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1998-04-17 第142回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月十七日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 遠藤 乙彦君    理事 遠藤 利明君 理事 佐田玄一郎君   理事 田野瀬良太郎君 理事 谷畑  孝君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       安倍 晋三君    飯島 忠義君       岩永 峯一君    小林 多門君       田中 和徳君    高市 早苗君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       松本 和那君    目片  信君       山本 幸三君    樽床 伸二君       畑 英次郎君    平野 博文君       山本 譲司君    中野  清君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瓦   力君         国務大臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         国土庁長官官         房      久保田 勇夫君         国土庁計画・調         整局長     河出 英治君         国土庁土地局長 生田 長人君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省都市局長 木下 博夫君  委員外出席者         建設委員会専門         員       白兼 保彦君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任        補欠選任   市川 雄一君    中野 清君 同日  辞任        補欠選任   中野 清君     市川 雄一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市計画法の一部を改正する法律案内閣提出  第四七号)  都市開発法及び都市開発資金の貸付けに関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第四  八号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案内閣  提出第八二号)      ————◇—————
  2. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市計画法の一部を改正する法律案都市開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。
  3. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 都市計画法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  まず、今回の改正案趣旨を見てまいりますと、一つには、近年都市部中心市街地空洞化が各地で見られる、したがって都市の機能や都市景観が失われておって、中心市街地を活性化する必要に迫られておる、その諸施策を遂行する一環としてこの都市計画法の一部を改正する、こういう趣旨と承っております。  そこで、この都市中心部空洞化現象というものは那辺から生じてきたか。いろいろと言われておりますけれども一つ大きな要因としましては、大規模小売店舗法規制緩和が非常に進みました。その結果、大型店がどんどん進出をいたしまして、そして中小商店あるいは商店街が寂れて、ひいては中心市街地空洞化した。こういうことが挙げられると思うわけであります。  考え方でありますが、最近におきましての一つの特徴でありますけれども、いろいろな改革が言われておるわけであります。経済原理一つとしまして、経済発展をしていく上におきましては自由化規制緩和というものが必要である。ところが、これを余りにも急激に進めますといろいろな弊害が生ずる。エドモンド・パークの言葉をかりるわけではございませんが、私ども保守主義を奉じておる政党でありますけれども、やはり急激な変革のあるところは多大の犠牲を伴う、これを銘記しておかなければならぬのではないかと思うわけであります。したがいまして、経済の自由な競争というのは大事なことでありますけれども、しかしながら、資本力の強いものが全部を制して独占化していくということは決して好ましいものではない、こう思うわけでございます。  やはり、この大規模店舗展開の仕方を見てまいりますと、市街地におきましては、例えば高齢化しておるわけでありますから、必ずしもおじいさん、おばあさんたちが車で物を買いにいくことはできないわけでありまして、そういう面で非常に不便を来しておる。あるいは、大規模店舗は、地方展開をいたしまして、周辺の商圏を全部つぶしてしまって、なおかつ十分な利益が上がらない場合は何らの考えもなく経済原則に従って撤退していく、こういうようないろいろな弊害が指摘されておるわけでございます。  そこで、都市の形成といいますのは、ただ経済原則だけで考えるのではなくして、みずからの町をみずからの力でつくっていくのだ、こういう町づくりに対して明確な考えというものが示されなければならない、これが第一点。それから同時に、大規模店舗を必要とする地域もあるわけでありますが、大規模店舗中小商店あるいは商店街というものが共生していく、こういうような考えに立つということが大事ではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。そうした二つの観点から質問をいたしたいと思うわけでございます。  改正案によって、特別用途地区を限定して設置していたことを廃止しまして、市町村地域の特性に応じて柔軟に設定することができるようになったのは、先ほども申し上げましたように、地域町づくり観点から大いに評価できるものであると思います。  しかしながら、市町村が独自に特別用途地区設定できる地域は全国土の四・七%でありまして、さらに、用途地域の総面積に対しまして、特別用途地区設定されているのは二・二%にすぎず、極めて限られた地域である。そこで、未線引き白地地域や農地とか、あるいは特別用途地域設定の措置を講ずることができない区域については市町村の独自の条例規制できる、こういうことが大事ではないかと考えるわけであります。通産省は、大規模店舗立地法が我が方のこの法律と対になっておるわけでございますけれども条例が可能である、それはする必要がある、こういうふうに説明しているやに聞いておるわけでありますが、建設省見解をお伺いいたしたいと思います。
  4. 木下博夫

    木下政府委員 お答えいたします。  先生、多数の御質問をいただいたわけでございますが、最後条例についてはお答えしたいと思いますが、その前に、現在の都市状況につきましては、私は先生の御質問をそのとおりと承っております。  ただ、商業問題といいましても、実際には、例えば車社会がどう影響していくかとか、あるいは人口の年齢構成だとか、あるいは個々国民消費行動といいますか、そういうものがそれぞれ関係した中に一つの姿として今日的な都市問題が発生していることは申し上げるまでもないことでございます。  お話ございましたように、今回の都市計画法改正は、御質問のございました大規模店問題だけではございませんで、むしろ、一つ地方分権という方向でも進めたいと考えておりますことと、それから、昨年来種々経済対策が出ておりましたが、そういう経済対策を踏まえました新しい都市づくりということについての幾つかの改正をさせていただいたわけでございます。  そこで、条例の問題でございますが、確かにおっしゃられましたように、今回の都市計画対応というのは、当然、都市計画法が対象としております、全国土の今四分の一都市計画区域がございますが、その四分の一の中で、パーセントにすれば一割弱というところが用途地域として決められておりますから、用途地域が決められているところにつきまして特別用途と決める以上は、先生の御紹介になった数字、そのとおりでございます。  ただ問題は、さらに都市計画区域を拡大していくのか、あるいは御案内のとおり、未線引きのところ、いわゆる白地地域と申しておりますが、そういうところでも今後積極的に、公共団体考えによっては、用途地域をさらに広げた上で特別用途をいわばかぶせていくといいますかそういう手法も当然とられるわけではございます。  さはさりながら、都市計画制度で全部をカバーするわけにいきませんし、現在の都市計画制度を前提といたしますと、先生おっしゃられましたように、既に条例等で、例えば環境問題とかその他の問題についても公共団体が取り組んでいる例もございますので、個々のそういう問題についてはそれぞれの公共団体が、制度のいわば上乗せといいますか、そういうことについて条例等で今後さらに体制、体系を拡充するといいますか充実していくということについては当然あろうかと思っておりますので、そのあたり整合性のとれた対応ができるように我々も見守りたいと思っております。
  5. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 今日的都市問題ということで総合的な説明でございましたが、私が聞いていますのは、大規模店舗中心市街地空洞化に大きな要因になっておるから、そこにポイントを置いて質問をしたわけです。ですから、今のようなことではなく、もう少し大規模店舗等も、その地域町づくり判断によって、要するにこの白地地域とかそういうところにもつと積極的に線引きをして、あるいは条例をつくってある程度判断ができるように明確に指導することが必要だと思うのです。  私はそういう観点から建設省見解を聞いておるわけでありまして、その点はいかがでございますか。
  6. 木下博夫

    木下政府委員 条例につきまして私若干お答えが不足していたかと思いますが、先生おっしゃられましたように、都市計画制度以外の、いわば枠組みとしてそれを補強する意味条例をお答えしたわけでございます。  お話のございました。途地域そのものにつきましては、当然各都市計画決定という形で手続をとりますし、それから特別用途についても、従来は十一用途ございましたけれども、この十一用途につきまして市町村が今後多様化させていきたいということでございますので、これについても手続的には都市計画制度の中ではできてまいります。  その中身についてどういうものをしていくかということについては、今先生おっしゃられましたように、条例等を大いに活用するということは当然手続上あろうかと思っております。
  7. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 それで、一つは、都市景観という言葉があります。私はフランスの例をちょっと申し上げたいと思いますが、フランスの場合は、大規模店舗売り場面積を五百平米というふうに限定しておったのですね。それを今回は三百平米にさらに縮小した、こういうように聞いておるのです。  これによって何を目標とするかといいますと、先ほど申し上げましたように、在来の商店街、つまり中小商店とのバランスを図っておる、共生を図っておる。と同時に、商店街がつまり都市一つ美観をなしておるのじゃないか、それをやはり維持していく、こういうことが大事じゃないかと私は考えるわけですね。したがって、共生とそれから都市美観。  都市の中にやはり歴史があると思うのですよ。それから文化があると思うのですね。人々触れ合いがあると思うのですよ。だから、都市というものを考えた場合には、やはり歴史とか文化とか人の触れ合いとか、そういうものを大事にしていく都市づくりというものが大事じゃないか、こう思うわけでございます。  そういう観点からいいますならば、今回、例えば特別用途地域設定するに当たりましては、関係商工会議所とか商工会とかそういう経済団体意見を極力反映できる場が市町村に設けられてしかるべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、そうしたことについては市町村に何か指導する考えがあるかどうか、あるいはそういうことに対して建設省考えがあるかどうか、それに対して質問させていただきます。
  8. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど先生から、都市政策ポイントは二つあって、みずからの町づくりをすることと、大型と小型の店舗共生していくことが大切だというお話がございました。まさにそのとおりだと私思います。  それから、各都市によって都市づくりというのは異なる。とりわけ最近は各都市が先ほどおっしゃられたように疲弊しておりますが、その中で再生していくためには、同じような画一的な都市ではなくて、個性のある町をつくっていかなければいけないと思います。  そういう意味からいきますと、先生お話ございました商業関係者都市住民でありましょうし、都市づくりをしていく有力な構成メンバーであろうと思っています。建設省が昭和四十三年に都市計画法改正しましたときに、現在の都市計画審議会の中で、各公共団体がおつくりになる審議会にどういうメンバーを入れたらいいかということで、学識経験者というグループの中にお話ございましたように商業関係者一つとして入れてございまして、既にそういう指導、通達も出させていただいております。  きょうはそういう問題を中心に御議論がありましたが、いずれにせよ、都市というのは大変多様な顔を持っておるわけでございますから、商業関係ももちろんでございますが、その町がこれからどういう発展をしていくことが必要かということを念頭に置きながら、いろいろな関係者の多くの意見を取り入れる、そういう場づくり公共団体が努めることは大いに必要ではなかろうか、私はこう思います。
  9. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 個性ある町づくりというのはいろいろな意味があると思うのです。  私は、一つ限定した上で質問したわけでございますが、例えば教育の場ということを一つ考えた場合に、例えば空洞化した商店街の中に、昼は非常に人がいますけれども夜は人がいない、そういうところで青少年の犯罪等が非常に横行しておる。だから、そういうものを防ぐためにはやはり充実した商店街というようなものもつくっていかなければいかぬし、あるいは、空洞化した中におきまして潤いをつくるためには、美術館とか博物館とかそういうようなものをつくって、そしてそ の地域の、地方文化を向上せしめていく、こういうような観点からもいろいろなアイデアが出てくる。  だから、都市をつくっていく場合におきましては、やはり歴史文化と、そして心の触れ合い潤いというものを、いろいろな立場の人々意見を総合してつくっていく、こういうことが大事だと思います。そういう点で、この法律改正が大いに役に立つように進めていってもらえればと思うわけであります。  そこで、個性ある町づくりということになってまいりますと、例えば広域の、市町村があるわけでありますけれども特別用途地区設定される場合に、隣接町村によって異なる目的を持って設定されるような場合があり得るのじゃないか、それぞれの考えのもとに。もし仮に、一つの町で大規模店舗がある程度必要であるという判断から地区設定する、隣の町は反対である、こういうような設定がなされた、こういう場合はこれはやはり調整機関が必要だと思うのです。  それでは、どうやってそういうものを調整していくか。これは、例えば都道府県がその役割を果たすのか。それで、意見が分かれた場合、建設省としては、ガイドラインも含めた何か指導考えているのかどうか。あるいは、これは政府全体の問題としてもとらえなければならぬだろうと思うのですが、そういう点について見解がありましたらお尋ねをさせていただきたい。
  10. 木下博夫

