運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-05-28 第142回国会 衆議院 外務委員会 第15号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    平成十年五月二十八日(木曜日)     午後三時十八分開議 出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 松沢 成文君    理事 東  順治君 理事 東  祥三君       柿澤 弘治君    河野 太郎君       阪上 善秀君    櫻内 義雄君       田中 昭一君    宮本 一三君       森  英介君    森田 健作君       八代 英太君    島   聡君       藤田 幸久君    丸谷 佳織君       山中 燁子君    古堅 実吉君       吉井 英勝君    井上 一成君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君  出席政府委員         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 阿部 信泰君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 高野 紀元君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛政策課長   大古 和雄君         防衛庁防衛局計         画課長     金澤 博範君         防衛庁装備局艦         船武器課長   西  正典君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十八日  辞任         補欠選任   松本 善明君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   吉井 英勝君     松本 善明君     ――――――――――――― 五月二十七日  新たな日米防衛協力のための指針の廃棄等に関  する陳情書外一件  (第三三〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島聡君。
  3. 島委員(島聡)

    島委員 民主党の島聡でございます。  極めて今いろいろな意味で、外務大臣、お忙しいことだと思います。先週の金曜日のこの外務委員会玄葉議員の質問への答弁以来、いわゆる新ガイドライン法制に関して、周辺事態等の解釈に関しまして、非常に政府内で見解の不一致があったのではないかというようなことが随分されて、報道の方も随分議論がありました。  第百十九臨時国会ですか、平成二年十月十六日に、国際連合平和協力法案では、政府側答弁がいろいろ混乱しまして、その法案審議未了で廃案になったことがあります。そういうような何か兆しが見られるような一週間だったのではないかと思っております。  また、去る五月十一日と十三日には、インドが二十四年ぶりに地下核実験をした。そしてまた、パキスタン動向も今日が離せないし、そして五月二十一日のスハルト大統領退陣と、本当に外務大臣もいろいろな意味で、きょう国際情勢について質問させていただくわけでありますが、いろいろな政治的な高度な判断を要求される日々ではないかと思うわけであります。  きょうは外務大臣に、まず最初にインドパキスタン情勢についてお尋ねをしたいと思っております。  報道によりますと、インドバジパイ首相は、二十七日に開会しました国会冒頭演説で、インド核保有国となったことは否定のしようもない現実と述べて、核保有を公式に明らかにしました。同じくインドフェルナンデス国防相が、核武装をしなければ核保有国として意味がない、今回のバジパイ政権政策綱領に掲げていた核の選択肢の行使とは核武装化のことだと述べて、地下実験後初めてインド核武装化を明言したとのことであります。  インドは、パキスタンもそうでありますが、中国とも非常に大きな国際紛争要因を抱えている。インド核武装化によって、中国に次いでアジア核保有国が誕生することになったわけであります。その結果、アジアにおける地政学上の構造、あるいは安全保障構造に大きな影響があった。我が国安全保障、また特にインド核実験によって、南西アジア戦略バランスがこれで崩れたわけであります。  これについて、どのような変化がもたらされると考えられて、また南西アジア戦略バランスが崩れたことについて、この修復、どのように日本政府としてやっていくお考えかを外務大臣にまずお尋ねします。
  4. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 インドが、今般、地下核実験を行いました。この結果、新たなる核保有国としての存在が、今委員指摘のように、議会におきましても、首相みずから発言をされておられるわけでございます。  このことは、世界の平和と安定、あるいはアジアにおける各種の政治的状況に大きなインパクトを与えるものと考えておりますが、今後、どのようなことに変化するかにつきましては、隣国パキスタン状況、あるいはまたそれに対する旧来の核保有国対応その他見きわめませんと、今日時点におきまして、どのような変化ができるかということは、その見通しにつきましてはなかなか困難だと思いますが、依然としてこれからの推移を注視いたしてまいりたいと思っております。
  5. 島委員(島聡)

    島委員 要するに、これからの動きを見ていく、今のところ何もせず見ていくという御答弁ですか。確認のためお尋ねします。
  6. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 重大な関心を寄せて、このことをもってアジアにおける軍事的バランスその他の大きな変化が招来するかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたように、隣国その他周辺地域動向も見きわめませんと、簡単には申し上げられる立場ではないと思っております。
  7. 島委員(島聡)

    島委員 このバジパイ政権は、政権が成立した当時から核実験実施意思というのをかなり内外に明言していました。この情勢分析、これも報道によるとですけれども政権をとったらそんなことはないだろうというような読みをしていたという報道もありました。  我が国は、当然、このような核軍縮に対しては、国際社会核軍縮に取り組むように訴えていくというのが外交青書にもきちんと明言してあるわけでありますが、この結果、インドという国に対してかなり日本というのはつき合いが深い国でありますが、それに対してこのような行動を起こす。  まず第一に、バジパイ政権が成立当時から核実験意思内外に明言していたので、その当時からきちんと注視していたのかどうか。そして、注視して、今、注視していくと言われましたけれども、そのようなことが起こらないように、日本外交としては何か手を打ってきたのか。そしてまた、現に起きてしまったわけですが、それに対して我が国外交における反省は、外務大臣としておありですか。
  8. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 インドの総選挙がございまして、そのときの各党の公約等承知をいたしております。バジパイ政権が誕生する過程におきまして、インドにおける核の問題につきましても、これを誇示していくような雰囲気がございまして、そういった点で、既に御報告申し上げましたが、過ぐる三月三十一日に橋本総理からも、インドにおきましての強く自制を求める親書相手首相に出しておるわけでございます。  そういった点では、この周辺の核をめぐっての状況につきまして、日本日本としての立場において、そうしたことが起こらないように強く自制を求める努力は傾注をいたしておりましたが、にもかかわらずこうした実験に踏み切ったということはまことに遺憾でありまして、その後の日本政府としてのとりました措置につきましては、委員既に御案内のとおりでございます。
  9. 島委員(島聡)

    島委員 核実験は二度行われたわけでありますが、まず、二度目の実験をきちんと予測していたかどうか。もし予測していなかったとするならば、その理由、どのように自己分析をしているのか。  CIAの方は、さきインド地下核実験を見逃したことに対して、米議会からは十年に一度の失態と糾弾されているそうでございますが、私ども、残念ながら、十年に一度の失態と糾弾できるような状態であったらいいなと思っているぐらいでございまして、今回は一体、二度目の実験をまず予測していたのかどうか。していなかったとすると、どのように自己分析しているか。あるいは、今後インドによる核実験可能性をどのように予測しているのかについてお尋ねいたします。
  10. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 お答え申し上げます。  まず一回目の三度の実験を行いまして、その後、日本政府からこれに対して強い申し入れを行ったわけでございますが、したがいまして、各国からも申し入れがあったわけで、私どもとしては、インドがそれに耳を傾けて、実験を継続しないということを期待したわけですが、非常に短い時日の間に二度目の実験を行ったということで、これは私どもとしては、その意味では予期していなかったということであろうかと思います。  その後、インド政府は、今回の一連の実験はこれで終わり、モラトリアムを行うということを言っておりますので、これからしばらくは、少なくとも実験をしないのではないかというふうに見ております。
  11. 島委員(島聡)

    島委員 親書をやったり、いろいろな要請をするわけでありますが、そのときに、予期しているのと予期していなかったのでは、大分対応が違うわけですね。要するに、すぐ二度目がありそうだとすると、かなり緊急な手法になるでしょうし、まあやらないだろうと思っていたら、とりあえずそれだけでいいという、手段に違いが出てくると思うのですが、今回は、予期していなかったということによって、手段的には余りきちんとした手段をとらなかったというような分析はありますか。
  12. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 たしか、一度目の三回の実験の後で日本政府措置を発表しまして、その中で、無償援助については新規のものを停止する、有償援助については、インド側動き反応を見て検討するという態度を出したわけです。  それをもって、私どもとしては、インドがそれ以後引き続き実験をしないということを期待し、またそのためのてこともするという意味でそういう措置をとったわけでございますけれども、遺憾ながら、ほんの少しの間の後にまた実験を続けてしまったということで、私どもとしては、有償資金援助についても新規のものは停止するという強い措置をとらざるを得なかったわけでございます。
  13. 島委員(島聡)

    島委員 つまり、この措置でとまるだろうと期待したけれども、とまらなかったというふうに解釈してよろしいですか。
  14. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 それはおっしゃるとおりかと思います。私どもとしては、もちろん私どもの強い抗議とそういった措置効果をもたらすことを期待したわけですけれどもインド政府の一部の一方は、自分らは経済的な措置計算済みである、それに耐えるつもりであるというようなことを言っているようでございますので、そういう相手にとってはなかなかこういう措置効果を発揮するのは難しかったかということかと思います。
  15. 島委員(島聡)

