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1998-04-17 第142回国会 衆議院 厚生委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月十七日(金曜日)     午前九時四十分開議 出席委員   委員長 柳沢 伯夫君    理事 佐藤 剛男君 理事 長勢 甚遠君    理事 根本  匠君 理事 船田  元君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 久保 哲司君       安倍 晋三君    衛藤 晟一君       大村 秀章君    奥山 茂彦君       佐藤 静雄君    桜井 郁三君       菅  義偉君    鈴木 俊一君       田中 昭一君    田村 憲久君       戸井田 徹君    能勢 和子君       堀之内久男君    松本  純君       山下 徳夫君    家西  悟君       石毛 鍈子君    城島 正光君       土肥 隆一君    畑 英次郎君       松崎 公昭君    青山 二三君       旭道山和泰君    武山百合子君       藤井 裕久君    吉田 幸弘君       児玉 健次君    瀬古由起子君       中川 智子君    笹木 竜三君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保険医療         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君  委員外出席者         厚生委員会専門         員       市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任        補欠選任   江渡 聡徳君     菅  義偉君   桧田  仁君     奥山 茂彦君 同日  辞任        補欠選任   奥山 茂彦君     桧田  仁君   菅  義偉君     江渡 聡徳君     ――――――――――――― 四月十六日  国立病院療養所の廃止・民営化等反対、存続  ・拡充に関する請願一川保夫紹介)(第一  四四一号)  同(倉田栄喜紹介)(第一四四二号)  同(佐々木洋平紹介)(第一四四三号)  同(濱田健一紹介)(第一四四四号)  同(原口一博紹介)(第一四四五号)  同(倉田栄喜紹介)(第一四九〇号)  同(佐々木洋平紹介)(第一四九一号)  同(濱田健一紹介)(第一四九二号)  同(村山富市紹介)(第一四九三号)  同(佐々木洋平紹介)(第一五二七号)  同(村山富市紹介)(第一五二八号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一六一三号)  同(瀬古由起子紹介)(第一六一四号)  同(平賀高成紹介)(第一六一五号)  同(古堅実吉紹介)(第一六一六号)  同(村山富市紹介)(第一六七七号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願家西  悟君紹介)(第一四四六号)  同(井上一成紹介)(第一四四七号)  同(岩浅嘉仁君紹介)(第一四四八号)  同(岩永峯一紹介)(第一四四九号)  同(枝野幸男紹介)(第一四五〇号)  同(大石秀政紹介)(第一四五一号)  同(小野晋也君紹介)(第一四五二号)  同(木部佳昭紹介)(第一四五三号)  同(佐々木洋平紹介)(第一四五四号)  同(武村正義紹介)(第一四五五号)  同(中川正春紹介)(第一四五六号)  同(中西績介紹介)(第一四五七号)  同(中山太郎紹介)(第一四五八号)  同(原口一博紹介)(第一四五九号)  同(村田吉隆紹介)(第一四六〇号)  同(森田一紹介)(第一四六一号)  同(山口俊一紹介)(第一四六二号)  同(吉田左エ門紹介)(第一四六三号)  同(青山二三紹介)(第一四九四号)  同(上原康助紹介)(第一四九五号)  同(臼井日出男紹介)(第一四九六号)  同(枝野幸男紹介)(第一四九七号)  同(桜井郁三紹介)(第一四九八号)  同(佐藤信二紹介)(第一四九九号)  同(中川正春紹介)(第一五〇〇号)  同(中野寛成紹介)(第一五〇一号)  同(村山富市紹介)(第一五〇二号)  同(石橋大吉紹介)(第一五三一号)  同(木村義雄紹介)(第一五三二号)  同(栗原博久紹介)(第一五三三号)  同(古賀正浩紹介)(第一五三四号)  同(坂井隆憲紹介)(第一五三五号)  同(仙谷由人紹介)(第一五三六号)  同(達増拓也紹介)(第一五三七号)  同(中川正春紹介)(第一五三八号)  同(畠山健治郎紹介)(第一五三九号)  同(日野市朗紹介)(第一五四〇号)  同(石毛鍈子君紹介)(第一六二四号)  同(児玉健次紹介)(第一六二五号)  同(志位和夫紹介)(第一六二六号)  同(高市早苗紹介)(第一六二七号)  同(寺前巖紹介)(第一六二八号)  同(中林よし子紹介)(第一六二九号)  同(春名直章紹介)(第一六三〇号)  同(平賀高成紹介)(第一六三一号)  同(藤田スミ紹介)(第一六三二号)  同(松本善明紹介)(第一六三三号)  同(山原健二郎紹介)(第一六三四号)  同(渡辺周紹介)(第一六三五号)  生ごみなど未利用有機物可燃ごみ中止に関す  る請願菅直人紹介)(第一四八六号)  医療保険制度改悪に反対し、医療充実に関  する請願児玉健次紹介)(第一四八七号)  同(瀬古由起子紹介)(第一四八八号)  社会福祉士制度拡充による保健医療機関で  働くソーシャルワーカーの資格に関する請願  (土肥隆一紹介)(第一四八九号)  公的臍帯血バンクの設立と血液事業法の制定に  関する請願遠藤乙彦紹介)(第一五二九号  )  同(大野由利子紹介)(第一五三〇号)  同(大野由利子紹介)(第一六二三号)  看護婦の長時間夜勤・二交代制勤務反対医療  ・看護充実に関する請願松本善明紹介)  第一六〇七号)  医療保険制度改悪反対医療充実に関する請  願(藤田スミ紹介)(第一六〇八号)  国民健康保険料引き下げに関する請願(木島  日出夫君紹介)(第一六〇九号)  国民医療拡充建設国保組合の育成・強化に  関する請願中島武敏紹介)(第一六一〇号  )  医療保険改悪反対社会保障充実に関する  請願佐々木憲昭紹介)(第一六一一号)  同(瀬古由起子紹介)(第一六一二号)  医療保険制度改悪反対保険によるよい医療に  関する請願佐々木憲昭紹介)(第一六一八  号)  同(瀬古由起子紹介)(第一六一九号)  同(平賀高成紹介)(第一六二〇号)  医療保険改悪反対社会保障充実に関する請  願(平賀高成紹介)(第一六二一号)  児童扶養手当所得制限額引き下げの撤回に関す  る請願藤田スミ紹介)(第一六二二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第三一号)      ――――◇―――――
  2. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本孝史君。
  3. 山本孝史

    山本(孝)委員 おはようございます。山本孝史でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日、私の質問では、財政構造改革法改正あるいは四月九日に総理が発表されました総合経済対策社会保障関係費関係、あるいは健康保険制度抜本改革進捗状況等についてお聞きをしたいと思っております。したがって、法案関係しておりますレセ点検の話あるいは地域医療計画、それから保険医の指定のあり方等については次回以降の質問の機会にさせていただきたいと思っておりますので、本日は触れないつもりでおります。  まず、総合経済対策でございますが、先般、四月九日に総理記者会見をされて発表されました。財政構造改革法改正についてもその中に盛り込まれておるわけですけれども、小泉大臣は、これまでずっと、苦しくとも財政支出はふやすべきでない、あるいは橋本内閣では財政構造改革法改正すべきではないというふうに主張されてこられました。今回のこの橋本内閣での改正をどのようにお受けとめになっておられるのか。ずっとこの委員会でも厚生大臣が御主張なさってきたことが受け入れられなかったわけですけれども、今後御自身の、失礼ですけれども進退も含めてどのように対応しようとお考えになっておられるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 財政構造改革法というのは、これは将来の増税をできるだけ避けよう、また国債増発も若い世代、将来への形を変えた増税なんだから、この国債増発も抑えていこうという中で、徹底的な行財政改革をしようということから生まれてきた法律だと私は理解しております。そういう中で財革法成立し、その枠の中で十年度予算編成されたということでありますので、私は、苦しくともこの財革法というものの中でいろいろな対策を打っていくべきではないかなと思いました。  しかしながら、最近の景気低迷等もありまして、総理財革法改正決断されたようであります。そういう状況であるならば、私は、景気対策だからといって公共事業上積みする、赤字国債を発行して減税をする、しかしながら社会保障関係予算はそのままですよというのでは受け入れられないということを再三再四発言してまいりました。  前提が変わったわけでありますから、私は、同じ補正予算を組む場合にしても、公共事業上積みする場合においても、既存の枠に乗って公共事業上積みするというのではなくて、社会の情一勢、時代の要請に適合したような公共事業上積みもあってしかるべきではないかということは、社会保障関係においても、公共事業予算を使え、あるいは使っていいというのだったらばやるべきことはいろいろあるということで、社会保障関係公共事業も配慮すべきだし、同時に、財革法前提の中で苦しい予算を組んできたわけでありますので、これを改正するというのだったらば、社会保障制度上限枠が設けられておりますけれども、これについても特例考えていいのではないかということを主張をしてきましたし、現在も主張をしております。私の主張が反映されるように、これからも精いっぱい努力をしていきたいと思います。
  5. 山本孝史

    山本(孝)委員 財革法審議の折も、大変に苦しい法律であるけれども、総理決断をされたのでその決断に従って我々も社会保障関係費を削ろうという姿勢で臨んでいるのだという御答弁をいただいた記憶があります。ただいまの御発言も、このたび総理が再び決意をされて方向を転換されたのだからその決断に従うというふうな御主張であろうというふうに受けとめをしましたけれども、問題は、その前提が変わったというふうに今おっしゃった、この前提が変わったということなんですね。  財政構造改革法成立をしましたのは十一月二十八日でございます。その財革法前提予算が十二月末に編成をされました。一月から予算案審議に入りました。先般四月に予算成立をしたわけですけれども、そういう意味でいけば、財革法成立してからでもまだ四カ月もたっていないという状況の中で、その予算編成の一番前提になった財革法がなぜこんな簡単に変わってしまうのか。前提が変わったので、決断をされたからそれに従うんだという御決意のほどはわかりますけれども、こんなに簡単に決断が変わってしまっていいのだろうか。そこのところを小泉大臣はどう受けとめておられるのかということを私はお聞きをしたいと思います。
  6. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、政治信頼という問題にかかわってくれば、かなり損なわれたのではないかなと思っております。
  7. 山本孝史

    山本(孝)委員 重ねてお伺いしますが、政治信頼が損なわれたということは、今回の政策転換橋本政権政策あるいは先行きの見通しの誤りであったと、簡単に言ってしまえば失政であるというふうに受けとめておられますか。
  8. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、失政かどうかというのは、国民自身がどのように判断するのか、あるいは総理自身がどのように判断されるのかということにもよると思います。しかし、そういうのをすべて考え総理判断されて、皆はいいということだと思うのですね。それは、あとどういう、選挙で診断されるのか、国会でどのような議論をされるか、それは総理自身が答えるべき問題だと私は思っております。
  9. 山本孝史

    山本(孝)委員 内閣の一員としての小泉大臣は、どういうふうに御判断をされておられますか。
  10. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は総理大臣ではありません。厚生大臣として、自分主張主張として言いますけれども、民主主義であります。多数意見に従うこともあれば、場合によっては自分主張を貫くこともある、その時々の判断自分なりの判断を下したいと思っております。
  11. 山本孝史

    山本(孝)委員 ありがとうございました。ただいまの御答弁の中で、キャップ制の問題とそれから補正予算組み方についてもお触れをいただきました。キャップ制見直しについて、まずお伺いをしたいと思います。  橋本総理は、予算委員会での御答弁の中で、社会保障関係費と他の経費との間には異質の問題を抱えている、あるいは社会保障関係費については一工夫必要だとお述べになっておられます。社会保障費上限枠見直しについて言及をされておられるというふうに思うのですが、一工夫必要だというところにどんな工夫ができるのかというふうに、聞いていて思います。  今回のこの予算組み方の中で、いろいろと医療費、今回は医療費が今問題になっているわけですけれども、当初四千二百億の削減目標を立てて、九月以降の医療費自己負担、あるいは薬剤の一部負担等でここはダウンしましたということで、三千二百六十億円削減ということでやってまいりました。いろいろやって、結局三千二百十億円しかひねり出しができなかった、まだ五十億円足りないという状況予算が組まれているというふうに理解しております。  そういう意味で、このキャップ制の、総理社会保障関係費については一工夫必要だとおっしゃっている、一工夫とは一体何をおっしゃっておられるのか、厚生大臣はどう理解しておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  12. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私も実は、総理の言う一工夫というのはどういうものだろうかと今考えているのですよ。なかなか総理は明らかにしない。私は、今週の月曜日の閣僚懇談会でも、社会保障予算重要性を指摘し、総理も、そうだな、社会保障関係には一工夫必要だなという話をされて、理解を持ってくれたと判断しておりますが、かといって、一方では、多くの財革会議のメンバーが、各省庁上限制は維持すべきだという意見が大勢を占めている。  一工夫中身は、総理はまだはっきりしていませんから、今後具体的に、議論される際に、私はその一工夫中身はどういうものか再度聞いてみたいと思っているんです。今のところ、上限制を何らかの方法で変えるのか、補正予算だけで手当てすればそれも一工夫になるのか、どっちになるのか、判断がつきかねております。
  13. 山本孝史

    山本(孝)委員 今回のこの国保法等改正も、大変に厳しい財革法前提にして組まれている予算の中の一つでございまして、厚生省あるいは与党の皆さんは、そうではないんだとしきりと切り離しを主張されておられますけれども、そういう意味でいきますと、前提が変わってしまって、なおかつその一工夫内容もいまいちよくわからないという中でこういう法案審議をするというのは、私は非常に遺憾だというふうに思っております。  ただ、財革法議論のときにも申し上げたんですけれども、キャップ制というのは非常に問題がありませんかと。とりわけこの社会保障費キャップ制ということを考えますと、租税の負担といいますか、国庫負担が上がるという仕組みの中で、社会保障制度仕組みの中で、そこが上がってきますと、キャップ制があると、必然的にその上がった分は国民に転嫁をせざるを得ないというのが、今回のキャップ制の持っている重い意味合いだったと思うんですね。そこのキャップ制見直し、今、一工夫がどういう内容かよくわからない、もう少し聞いてみないとわからないとおっしゃいましたけれども、そもそもにおいて、社会保障費キャップ制をしくということ自体に、今度は前提が崩れたわけですから、大変ここは問題があるのじゃないか、もう一度見直すべきじゃないかというふうに思うんですが、そこのところは、厚生大臣、今どういうふうにお考えなんでしょうか。
  14. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 財革法では全省庁マイナスという、平時においては革命的と言ってもいいぐらいに、前年度より予算を減らしていくという中で、各省庁予算を組み、また厚生省関係予算を組んできた。これは、負担といえば、国庫負担といえば負担なわけです、すべて負担なんですね。増税だって負担じゃないかというと、そうじゃない、負担なんです。負担給付というのは密接に結びついている。税金を取っているから給付があるのであって、税金を取らない給付なんてあり得ないんです。だから、両方負担といえば負担であり、それでは予算をふやせば負担がないかというと、増税国債増発かで負担があるんですよ。  しかし、増税はしない、国債増発はしないという中での給付負担をどう考えるかの中で社会保障関係予算を組んだわけでありますから、その点は、今後、では負担とは何か、給付とは何かという両方から見なければいけない議論だと思いますけれども、私は、今回の前提が変わったといいますか、財革法は変えるというのであれば、それは社会保障関係も、当然、この十年度予算の経緯と、そして他の省庁予算がふえていくという中で、社会保障関係予算というのはどうなっていけばいいかということから、私は十一年度予算上限制についても見直すということ、特例を設けてもいいのではないかということは、見直してもいいのではないかということを言っているわけであります。
  15. 山本孝史

