするかということもまた問題であります。それについて利便性シミュレーションをする必要があろうかと思っております。  四番目の問題といたしましては、技術、法規の問題です。  現在の建築基準法都市計画法は、すべて既に多くのものができている既存市街地を対象としてつくられております。したがって、今度新しい場所につくるといたしますと、建築基準法都市計画法も全く変わった新しいものを使うべきであります。  ちなみに申しますと、現在の都市計画法社会主義影響が濃厚でございまして、労働と資本を分離する、その間に機械動線通勤線をつくる、労働生産のための住宅地生産手段の集まりました工業用地商業用地は地理的に分離すべきだ、そしてその間を機械動線で結んで都市計画を立てるべきだという思想になっておりますが、工業の形、商業の形、人々の居住の形が変わったものですから、世界的に線引きは時代おくれだと言われております。こういったこともあります。  また、建築基準の問題にいたしましても、新しいところでつくるとなりますと相隣関係その他に変化がございますので、これも十分に考えていく必要がある。新しい都市づくりの見本ができると思います。  以上のような観点から、この際、十分な調査研究費を投入いたしまして、官民の研究機関を動員して、国民が納得できるようなシミュレーションを行うべきだと思います。また、各課題について公正を得るために、複数調査機関に出せるようになれば最高だと思っております。  最後に強調いたしたいことは、二つございます。  一つは、国会等移転することによりまして、全国地域構造が完全に変わるということであります首都機能移転は、単に一都市をつくるニュータウンづくりではございません。  ます第一に、全国ネットワークの形成があります。  明治以来、日本地域構造東京一極集中になっております。そして、特に昭和十六年以来、これを東京一極集中にするような政策が強引にとられてまいりました。首都機能移転は、全国地方地方を結ぶネットワーク型の交通通信網物流網を生むと同時に情報相互交換が進みます東北地方と九州との間の情報交換というのは、今は必ず東京を通じないとゼロでございますが、そういうことが進んでまいりまして、全国が変わることになるでしょう。  また、第二に、多様な地域文化地方文化というものが生まれてくるでしょう。  現在は、都の文化という東京文化が圧倒的な重みを持っております先進国におきましては、戦後、首都圏の持ちます経済文化の比重は必ず下がっています。上がっているのは日本だけなんですね。これは、過去二十年間にわたって地方分権地方分散が叫ばれてまいりましたけれども、結果としては東京集中がどんどん進んでおりまして、知事さんの東京滞在日数をとっても、役人出張回数をとっても非常な勢いでふえております。二十年間これだけ叫んできて地方分権が進まなかったことの現実を見ますと、やはり首都機能移転以外にないのではないでしょうか。  また、首都機能あり方そのものも、現在の東京は大変に堂々たる首都でございまして、いかにも近代国家首都にふさわしい官僚主導のものになっております。これを二十一世紀の自由と民主と多様化時代にふさわしいようなものにしたい。また、役人のやり方も、民間あるいは自治体を呼びつけ型から、出向き型に変える必要があると思います。  ちなみに、最後に、今問題のことでございますので、財政再建との関係について再び申し上げたいと思います。  首都機能移転は、目下の重要問題である財政再建に非常に大きく貢献するということであります。  首都機能移転のための財政支出は、先ほど申しましたように三兆円以下でございます。二〇一〇年までにそれを支出する分はさらに下回ると思います。したがって、過去十年間の東京都の公共事業の十分の一、国の営繕の二分の一ぐらいであります。  東京の再開発、震災対策、これはやはり不可欠でございますが、そういうものに、現有の施設の跡地、官庁公務員宿舎外国公館等を活用すれば、現在計画されている対策よりもはるかに少ない費用で都民の安全が図られます。したがって、首都機能移転特別会計のようなものを設置いたしまして、財政支出を極小に抑制する制度をつくることができると思います。  首都機能移転に際しては、行政機能リストラクチャリング簡素化と、行政手法のリインダストリング、革新性を一挙に進めることができて、行政費用は徐々に大幅に縮小することができるでしょう。  首都機能移転経済的波及はあらゆる公共事業の中で極大であります。したがって、租税増収の見込みは非常に大きいし、日本経済を活性化すると思います。  また、国民民心一新に役立ち、さまざまな新技術、新産業が拡大発展することになるでしょう。このことによる経済の発展と文化多様化は絶大であり、長期にわたって財政改善効果が期待できます。  さらに、東京には空間的余裕心理的解放が生じますので、多くの新規事業が企画実行されるに違いありません。これによって、累増する公的負担の軽減にも役立つものと思われます。  以上の点から、首都機能移転国会等移転は、財政再建とも矛盾するものではなくして、むしろ大きく貢献する事業だと私は信じております。  どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 安倍基雄

    安倍委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
  7. 安倍基雄

    安倍委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  この際、委員各位一言申し上げます。  質疑につきましては、理事会の協議に基づき、一回の発言時間は三分程度となっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたします発言は、着席のままで結構です。
  8. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 渡辺喜美です。  私の地元は栃木県の那須でございます堺屋先生、今おっしゃられたように、私も、この首都機能移転というのはまさに新しい時代を切り開くものである、そう位置づけております。したがって、各地域でいろいろな誘致運動というのがあるかと思いますが、これはオリンピックの誘致じゃないのだ、四年に一回必ずどこかにやってくる、そういうものじゃないのですよ、そう地元で言うと怒られるのですけれども、私はそう思っております。  そこで、今我々は日本構造改革をやっております。その中で、この一府十二省の行政改革も今国会で法案を出すわけでございますので、どうぞ野党の皆さんも御協力をよろしくお願い申し上げます。  そこで、最後にお触れになりました財政改革との関係でありますが、昨日の総理の記者会見によっても明らかなように、この財政改革法の修正ということをこれから検討していくわけでございます。  六月に行われました財政改革会議、あの中で、首都機能移転については二〇〇三年まで着工をしない、こういうことが決められたわけでありますが、仮にこの二〇〇三年という数値目標を先送りするということになりますと、では、この着工をしないという目標も先送りするのですか、こういう議論が必ず出てくるのですね。したがって、我々は、首都機能移転を推進する立場から、そういう議論にはくみできない、こう考えておるのでございますが、堺屋先生の御所見を賜りたいと思います。  それともう一つは、これはこの間の移転審議会の話でございますが、下河辺委員が最初栃木県に移転する、五十年たったら岐阜県に移転するというような中身の御発言をされたようでございますが、これは新聞報道によります審議会では下河辺先生の個人的見解である、こういうことになったようでございますが、この点について、堺屋先生の御所見があったらお承りをしたいと思います。  以上二点、よろしくお願いします
  9. 堺屋太一

    堺屋参考人 ます第一でございますが、現在の審議会等の作業から見まして、場所を選びまして、そしてそこの地域調査をして、ここがいいということを国会で定めていただきますと、そこの土地買収にかからなければいけません。その前に、地価を安定させるための法案その他、準備法案がございます。したがって、二〇〇三年というのは、私も、前官房長官などから御説明を聞いたときには、頑張ってやっても大体それぐらいじゃないか、別にこれは先に延ばすのではなしに、着工となりますと、ます土地買収があり、その前に地価安定法があり、スケジュールをつくっていくと、まあまあそれぐらいだから大した変化はないのじゃないかというふうにお聞きいたしました。  それで、これは特に延びたとは考えておりませんので、やはりこの年をめどにして着工をするというのは変えたくない。変えるとずるずると変わる可能性がありますので、この二〇〇三年というのは一つ重要なポイントだと思います。  そしてまた、二〇〇三年ということを申しますとアナウンス効果がありまして、たちまち景気の回復に大きな影響を与えると思います。したがって、ぜひ国会においてこの二〇〇三年着工という線を強くアナウンスしていただきたいと考えております。  第二に、下河辺委員意見でございますが、私もその審議会出席しておりましたが、これは下河辺委員の個人的な見解として出たものであります。栃木県、岐阜県という固有名詞はおっしゃらなくて、東北方面と中部方面ということでございまして、東北方面については地震その他の対策のためになるべく早くやる、そして中部方面についてはかなり長期にわたってじっくり研究して本格的な首都機能を考えるというような御意見でございました。  私どもといいます審議会全体といたしましては、緊急のものと長期、本格的なものと二つつくるという案は初めてでございましたので、それにお答えするほどの用意はどの委員にもございませんでした。また、緊急のものは東北がよくて、恒久のものは中部がいいということもまだ審議会では意見が出ておりませんので、そのような下河辺委員の御意見があったということをお聞きおきするにとどまっております
  10. 松崎公昭

