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1998-05-19 第142回国会 衆議院 環境委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十九日(火曜日)     午後二時十一分開議 出席委員  委員長 山元  勉君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 福永 信彦君    理事 岩國 哲人君 理事 佐藤謙一郎君    理事 田端 正広君 理事 武山百合子君       愛知 和男君    石原 伸晃君       大野 松茂君    桜井 郁三君       砂田 圭佑君    戸井田 徹君       持永 和見君    山中 貞則君       小林  守君    冬柴 鐵三君       前田  正君    中村 鋭一君       藤木 洋子君    土井たか子君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         環境庁企画調査         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君         環境庁水質保全         局長      渡辺 好明君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局企画課長   羽入 直方君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部計画課         長       松井 英生君         運輸省航空局飛         行場部関西国際         空港課長    鈴木 久泰君         海上保安庁警備         救難部警備第一         課長      齋藤 貞夫君         環境委員会専門         員       鳥越 善弘君     ————————————— 五月十九日  地球温暖化対策推進に関する法律案内閣提  出第一一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地球温暖化対策推進に関する法律案内閣提  出第一一一号)      ————◇—————
  2. 山元勉

    山元委員長 これより会議を開きます。  本日は、本会議が延長いたしまして、間際になって開会をおくらす措置をとりました。御迷惑をそれぞれおかけしたのだろうと思いますが、おわびを申し上げます。  ただいま付託になりました内閣提出地球温暖化対策推進に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。大木環境庁長官。   地球温暖化対策推進に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕
  3. 大木浩

    大木国務大臣 ただいま議題となりました地球温暖化対策推進に関する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  地球温暖化は、地球全体の環境に深刻な影響を及ぼし、その防止人類共通の課題であることから、平成四年五月、気候変動に関する国際連合枠組条約が、さらに,本条約に基づいて、昨年十二月、二酸化炭素等温室効果ガス削減についての法的拘束力ある数値目標等を定めた京都議定書が採択されたところであります。この京都議定書において、我が国は、平成二年を基準として、平成二十年から二十四年までの温室効果ガス排出量年平均値を六%削減するとの法的拘束力のある削減目標が採択されています。  一方、我が国の現状を見ますと、二酸化炭素排出量はここ数年増加基調にあり、実施可能な対策を現段階から講じていかなければなりません。  このような状況の中で、地球温暖化対策推進を図るため、今般、この法律案提案した次第であります。  次に、法律案主要事項について、その概略を御説明申し上げます。  第一に、国、地方公共団体事業者及び国民それぞれが地球温暖化防止のために取り組みを行う責務を定めることとしております。  第二に、地球温暖化対策に関する基本方針閣議決定をもって策定することとしております。  基本方針においては、地球温暖化対策推進に関する基本的方向、国、地方公共団体事業者及び国民のそれぞれが講ずべき温室効果ガス排出抑制等のための措置に関する基本的事項政府がその事務及び事業に関し温室効果ガス排出抑制等のため実行すべき措置について定める計画に関する事項温室効果ガスの総排出量相当程度多い事業者について、温室効果ガス排出抑制等のための措置に関し策定及び公表に努めるべき計画に関する基本的事項等について定めることとしております。  第三に、地方公共団体は、みずからの事務及び事業に関し、温室効果ガス排出抑制等のため実行すべき措置について定める計画を定め、それを公表し、また、措置実施状況について公表することとしております。  第四に、温室効果ガスの総排出量相当程度多い事業者は、単独にまたは共同して、温室効果ガス排出抑制等のための措置に関する計画を策定し、これを公表するよう努めるとともに、講じた措置実施状況公表に努めなければならないこととしております。  第五に、国民日常生活において発生する温室効果ガス排出抑制等を促進するため、都道府県知事地球温暖化防止活動推進員を委嘱すること、国及び都道府県地球温暖化防止活動推進センターを指定することができることとしております。  このほか、政府による我が国の毎年の温室効果ガスの総排出量公表温室効果ガス排出抑制等に資する施策実施に関して関係行政機関の長に対する環境庁長官による協力要請、必要な罰則等に関し所要の規定を設けることとしております。  以上が、本法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 山元勉

    山元委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 山元勉

    山元委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  本案審査のため、来る二十一日木曜日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、 そのとおり決しました。     —————————————
  7. 山元勉

    山元委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井郁三君。
  8. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 自由民主党の桜井郁三でございます。  ただいま議題になりました地球温暖化対策推進に関する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。  先ほど本会議でもう既に御説明をいただきまして、質疑応答があったわけでありますが、その中で、二十一世紀に向かっては、これから日本が行くべき道というのは環境問題であろうというようなことが認識の中にあるのだろうと思うわけであります。  特に、昨年の十二月に京都国際会議をやりまして、いろいろ御苦労があったわけでありますが、各国の妥協あるいは話し合いの中でそれぞれ数値目標が決まったということは、大木長官も大変御苦労されて成ったのではないだろうかと思うわけであります。そういうようなことを受けまして、今回の地球温暖化対策、これをどう具体的にしていくのかということではないだろうかと思うわけであります。  特に、私たちが生きていくためには、これから地球環境というものを真剣に考えていく、そして私たちの次の世代のために大切な地球を守り、残していくことが私たちの責任ではないだろうかと思うわけであります。限りある資源有効利用やリサイクルなど、真剣に考えるときであろうと思うわけであります。豊かさとは、単に物質の豊かさだけではなく、心の余裕と豊かさをあわせ持つことが真の豊かさだということを、私たちが今こそ実行し、次の人たちに身をもって伝えていくことではないだろうかと思うわけであります。  人間は自然を構成する一員にすぎないということを自覚し、地球に生を持つものすべてとともに生きる共生の時代、こういうことであろうかと思うわけでございます。今こそ国の内外を問わず、人類、動物の生態系、あるいは地球環境をしっかり守っていくことではないだろうか。  そのためには、地球環境を守ることと同時に、豊かな生活経済を両立させていくということが重要ではないだろうかと思うわけであります。昨年の十二月に我が国京都において国際会議が開催されまして、この会議において地球温暖化問題に対する取り組みを定めたわけであります。それが京都議定書。この中で、各国は二〇一〇年前後までに温室効果ガス排出量を一九九〇年レベルから、日本は六%、アメリカは七%、ヨーロッパは八%削減するということを決めたわけであります。  この議定書に約束されました日本削減は六%であります。これを実施していくということが大変重要ではないかと思うわけでありますが、今後、いかに対策具体化するか、これがかぎではないだろうかと思うわけであります。そこで、まず、我が国数値目標である六%削減の達成を含めた京都議定書実施についてどのようなお考えがあるか、お聞きを申し上げます。
  9. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生から御紹介のございました京都議定書でございますが、ここで定められました温室効果ガスの六%削減という我が国にとっての目標は、大変厳しいものであるというふうに認識をしております。  内閣におきましては、この六%削減を目指しまして、先ほど本会議でも総理から御答弁がございましたように、地球温暖化防止について具体的かつ実効ある対策を強力に推進するために、京都会議直後に総理自身本部長となって地球温暖化対策推進本部を設置し、ことしの一月九日、第一回会合を開きまして、今後の重点的な取り組みについて決定をしたところでございます。  その後、政府といたしましては、省エネルギー法改正案に続きまして、地球温暖化対策推進法案閣議決定いたしますとともに、四月二十四日には、総合経済対策におきまして地球温暖化防止のための社会資本整備を加速するなど、着実に温暖化対策具体化を図っているところでございます。  また今後、京都議定書実施のためには、排出量取引などの国際的な仕組みの具体的な構築でございますとか、あるいは途上国を含めた全世界取り組みを一層進展させるための準備を進めることが必要でございます。環境庁といたしましても、こうした国際ルール構築に向けた検討に積極的に貢献していきますとともに、途上国対策の支援に尽力をしてまいりたい、このように考えております。
  10. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 温室効果ガス排出量は年々ふえているわけでありますし、一九九〇年代から比較いたしまして、現在もう既に一〇%近くふえているということであります。  とにかく、今のような状態でいきますと大変なことになるということで、この傾向そのものを変えていく必要があるのだと思うわけであります。そのためにも、できるだけ早期対策に着手することがまず重要であると考えておりますが、今後どう取り組んでいくのか、お考えをお示しいただきたいと思うわけであります。
  11. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、我が国温室効果ガス排出量は残念ながら現在増加基調にございまして、このまま放置をいたしますと、我が国目標は一九九〇年比六%削減ということでございますから、その目標に対してますます遠ざかってしまうということでございまして、将来非常に急激で厳しい対策実施せざるを得なくなるおそれが強いわけでございます。そういったことから、京都議定書締結あるいはその発効を待つことなく、今日の段階でとり得る対策から早急に講じていく必要があると考えているところでございます。  このため、環境庁といたしましては、地球温暖化対策推進に関する法律案あるいは省エネ法改正案を初めとする関係制度による対策早期実施し、温室効果ガス排出抑制対策がすべての主体により効果的に推進されるように、関係省庁ともども連携をいたしまして施策を進めてまいりたい、このように考えております。
  12. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 ありがとうございました。  今説明をいただきました京都議定書実施、あるいは温室効果ガス排出削減に向けた政府取り組みの中で、今回の温暖化対策法案、これが中核的な役割を果たすべきものと考えておるわけでございます。  政府としては、この法律がどのような役割を果たすこととしているのか、御見解をお伺いしたいと思うわけであります。
  13. 大木浩

    大木国務大臣 本会議でもきょう御質問がありまして、これは温暖化対策についての総括的な法律であるかということ、それからもう一つは、京都議定書との関連というような御質問もありました。  まず、後の方の京都議定書ということから申し上げますと、京都議定書自体がまだ非常に不確定な部分が残っております。そういうことで、今回は、京都議定書を引用して、言うなれば、国際条約ができたからそれを実施するための国内法律だという形にはあえてせずに、とにかく今できることを順番に進めようということでございます。気持ちとしては、京都会議でいろいろ決まったことをこれからできるだけ進めていこうという、そういった全体的な構えをひとつ整理させていただきまして、政府はもちろんでありますが、地方公共団体あるいは事業者、あるいは国民お一人お一人にも、それぞれの立場、それぞれの分野で協力できることをお願いしたいということでございます。  ただ、これもまた本会議でもちょっと御質問がございましたが、差し当たりはできるだけこの法律の中では自主的にやっていただくことをとにかく進めていただくということでございますので、余り罰則とかあるいは義務づけとかそういうこと は、公表をしていただきたいとか、こういう計画をつくっていただきたいということにつきましては、都道府県等についてはある程度の義務といいますか、それをお願いしておりますけれども、どちらかといえば、全体としては、まず国民全体がひとつ温暖化対策に参加していただきたい、こういう気持ちをできるだけ法律の形でまとめさせていただいた、そういう性格のものでございます。
  14. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 ありがとうございます。  今、大臣からお話がありましたような、京都議定書自身そのものが、終わりということではなく、これからスタートすることだ、そういうことでは今後ともいろいろな問題が多く残されているということだろうというふうに私は思うわけであります。  それと同時に、京都議定書我が国が批准しなければならないし、また各国早期に批准していかなければその効果というものが発揮できないことでございます。我が国における議定書の批准及び議定書早期発効に向けてどのように取り組んでいくのか、また、どのようなスケジュールを想定しているのかをお伺い申し上げる次第であります。
  15. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  私ども、京都議定書採択自体は歴史的な転換点ともいうべき大変重要な第一歩である、このように考えておりますし、先般のサミットでもそのような認識が共有されたところでございますが、ただいま御指摘のとおり、この京都議定書そのものにつきましては、京都会議で終わりということではなくて、今後まだまだなすべきことが多く残されていることも事実でございます。  そこで、我が国といたしましては、COP3の議長国といたしまして、京都議定書早期かつ着実な実施に向けまして、各国議定書締結そして早期発効を促すためにも、我が国自身早期締結に努力していく必要がある、このように考えております。  しかしながら、この京都議定書締結のためには国会の御承認をいただかなければなりませんし、そのためには、また国内京都議定書実施いたします上で必要な制度整備が必要でございます。その前提といたしまして、例えば排出量取引などの議定書実施についての国際的なルールの見通しを得る必要があるわけでございます。したがって、締結にはこうした問題についての国際的な議論が煮詰まることが必要でございまして、そのためにはある程度の時間が要るのではないか、このように考えている次第でございます。
  16. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 この京都議定書には排出権取引共同実施という新しい仕組みルールが設けられていますが、その実施のための細かな取り決めは、国際的なルールとして今後定めていくこととされているわけであります。  このルールを定める交渉京都議定書内容を深めていく上で重要であり、我が国としてもこれに積極的に貢献すべきと考えております。どのようにお考えなのか、お聞きを申し上げたいと思います。
  17. 浜中裕徳

    浜中政府委員 先ほども申し上げましたとおり、京都議定書は極めて厳しい目標が課せられたというふうに認識をしております。こうした各国について決められました目標をできるだけ費用対効果の高い方法によって達成していくために、国際的なそのための仕組みといたしまして、先進国の間では排出量取引共同実施、そして途上国との協力によりましてクリーン開発メカニズムというようなものが新たに仕組みとして定められたわけでございます。  こうした制度の具体的なあり方につきましては、今後の国際交渉によって決定されることになっておりますが、当面、この六月に開催をされます条約補助機開会合や、十一月にアルゼンチンのブエノスアイレスで予定をされております第四回締約国会議、いわゆるCOP4でございますが、そこで本格的に検討がなされることとなっております。  そこで、我が国といたしましても、京都会議議長国として、このような非常に重要な制度検討を深めるべく国際的な検討作業に積極的に貢献をしてまいりたい、このように考えております。
  18. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 今いろいろと、これからやらなければならない問題というのはたくさんあるわけであります。この温暖化対策そのものをどうこれからやっていくのかということになりますと、私は、環境庁のこれからの仕事というのは大変大きなものになるのだろうというふうに思うわけであります。  そういうふうに思いながらも、例えば十年度の予算を見てみますと環境庁予算が非常に少ない、あるいは人も非常に少ない、調整省庁だというようなお話を聞いているわけでありますが、私は、こういうような大変重要な議定書をやって、これを具体化していく中においては、やはり環境庁主導的立場をとっていかなければならない。あるいは、二十一世紀環境時代と言われているそういう中においては、環境庁そのものがしつかりリーダーシップをとっていかなければならないのだろうというふうに思うわけであります。  そういう中においては、私が今まで見た中では、環境庁というのは何かお手伝いをしている、あるいは各省庁調整の中で消えてしまっているというようなことを非常に感じるわけであります。どちらかというと、例えば省庁の再編成の中でも環境省というしっかりしたものがあるわけでございますので、環境庁そのものがこれからしっかり前に出てやらなければならない。  それには、人をふやすのならふやす、あるいは予算が少ないのならそれを大きくしていく。厚生省予算がいっぱいあったり、農林省にあったり、通産省にあったりということで、何となく地球温暖化予算というのは日本全体としてはいつばいありますよというようなお話があるわけでございますが、それでは環境庁がどういう立場で何をやっていくのか、こういうものをしっかり見せていかないと、世界から見て、日本環境問題をやっていないじゃないか、こういうことではないだろうか、こんなことを私は思うわけでございます。  それと同時に、先ほどの本会議でもありましたように、これから日本国民一人一人が意識の改革をしていかなければならない、そういう中で、これからの温暖化あるいは環境そのもの考えていかなければならないわけであります。そういう中では、環境庁の問題というのは大変大きなことでございます。  お伺いいたしますが、環境庁温暖化関係の本年度予算はどのようになっているのか。あるいは、前年度と比較いたしましてどうなっているのか。本年度予算において、京都会議を受けた施策が盛り込まれているのかどうか。額がわかれば教えていただきたいと思うわけであります。
  19. 大木浩

    大木国務大臣 細かい数字をもし必要でしたら後からまた政府委員にお願いしますが、予算あるいは定員ということでいいますと、確かにもともと非常に少ないわけでございまして、平成九年度に五十四億が今度は六十九億、それから人員につきましては十一名が十三名。これはあくまで温暖化ということに焦点を置いて、そのための予算であり人員でございますけれども、確かに、これでこれからの温暖化対策が全部できるかといえば、全くそれだけでは十分でございませんから、各省庁がお持ちの予算あるいは人員というものも一緒に、何と申しますか、上手に協力しながら活用させていただきまして、これからの対策を進めなければならないというふうに思っております。  また、環境庁環境省に移るというところについては、またいろいろと御議論いただいているところでございますし、仮に決まった後でも、また今度、設置法等々でどういうふうになるかという細目についてはさらに御協議をお願いしなければいかぬわけでございますが、できるだけ、本当の意味で中心的な立場に立って、現場まで踏み込んで仕事ができるような環境庁あるいは環境省をひとつつくりたいというふうに念じております。
  20. 浜中裕徳

    浜中政府委員 予算の具体的な数字等について御説明を申し上げたいと思います。  環境庁平成十年度の地球温暖化対策関係の当初予算でございますけれども、総額で約六十九億円ということでございまして、九年度がおよそ五十四億円でございましたので、約十五億円の増加、二八%程度増加でございます。さらに補正予算で現在これに三億円の上積みの要求を申し上げているところでございます。  これらのうちで、京都会議を受けた主な予算措置でございますが、二、三例を挙げさせていただきますと、まず、先進的な温暖化対策実施検証等のための経費といたしまして二億一千万円を計上してございます。これは、温暖化防止効果があることはわかっております、そして技術的にもめどが立っておりますが、社会的に十分普及していないような先進的な対策を選びまして、一定の地域機関社会実験というような形で実施をいたしましてその効果を広くお示しをする、そういうことで理解を深めて対策本格実施への基盤をつくっていこう、こういうねらいでございます。  例えば、自動車利用代替をいたしまして公共交通機関利用を促進する。都心部などで道路の空間が非常に限られておりまして、自動車利用が集中をいたしますと渋滞を起こす、あるいは大気汚染温暖化ガス排出を招くといった問題が出てまいりますが、そうした地域におきましてこれを公共交通機関代替をする。あるところで自動車利用から公共交通機関に乗りかえていただく、そういったようなものが一つの例でございますが、こういった先進的な対策についての実施検証等経費ということでございます。  それからもう一つの例は、国内での普及京都議定書の意義などについての普及でございますとか各種の取り組みを促進するために、市民、国民の参加、行動に重点を置いた取り組みを進める。こうした経費といたしまして一億三千万円を計上をしておりまして、こうした新規施策全体といたしましては総額約八億三千万円の予算を計上しているところでございます。
  21. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 今の長官お話、あるいは予算を聞かせていただきますと、確かに、環境庁というのは随分、いろいろな省庁からすると大変遅くできたというようなことで人も少ない、あるいは予算も少ないということでございますが、昨年の十二月に京都で開いた国際会議、そしてなおかつ次の国際会議までの議長国である、そういう中では、世界に向かって、これだけの予算をつけた、経済大国になった日本環境にはこれだけしっかりやっているんだよということをやはりアピールする必要があるのだろう。  そういう中においては、全体の数字からすると、大変少ない金額ではないだろうか。九年度が五十四億、あるいは十年度が六十九億。その九年度の五十四億にしても、京都会議の開催の費用も入っているのだろうと思うのです。ですから、そういうのを除くとそれほどではないのだろうというふうに思うわけでありますけれども、その辺をもう少し大きくしていく。そして、世界にしっかりやっているんだよというような形でやれるような何かアピールの仕方というものをもっと考えていく。あるいは通産省の方から温暖化、あるいは厚生省の方からそれぞれ組んでおるものをそっくり環境庁に移してもいいのだろうというふうに思うわけです。  その辺は、省庁間でやるとなかなか難しくて、お答えがそのとおりですというわけにはいかないのだろうと思うのですが、そのぐらいのことをやりながら環境問題を真剣に考えていく必要があるというふうに思うわけでございますが、具体的に環境庁としてどう取り組んだり、体制を強化していく必要があるのかをお伺いをしたいと思うわけであります。
  22. 浜中裕徳