    島委員 この問題についてはこれぐらいにしたいと思いますけれども、まず一つは、予測が外れたというのは、これは一つ大きな問題だと私は思います。つまり、期待したけれどもできなかったというのでは、だれでもできるわけでありまして、こういう難しい問題があって、こういうような向こうの意図をきちんと見抜いた上でこういう対策をとる、それが重要であると私は思いますので、今度のパキスタンの問題も、今から質問しまずけれども、今度はそういうことがないようにしていただきたいと思っておる次第でございます。  それで、同じようなインド関係ですが、今おっしゃったように、いろいろな対応措置をやられたということはよく存じております。十二日には外務大臣在京インド大使を招致されたとか、十三日には緊急・人道援助及び草の根無償援助を除く無償資金協力を停止された、対インド支援国会合東京開催の延期もされた、十三日夜、在京インド大使を再度招致した、十四日、新規円借款の停止、国際開発金融機関の対インド融資慎重対応をされたというようなことは十分承知を  しておるわけでございます。  インドへの我が国ODAというのは、九五年時点支出ベースで五億六百万ドル。日本ODA供与国国別ランキングでも第四位であります。インドへのODA日本シェアは四八・二%で、世界トップでありまして、非常に援助供与大国になっている。その意味では、これを一つ手段として使ったということは、外交カードをお使いになったということだというふうに思うわけであります。  非常にインドへの影響力が大きいわけでありますけれども、これから先、例えば制裁及び解除タイミングというもの、それから、どのようにこれからインドというのを、核というものを使わせないような形の中で核軍縮の道を歩ませるようにしていく、解除タイミングも含めて、ODA最大限に活用すべきと考えるわけでありますが、外務大臣、それについてどうお考えですか。
  16. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 インドが二度にわたる核実験を行いました後、我が国として対応した大きな点として、ODAの大綱を踏まえての措置につきましては、今委員みずから御指摘をいただいた点でございます。  今後とも、我が国としてはインド政府に、核兵器開発即時中止、NPT及びCTBTの無条件締結に粘り強く働きかけていく考えでございますが、ODA政策を含めた対インド政策のあり方につきましては、このような働きかけに対するインド対応を注意深く見きわめつつ、総合的に判断してまいりたいと思っております。  先ほど審議官から御答弁申し上げましたが、今、インド国内政治状況の中では、委員も御指摘ありましたと思いますが、バジパイ首相国会においての発言等に対して、恐らく国会議員すべてもろ手を挙げて賛成しておるような環境のように見受けられます。そういう中で、諸外国からの経済的な支援その他についても、それを乗り越えて、みずからの安全保障のために尽くしていくんだという主張をされておるようであります、ありますが、私は、そうはいっても、世銀を初めとしてのインド経済に対する国際社会協力というものが失われるということになりますれば、重大な状況は恐らく生まれてくる。今は、非常に核実験に大成功したということで言っておられますけれども、必ずそういう事態は起こってくるのではないか。  端的に、今インド・ルピーがじりじり下がっておる。必ずしもこれは、各国制裁のアドバンスが効いておるということではなかろうと思いますけれども、実際、インドにおいては、諸外国からの経済協力援助あるいは国際金融機関協力というものがあって、インド経済もそれなりに発展しておるわけですから、そういう意味では、じわじわ効いてくるのではないかと思います。  いずれにいたしましても、これから諸外国との連携も密にしながら、二度と再びこうしたことを起こさないように、各国ともその線に沿って連携して努力をしていかなければならない、その一端を我が国としても大きく担っていければ、こう考えております。
  17. 島委員(島聡)

    島委員 本当に、我が国核軍縮というのをきちんと訴えていく中においても、結局はこれは、日本というのは、例えばアジアの中において、きちんとアジアとともに生きていこうというふうに考えてきて、インドをうまく核軍縮枠組みに入れて、一種の核軍縮という大きな流れの中に取り込めなかったということは、本当に痛恨の至りであると私は思っています。  特に、ODAという形で影響力というのをある意味で行使しやすい、我々の理念というものをきちんとお伝えできやすい国であって、歴史的にも非常に親目的な国であると私は思っております。そういう国がこのような状況になったのは、私としても極めて残念に思っておりますので、外務省及び外務大臣、特に外務省の方は、できる限り情報を的確に外務大臣にきちんとお伝えしていただいて、外務大臣の政治的な判断でこれは進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  パキスタンの問題でございますが、インド核実験によって、先ほど南西アジア戦略的バランスが崩れたということを申し上げました。パキスタンにとっては、非常に大変なことだと思います。早々に、カシミール地方においてはいろいろな問題が起きているというような報道もございます。  やはり核というものを持って、それを背景にいろいろな形で外交的な動きを、あるいは国際政治上の動きをしてくるということを考えた場合、パキスタンの方も、それに対して連鎖反応が起きるということは当然国際政治の中ではあり得る話で、アメリカのCNNが、パキスタン地下実験準備を完了し、パキスタン政府が決断すれば、直ちに実施可能な状況になったという、アメリカ情報当局者の話を伝えたということは、きのう報道されました。パキスタンの方は、こういうことはよくあることだなんという報道もしておるようでございますが、我が国政府としては、パキスタン核実験を行う能力があって、もう準備があるということをどのように把握しているのか、情報として把握しているのかということをお聞きします。
  18. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 パキスタン核実験能力ということでございますけれども、これまでのいろいろな情報からしまして、実験を行う能力はあるというふうに見ておりますけれども、その準備ができている、あるいはそれが実験を今にも行うということにつきましては、一つはもちろん衛星その他による情報収集があるわけでございますが、その点は実は、日本はそういう行動はしておりませんので、独自のものはありませんけれども、友好国との情報交換過程におきまして、少なくとも実験準備は非常に完了に近いところまで行っているというふうに理解しております。残りは、するかしないかという政治的な決定の問題であるというふうに理解しております。
  19. 島委員(島聡)

    島委員 今のお話を聞きますと、かなり緊迫した状況であるというふうに判断をしました。  きのう橋本総理もいろいろされたとかそういう話も聞いておりますけれども、例えばこの緊迫した状況の中において、先ほどインドのときには期待はしたけれども起きてしまったという話になっておりました。そういうことがないようにしなくてはいけないと私は思っております。  日本としては、今後一体パキスタン自制を求めるどういう要請を、今のような緊迫した状況であるならば、以前の轍を踏まないような形で進めなくてはいけないということだと思うのですが、アメリカの方は、制裁発動を警告するとともに、自制をしたならば経済軍事面支援計画もするとしてまとめているというふうに聞いておりますが、日本としては、先ほどのインドはこれをやっておけば大丈夫だと思ったけれどもやってしまった、こんなようなことがまたもう一回答弁がされるのは残念なことでありますから、そういうことのないようにするためにどのようなことをしょうとしているのか、今考えているのかを大臣にお尋ねします。
  20. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 我が国といたしましては、さき登総理特使派遣に加えまして、昨日、今委員もお話ありましたが、我が橋本総理よりシャリフ・パキスタン首相に対し電話をいたしまして、引き続き最大限自制を求めるとともに、核実験を行わないよう求める国際社会要請にこたえるように激励のメッセージを伝えたところでございます。  我が国としては、今般のインド核実験によりまして、パキスタンは極めて厳しい安全保障環境のもとに置かれているので、パキスタン安心感を高める方途を検討することが重要と考えております。このような問題につきましても協議をするために、米国に我が省高官を昨日派遣をいたしたところでございまして、各国ともこれまた連携をとりながら、パキスタンに対する強い自制を求めてまいりたい、このように考えております。
  21. 島委員(島聡)

    島委員 同じように我が国外交の、私はODAに関してたびたび質問させていただいておりますけれども一つ外交手法としてのODA考えてみた場合でも、パキスタンは九五年時点で二億四千百万ドル、日本ODA供与国の中では第十位、パキスタンODAでは日本シェアインドの場合よりもさらに高くなって六六・九%で、トップシェアでございます。最大の援助供与国であり、六六・九%というシェアを持っている日本が、今後、ODAを活用してパキスタン自制を求める働きかけをどのように考えていくのかということについて大臣にお尋ねします。
  22. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 率直に申し上げて、インド核実験に対して我が国のとった態度、特に経済協力に対する対応インド自身もやや、極めて日本としては強い態度をとった、こういう認識をしておるやに伝えられております。と同様に、パキスタンにおきましては、今委員指摘のように、パキスタンにとっての我が国経済協力シェアはまことに高いわけでありますし、また、インドパキスタンの国力、国情を考えましても、その影響するところまことに多大ではないかと認識をいたしております。  したがって、パキスタンにおきましては、インドにとったような対応パキスタンもとられるということであれば、その影響もまことにこれまた少なからぬものがあると考えられます。したがいまして、そうしたことが十分政府考え方の中に反映されれば、そのこともこの実験に対するパキスタン最終決断に向けての判断の材料としてぜひ認識をしていただきたい、こう念願しておるところでございます。
  23. 島委員(島聡)

    島委員 ぜひとも、インドであって、核軍縮枠組みがどんどん崩れていくような状況になっておりますので、本当に英断を持ってきちんとした対処をしていただきたいと思うわけであります。  先ほど外務大臣インド状況を言われました。要するに、核実験に対して割と国民世論がそれをどちらかというと支持する状況にある。パキスタンでも、核実験実施をめぐって、実施推進派実施した場合の経済的影響を懸念する慎重派に当然分かれている状況にあります。  パキスタン核実験に踏み切るかどうか、いわゆる核軍縮枠組みがこの南西アジアから崩れていくかどうかというのは、国内世論にかなり大きくかかってくる。現在のパキスタン国民世論というものをどのように分析しているのか、そして、それに対して、例えば国連などを活用するなどして核実験のデメリットというのを具体的にパキスタン国民に周知させるなどということを、そういう訴えかけ日本としてすべきではないかと私は思いますが、大臣のお考えをお願いいたします。
  24. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 御指摘にありましたように、今パキスタン部内で実験推進派あるいはまた慎重派があるとの報道に接しておることは事実でありまして、そういった意味からも、時の最高責任者に対して我が国総理からのお電話を差し上げて自制を求めていることは、申し上げたとおりでございます。  我が国といたしましては、そういった意味で、パキスタン国民にじきじきにということは、なかなかその手法は難しゅうございますけれども政府を通じて、そしてまた国際的な各国との連携を保ちながら、そうしたことに踏み切って、お互いインドパキスタンとの関係がますます最悪の事態になることのないように、この際はパキスタンとして自制をしていただくようなあらゆる観点の努力をしていかなければならぬと思っております。
  25. 島委員(島聡)

