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1998-03-19 第142回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十九日(木曜日)     午前九時三十五分開議 出席委員   委員長 山元  勉君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 福永 信彦君    理事 岩國 哲人君 理事 佐藤謙一郎君    理事 田端 正広君 理事 武山百合子君       愛知 和男君    石原 伸晃君       大野 松茂君    桜井 郁三君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       戸井田 徹君    山本 公一君       小林  守君    冬柴 鐵三君       前田  正君    中村 鋭一君       藤木 洋子君    土井たか子君       武村 正義君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君  出席政府委員         公害等調整委員         会事務局長   下野 省三君         環境政務次官  山本 公一君         環境庁長官官房         長       太田 義武君         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君         環境庁水質保全         局長      渡辺 好明君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄棄物対策室長 仁井 正夫君         環境委員会専門         員       鳥越 善弘君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   砂田 圭佑君     田中 和徳君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     砂田 圭佑君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出第二八号)                ――――◇―――――
  2. 山元勉

    山元委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
  3. 小林守

    小林(守)委員 おはようございます。民友連小林です。早速質疑に入らせていただきます。  きょうは、公害等調整委員会に係属されている諸問題について幾つか取り上げて、現在の状況等についてお聞きをしたいと思います。  まず最初に、香川県の豊島産廃不法投棄の問題でございますが、平成五年十二月二十一日に調停申請をされたものであります。新聞等では、解決方向に向かって大きく動き出しているというような状況を伺っておるわけでありますが、今日までのこの問題の概要、そして今日の対策状況等について、まず最初にお聞きをいたしたいと思います。
  4. 下野省三

    下野政府委員 いわゆる豊島産廃調停申請事件についてのお尋ねでございますけれども本件は、違法な産業廃棄物処理などが行われましたために、有害物質を含んだ膨大な産業廃棄物処分地に放置されました結果、周辺海域につきまして水質汚濁のおそれが生じているということで、平成五年十一月、香川豊島住民方々、五百四十九名の方でございますけれども、これらの方々が、廃棄物処理業者、それから香川県、そして廃棄物排出いたしました事業者二十一社などを相手方といたしまして、まず第一に、処分地に存する一切の産業廃棄物を撤去すること、それから第二に、住民に対して一人当たり五十万円の慰謝料を支払うことを求めた事件でございます。  公害等調整委員会といたしましては、この申請を受け付けましてから、鋭意手続を進めました結果、昨年、平成九年の七月でございますけれども申請人香川県との間で、香川県が、まず、処分地に存する廃棄物あるいはまた汚染土壌を中間処理して無害化する、そういうことによってできる限り再利用を図って、廃棄物が搬入される前の状態に戻すことを目指すこと、それから、中間処理施設整備及び対策実施期間中の環境保全対策などのために必要な調査を行うこと、こういったことを内容といたします中間合意が成立したところでございます。  現在、この中間合意に基づきまして、香川県の設置いたしました豊島廃棄物等処理技術検討委員会におきまして、既に、九回ばかりでございますけれども、具体的な処理方法について検討をしておる、こういった状況でございます。  公害等調整委員会といたしましては、今後とも本件の適切、妥当な解決に向けまして最大限努力を払ってまいる所存でございます。
  5. 小林守

    小林(守)委員 概要はわかりました。  中間合意が成立して、現在、処理技術も含めた検討をされているというような状況でありますが、どのくらいの費用がかかるのか。それから、その費用についてはだれが負担をするのか。その辺について、もう既に一部報道されているところもありますけれども、大変な不法投棄問題だったわけであります。そのことによって全く大変な社会的負担がもたらされるというようなことでありまして、要は、そのような不法投棄を起こさないような仕組みをどうつくっていくかが最大課題なわけでありますが、既に不法投棄をされてしまったものについては、これは排出者責任というか不法投棄者責任というのが第一義的にあるわけですけれども、だれかが負担をして解決しなければならない問題であるわけであります。  そういう点で、どれぐらいの費用が想定されるか、それから一だれがどう負担しようとしているのか。現在の検討状況について、委員会の方か、それとも行政の方になるのでしょうか、わかりましたら教えていただきたいと思うのです。
  6. 下野省三

    下野政府委員 お答えいたします。  私ども調査によりますと、豊島に投棄されました廃棄物の総量は約四十六万立米、重量にいたしますと約五十万トン、こういうふうに推測をいたしております。それから、これらの廃棄物の中には、重金属とか有機塩素化合物、ダイオキシンなどの各種有害物質が相当量含まれておるということでございますので、この処理のために、先ほど御答弁申し上げましたように、昨年当事者間で合意いたしました中間合意に基づいて、香川県が中間処理施設の建設というものに向けて今検討を進めておるということでございます。詳細、技術的にいろいろ難しい問題がございますが、これについては、先ほど申しました技術検討委員会で鋭意検討されておるというふうに承知いたしております。
  7. 小林守

    小林(守)委員 大体二百億ぐらいかかるのではないかというようなお話が既に出ておるわけですけれども、大変な費用がかかるわけでありまして、少なくとも香川県、それから、対象業者というのですか、その業者がどのくらいの負担をするのか、これからやはり詰めなければならない部分なんだろうというように思うのです。  いずれにしても、調整委員会の方で鋭意取り組んでいただきたいというようなことをお願い申し上げておきますけれども、要は、不法投棄をどう防止していくのかということが最大行政課題だろうというように思うのです。それから、そうさせないためのいろいろな法制度上の仕組みをきちっとつくり上げていく、これもまた大切なことだと思います。  それから、原状回復措置ですね。今回のような、既に不法投棄をされてしまって環境への大変な汚染を進めてしまう、こういう問題に対しては、一刻を争って速やかにだれかが撤去しなければならない、原状を回復しなければならないということになるわけでありますが、それらについて、廃掃法改正の中で、さきの国会だったでしょうか、マ上フェスト制度の導入とか基金設置というようなことが改正されたというふうにお聞きしております。  この豊島の問題が非常に象徴的な事件だと思いますけれども、これらの問題に学んで、行政としての不法投棄防止対策、さらには原状回復措置について、現在の仕組み、それから課題について、厚生省の方になるでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  8. 仁井正夫

    仁井説明員 不法投棄防止対策についてのお尋ねでございます。  お話ございましたように、昨年六月に廃棄物処理法改正していただいたところでございまして、この中で不法投棄防止対策が講じられているところでございます。  まず、未然防止措置として、廃棄物の物の流れを排出事業者みずからが管理する、今お話もございましたマニフェストの制度、これは従来法律上は特別管理産業廃棄物のみに適用されていたものでございますが、これを基本的にすべての産業廃棄物に適用するということにしたところでございます。また、不法投棄中心にいたしまして、罰則を大幅に強化したところでございます。  さらに、結果として不法投棄が行われた場合、この場合に、速やかに原因者原状回復措置をとらせるためのいわば行政代執行法の特例といったような措置も盛り込んでいただいたところでございます。さらに、不法投棄者が不明といったようなケースに対応いたしました、行政産業界とが協調して資金を分担する基金制度といったようなものも設けられたところでございます。  私ども改正法を的確に施行することによって、不法投棄防止対策の徹底を期してまいりたいと考えております。
  9. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次に移ります。  公害健康被害補償に関する法の改正に関して、平成七年の二月十七日に当委員会におきましてやはり法改正がなされました。ちょうど阪神・淡路大震災に絡んでの改正だったと思いますけれども、その附帯決議について私も読ませていただいたわけなんです。平成五年の委員会法改正のときの附帯決議と内容的にはほぼ同じというような状況でございますが、ちょっと読ませていただきます。  第一項目として、主要幹線道路局地的汚染については、その健康影響に関する科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を一層推進するとともに、必要に応じ、被害者救済方途検討すること。それから、第二点といたしまして、大都市における窒素酸化物浮遊粒子状物質等における複合的大気汚染については、地方公共団体から指摘されている状況を見ても改善は大幅におくれており、早急に環境基準達成を図るため、大気汚染防止対策を一層強化すること。  ほかにもあるのですけれども、私自身、この辺がポイントになるのかなということで取り上げてみたのです。  これらについて毎回附帯決議として委員会で決議されているわけなんですが、この附帯決議というのは、ただ単に形式的なセレモニーではなくて、これをきちっと行政が受けてフォローアップをしてもらわなきゃならないわけでありますし、また我々も、附帯決議をやってしまえば終わりというのではなくて、常にそれがどう受けとめられて実行されているのかということを監視していかなきゃならない立場なんだろうというように思います。  そういう観点から、現状において、この附帯決議における調査研究状況とか、それから窒素酸化物浮遊粒子状物質等複合的大気汚染改善はどうされようとしているのか、それから平成十二年度までに首都圏近畿圏では特定地域内の窒素酸化物基準達成するのだというようなことが既に回答はされているわけですけれども、これらについて本当にちゃんとやれるのか、毎回毎回、まだまだ不十分だ不十分だで先送りされているのが実態ではないのか、このように思いますので、それらについての状況をお知らせいただければありがたいと思います。
  10. 岡田康彦

    岡田政府委員 まず、私の方から、前段の局地的な大気汚染健康影響に関する調査研究の方についてお答え申し上げたいと思います。  環境庁では、局地的大気汚染健康影響調査手法検討するために、一つは、個人暴露量測定だとか推定手法についての検討を進めると同時に、動物暴露試験による局地的大気汚染健康影響調査評価方法検討を進めております。  具体的に若干触れさせていただきますと、まず、個人暴露量実測と申しますのは、調査協力者が衣服の上に個人サンプラーをつけまして、通常の生活をしてもらって、その中で一日にどれぐらいの窒素酸化物等暴露があるかというのを測定する。  また、拡散モデルを用いたシミュレーションによる大気汚染物質濃度推定という手法検討中なんですが、これは、道路から離れるに従って窒素酸化物濃度が下がる様子を拡散モデルを使って計算によって算出できるようにする、こういうものをやっております。  また、動物暴露試験による局地的大気汚染健康影響調査評価といいますのは、幹線道路沿道設置いたしました動物暴露施設動物を飼育いたしまして、これはもう長い間飼育し続けるわけですが、沿道大気実験動物に与える健康影響を観察するもの、こういうものを進めておりますj  今後とも、これらの検討課題について鋭意研究を進めてまいりたいと考えております。
  11. 野村瞭

    野村政府委員 窒素酸化物浮遊粒子状物質汚染状況からまず御説明を申し上げたいと思います。  私どもが毎年実施をいたしております、平成八年度の測定結果によりますと、二酸化窒素環境基準達成割合ということでお話をいたしますと、一般環境中の状況につきましては、一般局というふうに私ども称しておるわけでございますが、そこの一般局基準達成割合というのは九六・四%でございます。沿道は車の排ガスが特に多いわけでございますが、そういったものを特に測定する自動車排出ガス測定局におきましては六四・六%ということでございまして、七年度から比べますとやや達成割合は減少をしているという状況下にございます。東京だとか横浜、大阪等大都市地域中心といたしまして、環境基準達成状況というのが依然として低い水準になっておるというのが実態でございます。  それから、浮遊粒子状物質についてでございますが、これは、環境基準達成した割合が、一般局では六九・八%、自動車排出ガス測定局におきましては四一・九%ということで、ほぼ窒素酸化物と同様に、大都市地域中心といたしまして環境基準達成状況は悪いということでございます。  こういう状況対応して、私どもがどういう対策をとっておるか、また、今後とるかということでございます。  まず、窒素酸化物対策についてでございますが、御存じだと思いますが、車の関係環境負荷が特に多いわけでございますけれどもディーゼル車が特にその寄与度が高いということでございます。車一台ごとの排出ガス規制強化でありますとか、あるいは、最近私ども特に強力に推し進めておりますけれども、低公害車普及促進といった対応策を進めております。  また、先ほどお話し申し上げましたように、特に大都市における窒素酸化物汚染状況が著しいということでございますので、自動車NOx法、これは平成四年に制定をいたしたわけでございますが、これに基づきまして、トラック、バス等特定自動車につきましては特別の排出基準を設けまして、車種規制というようなものも行っております。  また、ソフト的な対策といたしましては、物流でありますとか人流あるいは交通流等につきましてもいろいろ配慮することによって、窒素酸化物を減らす方向で施策を推進いたしておるわけでございます。  それから、工場事業場につきましては、引き続き所要の排出規制を行っておりますけれども、特に、規制対象外小規模施設も議論になっておりまして、これにつきましては、低NO、型の燃焼機器普及促進といったものについても考慮を払っているところでございます。  それから、浮遊粒子状物質対策といたしましては、特に工場事業場から排出をされますばいじんが問題になってくるわけでございますが、これにつきましては、これまでも規制をいたしておりましたが、特に、最近、日本の基準が甘いといった批判もあるものですから、さらに規制強化を図ることといたしております。  また、浮遊粒子状物質につきましては、いろいろな発生源があるということで、地域的にどう対応するかということが課題になっておりますので、特にその辺を科学的にもデータを集めて対応策を現在検討しているところでございます。  それから先ほどの御質問の中で、自動車NOx法による基準達成割合平成十二年度までにおおむね一〇〇%ということで私ども目標を掲げておるわけでございますが、これの達成状況ということでの御質問がございました。昨年、私ども中間報告ということでまとめさせていただきましたが、この自動車NOx法対象になる都府県というのは一都五府県ございます。中間段階でございますけれども、県によっては、かなり当初の目標達成しておるところもございますけれども、ほとんどは半分も計画目標達成していないという状況にございますので、これは関係自治体努力もさることながら、私どもとしてもさらなる努力を積み重ねなければならないというように認識をしておる次第でございます。
  12. 小林守

