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1998-04-10 第142回国会 衆議院 科学技術委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月十日(金曜日)     午前九時四十一分開議  出席委員    委員長 大野由利子君    理事 小野 晋也君 理事 河本 三郎君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 吉田  治君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       大島 理森君    奥山 茂彦君       木村 隆秀君    白川 勝彦君       菅  義偉君    杉山 憲夫君       田中 和徳君    竹本 直一君       平沼 赳夫君    村井  仁君       望月 義夫君    近藤 昭一君       佐藤 敬夫君    鳩山由紀夫君       近江巳記夫君    中野  清君       達増 拓也君    松浪健四郎君       吉井 英勝君    辻元 清美君       中村喜四郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷垣 禎一君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   今村  努君         科学技術庁科学         技術政策局長  近藤 隆彦君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         資源エネルギー         庁公益事業部長 奥村 裕一君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    都甲 泰正君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事長)     近藤 俊幸君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      中野 啓昌君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      菊池 三郎君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君     ————————————— 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   岡部 英男君     大島 理森君   吉井 英勝君     木島日出夫君 同月八日  辞任         補欠選任   木島日出夫君     吉井 英勝君 同月十日  辞任         補欠選任   杉山 憲夫君     菅  義偉君   田中 和徳君     竹本 直一君   平沼 赳夫君     白川 勝彦君   近江巳記夫君     中野  清君   中西 啓介君     達増 拓也君 同日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     平沼 赳夫君   菅  義偉君     杉山 憲夫君   竹本 直一君     田中 和徳君   中野  清君     近江巳記夫君   達増 拓也君     松浪健四郎君 同日  辞任         補欠選任   松浪健四郎君     中西 啓介君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案内閣提出第二九号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 大野由利子

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、本案審査のため、去る四月六日茨城県に、また、四月八日福井県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表して、私から御報告申し上げます。  まず、四月六日に水戸三の丸ホテルにおいて開催しました水戸地方公聴会への派遣委員は、団長として私、大野由利子と、小野晋也理事辻一彦理事吉田治理事菅原喜重郎理事岡部英男委員奥山茂彦委員近江巳記夫委員吉井英勝委員辻元清美委員の十名であります。  次に、四月八日に敦賀勤労福祉センターにおいて開催しました敦賀地方公聴会への派遣委員は、団長として私、大野由利子と、山口俊一理事辻一彦理事吉田治理事斉藤鉄夫理事菅原喜重郎理事田中和徳委員望月義夫委員木島日出夫委員辻元清美委員の十名であります。  現地における会議は、まず、私から派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序などを含めてあいさつを行った後、意見陳述者より意見を聴取し、これに対し、各委員より質疑が行われました。  水戸地方公聴会におきます意見陳述者は、前茨城県東海村村長須藤富雄さん、元北海道大学工学部教授石川迪夫さん、茨城大学農学部教授丹野清秋さん、動力炉核燃料開発労働組合中央執行委員長森将臣さん、原子力資料情報室代表高木仁三郎さん、常磐大学人間科学部教授佐藤守弘さんの六名でありました。  次に、敦賀地方公聴会におきます意見陳述者は、福井敦賀市長河瀬一治さん、JA福井県五連会長福井県環境・エネルギー懇談会会長池端昭夫さん、敦賀原子力懇談会委員吉村清さん、フリージャーナリスト小林巌さん、ヤマトタカハシ株式会社常務取締役高橋一夫さん、原発問題住民運動全国センター代表委員渡辺三郎さんの六名でありました。  以下、その陳述内容につきまして簡単に御報告申し上げますと、国の原子力行政あり方核燃料サイクル確立の意義とその国民的議論必要性原子力利用とその安全技術確立必要性、「もんじゅ運転再開に対する賛否、情報公開必要性、国の地域振興策の強化の必要性地域社会との共生の必要性改正案妥当性及び地方自治体の要望などについて、それぞれの立場から意見が述べられました。  次いで、各委員から意見陳述者に対し、今後の原子力開発あり方高速増殖炉開発と再処理に対する見解原子力政策に対する国民的合意形成に対する見解プルサーマル計画に対する見解、「もんじゅ」の安全性総点検に対する見解、「ふげん」の廃炉についての見解情報公開具体的方策、あるべき地域振興策に対する見解動燃に対する評価、動燃内部チェック機能動燃改革現状と今後のあり方改正案妥当性地元住民意見反映状況及び科学者社会的責任に対する見解などについて、それぞれ熱心に質疑が行われ、滞りなくすべての議事を終了いたしました。  以上が会議概要でありますが、会議内容速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと思います。  なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を初め、多数の方々に多大の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表し、報告を終わります。  お諮りいたします。  現地における会議記録が後ほどでき次第、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野由利子

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔会議記録は本号(その二)に掲載〕     —————————————
  4. 大野由利子

    大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として、動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸さん、同理事中野啓昌さん及び同理事菊池三郎さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大野由利子

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 大野由利子

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦さん。
  7. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうまで大体平穏無事に来たので、平穏無事であることを願っておりますが、大臣ほかに対する最後の質疑になります。  今委員長報告のとおり、この間、水戸敦賀地方公聴会がありました。動燃科学技術庁は、いずれも近藤理事長また加藤原子力局長ほかが御参加でありました。地方公聴会は今まで科技の委員会ではなかったわけでありまして、かなり大きな影響といいますか、率直に地元の声を聞くことができたのではないか、そういう感じがいたしております。  そこで、近藤理事長並び加藤原子力局長から、両公聴会参加されてどういうことをお感じになったか、あるいはそういう中から学ぶことは何か、こういうことについて初めに感じをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  8. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えいたします。  やはり一番痛切に感じましたのは、情報公開、これをもっと徹底しろという要望が非常に強かった、これについては私どもも一生懸命やっておりますが、さらに努力する必要があると感じております。  それから、非常に難しい問題で、地域振興策地域対策、これを進めてくれという要望、これに対してどうこたえていくかという問題がずっしりとこたえています。大きい問題はそこでございます。
  9. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 まず、我々日ごろ原子力行政に携わっている者といたしまして、やはり国民あるいは地元の方の合意というのは非常に重要なわけでございます。  このたび、水戸並び敦賀という動燃事業団でそれぞれトラブルを起こした地域におきまして公聴会をやっていただいたということ、これ自身、国会がそれだけ非常に重要視している、そういう姿勢が地元方々によく伝わったのだろうと思っております。そういう意味で、地方公聴会を開いていただきましたことについて、深く感謝する次第でございます。  それから、感想といたしましては、それぞれ地元の生の声をじかに聞かせていただきました。国民合意形成地元のことをよく聞いてくれという話とか、安全の問題について徹底してほしいとか、そういういろいろな話を聞かせていただきまして、そういうことをじかに身近に聞かせていただいたことにつきまして、非常に参考になること多であったと思います。そういうことをまた反映させていきたいと考えております。
  10. 辻一彦

    ○辻(一)委員 お二人から実感を伺ったのですが、そういう中で、動燃として、何か地方発言の中で生かせるもの、あるいはこれはぜひ取り上げていきたい、こういうものがありましたら、ちょっとお伺いいたしたい。
  11. 近藤隆彦

    近藤参考人 先ほど申し上げましたように、情、報公開についての要望が非常に強かったと思いますので、現状はどうなっているかということを御説明申し上げたい、こう思っております。
  12. 辻一彦

    ○辻(一)委員 一番実感されたことが情報公開必要性ということであり、それを生かしたいということでありますが、私も、やはり一番大きな問題は情報公開をどう徹底できるかということにあると思います。  動燃が、批判をされたように、閉鎖性であるとかあるいは独善性、あるいは国民意識からの乖離等々が問題になりましたが、やはり情報が独占をされており、それが広く開かれていなかったというところ、外部批判をなかなか受け入れなかったというところに非常に大きな問題があったのではないか。  そういう意味で、感じていらっしゃるのは、問題意識は同じようにあるようでありますが、中身がかなり我々と違うのではないかと思うのですが、この点で二、三伺いたいと思います。  動燃は、非常に努力をされている皆さんには大変恐縮でありますが、事故が起きると、その周辺部だけの資料は出てくる。しかし、本当全面公開というか、本当資料情報公開するという点からいうと、非常に距離が実際はあったのではないかというように思います。  それで、若干私も自分の経験をまず申し上げたいのですが、昭和四十六年に参議院でこの原子力問題に取り組んでからかなりな時間がたっておりますが、過去二十年間を振り返ってみると、例えば、私が衆議院に参りました昭和五十八年ごろからを見ても、日本原電から墨で真っ黒にした資料が出てきました。随分問題になった。資料を墨でつぶしたところを出しなさいと言うが、なかなか出ないのですね。結局、外務委員会原子力の二国間協定のときに、法案審査の後が迫っているという中で、何点かは墨でつぶしたところをもとに返して持っていらっしゃったということがありました。  それは中身は何かというと、パイプがある、その弁のある場所を知らすとゲリラ等の場合に危険があるというので、保安上そういうことは知らせないというのが理由であったのですが、そういう名のもとに今までずっと、企業の機密あるいは保安上、いろいろな理由を並べて、資料公開情報公開が阻まれておったというのが実態であると思います。  これは動燃に限らない。例えば、東電の場合も福島原発で、理事長は前身が東電ですから御承知のとおりですが、B型の再循環ポンプで、百キロの鋼鉄の羽根車が高速、新幹線と同じ速度で回っている。これが脱落して、百キロの鉄板が三十三キロから三十キロ、粉々になって原子炉の中に吸い込まれていった。それを無理に回しておったものだから、一週間無理をして、とうとう緊急停止をやらざるを得なかった。その被害は、原子炉を洗うだけでも百三十億。一年半ほどとめたわけですから、その損失を全部計算すると、政府国会答弁でも、七百八十億、約八百億の被害損失を受けた、こういうように言われておるのですね。  これも、その状況資料を求めましたが、なかなか出てこない。結局、予算委員会が質問の中で一時中断をするという状況のときに初めて資料が出されてきた。同じケースだと思うのですね。  関西電力の、例えば蒸気発生器の細管の破断事故ですね。これは数年前でありますが、一番大事な原子炉の上部に蒸気がたまって、これは、原子炉の中の水を押し下げたら、燃料棒が露出したら大変なことになるわけですから、大変な問題ですが、これもなかなかその実態が明らかにならなかった。しかし、ついに予算委員会中断ということになって、そこへ資料を持ってきて公開をした。  こういう例が私の乏しい体験の中にも幾つかありますが、こういうように、電力あるいは動燃を初め多くのところは、日本原電を含めて、追及されるとやむを得ない、資料を出す。しかし、みずから進んで資料公開し、情報公開して理解を得ていこう、そういう構えは、私の相当な経験の中でもかつてなかったように思うわけですね。  そこで、そういうような体質が最も端的にあったのは、率直に言って、動燃閉鎖性が原因してあったのではないかと私は思うのです。そういうような中で情報公開を簡単に言われても、本当にできるのかという疑念を持たざるを得ないのですが、これについて、長官理事長からそれぞれお考えをお伺いいたしたい。
  13. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今辻先生から、長い御経験の中で、なかなか情報が出てこないぞという御指摘をいただいたわけであります。  私は昨年の九月に科学技術庁に参りまして、私も動燃事故の一連の経過というものが頭にあったものですから、このあたりがどうなっているかというのが一番関心がございました。  それで、正直を申し上げると、今、事務方のつくったペーパーには、情報公開が原則であることを動燃の教訓を他山の石としと書いてある。これは動燃にとっては他山の石どころではないのだろうと思いますが、平たく申し上げると、やはり懲りたということではないかと私は思うのです。やはりこれは相当、情報を隠すというようなことによって熱いおきゅうを据えられたという思いが、科学技術庁にもございますし、動燃の中にもあるのではないか。  その苦い経験、熱いおきゅうを据えられたという経験もとにしてこれから考えていく。やはりこれをてこにしていかなければいけないし、そうしなければまた失敗すると思っております。それで、都合のよい情報だけを選択的に出しているというような非難を受けることのないような自戒が必要だと思います。  ただ、もちろんそうは申しましても、この分野には、核物質防護だとかあるいは核不拡散、財産権の保護、外交交渉といった慎重に考えなければならない分野があることも、私はやはり一方念頭に置いておかなきゃならぬとは思っているわけです。  そこで、具体的には、原子力委員会におきまして、「もんじゅ事故を契機としまして、原子力政策円卓会議議論なんかも踏まえまして、会議を原則公開するということをやってまいりましたし、それから、専門部会等報告書をまとめる場合にも、案を公表して意見を求めるということもやってきたわけであります。  それから、動燃につきましては、今いろいろ先生からお話もございましたけれども、今度の改革法機構法の二十六条でしたか、適切な情報公開ということを機構責務として規定しております。それから、情報公開指針も定めまして、去年の七月から運用をしている。  それで、いろいろ今までも委員会の中で御議論がございましたけれども、「もんじゅ」の事故のときの資料について、初めは三〇%非公開だということになっていたけれども、まあ一%のところまで来たという努力もお認めをいただきたいと思うわけであります。  ですから、今、商業機密等にかかわるのをどうするかという問題があるわけでありますけれども国民安心感を持っていただく観点から、関係者協力を得ながら極力公開が進むように私どもとしても指導をしてまいりたい、こう思っております。
  14. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えします。  昨年の七月から情報公開指針というのを制定いたしまして、それを今日まで運用してきております。  それで、そのときの基本的な考え方は、国の情報公開法案が審議されるときに盛んにアカウンタビリティーというような言葉が、最近非常に使われておりますけれども、やはりこれをつくるときには、お客様の理解を求める、あるいはサービスの一環として提供をする、そういう立場ではなくて、要するに、動燃には、国のお金研究開発をやっている、それからまた危険なものを扱っているということを踏まえまして、より一層情報公開するのは動燃責務である、外に対して情報公開していく責務がある、こういう立場に立って実は指針をつくりました。  国の情報公開法案参考にさせていただき、また諸外国の勉強もいたしました。それで、情報公開指針をつくって、七月から実施してまいっております。今後ともそういった基本的なスタンスで情報公開していきたい、こう思います。これが動燃が一番変わる基本だと思いますので、やっていくつもりでございます。  それから、一番問題になりますのは、国民皆さんから情報公開請求があったときに、これを非公開にするときどうするんだという問題でございます。この点については、情報公開委員会なるものを今設置しております。これには、こういった道の大学先生とかを初め外部委員の方に入ってもらっています。そこで検討、審議していただきまして、非公開にする場合にはその根拠を公開します。こういう理由公開できないということを公表してまいります。  今の段階では特殊法人に対する情報公開法というのがまだございませんので、そういった私たちがつくった指針に基づいて今やっておりますので、非公開の場合の扱いは、そういった外部の人を入れた委員会で検討していただいて、その結果は公表する、こういう運用でやっていきたいと思っております。  以上です。
  15. 辻一彦

    ○辻(一)委員 理事長答弁のように、政府案特殊法人にはまだ公開が及ばない、二年後の見直しになったので。私どもで出している修正案は、まさに今からそれをやれという中身でありますから、ぜひそちらも御理解をいただければありがたいと思います。  さて、情報公開は、確かに、今一万六千点という動燃の持っている資料公開する、これも大変大事なことですね。それは、言われるように、国民お金でもって動燃を運営しているのだから、そこでの研究成果は広く公開するというのは当然であろうと思う。  しかしもう一つ、動燃内部に、必ずしも実験結果でない、いろいろな情報があるわけですね。例えば、「もんじゅ」の事故でも、詳しいことはきょうはやめますが、手順書、マニュアル、これは、概要、フローチャート、細目という三種類があって、白煙が出たときにすぐとめろというのと、そういうことは書いていないというのと、明らかにこの三つの手順書の間には食い違いがあるのですね。そういうものを読み合わせをして、そしてその矛盾を検討して、そしてその手順書を変えていく、こういうことで手順書というものは正確なものにだんだんなっていくのです。そうでなければ、事故が起こるまでこういう手順書が変えられなければ、事故が起こってみなくちゃわからないということになる。そういう意味で、読み合わせが非常に大事なんです。  詳しい話は触れませんが、この読み合わせの中身を聞くと、何を一体読んでおったかという感じがします。どういう読み合わせを中身でやったのか、そういうことを資料として提出を求めてもさっぱり出てこない。それは、全部整理をしてそういうものが出されてはおりますが、記録として、一体どういう中身を、どういう読み合わせをして検討したかというようなことが明らかにされるべきであります。そういうことが明らかにされてないと思うのですが、これについてはどうか、伺いたい。
  16. 菊池三郎

    菊池参考人 お答えいたします。  読み合わせは、何月何日どういうメンバーで行ったか、そういう記録はございます。ただ、読み合わせでございますので、読み上げたことを一つ一つ記録しているわけではございませんで、修正する必要があった箇所等については、この点を直すべきだというようなコメントがあればそういうふうな記録はとりますけれども、いわゆる国会議事録のように全部速記を起こしたりテープを起こしたりというふうな記録はございません。  ですから、何月何日どういうふうにしたかということは、公開することはできると思います。
  17. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今まで我々がいろいろ伺った中で、確かに、何人で、どういうメンバーでやりましたという記録はありますね。しかし、読み合わせの大事なのは、読み合わせをして、違ったところを見つけ出して、どう改善していったかということが大事であって、何人集まってやりましたというようなことは、記録としては、それは数字は載っていますが、意味は余りなさない。  だから、そういう中身メモ等提出を求めても、なかなか出てこない。そういうものがあるなら、一遍勉強したいと思いますから、出していただきたい。  それから、手順書なんかを見ても、大体、安全性問題というのは、これは大学でも初めに習うのですが、安全度の高い、低いがあったら、問題が起きたら安全度の高い方へ、特に安全の方へ安全の方へと解釈をしていくべきが、この場合は、その逆の方に解釈しているうらみがかなりあったと私は思うのですね。  それから、これは敦賀のこの間のシンポジウムで、住田原子力安全委員参加をされて、相当長い時間、四時間か五時間、随分論議をしておりましたですね。あのときにも、私も聞いておりましたが、白煙が出た、そういうものの確認をした運転員の前後の行動であるとか、どういう処置をしたかということを詳細に知るということが非常に大事ですが、これに対して、動燃は皆調査をして、聞き取りをやっておるのですね。だから、どういう聞き取りを具体的にやったのか、それをひとつ出してもらいたいと言って再三要求をしましたら、もう二カ月ぐらいになりますが、出されてきているのはみんなの発言をずっと整理されたものですね。こういうようにやることにしますという報告はあっても、生のデータがさっぱり我々にはわからない。  やはり、ああいう大事なときにどう処置したかということは徹底して検証する必要があるのですが、そういう生データは出すことはできますか。いかがですか。
  18. 菊池三郎

    菊池参考人 お答えいたします。  ここは御理解いただきたいところなんですが、聞き取りますメモというのは、例えばノートの走り書きとかそういう形で記録されますので、それは、今整理されて残っております、我々時系列と呼んでいるのですが、そういう記録に編集されて製本された場合は、いわゆる書き損じというか、そういうメモのものですから保存はしておりません。  ですから、そういう既に記録にとられて残されたものを正としておりますので、別に隠しているとか、あるのに出さないということではございませんで、今残っている、お出ししているものがすべてであります。
  19. 辻一彦

    ○辻(一)委員 整理をしたのは、時系列的にずっと並べて、こうでありますというのはわかりました。それは見ました。しかし、それは我々が具体的に検証するにはさして役には立たないですね。これからこうするということは、それは結構なことだ、当然直さなければいかぬことです。  しかし、当時の運転員がどういう判断をして、どう行動したかということは非常に重要な問題なので、そこらを検証できるものがないと本当中身がわからない。そういうものは残念ながら既に整理をされて、あとは保管をしていないということでありますが、そういうものをきちっと保管をして、そして情報公開等に応ずるということ。一万六千点、これはもう九十何%公開するようになりましたから心配ありませんというようなことでは済まない、こう思います。これをひとつ考えてほしい。  さらには、動燃のASSCOPSのコードは敦賀のシンポジウムの検討委員会でも随分論議になった。動燃が開発したそのコード、それをもしほかの方に使ってみて、具体的に使った中で検証しなければそのコード自体の信頼性がやはり確認されないという点があるのですが、今聞くと、一般の計算会社を通してそのコードを使いたいと言うと使うことができるが、それはあくまで迂回ですね。自分の持っているコード、あるいはコンピューターでそういうものを直接使って検証するということができるのか。近く公開するということでありましたが、それがどうなっているかちょっと伺いたい。
  20. 菊池三郎

    菊池参考人 お答えいたします。  今御指摘のASSCOPSコードでございますが、現在公開されておりますのはこういう資料で、我々の各事業所の中のインフォメーションルームでどなたでも入手できるようになっております。  この中には、コンピューターの世界の業界で常識でございますけれども、どういう計算式で計算できるようになっているかとか、こういうことは専門家であれば皆わかりますし、それから、これをもとにして何が計算されているかというのも全部書いてあります。それから例題も載っております。どういうふうに使えばいいかということも書いてございます。ですから、今たまたまこれが入っている計算機が何々であるから、それを通して使ってくださいというだけであって、すべて内容についてはオープンにしてございます。
  21. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私もその道は余り専門でないのですが、また少し検討して、資料の問題はこれからも触れていきたいと思います。  そこで、この間の地方公聴会の中で出た一 つの問題ですね。私は、きょうは地方公聴会で出てきた問題点を中心にして伺いたいと思っております。  そこで、使用済み燃料を再処理する、そしてプルトニウムを取り出して使っていくという道と、それからワンススルー、使い捨て方式の二つがあるのですが、今まで我々が一般的に政府の説明を聞いていると、使い捨ては環境への負荷が非常に大きくて重い、そして再処理をすれば環境への負荷が小さくて済む、こういう説明がずっと続いていましたが、この間、かなり専門的に勉強していらっしゃる高木仁三郎さんが茨城公聴会にお見えになって論議があったのです。そのかなりドイツの学者と一緒に研究をされている中身を聞くと、論文を含めて御意見を聞くと、むしろ再処理の方が、全体としての、総体としての発熱量あるいは廃棄物の量、そういうものが多い、ワンススルーの方が少ない、こういう具体的な数字を挙げてのデータを聞きました。  これはこれからの論議の問題だと思いますが、一体政府の方ではこれについてどういう見解を持っていらっしゃるか、伺いたい。
  22. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 環境への負荷というのは考え方によって少し違うかもしれませんが、再処理をいたしますと発生します放射性廃棄物でございますが、それには高レベルの放射性廃棄物と中、低レベルの廃棄物というのがございます。例えば液体とか固化体、そういう総量を考えますと、使用済み燃料を直接処分する場合よりも再処理をした方が体積としてはふえます。  しかしながら、それは固化体とか、そのかさでございますが、放射能の量という点に着目いたしますと別でございまして、再処理することによりましてプルトニウムとウランが回収されます。したがいまして、そういうものは環境に捨てられない。その放射能の分だけ、それはまた再利用されるわけでございますから、少なくなるわけでございます。そういう意味で、使用済み燃料をそのまま廃棄物とする場合に比べまして、同じエネルギー発生量で比較した場合は、処分する放射能の総量は少なくなります。  しかももう一つ、特に高レベルにつきましては、ガラス固化という非常に安定な形態にしてから地層に処分しようということでございますし、さらに、プルトニウムを人間の管理下に置かずに処分する、そういうのはやはり地球に対する大きな負荷になると思いますし、あるいは社会的な問題も考えてみなければならないと考えている次第でございます。  そういうわけで、では再処理した場合ボリューム的にどれぐらいふえるのか。これは比較によっていろいろ違いますけれども、例えば商業用の再処理工場の設計値、そういうものをベースに考えますと、使用済み燃料そのままの集合体の容積を処分したものと比較いたしますと、PWRで六倍ぐらいの量の廃棄物になる、ボリューム的にはそうなります。ただし、放射能の量としては少なくなりますので、我々は環境に対する負荷は特に後者の方だろう、そういうことで言っている次第でございます。
  23. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは非常に大事な問題なので、いずれじっくりやる必要があると思いますが、高木さんは、崩壊熱は二、三倍の熱発生量が再処理の場合には出るし、それから全廃棄物の量は六倍ぐらいになる、再処理の方が余計出るというのですね。それから大量の放射能が環境に排出される。これは水や大気中に薄めて出すということでしょうが、そういう点を考えると、今まで我々が聞いておったところの、再処理すればすべていい、そういうものとかなり違った数字が出てきているので、これは、今の政府答弁もまた記録で拝見をして、ひとつ勉強していきたい、これから論議をしたい非常に大事な問題だろうと思っております。  そこで、原子力の新円卓会議という問題についてひとつ触れたいと思うのです。  この間も、水戸でも福井でも、原子力核燃サイクルや使用済み燃料をどうするか、それから最終廃棄物の処分等についてもっと広範な論議を起こせという声は随分あったと私も聞いておりましたし、中川元長官の時代に設置をされた原子力円卓会議、こういう中で、実はこれらの高速増殖炉開発の可否や核燃サイクル、再処理、使用済み燃料の処置、廃棄物の処分問題、今も繰り返しましたが、新円卓会議を設置をしてこの論議を国民的に広げていく、こういうことが確認をされたわけです。  ところが、実際は、去年一年は動燃事故が余りにも多過ぎました。私も地元で随分大変に思いましたが、「もんじゅ」から「ふげん」の重水漏れ、それから東海の再処理工場爆発、さらに低レベル廃棄物のずさん管理等々、一連のこれが続いて、我々もそっちの方に随分時間をとられましたが、この新円卓会議は事実上行われずに進んでおります。  私は、動燃の改革はもちろんやらなければいかぬのですが、必要ですが、その前にこういう国民的な論議をもう少し徹底して起こすということが非常に大事ではないかと思うのです。ここらを素通りをしてしまって動燃の改革に入っているところに、なかなか国民的な理解がされがたい点があろうと思います。これらの原子力の非常に基本的な問題について国民論議を起こすために新原子力円卓会議を設置する考えはないかどうか、これは長官にひとつ伺いたいと思います。
  24. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 原子力円卓会議につきましては、「もんじゅ」を契機に、先生御指摘のように開催されました。十一回開催されたわけでございますが、その成果としまして、例えば、高レベルにつきまして国民的な議論をするための懇談会や、高速増殖炉につきまして懇談会が開かれまして、いろいろな御意見をいただいた。あるいはまた、モデレーターから、国民の意思決定プロセスへの参加とか会議公開、そういうような提言をいただきまして、そういうものを反映いたしまして、原子力委員会とか専門部会を全面公開するとか、あるいは、何か専門部会等で決めるときには、その原案に対しまして国民から意見を聞く、そういうようなことをして国民意見の反映に努めてきているわけでございます。  先生の御指摘のように、原子力円卓会議というのは、それなりの成果があったのだろうと思っております。それで、そういうような成果のあった円卓会議に続きまして新円卓会議をやはり開くべきだ、そして、原子力のいろいろな政策問題を幅広く国民的論議をすべきだというお話でございますが、そういう問題につきまして、我々も、今の原子力をめぐる状況を踏まえながら、原子力委員会におきまして、これからどうやって進めていったらいいか、そういうことも具体的な検討を進めていきたいと考えている次第でございます。
  25. 辻一彦

    ○辻(一)委員 去年の二月の何日だったか、科学技術委員会で、政府委員として加藤原子力局長はこう答弁しておるのですよ。  私は、高速増殖炉の問題等は、せっかく高速増殖炉懇談会というのを設けたんだから、そこで論議をしなさい、それから特に、プルトニウムをどうするかとなれば、FBRやATRで行き詰まった量をみなプルサーマルで大量に燃やそうという計画なのですから、そのプルサーマルの計画も高速増殖炉懇談会で検討したらどうか、こういうことを提言したのですが、そのとき政府委員として原子力局長は、プルサーマルの計画、これはプルトニウムをどう使うかが一番大きな問題ですが、高速増殖炉懇談会では検討する考えはない、こういうことをあなたは言っていらっしゃるのです。それと、そういう問題を検討したいということとは非常に矛盾があると思うのですが、それはいかがなんですか。
  26. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 去年の御質問は、多分、プルサーマルが出てきたのは高速増殖炉の「もんじゅ」が行き詰まったからだ、そういうような御趣旨の御質問もあったと思いますが、当時既に高速増殖炉懇談会が開かれておりまして、高速増殖炉懇談会では、高速炉、特に「もんじゅ」の事故を起こしまして、これから将来の高速炉開発をどうするか、それを先ほどの円卓会議の提言で幅広くいろいろな人の意見を入れるようにということで、メンバーにつきましてもいろいろ工夫いたしまして、なるべく幅広い方、それから今まで高速増殖炉に関係ないような人たち、そういうような人たちになるべくたくさん入っていただきまして御議論いただいたということでございます。  したがいまして、プルサーマルの問題は、既に昨年の二月に閣議了解で、やっていくというのは政府の方針として決まっていたわけでございますので、それはそういうことで進めさせていただく、そういうことだったかと思っております。
  27. 辻一彦

    ○辻(一)委員 「もんじゅ」を高速増殖炉懇談会でやれ、これはちょっと私の今思い違いですから。それは高速増殖炉の懇談会で「もんじゅ」はその言ったとおりやったでしょう。  私があのときに言ったのは、要するに、新型転換炉を開発していくという、あれはもうだめだというので、「ふげん」は開発しておったものの、もう先は見込みが、コストが高いからというのでやめたわけですよね。大型をつくってどんどんやっていく手法をやめた。それから、高速増殖炉も、「もんじゅ」の事故を見れば、これは政府が言うように三十年とか五十年、時間がかかる。そうなるとプルトニウムを使いようがないから、余ったのでは困るというのでこのプルサーマルに使っていこうとする、そういう計画になる。だから、プルサーマル計画はFBRそれからプルトニウムと非常に関係が深いのだから、プルサーマルの問題は高速増殖炉懇談会でもっと論議をしろと言ったときに、いや、もうその必要はない、考えはないと。  それは、閣議と原子力委員会で了承を得ているということですが、私が言うのは、閣議や原子力委員会の了承というのはなるほど政府の方針で、それは決めようと思えば決められるわけですね。しかし、あれだけの大量のプルトニウムをプルサーマルで使うならもっと国民的な論議を起こしなさい、それなしにやれば、理解がされない中で、合意形成されない中でやれば無理がかかりますよということを言っておったのです。いかに閣議が決定し原子力委員会が了承しても、これは国民合意を得ている状況にはまだないと思うのです。  そういう意味で私は、かねての約束のとおり、新原子力円卓会議を開いてそれをやりなさいということですが、局長はそれをひとつ原子力委員会で検討したいということですが、もう一歩踏み込んで、長官としてその必要ありと思うかどうか、そこは一遍長官から伺いたい。
  28. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今辻先生御指摘のように、今までやりました原子力円卓会議というのは非常に大きな役割を果たしたと私は思っております。  それで今、原子力政策についていろいろ疑問も出たり不安感も出て、こういう中で我々は動燃改革をやらなければならぬと思っているわけでありますけれども、さらに国民合意なり理解を得るにはどうしたらいいか。そういう手法の中で新円卓会議をやっていくというのは非常に意味のある御提案だと私は思っておりますので、原子力委員会でどういうふうに持っていくかというようなあたりをきちっと検討すべきだと考えております。
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは前々からの約束でもありますから、ぜひ検討いただいて具体化を願いたいと思います。  それから、安全性監視の強化の問題ですが、地方公聴会で、動燃批判はいろいろとありましたが、もう一つ、監督官庁である科技庁の責任はどうなんだ、さらにはダブルチェックをする原子力安全委員会の責任はどうか、こういう率直な意見があったのですね。特にその中で、科学技術庁原子力安全委員会とは別に、原子力安全性を監視する別の機関を設置すべきとの発言があったということは、残念ながら、政府原子力安全行政に対する信頼がなかなかできない、不信のあらわれである、私はこういうように受けとめざるを得ないのです。  私は、今までしばしば、本会議でもそうでありますが、委員会で、原子力安全委員会をもっと強化しなくてはいけない、だから、八条の諮問委員会から、三条の行政委員会にこれを切りかえて強化をしろということを随分と強調してまいりましたが、今度、中央省庁の改革の中で、内閣府に原子力安全委員会を移すという構想が出ておるのですね。これは一つの大事な転機であるから、この際原子力安全委員会の機能をもっと強化するということを考えるべきではないか、私はこう思いますが、長官、いかがでしょうか。
  30. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 内閣府のもとに置いて、やはり安全性は大事だから機能強化をしていくというのが今度の省庁再編の法案の中にも盛り込まれておる考え方だろうと思っております。今までも、安全委員会は安全委員会として大変御努力をいただいているわけでありますけれども、私もここで何回か御答弁をしておりますが、さらに、安全を安心に結びつけていくため、安全というのを国民安心感に結びつけていくためにはどうしたらよいかというのは真剣に検討しなければならない、その中で一つのテーマである、こう思っております。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 都甲委員長も、この間の御発言で、また総理も述べていたわけですが、二百名の専門家を有効に、グループをつくって取り組んでいるので、今の中でも心配ないのだ、こういうような御趣旨の発言があったのです。二百名の皆さんがそれぞれの専門的な分野努力をいただいているということは、これは大変有効な、大事なことだと私は思いますね。しかし、忙しい皆さんだから、そういうグループになかなか御参加できぬ方もあるでしょうし、ましてそれを支えるスタッフが非常に弱体である。  これはアメリカの例を引き出すことはないのですが、彼らは、NRC、原子力規制委員会は、三千名前後のスタッフを持ってやっています。安全委員会を支えるスタッフは、考えてみると、原子力安全局の中に調査室があって、そしてそこの十八、九名がそのスタッフをやっている。二百人の専門の学者を本当に動かそうとしたら、強力なメンバーのスタッフが、数があって、それを支えるという体制がなければ、それは形をつくっても機能を十分発揮し得ないのではないか、こういうふうに私は思いますね。  でありますから、安全委員会がなかなか目配りができない。例えばフランスのナトリウム漏れを見ても、安全委員会は、その前後に、安全審査後、大量に漏えいしたナトリウムをどう措置するかという検討をしているのですね。しかしそれを見てみると、百五十トンからのナトリウムがどかっと落ちて、後、それを凍結するとか、削って、どうするかという問題がいろいろ検討されておるのですね。しかし、その前にナトリウム漏れによる火災が起こる。あるいは、少量や中量のナトリウムが漏れて火災を引き起こしたのがフランス等の例なのですが、それは現実に起こって、大規模な改造工事等を一年半もやっている。そういうものについて目配りがされていない。  私は、安全委員会の中に設けられたいわゆるワーキンググループがどんな審議をしたのかということも記録で調べてみましたが、動燃報告科学技術庁は追認をし、そしてその報告をまたワーキンググループも追認をしているということで、本当意味のチェックができていなかったのではないか、こう思います。これらのことについて、ちょっと安全委員長の方から、御本人から言えば、いや、十分やりますとおっしゃるでしょうが、やはりもっと拡充する必要がそういう意味であるのではないかと思いますが、率直なところをお伺いいたしたい。
  32. 都甲泰正

    ○都甲説明員 お答えいたします。  まず原子力安全委員会の機能についてお答えいたしまして、それから動燃事故の調査についての安全委員会立場についてお答え申し上げたいと思います。  まず、原子力安全委員会でございますが、今までも、独自の立場に立ちまして、行政庁の行いました安全審査のダブルチェックでございますとか、あるいは、その安全審査に用います指針類の整備等々、原子力の安全確保のために重要な事項につきまして、審議、検討をしてきたところでございます。特に、安全審査のダブルチェックというやり方でございますが、これは我が国独自のシステムでございまして、原子力の安全確保に重要な役割を果たしてきたと認識しておるところでございます。  それから、私ども原子力安全委員会の勧告に対しましては、内閣総理大臣もこれを尊重するということが定められておりまして、私ども原子力安全委員会は、通常の審議会等に比べまして、より強い権限を有しているものと認識いたしております。  それから、スタッフのことでございますが、確かに、私どもを直接支えていただいております原子力安全調査室のスタッフは二十名程度でございますが、そのほかにも、二百人を超える専門家の方にお願いして、審査会で専門的な審議をしていただいております。それとともに私どもが忘れてはなりませんのは、実は、その行政庁のスタッフ、これは科学技術庁並びに通産省でございますが、そのスタッフの方々にも、資料の調査ですとか提出等でかなりの援助をしていただいております。もちろん、意思決定過程に関しましては行政庁と私ども原子力安全委員会は完全に独立な立場をとっておりますので、それに関与してもらうことはございませんが、その意思決定過程の前段階の調査あるいは資料収集の段階では、かなりのサポートをしていただいておるところでございます。  また、事務局の機能強化につきましては、安全委員会担当の審議会の新設等々、私ども努力をしてきておるところでございます。  当委員会が、今度中央省庁の再編におきまして、内閣府のもとに置かれることになると思いますが、私ども原子力安全委員会の機能も一層の強化が図られるように努力してまいりたいと思っておるところでございます。  それから二番目の御質問の、動燃事故、「もんじゅ事故の調査審議のあり方。これは、動燃の調査結果を行政庁が追認をして、また私どものワーキンググループが行政庁の報告を追認したという印象をお持ちのように承りましたが、実は私ども事故調査のワーキンググループはかなり独自の立場で調査審議をしておりまして、報告書をお読みいただきますとおわかりいただけますが、幾つかの点につきましては今でも多少見解の違っているところも残っておると私は承知いたしておりますので、少なくとも独自の立場ということは、私、改めて強調してまいりたいと思っておるところでございます。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私の追認というのは、原子力安全委員会がナトリウム漏えい後の措置について出した指示に基づいて行われた動燃取り組み、それから行政庁の取り組み、それに対するワーキンググループの中身を見ると、私の入手した、ということは、行政庁の方から、安全委員会の方から、事務局から、資料はこれだけしかないと言って持ってきたのですが、それを見る限りでは、どうもさしたる中身が発見されない。  そういう意味で、本当のダブルチェックをやるには、それに必要な権限と機能とスタッフというものが要るのではないか。安全委員会が単に第二次審査で書類審査をしてやっていくのみならず、もっと目配りをしてやれるような拡充が必要ではなかろうか。そのためには、やはりスタッフが今の状況では足りない。だから、今度内閣府に移すときにスタッフを強化して安全委員会を支えるべきであろうと思うのですが、ここはやはり長官に伺わなければいかぬですが、いかがですか。
  34. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今、安全委員長からも御答弁いただいたとおり、今までも御努力をいただいてきたし、十分その機能を発揮していただいたとは思っております。  ただ、内閣府に位置づけようという過程の中でどういう機能強化が図れるかということは、我々も考えていかなければならないと思っております。
  35. 辻一彦

    ○辻(一)委員 スタッフ強化についてはどうお考えなんですか。
  36. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 そのあたりも機能強化をどう図れるかの中の一つの要素だろうと思います。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 行革は、不要なところをなるべく小さくしていくことも大事ですが、また必要なところには人を配置して強化をしなければ、削るだけが行革ではないと思うので、長官、これはひとつよく考えて、これから具体化されるわけですから、十分配慮を願いたいと思っております。  そこで、新法人の若干の問題点について伺いたいのです。  端的にですが、新法人の本社機能とは一体どういうことを意味しているのか。簡単に答えていただきたい。
  38. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 当然、本社には経営に必要な人、金、物を動かすような機能がございまして、総務的なものとか財務、契約的なものとか人事的なもの、そういうものが中枢だと思いますので、理事長の権限に属する、それをサポートするシステムが本社機能かと考えております。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この間の地方公聴会ではそれぞれ地方の声が出るのは私は当然だと思うのですが、それを若干紹介したいのです。  初めは、本社機能は東海とともに敦賀にも分散をして置くということが大分言われておったのですが、法文を見ると、そういうものは消えている。主たる事務所は東海。これはまあそうでしょうが、では従たる事務所というようなことが表現できるのか。  今まで敦賀にも本社機能の分散ということがうたわれておったにもかかわらず、現実にはもう消えている感じがするのですが、そこらはどう考えていらっしゃるか。
  40. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 敦賀にも本社機能の一部を持っていくことには変わってございません。  法律上は主たる事務所しか書けませんので、そういうことになっておりますが、敦賀には、今我々は本部と言っておりますけれども、副理事長が責任を持つような組織を置きまして、当然そこで安全管理を初めとします現地での管理が一元的に責任を持って処理できるような体制、そういうものを構築していきたい。現地の方でいろいろ判断できる、そういうような体制を持っていきたいと考えている次第でございます。
  41. 辻一彦

    ○辻(一)委員 理事長にはもう一点、一緒に御答弁いただきます。今の問題はちょっと待ってください。  もう一つは運営審議会委員の選び方ですが、この間、地方公聴会でも、基地、原子力施設が集中しているサイト、そういうことをブロックごとに少し考えて、そういう地域から代表委員を選ぶべきでないか、こういうような意見があったのですが、その見解も先ほどのとあわせてお伺いいたしたい。
  42. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えします。  具体的に申し上げますと、「もんじゅ」、「ふげん」、そういった運営は、今までは本社の動開本部というのがございまして、そこで管理しておりましたけれども、今回は敦賀の方に本部を置きまして、そこに副理事長が常駐します。それで、「ふげん」、「もんじゅ」、それから敦賀事務所、これを統括していくということになります。  もちろん、細かい話でございますが、契約の出し方、物品の購入等々、できるだけ大きな権限を向こうに譲っていく。それと同時にまた、現地に行きますので、事故等の対応は従来にも増して円滑にいくということを期待しております。  それから、最後におっしゃった運営審議会のメンバーの選定の問題でございますが、これは新しい理事長が決められるだろうと思いますので、ちょっとここで私、確定的なことは申し上げにくいのでございますが、この間公聴会で出てきたああいった意見は尊重すべきだと考えております。
  43. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう一つ、地方公聴会ですから、それぞれの地域の声が随分ありましたが、原子力施設を持っていると、いろいろな風評であるとか、実際は苦労が随分、今、集中しているところはあるわけですね。  前は、施設が来ると財政的にも助かるからという気持ちがかなりあったと思いますが、現在は、集中しているところでは、風評や、ほかのいろいろな苦労が随分大きい。だから、その苦労にかわるような、苦労を少しでも理解できるような地域の対策を考えてほしいということが率直に、水戸の方でも敦賀の方でも聞かれたと思います。  これはひとつそういう意味で十分政府の方も動燃の方もそれぞれ頭に置いておいていただきたいと思うのです。  一つだけ私は紹介しますが、敦賀公聴会で、地元敦賀の市長さんからの発言ですが、なかなか迫力のある発言をしていらっしゃったのです。  福井県のいわゆる若狭湾地方というのは、今原子力関係の発電所が十五あります。約千二百万キロワット。その電力はほとんどが関西へ送られて、関西経済圏の五割近くの電力を賄っている。そして大阪府と京都府の電力は全部あそこ、若狭湾の原子力発電で供給をしている。にもかかわらず、世界一の、集中的に言うと福島や新潟がありますが、一定の地域で言うと世界一の原子力発電の基地でありながら、そこを走っている汽車は、まだ油をたいてディーゼルが走っている。これはどうなんだということは、私も非常に痛く聞いたのです。  これだけ豊富な電力をよそへ送りながら、その地域内に電化もされてないというのも非常に問題があると思いますが、これについてちょっと感想を長官の方から伺いたい。
  44. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私の選挙区は辻先生の選挙区の隣でございまして、今おっしゃった小浜線も私の選挙区の舞鶴まで来ているわけでございます。私も、この小浜線だけではなく、舞鶴線を含めまして、何とか早く進めなければいけないという思いは辻先生と全く同じでございます。  ただ、これも民営になっておりますので、どこまでできるのかというのは実は悩みもいっぱいあって、余り辻先生と私の個別の選挙区みたいなお話をしてはいけないのですが、力を合わせてやっていかなければいけないなと思っております。
  45. 辻一彦

    ○辻(一)委員 長官の時代に、油でたいて走っているようなものは何とか変わるように、隣のよしみもありますが、ひとつお考えいただきたいと思います。  最後に、私は原子力防災の問題に触れたいのですが、これも水戸公聴会地元の東海の前村長さんから、また、敦賀では敦賀の市長さんから、それぞれ自治体の代表として発言がありまして、ぜひ原子力防災特別措置法を制定してほしい、こういう強い声があったのです。  ちょっと御紹介しますが、東海村に去年の三月に調査に私たちが参ったときに、この間お会いした村長さんにお目にかかったのです。そうしたら、初めは防災などそんなに考えないでいいと思っておったのだが、再処理工場の火災爆発のときに周辺の市町村長から、あなたのところくらいは様子はわかるだろう、どうしたらいいんだ、見えもしなければ何もわからぬで、どうするんだ、こういう電話がしょっちゅうかかってきた。だけれども、五感に感じない原子力災害は何ともしょうがない。台風ならば木が倒れて家が倒れるからどうするかはわかるし、大水なら水かさが上がるということでわかるけれども、五感に感じない原子力災害の場合には、これはどうしていいかわからない。そこで、どうしても、初めの対応がきちっとできるためには、防災の専門官を現地に配置をして初期対応をきちっとやってもらうということが非常に大事だ。こういうことを立法化の中に盛り込んでやってほしい、こういう声を随分強く聞きました。  これについて、私はそういう意味で、防災法を制定してそれらの地方公共団体の声にこたえる必要があると思いますが、長官、いかがでしょうか。
  46. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 原子力防災特別措置法については、今までも辻先生が熱心にお取り組みをいただいてきたところでございます。私も資料をいただいておりますが、それだけではなくて、今御指摘のように、地元自治体からも強い要望が今まであることも承知しております。  そこで、科学技術庁としては、原子力防災検討会、これは地元自治体の御参加も、あるいは学識経験者の御参加も得ているわけでありますが、これを開きまして、先月報告書取りまとめていただきました。その中でいろいろな問題点が指摘されておりまして、こういう防災対策、地方と国の権限分担といいますか役割分担をどうするかとか、いろいろな問題があるようでございます。  現在、まだ私どもの検討状況はそこまでなのですが、そういう問題点をやはり精力的に詰めていかなければいけない、こんなふうに思っております。
  47. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原子力発電が電力の三分の一を現実に生産しているというのは事実ですから、それらを踏まえれば、安全性を最優先させるということ、同時に、万が一に備えた防災体制を確立しておくということ、この二つは私は非常に大事だと思うのですね。  そこで、この防災は安心という面からもあると思うのですね。今、例えば福井県はかなり先進的な取り組みをしておりますが、今までは発電所の敷地周辺の放射能、大気中の放射能をモニターで県がつかんで、それを全部立地隣接の市町村に送って、いつでもわかるようにしている。  もう一つは、排水溝から水の中に出るところの放射能がどういう状況であるかということをいつもリアルで県の方が掌握して、今それを全部市町村の窓口まで知らせている。  そしてもう一つ、これは東海の再処理工場のあの事故の後に、煙突から放射能が漏れておったということが後になって気がついたという失態が事実ありました。そういう意味で、煙突、排気筒から出るところの放射能をリアルで測定をして、県がキャッチをして、これを立地の隣接の市町村に知らせれば、この三つの場所の状況がリアルタイムでわかれば、これはまともに動いているか異常であるかということはすぐにわかる。  そういう意味で、安心のためにも、正常な運転をしているのかそうでないのかということがわかるわけですから、そういうための放射能監視機構を、福井あたりはかなり先進的に今確立しようとしている。こういうものを私はやはり原子力施設の立地に全部やるべきだと思っていますが、これについて。  それからもう一つは、緊急の場合に、長官は御存じと思いますが、アメリカのSPEEDIのシステム。原子力災害が起きれば、大型コンピューターを動かして専門家が検討して、風がこういう向きでこれぐらい入ればこれぐらい拡散する、そういうことが計算できるわけです。それは県の窓口まで全部映像で送られているのですが、それを市町村の窓口まで送る。そうすれば、情報を共有して、より必要なときに、緊急な場合にも対応できる。こういう中身を今拡充するということが私は大変大事だ、こんなものが考えられる原子力防災法の中に組み込まれるべきであると思っておりますが、その拡充の必要性等をどうお考えになっておるかということ。  そして、ぜひこの原子力防災法については、場合によれば、政府が手をつけなければ議員立法をもって、広範な皆さんの御理解もとに、勉強してもきましたし、これから具体化する必要があるだろうと思っておりますが、この防災法について最後に伺って、終わりたいと思います。
  48. 池田要

    ○池田政府委員 先ほど先生から、原子力施設の排水ですとか排気のデータの提供についての御指摘がございました。  既に、排水についてはそういうデータを提供するように措置をしつつございますし、排気中の放射性物質のモニターのデータにつきましても、地元にしっかりと提供できるように私ども取り組んでおりますし、近々そういうことが実現できると思っております。  こうした情報につきましては、先生御指摘のように、ふだんから地域、施設周辺の方に安心していただく、それから、不測の事態のときに適切な措置ができるといった意味から、私ども大変重要なことと考えておりますし、こうしたことについて万全の措置を講じてまいりたいと考えております。  なお、こういったデータのさらに広範囲に対する提供のあり方につきましては、自治体それぞれの御要望もございますし、こういったものも踏まえながら、よりよい方法がないかといったことについても、私ども検討させていただきたいと思っておるところでございます。
  49. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 防災の特別措置法につきましては、先ほども御答弁いたしましたけれども、検討会で指摘された論点を積極的に詰めていきたいと思っております。
  50. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。ありがとうございました。
  51. 大野由利子

