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1998-04-24 第142回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月二十四日(金曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 虎島 和夫君 理事 野呂田芳成君    理事 二田 孝治君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 北脇 保之君    理事 若松 謙維君 理事 中井  洽君       石崎  岳君    稲葉 大和君       今井  宏君    岩永 峯一君       小野寺五典君    大野 松茂君       金田 英行君    熊谷 市雄君       倉成 正和君    佐藤  勉君       実川 幸夫君    菅  義偉君       砂田 圭佑君    谷  洋一君       戸井田 徹君    桧田  仁君       牧野 隆守君    松本 和那君       宮島 大典君    宮本 一三君       渡辺 具能君    池田 元久君       岩國 哲人君    上田 清司君       枝野 幸男君    川内 博史君       今田 保典君    佐々木秀典君       末松 義規君    辻  一彦君       平野 博文君    古川 元久君       松崎 公昭君    大口 善徳君       冨沢 篤紘君    福島  豊君       山中 燁子君    東  祥三君       石垣 一夫君    佐々木洋平君       松浪健四郎君    瀬古由起子君       平賀 高成君    松本 善明君       深田  肇君  出席国務大臣         法 務 大 臣 下稲葉耕吉君         外 務 大 臣 小渕 恵三君         文 部 大 臣 町村 信孝君         農林水産大臣  島村 宜伸君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         建 設 大 臣 瓦   力君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     鈴木 宗男君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷垣 禎一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         内閣審議官   坂野 泰治君         人事院総裁   中島 忠能君         総務庁長官官房         審議官     大坪 正彦君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政管理         局長      河野  昭君         北海道開発庁総         務管理者    小野  薫君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁科学         技術政策局長事         務代理     間宮  馨君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         環境庁長官官房         長       太田 義武君         国土庁長官官房         長       久保田勇夫君         国土庁計画・調         整局長     河出 英治君         国土庁大都市圏         整備局長    林  桂一君         法務大臣官房長 但木 敬一君         公安調査庁長官 豊嶋 秀直君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  阿部 信泰君         外務省中近東ア         フリカ局長   天江喜七郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部大臣官房総         務審議官    高  為重君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         臨省高等教育  佐々木正峰君         文部省体育局長 工藤 智規君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産技術会         議事務局長   三輪睿太郎君         水産庁長官   嶌田 道夫君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸省運輸政策         局長      土井 勝二君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省航空局長 楠木 行雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      五十嵐健之君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    佐藤 一男君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団理         事長)     近藤 俊幸君         衆議院調査局第         三特別調査室長 田中 達郎君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     渡辺 具能君   谷  洋一君     稲葉 大和君   戸井田 徹君     佐藤  勉君   松本 和那君     桧田  仁君   田中 慶秋君     枝野 幸男君   平野 博文君     辻  一彦君   古川 元久君     今田 保典君   大口 善徳君     山中 樺子君   佐々木洋平君     松浪健四郎君   平賀 高成君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     谷  洋一君   佐藤  勉君     戸井田 徹君   桧田  仁君     松本 和那君   渡辺 具能君     菅  義偉君   枝野 幸男君     佐々木秀典君   今田 保典君     末松 義規君   辻  一彦君     平野 博文君   山中 嘩子君     大口 善徳君   松浪健四郎君     佐々木洋平君   瀬古由起子君     平賀 高成君 同日  辞任         補欠選任   菅  義偉君     熊谷 市雄君   佐々木秀典君     川内 博史君   末松 義規君     古川 元久君 同日  辞任         補欠選任   川内 博史君     松崎 公昭君 同日  辞任         補欠選任   松崎 公昭君     田中 慶秋君     ――――――――――――― 四月二十四日  国民生活を重視した行政改革等に関する請願  (中桐伸五君紹介)(第一八八六号)  運輸省国土交通省への再編・統合反対、交通  省の設置に関する請願寺前巖紹介)(第一  九八六号)  同(平賀高成紹介)(第一九八七号)  同(古堅実吉紹介)(第一九八八号)  同(松本善明紹介)(第一九八九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中央省庁等改革基本法案内閣提出第四一号)      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中央省庁等改革基本法案を議題といたします。  本日、午前は法務省、外務省環境庁文部省科学技術庁及び農林水産省中心として、午後は建設省運輸省国土庁北海道開発庁中心として審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中燁子君
  3. 山中あき子

    山中(燁)委員 山中燁子でございます。  私は、ODA関係中心に、外務省それから大蔵省に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず、直接に法案質疑に入る前に、私、国会に入りまして一年半たちまして、国会議員、つまり政治家のあるべき姿というのは一体どういうものだろうということを最近改めて感じさせられております。私自身は、国民の意思を反映すること、それから国の指針を示すこと、そして長期的展望に立脚した政策を立案すること、そしてその政策行政によって有効に実現させることというようなことが国会議員としての大きな役割ではないかというふうに思い改めておりますが、その認識について、まず最初に外務大臣、いかがお考えでいらっしゃいますか。
  4. 小渕恵三

    小渕国務大臣 おっしゃるとおりで、国民の代・表としてその責務を全うしていかなければならぬと思っております。
  5. 山中あき子

    山中(燁)委員 同意をしていただいたと思って、大変心強く思っております。  つまり、顔の見える日本というものがどうあるべきか、顔というのはどういう顔なのかということでございまして、私は最近、やはりこれは政治の顔が見えるということが大切なのであって、行政が顔を見せようと思っても、それは役割が違うのではないかというふうに思っております。すなわち、立法府である政治家と、それからそれを実行する行政府である行政に携わる官僚方たちが一緒に一つの国の顔を形成する、そういうふうに認識しております。  私は、そういう意味で、十八カ月の中で、一番大きな問題の一つは、政治的なリーダーシップ、政治的なダイナミズムというものが海外に見えていないということで、外交の長期的な展望、総合的な視座、そしてその背景にある哲学というものがほとんど見えていないというような、そういった状況を感じさせられております。  先日、ある大使海外でお会いしたときに、こういうふうにおっしゃいました。山中先生のような国際派の方で、大臣とでも官僚とでもばんばんと英語で話せるような国会議員がふえれば、私たち役割は終わります、それまで頑張りますとおっしゃったので、私は申し上げました。それは違うのではないでしょうか大使政治家というのが国際的に果たす役割大使外交官の果たす役割は違うはずです、政治家外交官協力して日本外交を推進することになるのですから、今後も頑張っていただきたいというふうに申し上げました。  そこで感じましたのは、明らかに政治家代理としてという意識行政官僚の中にあるのではないかというふうに思ったわけです。それは大変大きな勘違いではないかというふうに私は思います。政策をいかに実効性あらしめるように効果的に遂行するかというのが任務のはずです。  そういったことで、私は、政治家役割とそれから行政役割、それは二つ異なったものがあるというふうに思います。そして、それが一体となることが非常に大事であるというふうに前提として考えておりますが、小里総務庁長官、いかがでいらっしゃいますか。
  6. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、議会人としてあるいはまた広く政治という概念におきまして考えてみまして、もっともなお話であると思います。  往々にして、日本行政官僚行政ではないかという指弾を昨今もしばしば受けておるところでございまして、足元を見詰めてみましても、おっしゃるとおり、もっと政治国民代表として、きちんとした責任ある提言をし、あるいは法律をつくり、制度をつくり、そして日本社会全体に対して政治が責任を負えるような体制に、誇りを持って積極的に前に出るべきであると思っております。
  7. 山中あき子

    山中(燁)委員 ただいまのことを、私が現実に、つい今月の初めに体験しましたことをちょっと御紹介させていただきます。  世銀とそれから国連開発計画、そして国連環境計画の三実施機関による共国運営であるGEF、これはグローバル・エンバイロンメント・ファシリティーでございますが、その初めての総会が、つまり一九九一年以来実務者レベルの会合を重ねた上で初めての総会、これは書類を見ましたら閣僚級会議と書いてありますが、この会議が四月一日、二日、三日、インドのニューデリーで開催されました。  その中で、総会と連動して、国会議員グローバル環境パネルディスカッションというのが四月二日に行われました。そのときに日本のグローブ・ジャパン、つまりこれは環境に関する議員連盟でございますが、その日本の支部から一人出るということになりまして、私は本部の機関からパネリストとしての招請を受けましてインドに行きました。  そのときに、実は前日に、前日というか出発の間際に、大蔵省外務省、そして環境庁の方がおいでになりまして、先生はこの国会議員のフォーラムに出ていただければ結構でございます、うちが今回の代表でございますと。うちというのは大蔵省の方でした。  そして、実際に総会は、行かなくてもいいと言われましたが私はオブザーバー席で、当然ちゃんと通行証もいただいておりますから行ってみましたところ、ほとんど大臣クラス方たち自分の国の環境政策を述べていました。しかし、日本の場合には、大蔵省のOBの方がどれだけ自分たち援助してきたかというようなことを中心にお話しになったわけです。顔が見えない日本というのを、私は改めてその場で感じました。そして、外から見たら、国会議員がいるのに国会議員代表団ではないというのは、ほかの国の方からはどうしても理解ができない。  それで、どういう過程でその代表を選んだかというふうに後でお聞きしましたら、三省庁課長レベルで決めた、それを上に上げたということで、国会の会期中といってもこの時期は、もちろん外務大臣大蔵大臣海外に出ていらっしゃる時期ですけれども政務次官、元大臣、もしくは環境委員会がありますから、その中の一人二人が行かれないかどうかという打診さえしなかったという現状で、やはりここは、これから私ども議員外交も含めて、顔の見える国際的な活動というのをもっと推進していかなければいけませんし、そういう意識改革を、ぜひ省庁全体の方々に促したいというふうに思います。  少し前段が長くなりました。  それでは、外務大臣、今のことに関して御感想をいただければ。御決意でしょうか。
  8. 小渕恵三

    小渕国務大臣 山中委員直接的に御出席をしたGEF会議、その御出席、大変御苦労に存じております。  国際的な会議が最近は頻繁に、恐らく世界各地で行われておるのだろうと思います。そういった会議におきまして、我が国代表するそれぞれの責任ある者が可能な限り出席をしなければならぬということは、御指摘のとおりだろうと思います。そういった点で、我々も、政府におる者も、また国会に籍を置いていただいておられる方々も積極的に御参加いただきまして、我が国立場を御主張いただき、または御説明いただくことは必要だろうと思います。  ちなみに、このGEFにつきましても、我が国拠出金も米国の二〇・八四%に次いで二〇%ということでありまして、拠出金だけ出しておいたらいいということでは決してないということを改めて認識をいたしたいと思います。
  9. 山中あき子

    山中(燁)委員 私が強く申し上げたかったのは、十二月に大木長官がCOP3で議長をなさって、せっかく日本環境に対して興味のある、そして主導的役割であるということで、外務省に聞きましたら、今年度、環境に関して大きな会議としては、アジアにおいてはこのインド会議と十月の日本におけるアフリカ会議、それしかない。そのたった一回の会議だったものですから、私自身は、ここに環境庁長官なり政務次官なり、どなたかがいらしたらどんなによかっただろうと強く感じたので、これからはやはりそういう発想をぜひ取り入れていっていただきたいというふうに思ったわけでございます。  さて、五月に発足以来のブレア政権は順調に、快調に飛ばしておりますが、十一月十九日の外務委員会質問のときにも私は申し上げたと思いますが、英国ではODAをDFID、つまりデパートメント・フォー・インターナショナル・ディベロプメントというふうに名称を改めました。これは名称だけではなくて位置づけを変えました。つまり、行政改革を断行したわけです。もちろん、これは議会の承認を得て公表されたわけでございます。  それで、その中に、このプラネットの維持と開発ということを目的にしておりまして、貧困の撲滅、つまり世界の一員としての認識、リーダーとしての自覚、それから民間、ボランティアとの協力、多国間または多地域との協力、それから開発問題点、つまり、どういうふうな開発によってどういう影響がもたらされているかということを、子供への教育、これは発展途上国だけではなくて、イギリス子供も含めて次の世代に教えるという教育の導入、それから新しい地球社会、それから将来のために何ができるかということで、これは概念的なものですが、明確に、二〇一五年までに世界貧困を半減させるということを目的として、そして国連の〇・七%の水準に協力するということを改めて打ち出しました。  そして、もちろん組織も全部変えたわけでございまして、今女性のクレア・ショートさんが長官でございますけれども、これはきちんとここの中にミニスターとして位置づけているということを書いてあります。そして政務次官一人、それから特別顧問というのを二人配しまして、これはずっと前の段階から、非常に優秀な顧問といいますかアドバイザーがずっと、バロネス・チョーカー前長官、去年私もお会いしましたが、そのチョーカーさんが長官のときからの方ですが、そういう方を引き継いでいる。そのほかに、会計に明るい人をパーマネントセクレタリーとして、そのほかにプロジェクトディレクターが七人おりまして、分けてある分け方は、経済社会政策人間開発自然環境、それからアフリカという地域アジアという地域、西半球・東欧、それからその以外の国際全般、そういう七つのディレクターを置いて、あとは人事とそれを支援するさまざまなものに対してヘッドを置いている、こういう行政改革をいたしました。  そして、現在、きょうマニラにおいて、長官が主催でシンポジウムをしています。つまり、貧困をどうするか、環境問題をどうするか、二十一世紀の世界はどうするか、そういったことで、明らかに今イギリスODA長官は、わずか一年足らずの間に、ブレア首相が一年足らずの間に世界を駆けめぐっているのと同じくらいに、国際社会への貢献英国国益国益というのは経済効果のみならず信頼の醸成ということで駆け回っております。そして世界全体に、こんな小さなものですけれども、エリミネーティング・ワールド・ポバティーという、物すごく簡単なわかりやすい図表を入れたものをもって、いわゆるPRだけではなくて、実際に意識の喚起という役割を果たしております。  つまり、ODA長官というのが大臣クラスでいてそういうふうな役割を果たせるということが可能であれば、日本がこれだけの、一兆円にも上るようなODA予算を効果的に使うにしても、それをさらに政治の顔として見せることができるのではないかというふうに私は感じておりますが、この点について小渕外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  10. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいま御紹介のありましたブレア政権における海外援助の取り組みにつきまして、非常に積極的に取り組んでおられるということでありますからこの点も我々も勉強してまいりたいと思っておりますが、我が国といたしましては、このODAについてさらに積極的に取り組まなければならぬ、こう考えておりますが、最近、全世界的には、どうも海外経済協力に対して若干のODA疲れというようなことを言われる向きもあります。日本といたしましても、今年度予算で一〇%のカットが命ぜられておりまして、そういった機会に、改めてその内容につきまして十分充実をしていかなければならぬという反省に立って、対処していかなければならないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、日本といたしましても、来週は、この貧困層といいますか、最近のアジア状況にかんがみまして、弱者にどう協力すべきかということにつきまして、国連大学におきましてシンポジウム等を開く予定にいたしております。改めて先生にも御案内しますので、ぜひ御出席をいただきたいと思っております。
  11. 山中あき子

    山中(燁)委員 お招きいただきましたら、私、勉強させていただきに伺います。  もう一つつけ加えさせていただきますと、世界各国の中で日本は突出した総額でございますけれども国民一人当たりの拠出額というのを見ますとDACの二十一カ国の中の二十一位という現状もございますから、いろいろ批判があるとしたら、どうして批判されるかということを考え直して新たな発想転換、つまり経済協力という発想から世界へどう貢献するか。そしてその中で、世界の人間的な、あるいは生活環境の、開発ということは対岸として環境があるわけでございますから、そういったものにどういうふうに資するか。そういった大きな目的経済協力のあり方というのがそろそろ曲がり角に来ているというふうに私は思いますので、これを土台にしてもっと敷衍していく、そのぐらいの発想転換をしたい。  そして組織としては、評価されております国、例えば世界的に評価されている国というのは、それぞれ特徴がありますが、USA、アメリカも一応外局として、庁として長官がいらっしゃいますし、イギリスは、今申し上げましたように長官が今度は大臣クラスに格上げになりました。カナダは、外務省の中にございますけれども、一人きちんと国際協力大臣というのがおりまして、小さな予算でありますけれどもカナダ貢献というのは国際的に大変高く評価されております。そういうような各国状況を見ましても、そこに政治の顔が見えるということが非常に大事ではないかというふうに私は思っております。  それで、今回のこの法案関係で、こういった現在の第十九条四号にありますような形で、果たして私どもがいろいろなところから寄せられております批判やあるいは要望にこたえられるのかというのがとても不安になります。  これは、実はODAについて十一月十九日に私が質問をいたしましてから、Eメール日本国内NGO方たちからさまざまな意見が寄せられております。ぜひこのNGO方たちの声に耳を傾けていただきたいと思います。  時間が限られておりますので、肝心なところだけ抜粋して簡単に申し上げますと、これは名前は今秘させていただきますが、外務省などとNGO定期協議合同調査、バングラデシュの例があるそうですが、そういうのは非常に望ましいので、ぜひ今後続けていっていただきたい。  それから、ODAの趣旨からいって、日本国内に百七十万人もいる在住の外国人へのNGOによるサポートについても援助の対象としてはどうか。  それから、貧困層受益者立場に立ったプログラムにももっと支出のできるODAであってほしい。現状ODAに関しても、その真の目的役割国民にディスクロージャーし、プロジェクトが終了後、客観的に評価できるような仕組みをより充実していただければと思います。ビルマへのODA再開が検討されているとのことですが、政治的に好ましくないのではないかという意見もございます。  それから、草の根の資金援助をふやしてほし、外国での草の根的な支援活動を行っている団体に、国内NGOODAの対象として援助を強めてほしい。  援助国への人権尊重の要望というのも強めてほしい。  それから、小規模の無償支援、つまり識字教育などの分野でもっと援助を受けられれば、予算も余りかからず、効果が大きいのではないか。  もう一つ、要請主義の見直しをしてほしい。マイクロクレジットのような貧困解消に有効なプロジェクトがあっても、相手国からの要請がなければ援助資金をつけることができない。その点を見直してほしい。それから、二国間援助というものの限界があるのではないか。情報公開というのをもっと進めてほしい。  それから、英国ブレア政権の国際開発の目標はこういった世界の流れに合致しているということの一つのあらわれなんですが、九七年の二月にワシントンDCにおいて、世界百三十カ国から約三千人が集まって、西暦二〇〇五年までに世界の一億世帯の貧困家庭にマイクロクレジットを提供できるようにしようという流れがありました。今、小渕外務大臣が、貧困層に対する援助日本ももう一度ふやす、ふやすとおっしゃいませんが、考慮に入れてこれから動くというふうにおっしゃいましたので、この点はそれが日本の方針として、見える形で進めていっていただきたいと思います。  それから、エネルギー分野へのODAの方向性の抜本的な改革。これは私も同感でございまして、先日のインド会議でも、日本はプルトニウムを運んでどういうのだと、随分きつい追及をいろいろな国の議員から受けました。私は野党ではございますけれども海外に行きますと国会議員の一人として、日本の国という立場で、クリーンエネルギーの開発などがまだペイをしないというようないろいろなことを申しました。クリーンエネルギーの開発、例えば風力発電は、日本では難しくても、そういう地域地域性で可能なところへの支援を行うというような、そういうエネルギーに関することももっと広げていくというのが一つあるかもしれません。  それから、各地で日本援助に反対する人々がある。開発政策とそれを支援している日本ODAは、貧困層の人々のためにならないばかりかかえって貧富の格差を拡大している、私たちの声を日本政府に聞いてもらえないので、かわりにJICA、OECFのプロジェクトの見直しを言ってくださいということをボランティアで海外に出た大学生が言われて、Eメールで送ってきております。日本人が、自分たちの税金の使われているプロジェクトを、その方が見に行こうと思ったそうですが、現地の政府からとめられたというふうなこともありまして、日本の行っている実際の事業が見えないということが指摘されております。  今は、時間の関係でざっと主な意見を羅列いたしました。これはぜひ今後のODAの方向性ということでお考えいただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  12. 小渕恵三

    小渕国務大臣 逐一御説明申し上げませんが、御指摘の各点につきましては、その方向性を持ちまして政府としても対処しておるつもりではあります。ありますが、それぞれ若干まだ濃淡があるのかと思います。いずれにいたしましても、極めて重要な視点を御指摘いただいたのだろうと思います。その中には我が国としての特色、例えば草の根の援助等もございますし、そういった点で、我が国として、今御指摘の点について、できるものは率先して努力をいたしていきたいと思います。  最初にお話しいただきましたNGO関係につきましても、最近は、政府NGOとの関係は、極めて相協力していろいろな施策を遂行していくという形になっておるのではないかというふうに認識をいたしております。例を言えば、COP3なども、これはNGOの諸団体も京都に参集をされまして、いろいろな意見をお伺いをしながら、その運動に大きな役割を果たしておる。この実績も十分承知をして、ODAにつきましても、そのような団体とも緊密な連絡をとりながらやってまいりたいと思っております。
  13. 山中あき子

    山中(燁)委員 この中央省庁等改革基本法案関係資料の中の十九条四号のところに、政府開発援助ということについて書いております。「民間の人材を活用する」というようなこともありますが、外務省が「政府全体を通ずる調整の中核としての機能」を果たすこと。あるいはハに行きますと「海外経済協力基金に係る事務については外務省中心となり関係省との関係を緊密化するとともに、日本輸出入銀行に係る事務については財務省」今の大蔵省が発展するのだと思いますが、それが「担当し外務省等との関係を緊密化すること。」そんなようなことで、「一元的な調整の中核として」とか「国際協力事業団を中心として」、大蔵省と分担してなどということがあります。  イギリスODAの抜本的な改革、それで、これが改革なのでしょうかと私は思ったのです。現在やっていることを、もう少し外務省にきちんとした力を与えるという意味で、改善されているのかもしれませんがとても改革というふうには思えないのです。  こういう程度の手直しで、改めて今、二十一世紀に向かっての日本援助のあり方というのはうまく機能するというふうに大臣はお考えでいらっしゃいましょうか。
  14. 小渕恵三

    小渕国務大臣 既に大変な論議を経て決定をされ、そして基本法として国会に提出されておられますので、お認めいただければ、この十九条の範囲の中で積極的に取り組むということでございます。  この法案をまとめるに当たりまして、外務省といたしましては一元的に海外援助について責任を持つという形での援助庁というような意見も、党内にもありましたしいろいろ検討いたしましたが、現段階では、今までの方針をもととして、さらに積極的に協力関係を密にしながら努力をしていくということで効果を上げてまいりたい、こういうふうに考えております。
  15. 山中あき子

    山中(燁)委員 政治の顔が見えないということは、ODAの理念の原理原則というものがよく見えない、つまり、外交姿勢があいまいであるということを見せてきている。そういう状況で、この程度の改善でうまくいくのかどうかということを私は大変危惧しておりますが、ODA援助実施の体制について、さまざまな報告書が出ております。  日本国際フォーラムは外務省中心の調整を提言しておりますし、ODA改革懇談会は、これも外務省中心の調整、そして産業構造審議会は内閣主導の調整を提言し、経団連はODA庁の設置というふうな提言をしております。  行革会議の九月ごろの意見では、縦割りの実施体制の弊害が著しい、外務省の外局として国際協力庁の創設をと、経団連会長の豊田さんなどがおっしゃっていまして、今、外務省立場としては、こういうふうに一元化して一つの外庁というものができた方が実際はいいと主張なさったというふうに認識しておりますが、それでよろしいのでしょうか。
  16. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今ほど御答弁申し上げましたが、今回の基本法がまとまるに当たりましてそれぞれの考え方がございまして、今申し上げたように、一つの考え方として、一元的にこれを取り扱うべき庁が存在することが必要だという意見もございましたが、結果的にこうした形に相なりました。  今御紹介ありましたように、外務省もそうですがいろいろの懇談会で、ODAにつきまして最近それぞれ大変貴重な提言をちょうだいいたしておる。また、こうしたものが出てくるという背景は、まさに、今この問題について積極的にいかに取り組むべきかという御提言になっておるのだろうと思います。そのすべてを整理してまとめることはできませんでしたが、しかし、その精神は十分受けとめながら、この基本法に基づいて対処いたしていきたいと思っております。
  17. 山中あき子

    山中(燁)委員 大蔵省はどういう立場だったのでしょうか。
  18. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、経済協力を効果的、効率的に推進する必要がある、その際に、政府全体としての基本的な方針、方策というものを確立し、それを実施していく必要があるということは、まさにそのとおりでございます。他方、各省庁がそれぞれの専門分野と申しますか、専門能力というものを十分活用する必要があるということも事実でございまして、そういった施策間の整合性を確保しながら実施していく必要があるというふうに考えております。  そういう観点から、私どもといたしましても、今回の基本法にございますように、経済協力に関しては外務省を企画の中心として全省庁関係省庁が一致協力してそれぞれの専門能力を十分活用しつつやっていく。具体的に言いますと、全般的な企画について外務省政府全体を通じる調整の中核としての機能を担うということでやってまいりたいというふうに私どもとしても考えております。
  19. 山中あき子

    山中(燁)委員 私が御質問申し上げましたのは、これからどういうふうになさるかという決意ではなくて、この一元化の議論が出ているときに大蔵省はどういう立場で臨まれたのかということをお聞きしているのです。
  20. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 私どもの考え方は、今この中央省庁基本法に述べられておりますような考え方でございます。
  21. 山中あき子

    山中(燁)委員 そうしますと、一元化ということについて賛成なのですか、反対なのですか。もう一度答えていただきたいと思います。
  22. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 先ほど申し上げたとおり、それからまた外務大臣からも御答弁ございましたとおり、さまざまな議論がございました。そうした中で、先生御指摘の援助省、援助庁、確かに英国ドイツはそういうものを持っておりまして、これは実は外務省とも大蔵省とも全く別の、さっきもおっしゃったように閣僚がヘッドである一つの役所でございますが、そういうものも含めていろいろな議論がございましたが、私どもとしては、現在のこの中央省庁改革の法律にございますような形でやっていくことが好ましい、つまり、一元的な、そういうふうに別の役所を新たにつくるということよりも、こういう形でやっていった方がよろしいのではないかというふうに考えておりました。
  23. 山中あき子

    山中(燁)委員 もう少し時間があれば、一体どういう根拠で一元化しない方がいいとお思いなのかということをお聞きしたいのですが、できれば、ちょっと一言、一番のポイントだけ教えていただけませんか。なぜ一元化ではない方が効果的にODAが推進していけるとお思いだったのでしょうか。短く答えていただきたいと思います。
  24. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 私どもの承知しております限り、ODAあるいは援助、これは一方で外交政策の重要な一環であると同時に、それぞれの援助の内容につきましては、先ほど申し上げたような、国内行政で培った専門能力を十分生かす必要があるということもあるわけでございます。また、昨年来検討されておりました中では、全体として中央省庁組織をスリム化するという中でも検討されておりましたので、そうでない場合とまた議論の内容は違うというふうに思っております。
  25. 山中あき子

    山中(燁)委員 スリム化されているということがなければ議論の内容が違っていたということでありますけれども、それは大変大きな問題であって、小さな政府にする、スリム化するということは大前提であっても、日本が二十一世紀にどういう国として、あるいはどういう国民として世界の一員としての役割を果たせるかというときには、新たな世界の情勢の中で必要な部門というのは必ず出てくるわけでございまして、そういう部門が一律にスリム化するという発想の中でもし議論されているとしたら、これは大変大きな間違いを犯すのではないか。つまり、政治的な方向として違うのではないかと思いますので、ただいまのお答えの中で、全体をスリム化するのでなければ議論が違ったという点は今心にとめさせていただきまして、あと五分でございますので、また改めてその辺のところをもう少し詳しく調べさせていただきたいというふうに思います。  そして、一つお願いしておきたいのは、もしスリム化するという流れでなければ大蔵省はどういうスタンスをとったのかということについて、後で文書で結構ですから御回答をいただければと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。
  26. 高鳥修

