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1998-05-20 第142回国会 衆議院 科学技術委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月二十日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 大野由利子君     理事 小野 晋也君 理事 河本 三郎君    理事 山口 俊一君 理事 辻  一彦君    理事 吉田  治君 理事 斉藤 鉄夫君    理事 菅原喜重郎君       奥山 茂彦君    杉山 憲夫君       田中 和徳君    戸井田 徹君       平沼 赳夫君    村井  仁君       渡辺 博道君    川内 博史君       近藤 昭一君    佐藤 敬夫君       近江巳記夫君    西田  猛君       吉井 英勝君    辻元 清美君       中村喜四郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷垣 禎一君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁研究         開発局長    青江  茂君  委員外出席者         文部省高等教育         局大学課長   清水  潔君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   内田 勇夫君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事)    石井 敏弘君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事)    十亀 英司君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   木村 隆秀君     戸井田 徹君   望月 義夫君     渡辺 博道君   鳩山由紀夫君     川内 博史君   中西 啓介君     西田  猛君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     木村 隆秀君   渡辺 博道君     望月 義夫君   川内 博史君     鳩山由紀夫君   西田  猛君     中西 啓介君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案一内  閣提出第一〇〇号)(参議院送付)           ――――◇―――――
  2. 大野由利子

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として宇宙開発事業団理事長内田勇夫さん、同理事石井敏弘さん及び同理事亀英司さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野由利子

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 大野由利子

    大野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也さん。
  5. 小野晋也

    小野委員 いよいよ今国会の科学技術委員会関係の審議も最後の法案というふうになってまいりました。  今回の宇宙開発事業団法改正という問題に関しましては、現在の宇宙開発実態、特に民間からの打ち上げ委託という問題に関しまして、失敗時における責任について、宇宙開発事業団に実質的に集中してその責任を管理して対応していこうという趣旨でございまして、これは時代流れに対応して行われる改正として、私どもとしては非常に高く評価をさせていただきたいと思います。  法案自身方向につきましては、ほぼ妥当な方向が示されているという認識を持っているわけでございますが、一点、手続論上の問題として御質問をさせていただきたいと思います。  それは、この改正案の二十四条の二の二項に挙げられております、保険金額主務大臣がいろいろな状況を勘案して定めるというようにされている問題でございます。実際に、宇宙ロケットが打ち上げ時に例えば爆発事故等を起こして与える被害というのは非常に広範なものに及ぶ可能性があることを考えてまいりました場合に、どういう形でこの保険金額を定めればいいかという問題が一点、事務的な問題として大きな課題かと思います。  どんな機関がどんな評価方式をもってこの保険金額を決めることになるのか、この点についての御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  6. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今、小野委員指摘のように、今度の法案の二十四条の二第二項で、主務大臣が定めるものとする、こういうふうに決められているわけであります。打ち上げのための第三者賠償責任保険契約、これは万一の場合に事業団として確実そして迅速に被害者損害賠償をできるというために締結するものでありますから、この金額もその目的に対して適切な額を定める必要がある、これは当然のことでございます。  具体的には、保険者引受能力とか、あるいは欧米における同種の保険保険金額の例とか、あるいは実際の事故事例などを総合的に勘案して決めることとしておりますが、もう少し具体的に申し上げますと、具体的な金額自体は今後検討していくわけになりますが、今一応想定しております額ということになりますと、諸外国事例を勘案しますと、ロケット打ち上げ一回当たり二百億円ぐらいというのがおおむね妥当なのではないか。これが今一応頭にある数字でございます。詳細は今後詰めさせていただきたいと思っております。
  7. 小野晋也

    小野委員 先ほど申させていただきましたように、この法案自身は、これから日本の国が宇宙開発を進めていく、特に諸外国日本企業等の依頼による打ち上げをやっていこうとした場合に、ぜひともこの点が明確にならなければ安心して打ち上げができないというような状況でございまして、この考え方も非常に明確な法案でございまして、私ども立場から特にただすべき論点はないというふうに考えております。  残りの時間がせっかく与えられておりますので、むしろ、こういう問題が提起された背景の問題ということについて、きょう私は質問として取り上げさせていただきたいと思っているわけであります。  それは、今最も大きな論点は何かと申しますと、日本宇宙開発という問題が、一つの大きな発展方向を持ちながら進んできているということ でございまして、これは日本のみならず、アメリカであろうとまたヨーロッパであろうと、その他の諸国においても同じような発展プロセスを経ているというような認識を持たせていただいているわけでございます。  それは、具体的に申し上げますならば、一九五〇年代後半くらいの時代から宇宙開発が本格的に進められてきたわけでございますけれども、その当初はどちらかというと、冒険時代と命名すべき時代であったと思います。いかなるリスクを負おうとも、今の危険がたとえあろうとも、幾らお金がかかろうとも、とにかく一番乗りをするということが非常に名誉なことであるというような認識のもとに未知の世界に挑戦をしていった時代、これを冒険時代というふうに名づけさせていただくとするならば、現在は、宇宙という空間的位置ないしその環境というものを利用しながら、これをどう人類の幸福と申しますか、環境をより高めるというような意味合いに活用していくかという実用時代であるというふうに認識すべきであると思っております。  さらに、今後のことを考えてまいりますならば、もうすぐ宇宙ステーション建設を目指してのモジュールの打ち上げ等も始まってくるわけでございますが、そうなってくると、本格的に人間宇宙でいかに生活をしていくかという、宇宙居住時代という時代も迎えつつあるというようなことでございまして、一つ流れの中に宇宙開発というのが置かれていて、その段階段階をきちんと認識をしながら宇宙開発というものを具体的に進めていかねばならないということを改めて認識しなければならないということだろうと思っているわけであります。  日本の国の現状として申し上げますならば、恐らくまだ冒険的要素というものが一部に残っている、その一方で実用的要素というものがかなりのウエートを占めつつあるという形の、移行期であるというふうに考えるわけでありますが、実はこの移行というものが、今少し触れました点に関係するわけでありますが、実際の運用を考えましたときにかなり大きな変化を伴うものである。ちょうど青虫がさなぎになり、そしてチョウに変わっていくがごとく変態をしていかねばならないくらいの要素を持つ変化であるという認識がまず必要だと思います。  具体的に申し上げますならば、コスト面という問題が実用時代になると非常に重視される。それから二つ目には、先ほどは命さえもかけて冒険的に挑戦するというのが冒険時代だと言いましたが、もう今は命をかけて物事をやるなんということは許されません。また、その周辺に身体的な被害、また経済的被害を与えるようなことも許されない。これが実用時代の特徴であって、信頼性というものが何より重視されるような状況が生まれてきている。  それから、冒険主義の場合は、とにかく山頂に登ればそれで十分だ、山登りの例で言いますとそういうことでありますが、実用ということになれば、山をどう利用するのかという発想が必要であるごとく、宇宙というものをどう応用していくのかという、応用範囲の拡大という問題を考えなければならないわけであります。  それから、宇宙ロケットの観点から申し上げますならば、冒険時代は一品一品を本当に職人がつくり上げるがごとく、単品を練り上げながらっくり上げるという発想であったものが、実用時代になるとコストの問題が出てくる関係で、どうしても中量規模生産体制というものを考えなければならないというような問題もあるわけでありまして、先ほど申しましたように、宇宙開発に臨む姿勢というものがかなり大きな変化を求められてきているという状況にあるだろうと思います。  特に科学技術庁のお立場でいうならば、研究開発的な部分、これを冒険主義的な部分というふうに置きかえることができるだろうと思いますが、それと実用的な部分、これは性質としてかなり異なる部分があるということで、区分をしての対応というものが求められるだろうと思うわけでございます。  そこで、質問をさせていただきたいわけでありますが、今後、こういう宇宙開発の意義というものの変遷の中において、具体的な打ち上げのロケットの問題にしろ衛星の問題にしろ、その企画の問題、設計思想の問題、製作法の問題、検査手法の問題、運用法の問題、これらのそれぞれの分野、全システム的に変わってくる部分が生まれてくるということを思うわけでございますが、この問題についてどう認識をされ、そして今後どう対応されていかれるのか。大きな流れの問題でございますが、御質問申し上げたいと思います。
  8. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今、宇宙開発歴史の中でどう整理していくかという非常に大きな問題提起をされたと思うのです。  今山登りを例に出されましたけれども、私も昔山へ登っておりまして、黄金時代から銀の時代、鉄の時代、初登頂をねらう時代黄金時代であった一しかし、もう初登頂がなくなって、よりディフィカルト・バリエーションルートをねらう、そういう銀の時代、それから鉄の時代というようなことが言われておったわけでありますが、宇宙開発にも同じような変遷があるのだろうと思います。  それで、研究開発段階から実用段階に移っていっているというのが委員の御認識だと思いますが、私も、大きな流れでいえばそういうことだろうと思います。  それで、日本は御承知のように、委員自身もかつてそういう研究開発を一生懸命やられた御専門でいらっしゃいますけれどもアメリカなどと比べますと、率直に申し上げまして歴史が浅い、後塵を拝している部分が多々ございます。  しかし、そういう中で、今日本がどういう段階かということを大くくりに位置づけますと、利用していく段階、例えば衛星を利用して気象の予測に充てるとか、あるいはカーナビゲーションで位置を測定して進路を定めていくとか、それから衛星放送とかいろいろな分野、そういう衛星を利用するという形では完全に実用時代であることはもう言うまでもないと思います。  しかし、我が日本の今の開発力技術力からしますと、では衛星をつくっていくということになると、まだ日本研究開発段階を完全に脱したとは言えないのではないかと私は思います。それで、ロケットなどをつくっていくというのも、従来、研究開発段階をなかなか脱し切れなかったわけでありますけれども、しかし、HHロケット開発といった、使い切りロケット一定分野におきましてはようやく世界水準技術力を獲得するに至ったのではないか、こう思っているわけであります。  ですから、今後の宇宙開発においては、こういう分野中心として開発成果社会に還元していくということが重要なのではないかと思っております。信頼性を維持しながら、効率的、経済的な宇宙活動の実現を図っていくことがこういう分野では必要だと思います。  また、世界における流れの中で、宇宙民生利用あるいは国際協力重視といった流れがあるのだろうと思います。そういったことも十分認識しながら、今まで培った宇宙開発技術能力を高めながら、幅広い視点に立って、これから国際宇宙ステーション計画も動いてまいりますので、宇宙本格的利用を目指して、世界の中で積極的な役割を果たしていくべきではないか。大くくりでございますが、そんなふうに思っております。
  9. 小野晋也