    浜中政府委員 ただいま申し上げましたような平成年度予算において、私どもといたしましては、京都議定書実施のための新規施策も含めまして、大いにその充実をさせていただいてきているというふうに認識をしてございますけれども、今後さらにそれを充実させていく必要があろうかと考えますし、ただいま御指摘がございましたように、世界にそれを大きくアピールをしていく、そして来年度以降もさらに工夫を重ねていく必要があろうか、こういうふうに考えております。とりあえず具体的な形におきましては、平成年度予算では、先ほど申し上げましたとおり、予算額として五十四億から六十九億に増額をしたということでございますし、体制上も、平成十年度には、地球温暖化対策に直接携わる職員といたしまして、従来の九年度の十一名から純増二名ということで十三名に増員を認めていただいているということでございます。  また、これのみでは十分な推進を必ずしも図ることができませんので、庁内に地球温暖化対策推進本部、これは環境庁推進本部でございますが、こういう形で設置をいたしまして、大臣が先頭に立って取り組む形をつくったわけでございます。そうした推進本部のもとで全庁的な取り組み推進している、関係各局の担当者も参加をして全庁的な取り組み推進している、こういうことでございます。  私どもといたしましては、こうして、まず計上されました予算、体制を最大限活用して、京都会議議長国として、議定書実施に向けた取り組みを一層積極的に推進していくように努力をさらに重ねてまいりたいと考えておりますが、今後とも、そうした積極的な取り組みが一層展開できるようにさらに勉強を進めてまいりたい、このように考えております。
  23. 大木浩

    大木国務大臣 事務的に言うとそういうことになるわけでございますけれども、何といっても、例えば十一人を十三人にふやしたからといって、それでちゃんとできるかといえば、とてもできないわけでございますし、今、環境庁全体の予算もまだ一千億にも達していないような状況ですから、やはりいろいろなところで各省庁がお持ちのものも活用させていただいて、全体の姿をもう少しきちっとしたものにしなければいかぬというように思っております。  私、個人的に、環境庁長官になりましてから感じていることは、一つは、やはり国際的にこれからいろいろと日本の主張もしていかなければいかぬということになりますと、例えば外務省にも国際会議の要員がいるわけですから、そういった中で専門家をさらに養成していただく。実は、かなり何回も会議に出て事実上の専門家になっている人がおりますし、そういう人の京都会議なんかでの活躍ぶりを見ておりますと、急に入ってきた人よりははるかに有能な仕事ができるわけですから、やはりそういった各省庁とも人的にも連携してやらせていただきたい。  もちろん、先ほどもちょっと今度の新しい法律についての御説明を申し上げましたが、差し当たりは国民全般に向かって、とにかくやってください、あるいは自治体でもやってください、こういうわけですが、そのためには、やはり国民の皆様方あるいは自治体が、この温暖化対策というのは本当に自分たちの問題だ、早くやらなければいかぬという認識を持っていただかなければならないので、そのためのPRをよほど上手にやらなければいかぬ。そういう意味におきましては、各省庁あるいは内閣も持っております。そういった広報の費用も使わせていただいて、これからできるだけ効率的なPRもやらせていただきたいと思っております。
  24. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 今、大臣のお話がありましたように、環境庁予算そのものが、平成九年度でも〇・一%、十年度でも〇・一%ということでございます。ほかの省庁と比べて大変少ない。こういうことで、確かに環境を売り出すためには、環境庁予算がこれだけありますよ、環境庁の職員がこういうような発言をしておりますよという形で、やはり前面に出てくるような何か仕組み、国全体の仕組みを変えていく、こういうようなことでなければならないのだろう。これは要望でございますが、これからもそういう形で積極的な御努 力をしていただくことをお願い申し上げるところであります。  それと同じように、先ほどから何遍も言っておりますように、一人一人が考え方を変えていかなければこれからの環境というのはできないわけであります。先ほど本会議の中でも、そのためには教育というようなものをしっかりやっていかなければならないということでございます。私は、子供の教育というのも大変重要でございますが、子供の教育だけではなく、社会教育、大人の教育にもやはり取り組んでいく。子供の教育というのは文部省であろうと思うのですが、それでは、大人の教育というのは、先ほど、どういうふうに広報活動をしていくのかというようなお話があるわけでありますが、それこそ環境庁が主体的に考えていくものではないだろうか、こんなことを思っているわけであります。  そういう環境教育、子供も含めて、どのような取り組みをしていくのか、お伺いをしたいと思うわけであります。
  25. 浜中裕徳

    浜中政府委員 地球温暖化防止を図っていくための環境教育の重要性という点の御指摘をいただいたわけでございます。  環境庁といたしましても、温暖化防止するためには、国民各界各層の幅広い合意と協力を得ることが非常に重要である、そういうために足元からの取り組みを進めていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。  具体的に申し上げますと、例えば子供も含めてということでございますが、子供を対象にいたしましては、小中学生を対象といたしまして、地域の中で自主的、主体的に環境学習あるいは環境保全活動を行えるように、こどもエコクラブというものをつくりまして、これを支援しております。全国のクラブに共通の学習活動プログラムをつくり、これを提供し、子供たち自身やサポーターあるいは自治体の担当職員に向けての、そういう職員向けのニュースレターなどを発行し、あるいはいろいろな交流、研修事業等を行っております。  それから、環境カウンセラーという制度も設けておりまして、事業者環境保全の取り組みや市民の地域での活動に対して助言を行えるような人材を登録し、育成していこうということでございます。環境庁におきましても、そうしたカウンセラーに対する研修を行っているところでございます。  それから、地球環境に関するいろいろな資料、情報を整備いたしまして、市民にそれを積極的に提供していけるような、そして交流の場も提供していこうということで、地球環境パートナーシッププラザというものも、これは東京の青山でございますが、国連大学本部と協力をいたしましてそうしたパートナーシッププラザを開設し、運営をしている。  一例でございますけれども、このようなさまざまな形で、地球温暖化対策推進も含めまして、環境教育の推進を図る努力をしているところでございます。
  26. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 「地球温暖化対策推進大綱の策定に向けて」という推進本部でつくっているものがございますが、この中に、「省エネルギー型の新しいライフスタイル」ということで、夏は二十八度以上、冬は二十度以下というような温度設定を設けておる。この中に、新しい衣料や職場においての服装について、国民事業者から広くアイデアを求めますというようなことが書いてあるわけであります。  私は、今まで国会で一年半、いろいろ見たりあるいは勉強させていただいた中で、議論というのは非常にいいことをしているわけでありますけれども、では具体的に何をやるのかということがなかなかできない。今回の場合は、国民の意思をどう変えていくのかということを、まずみずから、例えば私たち会議員、国家公務員あるいは地方議員だとか地方公務員、こういう人たちがやはりきちっと見せていく、そういうことも必要なんだろうと思うわけです。  特に、夏になりますと、日本というのは大変暑いので、背広とネクタイをして、暑いのに我慢をして活動している。あるいはホテルやデパートへ行きますと、背広を着なければならないような温度設定をしている、半そでで行ったら寒過ぎる。こういうようなことを繰り返していて、私は、では夏に、背広だとかネクタイ、何か必要なものがあるのだろうかと。  私たちもいろいろな会合へ行くのですけれども、何となく議員は着ていなければいけないということで着て行くわけでありますから、私たちが率先して背広やネクタイをとっていく、そういうようなところからスタートしていかなければいけないのだろう。省エネルックみたいなものをつくったわけでありますけれども、そういうわざわざつくるのではなくて、ワイシャツでもいいのじゃないでしょうか。私たちが堂々とワイシャツのまま会合に行ける、そういうような日本をつくっていくことも必要ではないだろうかと思うのです。  この辺の、具体的にやって一人ずつの考え方を変えていくということについてはいかがでしょうか。
  27. 浜中裕徳

    浜中政府委員 まさに御指摘のとおり、政府がまず率先して環境保全の取り組みを行うということは、政府のみずからの活動に伴って発生する環境負荷を減らすという効果がございますとともに、国民に自主的な、積極的な環境保全活動を促す上でも非常に重要だというふうに考えております。  こうした観点から、ただいま御指摘のございましたような、夏に上着をやめる、ネクタイを外すというようなところまではまだ具体的にいっておりませんが、政府といたしましても、平成七年六月に率先実行計画というものを閣議決定をいたしまして、行政事務実施に当たって環境保全上配慮すべき事項目標を定めて、各省庁の連携のもとにすべての省庁の御協力をいただきまして、今その推進に努めているところでございます。  その上で、さらに五月十四日の地球温暖化対策推進本部内閣推進本部でございますが、これの幹事会におきましても、政府がみずから率先して、低燃費車、低公害車の購入でございますとか、新エネルギーを導入する、自転車の共同利用を霞が関で進める、こういった取り組みを重点的に進めていくということを申し合わせたところでございます。  私ども環境庁といたしましても、ただいま非常に具体的なお知恵も授かったところでございますので、そうした身近な取り組みも含めまして、温暖化防止の率先的な取り組みにつきまして、関係省庁と連携して一層強力に推進するように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  28. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 具体的にぜひそういうようなことを上からやっていただければ、私どもも、どうしても議員というのは背広を着てネクタイをして行かないと怒られるのですね。ですから、それが、みんなそれをやっていると、ああ背広もネクタイも要らないのかというような形になりますので、どちらかというと官主導型というのはよくないのかもしれませんけれども、ぜひ官主導型でやっていただければありがたいのかな、こんなことを思っております。  それからもう一つは、これから環境への負担というものを非常に少なくする、ごみの問題だとかいろいろな問題があるわけでございますが、このごみの問題にしてもいろいろ、エネルギーを少なくしていくようなことを、最初から、生産するところからそれを考えていく。こういうことで、ごみになるときにはリサイクルするのだというような形で、もう生産の時点からしっかり考えていく、そういうような社会システムというものをしっかりつくっていく必要があると思うのですが、それについてどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。
  29. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答えいたします。  今日の環境問題の多くは、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会活動や生活様式といった今日の社会のあり方に根差しているというふう にまず基本的に認識しております。このような生産、消費を見直して、環境に負荷をかけない持続的発展が可能な社会に変えていくことが必要だろうというふうにまず基本的な認識を持っているわけでございます。  このための具体的な取り組みといたしましては、平成六年に閣議決定されました環境基本計画のもとに、まず一つには、廃棄物、リサイクル一体となった物質循環を促進する総合的な社会システムの検討を開始するということで、現在、中央環境審議会で審議をいただいているところでございます。  二つには、今先生指摘のように、製品の製造から廃棄までの環境負荷に関する情報をまず一方では消費者に対して、それからまた一方では、中小企業を含む幅広い事業者の活動全体にわたる環境負荷を低減させるためのガイドライン等をつくりまして製造者にそれぞれ提供いたしまして、消費者及び製造者の活動を環境保全に配慮したものに誘導していくための取り組みを行っております。  さらには、事業者が策定したすぐれた環境行動計画については積極的に表彰するというような制度も設けて取り組んでいるところでございます。
  30. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 時間もなくなってまいりますので、最後の質問をさせていただきたいと思います。  温暖化対策一つとしてサマータイム制度の導入があり、政府地球温暖化対策推進本部幹事会においても、サマータイム制度検討項目の一つとして盛り込まれております。サマータイムを導入すれば、明るい日中を有効に使うことができ、それだけエネルギーを使わず、温室効果ガス排出抑制に役立つと考えております。  一方で、サマータイム制度を導入すればさまざまな方面に影響が及び、国民的コンセンサスづくりが大切になると思うわけであります。  政府として、どのようにサマータイム制度推進し、その導入に向けたコンセンサスをつくろうとしているのか、最後にお伺いをしたいと思います。
  31. 浜中裕徳

    浜中政府委員 サマータイム制度についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、サマータイムにつきましては、省エネあるいは二酸化炭素の排出抑制に非常に効果がある、あるいは国民地球環境に優しいライフスタイルを工夫して実現をしていくきっかけにもなるというメリットが考えられる反面、国民生活事業活動にいろいろな影響を及ぼすということから、導入に当たっては広く国民的な合意形成が欠かせないというふうに考えております。  こうしたことから、御指摘のございました地球温暖化対策推進本部幹事会で申し合わせをいたしましたサマータイム導入についての国民的な議論でございますが、この具体的な進め方といたしましては、地球環境と夏時間を考え国民会議といったものを開催していこう、そこで国民各界各層の御参加をいただきまして活発な議論をしていただこうということを考えております。  今後、こうした議論を踏まえまして平成十年度中をめどにいたしまして結論を得ていきたい、そして、そうした結論を踏まえまして夏時間の導入についての合意形成に向けて環境庁としても積極的な役割を果たしていきたい、このように考えております。
  32. 桜井郁三

    桜井(郁)委員 どうもありがとうございました。
  33. 山元勉

    山元委員長 次に、佐藤謙一郎君。
  34. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 民主党の佐藤謙一郎でございます。  今回は、地球温暖化対策推進に関する法律案につきまして質問をさせていただきます。  去年の、興奮といいますか、日本地球益というテーマであれほどに盛り上がった京都会議、ことしに入って、新聞等を拝見し、テレビを見ても、徐々にそうした意義というものが国民の間から薄れてしまっているのではないかなということを危惧している者の一人であります。  そんな折に、こうして地球温暖化に対する法律案環境庁長官を中心に大変な御努力で、御苦労で提出をされたということに敬意を表しますと同時に、しかし、私ども、国会議員あるいは国会、地球温暖化問題に国会が何をすべきなのか、あるいは国会としてどう考えるのかといったことを今痛切に考えているところであります。国会自身がまさに突きつけられた、そうしたテーマであるように考えられます。  まず冒頭、環境庁長官、この法律案に点数をつけるとしたら大体何点ぐらいか、お示しをいただきたいと思います。
  35. 大木浩

    大木国務大臣 最近は何か、政府の答弁で、政府としては現段階では最もいい法律案だ、こういう説明をいつもしておりますので、これはいろいろと話をして、差し当たりできるものとしては最上のものをつくり上げたということで御審議をお願いしておりますけれども、先ほどもちょっと本会議で申し上げましたが、私は、今後相当に、いろいろな意味で手直しをしなければ、最終的には温暖化防止の目的には十分でないというふうに感じております。点数、数字の方はちょっと御無礼いたしますけれども、そういう性格のものだと思っております。
  36. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 数値目標は無理だったわけですね。  私は、環境庁長官の先ほどのお話から一つ危惧を抱いているのは、すべきことよりできることという表現があったと思いますけれども、すべきことよりできることを我々がやっていたら何の問題の解決にもならないのではないのか。特にこの地球温暖化という大変つらい、我々の次の世代、そしてさらに次の世代に、我々の世代が何ができるかではなくて何をすべきかが今問われているときだと思うのです。そういうときに、できることから始めるというそうした姿勢が、そういう世相が先送り先送りのこうしたあいまいな時代をつくってしまっているのではないかなというふうに考えます。  次に、先ほど来二、三の方に御答弁をされておられましたけれども、この法案は京都議定書を受けたものではない。私たちは基本法というすべき論でこうした法律ができるのかなという思いで待ちくたびれていたわけでありますけれども、これは位置づけとしては準備法といいますか、京都議定書を受けたものではないという説明がなされていますけれども、もう一度御確認をさせてください。
  37. 大木浩

    大木国務大臣 京都議定書を受けたものではない、私はそういう趣旨のことを申し上げた、それは確かでありますが、法律論を申し上げると、まず京都議定書がまだ発効しておりませんので、でき上がった国際条約があってそれを実施するための国内法という位置づけは、ちょっと無理じゃないかという感じがしております。  しかしながら、こういう国内法を提出いたしましたきっかけは、もちろん京都会議でああいう京都議定書というのができたわけですから、当然それを意識しながらこれからも内容を十分に詰めていかなきゃいかぬということでございまして、京都議定書自身も、これからCOP4以降いろいろな国際会議を経てだんだんに内容が充実してまいります。あるいは変わってくるところもあるかもしれないというわけでありますから、そういう意味では、京都議定書を根拠として、そのための国内法ではないけれども、やはりきっかけにはなったというふうに考えております。
  38. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 いろいろと新聞の社説なんかを見てみますと両論あるわけで、早く成立させろという論調もありますし、例えば朝日新聞では「この法案では非力だ」、あるいは読売新聞は「温暖化対策はこの法案で進むか」というような書き出しであります。私は、ある新聞社の論説委員の方にお目にかかったときに、これはもう法律でなくてガイドラインだというようなことまで言われて頭を抱えてしまったわけであります。六%という数値目標があって、国内法でどうしてそれを実現していくのかというまさにぎりぎりのときに来て、残念ながら準備法的なものでしかないという ことに一様に失望する人が大変多いのだろうと思います。  であるならば、なぜここで、拙速といいますか急いで今出すのか。二弾ロケットの第一弾だという説明を我々は聞くのでありますけれども、第一弾目のロケットということにしては余りにもこのロケットを軌道に乗せる出力があるかどうか心配だという世論もあるわけで、この第二弾ロケットをどう大きくしていくかということについて、先ほどから手直しも必要だということもありましたけれども、環境庁長官として、これは土台なのだ、これから基本法のようなきちっとしたものはっくるのだというそのイメージを、ただ単に、COP4だ、いや、議定書の国会での承認までという逃げではなくて、積極的なそういう御覚悟といいますか、その辺をお示しいただきたいと思います。
  39. 大木浩

    大木国務大臣 先ほど京都議定書がまだ発効していないと申し上げましたが、これは全体として発効していないわけでありますけれども、日本としては批准の手続は進められるわけでございますから、それはできるだけひとつお願いしたいというふうに考えております。  これからできるだけ進めなきゃいかぬけれども、今こういうものを、内容が言うなれば非常にふわっとしたものをつくる、どういう意義があるのかということでございます。どちらかといえば、自発的にやってくれとか罰則は設けないとか、そういう意味においては内容は非常に緩いものでありますけれども、少なくとも、温暖化対策のためにどういう方がどういうフィールドでやらなきゃいかぬかというようなことをある程度全体として国民にも示したし、それから日本政府としてもこういう枠組みの中でこれからやっていくということを示したという効果は私はあると思うのです。  特に、これからCOP4以降毎年毎年また会議があると思いますが、今非常に大きな問題になっておりますのは、一つは、やはり途上国もいずれ参加してもらわなきゃいかぬ、そのためには先進国の方もきちっと国内的にも措置を進めておるということを示すためにひとつこういった総括的な法律をつくっておいた方がいいのじゃないかという感じがしております。  それともう一つは、先ほど政府委員からもお話がございましたけれども、これから具体的に詰めていく。例えば排出権取引、これはまた排出権取引だけが前面に出て国内措置が後ろへ行ってしまってはいけない、そういう議論があります。しかし、京都会議の中で排出権取引という話がやはり全体をまとめる一つの大きな要素にはなっておりますから、これについてはきちっと詰めていかなきゃいかぬということですから、そういったものがだんだんに固まってくれば、それはまた国内法律にもこれから反映できると思います。  言うなればその全体を受け入れる一つの箱と申しますか袋と申しますか、そういったものをまずつくっておいて、そこの中にだんだんに内容を充実していけばいいのじゃないか。少なくとも、そういったものをつくったということで、内外に政府の姿勢を示す意味はあるのじゃないかというふうに考えております。
  40. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 私は、今まさにお話があったように、排出権取引等々の話がありますけれども、国内法でできることからという姿勢が続いていくと、例えば吸収源の問題ですとか排出量取引ですとか共同実施といった国際制度の設計に係る部分に逃げ込んでいく、そういう世論ができてしまうのじゃないのかなということを非常に危惧しているのです。  もちろん、これからCOP4、COP5と、いろいろと我々は厳しい環境の中できちっとした議論、とりわけ大木環境庁長官COP4までは議長としての主導的な立場というものがおありなわけですから、そうした国際間のいろいろなルールづくりを主張すればするほど、国内でもこれだけやっているのだということを示し続けていくということが大事なのではないかなというふうに考えます。  そこで、今回の法案が京都議定書に対応する法案ではないということが私にとっては非常に残念でありますけれども、例えばこういうことはどうでしょうか。気候変動枠組み条約で確認されている究極の目標というのがありますね。これは、気候系に危険な人為的影響を与えることとならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること。これは、京都議定書はともかくとして、気候変動枠組み条約でまさにその究極の目標を目指しているはずであるわけですから、そうであるとするならば、法案の目的にこの究極の目標を明示するべきではないだろうか、私はそう考えますがいかがでしょうか。
  41. 浜中裕徳