    ○松崎委員 民友連の松崎でございます。  先生の御高説、ありがとうございました。  首都移転の問題は賛否両論ありますし、先生の御高説では日本改革のための大きな牽引力になる、これは私も賛成ではあります。先生も御心配されておりますけれども、私などは関東、東京圏におりますけれども、どうも国民の合意が、まだそういう雰囲気になっていないのじゃないか。先生もおととしあたりは、三信七疑というのですか、実際は、熱心に信じている人が一割になった、それから半分ぐらい信じている人が四割だ、残る人は、五割はまだほとんど信じていない、そういう状況です。やはり大きな歴史的な事業ということにもなるわけなので、国民の合意形成というのは、いろいろな仕掛けがあると思いますし、審議会の皆さんも頑張っていらっしゃいますけれども、まだまだできていないのではないか。  先生は公平なシミュレーションを繰り返せというお話をしておりますけれども、今の計画でいきますと、これは財革法の縛りがなくなって、もう来年の秋には場所が発表になる。そういう時期としましたら、ちょっとその辺が国民合意の問題とは余りにも差があるような気がするのですけれども、どんな方法で国民の合意をもっと上げるか、御意見がございましたらお願いをいたします
  11. 堺屋太一

    堺屋参考人 おっしゃるとおりでございまして、現在の国民の関心が半分ぐらいは不況対策に偏っておりまして、その他の問題に対する関心度がかなり低下しております。そういう中で、こういう長期の問題を議論するのはかなり難しいことでございますが、マスコミ等も通じましてできるだけ訴えていきたい。その意味では、政府広報等も利用させていただきたいと考えております。  それからもう一つは、先ほどから申し上げておりますように、調査結果をどんどん出していくことだろうと思うのです。これにつきましても、どのような首都をつくるのか、その首都のたたずまい、形でございますね。それから、その首都に住む人々の生活の態様、そういったものと、それがあるところにできますと、それにつながる全国の道路網、空港網、通信網、そういうものが端々まで変わるということをできるだけ早い機会に国民の方々に知っていただきたいと思います。  現在の日本の国土構造東京一極集中にできております。したがって、東京に行くのに必要のない県には飛行場がないのです。例えば北海道へ行くのには飛行場が要る。例えば北関東地方などは、北海道や九州に行くのには飛行場が要るのですが、東京に行くのに飛行場が要らないという意味で、全部飛行場がないのですね。  そういうことではなしに、アメリカやドイツのように地方地方の交流というのが盛んにならなければいけない。そのためには、首都機能誘致しないところでもこんなに変わるんだよ、その結果、日本はこういうような文化形態の国、こういうような経済形態の国になるんだよということを地方の方々にもお示しできるような調査が許されれば非常にありがたいと思っております。  そうなりますと、やはり調査費、これはそんなに大きな金額ではございませんけれども、ぜひ来年度の予算などで政府広報費等も含めてこの問題に集中するようにしていただければいいと思っております。また、マスコミ等も巻き込んで、できるだけいろいろな調査世論調査等も進めていきたいと考えております
  12. 古屋圭司

    ○古屋委員 岐阜の古屋でございます。  渡辺先生の御質問にも関連するのですが、この首都機能移転自身が行財政改革につながる、これは極めて重要な視点だと思っております。  私はたまたま岐阜県なのですが、もう一年以上も前からいろいろな試算をして発表しております。それは、例えば東京首都がとどまることによってどれぐらいの財政負担を余儀なくされているか、この問題について大分研究をしました。自治省を初め官庁から発表されたデータをもとに試算をしたところ、年間で五千億円ぐらいは余計な支出を強いられているという計算が出ております。  今度の審議会でも報告をされました内容によりますと、六十万規模の首都をつくるのに公的負担というのは最終的に四兆四千億円ぐらいだろう、それは最低でも二十年ぐらいはかかるということであります。  そうなりますと、四・四兆円を二十年で割りますと、年間で二千億円から二千二百億円、すなわち五千億円引く二千二百億円イコール三千億円近くはまさしく行財政改革につながるわけでありまして、こういった見地からの議論というのがほとんどなされていない。堺屋先生がこういった形で御指摘をされているぐらいのことでありまして、やはりこれが非常に重要な観点になろうかと思いますので、ぜひこの観点からのアプローチというものを大いに広めていっていただきたいということが一点であります。  それから二点目は、対象地域、いわば北東地域、東海地域あるいは畿央地域以外の方々の関心度というのは極めて低いというのが偽らざる事実だと思います。それは、堺屋先生からも御指摘があったように、全国土的な見地からのアプローチがないということだと思います。どこかに移転をするということになれば、勝ち組がありますし、当然負け組があるわけでありまして、最初から対象地域外ということがあるわけでありますから、やはりそういった方の、例えば最初から対象になっていない地域もこういう形でメリットがあるのですよという、その辺のアプローチというのが少し欠けているような気が私はいたします。すなわち、歴史的、文化的、国家的見地からのプレゼンテーションというのが少ない。やはりこれは、大いに政府も我々この委員会も、そういった立場でやっていかなければいけないと思います。  ちなみに、そのためには広報の経費等々が要るかと思いますが、政府活動の広報費はたしか百数兆、百十兆円前後だったように私は記憶をいたしておりますが、この中でこの国会機能移転首都機能移転で幾らぐらいの経費を使われているのか、ちょっと参考までにお伺いしたいと思いますし、また、もしそれが少ないということであるならば、やはりその増額ということを委員会でもしっかりと提案をしていくべきだと思っております。  以上、二点について指摘をさせていただきました。
  13. 堺屋太一

    堺屋参考人 ます、前半の財政との関係でございますが、日本歴史を見ますと、首都機能移転してから最初のうちは財政は必ず非常に良好になります江戸幕府でも鎌倉幕府でも明治政府でも、初期は借金を余りしておりません。非常に良好になります。だんだんと古くなると経費が高くなるわけです。  現実に、東京に存在することでいろいろな面で費用がかかっております。例えば、これは必ずしも首都機能東京集中していることだけとは関係ありませんが、現在日本は不況と言われながらも、民間企業総交際費が一昨年の税務調査で五兆四千億強であります。これは、アメリカやドイツに比べましても、GNP当たり数倍なのですね。また、民間企業総旅費交通費、これもアメリカなどのように国土の非常に広い国よりも多いわけです。何かにつけて東京に出張していかなければいかぬ、東京に来てパーティーをしなければいかぬということで、非常にそういう費用がかかっておるようでありますが、こういうこともやはり地方分散になると相当に違ってくるのではないかと思います。  また、日本は持ち家制度をやっております日本国民一つの期待として持ち家というのがあります。したがいまして、会社が移転いたしますと、なかなかそれについてサラリーマンが転宅いたしません。特に北関東に筑波などをつくったときは十年、十五年そういう状態が続きまして、東京の都心を突き抜けて通勤する人が非常に多いわけです。このために、都心の再開発あるいは副都心の政策というのは必ずしも成功しておりません。幕張に移ると世田谷から通う人がいるとか、横浜に移ると北区から通う人がいるとか、これによって公共のトラフィックの負担が非常に大きなものになっているわけですね。そういうことを考えますと、移転がいかに安くつくか、これは十分にシミュレーションをしていただければわかる問題だという気がいたします。  広報費につきましては、私は正確に政府広報予算について金額を存じ上げておりませんが、なるべくこれに使っていただきたい。特に、テレビなどでいろいろとコンピューターシミュレーションなどを利用した番組をつくらせていただけるようなチャンスがあればありがたいなと思っております
  14. 井上義久