    島委員 ぜひとも、核軍縮枠組みというのがどんどん南西アジアから、よく世界的な危機をアジアから起こしてはいけないとか日本から起こしてはいけないと経済では言われますけれども、同じように核軍縮という流れアジアから完全に崩壊させていくというようなことがないように、きちんと日本外交におけるリーダーシップを発揮すべきときと思いますので、大臣の指導を期待するものであります。  時間がどんどん押してきてしまいましたが、先日の二十二日、玄葉議員がここで日米ガイドラインについて質問をされたわけであります。きのう安全保障委員会でも幾つか議論があったという話も聞いておりますが、外務委員会でもう一度きちんと御答弁をしていただくという意味で、質問を進めさせていただきます。  二十二日の衆議院外務委員会では、新たな日米防衛指針、いわゆるガイドラインに基づく周辺事態の範囲について、概念的に極東と極東周辺を超えることはないとの見解を高野北米局長答弁された。高野局長が、極東と極東周辺で起きたことはすべて周辺事態に当たるかといえば、そうではないとも答弁している。日米安保条約六条では、極東有事の際に米軍が活動する範囲を極東と極東周辺としております。政府は、これまで、周辺については地理的概念ではないと説明してきた。こういうような局長答弁意味するところを整理しますと、台湾地域などが直ちに周辺地域事態に入るものではないが、周辺事態は概念的に極東と極東周辺を超えることはないという、何か地理的な意味も含んでいるのではないかというようなことになったわけであります。ところが、極東という意味でいくと、日本政府の統一見解で、台湾を含むなどという、何かわかりにくい状況になってしまったというのが経緯かなと私は思っておるわけであります。  まず、防衛庁にお聞きしますが、防衛庁は、久間防衛庁長官が周辺事態についていろいろ述べておられますが、久間防衛庁長官は、正確には周辺事態の範囲は日米安保条約の枠を超えることはないということ、周辺事態については日本の平和と安全に重要な影響を与える事態に絞り込んだものと述べたと伝えられておりますが、周辺事態の定義はこのとおりでいいのかどうか。そこをまずお聞きします。防衛庁。
  26. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 防衛庁の方からお答えさせていただきます。  防衛庁長官の考えといたしまして、周辺事態というのは我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であるということでございますので、対米支援なり後方地域支援なりを行いまずけれども、そういう場合におきましては安保条約の枠内にあるという御説明を累次の機会にしているところでございます。
  27. 島委員(島聡)

    島委員 私は、理解能力だけが低いと思っていたら耳も悪いみたいですから、もう一度きちんと言っていただけますか。ちょっと聞き取りにくかったものですから。防衛庁、もう一度きちんと。
  28. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 防衛庁長官の方から、昨日の国会におきましても、後方地域支援の場合で申しますと、これは安保条約の目的の達成に寄与する米軍への支援ということになります。その関係で、周辺事態における後方地域支援する場合におきまして、安保条約との関係我が国の平和と安全に重要な影響を与える観点から絞られているという説明をしているわけでございます。
  29. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 ゆっくり。ちょっとわからないから、ゆっくり。
  30. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 済みません。  周辺事態におきまして、後方地域支援について申しますと、安保条約の目的の達成に寄与する米軍に対して支援するということがございます。そういうときにつきましては、安保条約との関係で申しますと、絞られているという御説明をしているわけでございます。
  31. 島委員(島聡)

    島委員 ある小説がありまして、国会答弁というのはこうやって書くんだという小説があるんですよ。何かこう、割と論点をずらして説明したり、それから言質をとられないように、ともかく論点をそらして書いたり、ささつと言ったりすると、そのうちに時間がなくなるからそれでいいんだという国会答弁の裏話を書いたような小説が今割と売れているそうでございます。「三本の矢」というそうでありますが、それに直面した気がします。  私の持ち時間はあと九分しかありませんので、ガイドラインにつきましては今後十分議論をする場所があるでしょうからこれはここまでにしまして、外務省橋本総理は、周辺事態はあくまで地理的概念ではないと語ったということですが、前の局長答弁ですと、極東及び極東周辺ですから、地理的概念が入っていたように、いたようにというか、私はそう解釈しておりますが、そうでないのか、それとも、どのようなことなのかということを御答弁をお願いします。
  32. 高野政府委員(高野紀元)

    ○高野政府委員 先般、この委員会で私、御答弁した経緯は、今御紹介ございましたとおりでございますが、周辺事態についての政府の従来からの見解に変更はございません。  一つは、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態を言い、ある事態周辺事態に該当するか否かは、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断する、こういうことでございます。  先般私が申し上げました答弁は、そういう周辺事態についての政府の基本的考え方、さらに周辺事態における米軍に対する協力は日米安保条約の枠内のものであるという基本的考え方を踏まえて、具体的に御質問に対して御説明したという経過でございます。
  33. 島委員(島聡)

    島委員 今、苦笑があちらからこちらから漏れておりますのは、多分私と同じ思いをしたと思います。  それに対してああ言ったこう言ったということについては、きょうは時間もありませんので申し上げませんが、その答弁の後、中国政府が抗議をしてきたわけであります。そしてその後、新聞の報道のように幾つかの解釈があって、いろいろな混乱があったと私は考えております。その方が問題でありまして、外交上に対してこれは決してプラスにはならなかった。あいまいな形で、また日本は、何か言ったことがまた変わったり、いろいろとあるというような印象を持たせたことの方が私は問題であると思っております。  その中で、今度橋本首相から、きちんと中国に説明をするようにという指示があったというふうに聞いておりますが、どのようにきちんと納得がいくように説明されるのかということをここで明らかにしていただきたいと思います。
  34. 高野政府委員(高野紀元)

    ○高野政府委員 二十五日の夕刻でございますが、東京において、在日本中国大使館に対して、周辺事態及び我が国周辺の地域に関する当方の発言の趣旨について説明を行っております。また、同じく二十五日、中国外交部より在中国日本国大使館に対して右の発言について申し入れがあった際にも、当方よりこの発言の趣旨を説明した経過がございます。ここで中国側に行った説明でございますが、二つになろうかと思います。  一つは、先ほど御説明申し上げました周辺事態に関する基本的考え方、これは繰り返し申し上げることは差し控えたいと思いますが、そういう考え方について、周辺事態に関するこのような当方の立場を何ら変更するものではないということを、確認の説明をしております。  もう一つは、台湾をめぐる問題についての我が方の基本的立場でございます。これは若干長いあれでございますが、読み上げさせていただきますと、日中共同声明において表明されているとおり、中華人民共和国政府中国の唯一の合法政府であることを承認した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府立場を十分理解し、尊重するというものである。我が国としては、中国政府が台湾をめぐる問題は中国人同士の問題として平和的解決を目指していると承知している。いずれにせよ、我が国としては、かかる基本的立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題は関係当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望している。  いずれにいたしましても、このような当方の説明は、従来ガイドラインの作成過程等を踏まえての経過の中で、中国のみならず、なるべく作成の過程、我が方の考え方について透明性を持たせるという意味で、いろいろな形で説明しておる一環でございますが、このようなことは今後とも引き続き中国側に説明をしていくという考えでございます。
  35. 島委員(島聡)

