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小野委員 先ほど申させていただきましたように、この
法案自身は、これから
日本の国が
宇宙開発を進めていく、特に諸
外国や
日本の
企業等の依頼による打ち上げをやっていこうとした場合に、ぜひともこの点が明確にならなければ安心して打ち上げができないというような
状況でございまして、この
考え方も非常に明確な
法案でございまして、私
どもの
立場から特にただすべき
論点はないというふうに考えております。
残りの時間がせっかく与えられておりますので、むしろ、こういう問題が
提起された背景の問題ということについて、きょう私は
質問として取り上げさせていただきたいと思っているわけであります。
それは、今最も大きな
論点は何かと申しますと、
日本の
宇宙開発という問題が、
一つの大きな
発展方向を持ちながら進んできているということ
でございまして、これは
日本のみならず、
アメリカであろうとまたヨーロッパであろうと、その他の諸国においても同じような
発展プロセスを経ているというような
認識を持たせていただいているわけでございます。
それは、具体的に申し上げますならば、一九五〇年代後半くらいの
時代から
宇宙開発が本格的に進められてきたわけでございますけれ
ども、その当初はどちらかというと、
冒険時代と命名すべき
時代であったと思います。いかなるリスクを負おうとも、今の危険がたとえあろうとも、
幾らお金がかかろうとも、とにかく一番乗りをするということが非常に名誉なことであるというような
認識のもとに未知の
世界に挑戦をしていった
時代、これを
冒険時代というふうに名づけさせていただくとするならば、現在は、
宇宙という
空間的位置ないしその
環境というものを利用しながら、これをどう
人類の幸福と申しますか、
環境をより高めるというような
意味合いに活用していくかという
実用時代であるというふうに
認識すべきであると思っております。
さらに、今後のことを考えてまいりますならば、もうすぐ
宇宙ステーションの
建設を目指しての
モジュールの打ち上げ等も始まってくるわけでございますが、そうなってくると、本格的に
人間が
宇宙でいかに
生活をしていくかという、
宇宙居住時代という
時代も迎えつつあるというようなことでございまして、
一つの
流れの中に
宇宙開発というのが置かれていて、その
段階、
段階をきちんと
認識をしながら
宇宙開発というものを具体的に進めていかねばならないということを改めて
認識しなければならないということだろうと思っているわけであります。
日本の国の現状として申し上げますならば、恐らくまだ
冒険的要素というものが一部に残っている、その一方で
実用的要素というものが
かなりのウエートを占めつつあるという形の、
移行期であるというふうに考えるわけでありますが、実はこの
移行というものが、今少し触れました点に
関係するわけでありますが、実際の
運用を考えましたときに
かなり大きな
変化を伴うものである。ちょうど青虫がさなぎになり、そしてチョウに変わっていくがごとく変態をしていかねばならないくらいの
要素を持つ
変化であるという
認識がまず必要だと思います。
具体的に申し上げますならば、
コスト面という問題が
実用時代になると非常に重視される。それから
二つ目には、先ほどは命さえもかけて冒険的に挑戦するというのが
冒険時代だと言いましたが、もう今は命をかけて物事をやるなんということは許されません。また、その周辺に身体的な
被害、また
経済的被害を与えるようなことも許されない。これが
実用時代の特徴であって、
信頼性というものが何より重視されるような
状況が生まれてきている。
それから、
冒険主義の場合は、とにかく山頂に登ればそれで十分だ、
山登りの例で言いますとそういうことでありますが、
実用ということになれば、山をどう利用するのかという
発想が必要であるごとく、
宇宙というものをどう応用していくのかという、
応用範囲の拡大という問題を考えなければならないわけであります。
それから、
宇宙ロケットの観点から申し上げますならば、
冒険時代は一品一品を本当に職人がつくり上げるがごとく、
単品を練り上げながらっくり上げるという
発想であったものが、
実用時代になると
コストの問題が出てくる
関係で、どうしても
中量規模の
生産体制というものを考えなければならないというような問題もあるわけでありまして、先ほど申しましたように、
宇宙開発に臨む姿勢というものが
かなり大きな
変化を求められてきているという
状況にあるだろうと思います。
特に
科学技術庁のお
立場でいうならば、
研究開発的な
部分、これを
冒険主義的な
部分というふうに置きかえることができるだろうと思いますが、それと
実用的な
部分、これは性質として
かなり異なる
部分があるということで、区分をしての対応というものが求められるだろうと思うわけでございます。
そこで、
質問をさせていただきたいわけでありますが、今後、こういう
宇宙の
開発の意義というものの
変遷の中において、具体的な打ち上げの
ロケットの問題にしろ
衛星の問題にしろ、その企画の問題、
設計思想の問題、
製作法の問題、
検査手法の問題、
運用法の問題、これらのそれぞれの
分野、全システム的に変わってくる
部分が生まれてくるということを思うわけでございますが、この問題についてどう
認識をされ、そして今後どう対応されていかれるのか。大きな
流れの問題でございますが、御
質問申し上げたいと思います。