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1998-04-22 第142回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月二十二日(水曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 虎島 和夫君 理事 野呂田芳成君    理事 二田 孝治君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 北脇 保之君    理事 若松 謙維君 理事 中井  洽君       飯島 忠義君    今井  宏君       岩永 峯一君    小野寺五典君       大野 松茂君    金田 英行君       熊谷 市雄君    小杉  隆君       倉成 正和君    坂井 隆憲君       実川 幸夫君    砂田 圭佑君       谷  洋一君    戸井田 徹君       牧野 隆守君    松本 和那君       宮島 大典君    宮本 一三君       目片  信君    池田 元久君       岩國 哲人君    上田 清司君       枝野 幸男君    川内 博史君       古賀 一成君    今田 保典君       末松 義規君    田中 慶秋君       中川 正春君    平野 博文君       古川 元久君    松崎 公昭君       松本 惟子君    吉田  治君       大口 善徳君    冨沢 篤紘君       西川 知雄君    福島  豊君       東  祥三君    石垣 一夫君       佐々木洋平君    達増 拓也君       西村 眞悟君    児玉 健次君       平賀 高成君    松本 善明君       深田  肇君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 下稲葉耕吉君         外 務 大 臣 小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 松永  光君         文 部 大 臣 町村 信孝君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  島村 宜伸君         通商産業大臣  堀内 光雄君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君         労 働 大 臣 伊吹 文明君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     上杉 光弘君         国 務 大 臣          (内閣官房長官)村岡 兼造君         国 務 大 臣          (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      鈴木 宗男君         国 務 大 臣           (防衛庁長官)久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷垣 禎一君         官)         国 務 大 臣          (環境庁長官) 大木  浩君         国 務 大 臣          (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         首席内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房総務課長  江利川 毅君         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房人事課長  洞   駿君         内閣審議官   畠中誠二郎君         内閣審議官   坂野 泰治君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣制局第二         部長      宮崎 礼壹君         校正取引委員会         事務総長    矢部丈太郎君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政管理         局長      河野  昭君         総務庁統計局長 伊藤 彰彦君         防衛庁長官官房         長       大越 康弘君         経済企画庁調整         局審議官    小林 勇造君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         法務大臣官房長 但木 敬一君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         国税庁次長   船橋 晴雄君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         食糧庁長官   高木 勇樹君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労政局長 澤田陽太郎君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君  委員外出席者         参 考 人            (日本銀行理事本間 忠世君         衆議院調査局第         三特別調査室長 田中 達郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     目片  信君   大野 松茂君     飯島 忠義君   小杉  隆君     倉成 正和君   池田 元久君     川内 博史君   上田 清司君     枝野 幸男君   田中 慶秋君     古賀 一成君   福島  豊君     西川 知雄君   石垣 一夫君     達増 拓也君   佐々木洋平君     西村 眞悟君   平賀 高成君     児玉 健次君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     大野 松茂君   目片  信君     岩永 峯一君   枝野 幸男君     中川 正春君   川内 博史君     松本 惟子君   古賀 一成君     今田 保典君   西川 知雄君     福島  豊君   達増 拓也君     石垣 一夫君   西村 眞悟君     佐々木洋平君   児玉 健次君     平賀 高成君 同日  辞任         補欠選任   今田 保典君     松崎 公昭君   中川 正春君     上田 清司君   松本 惟子君     池田 元久君 同日  辞任         補欠選任   松崎 公昭君     吉田  治君 同日  辞任         補欠選任   吉田  治君     末松 義規君 同日  辞任         補欠選任   末松 義規君     田中 慶秋君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中央省庁等改革基本法案内閣提出第四一号)      ————◇—————
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中央省庁等改革基本法案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事本間忠世君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
  5. 古賀一成

    古賀(一)委員 本日は、この中央省庁再編委員会におきまして、私は地方行政委員会理事をやっておりますけれども地方自治という立場からひとつお聞きをしたい。各論に入る前に、いわゆる全体的な、総論的な進め方についても、私自身疑義なしとしない、こういうことで質問の時間をいただきまして、民主党を代表しまして質問させていただきたいと思います。  実は私はかつて建設省という役所におりまして、野呂田先生の後輩でございますが、あと、私自身外務省に行ったり、警察庁に出向したり、地方自治体に行ったり、ある面では役所というものをたくさん実は経験させていただいた。そういう中から、役所の習性というか気持ちというか、あるいは役所に潜む組織保存の本能といいますか、そういうこともわかります。そういう経験も踏まえまして、私は質問を申し上げたいと思います。  まず第一点でございますけれども中央省庁改革基本法案そのものを読みましても、論議をしても、いわゆる行政が具体的に変わっていく、よくなってくる、こういうイメージが私は非常に希薄なような気がしてなりません。  したがいまして、新聞論調も大きく分ければ二つあるのじゃないか。ここまで来たらやるしかない、一歩でも進めばという、どちらかというと消極的だけれども、ひとつ後押しをしなければならぬという論調と一もう一つは、「国民不在の“迷走行革”」というタイトルが、これは日経新聞でございますけれども、去年ございました。もう毎日のようにいろいろなそのたぐいの見出しが載っておりまして、行政改革ならぬ行政整理ではないか、あるいは行政改革にほど遠い組織いじりじゃないか、こういう見出しも現に新聞を相当飾っております。これをやれば本当に行政がよみがえる、スリムになる、行政効率が上がり、サービスが上がるという、そういう期待が膨らむ、そういう論調が私は今回極めて少ないような気がしてなりません。  そこで、総理にまず質問をしたいわけでございますけれども行政改革の全体像、いわゆる中央省庁がこうなるというだけではなくて、もっと規制緩和なり地方分権なり、そういうものを含めた全体的な、いわゆる行政改革のビジョンというものがあって、第一弾としてこの中央省庁再編がある。その次には、こういう分野についてこの手順行革が進んでいく。これらの成就の暁には、トータルとして、こういう効率的な、簡素な、そして時代に対応した行政が生まれてくる。こういう全体のシナリオの中で、この行革というものが国民支持も得、期待も得、したがって中央官庁抵抗も排除しながら実現していくのだと私は思います。  その全体像について、総理のお考え、構想というものをぜひはっきりさせていただきたい、かように思います。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 行政改革の目的は、もう議員に申し上げるまでもなく、国の権限と仕事を減量していくこと、そして簡素で効率的な、効果的な政策遂行を実現していくこと、そして国民に信頼される、開かれた行政を実現すること、そのように申し上げることができると思います。  そして、そのためにも、国の果たすべき役割を根本から見直して、規制緩和・撤廃、これは直接ではありませんが、例えば官から民へという流れがここに位置をいたします。そして、それに伴いまして、官民役割分担を徹底的に見直していく。これは事前管理型の行政から、ルールを明確化し、透明性を持ったルールを設定した上で、事後チェック型の行政に変わるという部分も当然ながらこの官民役割分担の見直しという中には含まれております。  同時に、地方分権を推進していくこと、そして情報公開法制の整備などを、これは行政透明性を確保するという意味でも大事なことでありますから、こうしたものを引き続き着実に進めていく、それを前提として中央省庁などの改革を進めていく。  そして、もし必要でありますなら、その規制緩和あるいは地方分権進め方等についても、今進めております内容を御説明をいたしますけれども、大きく申し上げますならば、今申し上げたようなものを考え、そしてそれを進めていきますためにも、国にも新たな仕組みを考えさせていただかなければなりません。そのために、例えば独立行政法人という新たな仕組みを、現在国の行政としてだれも疑わずにそのまま進んでおりますものの中から、より開かれた形に変わっていくための新たな手法を採用したい、こうした問題もこの中に含んでおるわけであります。
  7. 古賀一成

    古賀(一)委員 今の総理の御答弁の中で、規制緩和であるとか地方分権前提としてこの中央省庁再編があるというふうに、前提というお言葉があったと思うのですが、でも、現在進んでおります作業から見ると、この中央省庁再編が極めて突出をして、地方分権とか、もうこれが大前提だと私は思うのですが、その点では全く一緒でございますけれども、そのシナリオというものがこの後に続く予定になっているという程度にしか我々は受けとめられないのですね。だから、この問題は、この中央省庁再編あるいは行政機構のあり方というのは、もう永久のテーマと言っていいぐらい大きい問題であり、困難な問題だと私は思うのです。  これをやるには、やはり政府の方が全体のシナリオを、もっと明確に、タイムスケジュールも含めてはっきり示して国民理解を得る。それがこの行革遂行大前提だ。これがなくして国民支持もないし、沸き上がる期待もないし、したがって、しかるべきところの抵抗に結局流されてしまうという可能性すらある。私は、この点、これ以上申し上げませんけれども政府におかれては、その部分を再度検討いただき、そういう全体的なシナリオをもう一度出した中でこの法案の位置づけをするということを今後引き続きやっていただきたい、かように思います。  この行革議論につきまして、私も地元に帰っていろいろ有識者の人からも言われますけれども、ある方がおもしろいことを言いまして、重箱の隅をつついているようにしか見えない、いわば東照宮の左甚五郎のような、遠くから見ると、ああ、こういう絵柄か、そういうものが見える部分政府はもっと説明すべきだ、こういう議論がありましたけれども、私も全くそのように思います。もうこれにつきましてくどくは申し上げませんけれども、この点、私からの強い要望といいますか主張とさせていただきたいと思います。  それから、二点目でございますけれども、今質問しましたこととも関連しますが、いわゆる中央省庁が今回、実質上、法案という形では一番先行することになると思うのですね。地方分権につきましては、四次にわたる勧告はいただきましたけれども、今地方分権推進計画の立案中である。それが出てまとまれば、さらにそれを法案として具体化するという作業もその次に控えておるわけでありますけれども法案という形でこの中央省庁再編が先行した。これにつきましては、法案処理という面では手順が逆ではないかという気がしてならないのでありますけれども、ある面ではこれが本法案の最大の足かせになるような気もしてしようがございません。  なぜ中央省庁再編、この部分作業として一番先行することになったのか。この点、ある思い、戦略があったのか、そこら辺をお答えいただければと思います。
  8. 小里貞利

    小里国務大臣 まさに今お話がございました、手続としてこれを進めていく上の戦略があります。  先ほど、基本法が先に出てきたと。基本法とも言われなくて、むしろ中央省庁が先に出てきたと。そして、地方分権なりあるいは地方改革に関する面はおくれているのではないか、そういう意味のことをお話しになったと思うのでございますが、すなわちそれが戦略一つでありまして、今提案申し上げておりまする基本法案が仮に今次、そうしていただきたいのでございますが、国会意思として決定をいただきましても、今直ちに中央省庁組織編成決定し、そして移行をこの時点でするものではございませんから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。  基本法案を御決定いただくと同時に、中央地方も含めた、あるいは事務事業簡素化も含めた、あるいはまた中におきまして、新しい中央省庁のあるべき姿というものを実現するための、先ほど総理の方から御答弁いただきましたいろいろな要件をそろえて今私どもは御相談をいたしておりますから、それらのものも含めて作業を開始いたします。そして、来年の今ごろはそれを集約して、具体的な姿として、各省庁設置法を初め御相談できるものと思っております。
  9. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは、今の小里長官の話はこういうことと理解してよろしいのでしょうか。  今回は、中央省庁基本法案である、それをもとに今後中央省庁再編の具体的な法案作業に入っていく、その折は、地方分権であるとか規制緩和であるとか、いわゆる中央行政スリム化、この分野についての作業も同時に必ず組み込んでやる、そういうふうに理解してよろしいか、もう一度。
  10. 小里貞利

    小里国務大臣 今お話がありましたように、それぞれ重要な一つ改革に基づく要素あるいは組み立てを説明申し上げておりますから、それぞれの作業をそれぞれの分野で、あるいは私ども行革推進本部が一応統括はするものの、それらを進めて、そしてその完熟を待って、可能な限りその中身を詰めてもらう、今次の中央省庁改革の全体の日程からいきますと、遅くとも明年の今ごろは御相談しなければいかぬ。そして、それをさらに国会意思をお聞きいたしまして、決定の上、次の具体的実施に入るための予算を中心にいたしました関連のものをその後に御相談しなければならない。その計画が、円滑にと申し上げましょうか、期待どおり進んだときに、初めて二〇〇一年一月一日が実現をいたします。
  11. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、この中央省庁再編が、スタートは先行した形であっても、これが行われる、法案になり、予算がつき、そしてこの形が、まあ二〇〇一年の一月一日が最短の目標だと聞いておりますけれども、そのときに、スタートするに当たっては、分権、その部分がおくれることのない、この点はぜひとも政府としてはっきりとしたシナリオを持っていただきたい、かように思います。
  12. 小里貞利

    小里国務大臣 いろいろ重要な要件があるわけでございますが、その中の最たるものの一つとして、今お話があった地方分権でございます。
  13. 古賀一成

    古賀(一)委員 次に、この中央省庁再編が行われるタイミングの問題であります。  それは、二〇〇一年の一月一日という話ではなくて、この日本経済あるいは社会というものが、だれが見ても今転換点である。しかも、いい方へ向けての転換点というよりも、いわば坂を転げ落ち始めたのではないかという感じすらあるように、いわゆる低迷、新聞報道によれば、日本危機であるとか崩壊であるとかいう言葉もございます。この前のワシントンでのG7をめぐる日本への批判といいますか、その新聞論調も、日本崩壊であるとか、何かぞっとするような言葉が相当並べてあるように、きのうの読売新聞にもずらずらと書いてありました。そういう時期にこの中央省庁再編が行われる、これに問題はないのか。  中央省庁再編は必要であります。必要なのでありますけれども、まさに日本経済が今後どう立ち直っていくのか、立ち直るというシナリオが見えても、これまた国際経済の方がそれを容易に許さない状況もある。そういう面では、大変運営の難しい、そして危機が刻々と明らかになっているこういう時期に、いわば日本ブレーンの最たるものでございますこの霞が関、これが、おらが役所が何年後にどうなるかわからない、一緒になるんだけれども一緒にうまくやっていけるかどうかという、いわばそういう問題を突きつけられるわけであります。  政治家の方も、我々も、小選挙区になりまして、中選挙区に比べれば、私は確かに落ちつきがなくなったような気がいたします、何せ通るのは一人でありますから。政治がそういう小選挙区のもとで落ちつきに陰りがある。そしてもう一方の、ブレーンであるべき中央官庁が、自分の家の引っ越しの準備というかあるいは建て直しの準備というか、そういうもので右往左往する。これは私は、そんなことをするなと言っても、役所は、自分たちの家の話でありますから、当然そういう行動に出ると思うのですね。  この時期にこういう組織いじりをしたということは、後世、これは物すごく反省をすることになりはしないのかと思うのでありますけれども、そこら辺、総理として、ここは大丈夫だ、そういうふうにはっきり確信を持っておられるのか、ひとつ総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  14. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、ちょうど議員と逆の結論に達したと申し上げてよいと思います。  今我々は、本当に景気回復というものに取り組まなければならない、その状況にあることは否定をいたしません。しかし、そういうものを生み出してきた中に、果たして今の日本行政仕組みの影響というものはなかったのだろうか。縦割り行政に対する批判、あるいは硬直性、行き過ぎた事前管理行政の、これは肥大という言葉であらわしてもいいのかもしれません。そして、その状況のままで改革はできるかと。  私はやはり、今やり始めているこの道筋は間違っていないと思っておりますし、我々が本当にしっかりとした足取りで歩みを再開できる状況をつくるために、今のままの行政仕組みでよいとは私は思っておりません。その前提に、先ほど来議員がおっしゃるような、分権を進めていくことを初めとしたその基盤になる部分があることは、先ほど私も申し上げたとおりでありまして、だから中央省庁は今のままでいいという結論には、この時期、私はならないと思います。
  15. 古賀一成

    古賀(一)委員 官僚組織官庁組織批判があった、運営にもあった。それで、こういう危機のときにこういうことをやることによって、一つタイミングでやれるというように総理答弁を受けとめましたけれども、一方で、自分のウン十年にわたる組織が、場合によってはなくなる役所もあるわけでありまして、新しく受け入れるようなところもあります。やはり人間どうしても、そこに行くということもまた事実であろうと思うのですね。  私は、この点、まだ大きな懸念を実は抱いておりまして、これは、総理のリーダーシップによりまして内閣一丸となって、そういういわゆる政策ブレーンたる中央官庁の本来の役目が、これによって要するに留守になるということのないように、しっかりとした管理、統率というものが明らかに必要であろう、私はかように思うわけであります。  再度申し上げませんが、次の質問に移らせていただきます。  そこで、この行革について我々もいろいろな論議をいたしましたけれども、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、いわゆる具体的な行政改革の効果、それが、確かに一府十二省庁になる、一府二十一省庁が半分近くになるということはわかるのでありますけれども、では、行政のボリューム、人員、経費等々を見て、この法案のどこでいわばそういうスリム化、減量というのが実現するのだろうというイメージがなかなかわかないのであります。  中央省庁再編による行政改革の効果、いわゆる行革効果というか、これをやはり国民にはっきりと示すこと、目標であれ予測であれ、この統廃合によって実はこれだけの行政改革が行われるという効果の部分をしっかり示すことがこの法案のいわゆる成就をもたらす大前提だと私は思うのです。国民理解がなければ世論も盛り上がらない、そういう状況の中であれだけの強大な、また複雑怪奇な中央省庁を改編することはできない。やはり世論だと思うのですよ、理解だと思うのです。  この点につきまして、政府としてどういうふうに具体的な行革効果を御説明されようとしておるのか、要点で結構でございます、お示しいただきたいと思います。
  16. 小里貞利

    小里国務大臣 議員もけさ方の第一声でお話をなさっておられましたように、硬直化、肥大化、制度疲労化しておるよ、これは戦後型行政システムだよという意味お話をお聞かせいただきました。また、行政経験の豊富な議員でございますが、私ども国民もそのことは共通して認識をいたしております。  だから、この際、簡素化、効率化、総合性、戦略性、機動性等を持たせた、新しい時代にたえられるいわゆる二十一世紀型行政システムに思い切って切りかえて対応しなければいけませんよ、ここから始まっておりまして、さらにそれを具体化するための作業に今入った、まず法制作業です、基本的には政府はこういうふうに考えておりますというところを今御相談申し上げた。  さらにそれを、ただいまの御質疑で、ではその基本的な改革の方向は方向とするものの、中身をもっと具体的に、どのような行政効果があるのか、あるいはまた経費上、人件費あるいはその他定員関係等でどういう効果があるのかということをお聞きになるのは当然のことであると、私どもは最初からそう思っております。  その具体的な手だてについては、先ほども総理大臣のお話にございましたように、例えば、いわゆる規制緩和一つをとってみましても、今どんどん進みつつあるわけです。そして、さらにこれを補強して、私どもは先刻六百二十数項目を打ちました。これらは、今こそ目に見えるものもありますし、今からまたその効果というものが出てくるものがあります。それらを今次の、今先生お話しになった行政組織の中できちんと直結をさせまして有効に生きてくるもの、私はさように判断をいたしております。  あるいはまた、官と民の分担におきましても、きちんと、今の一府二十一省庁体制のもとにおいては政府が賄っておるけれども、その中の何割かは民の方に削っていく、また、しかるべきものが当然、相当なものが出てまいりますから、それらを削っていくわけであります。  あるいは、もう一つ例として申し上げますと、行政組織の組み立て方、これも例えば、事前評価、裁量行政、これはよくないよ、不透明性という面もある、あるいは官民癒着の面もありますよ、行政効率を上げるためにも事後チェックにしてルールをきちんとして、そしてそのルールをより明確に具体的に、かつ可能性のある限り裁量の余地をなくするようにしようという、非常に行政組織の組み立ての根幹にかかわる面も、私は一例として申し上げるわけでございますが、提唱申し上げておるわけでございますから、それらも当然、経験の豊富な先生でありますから、御理解いただいておると思う次第です。  あるいはまた、政策の企画立案機能と実施機能も、これは分離すれば相当行政効果が出ますよということは御承知のとおり。あるいはまた、姿勢として、行政透明性を求める上におきましても、あるいは効率性を求める上におきましても、機能分担というのはきちんとしなさいよ、これはテレビでも新聞でも先生方もちゃんと言っていらっしゃるし、きのういただきました田中慶秋先生の本を私は読ませてもらったら、ちゃっかりそのことが書いてあるのですね。そういうふうにきちんと書いてあるのでございます。  やはり私は、そういう組み立てを、本当に私どもが耳しげく言っているような、こういう具体的な削減効果を御検討いただければ、必ず確信を持って、国民期待にこたえられる中央省庁再編ができるもの、さように思っております。
  17. 古賀一成

    古賀(一)委員 でも、今の小里長官行政改革の効果ということを一般の国民の方、聞かれたら、ちょっとわからない。(小里国務大臣「いや、それは基本法にそのことも書いてありますから」と呼ぶ)いや、もっとわかりやすく、これでこれだけのものができると、予算の面、人員の面というのをやはりわかりやすく国民にお伝えいただくということが私は重要だと思うのです。  例えば、これは質問ではございませんが、早ければ二〇〇一年の一月一日に新しい体制でスタートをしたいということでございますと、要するに二十一世紀の元旦からやろうということですね。それならば、二十世紀をもって、今度省庁が変わるわけですから、規制については原則全部サンセットでやるという仕組みを組み込むならば、二十世紀で規制とかそのたぐいは一回全部ちゃらになる、これは行革になるぞというイメージがわくのですが、そういう仕組みを私は何か組み込むべきではないかという……(小里国務大臣「そんな一朝一夕にできますか」と呼ぶ)いや、一朝一夕にできないのですが、過去五十年の体制を変える本当にいいチャンスではあると私は思うのです。この点はわかりました。  次に進みたいと思います。  それで、次の問題でございますけれども、この行政改革会議、設置期間一年八カ月というような中で今度この法案までたどり着いたわけでありますが、これまでのいわゆる行政改革論議というものが進められた経緯、あるいはその根拠法というものを見たときに、これはバランスを欠いておるのではないかなと私は最初に思ったわけであります。  具体的に申し上げますと、臨調あるいは行政改革委員会、あるいは地方分権を扱いました地方分権推進委員会、これも法律によりましてこの設置が認められ、その委員の任免についても国会の承認を受ける、こういう流れで今まで来たと思うのです。  ところが、今回の行政改革会議、これはもう今まで論議があったように、中央省庁をガラガラポンで一回つくり直す、こういういわば国の形を変えるにも等しい大作業でございまして、国会行政のチェックをするというのが二権分立の、行政と立法府のその基本的な考え方とするならば、私はなぜこの行政改革会議というものが国会の関与にかからしめられなかったのかと非常に奇異な感じを受けるわけであります。  なぜ立法府が関与しない仕組みでこの改革会議が設置され運用されてきたか、その意図といいますか、どこにねらいがあったのか、これはぜひはっきりと御説明をいただければと思うところであります。
  18. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 行政改革会議、これはいわゆる審議会等の一つということが言えます。  そして、その審議会等の設置、これは国家行政組織法第八条の規定によりまして、基本的には政令で設置することが原則となっております。そして、審議会等のうちで、委員の任免に特に国会の承認を必要とするなど、法律事項とすべき内容を持つもの、これはその例外として法律によって設置する、これが審議会などの設置に関する基本原則だと承知をしております。  行政改革会議は、この基本原則のもとで、これにのっとりまして政令で設置をいたしました。同時に、このことは、内閣総理大臣である私自身が会長となって、みずからその調査審議に参画をする、会務を総理するという仕組みをとった。そして、早期に成案を得て、その成果を政府の施策として速やかに実現するために、短時日のうちに審議会を設置して、一年という期間で最終報告に至ることができたということを振り返ってみますと、この方法をとったことは私は適切だったと思います。  そして、この行政改革会議の最終報告に基づいて今回基本法を提出し、まさに国会の御論議に供する、今御審議をいただいております。そして、この中央省庁などの改革につきましては、こうした形で国会の十分な関与をお願いを申し上げる。また、その関与を実現していただいているところだと私は考えます。
  19. 古賀一成

    古賀(一)委員 今の総理の御答弁で、いわゆる審議会の一般論といいますか、審議会でやることにした、審議会でやるならばこうなるのだと。そこの点はよくわかるのです。でも、なぜ審議会という方式だったのか、それが明らかに臨調とかあるいは地方分権推進委員会とのバランスを欠いておる。私は、この点は今の答弁ではちょっと納得できないのですね。  国の形を決めるのに、ある面では国会行政機構をチェックする、その最大の仕事であるのに、この改革会議結論を見て、いわば短期間の間に国会で審議をする。これで国会のいわゆる第一義的な責務を果たしたということになるのだろうかということを私自身は強く疑念を持ちます。  だから、国民本位の行革という言葉がございましたけれども、私は、このスタートの時点で何か国会が軽視されたまま、いわゆる審議会方式という便利な方式でこの重要な問題が扱われたという、そこには重大な国会としての使命の放棄があるのではないかという気がしてなりません。  小里長官の方から御答弁があるようですから、では、お願いいたします。
  20. 小里貞利

    小里国務大臣 御指摘のとおり、国会意思は、これはもとより国権の最高機関でございますから、そこをお話しのように重要視すればこそ、加えまして、また、今次の行政改革関連法なるものの重要性にかんがみまして、政府として、国会にお諮りする前に審議会で、あるいは民間諸団体を代表せられると思われるような各界の専門的知識なり意見を持った方々の意見を聞いてみよう。そして、審議会という窓口で意思を集約した。それを、会長ではありましたけれども、内閣に対しまして総理大臣に答申があった。  そしてそれを受けて、それを大きな一つの原案の要素にしながら、さらにまた与党三党の意見を聞きながら、あるいはまた国民各界の意見にも十分注意しながら、責任を持って、これなら世紀の改革に値する一応の原案ができた、そういう一つの確定の上で今次の基本法案として持ち込んできた、それが中央省庁改革基本法であります。  そしてさらに、その中身は非常に高度であると同時に多岐にわたっております。ですから、さらに国会意思をそのことも含めてお聞かせをいただきながら、基本的にこの中央省庁改革はやってみろという国会意思をお決めいただきましたときには、それらの間にお聞かせをいただいた、きょう古賀先生から御意見をお聞かせいただいたことなども参考にしながら、次の具体的な作業にかかっていく。  私は、これは非常に手がたい、そして必然的な当然の手続ではなかろうか、極めて妥当性を持っておる、そういうふうにこそ判断するものであります。
  21. 古賀一成

    古賀(一)委員 この国会で戦後、各省庁の設置法、あるいは、新しい規制なり業務なり政策なりを実現するための法案ということで、各省庁の業務の内容を法案という形で、それは計算しようがないような膨大な時間と質疑のやりとりで実は今の中央省庁の仕事があるわけですね。それはもう全部国会を経た上での設置法であり各関連法だったと思うのです。  それが今度、丸ごと役所がなくなりますよ、こういうような話を含んだ話でありまして、そういう面から見れば、この行革会議というものが総理府令で設置されたということについては、国会議員の一人としては何か寂しいというのか、いいのかなというのか、そういう感じがしてなりません。  それで、この流れをもう一回ひっくり返せといってもできるわけがないわけで、問題は、私は今後の立法府の関与の仕方だと思うのですね。  それで、この通常国会だけで私は済むのだろうかと。何せこれは国の形を決めるにも等しいぐらいの大作業だと思うし、役所というものは、恐らく今の時代のパラダイム、その時代の価値観というものを一番あらわしたのが中央官庁組織の形ではないかと思うのですよ。それを変えていくわけでありますから、私は、徹底した立法府の論議、責任を果たす、縦横斜めから見て、これでいいのか、大丈夫か、こういう案もあるのではないかという論議国民の代表である国会が徹底してやるということが、私はこれからの重要なファクターだと思います。  この点につきまして、政府の方のお考えをお聞きしたいと思います。
  22. 小里貞利

    小里国務大臣 一つは、先生は、おれたちの先輩たちが孜々営々苦労してつくったいろいろな各省庁の設置法であった、そして実績も残しているよ、そういうことを一顧だにしないとは言わないけれども、そういう今日の一府二十一省庁体制ですよ、こう言っておられるわけですね。  それはもちろんそのとおりでありまして、私どもは、そういう貴重な実績の上に立って、今日は今日で時代の変化とともに新しい行政システムを考えなければならぬ、これは先ほど申し上げたとおりであります。  さらにまた、国の形を変えるというほどまでに言われる重要な世紀の法案だよ、だから国会意思をもっと具体的に早目に聞くべきじゃないか、こういうふうにお尋ねになったと思うのでありますが、そうであればこそ、先ほど申し上げたように、私どもは、責任を持ってこの際国会に提案して、そして説明のできる、そして皆様方のお話を十分お聞かせいただける受け皿をつくって、とりあえず基礎的なところを御相談しよう。  さらに、重要なるそのような案件であるがゆえに、二段階方式と言えば誤解を受けるかもしれませんけれども、各省庁の設置法の具体的な問題については、今次の基本法を一応整理をいただいて、意思決定していただきまして、それを参考にしながら、あと一年間、内外の話を聞いてきちんとしたものをつくって、さらに国会に御相談しますからお願いを申し上げます、こう申し上げておるわけでございます。  しかも、一例として申し上げますと、例えば公社一つをとってみましても、あるいは独立行政法人一つをとってみましても、非常にその制度が持つ意義、役割も重要でありますから、今次の国会で御相談をしておいて、そういう主なる柱は今度相談しておきまして、国会でそれでよろしい、公社化もやってみろ、独立行政法人制度を新設したがそれも応用してみろという方向をお示しいただければ、それに従いまして各省庁が具体的に作業に取り組んでまいる一つ仕組みでございますから、御理解いただきたいと思います。
  23. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、今振り返ってみますと、こういう事の大きさ、奥の深さ。あるいは、中央官庁の、現状でいいという運動もこれから起こるのではないか。そういうようなことも一切合財含めて考えたときに、やはり国会がイニシアチブをとって、例えば地方分権について、中央集権体制を改めつつあると言われるフランスに調査に行くとか、あるいは地方のヒアリングをもうどんどん国会が進んでやるとか、そういうダイナミックな動きを国会が示すときに、国民の皆さんも、あるいは中央官庁の皆さんも、本当に国を変えぬといかぬという、そういう機運が私は生まれてくると思うのですね。  私は、地方行政委員会でも、これは与野党を超えてやはり国会議員一つのテーマで、お役所もお役所でしっかり考えてあるでしょう、ただ、一種の閉鎖された社会にも等しい部分もあるのですね、霞が関というのは。我々国会議員が、生の声を聞いてきて、縦横斜めから、こういう発想もあるぞ、それをぶつけることが、私は、ある面では行政機関のいわゆる活性化にもつながる、こう思っているのです。そういう面から見ると、私は、何か審議会偏重的な今までの流れを踏襲したという形でこれが行われたことに、本当に一抹の寂しさを禁じ得ません。  しかも、寂しさだけじゃなしに、けしからぬと思う部分もあります。口汚い言葉で申し上げるならば、いわば国会を無視して総理府令で行政改革会議を設置しておきながら、それから出てきたこの基本法案では、第三条でありますけれども中央省庁改革を推進する責務は国会にもあると。我々がもらったときにはもう、責務がある、こう書いてあって、その以前の論議には我々は、国会は関与していない。何か私は、国会の本来の機能という面から見て、御答弁はいただきましたけれども、今なお脇に落ちない面が私にはございます。そう申し上げて「次の質問に移りたいと思います。  自治大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、先ほど来地方分権の重要性というものをるる申し上げてまいってきたわけでありますけれども、この中央省庁再編は、幅はありますけれども、おおむねスケジュールが決まりつつあるように思います。  では、もう長年言われてまいりました地方分権、これにつきまして、第四次までの勧告が出たわけでありますけれども、この推進計画、いつ出されて、それが法案化にいつなっていくのか。そして、この中央省庁再編とのリンクをどうお考えになっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  24. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  政府におきましては、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限に尊重しておりますことは、かねてから申し上げ続けておることでございますが、今国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成いたしまして、閣議決定後に国会に御報告をすることといたしておるところでございます。現在、各省庁とも相協力をいたしまして、できるだけ速やかに実効性のある地方分権推進計画が作成をされますように全力を挙げて取り組んでおるところでございます。  地方分権推進計画が作成をされた後には、各省庁において、計画に基づきまして、速やかに所管法令の改正作業が行われることとなります。自治省といたしましても、計画に基づき、地方自治法の一部改正を初め関係法令の改正作業を進めてまいる所存であります。
  25. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、分権中央省庁再編というのはもう表裏一体、不即不離の問題だと思っておりまして、この点につきましては、地方行政委員会でございますから、今後ともしっかりと見守っていきたい、かように思います。  そこで、時間も短くなってきましたので急ぎますが、今度は各論といいますか、具体の省庁の名前を挙げまして、疑問に思う点をたださせていただきたいと思います。  今回のこの再編によりまして自治省がなくなるわけでありまして、政府は、もうこの何十年来でしょうか、あるいは世論全体も、これからは地方の時代だ、地方分権こそが新しい時代を切り開くとか、もういろんな意味地方役割の重視あるいは地方分権の重要性が訴えられてきたわけでありますけれども、何かそういう流れの中で肩透かしを食らわんばかりに、この鳴り物入りの中央省庁再編で自治省がなくなると。だれしもが何でだろうと思うと思うのですね。  自治省は総務省に統廃合されるということでございますけれども、どのような哲学というか理念、理由あるいは必然性でこのようになったのか御説明をいただければと思います。
  26. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 委員の御指摘の点は、自治省という名称が総務省に変わって、消えるので、地方自治が埋没するんじゃないか、機能がなくなるんじゃないか、こういう御心配を前提に置いた御質問だと思います。  今後、新たにされます総務省が、地方自治の確立、一層の発展のため重要な役割を果たしてまいることになるわけでございます。私といたしましては、憲法に一章設けられております地方自治の重みを踏まえまして、地方自治地方分権の推進の機能が総務省において十分に発揮されるように、適切に対処してまいらなければならないと考えております。  なお、国の行政において地方自治の機能が埋没しかねない、こういう御心配があるわけでございますが、そのようなことにはならないように一層留意してまいりたいと思いますし、このたびの行政改革地方分権推進ともセットでございまして、そういうことにはならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  27. 古賀一成

    古賀(一)委員 この大きい役所に埋没しないように留意をするといっても、留意をされる担当大臣というものが今度おられなくなるわけですから。  ちょっとお伺いしますけれども、この総務省というものは、大臣はお一人ですよね。そうしますと、三十万五千人の郵政省と言われておりますここと、非常に小世帯と言われておる自治省が一緒になって、一部局がいわゆる地方自治を扱う、こういう構図になるわけですよ。そうしますと、郵政関係ですから当然電波関係もあるでしょう。国際会議ということで、例えば閣僚として電波関係、国連あるいは国際会議に出るというようなことは容易に想像できるわけでありますけれども、その同じ人が、また一方で地方自治地方分権地方財政、それまで目配りをするという構図。どうしてもこれは、スーパーマンでもない限りこんな毛色の違う仕事をさばけるのだろうかと、閣僚が一人でありますから。私は、何か疑った見方をすれば、数を合わせるために、小さい自治省だから総務省あたりにほうり込んでおけというふうに読まざるを得ないのですね。その点、私は疑問をいまだ払拭できません。
  28. 小里貞利

    小里国務大臣 自治省という従来我々がなじんできた固有名詞がなくなるから寂しいな、そして、総務省という大世帯の中に今度一緒にドッキングしていくと埋没してしまうのじゃないか、そういう感じを与えるお話をなさったと思うのでございます。  御承知のとおり、今度の新しい総務省というのは、なるほど形の上におきましては大変膨大であります、現在体系は。御承知のとおり、総務庁が三千六百、自治省が恐らく六百前後だろうと思います。そういうところに非現業を入れまして三十万四千という大きな部隊が入ってくるわけでありますから、なるほど、形の上で見ましたときには大と小という一つの隔離を感ずるわけでございますけれども、御理解いただきたいのは、本質的には、たとえそういう一つの形になったにしても、ただいま自治大臣がお答えいただきましたように、地方自治の本質的な役割というものは、おっしゃるようにむしろ時代の進展とともに非常に重要性を増していくわけでありますから、そのような本来の任務というものは、前進こそすれ、決して後退はあってはならぬ。それはきちんとこの法律でも書いてありますし、私どももそういうふうに考えております。  それからもう一つ、三十万四千前後の数字を申し上げましたけれども、ここは御理解いただいておると思うのでございますが、この新しい総務省という組織機構の中に、一部は、いわゆる政策の立案機能部分は残ります、郵政省から来た大事な部分はそこに残ります。これをいわゆる郵政企画管理局と称しましょうか、大きな存在をなす局がその内部に残ります。そして、その実施機能として、郵政事業庁を二〇〇一年に横の方に引き出します。この郵政事業庁も、さらにそれから二年たったときには、御承知のとおり公社化するわけでございますから、国の現存する行政組織、あるいは二〇〇一年にスタートをする新しい政府組織の外にある、いわゆる別法人格を認められた公社として出ていきますから、その点はひとつきちんと区分をして御理解いただきたいと思います。  整理して申し上げますと、要するに、三十万四千の中の三十万一千ぐらいは外に出ていくわけでありますから、それは総務省という本庁内にはない、そういう一つの区分けを私どもはいたしております。
  29. 古賀一成

    古賀(一)委員 今の大臣の答弁でも、やはり放送行政、電波行政等々を扱う大臣が、一方で、地方自治だ、地方財政はどうだという、そこを所管しなきゃならぬのはもうはっきりしておるわけで、何かごちやまぜだなという感じは、私は、だれが見ても否めないと思います。この点、運用ということで、どこまでその欠点というものをカバーできるのか、これは我々今後注目をしていきたいと思います。  最後の質問になろうかと思いますが、自治省と同じく経済企画庁、これが今度名前をまた消すことになったわけです。  私も、細川、羽田両政権で二度にわたりまして経済企画庁に政務次官としてお世話になったということで、とりわけ愛着があるわけでございますが、自分の個人的なそれとは別に、私は、時代認識として、今ほど、経済企画あるいは国家企画といいますか、そういうものが必要な時代はないだろう。特に日本は、これから十年、十五年、高齢化、少子化もあれば、いわゆる経済の世界化もあれば、アジアの勃興もある、恐るべき大きい潮流の変化にいろいろな意味で遭遇するわけでありまして、まさにこういう、専門でマクロの世界を分析し、計画を立てていく部門というのは、今が一番私は必要な時代じゃないかと思うのですね。まさに転換期における経済企画、国家企画院のような、それが必要である。そのときに、私は、独立して責任を持ってマクロ経済あるいは世界経済、そういうものを分析、予測するこの役所がなくなるということに、どういうことなんだ、そういう思いが非常に強うございます。  なぜ経済企画庁がなくなることになったのか、その理由、またそれに対する思いといいますか、そういうものをまず経済企画庁長官にお聞きをいたしたいと思います。
  30. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 経済企画庁は、これまで、客観的な経済分析を基礎とした中長期的な経済のビジョンづくり、あるいはその時々の経済情勢に応じた適切な経済運営という仕事をやってまいりました。そうした経済政策に関します企画立案及び総合調整の機能につきましては、内閣の中枢としてしっかりと推進していく必要があるというふうに考えている次第でございます。  今回の法案におきましては、経済財政政策につきまして経済財政諮問会議が置かれておりますが、これに関しましては、経済財政政策に関し、国務大臣、学識経験者等の合議により審議をし、必要な意見を述べるという合議制の機関というふうになっているわけでございます。  また、内閣府の任務のうち、国政上重要な特定の事項に関する企画立案及び総合調整につきましては、国務大臣にこれを担当させるということができるということになっているわけでございまして、私どもといたしましては、経済企画庁がこれまでやってまいりました経済政策に関する企画立案及び総合調整という機能は内閣に置き、そして、内閣及び内閣総理大臣を補佐、支援する体制のもとに、今まで以上に充実した行政体制でこれを推進していくことになるというふうに考えております。
  31. 古賀一成