  52. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 平和・改革の斉藤鉄夫です。  前回に引き続きまして質問をさせていただきます。  まず最初に、前回の私の質問でちょっと明確でなかった部分について、もう一度お伺いをさせていただきます。  まず、新機構理事長の選任についてでございますが、前回大臣がこのように御答弁になられております。  今まではしの上げおろしまで科技庁がやってきた、そのことが、言うなれば、両者の、あるいは原子力委員会も含めて、権限と責任を明確にさせないところがやはり問題があった。この反省に立ちますと、科学技術庁に対してもあるいは原子力委員会に対しても、場合によっては通産省や電気事業者に対しても明確にやはり物を言える、そういう方を選んでいくということが私は一番根本ではないか、こう思っております。 このように御答弁になりました。  問題は、そういう人選をする仕組み、また、客観的に見てそういう人選がこれからも行われていくということを国民に対して明確にするということが大事なのではないかと思います。  もちろん心構えとしてはこうなのでしょうけれども、それが現実に行われるんだということを国民にはっきり示すことができる仕組み、これはどうなっておりますでしょうか。
  53. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 前回も申し上げたのですが、今この法案を国会で御審議をお願いしている最中でございますし、具体的に理事長をどう選ぶかというようなことはなかなか、今申し上げるべき段階ではないと思うのですが、一般論として申しますと、今斉藤先生が御指摘になったようなことを考えなければいけないのじゃないかと私は思っているわけでございます。  それで、担保をどうするかという御質問で、ちょっとどう答えようか困ったのですが、今度の機構法の十三条の第一項で、内閣総理大臣原子力委員会の同意を得て新しい理事長を任命するということになっておりますから、これは、最終的には内閣総理大臣が大所高所からこの新しい機構意味合いを考えて御判断をされる、これが担保ということになるのではないかと思っております。
  54. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 具体的に、その理事長が例えば科学技術庁出身者から選ばれるということはあり得るのでしょうか。いわゆる科技庁からの天下りがあるかということでございます。
  55. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 これも今御答弁申し上げたことの繰り返しになるのですが、この新しい機構の法律を御議論いただいている最中に、具体的にどういうところから選ぶというようなこともなかなか、今私が申し上げるべきではないと思うのです。  ただ、これも一般論として申し上げれば、どこから持ってこなきゃいかぬというようなことではなくて、幅広い中から適切な人材を選んでいただくということを今の段階では私は御答弁申し上げなければならぬと思っております。
  56. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今回の動燃改革の一つの柱が、監督官庁とその新しい機構との責任の明確化ということでございますので、その点については、先ほどの御答弁ですと内閣総理大臣の高い見識で担保されているということでございますけれども国民から後ろ指を指されることのない人事をしていただく必要があるのかな、このように思っております。  それでは、理事ですけれども理事理事長が任命ということになっているわけですけれども、この理事科学技術庁からの天下りがあるのかどうか、それについてお伺いします。
  57. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 現時点ということでよろしいでしょうか。  理事自身、現在では常勤の理事動燃事業団に十一名ございますが、そのうち、当庁を卒業して行かれた人が、理事で一名、監事が一名、十一分の二でございます。  新しい機構についてどうかということも御質問があるかもしれませんが、いずれにせよ、理事というのは、やはりそれだけの、経営の一角を担う人でございますから、当然理事長のリーダーシップのもとに、その仕事を責任を持って補佐し、分担していく、そういう見識のある、経験のある人が選ばれるわけでございます。  いずれにせよ、役員は理事長を補佐して、そして理事長もとで仕事はしていくわけでございますので、そこはそのように御判断いただきたいと思います。  なお、官庁からの出身者が多くならないか、こういう御指摘でございますけれども政府全体では、半数を超えないようにというのが基準になっておりますが、動燃事業団につきましては十一分の二で、一人は監事でございまして、そういう意味で、御指摘の点はないのではないかと考えている次第でございます。
  58. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 それでは次に、運営審議会のことについて、前回もお聞きしたのですが、ちょっとあいまいだったところを質問させていただきます。  この運営審議会の位置づけですけれども加藤局長の御答弁は、一文だけ取り上げるというのはちょっと不適切かもしれませんが、「ある意味では理事長の家庭教師的な位置づけでございますので」というふうにお答えになっております。基本的に理事長の裁量権をふやすということが今回の一つの目玉でございますが、そのための運営審議会なんだ、家庭教師なんだ、こういう御答弁だったかと思います。  しかし、この家庭教師が科学技術庁派遣の家庭教師にならない、そのためには国民の目から見てどのような仕組みが用意されているのかという点についてお伺いをいたします。
  59. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 前回、簡単な言葉で、そういう言葉を使いましたが、いずれにせよ、理事長の諮問に応じて審議をしたり、意見を述べるということでございまして、委員は当然理事長が選ばれるわけでございます。  したがいまして、担保と申されても難しいわけでございますが、理事長自身が、先ほど大臣が答弁いたしましたように、そういうことで選ばれるわけでございまして、その理事長がやはり裁量権を持って、きちっと責任を果たしていく。そういう際に、こういう人たちに運営審議会の委員になっていただきたい、そういうことで選ばれるわけでございますから、そういうことで御理解いただきたいと思っております。
  60. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 科学技術庁派遣の家庭教師であるかどうかを考える一つの思考実験として、先日の、その運営審議会の委員理事長が選任し、総理大臣が認可するということになっておりますけれども理事長が選任した委員を総理大臣が認可しなかった、こういうことも理論的には考えられるわけで、そういう場合はどうなるのでしょうか。
  61. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 その点につきましても、新しい機構がきちっとした任務を遂行できるように、裁量権を持って、責任を持って理事長が運営する、そういうために理事長を選ばれるわけでございますから、先生御指摘のようなことはまずないとは思っておりますが、いずれにせよ、制度的には内閣総理大臣が一応認可しなければその委員は任命されないということになるわけでございます。
  62. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 具体的には、理事長が選任をした審議会の委員を一応総理大臣が認可することにはなっているけれども、現実的にはそういうことはあり得ない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  63. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 あり得ないと申しますと、ちょっと制度的にあれでございますが、ないであろうというふうに考えている次第でございます。
  64. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 わかりました。これで時間を費やしてしまってもあれですので。  基本的には、理事長の裁量権が最大限になるような運営を科技庁としては監督官庁として見守っていく、こういう理解でよろしいのでしょうね。
  65. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今の点は、制度的な可能性を追求すればいろいろなことがあるのだろうと思うのです。  これは、私は、こんなことを言い出してとんでもない例を持ち出すとちょっと自分でもいかぬかなという気持ちもありながら申し上げるのですが、ちょうど指揮権発動みたいなもの。やはり最終的には検察も民主的コントロールということが必要でありますから、法務大臣の検事総長に対する指揮権ということが認められているわけでありますけれども、しかし、他方、民主的コントロールの名のもとに政治的介入がやたらにあっては困るということで、現実にはその行使は、一回例があったようでありますけれども、抑制されてきている。  ぎりぎり制度的に詰めれば、やはり民主的コントロールが必要であろうということでああいう制度がある。この場合も似たようなものではないか、こう思っております。
  66. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 非常によく理解できました。  それから、この運営審議会の委員について、これは新しい理事長がお決めになることですから、科技庁がどうこう言うことではないのですが、地方公聴会の中の一つの声に、地方の声を代弁する委員をぜひ入れてほしい、こういう声もございました。  新しい理事長の裁量権の範囲内ですから、新しい委員にどういうメンバーが入るべきか、入るのが望ましいのかというのをここで議論するのはちょっと矛盾したものを感じておりますが、そういう地元地方公聴会での意見についてはどのようにお考えでしょうか。
  67. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 辻先生の御議論にも、ちょうど公聴会の御意見を踏まえて、その辺はどう考えるかという御質問がございました。  今先生も意識して御発言ですが、私も今、余りあらかじめ新しい理事長の判断を制限するようなことは言ってはいけないと思いますが、実は、前回斉藤先生へ答弁をしましたときに、外部評価というようなことで、ちょっと私もあいまいなことを申し上げたこともありまして、あわせてお答えをしたいと思っておるのです。  運営審議会委員については、やはり一般論として、そういう公聴会意見も踏まえてできるだけ広くというふうにお答えをすべきだろうと思います。  それから、運営審議会のあり方に関しましては、実は前回、私は不勉強でございまして、あれから帰りまして吉川委員会報告書を読み返しますと、確かに外部評価という言葉が使ってございます。ただ、もう一回よく私なりに考えてみますと、さっき加藤局長が家庭教師と言いましたけれども、私は、タコつぼになってはいかぬという意味合いで、外部の風を入れる。評価というと、理事長のやり方がいいとか悪いとか決めつけるようなイメージがあるもので、この前ちょっとあいまいなことを申し上げたのですが、やはり今度の法案でも、外部評価を前面に出すよりは、やはりタコつぼにしてはいけない、外部の風を入れて判断の適正を期すという意味で運営審議会は設けられているというふうに思っております。  ただ、そういう外の風を入れ、タコつぼ化を防ぐことによって外部評価の機能も結果として果たすのかな、こんなふうにあの後考えましたので、きょう、今の機会に御答弁をさせていただきます。
  68. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 外部評価という言葉についての大臣の御理解、よくわかりました。  それでは、前回の質問で二十三条まで行きましたので、今回二十四条からスタートしたいと思います。  「業務の範囲」、これは第一条の目的とも関連をしているのですが、新しい業務、三つの柱がございます。これについてはいろいろこの委員会でも議論されてきましたので、私の質問はちょっと省略をいたしまして、いわゆる撤退する分野について質問をさせていただきます。  まず、レベル〇の、いわゆる基礎研究と言われるもの、これについては、廃止をするか基礎研究を担当する日本原子力研究所へ移管する、このようになっております。このレベル〇の基礎研究は、分野、人員、予算としてどのようなものがあるのか。また、そのうち、廃止をしたり原研へ移転したりするわけですけれども、その基準はどういうものなのか。また、移転はどのようにして行うのか。このことについて簡略に、わかりやすくお願いします。
  69. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 基礎研究ということで、目的が不明確な基礎研究についてはレベル〇ということで、今度機構では行わないということでございまして、十年度予算からそれを反映させております。  具体的には、新法人の作業部会でいろいろ検討されまして、これまで動燃が進めてきましたレーザー利用の技術、それから計算科学技術、それからビーム利用技術、こういうものはレベル〇ということで、九年度で中止いたしました。そして、それにつきましては、日本原子力研究所に移管したわけでございますが、九年度の予算で約一・七億円、専らそれに従事していた人員が三名でございまして、人員ともに原研に移して原研で研究を続けてもらう、そういうことにさせていただいたわけでございます。
  70. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 そうしますと、動燃全体から見ますと非常に少ないということで、これは、平成十一年度以降もこういう見直しはしていかれるのでしょうか。
  71. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 法律上、そういう目的の不明確な基礎研究はしないということでございますから、今回、十年度予算で一応整理いたしました。したがいまして、十一年度以降はそういうような研究を予算化しないといいますか、始めない、そういうことになるかと思います。
  72. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 開発をしていて、これはやはり基礎研究が必要だな、自分が原研に行ってそれをやりたい、こういう場合は許されるのでしょうか。
  73. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 開発のために必要な研究は機構の本来業務の中に入りますので、何かを開発するためにちょっとこの研究をしてみなければいけない、そういうものは入り得ると思っております。目的がはっきりしないようなもの、そういうものはもうやめましょう、そういうことでございます。
  74. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 わかりました。  次に、新型転換炉についてお伺いします。  まず最初に、大臣にお伺いしたいのですが、この新型転換炉、三年前に、正確には二年半前でしょうか、突然実証炉の建設中止ということが発表されて、我々も驚いたわけでございます。それに伴って、動燃での新型転換炉の開発研究の中止ということも決まりました。  これは、ある意味で、では日本の原子力の長期計画というのは一体何だったのかと、長計のいいかげんさということを非難する声もございますし、私も、その中止決定のすぐ前の長計でも堂々と新型転換炉の文章があるということ自体、おかしいなというふうに思いました。  国費を三千五百億円投入してきて、新型転換炉というのは日本の将来にとって必要なのだということを言い続けてきたのに、国会でほとんど議論もなしに今回突然中止になってしまった。そのことについての大臣の率直な御感想をお伺いいたします。
  75. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私は、あのころ科学技術庁におりませんで、当時の議論を詳細にわたるまで承知していないところがありますので、余り無責任なことを申し上げるわけにもいかないと思っておりますが、当時、科学技術庁の外におりまして、一国会議員として見ておりまして、若干、唐突と言うと言葉が過ぎるかもしれませんが、そういう感じを受けた記憶がございます。  それで、新型転換炉は、将来高速増殖炉が実用化されるまでの間、いろいろな国際情勢の変化にも対応できるように研究開発が進められてきたものであることはもう御承知のとおりでありますけれども、濃縮ウランが安定的に確保できる、また、プルトニウムの利用としてプルサーマル計画などがある程度進んできた、具体化してきたというような、状況が変化してきたことと、それからもう一つは、やはり建設費が大幅にかかるということで、実証炉の建設を中止したということだろうと思うわけであります。  それで、「ふげん」についても、こういう流れの中で、動燃改革の一環で撤退を決めたわけでありますけれども、こういう「ふげん」の研究内容成果が十分に生かせないで、経済性の観点から新型転換炉というものが中止のやむなきに至ったということは、私は大変遺憾なことだと思っております。  ただ、「ふげん」につきましては、今さら申し上げる必要もないとは思いますが、MOX燃料につきましては世界一の照射実績もつくった、六百七十六体と今までの世界でやってきたものの三分の一をこの「ふげん」でやってきた、それから、十八年間安全運転ということをやって自主技術の水準を一応証明できたということで、一定の役割は果たしたものかなというふうに思っております。  だから、今後は、きちっとこれまでの研究開発成果の取りまとめを行わなければなりませんし、それから、我が国初の比較的大型の軽水冷却炉として廃炉を行うことになるわけでありますから、その成果を商業炉の廃炉に生かしていくというようなことが大事かな、こう思っております。
  76. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 このATRの中止については、先ほど大臣がおっしゃった社会情勢の変化でありますとかコストの問題であるとかということは、ある意味ではかなり前から言われてきたことでございまして、そういう変化を、我々が国会の場でいろいろ議論をしながら決めていかなきゃいけなかったことだと思うのですけれども、まさに密室で突然決められてしまったということについては、今後そういうことがないように、これも原子力行政に対して国民が不信を持つ一つの原因になっておりますので、どうかその点よろしくお願いしたいと思います。  それから、この新型転換炉が中止になった。一般にはこれまで、軽水炉と高速増殖炉をつなぐ新型転換炉、こういう意識でございました。しかし、軽水炉でプルサーマルもやるし、もう新型転換炉は要らなくなったんだということになりますと、これまで蓄積してきた知見でありますとか経験というのは基本的にもうむだになったんだという認識が国民の間にはありますが、果たして、これまで蓄積してきたATRの知見、知識、経験というのは、将来人類に役立つ、そういう展望はあるのでしょうか。
  77. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 先ほど大臣が御答弁を申し上げましたことと重複するわけでございますけれども、この前の敦賀公聴会におきまして、小林陳述人から、新型転換炉は、あのときは二十年ぐらいとおっしゃっていたと思いますが、二十年ぐらい安全に運転してきた実績があると。たしか「常陽」も含めておっしゃいましたが、「常陽」「ふげん」で二十年ぐらい自主技術で安全に運転してきた実績、そういうものを地元でも高く買っていらっしゃる方もいると思います。  そういう意味で、我が国でもこういう難しい原子炉も自主技術で開発できる、そういう自信を与えたということは一つ大きなものがあるかと思いますし、たびたび申しておりますが、新型転換炉が建設されたのは昭和四十年代でございまして、ちょうど軽水炉の国産化に日本が努めていた時代でございます。新型転換炉の研究開発を通しまして、いろいろなコンポーネント、それから炉設計、いろいろなものを自分でできるようになりました。それが軽水炉にも非常に生かされているわけでございまして、過去においても、かなりそういう新型転換炉の開発成果というのはもう既に取り入れられていると考えている次第でございます。  将来のことにつきましては、これから運転成果の取りまとめというのがございますが、現実に、例えば海外でやはり圧力管型の原子炉を持っているロシアなんかにつきましては、圧力管の技術、特に圧力管の事前のチェックと申しますか、音響を利用して欠陥がないかどうか調べるような技術とか、そういうものを持っていきましていろいろな協力をしている。そういうことで、国際的にもいろいろな貢献をしていると考えておりますし、アジアから研修生が参りまして、「ふげん」でいろいろな研修をされております。そういうものも非常に貴重な経験となって、国際的な貢献になるかと考える次第でございます。
  78. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ちょっと説得力がないような気がします。三千五百億円の国費、そして多大な優秀な人材を投入してこれまで蓄積してきた技術をこういう形でこれから未来の人類に対して役立てていくんだということで、もう少し説得力のある計画を出していただきたいと思います。このことについては、また今後もこの委員会で質問させていただきます。「ふげん」はこれから五年間運転するということなんですけれども地元の対策もこれはあるかもしれませんけれども、技術的に見てもうやめるとなったものについては早くやめて、きちんと次の展望を図った方がいいのではないかとも思いますが、五年間これから運転を継続するということの意味は何なのでしょうか。
  79. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 敦賀公聴会でも、やめるなら直ちにやめた方がいいという御意見をおっしゃった方もございます。  しかしながら、我々といたしましては、研究成果取りまとめる期間としてある程度必要かと思いますし、残っている研究を終えたいというようなこともございます。それから、今御指摘のように、地元経済への影響という観点からも、雇用、それから運転をいたしますといろいろな消耗品、そういうものも現地で調達するわけでございますから、ある程度運転してほしいという要望も考慮すべきだろう。そういうことで、三年という意見もございましたけれども敦賀につきましては五年間運転をするということで地元と了解をしているところでございます。
  80. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 新型転換炉の研究が基本的には世界からなくなってしまうわけですけれども、この五年間を使って、確かに日本でこういう研究をして、こういう成果があって、人類に将来役に立つんだ、こういう知見を得たこと自体すごいことなんだという、知見を完結させるという観点で、ぜひこの五年間を有効に、ただ漫然と運転をするのではなく有効に使ってもらいたい、こういうふうに要望します。三千五百億円がむだにならないように。  特に、重水炉という日本では珍しい重水を使った炉でございますので、トリチウムに関する知見等についてはかなり蓄積されているわけでございます。トリチウムといいますと核融合研究にも役立ってくるわけでございまして、そういう意味で将来につながる形での五年間の運転ということに努めていただきたいと思います。  それから、次にウラン探鉱についてお伺いします。  私は、倉吉、人形峠の鳥取側のふもとですけれども、倉吉を歩いているときに、海外ウラン探鉱にずっと携わってきてもう動燃を退職された方のところへ偶然お伺いしました。その方が、家の後ろにプレハブをつくりまして、自分が世界を、特に多くはアフリカでしたけれども、アフリカを歩いて集めてきたものをそこに全部陳列をして、地域の子供たちに開放していろいろ教えている。ウラン探鉱でこんな経験をしたということを地域の子供を集めてやっているという、大変感動的な方のお宅へお伺いしたことがございます。  このウラン探鉱、かなり技術が蓄積されているといいます。これがこのまま朽ち果ててしまっては大変いけないわけで、この技術をどう保存し伝承していくのか。また、ウラン探鉱の権利もまだ海外に残されていると思うのです。その権利はどうなるのかについてお伺いします。
  81. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 海外ウラン探鉱から動燃事業団は新法人への改組に際して撤退するということになってはおりますが、その技術の伝承をどうするかという問題でございます。それから、現在まだ働いている人もおりますので、そういうことをどうするかということでございます。  今、民間では電気事業者が長期購入契約によりましてウランの必要量を確保しておりますし、天然ウランの市場も非常に緩んでおりまして、当分は安定の状態であると推定されている。そういうことで、今日本の国内で探鉱活動を引き継ぐというのはなかなか直ちにはないわけでございますが、いずれにしても民間活動にゆだねなければいけないわけでございます。  原子力委員会でも、その点、民間事業者、鉱山会社、それからウランを購入されます電気事業者等からお話を聞きまして、どうすべきかと御検討されましたが、基本的には、これから関係者動燃、電力それから鉱山会社等を含めまして、そういう問題をこれから早急に検討しようということで、必ずしもはっきりとした明確なものがまだできているわけではございません。  なお、海外に持っております利権をどうするかということでございますが、これは撤退をするわけでございますので、できればそういうものを売却するとか何かしたいと考えておりますが、海外ウランの権利を保持するのに実はお金が結構かかるのです。したがいまして、持っているだけでお金がかかりますから、そのコストとの見合いを考えますと、いつまでも持っていると逆に税金のむだ遣いになってしまう。そういうことがございますので、適当なところで放棄をするなり売却をするなり、そういうことをしなければいけないかと考えている次第でございます。
  82. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 放棄をすべきなのか、それともずっと持ち続けた方が、非常に長期的に見たエネルギーの安全保障につながるのか、私にはここでは判断できかねますけれども、この点について慎重な議論をしていかなくてはいけないのではないかな、このように思っております。  次に、ウラン濃縮ですけれども、ウラン濃縮は動燃の一つの技術開発の大きな柱であり、成果であるわけです。これは民間へ移転するということですけれども、この民間への移転のスケジュール、また、技術は人についていくという属人的な性格もございますが、そういう技術を蓄積した技術者の処遇についてどのようにお考えになっているのか、お伺いします。
  83. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 ウラン濃縮技術の開発につきましては既にかなり以前から電力と共同して研究を進めておりまして、これまでの間、かなりそういう技術移転も進んでいるところでございます。特に、人形峠の原型プラントと同じものを六ケ所村の濃縮プラントに使うということで動燃の技術が十分生かされているわけでございますが、難点としましてやはりコストが高い。これも昔の円・ドルの相場からいえば問題がないかもしれませんが、現時点におきましてはコストが高いわけでございますから、そういうものを下げる努力ということをしなければいけない。それはやはり民間の方が得意なところがございますので、民間を中心にそういうことをしていこうということでございます。  当然、それに当たりましては動燃事業団から技術も人も移転するわけでございますが、ただし人材につきましては、濃縮を引き続きやりたいという人とか、あるいは逆に、動燃といいますか機構にとどまっていたいという人もございます。そうした人もございますが、基本的には濃縮技術がきちっと民間に移転するように、そこは話し合いを十分していきたいと考えている次第でございます。
  84. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 よく、動燃で開発した濃縮技術というのは余りコスト意識がなくて高いものになってしまった、結局日本原燃が新しく使う技術は外国で開発された技術の方が安い、だからそちらを使った方がいいのではないか、こういうふうなことも言われておりますけれども、この動燃で開発した技術が、むだにならないで、必ず日本の新しい核燃サイクルの中で使われていく、こういうふうに考えていてよろしいのでしょうか。
  85. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 今の時点におきましても海外から濃縮技術を入れるというのはなかなか難しいのではないかと思っております。日本の民間企業も、動燃の技術をベースにいかにコストを安くするか、そういうことで今一生懸命努力をするということで、来年からまた体制も少し考えるように聞いておりますが、そういうことでございますので、動燃の技術というのは生かされていくだろう。ただし、それはコストがやはり安くならないと、既にある計画を量的に拡大するとかいうことはなかなか難しいかもしれません。  いずれにせよ、技術的には十分生かされていると考えている次第でございます。
  86. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 わかりました。  それでは、次に、情報公開について質問をさせていただきます。  吉川委員会のレポート、「動燃改革基本的方向」の中にも、この情報公開が新しい機構にとって大変重要である、キーポイントであるというふうに各所で繰り返し書かれております。その報告書を受けて、新しい法律には、第二十六条「適切な情報公開により業務の運営における透明性を確保する」、このように法文にもうたわれているわけでございます。「適切な情報公開」とありますけれども、これを具体的にどのように実現をされようとしているのか、お伺いします。
  87. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 既に動燃事業団では情報公開指針というのをつくって現実に運営しております。その指針の中では、情報公開は、一部を除きまして原則として公開だということでございますが、その公開の対象といたしまして、例えば経営情報というのにつきましても、政府情報公開法でやはりこういうものは対象にすべきではないという、同種のものにつきましては出されませんが、そういうものにつきましても対象となっておりまして、必ずしも研究開発の成果だけではございません。  それから、開示請求の手続も決められておりまして、公開請求に係る資料を特定するために、まず書面で提出をお願いするわけでございますが、その公開の決定等を、または非公開の場合は理由をきちっと述べるわけでございますが、請求者に書面で通知をする。それも公開請求があった後三十日以内にそういうことを決める、そういう手続も決めているわけでございますし、そういう公開非公開の判断も、先ほど理事長が申しましたように、情報公開委員会というのをつくりまして、第三者にも入っていただきながら、そこの是非を判断していただいている。  過去、この指針運用いたしましたのが去年の七月からでございますが、この四月一日までに、そういう情報公開の請求が百七十四件ございまして、公開の決定が百六十五件、そのうち先方が、これはもうやめたという取り下げが四件ございまして、検討中というのが五件ということでございますので、大部分が公開されている。そういう実績で御理解いただきたいと考えている次第でございます。  そのほか、情報公開には日ごろの広報活動も重要でございますので、広報体制を強化する、きちっと専門的な人材も育成する、そういうことをいたしますし、それから内容がわかりやすくなるようにビジュアル化したりとか、そういうことにも努力したいと考えております。当然、最近のメディアでありますインターネットも使うとか、その辺、幅広い広報活動、情報公開をしたいと考えている次第でございます。
  88. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ガイドライン、情報公開指針努力をしているというお答えでございまして、今また局長のお話を聞いていますと、こんなに頑張っているのだから、もう問題はないのだということで、私も素直なものですから、それを聞いていると、ああそうかなと思うのですが、今情報公開議論をされているポイントは、情報を持っている側が判断をして、このものについては出しましょう、このものについては出しませんと、ある意味で持っている側の判断で、もっと極端な言い方をすれば、持っている方のお情けで情報を出してもらう、そういうことではいけない。  きちんと法律で義務化をして、もちろんすべて公表すればいいというものではありませんから、出さないものについてはきちんとした理由を、大多数の人が納得するだけの理由があればそれは出さなくてもいいわけですけれども、そういうこともきちんと法的に整備をして、また罰則規定も設けてやらない限り、本当意味情報公開というのはできないというのが今の情報公開論議のベースになっております。  今国会で、内閣提案の情報公開法、もしくは野党三党で情報公開法を提案する予定でございますけれども基本的には閣法も衆法も、先ほど私が申し上げましたような考え方であるわけでございます。  そういう意味で、このガイドラインだけでは足らないのではないか。確かに姿勢はわかるのですけれども基本的な仕組みが、国民が納得し安心をする情報公開の制度になっていない、こういう批判があるわけです。この批判に対しては、これはぜひ大臣にお答えいただきたいのですけれども、閣法、衆法で議論されている並みの法律に定めた情報公開動燃に、というのは、情報公開ということが今回の議論の一つの大きなテーマになりましたので、動燃に限ってはそうすべきではないかという議論がありますが、この点についてはいかがでしょうか。
  89. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今、斉藤先生が御指摘になりましたように、情報公開基本的考え方は、情報を持っている者がお情けによって教えてやるぞというようなたぐいのものではなくて、主権者たる国民公開するのが原則である。もちろん、斉藤先生もおっしゃったように、それは全部公開できるというわけでは必ずしもないが、原則はそうなんだということをきちっと定める必要がある。今政府がお出しをして、御審議をお願いしている法案もこういう考え方ででき上がっているというふうに私も理解をしております。  それで、動燃それから新しい機構もいわゆる特殊法人ということになると思うのですが、それにつきましては、今お出しをしている政府提案の情報公開法案四十一条に「その性格及び業務内容に応じ、」「情報公開に関する法制上の措置その他の必要な措置を講ずる」という規定がございます。それから、この法案を閣議決定いたしましたときも、主務大臣である総務庁長官から、今後特殊法人についても検討を進めるという発言が閣議の中でございまして、私ども基本的にその方針のもとで動いているわけでございます。したがいまして、今後、特殊法人については立法化を前提とした検討がきちっと行われるものというふうに考えております。  他方、動燃につきましては、今局長も申し上げましたように、去年七月に指針というものを定めてやってございますし、それから今度の法律の二十六条でも適切な情報公開を義務づけている。  ですから、当面、現段階で必要な手当てはできているのではないか。今後、そういう政府全体の検討の中で特殊法人に対する法規制ができるときには、これは当然動燃といいますか新法人にも適用されるものになっていく。だからその検討を私どもは、待ちたいと言うと他律的に待っているようでございますから、進めていかなければならない、こう思っております。
  90. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 我々は、法的整備がされるまで動燃もしくは新機構だけに限っても情報公開について一歩進んだ措置をすべきである、それが原子力行政信頼回復の第一歩だ、このように考えまして、後ほどこの情報公開の部分につきましては平和・改革として修正案を出させていただきます。ぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから、最後になりますが、人形峠のことについてちょっとお伺いをさせていただきます。  今回、茨城福井地方公聴会がございました。もう一つ、今回の動燃改革で非常に大きく揺れている地域がございまして、これが人形峠でございます。我が会派としても視察団を組んで人形峠に行ってまいりました。地元の上齋原村の松本村長ともいろいろゆっくりお話をしてまいりました。  私たちは、先ほど申し上げましたように、ウラン濃縮また回収ウランの転換、これらの技術について民間に移転する、基本的に新機構から撤退するということについては、賛成でございます。しかし、これまでこの研究を支えてきた地元地元といいましても上齋原村は人口千人という地域でございまして、人形峠事業所と共存共栄をしてきたというのが現状でございまして、この事業所がなくなるということに対して非常に大きな不安を持っていらっしゃいます。  よく村長さんはおっしゃっていました。ウラン濃縮技術が国際競争力を持つためには、やっている事業所の土地の値段が高くてはいけないだろう、国際競争力を持たせるためにも、村が動燃に貸している土地の使用料はぎりぎり最低限まで抑えてきたのだ、こういう形で協力をしてきたともおっしゃっておりました。これまでの研究を地域コミュニティーとして支えてきたそういうところへの配慮も必要ではないか、このように思います。例えば、東海に並ぶ原子力発祥の地として、科学教育上の施設をこの人形峠に誘致できないかというようなアイデアも村長さんはおっしゃっておりました。  人形峠事業所の周りのコミュニティーに対して何らかの配慮が必要かと私は思いますけれども、この点について質問いたします。
  91. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今おっしゃいましたように、上齋原村にとって、今まで人形峠の動燃の施設が地域社会に占めてきた役割というのは大きなものがあったと思います。また、それと同時に、あそこで研究開発を進めてこられたことの背後には、上齋原村を初めとする地域の御協力があって初めて今日までやってこられたということを我々は決して忘れているわけではございません。それだけに、こういうことになりますと地域社会に対する影響も大きなものがある。  そこで、上齋原村と岡山県、それから動燃科学技術庁の四者で検討の枠組みをつくりまして、上齋原村の意向を伺いながら協議を進めております。まだ今後の振興計画が具体的につくり上げられているわけではないのですが、先月、三月二十四日に動燃が上齋原村で地域振興に関する講演会を開きまして、村の振興に係る検討を進める努力を行っているところでございまして、我々もこれをきちっとバックアップしていかなければならないと思っております。  最後に、斉藤委員は、この法案につきまして逐条ごとに御質問をしてくださいました。私自身、法案の逐条審議、後から議事録を見たときにその法案のコンメンタールができているような質問を一度やってみたいものだなと思っておりましたけれども、今回斉藤委員がそういう御努力をしていただいたことに心から敬意を表したいと思っております。
  92. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今回でこの法案の審議は終わるわけですけれども、先ほども申し上げましたように、原子力、エネルギー政策については引き続きこの科学技術委員会を舞台に議論を進めていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  質問を終わります。
  93. 大野由利子

    大野委員長 吉田治さん。
  94. 吉田治

    吉田(治)委員 地方公聴会、東海村・水戸、それから敦賀と、両方行かせていただいて、原子力の問題、特に動燃取り巻く環境というふうなものについて、地域の特性というのですか、茨城県というものと福井県というものの事情も違いますし、また、大臣はもう隣の本当に地続きのところの選挙区の御出身ですからよくおわかりのとおり、福井県の中における嶺南、嶺北というふうなものの違い、そういうふうなものというのが、非常に動燃取り巻く環境、また原子力に対する対応というのが違うんだなというのが、この地方公聴会、二カ所でありましたけれども行かせていただいて、非常によく理解ができた。  この辺の地域の特性というのですか、これはもう重々、この何十年間、大臣を初め科技庁の皆さん、また動燃皆さん原子力委員会皆さん、それぞれおつき合いをなさって、またいい意味での比較検討と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、違うんだなというふうなことを感じられていると思うのです。  まず大臣、この辺の地域間の特性というふうなもの、その辺を、この動燃改革法案、また原子力行政を進めるに当たってどう踏まえているのかというようなことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  95. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今吉田委員が、両方ごらんになって、やはり地域の差というものがあるなとお感じになった。私も実は、科学技術庁に参りまして、そういうようなことを感じております。  茨城県と福井県は、どちらも国の原子力政策上極めて重要な位置づけを持った施設が立地しているわけでありまして、どちらの施設もこれまで両方の地元方々の御理解と御協力があって今日まで来られたわけであります。  茨城県は、これは今さらでございますが、東海村において我が国最初の原子の火がともった、たしか昭和三十二年だったと思いますが、原子力パイオニアの地域とも言えるところでございまして、いわゆる原研、日本原子力研究所、それから動燃を初めとして原子力関係の施設や事業者がたくさん立地しております。また、福井県は、日本原子力発電が我が国で最初に軽水炉の営業運転を開始したところでございます上に、動燃の「ふげん」や「もんじゅ」も含めまして十五基という、我が国で最も多くの原子力発電所が立地しております。それで、両県におきまして原子力は、地域経済あるいは雇用という観点から見ても地域にしっかりと根づいておりまして、厳しい御意見も含めまして、原子力について県民の関心が深い地域だと思っております。  こういうふうに、両県に原子力行政に対して大変御理解と御協力をいただいてきたわけですが、「もんじゅ」とかアスファルト固化処理施設の事故で両県の御当局並びに住民に大変御心配をかけたことは、私たちとしてまことに遺憾なことだと思っているわけであります。  私どもとしては、今回の改革を通じて信頼の回復に努めなきゃならないわけでありますが、今吉田委員の御指摘になった両方の違いには、もちろん、それぞれの地域の違い、県民性の違いというものもあるんだろうと思いますが、それと同時に、やはり動燃ないし原子力関係者がどういう形で接してきたかという、いろいろな長い間の積み重ねがそれぞれの違いを生んでいるんだろうと思います。ですから、私どもが、これらの地域にもう一度原子力政策への信頼を取り戻すためには、やはり地域方々と、そこに入り込んでいっての対話、県民性の理解、我々の方も御理解をいただく努力というものを積み重ねていかなければならないんだろうと思います。今度の改革の一つの柱も、地域重視といいますか、地域密着ということを言っておりますのもそういうことに基づくものだろう、こう思っております。
  96. 吉田治

    吉田(治)委員 東海村の前の村長さんは、原子力というのはまさに地場産業だというお言葉を言われてました。しかし一方、福井県というのですか、敦賀の市長さんから、残念ながらそういうお声は出ずに、やはり福井というのは繊維が地場産業だというとらえ方をなさっている。その辺の対応の違い。  今度の「もんじゅ」の一件に関しては、福井県で、俗に言う嶺南、嶺北というのですか、この地域の違い。特に、敦賀市が位置する嶺南地域と県庁が位置する嶺北の、この歴史的な長い間にわたるいい意味でのライバル意識というのですか、悪く言えばお互いの足の引っ張り合いというふうな部分もあっての県、市の対応の違いというふうなことがあるんではないかなと私は思うのです。  また、もう一つ言うなら、きょうは動燃さんにおいでいただいているのですけれども、さきの動燃のさまざまな事故のとき、茨城においては、もう一万戸を訪問して説明に歩いた。敦賀意見陳述人の高橋さんの話では、いや、もう動燃というのは遠い組織であって、事故が起こって初めて動燃の人たちとつき合うようになったというふうな意見があったり、やはりその辺の取り組み、地域間での、県内での意識の違いと、それに対応する広報体制というのですか、その辺が余り得意ではなかったのかなという感じがするのです。動燃のお立場として、これは理事長でも、また現場の所長さんでも結構でございます。その辺をどういうふうにとらえられているのか、ちょっとお答えをいただきたいなと思っております。
  97. 菊池三郎

    菊池参考人 私自身、事故が起きてから赴任したわけでございますけれども、勤務の経験としては茨城の方もしたことがございます。  やはり、これは青森県を含めて、それぞれの地方にそれぞれの歴史的な、地政学的な問題とか、いろいろあると思います。それを踏まえて我々としては対応してまいっておるわけでございますけれども敦賀地区においては、動燃が歴史的に比較的浅いということもございましたし、絶対的な人数も足りなかった。特に、広報関係において、やはり発電所を中心にした陣容であったということもありまして、そういった地域対応といいますか、広報対応というものは、同じようにございます関西電力さんや日本原子力発電さんに比べれば相当劣っておったというふうに思っています。  その後、相当力を入れまして、電力各社さんからの応援もいただきまして、現在ではかなり評価されつつあるんではないかというふうに自負しております。
  98. 吉田治

    吉田(治)委員 菊池参考人、もう一点お聞きしたいのは、お答えいただいていたかもしれませんけれども、やはり福井県と敦賀市のこの問題に対する対応の違い。先ほど申しました嶺南、嶺北という地域の違いも含めて、どう現場でお感じになられているかちょっと一点お聞かせいただきたいと思います。
  99. 菊池三郎

    菊池参考人 お答えいたします。  福井県は、人口約八十万で、先生がおっしゃいますいわゆる嶺南地方が約十六万、嶺北地方が六十四万、人口比としてはこんな感じになると思います。  距離的にも地理的にも非常に遠い関係にございますけれども、我々としては、やはりどうしても人数比によっていろいろな、議員の先生方とかそういうことも違いますので、福井市内の方にも事務所を持ちまして何とかその弱点をカバーするように精力的に対応させていただいております。
  100. 吉田治

    吉田(治)委員 その中で、県の大きさ、その依存度というんですか。おもしろいなと思うのは、今菊池参考人が申されたように、福井県は人口八十万。小選挙区の数でも三つですか。これが一番、人口割になっているそうですから。茨城県はもうちょっと多いはずですよね。中選挙区でも三区あったところですから。その大きな県の方が地場産業と言い、小さな県の方は余りそういうふうなことを意識しない。  一つ、事務方に教えていただきたいのですけれども、それぞれの県の財政の中にどれだけ、電源三法ですとか、これはその立地している市を含めて、財政的な支援というのがなされているのか。これは、今お答えできなければ後日でも結構でございます、お答えをいただきたい。  やはり、県の運営の中に占めるそういうふうなものというのは、数字は後でいただくとしても、茨城県よりも福井県の方が多いんじゃないかな。そうなると余計に、依存度ですとか、また、それに対する対応というのはかえって寛容ではなく厳しくなるのかなという感じを非常に今回受けました。  その中で、高橋意見陳述人が非常にいい話をされておりました。地元で会社をお父さんと一緒にされていて、スーパーもやられている、まさに一般消費者に一番近いところで接しられている彼の意見というのは、若いということもあるのでしょうけれども、財政的な支援、お金の部分というのは、それはそれでしてもらえればありがたいけれども、特にそのことではなく、今後、やはり自分たちの住む地域、よく地域振興というのはすぐお金の話になりますけれども、財政以外の部分でさまざま振興策をしてほしいというふうなことをるる述べられておりました。  このことについて、先ほど大臣も申されました、日本の原発銀座とも言われているあの地域の特殊性を考えたときに、札びらでほっぺたを張り倒すという言い方はよくないかもしれませんけれどもお金で納得させるのではなく、別の意味で、若い人がまた次この町に住み続けて、子供もそこに住み続けさせられるような地域振興策というのを考えていく必要があると思うのです。具体的に、お金でないそういう振興策というのを今どういうふうに科技庁並びに動燃さんを含めてお考えになられているのでしょうか。
  101. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 私も公聴会を傍聴させていただきまして、そういう自立した地域振興策を考えよう、そういうようなお考えは非常に感銘を受けました。  それで、今我々は電源三法等に基づきます交付金ということで地域振興策をやっておりますが、それ以外にも、例えばこの前の人形峠、上齋原村でございますが、そういうところも、科学技術庁がやろうとしているところだけではなかなか十分でないものですから、地域おこしとかそういうことの専門の先生方にそこに行っていただきまして、いろいろな各地の地域おこしの経験を御披露いただく。そういう話をしていただきますと、その村の方々も、ああそうか、そういうことがあるのか、自分たちも考えていくと何かあるかもしれない、そういうような示唆を与えていただいた。そういうようなことからやはり自立的な地域振興を考えていただく、そういうものに対応して我々は何ができるかというのを考えていく。そういうような方向というのは非常にすばらしいことだと思いますし、そういうことも胸にとめていきたいと思います。
  102. 吉田治

    吉田(治)委員 局長、最後がむにゃむにゃむにゃとなってしまいましたけれども、はっきり答えていただきたい。  やはり戦後五十年たち、補助金行政とよく言われたように、お金で建物をいっぱいこさえても決して地域振興にならなかったというのは私は一つの総括じゃないかなと。  これから中央省庁の改編等、来週から行革法の方も審議が始まると聞いておりますけれども、まさに地域振興というのを、特に原発のあるところは通産省が入り、自治省が入り、科技庁が入りといろいろこうなって、民間の意見陳述人じゃなくて、市長さん、河瀬さんとかそういう方々も、やはり一元化というのですか、どこかで一本にまとめてほしいよというふうなことも言われていました。  まず一元化の話と、局長もう一つ、今ちらっと言われたけれども、ある意味でソフトということだと思うのですね。地域をどうするかというのは箱物ではなく、どうしたらいいのか。これは単にツールだとか手段ではなく、方法だけじゃなくて、人材育成も含めてそういうことをということなんですけれども、この辺についてもう一歩踏み込んだお答えを賜れないでしょうか。
  103. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今吉田先生から一元化というお話がございまして、我々、今は私も行政庁の中におりますが、外におりますと、やはり一つのことを実現するにもなかなか役所間の違いを乗り越えていくのは難しいという経験を今まで何度もしてきております。  ただ、地域振興の場合の御要望が多岐にわたりますと、一元化と言うのは簡単なんですが、具体的にどうしていくかといいますとこれもなかなか簡単な話ではございません。そこで結局、何かわけのわからぬ答弁だと吉田先生にはしかられるかもしれないのですけれども政府としては、電源開発調整審議会の電源立地部会で関係省庁ができるだけ一体になって振興計画を審議している、こうお答えすることになるのだろうと思います。それで、こういう審議を踏まえて、電源三法の制度を中心にして地域振興策にできるだけ一体性を保って取り組むということかなと。  科学技術庁としては、いろいろな御要望があるわけですけれども、いろいろな振興策の中でやはり我々これからもっと考えていかなきゃならないのは、研究開発拠点の整備というような、我が役所の特色が発揮できる面で、しかも地元のイメージや地元の力も上げていけるような、そういう側面にもう少し力を入れていくべきではないかな、こういうふうに思っております。  一体化については、いろいろな要望があればいろいろな役所が絡んでくるわけでありますけれども、できるだけ政府の関係省庁の連携を図りながら進めなきゃならないと思っております。
  104. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 先生御指摘のソフト面でございますが、今、電源特会の交付金の制度の中に電源地域産業育成支援補助金というのがございまして、これは四分の三の補助でございますが、地方の方で自主的にいろいろな事業をされたいということに対する補助でございます。例えばその地域での産業育成のためのビジョンづくりをするとか、先ほどの、地域開発の専門家を招請して話を聞くとか、マーケティングをどうしたらいいかとか、そういうようなプランニングをしたり検討するようなことを補助するような事業もございまして、そういうものを使っていただきながらソフトの方も充実させていきたいと考えております。
  105. 吉田治

    吉田(治)委員 特に大臣の選挙区というのは京都でも奥の方で、この問題については親子二代で大変御苦労されていますでしょうし、特に先生は、生まれはわかりませんけれども、日比谷高校から東京でずっと出られているということで、選挙になって戻られたとき、えっ、こんなところが日本にあったのというふうな感覚も受けられたかもしれませんけれども、だからこそ、かえってそういう部分というのは私は大切にしていただきたいなと思っております。  先ほど大臣の答弁の中で、研究開発拠点、我が省庁のというお言葉がございましたけれども、そういう中において科学技術庁動燃というふうなものの人材交流というのですか、具体的にはどれぐらいの人数で、どれぐらいの期間、どういう職種、どういう仕事内容でお互い交流というものがなされているのか、その辺をまずお聞かせいただきたいなと思っております。
  106. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 動燃事業団と科技庁との交流でございますが、現在、科技庁から動燃事業団には十三名出向しております。なお、十三名でございますが、そのうち四名は、去年の秋にウラン管理がずさんであったこととか予算の執行状況が非常にまずかったということがございまして、急遽四人ちょっと応援ということで出させていただいております。  その人たちが現在どういうところにいるかと申しますと、技術協力とか国際問題、財務、核物質管理、それから企画とか、かなり幅広く、本社の企画部門とか核燃料サイクル関係の管理部門、そういうところに配置されております。ポスト的に申すと、部長代理というのが一番上で、あとは次長とか担当役とか、そういうようなことでございます。  それから、動燃事業団から科技庁に出向いただいているのは十二名でございまして、その方々原子力安全局の関係が多うございますが、それ以外に、海洋地球関係とか、それから政策局で科学政策を担当するところ、そういうようなところに来ていらっしゃいます。
  107. 吉田治

    吉田(治)委員 動燃さんにお聞かせいただきたいのですけれども、この十二人の方というのは、動燃において優秀な方なんですか、そうでない方なんですか。
  108. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  非常に難しい御質問でございますが、一言ではなかなか言いあらわせません。  結果的には、来ておられる皆さんは非常に動燃の仕事の中に完全に入り込んでいただいて、いろいろな面で御活躍いただいております。そういう意味では、私ども学ぶことが大変多うございまして、先生の整理される優秀なという意味は非常に幅が広い意味かとは思いますけれども皆さん、優秀な方々だというふうに思っております。
  109. 吉田治

    吉田(治)委員 ちょっと質問をとらえ間違えられている。動燃から科技庁へ行かれている方々は、動燃にとってどういう人なのかということであります。
  110. 中野啓昌

    中野参考人 失礼しました。逆の方でございました。  動燃の中では、はっきり申し上げまして、かなり優秀な方を出しております。  先生も御存じのように、動燃事業団は技術集団でございますので、現場から上がってきております。そういう積み重ねの中でだんだん年をとってまいりますと、管理業務に入ったり、あるいは予算の編成作業をしたりしております。  そういう中で、一方、こういう国の仕組みというようなものがなかなかわかりにくいところがございます。そういうようなところを、中の優秀な方々に行っていただいて勉強して帰ってきていただく、そういうふうなやり方をしております。
  111. 吉田治

    吉田(治)委員 今の話を聞いていますと、さまざまな一連の不祥事だとかなんとかがあった中で、動燃にとってはなくてはならない人たちを十二人も、科技庁が召し上げていると言っては語弊があるかもしれないが、科技庁に出ていっている。  科技庁から動燃に行かれている十三人というのは、本社だ、現場のことは何も知らないんだと。まさに進駐軍みたいなものですよね、科技庁から動燃に対して。  動燃から科技庁に行っている人たちは、今、中野参考人はモデレートに言われたのでしょうけれども、管理業務を勉強するんだという形ですが、実質的には、行ってコピーとりとかそんなことをさせられているのではないのですか、優秀な人たちを。首を振っていますけれども。  では、反対を言ったら、科技庁から動燃に行った人が、本社で踏ん反り返っているかどうかはわかりませんが、現場も知らずに、現場にも出ていないのではないですか。  「もんじゅ」にこの間行ってきましたよ。私、「もんじゅ」の現場へ行ってカレーライスをごちそうになりましたけれども、そこへ行って、では科技庁の出向者はいるのですか、だれもいないと。中央で、東京で、科技庁から出向だといってハンドリングをして、そして現場にはだれもいなくて、問題が起こったら、おまえのところが全部悪いんだと。  反対を言うならば、科技庁から動燃に行ったこの十三人は、動燃の一連の不祥事のときに何か処分をされたのですか。どういう責任をとられたのですか。  さまざまな意見陳述人の中で、労組の委員長さんがこう言われていました。動燃の問題において、動燃も悪いが、原子力委員会並びに科学技術庁の責任というもの、これについて、自分たちはもうちょっと考えてもらわなければやってられぬわと。大阪弁では言いませんでしたけれどもね。  しかし、科技庁から行った、今局長は、四名が予算関係で、予算の執行がと。予算の執行じゃないのでしょう、問題は。あなたたち、十三人で四人引くのだったら九人毎年送り込んでいて、今出向者でそれだけ行って、しかも中間の企画だ、国際だ、原料管理だ、技術だと。まさに動燃の体質というのは科技庁がつくり出したとも言えるのではないですか、こういう言い方をされると。  現場も知らずして、科技庁から送り込んで、その辺の改革、これからどうなるのですか。動燃核燃料サイクル機構に変わったときに、この人たちはまた本社だけなのか、現場まで出すのか、はっきり答えてください。
  112. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 かつて現場に出したこともございますが、科技庁としても、従来九人。それから、四名と申しますのは、全部財務ではなくて、ウランピットの管理が悪かった、ずさんな体質だとかいろいろありましたので、経営改革ということをお手伝いするために四名出した、そういうことでございます。  しかも、その職員はすべて、基本的には理事長とか理事あるいは部長のもとで仕事をしているわけでございまして、外部からコントロールするとか、そういうことではございません。それは事業団の組織の中でそれぞれの仕事を全うするというわけでございますので、そこは御理解いただきたいと思います。
  113. 吉田治

    吉田(治)委員 局長、今、理事だとか部長のもとで仕事をすると言いましたね。裁量権がないのですよね、動燃というのは。なかったのですよね。それは認められているのでしょう。だから経営を変えるというわけでしょう。そういう人のところへ、自分のところより上の人が部下で来て使える。例えば、私が国会議員のバッジをつけてあなたの下で次長をやる。万が一のことですよ、そんなことはないですけれども、国家行政組織法上。それと一緒じゃないですか。それで、声を荒げて、いやそうじゃない、かつて現場にも行ったと。かつてとは何年前なんですか。  そういうふうなところへ、下へくっつけておいて、いや、上の指導を。そういうふうなことをしているから動燃のこういう体質が生まれた。私は、その辺は科技庁としてはっきりと、その部分は悪かった、これから変えていくという答えをもらわなければ、これ以上質問はしたくない。
  114. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 当庁から行っております職員は、あくまでも動燃事業団の職員として働くために行っておるわけでございまして、それぞれの与えられた仕事をそのポストポストのもとでそれぞれ全力を投入してやっている。  それも、なぜ本社が多いかと申しますと、やはり役所におきます行政経験、そういうものも生かしながらやるという意味で、現場へ行きますと単なる勉強だけでございます。かつて現場に出したということもございますが、それは現場での勉強のために行っているわけでございますが、今は動燃事業団でお手伝いをする、そういう立場でございますので、そういうことでうちからも行っておりますし、また人事交流させていただいているわけでございます。
  115. 吉田治

    吉田(治)委員 では、行って、出向だから全員また戻ってきているのですね。骨を埋めた人はいないのですね。
  116. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 今申しましたのは一応戻る前提の人ではないかと思いますが、中にはずっと長くいらっしゃる、そういう人もいたかもしれません。
  117. 吉田治

    吉田(治)委員 私は何度もさっきから大きい声で大変申しわけないけれども言っているというのは、そこなんですよね。行ってほんの数年、何年かわかりません、期間を答えてくれとさっき質問したけれども、期間を答えられてないから何年かわからないけれども、行かれて何年かたったらまた戻ってくる、出向というのはそんなものだと。しかしその間、自分より上司はいるけれども、実は、機構的に言うと、組織図的に言うと、裁量権のない上司のもとへ裁量権のあるところから来ている。そこで働いてそこのために頑張っているんだよと言っても、たかが数年、何年か教えてもらえないからわからないけれども、そういうふうな中で、局長が言われているようなおためごかしのような話が通用するかというと、通用しない。  私は先ほど質問しましたよね。この動燃の一連の不祥事の中——不祥事と言うのがいいのかどうかわからない。不祥事の淵源をたどっていけば、人の部分でいえば科技庁までいってくるのだから、これでいくと。では、科技庁から動燃に行った人で処分を受けた人がいるのですか。
  118. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 科技庁から、これは出向ではございません、理事で行かれた人で処分を受けている者はございます。
  119. 吉田治

    吉田(治)委員 要するに、責任はとらないポストだと。しかし、会社でいうなら親会社の一〇〇%子会社のところへ部長代理で来て、そこのプロパーの重役、部長の下で働く。こんなやり方というのは、幾ら何でもいかがじゃないですか。  核燃料サイクル機構になったらこれをどう変えるのですか。今までの動燃の体質は何だといったら、全部人に起因するわけでしょう。だから今までの国会審議の中で全部、意識改革だ、職員の意識改革だ何だと。動燃のプロパーの人は必死でやるわけじゃないですか。局長の言をかりれば、いや、そこで一生懸命働くのだ、その人のもとで働くと言うけれども、やはり帰るのじゃないですか。その辺というのを新しい組織になったらどうするつもりなのか、私はここは非常に大きなポイントだと思っております。
  120. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 お答えをする前に、先ほど私の選挙区の丹後とも御縁の深い吉田先生からいろいろ言っていただきまして、ありがとうございます。  それで、ちょっとプライベートなことでございますが、議事録に間違ったことが載ってはいけないと思いますので訂正をいたしますが、私は日比谷高校は出ておりませんので、申しわけありません。  それで今、人事のことについて御質問がございまして、これは私も何度も御答弁をしておりますように、新しい機構では、理事長に明確な権限と責任を与えて裁量権をきちっとやっていく、それで経営の不在というものを克服していくのだと申し上げているわけであります。  その中で、今まで人事交流というものがあったわけでありますし、今までの動燃にも科技庁から行っておられる方もあれば、電力事業者から行っている方もあるということであった。今後それをどうするかというのは、一にかかって、新しい理事長、新しい執行部がどういうふうにお考えになるかということがやはり一つあると思います。あらかじめ私どもがどうするこうするというようなことを言うべきではないのではないかという気持ちが一つございます。  しかし、それと同時に、今吉田委員の御発言の中で、科技庁から行った者で骨を埋める者があるのかという御質問もされておりました。  私、どちらかというと、ある意味ではこういうことも感ずるのです。動燃に出向する方の立場からすると、そこの中枢を歩んでいる人でない人が、これはちょっと語弊がある言葉で、私ちょっとちゅうちょしながら言うのですが、言うなればうば捨て山のような形で行くようになってもいけない、こういう気持ちが一方にございます。動燃に行って、行った人がまた戻って、そのもとの組織の中核になって働くというようなことも全くなくていいのかという気持ちがやはり一方でございます。  他方、動燃というか、今度は新機構でありますけれども機構に行ったら機構に行ったで、そこで骨を埋めるつもりで頑張るという方もやはりいなければならないのではないかと思います。あらかじめ、骨を埋めないからいけないとか、あるいは、もとに戻るからいけないとか、そういうことをもう少しいろいろ柔軟に考えて人事のあり方も工夫すべきではないかな、一般論としてそう思っております。
  121. 吉田治

    吉田(治)委員 大臣、済みません、間違えまして。たしか高校は東京のどこか出られている。それだけ確認しておかないと。東京の高校を出られていますよね。日比谷ではないということだけは確か。それは議事録に載せていただきたいと思います。  ただ、私、この質問をするのを物すごくちゅうちょしたのですよ。何でかというと、余りこういうことをわっとやると、科技庁へ行かれている動燃の職員の皆さん、今十二名ですか、これがまたいじめにでも遭ったら悪いなと。だれかが、おまえ、そんなしようもないことをあの議員に言ったのだろうと。でも、反対を言うと、そういう現実というものはこの国会の審議の場でははっきりしておかなければならない。だから、動燃からは極めて優秀だというお墨つきの人が行かれているのですから、その辺は、科技庁においても、大臣を前にはっきりと申し上げておきますけれども、それなりの、しかも動燃さんが抱いているような管理業務、また国の仕組みがはっきりわかるようなより一層の出向者としての扱いを私はお願い申し上げたいと思います。  時間も迫ってまいりましたので、あと三点ほどの質問を一括して申し上げたいと思います。  「ふげん」の問題につきましては、先ほど同僚議員から質問がありましたけれども、これは、国のエネルギーの安全保障という立場からしても、長期計画を一年だけで見直したということについての疑義もありますけれども、今後五年間運転するという中で、私は、もう一度「ふげん」の運転についてのその先というものの見直しというものをどこかで可能性として持ってもらいたいと思うのですね。  万が一、私が小学校のときに経験しました石油ショックのようなときがやってきた、世界のエネルギー需給が単に経済的理由のみならず政治的理由でひっくり返った場合に、日本には「ふげん」というすばらしいものがあったのに、なくなってしまったね、あれがあったらよかったのにと。まさにある意味では国防と同じだと思うのですね。日本にある戦車、戦闘機、軍艦と言ったらだめらしいですけれども、ああいうふうなものというのはまず実戦として使うことはないですよね。使ってはいけないというのが国是ですよね。ただ、攻められたときにはそれは守るために使う。エネルギーの安全保障といった場合には、そういうものを持ち続ける、それが「ふげん」ではないかなと私は思っております。ですから、私は、「ふげん」については今後もう一度再考というものをしていただきたい。これは大臣に御答弁をいただきたい。  と同時に、それもかなわぬ場合に、廃棄しなければならないとすると、やはりそこから生まれてくる廃棄技術というものですか、そういうふうなものを、世界に誇れる廃棄技術というのを今度はそれによって確立する。先日、東海一号機の廃棄もありましたけれども、その辺を含めてしていただきたいと思います。  それから、さまざまな事故に関して、民間、特に電力各社からお話を聞きますと、いろいろ事故はあるのだけれども、いろいろ問い合わせてくれれば、何十基もあるんだから私らの方が情報としてはすぐ送れるのにと。その辺の情報ネットワークというのですか、特に事故ですとか、そういう対応に関するそれぞれマニュアルをつくるときに参考にしているとは思いますけれども、その辺のトラブルの情報交換というものをどうされるのか。  そして、最後になりますけれども核燃料サイクル機構の略称をどうされるのか。核燃というのが言いやすいのかな。しかし、核とつくと、これはまた反発も強いのかな。それとも、おのずとでき上がるまで待つのか。このごろ、PRというのですか、広報の時代になってくると、その略称が持つ意味というのは想像以上に私は大きいと思いますので、その辺、今どういう検討をされているのか。  以上三点、くくりになってしまいましたけれども、御答弁のほどをお願いしたいと思います。
  122. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私から答弁した後、政府委員から答弁をさせたいと思いますが、「ふげん」をもう一度見直すべきではないか、それがエネルギー安全保障ではないかという御質問でございますが、今度の法律案では、附則の十条で、五年を超えない範囲内に整理縮小を行うというふうに規定してございまして、運転期間を見直して延長するというようなことを今想定しているわけではありません。この法案に書いてあるとおりでございます。  ただ、吉田委員が御指摘になりましたように、今まで実績を積んできたということがございますから、今までの研究開発成果をこの五年間できちっと取りまとめなければなりませんし、それから廃炉研究に活用していく。これからたくさん廃炉が出てくることが予想されますから、それはやはりきちっと役立てていかなければならないと思っております。  それから、略称については、今略称について検討しているというようなことはございません。
  123. 池田要

    ○池田政府委員 ただいま先生から原子力発電所等の事故、トラブル、こういったものについても情報をしっかり共有すべきだといった御指摘がございました。  確かに、こういう情報につきましては、原子力施設の安全性を向上させる上で、私ども重要な知見を得ることができると考えておりますし、これが速やかに公開されるとともに、客観的な検討に供されるということ、それから、経験として活用されることが大変重要だと考えております。発電所等を含めましても、原則、こういう事故、トラブルにつきましては公開するといったことと、それから、安全委員会に対して行政庁を通じて報告をするという仕組みを今つくっております。こうした過程を通じまして、事故の原因ですとか対策、こうしたものが改めて審議を経るという仕組みができておりますから、こういった仕組みを活用しながら今後もこのネットワークをさらに有効なものにしたいと考えております。  また、動燃事業団も、世界的にも、原子力発電所、原子力発電を運用しているような事業者の協会、こういったものにも加入をしているといったことも承知しておりますし、国内だけに限りませんで、国際的にもこういった情報交換については一層こうした形で取り組んでいただくということを私ども規制の立場からも期待しているところでございます。
  124. 吉田治

    吉田(治)委員 そろそろ時間なので終わらなければいかぬのですけれども大臣、やはりこの「ふげん」の問題、これはもう附則に書いてあると、提出者の方ですから、それを変えるというか見直すというのは片言隻句も言えないと思いますけれども、それはないしょででもいいですからちょっと考えておいていただかないと、やはりエネルギーの安全保障というのは国防と同じ、いや食糧の安全保障も含めて、こういうふうなものは非常に大事だと思っておりますので、よろしくお願いをしたい。  と同時に、本当は最後にナトリウム漏れのことを聞いて、あんなに大騒ぎしたものなのかなという気もしているのですけれども、これはおいておきます。今度にします。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  125. 大野由利子

    大野委員長 以上で午前中の会議は終了いたしまして、本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後四時三十五分開議
  126. 大野由利子

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。達増拓也さん。
  127. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  今回の法案は、一連の事故からいかにして動燃が立ち直って再生していくか、そして改めて目標に向かって進んでいくか、そのための法案であると思います。ここで課題になっているのは、動燃が組織としていかに立ち直るのか、再生していくのかという動燃の組織の問題、そして動燃あり方を考え直すときに、改めて日本が核燃料サイクル計画にいかに取り組んでいくか、この二点を中心に質問をさせていただきたいと思います。  まず大臣に質問いたしますけれども、大きく一言でといいますか、悪夢のようなと言ってもいいんだと思います、あり得べからざる事故や不祥事が三つも四つも連続して起こったわけでありますけれども、そのような状態から動燃の職員が誇りとやる気を取り戻していくためにどうしていかなければならないか、まずその概論から伺いたいと思います。
  128. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 もともと私が聞いておりますところでは、動燃という集団には、日本に自主的な技術を確立するんだという使命感に燃えた、本当に優秀な技術者が集まってくる、意気に燃えた集団であったというふうに私は聞いておりまして、先生御指摘のように、いろいろ不祥事が起こったことも事実でございますけれども、お一人お一人とつき合ってみますと、これは決して私は甘いことを言うつもりはないのですけれども、なかなか立派な方がおられるのも事実であります。それが、社会的には非常に信じられないような対応をした。  そこで、自分たちは世界に類例のない技術を開発していく研究者であり、技術者なんだ、こういう誇りをもう一回取り戻してもらわないと、幾ら機構をいじったってしようがないわけでございます。  しかし他方、こういう一連の事故が起こって、それに対して世間からも厳しい指弾を受けている、そのことも、その痛みも正面から受けとめてもらわなければ困るわけでありまして、そのために一人一人に本当に意識の立て直しというものが要求されていると思います。  私は、この法案を通していただきましたら、新しい体制というのは、理事長というものもやがて選ばれるわけでありますけれども、何度も申しておりますように、明確な権限と裁量を持って責任を負っていく、そういう経営体制の中で、新理事長もとで、新しい中長期の戦略と、そして組織のあり方というのをきちっと議論してもらって新しい出発をしてもらいたい、また、そのように科学技術庁としても支援をしていかなければならないと思っております。
  129. 達増拓也

    達増委員 私も、大臣がおっしゃられたとおり、動燃に集まってこられた職員の皆さんは、技術者としての誇りを持ち、そして世界でも最先端の技術を研究開発していく、そして日本の国家全体の未来を切り開いていくという誇りを一人一人は当初持っていたということ、そのところについては信じていきたいと思います。  しかしながら、あのような事態となり、そこから意識の立て直しですとか社会に対する責任を回復していく、これは本当に並大抵のことではないと思うわけであります。民間の企業などでこのようなピンチに追い込まれたときに、本当にタブーなき改革と申しましょうか、あらゆる手段を使って組織をよみがえらせる、新しくする、そういう工夫と努力をしていくのだと思います。  例えばでありますけれども、トップをかえる、そして今までの慣例ですとか慣行ですとか、そういうことにとらわれずに思い切った人材をトップに据えるということが考えられるわけでありまして、特に民間企業の場合によくあることだと思います。  新鮮な、フレッシュな人材でありますとか、あるいは非常に社会的に有名で人望のある人材ですとか、例えば今回原子力委員会高速増殖炉懇談会の座長をやられた西澤潤一先生であるとか、そういった、この方がトップに来れば動燃も新しい機構として、組織として生まれ変わるだろう、そういう決断力のある人事といいますか、人事そのものについてもそういう思い切った決断が求められると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  130. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今こうして御審議をいただいております法案は、新しい法人ができましたら、今までの動燃の役員、これは全部任期が終了することになっております。  したがいまして、通していただきましたら、新しい執行部といいますか体制をつくっていかなければならないわけでありますけれども、今、法案を御審議いただいている段階で、私から具体的にどういう方と言うわけにはまいらない、申し上げるわけにはいかぬだろうと思います。  ただ、一般論として申し上げますと、だれだれということではなく、幅広い中から、新しい組織も人でございますから、こういう方のリーダーシップのもとなら立ち直れるだろうと世間も思っていただけるような方をやはり選んでいかなければならないのではないか。  それで、この委員会の中で既に御答弁をしたことでありますけれども、私ども監督官庁でありますけれども科学技術庁に対しても、あるいは電力事業者に対しても、場合によっては通産省に対しても、きちっと物が言えるという新執行部をつくることが一番肝要ではないかと思っております。
  131. 達増拓也

    達増委員 例えれば、最下位に落ち込んだプロ野球のチームが新監督を迎えて心機一転して頑張っていく、そういうことだと思いますので、ぜひ思い切った決断で頑張っていただきたいと思います。  次に、組織をよみがえらせ、再生していくに当たり、内部組織または役職ですね。従来型のライン、これを一度御破算にして、新鮮な、そして効率的な新しい組織体制で、また、役職についても思い切りがらっと変更してやっていく、そういうことが考えられると思います。  今回の法案では、その新しい機構の内部組織や役職についてまでは立ち入らないわけでありますけれども、今回の法改正が有効性を持っていくには、そういう工夫も必要だと考えるわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  132. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 法人の内部組織は予算の面で決まりますので、法律には出ておりませんが、いずれにせよ、この動燃を抜本的に改革いたしまして国民の負託にこたえ得る法人にするためには、経営・組織体制の見直しというものは必要不可欠でございます。  そのために、先ほど大臣の話にございました経営陣の刷新というのがございますが、それ以外に、管理職にも若手とか外部登用など、大幅な入れかえということも検討しているわけでございます。  組織の方におきましても、一つは、安全確保の体制を確立するためには、やはり責任体制の明確化というのが重要でございますので、それを現場に責任を負っていただくように明確化する。それから、当然、安全推進の部局もございますが、それはそういうことを支援する立場で行うというようなことで、安全推進本部というのも設置したいと考えておりますし、経営機能を強化するために、本社に現在ございます事業本部、その制度を廃止いたしまして本社をスリム化する。現場から経営陣に意思の疎通ができるように、そういうことをいたしたいと思いますし、経営の企画調整部門、今まで企画とかいろいろと分かれていたところをなるべく大くくりにいたしまして、横断的組織網を設置したいと考えている次第でございます。  それから、あわせまして、役職というお話もございましたけれども、やはり人事制度も刷新いたしまして、責任を持った人がきちっと遇される、そういうようなシステムにいたしまして、新しい法人として出直していきたいというふうに考える次第でございます。
  133. 達増拓也

    達増委員 この際、科学技術庁の関与も極力減らして、事業体としてできるだけ独立して、経営感覚を持ってやっていくという方針でいくと聞いております。この組織や役職についても思い切ってやっていただきたいと思います。  次に、やはり民間の経営のやり方等を参考にしていくと、組織を生き生きさせていくに当たっては、広報部門の強化が非常に重要であると考えます。  これはまず、原子力基本法にもありますように、できるだけ原子力にかかわることはオープンにしていかなければならないという要請がもともとあるわけで、機構としても、できるだけ外に開かれた、情報も積極的に公開していく、そういう姿勢が望まれると思います。  一方で、そのように常日ごろから内部を外にさらすように努めていれば、内側でも職員の士気も高まりますでしょうし、自分たちのやっていることが外で評価され、そういうフィードバックを浴びながら仕事をしていけば、またこれも非常に組織全体の活性化にも資すると思いますけれども、この点について政府はどのように考えているでしょうか。
  134. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 御指摘のように、動燃によります一連の不祥事の背景には、閉鎖的な体質というのがございました。そのために、みずから積極的に情報を発信いたしまして国民とか周囲の声を聞くということを怠っていた、そういうことが業務運営に反映されていなかったということがございますが、そういうことを改めまして、広報、情報公開を徹底いたしまして社会に開かれた体制にする、これは極めて重要と考えております。  新法人におきましては、本社に国民からのフィードバック等の双方向の情報交流を行うような部門を置きまして、それから、各事業所に広報担当部局も置きまして、広報体制を強化したいと考えております。また、先ほど民間会社の話をされましたが、この分野では、電力会社を含め外部の知見、ノウハウに学ぶところが非常に多いと考えておりますので、そういうところからの人材というものも迎えていきたいと考えております。  さらに、そういうことに加えまして、既に御議論いただいておりますが、情報公開指針というのを定めまして、積極的に持っている情報の発信をするのは当然でございますし、先ほども申しました人材の育成とか組織の強化も行いますが、さらに、公開している情報内容も簡易で、かつわかりやすいビジュアルなものに工夫いたしまして、一般の人の理解も得やすいようなこともしなければいけないと思っております。また、最近のメディアでございまずインターネット等を活用しながら、みんなが気軽にアクセスできる、そういうようなことにも努力しなければいけないと思っております。  そういうようなことを通しまして、社会に開かれた体制を確立していきたいと考えている次第でございます。
  135. 達増拓也

