○久保
委員 おっしゃるとおりだと思います。
何でもかんでも金があればつぎ込めばええという話じゃおまへん。放蕩
財政をやれと言っておるつもりもさらさらありません。これは、個人の家計に当てはめて
考えてみたって、おやじさんが一生懸命働いて持って帰ってくる金が、子供が大きくなったからといって倍になるわけじゃおまへん。そういう
意味では、子供さんにかかる費用が、教育費がたくさん要るときには、食い物を始末せんといかぬ場合もあるでしょうし、その他の支出を始末せんといかぬ場合も出てくる。これは当然の話でありまして、いわゆるやりくりの話であることは重々承知をするわけでありますけれども、そんな中で、なおやはり、道は多少でこぼこになって、車ががんがんなったって、これは別に人間死ぬわけじゃないけれども、暮らし、命にかかわる
部分というのは、これはやはり一番根っこの
部分じゃないかなという思いが僕は強い。
だから、
厚生省の中でのやりくりもさりながら、政府全体としての中で守るべきところというのは、一番最後の最後、行き着くところというのは、生の人間にかかわる
部分じゃないかな、こんな思いが強いわけであります。そんなことで、先ほどの
質問をちょっとさせていただきました。
もちろん、私
自身ずっと思っていることですけれども、人間だれも好んで病気になる人なんていてませんし、そういう
意味では、病気というのは、これまた予告なしに、阪神大震災じゃないですが、ある日突然やってくるというのも、これまた病気の特徴でもあります。もちろん、風邪のようにちょっと寒けが来たなとかいう、こういう予兆がある場合もあるわけでありますけれども、検査してみたらがんだと宣告されたとか、さまざまなそういうことも含めて
考えますと、そのときにこそさまざまな
保険制度があってしかるべき。その
保険制度というのは、僕個人は、できるならば先ほど言うたように、だれも好んでかかりたい病気はないわけですから、全
国民が同じ条件のもとで、同じようにかかれる
保険制度というのはあっていいんだろうなというふうには思っています。
しかし、先ほどおっしゃっておられたように、
抜本改革へ向けて今鋭意努力をいただいておるわけでありますけれども、それぞれに生い立ちがあり、歴史があるということになってまいりますと、ある日突然ぽんと一本化というのも、これまた片方からは歓迎の意を表されるとともに、片方からは、何すんねん、何してくれんねんという、こんな話にだってこれはなるんでしょう。そんなことを
考えますと、確かにこれ自体が非常に難しい話だなというふうには思います。
そんな中で、政管健保、これが
財政が破綻に瀕しておるというのでえらいこつちゃというので
改正されて、昨年の九月から施行されました。その施行の結果、患者
負担が一部引き上げられ、また、結果として
保険料率も引き上げられた。この結果、逆に言えば健保自体の
財政は、多少はプラスになった。なったんだけれども、健保組合の方の話を聞くと、千八百少々ある健保組合のうち、それでもなお七〇%が赤字
財政の運営を余儀なくされておる、こんなお話でございました。
昨年は、そういう
意味では被用者
保険の側の
改正であったわけでありますけれども、今回の
改正は、名前は
国民健康保険法等の一部
改正ということにはなっておるんですけれども、
中身はといって見ていくと、要は、国保がしんどいからいろいろやりくりして、政管健保、こちらの方からお金をこっちへ持ってこようよ、こういう話になっておるわけで、要するに、実態は、被用者
保険の方の側に立って物を見れば
負担増、すなわち
事業主、サラリーマンの方に、言うたら国保のしんどさがそっちへしわ寄せが行っておると言っても過言でない
内容になっている。
そんなこともこんなことも含めて、これまたここ何年間かの
景気低迷、そういうさまざまなことを
考えたら、今
国民は、それこそ何をやったって、政府、おまえたちのやることはもう信用できぬよと、
政治そのものに対する不信感、そんなことが色濃く広がってしまっているのかな、そんな思いがしてならないわけであります。
実は、これも先日の厚生
委員会で、民主党の金田代議士の
質問に対して、
小泉大臣はこう答えておられるのです。現在
審議している国保法
改正案と
財革法は切り離して
考えている、
財革法があってもなくても、現在の老人
医療費の拠出金の問題あるいは
医療費適正化の問題を
考えれば、どうしても進めなければならない
改正の
法案である、このようにおっしゃっている。これはまさにそのとおりだと私も思います。実に
大臣らしさが出ているというか、明快な答えというふうに読ませていただきました。
続いて、
橋本内閣において
財革法を
改正する必要はないと
考える、これも
大臣の持論であったんだろうと思う。が、それにかかわらず、将来の問題として今
法案は必要な措置を講じている
法案でありますというくだりがあって、その次に、仮に
財革法が
改正され
予算編成の基準が変わるならば当然影響があるが、というのは、要するにこの
法案についても影響があるがということだろうと思いますが、当然影響があるが、あの
審議をした四月三日の段階では、そうはならないと思っている、このようにお述べになっておられる。
きょうの新聞記事でも、一体どういうことやったんやというような表現もお使いになっておられますけれども、このきょうの新聞の中でも、歳出
構造の
改革もすべきだけれども、「福祉や
医療など
社会保障費も削れ削れというから私は削った。」こういう表現で新聞記事に書かれている
部分もございます。
私は、そういう
意味では、
財革法そのものの
議論はほかの
委員会に預けるとしても、先ほど来何度か繰り返させていただきましたけれども、まさに一億二千万の
国民、その中の特にお年寄りを初めとする弱者の方々、これは
財政的にも弱者の方々を含めて、
国民の命と生活にかかわるこの
社会保障部分、なかんずく
医療部分については、大変な
財政状況の中ではあるかもしれませんが、今、片方で
財革法の
改正、また
景気対策ということで十六兆円云々、真水が六兆だとか十兆だとか、もう人の口によっては一兆円単位の金がぽんぽん飛び交うている
状況の中で、その一兆円のお金も要らぬ、五千億の金さえあれば、持ってくれば、今回
厚生省がのたうち回って一生懸命
削減したこと自体が要らぬわけで、しかもその恩恵たるや全
国民に行き渡るわけです。
僕は、そういう
意味では、そのことを、今回仮に
補正予算を組むというのなら大きな声を出して
主張してもらいたいような気がしますし、また、そうすることこそが、この国にさまざまある
役所の中で
国民の生活を守る立場の
厚生省の役目柄ではないか。まさに
財革法のキャップと呼ばれるものが仮にあるならば、
厚生省は真っ先にそんなもの取っ外してくれと言うべきではないかなと思っておるのですけれども、いかがでございましょうか。