    島委員 あと四分しかありませんので、質問の通告したことにつきましてはここまでにしますが、一言ぜひ申し上げたいことがありますのは、外務委員会の審議において、きょう幾つか答弁において苦笑が漏れるような状況でございました。例えば、その方がもともとそういう話し方であるとか、もともとそういうことであるというなら、私が申しわけありませんと言うしかございませんが、具体名を挙げるのは控えますが、私だけではなくて、別の御答弁のときにも、本当に何度聞いてもわからなくて苦笑するような場面があったことを聞いております。  一体、こういうことで本当に審議ができるのか。これでガイドラインとかいう問題、特にガイドラインというこれから重要な問題であるのに、何かできるだけわからないような発言答弁をされて、ほかの委員席から苦笑が漏れる、これは恐らく客観的な皆さんの御判断だと思いますけれども、そういうような答弁を繰り返しておられる。  そしてまた、日本外交を決定する外務委員会がそのまま運営されていくということは私はおかしいと思いますし、これはどのような措置をとるべきなのか私わかりませんが、というか今の時点では調べておりませんが、ぜひとも、本当にこういう運営の仕方、こういう答弁の仕方でいいのかというのは、理事会の場であるのかそういう場であるのか知りませんが、きちんと議論をしていただきたい。  非常に日本にとって重要な案件であります。それをするときに、何度も申し上げますが、ふだんからそういうお話の仕方であるとか、そういう方であったら私が失礼を申し上げたかもしれませんけれども、こんなような状況ではとても日本外交の指針を決めるような外務委員会答弁とは思えないということを最後に申し上げて、もっとこれからは、私自身も質問の仕方もきちんと考えて、国民にきちんと納得がいくような審議を進めていただきたいことを委員長に希望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  36. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 山中燁子君。
  37. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 山中燁子でございます。よろしくお願いします。  きょうは、地雷のことにつきまして、それからインドのこと、もし時間が許せばロシアのことということでお伺いしたいと思います。  まず、地雷についてでございますが、先日、十五日付でアメリカのバーガー大統領補佐官がレーヒー上院議員にあてた書簡の中で、代替手段の開発という条件つきながら、二〇〇六年までに対人地雷を禁止する条約に署名するということをアメリカが明らかにしたということが出ておりますけれどもアメリカ側から日本に対して、何かこのことに関しての情報あるいは説明がありますでしょうか。
  38. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 アメリカがこのような決定をしてレーヒー議員に連絡したということにつきましては、私どもから、平生からいろいろ連絡しておるわけですけれどもアメリカにその経緯、内容につきまして確認をいたしました。  確かに、今おっしゃいましたように、代替措置が開発できるという条件がつきますけれども、二〇〇六年までに対人地雷を廃棄し、また対人地雷の全面禁止条約に署名するということを確認したようでございます。
  39. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 日本アメリカとは対人地雷についていろいろ話し合っていると思いますけれども、今、その報道があって、そしてこちらから確認したところ、確かにそういうふうな書簡があったというふうに確認した、そういう理解でよろしゅうございますか。
  40. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 この二〇〇六年というのは経緯がありまして、昨年条約ができました直後にクリントン大統領がアメリカの政策を発表しました。その中で、二〇〇六年までに対人地雷の全廃を米政府として目指すということを発表したわけですが、そうなれば条約にも署名できることになるであろうというような趣旨の発表があったわけです。  それにつきまして、私ども前々から米国側にその意味するところをいろいろ聞いていたわけですけれども、今回の書簡によってそれが署名をするというはっきりとした意思として確認されたということでございます。
  41. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 確認されましたけれども日本に対して正式のそういう連絡というものはありませんでしたか。
  42. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 私どもから確認しましたけれども、向こうから親切に事前に教えてくれるということは、この点についてはありませんでした。
  43. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 そういう経緯の中で、ドイツは既に条約の国内法の整備を終えまして、米軍基地に関しては、基地での貯蔵や持ち込み、持ち出しは認めるが、有事の際にドイツ国内での対人地雷の使用は認めないという結論を出したといいますけれども、これは確認されておりますでしょうか。
  44. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 ドイツにつきましては、この条約に署名しまして、批准に向けまして、これを実施するための国内法の案がもう確定したというふうに承知しております。その中に地雷の生産、所有その他の禁止規定が盛り込まれておりますが、今おっしゃいました、ドイツ領内において米軍なりが地雷を使用することを禁止するということにつきましては、そのようにドイツ政府の中で考えているというふうに承知しております。  ただ、最終的結論はまだ出していないというふうに承知しております。
  45. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 それを伺いましたのは、日本にあります米軍基地において対人地雷がどういうふうに扱われるかという点で日米の協議が進んでいると思いますが、今のドイツのような方向性とほぼ同じような話し合いが行われているのでしょうか。まだそこまで話し合いは行われていないのでしょうか。
  46. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 日本もドイツと米国の関係と似たような状況にあるわけでございまして、条約を批准した場合にどのような問題、状況が生ずるかということにつきまして、ドイツの考え方も参考にしまして現在日本立場の検討をしているわけですが、それについてはもちろん米側とも緊密に協議をしております。
  47. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 ほぼ同じような方向で日米の間でも話し合いが進んでいるというふうに理解してよろしいのでしょうか。それとも、日本がそういう方向であって、これからもう少し詰めるという段階でしょうか。どの段階にあるのでしょうか。
  48. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 ヨーロッパにおきましてアメリカの地上軍が一番大きな規模で駐留していますのはドイツでございまして、そういう意味におきましても、ドイツの例、考え方というのは大きな参考の一つであると思いますけれども、まだ日本政府部内での検討が終わっておりませんので、最終的にどのようになるかということは決まっておりません。
  49. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 先ほどの二〇〇六年ということで、そこまでにアメリカは代替の手段を開発できるという見通しが立ったというふうに一般的には理解できるわけですけれども日本の場合にも同じ時期までに代替の手段が開発できるという見通しがありますでしょうか。
  50. 金澤説明員(金澤博範)

    ○金澤説明員 防衛庁といたしましては、対人地雷全面禁止条約の署名を受けまして、条約上の対人地雷に該当せず一般市民に危害を与えるおそれのない代替手段といたしまして、センサー、爆薬等を組み合わせました監視、遠隔操作によりまして要員が関与して爆発を起こさせるといった装備の研究を鋭意行っております。  ただ、まだ始めて間もないところでございまして、なお数年を要する見込みということで、具体的にいつにはできそうだという確たることを申し上げられる段階ではございません。
  51. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 こういうふうに御質問申し上げてまいりましたのは、昨年の十一月二十八日のこの衆議院の外務委員会で、日米間の調整、代替手段国内法の整備とともに、諸外国の締結の動きを見て、日本がいつ国会に提出をするかということを決めるという答弁がありましたが、この間に、今のようにアメリカが代替の手段が開発できそうで、大体二〇〇六年というのを目途にしているということも含めまして、また、ドイツが在ドイツのアメリカ軍の中の地雷の処理ということをほぼ決めたということがございまして、そういう動きの中で、日本もかなり加速しなければ、せっかく外務大臣が先頭に立って署名をなさったわけですから、そういう意味でお聞きしているのです。  外務省の方に聞きましたところ、今のところ十三カ国が批准をしているというふうにお聞きしていますが、それは間違いございませんか。
  52. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 そのとおり、十三カ国が今まで批准を終えております。
  53. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 私が調べたところによりますと、批准を終えたのは二十二カ国で、そのうち十三カ国が国連に登録をして実際に発効要件を満たしているということで、あとの国はまだ国連に登録はしていない。それで、四十カ国が登録をすればその後六カ月後に発効するということであれば、国内的な手続を終えた国がもう半分近くになっているので、当初の予想よりも早目にもしかしたら発効できるかもしれないというようなのがアメリカの方の記事に載っているわけでございます。これはEメールでとりました。  そういうふうになっていますけれども、そこの認識の違いはどういうふうになっていますか。
  54. 阿部政府委員(阿部信泰)

    阿部政府委員 私どもは、国連に批准書を寄託した国の数ということで十三というふうに承知しています。したがいまして、御指摘のように、国内的に手続を終えて、批准書をまだ寄託していない国があるのかもしれません。そこは早速そのEメールを私どもも手繰って調べてみようと思います。  あと、おっしゃるとおり、確かに四十カ国の批准が得られますと、それから六カ月後に発効するということになっております。私どもも、だんだんふえておりますので、できるだけおくれないように、急いで批准を進めようと考えております。
  55. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 いつもですけれども、できるだけおくれないようにということではなくて、率先して、日本が最初に本当は登録するぐらいの気持ちで国内の調整をしていただきたいというふうに思っております。  それで、せっかく犠牲ゼロという発想もG8などでもできていますから、来年の通常国会法案を提出する予定というふうに報道されておりますけれども、そういう状況をかんがみますと、詰めを急いでやっていただかないと、今までの御答弁を聞いていますと、十一月二十八日の答弁とほとんど変わらないわけですが、現実に世界はどんどん動いております。そこのところを含めて、これはやはり日本の大きな一つの国際的な平和に関するリーダーシップを発揮できる最大の場ですから、その辺は防衛庁ともかなり詰めてやっていただきたいと思います。  防衛庁の方が来ていらっしゃいますので、ついでに少しお伺いしたいと思いますが、国内的な対人地雷というのはもう製造は、いただいた資料によりますと今年度の予算がゼロということは、もうやめているということでございますね。
  56. 金澤説明員(金澤博範)

    ○金澤説明員 そのとおりでございます。
  57. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 対人地雷をやめるということは、敷設されたものはそのままになっているのをどういうふうに探知してそれをきちんと処理していくか、そちらの方に日本の方向も行くとすれば、そうすれば地雷の探知機の製造あるいは製造の支援というようなことにかなり日本も力を移していく必要があるのではないかと思います。十年度の予算は四千万円ですか、これは明星電気という一カ所しかそういうものを製造していないということですけれども、地雷の探知機その他除去の方に必要な技術開発、それからそういった企業の育成、製造業の育成、そういったことに対してもう少し力を入れていくというような方向性は政策上示していらっしゃいますでしょうか。
  58. 西説明員(西正典)

    ○西説明員 お答え申し上げます。  今先生おっしゃられましたとおり、私ども防衛庁の方で購入しております地雷探知機を製造しております会社は明星電気でございます。ただ、私どもの方が調達しておる数量は何分限りがございますので、現在、この一社のみで大体対処しております。  以上でございます。
  59. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 今はそうなのですが、これからふやしていく方向で予算をつけていくというようなことがありますでしょうかという質問でございます。
  60. 西説明員(西正典)