    ○井上(義)委員 井上義久でございます。  堺屋先生、きょうは大変お忙しいところを参考人として御出席いただきまして、大変ありがとうございます。  首都機能をぜひ移転すべきだ、こういうふうに考えている我々の立場からいいますと、いろいろな機会に首都機能移転の必要性をいろいろなところでお話をいただいていることについては大変心強く思っているわけでございます。  今私は宮城におるわけでございまして、北東地域、ぜひ首都移転をということで一生懸命やっているのですが、東京の人たちとの落差が非常に大きいなということを実感するわけでございます。都庁の皆さんもそうですし、都議会の皆さんもそうですし、それは何が一番大きいかなということを考えますと、首都機能移転した後の東京はどうなるのだというビジョンというものが結局描き切れていない、余り熱心ではないから描こうともしないというところに大きな問題がある。  ところが、先ほど先生がおっしゃったように、情報発信基地は東京なものですから、それが国民的コンセンサスをつくる上での大きな障害になっている、こんなふうに思うわけでございます。そのことについて、ます今後どうするのがいいのかということが一つ。  それから、首都移転首都機能移転というふうに言葉を変えるようになったわけでございますけれども、首都機能移転、その首都機能というのは具体的に何なのか。立法行政司法というふうにそれが限定されるものであるならば、文化情報経済というある意味で一極集中の最たるものがそこにあるわけでございまして、それをどういうふうに考えるのか。それは東京首都機能移転の後のビジョンとも関係してくることだと思いますし、その辺の首都機能移転というものをどこまでの範囲でどう考え、それがまた経済文化にどういうふうに影響していくのかということを、最初の質問と絡めて、もし先生の御見解があれば。  それからもう一つは、我々ももともと東京におりまして、首都機能移転反対の一番の論拠は、一極集中は結局中央集権という日本のシステムが問題なのであって、首都機能移転したからそれができるものじゃない、やはります地方分権じゃないか、地方分権の仕組みをますつくることが先決じゃないか、こういう議論が一番あるわけでございます。そこはどうも、政府の今の首都機能移転議論の中でもやはり明確に示されていないのじゃないかというふうに思うわけでございます。  以上、三点について。
  15. 堺屋太一

    堺屋参考人 ます第一に、東京の方々との落差ということでございますが、国土庁その他でいろいろと世論調査をしておりますが、全国はもちろんのこと、東京都民についてもかなり賛成の度合いは高いのでございます。具体的な数字は後ほど文書で出させていただきますが、たしか反対よりも多かったと思います全国でももちろんそうでございます東京世論を形成するような発言者の中には反対の人も多いようでございますが、官庁の課長クラス等を対象にしたのでもかなり賛成の比率が高かったと思います。だから、東京都という組織と東京都民という世論との間には落差があるのじゃないかなというように感じております。  二番目に、移転した後の東京でございますが、私は、東京はそれによって物すごい活力のある国際都市、いわば二十一世紀を代表する人類の世界都市になるだろうという気がしております東京がそれだけの余裕を持つことは、新しい機能、より効率的でより国際的な機能を投入できることになる。本当にニューヨークに匹敵するような経済文化の中心都市になるのではないかという気がしております。  その際に、新しくつくる首都機能東京の飛び地にならないようにすべきだろうと思っております東京文化経済が非常に大きな力を持って残りますし、もちろん文化経済が残るということは政治力も残る部分があるわけでございますが、だからといって、ベルサイユとパリのような、役人と貴族だけが、政治家だけが行っているような飛び地になってはいけない。そういうような立地の問題も起こってくるかと思っております。  そして最後に、地方分権と中央集権の問題でございますが、中央集権と地域一極集中とは別物でございます。  明治時代は今よりも中央集権でございましたが、地域集中はしていなかった。地域集中を行い出したのは昭和十六年の有機型国土構造の形成のころからでございまして、このころから官僚統制を徹底させるために、東京に、各界業界団体を集中するあるいは情報発信集中する、それから特定目的の施設、例えば歌舞伎座でありますとか格闘技専門体育館でありますとかいうものは東京以外につくらさないというような強引な政策をとりました。さらに、戦後になりますと、これをいろいろな、例えば勲章の格付にまで影響をさせて東京に引っ張るようにしたわけであります。  今もこの政策は続いております。例えば、印刷物を発行する場合。雑誌を発行する場合には、東京を経由しないと全国に売れないような業界体制、これは最初は文部省思想局がおつくりになつた体制でございますが、今やそれが定着して業界の体制になっておりますけれども、そういうものがある。あるいは、キー局システムという世界にも珍しいような東京一極集中情報システムがつくられている。  そのようなことで、長年かかって政府が強引に積み上げてきた。だから、全世界の先進工業国の中で日本だけが、首都圏経済文化情報が集まるようになったわけであります。  したがって、新しいところに移りましたら、そこにごっそりついていくということはあり得ないことでございまして、これは東京にやはりそういう機能が大きく残る。大きく残りますけれども、同時に、新しい首都機能のところからも政治、行政情報発信されますと、情報発信分散、二つに分散されますと、必ずその次には第三のところとの比較が出てまいりますから、多極分散型が実現すると思います。  先ほども申しましたように、地方分権につきましては、鈴木内閣のころから繰り返し繰り返し二十年近く言われてまいりました。その間に、幾つかの権限は確かに知事さんあるいは市長さんに移転されましたが、実際は事前協議と称して、以前と変わらず、またはそれ以上に丹念に中央官庁の指導が行われているのが現実でございます。このために、各県の東京出張日数は決して減っておりません。また、従来、国が定めていた規格基準を参考基準とかいうような名称に変えながら、実際は地方がそれに従うということが行われております。  これは、中央官庁東京という堂々たる都市にあって、そして、かつてはアジアの首都を夢見た東京のたたずまいの中で行われておりますので、東京文化というものに対する非常な畏怖が全国にあります。この結果、人材も東京へ行ってということもあるでしょうし、東京で定められたことかというのが、昭和十六年以来六十年間定着してきたということも非常に大きな理由だと思います。  そういうことを考えますと、地方分権が先だというのは言うべくして不可能だ。入り口があるけれども、出口がない道ではないかと思います。このことは、平安時代のあの何十回の改革、戦争を行って大勢の人をあやめるようなことがあっても変わらなかった。室町時代も同様でございました。徳川時代も、享保改革とか寛政の改革とか、スパイ政治までやって実に大胆なことをやりまして、日本経済を破壊してもというような改革をやったのでありますが、ほとんど効果は上げておりません。そういう意味からいいますと、政治勢力が変わるとかあるいは地方分権が先だとかいうのは、私は、言うべくして現実不可能だ、これは入り口があるけれども出口のない道ではないかという感じがしております
  16. 西川公也

    ○西川(公)委員 前回、堺屋先生おいでくださったときに、私は三信七疑という言葉を聞いたのです。これは、国民になかなか理解してもらえない部分があると思うのですね。私は、栃木県に住んでおりますので、国会移転を県民挙げてやっておりますので非常に理解しておりますが、候補地関係のない人はそういう話にならないと思うのです。また、現在の霞が関を見ましても、どんどん新しい建物が建っていくということになっていきますと、どうなのだ、国会移転、やるのかやらないのかと言いながらも、こんなに整備していったらやらないのじゃないか、こういう考え方も国民にあると思うのです。私は、首都機能というのは一カ所あるよりはニカ所あった方がいざ不測の災害が来たときに対応できる、こういう面で早く首都機能をダブルでもいいからやっておいた方がいい、こう思うのであります。  私は、かねてから、那須にもし来ていただけるのであれば、別荘国会でも別荘首都機能移転でもいいや、こう思っておったのであります。これから政府がつくるもので、特に総務庁が今考えているようでありますが、バックアップセンターをやるとかやらないとかという話があります。それから、自治省が住民基本台帳をこれから進めようとしておりまして、法律が通ればそれらのセンターもつくっていく。こういうことになりまして、それらを今後どういうふうに使っていくかわかりませんけれども、そういうものを東京に置かずに新しい候補地に置いてみて、そして時間をかげながら国民の理解をいただく、こういう方法が私は現実的かなと思うのであります。  そういう意味で、新しい政府がつくる建物等について、センター等についてはぜひ新しい移転候補地に私は移していけるような機運を醸成していくべきだと思うのですけれども、その辺につきまして先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います
  17. 堺屋太一

