運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-04-24 第142回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    平成十年四月二十四日(金曜日)     午後二時三十四分開議 出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 松沢 成文君    理事 東  順治君 理事 東  祥三君       大石 秀政君    大野 松茂君       柿澤 弘治君    河野 太郎君       櫻内 義雄君    菅  義偉君       田中 昭一君    宮本 一三君       森  英介君    森田 健作君       八代 英太君    渡辺 喜美君       島   聡君    藤田 幸久君       福島  豊君    丸谷 佳織君       西田  猛君    中島 武敏君       古堅 実吉君    伊藤  茂君       井上 一成君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      海老原 紳君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 阿部 信泰君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       下平  隆君  委員外出席者         農林水産大臣官         房審議官    加藤  孝君         運輸省自動車交         通局技術安全部         審査課長    中山 寛治君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   柿澤 弘治君     大石 秀政君   阪上 善秀君     菅  義偉君   下地 幹郎君     渡辺 喜美君   森田 健作君     大野 松茂君   山中 燁子君     福島  豊君   松本 善明君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     柿澤 弘治君   大野 松茂君     森田 健作君   菅  義偉君     阪上 善秀君   渡辺 喜美君     下地 幹郎君   福島  豊君     山中 燁子君   中島 武敏君     松本 善明君     ――――――――――――― 四月二十三日  国際民間航空条約改正に関する千九百八十四  年五月十日にモントリオールで署名された議定  書の締結について承認を求めるの件(条約第八  号)  国際民間航空条約改正に関する千九百八十年  十月六日にモントリオールで署名された議定書  の締結について承認を求めるの件(条約第九号  )  航空業務に関する日本国カタル国との間の協  定の締結について承認を求めるの件(条約第一  一号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国オマーン国との間の  協定締結について承認を求めるの件(条約第  一二号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国アラブ首長国連邦と  の間の協定締結について承認を求めるの件  (条約第一三号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国バハレーン国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第一四号)(参議院送付) 同月二十一日  米海兵隊米国撤収等に関する請願木島日出  夫君紹介)(第一七六六号) 同月二十四日  日米地位協定の見直し、在日米軍基地の整理・  縮小の促進に関する請願児玉健次紹介)(  第一八一七号)  米軍基地の撤去に関する請願児玉健次紹介  )(第一八九〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  大西洋まぐろ類保存のための国際条約第十  条2を改正する議定書締結について承認を求  めるの件(条約第四号)一参議院送付)  車両並びに車両への取付け又は車両における使  用が可能な装置及び部品に係る統一的な技術上  の要件採択並びにこれらの要件に基づいて行  われる認定相互承認のための条件に関する協  定の締結について承認を求めるの件(条約第一  〇号)  千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十  月二十三日及び千九百九十一年三月十九日に  ジュネーヴ改正された千九百六十一年十二月  二日の植物の新品種保護に関する国際条約の  締結について承認を求めるの件(条約第一五号  )  国際民間航空条約改正に関する千九百八十四  年五月十日にモントリオールで署名された議定  書の締結について承認を求めるの件(条約第八  号)  国際民間航空条約改正に関する千九百八十年  十月六日にモントリオールで署名された議定書  の締結について承認を求めるの件(条約第九号  )  航空業務に関する日本国カタル国との間の協  定の締結について承認を求めるの件(条約第一  一号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国オマーン国との間の  協定締結について承認を求めるの件(条約第  一二号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国アラブ首長国連邦と  の間の協定締結について承認を求めるの件  (条約第一三号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国バハレーン国との問  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第一四号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 これより会議を開きます。  大西洋まぐろ類保存のための国際条約第十条2を改正する議定書締結について承認を求めるの件、車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る統一的な技術上の要件採択並びにこれらの要件に基づいて行われる認定相互承認のための条件に関する協定締結について承認を求めるの件及び千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十月二十三日及び千九百九十一年三月十九日にジュネーヴ改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森田健作君。
  3. 森田(健)委員(森田健作)

    森田(健)委員 森田健作でございます。よろしくお願いします。  大西洋まぐろ類保存条約改正議定書について御質問させていただきます。  いわゆるICCATに対する加盟国分担金、言うなれば、この算定方式を何とか改正して開発途上国による分担金を少なくしてやろうではないか、これが私、改正理由だと思うのでございます。  そこで、やはり今のこういう状態において、開発途上国は大変苦しんでいると私は思うのでございます。実際にこのICCATに加盟している開発途上国分担金というのはまたいかほどのものか、それと同時に滞納額ですか、その国の名前と、そしてその分担金はどのぐらいなんだろう、それをぜひお聞かせ願いたい。できましたら、ひとつ円でよろしくお願いいたします。
  4. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  お諮りしております大西洋まぐろ類保存委員会への分担金滞納している国及び現在の分担金額及び滞納額ということでございますけれども、九七年十月末の段階でございますけれども、分担金滞納あるいは未納している国は全部で十三カ国ございます。九七年度の分担金総額は三千四百万円でございます。その滞納分担金累計総額は一億一千二百万円でございます。  国名を一応御参考までに申し上げますと、アンゴラカーボベルデ、中国、象牙海岸、ガボン、ガーナ、赤道ギニア、ギニア、リビア、サントメプリンシペ、英国、ウルグアイ、ベネズエラと、発展途上国が大部分でございます。  イギリスが入ってございますけれども、これは恐らく技術的な理由で、まだ今の段階で全部完納していないということだろうと思います。ただ、この集計しました段階ではまだ完全には納めていないということで、一応集計に入っております。
  5. 森田(健)委員(森田健作)

    森田(健)委員 じゃ、各国分担金は大体お幾らぐらいなんですか。
  6. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 我が国につきましては約千万円でございます。そして、例えばイギリスにつきまして見れば、二百八十九万幾らあと一定基準ではかっておりますので、国によってそれぞれはかり方が違います。例えば、アンゴラでありますと二百万とかカーボベルデで百八十万、そういう数字でございます。
  7. 森田(健)委員(森田健作)

    森田(健)委員 そうすると、例えばある国は分担金百八十万、これが払えない。やはり一国百八十万、これを算定方式を変えて安くしたからといって、これはどうなんですかね、百八十万円が高いか安いかは別としても、それを改正することによって本当に改善されるのかなと私は思うのでございますが、その点はどうでしょう。
  8. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答えします。  今回の改定の仕方でございますけれども、今までの一定基準に加えまして、各国経済発展段階を加える、つまり、今までは、例えばマグロ類漁獲量あるいは缶詰製品の純重量、そういった漁獲あるいは漁業そのもの基準にしておりましたが、今回は、途上国経済の力、例えば各国の一人当たりのGNPを基準に加えますので、発展途上国にとりましては軽減する。今までの活動状況を見ておりましても、彼らは、未納ではございましたけれども、積極的に参加しておりますので、こういった軽減を行うことによって滞納がおさまるということを期待しております。
  9. 森田(健)委員(森田健作)

    森田(健)委員 もう時間もありますので、どんどん行きますけれども、車両等型式認定相互承認協定について御質問いたします。  大臣、やはり大臣のころでもそうでしょう、もちろん私のころでさえも、車を持っているなんて大変なことだったんですね。もう大金持ちの象徴みたいに思っていたんです。ところが、今国民の二人に一人、車は持っている、生産台数も我が日本国世界のトップクラスである、こう言われております。我が国にとっても、この車の貿易、これは大変に重要なものなんです。この重要な商品にかかわる本協定が、昭和三十三年に採択されていたのに、我が国が加入するまでで四十年間かかっているんですよ。何でおくれたのかはいろいろ事情もあるんでしょうけれども。  今回、本協定に加入することになった経過、及び我が国が加入することによってこういういいことがあるんだよとか、いや、こんなおもしろいことがあるんだよとか、そういうことがあったら、わかりやすくひとつ御説明願いたいな、そう思うのでございます。
  10. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、協定そのもの昭和三十三年、一九五八年にできましたが、その経緯をちょっと御説明申し上げます。  これは、型式認定についての国際的に統一された要件を決めて、それを相互の国が、相手が認めたものを、それを認めるということで、まずヨーロッパ欧州の諸国を中心に検討が進められて、国連にございます地域経済委員会でございますけれども欧州経済委員会、そこでこの協定をつくったものでございます。  その当時、我が国は、ヨーロッパでございませんので検討には参加しておりませんでした。その後、御指摘のように、自動車をめぐる生産あるいは貿易というものがここまで大きくなってまいりまして、お互いの国の基準の国際的な調和、それを相互に認め合うということが貿易促進に寄与するということで注目されておりまして、そういう経緯を経て、日本としてもこれに参加するようにしたいと思った次第でございます。  この効果でございますけれども、一定の統一的な技術上の要件を定めた規則を作成して、その規則を適用する締約国の間では型式認定相互承認を行う、こっちで認められれば相手に対して改めてその国に輸出するときに認証しなくてもいいということでございますので、大変、技術的な面での手続の簡素化という意味でのメリットがございます。そこが最大のメリットということで、経済的な、あるいは貿易上の効果は大きいものだと認識しております。
  11. 森田(健)委員(森田健作)

    森田(健)委員 欧州の場合ですと、陸続きですからいろいろ合う部分もあると思うんですが、日本の場合ですと、非常に難しい部分があるんじゃないかなと。そういう意味で、例えばうまくいった話というのはおかしいですけれども、私たちが、消費者が、あ、これは恩恵を受けたなと思われる程度までにこれはうまくいっているものでございますか。
  12. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 具体的にどういうものについて、ここでは大まか簡単に御説明させていただいて、その貿易あるいは取引が簡単になるということを実例を挙げさせていただければと思います。  例えば、今回日本参加しますのは、この協定のもとで幾つ規則がありますけれども、そのうちの五つでございますが、例えば具体的にどういう部品かと申しますと、後部の反射器、あるいはもう一つは、尾灯とかブレーキランプあるいはフォグランプ、クラクションそれからブレーキ、こういったものについて、これに入りますと、日本型式認定をし、具体的な産品について認められれば、この参加していますヨーロッパの国に輸出する際に改めてそこの国での規制を受ける必要はない、そのまま認められるということでございますので、大変手続的な面での簡素化合理化が進むと思います。
  13. 森田(健)委員(森田健作)

    森田(健)委員 それでは、一九九一年植物品種保護条約についてお尋ねいたします。  日本人は、大体控えめを美徳としているんですね。いろんな分野においても、例えば映像分野においても、ある一つの作品に出てギャラをもらうと、もうそれで終わりだ。本当は二次使用、三次使用もあるのでございますが、自分の方からそれに対してこうしてくれ、ああしてくれと権利を主張するというのは、ある一部を除いては非常に少ない。ですから、できればそれはやはりちゃんと保護してやるべきだ、そういうことで、近年非常にそれが相整ってまいりました。  また、形が違ってバイオテクノロジーとなりますと、これはさまざまな産業分野でその応用が期待される、これはまた無限大じゃないかなと私感じるのです。ましてや我が日本国は、科学技術創造立国を実現する観点からも、その財産的権利を積極的に保護し、またその育成を図っていかなければならない。その意味で私は、この知的財産権保護をぴしっと認めて、また本条約締結を高く評価したいと思うんです。  ところが、これは一九九一年ですね。もうちょっと早くやってもよかったんじゃないかなという感じがするのですが、何か理由があったんですか。簡単に、わかりやすくお願いします。
  14. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  まさに御指摘のとおり、バイオテクノロジーとか新しい技術も進んでいますので、新品種育成の際に、育成者権利保護という観点から、今までの既存の条約よりもより保護の度合いを強くしたというもので、新たに参加をする方針だということでございますが、ではなぜ時間がかかったかということでございますけれども、やはり国内法律との関係整合性という観点から、法律の整備をする必要がございました。そこで、政府部内で慎重に検討しておりまして、ようやくそのめどが立った、つまり、国内法改正して条約と一緒に制度を改めるということができるようになったという段階でお諮りしている次第でございます。
  15. 森田(健)委員(森田健作)

    森田(健)委員 今度はちょっと国際情勢についてお伺いしたいと思います。  大臣、私は俳優世界に二十七年間いまして、歌も歌ったこともあるんですけれども、ある楽屋でこういう話をしたことがあるのです。韓国歌手の方がいたんです。おい、冗談じゃないよな、韓国歌手の人は日本に来てはんばん稼ぐけど、俺たち韓国へ行って稼ぐことできないよな、そういう話が出た。そしたらある俳優さんが、そうなんだよ、俺たち映画だって、向こうじゃやらないのに、日本では勝手にできるんだ、おかしいよな、だからあれなんだよ、いつまでたっても日本韓国というのは、言うならば戦争時代のことばかり言っていて文化交流ができないんだよ、大体音楽だって、音楽なんというのは、言うならば言葉じゃない、心なんだ、大体日本政府は何やっているんだ、そんなことを私たち、昔、話したことがあるんですよ。  それで、最近韓国政府も、日本映画歌謡曲日本文化を入れていこう、金大中大統領は、日本文化を受け入れることを怖がる理由はない、無理やり制限しているからかえって悪い文化が入ってきているのが現状だと。私、そう思うのです。表で締めるものですから裏の方ばかり行っちゃう。大体裏から行くものというのはいいものがないですよ。そうすると、日本というのはこんな国なのかと、余計文化的にマイナスになるときがあるのでございます。  大臣、どうでしょう。このように、以前はそういうことがございました。そして今、門戸は開かれようとしております。この文化交流に対して、これから日本国はこのように積極的にやっていくんだ。言うならば、確かに戦争を知っている時代、私たちは知らない時代でございます。そして、二十一世紀の人たちはもっと知らない。言うならば、親が知らない子供たちです。親が戦争を知らない子供たちになるわけですよ。  私は、そういう意味において、この文化交流をもっと日本側からも積極的に問いかけたらどうか、もっともっと。もちろんそのお国によっては、宗教上の問題もあるし、それからいろいろな表現もあるから、だめな部分もあります。それはそれで私はわかるのでございますが、大臣、どうでございましょう、日本韓国というのは、お互いに引っ越すこともそれはもちろんできるわけないのですから、ましてや変な話、芸能界という世界においてもそういうことは以前は出ておりました。  大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  16. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 日韓の間におきまして、特に日本文化といいますか、そういうものが韓国側で受け入れられることが大変厳しかったことは、従前、事実でございました。この点については、政府というよりも、むしろ民間の間でもいろいろと強いお話し合いもされておりましたし、また、日韓議員連盟等におきましても、我が国立場を十分説明してきておるところでございましたが、従来、韓国側政権といいますか、為政者の立場で、なかなかこのことについて難しい環境にありました。  しかし、今森田委員指摘のように、新しい金大中大統領が誕生されまして、さまざまな機会に文化鎖国主義にむしろ批判的な発言を行っておるわけでございまして、また、それに対して韓国国内でも真剣な議論が行われておることは事実であります。そういった意味で、韓国側は、よき日本文化、こういうようなことを言っておられますが、大いに交流ができるような体制が新しい政権のもとで整っていかれることを強く念願をいたしておるところでございます。  特に、これから二〇〇二年にはワールドカップなどもございますので、そういう前に、もっともっと両国民相互理解友好協力関係が強化できるように、文化交流が一層自由化、拡充されることを念願しておるわけでございまして、今委員がお話をされました、いろいろ日本歌手あるいは演劇、こういう人たちがなかなか韓国において自由な活動ができないということで、実は私自身も幾例かそういった件について相手国とお話しした経験も有しておりますが、しかし、今日大変開かれようとされておることに対しては歓迎をいたしておりますので、これが進んでまいりますように努力してまいりたいと思っております。
  17. 森田(健)委員(森田健作)

