○谷口
委員 この五月十二日に月例
経済報告が出ておりまして、それを見ますと、また大変厳しい
状況になっております。御存じのとおりに、完全
失業率も、二月に比べまして三月は〇・三
ポイント上がって、現在、三・九という極めて厳しい
状況になっております。また、百貨店の販売等々を見ますと、大変
消費が落ち込んでおるというのを如実にあらわしております。また住宅の販売戸数も、ここに来て急激に低下しておる。
それにつけ加えて心配されるのは、デフレスパイラル。デフレスパイラルに入ったんじゃないかと。先日の、これも五月十二日の日銀の発表によりますと、四月の卸売物価指数は、ことしに入って四カ月の下落でございまして、十年九カ月ぶりの大幅な下落になっておる。デフレの傾向がいよいよ強烈に出てきた。エコノミストによりますと、既にデフレに突入したというようなことさえ言われております。
我々は従来から、先ほども同僚
議員がおっしゃっておりましたが、この
財政構造改革という趣旨は十分理解ができるわけでありますが、今の
経済状況を十分勘案したときに、まずやらなければいけないことがあるだろう、それは
景気の
活性化ではないか、このように強く言っておるわけであります。
実質のGDPを見てまいりますと、七年度が、実質GDP二・八%でありました。また、八年度は三・二%でございまして、この九年度予算で、いわゆる緊縮予算、デフレ予算を
政府は組まれたわけでございます。本来これが、
経済財政中立予算が執行されておったら、持続的な成長
軌道に乗ったはずであるというようにエコノミストが言っておるわけでございます。
昨年四月に、あの
消費税の引き上げ、
特別減税の
廃止、また社会保障関係費用の引き上げ、これら合わせまして九兆円の負担増を
国民に押しつけたわけでありますが、私は、あのときに
政府はどのように考えていらっしゃったのか、大変不思議に思うわけでございます。小石につまずいて、こけたぐらいじゃなかったのかと。すぐに立ち上がるのではないか、このように思ったんじゃないですか。しかし、四月以降どんどん
景気が悪くなる一方ですよ。大変深刻な
状況になってまいったわけであります。
そのような
状況の中で、この
財政構造改革は金縛り状態で、
景気の
活性化への
政策転換ができない、
経済政策の転換ができないというような
状況の中で、ますます悪くなる一方というのが現状ではないのか、このように思うわけでございます。
今やらなければいけないのは、私は、この
財政構造改革という
法律を棚上げして、凍結する。我々野党三会派で昨日共同提案することに決まったわけでありますが、そのように凍結をして、まず目いっぱい
景気対策を講ずるということが大事なのではないかというように思います。
アメリカで
財政赤字が大変な状態でありましたが、この五年間で急激に減少した大きな理由の
一つは、五五%が
景気拡大
効果である、このように言っております。
このような
財政構造の改革には、歳出を削減する、また増税をして増収を行うということだけで
財政構造改革ができるのではなくて、
財政構造そのものの
構造改革をやっていかなければいけません。
今の
状況を考えますと、
経済はデフレギャップが生じておる、このように言われております。いろいろはかり方、計算の仕方があるのでしょうが、GDPの一二、三%のデフレギャップがあるのじゃないか、このように言われております。そうしますと六十五兆円程度のデフレギャップがある。エコノミストによりますと、十四、五兆円と言う方がいらっしゃいますが。このようなデフレギャップがあるような
状況の中では、先ほど出ておりましたが、レーガノミックスの折のラッファー・カーブというのがありますね、税率の引き下げによって増収を生じさせるというのは、あのときには大変厳しい批判を受けたわけです。ところが、このようなデフレギャップが生じておるときには、十分そのようなことは考えられるわけであります。
そこで、先ほどから議論になっております減税の問題になるわけでございます。恒久減税が果たして今回の
財政構造改革でできるのかどうかというようなことになるわけでございますが、これはまた後ほどお尋ねをいたしたいというように思いますが、先ほど私が申し上げました、アメリカの
財政赤字がこの五年足らずのうちに急減した理由は、これは米国
政府の資料によりますと、五五%の
景気拡大
効果であったと。
先進国の共通課題である