    古賀(一)委員 最後になりますけれども、私は、これまでの長い役人生活、それと短い政治経験を通して本当に強烈に思っておるのは、やはり日本の今の行政の限界というのは縦割り性にあると思うのですね。縦割りがどんどん小さい縦割りになっていく、県、市町村まで中央官庁の縦割り組織というのは貫かれておるわけで、ここに私は日本の今の行政の閉塞感等々があると思うのですね。そういう意味で、経済企画庁というのは、いわば縦割りではない総合調整、そういう極めて貴重であり重要なセクションだったと思うのです。  だから、今度の行革において、今担当大臣も置けるんだというお話でございましたけれども、この経済企画の分野というものは、内閣官房であれ、内閣府であれ、経済財政諮問会議であれ、これまで以上に重要な機能を持たせる、私はそう思うのですが、この点につきましての総理の御所見をぜひお伺いいたしたいと思います。
  32. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 非常に大事だ、そして一層大事さを増す、この考え方に全く食い違いはありません。  そして、そうした論議の上で、むしろ内閣府の中にこの機能を持たせる、そして経済財政諮問会議予算編成の基本方針まで含めて審議ができる、そうした大きな立場から、いわば知恵のたまり場という言い方がいいか、民間の知恵を拝借するといった形がいいか、その言い方は両面できるのですが、そうした機能もあわせ持つ形を内閣府の中につくる。今議員が持たれたような問題意識を論議した結果、こういう形態をとりました。この点は、同じ発想でありますので、ぜひ御理解を願いたいと存じます。
  33. 古賀一成

    古賀(一)委員 終わります。
  34. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、枝野幸男君から関連質疑の申し出があります。古賀君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。枝野幸男君。
  35. 枝野幸男

    枝野委員 民主党の枝野でございます。  まず、今回の法案に直接はかかわりませんが、行政改革、特に官邸機能の強化という側面から、三月十九日の予算委員会で私が村岡官房長官にお尋ねをした件について確認をさせていただきたいと思います。  三月十九日の予算委員会で、私は、省庁間の覚書について公開をきちんとしてもらわないと困りますとお尋ねをいたしましたら、できるだけ早くやりますと御答弁をいただいて、その翌日には内閣参事官室から各省庁担当官あてに、速やかに資料を提出するようお願いしますという、これは通達というのでしょうか、流していただいていますが、まず結論として、その後お出しをいただいておりますでしょうか。
  36. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 覚書の件でございますが、政府の立場としては、公益を害するといった場合を除き、できる限り協力するよう、委員の御質問をいただいた後に各省庁に連絡、指示をいたしました。その後一カ月経過をいたしておりまして、いまだに提出されていないことは申しわけなく思っておるところでございます。  また、きょうの質問がありまして、いろいろ見ましたら、全部の省庁がそろっていないとかそういうような理屈はもうだめだ、こういうことを指示しましたので、できるだけ、できた省庁から今週中でも、来週にかけても、全部そろってからなんということではなしに出させるようにいたしますので、いましばらくお待ち願いたい、こう思っておるところでございます。
  37. 枝野幸男

    枝野委員 これは行政改革、特に官邸機能の強化などという側面から大変大事なことでして、国会官房長官が御答弁になっている話について、一カ月も事務方がほうっておいている。それについて、おくれますとかなんとかという報告も官房長官のところには事前にはなかったのでしょう、私がきょうの質問をするまでに。そういったことがまかり通ったのでは、幾ら形の上で総理大臣のリーダーシップや内閣官房の機能強化といっても、実は実態が伴わないことになってしまうということになりますので、これは、この問題だけではなくて、全体の政治のリーダーシップという側面からも、しっかりと、こうしたことが今後ないようにしていただかないと行革が形だけになってしまうという視点を指摘しておきたいと思います。  それでは次に、大蔵省の問題について二、三御質問をしたいと思います。  大蔵省の改革ということで金融監督庁をつくることが決まっていますし、今度の改革では金融庁になっていくということになっています。金融監督庁の設置の議論のときにもいろいろ、ここのトップをどうするのかという問題が争点になりましたけれども、ここの長官の大事について、最近は、これはちまたの話でございますので本当かどうか知りませんが、やはり大蔵省の官僚の中から順送りで選ばれていくのではないかというようなうわさも出てきています。  確認をさせていただきたいと思いますが、当然のことながら金融監督庁のトップには大蔵官僚以外のところから登用していただけるというふうに考えてよろしいでしょうか。
  38. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 御承知のとおり、金融監督庁は、預金者、投資者等の保護、金融及び有価証券流通の円滑の確保等、国民経済の健全な発展にとって極めて重要な責務を担うものであり、同庁の事務を総括する同庁長官の職責は非常に重いと考えております。  同庁長官大事については、その重責に照らし、適材が得られるよう適切な人選を行う考えであります。
  39. 枝野幸男

    枝野委員 お尋ねをしたことにお答えをいただきたいと思います。  では、大蔵官僚は候補者の中に含まれるのですか、含まれないのですか。
  40. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 これは、今、大蔵であるとか民間であるとか、あるいはその他の省とか全部、その方々の中から適材適所の人を探して人選する、こういう意味であります。
  41. 枝野幸男

    枝野委員 お尋ねをしたことに答えてください。  そうすると、候補者になり得るわけですね。
  42. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 なり得るかもしれませんし、実際に決めるときは適材適所の人になろうかと思います。
  43. 枝野幸男

    枝野委員 最近の大蔵不祥事、きのうの夕刊などでは、それについて来週にも処分が発表されるだなんということが書いてありましたけれども、金融と大蔵省とのさまざまな癒着関係、それに基づいて大蔵省では内部処分も来週あたり出そうだという経過の中で金融監督庁が立ち上がっていくというときに、これはけじめの問題として、当然のことながら外から持ってくるというのが普通の感覚ではないでしょうか。こういった考え方は普通じゃありませんか。
  44. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 まだこの大事については、時間もございますし、いろいろな方の意見も踏まえて適材適所をやっていきたい、こう思っております。
  45. 枝野幸男

    枝野委員 適材適所は結構なんですが、今私が申し上げたように、こうした金融監督庁ができてきた経緯、現在の大蔵省のMOF担などとのさまざまな問題点ということを考えたときには、当然のことながら外部から持ってくるのだろうなと考えるのが普通だと思いますが、総理、いかが考えますか。
  46. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は本当に、どういう方であれ、一番いい人材を得て、そしてなるほどと思っていただけるような人材が初代長官をやっていただける、そういう状況が一番いいことだと思います。
  47. 枝野幸男

    枝野委員 まあ、有罪判決が確定した人を大臣にしたような人ですから、聞くだけむだだったのかもしれませんが。  それでは、予算の編成について、財務省にしていこうとお考えのようですが、予算の編成過程について、昨年の八月二十七日の主計官会議というところで涌井主計局長が、予算編成の情報公開を進めるというような発言をしています。「できる限り情報を公開していくことが重要だ」と述べたと毎日新聞などにも出ています。この発言の有無について、事実関係をまずお答えください。
  48. 細川興一

    ○細川(興)政府委員 昨年八月の末ごろだったと思いますが、九月からの予算編成が始まる前に主計官会議が開かれました。私もそのときに同席しておりますが、主計局長の発言の趣旨は、財政構造改革について国民の関心が高まっている中で、財政当局としても適切な機会をとらえてその考え方をきちんと説明していくことが大切ではないかという趣旨であったと理解しております。
  49. 枝野幸男

    枝野委員 それでは、これまた事実関係として、その平成十年度の予算編成の過程で、情報公開について何らかそれまでになかったようなことを行いましたか。
  50. 細川興一

    ○細川(興)政府委員 それぞれの主計官あるいは私ども、いろいろな機会で、マスコミの方とも、あるいは記者クラブの方とも接触する機会がございます。そういう機会に我々の考え方なりを一生懸命説明する、あるいは、まとまった形で記者クラブで勉強会がございますので、そういうところでもしっかりと説明していくということを行ってきております。
  51. 枝野幸男

    枝野委員 そういうお答えが出るのだとすると、最初の涌井主計局長の発言の事実関係についてもう一回念を押したいのです。  情報公開と言ったのですか、それとも公表、発表と言ったのですか。情報公開という言葉を使っていないのですか、使っているのですか。
  52. 細川興一

    ○細川(興)政府委員 記憶の中の話でございますので、情報公開という言葉を使われたかどうかちょっと定かではございませんが、世の中、いろいろなことについてきちんと説明していくということが大事だというような趣旨でおっしゃったというふうに記憶いたしております。
  53. 枝野幸男

    枝野委員 説明をしていくというのと情報公開、実は意味が違うのですけれども、その点、理解して御答弁いただいているのでしょうか。発表したいこと、説明したいことだけを伝えるのが発表であり説明である。情報公開といったときには、見られるようにしますよ、見たい人は見てくださいというのが情報公開なんです。少なくとも報道上は、かぎ括弧つきで「情報を公開していくことが重要だ」と主計局長はおっしゃったということであるならば、情報公開をしていただきたい、おっしゃったとおり御自身でやっていただきたいということでお尋ねをしているのです。  事実関係で争っていてもしようがないので、総理にお尋ねします。  予算編成の情報公開を進めたらどうだろうかというような意見がございますが、この意見について賛成ですか、反対ですか。
  54. 松永光

    ○松永国務大臣 私から答えさせていただきます。  予算編成作業、これはもう委員もよく御存じのことと思いますけれども、九月以降に、各省庁と大蔵省との間で十分な論議を行いながら予算編成作業が進んでいくわけであります。この作業はあくまでも政府内部の作業でありまして、その経過というものを全面公開するというようなことは、いろいろ誤解を生ずるおそれもありますので、これは困難なことではないか、こう思っております。
  55. 枝野幸男

    枝野委員 内部のことだから公開しないという話は、情報公開法の中でもそんなことは必ずしも言っていないのじゃないですか。内部のことで、そのことで弊害が生じる場合だけ情報公開法でも例外ですよ。今のだと理由にならないのですが、公開をしないということの。理由を説明してください。
  56. 松永光

    ○松永国務大臣 予算編成作業というのは政府内部の作業でありまして、そして、最終段階に入ってまいりますというと、各省庁でほぼこういう予算になったということが公表されますし、それからまた、こういう事項が閣僚折衝に残ったというような形で公開はされておるというふうに思いますが、初期の段階といいますか、各省庁とそれから大蔵省との間の折衝、そういう過程をそのまま発表していくということはあらぬ誤解を生んだり等することもあり得ますので、そういった点を配慮しながら、今申したとおり、まとまりかけた段階から発表はなされておるというのが実情でありまして、それで格別問題はないように私は考えます。
  57. 枝野幸男

    枝野委員 あらぬ誤解の具体例を一つ挙げてください。
  58. 松永光

    ○松永国務大臣 そういうおそれがあるので、編成作業の初期の段階等で大蔵省から発表した例はないと私は思いますので、したがって、弊害を生んだことはない、まあそういうことになるのだと思います。
  59. 枝野幸男

    枝野委員 弊害が生じたかなんて聞いていません。大臣の方があらぬ疑いを生じるおそれがあるとおっしゃったので、私は生じるおそれはないと思っていますので、あらぬ疑いをということについて、事実はこうなのにこういう疑いを持たれるようなおそれがあると具体的に言っていただかないとわからないと申し上げているのです。
  60. 松永光

    ○松永国務大臣 各省から非常に強い要求がありますね。それに対して、財政全般の様子から見てそれは無理ですよ、こういったことが折衝なんですね。そうすると、場合によっては、ある省が強く要求し、努力しているからその可能性が強いなどというふうに判断されたりすれば、結果的にそうならなかった場合に迷惑が及ぶこともあり得ますね。
  61. 枝野幸男

    枝野委員 そこから先は多分平行線なんでしょうが、そういったことを国民の前にオープンにして何が問題なのか。ある役所が強く要求をしている、だけれども財政の事情の方からこれは通らないこともある。そういうプロセスを全部見せていくことによって、予算の編成というものに対して国民のチェックが入っていくのじゃないですか。  これは何らかの圧力で押し込んだのか、それともちゃんと財政上の必要に基づいて認められたのかというプロセスを全部見せていくことによって、確かに、一時的には誤解は出るかもしれません。しかし、この国は民主主義なんですから、何で、大蔵省の役人と予算折衝する相手方の役人との間だけ知っていて、国民は知らなくていいのか。国民をばかにしているのか。大蔵省の役人は知っていても誤解も何もしないけれども、しかし国民の方は、そのプロセスを見てしまったら誤解をして間違えるかもしれない。それは国民をばかにしている、民主主義を否定しているということになる。  それから、さらに言えば、私が申し上げている予算の編成の過程ということについての情報公開というのは、役人同士のことだけで言っていません。政治家と大蔵省との折衝についても全部公開したらいいのです。とある何とか議員が大蔵省にやってきて、何とか主計官に、これこれについてはこういう事情で、頼むからこの予算をつけてくれなどとやっていますね。これ、全部公開したらいいのです。そして、その行動について、いいか悪いか国民に判断をしてもらう。これが、民が官をコントロールしていく、民主主義の原点である。内部資料を隠した結果起こったことが例えば薬害エイズの事件だったとかということを、きちんと、特に国民の皆さんには訴えておきたいというふうに思います。  先に参ります。中央省庁再編法案の具体的な中身に入ってまいります。  先ほどの古賀委員質問と若干かかわりますが、ちょっと視点が違うのですが、この法案の第四条の二号イには、「一の省ができる限り総合性及び包括性をもった行政機能を担うこと。」というふうな条文がございます。「できる限り」で逃げるのかなと思いますが、総務省の主な行政機能というのを見ていきますと、例えば、人事管理行政評価、そして先ほど問題になった地方行政、電気通信・放送行政、独占禁止政策、公害等調整等。これ、総合性、包括性を持っているのですか。何でこれ、一つ役所でできるのですか。一つ役所でできるということの理由を説明してください。
  62. 小里貞利

    小里国務大臣 現行の省庁体制が細分化され、所掌分担の中におきまして、特に縦割り行政、あるいは縦割りやその事務事業の重複というような弊害を抱えておりますことにかんがみまして、二十一世紀においてはその辺をきちんと整理して、そして、本来、国が担うべき任務あるいは機能や主要な行政課題というものを、できる限り行政の総合性あるいは包括性を向上させるべき、それを一つの基本に置いておりまして、したがって、それらの延長線上で一府十二省庁体制に大くくりにこの際再編統合しよう、こういうことにいたしたわけであります。  総務省は、主として、各省行政に広くかかわる制度の管理運営及び政府全体の観点から行われる事務で社会経済的にも重要な機能を果たすものを担当する組織といたしました。  そこで、今お尋ねの、人事管理組織管理あるいは行政管理運営等の部門が一つ、あるいは地方自治制度の管理運営一つ、あるいは電気通信、郵便事業に関する行政などを一体として担うものとして、編成方針に反するものとは考えていないのでございます。
  63. 枝野幸男

    枝野委員 では、こういう聞き方をしましょう。  わかるのですよ、従来の総務庁の権限とそれから地方行政の話と一緒にするというところは、これはいろいろな評価はあるでしょうが、まだ理解のできないところではない。  なぜこれと放送行政一緒になるのか。独占禁止政策が一緒になるのか。だったら法務省も一緒にしたらいいじゃないですか。同じぐらい違うのじゃないですか。どうして法務省は別々で放送行政一緒なのか、説明してください。
  64. 小里貞利

    小里国務大臣 電気通信あるいは郵政事業が二十一世紀を切り開く重要戦略分野であるということはもちろん御理解いただけるわけでございますが、今後の急速な発展と各分野への広範な影響が見込まれることや、あるいは産業、国土交通、科学技術等行政の各部門に広範に関係することを踏まえまして、総務省において行うことといたしたのでございます。
  65. 枝野幸男

    枝野委員 各役所に広範にまたがるのだったら、法務省なんか、商法とか民法とか、全部各ところにまたがりますよね。それから、これから伸びていくだなんというのは、むしろ環境なんかの方がずっと伸びていく可能性が高いじゃないですか。説明になっていないと思うのですけれども
  66. 小里貞利

    小里国務大臣 それは、今お話しになることはわかるわけでございますが、一定の概念できちんと整理、区分をしなければ、それは限りなく大きくすることもできるし、あるいはまた中幅でおくこともできるものであろうかと思います。先ほど申し上げました一つの考え方で、大くくりでそういう整理をいたした結果がこういう形になりました。
  67. 枝野幸男

    枝野委員 要するに、数字が先にあったので、それでくっつけた、そういうことですか。
  68. 小里貞利

    小里国務大臣 私どもは、決してそのような無原則なものではなくて、きちんとそれぞれの、現在の一府二十一省庁体制が担っておりまする各省庁ごとの任務あるいは所掌事務等を一応検討して、そして大くくりに整理をしたと。
  69. 枝野幸男

    枝野委員 聞いていらっしゃる方が判断をするでしょうが、どう考えても、今の放送通信行政などが地方自治一緒になっているということについての説明をしていただけているというふうに考えられません。  もう幾つか問題点、矛盾点を指摘をしておきたいと思いますが、公共事業の地方分権について、四十六条で規定をしておられます。四十六条の一号は、公共事業について、「国が直接行うものは、」企画立案のほかには、事業として行うのは「全国的な見地から必要とされる基礎的又は広域的事業の実施に限定し、」ということを書いておられます。結構なことだと思います、本当にそうしていただけるのであるならば。全国規模でやらなければならない、あるいは本当に基礎的な部分に限定をして、残りは「地方公共団体にゆだねていくことを基本とする」、実際にやっていただけるなら結構なことでございます。  ところが、三号に、「次に掲げるところにより、地方支分部局にその管轄区域内において実施される公共事業に関する国の事務を主体的かつ一体的に処理させること。」という条項がございます。これを入れることによって、地方分権なんだということの御主張をされたいのでしょう。しかし、国が直接行う事業を基礎的、広域的事業の実施に限定をして、そしてその他の事業を地方公共団体にゆだねたら、地方支分部局は何の仕事をするのですか。
  70. 小里貞利

    小里国務大臣 御理解いただいておりまするように、国の公共事業というのはこういうものですよ、企画立案をまず基礎的なものはやりますよ、それからまた数県にわたる広域的な基礎的な事業も国がやりますよ、そのほかのものはできるだけ節度正しくこの機会に区分をいたしますと。もつと極端に言えば、公共事業というものは合理化しますよ、効率性の高いものに整理をしますよ、こう言っておるわけです。  それから、補助事業についても、今お話しのとおり、とりあえず国の公共事業等に関しまして国の役割も限定しますが、同時に、補助事業も、地方公共団体が行う事業のうち一定のものについては国が補助金等を交付しますよ、こういうふうに一つの原則をきちんと今度整理をいたしますから、それらのものをまとめまして、今お話がありました、地方に対しましてやらせるよと言っておるけれども、前段で申し上げたこととは矛盾するじゃないかというお話でありますが、私は、矛盾するものではない。  それはなぜかと言えば、私どもが言っておりまするいわゆる地方にやらせますよということは、地方支分部局をしてせしめますよ、このことを言っておるわけでございますから、国の機関である地方支分部局にさせるよということでございますから、むしろ政策の立案機能は本省でやりますよ、そしてその実施部門はできるだけ切り離しますよ、これは透明性、効率化に役立ちますよ、また組織事務事業簡素化にも役立ちますという前提で考えております。  したがいまして、今言われる地方支分部局は、統合もいたします。これはもう大変痛みやあるいはいろいろ障害があるかと思いますけれども、その地方支分部局という受け皿もこの際整理統合いたすのです、御了解を、こういうふうに図っておるわけでございますから、決して矛盾するものではないと思います。
  71. 枝野幸男

    枝野委員 ちゃんと答えになっていないのですが、そのことについて聞く前に、もう一つ、絡んでいるので。  今、地方支分部局で決めた方が透明性とかとおっしゃっていますね。本省でやったことについて、つまり建設大臣が決めたりしたことについては、建設大臣は国務大臣として国会に責任を負っていただいていますので、これは責任、いいのですよ。  ところが、地方支分部局の長が事業の決定を行えるのですね。これは、どういう手続で透明化して、どういう手続でそれに対して国民異議申し立てをできるのですか、責任を追及できるのですか。
  72. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 基本法案におきまして、公共事業に関し、地方支分部局に公共事業の実施に関してできるだけその権限を与えていくという趣旨の規定が置かれておるわけでございます。この規定に基づいて、具体的な権限の委任その他は個別の法律において改めてその内容が定められることになるというふうに考えております。  したがいまして、現時点であらかじめ確定的なことを申し上げるわけにはいかないと思っておりますが、例えば直轄事業の事業箇所の決定等については、地方支分部局の長が当該地域におきます計画に基づいてそれぞれ当該年度の事業実施箇所などを決定していくことができるようにするなどの措置をとるのではないかと考えております。
  73. 枝野幸男

    枝野委員 聞かれたことに答えてください。そういう仕組みを聞いているのじゃない。  そうやって決めたことについて、国民に対して、どういうプロセスで、どういう責任を地方支分部局の長は負うのですか。
  74. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 公共事業の実施に関し、国土交通省の所管する部分について仮に申し上げるといたしますれば、国土交通大臣という大臣が国会に対してこの国土交通省の所掌事務全般について責任を負うことは変わりがないものであると考えておるわけでございます。  しかし、その大臣の権限のうち、法令、特に法律の規定などに基づいて明確に授権を行う、かつその授権をする内容の範囲、基準、方法等についても明確に定めておく、そういう措置をとって授権をいたすということがこの基本法の規定の中にも想定されておるわけでございます。  したがって、そういう形で授権をしたその事業の内容について地方支分部局の長がそれぞれ決定をした、そういう事項については、当然、決定した内容については地域の方々あるいは国民の方々に知り得る状態に置かれるわけでございまして、かつ、その地方支分部局の長が適法にそういう事業についてみずからの権限を行使しているかどうか、そういうことについては国土交通大臣が監督責任を負うという形になっておるわけでございます。したがって、特に国会に対する責任に関しては最終的には国土交通大臣が負うということについては変わりはないというふうに考えております。
  75. 枝野幸男

    枝野委員 そうなんですよね、それしかできないのですよ。地方支分部局の長にどんなに権限を持たせても、この人たちお役人ですから、お役人に対して国民が監督することはできないのですよ、責任問うことできないのですよ。責任を問うことができるのは国務大臣なんです。どんなに権限を形式的に地方支分部局の長に渡しても、そこでの箇所づけがおかしいと国民から批判の声を浴びたときに責任をとるのは大臣なんです。  ということは、責任を負うべき大臣が、結果的には人事権などを通じて、地方支分部局の長に形式的な権限だけ渡しても、実質的には、おまえ言うこと聞かないのか、そんなこと言われたら、おれ、大臣、首になっちゃうからそんな決定やめてくれと大臣に言われたら、地方支分部局の長は言うことを聞かざるを得ないのです。  形式的な形にしかすぎないじゃないですか。実質的な権限を与えるのだったら、地方支分部局の長も選挙するか、地方支分部局ごとに議会つくるか、そうしないと国民との関係で責任は問えない。大臣に責任を負ってもらうのだったら、結局は大臣が人事権を通じてコントロールする。形式的なものにすぎないのじゃないですか。
  76. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この基本法で想定しております委任の仕方、先ほども少し申し上げましたが、法令の規定に基づいて明確な内容、範囲、方法等をもって委任をするということでございます。したがって、委任をされた事務に関しては、基本的には、委任を受けた地方支分部局の長がみずからの権限としてこれを実施することになります。仮に国土交通省の場合を考えれば、国土交通大臣が、委任をしたその事務について、委任した後も事細かにすべてにわたり事前にコントロールをするということは、このような形で委任をしたということに伴って、それはしないということになるわけでございます。  しかし、委任を受けた地方支分部局の長がその委任を受けた法令の定めに従って適法に事務を実施しているかどうか、そういうことについて監督する責任はあるということでございます。現在のように、すべてが大臣の権限のもとに置かれておりまして地方支分部局が実施をする場合は、ある意味でははしの上げおろしまですべて大臣のもとに、直接大臣のコントロールを受ける、そういう仕掛けになっておるわけですが、そういう点においては極めて大きな差が生じてくるというふうに考えるわけでございます。
  77. 枝野幸男

    枝野委員 大きな差が起こってもらっちゃ困るのですよ、地方支分部局の長なんかには行政権限ないのですから。憲法をちゃんと読んでください。行政権は内閣が持っているのですよ。国務大臣として国会に責任を負っているから行政権を持たせているのですよ。  こんなもの、勝手に支分部局の長が、しかもこれ、事前に聞いたら事業の決定、箇所づけみたいなことをやるわけでしょう。法律に基づいてだれがやっても同じような結論が出るという話じゃありませんよね、箇所づけなんて。どこを優先してやるか、自由裁量ですよね。こんな話のところを、国会に対して責任を負ってない、国民に対して責任を負ってないところが実質的にやってもらっちゃ困るのですよ。大臣が責任を負ってもらわなければ困るのですよ。憲法をもう一回読んでくださいよ。
  78. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 繰り返して申し上げるようで恐縮でございますけれども、最終的に国土交通大臣が国会に対して責任を負うということについては変わりはないということを重ねて申し上げておるわけでございます。  具体的に、どういう委任の内容、方法になるか、これは現時点で具体的なことを申し上げる段階にないわけでございますから、今おっしゃるような、箇所づけその他の点についてどういうことになるかということは現時点では確定的なことは申し上げられないわけでございますけれども、趣旨としては、地方支分部局の長が、当該地域の実情あるいは当該地域にある計画、そういうものをベースにして、その時々の状況あるいは地域のニーズに応じて弾力的な事業実施ができるようにしたい、あるいはできるようにする、そういうことだというふうに考えていただきたいと思います。
  79. 枝野幸男

    枝野委員 地方支分部局のところで実情に合った情報を集めて、そこで事実上物を決めていて、大臣が最後判こ押すだけという、今でも実際はそうなわけですよね。そんな、大臣が日本全国の全部のことなんかわかっているわけはありませんよ。行政のシステムとしては、しかしそれは、そういった人たちが事実上決めた話でも大臣が責任を負うということによってすべて物事は担保されているのですよ。  だから、結局は、こんな形式だけつくったって今と何が変わるのですかということを実は聞きたいのですよ。あくまでも最終的な責任は大臣にあるんだというところのもとで、あとは内部の、内側で勝手にやってくださいという話ですよ、事実上。そこで、大臣のキャラクターによっては、ごちょごちょ事実上口出す大臣もいるでしょうし、全部お任せする大臣もあるでしょうし、そういう話じゃないのですか。
  80. 小里貞利

    小里国務大臣 部分的にいろいろ参考にするべき御意見あろうかと思うのでございますが、いわゆる各県あるいは広い意味のブロック、それらの地域におきまする事業、例えば建設省に対して、あるいは政府に対してこういうような要望がありますというのを、新しく統合整理された地方支分部局でいわゆる情報を集める、そしてあらかじめ整理をする、そしてそれを本省と議論をする。先生おっしゃるように、先ほどもお答えいたしましたように、それをまとめました予算の計上、決定というのは、これはその省にあってはその大臣があることは当然でございます。  さらに今度は、予算国会を通りましてその執行に入りましたときには、今度は行政の透明化あるいは効率化、あるいはまた、今次の公共事業、補助事業等を、先ほど申し上げましたように縮減合理化いたしますから、それらのことも含めまして、新しく整理統合された地方支分部局でこれが執行についてはひとつ苦労してくれぬか、その方が極めて合理的だよ、こういうような考え方でございますから、行政の効率という視点からは、おおらかに申し上げまして、そういう全容をぜひ御理解をいただきたいと思います。
  81. 枝野幸男

    枝野委員 次へ進みますので最後に申し上げておきますが、実質的な権限が本当に地方支分部局の長になるのだとしたら、これはある意味では、公共事業に限った官選知事をつくるようなものなので、地方分権の話とは逆行なんですよ。そうではなくて、本当にちゃんと大臣の責任のもとでやるのだとしたら、形だけにすぎない。いずれにしてもこの条文は意味がないということを申し上げておきたいと思います。  次に移ります。  十一条に、内閣府に無任所の国務大臣を置いて、「強力な調整のための権限を付与する」というふうに書いてあります。確認でございます。行革会議の最終報告の、五十七ページという言い方で、指摘でいいのでしょうか、「新たな省間調整システム」の(2)のところに「内閣府(担当大臣)による総合調整」という項があって、この十一条はこれを受けているというふうに御説明をいただいておりますが、この理解はまず間違いございませんね。
  82. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 そのとおりでございます。
  83. 枝野幸男

    枝野委員 そうしますと、十一条の「国務大臣に強力な調整のための権限を付与する」という権限の中には、この(2)に書いてあります「強力な調整権」の括弧の中に書いてあること、「資料・報告の徴収、拒否、指示」というのも含まれるという理解でよろしいですね。
  84. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 最終報告の記述をごらんになってもおわかりのように、御指摘のような指示とか拒否は、総合調整あるいは調整の権限の行使の態様の例示としてここに書かれておるというふうに考えておるわけでございます。ある意味では、総合調整権、その中にさまざまな行使の態様がいろいろ生じ得る、そういうものの例示として挙げておるというふうに考えておるわけでございます。  具体的にどういうような権限行使の形になるか、これは、内閣府の設置法その他で具体的にその任務、権限等を検討していく中で、またおのずから必要な用語等を検討していくことになると思います。
  85. 枝野幸男

    枝野委員 わかりやすく答えてほしいのですが、法律の条文の解釈として、これに基づいていろいろな権限法をつくっていくのでしょうから、そのときに入れたり入れなかったりするのでしょうが、十一条に書いてある「強力な調整のための権限」という文言の解釈としては、その中に徴収や拒否や指示というのが含まれるのか含まれないのか、イエスかノーかで答えてください。
  86. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 考え方としては、含まれ得ると思っております。
  87. 枝野幸男

    枝野委員 大変大事な御答弁をいただきましたので、次に、六条以下についてお尋ねしたいと思います。  前回もうちの菅代表が、この内閣総理大臣の発議権とかについて、九条とか十一条とか、いろいろと聞いていきまして、今までと実は実質は変わらないじゃないかという指摘をしていきました。内閣総理大臣には国務大臣に対する指揮権はあるのですか、ないのですか。
  88. 大森政輔

    ○大森政府委員 委員御承知のとおり、憲法七十二条には、内閣総理大臣は内閣を代表して行政各部を指揮監督するという規定がございまして、この趣旨を受けまして、内閣法第六条におきまして、内閣総理大臣はあらかじめ閣議で決定した方針に基づいて指揮監督する、こういう規定をしているところでございまして、お尋ねに対して端的に答えますと、指揮監督権がある、しかしそのためには条件がある、こういうことでございます。
  89. 枝野幸男

    枝野委員 内閣法の六条「閣議にかけて決定した方針に基いて、」ということをもし条文改正で抜いてしまったら憲法に反すると法制局はお考えですか、お考えじゃありませんか。
  90. 大森政輔

    ○大森政府委員 憲法七十二条の趣旨いかんという理解に係るわけでございますが、憲法は、内閣総理大臣及びその他の国務大臣で構成される内閣という合議体を行政府の最高機関と位置づけておる。そして同時に、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」これは六十六条の第三項でございますが、そのように定められております。これを受けて、憲法七十二条が先ほど紹介いたしましたように規定しているところからいたしますと、憲法の法意というのは、合議体たる内閣として、国政に関する判断、意思に基づいて内閣総理大臣の指揮監督が行われるべきことをあらわしている規定であるというふうに理解しているわけでございます。  したがいまして、内閣法第六条を、内閣総理大臣は、合議体たる内閣としての意思にかかわりなく、単独の意思決定により指揮監督することができるという趣旨の規定に改正するとすれば、それは憲法の趣旨に照らして問題がある、このように従前から繰り返し答えているところでございます。
  91. 枝野幸男

    枝野委員 今の、法制局長官、大問題です。内閣法制局は最高裁の判決を無視するのですか。最高裁判決、多数意見でちゃんと書いていますよ。「内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、」「指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。」この最高裁判例はお認めになるのですか、ならないのですか。
  92. 大森政輔

    ○大森政府委員 ただいま御指摘になりました最高裁判所の判決と……(枝野委員結論から言ってください」と呼ぶ)いや、結論だけ申し上げますといろいろ誤解も生じようと思いますので、お尋ねいただきました限りは誤解のないようにその限度内でお答えをいたしたい、このように思います。  ただいま御指摘になりました判決というのは、平成七年二月の二十二日付判決であろうと思いますが……(枝野委員「結構です。質問を撤回します」と呼ぶ)
  93. 高鳥修

    高鳥委員長 質問をされたのですから、答弁を許します。
  94. 枝野幸男

    枝野委員 認めるのか認めないのか、結論を聞いているので、理由を聞いていませんから、結論を言ってください。
  95. 大森政輔

    ○大森政府委員 その判決で指摘しております要は、あくまで指示、助言ということでございまして、指揮監督権に関する部分ではございません。したがいまして、私が先ほど答弁いたしましたところと御指摘の最高裁判決は何ら矛盾がない。もちろんのことながら、最高裁判所の判決は、内閣の一部局として無視するようなことはいたしません心最大限度尊重しているところでございます。
  96. 枝野幸男

    枝野委員 その最後だけ言っていただければいいのですよ。わかって聞いているのですから、順番に。  指示を与える権限を内閣総理大臣は、確認ですが、これは、こういったことなんか、イエス、ノーで答えていただければいいと思いますが、内閣の明示の意思に反しない限り、内閣総理大臣には指示を与える権限があるというふうに内閣法制局として考えている、これでよろしいですね。
  97. 大森政輔

    ○大森政府委員 指揮監督権という概念とは異なる、最高裁判所の判決で指摘している「指導、助言等の指示」につきましてはそのとおりでございます。
  98. 枝野幸男

    枝野委員 法制局長官、わかっておっしゃっているのだと思いますが、非常に意図的に「指導、助言」というところを強くおっしゃっていますが、権限なんですからね。権限じゃないと、これは有罪判決出せないのです。ダイレクトには、これは田中角栄さんの判決じゃありませんからあれですが、職務権限の問題をしているのですから、権限というところがポイントだということはおわかりになって意識的に「指導、助言等」とおっしゃっているのでしょうが、少なくとも法制局も、指示を与える何らかの権限があるということはお認めになっているわけです。  だったら、内閣機能強化というときに、前回、菅委員が指摘をしたような、今までだってできることを書くよりも、しかも確認的にいろいろ書いていくのだったら、今のを確認的に書いたらいいじゃないですか。内閣総理大臣は、少なくとも、ちなみにこれは少なくともですからね、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対して指導、助言等の指示を与える権限を有するものであることを法制上明らかにすると何で入れなかったのですか。——これは政治判断でしょう。法制局長官、答えられる話じゃないでしょう。
  99. 大森政輔

    ○大森政府委員 小里大臣からの答弁の前に、私の方でぜひ申し上げておきたいことがあるということでございます。  この指示とはいかなる概念であるかということが大切でございまして、指示とはいかなる概念かは最高裁判所は明示はしておりませんけれども、要するに、法的強制力を伴わず、任意の実施を求めるという概念でございます。それに対しまして、内閣法第六条の指揮監督という場合の指揮監督権は、それが行使されますと、法律上、指揮監督を受けた者はそれに従うべき法的拘束力があるということでございます。したがって、法律上それは明示しなければならない。それに対しまして、指示につきましては、任意の実施を求める概念でございますから、法律上規定する必要がなくとも指示ができる。そこに重大な違いがある。それを前提としまして大臣の答弁が伴うものと思われます。
  100. 小里貞利

    小里国務大臣 しからば、なぜ今次の法規にその規定を設けなかったかということでございますが、現状におきましても内閣総理大臣は、内閣の首長として、いわゆる流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、適宜適切に行政各部に対する指示を行っているところでありまして、殊さらに、かかる指示についての法律の規定を設ける必要はないものと判断をいたしたのでございます。
  101. 枝野幸男

    枝野委員 そうお答えになるでしょう。だとしたら、この間、菅委員が、六条だって一緒じゃないですか。何で六条だけ書いている。六条書いた意味ないじゃないですか。今だってできているのです。意味のないことをこの法律はつくっているのです。この法律を幾らつくったって、今あなたが、今もやっているのだから書かなかったと。六条だって同じだと事実上お認めになりましたでしょう、この間。いかにこの法律に書いてあることが意味がないかということを指摘しておきたいと思います。  最後にもう一点だけ。各省設置法の話を私もしっかりと時間をとってやりたいと思っていますので、また後で質問の機会をつくってもらおうと思いますが、頭だけ出しておきたいと思います。  各省の今の設置法には、権限の行使は所掌事務の範囲内で法律に従ってという書き方で、ほぼ全省庁の設置法、同じ書き方をしています。この法律に従ってという言葉の法律の解釈は、法律に反しなければよいのか、それとも法律がない場合には何でもいいのか、どういうふうに解釈するのですか。
  102. 西村正紀

    西村(正)政府委員 お答えいたします。  一般に、各省庁がいろいろな行政行為を行います場合には、国民の権利を侵害するような場合には法律の根拠が要るということになっております。
  103. 枝野幸男

    枝野委員 待ってください。聞かれたことだけに答えてください。  法律に従ってということについては、別に法律がないと何もできないのですか。それとも、法律がない場合でも国民の権利義務にかかわらない話だったらできるのですか。どっちですか。
  104. 西村正紀

    西村(正)政府委員 各省庁行政行為につきましては、いろいろなものがございますが、設置法の所掌事務の範囲内であれば、先ほど申しましたような権利義務の侵害等でないことについては所掌事務の範囲であれば可能でございます。
  105. 枝野幸男