    ○西説明員 お答え申し上げます。  ただいま技術研究本部の方で、新たに予算措置を講じまして、地雷探知に関しての研究を進めております。こちらの方は、三井造船が担当して研究を進めておるところでございます。
  61. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 地雷をつくっていた中小企業が、どういう形でその技術を変換しながらまた製造業として、あるいは別の形で生きていけるかという点もございますし、必要な新しい分野というものをどんどん開発して支援体制を強めていっていただきたいと思います。  地雷の除去作業というか、探知機が四千万円ですけれども、一緒に調べていただきました機雷の予算というのは、四十億円というのがまだことし計上されております。  四月十六日の参議院の外交・防衛委員会におきまして、この機雷に関しましては一九〇七年に非常に古い議定書があって、そしてそのときは触発機雷は対象になっておりますけれども、現在使われているような感応式の機雷はそもそも対象になっていないという答弁がございます。それで、日本の場合は世界の重要な海運国でございまして、おっしゃるとおりタンカーの問題とかあるいは一般の商船が触雷した場合に大変な被害になるわけでございますというのが佐藤道夫委員の質問に答えた政府委員答弁でございますけれども、地雷はこういう形で進んでいきましたけれども、機雷に関して縮小していくというようなことの、そういう検討は内部でなされていますでしょうか。
  62. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 機雷の敷設に関しましては、機雷の敷設を一般的に禁止する国際法上の規則が成立しておるとは言えませんが、一九〇七年の自動触発海底水雷ノ敷設ニ関スル条約におきまして、一定の条件を満たさない機雷の敷設を禁止した上で、自動触発水雷を敷設する際は平和的航海の安全のため可能な限りの予防手段をとらなければならない等の規定が置かれております。  そこで、現在のところ、機雷を全面的に禁止する新たな枠組みを作成すべきとの国際的機運はいまだございませんけれども、航海の安全は海運大国日本にとって極めて重大な関心事でありまして、御指摘考え方を今後の軍縮政策推進のためぜひ参考にいたしてまいりたいと思っております。  なお、先ほどの地雷に関して若干申し述べることをお許しいただければ、実は、対人地雷に対して最も熱心に推奨してこられたカナダのアクスワージー外相がおられますが、昨日、そのメッセージを持参いたしまして加日友好議員連盟の会長さんのヘイズ上院議員が参られまして、そして先ほどの御質疑にありましたような諸点について、改めて我が国対応について強く希望を申されました。既に二十二カ国の批准を得ておるということで、ぜひ四十カ国の中に入ってほしいということでございました。  私自身も、署名した本人といたしましても、ぜひそうした日本における批准行為を行って、対人地雷に対する我が国の姿勢というものを明確にできたら、こういうことで努力を傾注しておりますが、先ほど来御答弁のように、実はこの問題に対してなかなか政府として踏み切りにくかったのは、一つは、言うまでもなく代替のものが製造可能かということがありますし、それから在日米軍の地雷の問題がございました。  代替のことにつきましては、先ほど防衛庁からも御答弁ありましたが、なかなかもって何月の何日までこれができるということはありませんけれども、精力的に取り組んでいただいておる。  それから、在日米軍の地雷につきましては、これは先ほどドイツとの関係につきましてお触れになられました。ほぼ似たような環境でありますけれども、ドイツの場合はNATOにおける相互安全保障条約を結んでいる。我が国の場合には、アメリカによって我が国の安全も保障していただいておるというような点もございまして、また近隣に、極めて北東アジア状況というものが図りがたい点もあります。  こういった点がありますが、一日も早く、もう一点の法整備について積極的に取り組むべきではないかということを私自身考えております。現在は、火薬の扱い等の問題としてこういうものを取り上げていく。法律改正でできるのか、それとも、あえてこの署名した趣旨にかんがみまして、日本の姿勢を示すための新たなる立法を考えていくべきか。今、各省督励をさせていただきまして、一日も早く法律を国会にお出しできるようなことを考えていかなければならないというふうに考えております。  最後に、地雷につきましての探査のための機器の問題でございますが、これも委員御案内のように、日本日本の中においてこれを使用するということはほとんどないわけで、海外、これは犠牲者ゼロプログラムとして。したがって、この機器そのものが、御案内のとおりに従前、武器輸出三原則に抵触するということでこの輸出もできないということは、政府でついせんだって改善をいたしました。  こうした機器の製造につきましては、我が国のいろいろな能力というものが非常に高いものがございますので、ぜひこういった点については、ODAのお金も活用させていただくことによって、こうしたものの製造とその利用によって、世界にばらまかれた地雷というものを発見し、除去していくということについて努力できればということでございまして、御指摘いただきましたので、法律改正につきましても全力を挙げて今努力を傾注し、督励をいたしておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  63. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 力強い大臣のお言葉でしたから、これは日本のいい顔ですから、ぜひ進めていただきたいと思います。  ただいまヘイズ上院議員のことにお触れになりましたので、ちょっとつけ加えさせていただきますと、ブーティリエ博士の安全保障に関する、ヘイズさんもおりましたけれども、今週の月曜日の会議の中で実は機雷のことも出ました。そして、そのとき海軍のバック少将が、今カナダの機雷というのも廃絶の方向で検討していると。特に、大西洋側だったさまざまな艦隊の動きが太平洋側に重点を移してきているということも含めまして、これは九七年の段階でおよそ七〇%であった大西洋岸の艦隊を五〇%、五〇%という形で大西洋、太平洋に移してきている、そういう意味でカナダは、やはり日本と対話しながら、地雷だけではなくて機雷もイニシアチブをとれたら、そういうこともございましたので、ぜひ地雷をひとつ、次に機雷ということで、続けて日本のいい顔が見えるように努力していただきたいと思います。  次に、インドのことにちょっと移らせていただきます。  先ほど島委員がいろいろ御質問なさっていらっしゃいましたが、私はインドに四月の初めに行く機会がございまして、そのときにいろいろな方とお会いした中で、絞って申し上げますと、日本に対してインドは最初大変いい関係、特に戦後の独立に関してばいい関係でしたけれども、CTBTの批准のことに関して少し失望しているというのが、これは政治家、研究者、マスコミの方、それから商工会議所の方たちも含めて一致した意見でございました。  それはどういうことかといいますと、いつまでに核廃絶に持っていくかというような見通しが立たないままで署名することはできないと言ったときに、たった一つの被爆国である日本がそれに同調して平和というもので動いてくれるのではないかと思っていたということを言っていたわけです。  それはそれとして、インドの今回の核実験に対して断固として日本が反対するという姿勢は当然のことでございますから、それは非常にいいと思いますが、もう一点、その点も踏まえまして、アメリカとロシアがSTARTⅡを加速させるかどうかという話し合いをバーミンガムで少しなさったということも念頭に置きますと、今、日本はもう一つ、対インド、対パキスタン以外に核を持っている国に対しても、日本としては、いずれ核は地球からなくなるべきだという平和に対する姿勢をきちっと打ち出しながら、もちろんこれは年次あるいは時間のかかることですけれども、そういうことで、インドを疎外させずにアジア太平洋の安全保障枠組みの中にどうやって引き込むかという視点も一つ外交の中で入れていただけないかということを思っております。  と申しますのは、アメリカ制裁と言っていますけれども、実際にはペルシャ湾岸への艦船の移動の中でやはりインド洋を航海していくということがありますし、日本の場合は石油タンカーの問題もございますから、インドというのを枠組みの外に置くという発想をとるか、それとも中に入れ込むかということで、断固としてすべての核に対して日本ははっきりとノーと言える立場にいる、そういう経済大国はほかに余りないということも含めて、そういう姿勢での外交の展開というのを大臣はいかがにお考えになりますか。
  64. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 核兵器を地球上からすべてなくしていくということに対して主張できる国は、ある意味では我が国が最も国としての責務を負っておるということは当然のことだろうと思います。  そういう意味で、全面廃棄に向けての努力、そしてその理想に向けてあらゆる努力を傾注していく必要があると思いますが、現時点におきましては、国際社会の中で、理想は理想としながら、片や現実は現実として存在しているわけでありまして、そういう意味で、NPTやCTBT、カットオフ条約、こうしたものに対して日本としては、全面的にこうした条約についてそれぞれの国々が参加していただいて、そしてより拡散をしない形での努力を傾注していく中で、また核の保有国たる五カ国におきましてもそれぞれ核軍縮を精力的に進めて続けていく努力をされておるわけでありますから、そういった点で、我が国としても、何ができるかということのお手伝いもしながら理想に向けて努力をしていく、こういうことでなかろうかと存じております。
  65. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 何かが起こったときに、冷静に先を見通して今どういう一手を打つかということがやはり外交の非常に大事なところでございますので、感情的なリアクションのみが前面に出るような形に持っていかれずに、この先日本はここまで目指しているから、こうなったときはインドも仲間に入れるということも含めて、ぜひ長期的な展望の中でインドのあり方というのもお考えいただきたいと思います。  あと、ロシアに関して二つほどまとめてお伺いいたしますが、一つは、この前の委員長の御報告にもありましたように、私もその後日ロ議連で伺いましたときに、二十一世紀委員会というのを十一月に調印するんだということをいろいろなところでいろいろな方がおっしゃっている。こういうことで、外務大臣委員長をというお話もあったやに聞いておりますが、そのときの櫻内団長は、現職の外務大臣がそういうふうな形というのはなかなか難しいでしょうというお答えをなさいました。どこが中心になっていくかということも含めて、ある程度準備をいたしませんと、十一月という期限をかなりたがえることになりますと、不要な不信感を増幅するのではないかということもありまして、その辺の見通しを一点。  もう一点は、これはモスクワにおきます高等教育の中で約四十一校、それからそのほかの初等教育では四十四校が実は日本語教育を始めております。そのうちの半分は旧ソ連が崩壊した後、つまり九二年以降ぐらいに、小さいところもあります、百人以上のところもありますし十人のところもありますけれども日本語を教えている。こういう中で、人文大学の日本語担当の教授とお話をしましたら、ロシア人の方が日本語を教えておりまして、日本語は大変難しいのでドロップアウトが多過ぎて、日本語をマスターできない人がたくさんふえてきているというような話がございました。  その一方、フランスは、ロシア国内の地方の話学センターということで、フランス人スタッフを常駐させるということ一拠点を全ロシアの九地域に置きまして、そこからフランス語教育をどんどん進めている。それに比べると少し日本はそういう面が遅いのではないかということも含めまして、ロシアとの関係は、きょう公定歩合が三倍になったとか、不安定要素はたくさんございますけれども、語学、文化、人と人との交流という意味で、ODAもソフト化していくとすれば、文部省も含めてぜひそういうことを検討していただきたいと思います。  時間がないと思いますが、その点だけ簡単に大臣のお気持ちをお伺いできれば幸いでございます。
  66. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 第一点の二十一世紀委員会でございますが、実は、昨年私が参りましたときに、エリツィン大統領みずから、この委員会委員長に就任したらどうかという御要請をいただきまして、私自身大変驚いたわけでございますが、二十一世紀委員会とはどういう形がいいかということについての、まだ概念が定まっておらないような感じがいたしております。と申し上げますのは、ワイズマンのような形で両国の代表が出てその委員会を設置するのか、それぞれの国々において、対日あるいは対ロ、両国間の関係について最も関係の深い各界各層の方々にお集まりいただいて委員会をつくるかということでございまして、ロシア側はたしかルシコフ市長を中心にして委員会をつくられたようですが、我が国としても、関係する議員各位あるいはまた各界の方々と御相談をしているということをお聞きいたしております。  いずれにしても、両国間にこういった委員会を設置して、十分今後の問題を話し合うということは大切なことだと思いますので、私自身も重大な関心を寄せて対処していきたいと思います。  それから、二番目の日本語教育の問題につきましては、全く御指摘のとおりだろうと思います。  ある種の、需要という言葉は大変失礼ですが、日本語を学んでおられる方々は、従来は、例えば日本文学とかそういった形で大学レベルでの勉強をされる有志の方がおられたようですが、これからは広く日ロ間にあらゆる各界の交流が深まるという過程の中で、特に経済的な面でこれから日本の投資その他が行われていくことになりますと、日本語の話せる方々というのは大変大切なことだろうと思います。  そういう意味で、小さいころからの教育の問題について、大いにこれは積極的に支援していくべきものだろうと考えておりますので、これは担当の文部省その他とも十分話し合って、できる限りロシアにおいて日本語教育が普及できるように努力をしていきたいと考えております。
  67. 山中(燁)委員(山中あき子)