財政再建を進めるに当たって、
景気や民間活力への配慮が極めて重要であるということを米国
政府はおっしゃっておるわけでございます。
財政赤字を今急いでやらなければいけないというヨーロッパ、また
我が国に対して、増税であるとか歳出削減に寄り過ぎて
景気を冷やし過ぎないようにと、このように言っておるようであります。
そういう
状況の中で、私は、この
財政構造改革法そのものが、先ほどから申し上げますように金縛りになっており、また今回の法案そのものも、これも後ほど
お話をさせていただきたいというように思うわけでございますが、社会保障関係費用のキャップをなくしたり、目標年次を先送りにしたり、弾力条項を入れたりというような形で、形は残っておるけれども精神はなくなってしまった、こういうようになったのではないか、私はこのように思うわけであります。
私たちは昔、新進党で、私もおりました。新進党におったときに……(発言する者あり)十八兆円減税というのを我々が叫んだわけであります。そのときに、今与党の諸君が笑われましたが、潮笑に似た批判を我々は受けたわけでありますが、あのときに我々の申し上げておった減税をやっておれば、今回、この三十兆円に上るような公的資金の導入、また十六兆円に上るような大型
経済対策をやっていなかったと思いますよ。何か大きな
景気の問題、破局的な、破滅的な
景気の問題が出てきたときにそれに対して行うとか、外圧があるから、外圧の結果、
経済対策を行うとかいうようなことではこれはだめなわけでありまして、私たちは、そういう意味で先見性があったというように思っておるわけであります。
また、それ以外にも何点か申し上げております。
九五年八月に法案を出しておるわけでございますが、有価証券取引税、九五年八月に出しておりました。これは否決されたわけであります。九五年八月に我々は出したわけでありますが、九八年一月に与党の方はこれを出されて、半減でございましたがやっている。
取引所税も同じく九五年八月に我々は出しておるわけでございます。これを本年一月に成立させたわけであります。これも半減で成立させておる。
地価税も、九五年八月に我々は法案として、凍結すべきであると言っております。これも九八年、本年の一月に凍結。
法人税の税率につきましても、我々は、国際的整合性の観点から見ますと実効税率を四〇%にすべきである、このように言っておったわけでありますが、ここへ来て、本年の法人税法の改正で、これは満足いくわけじゃありませんが、四六・三六%、このようなことになって、先ほど
総理の
お話を聞いておりますと、三年以内に四〇%にしたいというような御答弁があったというように思います。
特別減税につきましても、我々は継続すべきだと言っておったわけでございますが、これは否決されたわけであります。そして、ここへ来て急にまた、
特別減税をやるのだ、このようにおっしゃったわけであります。
国民は、新進党の折に我々が掲げた
政策は正しかったのだと、今私が地元に帰っていろいろな話をしますと、あのときの
政策は正しかったですね、このように言いますよ。今
政府のやっていることは、全く意味がわからない。外圧がかかれば
経済対策を行う、あのときにやらないと言っていたことをやる、こういうような連続で、極めて
国民の信頼感を失ったのではないかというように思うわけでございます。
先ほど出ておりましたが、本年の本予算の
審議の前に既に
補正予算を行うというようなことを自民党の幹部がおっしゃる。それで株価を上げる。三月末の株価はどんなことがあっても一万八千円にしたいのだというようなことをおっしゃる。そのために、簡保であるとか郵貯の自主運用の
部分をPKOで株式市場に入れるのだと、恥ずかしげもなくおっしゃる。
今、
我が国はビッグバンをやろうといたしておるわけでございますが、ビッグバンというのは、御存じのとおり、開かれた市場にしていこう、
我が国の
企業だけではなくて、どんどん海外のプレーヤーに入ってきてもらおうと。そのときには、ぜひとも必要なのは、透明性、また情報公開ですね。そういう
状況の中で、今私が申し上げたようなことが行われておるというようなことで、私は大変遺憾に思っておるわけでございます。
今とらなければならないのは、一貫した
経済政策、それも、明確に従来の
経済政策を転換したということを
宣言することであるというように思うわけでございますが、
総理の御所見をお願い申し上げたいと思います。