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1998-04-10 第142回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成十年四月十日(金曜日) 午前十時二分
開議
出席委員
委員長
安倍
基雄
君
理事
荒井 広幸君
理事
田野瀬良太郎
君
理事
西田 司君
理事
根本 匠君
理事
桑原 豊君
理事
松崎 公昭君
理事
河合 正智君
理事
吉田 幸弘君 佐藤 勉君 下村 博文君 滝 実君 棚橋 泰文君 西川 公也君 野田 聖子君 古屋
圭司
君
渡辺
喜美
君
玄葉光一郎
君 永井
英慈君
古川
元久
君 井上 義久君 田端 正広君 中島
武敏
君 前島 秀行君
出席政府委員
国土庁大都市圏
整備局長
兼
国会等移転審
議会事務局次長
林
桂一
君
委員外
の
出席者
参 考 人 (作 家)
堺屋
太一
君
衆議院調査局国
会等
の
移転
に関 する
特別調査室
長 白兼 保彦君
—————————————
委員
の異動 四月十日
辞任
補欠選任
渡辺
周君
古川
元久
君 同日
辞任
補欠選任
古川
元久
君
渡辺
周君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
国会等
の
移転
に関する件 ————◇—————
安倍基雄
1
○
安倍委員長
これより
会議
を開き
ます
。
国会等
の
移転
に関する件について
調査
を進め
ます
。 この際、
参考人出頭要求
に関する件についてお諮りいたし
ます
。
本件調査
のため、本日、
参考人
として
作家堺屋太一
君の
出席
を求め、
意見
を聴取いたしたいと存じ
ます
が、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安倍基雄
2
○
安倍委員長
御
異議
なしと認め
ます
。よって、そのように決しました。
安倍基雄
3
○
安倍委員長
この際、
参考人
に
一言
ごあいさつ申し上げ
ます
。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうござい
ます
。 我々、ずっと
審議
しており
ます
けれども、原点に立ち返って、
堺屋先生
の多岐にわたる御
意見
をお聞きして、今後の
審議
の
参考
にいたしたいと思い
ます
。どうぞよろしくお願いいたし
ます
。 なお、議事の順序ですけれども、まず
堺屋参考人
から二十分
程度
御
意見
をお述べいただきまして、その後、
委員
からの
質疑
に対してお答えいただきたいと思い
ます
。 御
発言
は
着席
のままで結構でござい
ます
。 それでは、
堺屋参考人
にお願いいたし
ます
。
堺屋太一
4
○
堺屋参考人
本日は、お招きいただきまして
参考意見
を述べる機会を与えていただいたこと、大変ありがたく、深く感謝いたし
ます
。
首都機能
の
移転
につきましては、私は、古くからこれを主張してきているところであり
ます
。 現在、
首都機能
の
移転
が必要であると考えられる第一、
首都機能
の
移転
の目的と
効果
であり
ます
。 まず、
日本
の
歴史
をさかのぼってみ
ます
と、あらゆる
時代
の名称が
首都機能
の
存在場所
で呼ばれており
ます
。
奈良時代
、
平安時代
、
鎌倉時代
、
室町時代
、
安土時代
、
桃山時代
、
江戸時代
、そして現在は
東京時代
でござい
ます
。つまり、すべての
時代
が、その
首都機能
が
移転
すれば
時代
は変わった。二つの
首都機能所在地
をあわせて一カ所に呼ばれることもまずございませんし、逆に、
首都機能
の
移転
がなくして
時代
が変わった、抜本的に変わったという例もございません。
平安時代
は三百九十八年も続きました。空海の
時代
と
平清盛
の
時代
の間には関ケ原と今日ほどの違いがあり
ます
が、その間にいろいろな
変化
がございましたけれども、やはり
平安時代
は
平安時代
という
一色
の
文化
であり、
社会構造
であり、
政治勢力
でございました。
平清盛
などは、四百年たった
平安時代
を何とか改良しようとして相当乱暴な大
改革
をやりました。けれども、結局、平安京の人脈と
構造
の中で
変革
ができないということがわかりまして、晩年に至って
福原遷都
、今の
神戸
市あたりに遷都しようとしたのであり
ます
が、彼の寿命は尽きてしまいました。 それで、その後、
源頼朝
が
鎌倉
に
幕府
を移し
ます
。そして、これは
文化
・
経済機能
は全く移さないで
首都機能
だけを移したのでござい
ます
が、たちまち
世の中
は変わって、
時代
が変わっただけではなくして
文化
もその
時代
の精神も全く変わってしまい
ます
。この間十年余りでござい
ます
が、四百年変わらなかったことが一遍に変わってしまった。 この
鎌倉幕府
がまた行き詰まって、
鎌倉幕府
の比較的安くつく
武士
が治めるという
コンセプト
が崩れた。そうし
ます
と、
室町
に
幕府
が移り
ます
。
室町
に
幕府
が移ると、今度は
高級武士
の
貴族化
が起こって、金閣寺、銀閣寺というような
文化
が起こる。 これが行き詰まって、十六
世紀
になり
ます
とどうしようもなくなるのでござい
ます
けれども、それでも
世の中
はなかなか変わりません。
三好長慶
とか
松永弾正
とかいうような非常に乱暴な
改革者
が出てまいりまして、人を殺すことも東大寺を焼くこともし
ます
が、その
程度
では全然変わらない。 ところが、
織田信長
が出てきて、
首都機能
を
安土
に移し
ます
と、一遍に
世の中
が変わりました。それをまた秀吉が
大阪
・伏見に返し
ます
。そして
徳川時代
、
江戸
に
幕府
が開かれると、
世の中
は
戦国時代
とはまた全く違う
世の中
になりました。
江戸幕府
も二百六十年にわたって続き
ます
が、これまた
享保
の
改革
とかいろいろな
改革
が行われ
ます
が、
改革
されるたびに悪くなる一方でございまして、
統制政治
が行われ
経済
が停滞するばかりでござい
ます
。 ところが、幕末に至って、黒船が来ても
日本
の
世の中
は何ら変わりませんでした。
文久
二年に至って、
将軍家茂後見役
の今大河ドラマになっており
ます
慶喜、それから各大名がことごとく
京都
に移って、この
文久
二年から
首都機能
が
江戸
から
京都
に移りました。 そうし
ます
と、わずか五年の間に
世の中
は全く変わって、すべて新しい
明治
という
時代
に変わってまいり
ます
。それで改めて、
京都
に一たん移った
首都機能
が
東京
と名前を変えました
江戸
に
移転
をし、そして文明開化という
時代
が進む。
近代工業社会
を目指した
コンセプト
が続くわけであり
ます
。以来、ことして百三十年になり
ます
けれども、
日本
の
コンセプト
はずっと同じ
一色
で続いてきているのではないか、こう考える次第でござい
ます
。 やはり、
日本
の
歴史
の中で、
首都機能
の
移転
なくして抜本的に
改革
されたことは一度もなかった。だから、今度も
我が国
を、
近代工業社会
、
規格大量生産
、
官僚主導
の
世の中
から、本当に民主的で大規模な多様な
社会
をつくるということになり
ます
と、これは
首都機能
を
移転
する以外にないのではないかと考えており
ます
。 また、現在の
東京
は一極
集中
が極端に進んでおりまして、
世界
でも
先進国
としては類例がないほど極端に進んでおりまして、さまざまな弊害が出てきており
ます
。
日本
は、
明治
以来ずっと
規格大量生産
の
近代工業社会
を目指すという
コンセプト
のもとに、
官僚主導
、
業界協調体制
でやってまいりましたが、この結果、
日本
は非常に
近代工業
の発達した
世の中
になりました。その反面、さまざまな問題が起こりました。
現実
の
東京
の生活は、
地価
が高騰し、
通勤距離
がどんどん延び、
ごみ処理
、
水供給
が困難になり、
国際機関
も
東京
は高くついて困るというような
時代
になってい
ます
。バブルの崩壊によりまして
東京
の
地価
や家賃は低下したと言われており
ます
けれども、関東三県に拡張したことを考え
ます
と、
東京
一極
集中
は依然として相当な
勢い
で続いており
ます
。 特に、最近の
コンピューターソフト関係
、
テレビ発信関係
、そして
インターネット関係
が出
ます
と、急速に
東京集中
が今進行しつつあり
ます
。世間では、
インターネット
ができればどこにいても同じだから
分散
するのではないか、また、こういう人が
地方
に行ったというような目立った例は言い
ます
が、数からいい
ます
と、大体青山から代官山の間に相当な数の
人々
が
全国
から集まってまいりました。この結果、
地方
の
空洞化
、特に
情報発信
の
空洞化
は非常に進んでおり
ます
。 第三に、この結果、
我が国
の
文化
の
多様性
と
情報
の
公平性
は著しく失われることになりました。
東京
一極に
集中
しており
ます
ので、
雑誌
を見ていただくとわかるように、どの
雑誌
も同じようなことを書いており
ます
。 特に問題は、
マスコミ
の
情報発信
です。現在、
日本
の
マスコミ
は約九兆円ほどの
発信
をしており
ます
けれども、そのうち、約半分が県境を越えた
広域発信
、半分が県内にとどまる
地域発信
でござい
ます
。この
広域発信
を見
ます
と、
人口
一人当たりについて、
東京
は十九万円強でござい
ます
が、二番目の福岡県が一万九千円、
大阪
府が一万七千円、そして三十一の道県がゼロでござい
ます
。したがって、
世論
を
調査
いたしましても、
東京
の
世論
だけが突出して反映される。一票の
重み
という言葉がござい
ます
けれども、
一言
の
重み
の格差は物すごく大きくなっているということであり
ます
。このため、ことごとく
東京世論
というものが
日本
を支配し、また
行政機関
に反映されていると言えるでしょう。 四番目の問題といたしましては、
国家
、
社会
の安定が得られない。
東京
において大
地震
、大
災害等
が起こり
ます
と大変な
被害
が出ることは、
阪神大震災
の例から見ても明らかであり
ます
。 その上、
東京
の
集中
した
機能
が崩壊いたし
ます
と、
日本全国
が非常に困る、いわゆる第四次
災害
が発生いたし
ます
。第一次
災害
というのは
地震
でつぶれること、二次
災害
はそれによって起こる火災、三次
災害
は、
地震
によって起こり
ます
ライフラインの
破壊等
によって生じる困難、そして第四次
被害
というのは、
一つ
の
地域
が破壊されることによって生じ
ます
全国
的、全
世界的影響
をいうのであり
ます
が、この第四次
被害
が極大になって、
日本経済
並びに
世界経済
に甚大な
影響
を与えると思われ
ます
。
神戸
の例で見
ます
と、
公務員
が
被災者
であると同時に
救済者
になることが極めて困難なことがわかっておりまして、
国家公務員
が同時に被災するというのは危険なことであり
ます
。 これをもし
東京
の改造によって救おうといたし
ます
と、どんなに
独裁権
を持ちましても、五十年、百兆円以上かかることはすべての人が認めておりまして、
民間建築家等
が出している案でも、一番安いのが百七十兆円であり
ます
。 第五番目には、
国民士気
、新生への
自信
であり
ます
。 現在の
日本
は、非常な
閉塞感
、
低迷感
にあふれており
ます
。この
日本
の
閉塞感
を超えて、
日本
が変えられる国だという
自信
をもたらすためには、やはり大きな
変革
、目に見える
変革
が必要でありましょう。
平安時代
も
江戸時代
も、長く続いた
時代
の
最後
には、この
国民士気
の高揚のために
最大
の
効果
を上げたのは
首都機能
の
移転
であり、それ以外には変えられなかったことを思い出していただきたいと思い
ます
。 第六に、
全国
の
地域構造
の
変革
と
経済
的な、
財政
的なコストの節約であり
ます
。 この点、非常に誤解されておりまして、
首都機能
の
移転
は
費用
