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1998-05-08 第142回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月八日(金曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 虎島 和夫君 理事 野呂田芳成君    理事 二田 孝治君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 北脇 保之君    理事 若松 謙維君 理事 中井  洽君       石崎  岳君    今井  宏君       岩永 峯一君    小野寺五典君       大野 松茂君    金田 英行君       熊谷 市雄君    倉成 正和君       河野 太郎君    桜井 郁三君       実川 幸夫君    鈴木 恒夫君       砂田 圭佑君    田中 和徳君      田野瀬良太郎君    滝   実君       戸井田 徹君    松本 和那君       宮島 大典君    宮本 一三君       山口 泰明君    家西  悟君       池田 元久君    石毛 鍈子君       上田 清司君    今田 保典君       平野 博文君    古川 元久君       山本 孝史君    大口 善徳君       冨沢 篤紘君    西川 知雄君       福島  豊君    東  祥三君       石垣 一夫君    佐々木洋平君       西田  猛君    平賀 高成君       松本 善明君    深田  肇君  出席国務大臣         文 部 大 臣 町村 信孝君         農林水産大臣  島村 宜伸君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣 上杉 光弘君         国 務 大 臣        (内閣官房長長官)村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)         大蔵大臣臨時代         理       尾身 幸次君  出席政府委員         内閣参事官   洞   駿君         内閣審議官   畠中誠二郎君         内閣審議官   坂野 泰治君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         人事院総裁   中島 忠能君         人事院事務総局         給与局長    武政 和夫君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁調整         局審議官    小林 勇造君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         法務大臣官房長 但木 敬一君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         国税庁次長   舩橋 晴雄君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産技術会         議事務局長   三輪睿太郎君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         建設大臣官房長 小野 邦久君         自治省行政局長 鈴木 正明君  委員外出席者         議     員 伊藤 忠治君         衆議院調査局第         三特別調査室長 田中 達郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     桜井 郁三君   金田 英行君     田中 和徳君   谷  洋一君    田野瀬良太郎君   戸井田 徹君     滝   実君   牧野 隆守君     鈴木 恒夫君   宮島 大典君     河野 太郎君   池田 元久君     石毛 鍈子君   田中 慶秋君     山本 孝史君   大口 善徳君     西川 知雄君   石垣 一夫君     西田  猛君 同日  辞任         補欠選任   河野 太郎君     宮島 大典君   桜井 郁三君     山口 泰明君   鈴木 恒夫君     牧野 隆守君   田中 和徳君     金田 英行君  田野瀬良太郎君     谷  洋一君   滝   実君     戸井田 徹君   石毛 鍈子君     池田 元久君   山本 孝史君     家西  悟君   西川 知雄君     大口 善徳君   西田  猛君     石垣 一夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     大野 松茂君   家西  悟君     今田 保典君 同日  辞任         補欠選任   今田 保典君     田中 慶秋君     ――――――――――――― 五月八日  国民生活を重視した行政改革等に関する請願   (石井紘基紹介)(第二一六二号)  同(坂上富男紹介)(第二一六三号)  同(石井郁子紹介)(第二二九五号)  同(大森猛紹介)(第二二九六号)  同(金子満広紹介)(第二二九七号)  同(木島日出夫紹介)(第二二九八号)  同(穀田恵二紹介)(第二二九九号)  同(児玉健次紹介)(第二三〇〇号)  同(坂上富男紹介)(第二三〇一号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二三〇二号)  同(佐々木陸海紹介)(第二三〇三号)  同(志位和夫紹介)(第二三〇四号)  同(菅原喜重郎紹介)(第二三〇五号)  同(瀬古由起子紹介)(第二三〇六号)  同(辻第一君紹介)(第二三〇七号)  同(寺前巖紹介)(第二三〇八号)  同(中路雅弘紹介)(第二三〇九号)  同(中島武敏紹介)(第二三一〇号)  同(中林よし子紹介)(第二三一一号)  同(春名直章紹介)(第二三一二号)  同(東中光雄紹介)(第二三一三号)  同(平賀高成紹介)(第二三一四号)  同(藤木洋子紹介)(第二三一五号)  同(藤田スミ紹介)(第二三一六号)  同(古堅実吉紹介)(第二三一七号)  同(不破哲三紹介)(第二三一八号)  同(松本善明紹介)(第二三一九号)  同(矢島恒夫紹介)(第二三二〇号)  同(山原健二郎紹介)(第二三二一号)  同(吉井英勝紹介)(第二三二二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  行政改革基本法案伊藤英成君外三名提出、衆  法第一六号)  中央省庁等改革基本法案内閣提出第四一号)      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  伊藤英成君外三名提出行政改革基本法案議題といたします。  提出者より趣旨説明を求めます。伊藤忠治君。     ―――――――――――――  行政改革基本法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 おはようございます。  皆さん方に御配慮いただきましてありがとうございます。  提案理由説明をさせていただきます。  ただいま議題となりました行政改革基本法案にりいて、民主党を代表して提案趣旨とその概要について説明いたします。  行政改革は、一昨年の衆議院総選挙においてすべての党が公約しました。それほど、現在の行政組織制度疲労を来し、実情に合わなくなっています。これを抜本的に改革し、新しい日本社会に適合した行政組織を創造することが今回の行政改革出発点であります。  しかるに、政府提案中央省庁等改革基本法は、単に現在の省庁の看板をかけかえるだけで、必要な改革への道筋が全く見えません。  確かに政府案には、内閣機能強化政策評価機能充実地方分権推進などの美辞麗句が並んでいます。しかし、内閣機能強化現行法制度でも可能なことばかりであり、政策評価機能充実は、言葉があるばかりで中身が何も見えません。地方分権に至っては、地方分権推進委員会勧告の実現のみが具体的な部分です。しかし、この勧告中央政府が自治体の事務の細部まで規定する現行の法律を前提としていますので、この勧告によって、地方自治体が、住民意見を反映させながら柔軟な行政を行うことも、それに必要な地方財源を確保することも不可能であります。  総理は、公共事業を優先する従来の箱物行政をこの行政改革にも取り込み、形ばかりの実績をつくることに専念しています。これはまさに、総理リーダーシップを発揮することができず、官僚に依存し、族議員に抗し切れなかった結果であります。  現在は第三の改革時代であり、二十一世紀に向けた新たな社会を創造するためには、明治以来の統治型行政から、国民の自立を前提とした自治型の行政へ転換することが不可欠であります。  民主党は、この転換を実現するために、以下のとおり、行政改革基本法案提出いたしました。  次に、法案概要説明させていただきます。  第一は、中央政府役割を限定列記しております。ここに記されましたもの以外は、すべて地方自治体市場等にゆだねることを大原則といたします。  第二は、この中央政府役割の限定に伴う地方税財源の大幅な拡充であります。  御案内のように、現在は、国と地方税財源割合は、収入面で国が二、地方が一となっており、支出面では国が一、地方が二となっています。これを支出割合に即した収入割合へ転換するため、必要な措置を講じることを規定しております。  第三に、規制緩和推進であります。  規制は、一度つくってしまうと既得権者が生まれるため、なかなか廃止することが難しいのは御案内のとおりです。そこで、本法案においては、すべての規制時限性を導入することとしております。  第四に、副大臣制度の導入であります。  複数の副大臣及び政務補佐官を各省庁に導入することにより、政治家がグループで官僚をコントロールし、さらには、現行事務次官会議を廃止することによって政府内調整政治が担うことを目的としています。  最後に、行政改革調査会の設置であります。  行政改革官僚に依存することを断ち切り、政治責任のもとに「この国のかたち」を模索し、これに伴って行政の抜本的な改革を行うことは、国権の最高機関である国会役割です。このため、国会行政改革調査会を設置し、先ほどの基本的方針に基づき抜本的な行政改革推進することとしています。  以上が概要であります。  委員各位におかれましては、真に政治リーダーシップを発揮して行政改革をなし遂げるために、我が民主党案に対して深い御理解を賜り、御審議の上、御賛同くださることをお願いいたしまして、提案理由説明とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 高鳥修

    高鳥委員長 内閣提出中央省庁等改革基本法案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  6. 上田清司

    上田(清)委員 おはようございます。  連日、政務、御苦労さまでございます。また、人事院総裁、お時間をいただきましてありがとうございます。  民主党上田でございます。  それでは、早速ですけれども小里長官にお尋ねしたいと思います。  公務員削減問題でございますが、しばしば十年で一〇%以上という御答弁をいただいております。これはもちろん、郵政公社やこれから生まれる独立行政法人を除いた残りの総定員から一〇%以上削減するという意味でございますね。
  7. 小里貞利

    小里国務大臣 少なくとも郵政公社の分は対象外でございます。
  8. 上田清司

    上田(清)委員 独立行政法人部分はいかがなんですか。
  9. 小里貞利

    小里国務大臣 独立行政法人につきましても、私どもは、先刻来しばしば申し上げておりまするように、相当大幅な客体施設機関があるものと見ております。このことは一〇%以上というこの指標の中に入っていない、さような意気込みで一〇%以上の目標を設定したものである、非常に旺盛な意欲を持つべきである、そういう観点でございます。
  10. 上田清司

    上田(清)委員 意気込みを非常に評価するところでありますが、実は、十年で一〇%以上削減したけれども、一〇%以上採用ということもあり得るかなと。いわゆる純減の問題でございますが、過去の行革特答弁を幾つか確認してみますと、若干その辺のニュアンスがはっきりしなくなっておるように私は考えますので、ここで再度確認いたしますが、一〇%以上というのは、あくまで純減でございますか。
  11. 小里貞利

    小里国務大臣 前にも先生かち御指摘いただいたかと思うのでございますが、削減という言葉純減という言葉一つの区分であろう、今のお話はそう想定するわけでございますが、政府が公式の文書におきまして申し上げる場合には削減という記事を使っておりますこと、御承知のとおりであります。  しかも、御承知のとおり削減とは、いわゆる各年度ごと削減できる省庁と、それから増員をやむなく求められる省庁がございます、このプラスマイナスの結果を私ども削減という言葉で使っておりまして、いわゆる総定員法、定数を分母に置いてはじいた結果が削減でございますが、今お話がございましたように、純減というのは、まさに私どもプラスマイナスの結果を――今私が申し上げたのが純減でございますが、逆に、削減削減そのものでございまして、どちらかといえば、先生承知のとおり、純減の方が言うなれば旺盛な意欲を示しておる。分母は同じでございますから、純減の方がはるかに私は、はるかにというのはどうかと思いますが、非常に積極的な姿勢を示したものである、さように判断をいたしております。
  12. 上田清司

    上田(清)委員 そうすると、純減という理解でよろしいのでしょうか。
  13. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほども申し上げましたように、基本法等におきまして申し上げておりまするのは、削減という言葉を使っております。しかし、私どもは、やはり政治政治で、しかもリードしていく重大な責任があるわけでございますから、同じ数値であっても純減、そういう気迫で臨みたい、さように申し上げております。
  14. 上田清司

    上田(清)委員 政治家として御答弁されるときにはそれでもよろしいのですが、総務庁長官として御答弁されるときには、迫力というか意気込みというのでは非常にまずいのではないだろうか、具体的に言うべきではなかろうかと申し上げたいと思います。  というのは、御承知のとおり、公務員定員削減計画は一次から九次まで過去三十年にわたって着実になされてきまして、この間に三十万一千五百三十七人が削減達成という形になっております。それから、この期間中に増員された部分が二十五万一千三百八十一人。いわゆる純減というのは五万人ではなかろうか。あるいは四万余りだというようなお話もございますが、いずれにしても、この一次から九次までの定員削減計画の中で、三十万人前後の削減が達成され、同時に二十五万人の増員があった、こういう大ざっぱな言い方が許されるのではないかというふうに私は思っております。  同じように、行政改革会議議事録の中でも、武藤行政改革本部長のこういうふうなお話があります。定員削減計画どおりにやっていれば二十八万人余りの職員が減っているはずなのに、実際には四万人余りしか減っていないが、生首を切らなくても計画削減が可能であるので、そのことを打ち出すべきであると、当時の武藤行革本部長がきちっと議事録の中に残しておられるのです。  まさしく確実に削減計画もなされている。しかし、時代の要請とともに、あわせて、しかるべきところに増員お話、これもやむを得ない話であります。結果として五万人三十年間で減った、こういう話でありますので、十年間で一〇%以上の削減計画をなされるというこの理解を考えていきますと、十年間でまた同じように採用される分もあると、さほど削減されない嫌いはあるのではなかろうかという危惧を持たざるを得ません。  そこで、この純減にこだわっているわけでございますので、今の、過去の一次から九次に至るまでの削減計画並びに増員の状況というものを確認した上で、あえて長官に、これは定義上の問題だけであくまで政府としては削減という言葉を使っていますということではなくて、純減という言葉も同時に、当時の武藤本部長も使われておられますし、比較的この純減という言葉政治の中、行政の中でも使われている言葉でございますので、一〇%以上の純減なのかどうかということについて、はっきりした御認識を改めて伺いたいというふうに思います。
  15. 小里貞利

    小里国務大臣 よくわかります。いわゆる削減という言葉を整理した上で、純減というものを名実ともに整ったものとして活用したらどうか、そういう意味に私はとるのでございますが、私もまさにそのとおりだと思います。  最も身近な例として一言申し上げますと、例えば当該年度平成十年度におきましても、私ども削減云々の話をしてまいりましたけれども、結果としては、純減を示せ、そういう各党の話なども強く出ましたので、削減と、そしてやむを得ざるいわゆる増員というものを、それぞれの分野でぎりぎりまで御相談を精いっぱい申し上げました。その結果、プラスマイナスイコール純減三千七百という数値を出しました近年の経験当該年度経験もあるところでございます。  そのような意味をもちましても、ただいまのお話はそのまま受け取らせていただきたいと思います。
  16. 上田清司

    上田(清)委員 確認ですが、では、一〇%純減を目指す、こういう理解でいいですね。
  17. 小里貞利

    小里国務大臣 一〇%以上を目指すと。
  18. 上田清司

    上田(清)委員 純減ですね。
  19. 小里貞利

    小里国務大臣 はい。
  20. 上田清司

    上田(清)委員 力強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。  確認でございますけれども、第四次の計画においても実は二万人の削減計画があったのですが、実際は六千人ふえた経緯があるのです。こういう過去の事例がある以上、やはりしっかり、どこをどう削減していくかということに関しても注意深く見守っておかないと大変ではなかろうかというふうな危惧を私は持っているからであります。  それから、もう一つ申し上げますと、ただいま第九次定員削減計画が行われていることは長官も御承知のとおりであります。五年で四・一一%の削減計画であります。しかし、努力目標が一%加わっておりますので、努力目標を含めますと五・一一%でございます。  そうしますと、今の状態でいきましても、第九次のこの計画でそのままずっと十年移行すれば、努力目標も入れますと一〇・二二%になるわけでありまして、別に新しくこの省庁法案を設ける中であえて申し上げなくても、この第九次削減計画をそのままやっても実は一〇%以上の、純減というふうには述べておられませんが、削減計画が現にあるのですね。  したがって、私は、この第九次の中でも一〇%以上というお話がある以上、議長にもあるいは会長にも橋本総理がなられ、かくたる馬力のあります小里長官がおりながら、どうして一〇%というようなお話で終わっているのか、なかなか私には解せない。なぜ二〇%ぐらいの話が出なかったのか。その辺をちょっと、事情を教えていただけないでしょうか。
  21. 小里貞利

    小里国務大臣 先生お話がありましたように、現在第九次、第一次は昭和四十三年でございますか、自今、今日まで至りました。各界の痛みもございましたけれども、御協力をいただきながらここまで参ったわけでございます。  このいわゆる削減計画というものは、お話も言外に含んでおられたようでございますが、今次国会の意思を決定いただきますと、二〇〇一年一月一日に移行をいたします。この移行をする時点におきまして、ただいま議員が御指摘になりました従来の九次にわたる削減計画というものは、根本的に見直さなければならない一つの宿命と申し上げましょうか、必然性が全面的に出てくるわけでございまして、私どもは、御指摘のとおり、その点を重要な一つ削減計画遂行上のポイントと判断をいたしておるわけでございます。  したがいまして、お話がありましたように、今でさえも国家公務員定員については従来の発想を超えてもっと頑張らなければいかぬという、その激励のお話もよくわかりますし、さらにまた、新たな体制移行するまでの間にありましても、お話のとおりのことでございますから、純減の確保に努めなければならぬ。それからまた、新たな体制への移行時には、申し上げましたように二〇〇一年に総定員法を改正をいたしまして、そして新たな公社あるいは独立行政法人等への移行による枠組みの変更も視野に入れまして、そして定員総数あるいは定員管理の新たな枠組みというものを設定をいたしまして、まさに抜本的な大幅な定員削減及び定員数の縮減に基本的に道筋をつけなければならぬ、こう思っておりまして、お話の中にも含めておられたようでございますが、さような一つの段取りでございます。
  22. 上田清司

    上田(清)委員 本当に大変な御努力だというふうに思いますし、現実に物事を変えていくというのは大変なことだというふうに、それはそれなりに理解いたしますが、実は、この件でも、先ほど引用しました当時の武藤嘉文党行革本部長が、こんなふうに述べておられます。  これは夕刊フジの「風雲・永田町」という鈴木棟一主幹の毎日みたいにコラム風に連載されている中なのですが、「肥大化した行政機構をスリムにするという大目標がまだダメ。橋龍は二〇〇一年に総定員法を策定し、最初の十年で一〇%削減と言った。どうして一〇%と言ったのだろう。いまの定員削減計画は五年で四・一一%。プラス一%を努力目標としている。十年間で一〇%ではいまより落ちることになる。だから私は二〇%と言っている」と。  与党の自民党の行革本部長がこういうことを言っておられまして、大変意気込み与党としてあるなという形に思っておるのですけれども政府案として出てきたときに、必ずしもそうでない。この辺の事情について、小里長官の知るところで、なぜそうなるのか。  こういう大きく変化する時代に、やはりニュージーランドアメリカは大変な行革をやっておりまして、資料としてお手元に届けさせていただいておりますけれどもアメリカなどは、五年間で二十五万人の公務員削減を当初の目標として、実際に九三年から九六年の四年間に目標を上回る三十万人を削減するというような結果も出しております。ニュージーランドの小さな国の大きな実験ということも御承知のとおりだというふうに思っておりますので、そこのところを踏まえても、この一〇%削減というのは余りにも従来の手法と同じではないかということを改めて申し上げまして、長官の御見解を承りたいと思います。
  23. 小里貞利

    小里国務大臣 もう先生具体的にいろいろ精査をしておいでになりまして、釈迦に説法で失礼かもしれませんが、とにかく、お話もありましたように不退転の決意で臨むということが第一だと思うのです。それから、今日政府が果たすべき役割というものを、総理もしばしば言っておりますが、この点を厳粛に対処して選別をするということが一つだと思います。  それから、そのほかもろもろ、簡素化、効率化するための手法を先刻来いろいろなことを御説明申し上げておりまするが、それらを、地方分権を初め、規制緩和あるいは官民の分担、あるいは独立行政法人に積極的に引き出していく、あるいは公共事業、補助事業の合理化等々、もう本当にたくさんの題材があるわけでございますが、これらを一つ一つを忠実に、しかも厳正に、しかも内外の圧力に屈することなく、政府が、あるいは政治が一体となっていただきまして対処することが何よりも要請だ、さように自覚をいたしております。
  24. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。小里長官意気込みは、いつも私は好意を持って受けとめております。どうぞ、もう少し力強い行革の歩みをとっていただきたいというふうに思います。  人事院総裁にお尋ねしたいと思いますが、いわゆる出向とかでの離職ではなくて、自然に定年が来て退職される方々、それから結婚だとかさまざまな理由で退職される方は、概数で結構でございますが、毎年大体どのくらいでございますか。
  25. 武政和夫

    ○武政政府委員 私ども、一般職の国家公務員について所掌しておりますが、一般職の国家公務員で離職者総数は、平成八年度におきまして三万五千九百十三という数字でございます。
  26. 上田清司

    上田(清)委員 長官、今お聞きされたと思いますが、私も平成三年度からずっと調べてまいりましたら、四万から今お話に出ました三万五千ぐらいの数字、徐々に離職者の数、あるいは退職も含めて、減ってきております。しかし同時に、大体同じぐちい採用もされておりまして、先ほど申し上げましたように、三十万減らして二十五万ふやしたということでございます。こういうことでございますので、別にむきになって削減計画をしなくても、このように定年でおやめになる方、あるいはさまざまな理由があっておやめになる方もございます。  そうなってくると、この政府削減計画というのは、各省庁ごとに積み上げてきているものか、あるいはさまざまな制度改革の中でこういう形である程度の数が減っていくんだという、そういう積み上げたものになっているんでしょうか。
  27. 小里貞利

    小里国務大臣 率直に申し上げまして、制度あるいは行政組織の組み立て上、これは明らかに削減ができるなというものがあります。例えば、機能別分担、あるいは事前評価、事後評価、御案内のとおりです、細やかなことを申し上げませんが。そのような組み立ての根幹に関する部分を実践することによって、これはまた実践しなければならない大変大きな柱でもあるわけでございますが、そういうことを行うことによりまして、各省庁、編成作業が一段落した段階における一つの期待というものは相当なものがある、私どもはそういうふうに思っているのでございますが、これは具体的数値を含んでおりません。
  28. 上田清司

    上田(清)委員 各省庁ごとの積み上げの根拠がない、このような理解ですか。
  29. 小里貞利

    小里国務大臣 今申し上げましたように、組織の組み立ての原理に関するような、根幹に関するようなことなどを私どもは大きく期待をいたしておるのでございます。これはもう効率化、簡素化のためにも必要だし、透明性のためにも必要だと思っておりますが、さらに、それがもたらす定数にも相当影響がある。ただし、この分野は、私どもは具体的に算術計算はいたしておりません。こういうことでございます。
  30. 上田清司

    上田(清)委員 尾身長官、後で違う議論のことをお尋ねしたいと思っていたのですが、経企庁でも、行革定員削減計画について、今長官からは総括的に各省庁の積み上げはないと承ったというふうに私は理解しておりますけれども、経企庁の方でもそうした、例えば、一緒になっていく過程もございますけれども省庁と、担当大臣として、そういう数字の積み上げみたいなことを内部で検討されたような御記憶というのはございますか。
  31. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 私ども経済企画庁、現在の職務をやる上におきましてかなりのメンバーが相当遅くまで時間外の仕事をやっているという状況でございまして、いわゆるどのくらいの公務員の数が経済企画庁に必要かということを、現場の仕事の実感から見れば、かなり手不足であるなという感じは持っているところでございます。しかしながら、行政改革の基本的な方向に沿いまして、先ほど来の行政管理庁長官のお答えのとおりの基本的な方向に沿った上で、経済企画庁としても対応してまいりたいと考えている次第でございます。
  32. 上田清司

    上田(清)委員 お話をずっと承りまして、きょうは確認作業が多かったのですが、正直なところ、数字の積み上げ根拠はない、それから、省庁再編成の中でどういう形で具体的に公務員削減計画があるのかというのも、私にはないように承りました。何よりも、何度も申し上げましたけれども、自然減の部分がありますし、それから、今までの定員削減計画の中においても、純減には至りませんけれども、このまま推移しても一〇%削減が可能である。したがって、純減という言葉をいただいた分だけこれはかなり相当な意気込みだということですが、私はむしろ、もう公務員の本体の部分は本当の制度改革をしなければ実は余り削減できないんじゃないかなというふうな理解をしているのです。  その証拠に、御承知のとおり、公務員削減計画が始まった四十三年当時から、やたちめたら特殊法人がふえまして、特殊法人に対する厳しい世の中の批判が始まりますと、今度は公益法人がふえるという形になってきております。  これは長官も御承知のとおりだというふうに私は思っておりますが、例えば、平成九年の時点で、特殊法人が、役員数で八百二十、職員数で五十一万九千六百三十九、昭和五十年のピーク時で百十三法人ございました。このように、特殊法人だけで約五十二万人職員がおられます。これは、待遇や身分に関して内容的には国家公務員と何ら変わるものではない、こんなふうな理解もできるのではないかというふうに私は思いますし、五十年代以降、まさに特殊法人がピークを迎えて、減らそうという話が出たときから公益法人がふえてきておりまして、国においても、理事だけで九千百七十五人、職員が二十二万八千五十八人、県も含めていきますとこれが倍増してまいりまして、職員だけでも約五十二万人からいる。理事クラスだけでも二万一千人からいる。  この公益法人にも実は御承知のとおり、資料でも――一年古い資料でちょっと恐縮だったのですが、取り寄せる時間がちょっとございませんでしたので、昨年の、九年度予算の部分だけをお手元に配っておりますけれども、例えば特殊法人に、一般会計から八千四百七十四億、特別会計から五千二百億、これは出資金です。補助金も含めますと、二兆五百二十四億、それから特別会計から一兆一千億。都合、合わせて四兆円以上の出資金、補助金が一般会計、特別会計から導入されておる。  認可法人、いわゆる公益法人でありますが、こちらに対しての出資金、補助金もまさに大変な金額が打ち込まれております。これにまた委託費なんかも約七千億ぐらい含まれておりまして、これはこの中に書いておりません。そうすると、この公益法人に対する補助金、委託金、出資金だけでも一兆数千億の金額が上がってきておりまして、まさしく公務員削減計画とともに特殊法人、公益法人が増加してくる。そして、その中に一般会計、特別会計からの出資金、補助金あるいは委託金という形で国の予算が投入されていく。  こういう仕組みを右上がりの時代の癖の中で、毎年自然増収の中で予算が当初予算よりも余っていくという黄金の一九六〇年代、七〇年代がございました、そういう中での癖で使ってきておりましたけれども、これにメスを入れないと、実は行政改革の本質はここに出てくるのではないかというふうに私は思っておりまして、この点について長官の御見解を伺いたい。
  33. 小里貞利