    小林(守)委員 附帯決議というのはただ単にセレモニーじゃございませんので、ぜひ最大限努力をお願いしたいというふうに思っております。  それでは次に、平成八年四月に、東京杉並区の井草森というところの一画に東京都の事業として杉並不燃ごみ中継施設というものが整備をされまして、稼働したわけであります。これについて、設置後、周辺住民の中に、医学的には中枢神経とか自律神経の方に悪影響が出て、健康被害を訴える方が出ている。そして、特定医療機関の方では、化学物質過敏症というような一つの新しい症状概念ですか、疾病の概念がつけられた問題が出ているわけでありますけれども、これについて、平成九年五月二十一日に公害等調整委員会の方に原因裁定申請がなされております。  不燃ごみ、または焼却不適正なごみ、プラスチックを中心とする瓶や缶、それから金属類、こういうものが集められて、そこで一たん中継をしまして、もうちょっと大きな、小さい車九台分ぐらいに当たる車に詰めかえをして、そして最終処分場の方へ持っていくというような中継所なわけであります。そこでは、一つの大きなコンテナに詰めかえる、それはもちろんプレスをしたりして小さく減容をして詰めかえるわけなんです。その施設から、何か予期できない、原因のわからない化学物質が出ているのではないか、また、周辺大気とのいろいろな意味での複合的な化学反応によって、予期できないような物質空気汚染をしているのではないかというように考えられておるわけであります。  これらについて、現状把握と問題への対応について今どのようになっているのか。そして、その被害を訴えられている百名ぐらいの方々がいるわけですけれども、これらの方々に対して健康被害に対する手当てみたいなもの、これはいろいろな意味での手当てがあると思うのですが、これにどう対応したらいいのか。原因がよくわからぬということでありますけれども、それらについての現状の取り組みを、委員会の方の立場から、それから行政の方の立場からお聞きしたいと思います。
  13. 下野省三

    下野政府委員 お尋ねの、いわゆる杉並ごみ中継所事件につきましては、先生指摘のように、昨年五月、東京都が設置管理いたします杉並不燃ごみ中継施設周辺に居住する住民十八名の方々から、公害等調整委員会に対しまして、杉並不燃ごみ中継施設原因となって住民らが意識の混濁、呼吸困難などの健康被害を受けているということで、同施設住民らの健康被害との原因の確定を求めるという原因裁定の申し立てがあったわけでございます。  公害等調整委員会といたしましては、これまで、申請人方々の主張されております健康被害中継施設との関係を明らかにするため、まず申請人から被害状況を詳細に聴取いたしております。それとともに、相手方となっております東京都から施設運用実態を聴取するなどいたしまして、手続を進めているところでございます。  今後の対応ということになりますと、現在係属中の事件でございますので、具体的には原因裁定手続の中で審理されていくわけでございますけれども、事案の性質上、この原因裁定事件は、医学上の知見が必要になるということは十分想定されるわけでございまして、その場合には、例えば専門家からの意見聴取でありますとか各種文献調査、それから専門家による科学的な調査、鑑定などを行いまして、公正中立立場から因果関係の存否について鋭意審理を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  14. 岡田康彦

    岡田政府委員 先般、先生の御質問に対して若干お答えを申し上げた点でございますので、やや重複するかもしれませんが、簡潔に申し上げます。  八年四月に杉並区の不燃ごみ中継所付近で目まいや吐き気等症状を訴える患者が発生しまして、先生指摘のように、専門家によりまして化学物質過敏症という指摘がなされております。ただ、この化学物質過敏症発症環境中の化学物質との因果関係発症メカニズムが不明な点が多いというのがまだ現状でございますので、私ども問題意識を持ちまして、関連分野専門家から成りますところの研究班を昨年十二月に発足いたしまして、まずとりあえずは環境中の化学物質に対する過敏症原因実態等について、これまでどういう研究がなされているかというのをきちっと文献調査を徹底的にやってもらおうということで、近々中間報告を取りまとめていただくことになっております。  私どもとしましては、平成十年度には、この報告を受けまして、微量化学物質環境濃度だとか健康影響等についての実態調査を行い、さらには因果関係作用メカニズム等についての研究を開始することといたしております。
  15. 小林守

    小林(守)委員 そのような調査研究を早急に強力に進めていただいて、未知の新たな、人類に対する本当に大変な問題があらわれているのではないかというようなことを我々は危惧しなければなりません。  原因がわからないからその住民に対して手当てなりいろいろな手だてができないのだということではなくて、何らかの方法を、原因は不明であっても、現在実質的にその症状を訴えられ、また病院等でもはっきりこういう症状で特異な例だということを出しているわけです。それに対して、例えば公害関係の問題の中で、かつていわゆる気管支ぜんそくが第一種地域指定をされて補償されてきたというような経過を見ますると、何らかの形で被害者救済方途検討すべきだというような附帯決議の中にある文言を今取り上げて考えるならば、現状原因はよくわからないけれども、その可能性がある、そして大変な生活困難を訴えているというような状況であるならば、例えば東京都では、ぜんそくの方に対しては、法律指定除外になってしまったというような状況の中でも条例で受けて続けていくというようなやり方があるようですね。  そんなことを考えると、自治体対応すべきものなのかどうかわかりませんけれども、何らかの対応をしながら、なおかつ早急に原因究明を続けていかなければならない。また原因究明のためにはやはり現状の中で最大限早急に問題を追及しなければならないわけでありますから、そういう点で非常に苦しいのですけれども現状中継の業務については、できることは対策をしながらも、原因究明を続けながらやっていくというしかないのかなというふうに思っております。  そんなことで、都に対して、または行政の方から何らかのそういう症状を訴えている方に対する対応の仕方は別にあってしかるべきではないのかな、このように考えております。  そこで、フロン対策についてお聞きをしたいと思います。  御承知のように、何度も質問させていただいているわけでありますが、特定フロンにつきましては、九五年に生産禁止になっておるわけですけれども、今日、市場には充てんされた形でまだ残っているわけであります。およそ四万四千トンと言われているわけでありますけれども、これはいわゆるオゾン層の破壊物質であると同時に温暖化係数も高いわけであります。  そういう点で、今日、少なくとも代替フロンが削減対象の温暖化物質として指定されたというようなこと、なおかつ家電リサイクルの方におきましても、このフロン回収を組み込んで家電リサイクル法がかけられてきているというような状況であります。  しかし、カーエアコンとか建築にかかわる発泡断熱材、これらの回収についてはまだ網がかかっていないのではないかというふうに言えると思うのです。もちろん業務用の冷凍・空調機器等についても本当に網がかかるのかという心配もございます。  そういう点で、省庁縦割りの対策ではなくて、総合的なフロン対策という観点からするならば、やはりオゾン層保護法の改正というものをきちっと出しておくことが私は代替フロンの削減対策にもつながるというふうに思うわけでありますけれども、今日の状況からするならば、少なくともこれは閣法で、政府の責任において出すべき状況になっているのではないか、時代の要請ではないか。我々は議員立法としてさきの国会で取り組んだわけなんですが、なかなか合意が得られずに困難な状況で廃案になったわけなんです。これは議員立法によるのではなくて政府の責任で出すべき状況にあるのではないか、このように強く思うわけであります。これは大臣に御意見をいただきたいというふうに思います。
  16. 大木浩

    ○大木国務大臣 現状につきましては既に御質問の方で全部お述べいただきまして、それについて繰り返しませんけれども、とりあえず、今お話のございました家電のリサイクル法案を出しておりますので、これをまずひとつ御審議いただく。オゾン層の方については、オゾン層を対象とした法律はどうかというようなお話が確かにございますし、先生の方でも前回そういった議員立法の動きもありましたけれども、ちょっとこれは、今おっしゃったとおりいろいろな議論があってとまっておりますけれども、引き続き勉強はさせていただきたいと思っております。  ただ、今すぐに政府の方から出せる状況かということになりますと、まだ調整が進んでおりませんので、御質問の御趣旨は十分体してこれから対策も考えてまいりたいと思っております。
  17. 小林守

    小林(守)委員 家電リサイクルについては商工委員会との連合審査の中で出かけていってやることになるかもしれませんけれども、論議をさせていただくということで、時間が過ぎてしまいまして大変失礼をいたしました。
  18. 山元勉

    山元委員長 岩國哲人君。
  19. 岩國哲人

    ○岩國委員 おはようございます。  本日は、三つの点について長官にお伺いしたいと思います。  まず最初に、昨年末に世田谷区において、温暖化防止の意識高揚を目的とし、また、実際に各家庭において具体的にどのような効果が発揮できるか、このような調査を実行されました。私は大変いい調査だったと思っております。つきましては、これについて三点。  まず、なぜその世田谷の中町会という地域が選ばれたのかということについて、的確にまた簡潔に御説明いただきたいということが一つ。  二番目に、環境庁の方で期待されただけの協力の度合いというものが、当時京都会議をめぐっていろいろな温暖化の記事が出ておりましたけれども地域住民の皆さんの協力度合いというものは満足すべきものであったのか、あるいは反省すべき点があったのかどうか。そして、これはいろいろな評価があろうかと思いますけれども、数値的にはどのような感想を持っておられるのか。  そして最後に、世田谷というのは、ある意味では平均的でもあり、また全国的に見ればやや特殊な地域かもしれません。世田谷の中でも、いわゆる団地の若い世帯ではなくて、どちらかといえば高齢者の方の多い地域でもありますので、そういった点では偏りがあったかもしれません。これからいろいろな地域を組み合わせることによってより的確な、そして、この世田谷の調査結果がよりいい方向で生かされるためには、これで終わらせてはならないというふうに私は思っておりますし、また長官も同じお考えだろうと思います。今後はどのような展開をされるか。  以上三点について簡潔に御説明いただきたいと思います。
  20. 岡田康彦

    岡田政府委員 御指摘は三点ございますので、事務的な方からお答えをさせていただきます。  まず、代沢中町会を選んだ理由でございますが、まず一つには、統計的に意義のある回答を得られるだけの多くの世帯がまとまって協力していただけるところがなければいけない、それから、定期的検針のある都市ガスの普及している地域でないとやはり難しい、それから、積極的な協力の得られるところ、こういう条件のもとに幾つかの地方自治体に照会いたしまして、協力していただけるというところで、世田谷区の代沢中町会が最も好条件だということで選ばせていただきました。  それから次の、取り組みの結果について満足しているかということでございますが、実は、この種の調査といたしましては、本当に町会長さんを初めとして絶大な協力を得まして、千世帯以上のところで回収率が六割もあって、しかも、九割近い方々に二三フイフの必要性についての賛同をいただいたということで、これは大成功だったと思っています。それは本当に皆さん方の御協力のたまものだと感謝しております。  実際にも、その結果、いろいろ有効な分析がなされております。  例えば、電力、ガスにつきまして熱心な取り組みをしていただいた方。私どもは幾つかの取り組み、すぐできること、あるいはじっくりやっていただくこと、いろいろなテーマを出したわけでございますが、熱心な取り組みをしていただいた世帯では五%ほどCO2の削減効果が得られた。ところが、協力はしていただいたけれども、それほど熱心に取り組んだわけではないという人たちの削減率は当然のことながら低いというようなことで、やはり熱心に取り組んでいただければきちんとそういう成果が上がるのだということが、当たり前といえば当たり前ですが、まず実証されたということが大きいと思っております。  それからまた、今回は電気、ガスでやったのですが、取り組み対象外の灯油、ガソリン等を今後取り組み対象とすればさらに大きな成果が得られるのではないかというふうに感じております。  いずれにしましても、日常生活における小まめな取り組みの積み重ねによって、生活水準に影響を与えることなくCO2の削減が実現できる可能性が示されたということで、非常に有効だったと思っております。  それから三点目で、今度どうするのだというお話がございました。この点につきましては、この成果を踏まえまして、これを国民にわかりやすい啓発資料をさらにつくるための出発点にさせていただこうと思っております。と同時に、エコフイフの一層効果的な推進方策を今後検討するために、必要に応じまして今回と同様な取り組みを他の地域実施することとか、あるいは、さらに自家用車やごみ対象とするなどの他の観点を組み入れるとか、そういうことの工夫を加えまして、必要な検討をさらに進めていきたいと思っております。
  21. 大木浩

    ○大木国務大臣 現状については既に局長の方から御説明申し上げましたが、今どう評価するかということで、あそこの世田谷はちょっと特殊なところではないか、そういうことは確かにあると思いますから、どういう地域が一番代表的な場所かはいろいろ御意見があると思いますけれども、今後、できればいろいろなところを対象にして考えたいと思っています。ただ、今、次はどこというところまで決めておりません。  結果として、平均一・九%、あるいはいいところで五%が出たというのは、特に五%などというのはなかなかの数字ではないかと私は個人的に思っていますから、そういうのを継続的に続けていけば非常に実質的な削減ができるのではないかということで、私個人としては、やはり頑張ればできるなという感触を非常に持っております。
  22. 岩國哲人

    ○岩國委員 私の選挙区だから褒めていただいてうれしいというわけではありませんけれども、確かに、会長さんを初め熱心、特に会長さんが老人会の責任者でもあるということから、高齢者の方を中心に         ――――― どこの家でも、私の家でもそうですけれども、若い者はむだ遣いして、うちのおばあちゃんなども、私がつけっ放しにしておくとすぐぱちぱち切っていくのですね。これは、明治生まれ、大正生まれの習慣じゃないか、体質的なものじゃないかというふうに、かつては我々若い者はそういうお年寄りを、失礼な言い方で、ばかにしておったわけです。  しかし、そういった昔の、明治生まれ、大正生まれの人の持って生まれた質素なライフスタイルというものがこの平成の世に生かされてきて、そして、今回のその調査結果にもやはり、そういう地域、たまたま町会長さんがそういう方でもあったということでもって余計熱心だったのではないかということもありますので、今度は逆に、世田谷と非常に異なる特性を備えた地域でもう一度実験していただいて、この温暖化に対する意識が相当、日本人、隅々まで変わってきているなということが我々も実感できるかどうか、ひとつ早急にこれをやっていただきたいなというふうに思います。  こうした都市ガスにしましてもあるいは電力にしましても、一般に懸念されるのは、例えば東京電力にしても東京ガスにしても、こうした自分のところの商品が売れなくなるような調査、啓蒙、うがった見方をしますとそういうとらえ方もあるのではないかと思います。この点について、東京電力あるいは東京ガスの方は、企業サイドはどのような反応を示しておったのか。こういうことについて大所高所から非常に協力的であったのか、やや慎重な取り計らいを望むといったようなリアクションがあったのか。協力の度合い、反応というのはどういうものであったのかを率直に語っていただきたいと思います。  本委員会におきましても、そういった産業界、経済界の取り組みということについて、参考人としておいでいただいたことがございます。東京電力の副社長さんだったと思います。その副社長さんにここでもお話しいただきました。我々はそのときは、その方が自民党の参議院選挙の候補者として内定している方だとはつゆ知らず、ここでお話を伺っておったわけであります。もちろん、それであったとしても、そのお話の内容が別に偏っておったということはなかったと思いますけれども。  そのような東京電力あるいは東京ガス、この温暖化についてどのように産業界が取り組もうとしているのか、理解を示しているのか、この調査を通じてどのような反応があったか、それをお答えいただきたいと思います。
  23. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。  今回の調査は、実際に、該当する各個人個人、一軒一軒の一年前の電気使用量、ガス使用量というのも全部要るわけでございまして、東京電力にも東京ガスにも積極的に協力していただきまして、データの収集等の協力もいただきました。
  24. 大木浩