    枝野委員 そうすると、金融行政を今回金融庁に切り離すという話になっておりますが、財務省の主な行政機能という別表の二のところには、「金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案等」、この文言が所掌事務の範囲の中に残って、なおかつ従来と同じような権限の根拠法、権限の行使は所掌事務の範囲内で法律に従ってという形があったら、この「金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案」という所掌事務に基づいて、銀行などに対して行政指導できるのじゃないですか。どうですか。
  106. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 具体的な設置法の規定として条文を置いた上で最終的にはお答えを申し上げ、あるいは判断をすべきことだろうと考えますが、この基本法の条文に関します限りでいけば、企画立案というのが所掌事務の範囲となるわけでございます。したがって、その範囲の中での活動に限られるということになると思います。
  107. 枝野幸男

    枝野委員 念のために伺います。通告していないので答えられなかったらこれはしようがないですけれども、今大蔵省はどういう条項に基づいて銀行に行政指導しているのか、すぐにわかりますか。わかりませんか。
  108. 松永光

    ○松永国務大臣 銀行法に基づくものと私は思います。それと大蔵省設置法。
  109. 枝野幸男

    枝野委員 その大蔵省設置法のどこなのかということが知りたかったのですが、通告していないので仕方ありません。  ただ、いずれにしろこれは解釈論で、条項の置き方がどうなっていくかによって変わりますけれども、企画立案ということの所掌事務の範囲でいろいろやれることをやろうと思えばやれると考えるのが普通じゃないでしょうか。企画立案をするためにあなたのところ資料を出しなさいよ、企画立案をしてみたら、危機管理のところではここのところをこういうふうに事実上やっておいてくれたらこういう危機管理をしやすいのだけれどもということで、銀行に対して行政指導ができるというふうに拡大解釈をされてもおかしくはないのじゃないかなというふうに思っています。  いずれにしても、今個別の根拠法がなくても、設置法の所掌事務の範囲内で物事ができるということを変えなければ、いろいろこの中に立派なことが書いてありますが、官から民へという言葉総理もおっしゃっていますし、それから地方分権とおっしゃっていますが、所掌事務はずらっと並べられるわけですよ。それに基づいて行政指導とか事実上の指導とかいろいろなことを事実上、例えば地方自治体に対して行う、民に対して行うことがもし法律上許される、根拠が与えられるということになったのでは、今までよりもさらに潜った形で中央省庁の事実上の権限が残されるのではないか。所掌事務、そしてそれに基づく権限というものについて、書き方によってはこれは行政改革に逆行する話になるかもしれないということを指摘をしておきまして、この件についてはさらに時間をとって議論をさせていただきたいというふうに思います。  時間になりましたので、同僚議員に譲りたいと思います。ありがとうございました。
  110. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、平野博文君から関連質疑の申し出があります。古賀君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。平野博文君。
  111. 平野博文

    ○平野委員 民主党の平野でございます。  許される時間内で御質問をしていきたいと思いますが、まず、本題の質問に入る前に、きのうの議論の中で少し私自身疑問に思った点がございますので、それを質問していきたいと思います。  まず、日銀の体質改善ということで、さきの国会でしょうか、大蔵委員会の議事録がありますが、日銀の今の置かれている立場、さらには日銀法が新しく改正になった、新生日銀としてやらなければならない、こういう中で、私、一つ疑問がございます。  といいますのは、前の総裁が非常にいい答弁をされておりまして、ゴルフの会員権とか肖像画であるとか舎宅の問題であるとか、それについては改善をしていく、こういう答弁を実はされております。これは、平成九年四月二十五日、さらには五月十四日、それぞれの委員の皆さんからの指摘に対する答弁でございます。それに関して少し御質問をしてまいりたいと思います。  きょうは日銀の方から理事として本間さんに来ていただいているのですね。まず、この大蔵委員会で総裁が述べられたことについては、どのように理解をされておるでしょうか。
  112. 本間忠世

    本間参考人 お答えをさせていただきます。  先生今御指摘のとおり、国会で総裁が申し上げております。このときに申し上げました基本的な考え方でございますが、私どもが広く国民各層の信任を得ますために、効率経営を図りますとともに、何よりも公正さを体現していくことが中央銀行として非常に大事なことだというふうに考えております。  第一に、日本銀行の経営体としての効率的な組織運営というものを図ることを念頭に置きまして、日銀法の改正のときにいろいろ御審議をいただきました基本的な考え方に沿いまして、全般的な経営についての刷新を図る、抜本的なリストラ計画を早急に作成するように、こういう国会からの強い御要請がございまして、これを受けまして、私どももいろいろ検討いたしてまいりました。  この組織運営の見直しに係ります検討を現在まで鋭意進めてきておりまして、成案を得ましたものから逐次公表をさせていただき、実行に移してきております。  具体的には、ただいま先生がおっしゃいましたところに関連いたしますが、昨年九月に、私どもは、組織運営の見直し、それから保有資産の処分方針を発表いたしましたが、この処分方針にのっとりまして、ゴルフの会員権を順次処分をしてきております。そのほか、舎宅を集約化いたしまして、そしてそこであきました土地、遊休化する不動産等につきまして、これをこれまでに積極的に売却を進めております。  今後とも、残されました課題につきまして鋭意検討を進めまして、結論を得ましたものから実施に移していきたいというふうに考えております。  また、第二の公正さということについてでございますが、まことに申しわけございません、今回不祥事が起こりました。この教訓に学びまして、早急に中央銀行員としての職業倫理を確立することが重要だというふうに考えております。  具体的には、服務に関します準則それから日本銀行員の心得というものを策定いたしました。それからコンプライアンス委員会を設置いたしまして、倫理の確定あるいは職業倫理の確立に懸命に努めていきたいというふうに考えておるものでございます。  私どもといたしましては、信頼の回復に向けましてあらゆる角度から見直しをいたしまして、必要な措置をちゅうちょなく講じていきたいというふうに考えております。
  113. 平野博文

    ○平野委員 決意はよくわかりました。  具体的にどれだけ実行目標としてやられたかということがほとんどなかったわけでございまして、何かやっているなということはわかるのですが、具体的な数値目標が明確にされた上で昨年九月から順次やっておられるのか、このことについても聞きたいと思います。  その前に、私、大阪でございますから、大阪の日銀の支店長の、これは邸宅というんですか、支店長宅というんでしょうか、正確には。大体一千坪以上の邸宅に住んでおられるわけですね。総理大臣の私邸というんでしょうか公邸というんでしょうか、公邸は何坪あるんですか。一千坪もありますでしょうか。総理大臣に聞いておるんじゃないですよ。それほど広いところに支店長宅の準備がされているというわけですよ。この間、震災で崩壊したから建てかえたが、ちょっと規模は縮小したけれども、やはり一千百坪ぐらいの敷地に住んでおられる。  全国に支店長宅というのは何宅あるんでしょうか。
  114. 本間忠世

    本間参考人 日本銀行の支店は全部で三十三ございますので、支店長宅といいますか、単身赴任が最近多いわけでございますが、支店長はそれぞれ舎宅を持っております。したがいまして、支店の数だけ支店長宅があるとお考えいただいていいと思いますが。
  115. 平野博文

    ○平野委員 その三十三支店長宅の敷地面積を言ってくれますか。
  116. 本間忠世

    本間参考人 ただいま詳しい数字を持ち合わせておりませんので、この席でのお答えはちょっとできかねる状況であることを御理解いただきたいと思います。
  117. 平野博文

    ○平野委員 きのう私は通告で、このことをきちっと聞きますよ、このことがわかる人をきちっと出してくださいと。総裁でなくても結構ですが、このことについては聞きますから、きちっとわかる人を出してくださいと。まだ総裁ということを言わなかったんですよ、総裁は忙しいというから。わかる人を出してくださいと言ったんですよ。  それでなぜ出せないんですか。調べたらわかるんですよ、私。日銀に敬意を表して言っているんですよ。なぜ答えないんですか。
  118. 本間忠世

    本間参考人 申しわけございません。ただいま現在持ち合わせておりませんので、まことに申しわけございませんが、隠すとかそういうつもりではございませんので、追って御報告をさせていただきたいというふうに思います。
  119. 高鳥修

    高鳥委員長 本間参考人委員長から伺いますが、あらかじめ通知があったものとすれば、御準備をいただいておくべきだと思います。至急問い合わせて、お答えをすることはできませんか。至急調べて報告できませんか。そのくらいのことはできると思いますが。
  120. 本間忠世

    本間参考人 申しわけございませんが、ただいま持ち合わせておりませんけれども、至急これは調べまして、聞きまして、直ちに御報告をさせていただきたいと思います。
  121. 高鳥修

    高鳥委員長 平野委員に申し上げますが、その間、ほかの質疑を続けることはできませんか。
  122. 平野博文

    ○平野委員 それはだめですよ、順番があるんだから。
  123. 高鳥修

    高鳥委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  124. 高鳥修

    高鳥委員長 速記を起こしてください。本間参考人
  125. 本間忠世

    本間参考人 改めてお答えさせていただきたいと思いますが、私は、きのう先生から、きょうの御質問につきまして、大阪支店長の舎宅を初め、先ほど御質問いただきましたゴルフの会員権等についての質問をするよ、こういう趣旨のお話を担当の者がちょうだいしたということは聞いておりますが、先ほどお話しいただきましたような意味で、全体の舎宅の敷地が幾らであるとか、トータルの数字がどういうことになるかというところの御質問をちょうだいするというふうには考えておりませんでしたものですから、先ほどそういうふうにお答えをしたものでございます。  ただ、私どもは、これを隠すとか出せないとかというふうには全く思っておりません、そういう性格のものではございませんので。ただいまファクスないし電話で調べまして、直ちに今この場ですぐにというのはちょっと難しいわけでございます。ここは御理解いただきたいと思いますが、この会議に間に合うように、今調べて、お答えをさせていただきたいというふうに思います。
  126. 平野博文

    ○平野委員 今の件は非常に承服しかねます。  文書で資料請求をするとか、こういうことは私はしていません。ただし、こういうことについては聞きますから一番詳しい人を出してください、総裁に来ていただいてもあれですから詳しい人を出してくださいということだけは、少なくとも三人来たんだよ、私の部屋に。  だから、少なくとも私の言った趣旨は、総理大臣のこのことも言いました、あそこは何坪あるんですかと。住んでいるところといったら千坪ぐらいしかないんじゃないかと……(橋本内閣総理大臣「そんなにないよ」と呼ぶ)ないんですか。それは失礼しました。調べておりませんが、それは失礼しました。  千百坪もまず大阪にある。私は大阪に住んでいますから大阪のことについてはわかりました、だが、他のことについてはわかりませんから、この支店長宅のことについて聞きますから、わかる人にぜひ出てきてください、こう言ったんですよ。そのことについては認めますか。
  127. 高鳥修

    高鳥委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  128. 高鳥修

    高鳥委員長 速記を起こしてください。  平野君。
  129. 平野博文

    ○平野委員 隣の、横の偉い先生が質問中に出すから続けろ、こういうことですから、私は別にとめることを本旨として質問しているのではありませんから、くれぐれも御理解をいただきますように。  これに関連して、じゃ、大阪でいきましょう、日銀の大阪の支店長宅というのは、もう少し詳しく言ってもらいたいと思いますが、役割的に、こんな広い、屋敷の敷地は大体一千百坪、舎宅、支店長宅として何坪の家ですか。これはわかりますか。これもわからないんですか。
  130. 本間忠世

    本間参考人 これも詳しくは今あわせて御報告をさせていただきたいと思いますが、全体の丸めた感じといたしましては三百坪ぐらいのものであったかというふうに思いますが……。(平野委員「建屋ですか」と呼ぶ)ちょっと、正確には、まとめましてお答えをさせていただきたいと思います。(平野委員一緒にあわせて」と呼ぶ)お答えをさせていただきたいと思います。
  131. 平野博文

    ○平野委員 大阪に限定して——まだ許しますわ、全国のことを聞くんじゃないですから。大阪のことについて詳しくと言ったら、調べてない。これは、委員長、どう思います。委員長、答えてください、どう思います。
  132. 高鳥修

    高鳥委員長 日銀の姿勢として批判されても仕方がないと思います。
  133. 平野博文

    ○平野委員 日銀の姿勢として批判されてもしようがないと委員長が言いましたよ。  きのう、少なくとも日銀の大幹部の人、総裁ですか、新生日銀として……(「副総裁」と呼ぶ者あり)副総裁でしたかね、言われましたよ。僕は、やはりそうだな、本当にやってくれるんだなと思ったから、昨年の大蔵委員会でやったことが、本当にそのことが着実に改善されているのか、この進捗状況を本当は聞きたかったんですよ。そうしたら、やっているという言葉ですが、具体的にどこまで進んだかという答えはまだいただいてません、これは質問しますけれども。  その姿勢と、具体的に国民に見えるように、こういうふうにやりましたと、このことをぜひここで報告をいただきたかったわけでございます。
  134. 本間忠世

    本間参考人 ただいまの大阪支店の支店長の舎宅の件でございますが、この敷地が三千六百八十八平米、この建坪、延べ床面積四百三十九平米でございます。
  135. 平野博文

    ○平野委員 日銀の支店長宅にそんな広さの家が要るんですか。  多分、これは私の想像で申しわけありません、間違っていたら失礼ですが、それに類似するような規模で三十三支店の支店長の宅が私はあると思います。これがすべてだと言いません。調べておりませんからわかりませんが、ほぼ類似の支店長宅があると思うんですね。そんなに広いのが本当に要りますか。
  136. 本間忠世

    本間参考人 支店長の舎宅というものをどういうふうに考えるかということでございます。  大阪支店長の場合でございますが、先生おっしゃいましたように、地震で大変な被害を受け、これは半壊でございますが、そういうことでこれはそのままには使えなくなったということでございます。その後、これも先生おっしゃいましたように、その前よりも全体としては規模も小さくして建てかえたものが先ほど申したものでございます。  この機能ということでございますと、大阪の場合は特にそうでございますが、関西の金融機能、そしてまた全体の金融システムのバックアップ体制を大阪がとる、東京その他がいざとなった場合には関西が全体の緊急態勢の一つの大きなコントロールタワーになるという役割を大阪支店は担っております。  そして、いわゆる支店長舎宅部分は、全体が支店長の通常の生活の場所として使われるような、そういう構築ではございませんで、場合によっては大阪支店長が広く民間の方々とそこで意見交換もできるとか、緊急の場合はそこで議論ができる、あるいはいろいろな意味での態勢を支店以外の場所でもとれるような、そういうところがもう一つ、地震等の経験も踏まえて考えますと、必要なのではないかというふうな考え方の中でこういう建物をとったものでございます。  したがいまして、全部が生活の場所ではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  137. 平野博文

    ○平野委員 非常に新生日銀としてわかりにくいことでございますし、私は、四十九年、この生涯で五十三坪の家をやっと買ったんです、土地を。  一方、こういう話を聞きますと、日銀の支店長というのは確かに中央銀行としての大きな役割を持っているんでしょうが、通常の常識からいったときに、余りにもかけ離れた状態で優遇されているのではないか、こういうふうに思うんですね。その点についてはどうですか、理事
  138. 本間忠世

    本間参考人 この大阪の支店長の舎宅は、昭和十年代の初めだったと思いますが、古い昔のお宅を、これは住友の前の総理事をしておられました古田家のお宅を譲り受けさせていただいて、ずうっとそこで、いわば木造の二階屋として支店長が使ってきたものでございます。  これが阪神大震災に遭いまして、そして、関西における大阪支店長というものの全体の役割と、その当時の財界初め関西の方々に支店長というものをどういうふうに認識していただけるかということの中で、あそこに現在御報告しているような形で建てかえさせていただくことが、私どもとしては意味があり、適当ではないかというふうに当時考えたものでございます。
  139. 平野博文

    ○平野委員 イエス、ノーでいいです、答えてください。  分不相応だとは思いませんか。思いますか、思いませんかでいいです。
  140. 本間忠世

    本間参考人 大阪支店長、これは代々理事でやっております。そして、一つの非常に大事な機能を果たしてここに来たというふうに私ども思っております。  そういう意味からいきますと、相応の分というものをどういうふうに考えるかというのはございますが、私どもは、現在のようなところで生活もし、場合によっては、緊急時もそこが一つの本拠として仕事もできるような場所というものをあそこに置かせていただくということが大事なことではないかというふうに思っておるわけでございます。  むしろそれをしっかりと、きのう、総裁、副総裁その他申し上げておりますように、この新しい日銀の中で、そういう部分を我々が十分に国民の皆さんに理解していただけるように活用する、それを体現していくということが大事なのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  141. 平野博文

    ○平野委員 質問時間内に資料を出してもらいますから。大阪はわかりました。  それに関連して、ほかのところを言います。  しかし、社会通念的に見ると、やはり広過ぎるな、日銀の支店長はすごいなと。一方、国民の税金で公的資金を金融政策上投入しなければならない。しかし、日銀の支店長はえらいいいところに住んでいるなと。震災の被害に遭った人はどう思っていると思いますか。こういうところに住んで、またこんな立派なものを建てたと。こういうことは、社会的に見たら、もう少し改善をしていく、こういうことが大事ではないかな。これは、資料が出てき次第、私、また続いてやります。  こればかりやっていると本来のあれに行きませんから、もう一点。——だから、いましばらくおってくださいね。終わったら帰っていただこうと思ったんですが、来るまでおってくださいよ。  実は、きのうも他の議員の方からありましたが、山一の自主廃業ということで、総理大臣が、私が自主廃業にという指示をした、こういう新聞記事が載ったんですが……(橋本内閣総理大臣「違いますよ」と呼ぶ)いや、ですから、こういうふうに載りましたけれども、これはそうじやなかったと私も思うんです、いましたから。ただし、自主廃業になったことは事実でございます。  もう一つは、その中で、実は私、貴重な年金で生活をしている方からのお手紙をちょうだいをいたしました。特に財形の年金の解約手数料、こういうことにかかわるわけでありますが、確かに約款の中には解約するときには手数料を払いなさい、こういうことになっていることは事実でございます。その人も、そのことについては認めているんですよ。ただ、年金生活で、財形貯蓄をしながら年金をもらって生計をしているという人にとってみたら、自主廃業をした、そういうことを想定して約款の中にそんなことを書いているのか。このことに対して、今この人は、公社債の投資信託あるいは財形貯蓄ということで、元本一万円に対して百円の手数料と五%の消費税を払わないといけない、こういうことになっているんですね。  通常の解約をしたときには、私、それはそうだろうと思います。が、自主廃業を、大蔵の指導によって廃業したわけでしょう。この点について聞きたいと思います。大蔵省の指導によって廃業したんじゃないですか。
  142. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  昨日も御答弁申し上げましたけれども、自主廃業を意思決定する以外、混乱を防ぐ方法はないのではないかということは確かに申し上げました。
  143. 平野博文

    ○平野委員 混乱を起こす、こういうことでございますが、年金生活者がなけなしの金を預けながら、そこからいただいて生活をしている、こういう視点から見ると、この人たちが置き去りにされているような気がしてならないのであります。  こういう財形貯蓄をしているあるいは山一を通じて運用をしている方の人数はどれぐらいありますか、わかればお答えください。
  144. 長野厖士

    ○長野政府委員 口座という形でお答えさせていただきますと、今手元に数字はございませんが、記憶が正しいと思いますけれども、約二百八十万口座でございました。  それから、先走るようで恐縮でございますけれども、先生の御質問の中で、顧客の資産でございますけれども、これは山一の財産ではございませんで、財形なりなんなり、公社債投信とか株式投信とかいう形で、資産そのものは顧客のものとして管理されておりますので、その資産を別な証券会社に移しかえさえずれば、資産そのものが山一の破綻の影響を受けることは毛頭ないということでございます。
  145. 平野博文

    ○平野委員 今局長が言われたとおりだと思いますよ。  しかし、手数料とかこういう考え方は、自分の責任で自分がやめますというときには手数料をお支払いして、また元本に対する消費税も払っていきましょう、こういうことについては納得しているんですよ、この人は。納得しているんですよ。しかし、道義的に何とも納得できないのは、勝手に自主廃業して、解約手続をとりなさい、それで、そのときに手数料を取りますよ。この手数料というのはどこに行くんですか。
  146. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御答弁させていただきましたように、解約する必要が必ずあるということではございません。財産そのものは信託されておるわけでございますから、口座を他の証券会社に引き継ぐなりなされば、そのまま継続することも可能でございます。  その上で、この機会だから解約したいというお客さんがいらっしゃれば、その段階で解約手数料という問題が出てくるということでございます。
  147. 平野博文

    ○平野委員 いやいや、解約した人は、したくないんですよ。山一を愛するがゆえに山一でやってきたんですよ。それで、他の証券会社に移せばいいじゃないか、それは勝手な論理ですよ。それは、その入っている人のことを無視しているんじゃないですか。
  148. 長野厖士

    ○長野政府委員 お気持ちは率直に、そういういろいろな感情を国民の方がお持ちであったろうということは受けとめさせていただきたいと思います。  ただ、銀行に対する預金や生命保険に対する掛金と異なりまして、いわば財産を自分で持っておって、たまたま預けておるという状態でございますから、銀行になぞらえれば、貸し金庫に預けているものに性格的には近いわけでございます。  したがいまして、あくまで所有権はございますものですから、どうしても山一にという愛着を持っていただいた方に対して申し上げる言葉もございませんけれども、他の道の選択があるということは事実問題として申し上げておきませんと、またこれから、こういったことに対処されるときに、証券会社の破綻というのが、投信そのものが傷ついて、解約しなければいけないだろうかとお思いになるのも、御理解賜りたいと思って、今御答弁申し上げております。
  149. 平野博文

    ○平野委員 これはもう余り言いませんが、ただ、二百五十万口座があると今局長の方から聞きました。解約された人というのは、大体どのぐらいあるかわかりますか。
  150. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  山一証券がなくなりますので、口座そのものはすべて解約になります。  その上で、投信とかいうものがどのぐらい解約になっておるかということは、計数的にまだ把握できません。これは私どもの努力不足かもしれませんけれども、確かに、山一が破綻したことによって解約しなければいけないんだろうかという、ある種の御理解不足のために解約してしまったという方の方が圧倒的に多いということは、残念ながら事実でございます。  したがって、私、先ほどおしかりを受けそうでありながら、そうでない道があるのでございますということもこの機会に申し上げておきたいなと思ってお答えを申し上げておる次第でございます。
  151. 平野博文

    ○平野委員 わかりました。  ですから、こういうときには国民に丁寧に、約款にはこうあるけれども、こうしたら大丈夫ですよということをきちっと、今後も起こり得るかもわかりませんから、ただ単に約款にあるからとかいうことだけで事務的にやらずに、行政的にきちっとそのことを含んで国民に知らせてやる必要があるのではないか、このことだけを申し上げておきたいと思います。  日銀の方、来ましたか。来たら先に行って、終わったら帰ってもらったらいいのですけれども。  それでは、時間がありませんので、本題に入ってまいりたいと思います。  同僚議員並びに他の議員の方からもいろいろお話を聞いておりまして、やはり行政改革というのはしていかなければならないし、しなければならない、こういうふうに私も思っています。  そういう意味で、行政改革会議が開催をされて、総理大臣が会長という立場でやられているのですが、こういう会議を構成されている委員の皆さんというのは、一億二千六百万人の国民を、本当にあらゆる層から代表する人が出ておられるのかどうか、どうしても私は疑問に思うわけでございます。  そういう視点では、この方々というのは、各界を代表をされている立場の人だと思っておりますが、あらゆる層の国民の皆さんの声が反映でき得るメンバーかどうか、総理大臣、お聞かせください。
  152. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そういう問いかけをされますと、少なくともここの中に官僚は全くおりません。そういう意味では、官僚の意見をこの中に取り入れておらないということは言えると思います。(発言する者あり)委員の話です。そして、そういうお尋ねがもし平野さんからあれば、事務局には民間の方も随分助けていただいたと私はお答えをするでしょう。  そして、その意味では、主たる構成員である一般家庭の立場からの、例えばお年寄りの代表であるとか、そういうふうに目を向けた場合には、それぞれ家庭人であり私生活をお持ちの方々ですから、そうした面ももちろん持っておられますけれども、私どもなりに人選を工夫をいたしましたし、いろいろな分野を網羅するように努めましたが、すべてが尽くされているかと言われれば、必ずしもすべてをと申し上げることはできないと思います。  しかし、最大限各分野の有識者の方々にお集まりをいただいた、そのようには考えております。
  153. 平野博文

    ○平野委員 私自身が感じたことは、やはりもっと幅広い層——特に、これから、後段述べさせていただきますが、二十一世紀は本当にどうなっていくのだろうか、少子・高齢という時代認識の中にあって、お年寄りがふえてくるわけですね。そういう意味では、お年寄りの生活者の意見というものを、二十一世紀に耐えられる行政組織をつくっていこうとするわけですから、そういう声も多分に入れられるような委員会にしてほしかったなというふうに、私の希望でございます。  それでは、そういう中で、「今回の行政改革の要請」ということが「はじめに」にございます。「肥大化・硬直化し、制度疲労のおびただしい戦後型行政システムを根本的に改め、自由かつ公正な社会を形成し、そのための重要な国家機能を有効かつ適切に遂行するにふさわしい、簡素にして効率的かつ透明な政府を実現することにある。」これは非常にいい言葉だと私は思っております。  具体的には、内閣、官邸機能の充実強化、中央省庁行政目的別大ぐくり再編成、行政の総合性、戦略性等々を確保する。第二に、行政の情報の公開と国民への説明の責任の徹底、こういうことが書かれています。これはいいと思います。三点目、官民分担の徹底による事業の抜本的見直しや独立行政法人制度の創設等々、いわゆる行政簡素化、効率化を目指すものである、こういうことでございます。  こういう視点に立って質問をしてまいりたい、このように思います。  まず、今回の法案というのは、ここに書かれておりますから、私、今申し上げたとおりでございますが、内閣機能の強化あるいは行政の効率化と事務事業簡素化国民の主体性を尊重する行政、すなわち、規制緩和を含めた地方分権国民に開かれた行政というのは情報公開だ、国民に対する質の高い行政、縦割りの是正を目指すというふうに私自身理解をしておりますが、法案の目的としてこう書いてありますから、多分そのとおりだというお答えが返ってくると思いますが、総務庁長官、一言で結構です、そのとおりか、いや、ちょっと違うということかで答えてください。
  154. 小里貞利

    小里国務大臣 まさに、整理して御指摘いただきましたとおりでございます。
  155. 平野博文

    ○平野委員 そういうお答えを今後もいただきたいと思いますが、ここで、私、改めて確認をいたします。  時代認識が違っていたら、やはり制度、仕組みというものが変わってくると思うのですね。したがって、今日的な時代認識をどのように認識をしているのか、さらには、二十一世紀をどのように見た上でこういう基本法案をおつくりになっていくのか。こういうことで、私はまず時代認識という点で総務庁長官ときちっと意識合わせをしたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。その改革前提になっております戦後の行政システム、これは一体何なのか、端的にお願いいたします。総務庁長官
  156. 小里貞利

    小里国務大臣 よく行政改革中央省庁再編、これに触れる場合に、初歩的にと申し上げましょうか基礎的に話される言葉に、硬直化、肥大化、そして私ども行政関係者の立場からいいますと、制度疲労という極めて専門的な言葉が出てくるようでございますが、加えまして、先ほどお話がございましたように、縦割りという弊害が顕著に出てまいった、これがいわば戦後型行政システムの全体を語る一つの象徴的な評価だろう、こう思います。  したがいまして、簡素にして効率的な、しかも透明性の高い、新しいいわば二十一世紀型の行政システムをつくらなければいかぬ、そういう一つの基本から出発をいたしたものでございます。
  157. 平野博文

    ○平野委員 そこで、まず確認いたします。  なぜ、肥大化、硬直化、制度疲労を起こしたのでしょうか、長官
  158. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほども若干申し上げましたが、いわゆる戦後のあの荒廃期の中から立ち上がって、日本は産業、経済、社会、諸般の問題を克服をしてまいりました。そういう五十数年の行政の回顧をしながら、そして今日、政府が本来果たすべき機能、役割というものをまず厳粛に分析をした。そして、そこを基本に置いて、しからずんばということで、前段で申し上げましたような際立った行政改革を、中央省庁再編をこの際やらなければならない、そういう画期的な一つ政治作業、あるいはまた行政手続の根幹にかかわることに手をつけてまいった、さように存じます。
  159. 平野博文

    ○平野委員 戦後システムという言い方で、もっと端的に言えば中央集権システムだと思いますが、この言葉に同意されますか。
  160. 小里貞利

    小里国務大臣 裏返しに申し上げまして、地方の時代、地方分権が必要ですよ、そして、今日の行政の原則的なあり方というものは、住民に近い行政は住民に近い機関に寄せつけていかなければならぬよ、こういうようなことなどが言われておる今日、また要請されております今日からいえば、私は、中央集権というのは、五十数年の間において構築された一つの体系であったけれども、相当な貢献もあるが、また今日反省して分析をしなければならない一つの実態である、さように思います。
  161. 平野博文

    ○平野委員 中央集権システム、こういうことだろうと私は思いますし、長官もほぼそのような観点だと思います。  したがって、中央集権システムを今日まで支えてきたこの仕組みというのは、業界などを中央省庁の業法という法律のもとに運営をしている、また許認可権限でもって支配をしてきた、私ごとの言葉でありますが、そう私は思っています。また、地方自治体への国の補助金制度があります。自治体への国の関与としての機関委任事務、こういうことで運営をされてきたと思っております。  したがって、戦後荒廃から立ち直っていくためには、それぞれ勝手にやるということではなくて、国がきちっとあまねく公平にやっていこうよ、こういうことでの中央集権システムだと思っていますし、そのいい面もありました。確かに経済大国になりましたよ。だけれども、何か忘れられてきたものがあるように私は思っています。  そういうことを含めて、今回、再編をする、改革をする、転換をするとまで書かれているのですから。転換というのは百八十度変えるということですね。コペルニクスの転換というのは百八十度変わる、こういうぐらい、転換というのは修正とかそういうことではないのですね。こういう視点から見ますと、私は、相当ドラスチックに、総理大臣も言われていますが、血も出る、いろいろなことも出る、しかし、それをやらなければ二十一世紀に耐えられない、こういうことからこの基本法が出てきたのだろうと思います。したがって、この基本法は、枠だけではなく、少なくとも中身を十分議論された上でまず基本法をつくってやつていくんだ、こういうふうに私はこの基本法理解しているわけであります。  しかしながら、この基本法を見る限りなかなか中身がよくわからない、当然中身を十分議論された上でつくり上げてきているものだと私は承知しておりますが。  一例を挙げますと、特に中央あるいは地方自治体、これは密接な連携のもとに行政運営されてこそ国家の運営になると思うのですね。お金の流れからは中央から地方自治体に補助金制度という名のもとに、許認可権という名のもとに中央から地方自治体に指示をする。  こういうことから考えますと、私、きょう通告はしておりませんが、一つお聞きしたいのですが、建設大臣、簡単な、基本でございますからお答えをいただきたいと思いますが、河川改修をするときに、上流域から河川改修をしますか、下流域から河川改修をしますか。建設大臣、専門大臣ですからお答えください。
  162. 瓦力

    ○瓦国務大臣 河川改修は川下の方から工事を行ってまいっておるわけでございます。
  163. 平野博文

    ○平野委員 通告なく大変失礼いたしました。まさに私はそのとおりだと思うのですね。  このことをなぜ聞いたかということは、中央省庁再編がまずありきのような法案ではなく、本来は地方分権国民政治に対して何をしてもらいたいか、そのことから積み上がってきた基本法案だと私は信じております。そういう視点で聞いたわけでございます。  まさに大臣おっしゃるように、やはり国民の一番根元から、これから二十一世紀を安心して暮らしていくための生活基盤を築いていくために、あるいは自治を守っていくためにどうあるべきかということから進めていって、結果的に省庁の数というのが決まるのだ、こう私は信じて疑わないわけでありますが、これは基本的なことですから、総理大臣、そういうことに対してどうお考えでございますか。
  164. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、今の御議論に全く反対する部分がありません。  そして、地方分権は既に、分権推進委が作業をしてくだすったおかげで、今、第四次までの勧告を地方分権推進計画として今国会中のできるだけ早い時期にとお約束をいたしておりますが、計画を策定しようといたしております。  あるいは、官から民へという意味では、去る三月三十一日にそれまでの規制緩和推進計画が終了いたしました。そして、四月一日から三年間の新たな規制緩和推進計画を既に公表しております。  そして、長々とその内容を申し上げようとは思いませんけれども行政のやり方自体、事前管理型の、議員の先ほどの言葉で言えばいわば中央集権時代の手法です、その手法から、ルールをまず明らかにした上で事後チェックという考え方に変えてきつつあります。そうしたものがまず基盤となっている。そして、その結果として、当然ながら中央省庁の業務はスリム化されるはずでありますし、より簡素に、効率的にできるはずです。  そういう意識の中から、中央省庁が将来どうあるべきかということの論議をまさに行政改革会議は続けてきました。そして、その中から、中央省庁の統廃合の姿を描き、そこに至る手順を明示する。しかし、ただ単なる手順だけではなしに、方向性もこの中で固めていきたい、新たなシステムをとりたいものもこの法律案によって国会の御了承を得られるように、私どもはそう考えております。
  165. 高鳥修

    高鳥委員長 ちょっと待ってください。  平野君の質疑中でありますが、先ほどの日銀の支店長宅の一覧表が委員長の手元に届きましたので、平野委員並びに委員各位に配付をさせますので、御了解願います。  なお、平野委員の質疑時間を五分間延長いたします。どうぞ。
  166. 平野博文

    ○平野委員 時間がもうなくなってきまして、何か中途半端な質問になりましたけれども、今総理大臣の言われたことは、言葉としてはよくわかります。  ただ、私、地元に戻りますと、それぞれの自治体を含めて、地方分権が本当にどうなっているのだ、この辺がよく見えないわけですね。見えないだけに、一体どうなるのだろう、こういう不安感が出てくるわけでございまして、本来、これは中央省庁再編法案の前に地方分権を、地方の自治体はこうやってもらいますよ、こういうことをやはり前に出してくるべきものではないか、私はそう思います。  今総理大臣からはもうやってきているのだというお答えでございますが、この場でも、地方の自治体の構成、組織とはこういうものなんだ、だから中央省庁再編についてはこうするんだ、こういうことがあって——私は、まず手順が違うような気がしてなりません。これは意見として強く申し上げておきます。  それともう一つ質問の時間がなくなってきましたから簡潔に申し上げますが、理事に来ていただいていますが、これはこれだけあるということでございます。各委員、これを見られまして、どうでございますか、結構でかいですよね。  私、意見、要望だけ申し上げておきます。  単純に見ますと、非常にぜいたくな敷地の中にお住まいだというふうに私は感じます。したがいまして、なぜこんな大きなところが舎宅として要るのか、これは素直な気持ち、国民の声ですから、国民の声として聞いていただきまして、ぜひ改善をいただきたい。この議事録で、終わった後、もうこれで終わったんだと思わないでくださいね。改善されますか、されませんか、お答えをちょうだいします。
  167. 本間忠世

    本間参考人 先生の御意見、それから今いただきましたお考えを、私どもも当然でございますが、重たく承りまして、検討させていただきたいと思います。改善すべき点があれば、これは当然でございますが、改善をさせていただきたいというふうに思います。
  168. 平野博文

    ○平野委員 改善すべき点があればということですか。改善してほしいと国民の声が言っておるんですよ。(発言する者あり)一人ではないですよ。少なくとも私は選んでいただいたのですから、国民の声ですよ。  それともう一つ、日銀の総裁の公邸というのはあるのでしょうか。
  169. 本間忠世

    本間参考人 ございません。
  170. 平野博文

    ○平野委員 それでは、総裁としては、公邸がなくて、対外的に、内外を含めて、議論をするとか、そういうときにはどちらでやられるのですか。
  171. 本間忠世

    本間参考人 当然でございますが、議論の内容、どういうメンバーかということによると思います。  既にいろいろな会合がございますが、日銀の中で、会議室でやるというケースがかなりたくさんあると思いますが、その他、その会合の性格等に応じまして、ホテルでいたしますとか、日銀の施設でいたしますとかございます。
  172. 平野博文

    ○平野委員 そういうことで、総裁は会議をやるときはホテルでやっているのですよ。公邸も持っていないのですよ。地方に行くと、支店長は持って、そういうことをやるというのはいかがなものか。そういう意味では、全体的にやはり抜本的な改善をぜひ求めたいと思いますが、その決意を言ってくださいよ。改善あらばということではなくて。
  173. 本間忠世

    本間参考人 支店長というものが、地方で金融システムあるいは信用秩序の維持のために、これは大変なる責任のもとに仕事をさせていただいております。そういうことの中で、やはりその支店長の仕事が円滑に進むということも大事でございますので、先生おっしゃっていただきましたことも十分私ども頭に置かせていただきました上で、先ほど申しましたように、改善すべき点がございましたらば改善させていただく、こういうふうに考えさせていただきたいと思います。
  174. 平野博文

    ○平野委員 改善の必要があらばという、これは中央銀行として日銀の独立性を高めたために、改善命令は政府からは出せないのですか。(橋本内閣総理大臣「それは出せない」と呼ぶ)出せない。もうよくわかっているのですが、出せないと。そうしたら、自主的に改善をしていただくとして、だれが日銀に対してチェックできるのですか。株式会社の株主ができるのですか。株主はどなたですか。
  175. 本間忠世

    本間参考人 日本銀行は、日本銀行法に基づきます認可法人という法律的な性格のものでございまして、資本金は全体で一億円でございます。そのうちの五五%を政府が保有し、四五%を民間が保有するということでございます。民間の方の株主は、いろいろな方々が出資証券の保有者という形でもって非常に広く、ある種の株主ということでございますが、持っておられます。
  176. 平野博文

    ○平野委員 もう時間が参りました。五五%を政府が保有しているということですから、政府は大株主ですね。やはり大株主がきちっと株主総会を開いていただいて、開かないのだと思いますけれども、開いていただいて、きちっとそのことを言っていただきたい。このことを強く私は大蔵大臣に求めておきたいと思います。本論の議論については、本当に十分な質問時間がいただけなかったので本格的なところは言えなかったのですが、また時間を割いていただきまして、御質問をしたいと思います。  終わります。
  177. 高鳥修

    ○高島委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時二十分開議
  178. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、岩國哲人君から関連質疑の申し出があります。古賀君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。岩國哲人君。
  179. 岩國哲人