    小野委員 的確な御答弁をちょうだいいたしました。これから開発成果を還元しながら、日本宇宙開発をさらにというような御指摘、ぜひ長官中心に、科技庁、また宇宙開発事業団の御活躍をお願い申し上げたいと思います。  この論点に立った場合に、具体的な一つの問題として提起をさせていただきたいと思いますのは、やはりHH五号機の先刻の失敗の例であろうかと思います。  その原因追及で大体大まかなところが判明して きたという報告をいただいているわけでありますが、二段目のロケットエンジン、これまで一度も失敗したことがなかったと言われる部分で、エンジンのろうづけ部が破れて、高温のガスが外へ流れ出て、そして配線等を断線をしてエンジン停止に至ったのではないか、こういう御報告をいただいております。  この問題をいろいろ考えてみる中で、細かな原因探求が終わっているわけではありませんから御答弁をいただきにくい部分もあろうと思いますが、一般論的に御答弁をいただければと思うわけであります。  先ほど御指摘しましたように、冒険時代から実用時代移行するということに伴って、いろいろな条件が変わってくる。特に、こういう打ち上げロケットの場合の大きな問題というのは、一方でコストをどんどん下げなきゃいけないけれども、それと同時に、もう一方では信頼性はどんどん逆に上げていかなきゃいけないというようなことで、一般的な経済理論からいうと、この両者、相反するものを統合して進んでいくというようなことになってくるわけであります。  それを乗り越えるためにいろいろな工夫をされながらこれまでやってこられたと思うわけでありますけれども、そのプロセスで、まだまだ単品生産発想というものが一方に残っていて、それを無理やり中規模生産のところに押し当てようとする中で問題が生まれてしまったのではないかというような印象を実は私は持っているわけでございます。  恐らく、このエンジン生産にいたしましても、当初の開発段階は相当のお金をかけて一つ一つ丹念につくってきたものが、中規模生産的な意味合いを持ってくる中で、製作法を変更される部分もあったでありましょうし、検査項目についても、このあたりはもう大丈夫だという検査項目を落として費用を軽減するというようなことも恐らくやられていたのでありましょう。  ですから、今回の失敗の反省に立って、こういう段階における検査手法管理手法というものがどうあればいいかということはぜひきちんと御検討をちょうだいしたいと思うわけでございます。  質問といたしましては、この中規模ニーズというものが現実のものになってきている中における管理手段手法というものがどういうふうなものであればいいのか。こういうところについてどういう御見解をお持ちになられながら取り組んでおられるのかということについてのお尋ねをさせていただきたいと思います。
  10. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  小野先生、まさにプロとされましての非常に一番重要なポイントというふうに私ども受けとめさせていただいておるわけでございます。  御案内のとおり、宇宙開発事業団におきましては、その設立当初以降、品質管理という点につきましては、これは大変重要な課題ということでもちまして、非常に力を入れて取り組んできておるという実態にあるわけでございます。  基本的には、NASAというものが先行しておりまして、そこのところの仕組みというものを参考にしつつ、宇宙開発事業団として、今おうしゃられました品質管理手法、それからもう少し広い概念としてとらえました管理手法というものも、基本的にはNASA手法というものを参考にしてずっと今まで積み上げてきたというところであるわけでございますが、今確かに、時代趨勢下におきまして、一種の変化といいましょうか、ターニングポイントにおきましての検査手法を含めましての問題というのは、私自身問題意識としましてあろうかなというふうに思っているわけでございます。  今回、今原因究明の途上にございまして、まだ具体的な特定に至っていないわけでございますけれども、その問題はその問題としてきちんと解明をするということと同時に、それと並行いたしまして、今おっしゃられました品質管理手法、それから、それのさらに上位置念でございます管理手法といったことにつきましても十分にメスを入れて勉強させていただきたい、かように思ってございます。
  11. 小野晋也

    小野委員 青江局長の御答弁をちょうだいいたしましたけれども日本の国は物づくりにおいてはいまだに世界一であるということがよく言われておりまして、私も、この分野がこれからの日本産業面で二十一世紀においても非常に重要なことなんだろうというような認識を持っている一人でございます。  例えば、ロケット開発等の先進的な部分において、思い切ってその検討を進めていくということが、単に宇宙開発の部門における技術確実性を高めるということだけではなくて、恐らく日本産業全体に対して非常に大きな効果を及ぼしてくる部分であろうというふうに感じております。  ぜひこの点は、今回の失敗、またこれまでもいろいろな形でビッグプロジェクトにおけるトラブルの問題が報告されてきているわけでございますが、科学技術庁自身として、NASAのレポートの引用も結構でございましょうけれども、それのみならず、むしろQCの手法が、外国開発されたものを日本に持ち込んでさらに発展したがごとく、日本自身として、部品点数が非常に多くて、信頼度が要求され、しかも低コストでそれがなされねばならないというようなことについて先端的な部分を切り開くことができれば、これは日本全体に大きな福音であり、また人類にとっても大きな福音になるというような意識のもとで、これはぜひ力を注いでの取り組みをお願い申し上げておきたいというふうに思います。  続きましての質問でございますが、今度は、未来へ向かっての問題ということになろうかと思います。  先ほど御指摘をさせていただきましたように、宇宙開発流れというものが、冒険時代から実用時代、そして、さらにこれから宇宙への居住時代になるというようなことについての見通しを話させていただいたわけでございますけれども、もうことしじゆうに宇宙ステーションモジュールの初の打ち上げも行われて、それに続いて各国のモジュールが次々と打ち上げられて、二十一世紀初頭には巨大な宇宙ステーション宇宙に実現する、ある一定人たちが常にそこに居住を始めるということになると、ムードとして、人類宇宙でも生活できる動物なのだというような認識が一気に広がってくることになるだろうと思います。そうなってまいりますと、さらに大きな可能性を求めて、よく指摘されるように、月面での居住、そしてさらに火星での居住問題、また、オニール教授等がかつて言った問題では、ラグランジュポイントというようなポイントにおきます巨大なスペースコロニー建設、こういうような問題が動き始めてまいりましたときに、人類社会に対しては非常に大きなインパクトが生まれてくるに違いないという気持ちがいたしております。  よく言われることでございますけれども、一時的にその場にいるということと、随分長期間にわたってその場に居を構えてそこで生活を行うということは、人間に対するインパクトには非常に大きな違いがあるということになります。  ある場所に短時間いるだけであれば、あくまでその場での生活というのは仮の身でありまして、あえて自分たち生活習慣なり考え方なりを変えないで、その場だけそこへ適応することを考えればいいということになるわけでありますが、長期的な居住という問題をベースに考えましたときには、人と人とがどういうかかわりを持ちながら生きていくのかというような問題、それを運用するための仕組みの問題、さらに人間思想の問題、こういうものもすべて含めて、トータルシステムとして、全人的意味合いにおいて、宇宙生活するという問題がどういう問題になるかというような非常に大きな問題がこれから先に提起をされてくることになるだろうと思います。  アメリカNASA中心にしまして、この宇宙居住時代を前提にして、人間の心理的な影響等も含めて非常に幅広い検討がなされてきているというようなことが指摘されるわけでございますけ れども日本の場合は、どちらかというと実用衛星の打ち上げにまず追いつきたいということで、技術的側面中心にして宇宙開発検討がなされておりまして、社会人文的意味合いにおける部分は今かなりのおくれをとっているというように私は認識をさせていただいているわけであります。  いよいよ日本モジュール宇宙へ運ばれて、日本人もほぼ常駐態勢に近い形にこれからなってくることを考えてまいりましたときには、非常に幅広い意味合いにおける検討宇宙居住という問題を中心に据えた総合的研究検討という問題が求められてくるようになると考えるわけでありますが、この体制について、これからどういうふうにそれをお考えになられながら推進していかれるのか、この点についての御示唆をいただければ幸いでございます。
  12. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今小野委員宇宙居住時代という言葉をお使いになったと思うのですが、どこまで視野を広げて考えたらいいのか、私自身も実は、空漠たる思いといいますか、なかなか、頭の中でよくわからない部分がございます。しかし、今委員が御指摘になりましたように、今まではスペースシャトル等宇宙に行って帰ってきた、それをさらに、日本自身国際宇宙ステーション計画に参加していくということになると、今までよりもはるか長時間宇宙の中で生活してくるということは、もう完全に視野計画の中に入っているわけであります。  そういうことを考えますと、さらに視野を拡大してまいりますと、今はやはり、極めて限られた研究者と申しますか、特別な訓練を受けた人が行くという状況でございますけれども、もう少し幅広いいろいろな分野の方々が宇宙での活動を経験し、その中でいろいろな体験を積み重ねていく、また知見を積み重ねていくということも視野の中に当然入ってくるのではないか、こう思うわけであります。今委員のおっしゃったような、長期間居住するというわけではありませんけれども、既に観光というようなことも一部では言われている状況でございます。そういうことを考えますと、今御指摘になりましたように、過酷な空間の中で本当に人間がどうやってやっていけるのかということも含めますと、広範な研究がやはり積み重ねられなければならないのだろうと私は思います。  我が国としては、差し当たって、これまで進めてきたスペースシャトルを利用した有人飛行の経験、あるいは国際宇宙ステーション計画の中で、できるだけ視野を広げた検討を続けていくことなのかな。ちょっと、委員質問のスケールにまだなかなか頭がついていかないものですから、差し当たってこんなことだというくらいしか今御答弁をできないわけでございますけれども、私もできるだけ視野を広げて考えてみたいと思っております。
  13. 小野晋也

