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1998-02-13 第142回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年二月十三日(金曜日)     午前九時五十二分開議 出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 茂木 敏充君    理事 森山 眞弓君 理事 玄葉光一郎君    理事 松沢 成文君 理事 坂口  力君    理事 東  祥三君       柿澤 弘治君    櫻内 義雄君       下地 幹郎君    田中 昭一君       野呂田芳成君    宮本 一三君       森  英介君    八代 英太君       島   聡君    末松 義規君       藤田 幸久君    丸谷 佳織君       山中 燁子君    西田  猛君       古堅 実吉君    松本 善明君       中川 智子君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 阿部 信泰君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 高野 紀元君         外務省中近東ア         フリカ局長   天江喜七郎君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君  委員外出席者         大蔵省銀行局銀         行課長     内藤 純一君         大蔵省国有金融         局金融業務課長 長尾 和彦君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十三日  辞任        補欠選任   末松 義規君     井上 一成君   伊藤  茂君     中川 智子君 同日  辞任        補欠選任   中川 智子君     伊藤  茂君     ――――――――――――― 二月十二日  日米防衛指針慎重審議、憲法の理念に基づ く自主的な外交に関する請願池端清一紹介)  (第三〇号)  米軍基地の撤去に関する請願松本善明紹介  )(第六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十日  核兵器全面禁止廃絶国際条約等に関する陳情  書外一件  (第八号)  ロシアの臨界前核実験の停止に関する陳情書  (第九号)  拉致疑惑事件真相究明に関する陳情書   (第五七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八代英太君。
  3. 八代英太

    八代委員 おはようございます。外務委員会に所属いたしましてきょうが初質問でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  小渕外務大臣のもと、外務省の諸君は、目まぐるしく変わる国際社会の中にありまして、世界平和のために、また日本の国益のために日夜努力されておりまして、心から敬意を表したいと思います。また、私自身も、理事福田康夫党部会長から党の外交部会長を引き継ぎまして、一生懸命精進しているところでございますが、本当に外交というのはまさに日本生命線であるという思いを日々痛感しながら頑張ってもおるところであります。  そこで、外務大臣就任以来、厳しい日程の中、外務大臣として国連演説に行った、あるいはAPECもあった、対人地雷禁止条約調印カナダに行かれた、はたまた昨年の暮れには韓国に行って次期大統領金大中氏とも会談をされたというようなこと、また今月は二月二十一日からでしたか、ロシアに行かれてと、こういう大変、小渕外交、目まぐるしく頑張っておられる姿に心からまた敬意を表したいと思っておるわけであります。  そこで、小渕外務大臣外交姿勢、また今後我が国外交抱負等を、冒頭まずお伺いしたいと思います。
  4. 小渕恵三

    小渕国務大臣 昨年九月十一日に外務大臣就任をいたしまして以降今日まで、諸先生方の御鞭撻もちょうだいしながら、懸命に微力ながら努力を続けてきたつもりでございます。御指摘のように、早々に国連総会に出席いたしまして、各国のほとんどの外相が御参加でございましたので、我が国立場を十分御説明する機会を得た、こう認識をしております。  その後、対人地雷につきましても、当外務委員会でも御鞭撻、御支援をちょうだいいたしてまいりましたが、幸いにして十二月四日、我が国としてもこの調印式に臨むことができたということは喜ばしいことだと思っております。  昨年十二月末になりましたけれども、韓国大統領選挙の結果、次期大統領として金大中氏が当選されましたので、私としては、アジアにおける最初の訪問国としてお訪ね申し上げて、我が国立場を申し上げてきたところでございます。  残念ながら、日韓漁業交渉が御案内のようなことで、我が国国連海洋法基づく措置として我が国立場漁業協定をまとめることができかねましたが、しかし、全体的には日韓関係は大きな立場で、重要な相手国として今後とも友好関係を深めていかなきやならぬ、こういうことで努力をいたしております。  特に、日本としては、橋本内閣の大きな懸案であります日ロの問題について、二十世紀のうちに平和条約を締結したいという強い意思のもとに今進めておるわけでございまして、今委員から御指摘のように、昨年のクラスノヤルスク会談以降、東京におきましてプリマコフ外務大臣との話も進んでおりますが、国会のお許しが得られれば、ぜひ今月の二十日過ぎに訪ロいたしまして、ロシア側最高責任者を含めて、この問題につきまして歩を一歩進められるように最大の努力をしていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、我が国外交基本方針である安全と繁栄の確保、そして、今日の国際社会で、全体の繁栄と安定の中でのみ我が国繁栄は確保されるわけでございますので、より好ましい国際環境醸成をしていくために最善の努力を尽くしてまいりたいと思っております。
  5. 八代英太

    八代委員 そういう中で、今何といいましても世界の目は中東イラクに注がれておるわけでありまして、七年前、一月十七日勃発いたしました例の湾岸戦争、当時はブッシュ大統領でありましたが、かなりクリントン大統領も、強硬姿勢を崩していないというような状況でございます。  七年前は、イラククウェート侵攻によりまして国際世論の怒りが爆発いたしまして、イラクサダム退治とでもいいますか、そういう状況になりました。その後、イラク制裁国連決議等々もあったにもかかわらず、今、生物化学兵器の製造、貯蔵が取りざたされておりまして、湾岸戦争の第二幕が開こうとしているような状況でもございます。  折も折、きょうリチャードソンアメリカ国連大使が来日されまして、小渕大臣を初め橋本総理会談する、こういう報道もございますが、日本として、イラク現状をどうキャッチして一どういう情報を持ち合わせて、また、どう今後そこに臨み、どうイラク問題にかかわり合いを持つのか。  あるいは、きのうもイラク代理大使外務省に呼んで、小渕大臣が、とにかく無条件の査察を受け入れよということを申し入れたというような報道もあるわけでありますが、いよいよアメリカも、オーラスに日本そして中国という、言ってみれば説得行脚のような様相もあるわけでありますが、その辺のお気持ちを、差し支えなかったらお伺いしておきたい、こう思います。
  6. 小渕恵三

    小渕国務大臣 基本的にはこのイラク情勢につきましては、我が国としては、言うまでもありませんが、外交的手段を講じてこの問題の解決を図っていきたいという前提で、あらゆる努力を今傾注いたしておるところでございます。  申すまでもありませんが、一九九〇年八月二日にイラククウェートを侵攻して以来、湾岸戦争が開始をされ、あのような結果になった。その結果、イラクに対して国連安保理決議を行って、所有する大量破壊兵器その他を廃棄するための査察を受け入れておるわけでございますが、そのUNSCOM査察について、これが不十分であるということで今日の問題を惹起しておるのだろうと思います。  したがいまして、かかって、イラクがこのUNSCOM査察を十分受け入れて、全面的に了解をすれば事は解決するわけでありますが、しかし、なかなかそのように進んでおらない。そのために、ロシアフランスを初めとして各国とも、イラクとの間で外交的な解決を目指して努力しておるわけでございまして、我が日本としても、同様のことで各国との連絡を密にしておるということであります。きょうたまたま米国国連大使であるリチャードソン氏が参られまして、アメリカ側立場も御説明あるだろうと思います。したがいまして、そのことも十分お聞きした上で、我が国としての今までのとってきた努力を説明いたしますとともに、同盟国でございますので、アメリカ側とも、十分な話し合いを今夕進めてまいりたいと思っております。
  7. 八代英太

    八代委員 イラクのしたたかさというのは驚きもあるわけでありますが、また同時に、だんだん中東なんかにおきましてはフセイン株は上がりつつある、上がっているというようなことを聞いたりいたしますと、我々、これほどまでにあらゆる国々説得にもそっぽを向いて、反米的といいますか、反国際社会的といいますか、それをとり続けているということを、日本日本として独自に、独自の分析をする必要があるんじゃないかというような気がいたします。  中東世界エネルギー宝庫であると同時に、また火薬庫でもあるということを言われておりますが、一九四八年の第一次中東戦争、一九五六年の第二次、六七年の第三次、それから七三年の第四次中東戦争とありまして、日本石油ショックにその都度巻き込まれて今日を迎えているわけでありますが、その都度また石油が膨大な値上がりをして、つり上がっているというような状況でありますから、本当に対岸の火事というわけにはいかない状況でもあるわけであります。  正直なところ、その背景にはイスラエル問題というようなものもあると思いますし、英米イスラエル擁護論に対する中東イスラム各国の反発なんかもだんだん台頭しているようにも思うし、私たちもあらゆるチャンネルを通じて中東を見ていかなければならないというように思うわけであります。英米が抱くイスラエルへの感情、あるいは宗教的、民族的なそうした対立、そういうものを英米の眼鏡を通してだけ私たちが見ていると、過ちを犯してしまうおそれがなしとは言えないような気もするわけです。  とりわけ日本エネルギー中東依存をしておりますし、これからもその依存は続けなければならないということを思いますと、中東情報を我々はUPIとかロイターとかAPとか、そういう英米偏り情報と言うと語弊があるかもしれませんが、そんな情報の中で、我々は情報にすがっているということの若干危険性を、これは私の個人的な考えですが、抱いてしまうのですが、そういう情報について、外務省はどういう情報の集め方、ここにいよいよせっぱ詰まった状況の中で、中東を見詰めているのか、あるいはイラクを見詰めているのか、伺いたいと思います。
  8. 天江喜七郎

    天江政府委員 お答え申し上げます。  外務省といたしましても、情報の的確な把握ということは非常に重要であるということは重々認識してございます。さまざまな情報源に接することが必要と考えている次第でございます。  今御指摘UPI等米英のマスメディアによる公開情報といいますのは、これは情報源一つとして大変重要だとは思っておりますけれども、これが全部だとは思っておりません。最近では、映像、例えばCNN、これはイラク政府CNNを通じて世界情報を流しておるということもありますし、そういう映像を非常に重視しているわけでございますが、イラク情勢につきましては、例えばアラブ諸国からの、周辺諸国から発信する情報、これは公開のものもございますし、あるいは、私どもの大使館員がいろいろな方に会って、それで意見交換している非公開情報もございます。そういう情報に努めているところでございます。  御指摘の点を念頭に置いて、またこれからも十分な努力を継続してまいりたいと思います。
  9. 八代英太

    八代委員 こういうときこそしつかりウサギの耳のように、日本独自の情報収集ということも必要じゃないかと思うのです。  さて、今後のアメリカ強硬策ということがいろいろ言われておりまして、二月十七日とか、いや二月二十四日だとか、何かちょっとブラフっぽい思いもしないわけではないわけでありますが、それはそれでブラフであってほしいと思うわけです。また、各国イラク説得フセイン大統領もかなり、時には受け入れを表明してみせたり、あるいはまた拒んだり、いやそんなことは言っていないとかというような、非常に情報を撹乱している状況もあるし、本当に生物化学兵器というものがあるのかどうかということも、一〇〇%、どうもそういう状況でもないらしい。まあ一つ疑惑ととらえるべき観点もあるわけですが、まさにこんなとき、その疑惑を晴らすのはこれは当然のことだというふうに思うわけであります。  どうもアメリカもいろいろな形で、湾岸諸国をオルブライトさんが回り、あるいはコーエンさんが回り、そして各国説得して、だんだんそれが、アメリカ単独かなと思ったら、きょうの報道なんかで見てみますと、部隊派遣アメリカ、イギリスがある。武力行使支援にはドイツ、カナダ、オーストラリアと加わってきた。あの中東周辺でも、クウェートやバーレーンやオマーンも協力的であるというような状況で、だんだん多国籍軍化しているような状況もあるわけでございます。  しかも命名は、この前が砂漠の嵐で、今度は砂漠雷鳴というようなことで、そんな何かテレビドラマのような情報網合戦みたいなものもありまして、この前は地上戦、今度は雷鳴のように上から、さらにピンポイントのあらゆるハイテクを駆使したアメリカ一つの作戦が、またテレビゲームのように、あの七年前を思い返すような状況になるのかというような思いになるのです。  そこで、そうあってほしくないのだけれども、もし火を噴いたら、もし火を噴いたら日本はどうするか。ここが非常に微妙なところだと思うのですが、その辺も含めて、これはなかなか答えにくいだろうと思いますが、あるいは事後の問題も含むのか。事前の問題、もし火を噴いたらの問題、それから事後の問題。しかしアメリカ同盟国である、こういう視点から、なかなかお答えしにくいところがありますが、日本のあるべき姿というものをどのように描いておられますか。
  10. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほども御答弁したかと思いますが、アメリカ武力行使ということを前提にしての御質問につきましては、これはお答えすることは適当でないと考えております。  しかし、イラク停戦条件を定めた安保理決議六八七を含む関連安保理決議のたび重なる違反を起こしている状況のもとで、米国を初めとする関係国事態正常化に向け真剣な外交努力を行っている中であって、我が国としても、これらの諸国とともに、できる限りの外交努力を続けてまいりたいと思っております。  先般来私も、特に昨日はプリマコフ外務大臣と電話でこの問題についていろいろお話をしましたが、よって立つ各国立場というものが極めて異なっておりまして、特に中東につきましては、ロシアフランス、特にイラクにつきましてもいろいろの深いかかわり合いがあることは事実でございまして、そういう意味での影響力もまたあるのではないか、こう思っておりまして、そうした国々対応、あるいは先ほど御指摘ありました英国を含めましての各国対応等につきましても、十分それらの国々状況も踏まえながら、全体をよく見ながら日本としての態度は決めていくべきものだ、こう考えております。
  11. 八代英太

    八代委員 そこで、七年前の教訓というものを我々日本政府は学ぶべきだと思うのですね。  七年前というのは、最後掃海艇が派遣されましたけれども、ほとんどが資金協力が主流でございました。自民党内国会でも大変な議論にもなりましたが、結果として九十五億ドル、ざっと一兆二千億円、こういう拠出をしたわけでありますが、それでも後は、どうも札びら外交だの汗を流さないだの、陰口をたたかれたりいたしました。  あのときも我々も党内で随分議論をいたしました。ちょうどそのとき私は政調会長をさせていただいておりました。そのとき政調会長加藤六月さんで、幹事長小沢一郎さんで、総務会長西岡武夫さんで、総理が海部さんで、みんな我が党を出ていった方々ばかりなのですが、こういうときに何か思い詰めたといいますか、突発的にあそこから金を、こっちから金をというようなことで、非常にあのときは、国民世論もこんなことでいいのかというような声も大変あったような気がしたものですから、やはりあの七年前はしっかり我々は教訓として抱いておくことも大変重要だというふうに思います。  もっとも、今の日本の財政はそういう状況じゃありませんから、そのような轍は踏まないだろうというふうに思うのですけれども、いずれにいたしましても、何らかのアクションは必要だろう、このように思いますから、これから推移は刻一刻と変わっていきましょうから、今その推移を見越してどうということはなかなか難しいところがあると思いますけれども、可能性はしっかり政府としても探っておく必要があるのではないか、我々も党内で連日のようにこれは真剣に議論もしていきたい、このように思うわけであります。そういう意味におきましても、これからいろいろと活発な動きが展開されていきますので、どうぞひとつ外務大臣、しっかりとやっていただくことを再度お願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  12. 小渕恵三