    ○岩國委員 院内会派民主党を代表いたしまして、質問させていただきます。  まず最初に総理にお伺いいたしますが、財革法のときには目標年次はたしか二〇〇三年度ということで、二〇〇三年の四月一日から始まる年度までにということを目標にしていらっしゃるというふうに理解しておりますが、それで正しいかどうか。また、この行革法については、年度ではなくて、二〇〇一年の一月一日ということでこの法律を提案していらっしゃる。これは、目標年次について、財政年度ではなくて暦年でお考えになっていらっしゃるのか。その点を確かめさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  180. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 財革法については、今議員が御指摘になりましたとおりであります。  そして、この中央省庁再編、それは、土台に当然ながら地方分権あるいは規制緩和・撤廃、いわゆる見直し、こうしたものを基盤として行われるものでありますけれども、できるならば二〇〇一年一月一日という考え方、しかし五年以内にという考え方でこれを提案いたしましたことはそのとおりです。
  181. 岩國哲人

    ○岩國委員 これは、財革と行革とは裏腹のものであって、同じように、やはり財政年度という考え方の共通の物差しの上に立つべきではないかと私は思います。  例えば人員削減の問題にいたしましても、地方自治体においても各省庁においても、一月一日現在の人数というよりは、大体、年度末とか年度初めという考え方が一般的ではないでしょうか。総務庁長官の御答弁をお願いします。
  182. 小里貞利

    小里国務大臣 通常の場合におきましては、ただいまのお話もあるいはそのとおりかと思うのでございますが、今次の中央省庁再編というような極めて大規模な大変革の状況下におきまする財政、あるいはそのほかの主なる行政とか、このような変革事業との関連は、大変デリケートな関係が出てくるのかな。したがいまして、中央省庁再編という大きな事業を遂行してまいります上におきまして、まだその予測がある意味ではきちんと立てがたい状況でございますから、今次の基本法を決めていただきますと、およそこれは後退もできないし、前進するぞ、その方向で具体的作業が進んでまいりますから、その時期等も策定できるかな、こういうふうに感じます。
  183. 岩國哲人

    ○岩國委員 そうしますと、第五条で「平成十三年一月一日」ということは、財政年度内において、それをあえて意識してそのような改変を、新しい体制への移行を開始されるということでありますか。なぜ四月一日というふうにならないのですか。
  184. 小里貞利

    小里国務大臣 今次の基本法国会意思で確定していただきますと、直ちにもろもろの作業に入ります。そして、各省庁の設置法も中身がそれぞれ固まってまいります。そして、明年の今ごろ、国会で各省庁設置法を中心にいたしましたもろもろの行革に向かっての諸法を御相談を申し上げる。そして、例えば来年のこの前後に決定をいただきますと、直ちにそれを実施するための準備作業に入ります。いろいろ、例えば新省庁の庁舎をどうするかとか、あるいは人員の再配置とか再編成とか、もう具体的な組織、業務上の準備作業が膨大なものであるだろう、こう思われます。  あわせまして、それらの準備と同時に、移行するための経費、予算等も必要であるわけでございまして、それらを、言いかえますれば二〇〇〇年中に国会に御相談を申し上げまして、そして、同じ二〇〇〇年中でございますが、越年をいたしまして、二〇〇一年の一月一日に持っていって、それがせいぜい現実的に実行も期すことができるし、かつまた準備もできる一つの前後になってくるのではないか、こういう判断でございます。
  185. 岩國哲人

    ○岩國委員 小里長官にお願いがありますけれども答弁はできるだけ簡潔、効率、公正、行革の精神として何回もおっしゃいますけれども答弁そのものもひとつ行革の精神で、行革のお手本はこういう答弁だということをひとつ示していただきたいと思います。形容詞と敬語が非常に長官の場合は多くて時間が大変とられてしまいます、大変失礼でございますけれども。  重ねてお伺いしますけれども、こうした中央官庁にしましても、関連する地方自治体の再編、改組、組織がえというものを当然伴うわけですけれども、どこの事業会社でも、民間会社の場合であれば決算年度に合わせて大きな事業変更をやる。そしてそれぞれの部門別の予算のつけかえを行うというのは、常識的であり、現実的だと私は思います。なぜ、あえて一月一日という予算年度の始まりでもないものをわざわざ明確に、正確に、具体的にこういうところへおうたいになっているのか、納得いきません。再度、わかりやすく御答弁をお願いします。
  186. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これを当初言い出しました張本人は私ですから、私から申し上げます。  いわゆる会計年度で言いますなら年度途中であることは承知をいたしておりましたが、その上で、新たな世紀の始まるその日からスタートをしたい。その意味では、二〇〇一年一月一日というのは、会計年度によって決定をした日取りではございません。
  187. 岩國哲人

    ○岩國委員 総理の、世紀の初めに当たって一つの目標年次を、財政年度という毎年あるものではなくて、だれにもわかりやすい、そして国家百年の大計の初めは世紀の初めという心意気は、私は大変賛成であります。  そこでお伺いいたしますけれども、世紀の初めというのは、二〇〇一年の一月一日ですか、それとも二〇〇〇年の一月一日なんですか。この点については二つの説がありまして、私の理解するところではアメリカでは二〇〇〇年の一月一日、ヨーロッパ型は二〇〇一年の一月一日。そういう議論も当然内部でおありだったと思いますけれども、あえてヨーロッパと同じ二〇〇一年の一月一日。それは、アメリカ、我々にとって一番関係の深い、貿易のパートナーであるところが既に新しい世紀に入ってから一年たっておるのに、わざわざ世紀の初めというふうに国民にアピールし、印象づけられる。何かはかに御理由でもおありになれば御答弁をお願いします。
  188. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大抵の日本人は、数を数えるときは一から数え始めていくと思います。ゼロから、ゼロ、一、二、三、四と数えるよりも、多分私は、一、二、三、四、五、六とお数えになる方が多いと思います。  その意味で、二〇〇〇年というのは私は今世紀最後の年だと受けとめておりますし、二〇〇一年から新たな世紀が始まるととらえる方が実感に合うと思っております。
  189. 岩國哲人

    ○岩國委員 出雲市役所は西暦を、議会で条例を通して使っております。だからといって、私はこの西暦の問題にここでこだわるつもりはありませんけれども、これは百年に一回、特に日本にとっては恐らく初めて、世紀の始まりはいつだろうかということをこれから一年の間に考える時期。したがって、これは総理としてあるいは内閣として、国会として、世紀の初めというのは、日本は二〇〇一年一月一日をもって世紀の初めとすると実質的にアナウンスされる効果が出てまいります。  そういう点を踏まえて、一般の国民生活あるいは経済界においても、二十一世紀の初めというのは二〇〇〇年の一月一日ではありませんよというPRも当然していかないと、混乱も起きるでしょうし、一般の学童においてもその点がはっきりしないところが出てくると思います。  これは、中央省庁再編の問題とは少し離れておりますけれども、しかし、わざわざ平成十三年一月一日、本当は私はここで二〇〇一年の一月一日と書いていただきたかったわけでありますけれども総理の御説明を伺いますと、お気持ちの中には、二十一世紀の初めというものをぜひどもとらえて国家百年の大改革をやりたいというお気持ちのようでありますから、その点を確認させていただきたかったわけであります。  次に、四十八条についてお伺いいたします。  この第四十八条に「人材の一括管理のための仕組みの導入」ということが書いてあります。私は、第三次行革審で、一年半そういうところで勉強させていただきましたけれども、そこでもこれは大いに問題になりました。さらに踏み込んで一括採用というところまで大いに議論されたわけであります。この一括採用なしに一括管理が可能かどうか。ばらばらの省庁で採用された人材を具体的に一括管理できるでしょうか。民間企業の場合には、一括採用が行われているからこそ一括管理が効率的、効果的に行われているわけです。  この点について、具体的にどういうことが考えられているのか、議論がなされたのかなされていないのか。一括採用という言葉を避けたいために一括管理という言葉でぼやかしてあるのか。本当に一括管理をやるとすれば、具体的にどのような方法でおやりになりますか。
  190. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 基本法案の四十八条の条文は、行革会議長終報告におきます公務員制度の改革の章を意味する規定として置いたものでございます。  この行革会議におきます議論の経過として申し上げますと、人材の一括採用の問題についても御論議はございました。ただ、最終報告におきます結論は次のようになっておりまして、「一括採用については、一括管理システムの検討状況をも踏まえ、引き続き検討を進める必要がある。」このような結論になっておるわけでございます。  このような最終報告の結論を受けて、この人材の一括管理システムの具体的あり方については、現在、公務員制度調査会において御検討をいただいております。そのような中で、一括採用の問題も必要があれば御検討をいただくのではないかと考えております。
  191. 岩國哲人

    ○岩國委員 やはりこの四十八条においては、こうした踏み切った改革を行うのであれば、一括管理程度ではなくて一括採用を目指すとか一括採用の準備を進めるとか、そういった言葉がなければ今と全く同じことが行われていくのではないでしょうか。私の杞憂に終わればいいのですけれども。  各大臣、ここに全員並んでいただいておりますけれども、それぞれに胸の中で、ばらばらで採用した人材が本当に一括管理されてそれぞれの省庁で有効な人材として活用できるような体制になると思われますか。  例えば、それでは農水大臣、お答えいただけますか。
  192. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 発足当初はなかなかやりにくいものがあろうかと思いますが、私もいろいろな省庁を経験いたしましたけれども、その気になってやれば、例えば経済企画庁のようにどちらかといえば寄り合い世帯と言われる、ある意味ではエースが集まっていると言えるのかもしれませんが、やりようによっては最終的に非常にいいまとまりができる、こう私は思います。
  193. 岩國哲人

    ○岩國委員 農水大臣の今の御答弁を聞いていますと、わざわざここに「一括管理のための仕組みの導入」、何も導入しなくてもあしたからでもできる程度のことではありませんか。私はそのようにしか理解できません。四十八条はもっと厳しくその点をうたうべきではないか、そうでなければ一括管理の実を上げることはできないと私は思っております。  次に、四十七条の最後のところですけれども、この四に「十年間で少なくとも十分の一の削減」。これについては各委員、次から次へといろいろな質問をしておられますけれども、人数だけではなくて定年制をどういうふうに変えていくのかという、これはもっと大きい問題ではないでしょうか。  六十歳を六十五歳にするのか、六十歳のままでするのか、これによって職場の中で働く人たちのこれからの削減、新規採用、したがって量掛ける長さ、勤務年限というものがあって初めて一つの労働力というものが確保できるわけです。六十歳定年を続けるという前提で十分の一ということを考えておられるのか、六十五歳への変更ということも視野に入れながら十分の一ということを考えておられるのか、どちらですか。
  194. 小里貞利

    小里国務大臣 退職年齢等のことも含めまして、国家公務員制度におきまして目下検討中でございます。  行政改革を組み立てる上において、その退職年齢をどういうふうに判断したかというお話でございますが、それは、現在の体系におきましても、私どもの削減に対する計画は、基本は全くそのまま、六十五歳になろうとも当然貫くべきである、さように思います。
  195. 岩國哲人

    ○岩國委員 これは大変大事な御発言だと思います。  私は六十五歳定年に変更すべきだという意見ではありますけれども、恐らくはこの十年間に六十五歳に変更になるでありましょう。とすれば、この十分の一の削減というのは、もっと厳しい目標になってくるわけです。おわかりですね。それは、今までよりも長く、定年がおくれるということは、新規採用を今考えていらっしゃるものよりももっと抑えていかなければいけない。それでなければこの一割というのは達成できないということであります。そういうことも含めてこの一割、しかも一割ではなくて一割以上とはっきりと明言していらっしゃるわけです。  また、削減か純減かということで、きょうも午前中いろいろと議論がありました。削減なのか純減なのか、私は、明確にこれは国民に説明しなければならないと思います。  私は、朝、世田谷の経営者の人たちとの朝食会でこういうことも若干御披露してまいりました。十年間で一割、笑いが起きました。余りにも甘過ぎるということです。もう一度説明しました。これは大臣から聞いた答弁では削減か純減かわからない、二度目の笑いが起きました。どこの経営者でも、自分のところの人員計画を考えるときに、削減ともとれる、純減ともとれる、それは私は非常にいいかげんな経営方針ではないかと思います。リストラという場合には、はっきりと純減とうたうべきです。  財革法の場合には、金の面では、それは純減で今まですべて議論がされているわけです。金を幾ら借りるか幾ら返済するか、返済する方だけを見ててださいというふうな金のリストラ計画はおよそあり得ないわけです。人についても、減らすのであれば、純減をベースに議論しなければ意味がないのではないでしょうか。答弁をお願いします。
  196. 小里貞利

    小里国務大臣 純減と削減の問題でございますが、結論から言いますと、今先生も御指摘になりましたように、純減でなければ意味がないよとおっしゃるのは、私はそのことを言っておるわけです。純減でやります、それは少なくとも一〇%ですよと。これは大変な意気込みであるということは、今の先生のお話からして十分御理解いただけると思うのです。  なおまた、説明がくどいとおっしゃるけれども、純減と削減のこの概念の違いというのは先生はもうおわかりだからあえて申し上げませんけれども、純減は、申し上げるまでもなくマイナス、削減できる数値に対しまして、いや、どうしてもふやさなければいけませんよという数値が出てきますから、このプラス・マイナスを分子に置いて、そして下の方の分母に総定員を置いて計算をする仕組みでございますから、先生のおっしゃるとおり、そういう旺盛な意欲の一つの形であり、かつまた、それは生易しいものではないよというお話でございますが、私どもは十分そういう心構えを持っておるつもりでございます。
  197. 岩國哲人

    ○岩國委員 昨日も長官は、限りなく純減にという気持ちであるという表現もお使いになりました。  しかし、この中央省庁再編法案というのは、非常に国民の皆さんの注目も集めていることでもあり、公務員にとっても非常に大切な問題でもあり、総理に、削減、純減の議論はいろいろあるけれども純減で考えますということをはっきりおっしゃっていただけませんか。これは、もちろん目標ではあります。しかし、純減ということをベースで皆さん議論していただきたい。純減か削減かでこんな行ったり来たりの議論を繰り返すのはむだなことであり、長官のお気持ちは多としながらも 責任者である総理自身が、純減で考えましょう、私の責任で純減で考えますと言っていただけませんか。
  198. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私先ほどから、大変大事な議論を展開しておられる、昨日も同様の御議論がありましたけれども、高齢・少子社会の中で、今採用の方も退職の方も議員触れられましたが、一体今後の公務員の構成というのはどう変わっていくのだろう、実は、その議論をきのうから伺いながら頭に浮かべておりました。  現在、定年が幾つであるかということとは別に、我が国の公務員制度の場合、その人事配置はどちらかというとピラミッド型であります。しかし、高齢・少子社会というものが続いていく中で、次第に私はこの形は、「ピラミッド型ではなく台形かあるいは円筒形になっていくということを想定しておくべきだと思います。そして、先ほど一括採用か一括管理かという部分でも御論議がありましたが、ある意味では従来の考え方とは違った管理という思想を持たなければならなくなるでしょう。次官になる人間は一人でありましても、その同期生が次々に早くからやめていくという形、これはむしろ人材を確保するという観点からも、だんだん私は円筒形かあるいは少なくとも台形に近い形に変わっていかざるを得ないものだと思います。  そうした中においてこの法律の御審議を願うわけですが、通過成立後、既に繰り返し申し上げておりますように、国家公務員という身分は持ちながら、事業庁から公社に郵政関係の職員が動きます。そして、新たな仕組みとしての独立行政法人をお認めいただけました場合に、国の現在行っております業務のうち、どれだけがその独立行政法人に移っていくのか。今、これは率直に申しまして、これだけと申し上げられるような状況ではありません。  そういった中で、少なくとも、しかしそういうもので相当程度の、いわゆる国家行政組織法の中における総定員というものは根元から大きく変わるわけでありまして、その根元から大きく変わる、しかもこれから例えば金融監督庁の御議論のときにも、いわゆる民間の方々をいかにして採用するか、今で言いますなら特例任用の形というものも議論をされました。そうしたもろもろを含め、私は小里長官は純減に近い削減という言葉を用いておられると思っております。  そうした点も御理解の上、まさに議員が純減という点にこだわられているような、そうした運営ができますような御協力を心からお願いを申し上げます。
  199. 岩國哲人

    ○岩國委員 私が純減にこだわりますのは、言葉をもっと明確にすべきだという気持ちが一つあります。  もう一つは、地方の市役所でさえも二割、三割の削減をしております。私のつたない経験ですけれども、三割削減し、結果的に予算規模、事業規模、人口規模に応じてよその市より三割少ないと割の人数で十割の仕事をやっておるのです。効率よくリストラをやっていけば、それは小さな自治体とは違うということをおっしゃいますけれども、大きな官庁も小さく一つずつ見ていけば、それは小さな自治体と同じ効率化が図れるはずだと私は思います。一割というのは少し甘過ぎやしないか、少し慎重過ぎやしないか。その上、以上ということをおっしゃっている以上は、削減だか純減だかわからない物差しの上で、その以上という、どうしてそこまではっきり言えるのですか。そこに言葉の矛盾があるような気がいたします。  二割を目標としながらも一割ぐらいについては純減、私は、そういう大胆なそしてそれぐらいのリストラをやらなければ、今の財政状態から日本の国はもたない、民間企業のリストラの苦しみに十分こたえることにならないのではないでしょうか。そうした、お金が足りないとすぐに国民が汗をかき、役所はあぐらをかき、政治家が恥をかく、こんなお粗末な国はどこにありますか。私は、役所は役に立つところ、今こそ役所はそうしたリストラの先頭を切るべきではないかと思います。  次に、この大くくり省庁再編案についてお伺いいたします。  これは、予算委員会でも私は質問させていただきましたけれども、一府十二省庁と小さな数にまとめる、逆に言えば一つ一つが大きな官庁になる、これは本当に、中央集権体制を打破し地方分権に持っていく正しい方向でしょうか。今まで二十あったものを十二にする。小さなふろしきに包んであったものは、その方が見えやすい、各大臣も、それぞれのお仕事に目が届きやすい、監督しやすい、政治のリーダーシップがとりやすい。小さなふろしきに小分けにした方が、私は、それぞれの各大臣の能力に応じてと言うと大変失礼なことになりますけれども、今でさえも答弁書をお読みになる、あるいは自分の担当の省の所管する法律の数がよくおわかりにならなくて答弁書を読み違いされる、そういう状態に応じて、今までよりも二倍大きなお荷物、責任を持たれたときに、それで十分やっていけるのでしょうか。総理はそのような内閣を編成する御自信はおありですか。
  200. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 現在の抱えている行政の総量を全く変えずに中央省庁を大ぐくりにすれば、私は議員が言われたような問題が発生する可能性のあることを否定はいたしません。  そして議員は、その前提として私は基盤という言葉を使いましたが、地方分権が動いていく、規制緩和・撤廃というものが動いていく、同時に、事前管理型の行政から、ルールを明らかにした上で事後チェック型の行政に変えていかなければならないという基盤の部分があり、そうしたものが進行することによって中央省庁がそれだけ業務が減るわけですから、当然ながらこれは省庁の数、数を問題にされるなら数も減らすことができますねということを申し上げてきたことを御承知のはずであります。そして、現在の業務を前提にした場合、小分けにするといいますか、むしろ今よりも小さいグルーピングをした方がいいという議論が成り立つことを私は否定をいたしません。むしろ、そこまで進める自信がなかったとき、私自身自分の本の中で、むしろ文化というものを一つに束ねてはとか、そういう工夫をいたした時期もございます。  しかし、分権が現実に進み、規制緩和・撤廃というものが進み、事前管理型の行政からルールを明らかにした上での事後のチェックというものに行政の主点が移った場合、私は中央省庁の持つ事業量というものは大きく変化をすると思います。その上で、いわゆる縦割り行政という批判に、あるいは政策立案機能を高い視野からより効率的に発揮をする、そうした発想を持ち省庁を大ぐくりにする、そうした人材は十分に得られると思っております。
  201. 岩國哲人

    ○岩國委員 総務庁長官からも以前ほぼ同じような趣旨の御答弁をいただいたことがありますので、あえて御要求いたしませんけれども、確かに総理がその本をお書きになった中で文化省のことを、私も全く同感でありました。しかし、当時と今では、総理のおっしゃるように規制緩和が進み地方分権も進み、時代が変わっていますから、総理が自説を転換されたとかあるいは変節されたとか、そんなことは全く私は思ってはおりません。しかし、あの本の中で述べられた、どういう仕事をやっているかが小さな省であれば余計見えやすいという点は、私はこれからもあり得ると思います。  例えば、文化省にしても、あるいは建設省の中の河川省。私は、河川省というものをつくるべきだ、これは持論でございますけれども、それだけの大切な仕事を、建設省の場合には十分持っておられます。四季の変化が激しい、災害が激しい、そして一本当たりの川に、その負荷といいますか、一本の日本の川が持っておる、あれだけの大きな経済活動を背負わなければならない、人口の集中というのを背負わなければならない。日本の川ほど負担の大きい川はないと私は思っておりますから、河川省として独立させた方が仕事の内容が明確になる。例えばの話であります。  そのように、できるだけ大きなふろしきの中に包んでしまいますと、外から非常に見えにくくなる。むしろ小分け、小さなグループに分けておいた方が、各大臣の目も行き届き、国民の監視もしやすい。大きな官庁は大きな権限を持ちます。大きな権限は必ず大きく腐敗する。小さな権限は小さくしか腐敗しない。最近の大蔵省を見れば、まさにそのとおりであります。  それを、まるでこれから、二〇〇一年一月一日までにそれぞれの省庁の仕事が半分に減った、半分に減ったものをあわせて結局前の省庁と同じぐらいの大きさになるというのならいいんですけれども、二〇〇一年一月一日までにそれぞれの省庁の権限、財源、人間を半分にして、それから今度の一府十二省体制ができるとはとても私は信じられません。恐らく二倍に近い官庁がぞろぞろとできて、大きな官庁、そして各大臣の目が行き届かない、政治のリーダーシップということを言いながら結局は官僚のリーダーシップを助けるような、そして地方の時代ではなくて中央集権へ後戻りするような構想が、今度の大くくり再編ではないかと私は思います。官庁の数を少なくするよりも、職員の数を少なくする、権限を少なくする、それの方が私は大事だと思っております。  そういう点について、この法案の中からは、いつまでにどれぐらいのものを減らすのか、そういうシミュレーションを持っておられるのかどうか。仮に霞が関を小さくするということであれば、それは、規制緩和という形か、もう一つ地方分権という形で地方自治体への移管ということになります。とすると、中央省庁再編だけを議論しても十分ではない。地方自治体にどれだけのものを渡すのかとなれば、自治大臣として、あるいは地方自治体として、どれだけのものが来るのかということの、ある程度、シミュレーションといいますか具体的な絵というものを見せなければならないんじゃないでしょうか。長官の御答弁をお願いします。
  202. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、二〇〇一年一月一日、いよいよ時期がやってきたとき、これは国会意思を御決定いただく前提で申し上げるわけでございますが、その中身も、先ほど総理が申し上げましたように、総量が大分削減されておりますよ、権限も組織も業務も事務も、それぞれの体制がきちんと、今日の計画をお示し申し上げておりまするその処方せんによってこれを履行し、厳しいけれどもでき上がらせるようにいたします、その前提で申し上げておるわけでございます。  先生は先ほどから、私はそれは難しいと思う、とてもと、かえって事務事業量等はふえてくるんじゃないかのごとくお話をなさるわけでございますが、まずその前提が違うわけでございまして、国会意思決定いただきましたときには、私どもは責任を持って、志としても、また具体的方向性としても、また具体的な意味可能性としても、これはやらなければいかぬ、これが今日の世紀が我々政治に求める大きな課題だ、そういう気持ちで当たっております。
  203. 岩國哲人

    ○岩國委員 きのう、おとついからの議論を聞いておりましても、長官の御答弁は、この法案を通してもらえれば直ちにもろもろのことを、すべては法案が通ってから。しかし、国会の審議というのは、通ってから後はお任せしますというのは国会の審議ではないと私は思います。また、国民に対するアカウンタビリティーというのは、この法案が通ったならば私たちはこのようなことをやってみますと、いろいろ幅はあるでしょう、前提条件を置いて、国民にどれだけこの行革のメリットがあるのか、行革の配当をどれだけ国民に払えるのか、それを説明するのは国家経営の責任者の役目ではないかと思います。この法案さえ通してもらったら後は私たちが作業をやりますから、その辺は、数字も聞くな、時期も聞くなというふうなことでは、これは国会の審議にならないと思います。
  204. 小里貞利

    小里国務大臣 申し上げておりまするように、もう一回法律を持ってきます、こう言っておるわけです。その法律をもう一回、もろもろの改革を実践するための実施計画なる法律を持ってきますから、その前提として、今日の段階において中央省庁再編に関する基礎的なところを、一応国会意思決定してください。そして、決定していただきましたなれば即座に、先ほど先生がおっしゃるようにそれはもろもろの、総理も申し上げましたように、その改革のための、事務事業を縮減するための、権限を合理化するための処方せんを今説明を申し上げておりますから、これらのことを基調にして、多彩にわたって議論していきましょうよ。そして、議論していく中において、国会内外の皆さんにも御意見をお聞かせいただきながら詰めていきます、そしてまとめたものを、各省庁設置法というものを中心にしてもう一回国会に御相談いたしますと言っておるわけでございます。今日、中央省庁再編を決めていただけば、後は皆様方には言わないよ、具体的な役割やその手段というものは何も言いませんよ、了解も受けませんよ、一方的に政府がやりますよというようなことは、決して私どもは申し上げていないわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
  205. 岩國哲人

    ○岩國委員 今度の省庁の区分け等を見まして、私は環境委員会にも属しておりますけれども、環境という立場から見ましても、各省庁予算要求項目の中に環境という二字をあっちにくっつけたりこっちにつけたり、枝につけたり葉っぱにつけたり、随分多いわけです。  例えば、農水大臣、環境という項目をつけた予算要求項目は何項目おありか御存じですか。答えていただけますか。農水省からの環境という名前のついた予算要求項目は、環境庁自身予算項目よりも数が多いんじゃないですか、あっちに環境をくっつけ、こっちに環境をくっつけ。  私が入手した資料の中でも、これは通産省も、地球環境総合開発計画調査委託費あるいは環境調和型金属系素材回生利用基盤技術開発、環境調和型高効率エネルギー利用システム開発費補助金。環境環境と、あの省でもこの省でも。農水省は幾らあるか御存じですか。大臣が提出された予算です。その中に、よその省の環境という名前を使ってどんどん要求していらっしゃる項目が何項目、これは驚くほどあります。
  206. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 にわかにはわかりません。
  207. 岩國哲人

    ○岩國委員 九項目。金額においても四百億が環境という名前を使って、決して私は詐称しておられるとは言いません。しかし、環境の時代となればもう環境環境。これでは環境庁よりも、省と省のけじめというか、午前中、縦割り行政の弊害ということがありましたけれども、私は、縦割り行政というのはいいことだと今まで言ってきました、地方自治体の長の立場として。中央省庁は縦割り。縦割りだからこそ行政責任が明確になるんです。縦割りでなかったら、だれが責任をとるんですか。縦割りを横割りに並べかえるのが地方自治体の責任であって、縦割りで来たものを縦割りでどすんと落とすから、結局縦割りの被害というのが住民に及んでしまうんです。私は、中央省庁というのは責任を明確にするためにあくまでも縦割りにすべき、そして県とか市町村はそれを横並びに置きかえて、縦割りと横割りの両方のメリットを生かすべきだと思っています。  その縦割りの明確にしなければならない時期に、今度は省庁再編、十二省庁つくってみたけれども、あっちでも交通という名前がついている、こっちでも防災という名前がついている、こっちでは環境という名前がついている。環境、交通、防災がどの省庁でもたくさんに、ふんだんにあふれている。一体どこが環境行政の中心になるのか。予算を見ている限りは、環境庁よりも農水省の方が環境行政の中心になっているのじゃないかというふうなことが起きますから、そういう懸念を申し上げ、省庁再編ということをやる以上は、縦割り行政をもっと明確にすべきだと私は思います。  縦割り行政に対するいろいろな批判を恐れる必要はないと私は思います。縦割り行政こそ中央省庁の基本的な考え方ではないか。当然、いろいろな省庁間のコーディネーション、連携というのはされる必要はありますけれども、それを予算の項目にまで隣の省の名前を使う、あっちの省の名前を使う、これでは国民を余計混乱させるだけであると私は思います。  次に、質問のポイントを変えさせていただきますけれども、今度の金融監督庁それから日本版SEC、こうしたことについて、当然人材の量的、質的充実を図っていただかなければ、これからのビッグバンあるいは金融犯罪に対応できないと思います。銀行、証券、保険が次々と倒れていく、そういう中では、「こうした金融監督庁の責任は重かつ大であると思いますから、その点については十分これから配慮していかれることと思いますが、その長官をだれにするかという議論が午前中ありました。そしてその中で、答弁としては、潔白な人、公平な人ということは強調されましたけれども、余り潔白な人だけに絞ってしまうというのも私は問題ではないかなと思います。  私は、ニューヨークの金融界の中におりました。そして、そういう歴史を少しばかり勉強したことがありますけれども、ケネディ大統領のお父さんはジョセフ・ケネディという方で、この人は実業家で、シカゴで一番大きなデパートをつくり、そしてケネディ財閥をつくった人です。しかし、株式市場ではありとあらゆる悪いことをやった人です。一九二七年から二九年、例の株式大暴落の直前、アメリカの株式市場がバブルで浮かれているときにあらゆる不正なことをやり、風説の流布からいろいろな不正な取引、そして巨万の富を稼いだ人です。  バブルが崩壊しました。ルーズベルト大統領は、きれいな株式市場をつくらなければアメリカの資本主義の健全な発展はないという信念のもとにアメリカのSECをおつくりになる。そのSECの初代の長官をだれにするか。ルーズベルト大統領が任命したのはジョセフ・ケネディだったのです。アメリカじゅうがびっくりします。一番悪名高い、ありとあらゆる悪いことをやっている人間を初代の長官に。しかし、これは名人事だったのです。初代のSEC長官にとってやることは、自分がやったことを全部禁止すればよかったのです。これほど効果的な長官はなかった。アメリカのSECの栄光の歴史はそこから始まったのです。  ですから、日本でもそういう方がいらっしゃるかどうか。最近は相当いろいろな方がいらっしゃるから、選考に困られるぐらい。そういう表のことだけではなくて裏の世界にも通じている、江戸時代にもありましたでしょう。池波正太郎の「鬼平犯科帳」の愛読者でありますけれども、あの鬼平は、若いころ本所深川で随分悪いことをやっておった。私は、その若いころの鬼平にあこがれて本所深川に住んだことがあります、東駒形三丁目というところに。  その鬼平は、若いころに自分の親しい友達に誘われて盗賊の片棒を担いだことがあります。それは本人がはっきり言っているのです。そして火付盗賊改方長官になって、彼はそういう若いころの悪の世界の経験を踏まえて、取り締まる側だけではなくて取り締まられる側の心の機微、人情というものを踏まえてやったからこそ、あれだけの小さな部隊で大きな実績を上げたと私は思っております。まさに日本のSEC、日本の金融監督庁に必要なのはこういう配慮ではないかと私は思います。江戸時代にあの幕府の大きな行政体制の中で、北町奉行所、南町奉行所、そのはざまにあって、あの四十人そこそこのゲリラ部隊、言ってみれば組織の中のベンチャーみたいなものですよ。それを生き生きと指揮できたのは、この長官があったからだと私は思っています。  したがいまして、日本の金融監督庁の長官を選ばれるときも、大所高所から、限られた予算と人員を有効に、本当の不正を摘発できるような体制をお考えいただきたい。これは質問というよりも要望でありますけれども、その点をぜひお考えいただきたいと思います。  次にもう一点、先ほどの人員削減に関連いたしまして、十年間で一割削減された場合の大ざっぱなコスト削減効果というのはどれぐらいありますか。いや、これも法案を通してからそろばんをはじきますということかもしれませんけれども、しかし十年で一割、そこまで数字を出しておられる以上、当然どこの経営者であっても、十年間で一割人員を減らしたら人件費がどれぐらい減るかなというのはだれだって考える。また、当然それを説明する義務があります。どれぐらいの行政コストの削減効果が望まれると、とらぬタヌキの皮算用という言葉がありますけれども、通らぬタヌキの皮算用かもしれませんけれども、通る前にそれを教えていただきたいと思います。
  208. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、一〇%の削減の計画でございますが、これは御承知のとおり、今から二〇〇一年一月一日までの本来の削減計画はそのまま進めてまいります。それから、今申し上げておりまする、少なくとも一〇%の削減でいきますよ、こういう一つの方向を整理いたしております。しかも、少なくとも一〇%という、少なくともを入れておりますところに私どもの思いも、それから具体的なこれが可能性についてもぜひ前向きに御理解をいただきたいと思う次第です。  しかも、いわゆる定員削減計画は削減計画でございますが、そのほかにさらに、御承知のとおり、例えば郵政公社の合理化計画があります。これはもう中身は申し上げません。あるいはまた独立行政法人制度を創設いたしまして、これも相当な一つの引き込みを徹底してやらなければいかぬ。この独立行政法人制度を活用する既存の事務事業も相当なものが見込まれるわけでございまして、それらのことを想定してまいりますと、私はこの前から申し上げておりまするように、際立った期待が持てる、またそれはやらなければならない。  ただ、今日定量的に具体的に数字をもって申し上げることは、そういう具体的な一つ計画を今立てつつあるところであり、またこれからの進捗を見なければ確定的なことは申し上げられない事情は御理解いただけると思います。
  209. 岩國哲人

    ○岩國委員 何のためにこうした中央省庁再編をやっておられるのか。これは大きな行革という総理の目標の一つを実行するために。行革は何のためにやっているのか。国民行政コストの削減を具体的に金額として、配当として、それは減税という形で持っていくためにやっておられるのでしょう。それが、一番肝心のどれだけ節約できるかということが国民にも、我々国会議員にも説明できないような状態はおかしいのじゃないですか。いろいろな前提を置いてでも結構ですから、こういうふうに考えればこれだけ、何百億、何千億とか、そういう数字を出すべきじゃありませんか。  大蔵大臣はお金がなくて困っておられるのですから、その大蔵大臣に総務庁長官がどれだけのお金を渡すことができるか、これが行革の目標でしょう。いろいろな前提を置いてでも、事務局に早急に作業をさせて、毎日毎日これだけ新聞やテレビが報道しております、この行革が実現できればどれぐらいの節約が、どれだけ国民期待にこたえることができるのか。役所も役に立つところと書いてある。役所もいよいよ汗をかいたということが、汗が金額の数字であらわれる、そのような準備それから資料づくりをやるのは当然のことだと私は思います。  時間が来ましたので、私の質問を終わらせていただきます。
  210. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて岩國哲人君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君の質疑に入ります。
  211. 西川知雄

    西川(知)委員 西川知雄でございます。  きょうは、主として、財政金融、国税庁の問題、この問題を一時間十二分やらせていただきます。  ところで、中央省庁等改革基本法案というものはプログラム法であるということでこうやって今審議をされているわけでございますが、先ほどの岩國委員の方からも指摘がありましたように、どうも詳細は次に出てくる法律によっていろいろと規定をするということで、一体、法律としてこれがどういうふうな意味があるのかなということを、私何回も読みまして疑問に思っております。  ところで、財革法も同じような問題点があるということを、私が以前、去年のこれは十月二十一日でございますが、総理と質疑をしたときに指摘をしました。と申しますのも、財革法、これを破って、違反してどういうような効果が生まれるのか。これは法律でございますから、法的な効果が生まれるものとばかり私は思っておりましたら、大森法制局長官、その意見、また、それに同意された総理の御意見からいたしますと、法的責任は一切生まれない、生まれるのは政治的な責任である、こういうふうに申された次第でございます。そして、財革法、これを改正せざるを得ないような事態、すなわち、財革法を守れなかった場合には極めて重大な政治責任が発生するというふうに橋本内閣は答弁をされたわけでございます。  私はそのときに、法律の附則で、どういうふうな場合にこの法律が改正されるのかということを決めた条項がございますので、一体この財革法はどんな場合に改正されるのだということを質問をいたしました。その前に私は、経済というものは基本的に日々刻々変わる、尾身長官の得意な、日々刻々変わるので臨機応変に対応しないといけない、そういうことを申し上げたわけです。そうしたら総理は、そうじゃないんだ、この法律は財政構造を改革するために守っていかなきゃならない、だから、改正する場合というのは例えばどういう場合かというと、湾岸戦争が起きた、そういうような通常の情勢で予見できないもの、こういう場合に限るというふうに明確におっしゃったわけです。  そこで、今私の知るところによりますと、総理は、財革法は改正しないといけないと。その改正の方向ということについて私ここで議論するつもりはございませんが、とにかく経済状況がこういう状況にあるので改正しないといけないということをおっしゃいました。しかし、去年は、こういう場合には改正しないんだ、改正したら極めて重い政治的な責任が発生するんだ、こういうふうに言われたわけです。  私は、今この中央省庁等の改革基本法案を審議するに当たって、基本的にこの法案がそのとおり実行されなかった場合、総理としては一体どういうふうな責任をとられるのかという観点から、財革法の問題についても言及し、もう一回その問題について私は確認をしておきたい。そうじやなければ、真剣に議論をしても、また、政治責任というのは臨機応変にその立場において状況を変えて、判断を変えていかないといけないときがある、そういうことが政治責任だと言われてはたまりませんので、もう一度、財革法のときに私が今説明いたしましたことについて、総理はどういうふうに政治責任を感じておられるのか。そして、十月二十一日に私が質問をさせていただいたときに、総理は明確に、改正ということがあって、それが経済状況による改正であれば政治責任をとるというふうにおっしゃっているわけでございま.す。政治責任があるということは、総理がとるということでございます。これについて明確な御答弁をお願いします。
  212. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、わざわざ参議院の本会議までお立ち会いをいただきまして、ありがとうございました。  そして、それに引き続いての御質問でありますが、今私は、当時の議事録を、議員がそういう御引用になると思わないので持っておりませんけれども、多少似て非なる言い方に変えておられるように思います。責任があると申して、それは私、多分そのとおり申し上げただろうと思います。その上で、しかし、そういう御批判を心配して何もしないことの方が大事なのか、それとも、この国が今必要とすると思う施策をとろうとすることが批判の対象になるのか、これは皆様の御判断であります。しかし私は、ここで、必要なことは進めなければならないと今考えております。
  213. 西川知雄