    小野委員 一つヒントと申しますか、これから国際会議等の中で、長官、またチャンスがあれば考えを整理していただいて、諸外国に訴えていただきたいと思いますのは、宇宙で人々が生活するということは、日本的なライフスタイルというものが見直される部分があるような気持ちが私はいたしているのです。  と申しますのは何かというと、宇宙生活するということは、ある意味で非常に限られた資源のもとで人々がいかに平等に生活できるかということが必要であります。また、宇宙での生活空間自身は、非常に限られた中に高密度にその人々が一緒に生活するというようなことを考えてまいりました場合にも、これは非常に日本的な居住形態なのではないだろうかということでございます。  今までは、宇宙に向けて、冒険主義的な部分においてはアメリカのフロンティアスピリットが中心的な役割を果たしたかもしれませんが、これから宇宙でみんなが仲よく一緒に生活しようという発想になったら、むしろこれからは日本思想時代だ、日本のライフスタイルの時代だ、こういうようなことを一度整理してお話をされてみると、日本宇宙への姿勢というものに対する諸外国の御評価一つ変わった面が出るのではないかと思っております。  最後の質問になりますけれども宇宙時代に対応する人の育成問題ということについて一点だけ取り上げさせていただきたいと思います。  この問題についてはこれまでもこの科学技術委員会で何度か取り上げさせていただきましたが、宇宙少年団の問題でございまして、宇宙時代を迎えていくという中で、国民的な広い啓蒙を行っていくという上に、この組織はぜひとも育成していかなければならない組織だと私は考えております。しかしながら、いろいろな方々の非常に御熱心なお取り組みがあるわけでございますが、現実にはなかなか会員数の拡大が見られていないというのも事実でございまして、その原因を考えてまいりましたときに、一つは、やはり宇宙ということに子供たちは非常に非日常性、非現実的なものを含めて、何かそこに大きな可能性を感じておられるだろうと思うのですね。その魅力を一面で覚えながら、宇宙少年団の活動自身がその非日常的な部分を十分に提供できていないのではなかろうかというのが第一点目でございます。  それから第二点目は、科学技術を志すということについて、よく、科学技術白書の何年か前かの問題を取り上げさせていただきますが、暗くて女の子にもてなくて、何かうっとうしいような雰囲気が科学技術にあるからだめなのだ、人気がなくなるのだというふうなことが言われますが、やはり科学技術を志す人たちがもっと大きく夢を持って、相互にもっと人間的につながり合える社会をつくっていかなければいけない。その上に、この宇宙少年団というのは子供時代からお互いの連帯感をはぐくむ上に非常に有効ではないかと思うのですが、その連帯感醸成の部分についてももう一歩の魅力をつくらねばならないのではないだろうかというようなことで、この二点の問題を感じているわけでございます。  新しいプログラムを積極的に開発をして子供たちに提供していくということを通して拡大を図らねばならないと思っているわけでございますが、この新しい宇宙少年団の活動プログラムの開発問題についてどういう御所見をお持ちになっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  14. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今、宇宙少年団の活動に触れていただきました。  去年の六月でしたか、小野先生初め国会議員の有志の先生方の後援を得まして、衆参両院議長の議長公邸の前庭で、橋本総理にも出席していただいたと思いますが、百五十人ほどの小学生を集めて、水ロケットの打ち上げ大会をやっていただいた。参加をした小学生には大変大きなインパクトがあったのじゃないかなと思っております。非日常的と言えるかどうかわかりませんが、そういう努力の一環であったのではないかなというふうに思っているわけです。  今、宇宙少年団は全国で八十三分団がございまして、三千二百名の団員が参加をしているわけなのでありますが、やはりこういう宇宙少年団の活動は、この三千二百名の団員に対して、いろいろな意味での刺激を与えているというふうに思います。  そういう中で、人材の育成にも私は随分寄与しているのじゃないかなと思っているわけでありますが、今までは、本部において、国際会議へ参加するとか、セミナーの開催を行うとか、あるいは宇宙関連施設の見学を行うとか、去年の水ロケットの打ち上げとか、あるいは天体観測会、あるいはキャンプというものを行っているわけでありますけれども、今おっしゃったように、刺激的と言うとちょっと言葉はいけませんけれども、どういう新しい刺激を与えるような活動ができるか、我々も知恵を絞っていかなければならないと思いますし、できるだけそのバックアップをしていきたい、こう思っております。
  15. 小野晋也

    小野委員 時間になりました。  いろいろと幅のある質問をいたしましたけれども宇宙時代、これから日本の国にとって非常に大きな夢を与えていただける分野だと思います。 科技庁また事業団、両者のこれからの御健闘をお祈りして質問を閉じさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  16. 大野由利子

    大野委員長 近藤昭一さん。
  17. 近藤昭一

    ○近藤委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。  今回の宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。  まず最初に、先ほど小野委員もおっしゃっておられましたように、宇宙開発が新しい時代に入ってきたということだと思います。ロケット実用化がますます進展してきた、商業衛星の打ち上げが本当に活発化してくる、そういう中での今回の事業団法の改正だと思われるわけであります。  そこで、先ほど小野委員質問されたことと関連してまいりますが、主務大臣がその保険の限度額を決められる。それで、先ほどの大臣の御答弁  では、大体二百億円ぐらいだというお話があったわけであります。そうしますと、諸外国と比べて  この二百億円というのは、大体横並びというか、同じなのか、それともこれは大きいのか、小さいのか、その辺をちょっとお教えいただきたいと思います。
  18. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  諸外国状況、幾つかの例をちょっと御紹介申し上げますが、アメリカのデルタのロケットの例をとりますと、日本円に換算をいたしまして、これが大体百九十七億といったふうな契約がなされておるというふうなことも聞いてございます。それから、同じ規模のアトラスでございますと、これも同規模でございます。その辺を勘案いたしますと、大臣から先ほど御答弁申し上げましたように、二百億円というオーダーと申しますのは、大体同規模のロケットにつきましては、諸外国と同様な水準にあろうというふうに思ってございます。
  19. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。  大体二百億円、諸外国と比べても大体その程度だろうということでありますが、そうしますと、その二百億円の限度額に対しての料率というものはいかがでしょうか。
  20. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  保険料率につきましては、世界的にも事故の事例といいますのは大変少ないといいましょうか、実を申しますと一件、そういう状況でございまして、現在のところ、おおよそ〇・一%というふうな低い数字になるというふうに情報としましては得てございます。
  21. 近藤昭一

    ○近藤委員 〇・一%。そうしますと、二百億円の限度額に対して〇・一%というと大体二千万円ということだと思います。この保険料率はどこも大体〇・一%というような料率でしょうか。
  22. 青江茂

    青江政府委員 保険につきましては、御案内のとおり、いわゆる世界保険市場とでも申しましょうか、再保険という仕組みがございますので、そこでつながってございますので、大体同水準の状況にあろうというふうに思ってございます。
  23. 近藤昭一

    ○近藤委員 大体同水準ということでありますけれども、ただ、保険世界では、我々の入っておりますような自動車保険でもそうですが、事故を起こすとそこに対する保険料率は上がってくるということだと思うのです。これは余りいい話ではありませんけれども、万が一事故が起きたりしますと、その保険料率は多分上がってくるのかなというような想像がされるわけでありますが、その辺はいかがでありましょうか。
  24. 青江茂

    青江政府委員 お答え申します。  現在の保険料率がおよそ〇・一%といった低い数字に抑えられておるということを先ほど御説明申し上げたわけでございます。それは、現実にはいわゆる事故例というのが大変少ないということの反映ということであるわけでございますけれども、それの実態によりまして保険料率というのも、当然先方保険会社はプライベートベースでの活動をしているわけでございますので、それを反映いたしまして変わってくるということは、論理的にはそのとおりであろうかというふうに思うわけでございます。  一方、これから先、いわゆる商業ベースでの打ち上げといいますものがこれ以前に対しまして非常に飛躍的にふえてくるであろうという見通しもあるわけでございまして、そういたしますと、母数がふえるということが考えられるわけでございます。そういたしますと、幾つかの事故というものがもし万一生じたといたしましても、それがその大きな母数の中で吸収されてくるということにもなりますと、それが直ちに料率に反映というかフィードバックされるというふうなオーダーにもなってこないのかなというふうにも思うわけでございます。  いずれにしましても、その辺の状況、推移というものをもう少し見させていただきたい、かように思ってございます。
  25. 近藤昭一

    ○近藤委員 わかりました。  そういった意味では、これから商業衛星の打ち上げが活発化してきて、まだまだ未開のところかなということなのかもしれません。  そうしますと、その保険を受ける保険団というか、保険会社ということになると思うのですが、それは一体どういうようなところがこの保険を引き受けるのかということ。そして、今質問させていただきました料率に関連しまして、事故が起きた、保険団としてはこの料率ではかなわぬということになると思うのですが、そうしますと、未開の地ですけれども、一義的にはその保険団が料率についても検討していくということになるのでありましょうか。
  26. 青江茂

    青江政府委員 御説明を申し上げます。  保険の引き受けの、今先生おっしゃいましたいわゆる保険団、これは、我が国におきましては現実には航空保険プールというものがオーガナイズされてございまして、損保会社十数社が共同でもちましてプールというものをつくっておるわけでございます。  今回の打ち上げ保険ということにつきましても、限度額二百億ということを想定いたしとしヨと、その金額のオーダーからいたしますれば、やはり一社でもってということでは恐らくないだろうということになりますと、今申し上げました保険プールの引き受けというふうな形で保険契約というのが締結をされてくるということになろうかと思うわけでございます。それで、保険プールは、当然のことながら、さらにその一部を英国のロイズを中心にしました海外の保険市場に対しまして再保険を掛けていくというふうな引受体制というものがとられるということになろうかと思うわけでございます。  プールとの間のコントラクトでございますけれども、確かに保険プール側といたしましては、リスクというものを彼らのプライベートベースの活動の中でどう吸収していくのかということになるわけでございますので、非常に極端な話、もし宇宙開発事業団ロケットの打ち上げ失敗の頻度が非常に高いということになりますれば、保険プールの引き受けのコントラクトにおきましての保険料率というものも当然のことながら影響を受けざるを得ないということであろうかと思うわけでございますけれども、私どもとしましては、今開発を継続してございますHHAというものの技術信頼性ということにつきましては、かなりの自信と申しましょうか、そのような事態というのはないのではないか、かように思っておるところでございます。
  27. 近藤昭一