がかかるという説があり
ます
が、これは後に詳しく申し上げ
ます
ように全く間違っており
ます
。現在、
東京
一極に
集中
しており
ます
ために、
東京経由
でないと
地方
とつながらない、これは
交通網
もそうですが、
情報網
も
マスコミ
もそうであり
ます
。これを
ネットワーク
化いたしまして、
全国
が
相互
にアプローチすることになり
ます
と、経費も軽減され
ます
し
公共事業
の
効果
も上がり
ます
。また、
情報公平性
も得られ
ます
。 第七番目に重要なことは、新
技術
の
蓄積
が行われることであり
ます
。 二十
世紀
は
軍事技術
が
世界
をリードした
時代
でございました。恐らく、二十一
世紀
は
都市技術
、
環境技術
が
世界
をリードする
時代
になると思い
ます
。
日本
のような豊かで
技術
の高い国が
首都機能
の
所在地
を新たにつくるとなり
ます
と、
世界
じゅうからソフト、ハードの知識が集まりまして、
我が国
に二十一
世紀
を開く
最高
の
技術蓄積
が生まれ、これが国際的にも大きなバーゲニングパワーとなり、
人類文化
をリードすることになるのではないかと思い
ます
。 さて、第二の問題といたしまして、
首都機能移転
の
費用
と
効果
でござい
ます
。この点についてかなり誤解があるようなので、特に申し上げたいと思い
ます
。
首都機能移転
の
費用
につきましては、一九九六年三月に完了いたしました
首都機能移転調査会
、
国会等移転調査会
で報告がありました。この場合は、行革が全く進んでおりませんでしたので、
行政改革
に手をつけないで現在の
機能
が全部
移転
する場合という
ケース
だけを計算いたしまして、
最大限人口
六十万人、
面積
九千ヘクタール、
費用
十四兆円というものを出しました。これは上限でありまして、極めて非
現実
的な姿であり
ます
。 それで、昨年でござい
ます
が、九七年に、
国会等移転審議会
に提出された
試算
は、第一
段階
、
国会開設
までの十年間に必要な
面積
は千八百ヘクタール、
人口
十万人、
費用
四兆円となりました。このうち、公的な
費用
の
負担
は二兆三千億円であり
ます
。これは、今回の
補正予算
で話題になっている数字に比べましても、それほど大きなものではありません。また、現在の
中央官庁
の
行政機関
の二分の一を
移転
する、何年か後、何年かけて
移転
いたしましても、
必要面積
は四千八百ヘクタール、
人口
三十万人、総
費用
は七兆五千億、このうち
公費
で
負担
するものは三兆円にすぎません。
行政
の
改革
、
地方支分局
への
分散
、
地方分権
などを進めるといたし
ます
と、
首都機能移転
の
費用
がこれを上回るとは考えられません。 ちなみに申し
ます
と、ドイツは今ベルリンに
首都
を
移転
しており
ます
が、
費用
は当初予定をどんどん下回るようになりまして、二百億マルクで済んでおり
ます
。 第二に、
移転費用
の大半は
民間
の
支出
であり
ます
。
移転
の
費用
には、
公的支出
、
公的財産取得
、
公益企業投資
及び
純粋民間投資
の四種類がございまして、それぞれに分けており
ます
が、これで究極的に見
ます
と、公的な資金として出すのは二分の一の場合で約三兆円であり
ます
。 別表が二枚後についており
ます
。「
移転費用
の
モデル的試算
について」、これは
審議会
に提出されました
国土庁
の
試算
でござい
ます
けれども、第一
段階
では
公費
は二兆三千億円、この中には
土地買収費
が含まれており
ます
。それから、二分の一
ケース
で三兆円、そして
最大ケース
で四兆四千億、
最大ケース
までいくことはないと思い
ます
が、それでも四兆四千億であり
ます
。これによって倹約できるものは大変たくさんござい
ます
。いろいろなものと比較していただき
ます
と、この
費用
がいかに
経済
的で、
財政
にプラスになるかは明らかであり
ます
。
首都機能移転
にかかわる
費用
は以上のようであり
ます
が、これを比較いたし
ます
と、一九八四年から九三年までに投資されました
全国
の
公共事業
の約一%、
東京
都の
費用
の一割以下、
東京
都がやっており
ます
臨海副都心の二分の一ぐらい、国の
営繕
の二分の一以下というような数値でござい
ます
。 さて、
首都機能移転調査
の
重要性
について述べたいと思い
ます
。 現在我々が
審議会
でやっており
ます
のは
調査
でござい
ます
が、ここで、
ます
第一に
三権集中移転
ということについて
調査会
が答申いたしました。
調査会
においては、
行政改革
についての
議論
ができないまま
最大限
の
試算
をいたしまして、
立法
、
行政
、
司法
の
三権
の
最高機関
を一括して
移転
する、
国会
、
官庁
、
最高裁判所
を一括して
移転
するという結論を出しました。 しかし、いかなる問題にも絶対はございませんで、
一つ
を立てれば他方が損なわれることがあり
ます
。今後の
審議
においては、最終的に国権の
最高機関
である
国会
が決定していただくわけでござい
ます
が、この場合、
立法
、
行政
、
司法
の
三権
を二ないし三に分割したらどれほどの
不便
が生じるか、どのような分け方でどれほどの
不便
が生じるかというようなことも
シミュレーション
していただきたいと思っており
ます
。できるだけ
国会
にいろいろな選択肢を提供できるよう、我々の
審議会
においても
複数
の
調査
をしたいと考えており
ます
。 また、第二といたしまして、
行政
の
組織改革
と
手法
の
変更
を考えてみる必要があり
ます
。 今の
霞が関
をそのまま
移転
するということは余り
効果
がありませんし、考えられないことであり
ます
。
移転
するとなると必ず変わり
ます
。したがいまして、その場合の
リストラクチャリング
、これは今度の
行政改革
で一府十二省というのは決まりましたけれども、その内容についてはこれからいろいろ
議論
があり
ます
。また、
行政手法
の
変更
、これ
はりエンジニアリング
でござい
ます
が、特にこちらについてはまだ十分に行われておりません。それによりまして
段階
的な
シミュレーション
を行いまして、現状の
霞が関
の
役人
の数を三分の一、二分の一の
ケース
を想定した
シミュレーション
が必要だと思い
ます
。 三番目には、つくりやすさよりも使いやすさであり
ます
。 こういう
議論
をいたし
ます
と、とかくつくりやすいことに目が向きまして、あそこに空き地があるからつくれという話がよく出るわけであり
ます
。しかし、
首都機能
というものは国の本社のようなものでございまして、最も便利のいい、使いやすいところになければ
意味
がありません。そして、使いやすいところにあればこそ、国の効率、国の
文化
に役立つわけであり
ます
。 そういう
意味
で、これは三
地点
が今
候補地
になっており
ます
が、三
地点
それぞれかなり広大なところでござい
ます
ので、その中のどこにするかということもまた問題であり
ます
。それについて
利便性
の
シミュレーション
をする必要があろうかと思っており
ます
。 四番目の問題といたしましては、
技術
、法規の問題です。 現在の
建築基準法
、
都市計画法
は、すべて既に多くのものができている
既存市街地
を対象としてつくられており
ます
。したがって、今度新しい
場所
につくるといたし
ます
と、
建築基準法
も
都市計画法
も全く変わった新しいものを使うべきであり
ます
。 ちなみに申し
ます
と、現在の
都市計画法
は
社会主義
の
影響
が濃厚でございまして、
労働
と資本を分離する、その間に
機械動線
の
通勤線
をつくる、
労働
再
生産
のための
住宅地
と
生産手段
の集まりました
工業用地
、
商業用地
は地理的に分離すべきだ、そしてその間を
機械動線
で結んで
都市計画
を立てるべきだという思想になっており
ます
が、
工業
の形、
商業
の形、
人々
の居住の形が変わったものですから、
世界
的に線引きは
時代
おくれだと言われており
ます
。こういったこともあり
ます
。 また、
建築基準
の問題にいたしましても、新しいところでつくるとなり
ます
と相
隣関係
その他に
変化
がござい
ます
ので、これも十分に考えていく必要がある。新しい
都市づくり
の見本ができると思い
ます
。 以上のような観点から、この際、十分な
調査研究費
を投入いたしまして、官民の
研究機関
を動員して、
国民
が納得できるような
シミュレーション
を行うべきだと思い
ます
。また、各課題について公正を得るために、
複数
の
調査機関
に出せるようになれば
最高
だと思っており
ます
。
最後
に強調いたしたいことは、二つござい
ます
。
一つ
は、
国会等
を
移転
することによりまして、
全国
の
地域構造
が完全に変わるということであり
ます
。
首都機能
の
移転
は、単に一
都市
をつくる
ニュータウンづくり
ではございません。
ます
第一に、
全国ネットワーク
の形成があり
ます
。
明治
以来、
日本
の
地域構造
は
東京
一極
集中
になっており
ます
。そして、特に昭和十六年以来、これを
東京
一極
集中
にするような政策が強引にとられてまいりました。
首都機能
の
移転
は、
全国
、
地方
と
地方
を結ぶ
ネットワーク
型の
交通
・
通信網
、
物流網
を生むと同時に
情報
の
相互交換
が進み
ます
。
東北地方
と九州との間の
情報交換
というのは、今は必ず
東京
を通じないとゼロでござい
ます
が、そういうことが進んでまいりまして、
全国
が変わることになるでしょう。 また、第二に、多様な
地域文化
、
地方文化
というものが生まれてくるでしょう。 現在は、都の
文化
という
東京
の
文化
が圧倒的な
重み
を持っており
ます
。
先進国
におきましては、戦後、
首都圏
の持ち
ます
経済
、
文化
の比重は必ず下がってい
ます
。上がっているのは
日本
だけなんですね。これは、過去二十年間にわたって
地方分権
、
地方分散
が叫ばれてまいりましたけれども、結果としては
東京集中
がどんどん進んでおりまして、知事さんの
東京滞在日数
をとっても、
役人
の
出張回数
をとっても非常な
勢い
でふえており
ます
。二十年間これだけ叫んできて
地方分権
が進まなかったことの
現実
を見
ます
と、やはり
首都機能
の
移転
以外にないのではないでしょうか。 また、
首都機能
の
あり方そのもの
も、現在の
東京
は大変に堂々たる
首都
でございまして、いかにも
近代国家
の
首都
にふさわしい
官僚主導
のものになっており
ます
。これを二十一
世紀
の自由と民主と
多様化
の
時代
にふさわしいようなものにしたい。また、
役人
のやり方も、
民間
あるいは自治体を呼びつけ型から、出向き型に変える必要があると思い
ます
。 ちなみに、
最後
に、今問題のことでござい
ます
ので、
財政再建
との
関係
について再び申し上げたいと思い
ます
。
首都機能移転
は、目下の重要問題である
財政再建
に非常に大きく貢献するということであり
ます
。
首都機能移転
のための
財政支出
は、先ほど申しましたように三兆円以下でござい
ます
。二〇一〇年までにそれを
支出
する分はさらに下回ると思い
ます
。したがって、過去十年間の
東京
都の
公共事業
の十分の一、国の
営繕
の二分の一ぐらいであり
ます
。
東京
の再開発、
震災対策
、これはやはり不可欠でござい
ます
が、そういうものに、現有の施設の跡地、
官庁
、
公務員宿舎
、
外国公館等
を活用すれば、現在計画されている
対策
よりもはるかに少ない
費用
で都民の安全が図られ
ます
。したがって、
首都機能移転特別会計
のようなものを設置いたしまして、
財政支出
を極小に抑制する制度をつくることができると思い
ます
。
首都機能
の
移転
に際しては、
行政機能
の
リストラクチャリング
、
簡素化
と、
行政手法
のリインダストリング、
革新性
を一挙に進めることができて、
行政費用
は徐々に大幅に縮小することができるでしょう。