    堺屋参考人 今、先進工業国で一極集中をしておりますのはフランスとイギリスだ、そして日本だと。発展途上国、規模の小さい国ではたくさんあるのですが、大規模な国ではそれだけだと言われております。先進工業国では、オランダやベルギーでも一極集中はだんだんと少なくなっておるのですね。  そのフランス、イギリスでございますが、ここは急速にパリ、ロンドンの集中度は落ちております。相当多くの中央官庁が各地に移転しているわけですね。フランスでは、ナントとかリールとかいうような数百キロ離れたところに移転しておりますし、イギリスも環境庁がウェールズとか随分遠くに移転しております。そういうような分散型ということも考えられるわけですが、我が国の今の国会審議等を見ますと、それはかなり難しいかもしれません。  緊急避難のものでございますけれども、緊急避難のものは常に稼働しないと意味がない。これは、銀行などで二本店制をとっているところは非常にうまくいっておりますが、単にコンピューターや施設をつくっただけで、稼働性がないといけないのですね。だから、稼働性のあるようなところ、あるいは御指摘のように統計データ収集機構、そういったものは首都機能とは別に早急にする必要がある、それが首都機能と一致すればなおいいと思うのです。  だから、本当に、本当にと言うと変なあれですが、来年審議会がある程度の答えを出すつもりでございますけれども、国会審議していただきまして、この場所にこういうような前提でこういうものだけはますっくろうと。そういたしますと工事の分散とか職員の移転とかいうのがスムーズにいくという、そういう利点もあろうかと思います。  特にこの場合申し上げたいのは、神戸の場合もそうだったのですが、その地域が被災するだけではなしに、その地域を経由する交通がとまります。したがって、東京を経由しないで全国につながるという、この問題が大事なんです。フットワークとネットワークという言葉がありますが、フットワークとして、東京が被災したときに東京を経由しないで行けるような全国ネット網というのをもう一つ考えていく必要があろうかと思います。  なお、首都機能所在地は将来の日本文化に非常に大きな影響を与えます。また、その首都機能のたたずまいもこれからの日本を象徴いたします。そういう文化の面のシンボルとしても、これは重要な検討を要すると思います
  18. 滝実

    ○滝委員 自由民主党の滝実でございます。  私の選挙区の関係を踏まえて、少し次元の低いことになると思うのでございますけれども、申し上げさせていただきたいと思います。  先ほど来出ております意見の中で、調査対象地域地域以外はこの問題について大分冷ややかじゃないかということは先ほど来出ているとおりでございます。しかし、これは天下の大問題でございますから、そういうようなことであってはならない、そのためにどうしたらいいかということから御意見をお伺いしたいのでございますけれども、結局、手っ取り早い方法というのは二つぐらいあるのかなと。  一つは、対象地域外の全国四十七都道府県が、この新首都機能を持つ地域についてどういうかかわり合いを持つのかという作業を早速始めるべきじゃないだろうか。直接的にその地域関係を持つという観点からの作業が一つございます。それからもう一つは、首都機能移転することによって分権化が進む、これを契機とした分権化を各地域がどういうふうにこなしていくのか、それをチャンスにしてどういうことを考えていくのか。そういう二つの作業をやっていくということを、もう少し政府側もそういうようなことを受け入れる、そういう表明をしていただく必要があるのじゃないだろうかというのが第一点でございます。  それから、奈良県はかつて見捨てられた地域でございます。新首都移転に伴って見捨てられた地域です。そういう観点から申し上げるのでございますけれども、平城京ができます前に、藤原京の時代に平城遷都の詔を大分前に出しました。今度は平城京に都が移るよという詔を出しました。それによってその準備が進められたという経緯がございます。しかし、その平城京が見捨てられるときには、ある日突然京都の方へ天子様がおいでになつちゃった、こういうことでございまして、以後何も国からの慰謝料を実はいただいていないのでございます。ところが、京都から東京に天子様がお出ましになるときには十五万両の慰謝料をいただいて、京都はそのために近代地域として発展した、こういう経緯があるわけでございます。  先ほど堺屋参考人のお説によると、新しくなる東京もそれなりの大きな意味を持つ、こういうことでございますから、そういう観点から、東京に今度は全国各地がどういうアプローチができるのか。そういうこともひとつ政府として全国地域に檄を飛ばして、どういうアプローチの仕方があるか、こういう観点からも国民的な総作業をしていただく、これがやはりこの大問題をスムーズに進める大きなかぎになるのじゃなかろうかと思うのでございますけれども、これに対する参考人の御意見を承りたいと思います
  19. 堺屋太一

    堺屋参考人 ただいまの前半の、ます各地が直接的、間接的にどのような影響を持つか、これは極めて重要なことでございます。  例えば、よく失敗例のように言われるのですが、ブラジリアの問題があります。これは開発型首都立地というので、余り開発されていないところに移したのです。これは珍しい例でございまして、それ以外は二つの勢力、文化的・経済的、政治的勢力の中間に移すという調整型の首都というのを立地しているのです。例えばワシントンは、今でこそ東に偏っておりますが、独立十三州で見ると、あれは北と南の真ん中に置いた。それからキャンベラは、シドニーとメルボルンが引っ張り合いをいたしまして、最後は双方を代表する議員がサーベルで決闘して決めたという、写真まで残っておりますから多分本当でございましょう。こういう調整型の首都というような形のものもあります。  そういう、どういう形のものをとるかによって違いがあるのですが、いずれにいたしましても、今度の新総合計画でも出されたように、多くの軸が東京から放射状に出ているのじゃなしに、ネットワーク型になっている、これが非常にコストを安くする重要なポイントなんです。  日本のような豊かで技術の進んだ国がつくりますと、ブラジリアなどと違いまして首都に観光客は猛烈に参ります。大体、少なく見ても年間二千万人ぐらいの見物客が十年間ぐらいは続くでしょう。十年間続くとまた新しい子供ができますから、次の十年間も恐らく続くでしょう。そういたしますと、大抵の県庁所在地からは航空便が複数飛ぶようになります。これは非常に大きな効果が上がりますね。  それから、例えば北にできるか西にできるかはともかくとして、いずれにできても北から西につながる、東京を経由しない道路というのは十年以内に整備されることになるでしょう。  また、文化発信、これも重要でございますが、今東京では雑誌でもテレビでも全部一色です。お昼の時間なんか回していただくと、もうどの番組も全部一色です。これは情報交換の進み過ぎと言われておりますが、雑誌やテレビのディレクターがお互い情報交換をするものですから、非常に同じものになる。それに記者クラブ制度も関係があると言われておりますけれども、そういったものが絡みまして日本世論は非常に一色でございますから、バブルのときには一斉にバブルになり、貸し渋りのときには一斉に貸し渋りになるという、役所の関係を除いても、世論的、雰囲気的な護送船団みたいなものがあるのですね。  これはやはり、地域がさまざまでございますと、いろいろなところから意見が出てまいります。例えばドイツでございますと、経済見通しは五大経済研究所というのがつくるわけですが、これは北はキールから南はミュンヘンまで地域別に配置されておりまして、それぞれ違った意向が出てまいります。今度は東の方にもできましたから、もうちょっとふえるのでしょうけれども、日本は研究所が全部東京でございますから、東京意見だけがクローズアップされる。これは文化の面でも非常に重要なポイントだろうと思います。  それが変わると、当然、役人に入ってくる情報が違うのです。これは非常に重要なことでございまして、例えば地方で起こりました文化とか経済の問題は東京の人には非常にわかりません。例えば住宅問題を論じるのに、多くの官僚、評論家は住宅問題は土地問題だというふうに言っておりますが、では土地がどれぐらいならいいんだ、年収の三倍ぐらいならいいんだ、いや、それは三倍ならいいでしょう、三倍を超えるのは東京だけですよ、では東京以外に住宅問題はないのですかと言うと愕然とするのですね。つまり、東京以外のことを前提とした議論が多くの知識人の間で行われていない。この現実は大変重要な問題です。  このことがまた報道につながりまして、地方では相当高く評価されている政策が、東京では、ばらまきだとかなんとか言われることにもなります。こういう情報公平性を保っために、大都市でないところに首都機能がある方が望ましいと思います。  ちなみに申しますと、アメリカ五十州で最大都市に州都、州の役所が置かれているところはごくわずかしかありません。ニューヨーク州はオールバニにありますし、カリフォルニア州はサクラメントにあります。ロサンゼルスやニューヨークではございません。これは情報公平性のためなのですね。この点からも日本の役所が情報公平性を保っていただきたいと考える次第であります
  20. 田端正広