    山本(孝)委員 キャップ制がしかれまして、公共事業等の、ODA等の伸びと違いまして、社会保障費の方にキャップ制をしくということは、高齢化なり人口増なりあるいは医療技術の進歩なりで必然的に自然増という部分でふえていく部分があるわけですね。そこを二%というふうに抑え込んでしまいますと、国庫負担でふえる部分は必ず国民の側に負担が戻っていく。それが、今大臣がおっしゃったように、税金になるのか、保険料になるのか、自己負担になるのか、それはいろいろな形があると思いますけれども、ここの議論をしっかりしないままに全部にキャップ制をしいてしまって国民の方に負担を増す、公共事業とやはりここは異質だというふうに思うのですね。そういう意味でも、これは財革法前提が全く崩れるわけですから、この社会保障費キャップ制あり方というものについてしっかりと御主張していただきたいというふうに思います。  それで問題は、景気回復云々ということでやっているわけですけれども、大臣の御発言の中で、九二年から今まで六十兆円以上の公共事業と十兆円以上の減税をやってきたじゃないか、それでも景気回復をしないというふうに御指摘をされておられて、私全く同感でございまして、先ほどもお触れになりましたように、従来の手法では景気回復は望めないというふうに思っています。むしろ社会保障制度の急激な改革というものが、国民の心を、非常にマインドを冷え込ませている。  今回医療保険が上がり、あるいは将来また年金が上がり、平成十二年からは介護保険が導入されて保険料が出てくる。いずれかの形で負担をしなければいけないとしても、幾ら負担させられるのか、どんどんこの社会保障関係負担ばかりがふえてくる。前回の大臣所信に対する一般質疑でもお聞きをしましたけれども、結局、国民の側としては貯蓄に走らざるを得ないのではないかというふうに思うわけですね。そういう意味で、この改革の急激なスピードが結局景気回復をおくらせている要因の一つになっているのではないかというふうに思うのですが、大臣はどういうふうに受けとめておられるのでしょうか。
  16. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、増税ももうできないんだし国債増発もできないんだから行財政改革をしなければならないという総論は、さきの衆議院選挙でもほとんどの政党候補者が認識したと思うんです。ただ現実総論から各論に入っていきますと、官から民へと言いながら、私自身郵政事業なんというのは民営化できると思って主張してきたんですけれども、全政党がこれに反対している。なかなか言っていることと各論になると違うんだな。私の主張少数意見で退けられました。財政再建だって、現実構造をそのままにして財政の収支を合わせるんだったら、構造改革にならないじゃないかというのが私の主張なんです。  民間に活力を与えなければいかぬということは、民間にできることは政府関係機関はどんどん民間に任せていけばいいじゃないか。役所民間のやっていることを、同じことをやっていれば、法人税も納めません、設備投資税金を使う。民間は、役所と同じことをやっていながら、もうけを出さないと倒産しますから、必ずもうけを出そうとして頑張る。そして、いい商品、安い商品をできるだけ各社が競争して出している。なおかつ税金まで納めてくれる。こういう構造にしないと、税収も上がってこないし企業もやる気をなくす。だから構造改革をやれ。政府関係機関、民営化できることは全部民営化しなさい。そういうことによって役人仕事を減らさない限り、役人は減らすことはできない。多くの方は役人を減らすことは大賛成だと言いますけれども、役人仕事を減らさないで役人を減らすということはできないんです。残った役人過重労働になってしまうんです。そういう主張というのは、総論ではわかるといっても、いざ各論になるとなかなか理解されないで、私の主張は退けられました。  でありますから、民主主義でありますから、多数意見に従うのがこれまた政党人としての一つの生き方であります。各党それぞれの立場がある、全部自分主張が通るとは限りませんという中で、限られた中で、それではいかに自分主張を通していくかということを考えなきゃならない。しかし、今言ったように、構造改革に伴う痛みというものに耐えかねて、じゃもう構造改革しない、また現状の上積みということになると、ますます悪循環に陥ってしまう。私は、ようやく最近、増税痛みだけれども、歳出削減痛みなんだということがだんだんわかってきたんじゃないかと。痛み増税だけじゃない。  今まだわからないのは、国債増発というのは、現在の人は負担しないから痛みと思っていないけれども、これから将来負担する若い世代は大変です。その点も考えないと、今さえよければ後はどうでもいいという大変憂うべき状況になる。それをさせてはいけない。お互いそれぞれ痛みを分かち合って、よりよい時代をつくっていくということに真剣に取り組むべきじゃないかと思っております。
  17. 山本孝史

    山本(孝)委員 ぜひ小泉大臣総理大臣になっていただいた方がこの国の形は私はよっぽどよくなるというふうに思っているんですけれども。  ここしばらく聞いておりまして、セメント使用量お触れになる方があられるものですから、私も、どんなものだと思ってセメント協会セメント消費量というのはどういう数字ですかとお聞きしてみましたら、日本は八千万トン使うんだと。アメリカが八千六百万トン、同じような数字であって、ドイツが三千八百万、フランス二千万、イギリス一千三百万というような数字で、日本の八千万という数字は非常に飛び抜けている。国土の広さを考えても飛び抜けている数字だというふうに思うんですね。土木国家というか土建国家というかというふうに言われていますけれども、まさにこの数字を私知りましたときに、なるほどというふうに思いました。  先般、家電会社の会長さんが講演で、せっかく減税をしたんだからどんどん物を買っていただきたいんだというふうにおっしゃるんですけれども、私は、大量生産・大量消費・大量廃棄というこのサイクルの中で、物を循環させて景気回復するというような高度経済成長をしていたときのようなスタイルはもうとれないんじゃないかと。大概の人たちは今は家の中にいっぱい物があふれていて、確かに旧型にはなっているけれども、買いかえなくても使えるものですからそのままずっと使っているという状況で、それを、減税したから、はい買いなさいという話はこれは多分無理なんだろうというふうに思っております。  むしろそれよりも、先ほども言いましたように、医療ですとか介護ですとか年金ですとかという将来への不安を払拭するような形で税金を使っていただく方が本当の景気回復には近いんじゃないかというふうに思うんですね。そういう意味では、今回のこの平成十年度の予算編成の姿が非常に問題であったんだというふうに思います。  予算案審議の折に最善の予算だ、最善の予算だとおっしゃいましたけれども、公共事業中心の従来の、先ほども大臣お触れになりましたけれども、従来の枠組みを変えない予算編成をしている限りにおいては景気回復というのはあり得ないんではないかというふうに私は思っておりまして、恐らくそこは大臣全く御同意をいただけると思うんです。  問題は、そうしますと、補正予算をまた組むと言っているわけですね。同じように、公共事業補正予算を組むなら社会保障費補正予算を組めというふうになるわけですが、補正予算で対応できる社会保障関係費というのはそんなにないんじゃないんでしょうか。どうなんですか。
  18. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 金を使っていいといろんなら、ここにも使え、あそこにも使えと言いたくなるんですよね。総合対策予算をつけるというんだったら、出しますよ。しかしどの程度の額になるか。建設省関係公共事業に比べるとはるかに少ないというのは、そうだと思います。しかし、社会保障関係公共事業もやりたいことはたくさんありますから、もし補正予算を組むんだったらば、今までの枠の中で建設省関係だけの公共事業を積み増しして、社会保障関係公共事業はしませんよということは、それは私は承知できないと。  でありますから、どの程度厚生省関係社会保障関係公共事業が額として出るかというのは、今まだ定かではありませんけれども、どんなに上積みしても兆円単位にはならないと思いますね。それは限度があると思います。
  19. 山本孝史

    山本(孝)委員 横にお並びの厚生省の方からすれば、もっと大きな金額を言ってほしいというお気持ちもあるかもしれませんけれども、私は、社会保障関係費補正予算で組むという考え方自体が間違っているんじゃないかと。社会保障関係費というのはもともとは本予算の中にしっかりと組み込まれているべきものであって、そこをキャップ制で削って、それを、今回補正予算が組まれるからそこでまた分捕り合戦をやるという話はどうもおかしいと。先般の予算委員会の中で、じゃ、新ゴールドプランの前倒しをすればいいじゃないか、もっと特養をたくさん建てればいいじゃないかというふうに御主張された自民党の方もおられますけれども、そういう形で社会保障考えるべきじゃないんじゃないかと。もっとしっかりとした社会保障の姿というものを本予算の中で示していただきたいというふうに思うわけですね。  平成十一年度の予算を組むのも大変これまた難しい。この間も御質問申し上げて、十二月にならないとわからないというお答えをいただきましたけれども、そういう意味も込めて、平成十一年度予算あるいは今後の補正予算あり方も含めて、社会保障関係費キャップ制も含めてきっちりともう一遍議論をして、そういう態勢で予算編成に臨むんだという大臣のお言葉をいただきたいと思います。
  20. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 基本的には、補正予算は組まないで本予算で全部対応すべきだと思うんです。基本的には私も賛成です。  しかし、現実の経済状況に合わせて補正予算というのは何度か組まれてきたわけであります。また、今回を契機にして、いかに前年度に比べてマイナス予算を組むというのは厳しいかということがだんだんみんなにも理解されてきた、増税と同じように歳出削減というのも痛みを伴うんだということがだんだん理解されてきた、各種改革というのは全部負担が軽くなるものでもないというのもだんだん理解されてきたということで、この際私は、今回の財政構造改革法成立の経緯と、そしてまた、今回変えたいというときの現在の状況、あわせて、社会保障関係予算というものはどういうものかと多くの方に、重要性と今後の社会保障予算の厳しさというものを理解してもらう一つのいい機会ととらえまして、機会をとらえて私なりの主張を展開していかなきゃいかぬと思っております。
  21. 山本孝史

    山本(孝)委員 総理も同じような御答弁をされておられるのを読みましたけれども、いずれにしましても、今回の財政構造改革法前提としての予算編成社会保障関係費についてこういう切り込みをするというのは余りにも手荒いやり方であって、本来の社会保障制度そのものへの国民信頼を失わさせた結果しか残っていないのではないかというふうに私は思います。  この問題ばかり聞いていますと先に進めないので、健康保険法の抜本改革という問題について同様にお聞きをしたいと思います。  昨年の九月から健康保険法の改正がありまして、患者の一部負担あるいは薬剤の一部負担が導入をされました。その折に、こういう財政的な手当てをするような、緊急避難的な措置をするんだということでしたので、抜本改革をいつまでにするんだということで、随分と厳しく時期をいつだ、いつだというふうに申し上げ、昨年の夏には、お出しをしますということで厚生省案も出されたというふうに記憶をしております。  ことしのこの通常国会にでも健康保険法の改正案が出るのかなというふうに待っておりましたけれども、先般、四月十五日の日経新聞によりますと、来年の通常国会まで先送りする方針であるという記事が載りました。内容としては、これまで医療保険審議会で審議してきた協議を中断して、「そのうえで専門委員会を新設し、医療保険から支払う薬価に上限を設ける新制度導入の影響を試算、秋以降に改めて制度改定の是非を問い直す。」その間は診療報酬制度について「協議する。」というこれから先の見通しがこの日経新聞の記事になっておりましたけれども、これは事実でしょうか。
  22. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 先般の記事は新聞としての見通しを書かれたものだと思いますが、状況を申し上げますと、昨年以来、新設されました医療保険福祉審議会で抜本改革の御議論一つが診療報酬体系の見直し、それからまた薬価基準制度の見直し、この議論をお願いしております。  基軸としましては、昨年の夏に与党の協議会でおまとめいただきました案に沿って御議論いただいておるわけでありますが、そういった中で、やはり具体的に制度の中身というものを考えていきますといろいろな議論がございます。そういった中で、診療報酬体系、薬価基準制度それぞれにつきましても、審議会としての大方の議論というものは出尽くしているというふうに思います。  ただ、その中で、やはり意見が必ずしも一致していない、そういった点が当然あるわけでありまして、そういった問題について、さらになお議論していく必要があるわけでありますけれども、とりわけ薬価基準制度の問題につきましては、今議論している中で新しい、例えば参照価格制度の導入ということで今御議論いただいておりますが、これについても、新しい制度でありますから、どのような例えば形になるのか、そういった具体的な姿形というものがやはり見えないとなかなか判断しにくいという御議論もございます。  そういったような御議論、これはすべて公開でやっておりますから、そういった意味で、恐らくマスコミの方々もそういったものを聞いておられて先般のような記事をお書きになったのだろうと思います。  そういった中で、ひとつやはり具体的な作業というものを少しやってみてはどうか、こういう御議論もございます。これらについてまだ審議会として、そういうことでいこうということを直近の審議会の中で決めたわけではありません。今度、四月二十二日、来週の二十二日にまた医療保険福祉審議会がございますので、そこでまたこれをどういうふうに今後考えていくべきかの議論がなされますが、現段階においては、私どもとしては、やはり新しい制度でありますから、そういった意味では議論を尽くしていただいて、できるだけぎりぎりの意見の一致を見られるような方向で改革に着手していく方が、今後の実施ということを考えた場合には、むしろスムーズにいくだろうというふうに考えておるわけであります。  そういった視点でやっておりますので、私どもとしてはこの抜本改革について、実施の時期はこれまでも大臣からも申し上げているとおり二〇〇〇年実施というものは、これは何としても堅持していくということで考えておりますので、これに向けておくれが出ないように、それまでの間はやはり十分議論を尽くしていく、しかも国民的な視点から議論を尽くしていただく。こういうふうなことでやっておりますので、新聞の記事を読みまして、あれも一つのやり方かなと思いましたけれども、まだそこは決まっているわけではありません。
  23. 山本孝史

    山本(孝)委員 大臣の御答弁もありまして、あるいは財革法の中にも書き込みがありまして、医療保険抜本改革平成十二年度というおしりは決まっております。それは今も、その点においては言明されておられるというふうに思いますが、そのスタートとなる法案の提出の時期がいつなのかということについて、昨年は一生懸命皆さんに早く出せ、早く出せというふうに申し上げたわけですね。  昨年十月二十一日の財革法の特別委員会で、総理大臣は、来年の通常国会に医療保険制度改革法案を提出したいと考えておりますというふうに、この通常国会を念頭にというか、この通常国会に出しますという御答弁をされておられます。大臣自身も同様の委員会で、暮れの予算編成までにはまだ間があります、実際具体的な項目が浮かび上がるのは十二月に入ってからだ、予算編成をしてその内容審議していただくのが通常国会であります、そこでは徹底的な審議をしていただきたいということは、この通常国会に法案を提出するという、昨年の健康保険改正審議しておりましたときのこの改正案の提出の時期については、この通常国会というのはずっと変わっていなかったはずなんですね。  それで、今、その十二年というおしりの話はよくわかっているのですが、審議会でもっと十分審議をしていただいた方がいいんだという御判断もよくわかっているのですが、問題は、十二年ということになりますと来年には出していただかないと、この衆議院もいつ解散があるかわからないという政治的空白の時期もありましょうし、あるいは最も問題なのは、国民の側が理解をするという十分な時間を上げないと、平成十二年の直前のところで十二年からやるんだという話では、これはなかなか難しいのじゃないか。負担を求めていく話になるのでしょうから。そういう意味においては、できるだけ早く法案は提出しなければいけない。これは、提出するのが厚生省の義務であるというふうに私は思います。  そういう意味で、この通常国会に、今いろいろと審議内容は、審議会の進み方といいますか進捗状況は話をいただいたのですが、もし、今おっしゃったように具体的な作業を少ししてみてというふうにおっしゃるのであれば、これは具体的作業をしてからでないと次の審議会は始まらないわけですから、そういう意味でいけば、具体的審議をしていろいろと煮詰まってということに関してはもっと時間がかかる、少なくともこの通常国会にはもう法案は提出できない、来年の通常国会までかかってしまうのじゃないかというのが高木局長の御判断ですか。
  24. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 抜本改革中身でありますけれども、一つがまさに診療報酬体系の見直しであります。それからもう一つが薬価基準制度の見直しということから始めたわけでありますが、これは、診療報酬体系につきましても、あるいは薬価基準制度を見直す、新しい制度を導入するにいたしましても、これまで三十年、四十年と長い期間使ってきた制度を改めるわけでありますし、また具体的に診療報酬の体系といった場合には、現在点数表というのがありますが、こういった具体的な点数表というのをどうつくっていくのか。  それからまた、薬価基準につきましても、具体的に参照価格制度というものを導入するとした場合にどういう償還限度額を定めていくのか、それからまたそれぞれの薬をグルーピングしていくといった場合にどういうふうな形のグルーピングになるのか。そういった作業はかなり膨大な作業になる。これにはやはり時間がかかるだろうということで、まずここから御議論をいただいたわけであります。  私どもとして、この通常国会に予算非関連の形で、できれば意見がまとまれば法案を提出いたしたいということを考えておるわけでありますが、これは、薬価基準なりあるいは診療報酬を新しいシステムにするということの必要の限りにおいて御提案をしたい、こう考えておったわけであります。  そのほか、続きましてやはり抜本的な改革としましては、高齢者医療制度のあり方をどうすべきか、これが大きな問題であるわけであります。この高齢者医療制度というものをどういうふうに今後つくっていくべきなのかということについては、今御議論いただいております診療報酬体系それから薬価基準制度の見直し議論に続いて御議論に入っていただく、こういうことで考えておりまして、こちらの体系的な問題については、私ども、当初よりこれは、この通常国会ということではなくて来年以降、十二年度に間に合うような形での法案の提出ということを考えていたわけであります。  そこで、私どもとしましては、この高齢者医療制度のあり方について引き続き審議会で御議論をしていただくということで考えておりますので、そういった意味で、何かマスコミ等のあれによりますと、抜本的改革がとんざしたのではないか、あるいは見送られるのではないかというような報道がありますが、そういうことではありませんで、着実に議論を進めておりますし、そういう方向で私どもとしては二〇〇〇年には実施をするということでこの作業を進めておりますから、法案提出の関係で申し上げれば、今申し上げたようなことで考えております。  これはまさに今後、来週また審議会がございますけれども、そういった中で、審議会としてどう進めるかということとの関係において今国会の法案提出というのを考えていくことが必要であろう。  そういった意味で、まだ私どもとして、審議会としての意見がまとまれば、今国会に法律改正を提出するということを考えておりますが、もっと具体的な作業というものをやってみようということになれば、先生が今おっしゃるような形で、私どもとしてもまた考えるということが出てくるだろうと思っております。
  25. 山本孝史