    西川(知)委員 この問題、今の中央省庁再編成に関しても重要でございますので、もう一度明確にしたいと思います。  というのは、今お持ちでないということなんでちょっと申し上げますと、私の質問に対して総理は、  成立をいたしました法律がその目的とする条件を政府として全うできなかった場合、政治責任というのは私は大変重い言葉だと思いますけれども、と同時に、客観的にそういう状況を維持することのできないような情勢が生まれる場合、全く現時点において予想し得ない、これはちょっと例がよくないかもしれません、しかし、例えば湾岸危機から湾岸戦争といった、全く予見できない事態が発生いたしましてこれが守れないとなった場合、政府はこの法律の改正案を国会に提出する責任があろうかと思います。 そうお答えになっています。私はこれに対して、   ということは、社会経済の変化に従ってこの法律を中身を変えていくのならば、社会経済というのは刻々と変わるわけですから、こんな法律なんか要らないのじゃないですか、総理。 というふうに申し上げたわけです。これは、経済は刻々と変わるから、それに従って臨機応変に政策も変えていかないといけないというふうに得意の尾身長官が言っておられることを、私もそういうふうに、経済というものは刻々と変わるからこんな財革法というものは要らないのじゃないかということを申し上げたら、総理はさらにいろいろと御説明をされまして、   その上で、例えば湾岸危機から湾岸戦争の時期のような事態というものは、通常の情勢で予見できるものではございません。その場合には法律の改正をお願いいたすことがあるか、それは私はあり得ることだと存じております。 改正というものはこういうような特殊の場合にだけ起きるんだ、普通の経済情勢が悪くなった、また悪いということによっては変えないんだ、そういう場合には政治責任をとるんだ、こういうふうにおっしゃったわけです。  そのことについて総理の御見解をもう一度、私が言ったことについて御答弁を願いたいと思います。
  214. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 とると申しておりません。あると申しております。  そして、例示で申し上げておりますように、予測できなかった、ただそれは、例えば湾岸危機が起きてから、湾岸戦争が起こる可能性が高い、そういう意味での予測というのは相当程度できたと思いますけれども、湾岸危機自体の発生というのは全く不意打ちでした。例示として申し上げたとおりであります。
  215. 西川知雄

    西川(知)委員 私はちょっとよくわからないのですが、政治責任があるというのととるというのは違う、それは、あるととるというのは違うんだというふうに思うのです。しかしながら、この政治責任がある、政治責任が発生する、じゃ、だれがとるんだといってだれもとらないんじゃ、政治責任はあるということにならぬじゃないですか、総理
  216. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 起きている状況に対して対策をとる、その責任を今果たそうとしております。
  217. 西川知雄

    西川(知)委員 だけれども経済が刻々と変わる、そういう場合には改正は一切しませんとおっしゃったのじゃないですか。それで、今、これからは改正をするという方向で審議がいろいろなところでされていると思うのです。じゃ、これは、改正せざるを得なかったということに、守れなかった、それは経済状況で守れなかったということであれば、政治責任はあり、政治責任はとるということになるんじゃないですか。ここ、私の議論はどこか違っていますでしょうか。
  218. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 恐らく議員のお気持ちの中では完結しておられると思います。私は、ありますと、そしてその場合に対策をとる責任もあると思っております。
  219. 西川知雄

    西川(知)委員 対策をとる、どういう対策をとりますかということを私は十月二十一日にお聞きしたわけです。そのときには、湾岸戦争とかそういう突発的なときには法律を改正することをお願いしなければならない、こういうふうにおっしゃったのです。そこで、経済社会の状況が刻々と変わる、こういうときに硬直的な法律をつくってはいけない、そうじゃないのですかというふうに申し上げたら、経済社会情勢が変わるということについては、そういう場合には法律を改正しませんということをおっしゃったわけです。改正するのは、例えばですけれども湾岸戦争、もっとほかに例があるかもしれません。だけれども、全く予期できないときに初めて法律を改正する、そうじゃない場合に達成できなかったらそれは法律違反で、また、そういう場合には政治責任がある、そしてとることになるというのが、この議論が私だけで完結しているのじゃなくて、ここの閣僚の皆さんもほかの皆さんも国民の皆さんも、そういうふうに思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思うのですけれども総理、私の考え方は間違いでしょうか。
  220. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、議員に対して、あなたが間違っておりますと言うほどうぬぼれておりません。あなたの中で完結しておられるのだと思いますと申し上げました。
  221. 西川知雄

    西川(知)委員 じゃ、論点は明確になったと思うのですね。そして、これは皆さんも聞いていらっしゃることですから、財革法についての政治責任というのはこの辺でとどめますが、しかしまだやりますから。  今度、この中央省庁等改革基本法案、これはプログラム法ということですが、私、大森法制局長官から初めて、法律というもので法的効果がない法律があるということをこの間の財革法の審議の途中で教わって、なるほどなと思ったのですが、この中央省庁等改革基本法案、これが守られなかった、この法律どおりにいかなかった、こういう場合はどういうような法的責任があるのか、政治的責任があるのか、この辺はどういうふうに理解をすればよろしいのでしょうか。
  222. 大森政輔

    ○大森政府委員 先ほど、私の先般の財革法審議の際における答弁におきまして、法律に違反して法的効果が生じないというようなことを述べたがごときお言葉でございますけれども、そこは、私の手元にございます議事録の写してございますが、「この法律でそれに対する制裁と申しますか、効果と申しますか、そういうものを規定しているわけではありませんので、」と。したがって、制裁は定めておらない。法律に抵触するけれども、それに対する制裁は定めておらない、そういう意味では、「この場合に政府が負う責任と申しますのは、いわゆる政治的な責任にとどまるということが言えようかと思います。」という、政治的責任という言葉は確かに私の口から出てはおりますが、これは決して、法的効果が生じないという意味を断定したものではございません。  要するに、制裁が定められておらない、したがって、法律に抵触するからといって制裁を負うわけじゃないということに重点がかかった答弁であるというふうに御理解いただきたいと思います。  そこで、本題の御質問でございますが、この基本法案と申しますのは、国の行政機関の再編成等に当たって政府のよるべき基準、方針、とるべき措置等を定めたものでございまして、政府は、新たな省を設置する法律案の立案等に当たって、この規定に拘束されるわけであります。政府といたしまして、これは法律を誠実に執行すべき立場にございますから、政府基本法の内容に違反するような、こういうことは想定できないわけでございます。  ただ、お尋ねでございますが、万が一にも政府基本法の内容に違反するような場合には、これは政府は法律に違反したという評価を受けることは理の当然でございます。しかし、その違反に対する責任ということになりますと、財革法と同じように事柄の性質上、制裁は規定しておりません。したがいまして、前回の言葉を踏襲いたしますれば、その責任は政治的なものにとどまろうかということでございます。
  223. 西川知雄

    西川(知)委員 そうすると、一つ重要なことなのでもう少し確認をしておかないといけないと思うのですが、その制裁、さっきの長官の御答弁は、もう少し詳しく言いますと、「しかしながら、この法律でそれに対する制裁と申しますか、」制裁と申しますか、そこだけ強調されていますが、次に言っておられるのです、「効果と申しますか、」法的効果ですよ、「そういうものを規定しているわけではございません」と。だから、制裁だけが発生しない、そういうことをおっしゃっていたのじゃないのですよ。効果もないんですよ。効果も規定していないのです。「この場合に政府が負う責任と申しますのは、いわゆる政治的な責任にとどまる」、こういうふうにおっしゃっているわけです。だから、財革法が守れなかった、そして改正の事由に当たらないということ、そういう場合には政治的な責任が発生するというふうに明確におっしゃったわけです。  そこで次の、今審議しております法律、これについても同じような理論が適用されるということで、そうすると、これが守れなかった場合には、総理、これは責任はあるということなのですが、今回はその政治的な責任をだれがとるのか。今回これが守られなかった場合、政治的責任はあると。しかし今度はだれがとるのか。さっきは、あるととるのとは違うとおっしゃいましたが、今回の場合はこれは総理が責任をとられるのでしょうか。
  224. 大森政輔

    ○大森政府委員 先ほどの答弁の補足ということになりましょうか、先ほど私が引用しました答弁部分のその前に「したがって、仮にこの法律案に定める目標が達成されず、かつそれが政府の責めに帰するという場合には、職責、責務を果たさなかったということにはなります。」と、こういう言葉も使っているわけでございます。  なぜこういうことを、ここを強調したいかと申しますと、「それが政府の責めに帰するという場合には、」というところが重要でございまして、責めに帰すべき事由がない場合には、特に効果、責任は負わないというのは、これは民法その他の法律の大原則でございますので、そこを特に強調させていただきたいと思います。  それとともに、この財革法と今回の行革基本法との本質的なといいますか、対象の違いということにやはり注目をしなければならない点があるのではなかろうか。  と申しますのは、財革法につきましては、やはり政府意思あるいは施策によってコントロールし切れない経済というものに関係するものでございます。したがって、法の予定するところが実現できないおそれ、これは当然必然的に伴うわけでございますけれども、今回の行政改革基本法案に関しましては、行政改革推進本部による関係法令等の立案作業におきましては、政府の方でそういう確固たる意思さえあれば必ずこの法案の趣旨に沿った立案が実現できるわけでございまして、万が一にもこの法律案が規定するところに違反するというようなことは想定できないわけでございまして、御心配には当たらないのではなかろうかと思う次第でございます。
  225. 西川知雄

    西川(知)委員 私はその後に御質問をいたしまして、そういう今の長官の発言、これを踏まえまして、政治的な責任というものは、まあこの法律を破ることはないであろうと。  しかしながら、今私が申し上げているのは、万が一これが守れなかった場合にはどうなるのかということをお尋ねしたわけで、万が一守れなかった場合に政治的責任はあるというふうには長官はおっしゃったわけです。  そうすると、財革法については、橋本総理は、政治的責任はあるのだけれども、とるとは言っていない、こういうふうにおっしゃったわけです。しかしながら、今回のこの法律について申し上げますと、(発言する者あり)これはすごく意味があるのですよ。すなわち、これを守れなかった場合、政治的責任はあると、そして政治的責任をとられるのですね。そこだけ確認したいのです。
  226. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私が多分頭が悪いのだと思うのですが、あなたが何を言おうとしているのだかよくわからないのです。  というのは、行政改革を進めたいから、そしてそのためには、例えば独立行政法人に代表されるような現行のシステムにない全く新たな形態を、国の現在抱えております行政の再配分の中において、これは当然ながら地方分権地方に移していくものもあります、官民のかかわりの中で、規制緩和・撤廃等で動くものもございます。また、後でおしかりを受けるといけませんのでつけ加えますならば、事前管理型の行政から、ルールを明確化した上での透明性を持った状況になり、そして事後チェック型の行政に変わる、こうしたものを基盤にしながら進めていく中で、事業庁から郵政公社という形態もこの中で認めていただきたい、国家公務員としての身分でありますけれども、新たな公社形態を模索することを認めていただきたい、あるいは独立行政法人というものを検討することを認めていただきたい、こうしたものを含んでおります。  そして、議員は違反をしたときというお話を大変強調されますけれども、その違反をする状態というのは、要するに行政改革ができなくなるということでありましょうし、私は、一つ一つ部分については、それにかかわっておられる方々の中に既に抵抗もありますし、いろいろなことがあることも承知をいたしておりますけれども、総体としての行政改革を進めていくことについては、国民の御協力は得られると考えております。
  227. 西川知雄

    西川(知)委員 今、非常に重要な議論を私は国民の前でしていると思うのですね。すなわち、この財革法についてさっき法制局長官が言われたことは、私非常に重要なことをおっしゃっていると思うのです。  というのは、政府の責めに帰するという場合に、それでこの財革法が守れなかった場合には、政治的責任が発生すると。例えば、経済状況が変わったというようなことは政府の責任ではない、経済状況が変わるのは仕方ない、だから責任はない、こういうふうに言っておられるように聞こえるわけです。  しかし、私は、さっきの質問のときに、十月二十一日に、社会経済状況というのは刻々変わるのだから、こんなぎしぎしの弾力的な運用ができない財革法なんというのはやめた方がいいんじゃないですかと言ったのに、そうじゃないんだ、守るんだ、特殊な状況、湾岸戦争等がない限り法律は改正しないのだと。  それで、今財政状況経済状況が悪くなったので、弾力条項を入れようとか凍結しようとかいろいろな考えが出てきた、こういうことは、法律が守られなかったということじゃないのですか。守られなかったら政治責任はある、私はこれは当然のことであって、また、政治責任をとらないといけないと当然に思います。  そして、今度の中央省庁再編成の法案に関しても、やはり同じことだと思います。これは、万が一そういうことはありませんと。財革法を審議しているときも、そういうことはないというふうに思われてこれを提案されて、審議をしていたというふうに思います。ところが、去年成立したと思ったら、改正しないといけない、こんなふうになっているわけです。  ですから、私は、今、これが万が一守られなかったらどういうような責任が発生するのか、これを明確にしておかないと、後からまた法律を変えていくということが、これが政治責任のとり方です、そんなふうに言われては、我々何のために議論をしているのか、これは全然わからないというふうに思うからでございます。  ところで、次に、財政と金融の分離ということについてお尋ねをしたいと思います。  四月二十日の池田元久委員も、この財政と金融の分離のことについて質問をされております。ところが、私も議事録を読ませていただきましたが、どうも総理答弁ということが経過だけ御説明をされておりまして、財政と金融の分離ということについて、どういう基準でどういうコンセプトでそういうふうに、現在のような形になっているのかということが私にはよくわかりませんでした。  今、この問題というのは、ことしの一月二十日に、自由民主党、社会民主党と新党さきがけとの間で「大蔵省改革(財政と金融の分離)について」という合意がなされて、その合意に基づいてこの法案にその条項を書き入れたというふうに理解しておりますが、そこで、   金融破綻処理制度ないし金融危機管理への対応に限って大蔵省に担当させるという措置は、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする。ただし、その措置は政府内部で調整を行い、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案業務の内容を明らかにするとともに、その職員配置数は最小限にとどめることとする。 こういうふうな合意がなされて、それに基づいて第二十条第八号に同じように、「金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案については、その範囲を明確に定めるとともに、これに配置する職員の数は、必要最小限のものとする」、こういうふうに法律上規定をされているわけでございます。  そこで、総理にお尋ねをいたしたいのですが、この間の予算を審議いたしましたときに、いつも、この予算案というのは最善のものであるというふうにおっしゃいました。総理、この財政と金融で今こういうふうな形で法律に規定している、これは最善の策であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  228. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、議員自身も引用されましたけれども、この財政と金融の問題につきましては、与党三党間でも大変真剣な議論がされました。また、行政改革会議におきましてもいろいろな議論が行われました。そして、与党三党の意見を行政改革会議として受け、その内容をもって法案といたしております。
  229. 西川知雄

    西川(知)委員 私がお尋ねしたのは、これは財政と金融分離の見地から見た場合の最善の法案ですか、措置ですかということをお尋ねしているので、そのことについてお答え願いたいと思います。
  230. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 でありますから、正確に、与党三党の検討の結果を行政改革会議として受け、法案としておりますとお答えを申し上げております。
  231. 西川知雄

    西川(知)委員 それは経過を御説明になっただけの話で、評価じゃないのです。評価は、これは一番いいと、この方式が財政と金融を分離する方式として一番いいからお出しになったのじゃないですか。どうですか。
  232. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何遍申し上げたらおわかりいただけるかと思うのですけれども、この問題につきましては、財政、通貨の安定あるいは金融システムの健全性維持の相互の関係をどう考えるかとか、あるいは日銀法の改正や金融監督庁の設置をどのように評価すべきかとか、先進諸国における状況はどうか、あるいは国際的な対応をどう確保するか、さまざまな角度からさまざまな議論が行われまして、最終報告としてまとめたもの、それを法律の条文という形に持ってまいりました。  なお、詳しく申し上げますならば、その最終報告の中で、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案というものを今後検討としております。これを受けまして、与党間におきましても御議論がございました。  そして、与党の間における議論の結果としては、既にもう議員が何回か御質問の中で触れられたのですけれども、「金融破綻処理制度ないし金融危機管理への対応に限って大蔵省に担当させるという措置は、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする。ただし、その措置は政府内部で調整を行い、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案業務の内容を明らかにするとともに、その職員配置数は最小限にとどめる」という内容のものになりました。  そして、それに伴って、金融と財政の部分について行政改革会議としての最終報告をまとめ、それを法律条文といたしておるというのが事実でもありますし、問題点を踏まえて、一番正確にお答えを申し上げているのです。
  233. 西川知雄

    西川(知)委員 経過説明は、私も勉強させていただいてわかっているつもりでございます。私が申し上げたのは、その三党の合意は結構です。しかし、それが法律として提出されている。そこで、予算でも提出されたものはいつも最善であるというふうに思って提出されておるわけですから、これは最善のものですね、内閣としてはそういうふうに思って提出をされているのですねということを私は確認をしたがったわけです。  それで、最善のものですねということに対して、最善のものであると、これは予算案のときはしょっちゅうそう言っておられたわけです。最善のものでありますから通してくださいと。そして通った。最善のものであるということについて私はかなり疑問でありましたけれども。ですから今回も、私は、最善のものですねというふうにお尋ねしたら、そうですというお答えがあるのかと思ったのですが、それが全然ないということは、多分最善のものじゃないというふうにお考えじゃないかと思わざるを得ません。  そこで、まず総理にお尋ねをしたいと思うのですが、今こういうふうなやり方で、法律の第二十条の八号に書いてある財政と金融の分離、これはどういうような基本的なコンセプトで、どういう理論でもってこのような形に分離をされたのですか、お答え願いたいと思います。
  234. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 詳細については総務庁長官から担当者として御答弁をいただきますけれども、私は、論議がありました点まで含めて正確に国会に御報告を申し上げております。行政改革というものの性格上、むしろ私見を差し挟まず、行政改革会議の報告というもの、その報告がまとめられるプロセスにおける主要な論点を正確に御報告を申し上げました。
  235. 小里貞利

    小里国務大臣 各省庁のいわゆる再編は、一般的にはもう御承知のとおりでございますが、国の行政が担うべき主要な任務を基軸に、できる限り各省の行政の総合性、包括性を確保いたしました。もう一つは、同一省内での基本的な政策目的の相違や利益相反を排除すること、さらに、省庁間のバランスを確保すること等を基本的な基準として行ったところであります。  先ほど議員の方から特に御指摘がありました財政と金融の分離につきましても、行政改革会議において、こうした考え方を踏まえまして相当な時間も割いて議論をされたところでございますが、財政と金融の一体性の確保が必要か、あるいはまた分離を図るべきか、そのような視点に立っての議論をされた経緯はあります。今後の金融行政のあり方をいかに転換すべきか等の論点につきまして種々の議論が行われ、最終報告においては、先ほど総理の方から説明があったところでございますが、あのような決着をいたしました。  ただ、そのときに、これは議員もよく御承知いただいておるところでございますが、私どもは、あくまで与党三党の意見を十分お聞き申し上げなければならない今日の政治仕組みの根幹はきちんと整理をした上で対応をいたしたつもりでございまして、先ほどの与党三党の意向を云々という総理お話は、その原則から申し上げておるわけでございます。
  236. 西川知雄

    西川(知)委員 お答えに全然なってないのです。私が聞いたのは、財政と金融の分離、これ、分離とおっしゃっていますよね、こういう形での分離というのは、どういうふうな理屈があって、どういうふうなコンセプトでもってこういうふうな形にされたのですかと、それを聞いているのです。これは三党じゃなくて、内閣が提出されたわけでしょう。(橋本内閣総理大臣「だからさっき答えたでしょう」と呼ぶ)だから、そのお答えが、三党の意見を聞いてそのまま、いいかどうかはわからないけれども法案にして提出されたというのか、それともどういうコンセプトがあってこういうふうな法案になったのか、それをお答え願いたいのです。
  237. 小里貞利

    小里国務大臣 大筋におきまして、財政、金融、これは分離ということを考えるべきであるのかな、そういう一つの一般論として議論の過程であったことも事実であります。あわせまして、先ほど申し上げましたように、三党協議が相当積み上げられてまいったことも御承知のとおりであります。  私どもは、少なくとも、金融破綻処理あるいは金融危機管理というその対応の一点においては、当分これは、財政、金融、大蔵省の既存の枠で処理するべきである、こういうような三党の意見もありましたし、また本質的にそうあってよかろう、しかるべきだ、昨今の金融情勢等も背景にいたしながら、さような策定をいたしたものであります。
  238. 西川知雄

    西川(知)委員 私は、答弁を聞いていて、これは内閣の答弁なのか自民党の答弁なのかよくわからなくなったのです。  というのは、そういう経過があったことは、それは十分に承知しております。私も議事録を読ませていただきましたし、全部その辺のことは理解をしているつもりで、そういう議論もあった、分離すべきという人もいた、そうじゃないという人もいた、そういう経過は結構です。ただ、その中から、こういう法律で、この形でやるのが最善であるというふうにして内閣としてはこれを提出されたわけでしょう。  どういう理由で提出されたのですか。どういう理由で、こういう形の財政と金融の分離がベストだ、最善だと思われて法案という形にされたのですか。それはこういう経過があるからそうだ、そんな説明は要らないのです。こういう理屈があるから、こういうコンセプトで考えるとこれがいいのだ、こういうお答えが必要なわけです。
  239. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほど申し上げましたように、一つは三党合意があります。もう一つ行政改革会議の合意があります。あわせまして、それらの最終報告などを内容といたしまして、新しい財務省の任務、機能及び編成方針として本法案に忠実に盛り込むべきが妥当だ、さように思いましたから、行政改革会議の最終報告をこれに盛り込んだ、こういういきさつであります。
  240. 西川知雄

    西川(知)委員 私は、なぜ妥当なのだ、何でも理屈がないとだめですよね。妥当なのは、何で妥当なのかということを聞いているわけであって、こういう経過説明ばかりを聞いているわけじゃないのですよ。どういうことか明確にお答えください。
  241. 小里貞利

    小里国務大臣 金融破綻処理云々の一点において、財政出動等を仮定して、財政出動等を要するようなことがないとは言えない。したがって、財政、金融のこの一点においては、本来の大蔵省、財務省に残すのが、一定期間となっておりますから、当面という言葉を使っていいのでしょうか、妥当であろう、こういうことであります。
  242. 西川知雄

    西川(知)委員 そうすると、ある場面においては財政出動をしないといけないということがあるからこういう形がベストである、そういうふうに考えてよろしいわけですか、それが最も妥当であると。ある場面においては、そのある場面というのが金融破綻処理の場合、金融危機管理に関する場合、こういう場合には財政出動をしないといけない、だから、そういう場合には、財務省の方にこの二つの点についての企画立案の権限を残しておくというのが最善である、こういうふうに理解してよろしいですか。
  243. 小里貞利

    小里国務大臣 財政出動云々のみではございませんけれども、それらのことを中心にして行政改革会議では議論が行われました。その結果、三党から集約していただきました結論と結び合わせることができた、こういうことでございます。
  244. 西川知雄

    西川(知)委員 今非常に重要なことを言われたわけです。そうすると、金融破綻が起きた、また金融危機があった、それは仮定ですよ、そういう場合には財政が出動する、そういう可能性が大いにある、こういうふうに理解してよろしいですか。
  245. 小里貞利

    小里国務大臣 だから私は先ほども、仮定してと申し上げておるわけです。
  246. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、この金融破綻処理とか金融危機管理、この間、三十兆円を導入する金融の安定化法、これができました。また、今度の金融システムの改革法案においては、保険会社が倒産をするような場合、また証券会社が倒産をするような場合、こういう場合には、ある法的な枠組みで、その処理の方法ということについて枠組みをつくる、そういうふうになっております。そうすると、それ以外に、金融破綻処理制度または金融危機管理に関する企画立案というものはどういうものがあるのでしょうか。  さらに、金融安全保障会議、これはたしか第十二条の四項だと思いますけれども、ここには「金融機関等の大規模かつ連鎖的な破綻等の金融危機への対応に関する重要事項を審議する」ためにこれを置くということを書いているのですけれども、そうすると、それにはそういう金融安全保障会議がある、そして今の金融機関、証券会社や保険会社や銀行の破綻に対しての措置というものは今度別の法律でされるということになると、財務省が、まあ大蔵省がやる企画立案というものは、このところではどういうことをやるのですか。
  247. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 既に総理及び小里大臣から繰り返し御説明を申し上げておると思いますが、この基本法で財務省の任務に書いております「金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案」というものは、現在大蔵省が果たしておる機能のうちの一部にも相当する部分があるかと考えております。  与党三党の合意について、この「金融破綻処理制度ないし金融危機管理」の意味するところがどんなところであるかということでございますけれども、私ども、直接事細かにこれを記録し、確認しておるわけではございませんが、例えば、金融機関等の大規模かつ連鎖的な破綻、金融機関等からの一般企業に対する急激な与信の縮小、資金供給の大幅な制限または金融機関相互の与信や資金融通の縮小など、金融市場が十分に機能しないために経済国民生活に著しい影響を与えるというような事態の発生が予見されまたは発生した場合において、これを回避または処理するための制度及び措置をいうものと考えておるわけでございます。こういう事態等に対する制度、措置について企画立案を行う機能、そういうものをこの言葉で指しておるというふうに考えております。
  248. 西川知雄

    西川(知)委員 この問題はまだまだ詰めたいところがたくさんございますけれども、さっき申しましたように、経済財政諮問会議のことと国税のこともちょっとやらないといけませんので、そっちをやらせていただきます。  まず、経済財政諮問会議のこと、これについて、やはり池田議員が四月二十日に質問をしているわけですが、そのときに総理は、民間等の学識経験者の意見、これを予算編成の中に生かしていけるということが今まで制度としてはなかったけれども、こういうことがあるから、こういう制度というものは大変重要であるというような旨の発言をされております。  ところで、私は、今までも民間等の学識経験者の意見をいろいろとお聞きになった上で予算というものは編成をされてきたものとばかり思っていたのですが、総理、それは違うのでしょうか。
  249. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この経済財政諮問会議は、今回の基本法案で規定をしております内閣府というものが新たに設けられ、この内閣府は、内閣官房を助けて、国政に関する重要方針について内閣総理大臣の指導性を強化する観点から総合調整等を行う、そういう場として設けられておる、そういう任務を持った内閣府に、その機能を果たす上で組織的に埋め込まれたものということになるわけでございます。  御指摘のように、これまでも政府がいろいろ財政政策を講じ、あるいは検討していく上で、さまざまな機会にいろいろな方々の御意見を伺ってきたことはあると思いますけれども、このような形で組織的に位置づけ、埋め込んだというところは、全くこれまでと違うと私どもは考えております。
  250. 西川知雄

    西川(知)委員 今、官から民へというようなことをみんなで言っているわけです。こういう、これからの行政機構をどうやって持っていこうかというようなことは、非常に重要な国民的な話でございまして、橋本総理もこれを火の玉になってやるというふうにおっしゃっているわけですから、答弁はお役人に任せないで、ぜひ御自分の判断でお答えをお願いしたいというふうに思います。  ところで、経済財政諮問会議というのは、審議をして、必要な意見を述べることができるというふうにしておるだけで、当然決定機関ではないわけです。そういう決定機関でない場合には、今までとどういうふうに、具体的な、実質的な内容として違うのでしょうか。今度の新しい機関として設けるということは今の説明でわかりました。しかし、そういうふうに設けたことによって、実質的な内容というものはどういうふうに変わってくるのでしょうか。これをお尋ねしたいと思います。
  251. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほども若干申し上げたわけでございますが、経済財政諮問会議は、国政運営に対する内閣総理大臣の指導性を強化する観点から、内閣官房の総合戦略機能を助ける、いわば知恵の場として新たに設置される、内閣府に置かれるものでありますから、内閣の統括のもとに置かれる機関とはおよそその位置づけが違う、私はさように思います。  また、その構成員も国務大臣等を含むものでありまして、現在の、先ほど若干話が出ました経済審議会や財政制度審議会とは位置づけが根本的に異なってくる、さように思います。  なおまた、今申し上げましたこのような審議会等とこの財政諮問会議との任務の重複するところはこの諮問会議に吸収される、そういう一つの原則を確立いたしております。
  252. 西川知雄

    西川(知)委員 今知恵袋というふうにおっしゃったわけですが、ここで、構成員はだれかと申しますと、内閣総理大臣、国務大臣、関係機関の長プラス学識経験を有する者ということで、恐らく今までと違うのは、学識経験を有する者が知恵袋であるというふうにおっしゃっているのだと思うのです。  私は、質問は、そういう人たちが入るのはいい。だけれども、当然のことながら今までもいろいろな意見を聞いて予算編成方針というものは考えてこられたのであろう。それならば、今までと形式は違う、しかしながら実質は同じじゃないのでしょうか、決定権がないわけですから。審議をして、必要な意見を述べて、その場合、その意見というものがよければ、当然のことながら方針として採用されるということもあると思います。しかしながら、それは今までと全く同じじゃないか、どこが具体的な内容として違うのか、それを私はお尋ねしたいわけです。
  253. 小里貞利

    小里国務大臣 まず私の方から説明申し上げまして、足らざるところは事務局の方から申し上げます。  およそ内閣総理大臣あるいは内閣の重要な基本方針あるいは総合的戦略の補佐、支援を直接的にする、その内閣府の中に置かれる一つの機関でありますから、これは重要な一つの任務あるいは権限を持ったものである、さように判断をいたす次第です。
  254. 西川知雄

    西川(知)委員 ちょっと私の質問に答えていただいていないと思うのです。  内閣府に置くというのはよくわかりました。また、学識経験者も機構の構成メンバーとしてその中に置くということもわかりました。しかしながら、そういうことによってどう今までと違うのですか、今までとどこが違うのだ、具体的にどういうふうに権限が強化されるのですかということを私はお尋ねをしたがったわけですが、これはまた近々やらせていただきます。  ちょっと国税のことについて質問をしたいと思います。  国税庁のことについてはいろいろな議論がされていまして、やはり、「徴税における中立性及び公正性の確保を図るため、税制の簡素化を進め、通達への依存を縮減するとともに、必要な通達は国民に分かりやすい形で公表すること。」こういうふうになっています。  私も、こういう税金の関係の仕事を、金融ビッグバンにかかわるような仕事をずっとやってまいりましたので、この通達の多さには非常に悩まされたわけです。現在六百三十本ぐらいの通達があるということでございまして、今、実務の税法の六法を持ってまいりましたが、法令の厚さは、総理、これぐらいなわけです。ところが、通達もこれだけあるわけです。だから、法令がこれだけで、通達がこれだけだ、同じぐらい見ないとわからない、こんな状況が現在の状況でございます。  しかもまた、私、ここで一つ申し上げたいのですが、これから金融ビッグバンというものがますます日本経済を活性化させるというふうに言われておりますが、この税務の、また国税庁の法律、新しい商品に対する考え方というものを改めない限り、私は、実質的な金融ビッグバンというのは絶対に起こらないというふうに考えております。  というのも、これは何回かいろいろな委員会で申し上げました。新しい商品が入ってくるということになると、どういうふうな税務効果があるかということを、その商品を扱う企業または弁護士、公認会計士等が国税庁または主税局に聞きに行きます。そうすると、新しい商品ですからよくわからないというので、これは難しいですね、もっと資料をくださいと。そして資料を渡す。まだ見ても、そんなのよくわからない。  例えば金融デリバティブなんかというものは、数学を使って非常に難しいです。そして、これがどういう仕組みかというのはなかなかわからない。これはわからなくて本当に当然なんです。わからないから、これはどうですかね、こういうふうに言うわけです。どうですかねと言われた場合には、これは課税がされるかもしれない。しかも、どれだけ課税されるかも全然わからないということで、外国から新しい金融商品を持ってきた人は、日本の投資家はこれでは買わないなと。また、何カ月も待たされるわけですから、そのときに金利、経済状況は変わりますから、もうその商品は日本では役に立たないということになって、ほかで売ってしまうというのが現状なわけです。  この点については、個々の例えば国税庁のお役人さんとか大蔵省の役人がこれを見たってわからぬ、それは当たり前なんです。そこで、そういう金融商品が日本に入ってくるためには、例えばアメリカのようにいわゆるアドバンスルーリング、こういう金融商品については税務上どういうふうな課税関係が発生しますか、どういうような方向なんですか、売買なんですか、金融なんですか、リースなんですか、そういうふうなコンセプト、アイデアを、アドバンスルーリングによって事前に投資家なり金融商品を扱う人に知らせる。そういうシステムがない限り、後追い後追いで幾ら税金がかかるかわからない、新商品ですから、今までと典型的に違いますから。  そういうようなアドバンスルーリングをつくって、しかも、それを個々の役人が判断するわけではなくて、そういう専門家たちの、例えば諮問委員会なんかをつくって、そこで、こういうふうなアドバンスルーリングでやりますとか、これはこういうふうに解釈されるでしようとか、そういうようなことを言っていくということが非常に重要だ、これからの金融ビッグバンを控えて日本の税の透明性というものを国際社会に明らかにする、これが私は非常に重要なことだと実務的に思います。  というのは、いろいろな外国の銀行、金融機関の人、日本にいる人に聞きます。そうすると、どんな規制自分たち、毎日の日常の業務で感じるかといいますと、保険の業務はちょっと別にしまして、そんなに、外国だからといって、外国と違ってめちゃくちゃ差別されているとか物すごい規制があるようには感じない、しかしながら、本当に重要で、一番最も感じるのは税だ、税が幾らかかってくるのかわからないようではとても、市場がオープンになったといっても日本で新しい商品は売れない、こう言うわけです。  ですから、強く私は、今申し上げましたようなアドバンスルーリングというものを、ぜひそういうシステムとしてつくっていただきたいというふうに思いますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  255. 松永光

    ○松永国務大臣 委員御指摘のように、新しい金融商品についての課税上の取り扱いを明確にすること、そして取引参加者に課税上の予測可能性を与えるということは極めて重要なことだと認識しております。また一方、ビッグバンによって複雑かつ多様化した商品が開発されることが予想されるわけでありまして、それに対して適正な課税を確保することも重要であります。  したがって、委員御指摘のアドバンスルールという枠組みそのものではありませんけれども、国税庁において、取引参加者に対して予測可能性を与えるとともに、適正な課税を確保するという観点に立って、新しい金融商品に関する税務上の取り扱いを定めるべく現在作業を進めておるところであります。  新しい金融商品に関する税務上の取り扱いが明確化されることによって、取引参加者の課税の予測可能性も高まり、適正な申告も確保される、こういうふうに考えているところでございます。
  256. 西川知雄

    西川(知)委員 一つ、私の経験から事実を指摘しておきますと、例えば航空機のファイナンス、これは日本の投資家または日本の銀行、これが大いに世界の経済、航空業界に役に立って関与をしているわけです。そのときにレバレッジド・リースというコンセプトがございまして、そういう取引をやる。しかし、これは課税上弊害のあるものがたくさんあるということで、国税庁そして大蔵省とリース事業協会とがいろいろな形で協議をしてきたわけです。  そこで、私は、その経過をずっとそばから、私もそういう仕事に関与しておりましたので、見ておりました。そのやり方というのは、リース事業協会の会員に対してリース事業協会の方から自主規制をさせる、その自主規制をさせたものを国税庁が認めた、そういうふうな扱いにしているわけです。そして、国税庁は、これは自分たちは何も言ってない、自分たちは通達も出してないし、そ  の点については見解も出してない。しかしながら、実際にはこういう方法でやったらそれはオーケーですよということを言っているんです。  しかし、これは非常に不明確で、そして基準がどこにあるのかわからないということでございますので、こういう事実を踏まえて、通達行政と言っておりますが、通達行政よりもさらに隠れたやり方で今まで業界を指導してきたということ、これが税の実態であるということを私は認識をしていただきたいというふうに思います。  そこで、それに関しまして、国税不服審判所のことについても若干触れておきたいと思います。これは、課税関係でいろいろな問題があった場合、ここで不服審判がされるわけです。異議申し立てというのがありまして、それを前置主義にしまして、不服審判所で審判がなされる、こういうことでございますが、これが、審査をされる方が大体国税庁から出向された方とか国税関係の方なんですね。  そして、これについては、どういう問題点かということについて、更正・決定に対して異議申し立てをします。そうすると論点があります。それを争点というわけですけれども、その争点だけを議論すればいいのに、そうじゃなくて取引全部を教えてくれと。いわゆる総額主義という。そしていろいろなところをつつくわけです。そして、これは全体から見て、課税の実質から見て、これはやはり更正・決定というのも正しかった、こんなふうにやっていくわけですね。  それで、国会の附帯決議で、ちょっと時期は忘れましたけれども、総額主義じゃなくて争点主義でやりなさい、問題点だけを議論しなさいということがあるんですが、実質課税の原則ということが、自分がそもそも国税庁の職員であったために、そういう国税庁寄りの考え方で実際のところその異議申し立てなり審査請求を見ているというところが現実としてあるわけです。  ですから、私は、国税不服審判所を、もっと構成員を中立、公正な人たちにしてもらいたい。そうじやなければ税の公正さ、公平さというものは保たれないんじゃないかというふうに思いますが、その点についての大蔵大臣の御見解なり決意なり御意見をお願いします。
  257. 舩橋晴雄

    ○船橋政府委員 お答え申し上げます。  現在の国税不服審判所は、司法当局による司法救済に先立つものといたしまして、行政部内に、納税者の正当な権利、利益の救済を図るために、執行機関である国税局あるいは税務署から分離された別個の機関として設けられているわけでございます。  今、国税不服審判所の中立性を高めるために審判官等に民間人の登用を促進すべきでないかというようなお尋ねがございましたけれども、審判官などにはこれまで外部から裁判官、検察官、大学教授などを任命しておりまして、特に審判所長初め大規模支部である東京、大阪の首席国税審判官という枢要な地位には裁判官、検察官出身者がついているわけでございます。また、今後とも税務部外からの適材が得られるように努力をしてまいりたいと考えております。  それから、総額主義、争点主義のお尋ねがございましたけれども、国税審判所においての事案の検討に当たりましては、納税者の権利の確保という観点から全般的な見直しをしているというふうに聞いております。
  258. 西川知雄

    西川(知)委員 裁判官等が枢要な地位についているというのは私も知っておりますが、こういう人たちは中での行政をやられるだけで、実際の案件についてはタッチをされていないというのが現状でございますので、私の申し上げるのは、実際に審判をされるそういう方たちは、国税の方じゃなくて、民間から、またさっき言いました法曹界からどしどしと登用をしていただきたい、こういうふうに私は申し上げているわけでございます。
  259. 松永光

    ○松永国務大臣 委員お話でございますが、結局、行政内部の不服についての審判をするところで、それに不服があれば、一般裁判所にこれは提訴できるわけでしょう。そういう感じになっておるわけでありますから、したがって、一般の裁判所の、不服申し立てをして最終判断を仰ぐいわゆる裁判とは少し異なっているような感じがいたしますが、しかし、望ましいことは、今委員の御指摘のような不満というか不信感、そういったものができるだけ少なくなるような努力は、これは続けていかなければならぬだろう、こう思います。
  260. 西川知雄

    西川(知)委員 私の持ち時間が終わりに近づきましたので若松議員に譲りますけれども、先ほどの財政と金融の分離、どうして今のような形の分離というものが最善なのか、また、その内容というものは、もう少し具体的に、どういうものかということについては、また別の機会に詰めさせていただきたいと思います。  私の質問を終わります。
  261. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、若松謙維君から関連質疑の申し出があります。西川君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。若松謙維君
  262. 若松謙維