    高鳥委員長 はい。
  27. 山中あき子

    山中(燁)委員 それでは続けさせていただきますが、今回のODAの中で基本法ということや何かは全く触れられておりません。  私は、一九九二年の閣議決定はそろそろ見直すときが来ているのではないかということを十一月にも申し上げました。幾つかの論点がございますけれども、その中の一つに、ODAの基本法というものについて、日本国際フォーラムのレポートの中に、国会ODAの実施に過度に関与することには抵抗もあるが、国民参加型のODAが求められる現在、国民代表機関である国会の関与は避けられないのではないか。つまり、国会政策を立て、そして実際に行政がそれを実行に移し、そして国会がそれをチェックする、そういう働きをすることが国会の機能として必要ではないかという意見なのですが、これについて小渕外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  28. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ODAに関しての国会の関与につきましてでございますが、当然のことながら、ODA予算につきまして国会の御審議をいただいて適切に対処しておると理解をいたしておりますが、本件につきましては、かねて来、基本法の制定につきましても、それぞれ各政党間での御議論もなされ、御検討いただいておるやに聞いております。  したがいまして、そうした動向につきましても留意をいたしながら対処いたしてまいりたいとは思っておりますが、現時点におきまして、政府としては、改めて国会の十分な御指摘等をいただきながらODAにつきましては適切に対処しておる、こう理解いたしております。
  29. 山中あき子

    山中(燁)委員 適切に対処していれば改革の必要はないのだと私は思いますので、これだけ改革発想があるということは問題点がたくさんあるというふうに理解すべきだというふうに思います。  それでもう一点、事前調査について簡単に伺います。私の手元にあります、平成七年度、経済協力に関する行政監察、総務庁でございますけれども、その中で、調査対象の国、機関等についての事前調整がほとんど行われていない、二番、調査結果報告書や収集情報の相互交換による情報の共有化がほとんど図られていないため、ほぼ類似、重複した調査がそれぞれ別個に行われ、これらの調査が特定の国、機関に集中し、相手国、機関にとって負担になっているという指摘がございます。  この中で、特に最近におきましては、平成八年度には、中国やタイには二十以上のミッションが派遣されて同じようなことをやっている。この間インドでも、急速インドというのが注目され始めまして、この二、三年、さまざまなレベルのさまざまな調査団が日本から山ほど来て、一生懸命対応したけれどもその結果が一向に何も知らされていない、そしてその結果、本当に援助してくれるのかどうかというお知らせもくれていない、日本は一体何年間調査をすればいいのですかということを言っております。  聞くところによりますと、一年間に四十組あるいは五十組の行政の調査団が各国に行っているということでございますが、費用の点からいっても、それからその効果のほどからいっても、これほどむだなことはありません。これは、一元化されていればこういうむだは省けるのではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  30. 小渕恵三

    小渕国務大臣 後ほど経協局長から御答弁いたしますが、私の認識するところは、それぞれ確かにそういった御指摘もあるかと思いますけれども、技術協力その他につきましては、それぞれ専門の省庁の皆さんを中心にしてやはり専門的な方々が行かれるという利点もございます。しかし、御指摘がございますので、詳細については、もし御要望があれば経協局長から答弁させますが。
  31. 山中あき子

    山中(燁)委員 詳細の答弁は必要ありません。こういうむだを省くような政治のあり方、行政のあり方ということを指摘させていただいただけで結構でございます。  時間が参りましたが、一九九九年に統合される予定であるOECFと輸銀について、経理等を区分し、OECFについては外務省中心となり関係者との関係を緊密化する、日本輸出入銀行については、従来どおり財務省、今の大蔵省が担当するが、外務省との関係を緊密化するというような今回の行政改革の方向が出ております。  これを聞いて、私はよく理解できません。顔が見えないところか姿も見えなくなってしまっているというふうに思います。改めて、例えば委員会や審議会で、もうこれが決まって出てきた法案だからいたし方がないということではなくて、本当にもう一度、この委員会というもののあり方で政治の主導性というものが担保されるのであれば、このODAについて、一元化ということも含めてぜひ再検討していただきたいというふうに申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございます。
  32. 高鳥修

    高鳥委員長 午前十時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前九時四十一分休憩      ――――◇―――――     午前十時五十四分開議
  33. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております本案審査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  35. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑を続行いたします。辻一彦君。
  36. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、科学技術庁関係の面で質問をいたしたいと思います。  まず、今度の中央省庁の再編改革基本法の内容を見ますと、文部省科学技術庁が大体一つになるという構想になっております。そういう中で、私もまた多くの懸念がありますので、それを初めに一、二点だけただして、あとは私は原子力安全委員会のあり方という問題でお尋ねをしたいと思います。  第一の問題ですが、今回の内容を見ると、人文科学とそれから自然科学を総合的に科学としてくくっていくという構想が示されております。先年、科学技術基本法が成立をして、我が国は科学技術立国を目指しておるのでありますが、そういう中で、このような人文科学そして自然科学を一つにとらえるとらえ方、抽象的には私はよくわかるのですが、具体的に、科学技術立国を目指す場合にそういうものが支障にならないかどうか、そこらのことについて一点お尋ねしたいと思います。
  37. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 辻委員にお答えいたします。  科学技術の発展に伴いまして、我々の生活がいろいろ利便を得て大層進んできたということも事実でございますけれども、一方、また科学技術の発展、例えば最近ではクローンというようなものが話題になっているわけでありますけれども、けさの新聞にもイギリスのクローン羊が子供を産んだというような記事が出ておりました。さて、そのクローンを人間にどうするかというような議論になってまいりますと、単に技術の可能性を追求するというようなことだけではやっていけなくなっているのではないかと思います。もっと幅広い観点から、科学技術と人間社会のあり方というようなものを深く議論をし分析をしていく必要があるのだと思うのですね。一つの例でございますが、そういうことが今いろいろな分野に起きていると思います。  したがいまして、私は、文部省科学技術庁が一緒になることによりまして、そういう一体になったいろいろな分析なり問題の提起なり、科学技術に対する取り組みができるのではないか。もちろん、委員、抽象的にはわかるが問題はあるのじゃないかという、これは町村文部大臣がおられて、私、大変僭越かもしれませんけれども文部省科学技術庁もそれぞれいいところ悪いところ、人間の組織でござい遺すからございます。できるだけ、違う組織が一緒になりていいところを出して、今のような問題を乗り越えていくような組織につくっていきたい、こんなふうに思っております。
  38. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そうあってほしいというふうにまず願っております。  そこで、もう一問だけこの問題でお尋ねしたいのですが、今度一府十二省というようにくくられるわけですが、そういう中で余り機械的に考えると、例えば文部省科学技術庁一つになる、いろいろな陣容、体制からいえば教育行政の中に科学技術行政がのみ込まれはしないかというような懸念も一面においてはあるのです。そこをちゃんと調和を持ってしっかりやってもらえば結構なんですが、一般に素朴ですがそういう懸念もありますので、そこらのことについて一言考え方をお聞かせいただきたい。
  39. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 私ども科学技術庁は今まで科学技術を推進する科学技術行政を担ってきたわけでございますけれども文部省は大学等の学術行政それから教育行政、これを熱心に推進してこられたわけでございます。科学技術を進めていきます場合には、大学等の研究機関の学術行政と科学技術行政が有機的にかみ合うということが私は非常に意味を持ってくるのではないか、こう思っております。  それと同時に、科学技術を育てて推し進めていきます場合に、最終的には結局人の問題になってくると思うのです。つまり、科学技術を担っていく人をどう教育していくかという問題が必ず出てまいります。それと同時に、必ずしも科学技術の道に進まれなくても、今の巨大科学技術というようなものは国民の理解がなければ推し進められないものだと私は思います。つまり、教育の中で科学技術をどう理解していただくかというようなことが科学技術を進めていく上でもどうしても必要であろうと思います。今までもこういう面、努力してきたつもりでございますけれども文部省科学技術庁が一緒になることによってさらに進められるのではないかと私は期待しております。  もちろん、何事にもプラスの面、マイナスの面がございますから、プラスの面を出していくというように、私も町村文部大臣と寄り寄り御議論をさせていただいているところでございます。
  40. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いずれこの問題は設置法等の中で十分論議をされると思います、やらなくてはならないと思いますが、きょうは時間の点からこの問題はここで切り上げて、少し具体的な問題に、特に、内閣府に原子力安全委員会を移すという構想がありますが、その場合における原子力安全委員会の果たす役割や任務、そういうものは一体どうなのかということを伺いたいと思います。  まず、行政当局に伺いたいのですが、動燃法を通して「もんじゅ」の問題は随分と論議をしましたが、中小規模のナトリウムが漏れて、それで火災を起こしてあの事故に至ったわけです。大規模のいわゆるナトリウム漏れに対する安全審査等はいろいろ検討されているということは資料でも見ましたが、中小規模のナトリウム漏れに対する火災の対策、安全性の評価というものは必ずしも十分になされているというように思えないのでありますが、そこらをどういうように見てきたのか、まずそれをひとつお伺いいたしたいと思います。
  41. 池田元久

    池田政府委員 お答え申し上げます。  原子力施設の設置許可時の安全審査におきましては、その設計の妥当性を確認するわけでございますけれども、そのときには、事故等を想定しまして、災害に至らないようにといったことを確認しているわけでございます。そのときには、考えられるものすべてを取り上げているということでは必ずしもございませんで、代表的なものを取り上げてその安全性を審査いたします。  ただいま辻先生が御指摘のようなナトリウム漏れにつきましては、安全審査の当時は、二次系につきましても、大きな配管が瞬時に破断をして大量のナトリウムが漏れるといったことについての安全性を議論したところでございます。そうした意味で、その建屋全体の安全性が確保できるといったことを確認してございますし、そういう意味では、中小規模の漏えいにつきましてはその安全性を判断する過程で十分こなされておるといったところから、ただいまのような安全性の確認については、この事故を経験いたしましていろいろな議論が出ております、ナトリウム漏れにつきましてもいろいろな知見を積んでございますけれども、当初から、そういった意味では中小規模の問題も含めて安全性については確認させていただいているといったことでございます。
  42. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今の行政庁の見解は今までの論議でしばしば伺っておりますから、次に、原子力安全委員長、新委員長にお尋ねしたいのですが、大は小を兼ねるという言葉がありますが、安全審査の書類を見ると、百五十立方メーターというナトリウムが大量に、相当大きな破断口から漏れた場合にどうするかという安全審査はいろいろと検討されている。しかし、この間起きたのは、そういう大量じゃなしに一トン前後という小規模あるいは中規模のナトリウム漏れによってあの火災事故が事実上発生をした。こうなると、大は小を兼ねるからそれでいいのだという論理もありますが、私の見るところでは、小中規模漏えいに対する対策、火災対策は安全審査の過程で余りなされていないというように思いますが、安全委員会としてどういう見解をとっていらっしゃったか、お尋ねしたい。
  43. 佐藤一男

    佐藤説明員 それでは御質問にお答えさせていただきます。  確かに先生御指摘のとおり、「もんじゅ」の設置許可当時におきましては、審査の場におきまして大規模な漏えいを評価したわけでございます。そのときの考え方というのは、ナトリウムが漏えいして、これは二次系のナトリウムでございますが、漏えいして火災になった場合に何を守らなければならないかというと、まず建物そのもの、それから、コンクリートとナトリウムが接触しないようにというのでライナーが張ってございますが、そのライナー、この二つを守らなきゃいけない。  建物については、部屋の圧力が上がりますものですから、その圧力に十分もつだけの設計にしておかなければならない。これは、小さな漏えいよりは大漏えいの方が当然のこととして圧力上昇は激しくなりますから、それにもつようにつくる。それからライナーに関しましては、当時の知識では、これは熱膨張によって破壊しなければよろしいということでございました。熱膨張が最大になるのもこのライナー全面を非常に高い温度にした場合である、そういう認識で大漏えいを重点的に審査したということと理解しております。  当時、これは、しばしば話題になりましたライナーの腐食が起こるということにつきましては十分な知識がございませんでしたので、その知識なしということで、仮に、じゃ、当時その中小規模の漏えいを検討したらどうなっただろうかということを、これは推定でございます、いたしまして、これは私どもの第二次報告書に記載してあるところでございますが、その限りでは結論は変わっていないであろうということでございます。  当時の状況につきましては、現在判明しているところ、以上のとおりでございます。
  44. 辻一彦

    ○辻(一)委員 要するに、私が申し上げたように大は小を兼ねるということで、大きな漏えいのときの対応があれば小さいところも対応できるという見解のようですが、しかし、具体的には小規模それから中規模の漏えいが事実起こり、あれだけのナトリウム火災を起こして、随分と事故としてはひどかったわけですね。そうなりますと、安全審査の過程でこれは余り想定されなかったですね、小規模の漏えい。例えば九四年にワーキンググループを持ってやっている中身を見ると、小規模、いわゆる液面の変化等に出てこないような小規模の漏えいについては、これは金属消火器で消火できるとか、それが一行載っている程度に私は見たですね、ワーキングの検討委員会の中身においても。  とすると、小規模、中規模漏えいに対しては余り念頭にないし、それが火災になった場合にどうするかというようなことは余り念頭になかったのではないかと思いますが、いかがですか。
  45. 佐藤一男

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  今、大は小を兼ねるという言葉でこの辺の考え方を要約されましたけれども、先ほど安全局長も答えましたように、安全審査するときにいろいろなことを、異常な状態を考えますが、これで森羅万象を尽くすというわけにはまいりませんから、最も代表的な事例を選んで詳細に検討するという手法をとります。いわゆる大は小を兼ねるというのは、これは私どもの言葉で恐縮でございますが、こういうのを上限評価と申します。通常はこの上限評価というのが大変有効なやり方なんですが、場合によってはそうはならないということも、実はこういうことが意識されるようになったのは一九六〇年代末のことでございます。  したがいまして、当然、この漏えいについても、大漏えいだけ考えておけばあとは自動的にオーケーになると思ったわけではございません。ただ、先ほど申しましたような理由で、これこれこういう理由で大漏えいを考えておけばよろしいであろう、こういう判断だったと思われます。  その後のワーキンググループ云々というのは、恐らくはそのときに、これも私どもの俗語で大変恐縮でございますが、安全審査のツケというのを後続の規制につける場合がございますが、そのときにナトリウム漏えい後の処置ということについて、これは特に、二次系も当然でございますが、強く印象にあったのは一次系でございます、このナトリウムは放射性物質になりますので。それについてということでございまして、それについてどういう事後処置をするか、どういう点検をし修復をしていくかということがその主要な課題でございました。  そういうことでございますので、決して中小漏えいを忘れておったわけではないのでございますが、しかしながら、これは非常に客観的に見ますと、重みと申しますか、審査の際の重みは大漏えいの方にかかっておったということは、これは紛れもない事実でございます。
  46. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大は小を兼ねる、いろいろな表現があると思いますが、今安全委員長も、具体的な審査過程を通して必ずしも小中規模漏えいについてはウエートを置いていなかったうらみがある、こういう旨の御答弁があったと思うのですね。そこで、ナトリウム、今触れられた漏えい、燃えた後の措置、これを見ると、これも全く同じ考え方が貫かれている。少量ではなしに百五十立方メーター、そして十五平方センチの穴というか裂け目ができて、そこからどんとナトリウムが落ちてきた、それをどうするかという、こういう大体対応ですね。ところが、現実に起きたのは、一トン弱のナトリウムが漏えいをしてあれだけの事故に発展をしたという事実があるわけですね。  当時、ナトリウム漏えい後の措置というテーマを安全委員会行政庁に与え、行政庁がそれに対して調査をしてその結果を報告し、その報告に基づいて安全委員会がワーキンググループをつくって検討したその中に、漏えい後の、大量漏えいしたらナトリウムを凍結して、そしてそれを削って運ぶというかその措置、だけれどもその前に、空気に触れれば当然火災は起こるわけですから、火災に対するそういう対策というものがあってしかるべき、論議されてしかるべきであると思うのです。  私は、行政庁、それから科学技術庁、安全委員会の方から資料の提出をずっと求めてきたのですが、これについて具体的な検討をされた資料はないということで提出されなかったのですが、具体的にその検討を、そういう中で漏えい後の措置のときになぜ検討されなかったのか。このことをお尋ねしたい。
  47. 佐藤一男

    佐藤説明員 これも、今辻先生御指摘のとおり、当時の討議の内容、審査の内容等についての記録が必ずしも全部残っていない状況でございまして、詳細つまびらかでない部分があるわけでございます。実は事務局にも調べさせたのでございますが、なかなかそういう記録が、もう現在残っていないというようなことでございました。  さはさりながら、確かに御指摘のように火災は起こる、二次系の場合でございますと当然火災は起こるわけでございます。それで、その火災が起こったときに例えば建物はちゃんともっかどうかというようなことは、もちろん見ているわけでございます。  ただ、先ほどもちょっと私申し上げましたように、ではその漏えいの規模に応じて詳細に見たかということになりますと、先ほど申しましたようにいろいろな理由で、大漏えいを見ておけばよかろうという判断のもとに、その辺は詳細には見ていなかったということでございます。  御指摘のいわゆるツケに対する当時の原子炉安全専門審査会の報告でございますが、それでは、ナトリウム漏えいが発生した場合の措置として、ナトリウム漏えい後の点検及び補修について適切な規定が定められているかどうかを検討いたしました、こういうことになっております。必ずしもナトリウム漏えい中に火災が起こるというのが調査、審議の対象になっていなかったのは事実でございます。
  48. 辻一彦

    ○辻(一)委員 要するに、小規模漏えい、中規模漏えいによってナトリウムの火災が起こる、それに対してどう対応するかについては余り検討がされていなかったということに尽きると思うのですね。  事実は小規模漏えいを、中規模になるのですか、もとにして事故に発展をした。となると、「もんじゅ」自体の安全設計というか設計思想にまでさかのぼって、もう一遍そこを掘り下げてみる必要があるのじゃないかと思うが、これはいかがですか。
  49. 佐藤一男

    佐藤説明員 これは、「もんじゅ」事故の後に安全委員会の方でつくりましたワーキンググループの報告でも、強くその点は指摘されているところでございます。特に二次系の漏えいに関しましては、漏えいの規模その他もろもろの条件に応じて詳細な評価をしなければならない。これは、ワーキンググループの審議中にもかなりの評価はしたわけではございますが、それを踏まえて十分な対策を講じなければならない。つまり、そういうものを設計して現場にちゃんと設置しなければならない。そういう具体的な設計の段階になったら厳重な安全審査をしなければならぬということは、安全委員会としても表明しているところでございます。  今先生が御指摘になりましたようないろいろな問題につきまして、私どもといたしましても、例えば、先般決定いたしましたところですが、「研究開発段階の原子力施設の安全確保対策について」という一種の政策表明でございますが、その中でも「もんじゅ」について特に言及しておるところでございまして、このような苦いと申しますか、あるいは貴重なと申しますか、そういう教訓を十分に踏まえて対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  50. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、いろいろ反省をして足りない点があるから、新しい場合にはこういうようにしなくちゃならない、それはそれでいいだろうと思うのですよ。問題は、もっと先になぜそれができなかったかというところに一番大きな問題があると思うのですね。  例えば、ちょうどワーキンググループが、平成五年の九月十八日にこの問題が出て、平成五年十月四日にワーキンググループを設置されて、翌年、平成六年の一月二十一日に報告書を出しておりますね。  しかし、その前後をずっと見ると、フランスのスーパーフェニックスがナトリウム漏れの事故を起こして火災を起こしている。それから、アルメニアの太陽熱の発電所でやはり事故が起きている。こういうものを背景にして、フランスでは、御承知のとおり広範なナトリウム火災の研究、エスメラルダアという実験研究を大規模にやって、その結果、これは一九九〇年の高速炉の安全にかかわる国際会議で内容を報告しておるわけですね。  そしてさらに、フランスにおいては一九九二年の六月十六日にスーパーフェニックスの公聴会を開いて、報告書を出して公にしている。さらに、九三年の九月二十九日にもスーパーフェニックスの公聴会を開いている。また、九四年の一月十八日にも、同様にスーパーフェニックスについての安全問題の報告書を出して、それはいずれも、中身はかなり、かなりというか非常に具体的な改善策、今日動燃がこういうふうにしますというのはほとんどそのときに挙げられておるのですね、それは五年ほど前なんですが。  そういう事実が片方では国際的にどんどん行われ、しかも、それは機密の中に包まれて情報が入手できないのではなしに、公に報告書として刊行されて、動燃も科学技術庁も、倉庫の中にちゃんとその資料は持っておったわけですね、確認をしましたが。  となると、十八カ月間も当時「もんじゅ」の火災対策の改造工事を大規模にやっている。そのときに、ワーキンググループは「ナトリウム漏えい後の措置について」という論議をやっておるのです。海外のそういう状況がわかれば、私は、時間からいえば、平成五年から六年にかけてのワーキングチームの論議の中にそういうことは当然なされてしかるべきだと思うのですが、それがどうも、資料を私はずっと調べてみて、要求しても、さっき言ったように、一行程度挙げられておる程度で、なされていない。それは一体どういう状況であったか、お尋ねしたい。
  51. 佐藤一男

    佐藤説明員 御指摘のとおりでございます。  スーパーフェニックスのナトリウム漏えいというのは、実は、割と目につくものだけで二度ございまして、一つは、一九八五年に温度計の溶接部から漏えいしたということがございます。その後、一九八七年になりまして、今度は燃料貯蔵タンクと申しますか、その貯槽からの漏えいがあって、これが非常に大きな問題になったわけでございます。これらにつきましては、今先生御指摘のとおり、フランス当局がいろいろと調べまして、それで公聴会も開き、報告書もつくりしているわけでございます。  そのような動きにつきましては、安全委員会が平成五年度の安全白書に、これはごく短い記述でございますが、そういう動きについては記載をしているところなのでございますが、したがって、一般的に、そういう動きがある、あるいはそういうものが公開されているということは、これは天下周知の事実だったと思います。  しかしながら、それを、どこまで技術的に詳細にわたってそういう情報を集めて、審議の場でどう議論したかということについては、これはまことに申しわけないのですが、これはもう記録が今残っておりませんので、余り確かなことを私ここで御報告申し上げるわけにはまいりません。  これらも含めまして、先ほど申しましたように、これも非常に貴重な教訓であると受けとめまして、今後の施策を進めてまいりたい、かように決意を新たにしているところでございます。
  52. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ナトリウムが溶接部から漏れようが、今回の日本のように温度計のさや管から漏れようが、二次系に漏れて流れていけば火災が起こるということは、どこから流れたって、どこから漏れたって同じ問題だと思うのですね。それが一つ。  それから、資料は、単に一行や二行で片づけられるような問題ではなしに、私も現物は持っていますが、膨大な報告書をフランスの原子力施設安全局が公にしておるのですね。それは相当厚いものですよ。その中に、火災対策に対して今動燃が挙げているようなものはほとんど並べられているのですよ。それは五年ほど前ですね。  だから、そのときにきちっと状況を把握することができれば、もっともっと違った対応がある。例えば、事故が起きるにしても、それを何分の一かにできるでしょう。それは、原子力安全局長は、この間の動燃法の論議の中で、もし事前にいろいろな対応があれば何分の一かに抑えられた可能性もあるということを答弁しておるのです。  あるいは、行政庁が見過ごしたならば原子力安全委員会がそういうことをチェックする役割のはずなんだけれども、そういうことがやはり見過ごされて、原子力安全委員会は、動燃が報告した中身を行政庁が承認をし、その行政庁の報告書をまた丸のみにしている。私は、この平成五年、六年の出されている報告書を見る限りはそういう感じがするのですが、そういうことであって安全委員会役割が果たせるのかどうか、こういうことをひとつ伺いたいと思う。
  53. 佐藤一男

    佐藤説明員 まず、例えば設置許可でございますとか、そういういろいろな行政的な措置をとった後で、新しい技術的な知見、科学技術というのは日進月歩でございますから、絶えずそういうものがあらわれてくる。そういうものをどのように集めて、どのようにこれを実際の施設に反映していくかということは非常に大切なことだということを私ども改めて認識した次第でございまして、先ほどちょっと御紹介申し上げました「研究開発段階の原子力施設の安全確保対策について」という政策表明でも、このことを強く強調しているところでございます。  それで、まず、この新しい知見というものをどのように集め、どのように反映していくか。これは、施設の設置者があり、規制当局があり、さらにまた安全委員会がございます。それで、それぞれが違った立場から安全確保の責任を果たしているところでございますが、そのそれぞれの責任を果たすために、こういう情報を収集し、これを遅滞なく反映していかなきゃならない、そういうことを改めて痛感いたしまして、これを重要な今後の施策としたいというふうに考えているところでございます。  今御指摘のように、いろいろな問題については、通常は、まず設置者の方から報告があり、行政庁がそれをチェックして、その結果を安全委員会に報告するというのが通例でございます。しかしながら、私どもといたしましては、これを、そういうチェックを経てきたものだからといって丸のみにするというような態度で今まで見てきたつもりはございません。これは、人間のやることですから、あるいは中には見落としというようなこともあるかもしれませんけれども、私どもとしては、誠心誠意その内容については検討を加えて、自分が納得して初めて、これで結構だという結論を出してきたつもりでございます。  私どもは、こういう努力は今後ともさらに一層続けてまいりたいというふうに考えております。
  54. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、原子力安全委員会のダブルチェックの制度、今述べられたように、まずは設置者が申請をし、それを行政庁、科学技術庁がチェックをする、それを安全委員会がさらにダブルチェックをして安全性を期すということにあるわけですが、そのダブルチェックのいい面は私はあると思うのですね。しかし、欠陥として、行政庁から上がってこなければ書類審査の対象にならないという点があるのではないか。  現実に、フランスに起きて、公聴会等で明らかにされている資料があり、対策がどんどん講じられるにかかわらず、そのさなかで安全委員会のワーキングチームは論議をしながら、火災対策等について検討した中身が、資料としては、出せと言っても出てこない限りは、ないと思うのですね。  そういう意味で、ダブルチェックという名のもとに、よさもありますが、片面では、行政庁から上がってこないものはチェックのしようがないということで、もっと安全委員会が目を配らなくてはならない原子力の安全問題等がたくさん今出てきている。それは、目の配りが足りないと思うのですが、そういう問題を、少なくも原子力安全委員会は、今大きな行政改革等を通して、変革のときですから、そのあり方について検討を十分して考えるべきだと思いますが、時間の点から、要点だけちょっと答えてください。
  55. 佐藤一男

    佐藤説明員 まことに御指摘のとおりかと思います。  それで、安全委員会といたしましても、ただいま御審議中の行革との関連も含めまして、原子力安全委員会が、本当にそもそも基本的な任務は何なのか、それを遂行するためにどういうことをやっていかなきゃいかぬのかということについて、真剣な議論を始めたところでございます。これは、まず原点から出発して、十分な議論を積み重ねて意思統一をし、そして必要な関係機関等にもこれをお示ししながら、それを決めていって、強力な政策を展開したいというふうに考えてございます。  ただ、一言、お言葉でございますけれども、安全委員会、いつでも受け身であるというのは、これはそういうことでは決してございません。例えば、軽水炉のいわゆるアクシデントマネジメントというのが今設置者の自主的活動として行われておりますが、これを最初に持ち出したのは安全委員会でございます。
  56. 辻一彦

    ○辻(一)委員 従来言われるそういう受け身の姿勢からやはり脱却をしなければ、今日、国民の原子力の安全に対する不安にこたえ切れないと思うので、ぜひこれは、検討を今されているからお願いしたいと思いますね。していただきたい。  そこで、時間はあと四、五分になっておりますが、ダブルチェックをやるにしても、陣容が今のままでいいのかどうか。  例えば、二月に敦賀で「もんじゅ」の安全性を徹底的に究明されたかどうかという論議があって、私は三、四時間傍聴に出ましたが、住田原子力安全委員もそこに出席されて、自分らが見たい資料が見られなかった場合があるというような御発言があったのですね。原子力安全委員が資料を見たくても見られないというようなことがあって、十分な規制ができるはずがない。私は、今日の原子力安全委員会には、単なる諮問委員会としての機能だけではなしに、もっと権限を与えて、独自の調査、審議、そういうことができる権限を与えるということが必要と思うのです。  これはちょっと委員長に聞いても無理なので、内閣府にこれが置かれますから総務長官にお尋ねしたいのですが、もっと権限を強化して、私は、第八条の諮問委員会を第三条の行政委員会に切りかえるべきである、こういうように思いますが、これについての見解を。  そして第二は、スタッフがいない。原子力安全局の十九名か二十名で、これだけの問題を事務局で抱えておるのは、これは私は非常に難しいと。アメリカは、同じにいきませんが、三千名の原子力規制委員会のスタッフを持って規制をやっているわけですから、学者の人たちが十分に働けるように、スタッフを強化して裏づけをする。  この二つを考えないと本当の原子力の安全行政は前進しないと思うのですが、これからの改革の問題ですから、総務長官の方から一言伺いたい。
  57. 小里貞利