    達増委員 科学技術の分野では、プロの世界と一般の人たちの間での意識の乖離というものが言われておりまして、その間をつないでいく作業の重要性が非常に指摘されていると思います。  ちょっと前の科学技術白書でも、たしか若者の科学技術離れというような問題を取り上げたことがあったと思いますけれども、日本全体としてそういう問題を抱えている中で、生まれ変わった動燃が、逆にこの機会に、一般の人たちとの間の科学技術に関するインターフェースでうまい例となるように頑張っていく、そういうきっかけとして、災い転じて福となすチャンスだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  続いて、動燃の一連の事故、不祥事の中で、請負メーカーの設計ミス、装着ミスの問題ですとか、あるいは請負業者が、事故があった際の消火作業において、消火の確認をめぐる情報の疎通がなかったところに関与をしていたりとか、新しい機構そのものはもちろんですけれども、関連する業者との関係もうまく日ごろからやっていかないと、いざというときに外部の業者等との関係でまた事故や不祥事が悪化してしまう、そういう教訓があったと思います。  したがって、平素から、例えば入札ですとか契約ですとか、あるいは、一緒に、共同にふだんの作業をするときから請負メーカーや請負業者との間で円滑なやり方でやるとともに、外から見てもそれが透明でスムーズに行われている、そういう透明性も確保していかなければならないと考えますが、その点、いかがでしょう。
  136. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 御指摘のように、ああいう大きなプラントの運転にはどうしてもそういう協力会社の協力を仰がないとなかなか運転がうまくいかないわけでございまして、そういう請負会社の方々動燃の職員の方々、その間のコミュニケーションというのは非常に重要でございます。したがいまして、その改善というものはしていかなきゃいけないと思っております。  どのようにしていくかということは、まず動燃自身が現場を重視する。そして、そこで職員と協力会社の方々が一体となりまして、日ごろの教育訓練から始める。それから、当然、仕事は共通のことをするわけでございますから、業務目標の共有化を図ります。それから、当然、いろいろな施設の、先ほどマニュアルとかいろいろございましたが、そういうものへのアクセスも共有化をする。会議等も分け隔てなく出られるように、連絡、コミュニケーション、そういうものの徹底を図らなきゃいけないと考えております。  また、そういう人的なコミュニケーションをよくするためにも、各種行事を一緒にやったりとか、施設も一緒に使えるようなものにするとか、そういうことも重要でございまして、そういうことによりまして、職員と協力会社の方々の一体感、そういうものの醸成に努めなければいけないと考えております。  それから、そういう協力会社との関係、契約等の話でございますが、基本的にやはり責任関係はそういうところで明確にする、それが一番重要と考えております。前回の経験から、請負の契約の内容を見直しまして、契約書におきまして、その作業の特性によるわけでございますが、明確な責任の範囲を決めまして、お互いにそこがはっきりわかるようにする。また、その責任の範囲におきましてきちっと作業マニュアルを整備していただくということで対応したいと考えている次第でございます。
  137. 達増拓也

    達増委員 しっかりやっていただきたいと思います。  さて、技術者としての誇り高い職員がやる気を持って作業に取り組んでいくためには、技術移転ですとかあるいはスピンオフ、そういったものが盛んであると活気が生まれると思います。特に、高速増殖炉という、実用化については大分はるかかなたに目標がある作業に取り組んでいくに当たって、その途中途中に目に見える成果というものが出てくることは非常に大事なことだと思うのですけれども、そういったスピンオフ技術としてどういうものが予想されているか、伺いたいと思います。
  138. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  先生御指摘のように、非常に距離の長い研究開発を行っている中で、常に刺激というか目的といいますか、そういったものを持って仕事を進めていくというのは、確かに、研究開発を促進させるには大いに意味のあることだと思っております。  一、二、そのスピンオフの例を申し上げたいと思いますが、例えば高速炉の場合でございますと、安全解析などで流れや熱の移行状況を解明する技術を開発いたしました。こういった技術が、高速炉だけではなくて、自然災害における土石流とかあるいは火砕流の解析とか、製鉄所、化学工業プラントでの現象の解明とか、そういったものに利用できることがわかりまして、応用を考えておるところでございます。  また、非常に卑近な例を申し上げますが、これは高速炉ではございませんけれども、遠心法によるウラン濃縮技術を開発いたしましたが、その軸受けがビデオテープの機械の軸受けにそのまま応用されているとか、そういったスピンオフが幾つもあろうかと思います。  今、二、三、例を挙げさせていただきました。
  139. 達増拓也

    達増委員 今、アメリカで非常に科学技術分野が活気がある理由の一つとして、冷戦時代に蓄積されていた軍事技術が、ポスト冷戦ということでどんどん外部にスピンオフして、それがシーズ、種となって民間部門の科学技術が発達しているということを聞いております。軍事技術という使わないでしまえばむだに終わる技術でありますが、そのスピンオフから実のあるものもどんどん出てくる。核燃料サイクル技術については、まあこれはむだになるというものではなく、むだにしないような形でいければいいと思うわけでありますけれども、一見すぐ簡単には成果が出ないと思われる研究でも、スピンオフというところで社会的に貢献するところが大きければこれは非常にいい話だなと思うので、頑張っていただきたいと思います。  さて、同様に、職員の活動に活気を与える方策としては、人的流動性を高めていくことが考えられると思います。外部、内部、人の出入り。中途採用ですとか、あるいは機構から外に研究に出てまた戻ってくるとか、そういうのが盛んであると組織の新鮮度アップに効果があると思いますけれども、今まで動燃はそういった観点からの人的交流はどの程度だったのか、また、これからどういうふうに持っていくか、伺いたいと思います。
  140. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  私ども動燃もそうでございますし、また、これからできる新しい法人もそうでございますが、我々がつくり上げた技術を結果として民間に移転していかなければならないという義務を負っておるわけでございます。  そういう中で、私、いつも申し上げておるのですが、技術移転の中で最も重要なことには三つある、それは、人、物、紙だと申し上げております。すなわち、物と申しますのは、でき上がった例えば材料とか道具とか、そういうものがあろうかと思います。紙は、いわゆる設計あるいはノウハウ、そういったものを指そうかと思います。やはり、それに人がついてまいりませんと本当意味での技術移転ができないのではないかと思っております。そういう意味で、私ども、既に実用化に達しました例えばウラン濃縮技術に関しましては、既に十五名の技術者が新しい会社の方に移り、さらに今後また二十名近くの技術者が移転していくというようなことで人が移っていっております。そういう意味で、まず、技術移転に伴って人というのは当然動いていくんだという意識の中で我々、仕事をいたしております。  また一方、研究開発を進めていく上で、ほかの機関との双方向の人材交流も行っております。最近特に始めましたのは、任期をつけました任用制度をもって、博士研究員制度とか、あるいは客員研究員制度とかいうことで研究者の受け入れを行ったりいたしております。外国の研究者も十五名来ておりまして、そういった意味で、できるだけ組織の活性化を図るように努力をしているところでございます。  以上でございます。
  141. 達増拓也

    達増委員 技術移転の観点からも人的交流は非常に大事だと思うので、この点も留意してやっていただきたいと思います。  そういう人的交流、これをさらに国際的に展開していくことも大変重要だと思います。外国の研究所、大学ですとか企業ですとか、こういった国際的な人的交流について、今までどうだったのか、そしてこれからどのようになっていくのか。これを伺いたいと思います。
  142. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  先ほどのお答えの中でも若干申し上げましたが、私ども国際交流研究員制度というのを持っておりまして、外国から、現在たしか十五名だったと思いますが、私どものさまざまな燃料サイクル上の研究開発のところに参加していただきまして、一緒になって仕事をしております。  それで、施設の中で、我々が持っております大洗における実験炉の「常陽」とか、あるいは今問題になっております「もんじゅ」、数少ない試験装置でございますので、こういったものをできるだけ開放して、外国の皆さんに一緒になって御利用いただいて研究開発を進めていくという考え方でやっておるわけでございます。  現在、私どもが外国との間で、特に今先生研究とおっしゃいましたので研究に絞って申し上げますと、大きく三つぐらいのプロジェクトを持っております。  例えば、フランスとの間でございますが、動力炉開発の部門におきまして、フランスのCEAという政府機関と協定を持ちまして、動力炉開発に関する情報交換あるいは人の交流を行っております。  また、環境技術開発に関しましては、スイスのNAGRAという機関と協定を結びまして、今も申し上げましたように人的交流並びに情報の交換を行っております。  さらに、いわゆる核物質管理と申します、核不拡散上非常に重要な技術開発でございますが、この分野におきましては、アメリカのエネルギー省、DOEと動燃の間で協定を結びまして、ロスアラモス・ナショナルラボラトリーを中心にして共同研究を進めておるところでございます。
  143. 達増拓也

    達増委員 今、今度の法案の中には必ずしも詳しく盛り込まれていないような、動燃改革、新しい機構の再生の道筋のあり方についていろいろ聞いてきたわけでありますけれども、それなりに可能性を持った方向性ですとか見通し、かなりあるということがわかったと思います。  しかしながら、あれだけのショックから立ち直るには、そういったことを本当に思い切って実行する決意と、またそれを社会的に、世間に対してアピールしていくことが必要なのだと思います。ですから、今回、法案そのものは非常に無味乾燥といいますか、一般の人たちには法案だけではわからないわけでありますが、今答弁の中にあったような新しい方向性ですとか、思い切った再生の道筋ですとか、そういったものをどんどん世間に対してアピールしていかないと、なかなかこの法案、そして新しい機構というものにも社会的な支持は得られないのだと思います。  そういう意味で、もうこの際ですから、監督官庁であります科学技術庁も、御祝儀というわけではありませんけれども、御祝儀という意味というよりは、むしろ動燃再生にかける真剣さを示す意味で、科学技術庁の人的刷新でありますとか、特にまた原子力関連部局の組織とか、あるいはそこの人的な刷新を行うというのも一案だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  144. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 動燃事故は、動燃自体の責任問題というのが第一義であることはもちろんでありますけれども、それと同時に監督官庁の科学技術庁としても反省すべき点が多々あり、それだけに責任もある、こう思っているわけです。  それで、去年八月一日に、文書で具体的な科学技術庁の改革方針を明らかにいたしまして、今その方針、その中で改革を進めているわけでありますが、具体的には、当直制による二十四時間通報連絡体制を確立するとか、それから緊急時の危機管理を担当する企画官を置くとか、あるいは運転管理に関する監視体制を強化するための運転管理対策官を置くといったような体制と、現場重視の法人監督の強化のための体制づくりなどを行っているわけなのです。  ただ、さらに申し上げるならば、なぜ今回このような事故が起きたのか。これは動燃の改革の報告書、吉川先生報告書にも指摘をされているところでありますけれども動燃と監督官庁の間にもたれ合いがあったのではないか。  やはり新しい法人自体に明確な権限と責任、その中での裁量権を与えて、自主的に運用してもらう。そして国は、まず新しい法人に明確なミッションを与えること、それから、もたれ合わないで、その結果といいますか成果を厳格に評価、監視していく、科学技術庁はその方面でやはりやるべきではないか。科学技術庁にとりましても、行政をどう進めていくかという上でのこのような意識改革が必要なのだろうと思っております。  それで、先ほどの本会議で御審議を始めていただいた省庁再編の法案の背後にあります考え方にも、そういう全体の行政手法の変化という考え方があるのだろうと思います。科学技術庁もあの中で変わってまいりますけれども、今申し上げたこと以上にどういう体制を今後つくっていくかということにつきましては、今後の、あの法案の後の設置法の中でまた工夫すべきものは工夫していかなければならない、こう思っております。
  145. 達増拓也

    達増委員 谷垣大臣の前任の大臣について、去年、野党から辞任の決議案が出て、国会でも審議されたわけでありまして、あの時点で辞任しておられれば、それまでの過去に決別というのは一層はっきり世間に示されたとは思うのですけれども、確かに今の段階で谷垣大臣の進退云々という話はございませんで、今大臣がおっしゃられたように、その新しい機構科学技術庁の関係を踏まえて、今度は科学技術庁みずからがみずからのために改革をしていかなければならない、そういうことなのだと思います。そういう方向で頑張っていただきたいと思います。  さて、きょうは、長かった一連の審議、この法案に関する審議最終日ということになっておりまして、現地視察等もあって、本当にいろいろ議論議論を重ねてきたわけでありますけれども、ここで改めて、核燃料サイクル計画の将来というものについて政府としてどうやっていくのか。大きい問いではありますけれども、これについて答えを伺いたいと思います。
  146. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 そもそも論みたいなことを申し上げてもなんでありますが、我が国はやはり資源に乏しいわけでありますから、安定的にエネルギー資源を確保していくという資源論の観点から見ましても、それから、それと同時に電力を、エネルギーをつくるときにCO2を排出しないという意味合い、それからさらには廃棄物の地球に対する負荷をできるだけ減らしていく、そういう環境論的な観点から見ましても、高速増殖炉を中心とする核燃料サイクルを確立していくということが必要なのではないか。今回の法案も、そのための中心的な役割を、今までは動燃が担ってきたわけでありますけれども、新しい法人に担っていただこう、こういうことで今回法案を出したわけであります。  こういう核燃料サイクルの基本的な方向は、従来も原子力委員会もとで長期計画をつくって明らかにしてまいりましたけれども、それと同時に、昨年のたしか二月一日でしたか、ちょっと日にちははっきりしておりませんが、二月に閣議了解もいたしまして、核燃料サイクルのこれからの進め方の方向も確認をしているところであります。  それから、高速増殖炉につきましては、あの事故の後、円卓会議で各界の御意見を伺う機会があったわけでありますが、そういう中の御意見も踏まえまして、先ほどお名前をお挙げになりました西澤先生もと高速増殖炉懇談会というのを持ちまして、結論も出していただいたわけでありますけれども、その中で、高速増殖炉というものが非化石燃料のエネルギーの有力な選択肢だという位置づけをして、その実現性の可能性を探るべきだ、そのための手段として「もんじゅ」を位置づける、こういう方向も出していただいたわけであります。  今後とも、こういう方向を進めていきますに当たっては、硬直した姿勢ではいけないと思っておりますが、できるだけ各界の幅広い意見も伺いながら、国民理解を得られるように進めていかなければならない、こう思っております。
  147. 達増拓也

    達増委員 今大臣おっしゃったように、西澤先生の懇談会の、今後の高速増殖炉については、化石エネルギーにかわる代替エネルギーの中の一つの選択肢としてやっていくということ、これに原子力委員会もお墨つきを与えた、それで政府として方針決定ということになっているわけですけれども高速増殖炉について非常に批判が強く上がり、もう外国ではどこもやってないぞとか、そういう中で、その懇談会、委員会の決定というものは、どうも一歩後退したというニュアンスにも見えるわけですね。ただ、後退ということなのか、それともやはり今までどおり研究を続けていくということなのか、その辺が玉虫色の内容という形になっているのだと思います。  動燃にかわる新しい法人の究極の目標部分についてそういう玉虫色の状態になっている。こういう形で新法人が力強いスタートを切れるのかどうか、この点、一抹といいますか、かなり大きい不安を覚えるわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  148. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 達増委員は玉虫色とおっしゃったけれども、私は必ずしも玉虫色とは思っていないのであります。従来の長計はかなりいろいろ書き込んだものでありまして、かなりリジッドというふうに言っていいのかどうかわかりませんけれども、もう少し柔軟性がやはり求められるのではないか。  それで、今御指摘のように、幸か不幸か、フランスもスーパーフェニックスを廃棄するというようなことで、日本がトップランナーと言っていいのか、トップランナーに立たざるを得ないということになりますと、先に走っている人を見て、ああ成功したからこのとおりやればいいんだというわけにはいかない状況になっているわけでありますから、やはり視野を広くして、それから各方面に耳を澄ませながら柔軟に対応していかなきゃならない。  そのためには、今回の法改正でも申し上げておりますように、動燃の使命を明確に規定しながら柔軟に対応していく。それと同時に、ちょっと今の御質問とすぐにつながるかどうかわかりませんが、今まで安全確保というものも必ずしも国民の安心に結びつかないような面があったわけですから、公開制を旨として、その辺に心がけながら、軽やかなスタートダッシュと言えるのかどうかわかりませんが、きちっとしたスタートを切らなければいけない、こう思っております。
  149. 達増拓也

    達増委員 明確な目標を持つこと、そして組織として刷新して再生していくこと、この二つが動燃が新しい法人に生まれ変わって成功するかどうかの極めて大きいポイントだと思います。そこをめぐって、きょう残る時間さらに審議を重ねて採決ということになっていくのだと思いますけれども国会としてもきちっと最後の最後までそこを詰めた上で決定していきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  150. 大野由利子

  151. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。  せんだっての質問に続きまして、きょうは私は最初に、高レベル廃棄物の処理の技術とか処分地にかかわる問題とか、その辺から質問に入っていきたいと思います。  今、岐阜県の東濃地域動燃の東濃地科学センターは超深地層研究所計画を進めていますが、高レベル放射性廃棄物の最終処分をここでやる、こういう立場ですか。
  152. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 東濃の地科学センターは高レベルに関連いたします地層の研究をするところでございまして、廃棄物を処分とか、持ち込むということも考えておりません。
  153. 吉井英勝

    吉井委員 持ち込まないということですが、少し確認しておきたいのですけれども、未来永劫持ち込まない、こういう立場ですか。
  154. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 持ち込む考えはございません。
  155. 吉井英勝

    吉井委員 そこだけもう一遍確認しておきたいのだけれども、未来永劫持ち込む考えはないということですね。
  156. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  157. 吉井英勝

    吉井委員 そこで、高レベルのものをそのままガラス固化体にして、そして最終処分する計画ということで、場所は今おっしゃったように東濃については持ち込まない、未来永劫持ち込まないということですが、進めているわけですが、大事なことは、これはせんだって参考人で来ていただいた西澤教授の言われた、やはり子々孫々にツケといいますか、処理処分の負担を残さない。つまり今の世代で責任の持てる水準に到達する、そこはやはり取り組む上で大事な点だと思うのですね。  今の世代で責任を持てる水準に、高レベル廃棄物の問題ですね、そういう水準に到達するのは大体いつごろというめどでもって取り組んでいるのですか。
  158. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 水準とおっしゃるのはなかなか難しいところでございますが、現在我々の高レベル廃棄物対策といたしましては、二〇〇〇年ごろに実施主体をつくり、そして二〇一〇年ごろには処分候補地を決めて、必要なことをしまして、二〇三〇年か四〇年ごろに処分の事業を始めようとしております。  それは処分の事業的なものでございますが、今先生御指摘の子々孫々に負担を残さない、そういう面におきましては、一つは経費の問題がございまして、そのために今、廃棄物を発生させた人がやはりお金を負担すべきだ、そういう考えのもとに、高レベル廃棄物につきましてあらかじめお金を取っておく、そういうような制度の創設が必要であるということで、その検討を始めている段階でございます。
  159. 吉井英勝

    吉井委員 今おっしゃったのは、要するに、ガラス固化体にして、三、四十年とりあえず冷却等をやりながら置いておいて、実施主体だけは先に決めておいて、場所も選定して、レベルが少し下がったところで、そのころ埋め込みましょう、こういうお話なのです。  私は、やはり西澤教授の言われた点で大事なことは、今の世代で責任の持てるということは、高レベルの放射性廃棄物を、これはやはり消滅するということになりますか、あるいは短寿命化とか、低レベルのものに切りかえていくとか、そういうふうな技術開発、そういう研究、私はそこに非常に意味があるというふうに思いながら西澤教授のお話をお聞きしておりました。  ですから、そういう点については今どういう取り組みをしようというお考えですか。
  160. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 地層処分のオプションとして、群分離とか消滅処理、そんな研究開発を進めるべきではないか、こういう御質問かと思いますが、我々、現在、高レベル廃棄物の資源化と処分に伴う環境への負荷の低減という観点から、核種の分離、消滅処理技術、それに関します基礎的な研究開発を進めております。  具体的には、日本原子力研究所におきまして、陽子加速器によりまして、核破砕によります消滅処理の研究、それから動燃事業団におきましては、高速炉を使いまして、アクチニド核種というものを燃焼させて減らす、そういうふうな研究が行われておりますし、そのほか、電力中央研究所とかいろいろな大学等の研究機関でも基礎的な研究が行われていますし、もちろん海外でも行われているわけでございます。そういう研究も先生御指摘のように重要と考えておりまして、我々、原子力委員会の中のバックエンド対策専門部会というのがございまして、そこでこれまでの研究成果のチェックアンドレビューをする予定でございます。  しかしながら、そういう方式は、完全になくすとか、そういうことは難しゅうございまして、地層処分はやはり必要だと考えておりますが、そういうものを軽減する、そういう観点からは意味がある、負荷を軽減するという観点からも意味があるかと思っております。
  161. 吉井英勝

    吉井委員 いずれにしても、物を使えば、普通のものだって産業廃棄物が出てくるわけで、しかし、高レベルのものを子々孫々にそのままツケを回す、とにかく今の時代に、我々の世代に使ったのだけれども、エネルギーを利用させてもらったけれども、あとは見てくださいよというわけにはいかないと思うのですね。  大体、青森県の三内丸山にしても、鹿児島のあの遺跡にしても、大体一万年ほどなのですが、プルトニウムでいうと、半減期で二万四千年ですから、本当に非常に長い時代に及ぶものなのですよ。それを、縄文時代の遺跡だって、もちろんこれまでの技術の発達によっていろいろ記録としてわかるわけですけれども、数千年の非常に長い期間にわたって子孫にツケを残すということは簡単にできる話じゃないのです。  だけれども、今のお考えを聞いておりますと、新動燃でやろうとするのは、あくまでも高レベルのままでガラス固化体にして深地層で処分しようということであって、この前も、基礎研究はあくまでやらないのだ、これは切り離す、原研などを中心として基礎研究をやっていくと。果たして、そういうふうな方向で日本の原子力の研究というものが進んでおっていいのだろうか。  やはり出発点において、高速炉の開発を進めるということでプルトニウムをどんどんふやすという方向で、しかし、そこの最終処分の計画とか高レベル廃棄物のその技術の方は、これはちょっと簡単に進まないよということになりますと、既にやってきた軽水炉の段階でも、トイレなきマンションということでやってきたのを、ますます深刻にしてしまう。  やはり今、どういう道を進んでいくのかという点で、高レベルのままでとりあえず深地層に埋めるという方向で新動燃を中心として進んでいくのだ、そういうことでいいのかどうかということについては、今、根本的にそういうところから原子力研究開発については考えていかなければいけないときじゃないですか。
  162. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 少なくとも、高レベル廃棄物の処分の方策といたしまして、過去もいろいろな方策が検討されましたし、今先生御指摘のように、技術でもって消滅させるとか、これはいろいろ考え方としてはございますが、現時点として現実的な方法は地層処分しかないのだろうと思っています。  もちろん、消滅処理とかそういうものの研究は続けさせていただきますが、そういうことで、動燃事業団あるいは新しい法人は、組織的に一つの目標を持ってチームとして開発をしていく、そういうところに意味があるわけでございまして、当面、軽水炉の燃料サイクルで非常に重要でございます高レベル廃棄物対策、その中での研究開発、そこに重点を置いて仕事をしていく、そういうことを考えております。
  163. 吉井英勝

    吉井委員 ちょうど座ってから思い出したのですけれども、鹿児島は上野原遺跡ですね、約一万年近く前の話になりますが。我々は、科学技術にしてもエネルギーを考えるにしても、数百年、数千年、数万年、本当は億単位で考えなければいけないでしょうけれども、そういうことを見通して考えていかなければいけないところにこれからの科学技術の問題があるというふうに思うのです。  だから、低レベルにしても、これは例えば宇宙放射線もあれば大地放射線もありますから、私たちが東海道線に乗っておっても、浜名湖の上へ来れば被曝線量は減るわけですからね。しかし、国際線に乗れば、飛行機の中で被曝線量はふえるわけで、そういうことはわかった上で言っているのですが、しかし、低レベルにしての深地層への処分と、高レベルのままの、とにかくもう処理はちょっとお手上げだ、その技術開発や研究等は進んでいないが、とにかく埋め込んでしまって、この発想では、私は、これは後世の人々に対する責任は果たせないということを申し上げておきたいと思います。  さて、次に、動燃体質ということがよく言われてきました。それは、なぜ事故隠しが起こるのか、虚偽報告とか事実の改ざん、ビデオ問題なんかに見られることですね、秘密主義、いろいろありました。  問題は、この動燃体質の何が問われたのかというところですね。これは近藤理事長の方に伺っておきたいと思うのですが、私は、この点では、プルトニウムリサイクル、核燃料サイクルの確立という国策と、そのためにはいつまでに原型炉を成功させ、いつまでに実証炉へ進んでいく、こういうふうなスケジュールを狂わすことはできないという、いわば事実上の強制力や強迫観念のようなものがあって、それで少々のことならばもう包み隠して突っ走っていこう、こういうことに行ってしまっていたのか、動燃の体質の何が問題であったのか、ここのところを伺いたいと思うのです。
  164. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えします。  動燃の体質ということは方々で指摘されました。昨年八月に発表されました動燃改革検討委員会報告書あるいはこの国会での審議でも、たびたび事業団の体質について御指摘をいただいております。  それらを考えますと、まず第一に、残念ながら、立地地域方々を初め一般社会の方々の意識と動燃職員の意識がかなりかけ離れていた、乖離があったと思います。これは技術者として、専門家として、放射能漏れがなければいいじゃないか、あるいは法定レベル以下であればいいじゃないか、何のための法定レベルか、こういった意識がありまして、やはり安全より安心を求める社会の意識とそこに大きなずれがあったと思います。  それからまた、閉鎖性の問題も非常に指摘されました。これは技術集団にありがちなことでございますが、動燃の場合、自分たちで技術を完成したいという自己完結志向が非常に強いということもありまして、この閉鎖性につながっていったと思っております。  それからさらに、やはり技術集団の性格としまして、技術開発には非常に興味を、関心を示しますけれども、施設の運転、保守、こういったところには相対的に関心が薄い。安全運転を大前提に技術開発を行うという姿勢がそこに欠けていたということだと思います。  したがいまして、こういう認識のもとに、事業団といたしましては、安全に徹した動燃、開かれた動燃地元重視の動燃、こういうことを基本方針として自己改革に努めてきましたし、今後も新法人に向けて努力していきたい、こう思っております。
  165. 吉井英勝

    吉井委員 今述べられたことの一つ一つについてやっている時間はちょっとありませんけれども、しかし、維持管理、保守の問題、関心が薄かったと。しかしそれは、やっていた人たちは下請でしょう。下請の人たちが随分やっておったのですよね。だから、今のお言葉だけで済ますというのは、やはり本当意味で掘り下げた検討になっていないと私は思うのですよ。  なぜ内部チェックの機能が働かなかったのか、それはただ単に技術者のおごりだ何だという問題なのか。私は、そこへ深めていかないと、動燃を新動燃機構だか何だか、ネーミングを変えただけでこれは解決できないと思うのですよ。  本来、これは以前も取り上げたことがありますが、例えば企業でいえば監査役ですね、動燃でいえば監事。ちゃんと監事がいるわけですよ。ところが、その監事になった方が、なる前に、動燃職員の時代に、あのドラム缶の腐食問題などのあれを隠す方の働きかけをやられたり、会計処理のごまかしなどをやって、隠ぺいを指示することまで、黙っておけと指示することまでやったという問題がありまして、私は、監事が監事の役割を果たしていないではないかということをことで取り上げたことがありますが、それは結局、個人的資質の問題とか、そういう次元に持っていっていいのか。これまで持っていた組織そのものにメスを入れた、掘り下げた検討をやらないと、世間様との乖離があっただ何だという次元の話で終わったのでは、これはネーミングを変えただけでは同じことを繰り返すと思うのですよ。  理事長さんは、組織のどこに問題があったのだとお考えですか。
  166. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えします。  この事故は、御承知のように運転管理部門から起きております。先ほど申し上げましたように、運転管理部門を研究開発部門と同様に、格付なり位置づけを持っていくということが、非常に現場的にも重要なことだと思っております。  具体的には、当直長の地位を上げる。それから、先ほど、実際働いているのは下請じゃないかという御指摘がございましたが、部門によっては下請の比率が相当高いところもございます。やはりこれの管理、そこの人たちの協力、そこにしっかり管理の目を注いでいく、そういった強化は当然行っておりますし、今後もしっかりそこいらを管理していく必要がある、こう思っております。
  167. 吉井英勝

    吉井委員 下請任せで、現場サイドであっても大事な技術が継承されていかないとか、蓄積がないとか、そういう組織の持ってきた根本的なところをもっと掘り下げていかないと、これは本当にネーミングの変更だけでは解決にならないと思いますよ。  よく経営の不在ということが指摘もされてきました。そこで伺っておきたいのですけれども、初代の理事長は中部電力会長の井上五郎さんで、副理事長が日立製作所の清成副社長さんで、三菱金属鉱業の今井さんなど、正副理事長を務めてこられたわけですが、近藤理事長さん自身も東京電力で副社長を務めてこられた。つまり、これまで正副理事長の八割は、そういうビッグビジネスの経営のトップに当たってこられた方ですね。これで経営の不在だと言い出すと、これらの大企業の経営者には経営能力がないということになるのですよ。別に近藤さんを前に置いて、あなたに失礼なことを言っているつもりはないのだけれども。  経営の不在という言い方で割り切ってしまうとするならば、経営陣が経営能力を持ち合わせていなかったということになるわけですよ。理事長さんはそういうふうな見方をしていらっしゃるのですか。
  168. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えします。  吉川レポートで言われている経営の不在というのは、一つは安全管理、危機管理が不備であった、それから、体質が非常に閉鎖的であった、事業が肥大化した、こうなっている。これは要するに、状況の変化、時代の変化に合わせて対応すべきところをそれができなかった、そこに経営の不在がある、こういうことを指摘されております。  この間から先生から盛んに指摘されておりますが、今や動燃はFBRの開発についてはトップランナーになった。トップランナーになったならば、模範とすべきものはないから、状況に応じ幅広い視野を持って柔軟に対応していくことが必要だと先生から何回も教えられましたけれども、これは肝に銘じて今後経営していく必要がある、こういうふうに思っております。
  169. 吉井英勝

    吉井委員 日本の企業の中ではいわばトップランナーを走っていらっしゃるような企業の社長さん、副社長さんという方たちが動燃理事長さんなどになられて経営の不在と言われるような事態ですから、これはとても経営の不在なんというような言葉で割り切れるような話ではなくて、本当はこれ自体、もっとさらに深めて見ていかなければいけない問題ではないかなと思っているのです。  実は、私は国研や特殊法人の研究所などをずっと回っておりますが、東京近辺である研究所をお訪ねして、所長さん、副所長さんらと懇談させてもらって、ちょうど動燃の話になったときに、自分のところの研究所では主任研究員クラスの自治とか自立機能の果たせる研究所になっているのだが、動燃で主任研究員クラスの方も、自主性や自立性のない状況に追い込まれていることはないのかというふうな懸念と申しますか、ある意味では見ていらっしゃっての指摘を聞きました。  つまり、研究者の自治とか研究者の自立が認められないで妨げられているような組織的欠陥を持っていると、結局それは、問題があってもみずから明らかにしようということにならないで、秘密主義とか虚偽報告だとかいうことにつながっていくわけですよ。  私は、これまで持ってきた組織の内部における民主主義という問題、研究者の自治や自立というものを本当に大事にした組織になっていたのかどうか、この点についてもきちんと見なきゃいけないと思うのですが、これも、理事長として経営に当たってこられた理事長さんの方から伺っておきたいのです。
  170. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えします。  先生御指摘のとおりでございまして、やはり研究者が自己責任でもって自主的に進めていく、その自由を持つということは非常に大事なことだと思います。そういう方向で職場を指導していきたい、こう思います。
  171. 吉井英勝

    吉井委員 この点では、経営の不在だからということで、経営の名で専制的、命令的、強権的な組織になってしまうと、率直に言って、研究者の立場からすればあほらしくてやっていられないということになりますよ。  それで、どれぐらい創意ある研究が保障されるかとか、研究者の自立やそういうものが、内部的にも研究の分野その他でもよく議論できるような組織になっていくかということは、これは非常に大事な点だというふうに私は思っているのです。  それで、せんだっての公聴会のときにもこれは組合の方に伺いましたが、労働組合がなぜ内部告発をしてでも労働者と地域住民の安全を守るために頑張ることができないのか。理事長さんは、事故の後、一人でも告発する勇気を持てというふうにおっしゃったということは伺っておりますが、かつて再処理工場の出発に当たっては八十項目の項目を挙げて危険の除去なんかに取り組んだということで、これは公聴会で労働組合の組合長さんも当時そういうことがあったんだというお話をされました。  なぜそれが今日できなくなっているのか。それは、やはり国策だから、プルトニウムリサイクル路線は国策で、その国策に沿って動燃はやっているんだから、余り批判的なことは言わせない、そういうことになってしまっているのか。あるいは、労使間の労務政策が、職場の民主主義や人権についてこれを抑え込むというものになっていたのか。  つまり、私は、そこで本当に職場の民主主義があればもっと、だって、事故に遭遇してみずから健康を害したり身体の安全を侵される側の働いている皆さんなんです。現場で一番事故の問題をよくわかっているのは働いている皆さんなんですよ。その人たちがなぜ物が言えないのか。なぜ抑え込まれていたのか。そこには労務政策上問題があったのか。全体として、ここは国策会社と言ったらあれですけれども、国策研究所、だから批判的な物が言えないということになってしまっていたのか。この点は理事長さん、どうなんですか。
  172. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えいたします。  私は、最近、現場に行って若い連中とできるだけ話すということで接触し、いろいろな意見を聞いておりますけれども、職制の力で現場の若い人たちの口を封ずるとか、そういう感じは持っておりません。  ただ、おっしゃったように、じゃ、何でわかっていたのに事前に職制を通じて上がってこないかというような疑問は残りますけれども、現場に行った実感としては、職制の圧力で物を言わせないとか、抑え込んでいるとか、そういうことは肌で感じておりません。  ですから、おっしゃるように、もっと自由にはつらつと、自己の責任をもって進めていく、こういったムードを醸成していきたい、こう思います。
  173. 吉井英勝

    吉井委員 実は、私は、事故の調査などに入ったときも、以前労働組合の委員長をやっていらっしゃった方にも状況をお聞きしようと思って電話をしてみたことがあるのですよ。そうしたら、びっくりしたんだけれども、電話機のないところにずっと置かれているということなんですね。  きょうはそのことをやるつもりはありませんが、そういう批判的なことを言うとか、あるいは職場の民主主義とか、そういうことに立つならば抑え込まれてしまうという雰囲気になりますと、一つの例であっても、みんな、私のように少々厚かましいのは別として、勇気がなければ物を言えなくなるのですよ。私は、そういうことで、動燃皆さんが言うべきときに物が言えないようになってしまっていたのかなということを率直に印象として持ちました。これは質問じゃありませんからいいです。  今度の動燃の改革、改組ということですが、そのことによって、ネーミングの変更だけじゃなしに、この改組によって研究者の民主主義とか労働者の皆さんの民主主義というものがもっと尊重されるようなものになる、そういう方向なんですか。私は、この点だけは改めて理事長に一言聞いておきたいと思うのですよ。
  174. 近藤隆彦

    近藤参考人 今先生御指摘の方向で指導してまいります。
  175. 吉井英勝

    吉井委員 次に、一回目、二回目、三回目と質問してきたことを通じて、現在の技術的到達点というのは、高速炉については、いずれにしても二〇三〇年ということで、これは原子力局長自身も言っておられたように、そうすると三十年余りは研究の段階だ。再処理についても技術的にはまだ未確立なんだ、今後研究されていくものと思うという希望もおっしゃっておられました。  最終処分の問題についても、高レベル廃棄物のガラス固化体の深地層処分ということだけは方向を出していらっしゃるんだけれども本当意味での高レベル廃棄物の最終処分ということになりますと、我々の現役世代の間にいずれにしてもコントロールできるぐらいの短寿命、低レベルのものになっていくという技術の確立なしには、これは技術が確立したということにはならないわけですよ。  そういうふうにある中で、ですから今、原子力については文字どおり基礎的研究の段階であって、それを、もう相当技術的に開発が進んだものだ、もう成熟したものだと見て、これを開発済みということでどんどん進んでいく、プルトニウム循環方式を軸とする核燃料リサイクル政策ということで、これで進めていくということでいいのか。  私は、今そこのところが、今度の動燃改革法律案動燃事業団法の改正を考えるときに、これまでの原子力長期計画に基づくプルトニウムリサイクルを中心とする核燃料リサイクル政策はそのまま進めるんだ、これを大前提にしておったんじゃ——いや、改めて基礎的なところから一つ一つやっていって、本当にこれが我々人類がコントロールできる安全技術の水準の枠の中で利用可能なものになるのか。しかし、まだその段階の到達じゃ、安全技術の枠の中にはおさまらないし、最終処分を含めて全体としてサイクルは完結しないということになれば、その段階ではまだ利用ということにはいかないわけですよ。  そういう点で、プルトニウム循環方式を軸とする核燃料リサイクル政策、これを決めたから、もう何が何でもこれを守り通すんだということでそれを貫くということに今無理が出ている。私は、そこのところを改めて、やはり今度の法律改正に当たって、日本の原子力政策あり方そのもの、根本が問われているということを考えなければいけないときではないかと思うのですが、これは科学技術庁長官に伺いたいと思います。
  176. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 先ほどから吉井先生のお話を伺っておりまして、幾つか私ちょっと吉井先生理解が違うなと思う点がございました。  一つは、経営の不在、経営ということのとらえ方がちょっと私と違うなと思いました。経営が存在するということが同時に研究者が生き生き研究できないことだというふうに今言われたように思うのですが、そこはちょっと違うように思うのです。経営ということは、要するに、行政ともたれ合わずに裁量権を持ってきちっとやってほしいということでありまして、その中には当然、そこでの研究者が自由に生き生きと研究をしていくということも私は含まれていると思うのです。  それから、今の高レベル廃棄物の処理方策がまだ確立していないではないかという御指摘でありますが、私は、先ほども申し上げたわけでありますけれども、何が何でもやみくもに進んでいくなんということを申し上げているわけではないわけでございまして、この間の高速増殖炉懇談会の結論でも、有力な選択肢の一つとしてその実現性を追求する。文字どおりこういう表現だったかどうかちょっとわかりませんが、趣旨は間違いないと思います。それで、柔軟にやっていくということも申し上げているわけであります。  それから、何が何でもガラス固化体にして地層処分をしていくのだ、それの一点張りだということも申し上げているわけではなくて、このあたりは、これから原子力委員会でも、あるいは来るべき長計でも御議論をいただかなければならないところだろうと思っておりますが、先ほど原子力局長が御答弁した中にございました、原子力研究所でやっております消滅処分の研究、こういったものも、これもかなり大きな加速器が必要になるのだと思いますが、なかなか興味のある研究だなというふうに私は思っておりまして、こういう方面にも、あわせてやっていくということはやらなければならないことだと私は思っております。何が何でも突っ込んでいけということを考えているわけではございません。
  177. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  178. 大野由利子

  179. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  私は、今回のこの法律についての審議を通じまして、よく出てきたキーワードというのがあると思います。まず一つ目は、安全より安心、何回もさまざまな方が発言されました。そして二つ目に、トップランナーという言葉もたくさん出てきました。そしてもう一つ、はしの上げおろしという言葉も出てきました。そして、情報公開という言葉もたくさん出てきました。この四つのキーワードについて質問を進めていきたいと思います。  まず、安全より安心という言葉です。これは、今までは、安全ですからと言われてきたのですね。それが今度は、安全より安心だ、これが重要だというふうに変わったわけですが、本質が変わっているのかどうか、そこが問題だと思うのですよ。それで、私は、この安全より安心だという言葉にすりかえられていてはいけないと思うのですね。  今回のこの審議の中で、西澤参考人にお越しいただいた折に、安全神話は崩れた、事故はあるのだ、絶対安全ということはないというところからスタートしなければならないという御発言がありました。  もう一つ、公聴会では、安全の定義は事故の確率が低いこととおっしゃった方がいらっしゃるわけですよ。これは、例えばアスファルト固化処理施設の事故の場合は何万本に一本だったではないかというようなお話も、この間出ました。そうすると、確率が低いというのは果たして安全なのかどうか。  もう一つの御指摘がありました。これも茨城公聴会です。安全というのは、万一事故が起こっても回復できる方策が確立されている、そのとき初めて安全だと言える、そして安心につながると。万一事故があっても、この事故は非常に確率が少ないですよと言われても、その確率が低い事故が私のところで起こったらどうしてくれるのだということで、安心にはつながらないのですね。  本当の安全というのは、あなたの近くで事故が起こっても、それは回復できますと言い切れるときに初めて安全より安心という言葉が使えるのではないかと私は考えるのですが、長官はいかがでしょうか。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  180. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 安全より安心と、標語みたいになっておりますが、安全より安心が大事だということではなくて、安全だけを言っていればいいのではなくて安心をしていただくようなことももっと考えていかなければならないという意味だろうと思うのです。  それで、その前提として、安全とは何かということでございますけれども、これは都甲原子力安全委員長も御答弁をされていたと思いますが、これは人間のやることですから、全然失敗がないという状況を想定するのは傲岸不遜であって、そういう状況を前提にしていれば、実際に何か起きたときの対応もできないのだろうと私は思うのですね。人間のやることだから失敗はあり得るという前提に立たなければいけない。しかし、失敗をしたときに、その失敗が致命的にならないように、都甲先生の御表現ですと多重防護と言うようでありますけれども、そういう多重防護というものをきちっとしておくというのがこの原子力などの安全という考え方にある物の考え方ではないかというふうに私は思っているわけです。  それならば、では安心とはどういうことかといいますと、そういう仕組みででき上がっているということを専門家集団だけが理解をし、その中で、その中の約束事として安心しているようなことでは、これは大多数の方の安心につながらないのであって、それは情報公開とか適切な安全システムに対する説明とか、そういうものを組み合わせて安心をしていただく、こういうのが安全確保というものの、思想体系と言うと大げさでございますけれども、物の考え方ではないかというふうに思っております。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 辻元清美

    辻元委員 その際に、昨年からこの動燃事故を発端に審議をしてまいりましたけれども、例えば東海村のアスファルト固化処理施設についても、多重防護しておりましたというような御発言がございました。それを突破して爆発してしまったわけなのですね。そのときの御答弁が、しかし放射能は微量でございましたという発言なのですよ。これでは全く安心にはつながらないと思いますね。  放射能を扱う者の安全と安心というのは、ほかの者の安全と安心という概念とちょっと違って対処していかなければいけないと私は思うのですけれども、今長官がおっしゃいました安全と安心は、科学技術を取り扱う者にとってという御発言だったのですが、今回の場合は放射能が絡んできます。その点はいかがですか。同じでしょうかね。違いますか。
  182. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私は基本的に同じだと思っております。
  183. 辻元清美

    辻元委員 それはどういう点ででしょうか。一たび放射能を浴びてしまうと人間というのは回復できない、これは歴史が証明してきたことだと私は思いますけれども、そういうものを取り扱うわけですね。ですから、そういうものを取り扱う者の安全と安心というものを、ほかの科学技術と違う、ここが違うのだというふうにやはり考えていく。  それが果たして言い切れるのかというところ、私自身は言い切れないのです。いかがでしょうか。
  184. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 先ほど、確率といいますか、そういうことをおっしゃいました。何%かの確率で、人間のやることだから失敗はあり得ると。それで、それをカバーする方向を考えていかなければならない、こういうのがあらゆる科学技術の基本にある考え方だ、原子力もそれに当てはまるというふうに今申し上げたわけです。  今辻元委員が、どこが違うか、違いがあるはずではないかとおっしゃったわけですが、もしあるとすれば、あるとすればというここが大事な点だと私は思いますが、多重というところではないかというふうに私は理解をしているわけです。
  185. 辻元清美

    辻元委員 先ほども申し上げましたが、公聴会で、万一事故が起こっても回復できる方策が確立されていると。これははっと目からうろこが落ちたのですね。そういう安全の考え方ということをやはり政府もぜひ持っていただきたいと思います。それまでの御答弁は、確率の話とか、微量でしたという御答弁ばかりだったので、ぜひ持っていただきたいと思います。  これをやっていたら何時間も過ぎますので、次はトップランナーという言葉です。  きょうも何回も出てきたのですが、ここに、これは茨城公聴会に来ていただきました高木仁三郎さんのお書きになった「一周遅れのトップランナー」というものがあるのです。こう書いてあります。  他の国がどうこうは関係ない。資源小国日本はあくまでプルトニウム路線を追求すべきといった主旨の発言に終始している。  欧米に追いつこうという時代から、日本が先頭を走る時代になった。  日本は先頭ランナーではなく、一周遅れでトップに出ただけなのだ。先を走っていた連中が、このレースは危険、高すぎる、意味がないといって棄権してしまった。トップを走っていた連中には、このレースが泥沼に入り込むばかりで、早く抜けるに越したことはないことがよく見えたのだが、後ろから追っかけることに夢中だった選手「日本」には、それが見えなかった。もんじゅ事故の時に「泥沼」状態に気づいてしかるべきだったが。  日本の原子力委員会になかなか先を見る力がないことはやむを得ないとしても、せめて一周遅れだということは自覚して欲しいものだ。高速増殖炉に「日本独自の道」などあるわけはなく、これからたっぷりもう一周フランスと同じ苦難の道を歩むまではこりないということらしい。 という懸念を表明されているのです。この中の「日本独自の道」が私も高速増殖炉にあると思えないのですね。  この審議の中でも、フランスやアメリカではもうストップしたじゃないかと、それで御答弁をいただいたのですが、なかなか納得できない。この「一周遅れのトップランナー」ということに関してはどうお考えでしょうか。
  186. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 高木さんの御発言はなかなか皮肉のきいた御発言だなと思いますが、私も、何も手放しでトップランナーということを申し上げているわけではなくて、幸か不幸かトップランナーになったというような、抑制した表現をしたつもりなのです。  ただ、いろいろな事情で、撤退をされていった国それぞれの事情がありますけれども、きちっとこれが経済的にも技術的にも確立できれば、必ずこれは人間の使っているエネルギーあるいは地球への負荷を弱めるという方向で評価されることになるのだろうと。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、今度の高速増殖炉懇談会の報告書にいたしましても、何が何でもという書き方にはなっていないわけでありまして、それは経済的な採算性やいろいろな処理処分の方策も考えて柔軟に対処するという考え方は必要なのではないか、こう思っております。
  187. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、今の御発言の中に、何が何でもという言葉が、また新しいキーワードとして出たわけなのです。  ということは、やはりこれは核燃料サイクルというものがずたずたになっているという御発言も、これは敦賀公聴会で小林巌さんという陳述人の方がされました。実際に、「もんじゅ」はとまっているし、東海村のアスファルト固化施設ももう爆発してしまったし、ずたずたになっている。  そういう中で、これは何が何でもではなく、この核燃料サイクルそのものの是非についても、やはり議論の俎上にのせて検討すべきであるという意見がそれ以外の方からも出ておりますけれども、今の長官の何が何でもではないという真意は、そういうことでよろしいのでしょうか。
  188. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 これは先ほどの吉井先生の御質問にやや引きずられたところがございまして、吉井先生は何が何でもやるというのはよくないとおっしゃったものですから、何が何でもと言っているわけではないと申し上げて、キーワードにするつもりではないわけであります。  ただ、その辺は柔軟に視野を広げて考えるべきだというふうに私は思っております。
  189. 辻元清美

    辻元委員 その際に、柔軟にというお言葉がまた出てまいりましたけれども、柔軟にというのは、やはり反省のもとに立って、政策変更も大胆に行うときは決断をするということも含んだことが柔軟にという意味ではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  190. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今の段階で、この高速増殖炉、核燃料サイクルに関して大幅に政策を変更するというようなことは、私自身が考えているわけではありません。  ただ、いろいろな経済情勢あるいは科学技術の情勢、そういうものは常に情報も収集するし、初めからそういうものを一方的な見方で排除するような固定的な考えはよくないな、こう思っているということでございます。
  191. 辻元清美

    辻元委員 さて次は、はしの上げおろしに移りたいと思うのですけれども、これも長官が御答弁の中でおっしゃいました。要するにこれは、今までの科学技術庁動燃の関係を変えていかなくてはいけない、今までは動燃に対してはしの上げおろしまで監督官庁として指導してきた、そういう趣旨でお使いになったかと思うのです。敦賀公聴会でも、余り科学技術庁に口出しをしないでほしい、そういうことをおっしゃった陳述人の方もいらっしゃったのです。  さてそこで、これは現場の方に伺いたいのですけれども、今まで科学技術庁動燃に対してどういう指導をしてきたのか。はしの上げおろしまでしてきたという具体的中身と、それをどう変えようとしているのかということを具体的に答えてください。
  192. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 はしの上げおろしについて、ちょっと一言だけ。  はしの上げおろしという表現は、私ははしの上げおろしとまでは言わないがというふうにいつも言っていたと思うのです。
  193. 辻元清美

    辻元委員 しかし、同じ意味だと思うのですね。ですから、具体的に答えていただきたいのですよ。  というのはなぜかといいましたら、ほかの陳述人の方も、今回の変更は、法律を変えるということは核燃料サイクル開発機構に名称を変えるだけで実質は現在の動燃機構、体質を引き継ぐものにすぎないと言い切っている方もいらっしゃいますし、ここのところは私も、そういうところもあるのではないかと思うところもあります。  ですから、今までの科技庁と動燃の関係をどう変えるのか、今まではどうだったのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  194. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 その点につきましては、理事長が裁量権を持って責任を持ってやっていただくということでございまして、科技庁の方はそのやった成果を評価する、そういうような立場でやっていこう、そういうことでございます。  それからもう一つ、そういう指導を明確にするために、なるべくきちっと文書に残しておくということを指導した。そういうことを残しておけば、後から今度は逆に我々が評価される立場になるわけでございますから、そういうことで、なるべく透明性のあるような仕方をしていきたいと考えている次第でございます。
  195. 辻元清美

    辻元委員 実際に、今回の問題はやはり科技庁の責任ですよね。動燃だけではなくて、科技庁がその辺をどういうふうに変革、自分たちの中で、関係だけではなくて体質を変えていくかということも非常に重要だと私は考えています。  もうちょっとこれは行きたいところなのですが、もう一つ情報公開というキーワードも申し上げましたので、これは動燃の方にお伺いしたいと思います。  具体的に動燃に対していろいろな資料請求をしている人たちも私は存じ上げております。そのときに、なかなか出てこなかったり、いろいろなところを黒塗りにされたりしている資料も拝見したことがあります。今まで、適切な情報ではないという判断で情報を出さなかったことはどこで判断して、どういうのが適切な情報ではないということでお出しになっていなかったのか、それをどう変えたいのかという二点について、理事長、お願いします。
  196. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えします。  昨年の七月から情報公開指針をつくりまして、今日まで適用してきております。それで、資料公開を請求されたのが百七十件程度ございます。その中で検討中のものも若干まだありますけれども、全部お答え申し上げております。  それで、今後、請求されたものに対して答えられない、非公開にするというときには、情報公開委員会というものを今つくっておりまして、これには専門家の大学先生を初め外部の人に入ってもらっておりますけれども、そこで検討していただいて、こういう理由公開できない、非公開とすると、その根拠をはっきりしまして、外部にもそれを公表してまいります。  そういう方向でまいりたいと思っております。
  197. 辻元清美

    辻元委員 今、外部の方も入れて情報公開について検討していくというところは、どういう方を入れるかというところがこれもまた問題なんですね。そこのところはどういうアイデアでしょうか。  といいますのは、今までもそうなんですけれども外部の方も入れてということなんですが、その外部の方がどういう人であるのか。それこそ、安全から安心とおっしゃるならば、安心につながるというのは、ああ、こういう方が情報公開については審査なさっているのかというところが、何か内部の方やなとか一部のグループでやってはるなと思われたら、これは安心につながりません。  どういう方を選ぼうとしていらっしゃるのですか。
  198. 近藤隆彦

    近藤参考人 お答えします。  先ほど申し上げましたように、情報公開について非常に権威のある大学先生、弁護士さん、それから、私の方は核不拡散とか核防護の観点からどうしても一部非公開とせざるを得ないという面もありますから、そういう道の専門家等に入ってもらって運営していくということにしております。
  199. 辻元清美

    辻元委員 時間が参りました。  先ほど他の委員の方からも指摘がありましたが、今後やはり核燃料サイクルそのもののあり方について議論していくべきだと私は思います。  そこで、先ほどからも出ました新円卓会議などをやはり早急に設けて、今この動燃が、名前が変わって機構が変わったというだけではなく、その実態をオープンにしながら議論していく場を保障していくことも大事だと思いますから、その設置を急いでいただくように最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
  200. 大野由利子

    大野委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也さん。
  201. 小野晋也

    小野委員 長い審議時間を経てまいりました原子力基本法及び動燃事業団法の一部を改正する法律案も、いよいよ最終局面の審議になってまいりました。このときに至り、大変御多忙の中でございますが、内閣総理大臣、橋本総理におかれましては、当委員会に御出席をいただいて、動燃改革という問題のみならず、今後の原子力開発の方向をめぐって大変有意義な御出席になりますことを、私の方からも心より御礼申し上げたいと思います。  ところで、つい先ごろ、平和・改革の斉藤理事も一緒でございましたけれども、首相官邸に総理をお訪ねさせていただきました。そのときに、宇宙の夢を語るような会を開くんだという御報告を申し上げましたら、若いころを懐かしむような、そしてまた未来を夢見るような御表情をされて、アシモフというSF作家のお話ですとか、いろいろなことを私どもお聞かせをいただきました。その姿を拝見させていただき、お話を拝聴させていただきながら、科学技術創造立国ということを唱えながら、この数年間、日本の政治はその歩みを進めてまいったわけでございますが、橋本総理のその思いがこの一つの原動力になっているんだなということをしみじみと、実は感じた次第でございます。  そしてそれと同時に、いろいろなところでの総理の御発言を拝聴させていただいておりますと、この科学技術というものが必ずしも人を幸せにするだけのものではないという意味での問題意識もお持ちになっていることを感じております。  このあたりのことを考えてまいりましたときに、科学技術の開発に当たる人たちは、当然、人々を幸せにしたいと心から念じ、祈る気持ちで開発しているわけでありますが、結果として見ますと、必ずしもそれが幸せばかりには結びついていないという現実もあるということであろうと思います。その点を考えましたときに、科学技術の政策という面では一番基本問題になろうかと思うわけでございますが、科学技術というものが人間にとって幸せを生み出すための原則というものが何かあるのではなかろうか。  総理の個人的な御見解で結構でございますが、そういうものが幸せに結びつく原則ということについて、お感じのことをお話しいただきたいと思います。
  202. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは大変難しい問いかけでありますけれども、人間の歴史を振り返りましたとき、その中で科学技術の発達というものは大変な速度で、殊にこの近年発展を遂げてきました。しかしその中で、私は、必ずしも本当に科学技術というものが幸せだけにつながるものではないという思いはございます。  例えば、本委員会で御論議をいただいております、その中心テーマである原子力。本来なら、未来へのエネルギーとして祝福されるべき存在であったでありましょう。しかし、最初にこれが利用されたのは、厳密に言えば医学でエックス線が使われたとかありますけれども、兵器としての利用でありました。そして、その惨禍をこうむった人類最初の体験は日本であります。そして今も兵器として存在をいたしている。  一方で、私たちはこの原子力というものを、安全の上にも安全に注意を払いながらも、むしろクリーンなエネルギーとして利用しなければならない、そういう一つの方向性を持っております。  そして、自然界にありますものを医薬品として活用している間、必ずしも不幸な歴史はありませんでした。しかし、化学的に合成される医薬品というものに人類が頼るようになりましてから、医薬品による被害というものを日本自身も何例も体験をしてまいりました。  そういうことを考えましたとき、例えば、非常に便利であり安価でありということで使われてまいりました化合物から、燃焼によってダイオキシンが発生をする。これに対する取り組みを考えなければならない。  こうして考えていきますと、必ず、予見しない不幸というものが、平和の、あるいは人間の幸せのために開発される新しい科学の製品からも生まれてくるということを、私たちは常に意識しなければならないと思います。それだけに、新たな科学技術を私たちが取り入れますとき、それは知識の最前線にあるものでありますだけに、その経験をしたことのないプラス面、同時にぎりぎりまでマイナス面をチェックし、その上で活用していくという、研究開発の促進と利用というものについての基本的な考え方はあろうかと思います。
  203. 小野晋也

    小野委員 総理が御指摘のとおり、この原子力の技術というものは、日本の国にとっては、まずその洗礼を受けたのは原子爆弾。非常に高密度で大量のエネルギーが一気に出せるエネルギー源であるということから、人類の夢のエネルギーであると言われる一面もあれば、その反面、人類にとって破滅に結びつくものでもあるという、その両面を持ってここまで歩んでまいりました。  そんな中で、さまざまな思いが込められてきた分野であると私も考えているわけでございますが、今回提案されておりますこの原子力基本法ないし動燃の改革に関する法律案でございますが、この法律案というのは、今までのいろいろな問題を総ざらえにして、組織や体制、業務内容を、一度すべてを見直して、日本の国にとってみれば、やはり将来のエネルギー基盤を確立するために、どうしても動燃というものが立ち直らなければならないのだという思いを持って提案をいただいた法案だと私ども理解をしている次第でございます。ですから、これまでの動燃ということについての整理をこの段階で一度行っておくことが極めて大事なことだと私どもは認識をいたしております。  特に、幸せ、不幸せという議論がございましたけれども、このしばらくの動燃に対して寄せられてまいりました御批判を聞いておりますと、必ずしも原子力というのは人を幸せにしないのだという側面からの議論が随分多かったわけでございますが、これをどう切りかえていけるかということが今回極めて大事な課題になるという気持ちがいたしている次第でございます。  そこで、お尋ねをさせていただきたいわけでございますが、これまでの動燃というのは、なぜ今のような形でさまざまな御批判を受ける形になったと総理は御認識になっておられるのでしょう。そして、加えまして、今回の改革案を通し改革を進めることによって動燃の何が大きく変わり、国民の期待に沿う組織に変更していくというふうに御認識になっておられるのでしょうか。この点についての御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  204. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、動燃自身が過去に相当な業績を上げてきたことも当然ながら評価をしなければならないと思いますが、その上で、ここしばらくの間、本当に、動燃国民の信頼を傷つける、そうした事態が相次ぎました。  その一連の動燃問題の根本原因は、経営の不在、また閉鎖的な体質というものが問題だったのではないだろうか。そして、例えば「もんじゅ」の事故の反省というものが経営に反映されないままに再度事故を起こしてしまった。そして、さらに事故隠しといった事態にまで問題を拡大してしまった。結果として、国民の信頼を大きく失墜させ、大変な批判をいただくという事態になった、私はそのように思います。  したがって、抜本的な改革によって国民の信頼を回復することが第一に必要なことでありますが、そのためには、安全確保というものを最優先にしながら、責任と裁量が明確になるように経営体制を刷新すること、あわせて運営審議会の設置によって経営の透明性を確保する、同時に国民と双方向の情報交流というものを確立して国民の声を的確に業務運営に反映させる。この意味では情報公開というものが大変大事な役割を示すわけでありますから、情報公開を徹底させることにいたしておりまして、こうした改革が本法案の趣旨でもある、そのように考えております。
  205. 小野晋也