    小里国務大臣 お話しのとおりでございまして、まずその中の特殊法人については、皆様方の御理解をいただきまして、これがだんだん減ってきておりますし、また削減しつつあるし、さらにまた今次の行政改革におきましても、できるだけ特殊法人を、不断の見直しによりまして、独立行政法人化も導入するし、あるいはまた整理統合を進めていこう、そういう方向でございます。  もう一つの公益法人の関係は、先生も御承知のとおり、日本相撲協会を初め本当に多くの法人がございますが、これらにつきましても、ただいまお話をお聞かせいただきましたように、公務員定員削減は進捗しても、逆にこちらの方に漏えいしていくといいますか、そういう穴埋めの一策になっているのではないかという意味もあったと思うのでございますが、十分注意をしていくべきことであろうと思っております。  ただ、従来、例えて申し上げますと、国が行っていた事務事業を公益法人等に委託し、要員の合理化などを含め、より効率的に行わせることも一つの方法であったのかなと、必ずしもこのような、いわゆる外出しといいますか、この措置をすべて否定するというわけにはいかないかもわからぬかと思うのでございますが、お話の筋は十分理解をいたす次第でございます。
  34. 上田清司

    上田(清)委員 筋を理解していただかなくてもいいのですが、問題は実行だと思うのですね。  これは、もう一つの資料で出しておりますが、「主な特殊・認可法人トップ月額報酬一覧」というふうに出ております二枚の紙ですが、これはテーミスという雑誌からとりましたら、若松代議士の著作から引用されたということでございますので、大変失礼いたしまして、ありがとうございます。  非常に簡潔に特殊法人のあるいは認可法人の理事長、総裁等の方々の出身母体、前歴が全部出ておりまして、もう既に十分な待遇がなされておるにもかかわらず、過分な待遇がまた改めてなされている。これも、国の補助金や補給金、出資金あるいは業務委託費の中で、明らかに何らかの形で国民の税金が投入されている。  そういうことを考えると、なかなか従来の見方で、特殊法人も整理縮減しておりますといっても、社会保障研究所二十人を廃止したとか、大どころには手をつけない。従来のやり方では難しいのではないかということを先ほども申し上げましたけれども、やはり思い切った形をしなければいけない。  例えば、もう長官も御承知のとおりだと思いますが、PHPの大変な力作であります「日本再編計画」、これも大胆な行政改革のプログラムを出されておりますが、できるだけ現業部門を民営化するという仕組みではないかなというふうに私は理解しております。  国家公務員百十六万人を、当時ですが、この著作のころですが、四五%削減して六十四万人にしていく。その中身は、郵政事業の民営化を初め、大学、病院、あるいはそうした登録業務、現業業務を極力民間に委託していく、そういう中身であります。  例えば、政府税調の会長もなさっておられます慶応大学の名誉教授であります加藤先生のグループが、昨年に、郵政三事業、九特殊法人の民営化を実現すれば収入二十三兆円を国庫に納入することも可能ではないかというのを、新聞記事でありますけれども長官のお手元に届けております。  こういうふうに大胆に仕組みを変えなければ、ちょっと難しいのではないか。松下幸之助さんが、五%の合理化というのはなかなか難しい、しかし二〇%の方が易しいんだ、五%というのは、何かけちけち大作戦みたいな話でいくから一%で終わっちゃって四%が達成できなくなってしまう、こういう話だけれども、二〇%となると、ちょっと頭の仕組みを変えなくちゃいけないということで、大胆な改革、発想の転換が行われるということで、五%の合理化よりも二〇%の合理化の方がやりやすい。こんなことをある書物で私も読んだことがございます。  そういう意味で、また後でエージェンシーの問題も含めてお尋ねをさせていただきますけれども、ちょっと中途半端ではなかろうかという嫌いがあります。  ここで私が演説をしていると時間がなくなってしまいますので、長官においでいただきましたので、尾身長官、これは新聞報道ですので実際はどうかわかりませんが、景気回復は桜が咲くころではなくて落ち葉が落ちるころだというような話も聞いておりますけれども、この点はいかがでございますか。
  35. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 最近の経済指標でございますが、昨年の秋以降、アジアの問題とかあるいは金融機関の相次ぐ破綻等によりまして、景気の将来に対する消費者あるいは企業のマインドが低下をいたしました。その影響で、いわゆる最終需要の消費、投資等が停滞をしてまいりまして、その影響が、ごく最近、雇用とかあるいは生産という実体経済の現場にまで響いてきているように感じている次第でございます。  そういう意味で、経済指標、非常に厳しい数字が並んでおりますが、ただしかし、ここ三月ごろの数字を見ますと、個人消費等につきましてはやや下げどまりかな、反転するかなという兆しも見られておりまして、消費者のマインドというような点から見ると、やや好転が感じられる数字も幾らかございます。  したがいまして、これがまた実体経済に反映するには多少の時間がかかると思いますけれども、そういう状況を踏まえつつ、私ども、現在提案を検討しております補正予算、総合経済対策におきまして、しっかりとした対応をして経済を順調な回復軌道に乗せていきたいと考えている次第でございまして、また、ぜひ立法府の皆様方の御協力もお願いをしたいと考えております。
  36. 上田清司

    上田(清)委員 私は、かねてから尾身長官のいらっしゃる勉強会などで何度か御一緒させていただく機会をいただきまして、長官の見識、博識に関しては高く評価をするものでありますけれども、極めて残念なことが、経済企画庁で出されますGDPの見通し、経済予測が毎年度外れるという、これほど外れていいものかというぐらいことごとく外れるということに関して、果たしてそれで知らぬ顔をしていていいのかなと。これはどうして外れるのですか。
  37. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 平成九年度の経済成長につきましては一・九%という見通しを立てていたところでございますが、昨年の四月一日からの消費税の引き上げ、その問題に関します三月末の駆け込み需要の増大、それからその反動が予想以上に大きものでございまして、それが一つの原因。それからもう一つは、アジアの、先ほど申しました通貨・金融の危機、あるいは金融機関の相次ぐ破綻等によりまして一・九%の政府見通しの達成が非常に困難である、非常に厳しい状況になっているというふうに理解をしております。  ただしかし、私ども、名誉のために申し上げなければいけないわけでございますが、平成七年度及び八年度につきましては、七年度については二・八%という政府見通しがまさにぴたりと当たっているわけでございますし、それから八年度につきましては、二・五%の見通しに対しまして実績三・二%ということでほぼ当たっているという状況でございました。  十年度につきましては、先ほど来の状況の中で、経済は生き物でございまして、桜は咲きましたが、景気が、まだ必ずしも現状の見る数字におきましては、四月の統計はまだでございますが、なかなかどうかなという状況でございます。  したがいまして、それに対しまして、総合経済対策を実施をいたしまして、その対策も含めました総合的な効果の中で一・九%という政府見通しの実現は十分に達成可能であるというふうに私ども考えているところでございまして、この経済対策をなおしっかりと実現をして、確実にそれを実現できるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  38. 上田清司

    上田(清)委員 人事院総裁、申しわけありません。私、時間の配分を少し間違えまして、給与論争も少しやりたかったのですが、時間がございませんのでこの次の機会にまたさせていただきたいと思いますので、差し支えなければ退出されても結構でございます。貴重な時間を申しわけありませんでした。  それでは、長官、今、総合経済対策をやって一・九%の経済見通しを達成することは可能だというようなことをちょっと聞いたような感じがするのですが、本当ですか。信じられないという感じですけれども
  39. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 十年度の実質経済成長一・九%は、総合経済対策を行うことも含めまして、現在の景気状況等から見て、私ども達成可能であると考えております。
  40. 上田清司

    上田(清)委員 たまたま七年度と八年度のことをおっしゃいましたけれども、それ以前はずっと二%ぐらい違っておりましたし、経企庁というのは当たらないというのが定評になっておりまして、どうもいま一つ信じがたい、そんな感じがいたします。  今度は省庁再編の中で、内閣府の中でそうした全体のマクロ経済の見通しについてなされていくということでございますが、この辺についても、まさしく税収も含めた日本経済全体の見通しそのものを立てていくわけですから、余り、これは安易に期待値を出し過ぎて、結果的にまた違うということで逆に市場の不信を買ってしまうというようなことをしばしば経済企画庁はやっているのではないかというふうに私は思えてなりませんので、この点についてはいかがですか。
  41. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 私自身、十年度の見通しにつきましては、昨年の十二月、いろいろな議論の末、またいろいろな要因を考えた末、一・九%という見通しを立てたわけでございまして、それが大きな経済の枠組み、そしてまた予算編成等の枠組みの基礎にもなっているわけでございます。  そういう意味で、この見通しの数字をどうするかということは大変大事なことでございまして、今後ともあとう限りの努力をして、正確な客観的な見通しを立ててまいりたいと考えている次第でございます。  十年度につきましては、そういう状況の中で、昨年の秋以来のいろいろな状況の変化がございまして、経済の現状は大変厳しい状況になっているわけでございますが、先ほど申しましたこのたびの総合経済対策等も含めまして、あるいは規制緩和等も含めまして、いろいろな対策を実施をしてこの実現を図ってまいりたいと考えている次第でございます。ただいまの上田委員のお言葉は一私ども、これからの将来の業務を遂行する上でのお励ましと受けとめて頑張ってまいりたいと考えている次第でございます。
  42. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。なかなか長官の心痛察するものがありますが、市場の期待を裏切らないようにきちっとした数字を立てていただきたい、期待値の方を余り出していただきたくないということをあえて申し上げたいと思います。  長官、大変恐縮です。もう結構でございます。結構でございますと言ったら大変失礼ですが、お時間がございましたらどうぞ御退出ください。  小里長官独立行政法人についてお尋ねをしたいと思います。  今度できます郵政公社と林野、造幣、印刷事業の現業部門、それから独立行政法人、この三つの違い、それぞれの特色というのはどんなふうに理解すればよろしいのでしょうか。
  43. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、独立行政法人のポイントを申し上げたいと思うのでございますが、組織、運営の共通原則の制度化、一つは明確な目的と責任のもとにおける自主的、自律的な運営、企業会計原則導入や弾力的な財務運営、現場のやる気を引き出す仕組みの構築、経営情報の徹底した公開、営業に関する定期的な見直し、以上が独立行政法人のポイントでございます。  これを平たく申し上げますと、特殊法人は、今申し上げましたこれらの要点が非常に薄弱であったなということであります。  特殊法人は、多様な目的とさまざまな経緯によりまして設立されておりまして、多種多様なものが混在し共通の運営原則もなかった、主務大臣の事前統制のもとで責任体制が不明確であった、しかも非常に主務大臣の権限統制というものが事前に強く行われていた、したがって事業運営が非効率的で、自主性がないし、硬直的であったなと。それから、経営内容が不透明であった。存在意義の低下した業務法人が相当存続いたしております。相当ということはどうかわかりませんが、存続いたしております。  そういうさまざまな問題点が指摘されておりましたので、それを裏返しにこのたびは補完をいたしまして、独立行政法人制度に誘導もしますし、またその他の施設、機関等を、今の一般行政機関の中にあるものもこの独立行政法人に引き出していきたい、そういうものでございます。
  44. 上田清司

    上田(清)委員 今のお話を聞いていると、特殊法人はもう廃止した方がよさそうな雰囲気でしたね。  それでは、いわゆる独立行政法人で、国家公務員の身分を与える法人とそうでない法人との違いというのはどんなふうに見分けるのでしょうか。
  45. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 独立行政法人の職員の身分につきましては、行革会議でさまざまな御論議をしていただきました結果、その最終報告におきまして、制度の創設に際して円滑な移行を図る必要があることなどの事情にかんがみ、一定の場合に国家公務員の身分を与えることとされたわけでございます。  それを受けまして、この基本法におきましても、その業務の停滞が国民生活または社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものなど、その独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して必要と認められるものについては、その法人の職員について国家公務員の身分を付与するものということにしておるわけでございます。  したがいまして、これに照らして、この制度が創設されました後設置されます個別の法人ごとに、職員の身分を国家公務員とするか非国家公務員とするかを決定していくことになるというふうに考えております。
  46. 上田清司

    上田(清)委員 委員長も首をかしげておられまして、たまたまかもしれませんが、何かオロナミンCとリポビタンDの違いはどうなのかというのを聞いてなかなかわからないのと同じでありまして、いま一つすっきりしませんでしたので、長官、わかりやすく教えていただけないでしょうか。
  47. 小里貞利

    小里国務大臣 私もわかりやすく説明できるものでもないと思うのでございますが、今お話し申し上げましたように、通常の行政機関ではなかなかなじまないな、能率も上がらない、それから自律性も出ない、むしろ企業性を要素として持って一つの機能をいたしておるな、そういうようなものを、この際、ただいま申し上げましたような独立行政法人に引き出していく。言いかえますと、国が持っておる行政機関の中からある一定のものを別法人格で独立行政法人として引き出しまして、そして独立した一つの企業組織として、企業組織と申し上げましょうか、企業的組織として、自律的、弾力的な組織、業務運営を期待をいたしますよと。  そこで、お尋ねの、そこで働く職員の皆さんの身分はどうなるのですか、これが相当議論をされたところであります。  国家行政組織法あるいは総定員法行政職に係る職員の身分の件でございますが、これから対象外にいたしますよと申し上げましたのは、今前段で申し上げましたそのような考え方に基づくものでございます。しかしながら、やはり国家公務員という身分の担保が欲しい、こういう声が非常に強うございましたので、ではそれを新しい国家公務員の概念として存置することはできないのか、いろいろ法制上のことなども含めまして、前後相当時間をかけて検討をいたしましたいきさつがございます。そこで、先ほど坂野政府委員の方から答弁申し上げましたように、独立行政法人も法によって特別に付与せられる公務員という基本的概念で整理できる、そういう話でございましたので、さような措置をとったわけでございます。
  48. 上田清司

    上田(清)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、最後に一言だけちょっとお尋ねをしたいのです。  所管大臣が中期目標を定めることができるというような形で相当大臣の指導監督性があるというふうに理解いたしまして、これは、例えば国会のテーブルの中でいろいろな議論ができるとすると、従来の行政組織、国家組織のメンバーとして扱えるのか。それとも、いわゆる特殊法人だとか公益法人として扱って、時々参考人で来ていただくとかというような形なのか。それとも、民間という形の中で、原則お呼びすることはできない、特別に参考人としてお願いしなければおいでいただけないのか。こういう国会の関与ということから見ていくと、この独立行政法人は、国家公務員の身分を与えられる人とそうじゃない人と、またこれは違うようなイメージになります。大体、国会のテーブルの中で国があるいは立法府がどのような形で関与できるのか、特に国会の中でさまざまな監視ができるのかということで区分けするとどのレベルなのか、このことをお伺いしたいと思います。
  49. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 独立行政法人は、公共的な事務、国の責任において実施する公共的な事務でありますけれども、国が直接その主体となって実施する必要がない、あるいは実施しないで他の主体にゆだねることができる、そういう業務についてこれを対象とするということでございます。  したがいまして、国会が主務大臣の監督を通じ、あるいは直接にさまざまな形でその独立行政法人の業務の実施状況を調査され、あるいはその業務について御論議をなさる、これは当然私はあり得ることだと考えておるわけでございます。  ただ、国会にどのような形で当該独立行政法人の職員なり役員が出席をすべきかどうか、これはまた国会の方でもいろいろ御判断を願わなければなりませんし、また、制度設計の中でおのずから定まってくることがあろうかと思いますので、直ちに今お答えすることはできませんけれども、基本的に、国の責任のもとに置かれる公共的な事務という性格の点においては、国会のいわば機能の射程の中に置かれるものであるというふうに考えておるわけでございます。
  50. 上田清司

    上田(清)委員 長官もしっかりうなずいておられましたので、安心いたしました。  どうもきょうはありがとうございました。終わります。
  51. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、古川元久君から関連質疑の申し出があります。上田君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。古川元久君。
  52. 古川元久

    ○古川委員 民主党の古川元久でございます。  連日で長官もお疲れかと思いますが、最初、先日私が御質問させていただいたことにまた絡んでちょっと入っていかせていただきたいと思います。  先日もお話をさせていただきましたけれども、この基本法案は何といってもプログラム法でございます。今回の行政改革会議の論議なんかを見ていましても、最終報告なんか、前文の部分だけを見ると非常にすばらしい。そこの部分だけを読むと、「この国のかたち」をと、大変に総理を初め政府意気込みというものが感じられるんですが、その気持ちで各論の方に入っていくと、あれあれ、何かこれはちょっと、前文で書いている意気込みとはかなり違うんじゃないの、何か非常に矮小化してしまったような感があるわけですね。  総論では非常に高邁な理想を述べながら、実は、各論に入っていくと何かそれが極めて歪曲化されたり矮小化されたりしてしまうということもえてしてありがちでありまして、私も行政にかつておりましたから、その経験からいたしますと、行政というのはそういう傾向が極めて強いということがあります。  そういうことからいたしますと、やはりこの基本法案の、私どもはこの法案がいいとは思いませんが、しかし仮にこれが通ったとした後の進め方というのは、設置法の改正の仕方、そういったものにどういう形で民主的なコントロールが及ぼしていけるのか、あるいは国会が関与しているのか、そういうことがやはり極めて重要になってくると思うんですね。  先日の長官お話でもございましたように、推進本部は百名程度ということを考えておられる。そういう中で、膨大な作業があるということでは、事実上各省庁が、設置法を初めとする関係法令の制定とか改廃の過程においてやはり相当の関与をせざるを得ないじゃないかというようなお話があったかと思うんですが、この関与の仕方によっては、実は見えてくるのは氷山の一角みたいなもので、氷山の頭に見える推進本部は百人だけれども、そこでやっているように見えて、実はほとんどの作業は膨大な各省庁のお役人がやるということも考えられないわけじゃない。  従来の普通の法律なんかの法令協議、法律をつくる場合ですと、どこか所管の役所があって、そこがつくった法律を、各役所の文書課なり何か総務課みたいなところに投げて、そこから各局に投げて、そこで何らか異議とか疑問があれば取りまとめをして、そして所管の官庁と法令協議をやり合うというのが従来の法案作成のやり方だったと思うんですが、今度のこの基本法案の後の設置法等のそういう改廃についてはどういう形で各省庁が関与していくのか、これはやはりかなり具体的にしていただきたいと思うんです。  きのうちょっと申し上げましたのですぐ出てこないかとは思うんですが、当然各役所において、この法律が通るか通らないかは別ですけれども、しかし、来年ということを考えれば、相当いろいろな心づもりはあるはずだと思うんです。総務庁として、どういう形で各役所と関係をしていって、各役所にどこまでやらせるか、各役所はまたどんな形でこの中央省庁再編のこの行革基本法案に対して応じていくのか、やはりその体制みたいなものをぜひとも長官の指示で、各役所の体制がどうなっているのか、そういうものを調べていただいて我々にお伝えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  53. 小里貞利

    小里国務大臣 まず一つは、君たちが顔を出したときには、これは新しい「国のかたち」、一定の志を持っているなと思ったよと、しかし中身を吟味してみるとなかなか可能性も、そうでないなという一つの御警鐘でございますが、もとより、それを決して否定を申し上げるわけでもございません。  私は、提案理由説明を本会議場で行いましたときに、私自身の思いを書き添えました。実は「こういう基本法をやっとつくり上げました、しかしながら、国会の意思を問うわけでございますが、これが決して完全無欠なものであるなんて思ってはおりません、国会の与野党の政治家の皆さんの意見もいろいろあるようでございますからお聞かせをいただきます、そしてまた、国民の批判とともに、この原案に、基本法に磨きをかけていぐのです、でなければ十分なる各省庁の設置法はできませんよ、こういう意味を込めて提案理由説明を申し上げたつもりでございます。今お話しのことは十分注意をしながら、さらにさらに、こういう論戦等を通じまして、そしてまた、国会の意思を決定いただきました後も、なおさらそういう気持ちで、なおさらのことむしろそこに重点を置いて、検討を進めていくべきである、こう思っております。  それから体制の話でございますが、一つは、御理解いただいておりまするように、総理大臣が本部長で、閣僚がメンバーでございます。これが推進本部の要員です。  それからもう一つは、先刻先生の仲間の皆様方にも申し上げたのでございますが、いわゆるこの基本法に従いまして具体的にこれから大幅に作業を進めていきますが、決してこれは政府のみ、あるいはそのほかの一定の機関のみでこれを所管し、そして組み立てていくものであってはならない一責任を持ってこれを推進するものの、やはり客観的に、しかも有効、適切に、しかも国民の意思に背かない、きちんとした、厳粛なものを推進するためにこれを監視をすると申し上げましょうか、あるいは督励をしてくれる、あるときには叱正を加えてくれる、そういうものも必要でありますと、総理自身もそのことは言っておられるわけでございますが、そういうものも組み立てていかなければいかぬ。  それから、お話しの事務局自体も、これは職員の、公務員のいろいろな、一つの背景を持つ公務員のみの意見だけでもこれは決していけません、言うなればむしろ知識を、行政、財政のあるいは制度の知識を提供してもらっくそして後の分析、判断はむしろ推進機関全体がやるというぐらいの気迫が必要であるだろう。したがって、その事務局全体が、最低百名以上あるいは百五十名あるいはそれを超す一つの状況になってくるかと思うのでございますが、あくまでその中枢部に立つ人は、行政の筋も知っていなければならぬでしょう、同時にまた、姿勢として厳正、公平で、かつまた内外の圧力等に屈するようなことがあってはならぬ、そういう人々がその新しい一つ推進機関の中に中心として入ってくるべきであろう、こういうふうに考えております。  したがって、そういう三つか四つのそれぞれの組織あるいは機関が相互に刺激し合い、あるいは啓発をし合って一つ改革というエネルギーの源泉ができていくのじゃないかな、そういう感じを持つわけでございます。
  54. 古川元久

    ○古川委員 長官の熱弁は結構でございますが、時間も限られておりますので、聞いたことに簡潔にお答えをいただきたいと思うんです。  民間の人に話を聞くのもいい。気迫はいいです、気迫だけで法律ができるわけじゃないんです。これからの設置法づくりというのは、本当にこれはかなり細かな実務的な作業になってきます。そういった部分で、本当の意味で、そもそも今政府から出てきている案自体が非常に中途半端でおかしいと思いますが、それ自体がむっともっとこれは逆に悪くなるのか、あるいはそれでも一部とるところが出ると見るのかどうか、そういったものも変わってくると思うんですね。だから、これは今の役所、各官庁がどんな形でどれくらいの規模でどんなふうに関与してくるのか、そこのところを長官、今のお話だと、いや、全体のお話を聞いてというような話だけですよね。  私が聞いているのは、この推進本部の中で実際に書くのは、長官が書かれるわけじゃないですよね、書くのはやはり事務局のベースでしょう。だから、そういったベースの人たちがどういう形で――この推進本部で全部やり切るのか。この前の話だと、やはりある程度、今のお話にもあったように、当然いろいろな話を聞かなければいけないということですから、では、各省庁に何らかの形で関与させるんでしょう。そうしたら、では、その関与のさせ方はどうなのか、今までのような、例えば普通の法案をつくるときには、どこか所管の官庁があって、先ほど私、申し上げたようにそこがつくって、それを各省庁に投げるような形でやるのか、あるいは今回の場合には、とても推進本部だけではできないからほかの役所も何らか関与させるような形でつくっていくのか。その辺の関与の仕方、その関与の考え方については、恐らくもう今の段階で各役所はそれなりの心づもりがあるでしょうから、ぜひともそこのところを調べていただきたい。  そうしないと、我々として、この基本法案を今まで審議していても、要は、ほとんど中身はこの場合ないわけです、プログラム法案で。中身がどうなるかということを判断するためには、やはりその後の体制がどうなるかということがわからないと困りますから、だから、そこのところをお願いしているのです。
  55. 小里貞利

    小里国務大臣 実務上のことを言っておられると思うのでございますが、私はそのことも若干先ほど申し上げたつもりですけれども、百名ないし百名以上、その中にはもちろん現職の公務員の皆さんも入っておいでになると思うのです。  それからまた、連絡調整、既存のいわゆる一府二十一省庁体制とも、これは二〇〇一年一月一日までは周到な連携のもとにやらなければ、大変な変革事業でありますから、知識を与えてもらう、あるいはこちらから情報を送る、あるいはこちらの方からいわゆる一定のリーダーシップのもとに督励をする、いろいろあるだろうと思いますから、それらは、必ずしもこういう一つの升の中で対峙してどうこうというものではなくて、前向き思考で、情報交換を密接にやりながら進めなければならない。  ただし、その改革の基本姿勢というものは、絶えず言い聞かせていただいておりまするように、前向きで、きちんと基本法に素直なもので、そしてその改革の実を上げる、そのしんに背くものであってはいかぬというその基本を、バックボーンをしっかりとしておって進めれば、それで実態としても大体整っていくのではないか、そう思います。
  56. 古川元久

    ○古川委員 前向きでとおっしゃいますけれども、各官庁のこれまでの行革会議の中でのいろいろな動きというのは、あれは前向きですか、皆さん。とにかく各官庁みんな、できれば何とか自分の官庁だけは残したいみたいな話で動いたのではないですか――いえ、長官お話しになると長いですから。  この辺は、長官よりもむしろ事務方の方がよくわかっているかもしれない。長官は、役所で閣法がつくられるそのつくられ方の手続をよく存じ上げていますか、その事務方がやっている話は。もう何度も申し上げますけれども、どこかの役所が、一つの所管の官庁がつくったら、それを各官庁にという、私が聞いているのは今までのような法案づくりのやり方、閣法のつくられ方です。わかっているんでしょう。だったら、そういうやり方をするのか。あるいは別に、今のお話で、これはもっともっと大きな、大事な話だから、各官庁の知恵も使ったりという話だったら、そもそも一番最初にドラフトを書く段階で各官庁が何らか言ってくるような形になるのか。  繰り返しになりますが、この行革の設置法づくりのときに、推進本部、その事務局が百人、百五十人ですか、そこのベースだけでやり切れるのかどうかということからすれば、長官お話からすれば、なかなか難しいだろうという話みたいですね。それであれば、それは官庁が何らかの形で関与する。その関与の仕方がどういうことなのか、そこを聞いているのであって、長官の何か精神論的な話とか抽象的な話を聞いているわけじゃないんです。だから、そこのところを、長官でお答えできないのであれば事務方の方でいいですから、答えてください。
  57. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先ほど大臣がお答えになったこととかなり重複するお答えを差し上げることに結果なると思いますが、もう委員承知のとおり、この基本法が成立した後に推進本部が設置をされるということでございまして、この推進本部は各省設置法の立案に当たるという権限が与えられておるわけでございますから、各省設置法の立案についてはこの本部が責任を持って行うということではございます。  ただ、当然のことながら、各省庁に協力を求めるということは必要なことでもございますし、また、各省庁としても全力を挙げて推進本部に協力をするという姿勢は当然持っておると思うわけでございます。具体的に作業を進める段階で、それぞれの協力の内容あるいは協力の方法というものが、その都度その都度定められ、あるいはおのずから定まって作業が進められるというふうに考えられるわけでございます。  したがって、現時点で、事務の隅々まで私が今申し上げるという状態にはないということは御理解をいただきたいと思います。
  58. 古川元久