    ○山中(燁)委員 ありがとうございました。  百四十二国会外交演説の中で小渕大臣がおっしゃった、米、ロ、中国、そして日本の対話というのがいつかということがもっと早くできるように、そしてそこにインドも視野に入れて、アジア太平洋の対話をぜひ早く進めていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  68. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 続いて、東祥三君。
  69. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。  外務大臣、前回の外務委員会におきまして時間が足りず、そのときに質問させていただく予定だった問題に絞って、与えられた二十八分間ですが、ベチューン医科大学整備計画に対する日本無償援助について質問させていただきます。  この質問をする背景として、本年度、一九九八年度「諸君!」六月号で、大宅賞を受賞されている加藤昭氏が「橋本首相中国人女性」とODA二十六億円の闇」と称する衝撃的なレポートを現地調査を踏まえた上で書かれているところに起因いたします。  私は、橋本総理の男女問題については一切関心がございません。また、加藤昭氏も、橋本総理に個人的な怨恨があるだとか、橋本総理に対して何か鉄槌を食わせようだとか、そういう意思がないということも、お話しさせていただいてわかっております。また、加藤昭氏も明言されていたとおり、「自分自身が書いたものに対してちゃんと責任を持っております。どこに出てもそれなりにちゃんとしたお話をさせていただきたい。」このような決意を述べられていたことを踏まえた上で、この報告書を参考にした上で幾つか質問させていただきたい、このように思います。  また、外務大臣、このレポートをお読みになったかどうかわかりませんけれども、ここには一つのポイントとして、以前からいろいろな委員会等で指摘されている当該の女性の任務というのは、橋本総理が常々答弁している通訳という任務だけではなくて、それと同時に、日本の政治家に接近して中国向けの無償援助を引き出すよう種々の働きかけを行うという別の任務を有していた、そういうレポートが克明に記されているわけでございます。そして、彼女のもう一つの任務に二つの案件がありまして、一つは日中友好病院に対する日本からの無償援助を獲得すること、そしてもう一つが、今ここで質問させていただきますベチューン医科大学整備計画に対する日本援助を獲得すること。著者が中国で調査したことによれば、彼女はこの任務を十二分に果たしたという高い評価が下されている。これが一点。  そして、もう一つは、このベチューン医科大学整備計画に対する無償援助が、正式に交換公文がなされるまでの段階で、中国政府としては三十六億円の要請をしていたのだけれども、当初の段階では、二十一億円しか日本からの回答はなかった。それが、五億円積み増しされて二十六億円になった。それも、中国関係者の証言をもとにしてレポートされている。ここに私は着目いたしているわけでございます。  それを踏まえた上で質問させていただきますが、まず、このベチューン医科大学整備計画に対する中国側からの無償援助要請というのはいつあったのか、この点について御答弁願いたいと思います。
  70. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 お答え申し上げます。  ベチューン医科大学につきましては、長い間、日本の幾つかの大学が技術協力をやっておりました。そういう経緯を背景に、附属病院を建設するという話が中国側の中の計画として持ち上がりました。そういうことが背景になりまして、この病院に対する協力ということが、だんだん非公式の段階から要請段階に行ったというのが経緯でございまして、具体的には、一九八九年、平成元年に、中国側から要請が上がってまいりました。
  71. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 一九八九年の何月ですか。
  72. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 一九八九年の十月でございます。
  73. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 レポートには、一九八九年十一月の下旬には既にこの整備計画に対する日本援助は合意されていたと、関係者の証言がございます。  今、大島局長のお話ですと、一九八九年十月の段階で要請を受ける。手続上は一九九〇年二月に、この要請を受けて事前調査報告書がつくられる。そして、それを踏まえた上で一九九〇年八月に基本設計調査報告書が出て、そして同年十一月二十六日に交換公文が結ばれる。これが表上の手続、公式的なスケジュールだろうと思うのですが、既に、このレポートの中では、要請を受けた一九八九年十月から二カ月もたたずして基本的な合意が結ばれていて、そして具体的な内容も明らかになっている。この点について大島局長、いかが御答弁されますか。
  74. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 この案件につきましては、八九年十月に正式要請が参りました。それから、十二月から、通例の手続でございますけれども、事前調査という段階に入ります。無償資金協力におきまして事前調査をやるということは、将来的にこの案件を取り決めるというある程度のめどを持って調査に入ります。調査をやること自身が決定そのものには必ずしもつながるという一〇〇%の決めはございませんけれども、ある程度のめどを持って調査をするということでございまして、その調査が十二月に開始をされ、翌年四月ごろ、さらに実施に近づきますけれども、基本設計調査という、より詳しい調査段階に入って、先生御指摘のように九〇年十一月に交換公文の署名に至った、こういうことでございました。
  75. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 それでは、ここでレポートで言っているような、要請を受けて二カ月以内に基本的な内容が固まっていたというのは、これはあり得ない、そういうことをおっしゃっているのですか。
  76. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 先ほど申し上げましたけれども、この案件につきましては、各日本の大学が技術協力を長い間やっておりましたので、そういう意味では、案件が正式に上がってきました八九年の十月の段階においては、かなりの程度案件としては成熟をしておったということが言えると思います。  しかし、正式に決められたかどうかということは、あくまでも最終的な交換公文というもので決定をいたしますので、その時点までは、いわば非公式という状況で推移をいたすものでございます。
  77. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 外務省として、当時は大島局長いらっしやらなかったと思いますけれども、当然、このレポートも読んでいただいていると思いますけれども、その八九年の十月の要請が出る一年前、八八年の八月十日から十四日まで橋本総理が、当時は自民党幹事長代理として、このベチューン医科大学、医大建設現場を訪問されている。さらにまた、当該の女性もそこに同行されている。この事実に関しては認識されておられますか。
  78. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 個々の政治家の方々が外国に赴かれることにつきまして、外務省の方からいろいろ申し上げるということは適当でないと思いますので、この点については控えさせていただきたいと思います。
  79. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 いや、行ったかどうかについての認識を有しているかいないかということを聞いているのですから、イエスかノーかです。
  80. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 一九八八年に橋本総理が訪中されたかどうかにつきましては、去る五月二十二日の参議院の本会議におきまして、訪中したという事実を述べておられます。
  81. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 さらに、それにさかのぼること二年前、中国政府は、一九八六年九月に、橋本氏に対し、ベチューン医大名誉教授の肩書までプレゼントしていた、この事実に関しては存じ上げておりますか、いかがですか。
  82. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 そういう事実については承知いたしておりません。
  83. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 一九八九年十月に、中国からこのベチューン医大整備計画に対する無償援助支援要請があった。もう既にいろいろな委員会で同僚議員が質問させていただいておりますが、一九八九年は、ちょうど天安門事件が六月に起こったときでありました。当時はまだODA四原則等もなかった、そういう状況がございますが、一九八九年に中国から無償援助要請件数というのは幾つあったのでしょうか。
  84. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 八九年の要請件数は、総数で二十五件ございました。そのうち、九〇年度での実施中国側として希望する案件というのが四件、そういう意味では優先度の高い案件というものでございます。それ以降での協力を希望するというものが二十一件、合わせまして二十五件ございました。
  85. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 もう一度、ちょっと確かめたいのですが、八九年度に二十四件要請があったのですか。
  86. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 八九年度中の要請は二十五件でございます。
  87. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 ということは、二十五件の要請があり、年度は別として、要請を受けたものはすべて後年度に結実しているということですね。
  88. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 八九年度に要請を受けました二十五件のその後の案件の姿ということでございますが、このうち、実際に日本政府無償資金協力の案件として取り上げることを決定して交換公文の署名を行いましたのは、十四件でございます。
  89. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 では、八九年度に要請を受けた中国からの無償援助案件二十五件のうち、その後結実したのは十四件で、要するに十一件は結実しなかったということですか。そうしますと、この二十五件要請を受けたうち、当然、私の経験からしても、各被援助国というのは、要請したいものはこういうものがある、その中でこれが優先順位が高いと、ランクづけを行っていると思うのですが、そういうランクづけは中国政府というのはやるのですか。
  90. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 日本政府に対しまして案件要請を行う場合には、特に案件が多い場合には、日本政府側のいろいろな判断の助けとして、相手政府は優先順位を通常、付してまいります。我々も相手国の要望をできるだけ尊重するという意味で優先順位を知りたいという気持ちがございますので、そういう優先順位を付すことを慫慂いたしております。中国の場合にも、そういうことで優先順位を付して日本側にその要請を出してきております。
  91. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 その場合は、言葉で行われるのですか、書面に書いてくるのですか。
  92. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 正式要請は原則として書面で参っております。
  93. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 そうしますと、八九年度、二十五件の無償援助要請があった、これをすべて優先順位順にリストをつくって、いただけますか。
  94. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 日本政府が提出を受けます援助案件の要請のリストでございますが、これは一種の外交的な文書の性格を持つものでございます。その要請リストに基づきましていろいろ調査を経て、かついろいろな協議、折衝を経まして最終的に交換公文という外交文書に結実するわけでございますが、いわばそのスタートになるものでございまして、これはそういうことで、案件のリストそのものの提出というのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  95. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 加藤昭さんのレポートには詳しく書かれていないのですけれども、別のところで、極めて、ベチューン医科大学整備計画に対する援助要請というのは、初めのうちは低いランキングだった、それが急速上がった、こういうお話も報告されているわけでございます。  したがって、私たちが今扱おうとしているのはODAの問題ですから、どういうスケジュールで、あるいはまたどういう手続で日本政府が発展途上国の無償援助要求に対してこたえているのかということを克明に国民の皆さん方に知らしめていく絶好の機会なのだろう、僕はこのように思っているわけです。さらにまた、一国の総理がここに深く関与したのではないのか、このように疑われている案件でございます。  そういう意味において、ぜひ私は委員会を通じてそのリストを出すように要請させていただきたいと思います。
  96. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 先ほど申し上げましたように、援助案件の要請リストは外交的な性格のものでございまして、これは日本政府のものということではございません。したがいまして、日本政府が、中国に限らずいかなる国からでもそうでございますが、その要請された案件リストをそのまま公表するということについては適当でないのではないかというふうに考えております。
  97. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 要請リストは、その要請のプライオリティーを被援助国がつけてくる、それに対して、当然援助する側もすべての内容を把握した上でまた援助プライオリティーをつけ変えるということも当然行われると思いますが、それは中国政府の問題ではなくて、こちらの日本政府の問題だと思います。それについてのリストは出せますか。
  98. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 先方から提出されてきます案件リスト、そこに載っております案件について政府部内で種々検討を加え、かつ種々の調査をやりまして、採択案件というものが決まっていくわけでございます。  その過程で、日本側には日本側の考え方が当然ございます。ODA大綱とかあるいはその国に対します国別の援助方針等々がございます。それから、予算の制約といったような当然考慮しなければいけないこともございますので、したがいまして、相手側から出されてくるリストというのは尊重はいたしますけれども、それを自動的にうのみにして取り上げてあるということでは必ずしもございません。そういう協議を経て、最終的にいろいろな協議を経まして確定をしていく、こういう性格のものでございます。
  99. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 私は、中国側から出しているリストも、さらにまたそのリストを踏まえた上で日本がランキングづけを、もし変えている、そういうリストがあるとするなら、両方出せと言っているのですが、今外務省のお立場は、外交案件ですからそれは出せない、こういうふうにおっしゃっているのです。  しかし、私は、委員長に申し上げます。外務委員会理事会でこの問題について議論させていただき、そしてそのお取り計らいをお願いしたいと思います。
  100. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 東理事のお申し出、理事会で協議いたします。
  101. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 次に、当初、中国政府は、援助要望額というのは、希望援助額というのは総額で三十五億円だった、それに対して日本側は二十一億円で初めに回答した、それが五億円上積みされて二十六億円になった、このようにレポートでは報告されているのですけれども、この経過について御説明願いたいと思うのです。
  102. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 中国側の当初の要請、八九年度の要請段階では、本件機材につきましては、機材の品目にしまして六百五十七、総計三十五億円分の要請、こういうことになっておりました。これはいわばスタートになるわけでございますけれども、各種調査を経まして、最終的に三百十四品目、約二十六億円というところに絞り込みまして、その額で最終決定をいたしたわけでございます。  なお、二十一億円とかいろいろなことが先ほど先生の御言及になりましたレポートで言われておるようでございますけれども、この要請あるいは要請額に対しまして、最終的に、日本政府としていかなる額のいかなる内容の機材を供与するかということは、一連の折衝を経て決まっていくわけでございます。  これは一種の外交交渉の過程のようなものでございますけれども、その過程日本側がいろいろな数字を中国側との間で口にします。中国側もいろいろな要望を出しできます。そういうことを経まして最終的にきちんとした数字に落ちつくということでございまして、二十一億云々で決定したというような事実はこれはございません。
  103. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 今局長のお話では、三十五億円から二十六億円に絞り込んだ。そうではなくて、当初は二十一億円に絞り込んでいて、そして再度の折衝によって二十六億円になったということではありませんか。  それで、時間があと五分しかないので、この折衝過程における書面で書かれている経過について、これは書類出せますか、出してもらいたいと思うんですけれども
  104. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 この案件に対しましては、基礎調査報告書それから基本設計調査報告書というものが、これは既に公表になっておるものでございますけれども、公表されておりますし、その二本の報告書をもとに交換公文が締結をされております。
  105. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 今言われているのは、事前調査報告書と基本設計調査報告書です。そこには、今私が質問しているような内容というのは出てきません。品目だけです。したがって、どのようにこの援助額が決定されていったかというその経緯について報告書を出してください、このように申し上げているんです。  さらにまた、この二十六億円の援助額、これは基本的には六百数十品目が、私の記憶に間違いなければ三百二十七品目に限られて、そしてあとコンサルタント料を入れた形で二十六億円以下というその交換公文が結ばれているわけですけれども、私は、こういう疑惑が出てきている以上、その二十六億円がどのように使われたのか。  交換公文が結ばれて、そして被援助国である中国政府が、伊藤忠がこれは関与しておりますけれども、伊藤忠にこの機材購入の発注を行う、そのときには当然入札が行われていると思うんですが。そして、伊藤忠がすべて三百二十数品目を調達している。そのすべての項目と、そして価格と、そしてその項目がどのようなところがら調達されたのかということをすべて出していただきたい、これを要求させていただきますが、いかがですか。
  106. 大島(賢)政府委員(大島賢三)