    ○近藤委員 航空保険プールが何社かで共同して受ける、そしてまた再保険を掛けられるということだと思うのですが、これは、新しい宇宙時代に入って、実用時代でありますから、ある意味で非常に競争の時代でもあるのかなというふうに思うわけであります。  そうしますと、日本の会社がロケットの打ち上げを諸外国からも受けてくる、これはたくさん受ければコストダウンにもつながるわけですし、コストダウンを図る中で、利益という言い方かどうかわかりませんが、利益もたくさん出てくるよう になる、それがひいてはフィードバックされて、ロケット開発、いわゆる日本という国の科学技術開発というものの促進にまたつながってくると思うのです。  そうしますと、ロケットというか衛星の打ち上げを引き受ける、それが競争になると、保険というものもその打ち上げ料金にかかわる問題となってくると思うのですよ。そういう意味で先ほどもちょっと料率のことをお伺いしたわけでありますけれども、この保険を受ける会社は大体日本の会社ばかりなのか、あるいは外国の会社もそこに入るのか。  そしてまた、受けるときに、今まではここのグループが保険を受けていた、料率はこれぐらいだが、違うところから、我々はこれぐらいの料率でやるけれどもどうだとか、そういうような働きかけがこういう宇宙世界であるのかどうかわかりませんけれども、もしあった場合、価格競争の面でいえば安い方がいい。もちろん補償できるかどうかという信頼感があると思うのですけれども外国の会社が入れるのかどうか、また保険会社をかえることはどうなのか、そういった弾力性についてちょっとお伺いをしたいと思うのです。
  28. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  確かに、保険料と申しますのも打ち上げコストの一部を構成するわけでございますので、その合理化と申しましょうか、それにつきましても、当然のことながら、コスト削減の一環としまして腐心すべきマターであろうというふうに思うわけでございます。  その際、今先生おっしゃいましたように、いわゆる保険会社サイドが競争場裏に置かれているかということでございますけれども、そこは全くフラットと申しましょうか、私どもとしましてはY仕組みの問題としまして、例えば日本の損保の保険プールというものが今現実にはあるわけでございまして、そこと従前はコントラクトを結んで対応してきておるというのがあるわけでございますけれども、よりフェイバラブルな条件提示のあるところでございますれば、当然のことながら勘案すべきであろうというふうに思っておるところでございます。
  29. 近藤昭一

    ○近藤委員 その辺はトータルな競争の中で検討されていくということと理解いたします。そうしますと、万が一先ほどの主務大臣が定められた限度額を補償額が超えたような場合、これについてはどういうふうに対応なされるのでしょうか。
  30. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に、打ち上げにおきましては、徹底した安全確認といいましょうか、いわゆる安全確保の手を打つわけでございますけれども、と同時に、もし万一何らかの異常が出て、例えば飛行経路が大きく異なる、そういうことが生じました場合には、指令破壊という形で、ボタンを押して第三者に被害を及ぼすことのないように手を打つわけでございます。そういったふうなことを勘案いたしますと、そもそも第三者に対しまして損害というものを与える可能性というのは大変低いものだというふうに思っているわけでございます。  それからまた、万一損害を与えるということがありましても、二百億円といったオーダーと申しますのは、いわゆる生ずる損害、与える損害というものに対しまして相当なオーダーであろうなというふうに思うわけでございます。  ということでもちまして、保険を超えるような事態というのはなかなか想定しがたいというのが私どもの現実というものに対しての一つの見方でございます。  ただ、一つの論理のケースとしまして、仮に二百億を超えるような巨額の損害というものを与えたような場合といたしましては、宇宙開発事業団といたしましては、いわゆる予備費の取りましてございますとか、いずれにしましても、講じ得るあらゆる措置を講じまして被害者の方への損害の補てんを行うのが筋であろうというふうに思ってございます。
  31. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。なかなかそういう場合は想定されにくいけれども、万が一起こった場合には宇宙開発事業団の方で処理をする、対応するということでありますね。  そうしましたら、保険の問題については一応これぐらいにしまして、先ほど小野委員質問の中でおっしゃっていらっしゃいましたように、この保険の問題が出てきた背景に関連してちょっと質問したいわけであります。  まさしくロケット実用時代に入ってきた、そしてその中で日本かなり有望だというふうに私は理解しておるのです。ただその場合、今回の関連で資料を見させていただくと、日本のライバル、ライバルという言い方がいいのかどうかわかりませんが、そういう考え方でいきますと、アリアンロケットが非常に受注が多い。これはいろいろな理由があると思うのですが、宇宙開発というものをすべて競争ととらえていいのかどうかわかりませんが、そういった競争をしていく、切磋琢磨していくことでかなり技術開発も進んでいくと思うのです。そうしますと、日本としては、このアリアンがどうして受注が多いのかということをどういうふうに分析していらっしゃるのか、それをちょっとお教えいただきたいのです。
  32. 内田勇夫

    内田参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、過去十年ほどの民間衛星の打ち上げシェアをとってみますと、アリアンスペース社が五四%でございまして半数以上のシェアをとっております。そのほか、米国二社、中国、ロシアも参入しているという状況でございます。それで、なぜアリアンがこんなに多いのかということでございますが、これは、私、やや個人的な見解でございますけれども歴史的ないきさつがあるというふうに思っております。  と申しますのは、アメリカは、スペースシャトルを開発いたしましたときに、最初はスペースシャトルで人工衛星を全部上げるという方針を出しまして、そのために通常のロケット開発というのはそこで中止をして、政府のお金を投入することをやめたわけでございます。ところが、チャレンジャーの事故が起きましたときに、これはやはりシャトルで上げるよりは、いわゆる使い捨てと言われておりますけれども、通常のロケットで上げる方がいいんだということに方針を変えまして、またロケットに戻ったわけです。  ところが、ちょうどそのときにアリアンが開発されまして、これが最新のロケットだったわけです。アメリカはその問改良を進めておりませんでしたので取り残されたということで、そのときはたしか八〇%ぐらいのシェアをとったかと思いますが、その後アメリカもどんどん巻き返しておりまして、過去十年余りのシェアで五四%で、最近はアリアンのシェアはかなりこれよりは下がってきていると思います。そういうことで、これからは激しい競争時代になるというふうに思っております。
  33. 近藤昭一

    ○近藤委員 歴史的な背景があって、アメリカがちょっと方針転換をしている間に欧州のアリアンがリードしたということだと思うのです。  あと、アリアンの信頼度が非常に高いとかいうこともあるのでしょうか。いただいている資料なんかを見ますと、最近アメリカのデルタとかアトラスが追いかけてきている、価格的にも競争し得る状況になってきているということがあると思うのですが、そういう歴史的な背景だけでなくて、こういった信頼度、価格についてはどうでありましょうか。
  34. 内田勇夫

    内田参考人 ただいま手元の資料で見ますと、アリアンの成功確率は九二%ということでございまして、アメリカ衛星も大体その程度の成功確率というふうに聞いております。  私どもも、できるだけコストの面、信頼性の面でアメリカ、ヨーロッパに負けないようなものを開発しなければいけないということで、これを目標にし、また、その解析の結果、それを達成できるということでHHロケット開発を進めておるところでございます。
  35. 近藤昭一

    ○近藤委員 それぞれが信頼度を持って、また価 格競争もしているということであります。  そうしますと、今後、大体どれぐらいのめどを立てたらいいのかわかりませんが、例えばこの十年ぐらいでどれぐらいの衛星打ち上げの需要があるのか。これは、刻々と、大変な情報化時代でありますから一年とか二年とかで変わってしまうとは思うのですが、ひとまずここ十年ぐらいでどれぐらいの需要を予測していらっしゃるのか、それをお教えいただきたいと思います。
  36. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私の手元の資料、これは二〇〇〇年から二〇一〇年までの予想資料がございます。ですから、正確に言うと十一年間、あくまで予想資料でございますが、約六百機の衛星の打ち上げを予想しております。過去十年間の打ち上げ実績が約二百機でありますから、まあ三倍程度ということになろうかと思います。  それで、その内訳をもう少し申し上げますと、今国際的に、たくさんの人工衛星で構成する世界的な通信網をつくっていこう、こういう計画が進んでおりまして、ことしの九月から運用が開始されますいわゆるイリジウム計画もその一例でございます。イリジウムはまあ六十六機の衛星でやろうということでありますが、こういう低軌道通信衛星計画が進展していることなどによりまして、衛星重量一トン級以上の静止軌道衛星だけでも、今後十年間、二〇〇〇年から二〇一〇年の間で約三百機が見込まれているわけであります。それに加えまして、数百機の低軌道の周回衛星の打ち上げが予想されているということで、さっきのよう  な数字になっているわけであります。
  37. 近藤昭一

    ○近藤委員 今後十一年で六百機という需要が予想される、過去十年の三倍ぐらいの需要があるということであります。  そういう中で、先ほど質問をさせていただきましたように、今までは割とアリアンが受注をたくさんとってきた。その中でアメリカも以前とはまた方針を変えてロケットに戻ってきた。そしてまた、その中で日本は、今HHからHⅡAということで開発を進めておられるわけであります。  そうしますと、これは日本宇宙開発のあり方ということに大変関連してくると思うのですが、大臣よくおっしゃっていらっしゃいますように、科学技術立国、そして先ほど小野委員質問の中にもありましたが、日本の子供たちに将来に夢を持ってもらう、そういう技術開発をしていこうと。そういう中で、先ほど小野委員への答弁の中では、宇宙はちょっと遠い存在みたいなところもあるというようなこともおっしゃられておりましたけれども、ただ、やはり私は随分とこの宇宙開発というものが夢を与える大きなテーマになるんではないかなというふうに思うわけであります。  そういった流れの中で考えますと、日本がそういう宇宙開発部分では頑張っているんだ、そして技術的にも非常に進んでいるんだということは、単に技術開発技術的な、いわゆるテクニカルな面だけではなくて、日本ロケットを使った衛星がたくさん打ち上げられているんだというようなことが大切ではないかというふうに思うわけであります。  そうしますと、日本がなるべく衛星の打ち上げをたくさん受注できるような体制が必要になってくると思うのですが、日本のそういった受注体制というか、そういうのはどういうふうになっているのかちょっとお知らせいただきたいのであります。
  38. 内田勇夫

    内田参考人 お答え申し上げます。  現在、株式会社ロケットシステムという会社が設立されまして、ここがロケットの製造、管理、販売、発射整備作業及び打ち上げサービスを提供する民間企業として活動をいたしております。この会社は、宇宙関連企業七十五社の出資により、平成二年に設立されております。  このロケットシステムは、宇宙開発事業団から技術移転を受けまして、営業活動を行い、顧客から打ち上げを受注し、製造メーカーにロケットの製造及び組み立てを発注し、そしてロケットを製作し、事業団に打ち上げに係る作業を委託するという事業をいたしております。  また、ロケットシステムは、ロケットの製作に係るマネジメントを実施して、多数社にまたがる機器の発注、製造管理、検査、審査、品質保証等を行うということといたしております。  また、ロケットシステムは、事業団の自主打ち上げのミッションに係るロケットにつきましても製作をいたしております。  そして、このロケットシステムは、平成八年の十一月に、アメリカ衛星事業会社二社から二十機以上をHⅡAロケットで打ち上げる契約を既に締結いたしております。我が国といたしましても、ようやく商業打ち上げ市場への参入を果たしたということで、私どもは大変喜んでおるところでございます。  これによりまして、ロケットシステムは需給を見込んだ一括発注をすることができまして、HHロケットコストの低減にはさらに期待ができるというふうに思っております。私ども一応、量産効果を入れないで十分競合できるというところにコスト目標を定めておりますので、量産効果を入れれば競争力はさらに高まるのではないかというふうに思っております。  事業団開発したロケットの成果が民間商業活動に活用されることになりまして、事業団といたしましては大変喜んで、我々の努力のかいがあったというふうに思っておるところでございます。
  39. 近藤昭一