    ○大木国務大臣 今回の調査についての業界の取り組みというか反応は今御説明申し上げましたけれども、一般に、これから温暖化対策については、電気・ガス業界と私ども、また十分に協議をしていかなければいかぬ。  温暖化対策については、既に御承知のとおりに、経団連の中でもいろいろと対策委員会のようなものをつくっておられますし、電気・ガス事業の方もいろいろと対策を考えておられる。温暖化対策について反対、こういうことではありませんけれども、これらの業界のお考えを一言で言うと、仮にいろいろと規制措置がある場合には、これが二重、三重に、あるいは通産省、あるいは環境庁というようなことではなくて、これはできるだけまとめてもらいたい、こういう御要望はあります。これはありますが、温暖化対策に全面的に反対、こういうことではないというふうに私どもは理解し、今またいろいろとお話を続けておるところでございます。
  25. 岩國哲人

    ○岩國委員 それでは次に、視点を変えまして、森林というものがこの温暖化防止に果たす役割、CO2の吸収源としての役割というものが京都会議を通じて非常にクローズアップされてきたということは大変よかったことだと私は思っております。私もかねがねそういうことを主張してきた人間の一人ではありますけれども、こうしたことを通じて、小さな子供たちに、一般住民にも、そして、これから国政の中でもこの林野というものの持つ価値を見直す。  単に、木をどれだけ植えればどれだけで売れる、あるいは建材としてその価値がどうとか、あるいは国際競争力がどうとかといったような議論が戦後ずっと繰り返されてきました。しかし、環境を守るその先兵としての役割という新しい位置づけを与えられ、二十一世紀、二十一世紀というよりもむしろ二十二世紀を目指した取り組みをこれからしなければならないということで、環境庁としても、そして特に林野庁、国土庁、こういうところと、今までの森林面積をどうやって守っていくのか。ただ面積だけではなくて、もっと内容的なものがあると思うのですね。同じ広さであっても、CO2の吸収源として役に立つところとそれほど貢献度が高くないところ、こういう内容的な吟味もしながら、そして、日本の気候、地質、そういうこともよく踏まえて、最も効果的な森林資源の保存そして育成という取り組みは、これは決して易しい仕事ではないと思うのです。  環境庁だけでも林野庁だけでも国土庁だけでもこれはなかなか解決できる問題ではありませんけれども、この点、林野庁、国土庁と今どういう話し合いを進めておられるのか。来年度において、具体的に、森林資源の面積の確保、そして質的な効率の確保、そしてそれぞれの地方自治体との協力関係をどうやって引き出すのか。これらについてどのような考えを環境庁として持っていらっしゃるのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  26. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  二酸化炭素の吸収源としての森林の重要性について、京都会議でも大変いろいろな議論がなされ、御存じのとおり、最終的には吸収を考慮するということになったわけでございます。  我が国といたしましても、一九九〇年に策定をいたしました地球温暖化防止行動計画というものがございまして、その中で、生物の多様性の保全と持続可能な管理に配慮しながら、森林の質とか量等を把握いたしまして、その整備を総合的、計画的に、かつ国民の積極的参加を得ながら推進をしていくということが重要だということで、そういう認識が定められたところでございます。  こうした行動計画を受けまして、環境庁といたしましては、森林の持続可能な管理方策がいかなるものであるべきか、こういったことにつきまして検討をいたしますとともに、既に私ども、自然保護行政がございますので、国立・国定公園制度を一層適切に運用していく、それから森林を含む自然環境の適切な管理を進めようという施策を進めております。  また、エコマークというのがございますので、これを使いまして、これの認定を通じまして間伐材の利用あるいは森林資源のリサイクルを推進する、こういったことを進めることによりまして森林資源の有効利用を図っているところでございます。  また、ただいま、どのぐらいの面積があって、そして、吸収が非常にいいものとそうでないものと、森林にもいろいろあるだろうという御指摘がございましたけれども、我が国森林全体の現状に関して調査研究を進めるとともに、自然環境保全基礎調査などを行いまして、その現状をモニタリングをしているところでございます。  こうしたことを通じまして、国内の森林の一層の保全あるいは適正管理の基盤づくりを進めていきたい、このように考えているところでございまして、そうした中で、御指摘のございました林野庁とも十分に連携協力を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  27. 岩國哲人

    ○岩國委員 こうした林野庁それから国土庁との緊密な連携というものを、これはもう長官、先頭に立ってぜひいいチームワークをつくっていただきたいと私は思っております。  私は、かねがね尊農建国ということを言ってまいりました。これは、尊皇開国という言葉がありましたけれども、この尊皇開国、あのときは天皇の皇を書いておりました。私は、農業の農を書いてみました。尊農建国、農業を大切にしてこれからの国を建てていく。それは、農水省と建設省と国土庁と、その三つを私は入れたつもりでずっと話してきたのです。ばらばらな縦割り行政じゃなくて、農水省と建設省と国土庁がしっかり手を組んでくれれば、地方を守る、環境を守るという仕事が農業を中心にしてできるのではないか、そういう思いでそういうことを唱えてきたことはあります。  ぜひ環境庁としても、これから住民の皆さんと手を組んで、自治体と林野庁と国土庁と一緒になってこういう仕事を進めていただきたいと思います。  私ごとですけれども、私の大学時代の友人に山内君というのがおりました。彼は環境庁局長として、命を絶ちました。彼は、私が出雲市長時代に何度か手紙をくれました。彼の最後の手紙は、岩國君、今度、こういうことをやっているから、花の調査を君のところでもやってくれぬか。覚えていらっしゃると思いますけれども環境庁は花の調査をしておられた時期があります。それは、彼が私に書いてくれた最後の手紙でした。  彼がそんな心優しい友達だということは、私は卒業してからもそれほど意識したことはありませんでしたけれども、友人として、最後まで心優しい人生を彼が終わってくれたということを、私は今でもよく覚えております。  昨日私は、予算委員会で、大蔵省の松野元証券局長の証人喚問の場におりました。同じような学校を卒業しても育つ場所が違うとこれだけ人間が違ってしまうのかというふうな思いを持ちながら、そうした山内君のことを思い出しておったわけでありますけれども、ぜひ、そうしたきめの細かい、そして環境庁らしいこれからの行政への取り組み、指導というものをお願いしたいと思います。  例えばみどりの少年団、こういったものは、文部省がやることなのか、どこがやることなのかわかりません。しかし、私も、出雲市では、みどりの少年団の育成に一生懸命取り組んできましたし、中学二年生は全員環境探偵団に入り、子供たちの目線で環境のいいところ、悪いところを見つけていく。  そして、造林のための予算も復活いたしました。木を守る人を残していかなければ、お金をどれだけつけてもこれから山は残っていかないと思うからです。細々とでも各自治体が、そういう造林という仕事を通じてその地元の人にある程度の予算、仕事をつくっていくことをしなければ、山は残らないと思います。ある日突然政治家が思い出したように、やれ十兆円だ、三十兆円だと、どんなに金をつくっても、山を守る人がいなかったらお金が生きていかないのですから。また、木造校舎についてはいろいろな議論があるかもしれません。しかし、木のぬくもり、木の香り、木のやわらかさ、それと小さいときから子供たちを親しませることによってこれからの環境行政の礎ができる、私はそのように思っております。  生け垣に対する補助、あるいはこれからのそういうリサイクルを通じて、その自治体において、木に換算して何万本の木を救ったことになるのかといったわかりやすい啓蒙の仕事。出雲市の場合には、一年間に木に換算して三万本の木をリサイクル運動を通じて達成してきております。  どうか、そういうきめの細かい、緑を大切にする行政を展開していただきたいと思います。  もう時間がなくなってまいりましたけれども、最後の質問に移らせていただきます。  CO2の排出権の取引についてお伺いしたいと思います。  今回の京都合意で注目すべきことは、最終目標達成のために、自分の国の中の努力だけではなくて、国境を越えた協力関係という発想が始まったということに、私は一番意義を見出しております。そうした、他国との間で柔軟性のある取り組みがこれから始まろうとしている。  しかし、問題は、具体的に日本はどう取り組むのか。日本は、御承知のように資源はない、マーケットは小さい、よそのマーケットを使わなければならない。そして政治力も非常に限られておる。この資源とマトケットと政治力において乏しい我が国が、二十一世紀の、あるいは二十二世紀の次の時代のために仕事と暮らしを守っていこうとするならば、この排出権の取引においても相当手回しよく、根回しよく取り組んでいかなければならないと思います。  そういう排出権という、ある意味では企業にとっての生存権の大切な要素というものの取引においておくれをとってはならないし、決してよそ以上に過分な利益を得るべきではないとは思いますけれども、そうした非常に厳しい外交競争、政治力の競争等の中において不利な立場に置かれてはならないという思いからお伺いするわけですけれども、先進国間での排出権の取引について、売り手としてはどういう国を想定していらっしゃいますか。まずその点をお伺いいたします。
  28. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 いわゆる排出権取引についてのお尋ねでございますが、私どももこれは極めて重要な仕組みであるというふうに考えておりまして、おくれをとることがないように、まず国内で専門家にお願いをいたしまして、鋭意検討を今進めているところでございます。  まず、売り手についてのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、一番考えられる売り手といたしましてはロシアあるいはウクライナといった国々が考えられるかと思います。一般的に申し上げますと、我が国の場合は相当省エネ対策などが進んでおりますが、投資回収年数が非常に短い形で省エネができるような余地がかなり多く残されている国においては、かなりそういう省エネ投資が進む可能性があるわけでございまして、そういうことによって排出権の売り手になる可能性は他の先進国でも大いにあるというふうに考えておりますが、当面、一番考えられる国といたしましてはロシアあるいはウクライナといったところが考えられるというふうに考えております。
  29. 岩國哲人

    ○岩國委員 売り手としてそういうところを想定していらっしゃるということでありますけれども、中国についてはどういうふうなお考えを持っていらっしゃいますか。
  30. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 中国についてのお尋ねでございますが、中国は、いわゆる先進国と申しますか、条約上の附属書Ⅰ国ではございませんので、現在排出権取引の対象にはならないわけでございます。  ただ、京都の議定書におきまして、御存じのとおり、いわゆるクリーン開発メカニズムという新たな仕組みが導入をされたわけでございます。途上国において行われました排出削減の事業、その結果生じた排出削減量について、先進国の目標達成においてこれを利用することができる、こういう仕組みができたわけでございますので、将来的に、中国においてそうした排出削減が行われる事業実施されました場合に、その事業で生じました排出削減量を先進国がその目標達成において利用するという仕組みが、そういう可能性ができてきたというふうに考えられますので、私どもも、そうした仕組みも活用していく必要があるだろう、そうしたための適切な国際的な仕組みづくりをこれから進めていく必要があるだろうというふうに考えております。  そうしたものができますれば、中国においてもいろいろな事業実施、例えば石炭の利用を合理的にしていく、エネルギー効率の高いものにしていく、あるいは燃料を天然ガス等に転換していくといりたようなことなどを通じまして、そうしたところも、いわゆる排出権の売り手ではございませんけれども、新しい仕組みを通じた排出削減量のいわば売り手といいますか、そういった立場に立ち得るものというふうに考えております。
  31. 大木浩

    ○大木国務大臣 中国との関係につきましては、必ずしも京都議定書の枠内だけではなくて、中国の環境問題についてはいろいろな形で協力をこれから進めたい。大きく言えば、本当に対中外交の中で環境問題というのはしっかりととらえて、できるだけ協力していきたい、それがまた温暖化にも結果的にはいい影響が出てくるんじゃないか。つまり、中国におきましても、みずからの問題として環境問題あるいは温暖化対策ということはいろいろ考えておられますから、そういったことを上手にひとつ、とらえてという言葉がいいかどうか知りませんが、そういった面を活用して、これから対中協力関係を進めてまいりたいと考えております。
  32. 岩國哲人

    ○岩國委員 こうした中国をどう評価するか、将来性、今中国はもう急速に先進国の仲間入りをしつつありますから。これは仮の話ですけれども、五年後、十年後には中国はいろいろな基準から見て先進国としての位置づけを与えなければならない、あるいは向こうが希望する、そういうことになってきた場合、中国が売り手の立場に立つのか、買い手の立場に立ってくるのか、これは大きな問題になってくるだろうと思います。しかも、外交が絡んできます。ロシアとの間にもそうですけれども。  ギブ・アンド・テークということを言いますけれども、今まで環境外交というのは、どちらかというと日本は環境をいろいろと応援するというギブの立場。これからは、環境外交の中でもギブ・アンドニアークのテークもできるような立場。しかし、それは適正な値段でできるならばということなんです。これがまたロシア、中国という大国の一方的なエゴとか、あるいは外交上の特別な配慮をしなければならなくなって、非常に割高な排出権を押しつけられるというようなことになりますと、日本の産業界にとってはこれは大変なことなんです。  日本の産業界排出権をどういう値段で政府から手に入れるのか。企業はどういう形でこの交渉に参加するのか。取引の方法はどうなのか。取引所はどこにつくるのか。そして、価格の値づけはだれがやるのか。さらに、排出権なるものはどれぐらいの年限、有効性を持った排出権なのか、一年だけ有効なのか、五年有効なのか、あるいは永久に有効なのか。こうしたことをめぐって非常に具体的な交渉を早目に進めていかないと、日本にとって非常に不利な取引方法であるとかあるいは非常に割高なものを押しつけられる。  昨日、予算委員会でも、山一証券の飛ばし事件というのがありますけれども排出権を買った企業はそれを資産としてバランスシートのどこにどういう形で載せるのか。あるいはそういうものは載せないとすると、これは簿外債務じゃありませんけれども、簿外資産としてこれは残すのか。あるいは、企業間、また転々流通するマーケットを日本国内でもつくろうとされるのか。いろいろな問題がありますけれども、こういった具体的なことはいつまでに環境庁で仕上げようというお考えなんですか。
  33. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 ただいま御指摘になられました点は、いずれも極めて重要な問題だというふうに認識をしております。  これらの問題につきましては、ことしの十一月にブエノスアイレスで開催を予定しております第四回締約国会合で議論を始めることになっております。京都でも大変議論が多かったテーマでございますので、直ちにその場ですべての結論が出るとは必ずしも考えておりませんが、そこで議論が開始されるというふうに考えております。そして、それに先立ちまして、ことしの六月にボンで条約下部機関の会合が開かれますので、そこでその準備のための議論が、予備的な議論が始まるというふうに考えております。  そこで、環境庁におきましては、専門家に現在集まっていただきましていろいろ御検討いただいているわけでございますが、六月の下部機開会合までに中間報告なりともいただきまして、ぜひその会合にも準備を十分して臨みたいと考えておりますが、さらに十一月のブエノスアイレス会合までには検討会の報告をいただきまして、それらに基づいて、重要な問題について日本がおくれをとることがないように、そして適正な形で国際的なシステムがつくられていくように、我が国としてきちっと対応ができるように検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  34. 岩國哲人