    小里国務大臣 御承知のとおり、今次の改革によりまして、基本法で、原子力安全委員会は内閣府に置く、こういう形になっております。  また、その場合、現在の機能を最小限維持しながら、事務局機能は内閣府、企画、調整部門が関係省の協力を得て処理する、こういうことになっておるわけでございまして、それらを踏まえまして、基本法案においては、内閣府におきましてその機能を継続すると同時に、今後、内閣府の組織の一部として具体的に検討されることになっております。  なおまた、もう先生お話しのとおり、内閣府に一括してこれを進めていくということは、むしろ組織機能の強化という一つの判断ができるわけでございまして、御指摘のことも一つの参考とさせていただきながら今後努めていきたい、さように思います。
  58. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは単に機能を維持するとかいう問題ではないのですね、これだけの問題があるのですから。だから、十分強化を念頭に置いて、権限の強化それからスタッフの強化、それを念頭に置いてぜひ検討していただきたい。  一点だけ動燃に伺いますが、資料をもう一方六千点公開され、さらに六千点を加えて二万二千点を公開する努力を今しているということを聞きまして、それは結構ですが、そのほかに、機密的なもの、例えば符号で言うとPNC-Zというような中に該当するようなものがあるのかないのか。簡単で結構ですから、伺いたい。
  59. 近藤俊幸

    ○近藤参考人 お答えします。  この研究開発成果報告書は、大体三万五千件ぐらいあると考えられます。今、先生は一万六千とおっしゃいましたけれども、現時点では二万二千件の目録を公開しております。  それで、御指摘のPNC-Z、これは今まで外に出しておりませんでした。ところが、こういうものも、もう既に公表した目録の中に取り込んでおります。今後、残っている部分も、ノウハウ等の観点から検討いたしまして逐次公開していくという考えでおります。
  60. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これで終わりますが、動燃の方に資料を要求しますが、PNC-Zなるものに該当する一覧表を提出していただきたい。一言あれば、どうぞ。
  61. 高鳥修

    高鳥委員長 資料を出せますか。――出すそうですから。
  62. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、これで終わります。ありがとうございました。
  63. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申し出があります。辻君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。川内博史君。
  64. 川内博史

    川内委員 民主党の川内でございます。  本日も雨が降っておりまして、最近は天気がよくなったなと思うとすぐ雨が降ったり曇ったりしまして、今の我が国が置かれている状況を天気も象徴しているのかなと。しかし、この中央省庁改革法案によって晴れ間を見つけていこうということであろうというふうに思うのですけれども、本日は、尊敬する小里大臣、そしてまた島村大臣質問をさせていただける光栄な機会をいただきました。  まず、小里総務庁長官にお伺いをさせていただきたいと思うのですが、この中央省庁改革基本法という法律は、省庁の再編については、公布の日から五年以内に、できれば二〇〇一年の一月一日を目途にというふうに出ているわけでありますが、しかし、この法律全体の効力というものに関しては、附則にも出ておりますように、この委員会で審議の後、法律が成立をしたとすれば、その成立から閣議決定を経て公布をしたその日から効力を発揮し、あらゆる省庁、あらゆる行政がこの中央省庁改革基本法に基づいて動いていくというふうに考えてよろしいでしょうか。
  65. 小里貞利

    小里国務大臣 お話がございましたように、附則第一項で、公布の日からこれを施行するとなっております。  御承知のとおり、公布は、国会の意思が確定していただければ、大体、通常三、四日前後かと私どもは思っておりますが、そのようなことで、おっしゃるとおり、これが施行せられるということでございます。
  66. 川内博史

    川内委員 次に、島村大臣にお伺いをいたします。  今、小里大臣から、公布の日からその効力を発揮するという御答弁があったわけでございますが、農水省の省庁改革基本法の中における位置づけというのは、現在の農水省の業務の効率化あるいは適正化というようなことに重きが置かれていて、省庁の再編という観点からは、農水省は農水省へそのまま移行するというふうに書かれているのだろうと理解をしているのですが、島村大臣としては、法案成立後は、この中央省庁改革基本法第二十三条に農林水産省についてというくだりがございまして、項目がずっと出ております、この項目に基づいて農水省の行政を行っていかれるおつもりか、農政を施行されていかれるおつもりかという、まず大きなところをお伺いをいたします。
  67. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 川内委員にお答えいたします。  本法案は、二〇〇一年一月一日を目標に中央省庁等の改革による新たな体制への移行を開始する、そういうことでありまして、その基本方針を示すものであるとまず理解いたしております。  したがいまして、二〇〇一年を目標とした新たな農林水産省の再編を行うに当たりましては、本法案の趣旨に即して、当省が行う制度、施策のあり方を見直す必要がある、こう考えております。  いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、本法案の趣旨に沿って、簡素で効率的な行政、あるいは機動的、効果的な政策遂行の実現に向けて取り組んでいく考えであります。
  68. 川内博史

    川内委員 今島村大臣から、本法案の趣旨に沿って農政の改革を行っていくという御答弁をいただきました。  それでは、再び小里大臣にお伺いをさせていただきたいのですが、この法案の第四十六条の第五号においては公共事業の見直しが述べられているわけでございます。「事業の実施の前後において、それぞれ、できる限り客観的な費用効果分析を行い、その結果を公表することにより、公共事業の決定過程の透明化及び評価の適正化を図ること。」とあります。もしこの中央省庁等改革基本法案が成立をいたしましたならば、この条項の精神に基づいて公共事業の見直し、費用対効果の分析が行われ、またこの見直し規定によって平成十一年度の予算も編成をされるというふうに考えてよろしいでしょうか。
  69. 小里貞利

    小里国務大臣 一つの、国会の意思を決定いただきました後の重要なところをお話しいただいておると思うのでございますが、お話にございましたように、この基本法案に公共事業の見直しを行いますよということがきちんといたしておりまして、その場合に、いわゆる設置法等の組織法のほか、お話しの公共事業に関する各種法律あるいは制度、運用全般にわたる広範な見直しが必要となってまいります。  そこで、その見直しに必要な作業と申し上げますか、まず関係各省において進められるべきものである。そして、私どもは、推進本部におきましては、それを重要な参考にして、連携、協議と申し上げましょうか、協議を行うことも必要であろう、こう思います。そのようなことで、本基本法案成立後に設置せられる今申し上げましたような推進本部で総合的調整を行います。  それから、大事なお話でございますからもう一言つけ加えさせていただきますと、可能な限り新しい体制への移行時期までに必要な作業は進める、基本的に要請されているところであります。  いずれにせよ、今後において、本法律案の趣旨を踏まえまして、公共事業の重点化、効率化等を図る予算編成を、各般の分野において施策を進めなければならない、さように思っております。
  70. 川内博史

    川内委員 基本的には、各省庁間で取りまとめるものを推進本部で総合調整を行い、公共事業の重点化あるいは効率化を図っていくという御答弁であったかと思います。  次に、今の小里大臣の御答弁を踏まえて島村大臣にお伺いをいたします。  あくまでもこの法律が成立をしたとすれば、二十三条の「農林水産省の編成方針」の第四号「生産性の高い農業を実現するための農業構造の改善を推進すること。」第七号「第四十六条に定めるところによる公共事業の見直しを行うこと。」第十一号「農業構造の改善に係る公共事業については、真に食料の安定供給の確保に資するものに限り、必要やむを得ず整備するものについては、国土交通省との相互協議を通じ、同省が所管する公共事業との整合的な実施を図ること。」これらの項目があるわけでございまして、農水省自体は、先ほども申し上げたとおり、農水省から農水省へ、その外局についても三局そのまま農水省の外局として残るということで、組織としてはほとんど変わらない。しかし、仕事の中身を変えていきますよということであろうかと思います。  したがって、この中央省庁改革基本法が成立をしたならば、ほかの省は役所がくっついたり離れたりするわけですから、総合的な調整というものを二〇〇一年一月一日を目途にやっていかなければならないでしょうが、農水省については直ちにこの法律の精神に基づいてお仕事を改革していかなければならないのであろうというふうに思うわけでございます。  今申し上げた二十三条関係の農水省に係る部分、それから今小里大臣も御答弁のあった第四十六条の五号関係の公共事業の費用対効果の分析並びに公表について、平成十一年度の農水省の予算編成から、これらのことについてはこの法律が成立をしたならば着実に実行されるべきものであるというふうに私は考えるのですが、島村大臣としてどうお考えになるか、御答弁をいただきたいと思います。
  71. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 まず最初に申し上げますが、農林水産行政というのは、農業、林業、水産業、それぞれの農産物、林産物あるいは水産物のいわば供給ということにとどまらず、まさに国土の保全、自然環境の保護あるいは災害の防止、あるいは地域にそれぞれ劣悪な条件を克服しながら定着してくださる方々によって国土が守られている、あらゆる角度からいえば、これは非常に時間のかかる多面的機能、公益的機能を担っている、私どもそう考えております。  また、そういうことをいろいろ煮詰めていきますと、一時は違った名前の話も出ましたけれども、結局は農林水産省という名前に落ちついたことは、これはやはりそれなりの理屈があったのだろうと思います。  また、従前から長い歴史と伝統を持ち、かつ劣悪な条件の中で、必ずしも効率的と言えない農林水産行政ですから、旧態依然というふうにとられがちでありますけれども、実はさにあらずでありまして、私は十五年前に農林水産省政務次官を務めましたけれども、その当時の常識が今全く通用しないくらい官僚諸君は大変意欲的に新しい分野の開拓に努めておりますし、時代に即応した対応をしようというふうな基本に立った行動をしているところでありまして、御理解をいただきたいと思います。  また、これを公共事業に置きかえますと、農業関係の公共事業は、従来から国営事業につきましては、国会提出の農林水産予算の説明書において新規採択の具体的な地区名を明示するとともに、いわば事業計画やその計画の変更に当たっては土地改良法に基づいて客観的な費用対効果分析を行っているところでありまして、それらを無視して、ただどこかの要請があったのでこれに対応するというものとは性質が異なるわけであります。  さらに、本年四月から、事業採択後五年を経過した地区を対象に、社会情勢あるいは経済情勢の変化に対応して、改めて費用対効果分析の基礎となる要因の変化等について再評価を行いましてその結果を公表する再評価システムを導入したところでございます。今後とも、農業関係の公共事業につきましては、法案の趣旨を踏まえまして、決定過程の透明化あるいは評価の適正化が一層図られるように努めていきたい、こう考えております。
  72. 川内博史

    川内委員 私も島村大臣と全く同様に、農水省というのは非常に大事な役所で、日本の歴史とか伝統とか文化をつくってきた最も根本的な部分だと思っております。アメリカでは農業のことをアグリビジネスと、ビジネスとつけるのでしょうけれども日本ではあくまでもやはりアグリカルチャーで、文化だと思います。  そういう意味で、この中央省庁等改革基本法案の中で、生産者の所得を補償する政策への転換について検討することと、農家二戸一戸について援助をしていくんだ、支援、サポートをしていくんだという考え方は私は大賛成ですし、そういう意味では大臣に頑張っていただきたいというふうに思っているわけでございますが、今の公共事業の部分に関して、再評価システムを導入し、費用対効果分析もきっちりと行っていくんだという御答弁に関しては、さらに、じゃ具体的な部分についてお尋ねをさせていただかなければならぬというふうに思うわけでございます。  農水大臣ももう既に御存じでいらっしゃると思いますが、私、諌早の干拓の問題に大変関心を持っておりまして、ずっとこの間、質問主意書なども提出をさせていただいて議論をさせていただいているのですけれども、この諌早の問題に絡んで、地元で長らくこの干拓の問題について取り組んでこられた山下弘文さんという方が、今回、世界各地環境問題に貢献した方に贈られるゴールドマン環境賞という大変に権威のある国際的な賞を御受賞されたそうでありまして、つまり、諫早の問題というのは世界的にも大変に注目をされている問題であろうというふうに思うのであります。  私、きのうの夜、きょう諌早のことを質問するよとその山下さんに電話をしましたら、実は山下さんも、きょうゴア副大統領と会うんだ、三十分時間をとってもらっていると威張って言うものですから、大変な賞なんだなということを改めて感じたわけでありますが、きょうホワイトハウスで山下さんとゴアさんが面談をされる中では、当然話題の中心は諌早のことになろうかと思うわけでございます。  農水省さんは、諌早の干拓事業に関しては、今度また改正をされるかもしれない財革法が昨年成立をしていたわけでありますが、その財革法が成立していたにもかかわらず、この平成十年度も前年対比一〇〇%の予算をつけて、この諌早だけはもう何が何でもやるという強い御決意をその予算編成の中でお示しになられていたかと思うのですが、島村大臣として、この中央省庁等改革基本法案がもし成立をしたとすれば、諌早の干拓事業との、これは具体的なこと、総論として見直す、適正化を目指すということはよくわかりました、じゃ、具体的に、今たくさんの国民が注目をしているこの諌早の事業に関してどうお取り組みになられるおつもりかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
  73. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 大変大事な御質問をいただいたと思います。  そもそも諌早湾の干拓事業というのは、平たんな農地に乏しい長崎県において、大規模な優良農地を造成することが望ましい、これは、県あるいは市当局の要望があって、これらを調べた結果の我々の対応であります。  また、委員は御存じかと思いますが、諌早湾周辺というのはいわば台風の常襲地帯と言っても言い過ぎでない。過去十年間に六十二回の本土に接近あるいは上陸した台風がございますが、そのうち二十四回上陸または接近をしているというのが諌早湾地域であります。  そういう意味で、この地域においては高潮、洪水あるいは排水不良等に対する災害というのが相次いできたわけでございまして、農林水産省といたしましては、再三にわたるその地域の要望と実態調査の結果を踏まえてこの事業に取り組んだところであります。  そこで、川内委員は御存じかどうかわかりませんが、諌早湾周辺では、記録に残っている大災害のうちでも、死者・行方不明者が出た災害が五回あるわけであります。それで、その例を申しますと、それは大変古い歴史にさかのぼりますが、元禄十二年には四百八十七名の死者・行方不明者、寛政四年には何と一万四千五百三十人の死者または行方不明者、昭和に入りまして二年に六十人、三十二年には七百六十人、そして昭和五十七年には四人の死者・行方不明者を生んでいるところでございまして、実は大変な被害を受けてきているわけであります。  そういう意味で、我々はこれらについていろいろ取り組んできた結果でございまして、例えば、最近の例、昔の例が多いじゃないかというのであれば最近の例で申し上げると、昨年は、例えば台風が三回接近いたしましたけれども、高潮の被害は結果的に出なかった。また、昨年七月には総雨量九百ミリを超える記録的な大雨、過去十カ年の平均の二・六倍でございますが、このときにも農業被害は本当にわずかにとどまった。それから、その平成九年七月の大雨の際、農産物の被害がどうであったか、これは実は三百万円で済んだわけです。ところが、平成二年、三年、五年の大雨の際の農産物被害は二千万円から七千八百万円という記録があるわけでございまして、これらに対して、地元の県なり市あるいは農民の方々が強い要望をなさる中で我々はこの事業を進めているところでありまして、何度も御報告申し上げるように、まだ私はどれほどの功績を残していないのに、諌早市とかあるいは長崎県から感謝状などをいただく、農民からも感謝状を寄せられる、こういう現実をぜひ御理解いただきたいと思います。
  74. 川内博史

    川内委員 今島村大臣からるる懇切丁寧な御説明をいただいたわけでありますが、私もそれらの事情についてはよく存じ上げております。  それで、私が申し上げたいのは、大規模な農地が必要であるという御答弁がありましたけれども、諌早湾の周辺でこの十年間に四百十ヘクタール耕作放棄地が出ております。そしてまた、台風の常襲地帯、大雨の常襲地帯で、過去にたくさんの人々がお亡くなりになられているという大臣の御答弁があったわけでありますが、これはいずれも、諌早湾に注ぐ本明川の中流域あるいは諌早湾とは全く関係のない地域で死亡された方々の人数でありまして、諌早湾のこの今干拓を予定している地帯でお亡くなりになった方というのはほとんどいないのですよ。  これは、大臣よく事務当局にお調べを御指示をされればよろしいかと思いますけれども、私、一回、前国会行政改革特別委員会でも農水省の構造改善局に申し上げたのですけれども、責任ある立場大臣や、あるいは総理に、自分たちがやっている事業の正当性を主張するためにうそを教えてはいかぬということを申し上げたのです。  大臣は、日々大変にお忙しく、次々と国家的な御決断をされるわけですから、そういう中で、ああこれだけの人が死んでおるのか、それではこの諌早湾のことはやらなければいかぬなというのは、そういうことをデータとしてインプットされれば、判断するのは当然だと思うのです。しかし、それが本当に正しい情報であるかどうかということは、インプットされるデータというのが正しいものであるかということは大変重要なことです。  そういうことで、構造改善局長、きょう来ていますけれども、なぜ大臣に今のような答弁をさせたのか。何万人死んでいるとか、あるいは農地が必要だとか。耕作放棄地が四百ヘクタール余り出ている、あるいは諌早湾の今干拓を予定している中で、死んでいる人は過去にほとんどいませんよ、ほとんどいない。そういう中で、なぜそんなうそを天下の日本国の大臣にわざわざ言わせなければいけないのか。大変なことですよ。
  75. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生御指摘の、まず耕作放棄地が出ているということでございますけれども、確かに長崎県は全国でも非常に耕作放棄地の多い県でございますけれども、この理由は、長崎県は非常に傾斜地が多くて、平たんで優良な生産性の高い農地が少ない。農業者も、今、生産性を上げるということが大変大きな課題でございますので、優良で平たんな農地を必要としております。耕作放棄地が生じますのは、条件の悪い農地があるためでございまして、今、諌早で農地を造成しておりますのは、優良で平たんな生産性の高い農地を生産する事業でございまして、これは長崎の地元の農業者、特に青年農業者の方々が強く望んでおられることでございます。  それから二点目でございますが、防災についてでございますけれども、これは、調整池を造成いたしまして、とれを常にマイナス一メートルに水位を維持することによって、急傾斜地で非常に集中豪雨等の多いこの諌早地域において、浸水あるいは洪水、高潮の被害を防止するための事業でございます。  これによって、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、地元の住民が、昨年の七月に、最近にない大変な豪雨に見舞われたところでございますけれども、浸水の被害等が、これまでであると大変多く発生したところであるけれども、ほとんどなかった、安心して、まくらを高くして眠れたという感謝の声が寄せられているわけでございます。
  76. 川内博史

    川内委員 構造改善局長、全然答弁になっていないですよ。諌早湾の周辺というのは、干拓の歴史、干拓の町諌早というぐらいですから、すべて干拓で農地をつくってきているわけです。それが耕作放棄されているのですよ、四百十ヘクタール。そうでしょう。だから、優良農地を造成するという理屈は、もうそれだけで当てはまらないのです。  それともう一つ、私が聞いたのは、なぜ大臣にねじ曲げた情報を伝えるのかということを聞いているのですよ。
  77. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 諫早地域の干拓地においても、なるほど耕作放棄地、ただいま面積は私手元にございませんが、耕作放棄地が一部発生しているのは事実でございますけれども、この理由は塩害等が発生しているためでございまして、今回調整池が淡水化されることによって排水条件が改善され、かつ塩害が生じないということから、こういった干拓地の耕作放棄地は優良な農地として活用されるということで、地元の農家が大変期待をされております。  それから、二番目の、死者でございますけれども、これもずっと昔からの記録でございまして、この原因についてでございますけれども、これは、諌早湾地域が非常に急傾斜地で、かつ、先生も御指摘になりましたように、干潟が堆積して排水不良が起こるために、浸水、洪水によって死者が相当発生していると私ども考えておりまして、こういった事態を防止するための事業を今回実施しているわけでございます。
  78. 川内博史

    川内委員 だから、全然そんなのは答弁になっていないでしょう。私が申し上げているのは、本件諌早湾干拓事業のことと過去の災害に関する死者数とは因果関係はないということを申し上げているのですよ。過去にたくさんお亡くなりになっているのは、本明川の中流域ですね。本明川の中流域及び全く逆側の、一万何人死んでいるというのは島原ですよ。  そういう、農水省の最高の責任者に対して、事務当局がその最高の責任者がきちっと判断できる材料を提供せずに、自分たちに都合のいいようなことばかりしていたら、行政改革にも何にもならないではないですか。
  79. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 人命を守り財産を守るということは私どもの大変大きな課題であると考えておりまして、したがって、今回の諌早湾の干拓事業によりまして、排水条件を改善し浸水を未然に防止する、これによって多数の人命あるいは財産を被害から守る、人命の損失を守るということは私どもの大変大きな課題で、またこの事業の大きな目的でございます。昨年の洪水においてもそういった被害が防止されたということで、地元の多くの住民の方々の生活実感から高くこの事業が評価され、感謝され、事業の早期完成を希望されておりまして、私どもは、そういった地元の御要望に沿って着実に事業を実施させていただいておるところでございます。
  80. 川内博史

    川内委員 構造改善局長の御答弁というのは、全く私は残念でなりません。  私も、諫早のことを一生懸命考える者の一人として、この潮受け堤防の高潮に対する一定の防災効果等については評価をしているのです。だから、大臣、土地改良法では事業の投資効率が一以上でなければならないとあるわけですけれども、諫早の干拓事業もその要件に合致するということで始められている。しかし、いろいろな現在の情勢を考えると、潮受け堤防の中に内部堤防をつくって干拓して農地をつくるということに関しては、費用対効果の面からも無理があるのではないか。  今構造改善局長が言っている中で唯一正しい点があるとすれば、地元の方々も潮受け堤防の防災効果を期待しているということは、構造改善局長がおっしゃっている中で唯一正しいことであろうかと思います。  したがって、この干拓事業については、この省庁再編法案の趣旨にかんがみ、四十六条の五号、現時点での費用対効果の分析をもう一度やり直す必要があるのではないか。そして、もっと有効な活用の仕方、利用の仕方というものを考えるべきなのではないか。  賢明なる大臣でいらっしゃいますから、局長の答弁を聞いていらっしゃって、やはり何か変だなとお思いになられたと思います。御答弁をいただきたいと思います。
  81. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 私が大変に信頼する、いわば当省を代表する局長自身の説明でございますから、私はそれを信じて仕事をいたしておりますが、ただ、私は、特定の人の情報だけを得て、それですべてが正しいと勘違いしているわけではありません。今までにも、知事、市長、その他いろいろな方々と随分お目にもかかりました。地元からも、ただ手紙をくれただけじゃなくて、お礼に見えた方々のお話もいろいろ伺いました。  その中で、非常にわかりやすい例は、かつて新進党の幹事長で、自由党ができた後は副党首まで務められた西岡武夫議員が、私との会話の中で、あの諌早干拓は、私も提唱し、お願いをしてやってもらったことで、絶対に必要なことです、ぜひともお願いしたいと。  私は、東京に生まれ育って、長崎県も何度も伺いましたけれども、事諌早に関しては、やはり、長崎県の知事や諫早の市長や、あるいはそうした長年国会議員を務めた方の意見というものを我々の参考意見として聞くのは当たり前のことだと思います。その後、この干拓事業は要らないのじゃないかとか、あるいはこんなむだがあるとか、あるいはこんなもの、くだらぬことを何か相次いでやっているとおっしゃいますけれども、そういうようなことがあるなら、私は決して今までの行きがかりにこだわる人間ではありません。現に、ダムその他、随分見直しを命じて、バブルの時代にはあれも欲しいこれも欲しいといった事業の中でも、知事や責任者といろいろお話しした結果、随分私はやめる結果につなげました。  現に、ここにもずらっと平成九年のいわば感謝状その他の記録がございますが、こうした相次いだものが私どもに寄せられている以上、これが全くむだな公共事業だとは決して思いませんし、先ほど来、真っ赤なうそのような話をなさいますけれども、これはあなた御自身がそこまで言い切れるかどうか。  私が聞いている話の中にも、現実に諌早の水害で亡くなった方がいるという話は何度も聞いているわけでありまして、すべてがすべて、一万四千何人が全部諫早湾の干拓の対象地で死んだとは私も思いませんが、その周辺でやはりそういう事故が起きたとなれば、まあ局長立場上遠慮がありますけれども、私は、こういう事業というものは必要なのだろう、今でもそうかたく信じているわけでございます。
  82. 川内博史

    川内委員 じゃ、今度、大臣、何が原因で、どういう災害で、どこでどういうふうにお亡くなりになったかという資料をお届けをしますので、ぜひごらんをいただきたいと思います。  私も、この諌早湾の干拓事業について、むだだとかそういうことを申し上げているわけではないのです。潮受け堤防については効果があるでしまうということを申し上げているわけです。その内部堤防をつくって干拓事業を無理矢理遂行することに関しては、この中央省庁改革基本法が成立をしたならば、四十六条の五号、並びに二十三条の農水省の編成方針に関しての十一号等で、事業の再評価あるいは費用対効果の再分析というものをやる必要があるのではないか。大変に注目をされている事業ですから、それをおやりいただけますか、いつまでにおやりいただけますかということを、最後にもう一度大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  83. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  私どもも、国民の税金を使わせていただいて公共事業を進め、それぞれの地域にいわば公平、公正な判断のもとに公共事業を進めているところでございますから、これ自身が、いわば時代にふさわしいのか、あるいは地域に真に求められるものであるか、これらについては決してなおざりに扱っている気はありません。  現に、私は、その点は大変やかましく言っておりまして、五年置きという話はあるけれども毎年毎年見直すのが我々の国民に対する礼儀であるし、農林水産省の姿勢であるはずである、こうも申しているところであります。  私は、それらに照らして、費用対効果の問題も含めてこの事業というのは非常に大切な事業であり、かつ、地元の要望にこたえ、そしていわば国民の一部分であります長崎県のこの周辺の方々の安心感その他を考えれば、これは必要な事業だと思いますし、また、それらについて、見直し云々についての御要望でございますが、あなたからも貴重な資料がいただけるそうでありますから、それらを含めて、私は、これからさらに真剣に検討し、またお話し合いをしたいと思います。
  84. 川内博史

    川内委員 どうもありがとうございました。
  85. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、松浪健四郎君の質疑に入ります。
  86. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。  行政改革に関する特別委員会が連日開催され、この行政改革はどういうものであるか、その輪郭がかなり浮き彫りにされてきたような気がいたします。大臣におかれましては、連日、大変御苦労いただき、本日は、私の尊敬する大臣だけがここにいらっしゃって大変ありがたい、こういうふうに思うわけでございますが、視点を変えて幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  法務省は、司法試験管理委員会、公安審査委員会、そして公安調査庁を外局として置かれる。非常に結構なことである、こういうふうに思うわけですけれども、この公安調査庁は、今までどおりの公安調査庁としての仕事をしていくのか、それとも、我が国の平和と安全、国民の生命と財産、暮らしを守るために、今以上の力を発揮する、そういう機能を備えた公安調査庁であるのかどうか、とりあえず法務大臣からお伺いしたいと思います。
  87. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 現在の憲法のもとで法秩序の維持をしていくということは、これはあらゆる国民生活の基盤であることは間違いございません。  そういうふうな中で、公安調査庁は、法秩序の維持に関連いたしまして、暴力主義的な破壊活動を行う団体等に対する規制、この仕事を主たる任務として今日までやってきている役所でございまして、その任務が、私は、少しも軽くなったりなんなりするということはなくて、大変重要な仕事だと思います。  そこで、私どもの大変苦い経験でございますが、オウム真理教という宗教団体がございました。この宗教団体があのような行為を行ったわけでございますが、大変残念でございましたけれども、公安調査庁はオウム真理教を当時視線の中に入れていなかったということは、私どもの反省でございます。  古い言葉に、声なきに聞き、姿なきに見るという言葉がございますけれども、暴力主義的な破壊活動をやるということを標榜してやるような団体というのはおよそないわけでございます。それだけに、私どもは、情報活動を強化し、そして、そういうふうな中で、行革の方針に沿いながらも、重点を絞り、地域を絞って積極的な活動を推進し、今申し上げましたような任務を遂行したいというのが私どもの基本的な考え方でございます。
  88. 松浪健四郎

