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鈴木(淑)
委員 自治大臣がそういうふうに誠意を持ってお願いしておる、御努力いただいておるということはわかっております。そして政府が、こういう手も打つ、ああいう手も打つという
説明をして、首長さんたちがそれを理解したろうというのもわかります。しかし、だからやるよという言質をきちっととっているわけではないのでありまして、一・五兆円のうち、私の見るところ、半分以下だろうなと思っています。まあこれは後でふたをあけてみないとわかりませんが。
そういうわけで、十六兆円、十六兆円とおっしゃるが、四兆円の
減税はこれは丸々引かなきゃいけない。単独事業一・五兆円も怪しいねというふうに、どんどん小さくなっていくものですから、民間の調査機関の
経済予測の根拠となっている今度の効果を見ますと、せいぜい一%から、大きなところで一・五%ぐらいしか成長率は上がらないだろうなというふうに見ております。しかも、この政策なかりせばという当初の予測は民間の方がずっと厳しいです。この政策なかりせば
平成九年度のマイナス成長に続いて十年度もマイナス成長、それも政府の言うように〇・一か〇・二という話じゃなくて、〇・五ぐらいのマイナスを置いていますから、今度の対策を乗っけてみても、本年度の成長率は〇・五から一・〇ぐらいにしかならないのですね。これは、マイナス成長という大不況が〇・五から一・〇%のプラス成長という普通の不況に変わる程度のインパクトしか持っていないというのが今の民間の
見方でございます。
それから、あと二つほど民間がこれはまずいねと言っていることがありまして、
一つは例のデフレスパイラルの話でございます。
先ほど、
総理への
質問が出ましたときに、
総理は、これは石油の値段が下がっているとか、それから在庫が何とかとおっしゃったのは、私、全く理解できませんでしたが、デフレスパイラルという場合に二つありまして、
一つは、物価が需給バランスを失したために下がっていって企業収益を圧迫する、そこからデフレが出るという話ですね。それに対しては、
総理がさっきおっしゃったように、いや、原油価格が下がっているんだ、あるいはアジアの通貨との関係では実は円高なんだ、そんなことで輸入物価が下がって下がっているのだからこれは別に収益圧迫じゃないよ、これをおっしゃりたかったのだと思うのですよ。私は、その要素はあると思います。
しかし、もう
一つありまして、それは、今、公定歩合は〇・五%まで下がってしまって、もうこれ以上金利は下げにくい、しかも、低金利が長く続くものですから、大変年金生活者その他から批判があります。これ以上ノミナルな、名目的な金利を下げられない
状況にあるときに、卸売物価で見たらマイナスになってしまっている、下がっている。マイナスインフレ率だということは、実質金利が上がっているということなんですね。これなんですよ、今新たに出てきたデフレ要因は。民間はその
意味で、実質金利は上がってしまっているではないかと。在庫を抱えている企業の収益圧迫になりますよ、これは。そういう一連のことから、ちょっと政府見通しは甘いね、これが三つ目ですね。
四つ目は、余り自民党の政策の責任者の方が、さっきも話題に出ていました、年度末一万八千円超えるんだということをおっしゃる、そのために今度の十六兆円の
総合経済対策の中身を小出しにされたのですね。四兆円
減税やるよというから期待していたら、何のことはない、さっき言ったように、これは
減税じゃないよ、増税の延期だというようなこと。それから公共投資の中身についても、やはり余り小出しにしてぺらぺらしゃべって口先介入をおやりになったために、政府の政策に対するコンフィデンスが落ちたということがもう
一つあると思います。
この口先介入、しばしば話題になりますが、念のために申し上げておきますが、証券取引法の第百五十八条に、何人も有価証券等の相場の変動を図る目的をもって風説を流布してはならないというのがありますよ。ですから、兜町の人たち、中堅、若手、まじめに一生懸命働いている証券
市場関係者は頭にきているのです、はっきり言って。責任ある立場の自民党の政調会長さんが、あんなぺらぺら風説を流布して何で許されるのかということですよね。それで、明ろかに目的は相場の変動を図る目的ですからね。だから、こういうことやっては、もうますます政策に対する信任が下がる一方だというふうに思います。(発言する者あり)そういう相場操縦の罪にはならないのですよ。