    ○岩國委員 これは単に通産省だけに任せるとかあるいは外務省に任せるとか、まあ外務省と通産省とは非常に視点が違ってくるだろうと思います。やはり排出権の取引については、具体的な案をぜひこの環境委員会にも一日も早く持ってきていただきたい。我々環境委員会でもそれは十分な議論ができるように、京都会議であそこまで持っていって、そして、我が国の将来の経済成長に大変大きな影響を与えるかもしれない、そういう京都会議を我々も参加してつくってしまったわけですから、それを今度全く関係のないところで審議され、そしてでき上がったものが環境委員会の方へ返ってきたときには我々が期待したものと全く違ったものになるということにならないように、一日も早く本委員会で審議ができるような体制をつくっていただきたいということをお願いして、私の質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  35. 山元勉

    山元委員長 中村鋭一君。
  36. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 環境保全と経済的効果等々について少しお尋ねをさせていただきたいと思います。  環境保全のためにお金をつぎ込むといいますか予算を投入する、そういう場合に気をつけなければいけない選択の基準というのが幾つかあるだろう、こう思うんです。一つ環境効果、経済的効率、公平性、それから実行可能性とそのコスト、それから受容性、こういうものが問題になってくるだろうと思うんです。  環境効果といいますのは、その目的を達成するためにどのような経済的手段が一番効果があるか確認をすること。  それから、経済的効率といいますのは、投下する資本に対して得べかりし効果といいますか、その経済的手段を導入することによっていろいろな資源配分が適正に行われているかどうか判断をするとと。また、狭い意味で言いますと、目標としております環境達成するのに必要な費用が最低の基準であるかどうか。たくさん金をかけて目的を遂げるというよりも、一番少ないお金を使って最大の効果を得るように効率を考えるということ。  それから、そういった場合の費用負担のあり方が公平性の原則を保っているか、これが公平性。  それからまた、実行可能性とそのコスト。これは、行政組織等において実行可能か判断をするとともに、そのコスト、実行可能性が一〇〇%達成される場合にコストはかけ得るわけでありますが、その辺があいまいなのにとにかく予算だけつけるというようなことでは困るわけでございまして、その辺の課題をどのように見ていらっしゃるか。  それから、受容性というのは、典型的な例でいいますと、今回の青森県の核燃料の最終処分を小川原に持ってきてやるときに、青森県の知事さんはこれは困るとおっしゃいましたね、船は入れるのを認めるわけにはいかぬと。まあ何日かして船は入港はいたしましたけれども。そのように、関係者の納得とか合意、協力が得られるかどうか、こういうことを判断しなければいけない。  もう一遍言いますと、環境効果、経済的効率、公平性、実行可能性とそのコストの投下、そして受容性、これは主として現地の受容性の問題になりますけれども、その辺についてまず環境庁としてのお考えをお伺いをさせていただきます。
  37. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。私どもは現在、環境保全のために経済的措置というものを考えていかなきゃいけないんじゃないかということで、もう長く検討を進めてきております。  そのときの物の考え方は、今の先生お話を包含しているようなことになるんだと思うのですが、要するに、私ども、製品、サービス等の取引価格に環境コストを適切に反映させるためにどうあるべきか、こういうことを考えてまいりますと、環境に係る税だとか課徴金だとか、それ以外のデポジットみたいなことも含めた経済的負担を課す手法というのはやはり有効なんだろうという認識がございます。これは、多数の日常的な行為から生ずる環境への負荷を低減させるという点で有効性が考えられますし、それから資源の効率的配分にも資するだろう。それから、実際、OHCDだとかG7のサミットだとか国連の環境開発会議などで国際的にも推奨されていますし、欧米諸国等においてもさまざまな活用事例も既に見られるところでございます。  そういうことで、これを踏まえまして、私どもは、経済的措置のうちでも環境に係る税、課徴金を中心検討を進めてきておりますが、ここから後は、まさに研究を進めておるんですが、先生が今御指摘のとおり、これは国民の理解が得られなければどうにもなるものではありません。したがって、私どもは、調査研究を進めるとともに、あわせて国民の理解が得られるようにこれからも努めてまいりたいと思っております。
  38. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 今のお話の中で環境税について言及なさいましたが、環境税及び課徴金、これを挙げる声も多いのは事実ですね。  そこで、環境庁として、現実、具体的に今この環境税等々についてどのように研究をしておられるのか、その実現の可能性等々も含めて現況の御説明をお願い申し上げます。
  39. 岡田康彦

    岡田政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、私ども企画調整局を中心といたしまして検討を進めさせていただいています。  経緯的に申し上げますと、平成六年に、環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会というものを設けまして、そこで鋭意検討を開始いたしました。それから、八年からは、この研究会におきまして、環境税、課徴金のうちでも温暖化対策上効果の多い炭素税という観点に中心を置きまして検討してまいりまして、昨年七月に最終報告書を取りまとめました。それで、炭素税等の具体的なオプション案を提示することによって、要するにみんなで議論してもらう議論のたたき台を提示してもらったという状況にございます。これを踏まえまして、中央環境審議会や地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議においても議論がなされました。要は、そこのところの議論は、引き続き検討をしろ、こういうことでございます。  今後は、もちろんこうした議論を踏まえながら、幅広い視野からさらに皆さんのいろいろな御意見をいただき、また皆さんの議論がいただけるように我々も素材を提供することによって、国民的な議論のもとでさらに具体的な案づくりにつき検討を深めていくように努力したいと思っております。
  40. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 これは大蔵省とは相談をしておられるんですか、それとも環境庁独自で、環境庁がリーダーシップを保ちながらおやりになっているんですか。  といいますのは、一つの声としてありますのは、環境庁が自分で独自に使える金が欲しいから、だから検討しているんじゃないか、環境保全に関して環境庁が手持ちで自由に使える税金といいますか予算が欲しいからやっているんじゃないか、こういう声も聞くわけでありますが、その点どうなのか。大蔵省などともよく相談をしておられるのか。
  41. 大木浩

    ○大木国務大臣 事務的にいろいろと相談していることは確かでございますし、御存じのとおりに、内閣の方にも京都会議を受けて温暖化防止の対策本部もつくっております。  ただ、正直申し上げまして、いろいろな議論がございますが、今おっしゃった、環境庁が自分で使える金をひねり出すための何か税金を考えているかといえば、そういうことは今の時点では考えておりません。そこまではいっておりません。もちろんどういう税がいいかという議論はしておりますけれども、今おっしゃったような視点からの議論はしておりません。  ただ、これは国会も、現国会、六月までのあれでございますから、その中でどこまでどういうふうに議論をまとめることができるかということは非常に、私ども時間が足りないということは意識しながら、しかし、せっかく京都会議の後を受けて何とか行けるところまで行きたいということで勉強しておるところでございます。
  42. 岡田康彦

    岡田政府委員 若干の補足をさせていただきます。  まず、大蔵省の方とはもちろん適宜連絡をとりながらやっておりますが、私どもの成果物なんかも届けたり説明をしたりなんかもしています。意見も聞いたりなんかしていますが、基本的には、私どもの企画調整局でやっている検討。  それから、御指摘のような点は、環境庁の予算、平成九年度で七百九十三億円、十年度、今の御審議いただいている予算で七百九十八億円という非常に小さな予算規模のものでございますが、それとこれとを一緒にしているつもりは全くありませんで、純然たる、環境税等の経済的手法環境保全上有効性が期待されるという観点から、その活用について検討を続けているわけでございます。  それからもう一点さらに加えますと、大蔵省の方のことにつきましては私が申し上げる立場には全然ないのでございますが、平成五年十一月の税制調査会での「今後の税制のあり方についての答申」の中でも、環境問題に係る税制については引き続き検討するようにということで大蔵省の方もそれなりの問題意識を持って調査研究しているように聞いております。
  43. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 あなた少し早口なんで、あなたの答弁に私悪い頭で追いつくのが大変なんです。一〇〇%理解できているかどうか自分で心配なんですけれども、大体わかったように思います。まあ、六〇%ぐらいですか。  税金を取るというのは、取るという言葉に象徴されているように、取られる側の国民からすれば、それはどんな種類の税金であっても、余り好ましくないというのですか、気に入らないことだと思うのですね。それを、仮にこれが実現した場合に、環境税というのは目的税であって、良好な環境に資するための税金であるから、国民の皆さんは文句を言わないでお出しなさいというものでもないだろう。そこにはやはり本当に広く国民的な議論が必要になると思うのです。  さて、そういう意味で、国民的な世論を吸い上げるための手段といいますか、こういうことについては具体的に今考えていらっしゃいますか。先ほどから皆さんの意見を聞くとかおっしゃっていますが、それを具体的に実現するための手法というのですか、オールミーンズをやはり探っていただかなければいけない、こう思うのですが、いかがですか。
  44. 岡田康彦

    岡田政府委員 大変失礼いたしました。できるだけゆっくりお話しいたします。  私どものこれまでの研究、勉強というのは、どちらかというと学者の先生方を中心にやってきたというふうに言っていいと思います。今私どもが考えていますのは、これから国民的な議論をしていただけるような検討を進めたいと先ほど申し上げましたが、そのためには、今後の検討に当たっては、学者の先生方を中心にする、もちろんそういう先生方にも参加してもらわなければいけないのですが、あとは産業界の方にも入ってもらわなければいかぬし、消費者の方にも入っていただかなければいけない、そういうふうに議論の場を広くしていくということが当面の私どもの考えでいることでございます。
  45. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 おっしゃるとおりですが、私は、もう少し具体的にその議論を吸い上げるための手法等を研究しておられるか、こう思いましてお尋ねしたつもりなのですけれども、まあ今の御答弁で結構でございます。  この環境税というのは、どちらかといえば企業に多くを求めるという傾向になっていくのだろう、こう思うのですが、では企業がこういった構想を受け入れたとして、会社からすれば、そういったコストを今度は消費者に転嫁する、いわばマーケットの方に転嫁していくということになりはしないか。ということは、最終的にはコンシューマーにそういった負担を転嫁することになる可能性もあるわけでございます。  この環境税というものについて、企業に負担を持っていくと今度は消費者にその負担が転嫁されるというような点も含めて、具体的な環境税のシステムそのものについて、今お考えのところで結構でございますので、どういうものが考えられるか、それをお教え願えますか。
  46. 岡田康彦

    岡田政府委員 先ほど来申し上げましたように、なお勉強中という状況なものですから、明確にこういうシステムでというイメージを持って申し上げるわけにはいかないのでございますが……(中村(鋭)委員一つや二つは考えているでしょう」と呼ぶ)ですが、今の先生の御指摘に関して、私どももいろいろ問題意識を持っておりまして、例えば昨年の中央環境審議会におきます炭素税についての議論の中でも、企業や消費者への負担増を含む経済への影響という問題についても随分議論が出ました。  一方では、炭素税収は、税で吸収すれば必ず何らかの形でまた戻るわけですから、そういう意味でトータル的に見て経済全体への影響は少ないという議論もありましたし、それから、エネルギー多消費型の産業等の高負担となる産業に対しては軽減措置も可能だ。諸外国の例で実際そうしている例もございます。また、国際競争力の低下等の懸念に対しては、国境税措置も考えられるではないか。さらには、既存税制を見直して、その一部と相殺する形の導入もあり得る。こういう議論があって、負担は必ずしも過重とはならない、あるいはならないような方策というのはあるのではないかという議論が一方でありました。  と同時に、一方では、世界全体で実施していない状況で、産業の国際競争力を損なうではないか、また、国境税調整というのも、言うは簡単だけれども実際にはなかなか難しいではないか、それから、税の効果を得るため高税率にすれば経済への影響や国民への負担が大きいといった負担増加を懸念する声もございました。  私どもは、これまでのこうした議論を踏まえつつ、先ほども御答弁したことになってしまうのですが、幅広い視野から御意見をいただいて、さらに多くの方々の意見をいただき、みんなに議論に参加していただくような形での議論の高まりあるいは深まりをつくっていきたいと思っています。
  47. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 ここまで何回か質問、答弁という形でやらせていただいたのですが、やはり全体的には、まだ議論の段階も煮詰まらない状況で、何遍もおっしゃったように、これから幅広く国民的な議論を経つつ、最終的に国民に過大な負担をかけないで、しかも効果を得られるような手法検討していきたいと。私が自分で整理してみても非常にあいまいな、結論の得にくいことだとは私も思います。  ただ、長官、思いますのは、これは消費税と一緒で、環境税も結局低所得者に逆進性を強いるおそれがあるわけですね。だから、行政当局としては、目的が大変いいことであるにしても、やはり国民の弱い層、弱い部分、そういう部分に負担がかからない、税制というのは常にそういうものだと思うのですが、それは常に念頭に置いておいていただきたい。そのことについてお尋ね一つ。  それから、基本的に長官のお考えは、将来的には環境税構想について肯定的にとらえておられるのか、それとも、もうメニープロブレムズでこれはなかなかそう簡単にはいけぬなとある程度ネガティブにとらえておられるのか、ポジティブにとらえておられるのか、その辺をちょっとお答えをお願いします。
  48. 大木浩