    山本(孝)委員 高木局長は御認識が違うと私は思うのですね。改正をして実施をする時期は平成十二年度であるということは、これは政府みずからが法案の中にも書いておられますし、たびたび総理を初め小泉大臣も御答弁をいただいているところなんですね。  しかしながら、昨年の健保法の改正において、ここで、国民の皆さんに御負担をいただくのです、したがって、抜本改革なしに負担だけツケ回すというのはだめですよ、改革の先送りをしてしまうことはだめですよということを何度も申し上げ、そして御答弁の中で、先ほども引用させていただきましたが、健康保険法の改正については、本通常国会においてその案を出すんだということで御答弁をいただいていると私は理解をしております。いや、そんなのは、いつ出したという話は関係ないんだ、十二年にやればそれでいいんでしょうという形で、帳じりが合えばいいんだという話ではないと私は思いますけれども。随分今の答弁は違うと私は思いますよ。
  26. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 抜本的な改革といった場合には、やはりそれぞれ、先ほど申し上げたようなことで、広範多岐にわたるわけでありますが、そういった中で、今通常国会に私どもが非関連の形で提案を検討しておりますのは、診療報酬体系及び薬価基準制度の枠組みを変えるとした場合に、これに伴う法律改正ということで考えておったわけであります。そういうことで、私どもとしては今通常国会ということを考えておるわけでありますが、この問題については、昨年の国会審議の中におきましても御答弁申し上げてまいりましたけれども、やはり国民的な視点からの議論というものを十分尽くして進めていくことが適当であるというふうに私どもは考えておるわけであります。  そういった中で現在議論をいただいておるわけでありますから、その議論の推移といいますか、これがやはり、強引に中断してということはあり得ないわけで、十分見定めながら、審議会としての御意見をいただいて、そして考えていく方が、時間がかかるようでありますが、私どもとして、今後の実施がむしろ円滑にいくというふうに考えておるわけであります。
  27. 山本孝史

    山本(孝)委員 何度も申し上げていますように、健康保険法の改正の折に、薬剤の一部負担あるいは自己負担の比率を上げるということで、国民に御負担をお願いをする、そのかわりに抜本改革はきちっとやっていくんです、全面的な抜本改革というのは、それはいろいろな形がありましょうが、しかし、診療報酬あるいは薬価基準のあり方については、この通常国会でやっていくというスピードでいきますというのが従来の答弁だったじゃないですか。そこのところが出ないんだという形になりますと、私は、国民に対してうそをついているというふうに思います。  時間があれば後でもう一度お聞きしたいと思いますが、老人保健の拠出金制度のあり方についても、平成七年改正の折に、この三年間の間に十分検討して、その拠出制度のあり方について見直しをするというふうに答弁をなさっているにもかかわらず、今回、上限の二五%を三〇%にするだけの改正に終わっている。何ら老人保健制度あるいは高齢者医療制度の将来像もなく、老人保健の拠出金制度のあり方についての抜本的な検討がされたという形跡もなく、二五%が三〇%になっているだけだ。要は、その場しのぎに負担増を国民に押しつけるだけで、そして、その場では抜本改革をしますよと言いながら、その時期が来ると、実はまだできません、もう少し先ですという形にずるずると延びていくというのは、厚生省は一体何をやっているんだろうというふうに思うわけです。  そういう意味においても、昨年の健保法の改正の折に、この通常国会に健康保険制度改正は諮らせていただきますというふうにおっしゃっておられたわけですから、いつこの健康保険法の改正、薬価制度あるいは診療報酬制度の改正案を国会に御提出をいただけるのか、大臣からしっかりとした御答弁をいただきたいと思います。
  28. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 平成十二年度に実施するように法案を提出するよう、今準備を進めているわけです。  その際に、審議関係でいろいろ異論が出てきている、それを打ち切って早く国会に出した方が、十二年度成立に間に合うのか、今いろいろ議論があるから、もっと議論を煮詰めて、そして国会に出した方がいいのかの選択の問題なんです。それは判断として、議論が生煮えのまま法案提出するよりは、十二年度実施に間に合わせるように十分審議を積み重ねて、意見を交換して、機が熟すのを待って国会に提出した方が、十二年度実施に間に合うのではないかという選択の問題だと思います。  私どもとしては、できるだけ早く出したいのですけれども、いろいろな議論が出てきてまとまらない点もある、それだったらば、少し時間をかけて出した方がより円滑に国会の審議も進んでいくのではないか、また、十二年度実施に向けて理解が得られるのではないかということであって、十二年度実施の方針はいささかも変わっていない。ただ、法案をいつ提出するかということは、もうちょっと柔軟に考えたい。問題は、十二年度実施に向けて、どのような国民各界各層の理解を得られるかの問題だと私は思っております。
  29. 山本孝史

    山本(孝)委員 では、確認のためにもう一遍御答弁をいただきたいと思いますが、診療報酬制度の改正、薬価基準制度の見直し、高齢者医療保険制度の抜本的な改革、こういった大きな制度改正の柱があると思いますが、平成十二年は、もちろん法律に書いてありますから、これはやらないと法律違反になりますけれども、これは平成十二年の前、少なくともできるだけ早い時期にきっちりとやるんですね。やるんですという御答弁をいただきたいと思います。
  30. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 十二年度実施に間に合わせるように国会に提出いたします。
  31. 山本孝史

    山本(孝)委員 先ほども申し上げましたように、いろいろな状況があります。国民の側が理解をするには、やはり国会の審議に十分な時間が必要だと思います。そういう意味においても、できるだけ早く出していただきたいというふうに思います。  先般の長勢先生の御指摘の中にも、与党は与党協の中で案をまとめたではないか、それをなぜ厚生省はごたごたとやっているんだという与党自身の御指摘もあったというふうに思いますけれども、そういう意味においても、できるだけ早く審議をまとめて提出をいただきたいと思います。  その折に必ず問題になってくるのが、私は自己負担あり方だというふうに思っています。自己負担あり方についてどうお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思っております。  要は、医療保険制度抜本改革あり方についてどういう姿勢で臨んでおられるのかというところが、与党の案を見ておりましても、私にはいまいちよくわからないのですね。どういう姿勢でと申し上げているのは、必ず片っ方で給付があるわけですね。給付は必ずふえていくのですね。人口がふえていきますし、高齢化が進んでいきますし、医療技術が進歩していきますし。という意味においても、いただきました資料で、数字を御紹介している暇はないですけれども、ずっと必ずこれは上がっていく、医療費は。そうしますと、片っ方の方で、それをそのまま国民の側に負担をツケ回していくというか負担をしていただくという形をする折に、税金保険料自己負担かというふうにいつもおっしゃいますけれども、自己負担というあり方がかなり問題になってくるのではないかというふうに思っているのです。  高齢者の御自身のことも含めてコスト意識を持っていただくには、この自己負担というのが一番いい手だてだという御主張もありまして、漸次自己負担率を上げていくという方向が、医療保険改革といいますか医療制度改革の中ではキーポイントであるという御主張もあるわけですが、自己負担あり方について、厚生省はどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  32. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 抜本改革考え方の中で、まさに負担をどうしていくかということは、非常に重要な問題だというふうに考えております。  それで、まさに御指摘のとおり、これからの高齢社会ということを考えていきますと、給付は、このままの状態ではやはりふえていくだろう。一方、少子社会ということから考えますと、負担をする若い世代というのが少なくなるわけでありますから、このままの状態で推移しますと、若い世代への負担が過重になってくるということが考えられるわけであります。  そういった意味からすると、まず給付負担関係で、あるいは医療保険制度給付なり負担というものを考える上において必要なことというのは、これまでもそうでありますけれども、これからの少子・高齢社会においては、経済の伸びとの調和というものをどう考えていくべきなのかということがやはり大事な点だというふうに考えております。  これまでも、経済成長の範囲内に医療費の伸びというものを抑えていくんだという考え方が厚生省としては出されてきましたけれども、ただ問題は、その考え方が出された時期というのは、もうかれこれ相当前ですから、経済もかなり伸びが高い時期でありました。ところが、これからの経済というものは、本当にこれまでのような高い伸びというものは難しいと言われているわけであります。そういった中で、本当に経済の伸びの中に医療費の伸びというものを抑えていくことができるのか、そこのところをやはりきちっと国民的な議論をする必要があるというふうに私は思っております。  それから、具体的な、個別の患者さんのいわゆるコスト意識を喚起するための一部負担でありますけれども、私はやはり、これはまさに国民的な合意ということになるわけでありますが、今申し上げたように、若い世代への負担が過重にならないようなことを考えていきますと、負担のできる方についてはやはり負担をしていただくということでいきませんと、医療保険制度というものは成り立たないというふうに考えております。  しかし、だからといって、ただ自己負担をふやせばいいということではない。やはり、医療保険制度、皆保険制度というものの機能というものが十分発揮されないといけないわけでありますから、その辺の兼ね合いをどうしていくか、これがまさに、この抜本改革議論の中においても国民的な議論を積んでいかなければならないところでありますし、国会においても十分御議論をいただかなければならないところだというふうに考えておるわけであります。  そういった意味で、私どもとしては、今、新しい審議会はそういうふうな観点から御議論をいただいておるということでございます。
  33. 山本孝史

    山本(孝)委員 先般もやはり、経済成長率と国民所得の伸びと医療費の伸びとをどうするのかという、私も一度ここで質問をさせていただいて、あの考え方はもうとれないのではないか、もう一度医療費の伸びというものをどう考えるのかと。国際的に見れば日本の医療費は決して高いわけではない、むだな医療があるからむだを省かなければいけない、しかし、医療費を抑えることがいいのかどうかというのはもう少し国民的な議論が要るのではないですかというふうに申し上げました。  負担がふえるからだめなんだという考え方はなかなか難しい。医療費はどうしても伸びていく部分があります。そういう意味において、もう少し、医療費を抑制するのかどうかということについて、しっかりとした考えを出していただいた方がいいのではないかと思うのですけれども、大臣、どんなふうに受けとめておられますでしょうか。
  34. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この問題は昨年の国会でも盛んに議論されたのですけれども、経済成長に関係なく、医療費はこれからも伸びていくと思います。  大体、高齢者の医療費というのはそうでない方に比べて今は五倍程度かかっていますから、これは無理もないのですね。年をとれば病気がちになる、体も弱くなる、あちこち痛いところも出てくるでしょう。  当然、これからの世代構成を考えますと、高齢者はどんどんふえていく、若い世代はふえない、あるいは減っていくという中で、病気にならない人にも保険料負担していただかなければならない。病気になったときには、負担できるような額で負担してもらわなければいかぬ。この負担給付の調整をどう図っていくかという中で、中には医療費のむだもあるのではないかということで、薬価にしても診療報酬においても、これから抜本的な改革をしようということで、今審議いただいている。  薬価について言えばへ例えば、ただだったら、三日分でもいいんだけれども、一週間もらった方がいい、十日分もらってもいい。これは、もらう方はただでも、保険料を払っている人、税金負担しているわけですから、これだと医療費はどんどんかさんでしまうというから、ある程度薬代もいただきましょうと。  診療報酬にしても、これはもう何でもかんでも検査すればいいかという問題でもないだろうということで、一定の額だと。これは、幾ら検査しても幾ら治療をしても幾ら薬を上げても、患者さんにとっては一定の負担はないけれども、検査ごとに治療ごとに薬ごとにどんどん保険料負担税金負担になっていくから、この出来高払い制度についても見直したらいいのではないかということで、今、それでは診療報酬の体系も見直しましょうということでやっている。  こういう問題、今まで三十年間やってきて、なかなか利害が錯綜してできなかった問題に今手をつけているわけですから、これはある程度時間がかかります。しかし、その中で、このまま経済成長が伸びても伸びなくても、医療費は結局のところ国民全体で負担する。税金保険料と患者になった場合の自己負担、この三つの組み合わせしかないのですから、これをいかにうまく調整するかということをこれからも考えながら、抜本改革が進んでいるわけであります。  そういう中にありまして、当然、自己負担の問題をどうするか。さらにこのまま、自己負担も嫌だ、保険料を値上げするのも嫌だ、では税金を投入するか。これまた、消費税を三%から五%まで引き上げるのにさえも、これは強い抵抗、批判があったわけですから、この点もなかなか難しい。という中で、今、むだを排除していこう、効率化をしようという中でも、いざ議論をし出すと、結局へむだを排除する場合には、これは患者負担になるのではないかという議論もまた出てきた。  これをどうやって調整するかというのは、だれが政権をとったって、どの政党が政権をとったって、これは解決せざるを得ない問題なんです。それをどうやって進めていくかということをお互いこれから考えていこうというのですから、私どもとしては、できるだけ負担できる方には負担していただきましょうと。  今、国民健康保険に入っている方は、医療費の三割を負担していただいています。健保に入っている方は、一割から去年九月に二割になりました。高齢者は、一月千二十円を今回一回五百円にしていただいて、二千円までは負担していただきます、二千円以降は、四回以上はいいですよというのですけれども、これも当然見直さなければならないでしょう、将来。  しかし、その際に、たとえ三割負担、二割負担でも、一方、二万の三割、二割負担はできますけれども、百万円の医療費がかかった場合の三割負担、二割負担はほとんどの方はできないでしょうというんだから、三割負担、二割負担していただきますよというんだけれども、上限は設けます。今、上限は、月百万かかろうが一千万かかろうが六万三千六百円までは払っていただきますけれども、それ以上は取りまぜんよというのですから、百万かかった人が六万三千六百円で済むとすれば一割にも満ちませんよね。ですから、この点をやはり、それでは上限はどの程度にしましょうかということもお互い考えてもらわなければいけない。  その点については、今後、抜本改革案の中で今議論をしていただいていますから、この国会でも法案ができましたら十分御審議いただきまして、できるだけ、すべての人が賛成するというのは難しいかもしれませんが、給付負担ということを考えれば、この程度の、仕方ないのかなという案は出したいと思っております。
  35. 山本孝史

    山本(孝)委員 ぜひその案をできるだけ早くお見せをいただきたいというふうに思います。  診療報酬制度のあり方について今議論をされておられることは承知をしております。高木局長にお伺いをしたいのですが、診療報酬制度、今全国一律になっておりますけれども、これに地域差を勘案した診療報酬制度を考えるのか、あるいは技術差というものを勘案するのか。さらに言えば、資本ストックに対する手当てというものを診療報酬制度の中で今見ているわけですけれども、まあここはいいでしょう。  地域差と技術差というものを勘案した診療報酬体系というものを厚生省は導入したいと考えているのかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。
  36. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 昨年の夏に厚生省の案としてお示ししたものの中には、地域差というものを考えていく必要がある。問題は技術差、これがなかなか難しいという問題だと思います。  これについては、私どもとしては、ある程度そこのところを認めていくようなシステムをとるということがあってもいいのではないか、こういうふうな提案をさせていただきましたが、また、与党の協議会における案の中でも、現行で行われております特定療養費制度というものを活用したシステムというものはあってもいいのではないかという御提案でありますが、ここはなかなか議論のあるところであります。先ほど申し上げました、現在の医療保険福祉審議会の中の意見の分かれる大きな点であります。したがって、まだこれについては、さらにできるだけ議論のすり合わせをしていただく必要があると考えておりますが、なかなかこれは難しい点ではないか。  しかし、この地域差については、やはりそういう方向というものをある程度考える必要があるのではないかということについては、私は大方の方々がそう考えていらっしゃるというふうに思っております。現に、現行の診療報酬体系の中でありますが、入院環境料の関係につきましては、これは地域差を加算という形で若干導入しておりますし、ここはある程度合意が得られるところではないかと考えております。  そのほか、資本ストックの問題でありますが、これはまさに非常に難問でありますが、今回の診療報酬改定における一つの方向として物と技術の分離、こういうことを考えておるわけでありまして、これは具体的な作業をするということになりますとなかなか難しい問題でありますが、やはりここは知恵を出してそういう方向というものを考えていかないと、我が国の医療制度そのものが合理化が進まないというふうにも思っておりますし、これについても、総論としてはまず異論のないところだと、審議会なんかの議論を聞いておりますと思われますが、では具体的にどうするかというとなかなか難しい問題であるというふうに考えておりますけれども、ここは何とか今回の診療報酬の抜本的な見直しの中では実現をさせていきたい課題の一つでございます。
  37. 山本孝史