    ○古川委員 協力を求めるし、各官庁は協力するだろうという話でありますが、先ほども申し上げましたけれども行革会議の議論の中で各省庁がどういう行動をしてきたか。それはむしろこの行革に反対するような方向で動いてきたわけでしょう。しかも、この行革会議委員であったり、あるいは、後からちょっと申し上げますけれども、橋本行革推進する五百人委員会の人たちも、みんな心配しているのは、これから各役所が骨抜きにしてしまうのじゃないか。その協力の仕方、それがどういうやり方なのかはっきり言ってもらわなかったら、そこがわからなければ、この法律自体について、いいも悪いも実は言えるわけはないわけです。  そこの部分がちゃんと、協力といったって、こちらはいいつもりで相手は味方だと思っていたら、向こうは味方の顔をして実は敵かもしれないわけですよ。むしろ、今ある官庁は逆に敵だと思って本来はやり切る話じゃないですか、これは。政治が主導でやる話でしょう。そこのところを聞いているんですっ
  59. 小里貞利

    小里国務大臣 古川先生はもう微に入り細をうがってよくわかっていらっしゃるのですね。それから、最終報告をまとめるまでの背景も具体的に御承知だから、言うなれば本当に、老婆心ながらと言えば失礼かもしれませんが、いろいろ御注意をいただいておると思うのです。  私が先ほど事務方と一緒にお答え申し上げておりますのも、原則論を今申し上げておるわけでございますが、その程度でいいかと。本当に行革会議が最終報告をまとめる前後の官界やあるいは政界や、あるいは業界や団体等の雑音というものは限りなく無原則に、無節操に入ってきたじゃないか、ああいう一つの状況を経験した今日の立場における行革本部は、本当にこれからいよいよ具体的作業に入るのだがどういう心構えか、どういう仕組みかということを御心配いただきながら、御警鐘の意味でも言っておられると思うのでございますが、その意味は十分わかります。  ですから、私は先ほどから、精神論と片づけられたけれども、具体的に原則は言っておるつもりであります。要は、おっしゃるように、一つのシステムも大事だと思うのです。それも大事でありますけれども、そこに仕えるつかさつかさのその人たちの姿勢も私は非常に大事だ、こう思っておるわけでございまして、今答弁申し上げましたようなことで、さらに皆様方の御批判や御叱正をいただきながら努めてまいらなければ、これは容易ならざる一つの仕事である、そう思っております。
  60. 古川元久

    ○古川委員 そういう精神論を言われても、この問題については、やはりとにかく異常にみんな――この前の参考人のお話でもあったんですが、決してこの法案がいいとはとても思っていない、しかし、これでもやらないとまだ、一つのある意味では枠でもつくらないと全然何も進まないからやるべきだという賛成の意見もあったわけですよ。そういうのを見ていると、この前、参考人の人たちが来ていても、これは積極的にいいなんて言っている人はだれもいなかったわけです。  そういう状況の中でみんなが懐疑的で、つかさつかさとおっしゃいましたが、この問題に関してはつかさつかさじゃなくて、逆にまさに政治的に我々が主体的にリードして、そうしてやっていかなければいけない。だから、そこの部分をちゃんとはっきりした形で、精神的な話ではなくてちゃんと、それは長官のおっしゃっていることは、我々からしてみたら、何の担保もないですから、いや、ちゃんと言うことを聞かせますと。  では、どういう形で言うことを聞かせますかということです。つまり、逆に言ったら、この法案でもいいから通してくれと言うような人は、少なくともこういう何らかの形で目に見えるような明示的な枠をはめないと何にも変わらないから、こんな法案でもいいから通してくれという話があるわけです。  そうであれば、まさに今のようなお話というのは、役所の今後のあり方について、今の役所がどういう形で今後関与してくるのか、そういったものについては、その気持ちとしてリーダーシップを持ってとか、そういうものだけじゃなくて、やはり目に見えるような形で、何らかの形でちゃんと担保をしていただかなければ、長官が幾ら言ったって、それで、どこがそれを担保される保証になるわけですか。それは全然保証にならないでしょう。
  61. 小里貞利

    小里国務大臣 今の段階で余り具体的なことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、あえてお話してございますから申し上げますが、私は、事務局の、推進本部のメンバーの選任自体から、おっしゃるようなそういう厳しい意味を持って選考していかなければならぬ、そう思っております。  例えば、事務局長にしても、あるいは次長にしても、今先生が憂えておられるようなことをできるだけ排除し得る人材の登用も必要だ。あるいはまた、機関として、あるときには見て、あるときには基本法に忠実であるか、あるいは国会論戦等で大体要旨として指摘されたようなことも忠実に守っておるかなというようなことを客観的にチェックをしてくれる参与制度的なものもつくらなければいかぬ。これは総理もそう言っておられますし、先刻から御説明も申し上げておるところであります。  そういうようないわゆる中枢をなすような一つの組織あるいは人については、まさに先ほど申し上げたように、先生が心配せられるような内外の圧力に屈しないような事務局の体制そのものもつくる。  それからまた、さっき申し上げたように、閣僚が構成メンバーになりまして、本部長総理が座って、常時その会議を見守っておりますし、あるいは意見をそのまま、直言も反映できるわけでございます。あるいはまた、国会論戦等におきましても、この国会に限らず、これからもしばしばいろいろと御意見をお聞かせいただく機会もあろうし、また私どもの仕事、任期そのものはいつまでかわからぬけれども、もう既にこの論戦でいろいろ貴重な御意見をお聞かせをいただきました野党の先生も、数名は、ちょっともう少し議論をする機会を与えてください、我々そこへも参加しますからということを、きのう、おとといから非公式に申し入れを申し上げておりまする先生もおいでになりますが、そういう、絶えずお互いが不断の努力が必要だということも申し添えたいわけでございます。
  62. 古川元久

    ○古川委員 これはもう何度も繰り返しになりますけれども、私が聞いているのは、各役所がどういう形でこれに関与してくるのか。やはり何らかの形で限定をしないと、いつの間にか今の役所が事実上今度の新しい設置法までつくってしまうような、そういう状況になってしまう。  長官、いみじくも自分でおっしゃいました、自分がいつまで長官をやっているかわかちないと。幾ら長官がその気持ちでいたって、新しい長官になったら、また一から勉強し直さなければいけないわけです。総理も各閣僚も座ってちゃんと全部話を聞いていますと言う。しかし、総理や閣僚がこの話だけをずっとやれますか。もっといろいろなたくさんやらなければいけないことがあるわけでしょう。そういう中で、片手間でこの話はできる話じゃないです。今の現にある官庁は、逆に、もう命をかけてやってくるわけですよ、自分たちの組織維持に。そうしたことにそんな片手間で、はい、はいと五分前や十分前に渡された資料を見て、それで意見が出せるような話じゃないわけです。  だから、各役所の関与のあり方というのを、そこをしっかりと何らかの形で、長官の発言でもいいです、これ以上は関与させないと。例えば設置法、そのドラフトを書くのは全部推進本部でやるならやると。そう言い切ってくだされば、そこまでは各役所の人間に一切手は出させないというふうに言われるのであれば、それはまだ私もわかりますけれども、そういうものが非常にあいまいでは、何とも理解しょうがないんです。
  63. 小里貞利

    小里国務大臣 申し上げるまでもなく、役所や官僚の不当な介入あるいは巷間一部言われるような雑音等は絶対排除しなければこの改革はできない、そういう決意をお互いに確認し合って私どもは対処していかなければならぬ、こう思います。  それから、先ほど再度御指摘をいただきましたけれども、私どもは、一つのつかさつかさがどうなろうとも、まあつかさという言葉はどうかと思いますが、これが絶対後戻りしないようにしておかなければならぬなと、今日こういう仕事、こういう任に当たっている者の一人として、絶えず自分にそういうことを言い聞かせながら努めておることだけは事実でございますから、御理解いただきたいと思います。
  64. 古川元久

    ○古川委員 後戻りとおっしゃいますが、そもそもこの法案は別に前にも進んでいないわけです。では、何からもって後戻りと言うのかというのがほとんど、これからのつくり方によって全然ですからね。ですから、個々の議論をしても仕方ない。  では、ちょっと切り口を変えます。  今、そうやってとにかく絶対にそういう決意を見せるというふうにおっしゃいましたが、そういうことを考えるのであれば、先ほど参与をつくるというお話がありました。この準備委員会にも参与はいらっしゃったわけで、その参与からこの法案に対して三項目の意見が出されて、その中で第三者機関の設置が強く求められたわけですね。  それを求める理由として、「中央省庁改革をめぐる各省庁間の駆け引き、利害対立は、基本法成立後における関係法令の制定・改廃の過程において、より一層顕在化・激化することが予想される。」と。だから第三者機関を設置しろというような意見を、参与は出した。でも、法案には入らなかったわけですよね。だから、参与を入れますと参与を入れて、しかし、参与を入れて意見は言わせるだけ言わせておいて、それは聞きおくと。それで、実際には形にならなかったら、何のために参与を入れていたのかわからないじゃないですか。  だから、こういう形で今回の準備委員会に参与がいたにもかかわらず、その参与がいろいろなことを言ったわけじゃないですよ、三つのことを言っただけです、そのうちの一つで非常に懸念を示した、そういうものについてさえもこの法案に入っていない。そのことだけ見ても、私は、幾ら長官が参与も入れますと言っても、非常にそれは疑問にしか思えないんです。  また、この第三者機関の設置については、橋本行革推進する五百人委員会というのは御存じですよね。この人たちから我々の党も話を聞いたことがあるんですけれども、そこから総理に対して提案書を出して、「独立の第三者機関の設置が、最終報告の中身が各種法制化の過程でないがしろにされないための必要不可欠の措置」だというようなことを提案として言っているわけです。  我々からしてみると、この法律はそもそも中身もないし、こういう形の、行革を中央省庁の再編に矮小化してしまうようなこと自体おかしいというふうに前々から論じていますけれども、それでもないよりはましたと思っていらっしゃる橋本行革推進しようとしている人たち、いわば政府の側かちすれば味方ですよ。味方の人たちでも、この第三者機関の設置については極めて懸念をしておられる。これは、参与もそうだし、みんながそう言っているわけですよ。これは恐らく、調査をするとほとんどの人がみんなそう言うんじゃないですか。それにもかかわらず、この法案には第三者機関の設置がない。  やはりこれだけの懸念を、この法案審議に当たっては、政府側としては払拭する必要があるはずだと思うんです。  しかもそれが、今回の準備委員会の参与の意見が、いわば形として無視されたような形になっている。そういう形でない、もっと準備委員会の参与の意見がを――参与をつくられるならつくられるで、その意見がちゃんとある意味で強制力を持つとか、それは絶対に受け入れられるとか、やはりそういうような担保のとれるような形でちゃんと言っていただかないと、我々としては、これだけ懸念があるものを外した、第三者機関を外した、それは意図的に外されていると思わざるを得ないというふうに思うんですが、いかがですか。
  65. 小里貞利

    小里国務大臣 これは古川先生だから率直に言いますが、古川先生はもう事情をよく御承知ですから、それだけ的確に指摘もしていただいておるかなと思うのでございます。  私もまた正直に申し上げますと、参与の方々は、短い期間であったけれども貴重な意見をまとめていただいた、こういう評価をいたしております。  同時に、そのずっと前にさかのぼって、例えば京都大学の佐藤先生とか東北大学の藤田先生とか、いろいろ皆さん入っていただいて、十四カ月間、ある意味では第三者として客観的立場から、あるときには専門的な立場から、いろいろな意見を長きにわたりまして反映いただき、集約をしてまいりまして、実はその後、参与のごく少数の先生方でございましたが、御相談申し上げたいきさつは御承知いただいておると思うのです。  そういういきさつからいたしますと、多くの第三者の皆様方の久しきにわたる議論を下敷きにしておるものですからへ参与の先生方も貴重な意見はまとめていただいたものの、なかなか、最初の十一月三日でございましたか、最終報告を締め切るといいますか集約をする、あの前後で、日程的にもいろいろちょっとこれは不都合なところがあったなということを私は感じましたことを、今思い出しておるわけでございます。  しかし、そういう経験の上に立ちまして、さらにきょう、第三者機関というものは法案において目に見えないが君たちは一体どうしておるのか、こういうお話でございますが、このことも、単純にこの法案に盛らなかったわけでもございません。これも、率直に申し上げますと、いろいろその筋において検討いたしました。そして、第三者機関をつくらなければならないというその重要性はかたく認識をいたしましたものの、これをどういう形で、どういう手続でつくるかということも相当議論をいたしました。  その結果、やはり総理大臣が、当時会長、今でも会長でございますが、おれらが責任を持ってひとついろいろな角度から御選考申し上げて、そして相談した方が最も現実的だろうと。というのは、過去のそういう手続の経験も、よかった点もあるいは厳しかった点も念頭に置きながらそういう要約をいたしましたというのが経緯でございます。  したがって、古川議員が指定せられるような第三者機関的なものは、必ずつくるという方針も参与という形で既に内定はいたしておりますし、かつまた、今お話がありましたように、本当に、真実に参与機関らしい機能を発揮しやすい形のものは必ず置かなければいかぬ、私どもはそう判断をいたしておるところでございます。
  66. 古川元久

    ○古川委員 本来であれば、どういったものをつくるかというのは、やはりこの国会審議の過程で、それは総理が決めることかもしれませんが、我々がこの法案審議するに当たっては、当然ある程度、どんな形、どんなものを考えられているのか、どんな権限を持つものをと考えているのか、それくらいのものはやはり出していただきたいと思うんですが、今の長官の話を聞いていたら、やはりそこには、かなり強い勧告権限みたいな、そういったものも含めて考えていらっしゃるというふうに受け取ってよろしいわけですか。
  67. 小里貞利

    小里国務大臣 勧告権という言葉をお使いになったようでございますが、勧告という意味というか概念ではなくて、むしろ重要な響きを与え得る一つの機関でなければならぬと。しかもそれは、透明で、国民にも国会にもそのままお聞かせ、あるいはお聞きいただけるような運営であってほしいな、前の経験からいたしましてそういうことを思います。特に議事録等、あるいはその審議の経過を透明に、即座に国会にもあるいは国民にもお聞きいただけるような一つの進め方というものがますます大事だ、そう思っております。
  68. 古川元久

    ○古川委員 参与の重要性は、確かにそういうものも重要なんですが、それがどれだけ今後の作業において影響力を持ってくるのか、やはりそこの方が大事だと思うんですよね。いや、意見は聞きました、皆さん大変いい意見をいただきました、そこも踏まえてつくっていますからと言っても、そこを本当に踏まえているかどうかというのは、今回のこの基本法案を見れば、踏まえている跡は見えないわけですよね。いや、そこは入っています、頭の考えの中には入っていますというふうに言われていますが、目に見える形で入っていないわけですよ。  だから、そこの部分の影響力がどういうものかというものを担保していただかないと、これは、そのやったということのいわば言いわけだけにすぎなくなってしまう、そういう危険があると思いますから、ぜひともその点についてやはりもう少し明確な答弁をしていただきたいと思いますが、本当は設置法の話にも入りたいものですから、少し設置法の方に進ませていただきます。     〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕  たびたびこの委員会でも問題になっています設置法の話ですけれども、設置法というのは、まさに省庁がどう動くかについての、自分自身のいわば体をつくるような話ですから、そういった意味では、これに役人が絡むというのは、まさにまないたの上のコイが自分で包丁を持つようなもので、それ自体大変に問題だというふうに思うわけなんですが、その点は百歩譲ったとしても、設置法をどう変えていくかというのは、もう何度も議論になっていますが、非常に問題だと思うんですね。  私は、これは長官にお聞きしたいんですが、そもそもさきの厚生省の汚職事件だとか大蔵省の接待汚職事件とか、そういった官僚の腐敗、不祥事の背景にあるのは、これはやはり広範な行政の裁量権だという見方はかなり一般的ではないかというふうに思うわけです。こうした広範な官僚の裁量権というものを、どういう形でか限定し、また明確化し、狭めていかないと、幾ら公務員倫理法を制定しても、こうした行政の広い裁量権を認めていては、公務員倫理法の効果は限定されるというふうに思いますが、この点については長官も同意されますよね。簡潔にお答えください。
  69. 小里貞利

    小里国務大臣 今御発言の趣旨も目的も、おっしゃるとおりであると思っております。
  70. 古川元久

    ○古川委員 そうしますと、この広範な裁量権を生み出している大もとは、やはりこの設置法だというふうに言われているわけなんですね。設置法には、所掌事務とそれに対応する権限の規定があって、そこがいわば裁量権の根拠となって行政指導が行われている。通産省なんかは典型的な設置法行政、通産省の行うきめ細かい行政指導なんというのはそうした部分に基づいているということはよく昔から言われているわけなんですけれども、ただ、この権限の規定というのは極めてあいまいなことが多いわけですね。  例えば、具体的に言いますと、大蔵省設置法には、外国為替を決定し維持することとかいう規定があったりとか、あるいは科学技術庁設置法には宇宙の利用を推進することとか、そういうのが権限の規定で書いてあるわけです。これ自体極めて不明確で、余りに包括的な、これを権限と言えるのか、そもそも権限と言えるような規定かというふうに思うんですが、長官はこういう規定を見てどういうふうに感じられますか。
  71. 小里貞利

    小里国務大臣 主なる任務あるいは主なる行政機能は当然前提でございますが、設置法におきましてどういう一つの、法制上、役所はもちろんのこと、国民が見たときに、ああこの役所はこういう任務を持っているんだな、また我々の生活とはこういうかかわりがあるんだなというように、非常にわかりやすいものが大事だ、一つはそう思います。  それからもう一つは、今議員から御指摘がありましたように、裁量権の問題であります。これはもう行政の効率化、透明化、その観点から見ましても非常に大事な話、特に効率化の視点からいいますと。  そこで、お話がありましたように、所掌事務というのは、先生専門家だから、私は素人だからあえて申し上げない方がいいかもしれぬけれども、私は、役所の一つの庭、一つの境界というものを面で示したものだろうと思うのです。その中で、一体おれたちは、その課はあるいはその部は具体的にどういう責任があるのか、あるいは逆に権限があるのか、その領域というものを一目瞭然とすることが、私はむしろ、お尋ねになりました裁量を無原則に、いたずらなことを顧慮しなくていい一つの形になるのではないか。  総理もこの機会で申し上げたと思うのでございますが、所掌事務、あとは権限等に触れないというのはどうなのかなということを発言なさったようでございますが、私は、できるだけそれらのことについては明らかに、そして国民にもわかりやすいように、そして他の、先ほど申し上げましたような、余計なことを煩わさずに済む一つの方法が大事であろう、こう思っております。
  72. 古川元久

    ○古川委員 わかりやすいようにと今おっしゃいましたが、私が今聞いた、例えば宇宙の利用を推進することというのは、これはわかりやすいことですか。わかりにくいでしょう。こんな形に権限規定をつくっていること自体がやはりおかしいわけでしょう。だから、確かに国民から見てわかりやすいのはどうしたらいいかといったら、この役所はどういうことをやるところかという、つまり所掌事務のところが国民から見ればわかって、あと個別に、権限というのはまさに国民に対して何らかの影響を与えてくる部分ですから、それは個別の法律に本来基づくべきであって、今の法律の規定の仕方、設置法の規定の仕方というのは、ほとんど所掌事務に呼応するような形で権限規定が決められているわけですね。だから、そういうやり方が今度もされるようでは、これは極めて不透明で、まさに包括的に裁量権限を与えてしまうことになると思うんです。  だから長官も、それが包括的で非常に不明確だというのであれば、この際そうした権限の規定というのは、とりあえず設置法というのはまさに各役所のいわば縄張りというか、庭を決めることですから、そこの部分においては所掌事務だけを決めて、権限の規定については、これが今おっしゃったようにまさに不明確というんだったら、またこれはこれで別に例えば行政権限法だとか、そういう権限の部分だけ抜き出して、それでもう少し具体的、明確に決めるとか、そういうふうにしたらどうですか。なぜその設置法の中に所掌事務と権限の規定が一緒になければいけないのか、その理由がわからないんですけれども
  73. 小里貞利

    小里国務大臣 今、先生、後の方でおっしゃいました、例えば権限法とか個別法とか、これらのものをどういうふうに絡ませてどういう整理をした方が一番適切なのか、率直に申し上げまして、私どもも、連日、今議論の最中であると率直に申し上げる次第です。  あとはちょっと事務局の方から。
  74. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 ただいまの御指摘の点については、かつて総理からも御答弁を申し上げたことがある問題でございますが、ただいま大臣からも御答弁がございましたように、設置法案を具体的にどのような規定ぶりにするかということについては、この基本法案が成立後設置されます推進本部で具体的な検討が行われるというのが基本でございます。  この場合にありまして、法律の根拠に基づかない行政指導などの民間への関与をできる限り縮小すべきだということについては、これもかねて大臣から御答弁いただいておりますように、事前統制型から事後チェック型の行政への転換という基本的な方針のもとに、できるだけ裁量からルールへ行政を転換させるという中で、それぞれの個別実体法等の手当てもきちんと今後進めていかなければならぬのだろうと思っております。  設置法の所掌事務及び権限に関する規定ということにつきましては、これまでもこれは両者一体としてとらえられてきたということがございます。そのようなことを踏まえまして、かつて総理答弁をされておられますけれども、この各省設置法において行政機関の行為の範囲の限界を明確にする観点かちは、権限を所掌事務と一体的、有機的にとらえて規定していく必要があるのではないか、あるいは、行政機関の臨機にかつ複雑多岐にわたる活動のすべてに個別の実体法上の根拠を要求するということが実際的でありかつまた適当であろうかというような、種々検討すべき問題がございますので、今後さらに十分精査していく必要があると考えるわけでございます。
  75. 古川元久

    ○古川委員 これまでそうだったという話なんですが、今度やろうとしているのは、これまでとは離れて新しい「この国のかたち」を考えようとしているわけでしょう。これまで設置法の中に所掌事務と権限の規定が一体化していたから、基本的にそういうものを引き継いでいくというのは、そもそも考え方からしておかしいんじゃないですか。  それに、いろいろと起こってくるそういったものに行政が臨機応変に対応できるように、それはよく見ればそうかもしれません。しかし、今いろいろと、例えば今まで何度も、法制局長官いらっしゃいましたけれども、裁判で問題になっているのは、行政指導、これを裁判で争えるかどうか、そういったことが何度もこれはもう繰り返し繰り返し、行われているわけです。裁判ざたになっている。行政指導だからこれはそもそも行政内部の話であって裁判で争えないとか、そういう、事実上行政からの行為によって不利益を受けているような人たちが救われない事例も多く出ているわけです。  そういうことを考えると、今おっしゃったような、確かに柔軟にいろいろな事態に対応できるように幅広く漠とした権限を与えるというのは、これまでの行政のあり方としてはそうかもしれない。しかし、これからは原則を、やはりやれることは民の力、民間、そして地域社会とかそういうところでやろうというふうに長官もおっしゃっているし、行革の基本はそうでしょう。  そうしたち、やはり行政前提というのは、基本は自由で、それで必要なところに応じてやはりそこは手当てをしていく、そういうことなんじゃないんですか。何でも、何が起こっても何らかの形で行政が対応できるようにしておこうというのは、そもそもそうした形の行政の発想のあり方自体がおかしいんじゃないですか、長官。どう思われますか。
  76. 小里貞利

    小里国務大臣 坂野政府委員が申し上げたのは、政府として責任ある対応をしなければならない事態が発生したときの話を言っておられるわけであって、いわゆる一般論だ、こう思うんです。
  77. 古川元久

    ○古川委員 時間がなくなりましたけれども規制緩和をしていくと一方で言いながら、この広範な権限規定を設置法に残して、そして行政裁量を残すようなことがあっては、結果として許認可を幾ら減らしたって――別に通産省なんて許認可は要らないわけです、今までだって別に許認可がなくたって行政指導をやって、事実上の影響力を及ぼしているわけですから。そうした姿勢を変えていかなければいけないというのが、まさに今回の行革の柱なはずなんです。  そうした部分が非常にやはり設置法の議論、これはこの法案が決まってから本部で決める話だとおっしゃいましたけれども、いわばプログラム法案であるこの法案、その中身がどうなるかという、いわばここの一番エッセンスの部分がこの法案審議の中でちゃんとはっきりと、今回の設置法には所掌事務しか入れません、権限規定は入れません、権限について必要だったら別に行政権限を定めますとか、そういう形で明らかになってこなければ、とてもこの法案について賛否なんというものを、そもそもこれは中身自体我々は反対ですけれども、そういう議論するベースになっていかないと思うんです。  ぜひともそれは、これからというんじゃなくて、長官におかれては、この審議の中でそこのところを明らかにしていただきたいと思います。最後に一点だけです。よろしくお願いします。
  78. 小里貞利

    小里国務大臣 裁量行政そのものが、明確で具体的でより裁量の余地の少ない一つのルールというものをきちんとして、事後チェックでいきましようというこの大根幹もありますから、いわんや所掌事務の、この設置法の整理のごときにおきましては、最も入念に、しかも正確を期するように配慮するべき重点事項です。
  79. 古川元久