    木下政府委員 私がお答えするにはいささか荷が重いかもわかりませんけれども、これからの地方行政につきましては、かなり市町村広域化といいますか、そういう問題は底流にあろうかと私は思っております。  先生おっしゃられた問題も、そういう意味では、都市計画サイドからいきましても、広域的な町づくりという視点は、商業だけではなく他の大きな公益施設公共施設等活用方についてもできるだけ広域的にこれから連携していくということは、町づくりの上からいっても各公共団体に大変心がけていただかなければいけないテーマでございます。  そういう状況の中で、問題であります商業関係につきましても、やはり隣の市町村等に与える影響は大きな店舗になりますと当然出てこようかと思っております。  今回のいわば特別用途地区につきましては市町村都市計画上決めるわけでございますが、その際に、都道府県知事は、その都市計画決定に対して広域的な視点あるいは一体性の確保ということで承認をすることになっておりますから、手続的には一応そこのレベルで県と市町村とが意見交換をすると思いますが、恐らく先生の御質問は、もっと事前に、そういう商業施設等が立地することについて広域的な整理を都道府県ども考えていくべきじゃなかろうかということだと思っております。  先ほど先生お話がありましたように、個性ある町づくりということからいきますと、これは多少矛盾した言い方でありますが、できるだけ各公共団体がみずからのねらいを考えるということが私は必要だと思いますが、いずれにせよ、県レベルとそれから市町村レベルとがうまく連携してこそ都市計画もいいものができると思いますので、私ども指導というのは少しおこがましいと思いますが、今後この法律等が施行される段階におきましては、さらにそのいわば普及といいますか浸透のためにも一肌脱がなければいけないかと思っております。
  11. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そうすると、都道府県役割というものを解釈上法律の中ではどういうふうに位置づけるか、あるいはもっと役割を果たすようにするのかどうか。  というのは、要するに、今後地方分権が進んでいきますと町村合併その他いろいろありますね。そういう中におきまして、町村合併をやっていくという場合におきましても、それはやはり県が指導したり何だりする場合もあるだろうと思うのです。都道府県が果たす役割というものがもう少し明確にならないと、やはり調整についても滞るところまで来るのじゃないか、こう思うのでございますけれども、いかがですか。
  12. 木下博夫

    木下政府委員 結論的に言えば、都市計画の現在の制度は、私どもの今回の改正の中ではこの特別用途についての手続等は変える考え方を持っておりません。  ただ、広域的な扱いということについて、今日あるいは将来に向かってさらに、私は先ほど申し上げましたような視点から重要であろうかと思っておりますので、そういう意味からいきましての連携は、いろいろ私どもからも支援といいますかバックアップしていきたい、こう思っております。
  13. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そうすると、県に対して建設省は何を期待するのですか。そこのところが少し明確じゃないのですけれども
  14. 木下博夫

    木下政府委員 手続的には先ほど申し上げましたようなことでございますが、恐らく県はそれぞれの県土のつくり方等について大きなビジョンなどをこれからお持ちになっていくと思います。そういう視点で、建設省からは、各県レベルでおつくりになる町づくりあるいは都市計画構想広域的な視野を持っていただいて、各市町村がその構想等についてより明らかにされた中で今回の特別用途などについても配慮できるということであろうと思いますが、特別用途地区そのものは、くどいわけでありますけれども、各市町村がお決めになるわけでございますから、まず第一義的にはそこのところだと思います。  それから、なお申し上げますと、最近の流れとしてはやはり地方分権ということを大変私ども地方分権委員会等あるいは都市計画審議会から要請を受けておりますので、方向としては、基本的には一番身近なところの市町村都市計画を決める、そういう権限をできるだけ拡大する方向流れておることを申し上げたいと思います。
  15. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、地方分権なのですが、簡単にこれも地方分権地方分権と言いまして、全部地方分権をして、都市計画も全部皆さんでっくりなさい、どこでも全部つくりなさい、こう言ったって、これまた専門家が少ない。確かにそれは、自分たちの町を自分たちでつくるということは大事なことです。これはだれも否定することはできない。しかしながら、専門的な知識とかそういうものがないと、ただつくれつくれと言ったってなかなか簡単につくれないのじゃないか。  だから、国がやはり、県と市町村関係の中において、例えば国土庁も今度大きな五カ年計画を立てられて国土保全のために頑張るわけでございますけれども意見を聞いておって、大臣、何か御見解ございませんか。つまり、地方分権と言ったって、地方でやれと言ったって、そう簡単にすぐ都市計画がぽんと出るわけじゃないのですよ。だから、ある程度そういうものをやはり育成するとか、全体としての考えはこういうことであって、やはり効率的な国土というものを形成していくためには都市都市市町村市町村、県は県、そういうようなやはり整合性があって、そしてなおかつ個性というものが発揮されなければいかぬのじゃないかと思いますよ。どうですか、国土庁長官、御見解は。
  16. 亀井久興

    亀井国務大臣 今、先般決定をいたしました全国総合開発計画との絡みでの御質問でございますが、確かに私ども、これから中央省庁再編統合が進んでいくと同時に、地方分権流れというものは重要視しなくてはいけないわけでございます。  そうした流れに沿って、今度の全総では、特に地域の自立の促進ということを大きく掲げておるわけでございますし、それとまた同時に、いろいろな主体参加を求める、そういうことでございまして、地方自治体ばかりではなく、ボランティア団体とかあるいは地域の企業とかいろいろな主体参加をしていただこうということでございますが、確かに、全体的な一つ国づくり計画というものと地域計画、これが全く整合性がとれないということではいかがかと思っております。  いずれにしても、地域がみずからの町はみずからの力でつくるのだ、そういう意識を持ってそれぞれの地域連携を深めて、より広域的な地域づくりを進めていただくということが大事だろうと思っております。そうした町づくり計画等につきましては、当然のことながら地域の方々の各種多様な知恵というものを集めていただきながら、トップリーダーが最終的には判断をしていただかなくてはいけないことだと思っておりますけれども、やはり全体的な計画というものと全く相反するような、そういうことはいかがかと思っております。その辺は、ある程度の時間が経過していく中でおのずから地域の自立する力というものは身についていくのではなかろうか、そのように考えております。
  17. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 最後質問ですが、市街化調整区域において地区計画を定められる地域を拡大し、地区計画に沿った開発行為については開発許可を受けられるようにするとのことでありますが、市街化を抑制すべき地区である市街化調整区域でそれをすることは制度趣旨に反する面もあるのではないか。地価も安いことから乱開発も懸念されるところである。改正趣旨についての説明をいただきたいと思います。
  18. 木下博夫

    木下政府委員 先生のお持ちの御懸念、まさに私どももそういうことについて意を払いたいと思っております。  これは御案内のとおり、昨年十一月の政府経済対策の中で、自然的環境を十分享受しながら新しい住宅供給をしていく、これはやはり国民生活上も必要ではなかろうかということで出てまいりました。したがいまして、今でもどちらかといえばスプロール問題をどう防止していくかということについて我々も腐心しておるわけでございますが、今回の場合は、もちろん市街化調整区域でございますから、基本的には開発は抑制していく方向はそのままベースに置きつつも、比較的小規模なもので乱開発にならない、むしろまとまっていくということで、市町村地区計画という枠をはめた中で整然とした集落づくりをしていくというふうに御理解いただきたいと思います。  いろいろおっしゃられた点については、制度を実施する上で我々は種々の方策もとりながら進めてまいりたいと思っております。
  19. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 あと一分あります。建設大臣、せっかくおいででございます。  つまり、私が先ほど申し上げましたように、やはり、日本の社会は、お互いに狭い国土の中に知恵を発揮してお互いが生きるようにやってきた、そこへ資本主義の極端な自由競争とか規制緩和を急激にやりますと、多くの混乱が生ずるのではないか。だから、和をもってとうとしとする我が民族は、やはりそういうところにもうちょっと、共生の、ともどもに生きていくということ、これを大事にしていかなければいかぬのじゃないか。それから同時に、国が一方的に上から計画を押しつけるのではなくして、やはり地域町づくり人々参加を大いに求めていく、こういう点で今回の改正趣旨があると思いますけれども、これを進めるに当たりまして、大臣の御決意をお伺いしまして質問を終わりたいと思います。
  20. 瓦力

    ○瓦国務大臣 玉沢委員と私は世代が同じでございまして、戦後から今日まで激しく日本経済の中で都市が揺れ動いてきた、町も大きく変貌してきた、そしてまた、経済自由化の中で大規模店舗が郊外につくり上げられ、また車も町の中に駐車できないような町になり、町の特性、顔が見えなくなってしまった今日であります。  戦後半世紀を経て、今委員がおっしゃるように、幸いにして私どもは町を大事にしようという空気がありますし、お互いに利害を分かち合おうという和の精神もありますから、こういう中で、潤いのある顔の見える町づくりをもう一度展開したい、そのことが今我々に求められておると思うわけであります。まず、それぞれの自治体が、またそれぞれに住む人たちがどういう町をつくるか、そういう自主的な意向というものを私どもはうまくとらえまして、またそれを支えていって、新しいプログラムの中で町づくりを進めていく、そういうことでありたいと思っておるわけであります。  ありがとうございました。
  21. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 どうもありがとうございました。
  22. 遠藤乙彦

  23. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  今回提案をされております都市計画法の一部を改正する法律案あるいは都市開発関係改正案、そして国土利用法の一部を改正する法律案、先ほど来議論がございますように、地方分権流れというものがそれぞれ位置づけられているということで評価をいたすところでありますが、その一方で、都市乱開発でありますとか、あるいは地価の高騰、さらには大店法絡みでの中心市街地の問題、一体どうなるのか、そんな不安もつきまとうわけであります。この三法については、もう一日審議日程もあるようでございますが、まず私は民主党のトップバッターとして質問をさせていただきながら、最終的なこの法案に対する可否を判断させていただきたいと考えております。  まずは国土利用計画法の一部を改正する法律案についてでございますが、この国土利用法、これは昭和四十九年に制定をされまして、その後、昭和六十二年に監視区域制度が創設をされたわけでありまして、さらに、平成元年、これはさらなる規制を強化する改正が行われてきた。この間、この法律は、土地の投機的な取引でありますとかあるいは乱開発を防ぐ上で、確実に一定の役割を果たしてきたと思うわけであります。  しかし、ここに来て、今回、大規模な土地取引については、これまでやってきた事前届け出制を事後届け出制にする、あるいは価格審査も廃止をするというような現行制度の大幅な緩和が行われるわけであります。  そこで、まず国土庁長官にお尋ねをしたいと思います。今回の法改正の目的、このことで一体どういうメリットが生まれるのか、まずそういった今回の法改正の理由について伺いたいと思います。
  24. 亀井久興

    亀井国務大臣 委員御承知のとおり、バブル期におきまして土地が高騰した、そのことを何とか抑制をしたいということで法改正もあったということで、もろもろの法律が改められたということは確かにあったわけでございます。  その後、すっかり経済状況等も変化したわけでございまして、その変化に伴って私どもの全体的な物の考え方も変わっていかなくてはいけない、こうしたことが背景にあるわけでございます。  そして、昨年の二月でございますが、政府が新しい土地政策推進要綱を決定したわけでございまして、その決定は、もう委員御承知のとおり、地価の抑制、そうした土地政策の目標を思い切って転換をいたしまして、土地の有効利用を促進する、そういうことになったわけでございます。そしてまた、政府、与党一体になりまして、土地の有効利用をどう進めていくかという検討会議も設けまして、昨年ずっと議論を重ねてきたわけでございます。  そうした一連の流れの中で、やはり、土地の有効利用を促進をするとともに、そのための土地取引を活性化させていくということが必要である、かような観点に立ちまして、国土利用計画法につきましても思い切った改正に踏み切るべきだ、このような判断のもとに今回御提案を申し上げておるところでございます。
  25. 山本譲司

    山本(譲)委員 政策目標を地価の抑制から土地の有効利用に変えていったということでありますが、まだまだやはり日本の地価は欧米と比べても高いと思うのです。果たして、この現行制度緩和によって再び地価高騰を招くおそれはないのか。単純に考えたら、下がるというよりも上がる方が大きいのじゃないか、上がる可能性の方が大きいのじゃないかと私は思うのです。  そういう意味で、これまで地価の抑制という目的、これを覆してもこういう政策目的を変えたということは、やはり経済効果ということも多分に 考えられているのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  26. 亀井久興

    亀井国務大臣 確かに現在の厳しい経済状況というものを考えてみた場合に、やはり土地が有効に活用されていないということもその大きな原因としてあるわけでございますから、今回の改正によりまして土地の有効利用が促進をされていくということが、ひいては日本経済全体の活性化にもつながっていくであろう、そうした考え方は確かにあるわけでございます。  また、先ほど来委員が御指摘になっておられますように、それではこれからまた地価が高騰していくというようなおそれがないのかということにつきましてもそれなりの配慮はいたしておるわけでございまして、ただ野放しに土地取引をほうっておくということではないわけでございます。  今回も注視区域を設けるというようなこともいたしておりますし、また、届け出は事後の届け出ということではありますけれども、利用目的だけではなく価格につきましても届け出はしていただくことになっておりますから、価格の動向等については十分に私どもそれを掌握することができるわけでございます。そうした動向等を見ながら、また、極端な値上がり等が予想されるというおそれがある場合には注視区域を設けるというようなこともできることになっておりますので、委員が御指摘になりましたような点についての配慮は十分にいたしておるつもりでございます。
  27. 山本譲司

    山本(譲)委員 事後届け出制の導入ということで土地の有効利用が進むと、そこで土地の流動化が進んで景気回復につながるのじゃないか。これはどの程度の効果があるというような見込みはされているのですか。
  28. 生田長人