    山本(孝)委員 診療報酬、全国一律ではなくて地域差を勘案するということについて前向きな御答弁をしておられるわけですけれども、そういうふうにお聞きをしておりますのは、国保の保険税とかあるいは保険料負担について、随分と地域のバランスというか、ばらつきがあるわけですね。  ちょうど審議に入ります直前に、この「国民健康保険の実態」という、国保中央会、都道府県国民健康保険団体連合会から送っていただきまして、全国の自治体の保険料負担あり方等について、数字が細かく出ております。これをずっと見ていきますと、最高限度額の設定額も、五十二万という最高のところもあれば三十万円台のところもございます。あるいは応能・応益の負担割合についても随分とばらつきがありまして、住んでいる町によって国保の保険料保険税が随分と違うというのがこの数字を見ておりましてもよくよくわかるわけであります。  ところで、平成七年度改正の折に、応能と応益の負担をフィフティー・フィフティーにするという方向に持っていくということで減免のあり方についての見直しをしたわけですけれども、それを見ておりましても、やはりまだ一%台といいますか、一〇%に満たない応益の負担をしている自治体がありまして、そういう意味でいっても、応益負担は上げにくいという部分はよくわかるのですが、平成七年改正をしてフィフティー・フィフティーに持っていこうとした改正が、その後どういうふうに、思惑どおりにいっているのか。高木局長として、ここはどういうふうに受けとめておられますか。
  38. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 国保の問題というのは、これは医療保険制度国民保険制度というものを維持していく上において、やはり高齢者医療と同じように大きな課題だというふうに思っております。  これは、国民健康保険制度が昭和三十六年から全国的に適用され、そして皆保険制度が確立したわけでありますが、当時においては、国民健康保険制度というのは、いわゆる第一次産業とか、あるいはまた自営業者の方のための制度ということで言われておったわけでありますが、当時はまだ第一次産業のシェアも高かったわけでありますし、そういった意味では、それなりに、やはりそういう方々を対象とした制度であるということについて特色があったと思いますが、現在の状況を見てみますと、もうがらりと様子は変わっております。したがって、国保の加入者というのは、いわゆる年金受給者、無職者、こういう方が非常にたくさん入っておるわけであります。  そういった中で、その応益・応能負担というものをどうすべきか。私どもとしてはこれまで、やはり応益・応能というのはフィフティー・フィフティーが望ましいということで考え、そういうことで実は各市町村にもお願いをしてきたわけでありますが、なかなか思うようには、私は応益負担の割合が五〇、五〇というような形にはなっていないというふうに認識しております。これは、まさに国保に加入している方々の実態がやはり変わってきている、こういったこととも大きく私は関係していると思います。  そういった意味で、高齢者医療制度のあり方との絡みにおいても、やはり国民健康保険制度をどう考えていくべきなのかということが非常に大事だと思っておりますし、これは単に市町村がそういった意味で大変だからということだけではなくて、やはりそのあり方を含めた見直しの時期に来ている、このように考えております。
  39. 山本孝史

    山本(孝)委員 私など、横浜と大阪と両方で住んでおりましたものですから、大阪でいきますと、賦課の限度額は大体四十万円台でおさまってしまうのですね。東京都内ですと五十二万ですけれども、都下へいきますと、多摩市とか武蔵野は三十八万とか三十九万で賦課の限度額が設定をされている。という意味で、同じ都内に住んでいましても、住む場所によって随分国保の保険料負担が違うというのがこのばらつきなんですね。  御苦労しておつくりをいただきました、「国保と政管健保の保険料負担の比較」という表をつくっていただきまして、これは平成六年の数字なんであれですが、国保の限度額五十万には、八百五十万の所得、所得ベースで六百四十五万のあたりまで持っておりますと、国保ですともう上限の五十万、平成六年のときは来てしまうのですけれども、政管健保に入っておりますと、その所得の人は三十万五千円の本人負担保険料で済むという形になっていて、国保というのは、先ほども局長触れられましたように、大変低所得の人が多いという中で、中間の所得層に対して大変に重たい負担がかかっていっている制度になっているわけですね。政管健保にいれば随分負担が少ないのに、国保に移った途端にどーんと負担が上がってしまうというのが、しかも、地域差が非常にばらつきがあるという意味で、国保制度そのものに対しての信頼感が非常に今薄くなっているというふうに思います。  ある意味において、国保というものは、もう構造的に私は破綻しているのではないかというふうに思うのですけれども、そういう認識は厚生省はお持ちなんでしょうか。
  40. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 構造的に破綻という場合に、どの程度を指すのかという問題があるわけで、これは余り、一言では誤解を生みますから申し上げられませんけれども、やはりこの国保のあり方というのはきちんと検討しなければならない。これはまさに、昭和三十六年に国民保険ができてからの時間の経過とともに、産業構造、就業構造が大きく変わったということではないかと思います。また、高齢化の進展の中で、年金受給者というものが本格的に我が国もふえてきている。この方々がまさに国保に結局入る、言うならば、被用者保険制度に入れない方が国保に入っているということじゃないかと思うのです。  そう考えてみた場合に、国民保険というシステムを考えた場合、こういう現行の、それぞれ分立した形の状態のまま制度というものを維持していくことは、これは私は難しいと考えております。  そういった中で、しかし、それぞれの加入者によって、所得の捕捉の問題とかいろいろな問題で、サラリーマンの方と国保に入っている方と、では一緒にしたらどうかということになると、やはりそこにまたいろいろな議論があって、なかなか合意が得られないという問題はあります。  それらを踏まえた上で、公平に負担、しかも、制度全体として公平なシステムにするにはどうするか、こういうことがまさに抜本改革の課題だというふうに考えておりますので、この国保のあり方をどうすべきかということは、私は、やはり抜本改革議論の中では避けて通れないだろうというふうに考えております。
  41. 山本孝史

    山本(孝)委員 私も全く同感でして、高齢者医療制度を考える折に、どうしても国保の抜本改革というものを同時に考えないと、これは無理なんだろうと思います。  お年寄りの方だけを別途に高齢者医療の制度をつくったとしても、いただいている数字でいって、加入者の平均年齢が、七十歳以上の高齢者を除いてみても、市町村国保は四十一歳、政管健保三十四歳、組合健保三十一歳ですから、政管あるいは組合健保に比べて、十歳以上年齢が高いわけです。  そういう意味において、どうしてもここは、高齢者医療制度を別につくってみても、恐らく各保険制度、今一本化のこともお触れになりましたけれども、一本化しない限りにおいては、国保財政というのはどこまで行っても苦しい状況が続くのだろうと思います。そういう意味では、制度間調整をするのか、あるいは足りない部分税金で補うのかという形の取り組みをしないと、国保はもたない。  そういう意味で、平成十二年の改革には国保は特にお触れになっていませんけれども、平成十二年改正に向かっていく中で、国保も抜本的な見直しを迫られているというふうに私は理解をしておりますが、大臣はどのように受けとめておられますか。
  42. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今御指摘のように、制度間調整をするか、あるいは税金を投入するか、国保も健保も一緒にしてしまうか、いろいろな議論があると思います。  抜本改革案の中にも、厚生省としては、一つには、もう一緒に都道府県単位でやろうという案を示しているわけです。これは非現実的だと言われています。しかし、私は、これはいいと思ってるのですよ、個人的に考えれば、非現実的と言われているあのA案は好ましいと言っているのです。ところが、専門家に議論していただくと、これは非現実的だと言って、無視とは言わなくても、かなり軽視されているようであります。  結局、制度間調整の方が現実的じゃないかということの議論が今のところ多数意見のようでありますけれども、今、いろいろ議論してみますと、高齢者だけの保険を維持しようとすると、どうしても税金を投入しないと無理だと私は思います。  保険というのは、若い方々、医者にも行ったこともない、病気にもなったことがない人が保険料を納めてくれないと、保険制度は成り立たないわけです。全部、病気になりますよ、何回もお医者さんへ行きますよという人だけで保険集団をつくったら、収入は少なくて、病院へ行く人ばかりだったら、負担できないです。となると、税金を投入しないとできない。でありますから、私は、全体の改革をすると、今言ったような国保の改革にも触れざるを得ない。  その際に、では一緒にすれば、若い人にとってみれば、おれたちは負担が多くなると言って反対するでしょう。高齢者だけでやれば、余り税金を投入しないとなると、では負担が多くなるからこれまた反対だと。どれをやっても、給付だけ多くて負担は少ないという要望はわかりますけれども、そこはバランスのとれた見方をしてくれないと、税金をどのぐらい投入するのか、保険料負担はどのぐらいがいいのか、自分は一度も病気にならないけれども、この程度の保険料負担はいいやと思ってくれるような低い保険料を設定しないと、保険制度は崩れてしまう。  でありますから、この点は、今現在、医療費だけで税金はことしも七兆円程度使っていますから、防衛費よりもはるかに多い。これだけの税金を今投入しているけれども、この税金をもっとふやすのか、保険料をどの程度にするのか、自己負担をどの程度にするのかというのは、これから、今言った抜本改革の中でも議論していますし、私は、今出している、非現実的と言われている案も議論の俎上にのせていただきたいと思っているということを御披露したいと思います。
  43. 山本孝史

    山本(孝)委員 生涯医療費という考え方からいきますと、六十歳未満で三八%、六十歳以上で六二%、大体使うわけです。七十歳のところで区切りますと、七十歳未満で五五%、七十歳以上で四五%、一生でかかる医療費のうちのその部分がそこに行ってしまう。すなわち、高齢になった以降に生涯医療費の半分以上は使うわけです。  保険というものがリスクを広く担保し合うという意味でいけば、若年者における保険考え方と高齢者の医療に対する保険考え方は、今申し上げた数字をもってしても、おのずと考え方が違うはずである。したがって、大臣お触れになりましたように、高齢者医療に対して税を投入して、きっちりとそこを担保するという考え方はあってしかるべき、むしろそれが一番望ましいのではないかと私どもは思っております。  要は、冒頭に申し上げたように予算組み方の問題であって、土建国家と言われるような、土木事業にばかりお金をつぎ込んでいるのではなくて、本当に必要なところにお金を入れる、社会保障費にもっと手厚く、担保するという形をとれば、こういった保険制度に、あるいは高齢者医療制度をつくるんだから、また新たに税の負担をしていただくということではなしに、対応ができると思うのです。  総理決意が変わられて、大臣はきょうの朝日新聞では、総理に覚悟がなかった、あのときの覚悟は何だったのかと言いたいという強いお言葉を御披露されておられますけれども、今後ともに、こういう強い、総理にはない強い決意厚生大臣には持っていただいて、この社会保障制度改革に臨んでいただきたいと私は願っております。  最後に、その決意のほどを御披露いただいて、質問を終わります。
  44. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 いかに決意が強くても、私の意見少数意見だと言われると、これは民主主義ですから、最後は多数意見に従わなければならない、その辺の調整が実に難しいなと。民主主義というのは、時間もかかるし、余り主張を貫くと勝手なことばかり言うなと言われるし、その辺の調整は難しいのですけれども、少数意見だから、すべて多数意見に従おうということでもありませんし、お互い、少数意見、多数意見というものを議論しながら、できるだけの合意を得られるような努力をしていきたいと考えております。
  45. 山本孝史

    山本(孝)委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  46. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 福島豊君。
  47. 福島豊

    ○福島委員 私は、まず初めに、大臣に、財政構造改革法案の見直しについての御認識をお尋ねしたいと思います。  先ほど山本議員からも御紹介がありましたが、本日の朝日新聞で、「首相の覚悟どこへ」というフレーズがつけられました大臣のインタビューの記事を拝見いたしました。私も大変同感するところが多かったわけでございます。  しかし、この中で、大臣は、財政構造改革法は基本的に改正すべきでない、現在でもそのように御認識なのではないかなというふうに私は思いました。  財政構造改革につきましては、私も、必ずなし遂げなければならない大切な課題だというふうに思います。しかし、いつ、どのようなタイミングで改革をしていくのかという幅があってもしかるべき課題ではないかというふうに私は思います。  現在、円安そしてまた株安、昨日も一万六千円を割ったようでございますが、大変に不透明な日本の経済の状況の中で、財政構造改革法の現状の改革法に固執するということは、さらに景気を悪くするという可能性が高いというふうに私は思います。  その経済に対してどうなのかという観点から、大臣は今でも、現在の財政構造改革法を維持すべきであるというふうにお考えなのかどうか、その点について、まずお尋ねをしたいと思います。
  48. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 去年、財革法を提出して、成立したときは、厳しい財政状況だから我慢しようということで出したわけであります。そして、すべての省庁がマイナス予算を組むのだから、前年度に比べて来年度はいかにふやすかというのが当たり前の中で、前年度に比べて予算を減らしていこうということで、今までにない発想の転換をしようということで、財革法成立させて、そのもとで予算を組んだわけであります。そのときには、ある程度、こういう厳しい、増税もできない、国債増発できない中だから我慢しようという合意はあったと思うのであります。  ところが、今ここに来て景気が低迷してきた。背に腹はかえられないということで、このままいくとますます景気が悪くなるし、そうなると財政再建もできなくなる、税収も落ち込む、消費も減るということで、今回、景気対策をやるためには財革法改正しないとできないということでこの財革法改正総理決断したんだと思いますけれども、私が言うのは、社会保障関係予算も、全省庁マイナスだという厳しい中だからこそ、あえて批判を覚悟で、社会保障関係予算もすべて見直して、できるだけむだをなくすといいますか、効率化を図って予算削減していきますよということで組んだ予算であります。  そういう中にあっては、これは歯を食いしばって構造改革を進むと。さっきも言ったように、それでは社会保障関係予算をふやすんだったらば公共事業関係だって見直せばいいじゃないか、全体の予算の中で、構造改革の中でやりくりした方が構造改革は進むのではないかということを主張してきたわけでありますけれども、それは少数意見だということで、今回、違う方向でなったわけでありますが、私は、将来のことを考えれば、今は厳しくとも、財革法の枠の中でどうやって今の構造を組みかえるかということを進めた方が将来のためにはなると思っています。  しかし、その痛みはもう嫌だということで、ともかく赤字国債も出して減税しましょう、若い人にどんどんツケを回していくということを与野党主張しているわけですね、与党も野党も。今、だから国債ももう取っ払って、この与野党の態勢はどうなってしまったのか。これは、私みたいに、多少現在は我慢しても将来のことを考えろというのはもう全然見向きもされなくなりましたけれども、やはり本来は、今、批判を覚悟しても我慢すべきときではないかな、その方が将来のためになるという気持ちは、変わりありません。
  49. 福島豊

