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塩崎政府委員 お答え申し上げます。久しぶりに衆議院の
委員会の部屋で声を出させていただくことを
河野先生に機会をつくっていただきまして、ありがとうございました。
日本スペシャルファンド、
ジャパン・
スペシャル・
ファンドの件につきましてでございますが、今回、御
質問いただくということで、私も初めて勉強をさせていただいて、私も正直言って知らなかった点がたくさんございました。そういう
意味で、今回のこの御
質問をいただいたことを契機にもう一回洗い直しをしたいというふうに、私は個人的に思っております。
御
質問、二つあったと思うわけでございますが、
一つは
情報公開の問題でございますが、
大蔵省がうんと言わなければなかなか
情報公開もされない、あるいはまた、
世銀の
ディスクロージャーも
大蔵省のお
墨つきがなければいけないのではないかというようなことが考えられるわけでありますが、やはりこの辺は、私ども、
日本政府として
お金を出す以上はきちっとした
情報公開をしていかなければならないし、そこに何があるのか、それは今まで、過去のいろいろ長い経緯の中で、私も、後ほど申し上げますけれども、いささか納得できないことがあっても出していかなければいけないという
意味で、
情報公開はきちっとやるべきだろうというふうに思います。
それから、
国際人としてお
役人がきちっと
海外でも研修を積んでいけということについては、私も全く同感でありまして、先ほどの
韓国の
数字、
韓国と比べて
日本が余りにも見劣りをするということで、私もそれは
随所に実は
感じているわけでございまして、そういう
意味で果たして、今の
人事院の七十三人ですか、この
程度では、とてもじゃないけれども
国際人として
日本の
役人が活躍していくことにはならないんだろうというふうに思っているわけでございます。
この
ファンドについて、どういう形で何をマンデートとしてスタートしたのかということをもう一回ちょっと振り返ってみますと、八七年から実はこの
奨学金は出ているわけでありますが、八九年にまとめて
スペシャル・
ファンドというのにしました。そのときは、今の総理が
大蔵大臣でありまして、その中で提案を総会でしているわけですね。
それを見てみると、
目的は二つあって、
一つは「
世銀を通ずる
開発途上国への
技術援助」、それから「
開発途上国において
政策立案とその
実施の
責任を
双肩に担う
人材を育成すること」などと、こう書いてある。二つと「など」ということであって、ややそれがファジーでありますけれども、しかし明確に、「
開発途上国において
政策立案とその
実施の
責任を
双肩に担う
人材を育成する」ということでありますから、先ほどの
世銀の方が出しているものにおいても、
社会経済発展の、言ってみればエキスパティーズを
開発途上国において養うということが
目的ということでありますから、まさにその
開発途上国の
人たちが主な
対象であることは、もう間違いないことだろうと思います。
そういう中で、さっきお話ありました
インダストリアライズドカントリーズというのがありますけれども、これは実は、今御
指摘のとおり、九三年から
日本だけ行っているわけであります。その前、六年ありますけれども、例えば始まった八七年は、七人のうち三人は
アメリカ、カナダ、アイスランドというところから行っています。
あとアメリカ、ベルギー、スウェーデン、イタリア、こんなところがぱらぱら行っておりますけれども、さすがに、九三年からは
日本からしか行っていなくて、それもかなり
大蔵省から行っているということで、私もやや、タコが自分の足をかむような話というのはやはりおかしいんじゃないかというような
感じがいたすわけでございます。
しかし、もう一回振り返ってみて、今、我が国の
行政マンを育てる、特に、
国際社会の中でどうやって
国際人を育てていくかということを考えてみると、今の七十三人の枠ではとても足らない。
韓国でも二百数十人、であれば、国力からいったら恐らく
日本はその十倍ぐらい行ったっておかしくはないわけであります。
ところが、
人事院での
やり方というのを聞いてみますと、これは
人事院の
予算ということではなくて、
各省に
一つ一つ割り振っていって、それぞれの
役所がこれだけ出したいというのを出してくる、そこで認めているという格好になっているらしくて、人繰りの問題というのもあるようなんですね。
私も、ちょっと
各省別で見てみると、例えば
公取なんというのは、まさにこれからビッグバンではんばん競争しないといけないという中にあって、例えばこれは、十
年度は
公取はゼロであります。それから、
防衛も大事でありますけれども、たった二人。環境庁、環境問題は大変大事でありますけれども、一人。この
程度でやっているわけであります。
法務省、これもいつまでも
日本のことだけで、国内だけでやっていくわけにはいかない
役所でありますけれども、これも一人だということでありますから、本当は人繰りがつきさえずれば、やはり正々堂々と
人事院の
予算でもって ―――――例えば五倍ぐらいにしたって私はいいんじゃないかと思います。たった八億で、五倍にしたって四十億でありますから、そのぐらいのことは
財政構造改革の中であったって、何かの工夫ができるんじゃないかと思うわけであります。
あとは、問題は、それぞれの
役所が本気にそれだけ人繰りをしながら出していくだけの、国際的に開かれた心を持っているかどうかということが大事なんじゃないかなというふうに私は思うわけであります。私としてはやはり今、この
スペシャル・
ファンドについては、このままこのような形で
大蔵省の人が、公募は去年から始めましたけれども、
日本人の中で大勢を占めていくというようなこと
自体はおかしいし、
世銀の方の
ディスクロージャーを見てみても、やはり期待しているのは、
開発途上国からの
人材を育てるために使いたいというふうに思っていることは、私は
随所にあらわれているんだろうと思っております。
では、今すぐこれをやめてしまって、
大蔵省から行っている
役人が
海外に行くことをやめることがいいのかどうかということを考えると、これはまた別問題であって、むしろ、後ろ向きの発想じゃなくて、これをつけかえられるかどうか。それは、つけかえていったって私自身は構わないと思いますけれども、では、その分、
人事院が
大蔵省が今送っている
人材をそのまま認めるかどうかといったら、多分認めないだろうと思うのですね。
大蔵省は大体、今の時点で輪切りにすると、世界に百十一人、Ⅰ種の
人たちだけで
海外に出ております。これが多過ぎるというのだったら別でありますけれども、私はむしろ、ほかの
役所だってもっと出ていいのじゃないか、あるいは出るべきだろうというふうに思っております。
なお、その
予備軍としての
留学生をどうやって育てるかという中で、これを支えるだけの枠を
人事院がちゃんと、
人事院の枠でとれるかどうかということを考えてみると、もう少し検討しないといけないのかなという
感じがいたすわけでございます。