    ○古川委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。
  80. 山口俊一

    山口(俊)委員長代理 次に、西川知雄君。
  81. 西川知雄

    西川(知)委員 西川でございます。四月二十二日に総括質疑のときに一度、今度の法案についての特に財政、金融、それから国税、この問題について質問をいたしました。  その際に、いろいろな問題点が指摘されたわけですが、きょうは官房長官もわざわざ来ていただいておりますので、ひとつこの審議について、いろいろと小里長官も、きのう私、傍聴席から傍聴させていただきましたけれども、一生懸命やっていらっしゃるということは何人かの方が言っておられましたが、この委員会にずっと参加されておって、与野党が本当に今度の基本法案をいろいろな点から真摯に審議して対応しているかどうか、これについてちょっと、議論に深く入る前に、まず官房長官、そして小里長官と感想を述べていただきたいと思います。     〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  82. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 行革について、連日、委員長初め、委員の皆さん審議されております。私も、総括並びに一般に入りまして時々出させていただいておりますが、熱心に御審議されているもの、こう思っております。
  83. 小里貞利

    小里国務大臣 この基本法を上程いたしまして以来、この委員会で御審議を開始いただくまでの間、衆参両院を通じて延べ六十六名ぐらい御質疑をいただいておりました。  さらにまた、この委員会が始まりまして、活発に御批判なり、あるいは御提言なり等々数多くいただいております。これは言葉は悪いかもしれませんが、私は、雰囲気としては、ようこそ今次国会で御審議をいただくために上程させていただいたな、そういう実感を抱かせていただいておるところでございます。
  84. 西川知雄

    西川(知)委員 質問者との討議については、そういう御感想を持たれたと思うのですけれども、昨今も大蔵委員会与党委員の出席が非常に少ないケースもあったということで、質問されない方はそういうことに個人的にはなかなか集中できないというところもあるかと思いますが、これはやはり内閣の命運をかけた非常に重要な法案であると私は聞いておりますので、その辺についても、与党側の委員も野党側の委員も、質問をしない場合にも十二分にこの問題について重要視している、そういうふうに理解してよろしいか、入る前に、ちょっともう一回、両長官にお尋ねしたいと思います。
  85. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 委員の方々はもちろんでございますが、委員でない方も、与党議員先生方、この問題については重要問題と考えて対処している、こう思っております。
  86. 小里貞利

    小里国務大臣 官房長官と同意見でございます。
  87. 西川知雄

    西川(知)委員 それでは、何点か財政と金融のことについてお尋ねをしたいと思うのですが、この問題については、四月二十二日に私が質問をいたしました。そこで、若干というか、もう少し詳しくお尋ねしたいことがありますので、質問をいたしたいと思うのです。  きょうは松永大蔵大臣の代理として尾身長官に来ていただいているわけですが、財政と金融を完全に分離すると、これはどういうような具体的な問題が発生するんでしょうか。
  88. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 大蔵大臣の臨時代理を拝命しておりますので、その立場からお答えをさせていただきます。  財政、金融を分離する場合のメリット・デメリットでございますが、この分離のメリットといたしましては、財政、金融一体のデメリットとして既に述べられたバブルの発生、あるいは国債の金融機関への押しつけ、住専処理等に見られるような財政、金融の利益が相反するという問題が解消されるというような議論がございます。また、複雑化する金融行政を的確に遂行するためには、人材育成の観点からも専門の官庁が必要であるというような御意見が出されたというふうに聞いております。  それからまた、財政、金融分離のデメリットに関しましては、金融システムの安定は財政と深い関連を有しておりまして、両者を分離すると危機管理に万全を期しがたくなるというような点とか、あるいは、主要な諸外国におきましても財政の担当大臣が金融システムの安定に責任を負っておりまして、我が国だけグローバルスタンダードから外れたような形になりますと、国際的な政策協調に迅速的確に対応できなくなるというような点が、御議論としてあったというふうに聞いております。  私ども行政改革会議あるいは与党間におけるいろいろな議論の中におきまして、結果として現在提案されているような形になっていると理解をしておりまして、大蔵省としては、その結果を重く受けとめて対処しているところでございます。
  89. 西川知雄

    西川(知)委員 今、メリットとデメリットを大蔵大臣の代理の尾身長官から御説明を願いましたが、小里長官、どういう経緯でこういう最終案になったかという説明は結構でございますので、今、メリットとデメリット両方あると、しかしながら、当分の間、金融の危機管理については、財務省の方、大蔵省の方に置いておこうという結論に達したわけです。それは、そのメリットとデメリットをどういうふうに具体的に判断してそうされたのか、また、今度の新しい案では、そうするとデメリットはないのか、あるとしたらどういうところなのかということを、具体的にお答え願いたいと思います。
  90. 小里貞利

    小里国務大臣 率直に申し上げまして、大変難しいお話であると思うのです。先生は、もういきさつもよく御承知の上でお話をなさっておられると思うのでございますが、正直言いまして、行政改革会議の、いよいよあと数カ月すると財政、金融の分離問題も重要な課題として結論を出さなければいかぬなというような時期に至りましたときに、もう第四コーナーを回るか回らぬかというような前後で、御承知のとおり、これは非常に高度な、しかも若干政治的な要素も絡んでまいってと申し上げるのは言い過ぎでしょうか、正直申し上げまして。三党で協議しよう、そういうことになりまして、私どもは三党協議を待ったいきさつがございます。  その結果、お話しのとおり、金融破綻処理、そしてまた危機管理、これを「当分の間」、こういうような三党の御意思も出てまいりましたので、これを忠実に最終報告に盛り込んだ。そして、その最終報告に忠実に法案化して今日御批判をいただいておる、こういう状況でございます。  なおまた、大臣自身この功罪をどう思うか、殊にデメリットはないのかというようなお話であろうかと思うのでございますが、そのようないきさつがありましただけに、私も今日、職分上考えましても、これでいくことがより妥当な話だろうという一つの結論を持つに至った、そういう御理解をいただきたいと思います。
  91. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、大蔵省改革、財政と金融の分離については、平成十年一月二十日に、今おっしゃった、自由民主党社会民主党と新党さきがけ、その与党三党で、当面の措置ということで合意をされているわけです。  私、内容はよく知りませんが、社会民主党、新党さきがけが与党の戦線を離れるというようなことも新聞等々で報道されておりますが、戦線を離れた場合には、財政と金融の分離の十年一月二十日の合意はそのまま生きるのでしょうか。それとも、今おっしゃったように、大変難しいことであるので、もう一回考え直そうということになるのでしょうか。
  92. 小里貞利

    小里国務大臣 与党三党の連携の問題は、極めて政治性の高い高度な話でございますから、また、きょうの段階で、少なくとも私が触れるべき話ではない、そう思っております。  それから、もう一つ、前段の先生がお触れになったことに触れてお答えとした方がいいと思うのでございますが、私は、当分の間というのは、真実に当分の間だろうと信頼しております。
  93. 西川知雄

    西川(知)委員 二つ明らかにしておきたいのですが、真実に当分の間というのは、一カ月の話でしょうか、二カ月でしょうか、三カ月でしょうか、一週間でしょうか。真実に当分の間ということをちょっと御説明をしていただければと思います。
  94. 小里貞利

    小里国務大臣 国政の重要な事項の最たる財政、金融の問題でございますから、単純にその辺を物理的に申し上げる事情のものではない、さように思います。
  95. 西川知雄

    西川(知)委員 それはよくわかりますが、例えば、当分というと大体一年とか半年かなというふうに思う人がいまして、四年後というのは多分当分というふうには思わないと私は思うのです。  真実にというのは、ちょっと私もよくわからないのですが、いろいろな状況があるとは思うのですが、大体どれぐらいのスパンなのか。その辺のことを長官にもう少し詳しく言っていただければ幸いなんですが。
  96. 小里貞利

    小里国務大臣 判断一つとして与党三党の皆さんにもお聞きしなければ、どういうような情勢分析をなさって、そしてどういう一つの政策目的を持って整理なさったのか、私も若干はお伺いいたしておりますけれども、これ以上は答弁申し上げかねると思います。
  97. 西川知雄

    西川(知)委員 大体推測はつきます。  そこで、さっき三党の合意のことについてお触れになったわけでございますが、それはどういうふうに動いていくかということは、もうだれもわからない。まだそういうふうになるかどうかということも決定はされてないと思うのですけれども、もし、三党が結束して与党体制を今のようにつくっていかなかった、こういうことになったとした場合、この難しい財政と金融の分離について、平成十年一月二十日の合意に基づいてそのままやるのか、もう一回これを検討していくのか、この辺はどっちでしょうか。
  98. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 なかなか難しい質問でございますけれども、一番先に話をいたしました、新聞紙上で別れるとか離れるとか、これもまだ定かではございません。新聞の報道だけでございます。  したがいまして、仮定の問題にどうこうということはなかなかお答えできないと思いますが、私といたしましては、今の与党合意はやめるとか何かという話も聞いておりませんので、その合意はちゃんと継続するものだ、こういうふうに思っております。
  99. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、もう少しお尋ねしたいのです。  仮定の話、全く架空の話であれば今お答えになったような答弁だと思うのですが、参議院選挙も近づいてきたということで、より具体的に、蓋然性の話として、与党からの離脱ということが話されている。決定はされてないのでしょうから、そこのところはわかりますが、ほぼ蓋然性の問題になってきているわけです。  ですから一新聞記者の方もいろいろと聞いていらっしゃると思いますが、結局、財政と金融の分離については第四コーナーを回ったときで、これは非常に難じい問題であったということで、メリットとデメリットもあるけれども今のような形でまとめざるを得なかったというような御発言をされて、それを正確にこの法案の中に書いた、そういうことだと思うのです。  そうすると、その前提が崩れた場合には、この中身もそういうことであれば崩れるというふうに私は理解しているのですが、官房長官、その辺はいかがでしょうか。
  100. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今、忠実にそれを盛り込んだということについては、与党三党で合意をしたものを盛り込んでいるわけでございますから、そんなことはまだ決定しておりませんから、もし仮にあったといたしましても、その合意については、私はそれが生きているものだと。  もし仮に生きなくても、今度はこちらの方でも考えなければいけないということになろうかと思いますけれども、社民党さんの方かちまだ我が党に、離脱するとか何かというお話も聞いておりませんし、それから、この合意の問題についてもどうこうするというようなことも聞いておりませんので、それは継続されるべきものだ、こういうふうに感じております。
  101. 西川知雄

    西川(知)委員 もう少しお尋ねしたいのですが、例えば、今のお話ですと、三党が与党体制を組まないというときでも、この合意というものは尊重をしていきたい、そういう御発言。もし私の要約が間違っていたら、微妙な問題ですので訂正願いたいのですが、そういうふうに私は受け取りました。  そうすると、例えば、一党だけが離脱をした、あとは残った、こういうときには、この財政と金融の分離についての合意はそのまま尊重されるのでしょうか、それとも、また違う形で考えられるのでしょうか。
  102. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 いろいろ微妙な御質問でございますが、与党内のことでございまして、私は今政府側でございます。  したがいまして、私は、尊重するとか何かではなくて、その合意が、仮に今おっしゃったような事態になっても、社民党さんなりあるいはさきがけさんなりが継続していくものだ、これについては合意をしているものだからと、こういうふうに思っているところでございます。
  103. 西川知雄

    西川(知)委員 そうすると、さっきの小里長官の御説明だと、ニュアンスですけれども、また間違っていたら、小里長官、訂正してください。当分の間というのは、要するに、例えば社会民主党とか新党さきがけが与党体制から抜けた、そうしたら、これはもう一回考え直す、そんなふうな発言だったと思うのですが、それと今の官房長官の話は違うような気がするのですが、その辺についてちょっと明確にしていただきたいと思います。
  104. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、お断り申し上げましたように、与党枠組みの三党問題は高度な政治問題ですから私がお答え申し上げる立場でございませんど、これはきちんと切り離してお答え申し上げたつもりでございまして、そのことのいかんにかかわらず、この当分の間というのは文字どおり真実に受け取っております、こう申し上げたわけでございますから、その点、きちんと一線を画してお聞き取りをいただければと思います。
  105. 西川知雄

    西川(知)委員 そうすると、当分の間というのが真実に当分の間だということでちょっとわかりにくいのですけれども、その当分の間が過ぎた場合、真実の当分の間が過ぎた後は、この金融破綻処理ないし金融危機管理に関する企画立案の業務というのはどこでやるのでしょうか。
  106. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 備考の規定は、金融破綻処理制度ないし金融危機管理への対応に限って財務省に担当させるという措置は、「金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする」ということでございますから、まさにこれを文字どおり受けとめる必要があると考えておるわけでございます。  したがいまして、この当分の間が終了するという判断政府及び国会においてなされる時期がいずれ来た場合におきましては、この規定に沿って必要な措置がとられる、このように申し上げるしかないと思います。
  107. 西川知雄

    西川(知)委員 長官、その説明でよろしいですか。お答え願いたい。
  108. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、今の話は話でお聞き取りいただきたいのでございますが、国民判断のもとに政治は絶えず活動、運営されるわけでございますから、そういう一般的な視点から、これは国民の皆さんも注目しておられるテーマの一つだろう。  なお、これは率直に申し上げまして、先生が先ほどからこのことに相当注目しながら質問をなさる、先生なりの政治意味を持った一つの御発言だな、そういうふうに傾聴させていただいておるところでございます。
  109. 西川知雄

    西川(知)委員 私は単に政治的な観点から、意味合いから言っているわけではございませんで、法律が例えば成立すると、後はひとり歩きするわけですから、何が書いてあるかよくわからないということでは国民も納得しませんし、裁判所でもこれは困るということで、私は、法律的にも見解を明確にしていただきたい、こういうことなのです。  それで、先ほどの政府委員の方の説明で、文字どおり受け取っていただきたい、その後のことについては、法文の趣旨にのっとってですか、また法文のどこかに書いてあるようなことをおっしゃいましたが、それは具体的にどこに書いてあるのでしょうか。
  110. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先ほど申し上げたのは、当分の間とするというこれは、別表第二の備考に、財務省の所掌事務に関する備考として「当分の間とする」という規定がございます。その規定、それをそのまま受けとめ、この措置をとるということになるということを申し上げたわけでございます。
  111. 西川知雄

    西川(知)委員 私の質問はそうではなくて、備考に書いてあるのは私も知っておりますし、そうではなくて、当分の間が終わったらどうするのかということについては法律には書いてあるのですか、書いてないのですか、これは答えは書いてないと思うのです。そうしたらその後はどうするのですかということは、当分の間だというのは真実に当分の間である。ということは、その後についても何か考えていらっしゃるはずであって、だから当分の間というコンセプトが出てくると思うのです。だから、将来はどうなるのかということについて、長官はどう考えておられるのか。  そして、尾身長官にもお尋ねしたいのですが、当分の間は今のようなデメリットとメリットがあって、これでよろしい。ただ、財政当局、長官は経企庁長官でもありますから、そういう全体から考えて、当分の間が終わったら、究極的にはどっちの方が望ましいとお考えになるのか、その辺のことをちょっとお二人にお尋ねしたいと思います。
  112. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 「金融破綻処理制度ないし金融危機管理への対応に限って大蔵省に担当させるという措置は、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする。」という合意になっているわけでございまして、「金融システム改革の進捗状況等を勘案し、」という文言もついているわけでございます。  私どもとしては、この与党合意の内容を基本法案の中に忠実に盛り込みまして現在御審議をいただいているところでございまして、大蔵省といたしましては、行政改革会議並びに与党間における協議の結果を受けとめる立場にあるということでございまして、この点を御理解いただきたいと思います。
  113. 小里貞利

    小里国務大臣 これも率直に申し上げまして、私どもの一般的常識というのでしょうか、当分の間、我々が頭の中にあるものと法律上の当分の間というものとには大分乖離があるなと私は日ごろ感じております。  いわゆる不確定期限というのでしょうか、例えば当分の間という条文を持ちました法律であっても、五年たったりあるいは十年たったり、それ以上たったりしておるものもあるなということを平素感じておるのでありますが、かなり乖離があるなと。そのことは、またきょう考えてみますと、一つの懸念と申し上げましょうか、気にかかる一つの話だな、そういうことを実は先ほど先生お話を聞きながら感じたところでございます。
  114. 西川知雄

    西川(知)委員 私は、金融システム改革法、この審議についての質問も大蔵委員会でやっておりますけれども、これは御存じのように、この法律が通ると一番早くてことしの十二月一日ということになります。また、いろいろな連結決算のベースの話なんかになりますと、さらにおくれる、平成十一年にずれ込むというようなことでございまして、この金融システム改革というものが進捗するということは、スタートしてしばらく様子を見ないといけないということでございますから、そうすると、これはしばらくかかる。  結果が出るには多分二年ぐらいかかるだろうというと、その当分の間というのは、今のお話ですと、真実に当分の間という話だと、何か私三カ月とか四カ月だというような感じがしたのですが、それだと四年とか五年とか、そういうようなタイムスパンになるのではないかというふうに考えざるを得ないのではないかと思うのです。  そこはちょっと長官の御意見とも違うのではないかと思うのですが、それは長官、いかがですか。
  115. 小里貞利

    小里国務大臣 厳密に詰めていきますと、本当に今の現在時におきましては、なかなかきちんとした説明はできかねると思うのでございます。少なくとも言えることは、本基本法案国会の意思を決定していただきますと、その前提に立ちますと、二〇〇一年一月一日は、きょう御相談申し上げておりまする全部の法案内容を、そのままでき得ればという念願を私どもは持っておりますから、そういう計らいでいけば、あと三年後に移行するわけでございますから、その点は少なくとも御理解いただけないかな、そういうことでございます。
  116. 西川知雄

    西川(知)委員 法律が成立しますと、これは法律の条文になるわけです。そうすると、国会はどう考えたのか、また内閣はどう考えたのかということで、質問が後でなされるわけです。  今の御説明では、私も当分の間というのはよくわからない。後で、西川、おまえ審議に参加していて、当分の間というのはどれだけか言ってみろと言われても、私は言えない。そうすると、言えないのに賛成したり反対したりすることもできない、なかなか難しいということになると思うのです。これは大森法制局長官、この法律上の「当分の間」というのは何カ月なんですか、また何年なんですか。
  117. 大森政輔

    大森政府委員 委員も御承知の上で御質問をされておることだと理解するわけでございますが、この別表の備考第二、これには「財務省において金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案の任務及び機能を担うのは、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする」、そういう意味における当分の間でございまして、何カ月あるいはそれ以上という確定期限がある、打てるものならば打つわけでございます。しかしながら、金融システム改革の進捗状況等を勘案しなければならない事柄でございますから、そういう確定期限は打てない。したがって、当分の間という不確定期限を規定せざるを得なかったということでございます。
  118. 西川知雄

    西川(知)委員 当分の間ばかりやっていますとあれなのでこの辺でやめますが、とにかくよくわからない。これでは、これからの大蔵省改革というのは一番重要な問題点だとされていますが、それが今後どういうふうになっていくのだろうかということが、ちょっと説明がつかないのじゃないかと私は思わざるを得ません。  それからもう一つ。この間、小里長官と経済財政諮問会議について論議したところでございますが、私は、これはどういうメリットがあるのか、決定権もない、今までのところとどう違うのかということを質問いたしましたら、長官は、「内閣官房の総合戦略機能を助ける、いわば知恵の場として新たに設置される、内閣府に置かれるものでありますから、内閣の統括のもとに置かれる機関とはおよそその位置づけが違う、私はさように思います。」というふうに答えられているのですね。  そうすると、内閣府に置かれるものと内閣の統括のもとに置かれる機関との間で、その位置が違うというのはそのとおりなんですけれども、内閣府に置かれた方がいいから、そういう経済財政諮問会議というものをそこに置くというのが論理的だと思うのですが、なぜ、内閣の統括のもとに置かれる場合と内閣府に置かれる場合とで、その差があるのでしょうか。
  119. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先ほど御指摘大臣の御答弁趣旨でございますけれども、内閣府に置くという意味と内閣の統括のもとに置くという意味については、内閣府が内閣に置かれるものである。それから内閣府は他の省と異なって、他の省は内閣の統括のもとに置かれる、そういう内閣府の性格であります。そういう性格の内閣府の中にこの経済財政諮問会議が置かれる。そうすれば、これも何度も申し上げておりますが、内閣府が内閣総理大臣及び内閣の補佐支援体制の整備の一環として置かれている、その趣旨がそのまま、この経済財政諮問会議を置いて活動させるという趣旨にも通ずるものである、そういう文脈でおっしゃったということでございます。
  120. 西川知雄

    西川(知)委員 長官、そういう解説でよろしゅうございますでしょうか。
  121. 小里貞利

    小里国務大臣 先生も、もちろんのことおわかりいただいておるようでございますが、私が内閣統括のもとと申し上げたのは、例えば総務省とか国土交通省とか、そのことを申し上げたわけでございまして、そこできちんと整理がつくものと思う次第でございますが、あとは今御答弁申し上げたとおりだと思います。
  122. 西川知雄

    西川(知)委員 その位置づけの違いということ、そして長官の真意とされているところは説明でよくわかりましたが、だからといって、今度の新しい体制の方が前よりもいいという、その論理的な根拠というのはどういうことなんでしょうか。
  123. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほども坂野政府委員が若干触れておりましたように、内閣または内閣総理大臣を補佐、支援する、そして、国家の高度な基本方針あるいは総合戦略を統括して、責任を持ってやりますよという、その一角にあるという意味におきまして、私は、重要な財政経済問題等、国の方針は、情勢はこう動いているな、ここではこういう一つの対応というのを最も有効的に、そして内閣が直接的に処理できるところに一つの特徴と申し上げましょうか、メリットがある、さように思います。
  124. 西川知雄

    西川(知)委員 それはそれで結構だと思うのですが、ということは、今まではそういうことがなかった、そうじやなかった、だからそうするんだということだと思うのですが、今までは、総理は、予算編成するときとか経済方針を決定するときは、そういうことをされてこなかったのですか。
  125. 小里貞利

    小里国務大臣 これは、私は素人ですから、的確にお答えするわけにはいかぬかもしれませんが、今までも、私は、例えば税制状況はどうか、あるいは財政の見通しはどうか、そして、予算編成をしなければならぬが、例えば概算要求はどうするかとか、国の予算編成あるいは経済情勢を位置づける、あるいは財政問題等について、国としての時の認識をきちんと内閣がしてきたことはしてきた、そして、そのもとにそれぞれの機関が協力をしてきた体制であることに間違いはないけれども、今度の改革を通じまして、一段とそれが組織の上で明確化される、そういう一つの効果を生むものである、さように思います。
  126. 西川知雄

    西川(知)委員 余りよくわからないのですけれども、尾身長官、大蔵大臣としてお答え願うのか、長官としてお答え願うのか、あれなんですけれども、今まで大蔵省はそういう役割の中心にあったわけなんですが、そうすると、この経済財政諮問会議ができた後と現状とでは、大蔵省の予算編成についての権限の差とか、また機能の差というのはどういうところに出てくるのでしょうか。
  127. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 経済財政諮問会議が設けられるわけでございますけれども、先ほど小里長官の方から申し上げましたとおり、予算の編成は内閣全体でやっておるわけでございまして、実際の作業を大蔵省がやっておる、こういう関係は変わらないのだろうと思いますが、今回の経済財政諮問会議というのは、内閣のそういう面に対する意識と申しますか、あるいは民間の方の意見も聞くというのを、より組織化し、強化したというふうに私ども理解をしておるわけでございます。
  128. 西川知雄

    西川(知)委員 それはよくわかります。だけれども、それは、強化をせざるを得ないという現状があるから強化をするということだと思います。  そうすると、今、総理もいろいろな御意見を聞かれてやっていらっしゃるし、民間人の意見そして担当大臣の意見、関係の長の意見、全部の意見を聞いてやっていらっしゃると思います。その現状というのは、余り今度の、組織化されたというよりも、そういう法律上に根拠規定があるものを持ったということで、そういう意味では違うのでしょうけれども、前は、それはなかったから、実質上の根拠規定を持たないから、何か弱いところがあった、不都合があった、だからそれを直すためにやったんだということになると思うのです。今までの予算編成方針を決定するやり方に何か問題があったから、こういうものをつくるということじゃないかと私は考えざるを得ないのですが、もしそうだとすると、前に問題があった点はどういう点なんでしょうか。  これは、小里長官か尾身大蔵大臣代理か、どっちかお答え願いたいのです。
  129. 小里貞利

    小里国務大臣 欠点がどうこうということよりも、今次の改革は、大きな目標一つとして内閣機能強化を言っておりますこと、御承知のとおりでございます。  そういう面から、マクロ経済政策を内閣及び内閣総理大臣責任を持ちまして、そして指導性を発揮しますよ、これは先ほども若干申し上げましたが、国政の基本方針の一つとしてこれを位置づけたというところに、また大きな意義があるんじゃなかろうか。そして、内閣官房を助ける、いわば知恵の場として内閣府がありますし、そこに、マクロ経済政策について企画立案及び総合調整を行うんですよということをきちんといたしました。先ほど若干触れられたようでございますが、政府全体としての整合性あるいは政府内外の知見の結集などを目的といたしまして、内閣府に経済財政諮問会議を置きました。こういう一つの経緯、背景を申し上げる次第です。  それからもう一つは、予算編成のことを先ほど申し上げましたが、内閣官房が基本方針を立案をして、これをもとに内閣府に置かれる経済財政諮問会議審議をいたします。そして、これはいわば合議制の機関でございますから、これらを主なる一つ判断指標として、内閣あるいは総理大臣がそれぞれ整理をして進められるもの、さように判断をいたします。
  130. 西川知雄

    西川(知)委員 ほかの問題も若干やりたいので、これに関してはあと一つだけにします。  総理大臣なりが指導性を持ってマクロの経済政策をつくっていくというために、また内閣機能強化のために今度の諮問会議をつくった、こういう御説明なんですが、そうすると、今までは、マクロ政策についての総理の指導性というものについて何か問題があったんでしょうか。
  131. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 この御質問の趣旨及び議論を伺っているうちに、経済企画庁長官としてお答えするのか、大蔵大臣としてお答えするのか、だんだんと話が非常に込み入ってくるわけでございますが、経済政策の企画立案及び総合調整という点に関しましては、今後とも、内閣の中枢においてしっかりとした体制のもとに推進していくべき重要な機能であるというふうに考えております。  そういう趣旨から、経済財政政策について経済財政諮問会議が置かれるということになり、そしてまたそこに、経済政策について、財政も含めましたトータルの政策についての担当の必要があれば国務大臣を置くということも考えられているようでございます。私どもといたしましては、経済企画庁としての経済政策の総合調整という機能は、むしろ強化された形で内閣府の中に置かれていくというふうに理解をしておりまして、これは、現在の体制よりもより強化された形で充実したものになるというふうに考えている次第でございます。
  132. 西川知雄