    浜中政府委員 まず、私の方から事務的な点についての御答弁を申し上げます。  先ほど来大臣が申し上げておりますとおり、この法律案は、京都議定書に盛り込まれた排出量取引等の実施の細目がまだ国際的に検討を要する段階でございまして、議定書への加入、発効というものが直ちに近い将来に予見されているというわけではございませんが、そうした今日の段階から、京都議定書で定められた数値目標の達成を初め、今後の地球温暖化対策を進めていく土台を築くということを目的として国内での取り組みを規定したものでございます。  それに対しまして、温室効果ガスの大気中の濃度の安定化という条約の究極の目的でございますけれども、これは釈迦に説法でございますけれども、温室効果ガスは、地球大気中に放出されますと対流によって全地球に拡散をしてまいりますので、どこの国から出たものも究極的には結局地球大気の中でまぜ合わされて同じようになってしまうということでございます。そうした地球大気の温室効果ガス濃度を安定化させますためには、条約あるいは議定書といった国際的な枠組みに基づいて、我が国も含め、世界各国排出抑制に取り組むことが不可欠だと考えております。  そうした観点からは、我が国の単独の措置だけを定めた今回の国内法で地球大気の温室効果ガス濃度の安定化を目的とするということは法制上は適当ではないのではないか、このように考える次第でございます。
  42. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 環境庁長官にも、この究極目標を明示するべきだと私は考えておりますけれども、お考えをいただければと思います。
  43. 大木浩

    大木国務大臣 今度の京都議定書というのは、もちろん一九九二年のリオ以来のディスカッション及びその基本になります気候変動条約というものをもとにしておることは確かでございますし、いろいろな究極の目的というのもそれはもちろん条約の中には書いてあるわけですけれども、それを受けていろいろやってきたということ、そして、必ずしも具体的にはそれが動かなかったということで、そういった、ずっといろいろなプロセスを経てやっとここまで、京都議定書ができたということでございますので、今また戻ってというと言葉が悪いのですが、形の上でもとの条約に戻ってそれがスタートだということになりますと、その後の議論とちょっと離れるのじゃないかな、私は個人的にはそういう感触を持っております。  しかし、先生がおっしゃいました、基本的にはまずそこがスタートじゃないか、そういうものをどこかに盛り込めないかということは一つのお考えだと思いますから、法律自体に仮に書き込まないにしても、いろいろなところで、それを目標にしてこれからひとつやろうというような意思表示というのはできると思いますので、その辺のところはひとつ引き続き勉強させていただきたいと思っております。
  44. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それじゃ、引き続きその件はお願いをしたいと思います。  次に、今回の法案で、これはある新聞の社説にも出ておりますけれども、「内容的には中央環境審議会の答申などから後退した。」というふうに書いてございます。この件につきましては、先ほど来御答弁もあり、あるいは私どもは環境庁から も、中央環境審議会の中間答申と今度の法案についてのいろいろな説明も受けているわけでありますけれども、環境庁長官は、この法案が中央環境審議会の中間答申から大きく後退した内容となっているかどうか、大きくというのはちょっと省略させていただきましょう、多少なりとも後退した内容になっているのかどうか、その点の御認識をお聞かせください。
  45. 大木浩

    大木国務大臣 中環審の答申もいろいろなことが書いてあるわけでございまして、言うなれば、だんだんにこれからこういうことをやりなさいということが書いてありますから、中環審の言っていることが全部今回の法案で実現されたとはもちろん考えておりません。中環審の考え方も、だんだんに手順を追ってということでございますから、別に、中環審の言っていることと離れたというか、それに反してとか、そういうことではないと思います。  ただ、これは、現実に今いろいろと議論をして、政府部内ではこの程度のものしかできなかった、この程度のものしかというのは言葉はちょっと悪いかもしれませんけれども、皆様方がそういうふうにお受け取りになるからあえて申し上げますけれども、この程度のものしかできなかったわけでありますから、これが終わりではなくて、さらに今後の改良といいますか充実、そういうことについては当然にこれからも努力したいと考えております。
  46. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 大変御苦労があったということは私も嫌というほどわかっているつもりであります。しかし、その苦労の多寡によって正当化されるというものでもないわけでありますし、これからまた、ともに、少しでもいい法律をつくっていくことに協力できればというふうに思っているわけでありますけれども、そうであるならば、だんだん手順を追って中央環境審議会の中間答申に書き込まれていることを実現していくんだというふうに御理解をしてよろしゅうございますね。
  47. 大木浩

    大木国務大臣 方向としては、当然そういうふうに考えております。
  48. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 ありがとうございます。  特に今度の中間答申の中で私が非常に大事なことだなと思っているのは、「京都議定書内容を実行していくためには、」「社会構成員の広範な賛同と参加を確保でき、多数の政策手法と多数の社会経済主体の取組を体系化することができる総合的な仕組み構築する必要がある。しかも、この仕組みは社会的に透明性のある形で運用されていくべき」であるとされていますけれども、この法律案が社会的に本当に透明性のある形になっているのだろうか。その辺をお聞かせいただきたいと思うのと、これからこういう手順で透明性を確保していく、現法案ではこうだけれども、それから先こういう形で実現をしていきたいというようなお考えがあれば、ぜひとも御答弁をお願いしたいと思います。
  49. 浜中裕徳

    浜中政府委員 本法案は透明性のある形になっているか、こういうことでございますけれども、先生御承知のとおり、この法案は、政府地方公共団体の実行計画、それから事業者排出抑制等計画につきまして、計画とその実施状況公表することを求めているわけでございます。基本的に、こうした措置によりまして、社会的に透明な形での各方面の取り組みが進むものと考えております。  私ども、例えば政府の実行計画に例を挙げさせていただきますと、その作成あるいは実施状況の報告につきましては中央環境審議会の御審議をいただくことも想定しているわけでございまして、そうした審議過程で国民の皆様方の意見も反映できるのではないかというふうに考えております。また、その実行計画実施状況についても、本法案に基づきまして、環境白書といった方法もございますし、その他の適切な手法によって広く国民公表することも考えております。  こうしたことによりまして透明性の確保が図られるものというふうに考えているところでございますが、この中央環境審議会の御指摘は非常に重要な点を御指摘いただいておりますので、今後ともそうした透明性の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  50. 大木浩

    大木国務大臣 今、透明性という言葉での御質問でございましたので、私もさっきから一生懸命考えておったのですが、ある意味では、今度の法案というのは非常に透明性というか、むしろ、国民が一例えば各事業体なり各企業でもいいのですが、どういうことをするのだということをしっかりと見ていただいて、それを受けてまた各企業が、これだけ努力しているのだということをPRと申しますか、大いに国民に向かって示していただくという意味では、透明性と申しますか、ますます透明になるためのきっかけになれば、こういうふうに考えておるわけでございます。透明という意味が、何か物を隠してそれが透明でないということでなくて、むしろ、これだけやっているということを各企業なりあるいは地方公共団体が競って大いに自分のところのPRをしていただければ、それが国民全体としての力になるのではないかというふうに期待しております。
  51. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 環境庁もこの法律案の意義について、四月二十八日の提出のときに、これは、各社会経済団体がみずから策定した計画やその実施状況国民に広く公表することを環境行政の基礎的な手段として初めて導入する点で特色のある法律案ですというふうにうたっているんですね。まさにここに国民は拍手をするであろうし、そうしたものに大いに期待を寄せてくるのだと思うのでありますけれども、例えば、そうした情報提供にしても、それから市民参加、国民参加という透明性の確保の中で、先ほど答弁で中央環境審議会という言い方がありましたけれども、この縦割り行政の中で、中央環境審議会が本当に市民の声を幅広く吸収をする、そういう手だての一つになっているかどうかというと、いろいろと難しい点もあろうかと思います。  そんな中で、透明性のある形でこの法案をこれからも運用するためには、基本的な事項政府計画策定に際して、市民参加や情報公開というものが法律上保障されていなければいけないのじゃないか、あるいは、基本的な事項政府計画についてのフォローアップの手続も市民参加や情報公開が法律上保障されていることが必要だと私は考えているのですけれども、この法案にはもちろん明記をされていません。  それでは実際、どのような手続で市民参加や情報公開を図ろうとされておられるのか、その辺をお聞かせください。
  52. 浜中裕徳

    浜中政府委員 実際にどのような手続で市民参加や情報公開を確保するのかというお尋ねでございます。  この法案におきましては、第七条で、基本方針政府が定めるということでございますが、この基本方針は、地球温暖化対策を総合的、計画的に進めていくために国や地方公共団体事業者国民といった各主体が講ずべき措置の基本となる方向などを決める非常に重要なものだと考えております。  したがいまして、その手続につきましても、私どもといたしましては、中央環境審議会の御意見をいただくことを考えております。御意見をいただきながら、案の作成を行うことが必要と考えております。この中央環境審議会は、環境基本法におきまして、環境の保全に関する基本的な事項でありますとか重要事項を調査審議するとされているわけでございますから、この温暖化対策推進法案におきます基本方針も、当然中央環境審議会の審議事項に該当するものというふうに考えているわけでございます。  こうした中央環境審議会での御審議に当たりましては、現在、原則として中環審は公開で開催をしておりますし、いろいろな審議の過程におきまして、重要な問題については、公開での審議のほかに国民の御意見をいただくというような仕組みも設けているわけでございます。そうした形で、国民の御意見はその中央環境審議会の審議を経る中で適切に反映していけるのではないか、またそ のようにしていきたいというふうに考えているところでございます。  また、政府の実行計画については、先ほど御答弁を申し上げたとおりでございまして、中央環境審議会での御審議などを通じて、あるいはその実施状況の幅広い公表を通じて、市民参加、情報公開を確保する努力をしていきたい、このように考えております。
  53. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 わかりました。  今、基本方針の話が出たので、私ども、これは指摘だけさせていただきますと、例えばこの基本方針推進本部の大綱とどういうふうに整合性を持っていくんだろうかというようなことも大変心配なところでありますが、時間がありませんので、先に進めさせていただきます。  今、中央環境審議会、公開ということで、それはそれで私は大変すばらしいことだというふうに思いますが、より大きな、より幅広な市民参加というものをこれから私たち考えて、実現していかなければいけないというふうに思っております。そんな中で、今度のCOP3の成功というのは、内外のNGOの努力によるものであると私は、それだけではもちろんありませんけれども、NGOが大変大きな力を発揮し得たというふうに考えておりますが、そうした私どもの認識についてどうお考えか、お聞かせください。
  54. 大木浩

    大木国務大臣 京都会議もそうでございますし、実は、私も環境庁長官を拝命して昨年からいろいろと見ておりますと、確かにNGOがいろんなところで、この地球環境問題を含めて環境問題について大いに国民の関心を喚起していただいておる、そういう意味でのその役割というのは非常に高く評価したいと思います。  ただ、今の、これから政府とどうやって一緒に共同して仕事をしていくか。今御質問には直接入っておりませんでしたけれども、例えばいろんな国際会議政府と一緒にNGOも出たらいいじゃないかとか、そういうような議論はいろいろあると思います。これは国によってその辺の状況も違いますし、また会議にもよりますしということですから、私は、形はともあれ、これからもできるだけそれは、こういった国際的な仕事、あるいは国際的な会議ではNGOさんも参加できるような場があれば、それは非常に結構だと思っておりますが、今、今度の温暖化対策京都会議の後、ちょっとこれは大変失礼なことを申し上げるのですけれども、NGOさんも、そこで非常に活躍されて、ちょっと疲れたと言っては言葉が悪いのですけれども、その後、私どもと余り、接触が少ないのですね。もちろん、いろんなところでお目にはかかっております。  ですから、むしろ、これは批判のための批判ではなくて、ではこれから、例えばCOP4に向けてどういう形で皆さん方の意見を述べていただこうかと、これは私の方もある意味で一生懸命考えておる、そういう心境でございますので、どうぞその辺をひとつお酌み取りいただきたいと思います。
  55. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 どうも次の質問お答えをいただいたようなので、それは飛ばして、実はここでNGOをなぜ私が出してきたかというと、透明性の高い運用をするために、例えば今回、温暖化防止推進センターへ市民参加の道を開いていくべきだというふうに我々は考えております。  そういう意味では、去年の京都会議で十分市民というセクターが市民権を得たというふうに考えるわけですけれども、こうした、特に全国センター、これもどういうところを想定しているのか、今そうした想定ができるところが具体的にあるのであれば、その辺もお示しをいただきながら  お答えを願えればと思います。
  56. 浜中裕徳

    浜中政府委員 地球温暖化防止活動推進センターへの市民参加の問題、あるいは全国センターとしての想定はどういうところかというお尋ねでございますが、まず、この地球温暖化防止活動推進センターそのものにつきましては、その目的は、やはり市民の温暖化防止活動を支援し促進するということでございます。そういう意味で、センターの活動をより効果的、効率的なものにしていくためには、市民の日常生活の実態を適切に反映した事業を進めていく、こういったことが大切であろうと考えているわけでございます。  こうしたことから、私どもといたしましても、このセンターは、市民の相談に応じて、市民生活の実態を把握し、調査、分析をしていく、そして、どういう取り組みをすると効果的に温室効果ガス排出を抑制することができるか、こういったことなどを明らかにしていく、こういった事業を規定しているわけでございますが、そうした事業効果的に進めますためには、やはり市民の方々の参画が望まれるわけでございます。  ただ、どういうふうに具体的にその参加のあり方を考えていったらいいか、こういったことにつきましては、実際に市民の皆様方が参画をして進めていただくのはやはり都道府県のセンターだろうと思いますので、こうした都道府県のセンターは基本的に都道府県知事に監督をゆだねざるを得ないと考えておりますし、センターそのものも民間法人でございますから、なかなか上から一律にというわけにはまいりませんが、それぞれのセンターで工夫をしていっていただく必要があろうかと考えております。  基本的には、冒頭申し上げましたとおり、国民の皆様方の声を聞き、効果的にその取り組みを支援していくことがこのセンターの目的でございますから、それが可能となるようにセンターの活動を推進してまいりたいと考えております。  また、全国センターにどういう団体といいますか組織が想定されるかということでございますが、全国センターといたしましては、いろいろな公益法人で、既に、地球温暖化防止のための市民の普及啓発でございますとか、日常活動における温暖化防止取り組みを進めている団体がございまして、環境庁とも密接な連携を図って、例えば百万人の誓いといった運動を進めている団体もございますし、また、省エネルギー、省資源といったことで実際の取り組みを進めておられるところもございます。こうした公益法人の中から最も適切と思われるところを選定をさせていただきまして指定をしてまいりたい、このように考えているところでございまして、まだ具体的にどの団体ということを想定しているわけではございません。
  57. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 ひとつその辺の選定につきましても、扱いやすいといいますか、そういうような法人、団体ではなくて、きちっとこれからの環境問題を見据えていける、その核となるようなそういう団体をお願いしたいと思います。  時間も迫ってまいりましたので、最後に、実は私、大変今心配をしておりますのは、地球温暖化防止行動計画、一九九〇年に地球環境保全に関する関係閣僚会議が行動計画を作成したわけでありますけれども、この国内的な地球温暖化対策の柱となっております「一人当たりの二酸化炭素排出量について二〇〇〇年以降概ね一九九〇年レベルで安定化を図る。」というところでありまして、「官民挙げての最大限の努力により、」という、非常に大げさな表現としか僕は思えないわけでありますけれども、この「官民挙げての最大限の努力」というのが一体どういうものであったのか、そして本当にこの達成は可能なのか、それを環境庁長官は今どういうふうにお考えになっておられるのかというのが一点。  それから、先般の省エネ法改正案の審議において、これは仄聞するところでありますけれども、資源エネルギー長官が、事実上、地球温暖化防止行動計画推進をあきらめたかのような答弁がなされたと聞いています。その辺、もしも事実とすれば大変ゆゆしきことだと思いますし、政府としてこの計画の総点検をするお考えがあるのかないのかについてお聞かせいただきたいと思います。
  58. 浜中裕徳

    浜中政府委員 まず、事実関係につきまして申し上げたいと思います。  行動計画目標の達成がどうなのか、達成可能なのかという点でございますけれども、一九九六 年度の一人当たり二酸化炭素排出量は、炭素に換算をいたしましておよそ二・七トンと推計されるわけでございます。一九九〇年度の一人当たり排出量は二・四八トンでございますので、これに比べまして約八%増加をしているところでございます。こういう状況でございますので、この一人当たりの排出量を二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年の水準で安定化させるという行動計画目標の達成は一このままでございますと非常に困難な状況にある、そういうように認識をしております。  官民挙げて最大限の努力をするということになっていたはずなのに、一体それは何だったのか、実際になぜ達成できなかったのかというお尋ねもございました。  行動計画は、御案内のとおり、基本的に国の施策をまとめたものでございまして、事業者地方公共団体取り組みについては、国がその支援をしていくということだけが書かれているわけでございます。  そういうことでございますので、国といたしましては、みずからの対策推進はもちろんでございますが、こうした事業者地方公共団体などの取り組みについてももちろん支援の努力はしてきたつもりでございますが、基本的に、これまでの国の施策につきましても、地球温暖化防止を主目的に掲げた施策は非常に限られたものでございまして、むしろ既存の施策の運用の改善の範囲にとどまっていたものが多いわけでございます。また、この行動計画では、事業者取り組みについての基本的な方向などを示すということまでは行っておりませんで、そういったこともあり、その自発的な取り組みも進展しなかったのではないか。  こういった限界がございまして、なかなか排出量の抑制が目標どおりには進まなかったのではないか、このように考えているところでございます。
  59. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 事実関係は伺えなかったのですが、もう時間ですので、二点だけ。  今、困難だとさらっと言われてしまったので、何も言いようがないのですけれども、その困難だという答えが出てくるということは、できることからやってしまっているからだと思うのです。すべきことをやるという覚悟がなければ、私は、未来永劫何もゴールに達しないというふうに考えております。  それから、国だけではだめだというお答えがありましたから、だからこそ事業者や公共団体にも我々は厳しい何かを突きつけていかなければいけない、そこから地球温暖化対策というのが始まるのではないだろうかということを私は最後に申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
  60. 山元勉

    山元委員長 次に、小林守君。
  61. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林です。佐藤委員質問に続きまして、お聞きをしていきたいというふうに思います。  今、地球温暖化防止行動計画の評価について佐藤委員の方から、要は、たすべきことをせずにできることからやってきたというようなことではこの問題の解決にはならないし、今日、九六年段階で九〇年レベル比でCO2では九%の増加になってしまっている、あと二年余の期間の中で実際に九〇年レベルに戻せるのかというようなことについては、極めて困難だ、もうだれが見ても困難な状況にあるということでございまして、私は、それらの反省や評価を踏まえた上で今度の地球温暖化対策推進法が出されねばならなかったのではないか、このように思うわけであります。今、佐藤委員が話したように、やはり国、地方団体、事業者国民それぞれの義務や責任、これを明確にして示していくというものでないと、これはできない。  ある方が、現在と未来が拮抗したり対立した場合に、結局人間は現在を優先するのが常であるというようなことをおっしゃっていました。この問題は、まさに現在の経済の問題とか生活の問題と将来の生活環境の問題がぶつかる問題なんだろうというふうに思います。そういう点で我々は、常に現在に負けている、負けてしまう、妥協してしまう、常に先送りをしてくる、こういうスタイルをとってきたのではないか。まさに今我々がよく、財政の問題、経済構造の問題も含めて批判をさせていただいているところでありますけれども、常に先送りの姿がこの温暖化防止という行動計画の結末にも出てきているのではないか、このように思います。こういう問題は臨機応変の措置ということはあり得ない、このように言わなければなりませんし、実効性をしっかりと確保するようなことで出されなければならないというふうに思います。  そういう点で、もう一度長官の方から、この地球温暖化防止の行動計画についてどういう評価をし、どういうところで困難な状況に至ってしまったのか、これを総括していただいてから、この温暖化対策推進法についてお聞きをしていきたいなというふうに思います。
  62. 大木浩