    ○生田政府委員 御承知のとおり、今回の法改正におきましては、最長六週間の契約締結制限のございました事前届け出制から、契約締結制限のない事後届け出制に移行するということでございますから、土地取引自身はかなりスムーズにいくだろうというふうに思っております。同時に、今後原則として随時自由に土地売買等の契約を締結することができるということでございましたら、しかも価格のチェックにつきましては原則として行わないということでございますから、民民間でそういった土地の取引につきましては有効利用を目指してかなり多量の取引が行われるであろうというふうに思っております。  最近一番の問題は、土地取引件数がかなり落ち込んできているところに現在の状況がございますので、私どもとしては、今回の改正が、できればそういった経済の活性化に少しでもつながればということでこういう改正を意図したわけでございますけれども経済的にどの程度出るかということにつきましては、残念ながらまだシミュレーションはできていないという状況でございます。
  29. 山本譲司

    山本(譲)委員 確かにこれは、土地の取引は簡単になるわけですからふえるというのは自明の理でございます。  そこで、そんな中で地価の高騰を招かないようにそれなりの中身を用意しておりますという国土庁長官からのお話でございましたが、その具体的な法律の中身についての質問を幾つか行わせていただきたいと思います。  現行の制度でありますと契約が結ばれる前に審査が行われるわけでありますから、勧告によって、契約の中止でありますとかあるいは利用目的の変更ということも事後より当然行いやすいわけでございます。しかし、今回の法改正によりまして土地の売買契約成立後に審査をするということでございますから、例えば何かがあった場合、何かというのは、審査の後に土地利用目的の変更でありますとかあるいは初めから虚偽の目的を届け出ていた、そういった場合、なかなか契約の解消ということは難しいことになるわけでありまして、また、取得者も当然大変な不利益をこうむるわけでありまして、その辺のチェック体制というのは一体どうなっているのかお伺いいたします。
  30. 生田長人

    ○生田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、この事後届け出制におきましては取引の後にチェックをするわけでございますから、虚偽の届け出についてどういうぐあいにチェックをするかという点につきましては、土地を取得した人が予定をしているその利用目的が土地利用計画に適合しているかどうかをチェックするのですけれども、本当にその取得者がその土地を何に使おうとしているかということにつきましては、心の中の問題でございますから、端的に申し上げまして、一般的に、届け出された利用目的が虚偽かどうかにつきましては、届け出された資料だけでは判断をすることがなかなか難しいというのが実情だというふうに考えております。  しかしながら、例えば取得後間もなく、その取得者が利用目的を変更するなどといったその後の取得者の行動から考えまして、当初の届け出が虚偽であった可能性が生ずるという場合も出てまいりますので、その場合にはその届け出者に事情をきちんと聞くなどの調査を行った上で、例えば牧場として利用をするという目的で届け出をした、ところがその契約の締結の前にゴルフ場の造成業者と契約を既にしていたというようなことが判明するということになりますと、これは私どもとしても明らかに虚偽だというぐあいに考えざるを得ませんので、そういったことにつきましては私どもとしても厳正に対処していきたいというふうに考えているのですが、実際にその取得後、何らかの事情で、例えば経営採算が検討してみてもこれはとてもじゃないが間尺に合わないということになって土地利用の変更をする、こういった場合には土地利用の目的を変えるといったケースが出てまいりますけれども、その場合には土地利用の計画に合致しているのであれば、範囲内であれば何ら問題はないものというふうに考えております。
  31. 山本譲司

    山本(譲)委員 今厳正な対処とおっしゃいましたが、厳正な対処というのはどういう対処ですか。
  32. 生田長人

    ○生田政府委員 虚偽の届け出がはっきりしたという場合には国土法におきましては罰則の適用がございまして、端的に申し上げますと六月以下の懲役もしくは百万円以下の罰金ということが予定されておりますので、こういった点につきまして事情が非常に悪い場合には告発を含めて厳正に対処していきたい、こういう意味でございます。
  33. 山本譲司

    山本(譲)委員 その辺はしっかりとさらに厳正な対処をお願いしたいと思っております。  そこで、今回の法改正によって新しく生まれます注視区域でございます。この注視区域そして現行の監視区域、この現行の監視区域というものも存続をするわけでございますが、どうも指定の条件というのがなかなかわかりにくいなというのが率直な感想でございます。例えば監視区域、地価の急激な上昇またはそのおそれというのが、注視区域におきましては地価の社会的、経済的、相当な程度を超えた上昇またはそのおそれでありますとか、どこがどう違うのかよくわからないのでございますが、その辺を簡単にわかりやすく御説明をいただければと思います。
  34. 生田長人

    ○生田政府委員 まず監視区域につきましては、先生今おっしゃいましたとおり、地価が急激な上昇を示している、あるいはそういうおそれがあるという場合に指定をさせていただいているわけでございますが、今までこれはいろいろな実績がございまして、おおむね地価の年間の上昇率が一〇%以上のようなかなり急激な上昇が行われる場合に指定をしているというのが実情でございます。  それに対しまして、今回の注視区域の指定でございますけれども、これにつきましては、今先生御指摘のございましたとおり、基本的に内閣総理大臣が基準を定めるということになっておりまして、この基準自身は、地価が一定の期間内、例えば一年なら一年の期間内に、先ほどちょっとお話がございましたように、「社会的経済的事情の変動に照らして相当な程度を超えて上昇し、又は上昇するおそれがある」、そういう場合に指定をす ることになっております。この「社会的経済的事情の変動」といいますのは、例えば土地取引がどの程度行われているであろうかとか、あるいは経済成長率との関係でどうだろうかとか、あるいは物価上昇率等の関係でどうだろうか、こういったことも踏んまえて指定をしたいというぐあいに考えているわけでございます。  具体的には、現在まだ内閣総理大臣が定める基準については検討中でございますけれども、先ほどの監視区域の指定とのバランスがございますので、そのバランスも考慮しながら、例えば物価とか所得の伸びあるいはそれまでの地価の動き、こういったことも総合的に視野に入れながら、その地域の年間の地価上昇率が五%程度を目途にして指定することを現在検討中でございます。  ただし、「おそれ」というのがございますが、「おそれ」の判断も、これはなかなか難しゅうございますけれども、例えば四半期ごとに私どもは地価を見張っておりますので、四半期、つまり三カ月ごとの瞬間的な地価の上昇率、これが一年に引き直しまして年間の上昇率が五%程度になるだろうという蓋然性が大変高いというような場合にも、これは一年待っているわけではございませんで、ある程度機動的に指定をすることができるようにしたいというように思っているわけでございます。  そのほかに、例えば大規模なプロジェクト、公的なプロジェクト、例えば大学の移転であるとかそういったことも考えられるものですから、そういったところにつきましては通常よりもやや緩い指定要件で、どちらかといいますと事業の円滑な実現を図ることの方が重要でございますので、少し緩い基準で指定をすることも考えたいというように思います。以上でございます。
  35. 山本譲司

    山本(譲)委員 具体的に数字を出していただきまして、大体イメージがつかめました。  これは内閣総理大臣が定めるということでありますが、この理由は一体どういうことでしょう。監視区域では土地局長通達なんですけれども、この注視区域においては内閣総理大臣になるということはどういうことでしょう。
  36. 生田長人

    ○生田政府委員 監視区域の方は、指定要件が「急激に」という言葉が入ってございまして、この「急激に」という概念自身は、社会通念上一定以上のスピードといいましょうか、そういうことである程度判定はできるわけでございます。  私どもの方といたしましては、これまでの実績を踏まえて通達等である程度の基準を示せばそれで足りるというように思っておりますけれども、今回の注視区域の指定基準の場合には、先ほど先生からも御指摘がございましたように、「相当な程度」という表現を使っておりまして、この「相当な程度」というのは、まさに相対的概念でございますので、通達でというわけにはなかなかいきません。  そこで、個々ばらばらに都道府県知事判断をされるといろいろ問題が出てくるということもございまして、いろいろな地域の諸事情は勘案しながらも、個々都道府県知事が余りばらばらな運用をしないようにということで、内閣総理大臣が告示でその基準をある程度指定した方がいいのではないかという判断に基づきまして、そういうようにさせていただいたということでございます。
  37. 山本譲司

    山本(譲)委員 わかりました。  今国会で、大店法絡みで中心市街地の活性化事業というものがこれからまさに審議をされるところなんですが、事後届け出制度の導入によって当然土地取引はしやすくなるわけでありまして、大規模な土地がいろいろなものに利用されてくる。したがって、それがすぐ大規模なショッピングセンターにつながるという論理は必ずしも成り立たないとは思いますが、その可能性もなきにしもあらずという感じはするのです。  現在、建設省では中心市街地の活性化ということで取り組んでいらっしゃるのですが、この大店法の問題と絡んでの政策効果というものを多少意識されているのか。もしかしてこれは、私の直感ではどうも逆になってしまうのじゃないか。郊外の取引がどんどん進んでいって、中心市街地からどんどんそっちにいろいろな建物が、施設ができてそっちに行くのじゃないか、そんな危惧もするのですが、国土庁としては、この中心市街地の活性化というような政策目標も多少視野に入れていらっしゃるのか、直接この法案とは関係ないかもしれませんけれども、そういう考えというのはおありなのか。
  38. 生田長人

    ○生田政府委員 お答え申し上げます。今回の事後届け出制におきましては、土地の利用目的が、公表されている土地利用に関する計画に反する場合に初めて勧告等の措置を講ずることができるというぐあいにしているわけでございます。  今御指摘の、例えば大規模なショッピングセンターの立地ができるかどうか、それはひとえに届け出に係る土地が、その土地について定められている土地利用計画といいましょうかそういった計画の内容いかんにかかっているわけでございまして、私どもとしましては中立的に、土地利用に関する計画で立地が認められていないような場合には国土利用計画法としてもその利用目的についての助言、勧告等の措置を講ずる、こういう仕組みになってございますので、特段、先生の御指摘ございましたような気持ちは現在のところ持っておりません。
  39. 山本譲司

    山本(譲)委員 それはわかりました。いずれにしても、当然景気回復策ということも念頭におありだということでございます。こういった経済面での右肩上がりの思考だけではなくて、やはり地価高騰を抑える、乱開発を抑える、その辺はしっかりと、今るる御説明のあった制度を厳しく運用しながら取り組んでいただきたいと考えております。  ところで、先月の末、三月三十一日に新しい全総、これが閣議決定をされたわけでありますが、この全国総合開発計画では、国土総合開発法とともに国土利用計画法の新しい体系というか、抜本的な見直しも必要だというような内容も盛り込まれているわけであります。どうも我が国の国土利用は、建設省以外にも農林水産省でありますとか、あるいは多分通産省もありますね、それぞれ所管の法律を持っていろいろな規制をされている、しかしどうも抜け穴があるのじゃないか。  例えば、農業振興地域に指定をされた地域であってもリゾート法によって開発をされたりとか、あるいは森林法、これによって保護をされているところも拠点都市法によって開発をされるとか、結果的にさまざまな法律の間に抜け穴と申しましょうか真空地帯ができてしまうのじゃないか。そのことによって国土開発は、やり放題というと言い過ぎかもしれませんけれども、貴重な資産をどうも虫食い的に失ってしまっている、そんな嫌いもなきにしもあらずじゃないか、そんな感じがいたします。  現在のこういった側面も含めて、国土庁として、この国土利用法、この現在の法体系を抜本的に見直すというお考えがあるのか、また、そうであれば、そのスケジュール等についてお伺いをしたいと思います。
  40. 河出英治

    ○河出政府委員 お答えをいたします。  ただいま御指摘のいわゆる国土計画体系の抜本的な見直しの問題でございますけれども、先般閣議決定をいただきました新しい全国総合開発計画におきまして三点ほど指摘をされておりまして、一つは、国土計画の対象が国土開発だけではなくて国土の利用、保全といったことまで広範囲になってきていること、それから二番目は、地方分権や行政改革等の諸改革を踏まえまして、全国計画あるいは地方計画のあり方や策定手続等考える必要があること、それから三番目は、他にいろいろな国土開発利用、保全に関する計画がございますけれども、そういった他の計画に対する指針性を持つなど、より実効のあるものとする必要があること、こういったような指摘を受けているわけでございまして、二十一世紀に向けまして新しい国土計画体系の確立を目指すということが盛 り込まれたわけでございます。  したがいまして、今後こういった点につきまして、事務的な検討をさらに深めるとともに、その上で、国土審議会に諮りながら具体化を進めてまいりたいというふうに考えておりますが、この問題につきましては、国土政策の根幹に関する問題であるということ、また、地方分権や行政改革などの議論にも密接に関連をする問題であるということでございますので、その検討に当たりましてはある程度の期間は必要になってくるというふうに認識をしているものでございます。
  41. 山本譲司

    山本(譲)委員 先ほど私の方で指摘をさせていただいたような、どうも規制があっても実はそれがざる法であるようなことがないように、ぜひこの辺の法体系の見直しというものも急いでいただければと思います。  ここで国土庁関係質問は終わりにいたします。続きまして、都市開発法関連に質問を移させていただきたいと思います。  この改正案において、都市開発マスタープランの現在の策定対象地域、この拡大を図るということが目的というようにも言われております。この拡大によってどの程度の地域が新たにこの都市開発マスタープランの策定を行うようになるのか、これを現状も含めてお答えをいただければと思います。
  42. 木下博夫