    ○田端委員 新党平和の田端でございます堺屋先生には、きょうはどうも大変御苦労さまでございます。  今いろいろ御議論がございましたが、こういう議論が、先ほどもお話がございましたが、国民的な一つの盛り上がりといいます世論形成にまだなかなかなっていない、ここが一番のネックだと思うのです。その場合に、東京一極集中ということから首都機能移転するのだという方向の議論が、これは一番の根幹だと思いますけれども、そうすると、全国民的にはなかなかその辺のところの理解が得られにくいと思います。  そういう意味で、先ほど先生おっしゃっているように、例えば行政改革一つを取り上げても、こういう機会でしか本当の意味行政改革はできないのだろう。そういう意味で、日本の二十一世紀での再生という意味において、今の行き詰まった日本をこれをきっかけに本当に新しい日本につくりかえるのだという意味世論を喚起する、こういう方向に議論をもっと持っていけないものだろうか、こういう思いが一点であります。  それからもう一点は、しかし今の経済状況を見ますと大変な不況であり、そしてまた財政再建については財革法という一つの歯どめがあって、二〇〇三年まではいじれない、こういうことになっています。  先生は先ほど、経費的には四兆で公的負担は二三兆ぐらいだから、それは余り大きい負担ではないということのお話でありましたが、しかし、これは最終的には最大十二・三兆ですか、こういう数字も出ておりますし、そして問題は果たして民間がついてこれるのかどうかということなのです。だから、逆に言うと、景気を刺激する上でもこのプロジェクトを大きく打ち出して、日本経済の活性化のためにも使えないのだろうか、こういう思いもするのですが、その二点、よろしくお願いしたいと思います
  21. 堺屋太一

    堺屋参考人 国民的盛り上がりがないというのはいつも言われることで、大変難しいことでございます。私も万国博覧会、海洋博覧会などをやりましたときに国民的盛り上がりがないと言われたのですけれども、始まってみると物すごい国民的盛り上がりがございまして、六千四百万人も来たのです。何かやはり事件ですね、言葉は誤解があってはいけないのですが、マスコミが書くようなきっかけがありますと、わっと広がるところがあるのです。そういうようなことが何かイベントとか事件で起こせないかというようなことも必要だと思います。  やはり皆様方にもお願いして、できるだけ多くの番組や展覧会ができるようなシミュレーションをやらせていただけますと、今のコンピューターの進歩から見て相当のものができるので国民的関心を呼ぶのではないかというような気がしております。  それから財政問題でございますけれども、今いろいろと公共事業にはお金がかけられておりますが、もし公共事業の乗数効果をいうのであれば、これは最大に高いことは間違いないと思います民間企業は今非常に投資に対して慎重でございますけれども、こういう行事が進みますと大小さまざまの民間企業の投資が出てくると思います。ここで政府が用地を値上がりしないように監督しながら実行できるとしますと、これは採算性が十分に考えられるプロジェクトとして進められると思います。  ただ、一番重要なことは政府の信用でございまして、やり出して途中でやめるのではないかと思われるといけませんので、確固たる段階を踏んで実現する必要があると思います。  私は二十年来この問題を研究しておりますが、どう考えても、これは財政的には非常に安価で大きな効果が上げられる事業だと思っております。そういう意味では、今の不況対策には最良のアナウンス効果、今すぐに需要は出てこなくてもアナウンス効果があります。  そしてまた、これをやりますと、こういう方法をやったらいい、こういう技術を使ったらいいという議論が出てまいりまして、それがまた既存の建築基準法都市計画法にも反映いたします。そうすると現在の市街地の改革にも大いに役立つだろうと考えております。  ちなみに申しますと、ドイツがベルリンに首都機能移転することになりまして、二〇〇〇年と言っておりましたが、繰り上げ移転でだんだん早目になってきて、値段も下がるし事業も早くなってきているわけでありますけれども、その結果、ドイツの社会では絶対に不可能だと言っていた郵便の民営化と閉店法の緩和という、絶対に不可能だと言っていたのが一発でできたのですね。もう世の中の変わる勢いというのはすさまじいものでございますから、やはり首都機能移転すると世の中が変わるというのはこんなものかというのを改めて思い知らされたような感じがいたします。  世の中が変わりまして、郵便局なんかでいろいろ文房具などを売り出して、大変郵便局が活性化して職員が喜んでおりますけれども、日本の郵便局が民営化するのがいいか悪いかは別といたしまして、そういうようなあり得ないことでさえすぐに起こってくるということも非常な活性化の一つの見本だと考えております
  22. 中島武敏

    ○中島(武)委員 日本共産党の中島武敏でございます。  堺屋先生、もう何度もここへ御出席いただいて、大変御苦労さまでございます。先生のお話を伺っておって、やはり一番力を込めて強調していらっしゃるのは、首都機能移転世の中の変わりよう、この問題ではなかったかなというふうに伺いました。  私、実は前回も申し上げたのですけれども、先生、今回も、日本では首都機能移転しなければ本質的な改革はできなかった、それから、首都機能移転すれば世の中も必ず変わると繰り返しておっしゃっておられるのですけれども、私はちょっとこの論は逆ではないかなと実は思っております。  奴隷制が確立して、奈良に都ができた。それからさらに、封建制ができてきて、鎌倉に都が移る。それから資本主義が台頭してきて、そして東京に都が移る。こういうふうに、いわばちょうど先生がおっしゃっておられるのと逆ではないかなという、私はこういう認識なのです。前回も先生、ある程度ちょっとお認めいただいたかなと思っていたのですけれども、どうもきょうはさっぱりお認めいただいてないなと。  そこで、それがどこへ連動するのかなと思っておりましたら、国民意識の向上、こういうところを非常に強調されまして、ここで、首都機能移転日本は変わる、変えられるという自信全国民に与えるということを言っておられるのです。これは私には全く理解しにくい言葉なのですね、率直に申し上げて。  今、何で元気がないのか、何で閉塞感があるのか、何で国民不信があるのかということになると、私は、国民不在の政治、行政がやられているからだと思っております。だから、国民を本当に元気にしよう、政治不信を払拭し、閉塞感を打ち破って大いに元気をつけよう、こう思ったら、やはり今のこの国民不在の政治を、国民が主人公と大いに自覚できるような、国民が非常に大切にされる、そういう政治へ変えるということこそが、また行政を変えることこそが大事なのではないか、これが一点でございます。  それからもう一つは、これもかかわる話なのですけれども、実は先生十分御存じのとおり、国会等移転調査会の最終報告が出されました。ここで、この首都機能移転問題で一番強調されておりますのは何かといえば、これは東京の一極集中の打破でもなければ、過密の解消でもない。そうではなくて、国政全般の改革の起爆剤にする、これが一番強調されていたと思うのですね。ですから、行革であれ地方分権であれ、何から何まで、その他その他、もうすべて国政全般を変えていく起爆剤なのだと。  これも私は、率直に言って、大変逆ではないかなという気持ちを持っておるわけでありまして、そして、このことをきょうは先生、どういうふうに強調するかなと、最終報告ですから。どうも先生のお話は力点が違うところへ行ったなという感じを私は受けているのですけれども、国政全般の改革に大いに起爆剤になるという、このことについてはどうお考えでございましょうか。
  23. 堺屋太一

