○山中(燁)
委員 まさにそのとおりだと思います。私
どもは、ペルーも含めていろいろ経験をしてまいりました。非常に大きな経験をした、例えば日商岩井なんかは、もう危険度の察知の仕方から
対応の素早さということも、これもいろいろな今までの事件から学んだと思います。
私が申し上げたいのは、今回幸いで、これで終わったとしても、同じような
事態が起こってほしくはありませんが、
世界中今まだまだ不安定な時代であれば、どこでどういつだことが起こるかわからないときには、早目にきちんと対策本部を設置して、早目に手を打っておいて、それは使わないで済めばいいというくらいのことでやりませんと、外にいて働いている六十万を超す
日本人の人たちが、
日本の
政府に対して、あるいは
日本の国というものに対して非常に不信感を持つというような
事態に至らないようにというために申し上げているわけでございます。
ですから、私は、この議論が始まりますと、
自衛隊機を出すか出さないかとか戦艦を送るか送らないかとか、すぐそういう話になりがちですが、もし、先ほど申し上げましたようなタイムのスパンで、オルブライト長官と
協議して、
アメリカと密接な、まあ
アメリカが一番軍の
関係もあって、
情報は
インドネシアに関しては持っているというふうに
判断されるわけです。というのは、そこの
インドネシアの海峡を通らないと
インド洋まで行けないということがありますから、これは、
アメリカのペルシャ湾岸に関する安全保障の船の上での一番の一つのポイントになっているわけです。
そういったことがありますと、
アメリカが危険だということで演習を中止するとか、それからチャーター便の
動きがあるとか、そういうことをもし
日本の
政府としてきちっと認識していれば、こちらもやはりそれに即応した、例えば最初からもう民間機のチャーターを二日早くやっていて、そして
外国機のチャーターもまた二日早くなりますでしょう、そのほかに自衛隊の
飛行機ももっとありますけれ
ども、
政府専用機の可能性、まあ一台は残しておかなきゃいけませんが、一機はどうかとかあるいはほかの国との、複数の国との共同の救出作戦、これは
アメリカとカナダが一緒にやったような形で、例えば
日本の
飛行機にもほかの国も乗せるということも今後どこかでいろいろなことが起こったときにあり得るかもしれませんから、そういった発想も入れて、やはりきちんと
情報を察知したらそれを早目にどこが
判断して、そして
邦人の安全を第一に
考えるかということ、この点をもう一度きちっと私はぜひ
考え直していただきたいというか、またいつも参考にするんですが、その次のときになるとまた同じことが起こるということの繰り返しはもうこの辺で終わりにした方がいいのではないかというふうに思っています。
そういった
意味で、私もう一つ
質問申し上げたいのは、
情報の収集、分析、
判断、それによって具体的な計画、戦略、実行という、それがきちんと事務的に十分行われていたかどうかということの検証はありますが、もう一つは、国際的な視野で、一体この
スハルト政権というのがどういう状態に置かれているのかとか、民衆の気持ちとか、今
世界じゅうで起こっている
世界の大きな
動きの中で果たしてその辺の認識に
日本は少しのんびりしたところがなかったかどうかということを私は感じております。
スハルト政権に関しては、これは五月十四日のバーミンガム発の
報道によりますと、
インドネシア問題で
日本は支援の継続を主張した、しかし、英国とそれから米国は強い懸念を示したと。これは、
インドネシアの人権問題というものを英米がかなり気にしていて、そして
日本は、
スハルト政権を何とかサポートしないと、
日本が一番たくさん経済的な援助もしておりますし、また大変活発な民間活動もしている。そういう国だからこそ、私は、救出については早目にしないと、人数がほかの国の倍もいるわけですから、ほかの国よりもおくれるということ自体が非常に不安感を招くというふうに思います。
そういう
意味で、この
インドネシアというものに対する、これはバーミンガム・
サミットの、外務省で訳してくださった仮の訳ですけれ
ども、今般の暴力の高まりと人命の損失を深く懸念する、我々は死者の発生を遺憾とし、当局に対し最大限の
自制を示し、殺傷力の行使というものを控え、個人の人権を尊重するように求めるという、人権民主主義ということを訴えておりますし、同時に、
インドネシアでは政治的
改革の必要性は広く認識されている、我々は当局に対し
インドネシアの民衆の願望にこたえる対話を開始し、必要な
改革を行うことにより迅速に
対応するように要望するというような、これは政治
改革ということは、ある
意味で
スハルト離れということになってきております。
そして十五日の
段階でございますが、十五日の
段階で、
アメリカでは、
アメリカの軍事協力のプログラムというのが余りにも
スハルト大統領の娘婿である軍の司令官に利益を与え過ぎてきたというような反省の弁とか、あるいは、
インドネシア政府と市民と、
改革について対話を至急開始してほしいと強く要請するということは
インドネシア人が決定すべきことであるが、政治的
改革は極めて重要であるというルービン氏のコメントもございまして、こういう形で、非常に今まで近い
関係であった政権との距離を置き始めております。
IMFはヒーローになれるかまたは悪役かというのが十八日付のこれは
アジアンのウォールストリート・ジャーナルに出ておりまずけれ
ども、IMFのアドバイスもどうだったかということもあります。
ですから、この事件が、
日本人も、それから
インドネシアの人々も、ほかの国の人々も何とか無事に終わったとしても、実際に突きつけられた
課題というのは、どういう政権のあり方あるいはどういう国のあり方ということをもう一度、大国、経済支援をする国、IMF、そういったものに反省を促しているというふうに受け取っている国々が、特に
アメリカも含めて出てきておりますが、その辺のところについての現在の認識を
大臣にお伺いできればと思います。