    森田(健)委員 小渕大臣には私、大いに期待するところでございます。  やはり私、思うのでございます。それは、過去を認識することは大事ですが、過去は決して戻ることはないと思うのでございます。そして、ましてや、言葉は違うわけでございますから、その中において一つミュージック音楽音楽というものは、国を動かすことはできなくても、私はその国民の心を動かすことはできるのではないかな、そのように感じております。それは映像も同じかと思います。ぜひとも私は、やはり隣人である韓国ともこれからは前向きな建設的な交際といいますか、アジアの仲間として頑張っていきたいな、心よりそう思いますので、小渕外務大臣に大いに期待しているところでございます。  残り一分ですとちょっと次の質問ができませんので、ここで失礼させていただきます。ありがとうございました。
  18. 中馬委員長(中馬弘毅)

  19. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 きょうは一時間お時間をいただいておりますので、幾つ質問をさせていただきたいと思いますが、でき得る範囲で大臣の方からお答えいただければ幸いに思います。  本日の議題の三つの条約がございますが、私はそのほかにも、いわゆる赤十字条約、それから対人地雷禁止条約、そういった条約の内容についても御質問したいと思います。  このマグロ条約あるいは赤十字条約、それから対人地雷条約に共通した背景といたしまして、国際協定に加わる日本政府主体性の欠如という点が、先ほどの森田委員の御指摘の中にもございましたけれども、例えばこの大西洋まぐろ類保存条約改正議定書におきましても、先ほどもございましたが、六、七年ですか、随分年月がたっております。大抵、国会提出されるまでに発効の見通しがないから、諸外国動向を見守ってという答弁が多いわけですけれども、やはりこれから顔の見える外交をしていく際には、主体性といいますか、イニシアチブということがますます重要になってきているのではないかというふうに思うわけです。  このICCAT財政あるいは加盟途上国のいろいろな困った状況を改善するという場合には、やはり模様眺めをするのではなくて、むしろ率先をして締約国になる、そして、むしろまだ締約をしていない国に対して働きかけをするといったような態度が、これはほかの条約に関しましてもそうでございますが、必要ではないかと思いますが、この一般的な態度についてお答えをいただければ幸いです。
  20. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の点はございますけれども、他方、ICCATにつきましては、やはり我が方に対する財政の負担も何がしか増大するということがございましたものですから、我が方の財政事情等を踏まえつつ、あるいはほかの国がどういつだ形で入ってくるかと見守る必要があった、慎重に検討する必要があったということでございます。したがいまして、大体諸外国動向締結の方向へ向かっているということだったので、入ることにしたという次第でございます。
  21. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 委員指摘のように、日本のこうした国際条約その他についての参加の問題については、御指摘をいただくような点もあろうかと思いますが、強いて言えば、日本の場合に極めて誠実にこうしたものを遵守するというようなこともあり、またあらゆる条約等参加をするというようなこともございまして、そういった点で、てきぱきと一つ一つ解決をするというところに御指摘をいただくような点もあろうかと思いまして、これは反省していかなければならぬ点ではないかと思っております。
  22. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 今のお言葉、ありがとうございました。  それから、この車両等型式認定相互承認協定について御質問したいと思いますけれども、その型式認定制度というのは確かに必要とは思いますけれども、やはり規制一つというふうに言えると思うわけです。内需拡大等経済政策について、いろいろな規制緩和ということを言っておるわけですけれども、なかなかほかの国から十分の理解がされていないというような気がしておるわけです。やはり政府が必要な経済政策をとっているのでありますから、理解が得られていないということは、その諸外国の誤解を解くだけの説明が必要ではないか。そういった意味で、さらなる外交努力が必要ではないかというふうに思いますが、これについて大臣の方からお考えをおっしゃっていただければ幸いです。
  23. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 この点につきましても、政府として、我が国規制緩和策や累次の経済対策につきまして、在外公館を通じて、あるいは二国間の会談の機会等を通じまして、欧米及び東アジアを中心とした主要国に説明をし、理解を得る努力をしてきたところでございます。  例えば、三月三十一日に決定されました規制緩和推進三カ年計画については、米国及びEUから、各分野で進展に対する一定の評価とさらなる努力への期待が示されました。また、四月九日に総理が発表いたしました総合経済対策につきましても、米国から、今回の対策を歓迎する、今後具体的な詳細が明らかになることを期待するコメントも出されております。  また、本日新たな経済対策等が発出される予定かと聞いておりますが、こうした点につきましても、随時諸外国我が国立場を理解を求める努力をいたしておりますが、できる限り、いずれにしても相手国の理解を得られないことにおいては我が国立場が誤解されかねませんので、全力を挙げて逐一その努力を続けるということを申し上げたいと思います。
  24. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 ありがとうございます。  ここで、先週の週末に行われました川奈におきますところの日ロ首脳会談について、幾つか御質問したいと思います。  日ロ首脳会談、前後いたしまして、国境線の画定という言葉が随分マスコミ等で報ぜられるようになってまいりました。これは、実際の交渉とは別に、マスコミ世論等によってそういった言葉がもしかするとひとり歩きしてしまっているのではないかという気もしないでもございません。私、個人的には、この領土の返還の一つのステップとして、国境線の画定という方式は、これも非常にある意味では建設的な一歩ではないかというふうに個人的には感じております。実際にそういった交渉の中で行われたかどうかは定かでございませんが、ただ、これだけ日ロ両国で、テレビ、新聞等を含めまして、いろいろな情報が交錯をしているということは、もちろん日本とロシアの間ではいわゆる世論の自由度というのも若干違っておるかと思いますので、その交渉によからぬ、マイナスの影響があってはまずいと思っております。  そういった観点から、実は、私も幾つか調べておりました際にわかったことがございますが、領土に関して、基本的な事実関係について意外と確認がされていないという点が幾つか見受けられましたので、事実関係について幾つか御質問したいと思います。  まず、最近のやはりロシアの新聞で、一九八〇年代の末期に、当時のソ連の指導部が国境線画定というアイデアを提案し、それに対して日本政府は、問題の本質をそらすものだとして拒否した経緯があると報じておりますが、これは実際事実なのかどうなのか、大臣の方からお答えいただければ幸いです。
  25. 西村(六)政府委員(西村六善)

    ○西村(六)政府委員 北方領土問題につきましては、その時代その時代にいろいろな脈絡におきまして議論が行われている次第でございます。これまでの領土問題の領土交渉におきます中身につきまして、内容につきまして、あるいはやりとりにつきまして御説明をすることは、現在交渉自体が継続中でございますので、適切でないというふうに考えます。  いずれにいたしましても、我が国といたしましては、東京宣言に基づきまして二〇〇〇年までに平和条約締結するよう全力を尽くすということで、日本とロシアの間で認識を一致させている次第でございまして、川奈におきましても、平和条約が、東京宣言の第二項に言いますところの、四島の帰属の問題を解決する、そういうことを内容とすべきことで一致をいたした次第でございまして、そういう一致のもとで、交渉、話し合いが現在行われておる次第でございますので、過去の議論を含めまして、交渉の内部について議論を、あるいはそれのやりとりについて言及をするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  26. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 過去というのもどこまでさかのぼるかということはございますが、ことしは一九九八年でございますが、八〇年代末期というと大分前のことでございまして、もちろん当時の脈絡と時代時代において意味が違うということでございましたけれども、やはり大分前のことでございまして、実際にそういうことについて、ロシア、当時はソ連ですか、提案があった、それに対する日本側が拒否をしたかという経緯は別にいたしまして、そういう、今まで過去に、例えば八〇年代というふうにおっしゃっていただかなくても結構ですが、過去にそういう提案があったかどうかということについてはいかがですか。
  27. 西村(六)政府委員(西村六善)

    ○西村(六)政府委員 過去にそういう提案があったかどうかという点を含めまして、その時代におきまして議論が行われておりましたことは言及を差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  28. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 私は、先ほど申しましたように、こういった領土の問題でございますし、それから、領土ということはその領土に住む人命にかかわる問題でございますから、慎重な対応が必要だろうというふうに、もちろん思っております。  したがいまして、交渉が非常にうまくいくように、むしろその側面支援をしたいという意味で、ある程度のやはり事実関係についてはむしろ整理をしていくことが、つまり、これだけ国境線画定なんという言葉が随分報道されたわけですから、私は、その川奈でそういった内容のことが話し合われたかどうかということを言及することをあえて避けて、過去についてお聞きをしているわけですから、逆に、これでお答えになりませんと、むしろそういうことがあったかというように増幅して、むしろ増長してしまうのではないかということを恐れながら、したがって、過去については、せめてそういったことが提案としてロシア側からあったかどうかという最低の事実についてお聞きしょうとしているわけでございまして、幸い各党の方々からも御声援の言葉がありましたけれども、そういった意味で、大臣、いかがでございますでしょうか、私はそういうつもりで御質問しておるわけでございます。
  29. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 藤田委員が今お尋ねをされまして、過去さかのぼれば、日ロ、その後日ソになりまして、また現在日ロとなっての長い間の外交史というものが存在しているのだろうと思います。その中でいろいろの事実関係というものは明らかにされなければなりませんが、その中で、いろいろ解釈をめぐってもいろいろの問題もありました。したがいまして、今般川奈におきまして橋本総理から新たな提案がされたことは、記者会見でもエリツィン大統領も申し述べられておるところでございまして、その内容については、藤田委員お触れにならない、あえてお触れにならないとおっしゃっておられますが、極めて微妙かつ最終な段階に来っております。  したがいまして、それぞれ過去の一つ一つ条約、あるいは結ばれた段階における状況、あるいは戦後も我が国と旧ソ連との間の国としての力がかなり離れておった時点においての双方の主張、そういうものを一つ一つ取り上げ、かつ列挙をし、その上に立ってということよりも、むしろ今日の時点に立って新しい取り組みができるというために全力を挙げさせていただいておりますので、その点につきましては、先ほど局長の申し上げましたように、一つ一つの事例についてのこの立証といいますか、そういうことについてはお許しをいただければと思いますが、委員が御指摘をされる趣旨は、十分私自身は心得ておるつもりでございますので、御理解いただければありがたいと思います。
  30. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 例えば、同じように、九二年の渡辺美智雄外務大臣が、やはり交渉の席で、ロシアが日本の主権を認めれば、平和条約締結後も国後、択捉両島にロシアの施政権を認めてよいと発言したという報道がございますが、これについてはいかがですか。
  31. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 これも先ほどの御答弁と同じことになりますが、現在、日ロ間の領土交渉において、具体的なやりとりについて言及することについては控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、それぞれの時点におきまして、それぞれ当時の担当責任者が種々の発言をされておることについては、これは承知をいたしておりますけれども、今後、そうした発言そのものにさかのぼって、相手国我が国との現在における今後の話し合いというものについて、そうした過去の発言そのものがいかなる形でも影響を及ぼすということがあってはならない、こう考えておりますので、本件につきましても、柔軟に対応するということでも、これまでも明らかにいたしておるところでございますので、日本の基本的な考え方にのっとって、これからも対処していくということで御理解いただきたいと存じます。
  32. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 過去の発言が悪い影響を及ぼしてはならないということですが、私はやはり外交というのは積み重ね、ましてロシアのような国においては積み重ねというのが非常に重要でございまして、しかも、いわゆるソビエト連邦からロシアに、形式的な国はかわっておるわけです。ですから、そういう節目節目に、実際どうであったかというところを確認しない限りは、外交が成り立たないんだろうと思うんです。  恐らく、特にロシアとの関係においては、実際に、それぞれの脈絡、時代時代の交渉中にこういうやりとりがあったということの積み上げ以外にむしろ方法がないと思うわけでございますから、その確認が私は非常に重要だろうと思うんですけれども、一般的なそういう今までの積み上げといいますか、節目節目の確認に基づいて現在の交渉があるということについては、大臣、いかがお考えでしょうか。
  33. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 一九九二年当時の渡辺外相の発言につきましては、一般論として、我が国は、四島への日本の主権が確認されれば、実際の返還の時期、態様及び条件について柔軟に対応する考えであることをこれまでも明らかにいたしておる、こういうことだろうと思います。
  34. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 事実関係についての、過去の確認についてちょっとおいておきまして、それでは、もうちょっと基本的な確認をしたいと思います。  まず、外務大臣は、いわゆる北方領土の中で、日本の領土の範囲はどこまでだとお考えなのか。それから、国際法上どこまで画定をしているのか。そして、領土の範囲について、ロシア側はどういうふうに認識をしているのか。これは交渉事じゃありませんから、確認をお願いしたいと思います。
  35. 西村(六)政府委員(西村六善)

    ○西村(六)政府委員 今の先生の御質問は、明らかに北方領土の関係であろうと思いますので、そういう前提でお話をさせていただきたいと思いますけれども、サンフランシスコ平和条約第二条の(c)項によりまして、我が国は、南樺太及び千島列島に関しますすべての権利、権原及び請求権を放棄したところでございます。  しかしながら、この条約に言いますところの千島列島には、我が国の固有の領土である北方領土は含まれていないというのが私どもの解釈でございまして、北方領土は、我が国がロシアとの間で結びました一八五五年の日露通好条約及び一八七五年の樺太・千島交換条約から、我が国の固有の領土であるということは明らかであるわけでございます。  それから、その次に御質問がございましたエリツィン大統領の認識、日本の領土がどこにあるか、エリツィン大統領がどういうふうに認識しているのかという御質問であったと思いますけれども、それにつきましては、私どもの立場として、お答えする立場にありませんので、さように御理解をいただきたいと思います。
  36. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 そうしますと、確認でございますが、千島列島の十八の島々は、権利、権原、請求権は放棄しているということですね。
  37. 西村(六)政府委員(西村六善)

    ○西村(六)政府委員 そういうことでございます。
  38. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 そういうふうに聞いておりますが、一方、外務省条約局の中には、日本が放棄したのは、エアスペースといいますか空域のみであって、領土自体については放棄していないという解釈、あるいは考え方もあるというふうに聞いておりますが、その点はいかがでしょうか。
  39. 竹内政府委員(竹内行夫)

    ○竹内政府委員 ただいま先生が御言及されました条約局の見解というものでございますけれども、私ども条約局といたしまして、そういう見解を有したとかいうようなことは全く承知いたしておりません。  戦後一貫して、と申しますか、サンフランシスコ平和条約の解釈として、日本が、その第二条(c)項におきまして、千島列島に関しましてすべての権利、権原、請求権を放棄した、そういうことでございます。これは領域に対する主権ということを意味するものでございます。
  40. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 数年前に、まだソ連だったのかもしれません、ロシアになった後かもしれませんが、モスクワ駐在の渡辺大使がサハリンに行かれたということですが、そうすると、そのときは、このサハリンはどういう解釈に基づいて、渡辺大使は訪問されたんでしょうか。
  41. 竹内政府委員(竹内行夫)

    ○竹内政府委員 南樺太につきましても、サンフランシスコ平和条約の第二条(c)項によりまして、我が国はすべての権利、権原、請求権を放棄いたしておりまして、我が国の法的な立場といたしましては、同地域の最終的な帰属は未定である、こういう立場でございます。それは、渡辺大使がサハリンを訪問いたしましたときもそのような立場でございました。  他方、現実の問題といたしまして、一貫して、ソ連、現在はロシアが、サハリンと申しますか南樺太におきまして、継続いたしまして平和的にこれを支配していると申しますか統治をしておる、こういう現実がございます。その現実を踏まえまして、大使として現地を視察し訪問を行った、こういうことでございます。
  42. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 当時、渡辺大使がサハリンを訪問するに当たって、かなり外務省の中で、いわゆる十八島の法的位置づけについて議論があるので、その訪問に関して随分議論があったというふうに聞いておりますが、いかがでしょうか。
  43. 竹内政府委員(竹内行夫)

    ○竹内政府委員 事実の問題といたしまして、やはり大使が訪問されるということでございますので、いろいろ省内で議論がございました。ただし、結論といたしましては、ただいま申しましたような考え方に基づいて、訪問して問題なしということで省内一致したことでございました。
  44. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 関連で伺いますが、日本が固有の領土と考えております四島の施政権は、現在ロシア側にあるのでしょうか。
  45. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 現在行われております交渉の内容につきましては、ロシア側との約束もございまして明らかにできませんが、本件に関する一連の報道は推測に基づくもので、御指摘の点についてコメントを差し控えさせていただきたいと思います。  日本政府としては、この問題をめぐる外交交渉は、静かなかつ落ちついた雰囲気のもとで進めることが極めて重要であると考えており、この点について御理解をいただきたいと思いますが、施政権の問題については、現在、四島は確かに実効支配をされておるという状況ということは承知をいたしております。
  46. 竹内政府委員(竹内行夫)