    堺屋参考人 ます第一でございますが、歴史認識でございます歴史認識において、政治勢力が変わったから首都機能が変わったのか、首都機能が変わったから社会が変わったのか、これは実は長い論争がありまして、いろいろな人が、政治勢力が変わったから首都機能が変わったのだという議論をなさいました。  ところが、現在の歴史的な認識では、どうもそうではないらしい。例えば、藤原公家社会から平の武士社会に変わっても、首都機能が変わらなかったときには変わらなかった。これは非常に明確に証明されておるところでございます。同様に、室町幕府の後半、天文時代でございますが、一五三〇年代も変わらなかった。これは、人は全くかわっておりまして、足利将軍が近江に逃げたりしておりますけれども、世の中は全く変わっていなかった。だから、やはり首都機能移転というのは、そういったもろもろの変化をきっかけとして、ぺ−ジをめくるような効果があるというのはどうも否定できないのではないかと言われています。  長らく続いてまいりました明治維新論争というのがありまして、明治維新は江戸東京と続いていたのに改革したではないかという話がありましたが、最近の研究では、文久二年から慶応、明治元年までの間、文久二年まではほとんど変わっていないということが言われておるのですね。  そういうことから見まして、やはり内部的にいろいろとぐちゃぐちゃ変わっていても、ぱしっと変化させるのは首都機能移転ではないか。このところはレーニンも毛沢東も同じことをやっていると考える次第でございます。レーニンもモスクワ、毛沢東も北京に持っていったわけでございます。  第二番目に、政策的起爆剤ということでございますが、私はこれはあらゆる面で政策的起爆剤としては非常に重要なポイントだと思います。例えば行革を今進めております。この行革は私は絶対進めなければいかぬと思いますけれども、この行政改革を、場所を変えることによりまして行政機構を、今これは二〇〇一年までに変えるわけですが、それまでに首都機能移転するということになっておりますと、今の縦割り行政は成り立たなくなるのです。  なぜ成り立たなくなるかといいますと、一夜にして各行政機構が全部移るわけにはいきません。そうすると、最初に国会と一緒に行くものは何であるか。今は縦割り行政になっておりまして、例えば石油でいいますと、国際石油の話からガソリンスタンドの話まで通産省資源エネルギー庁石油部がやっておりますが、今度は国会と一部行く。例えば五〇%行くとなったら、全部行けませんから、国会関係の深い国際石油行政の問題は行きますけれども、ガソリンスタンドの問題は都道府県に任すとか、あるいは通産局にゆだねるとかしなければいけなくなるのです。これはもう必然的にそうなるのですね。また何年かたったら集めるという方法はないわけではありませんが、それまでの間に世論あるいは仕方が変わってまいりますから、恐らくそうはならないでしょう。  そういたしますと、全官庁行政機構が大幅に、一府十二省だけではなしに、各課の組み方あるいは各課の中の職員の組み方が非常に変更してまいります。これはドイツの例でもそうなのですが、縦横十文字モザイク型に変化していくということが必ず行われます。その結果、官僚主導制の縦割り行政というのが終着的に解決していくのではないかと思います。  また、地域が変わりますから、東京でございますと、あらゆる審議会調査会、陳情とかなんとか、全部東京へ呼び寄せ型になっています。この呼び寄せ型行政というのは日本の大特徴でございまして、一つの道路でも水道でも、地方に補助金を出すときに、きょうは北海道、あしたは青森と、沖縄県まで順番に呼びつけて、霞が関で会うわけですが、アメリカやドイツの例を見ますと、大体中央官庁役人が回転する。そうすると、何人かの一組が回ればいいわけですから、放射状に往復するのに比べますと、旅費はうんと少ないわけですね。したがいまして、人が行くのと通信機関を使うのが非常に発達しております日本は対面情報しか信じられないような形になっていますが。そういった点でも大きな変化になりまして、変化の起爆剤ということは十分に考えられることになると思います。  また、自治体と国の関係も抜本的に変わってくる。何よりも重要なことは、東京という文化経済集中したところに官僚機構があるものですから、ここに情報集中し、文化集中し、そこでのライフスタイルが日本人のすべてのあこがれになっている。これが変わるということが大きな刺激だと思うのです。  例えばアメリカやローマやハーグやボンとか、そういうところでございますと、ワシントンの生活が最高の生活とは言わないのですね。ワシントンも一ついいところはあるけれども、シカゴにもニューヨークにもアルバカーキにもいいところがあるという形になっていますから、多様な情報発信、多様な文化が常に交代で出てくる。そういうことが大事だと思います。  日本歴史を見ましても、時代を変えたのは、首都が移ったのではなしに、いろいろな地域から多くの活力が生まれたときであります。  そういうことを考えますと、今のマスコミを初めといたしまして、全部が東京を包んでいる、東京からしか出せないというこの状況は、やはり長期的に見ると日本文化の成長にはマイナスだと思いますから、ぜひその点は御理解いただきたいと思います
  24. 下村博文

    ○下村委員 自由民主党の下村博文でございます。  先生のお話を聞いておりますと、首都機能移転さえすれば何かすべてがバラ色に解決をしていくような、失礼な言い方ですけれども、そんな印象を持って私は聞いていたのです。  先生は今新聞で、近未来小説的なアプローチで書かれていらっしゃいますけれども、私は、首都機能移転については、少なくとも数百年は新首都で、首都が移ればそこに定まるという前提で言えば、まあ数百年先のことはちょっと想定できないかもしれませんが、百年先の日本はどうなっている、あるいはどういう日本にすることが必要なのか、その前提の中の首都は何だろうかという、逆に百年先から今の首都機能についてどう考えるか、そういうアプローチが必要ではないかというふうに思うわけであります。  それを考えますと、先生の論点等はやはり今までの成功例の延長線上で首都機能移転を考えているというふうな感じを私自身は受けました。  しかし、実際のこれから百年先の日本というようなことを考えますと、そういうふうなハードの部分が移る、あるいは万博とかかつてのオリンピックとかいう形でそこを活性化させるということではなくて、そもそもそういうことのない形での新しいあり方というのを、時代の大きな変化の中で、ニューメディアとかそういうふうな情報産業が発達する中で、果たして首都機能がどんな意味合いを持つのかというようなアプローチというのを今まで考えられなかった発想で考えてみる必要はあるのではないかというふうに思うわけであります。  その辺で、改めてこの首都機能移転について逆の部分から、百年先のあるべき日本からどうするかというアプローチがいろいろな議論の中では欠けているし、また、そもそも一極集中ということが東京の問題点となって、バブルのときの発想でこの首都機能移転が考えられ、その延長線上でずっとやはりいまだに議論が続いているような気が私はするわけですが、実際もうそういう前提条件もなくなったわけであります。  また、これは先生の本の中に書かれているというふうに思いますが、日本というのは既にもう都市国家であると。人口の八〇%の人たちが都市に住んでいる。それは東京だけでなく、それぞれの地方地方の中でも、ある県の中の県庁所在地とかそういうところに人口集中していて、それぞれの地方の中において過密、集中と過疎があるということで、全体で考えれば日本全体が都市国家である。  しかしこれから人口も、東京にしても減少していますから、日本全体も減少していますから、そうマイナス点がどんどんどんどん加速されるとは思わないのですが、それにしても、逆に都市としてもっと快適な都市づくりをどうしていくのかということで、その部分を解決するということを、どこかに逃げるといいます移転するということではなく、やっていくという発想も同時に考えられるのではないかというふうに私自身は思うわけであります。  最初の話に戻りますけれども、地方分権も言うべくして不可能であると先ほど先生はおっしゃいましたが、それであったら何ら解決できないわけですし、数年間の中でどうのということではなく、五十年とか百年という、あるべき形であれば当然地方分権というのはもう既にできているという前提でどう日本をつくっていくかという中での首都機能、そのときの首都機能というアプローチを持った中で国民の方々が納得できるような、そういう論を展開することが必要ではないかというふうに思うのです。  そういうアプローチをぜひ先生にも考えていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  25. 堺屋太一