    ○近藤委員 宇宙開発事業団開発した技術を移転もする、そしてロケットシステムが、販売会社ととらえていいのかどうかちょっとわかりませんけれども、それはちょっと販売会社とは違うのかもしれませんけれども、ただ、今お答えの中にもありましたように、第一義的には、量産しなくても何とかできるようなコストを目指していく、しかしながら、そこで量産効果が上がればよりいいものができるような体制になるだろうというようなお話があったかと思うのですが、私も先ほど申し上げましたように、量産していけば、そこで技術開発というものもより進んでいくのだと思いますし、経験もそこで蓄積されていくのだと思うのてすよね。  ロケットシステムにつきましては、今お答えの中にもありましたように、七十五社ですか、七十数社の会社が出資をしてつくった民間の会社だということだと思います。ところが、宇宙開発事業団技術移転をしていく、非常に密接な関係を持ってやっていかれる会社になるわけであると思います。そうしますと、宇宙開発事業団として、ロケットシステムに対して、何か支援体制といいますか姿勢といいますか、そういうところはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  40. 青江茂

    青江政府委員 支援という言葉、それのとり方によりましていろいろな意味合いが出てくるかと思うわけでございます。  株式会社ロケットシステムは、先ほど宇宙開発事業団理事長から御説明を申し上げましたような事業活動を行うわけでございますが、これはあくまでも営利株式会社でございます。その活動というものに対しまして宇宙開発事業団という公共法人がどういうかかわり方をするのかということでございますけれども、確かに国策の一環としましてのHHAの開発、そしてそれが本当に生きる形というのは、いわゆるコマーシャルベースでの打ち上げの用に供されるという形で生きるわけでございまして、私どもとしましても、反射的効果としましての稗益というものも量産効果等大きいわけでございますが、プライベートカンパニーの営利活動というものに対して公共法人がどういう支援を行うかということになりますと、一種のルールがあろうかというふうに思うわけでございます。  例えば技術移転をするということになりますと、宇宙開発事業団からの技術移転に対しましては当然のことながら適正な対価というものをいただくということで、そのルールでもって対処しなければならないというふうに思うわけでございます。  ただ、宇宙開発事業団は例えば大変技術能力のすぐれた人材というものも多数抱えておるという ことになりますと、場合によりましたら、人事交流というふうな形でもちまして、結果としましてロケットシステムの技術能力というものを補うというふうな形、こういったものもあろうかというふうに思います。  それから、宇宙開発事業団は大きな施設というものを持ってございます。そういったものを皆さんに平等に適正な対価等をいただきつつ使っていただく、こういうふうな形で、側面からの支援とでも申しましょうか、そういう形で一定のルールのもとでの支援というものを宇宙開発事業団が行っていくというふうな形になるのではないかというふうに思ってございます。
  41. 近藤昭一

    ○近藤委員 ロケットシステムという会社が民間の会社である以上、そこには一線を画する部分がもちろんあるのだと思うのです。ところが、昨今は、産学官というか、今お答えの中にもありましたが、人事交流なんかもしていった方がいいだろう、技術交流なんかもしていった方がいいだろう、そういう交流が必要だというふうに思うのですよね。  そして、今御答弁の中にもあった、いわゆるロケット開発というものが国策、国の政策である以上、ロケットシステムが民間の会社であろうと、そこには密接な関係がやはり私は必要ではないかなというふうに思うわけでありますし、なるべぐたくさん売っていただく、これは技術開発の面でも、先ほど申し上げましたように、子供たちに与える影響も私は大きいのではないかと思うわけであります。  そこで、少しロケット開発そのものについての質問をさせていただきたいわけでありますが、残念なことに、先般HⅡのロケットの打ち上げ、いわゆる「かけはし」を軌道に乗せることの失敗がありました。それに関連して私も先般質問させていただきましたけれども、その後、その原因究明はどういうふうになっているのか。そして、原因がはっきりしているのかどうかわかりませんが、究明する過程で日本ロケット開発システムについて見直しがされているのかどうか。その辺についてお聞かせいただきたいのであります。
  42. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  事故の原因究明につきましては、宇宙開発事業団自身、事故対策本部におきましてその原因究明活動というものを続けていただいておる。同時に、宇宙開発委員会におきまして、そのもとに技術評価部会という、こういったことにつきまして対処する専門のコミッティーがございます。ここでもちまして逐次原因究明作業というものを進めておるわけでございますが、そのトラブルが起きましたシークェンスということにつきましては、先ほど小野委員もお話しになっておられたようなシークエンスでもちまして生じたということははっきりいたしておるわけでございます。  それ以降、どこの場所に生じたといったふうないろいろな細かい点がだんだんわかってまいりました。ただ、最後の、ろうづけ部のところに一定の大きさの穴があいたとでも申しましょうか、ラフに申し上げますとそういう状態だと思うのでございますが、それがなぜこれについて生じたのか、そこのところのぎりぎりの原因の特定ということにつきましては、まだそこを特定し得る状況に至っていないという状況にございます。以上でございます。
  43. 近藤昭一

    ○近藤委員 まだまだ原因がはっきりしない、ろうづけの部分には問題があるのだろうけれどもという御回答なんでありますが、先ほど、たびたび、引用して申しわけございませんが、小野委員質問の中にもありました、ロケット実用時代に入って、アメリカ等々のパイオニアがいて、今度実用化されるその中で、日本物づくりで養ってきた技術というか、日本人の物づくりに対するこだわりみたいなものが非常に活躍するというか、うまく働く部分があるのではないかというお話もあったと思います。ただ、逆に言うと、そういうものがちょっとずつ日本でも失われている部分があるのかなという議論が最近よくされているのではないかなというふうに思うわけであります。  このことにつきましては、ぜひ早急に原因究明をしていただきまして、それに基づいて、基づいてというか同時進行が必要だと思うのですが、その開発システムをよりよいものにするという形をつくっていただきたいと思います。  もう間もなく質問時間も終わりますので、最後に大臣にちょっとお伺いをしたいのであります。  先ほどやはり小野委員質問に対する御返答の中で、衛星本体についてはまだまだ日本技術はおくれている部分があるんだ、ロケットについてはうまくいきそうかなというお話があったと思うのですが、今後、日本の子供たちにとっては、ロケットだけじゃなくて衛星日本衛星が飛んでいるんだ、世界的な情報網を日本衛星が担っている、あるいは海外からも受注を受けて、その衛星が情報網をつくっている、こういったことが私は必要ではないかと思うのです。今後日本の方針として衛星開発についてどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  44. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 お答えいたします。  先ほど小野委員の御質問に、今の日本の現状というものを大ざっぱに要約してみたわけでありますが、ロケットの方は、御指摘のように何とか国際水準にHⅡAでいくのかな。その前提としては、今も御質疑がありましたように、この間の五号機の失敗というものの原因をきちっと究明して、HⅡAでは大丈夫なんだということをやっていかなきゃいかぬのだろうと思います。  それで、衛星の方は残念ながらなかなかそこまで届いていない。もう少し個別に申し上げますと、民間の実用衛星開発の中でも、例えば太陽電池とか地球センサーといったような、ある衛星部品、あるコンポーネント、こういうものでは技術面、価格面でも十分国際競争力があって、そして海外への輸出も現実に行われているという例がございます。しかしながら、それ全体をまとめた一つ衛星ということになると、まだ技術的あるいは経済的な両面において国際的には達していないのじゃないかというふうに言わざるを得ない。  そうすると、では日本の国策としてはどういうことになるかということになるわけですが、衛星の商業化は、基本的には、コストとか納期とか性能、こういう競争の上に成り立つわけでありますから、民間において努力していただくというのがまず第一だ、ここは強調しなければいけないと私は思います。  しかし、さはさりながら、今まで宇宙開発事業団に蓄積してきたいろいろな技術がございます。こういう開発成果を民間へ移転していく、あるいは宇宙開発事業団の試験設備などを民間にどう利用促進をしていくかというような問題、それから、先ほども御議論がありましたけれども、人材交流の促進、こういうものを私はもっと積極的に図っていくべきだと思います。  先ほども御議論がありましたように、国が予算を投入してやってきた開発でありますから、産学官の連携といってもどこに一線があるのかという議論、私は、これは今もいろいろな議論が行われまして、まだ完全に解決した議論だとは思っておりません。しかし、基本的に、宇宙開発事業団がためてきた、蓄積した技術をできる限り民間に移転していくということを努力していかなければいけない、こう思っております。
  45. 近藤昭一

    ○近藤委員 私も質問の中で申し上げましたように、実用時代に入って、コスト的な面も非常に関係してくるわけでありますから、そういう意味では、そこに突っ込んでいくのがいいのかどうかという議論はあると思うのです。  ただ、やはり宇宙開発は総合的な技術開発であり、今いろいろな部品についてはかなり世界的にも使われるようになった現状が出てきているということであれば、そういったコストのことを考慮に入れていただきながら、ぜひこういった衛星関係でもよりいい技術ができるように、全般的な人事交流、技術交流をしていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  46. 大野由利子