    西川(知)委員 それでは、この間、国税庁の方のことについても質問をしましたので、ちょっと追加的にお尋ねをしたいと思うんです。  日本の国税庁は、非常に中立性、公正性の確保を図るべく努力をしている、そして、政治的なところかちも中立である。そういうことで、諸外国と比較いたしましても、私、いろいろなことで問題点は指摘をいたしましたが、その辺のところはかなりあるのかなというふうに実は経験上評価はしているところでございます。  しかし、例えば現在、みんなが非常に不況で困っている、そして、金融機関も不良債権のことでどんどん困難な状況に陥っている、それに公的な資金が導入をされている。そういうことで、いわゆる官官接待をやめようじゃないかとか、そういう話が当然のことのように出ておりますが、この間、ある自動車会社の社長が、仲間同士での接待なんかもやめて、もっと業界も身を引き締めてやらないといけない、そういうようなことをおっしゃって、何社かがそれに追随をするというようなことが報道されております。私は、それは非常に結構なことで、いろいろなビジネスの話とかそういう話は昼間やって、夜は、個人的な、プライベートなことで、家族と御飯を食べたり友達と御飯を食べたり、そういうことで使っていくべきじゃないか、こう思っておるんです。  そこで、一般の庶民から見ると、大企業なりそういうところが、まだ関連企業の間でいろいろな飲み食いを接待でやって、それがいろいろな形で経費として最終的には認められて、税を払っていない、そういうようなことも私、漏れ聞くわけでございますが、そういうことは、今国民が一丸となって経済、財政を立て直していこうという状況のもとで、極めてまずいことじゃないかというふうに、私、個人的に思いますのでその辺のところを国税庁としては今後具体的にどんなふうな対応をしていこうと思われるのか、またされているのか、ちょっとそこだけお尋ねしておきたいと思います。
  133. 舩橋晴雄

    ○船橋政府委員 お答え申し上げます。  初めに、国税庁の税務執行における中立性の問題について委員の方から御評価をいただきまして、ありがとうございます。私どもとしては、今後とも、中立的な立場から、いかなる立場の納税者であれ、常に資料、情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなど、適正、公平な課税の実現に努めてまいりたいと思っております。  それから、次に御指摘のございました交際費の問題でございますけれども、御承知のように、交際費につきましては、大企業の場合、損金不算入ということでございます。もちろん、業務の遂行上必要なものもあるわけですけれども、この損金不算入の考え方は、執行面というよりも税法で決まっているわけでございますが、過度にそういう形になっていくことはやはり好ましくないということから、税法上そういう形になっていようかと思います。  税務の執行面におきましても、交際費については、適正な執行が行われているかどうか、ほかの費目に交際費が紛れ込んでいたり、あるいは交際費として支出されているけれども、本来違う費目で支出しなければいけない問題があるのかどうかとか、そういったことについては、今後とも厳正に対応してまいりたいというふうに考えております。
  134. 西川知雄

    西川(知)委員 きょうは建設大臣にもわざわざお越しいただいておりますので、財政と金融と国税の話はちょっとおいておきます。  今度、運輸省と建設省、これは基本的には統合されるということでございまして、いろいろなメリットとデメリットがあると思うんですね。  私、個人的に考えると、非常に大きな省になって権限が非常に、巨大官庁の出現ということになる、そういう抽象的なデメリットを言われる方もたくさんいるわけですが、一つメリットとしては、例えば総合的な交通体系、こういうものがっくれたり、物流関係で、今まで運輸省と通産省と建設省が別々にやっていたものが、これは一つの省の中で統合してできる。そういうようなことでメリットもあるというふうに、これは建設省にとってのメリットとかそういうのじゃなくて、国民にとってメリットがあると思うんですが、簡単に大臣の立場から、統合された場合に具体的にどういうメリットとデメリットがあるのか、ちょっと大きなところを三つずつぐらいでも挙げていただければと思います。
  135. 瓦力

    ○瓦国務大臣 西川委員よく熟知しておられるように、我が国土は南北に長く、極めて急峻な地形を持っておりますし、また台風常襲地帯も抱えておりますし、言ってみますれば厳しい国土条件、こう申し上げることができようかと思うわけでございますが、この国土の整備、管理を適正かつ戦略的に行う、こういうことが重要な国家的課題の一つでございます。  国土交通省は、御案内のとおり、四省庁を母体として、社会資本の整備や交通政策等の関連施策を総合的かつ整合的に行う組織として設けられたものでございまして、総合的な国土計画のもとでの計画的な土地利用、またインフラの整備、総合的な国土行政が実現される、こういうことが国土交通省を設置するという意味では大きなメリットではなかろうか。  メリット、デメリットということは、なかなかこの際、申し上げるのはあれですが、国民的にも、行政を大きく一くくりにして機能をさせていくという目的についていえば、私はさようなことを申し上げることができようかと思います。また、交通政策につきましても、施設整備の努力と並行いたしまして、その利用方策、料金体系も含めたいわゆるソフト面の対策を総合的に、整合的に進めることができるようになる、こういうことではなかろうかと理解をいたしております。
  136. 西川知雄

    西川(知)委員 そうすると、大臣、デメリットはないのでしょうか。
  137. 瓦力

    ○瓦国務大臣 委員も今質問の中で述べておられるように、いわゆる巨大化といいますか、四省庁一つになるということでございますので、数多くの省庁を母体として設置されるということであれば、一の行政組織としては若干大き目といいますか、太目の省になる、こう認識するわけでございます。  こういう巨大化の懸念というものを払拭するという側面からだけではなくて、いわゆる行政改革の実を上げる、こういう点におきまして、各省庁と相協力して、一般から懸念される問題につきましては徹底的に、規制緩和であるとか地方分権の一層の推進でございますとか地方支分部局への権限委譲、こういったことを通じまして減量化を図る、スリムにして行動しやすい体形にするということが重要であると認識をするわけでありますので、そういう体形をデメリットかなというぐあいに感ずるところであります。
  138. 西川知雄

    西川(知)委員 四省庁ということで、あと二省庁の担当の大臣はお呼びしていないのですけれども、運輸省、もう一つの大きなパートナーでございます。きょうは運輸大臣がほかの委員会で来られませんが、運輸省として、この統合についてメリットとデメリットというものはどういうふうにあるかと考えられているのか、ちょっとそれを質問したいと思います。
  139. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 お答え申し上げます。  国土交通省が、建設省、運輸省、国土庁及び北海道開発庁を母体といたしまして設置され、交通政策の推進をその主要な任務とすることによりまして総合的な交通行政が展開できることとなることは、社会資本整備の整合的、効率的な推進と並びまして、国土交通省を編成する大きな眼目の一つと認識いたしております。  そこで、総合的な交通行政の展開のための具体的な施策につきましてでございますが、国土交通省の創設によりまして総合的に交通関係の行政が展開されることによりまして、例えば、一つは物流の高コスト構造是正のための、道路輸送、海上輸送、鉄道輸送等を通じました総合的な施策であるとか、また二つ目には、陸海空を通じました効率的な幹線交通体系の整備であるとか、さらに三つ目には、来るべき高齢化社会に対応しました都市交通施策、こういったことがより的確に展開することができるようになる、このように考えております。  また、交通行政の基本は何と申しましても安全の確保にございますので、国土交通省では、運輸省と建設省が所管しております各般の交通安全施策を一元的に引き継ぎまして、将来にわたって安全な交通サービスの提供の確保に大きな役割を果たし得るものと、このように認識いたしております。  デメリットと申しますか、この点につきましては、ただいま先生も御指摘ございましたが、公共事業が集中するといったようなことで、巨大な官庁となるといった懸念が言われているのは事実でございますが、この点につきましては、先ほど建設大臣もお答えになられましたとおり、国と地方との適切な役割分担の確立てあるとか、あるいは地方への権限の移譲等の見直しを行うことによりまして対応していく必要があると私どもも考えております。
  140. 西川知雄

    西川(知)委員 両省からのお話はある程度一致していると思うのですけれども、総合的な国土政策とか総合的な交通政策というものは、両省からパンフレットがたしか出ていまして、私も読まさせていただいたことがあります。なかなか今の現状はすばらしい、一生懸命考えて、総合的な国土政策とか総合的な交通政策をやっている、そういうような資料等が出ていると思います。  運輸省の今のお話ですと、物流のコストが、建設省と運輸省が別々であったら高かったというようなことを例えば例として挙げられておりますが、これは大臣、建設省と運輸省が別の省であったから物流のコストというものは高かったのですか。
  141. 瓦力

    ○瓦国務大臣 振り返って、そういったことはなしということは言えるかというと、私は言えない面もあろうと思うわけであります。昨今は次官会議等を通じまして、それぞれの整合性なり機能性をどう保つかというようなことにつきまして、効率的な国土整備という面におきましては協議をしうっやっておる部分はだんだん広がっておりますから「私は、傾向としてはそういった問題が解消されつつある方向性が出てきておる、こういうぐあいに理解をいたしております。
  142. 西川知雄

    西川(知)委員 先ほど運輸省の方から、両省が一体化すると、高齢化時代を迎えて都市交通体系、これの総合的な施策をつくることができる、こんなようなお話があったと思います。これは先ほどと同じ質問なんですが、建設省と運輸省が分離しているとというか、現在のままだと、そういう高齢化時代に向けての総合的な都市交通施策というのは立てられないのですか。
  143. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今後、来るべき高齢化社会になりますと、例えば都市交通、都市の分野におきましては公共交通をどのように実施し、かつ、お年寄りを含めました交通弱者にできるだけ使いやすいサービスをどう提供していくか、こういりたことは現在以上に重要な課題になるものと、私ども考えております。  ところで、こういったような施策に関しまして、現在でも、私どもと建設省、あるいは他の交通にかかわる省庁も含めまして、できる限り調整をしながらこういう問題に対処している、取り組んでおるのは事実でございますが、私が先ほど申し述べましたのは、一つの役所になりますと、こういったことをより容易に、かつ、より強く推進することができる、これを期待することができる、こういうことで申し上げさせていただいたわけでございます。
  144. 西川知雄

    西川(知)委員 質疑時間がほぼ終了でございますので、私の具体的な質問はこのあたりにしたいと思いますが、きょう言い残したことで極めて重要なことは、もしこの法律のとおりに行政改革が実行できなかった場合、どうりような内閣の政治責任なり法的責任があるか、こういうことです。  これは橋本総理とも四月二十二日に論議しまして、財革法に関して、橋本総理は、政治責任はあるとは言りたけれども、とるとは言っていない、そういうようなことをおっしゃって、これでまた今度の基本法案についても、政治責任はあるけれども、とるとは言っていないということを言われると困りますので、その点は私は、財革の委員会でも、今度新しく設置されるようで、そこでまた詳しく質問をして、問題点を明らかにしていきたいと思います。きょうのところは今、財政と金融と国税の分離と国税庁の中立性、そして、運輸省と建設省等々が一緒になることのメリット、デメリットということについて質疑をさせていただいた次第です。  私の質問を終わります。
  145. 高鳥修

    ○高島委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時三分開議
  146. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西田猛君。
  147. 西田猛

    西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  それでは、本法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。  私ども自由党が考えます行政改革というもののあり方につきまして、一言申し上げたいと思います。  我々考えておりますに、日本は今前例のない状況に遭遇しておると思います。従来の発想で問題を先送りし、その場しのぎのびほう策を繰り返していては、事態をますます悪化させるだけであります。残された時間は少のうございます。このままでは、日本は衰退の道を歩むだけであります。今ほど、政治、そして行政の自己改革国民の意識改革が求められているときはない。政治そして行政国民のためであるという原点に立ち返って、将来への改革のビジョン、そして具体的な政策を提示し、日本の再構築を図ることが我々の歴史的責務であるというふうに考えております。  その基本は、これまでの国主導、中央主導の管理、談合型のシステムを、フリー、フェア、オープン、アングロサクソン的な言葉で言いますれば、今言ったこういうフサー、フェア、オープンを原則とする仕組みに日本をつくりかえることでありますけれども、日本語でもこれをあらわすのに立派心言葉かございまして、すなわち公明正大、正々堂々という社会の創造であると私どもは考えております。  それは、国、地方を通じて、政府が余計な口出しをしない、いわば民間、個人の活動領域に官や公が過剰介入しないことを基本にして、一人一人の国民が、幅広い多様な選択肢のある中で、みずからの判断で自分の生き方を追求ができ、フェアなルールのもとでお互いがフェアな競争をする社会というふうに考えております。しかも、性や身分、財産、障害のあるなしなどにかかわらず、国民のだれもが胸を張って堂々と競争に参加できるオープンな社会であります。これを我々は一国民が主役の社会というふうに位置づけております。  このような社会の実現に当たりまして最も重要なこと佳日本人自身の意識改革であるというふうに考えております。我々は変わらずにあるためには変わらなければならないという言葉を、好んで皆様にお話しをさせていただいております。これまでの中央集権型システムや右肩上がりの経済成長、対米依存の安全保障政策の中で、お上ですとかアメリカ合衆国などという、我々以外のものに安易に依存する意識を醸成してきております。今やそれちが許される時代は過ぎ去っております。私たちに求められていることは、安易な依存心を脱して、国として、そして個人として自立し、責任を果たすという意識への変革でございます。  そこで、政府役割は、外交、防衛、自然災害への対応などの危機管理、それから治安の維持、市場のルール、国民の健康保持、環境の保全のための基準づくりといった社会共通のルールの監視とチェック、そして、国民の最低生活確保のための社会保障システムや預金者保護のための金融システムなどの社会的安全ネット、セーフティーネットの構築など、必要最小限のものに限定されるべきであります。それによって初めて自由な社会が保証され、自己責任が問える社会が成り立つのでございます。  行政の活動は、環境や生命身体にかかわる社会規制を除き、民間への活動の介入は最小限にとどめる。中央は、地声の活動への介入を最小限にとどめる。と同時に、調整、指導、保護といったこれまでの事前チェック型の行政のあり方は、市場ルールの監視など事後的チェック型に根本的に改めなければなりません。  さて、大きな政府か小さな政府かという判断基準でありますけれども、これについては、私どもは、財政の規模の大小や公務員数の大小というものを基準としてはおりません。何が基準かと申しますと、民間活動への介入の度合いが大きいか小さいかが大きな政府か小さな政府かの判断基準になるべきでありまして、私どもは、この意味においては当然小さな政府を目指すべきだと考えております。  特に経済政策においては、政府役割は市場のルールの監視とチェックといった最小限のものにとどめます。そして、民間の活動能力を最大限に引き出す、民間主体の持続的経済成長を実現すること、民間経済の活力の維持なくしては、世界的な大競争時代に生き残ることは不可能であります。産業構造、金融システム、雇用、高齢社会の財政、年金「社会保障制度などの構造的な問題は、解決ができなくなってしまうと思われます。  また、外交、安全保障におきましても、我々日本人自身が安全保障に対する正しい認識を持つと同時に、これまでとってきた日本だけが平和であればいいという一国平和主義の考え方を脱却して、世界の諸国間のお互いの尊厳を認め合いながら国際社会の中で役割責任を果たし、国際社会との共生の道を歩む、これが目指すものでございます。  フリー、フェア、オープン、すなわち正々堂々、公明正大な社会は、まじめに努力した人が報われる社会であります。これまでのように、まじめに努力した人よりも、いわば力のある人、政治家ですとか役人ですとかに陳情したり裏で手を回したりとか、そういう働きかけをした人が有利になつてしまうような社会であってはいけません。政治行政の介入を最小限とする、その仕組みに切りかえることによって、結果としては、今、政治腐敗防止法等で我々がうたおうとしております、陳情政治政治の腐敗あるいは利権政治そのものをもなくしていくことができるわけであります。フリー、フェア、オープンを原則として、一握りの利害を優先する政治ではない、一握りの利害を優先する行政ではない、国民全体の利益を優先する国民が主役の政治、そして行政が進められなければならないと我々は考えております。  このような観点から、行政改革というものは喫緊の課題であり、我々が今、国会行政府も国民みずからもこれを最も追求していかなければならないものだというふうに考えております。  しかしながら、今この特別委員会に掲げられておりますこの行政改革に関する法律、中央省庁等改革基本法案でございますけれども、これはどのように詳しく読んでみましても、私どもが今申し上げた基本的な理念とは相入れないものだと残念ながら言わざるを得ないものだというふうに考えております。  この中央省庁等改革基本法案の致命的な欠陥をこれから指摘したいのでありますけれども、私は三点ほどあると思います。  まずその第一点をお話しするときに、その証左として例を引いていきたいのでございますけれども、まず、予算編成を行う具体的な実務は、この省庁改革基本法案成立後の法律案が描いているビジョンでは、一体どこが予算編成の具体的実務を行うことになるのでありましょうか。官房長官、お答えいただけますか、総務庁長官で結構です。
  148. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 済みません、二人で譲り合っておりまして。  今、西田先生お話を聞いておりました。極めて格調の高い、識見のある御意見だと承って聞いておるところでございます。  予算を作成して国会提出することを内閣の権限とする憲法のもと、内閣は現在でも、概算要求に当たっての基本方針の設定や経済見通し、予算編成方針、税制改正の要綱により基本方針を策定をいたしております。  基本法案においては、内閣総理大臣が、内閣の首長として予算編成の基本方針を含む国政に関する基本方針について閣議にかけることができることを法制上明らかにすることにより、内閣総理大臣の国政運営における指導性をより十分に発揮できるような仕組みを整備いたしております。  また、内閣に、予算編成の基本方針等の経済財政施策に関する重要な事項について審議する経済財政諮問会議を設置し、他方、具体的な予算の編成については、行政改革会議において、内閣の首長たる内閣総理大臣が予算編成作業の個別、詳細についてまで担当することは現実的には困難であるし、適当でもないと考えられる等の議論から、これを内閣の所管にするとの意見集約はなされなかったところであります。  基本法案においても、財務省が具体的な予算の編成作業を担うことを前提として、財務省の主な機能として予算、決算を明記いたしているところであります。
  149. 西田猛

    西田(猛)委員 ところが、この法案の本文を読んでいただきますと、第二十条で、財務省の編成方針というのが並んでおりますが、この中には予算のことは一言も出てこないのですけれども、いかがでしょうか。
  150. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この基本法案におきます各省の基本方針の規定は、この基本法の別表第二に掲げます各省の主要な任務、主要な行政機能を前提といたしまして、その上で、さらに行革会議の議論として集約されたものをそのまま基本法に引き継いでおるものでございます。
  151. 西田猛

    西田(猛)委員 今政府委員から説明があったとおりなんです。要するに、この法律は、今の国家行政組織法に言う府、省、委員会、庁の権限機能を前提としておるわけですね。それが基礎にあって、そして行政改革会議で議論が出た、しかも、その中でまとまった話だけを織り込んでいる法律なんです。ですから、この法律の中身を見て、幾らプログラム法だとかいっても、今後、行政官庁が、どこがどういう機能を持ってどういう働きをするかということは見えないわけですね。  だから、今申し上げたように、二十条の財務省の編成方針を見たってどこにも予算の話は出てこないじゃないかとお聞きすれば、政府委員からの答弁は別表を見てくださいというわけですね。別表を見ると、確かに別表第二の財務省のところで、予算、決算というのが主要な行政機能と出ているわけです。これは、今ある役所の機能を基礎として、行政改革会議で出た話のうち、まとまったものだけを本文にほうり込んでいる法律なんですね。  ということは、行政改革じゃないのですよ、これは。ちょっとこういうふうにしてみたらどうという意見が、行政改革会議の性格は私は詳しくわかりませんけれども国民から離れたところで、有識者かもしれません、内閣総理大臣が長かもしれませんけれども、そこで議論が出て、しかも皆が反対をしなかった、まとまった意見だけを織り込んでいるのがこの法律なんですね。既存の行政機関の機能を基礎としているわけです。これがこの法律案の第一の欠陥ですよ。  すなわち、行政のあり方、国と地方のあり方、国と民間のあり方をよく考えて、それを受けて、では、その上で中央官庁というものはどういう機能を持つべきなのか、今私が申し上げた、どこまでの地方への、どこまでの民への介入が許されるのかという議論が全くない、現状を肯定した上での法律案なんです。いかがでしょうか、総務庁長官
  152. 小里貞利

    小里国務大臣 決して言葉を返すわけではないのでございますが、既存の機能を云々のお話でございますが、むしろそのことこそ、今次の基本法を国会が意思を決定していただければ、具体的に先ほどお話し申し上げておるような基調に立って作業を進める、その作業の中心課題というものがいわゆる所掌事務、その所掌事務の中におきまして権限等も含めて、特に、言わずもがなのことでありましょうけれども、裁量行政等を厳粛に戒めながら組み立てていくという筋合いのものでありまして、今議員が御指摘になっておられるようなことこそ十分参考にしながら、省庁再編の次なる作業の根幹として進めるべきものである、私はさように思っておりますが、特に作業の一つの日程上も、そういう御理解をいただきたいと思う次第です。
  153. 西田猛

    西田(猛)委員 ということは、とりあえず、橋本龍太郎内閣総理大臣が六つの改革の中で行政改革ということを掲げたものですから、とにもかくにもやらなければならない、しかも、今国会である程度の法律はつくっておかなければいけないということで「今申し上げましたいろいろなタイムスケジュールのある中で、当座、このぐらいの法律をつくらせておいてくださいという、これは暫定的な、ある一里塚と考えてよろしいわけですか。
  154. 小里貞利

    小里国務大臣 一里塚という表現でいいのかどうかは別にいたしまして、今次の行政改革というものはこういう目的でこういう役割をおよそ持つべきものであると思いますと。したがって、行政改革目標、理念あるいは国としての責務を求められるもの、そしてまた、その具体的な改革を進めるに当たっての規範となると申し上げましょうか基準となるものを、例えば軽量化の問題、スリム化の問題はこういうような手段も考えておりますというようなこと等々を申し上げまして、根幹にわたること、そして、その行政改革作業の仕上げの目標等も織り合わせまして、一応基礎的なものを整理して御相談をした。これを国会の意思として御決定いただければ、その法律の基調に立ちまして、申し上げましたように、具体的に作業を進めてまいります。  その作業を進めてまいりますときに、一等最初、議員の方からいろいろと広範にわたりまして示唆をいただきました、また御主張をいただきましたことなどを、官房長官も申し上げましたように、大変高い見識をお聞かせいただいておりますが、私もさように評価を申し上げながら聞き入った次第でございまして、これからの具体的作業のときにこそ、本当に傾聴申し上げるべき御意見だった、そう思う次第です。
  155. 西田猛

    西田(猛)委員 私が申し上げたことにつきましていろいろと御評価をいただいて、感謝を申し上げたいとは思います。しかし、この行政改革特別委員会でこれだけ長い時間をかけて、そしてたくさんの労力を使ってやるのであれば、こんなプログラム法で、一里塚と言わなくてもいいかもしれない、しかし、いわばお茶を濁すような形にしないで、徹底的に議論をしてやればいいんじゃないでしょうか、せっかくつくるのでしたら。  国と地方のあり方、国と民間のあり方、そういうことを議論して、そして、今長官が減量化ということも言われました。しかし、この第四章、三十二条以下の「減量、効率化等の推進方針」、確かにこれは「方針」と書いてありますよ。ですから、方針を定めただけなんだとおっしゃるかもしれない。だけれども、普通、行政改革の法律といえば、これをこうしたら何がどう変わるというところが計量的に、数量的に示されてこそだと思いますよ。  もっと言うならば、これだけの行政改革特別委員会をつくって、大臣も出席していただき、我々議員も出席して、内閣の重要な一員であられる政府委員の方から、事務方から、皆さん出てこられる。これは物すごい国民的コストですよ。これだけのコストをかけて、この法律をつくって、一体どういうメリットがあるのというところを国民に示さないといけないと思いますよ。
  156. 小里貞利

    小里国務大臣 まさに議員がおっしゃるとおりでございまして、私どもも全く同じ認識のもとに、この行政改革というものを取り運んできたと申し上げられると思うんです。  そのために、第一段階では、先ほど先生お話しのように、まさに歴史的な大改革でありますから、まず行政改革会議という諮問機関的なものをつくって、そこでじっくりと民間あるいは専門家の意見も述べていただいて、それらを集約して、今度はその上に立って、国会に対して基本的考え方、方向、日程というものをまず御相談をいたしますよ、そして、法案としてここに持ち込み、提案をしてまいりました。  しかも、先生がおっしゃるように、こういうものこそ、国会で徹底的に議論するべきじゃないかとお話してございますが、まさに私は、これを二月の十七日でございましたか、上程をいたしまして以来、あるいはその前から自由濶達に御議論をいただきまして、そして、先生方の御意見もお聞かせをいただきました。率直に申し上げまして、大変響きのある話もたくさんお聞かせをいただいております。  ですから、そういう御意見をこれからの作業にこそ反映をいたしましく省庁設置法、内閣法あるいは国家行政組織法等々を練り上げていきまして、次の国会で、すなわち来年の今ごろは再び具体的なものを御相談申し上げる。そして、国会の意思を決定していただいて、いよいよ本格的な再編成の作業が始まる、そういう段取りのものであることを御理解いただきたいわけです。
  157. 西田猛

    西田(猛)委員 段取りはわかっています。段取りはわかっているんですけれども大臣、具体的な国の省庁、内閣の構成、そしてその機能についての議論がなければ、行政改革の名に値しないんじゃないですか。今おっしゃったようなことは、この法律案は行政改革法じゃなくして、省庁の一部再編法にすぎないということをみずから認められたことになりますね。  その証拠に、皆さん全員が持っておられるこのイメージ図がありますよね。これで確かに一府十二省にはなっています。省の名前でいろいろ問題がありました。やれ、労働福祉省は長いだとか、財務省じゃなくてもとの名前を残してほしいとか。結構です。  しかし、このイメージ図というか、こういうものにするんだというこの図で、外局を見てください。委員会、庁ですよ。これは今の国家行政組織法の別表にある委員会、庁と全く一緒なんですよ。むしろ、郵政事業庁がふえただけです。それ以外の委員会、庁、全部今あるものと同じですよ。この一事をとってみても、いかに、今の国家行政組織法上の機能、機能の洗い直しなく、あれをこっちにつけ、これをこっちにつけて再編しただけだということがわかるのではないでしょうか、大臣
  158. 小里貞利