    ○松浪委員 お聞きしていますと、従来の公安調査庁のあり方と余り変わらない、オウム真理教の事件のときには下手を打ったからちょっと強化するという程度のことでして、行政改革をするのであるならば、積極的に内外の情報を収集し、調査を進める、いわゆる先進諸国で見られるような機関にまで充実させるという気概が今の大臣のお話では伝わってこないのですが、そこまでやるおつもりがあるのかどうか、再度お聞きいたします。
  89. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  情報機関というのは、私は、一本であっては失敗すると思います。公安調査庁は、ただいま申し上げましたように、暴力主義的な破壊活動を行う団体の規制ということを中心にいたしまして情報収集をいたしております。それから、私も内閣調査室長をかつてやったことがございますが、内調は国の重要政策に関する情報の収集、調査ということでございますし、外務省外務省の形であります。それぞれの役所がそれぞれの情報活動を積極的に推進している、これを一元化するということは、私は失敗すると思います。国のやり方、方針を間違うと思います。そういうふうな形で関係機関が積極的に情報活動を推進いたしまして、そういうふうな情報を内閣で集約する、そして政治に生かしていく、これが基本だろうと思います。  そういうふうな意味では、公安調査庁は、今申し上げましたような角度から、現在の体制が必ずしも十分だとは思いません。思いませんが、今度の法案にもありますように、そういうふうな点にも関心を持ちつつ、国内外の公安調査庁に与えられました使命につきまして、知恵を絞ってやってまいりたい、このように思います。
  90. 松浪健四郎

    ○松浪委員 過日、私は、元北朝鮮の工作員であった安明進氏の話を伺う機会がありました。北朝鮮の中でスパイを養成するのに一番能力のない者が日本を担当する、このようにお聞きいたしました。その理由は、日本はスパイ天国で、物すごくスパイ活動のしやすい国であり、わきが甘い、無防備な国だ、そのように直接本人の口からお聞きしたわけであります。  今、法務大臣の答弁をお伺いしておりますと、何も行政改革をやらなくたって今のままでもできるというような答弁であった、私はそのように認識をいたします。より強化をしていくということをこの法案の第十八条の第四号に書かれてあります。「相当数の人員を在外における情報収集活動の強化及び内閣における情報の収集、分析等の機能の充実のために充てるものとする」。したがいまして、もっともっと強い思いで公安調査庁は仕事に当たっていただかなければ行政改革の意味をなさないのではないのかということをまず指摘しておきたいと思います。そして、法務大臣のお言葉にありましたように、一体化して情報収集、調査をするのは一国にとっては危険である、私もそのように思います。  そこで、同じような情報収集、調査をする、これが内閣官房の中にもあるわけですが、これらも強化するというふうにこの基本法の中に書かれてありますけれども、どの程度、どのような形で強化していくのかということをお伺いしたいと思います。
  91. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 今回の中央省庁改革にあって、その重要な柱は、一つは内閣機能の強化というところにあるわけでございます。そして、その内閣機能の強化の中で、内閣官房の担います情報機能についても、情報の収集、分析の機能を担う、その機能を強化するということにしてこの基本法に書いておるわけでございますが、行革会議の最終報告におきましては、この情報の収集、分析に関しては、先ほど法務大臣からも御答弁がございましたように、まず第一に、政府の各機関が情報の収集等をそれぞれ行う、それを内閣においてできるだけ把握し、評価し、分析するという仕組みをきちんと確立していく必要があるということで、例えば合同情報会議のようなものをつくってみたらどうかというような指摘が最終報告にもございます。  同時にまた、内閣官房自体で情報収集の機能を拡充していく上で必要な措置をそれぞれ講じていく必要がある。ただ、これも中身については特に十分具体的な記述は最終報告にはないわけですけれども、それに必要な措置は講じていくべきである、そういうふうに記述しておりますので、そういう報告の指摘に沿った措置を今後具体的にとっていくということになるのではないかと思っております。
  92. 松浪健四郎

    ○松浪委員 余り期待することのできるような答弁ではございませんでしたし、今までどおりの内閣調査室の仕事の範疇から出ない。つまり、行政改革というものを念頭に置いて、本当にこの国が、国民のためあるいは国家のために情報を諸外国から集めて対応していくという姿勢が浮き彫りになってこないことを大変残念に思います。そして、アジアのリーダー国として、我が国が情報を集めて、本当にその面においてもリーダーシップを発揮させなければならないという気概も伝わってこない、これを悲しむわけであります。  それともう一つ、情報を収集する、あるいは調査をするセクション、その仕事をしているのに外務省がございます。外務省は、防衛庁等と連携をとりながら内外の情報を集め、政策を立案する、そういう形になっておりますけれども行政改革がなされたならば、外務省の情報収集能力、調査能力、これらはうんと高まるのかどうか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
  93. 小渕恵三

    小渕国務大臣 我が国の生存のためには、あらゆる海外の情報を的確に把握し、かつこれの分析をしなければならぬと思っております。そういった意味で今までも省内にそのセクションを置いておりますけれども、今回の基本法の趣旨を踏まえてさらに機能を充実していきたい、またいけるものである、こう考えております。
  94. 松浪健四郎

    ○松浪委員 総理は記者会見で、同じような仕事は大体一つの省にまとめて合理的、機能的にやっていくべきだ、このようにおっしゃっておるわけですが、この情報収集等の問題につきましては、法務大臣が言われたように、一体化するよりもばらばらで、そして内閣が調整していく、このことの方がいいというふうに私も思いますけれども、今までどおりではなくて、外務省にいたしましても、法務省にいたしましても、内閣官房にいたしましても、この基本法には、強化をするということが全部書かれてあるわけです。ところが、その強化というのはどの程度のことまでするのかということ、ここをきちんと詰められていなくて、ただ強化という話句だけを入れればいいというふうな安易な形でつくられているということを、私は私なりに理解をさせていただきました。  外務大臣にお話を伺ったついでに、外務省がどれほど情報収集能力があるか、試すわけではございませんけれども、昨年九月に、アメリカから日本人の若者がアフガニスタンに旅をしました。そして行方不明になっておる。この消息等について外務省はどれほどまで情報を収集されているのか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
  95. 天江喜七郎

    ○天江政府委員 お答えいたします。  アフガニスタンの旅行中の太田隆一さんの件だと理解いたしますが、本年二月、太田隆一さんの家族より行方不明になっているという情報を受けまして、直ちに、アフガニスタンで活動をしておる赤十字国際委員会及び国連アフガン特別ミッションを通じまして、我が外務省の出先であるパキスタンの大使館から、情報を収集するよう訓令を出していただきました。その結果、現時点では安否は確認できておりませんし、またさらに情報の収集に努めていく所存でございますけれども、現在得ている情報を申し上げます。  一番具体的な情報といたしましては、今年三月六日に、パキスタン大使館の私どもの出先の方から、赤十字委員会からの連絡といたしまして、カブール、プルクリム、マザーリシャリーフ、カンダハール、各事務所を通じまして本人の行方を調査したところ、九七年十一月ごろから九八年二月ごろにかけまして、太田隆一さんと思われる一人の日本人が各事務所を訪れたという事実を把握してございます。  ただ、残念ながらその後の動静は杳として知れませんで、これにつきましてさらに私どもの方で調査を続けている次第でございます。
  96. 松浪健四郎

    ○松浪委員 お聞きいただいたように、電話一本で我々だってできる程度の情報収集能力なんですね。赤十字に電話をした、その事務所に電話で聞いた。これはやはり、邦人の消息については徹底的に外務省なりのチャンネルを持ってやれる、そのような強化の方法でなければ行政改革は意味がない。そのことを十分に心していただきたい、こういうふうに思います。  アフガニスタンの話が出たついでに、もう一つ外務大臣にお尋ねしたいのですが、一九七〇年代の初頭、首都カブールに我が国は立派な大使館と大使公邸を建設いたしました。中庭の広い、立派な建物でありました。これは、米ソ冷戦構造下の時代にありましては、在留邦人を保護する、そういう意味においてよく考えられた大使館であり大使公邸だ、そして、防火用水という名のプールがあったり、いろいろなことに気を使った大使館、公邸だというふうに私は思っておりました。  九二年のナジブラ共産政権が崩壊する前に、私はこの大使館を訪れたことがあります。現地の旧職員が三名、この大使公邸と大使館の監視に当たっておられ、そして玄関は封鎖をされ、ロープで扉を開くことができないようにきちんと管理されてありました。中庭の真ん中には大きな爆弾が落ちて、その穴も残っておりましたし、割れたガラスはベニヤ板でちゃんと補修をされてありました。我が国の財産をなかなかきちんと守ってくれているな、こういう思いで大使館を去りましたけれども、現在その大使館はどのようになっているのか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
  97. 小渕恵三

    小渕国務大臣 お答えする前にちょっと。松浪委員、本院に議席を持たれる前、現地からしばしば貴重なレポートを私にもお送りをいただきました。よって、私も、アフガン問題について当時から大変関心を寄せておったことでございまして、この機会に感謝を申し上げたいと思っております。  そこで、今御指摘の大使館につきましては、一九八九年に、ソ連軍の撤退に伴いまして極度にカブールの情勢が悪化をいたしたために、暫定的な措置として閉館をして現在に至っております。  昨年九月以降、大使館建物がタリバーン関係者により占拠されているとの報に接し、その後、我が方としてもこれを確認いたしておるところでございます。我が国は、あらゆる機会をとらえて占拠者の退去を求めているところでございますが、現状は今申し上げたとおりであります。  こうした当時のアフガンあるいはカブールの状況でございましたので、退去するに当たりましては、通信機器あるいは機密文書その他につきましては十分念を入れて移転をさせておるところでございます。
  98. 松浪健四郎

    ○松浪委員 大臣からお話をいただきましたけれども大臣は、実はアフガン問題が勃発したときからこの問題に大変興味を抱いてくださいました。大臣は、対人地雷の禁止条約に署名をされた。これは、アフガニスタンにはソ連が物すごい数の地雷を敷設した、そういう思いからも、私は、大臣に御理解をいただいて、英断で署名をしていただいた、このように感謝を申し上げておりますけれども、今大臣はすらっと言われましたけれども我が国の、主権国家日本大使館がタリバーンという勢力に占拠されておるのであります。  私はずっとこのアフガニスタン問題をウォッチングしてまいりましたけれども一つの勢力の軍靴に我が国大使館が踏みにじられている、大使公邸が踏みにじられている。ぺルーで人質が大使館に閉じ込められたということが大問題でありましたけれども、小国かつ貧国にある我が国のあの大きな大使館と大使公邸が外国軍によって占拠されているという事実を、今まで我々は耳にすることはありませんでした。行政改革がなされたならば、総理は、透明性を増す、このようにおっしゃっておられます。私は、このような情報は、やはり国民につまびらかに、はっきりと明示をしていかなければならない。  何も私は恥ずかしいことだとは思わないのです。なぜならば、現在のアフガニスタンは非常に長い間内戦状況が続いて危険な状況であり、外務省とてなすすべがないということを十分に理解することができるからであります。だから、大使館がタリバーン勢力に占拠されているということは何も私は恥ずかしいこととは思いませんけれども世界に冠たる主権国家として、我が国の財産が世界じゅうにあるわけですが、こういうことのないように、行政改革を行うのならば、徹底してこれらのことがないようにきちんと手を打っていくべきではないか、そして、そのための情報をきちんと収集していくべきである、このように思います。  ついでに、外務大臣はアフガニスタンの和平の問題に大変熱心でございまして、二十五日からイスラマバードで国連とイスラム諸国が中心になって和平の会議を行う、そして、これがうまいぐあいに進めば二回目の会談は東京でやろう、そういうふうにお聞きしております。天江局長はその準備のために視察あるいは調査されて、また根回しをされてきたのでしょうけれども、その辺の現状についてお話を伺うことができればと思います。
  99. 小渕恵三

    小渕国務大臣 現在、国連中心としたアフガン紛争当事者の直接対話実現に向けた準備が進んでおりまして、現時点では、第一回の会合がイスラマバードでこの二十五日に開かれる予定と承知いたしております。我が国としては、この会合が和平に向けての意義ある第一歩となることを期待いたしておるところでございます。  つきましては、第二回以降の会合につきましては、この一回目の結果を踏まえて、時期、場所等につき決定されると思われますが、第一回会合の結果、関係者のすべてが第二回会合を東京において行うことに同意する場合には、我が国としてもその実現に向けて協力する用意がございます。  なお、三月の十日に、隣国であるパキスタンのアユブ・カーン外相が日本に見えられました。私も会談をいたしまして、この地域に対して極めて大きな影響力を持つこのパキスタンの外相に対しまして、もしこの和平の問題について、我が国としても協力するという意味で、東京において開催するということであれば協力を申し上げたいということは申し上げておきました。
  100. 松浪健四郎

    ○松浪委員 世界の平和のために我が国がリーダーシップを発揮されて、そして和平が達成される、そのことを念願しておきたい、こういうふうに思います。  次に、話はがらっと変わりますけれども、この基本法を読ませていただき、そして総理の記者会見の内容を私なりに理解しておるわけですけれども、これは厚生省にお尋ねすればいいと思うのですが、少子・高齢化社会に対応してという言葉が出てまいります。少子化と高齢化が分かれていなくて、必ず少子・高齢という言葉がひっついておるわけです。  そこで、厚生省に認識としてお尋ねしたいのですが、少子化ということはいいことなのか悪いことなのか。高齢化ということはいいことなのか悪いことなのか。厚生省はどういう見解を持っているのかを尋ねしたいと思います。
  101. 田中泰弘

    田中(泰)政府委員 お答えいたします。  先生今お尋ねになりました、今後の社会を私どもが少子・高齢化ということで示している言葉の関係でございますが、少子化というのは、子供の人口が減りますとともに、今後の見込みとしては国全体の人口も減るという意味で、社会経済的にも非常に影響がある、特に厳しい影響があるというふうに思っております。ですから、この少子化の状況というものを何とかして改善をすべく対応しなければならないと思っております。  それから、もう一つの高齢化でございますが、御存じのとおり、世界一の長寿国を達成しておりまして、これは世界にも誇れることではないかなというふうに思っております。ただ、その長寿の方々が、健康で健やかにやっていただきますように努力をするということと、一方、それだけ負担がふえるということで、これを、経済的な問題も入れましてどう支えていくかという問題を一方で解決しなければならないというふうな認識でございます。  以上でございます。
  102. 松浪健四郎

    ○松浪委員 わけがわかったかわからないような答えでございましたけれども、はっきり言えば、少子化ということは、我が国にとっては活力をなくす悲しむべき問題なのです。高齢化というのは、言葉を置きかえれば長寿化だ、これは喜ぶべき、また誇ることのできることなのです。ここに悲しいこととうれしいことが一緒になって出てくるのです。みそもくそもといったぐいなのですよ。  それは、少子化という問題は大変な悲しい問題なんだ、だからどのように改善していかなければならないのか、どこに書いてあるのですか。なるほど、高齢化、これにはいろいろな疾病の問題があって、政府として対応していかなければならない、きちんと書かれてあります。ところが、少子化、これを改善していくためにはどういう思いを持っている、考えを持っている、行政改革をやったら少子化をどのようにして改善していくのか、この方向が全く書かれていないということを指摘しておきたいのです。聞くとどうせとんちんかんな答えしか戻ってこないでしょうから聞きませんけれども。  とにかく、少子化という問題は、国民の価値観が変わってきているから政治がそれに対応する、そういう待ちの姿勢ではなくて、なぜ子供を産まないのか、なぜ子供を産んでくれないのか、どのようにしたら子供を産んでくれるのだろうか、その視点が欠落しているということを厳しく指摘しておきます。もう時間がそれほどありませんので答えを求めませんが、そのことが欠落しておる。そして、このことは急務であり、徹底的にやらなければならない大きな問題である、この認識がこの基本法から欠けておるという指摘をさせていただきたい。  同時に、もう一つ厚生省に聞きたいのですが、お年を召されて大変な病気になった、あるいは健康を害してお金がない、いろいろな保険や制度によってこのようにしてヘルプをしていく、こういう制度もこの基本法にはきちんと書かれてあるような気がいたしますが、ならば、現在健康である人々、国民の健康の維持増進というのはどの省庁が担当されるのか、これを読んでもさっぱりわからないのです。健康の維持増進についてはどの省がやられるのか。厚生省が中心になってやるのですね。
  103. 田中泰弘

    田中(泰)政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃるように、健康問題、国民の関心が大変高くなっておりますし、地域社会また職場、学校等で健康問題への取り組みがなされておると思いますが、私ども厚生省は、この健康問題については、保健行政、保健サービスという観点でとらえておりまして、学校保健それから産業保健の対象者を除く一般国民を対象として厚生省では保健行政を進めているということでございます。  それで、従来から厚生省設置法の中で、公衆衛生の向上と増進という概念、かつて公衆衛生局という局がございましてその中でやっておったわけでございますが、その概念の中にこれを読み込んでおりまして、新省庁の中でも公衆衛生の向上及び増進が入っておりまして、厚生省がその部分について担当するという整理がなされております。  以上でございます。
  104. 松浪健四郎

    ○松浪委員 憲法第二十五条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こう書かれてあります。  健康というのは、国民がその健康を維持する、増進する、そうすることによって社会保障費を圧縮することができるわけですね。その視点を欠落して、病気になった人、お年を召された人たちにはこのように手厚く保護すると。同時にやっていかなければ問題がある。そして総理は、同じようなことをやるのは非合理的であるし、機能的でないから一つにまとめる。労働省も、厚生省も、自治省も、文部省も、この健康の維持増進についていろいろとやってまいりましたけれども、この基本法ではそれが一つにまとめられているのかと思いましたけれども、健康という言葉すら出てこない。国民の健康について考えない行政改革があるとしたならば、一体何のための基本法なのか、何のための行政改革であるのか、甚だ疑問に思うものであります。  国民が安心して健康を維持増進させることができる、どの省庁が責任を持ってやるのか、それを明確にすべきだと私は思います。局長の答弁をもらうと時間がなくなりますので、最後に、文部大臣にお尋ねしたいと思います。  中曽根内閣当時、ゆとりのある教育をする、個性を重視する、国際化、情報化に対応した教育をやるんだ。ちょこっと前へ進んでいるような気もいたしますけれども、今度は、中央教育議会の中間の答申案では、豊かな心を持った子供をつくる、そして、行政改革にのっとって思い切った教育改革をする、これは橋本総理の六つの改革一つの柱であるわけですが、思い切った教育改革というのは一体何なのですか。どういうふうな思いでやられるのか、そのことを大臣からお答えしていただきたいと思います。
  105. 町村信孝

    ○町村国務大臣 私は、今の教育改革、いろいろな制度を変えたり仕組みを変えたりやろうとしておりますが、この際、やはり基本的な考え方を皆さんと一緒に考えて変えていく必要があるのじゃないかな、こう思っております。  といいますのは、特に戦後の日本教育、いい点もありました。非常に普及してきたとか、すばらしい点もありました。しかし、他方、やはりいろいろな問題もあった。その問題が今いろいろな形で集約的に出ているのだろう。  例えば、戦後の教育で、一つは平等ということを非常に重視してまいりました。しかし、平等も行き過ぎると悪平等とか行き過ぎた平等、形式的な平等が余りにも行き過ぎている。学校のルート一つとっても選択肢がないとか、いろいろな面で、その平等の行き過ぎた部分をいかに改めていくのかといったようなことが一つあろうかと思います。  それからもう一つは、戦後の教育で非常に重視をされ、声高に主張されてきた権利の主張、自由の主張、これはこれでいい面もありました。しかし、他方、それに当然伴う義務とか責任とか、そうしたものを同時に言ってこなかったという欠陥が今教育の面に、これは日本社会全体について言えると思いますが、随所にあると思っております。  さらに言うならば、例えば道徳教育というものを一つとりましても、日本人の今の倫理観の欠如というのは、これは大人社会子供社会もそうですが、こうした面で非常にそうしたところを、言うならば軽視してきたとがめがまた今出ております。  そうした幾つかの、今私が挙げました二つ三つの基本的な戦後教育あるいは戦後の日本社会の根本的な部分、考え方を変えていく作業、私は今その作業に取りかかっているつもりであります。  それを具体的な形であらわしていくと、例えば先般の中教審の答申であったり、あるいは学校の選択肢を幾つもつくっていったりとか、あるいは、いささか詰め込み主義あるいは記憶力重視主義ということで、それを改めるための、例えば、ゆとりのある学校づくりということで、学校の週五日制をできるだけ早くやるとか、教えることを精選する、カリキュラムの改善とか、そういう具体論になっていくわけでありますが、私が今申し上げたいのは、そうした戦後の日本社会あるいは日本教育というものを支えてきた幾つかの根本理念をこの際見直していくというところからやらなければいけないのではないか、そういう思いで今教育改革に取り組んでいるわけであります。
  106. 松浪健四郎

    ○松浪委員 文部大臣の姿勢に敬意を表したいと思いますが、お願いしておきたいことは、今の文部行政は生ぬるい。学習指導要領の中に明記されている、なぜ入学式、卒業式に国旗を掲揚し、国歌をきちんと生徒児童に歌わすことができないのか。徹底してやっていただかなければ教育改革改革にならないということを指摘し、そして教育基本法までも改革しなければならないという、それを視野に入れて取り組まれることを切望し、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。  なお、科学技術庁長官には、質問の通告をしておきながらできなかったことを心からおわび申し上げます。
  107. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後二時四分開議
  108. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬古由起子さん。
  109. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  憲法第十五条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」国家公務員法第一条は「国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障する」とあります。  この法律案は、行政改革会議の最終報告の趣旨に基づいて提案されたものでございます。国民の求めている行革とは、行政のゆがみをなくす、業界との癒着を断ち切って浪費を削り、国民奉仕の行政をすることだ。そういう立場からして、公務員制度のあり方ということが論議される場合には、憲法と国家公務員法を前提とした国民が求める行政理念を担う制度であるということは当然だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  110. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 御指摘のとおり、国民全体の利益のために、時代の変化に対応した簡素で効率的な行政が求められているわけでございまして、行政を支える公務員制度につきましても、国民の信頼を確保することを基礎といたしまして、さまざまな課題にこたえ得るよう改革を行っていくことが重要な課題であるというふうに思っております。  こうした観点から、現在、公務員制度調査会におきまして、制度、運用の全般にわたる見直しについて御審議をしていただいているところでございます。
  111. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 いいえ、憲法と国家公務員法を前提とした国民の求める行政理念を担う制度である、こういう観点でやられるということは当然ですね。
  112. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 憲法とそれから国家公務員法で基本的な理念というのは定められているわけでございまして、それについて、現代的な課題としてどういう課題があるかを今いろいろ御審議していただいておりますので、当然、国民全体の奉仕者たる公務員ということを前提にして御議論をしていただいているところでございます。
  113. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 新聞でも報じられておりますように、公務員制度のあり方の問題について、この法案に出されている内容では、慌てて国民にわかりやすい形で公務員の削減目標を打ち出した経緯がある、このようにマスコミが報じております。まともな検討もしないで条文になっている四十七条に、国家公務員を「十年間で少なくとも十分の一の削減を行う」、このようになっております。  行財政を簡素で効率的に、国民立場に立って実行するという場合に、人をもっとふやす必要のあるケースというのも当然あると思うのですね。例えば、労働省の「労働問題のしおり」によりますと、労働基準法の適用事業所というのは四百三十五万事業所がございますが、監督官が事業所に行って監督を実施したのは十九万件、全部訪問すると二十年かかるというわけです。それで、違反率は五六・七%になっている。ところが、地方の基準局、監督署の定員はほとんど、この間ずっと変わっていないわけですね。まさに問題は山積みのままになっているという状態がございます。  きょうは法務大臣がいらっしゃっているので、法務大臣にお聞きしたいと思うのですけれども、法務局は、登記、戸籍、国籍、供託、人権擁護など、国民の権利と財産を守る行政を行っている、国民生活に大変密着した官庁でございます。  登記の業務量は、一九七一年の二億件から、列島改造計画、バブル期の土地投機で激増して、一九九五年には五億四千万件、二七〇%増加しております。職員数は、定数削減計画で厳しく抑制されて、一九%しかふえていないのですね。  入国管理官署では、国際化が急速に進みまして、出入国者数は一日平均十万人になろうとしております。一九七五年と比べて、外国人の入国者数は五倍の四百万人、日本人の出国者数は六・二倍の千五百三十万人になっている。ところが、ここも職員が四五%しか増員されておりません。コンピューターによる近代化ができない審査業務の、人による処理部分の職員数というのは、今極端な不足状態になっている。長時間、超過労働が本当に慢性的になっている。  この問題については、もう国会でも何度も請願で採択されております。法務局というのは増員すべき職場の一つというふうに私ども考えているわけですが、この機会に法務大臣の御認識を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  114. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおりに、法務行政各般にわたりまして、非常に件数、質的にもふえております。しかも、国際化、自己責任というふうな方向で進んでまいりますと、なお、将来の見通しといたしまして、紛争事案等もふえてまいると思います。  そこで、今回の中央省庁改革基本法の十八条で、「法務省の編成方針」がございます。第一は、「人権擁護行政について、その充実強化を図ること。」それから第二は、「司法機能の充実強化の方策について更に検討するとともに、関係機関に対し必要な協力を行うこと。」第三は、「行政審判機能の充実強化の方策及びこれを担う組織の在り方についての検討の支援を行うこと。」等々ございます。  私どもは、世の中がそういうふうな状況でございますし、法秩序の維持に当たりますためには、この法律に規定してありますような方針で体制を整備してまいりたい。そういうふうな中で、簡素化なり合理化できる部分は積極的に推進していく、あるいはコンピューター化も図る。しかし、基本的な仕事の体制がこういうふうなことで崩れるようなことでは、法秩序の維持というのはできませんし、国民の期待にもこたえることができないわけでございますので、積極的に推進してまいりたい、このように思います。
  115. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 こういう法務局のような、人を本当にふやさなきゃいかぬ、国民に奉仕できる行政機関としての役割がある意味で果たせないところもある。  一方では、例えば、この法律で総定員法に触れておりますけれども、自衛隊員の削減問題については全く触れられておりません。ソ連の解体後の世界で、ソ連の脅威という大義名分はなくなった今日ですから、膨大な軍事力を抱える異常さこそきちんと見なきゃいかぬというふうに思うわけですね。こういう点でいいますと、きょうは防衛庁長官がいらっしゃらないのでお答えしていただくわけにいきませんけれども、こういうふやさなきゃいかぬところと、実際にはもう減らさなきゃいかぬ、こういうところもあります。  総務庁にお伺いしますけれども、総務庁の年次報告によりますと、定数削減計画は、「行政需要の衰退部門、業務の要合理化部門から定員を削減する一方、行政需要の著しく増加している部門に必要最小限の増員を行う」、このようになっております。行政需要との関係で人を当然ふやしたり減らしたりということ、そういう中で定員というのがある、こういう根本は、この法律の趣旨も含めて変わらないというふうに考えていいでしょうか。
  116. 小里貞利

    小里国務大臣 議員も御承知のとおり、歴年ただいまお話しの定数削減計画というものを持っておりまして、いろいろ年度末になりますと、予算編成と並行いたしましてその作業を行っております。  おっしゃるとおり、原則は、新しく需要があるもの、あるいはまた増員しなければならないもの、それらは考慮をいたしまして、全体としての削減計画を実施いたしておるという状況でございます。
  117. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ある意味では、行政需要、国民の要望にこたえて、やはりふやさなきゃいかぬところと削ってもいいところとがある。  そういう中で、今回の法律で言えば、十分の一を減らすなんということをわざわざ書き込むというのは、私はやはり根拠がないというふうに思うのです。いろいろな行政の見直しの中で、ここを減らそう、これを減らすと、結果としてこうなるというのはわかるけれども、こういう書き方は私は大変乱暴な書き方ではないかというふうに思います。これは、お答えは結構です。  次に移らせていただきます。  独立行政法人問題について伺いますけれども、独立行政法人は三十六条で対象を規定しております。公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務と事業で、民営化はできないが国が直接やる必要もない事業を対象にする、こういうふうになっています。言葉を言いかえれば、サービスや事業が提供されればだれがやってもいいということになるわけです。しかし、民間企業がやらない。そこで、独立行政法人という制度を外国からかりてきて日本に導入しようとしているというふうに見られるわけです。  ところが、行革会議の議事概要で見てみますと、どの機関を独立行政法人の対象にするかという問題については、ほとんど具体的な検討はやられていないわけです。ですから、リストアップされた機関の責任者を初め関係者は寝耳に水、こういう状況があるわけですね。それで、研究者などの身分が国家公務員でなくなったら、一体どうなっていくのか。国民にとってはどうなのかということも含めまして、私はきちんとしておく必要がある。  そこで、質問をいたしますけれども、二問続けて質問いたします。  三十八条の八号で、所管大臣は中期計画の終了時において所要の検討を行う、このように規定しております。これは、所管大臣が、もう早いときには三年から五年たったら、その独立行政法人に対する廃止命令とか解散命令、こういう権限を持つことができるのかどうか、この点を第一点伺いたいと思います。  それからもう一つは、この三十八条の三号に、「独立行政法人の会計は、原則として企業会計原則によるものとする」、こうなっているわけですね。要するに、投資対効果、費用対収益でその業務が評価されるようになる。どれだけ利益を上げているのかとか、あるいは赤字を出しているのかとか、こういうものをはっきりさせるというのが本条文の目的なのかどうか。この二点を伺いたいと思います。
  118. 小里貞利