  47. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史と申します。委員長やこの委員会の理事の先生方のお許しをいただきまして、本委員会で質問の時間をいただきました。ありがとうございます。  きょうは宇宙保険に関する質疑でありますから、関連していろいろなことをお尋ねをさせていただきたいと思っております。  まず、谷垣大臣にお伺いをさせていただきたいのです。  今、近藤委員の最後の質問でも御答弁長官はされたわけでありますが、短期的な方針としては、民間の方々にも一生懸命に頑張っていただいて日本製の衛星がたくさん上がるようにしていきたいという御方針であるということはわかるのでありますけれども宇宙開発分野というのは、今までは夢がある分野だというようなことを言われていたわけですけれども、私は、もう既に夢というような時代は終わっていて、もう完全なビジネスの時代に入っているんだろうと思うのですね。  ケネディ大統領がアポロ計画を提唱されて、レーガン大統領が宇宙ステーション計画、そしてブッシュ大統領が、一九六九年にアームストロングさんが月に一歩をしるされて五十周年ということで、二〇一九年に有人火星探検というものを打ち上げられた。常に大きな目標を掲げてアメリカ宇宙開発に取り組んできて、今、ビジネスの分野でも大成功をおさめつつあるのではないかな。  実際に、アメリカの上流階級の間では、月に行くスペースプレーンのシートの予約をどうするかとか、火星に行くスペースプレーンのシートの予約をどうするかということは、パーティーの席上でまじめな顔でというか、まじめに議論しているかどうかわからないのですけれども、とにかく会話の種になっているというようなことも聞いております。  大臣は御存じかどうかわかりませんけれども、私たち地球の五十億の人間の中で、一番最初に月に第一歩をしるしたアームストロングさんは、今、現役を退かれて、オハイオ州で画家として絵を売りながら生活をされているそうでありますけれども宇宙に行って帰ってくることがアメリカではそんな大層なことではなくなってきたというような時代でありますから、日本としても、あるいは政府としても、これから宇宙開発についてもっと大きな大方針というか、例えば、地球以外の星に住む知的生命体と最初にコンタクトすることを我が日本政府は目標とするとか、そのくらい大きな目標を掲げられた方が下々はやる気が出るというものであります。  これは大げさかもしれないですけれども、政府として、学術研究とか技術研究という何か小ぢんまりとした目標だけではなくて、あるいは、商業衛星をちょっとでも売りますというようなせこい目標ではなくて、もっと大きな方針をお立てになられたらどうかなというふうに思うのですが、まず、私のこの提言に対して、長官の見解をお伺いをさせていただきたいと思います。
  48. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 宇宙開発を何のためにやるのかというのはなかなか、私は正直申し上げて、ビジネスだけと割り切るのもちょっと小さいなという気がするのです。非常に幅広い目的があるのではないかと思います。  私は、人間というのはやはりいい面があって、真善美を求めていく面があるというようなちょっと格好いいことを言ってみたりしたのですけれども、やはりそういう面がありまして、現在でも、火星探査をし、さらにもっと遠くまでやっていくんだということになりますと、単に実用というわけでも、ビジネスというわけではないだろう、やはり真善美というものを求めていく人間の姿というのがそこにあるのではないかと思います。  しかし、そればかりではないので、現実に生活の利便を改善していったり、先ほど申し上げたような通信衛星でもそうでしょうし、気象にしても、あるいは地球の変動を予測するというような、これはやや科学的かもしれませんが、そういう面を含めても実用的な面がありますし、さらには、今までの地上では考えられなかった高度な条件の中でやっていけるいろいろな技術開発していくこと自体が、宇宙の中でどうということを超えて、新しいビジネスを起こしたりする側面もあるのだろうと思います。  ですから、私は、ビジネスとかあるいは夢とかいうことだけに限定しないで、そういうふうに幅広く宇宙開発というものをとらえていく必要があるのではないかなと思っております。ですから、私ども日本宇宙開発というものがどういうふうに国民の皆様からとらえられているかという、その目もあると思うのですが、私は、できるだけこういう幅広い視野に目配りをして、その意味を、政治も積極的にメッセージを発していくように持っていかなければいけないな、こう思っております。
  49. 川内博史

    川内委員 大臣が真善美を求めるというふうにおっしゃられましたけれども人類としての純粋な好奇心とか探求心とかフロンティアスピリット、そういうものが宇宙のどんどん奥まで発展していって、それがまた実利に戻ってくるということだろうというふうに思うのです。幅広い視野宇宙開発を考えていきたいということでありましたけれども、私も全くそのとおりだと思うのですが、宇宙飛行士の募集をしたら八歳の男の子が応募してくるというような記事も読ませていただきましたけれども、それだけ我々を駆り立てるものがまだ宇宙にはあると思うのですね。  ですから、日本の国として一つ明確な目標を立てて、それに向かって努力をしていくんだということが、国民の皆さん方にも宇宙開発というものを御理解いただく上で大変に重要な視点になるのではないかなというふうに思っておりますので、ぜひ御考慮いただければと思うのです。  そこで、私は日本版のスペースシャトル、HOPE-Xというものに関して大変に期待をしておりまして、このHOPE-Xについてどんどん研究をしていただき、開発を進めていただいて、日本宇宙に対する技術というものもこんなにすばらしいと。発展形であるHOPEはちょっと今挫折をしてしまったのかもしれないですけれども、このHOPE-Xをどんどん発展させていって、宇宙の果てまでこれで飛んでいくんだみたいなことが高らかに宣言をされてもいいのじゃないかなというふうに思うのです。  そこで、日本版のスペースシャトル、HOPE-Xのことについていろいろ新聞紙上あるいは科学雑誌等で報道されているわけでありますが、まだ人は乗っていないわけですけれども、無人のスペースシャトルでありますHOPE-Xは、実験飛行が何回ぐらい予定されているのか、またその予算は幾らぐらいを見込んでいらっしゃるのかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
  50. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  HOPEIXにつきましては、現在の計画では、平成十二年の冬期にHⅡAの上に載せまして打ち上げまして、地球を周回した後、その周回軌道から離脱をいたしまして大気圏再突入、地上に帰還、こういう計画になっているわけでございます。  その一回目の試験結果というものを見まして、以降の試験飛行というものをどのようにいたすのかは考えさせていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、HOPE-Xの機体につきましては、いずれ改造いたしまして、宇宙ステーションが本年あたりから打ち上げが始まり、組み立てが始まってくるであろうというふうに思ってございますけれども、その宇宙ステーションと地上との間の物資の補給に使っていくというふうなことも考えてございます。  それから、経費の方でございますけれども、二〇〇〇年度の打ち上げ計画までの総経費といたしまして、九百数十億、こういったオーダーになろうかと思ってございます。
  51. 川内博史

    川内委員 一回目の結果を見てその次については考えたいと。私は個人的には賛成しますので、 もっと大胆にやっていただきたいと思うのです。  そこで、オーストラリアで、ALFLEXという、HOPE-Xよりさらに小さな形のシャトルの着陸実験をなされたというふうに聞いておりますけれども、その成果について御報告をいただきたいと思います。
  52. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘の、オーストラリアで行いました着陸実験でございますけれども、これは、平成八年の七、八月にかけまして、オーストラリアのウーメラという、飛行場と申しましょうか、大変広いところを活用いたしまして行ったものでございます。  これは、実験機ALFLEXをヘリコプターでつり下げまして、高度一千五百まで上げまして、そこで時速百七十キロのスピードでもちまして切り離しまして滑走路に自動着陸させるという実験であったわけでございます。この間約一カ月にわたりまして十三回の自動着陸実験というものを行いまして所要のデータというものをとってございます。  そのデータといいますものは、これから先HOPE-Xの開発過程に逐次投入されていくものでございますが、少なくともその際の自動着陸でとりましたデータといいますのは大変いいデータが得られておるというふうに聞いております。
  53. 川内博史

    川内委員 その十三回の着陸の際、いろいろなデータが収集されたと思うのですが、私は専門家ではございませんので、ごくごく単純にお伺いいたしますが、着陸に失敗したというような事例はないわけですね。
  54. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  ございません。
  55. 川内博史

    川内委員 安心いたしました。  このALFLEXの着陸の際のデータを収集されて、それをもとに今度はHOPE-XがHHAで打ち上げられて地球を周回した後地球に戻ってくるわけです。大臣、私は鹿児島の選出でございまして、種子島、内之浦とございまして、だからこそ大変宇宙に興味を持っているわけでありますが、このHOPE-Xは種子島の宇宙センターから当然打ち上げられるわけでございます。打ち上げられて、周回して地球に再突入してくる。以前の朝日新聞だったか、HOPE-Xの着陸する場所ということで、中部太平洋にあるキリバス共和国というところのクリスマス島に着陸するという記事を読んだ記憶があるのです。  キリバスというのは、インターネットで調べてみますと、第二次世界大戦の戦場として有名だったそうで、タラワの戦いというのがやられた場所というふうにインターネットのキリバスの紹介のページに出ていたのですけれども、なぜキリバスのクリスマス島というところに着陸をするのかということについて御説明をいただきたいと思います。
  56. 青江茂

    青江政府委員 御説明申し上げます。  確かに、先ほど申し上げたように、平成十二年度の冬期に打ち上げますHOPE-X、そのおろし場所につきまして、今御指摘がございましたキリバス共和国のクリスマス島というものが大変有力な候補であるというのは、事実としまして私ども宇宙開発事業団の方から報告を受けてございます。  なぜそこなのかということにつきましては、これはもちろん、日本にとりまして、いわゆる周回軌道から離脱させまして、再突入して着陸まで持ってくる、その一連のものをやる一番最初の経験になるわけでございます。そういたしますと、その一種のマヌーバリングというものは宇宙開発事業団そのものにとりましても大変難しい一連の作業になるわけでございますが、そのときに、一つポイントといたしましては、その周回軌道から軌道を離脱する前後でございます。  したがいまして、HQPE-Xの姿勢の状況とか、いろいろなデータというものをきちんととらまえまして、そして一定のコマンドが打てるという、その一連のマヌーバリングを、やはり日本の上空に、いわゆる日本の可視領域にあるときにやりたいというのが一つポイントということであるようでございます。  そうしますと、日本の上空で大気圏に再突入ということになりますと、必然的におりる先はクリスマス島周辺の方になってしまうというふうなことだと聞いてございます。  それからなお、HOPE-Xにつきましては、もちろん一定かなり広範囲な面積というのが必要とされるというのはもう当然の前提でございますけれども、HOPE-Xはいわゆる推進機能は持っておらないわけでございますので、大きく軌道を変更するということは現実にできませんので、先ほど申し上げましたように、大気圏に突入した場所というものからおりる場所というのは相当に限定された範囲でもって規定されてくるというふうに聞いてございます。  そのあたりが、クリスマス島というのが一つの、第一義的な有力候補である要因であるというふうに宇宙開発事業団の方からは報告を受けてございます。
  57. 川内博史