    ○若松委員 新党平和の若松でございます。きょうは、橋本総理と平和にやりたいと思います。  では、きょうは、それぞれ、同僚議員がさまざまな観点から今まで質問して、答えていただいております。  その前に、実はきのう、C−NETというのがありまして、総理、御存じですか、C−NET。アメリカにC−SPANというのがありますね、国会中継二十四時間。これが、既にパーフェクTVの番組に入っておりまして、朝八時から九時まで、国会議員ならだれでも、希望があれば参加して、テレビで直接やりとりをする。その中で、電話が来ます、一般の方から。それで、画面を通して対話をする。たしか、四月から始まりましたので、私が国会議員で十二番目。総理国会議員ですので、資格があると思いますので、ぜひ機会があったら出ていただきたい。  そのときに、二つ、東京の御婦人からいわゆる質問、要求がございまして、まず一点目が、ちょうどこの行革、私も理事をやっておりますから、その件に関しての質問だと思いましたけれども、先ほど岩國議員が御質問したような、十年間で十分の一の公務員の減少は少ないのじゃないか、そういう率直なおしかりがございました。もう一点目は、行革、コスト削減が実際に見えない、果たして、そのためにこういう法律をつくっているのですかね、そういう御指摘もございました。これは、もう何度か議論しておりますので、とりあえず触れるだけにさせていただきたいと思っております。  そして、きょう私が議論させていただきたいのは、行政の関与のあり方、これは昨年来、いろいろと行政改革委員会の方で答申等が出まして、それをもとに今回の法案ができているわけですけれども、この点について確認させていただきます。  その前に、いろいろと今議論しているわけです。なかなか大きな法案なんで、話があっち行ったりこっち行ったりという面も否定できないと思います。ただ、この法案が万が一不十分である、こういう方がベターである、そういうことであれば、この改革法案の修正というものは、総理として意思としておありになるのか、ちょっとそれだけ確認したいんですけれども
  263. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、正面切って聞かれますと、非常にお答えに困る話なんです。というのは、政府とすれば、先ほど来西川議員からも御議論がありましたけれども、提出をする以上、これがベストだと申し上げるわけですし、また、事実、我々は議論を尽くしている、行政改革についての議論行政改革会議で尽くしてきている、それなりにみんなの努力をした結果、この中ではベストと思われる意見をまとめてきました。  しかし、少なくともその上で、二十一世紀というものを見据えて私どもが模索をしていくわけですから、よりすぐれたものというものは、当然のことながらあり得ると思います。そして、岩國議員との先ほどの議論でも、この行政改革というものと切っても切れない縁にある公務員制度の将来像について、私は、今のピラミッド型が将来は円筒形あるいは少なくとも台形のような形に変わるのじゃないかということも申し上げました。そういう変化をもし考えるとすると、その影響だって実は出てくるわけです。  ですから、ただ、私どもは、これはまさに進めていくためのその手順と方向性を示した法律案ですから、そして、まさに、独立行政法人のように全く新たな方向もこの中に組み込まれておりますから、この法案は、私は、本当に早く通していただきたい、そして作業にかかれるようにしていただきたい、そして、それぞれの具体法でまた御論議をいただきたい、率直にそういう気持ちを持っております。
  264. 若松謙維

    ○若松委員 いつも予算委員会で、提出された予算はベストだ、この繰り返しで、実際、議論の修正の余地がない形で予算委員会がありますので、この法案は違う、私はそれを確認したかっただけなんですね。  ですから、またこれで時間をとるのもむだですから、それをあえて申し上げて、本題に入らせていただきます。  ちょうど皆様に資料を配らせていただいております。これは、サッカーの前半、後半、トータルの表じゃございません。これは、先日、大口委員質問でも触れましたけれども、再度、これは大事な話ですので、ちょっと図を使いながら確認をしていきたいと思っております。  まず、従来の設置法行政なんですけれども、いわゆる行政の関与のあり方、さらに規制緩和、これはすべて関係している話なんですね。それで、今後の中央省庁再編に当たって、各省設置法のいわゆる改正案が具体化するわけです。その設置法の見直しについて、やはり一つの方向性というものをこの段階で確認しないと、本当にこの法案を通していいものかどうかわからない、そういう観点から、ちょっと話を進めさせていただきます。  まず、これは当たり前のことなんですけれども行政が、いわゆる監督ですね、監督等を通して民間に影響を及ぼす、これは当然、法治国家ですから、法の権限があってしかるべき。大蔵省が銀行を監督する、これも当然、銀行法等があって大蔵省が銀行を監督する。ですから、これは、別に大蔵省が銀行より偉いから監督するというわけじゃなくて、法律に基づいて監督する、そういうことですね。  では、こういうふうに個別の法律をどんどん束ねていく。ちょうど石垣議員のときに、かなり通達が出ているというお話ですけれども、通達は法律じゃありません。そして、個別の法律があるわけですけれども、この法律はこの分野を規定している、この法律はこの分野を規定している、そういうふうにやりますと、当然、法律で規定されないすき間が出てくるわけです。このすき間に対して、現在の日本行政は、結局、設置法という非常にぼわっとした言葉を使って、それを根拠にして行政指導を行っている。現実にあの何千本という通達が出されている。そういう官庁の、法律に基づかない、いわゆるあいまいな裁量権、これが今大きな問題になっていると思うのです。  では、例えば、今のある分野を、例えば環境庁なら環境というところで設置法をつくりまして、それを所管とする。ところが、非常にグレーなところも、これは環境だからということで、実際に個別の設置法に書かれていなくても、先ほど言いましたように裁量権みたいな形で行政の権限を行使してしまう、これが今の設置法行政の問題点だと思うのです。  では、実際、この日本の設置法の行使の仕方というのは、世界でのグローバルスタンダードではなくて、やはりこれは日本の独特のものだと思うのですね。戦前の例えば天皇制ですか、天皇の官吏という方、そういったところの役人、それが全部日本全体を丸抱えにしまして、例えばこういう、これが日本の全部です。これを、いわゆる漠然とした表現で、設置法で大蔵は大蔵、通産は通産、この四角が日本だとすれば、一〇〇%どこかの官僚の権限の中に把握されている、管理されている、これが日本の設置法のあり方だと私は思うのです。(橋本内閣総理大臣「これは通達や何かも入れてでしょう」と呼ぶ)通達も入れてです。そうです。  ところが、私がイギリスで四年間勤務したときに、会計事務所ですからさまざまな企業が日本から来ます。日本のビジネスマンは、どこに届け出したらいいですかと必ず質問されるのです。そうすると、レストランでさえ、消防署は必ずやらなくてはいけません、それ以外は実はどこにもないのです。届け出は必要ないのです。自由に商売ができるのです。私はこれがイギリスかなと思ったら、アメリカもそうですね。基本的にこれがグローバルスタンダードなんですよ。  それで、イギリスでも一つだけ例外がありました。建設会社ですね。建設会社は、建設省に届けるのじゃなくて、下請を使っていわゆる代金を源泉徴収していろいろと下請に払う、その源泉徴収を大蔵省、国税庁に届けているのです。それで建設業ができる。あとそういった届け出はありません。  ですから、こういう形じゃなくて、これを日本全体としますと、この丸いところ、これがこれからの中央省庁再編後のいわゆる設置法のあり方、私はこういうふうに理解するわけです。ですから、役所の権限を明確に限定する、当然その一環としての規制緩和もある、こういうふうに理解しておりますし、設置法改正にはまさにこれを明確に文言として記すべきだ、こう解釈します。  ですから、ここで総理にちょっと質問したいのですけれども、では、今説明した流れの中で役所の権限を明確にしていく、これが今後の官民のあり方、いわゆる官から民へ、国から地方へ、さらに規制緩和、これを進める上で最も大事なポイントであって、かつ行政改革のかなめだと思っております。  ちょっと長くなりましたけれども、そこで、その意味におきまして、省庁再編に当たりまして、設置法の権限規定を、設置法にある権限規定ですね、今は所掌事務と権限規定と一緒になってしまっているのですよ。ですから、この権限規定を削除する、そして設置法のあり方を抜本的に見直す、これは非常に重要なことだと思いますけれども総理、この点についてどうお考えでしょうか。かなり説明が長くなりました。
  265. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、逆に、この図面をまとめられるに当たって、むしろ四年間の英国での勤務をベースにされた、それを聞いて、なるほどこの図面が出た理由がわかりました。  八一年に、私は、土光臨調の発足直後、イギリスの行政改革を調べようとして随分てこずりました。成文法による役所、慣習法による役所、しかもできた時代によって形態が全く違う、ほとほとてこずりましたが、そのとき、議員が述べられたと同様に、法人企業等にも聞いてみましたとき、例えば環境基準をどう自分たちで守るかといったことでも、法的なルールというものはない、その企業が最善を尽くしてここまでやりますと言ったものがそこの基準になる。やはり慣習法の世界だなという感じをしみじみ持ちました。その意味で、私は、この図が非常にある意味では将来目指すものを象徴的にあらわしていると思います。  ただ、その上で、日本は実は慣習法の国ではございませんし、合衆国と各州のような、州権と国権のぶつかり合いといった状況の中で国の法律に対し場合によっては地方の方が優越する場合もあり得るような仕組みとは、私はやはりちょっと異なると思います。ですから、そういうことを考えてみますと、議員が言われるように、これから先、規制というものに対して、何といっても事前の規制から民間の自由な意思、そしてその意思に基づく行動、活動を重視したものに変えていくとか、説明責任の明確化だとか、こうしたものはこの基本法にもうたっておりますように必要なことだと思いますし、当然ながらその規制そのものを縮小していく努力、言いかえれば権限というものに対して常に厳しくなければならないということは、私は否定をいたしません。  しかし、やはり同時に、行政機関の行為というものをきちんと明確にしていく、その行動の限界というものをはっきりさせるためには、私は、権限と所掌事務というものは一体的、有機的にとらえる必要はないだろうか。あるいは、非常に複雑多岐な行政機関に求められるその活動のすべてに法律上の根拠を、逆に言いますと根拠法をすべてに必要とすることになりますね、それは実際上、非常に面倒くさくなりはしないか。実際的あるいは適切かという点からは、私はのっけから否定するのじゃありません、十分な検討を必要とする。むしろこういう白地のできる形というのが望ましいが、やはり慣習法の国のイギリスの場合と成文法の国の日本との法体系の差というものは考えられてしかるべきだと思います。
  266. 若松謙維

    ○若松委員 今、総理が、まさに成文法と慣習法、この違いでいわゆる行政改革規制緩和等をどのように進められるか、長年の政治経験で簡潔にまとめられました。  では、先ほど言いましたように、日本は白地にすべきだ、いわゆるこれがやはりグローバルスタンダードだと思うのです。そうしますと、そのために先ほどのいわゆる届け出制とか事前規制というものはやはり廃止されるべきだと。廃止されるという言い方はされていないと思うのですけれども、いずれにしても、現在の事前監視から事後監視ルール、これの行政への移行というのもはっきりおっしゃっております。当然、これは金融行政だけではなくて、行政全般ですよね。それはお認めになっております。では、私、いろいろと……(橋本内閣総理大臣「正確に言うなら、経済規制」と呼ぶ)はい。では、それについて、そのイメージというのですか、ぜひちょっともう一度語っていただきたいのです。
  267. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、経済規制については本当に撤廃に近いぐらい見直していかなければならないと思いますし、例えば、今、許可あるいは認可にかけておりますものが少なくとも届け出で済むとか、ルールを明確にした後でどんどん変えていかなければならないと思います。ただ、治安、国民の安全を守るといった、これは極端な例を引いて恐縮ですけれども、例えば道交法の規制だとかあるいは社会的な規制全般ですね、麻薬、覚せい剤も含みましょうし、こういうものはこれは別です。私は、やはり安全を守るために必要な規制というものはルールとして我々は持っていく、ただ、その規制もやはり明らかなものでなければならないと思います。
  268. 若松謙維

    ○若松委員 今総理が、社会規制経済規制を立て分けられて、基本的に経済規制は全廃したい、社会規制は当然必要なものとしては残すと。私は、どちらかというと経済規制の方に話を集中したいわけですけれども、この経済規制でも、総理が目指される事後監視型ルールというのですか、今の規制緩和というのは従来の、先ほどの一〇〇%行政に仕切られている日本、こういう形でいわゆる通達行政としてすべて規制されていた、いわゆる事前チェックですね。それを事後チェックというのは、これは一連の流れというよりも、事前から事後に変えるには何らかのフィルターを通して、要は従来の事前のものは基本的には廃止しなくちゃいけない、整理しなくちゃいけない、新しい事後監視型の形のものにやはり変えていかなくちゃいけないということで、一連の流れの改革では無理だと思うんです。そうしないと、少しずつ従来の事前型規制を減らす、そういうことで実際実効性は、今本当にやらなければいけないのは、例えば経済規制に関しては、従来のものを、戦後築いてきた事前チェックは全部この際なくして、新しい時代のルール監視型の事後チェック規制行政ですね、新しい法律で新しい規制をつくらなくちゃいけない、私はそう考えるんですけれども総理、どういうふうにお考えですか。
  269. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、たまたま通産大臣のときにJIS、JASの国際化に着手をしました。ですから、私は逆に、議員が言われるように一遍で全部やめてしまってと言われると、多少その移行期間とかそういう変なところに、現実にやってきた者として、こういうところ大丈夫かなと思う感じがあります。  その上で整理をしてまいりますと、今申し上げましたように、経済的な規制を原則自由にしていく、そう言いましたときにやっていかなきゃならないことの一つは、今、官が行っている規制の中で本当に、検査などを民間に移しかえて民間の自主ルールで検査をしていっていいものというのが当然あると思うのです。こういう視点が一つあります。  あるいは許認可の対象になるものでありましても、その審査基準を明確化、具体化、できるだけ数値化を図る、裁量的な要素を減らすことによって内容を明らかにし、簡素化するという手法があります。  そして、今JIS、JASで申し上げましたけれども、国際的な整合性というものがあります。ここには、基準あるいは規格、検査、検定という中で、外国データの受け入れの問題というものを相互承認の制度の導入とともに我々はやらなきゃなりません。これは、日本としてやはり相手側のデータを受け入れる限りにおいて我々のデータも相手の国に尊重されなければなりませんから、この相互承認制というものは私は非常に大事なことだと思います。  もう一つ大事なことは、実は、規制に関連する手続をいかに速やかに行うか……(若松委員簡素化ですね」と呼ぶ)はい。それから、審査期間を短くするということです。そして、何よりもやはり手続を透明化する、いわゆる規制を制定するにしても改廃するにしてもパブリック・コメント手続などをきちんと行う、こうした視点が私は必要だと思っております。  実は、本委員会におきましてもこうした部分についてお答えをしてきたつもりですが、きちんと整序した形で御答弁をする機会を与えていただきまして、この機会に改めて申し上げます。
  270. 若松謙維

    ○若松委員 大体お話ししていると、先ほどのコモンローまたは成文法ですか、これのなれの問題もあると思うのですけれども日本のこのがっちりした成文法でどういうふうに規制緩和なり、先ほどの白地をつくっていくのか。なお、考え方としては総理とほとんど同じだと思います。  そうしますと、先ほどのルール行政、今おっしゃった、例えば官の検査ですか、JASとかJIS、これは日本の工業技術院、これがいわゆる官が抱えているというのは世界の先進国ではもうほとんどないと思います。もうほとんど自主規制というか業界に任せてしまっている。まだまだ日本はそういう状況にある。やはり官チェックというか事前チェックなんですね。  だから、総理が目指されているいわゆる事後監視型ルール行政、これに早急に、世界のグローバルスタンダードがもう急速に進んでいる中で日本規制緩和なり行政緩和を、ああいうものをいかに早くなくして事後監視型に進めるか。このプログラムというのが、実はちょっとこの法律を見ていても、私、見えないのです。  さらに、地方分権は推進法がありますけれども規制緩和に関しては、いわゆる基本計画で何年とか項目ばかりで、その変化、変化のときのプロセスというのが見えません。それについて総理としてどんなイメージを持っていらっしゃるのか、お答え、難しいと思うのですけれども
  271. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに、これは大変統一したルールのつくりづらい話だなと率直に思います。同時に、例えばWTO整合性といったような議論、これは国際的にも現在我々自身が受け身で行っておりますものもあります。むしろ相手側にルールを求めているケースもございます。  そして、規制緩和という言い方一つに対しましても、例えばアメリカが求めるもの、EUが求めるもの、ASEANを中心としたアジア諸国が求めるもの、イメージはそれぞれに異なっております。その中で、日本日本自身のためにやるんだと言いながら規制緩和というものは進めてまいりました。それだけに、問題によりまして国際交渉と密接に絡んでしまい、例えばオープンに御議論いただきましてもなかなかお答えのできないようなものもあります。あるいは、まさに国内の慣習からなかなか動かない種類のものがあります、社会的慣習とでもいいましょうか。そして、もう一つ問題なのは、官の規制ではなくて、俗に民民規制と言われるようなものがあります。  こうしたものがすべて入り組んでおりますだけに、先ほど私は、これからの見直しの一つルールのような、重視するポイントについての考え方を申し上げましたけれども、このような考え方で臨むという以上になかなか申し上げにくい。  そして、例えば需給調整、将来これは確実に見直していく方向のものでありますし、そうした視点から論議をしていくものは当然のことながらあるわけですが、例えば、けさ、情報通信について本部を久方ぶりに開催しまして、民間の方々からも意見を伺いました。我々は、実は、戦略的にある程度守っていかなきゃいかぬ分と打って出なきゃいかぬ分と両方あるわけです。  そうすると、この世界については、率直に言って、例えば分権推進計画のような一つの形をとるというのはなかなか難しい。ある程度の類型をもってお答えをすることはできますけれども、現実問題として、非常に微妙な問題を、特にウルグアイ・ラウンド絡み等の問題になりますと我々としてもセンシティブに議論をしなければならない問題が国際的にも国内的にもあるということだけは御理解をいただきたいと思います。
  272. 若松謙維

    ○若松委員 やはり規制緩和総理、現実には難しいですよね、この日本の社会では。(橋本内閣総理大臣「いや、結構進んでいるのですよ」と呼ぶ)いや、進んでいますけれども、数が減っている、だけれども、石田議員もおっしゃっていましたけれども、最終的に数はふえている、ちょっとふえたのですよね。(橋本内閣総理大臣「だから届け出とかというのに変えていってね」と呼ぶ)届け出。いわゆる基本的な従来の事前チェック型は変わっていない。なかなか変わっていないんですよ、現実には。総理は違う認識だと思いますよ。  例えば総理のお考えでも、いずれにしても、では具体的にどうプログラム化するか、いかに事後監視型の規制システムに持っていくか、恐らく今でも悩まれていると思います。(橋本内閣総理大臣「もちろんそうです」と呼ぶ)ええ、悩まれているのですよね。  私どもも実は議員立法で検討しようと思っていたのが、経済規制ですけれども、結局、従来のいわゆる事前チェックの規制はやはり一度廃止して、経済、原則規制なしということですから、新しい形のものにつくっていく。当然、これは先ほどの民民規制という形での公正取引委員会があるわけなんですけれども、いわゆる事後監視型になりますと、公正取引委員会役割というのは重要になると思います。  これは一つ御提案なんですけれども、公正取引委員会は、現在のこの法案では総務省に置かれているんですね。総務省は財務省とかと同列です。ところが、今後の市場ルール型の経済社会では、公正取引委員会の重要性というのはますます大きくなると思うのです。かつ、多省庁にまたがる。そうすると、すべての経済的な活動に対して何らかのチェックをしなくてはいけない。これからのチェックは、民民チェックもそうなんですけれども、官が民に対して口を出していることをだれかがチェックしなくてはいけない、そういう時代になると思うのですね。それを公正取引委員会にも機能として持たせて、かつ公正取引委員会を総務省じゃなくて、その一つ上の内閣府に持たせてさらに強力な権限というものを付与してしかるべきじゃないか。そのくらいやらないと、反対に先ほどの白地の部分がふえないのではないか、こう思うのですけれども総理どうでしょうか。
  273. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は別に固執しませんけれども、今の総務省に接する形というのは非常に素直な形だという気持ちを持ってまとめました。議員のような御意見も論議の中にありました。そして、その論議の結果として最終的に総務省に附属をさせました。  ただ、公正取引委員会の機能がより強くならなければならない、それはその官と民との関係だけでなく、むしろ官が規制を外し、撤廃し、自由に民間の行動を動かせるようにすればするほど、実は公正取引委員会の、ルールをきちんと民間として守っていくかどうかのチェック機能は必要になります。そして、公正取引委員会の機能強化という視点からの御議論には、私は全く異論がありません。むしろこれは私、もともとの持論ですから全く異論がありません。  その上で、内閣府に位置づけるべきかどうかとなりますと、私は、公正取引委員会というまさに組織の性格から、逆にその強さが反対に出てしまいはしないか、バランスをとる上で総務省の方がよいのではないか、私はそう思います。
  274. 若松謙維

    ○若松委員 この問題、また議論させていただきたいと思いますけれども、確かにバランスです。これは主張だけにさせていただきますけれども、官の民に対する介入をだれがどういうふうにチェックしていくか、これはぜひ今後も内閣として検討していただきたいと思います。  それで、これは再度確認になりますけれども中央省庁改革推進本部、第五十九条の二項に、この「本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。」いわゆる第三者に対するこの行革会議の中身を忠実に法案に盛り込んで、かつそれを実行して先ほどの設置法等の改正につなげていく。ところが、この五十九条の条文は必要な協力を依頼することができるのですけれども、これは私は必須ではないかと思うのです。第三者のチェックがなければいけない。  というのは、この法律は、最初に本部長総理です、副本部長小里長官ですか、さらに本部員ですね、皆様、閣僚、そして幹事、さらに事務局、こうなるわけですけれども、だれが先ほどの設置法等が行革会議の趣旨をしっかり体して、そのまま忠実に実現するか、第三者チェックがやらなければいけない。本来、本部員の皆様がやるのですけれども、当然そんな時間はない。だから本部員の皆様の意を体して第三者チェックをする、そういう機関を私はこの基本法に盛り込むべきだと思うのです。「することができる。」じゃなくて、しなければいけないと。  この提言が、ちょうど中央省庁再編準備委員会参与五人の方が提案として二月十二日、総理に出されました。三つ御提案がありまして、その三番目に、先ほど言いました第三者機関の設置について、ちょっと時間がありませんので提案だけ読ませていただきますけれども、提案として、「行政改革会議長終報告の趣旨を個別法令にまで徹底するために、中央省庁改革推進のための体制の一環として、中立・公正な立場から判断のできる第三者的機関を設置すべきである。なお、この点は基本法案に盛り込むべきである。」私は、そのとおりだと思うのです。総理のお考えを聞いて、もう時間ですね、質問を終わらせていただきたいと思います。
  275. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、第三者といいますか、民間の方々の力をかりることはいずれにしても必要だと思っております。そして、これは学識経験者、いろいろな方々の力をかりなければならないでしょう。  その上で、私は、その組織について弾力的に、ここを意識的に残しました。というのは、土光臨調を発足させました後、参与制度、専門委員制度、いろいろな、スタート時に考えていたよりも複雑な組織になりました。これは、スタート時、二つのたしか部会といいましたか、専門委員会といいましたかをつくって、緊急答申までいったのですが、その後本格的に動かす段階になったら、たしか五つか六つのグルーピングをし、それぞれに主査を置き、そして副主査を置きといった形でないと動かなくなりました。そして、それに随分いろいろな方々を新たに加えていただくために、たしか私はあのとき専門委員という名称を使った、あるいは参与という名称を使った、両方があったように思いますが、弾力的な運用をさせていただきました。それだけに私は、こうした学識経験者は必ず必要だと思います。その上で弾力的にこれは考えていった方がよいのではないか、たまたま土光臨調時代、党側の責任者として一緒に仕事をさせていただきました体験から、私は今そのように考えております。  しかし、いずれにしても、事務局も含めて民間の方々の協力は必要であります。
  276. 若松謙維

    ○若松委員 ありがとうございました。
  277. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、佐々木洋平君の質疑に入ります。
  278. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 自由党の佐々木洋平です。  質問に入る前に、昨日の我が党の石垣議員質問の中で、この各種臨時特例法、これが三百七十四本あるわけですけれども、この各種法律の統廃合をすべきではないかという質問があったわけでございます。小里長官は、まさに議員の御指摘のとおりだ、この検討の開始はこの基本法可決後直ちに作業に入る、こういう前向きの御答弁があったわけでございます。  改めて確認をしておきたいと思います。その後、この検討については、各省庁設置法がスタートした後、検討、改革をする、こういう答弁がまたあったわけです。私は、この設置法と臨時特例法とは全く次元が違う話であって、これを再度確認をしておきたいと思います。
  279. 小里貞利

    小里国務大臣 昨日のお尋ねに対しまして、ただいまお話しのとおり、基本的には私は賛意を表し、前向きで検討いたします、さような趣旨の答弁を申し上げたわけでございます。  あわせまして、石垣委員質問に対しまして、各省庁設置法の検討の中でと、これに限られるような答弁をいたしたと思うのでございますが、今は各省庁スタート後という意味でおっしゃいましたけれども、それは言っておりませんで、各省庁設置法の検討の中でと、こういうふうに申し上げたつもりでございます。  さらに、たまたま今そういうお尋ねでございますから、二〇〇一年の省庁再編に向かって、申し上げておりまするように、これから全体作業をいたしますから、その中の重要な一環として、御指摘の臨時特例法等の見直しも行われていくべきものである、そういうふうに考えております。
  280. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 それでは、本題に入りたいと思います。  きょうまで三日間、この中央省庁改革基本法の質疑があったわけでございます。国民も非常に関心を持ちながら、そしてまた、私はこの質疑を通じて非常に残念な気持ちを率直に持っております。果たしてこれが法律としていかがなものかなという感じも持っておるわけです。  この法律のここまでに至ったプロセスというのは非常にわかりにくい。今、国民が、我々が期待するところは、本当に、地方分権であったり、あるいは規制撤廃であったり、あるいはまた特殊法人の問題等々、そういうものをまずきちっとした方向を決めて、そして最後の本丸であるこの中央省庁ということだろうと私は思うのです。  しかし、一気に本丸に行っちゃった。この経緯についてはわかりませんけれども、今まで百年に及ぶこの行政仕組みというものが延々と続いてきた。いずれそれを二十一世紀に向けて新たに改革をしようということになりますと、本当にまさに革命になるわけでございまして、その辺が非常に見えにくい部分があるというふうに指摘をしておきたいと思いますが、これについては議論を避けたいと思います。  果たしてこれが法律として私はいかがなものかと。これは、今まで聞いていますと、この基本法ができたならばすべていろいろなあれをやっていくということで、となると、これは法律と言うよりはまさに大綱と言った方がいいのじゃないのかな。ガイドラインですね、簡単に言えば。そういう感じがしてならないのですね。これを訂正する気はないと思いますけれども、私はその方が今後審議に入る過程においていいのではないかなというふうに思うのです。  ふと今感じたのですが、お城を攻める場合に、やはり本丸は大変な力を持っておる、そういう中で外堀をきちっと、参謀本部がいろいろな作戦を立てて、一つ一つ、あるときには食糧を一切とめたり、いろいろなことがあると思うのです。今回、仮に霞が関がお城とするならば、本丸とするならば、まずは地方分権あるいは規制撤廃等により、各省庁、すなわち本丸の力を弱めて、そして攻め込むというのが普通のやり方ではないのかなという感じがしてならない。そういうことで、その考え方を私は総理に聞きたいと思います。
  281. 小里貞利

    小里国務大臣 先生の方から力説をいただきましたそういう考え方あるいはそのような手続で私どもは進めておるつもりでございまして、全く議員の考えと乖離はない、本当にそういうふうに私は感ずる次第です。  今おっしゃるのは、中央省庁再編という大きな事業を推進していくためには、施策を打つためには、外堀をきちんとしなければいかぬよ。その外堀の中の、例えば象徴的にただいま地方分権規制緩和お話しございましたが、まさにそれらの二つをとってみても、この中央省庁再編を達成するための有力なる手段であるという認識に立ちまして、橋本内閣は、御承知のとおり、例えば規制緩和にいたしましても、一両年前から環境整備に具体的にかかってきておるわけです。  そしてまた、御承知のとおり、第一次と申し上げていいと思うのでございますが、前半におきましては、規制緩和を二千八百前後打ちました。そしてまた、最近におきましては、その中の三百がまだ不徹底だなというような感じのものもありましたから、再検証の上、その三百に新たにまた三百前後を加えまして、六百幾つの規制緩和事項というものを決定をして、今推進中であることは御承知のとおりであります。  ですから、お話がありましたように、一朝一夕でできる話じゃありませんから、一両年前からこれは具体的に手をつけて、そして半ばそれが進展をしてまいりました。さらにまた、これからこの中央省庁再編後、移行するまでにおおむね三年ありますが、その間の一両年は、もっと厳密に申し上げますと、まだ一年ぐらいは、その決定をいたしておりまする規制緩和の実施の状況を見る一つのゆとりと申し上げましょうか、期間もあるわけでございますが、できるだけこれらが早目に中央省庁改革に直結して効果をあらわし得るように私ども期待をするし、それを進めなければならぬ、さように思っておる次第です。  また、地方分権においても御承知のとおりでございまして、これをして決して十分であるとは私どもは思っておりません。きのうも自治大臣の方から話がありましたように、地方分権も今次の中央省庁改革にできるだけ呼吸を合わせて、そして貢献できるように努力しておるよというお話でございますが、私どもの立場からも、ぜひそうあってほしいということを御相談申し上げておるわけでございまして、それらのいきさつ、段取りをぜひ御理解いただきたいと思います。     〔委員長退席、虎島委員長代理着席〕
  282. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 総務庁長官から基本的に既に……(佐々木(洋)委員「簡単で結構ですから」と呼ぶ)いや、しかし、指名されましたので、申し上げることだけは申し上げさせてください。お答えと重複を避けたいと思いますけれども。  例えば、この法律によってぜひ新しい手法としてお願いをしたい、国会のお許しを得て実施に移したいとしておりますもの、例えば郵政事業につきまして、事業庁から公社という道を国家公務員の身分を持ちながら進めていきます。そして、ここに集められましたその資金が、今まで資金運用部に預託され、それが特殊法人のさまざまな問題とされる議論が誘発されましたような、その預託そのものを廃止しようといたしております。あるいは独立行政法人といった新たな仕組みを認めていただきたい。この法律を成立させていただくことによって、そうした新たな展開を見せるものがこの中には大きく入っていることを一言申し添えさせていただきます。
  283. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 それでは、ちょっと視点を変えまして。  今この日本の国は大変な病気にむしばまれておる。それは景気浮揚であり、あるいは財政再建という大変な病気なわけでございます。糖尿病と結核が一緒に来たなという感じもしないでもない。それほど、そうなった場合、非常に難しい、これに対応する薬というのは大変難しいんじゃないかと思うのです。ただ言えることは、この二つの大きな、今、日本を救うための秘薬があるとするならば、私は行政改革だろうというふうに思うのですね。  そういうことで、先ほどはそういう答弁があったんですが、まず、今、景気浮揚と財政再建を一緒にどうしてうまく乗り切るかというと、行政改革。となると、省庁再編の前にもっと、繰り返すけれども、今、地方分権をすることによって、行政スリム化であり、非常に大きな財政再建の意味があると私は思うのですね。そしてまた、規制撤廃であったり、あるいはまたいろいろな特殊法人の問題等々をやれば、民間に活力が出てくる、おのずから景気浮揚になる、こういうふうに私は思うのですね。  今回の行政改革における省庁再編法案と今次のこういう問題との関係について、その辺をちょっと総理にお伺いしたいと思います。
  284. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、小里長官からも御答弁を申し上げましたけれども、例えば地方分権、これにつきましては地方分権推進委員会から第一次から第四次にわたる勧告をいただきました。そして今、今国会終了までのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を策定しようと政府として鋭意努力をいたしております。  例えば、この中には、従来の機関委任事務五百六十一、その中には、見直してみまして、国の直接執行事務となるものも二十ありますが、これは地方であろうと、国であろうと、もともとやる必要がない、こういう事務はやめてしまえというものも十一あったわけです。そして、大体残りの六割が仮称でありますけれども自治事務、そして、約四割が法定受託事務という整理になりました。  これはたまたま機関委任事務を例にとりましたけれども、権限移譲の推進あるいは必置規制の見直し等を含めまして、あるいは国庫補助・負担金の整理合理化といった内容を持った地方分権推進計画を、そう遠くないうちに、国会終了までということでありますから、お目にかけることができると思います。  また、特殊法人の整理合理化については、こつこつと続けてまいりましたやり方、しかし、今度この法律によってむしろ預託廃止という、財源の部分にメスを入れることによって姿を大きく変えたいというものを御提示を申し上げているわけです。  そして、規制緩和につきましては、今、前の質問者の御質問にもお答えをいたしましたように、性格的に一律のルールはつくりにくいものがありますけれども経済的な規制というものは原則自由にしていく。むしろ社会的規制というものも、これは必要最小限は必ず要ります、お互いの安全というために。しかし、そうした視点でこれには取り組んでいかなければならない。  そういう思いで現に進めておりまして、今議員が触れられました特殊法人等に根本的なメスを入れてまいりますのには、この預託廃止という行為を認めていただき、財政投融資そのもののあり方を見直すところから作業をさせていただきたいと願っております。
  285. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 それでは、個別の質問をしたいと思います。  独立行政法人についてお伺いをします。  これは御案内のとおり、まさに行革の売り物だと大変な力を入れておったんですが、この行革会議の最終報告を見ますと、非常に厳しい抵抗があったかどうかはわかりませんが、中途半端な内容のように思われます。これはまさに、この独立行政法人というのはいずれ民営化されるのではないかなという各省庁の思惑も絡んだのかなというふうに思います。激しい抵抗に遭ったのではないかなという感じもします。このままですと、私は中を見て、これはとんざするんじゃないかなという感じさえも持っておるわけでございます。  まず最初に、独立行政法人と特殊法人の違いといいますか関係をこれからどうするのか、あるいはまた、この事業対象というのは基本的にどういう考え方でいくのか、その辺からお伺いしたいと思います。
  286. 小里貞利

    小里国務大臣 お答えする前に一点だけ申し上げておきたいと思うのでございますが、今、先生のお話の中で、独立行政法人化すると民間化するのではないかと大変心配があるごとく言われたと思うのでございますが、必ずしもそうではございませんので、その点はまた追って御説明も申し上げたいと思っております。  今のお話は、いわゆる独立行政法人の性格というものを申し上げた方がお答えになるかと思うのでございますが、これは、今国が行っておりまする行政の中の一部をその外に出しまして、別法人格をつくりまして、そして法人化して仕事をせしめていく、しかもそれは基本的に、自動的に、自律的、弾力的な組織、あるいは業務の運営もできますよ、それが根本であります。  それからまた、お話がありましたように、事前管理から事後評価への転換もやります。あるいはまた、効率性や質の向上を組織体自体が自主的に創意工夫して行い得ますし、さらにまた、国民の立場から見ても、透明性の確保を図らなければなりません。同時にまた、目標とルールを明確に定めまして、ただいま申し上げましたように、業務の結果を国民の前に明らかにする。そういうことが一応基本的な大筋でございます。
  287. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 それでは、この法人の自主性といいますか、そういうものについてお伺いしたいと思います。  この法律によりますと、所管大臣が監督、関与をするということになっております。私は、今回のこの独立行政法人運営というのは、あくまでも民間のノウハウを取り入れる、あるいはまた企業会計方式で効率のいい運営をするんだというふうなことで、これが、所管大臣や官僚がいろいろ会議をすると、非常にまた逆にやりづらい部分があるのかなというふうにも思うのですね。  後でちょっとイギリスのエージェンシーについてあれしますが、もっと自主性を持つために、私は、この監督、関与という内容を、どういうふうな範囲なのか、それをお示し願いたいと思います。
  288. 小里貞利

    小里国務大臣 国家関与、政府関与と申し上げた方がいいと思うのでございますが、むしろ薄くなります、国の手元から。  今、先生は大臣関与という言葉をお使いになったと思うのでございますが、その意味におきましては、主体的に、創造性をきちんと原則として業務体そのものに持たせますし、したがって、運営そのものも極めて柔軟性を持ってまいりますから、私は、むしろ合理的に、効率的に開放せられる、前向きの一つのものを期待できる、さように思います。     〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
  289. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今いろいろ答弁があったのですが、何か特殊法人のような方向にならないのかなと心配をします。  次に、評価委員についてお伺いしたいと思うのですが、業務の実績評価ということで、評価委員会を設置をするというふうになっております。これはもちろん中立公正な評価をするということですが、この委員の選考というのはどういう基準で行われるのか、お伺いします。
  290. 小里貞利

    小里国務大臣 お話がございましたように、評価制度というのは非常に有効な制度であると私は思っております。有効にこれを機能させるために、評価が的確かつ客観的、中立公正に行われることを見きわめることは極めて重要であります。  では、その評価委員はどういう人たちを選任するかというお尋ねでございますが、評価が適切に行われるためには、中立公正な評価を行うことができ、同時に、独立行政法人の業務について専門性あるいは実践的な知見を有する方に評価委員会委員になっていただくことが必要であろう、さように思っております。
  291. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今、どういう方ということですが、今の話を聞けば、大変恐縮ですが、官僚のOBという形になるのかな、こういうふうに思うんですが、これはあくまでも民間も含めて委員に選考するということになりますか。(小里国務大臣「そうです」と呼ぶ)わかりました。  次に、この法人の職員の身分についてお伺いしたいと思います。  これによりますと、業務の性質等を総合的に勘案して必要と認める場合には国家公務員の身分を与える、こういうことでございますが、具体的にどういうことでしょう。お伺いします。
  292. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほども若干申し上げましたが、特に身分の話でございますが、独立行政法人化する事業体はさまざまございます。  その中で、このたびこういう形で引き出していく場合に、国家公務員でありたい、そして、先ほど申し上げました一定の原則のもとに組織が構成されることを期待するという向きも相当あろうと思われます。  今度は逆にと申し上げましょうか、民間の形でいいんじゃないか、あるいはまた職員の身分としても民間でよろしいよ、そういう志向を持つ団体あるいは職員については、その方向も選ぶべくして準備しておくべきではなかろうか。  そういうことが行革会議におきましても相当議論されまして、その結果が取りまとめられましたから、そのまま法律に移してある、こういうことでございます。
  293. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 そうしますと、同じポジションで公務員あるいは公務員でない職員が存在する、こういうふうに理解をしていいんだろうと思うんですが、良好な労使関係ということは、現実問題として、給与の問題もあるでしょうし、あるいは団体交渉やらいろいろな問題点が出てくるんじゃないのかなと思うんですが、公務員の身分を持つ持たない、この辺を具体的にどのようにイメージされているか、大臣、ちょっとお伺いします。
  294. 小里貞利