    小里国務大臣 今先生委員会と庁の話をたまたま取り上げてお話しのようでございますが、それは一応基礎的に、行政改革の段階で、あるいはまた、政府与党三党などの意見を聞きながら、再編成について基礎的整備をした結果がそこにたまたま出ておるわけでございます。同時に、もっと基礎的に根幹にかかわることは、きちんと、くどくど申し上げるようでございますけれども、例えばこの中央省庁改革の理念とか、新体制移行問題についての基礎的な手続の問題とか、あるいは先ほど先生がおっしゃったように、内閣機能強化についてはこういうような基本的な柱を持っておりますということを、内閣官房、内閣府等々を申し上げて説明をいたしておるわけです。  あるいはまた、先ほどお話がありましたように、年間事業の政府の大事な予算編成等についても、一応考え方というものを基礎的には申し上げておる。あるいはまた、行政機関の、今お話しの再編成等については、こういう考え方で一応このような組み立てをいたしましたというその箱についての話も申し上げておりますし、あるいはまた、議員が最初御指摘になりましたように、では、簡素にして効率的な政府をつくるというがどういう手段でやるのかということになるわけであります。  そのスリム化については、こういうような組織、定員についてはこうだ、政策の企画立案と実施はこういうふうにやりますとか、機能別にこういうことをやりますとか、裁量行政をこういうふうに根幹として考えておりますとか、あるいは独立行政法人の組み立ての基本的な制度設計も申し上げて、これらに具体的なものを応用して、そして、省庁編成作業のときに、具体的にこういう一つの原則を適用して進めていきますというがごとく、郵政事業等に至るまで、一応基礎的なところは行革会議及びこの基本法で整理をして御相談をした。少なくとも、この段階で国会の意思を、この程度のことだけは、このことだけは聞いておかなければならぬのじゃないかという視点における整理をして御相談をいたしておる。
  159. 西田猛

    西田(猛)委員 聞きしにまさる総務庁長官の熱意と長弁でありますので、私どもの時間が大分食われてしまって残念でございます。大臣、私が冒頭、行政改革に対する考え方あるいは国の統治機構に対する考え方、国と地方、国と民間のあり方についてのお話をしたときに、与党の方も野党の方も、そこまでは一緒だとかここは一緒だ。大臣のおっしゃることも、我々も理念は一緒なんですよ。  それは、行政改革をしなければいけない。しかも、二十一世紀に向けて、世界的なメガコンペティションの中で、日本がこのままであってはいけないというのは、皆共通した理念なんですね。そんなの一々法律に書かなくても結構ですよ。今国民が求めているものは、では、一体どうなるの、許認可ということはどうしてくれるの、金融に見られるように市場はどうなるの、そういうことだと思いますよ。もうこんなことをやっている暇は僕はないと思います。  例えば、金融の市場の再編一つとってみてもそうです。もう既にことしの四月から外為法が改正になりました。ある種の意見では、今のこの弱り切った日本の経済状況、そして護送船団方式になれ切った日本の銀行、証券等を初めとするファイナンシャルインスティチューションズの中では、金融自由化をするのは早過ぎるのじゃないかというふうな意見があります。  しかし、きょう、実は朝、大蔵委員会の参考人の御意見で、ある先生がおっしゃった。確かに早過ぎるという意見もある、しかし、それを先延ばしするコストよりも、今何としてでも、無理をしてでもやってしまうことの方が、確かに血を見るかもしれない、苦しみを伴うかもしれない、しかし、絶対に長い目で見たら今やっておかなければいけない、こういうことだと思います。これはもう理念がどうだ、減量、効率化の方針がどうだ、プログラム法をつくっている場合じゃないですよ。もう時間がありません。だから一刻も早く、これだけの時間をかけて、コストをかけてやるのでしたらば、もう具体的に、では、例えば金融市場はどうするのですか、金融市場に対する国の関与のあり方はどうなるのですかということを、具体的に詰めていくべきだと思うのですね。  今申し上げましたこの法律案の致命的な欠陥は、まず第一に現行省庁の再編、現行省庁構成、そして現行省庁の権限を基礎として、行政改革会議でまとまった意見だけを書き連ねた法律だということが第一。それから第二が、今申し上げたように、具体的な個々の統治機構の中の機能に対する精査が全くないということです。そして第三番目に、減量化、効率化といいますけれども、定量的な計算が国民の前に示されないことです。この三つが致命的な欠陥です。何となれば、国民は、この法律ができたらどれだけ日本国のためになるのか、国民のためになるのか、はかれないですよ。賛成しようもありません。といって、反対することもできないかもしれない。私は、これはそういう法律でしかないのだと思うのです。ただ、やっていかなければいけないことはたくさんあるわけですね。  本当は金融市場のことについてどういう関与があり得るのかという詳しいことを議論をしたいのですけれども一つ例としてこういうことを提起してみたいと思うのです。例えば統治機構の中で、やはり国権の最高機関であり、主権者である国民から直接選ばれた国会議員で構成される国会が、私は重きをなしていかなければならないと思っています。その意味では、憲法というものの有権解釈、これは最終的には最高裁判所にあるわけですけれども、今の内閣ないし統治機構の状況を見ておりますと、何やら時たま内閣法制局長官というのが出てきて、法制についてぐちゃぐちゃとおっしゃる、憲法についてごちゃごちゃとおっしゃる。どうも内閣のメンバーであられる閣僚の皆様、国務大臣の皆様もそれに非常に重きを置いておられる点があると思うのです。しかし、私はこれは完全に誤りだと思います。  そこで、内閣法制局というものが実質的に憲法解釈の何やら最終権者であるような今の内閣の慣行は明らかに誤りでありますから、改めて現行の内閣それから衆議院、参議院の三法制局を例えば一元化し、国会の所属の法制局として、憲法それから各法律についてスクリーニングをしていくというふうな具体的な行政改革がなされるべきだと思いますけれども、この提言についてはいかがお考えでしょうか。
  160. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 内閣法制局を持っていることは誤りではないか、こういう御質問でございますが、憲法の最終的な解釈は憲法第八十一条によって最高裁判所において示されるものでありますが、この権限は司法権の作用であるところから、その判断が示されるためには具体的な訴訟事件が提起されることが必要であります。  他方、憲法第九十九条は公務員の憲法尊重擁護義務を定めているところであり、行政府もその権限の行使を行うに当たって憲法を適正に解釈していくことは当然必要なことと考えられます。その場合、第一義的には法律の執行の任に当たるそれぞれの行政機関により関連する憲法の規定の解釈が行われるが、仮にこれについて疑義が生じた場合には、内閣法制局の意見に基づき内閣がその疑義を解消することとなっております。  内閣法制局内閣法制局設置法に基づき、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること。」「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること。」を主な所掌事務として内閣に置かれている機関であります。すなわち内閣法制局は、内閣がその職務として憲法第七十二条に基づき法律案を国会提出し、または憲法第七十三条に基づき政令を制定することとされていること、及び国務大臣がその職責を果たすに当たり憲法の尊重擁護義務があることにかんがみ、法治主義の観点からこれらが適切に行われることを確保するため、法律専門家としての立場において内閣を直接補佐することを主な任務としているものでございます。  内閣法制局は、このような行政権の属する内閣の機関として、憲法解釈を含め内閣の職権行使等についての法制面を取り扱うという任務を有しているものであり、議員の法制に関する立案に資するため立法府に設置されている議院法制局とはその立場及び機能を異にするものでございますので、一元化については適当ではないと考えておるところであります。
  161. 西田猛

    西田(猛)委員 まず冒頭申し上げますけれども、私は内閣法制局があることが誤りだとは言っていません。内閣法制局が実質上、何やらこの国会の場において憲法解釈の最終権者であるような発言をされるから、特に内閣法制局長官がされるから、それは誤りではないでしょうかということを私は申し上げているのであります。そして、それは私はそのとおりだと思います。  今官房長官が御答弁された中でも、注意深く聞いておりますと――結構ですよ、その御答弁で。要するに、内閣が法律に基づいて行政を行う際に、個々の公務の事象が憲法に抵触しないかどうか、それは内閣法制局で考えていただいて結構ですよ。それはそれでやってください。でも、そのためでしたら、私は、何も内閣法制局というふうなでかい組織を内閣に置いてある必要はないと思うのです。各省の中にも、文書課であり法制課であり法規課であり、そういうところがあります。ありますから、そこで、各省の個々の行政事務を遂行するときに憲法に抵触しないかどうか考えられれば結構なんですよ。  ですから、今官房長官答弁されたことがこれで記録に残るとすれば、今後国会で法律案が、議員立法であろうが内閣提出の法律案であろうが、法律案が審議されているときに、その法律案の内容及び各条文が憲法とどういう関係にあるかなどについては、内閣法制局長官国会では答弁しないということですね。約束してください。内閣法制局長官はここで答弁しないということですね。
  162. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 西田先生アメリカの法学部出身でございまして、私は余り詳しくございません。しかし、今答弁したとおりでございまして、内閣として、法制局はばかでかいわけでもございません。人数、今定かではございませんが、そう何百人もいるわけではございませんし、この体制でやはりやっていきたい、こういうふうに思っております。  答弁をするなと約束してくださいという話でございましたね。しかし、いろいろな法的な憲法上の疑義その他の執務については、私はやはり専門の法制局長官からの答弁というものは必要であろうかと思います。
  163. 西田猛

    西田(猛)委員 それがおかしいと思うのですよ。専門のというのは、内閣ぐらいなら結構ですよ。だから、内閣が法律に基づいて行政権を執行するときにどうだ、それはどうぞ御自由にやってください。だけれども、ここは立法府ですから、立法府へ出てこられて内閣の法制局の意見だ、こう言われても、我々としては――別に聞いてもいいですよ。でも、それを最終的な有権解釈のようなことを言われては、全く間違いなんですね。  それは、我々が従来言っていることとも関係するわけなんです。なぜならば、大臣のように、皆さん方のように、国民から直接選ばれた方たち与党と、国民から直接選ばれた野党議員国民の信託を受けて国会で議論をして物事を決めていくということがこれから行われなければ、本当に日本の民主主義は活性化しない、そして、国民の皆さんの声は行政に反映できないというのが我々の考えだからであります。  したがって、国民に直接選ばれていない方が、まるで憲法の番人のような顔をしてここでとうとうと法律論をお述べになるのは間違いであると私は申し上げているわけでございまして、皆様方が内閣法制局からの、あるいは事務方からの意見を聞いてここでお答えになるのは結構だと思いますということを私は言っているのでありまして、誤解のないようにしていただきたいと思います。そして、これについては今後内閣部内において十分な議論と検討をしていただきたいと私は思っております。そういうことを具体的に考えていくのが行政改革だと思うのですよ。  この法律に書いてあるような理念とかというのは、これを間違っていると言う人はそんなにいないと思うのですよ。私たちは、まだこんなのは生ぬるいと思っております。行政改革の法律をつくるときには、やはり個々具体的な機能、機能、そういうものを洗い直したものであるべきだというふうに考えております。  それから、せっかく申し上げておきましたので、ひとつお答えいただきたいのですけれども、国と地方の関係、これを十分な議論を踏まえた上でないと、やはり行政改革というのは緒につけないのだと私は思います。この委員会でも何度も議論が出たと思いますけれども、ちょっと自治大臣の方から、簡便で結構ですから、行政改革によって国と地方のあり方をどのように考えていくのかということについてお答えを願いたいと思います。
  164. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 先生は、選ばれた人が立法をするのだと。内閣は、大臣は民間人でも結構なのです。法制局長官は内閣を構成する一員でございまして、また私もここにおりますけれども、憲法的解釈はどうかというお尋ねもあるわけでございます。したがいまして、今後ここで答弁させるなとかなんかというのを検討しろとかいうことは、ここでお答えすることはできません。
  165. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えをいたします。  地方分権推進していくに当たりまして、国と地方公共団体の役割分担の原則としては、地方分権推進法や地方分権推進委員会勧告等におきましては、こうしておるわけでございます。  一つは、国は一国際社会における国家としての存立にかかわる事務、二つには、国は、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動または地方自治に関する基本的な準則に関する事務、三つ目には、国は、全国的な規模、視点に立って行わなければならない施策及び事業など、国が本来果たすべき役割を重点的に担うとされております。また、地方公共団体は、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理する、この委員会でも何度も申し上げておりますが、このような観点から、地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うとされておるところでございまして、私もそのように考えておるところでございます。  地方公共団体の自主性、自律性を高めまして、国と地方の関係をこれまでのような中央集権の上下、主従の縦の関係から対等、協力の横の関係にすることが必要でございまして、そのためには、先ほど申し上げました考え方に沿いまして、国と地方公共団体の役割分担を明確にし、地方分権を強力に進めていくことが必要ではないかと考えております。
  166. 西田猛

    西田(猛)委員 ぜひ地方分権は強力に進めていきたいというふうに考えております。  あと自由党の筆頭理事の中井議員からまた質問させていただきますけれども、きょうせっかく来ていただいていますので、最後に運輸大臣にお聞きしたいのですが、なぜ運輸大臣かと申しますと、実は大蔵大臣にもお聞きしたがったのです。  公務員制度というものは、国の統治機構の中あるいは行政改革の中で一番大きく考えていかれなければならない問題だと思っています。いろいろと今、公務員制度についてあるいは公務員の問題がかまびすしく言われておりますけれども、これはもう私は、基本的には強い身分保障が法律で与えられていて、そして原則として終身雇用ということが可能な公務員制度でありますから、公務員はもう定年まで勤めていただく、一生懸命お仕事をしていただく。ですから、同期の中から次官が出ればその前にやめてというふうなことを従来のようにやっておりますと、どうしても第二の就職先あるいは第三の就職あっせんということをしていかなければならないわけでございますから、そういうことじゃなく、志を持って公務員になられた方はそれで一応人生を完結していただくということで、年下の方が次官になっても、自分は課長でも、まあちょっとひどいかもしれませんけれども、自分は局長でもいいとか、そういう意識の改革を持っていただいて、最後までお勤めしていただく。  そして、定年退職後については、御自分でどこかのお知り合いの方の仕事をするとかボランティアの仕事をされるというのは結構ですけれども、やはり御自分がお勤めになった役所と深いかかわりのある民間企業へ再就職することについては、もと勤めていた役所のあっせん等は一切やめる。自分で見つけてくるのは、職業選択の自由もありますから自由でしょうけれども、役所が、組織的なと申しますか、ある意味の事実上の力作用を持って再就職のあっせんをするということは、もう今後やめるべきではないかというふうに思います。そのことを国民に打ち出せば、今非常に言われている天下り批判、それから公務員に対する不信というものの一部は氷解していくのではないかなというふうに私は思っているのですね。  そこで、なぜ大蔵大臣と運輸大臣に聞きたかったかといいますと、これはいいことか悪いことか、非常に天下りの数が多く見られる官庁でございます。それだけ力があるということでもあると思うのですね。そういう観点で、運輸大臣、今の私どもの提言についていかがお考えでしょうか。
  167. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えを申し上げます。  ただ一言、御答弁の前に、運輸省が天下りと申しましょうか、その数が多いというふうにおっしゃいましたが、平成九年ベースでまいりますと、運輸省はベストファイブには入っておりません。そのことだけ申し上げておきます。  いずれにいたしましても、議員の御提案につきましては、公務員のライフサイクル全般を視野に入れた人事管理のあり方につき、幅広い総合的な検討が必要だろうと思います。おっしゃられることはよくわかります。  したがいまして、本件につきましては、現在総理の指示に従いまして、総務庁人事局、人事院あるいは総理府におきまして、いわゆる政府部内関係機関において検討が行われていると同時に、公務員制度調査会においても、退職のあり方を含む国家公務員制度全般につき調査審議が行われているところでございます。運輸省といたしましても、これらの検討審議の行方を注視しつつ、適切に対処してまいる所存でございます。
  168. 西田猛

    西田(猛)委員 積極的なお答えがいただけなかったのが残念です。  それから、先ほどの内閣法制局のあり方についての問題点につきましては、確かに内閣は民間の方でも結構なのですけれども、憲法で半数以上は国会議員でなければいけないということを書いてあるという法の趣旨も考えていただきたいと思っております。引き続き、内閣法制局のあり方、それから国会における法制局の答弁のあり方については、議院運営委員会などを通じて問題を指摘していきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  これで中井議員にかわりたいと思います。
  169. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、中井洽君から関連質疑の申し出があります。西田君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。中井洽君。
  170. 中井洽

    ○中井委員 最初に小里長官にお尋ねをいたします。  先ほど、同僚の上田議員の質疑の中で、私も少し出たり入ったりしておりましたのであるいは聞き間違えたかもしれませんが、公務員の定数の削減を十年間で純減一〇%だとはっきり言ってください、こういう上田議員の質問に対して、一〇%以上だ、こういうお答えをなさいました。行政改革の担当大臣としていろいろな御答弁、熱意、意気込みはよくわかりますが、純減一〇%以上というのは、総理答弁やら、過日からこの委員会でたびたび議論になっておりました点を含めて、違うのじゃないか。  私どもは、それでもまだ少ない、削り方が少ない、こういう意見でありますが、ここのところはきちっと御訂正をいただくなり、本当に純減、十年で一〇%以上やるというならそれはそれで結構です。きちっと答弁として再確認をいただきたいと思います。
  171. 小里貞利

    小里国務大臣 議員が今御発言になるその内容は、私はよくわかります。  それから、私が答弁申し上げたのは、いわゆる政治として意気込みを申し上げますと。むしろ、今議員も御発言のように、合理的な削減というのは積極的にやるべきだという御方向のようでございますが、私どももその方向に責任を背負っておる、こう思っております。そこで、その意気込みというものを含めて最低一〇%以上純減努力をいたします、目指しますということを私は言っておるわけでございまして、またそういう言葉で表現を申し上げたかと思っております。  それから、今御指摘がありました削減というのは、法令上と申し上げていいと思うのでありますが、極めて正確な表現である、こう私は思っております。あくまで私どもは、役所におきまして削減という場合には、純粋に削減した数値をそのときの定数で割って、分母に定数を置いて、その目標を言っておりますが、しかしそれよりも、同じ数値目標として表現をする場合には、純減という方が物理的にも意気込みとしてははるかにきちんと言えるわけでございまして、そういう一つの感覚で物を申し上げておりますということを御理解いただきたいし、また決して議員のおっしゃることを否定しておるわけではございません。
  172. 中井洽

    ○中井委員 法律をお出しになっているわけですから、私ども意気込みなんか何も聞いておりません。私の質問が極めて明瞭なのは当たり前でありまして、あなたの答弁が不明瞭だからおかしな形になるのであります。ただいまの答弁もおかしい。純減削減といろいろなことをごちゃまぜにしながらやられておられます。  事務局、法律には何て書いてあるのですか。きちっとお答えください。(小里国務大臣削減です」と呼ぶ)事務局に聞いています。十年間で純減一〇%なんということはどこかに書いてあるのですか。
  173. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この法案の四十七条第四号に規定がございます。「府省の編成に併せ、行政機関の職員の定員に関する法律を改正するための措置を執るとともに、国の行政機関の職員の定員について、十年間で少なくとも十分の一の削減を行うための新たな計画を策定した上、当該計画に沿った削減を進めつつ、郵政公社の設立及び独立行政法人への移行により、その一層の削減を行うこと。」と規定いたしております。
  174. 中井洽

    ○中井委員 私ども公務員の生首を切れと申し上げたことはありません。しかし、行政改革という以上、公務員のやらなくていい仕事、民間に任せるべき仕事、こういったものを思い切って削り取って、もって公務員の数を減らしていく、このことは行政改革の大きな目的の一つだ、こう考えています。定数削減ということをあたかも純減のように思わせて国民皆さん方説明をするというやり方は、私は違うのだろう、このことをあえて申し上げておきたい、このように思います。  二つ目は、当委員会で四月の二十三日、我が党の鈴木議員がG7の共同コミュニケの訳の問題について議論をいたしました。膠着状況の中で委員長が、大蔵大臣の手元において十分さらに検討の上、適切な答弁を別の機会に求めることにいたしたい、このように御発言をいただいて、おおさめをいただきました。  我が党にとりましては一般質疑はこれで最後、来週総括質疑を残すだけでございます。本日、大蔵大臣が残念ながらおりませんが、大蔵省事務局、「thus also」をどう訳するか。鈴木議員の説も含めて、どのようにあれから御検討いただいたか、結果を求めます。
  175. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 お答えいたします。  御指摘の「thus also」云々につきましては、鈴木委員の述べられたように、「その結果」あるいは「したがって」と訳することも可能でございますけれども、同時に、コミュニケの日本語訳にありますように、「更に」云々と翻訳することも可能であると考えております。  そもそも、この英語の原文がいずれの翻訳も可能となるようなものであったのではないかというふうに考えております。
  176. 中井洽

    ○中井委員 今黒田局長お話にありましたように、非常に難しいというか、わかりにくい英語である、そういう英語になった背景については、私どもはわからないわけではありません。しかし、世界の中で、G7あるいはサミット等をやって、やはり翻訳をしなければならないというのは日本だけであろうか。この日本語のデリケートな使い方で結果的に国民をミスリードする、あるいは状況判断を間違えるということがあってはならないのだろうと私どもは考えて、あえてこの問題を時間をかけてやったわけでございます。  これからも当局におかれましては、大変難しい国際状況の中ではありますが、事実は事実として国民に十分説明できる、こういう体制でおやりいただくことをあえて申し、つけ加えさせていただきます。  それから、経企庁長官にお越しをいただきました。当委員会での議論じゃなくてまことに申しわけないのですが、なかなか機会がございませんので、お答えを賜りたいと思います。  二月、三月と予算委員会におきまして、岩國議員あるいは我が党の鈴木議員と桜問答をなさいました。東京の桜が咲くころだ、こういうお答えをなさいました。ことしの東京の桜は例年より早く咲きましてお気の毒でございましたが、もうツツジが咲いて、散っております。景気は一向よくなりません。  今景気の現状についてどう思われるか。長官としてたびたびああいう発言を繰り返されたお立場はよくわかります。お立場はよくわかりますが、その責任というものをどう感じておられるか、ここらについて率直に御意見を承ります。
  177. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 かねがね、いろいろな政策、その他の状況を考えまして、桜が咲くころには日本経済がよくなり始めるというふうに申し上げてまいりました。  その意味は、三月いっぱいで、いわゆる早期是正措置が四月一日ということでありますので、いわゆるクレジットクランチ、貸し渋り現象が緩和されるであろうということや、あるいは規制緩和、その他の措置が徐々に発動されていくであろうというようなことも含めまして申し上げたわけでございますが、景気の現状は、心理面ではやや改善の兆しが見られていると感じておりますが、雇用あるいは生産等の実体経済の面では非常に厳しい状況が続いているわけであります。  現在は四月を過ぎて五月でございますが、私どもの手元にあります統計は三月のものでございまして、その三月の統計で申し上げましても、実は個人消費等につきましては、一月、二月と比べてやや改善の兆しが見られる状況になっております。これがいずれ生産、雇用等の実体経済の面にはね返ってくるというふうにも期待をしているところでございます。  しかし、総じて、現在の状況、失業率三・九%という非常に厳しい状況でございます。現在、総合経済対策を決定をし、それを国会に御提案申し上げるべく準備をしているところでございまして、そういう総合経済対策等の実施等も含みまして、私どもとしては、徐々に経済がよくなっていくべく全力を挙げてまいりたいと考えている次第でございます。  私といたしましては、この経済の現状に対応して、全力で日本経済を正常な回復軌道に乗せることが政治家としての大事な責任であると考えている次第でございます。
  178. 中井洽

    ○中井委員 昨年、私どもは、財革法、こんなのやめた方がいいよと申し上げたけれども、これはどうしても必要だと言っておやりになりました。それから、絶対やらないと言っていた減税、突如おやりになりました。また、突如補正を組まれて予算の前に審議するという、非常に窮屈な日程の中での国会審議が行われました。そして、ふだんより日にちが少ない中で予算審議が行われて、景気にとって、四月の桜の咲くころに景気回復するには予算が日にちどおり通ることが一番だ、たびたびあなた、言われてまいりました。私ども、全部、違うだろう、違うだろう、違うだろうと言ってきたけれども、自民党の数を頼りに押し切られて、予定どおり来られた。しかし結果は、あなたはそんな、三月に少し消費マインドが上向いておるなんて言われるけれども、ますます実体経済はひどくなってきておるんじゃないか。  多分、あなたは頭がいいから、四月は、去年の四月が消費税のアップの反動ですさまじい各種データの落ち込みがあった、四月になったらそれをちょっとは上回るだろうから、昨年より、ほれ見たことか、上回ってきたじゃないか、こう言ってやろうというので、四月の桜と、こう言われたのか、あるいは当てずっぽう、やけくそで言われたのか、どうも後者の方じゃないかという説の方が強いのでありますが、そこらを含めて、おっしゃってこられたけれども、すべて違う。  そして、今度はいよいよ、何かきょうは御党の御党内では、せっかくの財革法の延長ですか延期ですか停止ですか、何か御協議を始めておられる、こういう状況ではないでしょうか。これらのことに関して本当に責任というものをお感じになっていらっしゃるのか。たびたびいろいろな委員会で言われてきたことについて、どう感じておられるのか、この点を端的にお尋ねをしたい、これが一つ。  それからもう一つは、総理を含めて閣僚の皆さん方は、この景気対策、財革法、それからこの中央省庁統廃合、トータルで二十一世紀の日本をつくるんだ、こう言ってこられた。しかし、財革法の方はさっさと、つくって半年もたたないうちにもう変えざるを得ない、こういう状況。この中央省庁の基本法だってこれで影響を受けてしかるべきだ。ところが、これは全然影響受けずに、これはこれだけでやるんだ。こういうのは改革全体として違うんじゃないか、こんなふうに思いますが、この点について小里長官のお考えをお尋ねをします。
  179. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 景気の現状、大変厳しい現状であることはおっしゃるとおりでありまして、私ども、現在、国会提出を準備しております総合経済対策等を早急に検討し、そして、それによりまして経済を順調な回復軌道に乗せるということが大変大事なことであるというふうに考えております。経済企画庁長官といたしましても、それに全力で取り組んで、それによって責任を果たしてまいりたいと考えている次第でございます。
  180. 小里貞利