    木下政府委員 現在は、全国で義務づけされておりますのが大都市中心に二十二都市ございます。これは現状でございますが、今回お願いしております法案の改正では、いわば市街化区域の整備、開発、保全の方針を決めるべきところでございますから、線引き対象都市計画とお考えいただいてよろしかろうと思いますが、そういうところが全国で約八百六十五ございます。  そのうちでどのぐらい決まるのかということになろうかと思いますが、先ほど申し上げました、義務づけされておりまして再開発方針を決めております二十二都市以外に、実際に再開発方針という体裁はとっておりませんけれども、それに準じた形での方針をつくっておりますのが約百八十ございます。  私たちは、実は、今最初におっしゃった、地域の拡大そのものが目的というよりはむしろ、先ほど来御議論のあります、現在の日本の都市の状態からいきますと大変各地方都市を含めて空洞化しておりまして、この空洞化の中で新しい都市づくりというものを、都市の再構築といいまして、既に投資を相当日本の都市もそれぞれ行ってまいっておりますから、既存のこういう投資結果を踏まえまして、町づくりをしていく際に再開発方針を立てて、この再開発方針に沿った形での各地方都市の再整備ということをねらいにしておるわけでございます。
  43. 山本譲司

    山本(譲)委員 もう一方で、一九九二年の都市計画法改正によりまして、すべての自治体で策定が可能になった市町村都市計画のマスタープランがあるわけですが、今二百三十一市町村でございますね、これと当然連動してくるわけなのですよね。  それで、やはりそれが、都市計画全体のマスタープランであります整備、開発または保全の方針、整開保によって縛りがかけられている、お互い連動するものという理解でよろしいのですか。
  44. 木下博夫

    木下政府委員 今おっしゃられましたように、いわゆる市町村マスタープランというのは一九九二年とおっしゃいましたが、その制定後それなりの実績を上げております。基本的には、私は、これからの町づくりの上での方向づけとして、この市町村におけるマスタープランは大いに使っていただきたい制度ではなかろうかと思っています。  御質問は、先ほど来ありました都市開発方針とこの市町村マスタープランの整合性の問題であろうかと思いますが、御案内のとおり、いわばその整開保と言われております方針は、関係市町村意見を聞いて決定されるわけでございますから、現在決められている方針あるいは今後新たに定められます方針については当然関係市町村意見が盛り込まれると思います。その際に、各市町村は、これからつくるであろう市町村マスタープランも含めてでございますが、みずから県との間での調整を十分していただけるものと思っておりますし、また、そうあることを我々は望ましいと思っておりますので、今後、この法案を通していただいた暁には全国で相当の再開発方針が出てまいろうと思っておりますから、その前提となる市町村と県との連携は十分とっていただくように指導していきたいと思っております。
  45. 山本譲司

    山本(譲)委員 この市町村都市計画マスタープラン、先ほど数字を述べさせていただきましたが、これは建設省として、おくれているという認識なのか、今の全体的な市町村のマスタープランづくりの進行状況についてどういう感想をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  46. 木下博夫

    木下政府委員 先ほどの数のお話から申し上げますと、私は、当然もう少し多い方が適切ではなかろうかという感じは持っております。  ただ、やはり何といいましても各都市がみずからお決めになるわけでございますから、そのあたりはやはりマスタープランを策定する過程も重要であろうと思っていますので、今後、それぞれが個性ある町づくりのためにはやはりこうしたマスタープランが必要であるという認識を持っていただく中でさらに進んでいくことを期待したいと思っております。
  47. 山本譲司

    山本(譲)委員 今、確かに大変努力をされている自治体、あるいはどうもコンサルタント会社に丸投げしたのじゃないかというようなところもなきにしもあらずじゃないか。今一生懸命市町村で、確かに、これは温度差と申しましょうか、自治体、自治体の体力差というものもあろうかと思いますが、単に自治体だけではなくて、市民も含めたマスタープラン策定過程、そのプロセスというものを大事にしながら、そうであってもなるべくこの策定状況がおくれないように、ぜひ建設省としても働きかけていただければと私は考えております。  続きまして、この再開発法改正の内容でございますが、自治体施行の市街地開発事業について特定事業参加制度を設けるということになっておりますが、この目的は一体何なのか。よく組合施行などの場合コンサルタントとかいろいろ入るわけですが、自治体施行の市街地開発事業にこの特定事業者の参加を設ける目的、そして、どの時点でこの特定事業者を公募するのか、そのやり方についてお答えをいただきたいと思います。
  48. 木下博夫

    木下政府委員 二つ御質問があったかと思いますが、今回の特定事業参加制度をなぜ創設するのかということでございます。  多少前置き的になりますが、先ほど来申し上げましたように、全国の都市が大変傷んでおりますので、それぞれが従来の町そのものも生かしながら新しい都市づくりをしていくということはかねがね申し上げているとおりでございますが、その際に、従来型の市街地開発事業になりますと、御案内のとおり、大変この制度は強権制度的なものもございますのでなかなか事業としては難しいところもございます。もちろん、そのものの制度としては私は評価していただきたいと思っておりますが、一方では、民間の力を使いまして任意の再開発事業をやっていくという要請も大変出てまいっておりますので、今回はそういう点からの制度のいわば改善といいますか工夫をしたわけでございます。  内容的には、各事業者が事前にリスクの低減を図る、あるいは個々の特定事業参加者なり、それからそこの地区内に既にいらっしゃる地権者の方々に、例えば前もってその再開発事業に対して自分たちの意向が反映されるとか、先々の計画の安定性、そういうものをねらうために事前に特定事業参加者というものを募るということでございます。  その決定はどの段階で行うのかという二点目の御質問でございます。これは御案内のとおり、現在の再開発事業の施行者としての地方公共団体が 事業計画なり施行規程を決めていくというプロセスがあるわけでございますが、その前のいわば事業の立ち上がりと申し上げていいかと思いますが、その時点で原則として公募方式によってやっていくということになろうかと思っております。
  49. 山本譲司

    山本(譲)委員 計画決定の前ということでありますが、これが計画決定をされた後、民間でございますから、企業でございますから、その間の環境の変化でありますとかあるいはその会社自身の経営状況の変化、そんなことによりまして、どうしてもやはり会社の利益というのが優先されるわけでありますから、撤退をしてしまうというようなこともあるのではないか、その辺はどう担保するのでしょうか。
  50. 木下博夫

    木下政府委員 従来の市街地開発事業におきましても、今先生おっしゃられたような事態が発生しているところも正直申し上げてあるわけでございます。  やはり、これは、地元の公共団体あるいは事業に参画する方々が、その町に対してのそれぞれのイメージをお持ちになって相集ってこの事業をやっているわけでございます。おっしゃられた懸念、私どもももちろん順調にいくことを望んでいるわけでございますが、制度的にはそういうことが起こってはならないと思っておりまして、多少厳しい印象を受けられるかもわかりませんけれども、今回の特定事業参加制度におきましては、いわば保留床の取得予定者になる方々、それは施行規程ではっきりと明示をしていきたいというのが一つでございますし、それから負担金のいわば支払い義務を課しております。それから、その負担金の例えば滞納が起こったときには、国税の滞納処分の例に従いまして強制徴収ができることも手続的には予定をしております。もちろん、こういうことにならないことが私どもも望ましいと思っておりますが、そういうことによって一方的に撤退するということがないようにしたいと思っております。  それはそれとして、事前によく関係者と再開発事業について御理解をして、計画のいわば先々について前もって十分施行者とその事業参加者とが御協議いただくということが何よりもまず大切ではなかろうか、こう思っております。
  51. 山本譲司

    山本(譲)委員 この自治体の再開発事業については、これは当然条例などで議会にかけたりもするわけですよね。そこでちゃんと施行規程を明示するということですね。議会などにもかかってくるということですか。
  52. 木下博夫

    木下政府委員 手続的にはそうなるかと思います。  それから、もう一つ添えさせていただきますと、当然、その特定事業参加者として出てきていただく方々の資力とかあるいは信用等につきましても、例えば、細かくなりますけれども、保留床の価額に相当する額をしっかりと負担していただくに必要な資力があるかどうかとか、それから再開発事業の目的に対して、本人が将来その保留床をどういう形で利用するかという利用計画等々につきましても、事前に書類を出していただいてしっかりと審査をさせていただくということを我々考えております。
  53. 山本譲司

    山本(譲)委員 これは、住都公団などがやる特定事業参加制度、これも全く同じと考えてよろしいですか。
  54. 木下博夫

    木下政府委員 手続的には、今おっしゃられたように、他の主体の方でも一緒でございまして、先ほど地方公共団体と申し上げましたが、それは一般的な例でございますが、公団あるいは公社等も同じ扱いにしております。
  55. 山本譲司

    山本(譲)委員 それでは、次に、認定再開発事業についてでございますが、認定権者が知事ということになっております。当該の地方公共団体の長には、計画認定後知事から連絡を受けるのみということになっておりますが、少なくとも地方分権の立場からいっても、あるいは当該再開発事業区域の公共施設の充実度だとか、そういうところを見るわけでございますから、そういった土地利用が健全に行われるのかどうなのかというのは、やはり一義的には市町村長というところが判断するというのが好ましい、私はこう思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  56. 木下博夫

    木下政府委員 先ほどからの地方分権議論にも相通ずるところは多少あろうかと思っておりますが、何ゆえ知事にしたかということでは、二つばかり私ども理由を挙げさせていただきたいと思います。  一つは、従来からの市街地開発事業の認定、監督事務、こういうものを都道府県知事が行っておりますので、もちろん、市町村にそういう能力がありゃなしやというのは個別の御議論はあろうかと思いますが、基本的には再開発事業そのものに精通しているということが一つの理由であろうと思います。  もう一つは、先ほども質疑がございましたけれども都市開発方針について、特に一体的かつ総合的に再開発事業を促進すべき相当の地区ということについて定める立場が都道府県知事にございますので、こういう点から知事にしたわけであります。  ただ、お話ございましたように、それぞれの町におきましてどこを再開発するか、あるいはどういう再開発が適当かということについては、限りなく市町村レベルの御議論があろうということは十分わかりますので、そういう意味では、先ほども申し上げました、いわば整開保の方針づくりのときにも市町村と県が十分御議論いただくという前提作業があっての上だと御理解いただくことが適当かと思っております。
  57. 山本譲司

    山本(譲)委員 これは、整開保だけじゃなくて、制度として担保をするということはできないのですか。
  58. 木下博夫

    木下政府委員 私は市町村なり知事ということについてそうこだわっておりませんが、先ほど申し上げましたように、規模もいろいろあろうかと思いますが、そういう再開発について、先ほど申し上げたような理由で知事に権限はおろしておりますが、市町村との関係からいきまして、市町村が積極的に御提案されていくことも当然可能であろうと思いますから、そういう意味では、当面は知事に権限を置くという形でよろしくお願いしたいと思います。
  59. 山本譲司

    山本(譲)委員 こんなことはないでしょうけれども、うがった見方で言うと、公共施設の設置というのがこれは当然視されているわけでありまして、財政事情の厳しい都道府県が、公共施設の設置というのを行いたいというところで、市町村意見も顧みずに計画を策定するというようなことが否定できないのじゃないか。ぜひこの辺はしっかりと、整開保を含めて、さらに市町村の意向を反映できるように、制度的な担保も含めて考えていただきたいと思います。  最後に、これで税制の優遇措置まで設けましてこの開発制度を促進しようとされるわけでありますが、その目的、これを大臣の方から伺いたいと思います。
  60. 瓦力

    ○瓦国務大臣 都市の再開発を推進するために、民間活力を誘導することによりまして、より機動的に運用できる再開発事業の認定制度を創設したわけでございますが、認定再開発事業は事業用資産の買いかえ特例の税制特例が適用されるわけでございまして、これによりまして、民間活力を活用した再開発が一層推進される、かように考えておるところでございます。  この目的いかんということでございますが、民間活力を大いに活用してまいりたい、こう考えております。
  61. 山本譲司