    ○福島委員 大臣決意は大変よくわかりました。私どもは見直しということを主張してきたわけでございますが、景気対策というのも今必要だ。ただ、その中で、この財革法の精神、目指すもの、そういうものをいかに担保しながらやっていくのかというところで知恵を出すべきではないか、そのような認識はございます。  次に、社会保障制度改革財政構造改革、この二つの大きな課題の関連ということについて、大臣の認識をお聞きしたいわけでございます。  社会保障制度改革は、二十一世紀の超高齢社会を踏まえると、これはどうしてもやらなければいけない、効率化をしていかなければいけない、それはもうそのとおりだというふうに私は思います。そしてまた財政構造改革というのも、これは今の日本の借金漬けの状況考えれば、やらなければいけない。ただ、一連の政府の提出の施策というのは、先ほども大臣からお話ありましたように、一律カットという話でございまして、構造改革の名に実は値しない。大臣もそのように御認識ではないかというふうに私は思います。  本会議場でも御質問させていただきましたが、この一律カットという形の中で細切れの改革を継ぎはぎしていくと、これは非常に制度はわかりにくくなる。そしてまた、国民信頼感というものを得ることはできない。むしろ、どのような改革社会保障制度においてするのか。年金、医療、介護、これを通じて効率的な仕組みをこうつくります、こういう見通しを持っております、その中で財政構造改革というのはこういうふうにやりますという大枠としてのリンケージというのが非常に大切ではないかというふうに思います。  そしてまた、純負担率という話もいたしました。  国民負担率というのは、社会保障制度改革考えるときに大変大きなテーマでございますが、これもその純負担という考え方で、ほかの財政支出との兼ね合いというのですか、それもやはり考えなければいかぬというふうに私は思っておりますし、そのように指摘もさせていただいたわけでございますが、この大きな二つの課題、財政構造改革社会保障制度改革、本来的にどのようにリンクすべきなのか、大臣の御認識をお聞きしたいというふうに思います。
  50. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 現在の制度をそのままにしておきますと、年金にしても医療にしても、社会保障関係の費用はどんどんふえていきますね。今でこそ、まだ余裕があるのではないか、給付が少ないのではないかという議論がありますけれども、年金受給者一つとってみても、大体年金を受ける方は毎年二百万人程度ふえていますね。それで百万人ぐらいの方が亡くなる。差し引きしても百万人ぐらいの方は高齢者、年金を受け取る方がどんどんふえていく。そうすると、昔は人生五十年で年金を受け取るのが五十五歳から六十歳、死んでからは年金を受け取れないんだけれども、大体そういう制度だったんだけれども、現在は、平均寿命でさえも、女性が八十二歳を超えたんですか、男性は七十七歳を超えた、平均して八十歳。もう八十歳生きるのは長生きじゃない、当たり前という状況になって、なおかつ百歳まで生きる方も、既に去年の敬老の日には八千人を超えている。きんさん、ぎんさんみたいな方も夢ではなくなってきたという状況になると、高齢者の年金を受け取る方はどんどんふえる。期間も長くなっていく。では、その保険料負担する方というのは、若い人はふえないし減っている。特に、去年六十五歳以上の人口が初めて十四歳以下の人口を上回りましたね。高齢・少子社会を象徴する数字だと私は思うのです。  という中で、では今のまま維持しましょうとなると、これは、若い人の保険料はどんどん上がって、将来、今の保険料の倍に耐えられるかどうかという問題からこれも手をつけなければならないということで、今、年金審議会で議論が始まっております。  医療費も同じように、高齢者の医療費は若い世代に比べれば約五倍かかっている。これもまた減ることはない。どんどんふえる。今、年金にしても医療にしても福祉関係にしても、国の税金を一番使っている分野は社会保障であります、大体約十五兆円。これをそのまま、それではもっと年金にも税金を投入しろ、もっと医療にも税金を投入しろ、福祉にも投入しろとなると、もうほかの社会資本整備、道路にしても住宅にしても下水道にしても、あるいは教育にしても科学技術にしても、今でさえも一般歳出の三分の一を社会保障関係に使っていますから、ほかの予算が使えなくなるという問題があるからこそ、構造改革をしなければならないということで手をつけているわけでありまして、私は、この財政状況とそして社会保障制度改革というのは、両方にらんでやっていかないと無理だろうと思う。  結局のところ、では、どの程度税金を投入して社会保障充実させるのか、どの程度自己負担していくのかという問題でありますから、今の制度をほっておいてもどんどん社会保障給付はこれから伸びできます。その点、若い人がその負担に耐えられるかという問題を我々は抱えていきながら取り組んでいかなければならないというふうに私は考えております。
  51. 福島豊

    ○福島委員 大臣の本日付のインタビューで私が同感だなと思いましたのは、民営化がなされていない、特殊法人の民営化等々に取り組まれていない、これはやらなきゃいけない。先ほども大臣おっしゃられましたが、官の役割を減らすことがなければ公務員の数は減らすことはできないんだ、まず仕事を減らすということが先にありきだ。私もそのとおりだと思います。そしてまた、もう一つの問題は公共投資のあり方、これをどうするのか、歳出構造改革もすべきだということをおっしゃっておられます。  公共投資のあり方を見直すということについて、最近、このような本が発刊されました。「福祉で町がよみがえる」という本でございますが、これは、大変私は興味深く拝見をさせていただいたのですが、このような提言があります。ちょっと大臣に御紹介をさせていただきたいと思います。  「福祉自治体ユニット」というのが一九九七年に設立されました。これは、従来の公共事業重視の土建自治体から脱却し、住民の生活を重視した福祉自治体に転換していこう、そういう市町村長の会ということで、総勢八十一名の自治体の首長さんが集まっておられる。その基本理念の中に「新しい福祉産業と地域振興」という考え方が入っておりまして、これはどんなことを言っているかといいますと、   福祉は経済のお荷物と考えられがちであった  が、介護保険制度は福祉サービスを新たな産業  として発展させ、地域の雇用を創出し、地域経  済を活性させていく可能性を秘めている。介護  保険制度は、一方で要介護高齢者に財源を保障  し、他方で介護サービスの規制緩和により民間  セクターの大量参入を促すものとなっている。  介護施設、在宅介護サービスの増大は、新たな  雇用を生みだし、介護保険の財源は、要介護高  齢者→サービス提供団体→サービス従事者→地  域の購買力と還流し、地域経済を活性化する。  しかも、高齢化の進行している地域ほど大きな  財源が動くことになる。福祉が新しい産業とな  り、高齢・過疎地域の経済的活性化をもたらす  ことが期待される。  その実例としまして最上町の話が書かれているわけでございますが、最上町では、この福祉というものを充実させることによって、新たな雇用というものが創出され過疎化に歯どめがかかったというような事例、そしてまた地域の経済を担う非常に大きなセクターに今なっている。  今までは、公共投資ということで、都市部から過疎地域に大きな所得移転がずっとあったわけですね。そして、さまざまな公共事業がなされてきました。しかし、それは過疎を本当にとどめることができたのかということについて、この本では同じように、  大借金構造のもとになった膨大な土木中心の投  資が、結果的には郡部の過疎化をすこしも防止  することができなかった-この政策の誤りに  地元の人々自身が気づきはじめた。ですから、幾らつくってもそのときだけなんですね。やはりうまくお金が回っていかないといかぬわけですね。回すためには仕組みが必要です。  介護保険がスタートするわけです。介護保険がスタートするというのは、お金を回す仕組みをつくるということになる。ですから、先ほど大臣、歳出構造見直しということがありましたけれども、過疎地域に対していかに所得を移転するのかというのは僕は大切な課題だと思いますし、経済も維持していかなきゃいかぬと思います。ただ、従来型のことをやっていたのでは、それは非常にむだを積み重ねていることにやはりなりはしないか。  介護保険がスタートするわけです。ですから、今こそこの歳出構造というものを大胆に見直して、土建自治体というのは非常に失礼な言葉で、私は余り好ましくないと思っておりますけれども、この本によるとそういう表現ですが、そこから福祉自治体に転換していこう、日本全体で転換していこう、そういうお金の使い方に変えよう、そうすれば国民はみんな納得するじゃないかという大きな課題があるのではないかというふうに私は思います。  財政構造改革ということで進むのであれば歳出構造を見直さなきゃいかぬというふうに大臣考えておられると思いますが、この点についての大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  52. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 行財政改革というのは、もうお金がないということから出てきたものだと思いますね。人間というのは、お金がふんだんにある場合に、切り詰めなくていいという場合の状態だと楽なんですけれども、お金が使えない中でどうやってやりくりしていくかということで行財政改革が始まった。そういう中で、切り詰めるのがいかに苦しいかというのがだんだん理解されてきているのじゃないかと思うのです。  それで、構造改革にしても、かつてのように、公共事業をやるとそれを利用する人がふえて、活性化につながって税収も上がってくるという状況から違ってきた。確かに、ないよりあった方がいい、トンネルも道路も鉄道も。ないよりあった方がいいには違いないのです。しかし、かつてのように、トンネルをつくったから人が利用するか、道路をつくったから人がたくさん入ってきてくれるかというと、そうでもない。だから、思った以上の投資効果が出てこない状況になるほど、日本というのはかなり社会資本の整備も進んできた。  しかし、現実予算削減しようとなると、実際にこの国会の審議を見ていても、全部、予算をふやせ、ふやせの要求の方が圧倒的に多いですね、どの委員会においても。この厚生委員会でも、予算削減したところを怒られているでしょう、私は。聞いていると、削減は全部いけない、あそこは不十分、ここは不十分、全部予算をふやしてくれという要求ですよ。増税はいけない。じゃ、どうやるのですか。自己負担もいけない。もう、ないそでは振れないと言いたいのだけれども、そういう中で改革をしなければならない。  だから、私は、国のやるべき仕事、地方でやるべき仕事役人がやるべき仕事民間がやるべき仕事、見直そうじゃないかということはみんな賛成してくれる。国がやらなくてもいいことをやっているのじゃないか、地方に回していきましょう、役所がやらなくてもいい仕事民間に任せましょうということまでは賛成してくれる。ところが、各論になるとなかなかうまくいかないというところで改革が滞っているというのが現状じゃないか。しかし、これはもう、増税はできませんという中でないとやはり現実的に改革はできないのかな、行き詰まらないと改革に本腰にならないんじゃないかなというのは、私は政治現実じゃないか。今ようやく、増税もできない、国債増発もできないというところに来たから、すべての制度を見直しましょうというところになってきたのじゃないか。  社会保障制度改革も、私は、このままでは大変なことになるぞ、若い世代が大変な負担を負ってしまうということになるからこそ、受け取るばかり、給付を受けるばかりのことじゃなくて、負担する人のことも考えながら制度改革をしていきましょうということで、今いろいろな、年金にしても医療にしても介護にしても、本格的な改革が始まった。これを理解してもらうには、よほどの覚悟と時間と粘り強い努力が必要だと思っております。
  53. 福島豊

    ○福島委員 大臣、国会において、いずれの部署においても予算をふやせという大合唱だ心要するに意見の調整ができないということの言いかえではないかと思いますが、ですからこそ私は、非常にリーダーシップが、総理のリーダーシップが必要なんだというふうに思いますし、イギリスにおけるサッチャー改革にしましても、サッチャーの非常に強力な指導力があって実現をした話だと私は思います。意見がまとまらないからできませんというのでは、これは政権党としては、私はいささか無責任なところがあるのではないかなというふうに感じもいたします。  そしてまた、医療保険制度抜本改革につきましても、なかなか審議会で意見がまとまらない、平行線をたどっているわけですね。これは政治の場が結論を出すしかないというふうに私はむしろ思うわけでして、最後まで平行線ということもあり得るわけですから、そこのところは何としても改革のためのリーダーシップを発揮していただきたい、私はそのようにお願いを申し上げる次第でございます。  次に、今回の国保法の改正案、これは政府並びに与党は、財政構造改革とは関係がないという御説明が種々今までなされてきたわけでございます。関係がないということはないと、私は昨年の経過をお聞きしていますと思うわけでございますが、今、財革法改正ということが俎上に上がってきているわけでございますから、今、国会に提出の国保法の改正案、これについての関係性について、いま一度厚生省の御見解をお聞きしたいと私は思います。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  54. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 平成十年度予算編成は、これはまさに財政構造改革法というよりも、いわゆる三千億の厚生省のシーリングでありましたから、そういった中で予算を組む、これはなかなか難しい環境というか、条件だったと私は率直に考えております。そういった中での予算編成でありますから、そういった厚生省予算の中での財源の見直しということは、これはやはりどうしても避けて通れなかったというふうに思うわけであります。  一方、現在御提案しております国保法等の一部改正案でありますけれども、これは平成七年に老人保健法が改正されました際に、改正法の附則の中におきまして、老人医療費の拠出金の算定方法について、三年以内を目途として見直しを検討することという検討規定が置かれたわけであります。そういった意味で、ちょうどこの検討を私どもとしてしなければならないという時期でもありました。そういった意味で、いろいろ御批判ございますけれども、新しく発足いたしました医療保険福祉審議会におきまして御審議をいただいたわけであります。  内容的には、今回、一つがいわゆる老人の加入率の上限の見直し、それからまた退職者医療制度の老人拠出金の関係負担見直しということでお願いしておるわけでありますけれども、これはいずれも、現在の市町村国保の高齢者の加入状況というのを見た場合に、やはりバランスという意味では調整する必要があるのではないかということで、このたびのような案で御提案をしたわけであります。これは、片一方が軽減されますと片一方は負担増になるというような内容でありますから、やはりこれについても抜本的な改革というものをまたなければならないというふうに考えております。  しかしながら、抜本改革までの間においても、現行制度の中においても負担の公平ということはやはり必要であるというふうに考えたわけでありまして、そういった意味から今回の改正をお願いをしているということでございます。
  55. 福島豊

    ○福島委員 時間も大分残り少なくなってまいりましたので、次に補正予算のことについてお尋ねをしたいと思います。  大臣は、私がお尋ねしましたときに、補正予算が組まれるというのであれば話が違うと言わざるを得ないというふうにおっしゃっておられたのが記憶に鮮明でございますが、しかし、現実には補正予算編成するという方向でさまざまな調整が進んでいるというふうにお聞きしております。  であるならば、せっかく組むということであるのであれば、ただのばらまきであってはいかぬというふうに思うのは当然でございまして、平成十年度の予算では、児童扶養手当の問題ですとか、難病対策ですとか、私も大臣に御質問させていただきましたが、さまざまな点で、御苦労の中で、福祉に関しての縮減がなされている。こういうことも踏まえて、補正予算国民が本当に安心してもらえるような、そういうもの、景気も刺激しなきゃいかぬのでしょうけれども、しかし、安心を与えるという観点からも、切り詰めに切り詰められた福祉関係についても、十分な御配慮を払っていただきたいというふうに要望するものでございますが、大臣の御認識をお聞きしたいと私は思います。
  56. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 補正予算がどのように具体化するかというのはまだ煮詰まってないと思いますが、公共事業上積みするという中だったらば、厚生省関係でも公共事業ありますから、施設関係の整備、この点については今どういう具体的な予算が組めるか。例えて言いますと、介護保険制度が十二年度施行される、その準備を進めている。その基盤整備にどのぐらいの補正予算を使うことができるか。あるいは、ダイオキシン等の環境対策、これも厚生省関係、お金使ってもいいというんだったらばありますから、そういう点も今検討しております。額がどの程度になるかまだわかりませんけれども。  公共事業といいますと、建設省だけの予算に焦点がいっていましたけれども、厚生省関係公共事業もあるということで、理解を得て、何らかの厚生省関係予算上積みができるように今努力をしているところであります。
  57. 福島豊

    ○福島委員 公共事業の概念を余り狭く考え過ぎずにと私は思うわけですが、先ほども申し上げましたように、福祉が経済を活性化するということも現実にあるわけでございます。ですから、今までの認識というものを、政府の中で転換をしていただいて、厚生省の施策というものに対して、補正予算の中でも、本当にこれはやってよかったんだ、この補正予算はよかったなというふうに国民から評価されるような補正予算編成に向けて、大臣にはさらに一層の御努力をしていただきたいというふうに私は思います。  そしてまた、この補正予算の取り組みというのは、公共事業という観点もありますが、やってよかったという観点からいえば、情報化ということも政府・与党の中では随分と御議論をされておられるようでございますが、情報化というのは、コストをやはり削減する最大の手段なんだというふうに思います。  現在の、例えば医療にしましても、情報化をさらに進めるということで、さまざまな形でのコスト削減というものが可能になる可能性があるというふうに私は思います。例えば、保険証のICカード化というような問題につきましても、これは政府でも御検討かと思いますが、そういうことで、重複診療なり重複投薬なり重複検査なり、そういうものをカットする可能性というのも当然仕組み方によってはあるわけでございまして、将来に向かって投資するということが将来の効率化を図るというような形の、効率化のための投資、そういうことを私は考えていただきたいと思うわけでございますが、厚生省の御認識をお聞きしたいと思います。
  58. 田中泰弘

    田中(泰)政府委員 お答え申します。  先生御指摘のように、保険医療、福祉分野での情報化の推進は、サービスの質の向上あるいはまた効率化を図る上で大変重要な手段というふうに考えております。  この保険医療、福祉分野の情報化の総合的な推進につきましては、内閣の高度情報通信社会推進本部の基本方針に基づきまして、総合的な推進を図っているところでございまして、先生今御指摘の被保険者証のカード化の問題でございますが、保険医療機関あるいは審査・支払機関、また保険者の事務処理の効率化が促進される、また、その結果コストの削減が期待されるということから、今回の経済対策におきましても、その検討をお願いをしておるところでございます。  以上でございます。
  59. 福島豊