    ○大木国務大臣 環境税かあるいは炭素税か、いろいろ形はあると思いますが、いずれにいたしましても、こういう目的税をつくりますと、今の逆進性の話というのは必ず出てまいります。だから、どこまで逆進性があるからだめかということになるわけですけれども、例えば消費税の場合にも、食料品はどうかというような話がよく出てまいります。食料品ですと、ここまでは最低、必ずどなたでも、生活水準とかかわりなくやはり食料はこれだけ要るというような議論が出てくると思います。  この環境関係の税の場合に、例えばライフスタイルをみずから規制すればそれだけ自分の基本になる出費が少なくなるということは、税の方もそれだけ少なくできる、みずからのコントロールによってできるということで、それはやはりライフスタイルも考えていただこうということですから、その一部として、逆進性はそういった考えの中で吸収していただいて、しかし、非常に低所得層に本当に何か過大なる負担になるというところは、その部分はまた考えなければいけない、そういうふうに考えるべきだと思っております。  それから、そういうことを全部含めて、何らかの税制を肯定的に考えるかということにつきましては、私個人としては、これはやはりどうしても必要になってくるのじゃないかということですから、形についてはいろいろ議論はございますけれども、ひとつ前向きに検討したいと考えております。
  49. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 長官、本当に明快にお答えをいただきました。ありがとうございました。  次に、デポジット制度についてお伺いしたいのですが、環境庁、今は検討しておられますか。しているとすれば、どの部局でやっておられますか。
  50. 岡田康彦

    岡田政府委員 先ほども申し上げましたように、経済的手法ということをいろいろな観点から勉強させていただいていますので、その一環として私ども企画調整局の方でやらせていただいています。
  51. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 この制度は、ビール瓶などについて日本でも多少なりとも実施をされておりますし、リサイクルの観点からも一定の効果は上げているとは思います。  ただ、全面的にこれを実施するとなりますと、対象をどの程度にするのか、こういう問題が出てまいりますね。対象が極めて限定をされますと、その対象の個別にしか効果が発揮できませんし、また、対象を大々的に拡大いたしますと、実行に困難が伴ってくるわけでございますが、企画調整局としてはそれをどの程度に考えておられますか。
  52. 岡田康彦

    岡田政府委員 まず一点、私どもの頭の整理の方から申し上げさせていただきたいのですが、デポジット制度そのものは何のためのもので,我々がどう考えているかといいますと、これは先ほど来申し上げた経済的手法一つではありますが、使用済み製品が適切に回収ルートに出されるということを促すためのものだというふうに考えていまして、それが結果的にはリサイクルに役立つ場合もあるけれども、リサイクルのためだけという制度でもなく、例えば不法投棄をなくす、こういうこともありましょうし、目的は幾つかあろうと思います。要は、回収ルートに引っ張り出してくる、あるいはそれを促すための施策だというふうにまず私どもの頭を整理して、勉強に取り組んでおります。  具体的には、今先生お話しになった全くそのとおりでございまして、その手法はいろいろあるのですが、やはり製品の特性を考えて対応しないと、これはどうにも役に立たないということだろうと思います。その点は先生の御指摘のとおりです。実際に諸外国で積極的に導入している国等を見ましても、いろいろな製品を横断的に、どの製品もこの製品もというふうにやっているところはありません。恐らく実効性が伴わないのだろうと思います。具体的には、各種の飲料容器、それからあとは自動車の廃車ですとか、そういうふうに個々の製品ごとに制度を構築しているというような状況でございます。  私どもも、基本的には、まだ検討の途中ですので、具体的にどこまで議論をして、何を考えているのだというところまで明確に申し上げられませんが、具体的な対象製品や仕組みのあり方について考えていくに当たっては、先生が御指摘になる点は大きなポイントだと思っております。
  53. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 これは対象物にもよりますけれども、このデポジット制度の困難な側面の一つとして、例えばストックヤードがありますね。今おっしゃったような車の廃車のデポジットということになりますと、物すごいストックヤード、貯蔵所というのですか一時集積所というのですか、そういうものが要るようになります。こういう場合は、例えば、自治省なんかと連携をとりながら、用地の確保とか、それから助成金についても、現実具体的な議論になったときには、そういう支給も考えてもいいのではないか。  それから、デポジット制度を運用してまいりますと、事業者に多大な負担をかけることになりますが、最終的にこれが価格に転嫁されるおそれがある。だからそういう点は、企業に対してもそうですが、消費者の意見もよく聞いて取り入れていかないと必ずそのときに問題が出てくるだろう、こう思いますが、それについて、局長、ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  54. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。経済的手法というものは、恐らくどれもそういう面を持っておりまして、まず国民の協力、理解がなければできません。幾ら制度をつくっても、実際に現在、地域の取り組みでそういうことをやっているところがあるのですが、今までの成果を私なりに見てみますと、離島であるとか特定の観光地等ですと、デポジット制度を導入したものが、例えば飲料等の缶であるとかの回収も非常にうまくいっている。ところが、広がりのある面的なところで部分的にやってもなかなか効果が上がっていないというようなことが現実にありますから、これはまず消費者、もちろん事業者の協力も得なければならぬわけですが、消費者にまずそういう意識を持っていただけるようにする、それはやはり国民の理解をいただくというところから始めなければいけないことだと思っています。
  55. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 最後に、私は大臣に心から敬意を表したいと思います。それは、京都会議についてであります。  私は一九三〇年生まれですので、戦前は軍事教練というのがありまして、教練が終わると配属将校が講評をするのです。そのとき必ず配属将校は、本日の教練はおおむね良好、こう言ったものでありますが、私も、今回の京都会議はおおむね良好であった。特に長官が、本当に寝食を忘れて、私からすれば随分大胆な数値目標を設定されたということで、しかも、これにはいろいろな国の利害が絡むことでありますから、随分そこには御苦労があった。だから、あのように深夜に及ぶ本当に真剣な議論がなされ、それを議長として御決裁をされまして、一定の成果を上げたわけでございます。  しかしながら、今後がまさに問題でありますので、関係法令等の整備等々について、環境庁は世界のあらゆる国に先駆けて、議長国として、成功させたわけでありますから、本当に地球の環境がますますよくなるように今後とも奮励努力されることをお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  56. 山元勉

    山元委員長 前田正君。
  57. 前田正

    ○前田(正)委員 平和・改革を代表しまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず、公害認定患者の東京と大阪の比較について申し上げたいと思います。  この法律は、昭和四十九年に制度が発足をしておりまして、考えると、今からもう約二十四年前ということになるわけでございます。認定患者は多いときで大体十万人、現在の患者数は大体七万人の方々がおられると報告を受けております。  すなわち、四万人の方々が完治をされたのか、あるいはもしぐは残念ながらお亡くなりになりたということになるわけでございます。  そこで、環境庁に、第一種地域東京地区と大阪地区の人数の比較を実は出していたぜいたわけでございます。その数値を見てみますと、例えほ昭和六十三年度末は、お亡くなりになった方が東京十九区では五百五十二人、大阪市は五百五十三人、ほぼ同数の方が亡くなっておられるわけであります。一方、完治されたというふうな報告は、東京が二千百三十二人、大阪は五百四十一人、こういうことになります。すなわち^大阪と東京を比べて、大阪は大体二五%ということになるわけであります。  これは、平成元年度、平成二年度^平成三年一四年、五年、六年、七年、八年、ずっと今日まで、亡くなった方々は、東京の十九区も大阪市も大体同じレベルの方々が亡くなって、昭和六十三年から平成八年度までは東京で四千四百五十二人お亡くなりになっている。大阪市では四千三百九十三人。大体同じ数値ということになります。  ところが、完治されておられる方は、合計すると東京十九区では一万四千百三十九人、残念ながら大阪市では三千七百二十四人しか完治されておられる方がいないということは、東京、大阪を比べると、まさに大阪は四分の一しか完治されてない、こういう統計が出てくるわけでございます。  この現象を環境庁としてはどう分析されているのか。例えば、東京より大阪の方がまだ大気汚染がひどいためになかなか治る方が少ないのかということも実は言えるわけでありますし、あるいはまた、治療方法東京よりも大阪の方がおくれているといいますか、そういうふうなことも考えられると思います。一方、悪いことを言えば、認定審査基準というのが大阪の方が緩いのかということにもなるわけでありますが、この辺の分析はどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  58. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。  先生からそういう御指摘をちょうだいしたものですから、私どもも数字をずっと分析してみました。  まず、指定疾病でありますぜんそくでございますが、治癒なさる方というのは小児ぜんそくの方が多い。やはり年長さんの方々ぜんそくというのはなかなか治りにくいということがまずあるようでございます。それで、大阪市の被認定者の中のお子さん方の比率が東京の被認定者のお子さん方に比べると非常に少ないということが、一つその治癒者が少ないことの原因にあろうかと思います。  さらに、今先生がおっしゃいましたもので申し上げますと、年齢構成的に見ても大阪の患者さんの方は年長さんが多いということでございまして、それが、先ほど先生が、残念ながら死亡者数は東京と同じぐらいじゃないか、こうおつしゃったところにもつながっているというふうに考えております。  あと、認定が甘いのではないかというお話がございましたが、この点につきましては、法律学あるいは医学の専門家から構成されますところの関係自治体の認定審査会におきまして認定更新の審査が行われているわけでございまして、主治医の診断報告書だとか医学的検査結果報告書等に基づきまして公正に行われているというふうに私ども考えております。  なお、その点について、各自治体における認定更新等の審査が適切に行われるよう私どもとしても指導も行っております。今後とも、被害者の公正な保護に欠けることのないように配慮してまいりたいと思っております。
  59. 前田正

    ○前田(正)委員 実は、私の選挙区内で、今はもう外れましたけれども、その隣、西淀川区というところが選挙区内でして、当初は西淀川公害訴訟だとかいろいろやっておりましたし、あの辺の大気汚染も大変ひどいものがあったわけであります。  しかし、私どもの後援会の方々が申されるには、昔は、ゴホンといえば龍角散、こういうのがあったのですが、ゴホンといえば公害患者、要するに、せきが出ればどんどん病院へ行けばいい、そうしたら病院の方で、これはぜんそくだ、こういうことをされればすぐに国は金をくれる、こういうふうな吹聴があったのかなかったのかそれは知りませんけれども、こういうふうなことまで実は言われておるわけであります。また実際に、入院していても、途中で、パジャマを着てそこらのパチンコ屋へ行ってばんばんパチンコをやっている、こういう人がおられるようなことも実は聞いたことがあります。実際にあったのかなかったのか、私は確認しておりませんから言えませんけれども。  だから、私はその辺に、認定審査会というものが厳正に行われておるというふうにはおっしゃっておられますけれども、この認定の基準、検査というものは、これは聞きますと、お医者さんの診断書にデータをつけて、そして市町村のそれぞれの認定審査会で審査をして、公害患者になっているかどうかということをいろいろと検討された上で御指定されるわけでありますね。これはそれぞれわかるわけですが、要するに御本人を見ていないわけであります。御本人を見ていない、審査をしていない、ただお医者さんの診断書なりデータだけを注視してやる。あるいは疑わしきは多少は直接的に審査をされるのかもしれませんけれども。そういうところに僕は甘さがあるのではないかという気がするのです。  だから、今七万人ぐらいというふうな数のものからすれば、私は、公的機関のそういう部門でもう一度再審査、検査をしていただいた上で再度の延長ということも必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  60. 岡田康彦

    岡田政府委員 現在の認定更新は三年あるいは二年、それぞれ区分によって違うわけですが、三年、二年ごとに審査をして卒業あるいは更新というふうにやっておりますので、その都度的確に、公正に行われるように今後ともきちっと指導してまいります。
  61. 前田正

    ○前田(正)委員 私は、大阪と東京、非常に地域的にもいろいろあるわけでありますけれども、その辺もう少し厳正に、そういったお金を支給するということになるわけでありますから、認定基準というものできっちり認定していただいて、また、どうしてこういう状況があるのかということをきっちり把握していただいて、東京と大阪でこれだけ違う原因は一体どうなんだろうかということをもう少し分析をしながらこれからもやってもらいたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  それでは、次に、例の公害健康被害補償予防協会というのがございますね。その予防協会というのは、俗に言う、最近特に問題になっている特殊法人ということになるわけであります。特にその中では天下り問題というのが最近よく言われておりますけれども、この会長、理事長の御出身と、できれば年齢と、年収がいかほどなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 岡田康彦

    岡田政府委員 公害健康被害補償予防協会の役員、これは会長でございますが、会長は民間出身の方でございまして、非常勤でございまして、年収約四百万円でございます。  理事につきましては三人おりまして、これは三人ともそれぞれ官庁出身者でございますが、うち一人は、役所をやめて相当たって、民間経歴がそれこそ十年ぐらいたった方が一人参加していただいております。出身という意味でいけば三人とも役所の出身でございます。三人の理事は常勤でございまして、年収は約千七百万円でございます。
  63. 前田正

    ○前田(正)委員 会長さんは、今おっしゃった羽倉さんという民間の方、これは第一勧業銀行の会長さんをされた方と聞いているのです。それで、今お年がもう七十九ということでありまして、しかも非常勤ということでありまして、年間四百五万円の報酬といいますか、もらっておられるようであります。  それから、理事さんは今三人とおっしゃいました。これは、調べますと、通産省のOBで本多さんという方、これが六十六歳の方。それに国税庁のOBの島田さんという方、これは五十六歳の方だそうであります。それから、あと厚生省のやはりOBで大木さんという方、これは五十六歳の方。これは三名ともに年収が一千七百二十七万円。  OBの天下りにしてみたら少ないと言われるかもしれませんけれども、我々庶民にとっては、やはり一千七百二十七万円というのは、我々国会議員でも二千万そこそこですから、私は、そういう意味では、二度目のお勤めとしてはそう安くもないのではないかという気がいたすわけであります。しかも、公害という、苦しんでいる方々のところの団体としては、我々は、もう少しそういった収入は、むしろそういうところの困っていらっしゃる方々にお与えをするべきではないかというふうにも思います。  しかも、羽倉さんという方はもう七十九歳という方。八十でも九十でも健康な方はおられると思いますけれども、非常勤という形で、七十九歳で、果たして本当にこういうお役ができるのかどうか。あるいは、理事さん三人だけがいろいろ物事を決めて、あとはもう報告だけしておけばそれでいいんだというふうな、そういう協会、団体であるのかということを、私も大変懸念をいたしておるところでございます。  それからさらに、お金をちょうだいしているところは、そういった原因を出した民間の企業がその中で大半のお金を出しておられるにかかわらず、理事の中にそういった方の代表は全く入っていない。あるいはまた、自動車の重量税から出てくるなら、どうしてそういう運輸省関係の人、そういうお金を出すところの部分がいないのか。むしろどちらかというと、これは通産省と厚生省、場合によっては環境庁のOBもいずれ入るのかなということにはなるわけでありますけれども、この理事についても、私はもう少し内容的に検討すべきではないかというふうに考えます。その辺はいかがお考えでしょうか。
  64. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。  協会における民間人のさらなる起用拡大について、積極的に検討していきたいと思っております。     〔委員長退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
  65. 前田正