    ○竹内政府委員 大臣の御答弁を補足して申し上げさせていただきたいと思います。  我が国立場といたしましては、これはもう従来から一貫して述べているところでございますけれども、北方領土は法的にも歴史的にも我が国の固有の領土であるということでございまして、現在、現実の問題といたしまして、ロシアが施政を行っているということは事実でございますけれども、これはいわば法律上の根拠がない占拠という認識でございまして、したがって、施政権権利としての施政権というものについてはロシアはこれを有するものではないという考え方で、従来一貫して政府はそういう立場をとってきております。
  47. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 ということは、主権はどちらにありますか。
  48. 竹内政府委員(竹内行夫)

    ○竹内政府委員 お答えいたします。  ちょっと答え方が難しゅうございますが、主権という言葉意味がいろいろございますので、いわゆる領土権と申しますか、領有権と申しますか、そういう意味におきます主権ということにつきましては、これは我が国立場といたしまして日本に属するということでございます。  他方、主権の一つの属性といたしまして、そこで統治を行う権利、管轄権というような表現で言われることがございますけれども、これにつきましても、法律上は本来日本に属しているもの、ただし現実の問題としては、日本が管轄権、施政権を行使し得ない現状にある、こういう状況でございます。
  49. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 そうしますと、私は別に揚げ足取りをするつもりはございませんが、主権は日本側に、平たく言いますと存在するけれども、施政権は現実的には、権と、権利と言うかは別にしまして、状況とすれば、実効的には施政の力をロシア側が担っていると。それから、そういったベースに基づいてこれから交渉を進めていくということが、これがやはり一番実効的ではないかと。実は、九二年に渡辺外相がおっしゃったことはまさにそのことではないかと思うわけで、先ほどお聞きしたわけですけれども、そういうふうに解釈してよろしいでしょうか。
  50. 西村(六)政府委員(西村六善)

    ○西村(六)政府委員 九二年に渡辺外務大臣が述べましたことも、現在私どもが進めております交渉も一貫しているわけでございますけれども、私どもといたしまして、日本政府の基本的な立場は、この北方四島は法的にも歴史的にも我が国の固有の領土でございますので、その立場に基づきまして、東京宣言で明記しておりますとおり、その島の帰属の問題に決着、解決をつけなければいけないという問題を現在両国で交渉している、そういう次第でございます。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
  51. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 ちょっと違った観点からお聞きをいたしますけれども、今回随分報道がなされたようでございますが、経済問題についての報道はエリツィン大統領の方は期待をされて帰られたというふうに伝えられておりますけれども、例えば、ロシアのNTVというテレビの方で、この川奈会談の終わった直後のニュースでは四十秒しか伝えていないというふうに聞いております。ですから、例えば、共同投資会社の設立とか貿易保険の要件緩和といったことについては、非常に短い時間しか報道されていない。日本は毎時間のように報道されておりましたけれども。  一方で、このロシア議会あるいはロシアの地方自治体の方においても、この領土返還について拒否反応が随分出てきておる、あるいはいろいろな憶測が先行しておる。ということは、ロシア政府、あるいはむしろそれ以上にロシアの国民にこの領土問題についての意味を理解していただくことが重要だろうと思うのです。せっかく川奈会談を開いて、しかも日本側の方で工夫をし、単に経済協力ばかりではなく、文化交流とかあるいは軍人の交流といったことも含めた重層的な交流というものを提案した。しかしながら、そういった面がほとんど伝わらずに、むしろその後になってから、いわゆる領土画定の、国境線の画定の問題といったものがどんどん報道されて、議会や地方自治体などからも起こっているということは、実際に両国政府の方で考えた形ではない形に、実は進んでしまっている。  もし実際の交渉がそういうことでなかったとしたならば、これは大変将来の交渉において、むしろ足引っ張りになってしまうのではないかという気もしておりますけれども、この川奈会談以降、実際にこういう報道がひとり歩きしてしまっているということに対する認識と、それから、それに対するどういう対応をされていかれるおつもりなのか、大臣の方からお答えいただければ幸いです。
  52. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 委員指摘のように、今般の川奈会談におきまして両首脳の話し合いが持たれた結果、特に、先ほど申し上げましたように、記者会見におきまして、橋本総理の提案並びにそれを受けてのエリツィン大統領の、この問題に対して、たしか極めて楽観的にこの問題についてはその方向が生まれるのではないかというような趣旨の記者会見での御発言がございまして、実はそこまででございまして、恐らくその提案を受けて、エリツィン大統領としては、今後に行われます正式の両国間の首脳会談等においてロシア側の態度については明らかにされてくるものと期待をいたしております。その内容につきましては、申し上げたように、現在、これからの外交的な話し合いのまさに中核になるべき課題だろうと思いますので、それは差し控えさせていただきたいと思います。  本件につきましてマスメディアがいろいろな形で報道をされておることが、またいろいろな形でのリアクションにつながりかねない点もございますので、この問題についてはできる限り静かに相手方の対応を見守らせていただきたい、こう念願しておるわけでございます。  加えまして、両国のこの会談といいますか、に対しての対応につきましては、御指摘がありましたように、ロシアにおいては、キリエンコ首相の議会における承認問題がほとんどのニュースのすべてであったというような報告を聞いておりまして、この日ロの会談については極めて報道ぶりは小さかったと聞いております。  しかし一方、極東といいますか、シベリアあるいはサハリン地域においてはまことに大きな関心を寄せていることでございまして、したがいまして、ヤストロジェムスキー報道官も、一緒に帰国しないでこうした地域を回られて現地の状況をつぶさに見られておると聞いておりますが、またそこでのいろいろな発言ぶりも出てきておりまして、そうしたものが錯綜し、交錯をして、またそれが拡大していくというような環境にちょっとありますので、政府としては、せっかくのロシア大統領のこの問題について真剣に検討されるということにつきまして、これを見守らせていただきたい、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  53. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 いろいろ領土について基本的な確認を含めて御質問してまいりましたけれども、私は、先ほどから申しておりますように、川奈でどういう交渉の中身であったかということは一切聞いておらないわけです。  ただし、いろいろ事実関係を確認してまいりましたし、それから報道がかなりいろいろな形で進んでいるということは、静かな交渉というふうにおっしゃいましたけれども、私はやはりそういったものを本当に効果ある、結果的に領土が返ってくるようにするためには必要だろうと思いますが、これだけ領土画定、国境線の画定ということが随分出ていますので改めてお聞きしますが、今までに、年代も限定いたしませんけれども、ロシア側あるいはソ連側から国境線画定というアイデアの提案があったのかなかったのかだけお答えいただきたいと思います。  つまり、なぜお答えを要求するのかといいますと、向こう側からもともとあったということであるならば、今回仮に、あるいは今後日本側からアイデアを出したといたしましても、もともとロシアの方から実は提案があったということで、仮にロシア側の世論で領土に関する非常にナショナリスティックな反発があっても、もともとロシア側の方から、ソ連側の方からあったのだということが切り返しになるのではないか、そういう意味でも重要ではないかと思う観点から私はお聞きをしたいと思います。
  54. 西村(六)政府委員(西村六善)

    ○西村(六)政府委員 今先生がおっしゃられましたような限定のもとで申し上げますと、そういうアイデアの提起はございました。
  55. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 ありがとうございました。そういうことであれば、ぜひまた今後の交渉において、そういったものを踏まえて今後の交渉に生かしていただきたいと思います。  それからもう一つ、次にお伺いしたいと思います。  今後の交渉においてもう一つ重要な点は、四島に住んでおりますロシア人の住民の方々のお気持ちということがあろうと思います。施政権と言うか施政を担っていると言うかは別にいたしまして、その方々にとりますと、いつ施政の状況が、つまり日本側に返ってくるのかということも大変御心配でおありになると思いますし、やがて四島が、例えば安全保障、防衛上もどういつだ仕組みで行われていくかということも大変関心があるのではないかと思います。  そういったいわば社会生活の面あるいは安全保障の面で、どういつだ考え方でこれから交渉を進めていかれるおつもりか、お考えがございましたらばお聞かせいただきたいと思います。
  56. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 返還後のことのお尋ねでございますが、確かに一万七千余の方々が今現在居住されておられるわけでございまして、一般論ではございますけれども、北方四島に居住する住民の処遇につきましては、返還後も十分尊重していくという考え方は従来から述べておるところでございます。
  57. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 それからもう一つ、今度、共同投資会社の設立あるいは貿易保険の要件緩和等がなされたわけでございますけれども、こういった共同事業に対する政府支出、今非常に財政が逼迫しておるわけですけれども、どの程度の支出になるのか、それから財源はいわゆるODA予算となるのか、その辺の見通しについてお答えいただければ幸いです。
  58. 西村(六)政府委員(西村六善)

    ○西村(六)政府委員 今先生がおっしゃられました貿易保険の条件の緩和、弾力化といったような措置は、現にロシアとの関係の取引におきまして適用が行われているわけでございますが、費用は貿易保険会計において処理されているところでございます。  政府がロシア側に対しまして行っております各種の支援は幾つかのものがございまして、特に九一年以来実行してきているところでございます。いずれもこれは、我が国とロシアを含みます旧ソ連十二カ国との間で締結されました協定に基づきまして設置されております支援委員会というものがございまして、そこに対する拠出金や、それから、関係しております幾つかの省庁において予算化されておりますところのロシアに対しまする技術支援予算というものでございまして、そういった予算から支出されているわけでございますけれども、これらはいずれも政府開発援助の予算ではないわけでございます。
  59. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 ありがとうございました。  それでは、ちょっと時間の関係で、別のテーマに移らせていただきたいと思います。  昨年、ちょうど一年ほど前にも衆議院の外務委員会質問したことでございますが、いわゆるジュネーブ四条約、通称赤十字条約と言われているものについて御質問したいと思います。  これは、日本がサンフランシスコ講和条約に加入するに当たって、第二次大戦中の捕虜に対する扱い等々の配慮から、さかのぼって一九四九年に調印された赤十字条約に加入するという条件でサンフランシスコ講和条約に入ったという非常に重要な条約でございまして、これが七七年の追加議定書が調印されてから実は日本がまだ加盟をしていないわけでございます。  昨年私が質問した際には、アメリカ、イギリス、フランス等も入っていないとかいうことがございまして、先ほど冒頭で申しましたように他国の状況を見ながらということであったわけですが、それで二十年間どういう研究をされてこられたのかと昨年御質問をさせていただきましたら、いろいろと検討してきた、今後努力をするというのが昨年でございましたが、実は一年たっておりますけれども、どうも動きがないようでございまして、その後、ことしの一月十四日にはカンボジアが加入しました、それから二十八日にはイギリスも加入いたしました。それで、この第一追加議定書には百五十カ国、それから第二追加議定書には何と百四十二カ国が加盟しておるわけです。  こういう状況にもかかわらず、それから昨年も申しましたが、これは要するに戦争中の戦闘員、文民あるいは捕虜といったことに関する条約ですから、ペルーの人質事件とか、あるいはテロ事件、あるいは内戦等、あるいは日本から人が国際協力で出ていくというような状況もあることにかんがみ、これは日本が入っていない方がおかしい。おかしいのに対して、イギリス、フランス等々がという、昨年ございましたけれども、イギリスも入り、それからある意味では内戦状態、戦乱状態が続いているカンボジアのような国もことし入っているというような状況からかんがみまして、冒頭の大臣のお話もございましたけれども、なぜ入っていないのか、入っていない方が全くおかしいというふうに思われるわけです。  現在の状況について、及びいつ入られる状況があるのか、もう状況が整ってからというような説明を聞く時期は過ぎたような気がいたしますが、いかがでございますでしょうか。
  60. 上田政府委員(上田秀明)

    ○上田政府委員 お答えいたします。  ただいま委員から御指摘ございましたような経緯で一九七七年に採択されたジュネーブ条約の追加議定書でございますけれども、昨年の当委員会におきます御質問の際も政府委員の方から御説明したところでございますけれども、全体といたしまして、今委員が御指摘のように、さまざまな角度から意義深いものであるというところでございますけれども、他方、この追加議定書そのものの各条項によりましては、長い交渉の結果合意されました、妥協の産物と言うとあれでございますけれども、そういうような経緯もございまして、日本採択に当たって賛同し得なかった部分もあるわけでございます。  そこで、日本としてそれをどう考え、あるいは国内法の整備の必要があるかどうか等を慎重に検討する必要があるという状況でございます。  今委員が御指摘のとおりに、英米仏日等が入っていなかった中において、イギリスがことしの一月に締結したという事情がございます。私どもとしても、そこを十分重要視していかなきゃいかぬと思いまして、目下、イギリスもいろいろと実は問題視していた経緯がありますので、那辺の事情によって、それをいかにして処理して入ることにしたのかというようなところを、実は今詳しく調査をしております。  それから、国内におきましては、私ども部内でいろいろ検討いたしておりますけれども、扱うべき問題が非常に広範囲にわたっておりますので、実は複数の学識経験者の方々に調査研究をお願いいたしまして、一部成果をいただいておりますが、さらに全員の方々から成果をいただければと思っております。そういうような調査研究等も参考にさせていただきながら、総合的に検討を進めてまいりたいと思っております。  繰り返しになりますけれども、規定の一つ一つにかかわります日本関係省庁も多うございますし、検討にはなかなか時間がかかっているのが実情でございます。
  61. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 四カ国だけの協定でございませんで、百四十二カ国が入っておるわけでございます。いろいろ賛同し得なかった部分があるとおっしゃいますが、百四十二カ国がやはり賛同して入っているわけでございますし、それから国内法関係省庁が広範囲ということですが、これは百四十二カ国とも広範な国内法等を超えて入っているわけですから、これやはり百四十二も入っていて、たかだか二十カ国でということであるなら別ですけれども、むしろ私は、最近のテロその他の状況からいって、入っていることのメリットが多いのではないかというくらいのことでございますので、今百四十二も入っていて、その賛同し得ない部分というのがあるならば、イギリスについて調べるということではなく、賛同し得ない部分は何と何なのかというようなことについては、これは二カ国交渉ではございませんので、むしろもうちょっと具体的におっしゃっていただきたいと思うんです。
  62. 上田政府委員(上田秀明)

    ○上田政府委員 一つの例でございますけれども、この第一追加議定書の四十四条に、戦闘員と捕虜についての規定がございまして、戦闘員が捕虜としての待遇を得るための条件が、親の条約になりますジュネーブ条約の第三条に比しまして著しく緩和されております。それによって戦闘員の保護は確かに厚くなっておりますけれども、他方、文民と戦闘員の識別が明確に行われない結果を生むのではないか、その結果として、文民に対する保護が十分にならないのじゃないかというようなことを、例えばの例でございますけれども、申し上げさせていただきます。
  63. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 むしろ文民と戦闘員の区別がつかないのが最近のテロあるいは内戦の状況じゃないかと思います。いずれにしましても、これだけの客観情勢があるわけですから、やはり日本外交として、こういったものに入っていないことのデメリットの方がはるかに多いと思いますので、速やかにこのプロセスを進めていただきたいということをお願いいたしまして、時間の関係で最後の質問に移りたいと思います。  最後の質問は、せっかく小渕大臣でございますので、対人地雷の全面禁止条約の批准についてお伺いをしたいと思いますが、先日も、長野オリンピックの最終聖火ランナーのクリス・ムーンさんが出版の関係で来日をしておられまして、私もレセプションに参加をしておりまして、大臣の方からも究極的な全面禁止に向けての決意ということをごあいきつの中で承りまして、大変意を強くしたわけでございますが、四十カ国が発効するまでに批准が必要なわけですが、現在のところ八カ国まで来ているというふうに聞いております。  最近、ドイツの方でこの批准に向けての閣議決定がなされたというふうに聞いておりますが、そのドイツの閣議決定の内容について、ドイツの場合も日本と同じように米軍の基地が存在する、そして米軍が地雷を持っておる、その地雷の貯蔵、使用あるいはその輸送について、このドイツの閣議決定がどういう内容であったのかということについてまずお伺いをしたいと思います。
  64. 阿部政府委員(阿部信泰)