首都機能移転
の
経済的波及
はあらゆる
公共事業
の中で極大であり
ます
。したがって、
租税増収
の見込みは非常に大きいし、
日本
の
経済
を活性化すると思い
ます
。 また、
国民
の
民心一新
に役立ち、さまざまな新
技術
、新産業が拡大発展することになるでしょう。このことによる
経済
の発展と
文化
の
多様化
は絶大であり、長期にわたって
財政改善効果
が期待でき
ます
。 さらに、
東京
には
空間的余裕
と
心理的解放
が生じ
ます
ので、多くの
新規事業
が企画実行されるに違いありません。これによって、累増する
公的負担
の軽減にも役立つものと思われ
ます
。 以上の点から、
首都機能
の
移転
、
国会等
の
移転
は、
財政再建
とも矛盾するものではなくして、むしろ大きく貢献する
事業
だと私は信じており
ます
。 どうもありがとうございました。(拍手)
安倍基雄
5
○
安倍委員長
どうもありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
の開陳は終わりました。
安倍基雄
6
○
安倍委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行い
ます
。 この際、
委員各位
に
一言
申し上げ
ます
。
質疑
につきましては、
理事会
の協議に基づき、一回の
発言
時間は三分
程度
となっており
ます
ので、
委員各位
の御
協力
をお願いいたし
ます
。また、御
発言
は、挙手の上、
委員長
の許可を得た後にお願いいたし
ます
。
発言
は、
着席
のままで結構です。
渡辺喜美
7
○
渡辺
(喜)
委員
渡辺喜美
です。 私の
地元
は栃木県の那須でござい
ます
。
堺屋先生
、今おっしゃられたように、私も、この
首都機能移転
というのはまさに新しい
時代
を切り開くものである、そう位置づけており
ます
。したがって、各
地域
でいろいろな
誘致運動
というのがあるかと思い
ます
が、これはオリンピックの
誘致
じゃないのだ、四年に一回必ずどこかにやってくる、そういうものじゃないのですよ、そう
地元
で言うと怒られるのですけれども、私はそう思っており
ます
。 そこで、今我々は
日本
の
構造改革
をやっており
ます
。その中で、この一府十二省の
行政改革
も今
国会
で法案を出すわけでござい
ます
ので、どうぞ野党の皆さんも御
協力
をよろしくお願い申し上げ
ます
。 そこで、
最後
にお触れになりました
財政
改革
との
関係
であり
ます
が、昨日の総理の記者会見によっても明らかなように、この
財政
改革
法の修正ということをこれから検討していくわけでござい
ます
。 六月に行われました
財政
改革
会議
、あの中で、
首都機能移転
については二〇〇三年まで着工をしない、こういうことが決められたわけであり
ます
が、仮にこの二〇〇三年という数値目標を先送りするということになり
ます
と、では、この着工をしないという目標も先送りするのですか、こういう
議論
が必ず出てくるのですね。したがって、我々は、
首都機能移転
を推進する立場から、そういう
議論
にはくみできない、こう考えておるのでござい
ます
が、
堺屋先生
の御所見を賜りたいと思い
ます
。 それともう
一つ
は、これはこの間の
移転
審議会
の話でござい
ます
が、下河辺
委員
が最初栃木県に
移転
する、五十年たったら岐阜県に
移転
するというような中身の御
発言
をされたようでござい
ます
が、これは新聞報道により
ます
と
審議会
では下河辺先生の個人的見解である、こういうことになったようでござい
ます
が、この点について、
堺屋先生
の御所見があったらお承りをしたいと思い
ます
。 以上二点、よろしくお願いし
ます
。
堺屋太一
8
○
堺屋参考人
ます
第一でござい
ます
が、現在の
審議会
等の作業から見まして、
場所
を選びまして、そしてそこの
地域
調査
をして、ここがいいということを
国会
で定めていただき
ます
と、そこの土地買収にかからなければいけません。その前に、
地価
を安定させるための法案その他、準備法案がござい
ます
。したがって、二〇〇三年というのは、私も、前官房長官などから御説明を聞いたときには、頑張ってやっても大体それぐらいじゃないか、別にこれは先に延ばすのではなしに、着工となり
ます
と、
ます
土地買収があり、その前に
地価
安定法があり、スケジュールをつくっていくと、まあまあそれぐらいだから大した
変化
はないのじゃないかというふうにお聞きいたしました。 それで、これは特に延びたとは考えておりませんので、やはりこの年をめどにして着工をするというのは変えたくない。変えるとずるずると変わる可能性があり
ます
ので、この二〇〇三年というのは
一つ
重要なポイントだと思い
ます
。 そしてまた、二〇〇三年ということを申し
ます
とアナウンス
効果
がありまして、たちまち景気の回復に大きな
影響
を与えると思い
ます
。したがって、ぜひ
国会
においてこの二〇〇三年着工という線を強くアナウンスしていただきたいと考えており
ます
。 第二に、下河辺
委員
の
意見
でござい
ます
が、私もその
審議会
に
出席
しておりましたが、これは下河辺
委員
の個人的な見解として出たものであり
ます
。栃木県、岐阜県という固有名詞はおっしゃらなくて、東北方面と中部方面ということでございまして、東北方面については
地震
その他の
対策
のためになるべく早くやる、そして中部方面についてはかなり長期にわたってじっくり研究して本格的な
首都機能
を考えるというような御
意見
でございました。 私どもといい
ます
か
審議会
全体といたしましては、緊急のものと長期、本格的なものと二つつくるという案は初めてでございましたので、それにお答えするほどの用意はどの
委員
にもございませんでした。また、緊急のものは東北がよくて、恒久のものは中部がいいということもまだ
審議会
では
意見
が出ておりませんので、そのような下河辺
委員
の御
意見
があったということをお聞きおきするにとどまっており
ます
。
松崎公昭
9
○松崎
委員
民友連の松崎でござい
ます
。 先生の御高説、ありがとうございました。
首都
移転
の問題は賛否両論あり
ます
し、先生の御高説では
日本
の
改革
のための大きな牽引力になる、これは私も賛成ではあり
ます
。先生も御心配されており
ます
けれども、私などは関東、
東京
圏におり
ます
けれども、どうも
国民
の合意が、まだそういう雰囲気になっていないのじゃないか。先生もおととしあたりは、三信七疑というのですか、実際は、熱心に信じている人が一割になった、それから半分ぐらい信じている人が四割だ、残る人は、五割はまだほとんど信じていない、そういう状況です。やはり大きな
歴史
的な
事業
ということにもなるわけなので、
国民
の合意形成というのは、いろいろな仕掛けがあると思い
ます
し、
審議会
の皆さんも頑張っていらっしゃい
ます
けれども、まだまだできていないのではないか。 先生は公平な
シミュレーション
を繰り返せというお話をしており
ます
けれども、今の計画でいき
ます
と、これは財革法の縛りがなくなって、もう来年の秋には
場所
が発表になる。そういう時期としましたら、ちょっとその辺が
国民
合意の問題とは余りにも差があるような気がするのですけれども、どんな方法で
国民
の合意をもっと上げるか、御
意見
がございましたらお願いをいたし
ます
。
堺屋太一
10
○
堺屋参考人
おっしゃるとおりでございまして、現在の
国民
の関心が半分ぐらいは不況
対策
に偏っておりまして、その他の問題に対する関心度がかなり低下しており
ます
。そういう中で、こういう長期の問題を
議論
するのはかなり難しいことでござい
ます
が、
マスコミ
等も通じましてできるだけ訴えていきたい。その
意味
では、政府広報等も利用させていただきたいと考えており
ます
。 それからもう
一つ
は、先ほどから申し上げており
ます
ように、
調査
結果をどんどん出していくことだろうと思うのです。これにつきましても、どのような
首都
をつくるのか、その
首都
のたたずまい、形でござい
ます
ね。それから、その
首都
に住む
人々
の生活の態様、そういったものと、それがあるところにでき
ます
と、それにつながる
全国
の道路網、空港網、
通信網
、そういうものが端々まで変わるということをできるだけ早い機会に
国民
の方々に知っていただきたいと思い
ます
。 現在の
日本
の国土
構造
は
東京
一極
集中
にできており
ます
。したがって、
東京
に行くのに必要のない県には飛行場がないのです。例えば北海道へ行くのには飛行場が要る。例えば北関東
地方
などは、北海道や九州に行くのには飛行場が要るのですが、
東京
に行くのに飛行場が要らないという
意味
で、全部飛行場がないのですね。 そういうことではなしに、アメリカやドイツのように
地方
対
地方
の交流というのが盛んにならなければいけない。そのためには、
首都機能
を
誘致
しないところでもこんなに変わるんだよ、その結果、
日本
はこういうような
文化
形態の国、こういうような
経済
形態の国になるんだよということを
地方
の方々にもお示しできるような
調査
が許されれば非常にありがたいと思っており
ます
。 そうなり
ます
と、やはり
調査
費、これはそんなに大きな金額ではございませんけれども、ぜひ来年度の予算などで政府広報費等も含めてこの問題に
集中
するようにしていただければいいと思っており
ます
。また、
マスコミ
等も巻き込んで、できるだけいろいろな
調査
、
世論
調査
等も進めていきたいと考えており
ます
。
古屋圭司
11
○古屋
委員
岐阜の古屋でござい
ます
。
渡辺
先生の御質問にも関連するのですが、この
首都機能移転
自身が行
財政
改革
につながる、これは極めて重要な視点だと思っており
ます
。 私はたまたま岐阜県なのですが、もう一年以上も前からいろいろな
試算
をして発表しており
ます
。それは、例えば
東京
に
首都
がとどまることによってどれぐらいの
財政
負担
を余儀なくされているか、この問題について大分研究をしました。自治省を初め
官庁
から発表されたデータをもとに
試算
をしたところ、年間で五千億円ぐらいは余計な
支出
を強いられているという計算が出ており
ます
。 今度の
審議会
でも報告をされました内容により
ます
と、六十万規模の
首都
をつくるのに
公的負担
というのは最終的に四兆四千億円ぐらいだろう、それは最低でも二十年ぐらいはかかるということであり
ます
。 そうなり
ます
と、四・四兆円を二十年で割り
ます
と、年間で二千億円から二千二百億円、すなわち五千億円引く二千二百億円イコール三千億円近くはまさしく行
財政
改革
につながるわけでありまして、こういった見地からの
議論
というのがほとんどなされていない。
堺屋先生
がこういった形で御指摘をされているぐらいのことでありまして、やはりこれが非常に重要な観点になろうかと思い
ます
ので、ぜひこの観点からのアプローチというものを大いに広めていっていただきたいということが一点であり
ます
。 それから二点目は、対象
地域
、いわば北東
地域
、東海
地域
あるいは畿央
地域
以外の方々の関心度というのは極めて低いというのが偽らざる事実だと思い
ます
。それは、
堺屋先生
からも御指摘があったように、
全国
土的な見地からのアプローチがないということだと思い
ます
。どこかに
移転
をするということになれば、勝ち組があり
ます
し、当然負け組があるわけでありまして、最初から対象
地域
外ということがあるわけであり
ます
から、やはりそういった方の、例えば最初から対象になっていない
地域
もこういう形でメリットがあるのですよという、その辺のアプローチというのが少し欠けているような気が私はいたし
ます
。すなわち、
歴史
的、
文化
的、
国家
的見地からのプレゼンテーションというのが少ない。やはりこれは、大いに政府も我々この
委員会
も、そういった立場でやっていかなければいけないと思い
ます
。 ちなみに、そのためには広報の経費等々が要るかと思い
ます