    ○大島(賢)政府委員 本件に関します受注企業、これも既に公表になっておりますけれども、株式会社伊藤忠がこの受注企業になっております。  個々の機材につきましては、先ほど先生御言及になりました基本設計調査報告書に機材の案件のリストがついておりますけれども、そういうものに基づきまして入札を経て、どのメーカーからいかなる価格でどのような機材を受注企業である伊藤忠が調達をしたかということ、これは入札の中身のことでございまして、その入札の中身のことにつきましては、これはもはや私契約の部分に属する部分がございますので、この入札の中身につきまして公表するということはこれは今やっておりませんで、お控えをさせていただければ幸いでございます。
  107. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 問題は、私たちの税金であります二十六億円が使われているわけです。その二十六億円がどのように使われているのかということを、国会というのはチェックする機能を持っていなければならない、また、その役割を果たさなければならないわけです。  今の局長のお話を聞いている限りにおいては、ODAの問題というのは、無償援助の問題というのは全部私たちに任せておきなさい、正式な手続に基づいてすべて私たちがちゃんとやっています。そういうものを出さない限り、二十六億円の税金がどのように使われているかということはわからないじゃないですか。まして、今まで出していなかったかもしれません、しかし、出してはいけないというその根拠はどこにも書いていないはずです。  したがって、このことも外務委員会理事会において出すように私は要求いたしますけれども、外務委員長のお取り計らいをお願いします。
  108. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 理事会で協議いたします。
  109. 東(祥)委員(東祥三)

    ○東(祥)委員 時間が来てしまいましたので、ちゃんと時間厳守いたします。きょうはこれぐらいでやめます。  今申し出たりストがちゃんと手に入るようによろしくお願いして、私の質問を終わります。
  110. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 古堅実吉君。
  111. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 一昨年四月の日米安保共同宣言に基づいてSACO最終報告が出され、新ガイドラインが出されてまいりました。その根っこは一つであります。政府は、沖縄県民の意思をじゅうりんして、海上基地は最良の選択だと言い続けておりますけれども、それは在沖米軍基地の再編強化であり、新ガイドラインを実施していく上での拠点基地を目指すものでしかないことがますます明らかになってまいっています。その立場から、海上基地の問題について若干伺っていきたい。  きのうの安全保障委員会でも質疑されていましたが、米国防省が昨年九月二十九日付で、沖縄海兵隊航空基地の移設のための国防省運用条件と運用構想と題する最終草案をまとめています。さらに、昨年八月には、米太平洋軍司令官や四軍の代表が参加してハワイで会議が持たれ、まとめられた、海上施設機能分析と運用構想の報告なるものもありまして、それらに関連して質問するものであります。  政府は、昨年十一月、海上ヘリ基地の基本案を発表いたしました。きのうの安全保障委員会で、政府は、運用所要について日米で調整し、合意の上で基本案を作成した旨答弁しています。  そこで伺いますが、基本案は、普天間飛行場移設と海上基地建設にかかわる米側の期待や要望を酌み入れた結果のものである、このように理解してよろしいですか。
  112. 高野政府委員(高野紀元)