    小里国務大臣 では、できるだけ時間をとらないように申し上げます。  基本法第四十条におきまして、「その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの」など「当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して必要と認められるものについては、」職員に国家公務員の身分を与えますよと。しかも、私が先ほど申し上げました当該団体の意向等も、私どもは十分協議して行わなければならない。  一方、職員の身分が非国家公務員であるものについては、その法的な地位については、所属する独立行政法人の業務の性質によっては刑罰規定の適用に当たって国家公務員とみなす、いわゆるみなし公務員規定が適用される場合があるほかは、基本的に民間の労働者と変わらないものであります、こういう判断でございます。
  295. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 その法律についてはわかるんです。しかし、実際に現場でそういう状況になった場合に、仕事上どのようなイメージ、全体のイメージ、それを聞いているんですよ。
  296. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 と申しますよりも、イギリスのエージェンシーの議論で、ややもすると私どもが欠落させてしまいますのが、英国の場合、公務員労働者と民間労働者との間に労働法上の差異がないという点であります。言いかえれば、労働三権を持っている。イギリスの場合、エージェンシーであろうとなかろうと、国家公務員であろうと、全く労働三権に差異がない、これは日本と大きく異なっております。  それだけに、同じエージェンシーを日本語にした場合に独立行政法人という、イメージがよく似たものを我々は想定しました。これはそのとおり、事実の問題なんですが、その場合に、あるいは労働三権を持たない国家公務員としての身分の方がやりやすい業務というものはあるんじゃないか、その方がなじむと言いかえてもよろしゅうございます。あるいは、その組織体によって、現在は労働三権を制約されておりますけれども、むしろ労働三権を付与され、公務員という身分を外した方が業務が進むケースというのも当然ながら想定されます。そうしたことから、今、具体的な当てはめを私どもはいたしているわけではありません。しかし、その類型ができる。  これは、イギリスの労働法規と日本の民間労働者と対比し、労働三権を付与されていない国家公務員との差がここに出てきている。両方の形態を我々は考える必要があると思っているということを御説明申し上げます。
  297. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 イギリスとは大分、労使、役人のあれも違うわけですから、当然そういう御判断だろうと思います。  もう時間もどんどん進みますので、次にお伺いしますが、法人の財政支援についてちょっとお伺いしたいと思います。  この法人に対して、運営費の交付あるいは所要の財源措置を行う、こういうふうに法律では書いてあります。企業会計方式で運営をしていくわけですが、利益の積み立てももちろんあるでしょうが、損失分が出た場合に、これを全面的に予算で補てんをするということになるのか、あるいは自己経営努力ということを促すために、あらかじめ定める項目について例えば国が交付金で負担をするという形なのか、その辺がちょっと定かでないですね。ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  298. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、基本的に、独立行政法人の業務は、国民生活や社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な公共的な業務、その中には採算性がないなどの理由によりまして民間主体では担うことのできないものも多く想定されますから、当然、当然と申し上げていいんでしょうか、今お尋ねの、財政的な欠陥補てんは国が行うか、そういうお尋ねでありますから、国が運営費の交付等、所要の財源措置をすることとしておりまして、このことはまた基本法案にもその旨を規定をいたしておるところでございます。
  299. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 さっき総理からイギリスのエージェンシーについて触れられたんですが、まさに行政執行を分離する、独立するということでは、これがたたき台になっているだろうというふうに思うんです。  そこで、例えば、英国では車検局とか免許交付局あるいは職業安定局、造幣局、こういったものが外庁というかエージェンシーになっているわけですけれども、この責任者、トップは長官と呼ぶそうですが、民間からの公募でやっている。さっき、全く組織が違うんだという話でございますけれども、公募で長官を任命する、こういう仕組みになっているわけでございます。  そして、今財政支援の問題を指摘したんですが、これはまさに、エージェンシーの制度の核心は、かかった税金に見合うだけの十分な成果を上げなければならないということが明文化されているわけでございまして、これは当然ながら情報の開示ということになるだろうと思うのですね。  また、イギリスでは、このエージェンシーと、所管部局といいますか大臣といいますか、基本文書の取り交わしが行われるわけでございます。これは、年次ごとに達成目標を明示する、要するに国民との約束なんですね、そういうことをきちっと定めておるわけでございます。  また、これは五年に一度、所管の大臣を含めて考査を行うということでございまして、これは非常に厳しいものと伝わっておりますが、四段階の自問自答があるというふうにあります。  それは何かというと、それが必要な業務かどうか、まずこれを聞く。それで、それがノーとなればもちろんすぐ廃止になってしまう、五年に一回やるわけですから。これは政府が手がけなければならないのかということで、政府はこれ以上関与する必要があるのかということもチェックされるわけです。そういうことで、そういう場合には民間に行くということで、いろいろと非常に厳しいチェックがなされるわけです。まさにエージェンシーというのは、廃止か民営化かあるいは業務委託か、あるいはまたそのまま残れるかというようなことで、五年に一回やられるということでございます。  私は、これを見るにつけて、この独立行政法人のイメージが、今どうしても浮かんでこないのですね。ですから、もっと英国のエージェンシーのように、業務計画あるいは経営方針、職員の身分等、そういうものについてはその法人に任せるというぐらいの、そして、契約をして国民に明快に開示をする、これが非常に大事だというふうに私は思います。これについては要望にしておきます。  もう時間がないので、どんどん進みます。  次に、特殊法人についてお伺いしたいと思います。  いつもながらでございますけれども行革議論になりますと必ず俎上に上がるのがこの特殊法人ですね。そして、大変、全廃かあるいは民営化かという議論になる。しかし、いざとなるとやはりなかなか、これはいろいろな抵抗があるのかなと思いますけれども、結局は廃止にも民営化にもならないで合併という形で手打ちをする。まさに日本的社会の象徴だなというふうに感じるわけでございます。  今回、先ほど総理からるる話があったんですけれども行政改革で非常に大事な特殊法人の問題でございますので、改めて、今後特殊法人の民営化も含めたごとについて答弁願います。
  300. 小里貞利

    小里国務大臣 お話しのとおり、特殊法人の整理合理化については、従来から、これの統合あるいは整理を進めてまいりました。殊に、廃止、民営化の手法を用いまして徹底的な見直しを進めてきているところでございまして、まさに御指摘のとおりでございます。  平成七年度の末でございましたが、九十二法人存在いたしましたものが、現在八十四法人となっており、さらにまた、既往の閣議決定事項等をすべて実施いたしました暁には七十一から七十四法人になる、そういうことが既に決定をいたしておりますが、不断の努力を整理統合に向かっていたさなければならぬ、かように思っております。  特殊法人については、行政改革の最終報告におきましても、これを民営化、事業の整理縮小、廃止など、積極的に進めなければならぬといたしたところでございます。
  301. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 この特殊法人の問題についてはへなかなか進まない一つの理由というのは、やはり財投の問題だろうというふうに思うんですね。  これは、今回、財投資金である郵貯、簡保については自主運用という形になりました。しかしながら、まだ自主運用といっても、全国の郵便貯金あるいは簡易保険のそれを全部一カ所に集めるということでございますが、これは大蔵大臣に聞くのがいいのかな、この財投資金というのは、今後この行革の中で、もちろん特殊法人の問題も含めまして、どうあるべきだと思いますか一お伺いします。
  302. 松永光

    ○松永国務大臣 財政投融資の問題と特殊法人の二つの点のお尋ねでございます。  財政投融資については、二十一世紀においても、財政政策の中で、有償資金を適切な分野に活用するという基本的役割を果たすべきであると考えておるところでございます。その具体的役割は、もちろん社会経済情勢の変化等に応じて変わっていく必要があるわけでございますが、そうした考え方のもとで、郵便貯金などの預託の廃止を含めた財政投融資制度の抜本的な改革を進めていくことにして、今御審議を願っておる法案に盛り込んであるわけでございます。  改革の具体的な内容としては、今委員御指摘のように、郵便貯金及び年金積立金の預託義務を廃止する、財投機関債や財投債というものを市場原理にのっとった方式で資金は調達をする、こういった点が改革の具体的な内容でありますが、これは現行の財政投融資制度の仕組みを大きく変革することになるわけであります。  財政投融資の新たな機能にふさわしい仕組みについては、法制面を含めた具体的な検討を現在政府部内で進めているところであります。  財政投融資の対象となっておる特殊法人については、先ほども議論がありましたが、財政投融資制度の抜本的な改革も踏まえつつ、今後ともそのあり方の不断の見直しが行われるべきであることは当然のことでありますが、特殊法人の改革については、財政投融資の対象になっておるかどうかということだけではなく、まさにそれぞれの持っておる政策が必要か不必要か、そういった点から議論をすべきものであると考えているところでございます。
  303. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 この特殊法人、まさに入り口を改革しなければ、入り口といいますか、資金ですね、なかなかこれは前に進まないだろうと思うんです。私は、この郵貯、簡易保険等々を一カ所に集めて自主運用という形は、最後また戻るんじゃないかなという感じがしてならないんですね。  これを分割といいますか、国民の持っている貯金ですから、これを有効にまた活用するということになりますと、例えば、東北あるいは北海道とか、それぞれブロックで、まさにこれから地方分権が進むわけですから、その地域で活用をして、その地域の発展に貢献するという形に、分割することも一つの考え方ではないのかなという感じがするわけでございます。  そうすることが、今まで財投資金は、すべて間違ったと言っていませんが、いろいろな意味日本の発展のために寄与したわけでございますけれども、ここで国土の均衡ある発展ということを考えたときに、そういう公平な使い方、活用というものを考えるべきだと思うんですが、この辺は、郵政大臣、そしてまた小泉国務大臣は大変精通していますので、そのお二人から御意見を賜ります。
  304. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 佐々木委員にお答えをさせていただきます。  財政投融資の改革については、今大蔵大臣からお話があったとおりでございまして、財政投融資の基本的な役割は、私は、今大蔵大臣も答えられましたように、今後とも意義あるものだというふうに思っております。  これは、もう御存じのように、社会資本整備あるいは国民生活に密着した分野への支援等、大変大事な役割が私はあると思っておりますが、しかし、今答弁にもございましたように、本来的な機能を果たしていくために、何よりも対象分野や対象事業を見直して資金の重点的かつ効率的な配分を図っていくことが私は必要であるというふうに思っております。  そういった中で、今先生の御質問にもございましたように、財政投融資の、私の記憶が正しければ、大体五五%前後の資金を実は郵便貯金で供給をさせていただいているわけでございまして、簡易保険ということがございましたけれども、大正八年以来、これは財投計画に協力はいたしてきましたけれども、基本的にこれは自主運用でございます。  そういった仕組みになっておりますけれども、財投の見直しと入り口の郵貯のあり方を安易に結びつける論議があったわけでございますけれども、今さっきから総理も何度も答弁しておりますように、財投の資金調達について、郵貯等の預託義務を廃止し、これは今まで、先生御存じのように、郵便貯金で集まったものは一定額、一部自主運用もございましたけれども、集めてきたら自動的に実は資金運用部に行くという預託義務があったわけでございますけれども、これを廃止して、必要な資金を債券等によって能動的に調達するようになれば、こういった論議も整理されるのではないかというふうに思っております。  最後に一点、先生から郵貯をブロック別にしたらどうかという話があったわけでございますが、その点は、御存じのように、郵政事業というのは、簡単に申しますと、東京・関東、大阪・近畿と申しますか、名古屋・東海、この三大都市圏で実は黒字でございまして、先生の御出身の東北地方、私の出身の九州地方は実は赤字でございます。この三つの大きな都市において実は黒字でございますから、ブロックにすれば、ユニバーサルサービスということを考えて、全国あまねく、広く全国民、今二万四千六百の郵便局が三千三百すべての市町村にございますが、その機能が損なわれるというふうに私は考えておりまして、やはりこれは国営三事業一体でやっていくべきだ、こういうふうに思っております。
  305. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私は、今回の財投改革、郵貯、簡保の預託廃止というのは、財投制度、特殊法人の改革に大きくつながっていくと思います。  今御指摘の、地域に郵貯資金、簡保資金を使ったらどうかという話なんですが、自主運用なんです。郵貯とか簡保のお金は、国民から預かった大事なお金ですから、確実に、有利に運用しなければならないのです。地域開発、民間の手の出さないところに 利益の出ないところに果たして活用できるのか、私は疑問に思いますね。  だから、これはじわじわと大きな改革に結びついていく、そう思います。
  306. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 時間が来ました。以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  307. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、達増拓也君から関連質疑の申し出があります。佐々木君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。達増拓也君。
  308. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  引き続き、自由党から行政改革の主要な論点について質問をさせていただいておりますが、私の方からは、審議会そして内閣法制局について質問をさせていただきたいと思います。  まず、審議会についてでありますけれども行政改革ということが言われるようになってから、ずっと審議会というものも行政改革の論点になってきていると思います。そういう意味で非常に古い問題でもあるわけでありますが、細川、羽田内閣のころに設置が決定した政府行革委員会、こちらも、できてすぐやはり審議会の問題に取り組んだというふうに承知しております。その行革委員会自体もまた審議会なわけでありますけれども、その審議会の中で審議会の問題について検討してきた。  審議会をめぐる問題については、まず、そもそも機構としてむだなのじゃないか。各役所政府全体としてかなりたくさん審議会があって、そこに割かれている人、お金、また時間のむだがあるのではないか、それがまず第一の問題だったと思います。第二に、透明性の問題。審議会の中での議論について全然公開されていないじゃないかという透明性の問題が指摘されていたと思います。第三に、この点については余り行革委員会議論の中等では言われていないのですが、有識者、マスコミ等から指摘されていたこととしては、立法権の侵害。国会が立法機関としてあるわけでありますけれども行政府の方の内閣提出法案準備作業として審議会を活用し、いわば、本来国会中心に立法作業をしていく中で、行政府の方で立法の作業をどんどんやってしまう、そこに問題があるのじゃないか。  以上、三つの問題意識を背景に、以下、質問をさせていただきたいと思います。  まず、政府の審議会の数、これはどんどん減らそう減らそうということでやっておるわけですが、今どのくらいの数になっているのかをまず質問したいと思います。
  309. 河野昭

    ○河野政府委員 現時点で二百十五機関設置されております。
  310. 達増拓也

    達増委員 非常に多い数なわけであります。  行革委員会ができてから、行革委員会の中でも審議会のあり方について議論されてきているわけでありますけれども行革の一環としての審議会改革、これについて今、現状どのようになっているのかを質問したいと思います。
  311. 河野昭

    ○河野政府委員 審議会の改革については、一つは設置数の問題、それからもう一つは運用の問題があろうと思います。  まず、設置数の問題につきましては、ピーク時には二百七十七機関ございましたが、その後、類似の所掌事務を持った審議会は統合するとか、あるいは、先ほどお話しになりました行革委員会もそうでございますが、審議期間を限定できるものは極力審議会自体に存置期限をつけるというようなことで、先ほど申しましたように、現在二百十五機関になっているわけでございます。  それからもう一点、運用面でございますが、これは、最近では平成七年九月に閣議決定、これは審議会等の透明化、見直し等という閣議決定でございますが、これに基づきまして、例えば審議内容の公開、あるいは会長、委員に対しての人選の適正化というようなことを進めているわけでございます。
  312. 達増拓也

    達増委員 そういう審議会改革というものが進んで、努力がなされて、今回の中央省庁等改革基本法案の中でも審議会について規定されて、一層の改革を進めていくんだという流れになっていると思うのですが、法案の中で審議会については原則廃止ということがうたわれているわけであります。他方、必要最小限は認める。その場合、ピーク時二百七十七あった審議会が今二百十五ある、これは各担当省庁の言い分を聞けば、恐らく、もうこれで全部必要最小限なんだ、これ以上減らせるのかどうかということが問題になるのだと思います。  ですから、どうも、法案の方では原則廃止がうたわれているのですけれども、実態としては原則現状維持という結果になるのじゃないかという懸念が持たれるわけですが、この点いかがでしょう。
  313. 小里貞利

    小里国務大臣 関係省庁と連携、協議をすることが必要であろうかと思っております。  今お話がございましたように、活動実績の乏しい審議会及び設置の必要性の著しく低下している審議会等については、基本的に廃止をいたしました。  次に、政策審議あるいは基準作成を行う審議会については、原則として廃止するとの考えのもと、必要最小限とし、設置する審議会については総合的なものとすることといたしたわけであります。  なお、その他不服審査等を行う審議会についても、その必要性を検討し、必要最小限のものに限定することといたしました。  なおまた、審議会の運営の改善を図るために、委員の構成、資格要件を適正化するとともに、会議内容の公開などによりまして運営透明性を確保していきたい。
  314. 達増拓也

    達増委員 これは通告していなかった質問なんですけれども、今大臣の答弁の中で、関係省庁と連携、協議していると。その中で、具体的に、これは今後さらに廃止しようとか、これについては残そうとか、そういう個別具体的な検討というのは行われているのでしょうか。
  315. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 ただいま御提案しておりますこの基本法案の中で、審議会の整理合理化の方針を規定いたしております。したがいまして、この法案が成立をいたしました場合には、直ちにこの基本方針に基づいた整理合理化の具体化に政府として着手することになるというふうに考えております。その場合にあっては、現在設置されております個々の審議会一つ一つについて十分な吟味がなされると考えております。
  316. 達増拓也

    達増委員 先ほど大臣の答弁の中でも、休眠状態にあったような要らない審議会はもう廃止してしまった、今までそうやってどんどん切り詰める作業をした上で今二百十五という数になっていると。これも通告はなかったのですけれども、今後どのくらい廃止して、どのくらいの数まで減る見込みなのかを伺いたいと思います。
  317. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今後一つ一つの吟味をさせていただくわけでございまして、現時点であらかじめ幾つという数を見込んでおるという状態ではございません。
  318. 達増拓也

    達増委員 法案の中で、審議会を設置する場合には総合化していくということが書かれてあるわけで、できるだけ総合的な審議会にする。つまり、細かい専門的な分野を扱っているものについてはどんどん統合して総合化していくという発想だと思うのですが、これはこの中央省庁等改革基本法案全体の構造と全く同じ構造で、既にある審議会を、例えば二つか三つくっつけて一つにするとか、結局そういう数合わせしか行われないのではないかという懸念が持たれるわけであります。その場合、たとえ審議会の数が減ったとしても、要は権限が減っているかどうかというのが行革のポイントなのであって、例えば月に一回しか開かれていなかった審議会を三つくっつけて毎週審議会が開かれるようになってしまったのでは、かえって行革の趣旨に反する。ですから、この法案、審議会の部分について、そういう懸念が持たれるということを指摘したいと思います。  次に、審議会の運用についてですけれども、隠れみの論というものがありまして、審議会というのは、結局役人がやりたいことを実現するために、一たん有識者、専門家の言葉をかりて、その人たちが決めたという口実で、実際は役人がやりたいことを法案化していくと。  これは実態を伺いたいのですけれども、審議会の答申というものが法案のベースになることが多いわけですけれども、その審議会の答申、これが出た後、関係省庁でチェックして、各役所にとって都合の悪いところは削除しているというふうに聞くのですけれども、この点いかがでしょうか。
  319. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 私がすべての審議会の個々の運用について、すべて見聞をし、全部知っておるというわけではございませんが、私はこれまで、行革会議の事務局につい先般までおりました。その運営は、まさに委員の方々の主導のもとに報告案が作成されてきたものでございまして、事務局としては大変な勉強もまたさせていただいたということをしみじみ感じた次第でございます。私どもとしては、そのような形で運営がなされるのが本来であり、また、そういうふうに多くの審議会ではなされているのではないかと想像をいたしております。
  320. 達増拓也

    達増委員 実態としてどうなのかということを聞いたのですが、趣旨としてはどうだという、そういう答弁だったと思うのですけれども、実態についてもいろいろ検討があったと思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  321. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、すべての審議会について一つ一つ調査をし、それを客観的なデータあるいは事実として調べたということはございません。かつ、私どもの手元にそういうデータもまたないということでございます。  ただ、行革会議の最終報告の中にも、とかく隠れみの的な問題が指摘されておるという記述はございまして、行革会議委員の中の議論でもそういう問題は指摘されていたというふうに考えております。
  322. 達増拓也

    達増委員 行革会議議論の中でも指摘されていたということを確認できたと思います。  やはり審議会というものの性格がよくわからないところがありますし、審議会の中でも、ちゃんと法令に基づいて専門家の意見を聞いてからでないと行政処分してはいけないというときに専門家の意見を聞くための、そういう役割がはっきりした審議会であれば、これは行政の一環としてわかるわけですけれども、やはりよくわからないのが、立法の準備の段階で法案を作成する際に、その準備段階で利用される審議会なんだと思います。  国民各般の意見を聞いて法案をつくっていくということであれば、本来それは行政府がやるよりも立法府になじむ作業だと思うのですね。国会における公聴会ですとか参考人質疑ですとか、そういう機能は国会の方にちゃんとあるわけでありますし、またさらに言えば、政党というものも政策審議を政党の中でやって、そして議員がまさにレジスレーター、立法者として立法活動を行う、そういう仕組みになっているわけでありますから、そういう中で、役所内閣提出法案準備ということで国民の意見を吸収、民意を吸収して法律をつくっていくというのは、国会とのバランス上、非常に問題があるのではないかと思うわけであります。  この点、総理に伺いたいのですけれども、現状のような審議会への依存というものは、行政の法令立案機能を肥大化させて国会とのバランスを崩すものではないでしょうか。この点について伺いたいと思います。
  323. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、今、議員の御質問をずっと真剣に拝聴しながら、議員の指摘をされるような視点も確かに必要だなと思いつつ、同時に、現実に私自身総理という職につきましてから幾つかの問題で、その審議会というものをどう活用させていただくか考えさせられたことがございましたので、多少そういう問題にも触れさせていただきたいと思うのです。  その上で、議員が今言われたように、確かに法令立案などの政策決定、これは政府自身が判断し、その責任において行っていくものでありますし、審議会というのは、政策の決定過程で各種の専門家の方々の持つ知識、これを導入したり公正を確保するために役割を担っていただいている。しかし、反面それが非常に数が多い、これは間違いなしにそうです。そして、行政責任を不明確にしているといった問題点もあります。  ところが、実は私は、本当に財政構造というものに目を向けましたときに、これをどこで議論をしていただこうと思いましたら、財政審、経済審、産構審、そして社会保障制度審議会、税調と、少なくともこの五つに分割してそれぞれの部分を御論議をいただくか、その会長さん方に一緒に集まっていただいて、ある意味ではそれぞれの審議会の持つ機能をそろえていただいてそこで議論をするかという選択を迫られました。結果として、私は実は、それぞれの審議会の会長さん方にお集まりをいただいて御意見を伺うという手法をとりました。  今、子供たちのナイフの問題等が起こりまして、そうした問題について議論をいたそうと思いますとやはり同じような問題に遭遇をいたします。たまたまこれは有識者の方々に、その審議会を構成する会長さんたちだけではなく、有識者にお入りをいただくという形に切りかえて運用させていただいておりますけれども、昨日も、国会の終わりました後、その有識者会議がありまして、そこでおまとめをいただいた議論を今度は個別の審議会にフィードバックして具体化するというやり方をとらざるを得ません。  そういう意味では、私は、やはり審議会というものについて、先ほど長官からも御答弁を申し上げましたけれども、活動実績が乏しい、あるいは設置の必要性が著しく低下している、そうした審議会は基本的に廃止をしていく。政策審議とか基準作成の審議会、これは原則として廃止という考えを持ちながら、必要最小限にしていく努力をする。そして設置した審議会はできるだけ総合性を持っていただくというのは、今申し上げたようなことの実感から出てきたのです。そして、むしろ逆に、不服審査などの場合、こうしたものを扱う審議会、これは必要性を検討しますけれども国民の権利を守るという点からも、むしろきちんと必要最小限のものは位置づけていく、そのような考え方が必要ではないかと考えています。
  324. 達増拓也

    達増委員 総理に通告をしていなかったのですけれども、関連して質問をさせていただきたいと思うのですが、例えばこの中央省庁等改革基本法案につながる行革会議も審議会として総理が設けられたものなわけですけれども、議院内閣制のもとで基本的な政策を決めていく場合、政党の中で議論をするということは考えられると思うのですね。  イギリスの場合、かなり詳細な政策パッケージというものを政党が政党の中の議論でつくって、そして政権をとったらそれを政府を使って実行するというふうになるわけですが、今回の行革をめぐるいろいろな過程の中で、総理行革会議で決めたことを、決まった後で与党の方にそれを持っていって、報道されているようなところからうかがうと、かなりいろいろ紛糾したりもめたりしたと。やはり政治家が責任を持って、最初から、必要に応じて有識者の意見を聞くことはいいのですけれども、党の中できちっと政策を形成していくのが議院内閣制として望ましい姿だったと思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  325. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まさにそうした御批判を党の中からも私は受けました。  ただ、その上で、私はその御意見と多少考え方が違っておりましたのは、やはり二十一世紀に向けたこの国のあり方というものを踏まえて行政仕組みを考えていく、その場合に、既に地方分権推進については個別の審議会が集中して議論を深めておられて、一定の業績を既に出しておられる。しかも、第四次答申というものも近く出るという状況にあった。規制の問題についても、行政改革審議会が既に規制緩和というものについて相当深く作業をされ、コミットされ、しかもその他の問題についても実績を上げておられた。  そうすると、そういう二つの先行しているものがある上で、全く異質な、政党というのはそういう審議会から見れば異質です、異質なところからのものを持ち込むという手法より、それぞれのグループとして議論をしてこられたものを行政改革会議の中にきちんと位置づけていただけるように、そこからの責任者に行政改革会議自身に入っていただく、そしてその上で、中立的な、あるいは学識経験者を中心としたと申しましょうか、そうした形で両方の論議の上に立った議論をしていく方が、私は、より透明な手続きという意味でも、客観的な論議をしていただくという意味でもよいのではないか、こう考えました。  ただ、議員が述べられたと同じような指摘は、党内からも私はいただいたところです。
  326. 達増拓也

    達増委員 続いて、内閣法制局について質問をさせていただきたいと思います。  今回の法案の中に、内閣法制局をめぐる改革というのは入っていないわけでありますけれども、今の日本行政のあり方を見た場合に、内閣法制局は大蔵省主計局と並んで国家最高権力の一つなどと言われているわけでありますけれども、そのあり方についてやはり検討する必要があると思うわけであります。  内閣法制局の問題というのは、法解釈、特に憲法解釈をめぐって、実態として政策を左右してしまう、法制局の解釈がこうこうこうだからこういうことはできないということを政府が言うわけでありますけれども、安全保障ですとか外交ですとか、政府にとって国家にとって非常に重要な政策が、内閣法制局の法解釈によってやるやらないが決まってしまう。そういうところに問題があるわけであります。  内閣法制局は、大きく意見事務と審査事務と二つ事務があって、その与えられた権限の範囲内で業務をしているということなんでしょうけれども、それに基づいて行われている内閣法制局による憲法解釈権、そして国会答弁等を聞いていますと、あたかも内閣法制局による憲法解釈が政府を拘束して政府を動かしているように見えるわけですけれども、この点についていかがでしょう。
  327. 大森政輔

    ○大森政府委員 内閣法制局が開陳する憲法解釈、これは、私どもの所掌事務のうちの、法律問題について内閣あるいは内閣総理大臣または各省大臣に対して意見を述べること、この一環として述べているわけでございます。  言うまでもなく、憲法解釈、これは、最終的な憲法解釈権と申しますのは、憲法八十一条によりまして最高裁判所に帰属している。そのような意味において私どもは憲法解釈権を有しているというものではないことは、私どもも重々承知しているわけでございます。  他方、政府部内におきましては、この憲法解釈、これはいろいろな立場で法律の運用に当たる者は、その前提として憲法問題が介在している場合には、憲法解釈をする必要があるわけです。  したがいまして、第一次的には、この法律の運用に当たる各省庁におきましても憲法解釈を行っているわけでございますが、その憲法解釈について、各省においてはいろいろ疑義があるとか、あるいは各省庁間で解釈に差があるという場合には、現行の制度におきましては、法制局に持ち込まれまして、法制局における議論、検討を通じて、少なくとも政府部内においてはその方向で解釈が統一されていくということになっているわけでございます。
  328. 達増拓也

    達増委員 では、通告にない質問ですけれども、ちょっと確認しますが、そうしますと、あくまで政府部内における解釈を業務としてやっているということであって、直ちに、他の、国会とか裁判所とか、あるいは国民に対して、それが有権解釈というわけではないということでよろしいのでしょうか。
  329. 大森政輔

    ○大森政府委員 もちろん、私どもは、裁判所においても、あるいは国会におきましても、そしてまた国民におかれましても、尊重されるような内容であるように日ごろ努力しているわけでございますが、法律上の制度といたしましては、そのような拘束力があるわけじゃございません。
  330. 達増拓也

    達増委員 これも通告していない質問なんですが、関連で。  そうしますと、内閣法制局による法解釈というのは、これは内閣が政府としての法解釈については責任を持ってやるということでしょうから、内閣法制局、特に長官の解釈というのは、さらにその上、閣議なりあるいは内閣総理大臣なりが別の解釈をした場合には、そちらの方が有効というか、政府の法解釈の最終的な決定権限は内閣そのものにあるというふうに解釈していいのでしょうか。
  331. 大森政輔

    ○大森政府委員 なかなか微妙な御質問であるわけでございますが、法制局設置法におきまして、法律問題に関して意見を述べること、これが法律上の所掌事務として明記されていることでございますので、それに照らしますと、内閣法制局の意見は、行政部あるいは政府部内においては専門的意見として最大限尊重されることが制度上予定されているということは言えようかと思います。
  332. 達増拓也

    達増委員 実態上、総理に対して質問をしたときに、法制局長官がさっと手を挙げて、突然前に出てくるということがよくあるわけですね。  昨年の臨時国会で、当時の小沢新進党党首が、予算委員会で対総理質問に立ち、ガイドラインについていろいろ突っ込んだ質問をして、総理が最初答弁していたけれども、途中から、法制局長官がさっと前に出てくる。そうすると、実態的には、あたかも法制局長官の方が内閣あるいは内閣総理大臣より上にあるかのように物事が進められていると思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
  333. 高鳥修

    高鳥委員長 達増さん、時間が来ていますので、御協力願います。
  334. 大森政輔

    ○大森政府委員 そのようにお受け取りになられた方がおられるとすれば、これは私の不徳といたすところでございまして、あくまで、内閣法制局あるいは法制局長官と申しますのは、内閣あるいは内閣総理大臣あるいは各省大臣を法律問題、法律面において補佐するという役割でございます。しかし、補佐する職責として、法律問題についての質問がございますと、役割分担という言葉が妥当かどうかはわかりませんけれども、その一環として、私の方で答弁申し上げるということは、往々にしてあっておかしくないことではないでしょうか。
  335. 高鳥修

    高鳥委員長 終わりにしてください。
  336. 達増拓也

    達増委員 私の質問を終わりますけれども、最後、行革の本質というのは、権限移譲というところにあると思うのですね。それで、裁判所とかあるいは立法府とか、本来そちらの方が主としてやるべきことについて、行政府に過剰な権限がある場合、それを是正するのが行革というふうに考えれば、実態上、やはり法制局のあり方についても、行革の主要な論点の一つとして取り組んでいかなければならないのではないかと指摘して、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  337. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、西村眞悟君から関連質疑の申し出があります。佐々木君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。西村眞悟君。
  338. 西村眞悟

    西村(眞)委員 西村でございます。  これから二十分、行政改革における国防というものに絞って、総理質問させていただきます。  まず、このたびの全面的な行政改革の動きの中で、国防というのを総理がいかに位置づけておられるのか。私は、国防は国家存立にかかわる機能との位置づけであるというふうに承っております。この点は総理はいかに御認識されておりますか。
  339. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 むしろ私どもは、国防というのは、いわゆる行政改革という視点から考える種類の問題ではない。国の安全、そして国民の生命財産を守る、これは一番重要な業務でありますし、こうした観点から我々はこの問題は眺めていく、国防というテーマについては。そして、国防というテーマ自身行政改革の対象だとは存じません、思っておりません。  ですから、その国防を受け持つ行政がどうあるかということは、これは別です。国防というのは、極めて、国家の存立と国民の安全を守るための義務、そのように理解します。
  340. 西村眞悟

    西村(眞)委員 総理と私の認識はその点で一致しております。  すなわち、国防というのは、物理的なイメージが強いのですが、結局、社稷を守る、この共同体を子孫に伝えるための社稷を守るということだろうと思います。  さて、それを担当する機能、国家の組織、これをいかに位置づけるべきかということで、先ほど説明不足でしたけれども、この全般的な国家の機能のあり方を今審議されているわけです。したがって、国防というものを担当する組織の重みというものをいかに位置づけるか、これは、国家の他のいろいろな組織の中で私は一番重いのだろうと思っています。  緊急時における最大の福祉を実現するものは国防体制であるということは、阪神大震災で明らかなことでございます。私は、阪神大震災でそれが実証された、我々の目の前でそれが展開された、このように思っております。  さて、この国防にかかわる我が国の国家機構、これをいかに位置づけるかの問題でございますが、現在、御承知のとおり、防衛庁というもので担当されているということは周知の事実でございまして、これがなぜ国防省にならないのかという点に関して、私もたびたび質問をいたしました。  まず、国防を担当されている防衛庁長官は、三月二十日の衆議院予算委員会分科会において、なぜ今回の改革で国防省にならなかったのかという私の質問に答えられて、このように回答されました。これは、正確を期すために朗読させていただきます。  我が防衛庁としては、やはり省として位置づけてもらうことが大事だというような認識で、そういう主張をしてまいりました。しかし、最終的には、この行政改革会議は両論併記になっておりまして、総理の決断ということになったわけでございます。   今回の法律改正に当たってはそれでやむを得ないというふうに、引き下がったと言えば語弊がありますけれども、そういうような環境、置かれている状況、またやらねばならない最近のいろいろな問題を優先させようという思いもご ざいまして、とにかくそれでいくということに決定した、それに従ったわけでございます。 このように述べられました。  また、参議院において、四月二日、総務委員会においては、我が自由党の永野茂門議員質問小里総務庁長官が答えられて、同趣旨の質問でございました。その中で、  行政改革会議の次元を超えたいわゆる我が国安全保障政策の基本である、そういう基本に立ちまして、高度な政治の場において判断するべき問題ではなかろうか、そういう一つの観点を確認いたしました。  現行の防衛庁の機能を継続することといたしましたので、機能上変化がありませんので、防衛庁は内閣府の外局として置くものとして、しかも国務大臣も置きますよ、そういうような制定の方向に向かっておるわけでございます。 このように述べられたわけでございます。  結論としては、防衛省、国防省というよりも、今までどおり防衛庁にとどめおくという結論でございました。  さて、これは総務庁長官も、また防衛庁長官も述べられておりますように、一つ政治的決断であった、高度の政治的決断でこれがなされたというふうに、私が今まで得た回答からそのように判断いたしております。  では、我が国の内閣において高度のこの政治判断をされた主体はいずこにありや。これは、我が国の制度上、内閣総理大臣にありということをまず御確認させていただきたい。内閣総理大臣がこの決断をされたのか否かということをお答えいただきたい。
  341. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今正確を期すために、行政改革会議第四十一回議事録の集中五日目に当たる日でありますけれども、その日の会議録の中に、私から政府・与党協議の結果について説明したものが客観的に記されております。   防衛庁の取扱いについては、与党間の意見調整がつかず、総理の判断を聞きたいとの話があった。そのように判断を求められるのであれば、私としては、現時点において、スリム化し、新たな業務の追加がない これは、別の案がそのときに存在しましたので、「スリム化し、」という言葉が入っております。  新たな業務の追加がない防衛庁は省にはできない。防衛庁は庁として維持したいとの判断を示した。 このように議事録に残っております。  事実、時間的に正確に私ちょっと記憶をしておらないのですけれども、党側から、そうした意見調整がつかないという報告とともに、判断を示せという要請がありまして、私はそのような判断をいたしました。
  342. 西村眞悟

    西村(眞)委員 国家行政組織法上、省は庁よりランクが上で、庁は省よりランクが下だ、これは明らかにお認めにならねばなりません。  その上で、高度の政治判断をされたのは内閣総理大臣であるという前提で今お答えになったと思いますが、その内容を今お伺いしました。そこでは名を正すということの意味が全く議論されておらない。  論語子路編にいわく、政治が混乱する国の政を担当するか否かについて子路から質問を受けた、何から先にするかという質問を受けたときに、子答えていわく、まずその名を正すべきかという答えが返ってきたわけです。政治改革をやる、その前にまずその名を正すべきかということでございます。  総理の今お答えになったのは、庁としての防衛庁が今やっておることと、それを省にしたときにやっておることと同じではないか、だからこのままとどめおくんだと。  しかし、これを名を正すという観点から見ましたら、同じ国防、それも各省と比べてまさるとも劣らない、私はまさると思いますけれども、それだけ重要な社稷を守るという機能を担当する組織が省よりも下だということは、名を正したことにはならない。やっていることが同じなら、あと残るのは名を正すことだけ、このように思うわけですが、総理のそれがなぜ高度の政治判断なのかと私は思うわけです。  総理が初当選されたころに、自民党政府は、省に昇格する法案を閣議決定されておる。本来なら、防衛庁だけをいじるのではなくて、全体としての行政改革の中にあっては、同じ自民党政府としては、当然省に昇格する、名を正す、そしてそれを担当する諸君の気概を促す、こういう方に進まねばならないと思っておったわけです。しかし、このたび——今御説明になったような理由がありますけれども、私はその御説明は破綻していると思う。ただ、ほかに理由がある。  総理の初当選されたときの自民党内閣と今の内閣の違うのは、自民党単独内閣ではないということ。単独内閣ではない、他の社民党なりさきがけなりの党派の事情によってこの国家百年の大計を断念されたのではないか、私はこのように推測いたしますが、この推測は間違っておりますか。
  343. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今議員に対して、正確を期すために当時の会議の議事録を読み上げました。  確かに、与党間の意見調整がつかずという事態はありました。その上で、与党そろった席で私に判断を求められました。そのときの判断は、現時点におけるこの内閣の責任者としての判断でありまして、さまざまな問題を考えて出した結論ではありますけれども議員がお考えになりました理由ではございません。むしろ、防衛庁自身が考えて、目指して、目指してという言い方はよくありません、今作業をいたしておりますがイドラインに関する問題、あるいはその他いろいろなことを組み合わせながら考えて、私なりの判断をいたしました。  むしろ、新たな国際情勢が今動いている中で、まさに最終報告にもありますように、我が国の防衛基本問題というものは、私は、行政改革という視点ではなく、別途政治の場で議論をすべきものだと思っておりますけれども、その上で、ちょうど議員が述べられたと同じようなことを自民党の中で私に言われた方々もございます。それも私は隠しません。しかし、今私はそのような判断をいたしました。そして、それは議員が述べられた理由がもとではないということだけは申し上げておきたいと存じます。
  344. 西村眞悟