    小里国務大臣 まず前段から申し上げますが、所管大臣が、中期計画の期間終了時におきまして、その業務の継続の必要性あるいは組織のあり方など、法人の組織、業務の全般にわたる検討を行う、これはもう当然の責任だと私は思っております。  その結果に基づきまして所要の措置を講ずることを制度化したところでありまして、これにより、国民のニーズからかけ離れた組織、業務の膨張やあるいは不要となった業務の継続などが防止されることである、さような判断に立つものでございます。  さらにまた、企業会計原則の話でございますが、独立行政法人の業務としては、採算性がなく、民間主体では担うことのできないものも想定しているところでありまして、こうした業務についても、国民の税金を投入するものでありますから、当然、効率性の向上を求められることは原則であろう、さように思う次第です。  なおまた、財務会計につきましては、単年度に縛られない中期的な観点から、財務面での効率性を客観的に評価しながら、かつ一般の国民の目から見てもわかりやすい、共通の、いわゆる客観的尺度と申し上げましょうか、そういう企業会計原則を活用することといたしたわけでございます。
  119. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 研究機関などがあるわけで、こういうところで、こういう企業会計原則をなぜ入れなきゃいかぬのかという問題なんですね。  これを入れてしまいますと、結局、採算が合わないところはどうするか。研究だって、ある意味では売り上げを伸ばすというか収入が入るというか、そういうところに走りでいくということだってあるわけですね。こういう点でも、私は大変問題があるというふうに思っていますが、具体的に伺いたいと思います。  農水省の国立研究機関で三重県に所在します養殖研究所というのがありますけれども、これは過日、ウナギの養殖で大変画期的な研究が報道されておりましたが、その特徴について簡潔に御説明いただきたいのと、水産関係というのは、生物のライフスタイルから来るかなり長期的な展望というか、そういうものも含めた研究がされていると思うんですね。そういう点で、これが企業会計原則で進められるとか、一定の期間が決められるということになるとどうなるのか、具体的な技術者や研究者の意見なども含めて御紹介いただけるとありがたいと思います。
  120. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今お話のありました養殖研究所でございますが、これは増養殖事業の基礎的な研究を行っているところでございます。  ウナギについては、人工の種苗生産技術を確立するということは、現在天然のシラスウナギに種苗の全量を依存しておりまして、ウナギ養殖業の経営安定という面からも極めて重要な課題となっておるわけです。これまでウナギの人工ふ化につきましては、もう既に成功例はありましたものの、受精卵が安定的に確保できないとか、それからふ化仔魚、これはふ化したばかりの稚魚のことをいいますが、ふ化仔魚の飼育ができないなど、種苗生産に向けまして解決すべき数々の問題点が残されていました。このことから、養殖研究所におきましては、平成五年度から九年度までの五カ年間でウナギのふ化仔魚を人工的に大量生産します技術をおおむね確立したところでございます。  さらに、九年度から六カ年の計画でウナギのふ化仔魚の飼育技術の確立に向けまして研究を進めておりまして、今言われましたように、平成九年度におきましては、ふ化後二十四日までの飼育に成功いたしまして、世界で初めてウナギ仔魚の人工飼育下での成長を確認した。最初の人工ふ化の成功から数えますと、このふ化後の飼育までおおむね二十年以上経過しているという状況にございます。しかしながら、まだこのふ化した仔魚からシラスウナギに至るまでの成長過程が判明されておりませんでして、この実用化に向けましては、今後操業期間を要するのではないかというふうに考えております。  さらに、個別の試験研究機関への独立行政法人制度の導入についてのお尋ねでございますけれども、これは今後、中央省庁改革推進本部等におきまして具体的な検討が行われるというふうに承知しておりまして、この水産分野の試験研究、今言いましたように、長期間を要します、またリスクが高いという特性もございます。このような特性に配慮しながら、その試験研究機能に支障を生じることのないように検討を行うことが必要であるというふうに考えているところでございます。
  121. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今お話を聞いていただいたように、二十年もかかる。こういう場合に三年とか五年内で、どうなっているのだといって、研究の途中の経過を言ってくれと言われても、評価できない問題もあるわけですね。私は、こういう点でも基礎研究というのは大変時間がかかるということを思いますし、一概に期間を決めて、そして企業会計原則でなどというのは、これもやはり大変乱暴なやり方ではないかというふうに思うのです。  次に、農水省の関係についてお伺いしたいと思うのですが、私たち日本共産党もつくばの国立研究所に出向きまして、それぞれの関係者、専門家からいろいろ御意見を聞きました。それで、農水省の関係ではこういう要望が出てまいりました。林業関係では、県から、何年もかかる基礎的な研究は国がやってほしい、このような要望を受けているとか、それから農業環境では、埼玉県での出水災害を調査して、その原因が、水田が減少している、貯水機能がなくなったためという研究成果も明らかになって、このような研究には民間がお金を出さないのだ、こういう点でもっと力を入れてもらいたいとか、また大豆の研究をストップした、アメリカの輸出ストップを契機に研究を再開したけれども、十年間のブランクと立ち上がりの十年間を合わせると二十年間の空白ができてしまったとか、こういう切実な声も聞きました。北海道のおいしいお米をつくるための研究では十五年間という年月をかけている、こういうお話もありました。  農水大臣、もし投資対効果というのを追い求めるとか、それから、目先の収益的な確保に走り出したりしてこのような研究がストップしたら、私は国民的な損失になると思うのですよ。そういう点では、研究者が安心して基礎研究をやれるような、こういう皆さんの御意見をどのように受けとめるかということをお聞きしたいと思います。
  122. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  試験研究機関への独立行政法人制度の導入につきましては、効率性のみを追求し基礎研究を軽視するというようなものではございませんで、各研究機関の多様性を尊重し、自律性あるいは柔軟性、競争性を高めることを通じて、基礎研究を含む試験研究機能の一層の向上を図ろうとする趣旨に基づくものであります。  ただ、農林水産省関係の試験研究は、他の分野の試験研究に比べて、ただいま御指摘がありましたように、品種の育成のように長期間を要し、リスクが高いという特性があることもまた事実であります。一例を挙げれば、コシヒカリの品種育成には十三年を要しています。  こういうことから、具体的な機関の独立行政法人化については、中央省庁改革推進本部等において今後検討することとされているところでありまして、その際、農林水産省の試験研究機関については、このような研究の効率化に資するものとなるか等の観点を踏まえて慎重な検討が必要である、こう考えております。
  123. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 国立研究所の所長で組織しております国立研究機関議会が意見書を出しているのですね。この中で、国研の中には行政現場との一体性が確保されてこそ効率的、効果的な成果が上げられる機関がある。これらの機関は、独立行政法人化により逆に迅速かつ的確な行政的な措置や研究遂行に障害が生じるため、従来どおりの施設等機関として省庁に属することが適切である。また、国研の多くは、市場原理になじまず、採算のとれない研究を行っているため、効率化を眼目とした独立行政法人化には本来なじまないものである。科学技術創造立国という観点からも、効率化を目的とする一般的な独立行政法人の扱いとは異なる、研究機関にふさわしい創造性を引き出す体制づくりが必要である。問題点を指摘しているわけですね。  そこで、こういう研究に携わっている方々の直接の御意見、要するに、もうこの研究遂行にはこういう独立行政法人化は障害が生じるんだということをはっきり言われているわけです。このことについて、科学技術庁長官、お願いします。
  124. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 簡潔にお答えをいたします。  国立試験研究機関にはいろいろなものがございまして、行政機関行政目的に密着した研究を行っているところもございますけれども、他方、大学や民間ではできないような、言うなれば国の戦略的な目標を行っている研究機関もございます。しかし、国の戦略的な目標を追求していくといいましても、やはり研究機関である以上、研究者の自主性、裁量性というものがなければこれはなかなか進んでまいりません。他方、公務員制度ということになりますと、定員とか予算とか運営の仕方、いろいろ制約があるということがございます。  そこで、この独立行政法人は、そういう研究機関の多様性、先ほど農水大臣も多様性ということを言われましたが、多様性に即してそれぞれの機関の、農水大臣が言われたことでありますけれども、自律性や競争性や、あるいはその自主性、裁量性というものを生かしていく方向で考えたときにはこういうものが必要であろうという御議論で今日まで来ているのだと思います。ですから、これを制度化していく場合にも、当然そういうことを念頭に置いて進めなければならないと思っております。  そして、今国研協の意見書を挙げられました。現場の研究者たちがこの問題でどう考えておられるかという貴重な資料でございますから、私ども、これを念頭に置いて議論を進めていく必要があると思っております。
  125. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 この意見書について総務庁長官は、私はやはり研究者の皆さんの専門的な御意見もよく聞いて今回の独立行政法人問題というのは考えなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  126. 小里貞利

    小里国務大臣 先生も御承知いただいておると思うのでございますが、例えば行政改革会議のメンバーにも東京大学の有馬先生、物理学者でございますが、このような方々も相当数お入りをいただいておりまして、各位の意見を重要な参考にしながらこの結果は取りまとめてまいったものでございます。
  127. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 要するに、私が最初に言いました、憲法や国家公務員法、こういうものに基づいた、本当に国民に奉仕していくような国家公務員像や国家の行政機関でなければならぬ、こういう立場からではなくて、やはりここに関係者も反対して、障害だと言っているわけですから、この辺にきちんと真摯に耳を傾けて私は進めていくべきだというふうに思います。そういう点でもこの法案というのはそれに反しているというふうに思うので、ぜひ今後また深い論議をお願いしたいと思います。  以上でございます。
  128. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、今田保典君の質疑に入ります。
  129. 今田保典

    今田委員 民主党の今田保典でございます。  私は、今回は国土交通省関係に絞って質問させていただきたいと思います。  実は、私はこの場に来るまでは交通産業に携わっておった人間でございますので、非常にこの点については興味もあるし、また関心を持って取り組んでいきたい、こういう気持ちでこれから質問をさせていただきたいと思います。  国土交通省の編成方針を示しています第二十二条の構成を見てみますと、行政方針と思われる部分や、第九号、第十号のように基本法に盛り込む必要のない具体的事項の記述など、内容のレベルが何か統一性がない、こういうふうに言わざるを得ません。私は、この基本法は、新たな設置法案の策定や関連法案の改正等のためのプランニングというような位置づけだと認識しております。  そこで、本法案のプランニング法としての性格を明確にする観点から、問題点の指摘と修正を要する事項について提案を申し上げ、御所見をお伺いしたい、このように思っております。  まず最初に、交通行政現状について総務庁長官にお考えをお尋ねしたい、このように思っています。  私は、我が国には運輸行政はあるが交通行政はないとかねがね主張してまいりました。運輸行政運輸省の所管でありますが、交通行政は責任を持った所管行政はありません。その意味で交通行政がないと思っているわけであります。交通行政現状を見ますと、運輸事業の規制、監督は運輸省、総合的な交通政策は経済企画庁、交通安全対策は総務庁、そして交通規制は警察庁、道路等については建設省と全くばらばらな状態であります。こうしたことから、交通の三大問題であります事故、渋滞、公害といった問題に対して機敏な対応ができない状態にあるのではないかというふうに言わざるを得ません。  そうした意味から、私としては、このたびの運輸行政から交通行政への転換は現実に即したものと受けとめております。こうした交通行政現状とそのあり方について、長官はどのように現在認識しておられるか、お伺いしたいと思います。
  130. 小里貞利

    小里国務大臣 お話にもございましたように、交通行政については、これまでも関係する各省庁間におきまして緊密な連携を確保いたしながら、総合交通政策に資する各種施策の推進に努めてまいったところでございます。  今次の改革案におきましても、大くくり再編を目指す今回の省庁再編、その基本におきまして、国土の総合的、体系的な開発及び利用、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進等を主要な任務とする国土交通省を設置することといたしたのでございますが、この国土交通省においては、ハード、ソフト両面からの総合的な交通体系整備の推進を図ることといたしております。  国土交通省の設置の趣旨を可能な限り生かしまして、先ほどの御発言でお聞かせいただきましたようなことなども念頭に置きながら、交通政策の推進の実を上げるとともに、関係省庁間の調整と連携の緊密化をより一層進めてまいりたいと思っております。
  131. 今田保典

    今田委員 今ほどの中でいろいろ出ましたけれども、具体的にちょっとお聞きしたいわけですけれども、交通関係の労働団体あるいは交通産業に携わる各種団体などが、交通政策要求の中で交通行政の確立を求めるとともに、交通基本法の制定と国民の交通権の確立というこれまでにない新しい問題を提起しております。交通基本法については、交通に関する総合的な政策目標や施策の基準を定めるものでありますけれども、既にフランスでは一九八二年、国内交通基本法を制定していると聞いております。また、国民の交通権についてもフランスの国内交通基本法では明確に定めております。  この交通基本法と交通権という問題は、交通行政のこれからの大きな課題と思っておりますが、長官はこうした交通行政のこれからの課題についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいのです。
  132. 小里貞利

    小里国務大臣 総合的な交通政策を確立してそしてそれを具体的に実践してまいりますことは、先ほども申し上げましたとおり、またお話がございましたとおりでございまして、特に、ただいまお聞かせをいただきました外国の諸制度あるいは事情などもよく資料をとって勘案して進めてまいらなければならない、さように思います。
  133. 今田保典

    今田委員 今ほどの件なのですが、交通といいますと、どうも我々は自動車とか鉄道とか飛行機とか、そういったものしかちょっと頭に浮かばない一面もあるわけですけれども、実際は歩行者もおるわけでありますし、それから自転車なども当然交通の中にあるわけであります。こういった幅広い交通行政というものにやはりこれから取り組んでいただかなければならないのではないかというふうに思うわけでありまして、ぜひひとつそういった意味で幅広く物事を見詰めていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。  次に、具体的な点についてお尋ねをしたいわけでありますけれども、まず最初に、第二十二条において「国土交通省は、次に掲げる機能及び政策の在り方を踏まえて編成する」となっております。しかし、第二十二条を構成する十四号全体を検証してみますと、国土の形成、公共事業、社会資本整備などに関するハード面の事項に重点を置かれ過ぎてはいないのかということでございます。また、ソフト面の機能も含めた総合的な交通運輸政策を遂行する方向性が、私から言わせれば明確になっていないのではないかというふうに思われます。  また、この法案のもとになっています行革会議の最終報告では、国土交通省部分の「機能・政策の在り方の見直し」とするところに「ハード・ソフトの両面からの総合的な交通体系整備」こう記述されておったわけであります。本法案の第二十二条には、この部分に見合う編成方針が見当たらない、こういうことでございます。  私は、そこで、第一号を国土の形成、第二号を社会資本の整備、第三号をハード、ソフトの両面からの総合的な交通体系整備として明確に位置づけ、記述もそのように変更する必要があるのではないかというふうに思います。  具体的には、第二号は「社会資本の整備を整合的かつ効率的に推進すること。」となっておりますが、社会資本整備の内容を実効性あるものにするためには、各種の分野別特別会計制度の見直しを行うことが必須の条件だと考えられます。また、私は、「社会資本の整備」とするのではなく、国土交通省で扱う社会資本は国民生活に直結していることを強調する意味で、「社会資本」の前に「国民生活に係る」というふうに追記をすべきではないか。さらに、特別会計制度の見直しとあわせて、第二号を、国民生活に係る社会資本の整備を整合的かつ効率的に推進するとともに、分野別の特別会計制度についても抜本的に見直すことにすべきだ、こういうふうに修正が必要だと思いますが、これに対してのお考えをお聞かせをいただきたい。  また、第三号は、これまでのばらばらな交通運輸行政を抜本的に改善し、ハード、ソフトの両面を含めた総合的な交通政策を遂行する内容に変更する必要があると考えられます。したがって、第三号を、交通に関する基盤整備も含めた総合的な計画立案と施設の整備及び管理を行うとともに、運輸事業者による安全かつ効率的な運輸輸送サービスの提供、また確保、その他総合的な政策の企画立案とそれに基づく交通整理、調整、誘導等を推進することと修正すべきだと考えます。  いろいろ具体的なことを申し上げましたけれども、これらについてどのようにお考えなのかお聞かせをいただきたい、このように思います。
  134. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  今田委員の御質問、大変幅広い範囲の中での具体的な質問が幾つかございます。私の方といたしましては、まず最初に委員の御質問の中で、今般の基本法案、編成方針の規定はハード面に重点が置かれ過ぎているのではないかという御指摘でございました。  行革会議の最終報告では、国土交通省の交通行政につきましては、ハード、ソフト両面からの総合的な交通体系の整備を担うことを明記しておるところでございます。  また、法案の「国土交通省の編成方針」におきましては、このハード、ソフト両面からの総合的な交通体系の整備という観点を受けまして、「施設の整備及び管理、運輸事業者による安全かつ効率的な輸送サービスの提供の確保その他の施策による総合的な交通体系の整備を行う」とこれまた規定をいたしております。  いずれにいたしましても、この基本法案の規定は、法案の規定全体といたしまして、ハード、ソフトの施策が一体的かつ運輸事業、運輸行政という視点を超えた交通政策という幅広い視点に立って、総合的な交通行政に取り組んでいく方針を明示しているものと私ども認識しているところでございます。
  135. 今田保典

    今田委員 運輸大臣にお答えをいただいたわけでありますけれども総務庁長官はこの辺はどのようにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたいのです。
  136. 小里貞利

    小里国務大臣 いわば先ほどの議員のお話は、いわゆる「主要な行政機能」にある「運輸安全」については交通安全、あるいは少なくとも最終報告にある「安全規制」というところに話を整理なさったと思うのでございますが、基本法案における国土交通省の機能としての「運輸安全」についての御指摘であろうかと、私の立場からはそう思うのでございますが、二つ申し上げたいと思います。   一つは、行政改革会議の最終報告の「安全規制」の記述であり、そしてまたもう一つは、交通安全では、道路交通の取り締まりなど、他省庁の機能との区分で明らかでないということから申し上げまして、以上のことを申し上げたわけでございますが、大体そういう感じでお答え申し上げておきます。
  137. 今田保典

    今田委員 私の質問の内容とちょっと違うのですが、私が申し上げたいのは、今回の省庁案の中には、ハード面はいろいろ書かれておりますけれども、ソフト面が何か不明朗なわけですね。やはり今のこういった交通行政というのは、ハードも大切ですけれどもソフト面でどのように進めるのか、こういうことがいろいろと求められているのだろう、このことについて長官のお考えを聞かせていただきたかった、こういうことでございます。
  138. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 委員御指摘のとおり、この国土交通省一つのねらいは、ハード、ソフト両面からの総合的な政策の推進というところにあるわけでございまして、これも委員御指摘のとおり、行革会議長終報告において、ハード、ソフト両面からの総合的な交通体系の整備という記述があるわけでございます。そして、これを受けまして、これも先ほど運輸大臣から御答弁がございましたとおり、基本法の第二十二条三号におきまして、これに相当する記述を置いております。  このように、この国土交通省におきましては、ハード、ソフト両面一体となった政策の推進ということを重視した行革会議の考えでもございますし、それをそのままこの基本法においても反映させておると考えておるところでございます。
  139. 今田保典

    今田委員 そういうことからして、やはり先ほど質問の中で申し上げましたけれども、そういうこと、さらにまた国民に非常にかかわりのある交通関係でございますので、やはりここは国民生活に係るというようなことに、ある程度どこかのところに一つ明記をする必要があるのではないかというふうに思いますが、この点について今後検討してもらえませんか。
  140. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、社会資本、国民生活にとっても重要な機能を果たすものでございます。と同時に、まさに国の社会経済活動万般にわたるインフラであろうと私どもは考えるわけでございます。  このような意味で、これまでのいろいろな政府文書あるいは法令等におきましても、万般のインフラとしての社会資本ということにつきましては、そのまま社会資本と私ども書いて紛れのないことだと考えておりますし、また先生がおっしゃるような国民生活という面についても当然含まれるものだと私ども考えておりまして、この条文において先生の御指摘の趣旨は十分酌み取り得るし、また今後の国土省の編成にも十分反映し得るものだと考えております。
  141. 今田保典

    今田委員 そういうことで、私の言わんとするところをひとつ理解をしていただいて、今後いろいろと御検討いただければありがたい、このように思います。  次に、先ほど長官の方からもちょっと触れられたようでございますけれども、交通安全に関する件についてお尋ねをしたいと思います。  いわば交通安全行政についてお尋ねしたいわけでありますけれども、第十二号の編成方針には、関係省庁の間における調整の中核として機能を担うこととなっておりますが、本来、交通政策行政と交通安全行政は一体でなければならないと考えております。  現在、交通安全行政の連絡調整は総務庁でありますが、交通安全行政に対する指導の徹底の難しさ、あるいは縦割りの行政の弊害など、さまざまな問題が指摘されていることは御承知のことと思います。これらの課題を責任を持って解決するには、第二十八条、「府省間の政策調整等」というふうになっておりますけれども、にすべて任せるのではなく、交通安全行政国土交通省に統合して、基本政策の立案と総合調整機能など、国土交通省役割と責任であることを明確にする必要があるのではないか。したがって、第十二号の内容を、交通安全に関する基本的な政策及び計画の企画立案と総合調整機能を担うこと、こういうふうに変更すべきではないかなというふうに私なりに考えるわけであります。  また、別表第二の「主要な行政機能」のところで「運輸安全」と記されておりますが、ここで運輸と限定して範囲を縮小する必要はないと思います。私は、それより、「交通安全」ないしは最終報告で使われている「安全規制」に変更する方が適当だと考えますが、これについてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  142. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 まず、交通安全に関してお答えを申し上げます。  交通安全行政は、御指摘のとおり、運輸、建設、警察など多くの省庁関係する行政でございまして、政府としても、これまで各省庁間の連携をとりつつ進めてまいりましたけれども、今後におきましては、なお一層、これは一体となって取り組む必要があると考えております。  今回の省庁再編におきましては、各省庁行政目的別に大くくりにするという観点から、この国土交通省のみならず他の省についても、それぞれ行政機能を目的別に大くくりに編成して、それぞれの省がそれぞれの目的を追求することができるように、そういう考え方で各省を編成しております。この考え方の上では、それぞれの省が行政目的を追求する上で必要な場合には、かつて総理が横ぐしとおっしゃいましたけれども、横断的な調整を各省庁の間に繰り広げる、そういう仕組みを今度は確立するということにしておりまして、その旨もこの基本法に書いておるわけでございます。  そういう趣旨からして、この交通安全行政というところに着目した場合に、どの省がその中核的な役割を果たすべきか、そういう観点から先生御指摘のこの十二号の規定があるということでございます。もとより、この交通安全行政に限らず、少子・高齢対策その他についても、それぞれの省にこういう規定を置いて、それぞれの省がそれぞれの目的を達成できるようにする規定を書いております。それと一連のものであるというふうに御理解をいただきたいと思っております。それで、この場合において、内閣官房や内閣府が行うまさに総合調整というものとはそれは性質を異にする、これは先生御理解をいただけることだと思っております。  こういう今申し上げた形で仕組みをつくっておりますので、今後、この交通安全行政を展開するということにおきましては、国土交通省がその担う機能を十分に発揮をしていただくことが必要だと思いますし、その上で、国土交通省や警察庁やその他関係省との間で緊密な連携関係を確立して進めていただくことができるようになっておりますし、また、それを期待できると思っております。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕
  143. 今田保典

    今田委員 今回答いただいたことに尽きると思うんですが、ただ、現在の日本の交通安全について非常に貢献されておる自動車学校の仕組みなんかは、現在、警察庁管轄なんですよね。これはちょっとおかしいと思うんですよ。やはり、交通安全というのはそういったいろいろな方々から協力をもらって初めて達成できる、こういうのが世の中の仕組みだと思うんですが、そういった意味からして自動車学校のお話も出したわけですが、まあ、ほんの一例でございますけれども、いろいろなものがあるわけでありまして、こういったものをひとつ幅広くいろいろと拾い上げていただいて、御検討をいただければいいな、こういうふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
  144. 小里貞利

    小里国務大臣 もし、もしてございませんでして、是が非でも国会の意思を決定いただきたいわけでございますが、決定いただきました後の各省庁の編成作業のときに参考にさせていただきたいと思います。
  145. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先ほどの御質問でもう一つ質問がございまして、答弁漏れがございまして、まことに申しわけございませんでした。  別表第二の「主要な行政機能」に関する御指摘でございましたが、先ほどちょっと私ども小里大臣から御指摘をさせていただきましたけれども、この「安全規制」というもの、安全あるいは交通安全という言葉については、この国土交通省の機能として範囲を確定するに足るかどうかという、これはまさに用語上の吟味の問題でございます。この行革会議長終報告で意味するところを私ども変えようと、そういう意図で文字を変えたわけではなくて、この国土交通省が担う機能の範囲として行革会議長終報告がもともと考えておられた範囲はこの表現がふさわしいのではないかということでございますので、行革会議長終報告そのままの意味を移しているものというふうに御理解いただきたいと思います。
  146. 今田保典

    今田委員 ありがとうございました。そういうことで、今、大変、交通地獄というふうに言われておりますので、やはり真剣に取り組まなければならないんだろうというふうに私も認識しておりますし、ぜひ政府段階でも今後取り組んでいただきたい、このことをお願いを申し上げます。  次に、物流に関する基本的な認識についてお尋ねをしたいわけであります。  第二十二条に十四項目の編成方針がありますが、その中に物流に関する記述は全くございません。これはどういうわけかということで後ほどお伺いしたいわけですが、九六年十二月に閣議決定された「経済構造の変革と創造のためのプログラム」においても、物流改革が経済構造改革の中で最重要課題と位置づけられました。そのため、通産、運輸、建設の各省が中心になって、関係する多くの省庁が連携をして検討が進められたその結果として、物流施策の総合的な推進を図るため、総合物流施策大綱ということが昨年の四月に閣議決定されたのは御承知のとおりでございます。  この総合物流施策大綱の策定に見られますように、日本の物流は大きな転換期を迎えております。国民の生活に大変大きくかかわりのある物流に関する総合的な取り組みを強化することは、一刻の猶予も許されない緊急の課題だと言っても過言ではないのではないかというふうに思います。  これらのことも、今日の貨物流通をめぐる課題は多く、物流に対する位置づけ、物流に対する総合的な施策等を踏まえ、貨物流通に関する行政を総合的かつ一元的に遂行する機能を国土交通省が担うことを必要とするのではないかというふうに思います。同時に、編成方針に、国土交通省の機能として、貨物流通に関する政策及び計画の企画立案と総合調整機能を担うことというふうにむしろ追記をする必要があるのではないか、このように思っているわけでありますけれども、この物流に関する基本的な考え方、具体的にもしあればお聞かせをいただきたいと思います。
  147. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  今田委員御指摘の、物流に関する総合的な取り組みを強化すべきではないかという御指摘に対しましては、私も同じ認識に立つものでございます。  今般、四省庁が大くくりされまして国土交通省が編成され、交通政策の推進に当たってそれを総合的にハード、ソフト両面から交通体系の整備をしていくことは、これは先ほども御答弁申し上げたとおりでございます。この物流に関する取り組みにつきましても、従来にも増して総合的、かつ、計画立案から実施に至るまで一貫的に取り組んでいかなければならないと考えております。  具体的に申し上げますと、例えば道路輸送にいたしましても、あるいは海上輸送にいたしましても、さらには鉄道輸送にいたしましても、これら物流の高コスト是正等のための総合的な施策等が今般のこの四省庁統合によりましてより的確に展開し得るものと我々は考えておりまして、今委員御指摘の点につきましては十分配慮しながら、これから総合的な物流体系の整備に直進していかなければならないと考えているところでございます。
  148. 今田保典

