○岩國
委員 九項目。金額においても四百億が環境という名前を使って、決して私は詐称しておられるとは言いません。しかし、環境の時代となればもう環境環境。これでは環境庁よりも、省と省のけじめというか、午前中、
縦割り行政の弊害ということがありましたけれ
ども、私は、
縦割り行政というのはいいことだと今まで言ってきました、
地方自治体の長の立場として。
中央省庁は縦割り。縦割りだからこそ
行政責任が明確になるんです。縦割りでなかったら、だれが責任をとるんですか。縦割りを横割りに並べかえるのが
地方自治体の責任であって、縦割りで来たものを縦割りでどすんと落とすから、結局縦割りの被害というのが住民に及んでしまうんです。私は、
中央省庁というのは責任を明確にするためにあくまでも縦割りにすべき、そして県とか市町村はそれを横並びに置きかえて、縦割りと横割りの両方のメリットを生かすべきだと思っています。
その縦割りの明確にしなければならない時期に、今度は
省庁再編、十二
省庁つくってみたけれ
ども、あっちでも交通という名前がついている、こっちでも防災という名前がついている、こっちでは環境という名前がついている。環境、交通、防災がどの
省庁でもたくさんに、ふんだんにあふれている。一体どこが環境
行政の中心になるのか。
予算を見ている限りは、環境庁よりも農水省の方が環境
行政の中心になっているのじゃないかというふうなことが起きますから、そういう懸念を申し上げ、
省庁の
再編ということをやる以上は、
縦割り行政をもっと明確にすべきだと私は思います。
縦割り行政に対するいろいろな
批判を恐れる必要はないと私は思います。
縦割り行政こそ
中央省庁の基本的な考え方ではないか。当然、いろいろな
省庁間のコーディネーション、連携というのはされる必要はありますけれ
ども、それを
予算の項目にまで隣の省の名前を使う、あっちの省の名前を使う、これでは
国民を余計混乱させるだけであると私は思います。
次に、
質問のポイントを変えさせていただきますけれ
ども、今度の金融監督庁それから
日本版SEC、こうしたことについて、当然人材の量的、質的充実を図っていただかなければ、これからのビッグバンあるいは金融犯罪に対応できないと思います。銀行、証券、保険が次々と倒れていく、そういう中では、「こうした金融監督庁の責任は重かつ大であると思いますから、その点については十分これから配慮していかれることと思いますが、その
長官をだれにするかという
議論が午前中ありました。そしてその中で、
答弁としては、潔白な人、公平な人ということは強調されましたけれ
ども、余り潔白な人だけに絞ってしまうというのも私は問題ではないかなと思います。
私は、ニューヨークの金融界の中におりました。そして、そういう歴史を少しばかり勉強したことがありますけれ
ども、ケネディ大統領のお父さんはジョセフ・ケネディという方で、この人は実業家で、シカゴで一番大きなデパートをつくり、そしてケネディ財閥をつくった人です。しかし、株式市場ではありとあらゆる悪いことをやった人です。一九二七年から二九年、例の株式大暴落の直前、アメリカの株式市場がバブルで浮かれているときにあらゆる不正なことをやり、風説の流布からいろいろな不正な取引、そして巨万の富を稼いだ人です。
バブルが
崩壊しました。ルーズベルト大統領は、きれいな株式市場をつくらなければアメリカの資本主義の健全な発展はないという信念のもとにアメリカのSECをおつくりになる。そのSECの初代の
長官をだれにするか。ルーズベルト大統領が任命したのはジョセフ・ケネディだったのです。アメリカじゅうがびっくりします。一番悪名高い、ありとあらゆる悪いことをやっている人間を初代の
長官に。しかし、これは名人事だったのです。初代のSEC
長官にとってやることは、
自分がやったことを全部禁止すればよかったのです。これほど効果的な
長官はなかった。アメリカのSECの栄光の歴史はそこから始まったのです。
ですから、
日本でもそういう方がいらっしゃるかどうか。最近は相当いろいろな方がいらっしゃるから、選考に困られるぐらい。そういう表のことだけではなくて裏の世界にも通じている、江戸時代にもありましたでしょう。池波正太郎の「鬼平犯科帳」の愛読者でありますけれ
ども、あの鬼平は、若いころ本所深川で随分悪いことをやっておった。私は、その若いころの鬼平にあこがれて本所深川に住んだことがあります、東駒形三丁目というところに。
その鬼平は、若いころに
自分の親しい友達に誘われて盗賊の片棒を担いだことがあります。それは本人がはっきり言っているのです。そして火付盗賊改方
長官になって、彼はそういう若いころの悪の世界の経験を踏まえて、取り締まる側だけではなくて取り締まられる側の心の機微、人情というものを踏まえてやったからこそ、あれだけの小さな部隊で大きな実績を上げたと私は思っております。まさに
日本のSEC、
日本の金融監督庁に必要なのはこういう配慮ではないかと私は思います。江戸時代にあの幕府の大きな
行政体制の中で、北町奉行所、南町奉行所、そのはざまにあって、あの四十人そこそこのゲリラ部隊、言ってみれば
組織の中のベンチャーみたいなものですよ。それを生き生きと指揮できたのは、この
長官があったからだと私は思っています。
したがいまして、
日本の金融監督庁の
長官を選ばれるときも、大所高所から、限られた
予算と人員を有効に、本当の不正を摘発できるような体制をお考えいただきたい。これは
質問というよりも要望でありますけれ
ども、その点をぜひお考えいただきたいと思います。
次にもう一点、先ほどの人員削減に関連いたしまして、十年間で一割削減された場合の大ざっぱなコスト削減効果というのはどれぐらいありますか。いや、これも
法案を通してからそろばんをはじきますということかもしれませんけれ
ども、しかし十年で一割、そこまで数字を出しておられる以上、当然どこの経営者であっても、十年間で一割人員を減らしたら人件費がどれぐらい減るかなというのはだれだって考える。また、当然それを説明する義務があります。どれぐらいの
行政コストの削減効果が望まれると、とらぬタヌキの皮算用という
言葉がありますけれ
ども、通らぬタヌキの皮算用かもしれませんけれ
ども、通る前にそれを教えていただきたいと思います。