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佐藤(剛)
委員 自由民主党の
佐藤剛男でございます。
本日は、昨日
表明を賜りました
小泉厚生大臣に対しまして、その
所信につきまして、私
どもの疑問あるいは
考え方について披瀝させていただきます。できるだけ大所高所の
議論をいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ことしが、明治天皇が御存命でありますと、明治百三十一年に該当いたします。恐らく十年後の
歴史家は、
平成十年というもの、百三十一年の中で、私は、三つの大きなイベントがあった。つまり、
歴史の大
動乱期でありますが、これはいずれも外からの圧力というようなことで、第一が、今NHKの番組で、最後の
将軍、
徳川慶喜将軍ということでやっているわけでございますが、あの明治維新、いわゆるペリーがやってきてから十六年で
日本の
武士階級は消滅するわけでございます。第二が大
東亜戦争の終結であります。そしてその中に
財閥解体があり、あるいは
農地改革、これはすべて外圧でありまして、私は、今日の
憲法も
マッカーサー憲法と言っている
政治家の一人でございます。
そういう
観点で
平成十年を眺めていきますと、四月一日からの
ビッグバンという、意外にこの問題はずっと十年先から、
平成二十年から
平成十年を眺めますと、
一つの非常に大きな
日本の
歴史の大
動乱期に該当しておる。そして、その四月一日を、あるいは三月三十一日の
株価水準をどうするか。
自己資本比率という形の中に分子に
株価の含み益というようなものが入ってしまった、それが
一つの大きな支障になっているわけですが、その
金融の
破綻を
製造業、商業への
破綻に遮断をするという
対策を中心に
景気対策等々が行われているわけでございます。
そういう過程の中で、
予算委員会において
景気政策がなされておりますが、私は、今、
厚生省にとって景気的な面からも非常に重要な、むしろ
厚生大臣が
通商産業政策よりも、あるいは
大蔵大臣の
政策よりも、そういう
景気面で非常に重要な時期になっているのじゃないかということを感じておりますし、日ごろの
小泉大臣の御行動に対しまして私は深く敬意を表している
政治家でございますから、なお一層の
大臣の御活躍を期待するものであります。
それは何かといいますと、昨年末以来
アジアを襲った、今でも襲っていますが、私は
オオカミ投機集団、こう称しているのでありますが、世界の中において一日に約一兆ドルとも、もっとさらに多いだろう、試算ができないドルが、あるときには
ウォンを買いあるときには
ウォンを売り、そしてあるときには
ルピアを売り
ルピアを買い、そして
バーツを買い
バーツを売るということで、今や
インドネシアは四分の一の
価値になつちゃった。簡単に言いますと、一ドル百二十五円、今、もうきょう
あたり百二十七円ぐらいですが、百二十五円だったものが一ドル五百円になってしまったということで、この
価値が下がったということで、今
インドネシアにおいては新聞報道されているように大変なる
動乱寸前のような
状況に行き、
アメリカの
コーエン国防長官が行っておる、その横を
マラッカ海峡が、
日本の
石油が中東からそこを通って来ているという現状であります。
つまり、私が申し上げようと思っているのは、今
予算委員会等々で
景気対策いろいろ言われていますが、
日本の
経済というのがもう
アジアの
経済の中にすっぽりと入っているわけでございまして、従来の
景気局面と根本的に違うのは、私は
アジア経済がうまく動かないと
日本経済はうまく動かない、そういう
意味において、昨年来暴れ回っている
国際的オオカミ投機集団の
状況を見ているわけでありますが、その
オオカミ投機集団の
状況が、
日本ももう少しで食いつぶされそうだ、これが昨年の
状況であります。
そしてそこで、
金融安定化の防波堤を敷いて、今
法律も
通りビッグバンを迎えるわけでございますけれ
ども、どうしても避けて通れないのが将来に対する不安、
経済的に言うと
消費であります。GNP、GDPに占める割合が六割を超えるこの
消費の問題。家計に入って、あるいはお
年寄りの
方々のこの
消費の問題というものを分析しながら、そして明るい将来の
不安感を解消することこそ私はこの
景気対策の大きな柱になっておる。
ちなみに、例えば一千二百兆円の個人の
金融資産がある。よく一千二百兆円が独立して動きますが、私はそれをうのみにしているわけではございませんが、中身は半分ぐらいは自営業等々がありますが、仮に六百兆円としましても、一割が動くと六十兆円が動くわけでございますから、その将来に対する
国民の
不安感。何が
不安感かというと、今、
一流会社に行けば倒れないと思ったのが、
一流会社が倒れておる、あるいは銀行に預けても金利が非常に安い、そういう
状況の中で
一つの、先が見えなくなってきているというのが私は今日の
状況であると思っております。
地元に帰りますと、
年金は大丈夫でしょうか。今一番