    小渕国務大臣 九〇年のあの突如のイラククウェート侵攻という事態、これに対応していわゆる国連決議基づきまして国連軍現地制圧に乗り出したという状況と今日とは客観的情勢は異なっておると思います。先ほど申し上げましたように、その結果イラクに対してそうした大量破壊兵器が保持されるということは、近隣の平和のみならず世界の平和に大きな問題があるという観点で、国連決議基づいてUNSCOM査察ということが行われておることでございます。  しかし、今御指摘のように、過去の大きなこの事件というものを大いに勉強していかなきやならぬことも当然なことだろうと思っております。特にあのときに、我が国として国民の皆さんの拠出によりまして一兆円を超えるような大きな協力を申し上げたわけでありますが、御指摘のようにそれに対する国際社会の評価は必ずしも高いものでなかった。ただ、私も一昨年正月に、パレスチナの選挙の折、クウェートに参りまして、ジャビル首長さんといろいろお話ししましたが、その後の御指摘のような機雷除去行為等も含めまして、今日におきましては日本側のとった協力に対して謝意を述べられておるところを見ますと、それなりに日本国民意思というものは通じておるのではないかと思いますが、御指摘のように十分心得て対応したいと思っております。
  13. 八代英太

    八代委員 大臣がお書きになった「文化と経済から中東を語る」、こういう御本がございますが、中東がいかに日本にとって大切か、我々はアジアの中の日本というとらえ方をしますと、あそこは中東というよりも西アジアというとらえ方をするのですね。そしてまた、シルクロード外交というようなことも外務大臣は提唱しておられますから、そういう意味では、あのシルクロードを含めた新しい、またソ連邦から独立した国々等も含めたあのあたりというものが非常にこれから大切な私たち生命線になっていくということを思うと、やはりこれはいい形の、フセイン大統領もしっかり査察を受け入れて、そうした悲劇が起きないような努力日本もやはり当然やっていただきたい、このように思います。  そこで、そういうことを考えていきますと、日本外交外務省機構というものがどうもやはり弱いということを痛切に思うわけです。どうもいろいろな情報の中で、あの情報も本当に外務省調査なのかというようなことを時々私も疑心暗鬼で思うことがあるのです。  例えば、そもそも我が国在外公館整備状況というのは、米仏に比べますと、ちょっと調べましたら、国民一万人当たりに占める外務省定員数というのは、フランスは二・二人いて、カナダは一・九人いて、英国は一・二人いて、米国は〇・九人に対して我が国はわずか〇・四人というのですね。例えばコーカサスとか中央アジアを含めた中近東寄りのあの地域というのは、まさに独立国がどんどん誕生しているのですが、あのあたりにはそもそも大使館はできているのですか。どうなんですか、その辺は。
  14. 浦部和好

    浦部政府委員 今の御指摘の旧ソ連から独立した国々の中では、カザフスタン、ウズベキスタン、ウクライナという三つの国に我が方の大使館がございます。
  15. 八代英太

    八代委員 そういう状況ですから、やはりシルクロードから我々は石油宝庫エネルギー宝庫と言われる中東情報をしっかり我が国のラインに乗せてこれからやっていくということにおいては、そうした国々に一日も早く外務省大使館を整備して、そして新たな独立国における大使館設置状況というものをやはり完全なものにしていく必要があると思います。  外務省定員は、五千人体制を何とか七千人体制にしょうと今度の行政改革では我々はしっかり行革本部にお願いもしているところでありますが、そういう意味でも、これからの目まぐるしく動いていく国際社会の中にあっては、まさに外務省機構改革というのは大変重要だと思いますし、増員も含めたあらゆる百八十六カ国に、すべての国に大使館があるぐらいの日本でなければならない、こういう思いがしますので、外務省のそういった定員増大使館の完全なまでの配置というようなお気持ちに対して、大臣のひとつ気持ちを伺っておきましょう。
  16. 小渕恵三

    小渕国務大臣 我が国外交外務省機構強化につきましては御指摘のとおりでございまして、外務省といたしましても、ぜひ、この機構強化につきまして努力をいたしておるところでございますし、また各党におかれましても、この現状にかんがみ、諸外国との比較におきましてもさらに強固にすべきだということを御指摘いただき、御協力をいただいておるところでございまして、各国にきちんとした公館が持たれると同時に、そこで仕事をされる外務職員のさらに質の向上に努めまして、あらゆる情報を的確に把握することが我が国の安全の基である、そういう観点努力をしていきたいと思いますので、よろしく御協力をお願いいたしたいと思います。
  17. 八代英太

    八代委員 はい、ありがとうございます。  残り時間が少なくなりましたので、最後は、実は私ずっと福祉外交というのをやってきておりまして、これもアジアの問題になるわけですが、一九九二年国連障害者の十年が終わりまして、今アジア太平洋障害者の十年というのが開催されているのですが、大臣はこのディケードがあるということは御存じでございましたでしょうか。いかがでございますか。
  18. 小渕恵三

    小渕国務大臣 八代委員におかれまして、十五年ほど前に障害者インターナショナルという国際的なNGOのアジア太平洋地域評議会の議長を務められるなど、障害者対策に積極的に取り組まれていると承知をいたしており、その御努力に心から敬意を表しております。  こうした障害者十年が、一九九二年に我が国の提案によりまして国連アジア太平洋経済社会委員会の総会において決議されたものであり、同決議が、ESCAP地域を含む世界障害者に対するあらゆる障害を除去し、障害者の完全参加と平等を実現することを目的としており、加盟国政府がそのための施策を実施すること等を求めております。引き続いて政府といたしましても御協力申し上げてまいりたいと思っております。
  19. 八代英太

    八代委員 最後質問になりますが、そこで、実は、カンボジアなんかは地雷で子供やいろいろな方々が犠牲になって、対人地雷署名というのはだから意義があるのですが、一億二千万個もあるとかいろいろ数字は挙げられておりますが、カンボジアは障害を持った人が二五%国民の中にいる、こういう状況なんですね。これから、アジア太平洋の十年もあと五年ありますから、この五年間が非常に重要だと思いますし、今アジアがこういう経済状況ですから、せっかくアジアに、日本の力によって、もうかなりあるけれども、芽生えてきた福祉の芽が今摘まれようとしているんです。  そういう意味でも、これから五年間、日本がイニシアチブをとって、そして、ことしの四月二十日からはESCAP総会があるそうですから、この五年間の障害者施策のそれぞれの国に、日本もこういう支援をするからこの皆さんのためにひとつ決議を何かやりなさいというぐらいのやはりイニシアチブをとってもらいたいと思うのです。この提案は日本がしたのですから。  当時、柿澤政務次官が北京のESCAP総会で、日本が発案をして第二の十年が成ったということでございますので、これから五年間のアクションに、ひとつODAを含めたNGOへの支援体制というものをぜひやっていただきたいということをお願い申し上げて質問を終わりますが、一言御答弁いただけるならお願いしたいと思います。大島局長
  20. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 これからアジア太平洋の障害者十年の後半の五年間に入るということでございます。以前から障害者支援の重要性につきましては、私どもも重要性を十分認識しまして、ESCAPを通ずる協力に加えまして二国間援助、すなわち無償の資金協力でございますとか、あるいはJICAを通じます技術協力、あるいはNGOに対しましても事業支援等を通じましていろいろな支援をやってきております。これからにつきましても、さらに関係省庁あるいは民間、NGO等ともよく話をいたしまして、よく研究をして、できる限り手厚く積極的な対応ができるように努めてまいりたいと思います。
  21. 八代英太

    八代委員 どうもオーバーしまして、済みません。ありがとうございました。
  22. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、松沢成文君。
  23. 松沢成文

    ○松沢委員 民友連の松沢成文でございます。私も小渕外務大臣には恐らく初めての質問ではないかと思いまして、きょうはよろしくお願いいたします。  ただいま八代委員からも質問がありましたけれども、今国際社会の中でホットな話題といいますか、大変重要な案件になっておりますイラク問題をまずお伺いしたいと思うのです。  湾岸の恒久決議というのが安保理でできて、その中で、大量破壊兵器の施設については無条件で査察を受け入れるべきだということで、イラクもそれを承認したわけですね。にもかかわらずイラクはその査察を拒否しているという状況の中で、アメリカは、これは完全に停戦決議の違反であるから強硬策をとってまでもイラクを制裁すべきだという立場で、今、武力行使も含めてさまざまな動きをやっているわけであります。私は、武力行使というのはあくまでも最後の手段であって、それに至るまでのさまざまな外交努力、政治的な解決を目指すのはまず当然だとは思うのですけれども、そうした観点から幾つか伺いたいと思うのです。  まず、イラク国連査察団の立ち入りを拒否している施設、これはさまざまな情報があるのですが、イラク側は八カ所であるというふうに主張しているのです。アナン国連事務総長は十六カ所であるというふうに報告を受けていると述べている。アメリカは、偵察機等によって情報を細かくつかんでいると思いますけれども、その数は明らかにしていないわけなんです。  外務省は、イラク国連査察を拒否している施設について、どういうチャンネルからどういう情報を得ているか、まずここから御説明をいただきたいと思います。
  24. 天江喜七郎

    天江政府委員 お答え申し上げます。  イラク査察拒否の施設の情報でございますけれども、イラクがはっきりとそれを明確にはしておりません。ただ、UNSCOMという国連の安保理からの委員によります特別委員会が報告をしてございますが、これは包括的な形で公表を行っておりません。  私どもがUNSCOMの事務局等から聞いておりますところは、約四十というような報告も受けておりますが、これは国によっては五十であったり六十であったりしておりまして、確たる、今まで拒否された数については一様ではございません。
  25. 松沢成文

    ○松沢委員 その情報も相当錯綜していて、どれぐらいの施設が疑惑かということもまだよくわかっていないわけだと思うのです。  そこで、イラク国連査察再開に向けて、さまざまな外交努力が今なされているわけであります。国連でもやっておりますし、またアメリカもやっておりますし、さまざまな国でやっているわけなんですけれども、それに対して、イラク政府査察容認のためのいろいろな条件を出しているのですね。  そこで、お伺いしますけれども、我が国政府は、イラク国連査察拒否に幾らかでも正当性を認めるのか否か。イラクの言い分もそれなりにわかるというところがあるのかどうか。また、現在イラクが提示している査察容認のための条件、期日とか場所とかいろいろあると思うのですけれども、それがどういう内容であって、それを日本政府としてはいかに評価をしているのか。その辺についてまず伺いたいと思います。
  26. 小渕恵三

    小渕国務大臣 イラク大量破壊兵器の廃棄に関する国連特別委員会査察への協力拒否につきましては、そもそも停戦の条件としてこれを受け入れておるわけでございまして、その破壊、撤去並びに無害化を無条件に受け入れるということ、安保理決議六八七、UNSCOM査察への無条件の協力を要求いたしました安保理決議一一三四、一一三七等の関連安保理決議に違反するものであるということでございますので、現下におきましては、そうした無条件の査察を受け入れられないということにつきましては、政府としては、イラク側の条件につきましては、これは無条件という決議に沿うべきものだ、こう考えております。
  27. 松沢成文

    ○松沢委員 そこで、イラククウェートの間で湾岸戦争がありました。国連安保理はそのときに、武力行使容認決議安保理決議六七八というのを採択しているのですね。これを受けて、イラク米国中心の多国籍軍の間での湾岸戦争が勃発して、その結果イラクが敗北したわけであります。  そして、その後、国連安保理は、湾岸戦争の停戦決議、これは安保理決議六八六というものですけれども、これを採択して、化学兵器、生物兵器等の大量破壊兵器の所在に関する情報提供などを要求している。さらに、湾岸恒久停戦決議安保理決議六八七というものですが、これを採択して、イラク大量破壊兵器の貯蔵、製造を禁じ、国連査察を受け入れることを義務づけた、外務大臣の御指摘のとおりであります。そして、イラクは九一年の四月六日に湾岸恒久決議を受諾する旨国連に通報し、これをもって正式に湾岸戦争の停戦が宣言をされたわけなんですね。  そこで、イラクは今回の問題で安保理決議六八六及び六八七に違反した、つまり停戦をみずから拒否したわけでありますから、イラクに対する武力行使については改めて安保理決議を必要としないというのがアメリカの主張であると思われますけれども、我が国政府はこのアメリカの主張を認めるのか否か、外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
  28. 小渕恵三

    小渕国務大臣 認めるか認めないかという前に、外交的な手段で何としてもこの事態を打開していきたいということでございますので、現下、新しい決議案につきまして英国その他からいろいろ提案が行われつつあります。したがいまして、我が国としては、過去のそうした決議をさらに延長してどういう決議ができるかどうかということにつきましては、諸外国と今連絡をとりつつある、こういうことでございます。
  29. 松沢成文

    ○松沢委員 これは新聞報道ですけれども、外務省の幹部が、このアメリカの論拠、これは法理論上は十分な根拠だ、アメリカ武力行使するに当たって停戦決議違反は十分な根拠であって、新たな停戦決議をする必要はない、法理論上はこれは十分な根拠であるとおっしゃっているのですが、外務大臣はその点についてはいかがですか。
  30. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 松沢先生が先ほどから御指摘のとおり、この問題の本質と申しますのは、イラク安保理決議に違反したことを行っているということでございます。したがいまして、その違反している状況をいかに改めさせるかということで各国がいろいろな外交努力を行っておりまして、そのうちの一環といたしまして、安保理のメンバー国も、それから安保理の中でもいろいろな協議が行われている。  そういう過程におきまして、一つ議論といたしまして、新たなる安保理決議というものを採択するということがこの問題の解決に有効か否か、すなわち、イラク安保理決議違反を改めさせるという目的に対して有効であるか、こういう観点からいろいろ協議がされておるところでございます。  したがいまして、現在の段階におきまして、もちろん報道されておりますとおり、アメリカ外交的な努力が万策尽きたというときには武力の行使も視野に入れているということを言っておりますけれども、まだ武力の行使を決めたというわけではございません。したがいまして、今大臣から申し上げましたとおり、現段階におきまして新しい安保理決議の性格等について云々するのは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  31. 松沢成文

    ○松沢委員 今、長野オリンピックが開催されておりまして、日本人の選手も大活躍でありますけれども、政府は、冬季オリンピックが開催されていることをかんがみて、オリンピックの期間中は武力行使を控えるようにとアメリカに伝えていると聞いていますけれども、イラク問題についての政府の根本的な態度というのはこの要請からは聞こえてこないわけであります。言い方は悪いですけれども、では、オリンピックが終わったらいいのか。オリンピックの期間中は武力行使を控えてくれというのであるから、オリンピックが終わったらいいのか。あるいは、もし今オリンピックの開催中でなければどういう態度をとるのかというのが、非常に私たちには見えてこないわけなんです。  ダイレクトにお聞きしますけれども、イラクに対する武力行使、これを外務大臣は支持するのか、あるいは反対するのか。きょう外務大臣リチャードソン大使とお会いになられるということでありまずけれども、先ほどの答弁ではへよくあちらの話を聞いて判断するということでありますが、現状外務大臣アメリカ武力行使に対して支持するのか、あるいは今のままでは支持できないのか。これを端的にお答えいただければと思います。
  32. 小渕恵三

    小渕国務大臣 端的に申し上げれば、現在、武力行使前提としたお尋ねには、申しわけありませんが、お答えのできないことでございます。  重ねて申し上げますが、アメリカ側の主張も十分お聞きはいたしますが、日本政府としては、現在、あらゆる手段を講じて外交的手法によってこの問題を解決するという前提で、連日にわたりまして努力を傾注いたしておるところでございます。
  33. 松沢成文

    ○松沢委員 少し話を進めます。先ほど御答弁にもありましたけれども、国連の対イラク非難決議案、日本、共同提案国へという報道記事が先日ありました。イギリスのクック外務大臣が下院での演説でこういうことを言ったらしいのですが、まず、それは事実かどうか。それと、非難決議の内容がどういうものになるのか、それを把握した上で日本はこの共同提案国になるという方向を決めているのか。この辺についてお伺いしたいと思います。
  34. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど来申し上げますように、日本としては外交的手段を講じて何としてもこの緊迫したイラク情勢を平和のうちに処理したいということでございまして、たまたまイギリスのクック外相がイギリスとしてのさらなる安保理決議案を提出される向きのお話もお聞きいたしましたので、私からお電話を申し上げて、イギリス側の考え方につきまして十分我が国にも伝達を願いたい、その上で御相談を申し上げましょう、こういうことにいたしておりまして、現在、恐らく、国連の場におきまして、イギリス側の国連の責任者と我が方の小和田大使の間で十分すり合わせその他検討しつつあるものと思っておりますが、その内容につきましてはまだ正確な報告を得ておりません。  水面下といいますか、中におきまして、何としても解決をしたいという趣旨のもとで各国とも連絡をとり合っておる、こういうことだろうと思います。
  35. 松沢成文