    大木国務大臣 一九九〇年の行動計画というのが一つ目標値を定めてやってきたわけですけれども、それがどうも、あと二年しかないのに、達成されるかといえば達成されない、残念ながら、極めて遺憾ではありますけれども、達成される見通しはない、こう言わざるを得ないと思うのです。  なぜできなかったかということについては、先ほど政府委員もいろいろ申し上げましたけれども、そういったものが全部積み重なって、要するに国としてそれだけの機運を巻き起こすというかつくり出すことができなかったということでは、当然政府の努力いかんということもあるわけでございますから、その点については大変残念に思います。  ではこれからどうするか、こういう話につながってくるわけでございます。今回の法案、いろいろとそういったことを意識してっくったのか、こういうお話になるわけでありますが、もちろんそれは、過去の実績がそういうことであって、例えばその行動計画が十分に達成されないということは認識をしております。先ほどのお話で、できることだけやって、やらなければならぬことを、お言葉をちょっと忘れましたけれども、やらなければ、いつまでたっても達成されないぞというのは、これは確かにそうだと思います。  ただ、あえて申し上げれば、私どももそういうことでいろいろなところで、例えば産業界とも話をしておるのでありますが、産業界としてもやはり地球温暖化問題の重要性は十分認識しておる、こういうことをおっしゃいますから、それじゃひとつとにかくできることをやってみてくださいという気持ちで今回の法律をつくっております。  それからもう一つ、これはちょうどきょうたまたま、アメリカ人でレスター・ブラウンという非常に環境問題については有名な人で、先生方も御存じの方も多いと思いますが、彼が来ていろいろ言っていたのです。人間に何かやれと言っても、やはりそれのためのインセンティブがないとなかなか動かないということでございますから、今言ったような環境問題というものをこれからの我々の生活なり経済なりに組み入れて、そして持続可能な経済であり、持続可能ないろいろな計画でありということにしなければならぬ、それを認識させることが一つと言っておりました。  それからもう一つは、これはインセンティブという意味では、うまくいけば非常に力になると思うのですが、環境インダストリーというものをもっとしっかりと育てるような努力をしなさい、こういうことも言っておりました。ですから、その辺がこれからの私どもの目標であると思います。  ただ、そういったものを今すぐにこの法律の中に書き込めるかということになりますと、法律をつくるということになりますと、また法律論もあるものですから今のところ書き込んでおりませんが、そういったことも頭に置きながら、必要があればまたこれを、そういったことをだんだんに法律の中に書き込んだ方がよければ、そういったこ とも検討したいというふうに私は、ただいまのところはむしろ私の個人的な感触みたいなものでありますけれども、あえて申し上げればそういうことになるかと思います。
  63. 小林守

    ○小林(守)委員 次に、大臣は本日の本会議の御答弁の中で、とりあえず、とりあえずという言葉を随分多用されていたようなんですけれども、とりあえずの法案ということではなくて、やはりきちっとした展望を持った、先ほどの答弁の中で、今後、大幅な改正も含めて見直しをしなきゃならない法律だというようなことを踏まえながらも、この法案を枠組みとしてつくったんだというようなお話ですが、ということは、とりあえずの法案なんだみたいになってしまうわけなんです。基本的に、本当に京都議定書の採択の状況も踏まえて、国内措置としては、とりあえずじゃなくて、とにかく六ガスについてはきちっと削減をする努力がもう明らかになっている、これはもうとりあえずではないというふうに言えると私は思うのです。もちろん、排出量の問題や共同実施クリーン開発メカニズムについては今後の課題というような形に残されておりますけれども、国内的な措置である対象六ガスについては、私はもうとりあえずの話じゃないというふうに思うのですね。  そういう観点に立って、総理の答弁の中でも、CO2ではマイナスニ%、それからメタン、亜酸化窒素については〇・五%マイナス、それから代替フロンは、三・五を何とか抑えてプラス二ぐらいにしたいというような答弁を既にいただいているわけなんですが、この政府一つの答弁、見解というものについて、通産省の人たちあたりから、また業界関係の中から、マイナスニというのは極めて困難で、ゼロが精いっぱいだというようなことをまた言っているのですね。  ところどころで聞くのですが、これらについては、もう言わせちゃならぬという覚悟で、環境庁長官、このマイナスニについて、これは確定された、推進本部の一つのオーソライズされた数値なんですか、それともこれからも変わり得る数値なんですか。
  64. 浜中裕徳

    浜中政府委員 事実関係だけ申し上げますと、推進本部の幹事会という組織がございまして、第一回会合を開きます際に、その前日に幹事会を開催をいたしました。その席で、ただいま御紹介がございました、先ほど本会議総理も御答弁なされました六%達成の考え方については、環境庁からこの考え方の御報告を申し上げて、各幹事の御了承をいただいたわけでございます。  そういう意味で、推進本部を中核として政府としての取り組みを進める、その共通の認識が先ほど総理お答えになったラインである、こういうことでございますから、それは事業者のお立場からはいろいろな声があるかもしれませんけれども、政府といたしましては、この三つのガスについてはマイナス二・五%という削減を達成するというのが考え方でございます。
  65. 小林守

    ○小林(守)委員 先ごろのバーミンガム・サミットにおきましても、「我が国の主張」ということで、これはきょういただいた外務省の方の資料なんですが、外務省の方で、我が国では温暖化問題についてどう主張したかというところで触れているのですが、「京都議定書が真に意味あるものとなるよう、フレキシブル・メカニズムの早急な具体的制度作りと、温暖化対策への将来的な途上国参加の必要性を訴えた。」というふうに記されています。実際に、バーミンガム・サミットの主要な論点の中では、気候変動については、京都議定書早期署名・発効に向けた行動、そして国内措置実施、補完的措置COP4への準備、途上国との協調というような項目が論議されたというようなことなんです。  この報告をいただいたのですが、ここで大事なことは、国内措置実施、それから次に補完的措置というようになっているのですね。この国内措置と補完的措置ということを理解するならば、私は、排出量の問題や共同実施クリーン開発メカニズム等の問題については補完的措置であるという位置づけが、国際的な、バーミンガム・サミットの共通理解だというふうに理解していいと思うのですが、これは間違いございませんでしょうか。
  66. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  バーミンガム・サミットにおきましても、御指摘のとおり、排出量取引などについては国内措置を補完するものである、こういう認識で一致をしております。これは、そのもとは京都議定書そのものにございまして、京都議定書にそのような規定があるということでございます。  ただ、問題は、補完的という言い方でございますから、これを具体的にどう解釈するかという問題がございまして、これらにつきましては、なお先進国の間でも今議論が引き続きなされているという状況でございます。
  67. 小林守

    ○小林(守)委員 そうしますると、バーミンガム・サミットにおいて、我が国が、フレキシブルメカニズムの早期具体的制度づくりということを主張された。これはCOP4に向けて補完的措置を早くきちっとすべきだということも確かにわかるのですが、やはり国内措置を徹底して早く取り組むということが最優先の課題だろうというふうに思うのですね。ですから、私が最初から言ったように、国内措置を、既に固まっている問題についてはどうやっていくのか、これはとりあえずの話じゃないのですね。  そういうことで、早急に詰めていただきたいと思いますし、いわゆる対象六ガスについて、数値の目標がぐらぐらするようなことがあってはならない。これはぜひ環境庁長官、そんなことがありましたら、強く否定をされて、これは国民の責務であるし、国、地方団体の義務でもあるんだということを強く打ち出していただきたい、このように思う次第であります。  それで、地球温暖化防止行動計画が達成できない困難な状況を迎えてきたという大きな原因の中に、今お話がございましたけれども、そのほかに、省庁調整の不備、それぞれ勝手にやっているみたいなところ、それから、協力体制ができていない、それぞれの省益みたいなところにこだわって、本当の意味での国益なり地球益に考えが及んでいないのではないか。  こんなことで、今度の法案などを見てまいりますと、極めて不十分だと言わざるを得ないところがございます。法律の第三条二項の国の責務と調和条項の問題、あわせて、同じように、関係行政機関協力の問題で、他省庁に対して極めて弱腰の表現になっているのではないかと強く感じているところがございます。また、既にお話がありましたように、中央環境審議会答申の表現からは随分後退をしてしまった法文になっていると思います。  特に、第三条第二項関係の言葉を読みますると、「国は、温室効果ガス排出抑制等のための施策推進するとともに、温室効果ガス排出抑制等関係のある施策について、当該施策の目的の達成との調和を図りつつ温室効果ガス排出抑制等が行われるよう配意するものとする。」非常に回りくどい言い方になってきているのですが、私は、極めて簡単に言うならば、「も」を入れて、「関係のある施策についても温室効果ガス排出抑制等が行われるよう努めねばならない。」これだけでいいのではないか、このように思います。  要は、「当該施策の目的の達成との調和を図りつつ」などというのは、これはどこかの省庁から差し込まれた言葉なんだろうというふうに思いますが、やはり、国を挙げての責任であり義務なんだというところが、省益みたいなところに相当ブレーキをかけられていると言わざるを得ないわけであります。  また、中環審答申では、「温室効果ガス排出量や吸収量を増減さぜる国の施策事業において温室効果ガス排出を抑制する義務があることを明らかにする必要がある。」ここまで明確に言い切っています。  ところが実際には、当該施策の目的の達成との調和を図りつつ抑制が行われるよう配意するもの とする、こんな言葉になってしまったわけなんですけれども、こういう言葉になってきた経過について、ちょっとお話しいただけないでしょうか。
  68. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  この三条の二項でございますけれども、ここでは、国の責務といたしまして、温室効果ガス排出抑制等のための施策推進するということはもとよりでございますけれども、直接排出抑制等をねらいとしていなくても、温室効果ガス排出関係のある施策は非常に幅広くあるわけでございますから、そうした施策について、ただいま御指摘がございましたが、やはりそれぞれの施策の本来の目的があるわけでございますから、そうした目的の達成との調和を図りながら排出抑制等が行われるよう配意する、意を配るということでございます。これは、各施策には、今申し上げましたとおり、当然それぞれの施策の本来の目的があるわけでございまして、その本来の目的を超えて排出抑制等を目指すということには無理があるということは認めざるを得ないわけでございます。  そうしたことでございますけれども、この規定によりまして、施策本来の目的の達成が損なわれない範囲内ではありますが、最大限温室効果ガス排出抑制等をもたらすように意を配るということになるわけでございますから、そうした点で意味があるものというふうに考えているわけでございます。  なお、直接のお尋ねはございませんでしたが、私どもといたしましては、この規定とそれから法案第十四条におきまして、排出にさまざまな施策関係をしておりますが、そうした施策において排出の抑制を推進していくために必要があると認められるときは、環境庁長官排出の抑制に資する施策をより積極的に推進することについて関係行政機関の長に要請することができる、こういう規定があるわけでございまして、この両方の規定によりまして政府一体となった効果的な取り組み推進できる、このように考えておるところでございます。
  69. 小林守

    ○小林(守)委員 説明ではそういうことになるのだろうと思いますが、まだ法律が成立しておりませんので、例えば省エネ法の改正などについて、本来ならば一体的な、総合的な温暖化対策も含めた省エネ法の改正が当然求められてしかるべきだったというふうに思うのですが、あの法案からすると、環境庁がどこにどう関与してきたのかさっぱりわからない。江戸のかたきを長崎で討つという言葉がありますが、京のかたきを江戸で討つみたいな、何か通産省の動きが見えるような気がしてならないのです。  例えば、省エネ法の改正で環境庁はどう関与してきたのか。また、家電リサイクル法の制定についてどのように環境庁は関与してきたのか。一体性、総合性という視点から、まだ法律は成立はしておりませんが、出されているのですから、当然一体的、総合的な省庁間の調整、それから環境庁長官協力を要請しているはずだ。協力要請をしたにもかかわらず結構でございますと言われたときにどう環境庁は、冗談じゃないという形での突っ張り方ができるのかどうか。その辺がどう見ても、省エネ法の改正や家電リサイクル法の制定の中で見ていると、完全に押し切られているのではないか。  協力要請をしたり、それから総合的、一体的な調整ということを言っていながら、実態はそうなっていないのではないか、このように思わざるを得ないのですけれども、いかがですか。
  70. 浜中裕徳

    浜中政府委員 まず、私から省エネ法改正における環境庁の関与について申し上げますと、省エネ法改正法案におきましては、まず、基本方針というものを定めてこれを公表する、これを閣議の決定を経て定める、こういうことになっております。そういうことでございますので、この閣議決定に当たりまして環境庁長官が関与をするということになるわけでございます。  それから、省エネルギーのための事業者の判断の基準となるべき事項を定めることになっておりますけれども、この判断基準の策定について、これは通商産業大臣が定めるということで条文上なっておりますが、事実上私どもはこれを事前の段階で協議を受け関与をすることになっております。  この法案の基本方針や基準の策定に当たってはそういうことでございますので、私ども、環境保全の観点から省エネルギーが適切に実施されるように積極的に関与をしていきたい、このように考えております。
  71. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 家電リサイクル法案の御指摘がございましたので、お答え申し上げます。  この種の法令調整としては異例なほど前広な議論をいたしました。閣議決定に先立つ三カ月ぐらい前から環境庁としての考え方を伝えまして調整をしてまいりました。  最大のポイントは、鉄その他の資源のリサイクルの際に有害化学物質が環境に負荷をもたらさないように回収、処理をきちんとする、そのためには環境庁の関与がぜひとも必要だというところがポイントでございます。  その結果、法律案におきましては、環境庁長官基本方針策定の際の主務大臣ということで位置づけられました。それから同時に、再商品化の基準をつくります場合には、これは閣議で決定をする政令ということで、言ってみれば共同作業ということになりました。私どももこの家電リサイクル法案の一翼を担っている、そういう位置づけになっております。
  72. 小林守

    ○小林(守)委員 そうしますると、家電リサイクル法の中で熱回収という問題がありましたね。有価物の熱回収、例えばプラスチックを有価物にして熱回収するときには廃掃法の適用は除外されますね。しかし、いずれにしても、排出ガスの場合は有害な化学物質が、ダイオキシン等の化学物質が心配されるわけです。実際にボイラーみたいな形で熱源として回収される施設設備については、法律上の適用については、この前の家電リサイクル法の審議の中では、大気汚染防止法の適用になりますという言い方をしていましたが、もうちょっと聞いてみますると、本当はまだなっていないのだそうなんです。それらについて環境庁では既にきちっと通産省の方には申し入れをしているのですか。
  73. 野村瞭

    ○野村政府委員 ただいまの御質問は、RDFのお話に関連しての御質問だというふうに受けとめたわけでございますが、ごみを高温で乾燥して固形化して燃料として使う、RDFと申しておりますが、これにつきましては、ごみのエネルギーとしての利用の観点に加えまして、適切な焼却処理の確保が図られている場合には、いろいろ問題になっておりますダイオキシン類の低減対策としても有益だというように私ども考えております。したがいまして、燃焼管理の徹底等を十分図るということでRDFを推進していくということは望ましいというように私ども考えておるわけでございます。  そこで、法規制との関係でございますけれども、RDFが有償で売却される場合には廃棄物の扱いを受けないわけでございます。現在のところ、有償で取引がされている事例は極めて少ないという現状でございまして、ほとんどは廃棄物としての扱いを受けているところでございます。したがいまして、このような廃棄物としてRDFを焼却する場合には、大気汚染防止法等に基づきましてダイオキシン類等の有害物質の排出に係る規制を講じておるところでございます。  一方で、ごみをRDF化して有価物たる燃料として発電等の熱回収を行う施設につきましては、先ほども触れたわけでございますが、そういう施設がほとんどないという状況下にございまして、私ども、排出実態も必ずしも十分なデータを持っていないということでございます。したがって、大気汚染防止法等におきましても規制対象としていないというのが現状でございます。  しかしながら、RDFにつきましては、先ほど申し上げたような有益な面もあるわけでございますので、今後これがふえてくるということも考え られるわけでございます。したがいまして、私ども、環境保全の立場から、排出の実態を十分調査した上で、規制対象にすることも含めまして今後の対応を考えてまいる、当然その際には通産省とも連携をして対応していきたいというように考えております。
  74. 小林守

    ○小林(守)委員 いずれにしても、環境庁環境保全で責任がある省庁であるという観点から、あらゆるところにやはり口を出していかなければ困る。協力要請を常にしていくということが大事なんだと思います。逆に言えば、こういう政策や法律は全部環境庁協力要請しますという一覧表ぐらいつくって毎年出すぐらいのことが必要になっているのではないでしょうか。  もう一つ言いたいことは、有価物だ無価物だという区分の話がありますね。それによって法律の適用が違う。しかし、有価物、無価物というのは、市場の動向によって有価物であったり無価物になってしまったりするということですね。それから、それを取り扱う人の、所有者と言っていいかどうか、その人の対応の仕方によってごみになったり資源になったりするのですね。  そういうことを考えると、これはごみだから廃掃法だ、有価物だから別の法律だというのではなくて、やはり資源リサイクル、廃棄物リサイクルの一体的なものとしてやらないと、放置自動車の問題とか放置自転車の問題とか、結局ごみなんだか資源なんだかわからぬ、しかも、資源だといって輸出して、いつの間にかそれは廃棄物だったという処理の仕方をしているとか、非常に抜けがある。豊島の問題はまさにそのとおりだったのですね。  そういう点で、廃棄物リサイクルというのは、一環の法律として、有価物だ無価物だという、市場原理、市場の動向によって変わってしまうようなものではなく、きちっとしたその処理の仕方が法律的にも一体化される必要があるのではないか。というのは、省庁法律によって違ってしまうのだから、本当にやりづらいというか、一貫性がない。やはりこの辺は今度の法改正の中でも省庁の責任として頑張ってもらわなければならない問題であろう、このように考えます。  それで、時間もなくなりますので、最後に、やはり協力要請の問題の中で、カーエアコンのフロン回収の問題とか建築用の断熱材の問題について。  今度の家電リサイクル法では、政省令で冷蔵庫やエアコンの代替フロンや特定フロンについては回収を義務づけますということを間違いなくおっしゃられました。その辺まで環境庁はオゾン層保護法の主務官庁でありますから当然かかわっているし、なかなか回収が進んでいないという実態もあるし、強力な温暖化物質でもあるわけですから、これは回収・破壊しなければならないわけですね。  そういう点で、当然ながら、家電リサイクル法からは除外されてしまった自動車のエアコンの中のフロン、それから建築用断熱材の中の発泡剤としてのフロン、これらについて、環境庁は今後ほかの関係省庁に強く働きかけていかないと、個別法であっちへやったりこっちへやったりしてされていては困るのです。一体的、総合的な施策推進する義務があるわけですから。  そういう点で、カーエアコンや断熱材について、環境庁としては今後どの省庁にどう働きかけていくのか。法律までできるのかどうか。個別法を別につくってやるのか、それとももうちょっと別な形で考えていくのか。少なくとも、冷蔵庫とエアコンだけで、ああこれで結構でございます、大分進んだという話にはならぬ。これはもう必ずやってもらわなければ困る。どうですか。
  75. 野村瞭