    堺屋参考人 ます、百年先からというのは非常に予測が難しいことでありますが、では百年間不便でもいいのかという議論もまたあるのですね。百年先にはよくなるけれども百年間不便でいいのかと言われても、どっきりするわけでございますが、できるだけそういう未来的な要素は取り入れていく必要があると思います。  ただ、重要なポイントといたしまして申しますと、今、日本人口は減少に向かいつつあります。これはいつまで続くかわかりません。去年、厚生省の社会保障・人口問題研究所が発表した都道府県別の二〇二五年までの予測を見ますと、東京大阪は激減をいたします。ところが、その周辺地域は非常に増大をいたしまして、いわゆる高齢化の輪っかというのが大都市の周辺にできて、その外側から通勤をするという最悪の事態が予想されています。通勤時間はますます延びる。だから、埼玉県、栃木県あたりからの通勤客がどっとふえまして、長時間通勤が起こる。  その理由は、大体一九七〇年代から八〇年代にかけて開発された団地が、そのころ入った若い人がそのまま年をとって、六十歳、七十歳、八十歳の人たちに占められる率が高くて、本当に働く人はその外側から、長時間、高額通勤を強いられるというような予測が感じられる。そこまでは書いておりませんが、人口分布から見ればそうであります。関西圏では、大阪府が減って滋賀県がふえるというような数字になっておるのですね。事実、御存じのように、東北・上越新幹線は通勤客がかなり多くなりまして、今や超満員のような状態になっています。  そういうような状況から考えますと、将来、日本人口問題をどのように解決していくかということは重要な問題でありますが、同時にやはり地方分権地方分散を徹底させる必要はあると思います。  この十八年、鈴木内閣以来、このことを言い続けてまいりました。ところが、実際には中央集権の現実は物すごい勢いで進んでいます。これは官庁だけではなくして、出版業界でも文化関係でも、あらゆるものでも、二十年前と今日とでは全くさま変わりに変わっています。  各都市ということを言われましたが、どれぐらいの格差があるかといいますと、手形交換で見ますと、大体、大阪東京の十分の一、名古屋は大阪の三分の一なんですね。広域情報発信で見ますと、大阪人口当たりで東京の十分の一以下、名古屋はそれよりも小ですね。この程度では情報発信機能として全く都市として成り立っていないのです。それぐらいの格差が、知識産業、情報産業にはできている。これは昔、二十年前にはそうではなかったのです。  百年河清を待つという議論がありますが、みんなが、恐らく皆さん方も、地方分権には反対ではなくて推進していただいているのだろうと思いますが、これだけいろいろな人が言いながら、実は、百年河清を待つのではなしに、物すごい勢いで濁りがふえているというこの現実はやはり正視しなければいけないと思うのですね。それを除外視して、何か言っていれば何とかなるというのは私は気休めにすぎないのではないかという気がいたします。  それで、大体世の中の問題といたしまして一番重要なのは、現実的ということを考えなければいけない。現実的というのは目的達成性であります。国鉄の分割のときにも私も何度もこの議論をしたのでありますが、当時専門家の方々は、分割・民営化などは非現実的だ、もっと現実的に労務の配置とか政治路線の廃止とか、そういう内部改革案でないとだめだと言われて、七回もその議論は出てきたのですが、結局赤字は減りませんでした。赤字を減らすという点では、一番入り口の難しい分割・民営化だけが出口がありました。  この地域の問題、地方分権の問題も、一番入り口の難しい首都機能移転だけが出口があって、それ以外の問題は、入りやすくて出にくい、着手容易性ではあっても目的達成性がないのではないか。  この二十年間あらゆることをやりました。あらゆることをやって、どんどんと東京集中が激しくなっている。新幹線がついたらと言い、高速道路がついたらと言い、電話が安くなったらと言い、インターネットができたらと言い、現実にはそのたびに東京集中が相当な勢いで進んでいるのですね。やはりこの事実というのは動かしがたいところがある。その根本にある思想、文化というものを今変えなければいけないのではないか。  官僚主導性にいたしましても、やはりこの堂々たる首都の中で、明治以来の官僚主導性というものの中に存在することと無関係ではないと思うのですね。  したがって、これはやはり真剣に国会が取り上げていただきまして、それを政府が広報でも伝え、そして全国民の議論に上げて、それで全国民が今の方がいいと言えば、それは一つの御意見として国民に従うべきでありますが、この議論をまず盛り上げていくことが大事だと思います。     〔委員長退席、西田(司)委員長代理着席
  26. 河合正智

    ○河合委員 河合正智でございます。  先生の東京集中というのは根本にある思想、文化を変えなければ変わらないというお話については私も非常に実感いたしておるところでございます。また、地方分権が先というのは入り口があって出口がないという先ほどのお話は、私は実は地方議員の経験がございまして、実は地方議会で地方分権議論がほとんどされていない。だから、地方から見れば入り口がない話ではないかなと思って、同感いたしております。  この先生のレジュメの八ページでございますけれども、「三権集中移転効果」のところで、「または行政機関の一部を分離した場合の」という箇所でございます。これは、例えばイメージとしてはイギリスにおける分権的分都といった、企画立案部門はロンドンに残し、実施部門は地方に残していったサッチャー政権の時代から行ったことを想定されているのであるとすれば、先ほどから議論になっております対象地域の方たちの関心が全く得られないということにつきまして、イギリスは、御案内のように、地方自治から国家をつくっていったという歴史とか、それから今の分権的分都論によって雇用を創出して経済危機を乗り越えたというようなことを踏まえますと、先生のこの箇所というのは私非常に興味を持ってきょうお伺いしたのでございます。  しかし、この考え方というのは、一番最初に申されました首都を決めることによって時代を変えるという考え方と私は矛盾しないと思うのですけれども、その辺のところの整理をひとつお願いしたいと思うわけでございます。  それから、もう一点でございますけれども、きょうは古屋先生もお見えになっておられます。それから棚橋先生も野田先生もおいでになっていまして、同じく私も岐阜でございますけれども、古屋先生のお父さん、それから棚橋先生、野田先生のおじいさんの時代というのは東京まで十時間かかった時代でございます。いわゆる遷都論が議論され始めた時代というのは東京まで岐阜から六時間かかった時代だったと思いますが、現在私たちは二時間で来ております。これは、古屋先生のお父さんたちの、大臣を御経験になった方々の地方に対する大変な御尽力が岐阜にも残っているわけでございますが、しかし、それ以上に過疎が進んでいる。  こういう現実を解消するために私はこの先生のレジュメにあります分権的分都論が非常に参考になるのではないかと思いますが、先生の今までのお考えと矛盾しないかどうか、よろしくお願いします。     〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席
  27. 堺屋太一

    堺屋参考人 ます、分権的ではありません。私の申し上げているのは、首都機能そのものの中の特定の分野について分散することがあり得るのではないか、それが首都機能を低下させないのではないか。例えば国会最高裁判所が分かれているところは世界じゅうに幾つもあります。そういうことは考えられるのではないか。  あるいは、今度のドイツの移転参考になると思いますが、社会保険庁と国防省、それからもう二つぐらいはボンに残ることになりました。これは、国防省の場合にはロシア国境に余り近いと危ないという防衛的な配慮もあったようでありますが、比較的人数の多い役所がボンにとどまっております。  だからといって、これは首都機能があるわけではありません。例えば、明治時代、今でもそうですが、中央官庁の一部である造幣局は大阪にございますけれども、あれは別に首都機能の一部が大阪にあるということではなしに、中央官庁の一部が大阪にあるということであります。したがいまして、最高裁判所と権利関係の役所とか調査関係の役所、例えば国土地理院でありますとか特許庁というようなものはあってもいいのではないか。そうすると、そこにそれに対応する教育機関等もできて、一つ文化振興の拠点になるのではないか。こういうことも考えられないわけではない。これは、どれくらいのマイナス、費用あるいは運営コスト等も考慮して考えられるのではないか。  そういうことで、首都機能というものを分けるわけではなくして、首都機能を構成している役所を分ける、一つの隊を分けるのではなしに一部だけ住まわすという発想で、矛盾しているものではないと思っております。  もう一つは何でございましたか。
  28. 河合正智