が、政府活動の広報費はたしか百数兆、百十兆円前後だったように私は記憶をいたしており
ます
が、この中でこの
国会
機能
移転
、
首都機能移転
で幾らぐらいの経費を使われているのか、ちょっと
参考
までにお伺いしたいと思い
ます
し、また、もしそれが少ないということであるならば、やはりその増額ということを
委員会
でもしっかりと提案をしていくべきだと思っており
ます
。 以上、二点について指摘をさせていただきました。
堺屋太一
12
○
堺屋参考人
ます
、前半の
財政
との
関係
でござい
ます
が、
日本
の
歴史
を見
ます
と、
首都機能
が
移転
してから最初のうちは
財政
は必ず非常に良好になり
ます
。
江戸幕府
でも
鎌倉幕府
でも
明治
政府でも、初期は借金を余りしておりません。非常に良好になり
ます
。だんだんと古くなると経費が高くなるわけです。
現実
に、
東京
に存在することでいろいろな面で
費用
がかかっており
ます
。例えば、これは必ずしも
首都機能
が
東京
に
集中
していることだけとは
関係
ありませんが、現在
日本
は不況と言われながらも、
民間
企業総交際費が一昨年の税務
調査
で五兆四千億強であり
ます
。これは、アメリカやドイツに比べましても、GNP当たり数倍なのですね。また、
民間
企業総旅費
交通
費、これもアメリカなどのように国土の非常に広い国よりも多いわけです。何かにつけて
東京
に出張していかなければいかぬ、
東京
に来てパーティーをしなければいかぬということで、非常にそういう
費用
がかかっておるようであり
ます
が、こういうこともやはり
地方分散
になると相当に違ってくるのではないかと思い
ます
。 また、
日本
は持ち家制度をやっており
ます
。
日本
国民
の
一つ
の期待として持ち家というのがあり
ます
。したがいまして、会社が
移転
いたし
ます
と、なかなかそれについてサラリーマンが転宅いたしません。特に北関東に筑波などをつくったときは十年、十五年そういう状態が続きまして、
東京
の都心を突き抜けて通勤する人が非常に多いわけです。このために、都心の再開発あるいは副都心の政策というのは必ずしも成功しておりません。幕張に移ると世田谷から通う人がいるとか、横浜に移ると北区から通う人がいるとか、これによって公共のトラフィックの
負担
が非常に大きなものになっているわけですね。そういうことを考え
ます
と、
移転
がいかに安くつくか、これは十分に
シミュレーション
をしていただければわかる問題だという気がいたし
ます
。 広報費につきましては、私は正確に政府広報予算について金額を存じ上げておりませんが、なるべくこれに使っていただきたい。特に、テレビなどでいろいろとコンピューター
シミュレーション
などを利用した番組をつくらせていただけるようなチャンスがあればありがたいなと思っており
ます
。
井上義久
13
○井上(義)
委員
井上義久でござい
ます
。
堺屋先生
、きょうは大変お忙しいところを
参考人
として御
出席
いただきまして、大変ありがとうござい
ます
。
首都機能
をぜひ
移転
すべきだ、こういうふうに考えている我々の立場からいい
ます
と、いろいろな機会に
首都機能移転
の必要性をいろいろなところでお話をいただいていることについては大変心強く思っているわけでござい
ます
。 今私は宮城におるわけでございまして、北東
地域
、ぜひ
首都
移転
をということで一生懸命やっているのですが、
東京
の人たちとの落差が非常に大きいなということを実感するわけでござい
ます
。都庁の皆さんもそうですし、都議会の皆さんもそうですし、それは何が一番大きいかなということを考え
ます
と、
首都機能
を
移転
した後の
東京
はどうなるのだというビジョンというものが結局描き切れていない、余り熱心ではないから描こうともしないというところに大きな問題がある。 ところが、先ほど先生がおっしゃったように、
情報
の
発信
基地は
東京
なものですから、それが
国民
的コンセンサスをつくる上での大きな障害になっている、こんなふうに思うわけでござい
ます
。そのことについて、
ます
今後どうするのがいいのかということが
一つ
。 それから、
首都
移転
が
首都機能移転
というふうに言葉を変えるようになったわけでござい
ます
けれども、
首都機能移転
、その
首都機能
というのは具体的に何なのか。
立法
、
行政
、
司法
というふうにそれが限定されるものであるならば、
文化
、
情報
、
経済
というある
意味
で一極
集中
の最たるものがそこにあるわけでございまして、それをどういうふうに考えるのか。それは
東京
の
首都機能移転
の後のビジョンとも
関係
してくることだと思い
ます
し、その辺の
首都機能移転
というものをどこまでの範囲でどう考え、それがまた
経済
や
文化
にどういうふうに
影響
していくのかということを、最初の質問と絡めて、もし先生の御見解があれば。 それからもう
一つ
は、我々ももともと
東京
におりまして、
首都機能移転
反対の一番の論拠は、一極
集中
は結局中央集権という
日本
のシステムが問題なのであって、
首都機能
を
移転
したからそれができるものじゃない、やはり
ます
地方分権
じゃないか、
地方分権
の仕組みを
ます
つくることが先決じゃないか、こういう
議論
が一番あるわけでござい
ます
。そこはどうも、政府の今の
首都機能移転
の
議論
の中でもやはり明確に示されていないのじゃないかというふうに思うわけでござい
ます
。 以上、三点について。
堺屋太一
14
○
堺屋参考人
ます
第一に、
東京
の方々との落差ということでござい
ます
が、
国土庁
その他でいろいろと
世論
調査
をしており
ます
が、
全国
はもちろんのこと、
東京
都民についてもかなり賛成の度合いは高いのでござい
ます
。具体的な数字は後ほど文書で出させていただき
ます
が、たしか反対よりも多かったと思い
ます
。
全国
でももちろんそうでござい
ます
。
東京
の
世論
を形成するような
発言
者の中には反対の人も多いようでござい
ます
が、
官庁
の課長クラス等を対象にしたのでもかなり賛成の比率が高かったと思い
ます
。だから、
東京
都という組織と
東京
都民という
世論
との間には落差があるのじゃないかなというように感じており
ます
。 二番目に、
移転
した後の
東京
でござい
ます
が、私は、
東京
はそれによって物すごい活力のある国際
都市
、いわば二十一
世紀
を代表する人類の
世界
都市
になるだろうという気がしており
ます
。
東京
がそれだけの余裕を持つことは、新しい
機能
、より効率的でより国際的な
機能
を投入できることになる。本当にニューヨークに匹敵するような
経済
、
文化
の中心
都市
になるのではないかという気がしており
ます
。 その際に、新しくつくる
首都機能
は
東京
の飛び地にならないようにすべきだろうと思っており
ます
。
東京
に
文化
、
経済
が非常に大きな力を持って残り
ます
し、もちろん
文化
、
経済
が残るということは政治力も残る部分があるわけでござい
ます
が、だからといって、ベルサイユとパリのような、
役人
と貴族だけが、政治家だけが行っているような飛び地になってはいけない。そういうような立地の問題も起こってくるかと思っており
ます
。 そして
最後
に、
地方分権
と中央集権の問題でござい
ます
が、中央集権と
地域
一極
集中
とは別物でござい
ます
。
明治
時代
は今よりも中央集権でございましたが、
地域
集中
はしていなかった。
地域
集中
を行い出したのは昭和十六年の有機型国土
構造
の形成のころからでございまして、このころから官僚統制を徹底させるために、
東京
に、各界業界団体を
集中
するあるいは
情報発信
を
集中
する、それから特定目的の施設、例えば歌舞伎座であり
ます
とか格闘技専門体育館であり
ます
とかいうものは
東京
以外につくらさないというような強引な政策をとりました。さらに、戦後になり
ます
と、これをいろいろな、例えば勲章の格付にまで
影響
をさせて
東京
に引っ張るようにしたわけであり
ます
。 今もこの政策は続いており
ます
。例えば、印刷物を発行する場合。
雑誌
を発行する場合には、
東京
を経由しないと
全国
に売れないような業界体制、これは最初は文部省思想局がおつくりになつた体制でござい
ます
が、今やそれが定着して業界の体制になっており
ます
けれども、そういうものがある。あるいは、キー局システムという
世界
にも珍しいような
東京
一極
集中
の
情報
システムがつくられている。 そのようなことで、長年かかって政府が強引に積み上げてきた。だから、全
世界
の先進
工業
国の中で
日本
だけが、
首都圏
に
経済
、
文化
、
情報
が集まるようになったわけであり
ます
。 したがって、新しいところに移りましたら、そこにごっそりついていくということはあり得ないことでございまして、これは
東京
にやはりそういう
機能
が大きく残る。大きく残り
ます
けれども、同時に、新しい
首都機能
のところからも政治、
行政
の
情報
が
発信
され
ます
と、
情報発信
の
分散
、二つに
分散
され
ます
と、必ずその次には第三のところとの比較が出てまいり
ます
から、多極
分散
型が実現すると思い
ます
。 先ほども申しましたように、
地方分権
につきましては、鈴木内閣のころから繰り返し繰り返し二十年近く言われてまいりました。その間に、幾つかの権限は確かに知事さんあるいは市長さんに
移転
されましたが、実際は事前協議と称して、以前と変わらず、またはそれ以上に丹念に
中央官庁
の指導が行われているのが
現実
でござい
ます
。このために、各県の
東京
出張日数は決して減っておりません。また、従来、国が定めていた規格基準を
参考
基準とかいうような名称に変えながら、実際は
地方
がそれに従うということが行われており
ます
。 これは、
中央官庁
が
東京
という堂々たる
都市
にあって、そして、かつてはアジアの
首都
を夢見た
東京
のたたずまいの中で行われており
ます
ので、
東京
文化
というものに対する非常な畏怖が
全国
にあり
ます
。この結果、人材も
東京
へ行ってということもあるでしょうし、
東京
で定められたことかというのが、昭和十六年以来六十年間定着してきたということも非常に大きな理由だと思い
ます
。 そういうことを考え
ます
と、
地方分権
が先だというのは言うべくして不可能だ。入り口があるけれども、出口がない道ではないかと思い
ます
。このことは、
平安時代
のあの何十回の
改革
、戦争を行って大勢の人をあやめるようなことがあっても変わらなかった。
室町時代
も同様でございました。
徳川時代
も、
享保
の
改革
とか寛政の
改革
とか、スパイ政治までやって実に大胆なことをやりまして、
日本
の
経済
を破壊してもというような
改革
をやったのであり
ます
が、ほとんど
効果
は上げておりません。そういう
意味
からいい
ます
と、
政治勢力
が変わるとかあるいは
地方分権
が先だとかいうのは、私は、言うべくして
現実
不可能だ、これは入り口があるけれども出口のない道ではないかという感じがしており
ます
。
西川公也
15
○西川(公)
委員
前回、
堺屋先生
おいでくださったときに、私は三信七疑という言葉を聞いたのです。これは、
国民
になかなか理解してもらえない部分があると思うのですね。私は、栃木県に住んでおり
ます
ので、
国会
移転
を県民挙げてやっており
ます
ので非常に理解しており
ます
が、
候補地
に
関係
のない人はそういう話にならないと思うのです。また、現在の
霞が関
を見ましても、どんどん新しい建物が建っていくということになっていき
ます
と、どうなのだ、
国会
移転
、やるのかやらないのかと言いながらも、こんなに整備していったらやらないのじゃないか、こういう考え方も
国民
にあると思うのです。私は、
首都機能
というのは一カ所あるよりはニカ所あった方がいざ不測の
災害
が来たときに対応できる、こういう面で早く
首都機能
をダブルでもいいからやっておいた方がいい、こう思うのであり
ます
。 私は、かねてから、那須にもし来ていただけるのであれば、別荘