    山本(譲)委員 それと同時に、民間も一生懸命やっているということを信用しないわけではありませんが、先ほど来指摘をしております変な乱開発だとかそういうことにならないように、ぜひ運用面でのさらなる注意を払っていただきたいと思っております。  続きまして、都市計画法の一部を改正する法律案についての質問に移らせていただきたいと思います。  現在の都市計画法というのは、昭和四十三年に つくられまして、何度か改正をされてきたわけでありますが、先ほどお話をしました市町村のマスタープランづくり、これは平成四年ですか、この間、地方分権という流れの中で都市計画の分野は、自治体が企画立案も含めまして主体的に担っていかなくてはならない、こんな発想のもとで法改正が行われてきたものだと理解をいたしております。  しかし、地方分権というのは、単に自治体に権限を移譲するということだけではなくて、やはり地域住民の意見がいかに取り入れられるかというところが肝要だと思います。都市計画の面でいいますと、確かに、建設省の皆さんがいろいろ努力をされていることはわかるわけであります。たくさん制度をつくられました。しかし、その制度自体が、非常に細かい部分まで、法律や政令でありますとか、また通達ということで、自治体からしてみれば拘束をされているというように映るのじゃないでしょうか。私は、建設省法律でもって定める必要があるのは、そういった細かなメニューよりもやはり住民参加手続というものをルールとしてつくっていく、そのことだと痛感をしているわけであります。  そこで、今回の改正案でございますが、今回の改正案は、平成九年十一月十八日の「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」、これに基づいたものだということも言われております。どうもこうなりますと、先ほど来、玉沢大先輩のお話の中に、都市の形成は経済原理だけで進められるべきではない、そんなお話もございました。土地の開発行為経済対策として活用するというこの流れを全部否定するわけじゃないですけれども、安直にそういう考え開発行為に走ってしまうというのはいかがなものかと私自身常々感じているところであります。当然、地価の乱高下というのは周辺の住民の皆さんにも大きな環境の変化を与えるわけであります。  この法律についての考え方を冒頭ちょっと述べさせていただいて、それから細かな質問に移らせていただきたいと思います。  本改正案では、市街化調整区域に、地区計画というものを前提として、いわゆる郊外型住宅の促進を図るということでありますが、市街化調整区域におけるスプロール的な乱開発の抑制策というのは果たしてあるのか、この辺は疑問でございます。  また、今回の改正案は、大規模小売店舗法の廃止に伴いまして、市町村が大規模店舗の出店を抑制する手段としての特別用途地区を活用するということも念頭に置かれていると思います。しかし、地方への大規模店舗の出店で特に問題となっているのが、やはりコストが安くて駐車場が確保しやすい、そんな都市計画区域外への出店というのが多いのじゃないか。この点を放置してしまっている今回の法律案、これは果たして大店法の廃止対策となるのか。また、大店法にかわるこの小売店舗立地法、この施行は法成立後二年となっているわけですが、この間に特別用途地区によるゾーニングというのが果たして可能なのか。また、この特別用途地区の類型の制限というものを撤廃して、その設定市町村自体にゆだねる。このこと自体は大いに賛成でございますが、現在の特別用途地区の指定状況でありますとか、先ほど来議論をしてまいりましたマスタープランの策定、これにかかわる住民参加状況ということを念頭に置くと、やはり今からでもすぐ、住民がより参加をしやすい策定手法というのを早急に検討する必要があるのじゃないか、そんな感想を持っております。  そこで、具体的な中身について質問させていただきたいと思いますが、この郊外型住宅というのは一体どういうイメージなんでしょう。
  62. 木下博夫

    木下政府委員 お話ございましたように、昨年の十一月の政府経済対策の中で、この郊外型住宅取得の促進ということが挙がっております。既にこの委員会でも御審議いただき、成立させていただいております議員立法の優良田園住宅の建設促進法の中にも、実は発想としては共通するものがあるわけでございます。  これからはやはり相当人間の住み方というのは変わってくるという認識を私も持っておりますが、その際に、今お話のございました、言葉としては従来からセカンドハウスとか別荘とかいう言葉を使われておりますので、どのジャンルが郊外型住宅かというのはなかなか決めにくいわけでございます。優良田園住宅法のときにも御紹介がありましたように、タイプ的には、例えばこれから、週末に地方へ参りましてそこで田畑を耕すこともできる、そういう条件、あるいは退職後の方々が自然環境に恵まれた地域で老後をお過ごしになるというようなタイプもございましょう。それから、一時期大都市圏へ大変若者が集まってまいりましたけれども、それぞれの価値観にもよるかと思いますけれども地方へUターンとかJターンという言葉を使われておりますが、リターンするというようなこともありましょう。そういう際には、今回の私ども考えております郊外型住宅が恐らく場として提供されることになろうかと思っております。  いずれにせよ、私ども一つのしっかりとしたというか限定した概念を持っておりませんで、先ほどお話のございました乱開発等の危険を十分阻止した上ででございますけれども、場所的には調整区域の中に進出するであろう住宅というものを郊外型住宅といってよろしかろうと我々は思っております。
  63. 山本譲司

    山本(譲)委員 今の局長のお話ですと、どうもセカンドハウスですとか別荘とかあるいは定年退職後の住宅というふうに受け取りました。  しかし、一体どうなんでしょうね。私も東京の立川市という部か三多摩の自治体に住んでおりまして、そこから通ってまいりますが、朝の通勤ラッシュ、立川から新宿まで大体二、三センチぐらいしか体を動かせないですね。超満員電車でございます。八王子もそうですけれども、小林多門さんの八王子よりもっと先の山梨からも通われている。これは住所ですよ。結局コストの安い郊外の方から長距離通勤を強いられるような、そんなイメージもするわけであります。あるいは、もっと遠くなれば二重生活であります。果たして、そういう郊外住宅というものの需要が一体あるのか。私、景気対策という意味での即効性が求められる政策なのかどうなのか、ちょっと疑問に思うところがあるのです。提案をされた方としては、一体どの程度の需要というのを見込まれているのでしょうか。
  64. 木下博夫

    木下政府委員 私どもも数量的に必ずしもしっかりとしたものは持っておりません。ただ、相対的な比較を申し上げますと、それぞれの国の事情は違うかと思いますが、御承知かと思いますけれども、例えばヨーロッパのドイツなどにおきましては週末にそうした住宅にお住まいになるようなこともございますし、アメリカなどでは二戸以上の住宅に対してもそれなりの特典を与えて、むしろ国民的にマルチハビテーション的な住まい方も誘導しているということも私ども聞いております。  日本の国土の成り合いからいきましてどの程度のものができるか、あるいは今おっしゃられたように、そもそも毎日住んでいる住宅だってなかなか不自由だというようなお話もありますが、昨年、国会で成立させていただきました都心居住型というのも一つのタイプでございます。そのときに、たしか御審議として、この法律によってそんなに都心居住が一遍に期待できるのかという御質問があったことを私まだ記憶しておりますが、今回の場合も、そういう意味では一つ方向づけでございますから、ここ一、二年で直ちに何十万戸という住宅が出てくるということはなかなか難しかろうと私は思います。  ただ、潜在的には私たちの気持ちの中に、できればそういう郊外に住んで、これから労働時間もますます短縮されるでありましょうから、そういう短縮された労働時間の一方では、余暇を過ごす、あるいは充実したアウトドアを生活として取り入れていくという場づくりのためには必要なも のではなかろうかと我々思っております。
  65. 山本譲司

    山本(譲)委員 続きまして、細かい中身の方に入っていくわけであります。  今回の法改正というのは地区計画制度というものを前提としているわけでありますが、本来開発を抑制すべき市街化調整区域開発するというのは、先ほど玉沢先輩からもお話のありましたように、いかがなものか。  例えば、このような手法、地区計画というのを市街化調整区域開発にインセンティブを与えるために法的に備えるということによって、あれは生産緑地法の改正以降、いろいろな大規模マンションの建設なんかによって建築紛争だとかそういうことを最近至るところでやっているわけでありますが、例えばこれは大規模マンション建設のような開発も行うことが当然可能になるわけで、このようなことも想定してこの法律改正されているのかどうか伺いたいと思います。
  66. 木下博夫

    木下政府委員 お話ございましたように、昭和四十三年に新しい都市計画制度ができたわけでございます。それからおおむね三十年を経過した中で、いろいろ都市計画制度について御意見があることもわかります。大都市圏におきます都市計画地方都市におきます都市計画というのは、今後それらの地域にそれぞれ合った都市計画制度をやはり検討の課題として持っていくべきではなかろうかということを私は思っております。  ところで、お話にございました調整区域のスプロールの問題でございますが、現場を歩きますと、現に相当のスプロールが行われている、点在した開発がされているということについては、町づくりの点からいささか我々としては見過ごすことができないと思っております。  ちなみに、数字を若干御紹介させていただくと、平成八年度の場合に市街化調整区域開発許可件数は約一万件ございますし、そのほかにも、開発行為ではございませんけれども建築物の建築が認められる、いわば建築許可とかあるいは既存宅地認定とかございますが、こういう累計が約三万件あるという実態でございます。  そこで、それぞれ従来の制度としてやむを得ない事情で立地が認められている建築というものについての問題もございますけれども、一方では、先ほど申し上げました新しいタイプの住宅ニーズというのをこの際かなえながら、しかし、そこは市街化調整区域の中でございますので当然整然とした整備をしていただく、開発をしていただくわけでありますから、むしろ市町村みずからが責任を持って地区計画という形でその地区を整備していこうということであります。  今おっしゃられたように、スプロールの危険は全くなしかということについては、もちろん我々は現状からいきましてもかなりいろいろな対応をしていかなければいけないことは十分承知しておりますが、むしろ従来のばら建ちをかえってコントロールする方法として今回の地区計画制度は各市町村にそれなりにお使いいただける策ではなかろうか、こう期待しております。
  67. 山本譲司

    山本(譲)委員 この市街化調整区域内の、ばら建ちという表現でございますが、ばら建ちが平成八年度で一方、まあ三万件ぐらいあるということなんです。市街化調整区域というのを調べると、全体で三百七十六万ヘクタールということですが、このうち今お話のあった件数というのはどれぐらいの割合を占めるのか、これは数字として把握はされているのでしょうか。
  68. 木下博夫

    木下政府委員 ちょっと私は御質問趣旨をとらえていないかもわかりません。先ほど申し上げました一万件というのは調整区域内の開発許可でございます。御質問は……
  69. 山本譲司

    山本(譲)委員 ですから、その調整区域全体で三百七十六万ヘクタールある、その一万件というのはそのうちのどれぐらいの割合なのかというのは数字で把握しているのでしょうか。
  70. 木下博夫

    木下政府委員 ですから、一万件はあくまでも調整区域でございますから、ちょっと私は今手元に数字がございませんが、今おっしゃられた面積調整区域面積だとすれば、その中にこの一万件の開発許可が認められているということでございます。
  71. 山本譲司

    山本(譲)委員 その割合は把握しているのかということです。
  72. 木下博夫

    木下政府委員 失礼いたしました。ちょっとその割合については、後ほど間に合えばお答えをしたいと思います。  いずれにせよ、私が先ほど申し上げましたように、開発許可そのものは認められるわけでございますが、整然とした調整区域の整備という意味からいきますと、これだけの数字というのはやはり意味としては相当重いと思っておりますので、今回の地区計画制度ども、そういう意味で従来とってまいりませんでした新しい仕組みとしてぜひ進めていきたい、こういう考え方に立っております。
  73. 山本譲司

    山本(譲)委員 市街化調整区域の中で、大体あとどれぐらいそういう地区計画制度が生かせるようなところがあるのかという数字もぜひ後でお教えいただければと思います。  この地区計画というのは、私自身住民参加制度として大変評価をしているわけであります。現在、この地区計画というのはかなりの自治体でも進められている。自治体でいうと、六百弱ぐらいの自治体で既に計画を施行されているわけであります。その地区計画によって良好な環境というのを維持していこう、当然こういう目的で計画を立てるわけでありますけれども、しかし一方で、そうならない、良好じゃなくなる、そういうおそれもあるわけで、それを担保するものというのはこの制度の中にあるのでしょうか。
  74. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど申し上げましたように、地区計画というのは市街化区域の中にももちろんあるわけでございますし、従来から調整区域の中にも地区計画の一部が制度的には導入されております。  実態的には、ある一定の街区をつくり、そこに必要な公共施設、ちなみに例えば道路とか公園とか、そういうものも計画の中に書き込むことになっておるわけでございますが、規模として大きいのとか小さいのとかいろいろあろうかと思いますから、今私が申し上げたような公共施設すべてが地区計画を決める際にセットされるということではございません。全体的には、今おっしゃられた乱開発的なイメージの町ではなく整然とした地区ができ上がると私ども思っております。
  75. 山本譲司

    山本(譲)委員 その担保する法制度というのがあるのかという質問だったわけでありますが、必ずしも法的には十分だとは言えないのではないかと思うのです。  そこで、この市街化調整区域における地区計画の策定に当たってはどのような配慮、また、乱開発を防ぐためにどのような指導を行っていくのか、そうならないとおっしゃるのか、そういうおそれがある場合はどういう指導をされるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  76. 木下博夫

    木下政府委員 先ほどのお答えの中で、私、地区計画制度そのものが、委員お話のございましたような整然としたものをつくる担保だと思っております。  それから、指導をするのかというお話でありますが、これは従来から、私ども法律つくりましたときに、それぞれの目安として施行の通達などを出させていただいております。もちろん、冒頭に、通達等はかえって地方のやる気をそぐものではなかろうかというような御質問あるいは御発言もあったように思いますので、法律の施行通達等についての書きぶりは、今日的な状況の中で、できるだけ地方がみずから発想すればいいものについてまでその通達を出す気はございませんけれども、ただ、一つ制度を定着させていくためには、それなりに法律趣旨等も普及させていきたい、伝達させていただきたいと我々思っております。そうすることによって、今回のここで議論されているようなことも含めて、その中に内容として盛り込みながら、公共団体にも伝達してまいりたい、こう思っております。
  77. 山本譲司