    ○阿部政府委員 お答え申し上げます。  ドイツでは、ことしの一月に、条約締結の準備のために国内法を閣議で決定したと聞いております。その中では、まず、ドイツ連邦軍の持っております地雷をすべて廃棄するということ、それから、ドイツにおける対人地雷の輸出を禁止すること、それから、ドイツ国内における地雷の製造、取り扱いなどを禁止する、そのための罰則、こういつたことを定めた法案を閣議で決定したと承知しております。
  65. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 済みません、そうしますと、米軍の地雷についてはいかがでしょうか。
  66. 阿部政府委員(阿部信泰)

    ○阿部政府委員 ただいまちょっとこの閣議決定、その中において具体的に言及しておるかどうかは定かでありませんけれども、ドイツがとります解釈としましては、ドイツにあります米軍基地に置かれている米軍の地雷については、これは条約の適用外であるというのがドイツの解釈と承知しております。
  67. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 それから、ヨーロッパにおきましてはスペイン、イタリア、ノルウェーでしょうか、やはりNATOに加盟をし、かつオタワ条約に調印をした国で、日本に類似をしている国々でございますが、その三つの国におけるところの批准に向けての動き、あるいはヨーロッパ全体における、米軍基地が存在しない国も含めたヨーロッパにおける批准に向けての動きについて簡単にお答えいただければ幸いです。
  68. 阿部政府委員(阿部信泰)

    ○阿部政府委員 ヨーロッパにおきましては幾つかの国が米軍の地上軍の基地を持っておりまして、その関係で御指摘のような関係が出てくるわけでございますが、ノルウェーにつきましては若干事情が違いまして、米軍の基地というよりも、ノルウェー軍の基地に米軍の資材が置かれているというふうに承知しております。  現在、ヨーロッパでは、アイルランドその他五カ国が批准を終えて締結しております。それから、ドイツなどのように、その準備として国内法を閣議決定しあるいは定めたという国もあるように承知しておりますが、その他の国については必ずしもまだ細かい動きは明らかではありませんけれども、幾つかの国では、ことしの夏までに批准を終えるという考えで動いていると承知しております。
  69. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 この条約が発効するには四十カ国が必要である。今までの、つまり一昨年のリヨン・サミットにおける橋本総理の提案、それから、昨年の日本の外務省主催の対人地雷の会議、それから小渕外務大臣のリーダーシップによるオタワ条約の調印という流れからしまして、私はやはり四十カ国以内で入っていただきたい。そういう思いと同時に、先ほどのジュネーブ条約の際にも出てまいりましたが、実際に、いろいろな国が妥協の産物で条約をつくって、それから解釈についても、やはり恐らく発効するまでに、つまり四十カ国が実際の解釈について決めるのだろうと思うのです。  つまり、今ドイツその他の状況をお伺いしましたが、四十カ国以内に決めた国が、例えばその国における自分の保有地雷についてはどういうふうに解釈をする、あるいは自分の国にある米軍基地の地雷についてはどういうふうに解釈をするということでございますから、もし日本が四十カ国以内に入るということは、日本もその点について主体的に、自分の解釈を持ってそして入るわけですから、後に立って、その条約の中身について問題が起こるということは極めて少なくなると思います。  もし、ほかの国々が四十カ国で批准をした後におくればせながら日本が入る場合には、既に先例があるわけです。特に、もし、ほかのドイツを含めたヨーロッパの四つの国々が先に批准をして、ということは、同じ状況ですから、ある程度の解釈といいますか実効的な意味が確定した後で日本が入っても、かえって日本の方が不自由な状況になってしまう。日本の今までの、この条約についてもそうですけれども、ほかの国の状況を極めて慎重に考慮をしながらということでありますと、ドイツにおける在独米軍基地の地雷の扱い方、あるいはスペイン、あるいはイタリア等における米軍基地の地雷の扱い方ということがそれらの国々においてある程度確定をした上で、批准をした後で日本が入ったのでは、そういう実態を日本の方で覆すことは非常に難しいという意味からも、これはやはり四十カ国以内に日本が入ることの意味は非常に大きいのではないかと思いますが、大臣、その点について、決意を含めてお聞かせをいただければ幸いです。
  70. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 先ほど来、各委員から御質疑がありましたように、国際的な各条約について、長年にわたってこれを結ばなかったものもありますし、結んだ後なかなか批准を得られないというような問題もあります。今御指摘対人地雷禁止条約につきましては、我が国としてこれを署名し参加したわけでございますから、委員指摘のように、ぜひこれが発効前に、日本としても国会の批准を得るべく最大の努力を傾注していかなければならぬと思っており、その努力をいたしております。  ただ、今、委員も御専門で十分御承知ですが、特に日本とドイツ、あるいはその他の国々との関連性もございます。ただドイツと日本との関係も、厳密に言えば、米軍との関係を言えば、相互安全保障的なNATOでの責任を負っているドイツとまた我が国立場は異にしているような点もございまして、また、置かれたその地域全体の安定度というような問題もありまして、この点についてはなかなか一概に比較し得ないものがありますけれども、しかし、類似な点について同様の問題点を持っておられる国々の状況というものは十分注目していかなければなりませんし、同時に、せっかくの署名をいたしました以上は、我が国としての立場をできる限り早く明らかにする努力はいたさなければならぬと思っておりますので、最大努力をいたしてまいりたいと思っております。
  71. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 ありがとうございます。  発効前に批准ができるように努力をということでございましたが、具体的には、秋の臨時国会までにその批准の法案を上げていただかないと年内に、年内にと申しますのは、恐らく年末までには四十カ国が批准をするのではないかという見通しがかなり強いようでございまして、ということは、秋の臨時国会に法案を上げていただく必要があるわけですが、そのために、これから夏、各国状況を見ながら条約局あるいは法制局等、それから国内法の整備も含めて臨時国会で上げていただく必要があるわけですが、その見通し及び決意について改めて外務大臣からお答えいただければ幸いです。
  72. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 正直申し上げて、すべての問題が処理されておるとは言いがたい点がありますので、前提となるべき諸条件をできる限り早く詰めてまいりまして、申し上げましたように、可及的速やかに国会にこのことの批准を求める努力をいたす、いたしたい、このように思っております。
  73. 藤田(幸)委員(藤田幸久)

    藤田(幸)委員 大変力強いお言葉、ありがとうございました。  これで私の質問を終わらせていただきます。
  74. 福田委員長代理(福田康夫)

    ○福田委員長代理 丸谷佳織君。
  75. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に三本の条約の審議をさせていただきまして、残った時間で先ほどの、日ロ、川奈の会談等につきましても御質問をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず最初に、車両等型式認定相互承認協定についてなのですけれども、本協定我が国が加入をしますことで、我が国が適用しています規則と同じ規則を適用している国で型式認定が行われた部品は、我が国の法令に適合すると認められるようになるわけなんですけれども、現在予定されている部品の種類をまずお願いします。
  76. 中山説明員(中山寛治)

    ○中山説明員 お答えいたします。  現在日本におきまして考えておりますのは、我が国基準と国連の基準との調和が既に図られているもの、そしてかつ、日本におきます審査の実施体制が整っているものというものについて相互承認を適用する方向でございます。  具体的に申し上げますと、協定加入当初は、乗用車のブレーキそれから反射器などの五つの規則に対応します八品目への適用を予定しておりますが、最終的には、内外の関係者の意見を聞きまして、それを考慮しつつ決定したいというふうに思っております。
  77. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 今、八品目に適用の予定というお答えだったのですけれども、先ほど森田代議士の質問お答えになりまして、本協定締約するメリットといいますのは、技術的な手続の簡素化等、仕事が早く進むというようなお答えがあったと思うのですけれども、八品目ではちょっと少ないのかな、メリットはそれほどないのではないかという危惧もあるのですが、いかがでしょうか。
  78. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  まず、八品目ということでございますが、その八品目についてのメリットというのは、先ほども御答弁させていただきましたように、ちょっと具体的に説明させていただきますと、現状では、例えば、我が方の製造者が欧州諸国に輸出しようとして型式認定を受けるためには当該国の当局に申請しなければならない。しかし、今回の協定に加盟させていただきまして、規則に基づく認定我が国から受ければ、当該の製造業者は、相手国規則を適用している限り、改めて型式認定を受けることが必要なくなります。したがいまして、その意味での手続的な節約、簡素化ということで、輸出の促進ということになるかと思います。  これは、同じようなことは外国から、特にこの規則を適用しています国から日本に輸入しようとする際にも、輸入業者は同じような簡便な手続を経られるということで、輸入促進になります。したがいまして、まずこういったメリットがあるということで、今後、国内の整備が進めばさらに対象品目をふやしていくということだと理解しております。
  79. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 実際に、我が国が適用を予定しています規則をもう既に適用している国が多ければ多いほど、やはり我が国メリットも大きくなってまいりますし、実際に本協定の意義も大きくなってくると思いますので、今後とも、加盟国の増加に向けた働きかけをよろしくお願い申し上げます。  続きまして、次の条約、一九九一年植物品種保護条約についてお伺いします。  この条約なんですけれども、知的財産権保護を強化していくという観点では、今回のUPOV条約改正も評価すべきものというふうに思われますが、一方、本条約締約国が少ないのではないかな、締約国が少ないことで何か支障を来すことはないのだろうかという視点で幾つ質問させていただきたいと思います。  まず最初に、品種登録制度の整っていない第三国に種子が流出して、その種子が無許可で栽培をされた場合に、我が国としてはどんな措置をとることができるのか、お伺いします。
  80. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  この条約では、保護を求める国ごとに育成者権利を取得することになっている。したがいまして、我が国がこの条約締約国となった場合に、我が国及び我が国以外の締約国において権利を取得している育成者は、その権利を行使することによって、第三国において無許可で栽培された品種我が国あるいは我が国以外の締約国に輸入されることを阻止することができるようになっております。  また、この条約締結していない国においても、既にこの条約に適合した品種保護制度国内的に整備している国においては、その国で権利を取得さえしていれば、その権利を行使することでその国の輸入を阻止することができる。こういった形で権利保護が行われるということでございます。
  81. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 今は、無許可で栽培された場合の措置について御説明していただいたわけですね。  それでは、品種登録制度の整っていない第三国で無許可で栽培をされて、日本あるいは日本以外の締約国あるいは未締約国、この三つのケースについて御説明願います。輸出された場合ですね。――それも今お答えいただいてしまいましたか。そうですが、わかりました。  そういった措置をとっていただけるということなんですけれども、実際に、この植物品種育成者知的財産権を、保護を強化していこうとするときに、本条約加盟国があるということでその保護がなかなか図られないようなことがあるとするならば、この条約締結していく意義というのもやはり半減してしまうのではないかというふうにも思われます。そうしないためにも、加盟国の増加に向けた政府の具体的な施策が必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。現在加盟の見通しがある国についてもあわせてお伺いします。
  82. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 現在のところ、締約している国は、実は六カ国でございます。この条約は実は既存の条約の、七八年の条約改正ということでございますので、七八年条約に入っている国の三カ国と、その他新たな国を含めて全部で五カ国があれば発効するようになっております。したがって、もう六カ国ございますので、実はきょう二十四日に発効することになっております。  もちろん、御指摘のとおりできるだけ多くの国が参加することが望ましいわけでございまして、そのような努力を続けさせていただきますが、主要先進国も近いうち、さらにこの締約国の中に加わると理解しております。
  83. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 加盟国増加に向けての具体的な施策というのは今お答えになっていないのですけれども、それはまだ、今後話し合って働きかけていく、外交対話を続けていくということですか。
  84. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 そうでございます。引き続き外交的に努力していくということでございます。
  85. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 わかりました。その外交努力をぜひよろしくお願い申し上げます。  続きまして、三本目の条約大西洋まぐろ類保存条約改正議定書について質問をさせていただきたいというふうに思います。  この大西洋まぐろ類保存条約改正議定書は、ICCATへの分担金をある程度以上滞納した国に対するまず罰則規定というものがあると思うのですが、その罰則規定についてお伺いします。
  86. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  条約では、分担金滞納国に対して委員会におけるその国の投票権を停止することができる、そういった規定がございます。
  87. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 では、その投票権を停止するといった今罰則が適用されたことが過去にはありますか。
  88. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 現在までのところ、滞納国はございますけれども、そのような国に対して投票権が停止されたという事実はございません。
  89. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 この大西洋まぐろ類保存条約の第十条の8というのは、「投票権を停止することができる。」という項目ですので、今、実際には投票権を停止したことはないというお答えだったのですけれども、現実には、ある程度以上の期間この分担金滞納している国はあるわけですね。その中で、実際に罰則をまだ適用していないということになりますと、まず最初に罰則が適用されなかったからこそ、その後対象となっている国々が、何というのでしょう、安心をして滞納してしまうようになったのかなという気もしますが、なぜICCATが罰則を適用しなかったのでしょうか。
  90. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  今まで分担金滞納していた国がどうして滞納していたかということについて、いろいろなその国の事情があるかと思いますけれども、それらの国に対して投票権は停止されていないということについて考えますに、やはり大西洋における漁業資源の保存と管理ということにおいて、できるだけ幅広い関係国が参加しているということが必要だということでございまして、できるだけ投票権の停止ということには訴えないで、これらの国が実質的な参加、協力事業に参加していくということをまず第一にしていたことがその一つ理由ではないかと推測しております。
  91. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 今回のこの条約改正の背景には、経費の増加及び途上国による分担金の未納によりICCATの赤字が急増した、委員会財政事情が大幅に悪化したことという背景が、御説明を受けていますものですから今の質問をしたわけなんですけれども、実際に本議定書の発効によりまして分担金算定方式が変更される。そして、途上国分担金は軽減されて先進国の分担金は増大をする。先ほど森田代議士もおっしゃっていましたけれども、この改定によって実際に滞納金がなくなるかといえば、やはりまだ首をかしげる部分が残っているのではないかなというふうに思われます。  今後は、こういった条約に規定されている罰則は厳格にやはり適用していくべきではないか、これは意地悪で言うのではなく、やはり国際的なルールをみんなで決めたわけですから、それは守っていこうとするのも、国際社会に参加する国のあり方の一つ態度ではないかなというふうに私は思うわけなんです。例えば、厳しい言い方をしますが、投票権が停止をされても、一回罰則を適用しても、それでも分担金を支払う努力が見られないような国に対しましては、漁獲割り当て量の削減などの措置を設けるといったような罰則も考えられるとは思うのですが、小渕外務大臣はどのようにお考えですか。
  92. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 委員指摘のように、各種の国際協定に伴いましての分担金の支払いにつきましては、現在、それぞれの国の中でかなりこれを滞納しておる国が現実に存在しておりまして、そういった点で、本条約も、これを改善すべきための新たな協定ということになっておるだろうと思います。  我が国は、言うまでもありませんが、こうした条約協定が結ばれれば、必ずそれに伴う分担金につきましては、国連も含めまして最もこれを遵守して、滞納することなく支払いをしておる。こうした国から見ますると、御指摘は極めて率直に理解をするところでございますが、先ほども経済局長答弁を申し上げましたように、一概にそうしたいろいろの制裁措置を講じていきますと、やはり国際社会の中でそうした国々が協定の外に出るということであってはまたいけないと思いますので、我が国としては他の締約国と協力して、滞納国への働きかけも含めまして、分担金滞納の問題の解消のために努力をしていくということを続けてまいりたいと思っております。
  93. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 資料を見ましたら、滞納金が、決して一国としては払えないような額ではないのですね。先ほど百八十万でしたか、そういった御答弁もあったと思うのですけれども、やはりちょっとした働きかけでそれは払っていただけるものなのではないかなというふうにも思いますので、今後、努力をよろしくお願いを申し上げます。  昨年の外務委員会では、地中海漁業協定ですか、審議をされましたけれども、このマグロ類保存管理のための国際機関には、ICCATのほか、今言いました地中海漁業一般理事協定ですとか、全米熱帯まぐろ類条約、それからみなみまぐろ保存条約、インド洋まぐろ類委員会等ありますが、我が国の主要漁場であります北太平洋及び中西部太平洋には、こういった国際機関が現在存在しておりません。この地域で国際機関を設立する方向で努力をされているというふうにも伺っておりますけれども、これまでの進捗状況並びに今後の見通しについてお伺いします。
  94. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  北太平洋及び中部太平洋それぞれにつきまして、国際的な枠組みの設立に向けた努力が行われております。  まず北太平洋でございますが、科学的情報の収集や調査を目的とした協力の枠組み確立ということで、我が国及びアメリカの主導によって、北太平洋沿岸国の参加を得て、九六年五月に北太平洋まぐろ暫定科学委員会というものが日本で開催されております。二年ごとに開催するということになっておりまして、ことしの十二月あるいは来年一月にアメリカで開催されます。このような方向で北太平洋方面での協力の体制をつくっている最中でございます。  中部太平洋につきましては、当該地域における漁業管理機関の設立の検討を目的としまして、九四年にソロモンにおいて、豪州、ニュージーランド、太平洋諸島、我が国、米国等の漁業国が参加しまして、高級事務レベル会合を開催しております。また、去年も第二回会合を開催して、二〇〇〇年中には当該地域に国連海洋法条約にのっとった地域漁業管理の枠組みを設立するということで意見の一致を見ております。  このような方向で協力が進んでおります。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 マグロといいますと、やはり日本人はかなり食する方が多くて、その摂取量も世界的に見ても多いものですから、こういった協定締結するように積極的に動いていただきたいというふうに思います。  以上、三本の条約質疑を終わらせていただきます。  続きまして、今月七日、本会議で、橋本総理のASEMの帰朝報告について代表質問をさせていただきました。  その際に、小渕外務大臣も、ASEMのときにロンドンにいらっしゃいまして、その足でボスニアの方にいらっしゃった。先ほどもテーマになっていましたが、対人地雷の件ですとか、あるいはボスニアで行われます統一選挙のことにつきまして、関連事項で私が質問をさせていただいたわけなんですけれども、その中で、本年九月に予定されていますボスニア統一選挙に日本から選挙監視要員を派遣する方針をボスニア・ヘルツェゴビナで表明されましたが、その規模と、自衛隊員派遣の有無についてお答えくださいという質問をさせていただきましたところ、外務大臣お答えが、ボスニアの選挙における選挙監視要員の派遣については、現在、ボスニア選挙の準備と実施に当たる欧州安全保障協力機構が、監視の方法、必要とされる要員の規模等につき計画を策定中である、我が国監視要員の規模と構成については、その結果等を踏まえて、自衛隊員の派遣の有無も含めて具体的に検討をしていきたいという御答弁をしていただいております。  この御答弁をいただいた後のある新聞には、自衛隊員の派遣も視野に入れてといった報道もされたのですけれども、いま一度、外務大臣がこの御答弁をされた趣旨を確認させていただきたいと思います。
  96. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 ボスニアの選挙における選挙監視要員の派遣について、本会議でもお尋ねをちょうだいいたしました。  前回、私の答弁は、ボスニア選挙に派遣予定の我が国選挙監視要員の規模、構成、派遣形態等について、いまだ決まっていないとの趣旨を実は申し述べたところでございまして、自衛隊の派遣について若干前向きの発言ととらえられておるとすれば、そうした趣旨では実はございませんでして、過去二回のボスニア選挙の監視要員の派遣に際しましても自衛隊員は派遣しておらず、今回もこれまで同様、自衛隊員をボスニアの選挙監視要員として派遣をする考え方は今のところございません。
  97. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 それでは、もう一つ確認をさせていただきたいのですが、現在PKO法の改正案が衆議院の方に提出をされております。この改正案によりまして、国連のみならず、OSCE、先ほどの欧州安全保障協力機構なんですが、OSCEなどの地域的国際機関が行う選挙監視活動にも我が国の平和協力隊を派遣できるようにすることが今回の改正案の方に盛り込まれておりますが、この改正案が原案どおり衆参両院を通過して成立したとしても、選挙監視活動に自衛隊を派遣することは私にはちょっと無理があるのではないかというふうに思いますが、外務大臣の御所見をお伺いします。
  98. 西村(六)政府委員(西村六善)