国会
でも別荘
首都機能移転
でもいいや、こう思っておったのであり
ます
。これから政府がつくるもので、特に総務庁が今考えているようであり
ます
が、バックアップセンターをやるとかやらないとかという話があり
ます
。それから、自治省が住民基本台帳をこれから進めようとしておりまして、法律が通ればそれらのセンターもつくっていく。こういうことになりまして、それらを今後どういうふうに使っていくかわかりませんけれども、そういうものを
東京
に置かずに新しい
候補地
に置いてみて、そして時間をかげながら
国民
の理解をいただく、こういう方法が私は
現実
的かなと思うのであり
ます
。 そういう
意味
で、新しい政府がつくる建物等について、センター等についてはぜひ新しい
移転
候補地
に私は移していけるような機運を醸成していくべきだと思うのですけれども、その辺につきまして先生のお考えをお聞かせいただきたいと思い
ます
。
堺屋太一
16
○
堺屋参考人
今、先進
工業
国で一極
集中
をしており
ます
のはフランスとイギリスだ、そして
日本
だと。発展途上国、規模の小さい国ではたくさんあるのですが、大規模な国ではそれだけだと言われており
ます
。先進
工業
国では、オランダやベルギーでも一極
集中
はだんだんと少なくなっておるのですね。 そのフランス、イギリスでござい
ます
が、ここは急速にパリ、ロンドンの
集中
度は落ちており
ます
。相当多くの
中央官庁
が各地に
移転
しているわけですね。フランスでは、ナントとかリールとかいうような数百キロ離れたところに
移転
しており
ます
し、イギリスも環境庁がウェールズとか随分遠くに
移転
しており
ます
。そういうような
分散
型ということも考えられるわけですが、
我が国
の今の
国会
審議
等を見
ます
と、それはかなり難しいかもしれません。 緊急避難のものでござい
ます
けれども、緊急避難のものは常に稼働しないと
意味
がない。これは、銀行などで二本店制をとっているところは非常にうまくいっており
ます
が、単にコンピューターや施設をつくっただけで、稼働性がないといけないのですね。だから、稼働性のあるようなところ、あるいは御指摘のように統計データ収集機構、そういったものは
首都機能
とは別に早急にする必要がある、それが
首都機能
と一致すればなおいいと思うのです。 だから、本当に、本当にと言うと変なあれですが、来年
審議会
がある
程度
の答えを出すつもりでござい
ます
けれども、
国会
で
審議
していただきまして、この
場所
にこういうような前提でこういうものだけは
ます
っくろうと。そういたし
ます
と工事の
分散
とか職員の
移転
とかいうのがスムーズにいくという、そういう利点もあろうかと思い
ます
。 特にこの場合申し上げたいのは、
神戸
の場合もそうだったのですが、その
地域
が被災するだけではなしに、その
地域
を経由する
交通
がとまり
ます
。したがって、
東京
を経由しないで
全国
につながるという、この問題が大事なんです。フットワークと
ネットワーク
という言葉があり
ます
が、フットワークとして、
東京
が被災したときに
東京
を経由しないで行けるような
全国
ネット網というのをもう
一つ
考えていく必要があろうかと思い
ます
。 なお、
首都機能
の
所在地
は将来の
日本
の
文化
に非常に大きな
影響
を与え
ます
。また、その
首都機能
のたたずまいもこれからの
日本
を象徴いたし
ます
。そういう
文化
の面のシンボルとしても、これは重要な検討を要すると思い
ます
。
滝実
17
○滝
委員
自由民主党の滝実でござい
ます
。 私の選挙区の
関係
を踏まえて、少し次元の低いことになると思うのでござい
ます
けれども、申し上げさせていただきたいと思い
ます
。 先ほど来出ており
ます
意見
の中で、
調査
対象
地域
三
地域
以外はこの問題について大分冷ややかじゃないかということは先ほど来出ているとおりでござい
ます
。しかし、これは天下の大問題でござい
ます
から、そういうようなことであってはならない、そのためにどうしたらいいかということから御
意見
をお伺いしたいのでござい
ます
けれども、結局、手っ取り早い方法というのは二つぐらいあるのかなと。
一つ
は、対象
地域
外の
全国
四十七都道府県が、この新
首都機能
を持つ
地域
についてどういうかかわり合いを持つのかという作業を早速始めるべきじゃないだろうか。直接的にその
地域
に
関係
を持つという観点からの作業が
一つ
ござい
ます
。それからもう
一つ
は、
首都機能
が
移転
することによって分権化が進む、これを契機とした分権化を各
地域
がどういうふうにこなしていくのか、それをチャンスにしてどういうことを考えていくのか。そういう二つの作業をやっていくということを、もう少し政府側もそういうようなことを受け入れる、そういう表明をしていただく必要があるのじゃないだろうかというのが第一点でござい
ます
。 それから、奈良県はかつて見捨てられた
地域
でござい
ます
。新
首都
の
移転
に伴って見捨てられた
地域
です。そういう観点から申し上げるのでござい
ます
けれども、平城京ができ
ます
前に、藤原京の
時代
に平城遷都の詔を大分前に出しました。今度は平城京に都が移るよという詔を出しました。それによってその準備が進められたという経緯がござい
ます
。しかし、その平城京が見捨てられるときには、ある日突然
京都
の方へ天子様がおいでになつちゃった、こういうことでございまして、以後何も国からの慰謝料を実はいただいていないのでござい
ます
。ところが、
京都
から
東京
に天子様がお出ましになるときには十五万両の慰謝料をいただいて、
京都
はそのために近代
地域
として発展した、こういう経緯があるわけでござい
ます
。 先ほど
堺屋参考人
のお説によると、新しくなる
東京
もそれなりの大きな
意味
を持つ、こういうことでござい
ます
から、そういう観点から、
東京
に今度は
全国
各地がどういうアプローチができるのか。そういうこともひとつ政府として
全国
各
地域
に檄を飛ばして、どういうアプローチの仕方があるか、こういう観点からも
国民
的な総作業をしていただく、これがやはりこの大問題をスムーズに進める大きなかぎになるのじゃなかろうかと思うのでござい
ます
けれども、これに対する
参考人
の御
意見
を承りたいと思い
ます
。
堺屋太一
18
○
堺屋参考人
ただいまの前半の、
ます
各地が直接的、間接的にどのような
影響
を持つか、これは極めて重要なことでござい
ます
。 例えば、よく失敗例のように言われるのですが、ブラジリアの問題があり
ます
。これは開発型
首都
立地というので、余り開発されていないところに移したのです。これは珍しい例でございまして、それ以外は二つの勢力、
文化
的・
経済
的、政治的勢力の中間に移すという調整型の
首都
というのを立地しているのです。例えばワシントンは、今でこそ東に偏っており
ます
が、独立十三州で見ると、あれは北と南の真ん中に置いた。それからキャンベラは、シドニーとメルボルンが引っ張り合いをいたしまして、
最後
は双方を代表する議員がサーベルで決闘して決めたという、写真まで残っており
ます
から多分本当でございましょう。こういう調整型の
首都
というような形のものもあり
ます
。 そういう、どういう形のものをとるかによって違いがあるのですが、いずれにいたしましても、今度の新総合計画でも出されたように、多くの軸が
東京
から放射状に出ているのじゃなしに、
ネットワーク
型になっている、これが非常にコストを安くする重要なポイントなんです。
日本
のような豊かで
技術
の進んだ国がつくり
ます
と、ブラジリアなどと違いまして
首都
に観光客は猛烈に参り
ます
。大体、少なく見ても年間二千万人ぐらいの見物客が十年間ぐらいは続くでしょう。十年間続くとまた新しい子供ができ
ます
から、次の十年間も恐らく続くでしょう。そういたし
ます
と、大抵の県庁
所在地
からは航空便が
複数
飛ぶようになり
ます
。これは非常に大きな
効果
が上がり
ます
ね。 それから、例えば北にできるか西にできるかはともかくとして、いずれにできても北から西につながる、
東京
を経由しない道路というのは十年以内に整備されることになるでしょう。 また、
文化
の
発信
、これも重要でござい
ます
が、今
東京
では
雑誌
でもテレビでも全部
一色
です。お昼の時間なんか回していただくと、もうどの番組も全部
一色
です。これは
情報交換
の進み過ぎと言われており
ます
が、
雑誌
やテレビのディレクターがお互い
情報交換
をするものですから、非常に同じものになる。それに記者クラブ制度も
関係
があると言われており
ます
けれども、そういったものが絡みまして
日本
の
世論
は非常に
一色
でござい
ます
から、バブルのときには一斉にバブルになり、貸し渋りのときには一斉に貸し渋りになるという、役所の
関係
を除いても、
世論
的、雰囲気的な護送船団みたいなものがあるのですね。 これはやはり、
地域
がさまざまでござい
ます
と、いろいろなところから
意見
が出てまいり
ます
。例えばドイツでござい
ます
と、
経済
見通しは五大
経済
研究所というのがつくるわけですが、これは北はキールから南はミュンヘンまで
地域
別に配置されておりまして、それぞれ違った意向が出てまいり
ます
。今度は東の方にもできましたから、もうちょっとふえるのでしょうけれども、
日本
は研究所が全部
東京
でござい
ます
から、
東京
の
意見
だけがクローズアップされる。これは
文化
の面でも非常に重要なポイントだろうと思い
ます
。 それが変わると、当然、
役人
に入ってくる
情報
が違うのです。これは非常に重要なことでございまして、例えば
地方
で起こりました
文化
とか
経済
の問題は
東京
の人には非常にわかりません。例えば住宅問題を論じるのに、多くの官僚、評論家は住宅問題は土地問題だというふうに言っており
ます
が、では土地がどれぐらいならいいんだ、年収の三倍ぐらいならいいんだ、いや、それは三倍ならいいでしょう、三倍を超えるのは
東京
だけですよ、では
東京
以外に住宅問題はないのですかと言うと愕然とするのですね。つまり、
東京
以外のことを前提とした
議論
が多くの知識人の間で行われていない。この
現実
は大変重要な問題です。 このことがまた報道につながりまして、
地方
では相当高く評価されている政策が、
東京
では、ばらまきだとかなんとか言われることにもなり
ます
。こういう
情報公平性
を保っために、大
都市
でないところに
首都機能
がある方が望ましいと思い
ます
。 ちなみに申し
ます
と、アメリカ五十州で
最大
の
都市
に州都、州の役所が置かれているところはごくわずかしかありません。ニューヨーク州はオールバニにあり
ます
し、カリフォルニア州はサクラメントにあり
ます
。ロサンゼルスやニューヨークではございません。これは
情報公平性
のためなのですね。この点からも
日本
の役所が
情報公平性
を保っていただきたいと考える次第であり
ます
。
田端正広
19
○田端
委員
新党平和の田端でござい
ます
。
堺屋先生
には、きょうはどうも大変御苦労さまでござい
ます
。 今いろいろ御
議論
がございましたが、こういう
議論
が、先ほどもお話がございましたが、
国民
的な
一つ
の盛り上がりといい
ます
か
世論
形成にまだなかなかなっていない、ここが一番のネックだと思うのです。その場合に、
東京
一極
集中
ということから
首都機能
を
移転
するのだという方向の
議論
が、これは一番の根幹だと思い
ます
けれども、そうすると、
全国
民的にはなかなかその辺のところの理解が得られにくいと思い
ます
。 そういう
意味
で、先ほど先生おっしゃっているように、例えば
行政改革
一つ
を取り上げても、こういう機会でしか本当の
意味
の
行政改革
はできないのだろう。そういう
意味
で、
日本
の二十一
世紀
での再生という
意味
において、今の行き詰まった
日本
をこれをきっかけに本当に新しい
日本
につくりかえるのだという
意味
の
世論
を喚起する、こういう方向に
議論