    山本(譲)委員 この市街化調整区域内に開発計 画というのが持ち上がってくれば、先ほどお話のありましたように、都市基盤施設の整備、道路整備あるいは上下水道整備というものも、市街化区域と違うからそんなに積極的にやれるのかどうかは別にして、都市基盤の整備も当然やっていくわけでありまして、この影響というのは周辺地域にも当然及ぶものだと思われますが、その辺はどういう認識で、どんな影響があると想定をされていますでしょうか。
  78. 木下博夫

    木下政府委員 御質問のその影響という範囲をどう私が認識してお答えするのが適当かあれですが、先ほど申し上げましたように、今回の、地区計画市街化調整区域の中に積極的に導入していくのは、むしろばら建ち等をそこに閉じ込めていく、言葉は少し適当ではないかと思いますが、誘導していくという方向でありますから、影響という意味では、そういう開発余力といいますか開発方向がそこの中で整備されていく、それによってむしろ周辺の乱開発は抑制されていく。そういう意味では、今よりはずっとまとまった集落形成とかそういうものがされていくということを期待していただいていいのではなかろうかと思います。
  79. 山本譲司

    山本(譲)委員 いろいろな分野での影響というのが当然あるわけでありまして、地価の高騰というのもやはり考えられるのではないか。市街化調整区域の周りの方は、地価の高騰により固定資産税のアップでありますとか相続税のアップ、こういったことも考えられるのではないかと私は思います。当然、その開発行為自体が有する地価との連動というのは構造的な問題だと思いますから、その回避は困難だとは思います。しかし、このような事態に対してどのような対処をされるのか。
  80. 木下博夫

    木下政府委員 今、ちょっと質問があれでしたが、地価の点についてお尋ねだと理解してお答えさせていただきたいと思います。  先ほど前半の方でも、国土庁に対しての御質問がいろいろあったわけですが、地価そのものは需要と供給の中で決まってくるわけございますから、当然、その地域が従来よりも何らかの形で利用できるというようなものに施策が打たれれば一地価に対しての影響はなしとはしないと私は思います。具体的にどうなるのかというのは、軽々しく申し上げるべきものではないと思いますし、それぞれの地域によっても相当状況が異なると私は思っております。  ただ、くどくなりますけれども、そうした開発行為の幅が拡大されますから、区域外の土地とは異なった地価が形成されることは理論的にあり得るのではなかろうかと思います。
  81. 山本譲司

    山本(譲)委員 この問題ばかりやっていたら時間がなくなりますので、続きまして、特別用途地区の問題に移らせていただきたいと思います。  大店法の廃止というある意味では緊急の事態に対する対応策として今回の法改正が行われるわけですが、先ほどお話がありましたように、全国でいいますと約二%ぐらいしか活用されていないこの特別用途地区という制度を活用しよう、そういった理由は何でしょうか。
  82. 木下博夫

    木下政府委員 時期を同じくして出ておりますし、申し上げますまでもなく、特別用途地区が大店舗法その他のテーマとつながることは否定はいたしません。  この時期になぜやるのかということでございますが、先ほど来御議論がありましたように、もともと、それぞれの町が個性のある町をつくっていただきたい、あるいは公共団体が自主的に町づくりに対して取り組める、そういう仕組みといいましょうか制度を充実していくという基本的な流れの中で今回の特別用途地区も決めたわけでございます。したがいまして、従来の類型が十一類型であることは、私ども全国的な実績を見ても、やる気の市町村は使っていただいておりますし、それなりに効果もあろうかと思いますが、さらに個々地域の特性が生かせる、そういう新しい類型といいますかみずからつくれる類型、そういうものを今回の制度として大いに注目していただくところではなかろうかと思っております。
  83. 山本譲司

    山本(譲)委員 これは用途地域に対してはどうですか、将来的に。
  84. 木下博夫

    木下政府委員 用途地域特別用途地区については、先生御承知のとおり、用途地域を決めた上に、その一部を特別用途としてさらにきめ細かくやります。  将来的にとおっしゃられた趣旨は、用途地域を今後もう少し弾力的にするのかという御質問だとすれば、私ども、先般、用途地域については、御承知のように、住居系をさらに詳細化いたしまして十二用途地域にさせていただいておりますけれども、これがようやく一昨年、平成八年ぐらいにほぼ全国的に整理がされております。  したがいまして、制度としてさらにまたそこのところを弾力化するといいますか複雑化するということは、状況として、公共団体のことを考え合わせますと、いささか慎重になるべきではなかろうかと私は思っております。  それから、やはり用途地域は、本来、純化する方向でいけば限りなく数がたくさんある方がいいわけでありますが、それはむしろ制度として大変複雑になることの危険性も伴うわけでございますから、むしろ、用途地域に加えてこの特別用途地区という制度をうまく使っていただくことが私は制度的には当面必要なことではなかろうかと思います。
  85. 山本譲司

    山本(譲)委員 私もそう思います。  そこで、実は、昨日の大臣の本会議の答弁で、今後二年間の大型店の駆け込み出店に対する答弁がどうも明確ではなかったような気がするのです、私の聞き漏らしかもしれませんけれども。この点について、再度お尋ねをしたいと思います。
  86. 瓦力

    ○瓦国務大臣 昨日の答弁では、改正都市計画法は、法律成立後六カ月以内に施行することとなっております、したがって、大型店の立地について対応が必要と考えている地方公共団体においては、地域の実情を踏まえつつ、特別用途地区を指定することが十分可能であると考えており、建設省としても、制度の周知、啓蒙に努めてまいります、かようにお答えをしたところでございます。
  87. 山本譲司

    山本(譲)委員 大型店の駆け込み出店については直接的には触れられていないわけでありますが、二年間で特別用途地区計画化が可能だというお話だと思います。そういう答弁だと思いますが、その根拠というのは一体何なのでしょうか。
  88. 木下博夫

    木下政府委員 恐らくこれからまた商工委員会等でも御議論があろうと思っておりますが、大型店舗の方は、もしこれからの御審議の中で成立すれば、施行は二年以内ということになっているわけでございますから、その間は現在の大店舗法が廃止されない状態が続くわけでございます。  しかるに、我が方の特別用途地区については、この条文の中にお読み取りいただくとおり、六カ月以内の施行でございますが、過去に都市計画制度などでいろいろ、例えば用途別の容積型地区計画制度なんかの施行状況を見ますと、おおむね一年とかそのぐらいで制度をそれぞれ各公共団体でお使いになっておられます。今回は相当の御議論がありましたから、法律が施行する以前から各市町村がそれなりに準備をされるでありましょうし、必要なものは市町村判断でおつくりになると私は思います。  今大臣からお答えいたしましたのは、そういう状況の中でございますから、法律施行後、必要なところは相当早い時期に特別用途地区が出てくると思います。もちろん、これは商業関係だけではなく、例えば、先ほどの御質問がございましたが、歴史とか文化とかあるいは文教とか、そういう問題についての特別用途地区がそれぞれ各地方で現在検討されているようにも聞いておりますので、そういうことからいきまして、かなり早い時期に特別用途地区が実行されるようになってくるのじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
  89. 山本譲司

    山本(譲)委員 先ほどお話をさせていただきました地区計画制度、これも制度ができて十五年以上たっているわけでありますが、初めはなかなか数字も伸びていなかったのじゃないか。ここに来てかなり自治体の数も伸びていますけれども、それでも今六百自治体足らずでございまして、こんな状況の中で、この特別用途地区に至ってはそれは早急に可能なのだということが果たして明確に言えるのかどうなのか。それは再度質問はしませんが、この辺の大型店の駆け込み出店に対する対策というのを念頭に置いた上でぜひ早急な、今も実際下打ち合わせみたいなのをやっている、もうすぐにでもやれるというお話でございましたので、目に見えて、形になってあらわれるように努力をお願いしたいと思っております。  また、昨日大臣は本会議におきまして、都市計画区域外の大型店出店は都市計画法では対応できないと答弁をされたわけでありますが、既存の中心市街地関係者あるいは住民の皆さんにとっては、どんな法律であっても行政が対応していただきたい、そんな切実な思いがあると思います。  果たして、実際今もあるわけですが、都市計画区域外への大型店出店による中心市街地の衰退、これを防止するための政策、これについてぜひわかりやすく伺いたいと思います。
  90. 木下博夫

    木下政府委員 都市計画区域外についての御質問と絞ってお答えしたいのですが、都市計画制度は、言うまでもないことでございますが、都市計画区域という区域を決めてその中で制度として活用するわけですから、区域外についても何かやれということは、その立地の状況からしますと、確かに先生質問のように国民的にいろいろな御意見があることは紛れもないと思います。  ただ、前提としてもう一度確認しなければいけないのは、大型店舗の問題だけ含めずに、全体的にどういう町ができるか、その際に商業関係がどうあるかということについて、中には、総理も本会議でお答えをいたしましたように、やはり大型店が核施設として立地することによって周辺が栄えているというケースもないわけでございませんし、私どもは、そこは個々市町村がどういう商業政策をとるかということになろうかと思います。  したがいまして、都市計画も、立地そのものについての判断をいろいろ制度的にもいたしたいと思っておりますが、大きないわばビジョンとして町をどうするかという問題の一つとして商業問題をどう取り扱うかは、単に都市計画だけではなかなか限界があると私は思いますし、ましてや区域の外についての制度は今のところ我々としては手がないわけであります。  もちろん、くどいわけでありますが、区域の外について取り扱う必要が出てくれば、それは当然都市計画区域を拡大するという手も一つあろうかと思っております。それから、未線引き用途地域について今度特別用途を決めるということになれば、その用途地域を決めていないところについてまず用途地域をお決めになって、その上で特別用途地区をお決めになる、手は込んでおりますが、そういう制度もつくっております。  先ほどの質問に若干戻りますけれども、私どもは、制度をつくったことは、そのすべて直ちにとは申し上げませんが、その必要性いかんということにも関連して、その定着が当然明らかに出てくると思いますので、公共団体がこの問題に対して今かなりセンシティブにいることは我々も承知しておりますので、今後、この問題は公共団体判断のもとでそれなりの実績を上げてくるものではなかろうかと思っております。
  91. 山本譲司

    山本(譲)委員 この問題は、ぜひ引き続き今後の委員会審議の中でさらに議論をしてまいりたいと考えております。  残り時間がわずかになりましたが、今後の都市計画の中での国と地方関係のあり方、こういった視点で若干最後に何点か質問させていただきたいと思います。  都市計画中央審議会の基本政策部会で、平成九年六月に中間取りまとめがあったわけでありますが、当然これは地方分権方向で検討をされておりまして、これを受けて建設省では今後どういう日程で再度この都市計画法改正を行われるつもりなのか、まずお聞きしたいと思います。
  92. 木下博夫

    木下政府委員 都市計画審議会都市計画法改正の関連といいますか、見通しについてのお尋ねだと思います。  私は、基本的なことをまず申し上げたらよろしかろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、現在、都市の抱えている問題は大変複雑で多様化しております。それぞれの問題に対して制度的な検討も常に怠りなくやるべきだと思っておりますので、そういう意味では、都市計画法改正というのは、いろいろなテーマに対してこれからも適時やっていかなければならないかと思っています。  現在、都市計画審議会での議論は、御承知だと思いますが、地方分権はことしの一月に既に大きな方向づけは出させていただいておりまして、この中で地方公共団体、とりわけ市町村へ権限をおろしていく方向で現在答申をいただきましたので、その辺に沿って今回の都市計画法改正の中にも、例えば臨港地区の問題を挙げさせていただいておりますし、今後、将来的には地方自治法等の改正の動きに合わせた形で我々も種々の提案をさせていただきたいと思っております。  それとともに、先ほど申し上げた現在の都市状況、それぞれ制度的に大都市あるいは地方都市ということで抱えている問題は異なっております。私は、それぞれに合った新しい都市計画制度について、相当時間もかかりますし御議論もあろうかと思っておりますが、ぜひこれにも取り組みたい、こう思っております。
  93. 山本譲司

    山本(譲)委員 今国会はなかなか難しいのでしょうけれども、次期通常国会あたりでも改正を行う、そんな決意でぜひ作業を進めていただきたいと思います。  その内容でありますが、都市計画決定権者、これは一体どの程度自治体の主体性というのが確保できるのか、これが大きな問題だと思います。  先ほど局長、条例を活用して、あるいは条例都市計画法を補完する、若干上乗せ、横出しみたいなお話もされたわけであります。また、町づくり条例について昨日の大臣の答弁では、いわゆる町づくり条例については法令との関係を十分勘案して、あり得るというようなお答えだったと思います。  ぜひ、こういった町づくり条例あるいは景観条例でありますとか、さまざまな地方自治体がその地域に合った、まさに歴史でありますとか文化でありますとか、あるいは環境、福祉、そういったもろもろの地域の実情にマッチしたいろいろな町づくりを行っていこうとされているわけであります。できるだけ多くの権限、これは権限というと当然責任も伴うわけでありますが、地方自治体の方に移管をするような大胆な都市計画法改正をしていただくように、最後に希望を申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  94. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 中野清君。
  95. 中野清