    西村(眞)委員 担当の防衛庁長官自身が、省にする方向でお願いしておるという答弁をされておるわけです。しかし、総理は、先ほど述べられた事情の中で、与党間の調整がつかないということを申されました。そして、その決断をされた。総理の私の質問に対する冒頭のお答え、国防というものは、社稷を守るというものは行政改革の対象というには余りにも重いというお答えと、今のこの総理の決断と、その決断の内容が余りにもギャップがあり過ぎる。  そこに我々自由党は、国防省は当然だという観点からこの質問をさせていただいておるわけですが、党派の事情によって、総理は御否定になるかもしれませんが、連立てあることは確かでございまして、自民党単独のときには省昇格法案を閣議決定したことも確かでございます。したがって、この判断の変化というものは与党の構造にしか求められないわけでございます。  したがって、私が言うには、国家百年の大計よりも与党の構造の中で与党の意見の調整を優先させた内閣として、そしてその内閣の責任者として、我が国の歴史に残る総理大臣になられるのではないか、私はそれを恐れております。我が国においていやしくも国防のことを決断される総理大臣においては、単にみずからの与党の事情を国家百年の大計の中で優先されてはならぬのでございまして、総理大臣はそれを優先されたとしか考えられないわけでございます。  お答えがありましたら。
  345. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど議員が述べられましたように、昭和三十年代に防衛庁を省に昇格させようという考え方が閣議決定寸前まで行ったと議員はお述べになりました。そうしたことがかつてあったと私も思います。それから同時に、自由民主党が残念ながら政権を離れまして一時期野党になりましたが、その間に二十年以上の時間がございました。その間、防衛庁を省にという法律案等を内閣は作成しておらず、自由民主党が議員立法をしてもおらなかったように私は思います。  言いかえれば、議員は連立政権であるがゆえの決断と決めつけておられますが、私の先輩の多くの自由民主党の総理・総裁は、その時期においても、私が今日感じておると同じような感じ方でこの問題に取り組んでこられた方々が多かったと思います。
  346. 西村眞悟

    西村(眞)委員 総理は、みずから、二十一世紀における国家機能のあり方、そしてそれを踏まえた中央省庁再編のあり方、変革と創造をなし遂げるのだという志で、全体としての我が国の行政再編するという方向に臨んだ中での国防の位置づけを私は聞いております。単独で防衛庁を国防省にという動きを聞いておるのではありません。この千載一遇の中で、国家の基本をたださなくしてどうして内閣総理大臣が務まるのかと私は思わざるを得ない。  それで、総理、世界のG7でも結構です、我が国周辺諸国でも結構です、また、我が国と同じように国連の安全保障理事会に加入すべき志を持っておる国家でも結構です、その中で国防をエージェンシーに担当させている国があるでしょうか。すべてデパートメントでありミニストリーでございます。我が国がやらねばならないのは、行政改革という議論前提とし,ての国家のバックボーンとは何かということでございます。  総理大臣のお答えに満足したわけではございません。しかし、私の質問時間が来ました。これで質問をやめます。  ありがとうございました。
  347. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、児玉健次君の質疑に入ります。
  348. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  法案の第二十五条で言う労働福祉省について、まず総理にお尋ねをします。  第二十五条一項、そこに「労働福祉省は、次に掲げる機能及び政策の在り方を踏まえて編成するものとする。」とあって、「一、社会保障制度の構造改革を推進すること。」このようにあります。  昨年六月三日に決定された財政構造改革の推進方策、今ここに持ってまいりました。この推進方策の冒頭は「一、社会保障」というところから始まっていて、その中に「社会保障構造改革を進め、」とあります。  この二十五条の一号で言う社会保障制度の構造改革の推進と財政構造改革の社会保障構造改革、これは私は照応しているように思います。そのとおりか、それとも違うのか、その点について総理のお答えをいただきたいと思います。
  349. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まさに日本の将来の行政仕組みを考えますときに、社会保障は必要ではないでしょうか、構造改革も必要ではないでしょうか。当然ながら、こうした組織のどこかに位置づけられるべき国の重要な業務だと私は思っております。
  350. 児玉健次

    児玉委員 私がお尋ねしているのは、財政構造改革の推進方策におけるこの言葉と、この法案におけるこの言葉は緊密に結びついていると思うのです。そのとおりですね。
  351. 小里貞利

    小里国務大臣 労働福祉省の任務に照らしまして、社会保障制度はまさにこの省の機能とされるものでありまして、社会保障制度の構造改革は、省庁再編の前後を問わず極めて重要かつ喫緊の課題である、そういう判断をいたしました。
  352. 児玉健次

    児玉委員 そこで、社会保障制度の構造改革、これは言うまでもなく今から四カ月前、野党の反対を押し切って成立させた財革法におけるその八条、社会保障関係費の量的な縮減、九条における健康保険制度の改革、十条における年金制度の言うところの連続改革、それが内容をなしています。  今、社会保障の先行きに対する国民の非常に深刻な不安、これが個人消費低迷の主要な原因の一つである、この点については内外から厳しく指摘されています。そのようなときに、労働福祉省は社会保障制度の構造改革の推進を自己目的にするのか。  私がこの点を橋本総理にお尋ねしたいのは、あなたの六つの改革とよく言われますけれども、その中で軸をなすのは、あなた自身が今も議長を務められている財政構造改革会議、そして行政改革会議では会長をお務めになっている、その二つの財政構造改革会議行政改革会議が、言ってみればあなたの言うところの改革の軸になっているだけに、それだけに、今の関連について、私はやはり総理自身からお聞きをしたい、こう思うのです。
  353. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今御質問をいただきながら、御党から従属人口論で社会保障の非常に厳しい状況をおまえたちは言い過ぎるという御論議をいただいて、そんなことはない、高齢化社会というものは深刻に考えなければならないのだというやりとりをしたのがいつごろであったかを今一生懸命に思い出しておりました。  そして、当時から私どもは、高齢化社会というものにおける社会保障の構造というもの、これは当然ながら、給付の水準であり、国民の負担であり、将来世代の負担、バランスという問題を含むわけでありますから、気にいたしておりました。  そして今、本当に社会保障というものが将来ともに国民の暮らしにとってのセーフティーネットワークとしての役割を果たすように、その構造を将来ともに維持できるような形態に改めようとして努力をいたしております。
  354. 児玉健次

    児玉委員 非常にいい御指摘を総理からいただきましたので、私はそのことに正面からかみ合わせたいと思うのですね。  何人かの閣僚の方は覚えていらっしゃると思う。例えば、今委員長をなさっている高鳥先生、当時総務庁長官でいらっしゃった。それから小渕外務大臣は当時内閣官房長官。そして堀内通産大臣は当時環境庁長官でした。この論議をしたのは昭和六十三年二月六日、私どもの正森成二議員とそして当時大蔵大臣であった宮澤喜一さんとの……(橋本内閣総理大臣「堀内さんは環境だったですか」と呼ぶ)小渕恵三、国務大臣、内閣官房長官会議録には書いてありますね。(橋本内閣総理大臣「堀内さんは環境と言ったのはちょっと違ったんじゃない」と呼ぶ)失礼しました。それは削ります。  そのとき私たちが中心的に議論したのは、総人口に対して就業者数がどうかと。総人口を就業者数で割れば、一九九〇年においても、本人を含めて一・九四人、そして、二〇〇〇年で一・八八人、二〇二〇年で一・八九人、こういう議論をいたしました。  そのとき、私は今でもよく覚えているけれども、宮澤大蔵大臣はこういうふうにおっしゃった。「生産年齢人口を考えて片方で年寄りのことを言っておる。確かに社会保障あるいは医療というようなことを考えるものでございますから、老齢のことのみを申し過ぎている嫌いはございます。」こういう議論をしたことがあります。  先日、総理松本議員質問に対して、従属人口論ということを御党は前に述べていたとおっしゃいましたが、私たちが今の議論についてそういう名前をつけたことはないのですけれども、今でも私たちはこの点の主張に変わりはない。  しかし、先日、三月の予算委員会で、この場で総理と私が議論をしたように、高齢化というのは好ましい現象であって、少子化というのは克服すべき状況だ。そういう中で、憲法二十五条に書いてあるように、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」その道こそ、今厚生省に求められている道だと思うのですね。ところが、皆さんが言っていらっしゃる社会保障制度の構造改革を推進するというのは、社会保障の向上、増進とは逆の向きではないか。それが財革法でも今度の基本法でも軸に据えられているところにまず問題点の第一がある、私はそういうふうに思うのです。総理、いかがですか。
  355. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 僕は実は宮澤先生の答弁は存じませんでした。今読まれたとおり、私はそのとき閣僚ではないものですから。  しかし、同時に、従属人口論という呼び方をさせていただきましたが、言いかえれば、生産年齢に対する高齢者とそして年少者、その合計の比率の議論、これは御党が続けておられることを、私、今も変えておられないことも存じております。その上で、まさに意見が一致するのは、高齢化というのは喜ぶべきことと言われました。長寿社会というのは本当に私はめでたいことだと思うのです。年少人口の減少については克服すべきこと、これもいい言葉かもしれません。  それはそのとおりに認めた上で、高齢者の場合に、国の負担といいますか施策の対象になる重みといいましょうか、これが勤労世代に大きな影響を及ぼすことは御否定にならないと思います。そして、年少世代にかかる、コストという言い方もこれは不適当なのですが、予算といいましょうか、それとも現役世代の負担と申しましょうか、いろいろな言い方ができるわけですけれども、大きく差異があること、よく御承知のとおりであります。  まず、年少世代に対しては、現役世代は、すくすく育っていけるようにという配慮とともに、教育に対する負担をいたします。高齢者の世代に対しては、主として教育という投資は余りもはや行われておりません。しかし、どうしても避けて通れない、年齢を加えていく、その中における疾病の多発、しかも期間的に長くかかり医療費としても長くかかる疾病がふえている。これはお互いが生物である限り避けて通れない運命でありまして、それだけの負担をどこかで行わなければなりません。また、一定の年齢から年金の受給権が発生をいたします。これは、ある意味では逆に稼得能力の減少というとらえ方もできるでしょう。  そうした組み合わせの中で将来ともに維持のできる工夫をしていくこと、私は、これは憲法の精神に反するものだとは思いません。現役世代と将来世代、あるいは若い方々と現在既に高齢になっておられる方々と、給付と負担を将来にわたってバランスをとろうとしている。そして、セーフティーネットとして役立つ社会保障を組み立てる努力は、私は非常に大切なことであると思いますし、今関係者が苦労して求めておりますのは、この困難な方程式の答えということであろうと思います。
  356. 児玉健次

    児玉委員 その困難な方程式の答えですが、あなたが財革会議においても行革会議でもリードをとられて、そして財革法と今度の改革基本法でそれぞれ軸に据えられている社会保障制度の構造改革、さまざまなメニューがありますけれども、その一つの中心は年金でしょうね。年金が、あなたのお考えになっている、ないしは内閣がお考えになっている今後の推移の中で、給付の額がふえるかというと、その逆ですね。  そして、健康保険制度の改革について言えば、これは何回も議論をしたけれども、現在被扶養者として保険料を納めなくても済む三百六十万人の高齢者から、恐らく月額五千円の保険料を一律に取り立てることになっていくだろう。介護保険についてはこの前議論をいたしました。そういった方向は、目指している方向として憲法の言う社会保障の向上及び増進に努める、この方向ではありませんね。  そして、たびたび皆さんがおっしゃる財政上の観点云々ですけれども、今私が述べたのは、決して私どもだけの党派的な見地ではありません。  例えば、平成十年一月三十日に社会保障制度審議会の会長宮澤健一氏の名前で、国民健康保険制度の改正に例をとって答申を出された。その中でこういうくだりがありますね。「近年、財政構造改革の流れの中で、特に社会保障の分野において国民の費用負担が大きくなっているのも事実であり、今後も、財政対策を優先した改正を繰り返すことは国民の社会保障制度全体への不信感を強めることにもなりかねない。」そう言っているのです。その方向を、この改革基本法は言ってみれば厚生行政の自己目的にしようとしているのではありませんか。これは大きな問題点である、私はまず指摘しますが、反論があればお聞きしたいと思うのです。
  357. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、議員は自己目的と言われました。自己目的というのは、細胞分裂でも生物学的にも余り楽しいときではなくて、細胞が分裂することだけが目的という、私はそうだとは思っておりません。  そして、議員はお述べになりましたけれども、いろいろな角度から議論をされました。そのすべての論議を私は全部否定するのではありませんが、その場合に呈したい疑問は、議員がお触れにならなかった、それだけかかるお金はどうするのということなのです。  社会保障制度、これを運営していくのに当然費用が必要であります。その費用というものは、国は金持ちであるわけではないのですから、国民から税でちょうだいするもの、すなわち一般会計で負担をするのか、保険料の形で納めていただいたものを充てていくのか、それとも給付の水準を動かすかです。この組み合わせの中しか答えはございません。そして、その組み合わせをどういたしましても、この高齢化の進展の中、少子・高齢社会の中で、将来的に国民負担率はある程度ふえざるを得ないということは、既に、私どもが申し上げるのではなくて、客観的な立場でもさまざまな数字が出ております。  そして、それを少しでも抑えていきたい。そう考えるときに、青天井で、国民負担率は無視して、保険料の世界であれ税の世界であれ拡大をしていくが給付水準も高くする、言いかえれば高福祉・高負担の姿を求めていこうというのが国民の御意思であるのか、あるいは適正な負担で適正な給付という形を求められるのか。こうした中でそれぞれの仕組みを、今、将来にも継続してその内容が維持できるような、そうした仕組みをつくろうとしてさまざまな努力をいたしております。
  358. 児玉健次

    児玉委員 総理、私たちは、何かのことを提起するときに財源を伴わない提起をすることはありません。社会保障の充実を主張するときも、今の財政構造の浪費をどのように削るかということを必ず数字の裏づけを持って提起いたします。  そして、今総理自身がおっしゃった、どのくらい財政を必要とするかということに対する直接の批判がこの社会保障制度審議会の答申ですよ。財政対策を優先した改正を繰り返すことでは社会保障制度全体への不信感を強めることになりかねない、私は、この指摘に対してやはり謙虚に耳を傾けていただきたいと思いますね。  私はもう一つ——おっしゃりたければどうぞ。
  359. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、私は、別にさっき議員が言われた議論を否定もしない。その上で、要するに給付を維持するために、将来的に高齢社会というものはいや応なしに負担はふえざるを得ないという傾向にあることはお認めをいただいていると私は思うんです。高齢、加齢というものに伴ってどうしても、年金にいたしましても医療費にしてもふえるわけです。しかも、幸せなことだとお互いに確認をした高齢化が進めば進むほど、その負担はふえていくわけです。ですから、ここには当然、ふえていく負担をどうやって賄うかという問題があります。  その場合に、水準を維持するということで考え方を固定すれば、そこでふえてくる費用は、保険料という形でちょうだいをするのかあるいは税という形でちょうだいしたものを投入していくのか……(児玉委員「浪費構造を削るか」と呼ぶ)浪費構造はどういうものというのをまた御説明を伺いたいと思いますけれども、私は、まず給付というものを固定すれば、保険料を上げていくのか、一般会計負担すなわち税の世界で負担をお願いをするのかということだと思いますし、それをフレキシブルに、どうすれば一番適正な負担で将来ともに、次の世代までを含めて見通した設計ができるか、そのための負担はどれぐらいで給付水準はどうか、私どもはそう考えているということを申し上げておるんです。
  360. 児玉健次

    児玉委員 若い、特に子供から、学んでいる世代の主たる社会的負担は教育の領域であって、そして高齢者の場合、治療と介護の面で全く別の負担が重くかかってくるという点は、私たちは常に直視しています。  そういう中で、全体としてそれを満たし得る国の予算構造をつくるかということについて言えば、我々が繰り返し述べている、国と自治体の公共事業に対する年間の給付、負担と社会保障に対する負担の大きな逆立ちの構造、それをせめてアメリカ並み、イギリス並みにすることによって十分な財源を生み出すことができる。この議論は、私は、さらに続けていきたいと思います。  そこで、次に、総務庁統計局に聞きますが、三月二十七日に発表なさった労働力調査(速報)、この中で、「非自発的な離職による者」の状況、その点についてお答えいただきたいと思います。
  361. 伊藤彰彦

    伊藤(彰)政府委員 労働力調査の平成十年二月の結果でございますが、完全失業者の総数は二百四十六万人で、昭和二十八年以降は最多になっております。そして、お尋ねの求職理由別の完全失業者数でございますが、非自発的な離職失業者は六十九万人となっております。  この数字でございますけれども、この調査は五十九年から調査しておりますけれども、昭和六十二年の一月に一度七十二万人という数字がございますが、これに次ぐ高いものとなっております。
  362. 児玉健次

    児玉委員 みずからの意思に反して退職を余儀なくされるぐらい、真剣に社会を生き抜こうとして努力してきた方にとって深刻なショックはないと思います。今、非自発的離職が六十九万人、前年同月比十六万人増加している。雇用に対する国民の不安の深刻さ、これは先ほどの社会保障の先行きに対する深刻さと合わさって、これまた今日の日本経済を非常に困難にしている主要な原因の一つですね。そのときに労働行政はどのようにこたえなければならないのか、この点が今問われていると思います。  これは、私は、労働省、労働大臣に議論をしようと思っているんではないんです。とりあえずまず議論をしたいのは、昨年六月三日の財政構造改革の推進方策の中で雇用の厳しさについてどのようなことが言われているか、この点です。  そこではごう書かれています。「雇用の流動化等に対応し、自助努力を促すよう企業年金、私的年金の整備を行う。」そして、続きのくだりで「自己責任原則の観点から失業給付に係る国庫負担の在り方を見直す。」こう書いてありますね。深刻な不況のもとで非自発的な離職に追い込まれた方たちにとって、そのとき国から自助努力と自己責任原則が強調されたらどのような受けとめにならざるを得ないか、そこのところがこの基本法議論するときに私たちが大いに論じなければいけない点だと思うんです。  この点に対して行革会議はどのような答えをしたか。私は、そういう状況のもとでは、憲法第二十二条、職業選択の自由、憲法第二十七条、労働の権利及び義務、二十八条、労働三権の保障、これにかたく立脚して労働行政の一体的、一元的な推進が必要だろうと考えます。その道を残念ながら行革会議は歩まれなかったと思うのです。小里長官、どうでしょう。
  363. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、さまざま今御意見がありましたけれども行革会議の基本は一貫いたしておると思っております。
  364. 児玉健次

    児玉委員 非常に簡潔な御答弁をいただきまして、その点では感謝しております。  雇用の確保、そして労働条件の整備、この点が行革会議の中で議論をされて、そしてこの第二十五条の中に盛り込まれなければならなかったと思うのです。ところが、盛り込まれておりません。それで、その問題の中で今、大ぐくりと称して厚生行政と労働行政の言ってみれば一本化が進められようとしている。  このことに関して、行革会議の中間報告を拝見していて、私は非常に注目すべき部分を読み取りました。  十八ページに書いてありますが、「労働行政と福祉行政等を総合的に担当する省として、」当時です、これは。「雇用福祉省を設立することとしたが、これに対しては、労働行政は独立すべきではないかとの意見もあり、また、いずれにせよ、雇用・労働政策が埋没しないような配慮が必要であるとの意見がある。」私は正論だと思います。  労働行政が埋没しないような配慮、逆をまた行っているのじゃないですか。いかがです。
  365. 伊吹文明

    ○伊吹国務大臣 児玉委員おっしゃるとおり、額に汗して働きたいと思っている人たちに雇用を維持し、その雇用条件、労働条件を守っていくというのが労働省の、あるいは労働福祉省の一番大きな仕事でなければならない、それはそのとおりだと思います。  そこで、これは今回提出いたしました中央省庁等改革基本法案の読み方でございますので後ほど総務庁長官から再度お答えいただければよろしいと思いますが、まず第十五条というのがございます。十五条に従って別表の第二というのがあるわけですね。その中に労働福祉省というのがありまして、その労働福祉省の「主要な任務」のまず第一に「雇用の確保」というのが先生がおっしゃるとおり書いてあるわけですね。そして、その「主要な行政機能」として、「労働基準・安全衛生、労働関係調整、」それからずっと来て「労働保険」というのがあります。  そして、先ほど来御指摘がございます二十五条というのは、そういう基本の上に立って、時代の流れの中で省庁再編する場合にこういう点にも留意をしなさいよという指針だと私は理解しておりますから、御心配の向きはないし、私が労働大臣をしております限りはきちっとその御要望におこたえをいたします。
  366. 児玉健次

    児玉委員 別表の中に、「雇用の確保、労働条件の整備」と書いてあることはよく承知しています。そして、それを一体的、一元的に進める状況に今あるのではないかというのが先ほどからの私の主張です。  そこで、この問題に関して労働省自身行革会議に対してどのような意見を述べたかということについて、私は着目したいと思うのです。  労働省は、昨年五月十七日の行革会議ヒアリングに対する回答の中で、このようにおっしゃっていますね。「労働行政経済社会を支えていくものを対象として、労働者及び労働市場に関わる政策を一体として展開できる行政体制にすることが必要。」こう述べていらっしゃる。そして、もしかしたら福祉行政との合体をある程度見通されたのかもしれないけれども、そのことについてずばりこう言っていらっしゃる。「福祉行政はなんらかの事情で働くことが出来ず、社会が生活を支えなければならない人を対象にしており、その対象となる人の違いから、行政を展開する視点が異なっている」  私は、この点も正当な指摘だと思うのですよ。福祉についての表現には私ちょっと異論があるけれども。その方向を、残念ながらこの改革基本法は歩んでいませんね。むしろ逆です。  さらに、もう一つ具体的に申しましょう。労働省に伺いたいのだけれども、全国の労働基準監督署に対する申告件数を、過去五年間、示していただきたいと思います。
  367. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました全国の労働基準監督署に労働基準法等の関係法令に違反するとして申告のあった件数でございますが、平成四年が一万六千二百六十七件、それから平成五年が二万百六十二件、その後少しずつふえまして、平成八年が二万一千四百九十四件となっております。
  368. 児玉健次

    児玉委員 確かに、一九九二年の一万六千二百六十七件に比べて、一番新しい九六年の二万一千四百九十四件、私の承知する限り過去最高ですね。このような深刻な状況がある。  そういうとき、日本経営者団体連盟が九六年の六月五日に行政改革会議に対して文書を提起なさっている。拝見すると、こうなっていますね。「労働基準法の「罰則」の廃止しというのが大くくりにあって、その理由として、「労働基準法が制定された当時と今日では社会・経済状況、労働者の労働条件等が大きく変化している。かかるときに、労働基準法の大部分の条文において「懲役刑」を含む罰則を設けておくことの必要性はないため、労働時間法制、労働契約法制等に関する罰則を廃止すべきである。」  この申し入れに対して、行革会議はどのようにお答えになったでしょうか。答えてください、行革会議がどのように答えたか。
  369. 伊吹文明

    ○伊吹国務大臣 行革会議のことについては事実関係を後ほどお答えすると思いますが、私が労働大臣を拝命いたしましてからこの間の経緯について、私の知っていることを先生にお話ししたいと思います。  まず、労働基準監督業務を本来の国の業務から外すかどうかということは、若干の議論があったということは確かです。しかし、これは働く人たちの基本的な立場を守るという一種の警察行政的な仕事でございますから、このことを外すということは困るということです。それは、当然私は正しい主張だと思いますし、そのとおり今回の法案の中でも措置をされております。これは今後とも国の業務として残っていくということを正式に認めて、この法案を出していただいているというのが私ども理解です。
  370. 児玉健次

    児玉委員 労働基準監督の分野をもしエージェンシーの方にゆだねるとすれば、日本の今後は非常に深刻な状態になりますね。そのことを皆さんがなさっていないということは、私は知っている。その上で言いたいのです。  この第二十五条の四号には、「労働関係の変化に対応し、その調整に係る行政を見直し、縮小すること。」こういうふうになっておりますね。  先ほどお答えのあった非自発的な離職六十九万人、対前年同月比十六万人増、これをどう見るかというとき、総理、この点は私は行革会議の会長でいらっしゃる総理に申したいのですが、労働省は平成九年五月七日の労働省からのヒアリングの中でこう言っていますよ、「基本的に産業と労働者の著しい力の違い」。労使自治とかなんとかということを言う人がいるけれども、労働省はずばりこう言っていますね、「産業と労働者の著しい力の違い」。  そういうもとで、労働行政が、まさに力関係が雇用者の側「企業の側に圧倒的に有利だから、だからこそ労働行政は一体的、一元的に進めなければならない、この道が素直に出てくるのじゃないかと思うのです。ところが、それが大くくりと称して、巨大官庁の一つである労働福祉省になる。どうしてもこの結論については私は納得することができません。いかがでしょうか。
  371. 小里貞利

    小里国務大臣 労働福祉省については、先ほどからお話がありました雇用の確保、労働条件の整備、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上、増進等を一体的、総合的に推進するとともに、関係施策及び事務事業の効率化等を目指すことといたしておりまして、少子・高齢化等の社会経済情勢の変化に対応した労働政策と社会保障政策の統合及び連携の強化が図られるものと強く期待をいたしております。
  372. 児玉健次

    児玉委員 それではやはり、今の雇用失業情勢の厳しさと、そして先ほど言った憲法二十二条から二十八条に至る、それに厳しく立脚して労働行政を一元的、一体的に進めるということとは、まさに背を向けた姿になりますね。  総理は多分御存じだと思うけれども、昭和二十二年、一九四七年に、当時厚生省のもとにあった幾つかの部局がなぜ労働省に分離独立したのか、この経過について私は非常に強い興味を持っております。この後また議論は別の機会にやりたいと思いますが。  今つくられようとしている労働福祉省は、現存する職員の数だけで十万一千人を超しますね。それをアウトソーシングの対象にしようと皆さんはなさっているわけだけれども、そのことをすることによって、労働諸法制の全面改悪で労働行政が変質、後退しないかという強い広い危惧、そして社会保障の連続改悪は国民生活を根底から脅かしている、そういったときに労働省、厚生省を大くくりにして一体化する、これは国民の恐れているその点を相乗的に加速させることになる。私は、二十一世紀に向けた国づくりとしてこの道は適当でない、この道は真剣な再考が必要だ、こう考えます。どうでしょう。
  373. 伊吹文明

    ○伊吹国務大臣 率直に申せば、今先生がおっしゃっている観点からだけを考えて物を考えれば、幾つかの答えは私はあると思います。  しかし、国の行政を預かっているということは、XとYとZの三つの連立方程式を解くことであって、Xの答えだけがこれだということではないと思うのです。でございますから、国が効率的に行政サービスを提供する、そして税負担も最も少なくて済む、やはりそういうことを求めながら行政改革をやり、その行政改革の中の一つとしてこの省庁再編があるわけです。  したがって、一緒になったから例えば福祉が後退するとか労働行政が後退するということはないのであって、例えば一緒にすることによって、働きながら家庭を持っている人たち、育児に携わっている人たちの立場をどうするかとか、あるいは雇用保険と健康保険を一緒に徴収することによって、今別々に徴収している人員を合理化することによって国民の御負担を少なくし、少なくした財源をもって新しい仕事に当たるという目的のためにやっているわけで、何事も先と影の部分がございます。しかし、影の部分を最小限に抑えながら光の部分を伸ばしていくという議論をしなければ、新しい時代に私は対応できないのではないかと思っております。
  374. 児玉健次

    児玉委員 国会の審議は議論をかみ合わすところですから。私が言っているのは、福祉行政のベクトルがどちらを向いているか、労働行政のベクトルはどちらを向いているか、それが大くくりで一緒になることで国民の危惧が相乗的に増しはしないかということを述べているのです。  私は、さらにそれを各論で少し議論してみたいと思うのですね。最終報告の別表の一と二を取り上げたいと思います。  この別表の一で、「この表は、独立行政法人の検討対象となりうる業務として行政改革会議論議で取り上げられたものを整理したものである。」だあっと列挙されていますね。別表二で、「下記については、廃止、民営化、地方移管等を検討した上で、なおこれらになじまない場合に、独立行政法人化の検討対象とする。」こうなっています。  行革会議は、こういった点について、一つ一つの機関についてどんな検討をなさったのだろうか。これを長官、私は拝見しました。ところが、出てこないのですね。例えば、別表二で航海訓練所というのが挙げてあります。この航海訓練所が廃止、民営化の論議の対象になった理由は何でしょう。お答えください。
  375. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 行革会議におきましては、各種施設等機関それぞれについて資料を事務局が作成し、提出し、各委員がいろいろ御検討をいただいてきたという経緯、あるいは各省ヒアリングの中でそれぞれ主なものについてデータ、資料あるいは説明を聞いた、そして意見を交換した経緯などがございまして、そういうものをまた討議の経過の中で表にしていろいろ論議をした。そういう過程として最終的にこの表が出たということでございます。
  376. 児玉健次

    児玉委員 名指された方の立場に立つべきですね。ほとんどの行政機関、試験研究所にとっては、これは驚天動地のことですよ。突然自分たちの名前が出てくる。なぜそうなったのかわからない。  私は委員長にお願いしたい。こういう会議会議議事概要では読み取れないので、この別表一、別表二に出てくる一つ一つの機関について行革会議でどのような論議がされたのか、それを示す会議録と資料を提出いただくようにお願いしたいのです。いかがでしょう。
  377. 高鳥修

    高鳥委員長 理事会において協議いたします。
  378. 児玉健次

    児玉委員 そのようにお願いしましょう。  そこで、具体的に申します。文部省にお聞きしますが、東京水産大学と北海道大学水産学部の五百トンを超える練習船、実習船の総トン数と実習生定員を示していただきたい。
  379. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 御指摘の北海道大学水産学部の五百トン以上の練習船は二隻ございまして、総トン数といたしましては二千二百七十五トン強でございまして、収容定員は合計で百七十七名でございます。東京水産大学の五百トン以上の練習船は二隻でございまして、総トン数は二千四百七十七トン強でございまして、収容定員は合計で百八十七名でございます。
  380. 児玉健次

    児玉委員 残念ながら局長は実習船、練習船のことをよく御存じないようで、北大水産学部は、おしょろ丸、北星丸二隻合わせたトン数が今のお話です。そして東京水産大学は、海鷹丸、神鷹丸二隻合わせた総トン数が今の数字です。  そこで、東京商船大学と神戸商船大学について五百トンを超える練習船はございますか。
  381. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 東京商船大学、神戸商船大学において五百トンを超える練習船は所有しておりません。
  382. 児玉健次

    児玉委員 最も海の厳しく過酷な条件の中で船のリーダーとしての訓練を積む仕事は、航海訓練所の、皆さんも御存じの日本丸、海王丸ですね、これが担当しています。所属は運輸省です。それを民営化し、ないしは地方移管をする、廃止。これでは、日本の船員教育は成り立っていきません。そういうことがこの別表二の中に盛り込まれている。  今私が言ったのは、ほんの一例です。同様のことが、例えば航空大学校でも別の事情で言えるし、海技大学校についても言えるでしょう。そして、私は北海道の者ですから、ここに書いてある種苗管理センター、さけ・ます管理センターについて、やはり同様の議論をしたいですよ。それが、理由も示されることなく別表の中に姿をあらわして、そして一瀉千里でもし進められるとすれば、これは重大なことですね。このようなことは行うべきでない。総理、どうです。
  383. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、航海訓練所を初め幾つかの例示を挙げられながら委員としての御見解を述べられましたもの、それぞれに私も拝聴をいたしました。その上で、今後、この法案成立後におきまして、私どもが改めて、この法律案を成立させていただいた段階において国の行政の形を形づくっていきますときに、どういうあり方が一番望ましい姿であるのかについて、より具体的に検討し、結論を出していきたいと思います。
  384. 児玉健次

    児玉委員 法案が成立する過程でこそ今の議論はしなければいけないので、できた後では、そういうのはまずいですね。  それで、同様のことが、第四十三条の三に挙げられている国立病院・療養所の問題でもございます。  総理は厚生行政に、あるいは大臣として、そして政務次官として随分かかわってこられた。国立病院・療養所、これが、一九五七年から一九六六年にかけて、結核の化学療法について大きな功績をした、そのレポートがこれです。  ちょっと、委員長、よろしければ総理にお渡ししたいのですが。
  385. 高鳥修

    高鳥委員長 どうぞ。
  386. 児玉健次

    児玉委員 これは、結核に化学療法が採用されるように世界の趨勢がなったときに、複数の薬剤を駆使して、それぞれの効能、副作用、用量等、当時全国の百数十カ所の国立療養所のネットワークが生かされて、何歳の男性女性、体重何キロ、症状はこういう状況、それに対してこの薬を使ったらどういう結果が出るかということを全国的に見事に集約されて、そのことで、日本のみならず、世界の結核における化学療法の道筋が示されました。  その中心になられた砂原先生はこうおつしやっている。この努力は日本だけでない、イギリス、アメリカ、インドと並んで大きな努力をし、世界の研究を支える四本柱の一つとなっていると言ってよいであろう、他のヨーロッパ諸国ははるかに立ちおくれている、こう述べていらっしゃるのですよ。  それから何年かたちました。今どうなっているか。皆さんにお配りした資料をちょっと見ていただきたいと思います。  ヨーロッパ諸国ははるかにおくれていると一九六六年に言われた。今どうかというと、これは厚生省の平成八年結核発生動向調査集計結果ですが、その参考一をごらんください。十万人当たりの罹患数は、日本は三十三・七です。アメリカが八・七、オーストラリアは五・七です。残念ながら、今、日本の方が大きく立ちおくれていると言わなければならない。非常にこれは残念なことだ、そう思います。そういうときであるからこそ、全国の国立病院・療養所のネットワーク、それが今生かされなければならない。  ついこの一月も、北海道の函館市で小学校の先生が排菌性の結核になられて、五十五人の児童が集団感染する。函館市立保健所が非常に迅速な対応をなさって、一人の方が国立病院に入院されただけで、今は要観察の状況にまで治っています。私はそのことを喜びたいと思う。  そういう役割をする国立病院・療養所ですから、今こそその機能を強めてますます充実させる、そのことが必要ではないかと考えます。いかがでしょう。
  387. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 お答えをいたします。  先生が御指摘のように、日本の結核の現状は、今、死亡率で見ますと、確かに世界の先進国から比べておくれているということは事実でございます。ただ、これにはいろいろの事情があるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、我が国ではまだまだ結核対策はきちっとしていかなくてはいけないということは、先生の御指摘のとおりであります。  ただ、問題点は、実は結核を診られる専門医の数が非常に減っているということ。もう少し具体的に言えば、大学で、卒業されるお医者さんの中で結核を専攻される方が減っているということ。そういうこともあり、だから、患者数も減っている、また、外来医療でも相当診られるものですから入院が減っている。ということで、ベッドを集約して、そしてそこに患者さんを集めてやらないことには十分な結核医療ができないということでありまして、今後とも国立療養所で結核の患者さんは十分診てまいる、このように考えております。
  388. 児玉健次

    児玉委員 ぜひそのようにしていただきたいと私は思います。  そして、国立病院・療養所の果たすべき役割の重要さというのは、結核にとどまりません。例えば老人性疾患、全国のあらゆる場所でそれが発現いたします。そして、ALS、HIVなどの難病、重症心身障害、がん。  国立病院・療養所、私は十数カ所にお邪魔いたしました。そして、そこでドクターやナースその他がどのくらい真剣な努力をなさっているか。総理も覚えていらっしゃると思うけれども、その場での看護婦さんの二交代制勤務については、昨年総理と私は、大いに有益な議論をしたと思います。  そういう中で、例えば壱岐、佐渡、対馬、そういう島嶼群を含めて存在していて、そして、かつてこの結核療養で発揮したようなネットワークを十分駆使して努力を強めていけば、日本の医療の向上に大きく貢献すると思う。その道を、私はぜひ政府に主導していただきたいと思うのです。  この点は、やはり総理の御答弁をいただきます。
  389. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 国立病院・療養所について行政改革会議がどういう最終報告をまとめたか、そして、これを基本法に忠実に書いたかを、今さら繰り返すつもりはございません。その上で、先ほど厚生省の担当局長からお答えをいたしましたのと同趣旨のことを、私は実は、ここで議員との間に問題として提起をしたいと思っておりました。  今、新興・再興感染症、我々にとって非常に大きな課題であります。日本だけではありません。特に、この結核を初めとする再興感染症が、今それぞれの国におきまして、それぞれの国の地勢あるいは風土等の影響で、その疾病こそ違いがあれその勢いを増しているということは、非常に我々として懸念しなければならないことです。  同時に、日本は幸いに確実にこれをたたきつぶすことに成功したわけでありますが、世界じゅうを見ますときに、依然として寄生虫は猛威を振るっている。そして、我が国の方々は本当に世界各地へ出ていく時代になって、国内にしかし予防体制はないのです。大学の医学部の講座はどんどん閉鎖されていきました。そして、こうした、日本としてはある程度たたき伏せた、あるいは専門家の養成はもうここで手を抜いていいという判断のもとに閉鎖された講座の中から、今局長が御答弁を申し上げましたように、患者数はある程度あるけれども、専門の診断能力が低下しつつあるという問題があります。当然ながら、初診時における発見率も低下をいたしております。  こうしたことは、国立病院・療養所をいかに再編、整備していくか、あるいは、この法案の中で目指しておりますような、先駆的な医療でありますとか、民間の医療機関では引き受けてくれない分野を引き受ける以外の部分をどうしていくかということとは別に、我が国の医学教育から始まって、医療全体の問題として私はまた議論をする時間がちょうだいできればと思うぐらい、その思いは同じでありますが、残念ながら、ちょっと部分的に違うのが問題なのです。
  390. 児玉健次

    児玉委員 私は、今どうなっているかということを、経過においてとらえることが重要だと思います。  先ほど言いましたように、厚生省は言ってみれば政策医療に特化するとおっしゃって、そして確かに、今大学で結核をどのように若いドクターに臨床的に教えていくかという点で大きな弱点があります。その点は総理御指摘のとおりだ、私もそう思うのです。  しかし、全体として、療養所のネットワークを駆使して、老人性疾病や結核その他について思い切って可能性を伸ばしていくという点でいえば、少なくともここで示されている道ではない。  まだ引き続き議論をしますから、きょうはこれで終わりますが、しかし、議論をすればするほど、この基本法の持っている問題点というのは浮き彫りになってきますから、委員長、これは徹底的な審議をお願いして、私のきょうの質問は終わります。ありがとうございました。
  391. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、明二十三日木曜日午前九時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十二分散会