    ○野村政府委員 カーエアコンを含めます特定フロンにつきましては、私ども、これまで関係省庁から成りますオゾン層保護対策推進会議でいろいろ取り決めをしてきたわけでございます。  直近では、昨年の九月に新たな取り決めをいたしまして、機器ごとに関係者の役割分担でありますとか費用負担のあり方を示したところでございます。これに基づきまして、カーエアコンがフロンを含む特に中心的な機器になるわけでございますけれども、通産、運輸等の関係省庁から所管の業界団体に対しまして、回収等に取り組むよう要請が行われたところでございます。  これを受けまして、カーエアコンにつきましては、自動車メーカー等が中心となりまして、既に回収・破壊のシステムの運営が開始をされておりまして、平成十年度半ばを目途に全国展開をされることになっているなど、業界における取り組みが進みつつあるわけでございます。  また、もう一つの御指摘の問題でございますが、建材等の断熱材に含まれる特定フロンの問題でございます。  これにつきましては、これまでも国や一部の業界団体におきまして実験的な取り組みが進められてきたわけでございますが、御存じのように、技術的に回収・破壊が非常に困難な面がございます。そういうこともありまして、今年度からでございますけれども、断熱材中の特定フロン等につきまして、その特性に応じました回収・破壊技術、これは一体的に行わなければならないというふうに考えておりますが、これの方法論を確立いたしたいと思っております。若干時間がかかるかと思いますが、このような事業を通じまして、さらにフロンの回収・破壊の対策を強化してまいりたい、そのように考えております。
  76. 小林守

    ○小林(守)委員 時間が参りましたので終わりますが、とにかく、環境行政の責任省庁として、環境庁役割は、まさにみずからが積極的に進めると同時に、他省庁施策に対して常に目を光らせて、温暖化なら温暖化防止の視点から協力要請を常にしていく。これがないと、やはり進まないと言わざるを得ないと思うのですね。そういう点で、環境庁長官、期待しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに考えます。以上で終わります。ありがとうございました。
  77. 山元勉

    山元委員長 次に、前田正君。
  78. 前田正

    ○前田(正)委員 改革クラブの前田正でございます。  本日は、地球温暖化対策推進に関する法律案を中心に、平和・改革を代表いたしまして、限られた時間ではありますが質問をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  さて、昨年の十二月、京都におきまして地球温暖化防止会議、いわゆるCOP3が行われ、先進国温暖化ガス削減目標が定められました。しかも、この数値は法的な拘束力を持つということでありまして、国際社会の中でそれぞれの国が公的な約束をしたわけであります。  具体的には、一九九〇年の排出レベルに比べ、二〇〇八年から二〇一二年までの約五年間の平均で、日本が六%、アメリカが七%、EU、ヨーロッパ連合は八%となり、先進国全体では五・二%の削減目標となっております。この数値は、当初、日本目標値を二・五%程度として臨んだことから考えれば、大変厳しい数字であろうと思っております。  これから二〇一二年に向けてどうしていかなければならないのかということを、今我々真剣に考えていかなければならないと思っております。産業界はもちろんのことでありますけれども、国民全体もこのことを念頭に置いて環境問題に取り組んでいきたいと思うところでございます。  京都会議と前後して、地球温暖化の問題は、環境委員会を中心に国会でさまざまな議論がされてまいりました。いろいろな理由から提出がおくれておったのだと思いますけれども、四月二十八日にやっとこの法律案が出てきたわけであります。厳しい条件のもとではございますけれども、美しい日本の国土はもとより、地球上のすべての人類も動物も植物も長い将来にわたって守っていかなければならないし、また守られなければならないとの観点から、私は幾つが聞いてまいりたいと思います。  環境問題を考えるときに、大きな視点からいえば、地球環境問題ということになります。身近な 部分では、地域環境問題ということにもなると思います。地球規模の問題と我々身近な地域の問題とは何か違ったもののように考えられるわけでありますけれども、実際には当然のごとく一つのつながりのものであろうと考えるのであります。いずれの問題も、地球に生きる住民や企業、地方自治体、そして国、さらには国同士が力を合わせて取り組んでいかなければ解決をしていかない問題であります。そういった点では、地球温暖化防止京都会議は、そのことを我々日本人だけではなく、地球上の全人類に強く訴えかけた意義のあるものだと思っております。  地球温暖化の原因は、人間活動に伴って発生する温室効果ガス増加であると言われております。温室効果ガスとは具体的に、二酸化炭素、CO2あるいはメタン及び一酸化二窒素、N20並びにハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボン並びに六弗化硫黄、SF6をいうのですよとなっておるわけですが、日本国民すべてに御努力をいただき、環境問題に取り組んでもらおうとしているときに、まずこの六つの温室効果ガスとは一体何なんだと一般の国民は思うと思います。  一般の国民が何のことだかわからない名前を並べてもなかなか理解をしていただけないと思うのですけれども、例えば、このガスはどういったものからどういった状態のときに発生するのかということをもっとPRすることによって、日常生活の中で何げなく行われていることでも、国民の意識が変わり、温室効果ガス削減に大きな力になると思うのですが、いかがですか。まず、この点からお聞きいたしたいと思います。
  79. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のございました六つの温室効果ガスでございますが、これはどこから出るのかという点でございます。  まず、二酸化炭素が最大の温室効果ガスでございますが、これは、もう大部分が石油や石炭、天然ガスといった燃料を燃やすことによって発生をするものでございますが、一部はセメントの製造でございますとかあるいは廃棄物の焼却からも発生をいたすわけでございます。  それから、次のメタンでございますが、これはメタンガスということで比較的多くの方々が聞いたことがあるという名前ではないかと思います。これが実際に発生をいたしますのは、牛などの家畜の腸内から発酵によって発生をするということ。それから、ごみの中でも特に有機性の、いわゆる生ごみでございますが、この埋め立てをいたしますと、埋立地から発生をするというようなところが主な発生源でございます。  それから、一酸化二窒素になりますと、これはもうほとんどの方が聞いたことがないというようなことであろうかと思いますが、これは、燃料を燃やしますと高温になるということで、そういったことから発生をするものが一部ございます。それからもう一つは、ナイロンの原料になりますアジピン酸というものがございますが、これを製造する過程で発生をするというのが主な発生源でございます。  そのほかに、京都会議におきましては、ただいま御指摘のございました三つの人工的な合成化学物質、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六弗化硫黄、この三つのガスが加えられたわけでございます。  まず、ハイドロフルオロカーボンでございますが、これは冷蔵庫やカーエアコンなどの中に冷媒として使われておりまして、これを廃棄いたしますときに回収をいたしませんと大気中に漏れてしまう。それから、エアゾールなどの使用によっても大気中に漏れるわけでございます。  パーフルオロカーボンでございますが、これは半導体の製造工程などで使われておりまして、電子部品の洗浄などに使われておりますので、こういったところから出てまいるわけでございます。最後に、六弗化硫黄でございますが、これは絶縁体でございますので、電力会社がトランス、いわゆる変圧器をあちこちに持っておりますけれども、そういった中に閉じ込められて、封入されているわけでございますが、これらを点検し、あるいは廃棄するときにこれが発生をするということでございます。  私どもといたしましては、非常に国民の皆様方になじみの薄いものも多いわけでございますので、こうした温室効果ガスにつきまして、いろいろなパンフレット、例えば最近では、「京都議定書と私たちの挑戦」といったパンフレットで京都議定書概要を述べさせていただいておりますが、この中で、六つのガスというのは一体どういうもので、どういうところから出てくるかという、ただいま申し上げましたようなことが絵でおわかりいただけるような、そういうつもりで資料をつくったものでございますが、こんなようなものもつくっております。  それから、環境白書にもこれを掲載をしておりまして、多くの皆様方にできるだけ知っていただきたいということで努力をしてまいったわけでございますけれども、依然としてなじみが薄いわけでございますから、法律をつくっていただきましたら、その施行に当たりまして一層のPRに努めてまいりたい、このように考えております。
  80. 前田正

    ○前田(正)委員 よくわかりました。  私も大学では、関西大学の応用化学で化学をやっていまして、こういうのをちょっと聞かせていただいたのですが、しかし、こういうなかなかわかりにくいのは私も初めてですね。長官、一般の人には非常にわかりにくい、こういうものでございます。しかも、牛のげっぷがメタンガスになる。牛の数と人間の数だったら、人間の数の方が多いのじゃないかと思うのですが、人間もげっぷをするわけですから、これから環境のためには人間もげっぷをしてはいけないようなことにもなるのかなということも思います。  しかし、これはやはり大変なことですから、我々としては、こういったことをできるだけいろいろな機会にひとつPRをしていただいて、こういうことからガスが発生をする、それがひいては大きな地球温暖化につながるということをPRをしていただければありがたいというふうに思いますので、お願いいたしたいと思います。  今聞いておると、とりわけ一番問題になるのはやはり何といっても二酸化炭素ということになるわけでしょうか。産業界は、二度にわたる石油危機を乗り切る中で徹底的な努力をされ、排出量が下げどまり、さらに努力をされておられるわけでございます。しかし、一方では、冷房用のエアコンの普及がここ二十年間で十倍の伸びを示しているなど、エネルギー利用機器の普及が進んだせいで国民生活部門におけるCO2の排出量は非常に大きく上昇し、さらに上昇し続けるということでありましょう。  これらの問題の解決には徹底した省エネルギー対策をしていかなければなりません。先ほども問題提起をいたしましたけれども、国民の皆様方一人一人に今の状況をしっかりと認識をしていただいて、何をしなければならないのかをきちっと提示をする、これが、我々ももちろんですが、行政のやらなければいけないことだと思います。  そこで、私は今国会の予算委員会の中でもアイドリングストップ運動についてお尋ねをさせていただきましたが、そのほかに国民生活部門において一般国民のできる、いや、しなければならない省エネにはどのようなことが考えられ、どのような効果をもたらすかをお教えいただきたいと思います。
  81. 浜中裕徳

    浜中政府委員 御指摘のとおり、日常生活における地球温暖化防止取り組みを促進することが非常に重要でございまして、そのためには具体的な取り組み、具体的な行動を促していくようにしていかなければいけないと考えております。  これまでも、環境庁におきましては、環境家計簿運動を進めましたり、あるいはエコライフ百万人の誓い運動といったようなことで日常生活の中で具体的な行動に取り組んでいただくことをお願いしてまいりました。  その中で、今申しましたエコライフ百万人の誓 いの取り組み項目が十二ほどございます。この中で比較的削減効果が大きいと計算されますものを挙げてみますと、ただいま御指摘のとおり、冷暖房の温度設定、夏はなるべく冷房の設定温度を高くする、冬は暖房の設定温度を低くするということでございますが、そういったことのほかに、例えばお買い物に近所に出かけられますときにできるだけ歩く、あるいは自転車を使うということ、それから休日の外出には公共交通機関を使っていただく、つまり自動車の使用をできるだけ控えていただく、これは非常に効果の大きい対策でございます。  それから、意外に大きい効果が出ておりますのは、日ごろのクッキングでございますが、食材をむだなく使って、省エネを心がけて調理するエコクッキングというのを推奨しております。こういうものによっても結構排出の抑制が期待できるということでございます。また、食器洗いなどの給湯の温度でございますが、これを冷たく感じないぎりぎりの低目の温度に設定をするといったことによりましても効果がかなりあるということがわかっております。  こうしたことの取り組みの積み重ねの具体的な事例といたしまして、昨年十一月から十二月にかけまして、具体的な地域で、これは東京・世田谷区の代沢中町というところでの町内会でエコライフ実践活動をしていただきました。その結果が得られておりますけれども、積極的に取り組みを行っていただいた世帯では、前年に比べまして二酸化炭素の排出量で約五%の削減効果が見られた、このような結果も得られているところでございます。  私どもといたしましては、御指摘趣旨も踏まえまして、できるだけ具体的な取り組みを進めていただくように、具体的な事例などの御紹介をするなり、あるいはどういう取り組みをすればどういう効果が出るか、こういったことについても具体的な情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
  82. 前田正

    ○前田(正)委員 大変気の長い、非常に難しい問題であろうと思いますけれども、根気よくやってもらいたいと思っていますし、また子供たちの教育にもそういうことを、やはり学校の先生方がみずから体験なりあるいは教科書等々に入れてそういうものをし、その子供からまた親が学んでいく、そういう方法もあろうかと思います。いろいろとお知恵を出していただいて、ぜひ徹底してひとつ頑張っていただきたいと思います。  次に、国民全体に地球温暖化対策を徹底していくために、地域ごとにその実態に合わせた防止活動を行っていく必要があると思います。そのためにこの法律案地方公共団体役割がるる述べられておるところでございますが、その点についてひとつお尋ねをいたしたいと思います。  地球温暖化防止活動推進員の委嘱を都道府県知事ができるとなっておりますけれども、具体的にどのような立場の方を想定しておられるのか、また全国でどれぐらいの人数を考えておられるのか。  また、国会の中で地球温暖化防止活動推進員というのを委嘱して、できれば環境委員全員、メンバーさん全員が推進員にひとつ御任命いただいて、我々みずからが国会の中でもこういう運動を一遍やっていただければありがたいというふうに思っておりますが、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  83. 浜中裕徳

    浜中政府委員 地球温暖化防止活動推進員の委嘱についてのお尋ねでございますが、この推進員は、ただいま御指摘のございましたとおり、地域におきまして具体的に住民の身近なところで対策についての啓発あるいは助言などを行うことを目的にしているわけでございますから、地球温暖化対策に関する専門的な知識をお持ちだということ、それから具体的に住民に対する普及啓発活動の経験が豊富だという方、こういった方々を想定いたしておりまして、こういった方々にボランティアとして推進員としての活動をお願いしたい、このように考えているわけでございます。  どのぐらいの人数かというお尋ねでございますが、都道府県の人口規模あるいは都道府県の方針にもよるとは思いますが、大体私ども想定をいたしておりますのは、一都道府県で数十人程度の規模が平均的なところではないか、このように考えているわけでございますので、これを四十七都道府県ということになりますと、相当の人数、全国で千人を場合によっては超えるかもしれませんが、そういったくらいになるのではないだろうかというふうに想定をしているところでございます。  最後の方で国会のお取り組みについても御発言がございましたが、私ども、法案ではこれはあくまでも地域推進員、住民の間に入って具体的な助言をしていただくという制度を想定しているわけでございますが、自発的な取り組みということがこの法案の基本的な考え方でございますので、それぞれのところでそれぞれのお立場取り組みを進めていただけることは大変結構なことであるというふうに考えている次第でございます。
  84. 前田正

    ○前田(正)委員 こういう活動の推進員というのをもしか委嘱をされますと、長官、御本人の意識というのはやはり高くなるのです。  例えば、これは別な話ですけれども、ゴルフなんかでも、ちょっとしたゴルフ場には必ずエチケット委員というのがあって、こういう黄色いものをエチケット委員ということで、必ずメンバーの四人のうちに一人だけそういうものをつけさせてもらう。それをつけていないと意外とエチケットというのは守らないのですが、それをつけた途端にその本人はみずからがあとの三人に対してエチケットがどうやとかこれはどうやとか言っていろいろ指示をするのです。  こういうふうに人間というのはおもしろいところがございまして、温暖化防止活動推進員の委嘱は一都道府県に数十人程度ですか、こういうことだそうですけれども、許す限りできるだけ大勢の方々に委嘱をし、その方々がみずからそういうものをやっていただくことによる効果というのは非常に多いというふうに思っておりますので、できればそういう数というものに関しても、いろいろこれからも、予算的なこともあるのだろうと思いますが、できるだけ大勢の方々にそういうものになっていただくようにひとつ積極的に進めていただきたいと思うところでございます。  次に、都道府県地球温暖化防止活動推進センターの指定についてでございますけれども、可能な限り既存の機関を同センターとして指定するお考えのようでございます。全国に指定され得る既存の機関は大体何カ所ぐらいあると考えておられるのですか。  また、都道府県には一つに限って指定するということになっておるそうでございますけれども、それぞれの地域性の違いなどから別に一カ所に限る必要はないと思うのですが、どうして一カ所に指定するのかということをお答えをいただきたいと思います。
  85. 浜中裕徳

    浜中政府委員 都道府県の活動推進センターでございますけれども、ただいま御指摘がございましたが、これは法律上一都道府県一法人に限り指定することができるとされているわけでございますが、具体的にはこの法案をつくっていただきました後に都道府県の判断によりまして具体的な指定が行われるものであるというふうに考えております。  現在、各都道府県環境問題に関する普及啓発を行っております民法法人の現状を踏まえますと、具体的にどのくらい指定されるのかというお尋ねでございますが、なかなか具体的な数字を今申し上げることは難しいわけでございますが、多くの都道府県において都道府県推進センターが指定されることになるのではないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。  こうしたセンターにつきましては、法案にもございますとおり、住民に対する普及啓発活動、広報活動を行っていただくということを初めといたしまして、住民の照会や相談に応じて助言を行ったり、あるいはいろいろな実態に即した調査を 行って、具体的に日常生活において効果の高いような取り組みについて情報の提供を行うといったような仕事をしていくわけでございます。こうしたセンター、実際にこれまでも省エネや省資源といった観点からもいろいろな取り組みもなされているとは思いますが、都道府県におきまして地球温暖化防止活動を推進するという観点から新たな仕事をしていただくことが必要だということで指定をするわけでございまして、私ども、そういう点から一カ所に限定をして指定をしていくことにすることが適当であるというふうに考えた次第でございます。
  86. 前田正

    ○前田(正)委員 地球温暖化地球全体の環境に大変大きな影響を及ぼして、その防止が全人類共通の課題となっておるところでございます。関係省庁間の調整を初めとして、国、地方公共団体あるいは企業、一般国民にも理解しやすい内容で速やかにひとつ施策を講じていただきたいと思っております。  次に、私ども、昨日、瀬戸内海の海砂採取問題で広島の三原というところへ行って視察をしてまいりました。そのことに関して質問をさせていただきたいと思います。  瀬戸内海の海砂問題につきましては、三月十九日の衆議院の予算委員会環境分科会で我が平和・改革の斉藤鉄夫衆議院議員が、広島県の全面採取禁止を踏まえ瀬戸内海全域での採取禁止を環境庁に求めたことは御承知のとおりでございます。  また、環境庁は、この五月にまとまる予定の環境調査の中間報告を待って、現在進めている瀬戸内海環境保全基本計画の見直し議論に海砂問題を加えるとの計画を表明していただきましたことは、地元の皆さん方も大変喜んでおられました。  私たちが昨日見てきたところは、三原市の桟橋から、海上タクシーというのがございまして、それに乗りまして約四十分、大三島南側に大島カヤトマリ鼻灯台沖というのがございまして、その海砂採取の作業をしている現場をずっと見てきました。これは、今、広島県は既にもう採取は中止しております。この場所というのは実は愛媛県側でございまして、指定区域内で海砂を採取しておりました。  私たちもこの採取船に乗り移って、愛媛県の海砂採取業協会の会長さんという方が出てこられまして、説明をいろいろ伺いました。大きなバキューム管を海の中へ突っ込んで、そして砂をポンプで吸い上げ、その上層部分には大きな石とか貝殻がございますので、まずそれを吸い上げた船の上で全部より分け、それを再びまた海の中へ、海底に捨て、海砂の良質部分だけをより分けて、大体朝の七時ごろからお昼の一、二時ごろまで同じ場所に停止をさせて、七百立米ほどの海砂を採取すると言っておられました。  その会長さんは、言い分もいろいろあるのだなと思うのですが、海砂を掘ってできたその穴は、十年ぐらいすると自然と、海流、海の潮の流れによって砂が運ばれてきてまたもとへ戻るんだ、だから、決して環境破壊にはつながりません、心配は要りません、こう言っておられました。  また、その海砂をとった海水ですが、海水と一緒に砂を吸い上げますから、その海水をまた海へどっと捨てているわけです。その周辺は物すごく濁っておって、その細かい粒子の砂がその周辺数百メートルにわたって、海の流れに従って汚れておるのであります。  また、その上層部の小石、大石、こういったものとか貝殻部分の、悪い部分はどんどんまた海の中に捨てておるわけでございますので、片一方では、砂をとる穴ががばっとできる一方、悪い部分はどんどん海の方へ捨てるわけですから、その高低差といいますか、海の底は、とったところは低いし、その上の、がらをどんどん載せるところは非常に高くなる、非常に大きな高低差が海の中ででき上がっておるわけであります。それにより海流の流れが当然変わってくることは間違いがありません。  さらに、深く掘り下げる中で、部分的には地表の粘土層——砂というのはかなり深いところまであるものではなしに、部分によっては非常に浅い部分がありまして、とってしまうと、その下には粘土層というのがあって、それがあらわれている部分も数カ所あるということも聞きました。  さらに、海砂をとると、その部分に当然穴が、先ほど協会長さんが言うように海流で埋まってくるのですけれども、一体その砂はどこから来るのかというと、実は、海岸の砂が流れ流れてそういうところへ徐々にずれて入ってくるということになるようでございます。実は、海岸の砂がもうなくなって、消えていっている。  しかも、台風とか大きな波が寄せてくると、今まで、波の緩和材といいますか、緩やかな状況役割をしたその砂がなくなり、直接波がぽんと海岸にぶつかり、その波で海底の砂が沖へ引き戻され、護岸の土台を守っていた砂がなくなってしまうわけですから、護岸が一部破壊されたり、割れたり、ずれたり、陥没したりというふうな大変な状況が数カ所見つかっております。私ども素人ですけれども、素人が見てもわかるようなことで、大変なことだなという実感をして帰ってまいりました。  そこで、お尋ねをいたしたいと思います。広島県の例を見てもわかるように、海砂の採取業者がまず許可以上に海砂を採取しているという実態が判明いたしました。広島県では、許可業者三十一業者、すなわち許可業者全員が実は違法に許可以上に採取していたと言われております。ほかでのこのような監視制度というものは一体どうなっておるのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  87. 齋藤貞夫