    小里国務大臣 お話しのとおり、政治を初め、内外激動でございます。こういうときに、中央省庁再編を中心にして行政改革、どのようにこれを動かすべきかというお話であろうと思うのでございますが、私は、結論から申し上げまして、いわゆる先行き不透明感あるいは内外揺らいでおりますよという今日こそ、新しい中央省庁のあり方あるいは政府の姿勢というものを明確にする意味におきましても、この行政改革というものを、ぜひこの機を逸せず皆様方の御批判をいただきたい。  そして、きちんと国会の意思をお取り決めいただくなれば、申し上げるまでもなく、これが準備、検討期間というものが、およそ即決できるものではございませんでして、あと三年間、二〇〇一年一月一日というこの期間から考えればこそ、できるだけ早くひとつ御裁断をいただきたい、かように判断をする次第でございます。
  181. 中井洽

    ○中井委員 お二人に一度に御答弁を賜りましたのは、景気のことにつきましても、あるいは二十一世紀の日本の諸改革につきましても、私どもは、皆さん方の熱意を疑っているわけではありません。しかし、現状認識が違う、あるいは現状を変えていかなければならないんだという強い意欲というものが足りない、このことを思わざるを得ません。政党間の争いですから、いろいろあります。しかし、今の日本の現状は、政党間の争いを超えた立場でお互いが考えていかなければならないほど厳しいところにあるんじゃないでしょうか。  そうしますと、景気対策も、この二年間、正直言いまして、私どもが申し上げてきた方が圧倒的にきちっと市場を分析しているんじゃないでしょうか。皆さん方が半年前につくられた財革法を事実上放棄してまで、十六兆円という大がかりな景気対策を、予算組んだ後すぐ出す、それを発表されても株価は下がっているんです。大蔵省、あれだけ必死で訳されても、円は安くなっておるんです。行政改革も結構だけれども、もっと速いスピードでもっと思い切ってやらないと、国民から反応が出てこないんじゃないか、このことをあえて申し上げたい、このように思います。  もう御答弁結構です。尾身長官、どうぞ御退席ください。  次に、時間がありませんので、法務省にお尋ねをいたします。  法務大臣の出席をいただきたかったんですが、委員会法案採決があるということでございますので、事務方から御答弁をいただきたいと思います。  この基本法案あるいは最終報告の中には、準司法の諸制度、これを幾つかまとめて行政審判庁にという考えが盛られております。公取、特許庁あるいは電波監理審議会、公害等調整委員会と、実にいろいろなものをまとめたらどうだということであります。この準司法の諸制度をまとめるというのは、私は一つのアイデアだろうと思いますが、どうしてこの五つだけなのかというのがさつぱりわからない。同時にまた、これだけ違うものを行政審判庁としてまとめていくというやり方は大変だろうなと思いますが、法務省としてどのようにお考えになって取り組まれるのかお尋ねをいたします。
  182. 但木敬一

    ○但木政府委員 委員指摘のとおり、行政改革会議の最終報告におきまして、公正取引委員会を初めといたします行政審判機能を担う機関の統合も検討に値するとされております。そして、その検討対象となります機関につきましては、公正取引委員会、公害等調整委員会、特許庁、海難審判庁及び電波監理審議会というのが対象となっております。  この五つの機関が選ばれました理由につきましては、「現に裁判機能の一端を担っている行政審判についての統合を検討することも考えられる。」という形で、そこの仕切りは、当面、裁判機能の一端を担っている行政審判ということでこの五つが選ばれているというふうに考えております。  ただ、最終報告におきましては、それと同時に、これらの機関の組織形態がそれぞれ異なっている、あるいは、所掌事務についても、審判のみを扱う機関もあれば、また、一定の企画立案機能を持っている機関もある、また、審判業務そのものを見ましても、不服の裁定を行う機関、それから、第一次的な行政処分を行う機関というように、機能もそれぞれ違っているところがございます。したがいまして、これらの統合に関して検討すべき問題点も少なからずあるということは、最終報告自体で指摘されているところでございます。  いずれにいたしましても、中央省庁等改革基本法案の五十条におきまして、規制緩和の進展に伴い、行政庁と私人間の紛争を解決するための行政審判の機能がより重要になることにかんがみ、政府において、その充実強化の方策及びこれを担う組織のあり方について検討するものとされておりまして、十八条におきまして、法務省はこれを支援しろということが法案に書かれておりますので、法務省といたしましても、これを支援してまいりたいと考えております。
  183. 中井洽

    ○中井委員 私自身は、実は、国会の任命を受けまして、裁判官訴追委員会のメンバーを二年ばかりいたしております。実に忙しい委員会でございまして、昨今は、すさまじい不満、不平で、委員会に対して訴えがございます。これらを含めてこの準司法の諸制度の改革というのはやっていかないと、到底国民の要望にこたえられないな、このことを痛切に感じています。  しかし、問題は、そういう制度改革じゃなしに、二十一世紀に向かって、世界に通用するような行政のシステムをつくっていく、情報公開もするんだ、あるいは、総理以下たびたび御答弁になりますが、事前の指導型の行政から事後チェック型の行政に変えるんだ、こう言われております。私は大賛成でありますが、問題は、形を変えることも大事ですが、法体系をどうするんだ。  今の日本の法体系は、ほとんど、例えば、一番問題になりました大蔵省の銀行や証券会社、この指導、あの事件ででも罰則は実に軽い。なぜかというと、大蔵省が認可する銀行、証券だから悪いことはしない、悪いことをするのはそこに働く職員だ、だから、その証券会社や銀行が職員を訴えなさい、こういう形になっていまして、銀行や証券会社のトップというのがめったに罪にならない。つい最近、初めて罪になったけれども、騒がれている割には極めて処罰が軽い。これは、役所が行政指導したり、あるいは許認可するから悪いことをしないんだということが前提だ、そういう法体系になっているんじゃないか。  これは、事後チェックでやるというのなら、もう法律を、発想をすべて変えていかないと、私は、追いつかないだろう、こう思っております。そういう意味では、立法というのは国会役割ですから、当然、私どもにも責任があります。しかし、この立法を、どんどんその体制をつくっていかないと、世の中の進歩あるいは世界の流れに追いつかない。ここが何一つ盛り込まれていない、議論されていないと、私どもは不満に感じております。  長官のお考えをお尋ねしますと同時に、法務省からも意見を承ります。
  184. 但木敬一

    ○但木政府委員 委員指摘のとおり、現在の社会は大変激動しておりまして、次の時代をにらんで、現在のシステムのままで果たして十分機能をしていけるかどうか、いろいろ考えなければならない点があろうかと思います。そういう点につきましては、特別法だけでなく、民事、刑事の基本法につきましても、抜本的な検討、見直しが必要な点もあるように思っております。  そういう意味におきましては、法体系というのは難しいですけれども、私どもが持っている基本法についても、やはり、次の社会を考えながら検討をしていくべきものと考えております。
  185. 小里貞利

    小里国務大臣 お話がありましたように、公務員の驕奢あるいは汚職等、本当に頻発をいたしておりまする昨今でございました。  お話しのとおり、裁量行政等を徹底的に縮減をいたしまして、事前管理から事後チェック、そしてルールを明確にして、具体的に、しかも裁量の余地の少ない、そのような一つの根幹にかかわることを、行政を透明化するためにも、あるいは簡素化するためにも、徹底して腰を据えてやるべきであると思っております。
  186. 中井洽

    ○中井委員 最後に、自治大臣にお尋ねをいたします。  行政改革と言いますと、あるいは中央省庁の統廃合、再編、こう言いますと、必ず、中央、地方の問題が出てまいります。私は、もうそのことを繰り返すつもりはありません。また、地方自治の大切さについても十分承知をいたしておりまして、地方自治に介入をしたり、口出しをしたりというつもりも余りありません。  しかし、現行の日本の諸制度の中で、三千四、五百の地方自治体がある、県から町村まで。本当に、今の財政状況あるいは今の国民の税負担の中で、三千四、五百の市町村を維持していくということが必要なのか。また、これから、広域行政も含めて、介護保険等、もう小さな町村では到底やれない問題がたくさん出てきておる。私の子供のころに比べても、道路、通信網、交通網の整備というのは、もうすさまじい勢いで進んでいる。東京へ日帰りで往復できるのは、ほとんど日本国内はできるようになった。そういう時期に昔ながらの町村単位があるということは、私は、どうだろう、こう思っています。  そういう意味で、私どもの党は、行革の柱の一つに、やはり、三百から五百ぐらいの市に合併をしていただく、そのことによって地方分権を担うレベルの高い市町村あるいは市をつくっていく、こういう提言をいたしております。  自治大臣として、合併をしろとかなんとか言いにくいと思います。しかし、これをやらないと、本当の補助金というのがそんなに出せるのか、今のままでいったら小さいところの方が本当に有利だみたいな形が続き過ぎている、こんなことを含めて、どのようにお考えか、お聞かせをいただきます。
  187. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えをいたします。  私は、委員指摘のとおり、御心配のとおり、この地方分権推進という新たな事態を受けまして、この地方三千三百の団体がどのような形で受け皿を選択していくかというのは大変重要な問題だと思います。地方分権の成否がむしろこれにかかっておる。  そのような意味からいたしますと、例えば介護保険にいたしましても、決して小さなところが有利じゃありません。小さな行政体では受けられません。それは広域行政で受けるのかという問題になるわけです。地方分権の受け皿といたしましては、市町村の合併でいくのか、あるいは広域行政でいくのか、その選択は自主的、自律的に将来を見通して地方団体のお決めになることです。  しかし、私の個人として、個人というか大臣としての意見を求められれば、私は、効率的な財政運営、行政運営あるいは高齢化社会や少子化社会に対して対応するのは合併しかない、全く委員の御見識と一緒であります。さような意味からいたしましても、どういうふうな方向に持っていくかというのは、今度の行政改革地方分権推進の非常に問われた問題であり、幾ら財政改革をやっても、税制の改革をやりましても、効率的な地方の団体としての受け皿が行政的にも財政的にも整備をされなければ、私は意味をなさないと思っております。  さような意味で、委員がおっしゃっておりますように、では例えば三百というような形でいいのかというと、私はそうはいかないだろう。一つには、それぞれの行政分野ごとに望ましい市町村の規模は違っておるわけでございまして、各地域におきまして重点的に取り組む施策は異なるものと思います。さらに、市町村は地域の整備や振興を担う地域経営主体でございまして、地域が自立するための振興、活性化を図る上でも自然的あるいは社会的条件の違いを考えなければならず、例えば大都市周辺の地域と山村地域とではその実情が違うわけでございます。  したがいまして、こういうことも十分考えまして、数でどうだというわけにはまいらぬけれども、ただ一点だけ申し上げれば、行政の効率化あるいは財政改革を受けた後の財政の運営の効率的なものも含めますれば、当然、私は、効率的、先で行き詰まらないということになれば、市町村合併をより促進することである。  そして、もう一つ申し上げたいことは、今までは地方分権という事態が具体化しておりません。いよいよ具体化してきます。そうすると、市町村合併に対する県の対応はこれまでと違った形で汗を流してもらわなければならないだろう、私はこのように考えております。
  188. 中井洽

    ○中井委員 なかなかこの市町村の合併というのは、難しい問題でございます。また、市町村におかれましても、例えば私の選挙区は三市ありますが、ことしこの二つの市で市会議員の定数を削減いたしました。そういうふうに頑張っていただいていることもあるわけでございます。しかし、国家のあるいは地方自治体の財政状況や国民の税負担のことを考えますと、私は、合併をしない限りもう国はもたないのだろう、それも非常に速いスピードでやっていかないと、想像以上に厳しい状況になるだろう、このように思っています。  私のグループの議員連中や御推薦申し上げます首長さんにやかましく言いますけれども、まだまだ余裕があるように思っていらっしゃる。同時にまた、合併すれば何かいいことがあるよというような、苦みたいな発想での法案でもつくってくれぬかという話もございます。しかし、そんな状況でもないだろう。ここら辺はお互い超党派で、中央も頑張る、地方も徹底してやはり税の節約、効率化、こういったことをやらなければ日本はもたないと言い続けなければならないのだろう、それもスピードアップをしなければならないのだろう、このことを痛切に感じています。自治省としてあるいは自治大臣として、どうぞひとつ、お立場は難しゅうございましょうが、率先して頑張っていただきますよう強く要望して、質問を終わります。
  189. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、松本善明君の質疑に入ります。
  190. 松本善明

    松本(善)委員 農水大臣からまずお伺いしようというふうに思います。  私のお聞きをしたいと思います点は、この最終報告といいますのは、国づくり、「国のかたち」を強調しているわけでございますけれども、最終報告は国家百年の大計ということも言っておりますけれども、農業分野で二十一世紀を展望した国づくりの法案に一体なりているだろうかという問題意識で質問をいたします。  申し上げるまでもなく、農産物の輸入の自由化がそのたびごとに日本農業に打撃を与えてきておりますが、特に米の輸入の自由化以来、日本農業は崩壊しかねない重大事態を迎えていると私は思います。私は、質問の前提として、農水大臣とも共通の認識に一応立ちながら質問をしたいと思いますので、歴代の農水大臣の発言について紹介しながら、現状を明らかにして、そして質問しようと思います。  WTO協定批准のときの農水大臣は大河原さん、大河原農水大臣は調印のときには野党でありまして、参議院で畑英次郎農水大臣の問責決議案を提案をされました。その中で、幾つか見ますと、三度にわたる国会決議に違反をしているとか、食糧の安全保障の放棄だとか、我が国農政史上かつてない、例を見ない大失態とか、取り返しのつかない大失策、こういう激しい言葉で糾弾をされました。そしてその後、批准のときは農水大臣になられたのですね、私もこれは追及もしましたけれども。  その後はここにおいでの野呂田農水大臣でございます。野呂田農水大臣は、「主食である米だけはウルグアイ・ラウンドの対象外にしろという主張を今から」今というのは当時のことで、三年前でございます、」「しなければならない」。その後は大原農水大臣、「主食の自給は国策の基本としなければならない」、「今のように豊作なのに輸入しなければならないというのはナンセンスだ」、これらは皆、私どもが予算委員会などで確認をしている発言でございます。  その後、藤本農水大臣は、一昨年十一月のローマでの食料サミットで食糧安全保障をテーマに発言をして、世界食糧安全保障のためのローマ宣言が発表をされました。  島村農水大臣は、三月のOECD農相会議で、食料サミットで合意された食糧安全保障の達成について発言をされました。  農水省の編成方針を拝見をいたしましても、この食糧安全保障は」言も書かれていないのですね。国民に安全な食料を安定的に供給するというのは政府の第一義的な任務だと思うのです。食料がなくなるといったら大変な事態ですよ。これは何よりも大事なことだろうと思います。ところが、このために計画的な食料自給率の向上が必要だと思いますが、自給率向上の一言もありません。これでは、世界的に食糧不足が大問題になっているときに、二十一世紀を展望した国づくりの法案とは到底言えないのじゃないか、こういうふうに思いますが、農水大臣はこの点はどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  191. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  今、松本先生がいろいろ御指摘になった農林大臣の発言の経緯ですね、これはまさしく日本農業がこのところ直面した、いわば時代の変化といいましょうか、国際情勢の変化といいましょうか、まさににわかに大波をかぶったような大変な転換期に立つ大臣の苦渋に満ちた御発言だったと思います。  現に、今御指摘になりましたOECDの農業大臣会合へ行きました際にも、少しく意図的な布陣をしているのかなと思えるくらい、農業大生産国がそれぞれの地域に分布して、各方面から、農業にもっと市場原理を導入すべきだ一自由貿易が世界の潮流であるとするならば農業だけが特別のものではないのであるということで、最初は非常に強烈な陣立てを私たちは直感したわけであります。  しかし、これに負けているわけにいきませんし、食料の安定供給ということについては、我が国の場合は穀物自給率二九%という極端に低い自給率でございますし、極東の島国でもありますし、また、EUなどのように、農業生産国がお互いに国境を接している、互いに融通し合い、かつ一つの国家圏、経済圏を形成しようという動きがある国ならともかく、あるいは、アメリカやカナダあるいは豪州など自由にお互いがそういう意味の供給のし合える環境にあるならともかく、日本の場合は極東の島国であって、かつて歴史の経過を見ても、いわば食料の大変世界的な不作であった一九七二年を初めとして、あれはたしか七二、七三年と続きましたし、また、国内的にも、気象条件の大きな変化の中で昭和五十五、五十六、五十七、五十八年だったでしょうか、四年連続の二十五ポイントも切り込むような時期がありましたし、平成五年のいわば作況七四というような経過もございました。  こういうようなことごとを全部私は訴えまして、それで、初日はともかく二日目には、大きく状況が変わったな、こんなような状況になったくらい、まさに国際的な意見としては相当強烈ないわば市場原理導入の意見が強いわけであります。そういう中で、我が国は、いわば自由貿易の最大の受益国といいましょうかそういう立場でありますから、いろいろ事情事情として、そういうことは踏まえながらも、我々は二九%という極端な自給率であって、先進国の中ではイタリーの八八%が私たちの次の立場にあるぐらいで、ほかはみんな一〇〇%を超えているという実態等も全部訴えて、初めてほかの国々の理解が得られたというような状況。  そんな中で我々が主張したのは、今御指摘もありましたけれども、農業の持つ多面的機能ということについて、いわば結果的には共同コミュニケに盛り入れて理解を得たところであります。  今の二九%という低い自給率をこのまま放置していくというような御指摘でございますが、我々は決してそんな考えに立っているわけではありません。最終的には夏をめどとして御答申をお待ちしております食料・農業・農村基本間周調査会の御答申を踏まえて、我々はどの辺の水準に持っていくかということを考えていこうと思ってはおりますものの、やはり何かの際に我々が国民に食料の供給に不安をもたらすようなことがないように、いろいろな角度から万全の備えをしていくということが当然に必要なんだというのを我々は考えているところです。  さて、そういう意味からいきますと、今回の改正案によりますと、食料の安定供給の確保というのはあくまで重要な任務である、これを一番最初にきちっと基本法案に盛り込まれていることの中でもわかり切ったことではありますものの、やはりこの改正案の中でもいわば最も重要な意味合いにこれをとらえられていると我々は受けとめているところでございますし、そのほかいろいろな問題を全部取り上げれば、当然、農村、中山間地域等の振興を主要な任務として取り上げたり、あるいは単に生産者だけでなくて、消費者、原料ユーザー、それぞれの立場を重視しつつ、いわば将来に向かっての食料安定供給を図るということもあるわけですし、また、国土の保全あるいは環境、景観等につきましても、あくまで多面的機能というものを明確化して、今までにないくらいきちつとこれを前面に打ち出していることも、私は大きな前進がこの中に盛り込まれている、こんなふうに受けとめているところです。当然のことに、緑と水の確保を図る森林の保護、育成を主要な任務とする等々、あらゆる角度からのいろいろなこれからの農林水産行政を展望した大事な要素が、いろいろな角度が盛り込まれているという意味で、私は非常によくできた案である、こう考えております。
  192. 松本善明

    松本(善)委員 私は先ほど歴代農水大臣の発言を御紹介しましたが、発言そのものは私も賛成なんですけれども、実際の施策にはあらわれてこないんですよ、率直に言って。何もあらわれてこない。今の農水大臣の御発言を聞いても私は同じように思います。自給率の向上ということが一言も書かれていないです。  確かに二十三条の一項には、「食料の安定供給の確保の観点から、国、地方公共団体及び生産者の役割について、その分担の明確化を図ること。」とあります。これは自給率の向上につながらない。やはり自給率の向上を明記すべきです。それが何にもなっていないということについて、私はだから、二十一世紀の日本の食料の問題について、国づくりの問題になっていないと言っているんです。  あなたの言われた二十三条一項は、農業生産振興に一義的に責任を負っていたのはやはり国でありますから、その役割を縮小をさせて、地方公共団体及び生産者に責任を分散させるということになっていくと思います。財源問題では、この方向は、国の支出削減地方自治体の財政負担の増大、生産者に対する各種支持価格の削減が予想される。方向は、私は逆だと思います。  それから、二十三条の四では、「生産性の高い農業を実現するための農業構造の改善を推進」とあります。これは言うならば、十ないし二十ヘクタールの大規模農業に農業政策を絞り込む新政策でして、これはもう九割の農家を切り捨てることになる。家族経営中心の日本農業を崩壊させることになります。今、十ヘクタール、二十ヘクタールやっている、政府の言うとおりやってきている農家が悲鳴を上げていることは、皆、農水大臣も御存じのとおりです。私はこういう方向では、日本の二十一世紀は国民の食料を確保するというのは到底無理だ、もう極めて遺憾に思っております。  私はもう一つお聞きしたいのは、WTO協定の改定の問題。先ほど野呂田元農水大臣の発言も御紹介をいたしましたけれども、これも明記をしていない。安全な食料の安定的供給と農業を市場原理に任せるということは矛盾しているんですよ。農水大臣、そう内心は思っていませんか。オーストラリアだとかアメリカは百五十ヘクタール、二百ヘクタールでしょう、単位が。それと市場原理に任せて、どうして日本の農業が成り立っていきますか。農業を市場原理に任せるならば、政府のこの食料の安定的供給という任務は遂行できないですよ。完全自由化が目前に迫っておりますけれども、減反のしようもないですよ。農業は、このまま完全自由化すれば崩壊する以外にないです。二〇〇〇年に始まるWTOの農産物交渉、これは、国民に安全な食料を安定的に供給するという観点からWTO協定を変えなければならない、そして、農業については別だ、市場原理の別だ、そして日本の国民の食料を守るんだということがこの農水省の編成方針に明記されていなければ、国民が安心してこんなもの支持できないですよ。農水大臣、どう思いますか。
  193. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 市場原理を導入し、国際分業の時代であるというのが、いわば農業大生産国の国々の主張した、当初の主張でありました。  しかし、私は、農業の持つ多面的機能ということとあわせて、今御指摘がありましたアメリカとか豪州とかは、農地面積は全然比較にならないではないかという御指摘でありますが、なるほど、アメリカは日本のいわば百二十七倍の面積です。豪州に至っては二千六百六十七倍と記憶いたしますが、もう比較にならない。そういう国々が将来に向かって、要するに絶対的な食料の安定供給に対する責任を持つということが果たして可能かどうか。現にあなた方は、歴史的な経過を見てもそナいうことについて全くその考えに反する行動を現実に今までしるしてきたのではないかという強い反論をして、最終的には彼らもその事実を認めて、単なる市場原理の導入ということを引っ込めたといいましょうか、要するに農業というのは、それぞれの国の実情があり、多面的機能というものも一方にあるので、これを無視するわけにいかないということが共同コミュニケに盛られたというのが事実であります。  私は、例えば二九%の穀物自給率、カロリー換算なら四二%という食料の自給率がまともなものだとは思っておりません。しかし、将来に向かって、国際的にも我が国の努力の成果というものが示し得るような、これからの効率のいい、いわば生産性の高い農業に我々が努力をしているという結果だけは見せないことには、自分の国の権益だけはしっかり守って、外へ出ていって遠慮なく稼ぐということはやはり許されない環境にあるのだ、こんなふうに考えております。
  194. 松本善明

    松本(善)委員 農水大臣、今おっしゃったことはもう当然のことなんですが、それがここに書かれてないというところが大問題だ。これは、率直に言わせてもらうと落第点ですよ。もしあなたが言われるとおりなら、それを書かなければだめだ。書くために閣議で、これは何で書いてないんだ、こう言って小里さんに迫るべきですよ。そういう性質のものだということを言っているんですよ。  小里長官に伺いたいのですが、今私は農業の問題について伺いましたが、二十一世紀にわたって、日本の農業を守って国民に安全な食料を安定的に供給するという立場に立っているかどうかということは、私は農業関係研究機関の扱いで一目瞭然だと思います。  農業関係研究機関は、農業総合研究所以外は、すべて独立行政法人の対象となる最終報告別表一に入っております。国家百年の大計というならば、二十一世紀の農業問題についての研究は、国家的見地から最も重視をされなければならない。ところが、ほとんどすべて、国が責任を持って研究を推進するということに考えていない。これは、食糧安全保障などということを農水大臣はOECDで言われたけれども、考えていないということの最大の証拠じゃないですか。長官の御答弁をいただきたいと思います。
  195. 小里貞利

    小里国務大臣 先生の明快な演説で強調なさると、まさにそのとおりかなという誤解もあり得ると思いますが、御承知のとおり、行政改革の最終報告におきましても、国の最重要施策の一つとして食料の安定供給は必要ですなということを、きちんと大きな柱でうたっておりますことも事実でございまして、その辺はひとつ適切に御理解をいただきたいと思う次第です。なおまた、その裏打ちにつきましては、先ほど農林大臣の方からお話しいただいたとおりでございます。  さらにまた、ただいま御指摘がございましたのは、農林水産省関係の政策研究等のことについてのお話であろうかと思うのでございますが、国が直接実施する肝要なものにつきましては、そういう業務を行う機関以外の機関はいわゆる原則として独立行政法人に移し、こうやってありまして、その前提の政策研究等の国が直接に実施する必要のある業務は、きちんとこれはそのまま継続して大事にいたさなければなりませんということがあるわけでございまして、その意味におきまして総合的に御理解をいただきたいと思います。
  196. 松本善明