    ○前田(正)委員 これは民間の中で出すわけであります。それは、それらが原因であるから、おまえら罰金だから金を出せ、それらの金はおれたちだけで適当に、適当と言ったら申しわけないのですが、我々で使うのだということではなしに、やはりお金を出す方もその中に入って、いかにして公害患者に対する償いをするのか、あるいはまたそういう運動を展開するのかというためにも、私は、そういう意味でぜひ民間の方々理事として入っていただいて、その中でいろいろとこの協会運営について積極的にやってもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それからさらに、協会には基金があります。この協会の基金は、企業から集められたお金が約四百億円、それからまた自動車税ですか、国から、政府から出ておるお金が約百億円、平成七年までに合わせて大体五百億円という基金を積み上げられたという報告であります。  そこで、その運用方法でございますが、例えば長期国債とか地方債とか、いろいろこういったものに運用しておると聞いていますけれども、その運用内容について、証券会社とかそういうところへやっておるのか、その内訳をできれば聞かせていただきたいと思います。
  66. 岡田康彦

    岡田政府委員 五百億の基金先生指摘のようにあるわけでございますが、これをできる限り有利に運用することが大きな課題でございます。特に、昨今のような低金利の中でございますので、非常に意を用いているところでありまして、御指摘のように、長期国債、地方債、大口定期預金等の金融商品の中から、市場の金利動向を見ながら最も効率的な運用を図れるように努めているところでございます。国債等はほとんどが十年初でございますし、五百億になってからは新規に基金の積み増しはございませんので、以前に手当てしたものが多いという意味では、今のところまだ割合金利の高いものを持っているわけでございますが、これから満期償還になって買いかえになりますと、今度どんどん低くなっていくということがございます。私どももその点は非常に悩ましく思っていまして、先ほど申し上げましたように、いかにして有利に運用するかということについて、本当に意を用いているところでございます。それで、これは今突然のお尋ねだったので、資料はちょっとあれなんですけれども、有価証券の購入先等については、十三社から、銀行、証券、いろいろなところにわたりまして四百七十二億円、あと大口定期が三十八億円というような形で、五百十億円ほどの運用になっているようでございます。
  67. 前田正

    ○前田(正)委員 細かい数字を言ってもらいたかったわけでありますけれども。その細かい数字はないにしても、まあいろいろとあるのでしょう。  特に今、証券業界とかそういうところがいろいろと、よからぬ接待、あるいは五百億というお金をどこに預けるか、どこで運用するかというのは、これはやはり証券会社とか銀行にとっては大変おいしい話ですから、それはいろいろとそういう意味合いでの、いろいろな形での接待というものがあるのかなというふうな感じもします。  しかし、私どもは、時代が時代でありますし、そういうことはないと信じておりますけれども、五百億というお金の運用方法について、もう少し透明でかつ厳正な形でやってもらいたいというふうに思いますので、今後とも監督のほど、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。その辺、ちょっと一言だけお願いいたします。
  68. 岡田康彦

    岡田政府委員 御指摘の点はしかと心得て、きちっと監督をしていきたいと思います。
  69. 前田正

    ○前田(正)委員 それでは次に、一般廃棄物処理についてお尋ねいたしたいと思います。  実は、一般廃棄物処理は、大体市町村が直営で行っているか、あるいは、私どもの地元の大阪市なんかの場合は、直営でやる場合と民間でやる場合と両方一緒にやって処理をしておる場合があります。それを私どもいつも見ておりますと、完全民営化にしてはどうか、民間の活力を導入することによって、その処理の効率化を図って、市町村はその管理だけに専念する、経費の点でも節減に努めるべきだというふうに思っています。  例えば、私どもの大阪市さんなんかは、ごみ収集ということになりますと、やはりほとんど昼間が中心ということになるわけでございまして、例えば、朝九時ごろからずっと各家庭ごみをどんどん集められて、そして帰ってこられるのが三時ごろということになるわけであります。その後、車を洗っていろいろと作業されて帰られる。町の中は大きなパッカー車が走って非常に非効率だ。だけれども、民間はほとんど昼間走らないで、明け方に走ったり、夜のすいておる時期を見越して走るわけであります。そういう点からしても大変効率的な問題があると思いますけれども、その辺はどうお考えでしょうか、お尋ねいたしたいと思います。
  70. 仁井正夫

    仁井説明員 お答えいたします。  一般廃棄物処理、御存じのように、市町村がその固有事務として実施しているものでございます。この事務を実施するために各市町村は一般廃棄物処理計画を毎年つくることになっておりまして、この計画の中で、一般廃棄物を適正に処理するために、みずからやるか、あるいは委託、あるいは許可業者を活用してやるかといったことを定めているところでございます。  お話ございましたように、一般廃棄物の収集につきましても、民間での委託なり許可がかなり進んでおりまして、平成六年度におきましては、収集運搬量で見ますと五五%が民間業者によって実施されているといった状況でございます。また、中間処理あるいは最終処分といった部分についても、民間業者に委託して実施されている例もございます。  お話ございましたように、近年、夜間収集等を民間に委託する、これによってその効率化を図るといったような事例もございますので、厚生省といたしましても、民間活力の導入というところにつきまして、市町村の意向も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
  71. 前田正

    ○前田(正)委員 一般廃棄物は、市町村が直営で行うよりも民間の力をかりた方が非常に安く上がるし効率的になる、私はそう思っておりますので、ぜひこれは積極的に進めていただきたいと思っております。  それから次に、廃棄物処理施設の問題であります。  例えば、焼却施設や最終処分地について、最近、住民の意見を聞くことになっているということがあるそうでございますから、こういう住民の意見を聞くということになりますと、一般業者がそういうものをつくろうとする場合にその住民が賛成をするということはまずない。やはり反対という形がほとんどなんです。それはもう自分のところの道路の前をどんどんパッカー車に通られるとたまったものではありませんし、あるいはまた近くにそういうものができると、私の住んでいる家の土地の評価が下がるというふうなことで、これはもう我々としては絶対反対だ、こういう運動が各地区に上がって、なかなかそういう施設というのはできてこない。施設ができないということは、結局、ごみ処理をされないということになってくるわけでございます。  そこで、これは一層行政立場で、公的機関がそういうごみ処分場をある程度造成してつくるとか、あるいはそういったものを集めるための工業団地のようなものを確保して誘致する、そこに施設をまとめて円滑に進めていくべきではないかというふうに思います。でなければ、これはもうなかなかこういう施設はつくろうと思ってもつくれないというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  72. 仁井正夫

    仁井説明員 御指摘いただきましたように、廃棄物処理施設をめぐっていろいろと地域紛争が生じているところでございます。  従来のといいますか、まだ施行されておりませんので、現行のという言い方もできるわけですが、従来の廃棄物処理法におきましては、施設設置手続、特に住民等の意見を反映するといったような手続法律上設けられておりません。そういったものを補完するということから、多くの都道府県におきまして、設置の事前の要綱といったようなものを設けて行政指導しているところでございます。この要綱の中で比較的多くのものが周辺住民の同意といったようなものも要求しているところがございまして、一部でも反対があればなかなかその手続が進まない、いたずらに長期化するといったような問題も生じているところでございます。  こういったような状況も踏まえまして、昨年六月に廃棄物処理法改正していただきまして、設置手続についてのいわば明確化をルールとして図ったところでございます。焼却あるいは最終処分場といった施設設置する場合におきまして、住民や市町村長からの生活環境保全上の意見をいただく。賛成、反対をいただくということではなしに、生活環境保全上どういったところに懸念があるかといったような意見をいただいて、専門家の意見も踏まえまして、その施設生活環境の保全にきちんと配慮された計画になっているかどうか、そういった観点から審査して、許可するか、あるいは何らかの条件をつけるかといったような、設置手続の透明化を図ったところでございます。こういったことから、この改正法の施行後におきましては、お互いのきちんとしたルールのもとで、環境に配慮された施設の立地が進められていくものと期待しております。  また、お話ありましたような、産廃の処理施設につきまして、民間事業者だけではなかなか設置できない例もございますので、いろいろな形で、地域地域によりまして公共関与を進めているところでございます。こういった方策も加えながら、適正な施設の立地が進められるように努めていきたいと考えております。     〔佐藤(謙)委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 前田正

    ○前田(正)委員 本当にこれは切実な問題でして、各業者さんは本当に、焼却施設なりそういう施設をつくろうとするのに、リサイクル等々によって集めてきたごみを分別して瓶は瓶、缶は缶、紙は紙というふうにして、それぞれをリサイクルしようという場所をとりあえず確保したいということで、随分いろいろとされるわけでありますけれども、土地があっても、その周りの住民方々の同意をなかなか得ることができないというのが現状であります。  また反対に、そういうのを市長さんや町長さんに住民が、あんなところへやってもらったら困る、こういうことになると、市長さんや町長さんは自分たちも選挙があるから、許可条件がそろっていても、やはり住民大事でなかなか許可を出せない、そういうことがございます。  したがって、これはもう行政がかんで、そういうところの場所を極力確保して、そしてそこでやってもらうというふうなことをやってもらわなければなかなかできない。そうでなければ、随分山の奥の、本当に人けのないところでやらなければならないということになりますと、これはまたそこまで運ぶ距離も非常に長いし、それだけまたお金の面でのコストというものもかかるわけであります。その結果、だれが処理するかといったら、やはり我々国民が負担をしなければならぬということになるわけであります。そういう意味で、やはり全体的に国が大いに関与していただいて、そういう場所をできれば確保してもらいたいというふうに私は思っております。  それから、実は最近、北朝鮮へ廃タイヤを輸出しておるというのを新聞で見ました。この内容を見ますと、かなり大量の廃タイヤを北朝鮮に、いわば資源として、再利用という形で出しておるというふうなことだそうでございます。だけれども、その貿易会社は、相手方の北朝鮮からはそれに対する費用は全然もらっていない。これはもう明らかに廃タイヤを北朝鮮、外国へ捨てるといいますか、輸出する、こういうことは実際大変なことだというふうに思っています。  さらにまた、これはもう一つ前でしたけれども、北朝鮮に大量に輸出ということで、アルミの残灰も実は出しておる。だけれども、残灰も大変に、公害的にいろいろな問題を含んでおる。これは北朝鮮で脱酸素剤に加工し、製品として日本にリサイクルとして入れている、こういうことを言っておるわけですけれども、これはバーゼル条約等もあって、法律上完全に違反をしておるものではないかというふうに私は思います。  省庁も、調査をする、こういうふうなことをおっしゃっていますけれども、この辺の状況について御報告をいただきたいと思います。
  74. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 まず、バーゼル条約上の有害廃棄物に当たるかどうかという点ですが、この点につきましては、条約の附属書の中に廃棄物の種類とかあるいは有害特性、そういうものが記されておりまして、これに照らして個々に判断をするという仕組みになっております。先生が御指摘になりました、最初の廃タイヤですけれども、これは有害廃棄物ではないというふうにされております、これは条約上の話ですけれども。  それからアルミ残灰につきましては、現在関係の三省庁で、特性といいますか性状といいますか、それからその有害性がどうかといったことについて個別のケースの問題としてチェック、検討しておりますので、その上でまた最終的な判断をしたいと思います。といいますのは、形は同じでも使われる用途によって、廃棄物として取り扱われているのか、それとも製品として取り扱われているのか、そういう違いがあるわけでございますので、個別の実情をよく調べた上で判断をしたいと考えております。
  75. 前田正

    ○前田(正)委員 いや、結局、相手が北朝鮮という非常に閉鎖的な国ですから、本当にタイヤが使われておるのか、廃棄されているのかというのは、なかなか追跡をすることができないだろうというふうに思います。これはもうこういうことが出てくると、いろいろなものをそういうところへ持っていって、実は再利用するものではなしに、どちらかというと廃棄処分にするということをして、北朝鮮の方はその利益を得るということになる可能性もないだろうかというふうに考えるわけです。  そこで、ごみか資源かという、こういう大変難しい問題になってくるわけですけれども、この辺の認識をもう一度改める必要があるし、そしてまた、特に外国へ輸出する場合は、これは環境庁なり厚生省関係ない、むしろ税関のことですからこれは大蔵省の関係だろうと思いますけれども、その辺、相手国、輸出についてはよく吟味しながら、連携をとりながら、やはり水際で処分というか、停止をするというふうなことをやってもらいたいと私は思うわけであります。こんなことがどんどん出てくると、これはもう大変なことになるというふうに思っておりますので、その辺さらに厳しく、よろしくお願いを申し上げる次第であります。  それから次に、私、大阪なのですが、大阪は八百八橋と言って、非常に川が多いのです。東京は八百八町という、大変町が多いということですが。その川が、最近は建設省さんなんかもいろいろと川をうまく生き返らせるように努力されていることは我々もよく見るわけでありますけれども、いかんせん、川に投げ込む、ぽい捨てというのは後を絶たない。したがって、川が非常に汚れたり、あるいはまた河川が、そういった意味では、いろいろなものをやる中で、捨てたり、あるいはまたそこでいろいろな遊びをしたりする、残りのごみが多くなって非常に見苦しいということがあるわけであります。そういうところの浄化に取り組む運動をやはり地域として進めるべきだというふうに思っております。  それからまた、私、海外へ行ったときに、うまく利用しているなというふうなことは、実は川と池の違いは、池というのは永がたまって動かない、川というのは、水が流れるところがやはり川でありますから、その流れをうまく利用できれぽ、簡単な操作だけで、例えば木とか竹なんかを少し出しておくだけで、流れてくるごみがそこへずっと全部自動的にたまってくるというのですか、そういうふうなことがあって、非常にそこはきれいなものだけが流れていって、ごみだけがそこへたまるという、簡単な装置なのでしょうけれどもそういうものがあって、ああ、なかなか感心だなというふうに見たことがあるのです。  そういうことをぜひ一遍、川をもう少し、浮遊物だけでも集めるとかいうふうな簡単なことをやっていただきたいと思っておりますけれども、その辺、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  76. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 今お話ございました中身は二つあると思うのです。  第一点目の、地域ぐるみで川の浄化に取り組むという点は、まさに私どもも、これから一番重点を置いて進めなければならない問題だろうと思っております。環境基本計画の中でも、四つのキーワードの中で、「共生」と「参加」というキーワードを大きく取り上げられておりますので、川の浄化活動というのはそういうことではないかなというふうに思います。私どもも、ささやかではありますけれども、そうした小中学生、あるいは地域住民、NGOの活動に対して支援もいたしております。  私の知っております事例でも、例えば豊田市の小学校は、矢作川でございますけれども、これにもう二十年以上、水質の調査をする、ごみ拾いをするというふうなことを、連続してもう一万日近くになりましょうか、やっております。それから、日本の水をきれいにする会の活動も、釣り糸であるとかそういった障害物を取り除くような活動を二十年以上やっております。こういうことをやはり優良事例として進めていくべきではないかというふうに思います。  それから、簡易なごみの採集施設といいましょうか、今先生のおっしゃったのは、外国の事例で、多分ハワイの話だろうと思うのですが、それにつきましては、私も非常に興味を持っております。一度ぜひ聞かせていただいて勉強したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  77. 前田正