をもっと持っていけないものだろうか、こういう思いが一点であり
ます
。 それからもう一点は、しかし今の
経済
状況を見
ます
と大変な不況であり、そしてまた
財政再建
については財革法という
一つ
の歯どめがあって、二〇〇三年まではいじれない、こういうことになってい
ます
。 先生は先ほど、経費的には四兆で
公的負担
は二三兆ぐらいだから、それは余り大きい
負担
ではないということのお話でありましたが、しかし、これは最終的には
最大
十二・三兆ですか、こういう数字も出ており
ます
し、そして問題は果たして
民間
がついてこれるのかどうかということなのです。だから、逆に言うと、景気を刺激する上でもこのプロジェクトを大きく打ち出して、
日本経済
の活性化のためにも使えないのだろうか、こういう思いもするのですが、その二点、よろしくお願いしたいと思い
ます
。
堺屋太一
20
○
堺屋参考人
国民
的盛り上がりがないというのはいつも言われることで、大変難しいことでござい
ます
。私も万国博覧会、海洋博覧会などをやりましたときに
国民
的盛り上がりがないと言われたのですけれども、始まってみると物すごい
国民
的盛り上がりがございまして、六千四百万人も来たのです。何かやはり事件ですね、言葉は誤解があってはいけないのですが、
マスコミ
が書くようなきっかけがあり
ます
と、わっと広がるところがあるのです。そういうようなことが何かイベントとか事件で起こせないかというようなことも必要だと思い
ます
。 やはり皆様方にもお願いして、できるだけ多くの番組や展覧会ができるような
シミュレーション
をやらせていただけ
ます
と、今のコンピューターの進歩から見て相当のものができるので
国民
的関心を呼ぶのではないかというような気がしており
ます
。 それから
財政
問題でござい
ます
けれども、今いろいろと
公共事業
にはお金がかけられており
ます
が、もし
公共事業
の乗数
効果
をいうのであれば、これは
最大
に高いことは間違いないと思い
ます
。
民間
企業は今非常に投資に対して慎重でござい
ます
けれども、こういう行事が進み
ます
と大小さまざまの
民間
企業の投資が出てくると思い
ます
。ここで政府が用地を値上がりしないように監督しながら実行できるとし
ます
と、これは採算性が十分に考えられるプロジェクトとして進められると思い
ます
。 ただ、一番重要なことは政府の信用でございまして、やり出して途中でやめるのではないかと思われるといけませんので、確固たる
段階
を踏んで実現する必要があると思い
ます
。 私は二十年来この問題を研究しており
ます
が、どう考えても、これは
財政
的には非常に安価で大きな
効果
が上げられる
事業
だと思っており
ます
。そういう
意味
では、今の不況
対策
には最良のアナウンス
効果
、今すぐに需要は出てこなくてもアナウンス
効果
があり
ます
。 そしてまた、これをやり
ます
と、こういう方法をやったらいい、こういう
技術
を使ったらいいという
議論
が出てまいりまして、それがまた既存の
建築基準法
や
都市計画法
にも反映いたし
ます
。そうすると現在の市街地の
改革
にも大いに役立つだろうと考えており
ます
。 ちなみに申し
ます
と、ドイツがベルリンに
首都機能
を
移転
することになりまして、二〇〇〇年と言っておりましたが、繰り上げ
移転
でだんだん早目になってきて、値段も下がるし
事業
も早くなってきているわけであり
ます
けれども、その結果、ドイツの
社会
では絶対に不可能だと言っていた郵便の民営化と閉店法の緩和という、絶対に不可能だと言っていたのが一発でできたのですね。もう
世の中
の変わる
勢い
というのはすさまじいものでござい
ます
から、やはり
首都機能
が
移転
すると
世の中
が変わるというのはこんなものかというのを改めて思い知らされたような感じがいたし
ます
。
世の中
が変わりまして、郵便局なんかでいろいろ文房具などを売り出して、大変郵便局が活性化して職員が喜んでおり
ます
けれども、
日本
の郵便局が民営化するのがいいか悪いかは別といたしまして、そういうようなあり得ないことでさえすぐに起こってくるということも非常な活性化の
一つ
の見本だと考えており
ます
。
中島武敏
21
○中島(武)
委員
日本
共産党の中島
武敏
でござい
ます
。
堺屋先生
、もう何度もここへ御
出席
いただいて、大変御苦労さまでござい
ます
。先生のお話を伺っておって、やはり一番力を込めて強調していらっしゃるのは、
首都機能
の
移転
と
世の中
の変わりよう、この問題ではなかったかなというふうに伺いました。 私、実は前回も申し上げたのですけれども、先生、今回も、
日本
では
首都機能
が
移転
しなければ本質的な
改革
はできなかった、それから、
首都機能
が
移転
すれば
世の中
も必ず変わると繰り返しておっしゃっておられるのですけれども、私はちょっとこの論は逆ではないかなと実は思っており
ます
。 奴隷制が確立して、奈良に都ができた。それからさらに、封建制ができてきて、
鎌倉
に都が移る。それから資本主義が台頭してきて、そして
東京
に都が移る。こういうふうに、いわばちょうど先生がおっしゃっておられるのと逆ではないかなという、私はこういう認識なのです。前回も先生、ある
程度
ちょっとお認めいただいたかなと思っていたのですけれども、どうもきょうはさっぱりお認めいただいてないなと。 そこで、それがどこへ連動するのかなと思っておりましたら、
国民
意識の向上、こういうところを非常に強調されまして、ここで、
首都機能
の
移転
で
日本
は変わる、変えられるという
自信
を
全国
民に与えるということを言っておられるのです。これは私には全く理解しにくい言葉なのですね、率直に申し上げて。 今、何で元気がないのか、何で
閉塞感
があるのか、何で
国民
不信があるのかということになると、私は、
国民
不在の政治、
行政
がやられているからだと思っており
ます
。だから、
国民
を本当に元気にしよう、政治不信を払拭し、
閉塞感
を打ち破って大いに元気をつけよう、こう思ったら、やはり今のこの
国民
不在の政治を、
国民
が主人公と大いに自覚できるような、
国民
が非常に大切にされる、そういう政治へ変えるということこそが、また
行政
を変えることこそが大事なのではないか、これが一点でござい
ます
。 それからもう
一つ
は、これもかかわる話なのですけれども、実は先生十分御存じのとおり、
国会等移転調査会
の最終報告が出されました。ここで、この
首都機能移転
問題で一番強調されており
ます
のは何かといえば、これは
東京
の一極
集中
の打破でもなければ、過密の解消でもない。そうではなくて、国政全般の
改革
の起爆剤にする、これが一番強調されていたと思うのですね。ですから、行革であれ
地方分権
であれ、何から何まで、その他その他、もうすべて国政全般を変えていく起爆剤なのだと。 これも私は、率直に言って、大変逆ではないかなという気持ちを持っておるわけでありまして、そして、このことをきょうは先生、どういうふうに強調するかなと、最終報告ですから。どうも先生のお話は力点が違うところへ行ったなという感じを私は受けているのですけれども、国政全般の
改革
に大いに起爆剤になるという、このことについてはどうお考えでございましょうか。
堺屋太一
22
○
堺屋参考人
ます
第一でござい
ます
が、
歴史
認識でござい
ます
。
歴史
認識において、
政治勢力
が変わったから
首都機能
が変わったのか、
首都機能
が変わったから
社会
が変わったのか、これは実は長い論争がありまして、いろいろな人が、
政治勢力
が変わったから
首都機能
が変わったのだという
議論
をなさいました。 ところが、現在の
歴史
的な認識では、どうもそうではないらしい。例えば、藤原公家
社会
から平の
武士
社会
に変わっても、
首都機能
が変わらなかったときには変わらなかった。これは非常に明確に証明されておるところでござい
ます
。同様に、
室町
幕府
の後半、天文
時代
でござい
ます
が、一五三〇年代も変わらなかった。これは、人は全くかわっておりまして、足利将軍が近江に逃げたりしており
ます
けれども、
世の中
は全く変わっていなかった。だから、やはり
首都機能
の
移転
というのは、そういったもろもろの
変化
をきっかけとして、ぺ−ジをめくるような
効果
があるというのはどうも否定できないのではないかと言われてい
ます
。 長らく続いてまいりました
明治
維新論争というのがありまして、
明治
維新は
江戸
、
東京
と続いていたのに
改革
したではないかという話がありましたが、最近の研究では、
文久
二年から慶応、
明治
元年までの間、
文久
二年まではほとんど変わっていないということが言われておるのですね。 そういうことから見まして、やはり内部的にいろいろとぐちゃぐちゃ変わっていても、ぱしっと
変化
させるのは
首都機能
の
移転
ではないか。このところはレーニンも毛沢東も同じことをやっていると考える次第でござい
ます
。レーニンもモスクワ、毛沢東も北京に持っていったわけでござい
ます
。 第二番目に、政策的起爆剤ということでござい
ます
が、私はこれはあらゆる面で政策的起爆剤としては非常に重要なポイントだと思い
ます
。例えば行革を今進めており
ます
。この行革は私は絶対進めなければいかぬと思い
ます
けれども、この
行政改革
を、
場所
を変えることによりまして
行政
機構を、今これは二〇〇一年までに変えるわけですが、それまでに
首都機能
が
移転
するということになっており
ます
と、今の縦割り
行政
は成り立たなくなるのです。 なぜ成り立たなくなるかといい
ます
と、一夜にして各
行政
機構が全部移るわけにはいきません。そうすると、最初に
国会
と一緒に行くものは何であるか。今は縦割り
行政
になっておりまして、例えば石油でいい
ます
と、国際石油の話からガソリンスタンドの話まで通産省資源エネルギー庁石油部がやっており
ます
が、今度は
国会
と一部行く。例えば五〇%行くとなったら、全部行けませんから、
国会
と
関係
の深い国際石油
行政
の問題は行き
ます
けれども、ガソリンスタンドの問題は都道府県に任すとか、あるいは通産局にゆだねるとかしなければいけなくなるのです。これはもう必然的にそうなるのですね。また何年かたったら集めるという方法はないわけではありませんが、それまでの間に
世論
あるいは仕方が変わってまいり
ます
から、恐らくそうはならないでしょう。 そういたし
ます
と、全
官庁
の
行政
機構が大幅に、一府十二省だけではなしに、各課の組み方あるいは各課の中の職員の組み方が非常に
変更
してまいり
ます
。これはドイツの例でもそうなのですが、縦横十文字モザイク型に
変化
していくということが必ず行われ
ます
。その結果、
官僚主導
制の縦割り
行政
というのが終着的に解決していくのではないかと思い
ます
。 また、
地域
が変わり
ます
から、
東京
でござい
ます
と、あらゆる
審議会
、
調査会
、陳情とかなんとか、全部
東京
へ呼び寄せ型になってい
ます
。この呼び寄せ型
行政
というのは
日本
の大特徴でございまして、
一つ
の道路でも水道でも、
地方
に補助金を出すときに、きょうは北海道、あしたは青森と、沖縄県まで順番に呼びつけて、
霞が関
で会うわけですが、アメリカやドイツの例を見
ます
と、大体
中央官庁
の
役人
が回転する。そうすると、何人かの一組が回ればいいわけですから、放射状に往復するのに比べ
ます
と、旅費はうんと少ないわけですね。したがいまして、人が行くのと通信機関を使うのが非常に発達しており
ます
。
日本
は対面
情報
しか信じられないような形になってい
ます
が。そういった点でも大きな
変化
になりまして、
変化
の起爆剤ということは十分に考えられることになると思い
ます
。 また、自治体と国の
関係
も抜本的に変わってくる。何よりも重要なことは、
東京
という
文化
も
経済
も
集中
したところに官僚機構があるものですから、ここに
情報
が
集中
し、
文化
が
集中
し、そこでのライフスタイルが
日本
人のすべてのあこがれになっている。これが変わるということが大きな刺激だと思うのです。 例えばアメリカやローマやハーグやボンとか、そういうところでござい