    ○西村(六)政府委員 今、突然の御質問でございますが、今先生がおっしゃられますとおり、国際平和協力法は、これから審議を行われることになっている次第でございますので、その法律自体につきまして御説明をすることは、私自身の管轄でもございませんものでございますので、差し控えさせていただきたいのでございますけれども、自衛隊員が選挙の監視等に行く、派遣されるということ自体につきましては、厳密な法律論といたしましては、外務省の設置法に基づいて行うことは理論的には可能でございますけれども、ただいま外務大臣がるる御説明をいたしましたとおり、今回のボスニアの選挙監視に自衛隊の自衛隊員を派遣するという計画はない次第でございますので、その点を改めて確認させていただきたいと思います。
  99. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 外務大臣が今おっしゃっていただいたことは、十分私にも理解ができているわけです。その上で、もう一つの視点から確認をさせていただきたかったということで、今回のPKOの改正案が通過した場合に、自衛隊の派遣はできるのかできないのか、あり得るのかという質問なんですが、いかがでしょうか。
  100. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 今回のPKO法の改正案につきましては、今お話しの選挙監視につきましては、通過の場合、その可能性は認められると思いますが、しかし、その事態に対応して派遣するかしないかは、そのときの政府の判断にゆだねられるものだ、このように思っております。
  101. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 今、外務大臣は、選挙監視活動に自衛隊が派遣されることは認められるとおっしゃいましたか。
  102. 竹内政府委員(竹内行夫)

    ○竹内政府委員 PKO法の改正後の状況におきまして、具体的にいかにそれを運用するかということは、今大臣から御答弁申しましたとおり、その時々の状況によるわけでございます。  ただ、毒口申し上げられますのは、選挙監視要員と申しますと、まさに選挙が民主的、公平に行われるということを見守るための専門的知識を持ち、それなりの経験なり知識なりを有した人たちを送るということが本来の趣旨であろうと思われます。  その観点から、自衛隊員というのがいわゆる選挙監視要員ということに、適当な役割にあるかということについては、これは十分慎重な検討が必要だろう、そういうことだろうと思います。
  103. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 適当か適当でないかというのは議論していくということであっても、選挙監視活動に自衛隊の派遣は認められるところであるという御答弁だというふうに理解をさせていただいていいわけですね。――はい、ありがとうございました。  選挙監視業務といいますのは、実際に、国際的な認識では、文民が行う活動なのではないか。これは、現在のPKO法でも、改正案でのPKO法でも、そのように私は認識をしているわけなんですけれども、ちょっと今時間がなくなってまいりましたので、今後、引き続きまた質問をさせていただきたいというふうに思います。  最後の質問になるかと思うのですけれども、川奈で行われました総理と大統領の非公式の会談について幾つ質問の用意をさせていただいたわけなんですけれども、先ほどの藤田議員とのやりとりを聞いていまして、どこまで聞いたらお答えいただけるのかというのが、私自身ももうすっかり悩んでしまいまして、そこのあたりをちょっとお伺いしたいというふうに思うのです。  会談が非公式であるという点と、あとは微妙な外交案件であるので、橋本総理が提案をされた興味のある新提案等については詳しい御答弁、御説明はいただけていないわけなんですけれども、実際に日本の主権にかかわってくるような案件であろうというふうに予測をされるわけですね。この主権にかかわる問題について、この国会で、しかも外務委員会という場で説明をしていただけないこと、また議論が交わされないことというのは非常におかしいのではないかというふうに思います。外務大臣、いかがお考えですか。
  104. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 川奈におきまして橋本総理とエリツィン大統領との非公式の首脳会談、クラスノヤルスクに次いで二度目でございます。  非公式か公式かということでございますが、私も役人出身ではありませんけれども、公式となると、それぞれのスタッフをすべて双方に並べまして、一言一句、それを法的に確かめながらやっていくというような形になりますが、非公式という形の中でお互いの本音をぶつけ合うという意味で、首脳同士の話し合いとしては非公式という会談は極めて有効なものだというふうに思っております。  それから、特にロシアの場合には、それぞれ民主的な議会もございますし、いろいろ政治の仕組みも、我が国と同じような形になりつつあると思いますけれども、やはりある意味でのトップダウンといいますか、大統領自身の決断なり判断なりというものが極めて重要だということで、そういった意味で、今回も、二度目ではございますけれども、非常に有効であったのではないかというふうに思っております。  それから、なるほど当委員会におきまして、すべからくすべての話についてお話し申し上げるということの必要性はわかりますが、また、逆に言いますと、先生方からも、すべて逐一交渉の内容にわたって詳細に報告せよ、こう言っておりません。したがって、どこまでどうお話しするかということについては、実は極めて難しいことでございます。  例えば、先ほど渡辺大臣の御発言もありました。その話は、境界線の問題といわゆる施政権の問題でございますが、この問題も、こうしたものが存在をした、あるいは存在をしたことで、かつて我が国の外務大臣、責任者がそのように答弁しておったということは、切り返しになるかもしれませんけれども、そのことをもって相手方がすべてそのことを認識するとは言いがたい点も、過去、日ソ、日ロの交渉の経過を見ますと非常にそういうことで、一つを取り上げてそれが事実だということを言われましても、相手方がすべての交渉の経過を認識し、それを納得してくれればよろしゅうございますけれども。  もともとをただせば、それこそプチャーチンと我が江戸幕府との話し合いによる交渉から始まりまして、戦後でも、鳩山総理が、日ソ共同宣言によれば、平和条約によって二島が返還されるということも約束済みでございますが、フルシチョフの段階においては、既にそのことも交渉の中で、ロシア側はかなり否定的なことを申された経緯もありまして、一つ一つ我が方からいってこれが正しいものだということを申し上げても、交渉でございますので、その点については、これから始まる交渉について、できる限り我が国としての国益を踏まえて、我が国の主権を守りつつ、どういうふうな話し合いに入っていくかということでございます。  大変歯切れの悪い御答弁をほかの委員の先生方に申し上げて恐縮でございますが、ぜひこの点は御理解をいただき、前向きに、二〇〇〇年までに何としても平和条約締結するという方向に向かって、首脳同士の話し合いはこれからかなりの回数行われますので、一つ一つ積み上げていく努力をいたしてまいりたいと思いますので、御支援をいただきたいと思っております。
  105. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 憲法の「第五章内閣」第七十三条に、外交関係を処理するのは内閣の仕事だというふうに憲法で定められておりますので、国会に提出しなければいけないという義務はないというふうに憲法では解釈しようもあるのですけれども、やはりこういつた外交案件、そして国家主権にかかわる問題は綿密な、先ほど外交はステップアップして、段階を、層を重ねていくものだというふうなお話もありましたけれども、では次は、こうしたときにどういつだ対応をしょうとか、そういったことも特に外務委員会では話し合っていかなければいけないのではないかなというふうにも思われます。  河野太郎代議士が中心になりまして、外務委員会の改革案、これはもう委員長の方に提出をさせていただいておりますけれども、この中で「秘密会」というのがございまして、「外務委員会および小委員会は必要に応じて秘密会を開催することができる。」ここで提示された情報を漏えいした委員は、速やかに外務委員会を除名されて、次の選挙が終わるまで外務委員会に籍を置くことはできない、こういった改革案もあるのです。  最後の質問なんですけれども、こういった秘密会が設定された場合、そのときには、今お答えいただけなかったようなこともお答えいただけるようになるのでしょうか。
  106. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 今、私、政府立場でございますので、国会のあり方について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、往々に、外交の問題につきましては、諸外国の例を見ましても、秘密会等で本当に本質に触れてのいろいろお話し合いがされている国々が存在していることは、私も承知をいたしております。
  107. 丸谷委員(丸谷佳織)