    小野委員 先ほどの総理の御指摘のとおり、このしばらくの動燃の不祥事の中で、虚偽報告動燃という不名誉なレッテルが張られるようなこともございました。それらすべてを考えましたときに、技術そのものよりも、やはりそれを取り巻く人の対応をめぐっての疑念というものが非常に大きかったということは率直に指摘せざるを得ないと思います。  とりわけ、原子力基本法の原則でございますところの公開という問題について、これが果たして本当に守られているのかという疑念を生んだことがさまざまな不信につながったということを私ども感じている次第でございます。  その点を考えましたときに、動燃から核燃料サイクル開発機構と新たな姿に変わったときには、この情報公開の姿がきちんとした形に整えられて国民の信頼を得る形になっているということを示す必要があるだろうと私は思います。  その観点に立ちましたときに、最も国民にとって、また近隣住民にとって大事な情報は何かというと、内部情報でもなければ技術情報でもなくて、あくまで安全情報というものだと思うのです。特に放射性物質が外界に放出されたということが即座に伝えられる仕組みをきちんと確立するということが何よりも大事なことだということを考えましたときに、ひとつ提案でございますけれども原子力施設の周辺には、モニタリングポストということで、大気中の放射能のレベルを示すようなモニターがついているわけでございますが、この情報を加工せずに直接インターネット上に流すことを通して、いつでも、いかなる人でも、どこでも施設の周りの放射能レベルというものを知ることができるという体制を整えることが安全ということに対する公開の姿勢を明確に示すことではなかろうかという気持ちがいたしております。  もちろん、円卓会議の開催ですとか情報公開指針の策定とか、いろいろな御努力をされていることは評価をするわけでございますが、ここでこの決断を行うことが動燃の体質転換を明瞭に示すことになると考えますが、総理の御見解はいかがでございましょうか。
  206. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 原子力施設の周辺におきましては、国の交付金によりまして立地県が放射線の監視を行っております。今議員は放射性物質の漏出を意味する放射能という言葉を使われましたが、それ以前の放射線の監視自体を既に行っているわけであります。  動燃施設の周辺におきましても、例えば茨城県及び福井県において、モニタリングポストによりまして放射線の計測を行いながら、このデータはリアルタイムで関係市町村などに提供をいたしております。  私は、今議員は放射能と言われましたけれども、放射性物質の漏出を意味する放射能という言葉以前の問題として、放射線という言葉でお答えをさせていただきたいと思うのですが、今議員が御指摘になりましたような手法、これは確かに情報公開の方法を多様化するという視点から意義のあるものだと考えます。その上で、その実施に当たりましては、関係される地方自治体等の御要望を踏まえて前向きに対応していきたい、そのように思います。
  207. 小野晋也

    小野委員 質問時間が終了いたしました。  総理、科技庁長官初め、これから原子力開発というものの新段階を迎えるわけでございますので、何とぞよろしくお願い申し上げまして、質問を終了したいと思います。
  208. 大野由利子

  209. 辻一彦

    ○辻(一)委員 若干、総理に質問します。  今回、原子力基本法の一部改正と動燃改革法案の論議に当たって地方公聴会を開いたということは大変意味があったと思います。今までこの委員会でそういう機会がなかったのでありますが、今回は、茨城県の水戸福井県の敦賀、いずれも動燃事故を起こした「もんじゅ」と東海再処理工場、その現地で開いたという意味は大変大きかったと思うのです。  そこで共通して出てきた問題は、やはり情報公開せよということが一番集約された中身であったと思います。私は、動燃が生き残るか否かも、新法人として生き残るか否かも、徹底した情報公開が行えるかどうかということにかかわる問題であろうと思います。  私も長い間原子力の問題を扱ってきましたが、ずっと前は、電力にしましても、なるべく住民には情報を知らせない、こういうことが大体中心であったと思いますし、また資料公開を見ても、政府政府系の学者はそういう資料を確保しているけれども、在野の学者にはなかなかそういうものは渡らない、こういう状況がありました。しかし、いろいろな状況の中で随分と変わってきて、今や、情報を共有する、住民も在野の学者もひとしくその情報資料を手に入れて共通の認識を持つというところに原子力理解とこれを支える力が生まれてくる、こういうように変わってきたと思います。  そういう意味で、情報公開原子力問題については何よりも大事な鉄則であろうと思いますが、これについて、総理の率直な御見解をお伺いいたしたい。
  210. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 原子力の開発利用というものを考えましたとき、国民理解と信頼を得るということは不可欠の要件でありますし、国や事業者にとって都合のいい情報のみを選択的に提供している、そういう非難を受けることがあってはならない。これは議員の御指摘のとおりであります。  そして、特にその中で、今も御指摘のありました安全情報はその最たるものでありましょう。同時に、原子力に関する情報というものの中には、核物質防護、あるいは核不拡散、財産権の保護、外交交渉に関する事項等、慎重に取り扱わなければならないものがあることも事実です。  しかし、いずれにせよ、情報公開については、動燃ばかりではなく、原子力関係者一同が積極的に取り組んでいかなければならない。殊に安全情報というものはその最たるものであるということは、私は議員の御指摘のとおりだと思います。
  211. 辻一彦

    ○辻(一)委員 二月の二十二日に福井県の敦賀市で、「もんじゅ」の安全性は解明されたか、究明されたか、こういうシンポジウムがありまして、原子力安全委員会の住田安全委員、また、科学技術庁原子力安全局あるいは動燃皆さん参加をされ、また、福井地方では、なかなか運動家が、批判派もおりますから、そういう非常に専門的なメンバー、特に京都大学や大阪大学等の専門的な学者が参加をして、四時間半か五時間近く論議をしたのです。  私は、ちょっとおくれて来ましたが、ずっとあの論議を見て、共通の資料公開をして、その上に乗って、共通の土俵の上で論議をすれば、これは非常に意味があるのではないか。だから、参加した人は、不信も持ち、いろいろ意見が違っておった場合も、四時間の論議を通して、専門的な論議はかなり深みを増したと思うのですね。  そういう意味で、ああいうふうなシンポジウムというか、賛否両論を持つところの学者やそういう活動をする人たちが集まって徹底討論をやる機会をやはり国は保障したらどうか。そして、その中身議事録等で詳細にとって、申し込みがありましたら渡しますよというのでなしに、ひとつ広く読んでもらう。こういう努力をすれば、共通の土俵の上に科学者同士が、賛成、反対はあっても、随分と理解し合えるのじゃないか。そういうことが原子力に対する理解を深める上で非常に大事であると思いますが、こういう点を私は政府にひとつ力を入れてほしいと思いますが、総理の御見解をひとつお尋ねしたいと思います。
  212. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 原子力委員会が、「もんじゅ事故を契機とした国民原子力に対する不安、不信の高まりなどの中で、国民各界各層の方々の幅広い御意見というものを今後の原子力政策に適切に反映させていくために、一昨年原子力政策円卓会議を開催をいたしました。そこでの議論を受け、会議公開あるいは報告書の策定に際しての国民からの意見募集といった、原子力政策への国民の声の反映に努めていく、そうした動きが出てきたと思います。  先ほども申し上げたことですが、原子力の開発利用、これは国民理解協力がなければできないことでありますし、今議員から提起をされましたように、国民の一人一人がみずからの問題としてこの問題を考えながら率直に意見を交わせる、議論をできる場というものを提供していくことは、私も意義のあることだと思います。  いわゆる新円卓会議というもののような考え方につきましても、原子力委員会におきまして、前向きにその実現に向けて具体的な検討が図られる、私はそのように考えております。
  213. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今総理もちょっとお触れになりましたが、広範な国民論議を起こすということが大変大事だと思いますが、そういう意味で、前に原子力委員会が設置した原子力円卓会議は、これは国民的ないろいろな論議を起こす上で私は一定の役割を果たしたと思うのですね。  しかし、その原子力円卓会議の中で、もっと広範な、核燃サイクル、プルトニウムをどういうふうにするのか、あるいは使用済みの燃料をどうするのか、中間貯蔵をやるのか、再処理をするのか、あるいはその最終廃棄物をどうするか、そして、今出てくるプルトニウムをプルサーマルというので大量に使おうとしているが、そういうことの是非等は、広範な国民論議を起こさなくてはいけない。そして、そういう国民の広範な合意というものなしに、ただ無理に進めてはならない。こういう点で、新原子力円卓会議というのを設けようということが原子力円卓会議で申し合わせ、確認をされたのです。  ところが、去年一年は、総理も、私は決算委員会等でも何回か論議をいたしましたが、「もんじゅ」に続いて、敦賀の「ふげん」の重水漏れ、あるいは東海の再処理工場の火災爆発事件、あるいは低レベル廃棄物の、ドラム缶の中に突っ込んで水の中につけておったというずさん管理、こういう問題が続々と順番に出てきて、それの対応等に我々も追われたし、論議もそういうものに傾いてきた。そういう点で、本当意味の新原子力円卓会議は開かれずにおったと思うのですが、そういう点について新たに新原子力円卓会議を開くべきと、先ほど午前中の論議では長官もそういう必要ありということを認識されておったのでありますが、改めて総理にこの点についての御見解を承りたい。
  214. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 昨年、京都で開かれましたCOP3の内容をこれから我々が実現していきますためにも、原子力エネルギーというものへの依存はいや応なしに我が国としては高くならざるを得ません。今議員からお触れになりましたプルサーマルについても、当然ながら我々は安全というものを前提にした上で努力をしていかなければならないわけです。  そうした中で、昨年一年間を振り返られながら、新円卓会議実現について努力せよというお話をいただきました。先ほども申し上げましたように、原子力委員会で今具体的検討に入っておるようでありまして、私も、いわゆる新円卓会議というものが早く具体化することを願っております。
  215. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最後にもう一点お尋ねしますが、私はしばしば総理には、原子力安全委員会を強化をせよ、八条委員会から三条委員会に切りかえて強化すべき、こういうことを本会議でもずっと申し上げてきましたが、日本の原子力安全委員会も二百名からの専門学者を動かすことができる、そういう特徴ある取り組みをやっているというような御答弁であり、安全委員長もそういう見解を述べていらっしゃいました。  そこで、私は思うのでありますが、スタッフがいかにも足りない。原子力安全委員会を支えているスタッフは、科技庁原子力安全局の十九名か二十名ぐらいでもって支えている。アメリカは、様式が違いますが、原子力規制委員会に三千名の人員を持って厳しい規制や安全管理をやっている。日本は日本のやり方がありますが、それに比べてやはりいろいろ問題があるのではないか。そこで、二百人の専門的な学者が十分に働いてもらうためにも、スタッフをもっと強化をすべきでないか。ちょうど行革等の中で内閣府に原子力安全委員会が置かれようとするときでありますから、そういう時期にこの強化を考えるべきでないかと思います。  そして、池田安全局長もいますが、彼は、第一次チェックをする行政庁の安全局長としての責任者である、同時に、第二次チェックをすべき原子力安全委員会の、もう一つの事務局長も兼ねている。それはやむを得ぬとしましても、厳しい規制という立場からすればこういうことはやはり分離をしてやっていくべきでないか。  そういう点で、総理のひとつ、原子力安全委員会の強化並びにスタッフの強化についての御見解を承りたい。
  216. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、科技庁の内部部局の定員についてのお触れがございました。  しかし、私は、原子力安全委員会は、現在でも、総理大臣の尊重義務など、通常の審議会などより強い権限を有しておるとともに、数百人の専門家を柔軟に活用させていただく、そうした体制であると思います。そしてこれは、非常に特色として、否定すべきことではないと私は思うのです。  今、御指摘をいただきましたように、本日から御審議をいただいております中央省庁の改革基本法の中におきまして、原子力安全委員会は内閣府に置かれると今位置づけられておるわけでありますけれども原子力の開発利用に当たっての安全確保というのは大前提というのは、先ほどから繰り返して申し上げてまいりました。そして、原子力安全委員会が、原子力の安全確保というものに対して国民安心感を与えていただくことができるように、その機能を最大限に発揮していくことが重要だ、その点は私はそう思います。その上で、組織の弾力性、こうした点は、私は、今の特色は生かしたい、そのような思いを持っております。
  217. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。ありがとうございました。
  218. 大野由利子

  219. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 平和・改革の斉藤鉄夫です。  今回の動燃法の改正によりまして、動燃にかわる新しい核燃料サイクル開発機構は技術を開発する、その開発された技術を商業化、実用化するのは民間がやるということになりました。かつ、その研究開発期間も非常に長期にわたる。  まあ、科学技術のビッグプロジェクトではこれはいたし方ないことだと思いますけれども、これまでの動燃は、それに甘えてしまった。実用化に責任を持たなくていい、かつ、研究期間も非常に長いからその間のチェックも余り入らない。そういうところに甘えて、目は監督官庁である科学技術庁の方ばかりを向いていた。これが今回の動燃の一連の不祥事の一つの原因ではないか、私はこのように思うわけでございます。  新しい機構も、宿命的には同じ体質を持っていると私は思います。新しい機構がそのような緊張感のない組織にならないために、私は、行政の最高責任者である総理のリーダーシップは非常に大切だと思いますが、この点に関しましての総理の御見解をお伺いいたします。
  220. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先日、国内、国外のこうしたビッグプロジェクト双方を体験して、海外におけるその一員という立場、日本国内の同様のビッグプロジェクトの中で研究者として携わった場合の落差について御経験を述べられたのはたしか議員だった、私はこう思います。そして、私は、率直に、あの御質問の際この点に非常に気をとられました。  そして、もし日本のいわゆるビッグプロジェクトというものがそのような、言いかえれば、官が行政のシステムを研究の中にそのまま持ち込む、そして、行政の職にある者が研究者を固定し、自由に研究のできない体制をつくってしまうという御指摘でありましたけれども、であるとすれば、これは、私は、我が国にとって非常に大事な問題を提起された、そのような思いであの質問を拝聴しておりました。  それだけに、長期にわたるプロジェクトであればあるほど、スタート時においても当然でありますけれども、それが継続している間、どうすればその柔軟性を保つことができるか。同時に、適当なタイミングにおいてその成果を評価する、チェックするというよりも、私は評価だと思います、評価するメカニズムをキープできるか。これは、私どもにとって非常に大きなテーマを与えられた、現在御審議をいただいております動燃の将来像に関しましても、その視点は落としてはならない、そのような思いでございました。
  221. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その意味で、私は、理事長の責任は非常に重い、このように思います。今回の議論を通じましても、責任、裁量権を強化し、責任範囲を明確にする、そのために理事長の裁量権を強化するということが議論をされました。  その理事長を選任されるのは内閣総理大臣でございます。科技庁に対しても、通産省に対しても、また、ある意味では電力業界に対しても、はっきり物を言えるその理事長を選ぶ仕組み的な担保はどこにあるのですかと先ほど科学技術庁長官にお伺いしましたら、その担保は内閣総理大臣の高い見識です、このようにお答えになりました。  その意味で、理事長を選任される立場にあります内閣総理大臣の、理事長はこうあるべきだ、また、こういう人が選ばれるべきだという御見識についてお伺いいたします。
  222. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、科技庁長官がどのような答弁をされたか今伺いまして、少々慌てましたけれども、やはり、これは、私であれ、私でない場合であれ、内閣総理大臣というものが人選をする場合にどういう基準から選ぶかということであろうと思いますし、同時に、どういうところに参考意見を求め、その上でよき候補者を得る努力をするかということにこの問題はかかるだろうと思います。  当然ながら、行政から意見を聞く、これも一つでありましょう。同時に、前任の方に自分が考えるよい後任を推薦していただく方法もあると思います。あるいは、特にこの場合でありますと、原子力委員会原子力安全委員会という、いわば最も我々が信頼しなければならない、そして権威を持つその組織に対して候補を求めるという方法もあろうと思います。あるいは科学技術会議に御意見を伺う、いろいろな形があろうかと思います。  私は、そうした中から、もちろん見識を備えた方々が推薦されると思いますが、その上で、外に対してきちんと説明のできる方、そして組織内をきちんと把握し管理のできる方、そうしたルールの中から選考をすることになるのではなかろうか。私であれば、そういう手法をとりたい。  しかし、そのためには、科学技術庁長官自身がまず第一次候補を選択する責任があることを改めて申し上げたいと存じます。
  223. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 高速増殖炉の研究開発について新しい機構が責任を持つということになりました。この高速増殖炉について、私は、地方公聴会に行って、まだまだ国民理解が得られているというふうには感じませんでした。新型転換炉を、この国会で一度の議論をすることもなく方針転換をするということもございました。私は、原子力行政にとっての一つの汚点だと思っております。  この高速増殖炉については、この国会の場で大いにこれから議論をさせていただきたいという希望を述べまして、私の質問を終わります。
  224. 大野由利子

  225. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  私の質問は一つでございます。それは、今般のような重要な科学技術上の問題に関します総理のリーダーシップのあり方ということでございます。  今般のこの一連の動燃事故、不祥事、本当にショッキングなものでありまして、科学技術界も震撼いたしましたし、また社会一般も大いに衝撃を受けたわけでございます。  科学技術が発達してまいりまして、プロジェクトが一つ一つ非常に大きなものになっていく。そして、国としても、どういうプロジェクトをやっていくのか、またそれを進めていくのか、やめた方がいいのか、そうした大きな決断を迫られることが多々出てきているのだと思います。  総理は、内閣総理大臣として、内閣を通じて行政一般の頂点に立つお立場から科学技術行政に関与されているわけでありますけれども、同時に、科学技術会議の議長としても科学技術政策に関与されているわけであります。総理が議長を務めておられるものとしては安全保障会議というものもあるわけでありますけれども、例えばペルシャ湾への掃海艇等の派遣について、カンボジアPKOの派遣について、最近であればゴラン高原への自衛隊、輸送部隊の派遣等についてなどなど、国としての重要な決断をその安全保障会議の場で総理のリーダーシップのもとで決断されているわけでございます。  これに対して、科学技術会議の方では、最近の例を見ますと、「先端的基盤科学技術に関する研究開発基本計画について」に対する答申ですとか、「地域における科学技術活動の活性化に関する基本指針について」に対する答申でありますとか、基本計画ですとかあるいは基本方策、大綱といった中長期的な科学技術政策に関するものが多いわけであります。  もちろん、中長期的な科学技術政策についてじっくり時間をかけて練り上げて決めていくこと、これは大変大事なのでありますけれども、安全保障と分野は質的に異なるところもあるわけでありますけれども、日本が科学技術立国ということで、その科学技術という分野が安全保障と同じくらい国にとって重要なものだと考えて取り組んでいくのであれば、この科学技術会議をもっと活用し、今回のような核燃料サイクル計画、高速増殖炉のあり方について国としてどう取り組んでいくか、こうした決定についても科学技術会議で審議していくということが適当なのではないかと考えるわけでありますけれども、この点いかがでしょうか。
  226. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、核燃料サイクルの研究開発あり方と限定して考えました場合には、確かに委員御指摘のような御意見もあろうと思いますけれども、これまでの原子力委員会の活動の実績などから考えますときに、原子力政策としての整合性を確保するという観点からは、原子力委員会において検討することの方がより適切ではないか。言いかえれば、今度は逆に、原子力委員会国民一般との乖離をいかに縮めていくかということはございます。  しかし、やはり私は、原子力委員会が検討されることが望ましいのではないかと思うのですが、動燃の問題でまさに国民との乖離というものが指摘をされました。ですから、今回、実は、原子力委員会をどうやったら一般国民にもっと近づいていただけるかということから、原子力委員の選任に当たりましても、ジャーナリスト出身の木元さんのように、原子力以外の分野の方を任命をさせていただいた、私は、この分野に関してはそういうことを考えております。そして、どちらかといいますなら、原子力委員会と一般国民との間の乖離を埋めるということがより大切ではないかと思います。  同時に、科学技術会議についての御指摘は、私は大変貴重なものとしてちょうだいをいたします。そして、方向づけというものについて、今まで主としてお力を拝借してきました。しかし、御指摘を受けると大変耳が痛いのでありますが、私自身、科学技術会議がややちょっと形式に流れているという感じも持っております。  そこで、今、議員の皆様の御都合がうまく合えば、できるだけ早く一度科学技術会議を開かせていただいて、活性化と言っては大変失礼でありますけれども、一つの試みとして、科学技術をめぐるさまざまな問題に、テーマを設けるのではなくて、自由な討論をしていただくことはできないだろうか、そのようなことを考えておりまして、科学技術会議をより活性化し、もっとその御意見を活用できる手法は考えてまいりたい、そのように思います。
  227. 達増拓也

    達増委員 科学技術会議は、科学技術関係省庁のみならず、科学技術政策委員会の代表、科学技術政策委員会も、科学技術に関する日本のトップの有識者、しかも行政実務でありますとか、あるいは大きな企業のエグゼクティブスタッフでありますとか、そうした多様な経験も有しておられる方々がそろっていると思いますので、国家としての重要事項の決定についても大いに力を発揮すると思いますので、その点期待したいということで、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  228. 大野由利子

  229. 吉井英勝

    吉井委員 今回の動燃事業団法の改正の契機となったのは、御承知のように、相次ぐ動燃事故でした。そのときに総理は、もう動燃の名前も聞きたくないとおっしゃったことも新聞で読みましたけれども、きょうはまた、経営の不在ということもおっしゃっておられました。  経営という点で見ますと、動燃基本方針、基本計画、もう一つは人事政策とあろうかと思うのですが、動燃事業団法の第二十五条で、内閣総理大臣が定める基本方針、基本計画に従って事業団の業務が行われるわけで、第十三条、理事長内閣総理大臣が任命するということに御承知のようになっているわけです。  そこで、いわば動燃の経営の一番のかなめのところに立っていらっしゃるのはやはり総理ですから、今回のこういう法律改正に至ったそもそもの動燃の一連の事故について、総理として、一番責任ある立場にいらっしゃったわけですから、一言で結構ですから、どういうふうにこの問題について責任というものをお考えになっていらっしゃったか、それを最初に伺いたいと思います。
  230. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど、この御審議をいただくべースになる法律案はどのような反省からという御質問を受け、閉鎖的体質とともに経営不在ということを申しました。そして、それを違った言葉で言いかえますならば、専門家の集団として、専門家にわかる言葉で、専門家の内だけで話していたということが言えるのかもしれません。  その上で、法律上の任命権者としての私の責任にお触れになりました。法律上、確かにそういう御論議ができないことではないことは存じ上げておりますが、現実の問題として、その専門分野に携わる方々の知識というものを当然ながら信頼をする、そしてその範囲内において適材と思われる方々を今までも任命をし、仕事をしてきていただいたと思いますが、そうした内在する体質が事故という形で表面に露呈をした、そして最終的に報告をごまかすといったことで決定的に国民の信頼を傷つけたのではないだろうか、私はそう考えております。
  231. 吉井英勝

    吉井委員 それで、今度の改革につきましては、昨年八月に動燃改革基本方向ということで検討委員会から発表された中で「理事メンバーの人選」というのが挙げられておりまして、「その構成は、新法人と特定の利害関係のある者や関係省庁からの出向者が大半を占めることなどは適当ではない。」という指摘がありました。  総理自身がこれまでの理事長等の任命をしてこられたわけですが、この指摘で大半どころじゃなかったわけです。これまでの正副理事長十八名の中で電力と原発メーカーの方が十四名で、天下りの方が三名で、プロパーの方が現在副理事長一名だけなんですね。そういう事態でした。  内容的に見ても、特に原発メーカーの方がもちろん入っているし、それは正副理事長だけじゃなくて、顧問、参与とかさまざまな形で入っているわけですが、ここで、発注側の正副理事長が同時に受注側の会社幹部、これはどう考えてみてもやはりおかしなわけであって、ですから理事メンバーの人選について、基本方向の中でも触れられておりますが、今後はやはりそういう形は改めるという立場で臨まれるのかどうか、これを二つ目に伺いたいと思います。
  232. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員御自身がお調べになったと思われます過去の就任前の履歴による分類を承りました。しかし、私は、もちろんそういう関係者ばかりから選ばれることがいいと決して申し上げるのではありません。同時に、本当によい人材であれば、本当にいい方であった場合に、どこにおられたかということによってその方を選任しないということは必ずしもいいことだとは思いません。当然ながら、天下りと言われる、あるいは関連企業からと言われるそうした方々が選ばれること、それが望ましいと申し上げるのではありません。他の世界においてよりすぐれた方があればそうした方をお迎えすることは望ましいことであることは間違いありません。しかし、だからといって関連業界におられる、あるいは行政官庁に存在をする優秀な人材を排除する必要もまたないと私は思います。
  233. 吉井英勝

    吉井委員 次に三つ目に、いずれにしてもプルトニウムリサイクル、核燃料サイクルということで、その政策の上に立って今後も進むわけですが、このプルトニウムリサイクルが本当によい選択なのかとか、リサイクルの前提となる高レベル放射性廃棄物の低レベル化とか短寿命化の実現など含めて、やはり技術的に可能となるのかどうかとか、本当に基礎的なところから今原子力というものは改めてきちんと見直して進めていくということが大事だと思うんですが、三つ目の問題としては、プルトニウムリサイクルそのものを再検討することが必要じゃないかということについて、いやこれはこのまま進めていくんですというお考えなのか、その点を伺いたいと思うんです。
  234. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 軽水炉による核燃料サイクル、これは英国あるいはフランス等におきまして商業ベースで事業が進められておりますと同時に、我が国においても動燃等におきまして所要の技術開発が進んでおります。そして民間で事業化も既に進んでおりますし、その技術は基本的には私は確立したものだと、門外漢でありますけれども思います。  そして、将来の有力なエネルギーとしての高速増殖炉による核燃料サイクル、これは「もんじゅ」の事故などを踏まえた原子力委員会における検討結果というものを踏まえながら、実用化の可能性を追求していくことといたしております。  資源の乏しい我が国におきまして核燃料サイクルの確立というものは極めて重要でありますし、地球温暖化に対抗する、そうした視点も含めまして、安全というものに大前提を置きながら今後とも着実に進めてまいりたいと考えております。
  235. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  236. 大野由利子

  237. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  きょうは総理に三つぐらい質問したいと思います。  まず一つ目は、原子力政策のミクロの視点とマクロの視点ということでお伺いしたいと思います。  まずミクロの点から。今回の新法人に改革していくという法案を私たち検討してまいりました。その中で、やはり真に新法人に切りかえるためには、機構やそこで働く人の意識を変えるだけではなくて、今までの動燃が持っていた負の遺産をこの際解決してしまうということも非常に重要だと私は考えております。  そういう意味で、私は、この委員会が始まりまして最初に、その負の遺産ということで、人形峠のウラン残土問題というのを取り上げました。  これは、総理のおひざ元の岡山県そしてお隣の鳥取県で問題になっておりますが、私たち社民党も、このウラン残土問題の早期解決ということで、ちょうど十年前、一九八八年一月に、当時は土井委員長でしたけれども政府に申し入れております。その同じ申し入れを、十年たってことし、一九九八年一月二十六日に今度は土井党首として申し入れさせていただきました。実際には十年間解決しておりません。さらに一九九〇年には、ウラン残土撤去に関する協定ということで、早期に撤去するというような協定を地元の方と動燃も結んだりしておりました。これは今のところ、二年前、一九九六年に一部借地権が切れているようなところもありまして、そこにもウランの残土が残っております。  先ほど私はミクロと申しましたけれども、今回の改革にとって負の遺産をどうするのかということも非常に重要な問題と思いますので、この際総理に、この人形峠のウラン残土問題をどのように御認識なさり、どういう問題で、どう解決すればいいというふうにお考えかをお聞きしたいと思います。
  238. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは私のふるさとでありますけれども、古い選挙区制度でも私の選挙区ではなかったものですから十分な知識がありませんで、きょう御質問を受けるということで、県の関係者にも改めてちょっと聞いてみました。そしてわかりましたことは、動燃が鳥取県内で行いましたウランの探鉱活動に伴って出てきたウラン残土、これを岡山県にあります人形峠事業所に搬入するという約束を行った、しかしそれが実現していないということでありました。これは、あらかじめ岡山県側の意向を確認せずに約束がなされたということから、本件に関しまして岡山県知事は受け入れを一貫して拒否しておりまして、人形峠事業所への搬入は事実上不可能な状況だと思います。動燃及び監督する立場科学技術庁ともに適切さを欠いていたと言わなければならないと思います。  現在、鳥取県知事の要請によりまして東郷町というところにおきまして検討されている町内保管案というものにつき何か議論がされているということでありまして、地元の御了解が得られて解決に向けて前進することを期待をいたしております。
  239. 辻元清美

    辻元委員 今御答弁の中に、東郷町の町内保管という言葉が出ましたが、それが問題になっているのです、総理。その方々がずっと、それは困ると言い続けてきた問題でありますので、今置いてあるところにそのまま置くように何とかしようというような方向での解決は真の解決ではないと私は考えますので、地元の御理解を得るという原子力政策を遂行していくためには、やはりそこからの撤去という方向で解決していただきたいと思います。  もう一つお聞きしたいと思います。  今度はマクロの視点ですが、実際に今経済は右肩上がりの経済成長の時代ではございません。そういう中で長期エネルギー計画をどのように定めていくのがいいのか。変更も含めて考えるべきではないかと私は思っておりますが、御所見はいかがでしょうか。
  240. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 エネルギーというものを考えますとき、エネルギー資源のほとんどと言ってもいいくらいを輸入に頼っております日本、そのエネルギー供給構造の脆弱さというものは、かつてのオイルショックで我々は痛いほど味わう結果になりました。また、地球環境問題への対応の必要性といったことを考えましたとき、化石燃料にいつまで、どれだけ依存できるのかという問題に対して私どもは答えを出さなければならない状況にあると存じます。そして、そうしたことを考えましたとき、原子力発電というものを長期的に、しかも安定的に進めていく、その上で核燃料サイクルの確立というものは極めて重要な政策であり、また方向性であると私は思います。  そして、議員から提起をされたことに多少反するかもしれませんけれども、このアジア全体を考えましても、来世紀に化石燃料への依存が高まっていけば高まっていくほど、地球温暖化という問題に占めるアジアのウエートが高くなるわけでありまして、私どもはこうした点も努力をしていかなければならない方向にあります。  そうした中にありますだけに、「もんじゅ」の事故ども踏まえまして、国において原子力政策円卓会議を開催し、そこからの御議論をいただきながら、原子力政策というものに国民各界各層の御意見を幅広く反映させるべく努めてまいりました。  私は、議員の視点を真っ向から否定するつもりはありませんけれども、今後ともに安全確保というものに万全を期していく、そして徹底して、特に安全情報について情報公開を進めていく、国民との一層の対話を促進していく。そういう中で国民の御理解をいただきながら、核燃料サイクルというものは着実に進めていかなければならないと考えております。もちろん、そのために、その御理解をいただくためにも国民的な議論というものが必要であること、そして、本日もこうして御審議をいただいておるわけでありますが、国会における御議論というものが国民理解の上での非常に重要な役割を持つことも私は否定をいたしません。よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  241. 辻元清美

    辻元委員 質問を終わります。
  242. 大野由利子

    大野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  243. 大野由利子

    大野委員長 この際、本案に対し、辻一彦さん外二名及び斉藤鉄夫さんから、おのおの修正案提出されています。  順次趣旨の説明を聴取いたします。吉田治さん。     —————————————  原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  244. 吉田治

    吉田(治)委員 私は、会派民友連を代表して、原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及び概要を御説明いたします。  本委員会における先般の水戸敦賀地方公聴会において、ほとんどの意見陳述人が情報公開必要性を力説されました。安全、安心ということにつき、国民動燃との著しい乖離とまで言える意識の違いなどが指摘されています。そうした体質を形成したもとには、情報の独占や非公開や、外部意見批判の謙虚な受け入れがなかったことにあります。  したがって、情報公開について動燃改革法案二十六条のように、適切なる情報公開では、動燃の自主的努力を認めるようにしたとしても極めて不十分、中途半端なものであります。  民友連は、少なくとも野党共同で提出しております情報公開法案のレベルにまで規定をする必要があると考えています。情報公開が徹底されない限りは、いかに組織を変えても動燃のあしき部分の体質は変わることはありません。その点で、情報公開動燃体質改革の根本である、こうした認識に立っているのであります。  修正は、政府原案の附則に情報公開に関する暫定措置を加えるもので、以下、その概要を御説明いたします。  一、個人のプライバシーに関する情報や明らかな利益侵害にかかわる情報などを除いた情報について、何人も機構理事長情報の開示を請求することができること。  二、理事長は開示請求から原則十四日以内に、開示、不開示の決定を請求者に通知しなければならないこと。  三、開示決定等に係る不服申し立ての場合、理事長は総理府に置く情報開示不服審査会に諮問しなければならないこと。  四、開示請求を行う者の利便に配慮した、多様な施策を講じること。  五、政府は、毎年度、国会に対し機構に係る情報公開状況報告し、概要を公表すること。  以上であります。  なお、この修正によって、情報開示不服審査会委員の人件費等により、平年度ベースで約八千万円の支出増となる見込みであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  245. 大野由利子

    大野委員長 次に、斉藤鉄夫さん。     —————————————  原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  246. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は、会派平和・改革を代表して、ただいま議題となりました原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対する修正案概要とその趣旨について御説明いたします。  政府提出の本法律案は、たび重なる事故とその後の情報改ざんや虚偽報告によって社会的な信頼を失墜した動力炉核燃料開発事業団を抜本的に改革し、再スタートさせるために必要な措置を講じようとするものです。しかし、技術的な安全確保はもとより、新法人が国民の信頼を回復するには、何よりも徹底した情報公開による業務運営の透明性の確保が必要不可欠であります。  単なるサービスとしての情報提供ではなく、開示請求権を伴う情報公開は、新法人が常に組織の体質改善を図りつつ、危機管理を充実させ、みずからが存在し続けるための重要な条件でもあります。  我々平和・改革は、行政機関とすべての特殊法人を対象とした行政情報公開に関する法律案を、民友連、自由党とともに今国会提出しているところですが、新法人を含む特殊法人を対象とした情報公開法が成立するまでの暫定措置として、平和・改革の修正案は、政府提出原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正するものであります。  すなわち、情報公開に関する暫定措置として、特殊法人についてその保有する情報公開に関する法制上の措置が講じられるまでの間、機構は、その業務の運営における透明性を確保するため、機構が保有する情報の開示の請求があつたときは、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすことが明らかである情報その他の開示を拒むことについてやむを得ない事由があると認められる情報である場合を除き、相当の期間内に、当該請求に係る情報を開示するものとする。 の一条を附則第十一条として入れるというものであります。  以上が、平和・改革が提出している修正案概要であります。  各党派の賛同を心からお願いし、趣旨説明といたします。
  247. 大野由利子

    大野委員長 これにて両修正案についての趣旨の説明は終わりました。  この際、辻一彦さん外二名提出修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。谷垣科学技術庁長官
  248. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 内閣は、この修正案に反対であります。     —————————————
  249. 大野由利子

    大野委員長 これより原案並びにこれに対する両修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也さん。
  250. 小野晋也

    小野委員 私は、自由民主党を代表して、内閣提出原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に賛成し、民友連及び平和・改革提出の同法律案に対する修正案に対し反対の立場から討論を行うものであります。  いわゆる動燃による一連の事故及び不祥事は、国民理解協力を前提として進められてきた原子力開発利用について、国民の信頼を裏切り、その不安感や不信感を惹起させるなど、多大な影響を与えたものであり、早急に動燃の抜本的な改革を図り、国民の信頼を回復することが極めて重要であります。  また、我が国におけるエネルギー供給上の原子力発電の重要性にかんがみれば、核燃料サイクルの推進は必要不可欠な政策であり、その研究開発の担い手を今失うわけにはいかないのであります。  政府案は、公開もとで有識者によりまとめられた動燃改革検討委員会報告書等を踏まえ、これまでの業務を抜本的に見直し、整理縮小するとともに、経営の刷新を図り、核燃料サイクルの技術的な確立に向けて研究開発を行う法人として再出発させるために必要な措置を講ずるものであります。  改組後の業務については、これまで肥大化があったとの反省に立って、民間で実施すべきものについては行わないよう限定するとともに、研究開発成果の社会への幅広い還元の観点から、成果の普及を業務として規定するなど、妥当なものであります。  また、その業務運営については、新たに運営審議会が設置されることにより、外部意見が幅広く経営に反映されることとなり、透明性や社会性が確保され、経営の機能強化が図られるものであります。  さらに、安全の確保や適切な情報公開等その責務について明確化が図られるとともに、現在、その改革に向けて、役職員の意識改革、情報公開や広報の充実、安全確保の機能強化等について、積極的な取り組みが行われているところであります。  このようなことから、今回の改正により、動燃の改革が十分に図られるとともに、失われた国民の信頼が回復されるものと確信しております。  他方、民友連及び平和・改革提出修正案に関しましては、行政情報公開のための法制上の措置に関して、特殊法人全般を対象とした情報公開あり方に関する問題も含め、別途審議が行われようとしているところであります。このため、核燃料サイクル開発機構情報公開についての法制上の措置につきましては、その審議の結果を踏まえつつ、適切に対処すべきであることから、両修正案には反対であります。  最後に、このような事態は二度と起こしてはならないことを肝に銘ずるとともに、安全の確保を大前提として、国民的議論を通じて、国民理解協力を得つつ、一日も早い核燃料サイクルの確立を目指していただきたい。そのためにも、政府は、国民の信頼が早急に回復されるよう、真の動燃改革の達成に向けてさらなる努力をされることを期待いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
  251. 大野由利子

    大野委員長 近藤昭一さん。
  252. 近藤昭一

    近藤委員 私は、民友連を代表して、原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案並びに民友連提出修正案に賛成の立場から討論いたします。  繰り返すまでもありませんが、九五年十二月の「もんじゅ」ナトリウム火災事故を初め、昨年三月の動燃東海再処理工場の爆発事故以降も枚挙にいとまがないほどの動燃の不祥事、不始末が続いてまいりました。  資源に乏しく、新エネルギーを科学技術開発によって補っていこうとする我が国にとって、この一連の事故は大変なマイナス効果をもたらしました。しかしながら、だからといってすべてを放棄してしまうのではなく、その失敗から教訓を学び、前進していかなければならないことも自明のことであります。そこでは、言葉だけの反省でなく、その反省を具体的に実現していくための仕組みが必要であります。それがあって初めて、国民皆さんの負託を受けて、エネルギー政策、科学技術政策を推し進めていけるのではないでしょうか。  ところが、今回の改正案では、動燃改革委員会報告書の指摘する、動燃の内部チェックの甘さ、外部評価機能の欠如、運営の透明性の不足等に対する対応が不十分であり、このままでは国民が安心して原子力政策を新法人に任せることはできません。  そこで、報告の中でも、改革の大きな柱として新法人の存在の条件とさえ表現されている情報公開の徹底化を損保するための修正が必要であり、それがあって初めて、新法人の体質改善が徹底化されるのであり、国民が新法人の研究開発継続に同意することができるのであります。情報公開が進んだと言いながら、一部の動燃による実験レポートは、内容はもちろんのこと、そのタイトルさえいまだ明らかにされておりません。これでは真の国民のためのエネルギー開発の前進はないと思います。  私は、国民皆さんへの情報公開を徹底化させる民友連提出修正案の成立は是が非でも必要であると考えます。今回の改正が画竜点睛を欠かぬよう委員各位の御理解、御賛同を期待しております。  なお、平和・改革提出修正案については、情報公開の徹底化に対する担保が不十分であり、反対といたします。  ありがとうございました。(拍手)
  253. 大野由利子

  254. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は、会派平和・改革を代表し、平和・改革提出原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成する立場から討論いたします。  民友連提出修正案は、私ども平和・改革と民友連及び自由党の三党が今国会に共同提出しております特殊法人を含む行政情報公開に関する法律案に基づいた情報公開の規定を盛り込んでいることもあり、基本的には賛同するものであります。  ただし、特殊法人を含む行政情報公開に関する法律案がまだ国会審議が行われていないこと、及び、情報公開に係る細かい具体的内容については、情報公開法本案に盛り込むことが適当であり、本法律案に付するのはふさわしくないことの二点から、反対をいたします。  よって、会派平和・改革は、民友連の修正案と精神は同じくするものの、新法人を含む特殊法人を対象とした情報公開法が成立するまでの暫定措置を附則として修正するのが適切と考えます。  また、高速増殖炉を中心に据えた核燃料サイクルが安全面やコスト面で適切であるかどうか、将来の議論を踏まえ、勇気ある撤退をすることも選択肢の一つと踏まえつつ、現状では政府原案が原子力行政の改革のワンステップであるとして、平和・改革は政府原案に賛成することを表明し、私の討論を終わります。(拍手)
  255. 大野由利子

  256. 吉井英勝

    吉井委員 私は、日本共産党を代表して、原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、本法案が、基幹的業務はほとんどそのままで名称だけを核燃料サイクル開発機構に変えるという、動燃の単なる衣がえであり、動燃をめぐる業界と行政のなれ合い、総理の監督責任などを問わずに済まそうとするものだからです。  動燃の一連の事故と隠ぺい工作は、安全管理まで含めた出向・下請依存とメーカー任せ、秘密主義という動燃の体質だけでなく、その背景にある電力業界、原子力産業界と科学技術庁、通産省によるなれ合いの原子力行政の姿を改めて国民の前に明らかにしました。また、法律に基づく動燃の監督権者は総理大臣であります。動燃の監督権者である総理の責任、また、業界と行政のなれ合いの問題、政官財癒着と言われる問題などこそ問われるべきものであります。  反対理由の第二は、本法案が、動燃を衣がえすることで、動燃問題によって大きく広がった原子力政策・行政への不信、批判をかわし、核燃料サイクル政策を継続推進しようとするものだからです。  動燃問題を通して、国民の間には、日本の原子力政策原子力行政への厳しい不信と批判が広がりました。それは、政府が、原子力技術が未成熟で安全性確立されていないのに、安全、実証済みといって、原子力産業など大企業奉仕で核燃料サイクル政策を強行してきたからです。動燃の一連の事故と隠ぺい工作は、この強引な核燃料サイクル推進の破綻を事実で示したものです。にもかかわらず、引き続き核燃料サイクル政策を推進することは許されません。  原子力分野安全技術の枠内での慎重な取り組みが特に求められます。動燃問題を教訓に、安全確保、公開、民主、自主という根本原則に立ち返り、プルトニウム循環方式を軸とした核燃料サイクル政策を根本的に見直すことこそ必要です。  なお、二つの修正案については、情報公開は当然のことですが、原案を前提としたものであり、賛成できません。  以上、本案に反対する理由を述べ、反対討論を終わります。
  257. 大野由利子

    大野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  258. 大野由利子

    大野委員長 これより採決に入ります。  原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、辻一彦さん外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  259. 大野由利子

    大野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、斉藤鉄夫さん提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  260. 大野由利子

    大野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  261. 大野由利子

    大野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  262. 大野由利子

    大野委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、小野晋也さん、辻一彦さん、斉藤鉄夫さん、菅原喜重郎さん及び辻元清美さんより、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。菅原喜重郎さん。
  263. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民友連、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、動力炉核燃料開発事業団による度重なる事故及び不祥事を重く受けとめ、本法の施行に際しては、原子力基本法の精神を尊重するとともに、次の事項に関し、特に配慮すべきである。  一、核燃料サイクル開発機構における情報公開については、「情報公開指針(ガイドライン)」を積極的に運用し、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすことが明らかである情報、その他不開示とすることについて合理的であると認められるものを除き、できうる限り速やかに開示し、社会的信頼の回復に努めること。  一、高速増殖炉、使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処理・処分等の核燃料サイクルに係る政策については、今後とも、国民的議論を継続し、その合意形成に努めること。  一、原子力施設の安全の確保のため、安全審査機能の強化・拡充に努めるとともに、原子力防災については、周辺住民の不安感が高まっていることに鑑み、・地元自治体の要望も踏まえつつ、より実効性の高い防災体制の整備に向けた検討を進めること。  一、核燃料サイクル開発機構の運営に当たっては、安全の確保に万全を期するとともに、職員の意識改革を図り、地元重視を基本として、透明性のある運営に努めること。    また、大学、民間企業等との幅広い連携に努めるとともに、開発成果の民間への移転の促進を図ること。  一、理事長の任命に当たっては、幅広い裁量権が付与されることに鑑み、強力なリーダーシップを発揮できる人材を選定すること。    また、運営審議会の委員の選定に当たっては、その設置の趣旨を踏まえ、広く外部意見を業務運営に反映させるため、幅広い分野から人選すること。  一、原子力施設の立地地域においては、地域の振興にきめ細かな配慮をするとともに、業務の整理縮小に当たっては、地元自治体等と協議を行い、それらの理解を得つつ、雇用の安定にも配慮し、円滑に行うこと。   右決議する。 以上であります。  各事項の内容、趣旨につきましては、委員会の審査を通じ十分御理解いただけることと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  264. 大野由利子

    大野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  265. 大野由利子

    大野委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣科学技術庁長官
  266. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして御可決をいただき、まことにありがとうございます。  私といたしましては、ただいま御決議いただきました附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、動燃改革に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。(拍手)     —————————————
  267. 大野由利子

    大野委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  268. 大野由利子

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  269. 大野由利子

    大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十七分散会      ————◇—————   〔本号(その一)参照〕     —————————————    派遣委員茨城県における意見聴取に    関する記録 一、期日    平成十年四月六日(月) 二、場所    水戸三の丸ホテル 三、意見を聴取した問題    原子力基本法及び動力炉核燃料開発事業    団法の一部を改正する法律案内閣提出)    について 四、出席者  (1) 派遣委員    座長 大野由利子君       小野 晋也君    岡部 英男君       奥山 茂彦君    辻  一彦君       吉田  治君    近江巳記夫君       菅原喜重郎君    吉井 英勝君       辻元 清美君  (2) 政府出席者         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力局動力炉開発         課長      森口 泰孝君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         科学技術庁原子         力安全局核燃料         規制課長    片山正一郎君  (3) 意見陳述者         前茨城県東海村         村長      須藤 富雄君         元北海道大学工         学部教授    石川 迪夫君         茨城大学農学部         教授      丹野 清秋君         動力炉核燃料         開発労働組合中         央執行委員長  森  将臣君         原子力資料情報         室代表     高木仁三郎君         常磐大学人間科         学部教授    佐藤 守弘君      ————◇—————     午後一時開議
  270. 大野由利子

    ○大野座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院科学技術委員長大野由利子でございます。  私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。  この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつをさせていただきます。  皆様御承知のように、現在、衆議院の科学技術委員会におきまして、内閣提出原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案の審議を行っているところでございます。  相次ぐ事故とその後の虚偽報告等により、国民の多くの皆様の信頼を失墜いたしました現在の動燃事業団を抜本的に改革し、再出発しようという法律案でございますが、当委員会といたしましては、本日、本法律案の審議に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を催させていただいたところでございます。明後日の四月八日には、福井敦賀市におきましても、同じく地方公聴会を予定しております。  きょう御意見をお述べいただく皆様方には、御多用の中を、また急な連絡にもかかわりませず御出席いただきまして、まことにありがとうございます。今後の審議の参考に資するため、忌憚のない御意見をお述べいただきますことを心よりお願い申し上げます。  それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。  会議議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私がとり行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言をしていただくようお願いいたします。  なお、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  最初に、意見陳述者の皆様から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきたいと存じます。その後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、派遣委員を御紹介いたします。  自由民主党の小野晋也さん、岡部英男さん、奥山茂彦さん、続きまして、民友連の辻一彦さん、吉田治さんであります。次に、平和・改革の近江巳記夫さん、自由党の菅原喜重郎さん、日本共産党の吉井英勝さん、社会民主党・市民連合の辻元清美さん、以上でございます。  次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。  前東海村村長の須藤富雄さん、元北海道大学工学部教授石川迪夫さん、茨城大学農学部教授丹野清秋さん、動力炉核燃料開発労働組合中央執行委員長森将臣さん、原子力資料情報室代表高木仁三郎さん、常磐大学人間科学部教授佐藤守弘さん、以上の方々でございます。  それでは、須藤富雄さんから御意見をお述べいただきたいと存じます。
  271. 須藤富雄

    ○須藤富雄君 昨年、平成九年九月まで、東海村の村長をしておりました、茨城県東海村の須藤富雄でございます。  このたび、動燃事業団の相次ぐ一連の不祥事に起因をいたしまして、日本の原子力平和利用全体に対して多くの国民の不安感、不信感が募ってまいりましたことは、まことに残念なことでございます。  このたび、国民の信頼回復のために、動燃事業団の抜本的改革を目指した新法人への改組のために、関係者が国を挙げて努力され、法律案国会に上程され、御審議をいただく中で、先生方には茨城の地までお越しをいただきまして、地方公聴会が開催され、意見陳述の機会をいただきましたことは、私にとりまして、大変光栄でありますと同時に、その責任の重さを痛感しておるところでございます。私は、東海村という原子力施設の地元住民として、今日まで、原子力施設と四十年にわたり共存してまいりました立場から、日ごろ考えておりますことや、過般の動燃事故地元村長として直接かかわってまいりました体験を踏まえて、意見陳述をさせていただきます。  まず、私たちの東海村は、御案内のとおり、昭和三十一年、日本で初めて、原子力の平和利用のための研究施設として日本原子力研究所が立地をし、続いて翌三十二年には、現在の動燃の前身でございます原子燃料公社が、さらに、原子力による商業発電所であります日本原子力発電株式会社がそれぞれ立地をいたしまして、日本の原子力の基礎研究から核燃料の開発、さらには原子力発電の実証という、まさに総合的な原子力開発研究開発拠点として整備が進められてまいりました。  以後、原子力関連の官民の事業所が相次いで進出をいたしまして、現在、小さな村ではございますが、十五の原子力事業所とそれぞれ安全協定を締結し、住民の安全を確保しながら今日に至っております。  昭和四十年代に入りまして、使用済み核燃料再処理工場建設問題が話題となり、一段と放射能に対する環境論議が高まってまいりました。私ども、いろいろな論議の結果、茨城県を中心に東海地区放射線監視委員会を発足させ、住民代表も入りまして、原子炉等規制法に基づく原子力事業所の放射線測定義務に加えまして、住民サイドでの放射線監視を隣接市町村にまで行うなど、可能な限りの対応を図ってまいり、その結果は三カ月ごとに一般公表するなどして今日に至っております。  また、現在、原子力施設の安全確保や周辺住民の生活環境保全のための措置は、我が国の法律制度上では、一切が国の権限によって許認可、監督がなされ、地元地方自治体の関与権が全くございませんので、私たちは、国に対して、原子力に対する地方自治体の関与権を認めてほしいと当時から再三要請してまいりましたが、今もって関与権は認められておりませんので、私たちは、やむを得ず、昭和四十九年、各原子力事業所と茨城県、東海村の三者による原子力施設周辺の安全確保及び環境保全に関する協定、いわゆる原子力安全協定を締結いたしまして、紳士協定ではございますが、お互いの信頼関係の中で住民生活の安全措置を図ってまいりました。  このように、東海村は、名実ともに日本の原子力平和利用の発祥の地として、資源小国の日本の国民のエネルギー確保の一翼を担ってきたものと信じておりますし、現に今日、原子力は、国内消費電力の三分の一を賄うのみならず、医療や工業、あるいは農業、さらには先端科学技術にまで、極めて幅広い分野で私たちの国民生活に密着し、利用されておるのが現状でございます。  こういう中で、過般の動燃事故は、私たちにとりまして、非常に大きなショックであり、残念のきわみでございました。当時、私は、地元東海村長という立場で、直接詳細な報告も受けましたし、村としての要請も厳しく措置してまいったつもりであります。  そもそも動燃事業団は、その前身でございます燃料公社に、昭和四十二年、動力炉研究開発を加えて動力炉核燃料開発事業団となったのでありまして、ウラン鉱の海外探査から新型炉の使用済み燃料の再処理まで、極めて幅広い分野での研究開発となり、組織の肥大化が今回の事故の拡大に至ったのだろうと、素人なりに推察をいたしております。  管理区域内での火災発生そのものに重大問題がございますのに、その火災を放置して十時間後に爆発を起こしたということであり、事故当時の混乱も想像できますが、事故現場から幾重もの部署を通らなければ、対応も外部への通報もできないという危機管理体制に大きな問題があり、それらが重なりまして、多くの不安感や不信感につながったものと思います。  今、この事故を振り返りまして、東海村の村民は極めて冷静な態度であり、いろいろなマスコミの扇動にもかかわらず、動燃けしからぬ、東海村から出ていけとか、風評被害で農産物が売れなくなるから動燃に補償金を要求しようとかの論議が全くございませんでした。これは、原子力とともに歩んでまいりました四十年の歴史の中での、お互いの信頼関係、仲間意識とでも申しましょうか、原子力が地場産業という意識で、村民の中に定着していたのだと理解をするものであります。  そこで、まず、この際、ぜひ動燃改革を実施され、地元はもちろんでありますが、国民の信頼回復を図ってほしいと存じますし、資源小国、しかもその大半を輸入に頼っており、ウラン燃料も輸入と聞いておりますこの日本の国民のエネルギーを支えるためには、現時点では、核燃料サイクルはぜひ必要と私は思いますし、動燃は、核燃料サイクルの我が国唯一の技術集団であると確信をいたしております。また、下北の、青森県六ケ所村の施設完成は期待をしておりますが、これが完全に立ち上がりますまでは、東海動燃の再処理関係の仕事は、ぜひ必要な仕事でもあると考えております。  このたびまとめられました動燃改革の方向については、地元として、以下申し上げる点から妥当であると評価をいたしておりますし、賛意を表するものであります。  まず第一点は、新法人は、組織をスリム化して、しかも安全確保を経営の最優先事項とされていることであります。原子力にとって、施設の安全はもちろんでありますが、周辺環境も含めた安全確保はすべてに先駆けての大前提であるべきであります。  第二点は、立地地元との共生を改革のポイントとされておることであります。法律案にも、主たる事務所を茨城県とするなど、本社機能を東海村に置かれることであります。地元重視の観点は、危機管理の体制上、さらには職員の意識改革のためにも、また経営者と地元との意思疎通も図られ、大いに歓迎をするものでございます。  第三点は、地域住民の参加による地域フォーラムの開催など、双方向の情報交換、意見交流が図られることであります。ややもすると閉鎖的である、そういう体質が改善される取り組みがなされようとすることなどでございます。  このように、動燃改革の達成は地元としての要望でもございますので、法案の早期成立がなされ、その具体的内容をぜひとも地元にもお示しいただくことが、地元安心感の醸成にもつながると考えております。  また、せっかくの機会でもございますので、多少お時間をちょうだいいたしまして、二、三の点を御要望させていただきます。  まず第一点は、昨今、原子力開発は、地元合意が非常に重要な課題でありまして、地元協力なしに進まないのが現実でございます。前段申し上げましたように、法律上では地方自治体の関与権は全くございませんので、やむを得ず、原子力事業所との安全協定なる紳士協定で対応を図ってまいっております。今後、エネルギー確保という国の政策として原子力政策を進めていくためには、現実に即した地元関与権を法律の中で明確に位置づけをすべきであると考えます。  第二点目は、現在の地方自治体の防災計画は、災害対策基本法に基づいて各自治体が策定をしておりますが、原子力の万一の重大事故発生に備えては、単に一市町村のみの対応では当然不可能でございます。ぜひ国の一元的な原子力防災計画が必要でございます。以前から、全国の原子力発電所所在市町村の共通の課題として国に対して要請をしてまいりましたが、今回の事故を契機に、早急に原子力防災対策のための法整備を、ぜひ御検討をお願いしたいと思うわけであります。  第三点は、今、原子力施設立地の地元で重要な課題の一つとして、バックエンド対策の早期確立の問題がございます。  国での論議が始められたようでありますが、今、放射性廃棄物の中で、原子力発電所からのもののみが青森県下北地区での一時保管が可能でありますが、それ以外の研究開発施設あるいは核燃料加工施設等はすべて、高レベル、低レベルの放射性廃棄物の一切が、また、全国のラジオアイソトープ廃棄物は原研東海など、それぞれの施設内に一時保管の状況にございます。さらには、過般停止いたしました原電東海発電所の解体処分を計画しておる廃棄物の一切が、不明確のままの状況でございます。これも国民の不安感、不信感の一つにつながっていることも事実でございます。  ぜひ、早急な法整備を含む処理処分計画の確立が緊急な課題と考えます。  最後に、東海村では、本年度四月一日から、原子力行政機能強化のために原子力対策課を新設いたしまして、専門家にも参加していただき、取り組んでおるところでございます。地方の実情も十分御賢察の上、一億二千万の国民のエネルギーを確保するという国の使命と責任のもと、十分なる対応をぜひお願いいたしまして、私の陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。よろしくお願いします。
  272. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、石川迪夫さんにお願いいたします。
  273. 石川迪夫