相場操縦の禁止というのは、これはもっとほかにいろいろ条件があるのです。俗に相場操縦と言いますが、そうじゃないのです。風説の流布の罪です、これは。相場の変動を目的とする不正行為なんですね。こういうことをやっていたんじゃ、政府に対するコンフィデンスは低下する一方だということだと思います。
以上、私、四つ理由を申し上げまして、この程度の
総合経済対策で景気が底を打って、何か六月にはよくなるなんて言っておられる大臣がおられますが、とんでもない話でございます。
今、鉱工業生産は、三月までの実績、四月、五月の予測指数しか出ていませんが、四月、五月の予測指数、それで六月は仮に五月横ばいとしますと、四-六月期の生産は前期比四・四%落ちるのですよ。これはえらいことですよ。年率換算したら一八%も落っこちてしまうのですよ。それぐらいの勢いで、今景気が突っ込んできているのです。そんなときに何で六月にはよくなるなんて言えるか、まことに不可思議ですね。またこんな風説で相場のことをおっしゃったら、ますますコン
フィデンスを失うと思いますが、そういうわけですから、どうぞ御油断召されるなということを私は申し上げたい。
何度も何度も
経済予測を失敗しておられますが、今度もまた失敗するに違いないと私は思います。どうぞ御油断召されるなという
意味は、この先の
経済の動向をきちっとフォローしていただきたい、この十六兆円で大丈夫だなどと余り外国でしゃべったりすると、対外関係でもコンフィデンスを喪失するということを私は心配をいたします。
さて、もう
一つ、
バーミンガム・
サミットで御
説明になった。それは、先方が
不良債権処理をやらなければだめじゃないかというふうにおっしゃったわけですが、その
不良債権処理に対して、いや、
日本でも考えているんだということで、いろいろ御
説明をされたのだというふうに思います。
私は、
総理がここへ来て、なるほど
不良債権の
処理が今の景気を本格的に立て直す
一つの決め手だなと、お気づきになったのか、決心されたのか、そういうふうに
見方が変わったのは大変結構なことだと思います。というのは、私自身も、私
ども新進党時代にも、そのことを実は口が酸っぱくなるほど申し上げたわけですよ。
私の手元に議事録があります。
平成九年、昨年の二月十日の予算
委員会、四月三日の本
会議における私の代表
質問、四月九日の大蔵
委員会、この三つ議事録がここにありますけれ
ども、ここで私は繰り返し、
金融三法に基づくフレームワークでは、景気がこのように沈んできているとき、とても
金融システムの安定は図れません、必ず
公的資金を投入しなければ
預金者保護ができないような
金融破綻が起こりますということを、この三回とも私は指摘申し上げているわけであります。
それで、本
会議で御指摘申し上げたときの橋本
総理の御
答弁がここにあるのですが、お読み申し上げます。「
金融システムについて
お尋ねがございましたが、
不良債権の
処理は着実に進んでおります。そして、個々の
金融機関の経営
状況はさまざまでありますけれ
ども、
金融機関全体としては、私は
不良債権問題を克服することは可能だと考えております。また、
金融システム改革を進めるに当たりまして、
金融機関の
不良債権を速やかに
処理いたしますとともに、
金融三法の枠組みを最大限活用することによって、システム安定に細心の注意を払って」いく。ここで
総理、三つ間違えたんですよね、今振り返ると。三つ間違えています。
まず第一、
不良債権の
処理は着実に進んでいる。着実になんか進んでいないですね。大変な持ち越しをしている。それどころか、この景気の悪化で再生産さえされている
部分がある。
それから二つ目、
金融機関には
不良債権を
処理して克服する力があるとおっしゃっている。これも間違い。
それから三番目には、
金融三法の枠組みでシステムの安定ができるとおっしゃっている。これも間違いですよね。だって、十一月に大変な
金融システムの動揺が起きた、そして、あの
金融三法じゃだめだということで、
金融四法をおつくりになったわけですから。
総理、今振り返ってみて、やはりあのとき新進党あるいは野党、私
どもが言っていたことに耳をかして、
不良債権処理が
日本の景気を立て直すためにキーになるポイントだと、なぜあのときお気づきにならなかったのですか。なぜ外国人に言われると、今回のように急にぱっと変わって、
不良債権、
不良債権と言い出すのですか。これは情けない。何で外圧に遭わないとわからないのですか、私
ども野党の主張に耳をかさないのですか。
総理、いかがですか、この点。具体的に私聞いております。