    ○齋藤説明員 お答え申し上げます。  海上保安庁におきましては、瀬戸内海を管轄しております第六管区海上保安本部で、昨年末から本年にかけましていわゆる海砂の不法採取の取り締まりを実施いたしました結果、先ほど先生から御指摘がありました広島県以外に、岡山県、愛媛県、香川県、それと広島県を合わせまして、五十二業者、六十四隻が知事から認可を受けた採取量を大幅に超えるなど海砂の不法採取をしていたということで、ぞれ各地方検察庁に書類送致しているところでございます。
  88. 前田正

    ○前田(正)委員 この海砂というのは、パイプを海の底に入れるわけでありまして、それをとることを監督するということは、私は、技術的にも非常に難しいのかなという気はするのです。県はそういう監視船というものを決められて、適宜にその辺を見て回ってはおられるようであります。しかし、そういった意味で、どれほどの量をとっておるかということを最終的にチェックしたり、あるいは違法操業といいますか、監視区域外でとっておるということを、陸ならある程度目ぼしいものがありますから、その範囲内というのはわかりますが、海での範囲というものは、やはり監視というものにも非常に無理があるのだろうというふうに思います。しかも、その採取業者全員が横並びで、みんなでやれば怖くないという程度に、広島県では全部で違法採取というものがあったという事実でございます。  こういった点で、私は、現在、広島県以外のところで採取しておる部分について、さらに強固に、環境破壊も含むこの採取の問題についての監視の強化をさらにもっと徹底していただきたいと思います。  しかも、話によると、既に行政処分を受けた業者が、その行政処分が解けた段階でまた県から許可をもらっておるわけでありますから、さらにまた引き続き砂をとっておるという現状があるようでございます。国と業者が、あるいは県と業者が信頼をして、許可をもらっておるわけでありますから、そういったものに違反をするということの法的処分というものが余りにも甘過ぎるような気もいたしますし、あるいはまた、不法採取したというふうな、そのものに対する弁償というものがどのようになっておるのか、私どももこれからも徹底して調査を進めてまいりたいと思います。  そこで、瀬戸内海では、実は香川県と愛媛県が最も海砂の採取の多い県だというふうに出ておる わけでございます。ほかにもいろいろその瀬戸内海はあるのですけれども、なぜ香川県と愛媛県というものが非常に多いのか、その辺、ちょっとお答えをいただきたいと思います。         ————— わかりました。また後日、わかれば教えていただきたいのですが、この数字を見ると、香川県と愛媛県が非常に多いのです。  建前としては、自分たちの県のところで使用する部分の砂というものを中心としてとるんだという建前のもとでその県はとっておるようでありますから、例えば香川県が特に公共事業が多いとか建築が多いとか、あるいは愛媛県が多いとかいうことではないのだろうというふうには思うのですけれども、その海砂がほかの県へ流れておるというふうな可能性もあるのではなかろうかというふうな感じがいたすわけであります。そういう点で、私どもはこういった問題を非常に重要な観点だと思って、我々としてはこれからもさらに監視を続けてまいりたいなというふうな感じがいたします。  それで、この海砂問題は、今は県レベルの行政指導ではとてもできないというふうに私は思っております。県としても、海には線が引けませんから、例えば愛媛県や香川県でどんどんとっても、その汚水なりそういうものはどんどん波によって流れてくるわけでございますので、やはり瀬戸内海の環境を守るというためにも、瀬戸内海というのは一体として考えるべき問題であると思うわけであります。  しかも、瀬戸内海の自然を守り、瀬戸内海は魚の宝庫と言われてきておるわけでありますけれども、聞きますと、どうも年々漁獲高が少なくなってきておる状態でございます。それは、やはり何といっても、環境破壊により瀬戸内海がだんだん汚染されておる、あるいはまた、先ほど申し上げました、海砂をとったりして自然が破壊をされておる、あるいはそれによって海藻が育たない、そして魚のえさになるイカナゴの産卵場所がない、それによって魚が寄りつかないという悪循環を繰り返すことになっておると思います。  したがって、海砂採取を早急に禁止させることが第一だ、私はそう考えますが、その辺についてお伺いいたしたいと思います。
  89. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 先生からるる現状の御指摘があったわけですが、現在でも、瀬戸内海環境保全計画の中には、動植物の生育環境等の環境の保全に十分に留意して行えという計画上の文言がございます。そして、各府県それぞれ皆、県の計画にそういうものを載せておるわけでございますけれども、実情は今御紹介があったとおりでございます。  私ども、冒頭御紹介があった環境調査、四カ年間にわたって行ってきましたので、近々報告、取りまとめができると思います。その中で、今おっしゃられましたような漁場海底地形の変化と漁獲の関係、あるいは砂採取船が排出する濁水と魚の生産の関係、そういったものも現在科学的な整合性について分析中でございます。  こういうものを現在審議中の瀬戸内環境審議会の場に反映をさせまして、四月二十四日でしたか、実際に私は大阪での現地小委員会に出てきましたけれども、漁業者の代表の方から、海砂の採取が漁獲に影響がある、何とかしてほしいというふうなお話もございました。  基本論として、瀬戸内海における海砂の取り扱いをこれからどうするかということについて、審議会での議論、さらには、あそこには瀬戸内海環境保全知事・市長会議というかなり横の連携がきっちりした組織もございますので、そういう場にも議論の素材として提供していきたいと思っております。  現に一部の府県では既に海砂の採取を取りやめているわけでございますので、そうした実情と、あるいは代替の海砂がきちんと供給できるかどうかというふうな方途、そういうものも関係省庁と話し合いをしながら対応を決めていきたいと考えております。
  90. 前田正

    ○前田(正)委員 そこで、海砂をすぐに全面禁止をするとなると、これからの建設業界も大変混乱をすると思います。したがって、それにかわるもの、代替用の砂をどうするのかというような研究調査も必要だろう、私はそう思っておるわけでございます。しかし、海砂を依然として買う人がおるからまたそれをとる人がおるというふうなことからして、買わさないようにしていく方法も一つの方法だろうというふうに私は思うわけであります。  私は出身が大阪でございますが、実は大阪には、環境庁長官も御承知のとおり、関西国際空港という大変すばらしいものがございます。これはもう御承知のとおり、海上空港としては世界一と言われるものですし、これをつくるに当たっては、いろいろな意味での、海の環境、空の環境、すべての環境に非常に配慮し、考慮しながら実はこの大きな空港ができ、地元はもちろんのこと、近隣も非常に喜んでいただいておるわけでございます。  しかし、広島へ参りました折、実は前田さん、この第一期工事にこの海砂を持っていってあそこで埋めたんだ、こんな話でございます。せっかく大阪の国際空港が環境に優しい空港つくりを目指しておるにもかかわらず、その一方では、広島等々の瀬戸内海の海砂をとってそういうところへ埋めておるという話を聞いて、私は大変残念に思ったわけでございます。  したがって、いよいよ第二期工事というものが行われる予定になっておるわけでございますが、その第二期工事に際して、果たしてその瀬戸内海の海砂をとる予定があるのかどうか、あるいは、とる予定があるならば、第二期工事に関しては例えば瀬戸内海の海砂だけは絶対に使わない、使わせないというふうなことができないだろうかどうか、私どもはその辺をぜひお伺いをいたしたいと思います。
  91. 鈴木久泰

    鈴木説明員 お答えをさせていただきます。  ただいまの先生お話にもありましたように、関西国際空港は、伊丹空港の深刻な騒音問題を考慮して、絶対騒音問題が生じない空港をつくろうということで、沖合五キロの海上を埋め立てましてつくりました大変すばらしい空港でございます。  ただ、つくった大阪湾の沖合のところに軟弱地盤がございまして、この地盤改良をいたしませんと大規模な埋立工事がとてもできない状況でございました。それで、その地盤改良のために主として瀬戸内海の海砂を一期工事で用いまして地盤改良工事を行ったわけでございます。  現在進めております第二期事業、これは一期の島のさらに沖合を埋め立てるわけでございます。そうすると、軟弱地盤がさらに深く入っておりまして、一期よりもより大変な地盤改良を行わなければいかぬわけであります。この地盤改良を行わないと二期の埋立工事はできないという関係になってございますので、二期工事につきましても、やはり大規模で急速な工事を行うわけでございますので、現在大阪湾一帯に安定的に供給しております瀬戸内海の海砂を中心として海砂調達を考えなければいかぬという事情にあるわけでございます。  ただ、関空会社なり用地造成会社におきましては、瀬戸内に限らず幅広く、供給の可能性がある各県と現在調整を行っておるところでございます。
  92. 前田正

    ○前田(正)委員 海砂は、もちろん瀬戸内海だけではなしに、長崎県とかいろいろな、日本全土を調べるといろいろあるわけでございまして、ぜひとも必要だというふうなことも多少わかりますけれども、瀬戸内海のこの海砂に関しては極力使わない、あるいはもう絶対使わせない、あるいはまたほかのところ、長崎だとかそういうところの海も同じだというものの、その辺の海洋環境というものも十分考慮しながらこの海砂利用について運輸省も積極的に考えてもらいたいと思います。  私ども、この調査の中では、平和、改革、公明、三党の瀬戸内海プロジェクトチームは昨日、結論といたしましては、関空に関しての海砂利の 使用を全面禁止するということで要望していきたいということを申しておるわけでございますので、できればそういうことでこれからもさらにそのことを踏まえ、検討をしていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。  時間もありませんので、次に移りたいと思います。  次に、ダイオキシンの対策の問題でございます。  実はダイオキシンは、御承知のとおり、いろいろと最近新聞紙上をにぎわしておるところでございます。しかも、この間、やはり私どもの大阪府の能勢町で焼却炉におけるダイオキシンが非常に重く出ておるということが新聞で出まして、地元でもいろいろ混乱をしておるところでございます。  そこで、またさらに全国の調査を今かけておられることだと思いますが、そういった中で、焼却炉の中でも、火葬場に対するダイオキシンというものも出ておるということが、一部の新聞で私も見たわけでございます。  早速私も少し調べてみたわけでございますが、火葬場というものは、公共で建てるものと民間で許可しておるところがあるようでございます。しかも、人間の遺体というものを焼くわけでありますから、したがって、八百度以上に焼きますと、これは私も父親が亡くなったときの経験がございますが、のど仏をとるとかあるいは骨盤の骨をとるとか、これが千二百度ぐらいになると全くそういうものがなくなってしまうのかどうかというのはわかりませんけれども、いろいろな方法で、二度焼きの方法で焼くとかそういう方法があるのか、あるいは宗教的な問題もあるのかもわかりませんけれども、この火葬場について、どうも国としての補助金というものが全くなされていないように思うわけであります。  したがって、ダイオキシン対策も含める火葬場に対する補助金というものが、今後ともに求めることができるのかどうなのかということをお尋ねをさせていただきたいと思います。
  93. 羽入直方

    ○羽入説明員 お尋ねの火葬場のダイオキシン問題でございますけれども、廃棄物処理施設から発生するダイオキシン問題が大きく取り上げられておりますけれども、火葬場からもダイオキシンが発生する可能性があるということで、平成九年度、私ども緊急に十施設ほど調査をいたしました。  その結果、発生をしておりますダイオキシンの量でございますけれども、六・五ナノグラム、これが最大でございますが、最小で〇・〇〇九九ナノグラムといった量のダイオキシンが発生していることが確認をされたわけでございます。御承知のように、廃棄物処理施設で緊急対策をとらなくてはならない量といいますのが八十ナノグラムといった水準でございますので、そういった水準から比べますと、単純には比較できませんけれども、かなり低い値の数字が出たというふうに思っております。  また、環境に対する負荷も、廃棄物処理施設のように二十四時間連続稼働するというわけでもございませんので、それほど負荷の量が高いということではないと思っております。  しかしながら、でき得る限りこのダイオキシンの発生を少なくしていくということが必要だというふうに考えておりますので、平成十年度におきましてもさらに調査を続けまして、できれば技術的な基準、ダイオキシンの発生を抑制できるようなガイドラインと申しますか、そういったものをつくってまいりたいというふうに考えております。  そこで、補助金の問題でございますけれども、現在のところ、先生指摘のように補助金はございませんが、この問題は地方公共団体のいわば固有事務といったこともございまして、地方交付税の単位費用の中に算定をされているということでもございます。  また、特別地方債という制度がございまして、自治体が借金として借り入れるということでございますけれども、その条件の改善というようなことも必要であろうということで、私ども平成九年度にその条件改善を自治省に対して要求いたしまして、従来償還期間が十年であったわけでございますけれども、それを五年延ばしまして十五年にするといったことで、自治体の要望になるべくこたえたいというふうに思っています。  ただ、御指摘の補助金の問題でございますけれども、非常に悩ましいところでございまして一非常に厳しい財政事情の中、また、現実問題としまして、ダイオキシンの発生の抑制につきましても、技術的になるべく低い水準で抑えることが今後とも技術の発展で可能ではないかというふうに思っておりますので、そういった総合的な対策と申しますか、そういったことを充実して今後対応していきたい。また、補助金の問題も今後の検討課題ということにさせていただきたいというふうに思います。
  94. 前田正

    ○前田(正)委員 それでは、時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  95. 山元勉

    山元委員長 次に、武山百合子さん。
  96. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子です。  きょうはダブルヘッダーで二度にわたりますけれども、どうぞよろしくお願いします。  先ほど、ある議員から、サマータイムの導入やカジュアルデーとかいろいろなお話が出ました。本当に地球温暖化防止のための対策というのはあらゆる方面、あらゆる角度から行っていかなければいけないことだと、国民認識としては徐々に持ちつつあると思うのですけれども、さて、ではどういうふうにして中身を具体的にやっていくかというのが、これまた大変な議論があります。  方向性というのは徐々に見えてきたわけです。先ほどある議員からもお話が出ておりましたけれども、国会が率先してやるというのも、特にここは環境委員会ですので、大変大事なことではなかろうかと思います。そして昨年、私も環境委員のメンバーで、たしか理事懇で禁煙の話が出まして、それで環境委員会は禁煙を行ったわけですね。  先日、環境問題はいわゆる超党派で考えなければいけないということで、もちろん認識としては一致していたのですけれども、再生紙を使うとか分別収集をするとか、またアイドリングの停止だとか、そういうことを国会からいろいろとしていこうということで、委員長提案ということで出されたのですけれども、残念ながら自民党さんの党内事情ということで、残念だなと思っておる一人です。あきらめずに私はやっていきたいと思いますけれども、環境庁長官として、国会から、我々環境委員会からそういうものを実行していくということに対して、御見解をお聞きしたいと思います。
  97. 大木浩

    大木国務大臣 国会が率先してやっていただくということは大変ありがたいことでございますので、ぜひともいろいろと御検討いただきたいと思います。  ただ、規則になりますと、国会全体としてそれを採用するのか、あるいは各委員会ごとでお決めになるのか、それによってまたいろいろとお決めになる方も違ってくると思いますので、その辺はひとつ、国会全体になりますと国対なり、あるいはむしろ議運でしょうか、いろいろな関連の委員会もありますので。  私どもとしてはもちろん、国会の方でそういうふうにまず隗より始めよということでいろいろやっていただくことについては、大いに歓迎したいと思います。
  98. 武山百合子

    ○武山委員 余り重箱の隅をつつくような議論ではなく、できることから、やっていけるものから、それからすべきことからやっていった方がいいのではなかろうかと思います。かたく考えて、規則をつくらなければいけないといいますと、人間がつくった規則に縛られるのは最もつまらないことだと思うのですね。できる範囲で、もっと自由に、フレキシブルに考えてできることをやっていくというのは、そう考えるとそんなに難しいこ とではなくて、身近なことからあると思うのですね。  それで、去年環境委員会では禁煙ということで、みんな最初は、たばこを吸えないのか、残念だなとヘビースモーカーの方は言っておりましたけれども、これまたなれというもので、本当にもうすっかりなれてしまった。環境委員会ではみんな、実際は本当は喫煙したいところを我慢していらっしゃるのかもしれませんけれども、すっかり今ではなれてしまったという、なれということがあるものですから、我々環境委員会が主になってそういうことを今後、余り四角四面に考えずに行っていきたいと思いますので、ぜひ環境庁長官も御協力をお願いしたいと思います。  それから、京都議定書について、早速中身についてお話をちょっと聞きたいと思いますけれども、日本は、たしか四月二十八日、ニューヨークの国連本部で京都議定書に署名したわけですね。それで、これは世界で十四番目ということで、主要先進国では最初の署名であったということです。二週間以上過ぎましたけれども、今どのくらいの先進諸国が署名し、開発途上国も含めて何カ国ぐらいが署名したのでしょうか。
  99. 浜中裕徳

    浜中政府委員 何カ国署名したかというお尋ねでございますが、ただいま御指摘のございました、我が国は四月二十八日に十四番目に署名をいたしました。それで、翌日の二十九日にかなりのまとまった数の国が署名をいたしまして、現在、私どもが把握している限りでは、合計で三十五の国と地域経済組織といいますか、いわゆるEUを指しておりますが、単独の国としては三十四、それにプラスEUでございます。それを広い意味での国と考えますと、三十五の国といいますか締約国が署名をしているというのが現状でございます。  ただし、私どもも条約事務局のインターネットのウェブサイトなどでそういう最新の情報をいつもピックアップしておりまして、その情報によりますとそういうことでございますけれども、その情報が常に最新の状態までアップデートされているかどうかについては私ども確認しようがございませんので、本日の段階で本当にそうかとお尋ねになられますと必ずしも確証はございませんが、私ども把握している限りで三十五というのが現状でございます。
  100. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。できるだけ早い時期に、京都議定書を批准するわけですけれども、これから諸外国に対しても早く批准するように働きかける必要性が議長国としてあるのではなかろうかと思います。  先日、アメリカの上院で、途上国が参加しない議定書は承認しないといって決議を満場一致で採択したというわけですね。そうすると、京都議定書発効する見通しは本当に立つのかなと思いますけれども、日本はどのように対応するつもりでしょうか。
  101. 浜中裕徳