    ○福島委員 よろしくお願いいたします。  最後に、三月三十一日に閣議決定されました新たな規制緩和推進三か年計画について、これは地域医療計画関係いたしますので、お尋ねをさせていただきたいと思っております。  その中では、病床に係る規制ということで、病床を急性期病床と慢性期病床に区分する、本年度検討して、十一年度、来年度に結論を出すという話になっているわけでございますが、まず第一点は、急性期病床と慢性期病床、これの基本的な考え方、厚生省としてどのように御認識なのか、お聞きをしたいと思います。
  60. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今お触れになりましたように、規制緩和、行政改革委員会における議論の中で、病床を急性期用ベッド、それから慢性期用ベッドに分ける、病状に応じた効率的な医療の提供を図るという指摘を受けております。  この問題につきましては、厚生省内部に専門家によります検討委員会を設けまして、昨年から、この具体的な区分についての基本的な考え方、それからあわせて、医療施設におきます人の配置の問題、そういうようなことについて議論をしていただいております。  基本的な方向としては、やはり我が国の一般の病床において、急性期医療を必要とする患者さんと、それから、やや慢性的な医療を必要とする患者さん、これらの方が混然として取り扱われている、そういう状況を変えていくという考え方のもとに、こういう問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  61. 福島豊

    ○福島委員 混然と取り扱われているというのが事実だと思います。  これは、さらに進んで考えますと、急性期病床というのが、まさに医療保険の対象となる病床であって、慢性期病床というのが、療養型病床群のように介護保険の対象となる病床である、その区分のための基本的な考え方をつくるんだ、そのような認識であると考えてよろしいのでございましょうか。
  62. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 ごく割り切って言えば、慢性的な医療というものは、療養型病床群という形が一つ議論をされております。ただ、それイコール介護保険ということではないんじゃないかと。つまり、今の介護保険制度というのは、基本的には老人を対象にしておりますので、若い人の中でも、慢性的な疾病を持って、長期にわたって医療機関の中で療養をしていかなければいけないという方がおられるわけですから、慢性期イコール介護あるいは老人という考え方ではなくて、もう少し広く、医療全体の中で急性期と慢性期というふうに分けていく、そういう考え方だというふうに認識をしております。
  63. 福島豊

    ○福島委員 むしろそれは、診療報酬での扱いをどうするのか、そういう区分の問題だと考えていいのかなというふうに今のお話で思いました。  もう一つお聞きしたいのは、医療提供体制、これは非常に効率化を進めなければいかぬという話は、議論としてずっとあるわけでございます。この病床規制という話につきましても、その提供体制をどうするのかという話が出発点にはあったわけでございますが、しかし、現実には、この提供体制というものが構造化されていくのは、現実を見ているとなかなか難しいと思わざるを得ないわけでございますが、最近でございますと、例えば小児科医療の都市部における空洞化というような問題もありますし、構造的な問題が種々出てきております。  ですから、今回の国保法等改正案の中では、医療計画ということについての話が盛り込まれているわけでございますが、政府としましても、提供体制をどう効率的に構造化していくのかという観点から抜本的な見直しをしていただく必要があると。これは本会議場でも御指摘をさせていただきましたが、改めて、この点について政府のお考えをお聞きしたいと思います。
  64. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 提供体制の見直しということにつきましては、昨年の夏の、厚生省が出しました改革案、あるいは与党でまとめられました抜本改革案の中でも幾つかの指摘がされております。  その中には、先ほど御議論のありました病床の問題も含まれております。また、病床許可の問題あるいは情報公開の問題、そういうようなことが含まれているわけでございます。また、医療計画ということに関係いたしましては、昨年の十二月に公布されました医療法の一部改正において、この充実を図っていくという観点から、従来の医療計画に加えまして、それぞれの地域におきます医療機能の分担なり連携、そういうようなことについても記載をしていくというようなことを行うことにしたところでございます。  そういうようなことも含めて、医療提供体制の問題につきましては、昨年提示されておりますような問題も含めて、全体的な検討を現在行っているところでございます。
  65. 福島豊

    ○福島委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思います。  時間が参りましたので、以上で私の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。
  66. 根本匠

    ○根本委員長代理 久保哲司君。
  67. 久保哲司

    ○久保委員 自由党の久保哲司でございます。  きょうは、理事懇でもさまざま議論がございましたけれども、先日の橋本総理記者会見に端を発しました財政構造改革法見直し云々ということとの関連も含めて、国民健康保険法等の一部改正についてお尋ねをしたいと思います。  物の本にも書いていますし、いろいろ読ませていただきますと、先ほど来大臣もおっしゃっておられますように、どんなものでも、年がたつごとに金額はふえていく、量はふえていく、こういう状況の中で、平成十年度の厚生省予算編成に当たっても、ある意味では当然のことながら、社会保障費全般では八千億の自然増になる、こう言われていたところが、お金のない季節、始末せいということで、アッパー三千でとめろ、こんな話になったということを伺っております。  ということは、要するに、その差五千億を始末せぬといかぬわけでありますけれども、それをなお、医療関係のところに絞り込んで考えてみると、約四千二百億円を始末せぬといかぬ。年末、最後の最後の段階で、医療費何ぼ行ったんや、どのぐらい余ってんねんという整理をしたら、九百四十億円の下方修正ができる結果になって、結果としては、三千二百六十億円という金額を縮減せぬといかぬ、こういうことになったというふうに聞いておるわけであります。  このこと自体が、財政構造改革法との関連があったやなかったやについては後のことに譲るとしまして、いずれにしろ、社会保障の柱であります、今後、高齢化社会考えればなおのこと柱であります医療費と、もう一つは、今回のテーマじゃございませんが、年金、この二つというのは、同じような意味での三重苦を背負っているように思います。  三重苦といいますのは、一つは、お年寄りになればなるほどにやはり体にもがたがくるし、医者にかかる率もふえる。すなわち、医療でいえば、病院に行かれる方、医院に行かれる方、受診者がふえる。年金でいえば受給者がふえる。しかも、平均寿命がどんどん延びておることを考えますと、期間がともに長期化する。これを掛け合わせると、所要の経費、年金でいえば総支給額というか、それ自体がボリュームがアップする。受給者の増加、期間の長期化、それで総額のアップと。こういう、嫌でもふえていかざるを得ない要素を社会保障、特に医療、年金というのは抱えておるわけであります。  そんな中で、今回、それこそ三千二百六十億円のお金を縮減するというのは、ある意味で至難のわざであったんだろうと思いますけれども、一つ大臣に、この三千二百六十億という金額を切り込むに当たって、厚生省予算の取りまとめ、また一厚生省全体をどのような考えでやっていくのかというところにおいて、大臣はどのような哲学といいますかお考えを持って臨まれたのか。またもう一つは、事務的になりますけれども、細かい数字は別にして、主としてどういうところにどういう考えでもって何をどれだけ削減したんだといったことについて、これは局長の方からお答えをいただければと思います。
  68. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 各省庁マイナス予算、前年度に比べて、ふやすんじゃなくて減らしますよという中で、厚生省関係と科学技術関係は前年度よりもふえていいですよと。しかし、厚生省関係は、三千億円ふえるのを認めるけれども、ほっておいたら八千億円程度伸びる状況の中で三千億円でいいということは、前年度より三千億円ふえたといっても、五千億円近く削らないと予算を組めない。そういう意味からすれば、この十年度予算で純然たる伸びというのは科学技術庁だけなんですね。あとは全部、前年度に比べてマイナス。  そういう中で予算編成したものですから、あらゆる歳出項目を見直して、むだをなくして効率化をしていこうということで組んだわけであります。  医療費におきましても、薬価、特に薬がむだに使われているのじゃないか、あるいは、薬の公定価格と実際に病院が使う薬、この差益がかなり出ているのを認めているのが現行制度でありますけれども、その差益の幅を少なくしよう。いわゆる重点化、効率化を図りて、あらゆる歳出を見直して、何とか三千億円弱に十年度予算編成でおさめたわけであります。  これからも、抜本改革をすると、医療費にしても減っていくのかというと、必ずしもそうではない。適切な医療水準を保つためには、ふやさなければならない点もあります。医療なんというのは、特にお医者さんにしても看護婦さんにしても、これから介護保険が導入されまして、介護に携わる方々の人件費というものもありますから、いやでも応でもふえる部分があるわけです。そういう中でできるだけ効率化をしていこうということでありますので、抜本改革は必ずしも大幅な歳出の削減に結びつかない点があるということをわきまえながら、改革に取り組まなければならない。  しかしながら、今言ったように、薬は出せば出すほど、負担が少ないから、本人がもらっている限りはただと思うかもしれないけれども、その陰には税金保険料負担している人がいるのですよということでありますから、個人も、お医者さんのサービスを受けるのですから、ある程度負担してもらいますよということで、自己負担考えてもらわなければいかぬという中で、健保も一割から二割へ負担をお願いした。そして高齢者も、月千二十円、何回でももうそれっきりですよというのを、一回五百円にして、四回までは負担してください、それ以上はいいですよ、薬代も若干負担してもらいましょうということで、ある程度自己負担がふえるとなると、今の傾向は、やはり医療費は下がっていくのですね。ですから、見通しから比べれば、自己負担が上がったということは全体の医療費の下げにつながっているということは言えると思うのであります。  それがどの程度続くかわかりません。またしばらくすればもとに戻るよと言う人もいますから、これはもうちょっと長期的な傾向で見なければいけませんけれども、現実予算編成の際には、自己負担の引き上げというのが医療費を下げている傾向というのは、短期間でありますが、見えてきた。そういうこともかみ合わせて、いろいろ重点化を図ってきて、予算編成をしたということだと思うのであります。  あと、具体的な、項目別については、御指摘があれば、政府委員から答弁させます。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  69. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 医療費として四千二百億ふえるということで、それをどういう格好で結果的に回収されたのかということでありますが、四千二百億を見通していた時点と、それから暮れの予算編成の時点とで、まず一つは、推計に使った基礎計数そのものが変わってきましたので、先ほど先生御指摘のとおり、この見直しで九百四十億縮減が可能であるということで、残り三千二百六十億、こういうことになるわけであります。  内容的に申し上げますと、一つが、いわゆる医療費の適正化という観点で申し上げますと、平成十年度は薬価基準の改定等が予定されていた年でございまして、この薬価基準の引き下げ等によりまして、千九百五十億引き下げを図ったわけであります。それから、今回御提案しております老人医療費の拠出金の見直し、これによりまして、五百六十億国庫負担が縮減をされるということであります。  それでもなお残った分でありますが、この辺がかなり苦しんだわけであります。この一つが、まさに医療費の適正化の一環ということになるのでありますが、老人医療費の適正化を徹底的に進めるということで、六百十億円縮減を見込んでおります。それから、いわゆるレセプトの審査の充実強化を進めるということで、六十億円を見込んでおるわけであります。それからさらに、国民健康保険組合に対する助成、これの見直しということで三十億円見込みまして、これを合計いたしますと、三千二百十億円になります。そういった意味では、残り五十億、これについては厚生省予算全体の中で手当てをせざるを得なかった。  こんなような格好で三千二百六十億円というものを縮減いたした、こういうことでございます。
  70. 久保哲司

    ○久保委員 大臣おっしゃったように、医療費は、個人負担がふえれば、全体は、公的支出は減るという、パイが決まっておれば当然そうなるわけでありますが。  そんな中で、ただ思いますのは、国保だけに限らず、いわゆる政管健保、組合健保あるいは共済、船員保険、その他ありますけれども、要するに、この手の話、社会保障一般全部ですけれども、まあ言うたら、国民の全部が対象者であり関係者なんですね。だから、この部分をいらうというのは、ある意味で、どの部分いろうたって、お金を削っていくというのは、国民には痛みを伴う話かもわかりません。だけれども、まさにこの部分というのは国民の生活と命にかかわる部分、ここをいらうみたいな話になる。  今日まで、本法案に関しては、先日も一日議論がありました。また、参考人を呼んでの議論もさせていただきました。本会議における質疑もございました。そんな中で、一つ財革法、いろいろ言っているけれども、この財革法は基本的には国保法とは関係ないんですよ、こういった発言がなされている部分もございます。  現に、三月三十一日の本会議のときに橋本総理が、これは福島議員の質問に対してお答えになったところだと思うのですけれども、こういう答弁をなさっているのです。「財政構造改革の当面の目標の達成に資するよう、歳出全般についてめり張りをつけながらも、一切の聖域なく歳出構造見直しを進めてまいりました。」言うならば、この言葉をそのまま聞けば、「めり張りをつけながらも、一切の聖域なく」ということは、福祉等も例外ではなく、その対象でございましたというふうにも、一つは読めるのかな。  一方、小泉大臣は、この前の厚生委員会での議論の中で、他党の方のお名前を出して失礼ですけれども、自民党の長勢先生の質問に対して、抜本改革の実施は平成十二年度を目途としている、しかし、医療費増大の問題をそこまで放置することは無理であり、現行の中でできる限りのことを行う必要があるとの観点で、また予算編成上の問題もあり云々、このようにおっしゃっておる。この予算編成上の問題もあり云々という中には、財革法という影が忍び寄っているということがその後ろにあるのかな、こんな印象を受ける答弁でもあったわけであります。  私どもからすれば、先ほど大臣がおっしゃったように、厚生省は、今までよりは減らすのではなくてアップは認められた、だけれども、自然増のアップに比べれば抑えられたという、この限りにおいては、今回我々が審議をさせていただいておりますこの国民健康保険法等の一部改正、この分野においても、ある意味で、まさに財革法のいわゆる網がかぶっているといいますか、見事に網がかぶっているのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、大臣、この点についてはいかがでございましょうか。
  71. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今後、社会保障全体の予算の中で、今、厚生省関係予算が十五兆円弱、これは年金も医療も福祉も含めてであります。そこで、約七兆円が医療費に使われています。このほかにも社会保障関係で使う分野があるのに、さらに医療費関係をもっと伸ばしてほかの予算を削るか、医療費を抑制してほかの分野に使うかという選択の問題もありますね。そういう点を考えると、私は、医療だから必要だからといって、これからますます国庫負担をつぎ込んでいいのかということはなかなか難しいんじゃないか。むしろ、全体の予算が制約される中で、ほかの分野に伸ばすべきところもあるということを考えると、医療だけ伸ばすわけにはいかぬ、医療だけ国庫負担をふやすというわけにはいかぬ。そういう中での改革もしなければならない。  ただ、抜本改革をすると全部負担が下がるというような誤解とか錯覚を持つ方もいるんですけれども、これは、税金負担するか、お医者さんにがかった場合自分がどのぐらい負担するか、病気にならない人も保険料をどのぐらい負担するかの調整ですから、考えてみれば、国庫負担が減って今の制度そのままだと、保険料自己負担をふやさざるを得ない。現行のままで維持しろというのであれば、では、保険料を上げるのも嫌だ、自己負担をふやすのも嫌だとなると、増税しなければならない。それができないから今調整しようとしているわけです、すべての見直し。その辺は、今後抜本改革の姿が見えてきた段階におきましても当然出てくる問題だと思っております。
  72. 久保哲司