    松本(善)委員 長官、誤解でもなければ、極めて正解なんですよ「だって法案に書いてないんですから。  それは、何と弁解をされようとも、これは非常な軽視です。中心的な任務にならなければならない農水省、中間報告では農水省がなくなると大問題になったでしょう。私はいよいよここまで来たかと思った。それはもとへ戻ったけれども、しかし中身は農水省、農業がなくなるのと同じ方向なんですよ。だから問題にしているんです。  それで、試験研究機関につきましては、国がやらなければならぬものはやると言いますけれども――長官も大分焦ってこられて、私は長官は冷静で大変温厚な方だと思っていたけれども、だんだん審議の進んでいる中で、自席から不規則発言をされるとか、私は、議論の中で、やはりこれは相当まずいなと思うことがいっぱい出てきた証拠だと思います。まあ静かにお聞きください。  私は、つくばの研究機関を訪れました。そして、本会議で問題にしましたけれども、国立研究機関の協議会の代表幹事が国立研究機関の多くが効率化を眼目とした独立行政法人にはなじまないという報告を出した経緯を、詳しく説明していただきました。私は、国立研究機関の代表がこういうことを、私はもちろん面識はありませんが、共産党の代議士にその訴えをされる、これはとんでもないことをやり始めているなということを思いました。  農水省関係の十一の研究所長との懇談を申し入れましたが、全員おいでになりました。そしてお話がいろいろありました。農業、環境研究はもうからない研究だ、食料自給率向上をどこまでやるかという研究に金を出す企業はない、そうなれば国民的研究機関はなくなる、このままでは日本の農産物の価格は二〇一五年には二倍以上になるという研究は公共的にやらなければならない、寒さに強い北海道の米の開発には十五年かかっている、大豆はなくなって十年になるが、研究の蓄積がなくなり取り返すのに二十年かかる、こういう苦衷がこもごも述べられました。こんなものは、独立行政法人になってじゃ、研究に金を出す企業なんてないです。これはもう、農業関係の研究機関の皆さんが全部言っておられる。そんな声が一言も、この最終報告でも、それからこの議事概要でも、全くないですよ。そんな議論をした経緯は全くないです。  しかも、では、それはあったのか、議事録を出せと言ったら、議事録も出さない。そんないいかげんなことで、「国のかたち」だとか、それから二十一世紀の日本を考えられたらとんでもない、そう思いませんか。
  197. 小里貞利

    小里国務大臣 今次の行政改革の、今おっしゃる独立行政法人への大筋において、若干私は誤解があるのじゃないかと思うのです。  それは、今御発言になったことに直接話を合わせまして申し上げたいと思うのでございますが、いわゆる研究機関の設置目的、性格等の多様性を尊重いたしまして、まず自主的、自律的な管理運営を可能といたしますというのは、もちろん原則の一つであります。しかしながら、いわゆる自主的、自律的な管理運営を可能とすると同時に、財務運営においても弾力的かつ効率的な運営が可能となるようにいたしますと、これはきちんとその原則をわきまえておりますから、同時に、試験研究機能の向上を図るものでありますと、決して試験研究機能の向上を乱すようなことはいたしませんよと、それはきちんと私どもも原則に整理をいたしておるところでございます。こういう大きな柱もあるよということだけは、ぜひ松本善明先生にも御理解いただきたいと思う次第です。  なおまた、この制度の導入は、効率性のみを追求し基礎研究を軽視するというようなものではございませんでして、独立行政法人化により、各研究機関の活動の自律性、柔軟性、競争性を高めることを通じまして、基礎研究を含む試験研究機能の一層の向上を図ることを旨といたしておりますということをきちんとこの際申し上げさせていただく次第です。
  198. 松本善明

    松本(善)委員 長官が一生懸命この法案を弁護をするというのは、職務上しようがないかもしれませんけれども、実態はそんなものじゃないですよ。この議事概要で見ますと、試験研究機関については原則として独立行政法人化する。農水省については農業総合研究所だけが残してほしいという要望があって、結局、議論としては、試験研究機関を独立行政法人化することで合意した、これだけですよ。国家百年の大計がこんなことでやられたらたまったもんじゃないです。  首を振っておられるから言うけれども、そのほかにそれは資料が出されました。出されて、そして、そういうことをやったら困るという意見もつけられている。それが無視されてやられているんですよ。私は、この経過を見て、本当に行政改革会議って何をやっているんだと本当に憤りを感じました。そうですよ。  それで、あなたは、独立行政法人がやるということになってもちゃんとやるんだということを、今申されました。これはまとめて後でやります。だから、今反論されなくて結構ですが、私は、これは後で十分やります。  それで、独立行政法人そのものについて伺おうと思います。独立行政法人の議論では、独立行政法人の対象があいまいなのです。改めて聞きますが、法案の三十六条では、独立行政法人については、「政府は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要はないが、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるか、又は一の主体に独占して行わせることが必要であるもの」これを独立行政法人にするとしております。  これはかなり広範なものでありますが、最終報告は、行政改革会議の論議で取り上げられたものを整理したものとして、別表一、二を検討対象となり得るものとして列記をしております。ここに試験研究機関だとか、委員会でも議論になりました国立病院だとかあるいは航海訓練所とか、いろいろなものが入っているわけですね。独立行政法人の対象になりますのは、この別表一、二だけなのか、もっとふえるのか、ここに入っているものも減るのか、そこはどういうことなんでしょう。
  199. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 委員指摘のとおり、この別表の性格は、行革会議の論議で取り上げたものを整理したという位置づけでございますので、これよりも外に出る可能性があるのかというお尋ねであれば、可能性としてはあるということでございます。では、この中に掲げているものがすべて法人化にしなければいけないのかという点についても、この整理をしたという位置づけであれば、この点についてもなお今後の幅を持って見るべきものだということでございます。  ただ、この行革会議長終報告の全体を通じた考え方からいけば、できる限り積極的かつ広範に対象を検討してほしいという趣旨は最終報告の中に出ておると考えております。
  200. 松本善明

    松本(善)委員 今の答弁はわかりましたが、最終報告の別表は、研究機関、病院など、施設等研究機関の名を挙げておりますが、法案四十三条では、その施設等機関の見直しを明記をしております。  四十三条一項では、「政府は、施設等機関について、国として必要なもの以外のものについては、民間若しくは地方公共団体への移譲又は廃止を推進するほか、その必要性が認められるものについても、府省の編成に併せてその統合を推進するとともに、各施設等機関の性格に応じて独立行政法人への移行を検討するもの」としております。これが四十三条の第一項でありますね。  それで、第二項以下に、国立大学でありますとか、国立病院、試験研究機関、検査検定機関、文教研修施設、作業施設等々、それぞれ見直しの方針を示しております。二項以下七項まで皆一項の適用を受けるのか、言いかえれば、この二項以下の国立大学以下のものは、民営化、廃止あるいは独立行政法人の対象になるのかということをまず確認をしておきたいと思います。
  201. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 御指摘の四十三条第一項は、施設等機関全体をカバーする方針として掲げられておるものでございます。そして、二項以下は、その施設等機関に含まれますもののうち、それぞれの項に掲げるものにつきまして、なお個別の行革会議の検討はなされたという結果を踏まえて規定をいたしておるものでございます。したがって、この一項とその他の項の関係は、一項をさらに具体的に敷衍して規定をしている、そういうふうにごらんをいただきたいと思います。
  202. 松本善明

    松本(善)委員 文部大臣に伺います。  今答弁がありましたように、国立大学も、今回は先送りをされていますけれども独立行政法人になるという可能性があるという中に入れられております。最終報告でも、「大学改革は長期的に検討すべき問題であり、独立行政法人化もその際の改革方策の一つの選択肢となり得る可能性はあるが、現時点で早急に結論を出すべき問題ではない。」としてはいますけれども、この対象になり得るというものに上がっていることは、間違いないですね。  民営化等の問題を研究している国立大学協会の特別委員会委員長の阿部謹也一橋大学学長は、そういうことになると、学費は四倍、五倍、年二百万円になると言っています。こうなりますと、もちろんこれは私学にも影響してくるでしょう。こういうことになってきますと、お金がないと、あるいは金持ちの師弟でなければ教育を受けられない。日本の高等教育といいますか、研究とかそういう分野が非常に狭くなってしまいます。教育という分野から見ましても、私は、これを対象に入れているということは重大なことで、一体、教育というものの本質を理解をしていないのではないかというふうに思います。文部大臣、いかがお考えでしょう。
  203. 町村信孝

    ○町村国務大臣 国立大学の独立行政法人化のお尋ねでございますが、行革会議の最終報告は、今委員がまさにお述べになったようなことで、現時点に早急に結論を出すべき問題ではない。ただ、国立大学の現在の姿が果たして満足いく姿になっているであろうかといえば、それは多々改革を要する状況にあるということもまた間違いがない。そのことを踏まえながら、この四十三条でも、適正な評価体制をつくることとか、あるいは情報の公開、人事、会計、財務の柔軟性の向上、あるいは大学の運営における権限、責任の明確化、事務組織の簡素化、合理化、専門化、こうした観点からさらに必要な改革推進しなさい、すべきである、こういう第二項の規定があるわけでございます。  私ども、これらはいずれも必要な検討課題であり、現在、大学審議会におきましても、二十一世紀の大学像と今後の改革方策ということを昨年の秋に諮問をいたしまして、目下この審議会におきまして、こうした法律で述べられている点も含めながら鋭意検討を進めているということでございます。
  204. 松本善明

    松本(善)委員 文部大臣、私は、大学も、それはいろいろ改革しなければならない問題が結構あるだろう、これは否定はしません。しかし、問題は、独立行政法人の対象の中に入れているということなんですよ。そして、しかも大学の学長がつくっている国立大学協会が反対している、それを押し切ってこの対象の中に入れているというところに問題を感じているのです。  もう一つ伺いたいのは、国立大学協会は、この問題については、教育の根本問題に触れることなく上からの改革としてなされた場合我が国の将来に決定的な禍根を残す、ここまで言っていますよ。学術研究においては長年の蓄積が生命であり、一たび中断すれば再び立ち上がるための莫大な年月が必要になると反対をしています。ガリレオの例を出すまでもありません、学問というのは、研究というのは、何もすぐ目の前に役立つということではないのです。効率だとかあるいはすぐ金になるということと関係なく、真理を求める、科学の法則を求める。社会科学についても同じです。そういう観点で、私心を捨てた研究がなされなければ、まさに二十一世紀の日本の将来にとっては重大な禍根を残す。  私は、これを見まして、先ほどの試験研究機関の問題もそうですけれども、学問あるいは教育の将来、二十一世紀のあり方を本気で検討したものとは到底思えない。文部大臣、この学問とか研究とかいう根本問題について、今、国立大学協会が反対をしているというこの問題について何とお考えですか。
  205. 町村信孝

    ○町村国務大臣 国立大学協会の皆さん方はそれぞれのお立場で真剣な御議論をしておられる、私どももそう思っております。ただ、それは国立大学協会のみならず、これはいろいろな団体がそうであるように、ややもすると、現在の姿をもってよしとするというおそれがなきにしもあらずであります。  したがって、私は、現在の国立大学の中でも、本当に今のままの姿でいいのか、一生懸命今各国立大学で改革努力をしておられます。その努力を私どもも多とし、応援をし、そうした方向がよりしっかりとしたものになるように審議会への諮問を行ったわけでありますが、中には、今のままでいいのだ、改革など必要ない、極端に言えばそう言わんばかりの反応をしておられる国立大学もあります。私は、率直に言ってそういう国立大学はいつまでも存続できませんよとまで、国立大学の総会で申し上げたことがございます。そういう意味で、私は、国立大学協会の皆さん方にも、思い切った改革に取り組んでくださいという趣旨のことは申し上げております。  そういうことを前提にした上で、果たして国立大学の独立行政法人化が本当になじむのかどうか。私は、一つの選択肢となり得る可能性があると指摘をされておりますので、その可能性を今あえて否定はいたしませんが、しかし、独立行政法人一般論で言いますと、例えば定型的な業務になじむとか、あるいは三年ないし五年ごとに業務継続の必要性を見直すといったようなことも一つの特色として挙げられておりますが、そういう意味で、今委員が言われた教育あるいは学問というものは、三年、五年で見直すといったようなものではなくて、ある程度長い時間で長期的にじっくり取り組むということが必要でもありましょうし、また、今すぐ役立たなくても、やはり非常に多様な研究を下部から積み上げていくと、そこからある日突然花が咲くというようなこともありますので、そういう意味で、私どもも、本当に独立行政法人に心底なじむものかどうか、そこは今後さらに慎重に検討を要するものであろう、かように考えているところであります。
  206. 松本善明

    松本(善)委員 文部大臣のおっしゃった最後のところ、そのとおりなんだと思うのですよ。国立大学の皆さん方が私利私欲で動いているというふうなことは、大変私は侮辱だと思いますよ、もしそうお考えであればですよ。  こういう反対意見が出ていれば、やはり十分にその意見を酌み取って、議論をしていくということなしにこのことを決めてはならぬ。橋本内閣だっていつまで続くかというのはわからないでしょう、これは率直に申し上げますけれども。今私たちが議論をしているのは、二十一世紀の日本をどうするかという国家百年の大計ですよ。いろいろな意見が出るのは当然です。その意見をやはりちゃんと全部酌み取って、なるほど、よし、これはこういうことでいこうじゃないかという議論でしなければ、国民は絶対に納得しないですよ。そういう危険があるから言っているのです。  私は、ちょっと時間もありませんので、長官に……(町村国務大臣「ちょっと」言しと呼ぶ)それでは後で、どうぞ簡潔に言ってください。長官にまずこれをちょっと聞いて、そのときにどうしてもということなら、断るものでもありませんけれどもね。ちょっと時間があって、長官の出番がなくなるとぐあい悪いので。  法案三十二条二号で、政策の実施に係るものについては独立行政法人の活用を進め、その自律的及び効率的な運営を図ることとしております。このことは、実施機能を担う委員会や実施庁も独立行政法人の対象になるということだと思います、先ほどの別表一、二だけでなくて。そういうことでありましょうか、端的にお答えいただきたい。
  207. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 御指摘の三十二条の規定でございますけれども、この規定で、民間もしくは地方公共団体への移譲、廃止あるいは民間事業への転換を行わないこととされた事務事業のうち、政策の実施に係るものについては独立行政法人云々の規定、この規定は、現在国の行政機関が実施しております実施業務のうち、国ではない民間その他に移せないものについてまず独立行政法人化を検討してはどうかということを規定しておるものでございます円したがって、言いかえれば、国が行っている事務事業のうち、国がみずから主体となって直接実施する必要がない一定のもの、それが独立行政法人の対象になるわけでございます。  他方、実施庁として規定をされております対象となるものの事務は、引き続き国がみずから主体となりて直接行うことが適当と考えられるもの、そういう事務にあって、その組織形態について実施庁の形態を積極的に活用してはどうかということを意味する規定ということでございまして、対象とする事務の性質が異なるものとして御理解をいただきたいと思います。
  208. 松本善明

    松本(善)委員 聞いたことは、いずれにしても、これは、実施官庁は独立行政法人の対象になり得るということでしまう。それを否定はしていないですね、今の答弁は。それはそういうふうにきちっと法案に書いてあるのです。  それで、お聞きをしたいのは、そうすると、この法案による独立行政法人の対象というのはどこまで広がるのだろうかという問題を私は問題にしたいのですよ。最終報告の別表一に挙げられておるのは、これはもう問題ない。実施機能を主とする委員会、実施庁は、この法案の別表三に挙げられております。十六条関係。その別表三の上段は、「主として政策の実施に関する機能を担う委員会及び庁」となっておりまして、国税庁とか気象庁とか社会保険庁、その他ずらっと入っていますが、これは、この条項から見ますと、やはり独立行政法人の対象になり得る、こういうことでありましょうね。端的に答えてください。
  209. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この基本法案が射程に置いております改革の範囲にあっては、これらは実施庁として基本法が位置づけたものでございますので、実施庁をスキップして、あるいは実施庁ではなくして直ちに独立行政法人にしろという規定の構成にはなっていない。実施庁としてこれを置くという規定になっておるわけでございますから、質問の御指摘、ちょっとはっきり私ども理解しておらないかもしれませんけれども、この実施庁がそのまま独立行政法人化の対象だということであれば、まずは実施庁ということで、独立行政法人化の対象にはこの基本法案としてはしていない、この基本法の射程の範囲では。
  210. 松本善明

    松本(善)委員 ちょっとはっきりさせたい。あなたが理解していないということになると、だれも理解していないということになるのだよ。これは、法案を読む限りは、実際の実施庁は対象になり得るということが書いてある。しかも、別表には実施庁として書いてある。これは、独立行政法人の対象にはならないということが明言できますか。
  211. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 独立行政法人の制度が創設され、それが今後ずっと将来にわたって運用をされていく、未来永劫にわたってその可能性を一切否定をするということを私が申し上げるのはいかがかと思いますが、この基本法の射程、この基本法に基づく改革を二〇〇一年あるいは五年以内に行おうという形で組んでおります。その射程の中では、これは実施庁として位置づけられておるということでございます。
  212. 松本善明

    松本(善)委員 可能性は否定はされなかった。  それで、さらにもう一つ聞きたい。長官も適時おやりになって結構ですけれども、もう少し確かめておきたいのです。  別表三の下段ですね、これは十六条四項二号の庁ということで、企画立案の機関ということに位置づけられております。法文だけを見ますと、これは独立行政法人の対象にならぬように見えるのですけれども、私が事前に政府にお聞きしたところでは、これも対象になり得る。先ほど、三十六条の要件に合致する限りはみんな対象になり得るのだという説明がありました。それでよろしいですか。
  213. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先ほどの私の答弁に若干補足をしてあわせて申し上げたいと思いますが、先ほどの実施庁の機関、機関そのものが独立行政法人になるかどうかというアプローチでは、この基本法はできておりません。業務、この行政官がやっております業務をとらまえて、そういうものが独立行政法人化になじむかどうかということを検討すべきだという構成になっておることをまず御理解をいただきたい。  それから、この別表三の最下段の、いわゆる現在の外局は、政策の企画立案機能と実施機能をあわせ持つ外局として位置づけられておるわけでございますから、主として実施機能を分担する実施庁とは性質が違うものとして整理をしておる、それだけの表でございます。  したがって、独立行政法人化を行うかどうかということについては、実施庁であるか、あるいは外局であるか、あるいは施設等機関であるか、あるいは本省が直接やっておるか、位置づけは組織的にいろいろあるかと思いますけれども、そういう業務の中で独立行政法人化になじむものがあるかどうかということを検討する必要があるということでございます。  それから、もう一つ申し上げれば、それなりのやはり適性とまとまりというものも独立行政法人化の対象については検討する大きな要素になるわけでございまして、そういう面から申し上げて、先ほど申しましたように、この別表三に掲げられておるものは、この基本法が射程に置いています範囲においては、それぞれ実施庁あるいは外局として位置づけるということで、この基本法は方向を定めておるということはぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  214. 松本善明

    松本(善)委員 直接すぐこれが独立行政法人ということにはならないかもしれないが、しかし、内容的に実施庁ということになっていけば、上段のものも下段のものもなり得ることがある、いわばそういう説明だったと思います。それで……(小里国務大臣「三十秒」と呼ぶ)あわせて答えてください、もし答えることがあれば。  そうすると、結局、三十六条が基準なんですよ、非常に広いものです。いわば政策の企画立案機能以外はほとんど対象になり得る、三十六条だけが基準だということになればね。そうすると、一体、対象になり得るのはどのくらいの人なんだろうか。長官、先ほどから三十秒と言っておられるが、それとあわせて、どのぐらいの人が公務員独立行政法人の対象になり得る人、これは事務当局じゃなくて、長官がどのぐらいを頭に置いておられるか、お聞きしたいと思います。
  215. 小里貞利

    小里国務大臣 もう時間がないようでございますから、要約して申し上げます。  今、後段の説明で大体おわかりいただいたと思うのでございますが、大事な先生だけに、正確にひとつ御理解をいただきたいと私も念じておりましたが、重ねて申し上げますと、先生が言われておるように、こういう団体をたくさん別表一などで出したことは事実であります。しかし、これらのすべての団体が独立行政法人化の直接的対象であるごとくあるいは御発言なさったのかなということを、前段ではちょっと感じておりましたけれども、先ほど坂野審議官説明いたしまして、整理して申し上げますと、これは、主として行政改革会議の論議で取り上げられたものを、とりあえず整理して、参考までに、もうまさに参考の参考までにお出しをいたしましたという趣旨のものでございますから、その点御理解をいただきたいと思います。  それからもう一つは、最後の質問でございますが、では、どれぐらいの客体職員というものが出てくるのかというお話でございますが、それこそ、今度のこの基本法案国会の意思として決定をいただきまするなれば、それから具体的に関係省庁などの御意見もお伺いしながら、先ほどお話しになりましたようなことも参考にしながら、鋭意話を詰めていく、検討を詰めていく一つの過程におきまして、今お尋ねの問題等もおのずから整理をされてくる、さように思っております。
  216. 松本善明

    松本(善)委員 結局、どのぐらいが対象になり得るかということはお答えにならなかったのですが、私は、総務庁から資料をとりました。  九七年末の定員で、公務員は八十五万二千八百七十七人でした。実施庁関係、別表の上段でいいますならば、これは郵政事業を含めて四十万三千七百三十一人、企画立案関係、この下段のものが二万四千九百四十六名、施設等機関、先ほど見ました国立大学を含めて二項から七項まで二十三万八千百七十五人、企画立案関係は入り得るいうことはおっしゃったけれども、実施庁と、それから施設等機関を合わせたものは六十四万千九百六名です。定員で割りますと、七五%なんですよ。四人のうち三人が、独立行政法人の対象になり得るのです。  これは、先送りしているものもありますよ。だけれども、重大なことです。これはもう公務員は非常な不安を感じます。私はこういうことは、それこそ本当に十分な論議なしにやっては決してならぬことだと思います。  このことは法律が示している。先ほど長官は、いや何も、何でもかんでも民営化の方へ持っていくというんじゃないんだという趣旨のことを言われたけれども法案の三十六条一項の要件の一つは、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業という要件なんです。ところが、三十八条八号では、中期計画の、三ないし五年の期間ですね、その期間の終了時に「独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるもの」としている。それから三十九条では、総務省に置かれる評価委員会は「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃の勧告等を行う」という、独立行政法人は廃止ができるようになっているんですよ。それは、私は独立行政法人の――まあ後から、余り焦らないで、冷静にやってください。  それで、これはもう本当に、公務員にとっても国民にとっても重大な問題なんだから。そういう状況になっているんですから、簡単に独立行政法人と言われても、これは公務員は大変なことになります。国の行政機構としても大変なことになります。そんなものを早々の間にやるというようなことは絶対許されない。何か反論があれば、どうぞ。
  217. 小里貞利

    小里国務大臣 こんなことを申し上げて失礼かもしれませんが、先生は、何となく独立行政法人というものが悪であるような前提を置いたイメージでお話をいただくから非常に困るのでございますが、私は、そういうものではないと思うのです。  しかしながら、事を運ぶには、先ほどから申し上げておりまするように、真実に改革に徹するものでなければいかぬ。いわんや、国民が納得するものでなければいかぬ。なかんずく、国会等の意思をまさに最終的に御裁断いただけるものでなければ実現しないのでございますから、決して、そういう唯我独尊でこれをむちゃくちゃに進める無原則なものではありませんから、まず御理解いただきたい。  それからもう一つは、今、途中で独立行政法人を解体することができるかのごとくおっしゃいましたけれども、私は、それはちょっと誤解があるんじゃないかと思うのです。それは、独立行政法人になりますが身分はどうしますか、国家公務員ですか、公務員ですか、あるいは非公務員ですか、民間ですかと、いろいろそういう議論がありました。ですから、一応公務員という形でスタートをしてみて、途中において、いや、これは自律性、弾力性、そしていろいろ会計原則等を企業に近いものを研究してみたら、実際また業務を経験してみたら、これはもっと、いわゆる自律性を徹底した方がいいんじゃないか、あるいは、民営化を我々は希望するという組織なり職員がもし出てきたら、その辺にこたえられるためにこういう措置をとっておこうとしたものであると私は認識をいたしておるのでございます。もし間違いがあったら、また訂正をいたしますが。
  218. 松本善明

    松本(善)委員 私も、それは民営化をできる部門が全くないということはないと思います。それはあるかもしれないが、対象になり得るものが、私どもの調査では四分の三に及び得る。私は、全部法案に書いてあることを根拠に言っているのですよ。勝手に推測をしているのじゃないのです。これでは議論としてやはり未熟だ。では、行政改革会議で、国の二十一世紀を考えたときに本当ならば研究機関はどういうものを残さねばいかぬかとか、その根本的な論議がなされなければならぬはずです。そんな議論は全くないのですよ。効率化ということで一律にいくわけでしょう。本当に大ざっぱな議論ですよ、全部見ましたけれども。本当にこんなもので「国のかたち」だとか二十一世紀の日本を決められたら大変なことだと思う。  私は最後に、もう時間ですから終わりますけれども、もし、長官が言われるようなら、あなた方、この議事録を全部出したらいいじゃないか。新聞報道にもなっている。それから、ここにも、透明性、議事録原則公開と法案には書いてある。閣議決定もしています。これほど「国のかたち」を論ずるようなものを隠すなんということは、あるいは自分の発言を隠してほしいなんという人は「国のかたち」を論ずるような委員会に入る資格はないですよ。堂々と、議事概要じゃなくて議事録を全部出すべきです。何でやらないのですか。
  219. 小里貞利

    小里国務大臣 決してためらっておるわけではございません。今先生がお手持ちのその青い表紙のそれが、概要記録であります。概要記録でさえもそういう多くのページにわたっておるわけでございます。詳細、一言一句、句読点に至るまで先生が言われるようなものを出そうといたしましても、大変な作業なんです。私も実際、事務局にそのことを促してみました。今先生がお触れになったように、何とか大学の先生がこう言うた、何とか大学の教授がこう言うたというのを一言一句全部整理をするには大変な作業だと言っておりまして、決してこれは否定はいたしておりません。ひとつそういう理由は御理解をいただきたいと思う次第です。  それから、くどいようですが、決してこれは私どもが独断専行し得る単純なものではございませんので、これから作業をいたしまして、そして各省庁設置法をこしらえて、再度またここへ持ってきて、そして先生の御意見も伺うし、国会の意思も伺う、重大な一つの手続があるということをひとつ御理解をいただきたい次第でございます。
  220. 松本善明

    松本(善)委員 終わりますけれども、一言だけ最後に言っておきます。  野党全部反対です。私は、そんなものを強行して成立させていったのではだめだ、やはり十分の論議をしなければならない、議事録も全部出して、そして、議論をし直さなければだめだということを申し上げて、終わります。
  221. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、来る十一日月曜日午前十時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十三分散会      ――――◇―――――