    今田委員 私から言うまでもなく、物流については非常に日本の経済から見まして大切な部分でございます。そういった意味では、それぞれの立場の皆さんは十分認識されているのだろうというふうに思いますけれども、今回のいろいろ出されている中身を見ますと、そういう思いはあるにしてもやはり活字に出ないと、なかなか周りで関係する方は、何か物流は置き去りにされているなというような感じを持つのですよね。  そういった意味で、そうではないのだということであれば、それなりの記述も必要なのではないかというふうに思うわけでありますけれども長官、どのようにお考えですか。
  149. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 ただいま運輸大臣から御答弁がございましたとおりと私どもも考えております。この基本法の規定に基づいて具体的に国土交通省の所掌事務あるいは組織の編成を決定していく際には、御指摘の点についても十分考え、検討させていただくことになると考えております。
  150. 今田保典

    今田委員 ぜひひとつ、それに携わる方々は非常に心配されております。これは、何も中央省庁再編の問題が出たからということではなくて、今までもいろいろな問題で指摘をされてきたわけですので、これからも精力的に取り組んでいただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、社会資本の総合的な整備計画に関する事項でお尋ねをしたいと思います。  第二十二条の第十一号には、「社会資本の総合的な整備計画については、経済財政諮問会議の議を経るものとすること。」とありますが、経済財政諮問会議に提起する総合的整備計画の企画立案はどこで行うのか。私は、国土交通省関係者の意見を聴取しながら策定することをあらかじめ明記する必要があるのではないか。これについてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  151. 亀井久興

    亀井国務大臣 社会資本の総合的な整備計画についてのお尋ねでございますけれども、御承知のとおり、基本法案では国土交通省の主要な行政機能の一つに国土計画が掲げられているところでございます。  各省の事務につきましては、これから中央省庁改革推進本部等におきまして基本法案の規定を踏まえた具体的な検討が行われるものと考えておりますけれども、基本法案では国土交通省の主要な行政機能に国土計画が位置づけられていることなどから、全国総合開発計画などの社会資本の総合的な整備計画につきましては、国土庁等四省庁を母体といたします国土交通省中心になるべきものだと考えております。
  152. 今田保典

    今田委員 これを、実は私は山形なんですけれども、地方の方々は非常に注目しているのですよね。やはりこういった社会資本の整備計画について、何か今までやっていることがどうも偏っているような感じすらもうかがわれるような部分があるわけでありまして、やはり交通行政については日本列島を幅広く見ていただいて、そしてきちっとした企画を立てた上で社会資本の投資というものが必要なのではないかというのは、だれでもそう思っておるわけでありますけれども、どうもそういう傾向に一部分見られないところがあるわけでありまして、ぜひこの点については慎重かつ幅広く見ていただいて、そして取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。  次に、環境行政についてお尋ねをいたします。  第二十二条の各項目には環境行政に関する記述がありません。環境行政は、今世界的に地球環境の問題が重要度を増していることから、今般、日本でも環境庁から環境省に格上げする構想が本法案で示されております。  これまで運輸省も、自動車を中心に交通機関全体の環境対策、気象庁の環境測定、監視等あるいは環境行政には欠かせない重要な機能を担ってきております。国土交通省に統合しても引き続きこれら任務を担うことが必要であることから、第二十八条の「府省間の政策調整等」にすべてを任せるのではなく、やはり国土交通省としての役割と責任を明確にするため、環境行政に関する事項を追記する必要があるのではないか、このように思いますが、どのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  153. 小里貞利

    小里国務大臣 まさに環境行政の重要性はお話しのとおりでございまして、今次の行政改革におきましても、環境行政の重要性にかんがみ、御承知のとおり環境省を設置することといたしたところでございます。  中でも、御指摘のとおり、環境問題に関しまして各省行政がそれぞれの立場で積極的に協力し、取り組むことは当然でございますが、新たな体制のもとにおきましても、環境省を中心といたしまして、関係省の緊密な連携のもとに環境問題に的確に取り組んでいかなければならぬ。そしてまた、最後に御指摘いただきましたように、国土交通省に限らず、それぞれの省が環境問題に留意しつつ、その行政の任務、目的を的確に遂行してまいらなければならない、さように判断をいたしております。
  154. 今田保典

    今田委員 今の長官の最後の方に言われた、それぞれの省庁役割と責任を明確にしながら取り組んでいくということについてはそのとおりだと思いますが、具体的に各省庁で取り組むものについて改めて検討して明記をする、明記といいますか考え方を示す、こういうことになるのですか。
  155. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほども国会の意思をというお断りを申し上げながらお答え申し上げた次第でございますが、いよいよ、各省庁設置法の大変幅広い作業でございますが、始めさせていただくといたしますと、その検討の機会におきまして、先ほどからお聞かせいただいておりまする交通安全等々に関することなども十分留意しながら検討を進めなけりゃならないと思います。
  156. 今田保典

    今田委員 これも、実は何かちょっと相反する部分があるわけでありますけれども、いわゆる陸上交通関係方々は、環境に関して、自動車に対しての規制、あるいは運行に対してのいろいろな環境面での規制、そういったものがいろいろとこれからは出るのではないかというふうに心配されている方もおるわけであります。こういったものについては、早く取り組めるようにやはりきちっとしたものを出すべきだ、こういうふうに思うわけでありまして、このことについて、運輸大臣、どういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  157. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 お答え申し上げます。  ただいま総務庁長官から御答弁ございましたとおり、環境にかかわる問題等々につきましては、新たな国土交通省になりまして、現在運輸省が果たしております責務につきましてどのように位置づけていくか、これは国土交通省の設置法の中で検討していくべき課題であると考えております。
  158. 今田保典

    今田委員 ぜひひとつ、私の言わんとするところを理解の上、取り組んでいただきたい、このように思います。  次に、情報公開に関する事項についてお尋ねをしたいと思います。  規制緩和、地方分権が推進されておりますが、これらをゆがみなく、公明に、公正に、さらに透明に推進するためには欠かせない条件が情報公開であると考えます。  そこで、第二十二条第五号の最後に、民間能力の活用が唐突に出てきております。これを第九号に回し、この第五号は、地方分権、規制緩和、これらを実効たらしめるための情報公開と位置づけしまして、第五号を、所轄行政の全般にわたり、地方分権推進委員会の勧告を着実に実行するとともに、さらに、地方公共団体への権限の移譲、国の関与の縮減等を積極的に進めるほか、徹底した規制緩和、情報公開等に努め、事前規制から事後監視への転換を図ることというような、私の考え方でございますけれども、変更することが適当ではないのかというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。
  159. 小里貞利

    小里国務大臣 行政の透明性を向上させる、そしてまた国の施策等を国民の皆様方に広く周知徹底をするという意味におきましても、情報公開は極めて重要なことでございます。  今お話がございましたように、民間能力の活用という側面から申し上げましても、あるいはまた行政の減量化に当たって重要な事柄でありまして、各省行政についてそれぞれ必要かつ重要と考えたところでありまして、行政改革会議長終報告の指摘にもそのまま個別に盛り込んであるところでございます。  基本法案全体を通じまして、以上のような趣旨でいろいろ制定いたしたところでございますが、また今後の各省庁設置法編成作業におきましても、十分留意をしてまいりたいと思います。
  160. 今田保典

    今田委員 今地方分権の時代だ、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、特に規制緩和との絡みで、規制緩和がどんどん進めばそれなりの効果が出てくるんだろうというふうには思いますけれども、何事をするにしても、すべてが中央にわざわざ出向いていろいろな手続をしなければならぬというのが今の運輸行政ではないのかなというふうに思うわけであります。それぞれの地方に運輸局がありますけれども、それらについても、非常に時間のかかる場所にあったり、なかなか大変な状況にあるわけであります。  やはり地方分権というものを精査をしながら、今ほど言われたようなものがこれからも続かないように進めていかなければならないのではないかというふうに思うわけでありまして、この情報公開について、もう少し具体的な、あるいはもう少し積極的なもろもろの文章に置きかえるべきではないのかなというふうに思うわけでありますけれども、再度、長官の考えをお聞かせいただきたいのです。
  161. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 委員御指摘のとおり、情報公開が重要なテーマであるということは、私ども十分認識をいたしておるわけでございます。  この基本法案におきましては、第四条第七号という、この基本法の全体を通ずる基本方針の中に、「行政運営の透明性の向上を図るとともに、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるものとすること。」まさに全省、全行政についてこのような基本的な方向づけを与えておる、その位置づけの上でのまた各章、各節の規定であるというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。  また、政府の施策として、このような考え方のもとにいわゆる情報公開法を既に今国会に提出をさせていただき、御審議をお願いをしておるというところまで既に来ておるということでございます。したがいまして、先生御指摘の情報公開の重要性については十分認識をし、各省行政の中にもそれを今後きちんとはめ込んでいくということは間違いのないことだと考えております。
  162. 今田保典

    今田委員 そういうことで、まずひとつ積極的に取り組んでいただきたい、このようにお願いを申し上げます。  次に、先ほど長官もちょっとお触れになられましたけれども、民間の能力の活用についてお伺いをしたいわけであります。  規制緩和の理念の一つが、官から民へ、民でできることは民でやると認識しております。そこで、国土交通省の機能及び政策のあり方のみならず、今後の中央省庁の運営全般にわたって、民間の能力活用が必須の条件となっております。  そこで、第二十二条第九号の記述が余りにも範囲が限定的でないのかというふうに思います。第九号にこの民活を統合し、民間の能力を幅広い範囲でとらえ、社会資本の整備を初め施設整備、機器の整備及び管理等に民間の能力を活用するためのシステム整備を進めること、こういうふうな形に第九号を変更する必要があるのではないかというふうに思うわけでありますが、この点についてどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕
  163. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今田委員のお尋ねでございますが、社会資本整備に当たっては民間の能力活用、こういったものを進めるべきではないか、こういうお尋ねでございますが、最近の厳しい財政事情のもとにおきまして、民間活力を活用してまいるということは大変重要なことだ、かように認識をいたしております。  我が国は、既に、今日まで振り返ってみますと、有料道路制度など、受益者負担を前提とする社会資本整備の手法がとられてまいりました。近年、イギリスにおきましてPFIを初め、諸外国におきましても、民間活力を活用して社会資本の整備を行おうとする試みが行われておるわけでございます。  建設省では、昨年十一月以来、各分野の専門家から成る新しい社会資本整備検討委員会を設置をいたしました。大学の先生等、多数の方々にお集まりをいただいて、新たな視点から御検討いただいておるところでございまして、近日中にも報告をまとめていただくことになる、かように思います。  さらに、今後はこれらの成果を生かしながら民間活力の活用というのを図りまして、社会資本整備の充実に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  164. 今田保典

    今田委員 次に、国土交通省名称についてお尋ねをしたいわけでありますけれども名称についてはいろいろと意見があることについては承知をしております。  ある大臣は、そんな長たらしい省庁の名前にできるかというような方もおられたようでありますけれども、私も、名称については、できれば二文字で簡明なものにすべきだ、こういうふうに思っておるわけであります。さらに主たる行政目的を明確にする意味から、国土交通省、こういうことではなく、国土と交通省を振り分けてもいいのではないかと。交通は幅広い分野にわたっていろいろ取り組まなければならないものがあるわけでありまして、それが何か国土と一緒にというのはどうもなじまない部分もあるわけであります。国土交通省を交通省にしてくれといっても、では国土関係の方はどうなるんだということにもなるわけでありまして、なかなか難しいのだろうと思いますけれども、この点についてどうですか、長官
  165. 小里貞利

    小里国務大臣 お話にもございましたように、新省庁の名前につきましてはかなり話題を呼んだところでございまして、御承知のとおり、この基本法におきましては、皆さんひとつ議論があるんでしょう、議論してください、そして、その結果、何か新しくという必要性があるのであれば、それはあえて妨げるものではありません、こういう趣旨で法律提案をいたしておりますから、いろいろと御意見もお聞かせをいただきまして、そして後日、推進本部におきまして、最も国民にわかりやすい、しかも結果としても名前そのものが、ただいまお話がございましたように、親しみやすい、わかりやすい、そしてその役所の新たな任務あるいは新たな行政機能、所掌事務等がよくわかるように要約したものと申し上げましょうか、そういう象徴するものを整理することがよろしいな、そう思っております。
  166. 今田保典

    今田委員 今の長官のお話ですと、これからまだまだ名称については考える余地がある、こういう認識でよろしいのですか。
  167. 小里貞利

    小里国務大臣 国会内外の皆様方の御意見に刮目を申し上げております、さようなことでございます。
  168. 今田保典

    今田委員 そういうお考えというか、そういうことであるとすれば、ちょうどきょう運輸省建設省が来ておりますので、それぞれの大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  169. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 これは正直申しまして大変難しい御質問でございまして、先般、今田委員から、運輸委員会におきましても、同趣旨の御質問をちょうだいいたしました。そのときも私から御答弁を申し上げたわけなのですが、それぞれの省庁、それぞれの思いがあろうかと思います。在籍した職員あるいは関係者等々からすれば、自分省庁の名前がなくなるというのは、一抹の寂しさと申しましょうか、でき得れば残したいという気持ちがありましょう。しかし、四省庁が統合されるわけですから、この点につきまして、ただいま小里総務庁長官のお話がありましたように、国民になじみやすい、またわかりやすい、そういう名称にすることが、それは当然のことだと思います。  いずれにいたしましても、今般のこの基本法案におきましては、交通政策の推進というのが主たる任務となっておりますし、より総合的な交通行政が展開できる。このことは、社会資本整備の整合的、効率的な推進と並んで、国土交通省を編成する大きな眼目の一つになっておるわけでありますから、そういったことを総合的に勘案いたしますと、国土交通省というのは妥当ではないかなというのが私の認識をいたしておるところでございます。
  170. 瓦力

    ○瓦国務大臣 国土の適正な整備、管理について、責任官庁として四省庁が一体となってまいるわけでございまして、国土の総合的、体系的な開発及び利用という行政目的を実現するため、そのための社会資本整備、交通政策を担う役所として設置されるものでございまして、ふさわしい名称が検討さるべきもの、こう考えますし、総務庁長官からもさきに答弁がございました。藤井孝男という四文字と、瓦力という二文字と、どちらがいいかといいましても、二人ともよく似た性格でありますので、御理解を賜りたいと思います。
  171. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいまそれぞれ御答弁のあったところでございますが、国土交通省は、建設省運輸省、それに国土庁北海道開発庁、この四省庁を母体といたしまして、国土の総合的、体系的な開発及び利用、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策等を総合的、一体的に推進をしていく行政組織である、そのように認識をしておるところでございますので、そのようなことから、それをあらわす名称といたしまして国土交通省とされたというように認識をいたしておりますけれども、先ほど総務庁長官の御答弁にありましたように、設置法律案までの間に、より任務を的確にあらわす名称等があればそれを否定するものではないということでございますが、私といたしましては、国土交通省という名称でいいのではないか、そのように受けとめております。
  172. 今田保典

    今田委員 実はきのう、この質問に当たって、私の事務所にレクチャーといいますか、そういったことで来ていただいたのですが、ちょっと人数は忘れましたけれども、十名ほど来ていただきました。この方々が全部一緒になるのかなあ、こういうお話をさせてもらったのですが、年間の予算の、これは私の認識不足だということで指摘していただけばいいのですが、六分の一前後の予算をそこで抱えるようになってくるのですよね。果たしてそういう省庁、余り大きくなり過ぎなのかなというような、何か無理矢理統合したような感じすら与えたという感じを持っているのですが、改めて、きのうレクチャーを受けて、来ていただいた方々を見て、さらにその思いを強くしたわけであります。そのことが、国土交通省ということで本当にいいのかなというふうに感じました。そのことを私の感じとして、意見として申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  173. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、松崎公昭君から関連質疑の申し出があります。今田君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。松崎公昭君。
  174. 松崎公昭

    松崎委員 民主党の松崎公昭でございます。  中央省庁改革、再編の本当の問題というのは、既に基本的なことはたくさん語られておりますので、今さら理念とか云々は申し上げません。  基本的に違うなと思いますのは、確かに明治以来の大変長い官僚制度を、グローバルスタンダード、今の世界に合わせる、そしてまた、日本国民の今後の幸せのために思い切った組織がえ、社会のシステムを変えるのだ、それは同じだと思いますが、今回の基本法案の中身全体を見ますと、中央集権体制、いわゆる国民を統治していく、そういう行政の形を直そう、部分的とは言いませんよ、大変大きな改革であることは確かです。しかし、基本的に違うのは、我々の言っている分権型あるいは連邦型というその構想とは違うわけでありますので、この法案を逐一お話ししたり御質問することも確かに必要ではありますけれども、基本的に違うのだというところだけはまず押さえておかないと間違いを起こすな、そんなふうに思っております。  つまり、私たちが求めるものは、中央政府が主導していく国家ではなくて、国民が主役になる社会、そういうものに転換していくのだ。ですから、当然今までの大きなシステム、そういったものが縮小をしていくのだ。その縮小の幾つかのポイントは、やはり分権でありますし、民営化である。  そういうことでまいりますと、もちろん今回の法案の中には分権の問題は出てきておりますけれども、こういう準備室が出しております。パンフレット一つ見ても、「地方分権」は、「関連諸制度の改革」、「その他の改革」の一番最後の方にぽっと書いてある。ですから、我々の言っている、徹底して中央政府をスリム化するために権限と財源を地方に回していく、そういう形とは基本的に違うのだな、そんなふうに感じております。  私はもともと地方議会出身でありますので、地方分権というものをしっかりやるべきだ、そういう持論を持って国会へ来たわけでありますけれども、今回の分権推進委員会の経過を見ておりましても、本当に分権ができるのだろうか。まだ入り口である、諸井さんもそうおっしゃっておりましたが。  それは、あれだけ学者の方々が時間をかけて本気になってやっていた、しかし、現実問題として分権の一番のポイントであります財源の問題、権限の問題、これがほとんど抜けてしまった。つまり、役所のいろいろな力によって空洞化されてしまった。そういう思いを、諸井さん自体も、たしか四次勧告で、まだこれは入り口なんだ、分権は本当に入り口なんだ、そういうことをお話しになっています。  ですから、そういうことを見ますと、あの分権を進める法律をつくって、時限立法をつくって、そして分権をしよう、今国会の最後には分権推進計画をつくる、そこまで言っておりますが、中身は、正直言いまして、機関委任事務という、実際は今まで地方がやっていた仕事の最終的な決断を移すということにほとんどの精力をとられてしまった。こんなありさまで分権なんかできるのだろうか、私はずっとそういう危惧を持っておりました。  そこへこの中央省庁の再編の基本法案が出てきて、国家のそういう中央集権体制をがらっと変えるのだ。私はがらっととは思いませんが、役人さんのお立場からいくと、これでも大変なことだと思います。  ですから、私の言いたいのは、分権推進に本格的に立ち向かった学者さんのあの計画でさえあれだけ骨抜きになって、今回も、いろいろな新聞等の論説によりますと、期待外れであるとか、残念ながら形だけであるとか、そういう評価になっております。ですから、この省庁再編も私は残念ながら余り期待できないのではないか、そんなふうに思っておる次第であります。  さて、長官もよく分権推進をお話しになります。そしてまた、私どもの言う省庁再編の一番のポイントは分権が本当にできるかということでありますけれども、この辺、今回の推進委員会の経過を踏まえて、本当の省庁再編のインパクトになる分権が今の段階で可能であるかどうか。
  175. 小里貞利

    小里国務大臣 中央省庁再編に向かいましてのいわば基礎的な心構えあるいは感想なども交えながら、しかも、そんなに簡単なものじゃないぞ、大変な抵抗もあるだろう、厳しいぞという警鐘も説明しながらいろいろお聞かせいただいたところでございますが、まさにお話のとおりでございます。私どもも、最終報告をまとめるにつきまして、約十四カ月間ぐらいを要したかと思うのでございますが、大変激しい起伏がありました。  そのことは、ただいまもお話がありましたように、あるときには組織、団体が、あるときには関係団体等の御苦言なども大変熾烈に飛び交ってきたことも事実でありまして、むしろこれらの経験を大きな教訓にいたしまして、今回の中央省庁改革基本法を御決定いただきました後は、まさに腰を据えて、そして不動の姿勢で立ち向かっていかなければ、名実ともに国民に評価をいただけるような成案は得られないわけでございますから、きちんとお話のような心構えを持ちながら対処してまいりたいと思う次第でございます。  殊に、お話の中でございました地方分権一つをとってみましても、中身のある、まさに従来の一府二十一省庁体制を一府十二省庁体制にさすが持ってきた、これは名実ともに箱も中身も簡素化されている、そして効率性が高い、そして透明性もある、縦割り行政の弊害も除去されておるよ、そのほかさまざまな大きな課題、あるいは大きな期待が集められておるわけでございますから、あとう限りそれらにこたえるように精査を進めていかなければならないと思う次第でございます。  特に、地方分権にいたしましても、今までのうちにおきましても、いろいろ第四次にわたるまでの答申もいただきました。そしてまた、近々、私どもの中央省庁再編の作業に合わせましてまとまったものをお聞かせいただくということになっております。私どもは、それらの御意見も十分お聞きしながら、そしてまた可能な限り、行革本部は行革本部、政府政府としてこれに対応し得る心の用意、そしてまた具体的な対応を進めていかなければならないと思っております。
  176. 松崎公昭

    松崎委員 少しかみ合わないわけでありますけれども。  例えば分権推進の四次勧告において、権限の移譲というのは非常に大事なのですね。財源に関しましては、抵抗があってほとんど手をつけられなかった。今回、例えば権限も十二件しか国から移ってないのですね。これは何万件あるかわかりませんけれども、十二件しか移っていなかった。これも省庁の抵抗によった。それから、財源の問題も手をつけようと思ったけれども、それもほとんどできなかった。だから、入り口だということを諸井さんは言っておるわけでありますね。  ですから、長官のお話は、ワン・オブ・ゼム、改革一つが分権だというふうにおっしゃっているように私は感じたのですが、私は、官から民へ徹底的に渡す、それから、地方にどんどん渡していくのだ、そして残った仕事、これはうちの党は皆さん言っておると思いますけれども、残った仕事を幾つかの省に分けるのだということでありますから。  今回のように、最初から局を百二十八を九十にするとか、省の局数を十以下にするとか、課、室を千二百を千にして、その後九百だとか、先にそういう大枠をつける、これは一つの方法論の違いかもしれませんけれども、そうではなくて、質の問題から地方分権とか民へ譲っていく、そういうことをしっかりやった上で、本当に残る仕事は多分三割ぐらいだと思います。今、七割方の仕事は機関委任事務も含めて地方がやっているわけですから、この財源を、七割は最初から地方へ渡して、そして中央は三割の仕事を三割のお金でやるのだ、それが私たちの描く将来の形なのでありますので、基本形が違いますから、ここで議論をしてもかみ合わないかもしれません。  しかし、私が言いたいのは、分権推進委員会のあの御努力にもかかわらず、それだけ骨抜きになってしまった。十二ですよ、権限移譲がたったの十二。県から市町村へ渡したのが、それでも三十六件ぐらいありますか。こんなありさまで本当の分権ができるか。  しかも、きょうの審議の中にもありますけれども国土交通省も分権のことを言っているのですね。それでは、具体的な話も進めながら入ってまいりたいと思います。  二十二条の国土交通省の中で「地方分権推進委員会の勧告を着実に実施する」、この省だけなぜこれを書かれているのでしょうか。
  177. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この国土交通省の結論に至る過程にあって、行革会議におきましては、公共事業あるいは社会資本整備等の機能を所管する省の編成のあり方、あるいはその機能のあり方について種々御論議をいただいたわけでございます。  その中で、特に、今申し上げたような行政の面において、地方分権、特に地方公共団体の主体性を尊重していくという考え方が非常に重要だということでさまざまな委員から御指摘もあり、この会議としてのコンセンサスが醸成をされてきたわけでございます。なかんずく、行革会議委員のお一人に諸井委員長もお入りになり、このような御主張もしておられたということから、この地方分権推進委員会の種々の提言をベースにかんがみたときに、この国土交通省の所管する行政、特に公共事業に関してこのような点が重要であると考え、行革会議の最終報告にこのような記述が盛り込まれた。  そういう経過を踏まえた上で、今度の基本法案は、行革会議の最終報告を、忠実にこれを業務に反映するという考え方から、このようなものとしたわけでございます。
  178. 松崎公昭

    松崎委員 国土交通省、これは今の予算とか、今回の予算で結構でありますけれども、それから公共事業の割合でありますとか、補助金、許認可、関与、こういったものは、全体の中で国土交通省はどのくらいあるのでしょうか。大臣ではわかりませんか。長官ですか。
  179. 小里貞利

    小里国務大臣 公共事業は、ざっと申し上げまして、七兆弱かと思っております。  そして、最初、統合いたしますと、今の形で申し上げますと、七万人前後かと存じております。  そのほかの数値は事務局の方から申し上げても結構です。
  180. 松崎公昭

    松崎委員 なぜこれを聞きましたかといいますと、許認可でも、一万一千のうち二千五百三十二、二三%。関与、国から自治体への権限移譲は三千三百四十四のうちの千七、三〇%。それから、公共事業は長官のおっしゃったとおり七兆円ですね、全体の八〇%。ちょっとこれは数字がおかしいのですけれども、膨大な大きさだということで、そこで、分権推進委員会の勧告を着実に実施せよと二十二条の五号に入れたのではないかと私は思いますけれども大臣、どうでしょうか。
  181. 小里貞利

    小里国務大臣 議員はよく御承知いただいておるわけでございますが、国土交通省にいたしましてもあるいは総務省におきましても、今、計画を立てました編成計画でいきますと、その姿というものは大変大きく見えるわけでございます。  しかしながら、先ほどもお話がございましたように、今の事務事業をそのまま統合するのであれば大きな姿でありましょうけれども、私どもは、先ほど先生からも御指摘ありましたようなことなどを、数多くの改革をする、いわゆる縮減合理化をする処方せんと申し上げましょうか、手続、制度を御相談を数多く申し上げておるわけでございまして、それらの制度の御了解と同時に、さまざまこれを実践していくことによってその事務事業の縮減合理化もあるいは組織・定員の合理化、縮小もできる、そしてまた、やらなければならないと思っておるわけでございます。  例えば、ただいま議員の方から、公共事業費も非常に大きいな、こういうお話でございますが、そのとおりであります。したがいまして、私どもは、その意味におきまして、公共事業もできるだけ合理化をしなければいけない。そしてまた、財政規模も巨大化を防止しなければいかぬ、合理化をしなければいかぬ。  その合理化を図るための基準もまた御相談を申し上げておるところでございまして、例えば公共事業におきましては、国が直接行うものはこういう基準で整理をいたしますよ、あるいはまた半ば数県にまたがる、国が行わなければならないと判断せられるような大規模の事業においてはこういう基準でいきましようとか、あるいはまた国に残すものはこういう基準でなければいけませんよとか、いろいろな一つの基準を持っておるわけでございまして、そのような形で整理をしていく。  同時にまた、御承知のとおり、事前管理から事後処理のいわゆるルール行政にも、基本的な行政組織の組み立ての根幹におきましてこれをきちんと整理するものも相当出てくるわけでございます。あるいはまた機能分担も、しばしば申し上げておりまするように、政策の立案機能と事業実施の機能はきちんと分けましょう、こういう一つの組み立ての根幹もあるわけでございまして、その観点からいいますと、例えば国土交通省の場合には、この際、地方支分部局の整理統合なども思い切って行います、そういうような一つの施策を考えておるわけでございまして、今、時間の関係がございますから全部申し上げるわけにはいきませんけれども、さような一つの計画で進めてまいります。
  182. 松崎公昭

    松崎委員 それでは、なぜ巨大かというところで、やはりこれが皆さん一番心配をしている。ですから、橋本総理が、去年の十二月に、分権推進委員会にまた第五次の勧告を頼んだ。最近の話では、どうも分権推進委員会国土交通省が大きくなり過ぎると非常に心配をしているという記事が出ております。  ですから、またもとへちょっと戻りますけれども、大体おかしな話で、分権推進をやろうということで推進計画をこの国会の後に出すのですけれども、さらに五次までやらなければならなかったということで、ちょっとしつこくなりますけれども、なぜ分権が進んでいなかったか。そしてまた、分権推進委員会国土交通省の巨大化を問題視している、この辺で、次の勧告へ向けて、一回終わったものが再度始まったわけですが、なぜこんなふうになったか、長官
  183. 小里貞利