    ○松沢委員 外務大臣、内容をまだよく把握しておらないという御答弁だったのですけれども、きのう外務大臣は中国の徐敦信大使とお会いになられて、このイラク問題についてさまざまなお話し合いをされたというふうに新聞報道に載っておりました。そのうちのテーマの一つに、このイギリスの提案すると思われるイラクの非難決議案にぜひとも中国もともに賛成をしてほしいという旨をお願いしたという報道があるのですね。  内容も知らないものを無責任に他国に賛成してほしい、こうお願いするのは、政治的に極めて無責任な行為ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 小渕恵三

    小渕国務大臣 内容的に存知しておらないという御答弁をしたとすれば、重ねて申し上げますが、この国連決議の流れの中で新しい決議案を提出することが好ましい内容を含んだものであることは承知をいたしております。  しかし、その文言その他につきまして、現下、国連の場で双方においてまとめつつある段階でありますが、そのもととするところにつきましては十分承知をいたしておりますので、我が国としても根本的にはそれに賛同する立場であるということは申し上げておるところでございます。
  37. 松沢成文

    ○松沢委員 このイラクを非難する決議案ですけれども、これはイギリスを中心にこれから安保理の中でもさまざま議論の中で動いていくと思いますけれども、見方を変えると、この非難決議案に賛同する、あるいは共同提案国になるということは、決議をしたにもかかわらず、イラクがまだ従わない、態度を変えないということであるから武力行使でいくしかないという、見方によれば、武力行使のお墨つきを得るためにこの決議案というのがあるというふうな見方もできると思いますが、そこはいかがですか。
  38. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先生御指摘のような見方をする向きもあるかもしれませんが、我々として努力いたしておりますのは、繰り返しになりますけれども、安保理決議の実施と査察の無条件かつ完全な実施ということを実現するための努力の一環として、そういう決議を採択することが有効か否かという観点から検討しているものでございます。  したがいまして、これはまさに平和的な解決外交努力の}環でございまして、我々としましても、国際社会の一員、安保理のメンバーとしての努力を行っているということでございましてへ決して武力行使のお墨つきを意図してやっているということではございません。
  39. 松沢成文

    ○松沢委員 私は、日本国連中心外交というのを外交政策の、外交指針の一つの柱に据えてあるのであれば、やはり国連での活動というのを重要視すべきだと思うのです。  そこで、アナン事務総長が、P5、常任理事国五カ国の国連大使と協議をして、イラクに行って、最後のと言っては失礼ですけれども、フセインと直接交渉に当たりたいということで、その条件を提示しているという報道もあります。それは、日本政府は把握をされているのでしょうか。把握をされているとしたら、大体、具体的なことを教えていただきたいことと、それと、この条件については、日本はP5ではありませんけれども、アナンさんの提案をどう評価し、期待するのか、その辺についてもお聞かせください。
  40. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 御指摘のとおり、十一日、これはニューヨーク時間でございますけれども、アナン事務総長が常任理事国五カ国の大使とイラク情勢について協議を行っております。その模様につきましては、我々も国連代表部を通じて報告を得ておりますが、いまだ結論めいた方向というものが出るには至りませんでして、さらに協議を続けていくという結果でございます。現在のところはそうでございまして、さらに再度協議を行う予定であるというふうなことを聞いております。  なお、アナン事務総長が、具体的な、いわゆる調停案というものを推進していると申しますか、提示して、それを進めようとしているということでは必ずしもないように聞いております。すなわち、現在の状況というのは、皆、安保理のメンバーも事務総長も、この安保理決議の遵守ということで何が一番有効な方法かということで、いろいろ知恵を絞り合っているということだろうと思います。
  41. 松沢成文

    ○松沢委員 我が国政府は、アメリカに対しても端的に、すぐに武力行使に走ることなく最大限の外交的な努力をすべきだということを、多分きょうもリチャードソン大使におっしゃると思うのですね。また、日本も今後も外交努力を続けていくということだと思うのですが、アメリカにしてみれば、さまざまな外交努力をしてきて、だめだから最後ここに行くしかないんだというところに来ているわけですね。  大臣アメリカにさらなる外交努力というのであれば、具体的にどういうことをアメリカがもっとやるべきだと思いますか。それと、日本政府外交努力を続けるというのであれば、日本政府が主体的にどういう外交努力をこのイラク問題の政治的解決に向けてできるとお考えでしょうか。
  42. 小渕恵三

    小渕国務大臣 この問題の処理は、何といっても、国連という場で、しかも安保理という中で解決すべきものだろう、こう考えておりまして、先ほどのアナン事務総長のP5に対するいろいろの御提案ありゃというお話もありましたが、正確には私ども承知をしておりません。  しかし、ビートを持つこういう国々にまず事務総長としていろいろなお考え方をお示しするということもわからないではありませんが、日本としては、非常任理事国でありますが、そのメンバーの一人という立場から、あらゆるこの安保理の諸外国と連携を密にしていかなければならない。そういう意味で、先ほどは英国とのことを申し上げましたが、フランスあるいはまたロシア、そして中国、そして特に当事国たるイラクにつきましても我が国立場を申し上げておりますが、いずれにしても、国連の場でこれが解決できるための方途を最善を尽くしていく、そのことを米国にも十分伝えていきたい、こう思っております。
  43. 松沢成文

    ○松沢委員 次に、沖縄の普天間基地問題、返還に向けて海上ヘリポートの問題が今大きなテーマとなっております。  十二月二十一日に住民投票があって、受け入れの反対派が、僅差でありましたけれども、賛成派を上回った。また二十四日に、それを受けて比嘉名護市長が、結果とは逆に建設の受け入れを容認して、その直後に市長を辞任された、こういう動きがありました。そして、ことしに入って市長選挙が行われて、受け入れ反対を表明する知事が出陣式に出席したり、あるいは投票日の直前に反対声明を出したり、こういう動きがあったにもかかわらず、今度は建設容認派、推進派というよりも建設容認派というのでしょうか、岸本氏が当選した。こういう一連の名護市の動きがあったわけですね。沖縄の動きがあった。  そこで、外務大臣、この一連の動きの中から、よく沖縄の民意と言われます、沖縄の民意というのはどういうところにあると御判断するでしょうか。
  44. 小渕恵三

    小渕国務大臣 なかなか難しい御質問でございまして、沖縄の県民全体にこの問題についての意思を問うたわけでございませんので、その意思が那辺にあるかということはなかなか答弁が難しゅうございますが、今委員指摘のように、いろいろな経過の中で、住民投票もあり、かつまた今回の市長選におけるその問題もこれあり、こういうことでございます。  いずれにしても、政府としては、普天間の代替のヘリポートを名護におきまして設置いたしたいということは、国益の立場で行いたいという意思を明らかにしておるわけでございますが、住民のといいますか、地域意思も無視してはいかないということでありますので、今後、一番最終的に市長選挙という立場で選ばれた市長さんがどのような御判断をされるかということを考えていかなければなりませんし、また、この海上における使用についての権限を持つ知事さんのお考えもあろうかと思いますので、最善の努力をし、説得をし、政府の考え方を理解を求めていくということに尽きるのだろう、こう思っております。
  45. 松沢成文

    ○松沢委員 民意がどこにあるかという判断というのは大変難しいというのが、今の外務大臣の答弁でわかりました。  そこで、代替施設の問題なんですけれども、政府立場としては、普天間基地の代替施設は名護市のキャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポート以外に選択肢はないという言い方を繰り返しているのですね。ところが、アメリカの国務省筋は、海上ヘリポートは選択肢の一つであり、唯一の選択肢というわけではない、こういう発言がアメリカ側からはなされているわけなんです。要は、さまざまな選択肢を考える意思があるかという問題だと思うのですね。  そこで、普天間飛行場の代替施設は沖縄県内が絶対条件なのか否か。二つ目に、SACO協議の中で、アメリカ側から返還の前提としてそう要請されているのかどうか。三つ目として、県内移設は、現在の在日米軍の能力を維持するためには沖縄県内でないといけないという合理的な理由を日米両国政府が認めているから出た結果なのかどうか。この三点、時間がないので一緒に伺います。
  46. 高野紀元

    ○高野政府委員 お答え申し上げます。  まず、今の三点の御質問ですが、最後の二点はあるいは一緒にお答えさせていただくことになるかと思いますけれども、現在、日米両国政府として、SACOの最終報告に基づきまして、沖縄の基地の整理、縮小、統合ということで全力を挙げて取り組んでいるわけでございます。その中で、昨年、政府として御提示申し上げました代替ヘリポート案というものは、ぎりぎりの案として最善のものだという考え方でございまして、この点につきましては、日米両国政府の考え方は現在も変わっておりません。  国務省筋の報道として伝えられているオプション云々という話でございますけれども、これは私ども確認しておりますけれども、あれは、これまでの経過の中でいろいろ議論された中にいろいろ案があったことは事実だ、しかし、去年提示した段階でそういうことを集大成して日米間で決めたもの、これは現在もそれが最善の案であるという立場には変わらないということで、それはアメリカ日本政府も変わっておりません。  それから、県内にそういうものが必要なのかどうかということでございますが、御承知のとおり、海兵隊のヘリ部隊と歩兵部隊あるいはその他の部隊は、いわば自己完結的に一つの機能を有しているわけでございまして、そういう意味で、軍の運用上、ある程度の距離を置いて、遠距離を置いては駐留させられないという、それぞれの部隊というものは一定の自己完結的な機能を有しておりますので、余りヘリ部隊あるいは歩兵部隊を、それぞれ別の地域に置く、距離を置いて置くということは軍の運用上できないということもあわせて考慮した結果、現在の代替ヘリポートの案を御提示しているわけでございます。  現在のそういう状況を考えますと、沖縄海兵隊の機能を総合的に考えますと、やはり県内にございますこの代替ヘリポートが最善の案だという考え方でございます。
  47. 松沢成文

    ○松沢委員 それは、アメリカ政府とその考えで認識が合意している、こういうことですね。
  48. 高野紀元

    ○高野政府委員 そういうことでございます。
  49. 松沢成文

    ○松沢委員 時間なので最後質問にしたいと思うのですが、外務大臣に伺いたい。  私は、この前の予算委員会橋本総理にこの質問をさせていただいているのですが、時期が時期だけになかなか答えにくいという答弁だったのです。そこで、市長選も終わっていますから、改めて政府外交責任者として外務大臣に伺いたいのですけれども、大田知事は、建設反対の理由の第一に、沖縄の民意ということを挙げているのです。反対理由の第二として、各種団体の意見聴取でも大半が反対している、これも民意に近いことですね、移設を認めれば県内が大混乱するおそれがあるとも言っているわけなんです。  外務大臣は、日米安全保障条約上での基地提供義務という国政の根幹である安全保障政策と、基地受け入れ反対という地元住民の意思、これが対立する場合に、どのように考え、どのようにバランスをとるべきだとお考えでしょうか。  それで、橋本総理は、地元の意向を無視して強行はしないと何度もおっしゃっているのです。しかし、それと同時に、普天間基地の代替施設は名護市のキャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポート以外に選択肢はないともおっしゃっているのです。現状の名護市や沖縄県の民意を考えますと、この総理の言っている二つの発言は、残念ながら両立しないのです。両立しないのです。  外務大臣はこのことについてどうお考えになるか、また、政府の今後の取り組みも含めて、お伺いしたいと思います。
  50. 小渕恵三

    小渕国務大臣 お話にありましたように、大田知事さんが名護市長選挙に参りまして、民意を代表したという知事さんが対立候補の応援をされ、結果的には現市長が当選したという厳然たる事実があるわけであります。  しかし、さりながら、我々政府といたしましては、言うまでもありませんが、米軍の我が国における駐留のための施設・区域を提供することは日米安保条約上の我が国の義務であるという立場でありまして、米軍の円滑な駐留を確保していくために地元の方々の御理解と御協力が大切であり、そのために政府として米軍の駐留に伴う地元への影響を軽減すべく努力をしておるわけでございまして、そのために、沖縄については、SACOの最終報告の内容を着実に実施するため、引き続き最大限の努力をいたしていく考えであります。  具体的には、今回の代替ヘリポートの建設につきましても、新しく選ばれた市長さんの考え方も十分お聞きをしながら、沖縄全体の理解が求められるように尽くしていくことに尽きる、こう考えております。
  51. 松沢成文

    ○松沢委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  52. 中馬弘毅

    中馬委員長 引き続いて、藤田幸久君。
  53. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ただいま長野オリンピックが続いておりますが、私どもの心に大変感動を与えてくださっておられる方が、スピードスケートの清水さん、それから女子スキーの里谷さんといらっしゃいますが、もう一人、今回の長野オリンピックにおきまして、私どもに大変な感動を与えてくださっておりますのが、イギリスのクリス・ムーンさんだろうと思います。うまり、聖火の最終ランナーでございましたけれども、右手右足をアフリカにおける地雷除去活動の際に失った方でございますけれども、この方。  それから、ノーベル平和賞を受賞されたジョディ・ウイリアムズさんが先月の末から日本のNGOの招きで日本に参っておりまして、そしてその一環として長野オリンピックに参加をされたわけでございます。  私もそのNGOの会議に行っておりましたけれども、このジョディ・ウイリアムズさんの方から、小渕外務大臣の政治家としてのリーダーシップに対する大変な賛辞が寄せられまして、ウイリアムズさんがおっしゃっていたことですけれども、日本がオタワ条約に調印をするというのは思っていなかった、ところがNGOと政治家の連携で予想を超える対応日本が行ってくれた、それから今回の場合には、いわゆる超大国でない国々がNGOと連携をして動いたことにより、超大国による国際政治を変えてくれたということをおっしゃっておられました。  この方々が日本におられる間に大臣にも恐らく要望されたと思いますけれども、いわゆるオタワ条約、対人地雷全面禁止条約の批准というものを、ぜひこの条約が発効する四十カ国以内の順番で批准をしてほしい。恐らく年内に批准をしてほしいという意味だろうと思いますが、ジョディ・ウイリアムズさんあるいはクリス・ムーンさんの方から、大臣にも恐らくそういった要請が直接あったかというふうに思います。  ところが、最近の報道で、日本政府はその批准を今国会中には提出しないことを決定したかというような報道がございましたが、実際にそういう事実があるのかどうなのか。もしそういう決定をしているならば、どういう理由であって、いっその批准をしょうとお考えなのかということについて、大臣の方から答弁をいただければ幸いです。
  54. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私も、政府を代表して署名式に臨んだ者でございますので、署名をいたしました以上は、できる限り早く国会の批准を求め、御承認をいただきたいという立場努力をいたしておりますが、日本の置かれた立場といいますか、諸般の問題がございまして、また法的にこれをまとめ上げるにはいささか時間を要しておることだろうと思います。  具体的な問題につきましては、事務当局から御答弁させますが、この点についても御理解いただければありがたいと思います。
  55. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 お答え申し上げます。  大臣から申し上げましたように、現在、政府部内でこの条約の批准に向けて鋭意検討を進めております。その際には、条約の条文の詳細の検討とあわせまして、日本の安全保障を確保するということ、それから国内法の整備を行うということが必要でありまして、その点を含めて、目下、できるだけ早くこれを批准するという方向で鋭意検討をしております。
  56. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 長野オリンピックの最中にカナダのアクスワージー外相と小渕外務大臣がお会いになったということでございますが、最近のいろいろなレポートによりまして、アメリカのペンタゴンの関係者がヨーロッパのNATO諸国を回ってその批准をおくらせるようにというようなアプローチをしている、それに対してカナダ外務大臣が大変批判をしているというような報道も流れております。  長野でカナダ外務大臣とお会いになった際に、今後NATO諸国も含めまして、NATO諸国といいますのは、アメリカとトルコ以外はこのオタワ条約の調印国でございますが、そういったNATO諸国とも連携をして、そして、そういう批准をおくらせるというような圧力が日本にも来ているのかどうかわかりませんけれども、そういったものをはねのけて連携をするというようなお考えはないのかどうか、あるいは、そういったお話がカナダ外務大臣とあったのかどうかを含めて、大臣からお答えいただければ幸いです。
  57. 小渕恵三