ます
と、ワシントンの生活が
最高
の生活とは言わないのですね。ワシントンも
一つ
いいところはあるけれども、シカゴにもニューヨークにもアルバカーキにもいいところがあるという形になってい
ます
から、多様な
情報発信
、多様な
文化
が常に交代で出てくる。そういうことが大事だと思い
ます
。
日本
の
歴史
を見ましても、
時代
を変えたのは、
首都
が移ったのではなしに、いろいろな
地域
から多くの活力が生まれたときであり
ます
。 そういうことを考え
ます
と、今の
マスコミ
を初めといたしまして、全部が
東京
を包んでいる、
東京
からしか出せないというこの状況は、やはり長期的に見ると
日本
の
文化
の成長にはマイナスだと思い
ます
から、ぜひその点は御理解いただきたいと思い
ます
。
下村博文
23
○下村
委員
自由民主党の下村博文でござい
ます
。 先生のお話を聞いており
ます
と、
首都機能移転
さえすれば何かすべてがバラ色に解決をしていくような、失礼な言い方ですけれども、そんな印象を持って私は聞いていたのです。 先生は今新聞で、近未来小説的なアプローチで書かれていらっしゃい
ます
けれども、私は、
首都機能移転
については、少なくとも数百年は新
首都
で、
首都
が移ればそこに定まるという前提で言えば、まあ数百年先のことはちょっと想定できないかもしれませんが、百年先の
日本
はどうなっている、あるいはどういう
日本
にすることが必要なのか、その前提の中の
首都
は何だろうかという、逆に百年先から今の
首都機能
についてどう考えるか、そういうアプローチが必要ではないかというふうに思うわけであり
ます
。 それを考え
ます
と、先生の論点等はやはり今までの成功例の延長線上で
首都機能移転
を考えているというふうな感じを私自身は受けました。 しかし、実際のこれから百年先の
日本
というようなことを考え
ます
と、そういうふうなハードの部分が移る、あるいは万博とかかつてのオリンピックとかいう形でそこを活性化させるということではなくて、そもそもそういうことのない形での新しいあり方というのを、
時代
の大きな
変化
の中で、ニューメディアとかそういうふうな
情報
産業が発達する中で、果たして
首都機能
がどんな
意味
合いを持つのかというようなアプローチというのを今まで考えられなかった発想で考えてみる必要はあるのではないかというふうに思うわけであり
ます
。 その辺で、改めてこの
首都機能移転
について逆の部分から、百年先のあるべき
日本
からどうするかというアプローチがいろいろな
議論
の中では欠けているし、また、そもそも一極
集中
ということが
東京
の問題点となって、バブルのときの発想でこの
首都機能移転
が考えられ、その延長線上でずっとやはりいまだに
議論
が続いているような気が私はするわけですが、実際もうそういう前提条件もなくなったわけであり
ます
。 また、これは先生の本の中に書かれているというふうに思い
ます
が、
日本
というのは既にもう
都市
国家
であると。
人口
の八〇%の人たちが
都市
に住んでいる。それは
東京
だけでなく、それぞれの
地方
地方
の中でも、ある県の中の県庁
所在地
とかそういうところに
人口
が
集中
していて、それぞれの
地方
の中において過密、
集中
と過疎があるということで、全体で考えれば
日本
全体が
都市
国家
である。 しかしこれから
人口
も、
東京
にしても減少してい
ます
から、
日本
全体も減少してい
ます
から、そうマイナス点がどんどんどんどん加速されるとは思わないのですが、それにしても、逆に
都市
としてもっと快適な
都市づくり
をどうしていくのかということで、その部分を解決するということを、どこかに逃げるといい
ます
か
移転
するということではなく、やっていくという発想も同時に考えられるのではないかというふうに私自身は思うわけであり
ます
。 最初の話に戻り
ます
けれども、
地方分権
も言うべくして不可能であると先ほど先生はおっしゃいましたが、それであったら何ら解決できないわけですし、数年間の中でどうのということではなく、五十年とか百年という、あるべき形であれば当然
地方分権
というのはもう既にできているという前提でどう
日本
をつくっていくかという中での
首都機能
、そのときの
首都機能
というアプローチを持った中で
国民
の方々が納得できるような、そういう論を展開することが必要ではないかというふうに思うのです。 そういうアプローチをぜひ先生にも考えていただきたいと思い
ます
が、いかがでございましょうか。
堺屋太一
24
○
堺屋参考人
ます
、百年先からというのは非常に予測が難しいことであり
ます
が、では百年間
不便
でもいいのかという
議論
もまたあるのですね。百年先にはよくなるけれども百年間
不便
でいいのかと言われても、どっきりするわけでござい
ます
が、できるだけそういう未来的な要素は取り入れていく必要があると思い
ます
。 ただ、重要なポイントといたしまして申し
ます
と、今、
日本
の
人口
は減少に向かいつつあり
ます
。これはいつまで続くかわかりません。去年、厚生省の
社会
保障・
人口
問題研究所が発表した都道府県別の二〇二五年までの予測を見
ます
と、
東京
や
大阪
は激減をいたし
ます
。ところが、その周辺
地域
は非常に増大をいたしまして、いわゆる高齢化の輪っかというのが大
都市
の周辺にできて、その外側から通勤をするという最悪の事態が予想されてい
ます
。通勤時間は
ます
ます
延びる。だから、埼玉県、栃木県あたりからの通勤客がどっとふえまして、長時間通勤が起こる。 その理由は、大体一九七〇年代から八〇年代にかけて開発された団地が、そのころ入った若い人がそのまま年をとって、六十歳、七十歳、八十歳の人たちに占められる率が高くて、本当に働く人はその外側から、長時間、高額通勤を強いられるというような予測が感じられる。そこまでは書いておりませんが、
人口
分布から見ればそうであり
ます
。関西圏では、
大阪
府が減って滋賀県がふえるというような数字になっておるのですね。事実、御存じのように、東北・上越新幹線は通勤客がかなり多くなりまして、今や超満員のような状態になってい
ます
。 そういうような状況から考え
ます
と、将来、
日本
の
人口
問題をどのように解決していくかということは重要な問題であり
ます
が、同時にやはり
地方分権
、
地方分散
を徹底させる必要はあると思い
ます
。 この十八年、鈴木内閣以来、このことを言い続けてまいりました。ところが、実際には中央集権の
現実
は物すごい
勢い
で進んでい
ます
。これは
官庁
だけではなくして、出版業界でも
文化
関係
でも、あらゆるものでも、二十年前と今日とでは全くさま変わりに変わってい
ます
。 各
都市
ということを言われましたが、どれぐらいの格差があるかといい
ます
と、手形交換で見
ます
と、大体、
大阪
は
東京
の十分の一、名古屋は
大阪
の三分の一なんですね。広域
情報発信
で見
ます
と、
大阪
は
人口
当たりで
東京
の十分の一以下、名古屋はそれよりも小ですね。この
程度
では
情報発信
機能
として全く
都市
として成り立っていないのです。それぐらいの格差が、知識産業、
情報
産業にはできている。これは昔、二十年前にはそうではなかったのです。 百年河清を待つという
議論
があり
ます
が、みんなが、恐らく皆さん方も、
地方分権
には反対ではなくて推進していただいているのだろうと思い
ます
が、これだけいろいろな人が言いながら、実は、百年河清を待つのではなしに、物すごい
勢い
で濁りがふえているというこの
現実
はやはり正視しなければいけないと思うのですね。それを除外視して、何か言っていれば何とかなるというのは私は気休めにすぎないのではないかという気がいたし
ます
。 それで、大体
世の中
の問題といたしまして一番重要なのは、
現実
的ということを考えなければいけない。
現実
的というのは目的達成性であり
ます
。国鉄の分割のときにも私も何度もこの
議論
をしたのであり
ます
が、当時専門家の方々は、分割・民営化などは非
現実
的だ、もっと
現実
的に労務の配置とか政治路線の廃止とか、そういう内部
改革
案でないとだめだと言われて、七回もその
議論
は出てきたのですが、結局赤字は減りませんでした。赤字を減らすという点では、一番入り口の難しい分割・民営化だけが出口がありました。 この
地域
の問題、
地方分権
の問題も、一番入り口の難しい
首都機能
の
移転
だけが出口があって、それ以外の問題は、入りやすくて出にくい、着手容易性ではあっても目的達成性がないのではないか。 この二十年間あらゆることをやりました。あらゆることをやって、どんどんと
東京集中
が激しくなっている。新幹線がついたらと言い、高速道路がついたらと言い、電話が安くなったらと言い、
インターネット
ができたらと言い、
現実
にはそのたびに
東京集中
が相当な
勢い
で進んでいるのですね。やはりこの事実というのは動かしがたいところがある。その根本にある思想、
文化
というものを今変えなければいけないのではないか。
官僚主導
性にいたしましても、やはりこの堂々たる
首都
の中で、
明治
以来の
官僚主導
性というものの中に存在することと無
関係
ではないと思うのですね。 したがって、これはやはり真剣に
国会
が取り上げていただきまして、それを政府が広報でも伝え、そして
全国
民の
議論
に上げて、それで
全国
民が今の方がいいと言えば、それは
一つ
の御
意見
として
国民
に従うべきであり
ます
が、この
議論
をまず盛り上げていくことが大事だと思い
ます
。 〔
委員長
退席、西田(司)
委員長
代理
着席
〕
河合正智
25
○河合
委員
河合正智でござい
ます
。 先生の
東京集中
というのは根本にある思想、
文化
を変えなければ変わらないというお話については私も非常に実感いたしておるところでござい
ます
。また、
地方分権
が先というのは入り口があって出口がないという先ほどのお話は、私は実は
地方
議員の経験がございまして、実は
地方
議会で
地方分権
の
議論
がほとんどされていない。だから、
地方
から見れば入り口がない話ではないかなと思って、同感いたしており
ます
。 この先生のレジュメの八ページでござい
ます
けれども、「
三権集中移転
の
効果
」のところで、「または
行政機関
の一部を分離した場合の」という箇所でござい
ます
。これは、例えばイメージとしてはイギリスにおける分権的分都といった、企画立案部門はロンドンに残し、実施部門は
地方
に残していったサッチャー政権の
時代
から行ったことを想定されているのであるとすれば、先ほどから
議論
になっており
ます
対象
地域
の方たちの関心が全く得られないということにつきまして、イギリスは、御案内のように、
地方
自治から
国家
をつくっていったという
歴史
とか、それから今の分権的分都論によって雇用を創出して
経済
危機を乗り越えたというようなことを踏まえ
ます
と、先生のこの箇所というのは私非常に興味を持ってきょうお伺いしたのでござい
ます
。 しかし、この考え方というのは、一番最初に申されました
首都
を決めることによって
時代
を変えるという考え方と私は矛盾しないと思うのですけれども、その辺のところの整理をひとつお願いしたいと思うわけでござい
ます
。 それから、もう一点でござい
ます
けれども、きょうは古屋先生もお見えになっておられ
ます
。それから棚橋先生も野田先生もおいでになっていまして、同じく私も岐阜でござい
ます
けれども、古屋先生のお父さん、それから棚橋先生、野田先生のおじいさんの
時代
というのは
東京
まで十時間かかった
時代
でござい
ます
。いわゆる遷都論が
議論
され始めた
時代
というのは
東京
まで岐阜から六時間かかった
時代
だったと思い
ます
が、現在私たちは二時間で来ており
ます
。これは、古屋先生のお父さんたちの、大臣を御経験になった方々の
地方
に対する大変な御尽力が岐阜にも残っているわけでござい
ます
が、しかし、それ以上に過疎が進んでいる。 こういう
現実
を解消するために私はこの先生のレジュメにあり