    ○高野政府委員 お答え申し上げます。  海上ヘリポート基本案は、昨年の十一月に、普天間飛行場移設対策本部から地元にお示ししているわけでございます。この内容でございますが、これは、米軍の運用所要の概要について日米両国の政府間で調整した結果を踏まえて作成したもののすべてでございまして、その以外の内容について日米間で了解されたというものはございません。
  113. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 日米の事前の調整を経て基本案を作成した、こう言っているわけで、米側の要望の基本となるのは国防省の報告書です。それらの内容は、県民の生活、安全の上で極めて重大な内容も含んでいます。しかし、米側の要望がどのようなものか、その内容は基本案だけでは到底知り得ません。例えば、基本案では、弾薬庫、燃料貯蔵庫、兵舎など明らかにされていないんです。  米側から要望された項目で、基本案には書かれていないが、日本側としても同意した項目が相当数ある、常識的にはそう考えるしかない、そういうのはありませんか。あるのですか、ないのですか。
  114. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 海上ヘリポートの基本案につきましては、地元の理解と協力を得つつヘリポートの建設を進めることが必要である、そういう観点から、計画の概要につきまして、現地調査の結果、それから米軍運用所要の概要についての日米政府間の調整結果を踏まえまして作成した経緯がございます。  これは昨年十一月に沖縄県及び名護市に対して提示したわけでございますが、その内容につきましては、米国政府も了解しているというところでございます。
  115. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 質問は、アメリカ側が要望した、しかしその基本案には出されてない面もあるのではないか、相当あるのではないかというのが質問なのですよ。これからアメリカ側からそのような要求がいろいろと出されてくるというふうな、そういう関連にもなろうかと、お読みして思います。  そこで、改めて基本的なことについて確認しておきたいと思います。  基本案の海上ヘリポートの概要、その説明的な内容によりますと、「現在普天間飛行場に所在する部隊のうち、ヘリコプター部隊及びその運用に関連する部隊が移駐することとなり、これにより」云々で、「海上ヘリポートに配備される航空機の機種・機数については、普天間飛行場の場合とほぼ同様と見込んでいる。なお、現在同飛行場に配備されているヘリコプターは、約六十機である。」というふうな説明がございます。  このような説明されている基本案、それを読んで判断するならば、海上施設は普天間飛行場のヘリコプター運用の代替以上のものではないというふうに考えられますが、そのとおりですか。
  116. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 海上ヘリポートにつきましては、現在普天間飛行場に所在するヘリコプター部隊及びその運用に関連する部隊が移駐することとなると考えております。したがいまして、このヘリポートにつきましては、基本的にはこれらの部隊の運用に供されるということで考えておりますけれども状況に応じまして、それ以外の部隊による使用の可能性が排除されるわけではない、こういうように考えてございます。
  117. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 排除されることではないという、これは重大なものに発展していく、そこにつながる言葉ですよ。  政府は、基本案は米側との調整でつくられたものだと言われています。しかし、国防省の報告書では、普天間飛行場移設先の条件は、代替施設としての条件ではなく、その運用上の必要条件に基づくものであるというふうに述べています。ヘリコプター運用の代替だけにとどまらないことを要求しているもので、海上基地に対する米国側の基本的な態度を示す重要問題です。海上基地に対する日本認識と違うのではありませんか。
  118. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 先ほど申しましたように、このヘリポートにつきましては、基本的にヘリコプターの運用ということで、もちろん考えるわけでございます。  設計に当たりましても、それを前提として設計作業を今後することになるかと思いますけれども、米軍の運用によりまして他の飛行機が来るということが全くないということではない、こういうように考えておるわけでございます。
  119. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 それでは、具体的な幾つかの問題についてお聞きします。  事前検討の中で、海上施設の運用航空機について、MV22オスプレーや垂直離着陸機、いわゆるハリアー、さらにはテールフック航空機などを運用することがアメリカ側の要求として出されていると思われるが、どうですか。
  120. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 御指摘のMV22、これはまだ米国でも開発中でございますけれども、それからまた、御指摘がありましたハリアー飛行機についてでございますが、これをこのヘリポートで使用するということで米側から具体的に要望がなされた事実はございません。
  121. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 国防省の報告書は、MV22やハリアー、KC130、最新のテールフック航空機を使用できるようにすると書いています。海上施設は、機能的にはMV22オスプレーや垂直離着陸機などを運用することが可能ではありませんか。
  122. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 御指摘のハリアー航空機とMV22につきまして、このヘリポートにおいて物理的に使用可能かどうかというお尋ねでございますけれども、現在、このヘリポートの具体的な内容がまだ固まってないということがまずございます。それから、これらの航空機の実際の運用に必要な支援設備等の能力を防衛庁として承知しているわけではございません。  そういう観点からしますと、この二つの飛行機がこのヘリポートに実際使えるかどうかについて、現段階で申し上げるのは困難だ、こう考えております。
  123. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 MV22オスプレーについて言えば、CH53、CH46にかわる後継機として検討されている航空機であって、当然米側が今後運用するものであり、米側からすれば、海上施設はMV22オスプレーの運用を前提とするものであると考えられる。政府は、海上基地はMV22オスプレーの使用を前提にしていないと言い切ることができますか。
  124. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 オスプレーの問題につきましては、現在、米国でも研究開発中でございますが、将来的に、今現在普天間に配備されておりますCH46の代替されるという計画があるということは防衛庁としても承知をしております。  ただ、米軍の方からこの海上ヘリポートに具体的にMV22を、オスプレーを配備するという計画を聞いているわけではございません。
  125. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 それじゃ、ちょっと突っ込んで伺います。オスプレーは使用はさせないという日米間の約束、そういう取り決めなどがありますか。
  126. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 このオスプレーを海上ヘリポートに使用したいという具体的要望が米軍から出ているということはございません。
  127. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 そういう取り決めがないということを暗に示す答弁だと思うのですが、取り決めがなければ、アメリカはそれを配備することをもう既定の方針として大前提にしている、そういうことであれば、専らアメリカ側の運用に任されるということにならざるを得ないのですが、そのとおりでしょう。念を押して。
  128. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 海上ヘリポートにつきましては、基本的に現在普天間に配備されているヘリコプター部隊及びその関連する部隊が使用するという前提で考えているということでございます。
  129. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 答弁に答えなさいよ。要するに、アメリカ側の意思があれば、日本政府としてはオスプレーの使用、それを拒否できないということではないですか。念を押しておく。
  130. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 先ほども申し上げましたけれども、今回の海上ヘリポートに具体的にオスプレーを配備するということで米側が申しているわけではないということでございます。
  131. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 拒否できないということを言えないということは、指摘のとおりだということを暗に認めたということでありましょう。  同様の問題で、米側は、垂直離着陸機あるいは最新のテールフックの運用を米側が要望してくる可能性も否定できません。その際に政府はどういう対応をするのか。その機種は使用しないという日米の取り決めはありますか。
  132. 高野政府委員(高野紀元)

    ○高野政府委員 先ほど申し上げましたとおり、今回の海上ヘリポート基本案に盛られております内容以上に日米間で何らかの合意がある、あるいは了解があるということはございません。  いずれにしても、基本的な考え方は普天間の機能を代替するという考え方でございまして、これを削減するというような考え方のもとにこのヘリポート案はつくられていないということでございます。いずれにしましても、今、具体的な幾つかの御指摘でございますが、この基本案に出ております幾つかの項目以上に日米間で了解ないし合意があるということはございません。
  133. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 次に、施設についてちょっと聞きますが、燃料貯蔵庫については基本案には書かれておりません。これは海上施設に設置するのかどうか、はっきりさせてください。海上施設に設置するとなれば、燃料の供給施設はどうするのか。パイプラインによるのか、船舶によるのか、そういうことなどをはっきりさせてください。  基本案では、燃料貯蔵庫について示されておりませんが、国防省の報告書では、普天間飛行場は八十二万八千ガロンの燃料の貯蔵があるとして、海上施設においては航空機が最低三十五日間運用できる貯蔵庫の確保が決定されなければならない、貯蔵施設は海上施設に設置されるというふうに書かれています。答弁を求めます。
  134. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 海上ヘリポートの基本案におきまして、米側との調整の結果、このヘリポートには、滑走路、駐機場、格納庫、整備施設、倉庫その他の所要の施設を配置するというふうにしたところでございます。  御指摘の燃料貯蔵庫につきましては、海上ヘリポートに具体的にどのような施設がどのように整備されるかにつきまして、今後、このヘリポートの建設につき、地元の御理解が得られた後、その建設地候補を決定していく過程で、運用所要の詳細に係る米側との調整や各種技術的な検討を経て決定されることになる、こう考えてございます。
  135. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 海上ヘリ基地建設後の施設維持について、国防省の報告書は、海上施設の維持は陸上施設の維持以上のものである、このため、海上施設及び関係施設の維持は日本政府の責任とすべきであるというふうに述べています。この施設等維持費について、日本政府はそのとおり考えておるのじゃないですか。
  136. 大古説明員(大古和雄)

    ○大古説明員 維持経費の問題につきましては、現在まで米側と具体的に打ち合わせたというようなことはございません。今後、諸種の観点から、ヘリポートの設計なり取得に係る決定を行うまでの間に日米間で検討を進めることが必要である、こう考えております。
  137. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 時間が参りましたので終わりますが、今の政府答弁の姿勢にも見られるように、基本案では理解できないような内容が含まれる可能性が極めて大きいのに、しかも沖縄側がそれに対して重大な疑問を持っていろいろとやってきているのに、それを明らかにしょうとするどころか、いつまでも隠し立でしょうという態度をとり続けております。  一方で県民の負担は軽くしましょうということを言いながら、海上基地の、そういう普天間基地とは比較にならないような再編強化の方向を持っていって、二十一世紀まで基地との共存を迫るというとんでもない県民だましのそういう政策を展開されようとしています。沖縄県民が怒りを込めてやめろと言うことも当然です。  そういう立場を踏まえて、普天間の基地は、移設条件づきの返還などということではなしに、移設条件をつけない、たらい回しでない無条件の返還について、日米間での再度の交渉を展開するよう、大臣にも強く要求して、終わります。
  138. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会