    ○久保委員 おっしゃるとおりだと思います。  何でもかんでも金があればつぎ込めばええという話じゃおまへん。放蕩財政をやれと言っておるつもりもさらさらありません。これは、個人の家計に当てはめて考えてみたって、おやじさんが一生懸命働いて持って帰ってくる金が、子供が大きくなったからといって倍になるわけじゃおまへん。そういう意味では、子供さんにかかる費用が、教育費がたくさん要るときには、食い物を始末せんといかぬ場合もあるでしょうし、その他の支出を始末せんといかぬ場合も出てくる。これは当然の話でありまして、いわゆるやりくりの話であることは重々承知をするわけでありますけれども、そんな中で、なおやはり、道は多少でこぼこになって、車ががんがんなったって、これは別に人間死ぬわけじゃないけれども、暮らし、命にかかわる部分というのは、これはやはり一番根っこの部分じゃないかなという思いが僕は強い。  だから、厚生省の中でのやりくりもさりながら、政府全体としての中で守るべきところというのは、一番最後の最後、行き着くところというのは、生の人間にかかわる部分じゃないかな、こんな思いが強いわけであります。そんなことで、先ほどの質問をちょっとさせていただきました。  もちろん、私自身ずっと思っていることですけれども、人間だれも好んで病気になる人なんていてませんし、そういう意味では、病気というのは、これまた予告なしに、阪神大震災じゃないですが、ある日突然やってくるというのも、これまた病気の特徴でもあります。もちろん、風邪のようにちょっと寒けが来たなとかいう、こういう予兆がある場合もあるわけでありますけれども、検査してみたらがんだと宣告されたとか、さまざまなそういうことも含めて考えますと、そのときにこそさまざまな保険制度があってしかるべき。その保険制度というのは、僕個人は、できるならば先ほど言うたように、だれも好んでかかりたい病気はないわけですから、全国民が同じ条件のもとで、同じようにかかれる保険制度というのはあっていいんだろうなというふうには思っています。  しかし、先ほどおっしゃっておられたように、抜本改革へ向けて今鋭意努力をいただいておるわけでありますけれども、それぞれに生い立ちがあり、歴史があるということになってまいりますと、ある日突然ぽんと一本化というのも、これまた片方からは歓迎の意を表されるとともに、片方からは、何すんねん、何してくれんねんという、こんな話にだってこれはなるんでしょう。そんなことを考えますと、確かにこれ自体が非常に難しい話だなというふうには思います。  そんな中で、政管健保、これが財政が破綻に瀕しておるというのでえらいこつちゃというので改正されて、昨年の九月から施行されました。その施行の結果、患者負担が一部引き上げられ、また、結果として保険料率も引き上げられた。この結果、逆に言えば健保自体の財政は、多少はプラスになった。なったんだけれども、健保組合の方の話を聞くと、千八百少々ある健保組合のうち、それでもなお七〇%が赤字財政の運営を余儀なくされておる、こんなお話でございました。  昨年は、そういう意味では被用者保険の側の改正であったわけでありますけれども、今回の改正は、名前は国民健康保険法等の一部改正ということにはなっておるんですけれども、中身はといって見ていくと、要は、国保がしんどいからいろいろやりくりして、政管健保、こちらの方からお金をこっちへ持ってこようよ、こういう話になっておるわけで、要するに、実態は、被用者保険の方の側に立って物を見れば負担増、すなわち事業主、サラリーマンの方に、言うたら国保のしんどさがそっちへしわ寄せが行っておると言っても過言でない内容になっている。  そんなこともこんなことも含めて、これまたここ何年間かの景気低迷、そういうさまざまなことを考えたら、今国民は、それこそ何をやったって、政府、おまえたちのやることはもう信用できぬよと、政治そのものに対する不信感、そんなことが色濃く広がってしまっているのかな、そんな思いがしてならないわけであります。  実は、これも先日の厚生委員会で、民主党の金田代議士の質問に対して、小泉大臣はこう答えておられるのです。現在審議している国保法改正案と財革法は切り離して考えている、財革法があってもなくても、現在の老人医療費の拠出金の問題あるいは医療費適正化の問題を考えれば、どうしても進めなければならない改正法案である、このようにおっしゃっている。これはまさにそのとおりだと私も思います。実に大臣らしさが出ているというか、明快な答えというふうに読ませていただきました。  続いて、橋本内閣において財革法改正する必要はないと考える、これも大臣の持論であったんだろうと思う。が、それにかかわらず、将来の問題として今法案は必要な措置を講じている法案でありますというくだりがあって、その次に、仮に財革法改正され予算編成の基準が変わるならば当然影響があるが、というのは、要するにこの法案についても影響があるがということだろうと思いますが、当然影響があるが、あの審議をした四月三日の段階では、そうはならないと思っている、このようにお述べになっておられる。  きょうの新聞記事でも、一体どういうことやったんやというような表現もお使いになっておられますけれども、このきょうの新聞の中でも、歳出構造改革もすべきだけれども、「福祉や医療など社会保障費も削れ削れというから私は削った。」こういう表現で新聞記事に書かれている部分もございます。  私は、そういう意味では、財革法そのものの議論はほかの委員会に預けるとしても、先ほど来何度か繰り返させていただきましたけれども、まさに一億二千万の国民、その中の特にお年寄りを初めとする弱者の方々、これは財政的にも弱者の方々を含めて、国民の命と生活にかかわるこの社会保障部分、なかんずく医療部分については、大変な財政状況の中ではあるかもしれませんが、今、片方で財革法改正、また景気対策ということで十六兆円云々、真水が六兆だとか十兆だとか、もう人の口によっては一兆円単位の金がぽんぽん飛び交うている状況の中で、その一兆円のお金も要らぬ、五千億の金さえあれば、持ってくれば、今回厚生省がのたうち回って一生懸命削減したこと自体が要らぬわけで、しかもその恩恵たるや全国民に行き渡るわけです。  僕は、そういう意味では、そのことを、今回仮に補正予算を組むというのなら大きな声を出して主張してもらいたいような気がしますし、また、そうすることこそが、この国にさまざまある役所の中で国民の生活を守る立場の厚生省の役目柄ではないか。まさに財革法のキャップと呼ばれるものが仮にあるならば、厚生省は真っ先にそんなもの取っ外してくれと言うべきではないかなと思っておるのですけれども、いかがでございましょうか。
  73. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 仮に補正予算を組むのであれば、いかに景気対策であろうとも、今までの、歳出は前年度に比べてマイナスという前提が崩れるわけですから、その公共事業をふやした分は、今までの基準の公共事業だけの予算ではとるべきでない、社会保障関係公共事業もあるはずだ、当然その辺も配慮すべきだということで、私は今までの枠の中での公共事業を踏襲するべきでないということを言っているわけであります。  同時に、財革法のもとで社会保障関係予算も組んできたわけです。この財革法改正するというのであれば、これは話が違うじゃないか、当然社会保障関係予算については特例を設けてもいいじゃないかということを今まで幾たびか主張してきたわけであります。けさの閣議後の閣僚懇談会でも、私はその点を主張してきました。  どういう形で財政構造改革法改正されるのか、まだ定かではありません。きのう夜、財政構造会議総理に一任したという話でありますけれども、今後、当然決まるまでの段階にはまだ議論の必要がありますから、私は、財革法改正するのであれば、補正予算補正予算として、公共事業厚生省関係公共事業もあります、その点は要求していきます。  なおかつ、補正予算厚生省関係公共事業も手当てしたから本予算上限制はそのまま変えませんということには、私はオーケーを出すわけにはいかぬ。当然、財革法を変えるのだったらば今の社会保障関係の上限についても見直すべきだということをこれからも主張していきたいと思います。
  74. 久保哲司

    ○久保委員 ぜひその姿勢、そのまま、まさに大臣大臣らしさといいますか、突っ切っていっていただきたいなということをお願いしたいと思います。  実は私、非常にプライベートなことですけれども、小学校行く前から中学生ぐらいまでの間、母親がベッドで寝たきりでした。  今思い起こしますと、その前半ぐらいのときというのはまだいわゆる皆保険制度ではなくて、昭和二十年代の終わりごろから三十年代初めでした。母親が、ベッドの上で、私が生きている限りうちの家は何ぼでも借金だらけになっていくなと言っておったのを覚えています。ところが、昭和三十何年ごろだったですか、おやじの勤めていた会社に保険ができたというわけで、家族みんながほっとしたような、そんなことを子供心なりに覚えておるのですけれども、そういう意味で、保険制度そのものというのは本当にありがたいものだったんやなというのをつくづく体感した一人であります。  だけれども、今日のこの超高齢化社会、また支えていただく子供さんたちが少ない少子化社会というものを考えたときに、国保というのは本当に大変な状況です。先日も関係者にお越しいただいて、参考人からさまざまな御意見を伺ったのですけれども、とにかく国保はやはり大変だ。低所得者の方が多い、無所得の方も多い、その上お年寄りが多い。それを市町村単位で見ていくと、市町村の財政力が弱いところほどなおそれが偏っていっておるというのが現状かなと。  しかし、かといって一方、ならば被用者保険が機嫌よく、機嫌よくというか調子よくいっておるのかといえば、景気がこれだけ低迷している中で、母体の企業そのものが揺らぎかけている。また、サラリーマンの給料もアップしない。そんな中で支出の方だけがふえていく。  こうなると、それこそもうまさに八方ふさがりのような状況。これをどうにかせぬといかぬというので、抜本改革という言葉を、今それこそ厚生省のどの書物を見たって随所に出てくるという状況。先日の本法案に係る大臣の趣旨説明の中にもその言葉がありましたし、今回出ている法案自体の中にもその言葉が随所に出てくるという状況であります。  だけれども、やはり抜本改革、やらなければいけません。やらなければいけませんけれども、そのためには、国民がもっとその手前のところで不思議に思っている、医療供給者の側に対して思っている、お医者さん、ちょっともうけ過ぎなのと違うのか、あるいはもうやってもないことも含めて不正請求をやっているのと違うのか、あるいは薬漬けと言われるようなこういう状況。  あるいはまた、今度患者側といいますか、かかる側から見れば、先ほども大臣おっしゃっておられましたけれども、何ぼ医療費がかかろうとも自分負担というのは一定限度にとどまる。そういう意味では、コスト意識というものが希薄になってしまっている。他の買い物をするときだったら、高いものだったらやはり辛抱しようかとなるものが、これだけで済むんだったらむしろ使い得だというような感じのところ。  あるいは、家庭の事情もおありでしょうけれども、家でしゅうとめさんと嫁さんが一緒におるのはぐあいが悪いからといって嫁さんがしゅうとめさんを追い出したら、しゅうとめさんは嫌でも病院をずっと回ってこなければしょうがないという、そういうものも含めて整理をしなければならないのじゃないか。  だから私は今、時間が来ましたのでこれを最後にしますけれども、最後にお尋ねしたいのは、十二年に抜本改革をやる、審議はおくれているけれども改革はおくらさないという決意を以前聞いたこともありますけれども、まさにそこのところ、本当にできるのかどうか、またそれをやるためには、僕が今申し上げたような、これはむしろモラルの問題かもわかりませんけれども、そこらあたりのことも本当に整理をしていかないと、枠組みを変えただけでは抜け道みたいな話になってしまうおそれがある。そんなことを、十二年までの抜本改革の見通し、スケジュールについていかがお考えなのか、ちょっと、簡単で結構です、時間が来ましたので、お尋ねします。
  75. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 抜本改革のスケジュールとしましては、まさに今、診療報酬体系の見直し、それから薬価基準制度の見直し、これを御審議いただいていますが、これの具体的な内容というものを策定していきながら必要な法整備というものを考えていきたいというふうに思っております。  それと同時に、この後直ちに高齢者医療制度のあり方の問題について御議論いただいて、この問題を議論するときには、先ほど来御議論がありましたような国保制度をどうするのかという問題等と密接に絡んでくると思います。ですから、そういったような制度体系論というものを踏まえながら、高齢者医療あり方というものを審議をお願いしたいと考えておりまして、これらがまとまり次第、私どもとしては所要の法改正をやっていく。  ただし、十二年度実施ということは、これはおくらせることは考えておりません。やはり介護保険制度が平成十二年度から実施されますし、これに照準を合わせていくということが大事だというふうに考えております。  それからもう一点、モラルの問題等がございましたけれども、今回のお願いしております国保法の改正の中で、医療機関の不正等については厳正な態度でやはり対処する必要があるというような視点から、この保険医療機関の指定の取り消し、現在は二年まで指定更新ができないことができますが、これを五年間に延ばすというふうな措置。それからまた、不正があった場合には不正の額を返還させるわけでありますが、その際のペナルティー措置としての加算金、これは現在一〇%であります。これを非常に重い四〇%、これは国税の重加算税並みであります。というような措置も盛り込んでおりますので、どうかひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  76. 久保哲司