    ○石川迪夫君 石川でございます。  私は、今回の法改正に対しまして、三つの点から意見を述べさせていただきたいと思っております。その一つは、核燃料サイクル確立の意義でございます。二つ目の論点は、今回の動燃改革法の内容についてでございます。それから三つ目の観点でございますが、原子力安全性国民の不安感というものについてでございます。この三つの観点から、今回の問題点を論じさせていただきたいと思っております。  それでは、核燃料サイクル確立の意義から始めさせていただきます。  おおよそ国家もしくは政府の役割とか責務というのは一体何であるかというわけでございますけれども、私は、恐らくそれは、近代においては、社会並びに国民の安寧を確保することにあると思っております。でございますので、国と国との安全保障条約、社会におきます治安の維持、並びに、日本の国では各個人に対しまして健康で文化的な生活を営むことが保障されているわけでございますが、この最後の点をいま少し敷衍いたしますと、それは国民に対する衣食住の安定的な供給にあるというふうに考えているわけでございます。  この中で、とりわけ切実な問題点ということになりますと、これは食の安定供給であろうと思います。  私は、終戦直後、少年時代を過ごした者でございますが、当時を思い出しておりますと、食べるものは大豆のかすであったりヤシ粉であったりしたものでございました。それでも、食べられている者はまだましでございまして、上野の地下道には、多くの浮浪児があって、食に苦しんでいたという状況が何年も続いたわけでございます。米よこせ運動といったような、政府の方たちに、何とかして我々が生きるための食糧を安定して供給してほしいといったような運動があったわけでございます。  もうそういったこともいつの間にか忘れ去られてしまいまして、経済復興を遂げた日本というのは、繁栄のきわみにあると言っても差し支えないかと思いますが、これを支えているものは一体何であるか、これがエネルギーでございます。今、エネルギーが日本の国では安定して供給されているからこそ、こういったような安全な、安寧した社会に住んでいるわけでございます。  それでは、エネルギーとは一体何であろうかというわけでございますが、極言をすれば、これは、先ほど私が申しました食べ物、食糧と同じでございます。  まず一つは、エネルギーの単位も、食糧の単位も、カロリーで同じでございます。物理的には、単位が同じということは、同じ作用をするものであるということを示しているわけでございます。  また、もう少し簡単な例でございますと、明治以前、江戸時代までは、大体二千万から三千万ぐらいの人口が数百年間続いていたわけでございます。これは、農業という太陽エネルギーだけを利用しているときの日本列島の定員が、それであったということでございます。  ところが、明治以来、日本は、石油を使い、石炭を燃やすことによって、人工のエネルギーをつくってまいりました。それによって、人口が、今や一億三千万人、大体四倍から五倍にふえているわけでございます。もしエネルギーの安定確保が途絶えるようなことがありました場合には、これが突然でございますと、人口は、もとの四分の一から五分の一に減っていく、これは自然の理でございます。  したがいまして、政府、国家が国民のために安定したエネルギー供給を図るということは、もう必須の責務であるというふうに私は考えております。  中国が、現在、三峡ダムをつくって、揚子江をせきとめて電気をつくろうとしているのを皆様方御存じだと思います。これによる発電はわずか一千八百万キロワットでございまして、柏崎の発電所が大体二つという程度でございます。揚子江の入り口のところをせきとめて、六百キロに及ぶダムをつくって、それで水車を回そうというわけでございますが、これは成都と南京とを結ぶ交通の要衝でございますから、日本でいえば山陽道とか東海道に及ぶダムを、そういう地にある文化史跡を失ってもつくっていこうとしているというのが、中国のエネルギー確保の政策であります。  いかにエネルギー確保が将来にとって大事かということは、この例によってもわかるわけでございます。  日本のように、資源のない国、また国土の小さい国では、核燃料サイクルを確立して、これが確立されますと、現在のウランの資源量が約六十倍になるということは皆様方も御承知だと思いますが、そういたしますと、現在のウラン量が大体七十年分ぐらいはあるというふうに言われておりますから、約四千年分のエネルギー分が賄えるわけでございます。こういった安定供給の研究開発政府努力するのは、当然の責務というふうに考えております。  吉川前東京大学総長は、この動燃改革の法をまとめられました中で、このことを、科学技術のすぐれた、社会の安定した日本が世界のためにやること自身が、日本のアイデンティティーだというふうに書いておられますが、私は、全く至当な言葉であるというふうに考えております。  続いて、今回の法改正の内容について、お話をさせていただきたいと思います。  今回の動燃改革検討委員会報告並びにこれに従いました法改正の問題でございますけれども、私は、全体といたしまして、動燃の持っていた問題点を的確にとらえるとともに、その解決策を具体的に示しているものと、高く評価いたしております。賛成をいたします。  その骨子でございますけれども、新しい法人の業務運営については、裁量権を大きくし、また自己責任を課すというものが第一点でございまして、第二番目の点といたしましては、運営審議会といったようなものを設置し、その運営を第三者の評価にまつという点があるかと思います。それから第三点といたしまして、職員の安全意識の向上を図るとともに、情報公開についての社内体制を構築するといったようなものでございまして、私は、これらの改革が進んでいけば、動燃の再生は可能であろうというふうに思っている次第でございます。  私は、北海道大学へ参ります前に、実は、東海村の日本原子力研究所におきまして、三十余年間研究をいたしておりました。そのような関係から、動燃の技術者の多くを熟知しているわけでございます。  動燃の技術でございますが、事故以来、極めて多くの批判を浴びておりますけれども高速炉の「常陽」、それから、日本で開発いたしました新型転換炉、ATRであります「ふげん」を、いずれも約二十年間、安全に運転を果たしてきている実績があるわけでございます。私は、動燃団の人たちの持っている研究能力を高く評価する者の一人でございます。  現在、彼らは、非常に厳しい社会の評価を与えられております。そうして、私の見る限り、何か萎縮しているように感じます。これは、決して国家にとって得策ではないというふうに考えております。一日も早く新法人に生まれ変わりまして、国民が、もしくは世界が必要としている核燃料サイクルの研究開発に、もう一度意を新たにして、大いに取り組んでもらいたいというふうに思っております。  聞き伝えられるところによりますと、永田町周辺では、動燃という名も聞きたくないといったようなお話があるようでございますが、ぜひこういうことはやめていただきまして、動燃の人たちが大いに働ける今後の環境づくりに精を出していただきたいものというふうに私は考えております。  最後の点でございますが、原子力安全性並びに国民の持つ不安感について、一言申し上げさせていただきたいと思っております。  まず、原子力についてでありますが、これが大きなエネルギーの発生装置である以上、当然、本質的には危険なものであります。それをいかに人間の知恵で安全にしていくか、安全にして電気を取り出していくか、これが原子力の安全問題でございまして、私たちだけではなく、ちょっとソビエトは除かせていただきたいと思いますが、世界じゅうの原子力関係者、科学技術者が、原子力の開発当初から、これをいかに安全にしていくかということを確立してきたのが原子力開発の歴史であります。  その結果、現在、ソビエト製の原子炉も合わせまして四百三十基余りの原子炉が、平均二十数年の運転歴史を誇っているわけでございます。したがいまして、合わせますと大体一万炉年に近い運転実績があるわけでございますが、この運転の中で原子力発電による人身事故を起こしたのは、過去のチェルノブイリの事故一件でございます。これも三十数名という死亡者数でございました。このチェルノブイリの原子力発電所が、IAEAの定めました安全基準に満たない極めて設計のずさんな原子炉であったということは、もう世界の常識になっております。  なお、申し上げておきますと、そういった原子炉が、四百基の中にこのほかにも約八十基ある運転実績であるという点を、一つ御記憶願いたいというふうに思います。  でございますので、原子力発電所の持つ安全の実績というのは、一万年の間に一回の事故でございますから、極めて高いと申し上げて差し支えないわけでございます。  ラスムッセンというアメリカの数学の教授でございますが、ほかの産業と原子力発電の設備を、安全の比較をいたしております。確率論という方法を用いて行ったわけでございますが、これによりますと、原子力災害による人身事故を引き起こす確率というのは、ほかの産業、例えば飛行機、例えば水道、例えば自動車などがもっとひどいものでございますけれども、その一千倍から一万倍ぐらい低いであろう、こういうふうに計算をされております。それ以降、何人かの方が同じ試みをしておられますが、結果としては大同小異でございます。  こういった点で、冷静に見ますと、原子力安全性というのは、学問的には以上のように確立しているものでございますし、また実績もそれを証明しているということが言えるわけでございます。  事実、動燃団が起こしました不祥事、一連の事故でございますが、極めて国民に不安感を与えるように喧伝されてはおりますけれども原子力災害を誘発するような原子炉の中心部での事故ではなく、「もんじゅ」の場合には二次系の温度計が折れたという事故でございますし、また、再処理施設の事故も、再処理の中心部ではなく、一番外側にあります廃棄物の処理設備におきます化学的な爆発事故であったというふうに言われているわけでございます。もちろん、死者も環境への放射線の影響も実質的にはゼロであったということは、よく御承知のことと思います。  このように、原子力は極めて高い安全性を持ってはいるわけでございますけれども、特に原爆の被害を受けました我が国の国民方々が、原子力発電並びに核燃料サイクルに不安感を持っておられる、これもまた事実でございます。  この理由は、何といいましても、原子力という技術がわかりにくいことが一つでございますし、二つ目といたしましては、真実がよく知られていないという点があると思います。  私たち原子力関係者が、わかりにくい技術を何とかわかりやすくしていくということも事実でございますが、この安全性の高さと不安感の間を埋めていくためには、いま一つの問題として、国民原子力実態を知ること、また知らされることが必要であろうというふうに思っております。  この役目の一つはマスコミでございますが、この話についてはさておき、政府並びに国ができる問題は、いま一つの問題といたしまして教育の役割がございます。  以上のような国民の不安感と実際の状態を埋めるため、ぜひ、エネルギー問題並びに放射線について、天然自然に放射線、放射能というのはあるわけでございますから、この教育を初等教育から、現在始まっております環境教育と同じようにやっていただくということが、将来のエネルギー確保、私が申し上げました食糧の確保というのと同じでございますけれども、そのことのために必要ではないだろうか。  この二つの教育をやっていただくことを要望いたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
  274. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、丹野清秋さんにお願いいたします。
  275. 丹野清秋

    ○丹野清秋君 丹野でございます。  私は、今、お二人の方が述べた観点と、違う観点から述べさせていただきたいと思います。長いこと、茨城県内において、住民サイドから原子力問題というものを眺めてきておる、あるいは考えてきておるということであります。この観点から幾つか述べてみたいと思います。  まず、去年の東海の事故、この事故につきましては、我々は、住民サイドのことでありますのでちょっとお金がありませんので、新聞折り込みでアンケート調査を東海周辺の人々に配布いたしまして、意見を寄せてもらったということがあるわけです。先ほど須藤前村長の方から、原子力は地場産業であるというような表現がなされましたけれども、少なくとも、我々に意見を寄せてくれた人々からすれば、そういう地場産業的な認識は全然ありません。  問題は、これまで我々国民は、県民はもとよりですが、原子力施設というものは安全である、日本の技術はすぐれておるということを、耳にたこができるほど聞かされてきたわけです。そして、むしろ原子力あり方あるいはそのものに疑問を持つ者は、かつての戦争中のあれからいえば、何か国賊的な見方をされる、ましてや原子力が立地する地域においては、それに対して本当に安全なのかという疑問を発することさえはばかられる、そういう状態にあるわけです。  あらゆるところで、現在は、そういう施設があることによって、お金がそこにつぎ込まれ、あるいはそこで飯を食わざるを得ない、こういう状況に追い込まれざるを得ないわけです。そうしますと、将来の命よりも現在の飯の種の方が大切だという感覚になるのは、人間として当然のことだろうと思うのですね。そういう雰囲気の中でありますから、疑問が疑問として率直に出せない、そういう状況にあるということを一つ訴えておきたい、このように思うわけです。  そういう中で、少なくとも、私どもに三百三十通ほど意見を寄せていただいたわけです。これは自主的に寄せていただいたわけですが、原子力に対して不安である、東海村から引っ越しを考えなければならぬだろう、あるいは、自分の子供たちに対して親としてどう責任を持つのかというような、とにかく不安を訴える意見がたくさんありました。たくさんというか、三百三十通のほとんどであります。  埼玉に住んでおる娘から、親に対して、そういう危険なところから埼玉に引っ越していらっしゃいというような意見もあったという電話なども、私のところにありました。そして、消費地の埼玉の人たちは、そういう茨城事故が起きるような状況もとに住んでおる人々のことには何ら思いをはせないということに対して、親が東海に住んでおるということで、その娘さんは憤慨しておったということを親御さんは聞かせてくれました。少なくとも、現実としてそういう状態が一つあるのですね。  そのとき、ある電話を私によこしてくれたお年寄りですけれども、この事故のことについて、どうなっているのかということを動燃に問い合わせても、県に問い合わせても、紋切り型の返答しか来ないものだから、住民サイドでもう少し頑張ってほしいというような激励を、私はこういう運動をやって初めていただきました。それほど住民は、この去年の事故に対して、自分の身近なものとして、まさに自分のところで起きたということによって直接的に感じたのだろう、このように思います。  第二点につきましては、私ども、直接動燃関係者でもないし、あるいは専門家でもありませんけれども、この事故の結果を見ますと、少なくとも、被曝者三十七名ですか、こういう形で出ております。この被曝者の数の配分を見ますと、正職員と言うのかどうか私はわかりませんけれども動燃の正職員と言われる人は四名しか被曝していないのですね。あとは、作業請負とか、あるいは現場の委託者ですか、そういう人たちがほとんどであるわけです。  このことからいたしますと、原理的なことをやはり考えておかざるを得ないだろう。  近代社会の生産あるいは工場生産というのは、分業に基づく協業で成り立っているのだろうと思うのですね。動燃の職員一人一人は分業者としての担当者としてすぐれた能力を持っていると私も思いますけれども、しかし、分業はまた協業という裏づけがあって初めて、生産あるいは工場というものは動くわけです。  その場合に、先ほど言いましたように、動燃の組織体質といたしまして、同じ動燃で働いておりながら、一方は正職員、一方は別な会社の派遣職員あるいは下請職員、こういう形で作業組織自体が構成されておるわけです。多かれ少なかれ、近代の、あるいは現代の生産というものは、恐らくそういう形で成っているのだろうと思います。  そういう組織体質の中において、そういう分業をきちんと掌握するため、あるいは運営するためには、よく例えられるわけですけれども、まさにオーケストラそのものですから、このオーケストラがきちんと音色を上げるためにすぐれた指揮者が必要であるということは、古くから言われておることです。  ところが、動燃という組織体質を見ますと言っては悪いけれども、天下り的な役員あり、あるいは電事連関係からの横滑りの役員ありというような形でもっての組織体質になっておるということです。そういうところであるから、結果としまして、冒頭に申しましたように、安全であるということを売り物にして原発誘致を叫んできたわけですね。そういうことからしま。すと、絶対事故があってはならないということになってしまうわけです。そういうシステムの中からいきますと、結局、事故を過小に評価し、あるいは隠ぺいするということが、また必然的に出てくるのだろうと思うのです。  少なくとも、原子力というもの、あるいは放射能というものは、皆さん御承知のように、極めて危険な、そして半減期が極めて長い、数千年、数万年もかかる、そういうものであるでしょうから、これは絶対漏れてはならないわけです。たとえ微量であれ、漏れてはならないものだろうと思うのです。しかしながら、現実には漏れておるわけですね。そういう事実からしましても、住民が不安を抱くのは当たり前のことなんです。  この不安をどう取り除くかという点を考えますと、日本の安全技術確立しておると言いながら、「もんじゅ」においても事故が起きておりますし、動燃ばかりでなく、原発立地の県では、しばしば地方版には事故の報道が載るわけです。ところが、東京の地方版にはそういう事故が載らないから、東京の人たちは原発は安全だと思っているのだろうと思います。そういうことでありまして、私は、まだまだ原子力の安全というものは確立していない、このように認識せざるを得ない、こう思っておるわけです。  安全技術とは何かといいますと、人間は、神様じゃないのだから、多かれ少なかれ、絶対過ちを犯すのですね。過ちを犯すのが当たり前だという前提に立って、安全の問題を考えてほしいと私は思っておるのです。そういう点からいたしますと、過ちを犯して、過ちが起きたからといって、直ちにその過ちが回復可能な技術、これが並行して確立して初めて安全技術だろうと思うのです。  例えば、放射能を浴びたとすれば、せめて一週間ぐらいは我慢してもらわなければしようがないけれども、いわゆる毒消し的なそういう薬でも確立して、それを飲めば、一週間多少の苦痛を伴うけれどももとの体に回復する。そういうふうな安全技術が一方において確立して、万が一事故が起きても安心してこれは利用できるのですよというような、技術の確立ということをやってほしい、このように思うわけです。それが確立して初めて、安全技術だ、日本の原子力は安全に利用できるのだということを言ってほしいと思うわけです。それが出てこない限りにおいては、住民の不安というのはなかなか抜けないだろうと思うのです。  それと、これは日本の社会全体のこととしてもあらわれますように、日本人というのは、あらゆる点で、どうしてもその場その場だけのごまかしでずっと進んできたのだろうと思うのです。今、ごみ問題がいろいろな形で言われますように、この原子力の廃棄物の問題にしたって、先ほど須藤前村長も言われましたように、最終的な処理方について何ら結論も出ないのに利用ばかり急ぐ。  廃棄物をどう処理するのか、あるいはだれが責任を持って受けとめるのか。  極端な言い方をしますと、よく受益者負担ということを言われますけれども、一番そのエネルギーの受益者になっているのは大都市消費地の人々なんです。そして、原子力技術が安全だとおっしゃるのでしたら、何で東京の臨海工業地帯の中、売れなくて困っているような、そういうところにつくろうとしないのですか。それが受益者負担だと思う。そうすれば、危険だから東京にいたくないということになるわけですから、東京の人口もまた地方に分散するのですよ。安全だとおっしゃるのでしたら、東京に核のごみの施設をつくる、六ケ所あたりにつくらぬで東京につくるということ。お互いに当事者になってもらわなければ困るのです。ある意味では、これは沖縄の基地問題と同じです。危険なものは地方に押しつけて、いいところばかり大消費地の人間は恩恵を享受する。  人間は、ひとしく生きる権利があるということは、憲法にうたっているわけでしょう。だとすれば、私から言わせますと、そういうごみはちゃんと自分のところで処理するというぐらいの、そういう科学技術政策を立ててほしいと思うのです。  時間がありませんので、とりあえず、その点について申し述べておきたいと思います。
  276. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、森将臣さんにお願いいたします。
  277. 森将臣

    ○森将臣君 動力炉核燃料開発労働組合の中央執行委員長をしております森でございます。  まず最初に、今回の公聴会の場で発言の機会を与えていただきましたことを、感謝申し上げる次第であります。本公聴会に当たりまして、動燃事業団に働く者の代表として意見を述べさせていただきます。  「もんじゅ」の事故以降、私ども労働組合は、関係各所に、大きく三つの観点で説明してまいりました。一つは、事業団の悪かったところは、労使の関係の中で直せるものは私どもは正していきます。二つ目は、労働組合として反省すべきところがありましたから、そこはやはり直していきます。ただ、もう一つ考えていただきたいことは、私ども取り巻く環境という意味で、これだけ苦労してきたこと、そういったこともやはり理解してほしい。そういった三点から、今回も、意見を述べさせていただきたいというふうに思います。  動燃事業団が引き起こしました「もんじゅ事故、東海の火災爆発事故など一連の事故の反省としまして、今後におきまして、事故、故障を起こさないための点検並びに老朽化対策あるいは運転管理の強化といったことにつきましては、万全の対策を施していくことはもちろんでありますが、一連の事故の中での虚偽の報告など不適切な対応につきましては、もともとあってはならないものであった、それは今後とも二度とあってはならないものというふうに我々は考えております。  元来、原子力に限らず、研究開発とは失敗がつきものであります。その失敗の中から貴重な経験と技術ノウハウを蓄積し、次のステップにつなげていくべきものであると考えております。  原子力研究開発は安全に進めなければならないという意識、不安をあおってはならないという意識の余り、安全上問題がない範囲のものであれば、外に向かって情報公開をしてこなかった、あるいは情報の提示をしてこなかった、あるいは小さく見せようとしてきた、そのようなことがあったことは、やはり事実だと思っています。そこは反省すべきというふうに思っております。  私ども労働組合としましても、動燃事業団がこのような問題を起こしてしまった一因として、労働組合のチェック機能の甘さがあったこと、さらには、私初め組合員が考えます安全という意識と、一般の方々が考えます安心というところ、その二つのギャップ、意識の乖離があったということも深く反省しており、私も含めて、みずから組合員に呼びかけ、労働組合としての改革に取り組んできたところであります。  私ども労働組合は、動燃改革に係る検討委員会あるいは作業部会の報告書内容につきましては、委員の皆様の真剣な議論の結果として真摯に受けとめており、特に、新法人への継承に当たり、意識の改革、それから業務の引き継ぎ書の作成というふうな品質保証の活動、三番目に安全総点検での課題解決に向けた取り組み、これらを解決しないと新法人には移行できないという三つの条件が示されております。労働組合でも、各職場に直接出向き、私ども取り巻く環境の現状、この三つをクリアしないと移れないのだという厳しい現実を伝えるとともに、組合員の生の声を聞いてまいりまして、これらの課題を確実に実行していくための努力ということを行ってまいりました。  一方、事業団に対しましては、厳しくその内容、進捗状況を監視し、適宜、提言あるいは要望をしてきたところであります。  また、それぞれの内容につきましては、私どもの労働組合の上部団体であります政府関係法人の労働組合連合、あるいはその上部団体であります連合本部などを初め、友好関係にあります電力関係の組合の方々を通じ、各界に伝えるとともに、アドバイスも受けてきたような次第でございます。  私ども労働組合の活動の中で、雇用あるいは安全に係る基本方針としまして、三つのものがございます。  一つ、安全の確保と環境保全に努め、健全な原子力開発を推進する。二つ目、明るい将来展望のある職場の確保を目指した活動を展開する。三つ目、職場の安全が一般住民の安全及び環境保全の大前提であるとの認識を持って業務を行っていく。  以上の雇用の確保と安全の確保に関する基本方針にのっとり活動してまいりました。しかし、一部において足りなかった点があったことは、先ほど述べたとおりでございます。  我が国のエネルギー問題に係る認識としまして、プルトニウム利用に関しては、地球環境保全の観点から、限りある化石燃料にかわる有力なエネルギー源を開発していくことは、資源の大量消費国として我が国が果たすべき役割であり、中でも、限られたウラン資源をさらに有効に活用できるプルトニウム利用は、極めて重要な選択肢であると考えております。そのためには、核燃料サイクルの確立に向けた研究開発を着実に進めていくことが重要と認識しております。  もちろん、このためには、国民理解協力を得つつ、その大きな目標に向かって、国民からの負託にこたえるための組織的な環境整備と、その実行を担う組合員を初めとする職員が、達成に向けた意欲と信念を持っていくことが大切と考えております。  以上のような基本的な認識のもと、今回の原子力基本法及び動燃事業団法の一部を改正する法律案に関連して、働く者の立場から、大小幾つか意見を述べさせていただきたいというふうに思います。  まず、経営の不在ということにつきまして。  委員会報告書の指摘にもございましたが、安全確保と危機管理の不備あるいは閉鎖性といった、これまでの動燃事業団における種々の問題点の基本的な原因は、経営の不在であったと考えております。その主たる要因は、裁量権がなかったことと考えております。新法人では、自主的、効率的な事業が展開できる裁量権を確保して、主務官庁ばかりを見て仕事をしてきたあしき体質が払拭されることを切望するとともに、労働組合としても、その努力を惜しまないつもりであります。  一方、電力会社さんを初めとする民間の経営ノウハウにつきましては、積極的に、これまで以上に取り入れていくべきことと、大切に感じております。  事故あるいは不祥事に係る責任について。  一連の事故、その後の不適切な対応により、原子力全体に対する国民の信頼を完全に失墜させてしまいました。この責任が動燃事業団自身にあることは、だれしも納得するところでありますが、一方では、動燃事業団取り巻く環境という意味での、科学技術庁原子力委員会の責任も無視することはできないと考えております。科学技術庁原子力委員会においても何らかの反省が必要であり、新法人をあわせて、三者の今後の役割と責任を明確にすることが重要であると考えております。  新法人の定員につきまして。  作業部会の報告書の中で、大幅削減の合理化目標を定めることが記載されておりますが、新法人は、これまで同様、多くの原子力施設を有し、その安全確保と危機管理の徹底を図っていくことが重要課題と考えております。  このため、合理化目標ありきの定員ではなく、安全確保と危機管理の徹底を前提とした、しかるべき評価があっての定員としていくことを要望いたします。  一方、整理縮小の三事業におきましても、組合員の雇用の確保というところを労働組合としては第一義的に考えながらも、これまでそれぞれの現場で一緒に働いてきました協力会社の方々の雇用についても、十分配慮した取り組みをすべしと動燃事業団には労働組合から要求しておりますが、国としても責任ある対応がなされることを、切望いたします。  競争力を持つエネルギー源の開発という一つの命題に関しまして。  新法人が行う事業について、競争力を持つエネルギー源としての開発が求められております。この競争力を得るため、例えばコスト意識や技術ユーザーのニーズなどを新法人の経営目標に取り入れていくことが重要と考えております。  新法人において重要なことは、開発した技術を円滑に民間に移転していくことであります。いかに進んだ技術を開発しても、民間に移転されなければ意味のないものとなってしまいます。この円滑な技術移転には、原子力行政が重要な役割を担っていると考えております。核燃料サイクル確立を目指す新法人は、技術の移転先である民間事業主体などとも密接な関係を維持しなければならず、技術を円滑に実用化につなげていくためには、本来、原子力行政は、原子力の基礎研究から実用化、商業活動まで、国として一体となり、関係機関が密接な連携をとりながら推進していくのが望ましいと考えております。  また、さらに、立地地域への対応という問題をとらえましても、国の施策として一元化されることが望ましいと考えます。  次に、国民理解協力の醸成という観点から。  行政の一つの役割として、核燃料サイクル確立に向けた研究開発必要性について、国民理解協力の醸成を図ることが挙げられると考えております。国民理解協力を醸成していくために、例えばエネルギーベストミックスなどの考えとともに、エネルギー供給における原子力利用の長期的視点での全体像を、わかりやすく示していくことが重要であろうと考えております。  このためにも、原子力委員会の機能をより以上に発展させ、原子力開発長期計画策定のみならず、常日ごろから、原子力行政全般に、監視、提言していくことも大切と考えております。  さらに、国民理解を醸成していくためには、マスコミの方々が担う役割も非常に大きいと考えております。客観的な判断を下せるよう、今まで以上に中立、公正な報道を心がけていただきたいと願わざるを得ません。  この法案が成立した暁には、この秋に組織改編となるわけでありますけれども、新法人への移行という作業は、大幅な組織体制の変更となることから、これはソフト面からもハード面からも言えることでありますが、安全を確保しつつ期待される組織へと生まれ変わるために、十分な準備を行い、しっかりとした体制整備を図っていく必要があると考えております。  このため、法案の施行と同時に本社機能の移転が必要となりますが、本社の立地地域への移転につきましては、地元重視の観点、危機管理対応としての事故時の即応体制の強化、あるいは現場重視の体制を目指したものでありますから、移転の時期につきましては、万全の体制のもとで実施すべきものと考えます。移転期間において不適切な対応が発生することがないように、しっかりした体制で臨むべきものと考えます。  最後に、私ども組合員は、核燃料サイクルの確立に向け、日々努力を惜しむことなく頑張ってまいりました。みずからが取り組んできた技術開発の成果に対して、誇りと自信を持ってまいりました。先ほど、石川先生からは、動燃の職員は萎縮しているのではないかというようなお話がございましたが、昨年、あるいは「もんじゅ事故直後には、例えばホテルのロビーで、動燃という名前もなかなか書けないような時期もありましたけれども、最近は、やはりそれでは進まないというふうに思っております。  ですから、やはり今後は、意識の改革を中心としまして、動燃改革への取り組みというのは継続して対応していきたいと思います。ですから、元気になれば、まだまだ反省が足りないといった声ではなくて、ぜひ応援していただきたいというふうに思っております。この意識の改革には、これでいいという点はないと思っております。みずからの誇りと自信を糧としながらも、過信することなく、独善に陥ることなく、絶え間なく改革に向け、組合員一致団結して取り組んでいきたいと考えております。  核燃料サイクルの確立に向けた研究開発を行うにふさわしい、国民から真に原子力開発を負託されるにふさわしい組織となることを、ここにお誓い申し上げ、私の意見陳述とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  278. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、高木仁三郎さんにお願いいたします。
  279. 高木仁三郎

    ○高木仁三郎君 高木でございます。  機会を与えていただきまして、ありがとうございます。長年、日本の原子力行政を見守ってきた、特に、比較的初期の段階から動燃がやってきたことを見守ってきた人間として、発言させてもらいます。  今回の法案も、一連の動燃が行ってきた事態についての否定的な認識を踏まえて、抜本的な改革ということが言われている、そういう趣旨から法案が提案されていると思います。  私は、今日のような動燃の一連の事態というのは、先ほどからお話が出ているような、不適切な対応とか、事故を起こしていろいろとまずい点があったというようなレベルの話ではなくて、事実についての虚偽の報告とか埋造というようなこともあったわけですから、これは単に、やや不適切であったというような問題ではない。それ自体も、何かしら抜本的な内部の問題として、切開しなくてはいけない問題があったというふうに思えるわけです。  私は、長いこと、今回のような一連の事態に至る以前から、動燃の独善的な体質、それから、それと裏腹な情報非公開の問題ということについて発言してきまして、そのような事態が放置されるならば、一連のこういうことが生まれるだろうということは当然予測されていたことだというふうに思っておりましたので、そういう観点から、今、一連の問題について、抜本的な見直しを必要とされているというふうに考えます。  そういう観点からいたしますと、今回の法案というのは、実際言われている割には抜本的な見直しということになっていなくて、いわば悪名高くなった動燃という名前を早く新法人に切りかえる、そういう組織いじりの観点が非常に強いということから、私は反対でございます。  その趣旨に沿って、三つのことについてお話をしたいと思います。  まず第一は、そういう動燃改革という問題について、ほとんど国民的議論がされないで、非常に性急に法案が用意されてきたのではないか、新法人づくりが用意されているのではないかという点であります。  第二番目は、特にその議論がされていない問題の中心は、核燃料サイクル、これが法人の名称にもなっている本来の主たる業務でありますし、動燃自身がやってきた、核燃料サイクルといいますかプルトニウム政策ということが一番の議論されなければならない中心だと思いますけれども、そのことがほとんど議論されないで新法人に移行しようとしているということについて、私の批判見解を述べたい。  それから第三点は、そういう一連の事態を踏まえるならば、新法人のいかんにかかわらず、外から第三者的に、日本の原子力行政、特に核燃料サイクルの問題等々について客観的に評価するような機能が大きく求められている。そういうことの欠如というのが、かなり今回の動燃の一連の事態に至った問題であり、そこからの反省点があるべきだということに関して、きょうはこういう場ですので、国会の場がそういう機能を持つことを切に要望したいというふうに思っておりますので、そのことも最後にお話しさせていただきたいというふうに思います。  最初の問題ですけれども動燃改革についてということがまず問題になるわけですが、ほとんどこのことは国民的な議論の中にのっていないというふうに私は思います。そして、新しくできた法案を見てみても、これまで動燃が抱えてきたような問題が実際にどう克服されるのか、それから、この法案が準備された過程自身が、どれだけ透明な国民に開かれたものであったのかという点で、非常に疑問に思う次第であります。  具体的には、動燃改革検討委員会というところである程度の議論がなされたわけですけれども動燃改革検討委員会委員というものがどういうふうに選ばれたのか。これ自身も、私の印象では、非常にそそくさと科学技術庁サイドで人選が行われて選ばれていた、そのメンバーが選ばれた時点で、既にある程度結論が内包されていたのではないかというような人選であったというふうに思えてなりません。  ちなみに言いますと、動燃改革検討委員会から最終報告書が出ておりますけれども、その最終報告については、原子力委員会関係あるいは安全委員会関係の最近のレポートと違いまして、国民意見を求めるという機会が設けられていません。したがって、国民意見を反映するようなプロセスはとられていません。また、主として、今回の新法人そのものの性格づけとか具体的な作業というのは、新法人作業部会にゆだねられたと思いますけれども、この新法人作業部会は、部会自身が公開されていない。一般には、今、原子力委員会関係の委員会公開されて、傍聴は可能になっているのですけれども、されていません。  したがって、こういうようなプロセスからわかるように、国民がそこに参加して何らかの形で意見が聞かれるということではないままに、今日ここに至って、いきなり法案として国会にかけられている。国会は一 つ国民意見議論する場でありましょうけれども、であるならばなおのこと、ここで新法人を急ぐのでなく、国民に広く問題を提起して、あるべき組織についてゆっくりと議論をしてほしい。今回の性急な組織いじりのようなことには、やはり反対せざるを得ません。  「もんじゅ」や東海再処理工場の事故につきましても、まだ完全な形で解明が行われてはいない。  特に、東海再処理工場の事故につきましては、事故の原因究明そのものが非常に不完全な形になったままです。出されております報告書の結論的なものというのは、いわば事故基本的な、シナリオというような言葉が使われていると思いますが、それについての仮説です。それが立証されたものではありませんし、幾つかいろいろな説があることです。その説そのものも、いわばある種の可能性を指摘したということであって、十分な解明にはなっていません。  「もんじゅ」の事故と東海再処理工場の事故の両方とも、いろいろ意見はあるところでしょうけれども、私は、安全審査そのものの妥当性というのが疑われてしかるべきだと思います。  したがって、現在の安全審査の体制も含めて、原子力の規制、開発のあり方という根本が、この二つの事故をちゃんと究明することなしには進み得ないというふうに私は認識しております。そういう段階での組織いじりという印象を、今回の法案は否めないのであります。  それから第二番目に、核燃料サイクル政策の問題であります。  核燃料サイクル、別の言葉で言えば、プルトニウムを利用するかしないかという問題に尽きると思います。実は、この点の議論が一番なされないと、核燃料サイクル開発機構なるものが存在し得るのかどうか、何を業務とすべきなのかということについてわからない。  動燃が持っていた大きな問題というのも、プルトニウム政策というのをほとんどひとり占めに動燃がやることを義務づけられて、それがまた、原子力委員会で立てられたいろいろな長期計画等々のスケジュールというのがかなり過大なスケジュールになっていて、それを動燃がこなす役割があった。しかし、どうもその部分が非常に不透明であったというところに、かなり根本の問題があったのではないか。その開発目標と現実の間のギャップがいろいろなゆがみを生んだのではないかというのが、私の基本的なとらえ方です。  私自身は、原子力資料情報室が中心になりまして、一九九五年から九七年、昨年の秋まで、ブルサーマルということが中心ですが、このプルトニウム利用に関しまして、NGO的なものですけれども国際的な専門家の研究を組織して、利用すべきかどうか、あるいはバックエンド政策はどうあるべきかということについて報告書を出しました。  その結論としては、プルトニウム利用ということに非常に否定的で、現状でこれをやることに要する費用、見通し得る限りの将来においてと言っていいでしょうけれども、その費用に比べて、これから得られるものは余りにも小さい、むしろマイナスが多いという点で、やるべきでない、今は別の、使用済み燃料を直接処分するとか、いろいろなオプションがあるわけですから、そういうことを私たちは提案したわけです。  これは一つの見方ということは言ってもいいと思います。私たちの見方は絶対正しいというようなことは言いません。しかし、そういういろいろな見方をちゃんと議論して、いろいろなオプションを考えて、費用対効果ということをきちっと考えて、日本の原子力政策を立てないといけない。ところが、それ抜きで、核燃料サイクルということがあたかも当然の前提のようにして今度の法案が出てきているということについては、大変危惧の念を持っております。  これについては、実は、一九九五年十二月に「もんじゅ」の事故があり、九六年に、原子力政策円卓会議というのが原子力委員会もとに設置されて、私も、何回か呼ばれて、そこで意見を述べるということがあったわけです。  その結論ということになりますか、一連の十一回の会議が終わった後で、原子力政策円卓会議モデレーターの六名の人たちが、九六年十月三日付で、「原子力委員会への提言」というのを出しました。その中で、いろいろある中で特に、円卓会議の中で核燃料サイクルに関してはどうすべきかということについてかなり意見が分かれた、ここのところの意見を、国民の間で、しっかりした国民合意をとることが急務であるということが言われたと思います。そういうこともあって、一つはそういう場として新円卓会議というのが提起されて、九六年、同じ年の十月十一日付で、そういうことが入った原子力委員会決定が出ております。  にもかかわらず、私は、その新円卓会議がいいとか悪いとか万能であるとかということを言っているわけではないのですけれども、そういうふうに一連の議論が行われて、そのプロセスを進んだにもかかわらず、東海の事故のせいだと私は思うのですが、新円卓会議ということがすっかり飛んでしまって、そういう核燃料サイクルについての国民的議論というのが全くないままに、いわばこの新法人というふうに移行してしまったというのは、これは全くプロセスを欠いているのではないか。こういうことが、先ほどから出ております国民の不信感というものの根本の原因になっていくので、そういうことを繰り返すような形での今回の新法人づくりということには、賛成できないということを申し上げておきます。  最後に、独立の評価機能ということについてです。  動燃の問題を見ますと、つくづく、動燃がやっているようなこと、あるいは、動燃だけではなく政府機関がやっているようなことについて、第三者的といいますか、ある程度専門能力を持った上で中立的に評価をするような機能がないということが、決定的な問題になったと思います。  そういうことがない限り、どういう組織をつくっても、独善が続いてしまうということになります。これは、中で幾ら精神的にどう頑張るかというようなことをやってみても、今、動燃の人たちは、それはそれで大変努力しているのだと思いますけれども、それとは全く別の次元の問題であります。  これを保障するようなものが欲しいということは、原子力安全委員会そのものの機能強化であるとか、いろいろな提言を私自身もやっているのですけれども、特にきょうの場ですから、やはり国会の中に、ある程度の専門スタッフを持って、大きな国家の科学技術プロジェクトに対して、国会立場から、行政の立場とは別にチェック機能を果たすような、そういうシステムをぜひつくっていただけないか。そういうところが中心になって、いろいろと情報公開をやるとか、どういうことが必要なんだということを提言するようなプロセスを通じないと、規定上、情報公開であるとか安全を旨としとかというようなことを幾ら条文に書いてみても、それは空虚なる精神規定にしかならないのではないか。  私は、ぜひそういう国会の機能を切にお願いしたいということを言って、発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  280. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、佐藤守弘さんにお願いいたします。
  281. 佐藤守弘

    佐藤守弘君 佐藤でございます。  私は、水戸市に住んでおりまして、三月まで、筑波大学社会科学系に勤務しておりました。四月から、地元の常磐大学に勤務しております。あわせまして県の方の原子力審議会のメンバーになっておりますが、きょうこれから申し上げる意見は、私の大学、あるいはまた私が所属する審議会とは何ら関係のない、個人的意見であるということを御了承いただきたいと思います。  私は、「もんじゅ」の事故あるいは再処理工場の事故を見まして、原子力の平和利用の将来という点で、大変心配をしてきた者の一人でございます。今回、原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案の審議に当たりまして、こうした場を与えられたことに感謝したいと思います。  私が申し上げたいことは三点でございます。第一点は、日本のエネルギー問題を含めまして、原子力の平和利用という点をこれからどう考えていくかということでございます。第二点は、原子力施設の地元に住んでいる住民の一人としまして、原子力安全行政について、特に地域社会との関連について意見を申し上げたい。それから第三点としましては、今回この法律案に盛られております、動燃の組織変更とこれからの組織運営について私見を申し上げたい。こういう三点で、これから与えられました時間の中で、意見を申し上げます。  まず最初に、原子力利用の問題でございます。  御承知のように、日本は、一九六〇年代以来、高度成長を続けておったわけでございますが、この期間におきましては、エネルギーの需要も大幅に増大してまいりました。ざっと計算いたしますと、GNPの伸びに対して、弾性値が一・〇ぐらいだったというふうに私は見ております。つまり、GNPと同じぐらいの伸びでエネルギー需要が伸びてきたということが言えると思います。  ところが、七〇年代の石油危機以降になってまいりますと、御承知のように、資源の制約もありますし、あるいはまた省エネルギー化が進んでまいります。そうしたことから、現在は、GNPに対して、大体〇・六ないし〇・七ぐらいの弾性値ではないかというふうに見ております。そういう意味では、エネルギー需要がある程度落ちついてきている。これは、我が国の経済成長が鈍化しているということもございますし、あるいはまた、省エネルギー化が各方面で行われてきているというようなことのあらわれだと思います。  しかしながら、経済社会の発展と生活水準の向上ということを考えてまいりますと、エネルギー需要は今後とも増大するのではないかというふうに私は考えておりますし、例えば総合エネルギー調査会などの見通しを見ても、同様の見通しを立てておられるようであります。  こうしたエネルギー需要の増大に対しまして、日本の一次エネルギー総供給の内訳を見ていきますと、九五年でございますが、石油が五六%、天然ガスが一一%、石炭が一七%というような割合になっておりまして、化石燃料に依存する割合が非常に大きいというのが我が国の特徴かと思います。  こうした化石燃料を使いますと、当然、CO2が出てまいりますので、地球温暖化問題であるとか、あるいは酸性雨の問題が出てまいりまして、地球環境問題をめぐって国際的な対応が求められている。これは、昨年の温暖化対策の京都国際会議などで御承知のとおりでございまして、さらにCO2の削減が必要とされるということでございます。  また、こうした石油等のエネルギー資源は、我が国の場合は、大部分海外依存でございまして、その安定供給という面から見ましても、余りにも大きな海外依存ということが、我が国の将来にとっていいのかどうかというようなことが懸念されるわけでございます。  こうしたことを考えてまいりますと、エネルギー供給面から見ますと、多様なエネルギーを利用するということがどうしても必要でありまして、バランスをとっていくということが必要になるわけでございます。そうした中で、原子力エネルギーもその一つとして、今後とも、利用していかざるを得ないであろうというふうに考えております。天然ガスあるいは新エネルギーというような、新しい石油代替エネルギーがもう少し活用されるということになれば、供給のバランスがとれてくるのではないだろうかと考えております。  原子力エネルギーの利用の問題を見てまいりますと、現在、主要には電力事業関係に利用されております。その燃料源を見てまいりますと、発電電力量の中では原子力が三三・二%を占めているというのが九五年の統計でございまして、原子力がエネルギー供給面で非常に重要な役割を果たしているということが言えると思います。  こうしたことから、原子力発電所を含めて原子力施設については、原子力安全条約であるとか原子力安全サミットなどが行われて、この原子力利用について安全を優先するということは、国際的にも確認され、それを遂行することが義務づけられているわけでございます。  ここで一番大きな問題は、やはりバックエンド対策というのが喫緊の課題ではないか。使用済み燃料の再処理の問題、あるいは、高レベル、低レベルを含めまして廃棄物処理、これをどうしたらいいのかということが、今大きな問題であるということでございます。  そういう意味で、今回の改正案では、新しい法人の業務をかなり絞りまして、これまで開発されて、安定化して、実用化あるいは営業化できる部分については民間に任せるということにした、そして、事業団は、核燃料サイクルの技術的な確立に絞って行っていこうというふうに限定しているという点では、この法案の趣旨に賛同するものであります。こうしたことを行うことによって、これまで原子力利用の隘路であったバックエンド対策がより一層進んでいくということが、日本のエネルギー供給のバランスをとっていくという意味で必要なことではないだろうかというふうに考えております。  さて、第二点に移ります。原子力安全行政の問題でございます。  御承知のように、昨年三月の火災爆発事故につきましては、その後、報告書、あるいはまた報告会が催されまして、私ども、いろいろと情報をキャッチすることができたわけでございますが、大変驚いたことには、火災の消火確認等が、定められた規定あるいはマニュアルどおり行われていなかったということに、大変ショックを受けたところでございます。それのみならず、科学技術庁あるいは県に対して虚偽の報告を行ったということもあります。あるいはまた、火災直後に撮影した施設内部の写真を破棄するということもあったようでございます。  こうしたことから、地域の住民の皆さんには大変深い動燃不安をもたらしたということは、否定できないというふうに考えております。  周辺環境に対する放射線漏れなどの事態には至らなかったということは、不幸中の幸いであるというふうに考えておりますけれども事故後、わずか一カ月半の間に、周辺住民の皆さんから、野菜や魚介類等の食品の安全性はどうなんだろうか、あるいは放射線の影響はないんだろうかというような問い合わせが、県そのほかに八百七十一件ほどあったということが、県の原子力広報紙「あす」の臨時増刊号に伝えられております。いわば、これまで安全であるというふうに考えていた原子力施設が、実はそうではなかったということに、地域皆さん方は大変ショックを受けたということが、ここからもうかがえるのではないだろうかと思います。  さらにまた、その後、地域のいろいろな方の話を伺っていますと、この地域の特産物である乾燥芋、これはちょうど冬の時期に生産をするわけでございますけれども、この売れ行き、注文が減ってしまったとか、あるいは、阿字ケ浦の海浜リゾート地域にある民宿の予約がキャンセルされてしまったというようなことが新聞にも報道されておりまして、何らかの経済的影響もあったのではないかと推定されるところであります。  こうしたことから考えてみますと、茨城県あるいは東海村というのは我が国の原子力利用の発祥の地でありまして、これまで、各施設と協力をしまして、先ほど須藤前村長さんがお話しになったように、大変緊密な連絡のもとに協調体制を維持してきたということが言えるかと思います。  先年でございますが、最近、我が国の原子力発電立地が大変難しくなっている、地域の同意を得ることが困難であるというような事態になってまいりまして、それでは、これまで四十年の東海村の協調事例を細かに調べ上げて、そして、原子力施設が安全であり、また地域の発展に大きく貢献しているということを皆さんにお知らせしようではないかというような調査を行いました。ちょうどその取りまとめが終わった段階で先ほどの火災爆発事故が起きてしまった、こういうことでございます。関係しました一人としましては、大変残念なことであるし、また、何とも言いようのない悔しさを感じたというのが、率直な気持ちでございます。  これまでも、原子力施設における故障等については、県そのほかに対する報告がおくれる場合が再三あったというようなことで、県あるいは地元の市町村から、連絡通報体制を整備してくれという要求が再三出されていたということは御承知のとおりでございます。  昨年八月には、ウラン廃棄物を地下構造のコンクリート構造内に保管している廃棄物の屋外ビットに水がたまって、ドラム缶が腐食していたということも発覚してまいりました。  こうした事故を考えてまいりますと、やはり、通報連絡体制が不備であるということよりも、私は、安全管理に対する意識が低い、そしてまた、地域情報公開し、地域と一緒にやっていこうとする協調意識が薄いのではないかということを強く感じるわけであります。  法の改正案によりますと、「安全の確保を旨としてこれを行うものとし、適切な情報公開により業務の運営における透明性を確保するとともに、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならない。」という案文でございますが、この案文は、業務運営の効率化に重点があって、情報公開というのは、するとともにというのはつけ足しではなかろうか。私は、むしろ、安全を確保し、そして情報公開を適切に行っていくということが、これからの動燃の行き方、新法人の行き方ではなかろうかと考えております。  そういう点からいいますと、法条文に、地域社会との協調、情報公開を大きく明記するか、あるいは、衆議院で審議の際に、附帯決議でこれをつけていただきたいというふうに考えております。  さて、第三点に参ります。  時間がなくなってまいりましたので、ごく簡単に申し上げたいと思いますが、検討委員会報告あるいは法人問題についての検討、いろいろと議論されまして、これまでの動燃の経営について、経営不在であったという断罪が行われております。  私は、確かに指摘されるようなことはあったと思いますけれども、これは本当動燃だけの責任なんだろうかというふうに考えるところであります。むしろ、ある意味で言えば、科学技術庁あるいは原子力委員会を含めて、我が国の原子力行政が同罪であるのではないかというふうにさえ考えております。いろいろと、裁量権がないとか、危機管理体制が不備だとか、外部閉鎖性があった、事業が肥大化したというようなことがありますが、これは動燃だけの問題ではない、むしろ、原子力行政全体の問題ではないかというふうに考えております。  それからまた、私は、三十年代後半から茨城県に住んでおりますけれども、原子燃料公社が動燃に改組されて発足する段階で、例えばどういう背景があったのだろうかということを、もう少し検討する必要があるのではないか。  一つだけ申し上げますと、当時の原子力研究所の労使関係は、大変不安定でございました。一九六三年、JPDR発電試験が、その中で中止されるというような事件も起こっております。  こうした背景のもと動燃が発足したということが、実は原子力行政の中でどういうふうに位置づけられてきたのだろうかということを、もう一度検証してみる必要があるのではないかというふうに考えます。ある意味でいうと、虚偽の報告をしても科学技術庁は認めてくれるのではないかという、一種のなれ合いがそこにあったのではないかとさえ考えられるところであります。こうしたことを、今後は、一切なくしていってほしいというふうに考えるわけです。  最後に、私の意見を申し上げます。  検討委員会あるいは法人の改革などについて、いろいろと立派な意見が出されておりますが、私は、どうも机上の空論的なところがあるというふうに考えます。あるべき姿は、だれでもといいますか、慎重に検討すればできます。しかし、今必要なのは、現にあってはならないものをいかになくしていくかということを優先するということであります。  第一に、安全管理体制を最大限優先する、そのためには、現場責任主義ということを実践してもらいたいということであります。  第二に、地元協調の重視ということです。責任者は地元に常駐し、情報公開と危機管理に当たりましては、リアルタイムで即時に情報公開するということが必要であります。  第三に、組織運営については、リーダーシップの強化がうたわれておりますが、私は、管理の強化ではないかというふうに考えております。むしろ、トップダウンではなくて、そこで働く研究員あるいは従業員の皆さん本当にやる気を持って、ボトムアップで動燃を新しい法人として発展させようというようなリーダーシップを発揮してもらいたい。そのためには、強力なリーダーシップは、管理ではない、やる気を起こすようなリーダーシップを発揮してもらいたいということであります。  若干時間をオーバーしまして、失礼いたしました。
  282. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  六人の意見陳述者の皆様から、大変示唆に富んだ御意見を承りました。心より御礼を申し上げます。  以上で御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  283. 大野由利子

    ○大野座長 これより委員からの質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也さん。
  284. 小野晋也

    小野委員 それぞれの陳述人の皆さん方には、原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案の審議に関連いたしまして、地方公聴会に当たり、本当にそれぞれのお立場からの信念に基づいた御陳述に、私からも感謝を申し上げたいと思います。  須藤陳述人からまずお話がございましたけれども、東海村で日本の原子力への取り組みが始まって、まさに四十年余りという年月がたったわけであります。論語で申し上げますならば、まさに四十歳というと不惑の年。惑わない年といいながら、日本の原子力行政をめぐってはいろいろな問題が生まれて、そして、逆に惑うことの多い、このしばらくの状況でございます。  しかし、考えてみました場合に、日本の原子力開発にとって、この時期に、いろいろな問題に対して真摯な議論を行い、それに対して解決策を見出していくということは、大きな流れから見るならば、かえって好ましいことであったのかもしれない、私はこんな印象も持っているわけでございます。  例えが不適切であるかもしれませんが、男にとりましての厄年は四十二の年というふうなことが言われるわけであります。これは、言葉じりだけとらえますと、よくない年という印象が強いわけでございます。しかし、この時期に、自分たちの人生の来し方行く末というのですか、これまでのこと、それから今後のことに思いをいたしながら、みずからを省みながら、これからどういうふうに生きていったらいいのだろうということを見直して、自重をする気持ちで取り組むならば、それからの人生がかえって大きく飛躍、好転するのだというような解釈も実はあるのだそうでございます。  日本の原子力にとりまして、今回のさまざまなトラブルが、むしろ十年たち、二十年たったときには、かえって、あのときにいろいろな問題が起こったことがよかったなと振り返れるように、私ともも力を尽くしたいと思っている次第でございます。  そこで、まず第一に御質問させていただきたいと思いますのは、須藤陳述人にお願い申し上げたいと思うわけでございます。  国政の場におきましても、私どもがこの原子力問題を議論してまいります中に、いろいろな問題がたくさん含まれ過ぎまして、なかなか整理された議論がしにくい部分があるわけです。その根底の部分を見てまいりますと、まだまだ原子力の軍事利用というものに対する反対論みたいなものが脈々と流れていて、それが今の安全論、環境論と絡み合っているがゆえに、本来、純粋に技術的議論で展開していくべき安全、環境論というものが、より政治的に利用されてしまって、問題を複雑化してしまっている部分があるのではなかろうかというような思いを持っております。  須藤陳述人におかれましては、現場において長い間、原子力取り組みを見てこられ、住民の皆さん方、また政治的対応もしてこられたわけでございますが、そんな中で、原子力開発問題というものがこれからどうあればいいのかという問題について、今述べていただいたものに加えて、何か語っていただけるものがありましたら、加えていただきたいなと思う次第でございます。
  285. 須藤富雄

    ○須藤富雄君 先生のおっしゃるとおりと私も思います。いろいろな原子力の反対の中で、軍事利用を想定して、そういうことが私ども感じられるわけであります。  というのは、日本の国は資源が少ない、大半が輸入だ、ウラン燃料も輸入だ、だから、輸入したものを国産エネルギーとして、現在の人たちの知恵と英知で活用して国民のエネルギーを賄うのだ。そうあるべきと私ども思っておりますが、日本だけが核燃料サイクル突出だ、プル突出だ、さすがのフランスのスーパーフェニックスもとまるじゃないか、そういう議論が出ておるわけであります。  日本は、原子力の利用は、昭和三十年にできました原子力基本法、平和の目的に限るという大前提があるわけでありますので、この辺の国民に対する周知徹底が不足をしているのじゃないか。あるいは、日本が、平和の目的に限り、プルを利用しても軍事目的には絶対使わないのだというような毅然たる態度を、世界にも国民にも理解をさせしめるべき努力が必要である。そういうふうに感じております。
  286. 小野晋也

    小野委員 ありがとうございます。  これは、私ども、国政の場の議論において、もう少しきちんとした整理をしながらの議論が必要な点だろうと思いますので、また留意をしながら進めさせていただきたいと思っております。  続きまして、森陳述人に御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  今、随分いろいろな視点からのお話をちょうだいいたしました。まさに、この動燃という組織が新たな体制のもとに再出発ということの決意をお語りいただいたと思うわけでございますが、私は、そのお話をお伺いさせていただきながら、労働組合というのも非常に大事な立場になってこられるなということを、率直に感じました。  動燃の問題が議論されたときに、よく語られたのは、動燃の体質という言葉だったわけですね。単に規則の問題ではなくて、単に設備の問題でもなくて、また技術の問題でもなくて、何か、そこで働いている人の間に漂っている一つの体質というものが問題を引き起こしているのではなかろうかという視点に立ちましたときに、これは、管理をする立場の方だけの問題じゃなくて、恐らく、そこに働くあまねくすべての方々の問題を指した言葉なんだろうと思うわけでございます。  自分たちの決意も述べられたわけでございますが、加えて、労働組合自身として、この動燃の体質改善という問題に対して、具体的にどういうことを進めていきながら、この改革を成功させる方向に導いていこうとしておられるのか。  そして、ついでにもう一つお尋ねさせていただきたいと思いますのは、本社機能の移転問題というのは、皆さんにとって極めて重要な課題になってくるのだろうと思います。かなりの職員の方が、これから東海村へ職場を移されるという形になってくると思いますが、法案が成立を見た後、どのくらいの準備期間が必要だと皆さん方はお考えになっておられるのか。  また、具体的に、移転を行う上に、労働組合のお立場からごらんになられて、ボトルネックになる問題というのでしょうか、この点は非常に重要な問題だから留意しておかなければならないというような御指摘がありましたら、この点も御教示いただきたいと思います。
  287. 森将臣

    ○森将臣君 まず、体質の問題ということでございます。  先ほどもお話しさせていただきましたが、やはり、一般の方々の安心の意識、技術者としての安全の意識、そこの乖離というのを一番感じました。それが動燃の体質というところにつながっているかと思うのです。アーサーアンダーセンの報告書の中にもあったと思いますけれども動燃の職員はだれを見て仕事をしているかという問いかけに対して、主務官庁を向いている、一般の方々の方を全然向いていないというところがやはり大きかったかと思っております。  そこを直すには、動燃の業務、そこで働いている人間といいますのは、一般の方々との接点が極めて少ない業種であろうかと思っております。国の特殊法人に働く組合、いろいろな特殊法人があるわけですが、その中でも、例えば雇用促進事業団さんとか、そういったところでは一般の方々との接点が日々ございますけれども、我々の職場といいますのはそういう点がなかった。では、そのためにはどうしていったらいいのかということを組合として考えながら、進めていきたいというふうに思っております。  感受性の問題という話もいろいろなところで聞かれるわけですけれども、一つ例を挙げさせていただきますと、一つの事業所ではこんな厳重な管理をしながら、こちらの事業所ではもっとずさんな管理になっている。例えばドラム缶一つをとってもそうなんですけれども、ふげん発電所あるいはもんじゅ建設所では、そこで働く人間が、結露を気にしながら、水につかることを極力恐れて管理している。一方、東海村では、水につかっても安全であればいいと思っている。そこの間の意識の共有がなかったところ、そこは反省すべきだと思っております。  それから、二番目の本社移転の話でございますけれども、準備期間といいますか、法人の設立といいますのは、ふわふわした気持ちでいるのは極力短いのがいいかと思っておりますので、やはり十月、あるいは決めた秋というのを、我々としてはしっかり目標にしていきたいと思います。ただ、そのための万全の対応をとっていかなくてはいけないというふうには思っております。  移転のための準備という中でのボトルネックといいますのは、住む場所そのものはいろいろ準備できると思いますけれども、本人の意向といいますか、例えば、家族環境も含めまして、単身赴任ができる、できないという問題も出てくると思いますから、やはりそういった点での配慮が必要だとは思っております。
  288. 小野晋也

    小野委員 これから大変だと思いますけれども、労働組合のお立場からも、この改革が成功するように、ぜひ御助力をいただきますように、お願い申し上げたいと存じます。  第三に、放射線のモニターの問題についてでございますが、これは石川陳述人、佐藤陳述人にちょっとお願い申し上げたいと思います。  きょうは動燃近藤理事長さんもお見えでございますけれども、以前に提案申し上げたことがあったのですが、放射線モニターが原子力発電所また実験施設等々の周辺に設置されております。このモニターの数字というものは、もうそのままインターネットで公開するような形にして、問題が起こったことがすぐにみんなに知れ渡るような仕組みにした方が、姿勢として皆さん理解を得られやすいのではなかろうかというようなことを申し上げたことがございました。  現実に、これはもうフランスの方ではやっている施策だということでございますが、自主、民主、公開という考え方をとりましたときに、やはり一番基本的な問題というのは、放射性物質が外部に漏れた場合に、それがみんなに知れ渡るということですから、まずここから情報を完全公開にするというような姿勢を示すことが最も妥当じゃないかと考えるわけでございます。  お二人の御意見はいかがでございましょうか。
  289. 石川迪夫

    ○石川迪夫君 私、今までそのことは考えたことがなかったのですが、非常におもしろい、結構な案ではないかと思います。  と申しますのは、今ふと頭をよぎったのは、チェルノブイリの事故がわかったのは、ソビエトから出たのではなくて、スウェーデン、あちらの原子力発電所にある放射線モニターが感知して、わかったわけでございます。そういうところから考えても、非常におもしろいアイデアだ、やってみたらどうかというふうに、私個人は思います。
  290. 佐藤守弘

    佐藤守弘君 ただいま大変いいアイデアをいただいたと思うのですが、そうしたモニター制度、それをインターネットで即時に伝達するということは、これからぜひとも考えていっていただきたいというふうに思います。
  291. 小野晋也

    小野委員 きょうは、随分いろいろと質問したい項目もあったわけでございますが、残念ながら、もう時間のようでございますので、一言だけ申し述べさせていただきます。  須藤陳述人からは、地元合意、また地元が安全対策へ関与する必要性のお話、これは私ども、真摯に受けとめさせていただきたいと思います。  石川陳述人からは、議論をもう少し整理して、また教育、啓発に力を入れるという御指摘でございました。これも極めて大事な点だと思います。  丹野陳述人からは、いろいろな視点からの御意見があったわけでございますが、特に、地域住民の視点というものをこれからどういうふうに原子力行政の中に入れるかという視点が極めて大事なことだと受けとめさせていただいた次第です。  高木陳述人からは、三点ということでお話がありましたが、評価機能の問題、また国民論議をもっと活性化するという問題、これらも大事な課題と受けとめさせていただきたいと思います。  佐藤陳述人からの、現場重視、また地元重視の視点、これも共通するものでございます。  こういう視点も大切にさせていただいて、これから、本当原子力行政というものが、COP3で議論されてまいりました地球環境問題とも絡んで、非常に大きな論議を呼んでくるときになってきているわけでございますが、私どもの党といたしましても、安全、環境に十分配慮をしながらも、しかし、その重要性という問題に対しては、決して未来を誤らないように配慮しながら推進してまいりたいと考えておる次第でございます。  なお今後ともの御協力をよろしくお願い申し上げて、質問を閉じさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  292. 大野由利子

    ○大野座長 辻一彦さん。
  293. 辻一彦

    ○辻(一)委員 初めに、六名の皆さん、それぞれ大変貴重な陳述をいただき、ありがとうございました。全部の方にお尋ねしたいのでありますけれども、残念ですが、時間的な点からそれができないことをお断りしておきたいと思います。  まず第一に、森陳述人にお伺いします。  動燃に働く職員の代表として雇用の安定が第一であり、政府動燃努力するのは当然だと思いますし、私たちも努力したいと思っています。  そこで、みずからもお触れになりましたが、動燃安全性に対する国民意識との乖難、閉鎖性独善性、こういうものを非常に大きく指摘されました。  今お話がありましたが、私も非常に不思議に思うのは、「もんじゅ」や営業用の原子力発電所を見れば、低廃棄物のドラム缶の表面に露が結んではならぬというので、結露、露が結ぶのを防ぐ対策、空調までやってこれを抑えている。ところが片方では、同じ動燃の中で、十数年間、二メーター半の水の中にドラム缶をつけて放任し、そして、穴があいて中から出てくる、それでも放任されていく。そこらに、国民の安全に対する意識との乖離が非常に見受けられると思うのです。  時間の点からすべては申しませんが、そういう点を考えると、内なる意識の改革ということが非常に大事だと思うのです。先ほどいろいろ提起がありましたが、動燃に働く立場から、内なる意識改革をどうするかということで、つけ加える点があったらお伺いしたい。  もう一つは、敦賀の「もんじゅ」の問題の発端は、県が、夜中の二時に市と一緒に緊急立入調査をやって、初めてビデオ隠し等々が問題になったという点から見ると、今までの情報隠しの経緯と、これからの新たなる情報公開とは、極めて距離があるし、違いがあるのですが、それを具体化するのにどう考えられるか。  この二点をお尋ねしたいと思います。
  294. 森将臣