    小渕国務大臣 お話にありましたアグスワージー外務大臣はオタワ・プロセスの指導者でございまして、御本人もこの条約第一号署名者でございます。そういった意味で、今回のオリンピックに当たりまして、私といたしましても、平和の祭典にクリス・ムーンさんが、みずからが最終ランナーになるというようなことも含めまして御招待申し上げてまいりまして、その節いろいろのお話を申し上げました。  お話にありましたように、米側がNATO諸国に対して云々ということにつきまして、あわせて日本側にということにつきましては、一切そういった事実はありません。したがいまして、アクスワージーさんとは、できる限り日本としても努力をしていきたいが、NATO諸国との関連において、我が国とも類似性のある国もございますので、そういった点で、ひとしく批准にいく行為ができれば望ましいということで情報の交換をしていこうということになっておるわけでございまして、ちなみに、現在締結状況は、カナダ、アイルランド、モーリシャス、トルクメニスタン四国だ、こういうように承知をいたしております。
  58. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 アメリカとの交渉において対人地雷に関して一つの問題は、在日米軍基地に備蓄をされておると言われる対人地雷の件だろうと思いますが、在日米軍基地というのは国連軍の基地でもございまして、国連の後方司令部が八カ国から構成をされているわけです。ということは、在日米軍基地における地雷に関しましては、調印をした国の方が、この後方司令部構成国としては多いわけでございます。したがいまして、そういった点も勘案をして、この在日米軍基地の保有地雷についての対応の道というものもあるのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  59. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 お答えします。  そもそも在日米軍基地の装備、内容について、地雷というものが含まれているかどうかについては、政府として必ずしもこれを承知しているわけではございません。  同時に、御指摘のとおり、国連軍の基地としての機能も一部の米軍基地は持っているわけでございますが、仮定の問題としてどうするかということなのですが、一般論としてあえてお答え申し上げれば、現在、国連軍地位協定によりまして規定されている基地の中で、在日米軍基地以外のものはございません。したがいまして、現実の問題としては、在日米軍基地に関する問題以上の問題はないということでございます。
  60. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 多分今のは間違いだろうと思うのですが、国連軍の地位協定に在日米軍の地位協定が優先をするという解釈になっているのだろうと思いますが、それは、時間が迫っておりますから、ちょっと調べていただきたいと思います。  一方で、仮にその在日米軍基地に地雷があったといたします場合に、実は先週もアメリカでペンタゴンの方とお話をしておりましたが、アメリカの方は、オスロの準備会議で、できればオタワ条約に調印をしたいというところまでいっておったわけですけれども、地雷が必要であるということは、一義的には米兵を守るためということであると。それから、日本における地雷の必要性ということに関しては、その必要があるというふうには考えておられない。韓国においては考えておられる。それから、最近もやはり韓国の防衛の当局者が、朝鮮半島においては地雷が必要であるけれども、その点日本は必要でないのでうらやましいというような話も出ておるわけです。  そういう点から考えまして、在日米軍基地に仮に対人地雷があったとする場合に、それを韓国あるいは米軍領内に保管をしていただくというふうな交渉の仕方があれば、この批准に関しましても道が速やかに前進するのではないかという気が論理的にはいたしますが、その点、大臣いかがでしょうか。
  61. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 お答え申し上げます。  この点につきましては、先ほど申し上げましたように、そもそも在日米軍基地にあるかどうかということがございますし、また国連軍地位協定の問題がありますけれども、現在、政府部内におきまして、国内法の整備、それから日本そのものの安全保障という観点から鋭意検討しているところでございます。  さらにその先、もし仮に、仮定の仮定の問題として在日米軍が持っていた場合の地雷の移転を求めるかというところにつきましては、現在のところは、そういった安全保障の問題、国内法の整備について検討しているというところまでお答えを申し上げるべきかと存じます。
  62. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 その国内法の整備とかいろいろな事柄について、私の方でできるだけ少し整理をお手伝いしたいと思っていろいろ申し上げましたので、なるべくその辺の整理をしていただいて、論点を明らかにして、調印が終わった後で、今まである意味では話しづらかったことも非常に話しやすくなっている雰囲気を感じておりますので、ぜひ進めていただきたいということをお願い申し上げまして、時間の関係で次の質問に参りたいと思います。  十一月ぐらいから報道されておることでございますけれども、いわゆる国際機関に派遣をされております日本の国家公務員、外務省の方が多いと思うわけですが、その処遇等に関する法律、つまり派遣法というものに基づいて、国連出向者に対して、国連からの給与のほかに日本政府の方からも実は給与が払われておる、二十七年間で大体千人ぐらいの日本の公務員に対して日本政府から払われている、つまり結果的に二重払いになっている、その総額が約数十億円に上るというようなことが言われております。  例えば、四十歳ぐらいの平均の国連職員と、日本から行っている、つまり二重払いを受けておられる国連の職員を平均で比較をしますと、日本から出向されている方の方が一般の国連職員に比べて年収で六百万円ぐらい多いというような報道がなされておりますけれども、これは国連憲章に違反をするといういろいろな報道国連のさまざまな関係者の方から伝えられておりますが、まずこの事実関係について、それから、なぜこういうことが起きているのかということについて、大臣の方からお答えいただければ幸いです。
  63. 上田秀明

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律、いわゆる派遣法でございますが、この法律は年金や保険等の面で、国際機関等に派遣される職員が不利な扱いを受けないように派遣期間中の身分を保障するためのものである、その派遣期間中に俸給等の百分の百以内を支給することができるという規定もございます。  この法律には、国際機関等に派遣された国家公務員は、派遣中は国家公務員としての身分は保有するが職務には従事しないということが明記されておりますので、国連憲章に定めてございます国際公務員としての中正義務には違反しないと考えております。  この法律の趣旨、内容等につきましては、過去数回にわたりまして国連側に説明済みでございまして、理解が得られているというふうに考えております。  日本からの国際公務員という数が、御案内のように日本の分担金の支払いその他、国力に比して著しく少ない状況でございますので、国家公務員の身分にある方がいわゆる出向の形で国連等に派遣されることも多いわけでございますが、こういうふうに身分、年金その他のことを保障するという形で派遣していくことで人的な国際貢献に寄与するということもあろうかと思いまして、この派遣法に基づく国際機関等への派遣ということが行われているというふうに理解しております。
  64. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 国連の方は理解をされておるということですが、実際に近年、例えばドイツとかそれからアメリカの方も、こういった二重払い、額が日本ほど多かったかどうか存じておりませんけれども、例えばドイツの場合も、九四年に、恐らく詳細の方法論は違うかもしれませんが、廃止をしている。それから、アメリカの方も補てんを廃止しているというようなことがございます。実際に、かってはかなりの国で、額は別にしまして、こういつたことが行われていたということはあるようですが、最近これだけ減ってきている際に、今の御説明にあった、任務と職務を分けるので違反にならないという説明だけで通用するのかどうなのか。その点、大臣いかがでございますでしょうか。
  65. 小渕恵三

    小渕国務大臣 政府委員がただいま答弁申し上げましたのでございますが、これはまた、政府として今国連憲章に違反するという立場は当然ながらとるわけにはまいりません。しかし、国連職員というものは国連というものの中で国連に忠誠を尽くしておるということでございますので、そういった点で、いろいろないささかの批判も受けてはいかぬということも重要なことではないかというふうに思っております。  そこで、先ほど、実態的には国連職員と本邦職員との間のいろいろな意味での大きな差がございますので、こういった点をどう勘案していったらいいか。国連職員の中にもすばらしい職員がこれから日本人として働いていくために、余りにも日本人の公務員との差額が大きいということになりますと、この点も人材を日本人に求めるということが難しいということであってもいかぬ、こういうことであろうと思います。  したがいまして、この点につきましては、国連にさらに日本立場を説明いたしますと同時に、委員指摘の他の国の行っておること等をもう少し勉強もしてみたい、こういうふうに思っております。
  66. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 十一月二十日に外務省の方で依頼をされておられる邦人国際公務員の増強のための懇談会というものが、レポートを大臣自身に提出された。その際にも、中立を定めた憲章を侵してはならないというようなことがこの報告の中に出ているというふうに言っております。任務と職務を分けるから、これは憲章に違反していないと。ところが、実際に日本から出ている人間が一年間に六百万円も多いというのは、これから常任理事国入りも目指して、それから国連の効率化ということも主張し、それからいろいろな意味での国連改革を主張している日本とすれば、非常に説得力に乏しいという気がいたしますが、その辺、大臣いかがでございますでしょうか。
  67. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、日本人として国連の場で活躍される方々の、まず員数も大変少ない。そういう意味で、これからどしどしと国連の中で活躍してもらいたいということでありますが、その処遇、待遇が、余りにも日本公務員との差額があるということにつきましては、これはやはり大きな問題だろうと思います。  したがいまして、この点を何らかの意味で調整できるような手法があり得るか否か。これは、ヨーロッパの諸国もいろいろ工夫をしておる点もあるのではないかと思いますので、先ほど申し上げましたように、いろいろな諸外国の例も勘案していきませんと、国連職員の処遇というものにつきましては、世界各国国連加盟国百八十五カ国、余りにもその所得水準が差がありますので、そういった点で、国々によって対応をすることと同時に、国連憲章に違反しないということの中での整合性をどう考えていったらいいかということも検討に値することじゃないかと思っております。
  68. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今のに関連して、国連で働く日本人が少ないということですが、もっと民間の方に門戸を開いたらどうかという気がするわけです。民間の、例えばNGOなりで働いている方にとりましては、例えば、この六百万円分の二重払いがなくても、普通の公務員あるいは民間企業並みの給与で国連で働けるということであれば、恐らく喜んで参加をされる民間人は非常に多いんじゃないか。  民間人という場合にいろいろなカテゴリーがありますが、実際に現在の外交政策、特に援助におきまして、日本政府国連拠出金を出して、国連拠出金を日本のNGOが使って現場で仕事をするという量が非常にふえてきているわけです。  ですから、そういった意味でも、実際に国連の仕事を実質的にはしている日本人の民間の方々が、アフリカにもあるいはヨーロッパにもアジアにもたくさんいると思うわけですが、そういった方も含めまして民間の方を、要は国連における日本人の活躍の場を開くという意味では、給与体系とは別に、むしろ民間の方々に門戸を開く非常にいい機会ではないかという気もいたしますが、そういった点はいかがでございますでしょうか。
  69. 上田秀明

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘になりました邦人国際公務員の増強のための施策に関する報告書、大臣に提出されました報告書の中でも、邦人国際公務員の増強のためのとるべき施策の一つとして官民の協力を得て人材ネットワークを構築して、幹部職員にふさわしい人材を発掘する、そういう御指摘もございます。このために大学あるいは各官庁、それから民間企業、各種機関の協力を得るということを提言されております。  私どもの方では、早速、この人材ネットワークというようなものを構築すべく、私どもの部局の下にございます人事センターを通じまして、目下、関係方面に御協力をお願いすべく、さまざまな御連絡をとり始めたところでございます。  いずれにいたしましても、民間の有為な人材が国際機関で大いに働いていただけるということは大変望ましいことと考えておりまして、どういうポストがあいているか、それにどういう人材がおられるかということを、うまく相互をつなぎ合わせるというような努力を私どもの部局で一層強めていきたいというふうに考えております。
  70. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 時間がなくなってまいりましたので、イラクの問題に移らせていただきたいと思います。  けさ、八代議員、それから松沢議員の方からもイラクについての質問が出ておりました。先ほどの八代議員の質問の中にも、湾岸戦争そのものに一兆二千億円も使われてしまった、少し振り返って、この湾岸戦争あるいはそれ以降の流れについて考えようという、必要があるというふうに私も考えております。  そもそも、先ほど来の議論の中で、イギリスは支援をしている、あるいはドイツは基地提供をしているというような中で、日本外交努力だけをしているというふうな話ばかり出ておりますが、実際にもし武力攻撃ということになった場合に、これは、日本は軍事的にも実は当事者になり得るということがあると思うのですっ例えば湾岸戦争のときには、随分たくさんの艦船、航空機、燃料、弾薬等が在日米軍基地から実際出ているわけですね。こういう事実について、大臣、例えば湾岸戦争当時、在日米軍の方からどの程度出撃をしたのかという事実について、ちょっと確認をいただければ幸いです。
  71. 高野紀元

    ○高野政府委員 湾岸戦争のときに在日米軍基地からどのような部隊、艦船等が参加したかという御質問でございますけれども、当時、外交チャネルを通じて米側より把握したところでは、在日米軍からは海兵隊を中心とした合計約八千人、また洋上展開、すなわち米海軍の海外家族居住計画に基づいて、我が国にその家族を居住させている空母ミッドウェーほかの艦船の乗組員として合計約七千人が湾岸地域へ移動したと承知しております。
  72. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 いや、そういうことではなく、例えば、私が調べた限りでは、湾岸戦争から湾岸戦争の停戦までの七カ月間に、日本中東を往復した米軍関係の船舶は延べ百十三隻、それから湾岸に展開した五十七万人に近い米軍が使った、あるいは海軍と海兵隊のすべて、それから空軍の八〇%以上がやはり在日米軍基地から出ている。それから、米軍が発射した約三百発のトマホークの、五十八発を一隻で発射した駆逐艦のファイフ、それからイラクを取り囲んで攻め立てた六つの空母機動部隊の最大のミッドウェーが横須賀から出撃している。それから、岩国からの海兵隊、それからAWACS、こういったものが日本から出ているわけですね。今度実際に、この間の夜間飛行訓練の問題もありましたが、インディペンデンスが既に行っているわけですね。  したがいまして、もし実際に、例えば長野オリンピックの後かとも言われておりますけれども、アメリカ軍の攻撃が始まるということは、これは在日米軍基地なしにはこういった作戦というものは展開できないのではないかという事実があるわけですが、結局、もし武力攻撃をアメリカが再開をした場合に、実際、在日米軍基地はどの程度の役割を果たすと予想されるのか、この点についてちょっと大臣の方からお伺いしたいと思います。
  73. 高野紀元

    ○高野政府委員 今回の事態との関係で、海外家族居住計画に基づき、我が国にその家族を居住させてる艦船でございます空母インディペンデンスが中東湾岸地域に派遣されるということは、米側よりも通報がございまして、承知しております。  ただ、一般論として申し上げなければならない点でございますが、御理解いただきたいと思いますのは、従来より、湾岸地域において活動している部隊のローテーションのために、世界の他の地域からその地域への航空機ないし要員等の一時的な移動が行われていることはあるわけでございますが、その一々の詳細について、米軍の運用でございますので、それを承知するわけではございませんし、またその立場にないということは、これまでも御答弁申し上げているとおりでございます。
  74. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今回、もし米軍が武力攻撃をした場合に、詳細はわからないと局長がおっしゃいましたが、実際には在日米軍基地に関連をしたいろいろな活動が始まると思いますPそういった状況というものは、いわゆる日本周辺地域における事態日本の平和と安全に重要な影響を与える場合、つまり周辺事態に当たりますでしょうか。大臣からお答えいただきたいと思います。
  75. 小渕恵三