    ○丸谷委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  108. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 西田猛君。
  109. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。三十分質問をさせていただきたいと思います。  人間として、あるいは同僚議員として、若き女性の悩みを聞くと、ぜひ助けなければならないと思うのでありまして、今丸谷議員は大変悩んでおられます。要するに、この外務委員会でどのようなことをどの程度までお聞きしたら答えていただけるというか、明らかになるのか、これが全く我々には見えてこないわけでございます。  今丸谷議員も指摘されました憲法の七十三条の内閣の機能については、「外交関係を処理すること。」というのが内閣の事務だというふうに書いてございます。これはもう小渕大臣も重々よく御承知のことだと思います憲法第七十三条、「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」「外交関係を処理すること。」と書いておりますが、これについては大臣はどのようにお考えでしょうか。  すなわち、憲法でそう書いてあるということは、外交関係を処理するのは内閣の専管事項であって、国会には必要に応じて内閣が必要と思うことを報告すればいいだけであって、国会からの求めに応ずること、すべて報告ないし情報公開しなければいけないということではないというふうな御認識でしょうか。
  110. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 内閣とて国会に離れておることではないのでありまして、言うまでもありませんが、内閣総理大臣は国会の規律によって選ばれることでございますが、事外交の案件につきましては、相手国との交渉のこともございますので、その交渉の過程におきましては、内閣として、そうした対象とする国々との間の交渉の過程につきましては、すべて公開をするということは従来控えさせていただいておるのではないかと思います。  しかし同時に、国会でのいろいろな諸議論を承りながら対処することもこれまた事実でございまして、そういった点で、国会の意思といいますか、そうしたものも承りながら、内閣としては外交案件について責任を果たしていくという姿でなかろうかと存じております。
  111. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 従来どおりのお話だと思うのですけれども、内閣が外国との交渉の過程をつまびらかにしないことによって守られる利益というのは一体どういうことなんでしょうか。  先ほど大臣は、ロシアとの交渉の件について、落ちついた静かな雰囲気の中でやっていきたいんだというふうにおっしゃいました。国会でいろいろなことを報告する、あるいは国会に相談をする。国会は、これはもう私などが申し上げるよりも、大臣は長年国会の、憲政の子として活動をしてこられたわけでありまして、憲法に定められた国権の最高機関でございます。その国権の最高機関に外交について口を挟ませないことが、静かで落ちついた雰囲気をつくるということなのでしょうか。
  112. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 それは違うと思いまして、私が答弁申し上げたのは、特に日ロの関係、特に今般の川奈の首脳会談におきまして、五十二年もたって本来的戦争状態は終結いたしておりますものについて、なお領土をめぐって双方の基本的な関係が解決をせず、いわゆる平和条約を結ばれておらないという状況の中で、いよいよ二〇〇〇年を前にして極めて最終段階に来っております。  こういう中で今回の川奈の会談が行われ、我が国の総理としても極めて重要な提案をなされ、かつそれに対してエリツィン大統領もそれを受けられて検討する、こういうことでございますが、委員も御承知のように、連日のメディアは、これをこうした形のものではなかったかといって報道される。その日本における報道ぶりと、かの国の報道ぶりについての差異は先ほど来お話ございましたが、そういう中でいろいろと報道がなされることによって、それがそれぞれ相手国に対しての反応も呼び起こしてくるということでございます。  責任者としての最終的判断をすることに、それぞれの国々におけるいろいろな主張はあってしかるべきだと思いますし、メディアもこれを表現することは結構だろうと思いますけれども、しかし、そのことについての我が国における世論もまだ決定をされておらない段階でございますので、本件については、できる限り、静かに落ちついた環境の中で、この問題について双方しっかり問題の所在を理解して最終的な段階に至るように努力をするという趣旨で申し上げたのでございまして、決して国会における御議論を否定するとかそういうものでないことは御理解いただきたいと思います。
  113. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 そこのところが、大臣、基本的な認識が少し違うのではないかと思うのです。  恐らく大臣も野党の立場で当時、三年前の細川連立内閣のときにも、自民党の議員の皆さんは大変外交関係についても指摘をしてこられたのだと思います。世論は大切でございます、しかし、世論、マスメディアと国会は違うのであります。我々は、何もわあわあがあがあ言うのではありません。これは主権者である国民の直接選ばれた代表としての国会があるわけでして、先ほども最終責任者としてとおっしゃいましたですね、これは果たして外務大臣なんでしょうか、あるいは内閣なんでしょうか。憲法上、最終的な責任を負うのは国民、主権者であり、その主権者の直接の代表である国会が最終的に責任を負うことになるのじゃないでしょうか。私はそこのところの認識が違うと思うのです。  ですから、何もここで、外務委員会でもお話しになったことがすぐさま夕刻のメディアに乗ってしまうような状況の中で、大臣が、あるいはここの場に総理大臣が来ていただいて、あの川奈ではこういう交渉の経過があるんだと。  他方、先ほど来いろいろな議員の皆さんの粘り強い御質疑の中で、やっと事務当局から答えが返ってきました。相手側からもある程度の提案があったんだということがありました。そういうことは、やはり主権者の代表である国会にある程度の内容を報告していくべきではないかと私は思います。  そのためには、我々の方からのいろいろな提案もあります。少なくとも、残念ながら秘密会にするとか、あるいはその中でも公にしていいものは公にする。しかし、今公にすることによって、まさに大臣が言われたような静かで落ちついた雰囲気が損なわれてしまって、交渉の行く末に暗雲を立ち込めさせるようなことがあってはそれはならない。しかし、その世論というかそういう外部的な要因と国会とを一緒にされるのは、そんなことをされては我々はかなわないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  114. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 外交交渉とは何ぞやという問題にもかかわると思いますけれども、やはり相手国ないし相手があっての話でございまして、そこには、率直に申し上げて、今般のことというわけではありません、一般論的には虚々実々の駆け引きも存在するでありましょう。そして、それぞれみずからの利益を最大限主張していくという問題もありましょう。そうした問題をすべてあからさまに公開をしながら交渉するということによって受ける不利益というものも、過去それぞれの交渉事にはあったと私は理解しておるのです。  そういう意味で、国会を無視するとか、そういうことでは一切ありませんけれども、一応憲法に基づいて、外交権というものなのかどうかわかりませんが、外交交渉を受け、そして条約を結ぶという権限を政府として与えられている以上、その中で、それを我が国にとっていかに有利に展開するかというために、そのすべてをオープンにできない点もこれまたあると御理解をいただかなければ、これは交渉が成立しないのではないかと思っております。  ただし、おっしゃっているように、いかなる場所で、いかなる御質疑、御意見等も受けながら、政府として、国民を代表する国会の皆さんの御意見をどのように反映しながら、またある意味ではその力強い御支援をいただきながら、交渉を有利に展開するということのためのいろいろの御提言その他は、これは率直に承って対処しなければならぬと思っております。
  115. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 幾らお聞きしてもお答えになられないではないですか。今大臣も、種々の御質疑の中で、あるいは話し合いの中で、意見を聞きながら、あるいは御支援をいただきながらとおっしゃいましたけれども、何ら、きょう二時半から始まったこの委員会の中でも、今現実の議題となっております三つの国際協定以外にも、各委員が御質疑をしておられます。しかし、それに対して、大臣も事務当局も的確に答えておられないのですね。そんなことを繰り返して、ただ時間が過ぎて、いたずらに時がたつだけであります。  そんな中で、国会につまびらかにならないところでそういう交渉が行われていて、これは静かで落ちついた雰囲気の中でやらなければいけないから、しかも、今は交渉の途上なのでそのことをすべて明らかにすることはできないなんということを一国の国会の場で、内閣の一員である大臣が、あるいは事務当局の方がそういうことまでおっしゃるというのは、私は国会に対しての大変な問題だと思うのですよ。そんなことでこれは国会が黙っているというのは、日本国はまさにそれだけのことですよね。  何のための利益を図るのか、そして、だれのための利益を図るのかということを考えれば、今交渉をやっておられる最中だと思います。しかし、外務省の局長、課長、審議官、皆さんの利益を図る交渉をされるのですか。日本国の、日本国民の利益を図る交渉をするのじゃないでしょうか。であれば、要所要所で、国民の皆さんにお話しすることは不可能だから、そのために代議制があるわけでございまして、国会に対してしかるべく報告をし、そしてこれが本当に国益、国民の利益にかなっているのかどうかというその時々での確証を得ていくというのが、むしろ大臣あるいは内閣のお役割なのではないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  116. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 繰り返しますが、すべての外交的交渉は、我が日本のためにいかに有利に我が国立場相手国に認めさせていくということに最大の腐心をいたしておるわけでございまして、そういう過程の中では、すべからく、逐一交渉の過程を御報告するということは、実際問題としてはなかなか難しいことだろうというふうに思っております。  そのことと、国会を無視しておるということとは私は違うと思っておりまして、申し上げましたように、我々政府に対して国会は、その内閣をつくることについての責任を負っていただいて、総理大臣を指名していただき、我々もその指名によって本職を受けておるわけでございますので、そうした形で、決して国会をないがしろにするというようなことはあり得ませんが、事交渉事において、先生もおわかりかと思いますけれども、すべて何事も、すべての交渉をあらゆる目に白日のもとにさらしていかなければこれは民主主義でない、こういうことをおっしゃられるとすると、これは私と見解の相違だ、こう思います。
  117. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 見解の相違と申されましたけれども、今のお話は、交渉をされる過程の交渉当事者の方に対して非常に手厚いお言葉だったと思うのです。私も、決してそれは、交渉に当たっておられる当事者の方の御努力やら識見を疑うものでは当然ございません。皆様方も、日本国のためを、日本国民のためを思ってやってくださっているものと思います。当然、信じております。そして、やっておられる皆様方もそうだと思っているはずなのです。だけれども、本人はそう思っていても、そうじゃないことというのはあるわけですよ。それが独善というものなのですよ。  本人は、日本のためだ、日本国民のためだと思って交渉をしていても、そのことが決してそうではない場合もあるわけですね。しかも、一つのことが国民のためになるのかならないのかというものの判断基準が、その人が判断してはいけないのでしょう。それを判断するのは国民ではございませんでしょうか。しかも、国民に諮ることはできないから、このことは果たして国益にかなうのか、国民のためになるのかということは国会、国民の代表である国会で議を経て決めていただくのじゃないですか、それが民主主義でしょうと私は申し上げているわけです。  それとも、外交交渉というのはそういう民主主義には全くなじまないとおっしゃるのでしたら、これは話はわかります。外交交渉は民主主義になじまないんだから、私たちにやらせてくれ、私たち外交のプロなんだと。国民の皆さんにはわからない、国会にはわからない、自分たちのやったことは、あなたたちのことを考えてやっているのだから、出てきた結果を見てくれ、それだけを判断してくれればいいのだ、こういうお考えでありますか。
  118. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 外務大臣たる私が思っていることを独善と決めつけられること、私にとってはそれが独善だというふうに私は思っております。  私どもは、民主的手続によって与えられた責務を遂行するために、先ほど来申し上げておりますように、内閣を形成し、その中で他国との関係の問題を処理して、そして友好関係を築いて、そのことが大局的に国家のためになり得るという形の中で交渉を進めさせていただいておるわけでありまして、その結果結ばれたものの条約については、当然のことながら、国会において御審議をいただいて国民の判断をいただいた上でこれが効力を発する、これが民主主義の手続によるものだろうと思います。  ここでおっしゃっていることは、そういう過程についてどこまでお話ができ、どの程度国会のお立場で、こうした問題についての我が国立場を国会の立場からどのように御主張し、また、相手国に対しましても我が国における国民の考え方を申し上げていただくということは、これは大切なことなので、我々も、先ほど申し上げているように、誠意を持ってそれを受けとめさせていただくと同時に、本委員会でも委員長を初め、特に日ロの問題につきましてはなかなか難しい問題もあり、また、議会というものがロシアに成立をして新しい政治の仕組みをとっていることの中で、ロシア議会との交流も深められる。その過程でのいろいろな熱心な御討議等も承りながら、我々としては、最終的なよき条約を結び、そして日本国民の理解を得てこれを発効し、と同時に、ロシアとの関係の長年、二十一世紀にわたっての友好関係を築くことのできるようなことにしていかなければならないという強い決意のもとで、今懸命の努力をさせていただいておりますので、御理解いただきたいと思います。
  119. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 私は、外務大臣が独善だなんと言っているのではありません。しかも、皆様方が一生懸命やってくださっていることはそのとおりだと思います。しかし、それが果たして正しいことなのかどうかという判断は、自分でするべきなのかどうかということを言っているわけです。そうじゃなくして、そのことが国益にかなうか、国民のためになるのかという判断は、主権者である国民の皆さん、形式的には議会がしなければいけないということを申し上げているのであります。  皆様方が何も悪をなすということを私は言っているのではありません。そこは理解していただけますでしょうね。いかがでしょうか。
  120. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 私も、三十五年間この国会に籍を置かせていただいておりまして、そういう意味で、国会の極めて国権の最高機関としての、この院における責務というものを承知いたしておるつもりでございまして、その院に選ばれた内閣によって、また受けて、この仕事についております。  しかし、独善とか、あるいは常に偏った考え方をしてはいけないというみずからの深い反省に基づいて、常に公平にこの問題については考えながら、拳々服膺しながら対処しておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  121. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 例えば、沖縄の領土が返還されたということを先例にいろいろなことを考えてはいけないと私は思うのですね。沖縄が血も流さず、そしていろいろな交渉をしてこられた中で我が国に戻ってきたということは、これは歴史的にも非常に希有なことだったというふうに考えざるを得ないと思うのです。  したがって、この北方領土の問題についてどうやって考えていったらいいのか、これは非常に難しい問題ですから、それを難しいからこそ外交交渉でやっていくのだ。したがって、難しいからこそこれは知らしめてはならない、静かで落ちついた雰囲気の中で粛々とやっていかなければならない、皆さん、ちょっと待っていてくださいよというのは、私は話は逆だと思うのですよ。これは国民的な意見を喚起して、そして皆さんの意思を高めていくということが必要なのだと思うのです。  したがって、何も今までのような国会審議のやり方の中で、今の北方領土返還交渉の過程をキーポイント、キーポイントで我々に教えてくれとは言っておりません。ですから、先ほど来申し上げているように、何かしら違う方法で北方領土の返還交渉を含めた日ロの交渉について国会に本当のところ、真実を相談して、そして国会の判断を仰いでいくということが考えられてもいいのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  122. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 国会の判断ということは、最終的には、本会議において、衆参両院においてすべての国会議員が判断することが最終だと思います。しかし、その過程のことを委員はおっしゃっておられるのだろうと思います。  ですから、可能な限り、特に外務委員会はそういう意味では最もそうした外交問題に対して熱心な、それこそ考えられて、この問題に取り組んでおられる委員の先生方でございますから、我々としても、時において、お話のできる範囲のことは十分お話ししながらやっていくということは、これは望ましいことだと思います。  しかし、逐一経過について一つ一つのことを申し上げますと、これがやはり、時にいろいろな形で、我が国の世論の中で誤解その他が生まれることがあってはいけないということも事実でございまして、そういうことがあると申し上げておるのではありませんが、ぜひいろいろな形で、例えば私もこうした立場でここに立って発言するとなれば、先刻お聞きいただいているように、より慎重に、よりその問題の本質について、あるいは十分な御説明をし切っておらないという反省もいたしておりますが、何らかの形でお話し合いを率直にしながら、極めて重要なことだと思うんです、これは国民的世論がなければなかなか、ロシアといえども、それはロシアにはロシアの難しい点があるとは承知しておりますけれども、我が国においても、この長い間の悲願というものを達成するためには、本当に国民的な世論の醸成も必要だと思います。  そういった意味で、まずはこの委員会の諸先生方が、こうしたお立場国民の世論の形成のためにも御努力いただいておるんだろうと思いますが、率直に申し上げますと、最近のこの北方領土問題に対してのいろいろ大会その他を拝見いたしましても、既に国交は正常化されておって、一体この四島の問題についての国民的理解もどの程度まであるかというようなことについての問題も、必ずしもかつてと同じと言い切れない点もあります。  しかし、事は極めて重要な、よき機会だろうと思っておりまして、それこそ戦後のずっと日ソ、日ロの交渉史をひもとけば、この過程の中では本当に彼我の間の力の相違があって、なかなかもってこの問題に取り組もうとする我が国立場について、ロシア側の反撃のいかに強かったことを思いますと、今初めて両首脳が真剣な話し合いをし、かつまたロシアにおいても、我が国に対する大きな期待も寄せられている。我が国も、この機会を除いてはなかなかチャンスはめぐりこないのではないかという思いも込めて今対応しておるわけであります。  そういった意味で、ぜひ当委員会の諸先生方と率直なお話もいたしたいとは思っておりますが、先ほど秘密会というようなお話もございましたけれども、いろいろな機会をひとつ御検討賜れれば、お話のできる範囲で十分話し合ってみたい、このように考えております。
  123. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 今言っていただきましたことは、御検討賜れればということは、我々議会の方でこの外務委員会のあり方などをいろいろと工夫しますれば、外交当局、内閣の方から日ロ交渉等についてもいろいろ御相談、情報開示いただけるというふうな趣旨と承りましたけれども、それでよろしいですね。我々の方でいろいろ考えれば、またよろしいですね。
  124. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 基本的に、政府は国会によってつくられるものですから、そういった意味で、真剣にお互いの知恵を出し合って、よりよき結果を導くためにする努力というものは必要じゃないかというふうに思っております。  いかなる場所、いかなる方法についてということにつきましては、それこそまた委員会のことですから、申し上げたように私が云々することではありませんけれども、率直な話し合いができる機会について、これを私が否定するものではないと思っております。
  125. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 わかりました。私どもというのは委員会ということでありまして、決して各党という意味ではありません。国会であり、外務委員会としていろいろなデバイスを考えて、今後とも皆様の日ロ交渉のむしろバックアップを、そしてそれがよりよい方向に行っていただけるように、我々としても意見を開陳させていただき、情報を開示していただければという思いから出たことでありまして、どうかよろしくお願いをいたしたいと思っております。  さて、条約でございますけれども、いろいろと種々問題はございます。しかしながら、私が一番この中で問題ではないかなと思いますのは、特に自動車であります。これは全部で百四の規則があって、そのうち我が国は五規則部品についてだけ相互承認を認めるということになっておりますが、残りのものについてどのように相互承認を認めていくつもりなのか。これは早急にやるべきではないかと思います。この具体的なスケジュールを簡単にお願いを申し上げたいと思います。
  126. 下平政府委員(下平隆)