    中野(清)委員 平和・改革の中野清でございます。  都市計画法の一部を改正する法律案につきまして、私は過日予算委員会の建設分科会、また昨日の本会議質問いたしましたけれども、きょうは玉沢委員とか山本委員からすばらしい御質問がございまして、なるべくダブらないように、しかもこの質問をさらに深める意味でお伺いをしたいと思います。  都市計画法の一部改正は、ひとえに大型店の適正立地のためでなく、もっと広く問題を対象にしているのだ、そういう意見がよく建設省サイドから聞こえますが、私は、そのことはそれなりに正しいと思っています。しかし、建設省政府の一角を占める有力な官庁でしたらば、百貨店法以来大店法、大店法は昭和四十九年から始まって二十 五年もたっておりますけれども、これを建設省はどう認識しているかということはやはり一言聞きたいと思います。  なぜかといいますと、大店法が今日まで国際的な非難を受けてきたのは、一つには、グローバルスタンダードと言われる都市計画体系のもとでの町づくり視点、すなわち都市計画法のもとで、例えばマスタープランのような総合的な町づくり視点の中で、大型店中心にした商業施設のあり方が議論されなかった。そして、商業需給調整のみにその論点が集約されて経済規制だと言われたところに特に問題があったわけでありまして、都市計画そのものにもそういう意味で責任の一端があったはずだと思います。  欧米のように都市計画法体系のもとで、町づくり視点からの大規模店舗だけでなく、例えば今いろいろ出ておりましたけれども、レジャー施設とかリゾートマンションとかいろいろな大型施設もあります。そうすると、そういうものを含めて立地の適正化というものをもっともっと考えるべきだったということは当然でないかと思うのです。  そういう苦い思いを含めまして、今日までの都市計画行政を振り返った建設省の御見解というものを、まず簡単で結構ですからお伺いしたいと思います。これは簡単で結構であります。
  96. 木下博夫

    木下政府委員 私は、都市はやはり生きておりますから、大変ダイナミックな動きの中で、今おっしゃった問題はかなり深刻な状況にあろうかと思います。したがいまして、大型店を初めといたしまして大型施設の立地につきましては、大変都市に与える影響が大きいと考えております。  現在、都市計画制度におきましては、先生案内のとおり、用途地域とか今回御議論いただいている特別用途地区がございますが、これらですべてが整備できてはおりませんので、これからの適切な町づくりをする上でさらに制度的にいろいろ工夫すべきであろうという御指摘だと理解して、その点については私も同意でございます。
  97. 中野清

    中野(清)委員 今回の都市計画法改正によります新しい動きというものは、いわゆるグローバルスタンダードに沿った動きだと私は建設省の方針については評価しております。  ところで、昨日、本会議で私の質問に対しまして、社会的規制ということで、町づくり視点からの大型店の立地の適否について通産大臣は次のようにお答えになっております。  町の構造上の視点から大型小売店の立地の適否を判断するという意味での町づくりについては、主として都市計画体系による地域判断に基づく柔軟なゾーニング手法の活用による、他方、立地の適否の判断でなく周辺地域の住民の利便、商業その他の業務の利便、生活環境という意味での町づくりの配慮については、今後の具体的内容について立地法の指針の中でも明らかにしていくことになるというような御答弁がございました。  第一に、都市計画体系による地域判断に基づく柔軟なゾーニング手法の活用とは具体的にいかなる手法かということについて、もしこれは所管が違うというのだったらあれですけれども、これは建設省がやるということでございますから、お答え願いたい。  それからもう一つは、町づくりの配慮というものは立地法の指針の中で明らかにしていくという通産大臣の御答弁と、今申し上げたゾーニング手法の活用というところの関係をどういうふうに理解したらいいのだろうか。これもよその大臣ではなくて、建設省関係していますので、建設省としての御見解で結構でございます。  そういう意味で総括的に、私はこの御発言というものは、今後の大型店の立地の適否については建設省都市計画体系によって責任を持って対応する、そういうふうに理解しておるのですけれども、それでよろしいかどうか。これも建設大臣。これは大事な話でございますから、大臣の御答弁を願いたいと思います。
  98. 瓦力

    ○瓦国務大臣 昨日は中野先生の御質問もちょうだいをいたしましたが、きょう引き続いて御質問をいただきました、専門家でいらっしゃいますから。  大型店の立地の適否の判断でございますが、これは、地域の実情に的確に対応した町づくりを進める、こういう観点からいたしまして地方自治体が都市計画体系の中で判断をしていくもの、かように解しております。  また、柔軟なゾーニングの発言に伴ってのことでございますが、今回の改正に盛り込んだ特別用途地区の多様化を指しておりまして、従来より都市計画において、いわゆる用途地域特別用途地区等によりまして、住居、商業、工業等の用途ごとの配置を決めていたところでございますが、特別用途地区の多様化によりまして、地方公共団体地域の実情に応じましてさらにきめ細かく柔軟に定めることが可能となるものであるということで、柔軟に定めてまいるというようなことを昨日並びにただいま申し上げておるところでございます。
  99. 中野清

    中野(清)委員 そうしますと、最後の、私が三番目に言ったことはどうですか、大臣。これは簡単で結構です。  私は、今お話ございましたけれども、それはあくまでも地方自治体がやるのはわかりますけれども、そういうものを全部やっていくのは建設省だと思いますから、そういう意味で実は期待をしているわけですよ。むしろ、先ほど最初に申し上げましたけれども、グローバルスタンダードという流れは、建設省都市計画の中においてこういうようないろいろな問題をやっていく、その中の一つとして大型店の立地の適否というのは入ってくるわけなので、それは確かにこれだけじゃないとおっしゃるけれども、それも含めた問題として、やはりこれは今までの大店法のような通産省のサイドじゃなしに、これはもう都市計画の問題だというふうにやはり私はこの際はっきりした方がいいと思うのですよ。ですからお伺いしているのですけれども、もう一回いかがですか。
  100. 瓦力

    ○瓦国務大臣 大店舗の問題にかかわる御質問でございますが、やはり私は、町づくり、戦後ずっと我が国の町づくりというのは、歴史がありましても、近代的な町づくりということになりますと、相当歴史も浅くおくれをとりまして、これから時代に合ったやはり町づくりというものをしっかりと進めてまいらなければならぬと思うわけでございます。  そういった中で、大店舗あるいはいろいろな経済行為によって町の形が委員御指摘のように疲弊をしたといいますか崩れた傾向もございましたが、これからそれも織り込んだ町にするのか、それは別問題なのかというようなことを考えてまいりますと、やはり地方自治体がこれから地域にふさわしい顔を持ち、機能を持ち、あるいは快適な町づくりをする中でどう取り組んでいくかという問題でありますので、町づくりの、今建設省が御提議申し上げておることが地方自治体においても理解されていくことが大事でございます。  これからもさようなことを心得ながら、啓蒙活動をしながら、そこに住む方々にとりまして、まず生活しやすい場であるところの町としてつくり上げていくという視点に立ちまして地方自治体が自主的に考えてまいる、こういう時代でございますから、こういうことをまず一義的に考えておかなければならぬと思うわけでございます。
  101. 中野清

    中野(清)委員 美しく安全で人のにおいのする町というのを前の亀井大臣がこの委員会でおっしゃいました。私は、ぜひそういう意味建設省が、地方自治体がもちろんやるのですけれども、それについての責任は建設省にあるということでこれから頑張っていただきたい。これ以上言ってもしょうがありませんから、御期待をします。お願いいたします。  続きまして、特別用途地区の弾力的な運用だけで、では果たして大型店の適正立地ができるかというお話、先ほど山本委員もお触れになりましたから、それと関連して、山本委員の御質問も頭に置きながら私も質問をしていきたいと思います。  改正都市計画法は、法律成立後六カ月以内にこれを施行する。それで、大型店の立地についての対応が必要と考えている地方公共団体については、地域の実情を踏まえつつ、期間が二年間で地区設定が十分可能であると大臣お答えになって、今も局長が一年ぐらいでやるだろうというふうなお話、準備をしているというお話がございましたから、これについて本当にできるか、そのことをまずもう一回確認したいと思います。
  102. 木下博夫

    木下政府委員 私一年と申し上げましたのは、過去の制度一つの例でございまして、できるかと言われまして、私もこの場で即お答えしにくいのですが、内容的には、特別用途は、御承知のように既に相当の事例もございまして、全国で三百程度の都市地区設定しておりますので、こういう経験にかんがみて私は先ほど申し上げました。  恐らく、時期的な、期間的なことについては、二年以内ということであればそれなりに実績は上がるのじゃなかろうかと思います。
  103. 中野清

    中野(清)委員 これはもう一回だけお伺いしますけれども面積で三万八千七百五ヘクタールしかやっていないのですよ、はっきり言って。確かに都市は二百七十一ですよ。そうでしょう。三千三百あるのでしょう。一割しかやっていないですね。ちょっと甘くはないかということについては後ほど御答弁願いたい。  そのことを言ってもしょうがありませんから、それは期待しながら御答弁願いたいと思うのですけれども都道府県が二年間の間に特別用途地区設定しなかった場合、大型店の出店は特別用途地区規制していない以上、先ほど来の山本委員への御答弁もそうでございますが、これは結局二年間は大店法によってやるけれども、それ以外についてはどうなんだ。なかなかわからない。これについては立地法にまっということで理解していいのかどうか、これについての建設省考え方を前のと一緒にお答え願いたいと思います。
  104. 木下博夫

    木下政府委員 先ほどの山本委員に対するお答えでも申し上げましたが、各公共団体がこの問題に対してどこまでの必要性があるかということが、やはりその制度つくりましての実績としてつながっていくかと思います。  先生おっしゃられたように、確かに、現在の特別用途地区については、都市的にはネットで三百を切るぐらいの都市しかございませんが、私は、今日的にこの問題は、先ほど申し上げたように大変重要視されておりますので、そういう意味での必要性を考えている市町村がかなり多くなっていると思いますので、この弾力化によってそれなりに従来に増して定着といいますか実績は上がるのじゃなかろうかと思っております。  いずれにせよ、最近の経済情勢は大変厳しゅうございますから、むしろ、大型店も含めてでありますけれども、これからの立地は立他者側にもいろいろな選択が行われていくと思いますので、その中で制度としてより効果が上がるように各公共団体がお決めいただきたいと思います。
  105. 中野清

    中野(清)委員 都市計画でさえも千三百の都市しか出ていないのですね。これはもう議論してもしようがありませんから、その点についてははっきり言うと不安を持っているということをぜひ御理解願って、議論を進めさせていただきますけれども、それでは立地法でもって二年間はどうかという話、それもお願いしたい。  それから、この特別用途地区設定するに際しまして、一つは、市町村に対してどういうお手伝いをやっているかという問題考えを大事にするということは大事でございますが。  それともう一つ、これについては今回は中小小売業者がこの点についての調整とか研究というものを非常に熱望しております。それについては、支援をしていただきたいという要望が当然建設省に出てくると思いますけれども、お答え願いたいと思います。  それから、局長、マスタープランの話もついでに申し上げますけれども、二百三十一しかやっていないのですね。ですから、先ほどからのお話については、私ども特別用途地区だけではなしに非常にやってもらいたいのですよ。だから、ぜひやってもらいたいという意味で、心配しているということでちょっと申し上げておきます。
  106. 木下博夫

    木下政府委員 私、御質問全部は把握できなかったかもしれませんが、おっしゃられたように、公共団体には相当の実力の差があろうかと思っております。そういう意味では、公共団体に我々も応援していくことはやぶさかでございませんが、一方では余り公共団体に手を出すなという声もないことはないのでありまして、そのあたりはいろいろそういう誤解を招かないような応援の仕方というのも私たちは工夫してみたいと思っております。  中小小売業者については、いろいろな方々が町づくりでお尋ねにおいでになっておりますので、そういう意味では、市町村に対しても、そういう小売関係の方々の御意見の聞ける場をつくるようにこれからも指導していきたいと思っております。一方では、そういう小売業者の方々にも我々はいろいろ知恵をいただいて、これからの都市政策といいますか都市ビジョンも含めてでありますが、商業がどうあるべきかということについてもさらに勉強をさせていただきたいと思います。
  107. 中野清

    中野(清)委員 先ほど来、立地法について、二年たっても特別用途地区設定されていないときどうするかという問題についてのお答えがないのですけれども、これはどうなのですか、もう一回。
  108. 木下博夫

    木下政府委員 大店舗法の方の施行が、お話があったように、仮にこの国会で通るとすれば二年以内に施行されるということでございますが、その際に特別用途地区でカバーされていないときはどうするかというお話かと思います。  実績がまだ上がらないうちに余り早計にこのことについてお答えするのはいささか問題であろうと思いますが、私は、それは各地方のこの町について必要ありやなしやということでの御判断でありましょうから、むしろそれによって起こる問題がさらに大きく拡大しているとすれば、何らかの対策はまた考える必要があろうかと思います。
  109. 中野清