    小渕国務大臣 再三御答弁申し上げておりますが、このイラクに対する米軍の攻撃につきましては、米国イラク再攻撃を決断した場合に、在日米軍基地がどの程度の役割を果たすか、また、周辺事態に該当するかといったことにつきましては、先ほど来申し上げておりますように仮定の問題でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思っております。
  76. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 時間が参りましたので、その答弁、仮定の問題と申しますが、仮定の問題として、実際に武力攻撃が始まった際に、結果的に先ほどの八代議員の、財政支援ばかりではなくいろいろな形で日本がかかわってしまうということに関して、やはり仮定の問題というだけで済まされないという気がいたします。  それから、先ほどの北米局長の答弁の中で、実際のアメリカの艦船の動向については情報がないということでございましたけれども、実際に日本の平和と安全にこれだけかかわることでございますので、アメリカ側からその情報が知らされないというだけでは済まないと思いますので、やはり日本から、在日米軍基地から出撃をしております空母の所在あるいは艦船の所在については、日本政府として独自にそういったことを知っておくということがやはり外交のツールとして不可欠ではないかということを申し上げまして、質問にかえさせていただきます。  ありがとうございました。
  77. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、坂口力君。
  78. 坂口力

    ○坂口委員 平和・改革の坂口でございます。  先ほどから、八代議員それから松沢議員と、イラクの問題につきましての話が出ましたが、お聞きをいたしておりまして、政府の姿勢というものがもう一つはっきりしない面がございますので、重ねてお聞きをしたいというふうに思います。  外務省からいただきました資料によりますと、イラクは、一九九一年の四月三日に採択されました安保理決議六八七により、大量破壊兵器の廃棄を国際的監視のもとで無条件に受け入れることを義務づけられ、実地査察に合意することを受諾をした、受諾したから停戦が発効した。したがって、査察が完全に行われ、大量破壊兵器の廃棄が明確になったときに初めて、湾岸戦争は終戦になると申しますか、最終を迎えるという意味ではないかというふうに理解をいたしております。一  まず、この私の理解に間違いがないかどうか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  79. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 坂口先生御指摘の一九九一年四月の安保理決議六八七、もう詳しくは申し上げませんけれども、その決議におきましては、イラクとの停戦に当たりまして、例えばクウェートに対して再び侵略を行わないこととか、いろいろなことを安保理決議イラクに対して求めたわけでございます。その中の一つとしまして、三つございまして、核、化学兵器、生物兵器、弾道ミサイルの廃棄と、それからこのための研究開発、生産設備の廃棄、さらに、将来にわたってこれらを開発しない約束ということをイラクに求めまして‘その完全実施のための国連による査察を無条件で受け入れるということを六八七は求めたわけでございます。  そして、決議六八七は、停戦との関係で申しますと第三十三項というのがございましてそれは短いのでちょっと端折って読み上げさせていただきますが、「イラクによる事務総長及び安全保障理事会に対する上記条項の受諾の公式の通報により、イラクとクウェイト及び決議六七八に従ってクウェイトに協力している加盟国との間の正式停戦の効力が発生することを宣言する。」ということでございまして、この決議イラクが受諾すると公式に通報いたしましたことによって、いわゆる停戦が成立した、こういうことでございます。
  80. 坂口力

    ○坂口委員 停戦が成立をしたわけでございますが、その後の状況を見ましたときに、アメリカ側は、その前提条件でありました大量破壊兵器の破棄というものが十分に実施をされていない、ですから、前提条件が決着をしていないわけでありますから、そうすると今までの停戦は決して終戦ではない、ここに開戦というものがあったとしても、それは改めて安保理の決議を必要とするものではないということを言っているように読めるわけでございますが、その点についてどうかということをお聞きしているわけでございます。  また、それに引き続きまして、それに対して外務大臣は、日本立場としてその考え方を支持されるのかどうかということもお聞きをしたい。
  81. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 いわゆる湾岸戦争と申しますのは、イラクによりますクウェートに対する侵攻と申しますか侵略と申しますか、それに対しまして国連のシステムの中で強制行動をとったということでございますので、通常のいわゆる二国間の戦争の平和条約とか停戦協定とかということとはちょっと違ったシステムがとられているということが言えると思います。それがこの安保理決議の受諾という形で停戦ができたということだろうと思います。  現在の状況は、しからばどういうことかというお尋ねであろうと思いますが、まさしくこの安保理決議イラクが遵守せず、それに違反したことを行っている、すなわち査察を拒否しているという状況でございまして、これをいかに認識するかということは一口で申しにくいところでございますけれども、現在行われている状況と申しますのは、まさしくそのイラク安保理決議の違反に対しまして、各国それから国連自体がそういう状況正常化する、イラクに対して安保理決議の遵守を求める、そういう外交活動を行っているということが言えるかと思います。  それは、背景といたしまして、まさに停戦の前提となっております決議の違反が行われているという認識のもとで、これが地域及び国際的な平和と安全を脅かしかねないという認識で行っている状況、こういうことだろうと思います。
  82. 小渕恵三

    小渕国務大臣 我が国立場は、今御答弁申し上げましたように、安保理の決議を十分遵守をしないイラク立場に、これを改善を求めていくという立場でございます。
  83. 坂口力

    ○坂口委員 湾岸戦争開戦七周年を迎えたわけでございますが、イラク情勢がそうした中で緊迫をいたしております。エリツィン大統領は、米国イラクに軍事攻撃を強行すれば、第三次大戦にもなりかねないというような言葉を述べておりますし、各国さまざまな反応を示しております。  日本立場につきましては、先ほどからいろいろお話がございますが、とにかく、外交上の問題としてとことん話をすべきだ、日本としてもそれをバックアップしていきたい、こういうお話ではなかったかというふうに思います。  しかし、外交上の話でございますから、いろいろこれは紆余曲折があるだろうというふうに思いますし、アメリカ努力はするのだろうと思いますけれども、最終的に、米国は、外交努力により解決できない場合には武力行使も辞せずという断固たる姿勢というふうに、外務省からいただきました文書の中にも書いてあるわけでございます。  いろいろ努力をして万策尽きたときにアメリカが行動に出るということは、十分に考え得ることでございます。そのときに、日本がそれに参加をして、日本もいろいろ努力をするということはよくわかりますが、万策尽きてアメリカが行動に出ましたときに、日本はいかなる態度をとるのかということが問われているのだろうというふうに思いますが、そこはいかがでございますか。
  84. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど来諸先生方にも御答弁申し上げておりますように、我が国としては、アメリカがそうした武力行動に出るという前提で考えておるのではありませんで、あくまでもそうしたことのないように、外交的手段を講じて、何としてもイラクをしてこのUNSCOM査察を全面的に受け入れるというために諸外国と連絡を密にして努力をしておる、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  85. 坂口力

    ○坂口委員 UNSCOM努力というものを、日本としましても十分に今見守っていくということでございますが、やはりそれだけでは済まない状況になりつつある。アフリカのある大使は、国連重視を最大の外交方針と公言している日本がなぜ本件に関して意見を述べないのだろう、こう発言をされたという報道がございます。こういう外国からの報道が多くなってきている。  先ほどお話にございましたように、もし仮にそういう戦争の事態になりましたときに、七年前の湾岸戦争のときを思い起こしますと、日本に存在します基地から多くのアメリカ軍が湾岸戦争に向かったことも事実でございます。  先ほどいただきました資料におきましても、そちらの方でも御紹介がありましたが、在日米軍からは海兵隊を中心として合計八千人、大づかみの数字で、細かなことはこれに述べられておりませんけれども、大変多くの人がそれに参加をした、その事実があるわけであります。日本の基地からそれだけ多くの海兵隊が現地に行っているわけでありますから、やはりこれは、もしも起これば日本は大きな影響を受けることは間違いがありませんし、日本としての姿勢を明確にしなければならないことも事実でございます。  今、各国はそれぞれ立場を明らかにいたしております。フランスは、イラクは一歩前進をしているけれども、しかし十分でないという立場一つ明らかにいたしております。十分ではないけれども、しかしイラクも一歩は前進しているということを言っておりまして、フランスフランスとしての立場を明らかにしているわけであります。  こういう事態になりましたときに、外交上の努力はよくわかりますけれども、外交上の努力をしているというだけで済まない事態になってきているのではないかというふうに思います。  再度お聞きをしたいと思いますけれども、万策尽きたときにアメリカが行動に出る、そのことは認めるのか認めないのか。それはやはり日本政府としても明らかにしなければならない問題ではないかと思いますが、もう一度お聞きをしておきたいと思います。
  86. 小渕恵三

    小渕国務大臣 万策が尽きたということは軍事行動に入るということですが、我々は、再三申し上げておりますように、あらゆる外交的手法を通じて、各国との協力の中で、イラクをしてこのUNSCOM査察を十分受け入れるというための圧力を加えていくべきだ、こう考えております。  御指摘のように、各国ともいろいろな状況は異なっておることは委員御承知のとおりでございまして、それこそイラクに対してロシアフランスあるいはトルコ等は特使を派遣して翻意を求めており、かついろいろの条件を具備しての考え方を申し述べておるやに聞いておりますが、我が国としては、イラクについては直接的に影響力を行使するということがなかなか困難でありますので、関係する諸国と連絡を密にして、特に国連の場においてこの問題の処理のために、イギリスを初めとして、我が国として、いろいろな決議案が提案されれば十分検討に値するということで、今努力をいたしておるということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  87. 坂口力

    ○坂口委員 イラクに対する考え方をひとつお聞きをしておきたいと思います。  先ほどフランス外務大臣の言葉を紹介いたしましたけれども、フランスのベドニーヌ外務大臣は、イラクは一歩前進したが十分ではない、こう述べられたというふうに伝えられておりますが、湾岸戦争以後続いてきました経済制裁、これはイラク経済をかなり破壊をし、国民生活の窮乏化を進めるに十分であるという意見もございます。また、約一年前からでございますが、一部制裁を解除いたしまして一定の石油輸出を認めておりますし、その代金で人道的物資の購入を許可するといういわゆる部分解除が認められてもきたところでございます。このことに対する評価もいろいろさまざまな形からなされております。  イラクというのは日本にとりましても非常に、かつては貿易対象国でございました。一九八〇年代でございますか、八〇年ぐらいには欧米先進国の中でも日本は第一位か第二位ぐらいの石油の輸入国であったというふうに記憶をいたしております。まあ、下がりましても三番目ぐらいというかなり大きな貿易もしてきた国でございますだけに、かつては日本にとりましても非常に大事な国であったわけでございます。  そうしたことも含めて、イラク状況、現在置かれております状況と、うものについて、もちろん兵器の問題もございますが、それ以外の問題も含めて、どのようにお考えになっているのかということも一言お聞きをしておきたいと思います。
  88. 小渕恵三

    小渕国務大臣 イラク我が国との関係につきましては、今坂口先生お話しのようにかつては我が国石油の輸入等に依存した点もございますし、また、我が国としても、イラクの発展のために相当民間も含めて進出をいたしておりまして、かなり、数千億に上る債権も現在保有をしておるというような状況で、このままの状況というものは好ましいことではないことは言うまでもありません。  私も、昨日臨時代理を招致してお話し申し上げましたが、イラク国民の窮状については我々は深く同情しておる、イラクが一日も早く国際社会の一員に戻ることを期待しておる向きを臨時代理大使にも申し上げました。申し上げましたが、かかって今日、こうした形で全世界の注目を浴びて、イラク大量破壊兵器を今なお保持しておるという問題について、イラク政府がはっきりと全世界に向けてこれを明らかにするという義務を怠っているというところにこの問題があるわけでございますので、こうした問題を一日も早く解決し、そして日本イラク関係が正常な姿として、両国が協力し合えることが一日も早く来ることを心から願っておる、こういうことだろうと思います。
  89. 坂口力

    ○坂口委員 ぜひ御努力をいただきたいと思いますし、それから、日本外交上ももう少し積極的に大きな役割を果たしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  さて、この問題はなかなか進みませんのでこの辺にしておきまして、もう一つアジア経済の問題につきまして質問をしたいというふうに思います。  特に東アジアを中心にいたしまして非常に経済危機が進んでいるわけでございます。タイの問題が昨年の四月ごろでございましたか、大変厳しい状況になりまして、以後インドネシア、マレーシア、あるいは最近では韓国等々、もうこれが大変な勢いで周辺に広がってきたというのも事実でございます。  さて、そうした中で、国内の問題ともあわせまして気になりますのが、タイやインドネシアやあるいはマレーシアに日本の金融機関がどれだけそこに財源を投入し、そして現在それがどうなっているのかということであろうかと思います。  きょうは大蔵省の方にも来ていただいていると思いますが、東南アジアに投入した不良債権、不良債権がわからなければ、大体どれぐらい日本から財源が投入されているのかということがわかりましたら、まずお聞きをしたいと思います。
  90. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えいたします。  金融機関の不良債権の総額につきましては、全銀協統一開示基準に基づきまして、公表不良債権の額や自己査定の集計結果をこれまで公表してきたところでございます。これは、我が国の不良債権問題をマクロ的にとらえて議論するということに資するという観点から集計したものでございまして、したがいまして、お尋ねのような区分による把握というものはいたしておりません。  いずれにいたしましても、アジア向けの不良債権の額につきましては、不良債権のそれぞれの定義に応じまして、おのおのの総額の中で把握されているということでございます。  そこで、貸し出しの額でございますが、貸し出しの額につきましては、BIS、国際決済銀行でございますが、この国際与信統計というものがございます。  この統計によりますと、九七年の六月末現在の数字でございますが、ASEAN諸国それからNIES、シンガポール、台湾、韓国、香港及び中国に対する邦銀の債権総額が約二千七百億ドル、円換算いたしますと約三十一兆円というものでございます。これは、全国銀行の総資産残高、千二十六兆円ございますが、この約三%というものになっているわけでございます。  これらの債権が不良債権となる可能性につきましては、各国経済状況や各債務者の個別の事情によるものでございまして、一概に申し上げることはできませんが、私ども、邦銀の主要行からヒアリングをいたしましたところ、邦銀のアジア諸国に対する貸し付けにつきましては原則為替リスクでヘッジがされている、それから邦銀のアジア向け債権のかなりの部分が日系企業ないし地場の大手優良企業等である。それから、アジア向けの与信の大宗を占める香港、シンガポール、タイの三カ国向けの債権残高でございますが、これを合計いたしましても全国銀行ベースの総資産残高の約二%にすぎないということもございまして、邦銀の経営に直ちに重大な影響を与えるというふうには考えておりません。
  91. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。大枠の数字はわかりました。  さて、それで、アジア諸国に貸し出されましたお金が、今度は急激に今それぞれの国が引き揚げている。これは民間のものも含めてでございますが、それが余りにも急激に引き揚げられ過ぎているものですから、これまた大きな打撃を与えているというのも事実でございます。  先ほどお話が出た三十一兆円、二千七百億ドルという一つの数字がございますが、これらが今もそのままそこにあるのか、それとも、日本も同じように急激にそれを引き揚げているのか。貸し渋りが国内におきましても非常に言われているときでございますし、大変心配をするわけでございますが、その辺はどのように把握をしておみえになるか、もう一言だけ大蔵省に聞いておきたいと思います。
  92. 長尾和彦