    ○森将臣君 まず、内なる意識改革の進め方といいますか、それをどう考えていくかというお話ですけれども、先ほども申し上げましたが、外の方々がどう思っているかということをだれも伝えてこなかったというのが、やはり一番大きなところだと思っております。  そこは、労働組合としてかかわっていくべき大きな問題だと思っておりまして、縦割りの組織の中で、横で情報の連絡をとっていくには、労働組合が一つの大きな役割を果たさなければいけないと思っております。  現状でも、例えば職場ごとに安全衛生委員会というものがございますけれども、そういった場で、Aの事業所で何かがあれば、その情報を組合経由でBの事業所に伝えるということをしております。そういったことを労働組合としてはしっかりやっていきたい。それを事業団側に見せていきながら、事業団側もそういうことをしっかりやっていく。これはどちらが前後でもいいと思うのですけれども、安全にかかわる問題は、労働組合も大事ですし、事業団も大事ですから、同じ視点で見ながらやっていかなければいけないと思っております。  そういったところでいかに同じような情報を共有していくかということで、そこに働く人間の意識が変わっていくんだというふうに思っておりますので、そういう努力をしていきたいというふうに思っております。  第二点の情報公開にかかわる話ですけれども、これも、今の話と全部つながると思うのです。やはり、一般の方々がどう思っていらっしゃるか。これは出さなくてもいいと思った段階で、向こうの方がそれは知る権利があるんだというふうにおっしゃれば、いろいろな制約があるかもしれません、例えば核物質防護上の話があれば、それはなかなか難しいのかもしれませんけれども、事業団側も、昨年の七月以降、情報公開指針というのを定めて情報公開しておりますが、組合としても、出せるものはやはり出していく。出せない理由を考えるのではなくて、何を要求されているのかということを理解して、ここまでだったら見せてもいいというのを示しながら、情報公開というのは進めていくべきものだと私は思っております。
  295. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ありがとうございました。まだまだ伺いたいのですが、時間があれば、また後でお願いします。  次に、高木陳述人にお願いします。  私は、高速増殖炉の開発は、世界のいろいろな状況から見て、ここ二、三年、そんなに急がなくてもいい、今大事なことは、じっくり総点検に時間をかけ、しかも、核燃サイクル、プルサーマル、使用済み燃料の処理、廃棄物の最終処理問題等について国民論議を大々的に展開して、国民合意を図ることではないかと思っております。そういうことについてどう思われるか。  もう一つは、情報公開は言うべくしてなかなか容易でない。私も、原子力の安全問題には、昭和四十六年から衆参を通して取り組んできましたが、徹底した論議においてのみ、やむなく情報が出されてきたという過去の経緯がありますので、なかなか簡単にはいかないと思うのです。私たちは、場合によれば、条文の改正等によってそういうことを補強しなくてはいかぬと思いますが、この二点についていかがでしょうか。
  296. 高木仁三郎

    ○高木仁三郎君 お答えいたします。  「もんじゅ」のことについては、基本的に辻委員のおっしゃるとおりだと思います。  私は、現在、「もんじゅ」の運転再開、あるいは高速増殖炉計画全体を強引に進めるべき理由はない、むしろ、より慎重に、広い立場から議論すべきだと思います。  フランスで、高速増殖炉スーパーフェニックスが、最終的に計画が放棄されて、今後解体されるということになった。その中で、高速増殖炉計画、つまりはプルトニウムというものは、増殖すべき価値のものであるかどうかということについての大きな疑問が世界的に出てきている。むしろ、フランスの決定によって、その否定的な側面がかなり明らかになったというふうに思います。  なおかつ、海外がどうであっても、日本は資源小国だからやるんだという議論があることは承知しております。しかし、海外がどうとか日本がということではなくて、これは技術的に、経済的に、やることの意味がないということを各国が判断している。このことは大変重いことでありまして、例えば「もんじゅ」に五千九百億円かけたから簡単に引けないというような形で、計画をずるずると何となく続けていくことによって、一層泥沼に入っていくということもあり得るわけですから、いい機会ですから、ここで徹底した議論をすることが必要だと思うのです。  そのときには、高速増殖炉だけではなくて、先ほど先生からもお話がありましたし、私の陳述の中でも既に申し上げましたけれども核燃料サイクル全体についてのあらゆるオプションを考えて、きちっと議論する必要があると思います。  そのことと、御質問の二点目にあります情報公開の問題というのは、深く関係してきていると思います。  御意見にもありましたけれども情報公開というのは、単に、ある情報をどこか上の方から流せばいいという話ではありません。こういう議論をやるためにこういう情報が必要だという、必要論が先にあってきちっとした情報が求められるというプロセスがないと、一般的に上から流されてくるような情報というのは、実はほとんど役に立たないというのが私の経験であります。  そうしますと、議論をやるためには、そういうふうに国民に開かれた場があって、そこで議論をやることによって国民がメリットを得るといいますか、そういう国民参加型の原子力行政が行われることが基本にあって、それに必要な情報国民が欲しているということがないと、ちゃんとした情報公開というのはだめだと思うのです。  いわば、そういう議論のシステムを保障することと情報公開ということとは、私は、一体のものだというふうに考えておりますので、そういうプロセスの民主化というのですか、それが肝要なことだと思います。
  297. 辻一彦

    ○辻(一)委員 高木陳述人に、もう一点伺います。  原子力発電所の使用済み燃料を再処理して再び使うようにするか、あるいは使い捨てにするか、これは今、世界の大きな二つの流れであると思うのです。  そこで、再処理の方が廃棄物の容積も少なく、環境への負担も小さいということが、地球環境の観点から随分論議されるのですが、私は、再処理をすれば、姿を変えて複雑な廃棄物を後に残していくので、そこらは余り変わりはない問題ではないかと思うのです。  これらについて、先生は、相当国際的な研究も対外的に積まれているということでありますから、御所見を伺いたいと思います。
  298. 高木仁三郎

    ○高木仁三郎君 お答えいたします。  私たちの国際研究の中では、この問題を詳しく検討いたしました。  その結論としては、再処理をやることによって、かえって、再処理そのものに伴う、再処理工場の運転に伴う環境への放射能放出がある、これも一種の廃棄物問題である。  それに加えて、高レベル、中レベル、低レベルという形で、各種の放射性廃棄物が発生します。これの方が、廃棄物の容量にしますと、どんなに低く見積もっても六倍ぐらい、廃棄物の処理の仕方といいますか算定の仕方によっては、二十倍から三十倍ぐらいのかさのものになってくる。これの方が基本的に扱いは大変だと思います。  特に、その中では、中レベルというふうに、現在、日本の中では位置づけもはっきりしない、最終的に地層処分できるのかどうかもはっきりしないような放射性廃棄物が出てきます。特に、今海外にかなり再処理を委託しておりますけれども、原則としては、そういうものがすべてこれから返還されてくるということになると思います。今、高レベルだけが返還されて、青森県のいろいろな問題があったりして少しニュースになっておりますけれども、これから海外から返ってくるであろう、これも何が返ってくるか非常に不透明な部分がありますが、中レベル、低レベルというようなものは、かさからするともっと大きくなるはずで、輸送の問題も含めて、より深刻で複雑な問題を提起するので、再処理のプロセスの方が環境負荷が少ないということはあり得ないというふうに思います。
  299. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは、私どもにとっても、興味のあるといいますか、非常に関心の深い問題で、また国会等で論議をして、ひとつ勉強していきたいと思います。  須藤陳述人に、一つお尋ねします。  去年の三月に、東海村の再処理工場の火災爆発の後、調査に来て大変貴重な意見を伺って、ありがとうございました。  私の出身地も福井県で、原子力発電は、各種入れて十五基、約千二百万キロワットの容量を持つ。そういう意味では、限られた地域では世界一の原子力発電基地ではないかと思っておりますが、そういう点で、安全性の最優先、それから万一に備えての防災体制の確立は、非常に大事だと思っております。先ほどいろいろ御意見がありましたが、私たちも、防災専門官を現地に配置して、初期の対応をきちっとやる体制をとるべきであると思っております。  それからもう一つは、どうしても我々と地方意見が食い違うものは、安全性は国で一元化でやっているから、防災も国でやれ、国がやる防災訓練に地方参加をする、こういうお考えですが、地方自治法あるいは災害基本法の市町村長の災害における責務等を考えると、国が全部やってしまうということについても問題がある。国もやり、同時に、やはり最終的な防災に対する責任は、市町村長の責務として残っているのではないか。そこらを調整することによって、これから防災法は成立が考えられると思うのですが、そこらについて、一番長い間御経験をお持ちの須藤さんに、お尋ねをいたしたいと思います。
  300. 須藤富雄

    ○須藤富雄君 防災対策、先生のおっしゃるとおりと思います。  先ほども申し上げましたように、もう長い間、全国の発電所の所在市町村協議会の共通の問題として、国の一元的という法制をしてほしいという要請をしてまいりました。  今は、先ほども申しましたように、災害対策基本法で、災害が発生したとき、一市町村のときには市町村長が防災対策本部長、二市町村以上にまたがる場合には知事が対策本部長、二県以上にまたがる場合には総理大臣が対策本部長ということでありまして、原子力災害を考えてみますと、単に一つの町村だけで処理できるものではない。現に、今回の動燃事故でも、放射性物質が多少出てまいりました。核種によっては、筑波でとらえられたということでもありますし、チェルノブイリのものが日本でもとらえられたということでもあります。  当然、市町村長の責任として、市町村民の生命財産を守るということは基本でありますが、事原子力災害は、もっともっと規模が大きいものでありますので、ぜひとも、国で一元的な防災を法令化し、そして、国も地方自治体も、それぞれの果たすべき責任を明確にすべきだろうと考えております。これからも御要請申し上げたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  301. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。
  302. 大野由利子

    ○大野座長 近江巳記夫さん。
  303. 近江巳記夫

    ○近江委員 私もスーパーフェニックスを見てまいりましたが、今回、フランスがスーパーフェニックスを廃止した。主な理由は、経済的な側面が非常に強いと思うのですけれども、原型炉は二十年ほど稼働しておりまして、近々また研究を再開する。ロシアにおいては、今度、実証炉の建設を行う。そういうことも聞いているのですけれども、この問題につきまして、高木先生からひとつお聞きしたいと思うのです。
  304. 高木仁三郎

    ○高木仁三郎君 フランスは、スーパーフェニックスを、エネルギー関係の閣僚会議で正式にやめるというふうに決めたのが二月の頭ですけれども、確かに、その同じ会議で、原型炉であるフェニックスについては動かすという基本的な方針を決めています。ただ、フェニックス自身は、現在は動いておりません。一たんライセンスが切れてとまっている状態ですから、これからまたライセンスを取るために、果たしてこれが動き得るものかどうかという検討が行われますので、現状ですぐ動くということでもないかと思います。  ただ、フェニックスは、プルトニウムを増殖する原子炉としてではなくて、廃棄物の焼却といいますか、アクチニド等の焼却の研究に使うということになっていますので、基本的な意味が違ってくると思います。仮に動いたとしても、高速増殖炉計画をフランスが継続するという話ではないと思います。高速増殖炉というのは、プルトニウムを増殖するということに意味を見出す原子炉ということになるわけですが、そういう方向ではなく進んでいくと思いますので、フランスのプルトニウム計画は基本的に終わったと私は思っております。  そのフランスについてですけれども、経済的な理由が大きいということでありますが、経済的な理由と、エネルギー面でのメリットとか安全面での確保ができているかどうかということは、裏腹な問題であります。スーパーフェニックスは、稼働率にいたしますと、過去十二年ぐらいの間に六%ぐらいの稼働率しかなかったわけですから、もちろん、物すごく経済性は悪いわけです。それだけではなくて、それだけ技術的にも未熟であったということを示しているわけですし、安全上の問題もあったということになるわけですが、これは裏腹の問題だというふうに思って、そういう総体としてフランスがとるところにはならなかった問題だというふうに理解しております。  ロシアについては、実際にプルトニウムを使う原子炉としての高速増殖炉計画は今後がまだはっきりしませんけれども、高濃縮のウラン燃料を使ったような高速増殖炉計画ということで、高速増殖炉計画があることは確かです。しかし、全体として、研究資金の問題であるとか、経済的にそれが意味があるかどうかということについては、かなり議論があるところですから、今後については、まだ非常に不確かな要素があるというふうに理解しています。
  305. 近江巳記夫

    ○近江委員 エネルギーの重要性ということ、これはもう先生皆さんからお話があったわけでございますけれども、今、原発の発電量というのは三四%。そういう中で、代替エネルギーということは、絶えず国会でもいろいろ問題になっているわけでございます。  風力、波力、潮力、いろいろあるわけですけれども、需要を賄えるだけのものが実際に技術として確立されているかどうかということになってくると、現状は非常に微々たるものですね。そういうことがございます。  そしてまた、先般のCOP3の京都会議もございまして、今後、地球の温暖化というようなことになってきますと、省エネも全力を挙げていくと思うのですけれども、将来のエネルギー全体から考えていきますと、やはり、この原子力自体、無視できない存在だと思うのですね。  この点のお考えを高木先生にお聞きしたいと思います。
  306. 高木仁三郎

    ○高木仁三郎君 将来の問題というより、むしろ現実の問題としては、原子力は無視できないと思います。実際問題として、発電量の三〇%以上を占めているという現実は無視できないと思います。  しかし、原子力については、いろいろ意見があるところですけれども、少し長い目で見れば、かなり多くの人が、将来にわたって原子力をやっていこうということにはならないのではないか、国際的にはそういうことに一致できるのではないかと私は思っております。国際的な流れの中では、むしろ、ある種のつなぎのエネルギーとして、今やめられない国がかなり多いというふうに思います。  いずれにしても、将来的な方向としては、火力、原子力を含めて、今のような右肩上がりのエネルギー政策をとっていく限りは、どこかに破綻が来る、私はそう思っております。したがって、かなり大胆な省エネルギー政策ということを、国の最重点の政策として進めるということがなければ、現在、非常に問題になっている持続可能なエネルギー政策とか地球ということにつながっていかないのではないか。これが最重要の課題だというふうに思います。  その上で、高品質性とか再生可能なといいますけれども、太陽エネルギーであるとか、太陽エネルギーの中でも、それを太陽熱で利用するか、それを風力として利用するか、小規模の水力のようなもので利用するか、あるいは、最近、バイオマスというようなことも随分言われるようになりましたが、そういう非常に多様な新しいエネルギー源を積極的に開発していくということが大変重要だと私は思います。  現状において、それが直ちに電力の何十%を賄えるものであるというようなことは思いませんし、経済的にも高くつくということがあると思いますけれども、少し長期的に見れば、私は、最終的には、太陽熱をうまくとらえるしか地球の生き残る道はないのではないか。地下の資源を掘り出している分には、これはウランも石油も同じですけれども、どこかで行き詰まるし、いろいろな廃棄物の問題で行き詰まると思いますから、こういう長期的な観点というのをぜひきちっと取り入れていくようなポリシー、政策というのが望ましいことだと思います。  その方向に動くことは、世界の流れを見るならば、現実に動いていると思いますから、可能だというふうに思います。
  307. 近江巳記夫

    ○近江委員 ありがとうございました。  組合長の森さん、先般、八月末でしたけれども、私は、ロシアからウクライナの方へ行ってまいりました。チェルノブイリまでは行けなかったのですけれども、ちょうど国連議長に就任されるウドベンコさん、モロズ議長、チェレップ運輸大臣、皆お会いしてきました。  ウクライナの独立ということがあり、穀倉地帯とは言っていますけれども、いわゆるロケットであるとか戦車であるとか、軍需生産が非常に強かった、民生に転換するといっても、なかなかそこまでいかない。そういう大変厳しい国家財政の中で、チェルノブイリの後遺症として、国家予算の一〇%を、それもぎりぎりの段階で費やしている。したがって、そういう状況を見ますと、こういう原発の事故というのはどれだけ大きいものであるかということです。  今回の「もんじゅ」等を見ますと、何も外部に漏れなかったとか、そういうことは言っていますけれども、それは本当にシビアに、いろいろなことを見ていかないといけないと思うのです。  今、森さんのお話の中でも、今後、意識改革もしてやっていきたいというお話がございました。そういう点、十分反省されているわけです。しかし、一面、失敗はつきものだというお言葉もございました。それはそうかもしれないけれども、それはやはり甘えだと思うのですね。現実はわかりますけれども、少なくとも、原子力研究開発に携わる者としては、絶対あってはならないという決意でやっていただきたい。  そういう点で、今回のことを、国民全体は本当に大変厳しい目で見ているわけですね。二千人からいらっしゃるにもかかわらず、それぞれ分散していますけれども、ああいうようなずさんな管理の状態。火災が起きたときのマニュアルもああいう状況だし、すべて一々指摘するまでもございませんけれども、あれだけの火災爆発もあり、しばらくしてから、組合員の人ですか、社員の人が、その直後にゴルフ等が決まっておったから行ったとか、マスコミは報道していました。  外の民間会社、研究所というのは、本当にそれぞれが物すごい厳しいのですよ。だから、そういう点からいったときに、本当にそういう姿勢でいいのか、一面でやはり特殊法人としての甘えがあるのじゃないか。そういう点で、理事長初め理事皆さんも反省されて、今まではタコつぼに入っておった感もあったと率直な御意見を言われていますけれども、これは理事者側だけじゃなく、全体の皆さんのそういう意識改革、また取り組みの姿勢ということが非常に大事じゃないかと思うのです。  ですから、意識を改革する、業務を改革する、安全に対する改革も真剣にやるというようなお言葉がございましたけれども、もうちょっと具体的に、意識としてもどういうような芽生えがある、取り組みの姿勢としてもこういうものがあるというようなことを、お聞かせいただきたいと思うのです。
  308. 森将臣

    ○森将臣君 まず、失敗がつきものだというふうに言い切ったところですが、やはり私どもも、それがあっていいというふうには思っていません。なくすための努力というのは際限なく繰り返すべきだと思っておりますし、そのことで先生から御指摘を受けたことは反省すべきだと思っています。もちろん、それがあっていいというふうに甘えて取り組んでいるつもりはございませんけれども、そこから得られるものもやはり大事に使っていきたい、そういう気持ちでおりますというところを御理解いただきたいと思います。  意識の改革のところでございますけれども、先ほど来、先生皆さんから聞かれるわけですけれども、外から見て本当にわかりづらいというふうに言われているところが大きいのだと思っています。  私も、去年の十二月に、いろいろな職場を全部回ってまいりまして、組合員とそれぞれ話をしてまいりました。去年の段階でもそうだったというのはありましたけれども、やはりまだ変わり切っていないという者もおりました。しかし、その後、私どもがいろいろな事例の話をすることによって、そういうふうに世の中が見ているのだったら、やはりそれに合わせなければいけないねという返事が返ってくるところだけ、私は、やはりずっと変わってきていると思っています。ですから、これからもそういうことを繰り返していきたいと思っております。  外との接点をいかに持っていくか、外の方がどう思っていらっしゃるか。中で黙っていることによって、自分らの考えは考えで、これでいいんだ、基準に合えばこれでいいんだということで進んでしまったら、やはりそれは、世の中から見たら、彼らはずれている、おかしいというふうにしか言われないと思っていますので、そこをいかに外に出ていくか。組合員もそうですし、職員も、外に出ていっていろいろな人と話をすべきだと思っていますし、そういう機会をこれから事業団側もとっていくという話を聞いています。  組合も、東海の事故直後にも、いろいろな組合のメンバーが東海村の中の戸別訪問をさせていただきました。そのときに、こんなふうに応援してくれる声もあるし、こういうふうに厳しい声もあります、そういう声を聞くことによって、自分らはしっかりやっていかなくてはいけないんだ、気概を持ってやっていくんだということを改めて認識したという声が、随分聞こえてきました。  ですから、そういうことは、これからも真剣に、絶え間なく、終わることなく、改革というのは終わる時点がないと思っていますので、それに向かってずっとやっていきたい。では、今はだめかというと、そうでもないと私は思っています。ずっと進んできていると思っていますし、これからもそれは続けていきたい、そういうふうに思うところでございます。
  309. 近江巳記夫

    ○近江委員 ありがとうございました。
  310. 大野由利子

    ○大野座長 菅原喜重郎さん。
  311. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 自由党の菅原喜重郎でございます。  きょうは、各陳述人の方々から各自の御意見を開陳いただきまして、どうもありがとうございました。党といたしましても、安全で、できるだけ完全な原子力利用開発への政策提言をなしていきたいと思いますので、今後とも、意見をどんどんお寄せいただきたい、こう思うわけでございます。  それでは、質疑に移らせていただきます。  御承知のように、動燃については、一連の事故等により、安全確保や情報伝達の不備を露呈するなど、地元住民の信頼を裏切る結果になりましたが、一方、これまで、核燃料サイクル研究開発の中核機関として、原子力開発利用の推進に貢献もあったとは考えているわけです。  そこで、各自に、一、二分ずつ要約いたしまして、これまでの動燃というものについての評価、特に功罪について、まず須藤陳述人から、順次お聞きいたしたいと思います。
  312. 須藤富雄

    ○須藤富雄君 動燃事業団の功罪という御質問でございます。功の面では、確かに、国民のエネルギーを支えるということで、動力炉の開発やら燃料の開発ということを進めてこられたと思いますし、先ほど申しましたように、核燃料サイクルの我が国で唯一の技術集団だと私どもも認めております。  ただ、先ほども申しましたように、組織が非常に肥大化してしまったということでありまして、先生方の御指摘にあったように、再処理工場の一部の廃棄物のガラス固化施設であっても、それが環境施設部の所管だということで、そのほかの部署ではゴルフをやったというような話もありました。これは組織の肥大化がもたらしたものだろうというふうに理解をいたしております。  それから、例えば緊急時の対策で、ガラス固化施設の事故は、その施設の中に作業本部ができて、管理部に対策本部ができて、そこを通らないと、国への報告もそれぞれの地方自治体への報告もできない。私ども、消防署を持っておりまして、火災が発生しますと、消防署長は現地指揮で、消火活動、被害実態をそこから発信するわけであります。そういうことからすると、組織の肥大化が、そういう危機管理体制で幾重にも越えていかないと措置もできないし報告もできない、そういう結果になってしまったのだろうと、二つだけを申し上げたいと思います。
  313. 石川迪夫

    ○石川迪夫君 大変難しい御質問でございますが、私が今感じたことを率直にお話し申し上げます。  私自身は、原子力研究所におりましたので、原子力研究といいましても、基礎面並びに安全性面でございました。動燃事業団は、それに対しまして、高速炉もしくは高速増殖炉の開発、新型転換炉の開発、核燃料サイクルといった、具体的な、もう一歩エンジニアリングに近い、工業に近い開発をされてきたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、「常陽」、それから「ふげん」、そちらの方では、約二十年間、問題もなく開発の進歩をされたわけでございます。私は、こういったところは非常に高く評価をいたしている次第でございます。  それから、今、ドラム缶についてのお話がございましたが、これは古い設備、日本原子力研究所もそういった設備があったわけでございますが、廃棄物施設の改善をしますときに直してしまった、それが、今村長がお話しになられたようなことかもしれませんが、残っていたものがあったといったような面があったのではなかろうかというふうに私は考えております。  罪の方でございますが、これは、先ほど佐藤さんがお話しになっておられました動燃の生い立ちでございますけれども、新型転換炉の開発、高速増殖炉の開発ということで、急遽、動燃事業団から変わったわけでございまして、当時は、東京の本社において、参謀本部であるとエリートの技術者集団を余りにもつくり過ぎた。そして、それに対して、科学技術庁が教育ママ的に非常に過保護であった。そして、それが事故のときにひじ鉄を食らったものでございますから、動燃団がろうばいしたのではないか。私は、ちょうどそのころ北海道におりまして、東京の雑音が余り入っておりませんので、感じだけで率直に申し上げますと、そういうところがあったのではなかろうかというふうに思っております。  しかしながら、動燃団の持っている実力というのは非常にすばらしいものがありますので、これを活用していく必要があるのではないだろうかと申し上げます。
  314. 丹野清秋

    ○丹野清秋君 功罪につきましては、どこから見るかによって見解が違ってくるのだろうと思います。  そういう点で、例えば、東海村の産業のないところに原子力が来て、お金がたくさん村に落ちた、村の財政がよくなったという点からすれば、これは功であるかもしれないと思います。  ただし、先ほど申しましたように、東海に住んでおるということによって、絶えず危険と裏腹な状況におるということからすれば、他の原発がない地帯の人より精神的にかなり苦しい生活を強いられておるという点では問題だろう、このように思います。  次に、もう一つ申しておきますと、私、先ほど何も言いませんでしたけれども、今回の法案の提出につきましては、動燃事故調査の結果が、いろいろな形で何回か会合をされて出されておりますけれども、この事故の因果関係がまだ明確になっていないのですね。明確になった段階で、ここに原因があったのだからこういうふうに改革する、あるいは、そういう原因をつくったようなこういうところをこうするというところで、初めて改革案というのは出されるべきだろう。そこを抜きにして、ただ組織改革案を出されますと、何か今までの動燃の抱えておった体質を、先ほど高木さんも言っていたけれども、ちょっと目先を変えるというような感じを受けざるを得ないのです。この点は、特に住民の側からしますと、一番不安だろうと思うのです。  こういう因果関係、科学というのは因果関係に基づいて行動するわけですから、やはり事故の原因をきちんと総括した上で、二度とそういう事故を起こさない形で、組織をこう改革しますということにならざるを得ないのではないか。それが出ていないところが極めて不安でありますし、もっとそういう点を詰めてから、改組案なりを出すべきだろうと思います。
  315. 森将臣

    ○森将臣君 功罪といいますと、功の方ということになるでしょうけれども、当事者といいますか、一緒に働いている仲間としてかもしれませんが、いろいろな現場で一緒に働いている中で、例えばウラン濃縮の業務にしても、国際的にも技術が全然オープンになっていないときに、本当に日本の国としてゼロから始めた組合員というのは、本当に苦労しながらここまで持ってきて、実用化に向けて、今、実際に六ケ所で動いているという現実があります。いろいろな例が挙げられると思います。濃縮にしてもそうですし、ふげん発電所もそうです。それぞれの施設について、ここまでプロジェクトを持ってきたということは、国のために貢献できたという意味ではよかったことだと思っております。  もう一つ、罪の方といいますと、ここ最近の国民に対して不安を与えてしまったこと、そこはやはり反省すべきところと思っていますので、そういった意味では、そこが悪かったことというふうに思っております。
  316. 高木仁三郎

    ○高木仁三郎君 私は、今日のような事態を考えるならば、罪の方しか指摘できないという気がします。  先ほどからいろいろ言いましたけれども基本的には、動燃という組織は、核燃料サイクルについての国策を独占的にやる機関になり過ぎたために、外からの批判とか見直しというのが入らない形でいろいろな大きなプロジェクトがどんどん進んでいって、しかも全部のプロジェクトを抱えた形になりましたから、非常に肥大化したということの罪が大きかったと思います。  日本の原子力政策が、そういう形で外の人間の批判とか意見がなかなか入らない形で事が進む、動燃という機関は、そういう先例を機関によってつくり過ぎたと思います。それは大きな罪だと思います。
  317. 佐藤守弘

    佐藤守弘君 私は、功の部分としては、やはり原子力の平和利用を、特に、動力炉あるいは核燃料の処理の問題という点で果たしてきたというふうに考えております。  外部から閉鎖されて、独善的に行ってきたというふうな指摘が行われておりますけれども、これは、動燃自体の問題ではなくて、やはり原子力行政全体の問題であって、これをもう一度検討してみる必要がある。そうでないと、動燃を改組しても、全体は変わらぬということになるのではないかという点です。  罪の方は、先ほど申し上げました三点です。  とにかく、安全管理についての意識が足りなかった、これは閉鎖性からも出てきます。地元に対する配慮が足りなかったということも、情報が本部を通過しないと出てこないというようなところは大変残念である。それからまた、責任者がやはり現場にちゃんと常駐して、責任体制を持ってやってくれるというようなことがなかったのではないかということです。
  318. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 須藤陳述人にお伺いします。  アスファルト固化処理施設の火災爆発事故から一年を経過しております。その後、動燃では、安全総点検や職員の研修を実施していると聞いておりますが、地元から見て、この一年間で、動燃はどのように変わりつつありますか。
  319. 須藤富雄

    ○須藤富雄君 具体的に体質そのものを変えたという実感であります。  先ほど森陳述人からもお話がございましたように、動燃の職員が、東海村一万戸を超える各戸を訪問いたしまして、動燃事故に対する謝罪それから説明をして回られた。それから、いろいろな機会があるごとに、動燃に対する御意見をちょうだいしたい、そういうことがございます。  それから、外で見ておりますと、職員に対する意識改革ということで、職員自体が幾つかのグループに分かれて、いろいろな自己改革のための検討会を開いておる。実は私にも、近々、動燃職員に対して、外から見て、東海村から見て物を言ってくれというような御要請もございました。  そういうことで、職員自体の意識の改革、あるいは組織としての地域重視、地域対策ということに対して大変な配慮をしていて、事故以前と後から見れば、まさに雲泥の差という感じがしております。
  320. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 最後に、佐藤陳述人にお伺いしますが、核燃料サイクル開発機構として生まれ変わる新法人に対して、どのような期待をお持ちですか。
  321. 佐藤守弘

    佐藤守弘君 私は、今回、事業団がスリム化して、目標をはっきりさせて、その範囲の中で核燃料サイクルを開発研究していくというところで、その役割には大変期待をしているというふうに申し上げておきたいと思います。
  322. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうもありがとうございました。
  323. 大野由利子

    ○大野座長 吉井英勝さん。
  324. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。  きょうは、六人の陳述者の皆様、本当に御苦労さまでございます。  私は、最初に、森陳述人にお伺いしたいと思うのですが、これまで国会の方で、後ろにいらっしゃる近藤理事長にも来ていただいたり、科学技術庁の局長の皆さんとはずっと議論をしてまいりました。それで、今度の問題を通じて、動燃の虚偽報告だとか秘密主義だとか、随分議論をしまして、動燃の責任、それから科学技術庁の監督責任、もちろん原子力安全委員会の安全審査の上での責任、これらの議論をしました。  同時に、少し理解しがたいところがあるから、そこをお聞きしたいのですが、動燃の中にも、理事皆さんの進めることをチェックする機能としては、監事というのがあるわけです。会社で言う監査役、これが監査の機能を全然果たしていなかった。果たさないどころか、監査の役を果たす人が、さっきのドラム缶の腐食問題の隠ぺいとか、会計の不正処理を指示してみたり、秘密にしろという指示をしたりとかやっていたことも、国会でも議論しました。  もう一つは、やはり研究者の皆さんのチェック、それから労働組合のチェックですね。動燃と研究者との間、あるいは動燃と労働組合との間で、チェック・アンド・バランスが機能しないと、内部的にうまく是正できないと思うのです。  そういう点で、かつて、再処理工場がオープンするころは、動燃の労働組合の方が、ここが問題だ、あそこが問題だということを八十項目ばかり明らかにされて、そういう点では、随分内部的チェックが働く時代があったと思っているのです。  昨年の事故の後、近藤理事長の方も、一人でも告発する勇気を持てというお話をされたので、私は、理事長さんらもかなり姿勢が変わってきたなというふうに思ったのです。  そういうときですから、本来、労組が内部から、内部告発してでも、安全のために、国民に責任を果たすという上でのチェック機能を果たしていくことが今非常に大事だと思うのですが、なぜチェック機能が働かなかったのか。  甘かったというさっきのお話だけじゃなくて、なぜ働かなかったかということをもう少し突き詰めて、それは、動燃というものが、国策として、プルトニウム循環を中心とする高速炉の開発とか国策に基づいた開発路線を進んでいるので、国策だから非常に物が言いにくかったのか、それとも、動燃の労務政策上、内部での民主主義が働かない事態が生まれていたのか、この辺のところはどうなんでしょうか。  後ろに理事長がいらっしゃるので、ひょっとして物を言いにくいかもしれぬけれども、きょうは、余り後ろの理事長を気にしないで、率直に聞かせてほしいと思うのです。
  325. 森将臣

    ○森将臣君 もともと委員長という立場では、理事長のことを気にして発言しているつもりはございません。  チェック機能が働かなかったというのは、先ほど、甘かったじゃなくて全然きいていなかったじゃないかというお話でしたけれども、確かに、先生御指摘のように、再処理のときの問題提起という事実はございました。あの問題は、あの時点で、組合と事業者側で片づいてきた問題だと思っておりますけれども、そういった提起をすること。  それぞれ、経営側との安全にかかわる問題の協議というのは、これまでもやってきたわけです。安全協議会というのは経営側ともちろん持っていますので、そういった中でやってきたのですけれども、そういう中で、組合に対して、いろいろな組合員から意見が上がってこなかったというところが一番大きいところかなと思っています。  前回の東海の、結果的には虚偽報告になった十時二十二分の現場確認というところも、現場の組合員からは、これは間違っているから正すべきだという意見があったのですが、結局それは上に上がってこなかった。あれを聞いたときに、今だから言える、そういう御指摘になるかもしれませんけれども、やはり組合として、組合に言っていただければ、また別な言い方があったのじゃないかなというふうに思っています。  そういう意味で、組合に対する信頼もかち取っていかないと、とんでもない暴走をしてしまうことに対して、やはり組合員からも危惧があると思いますから、組合のチェック機能として、事業者側にしっかり物が言えるような形になっていかないとだめだと思っていますので、そういった意味での組合に対する信頼がなかったところも、一つの反省かもしれません。そういうところから、チェック機能が甘かったという結果になっているのだと思っております。
  326. 吉井英勝

    吉井委員 次に、石川、丹野、高木、佐藤の四陳述人に、一言ずつお願いしたいと思うのです。  先ほど来の議論の中でも、原子力についてのPRの問題とか、そういう意味での国民への教育的なこと、そういうお話も中にはありましたけれども、私が三十五年ほど前に原子力の問題を学んだときは、ちょうどパグウォッシュ科学者会議などが進んでいった時代ですから、あの第二次大戦末期のマンハッタン計画にかかわった原子物理学者が、原爆をつくっても、広島や長崎に投下することには、まさに国策なんですが、国策であっても、反対した物理学者が随分たくさんいたわけです。そういう中から、バートランド・ラッセルとか、湯川秀樹博士とか日本の著名な原子物理学者も一緒になって、パグウォッシュ会議の運動というのは進んできたわけですが、そこで、特に、科学者や研究者の社会的責任というものが非常に指摘されたのを、私は今でも印象強く覚えているのです。  一般的な国民への教育だ、PRだと言う以前に、今大事なことは、やはり原子力分野に携わる研究者、技術者、こういう皆さん方においては、いわばパグウォッシュの精神に戻れといいますか、そういう教育が今改めて必要になっているのじゃないかと思うのですが、一言ずつで結構ですから、お考えを伺いたいと思います。
  327. 石川迪夫

    ○石川迪夫君 これはまた、非常に難しい御質問だろうと思います。  恐らく、原子力に関係する人間だけではなく、多くの、ほとんど全部の産業界の人たち、これはひょっとしたら、産業界、エンジニアリングという意味ではなくて、すべての社会に働いている人たちが、パグウォッシュの精神と同じように、自分できちんと責任をとる、また、いろいろな問題があったらこれを話をしていく、その点は、そういったような良心は持っていると思います。何も原爆に携わった科学技術者だけが持っていたといったようなものではなくて、持っていたと思います。  ただ、社会が変化していくにつれて、例えば、私たちのように子供のときに何も食糧のない時代に育った人間と、現代のように極めて豊かな社会の中で育った子供とは、当然のことに、社会とかそういったものに対しての見方が変わっているということは、事実であるだろうと思います。  したがいまして、そういったような責任感、個人個人の持っている責任感が強い人もいれば、いつの間にか、社会組織の中で育ってしまって、社会組織の流れに沿っていること自身がいい子である、ひょっとすると、そういうふうに思っているような人がいるかもわかりません。ひょっとすると、母親の言うことだけを聞いているのがいい子であって、それがすべて善だというふうに思っている人もいるかもわからないと思います。私は、むしろそっちに問題があるのでありまして、個人個人の責任感であるとか、そういったものは余り変わっていないというふうに思っております。
  328. 丹野清秋

    ○丹野清秋君 今の件につきましては、本当に重要なことだと思います。  というのは、近代というか、特に最近になればなるほど、科学というものが、物量がないと科学技術の研究ができないというような形になっております。巨大科学になればなるほど、特に自然科学の分野では、設備とかそういうものがなければ研究ができない。そうなりますと、どうしてもお金の来る方になびかざるを得なくなってしまう、こういう側面があるのですね。  だから、それを拒否して、おれはそういう科学技術あるいは技術の応用研究はやらないという形でおれるかどうか。そういうことをやると、おまえさんは研究業績を出さないから怠けておるということにもなるのですね。この辺の矛盾といいますか、これが、基本的に、科学者が今一番悩んでいるところだろうと思います。  機材器具というのは大型になってきましたから、そうすると、その大型な機材を手にするためには、ある程度企業なりの協力をしなければならぬというような形で、それを使うと業績がふえるということがあるものですから、それを拒否してまで、孤立して、おれの科学はこれだというような形で言われるというのはなかなか難しい。そういう状況に多くの科学者はおるだろう、このように思っております。
  329. 高木仁三郎

    ○高木仁三郎君 大変重要な問題が吉井委員の方から提起されました。  科学者社会的責任ということに関して、私は、それなりに一生の課題にしてきたつもりでおりまして、原子力の会社の研究機関にいたときから、ちゃんと個人としての発言をしていかなくてはだめだというふうに思ってやってきて、今日に至っているわけであります。  そういう観点からしますと、先ほど言われましたパグウォッシュに結集するような、非常に高名な、個人の科学者としての地位が確立している人間と、今現場に置かれた科学技術者とは、かなり違うということはあります。  今現場にいるのは、巨大な組織の中で、こまとして動かざるを得ない人たちであります。この人たちは、基本的に、組織の利害にかなりとらわれる。しかし、いろいろな局面で、組織の利害だけではいけないという側面が、やはり仕事をやっていれば必ず出てくる。私自身も、そういう場面にぶつかって、いろいろ発言してきて、今日に至ったということがあります。  そういうことを考えますと、特に今、科学技術の置かれている状況が昔とかなり違ってきている。一人のやっていることであっても、大変大きな事故につながるかもしれない。非常に大きな場に科学技術者は立たされているということはあります。それと、最近は、地球環境問題というふうに、非常に大きな問題に影響を与えるような側面が科学技術にあるし、これもまた、うまくこの問題に取り組めば非常に大きな力になるかもしれないしというような側面に、科学技術者一人一人が立たされている。  それと、最近は、環境倫理とか世代間公平とか社会的公正といったような問題が、倫理の問題としても、個人の科学技術者に問われるようなことになってきていると思います。ただ、それに即した教育とかを全然受けてきていない。ただ理科の知識を身につけてきたり、技術の知識を身につけてきて、それで専門になっているというのが現状だと思うのです。  その辺の、科学技術者のあり方、教育などを根本から考え直すようなシステムを、社会的に、全体に考えていかないと、やはり動燃の内部だけではこの問題は解決しないだろうというふうに思います。
  330. 佐藤守弘

    佐藤守弘君 ただいまの科学者社会的責任ということをより一般化すれば、私は、現代で一番大きな問題になっている、職業倫理あるいは責任倫理の問題だと思うのです。  そんなふうに考えてみますと、これはひとり科学者のみならず、最近起こりましたさまざまな官庁の事件、日銀、あるいは証券会社等々を含めまして、どれだけ職業倫理、責任倫理があったのだろうかというような問題になっていくのではないかと考えます。実は、これが近代において非常に重要なのですけれども、この責任倫理を持てなくなるような情勢が、今、大変大きな流れとして出てきているということがあります。  一つは何かというと、能力主義です。能力主義は、論文を何本書いたか、雑誌にどれだけ投稿できたかというような数量ではかっていきますから、相手をけ散らして、できるだけたくさん書こうというようなことになりますから、倫理がますます薄れていきます。  それからもう一つは、日本的な集団主義あるいは組織本位の考え方ということがあります。組織の決定に対して異を唱えるということは、組織から阻害され、おまえはだめだというふうにおとしめられる心配が出てまいりますから、やはり組織を優先せざるを得ない。  こうした能力主義とか組織本位ということを超えて、職業倫理をどう打ち立てていくかということが、これから新しい法人の組織の中に問われているところではないかというふうに考えています。
  331. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  332. 大野由利子

    ○大野座長 辻元清美さん。
  333. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  まず最初に、丹野陳述人にお伺いしたいと思います。  地元でいらっしゃるということで、先ほど貴重な御意見をいただきました。今回の、動燃の改革と言われておりますけれども、この法案提出というプロセスの間に、地元意見がどれだけ組み入れられたのかという点について伺いたいのです。  といいますのは、先ほど、動燃方々が説明に回られたというお話がありました。説明するのは当たり前ですけれども、説明ではなくて、地元意見をくみ上げる、そこのところがポイントだと思いますので、地元のお立場で、率直な御意見をお願いします。
  334. 丹野清秋

    ○丹野清秋君 改組あるいはこういう法案を出すから意見を聞かせてほしいとか、そういう問い合わせといいますか機会というのは、少なくとも私どもにはありませんでした。地元に釈明されたりというようなことはあったかもしれません。それが、個々人というような形でどういう反応が返ってきたかは私どもは知りませんけれども、少なくとも、地元で、住民関係の運動といいますか、こういう原子力問題に関心を持って、原子力安全性に対して絶えず気を使っている人間に対して、問い合わせがどうのこうのということはありませんでした。
  335. 辻元清美

    辻元委員 次に、きょうの御発言の中で、安全性という言葉がたくさん出てきました。それで、森陳述人にちょっとお伺いしたいと思います。  この安全性で、きょう、二つの意見が出たように思います。一つは、事故の確率が低いということをもって安全性と見るという御意見、それからもう一つは、過ちを直ちに回復することができる、そういう技術が保証された上に立って、それを安全性と見るという御意見、この二つの御意見があったかと思います。  森陳述人は、動燃でこれからリーダーシップをとっていかれるかと思います。陳述人の発言の中にも安全性の確保ということがありましたが、森陳述人は、この二つの御意見のどちらをとって、安全性と認識されているのでしょうか。
  336. 森将臣

    ○森将臣君 どちらといいますか、二つともじゃないかというふうに思っております。  事故の確率がなるべく少ないようなシステムとして仕上げていくべきだと思っておりますし、その中で、先ほど先生方からも御指摘がありましたけれども、新しいことをやっていけばリスクというのは当然出てくる、そのために、いろいろ幅広い対応を考えていきながら、そのリカバーがすぐできるような対応もとっていかなくてはいけない。  ですから、どちらが重要というよりも、その二つのことを同時に考えながら進めなくてはいけないというふうに思っております。
  337. 辻元清美

    辻元委員 次に、今回の法案の中に運営審議会というのがあります。これについて、何名かの方の御意見を伺いたいと思います。  この運営審議会のメンバー理事長が選ぶということになっております。この議論の過程での、外部の第三者からの評価が大事である、そういう過程にのっとってこれが設置されることになったのではないかと思いますが、果たしてこれで十分かどうかという御意見を伺いたいと思うのです。  まず最初に、丹野陳述人にお伺いしたいと思うのですが、この運営審議会には、どういうメンバーをどういう形で選ぶのか。これは、先ほど高木陳述人も指摘なさいましたが、果たして地元の方が入るのかどうかとか、核燃料サイクルそのものに疑問を呈しているような人も入る幅広いものなのかどうか。私も、どういう選び方になるのかなというふうに、今から心配している点です。いかがでしょうか。
  338. 丹野清秋

    ○丹野清秋君 今のことにつきましては、私もよくわかりません。  というのは、日本のいろいろな審議会を見ておっても、特定の目的に沿った審議会でしかないのですね。だから、その審議会に対して異議申し立てをするとか、あるいは反対の見解を持っておる、それも単なる感情的な反対じゃなくて、こういう点であれじゃないかという委員を入れる審議会というのは、私は、ほとんど見たことがないのです。ですから、恐らく、こういう審議会をつくっても、結局、今までのような路線の審議会でお茶を濁すのだろう、極端に言えば、そういう考えしか思い浮かびません。というのは、私は、審議会の委員を選ぶ当事者では絶対あり得ないわけですから。  そういう点で、ある審議会の委員を選ぶという場合に、どういう選び方が本当に望ましいのか、もしこの審議会をつくるのだとすれば、これこそ国会議論してほしいと思うのですね。本当に、客観的に国民の多数の意見が反映できるような委員会として組織できるかどうか、この辺は十分に検討すべきだろうと思います。
  339. 辻元清美

    辻元委員 今と同じ質問を、森陳述人にもお聞かせ願いたいのです。  といいますのは、森陳述人は、中でこれから改革をしていかれる立場です。今の点で、核燃料サイクルそのものに疑問を呈している方がいらっしゃることは事実であるし、この審議会に地元の方が入った方がいいのかどうか。理事長が選ぶと書いてあるのですけれども、先ほどから、理事長は気にしないという御発言もありましたので、森陳述人に、この審議会のあり方、具体的なイメージがあれば、率直に教えていただきたいと思います。
  340. 森将臣

    ○森将臣君 実は、この運営審議会のメンバーの選出に対して、理事長にも、いろいろなところにも、私どもお願いしていることが一点ございまして、労働界から一人出してくれと。これは、私どもが出るというわけじゃなくて、例えば連合の代表として出していただければ、連合というのは原子力の推進派から慎重派までいろいろな方がいらっしゃいますから、そこから一人出していただければ、いろいろな意見が吸い上げられるのではないかというふうに思っています。  それ以外の、例えば地元の方がいいかといったときに、では、茨城の方がいいのか、敦賀の方がいいのか、東京の方がいいのか、いろいろな話が出ると思うのですけれども、限られた人数ですから、やはりいろいろな意見を吸い上げられる立場の人がいいかと思っております。  私の立場からいえば、やはり労働界から一人、公正な立場でいろいろな意見を持っている方、いろいろな意見を聴取できる立場にいらっしゃる方にはぜひ入っていただきたいなというふうに思っております。
  341. 辻元清美

    辻元委員 同じ質問を高木陳述人にも伺いたいのです。  高木陳述人は円卓会議メンバーでいらっしゃったというふうに承ったのですけれども、先ほど、丹野陳述人の御発言の中に、審議会とかそういうふうな形のものは、なかなか少数の意見を反映しにくいというような趣旨の御発言があったかと思います。実際に、円卓会議参加されまして、いかがだったでしょうか。
  342. 高木仁三郎

    ○高木仁三郎君 一言お断りしておきますと、円卓会議は、恒常的なメンバーというのがあるわけじゃなくて、その回その回、会のテーマに即して招聘されるという形だったと思います。だから、次回に私が招聘されるかどうかということも全然わからない。そういう人選は、ここに科学技術庁の方がいっぱいいらっしゃいますけれども科学技術庁の方で行われていて、私自身も公に言いましたけれども、そのこと自身かなり不透明な要素でありました。  なおかつ、最近の情勢からすると、いろいろ政府と違う意見をということで、招待されて意見を述べる場が部分的には私たちにも与えられるようになりましたけれども、どういう形で、どういうときに招待されるのか、だれが選ばれるのかなどということは、全く私どもの知らないところであります。そういうことに関する限りは、今、どうも議論全体は、いろいろな委員会がありますけれども科学技術庁なり通産省なり、そこが方向づけをしていて、その範囲においていろいろな人選が行われて、反対派の意見も聞くというような形になっているのではないか。  したがって、この運営審議会の最初の段階で、ある種運営審議会のあり方が内包されてしまうような人選が行われてしまうのではないかということがあって、これで独立性を保てるというふうには思っておりません。私はそこに大きな危惧を持っている。  それからもう一つ、委員にだれが出ればいいという話ではないという部分があると私は思います。  つまり、運営審議会のようなところで、ある程度動燃について客観的な評価をやろうとすると、評価する能力を持たないと、その場で意見を述べるだけに終わってしまって、実際は、新法人が動いていきますと、新法人をやっている人たちの方がいろいろなことを具体的に知り尽くしているわけですから、そういう具体性に迫るような検討はできない。したがって、本当外部評価を入れようと思えば、外部の専門的ないろいろな意見を聞くような、そういうシステムをつくっていかないと絶対だめだと思います。  もちろん、そういうことを前提に置いて、かつ情報公開を前提に置いて、業界関係者ではない市民の声とか住民の声とか、いろいろなサイドの声が委員会に入っていくようなシステムが望ましいことは確かだと思います。
  343. 辻元清美

    辻元委員 もう一問、森陳述人にお願いしたいと思います。  先ほどの御発言の中に、動燃も大きな責任がある、しかし、科学技術庁原子力委員会にも責任があると思うという御発言がございました。  私たちも国会の方で、動燃だけではなくて、科学技術庁原子力委員会の責任についても、国会側として追及してまいりましたが、内部といいますか、動燃の中から見て、こういう点が科学技術庁原子力委員会との関係性で問題だと思う、もしくは責任がある、そういう点を御指摘いただければと思います。
  344. 森将臣

    ○森将臣君 皆さんがいらっしゃる前で、なかなか言いづらいところもあるかもしれませんけれども、まず、科学技術庁との関係の中では、前回、科学技術委員会を傍聴させていただきまして、谷垣長官がおっしゃっているように、はしの上げ下げまで行政指導してきたところもある。私も、組合をやる前は、技術者として現場で働いた時期もありますし、細かい行政指導が、筋の通ったものというか、そのときそのときで変わらなければいいと思うのですけれども、やはり変わるものがあったという意味では、安全総点検の一つの例を見ても、動燃だけが悪くてああいうふうな形になったものではないというところは思っております。  例を挙げれば、法律違反になった案件でも、事業団としても相談したことがあると思っていますし、それに対して科技庁さんから指導があってまとまった形というものが、年月がたつことによって、その形が、同じようなものでも後の指導がまた変わってきているという結果、今から振り返れば、別の形になっていたというようなものが一つあろうかと思っています。  あと、原子力委員会の方には、やはり国の方針としてしっかりしていただきたい。  一つ例を挙げれば、ATR「ふげん」の話ですけれども、長計の中で「ふげん」をこれからまだやっていきましょうと決めて、一年後に、経済性の理由で否定されれば、まあそうだということで結論。いろいろな議論があってそうなったのは認めますけれども、やはり、その前の議論はしっかりしていただきたいなというのが私の思っているところでございます。  中から見たときの意見でございます。
  345. 辻元清美

    辻元委員 時間が参りましたので、終わります。
  346. 大野由利子

    ○大野座長 これにて委員からの質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者の皆様におかれましては、長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。  拝聴いたしました御意見は、今後、法律案の審議に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。  核燃料開発の安全確保はもとより、国民皆さんの信頼回復は、ここまでやれば十分ということはあり得ないのではないか、今後も、永遠の課題としてさらなる努力が必要なのではないか、このように思っております。それぞれの立場で、またしっかり頑張ってまいりたい、このように決意をしている次第でございます。  また、この会議開催のために格段の御尽力をいただきました地元の皆様を初め関係各位に、心より感謝を申し上げます。大変ありがとうございました。  これにて散会いたします。     午後四時九分散会      ————◇—————    派遣委員福井県における意見聴取に    関する記録 一、期日    平成十年四月八日(水) 二、場所    敦賀勤労福祉センター 三、意見を聴取した問題    原子力基本法及び動力炉核燃料開発事業    団法の一部を改正する法律案内閣提出)    について 四、出席者  (1) 派遣委員    座長 大野由利子君       田中 和徳君    望月 義夫君       山口 俊一君    辻  一彦君       吉田  治君    斉藤 鉄夫君       菅原喜重郎君    木島日出夫君       辻元 清美君  (2) 政府出席者         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力局動力炉開発         課長      森口 泰孝君         科学技術庁原子         力安全局次長  田中 徳夫君         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    武山 謙一君  (3) 意見陳述者         福井敦賀市長 河瀬 一治君         福井県農業協同         組合中央会会長         (JA福井県五         連会長)         福井県環境・エ         ネルギー懇談会         副会長     池端 昭夫君         敦賀原子力懇         談会委員    吉村  清君         フリージャーナ         リスト     小林  巌君         ヤマトタカハシ         株式会社常務取         締役      高橋 一夫君         原発問題住民運         動全国センター         代表委員    渡辺 三郎君  (4) その他の出席者         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君      ————◇—————     午後一時開議
  347. 大野由利子

    ○大野座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院科学技術委員長大野由利子でございます。  私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。  この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のように、現在科学技術委員会におきまして、内閣提出原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案の審議を行っているところでございます。  動燃の相次ぐ事故とその後の虚偽報告等の不祥事によりまして、国民の皆様の動燃に対する信頼が失墜をしてしまったという大変不幸な出来事がございました。  この際、動燃を抜本的に改革をし再出発しよう、その法整備を行おう、こういうことを目指しまして、当委員会におきまして、本日、本法律案の審議に当たり、「もんじゅ」と「ふげん」のあります地元福井県を初め、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を催させていただいたところでございます。一昨日の四月六日は、茨城水戸市におきまして同じく地方公聴会を開催させていただきました。  きょう御意見をお述べいただきます六人の皆様方には、御多用の中、しかも急な御連絡にもかかわりませず快く御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。今後の法案審議の参考に資するため、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。  会議議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私がとり行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言をしていただくようお願いいたします。  なお、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  最初に、意見陳述者の皆様から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきたいと存じます。その後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、派遣委員を御紹介いたします。  自由民主党の山口俊一さん、田中和徳さん、望月義夫さん、続きまして、民友連の辻一彦さん、吉田治さん、次に、平和・改革の斉藤鉄夫さん、自由党の菅原喜重郎さん、日本共産党の木島日出夫さん、社会民主党・市民連合の辻元清美さん、以上でございます。  次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。  福井敦賀市長河瀬一治さん、JA福井県五連会長福井県環境・エネルギー懇談会会長池端昭夫さん、敦賀原子力懇談会委員吉村清さん、フリージャーナリスト小林巌さん、ヤマトタカハシ株式会社常務取締役高橋一夫さん、原発問題住民運動全国センター代表委員渡辺三郎さん、以上の方々でございます。  それでは、河瀬一治さんから御意見をお述べいただきたいと存じます。
  348. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 本日は、動燃に関します法律の改正のためということで、地元意見を聞いていただけるという大変貴重な機会をいただきました。まずもって、心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。  敦賀市には、原子力発電所が、昭和四十五年三月に日本で最初の商業用軽水炉型の原子力発電所ということで運転が開始されて以来、全部で四基が立地をいたしておるところであります。さらには、火力発電所や、隣接をいたします美浜町にも三基の原子力発電所が立地をされておりまして、我が国の電力供給に大きく貢献をいたしているところでございます。  さらに、この敦賀市に立地をいたしております原子力発電所四基は、それぞれ炉型が異なっておるという、世界的にも例のない大変特異性を持った立地状況になっていることは御承知のとおりでございます。  敦賀市には、動燃の「ふげん」と「もんじゅ」が立地をいたしておるわけでございますけれども昭和四十三年ころから動燃皆さん方とのおつき合いが始まったわけでございます。もう三十年にもなるわけであります。  私は、地元の市長といたしまして、この機会に「ふげん」と「もんじゅ」について現状の問題等々を申し上げたいと存じますので、ひとつ御理解をいただきたいと存ずる次第であります。  まず最初に、「ふげん」関係の方から申し上げます。  特に、立地の経緯と地元協力ということでありますけれども、これは、昭和四十三年に市議会の全員協議会でその建設計画を説明し、了承され、立地されたものであります。現在の原発に対します逆風の中では考えられないことでありますけれども、当時は日本原電の一号機が建設中でもございました。工場の増設程度に受けとめられたのではなかろうかと思います。極めて短期間に立地手続が進められました原子力発電所でございます。  しかしながら、地元に対します振興策は極めて少なかったわけでございます。例えば、電源三法交付金制度の成立が遅かったということもございますけれども、本来ですと電源立地交付金が五年間交付されるところでありますが、二・五年間しか対象になりませんでした。つまり、地元が国策に協力しながら、そして立地も非常にスムーズであったわけでございますけれども、その地元振興策というのは少ないものであった、そのように思っております。  また、この「ふげん」でございますけれども、私どもに言わせますと、電撃的な政策変更があったわけでございます。平成六年には、国の原子力長期利用計画が改定をされまして、新型転換炉開発も当然継続されるものと考えられていたところでございます。ところが、平成七年七月に、電事連の方は、大間原発の新型転換炉建設計画の炉型変更を、突然、電撃的に発表したわけでございます。  国の原子力長期計画に基づきまして新型転換炉「ふげん」の開発計画が進められているものと理解し、国策に協力をしてきました地元には、何ら事前の説明もありませんでしたし、その将来に突然幕を引くものでありまして、エネルギー事情の変化とはいえ、地元といたしましては、極めて遺憾に思っているところでございます。  そして、今回さらに「ふげん」は廃炉の方針ということでございますけれども、国の原子力政策が猫の目のごとく変わることにつきましては、市民は、大きな不信感、また政策に対します不安を抱いているところでございます。特に、私どもといたしましては、「ふげん」が廃炉になることに対しまして、地元の経済、また地元の雇用、こういう今大変大切な問題に極めて大きな影響を与えるものと懸念いたしておるところでございます。  以上、「ふげん」につきましての話でございます。  次に、「もんじゅ」についてでございます。  「もんじゅ」は、平成六年四月に初臨界を迎え、平成七年八月には発送電を達成したわけでございますけれども、平成七年十二月にナトリウムの漏えい事故が発生いたしました。大変大きな問題になったわけでございますし、現在は事故の究明とともに、総点検の作業など、諸般の対策がなされている状況であるわけでございます。  私どもといたしましては、これらの総点検が十二分に実施されるよう注意深く見守るとともに、今後とも事故の再発がないことが市民の願いであります。十分に時間をかけ、慎重に実施をしていただき、最終的には国の責任において確認されるものと認識をいたしておるところでございます。  なお、総点検でございますけれども科学技術庁もんじゅ安全性総点検チームの検討結果が出され、今後原子力安全委員会で検討される見込みでありますけれども、市といたしましては、総点検中であり、現段階では運転再開議論する時期ではないと考えているところでございます。  特に「もんじゅ」については、ナトリウム漏えい事故によりまして、安全性についての市民の不安があるわけでございます。運転再開議論する時期ではありませんけれども、原因究明が終わりましたら、安全確保、市民の不安解消のため、できるところから改善していくべきだと考えておるところでございます。そのためには、国におきまして「もんじゅ」の安全性を確認するとともに、地元に対しましてわかりやすく説明をしていくことが重要であると考えておる次第でございます。  次に、動燃事業団法の一部改正ということでございますけれども動燃改革の経過等々あるわけでありますが、昨年八月に動燃改革検討委員会の「動燃改革基本的方向」に関する報告を受けまして、新法人作業部会がまとめられました「新法人の基本構想」について国から説明を受けたところでありますけれども、市といたしまして、再三にわたりまして「ふげん」廃止によります地域経済、また地元雇用への影響の低減など、改革に関連した要請をしてまいりました。  さて、「ふげん」の解体、またその技術開発は他の軽水炉の解体に応用できるものと考えられますので、廃炉技術開発を新法人の役割として明確に位置づけられまして、地元として安心して「ふげん」の廃止にかかわりが持てるようお願いいたしたいと思います。解体技術は、今後高経年炉が続発をいたしまして、廃炉問題が現実の問題となってまいりますので、その先駆的な役割を担うべきであると要請をしてきたところであります。  これら地元の要請を配慮しました検討結果について、国の方針が示されたわけであります。私といたしましては、目的を失った原子炉の発電を継続するということは、安全確保の観点から問題もありますので、大変迷いましたけれども、昨年十二月に「ふげん」について国の廃炉方針を了承したところであります。  今回の法案の主な点は、動燃の事業を抜本的に見直しいたしまして、新法人を組織し、地元重視の観点から敦賀にも本社機能を移転する、また、新型転換炉「ふげん」は五年後に運転を停止し、廃炉研究に活用するというものであります。  新法人は、安全確保を経営の最優先とするといたしております。敦賀本部を設置いたしまして、大幅な裁量権と権限を持たせ、地元での安全確保、危機管理、広報体制の充実を図り、さらに住民参加のフォーラムの開催など双方向の情報交流を図るなど、閉鎖的な体質を改善しようとするものであり、一定の評価をいたしているところであります。  さらに法案には、運営審議会を設置いたしまして、業務の透明性と社会性を確保しようとされております。安全確保、適切な情報公開、効率的な業務運営など、新法人の責務として規定していることは理解しているところでありますけれども、何よりも、その実現がなされなければ何にもならないと思います。  改革の成否は、動燃事業団職員の一人一人の意識改革であると存じます。安全に対します職員の皆さん方の意識改革を新法人への改組までに徹底していただきたい、このように考えておるところでございます。また、地元の信頼を回復するためには、新法人が安全確保を徹底させまして、地元とともに共栄する、このことを強くお願いしたいと存じておる次第であります。  そういうことで、四点についてこれから要望を申し上げたいと思います。  原子力発電所に対しまして国民が不安を持つというのは、不自然な行為ではないと思います。ごく自然な思いだと思います。原子力発電所には放射能があるがゆえに、潜在的な危険性を持っていることは否定できないところであります。安全性につきまして幾ら技術的に難しい説明をいたしましても、国民皆さん方、余り日常関心もないと思いますし、理解や関心を得ていこうというのは非常に難しいものだと私は考えます。このような難しい問題に対しましては、それぞれの専門家、また代理人にゆだねて解決していくというのが一つの現実ではなかろうかと思います。  例えば、法律の世界では弁護士さんという方がいらっしゃいます。そういうような形で、国民にかわって安全性を厳しく監視し、国民の視点に立ち国民を守る、国民の代理人となるような組織をつくることが必要ではないかなと私は思います。これは非常に大切なことだと思っております。行政改革に合わせまして、安全規制部門の強化を図るべきだと思っております。  例えますと、ブレーキのききの悪い車には乗りたくないものであります。しっかりしたブレーキを持った、そういうような機能を発揮できる、そういう安全規制の部門を強化していくことが大切だと思っておるところでございます。  また、安全審査体制や情報公開の強化を図ることによりまして、国民の視点に立った規制ができると思います。原子力発電所の安全性に対します国民の信頼感、安心感が生まれれば、原子力行政の円滑化が期待できるものと認識をいたしております。これが第一点、安全性についてであります。  二つ目に、原子力防災特別措置法の早期制定についてでございます。  原子力災害は、国の安全管理の失敗から発生するものでありますから、国が特別立法をつくりましてその後始末もすべきものと考えております。現在、原子力防災の責務は、なぜか市町村に負わせられているわけでありますけれども、市民に説得力ある説明もできません。確信ある防災対応もできないと思います。科学技術庁原子力防災検討会の検討会報告書では、立法化の要否について検討がなされたわけでありますけれども、統一した意見にはならなかったと聞いております。  今後、各関係省庁を含めました議論の場を早期に設定していただきたいと思います。  三つ目に、地域振興の問題についてであります。  立地自治体の恒久的な地域振興が図られまして、原子力発電所を立地してよかったと言えるような社会環境を実現すべきだと考えております。特に、問題点といたしましては、電源地域振興という電源三法制度の趣旨に沿いました交付金の運用強化を図るべきであります。  この電源三法は、全原協、全国原子力発電所所在市町村協議会が総力を結集して運動いたしました結果、昭和四十九年に成立をいたしまして、立地地域の恒久的発展につながるものと考えていたわけでありますけれども、実際には、その期待は外れております。  その原因といたしまして、電源立地促進対策交付金の予算運用を見ますと、実質的に二割程度しか交付されていない、このような状況になっております。さらに、財政上の大きな問題点といたしましては、原発立地をいたしますと、固定資産税が入るけれども地方交付税は減額をされます。これは、国のエネルギー政策に協力すると地方交付税が少なくなる。改善ができないものか検討してほしい、このように思います。  一般論としまして、原子力発電所の問題というのは、沖縄問題と酷似していると思います。国策に協力をしている地元が、事故が発生したときに肩身の狭い思い、風評被害を受けたりするのはおかしいと思います。これは国民理解度が少ないからであります。特に、昭和五十六年にあった事故では、敦賀地域を通りますと、窓を閉めなさいとバスのガイドさんが言うのです。敦賀から嫁にもらったらいかぬ、嫁に行くなというような非常に肩身の狭い思いをしたわけでございます。  特に、この原子力問題というのは、地元の犠牲の上に成り立つものではありません。国民がひとしくその責務を負うべきであると考えております。そのためには、地元には安全を第一といたしまして、原子力発電所と共存共栄をして、立地してよかったと言えるような地域振興策が必要であります。例えば、電気料金を格別に安くするとか、立地地域が格段に振興するような対策をお願いしたい。  また、福井県の若狭地域を走るJR小浜線というのがございますけれども、十五基の発電所でたくさんの電気をつくっておりますが、悲しいかな、ディーゼル電車が走っております。ディーゼルで油をたいて走っておるのです。そしてまた、国道も二十七号線というのが一本しか走っておりません。私どもは非常に不満を覚えております。そう思いますと、全く地域振興がなされていない、このような現状でございます。  何度も言いますけれども、原発の既存地域から原子力発電所が立地してよかったなという声が出ない限り、恐らく、原発の立地というのはこれ以上進まないと言っても過言ではないと私は思っておる次第でございます。  四番目に、「ふげん」に関します固有の要望事項についてでございます。  ふげん発電所が運転を終了いたしましても廃炉研究業務を続けるということで、固定資産税、償却資産を継続して課税できることを明確にしていただきたいと思います。また、「ふげん」の低レベル放射性廃棄物の処分方法を早期に確立されたい、このようにも思う次第であります。  以上、四点要望させていただきます。  最後になりましたけれども敦賀での地方公聴会ということで、大変貴重な機会をつくっていただきましたことに対し、重ねまして心からお礼を申し上げる次第であります。  また、このような意見を述べる機会をいただいたわけでありますけれども原子力全般、また私の私見を含めた意見を申し上げさせていただきましたが、立地地元の抱える問題等につきまして今後国会においても取り上げていただきまして、原子力に対します国民理解を深めていただければ大変幸いでございます。あえてこの機会に申し上げさせていただきましたので、御理解とまたお許しをいただきたい、このようにも存ずる次第でございます。  御清聴どうもありがとうございました。
  349. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、池端昭夫さんにお願いいたします。
  350. 池端昭夫