    中野(清)委員 そういう意味で、大店法後のスキームというのは、中心市街地活性化はちょっと別でして、私ども、立地法と都市計画改正法の二本柱というふうに実質的には理解しておるのですよ。そうすると、その二本柱のうち一本がなくなってしまって一本になるということ。しかも、先ほど、通産大臣の御答弁をちょっとお伺いしたというのは、その中で、いわゆる立地については立地法でやらないのだというふうにはっきり言っているわけですね。  そうすると、これは本当にスキーム全体が崩れてしまうのじゃないか。それは、今局長がおっしゃったように、先のことを心配するのではなしに、もう現実に今から崩れているというのでは、非常に商業者が不安になるのは当然じゃないだろうか。そういう意味でちょっとお伺いしたいのですけれども、いかがでしょうか、もう一回。
  110. 木下博夫

    木下政府委員 大店舗法については、私がお答えする立場であるかどうかは問題であろうと思いますが、私は、今度の大店舗法は、確かに、昨日の本会議でも大臣等からお答えがありましたように、立地そのものの規制ではなく、立地の際にいろいろ種々の問題が起こる点について指針を示して、いわば審査をするという手続であろうかと思います。  これとて、しかし、従来なかったスキームでございますから、それなりに立地の方あるいは周辺の方の意見も含めてでありますが、私は、抑制効果もあろうかと思いますし、適切な町づくりに大いに貢献していただこうと思います。  それの前提として、いわば立地の可否、適否についての一助となるような仕組みとして特別用途地区も御活用いただけるかと思っておりますので、その合わせわざの中で一つずつの実績が上がってくるのじ々なかろうかと私は思います。
  111. 中野清

    中野(清)委員 その辺でこの件はちょっととめ まして、今のことと多少関係あると思いますけれども中心市街地のさらなる空洞化を防ぎ、都市機能を維持し、生活環境を保全するために、都道府県市町村の独自の条例や要綱でこれらの郊外における大型店の出店を地方判断でできるよう明確にしてもらいたいという地方公共団体の要望がありますが、建設省としてどのように認識しているか。  町づくり条例については後ほど申し上げますが、あわせてお伺いしたいと思いますのは、そういう意味で、先ほど来、開発行為の及ばない未線引き白地地区都市計画区域外については都市計画法が及ばないのだということでございますが、それらについて地方公共団体が独自の開発許可基準や開発指導要綱を定めることについて、その次の問題としては町づくりがありますが、これはこの次の問題にしますけれども、まず、この独自の開発許可基準や開発指導要綱を定めることについてどう考えているか、お伺いしたいと思います。
  112. 木下博夫

    木下政府委員 私ども、お預かりしています法律については、極めて基本的なことについてはそれぞれ法律でしっかり規定するわけでございますが、それを実際に運用する段になりますと、法律で規定されていない分野等につきましては、場合によってはそれは拘束力を持たないものもあろうかと思いますが、そういう内容が条例として含まれることまで私どもは特に反対ではございません。  ただ、問題は、往々にして、過去の開発の際にございましたように、指導要綱等がひとり歩きをしまして、いわば負担がそれに加重されるようなこともございまして、大変地元でも問題があったということも我々の一つの経験で持っておりますので、そういう意味では、地元の中で公共団体がおつくりになる条例あるいは要綱というのはくれぐれも慎重にあるべきであろうと思っております。
  113. 中野清

    中野(清)委員 では、局長、一言で結構ですから。  今、荒川区だとか川崎だとか横浜でつくった要綱というのがありますね。これについては、やむを得ないというのでも結構ですけれども、今おっしゃった、行き過ぎとは思っていないということで理解してよろしいですか。一言で結構ですよ。
  114. 木下博夫

    木下政府委員 今先生お話しになった条例の詳細、寡聞にしてわかりませんが、それなりに機能しておるというふうに私は理解しております。
  115. 中野清

    中野(清)委員 それでは、この要綱というものからだんだんと今度はいわゆる町づくり条例となるわけでございますけれども、そういう意味で、市町村計画的な町づくりを推進する観点、それから、今おっしゃったように、国と地方とのニーズのはざま、そういうものがございますから、地方の声を反映して地方自治体がいわゆる町づくり条例を制定することについて、その中で、例えば大型店適正立地への用途規制をすることについてはどう御認識になっているか、お伺いをしたいと思います。
  116. 木下博夫

    木下政府委員 大変難しい問題であろうかと思います。  といいますのは、今回のこの大型店舗法あるいは都市計画法特別用途地区の御提案に対しましても、いろいろ御意見がありましたように、本来町としてのいわばあるべき姿というものが前提にあって、いわゆるそれぞれの制度が構築されていくわけでございます。したがいまして、町づくり条例等につきましても、それぞれの公共団体が悩みに悩んだ中で出てくる場合に、その効果というものについても相当我々としては考えなければいけないと思っております。  ただ、条例が乱発されますと、いささか本来の方針といいますかそういうものを示した法律そのもののいわば精神が、どういう形で実行されるかということがありますので、もちろん基本的には各公共団体がお考えになることだと思いますが、先ほど来申し上げているような姿勢で私は条例考えていきたいと思っております。
  117. 中野清

    中野(清)委員 この問題を特に私が取り上げたのは、今まで大店法の問題で私は申し上げましたけれども、内外のいわゆる流通資本というものが大型店施設の建設を目指しているのは、主に市街地を離れた郊外の市街化調整区域、これが全国で三百七十九万ヘクタール、約一〇%ございますね。それから、白地地域のいわゆる未線引き都市計画区域、これが四百四十四万ヘクタールで一一・八%でありますが、これらは開発許可を認めないのが原則なのですね。  これまでの例では、なし崩し的に土地利用の用途が変更されております。ですから、法的には何ら問題なく、適法のうちに現実の問題として大型店やショッピングセンターができているということに対して、特別用途地区設定できない場合の、白地地域市街化調整区域の対策はどうなのだ。そういう問題は、先ほど来山本委員玉沢委員もおっしゃっていましたけれども、そういう問題意識の中で考えたときに、では、このことはどうするのですかということを、もう一回建設省としての対応を明らかにしていただきたい。
  118. 木下博夫

    木下政府委員 開発許可そのものも、お話しのように、現在、いろいろな問題を抱えていることは申すまでもないことでございます。ただ、その大型店舗等が許可されたということは、一つ地方公共団体判断がそこに当然されたと理解した方がいいと私も思います。  ただ、問題は、都市の構造にとって大変大型店舗が影響あるということは各公共団体とも十分わかっておりますので、今後の都市構造をどう整備するかの中で、従来のような開発許可は、私は、それぞれ公共団体のお立場であろうと思いますけれども慎重になっていくと思います。  いずれにせよ、制度を幾らつくりましても、先生おっしゃったように、実績としてはそういうことが出ているじゃないかというお話でございますが、これは、それぞれの許可権者の判断にゆだねざるを得ないわけでございまして、私たちも、国土全体はどうあるべきか、それぞれまた、それのブレークダウンされた地域はどうあるべきかということに対しても十分方針を示しながら、各公共団体がそれに沿っていただくことも必要じゃなかろうかと思っております。
  119. 中野清

    中野(清)委員 そういう意味で、実は、町づくり条例というものに対しても、要綱についても、局長のお考えというのは、どちらかというと、建設省自身が今までの全国一律という考え方の中で余り進んでいないのじゃないかと私は思うのですよ。  これは一つの御参考に申し上げたいのですけれども、この手の法律を、物を考えたときに、私は、もっと延ばすべきだろう。むしろ、今言ったように、本来だったら具体的に都市計画区域を広げ用途地域設定特別用途地区をやる、それが王道です。私はそのとおりだと思います。しかし、できなかった場合どうするのだというときの話を、それはやりますからいいというのでは通らないと私は思います。  ですから、そういう意味では、要綱の問題、そしてまた、町づくり条例についても、もう少し温かい目で見た方がいい。それは、少なくとも地方分権の時代で、しかも条例や要綱というのはそれ自体は権限を持っている。しかし、国の上位の法律との整合性を持てというのは当然ですからね。そういう意味で、あくまでも公平性とか客観性がなければ困る、当たり前の話なのです。しかし、それと、過去にあったからだめだというのでやるのは、私は間違いだと思うのです。そのことが一つ。  その中で、これは私の方からちょっと御提言みたいな感じで御意見を伺いたいのですけれども、今、この町づくり条例を制定するとき、これは今おっしゃったように、市町村の意思だけで、いわゆる上位の法律による根拠が不明確だ、法的に弱いのだ、裁判で負けたのだよ、だからだめなのだよという声をよく聞くわけですね。これについてどう思っているかお伺いしたい。やはり、大臣、 育てようと思っても困るわけだと思うのですよ。それがもう一つですね。  そういう中で、例えば大気汚染防止法三十二条、ここに「条例との関係」というのがございます。それから、環境影響評価法の六十条、また騒音規制法二十七条、やはりここにも全部「条例との関係」というのが、最近初めの法律から次に追加されているのですよ。これは、公害という問題について言うと、やはりどうしても地域的な問題から発生してくる。つまり、公害規制の立法措置というものは、まず地方団体が先行して国が後から追いかけてくる、そういう例が多いために、この法律条例の適用についてどうしても問題が起き、疑義が生ずるおそれがあるので「条例との関係」という規定を設けてこの点を明確にした、これは環境法の関係考えなのです。  今、町づくり条例については、これは局長、大臣も御承知のとおりいろいろ千差万別です。中には、基本的な理念とか方針を示すような条例もあります。それからまた、具体的に規制をする条例もあります。ですから、それを整備するというのは私は当然だと思うのですよ。ですから、そういういろいろな整備をした中で、例えば今回の白地地域調整区域に手がなかなか打ちにくいのだ、そういうときに、地方自治体の独自の町づくり条例なんかも、これは一つの当面の方法として考えさせてやるということも決して私は建設省の行政をすべて否定するものじゃないだろうと思うのですけれども、そういう点はどうだろうか。  そういう意味で、条例との関係ということについてはこれから考えるべきではないだろうか。現に、建設省だって、風致条例というのですか、そういうものについてはいわゆる上位の法律の中でやむを得ないということをちゃんと認めているのじゃないですか。そういう点についてのお考えを伺いたいと思います。
  120. 木下博夫

    木下政府委員 先生都市計画に対する熱意は私以上に大変強いということを感じておりまして、私は、むしろこれから条例についてどう扱うかということについて大変貴重な御意見をいただきました。私は、自主的な判断をするとか、あるいは地方のそういう意気込みを育てるということに対して大変重要であろうと思っておりまして、決してそれについて建設省が異を唱える気は全くございません。  ただ、先生おっしゃられたように、都市計画法というのは大変広範囲な問題を扱っている法律でございますから、そこに、仮に先生の御要望のような、例えば例として出されたような条例を書くかどうかということは、環境問題とか大気汚染、あるいは美観景観というある特定のテーマについて担当しております法律といささかそういう意味では守備範囲の大きさが違うかと思います。ただ、そう申し上げると、また私は何か否定的にお答えしたようになりますが、決してそうではなく、地方のそういうやる気というものをどう育てていくかという環境づくりについては、私ども建設省も大いに汗をかかなければいけないと思います。
  121. 中野清

    中野(清)委員 それでは、今の御答弁でぜひ期待をしたいと思います。  最後に、建設省に求められておるところの一つとして、私は今大型店の適正立地という問題を本格的に取り上げましたけれども、これは今おっしゃったように、一部の大型商業建造物というかそういう認識でなしに、いわゆる町づくり中心市街地の活性化とか、そういういろいろな町づくり視点から考えていただきたい、また考えるべきだろうと思っております。  そういう意味で、私は、欧米並みの大型店の立地規制については、グローバルな視点からのゾーニング規制をする、ある意味では商業を含んだ町づくり、そういうものをお願いしたい。特に都市計画体系の全般的な見直し、整備というものを、これは今すぐとは申し上げませんけれども、今非常に私ども建設省にそういう意味で期待をしております。どうか、そういう意味で、大臣の御意見と決意がございましたらいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  122. 瓦力

    ○瓦国務大臣 都市局長が中野先生に降参したわけですから、私も参っておるわけでございます。今先生から御指摘のように、欧米並みの都市にお考えをはせながらの御意見でもございます。  やはり私は、我が国の歴史文化とか地域となじみながらやってきておる町づくりもあろうかと思いますし、都市は時代時代によってまた変わってまいるもの、こう思うわけでございます。そういった意味で、都市局長もたびたび都市は生きておりますと、そういう中で、市民の声を主体的にどういう町づくりをするかということは極めて大切な重要なときだ、こういう認識のもとでこの委員会審議をさせていただいておるわけでございますが、都市構造にいろいろ今日まで大きな影響を与えてきた経済社会あるいはモータリゼーション、こういった変化を経ながら、今都市の再構築に取り組むことが極めて重要でございますし、都市政策の大きな課題である、こう認識いたしております。  都市計画中央審議会におきましても、今後の都市政策のあり方を広く御審議をいただいているところでございまして、都市計画制度が常に時代の変化に的確に対応できるように、これからも私どもも柔軟にいろいろ勉強をしながら制度等についても御協議をさせていただきたいと思います。そういう意味合いにおきまして、本法律につきましても、ぜひ中野先生の御賛同、御協力をお願いする次第であります。  ありがとうございました。
  123. 中野清

    中野(清)委員 どうもありがとうございました。
  124. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十七分散会