    ○長尾説明員 日本の金融機関のアジア諸国に対する債権額約二千七百億ドルというこの直近の統計、九七年六月末現在のものでございまして、これが直近の最新統計ということで、その後の動向について正確な数字を把握しているわけではございませんけれども、主要邦銀からその与信状況について聴取したところでは、それぞれの国の経済状況あるいは個々の取引の状況によって、区々ではございますけれども、その中では、例えば先日の韓国のように、金融機関向けの融資を一斉に引き揚げるというような動きがあった国もございますが、全体として見れば、アジア諸国から急速に資金を引き揚げているという状況にはないというふうに承知しております。
  93. 坂口力

    ○坂口委員 それは日本の国だけの話ですか、それとも全体の話ですか、今のお話は。
  94. 長尾和彦

    ○長尾説明員 今私が申し上げましたのは、日本ということで申し上げました。
  95. 坂口力

    ○坂口委員 アジア諸国からも、前回の質問のときにも若干触れましたけれども心日本の国は、初めはちゅうちょをしていたけれども、しかし後半になると湯水のごとく日本の銀行が東南アジアに向けて資金を導入してきた、それがバブルの原因になったというふうに報じられている面もあるわけであります。日本の国の中で金融機関がバブルを形成するのに大きな役割を果たし、そしてまた日本でバブルが終わりますと、そのお金を今度は東南アジアに持っていって、またもう一遍同じことを繰り返した、そういう報道がかなりございます。  これは大変残念なことだというふうに私は思ておりますが、そういう状況の中で、東南アジアあるいは近隣の韓国を初め諸外国と、日本友好関係をこれからも続けていかなければならない。橋本総理がASEANに行かれまして、そして日本から景気というものを低下させてはならないという意味で減税をやることを決意した、こういう報道がございましたけれども、そこはそのとおりの認識でなければならないというふうに私は思っております。  これは今後のことになるわけでございますが、アジア諸国との間での友好をさらに深めていきますために、外務大臣としてこれからどのようにしていくことが大事だというふうにお考えになっているかをお聞きしたいわけであります。  これは、外務大臣のお仕事の範囲から若干外れる問題もあるわけでございます。例えば、IMFの融資の仕方につきましても、これでいいのかといった問題もあろうかというふうに思いますし、これからの友好上考えていかなければならないことというのはさまざまあるのではないかというふうに思いますが、どのような認識をお持ちになっているのか、お聞きをしておきたいと思います。
  96. 小渕恵三

    小渕国務大臣 近隣諸国との友好関係を考えた場合に、安全保障の面もさることながら、こうした経済的な、より緊密な関係を維持しつつ、お互い協力し合うということが必要じゃないかと思います。  今委員指摘のように、我が邦銀、金融機関その他の今日までの対応の中には、率直に申し上げて、節度を超えたものがあったのかもしれません。我が国におけるバブルの発生、また諸外国もそういった形で我が国の資金が流出、そうした国から言えば流入でございますが、することによって、経済を大きくする段階では非常に効果があったのだろうと思いますが、こうした金融・通貨不安の状況になってきますと、これが総引き揚げというようなことが起こってくれば、当然その国の経済を大きく揺り動かすことになるわけですので、そういった点で、我が国の金融機関も節度を持って対応しなきゃならぬと思いますが、これも民間企業ですから、その企業としての生存の問題もこれあって、いろいろな問題が起こっておるということだろうと思います。  韓国には昨年の暮れに参りましたが、御案内のように、IMFを通じての我が国政府としての協力協力でございますが、日本の大手銀行その他が一遍に資金を回収するということになりましたら大変経済が大混乱をするということで、その後、邦銀も含めて、アメリカ韓国との間でロールオーバーの問題も決着しているように聞いておりますので、そういった点で正常に戻りつつあるのじゃないかという気がいたします。いずれにしても、日本経済、金融が大変大きな存在であるということにかんがみまして、それらの国々と十分連絡を密にしていかなきやならぬと思っております。  そういった意味で、政府としても、いろいろ各国にミッションを派遣いたしまして、現在、それぞれの国の状況について十分認識を新たにしておるところでございますので、タイ、インドネシアあるいは韓国、事情は若干異なるかもしれませんけれども、我が国としての責務は十分果たしていくように、政府も、そしてまた民間におきましてもその努力を続けていただきたい、こう念願しております。
  97. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。時間が参りましたので終わります。
  98. 中馬弘毅

    中馬委員長 東祥三君。
  99. 東祥三

    ○東委員 自由党の東祥三でございます。  今の日本が抱えている問題といいますか、外交案件というのは本当に多岐にわたると思います。もう既に同僚議員がいろいろと質問されている中にもありますけれども、東南アジアの通貨危機に端を発する経済不安と日本とのかかわり合いの問題、あるいは日韓漁業協定日本によって一方的に破棄されたことによって日韓関係が今後どうなっていってしまうのか。あるいは韓国経済状況が極めて悪いがゆえに、北朝鮮におけるKEDOの資金の問題がどういうふうに展開されていくのか。  あるいはまた、日本アメリカロシア、中国といった四極における北東アジアの安全保障についての、中身はともかくとして、そういう問題についても一生懸命やっていかなくてはいけない。そこには、当然中心テーマになる韓半島情勢、この当事者である方々がいない形でもって進んでいってしまうことが予想される、そういう問題もある。  さらにまた日ロ関係、この問題は、ある意味でターゲットが極めて明快になっておりますから、それはそれなりに進んでいくのだろう、また、それなりの効果、結果が出るのだろうということを期待しております。  さらにまた、日米防衛協力ガイドラインにかかわる日米関係の問題が山積しているわけですね。  ただ、私が言いたいのは、外務大臣の発言が全然聞こえてこない、また、世界からいろいろ発信される情報を見ていたとしても、日本はますます顔が見えなくなりつつあるのではないのか。そこに、偉大なる、また種々の経験を踏まえた大物政治家である小渕外務大臣に期待するところは極めて大なのですけれども、その期待と現実はまさに裏腹で、何が何だかよく見えない、そういう状況に落ち込んでしまっているのではないのかと私は真摯に思います。  湾岸戦争が終わって以来、湾岸戦争以前、別の言葉で言えば冷戦構造が崩壊する以前というのは、日本というのは国際政治の舞台にほとんど舞い上がっていなかったのだ、常にわき役でいたと僕は思いますし、できることならばそのわき役のまま進めるような状況であればよかったわけですけれども、それができないというところをまず我々は自覚する必要があるのではないのかというふうに思うのです。  そういう状況の中で出てきた、日本に対して痛烈なインパクトを与えたのがあの湾岸戦争だったのではないのか。ある意味日本は、周りを常に見、そしてまた周りの国々が、世界の国が何を考えているか、そういうことを見きわめた上で常に判断するという冷戦構造下における習慣、これをまさにつめの先までしみ込ませてきたのだろう。その習慣が全く抜け切れていないのではないのかというふうに思わざるを得ないわけでございます。  そういうことを踏まえた上で、きょうは、時間の関係もありますから、再三再四質問されておりますイラク情勢の問題について、また、時間が許されれば日韓関係について御質問させていただきたいというふうに思います。  湾岸戦争教訓について先ほどお話がありました。与党側から出た意味が私はよく理解できなかったのですが、湾岸戦争というのは、いろいろな意味で、今後のあるべき日本の方向性なり、そういうものをどうしていったらいいのかということを日本に考えさせる極めて重要な意味を与えたというふうに思うのです。  あの当時、お名前を出されましたけれども、幹事長小沢一郎幹事長でございました。自民党、与党。大蔵大臣が今の総理である橋本さんでございました。あのときに既に四十億ドルを日本拠出していた。その後アメリカに呼ばれて、橋本大蔵大臣はどうしていいのかわからないという状況だったのだろうというふうに思うのです。そのときに、小沢幹事長あるいはまた自民党の執行部が中心になりまして、日本という国は国際の平和と安全に関して人的な資源を拠出するような体制はできていない、したがって、できるものはお金だけしかないのではないのかと。したがって、それがある意味で唯一の外交的なカードだったわけですね。  私が言いたいのは、そこでそれなりに政治的な決断をされた、政治的意思を明確にされたということは、その結果いろいろな国々から不評、高く評価されなかったといえども、まさに一つの、日本現状を踏まえた上での政治的決断、政治的意思を明確にしていたのではないのか、それは僕は評価すべき問題なのだろうというふうに思うのです。  問題は、その後、まさにあの当時我々が深く認識し、また考えていたものをどのように七年間かかって積み上げてきたのかというのが大きく残っているわけですね。今回、まさに、与党にとってみれば、あるいは政府にとってみれば、どうしていいかわからないという思考停止の状況に今また陥りつつあるのだろう、これは僕の意見ですけれども、そのように思うわけでございます。  他方、あのときの問題というのは、百四十億ドル拠出した、四十億ドルというのはGCCに行ったのだろうと思うのですけれども、九十億ドルというのがどういうふうに使われたのかというのはわからない。財政的な支援しかできなかったとい うことが問題ではなくて、財政的な支援を政治的意思基づいて決断して、そしてそのお金が、国民の税金ですから、それがどのように使われたかということをだれも報告してくれていない、これはいつか別の機会にちゃんと究明しなければならない問題なのだろうというふうに私は思っております。  それと今申し上げた、まさにあの当時へ財政的な支援以外何もできなかった日本が一七年たった今日どうなっているのか、そういう問題をまさに今議論しなければならないのだろうというふうに思うのです。  残念ながら、きょう、野党はほとんどそろっておりますけれども、与党の人たちはほとんどいない。三人しかいないのですよ。定足数にも多分足りないのではないのかと思うのです。やめてもいいのかもわかりませんけれども。これほど与党が、日本が直面している外交問題が山積しているにもかかわらず、関心がないというところに、今日の日本の、まさに最大の問題があるというふうに僕は思っております。外務大臣、いかがですか。
  100. 小渕恵三

    小渕国務大臣 現下、我が国を取り巻く外交諸案件というものが多々あることは、委員指摘のとおりであると思います。それに対しまして、私たる外務大臣として、顔の見える、いろいろ発言等が不足しておるという御批判につきましては、謙虚に受けとめたいと思います。  そもそも我が国外交の基本の中には、国際的な問題解決の手法として、今日も問題になっておりますが、軍事的な力を背景にして国際的な紛争を解決するという手法が今なお世界の中には存在をしておりますが、我が国としては、憲法に基づいて、そうした手段で国際紛争を解決することは一切禁じられておることでありますし、国民意思もそこにあると考えております。  そうした意味で、我が国としてできる貢献は何か。先ほど湾岸戦争における貢献ぶりにつきまして大きな決断があったというお話でございますが、いわゆる財政的な貢献を通じてあのときも日本意思は明らかにしたわけでございますけれども、今日我が国としての国際的な貢献のあり方としては、一般的には、この経済力を背景にして、ODA等資金あるいは民間企業、その他活動を通じまして国際経済に大きな貢献をするという意味で、日本立場を明らかにしてきたところであります。  そういった点では、我が国は、世界にまれに見る基本的な考え方において国際社会に生きていこうという決意のもとでいたしておることでございますので、顔の見えるというのがどういうことかわかりませんが、我々としても、そうした中で、日本の本来持つ平和への渇望というものをどうした形で生かしていくかということにつきましては、率直に申し上げれば、世界のトップランナーとしての手法の中には、なかなか限界と申しますか、日本としての独自の方法論をとらなければならぬこともあるのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、我が国国際社会の中で大きな役割を果たしていくというためには、いかなることができるか、委員その他皆さんの御意見も十分拝聴しながら対応していきたい、このように考えております。
  101. 東祥三

    ○東委員 多分、パワー、一国の持っている力というのはいろいろ定義することができるのだろうと僕は思うのですが、その重要な要素として、経済力というのが間違いなくあると思うのです。さらにまた、その経済力のウエートというのは軍事力に比して相対的に高くなっているということも事実なのだろうというふうに思うのです。さらにまた政治力、この政治力というのは、日本に国際政治力があるというのはほとんど僕は聞いたことありませんし、さらにまた軍事力へ軍事力というのは物的に持っていたとしても、それをどのように使うか、そういう問題ですから、外務大臣はそれがないとおっしゃられるわけですから、それはないのだろうと思うのです。  問題は、そういうものをどういうふうに使うのかという意思なんでしょう。経済力をどういうふうに使ったらいいのかという政治的意思が不明確だということで、僕が先ほど言っている顔が見えないということを申し上げているのです。その意思が小さければ、一以上でなければ肥大化しないわけですから、そこに最大の問題があるのじゃないかというふうに私は思っています。その上でイラクの問題について、日本は、もう先ほどから何回も答弁に出ております、武力行使のことに関しては今言えませんと、外務大臣は何回も何回も繰り返しているわけですけれども、それこそ全くよく私には理解できないのですね。  つまり、一つ一つ詰めていきますと、まずイラク査察を拒否している理由というのは、外務大臣、それは認められる理由なんですか。どうなんですか。いや、外務大臣はわかるはずですよ、さっきからずっと質問しているのですから。どうぞ。  では、もうちょっと解説しますと、基本的にイラク側は何を言っているかというと、査察団の構成メンバーに偏向があると言っているのですよ。私が理解している限りによりますと、国連査察特別委員会UNSCOMのバトラー団長というのは、現時点でアメリカは現地にいる十五カ国の中の一国だけで、合計百人前後のうちアメリカ人はたった六人だと、イラク側が指摘している、アメリカ人に余りにも偏向し過ぎているのじゃないか、それを打ち消しているのですね。  その理由について、日本政府外務大臣はどのようにお考えになっているのですかと聞いているのです。聞いていなければ聞いていないと言って、そして外務省政府委員の方に行って結構です。
  102. 小渕恵三

    小渕国務大臣 査察メンバーの構成については、国連UNSCOMの中でこれを決定して、それぞれの国の事情で積極的に参加をされる国もあるだろうと思いますし、そうでない国もあろうかと思います。しかし、現在の構成の姿についてどのような指摘がなされているかについて、もし情報があれば政府委員から答弁させます。
  103. 東祥三

    ○東委員 査察の法的根拠になるのは、もう既に外務大臣が何度もおっしゃっているとおり、安保理決議六八七で、イラクが国際監視のもとで行われる化学生物兵器、弾道ミサイルの解体、処理などを無条件で受け入れる、無条件で受け入れるということをイラクは合意したのです。その後はもう御案内のとおり、これに対して無条件で受け入れない、いろいろな策動をイラクはずっとやってきたわけです。  だから、先ほどから外務大臣が言われるとおり、日本のスタンスというのは、この国連決議に盛られているとおり、その全面査察イラクが受け入れる以外ない、こういうふうにおっしゃっているわけですね。アメリカも同じように言っているわけです。真の外交的な解決というのは、イラクがこの決議基づいて全面的な査察を受け入れる以外ないと言っているのですよ。全く同じじゃないですか。それができない場合どうしたらいいのかということを提案しているわけですね。にもかかわらず、それに対して日本政府が何も答えることができないというのはどういうことなのか、僕にはさっぱり理解することができないわけです。どうぞ、外務大臣
  104. 小渕恵三

    小渕国務大臣 これもしばしば御答弁させていただきましたけれども、UNSCOM査察につきましては、無条件、即時、全面的にやるべきであるという安保理の決議があって、このことを十分遵守しておらないところに今日の問題が起こってきておるわけです。  したがって、この問題についでイラク側をしてUNSCOMの全面査察を認めさせるというためにはいかなる手法があるかということを考慮すれば、我が国としては、安保理のメンバーの一員でもあることでございますので、関係諸国と十分連絡をとって、もし必要であれば新たなる決議も行うことによってイラクをして翻意させたいへこういうことで努力中だ、こう申し上げておるわけです。
  105. 東祥三