    ○池端昭夫君 ただいま御紹介いただきました池端昭夫です。  現在、JA福井県農協五連会長を務めております。また、最近設立されました福井県環境・エネルギー懇談会の副会長も仰せつかっているわけでございます。  次に、動燃とのかかわりについて申し上げます。  私は、「もんじゅ」建設合意時に、当時県会議長を務め、そのときに、同じ県会議員をしておった河瀬市長さんのお父さんが請願書を出され、それを採択した張本人でございまして、こんなことを言うのは大変言い過ぎかもしれませんけれども、「もんじゅ」の生みの親であると自負しているわけでございます。  「もんじゅ」の誘致に当たりましては、公開ヒアリングをめぐる強烈な反対、賛成運動が上がり、大変苦労した思い出がございます。また、誘致決定に際しましては、かつてない県会の本会議場をあけ、全員協議会の形で、科技庁、エネ庁、動燃、技術屋の皆様方お集まりいただいて公開討論を行って、安全論議を十分した覚えが今つい最近のように思われるわけでございます。  そのときの科技庁長官は中川一郎先生でございました。そのときの秘書が、ちょうど今北海道開発庁長官の鈴木宗男先生でございます。そこで私ども申し上げましたのは、安全を大事にしてほしい、ぜひ長官意見を聞きたいということで、今度は自民党の会議場に来ていただきまして、その陳情及び地元の振興をお願いしたいということを十分言ったつもりでございます。ちょうどそのときに、鈴木先生手早く電話をおとりになって、安倍晋太郎先生、そのときの通産大臣だったのですが、おい通産大臣、今福井県におるんだ、「もんじゅ」を今やることになっているが応援しろよ、地元の振興をやれよというお電話を聞きまして、これなら何とかやっていただけるだろう、こんな思いをした覚えが今きのうのように思い浮かぶわけでございます。  また、我が福井県では、原子力発電所を誘致して約三十年たちましたが、この間、農産物に直接、間接に影響を与えるような事故は起きておりません。すなわち、日本には、チェルノブイリとかあるいはTMI、スリーマイルアイランドのような事故は起こってないということで、私どもは影響は受けておりません。まさに共存共栄でやってきていることを、本日改めて認識していただきたいと思います。もちろん風評被害は、市長さんが言われたように、大丈夫かなという被害はありましたけれども、そのものは安全でございますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。  次に、エネルギー問題に関する基本知識でございますが、エネルギー問題は、人口問題、食糧問題あるいは国家安全保障問題と並ぶ国家の重要課題であると私は考えております。特に、資源の乏しい我が国におきまして、化石燃料の消費を極力減らし、原子力を中心に見据えた核燃料サイクルの確立が不可欠であると認識しております。  ここにおられる先生方は御存じだと思いますが、天然ウランは、核分裂するのはウラン235の〇・七%しかないわけでございますので、あとの九九・三%はどうしても燃料にならない。それを、ウラン235が核分裂するときに出ます中性子を当てますと238がプルトニウム239になる、こんなことから燃料がどんどんふえていくような、いわゆる資源の飛躍的な有効活用を行うことが必要であると考えております。  また、無資源国でありながら資源の大消費国であることから、我が国が、大切な資源をリサイクルしながら使い切るという基本認識をしっかりと持ち、その実践に努める姿勢をはっきりと示すことは、国際的に見ても重要であると考えております。さらに、さきのいわゆるCOP3に象徴されるように、炭酸ガスや酸性雨の問題等、地球環境面からますます原子力必要性が高まっているというのが、私のエネルギー問題に対する基本認識でございます。  それでは次に、「もんじゅ事故動燃の不祥事について申し上げます。  さて、平成七年十二月に起きました「もんじゅ事故及びその後のたび重なる動燃の不祥事と言っていいか、対応のまずさといいますか、これにつきましては、原子力を推進してきた私を含め、多くの国民に不信感を与えたということで、まことに残念でございます。  私は常々、新しい技術の開発に故障や失敗はつきものであると思っております。私は医者でありますが、今日の我々人類が恩恵を受けている医療の面でも、先人たちの失敗を恐れない勇気と努力があったからこそ、現代の医療水準があると言えると思います。先人たちのはかり知れないパイオニア精神に感心するわけでありますが、科学技術の分野でも同様なことが言えると思っております。失敗の連続の上に今日の科学技術の恩恵があることは、明白な事実であります。残念ながら、このたびの動燃事故は、軽微な失敗を全くの後始末の悪さで事件にしてしまったと考えるわけでございます。  このことにつきましては、動燃改革検討委員会報告にもあるとおり、動燃は、長い歴史の中で少しずつ、一般社会との安全に対する意識のギャップが生じていたのが原因ではないかと考えております。我々地元の県民が願っているのは、あくまでも安全、安心であることを改めて認識してもらいたいと考えております。しかし、もちろん実験炉でございますけれども、「常陽」につきましては、二十年大洗でやっているわけでございますが、事故が何にもなかったということを考えてみますと、やり方が悪かったということを再度申し上げたいと存じます。今後は、危機管理に関する意識改革を継続的に進めてもらいたいと強く要望します。  さて、本日の意見陳述をお引き受けするに当たり、動燃改革法に関する国会でのやりとりにつきまして一通り読ませてもらいましたが、その中で、衆議院本会議で橋本総理が、「もんじゅ」については、今後は、国が安全審査などを通じ安全性を確認し、その上で運転再開について地元の了解を得ていくなど、慎重に手順を踏んでいくことが重要とのお考えを述べておられました。また、衆議院科学技術委員会の中で、高速増殖炉懇談会の座長である西澤先生は、「もんじゅ」について早く調べられることをすべて調べて、なるべく早く運転再開をすべきと発言されております。  このような考えに私も同感である。「もんじゅ」は、総点検の結果を踏まえ、安全確認のため国の責任できちんと安全審査を進め、早期に運転を再開し、着実に研究開発が進められることを心より希望いたします。  次に、動燃改革についてでございます。  動燃改革につきましては、検討委員会がつくられております。御存じのように、吉川先生を中心に、客観的かつ精力的な検討がなされ、報告書としてまとめられたものと受けとめております。問題点が極めてクリアに整理され、方向性を明確に示していると思います。新法人案は、この吉川レポートを骨格としてつくられたものと認識しており、新法人が実施すべき業務が明確に規定され、安全の確保や情報公開、さらには適正な業務の運営といった重要なことが法人の責務として明定されているなど、評価できるものと考えております。  私は、改革のポイントは、新法人の枠組みが吉川レポートをきちんと反映したものにすることがまず重要と考えます。同時に、大切なことは、新法人をつくった後、仏つくって魂入れずというようなことにならないためにも、職員個々の意識改革を断行することであると考えております。このことは、外から見て成果がなかなかわかりにくいことだと思います。私も仕事の関係で、最近の動燃の人たちと会う機会が何回かありましたが、前とは少しずつは何か考え方が変わってきたな、真剣に取り組んでいるなという思いがしたことをつけ加えておきます。意識改革につきましては、今後とも一歩一歩地道な努力が重要であると考えます。  次に、新法人への期待を申し上げます。  動燃は、「もんじゅ事故以来、不祥事を重ねてしまったことも事実でありますが、先ほど申し上げたように、過去三十年の間、数々の輝かしい実績を上げてきた技術開発集団であると今でも確信しております。今、国会でまさに動燃改革法案の審議が続けられておりますが、この解体的再出発を契機として、原子力基本法でうたう自主、民主、公開の原点に立ち返って、いま一度国民から信頼される法人に生まれ変わってもらいたいと思います。  高速増殖炉の開発につきましては、トップを走っているフランスでスーパーフェニックスが経済性の理由から廃炉になるというニュースが先日流れ、なぜ日本だけが開発を続けるのかという声もあることは事実でございます。しかし、今まで日本は、外国技術の猿まねとかただ乗りとかいった批判があったわけでございまして、今こそ日本は、原子力開発分野でも世界に貢献すべき時期に来ているのではないかと考えることも事実でございます。このことは、高速増殖炉懇談会でも確認されていると考えております。  外国にないものをつくるという誇りを持って研究開発実施体制を確立し、世界をリードする技術開発集団になってもらうことを願っております。  最後に、新法人の運営上の課題について、二、三意見を申し上げます。  まず、吉川レポートにありました法人の裁量権と新たに設置される運営審議会についてであります。  動燃のたび重なる不祥事の原因の一つに、経営の不在ということが取り上げられ、新法人では極力監督官庁の監督権限を少なくし、法人の自主性を強化せよとの提言がなされております。また、法人の経営に当たっては、外部から適切な助言を受けるために運営審議会を設置することになっております。この二つの要素をバランスよく保つことが、新法人の経営にとって大変重要なことであると考えております。監督官庁の口出しは厳に慎むよう配慮願いたいと思います。再度申し上げます。監督官庁の口出しは厳に慎むよう配慮願いたいと思います。  次に、新法人の安全管理面の強化についてであります。  動燃事故は、限られた予算、人員の枠の中で新しい研究開発分野に力を割こうとする余り、安全管理面で十分目が行き届かなかった点が挙げられると思います。したがって、新法人に対しては、国も、あくまでも安全に係る予算や人材の確保を最優先で考えてもらいたいと考えております。聞き及びますと、現在二千七百数十名おる職員を二千名にするということを聞いております。それでは大変だなと思います。安全であるためには、むしろ人員をふやして頑張っていただきたい、特に安全に頑張っていただきたいと考えております。  最後に、地域に根差した研究開発の推進についてであります。  新法人では、本社機能を茨城県と福井県に移転することになっており、これにつきましては、危機管理の観点からも地元として歓迎しており、さらに研究機関の面でも、新法人を中心に、若狭湾エネルギー研究センターや地元大学などの連携を図り、開かれた研究体制のもとで、科学技術創造立国の模範的な県と福井県が呼ばれるよう、今後とも国の特段の御支援をお願い申し上げまして、私の陳述とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  351. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、吉村清さんにお願いいたします。
  352. 吉村清

    ○吉村清君 吉村でございます。  私は、今回、衆議院の科学技術委員会に提案をされております二つの法案、この法案は、科学技術庁が主導してつくられた動燃改革検討委員会高速増殖炉懇談会、この委員会の結論に基づいて出てきた法案だと理解をいたしております。その間、国民意見がこの二つの委員会にどれだけ反映をされたか、私はまず第一に、ほとんどなかったと言いたいのです。  それから第二の問題は、今度新しく核燃料サイクル開発機構という名前に変えるわけですが、それでは、現在の動燃の体質、それから機構というものが本当に実質的に新しくなるのかといいますと、名前を変えるだけで、ほとんど実質中身はそのまま引き継いでいくものではないか、このように私たちは見ております。  それから三番目に、特にこの点は皆さんに訴えたいのですが、今「もんじゅ」はどうなっておるのか。あの事故を起こしてからもう三年に入っておるわけですが、運転を停止しております。しかし、ナトリウムを使っておるために、ナトリウムが固化するのを防ぐために、二百度に温度を上げるために毎月電気代に現在一億円使っております。一億円の電気代を使って一次系、二次系のナトリウムを回しておるわけです。  普通、軽水炉ならば、定検のときには燃料を全部プールの方に移して、原子炉を空っぽにするわけです。ところが、「もんじゅ」はそれができない。動燃の話ですが、やろうとすると百五十億ほど金がかかる。これは大変な技術なのですね。だから、あの「もんじゅ」という高速増殖炉は、一たん動かすと廃炉になるまではナトリウムを抜くということはできないような構造になっておる、私たちは今回の事故でそういう認識に立ちました。  そうなりますと、今回の「もんじゅ」の事故というのは、「もんじゅ」の一番根幹であるナトリウムを漏らし火災を起こした、そしてそれを拡大させた、この点を考えますと、高速増殖炉の根幹にかかわる重大な事故であった。これは、福井県もそういう見方をしております。私たちもそういう見方で一致をしておるわけです。その点から考えますと、まず動燃を改革するという前に、この事故の根本的な対策、さらに原因の究明が必要だ、私はこの点を特に主張したいと思うわけであります。  そうなりますと、現在の原子力安全委員会、それから科学技術庁の役割はどうなのかという点であります。特に原子力安全委員会は、原子力安全委員会法によって諮問機関であります。その諮問機関でいいのかどうか、これが今問われておると私は思うのです。少なくとも行政機関にすべきではないかという意見もあります。事務局が科学技術庁の職員をもって充てておるわけでありますが、そういう体制で果たして安全委員会国民の信頼を得ることができるのかどうかという問題、それから科学技術庁の中に原子力局と原子力安全局があって、推進と規制が同居をしておる、こういう姿がいいのかどうかという点も私は問われておると思うわけであります。  特に今回、原子力安全委員会のワーキンググループが出しました最終報告を見ますと、原子力安全委員会として初めてでありますが、事前審査をしておる。これでは私は国民の信頼を得られないと思うのです。まだ「もんじゅ」を保有しておる動燃から安全審査のお願いも出ていないのにもかかわらず、総点検を事前に審査して、安全委員会のワーキンググループがそれが妥当であるというような方向性を出すということは、事前に安全審査をしたも同然であります。これでは国民の信頼を得ることができない。まず安全委員会あり方を検討して、そうして国民の信頼を得るような安全に対する保障措置をどうするのかということを審議いただきたい、私はこのように考えております。  それから次の点は、情報公開の問題であります。  政府提出をしております情報公開法では、特殊法人に対する情報公開は今回は見送られておるわけであります。ただでさえ動燃情報非公開というのはひど過ぎました。「もんじゅ事故を契機にいたしまして情報公開されつつありますが、一番肝心な点についてはまだ公開されておりません。動燃は、事故解明のたびにASSCOPSを、これは計算コードの一つでありますが、全面的に公開をすると言いながら、その後、私たちの専門家が具体的に調べましたところ、大事な点はほとんど公開をされていないという点も明らかになっております。そういう点からも、この特殊法人情報公開の方が先決ではないか、私はこのように考えるわけであります。  それから次の問題は、日本が世界で唯一高速増殖炉の開発をやってもいいじゃないかという意見も出ましたが、私は日本がそれだけの技術を持っておるとは思いません。基礎的な研究から始めた欧米が相次いで撤退をしておるという現状、特にスーパーフェニックスからフランスが撤退をしたという現実。先般、社民党の福井県連合がヨーロッパ県民視察団を派遣しました。その報告によりますと、フランスの環境・国土整備相のラポンシュ技術顧問は、「もんじゅ」はとめるべきだという発言をしたということも聞いております。  私は、現状では、ただ拙速に「もんじゅ」の運転再開を言うのではなしに、もっと基礎的な研究を日本はやるべきではないか。だから、拙速に「もんじゅ」の運転再開は言う段階ではない、このことを強く申し上げたいと思うわけであります。  そして、政府は、国際的な公約として、プルトニウムの需給のバランスをとるんだということを言っておるわけであります。しかしながら、果たして今の政策で需給のバランスがとれるのかどうか、極めて疑問であります。だから、需給バランスをとるために何としてもプルサーマルを実施したいというのが今の方針であります。  各電力会社が、特に福井県では、関西電力が高浜四号機でまず始めたいと言っておりますけれども、ウランを燃やす軽水炉でプルトニウムを入れて燃やす、それも、そのプルトニウムの量が、「もんじゅ」は約一トンのプルトニウムを入れておるわけですが、高浜四号機では一・二トンのプルトニウムを新たに入れよう、いや、軽水炉の中でプルトニウムが燃えておるからいいのだという議論を関電はしておりますけれども、私は、少なくとも、そのようなプルトニウムを軽水炉で大量に使用するような政策がいいのかどうかという点も問われておると思うわけであります。  それと同時に、核燃料サイクルを推進していくということになりますと、必然的に高レベル廃棄物が出てくるわけであります。今フランスから高レベル廃棄物が青森県の六ケ所村へ返還をされつつありますけれども、少なくとも、核燃料サイクルにストップをかければ、この高レベル廃棄物はストップをするわけであります。  それから、軽水炉から出てくる低レベルの廃棄物、これも六ケ所に集中をしておりますけれども、これはあくまでも各電力会社が持つ軽水炉の低レベル廃棄物を六ケ所へ集めておるだけにすぎません。日本で発生をする、そのほかの原子力研究所、動燃事業団、医療機関、各大学の研究機関が持つ核廃棄物、こういったものを最終的にどこに処分をするかということもいまだ決まっていないというのが現状であります。フランスでは、核廃棄物管理庁を設置して、こういう核廃棄物については一元的に処理をしていくということが決まっておるということを私たちは聞いております。  そうなると、一番すそ野の、核の廃棄物をどうするかということは、原子力発電を始める三十年前からずっと言われ続けてきた問題であります。「トイレなきマンション」と言われてきたのが今になっても解決をしない、この解決を図る方が先決ではないか、私はこのように考えるわけであります。  今原子力発電所、特に各電力会社が持つ軽水炉については、成熟した技術である、もう心配は要らない、このように言われております。それならば、通産にしても科技庁にしても、なぜ手厚い予算措置をしなければならないのかと私は疑問に思うのです。少なくとも、エネルギーの多元化、それからエネルギーの安全保障という観点から考えますと、エネルギー源というものは国策としてもっと多様に考えてしかるべきだ。これから国費を使っていく、特に今、行財政的にも日本国としては極めて逼迫した状況にあるということを私たちは認識しております。そうなりますと、その中で使われる予算というものは、新しいエネルギー開発の方に重点を移して使うべきではないのかと私は思うのです。その点、いまだ原子力に傾斜をしたような予算配分の仕方、私はこれをぜひ改めてほしい。  このような観点から考えますと、先ほど申し上げましたように、まず今の原子力に対する政策がいいのかどうか、このことを衆議院の科学技術委員会としても一度根本的に見直していただきたい。それは、原子力安全委員会のあり方、今の諮問機関がいいのか、行政機関にすべきではないのかという点についても御論議いただきたい。それから、科学技術庁の、推進と規制が同居をしている状態がいいのかどうか、このこともひとつ検討をいただきたい。その上に立って、動燃をどうするのかということを御論議いただきたいと思うのです。  それには、やはり基礎的な研究を中心にして考えていくという立場が必要ではないか、私はこのように思いますので、現時点では、今回の二法案については、遺憾ながら賛成をすることができないということを最後に申し上げて、私の意見にかえたいと思います。  ありがとうございました。
  353. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、小林巌さんにお願いいたします。
  354. 小林巌

    ○小林巌君 今ほど、吉村あるいは池端公述人のお話を承っていましてちょっと感じたことがありますので、本論を言う前にそれをお話ししたいと思います。  池端さんがおっしゃった、FBR懇談会の座長が早期に「もんじゅ」の運転の再開ということをおっしゃっているそうですけれども、FBR懇談会ではそういうふうな結論ではございません。これは、将来の原子力、ひいては非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢として、高速増殖炉の実用化の可能性を技術的、社会的に追求するためにその研究開発を進めるということでありまして、私は委員として参加しましたが、早急な運転再開ということについては了解はしておりません。  それからもう一つは、FBR懇談会は世論を反映しなかったという吉村さんの御意見ですが、吉村さんの理論は私は本当に敬服するところでありますけれども、しかし、実際に委員として参加していまして、この地元福井県の痛みというものを文書の中に反映させてもらうということで書き直しを求め、またそのように表現も変わった点もございます。また、たくさんの意見も聞きまして、特に反対論の方の意見も聞いておりますので、必ずしも全く意見が反映されなかったということはございません。  それから、ナトリウムのことですが、先ほど言及をされたフランスのスーパーフェニックスのことですが、実は社民党の視察団に私は同行しまして、実際に見てきました。そのときの話では、ナトリウム抜きというのは、高速増殖炉の放棄、解体において大変な作業である。一つは、放射能を帯びているナトリウムをどう処理するのか。それを炉から取り出すのに、固まってしまうので、これを固まらせずに取り出す。それをどういうふうに保管し、どういうふうに処理するかということについては、非常に難しい問題であるということを現地で直接に聞きました。これは吉村さんのおっしゃるとおりだと思います。  ところで、本論ですけれども、一般的な賛成、反対ということではなくて、法案について幾つか述べたいと思います。  この法案をどうするかということについては、今ほどもお話がありましたように、内容に問題があるので見送ってはとかいう話ですけれども、私は必ずしもそうは思いません。  と申しますのは、重なる事故が当時の動燃の無責任な体質から来たものであるという意味で、根本的な組織の見直しというものが今必要であって、事故以来今日まで、組織解体論を含めていろいろ論議のあったところなのですね。それで、今改正が通らずに組織はもとのとおり、そういうことでは国民の大部分は納得しないと思います。そういう意味では、改正案の提案というものは適正であろう。  それで、この見直しについては、具体的な数字はわかりませんが、県民、市民の大部分の声ではないかと思います。組織の改正が見送りになれば、もとのもくあみといいますか、国民批判はまた高まり、マスコミの批判は高まるに違いないと思うのですね。そういうことでも、こういう改正をして、さらに問題があれば、さらにまた改正とかあるいは論議を国会で深めてもらうということが大事であり、まず差し当たり新しい組織になって、動燃あるいは新機構の職員あるいは理事がその意識を改革する、そしてそのスタートの場として組織を変えていくということは大事なことではないかというふうに私は思います。  それから、以下、引き続き法案について幾つか申し上げますけれども、この新機構問題が浮上したのは、言うまでもなく安全の確保というものができなかったためである。そういう意味でも、余りその論議に時間はないようですけれども改正案には、第一条に安全確保というふうな文言をはっきり入れてもらいたいというふうに思います。  それから、地元に関してのことですが、第四条の「主たる事務所を茨城県に置く。」ということについては、詳しい説明は聞いていませんのでよくわかりませんが、それでは、「もんじゅ」のある敦賀に従たる事務所といいますか、敦賀事務所に本社機能を持たせるというふうなことが言われていますけれども、見たところ、どこにも書いていないわけです。何かの規則その他で書かれるのかわかりませんけれども、いずれにしろ、形式的な本社機能を敦賀に置くということでは困るわけで、副理事長が常任にされるという話も間接的に聞いていますけれども、十分に現場で判断できる、本社機能というものを生かせるような組織にしてもらいたいということであります。  それから、大きな変更は、理事長諮問機関として運営審議会を置くことが案では規定されております。これはまことに結構なことでありますが、これはどういう人が任命されるのかよくわかりませんが、最低何人かは新機構の関連地、関連サイトといいますか、そういうところの地域から選んでもらいたい、いわゆる地元意見を反映できるように望みたいと思います。運営審議会の性格もはっきりしませんが、経営側に意見を述べるとありますけれども動燃の経営不在ということが言われてきまして、池端さんもおっしゃいましたが、経営責任の一端をこの審議会の委員が負うのか、あるいは理事長は審議委員意見参考に聞いておくというものなのか、ちょっとよくわかりませんけれども、これを重視してもらいたい。また、理事長はこれを重視するということを明確にしてもらいたい。  それから、関連して言えば、外部からの技術評価がどんな形になるのかよくわからない。その点が我々にとっては疑問な点です。  それから、情報公開のことですが、新しい組織の業務については、サイクル研究ということでありますけれども、秘密があってはならない、それで、透明性を増してほしいというふうに思います。  そういうことで、情報公開法との関係がこれまたよくわかりませんけれども、しかし、一般的に言えば、原子炉については、事故が起きて初めて情報がいろいろわかってくるという状況なのですね。事故が起こらなければ情報がよくわからないというのがほとんどの場合でありまして、そういう意味でも、原子炉あるいは「もんじゅ」についての情報公開ということ。情報公開というのはちょっと書きにくいところがあると思いますが、しかし、第二十四条三項というところを見ますと「第一項の規定により行う業務を妨げない範囲内において、内閣総理大臣の認可を受けて定める基準に従って、その設置する施設及び設備を原子力の開発及びこれに関連する業務を行う者の利用に供することができる。」、関係者だけにその利用あるいは情報を供与できるというような感じですけれども、もう少しこのあたりを広げるべきではないかというふうに個人的には思います。  先ほどもお話がありましたフランスのスーパーフェニックスですけれども、ローヌ川という川が流れていまして、その川のほとりに、二羽の鳥といいますか、スーパーフェニックスとフェニックス、両方ともストップしている状況はまさに異様な感じですね。風光が明媚なだけに、非常に異様な感じを受けました。フェニックスの方は今再開の準備をしていますけれども、これも二〇〇四年には一応その区切りがつく。そこでさらに延長するか、あるいはそこでストップするかについては、先ほどありましたフランスの政府高官の話は「もんじゅ」についての話ですけれども、それから類推すれば、延長してフェニックスが運転されるということについては、ちょっと難しいのではないかというふうな感想を受けました。  それから、余り時間がないので急いで申し上げますけれども、もう一つの現実は、ヨーロッパ、特にフランス、イギリスにおいて、MOXなどはハイテクビジネスとして国際的な市場が形成され、国際的な競争の中にあるというふうに言われています。そう向こうの責任者が言っていましたけれども、国際関係の中でどう考えていくのか。日本が突出して高速増殖炉の技術というものを開発していくのか、それとも、経済的なあるいは技術的な困難性を考えれば、それについての見直しといいますか、そういうことも考えられる。しかし一面、一つ間違うと、これは新しいMOX生産、製造あるいは再処理技術においてヨーロッパの技術が非常に先に進んでしまうという心配というか、現状認識というものはあります。  そういうことで、私の持論でもあるのですけれども、FBR懇談会でも申し上げましたが、基本的には、長計はもうある意味ではずたずたになっているところがあるのではないか、この見直し、書き直しというものが必要ではないかというふうに思います。  いずれにしろ、この問題は、使用済み核燃料の問題、新たにMOXを軽水炉に使っていくという問題、結局放射性廃棄物をどうするか、一回きりのワンススルーにするのか、再処理して量を少なくして、そしてそれを処理していくのか、その選択のはざまに立っているのではないかというふうに思います。  イギリスの核燃料公社の新鋭工場THORPというのがありまして、それを見学したのですけれども、日本からの使用済み核燃料が大量に保管をされている。いずれ再処理されて日本へ戻ってくるということになるかと思いますが、それを考えると非常に心配な点はあります。フランスは非常にドライでありまして、地下に貯蔵するというようなことも考えているようです。  時間が延びましたので、特に結論というのはありませんが、新しい組織に移行して、改めて責任を感じ、意識を改革し、そして汚名を返上してやってもらいたいということであります。  以上です。
  355. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、高橋一夫さんにお願いいたします。
  356. 高橋一夫

    ○高橋一夫君 私は、この敦賀の立地地域に生まれ、そして住む者として、将来あるべきものとともに生きていきたいという立場から、二点ほど申し上げたいと思います。  まず一点は、今後の新法人になる動燃に対する期待、そしてあるべき姿ということで三点ほど申し上げたいと思います。それともう一つは、改革法案についての要望と所見ということで、これについても三点ほど申し上げたいというふうに思っております。  まず、新法人に対するあるべき姿、期待する像というものにつきましては、何といいましても、最初に信頼、安全の追求と徹底、そして信頼の確立と共生の実現を図っていただきたいということでございます。  日本型管理機構の制度疲労という形の中で動燃の問題というのはとらえるべきかと思いますけれども、これは今大蔵省や厚生省の問題等でも出ておりますし、銀行、金融・証券の問題等でも出ておりますけれども、従来の基本的な枠組みのモラルハザードがある意味では顕著に発生した事例というふうに言えるのではないかと思います。ですから、今度の動燃のこういった問題を逆にチャンスととらえていただきたい。既成の慣例や考え方にとらわれず、大胆に、しかも先駆けて新たな信頼の醸成を推進してほしいということを申し上げたいと思います。  そして、その大前提になるのは、何と申しましても、情報公開の徹底と一般からも受け入れられる透明性の確保であります。それは、通常言われております、見える、わかる、理解するに加えて、地域と語り合う、さらには議論をする関係を地域社会との間でいかに確立するかということでございます。従来の、日本型のプロパガンダによってつくられました安全神話に基づくような不安定な関係ではなくて、事実を直視し、その存在を認めた上で新しい地域とパートナーシップを構築し、それによって初めて、お互いの役割や責任を自覚できる可能性が見出せるというふうに考えております。  さらに、私の意見として私見を申し上げさせていただければ、地域の住民は、信憑性が極めて低いと申しますか、揺らいでおります。技術的な安全を求めているのではなくて、社会的な安心を強く望んでいるということでございます。そのためには、信頼の確立なくしては絶対に困難であるというふうに考えております。  そして、そのためには、いま一つ極めて重要な要件は、責任の所在の明確化と公平な対処であります。監督責任、経営責任、現場責任を明らかにするためにも、外部監査、第三者監視機構を設立して、公正かつ透明性を確保し、その役割、権限を明確にした上でその機能のチェックに当たり、信頼の確保に当たっていただきたい。これがまず新法人が取り組む第一義の課題というふうに考えております。  それから二番目が、負の財産からの積極的な脱却を図るための側面的なサポートをしていただきたい、また、そういうような方向でいっていただきたいということでございます。人間貢献、未来貢献への関与とその技術開発、そして社会還元に動燃は力を入れていただきたいということでございます。長年この立地地域は、先ほどの市長のお話でもありましたけれども、国のエネルギー政策に協力をしながらいわれなき中傷を浴びてきた負の財産という価値観を、今回を契機に積極的に転換をしていただきたいということでございます。  例えば、高齢化社会の到来を踏まえた医療、そして今後重要性を増しつつある環境対策等の人間貢献への関与、そしてその技術開発、そしてその実用化の推進を進めていただきたい。そして、未来貢献としては、地域の産業の振興として、地域に立脚したエネルギー環境の先端的科学技術の開発研究、そして地域から中央に向けての積極的な提言、そして地域の自然エネルギー、例えば雪等の活用とその実用化等についての積極的な関与と、技術開発に積極的に関与していただきたいというふうに望んでおります。  そしていま一つは、地域、町づくりへの新たな貢献策としては、これまでのような財政主導による地域貢献からの脱却、そして動燃がこれまで蓄積してきたさまざまなシンクタンクとしての技術、あるいはさまざまな動燃取り巻くシンクタンクのネットワークのノウハウを活用して、今後到来する地域主権の時代における地域の新たなグランドデザインへの助言や、側面的な支援の実現に取り組んでいただきたいと思っております。また、地域の学術施設や文化・研究施設への人材を含めたソフトの支援を強化していただきたいということをお願いしたいと思っております。  そして三番目が、国際的安全保障への貢献、あえて申し上げますが、動燃よエネルギー安保の先兵れというようなことを申し上げたいと思います。  私は、この立地地域に住みながら、原子力問題についての不安や懸念については、実はこの地域ではなく国外に強く持っております。はっきり申し上げて、中国の原子力事情でございます。  御承知のように、九四年度まで、年率にして一一%から一〇%という高度成長を続けております。そして中央政府の介入もあり、現状は七、八%の経済成長を続けております。今後も、あのポテンシャルから見れば、相当期間高い成長率を保つものと言われております。その結果、人口移動、産業構造の変化とともに、従来の鉱工業、石炭火力を中心としたインフラの電力だけではとても賄い切れず、しかも鉱物エネルギーによる公害は悪化の一途をたどっております。この中で中国は、百万キロワット相当の原子力発電所を二〇一〇年までに全国に四十基建設するというふうに聞いております。既に五基は稼働しており、間もなく五基が稼働すると聞いております。  その中で懸念されることは、原発の建設コストをどうしても安価にということもありまして、ロシア製を多く導入するというふうに聞いております。チェルノブイリ事故を語るまでもなく、あの黒鉛型原発が建設されるのか、それとは違う原発であっても、安全管理という点については、今の日本に比べても極めて希薄であるロシアの技術による原発への不安。さらに、中国では損害賠償法という概念がありません。定期検査の概念というものはありません。ある人にこれを確かめましたら、中国では、壊れてもいないのになぜ定期検査をする必要があるのか、そういうことをやると逆に原子力は危ないととられてしまいますよ、こういった風土がある、こういった不安があるということでございます。  チェルノブイリ事故は、千キロ離れたベラルーシの首都ミンスクの周辺の被害が、風向きの関係もあって非常に深刻であったと聞いております。これはあくまでも仮説ですが、例えば中国の山東省にある原発に同規模の事故があれば、敦賀はチェルノブイリとミンスクより直線距離にして近く、しかも黄砂現象で証明されるように、偏西風が吹いております。結果はどんな事態になるのか、語るまでもないと思います。しかし、中止をさせる権利は確保されておりません。世界の人がひとしく豊かになっていくことは認められた権利と思っております。ましてや、エネルギー事情が深刻であり生存にかかわれば、なおさらのことと思っております。  かつて、ある雑誌で読んだのですが、八〇年代後半に、東ヨーロッパのブルガリアにて危険が指摘され、周辺諸国やEUから運転の停止を強く要請された黒鉛型の原発を、時の総理が、仮に事故が発生し将来数十万の国民にその被害が出て深刻な事態になろうと、今停止すれば数万人の凍死者が現実かつ確実に予測できる状況であっては停止の選択はないとして、運転を継続し、しかも驚いたことに現在もこれは継続をされているということでございます。  このような国際環境の中で、原子力政策としては、安全とフェールセーフを原則とした技術開発の研究と貢献を、放棄するのではなく進めていくことを私は強く望んでおります。その上で、二十一世紀に向けて安全で安定したエネルギーの確保に向けて、その蓄積した技術力を、民間への実用化とともに、世界各国への技術支援と安全の確保に貢献すれば、日本の平和貢献そのものにつながると考えております。  あえて踏み込めば、この分野においての積極的なPKO活動の中核として新動燃には強くかかわっていただき、推進母体の一つとなっていただきたいと切望する次第でございます。  次に、改革法案についての要望と所見でございます。  まず一番は、技術集団である前に、公正公明を基本として、謙虚にしておごらずを旨とした公益法人として脱皮をしていただきたい。その前提としては、先ほども申し上げましたが、情報公開による透明性の確保と責任所在の明確化を大胆かつ顕著に推進していただきたい。  この問題は、現行行政管理機構の制度疲労のひずみであります。まさに、接待汚職に揺れる大蔵省問題に代表され、問題が表面化したように、責任の所在が極めてあいまいに、なし崩しにされている現状を考えますと、特に現場より経営、さらに監督というふうに、上層部に行くにつれ、その責任がうやむやにされるおそれがあり、当事者もしくは現場が責任を問われる比重が極めて高いということであります。これは、広範な意味で、新しい組織のモチベーションの低下を来すおそれがあります。これを世間ではトカゲのしっぽ切りと申します。  したがって、少なくとも、外部監査機能の充実とその仕組みが機能する経営体質の構築に早急に着手していただきたい、責任ある経営の実践を目指すべきであるというふうに考えております。  今後の二十一世紀のエネルギー政策は、国際レベルにおける原子力の安全、安定の追求、また地球温暖化防止のための京都会議でも決議されましたように、CO2排出削減、そして二十一世紀のエネルギー供給の確保の調整、緊急かつ重要性を増しつつあるバックグラウンド技術の早急な開発研究とその整備等、国の安全保障の根幹にかかわるような問題を抱えております。これを基本姿勢にした新組織としては、そういうことに積極的、能動的に対応できるような組織になるために、徹底したスクラップ・アンド・ビルドを断行していただきたいというふうに考えております。  そして、この問題についていま一つ重要なことは、国の基本問題にかかわる重要な要件を業務として担う新組織の所管庁が科学技術庁でよいのかという問題でございます。  安全保障や危機管理の必要性が高まり、さらにグローバルで柔軟な、かつ的確な対応と指示監督が求められている今、「もんじゅ事故の監督責任をあいまいな姿勢に終始したような官庁に任せられるのだろうか。新たな官庁が所管をするか、もしくは全く別建ての新組織の創設を考えてもよいのではないかと思います。  ただし、このことは、今議論されている行政改革論議に対して、後退でも矛盾もしないと私は考えております。二十一世紀に向けて必要なものは積極的に整備、設置し、必要のない非効率なものは廃止、合理化をしていくことは当然であり、この点に矛盾はしていないと考えております。要は、所管庁として、的確なコントロールと監督責任を明確に貫けるかという一点でございます。その点につきまして、私は、所管庁について強い疑問を感じております。  二番目に、技術集団であると同時に、経営感覚のある公益法人の意識を持っていただきたい。技術集団として、より先端的技術の開発を推進していくことは重要ではありますが、旧動燃にあった、その枠に閉じこもり、技術のみに立脚し、非常に硬直した能力開発集団という形になり、柔軟な対応がなかなかできない、そういうような組織ではなく、やはり柔軟で、開かれ、理解ができる公益団体であってほしいというふうに思っております。  さらに所見を申し上げれば、先端技術の開発に傾注する余り、現状の民間エネルギー生産活動との遊離を来し、それが実用性に高いハードルを設けてしまい、また民間にての技術運用の支障の原因になるようなことに現実になっているということで、常にそういう意味での経営感覚を持っていただきたいということでございます。そして、情報、技術の積極的な移転を実施し、民間の活性化に寄与するよう要望したいと思います。また、既に民間が実用化の中で蓄積した能力や経験のある、例えば運転管理等は、既成の考えを転換して、規制を撤廃し、民間の活用、導入を奨励していくことを、今後の経営の合理化、そして効率化の側面からも提案をしたいというふうに考えております。  そして三番目でございますが、これは長年ここに住んで見聞きした感覚として申し上げます。  新法人の動燃は、文系発想の人間をより以上に登用し、体質改善の一因と地域との橋渡しに活用し、地域社会や一般世間とのメッセンジャーとして考えた方が有効ではないかというふうに考えております。動燃は、大学で言ういわゆる理工科系の人間が多い現状の中にございますけれども、技術的に安全なものは安全であって、安心してよいのだというふうに考えやすいところがございます。一方、理系人間に常日ごろから疑問を持ち、私のように劣等感すら持っている文系の人間は、理系人間のそういう物の考え方を信用できないと思っていることが多いわけでございます。つまり、技術的な安全は安全とは受け入れないことが多いということでございます。  では、一般人が安心できるものは何なのか。一般の社会では、私どものような文系の人間の方がマジョリティーでございます。理系の人間は、どちらかというとマイノリティーであります。常日ごろから理系人間を苦々しく思っており、信頼できないと思っている人は、理系人間の失敗に対しては、それ見たことかと反応いたします。特に、理系人間が優越感を持っていたり、特権意識を持っていると感じたときは、その反応は顕著です。  それでは、何をもって一般人は信頼し、安心するのかといいますと、一般人は、理解できない上に信頼できない科学技術に対して、理屈で安全と言われても安心はできません。ところが、それに携わる人たちと信頼できる人間関係が成立すると、安心し、かつ安全だと考えるようになるわけでございます。これは、私が地元の人間としてこれまで見聞きした感覚として申し上げたことですが、このようなことを踏まえまして、新法人の機構改革にぜひ一考をいただければと思っております。  ありがとうございました。
  357. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  次に、渡辺三郎さんにお願いいたします。
  358. 渡辺三郎

    ○渡辺三郎君 原発問題住民運動全国連絡センター代表委員の渡辺三郎です。  私は、五つの点にわたって意見を述べたいと思います。  その第一点は、「もんじゅ」を二度と動かすなという福井県民の意思についてです。  福井県の人口は八十三万人。その四分の一を超える二十二万人が、昨年十二月までに、福井県知事に対して「もんじゅ」を二度と動かさないでくださいという署名を提出いたしました。  福井県には、動燃事業団の管轄下にある「もんじゅ」「ふげん」を含めて、さまざまな型の原発十五基がつくられてきました。福井県民は、敦賀一号の放射能廃液の大量垂れ流し事故、美浜二号の蒸気発生器細管のギロチン破断事故を初め、大小さまざまの事故、故障と事故隠しを経験してきました。だから、とりわけ技術的にも問題の多い高速増殖炉「もんじゅ」については、最初から大きな危惧の念を持っておりました。  そして、試運転間もなく、今回のナトリウム漏れ火災事故です。事故隠しも加わりました。福井県民が「もんじゅ」を二度と動かすなと言うのは、「もんじゅ」が他の原発の危険性をはるかに超えた危険性を根本的に持っていると感じているからです。福井県民を無知な民衆と見下して、安全総点検をやりました、動燃も組織がえして生まれ変わります、こういうふうに宣伝すれば福井県民の認識は変わると考えているとしたら、それは大間違いだと言わなければなりません。  第二点は、核燃料の再処理、高速増殖炉といった核燃料サイクル技術は未成熟で、確立されたものではないということです。  原子力安全委員会は、原子炉施設の事故などの異常状態を二つに分けまして、一つを運転時の異常な過渡変化、これは単一の原因で引き起こされ、原子炉の寿命中に予想し得るものとしております。もう一つはそれを超えるもので、これを事故と呼び、原子炉の寿命中に起きる頻度はまれであるが、それに備えなければならないというふうにしております。これは、一般の国民の常識から見れば事故ということを大変狭く規定しておりますが、「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故は、まさにこの安全委員会の定義からしても、紛れもない事故でした。それが、まだ出力一〇〇%にも達していない試運転中に起きたのです。  しかも、その事故の様子は、安全審査で想定していたものとはまるで違っておりました。安全審査段階では、ナトリウムが漏れても、床の鉄板の上を流れまして、といを伝って箱の中に安全に収納される、そして温度もさほど上がらないというふうにされておりました。ところが、実際には、こぼれ落ちるときに極めて高温になり、鉄をも溶かし、落ちたナトリウムはナトリウム化合物となって堆積し、床の鉄板は腐食し変形しました。これは、ナトリウム冷却材の制御技術が全くの未完成であることを示しております。  東海事業所の核燃料再処理施設は、しばしばトラブルを引き起こし、その稼働率は極めて低いものでした。そして、ついに火災爆発事故を引き起こしたわけであります。軽水炉を中心とした原子力発電技術そのものが十分成熟しないうちに経済性優先の大型化が進められ、事故、故障を数限りなく繰り返してきましたが、核燃料リサイクル関係は、それにも増して、全く未成熟の段階を、もう実用化を目指して進んでもいいのだというふうに見誤って、多くの国民の反対をよそに、核燃料再処理施設や高速増殖炉の建設を強行してきました。ここにこれらの事故が起きた根本の原因があります。  「もんじゅ」でいえば、事故の直接原因は、全く非常識な温度計さや管の設計が見逃されてきたということにありますが、その後の実験や解析の中から、状況によっては、鉄板が溶け、ナトリウムとコンクリートが反応し、水素爆発も起こり得るという深刻な事態が明らかになってきました。まだまだ「もんじゅ」には、どこにどんな危険が潜んでいるか、はかり知れないのであります。動燃の行った対症療法的な安全総点検なるもので安全が保障されるなどとは、多くの福井県民は思っていないのです。  第三点は、「もんじゅ」の事故調査は公正に行われていないということです。  「もんじゅ」の事故調査は、動燃科学技術庁原子力安全委員会の三者が行ってまいりました。その実態は、事故の当事者そのものである動燃が主体となって、科学技術庁の設けたタスクフォースや安全委員会のワーキンググループはその結果についてあれこれ言っているだけで、みずからの調査手段や実験手段を持っておりません。これでは十分な調査ができるはずもないのです。  より根本的な問題としては、科学技術庁も安全委員会も「もんじゅ」の安全審査に加わっているのですから、これは当然ながら、公正な第三者とは言えません。明らかに事故の当事者の一員です。壊れたらナトリウム漏れという重大な事故を引き起こす温度計さや管を、これらの機関は安全審査の対象ともしてこなかったのです。そして、漏れたナトリウムが鉄と反応し、それに穴をあける危険性をも察知し得なかったのですが、当時、審査に当たった人たちに知見がなかったから仕方がないといって、みずからの責任を厳しく問うということをやっておりません。ここに、これらが公正な事故調査機関となり得なかったことがはっきりとあらわれております。  特に安全委員会は、みずからの安全審査に欠陥があったとは認めていませんし、それどころか、科学技術庁が最終報告も出さないうちに、せんだって調査終了の態度を打ち出しております。そして、動燃の安全総点検の内容にも今後踏み込むとしているのです。これは、設置許可の変更申請も出ていないのに安全審査に事実上踏み込むという、安全規制というみずからの機関の性格を破って「もんじゅ」再開促進の立場に立つというものであって、国民としては許しがたい態度であると思います。また、科技庁の最終報告はこの三月三十日に発表されましたが、その内容を見ましても、動燃の安全総点検なるものを事実上追認しただけと言っていいと思います。  第四点は、動燃の単なる衣がえでは国民は納得しないということです。  今回の動燃関係法律の改正案は、動燃の仕事の範囲は狭めましたが、再処理技術の開発とその業務、高速増殖炉、原型炉という二つの重大な事故を引き起こした分野はそのまま残すというもので、これで国民批判をかわそうと、組織の形を変え看板をかけかえても、その本質は少しも改まらないと思います。このような改正には賛成することができません。  ことしの二月六日のことです。福井市で動燃による「もんじゅ」の総点検の結果についての一般市民を対象にした説明会がありました。どうして「もんじゅ」はこんなに早い時期に今回のような事故を引き起こしたのかと私が質問いたしましたが、動燃側は、どんな機械にも初期故障というものがあるから、この事故も試運転中に起きたのは、この初期故障に当たるのだというふうに答えました。「もんじゅ」の寿命中に一回あるかないかのはずの事故を引き起こしておいて、動燃の存在そのものが問われているというのに、機械の初期故障のようなものだ、こう言ってしゃあしゃあとしている。私たちはこれを許すわけにはいきません。このような組織がどのように看板をかえても、これに「もんじゅ」を再び運転させようという福井県民はいないと言って過言ではないでしょう。  ビデオ隠しも大きな問題となりましたが、動燃の中でこの調査に当たった西村さんは、報告書が発表される日の朝、みずから命を絶ちました。その日の記者会見で、当時の大石理事長は、報告書は私の決断で発表した、西村さんはこの報告書に満足していなかったと思うと述べました。これは、もっと真相に迫った調査ができていたことを示唆しているものではないでしょうか。しかし、その後、西村さんの調査の中身を示すものは一切発表されておりません。調査はそれで終わりです。ここに動燃の体質があらわれています。この体質は今も変わっておりませんし、これからも変わりそうにありません。  ただ、私は、問題を動燃の体質問題に限ってしまってはならないと思います。大切なことは、この機会に我が国の原子力政策を根本的に改めることだと考えます。私が五点目として申し上げたいのは、このことです。  原子力発電が始まったときから、原発は「トイレなきマンション」と言われてきましたが、この事情は今日になっても改善されていません。それどころか、ますます深刻になっていることはもう皆さん方も御承知のことだと思います。使用済み核燃料を高いお金を出して外国に出してみましても、それはプルトニウムと処分方法の見つからない高レベル廃棄物を初めとするさまざまな放射性廃棄物として戻ってくるだけです。国内で処理してみましても事情は同じです。再処理で得られたプルトニウムをそのまま保管しておりますと、国際社会からは、日本は核兵器をつくるのではないかと疑いの目で見られます。  では、プルトニウムを消費しようとすることになりますと、幾つか方法はありますが、一般の原子炉で燃やすプルサーマル、それから新型転換炉、高速増殖炉の燃料として使うことになります。  新型転換炉は、中では割合順調に動いていたわけですが、さあこれから動燃の手を離れて電力会社がやるとなったら、採算性のないものはやりたくないと電力会社が言うわけで、あっさりとだめになってしまいました。  高速増殖炉については、仮に「もんじゅ」を動かしてみたとしても、それから先の将来性がないということは、立場の違いはあっても、公然と、あるいは暗黙のうちにみんなが認めていることではないでしょうか。既に世界の諸国はこれに見切りをつけております。増殖炉を動かしてプルトニウムを増殖するなどということは、世界的に見ても国内的に見ても、厄介なものをふやすだけで、だれもそれを必要としておりません。  プルサーマルも、うたい文句の資源の有効利用、これを実現しようと思いますと、一回きりでなく何回も繰り返しやらなければなりませんが、そのたびにプルトニウムの高次化現象が起きまして、どんどん始末が悪くなります。高レベル廃棄物もふえます。プルサーマルは愚かな技術と言われているゆえんです。危険性もふえます。労働者被曝もふえます。経済的にも引き合いません。今電力会社は、余りにたまり過ぎた使用済み核燃料をただただ運び出してほしい、そうしなければ原発をとめなければならなくなるので、今はプルサーマルに飛びついているわけです。  このように見てくれば、今日のプルトニウム循環方式を軸とした核燃料リサイクル政策を停止する立場で根本的に見直すことこそ、目下の急務です。そのために、現在の原子力開発利用長期計画全体を根本的に改めて、原子力発電所の大増設計画にもストップをかけなければならないというふうに私は考えております。  以上です。
  359. 大野由利子

    ○大野座長 どうもありがとうございました。  六人の意見陳述者の皆様から、それぞれ大変示唆に富んだ御意見を承りました。  以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  360. 大野由利子

    ○大野座長 これより委員からの質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一さん。
  361. 山口俊一

    山口(俊)委員 自由民主党の山口俊一でございます。  きょうは、それぞれ意見の御陳述を賜りまして、本当にお忙しい中をわざわざおいでいただいたわけでございまして、心から厚くお礼を申し上げたいと思います。  同時に、実は科学技術委員会、他の委員会も含めてでありますが、国会としても、こういうふうな形で地方公聴会というのは実は異例中の異例でございまして、それだけこの問題に私どもも大きな問題意識を持っておる、関心を持っておるということでもあります。それだけに、本当に貴重な御意見を拝聴することができまして、大いに参考になったわけであります。  まず、河瀬市長さんの方からは、いろいろと地元としての痛みといいますか、いろいろなお気持ちも拝聴をさせていただきました。  そこでお伺いをいたしたいのですが、先ほど高橋さんの方からも、いろいろ地域地元あり方みたいなお話の中で、金に偏らないというか、お金じゃない地域振興というか、地元貢献みたいなお話がありました。いろいろあると思いますけれども、市長さんとして、そこら辺、さらにどういうふうなお考えがおありになるのかということが第一点。  もう一つが、これは先ほど市長さんのお話にもございましたが、運営審議会とか透明性あたりの今後のあり方というか、運用の仕方みたいなお話がありました。まさにおっしゃるとおりで、これはいかなる組織をつくっても、あるいはどういうふうな法律をつくっても、それをどうやって運用するか、どうやってうまく機能させていくかというふうなことであろうと思いますので、そこら辺も含めて、地元の市長さんとして御意見を拝聴できたらと思いますので、お願いをいたしたいと思います。
  362. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 まず、第一点の地域振興ということで、私、先ほどから、いろいろな交付金でありますとか、お金にかかわることを中心に述べさせていただいたのですけれども地域振興といいますのは、先生御承知のように、私ども全原協といいまして、二十八の自治体がこういう原子力発電所を抱えておる団体がございます。これはもう共通の話なのですけれども、先ほど言いましたように、事故があった、何かにがあったといったときに、その風評被害ですね。実質的にはそういう被害はないと思います。ただ、世間から見る目ですね。  というのは、国民皆さん方の認識度といいますか、例えば新聞に発電所で事故と出ますと、まず、うわあ恐ろしい、国民皆さん方は細かいことはわかりませんから、なした怖いとこだ、ようそんな怖いものがありますねと。私ども地域は若狭地方と言いまして、非常に魚のおいしい、またリアス式海岸の美しいところなのです。観光でも非常にたくさんの人が来ていただけるところなのですけれども、そういうことがありますと、そんな怖いところならもう行かないでおこうというようなことになりまして、観光客がどんと減ります。  実は、私ども短期大学を持っておるのですけれども、「もんじゅ事故以降から学生数がどすんと落ちたのですね。いい学科もありますし、すばらしい先生もいらっしゃいますけれども、今たくさん大学がございますし、実際、少子化の影響を受けまして少ないときですから、大学自体も選べます。だから、わざわざ敦賀へ行かぬでも、ほかに幾らでもありますからという意識になる。  そういう何かあったときの国民皆さん方の意識、原子力で何かあったらイコール怖いというのではなくて、もっとそれを知っていただいて、事故があれば、ああ、こういうことがあったけれども、環境にも影響がないし何ともないなという意識を持ってもらえるような政策、国民皆さん方にその原子力政策、これはエネルギー政策として私は非常に大切だというように思っています。  そして、いつも言っておるのですけれども、議会などでもよく話が出ますが、放射能という厄介なものをしっかりと管理して、もちろん使用済み燃料その他、全部含めてしっかりと管理をしていけば、次のエネルギーにつなぐ非常に有効なエネルギーだというように私は思っております。  そういうような意識の中で、もっと国として国民皆さん方に対して、先ほども話が出ていましたけれども、恐らく、人間のやることですから、軽微なトラブルとかいうのは、私どもはゼロにしてほしいですけれども、なかなかそうはいかないというように思います。しかし、あったときの国民の受けとめ方ですね。そういうことがしっかりしていけば、私ども地域というのは、もし将来的にはそういうことがあっても、何ら観光にも影響しませんでしょうし、先ほど言ったように、嫁さんに行ったらあかんとか嫁さんにもろたらあかんと言われるような、非常に肩身の狭い思いをすることがないというように思いますので、そういう国民に対する理解。  私ども、例えば沖縄問題ですと、やはり国防という非常に重要な役割を担っていただいておるということで、沖縄の皆さん方には感謝をしております。逆に私どもは、大消費地であるいろいろな都会の皆さんから、電気という大変貴重なエネルギーを送っていただいておるところだなというふうに、感謝と言うと大変横着ですけれども、そういうことがあってこそ、何かあったときに、なしたひどいとこや、恐ろしいとこやなと言われるようなことだけはないように、ひとつ先生方のお力でしていただきたい、このようにも思っております。  それと、二点目の検討会ということでございますが、これはぜひつくっていただきたいと思います。そして、できましたら、例えば私どもの自治体から参加していくのも一つの方法じゃないかなというふうに思っておりますし、開かれたそういうものをぜひつくっていただきたいなというふうに思います。  以上です。
  363. 山口俊一

    山口(俊)委員 大変貴重な御意見ありがとうございました。  また、先ほど池端会長さんの方からもお話がございましたが、実は、いわゆる新法人の裁量権というふうなお話の中で、監督官庁の口出し無用というふうなニュアンスのお話があったわけです。  実は、私もかつての動燃、例の再処理工場で火災を起こしたときに委員会でも自民党を代表して質問をやらせて、いただきました。実は、私が初めて動燃を解体しろと質問をさせていただきました。後でちょっと自民党で問題になったのですけれども、あのときに思ったのは、結局組織の問題というのが相当あるなと。しかも、一つには、確かに専門の技術屋さんから見れば、外へ漏れた量も大したことない、原因自体も究明できるだろう、ですから事故は大したことないというふうな意識で、結局問題を大きくしてしまったというふうなことがあるのではなかろうか。結局は官僚体質になってしまっておったのかなというふうな感じもするわけです。  しかも、その間における科学技術庁の管理監督のあり方みたいなところにも問題があるのかなというふうな思いがいたしましたので、特に先ほどおっしゃったお話が耳に残っておりますので、参考までにお話をお伺いさせてください。
  364. 池端昭夫