    浜中政府委員 発効に向けての取り組みでございますけれども、私ども、申し上げるまでもなく我が国COP3の議長国でございますから、議定書が一刻も早く、かつ着実に実施されていくように各国議定書締結を働きかける、そのことによりまして早期発効を期するということは、当然それに向けて努力をしていかなければいけないことであるというふうに認識をしております。  アメリカの状況についての御指摘がございましたが、私どもも同様に認識しておりまして、依然として、アメリカ議会におきましては、途上国の参加がまだないというようなことを中心として京都議定書についても批判的な御意見が強いという状況であるというふうに認識をしております。そういう意味でも、アメリカが議定書締結しやすくなる環境づくりも必要であろうというふうに考えておりまして、そういった観点から、排出量の国際取引のルールづくりでございますとか、途上国対策に参加できるように我が国としての支援を強化していく、こういったことも重要であろうというふうに考えております。
  102. 武山百合子

    ○武山委員 途上国について、もう一つ突っ込んでお聞きしたいと思いますけれども、自主性を待っているのでしょうか、それとも、働きかけをしているのでしょうか。それから、アメリカに対しても、言ってくるのを待っているのでしょうか。もちろん、定期的に働きかけをしたり会議を持ったりしているのではなかろうかと思いますけれども、その辺の事情をお聞かせください。
  103. 浜中裕徳

    浜中政府委員 途上国の参加をいかにして促していくかということにつきましては、今般のバーミンガム・サミットでも首脳間で議論がなされたところでございまして、本日の本会議でも総理からその点についての御答弁もあったわけでございます。  我が国といたしましては、まずは途上国の自発的な参加を促していく、これが第一歩であろうというふうに考えておりまして、そのために我が国ではそうした途上国排出抑制の努力を支援していくことが大きな課題であるというふうに考えておりまして、そういう観点から総理は、昨年六月のデンバー・サミットでグリーンイニシアチブを発表され、さらに京都におきましては京都イニシアチブを発表されたわけでございます。  こうした支援対策を現実に実施していきますためには、関係省庁がそれぞれの分野で積極的に国際的な環境協力、エネルギー協力といった取り組みを進めていただくことが必要でありますから、こうした連携を強化して、そのような取り組みが進められていくように環境庁としても最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  そのために、総理本部長とする内閣地球温暖化対策推進本部も設けられているわけでございます。そこで検討すべき課題としてそうした途上国支援も位置づけられているわけでございますから、環境庁として、この場を活用して取り組みの強化のための具体策の取りまとめに尽力をしてまいりたい、このように考えております。
  104. 武山百合子

    ○武山委員 じゃ、まだ議論の段階で、途上国に働きかけはしてないという状態ですか。
  105. 浜中裕徳

    浜中政府委員 さまざまな形で途上国に対しては、私ども政策対話というふうに呼んでおりますけれども、中国や東南アジア諸国を初めといたしまして、いろいろな機会をとらえて途上国対策の促進を促しているということは事実でございます。  そのほかに、従来は共同実施活動というふうに呼んでまいりましたけれども、京都議定書を踏まえますと、いわゆるクリーン開発メカニズムというものの具体化が今後の課題になってこようかと思いますので、一般的な政策面での途上国の自発的な取り組みを促していく政策対話を進めるということのほかに、具体的な排出削減のプロジェクトの形成にもこれから努めてまいりたい、このように考えております。
  106. 武山百合子

    ○武山委員 途上国との関係について話が入っていくわけですけれども、ODA、開発援助ですね、今までの認識としては開発に向けての援助が中心であったわけですね。今後は、途上国環境保護政策に対する援助を拡大していかなければいけないんじゃないかと私は思います。それで世界全体として温室効果ガス排出削減につなげていかなければいけないんじゃないかと思うのですね。  それで、その環境保護政策に対する支援についての基本的な考え方、もうできておりますでしょうか。その辺、ちょっとお話ししていただけたらと思います。     〔委員長退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
  107. 大木浩

    大木国務大臣 具体的なことについては、後で必要があればまた政府委員から御説明いたします。  まず、日本といたしましては、今ODAは、これは残念ながらここのところ予算措置などではODAが少し全体としては抑制ぎみになっております。しかし、環境については、もうできるだけこれは優先的に扱う、こういうことが日本政府の中でも一つの方針として確立しておりますので、その中で、ひとつこれから各国に対してできるだけ、ODAを使うときはODA、あるいはほかの 形で協力するときはまたもちろんあり得ると思いますけれども、そういうものを推進していきたいと思っております。  この間の京都会議の合意の中ではいろいろと国際協力の形がございます。例えば、余り皆さんに評判がよくないようでもありますけれども、一つのやり方としては排出権の取引というようなものを考えるということもあります。これは今のところ排出権を持っておる国が必ずしも全部ではありませんからそれは限定されますけれども、排出権の話とか、それから、国際協力のいろいろなやり方だとか、あるいは、先ほどのクリーン・ディベロプメント・メカニズムというようなのもあります。  要するに、先進国と開発途上国とが協力をして開発途上国の中におけるいろいろな対策を進める、これは一つございますから、それはODAの中であろうがあるいは外であろうがいろいろやり得るわけでございますから、そういうものはこれからも進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  あと何か、具体的に数量なり、あるいは何かプロジェクトのことについての御質問があればお答えいたします。
  108. 浜中裕徳

    浜中政府委員 具体的なプロジェクトといったことでございますけれども、環境庁といたしましては、従来、アジア地域環境大臣の間での、非公式な形ではありますが、自由な意見交換の場ということで、エコ・アジアと称する大臣レベルの会合を毎年持ってきております。そうした場を使いまして、アジアの途上国との間での政策対話を進め、そして各般の環境問題への取り組みを進める基礎をつくっていこうということで、各途上国環境保護政策に対する支援とおっしゃいましたけれども、まさにそのような考え方で進めてきているつもりでございます。  より具体的に、温暖化対策につきましてはアジア太平洋地域セミナーというものを、これも毎年開催をしてきておりまして、温暖化対策推進に向けまして、研修などを通じた人材育成、あるいはワークショップの開催等、今後の課題になってこようかと思いますが、そうしたことを通じまして、今後ともさらにアジア地域途上国環境保護政策の推進に私どもとして協力をしてまいりたい、このように考えております。
  109. 武山百合子

    ○武山委員 それは、環境庁として予算や何かはとって対応しているのでしょうか。ODAの方じゃなくて、独自に環境庁として予算はとっているわけですね。
  110. 浜中裕徳

    浜中政府委員 いわゆるODAと申しますのは、外務省、JICAあるいはOECFといった援助機関に計上されるものが非常に割合としては大きゅうございます。しかし、政府全体といたしましては、各省庁にそれぞれ計上されている、いわゆるODAに分類されるような予算項目がございまして、環境庁にも、額は些少でございますけれども、そのようなものがございまして、そういうものに基づいて私どもも取り組みを進めているところでございます。
  111. 武山百合子

    ○武山委員 今お持ちじゃないと思いますので、どのくらいの額で、どういう国とそういうことを行っているのかということは、ぜひ知らせていただきたいと思います。  それから、森林の吸収源に関するもので、次に移りたいと思います。  CO2吸収作用を活用するため、新しい植林等をこれからふやしていかなければいけないと思いますけれども、これに対してはどのような基本的な取り組み考えておりますでしょうか。
  112. 浜中裕徳

    浜中政府委員 二酸化炭素の吸収源としての森林の重要性については、京都議定書の中にも明確に位置づけられているところでございます。  私ども環境庁といたしましては、こうした森林の保全につきましては、二酸化炭素の吸収源としての重要性のほかに、生物のすみかになっているというようなこともございますから、生物の多様性の保全あるいは生物資源の持続可能な管理、こういったことにも配慮をしながら、森林の保全整備を総合的かつ計画的に推進していくべきではないか、このように認識しているわけでございます。  そういう観点から、森林の持続可能な管理の方策はいかにあるべきか、こういった検討を私どもの観点からも進めておりまして、国内的には自然公園制度などを活用しまして自然環境の適正な保護と利用に努めているところでございますが、今後は、環境事業団に設置した地球環境基金などを通じまして、NGOが取り組んでおられる緑化活動、これは従来からもそういう形で支援をしておりますが、今後ともこうした基金なども通じながら一層森林の保全の取り組み推進をしてまいりたい、このように考えております。
  113. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、新規の植林等、どのくらい新規に植林しようと考えているのか。その辺、アウトラインをもっと詳しく教えていただけますか。
  114. 浜中裕徳

    浜中政府委員 新規の植林についてのお尋ねでございます。  これは、我が国といたしましては、もちろん国内で森林行政のお立場からそうした植林を進めておられるわけでございまして、私ども、直接の所管ではございませんから、実際にどういう御計画でどのように進めておられるかについては、現在、ここでは詳細な数字を持ち合わせておりませんけれども、森林行政当局でございます農林水産省林野庁においてそういう取り組みを進めておられるものというふうに承知しておりますので、必要でございましたら、私どもからもお願いをして、調査結果を後ほど提出をさせていただきたいというふうに考えております。
  115. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひ環境庁も農林省と連携をしてやっていただきたいと思うのです。  今後は、過去の反省を踏まえて、縦割り行政の弊害というのは是正していかなければいけないことだと思うのです。ですから、他の省庁だからといって、知らないという、そういう考え方はぜひ是正していっていただきたいと思います。  それで、公園はどのくらいつくっていこうとしているのでしょうか。公園の部分でですね。
  116. 浜中裕徳

    浜中政府委員 自然公園につきましては私ども環境庁で所管をしておりますので、そういうお尋ねがございましたら、本来でございますれば直ちにお答えができる状態でないといけないわけでございますが、自然保護行政を所管している政府委員が現在来ておりませんので、これも大変申しわけございませんが、後ほど調査の上お答えをさせていただきたいと思います。
  117. 武山百合子

    ○武山委員 そのときに一つお願いしたいのですけれども、新規の植林を公園の中でつくられる場合もあると思うのですね。それから、公園だけの場合とあると思うのです。その辺の量的なものを、どんなところにとか、そういうのをぜひ知らせていただきたいと思います。  それから、もう一つ先に行きます。  地球温暖化防止行動計画に関するもので、きょう、今の行動計画は実効が上がっていないと私質問をしたのですけれども、今回の法案の成立に合わせてその見直しをする予定、恐らく見直ししなければいけないと思うのです。その辺の青写真をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  118. 浜中裕徳

    浜中政府委員 本日の審議の中でも、さまざまな形でこの地球温暖化防止行動計画につきましては御指摘をいただいているところでございますが、私ども環境庁におきましても、中央環境審議会が平成八年度から環境基本計画の点検作業を実施しておりまして、その中でこの行動計画についてもその点検の対象としているわけでございます。  これまでの報告におきまして、行動計画の持っておりますいろいろな問題点、あるいは今後の見直し等についても指摘を受けているところでございます。私ども環境庁といたしましては、こうした中央環境審議会の点検報告も踏まえまして、行動計画の見直しの調査を今実施をしているところでございます。  この計画の改定の時期等につきましては、京都 議定書実施に向けた国際的な検討の動向も踏まえながら私どもとして判断をしてまいりたいというふうに考えております。
  119. 武山百合子

    ○武山委員 そうすると、予定はあって、見直しをして、これから手を加えながら新しいものをつくっていく、そう私は判断しましたけれども、それでよろしいのですね。
  120. 浜中裕徳

    浜中政府委員 先ほど来、いろいろな場面でのお尋ねの中でお答え申し上げておりますが、京都議定書そのものがまだその実施のための細部といいますか、具体的な仕組みがまだ必ずしも明らかにはなっていない、今後の国際的な検討にゆだねられている部分がかなりあるわけでございます。国際的な検討が煮詰まってまいりまして全体像が明らかになってまいりますと、今後、我が国としてもどのような施策を具体的に進めていくべきなのかということについても明確になってまいりますので、そういった状況を踏まえて判断をしたいと考えておるわけでございます。  この国際的な検討につきましては、十一月にアルゼンチンで開催を予定しておりますCOP4から具体的な検討、本格的な検討が始まるわけでございますが、いつまでにその結論が得られるかについては、必ずしも現段階で明確な日程が決まっているわけではございませんから、そういった状況をよく踏まえながら判断をしてまいりたい、このように考えております。     〔佐藤(謙)委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 武山百合子

    ○武山委員 環境庁の方針はよくわかりましたけれども、余り変わっていないなと思うのです。やはり、あくまでも日本の国はどうするかということなのですよ。他国の顔色を見ながら、他国がどう出るか、それを考えてから出る、そういう今までの発想をやはりここで、二十一世紀の土台をつくって、そして環境庁環境省となるわけですから、その辺の視点、意識、すべて変えていかなきゃいけないと思うのですね。  ぜひそういう視点、意識の変化、他国がどうの、顔色を見るのではなく、日本がどうするか、どうしたらいいかというのはもう十分議論が尽くされているわけですね。あとは、こうするんだというリーダーシップだけだと思うのですよ。ですから、それを本当にやっていただきたい。私はそういう意味で聞いたわけですけれども、ぜひやっていただきたいと思います。  それから、経済措置に関するもので、事業者、民間団体、国民等による温暖化防止のための積極的な取り組みに対して税制上優遇措置を講じるなどの支援を行う必要性、その辺についてお聞きしたいと思います。
  122. 大木浩

    大木国務大臣 先般、ちょっとどこの場ででしたか忘れましたけれども、そういった経済的な手法というものも含めてこれから温暖化対策を進めていかなきゃいけないということは、一般論としてはそのとおりだと思います。  ただ、経済的手法をいきなり今すぐに、例えば税制という形で導入するかどうか、これについてはまだいろいろ議論がございます。特に税制ということになりますと、温暖化のための税制だけじゃなくて税制全般との関連ということもありますので、なかなか議論がございますので、ちょっと時間がかかるということですから、これはあくまで私どもとしては、引き続き検討、勉強はさせていただきますが、今すぐに税制をどういうところを考えておるかというところまではちょっと申し上げにくい、こういう段階でございます。
  123. 武山百合子

    ○武山委員 議論をして、議論をしつ放しというのじゃなくて、ある期間を決めて、そこで決まったことはやはりやってみる、やりながら直していく、そういう発想の転換が必要ではなかろうかと思うのですね。国民の合意形成をとって完璧にやるというのは、それは無理だと思うのですね。ある程度期間を決めて、そして、あるところで、これで決断しよう、そしてつくったら、それをつくりながら育てていく、そういう考えがやはり必要だと思います。  それから、二酸化炭素の排出を抑制していくための環境税、炭素税ですね、その導入の賛成反対は別として、今後とも検討していく必要はあるかと思います。その辺はどう考えていらっしゃいますでしょうか。
  124. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答えいたします。  炭素税は、化石燃料に対して炭素の含有量に応じて課税することによりまして、燃料使用の節約であるとか、省エネルギー設備機器の導入などを促して、経済効率的な二酸化炭素の排出削減を期待し得る政策手法だというふうに考えております。  私ども、環境庁といたしましては、もう数年財政学者を中心に勉強してまいりました。一方、中央環境審議会におきましても、あるいは昨年の地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会の合同会議におきましても議論がなされまして、その席上では引き続き検討が必要というふうに言われております。  私どもといたしましては、これらの議論も踏まえまして、幅広い視野から御意見等をいただき、国民的な議論のもとでさらに検討を深めたいと思っております。  ただ、環境庁といたしましては、せっかくこれまである程度環境庁の中で勉強会を設けてやってまいりましたので、この際さらに幅広い視野から経済的手法について検討を行うために、本年三月に環境政策における経済的手法活用検討会というものを設けまして、さらに検討を深めようとしております。これは、活用という言葉にございますように、従来のように財政学者あるいは経済学者を中心とするものから、例えば消費者の団体の方であるとかあるいは流通業界の方々にも参加をいただいて、実効性についての議論ができるような場にしたいと思っております。
  125. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。  時間も残り少なくなってしまいました。通産省の方においでいただいているものですから、最後にお聞きしたいと思います。  先日の朝日新聞、五月十六日なんですけれども、「省エネ生活へ女性審議会」という見出しで、   通産省は温暖化対策の一環として、国民や企  業、非政府組織から省エネルギーのアイデアを  募り、新しいライフスタイルづくりに乗り出  す。二十九日に通産相の諮問機関、産業構造審  議会と総合エネルギー調査会の合同小委員会に  「スマートライフ分科会」を新設し、具体的な  協議に入る。分科会のメンバーはすべて女性。  国民の省エネ意識の盛り上がりを狙うこのように出ておりましたけれども、これは本当なんでしょうか。ぜひその辺お話しいただきたいと思います。
  126. 松井英生

    ○松井説明員 御説明いたします。  今御指摘の審議会でございますけれども、昨年十二月十七日に、産業構造審議会それから総合エネルギー調査会合同の小委員会が開かれまして、そこでCOP3の対策について通産省としてのフォローアップの体制について御議論をいただきました。その一環で、民生部門の対策、特にライフスタイルの対策をフォローアップする専門の分科会をつくるように、こういう御指摘を受けまして、現在、今御質問にございましたような審議会を発足すべく準備を行っております。一応、予定といたしましては、五月二十九日に第一回目の会議を開催する予定でございます。  以上でございます。
  127. 武山百合子

    ○武山委員 縦割りの行政ではなく、環境庁ともぜひ仲よくやっていただきたいと思います。  それで私は、環境庁が先を越されたなと思うのですね。この辺について環境庁長官の御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  128. 大木浩

    大木国務大臣 通産省にはなかなか知恵者がたくさんおられると思って感心しておるわけでございますけれども、環境庁環境庁立場から、また、最近は当庁も女性の上級職なども採っておりますから、そういう若い人あるいは女性の意見も十分に反映して、これからひとつ、別に通産省と張り合うつもりはございませんけれども、私どもは私どもでまたいろいろといいアイデアを柔軟に出してまいりたいと思っております。
  129. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。
  130. 山元勉

    山元委員長 次に、藤木洋子さん。
  131. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  まず最初に、この法案の問題点についてお伺いをしたいと思います。1  この法案は、京都議定書の詳細規定がなお検討途上にあるということを理由にされまして、京都議定書に対応したものとはなっていない、これは確かでございます。これは、これまでの法制化の経過を見ておりますと明らかでございますけれども、大幅に後退をしているものだというふうに思うわけですね。議長国としての国際的責任を果たしたとはとても言いがたいというふうに私は思います。  京都議定書の詳細規定がCOP4からCOP5にかけて決まる、京都議定書締結が二〇〇〇年ごろになる予定だ、仮にそういたしましても、京都議定書を採択したCOP3の議長国としては、他の先進国に先駆けて、京都議定書で約束をした六%削減を履行できるような法案とすべきだというふうに思います。これは世界第四位の大量排出国である日本政府の国際的責任でもあろうということを思うわけです。  こうした京都議定書に対応できない政府の後退した姿勢というものは、京都会議日本政府が米国に追随をして削減目標の引き下げに終始するというような対応がしばしばございましたけれども、こういった議長国としての責任を果たし得なかったことに共通するものではないか、その国際的責任を問われているのではないか、こんなふうに思うのですが、長官のお考えはいかがでございますか。
  132. 大木浩