    小里国務大臣 地方分権作業というものがいかにこの中央省庁の再編に密接な関係があるか、また、本来改革をしなければならぬという本質的なものもあるわけでございますが、それはもう先生と全く同感でございます。  しかしながら、地方分権の計画がどうもおくれているのではないか、おくれておるとすればその理由はどこにあるかというお話だと思うのでございますが、地方分権計画というのは、先生もお話しのとおり、四次にわたってございました。  機関委任事務も廃止しますよ、これもいたしました。あるいはまた、国と地方とのかかわり方、国と地方団体のあり方の問題等も基本的なところは整理をされました。特に、国と地方団体とは上下主従の関係にないんだよ、これは対等な立場で、この際、今までの組織も制度も業務のあり方も反省、総括をして、そして対等な立場でこれから議論しなければいけませんよというようなことなどから始まりまして、もろもろの作業が行われておりますこと、御承知のとおりであります。  さらにまた、先ほど話がありまするように、行政改革、中央省庁再編を進めるという視点からも、さらに地方分権の作業を進めてください、絞ってくださいという視点から、総理もいろいろ要請を申し上げておるところでございます。  実は、私どもも、一体本当に地方の県、市町村、自治団体等はどういう分権を願っていらっしゃるのか、何を要望していらっしゃるのか、制度上あるいは今日の行政、財政の実態についてどういう考えを持っていらっしゃるか、お聞かせを願いたい。そしてまた、できるだけその辺を整理してかからなければ中央の省庁再編も進まないものですから、いろいろ議論をいたしておるところでございます。  例えば、私は、これはおとといの朝いただいた全国知事会が出しておる地方分権に対する考え方というのを要約したのを、ちょっと一昨日の夜読ませていただきました。  この中に本当にわかりやすく出ておるわけでございますが、機関委任事務、これは大体終わりましたね、その次は何ですか、その次は国庫補助・負担金を減らして地方財政を充実してくれ、ここであります。なるほど、地方財政を充実するということは、先ほど議員がお話しになりましたように、財源の問題等であります。あるいは、もっと研究していきますと、交付税等にかかわってくるかなと思っておりますけれども、その辺の専門的なところは自治大臣や自治省でも今十分検討をいただきつつありますから、その辺を地方分権の答申とあわせてお急ぎくださいませんかということを相談を申し上げておるところであります。  さらに、この全国知事会が要望されました中の柱の一つに、国が新しい地方団体とのルールもつくってくれ、こういうことも言っておられますが、概して申し上げますと、地方公共団体に国はどのような形でかかわっていけばいいのかという、そのあり方の問題でありまして、こういう一つの施政上のこと、原則的なことは、一応整理はされておるなという感じを持ちます。  最後に言っておられるのが、事務、権限の移譲をもっと強化してくれ、例えば農地転用の問題、工場立地の問題、水質汚濁防止の問題等だ。  そういうようなことを具体的に出しておられますから、この中で、私どもの行革も、あるいは関係自治省等も、総務庁なども研究を進めておるところもありますが、決しておっしゃるように十分ではありませんので、これらの根幹にかかわるところを、改革にかかわるところをもう少しお急ぎを願いたい。そして、明年の今ごろ、各省庁の設置法を国会に対して御相談申し上げますから、それまでにはきちんと整理を詰めなければならぬと思っておる次第でございます。
  184. 松崎公昭

    松崎委員 一年後というお話がありましたが、私はどうしても地方分権にまだこだわっておりまして、きょうは、本来は国土交通省をお聞きをしなければいけないのですけれども、大事なところなものですから、長官とのやり合いになってしまいました。  結局知事会のお話になりましたけれども、そういうことはこの分権推進委員会で長年やってきたのですね。やってきたのだけれども、どんどんお役人の力であれしてしまった。  では、せっかく建設大臣いらっしゃいますから、かつての分権推進委員会建設省はどのくらい権限移譲をいたしましたか。
  185. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  建設省の権限移譲をどの程度やってきたかということでございますが、御案内のとおり、第四次勧告まで地方分権推進委員会からいただきましたものの中で、特に建設省で取り組んでまいりましたものを簡単に御報告を申し上げたいと思います。  まず一つは、都市計画制度の見直しでございます。これにつきましては、平成十年一月に都市計画中央審議会等において検討を取りまとめまして、第一次答申ということで既に発表しているわけでございますが、市町村の都市計画決定権限の範囲を大幅に拡大いたしました。  従来でございますと、例えば市町村道あるいは公園等につきましても、ある一定の規模以上のものを都道府県の都市計画決定というふうにいたしておりましたけれども、これを市町村に決めていただくということで範囲を大幅に拡大いたしました。  また、例えば、政令指定都市の都市計画決定権限を都道府県並みに大幅に拡充いたしまして、都市計画区域の指定あるいは市街化区域と市街化調整区域の区域区分等を除き、原則として政令指定都市が決定をするということができるようにいたしております。  また、国との調整を要する都市計画の範囲の縮減でございます。これは、再三御議論がございますとおり、国と地方との関係あるいは役割の分担、こういうことにもなるわけでございますが、例えば大臣認可が必要とされる都市の人口規模要件といったようなものを引き上げまして、人口三十万以上で建設大臣が指定するものについて国との調整を要する、こういうようなことをいたしております。  こういう見直し後の決定の割合でございますけれども、平成六年度の都市計画の実績、これによりまして推計をいたしますと、例えば、現行では都道府県知事の決定が四割のものが、見直し後は四分の一に減ずる、あるいは、市町村決定が現在は六割のものが四分の三というような形にふえるといったようなことがございます。  あるいは、先ほどからいろいろ御議論がございますような補助金の問題等でございますけれども、これにつきましても、簡素合理化あるいはメニュー化、あるいは場合によっては採択基準、これはいろいろな御議論もございますけれども、採択基準を引き上げるといったようなこともいたしております。  一般的に申し上げまして、現在私どもでやっております認可と申しますか、国におけるいろいろな部門というものも、できる限り四次までの御報告の中で、勧告の中で、公共団体にお任せするような方向の中で処理をしてきているものというふうに考えております。
  186. 松崎公昭

    松崎委員 たくさんの権限の中では、今のも多分都道府県から市町村へのものも入っているのではないか、そんなふうに思いますけれども、私は、この議論をいつまでもやっていてもいけませんので、五十一条に移ります。  これは、要は、ほとんどそういう権限移譲ができていないんだ、立ちはだかった官僚機構が強いよということが言いたいので、それで長官に、五十一条のやはり地方分権なんですけれども、「更に本格的な検討を進める」、つまり、分権推進委員会は時限立法のもとで動いておりますので、これは、本当の分権を進めないと省庁再編も実現しないわけでありますから、長官としてのお立場で、今後どういうふうに分権推進に対して、法律があと間もなくで切れてしまうわけでありますから、さらに本格的な検討を続けるんだ、その辺のお考えをお知らせいただきたい。
  187. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、基本的なところを申し上げますと、要するにこれから地方分権も積極的に進めるんだなというお話でございますが、そのとおりでございます。  さらに、本格的に進めるに当たりまして、地方団体の、一つは規模の問題があると言われます、一つは財源の問題があります、一つは人材の問題に積極的に取り組む必要があるとしたところでありまして、これらのことを基本にいたしまして、御指摘の第五十一条第二号はこのような趣旨を規定したものでもありました。  地方分権推進委員会の勧告の実現の上に立ちまして、政府として、今後より一層の検討を進め、地方行財政制度の改革を行うことになる、さように考えます。
  188. 松崎公昭

    松崎委員 ですから、今お読みになったところですけれども、「推進委員会の勧告を尊重して着実にこれを実施し、」、この勧告の中身は、先ほどから言っているように、ほとんどが機関委任事務なんですよ。六百幾つかの機関委任事務を今までやっていた、五百六十ですか、今まで地方自治体がやっていたんですよね。それが、しかも自治事務にしようとしたのが八割あったはずなんですけれども、六割に減っちゃった、法定受託事務が四割にもふえてしまった。  これだけ中身のない、残念ながら、諸井先生たちが一生懸命やっていただきましたけれども、まだまだ分権の実現には中身が薄いんです。その勧告を尊重して、着実にこれを実施したって分権にならないというのが私の言い方でありまして、だから、この先、分権推進委員会と違う形でまたつくるべきではないか、そのくらいの思い切った形をつくらないと分権なんかできませんということを言っているんですが、どうですか。
  189. 小里貞利

    小里国務大臣 一般的な一つの概念として申し上げますと、おっしゃるとおりでありまして、先ほど私が申し上げたように、従来の、例えば達し、指示、あるいはそのほかの国と地方とにかかわる事務原則というものをやはり大胆にこの際重い改正をしておく、そういう意気込みが私は必要であろうと思います。
  190. 松崎公昭

    松崎委員 わかりました。  それでは次に、巨大化の問題に戻ります。国土交通省がいかに巨大かということで。  そこで、先ほど地方支分部局、これの統合という問題がございました。ここは大変心配をしている。巨大な組織になってしまうんじゃないか、中央の方は調整でありますとか企画になって、現実的にはその地方局が運輸省と一緒になって巨大組織になっていく、しかも、その長にほとんどの権限が移っていく、非常にこの辺を心配しているわけでありますが、この辺は、建設大臣、どのような方向を考えていらっしゃいますか。
  191. 瓦力

    ○瓦国務大臣 松崎委員から、国土交通省、巨大化について大臣としていかが考えるか、こういうお尋ねでございます。  国土交通省が一体になりますと、姿、形は、職員数にいたしましても、予算額にいたしましても、非常に大きなものになることは御案内のとおりでございます。加えて申し上げれば、労働福祉省をとりましても大きな役所になるわけでございます。  これからいかなる機能を果たしていくかというようなことに私どもは真剣に取り組んで行政改革の実を上げていく、そういう努力をしなければならぬわけでございまして、徹底的な規制緩和であるとか地方分権の一層の推進、今委員からもお話のありました地方支分部局への権限委譲などによる減量化というものを図っていかなければなりません。  効率化、透明化の観点から、また類似事業間の調整、これもいろいろ類似したものがございまして、現に調整に取り組んでおるところでございますし、また実を上げておるのでございますが、加えてコストの縮減であるとか事業の決定過程の透明化、評価の適正化など、こういったものに取り組んでいくことが重要である、かように考えております。  それぞれ省庁が抱える問題は、巨大化といいましても、いわゆる予算で見る巨大化、こう申されれば、国土整備の中でそれだけの事業を行うということになれば、これは予算としては大きなものになるわけでありますから、いかに透明度も高く、効率よく運んでいくかということが、ひっきょう、これと相まって重要なことになるという認識でございます。
  192. 松崎公昭

    松崎委員 なぜこういう問題になるかというと、これから十六兆円の公共投資ですか経済対策もやる、また同じように公共事業に行くのではないか。これは、省庁再編はまだ先でありますけれども、そういうことで常に公共事業が注目を浴びる、いいにつけあしきにつけ。そういうところで、さらに、この計画でいくと巨大な幾つかの地方部局ができてしまう。これは果たしてこの国の形としてよろしいのかどうか、本当に分権をもっと進めていかなきゃだめだということに常になってくるわけでありますけれども。  さて、その公共工事の見直しに関しても四十六条で随分書かれております。  この三では、支分部局の長にいろいろな権限からお金から全部入っていく。しかし、その一と二で、やはりここでも分権の問題が出ておるんですね。地方公共団体に徹底的にゆだねていって減らすんだ、そういうことをここでは言っております。  ですから、この辺の仕組みを、今のお答えでは、地方支分部局の内容が、権限とお金が集まり過ぎる。そしてまた、この四十六条の一と二では地方公共団体の役割を強く言いながら、そこに分散していく、補助金の問題ももちろん出ておりますけれども。そういう仕組みを、本気にどういうふうに取り組んでいくんだということが公共事業の本当の見直しになるので、その辺、長官、お願いします。
  193. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、地方支分部局はどうなるのか、どういう形でというところを申し上げますと、運輸省建設省国土庁北海道開発庁の四省庁体制でございます。それぞれ今ある省庁機関の協議あるいはまた御相談をまずいたさなければならないと思っております。  また、それらのことにつきましては、関係大臣を初め各省庁でもそういう方向で今いろいろと御配慮をいただきつつあるところでございまして、新たに地方支分部局という組織体を物理的につくるよというものではございませんで、それぞれ機関が持っていらっしゃる出先の機関を統廃合をする、合理的に、そして効率的に。これが大きな主眼であるわけでございまして、申し上げましたように、関係省庁でよく御議論をいただきまして、それらをお聞かせいただきながら支分部局を統廃合いたします。これが一つでございます。  それから、今の新省庁関係予算、事業というのは一体どうなるのか、特に公共事業はどうなるのか、どういうふうに節減するのかというお話でございますが、一つは、国が直接行うものと国が行わないもの、あるいは国に残るものにしても、先生が御指摘になったように、節減合理化を図ることを努力しなければならないと思う次第です。  若干申し上げますと、国が直接行うものは、全国的な政策、計画の企画立案、これが一つあります。一つは、全国的見地から必要な基礎的、広域的事業に限定をいたしました。これは、もっと具体的に申し上げますと、複数県にわたる基礎的、広域的な事業かな。  さらにまた、地域的な事業は可能な限り地方公共団体に移譲するべきであろう。これは、前段で議員もお話がありましたように、地方分権の絡みにおきましても必要な一つの要素であろうと思っております。  さらに、それでもなお国に残るものについても、先ほど話がありましたように、徹底的な民間能力の活用を促進しなければいけない。民間資金活用等によることも、公共施設整備そのほかの包括委託方式等々、今それぞれ巷間で言われておりますことも非常に参考になることかと私どもは思っておる次第であります。  さらにまた、事業実施機能は基本的に地方支分部局へ権限を委譲するという、先ほど言及なさったところはこの辺にあろうかと思う次第であります。  さらに、大事なことは、これも議員であられたかと思うのでございますが、事業の計画決定から事業後の評価に至るまでの一連の過程を透明化、適正化するというようなことなども大きな一つの基本に入れておるところでございます。  あらまし申し上げまして、そういう構想でございます。
  194. 松崎公昭

    松崎委員 時間がなくなってしまいますので、公共事業に関しまして、入札問題でありますとか、そんなこともちょっとお聞きしたいなと思っております。  今、政策評価の問題もございました。これは、まず、二十二条の八号にも入札制度を見直すんだということで「一層の改善」と書いてありますけれども、これは、私も地方議会で長くやっておりましたし、いまだに、この前の自民党さんの腐敗防止法ですか、何か地方から抵抗があったということがありましたが、あれは当然でありまして、談合だらけの日本社会ですから、それは地方議員の方がはるかにすごいんですね。今は国会議員は皆さん監視が厳しいのでだめなんですけれども、地方議会、特に県会なんというのは、一番見えませんから、これは本当に巣なんですね。ですから、地方からああいう反対が出たのは当たり前でありまして、しかし、それをやらないと本当はだめなんですよね。  そこで、入札制度、契約制度の改善はどんなふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
  195. 瓦力

    ○瓦国務大臣 松崎委員御指摘のように、談合はあってはならないことでございまして、建設省におきましては、少しでも不正の起きにくいシステム、そういったことを目的に、平成六年度から、WTO政府調達協定との整合性を図りつつ、大規模工事への一般競争方式の導入、指名競争方式の改善など、透明性、客観性あるいは競争性を大幅に高めるための入札・契約制度の抜本的な改革に取り組んできたところでございまして、今後、一層の定着、浸透に努力しなければならぬ。  さらに加えて、本年二月四日の中建審の建議に基づきまして、予定価格の事後公表等の入札・契約制度のさらなる改善に取り組んでまいっておるところでございます。  不正行為を行った業者に対する指名停止や営業停止といったペナルティーが強化されたところでございまして、不正行為があれば厳正に対処をする方針でございます。発注者あるいは受注者の厳しいモラルの確立が必要でございまして、関係法令の遵守の徹底を図っているところでございます。  とかく問題が発生をいたしておりまして、これらの不正行為の根絶に向けて最大限の努力をしなければならぬ、こういうことで取り組んでおるところでございます。
  196. 松崎公昭

    松崎委員 今のところ、マスコミも大蔵省とか金融関係ばかり書いていますけれども、こういう建設関係は、深く、静かに、広く全国に動いておりますので、今の御答弁ではちょっと……。この新しい法案に向けて、わざわざ八号で書いてあるわけですから、しっかりとした体制をつくっていただきたい、そんなふうに思っております。  さて、特殊法人なんですが、特殊法人の中でこの国土交通省の特殊法人は約三三%あります。この辺のスリム化、これは今回も随分我が党からもお話があったと思いますけれども、どんなスリム化策があるのか。また、これは、先ほど政策評価の問題がありましたけれども行政評価をしていない法人がやはり十五ぐらいございます、国土交通省の特殊法人の中で。その辺の特殊法人に対するスリム化と、それから政策評価、こんなことをどんなふうに考えていらっしゃるか。
  197. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 特殊法人につきましては、行革会議長終報告及びこれを忠実に条文化しましたこの基本法におきましては、整理合理化を徹底的に進める必要があるという考え方の条文を置いております。  従来から、政府は特殊法人の整理に積極的に取り組んできたところでございますし、なお、今後、これを進めていく予定をつくっておるわけでございます。こういう予定について、着実に整理合理化を進めるということがまず第一かと思っております。  それから、次に、特殊法人の業績評価あるいは政策評価に係る御質問でございますけれども、今回、行革会議の最終報告及びこの基本法は、特殊法人のみに係るということではなくて、国の行政全体を通じて政策評価の機能を強化したらどうか、という形で規定を置き、あるいは提言をしておるということでございます。  この政策評価については、まず、各省それぞれにおいてその機能を確立し充実していくこと、同時にまた、各省を通ずる全政府レベルにおいてもこの機能の充実を図ること、そういう形で規定をそれぞれ置いておるわけでございます。この規定に基づいて、今後、この法案の成立後、政府において具体的な検討が進められるということになろうかと思っております。
  198. 松崎公昭

    松崎委員 特殊法人関係は、またじっくりやらせていただきます。  先ほどから、我々は、どうしても議論はこの省庁再編で負の部分、マイナスの部分ばかり取り上げるわけでありますけれども、三つ、四つが一つになってメリットも出るのではないか、そういうふうに思うんですね。  二十二条の三号で「総合的な交通体系の整備を行う」と書いてあるわけでありますけれども、この辺で、例えば六兆円ぐらいあります道路財源、これを道路ばかりというふうに囲わないで、メリットが生まれる、運輸省も一緒になるわけですから、総合的な交通体系に使うとか、また、運輸省関係する国鉄債務、こういうふうにお使いになれる可能性、メリットは出てくるんですね。そういうようなお考え、その辺はいかがでしょうか。
  199. 瓦力

    ○瓦国務大臣 省庁の統合によってメリット分はいろいろな形で出てくるわけでございますし、それを追求するために、委員御承知のとおり、このたびの行革というものを強力に進めておるわけでございまして、国民へのサービスというものを私どももこれから旺盛にしていかなければならぬと思うわけでございますが、今、委員の御質問は道路特定財源についてお触れでございますので、私からお答えをさせていただきます。  既にたびたび申し上げ、委員も御案内のとおりでございますが、我が国の立ちおくれた道路整備を緊急かつ計画的に進める、こういう観点から、受益者負担、原因者負担の考え方に基づきまして道路利用者に負担を求めているわけでございまして、安易な転用といいますか、受益者と負担の関係を崩すことになりますと納税者の理解が得られないものと考えておるわけでございます。当面、さようにお答えを申し上げておきます。
  200. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 道路財源の件につきましては今建設大臣から御答弁がありましたが、委員御指摘の、国鉄長期債務に関連しての御指摘もございましたので、お答えをさせていただきます。  国鉄長期債務の問題につきましては、昨年十二月十七日に、財政構造改革会議において国鉄長期債務及び国有林野累積債務の処理のための具体的な方策が決定されたところであります。このことを受けまして、現在、今国会に所要の法案を提出しているところでございますが、この具体的方策を検討する過程におきまして、委員御指摘の、道路財源についても国鉄長期債務に充てたらどうかという御意見がございました。これに対しまして、財政構造改革会議の企画委員会におきまして、特にワーキンググループをつくりまして、この問題について検討をいたしたわけでございます。  そして、その結果、揮発油税等の道路特定財源は、ただいま建設大臣の御答弁にもありましたように、受益者負担の考え方によるものであることから、現在の仕組みのままで道路特定財源を国鉄長期債務の処理に充てることは困難である等の意見が出され、今回の国鉄長期債務の抜本的処理方策には財源として盛り込まれなかったものでございます。
  201. 松崎公昭

    松崎委員 新しい形ですから、新しい対応もできるように期待をしております。  終わります。
  202. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、若松謙維君質疑に入ります。
  203. 若松謙維

    ○若松委員 若松謙維です。  平和・改革代表して、きょうは、特に行政効率という観点から独立行政法人、これについて集中的に質問をさせていただきます。  あと五十分ですので、ひとつよろしくお願いいたします。  この独立行政法人、何人かの方が触れられたのですけれども、体系的にかつ包括的に触れられた方がおりませんので、私も、理事で、なるべく出番を控えようと思っていたのですけれども、きょうあえて出させていただきました。そして、今回の行革に関するお話は、本当の本当は、自民党の筆頭理事の野呂田先生が、イギリスカナダも、そしてニュージーランドも、全部合わせると百三十六カ国訪問しているということですけれども、本当はこの方に質問していただきたかったのです。でも、どうもお立場が邪魔しているのか、早く法案を上げたいのか、そんなことで、私がその筆頭理事の意を体して突っ込んだ質問をさせていただきます。  今回のこの行革基本法案ですけれども一やるのだったら時間差し上げますよ。大丈夫ですか、そうですが。第四章の「国の行政組織等の減量、効率化等」、これはちゃんと章をつけて、まさに今回の法案の大きな目的一つに減量、効率化、これがはっきり打ち出されております。  それで、行政機関をいかにスリム化する、先ほど松崎委員からも御指摘がありましたけれども、まず、私もささやかながらイギリスのエージェンシーを視察してまいりました。そして、特にイギリスもニュージーランドも、比較的このエージェンシーというのが成功しております。当然反省面も今議論がなされておりますけれども、特にイギリスでの、あえてエージェンシーと言わせていただきます、それの成功の要因といいますと、二つあったと思います。  一つは、契約によるトップマネジメント、そしてもう一つは、競争原理の導入。そして、今回の行革会議長終報告によりますと、独立行政法人の長については公募により選任することができる、こうなっております。ところが、イギリスのエージェンシーは、これは公募でしなければいけません。まずこの違いがあると思います。  それで、同じ官僚の方が独立行政法人に行って、いわゆる長となって、では国民の期待するところのまさに民間レベルの本当に効率的な減量体質の組織ができるのかどうか。これはやはり、民間の人材を採用する、イギリスみたく一つの長のポジションに対して二百人から四百人応募が来る、大変すばらしい能力のある方が来る、そういった形をあえて義務づけ化しなければいけないと私は思うのですけれども長官、どういうお考えですか。
  204. 小里貞利

    小里国務大臣 端的に申し上げまして、私は、原則的に全く同感であります。法規には御案内のとおりさような定め方をいたしておりまするが、広く人材を集めるということは特に必要だと思います。
  205. 若松謙維

    ○若松委員 そうしますと、あえて長官、確認ですけれども、この独立行政法人に当然官僚の新たなトップの天下り先のためのポスト、そういう認識はないということですね。
  206. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、経験豊富な、そして知識を豊富に持った、しかも独立行政法人、いわば企業性に準ずるような形の経営をいたさなければならないわけでございますから、広く人材を集めなければならぬと。
  207. 若松謙維

    ○若松委員 広く集めながら、結果的にほとんど元官僚だったということがないようにひとつよろしくお願いいたします。できたらやはりこれは変えてほしいのですよ。今の言葉だとどうしても逃げをつくっているような表現になっているので、あえて指摘させていただきます。  もう一つの成功のポイントですけれども、競争原理の導入です。ですから、せっかく既存のいろいろな研究機関とかさまざまな施設、それを日本版エージェンシーにアウトソーシングしましても、結局今の特殊法人みたく補助金を食って、そしてまさに国の財政のお荷物、こんなふうになってはどうしようもないと思うのです。ですから、万が一独立行政法人等をつくるにしても、その中でも新しくできた独立法人は、とりあえず民間にもあなたこれ仕事を同じにできますかと、当然競争原理を導入させる、これは絶対やらなくてはいけないと思うのですけれども長官、どのようにお考えでしょうか。
  208. 小里貞利

    小里国務大臣 いわゆる国民生活社会経済の安定等の公共上の見地から、確実に実施されることが必要ないわば公共的な業務でありますから、その中には、採算性がないなどの理由によりまして民間主体では担うことのできないものも多く想定される、こう思うのです。このようなことから、独立行政法人の業務については、民間主体のように常に競争主体が存在するという状況に置くことはできず、民間と同じ意味で他の主体との競争原理を導入することはなかなか困難と言わざるを得ないのではなかろうか。  しかしながら、先ほど議員もお話がありましたように、業務の質や効率性の向上を図っていく上におきまして、競争に準じと申し上げましょうか、部外からのチェックや批判の機能を働かせるということは非常に重要なことだと思っております。
  209. 若松謙維

    ○若松委員 そうしますと、今の御説明ですと、独立行政法人には実は二つの種類があるんですね。いわゆる国家公務員型と非公務員型。これについては後ほどまた集中して質問させていただきたいと思います。  今お話がありましたけれども長官、もうちょっと具体的にこの競争原理の導入ですか、以前に「独立行政法人の制度設計」という一つのメモがまとめられましたけれども、ちょっとそれを見ても、いまいち競争原理の導入をどういうふうにやっていくのか見えないんですけれども小里長官の先ほどおっしゃったのは、いわゆる国家公務員型の独立行政法人、どちらかといったら。そうすると、非公務員型の法人については競争原理の導入、これについては積極的にやっていく、そういう理解でよろしいわけですか。
  210. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先ほど大臣がお答えしましたとおり、この独立行政法人、これはその職員の身分が公務員であるか非公務員であるかということ全体を包んだ業務の性質として、国民生活社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要であって、かつ民間の主体が担うことのできないもの、こういうものを想定して独立行政法人の業務のジャンルを決めておるわけでございます。  したがいまして、そういう性質のものでありますと、通常の民間企業が行う業務、事業とは違いまして、常に他に競争主体が存在するという状況にはないのではないか。したがって、先生がおっしゃる競争原理の意味が、民間企業とこの独立行政法人が同じ業務について競争をするという状態はなかなか考えにくいのではないかということを大臣が御説明申し上げたとは思っております。
  211. 若松謙維

    ○若松委員 大臣にお聞きしたいんですけれども、この三十六条に「独立行政法人」ということで、今おっしゃったいわゆる国家公務員型、まさに「民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある」、民間が飛びつかないだろう、これは実際やってみないとわからないですよね。ですから、最低、フィルターとして国家公務員型でも一度この民間競争、これを導入させられるような一つのシステムというか窓口、それをつくってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  212. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、その窓口は基礎的にはもうできつつある、こう思っております。しかも最初、これはいわゆる公的にいきますか、民間型でいきますかと、その受け皿の判断、意思にもよるんじゃないか、こういう想定ができるわけでございます。しかも、公的な形でスタートをいたしておりましても、途中で、いや自主的に主体性を持ってやってみたらこれは結構いけるぞ、この方が生産性も上がるし合理化ができたこれなれば我々もそれだけの生産性をあるいはメリットを上げたときに還元を組織にあるいは従業員になされるという実態が出てくれば、途中であっても、いやもっと民間にひとつ近いものにあるいは民営化にというものが自律的に、自主的に出てくる可能性がある、さように思っております。
  213. 若松謙維

    ○若松委員 今おっしゃった民営化とかという話、そのとおりなんです。実際にイギリスの場合にはまさにエージェンシー化して、かなりのものが民営化していったんですよね、みずから。これはだれが判断するんですか。ちょっと私そこまで……。大臣としては、今おっしゃったまさに自主的な民営化とかそれは……(小里国務大臣「自主的な判断」と呼ぶ)自主的ですか、やってみないとわからないということですね、そういうことですね。なるほど。じゃ、後でさらに……(発言する者あり)
  214. 高鳥修