    川内委員 今局長の方から御答弁がございましたけれども、なぜクリスマス島なのかということに関しては、私も今の御答弁でよく理解をさせていただくのですが、ひとつ大臣にもう一度御再考いただきたいのは、日本が初めて無人とはいえスペースシャトルを打ち上げて、それが大気圏に再突入して地球に戻ってくるわけでございますから、これは大変に国民の皆さん方も関心の高いイベントというか事業になろうかと思うのです。  日本の上空で再突入のときのいろいろなデータを収集したい、したがって日本の上空で大気圏に再突入するから、ずっとそこから滑空していって、クリスマス島のあたりにおりるというのはわかるのですけれども、例えばインド洋のあたりに再突入のポイントをつくって、そこに観測施設をつくれば、ちょうど日本におりられるというようなことになろうかと思うのです。  せっかく日本がつくって飛ばして、国内に着陸するということであれば、これは国民の皆さん方も、クリスマス島まではなかなか見に行けないのですけれども日本の国内であれば、何にしても初物というのは日本人は好きですから、たくさんの人が集まって、宇宙開発に対する理解も大変に深まるのではないのかなというふうに思うわけでございます。  そこで、日本国内に着陸をさせるということは、もうこれから先、検討はちょっと難しいのかということがまず一点。それと、では、もしキリバスのクリスマス島でやるとすれば、キリバスには滑走路があるのかどうか、これから新しくつくるのであれば、それはどのくらいの費用が見込まれるのか、そして、そのクリスマス島の着陸を予定しているところにはどのような施設が必要となるのかというような、周辺の条件についても御答弁をいただければと思います。
  58. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 日本でやはりHOPE-Xあるいは新しいシャトル型のものを考えた場合に、もう一回日本に帰ってくるような、着陸するようなことを考えるべきではないかということでございます。  余りからっとした御答弁ができないのですが、今のところ、正直申しまして、二〇〇〇年度のHOPE-X計画、この試験飛行以外については、実はまだ計画が具体化していないというのが率直なところでありますので、では、その二〇〇〇年のその後のものにどういう着陸場を考えていくかということについても、正直申し上げて、まだ検討に着手していないというのが率直なところでございます。  一般論として申し上げると、そういう再使用型の宇宙輸送機の着陸場というのはどうあるべきか、これはその往還機をどういう設計をしていくかということとやはり関係が当然ございます。ですから、余り具体的なことはまだ私もわからないのです。  そこで、ごく一般論的に申し上げれば、かなり広い土地が着陸用に必要なのではなかろうか。それから、安全に着陸を行うための滑走路とか管制 施設等の設置というものが可能でなければならないというのは、これは当然のことだろうと思います。  ですから、その二〇〇〇年のその後の計画というものが具体化していく中で検討していくべきことだと思いますが、その場合に、国内は初めから、頭からノーなのだというようなことは考えずに、含めて考えていく必要があるのかな、こう思っております。
  59. 青江茂

    青江政府委員 若干事実関係といいますか補足的なことにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。  現在クリスマス島には、通常の航空機の離発着に用いられてございます空港のほかに、島の南東部にエイオンと呼ばれます飛行場が一つ、これは現在通常運航には使用されていない飛行場でございますけれども、それが一つあるようでございます。これをHOPE-Xの着陸場としまして使用するということで宇宙開発事業団におきましては今検討を進めておるという状況にございます。  ただ一つ、これを使用するに際しましても、やはりごく一部、誘導路等の舗装でございますとか、その周辺設備の補修でございますとか、若干の整備というものが必要とされるというふうに聞いてございます。  ただ、これが大変有力なというふうに何回か申し上げましたけれども、その理由のうちの一つなのでございますけれども、相対的に申しますと、その整備改修の費用というのはかなり少ない金額で、今申し上げましたように既存のものを使う関係上、かなり少ない費用で済みそうであるという見込みがございます。
  60. 川内博史

    川内委員 かなり少ない費用というとかなり少ないのだろうと思うのですが、大体どのぐらいということを、平成十二年にはやるわけですから、もう既にその辺の具体的な計画というものもでき上がっているはずなんですけれども、どうでしょうか。
  61. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました、その改修整備に必要な経費といたしまして現在見積もられている数字は、約九億円ということでございます。
  62. 川内博史

    川内委員 大変に少ない予算の中で工夫をしながら一生懸命おやりいただいているわけでございまして、本当に頭が下がる思いであります。  今大臣から、HOPE-Xの後の具体的な計画はこのシャトルについてはないんだというような御答弁があったわけでございますが、私がきのう科学技術庁の若い方々とお話をさせていただきましたところ、HOPE-Xの実験が成功した後はHOPE-Xを進化させたHOPE-XAというものがあるというふうに聞いたのですけれども、ではそれは違うのですね。
  63. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。私、担当局長も聞いたことがございません。
  64. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私が申し上げたのは、二〇〇〇年のHOPE-X計画の後をどうするかということはまだ具体化していないと申し上げたので、もうそこから先はぷつつんということかどうかというのは、そこまでは申し上げておらぬわけでございます。
  65. 青江茂

    青江政府委員 ちょっと補足させていただきたいと思います。若干私も混乱がございまして、大変申しわけございません。  HOPE-XAというプロジェクト自体は、もちろんネーミングを含めましてないわけでございますけれども、先ほどちょっと触れましたが、HOPE-X、一回の試験飛行を行う、それ以降の二回目、三回目の試験飛行をどうするかというのはこれから先考えさせていただきたいということを申し上げました。  このHOPE-Xという機体そのものでございますけれども、先行きの問題といたしまして、宇宙ステーションというのが上がる、それへの補給というものにこの機体を使っていくんだということを先ほど申し上げましたが、そのことを指しておるのかなという気もいたしまして、その辺、もう少しアイデンティファイをきちんとさせまして、ミスリーディングのようなことのないように情報をきちんとさせたいというふうに思います。どうも失礼を申し上げました。
  66. 川内博史

    川内委員 わかりました。理解しました。  しかし、大臣、科学技術庁さんが考えていらっしゃる何だかすごいややこしい名前の、スペースプレーンの前の開発段階、HOPE-Xの後はロケット推進単段宇宙輸送機になって、二〇二〇年にスペースプレーンというようなことを紙で拝見をさせていただいたのですけれども、どのみち、日本宇宙に対してどんどん出ていくようになれば、宇宙空港というようなものが必要になるのではないかなというふうに私は思うわけでございます。  先ほどの大臣の御答弁では、まだそういう宇宙空港、飛行場については具体的な検討には入っていないというふうに御答弁をされたわけでありますが、宇宙空港をつくった大臣として歴史に名前を残していただくためにも、谷垣長官にぜひ宇宙空港をつくるという御検討に入っていただければありがたいなというふうに思うわけでありますが、具体的検討に入る予定があるのかどうかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
  67. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 余り自分の意欲ばかりが先走ってもいけませんが、HOPE-Xにつきましては、先ほどの局長の御答弁の中にもございますけれども、もちろん二〇〇〇年のHOPE-Xがうまくいくかどうかということがまず大前提でございます。それで、それがうまくいったとして、先ほど私が申し上げたことは、まだその後のことは具体的には考えていないわけであります。  具体的には考えていないわけでありますけれども、では、そこまでHOPE-Xを実験してうまくいったということになりますと、それで、はいさようなら、今までいろいろやりましたねというのではもったいない。やはりそれを生かしていくことは当然考えていく、うまくいけば考えていくということになります。それだけの技術可能性があるのかというようなことが当然二〇〇〇年の実験では確認をされなければならないのだろうと思います。  長期的には、先ほど局長が御答弁申し上げたように、あるいはそれがうまくいけば、宇宙ステーション計画等の中で実際にそれを再利用し、再利用といいますか、何回も使っていろいろやっていくということ、それは考えられてしかるべきではないかなと思いますが、そこのところはまだ私の気持ちからすれば願望の段階でございまして、具体化の段階ではない。  では、そういう段階になっていったときに、飛行場と申しますか、宇宙空港と申しますか、そういうものがどうあるべきかという問題は当然出てくるだろうと思います。しかし、そこまで今、国会で御答弁をさせていただいてどうどうと言うのはなかなか私も言いにくいところでございまして、やはりまず二〇〇〇年の計画がうまくいった後、次の計画を具体化する中で考えていくべきことだ、こう思っております。
  68. 川内博史

    川内委員 宇宙空港をつくるとすればやはりこれは十年ぐらいの年月はかかるでしょうから、この科学技術宇宙開発分野というのは日進月歩でどんどん進んでいくのだろうと思うのですね。HOPE-Xの実験が成功するかどうかわからないという部分はあるわけですけれども、私は必ず成功するだろうというふうに思いますし、その後、宇宙ステーションにHOPE-Xがモジュールを運んでいく、そしてそこでアメリカのスペースシャトルに乗ってきた日本宇宙飛行士がモジュールの組み立てをする、あるいは実験をする。もう四、五年後にはそうなっているわけでしょうから、そうすると、種子島から打ち上げてクリスマス島におろして、また種子島まで船でえっちらおっちら運んで、また打ち上げてクリスマス島におりてというのでは余りにも非効率的です。  そして、宇宙ステーションも一個で終わるはずはなくて、人類に残されたフロンティアとしては宇宙しかないわけですから、外にどんどん出てい かざるを得ない。一面では人間のさがですよ、新しいところにどんどん行くというのは。そうなると、今から宇宙空港の計画あるいは調査みたいなものが始まってしかるべきではないか。  決して絵そらごととか全くの空虚な言葉ではなく、本当に真剣に検討してやっていかないと、ロケットでは日本は欧米の技術水準に追いついたけれども、シャトルやスペースプレーンについてはやはりおくれてしまったということにまたなりはしないのかなということを危惧するわけでございます。  局長としては、大臣は今のところ国会の中で答弁をすることはできないということでありましたけれども、局の中で、科学技術庁内でそういう検討をしてみたことはあるのか、全くそんなことは考えもしなかったとおっしゃるのか。ちょろっと検討したぐらいのことはあると思うのですけれども
  69. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  確かに、輸送系というものが将来、いわゆる超長期で物を考えましたときにどういう方向に向かっていくのかということを考えましたときに、今のような使い切り型のロケットというものから将来的には完全再使用型のものへ、その過程の中におきまして、垂直に上げて水平に帰ってくる、搭載エンジンロケット、いわゆるロケットプレーンというふうに言われるもの。それから、それよりもう少し先には、いわゆるジェットエンジンロケットエンジンというものをダブルに搭載いたしまして、水平に上がってそれから水平に帰ってくる、いわゆるスペースプレーンと言われるもの。こういったものが、超長期で物を考えましたときに、いわゆる宇宙への輸送手段としましてはこれは一つ流れであろうということ自体は、これは多分多くの方々が思っておられるところであろうというふうに思ってございます。したがいまして、私どもの方におきましても、そういったいわゆる超長期へ向けての非常に基礎的な段階の所要の研究というものを少しずつ少しずつ今やっておるという段階にあるわけでございます。  そのようなことを考えますれば、先ほど先生御指摘になられました、それじゃ、そのようなものを上げ、そしておろしてくる場所というものを本当にどうするのかというものは、そういうものとひとつ連動させた形でそれこそ考えていかなければならないという課題であるというのも事実であろうというふうに思っておるわけでございます。  ただ、時期の問題としまして、少し局内で勉強してみておるだろうという御指摘でございますけれども、確かに私どもは、いろいろな議論の過程の中で、今のいわゆる場所でございますとか、固有名詞という意味じゃございません、サイディングというものじゃございません、その持つべき機能というのはどういうものだとかというふうなことは、要するにいろいろな議論をしておるその中の一つとしまして、あることはあるわけでございます。  ただ、先ほど大臣から御答弁を申し上げましたように、その先のステップというものをどう具体的にコンセプトとして描いていくのかということ、そのことと、いわゆる発着場といいましょうか空港と申しましょうか、そういうものというのは非常に密接に連動する問題でございますので、そこのところのコンセプトをまだまだ具体的なものとして描き切れていない状況におきましては、先はどのような検討というのも、具体的なものとしましてこういうものでありますということを御紹介し得る段階にまで立ち至っていないというのが今の実情でございます。
  70. 川内博史