ます
分権的分都論が非常に
参考
になるのではないかと思い
ます
が、先生の今までのお考えと矛盾しないかどうか、よろしくお願いし
ます
。 〔西田(司)
委員長
代理退席、
委員長
着席
〕
堺屋太一
26
○
堺屋参考人
ます
、分権的ではありません。私の申し上げているのは、
首都機能
そのものの中の特定の分野について
分散
することがあり得るのではないか、それが
首都機能
を低下させないのではないか。例えば
国会
と
最高裁判所
が分かれているところは
世界
じゅうに幾つもあり
ます
。そういうことは考えられるのではないか。 あるいは、今度のドイツの
移転
が
参考
になると思い
ます
が、
社会
保険庁と国防省、それからもう二つぐらいはボンに残ることになりました。これは、国防省の場合にはロシア国境に余り近いと危ないという防衛的な配慮もあったようであり
ます
が、比較的人数の多い役所がボンにとどまっており
ます
。 だからといって、これは
首都機能
があるわけではありません。例えば、
明治
時代
、今でもそうですが、
中央官庁
の一部である造幣局は
大阪
にござい
ます
けれども、あれは別に
首都機能
の一部が
大阪
にあるということではなしに、
中央官庁
の一部が
大阪
にあるということであり
ます
。したがいまして、
最高裁判所
と権利
関係
の役所とか
調査
関係
の役所、例えば国土地理院であり
ます
とか特許庁というようなものはあってもいいのではないか。そうすると、そこにそれに対応する教育機関等もできて、
一つ
の
文化
振興の拠点になるのではないか。こういうことも考えられないわけではない。これは、どれくらいのマイナス、
費用
あるいは運営コスト等も考慮して考えられるのではないか。 そういうことで、
首都機能
というものを分けるわけではなくして、
首都機能
を構成している役所を分ける、
一つ
の隊を分けるのではなしに一部だけ住まわすという発想で、矛盾しているものではないと思っており
ます
。 もう
一つ
は何でございましたか。
河合正智
27
○河合
委員
もう
一つ
は、角度を変えたものでござい
ます
けれども、立案
機能
と実施
機能
を分けていくということについてです。
堺屋太一
28
○
堺屋参考人
これは
行政改革
会議
でも話題になったようでござい
ます
が、国税庁と大蔵省を分けたらどうかという
議論
もありました。この場合には、分けるというのはどういうことかということを慎重に検討する必要があると思い
ます
。 といい
ます
のは、
中央官庁
の一部として分けるのか、あるいは
地方支分局
、国税局とか財務局とか通産局とか農政局とかいうものにもつと権限を持たせてブロック別の
行政
にすべきだという考え方と、それから都道府県に
分散
すべきだという考え方と、あるいはできるだけ民営に任すべきだという考え方があり
ます
が、いずれにしても、この
移転
に伴って
中央官庁
の人数は相当、現在三万人ぐらいでござい
ます
が、
移転
する人の数は半分ぐらいにできるのではないかと私は考えており
ます
。
吉田幸弘
29
○吉田(幸)
委員
自由党の吉田幸弘でござい
ます
。 きょうは非常に貴重な御
意見
、お考えをお知らせいただきまして、どうもありがとうござい
ます
。 ただ、
一つ
お教えいただきたい点がござい
ます
。この二十年間にわたって先生は
首都機能移転
について前向きに、積極的に、また広範囲にわたってお考えを示されてきたと思い
ます
が、その中において、先生の中でお持ちになっている、
首都機能
を
移転
することによって起こる問題点でこれを解決してきた、あるいはこういうことをやればこの問題点が解決できるんだと、現在まで、ここまでしっかりしたお考えを確立するに至った足跡というか、その問題点を解決した根拠とか、また簡単で結構ですのでその事例とかをお知らせいただければと思い
ます
。
堺屋太一
30
○
堺屋参考人
ます
第一に遷都論というのがございました。昭和三十六年ごろから、富士のすそ野とか浜松とか北上とかいうような遷都論がございました。 この遷都論はことごとくまず
場所
ありきという不動産的発想でございまして、ここにこういう
場所
があるからここへ来たらどうだという話でございました。私は、
場所
を言うべきではない、
ます
機能
や必要性を説くべきだというので発想を転換いたしました。 それで、バブル
時代
の話は全部
場所
論でございましたから、これを全部カットいたしまして、平成二年、バブルが完全に終わったときからこの話が成り立っていて、バブル
時代
の発想とは隔絶しており
ます
。バブル
時代
だったら、これは反対になったろうと思うのですね、
東京
の土地が下がってはいかぬというので。事実これは、平成二年のときには
東京
関係
の不動産業者は大反対でございまして、それから建設会社が大反対でございました。今も余り賛成しませんが、これは安くつくものですから好ましくないというところもあるのでしょう。 ところが、
ます
何を
移転
すべきか。何を目的にして何を
移転
すべきか。そしてその規模はどれぐらいか。ちょうど我々が家を建てる、あるいは会社を建てるときでもそうですが、この建てるものは一体何であるか。本社なのか工場なのか商店なのかということを決めて、そこへ入るものはこの規模だ、だからこういう建物がよくて、こういう
構造
がいい、そうなるとこういう敷地がいい、こうこなければいけないのですね。初めに敷地があるから何か使おうなんというのは大体業種多角化で失敗する会社のやることでございまして、やはり最初に目的が明確でなければいけないというところがあり
ます
。 そういう
意味
で、この
日本
の状況、
明治
以来の
規格大量生産
を成功させようという
コンセプト
でまいりました
日本
をこれから多様な知価
社会
に変えていくためには何が必要か。こういうことから発想いたしました。だから、この前に
ます
知価革命という、
世の中
がこう変わるというような想定をいたしました。 そして、それに基づいて
日本
をいい国、つまりこれからの
時代
に多様なコンテンツをつくるのにふさわしい国にするためにはどうすればいいか。それは官僚統制の
規格大量生産
ではなしに、自由な発想ができるとか。したがって、
首都機能
もこんな堂々たる大
都市
の堂々たるものではなしに、もっと軽やかなものであっていいのではないか。そして、民の力、民の知恵を取り入れるものであっていいのではないか。そういうような発想から、比較的
人口
の少ない、小規模なところに
首都機能
があって、そして
全国
から公平に
情報
を入れて、その住んでいるところの
情報
は大したことがないようにした方がいいのではないか。 こういうことで私の発想は生まれているわけです。
審議会
の
委員
の方々全員が同じではないと思い
ます
が、私はそういう考えを持っており
ます
。
古屋圭司
31
○古屋
委員
済みません。再質問させていただきまして、ありがとうござい
ます
。
審議会
の方は来年の秋口には
候補地
を絞り込んで、そして最終的には法律に基づいて
東京
との比較考量において決定をするということですね。 そうなった場合、一カ所に絞り込みができればいいのでしょうけれども、なかなか諸般の情勢からして厳しいだろうということになった場合、その一カ所に絞り込む作業というのは大変なことになると思うのです。今先生が指摘されたように、もう万博の
誘致
のような乗りで
誘致
合戦が大変なことになるという状態になろうと思い
ます
。 そこで私は、やはりこの
首都機能
の
移転
というものは
国民
投票のようなもので判断できないだろうか。要するに
国民
投票といい
ます
と、例えば住民投票に象徴されるように、原発賛成か反対かとかあるいは基地賛成か反対か、こういうややもするとセンチメンタルな話になってしまう。しかし、この
首都機能移転
というのは
全国
民がひとしく客観的に判断し得る唯一のテーマじゃないかなと思い
ます
。 ましてやこの
首都機能移転
というのは、新しい
技術
を集約をさせる、そしていわば二十一
世紀
の
技術
のオリンピックだというとらえ方でいいと思うのですが、そうなった場合に、例えばその投票のやり方も電子投票システムのようなものを模索をする。いきなり公職選挙で電子投票システムというのはなかなかハレーションが大きいでしょうけれども、やはりそういうものを新しく提案をしていく、そしてそれを有力な判断材料にしていく、私はこれは非常にいいと思うのです。 なおかつ、先ほど先生が御指摘されましたように何かイベントとかそういうものがないと盛り上がらないということですが、まさしくそういった
意味
ではこの
国民
投票というのは
国民
世論
の形成を盛り上げる究極のイベントになり得るのじゃないか、こう思うのですが、この辺についてはいかがお思いでしょうか。
堺屋太一
32
○
堺屋参考人
国民
投票というのは憲法で決められておりまして、憲法改正以外のときは正式にはないようであり
ます
が、
国民
投票的
世論
調査
ということはあり得るかもしれない、あると思い
ます
。また、それが一回でいいのか何度も繰り返してやる方がいいのかという
議論
もあるかと思い
ます
。 ドイツの場合は実に毎月のように
世論
調査
をしておりまして、今はベルリン
移転
の賛成がだんだんふえてきているというような状況になっており
ます
けれども、何回も繰り返してやっているようです。 私もできることなら、全員の投票というのはなかなかでしょうが、十万人規模のものを二カ月に一回ずつぐらいやっていただけると非常に盛り上がってくると思い
ます
。
中島武敏
33
○中島(武)
委員
再質問ですけれども、簡潔に私の方から申し上げ
ます
が、現在の
財政
状況は、これは本当にGDP比でいいましてもとうとう一〇〇%を超えてしまうというだけの長期債務を抱えており
ます
。非常な危機であり
ます
。このときに、私の
意見
は、これはやめるべきだ、
首都機能移転
は。こういう
意見
なのですけれども、少なくともそういう状況と見合ってやらなければならないというふうに先生お考えになるでしょうか、どうでしょうか。そこです。
堺屋太一
34
○
堺屋参考人
私は
財政
状況との
関係
は非常に重要だと思っており
ます
。繰り返し申し
ます
ように、これは
財政再建
の切り札でござい
ます
。他の
公共事業
よりも
効果
が非常に高いし、
日本
の活力を高め
ます
し、そして金額的に見ると、今うわさされている
補正予算
の何分の一かでござい
ます
から、これが
財政
に危機を与えるとは考えておりません。 また
東京
の改善というのは、これは黙っていられないことでございまして、やはり
移転
によりまして
公務員宿舎
、大公使館、それをまた振りかえで各地につくるといたし
ます
と、まじめに考えた学者は確かに安いということは言ってくれているのですね。ただ、それをきっかけに何か二重につくるような印象があるのが非常に残念なところでござい
ます
。
東京
で、あるいは
大阪
でもそうなのですが、大
都市
で地下埋設物もあれば
交通
制限もあるところでつくり
ます
のと、そうでない、野原といい
ます
か、ほかに相
隣関係
のないところでつくり
ます
のと全く
費用
が違い
ます
から、これは大変効率的だと思い
ます
。それから跡地の利用なども効率的だと思い
ます
。 この点はいろいろと
議論
があるかと思い
ます
が、ぜひ多くの
人々
にこの
事業
が
財政再建
的に有利だということは理解していただきたいと思っている次第でござい
ます
。
安倍基雄
35
○
安倍委員長
以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人
に
一言
御礼を申し上げ
ます
。
堺屋参考人
におかせられましては、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、ありがとうございました。これからの
審議
の、本当に出発点というか、
参考
にしたいと思い
ます
。
委員会
を代表いたしまして、厚く御礼申し上げ
ます
。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたし
ます
。 正午散会