    ○前田(正)委員 それでは、ぜひそういうものを積極的に入れて、ごみをできるだけ川からなくしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  それから次に、長官には、この間、京都会議で大変御苦労さまでございました。私もこの間、予算委員会で、アイドリングストップの問題でいろいろと質問をさせていただきましたけれども、今、各省庁での環境というものへの取り組み方について、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  78. 大木浩

    ○大木国務大臣 各省庁でどういうふうに省エネなりあるいは温暖化対策をやっているかということですね。  これは、大分前に内閣で一応決めまして、その状況を逐次レビューしております。ちょっと私、今具体的な数字は覚えておりませんけれども、そういうのは時々状況をレビューいたしまして、閣議にもたしか出しておるのですが、余り成績が、百点とか九十点にはなっていないようでありますけれども、引き続きまた、まず隗より始めよで政府として頑張らなければいけないと思いますので、そういう努力をさせていただきたいと思います。
  79. 前田正

    ○前田(正)委員 そこで私は、国会議員にならせていただいて、長官がああして世界会議でいろいろとお働きになった、大変御苦労だったなという気がするし、また、日本に課せられた責任というのも大変大きいと思うのです。  だけれども、この間、私が質問したのは、それぞれの大臣の皆さん方が、予算委員会だとか本会議のときにああいう大型の車をあの渡り廊下のところへ何台もずらっと置いて、四千ccという大きな車のエンジンを十五分も二十分もおかけになっておられるということが果たしてどうなのかなという気が実はしたものですから、やはり政府の取り組み方の姿勢というものを示してもらいたいということで、実は長官にあのとき申し上げたのです。  我々もやはり気をつけなければいかぬと思いますけれども、ここの国会内を見て、私ども国会の中でも、新聞は新聞、雑誌は雑誌、あるいはまた缶は缶、瓶は瓶というふうにして、それぞれ各フロアごとにみんなそれぞれ集めるようになっていますけれども、私もたまに行きますと、そこにおられるおばさんやおじさんがいつも、またこんなところへ一緒に入れてもうかなわぬなというふうなことをぶつぶつおっしゃっていらっしゃる。我々政治に携わる者がやはりみずからそういうことを率先してやっていく必要があるのではないかと思います。  それからまた、食堂も一日に何百人、何千人という方が入られるわけであります。そういった中で生ごみも随分大きなものがあろうと私は思いますが、それはどうも、ある業者に頼むのか、都に頼むのか、生ごみ処理をしておるようです。  たまたまこの間、東京ビッグサイトというところから案内が来ていたので、第五回リサイクル・テクノロジー・ジャパンという、何かそういうリサイクルについてのフェアをやっていたものですから、私も、せっかく環境委員会に所属するものですから、一遍見に行こうと言って秘書と見に行ったのです。今はもう簡単に生ごみが、一日そこへほうり込んでおくと、魚の骨でも肉の骨でももう一日で簡単にバクテリアで分解して、それは飼料として十分使える。それを契約した近郊の農家で持っていって、その肥料を使って無農薬野菜をつくって、またそれをリサイクルする、こういう話もあったわけであります。  だから、せっかく出ているそういうものを都とか業者に渡さないで、そして国会の中でそれを処理して、例えば、この中にもたくさん木がありますから、そういうところの肥料にまいていくとかそういうことをする。  あるいはまた、先ほども申し上げました車の話ですけれども、私も九段宿舎に住んでいますけれども、何か政変が起こったときは、新聞記者の方々が、もう私の車がとめられぬほどにいっぱいあそこに並んで、二時も三時も四時も五時もあそこへずっとエシジンをかけたまま運転手さんがおられる。こういう状況の中で、私はやはり、国会内はすべて、車をとめることはいい、エシジンをストップさせるということをぜひお願いし、我々の周りから、そういうことにある程度注意を促しながら、自分たちのものを自分たちで守っていくという環境の問題をもう少し全体的に広める必要がある。  これは、大臣が立法府の方へなかなか言いにくいということならば、私は、できればこの環境委員会委員長にお願いし、理事に相談をして、これはもう国会の、立法府の方はこういうものを積極的にやってもらいたいということの御要望をさせていただいて、終わらせていただきたいと思います。
  80. 山元勉

    山元委員長 藤木洋子さん。
  81. 藤木洋子

    ○藤木委員 藤木洋子でございます。よろしくお願いいたします。  早速でございますが、大臣は、提案理由の説明の中で、公健法は、「公害の影響による健康被害者の迅速かつ公正な保護を図るため、補償給付の支給等を行うもの」というふうにお述べになりました。この公害健康被害補償制度は、民事上の損害賠償の考え方を踏まえまして、健康被害者に対し、汚染原因者負担補償等を行うものであること、このように認識をしておりますが、改めて大臣の方に御確認をお願いしたいと思います。
  82. 大木浩

    ○大木国務大臣 この制度が、そういった損害賠償あるいは汚染負担の原則といったようないろいろな考えを背景にして、そこから出てきたということは私も存じておりますが、それを原則として運用するかということになりますと、これまたどこまでの相関関係があるか、こういうことになりますから、それを、原則を全部、全面的に確認し、そこから議論を始めよと言われますと、ちょっと私も……。  考え方はわかりますけれども、こういう制度ができたのは、その相関関係、そこら辺が少しはっきりしないから、裁判ざたになりますといろいろな問題が出てきてなかなか決まらない、むしろそういう状況対応するためにこの制度ができたということでございますので、今の、損害賠償の考え方に立ち、汚染負担の原則をもって行うというその認識を確認しろとおっしゃいますと、そういう考え方があることはわかりますが、そこからスタートした制度だからすべてをそれから議論するんだということになりますと、ちょっと無理があるのじゃないかというふうに感じております。
  83. 藤木洋子

    ○藤木委員 ルーツ、原点がそこにあるということは御確認いただけるというふうに思いますね。  そこで、まず、国の公害認定患者の数なんですけれども、八八年三月の地域指定の解除と新たな患者の認定打ち切りで、八八年七月の十一万七十四人というのがピークになりました。九七年三月末現在では七万四百十四人になっております。  そこで、地方自治体独自の制度で、地域指定解除後、気管支ぜんそく等の新規発症患者に対する給付を行っておりますけれども、こうした自治体の数がどのぐらいになっているか、認定患者数はどうなっているか、また、ここ四、五年程度どのようにこれが推移しているか、環境庁にお答えをいただきたいと思います。
  84. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。  旧指定地域関連地方公共団体の一部におきまして、指定解除後において新たにぜんそく等の患者の認定を行い、医療費の自己負担分等の助成を行っているところがあると承知しています。  これらの制度実施状況につきましては、これは私どもの公健法の世界とちょっと違いまして、保健福祉の観点から行われているというふうに承知していますので、環境庁として詳しく承知しているわけではないのですが、一応の把握はしておりますので、私どもが把握している限りで申し上げますと、指定解除後、ぜんそく等の新規認定を行っている制度は十三自治体対象者は平成九年三月末現在で七万九千人であるというふうに聞いております。  それから、最近の各年度はどうなっているのだというお話でございますが、平成五年度末は五万九千人程度、それから平成六年度末で六万七千人程度、平成七年度末で七万四千人程度、平成八年度末で七万九千人程度、こういうふうに承知しています。
  85. 藤木洋子

    ○藤木委員 確かにお調べになっていらっしゃるわけですけれども、それは全体の数で言っていらっしゃるのですね。  九二年三月末では十三自治体で四万九千五百六十四人であったものが、二年後の九四年三月末になりますと六万一千六百九十七人になっておりまして、これは二四・五%増加しているわけです。さらに、九七年三月末には今おっしゃいました七万九千人と、四年間で見ますと実に一・六倍もの急増をしております。このうち、東京都は四万三千五百八人になっておりますけれども、私の地元、神戸市の要綱による小児ぜんそく等医療費助成対象者は九八年一月末現在で五百九十八人、こういうふうにふえております。  さらに、この対象者は旧指定地域の四つの区に限った患者だけですけれども、その他の区でも小児ぜんそくは急増しているのです。九六年度の神戸市教育委員会の小児ぜんそく調査では、旧指定地域外の長田区の小学校で男子は七・二%、女子は五・二%、須磨区になりますと、小学校の男子で五・四%、女子で三・三%、こんなふうになっているわけですね。これを神戸市の全域的に、全市的に見ますと、八六年度の小学校の男子が二・八%だったものが九六年度には四・五%に、中学校の男子が二・五%から四・七%になるなど、二倍近い増加になっているわけです。  そこで、環境庁に伺いますけれども、こういった状況は、明らかに大気汚染による小児ぜんそく患者が、旧指定地域にとどまらず全市的に広がり、しかも急増している実態を端的に示しているものだとはお考えにならないでしょうか。いかがでしょうか。
  86. 岡田康彦

    岡田政府委員 私ども厚生省の患者調査を見ておりますと、ゼロ歳から九歳、要するに十歳未満の児童のぜんそく患者が増加傾向にあるということは承知しております。
  87. 藤木洋子

    ○藤木委員 それでは不十分ですね。厚生省のとおっしゃいますけれども、今公健法に直接関係がないと言いながら、地方自治体がそれに漏れる人たちをどうやって救済するかということで独自につくっている制度の中でこれだけ増加しているということを今私はお話しさせていただいたわけです。それをお聞きになって、急増しているということをどのようにとらえていらっしゃるのか、それを伺ったわけです。  実は環境庁は、九三年と九五年の公健法改正の際にも、ぜんそく等の患者がふえているという実態はお認めになりました。しかし、大気汚染を主たる原因とする患者がふえていると即断することはできないので、原因究明、予防対策を続けていく、こういう答弁を繰り返してこられたわけです。大気汚染による公害患者が四年間で一・六倍にも増加しているという事例を私は今お示ししたわけですけれども、それでも、この九三年、九五年の考え方というのが今も変わらないのかどうか。その点はどのようにとらえていらっしゃいますか。
  88. 岡田康彦

    岡田政府委員 端的にお答え申し上げれば、変わっておりません。  私どもは、ぜんそく等の疾病は、大気汚染のみならず、さまざまな原因により発症する、いわゆる非特異的な疾病だというように考えております。  一方で、環境庁としては、今後とも大気汚染防止対策を進めるとともに、先ほど先生の方からお話がありましたように、調査研究等の予防事業等も積極的に推進して、大気汚染による健康被害の予防に万全を期していきたいという立場でございます。
  89. 藤木洋子

    ○藤木委員 科学は日進月歩であります。六年前の考え方を今なお持ち続けているということが言われておりますけれども附帯決議で要請されておりましたとおり、局地的大気汚染健康影響調査手法に関する調査報告書、これができたのはやっと九三年の三月でした。「大都市ぜん息等調査報告について」というのが出されましたのが九五年の六月のことでございます。しかも、中間取りまとめは、西淀川訴訟判決でもこれは机上の空論だと断言された個人暴露量測定に今なお固執しておられる。「大都市ぜん息等調査」は余りにも低レベルの報告書だと批判もされているところです。いつになったら原因の究明がなされるのか、全くあきれてしまいます。  さて、七四年の「公害健康被害補償法の実施に係る重要事項について」という中央公害対策審議会答申に基づきまして、汚染負荷量賦課金と自動車重量税引き当て分との配分を八対二としていることは、当時の大気汚染の影響を勘案したもので適当であったと言えます。  ところで、現在の東京都内のNOx排出総量のうち、特定地域内で自動車から排出されるのは七一%に及んでいるというふうに伺っております。  環境庁、現在の自動車排ガスの寄与度は、東京都を初め首都圏近畿圏などでどのような割合になっているか、お述べをいただきたいと思います。
  90. 野村瞭

    野村政府委員 お答えを申し上げます。  自動車排出ガス寄与度についてのお尋ねでございます。  私ども平成九年、昨年の三月に取りまとめた自動車NOx総量削減計画の中間調査というものがございますが、これによりますと、今お話がございました東京都におきます特定地域のNOx排出量のうち、自動車から排出されるものの割合は、私ども調査では約六八%、それから大阪府では同じく約五三%、兵庫県では、同じくでございますが、約五三%ということで、大都市におきましては半分以上を自動車排出ガスが占めているといった状況にございます。
  91. 藤木洋子

    ○藤木委員 これは東京都に限らず、自動車排出窒素酸化物総量削減計画というのをそれぞれの都市で立てているわけですけれども、それによりますと、自動車NOx法特定地域内での量ですけれども、埼玉では二万四千七百三十トンで六〇%、神奈川では三万百トンで四三%、大阪が三万一千三百八十トンで五四・六%、兵庫では一万三千八百四十トンで五二%というふうになっているわけです。  今おっしゃったのと多少数値は違うのですけれども、しかし、この七四年の中公審答申では、賦課対象物質について、「NOxについて各施設毎に時間的な、また、操業条件等による変動が大きく年間排出量の把握は現時点においては極めて困難であること等から、当面は、SOxのみを賦課対象物質とすることもやむを得ないものと考える。」、このようにしておりますね。  それでは、環境庁、NOxの年間排出量の把握が現時点においても極めて困難であるというふうにお考えでしょうか。いかがですか。
  92. 野村瞭