国民が関心を持っておるのは、
医療もしかり、いろいろな問題はありますが、本当に
自分たちの
年金が減額されないで、将来に対してちゃんと
保障を受けるのかどうか、こういう
方々が、
老人クラブ等々でありますと必ずと言っていいほど出ているわけでございます。これは皆、
厚生委員会の
委員の
先生方、
地元であれしますと、まあ、
医療の問題もあります、しかしそういう中で問題は、私は
年金問題だと思います。
なぜ、
年金と、私が最初に言った
アジアの
オオカミ集団とが連結するかといいますと、
アジアの
オオカミ集団のもとは、一日に一兆ドル動かすというもとは、あの
昭和四十八年に
石油の
ショックがありました。一バレル、ドラム缶三分の二のものが横浜港渡しで一ドル四十五セントだったのが一挙に十倍になった、そして
中近東にいわば富がトランスファーされた。移転をしたが、
中近東の方は
消費がない、
人口も少ない、そんなにたくさん食べるわけじゃない、そこで、輸入がふえるわけじゃないので、その金をいわゆる
ファンドマネジャーといいますか
プロに預けた。
そういうようなものの
お金と同時に、さらにそれに加えていろいろな、
英国において、
アメリカにおいて、いわゆる
年金に
関係する
システムが変わってきたわけであります。この
年金の
システムが変わってきたということは、言うなれば、
日本型といいますのが
確定給付型とかいうことだと思いますが、
日本の
企業年金というのは、加入した
期間とか
給付水準に基づいてあらかじめ
給付額が決められておる、これが
確定給付型の
年金制度でありますが、ところが
アメリカでは、拠出した
掛金額とその
運用収入の
合計額をもとに
給付額が決められる
確定拠出型であります。これが
年金として四〇一Kとか言われている
年金が普及いたしているわけであります。つまり、
プロの人に委託をしてそれを動かす。私は、一兆ドルの
資金の中にはそういう
資金が、この
資金の中で色がわかりませんからあれですが、相当のものが流れているだろうと理解いたしているわけであります。
さらに
英国、これが従来の
確定給付型から、サッチャーになって非常に
アメリカ型の、
確定拠出型的な形になって流れてきた。これが
昭和四十八年の
石油ショックの
オイルマネーにプラスして流れてきて、孜々営々として汗水垂らして働いた
経済、
インドネシアあたりはもう第二次大戦の戦後の
状態である。あるいは、韓国においては二分の一の減価になって、
占領状態になっている、戦後の
状況になっておるという恐ろしい
状況が起きているわけであります。
ですから、
日本の一ドル百二十五円体制というのがこのまま、
日本の
経済がしっかりして、そしていろいろな
対策をきちっとやっていかなきゃいかぬが、そうじゃないと、もしインフしみたいなものが起きると、根本的に、一番将来への
不安感を持っているこの
年金について、パアになってしまうか、要するに減価してしまう。今、例えば百三十兆円なら百三十兆円の
資産運用がなされておる、そういうものについて私は、非常にそういう
意味において
一つの心配をしながら見守っているわけでございまして、
大臣の
所信表明で、四ページに出ておりますが、
老後の
所得保障の主要な柱である
公的年金につきましては、
給付と
負担の
均衡を確保し、将来
世代の
負担が過重なものとならないよう、
平成十一年の財政再計算に向けて、
制度全般の
見直しに取り組みます。
改正案の取りまとめに当たっては、
国民的な
合意形成に努めてまいります。また、
日独社会保障協定の締結、実施のため、所要の対応を図ってまいります。
このくだりについて私はちょっと長い説明を申し上げたわけでありますが、非常にいろいろな要素を加味してこの
年金問題に取り組むこと、そして、その問題がきちんとはっきりしますると、
国民の、一千二百兆円の一%にすれば十二兆円、実質的な、六百兆かもしれないその一%にすれば六兆円、そういうようなものが、
国民が安心すればそれは私は自然に
消費の形に向く。しかし、今
国民が一番あれしているのは、本当に
年金がもらえるのか、ちゃんといくのか、こういう
観点が私はあるのじゃないかと思うわけでございまして、まず、かような点について、いろいろ申し上げましたけれ
ども、問題の点は、私が申し上げたいのは、
日本で今までやってきました
確定給付型、こういう
年金制度を、まだ
年金の問題についてはいろいろ
議論する場があると思いますが、
確定拠出型のような形に持っていくと、この
年金制度が
マネー闘争の中に、
マネーゲームの中に入ってしまう
危険性が非常にあるということを、私、どっちがいいとか言っているわけじゃないのですが、ということを加味して、
年金の
関係の
審議会等におきましても十分な、慎重なる
議論をしていただきたいということでございます。
ついては、
大臣、これからの
年金の、
平成十一年に向けましてどういうふうな形で進められるのか、そしてどういうふうな形で今申し上げましたような
考え方を、
日本型あるいは
アメリカ型、こういうようなものについての御感想をまずお聞きいたしたいと思います。