    川内委員 今の局長の御答弁では、具体的な場所ではなくて、名前ではなくて、宇宙空港として条件を整えるためにはどういうものが必要であるかということの検討はしてみたことがあるということでございますね。
  71. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  非常に初期的なとでも申しましょうか、いわゆる宇宙空港と言われるものの概念自体、もちろん、繰り返しになりますけれども、そこで発着いたしますいわゆる輸送機との関連があるわけでございますが、そこのところを横に置きましたときには割合シンプルなコンセプトになってしまうということでございます。そういう状況でございますので、その限りにおきましては、検討そのものとしましては、例えば空間とか格納施設でございますとか、それから管制施設でございますとか、そういうものの域を超えていない、そういう検討段階にございます。
  72. 川内博史

    川内委員 大臣、成田空港が、使い勝手が外国からいらっしゃるお客様や、まあ国内で成田空港を使う方にも余り評判のいい空港ではないことは事実だと思うのですね。それはなぜかというと、成田空港を計画したときにはDC8が主力の旅客機だったのですよ。だから、ジャンボジェットなんというものはできると思っていなかったのですね。それで、こんなふうにみんなが飛行機に乗って世界じゅうを行き来するなんということも恐らく想像しなかったのでしょう。  日本人というのは、目に見えるものとか今あるものについては非常に熱心に研究しますけれども、五十年先、百年先のことを考えたときにちょっと見通しが、成田空港だけをとってみても甘い部分があると思うのです。  二十年後にアメリカは必ず火星に人を送ると思いますし、月ぐらいだったら平気でチケットを売って月旅行というものをやると思うのですよ、これは確実に。そういう中で、我が国がどういうふうにしていくのか。  今は、宇宙空港をつくると言ってもだれも本気にしてくれないからというような側面はあると思うのですけれども、でも、それを大まじめに考える。そして、HOPE-Xはもう二〇〇〇年には飛んで、帰ってくるわけですから、それをまず日本の皆さんに、打ち上げておろすところをしっかりと見ていただく。日本も、皆さんに月に行っていただく時代がすぐそこまで来ていますよということを主張する。  例えば若田さんとか毛利さんとか、宇宙に行った日本人がいますけれども、そういう人が帰ってくるときは、カーレースだとレースクイーンというのが横に傘を持って立っているわけですけれども宇宙飛行士にはコスモクイーンか何か知らないですけれども、きれいなお姉さんが傘でも持って立って格好いいなというのがやはり子供たちの夢をかき立てると思うし、みんなの気持ちを盛り立てていくと思いますので、そういう細かな演出も私はぜひお考えいただきたいというふうに思っております。  そろそろ、あと五分ぐらいなんですけれども、ぜひ、今の局長の御答弁にありましたとおり、どんどんそういう検討を進めていただいて、何かそういう検討をしていることを隠してしまうのではなくて、それをどんどんオープンにして、日本もそういう時代が来たんだということをぜひ国民の皆さん方にどんどん発表していただいて、日本の国というものに目標を、国民の皆さん方に目標を、夢を与えていただきたいなというふうに思うわけでございます。  私は、鹿児島ですから、種子島から打ち上げがされるわけで、大体打ち上げたところの近くにおろすというのが常でございましょうから、ぜひ鹿児島を検討地に加えていただきますように御陳情を最後に申し上げておきたいと思うのです。  最後に、きょうは文部省さんにも来ていただいているのですけれども、これからどんどんどんどん宇宙開発が進んでいく上で、人材を養成するというのは非常に重要なところだと思うのですけれども、我が国の大学における宇宙関係の学科というものがどのくらいあるのか、また、アメリカに関しては、宇宙開発の人材というものをどのように養成しているのか。これは大学関係だけで結構ですけれども、現状について教えていただきたいと思います。
  73. 清水潔

    ○清水説明員 お答え申し上げます。現在の我が国の大学における宇宙関係学科についてのお尋ねでございますけれども、性格上、先 生御案内のように、なかなか幅広いものにわたるということから、それを学科としてどう特定していくかというのは難しい側面もあるということではございますが、例えば学科、専攻等の名称として、宇宙、航空というようなものを主たる教育研究の目標としてとらえているという観点からとらえたというふうにしますと、学部レベルでは十一大学十二学部で、それから大学院レベルでは九大学十一研究科にそれぞれ専攻が置かれているというふうに承知いたしております。ただ、この数字は、物理学あるいは物理学専攻等は除いたものでございます。  また、このほかに、大学共同利用機関として、御案内のように宇宙科学研究所が設置されておりますし、研究活動あるいは研究情報の収集、提供とともに人材養成への協力も行っているところでございます。  アメリカ状況についてでございますが、私どもとして、マサチューセッツ工科大学あるいはカリフォルニア工科大学、ワシントン大学、スタンフォード大学においてそれぞれ教育研究が行われているということは承知しておるわけではございますが、学科数等の具体の詳細については把握しておりません。
  74. 川内博史

    川内委員 きょうは御説明に来ていただいただけでありますけれども、大臣、その分野を伸ばそうと思えば、人、物、金を集中的に投資していくというのが鉄則だろうというふうに思うのです。  今文部省さんから御説明がありましたけれども日本人というのはもうほとんどすべての人が大学へ行くわけでございますけれども、その中で十一大学ですよね。だから、ちょっと少な過ぎるのじゃないかなという気がするわけでございます。せっかく今度省庁再編で教育科学技術省になるのですから、ぜひ宇宙関係の学科をじゃんじゃんつくっていただいて人材を養成していただくということも、あわせてしていかなければならないことだろうというふうに思うわけでございます。  小野先生やあるいは私の同僚の近藤先生からも質問があったわけでありますが、これは最後の質問にさせていただきますが、とにかく私が繰り返し申し上げているとおり、宇宙開発というのは、積極的に国が支援をし、それを実利にフィードバックしていくということが、二十一世紀のというより、これからの千年にとって非常に大事なことになろうというふうに思うわけであります。  日本という国は、戦争に負けて、アメリカに追いつき追い越せというところでずっとやってきて、成功して、成功し過ぎちゃって今ちょっと閉塞状況にあるのだろうというふうに思うのですけれども宇宙開発分野ではおかげさまでアメリカという目標がまだあるわけですから、そこに追いつき追い越せということでみんなのやる気を持たすことができると思うのですが、現状の宇宙関連産業の日米の比較というものをお尋ねをさせていただきたいと思います。
  75. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 日米の宇宙関連産業の比較ということでありますが、我が国は、平成八年度の売上高が約三千四百億円でございます。それで、従業員数が約九千人の規模ということであります。そこで、その売上高のうち内需分が約二千六百億円あるわけですが、その四九%が宇宙開発事業団への売り上げである、官需であるということであります。  これに対して、海外の例をとりますと、宇宙関連企業のトップというのはアメリカのロッキード・マーチン社ということになると思いますが、これが、平成八年の宇宙関連売上高が約九千五百億円、宇宙関連従業員数が約三万人、一社のみで我が国宇宙関連産業全体の約三倍だという姿になっております。  こんなふうに、宇宙開発が、やはりアメリカは長い歴史を持っておりまして、産業分野としてもきちっと確立ができている。それに比べますと、我が国の宇宙開発はまだ歴史も浅いですし、有人技術とか、それから衛星技術、惑星探査、海外に学ぶべき点はまだ大変多いと思っております。  そういう中で、先ほど申し上げておりますが、この間の五号機の失敗を乗り越えなければいけませんけれども、HⅡロケット開発といったものはコストの低減化ということも実現し得るということで、こういう分野においてはようやく世界水準技術力を獲得するに至ったということだろうと思います。  今後、我が国の宇宙関連産業がビジネスとして自立していくためにはまだまだ多くの課題がございますけれども、先ほども申し上げたところでありますけれども、我々としては、宇宙開発事業団中心に蓄積されてきたいろいろな成果をどのようにして民間に移転していくか、それから施設の利用促進とか人材交流とか、こういう形でできるだけ支援をしていきたいと思っております。  それから、先ほど、日本は追いつき追い越せでやってきて、うまくやり過ぎたというお話もございました。宇宙開発分野では確かにまだ目標はございます。追いつき追い越すという目標はございます。しかし、大きく考えまして日本の科学技術の発展という立場からまいりますと、やはり追いつき追い越すというところから思考形態も変えていかなければならないのではないかなという気が私はしているわけなんです。  この間の五号機を失敗いたしましたので余り胸を張って言いにくいのでありますけれども、やはりトップランナーを目指していくんだ、今までとは違う自分たち独自の目標を追求していくんだということをそろそろいろいろなところでやっていかなければならないということになりますと、物の考え方といいますか、リスクをやはり自分で引き受けて負っていくんだ、こういう考え方も私は必要になってきているのじゃないかと思っております。  こういう発想法はまだ、何もアメリカが全部いいなんて私は思っておりませんけれども日本はこういう気風をもう少し育てていくことが今の閉塞状態を打破していくためには必要なのかな、こんなことも思っている次第でございます。
  76. 川内博史

    川内委員 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、ぜひ、科学技術庁並びに宇宙開発事業団、そして大臣、ますます頑張っていただいて、お進めをいただければと思います。  どうもありがとうございました。
  77. 大野由利子

    大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時八分散会