    ○久保委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  77. 柳沢伯夫

  78. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  国保法については、今後の審議といいますか、時間をとった審議を尽くしたいと思っております。  きょうは、財革法改正に関連をいたしまして質問をいたします。  最善の予算と言い張ってきました九八年度の予算成立して、一夜明けると十兆円もの財政出動を伴う大型補正を提案する、そのために、内閣の最重要法だと強引に成立させた財政構造改革法も、わずか四カ月後に改正する。追及されると、臨機応変の措置だとか緊急避難と言って責任逃れと居直りをやる。これが我が国の総理大臣かと思うと、本当に怒りを通り越して、何だか情けなくて涙さえ出てきます。  財革法が施行されてから、銀行対象に三十兆円、景気対策に十六兆円といえば、その規模だけで、今年度の政策的な支出であります四十四兆円を上回るわけですね。いわば橋本内閣は、短期間に二回の予算を組んだのと同じぐらいのことをやろうとしているわけです。明らかにこれは路線転換でありますし、財政構造改革路線の破綻だと私は思います。  去る四月の三日の厚生委員会で、我が党の児玉議員がこのように指摘しています。財革法では、ゼネコン中心の公共事業は過去最高の規模を確保しながら、社会保障は削る、難病患者の医療まで削っている、見直すことが必要だ、このように質問したのに対しまして、大臣は、私は財政構造改革という厳しい枠の中で予算編成しなければならなかった、そういう観点から、補正予算とかあるいは財革法改正論議が出た場合には、今までの話とは違うではないか、その辺はきちんと論議しなければならないと答えておられます。  今は私はそのときだと思うのですよね。大臣、あなたが今どのような論議をなさろうとされているのか、ぜひその点をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今回、景気低迷に絡んで、補正予算編成するという話であります。その際には、いかに公共事業景気対策として有効だから既存の公共事業上積みしますよと言われても、今までの予算編成というのは、全省庁前年度に比べてマイナス予算を組むという前提で組まれたわけでありますので、ほかの予算をふやすのだったらば、私は、社会保障関係、実際景気対策としてそれほど効果的ではないかもしれないけれども、もしも公共事業上積みするのだったらば、社会保障関係でも公共事業ありますから、その公共事業の問題に対しましては、社会保障関係の手当てもすべきだということを主張しておりますし、これから財革法改正するのであったらば、社会保障関係というのは景気の好況不況に関係なく必要な予算もあるわけでありますので、その社会保障の枠といいますか、この上限制というのも特例考えてもいいのではないかということで、社会保障関係にかかわる上限制について、私は特例考えて見直すべきだということを主張しております。
  80. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 その景気回復公共事業が適当なのか社会保障がいいのかという論議は、私はまた後でしたいと思うのですけれども、しかしあなたは、そのときの児玉議員の質問に対して、財革法というのは橋本内閣の大きな看板だと。今この看板が破綻したわけですよね。そして、大臣はこのように言っておられるのです。もし財革法改正しなければならない場合は、そのときの論議、いわゆる国会で財革法が提出されたときの論議は一体どうなったのかということを問わなければならない、今後の構造改革として何を考えているのかという点も改めて論議し直さなければならない問題だ、このように言われているわけですね。  要するに、社会保障景気回復に役立つかどうかわからぬけれども、公共事業を見直すというならうちもなどという程度じゃなくて、根本的な問題がそこにあるのだ、それをもし見直すというなら、改正するというなら、もう一回考えなければならぬじゃないか、こういうふうに私は根本的な問題を提起されていると思っているわけですよ。  そうすれば、この財革法前提そのものが崩れたという問題になっていますから、もう一回審議、論議をやり直すべきだ。そういう点で、私は、少なくともあなたが今まで答弁されてきた内容でいえば、もうこの財革法は単なるちょっと小手先の改正じゃなくて、一たん廃止して、もう一回論議をやり直すべきだ、このように私は主張しても当然だと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  81. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 共産党の主張主張としてわかります。自民党内、与党の議論、それも踏まえてやらなければならない。また、私の主張が一〇〇%通るとは思っておりません。私は私なりの主張を展開する。最終的に多数意見に従うか従わないかというのは、私の判断によると思います。
  82. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私どもは私どもの主張で、例えば財政構造改革をどうやるべきかという考え方を持っています。しかし、あなたは少なくともそのように主張されたわけですよ。抜本的な、根本的な問題を論議しなければならぬと言われたわけでしょう。そういうときに、確かにそれは閣議といえども多数決もあるでしょう。しかし、先ほど私が言いましたように、九兆円の国民負担の問題、そしてこれが大事だと言っていた財政構造改革法、四カ月もたたないのにもう改めて改正するということになった場合に、あなたもそれなりに閣僚の一人として、この政府の決定にずっと責任を持ってみえたわけですよ。そのときに、今こういう事態になって、それは多数決だ、それに従わざるを得ないという程度だけでは済まされない私は小泉大臣の責任というものがあると思うのです。  今度の予算削減の中で本当に多くの人たちが、医療の問題、その予算を組むに当たって、あなた自身も随分苦労されたと思うのですけれども、医療や福祉の削減で本当に今苦しんでいる人がある。しかし、それを大なたを振るって、あなたが先頭に立ってやられたわけですよ。あのときに私はびっくりしましたけれども、本当に大蔵大臣以上に、これをやらなければいかぬと言って、財政構造改革のその先頭に立たれてきたわけです。その責任を今しっかり受けとめていただくということが私は大事だと思うのですね。  そういう点では、多数決に従わなければいかぬという程度じゃなくて、これを改正する、見直すなどというなら、もう一回論議をやろうじゃないかとなぜあなたは言われないのですか。
  83. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は共産党ではありませんから、自民党員として、閣僚の一員としてしております。財政構造改革はどんな政権にとっても必要な改革なんです。いかに国庫負担を減らすか、増税をしないで済むか、その中で効率的な社会保障制度改革をしていかなければならない。私は私なりの閣僚としての責任を感じながら議論しております。したがって、どこで私の自分主張を通すか、私の判断でやります。
  84. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 自民党でもそれなりにちゃんと国民に責任を持つということをやるべきですよ。私たちは、本当にこの財政構造改革、こんなやり方でいいのかということは前から指摘しましたよね。九兆円の国民負担、これが経済を冷え込ませたんだ、そして今本当の構造改革をやるというなら、公共事業、大手のゼネコンばかり潤うような公共事業にメスを入れようじゃないか。これは小泉大臣だって、今六十兆円を公共事業に使ってきたけれども、景気対策では効果なかったとあなたも言ってみえる。構造改革といえば、そこにメスを入れなさい、そして社会福祉や医療にもっと力を入れるべきだ。  大体、今の日本の財政でいえば、二十兆円が社会保障、五十兆円が公共事業、これは外国では逆さまなんだ。これを大きく見直してやれば、本当に財政構造改革はできるという立場から、私たち共産党はちゃんと責任を持った財政再建論を出してきましたよ。しかし、あなたならあなたたちなりに、これをやるんだと言ったその前提が崩れたわけですから、私はきちっと自分の言動に責任を持つべきだというふうに思うのですね。  さらに、あなたは四月三日の委員会の中で、財革法見直しは縮減措置の全面見直しにつながるのだ、このように答えているわけです。財政構造改革をどうするかということは、当然あなたと私と意見が違うと思うのですけれども、あらゆる縮減措置の全面的な見直しにつながると答えておられるわけですから、来年、再来年どうしていくか、これからどうしていくかというような根本的な論議はおいておいたとしても、少なくとも当面、九八年度の予算、とりわけ社会保障削減というのは見直しを図るべきだ。この点では一致しませんでしょうか。いかがですか。
  85. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは補正予算を組むということによって当然違ってきますね。社会保障関係公共事業もふやせと要求しております。九八年度、九九年度予算においても上限制も課せられておりますから、その点も私は、財革法改正するのだったらば特例考えてもいいのではないかというふうに主張しております。改正するのだったらば、今までの前提が崩れているから、私の主張がどの程度通るか、自分勝手なのか、その辺はこれからの論議の行く末を見なければいけない点もあると思いますが、私は私なりの主張を展開していきたいと思っております。
  86. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 きょうの新聞の報道によりますと、政府・与党の財政構造改革会議で大蔵省は三つの方向を示したと伝えております。  一つは、この財革法改正について、赤字国債の弾力的な措置として九八年度限りに停止することとか、二つ目には、九八年度に限らずこれを停止する、それから三つ目は、赤字国債の縮減規定そのものを削除する、こういう三つの案が出されているということが報道されております。  明らかにこれは財革法の破綻をみずから証明したものだというふうに思うわけです。昨年の消費税の増税、それから医療制度の改悪、九兆円の負担がどれだけ景気を冷え込ませたかということは、また特に医療改悪というものが国民の命にもかかわる受診抑制を本当に進めてきたかということは、実は私が指摘するまでもなく、先日行われた自民党の総務会でも加藤幹事長自身が、今回の不況の原因の一つに九兆円の負担増がある、こういうことをはっきり認めておられるわけですね。その点では私は大変率直だと思います。  この景気の冷え込みというのは、私たちが主張するだけじゃなくて、この国会の審議の中でも明らかになってきていますけれども、政府の統計でも、そして内外のさまざまな指摘でもそれが常識になってきている。この冷え込んだ国民生活を直接温めるということは先では間に合わないわけですね。今すぐ直ちに解決しなければならない。  そういう点では、社会保障については今年度の予算削減というのは、今大臣がお話もされましたように大変御苦労されて、財革法絡みの医療改悪だとか難病患者の自己負担の導入、それから母子家庭の児童扶養手当の切り捨て、低身長児童の治療の削減など、私はやはり手をつけてはならないところまで削りに削り込んだというふうに思うわけです。こういう具体的な見直しについて、大臣は今どのようにお考えでしょうか。
  87. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 難病対策にしても、これは厚生省関係予算の伸びは二%程度ですけれども、難病対策については二〇%伸ばしている。  確かに難病の予算で削った面もあります。これは、難病に指定されている方と、難病に指定されていないけれども難病以上に重い病気に苦しんでいる方もおられる。そういう点も考えて、負担できる方は若干負担してください、その負担も一般の方よりもはるかに少ないですということで効率化、重点化を図って、今まで難病指定を受けられて全額公費負担だった点も、軽い方については負担してくださいよということであります。しかし、全体として厳しい予算の中で難病費は二〇%ふやしているわけですから、これは効率化、重点化を払ったものとして評価をいただきたいと思います。  なおかつ、児童扶養手当ですけれども、これは一方では、七万人程度の今まで児童扶養手当をもらっていた人が今度はもらえなくなるということだと思うのでありますが、これも母子家庭だからといって手当をもらっていた。しかし、母子家庭じゃなくても、全然手当をもらっていない方の世帯が二百万世帯ぐらいある。むしろ、本来別れた夫が出すべきところを、この離婚手当みたいなものを国がかわって負担しているのじゃないかという批判もあった。  予算があれば、それでは児童扶養手当と同じように、同じような両親がいる家庭でも、そういう世帯には手当をやりなさいということになるのでしょうけれども、それは予算がない。減らさなければならないことだったらば、むしろ、全然自分たちはもらっていないのに、どうしてああいう人たちはもらっているのだという批判もあったから、それにこたえて効率化していこう。なおかつ、これからもっとそういう児童扶養手当を出すのだったらば、ほかに使う予算があるのじゃないかということで効率化を図って、大体四百万ある方は、三百万程度の方まで手当を支給することによって、それ以上ある方は我慢していただきたいということで削った。  小人症の問題につきましても、これはむしろ身長百七十センチ以上ある方も、そういうのは果たして小人症に入るのかどうか、ちょっと審査が甘過ぎるのじゃないかというような批判もあった。ある程度、平均身長ぐらいまでの方に小人症対策も公費負担というのは限っていいのではないかということで見直しを進めてきた。  いずれも、共産党の主張だと、減らしたら全部いかぬ、全部ふやせというのですけれども、そのままにしておったら予算は幾らあっても足りないのです。そういうことから、私は、全省庁、今の予算については減らせという中で組んでいるのです。ふやせというならいいですよ。ほかの見方もある。減らせという中で組むのだったらば、私はそれはすべての項目を見直さなければならない。  今、全部減らしてはいかぬ。そうすると、どんどん予算はふえてしまうのです。それがどうなるのかということもやはり考えていただかないとなかなか無理ではないか、御理解をいただきたいと思います。
  88. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ですから、減らせ減らせというこの前提財革法そのものが見直しがあるので、そういう点では、こういうものについても、それは難病の問題が論議された中でも、まず最初にお金を減らさなあかんというところから始まったのだと率直に関係者の方は言ってみえるわけですよ。母子家庭のところまで、それはいろいろ論議があるでしょう。しかし、今見直しということが前提になっているからこそ、この部分についてもやはりもう一度これでよかったのかということは、前提が崩れていますから、検討いただけるのじゃないでしょうかということを聞いているのです。その点一点だけ。
  89. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは、財革法改正ということに関係なく見直さなければならない点だと私は思います。
  90. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 そういう、ともかく財革法に縛られてといいますか、やるというやり方で、どんどん本来必要な人たちの医療や福祉を切り捨てていくということは、私はとんでもないことだというふうに思います。  最後に、介護保険導入に伴う新ゴールドプランの基盤整備、中でもおくれている特養ホームの建設、それからエンゼルプラン、障害者プラン、これは前倒しだけじゃなくて計画の見直しそのものを今具体的に検討すべきだ、着手すべきだというふうに思っていますけれども、それはいかがでしょうか。
  91. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 まず、計画を達成することに全力を尽くしたいと思います。そして、この達成した中で不十分な点があるか、やらなければならない点があるかについては、またその時点で考えていきたいというふうに考えております。
  92. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 本来、医療や福祉、社会保障を担当する大臣にふさわしく、また、今まであなたが言ってきた言動にふさわしく、きちんと責任をとる、こういう立場から、この財革法改正問題についても対処していただきたい。このことを要望して、質問を終わります。
  93. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 中川智子さん。
  94. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党の中川智子です。何かもっと勢いのいい拍手をお願いいたします。  まず最初に、大臣質問させていただきます。  きょうは金曜日で、金、土、日とちょっと、私は主婦ですし、仕事はここでやっているのですけれども、帰りましたらスーパーに買い物に行って、家族のために夕飯を一生懸命つくるのですね。料理なんかとても上手なんですけれども。  そして、いろいろな方に会います、そこで。夕方のスーパーというのはとても込み合っていて、いろいろな方にお会いするのですね。そして、やはり聞くのですね、どうして貯金に行ってしまってお金を使わないのと。何が不安なのかということを質問としては私はとても多くするのです。  そのときに、やはり、年金がどうなるのか、そしていわゆる病気になったら大変、医療費も上がってしまって大変、そして老後が不安。この三つで、財布のひも、最近財布はひもがついていないのですけれども、財布があけられない。お刺身なんかも、本当に月に何度と、大好きだけれども抑えている。本当に、買い物に来たって物すごく時間がかかる。今まではこれが食べたいからというので買ったものが、とてもお財布の中身が心配で、それの原因は、ともかく年金であり、病気であり、老後である。社会保障に対するこの国に対しての不安が、やはり私は景気を冷え込ませている大きな原因だと思うのです。ですから、この日本が今やることのまず第一は、景気対策は、社会保障充実させて、生活不安を取り除く。  そういうふうに不安があるにもかかわらず、中川さんはいつも小泉さんの顔を見て仕事ができるからいいわねなんて言われて、大臣への人気は余り衰えていないのですよね。それで、私はどうしてかなと思うのですが、やはり今回の財革法でも、このような事態になったのならば、まず社会保障関係費に対して見直されるべきだということ、ポイント、ポイントにしっかりと国民を大事にしていく政策を皆さんの前に明らかにしていく、その意味では、信頼総理よりも全然落ちていないのですね。  そのあたりの期待がとてもあるということで、いわゆるキャップ外しの決意がどこまで本物で、何かちょっとトーンが下がってきているような気もいたしまして、そして、自民党の社会部会では、来年度からのキャップ外しということを言われていますが、私どもは、予算をともに成立させた責任も重く受けとめながら、やはり今年度からやるぐらいのことをぶち上げていただきたいと思うのですが、キャップ外しの決意大臣はどこまでおありなのかということ。  時間が余りないものですから、きょうの朝日新聞の小泉大臣の記事の最後に、「政策をやらなくても、選挙運動を一生懸命やれば勝てる、という。」今の選挙制度に対してちょっとコメントがありました。これはもうとても怖いことだという記事なんです。選挙制度を厚生委員会で聞くというのも何なんですが、ちょっと一言ぐらい、そのあたりの真意を例えればと思います。お願いします。
  95. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今年度予算は既に成立しました。その前提厚生省関係予算も組んで、今、補正予算の話とか財革法改正の話が出てきているわけです。ですから、この予算というのはもう成立しているのですから、その後、上積みをどうするかというのが今後の補正予算の話になってくると思います。  その際には、いかに景気対策といって公共事業上積みするといっても、今までどおりの公共事業の慣行に従ってその事業をふやしていくというのではなくて、厚生省関係社会保障関係公共事業もありますから、この点については十分な手当てをすべきだということを今主張しております。  同時に、財革法改正するというのだったらば、これはいろいろな意見がありますが、どういう形で財革法改正されるのか、まだ議論の推移を見なければわからない点がかなりあります。  しかし、それにしても、財革法改正するというのだったらば、社会保障関係上限制は私は見直してもいいのではないかということで、社会保障関係については特例を設けるべきだ、上限制を見直すべきだということを今までも主張してきましたし、きょうの閣議後の懇談会でも主張してまいりました。全然決意は変わっておりません。  それと、私は、選挙制度のことについては余り議論する委員会ではないとは思いますので多くは申し述べませんが、私なりに率直に言っておかしいなと思う点があるのです。  イギリスの小選挙区例を見てみますと、過去の例から、私の見た限り、勉強した限りでは、政権政党は補欠選挙ではほとんど負けるのです。その政権政党の支持率が野党に比べていいときでも、よほどの差がない限り、補欠選挙というのは野党が勝つのです。ましてや、政権政党が野党よりも支持率が低い、時の政権が、内閣の支持率が野党よりも低いというときは、どんなに与党の選挙区が安全な選挙区、絶対当選確実な強い地盤でも、野党の候補に負けるのがイギリスの小選挙区制度なのです。  ということを考えると、最近行われた小選挙区で理解しがたい点があるのですよ。これほど内閣の支持率が低い、不支持率が高いにもかかわらず、選挙をやるたびに与党の方が勝ってしまう。これはどうなんだ、この制度はという疑問が私はあるのです。  これは、だから、今までの私の常識、小選挙区の結果が正しいのか、世論調査が間違っているのか、それはわかりませんけれども、これはなかなか難しい問題だなということから、どうも国民は何を考えているのか、世論調査で言った答えと選挙に投票に行くときの答えが違っているのかなという点もありますし、その点を私は、専門家ではありませんから、どういう結果と調査が出ているのか、必ずしも選挙制度だけの問題ではないと思いますし、国民意識の問題もあると思います。あるいは、政党に対する信頼度、候補者信頼度、いろいろ加味されていると思いますが、なかなか一様には理解できる問題ではないと思っております。
  96. 中川智子

    中川(智)委員 ありがとうございました。参考にさせていただきたいと思います。  やはり、何か急に朝思いついて質問してしまって、これにほとんど時間をとられてしまってまずいなと思ってはおりますが、病床規制のことについて質問をさせていただきます。  私は、今回のこの法案を出されたときに読みまして、どうして、医療費の抑制といいながら、ここまでこの病床規制というのが国保法に関連したものとしての認識を、どうしても自分自身が持つことができなかったのですね。  といいますのは、これは、患者へのメリットというのは何なのかということ、そして、患者が上い医療サービスを受けるための病床規制になっているのかというところで非常に疑問なんですけれども、国保法の改正にこの病床規制を入れることが、私はこそくな手段のような気がするのですが、それに対して、大臣、一言で結構ですから御見解をお願いいたします。
  97. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 医療の問題というのは、普通の経済合理性から考えますと、供給がたくさん出ると値段も安くなる、競争によっていい商品も安く提供されるということが普通の商品では当てはまると思います。しかし、医療に関しては、病院、診療機関がふえればふえるほど、それでは、医療費削減されて、良質な医療サービスが提供されるかというと、必ずしもそれは当てはまらない。むしろ、供給が需要を生むというような構造もある。  そして、医療制度というのは、今、自由市場の中での統制経済です。金さえ出せばいい医療が受けられて、お金のない人はいい医療は受けられないかというと、そうじやありません。すべて、国民保険制度ですから。  そういう中での病床というのは、供給が需要を生むというようなことを考えると、医療の供給をふやすことによって、果たして効率的な医療費が築かれるのか、医療費が抑制されるのかというと、むしろ、医療費をふやしてむだな部分もふえていく面があるんじゃないかということで、ある程度、その地域に合った計画的な手法、社会主義的な手法も医療の分野においては必要ではないか、その点を配慮するのが難しいんですけれども、医療の分野においては必要ではないかなと私は思っております。
  98. 中川智子

    中川(智)委員 終わります。ありがとうございました。
  99. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十二分散会