    高鳥委員長 私語はやめて、ひとつきちんと答弁してください。
  215. 若松謙維

    ○若松委員 ちょっと建設大臣、特に道路公団とかいろいろ抱えているんで、今までの議論、やはり聞いてもらった方がよかったかな。  今回この独立行政法人、やはり建設省所管でも検討対象となるものがあろうと思います。特に土木研究所、今四百六十七名、建築研究所百七十一名。何でこの時代に建設省がやらなくちゃいけないのかなと私は思うのですけれども、こういったところもひとつ想定して、この独立行政法人、新たな特殊法人にならない、官僚の天下り先にならない、私はそう期待したいのですけれども、建設大臣、一言その点について御答弁いただけますか。
  216. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今回の基本法案において「政策研究等の国が直接に実施する必要のある業務を行う機関以外の機関は、原則として独立行政法人に移行すべく具体的な検討を行うこと」、その見直しを行うことが規定されておるわけでございますので、今私どもはその方向づけが一段と明確になることを見守らなければならないと思っておりますが、土木研究所、建築研究所は、その機能を今日まで、非常に複雑な国土でありましたり、また震災対策等につきまして国土に合った研究を積み重ねて大きく貢献をしておりまして、それぞれの地域実態に応じた計画やプランニングも立てながら研究をした経緯がありますので、私はこの機能というのをある面では非常に高く評価しておるものでございますが、それがどういう姿になっていくのかというようなことをもうしばらく具体的に見守らなきゃならぬと思っておるところでございます。
  217. 若松謙維

    ○若松委員 建設大臣にさらにお伺いしたいのですけれども、今確かに国全体としての一つの研究機関、もし民間でもそれができる、もっといいサービスができる、さらに安くできる、そういうものがもしオファーしたら当然それは検討の対象にする、ぜひそう願いたいんですけれども、特に建設省管轄として国土地理院、八百四十三名おります。これも今はほとんど地図はもう民間ですよね。国土地理院が売っていろいろとカーナビとかありますけれども、もう既に、なぜまだ国がやっているのかなという認識をぬぐい切れないんですけれども、建設大臣、どういうお考えですか、今の三つについて。――いいですよ。今政治決断を聞いているんですから、ちょっと控えてください。
  218. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ぜひ官房長の答弁もお許しをいただきたいと思いますが、政治家としておまえはどう思うかということで委員から格別の名指してございますから。  国土地理院は、国土の地図を製作するというのみならず、今非常に電子機器も発達、発展をしておりますが、国際的にも今多数の国々と協調しながら仕事をいたしておりまして、それは民間でいいかね、それから土木研究所や建築研究所にいたしましても民間にそれをゆだねていいかね、こういうようなことも踏まえて今御質問がありました。  実は、民間も非常に呼び込んで研究はいたしておりますが、そこで進められる研究につきまして、先般も三機関を私は回ってみまして、かつても伺ったことはありますが、相当日本のレベルは高いものがございますので、ある面では民間を超えた仕事としてその道を開いて、国際協力の道すら今つくり上げていった方がいい、私は今のところはそう考えておるんです。ですから、どういう形になるかにつきましては、今、先ほど申し上げましたように、方向づけを少し見守らせていただきたいというのが私の率直な感じでございます。
  219. 若松謙維

    ○若松委員 それで、小里長官、今すごく国土地理院を褒められました。私もそうかもしれないと思います。そうであったら、もう民営化して上場させて、これだけ国の財政が圧迫されているんだから、まさに国庫還元の方がいいじゃないですか、長官どう思います。
  220. 小里貞利

    小里国務大臣 今の段階で、特定の組織体をして独立行政法人化しますよ、あるいはそうでありませんよというようなお話を断定的に申し上げるのは、私の立場からしては早計である、こう思っております。  先ほども申し上げましたように、この基本法を整理していただきました結果は、それぞれの関係機関と周到に相談いたしまして、しかも今の問題ではございませんけれども、一般的な姿勢としては、先ほどから議員が旺盛な意欲でいろいろ御指摘いただいておりまするが、そのような姿勢で対応しなければならぬと思っております。
  221. 若松謙維

    ○若松委員 同僚議員がはれものとおっしゃっておりますけれども、本当、ちょっと瓦大臣のような感覚で最終的に何か官僚組織を守ってもらうということになると、それが本当の改革基本法のねらいなのかな、そうも思ってしまうんですよ。何か異議ございますか、大臣
  222. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私は、こういう研究機関というのは、各国を見渡しましても、それぞれにまたその必要性、重要性において設置しておるところもあります。私に官僚保護のためか、こう言われるのは私としては極めて残念でありまして、私も私学を出て、いろいろ型にはまった生活よりもこういう世界へ出た者でございますが、しかし何が必要かということを実態を私はよく見て仕事に携わりたいと思って、なるべく出るようにして視察をしておるわけでございます。国家の大切なものをどうするかにつきましては、よくよく理解した上で議論し合った方がいいと思いましたので、私は、官房長の発言につきましても、議員からお許しがあればいかがなものかということを先ほど以来申し上げておるところでございます。
  223. 若松謙維

    ○若松委員 必要ございません。  そういうお話されましたから、一応私主張きせていただきますけれども、この基本法案、さらにこれから設置法等に参ります。当然、行革会議の最終報告をどれだけ忠実に実現しているか、これは総理のそのままのお考えです。そのために私は第三者機関をぜひ必ずやってくださいということで、総理はやりますと、形はどうであれやりますとかなりくどくはっきりと言ってくれました。それがNHKのテレビにもなりました。  じゃ、その第三者機関をどこに置くのか。先ほどの本部長、総理、副本部長、小里長官、本部員、皆さんですよ。私は、その第三者機関が本部員の下でもいいのかなと思いましたけれども、やはり第三者機関は本部員の上じゃないといけないと思いました。あえてつけ加えさせて――お考えありますか、長官
  224. 小里貞利

    小里国務大臣 そのことについては、行政改革、中央省庁再編が正確に、かつまた効率的に国会の意思に沿って実直に進められるかどうか、これはもう非常に大事な問題でありますから、総理自身議員に対しても答弁をなさったようでございますが、大変このことについては注目をしております。  私も全く同感でありまして、客観的に、公平にきちんとこれが進められること、第三者の雑念等によってこれがねじ曲げられたりするようなことがないように、きちんとしなければならぬ、さように思っております。
  225. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひそれを期待します。  そして、今度、独立行政法人の職員の身分のお話ですけれども、四十条に、基本的に独立行政法人も国家公務員ということで、当然行革会議でもかなり議論になりました。ところが、こうやって国家公務員の身分保障を与えて、どうやってスリム化を進めていくのかなというのがちょっと私の頭の中で整理ができないのです。  一方、三十八条の七号には、「人員及び人件費の効率化に関する目標その他その組織及び業務に関する所要の事項を公表する」ということで、人員、人件費の効率化もやはり表に出さなければいけない、目標はですね。ところが一方、身分保障しているんですね。これ、どっちを信じたらいいのでしょうか、長官
  226. 小里貞利

    小里国務大臣 議員が、これはお互いの関係でございますから率直に申し上げますが、なぜそういうことが成り立つのかというお話でございますが、そもそも今次独立行政法人制度というものをつくりますという大きな仕切りでスタートするわけです。しかも、独立行政法人とは、先ほどから話がありまするように、国が行う実施事務のうち一定のものをいわゆる外に引き出しまして、法人格を有する一つの法人として運営するわけで、しかも、それはもうくどくど申し上げぬでもいいように、自律的、弾力的な、自主的な運営をするわけでありますから、その制度の枠内において働かれる、しかも最初から入っていかれる職員の方々は、私はそれなりの新しい仕事、新しい分野の原則というものはきちんと理解をいただけるもの、さように思っております。  ですから、先刻ある議員から質問がありましたときにも、これを組み立てるについては、その関係組織あるいは職員等とよく相談をして、なかなか厳しい話だけれども、これは決断いたさなければなりませんと申し上げておりまするゆえんもそこにあると思います。  それから、なおかつ、そういう形でスタートして、そして運営していくわけであるが、それは公務員としてそういう仕事場の雰囲気、実態というものとかみ合うのかというお話であったと思うのでありますが、そういう一つの動機、経過からいたしまして、当然理解をいただいて運営が円滑に進められるもの、さように思います。
  227. 若松謙維

    ○若松委員 ちょっとわかりませんでした。  じゃ、ちょっと済みません、整理するために、その前の三十八条六号ですけれども、そこに、職員給与基準は法人ごとに、「当該職員の業績及び当該独立行政法人の業務の実績が反映される」。これは「職員の給与その他の処遇について」。ということは、独立行政法人に行った職員は、従来の人事院勧告の大枠じゃなくて一つ外れる、そういう理解なんですけれども、済みません、こちらから呼んでいますので、人事院総裁の方、いらしたら。
  228. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 独立行政法人の職員の給与の水準について、どういう形でこの行革会議長終報告は想定しているかということでございますが、この行革会議の最終報告の制度設計では、各法人ごとに中期的な目標設定をして中期的な計画をつくる、つまり業務の枠組みを計画として設定をして、それを主務大臣が認可をするという形をとることにしております。これが各業務の基本になるものでございます。その中期計画の中に給与水準などの事項が定められるという形になります。まずこれが制度の出発点でございます。  そして、その定められた給与水準については、ある程度幅なりなんなりがあり得る可能性は当然ある。その幅の中では、長の裁量あるいはその他の措置によるかなり自由な運用ができる可能性があると思います。  それからもう一つ、業績によってはさらにそれを例えばボーナスの形で反映をする一そういうこともできるようにする、そういうことがまずこの給与の設計ということでございます。これについては、この制度では、身分が公務員の場合か非公務員の場合かでは、思想的には同じにするよということになりておるわけでございます。ただ、具体的に公務員とした場合の身分の中身その他によってどのような差があり得るか、あるいは差がないかということはさらに詰める必要はあろうと思っておりますが、思想としては、できるだけ公務員の場合、非公務員の場合、同じにしていく必要があるのではないかと思っております。また、公務員にする場合の身分保障については、公務員の場合とそうでない場合とではかなり違うということがあると思います。
  229. 若松謙維

    ○若松委員 長官、今の説明でどうです、おかしいでしょう、長官
  230. 小里貞利

    小里国務大臣 では、私の先ほどの説明申し上げましたその四章をちょっと申し上げた方が整理がつくかと思いますから、よろしゅうございますか。  いわゆるこの国家公務員の身分を付与することといたしましたことに関連して必然的に伴う事柄でもありまして、この制度設計上、前提とすべきことは先ほどちょっと申し上げたところでございますが、ただ、国家公務員であると非国家公務員であるとを問わず、その業務の運営の自律性、効率性確保のための方策はともに共通しているところでありまして、例えば、一つ二つ申し上げますと、あらかじめ効率性や質の向上に関する目標を付与し、それは今局長が言ったとおりでございますが、その達成について、外部有識者が客観的な評価を行うとともにその結果を国民に公表しますよ、その次に、業務の実績を長を初めとする職員の処遇等に適切に反映させること、そして三つ目には、定期的に組織業務の全般にわたる見直しを行い、民間と同様な条件に置くことができないか、民営化等の措置を置くことができないかなどの点検も考えながら、もちろん、これは決して、経営者側がと申し上げましょうか、強制的に行えるものではございませんが、そのような必要な措置を講じていくことといった仕組みを組み込み、人員や人件費の効率化、目標の設定、これに基づく厳しい評価を通じ、国民の求める業務の質の向上や効率性の向上が図られていくもの、こういう判断でございます。
  231. 若松謙維

    ○若松委員 では、先ほどの事務局長の御説明で、国家公務員型と非公務員型とはっきりされましたよね、余り変わらないと。ところが、まさにこれは独立行政法人にとりあえずアウトソーシング化して、それで本当に、いわゆる民間がやってくれないものはやはり国がやらなくちゃいけない、それは理由が立ちます。そうじゃないものは当然民間競争でやっていく、それは長官も同感されました。それで、この民間競争の部分、どんどんやっていく、必要なければ、やはり必要ないわけですよ。  それで、たしか国家公務員型の部分は、身分保障はしますね。ところが、この非公務員型の方はたしか身分保障はないのですね。そういう理解でよろしいわけですよね。長官、よろしいですね。――はい、よろしいと言っております。  それで、ではそうすると民間でもできる、あえて国はやらなくてもいい、まさに民営化とか廃止とか、そうすると、まあ大変厳しい言い方ですけれども、いわゆる労働基準法に基づく、に抵触しない一つの退職というか、それもその流れの中であり得るということですね。そういう理解でよろしいわけですね。  なぜ労働基準法を言ったかというと、幾ら公務員の方だって、例えばイギリスの場合には公務員はスト権はないけれども、いつ首切られても大丈夫だというふうに法律がなっているわけですね。ところが、日本は、やはり雇用の保障というのはしっかりと法律にうたっているわけです。ところが、公務員を外すと、少なくとも労働基準法によって、たしか二十条ですかね、三十日前の解雇通告とか、そういうことをやれば解雇できる。非国家公務員型の独立行政法人は、その労働基準法にのっとればまさに解雇は可能だ、そういう理解でよろしいわけですね。
  232. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
  233. 若松謙維

    ○若松委員 長官、そういうことで御認識いただいて、それで、そうすると、結局、今回の先ほどの第四章の行政の効率化、いわゆる今回のある意味でかなりの目玉のエージェンシー、独立行政法人。ポイントは、国家公務員型でかなり残すのか。実際に最終報告で、別表一、別表二で、どれが今後独立行政法人になるかどうかという一つの検討がされております。そしてもう一方、これは施設等機関及び特別の機関、さまざまな省庁にぶら下がる研究所もしくは文教研修施設、検査検定機関等、もろもろございます。  それで、この施設等機関、百三十四種類、これは二十三万八千百七十五人いるわけですけれども、実は、これの大半が国立大学なのです。国立大学は、今回のこの独立行政法人に入れておりません。私は、私学助成をあれだけして、国立大学の授業料と私学とそんなに変わらなくなってきた、そういう中でやはり私立大学も私学助成というものをもらいながらも経営の効率化を図る。これはすべてそうですよ。当然国立大学もしなければいけない。国立大学十三万五千人ですか、おります、この国立大学がこの独立行政法人にならないというのがもう最終会議の中で決まっております。なぜ、そういうふうになったのか。議論に参加されておりますか。
  234. 小里貞利

    小里国務大臣 事務的な経緯はまた後ほど申し上げても結構でございますが、一つは、先生がそこにお持ちのその一覧表なるもの、特殊法人を含めまして、その他の団体、いろいろ施設機関等があるようでございますが、これは行政改革会議の資料の議題といいますか、議論をする場合に、参考的にと申し上げましょうか、出てまいりました性質のものでございます。したがいまして、私どもが候補としてきちんと定めたる審議の経緯はないわけでございまして、その点、御理解いただきたいと思います。  それから、大学の問題でございますが、確かに議論はなされました。しかしながら、行政改革会議の最終報告の限りにおきましては、おっしゃるとおりになったということであります。
  235. 若松謙維

    ○若松委員 そうしますと、いわゆる推進本部副本部長の立場からすると、これが最終じゃないというお話ですね。ぜひ第三者の意見を取り入れて、先ほどの国家公務員型、非公務員型、さらにその先の、いかに民活を入れていくか、それもこの流れをしっかり踏襲していっていただきたいと思います。  そうしますと、今度は、三十九条に評価委員会という制度がございます。先ほどもどなたか先生が触れられましたけれども、この評価委員会こそまさに一つの民営ノウハウというか、いわゆるマネジメントコンサルティングと私どもよく言っておりますけれども、本当に経営のコンサルティングをしっかりやっていた経営者、これは必ず参加させるべきであると思って、かつ、それではその評価の基準をどこに置くのか、レベルをどこに置くのかというときに、いわゆる中立公平と言われておりますけれども、この中立公平のレベルはまさに民間レベルに置くべきと考えますけれども長官のお考えはいかがでしょうか。
  236. 小里貞利

    小里国務大臣 私は基本的に全く同感でございます。原則的に同感でございますと申し上げておきます。
  237. 若松謙維

    ○若松委員 一度言葉の定義をさせていただけますか。先ほども原則とお使いになりましたけれども、原則というのは九九%そのとおりだ、そういう理解ですね。そうだとおっしゃいました。はい、わかりました。  そうしますと、この評価をするのですけれども、それでは、ちょっとイギリスの例を取り上げさせていただきます。ちょうどイギリスは、既にエージェンシーという形で、百三十幾つエージェンシーになったわけですね。そこが、先ほど言ったように、長をいわゆるさまざまな公募を通して一人選ぶ、三年から五年で見直していく。こうやって、これはネクストステップ、恐らく見られたと思いますけれども、これを、イギリスの内務庁が毎年一回その百三十すべてのエージェンシーについて、目標、ターゲットと実際の結果をあらわしているわけなんですね。  これは、イギリスの土地登記局、ハー・マジェスティー.ランド・レジストリーですか、ここの一つの結果、ちょっと古いので恐縮ですけれども、土地登記局、日本でいうと法務局ですね。あそこは三月決算ですから、恐らく九五年の四月から九六年の三月まで。こういう、まず財務に関しては、いわゆるROCEというものですね、リターン・オン・アベレージ・キャピタル・エンプロイドですね。いわゆる使用資本というのですか、使用資本の利回り率ですけれども、目標が六%、結果が一二%。借り入れも、当初この土地登記局、ゼロでしたけれども、最終的に七・二ミリオンポンド、約二十億弱ですね、返した、よかったのですね。さらに、効率性ということで、単価削減率がどうのこうのとか、あと迅速性、こういうのもありまして、ターゲットに対して、ターゲットが当初期待されるところが九八%だと。それが実際やったら一〇〇%、完璧に達成されている。あとは三日以内の登記手続完了率、これは日本遅いのですよね。それで、率直に申し上げて、政治家が声かけると一日、二日で登録してしまう。私もやりました、恥ずかしいけれどもやりました。日本はもう二週間ですよ。あちらは三日以内登記手続完了率九六%。  こういう形で、かなり具体的に目標、ターゲットを公表させられて、そして結果と比較させられる。これがまさに独立行政法人をやる場合の公表の姿だと思うのです。ぜひ、こういった形に限りなく近く、姿として示していただきたいわけですけれども長官のお考えを聞きます。
  238. 小里貞利

    小里国務大臣 大変具体的に例示いただきながらわかりやすく御説明いただきまして、本当に感銘を深くいたしております。重要な参考にするべきことであると思います。
  239. 若松謙維

    ○若松委員 いや、確かに私も昨年十二月の財革法の審議で、特に行政評価、かなり力強く言いまして、そして長官が非常に前向きに誠実にお答えになり、今回の一つの評価制度の法文上への明記という形になったと理解しております。  それでは、さらに、今回の評価ですけれども、実際にやはり国民の簡単なこの法案に対する期待は、この法律が通ったら、それでは幾ら行政コストが少なくなるの、幾ら税金が安くなるの、幾ら税金が戻ってくるの、こういうことだと思うのですよ。ところが、これはもう何日、きょうで五日目になりますけれども、議論しても一切出さない。プログラム法だから、早く通してその後議論するからということで、かみ合いません。それではやはり通用してないのですよ、他の国は。  そういうことで、ニュージーランドも決算制度を、かなりお金を投資してさまざまな経営分析、財務分析が出てきて、目標管理、実績管理、資金繰り管理、いろいろな情報が出てきた。  それで、イギリスも、私も昨年行きましたら、大蔵省があそこは貸借対照表をまだつくっておりません。だけれども、これはつくりますということで法案つくりました。ところが、去年つくったのですけれども、ちょうどブレア政権ができたばかりで、いろいろな法案でそれが後になりそうだ。そこで、大蔵省の役人の人に聞いたら、イギリス大蔵省は、法律ができてもできなくても、私たちは早くこの決算制度の改善、貸借対照表はつくります、そう明言しました。そう努力しているでしょう。  片や、アメリカですね。アメリカが、これも、あそこは行政制度が大変複雑ですよね。ところが、去年、九七年の九月期の決算で、いわゆる連邦政府のエージェンシーも含めてすべての連結決算書つくったのですよ。これは史上初です。きのう外務省の在米日本大使館の方が送ってくれました。一緒にこの方と私はGAOも行ってきましたし、また、いわゆるトレジャリーデパートメントですか、財務省にも行ってきて、その流れを見てきました。  それで、そのとおりやりました。やった結果、GAOとしてこの連結財務諸表についていわゆる監査証明出します。ところが、第一回目の連結財務諸表なので、いわゆる適正意見は出せなかった。専門用語で言いますと意見差し控え。問題点は幾つか指摘しております。例えば、基本的な会計記録方式、財務内部管理等に重大な欠陥があった、または、連邦政府の資産、負債、コストの少なくない部分が、ということは、かなり重要、かなり多額の不正確に記録されたところがあった、ところが、初年度なので、いろいろな諸般の事情を考慮して意見は差し控えます、こういう形なんですね。それを早速四月一日の下院の政府改革監視委員会日本の決算行政監視委員会に相当するこの小委員会の公聴会でもう既に指摘されて、これは政府議会一体となって、かつGAOも一体となつくこの指摘された問題点を改善する。これは、アメリカの決算制度を改善したから次の手が打てるわけですよ。さらにむだ遣いを改善できるわけなんです。  ところが日本は、司計課、今の課長さん頑張っています。本当に評価します。少ない人数で頑張っています。だけれども、今のやっているのは、アメリカよりも遅い、カナダよりも遅い、ニュージーランドよりも遅い、イギリスよりも遅い、世界で本当に一番最後、びりっけつなんですよ。そういう状況で、少なくともむだ遣いをなくすのだったら、当然、今収支報告は出しています。大蔵省は常に予算対比していますと。そうじゃないのですよ。収支報告は、税金が入った、そして支出をする、ある部分は消費されて終わり、ある部分は資産に載っかって代々の国の財産になる、こうやって分けられるのですよ。その分けられるのを一〇〇%把握するのは、いわゆる複式簿記、貸借対照表をつくることなんです。これを大蔵省はずっとためらっているのです。こういう決算制度の姿勢の中に、これから評価制度を導入する導入すると言ったって、これはインフラができていないわけですから、私は無理だと思うのですね。長官、どういうふうにお考えになりますか。
  240. 小里貞利

    小里国務大臣 本当に長年にわたりまして研究しておいでになるその結果のお話を今さまざま、財務、経理にわたるまでお聞かせいただきましたが、十分参考にさせていただきまして、次の立案作業に備えたいと思います。
  241. 若松謙維

    ○若松委員 これは時間がかかるのですけれども、言うと恐らく大蔵省は六千億必要だとかと言いますよ。六千億投資して、でもこれは一年ではできないのですよ、少なくとも二、三年。一年に二、三千億。それで五千億から一兆円の経費削減が数字として把握できる状況になれば、これは国民にとって、使ってしかるべきお金だと思います。  ですから、ぜひとも二十一世紀までにこの決算制度の改革、少なくとも国の貸借対照表はっくつてもらいたい、それを行革推進本部の副本部長としてぜひ言っていただきたいのですよ、どうですか。
  242. 小里貞利

    小里国務大臣 即座の話でございまして、本当に傾聴申し上げておるところでございますが、私がここで単純に、そういう重要な意味を持つ制度について、やりましようと言うわけにもいかない筋合いの大きな問題でございまして、よく検討させていただきます。
  243. 若松謙維

    ○若松委員 では大蔵省、来ているのですよね、ちょっと説明してください。今の話の流れの中で答えてくださいね、既存の話じゃしようがないですよ。明らかに今の話のベースはもう次のステップに移っているわけですから。そうですよね、長官。それをもとに言ってくださいね。
  244. 寺澤辰麿

    ○寺澤政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、アメリカにおきまして九七年会計年度から連邦政府全体の連結決算報告を行うことになっており、三月三十一日に最初の報告書が議会と大統領に提出されたことは承知しております。これは政府の財務状況についての情報を提供することを目的としているわけでございまして、財務状況についての国民的理解を得るためのアメリカ政府の努力の一環というふうに理解をしております。  ただ、先ほど先生御指摘されましたように、この決算書につきましては検査院、GAOからも、先ほどお読みになりましたような指摘がされているわけでございますので、アメリカの制度につきましては、私どもも興味を持って勉強してまいりたいと思います。  なお、我が国におきましても、従来より、国民各層に対しまして種々の資料等を提供し、広く国民の御理解を得るべく努めてきたところでございます。なお、平成七年度決算からは、従来の決算説明の中で入れておりませんでした国の債権債務等についての報告書を記載をいたしまして、その充実を図って努力をしているところでございます。
  245. 若松謙維

    ○若松委員 努力した結果を、我が同僚、私も会計士ですから同じ仲間に見せましたけれども、けんもほろろでした。恥ずかしくてこんな決算書は海外に見せられない、その程度なのですよ。もしお時間いただければ、私、無料でお話しに行きますから、国会議員として。ぜひこれは真剣に、この決算制度の向上を考えてほしいのです。  ちょっとくどいようですけれども、もう一度、もう一言、長官、いただけますか。
  246. 小里貞利

    小里国務大臣 前向きで、真剣に勉強をしてみたいと思います。
  247. 若松謙維

    ○若松委員 ありがとうございます。本当に頑張ってください。  ぜひ今世紀中に、もう具体的に、日本の財政状態はこんな状況だと、今の財産報告書じゃない、ちゃんとお金の流れが、複式簿記で逃げないように、そういった報告書をぜひ出されることを望んでおります。  もう時間がなくなりましたから、やはり質問の半分ぐらいしかできませんでした。三十八条の三号に、企業会計原則、特にこの独立行政法人について企業会計原則を導入するとありますけれども、これは実は特殊法人もそうなんですね。たしか去年の三月あたりに出ました。その中身はいいんです、ディスクロージャーすると。ところが、外部チェックがないんですよ。企業会計原則というのはやはり民間の原則なんです。公的会計じゃないんですよ。だから、会計検査院が検査するのに限界があるんです。これはやはりいろいろと今問題ありますよ、公認会計士も。だけれども、ぜひこれは外部監査、公認会計士監査を最低入れてほしいのです。どうですか、長官
  248. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 御指摘の外部監査の導入の件については、この独立行政法人制度の思想からしても、可能な限り導入することを検討する必要があると考えております。  この場合におきましては、法人の業務等それぞれの性質について検討をする必要があると思いますが、基本的にはそのような考え方で、これから具体的な検討を進めていく必要があると考えております。
  249. 若松謙維

    ○若松委員 長官、今お話があって、前向きにやると。再度確認させてい、ただきます。済みません、くどくて。今回の場合には、特殊法人は今その点が欠けております。特殊法人、独立行政法人、絶対外部監査を入れてほしいのですけれども、いかがですか。
  250. 小里貞利

    小里国務大臣 十分検討いたします。
  251. 若松謙維

    ○若松委員 済みません、十分検討しますという意味がちょっと私はわからないのですけれども、どういうことですか、検討というのは、やると。
  252. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほど事務局長が、当然のこと、やりますという前提がありましたからそう申し上げたわけでございますが、私の気持ちも全く変わりありません。
  253. 若松謙維

    ○若松委員 ありがとうございます。特殊法人も、両方ですよね。そういうお話です。  ちょっと時間がないので、最後に、特殊法人に関しては四十二条ですか、恐らく長官のお考えとしてはもっと述べたかったと思うのです。ところが、今回、独立行政法人にかなりスペースをとられて、それで、特殊法人改革はこの四十二条、一条だけになりました。ところが、今たしか自民党案としては第三次ですかね、出ております、昨年末ですよね。それ以降、次が見えません。これは早急に次の新たな形をぜひ見せていただきたいのですけれども、最後の質問としてお答えいただけますか。
  254. 小里貞利

    小里国務大臣 おかげさま、九十二が七十一、ここ二年間ぐらいの間に進んでまいったか、こう思っております。七十一前後になるのでございますけれども、まだ未実施のものもありますけれども、計画は確定いたしておりますから、かなり進んでまいっております。  これから、ただいまお話しのように、間断なくこれの見直しを行うということは総理もしばしば言明いたしておりますし、私どももそれが具体化の作業を急がなければならぬ、さように思っております。
  255. 若松謙維

    ○若松委員 時間が来ましたので主張だけに終わらせていただきますけれども、特殊法人はいずれにしてもまだ七十一ある。これは基本的に民営化できるものはしちゃってもう政府管轄はなくしていい、できない、補助金が必要であれば国に戻して、このルールでしっかりした方が絶対いいのですよ。今は国家公務員じゃありませんし、自由でかつ給料も高くなっている、ぜひそれを指摘して、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  256. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、来る二十八日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会