    大木国務大臣 京都議定書は、まずこれはできたことは間違いないわけでございまして、日本もその参加国でございますから、その決められたことをこれから実行していくということにつきましては、別によその国の顔を見ながらではなくて、日本としては六%という数字が出ておるわけですから、これを定められた期限内に実現するようにこれから努力をしてまいりたい。  ただ、その中身につきましてはいろいろとあるわけでございますし、それから、日本の場合には六%ですけれども、各国が達成すべき削減の中に入る項目とか、そういうものについてはまだ必ずしも厳密に決まっていないところもありますから、これはこれとして、やはり取り決めの解釈の問題として今後もきちっとしていかなければいけないと思っております。  それはそれとして、日本としては六%というもので一応大体わかっているわけですから、これを順番に進めていくということでありまして、別に、今回の法律京都議定書に直接に言及していないから京都議定書の約束を忘れたと言っているわけではございませんので、この点はひとつそういうふうに御理解いただきたいと思っております。
  133. 藤木洋子

    ○藤木委員 順々にやっていくというお話ですけれども、これではとても京都議定書で約束をしたことが履行できるものではない。仮に六%が履行できるということでなくたって、京都議定書削減目標を先取りをした措置を盛り込んだ法案は提案できたのではないか、こんなふうに思うわけですね。  ところで、この法案では、吸収源であるとか排出権取引という言葉は一切見当たりません。しかし、「温室効果ガス排出抑制等」ということであるとか、あるいは「温室効果ガスの総排出量」という中に、吸収源あるいは排出権取引、こういったものは一切入っていないのでしょうか。大臣、いかがですか。
  134. 浜中裕徳

    浜中政府委員 ただいま御指摘のございました排出抑制等ということでございますが、これは法案の第二条「定義」でございますが、この第二項に排出抑制等について定めておりまして、「温室効果ガス排出の抑制並びに動植物による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化」、これを総称して排出抑制等というふうに呼んでいるわけでございます。  これは一般的に申し上げまして、例えば森林の保全整備などによりまして二酸化炭素の吸収を図るということは、地球温暖化防止を進める上で非常に重要な取り組みでございますから、そういったものもこの法案の具体的な取り組みの対象に入れているわけでございます。  ただ、この法案においては、京都議定書で述べておりますようないわゆるネットアプローチ、つまり、排出から吸収を差し引いて、これで目標を達成したかどうかという判断をすることができる、いわゆるカウントすることができる、こういうような意味でのネットアプローチを導入する意図ではございません。  それから、総排出量についての御指摘がございましたが、第二条の第五項で総排出量の定義がございますが、これは、温室効果ガスが第三項で六種の物質が定められておりまして、この物質ごとに政令で定める方法によって算定される排出量にいわゆる地球温暖化係数というものを乗じて、二酸化炭素の量に換算をして合計をした量のことをいうということでございますから、基礎になる数値は排出量でございます。その排出量を合算したもの、これが総排出量になるということでございます。
  135. 藤木洋子

    ○藤木委員 では、その中には排出権取引は入っていない、そういうことになりますか。
  136. 浜中裕徳

    浜中政府委員 これは本日の審議の中でも申し上げたと記憶しておりますけれども、我が国国内措置を進めるということを意図して法案を御提案申し上げているということでございますので、現在のところ、この総排出量の中にそのような排出権という考え方は含まれていないというふうに考えております。
  137. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、結局、吸収源であるとかあるいは排出権取引のための調査や、それから先進国途上国との共同実施であるとかクリーン開発メカニズム、先ほど来御答弁にもなっていらっしゃるわけですけれども、これの国際協力の規定ということで、いわゆる抜け穴に対応していくというための規定は、国の責務であるとか基本方針など、かなり法案の根幹の部分に随所に含まれている、こういうことになっていると思うのですね。これは、国内措置による排出削減というよりは、専ら近い将来の抜け穴頼みになっているのではないか。大臣、その点はいかがでございますか。
  138. 浜中裕徳

    浜中政府委員 ただいま御指摘のございました法案第三条四項と第五項でございますけれども、三条四項の調査でございますが、この中で確かに、吸収源の強化に関連する、例えば緑化を推進する施策の策定に必要な調査、こういった調査はここで言う調査に含まれると考えております。  しかしながら、先ほども排出抑制等という概念の御説明で申し上げましたとおり、これは、吸収源の強化によりまして吸収を促進するということの意義は認め、その取り組みを進めることは考えておりますけれども、それを排出量から差し引いて、いわゆるネットアプローチというものを考えていくということは、この法案では想定をしておらないところでございます。  それから、共同実施排出量取引については、三条五項の国際協力の中に、そうしたものの細目を詰めるための取り組み、あるいは、事業者、民間団体などが海外で行う排出の抑制のための事業推進するといったことも、この国際協力には含まれるというふうに考えております。
  139. 藤木洋子

    ○藤木委員 ですから、結局、国内措置は非常に実効性に乏しくて、二年後の抜け穴頼みという法案、そういう感じがぬぐえないわけですね。  確かに、中環審の中間答申自体が、京都議定書に対応した総合的対策と当面の対策という二段構えになっていることはそのとおりです。この法案はその当面の対策を法案化したというものです。しかし、それにしても、議長国の国際的責任として、京都議定書締結に先駆け、六%の削減に対応して総量削減計画といった制度を導入する、あるいは革新的な技術で大幅削減が可能な産業、運 輸部門の国内措置で大幅に排出削減をするという法案とすべきだというふうに思うわけですね。  議長国日本京都議定書をなし崩しにする抜け穴の拡大の先頭に立つべきではない、このように思うのですけれども、大臣、そうでございますよね。
  140. 大木浩

    大木国務大臣 先ほどから議長国の責任というお話でございますが、確かに、議長国として京都議定書を取りまとめたという立場からいえば、できるだけ実質的な削減をどんどんと他国に先駆けて進めたいということはそのとおりであります。そういう政治的な立場というのはわかります。  しかし、京都議定書の規定というものは各国にそれぞれ、数字は別ですが、少なくとも規定はそのまま各国にひとしく適用されるわけでございます。例えば、今の森林の問題とかそういうものも日本にもこれは当然に、少なくとも取り決めの内容としては日本にもかかってくるということでありますから、日本が森林という形で、吸収という形で温暖化のガスの削減に努力するということは、決して私は抜け穴ではないというふうに思っております。  ただ、よくいろいろな議論がございまして、吸収ばかりで実質的な排出の方を努力しないというのではだめじゃないかという話もあります。それから、ここでは直接の問題にはなっておりませんけれども、いろいろな国際的な措置ということで、先ほどの排出権の取引とか、よその国との、特に途上国等も含めた国際的な共同実施とか、そういったものはこれはまた別のところであります。これももちろん全体としては、先ほどもどなたかの御質問でうちの政府委員が答えたと思いますけれども、だれがどこでやるということとは別に、世界全体としては温暖化ガス排出が抑制されればそれは望ましいことでございますから、それはやはり共通の目的として、日本であれどこの国であれ参加してやっていく、こういうことではないかと思います。
  141. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、中環審の中間答申でも、「各国地球温暖化防止対策推進させ、抜け穴を生ずることなく地球全体としての温室効果ガスの純排出量が確実に減少するような方向で政府が努力すること」ということを指摘しているわけですから、間違っても抜け穴の拡大の先頭に立つというようなことになっているという国際的な批判を浴びるようなことがないようにしていただきたいと思います。  それで、抜け穴の拡大に走るのではなくて、国内の産業、運輸部門の排出削減京都議定書の六%削減ができるような取り組み、これをするためにも、二年後の法案見直しに向けて早急に総量削減計画制度といったものの導入を検討すべきだというふうに思うのですが、環境庁、どうですか。
  142. 浜中裕徳

    浜中政府委員 見直しを早急に進めるべきじゃないかという御指摘でございます。  御存じのとおり、本法案では、事業者取り組み計画実施状況公表を努力義務として位置づけております。努力義務規定ではございますが、この規定によりまして、私どもといたしましては、取り組みに意欲のある事業者が積極的にその取り組み公表することになりまして、そうしたことによりまして、他の事業者も、国民の目のもとでよい意味での企業間競争が行われ、取り組みを行う方向に誘導されるということで、排出削減効果も上がるものと考えているところでございます。  しかし一方で、法律の施行五年以内に施行の状況についての検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものと規定をされているところでもございますので、先ほど来御指摘の総量削減計画制度なども含めまして、その他さまざまな方策とともに、この見直しの際には国民的な議論のもとでさらに具体的に内容検討してまいりたい、このように考えております。
  143. 藤木洋子

    ○藤木委員 二酸化炭素等の確実な削減量を見込める仕組みとなっていなかったと中環審の中間答申でも批判をされました地球温暖化防止行動計画の工の舞にならないようにということだけは指摘をしておきたいというふうに思います。  中環審の中間答申では、京都議定書の中核的内容である法的拘束力のある数値目標我が国が確実に達成するためには、地球温暖化防止を保護法益として明確に掲げた法的拘束力のある国内的な仕組み、これが必要だとしておりますし、都道府県知事等の指導や助言や支援のもとで、事業者がみずからの取り組み計画を策定し、都道府県知事等に報告し公表する、さらに、都道府県知事等が、事業者による計画実施について国の定めるガイドラインに照らしつつ指導助言、そして必要に応じ勧告を行うことなども実効性を一層高める方策、このようになっておりました。  しかし、こうした事業者に対する規制的な措置は、この法案からは抜け落ちてしまっております。それは、二重規制の排除などを主張する通産省や産業界の強い抵抗があったからではないのですか、環境庁
  144. 浜中裕徳

    浜中政府委員 なぜ規制的な措置が盛り込まれなかったのか、こういうお尋ねでございます。  私どもといたしましては、御指摘事業者取り組みでございますけれども、省エネルギー対策というのは非常に歴史的にもいろいろな積み重ねがございますけれども、それ以外の、二酸化炭素を含む六つのガスの幅広い対策は緒についたばかりであるという実態がございます。そうした実態に配慮して検討を進めました結果、現段階ではやはり事業者計画的な取り組みに弾みをつける段階ではないだろうか、このような認識のもとに、今回御提案申し上げました法案におきましては、事業者計画の策定と公表を義務づけることは困難ではございますが、それを努力義務として規定をし、そのことによって事業者取り組みの促進を期待する、このような形にさせていただいたわけでございます。  そういうことでございますので、御指摘のような形で特定の方面の反対に屈したという事実はございません。
  145. 藤木洋子

    ○藤木委員 産業界に対してはかゆいところに手が届く、そういう御配慮でございます。しかし、中環審の審議過程での産業界の委員の意見でも強い抵抗があったということは明らかですね。  さらに、中環審の中間答申を受けた形で、地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合会議、これは三星二十日に行われました。経済界や産業界の委員を中心に、環境庁法案反対の大合唱が行われたところでございます。  経済界や産業界の委員からは、新たな法律は要らない、環境庁法律は明らかに事業者規制が中心であり屋上屋をつくることになるとか、環境庁法律は二重規制を排除すべきであり、都道府県による指導監督はすべきではない、事業所規制はやりやすいけれども、それをやると事業所に都道府県ごとの総量規制をかけるようなものであり、生産の機動性が失われるなどの意見が次々と出されました。  これに対して中環審の委員は、委員の中に誤解がある、中環審の中間答申をよく読んでほしい、二重規制をすべきではないと言っているし、都道府県知事にゆだねる理由についても説明をしているなどと弁明に終始をしておりました。  環境庁は、事業者都道府県知事への排出抑制計画の提出義務であるとか、あるいは指導、勧告、命令等の規制規定がないのでは温室効果ガス排出削減の実効性に乏しいとはお考えにならないのでしょうか。
  146. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  先ほどもお答え申し上げましたが、本法案におきましては、省エネ対策以外の排出抑制対策がまだ緒についたばかりという事業者取り組みの現状、実態を踏まえまして、排出量相当程度多い事業者に関して、計画を策定すること、それから計画とその実施状況公表することを努力義務として位置づけ、事業者計画的な取り組み国民に開かれた形で行うということを広く促しているものでございます。  これによりまして、意欲ある事業者は積極的に その取り組み公表し、その他の事業者につきましても、計画の策定と公表が本来望ましいということが法律上明確になる、それから積極的な取り組みをする事業者国民の前に明らかになり評価を受ける、こういったことからいい意味での企業間競争が行われ、取り組みを行う方向に誘導されるもの、このように考えている次第でございます。
  147. 藤木洋子

    ○藤木委員 事業者事業活動の計画公表だけでは実効性に乏しいのはだれが見ても明らかだと思うのですね。  それでは伺いますけれども、この枠組みで、六%とは言わないまでも、実際に抑制できる排出量を何%ぐらいに見込んでいらっしゃいますか。お答えください。
  148. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  この法案は、もともと特定の数量的な目標を掲げてその達成のための施策を講じていくというような構成にはなっていないものではございますけれども、政府京都会議前に行った検討作業におきましても、事業者の自主的取り組みによる削減効果としては、省エネルギー法の改正による効果に匹敵するような効果が期待されていたところでございまして、こうした自主的取り組みによる削減効果を具体的なものにする、そういう動きを相当に後押しするものであるというふうに考えております。
  149. 藤木洋子

    ○藤木委員 結局、六%に向けたどこまでの行動を行うのかというようなことに対する中間的な見通しも立っていないということであります。  京都議定書を抜け穴に頼らず履行するためには、事業者都道府県知事への排出抑制計画の提出義務、それから指導、勧告、命令等の実効性ある規制措置がなければ担保できません。二年後の法案見直しに向けて早急に事業者への規制措置を導入すべきだというふうに思うのですけれども、環境庁、その点はどうですか。
  150. 浜中裕徳

    浜中政府委員 先ほども別の総量削減計画制度のところでお答えを申し上げましたが、私どもとしては、この御提案申し上げておりますような事業者に対する努力義務としての計画の策定、計画とその実施状況公表、こういったものを努力義務として位置づけることによりまして事業者計画的な取り組みを広く促すことができる、それによりまして効果を上げることができるというふうに基本的に考えているところではございますが、いずれにいたしましても、京都議定書実施を図っていくことが今後の課題でございますから、国際的な検討状況も踏まえながら、将来において法律の見直しも必要であろうと考えております。その際には、いろいろな観点から見直していく必要があろうかと思いますが、そういう一環といたしまして、御示唆のございましたような点も含めて検討をしてまいりたい、このように考えております。
  151. 藤木洋子

    ○藤木委員 そういった実効ある措置を行うための規制措置、ぜひこれを導入すべきだということを重ねて申し上げたいと思います。  それで、この法案は、全体としまして事業者に対する規制措置事業者計画に対するフォローアップ制度がない、こういうふうになっておりまして、実効性に乏しい対策となっていることは明らかなのですね。  そこで、確かに第九条の一項、二項で、事業者事業活動に関する計画計画に伴う措置実施状況公表するよう努めるというふうにはなっております。この公表制度の導入は、事業所の排出量を半減させた米国のTRI制度の実績などがあるということは確かでありますけれども一そうだとしても即効性には極めて乏しいわけです。  環境庁に伺いますけれども、公表制度による削減効果を上げるためには、事業者計画に対するフォローアップ制度あるいはチェック機関、これを検討すべきだと思うのですが、いかがですか。
  152. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  現在、御提案を申し上げております法案におきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、計画の策定それから計画とその実施状況公表事業者の努力義務として位置づけておりますが、こういうことによりまして、消費者や顧客その他の国民の目のもとで、事業者の間にいい意味での積極的な競争が働きまして、計画の作成や公表の動きが広まっていくものと考えております。さらに、こうしたことにとどまらず、事業者による温室効果ガス排出の抑制のための取り組みが促進されるものというふうに考えているわけでございます。  ただし、御指摘は、そういったことについてのフォローアップやチェックが必要ではないか、こういうことでございますが、私どもといたしましては、省エネ以外の温室効果ガス排出抑制対策がまだ緒についたばかりという事業者の現実の取り組みの実態を考えますと、現在の段階事業者計画的な取り組みに弾みをつける段階である、このように考えているわけでございます。そうした段階におきましては、行政機関によるチェックのもとでそうした取り組みを進めるというふうに考えるよりは、国民の監視のもとで取り組みをスタートさせ進めていくということが適切である、このように考えているところでございます。
  153. 藤木洋子

    ○藤木委員 米国のTRI制度実施でも、住民の監視がなければ効果が上がらなかった、こういうことがはっきりしているわけですから、ぜひ効果的な制度を導入するよう要請しておきたいと思います。  そこで、温室効果ガス排出抑制等取り組みの実効性を高めるために、第三条第二項で、国は、当該施策の目的の達成との調和を図りつつ温室効果ガス排出抑制等が行われるよう配意するものとする。また、第十四条第一項で、環境庁長官は、関係行政機関の長に対し、地球温暖化対策推進について必要な協力を求めることができるとしています。  しかし、温暖化防止のための温室効果ガスの大幅削減にはこれほどの規定で果たして十分か、不十分ではないかというふうに思うわけです。省エネ法基本方針などその他の法律基本方針は、この法案の基本方針と矛盾し、または抵触するものであってはならないものというふうに規定をして、環境庁長官の要請権限をより強くするべきだというふうに思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  154. 大木浩

    大木国務大臣 私、本会議の御質問でも申し上げたと思うのですが、省エネ法と私どものこの温暖化対策の法案と、二つ法律がございまして、これはやはり目的が違うわけでございますので、どっちかの法律が基本法で、それに別の法案を常に従属といいますか、しろというのはちょっと無理じゃないかなという感じがしております。  もちろん、両者がお互いに連携してこれが上手に運営されるということが望ましいわけでありますから、これから実際に運営してみて、さらにそういった連携をきちっと強化できるような文言というようなものがこれは入り得るかどうか、それはもちろん検討の対象にはなると思いますが、今の段階でいきなりこっちがもとだよというような言い方というのはちょっと無理じゃないかなという感じを持っております。
  155. 藤木洋子

    ○藤木委員 お互いに連携してプラス効果を出そうと思えば、基本方針に対する矛盾があったり抵触する部分があったりしたのではこれはいけないということだけは明らかだというふうに思います。ぜひ権限を高めるようなそういう措置をおとりいただきたいと思います。  また、この法案では、国民が行う温暖化防止のための行動を効果的に進めやすくするために、第十条、第十一条で、地球温暖化防止活動推進員都道府県推進センターの制度を設けていらっしゃいます。  COP3で京都議定書の採択に非常に大きな役割を果たした環境NGOが参画する機会が制度化されれば、今度の温暖化防止推進に一定の役割を果たすことができるというふうに私は思うわけですが、環境NGOが参画する機会を図る制度とすることは意義があることではないかと思います。環境NGOの温暖化防止推進に果たす役割 について、その評価を大臣はどのようにしていらっしゃるのか、最後にそのことをお伺いしたいと思います。
  156. 大木浩

    大木国務大臣 NGOのお話も、これはまた本会議でも私ちょっと触れましたけれども、NGOが京都会議の前から、あるいは京都会議の期間中、そしてその後も温暖化の問題あるいは環境問題一般に対して、国民に対するPRと申しますか、そういう意味で大いに努力していただき、また効果も上げていただいたということは大変大きく評価しておりますし、私も、これからも大いにNGOの皆様方、御協力といいますか、政府ともども頑張っていただきたいと思っております。  特にこの環境問題それからこの温暖化の問題というのは、国民のあらゆる層の方々に参加をしていただかないと実効が上がらないという問題でございますから、これはそういった意味では、国民に理解していただく、そのためのPRと申しますか、そういった運動というのは本当に必要だと思っております。  さっきもお話がございましたけれども、環境庁予算は幾らだとか、人間は何人おるかというようなところからもおわかりでございますけれども、環境庁だけで、あるいは政府公報というような形だけではなかなか国民の理解を得られないわけでありますから、やはり政府ではないところでのPRといいますか、広報活動というのは私も大変に大事だと思いますので、今後とも御協力いただきたいというふうに思っております。
  157. 藤木洋子

    ○藤木委員 意欲を持っている国民のすべてが積極的に参加できるような、そういう支援を惜しますにやっていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  158. 山元勉

    山元委員長 次回は、来る二十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十八分散会      ————◇—————