○北脇
委員 民主党の北脇保之でございます。
私は、
民主党、平和・
改革、自由党、三
会派共同提案によります財革法
停止法案について質問いたします。
その前に、私、今回の
委員会のこれまでの
審議の中で、
政府提案の
財政構造改革法改正案、この問題点が明らかになってきたというふうに思います。その点について意見を述べさせていただきます。
まず、
一つの問題点は、今度の財革法の
改正案が
景気対策そして
経済構造
改革の足かせとなっているということでございます。
というのは、やはり、現下の日本の
経済の
状況を見たときに、所得税そして法人税、これを中心とした
制度減税、言いかえれば恒久
減税、これは不可欠だと思います。一時的な
特別減税ではなくて、将来とも続いていくという
減税、これが消費を刺激して
景気対策になっていく、このことは言うをまたないと思います。そして、それと同時に、
経済構造
改革という点で見たときにも、私ども国民の可処分所得をふやしてその中から民間活力を引き出していく、これが大きな
経済構造
改革の
目標であり、手段でなければいけない、そういうふうに思います。それに対して、今の
政府の
改正案だと、恒久
減税ができないか、もしくは、やるとしても非常に困難を伴うということでございます。
というのは、
政府の案ですと、二〇〇五年に
財政赤字の対
GDP比を三%にするということを今固定しているわけですね。今、
景気がだんだん回復をして税収も自然増でふえてくるというような見通しが立っているとかそういうことであれば、
目標年次を定めて
財政赤字の
目標値を定めるということもできると思います。しかし、残念ながら、現時点、日本
経済の見通しがそういう
状態になっているかというと、なっていないわけですね。そうすると、
財政当局の立場に立てば、今恒久
減税に踏み出したときに、当面はどうしても
財政赤字が一たんはふえざるを得ない。それで、恒久
減税でいった場合は当面の
財政赤字が累積するということになりますから、そうすると、二〇〇五年に
財政赤字三%ということが達成できないかもしれないということをどうしても
財政当局は考えると思うのですね。したがって、恒久
減税には踏み切れないという制約がどうしても働いてしまう。そうすると、また逆に、そういう手段を打てないために本格的な
景気回復がなかなか進まない。そういう非常に悪い方の鶏が先か卵が先かみたいな話になりかねない。そういう
意味で、今の
政府案、恒久
減税を実施できるかどうかというこの問題点に関して足かせになっているということが
一つ言えると思います。
それからもう
一つは、公共事業の追加ということでございます。
公共事業の追加がこれまた
一つの
景気対策の重要な手段である、このことは我々も否定してはいないし、一致するところだと思います。しかし、今、
政府の
改正案では公共事業についてのキャップはそのままになっているわけですね。ですから、今までの議論の中でたくさん出ているように、公共事業を追加しようとすればどうしても
補正予算に頼らざるを得ない。そうすると、
財政法の二十九条などというのは本当に無視するというような、非常ないびつな
状態というものが続いてしまう。それで、
景気対策のために公共事業を落とせないということになると、まさに補正頼りというか、毎年補正で公共事業を追加するということが恒常化してしまうということになるわけですね。
もし、補正頼りなどという変則的なことをやめるとなれば、例えば、今
年度の
総合経済対策で
補正予算で公共事業を大幅に積み増そうとしているわけですから、そこをペースにして来
年度そういう変則的な
補正予算の組み方をやめるといったら、がくっと公共事業が下がるわけですね。ましてや当初
予算についてはキャップが生きているわけですから、ふだんの年に比べたって、ふだんの
財政運営に比べてもさらに公共事業を落とさざるを得ない。こんなことをしたら日本
経済に対して大変なショックを与える。
ですから、公共事業について特に言えることなんですが、この大変な、
景気対策が何よりも重要な時期にこのキャップを生かしているということが、これまた
景気対策の足かせになっている。それで、もし
財政法とかそういった
法律等の体系ときちっと整合性を保ってやっていこうとすれば、そんな
補正予算による公共事業の追加を恒常化するなどということはできないわけですから、それに従ってやろうとしたら公共事業は来
年度またがくっと下げざるを得ないかもしれない。そういうことで大変な
景気対策に対する足かせになっている、このことをまず第一に
指摘したいと思います。
それから二番目に、弾力条項についてなんですが、これがまたどうやって適用するかということが非常にあいまいだし、また一面で機動性を欠くおそれがある。というのは、原則的には弾力条項の適用というのは
経済統計をもとにしていますから、その統計が出てくるまでにタイムラグがあって機動性を欠くということがありますし、それに対する
一つの対処策としてということでしょうが、
財政構造改革会議では
経済ショックがあったときに適用できるという議論もあるようですが、これまた、この
経済ショックというのは何なのかということが非常にはっきりしない。こういう
意味で、弾力条項について非常にあいまいであり、また機動性を欠くおそれがあって、これまた
景気対策の上で足かせになるおそれがある。
それから三つ目に、
財政構造改革の名に値しないという、一律
削減だということ、これは本質は何にも変わっていない、こういう問題点があります。
これが今までの
審議の中で明らかになってきた
政府提案の、もともとの
財政構造改革法並びに今回の
改正法案の問題点だと思います。
そこで、それに対する対案という形で三党共同
提案が出てきていると思いますので、もう一度、三党共同
提案の本
法律案を
提案する
理由を
お尋ね
いたします。