    野村政府委員 昭和四十年代の後半のお話指摘されたわけでございますが、それからもう既に二十数年たっているわけでございます。それで、SOxにつきましては、燃料から二酸化硫黄の排出量を計算するのは比較的容易でございましたが、当時は、窒素酸化物排出量を計算するのに燃料から直接に出されない、やはり施設ごとの処理効率というようなものがなかなか実態把握が困難だったということで、当時はそういうことでございましたが、現在では、窒素酸化物につきましてもかなり正確に推計ができるようになっております。  以上でございます。
  93. 岡田康彦

    岡田政府委員 補足して、固定発生源の方のNOxについてお答え申し上げます。  今、大気保全局長からありましたように、測定技術等は進歩してきております。ただ、NOx測定には、技術そのものはあるのでございますが、測定そのものについて高度の技術と高額の費用を要する点がございまして、公害健康被害補償制度の運用の基礎資料を得るためにその導入を個々の固定発生源に義務づけるというようなことについては、これは困難であろうと思っております。
  94. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、やはり測定方法などは進んでいるわけですね。ですから、東京都の自動車排出窒素酸化物総量削減計画などでも、固定発生源工場事業場からのNOx排出量は一万七百トンで一五%だ、しかし移動発生源の自動車は五万二千トンで七一%だ、こういうふうになっておりますし、地元兵庫県の計画でも、工場事業場が八千三十トンで三〇・一%、自動車が一万三千八百四十トンで五二%、こういうふうになっているわけですね。  ですから現在では、今もお話がありましたとおり、工場からのNOxの排出量も自動車排ガスからのNOxの排出量も、完全に把握できるということを言っているわけではありませんけれども、しかし対応しようとすれば十分に対応でき得る、そういう状況に変わっているということです。それをもし否定されるとすれば、総量削減計画に盛り込まれている排出量というのは全くでたらめなんだ、こういうふうにお考えなのでしょうか。  NOxも賦課対象物質にいたしましたら、今自治体制度で認定されている公害患者も含めてすべての公害患者の救済を図ることができるというふうに私は思いますが、環境庁、その点はいかがですか。
  95. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。  御指摘の点は恐らく、例えばNOxも対象にしろ、そしてもう一遍認定をし直せ、こういう御趣旨かと思われます。  しかしながら、その点については、くどいようですが、昭和六十一年の中公審答申におきまして我が国の大気汚染ぜんそく等の疾病の主たる原因をなすものとは考えられないとされた状況と、基本的に今日も変わっていないと思っておりまして、公健法に基づく地域の再指定だとか新たな認定が必要だというふうには考えてございません。
  96. 藤木洋子

    ○藤木委員 科学だけが進んでいるのではありませんで、訴訟の判定などでも変化が出てきております。  大阪西淀川訴訟の九五年七月判決では、道路からの二酸化窒素が全体の汚染の中で一定の割合を占めていることを認め、二酸化硫黄との相加的影響を及ぼしていると判断いたしました。道路公害と健康被害因果関係を認めているではありませんか。しかも、道路沿道における寄与割合につきまして、二酸化窒素については、自動車の影響が七五%に対して、工場などの影響が二八%程度となるといたしました。そして自動車排ガスの影響につきましても、現実の道路沿道における自動車排ガスが、少なくとも弱者に対しては何らかの健康への悪影響を与えている可能性があることがうかがわれるとしています。大気汚染はますます悪化、深刻化し、それを反映して健康被害も広がっているわけです。  大臣にお伺いをいたしますけれども、八八年三月の指定地域解除や新規患者認定打ち切りというのは、十年たちました今日、誤りが明らかになってきたのではないかと思います。これ以上の健康被害はとめるべきですし、誤りを認めて、汚染実態に見合った地域の再指定大気汚染の公害患者の救済、これに全力を尽くすべきだと思うのですが、御決断を聞かせていただきたいと思います。
  97. 大木浩

    ○大木国務大臣 現状認識は先ほど政府委員の方からいろいろ申し上げましたので、今のところすぐに何か基本的な改革というところまでいっておりませんけれども大気汚染状況というのは地域によって非常に違うと思うのですね。ですから、それぞれの知事さんなりあるいは市町村長さんなりも、それぞれの御自分のところで御心配があると思いますし、そういった実態も私どもよく聞きながら、これから勉強はさせていただきます。
  98. 藤木洋子

    ○藤木委員 ぜひ検討していただきたいと思います。自治体からも要望が出ているところでございます。  次に、補償費の問題についてお伺いをいたします。  環境庁からいただきました障害補償標準給付基礎月額の資料でも、九六年度と九七年度を比較した場合、男性で、十五歳から十七歳、二十歳から二十四歳、四十歳から四十四歳、四十五歳から四十九歳の四つの階層で、最高マイナス五・一%、つまり六千四百円の減額になり、女性は、五つの階層で、最高マイナス三・二%で五千四百円の減額となっております。  しかし、私はせんだって尼崎や神戸の被害者実態をよく調査させていただきましたけれども、支給率三〇%の三級で、六十五歳以上の女性が月額四万八千七百八十円の給付でどうして生活しろと言えるのか、そんな思いをいたしました。  さらに、九七年度給付基礎月額を見ますと、五十歳から五十四歳の階層の男性に対する女性の格差は五〇一七%と、半分の給付額になっております。しかし、損害補償という制度から見れば、被害の苦しみだとか程度というのは男性も女性も同じであります。  環境庁、せめて障害補償費などは前年度より下回らない、このようにすべきではないでしょうか。男女格差をなくして、そのため女性への支給率を補正することなどの改善を図るべきだと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  99. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。  公害健康被害補償制度は、先ほど来議論がありますように、民事責任を踏まえた行政上の補償制度制度的な割り切りをした補償制度でございまして、障害補償費は、被認定者が指定疾病にかかったことによる損害を補てんするために支給されるものでございまして、補てんの対象となる損害は逸失利益が中心となっております。得べかりし利益を失ったということで、逸失利益が中心になっております。  こういうことになっておりますので、全労働者の性別、年齢階層別の平均賃金実績は年度により上がりあるいは下がることもありまして、性別、年齢階層によっては障害補償費の基礎月額が前年度を下回ることがあることも、この制度上はやむを得ないことだと考えております。  また、年齢階層別にも労働者の平均賃金に差があるのと同様に、平均賃金に実際に男女差があります以上は、障害補償費の基礎月額に差が生ずるのも、本制度の趣旨を踏まえればやむを得ないことであろうと思っております。  今後とも、私どもとしては、基礎月額の算出に必要な情報についてはできるだけ客観的にきちんと収集して、基礎月額を適切に定めていくように努力はいたします。
  100. 藤木洋子

    ○藤木委員 下回らないようにしてくれという要求は、患者だけが言っているわけではないのですね。これは公害補償地域連絡協議会からも要望が出ているはずです。算定上、金額が前年度を下回るときは、せめて前年度の額を据え置く等の配慮をしてほしいという願いは、地方自治体からも聞いているところです。  現行の補償費は、さきに挙げました七四年の中公審答申で、今おっしゃいましたけれども、全労働者の平均賃金の八〇%と規定されて以来のことですけれども、当時の生活水準と今日の生活水準とは大きく違ってきています。とりわけ損害補償としての慰謝料が含まれておりませんね。ですから、これまでの裁判の判決がどうなっているか。補償費の不足を認めて金銭賠償を言い渡しております。また、和解で加害企業は判決を上回る解決金を支払っているではありませんか。これは結局、補償費の低額さなど補償制度の不十分さを認めたものであります。もちろん、これは公害被害者原告の長い裁判闘争の末にかち取った判決、和解によるものであることも、そのとおりであります。  そこで、環境庁、障害補償額は、被害者救済が損害賠償責任の考え方を踏まえた制度として、特別給付を含む全国平均賃金水準相当額の一〇〇%に改善するお考えはないでしょうか。
  101. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。  先ほど来の議論にまた戻るわけでございますが、公健法の障害補償費と申しますものは労働能力の喪失等による逸失利益を補てんすることを目的として支給されるものだということは、先ほど申し上げました。  この水準につきましては、そもそもこの制度は、個別の因果関係は問わないこととして、指定地域における汚染暴露を受け、一定の症状があれば患者として認定することとする、いわば先ほど申し上げた制度的な割り切り、裁判で因果関係を求めていくというようなことで長期に苦労なさるよりはこういう制度をつくった方が制度的割り切りでいいではないかということで、当時考えてつくったものでございまして、その当時、公害裁判における判決に見られる水準だとか、社会保険諸制度の水準等を勘案して定めることとされたところでございます。  昭和四十九年の中公審答申に示されましたように、性別、年齢階層別の全労働者の平均賃金の八〇%を基礎とするということで運用しておりまして、その後、中公審答申の考え方を変更すべきような特段の事情は生じていないと考えておりまして、給付水準を改めることは考えておりません。
  102. 藤木洋子

    ○藤木委員 ぜひ御認識を改めていただきたいと思います。  私は、遺族補償費についてもそうだと思うのですよ。全国平均賃金水準の一〇〇%とすべきだと思います。亡くなっていらっしゃる方が大体一日五人の割合で、九五年度だけをとってみましても、一千六百二名の方が亡くなっていらっしゃいます。補償制度から離脱しているわけです。ところが、遺族補償費の支給期限が十年に制限されておりますので、四十年公害に苦しんできたそういう被害者や遺族の皆さんがその後は補償が受けられないということは、とんでもないことだというふうに思っております。  ですから、給付の期限の十年という制限を撤廃することだとか、給付率の問題でも問題があるのですね。現行は一〇〇%、七五%、五〇%というふうになっておりますが、それ以下の場合は、例えば公害患者で、ずっとぜんそくのための薬の投与を受け続けてきて心臓が悪くなって心不全で亡くなりますと、これは全く補償対象にはならないわけです。そこで、労災制度のように、十年制限をなくすとかいうような改善をぜひ図っていただきたいと思います。  また、先ほど東京、大阪の違いについて述べた方もいらっしゃいますけれども、私がびっくりいたしておりますのは、江戸川区の八八・二%の方たちが等級外だという問題です。東京都内の等級外被害者というのは随分多いのですね。等級外をなくすために、患者の適正な等級を受ける対策強化すべきだと思っております。例えば、級外者のために、自治体の窓口で知らせるとかあるいは三年の更新の際に見直しの書類を必ず同封する、また公害手帳に補償法の仕組みを知らせる、こういった工夫が必要だというふうに思います。  自治体の担当者や医療関係機関の職員の中には、損害賠償責任の考え方を踏まえた制度であるということを御存じない、そういう状況もございます。手続も煩雑になっているということなどから、適用しない実態が出ております。改めて周知徹底を図るべきだと思います。  これまでやってこられたのは私は存じておりますけれども、この制度が導入されましてから四半世紀です。ですから、それがどんどん薄れていって、全く知らない方たちがそういう職種につくという場合もあるわけですから、これは大臣にぜひお願いをしたいと思うのですが、周知徹底のために全力を挙げて、新たな奮起で頑張っていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  103. 大木浩

    ○大木国務大臣 今の法律の成り立ちは、先ほど一番初めに申し上げましたけれども、やはり原因と結果と申します交そういう病気の方が出てくるわけですが、そこの因果関係が必ずしも、定性的というか定量的というか、確実にはならないところに実は非常に問題があるわけでございます。先ほども申し上げましたけれども、またそれぞれの地域でいろいろとそれぞれの担当者の方々が取り組んでおられますので、そういった努力は十分に認識しながらこれからもひとつこの運営に努力をしてまいりたいと思っております。
  104. 藤木洋子

    ○藤木委員 もう時間なんですけれども、周知徹底を図るために全力を尽くしていただきたいという、その点はいかがですか。
  105. 岡田康彦

    岡田政府委員 先ほど先生がおっしゃいましたように、これまでやってきたことは承知しているということで、これからもしっかりやってまいります。
  106. 藤木洋子

    ○藤木委員 終わります。
  107. 山元勉

    山元委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  108. 山元勉

    山元委員長 これより討論に入りますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  109. 山元勉

    山元委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  110. 山元勉

    山元委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、鈴木恒夫君、佐藤謙一郎君、田端正広君、武山百合子さん、藤木洋子さん、土井たか子さん及び武村正義君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されています。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鈴木恒夫君。
  111. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員 私は、ただいま議決されました公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民友連、平和・改革、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び新党さきがけを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、関係省庁及び関係地方公共団体と密接な連係を図りつつ、公害健康被害者の迅速かつ公正な保護及び大気汚染の影響による健康被害の未然防止の視点から、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 被認定者に対する認定更新・補償給付の支給等に当たり、その保護に欠くことのないよう配慮するとともに、完治によって制度を離脱した者についても、健康被害予防事業によるフォローアップに努めること。  二 健康被害予防事業については、関係地方公共団体の果たす役割の重要性を考えて、関係地方公共団体の要望を踏まえつつ適切かつ効果的に実施すること。  三 主要幹線道路沿道等の局地的な大気汚染による健康影響については、科学的知見が十分でないため、個人曝露量の調査手法等今後の課題指摘されている各種調査手法等の確立を図るとともに、必要な被害救済方途検討すること。  四 大都市地域における大気汚染については、自動車等の移動発生源寄与度が高いこともあり、依然として改善が見られないことから、自動車排出ガス規制のさらなる強化を図るとともに、窒素酸化物対策として、自動車NOx総量削減計画にそって平成十二年度までに環境基準が概ね達成されるよう、自動車単体対策車種規制、低公害車の開発普及、物や人の流通対策等を含んだ大気汚染防止対策を総合的・計画的に実施すること。また、浮遊粒子状物質対策を推進するにあたっては、従来からの対策の充実を図りつつ、原因物質の削減に向けての総合的対策の確立に努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  112. 山元勉

    山元委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  113. 山元勉

    山元委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大木環境庁長官
  114. 大木浩

    ○大木国務大臣 ただいま御議決になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。     ―――――――――――――
  115. 山元勉

    山元委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――報告書は附録に揚載〕     ―――――――――――――
  117. 山元勉

    山元委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十一分散会