    ○池端昭夫君 今、運営審議会の問題ですが、結局これは、完全に新法人は監督官庁の権限を少なくしとレポートにはきちっと書いてあるのですね。にもかかわらず、また今度監督官庁がはしの上げおろしまで言うような、がんがんやるようなのでは、新法人のいいところが出ないわけですね。だから私は、裁量に任せなさいと申し上げているのです。吉川レポートにもちゃんとあるのですから、裁量権を持たせなさいと。ということは、きちんと自己管理をやれということ、自己完結型ということですね。自己完結型の責任を持ちなさいよということですから、そのようにがんがん監督官庁がやるのでは、どうぞ科技庁やってくださいよ、まだ科技庁失敗するよ。それを十分考えていただきたいと思います。
  365. 山口俊一

    山口(俊)委員 お話のとおりであろうと思います。いわゆる自立性のないところには責任というのもなかなか生まれませんので、そこら辺も注意していかなければいけないだろうと思っております。  また、先ほどの吉村さんのお話でありますが、名前のみで、実質的にこれは前と同じじゃないかというふうなお話であります。確かにそういう御意見もあろうかと思いますが、これも小林さんのお話にもありましたように、ではどうするのだということがあるわけですね。  一つは、原子力政策というものを、もちろんそれを見直してからだという御意見だろうとは思いますが、我々としては、やはり核リサイクルシステムの確立とか、そうした一つの考え方があって、しかもあのような事故が現実的に起こった。どうも組織自体の無責任さというか傲慢さというか、そこら辺に大いに問題がある。これはまさに、一度解体をして出直すべきだろう。そうしないと、結局は原子力に対する国民の信頼というのも圧倒的に失ってしまった、もうこれしかないというふうな気持ちで今回の動燃の改正法に臨んでおるわけですけれども、そこら辺いかがでしょうか。
  366. 吉村清

    ○吉村清君 ちょうどあの事故の起こりました後、当時の中川長官敦賀へ来まして、敦賀市の原子力懇談会の各委員から意見聴取をしました。私もその席で端的に長官に申し上げたのですが、果たして動燃は、それまで培ってきた技術、それから蓄積をしてきたノウハウといいますか技術をどれだけ移転してきたのかという点から考えると、まず一つは濃縮技術。これはもう既に現在は青森県の六ケ所で濃縮工場が稼働しています。ところが、人形峠で動燃の濃縮工場がいまだに動いておる。その当時、技術移転があったかというと、ほとんどなかった。技術移転がなされていない。  それから、再処理についても、東海でやっておって、今青森県につくっておるのですね。そうなりますと、その青森につくっておる再処理工場へ動燃の方からどれだけの技術移転があるのか、これはほとんど見られないという点を考えると、動燃のやってきた技術開発といいますか、そういう技術の蓄積というものは動燃内部にとどまっておる、ほとんど技術が移転をされてないという現状を考えると、動燃とは何ですかと問いたいということを私は申し上げたのです。  その点から考えると、私に言わせれば、今山口先生の言われたように、動燃解体論が出るのは当然です。そういう点から、私としては、この際、出直すためには、動燃ははっきりとまず解体をするというのが前提でなければならないということを私は考えておるのです。  それと一緒に、今の日本の原子力長計は、二十年前につくられたものをそのまま頑固にといいますか、後生大事に抱えたままで、それを唯一無二のものとして今日まで進めてきたところに国民の信頼を失った根本原因があると私たちは見ておるわけです。まずこれを変えていくことの方が大事ではないですかということを申し上げたいのです。  ですから、今直ちに拙速に、この二法案の改革でもって日本の原子力政策が変えられるかというと、そういう状況にはないという点を私は強調したいのです。  以上です。
  367. 山口俊一

    山口(俊)委員 ありがとうございました。  大変貴重な御意見、それぞれ拝聴して、若干意見の相違もあるようでありますが、大変参考になりました。また東京へ帰っていろいろ議論をして、これが十分に機能するような形でやっていきたいと思っております。本当にありがとうございました。  以上で終わらせていただきます。
  368. 大野由利子

    ○大野座長 辻一彦さん。
  369. 辻一彦

    ○辻(一)委員 まず、公述いただいた六人の皆さんに心から感謝を申し上げます。時間の点から、全部にお尋ねすることが恐らくできないと思いますので、その点ひとつ御理解をいただきたいと思います。  茨城水戸でやりました公聴会では、情報公開、それから組織の肥大化、また原子力施設は地場産業であるか不安のもとであるか、あるいは原子力防災特別措置法についての問題点等がかなり論議されました。それらについては、きょうはちょっと割愛をさせていただいて、そのほかでお尋ねをしたい。  と申しますのは、福井県は世界一の原子力発電が集中立地をしております。福井県に今プルサーマルの計画、それから使用済み燃料、「もんじゅ」をどうするか、原子力防災という四つの大きい問題がありますが、それは世界の、また日本の原子力問題の縮図である、このように認識をしております。  そこで、第一にお尋ねしたいのは、河瀬、吉村、小林各公述人にお尋ねしますが、一人一・六分、四百字の原稿用紙一枚の中くらいのつもりで御発言をお願いしたいと思います。  私は、高速増殖炉の開発は急ぐ状況にはない、「もんじゅ」は再開を急がずに、ここ二、三年徹底した総点検をやるということと、また核燃サイクル、使用済み燃料、廃棄物最終処理問題等について新原子力円卓会議を設置して国民論議を起こし、国民合意形成する非常に大事なときであると思うが、この点お三人から、今申し上げました時間内で御所見をお尋ねいたしたい。
  370. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 先生にいつもお世話になっております。  「もんじゅ」についてでありますけれども運転再開を急ぐべきではない、そして新円卓会議ということでありますけれども、今総点検のチームによりまして結果がまとまって、今度公表されたところであるわけであります。先ほども言いましたけれども、私どもとしますと、ともかく「もんじゅ」は二度と事故は起こしてほしくないというのが、まずそういう立場ですし、恐らく市民の皆さん方もその思いはそのとおりであります。そういう観点から、原子力委員会によりまして、十分に時間をかけて、慎重に審査、検討がされるべきであると思いますし、私どもそれを注意深く見守っていきたい、このように思っています。  そういう中で、「もんじゅ」の運転再開というのは、先ほど言いましたけれども、とても今議論する段階ではないということでありますが、最終的には国がまず責任を持ってほしい。国が責任を持って確認をしてもらいたいと思いますし、努力もしてほしい。これは国が市民に対しての理解ということでありますけれども努力すべきものだと思います。そういうことで、新円卓会議を設置して国民的な議論を行うというのは、当然必要ではないかなと私も思います。  ただ、前回も円卓会議、「もんじゅ」の事故以降つくりましたけれども、私も当時出させていただきましたが、議論が非常に範囲が広過ぎまして、結論的なものが何も出てこなかったような記憶もございますし、その辺、運営方法をよく検討しながら行ったらなと思っております。だから、先生おっしゃる新円卓会議というのは必要だと思います。
  371. 吉村清

    ○吉村清君 今の辻委員の質問ですが、私は、もし仮に「もんじゅ」が動けば、地元の人間として、はっきり言ってはらはらどきどきの毎日だと思うのです。今の状況でいかに総点検をしても、総点検というのは何ぞや、これは法令に基づいたものではございません。法律に基づいたものではなしに行われたのが総点検です。法に基づいて行われるのは安全審査ですね。そうなりますと、私たちが心配をするのは、規制をする安全委員会や推進をする科技庁の方、それから動燃は早く運転再開をしてほしい、三者が一体になって「もんじゅ」の運転再開運転再開と言われたのでは、私たちはどうもうさん臭いという考えに立つのは、地元のひがみでしょうか。決してそうではないと私は思うのです。  それから、新円卓会議の問題ですが、あの円卓会議が終わった後、モデレーター、いわゆる司会者の皆さんが、ここでは完全に煮詰まらなかったので、新円卓会議を早急に開いて新円卓会議に引き継いで、そこでもって論議をしてほしいということが確認されたにもかかわらず、もう一年以上全然新円卓会議が開かれるという形跡すらないというのが今日の実情です。  私は、少なくとも、「もんじゅ」の問題を含めて、そして動燃あり方や国の原子力政策あり方、もう一度この新円卓会議で掘り下げて論議をしてやっていくというのが筋論としては正しかったのではないか。それを、動燃改革検討委員会とか高速増殖炉懇談会とか、そういう狭めた形での論議にかえてしまったというところに問題があったように私は思うのです。  以上です。
  372. 小林巌

    ○小林巌君 合意形成ということですが、国民合意形成という言葉もありますけれども、日本語としては極めてあいまいな言葉でありまして、定量的あるいは定性的にどういうふうな内容を持つかということについては、私もいろいろなところで質問しましたが、はっきりしないと思います。ただ、大多数の県民が、この大多数の県民というのも難しいのですけれども、住民投票とか選挙とかなければいけませんが、大多数の県民の不安の解消というものが合意形成という解釈ならば、現時点では合意形成はされていないと思います。  いろいろ説明会とかフォーラムとか、あるいは事業者と反対の人たちとの会合とかが非常に急ピッチで開かれていまして、そういう話し合いをする、また説明会をするということについては、一定の評価はしたいと思います。しかし、かえって対立は深まるという一面もありますけれども、とにかく賛成、反対が話し合いをし、また県その他が説明会をやり、またシンポジウム、フォーラムでいろいろなことを出していったということについては、一定の進歩はあると思います。  この合意形成については、それを象徴するのは、地元市長あるいは知事あるいは議会、こういう選挙で直接選ばれた人たちが合意はほぼ形成されたのではないかと判断したときが合意形成ということでありますけれども、いずれも、現段階ではそのところには立ち至っていないということであります。  以上です。
  373. 辻一彦

    ○辻(一)委員 かなり時間が限られておりますが、第二点は、大量のプルトニウムを使うプルサーマル計画について、私はまだ国民や県民の理解は得られていないと思いますが、これらについて本県においてはどういうように思われるか、この点を高橋公述人からと、それから簡単に小林さんからもちょっとお尋ねしたい。  あともう一回お尋ねしたいので、先ほどの時間内でお願いします。
  374. 高橋一夫

    ○高橋一夫君 この問題ですけれども、私、これは個人の意見と考えていただけばいいかと思いますが、プルサーマル計画というのは、ある意味でいうと、「もんじゅ事故が起こした落とし子という感覚を強く持っております。多分に技術的な部分での安全を叫ばれてこの問題点は進行しておりますが、基本的な私の認識としては、「もんじゅ事故が起こした落とし子という感じは否めません。原子力政策そのものが一貫性があるとすれば、極めて場当たり的、その場しのぎといいますか、そういうような政策が持ち込まれたなという感覚を持っております。  基本的には、こういった問題を議論するのであるならば、まず原子力政策そのものの一貫性というものを議論した上でこういった問題という、どちらかというと技術的、枝葉的な問題というのは議論すべきである。  例えば、中長期のビジョンについても、その当時に比べて世の中時代が変化をしている中で、一つの例として挙げれば、二〇二〇年に七千万キロワットの電力供給が要るというようなことを通産省は出しているわけなのですが、現実に、二〇二〇年というのは非常に高齢化がピークに達してくる時期でございます。しかも、低成長がある程度安定化したような時期に、本当にこれだけの電力が必要なのか。そういうような形の中からでも一つ一つそういった問題を踏まえて、一度そういう一つの中長期の原子力政策というのをきちっと議論した上でこういう問題というのは出してくるべきであって、そうでないと、どうしても突然降ってわいたような話という感覚がして、基本的には、我々としては安心してこの問題は受けとめられないというのが私の気持ちでございます。
  375. 小林巌

    ○小林巌君 フランスのメロックスという、コジェマ社という会社がありまして、その工場でありますけれども、そこはMOX燃料を生産しているところなのです。見学に行きましたら、大量のMOX燃料が自動的に生産されているわけですね。被覆管の中にペレットが次々に入っていき、それを詰めて、そして溶接をしてというふうな形で、流れ作業でやっているわけです。それを見ると、多少慄然とするところはあります。したがって、フランスとかあるいはヨーロッパ全体、何かMOX燃料というものが原子力発電の大きな主流になりつつあるのではないかという感じは現場では受けました。賛成、反対は別としまして、現実の感覚は受けました。  関西電力にしても、突然というわけではなくて、これは大きな長期の計画があったに違いない。その発注その他についても、契約の内容はわかりませんけれども、あったに違いないと思います。しかし、それが急に今出てきたのは、高橋さんおっしゃったように、「もんじゅ事故その他の流れの中で、プルトニウムの流れの中でそれが出てきたという感じはいたしますけれども、いずれにしろ、もう少し地元に説明を、なかなかこれは難しい問題ですから、なるべく幅広く説明をしていくというような努力といいますか、そしてそれが市長及び知事あるいは議会の判断というものに任せるというより仕方がないと私は思います。  以上です。
  376. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最後に一問ですが、県の環境・エネルギー懇談会会長の池端さんにお尋ねしますが、今原子力発電所の使用済み燃料がたまり続けて、自治体も住民も非常に不安を感じておるのですが、これについてどういうように受けとめていらっしゃるか、ちょっとお尋ねしたい。
  377. 池端昭夫

    ○池端昭夫君 確かに、辻先生が言われたそのとおりでございまして、廃棄物がどんどんたまっていくということは、これはいろいろは別としまして、エネルギーを使うのに火力もあれば石炭火力もあり、あるいは石油もある。石油は温暖化でだめになってしまう、石炭火力はコークスがいっぱいたまってどうしようもない。そんな中で、これはあくまでも核燃サイクルを基本として、リサイクルが原則ですから。今青森六ケ所村にプールがありますね。もういっぱいになっているということですから、ここで今早急に、中間の貯蔵施設を国がつくっていくという話を前から聞くのですが、一向に進んでいないということでございますので、ぜひそれをつくっていただいてやっていただくということを要望しておきます。
  378. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、時間ですので終わります。ありがとうございました。
  379. 大野由利子

    ○大野座長 斉藤鉄夫さん。
  380. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 新党平和の斉藤鉄夫でございます。平和・改革を代表して質問をさせていただきます。  きょうは、本当に貴重な御意見ありがとうございました。  まず初めに、河瀬陳述人と池端陳述人にお伺いしますが、今回の一連の動燃の不祥事の際によく言われたことですが、動燃の特殊性ということが言われました。閉鎖集団であるとかいろいろなことが言われたわけですが、先ほど池端さんは「もんじゅ」生みの親だということで、池端さんも河瀬さんも長いおつき合いをされてきたわけですが、そのおつき合いの中で、動燃というのはそんなに特殊な集団だとお感じになったか。特に、動燃研究開発集団、それから同じく敦賀には開発と商用を一緒にしたような日本原電、それから商用の関電、そういう三つのそれぞれ特色あるグループがあって、その三者とおつき合いになってきて、それらと比較して、動燃というのはやはりちょっと特殊だったのかということについてお伺いします。
  381. 池端昭夫

    ○池端昭夫君 非常に答えにくい質問をされましたが、どうしても答えなければなりませんので答えますと、「もんじゅ」はまだ研究炉で、実証炉ではないですね。そこでもう基本的に違う。だから、あくまでも技術集団でありますから、それを監督官庁の科技庁があるから政府だなという感じがしているのですね。だから、そのために今度は改革して、特別な法人をつくって裁量権を持たせなさいというのは私は賛成しているわけです。だから、そういうことで全然違うということですね。何か、お上がいるなという感じがするのです。それがちょっと違うということ。しかし、そこで働いている人々は大変な技術集団ですね。だから、どんなことでもわかってくれるし、非常に話しやすい。  それから、大洗へも連れていっていただきましたけれども、大洗でナトリウムを実際流してみて、水をかけてやってみようじゃないかといって、ばんとやるまでやってきました。だけれども何ともない。そういった動燃の対応は非常に親切です。ただ、科技庁があるということで何かおかしい。科技庁がやっているのだなというよりも政府だなというので、私は官庁嫌いになっているのだな。そういうことが頭にあります。  ところが、関電とか日本原電はあくまでも株式会社ですから、対応をやわらかくしますね。そういう意味では、これは会社の本質からいって違うと思います。
  382. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 今池端さんがおっしゃっていただいたとおりでありますけれども、私どもはおつき合いも大変古うございますし、電力となりますと、北電さんもいらっしゃいます。また関電さん、原電さん、動燃さんとおるのですけれども、それぞれエネルギーを供給する、または研究していくということで、地域にも非常に溶け込んだ活動を今までいただいておりました。  各地域、例えば社宅のあるところですと、運動会でありますとか地域活動でありますとか、それぞれに出て、そういうおつき合いはしていただいておったのですけれども、たまたま、その「もんじゅ事故のときに限り、エリート集団でありますから、それがゆえにああいう行動に出たのではないかなということも思っております。  今後の希望としましては、私どもは、おつき合いというのは今までと同じようにしていきたいというように思いますし、やはり敦賀の市民の皆さん方、たくさん働いていらっしゃいますので、そういう点からも、開かれた形での事業団として研究なりに一生懸命頑張っていただいて、敦賀の市民として今後とも頑張っていただきたいというふうに激励もしたいと思いますが、機構的に直すところは直していただく、このことは非常に大切だと思いますので、ぜひ努力をしていただきたい、このように思います。
  383. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。  次は、情報公開ということについて、吉村、小林、高橋、渡辺各陳述人の方から御意見をいただきたいと思います。  動燃は、情報公開指針というものを出されました。しかし、私どもが考えますに、これは研究開発成果の公開というふうなことでもありますし、また理事長がこれは出さないというふうに決めたものについては不服手続をするものもございませんし、まだ不十分なのではないか、こういうふうに考えます。  今、国会では情報公開法政府案と民友連、平和・改革、自由、三野党で出した情報公開法、それぞれ特殊法人をどうするかというのが中にあって議論をしているところですが、そういうちゃんとした法律ができるまでの間、特に動燃については今回こういう事故もありましたし、例えば不服請求手続を定めて、かつ研究開発に限らない、経営に関する情報についても情報公開するというふうなことを規定すべきではないかということで、我々は修正案を出そうと思っているわけですけれども、この動燃情報公開指針、また今後の情報公開あり方について、四人の方から、時間がありませんので簡単に御意見をいただければと思います。
  384. 吉村清

    ○吉村清君 先ほども私は情報公開で申し上げましたが、プルトニウムを扱いますと、核物質防護上、どうしても国際原子力機関、IAEAの制約も受けます。これは私たちもわかるのです。しかし、それまでの動燃の体質といいますか姿勢は、もう「もんじゅ」に関しては情報は一切出さない。それがあの事故を契機にして、あれよあれよという間に情報公開しておるのですが、やはり肝心なところは出てきていない、私はそう見ています。ですから、これは一朝一夕に直るものではない。  ASSCOPSというのがあるのですが、これは床に穴があくかあかないかという計算コードのもとになるものなのですが、ここではもう詳しいことは言いませんが、そういうものについても突き詰めていくと出てこないという点があるわけです。ですから、情報公開はまだ完全に動燃は体質として直ってはいないというのが今の私の感じです。
  385. 小林巌

    ○小林巌君 情報というものは民主主義の根本であると思います。情報が一部隠されたりすることがあっては、健全な民主主義というものはあり得ないというふうに私は思っています。これは別に原子炉だけではありません。あらゆる事象についてです。私的企業の内部において隠すべきことはあるかもしれませんけれども、公的な団体については、情報公開というのは、その組織自体が持つ宿命である時代であると私は思います。それで、さっきも申し上げましたように、何か事故があるたびに発表はされるけれども事故も何もなければ何もわからないというふうなことですね。  それで、鉄・ナトリウム腐食のことですけれども、これについても私ども初めて知りまして、それがどうして起こったのかといえば、コンクリートから発生した水分と流れ出たナトリウムとが化合して、その間、幾つか段階がありますけれども、それが鉄と化合する際、水の分子は一部水素として独立するといったこともあるわけで、全然知らなかったのですね。しかし、そういうことは動燃はどうも前から知っていたらしいということが辻さんの方の調査でわかったということが新聞に載って読んだのですけれども、事ほどさように、特に問題にならなければ情報を出さないという体質はこれまであったと思うのですね。これは、新しい組織に移行することが国会で決まれば、第一にそれを解消してもらいたい。  それから、報道の批判が随分あるわけですけれども、報道も一生懸命やっていますけれども、東京でちょっと聞いていましたら、何時のニュースに間に合うように何とかしてほしい、こう言っているのですね。例えば事故情報を拙速に発表しますと、これは間違うことが多いのですね。したがって、事故その他の情報については、時間をもらって十分に検討した後、正確な情報を発信側は出してもらいたい。言われて、急に慌ててそれらしいことを言うと、かえってマイナスになると思うのですね。情報は正確さをもって基本とするというふうに思います。  以上です。
  386. 高橋一夫

    ○高橋一夫君 先ほど申し上げましたように、当然、我々はこの地域に生まれ育ってから既に原子力発電所というものとはずっとつき合っているわけでございます。ある意味でいうと、これだけ長期間つき合っているということは、自然自然な形の中で責任というものも、やはり我々の中にも必要な部分として感じなければいけない部分、当然この立地にあるという責任というのは感じなければいけないと思います。  そこから考えていけば、責任を感ずるためには、情報というものは透明性を持って、やはりお互いにわかる、見える、そして先ほど申し上げた、議論ができるような形の中でそういう情報を出していただくというのは、これはお互いの関係をよくするためには当然必要なことだというふうに思います。  これは前にも申し上げたのですけれども、阪神・淡路大震災があったときに、我々は、実はあのとき敦賀にたくさんの地震の断層があるということを初めて知ったのですが、逆に言うと、我々としては、原子力発電所があるということは、岩盤がかたくて安全だからここにつくったのだというふうにずっと思っていました。そうしたら、逆に、敦賀にはたくさんの断層があるのですよという話があったのですけれども、それで初めてびっくりしたのです。  実はその後、日本原電の方から聞かされたら、実はそんなことは昭和三十年、つくる前から知っていましたよと。つまり、そういう部分での情報公開、まずい部分は言わないというのでは、これは明らかに一方的なプロパガンダですから、ある意味で言うならば、そうではなくて、お互いフローな関係をつくるためには、すべてを透明にしていただく、その努力は絶対に必要だと思います。それが今の段階では無理だというなら、新法人の動燃さんだけでも、先駆けてそういうことをどんどんやっていただけるような体質になっていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。
  387. 渡辺三郎

    ○渡辺三郎君 先ほど、理系人間というのが批判されたのですが、私は斉藤先生と同じく理工系の人間でございまして、そういう立場から考えますと、やはり情報公開は不足していると思います。  設置許可申請の後、動燃が科技庁に出すのに、御存じのように設計及び工事認可申請書、一般に設工認と言われているものがあります。その写しが公開されております。敦賀原子力センターにもあります。全体で三万ページほどあります。厚さにして九メートルほどあります。その中の数値の大部分が白抜き、空白なのです。もうこれは情報公開からははるかに遠い。理由は、核防護と産業上の秘密、こう言うわけですが、例えばナトリウム冷却材が通る配管、これは今度は明らかになりましたが、大事なものですね。この振動についてのいろいろな数値は全部空白です。こんなものは核防護に何にも関係ないです。産業の秘密にも関係ないです。  それから、今地震のお話も出ましたが、このときの計算に必要なのは、原子炉建屋の固有振動数とか各部分の重量、これは全部空白、白抜きになっておるのですよ。何でこんなものを白抜きにするのかというふうに、私はこれまで何遍も動燃にも科技庁にも抗議をしてきました。ところが、よく調べてみますと、初めに空白になっているところが、少し後の方で一次冷却材の事故のときの分析がありますが、そこへ行くと、前で隠していたことがそっくり載っていたのですよ。私も、三万ページもあるもので、なかなか全部調べられなかったのですけれども、調べてみるとあるのですよ。  つまり、前で隠して後ろで出すというのは、情報管理上どこに意味があるのか、全く意味がない。勝手なことをやって、これは核防護上必要だとか産業の秘密だとか、こんなことをやっている。こういうことをやってもらっては困るわけですね。これだけ情報公開動燃についてやかましく言われているのに、まだこれが何も直っておらぬのです。そのうち直すという話、聞こえてはくるのですけれども、何も直されておりません。  先ほどお話がありました活断層とかそういうことについては、これは動燃の名誉のために言っておきますけれども、設置許可申請書にも今の設工認にも詳しく載っております。それは読まない方が悪いので、読まなければならぬのです。しかし、その考え方は、今度の阪神・淡路大震災の結果を見ると大いに間違っておる。しかし、それを直そうとしない。ここにもやはり問題があると思います。  ASSCOPSのお話がさっき出ましたけれども、実はこの間、二月二十二日、福井で討論会がありまして、安全委員会と私どもも吉村さんも加わっている県民会議とが討論をやったのですが、そのときに、きょうも来ておられる科技庁の武山さんは、これは場合によっては床の鉄板に穴があく可能性ありと言われました。ところが、同時にそこにおられた安全委員の住田先生は、そうは思わないと言いました。両方同じASSCOPSで検討しているのだと思います。それでこれだけ結果が違うのです。  私は、武山さんの方が正しいと思う。科技庁の方が正しいと思う。だけれども、そういうことは思うだけではだめなので、このASSCOPSを使って、このソフトを使ってだれでも計算できる、パラメーターの入れ方で幾らでも結果が変わるのですから、そういうところをいろいろやってみる。そして本当に安全があるか、これを確かめなければならぬ。そのためにも、完全な情報公開がASSCOPSについても必要だということを申し上げたいと思います。
  388. 大野由利子

    ○大野座長 菅原喜重郎さん。
  389. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 自由党の菅原喜重郎でございます。  きょうは、意見陳述人からいろいろ意見の聴取をいただきまして、ありがとうございました。私たち党としても、安全で建設的な政策をどんどん提言していきたいと思いますので、これからも御意見を寄せていただきたいな、こう感じる次第でございます。動燃につきましては、一連の事故等により、安全確保や情報伝達の不備を露呈するなど、地元住民の信頼を裏切る結果になりましたが、一方、これまで、核燃料サイクルの研究開発の中核機関として、原子力開発利用の推進に貢献してきたとも考えているわけでございます。特に福井県は、新法人の中核事業の一つである高速増殖炉の研究開発の拠点として発展することも期待され得るわけでございます。  そこで、全意見陳述人にお伺いしますが、これまでの動燃の活動をどのように評価しているのか、また功罪について、二分以内ぐらいにお聞かせいただければ幸いでございます。
  390. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 先ほどとちょっと重複するかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  私ども敦賀市といたしますと、三十年のつき合いがございますし、エネルギーを確保しよう、そしていろいろなことを研究しようということで「ふげん」もつくられました。また「もんじゅ」もつくられたということで、それなりの成果もあったというふうに評価もいたしております。しかし、「もんじゅ事故、あの事故というのは私ども非常にこたえました。もう何とも言えないいろいろな、先ほど言いました肩身の狭い思いもいたしましたし、その後、いろいろな懇談会等々を経て今現在に至っておりますけれども、長いつき合いの中にも困ったこともあったということであります。  今後、ふんどしを締め直していただいて、世界のエネルギーのために活躍いただきたいというふうに思いますけれども、やはり地元といたしましては、先ほど言いましたような迷惑だけはかけてほしくないという気持ちでいっぱいであります。
  391. 池端昭夫

    ○池端昭夫君 私とのつき合いは先ほど申し上げたのですが、もう一つ言いたいことは、特に誘致した当時の理事長、瀬川理事長さんだったと思いますが、非常に温和な方で、非常に親切丁寧に説明していただきました。そしてまた、東京の三会堂ビルヘ行きますと、必ず、おい来いよと言って、通産省の天下りだったようですけれども、非常に対応がよかったというふうに感じております。  それで、そのときに、「ふげん」と「もんじゅ」がありまして、お坊さんのように、大事なものにする、魂を入れるんだ、こんなことをおっしゃっていただきました。そのとおりにずっとやっていれば何にもなかったのに、たまたま簡単な事故を起こしたのに、ああいう対応はまずかったなと思っておりますが、よく反省して頑張っていると思います。
  392. 吉村清

    ○吉村清君 動燃とは何ぞや。私も、敦賀の市会議員当時からずっと今日まで動燃とのつき合いはあります。その点から考えますと、今までの動燃は監督官庁の科技庁の方にばかり目を向けておった。今度、改組法が出ましたね。この前に、新型転換炉「ふげん」はやめた、そして「もんじゅ」がこういう事故を起こしたということになれば、これは仏さんの仏罰が当たったと私は思うのですよ。そうなれば、まず「ふげん」とか「もんじゅ」という名前を変えることが先ではないのか、私はそう思うのです。それをそのままにして動燃だけ改組をするというのは、どうも片手落ち、やはり仏罰は残るな、私はこういう気がします。  ですから、先ほども最初に言ったように、新法人に名前を変えても、動燃という体質はやはり残っていくのではないのか。抜本的に変えるためには、最初に山口先生がおっしゃったように、動燃解体がまず先決だろう、私はこのように思います。
  393. 小林巌

    ○小林巌君 私もいろいろな企業とかいろいろな集団と話をする機会がありましたけれども動燃というところはやはり一味変わった集団だと思いますね。今まで体験したことのない集団でありまして、いい意味につけ悪い意味につけ、そういう感じを受けました。しかし、なかなか賢い集団であることは間違いないですね。これは、ああいう事故が起きて、あっという間にいろいろ変身をしたところがありますね。骨の髄まで変わったかどうかは知りませんけれども、そういう、ある意味で対応力のある集団ではないか。  ただ、いろいろな研究に携わっている技術者に直接話を聞いたことはありませんけれども、技術的にも国際的に非常に評価をされているところがあると聞きましたが、そういったメタモルフォーゼといいますか変身だけではなくて、これから身も心も国民の負託にこたえるような集団になってもらいたいと思います。別にほめているわけでも、けなしているわけでもないのですけれども、そういうふうに思います。
  394. 高橋一夫

    ○高橋一夫君 実は、あの「もんじゅ事故が起こるまで、私は余り動燃の方とおつき合いがなかったのですが、ただ、私の知っている動燃の方というのは、人柄それから見識ともに非常にすばらしい方ばかりでございます。ただ、申し上げているような、こういうような事故が出てくると、我々の知らないもう一つの、要するに動燃組織という隔離された組織の中にそういうような問題点の縮図があったのかなという感じはしております。  私の知る限りの、広報関係の方とかを含めては、大変すばらしい方、尊敬される方がたくさんいるということだけ申し上げておきます。
  395. 渡辺三郎

    ○渡辺三郎君 動燃が変わったかということですが、表面的には変わったと思います。  私はかつて、事故前には「もんじゅ」へは、あのトンネルの外から一歩も入れていただけませんでした。県会議長の出張命令を持っていっても入れてくれない。今はそういうことはなくなりました。中へ入れていただけます。そういう点では変わったと思うのですね。  ところが、この安全総点検のやり方などを見ていますと、やはり変わっていませんね。本当に、問題になったところにこう薬を張るように、総点検と称して細かい点検はやっているけれども、根本のところは見ていない。変わっていない。つまり、賢い技術者と言われたけれども、その賢さは、小さいところでは賢いかもしれないけれども、大事なところでは少しも賢くない。  それが証拠に、この温度計さや管、技術者なら一目見たら欠陥がある形というのはだれでもわかるのですよ。それを見逃して、それであれこれ理屈をつけているのではだめだと思いますね。もっともっと根本的に変わっていただきたい。
  396. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、地元の河瀬市長さんにお伺いします。  福井県は、御承知のように「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故、「ふげん」の重水漏れ事故により地元の信頼を損なうことになったことは事実でございますが、しかし、その後動燃では、安全総点検や職員の研修を実施するなど、懸命な取り組みを行っているようでございますので、地元から見て、この一年間で動燃本当に変わっているのかどうか、そういう感じをひとつお願いいたします。
  397. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 今先生おっしゃっていただいたように、いろいろな対応をされておることは事実でありますし、そういう面では変わってきているというように思います。それで、先ほど言ったような期待をしたいというように思います。もっともっと努力をしていただいて、逆に「もんじゅ」なり「ふげん」なりが一つの観光地になりまして、たくさんの観光客が来ていただけるということになりますと、私どもとしては非常にありがたいというふうに思っております。そういうふうな形で、原子力イコール危ない、物騒、イコール暗い、そんなとこへ行かないというのじゃなくて、大変すばらしいものをつくり出すところであるという関心を国民に持っていただく。そういうようになりますと、では、そういうところへ見に行こうというようなことで、どんどんそこに人が訪れていただく。そして国民が、エネルギーというのはこういうふうに確保していくんだ、世界じゅうはこうだというようなことを勉強していただくのもまた一つの方法ですから、そういうこともひとつ提案したいというように思います。
  398. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 新法人では、業務縮小の観点から「ふげん」を五年以内に撤退することとしております。撤退に際しては、地元雇用など配慮すべき事項があると思いますので、「ふげん」がこれまで地元に果たしてきた役割、あるいは撤退に際しての要望について各公述人から簡単に、これは一分ぐらいずつにお願いしたいなと思います。時間がなくなってまいりましたので、よろしくお願いします。
  399. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 最初三年ということが出たのですけれども、私どもは、その年限にかかわらず、地元の雇用、そういう影響が少ない範囲でやってくれということが、たまたま今回五年ということでの廃止が決定されたところでございます。  実は、私どもにしますと、職員さんが百八十人、また協力会社が百六十人、関連会社が五百人ということで、非常にたくさんの雇用があるわけです。この方たちが五年後でもどういう形になれるかということだけ、しっかりしていただきたい。五年後になったら、はい、もう何も仕事はありませんよと。御承知のように、今大変厳しい経済状況の中で失業者が出るということは、私どもとしては非常に忍びないことでありますので、この五年の間に、廃炉研究なら廃炉研究の方にそういうスタッフを配置する、そういう面で心配のないようにお願いしたいというように思います。
  400. 池端昭夫

    ○池端昭夫君 河瀬市長さんの意見と同意見です。どうぞよろしく。
  401. 吉村清

    ○吉村清君 廃炉と決まった以上は、三年とか五年とか余り時間を置くということは、士気阻喪した中ではかえってまた事が起こるのじゃないかという心配を私は持っています。やはりもっと早くやめて、「ふげん」をもとにして廃炉研究をきちっとやってほしい。廃炉研究をやれば雇用の問題の心配もないと私は見ています。  ですから、そこのところを、動燃も監督官庁の科技庁もきっちり方針を出してやっていく。動燃ではもう既に検討委員会は遂げたそうですが、科技庁の方もやはりプロジェクトチームを持って、新型転換炉、原型炉の廃炉、その後の解体・撤去、そういうことについてどうするのかという青写真を明確に出していく必要があるだろうと私は思っています。
  402. 小林巌

    ○小林巌君 原子炉廃炉という問題は、ある意味でつくるより難しい点があるわけですね。特に廃炉の場合、各レベルの放射性物質が大量に出るわけです。御存じのように、場所は風光明媚なところでありますし、そして敷地的にも非常に狭いところでありますので、どのようにして環境に影響を及ぼさずに廃炉をするかという、これは一つの研究でもあるわけですけれども、そういうことで、市民あるいは県民の関心は非常に深いわけですね。  ともかくも、廃炉という言葉については、自分の考えによっていろいろ受けとめ方は違うと思いますけれども地元としては、市長さんがおっしゃったように、雇用の確保ということですが、雇用については、この北陸というところは産業も東海地方ほどは発達していませんので、どうしてもわずかな雇用でもその地域社会に及ぼす影響は非常に大きいものがあると思います。別な形においても雇用を確保して、この地域社会の繁栄のために考えてもらいたいというふうに思います。
  403. 高橋一夫

    ○高橋一夫君 雇用等につきましては、今河瀬市長、小林さんの方から申し上げたようなことがあるかと思いますが、この問題も含めて、先ほどから申し上げておりますように、基本的には廃炉等の問題、いわゆるバックグラウンド技術の開発等を含めて、今後やはり原子力エネルギー政策そのものを一度検討し、もう一度きちっとしたビジョンを固め直すという作業をした上でこういった問題を出していただきたかった。ある意味で言うと、枝葉末節的な形の中でこういう答えを出していただくということについては、地元としては非常に戸惑っているというのが私の気持ちでございます。
  404. 渡辺三郎

    ○渡辺三郎君 「ふげん」については、一日も早くとめるべきだというふうに思います。あと、経済上の問題は別の問題として考えなければならない。  それから、この「ふげん」の運命が「もんじゅ」のもうわずか将来の姿を示している、私はそう思っております。
  405. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうもありがとうございました。
  406. 大野由利子

    ○大野座長 木島日出夫さん。
  407. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  六人の公述人の皆さんには大変感謝を申し上げます。時間の制約もございますので、最初に渡辺三郎公述人からお聞きをしたいと思うのです。先ほどの公述の中で、動燃が行って科学技術庁が追認したいわゆる安全総点検、これで安全が保障されるとは思わないということが述べられたわけでありますが、時間をちょっとお与えいたしますので、その具体的な中身を指摘していただきたいと思うのです。  実は昨日、科学技術庁原子力安全局から私のところに、「もんじゅ安全性総点検結果について」という資料を持参していただきました。持ってきております。きのうでしたので、一通り目は通してきましたが、かなり専門的な中身も触れられております。実はこれに、平成十年三月三十日付で、科学技術庁原子力安全局のコメントがついております。「もんじゅ安全性総点検結果を踏まえた安全規制活動の取組みについて」と題します。  さわりのところだけ触れますと、「報告によると、現行の水・蒸気系に設置されている温度計さやの一部に流力振動の評価上問題があることが判明したが、その他の設備に安全性を損なうような問題は認められず、」ほかは問題はなかったと。「また、現在考えている施設の改善策はナトリウム漏えいの拡大防止上有効なものと判断された。」こういう記載があるのです。それで重要だと思います。  きょうお見えの六人の公述人の中にはお医者さんもおられるようでありますが、一番専門的だと思われる理科系の渡辺公述人に、これはお読みになったと思うのですが、これで安全が保障されるとは思わない、その内容について、もうちょっと突っ込んで具体的に公述いただければ幸いであります。
  408. 渡辺三郎

    ○渡辺三郎君 つまり、今読み上げられたところにもありますように、科技庁にしても動燃のやった安全総点検にしても、今度の事故で問題になったことだけとらえている。それより少しはみ出ていますかね。ここに一番問題があると思うのですよ。だから、もっと根本的に点検しなければならない。  例を挙げますと、我々が一番心配するのは、先ほども出たように、大地震に対して「もんじゅ」は耐えられるのかどうか、こういう問題があります。そういう点での再検討は行われたかというと、過去の計算を繰り返してみただけであって、根本的に地震力の見積もりを大きくするとか、これでいいのかとさかのぼって点検するということは一切行われておりません。こういうところに問題があると思うのです。  ところが、今地震学者のそうそうたる方が皆、こういうことを批判しております。例えば、著名な地震学者であります石橋克彦さんですね。原発の直下型地震をマグニチュード六・五で限っているが、これは正しくない、福井地震とかあるいは北丹後地震のような七・一ないし七・三の地震は十分起こり得ると考えるべきではなかろうかと。そういう点の総点検をやったかというと、やっていないです。こういうところが問題だと思うのですね。  それから、やはり地震学者で、中部地方の地殻の運動を長年研究してこられた金折裕司先生がおられますね。この方が指摘しているのは、表面的な活断層を見ていたのではだめだ、地殻変動がどうなるかともっと大きくとらえなければならぬという、この人のマイクロプレートという理論がありますけれども、そういう立場から、この「もんじゅ」を初めとする福井県の原発の近くには危険な地震の空白域がある、こういうふうに言っておるのですね。  ところが、相も変わらず、この間通産省がやった、県がやった調査でもそうですけれども、活断層について表面的な調査だけで終わって、これで大丈夫だということをやっています。動燃の総点検に至っては、そんなことは一切やっていないですね。こういうところに大きな間違いがあるのではないか。  細かいことを言えば、その後の地震の計算の仕方とかいろいろ問題はあります。もっとデータが出てくればまだまだ指摘したいことはたくさんありますが、そういうことは省きましても、やはり今日本の先端を行っている地震学者が言っているようなことは、謙虚に取り入れる姿勢がなければならないというふうに思います。こういう点で、例えば地震想定の見直しをやってほしいと思います。
  409. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  もう一点だけ渡辺公述人にお聞きしたいのですが、先ほどの公述の中に、立場の違いはあれ、高速増殖炉というのはもう技術的にも経済的にも将来性がない、それは世界の状況を見てもはっきりしているのではないか、フランスの例もそうだ、そういうお話がありました。私もそうだと思うのですが、そういう、だれが見ても将来性がないとはっきりし始めている高速増殖炉路線にお金をつぎ込むことは、大変なむだになるのではないかという御指摘がありましたが、その辺も具体的に公述いただければ幸いであります。
  410. 渡辺三郎

    ○渡辺三郎君 今これにお金をどんどんつぎ込むわけですが、見込みがないというのは、今度の動燃改革のこの法案の中を見ても、今後の実証炉というものはもう外されております。これはだれがやるのかなと思うわけですよ。動燃は、今度は名前は変わりますが、もう実証炉はやらぬのでしょう。どこが実証炉をやるのですか。だから、「ふげん」と同じ運命をたどるのではないかと言うのは、そこなのですね。  「ふげん」も原型炉です。実証炉をやるぞとなったら、だれもやると言う者がいないので、あっさりとやめてしまった。こんなことになるのならば、やはり今すっぱりやめてほしい。お金をどんどんつぎ込むことはやめてほしい。既に「もんじゅ」だけでも約七千億円のお金がつぎ込まれています。しかも、そのつぎ込んだお金はどうなっているかというと、結局動燃というのは、技術者集団、技術者集団と言うけれども、本質は、技術者集団よりも、国民の金を東芝などの大企業に垂れ流しする装置、こう言ったらいいと思うのです。  私は建築屋ですから、そういう面から言いますけれども、「もんじゅ」の設工認には、「もんじゅ」の構造計算は大林組のコンピューターを使って、大林組のソフトを使ってやったと歴然としたこの公文書に書いてあるわけです。斉藤先生もとは清水建設だと思いますが、これでは清水建設が手を出せるか、これは業界では手は出せませんよ。もうはっきり決まってしまっておるのです。  実証炉はどうか。日本建築学会の研究報告論文集というのもありますね。次々と実証炉についての耐震性の検討の論文が出ております。今度は免震工法という、ゴムと鉄板のサンドイッチの上へ乗せて揺れを少なくする、こういう論文がたくさん出ておるのです。すぐれた技術者ばかりですけれども、みんな大成建設の方なのです。これがやっていて、どうしてほかのスーパーゼネコンが手を出せますか。つまり、スーパーゼネコンの間で、すみ分けというか、もう少しはっきりした言葉で言うと、談合が終わっているということをこの事実は示すわけです。  こういうことを動燃はちゃんと知っていますよ。知っていたって、何にもそれにストップなんかかけない。みずから出す公文書にスーパーゼネコンの名前を載せて平然としているのですから。こういう体質を改めていただきたいというふうに思います。
  411. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございます。  それでは、河瀬公述人にお尋ねします。  河瀬公述人は市長さんでもあります。先ほど、現段階では「もんじゅ」の運転再開を論議する時期ではない、最終的に国が責任を持ってほしいのだとおっしゃられました。確かにそのとおりであろうとは思います。しかし、ここが質問なのですが、動燃敦賀市及び福井県との間には、御案内のように「高速増殖原型炉もんじゅ周辺環境の安全確保等に関する協定書」というのがございまして、その第二条「計画に対する事前了解」の第二項には、乙・動燃は、原子炉施設等に重要な変更を行おうとするときは、事前に甲・福井県、敦賀市等の了解を得なければならないとはっきりとうたい込まれているわけであります。  先ほど渡辺三郎公述人から、福井県民二十二万の方が「もんじゅ」は再開しないでほしい、そういう署名が提出されていると。恐らく、敦賀市民の多数もその署名に参加しているだろうと思いますので、こういう権限があるわけでありますから、この権限を発動して、市長さんがノーだと言えば「もんじゅ」は動かないわけでありますから、そういう立場に立っていただきたいなと私は思うのですが、いかがでありましょうか。
  412. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 今先生から御指摘いただきました安全協定、そのとおりでありまして、確かに、地元の市長という立場でノーということを言えば、ノーになる可能性はあるというふうに思います。  ただ、先ほど言いましたように、私、市の議会の方でも共産党の先生方にいつもこういう質問をいただいておりまして、市議会と勘違いをしてしまいましたけれども、いつも答えております。原子力というのは、放射能を安全に管理していけばすばらしいエネルギーであると。この「もんじゅ」についても、我が国の少ない資源を確保するために国が責任を持って研究をしようという施設でありますから、そういう点も理解して、昔、私ども敦賀市というのは誘致をしました。それで今回こういう事故が起こった、それ見ろ、やめろという立場に私はございません。  確かに、敦賀の多くの市民の皆さん方も心配で、やめなさいと言う皆さんがいることも承知でありますけれども、ただ、議会のいろいろな声をお聞きいたしますと、議会の議員の皆さん方からはそういう声は非常に少のうございます。私は、議会の皆さん方の声を大事にして市政を推進していく立場でございますので、もちろん、これからも議会の声はよく聞きますけれども、私の判断では、先生のおっしゃった意見は非常に少ないということで進めておる次第でございます。
  413. 木島日出夫

    ○木島委員 あと二、三分時間が残っているかと思います。時間の許す限り六人の公述人にお聞きしたいのですが、私は皆さんの公述をお聞きいたしまして、相次ぐ動燃事故、そして事故隠しの問題、これを総体的にどう見るか、そしてどうすべきかについて、大きく二つの見方があると印象づけられました。  一つは、これらは挙げて基本的に動燃の体質に起因する問題だ、日本の政府高速増殖炉路線や核燃料リサイクル路線に問題があるわけではない、だから体質を変えさせることが大事なのだ、よって動燃の組織をつくりかえさせる、出直しをさせる、そして新しい装いで出発すべきだ、そして日本の原発政策としては、引き続き高速増殖炉路線、核燃料リサイクル路線を推進すべきだ、こういう立場が一つではないかと。これはこの改正二法案の根本精神だ、国や科技庁の根本精神だと。それが一つ。  もう一つは、確かに動燃の体質が大きな問題であることは事実だ、しかし問題なのは、なぜ動燃がそういう体質を持つに至ったか、その背景、根本原因をきわめるのがこの問題を見るときに大事なのではないかという見方だと。そうしますと、なぜ動燃がこういう体質を持つに至ったかの根本には、やはり日本の原子力技術が未成熟だ、安全性がまだ確立されていない、にもかかわらず、日本政府や原発企業が国民に対しては、安全だ安全だ、実証済みだ、そう言い続けてきた、その板挟みに遭った動燃のその結果がこういう体質になってはね返っているのだと。根本は、やはり日本の原子力技術の安全性が未確立というところにある、よって、その根本的な増殖炉路線、リサイクル路線の転換が求められている、そう見るべきではないかと。きょうの公述人の皆さんの短い公述でしたが、この二つの大きな違いを私は感じているわけなのです。  もう時間になってしまいましたが、どちらの見方をとるべきなのかについて一言、十秒ぐらいずつで御答弁いただければと思います。
  414. 大野由利子

    ○大野座長 では、お一人十秒か二十秒以内で簡単にお答えください。
  415. 河瀬一治

    ○河瀬一治君 ちょっと時間がございませんので、何ともお答えのしようがございません。
  416. 池端昭夫

    ○池端昭夫君 木島先生が前段に言われたことはすばらしい。以上です。
  417. 吉村清

    ○吉村清君 私は、先ほどから公述をしておるように、後段の意見です。
  418. 小林巌

    ○小林巌君 両方は密接に関係をしていると思います。  例えば温度計のことについては、フランスの高速増殖炉では、突き出したさや管ではなくて、壁に温度計が取りつけてある。そういう意味では、後段の技術的な未成熟あるいはチェックミスといいますか、どちらかわかりませんが、そういう未成熟さは確かにあったと思います。
  419. 高橋一夫

    ○高橋一夫君 技術的な部分については留保いたしますけれども基本的には、後段の国の根本の問題があるという点については同感です。
  420. 渡辺三郎

    ○渡辺三郎君 私も今言われた後の方の考え方に立っております。  私が原発問題に関心を持ったのは、三十七年前ですが、福井市、当時の川西町に原発をつくるという、そのときから関心を持って、この危険を防がなければならぬという立場でかかわってまいりました。三十七年の経験の中で、今ほど国民原子力政策の変更を望んでいるときはない、こんなふうに思っております。それは、もう既に県民の署名にもあらわれていますし、三重県でもあらわれています。新潟県でもいろいろな署名にあらわれています。  そういうことからいえば、今この根本政策を変えることが急務だというふうに思います。
  421. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  私も後段の立場であることを申し添えて、終わります。
  422. 大野由利子

    ○大野座長 辻元清美さん。
  423. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  どうも長い間お疲れさまです。そして陳述人の皆さん、きょうはどうもありがとうございます。  まず最初に、池端陳述人に御質問したいと思います。  先ほどの陳述の中で、「もんじゅ」早期再開を願っているということでした。それでは、この「もんじゅ」等の再開につきましては、県民合意国民合意が前提だとそれぞれの方々の御陳述の中にもございましたけれども、生みの親であるというお話も前段で伺いましたので、早期再開したいという御発言の中で、この国民合意や県民合意はできているとお考えなのか。できているという前提ならば、どういう根拠でできているから早期に再開した方がいいとお考えなのか、お聞かせください。
  424. 池端昭夫

    ○池端昭夫君 国民合意ができていると断定しているのではないのです。原子力政策の流れ、もう三十有余年やっていますね。先ほども申し上げたように、チェルノブイリとかスリーマイルのような事故はなかったわけです。ですから、私は農産物には被害はなかったと申し上げているのです。  ですから、そういうことがあるのならば、「もんじゅ」でわっさわっさやっていると、誘致してしまった県、市に大変風評被害が起こっているのですね。ですから、早く意識を改革して、基本的に考え直して、早くきちっと立ち上がった方が、ああ安全だなということがわかるわけです。それまでに国民合意を受けていくという姿にならなければ、いつまでたってもだめだと思います。  そういう考え方です。
  425. 辻元清美

    辻元委員 次に、吉村陳述人にお伺いします。  地元のお立場ということで、先ほどから、情報公開に対しては不十分であったというような御陳述がありました。さてその中で、情報公開というのは情報を一方的に受け取るということなのですけれども、今度は地元の声の反映ということで、この地元でずっと活動なさってこられて、今まで動燃それから、これは動燃だけではなくて、科学技術庁が政策に対して地元の声をどれだけ反映したとお考えか、その問題点はどういうところにあるのか、お聞かせください。
  426. 吉村清

    ○吉村清君 私は少し視点を変えて、今回の「もんじゅ事故それから東海の事故、これを契機にして動燃は、情報公開をやっています、やっていますと言っているわけです。しかし、これはある意味では、動燃として情報公開ではなしに情報宣伝ではないか、地元からはそういうぐあいに見られておるのが現実ではないかな、私はそう見ています。  例えて言いますと、今度の安全総点検で温度計を折れないようなものに変えます、これはまさに対症療法なのですね。ところが根本的に、先ほど小林公述人も言っておりますが、フランスは外からはかるようにしておる。では動燃はそういうことを検討してないかというと、配管の表面から中のナトリウムをはかるような超音波方式とか、さらにまた電磁気方式とかそのほかの方式なんかを検討しておる模様です。そういう文書も私は見ました。  そうなると、根本的にああいう配管の中へ突き刺すようなこと自体が問題なのですから、突き刺さないではかるようなことをやれば一番いいわけです。根本的に検討しておるようなことを、時間をかけてでも採用することをなぜしようとしないのか。ただ対症療法的に少し形状を変えて、これなら折れないでしょうというようなもので事を済まそうという姿勢が動燃自体の問題だ。その辺をきちっともう一度根本に返って直していくような姿勢、これが今問われておるのではないかなと私は思うのです。
  427. 辻元清美

    辻元委員 次に、小林陳述人にお伺いしたいのですけれども、こちらに出していただきましたペーパーの中に、長期計画はどう考えてもずたずたに切れていると思いますという一文があるのですけれども、この内容について少し具体的にお話しいただけますでしょうか。
  428. 小林巌

    ○小林巌君 これは、「もんじゅ」の事故によってストップして、「もんじゅ」はサイクルのかなめですから、これがストップすることによって、サイクルというのは一つの流れですから、そうすれば、そこで動脈硬化というか、あるいは血液の流れがとまるようなものですから、そういう意味で一つは切れている。あるいはまた、六ケ所村のいろいろな地元との問題とか工事の進捗状況とか、あるいは東海村の爆発事故とか、そういったもの全体が日本のプルトニウムあるいは使用済み核燃料の再処理というふうな大きな流れをとめていると思うのです。したがって、長期計画に言われるような、二十一世紀初頭に原型炉から実証炉へ、そして実用炉へというふうな道筋というものは、現実に合ってないと思うのですね。  それで、計画が現実に合ってないということでは、書き直すことは何のちゅうちょも要らないし、科学技術庁にとってもそんなにメンツが壊れることではないと思うのですね。現実に沿った長期計画に書き改めるということはちゅうちょすべきではない。科学技術庁もいろいろ忙しいですから、急に長期計画をというとそれは難しいかもしれませんけれども、なるべく早期にこれを書き改め、現実に沿ったものにしてもらいたい。これは、FBRの懇談会の会合の中でも私強調をしたところです。  以上です。
  429. 辻元清美

    辻元委員 引き続き、吉村陳述人にもう一点お伺いしたいのですけれども、吉村陳述人の出していただきましたペーパーの中に、プルトニウム利用について国民合意はできていないという御指摘がございました。国の政策として、プルトニウム使用の是非というのも、政策として遂行していくかどうかも含めて論じなければいけないという視点に立っての御指摘だと思うのですけれども、吉村陳述人のプルトニウム利用についての御意見を伺いたいのです。
  430. 吉村清

    ○吉村清君 私は前から、プルトニウム利用の問題について国民的な合意が得られておるのか、原子力委員会それから科学技術庁、こういうところで方針は出されて、いわゆる国民的な合意ということになりますと、国会での論議が一番重要だと私は思うのです。従来、国会でもってプルトニウム利用の問題について具体的に集中的に審議がされたかというと、私は寡聞ながら審議をされたということは聞いておりません。  そういう点を考えますと、国の方針の根幹にかかわる、プルトニウムを利用することについて是か非か、それは国際的にも認容されるのかどうか、こういう点について、国会国民を代表する機関ですから、ここでもって具体的に討議をいただくというのが一番大事ではないかな、私はそう思うのです。  原子力委員会は、もう二十年前につくった核燃料サイクルを金科玉条にしてやっておるのですね。これが今皆破綻を来しておるのですよ。だから、これを変えていくのは、国会がだめですよ、そして今の長期計画を直していくような、おきゅうを据えるといいますか、そういう政策を大胆に国会が打ち出してもらう。そして、プルトニウムの利用というものは果たして国際的に信用されるのかどうか、また、この利用というものが果たして安全なのかどうかという点が問われておると思うのです。  欧米諸国がやめていったということは、技術的な安全性の問題、それから経済性の問題、この二つが大きい問題だと私は見ています。そうなれば、日本だけが突出をしてやっても、うまくいく、成功するという保障はどこにもありません。どこにもないどころか、今まで一兆円の金をつぎ込んだから、ここでやめるのはもったいないと言っていますが、これ以上つぎ込んでいけば、極端に言えば、かえって国費のむだ遣いになるのではないか、そういうことを考えるわけです。この際、原子力については根本的に見直すところへ来ておるのだという点の御認識をぜひいただきたいというのが私の意見です。  きょうのこの公聴会は、まさにそういう意味では、原発を抱えた現地敦賀市が三人、福井県が残り三人、言ってみると、まさに地元に密着をした八のそれぞれの意見だと私は思うのですよ。その辺のところを十分意見としてお聞き取りを願って、審議に反映をさせていただきたいということをお願いしておきます。
  431. 辻元清美

    辻元委員 それでは、高橋陳述人に御質問したいと思います。  地元振興、地域振興という言葉がきょうも何回か出てまいりました。これは今政策として、沖縄の例ですと沖縄北部の振興策というのが国会でも議論されたのです。与党の中でも議論されました。その際に、北部に振興が必要ならば、基地が行こうが行くまいが振興策を優先しなければいけない、なのにそれを基地と引きかえに、振興策をするから基地を受け入れろよというような姿勢があっては、これは本当意味での地域の振興にはならないのではないかという議論がありまして、私もそうだなと考えるわけです。  ですから、この地域振興というものと地域が抱えるリスクというものを、これは全く切り離すことは現状として無理ですけれども、政策として切り離して発想していく方向でこれから行っていかないと、そこのところがリンクしているために地元皆さんの声がゆがめられてしまうという、率直な声がゆがめられていくというような危険があるのではないかと考えているのです。そういう点について、高橋陳述人はどうお考えでしょうか。
  432. 高橋一夫

    ○高橋一夫君 私、先ほど申し上げましたように、これまでの地域振興における財政主導型の地域振興というのは、ある意味では、例えば右肩上がりの時代においては、逆に中央と地方をある程度標準化していく中では必要な部分として否定はしておりません。ただし、今後の地域振興策として、今後ともこれがウエート的に重要なものであるかと考えたときに、現実に幾つかの点でひずみも出てきております。いろいろな意味でのランニングコストも発生をしております。箱物を含めた部分で考えれば、かなりの部分でそういうランニングコストも発生をしている。  逆に言うと、これから長期にわたって考えたときに、例えば国の財政事情等も考えたときに、果たして今からこれまで過去にあったような交付金的な部分というのが、潤沢に同じような形で、同じような流れの中ででき上がるだろうかと考えたときに、これは極めて厳しいことになることは明らかだと思います。そういう中で考えたときには、我々地域地域で、自分たちが自己責任で、地域主権でやっていく上において何が一番必要であるかと考えたときに、いろいろなノウハウを含めて、町づくりのためのディフェンスというものがまだ非常に不足している部分があると思うのです。ノウハウというのは、いろいろな意味で言うと、自分たちがその町で生きていくということで考えたときに必要な、例えば産業についてはどう考えていったらいいのかとか、そういうきちっとした町づくりのデッサンですね。そういったものが一番必要だと思います。  そういう部分に今後、先ほど申し上げましたように、動燃さんには限りませんけれども、いろいろな意味で中央の方から、たくさんの形であったシンクタンク的な部分のノウハウというのをいただいて、いただいてというよりも、我々がそれを参考にして、どういう町づくりをしていくかというような形の中でそういうものをつくっていくべきだし、また、何々を導入するからこういう町をつくるというのではなくて、基本的にこういう町にしたいから、こういうものが必要だから、この部分についてはこういう形で利用させてもらおうという形の、きちっとした我々としての自己責任と町づくりというのを考えてこれからやっていく、そういうための振興策でなければならないと考えております。  ですから、今までのように、ただ中央からそういう形で、要するに財政的な部分でお金が流れるという考え方は、今後については我々自身がその呪縛から逃れなければだめだと考えております。
  433. 辻元清美

    辻元委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。  きょうは、代表的な方六名にお越しいただきまして、その中でも随分と合意の部分で違う部分があるのではないかと思いました。私の感想は、ここは「もんじゅ」がありますけれども、この六名の方でもかなり意見が割れておりますので、再開は非常に難しいのではないかなという感想を持ちました。  以上です。
  434. 大野由利子

    ○大野座長 これにて委員からの質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者の皆様におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、大変にありがとうございました。心より御礼を申し上げます。  拝聴いたしました御意見は、法律案の審議に資するところ大なるものがある、このように存じます。  また、動燃の改革は新法人のスタートでもって終了するものではない、このように思います。国民の皆様、県民の皆様の信頼回復、社会的安心の確立というのは永遠の課題であると思いますし、関係者一同さらなる努力を続けてまいりたい、このように思っております。  最後に、この会議開催のために格段の御協力をいただきました地元の皆様、また関係各位の皆様、心より御礼を申し上げます。大変ありがとうございました。  これにて散会をいたします。     午後四時十二分散会