    ○東委員 外務大臣は、外務大臣に限らず日本政府は、一生懸命、外交努力外交努力と言っているのですけれども、何をやられているのですか、基本的に。  ここに外務省からの、日本対応というのが書いてあるのですけれども、電話したり、また在日のイラクの臨時大使を呼ばれて、国連決議六八七を受け入れなさい、さらにまた、近隣の国々に対して、私たちは六八七の決議を遵守することを望んでおります、それだけを言われているのじゃないですか。それ以外に何をやっているのですか。どうぞ。
  106. 小渕恵三

    小渕国務大臣 そのことが極めて大切なことだというふうに認識をいたしております。それぞれの国もイラクに対していろいろな形で積極的努力をしていることは委員も御案内のとおりでありまして、報道される範囲におきましても、ロシアフランス、あるいはまたその他の国々におきましても、特使を派遣して、イラク側との調整といいますか、イラク側の翻意を促しておるところでございます。  我が国としても、率直に申し上げればそういった手法も講ぜられるかということを考慮しないではありませんでしたが、現時点におきまして、我が国からそのようなことを行いましても、現在のイラク政府としてそのことをそのまま現地において受け入れる可能性というものは極めて薄い、したがって、現在東京におります臨時代理を招致して、我が国立場を改めて明らかにしたということでございます。  それぞれの国々イラクに対してはいろいろな形での影響力を行使しておるということでありますので、そうした国々との連携を図っておるということでございます。
  107. 東祥三

    ○東委員 外務大臣は、日本外交的能力をどのように評価されますか。
  108. 小渕恵三

    小渕国務大臣 外交的能力というお尋ねがちょっと理解しにくいのですが、現在持つ力の範囲において最善を尽くすということだろうと思います。
  109. 東祥三

    ○東委員 御存じのとおり、湾岸戦争のとき、僕は明確に思い出すのですけれども、某委員長が、名前を伏せますけれども、デクエヤル事務総長がまさに最後の交渉をフセインとやるときにちょうど時間がぶつかって、その方が何時間もフセイン大統領にうまく利用されるのですね。翌日のイラクの新聞を見ると、それがでかでかと掲げられる。そして、ほんの端に、まさに最後の交渉をされているデクエヤル事務総長との話がうまくいっていない部分が小さく掲載される。  私は、今申し上げているのは、日本外交的能力というのは、このイラク情勢問題、またイラクの全面的査察受け入れに関して、日本はどこまでイラクに、日本の主張または主義、スタンス、これを伝え、そしてそれを理解させ、それを受け入れられる能力があると思いますかということを聞いているのです。
  110. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいま御答弁しましたように、イラク政府すなわちサダム・フセイン大統領と直接的な交渉を持ってこの問題を解決する力というものは、残念ながら、我が国において直接的には可能性は大変薄い、こう考えております。
  111. 東祥三

    ○東委員 外務大臣、すごく正直で、だから僕は大好きなんですけれども。  その上で、例えばアメリカも最終的には真の外交解決を望んでいるのですよ。世界のすべての国々外交的に解決されることを望んでいるのですよ。そして、それができない場合、まさに決議違反を繰り返しているイラクに対してどうずれば決議を履行させることができるのか、そこで悩むわけでしょう。  その結果として、フランスフランスの国益で動くわけですから、ロシアロシアの国益で動く、中国も中国の国益で動くから、いろいろな形でいろいろな意見というのが出てくるわけですね。そうすると、日本はどういう視点でもって動くのか。視点はわかりましたよ。国連決議六八七に基づ決議を全面的に履行させるようにイラクが動けば、これは解決するわけですから。  では、そうしたときに、まさにアメリカ一つの主導権を握って、そして世界各国を行脚して、そして外交的な解決を促すために、そしてまた外交的な解決ができない場合、やむを得ない、一つの処置として、武力行使もやむを得ないのではないのか、このように言っているわけですね。それに対して日本はまだ明確な意思を出していない。あの、まさにPKO先進国と言われるカナダも、いち早く武力行使支持を表明しているじゃないですか。また、軍事大国ではない国々がまさに表明しているではありませんか。  それに対して、日本は何で表明することができないのですか。また、表明することができないとするならば、ノーだということを明確に言えばいいじゃないですか。また、国連決議はどうも得られそうではない。国連決議が得られない限り、日本武力行使に対しては反対ですということを明確に言われればいいじゃないですか、もし政府がそのようなことを考えるとするならば。それが全く伝わってきていない。そこに問題があると僕は申し上げているわけです。  では、そのような表明をするのは一体いつなのですか。瞬時、攻撃を、武力行使を開始した瞬間に外務大臣は言われようとしているのですか。きょうリチャードソン国連大使とお話しされると言っています。このことを理解してくれと言うに決まっていますよ。では、それに対して、表現をどういうふうにしたらいいのか、こういう次元で多分お考えになっているのでしょう。どうされるのですか、外務大臣。そこが見えないと言っているのですよ。  そこは、与党の安保部会でいろいろ議論をされているかもわかりません。外務省の方々も一生懸命やられていると思います。しかし、政治的な意思、これを決めるのは政治家でしょう。そのために外務大臣が、過去のすごい経験を踏まえた上で外務大臣になっているのじゃないですか。そうでなければ、小渕外務大臣外務大臣になる必要はないのじゃないですか。何で外務大臣になられたのですかというところまで質問が行ってしまいますので、外務大臣、明確なる意思、どうされるのですか。今表明ができないとするならば、いつされるのですか。攻撃が始まったときですか。始まった後ですか。国連決議が出ない限り反対されるのですか。どうなのですか。  だから、その考えを表明できないということは、ここは国会ですから、外務委員会ですから、外務大臣はどこに行ったとしても多分表明することができないのでしょう。いかがですか。
  112. 小渕恵三

    小渕国務大臣 外務大臣としての責務はみずから承知をしているつもりでございます。したがいまして、本イラク問題に対しての基本的な考え方につきましてもへこれを明らかにして対応すべきだということはそのとおりでございますがゆえに、先ほど来申し上げておりますように、外交的手段を講じて、何としてもイラクUNSCOM査察を、十分これを受け入れるための努力を他国と協力をしながらいたしていきたい、こういうことでございます。  あえて申し上げれば、やはり外交の責任はいただいておりますが、国民の皆さんのお考えということも十分考慮の中に入れなければならないわけでございまして、本委員会等におきましても、本問題についてどのようなお考えをされておられるかということについても、謙虚にこれを受けとめながら最終的な決断をしなければならぬ、こういうふうに思っております。
  113. 東祥三

    ○東委員 まさに国民に理解していただかなくちゃいけないわけです。しかし、政府が何を考えているのかわからないのですから、それはどうすることもできないのですよ。  与党で判断がつかないならば、野党の党首なり皆さん方と相談されればいいじゃないですか。こういうものを、本当に重要なのだということであるならば、まさに外務委員会の人たちを呼んで、ぜひこの問題について議論してくれと。それがまさに意思でしょう。外務大臣として、このイラク 情勢というのを軽視しているなら別ですけれども、極めて重要な問題であるということであるならばへそこに動きが全然ないではありませんか。それに対してどうしても私は理解できない。  一九九〇年なのでしょうか、湾岸戦争が終わった後、日本は独自に判断していかなくちゃいけない、そういう状況に追い込まれてきているのですよ。にもかかわらず、何らイニシアチブをとらないで、そして川の流れるままにじゃなくて時の流れるままに、そして何かそういうタイミングが来るのじゃないかと。先ほど与党の方からも言われました、教訓を生かしていないと。教訓を生かしていないのは、与党を生かしていないのですよ。決断をすれば非難中傷は出てきまずから、それに対して抗するのが怖いから、常にそれを先延ばしにする。経済問題のみならず、外交問題にもまさに一気通貫されている姿勢じゃないのでしょうか。  あのペルー事件、次元は全然違いますけれども、あのときも、思い出してくださいよ。平和的解決だ、平和的解決だと。最終的にフジモリ大統領の英断によって武力でもって解決する。その後、また前後、テロは許されない、冗談じゃないですよ。だから国際社会は、日本は、日本の政治指導者は何を言っているかわからない。何をしょうとしているのかわからない。それがまさに問われているのだろうと思います。  その顔が、自分自身が望んだ、望んでいないかはよくわかりませんけれども、小渕外務大臣なのですよ。小渕外務大臣がこの問題に対して、きょうリチャードソンが来られたときに、自分たちの視点はこうですと明確に言われればいいじゃないですか。それに対して国民から非難中傷が出てくるならば、それに対して、自分自身の意思として、また政府意思としてそういうことを言われているのですから、そこからまたどうするかという取り組みが始まるのじゃないですか。  まだ決まっていないのですか。リチャードソンと会っても、国連大使が来られてもしようがないじゃないですか。それだったら、僕がかわりに聞いてあげてもいいですよ。  大変僭越で、失礼しました。では、外務大臣どうぞ。再度質問します。
  114. 小渕恵三

    小渕国務大臣 このイラクの問題についてアメリカは極めて真剣な対応をされておられると認識しております。しかるがゆえに、世界各国にそれぞれの方をお送りをして、今日もモスクワにおいて、コーエン国防長官も恐らくプリマコフ大臣と話し合っているのだろうと思います。そして、そういう一環として、我が国についても、我が国に対してアメリカ意思といいますか考え方を明らかにされると思いますが、そういうことで訪日をされます。  我が国としては、先ほど申し上げたように、我が国立場を主張し、そして今日の会談に臨みたい、こう考えておるわけでございまして、委員指摘の決断といいますか、明確にしろというのは何を明確にしろとおっしゃっておるのか、ちょっとその点はわかりかねますけれども、政府としては、明確に我が国の現在の立場においてなすべきことをなしておる、こう思っておるところでございます。
  115. 東祥三

    ○東委員 時間が来ましたので終わりにしますけれども、今の段階においてアメリカ意思、またスタンスに対して日本がどうするのかということを明確にすべき時期が来ているのじゃないのかというふうに僕は申し上げているのです。そうでない限り、その後いろいろ仕事が山積するわけですから、それを踏まえた上でいろいろな準備態勢に入られるわけでしょう。その準備態勢は何もできないじゃないですか、その基本的なスタンスを明確にしない限り。それを私は申し上げております。  時間が来ましたので、終わらせていただきますが、また外務大臣、よろしく御指導賜りますようお願いします。
  116. 中馬弘毅

    中馬委員長 御苦労さまでした。  松本善明君。
  117. 松本善明

    松本(善)委員 既にたくさん質問がありましたが、イラク国連による大量破壊兵器査察を拒否しているということを理由に、アメリカイラクに最大規模の軍事攻撃をしょうとしている。湾岸戦争以後最大規模ということですが、これが重大な世界政治の問題になっております。  イラクに対する国連による大量破壊兵器査察は、国連安全保障理事会の湾岸戦争停戦に関する決議六八七に基づくものであり、イラク自身も受け入れたものでありますから、イラクがこの査察を拒否することは国際的にも許されるものではなく、国連査察を直ちに受け入れるべきことは当然だと私たち日本共産党も考えております。  日本政府は、国際世論にも訴え、イラク査察を受け入れさせる粘り強い外交交渉を基本方針とすべきだというふうに思います。既に外務大臣は、平和的な解決のための努力をするということを言っておられますが、これをあくまで貫くのかどうかということをお聞きしたいと思います。
  118. 小渕恵三

    小渕国務大臣 我が政府としては、現在、安保理各国、責任を持つ国々と懸命の努力を傾注いたしまして、それぞれの国と協調しながら、イラクの態度を翻意させるために努力をしていくということだろうと思います。
  119. 松本善明

    松本(善)委員 あくまで貫くのかどうかというところに意味がある質問だったのですが。  といいますのは、イラク査察を受け入れないからといって、アメリカが最大規模の軍事攻撃を一方的にしかけるということは、決して許されることではないと考えます。湾岸戦争停戦後のイラクに対する各種の国連決議に、対イラク武力行使を容認するものは一切ありません。したがって、もしアメリカがこの状況のもとで軍事攻撃をするとしたら、それは、国連憲章を含む国際法への重大な違反になると思います。だから、アメリカに対して、こうした不法な軍事力行使をやらないよう、厳重に申し入れるべきではないかと思います。  我が国は、言うまでもなく、既に外務大臣も今御答弁ありましたように、憲法九条で、戦争と、武力による威嚇または武力の行使を放棄しているのです。あくまで武力行使に反対をして、外交交渉による解決を追求することが我が国のとるべき態度ではないかと思いますが、重ねてお伺いしたいと思います。
  120. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど日本国憲法に触れました点は、我が国として、日本国憲法に基づいて、日本は国際的紛争を我が国の力を行使することによって解決する手段は講じないということを申し述べたことでございまして、松本委員も既に御案内のとおりのことでございます。
  121. 松本善明

    松本(善)委員 今、もう一つお聞きをしましたのは、アメリカに対して、今の現状武力行使を、軍事力行使をやれば国際法の重大な違反になるので、こういう武力行使をやらないよう厳重に申し入れるべきではないかということをお聞きしたのであります。  といいますのは、安保理事会が武力行使を決めていない、そして、圧倒的多数の国が平和的解決のための話し合いを求めている、これが世界現状だろうと私は思います。攻撃に参加をするということを言っているのは、イギリスとカナダだけであります。基地使用を容認するというのも、中東を含めて、せいぜい数万国です。アメリカの議会でも、支持決議案が揺れて、採決見送りの声も出てきている、こういうことも報道されておりますし、ホワイトハウスの前で反対のデモがあり、国会議員も参加をしているということが言われております。国連の調停の動きもあることは、今、答弁もあったとおりでございます。  ところが、アメリカは既に、空母三隻を初めとする艦隊と、B52十四機、F117ステルス十二機も含め約四百機の航空機、それから総兵力三万以上を配置している。続々部隊を派遣しております。ニミッツは少し離れているようでありますけれども、そういう状態です。これは、世界の平和的解決を求める動きとは逆行するものではないか。  外務大臣に、この国際情勢の認識と、それから、先ほどお答えにならなかった、アメリカに対して不法な軍事力行使をやらないよう強く申し入れるべきではないかという点についても、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  122. 小渕恵三

    小渕国務大臣 しばしば答弁申し上げておりますように、我が国としては、平和的解決のために外交的手段を講じてこの問題を解決したいという念願のもとに、諸外国と十分連絡をとり合っておるということでございます。  アメリカのいろいろ対応につきましては、報道等も伝えられておりまして、なるほど反対論もあるやに聞いておりますが、国内的には、また、サダム・フセインのこのUNSCOM査察について、今日なおこれを隠ぺいしておる状況については、アメリカとしては軍事的行動もやむなしという声もあるやに報道は伝えております。  それは、しかし、アメリカ対応でございますが、私どもは、そうしたことを今前提としてお話を申し上げているわけではありませんので、我が国としては、あくまでも各国との連携のもとに、イラクが改めてこの国連決議を受けて対応することを強く望んでおる、こういうことだろうと思います。
  123. 松本善明