    ○河合委員 もう一つは、角度を変えたものでございますけれども、立案機能と実施機能を分けていくということについてです。
  29. 堺屋太一

    堺屋参考人 これは行政改革会議でも話題になったようでございますが、国税庁と大蔵省を分けたらどうかという議論もありました。この場合には、分けるというのはどういうことかということを慎重に検討する必要があると思います。  といいますのは、中央官庁の一部として分けるのか、あるいは地方支分局、国税局とか財務局とか通産局とか農政局とかいうものにもつと権限を持たせてブロック別の行政にすべきだという考え方と、それから都道府県に分散すべきだという考え方と、あるいはできるだけ民営に任すべきだという考え方がありますが、いずれにしても、この移転に伴って中央官庁の人数は相当、現在三万人ぐらいでございますが、移転する人の数は半分ぐらいにできるのではないかと私は考えております
  30. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。  きょうは非常に貴重な御意見、お考えをお知らせいただきまして、どうもありがとうございます。  ただ、一つお教えいただきたい点がございます。この二十年間にわたって先生は首都機能移転について前向きに、積極的に、また広範囲にわたってお考えを示されてきたと思いますが、その中において、先生の中でお持ちになっている、首都機能移転することによって起こる問題点でこれを解決してきた、あるいはこういうことをやればこの問題点が解決できるんだと、現在まで、ここまでしっかりしたお考えを確立するに至った足跡というか、その問題点を解決した根拠とか、また簡単で結構ですのでその事例とかをお知らせいただければと思います
  31. 堺屋太一

    堺屋参考人 ます第一に遷都論というのがございました。昭和三十六年ごろから、富士のすそ野とか浜松とか北上とかいうような遷都論がございました。  この遷都論はことごとくまず場所ありきという不動産的発想でございまして、ここにこういう場所があるからここへ来たらどうだという話でございました。私は、場所を言うべきではない、ます機能や必要性を説くべきだというので発想を転換いたしました。  それで、バブル時代の話は全部場所論でございましたから、これを全部カットいたしまして、平成二年、バブルが完全に終わったときからこの話が成り立っていて、バブル時代の発想とは隔絶しております。バブル時代だったら、これは反対になったろうと思うのですね、東京の土地が下がってはいかぬというので。事実これは、平成二年のときには東京関係の不動産業者は大反対でございまして、それから建設会社が大反対でございました。今も余り賛成しませんが、これは安くつくものですから好ましくないというところもあるのでしょう。  ところが、ます何を移転すべきか。何を目的にして何を移転すべきか。そしてその規模はどれぐらいか。ちょうど我々が家を建てる、あるいは会社を建てるときでもそうですが、この建てるものは一体何であるか。本社なのか工場なのか商店なのかということを決めて、そこへ入るものはこの規模だ、だからこういう建物がよくて、こういう構造がいい、そうなるとこういう敷地がいい、こうこなければいけないのですね。初めに敷地があるから何か使おうなんというのは大体業種多角化で失敗する会社のやることでございまして、やはり最初に目的が明確でなければいけないというところがあります。  そういう意味で、この日本の状況、明治以来の規格大量生産を成功させようというコンセプトでまいりました日本をこれから多様な知価社会に変えていくためには何が必要か。こういうことから発想いたしました。だから、この前にます知価革命という、世の中がこう変わるというような想定をいたしました。  そして、それに基づいて日本をいい国、つまりこれからの時代に多様なコンテンツをつくるのにふさわしい国にするためにはどうすればいいか。それは官僚統制の規格大量生産ではなしに、自由な発想ができるとか。したがって、首都機能もこんな堂々たる大都市の堂々たるものではなしに、もっと軽やかなものであっていいのではないか。そして、民の力、民の知恵を取り入れるものであっていいのではないか。そういうような発想から、比較的人口の少ない、小規模なところに首都機能があって、そして全国から公平に情報を入れて、その住んでいるところの情報は大したことがないようにした方がいいのではないか。  こういうことで私の発想は生まれているわけです。審議会委員の方々全員が同じではないと思いますが、私はそういう考えを持っております
  32. 古屋圭司

    ○古屋委員 済みません。再質問させていただきまして、ありがとうございます。  審議会の方は来年の秋口には候補地を絞り込んで、そして最終的には法律に基づいて東京との比較考量において決定をするということですね。  そうなった場合、一カ所に絞り込みができればいいのでしょうけれども、なかなか諸般の情勢からして厳しいだろうということになった場合、その一カ所に絞り込む作業というのは大変なことになると思うのです。今先生が指摘されたように、もう万博の誘致のような乗りで誘致合戦が大変なことになるという状態になろうと思います。  そこで私は、やはりこの首都機能移転というものは国民投票のようなもので判断できないだろうか。要するに国民投票といいますと、例えば住民投票に象徴されるように、原発賛成か反対かとかあるいは基地賛成か反対か、こういうややもするとセンチメンタルな話になってしまう。しかし、この首都機能移転というのは全国民がひとしく客観的に判断し得る唯一のテーマじゃないかなと思います。  ましてやこの首都機能移転というのは、新しい技術を集約をさせる、そしていわば二十一世紀技術のオリンピックだというとらえ方でいいと思うのですが、そうなった場合に、例えばその投票のやり方も電子投票システムのようなものを模索をする。いきなり公職選挙で電子投票システムというのはなかなかハレーションが大きいでしょうけれども、やはりそういうものを新しく提案をしていく、そしてそれを有力な判断材料にしていく、私はこれは非常にいいと思うのです。  なおかつ、先ほど先生が御指摘されましたように何かイベントとかそういうものがないと盛り上がらないということですが、まさしくそういった意味ではこの国民投票というのは国民世論の形成を盛り上げる究極のイベントになり得るのじゃないか、こう思うのですが、この辺についてはいかがお思いでしょうか。
  33. 堺屋太一

    堺屋参考人 国民投票というのは憲法で決められておりまして、憲法改正以外のときは正式にはないようでありますが、国民投票的世論調査ということはあり得るかもしれない、あると思います。また、それが一回でいいのか何度も繰り返してやる方がいいのかという議論もあるかと思います。  ドイツの場合は実に毎月のように世論調査をしておりまして、今はベルリン移転の賛成がだんだんふえてきているというような状況になっておりますけれども、何回も繰り返してやっているようです。  私もできることなら、全員の投票というのはなかなかでしょうが、十万人規模のものを二カ月に一回ずつぐらいやっていただけると非常に盛り上がってくると思います
  34. 中島武敏

    ○中島(武)委員 再質問ですけれども、簡潔に私の方から申し上げますが、現在の財政状況は、これは本当にGDP比でいいましてもとうとう一〇〇%を超えてしまうというだけの長期債務を抱えております。非常な危機であります。このときに、私の意見は、これはやめるべきだ、首都機能移転は。こういう意見なのですけれども、少なくともそういう状況と見合ってやらなければならないというふうに先生お考えになるでしょうか、どうでしょうか。そこです。
  35. 堺屋太一

    堺屋参考人 私は財政状況との関係は非常に重要だと思っております。繰り返し申しますように、これは財政再建の切り札でございます。他の公共事業よりも効果が非常に高いし、日本の活力を高めますし、そして金額的に見ると、今うわさされている補正予算の何分の一かでございますから、これが財政に危機を与えるとは考えておりません。  また東京の改善というのは、これは黙っていられないことでございまして、やはり移転によりまして公務員宿舎、大公使館、それをまた振りかえで各地につくるといたしますと、まじめに考えた学者は確かに安いということは言ってくれているのですね。ただ、それをきっかけに何か二重につくるような印象があるのが非常に残念なところでございます。  東京で、あるいは大阪でもそうなのですが、大都市で地下埋設物もあれば交通制限もあるところでつくりますのと、そうでない、野原といいますか、ほかに相隣関係のないところでつくりますのと全く費用が違いますから、これは大変効率的だと思います。それから跡地の利用なども効率的だと思います。  この点はいろいろと議論があるかと思いますが、ぜひ多くの人々にこの事業財政再建的に有利だということは理解していただきたいと思っている次第でございます
  36. 安倍基雄

    安倍委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人一言御礼を申し上げます。  堺屋参考人におかせられましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。これからの審議の、本当に出発点というか、参考にしたいと思います委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     正午散会