    ○下平政府委員 お答え申し上げます。  相互承認をするためには、日本基準と国連の規則が整合化されていることが必要でございますし、また、その規則に従って試験を実施する体制が必要でございます。したがいまして、加入当初はこうした条件が整っている五項目に限られるというふうに思っておりますけれども、この相互承認効果を高めるためには、なるべく多くの項目を採用する必要があると私どもも考えております。  日本としましては、加入ができますれば、国連の規則改正あるいは見直しをする作業に正式メンバーとして参加いたしまして、日本基準との整合化を図って、より多くの基準を採用できるように努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  127. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 具体的なスケジュールは出ませんでしたけれども。  あと、この協定の附属書の一によりますと、欧州経済委員会の影響が強くこの協定でうたわれていると思うのですけれども、我が国については、この点で悪影響は出てこないのでありましょうか。すなわち、欧州経済委員会でこの議定書の変更等についてはまず議論するというふうに書いてあると思いますけれども。
  128. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 基本的には、今回の協定に入りました場合の運営というのは、運営委員会というのがございまして、そこで物事は決まっていくということが第一点でございます。つまり、Euだけが物事を決めるということではございません。  それから、どのような規則参加するかは、それぞれの国の独自の事情によって判断ができます。したがいまして、今回、とりあえずは五つの規則、八つの部品でございますけれども、日本はそれを選んでおるわけでございまして、それぞれの国の事情に応じて参加することができるので、どこか一つの国あるいは一つのグループが圧倒的な影響力を持つということはないかと存じます。
  129. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 次に、植物品種保護条約なんですけれども、これについては、いわゆる世界各国には知的所有権の出願方法について、我が国あるいは欧州主要国のような先出願主義、先に出願する方法をとる国と、それからアメリカ合衆国がまだとっておるような先発明主義、先に発明をするという方法をとるようなところがございます。しかし、最後に大臣にお伺いしたいのですけれども、どちらをとるにしろ、これは、世界経済が発展するべく国際経済は運営されていくべきだと考えております。  そこで、自動車の型式相互認定もそうでありますし、それから植物品種保護も含めた知的所有権の国際性の問題でもそうでありますけれども、我が国経済がしっかりしていないと、世界経済はなかなか立ち行かない時代になってきました。我が国はそこまで大きくなってまいりました。特にアジア経済に対して我が国は大きな影響を持っております。  ところが他方、我が国は今大変なバブル崩壊後の厳しい経済環境下にあると言われておりますけれども、外務大臣というお立場からで結構です、内閣の一員として、我が国の今の経済状態を克服し、アジア経済そして国際経済に貢献し、かつ協調してやっていくためには、日本経済はどのように今後なっていったらよいというふうにお考えでしょうか。お答え願います。
  130. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 日本経済がここ数カ年間大変停滞状態にあることは残念でありますが、それを打開するために種々の方策をとりつつあるわけでございまして、おっしゃっているように、日本世界有数の経済国としての果たすべき役割は、ひとり我が国のことのみならずアジア全体でありますし、もっと広く言えば、グローバルな責任を負っている、こう考えておりますので、全力を挙げて我が国経済の発展のために政府を挙げて努力をしていく、この決意でおるところでございます。
  131. 西田(猛)委員(西田猛)

    ○西田(猛)委員 では、時間が参りましたので以上で終わります。
  132. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 古堅実吉君。
  133. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 最初に、車両等型式認定相互承認協定について伺います。  まず最初に、この協定に対する我が党の基本的な認識と態度を述べておきたいと思います。この協定締結に当たって、日本、米国、欧州の三自動車工業会が連盟で歓迎の声明を出しています。そういうことに見られるように、この協定そのもの自動車企業の要求に沿ったものとなっておりまして、また、部品の海外生産化に見られるような国内自動車産業の空洞化や産業関連労働者の合理化にもつながるのではないかと懸念される点もございます。しかし同時に、実態的に同一の車種が多数の国で販売されている現状にあって、規格を統一するということには合理性もあるというふうに考えますし、また必要でもあるというふうにも思います。そういう立場でこの協定には賛成してまいります。  そこで、そういう場合にも、規格の統一化によって日本の進んだ技術の低下を招くようなことがあってはならないというふうに思いますので、若干、以下の点をお尋ねしたいと思うわけです。  日本は、ガソリン車の排出基準技術は高いというふうに言われております。協定の実施に伴う規格の統一化でこれが引き下げられるようなことはないかどうか、お聞かせください。
  134. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  この協定のもとで定められております規則で現在我が国が適用を予定しておりますものは、特に排気ガスに関係するものは入ってございません。五つの分野部品類でございます。  他方、我が国自動車排出ガス規制については、昭和四十一年の規制開始以来、規制の強化が行われており、御指摘のように、国際的にも最も厳しいものの一つになっております。  この協定において、いずれの規則を適用しなければならないとの義務はございませんので、我が国としては、国内のいろいろな既存の基準との調和という観点から、それぞれの規則の内容を検討して適切という場合に入るわけでございますので、この協定参加するあるいは特定の規則に加わる、その結果日本の水準よりも低いところを要求されるということはございません。
  135. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 対象項目が百三項目というふうに聞いておりまして、これから当然のこととしてこの排ガス問題もいろいろと論議されるということになると思うんです。例えば、ガソリン車の排ガス技術について、仮に日本より低い統一規格になるような場合には、協定上、日本は統一基準日本への適用を拒否できるようになっておるんでしょうか。
  136. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  この協定のもとでできます規則で、日本にとって日本の水準との関係で不都合がある、あるいは困難があるということであれば、日本としてこれに参加する義務はございませんので、問題は生じません。
  137. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 仮に日本の現行基準より低いものが採択される場合、日本はそれに同調するのではなしに、締約国権利を行使して拒否するとともに、日本の要求が入れられるよう努力を払うべきだというふうに考えますが、いかがですか。
  138. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 協定参加しました場合、具体的な作業には日本としても当然参画いたしますので、そのような方向で作業に参加させていただきたいと思います。
  139. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 今度は逆の場合について伺っておきたいと思います。  安全面でいえば、欧米諸国の技術日本よりも高いと聞いております。統一基準日本よりも高く設定されることに日本政府は反対したり異議を唱えるようなことはしないで、それを受け入れて日本の規格を一層改善するばねにする、それが必要ではないかというふうに考えますが、いかがですか。
  140. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  今回の協定参加いたします基本的な配慮と申しますのは、国際的な調和ということでございます。したがいまして、まず、国際的な水準と国内の現状ということをかんがみながら、例えば、国内のものを国際的にも合わせることによって、お互い貿易促進とか、そういった方向につながるようなことを究極の目標にしてございますので、今そのような配慮も加えながら作業に参加していくことになるかと思います。
  141. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 結構です。  次に、植物の新品種保護に関する条約について伺いたいと思います。  植物の新品種の開発は、少なくない投資と専門知識を駆使して行われるもので、その成果である新品種育成者に対しては法的保護を強化するということは必要だと思います。当然のことだと思います。  そこで、遺伝子組み換えや細胞融合などのバイオテクノロジー技術が進んできたことから、今回の保護条約が作成されたというふうに聞いておりますけれども、バイオ技術を駆使した新品種というのは全体の中でどのくらいの割合になっているのか。もし説明いただけるんでしたら、例えば十年前と比較した今日はこうだと、わかりやすいことを御説明してください。
  142. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  組織培養あるいは胚培養等々のバイオテクノロジーを利用して育成された登録品種の推移でございますけれども、十年前の昭和六十二年度末時点を見てまいりますと、十四品種でございました。これが平成九年度末現在で見てまいりますと百十一品種ということでございまして、確かに増加を見ておるわけでございます。  これを作目別に見てまいりますと、花卉、花でございますが、四十九品種で全体の四四%を占めておりますし、育成の方法別に見てまいりますと、組織培養が四十六品種で四一%を占めているといったような状況にございます。
  143. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 十年前十四品種から平成八年で百一品種へと、かなりの増加ということが数字をもってしてもよくわかります。  聞くところによりますと、現在、新品種育成者の割合は、個人三一%、企業五〇%、農協二・四%、都道府県一〇・八%、国が五・二%となっておるということであります。  今後の予測としては、個人の面は余りふえない、比率としては相対的に減って、企業サイドの比率がぐっと高まる、ふえていくのではないかというふうに考えられますけれども、どうでしょうか。
  144. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 お答え申します。  これまでの出願件数を出願者の主体別に見てまいりますと、種苗会社等の民間企業によりますものが五割強でございます。個人は三割程度でございますし、あるいは都道府県等が一割、国によるものが四%、農協等によるものが二%というような実態でございます。  確かに、近年、全出願件数に占めます種苗会社等の出願割合が増加してきております。ただ、一方におきまして、個人による出願も、件数で見ますと増大する傾向にございまして、最近年の動向を見てまいりますと、年間二百件以上ということでございまして、個人による育種も引き続き活発に取り組まれているという状況でございます。  私どもといたしましては、今回の法改正によりまして、民間企業、個人を通じまして、これまで以上に積極的な育種が展開されていくということを期待しておるということでございます。
  145. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 私があえてお尋ねしましたのは、今、個人の方も活発でそれなりにふえるという御説明でありましたが、それ以上にバイオテクノロジーという、個人の力ではなかなか力が及びにくいという関連なども、相対的に考えれば企業の方がぐっと個人のふえ方よりもふえていくんじゃないかというふうなことを考えておるものですから、お尋ねしてみたわけです。  新品種育成者保護は当然のことでありますけれども、だからといって力のある者、金と力のある、そういうような立場の者が品種業界を寡占支配していくようなことになってはちょっとまずいんじゃないかというふうに思うので、以下の点、ちょっとお尋ねしておきたい。  旧条約では、農家が自家増殖をするときには育成者の許諾は不要でした。この新条約では、自家増殖でも許可が必要とされるというふうなことになっております。同時に、任意的例外規定も置かれております。それに基づく種苗法改正が提出をされておりますけれども、条約締結しても、自家増殖の場合には、これまで同様に育成者の許可は必要ではないということになりますか。そこらあたりのちょっと説明を。
  146. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  農業者の自家増殖と条約との関係のお尋ねでございます。九一年のUPOV条約におきましては、農業者の自家増殖に関しまして、それが長年の慣行として定着しているか否か等、各国事情に即しまして、合理的な範囲内で育成者権の例外を設けることができるというふうにされておるわけでございます。  これを受けまして、具体的に、改正の種苗法案におきましては、我が国における農業者の自家増殖及び種苗の流通慣行の実態を踏まえまして、原則といたしまして、農業者の自家増殖につきましては育成者権が及ばないということにしてございます。  ただ、その一方で、育成者権の保護観点を踏まえまして、契約による自家増殖の制限が定着している栄養繁殖植物につきましては、農林水産省令で規定をいたしまして、当該植物については農業者の自家増殖を育成者権者の許諾が必要な行為とすること、また、契約で別段の定めをいたしましたときには育成者権者の許諾を必要とすること、こういった取り扱いをすることとしておるわけでございます。  こういつた措置、我が国の自家増殖の現状あるいは実態に即したものであると考えておりまして、農業者の保護に欠けるということはないというふうに考えている次第でございます。
  147. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 ちょっと念を押すようなんですが、基本的には、育成者に特許権使用料を払わずに農家の自家増殖は従来どおり可能だということになるんですね。
  148. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 特許につきましては、申し上げるまでもなく特許庁の所管でございますので、本来特許庁からお答えすべきところかと思っておりますけれども、便宜私の方から、承知する範囲でお答えを申し上げます。  特許権自体の効力の範囲につきましては、最終的には司法の場で判断されるものではございますけれども、特許植物に特許権の効力が及んだ場合におきましても、通常、農家の自家増殖につきましては、特許権者が種苗の販売に当たりまして自家増殖を制限する旨の特段の意思表示、異議を行わなければ、許諾があったものとみなされまして、権利侵害には当たらないものと考えられているというふうに聞いております。
  149. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 二重保護禁止の規定が削除されておりますけれども、特許法に基づく新品種育成者の出現も考えられるかどうか。
  150. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 お答えを申し上げます。  種苗法と特許法との関係でございますが、こちらにつきましては、既に昭和五十三年の種苗法の改正の際に次のような整理がなされてございます。  一つには、種苗法の保護対象は現実に存在いたします植物品種であるのに対しまして、特許法の保護対象は自然法則を利用した技術的思想の創作でありまして、保護の対象あるいは態様を異にするということ、それからUPOV条約に対応いたします国内法は種苗法のみであるということ、三番目といたしまして、植物の特性等から、植物の新品種それ自体を対象とする特許発明は事実上ほとんどないと考えられまして、したがって二重行政となることはないということ、こういった点が整理をされておるわけでございます。  今回の改正に際しましても、このような昭和五十三年の種苗法改正の際の整理を変える特段の事情は生じていないわけでございまして、改正種苗法におきましても、この整理はいささかも変わることはないということでございます。
  151. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 特許法に基づくのもあるんでしょう。
  152. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 植物につきましては、ただいま申し上げましたように、植物の特性等から、植物の新品種それ自体を対象とする特許発明は事実上ほとんどないと考えられるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、植物品種としての保護は、これまでと同様、種苗法で行われていくというふうに考えております。
  153. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 特許法に基づくものもあるというふうに聞いておるんですが、それではちょっとお聞きしたい。  バイオ技術が進展していけば、将来的には植物の新品種の登録は特許での登録も多くなっていくのではないかというふうに予想しているわけです。特許利用が多くなると農業生産への利用が不自由になるのじゃないかというふうな懸念もあるものですから、そういう立場から、ちょっと御説明ください。
  154. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  確かに近年、遺伝子組み換え等の高度なバイオ技術を利用いたしましてつくり出されます植物、ございます。こういった植物につきましては、そのつくり出されます技術等とともに、その形質転換植物に特許が認められる事例があらわれておるわけでございますけれども、その場合におきましても、あえて特定の品種という狭い範囲で特許請求することは考えにくいわけでございまして、品種といたしましての保護は、これまでと同様、種苗法におきまして行われるものと考えておるわけでございます。
  155. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 じゃ、将来的には、特許法に基づくそういうものが生まれたにしても、条約の原則的な定め、任意的特例に基づいて種苗法がつくられ、自家用の増殖の場合にはそれなりの取り扱いがされるというふうな、特許法との関係において将来そういうことを考えていくべきではないかというふうなことも考えたのですが、その必要は全くありませんか、ありますか。
  156. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 お答えを申し上げます。  特許権の効力の範囲についてのお尋ねでございますけれども、先ほども一部お答え申し上げましたけれども、特許権の効力の範囲につきましては、最終的には司法の場で判断されるものではございますけれども、このような植物特許のもとに育成等されました植物品種に特許権の効力が及んだ場合でございましても、通常、農家の自家増殖につきましては、特許権者が種苗の販売に当たりまして自家増殖を制限する旨の特段の意思表示を行わなければ、許諾があったものとみなされまして、権利侵害には当たらないものと考えられているわけでございます。  また、植物の一層の改良を行いまして、新品種の改良を行うことは特許権の効力の例外である試験研究に該当するというふうに考えられておりまして、適正に入手した植物、新品種等を品種改良に利用することは権利侵害には当たらないというふうに考えられているということでございまして、この場合におきましても、農家の自家増殖や育種の振興に特に問題は生じないというふうに考えている次第でございます。
  157. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 いずれの場合でも、農家が自家増殖などとかいう範囲の場合に、困ったことがいわゆる拡大されていかないような、そういう措置というものは将来にかけてぜひとるべきだということを申し上げておきたいと思います。  時間が迫りましたが、最後の質問になりますけれども、イミテーション品種についてですが、この定義次第では育成者権利が制限されるおそれも出てくるのではないか。条約では、本質的に由来すると判断する基準が明確になっていないために、このままでは育成者消費者ともに混乱が生ずる場合がありはしないか。基準をわかりやすく示していただきたいと思うのです。
  158. 加藤説明員(加藤孝)

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  イミテーション品種、従属品種と言いならわしてございますけれども、改正条約におきましては、ある品種のわずかな特性を変化させて育成されました品種で、変化した特性以外はもとの品種の特性をそのまま維持しているもの、これを従属品種と呼称いたしまして、もとの品種育成者権利が及ぶということにしているわけでございます。具体的には、例えば、専らもとになる品種を育種、素材として利用いたしまして、その品種の耐病性のみを高めたような品種、そういったものがこれに該当することになると考えております。  この従属品種の範囲につきましては、もとの品種育成者と従属品種育成者との間におきまして解決されるべき問題でございまして、行政が介入すべきではないとするのがUPOVの加盟国の共通の認識でございます。また、従属品種の範囲の実績の積み重ねがこれまでのところございませんでして、一律の基準をつくるということは尚早かっ困難であるというふうに見ておるわけでございまして、そういった理由から、判断基準を示すということは考えていないわけでございますけれども、私どもといたしましても、当事者間での解決に資するというような観点から、ルールづくりを助長するということ、それから、国の内外を含めまして、事例の収集あるいは情報の提供に努めてまいりたいというふうに考えております。
  159. 古堅委員(古堅実吉)

