○石毛
委員 全体のとおっしゃいましたけれ
ども、全体ではトータルにつかみ切れないからこそブロック別の入院受療率を中心にして必要病床数を出しているのではないかと思うのですが、ブロック別で出してみても、それぞれ都道府県をとってみるとさまざまな個性があって、必ずしも病床数と医療費の相関だけで物事を
規定できるわけではないのじゃないですかということを私は申し上げたわけですけれ
ども、これについてはこれ以上お話をしていますと、また私の方が堂々めぐりになってしまいそうですので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
長野県は高齢者の方の平均余命率が高いことで知られております、特に男性は一位になっていたかと思います。長野県の場合に、被
保険者の受療率といいますのは〇・三二九四で、全国平均が〇・五一一七ですから、これに比べると大変低いです。それから、一人当たりの診療費が、全国平均が一万五千七百四円で、長野県の場合は一万七百十六円ですからほぼ三分の二です。それで、ベッド数でいいますと、長野県は、非過剰地域です。ですから、確かに非過剰地域ですからベッド数が過剰ではなくて、医療費が低いという、入り口と出口だけは言えるのかもしれませんけれ
ども、長野県の場合に非常に特徴的なのは、必要ベッド数よりも既存ベッド数が低い県だけれ
ども、なおかつ既存ベッドが使われていない、病床利用率が非常に低い県だ、そういう特徴がございます。
前回、中野総合病院の池澤参考人も、医療計画の中でベッド数の勘案をするのに病床利用率の考え方を入れていないというのは、考え方としては説得力に欠ける部分があるのではないかというふうにおっしゃられていましたけれ
ども、長野県のこの例を見てみますと、医療費との相関というのは、相関の要因は確かにいろいろあるのだと思いますけれ
ども、非常に重要な要因として、要するに、入院患者さんが少ない、ベッドが余ってしまっているわけですね。長野の場合には、必要ベッド数を満たしていないところ、要するに、日常的な用語を使えば、不足地域です。不足地域ですけれ
ども、なおかつ病床利用率は低い。つまりは、入院する人が少ない。あるいは、人は多いのかもしれませんけれ
ども、入院日数が短いのかもしれません。トータルでいえば、入院医療費がかからない。これが医療費を下げる大きな要因になっているというようなことが考えられると思います。
それで、
厚生省ももうお持ちなんだと思いますけれ
ども、私は、ここに、
国民健康保険中央会が、
市町村における医療費の背景要因に関する研究会報告書、抄でございますけれ
ども、たまたま手に入りまして、持っております。
少し読ませていただきますと、長野県の場合は、「在宅医療を可能とする条件が整っており、その結果、平均在院日数が他県より短くなっている。」「長野県では医療機関に空き病床が多くあるにもかかわらず、医療機関側が患者の要求に対応して在宅ケアを医療として取り組む態度が認められる。」というようなことが書かれております。
それから、その中に、「医療機関のあり方」ということで、「医療機関数や病床数及び医師数と老人医療費とは正の相関が認められた。」これは、
厚生省が常々御主張になっていらっしゃることです。「認められた。長野県の特長は、これらの相関を上回って老人医療費が抑制されていることである。すなわち、長野県の低医療費は、提供されている医療の
内容に特性を見出すことができる。」これは一般的にももう随分言われ始めていることでございますし、それを
国民健康保険中央会のこの研究会報告は明示的に示されたということだと思います。
話の筋をもとに戻しますけれ
ども、長野県は病床の非過剰地域ですから、もし病院を建てて病床をふやしたいということがあれば、これは、病床をふやすことができる地域になるわけですね。病床をふやすことができて、長野県の今の姿勢でいえば、そうそう病床利用率が高くなるとは想定できないと思いますけれ
ども、病床を仮にふやしたとして、病床の利用率を高めていけば、これは医療費をふやしていくことになってしまう。これも矛盾ではないか。うまり、非過剰地域では病床をふやすことができるというのも、医療計画の筋とすれば、必ずしも整合性のある、説得性のある論理とは言えないというふうに申し上げたいと思うのですけれ
ども、いかがでしょうか。