    松本(善)委員 イラク査察を受け入れるべきだという点については、何の異論もない。問題は、武力の行使をするかどうかというところが焦点なんです。そのことで、これは、それを前提に答弁をしないというのは、再々お答えになりました。  私は、ここで国際法の解釈について伺いたい。  先ほど来、再々質問に対して条約局長は、答えないで、外務大臣の言ったことの繰り返しのような答弁をしておられます。私は明確にお聞きをしたい。  アメリカ国連安保理事会の新たな決議なしに武力行使が可能としているが、このアメリカ政府の見解は私は誤っていると考えています。どうなのかと。先ほどは条約局長が、新たな決議についてお墨つきを求めるものではないという答弁もされましたが、内容的には、法解釈については答えていない。報道では、日本政府の中で、新たな決議なしには武力行使はできない、橋本総理はそれを伝えるというような報道もありました。この点について、外務大臣にお聞きしたい。  といいますのは、条約局長は答えない。条約局長が答えられないというのならば、そういう答弁はしてもらってもしようがないのです。外務大臣がちゃんと国際法の解釈について条約局長に答えさせるというのならば条約局長が答弁してもいいですが、むだな、時間をつぶすというようなやり方は反対です。  外務大臣に、まず、私のお聞きをした、この新たな安保理事会の決議なしに武力行使が可能としているアメリカの見解は誤っているかどうか、お答えをいただきたい。
  124. 小渕恵三

    小渕国務大臣 条約局長をして答弁させます。
  125. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 現段階におきましてお答えできるぎりぎりのところまで申し上げておるつもりでございますが、先生も御指摘のとおり、もともとは、安保理決議の六八七で停戦の条件が定められて、それに違反している、こういう状況をいかに改善して、イラクが無条件で査察を受け入れるようにするかということが現在の問題でございます。  それで、その手段として外交手段がいろいろ使われているわけでございまして、各国努力をしているわけでございます。余りにも繰り返すと失礼になるかと思いますが、アメリカとしましては、そのような外交的手段が万策尽きたというときの状況において、武力を行使して、イラク安保理決議遵守を実現せしめよう、そのための努力をしょうということも視野に入れているということでございます。  したがいまして、法律論でということでございますので戻りますと、もともとの決議の六八七というのは、そもそも、停戦をやるに当たりまして、イラク大量破壊兵器を開発する能力を持っていたり、現に開発したりするということが地域と国際の平和と安全を脅かしかねないものであるという認識に基づいて、イラクに対してその廃棄と査察受け入れを要求し、イラクがこれを受け入れたということでございます。それで、それを踏まえて現在の努力が行われている、外交的な努力が種々行われているということでございます。  したがいまして、そのような努力が行われている場合におきまして、軍事力云々ということについて今ここで申し上げるということは慎むべきであろうと考える次第でございます。
  126. 松本善明

    松本(善)委員 結局答えないのですが、アメリカはどう考えているか、それだけはっきり答弁してください。
  127. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 アメリカの考えにつきましては、まさに現在リチャードソン国連大使が日本に来ておりますので、いろいろ話を伺う機会があろうかと思います。詳しい話を直接伺う機会があろうかと思います。  端的に申しますと、アメリカも、停戦決議違反、停戦のための安保理決議違反という状況が現在ある、それをいかに是正するかということで外交努力、それから、それが万策尽きたときは武力の行使もやむを得ないかもしれないということで、外交努力をしているということでございまして、安保理決議及び国際法上の根拠ということにつきましては、関連の、従来の安保理決議において、武力の行使ということも認められ得るという立場であると承知いたしております。
  128. 松本善明

    松本(善)委員 アメリカは既に武力行使の準備に入っているから、新たな決議がないことも明白なので、アメリカ政府がこういう態度をとっていることはもう明らかだと思います。それに対して、それが国際法の道理にかなうかどうかということを我が国はやはりはっきり物を言うべきであろう、こう考えるのです。  それで、この点については、六八七という決議には武力行使を容認する部分は一切ありません。それから、武力行使容認の六七八決議でも、これはクウェートの主権回復のためのものである。それで、回復後七年たって、新たな侵攻の兆候は全くありません。そういう状況で、外交努力の限界だと。どこが限界なんだ。あくまで国際世論にも訴えて、平和的な解決努力をするというのが当然だと思います。  私は、問題を進めてお聞きをしたいと思いますが、国連武力行使を決めたわけでもないのに、米国が独自に大部隊を展開して武力攻撃に出ようとしている。アメリカにはこういう権限はないと思います。これは、アメリカ世界の警察官だというふうに思い込んでいることのあらわれだと思う。  アメリカの九八年国防報告には、米国の死活的利益がかかった場合、必要なら一方的に軍事力を行使するということが明記されています。アメリカ武力行使は明らかにこの観点からのものだ。今は、武力がすべてという時代ではありません。これは、私は、アメリカの覇権主義だと思う。  日本は、外務大臣言われたように、あくまで憲法九条の精神を守り抜く。国連憲章も国際紛争の平和的解決、武力による威嚇や武力不行使の原則をはっきり言っています。そういう立場からすれば、当然これは、アメリカの軍事力行使に反対をすべきだと思います。  特に申し上げますが、アメリカは、核攻撃の可能性を示唆しています。コーエン国防長官がこのことを言っていますし、それから、国防総省のベーコン報道官らは、新型核爆弾B61-11の使用を排除しないことを繰り返し言明しています。ニューヨークのニューズデー紙の報道によりますと、昨年十一月、大統領令が改定をされまして、大統領決定指令六十号で、核を保有しないNPT、核拡散防止条約加盟国でも、生物化学兵器を持ついわゆるならず者国家に対しては核攻撃をすることができるようになったというふうにしていますということが報道されています。九八年国防報告にもそのような記述があります。  核兵器の使用を含む軍事攻撃など断じて許すことはできません。この事態に対して、軍事問題の専門家たちからも憂慮の声が起きております。核兵器の廃絶を訴えているバトラー元戦略空軍司令官は、核抑止力への間違った信念のあらわれとこのコーエン発言の危険性を警告していますし、マクナマラ元国防長官も、道徳的な誤りと批判をしております。  アメリカに、このような核脅迫をやめろということを当然言うべきではないか。改めて外務大臣の見解を聞きたいと思います。
  129. 高野紀元

    ○高野政府委員 今先生御指摘の、核使用に関しての米大統領令の変更についてのお尋ねでございますが、その点に関しましては、米国の核兵器の目的について一般的に規定し、作戦計画策定のための広範なガイダンスを与えるものであるというふうに承知しております。御指摘のとおり、九八年度の米国国防報告にもその関連の記述がございます。  この背景といたしましては、当然のことながらこれは高度の軍事機密に属する問題でございますけれども、一九八一年の当時レーガン大統領によって発出された従来の大統領指令が、核による長期持久戦を戦いこれに勝利するということから、冷戦後の戦略環境にもはやそぐわないという判断のもとに、今回の新たな大統領指令発出の契機になったというふうに私どもは承知しております。
  130. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣、今は大統領令についてのことですけれども、要するに、核脅迫を含めた行動が行われているわけです。それに対して、やはり軍事力の行使はするなと、特にこの核問題についても強い申し入れをするべきではないかということをお聞きしたのでありますが、外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
  131. 小渕恵三

    小渕国務大臣 米国内におきまして、自由な国でございますから、いろいろな発言が飛び交うことは承知をいたしておりますけれども、米政府としてそのような決定をなされたということは全く承知をしておりません。
  132. 松本善明

    松本(善)委員 先ほども答弁がありましたが、横須賀から出動したアメリカの空母のインディペンデンスが出港する際に、これは中東だということを事前に発表いたしました。在日米軍は、極東の平和と安全のために日本の基地を使用できるということになっているだけであります。当然のことのように中東へ行っていますけれども、日本の基地がこのような武力による威嚇に使われることに対して、日本政府は抗議をして、取りやめさせるべきではないかと思います。  日本政府が憲法と国連憲章の平和の立場をやはりきちっと守るということが、日本の存在意義をはっきりするというためにも必要だと思います。安保条約との関係での基地使用、それから重ねて、日本立場としての武力の行使に反対をするということについての見解を外務大臣に伺いたいと思います。
  133. 高野紀元

    ○高野政府委員 今先生の御質問は二つの点に分かれるわけでございますが、先ほど来ございましたとおり、現在、イラク停戦条件を定めた安保理決議六八七を含む関連安保理決議に繰り返し違反しているという事実、これをいかに是正するかということで、懸命の努力国際社会として我が国を含めて行っているわけでございます。  米国も、外交的な解決が最善のものであるという立場は明白にしております。そういう中でございますし、また、米国が今武力行使を決定したということでは全くございません。そういう中でございますから、米国武力行使前提とした御議論については、答弁をすることは差し控えさせていただきたいと思います。  なお一般論でございますが、その上で、現実に空母インディペンデンスが中東湾岸地域に派遣されていることは事実でございますし、それにつきましては我が方も直前に通知を受けております。  安保条約との関係における一般論を申し上げますと、これは従来から申し上げておりますが、米国として在外あるいは本土に展開している部隊、艦船をその運用の必要上常に再編成しておりまして、このような中で、我が国に展開している艦船等が中東地域に移動するということはこれまでも行われてきたところでございますし、安保条約の枠組みとしてはこれは排除されていないということは、繰り返し繰り返し申し上げてきているところでございます。
  134. 松本善明

    松本(善)委員 時間になったのでやめまずけれども、この今の安保条約の解釈は物すごい拡大であって、まさに新ガイドラインに対応するものだと思います。私は、日本国憲法の精神と国連憲章の精神に従って、あくまで平和的解決のために努力をすべきであるということを強調して、質問を終わりたいと思います。
  135. 中馬弘毅

    中馬委員長 御苦労さまでした。  続いて、中川智子君。
  136. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。きょうは伊藤幹事長のピンチヒッターで頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、今国民の間で非常に遺伝子組み換え作物に対しての不安が高まっておりまして、既に地方議会でも、農水省の方には八百数十カ所の地方議会からの意見書が採択されておりまして、厚生省と合わせましたら千百近くの地方議会からも、これは遺伝子組み換え食品についての表示を求めるという形での意見書なんですが、出ております。  そのような意味で、現在、九日からカナダのモントリオールで行われております生物多様性条約に基づくバイオセーフティー議定書の作業部会、この検討について政府の見解をお伺いしたいと思っております。  もう既に私たちの食卓に、二十品種も遺伝子組み換え食品と言われるものが、認可された後、上っていまして、毎日、私は割とビールが好きなのでビールなどをよく飲むのですけれども、コーンスターチという形で、遺伝子組み換えのトウモロコシでつくったコーンスターチが既に入っています。それとか、大豆がもう表示も全くなしに入ってきていますので、お豆腐におみそにおしょうゆ、それから油、もうさまざまなものが食卓に上っているわけなんですけれども、日本の安全規制というのはガイドライン運用でしかありません。  いかにも本当に心もとないという状況であるのですけれども、輸入に当たっては、遺伝子組み換え生物のリスクアセスメントに基づいて輸入の可否を決めることができるなど、今回の今モントリオールでやっております議定書の作業部会というのは、輸入国の環境や人体影響を守ることを主眼にしております。この作業部会に対して日本政府としては、その議定書に対してどのような形で、国民の声を受けて、政府立場をもって行っていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。
  137. 上田秀明

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  一九九二年に成立いたしましたいわゆる生物多様性条約の第十九条の三に「バイオテクノロジーにより改変された生物であって、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるものについて、その安全な移送、取扱い及び利用の分野における適当な手続を定める議定書」いわゆるバイオセーフティー議定書でございますが、その「必要性及び態様について検討する。」ということになっております。この条約の規定に基づきまして、一九九五年の締約国会議におきまして、九八年、今年中に、今申しましたバイオセーフティー議定書作成のための作業を完了するように努めるということが決定されております。  今御指摘のように、九六年の第一回作業部会以来、これまで三回の作業部会が開催されておりまして、ただいま現在、モントリオールにおきまして第四回の作業会合が開かれております。この作成作業は、しかしながら、いまだ初期的と申しますか、そういう段階にございまして、各国からさまざまな意見が出されたものを列挙したという段階でございまして、まだまだいわゆる単一の条約 草案という段階にまでは至っておりません。  我が国からは、外務省初め関係省庁の担当者が今出席をしておりまして、議論に加わっておりますが、我が国といたしましては、可能な限り多くの締約国が参加し得るような議定書をまず策定するということが重要であるというふうな観点に立ちまして、最新の科学的な知見あるいは経験、それらに関連します情報、こういうものに基づいた十分な議論がまず行われて、その集大成ができるということを念願して、我が国が持っております科学的知見と経験というようなものも積極的に提供してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  138. 中川智子

    中川(智)委員 私の質問に対して最後の何か一分、二分しかお答えがなかったんですけれども、どのような立場なのか。国民のこの不安の声を受けて、環境にも多大な影響を与える遺伝子組み換え作物に対して、どういうスタンスで臨むのかということを伺ったんですが、御説明のみに終わってしまいましたので、非常に残念です。  そうしたら、今の御答弁の中でも多くの国のとおっしゃいましたが、日本は遺伝子組み換え作物の大量輸入国になるわけですね。大豆だと国内自給率は二%、このような状況の中でどんどん輸入せざるを得ない。そのときにただただ、もういろんなことを考えないで、アメリカの言うままに輸入してほしくないし、きっちり情報開示を求めて、不安なものに対してはしっかりとノーと言ってほしいという思いを込めて質問したんですけれども。  そのようなお答えがなかったので、要望として挙げておきますが、これは環境問題としても大きな意義を持ちますので、政府としては前向きに議定書の早期発効に努力していただきたいと思いますが、それに対して、イエスかノーかでお答えください。
  139. 上田秀明

    ○上田政府委員 ただいま関係諸国が集まって会議をしておりまして、先進国側の意見、途上国側の意見、必ずしも同一ではございませんので、まだまだ議論が続くと思いますけれども、日本としては積極的に作業に参加しまして、できる限り早くこの議定書が策定されるように努力してまいりたいと考えております。
  140. 中川智子

    中川(智)委員 よろしくお願いいたします。  次に、海上ヘリポートの建設問題で御質問いたします。小渕大臣にお伺いいたしたいと思います。  時間があっという間にたってしまいましたので、端的にお答えを願いたいのですが、九六年九月に、地位協定の見直しと県内の米軍基地の整理縮小の是非を問う沖縄の県民投票が行われて、民意はノーと出ました。その後は、名護市のヘリポート建設に対しての市民投票もノーと出ました。  そして、先日の市長選におきましては、明確に岸本候補が知事の判断に従って民意に従うと明言したことによって、いわゆる容認派と言われる岸本さんが市長になったわけですけれども、一回目もノー、二回目もノー、三回目も思いとしてはノーなのに、民意というものを小渕大臣はどのように考えていらっしゃるかということをまずお伺いしたいのです。  沖縄県民の悲願が、基地のない沖縄であって、基地の県内移設ではないことは明らかであります。本当に今回の市長選の結果は、基地か経済振興かという苦渋の選択を迫られた名護市民の本当につらいつらい選択があったと思われるわけですが、いつもいつもノーという中で、小渕大臣は、この民意というものをどのように受け取られて、今後沖縄のヘリポート建設に対して態度を表明していこうとしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  141. 小渕恵三

    小渕国務大臣 沖縄県民のお気持ちは、十分しかと受けとめなければならないと思います。したがいまして、いろいろな機会に投票その他の行動が行われまして、その結果が発表されております。  したがいまして、どれをもって民意と称するのか、なかなか難しいことだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、沖縄県における基地の整理、統合、縮小ということは極めて重要でございますので、地元の皆さんの御理解と御支持を得ながら、国の政策であるこの基地問題についても、十分政府としては考慮していかなければならない、このように申し上げたいと思います。
  142. 中川智子

    中川(智)委員 時間になりましたが、最後に、小渕大臣、私は、対人地雷の、地雷のときの小渕大臣のすばらしい御決断、御英断、それであの勇気に対して拍手を一生懸命いたしました。今回も、ぜひともその勇気を見せていただきたい、その後ろ姿を見たいと心から願っております。よろしくお願いします。  終わります。
  143. 中馬弘毅

    中馬委員長 どうも御苦労さまでございました。  質疑はこれで終わります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三分散会