    ○古堅委員 時間が参りました。終わります。
  160. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 続いて、伊藤茂君。
  161. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 短い時間ですが、二、三質問させていただきます。  一つは、今議題となっております中の一つの、車両等型式認定相互承認協定に関する問題であります。ヨーロッパとの関係が中心でございますけれども、どのようにグローバルルールというものが考えられるべきなのだろうかということを伺いたいわけであります。  私が細川内閣で運輸省をお預かりしています当時に、日本の型式証明の取り方が非常に事務的に面倒だ、もっとわかりやすくしろという注文が自動車大国アメリカからありまして、運輸省の係の者をデトロイトに常駐させてサービスをする時代がございました。アメリカにそれだけサービスをしたら、ヨーロッパの皆さんどうかな、不公平にならぬかというようなことを実は話し合った覚えがございます。  世界自動車生産している国は何十かあるわけでありまして、アメリカは日本と並ぶと申しましょうか、自動車生産大国でございますし、それから、今傍聴に、イギリスの友人の皆さんお見えですが、英国も立派な車をおつくりになっている。いわゆる先進国ではなくて、さまざまな国が自動車をつくっている。  やはりこの間、エリツィンさんがお見えになったときにも、伺いましたら、日本自動車工場をモスクワ州かどこかにつくって、日本から買った自動車をいいか悪いか見るだけじゃなくて、ロシアの方々が見ている前でロシアの国の中で日本がつくる、それを見ながら勉強したり、お互いにいい協力をし合ったりというふうなお話があったように何か総理から伺いましたが、やはり一面では、資本主義社会ですから激しい競争の社会であります。一面では、さまざまな供与関係がございます。それから、全体として、それぞれの国家、国民全体の発展のために、また、よりよき社会のために貢献をするということが望ましいというふうに思います。  そうなりますと、これは現実ですから、さまざまな国との関係、例えば、自動車の問題について、日本韓国日本と中国とか、先進国だけではないさまざまな関係がございますけれども、何かそういうものを今ある協定の形から、日本経済的にも自動車産業でも大きなポジションを持った国ですから、そういうやはり将来展望を持った努力がなされていくということが望ましいのではないだろうか。こういう点は、運輸省の自動車関係の実務というよりも、やはり外務省的センスでお考えになるべきことじゃないかなというふうな気持ちがいたしますが、その辺はどうお考えか、伺いたいと思います。
  162. 大島(正)政府委員(大島正太郎)

    大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  まず、この種の問題につきまして、御承知のとおりヨーロッパの考え方とアメリカの考え方、基本的に違ったところがございます。ヨーロッパにおいては型式認定という形で行っております。日本も基本的にはそうでございます。アメリカはやはり自己認証という形でございます。  したがって、どちらかが一方、全体的な形でグローバルなスタンダードになるというふうにはなっておりませんが、いずれにせよ、アメリカも日米欧で共通した基準を作成することについては、例えば国連の欧州経済委員会等の場でも貢献してきております。我が国もこのようなアメリカの努力を歓迎しております。  こういった形で、いろいろな場で各国ができるだけ、それぞれの基準が調和していくようになることが望ましいと思いますし、そういうふうに我々としても努力していきたいと思っております。
  163. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 ビッグバンに関連をいたしまして、グローバル、フェア、オープンという言葉がよく言われますが、現実には、それぞれの国との関係、それから国の現実、我が国との関係、さまざまの歴史がございますし、現実があるわけでありますけれども、やはりそういうものを経ながら、いろいろな意味で変わっていくんだろうと思いますね。  ですから、特に現実、そういう分野の実務を担当する運輸省とか自動車局になりますと、それぞれの企業とか、いろいろな都合を持って考えますけれども、やはり外務省ですから、外務省的立場で将来を考えながら、いいイニシアチブを発揮するか、いいアイデアを出していくとか、そういうことをぜひ望んでおきたいというふうに思います。さまざまな今の現実のことは、私承知しておりますから、具体的にこうすべきかということまで申しませんけれども、ぜひお願いしたいというふうに思います。これが第一点であります。  二つ目に、これは大臣にお伺いしたいのですが、一週間前でしたが、川奈での日ロ首脳会談がございました。外務大臣も、何か羽田から向こうまでヘリで御案内したり、いろいろなおつき合いをしていただいたようでございますし、地元の方でも大変な歓迎だったようであります。それから、ちょうど結婚式のお祝いを言ったり、いろいろなことがあって、両国にとりましても、我が国にとりましても、非常にいい印象を与えたということではないかというふうに思います。それだけに、やはりこれから先、どのような関係をつくっていくのか。日ロの関係も、いろいろな意味で新しい段階、新しい時代に入っているということだろうと思います。  それで、一つ伺いたいのは、あの両国首脳の発表の中で、投資会社の設立の構想というのがございます。何かやはり、私どもの方は、サミットでも言っておりますように、サミットの声明を発表されておりますように、ロシアの市場経済の発展に積極的に協力しましょうということになるわけであります。いろいろな分野と、それからロシア自身からすればいろいろな注文もあるでありましょう。  しかし、現実に今、今日から中期の視点ぐらいで、お互いに役に立つ、日本も貢献できるということになりますと、投資会社とかいう一般のようなことがございますけれども、金融にウエートを置いても、これはさまざま金融機関もございますから、ちょっと違うかもしれませんし、それから向こうの市場経済、向こうの国の経済にとって必要なものもあるでありましょう。これは、通産省も大蔵省も含めてチームを派遣されるというふうに伺っておりますが、最もお互い効果のある方法を知恵を絞ってお互いにやるということが大事なことだというふうに思いますが、これから相談することですから、具体的なことは協議の中に出てくるというのは当然でございますけれども、どんな構えで対応されるか、伺いたいと思います。
  164. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 一週間おくれましたので、いろいろな形でハプニングもございましたが、両首脳会談は極めて意義の深い会談に終始したと認識をいたしております。  そこで、今伊藤先生の御指摘の投資会社の問題でございますが、クラスノヤルスクで橋本・エリツィン・プランなるものができまして、その中には、いろいろこれからの投資の問題も考えていかなければならぬということでありますが、なかなか投資、今おっしゃっていますように、銀行というような形は、今や世界経済がIMFを中心にして、またアジア開銀、その他地域の金融が共同して対処するということでございますので、二国間としていかがかということもありましょう。したがって、両国間で投資会社を考えたらどうかというようなお話し合いもされたと聞いております。投資会社というのは、インドネシアとの間でアサハンの問題がありますし、あるいは投資機構という形では、サウジとの関係もあるようであります。  したがって、どういうものをいたすかわかりませんが、いずれにしても、ロシア側としては、非常に我が国の投資を大きく期待を寄せておるところでございますので、政府間、あるいはまた民間参加も得て、何らかの会社組織として、将来にわたってロシアにおいての投資を増進する手段がつくられるかどうか、こういうことでございまして、外務、大蔵、通産から成るチームを協議いたしまして、五月の初めにロシアに派遣をして、具体的に発足すべく努力いたしてまいりたいと思っております。今後、その場を通じまして具体的に検討されていくものと考えております。
  165. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 いい内容になるように期待をしております。  それからもう一つは、大臣に、これは感想だけ伺いたいのですが、首脳会談が行われました後、さまざまな報道で、平和条約、領土問題とか新提案とか出されております。これらはお互いに、これから突っ込んだ、あるいはざっくばらんにいろいろな意見交換がなされるべきことでありましょうし、事外交に関することでありますから、一方的に我が国の中で、それがどうとかいう論議は余りしない方がいいだろうという気も私はいたしますけれども、気持ちだけ申しますと、やはり平和的に領土問題を解決するというのは、これは大変なことであります。  それから、やはり両国間、いい条件を広範につくっていくということが相伴わなければ意味がないと思います。それから、領土問題ということだけを、お互いにハイスピードの直球をぶん投げる、直球だけ投げ合っているということでも解決がつかないというのも私は現実だと思います。新しい、いい関係をどうつくるのかという中で、総合的にどうしていくのかという視点も大事だろうと思います。  そうかといって、おかしな変化球を投げると、またおかしなことになるというふうなことなので、私は、できたら、やはり直球だけでは解決つきませんから、いろいろな知恵を含めて、ナイスボールを投げるというふうなことが望ましいというふうに思いますが、中身は別にして、次官級の会議も早く急ぐようにということをエリツィンさんも強調されたようでございますけれども、どんな気持ちでいらっしゃるか。中身は別にして、気持ちを。
  166. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 二〇〇〇年までに平和条約締結して、日ロ間のすべての問題を解決し、そして二十一世紀に向けて、広く友好協力も増進していかなければならぬということで、ロシア側からも、そういった用語も使われての御提案もあったようであります。それに対して、今、伊藤委員指摘のようにナイスボールを投げ、かつ、それを受けとめていただくという形で、両者間がぜひ限られた期間の中で、すなわち、二十世紀に起こったことですから二十世紀のうちに何としても解決したいというところで、かなりスピードアップされてきておるのじゃないか。その意味で、クラスノヤルスクと今回の非公式の会談、それなりに前進があったものと考えております。  領土問題については、日ソ共同宣言のときに残された最大の課題でございますから、それだけに絞ってということになりまして五十数年の時間を経たわけでございますので、この機会にいろいろな交渉を通じまして、双方納得の上に新しい時代が切り開けるように努力をしていきたいと思いますし、橋本総理も、これからエリツィン大統領との話し合いは明年まで数次に、非公式あるいはまたバイの会談等が行われますので、精力的にぜひ両者間の話を詰めていき、そして両国の平和条約締結、これを成立できるように、政府としても最大努力いたしますし、また、先ほど来いろいろ各委員からも御指摘をちょうだいいたしました。当委員会、諸先生方のお力添えもちょうだいしながら、ぜひ今世紀中に解決をしたい、こういうことで努力したいと思っております。  よろしくお願いします。
  167. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 小渕外務大臣も重要な当事者でございますから、優秀なバッテリーが、観客を沸かせられるようないいボールを投げ合うように期待をいたしておりますので、頑張っていただきたいと思います。  時間ですが、一言だけ伺いたいのです。アジア局長に、北朝鮮の問題でありまして、私は、大きな流れとしては、四者会談、その他KEDOも含めて、進行すべきときに来ているというふうに思います。それから、韓国の方は、新しい大統領が、非常に経済その他、経済危機の困難な中ですが、意欲的に仕事を開始されている。北朝鮮の方も国家体制をだんだん整えてきている。大きな流れとしてはいい方向に流れているというふうに思いますが、ごく目の前を見ますと、四者会談もうまくいかない、次の日程も決まらない、それから何か南北の次官級協議も決裂という新聞記事ですね、どうなっているんだろう。大きな流れとしてはいい方向に行くべきなんだが、目の前は非常に難しい状態にある。そういうものをどう認識して、また、一番近い国として我が国が果たすべきイニシアチブというのは何だろうかということを非常に考えさせられるわけでございますけれども、実際に担当するアジア局長の気持ちを一言伺っておきたい。
  168. 阿南政府委員(阿南惟茂)

    ○阿南政府委員 四者会合は、第二回本会談がジュネーブで行われましたけれども、先生既に御指摘のように、余り見るべき成果がなかったわけでございます。  この会合終了の時点で、議長を務めました中国の陳健外交部次官補なんかは、四者会合はそもそも長く困難なプロセスであるということを感想として記者会見、声明で言っております。恐らく難しい話し合いが行われているというふうに、私どもも想像しているわけでございます。  また、南北の次官級当局者間会談、これは政府間の本格的な接触としては三年九カ月ぶりということでございまして、先生もおっしゃいましたけれども、金大中新政権が発足して以来、北朝鮮に対しても従来に比して前向きの姿勢を示してこられた、そういう中で行われた次官級会談でございましたので、私どももその成果を期待を持って見ていたわけでございますが、予定の日時、期限を延長してまで交渉を両次官でやられたようでございますが、結局成果がないままに終わってしまった。  こういうことで、それぞれいろいろ事情もあってこういう結果になったと思っておりますが、我が国といたしましては、やはり朝鮮半島の平和と安定のためには、まず南北対話が進展することが重要でございますし、それと並行的にやっていくべき四者会合も順調に進んでもらいたい、こういうことで、これらの会合の実質的な進展を期待して見守っている、こういうところでございます。
  169. 伊藤(茂)委員(伊藤茂)

    ○伊藤(茂)委員 終わります。ありがとうございました。
  170. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  171. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、大西洋まぐろ類保存のための国際条約第十条2を改正する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  172. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る統一的な技術上の要件採択並びにこれらの要件に基づいて行われる認定相互承認のための条件に関する協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  173. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に一千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十月二十三日及び千九百九十一年三月十九日にジュネーヴ改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  174. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  176. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 次に、国際民間航空条約改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書締結について承認を求めるの件、国際民間航空条約改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国カタル国との間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国オマーン国との間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国アラブ首長国連邦との間の協定締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国バハレーン国との間の協定締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  政府から順次提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣小渕恵三君。     ―――――――――――――  国際民間航空条約改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書締結について承認を求めるの件  国際民間航空条約改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国カタル国との間の協定締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国オマーン国との間の協定締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国アラブ首長国連邦との間の協定締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国バハレーン国との間の協定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  177. 小渕国務大臣(小渕恵三)

    小渕国務大臣 ただいま議題となりました国際民間航空条約改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この議定書は、昭和五十九年五月にモントリオールで開催された国際民間航空機関の臨時総会において作成されたものであります。  この議定書は、昭和五十八年に大韓航空機が撃墜された事件を踏まえ、同様の事件の再発を防止するため、国際法の原則である民間航空機に対する武器の不使用国際民間航空条約上の義務として明文化すること等を内容とするものであります。  我が国がこの議定書締結することは、国際民間航空の安全の増進に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、国際民間航空条約改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この議定書は、昭和五十五年十月にモントリオールで開催された国際民間航空機関の第二十三回総会において作成されたものであります。  この議定書は、航空機の国際的なリース等に関連して、航空機の登録国が国際民間航空条約に基づいて負っている一定の任務及び義務を運航国に移転することができること等について定めるものであります。  我が国がこの議定書締結することは、国際民間航空が安全に発達することに資するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、航空業務に関する日本国カタル国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、カタール国との間で航空協定締結するため、カタール国政府と交渉を行いました結果、平成十年三月四日にドーハにおいて、我が方永井駐カタール特命全権大使と先方アハメド通信運輸大臣との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、我が国とカタール国との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国とカタール国との間の人的交流及び経済交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、航空業務に関する日本国オマーン国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、オマーン国との間で航空協定締結するため、オマーン国政府と交渉を行いました結果、平成十年二月二十四日にマスカットにおいて、我が方香田駐オマーン特命全権大使と先方ガザーリー交通大臣との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、我が国オマーン国との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国オマーン国との間の人的交流及び経済交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、航空業務に関する日本国アラブ首長国連邦との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、アラブ首長国連邦との間で航空協定締結するため、アラブ首長国連邦政府と交渉を行いました結果、平成十年三月三日にアブダビにおいて、我が方小池駐アラブ首長国連邦特命全権大使と先方ターイル交通大臣との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、我が国アラブ首長国連邦との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国アラブ首長国連邦との間の人的交流及び経済交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、航空業務に関する日本国バハレーン国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、バハレーン国との間で航空協定締結するため、バハレーン国政府と交渉を行いました結果、平成十年三月四日にマナーマにおいて、我が方目黒駐バハレーン特命全権大使と先方ハマル運輸民間航空担当次官との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、我が国バハレーン国との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国バハレーン国との間の人的交流及び経済交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上六件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  178. 中馬委員長(中馬弘毅)

    中馬委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十三分散会      ――――◇―――――