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1998-03-12 第142回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十二日(木曜日)     午後四時三十六分開議 出席委員   委員長 前田 武志君    理事 安倍 晋三君 理事 下地 幹郎君    理事 仲村 正治君 理事 浜田 靖一君    理事 原口 一博君 理事 松本 惟子君    理事 長内 順一君 理事 佐々木洋平君       石崎  岳君    稲垣 実男君       遠藤 利明君    嘉数 知賢君       佐藤 静雄君    新藤 義孝君       望月 義夫君    森  英介君       吉川 貴盛君    池端 清一君       金田 誠一君    赤松 正雄君       白保 台一君    鰐淵 俊之君       古堅 実吉君    上原 康助君  出席国務大臣        外 務 大 臣  小渕 恵三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       鈴木 宗男君  出席政府委員        内閣審議官    安達 俊雄君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        沖縄開発庁振興        局長       若林 勝三君        外務省北米局長  高野 紀元君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省条約局長  竹内 行夫君  委員外出席者        北方対策本部審        議官       川口  雄君        環境庁企画調整        局環境影響評価        課長       寺田 達志君        厚生省社会援護        局援護企画課長  松永 正史君        衆議院調査局第        一特別調査室長  清水 紀洋君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 前田武志

    前田委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めることとし、小渕外務大臣小里総務庁長官及び鈴木沖縄開発庁長官所信に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します原口一博君。
  3. 原口一博

    原口委員 民友連原口一博でございます。  きょうは、お二人の大臣に、まず北方問題についてその御所見をお伺いしたいと思います。  昨年十一月のクラスノヤルスクでの日ロ首脳会談以降、日ロ関係というのは大きく進展しているというふうに思います。また、小渕外務大臣の二月の訪ロでそれがさらに進展をして、私はこれは素直に評価をしたいというふうに思います。そのときにどういうお話外務大臣はなさったのか、また、四月のエリツィン大統領の訪日の環境整備をどういうふうになさっているのか、御決意とあわせてお尋ねした。  そして、二〇〇〇年までに、今世紀中に起こったことは今世紀中に解決する、これは大変大事なことだというふうに思います。そういう意味で、平和条約締結に向けての御決意をあわせてお尋ねしたいというふうに思います。  また、二〇〇〇年にはロシア大統領選挙があります。そして、来年は議会選挙です。この一年というのは大変重要な年である。一気呵成に、この日ロ北方領土問題に対する理解、そして返還に向けての努力をやるべきときだというふうに思います総務庁長官も、大変なハーレーダビッドソンの御愛好家だそうでございますが、大きな馬力でもって一気呵成に、ビザなし交流の拡大についてももっと積極的にやるべきではないか。港を整備したり、あるいは日本語教師、聞くところによりますと一人か二人ということでございますが、宿泊施設を整備したりして、この環境をこの一年間に整えていくことは大変大事なことだというふうに私は思いますが、御決意を両大臣お尋ねしたいというふうに思います
  4. 小渕恵三

    小渕国務大臣 原口委員指摘のように、ここ一両年は日ロ平和条約締結に向けての、ある意味では最大のゴールデンチャンスと言ってもいいという認識をいたしております。それは、過去五十二年間不正常な関係になっておりまして、この間、政府国民も悲願を込めて、対ソ、現対ロの関係を進捗いたしめる努力をし、何回かの機会があったと思っておりますが、なかなかその実現を見なかったということでありますが、御指摘のように、クラスノヤルスク以降、橋本総理エリツィン大統領ともに、今世紀中に解決しなければならないという気持ちは、私はかなり真実のものだというふうに認識をいたしております。  それは、先般私は、ロシアに参りましたときに大統領初め要路の方々お話をいたしましたが、大統領自身が四月に参ることは当然ですが、その後、ことしの秋に橋本総理、あるいはまた来年は、みずからもまた九九年に向けてかなり決意を示しておられるように拝察をいたしてまいりました。そういった意味で、これから時間は短うございますけれども、二〇〇〇年までにぜひ、東京宣言に基づきまして多年の懸案を解決すべき絶好の機会と考えておりますが、ただ、この大統領の御決意だけでなくて、ロシアにおけるそうした国民的な理解も得ていかなければならないことは私も認識をいたしております。そういった意味で、これから議会人同士の接触あるいはそういうものを積み重ねることによって、最終的には双方とも議会承認を得なければなりませんので、ぜひ、政府としては全力を挙げていきたいと思っておりますが、議会立場からでも御支援をいただきたいと思っております
  5. 小里貞利

    小里国務大臣 ただいま外務大臣の方から強い方針、そしてまた決意をお述べになったところでございますが、私ども総務庁といたしましては、御承知のとおり、先ほどお話がございましたとおり、交流あるいはまた啓発事業を積極的に詰めていかなければならないと思っておる次第でございます。  殊に、日本国民北方四島在住ロシア人との相互理解を深めるために、北方領土問題の解決に寄与することなどを目的といたしまして、御承知のとおり、平成四年以来、六カ年間におきまして約四千五百人の相互交流が行われたわけでございまして、これらの事業等をさらに積極的に進めてまいる必要があろうか、さように考えておる次第でございます
  6. 原口一博

    原口委員 この一年というものの大事さ、そのことに思いをいたして、私たち立法府全力でこのことに取り組まなければいけない、そのことを申し上げたいというふうに思います。  次に、沖縄の問題については、普天間飛行場返還、これは火急の課題でございます。そして、総理決断をなさり、一つの方向をアメリカとの間で出された。これは、沖縄の長い間の基地の重圧、こういったものにこたえるという意味でも大事な決断であったというふうに思います。ところが、今、きのうもそうでございますが、大田知事の今の反対表明ということになって、私たちはこれをどういうふうにソフトランディングすればいいのか、そのことに知恵を出していかなければいけない、そういう時期に来ているというふうに思います。  ます所信表明の中で外務大臣は、沖縄県民の心、痛みについて思いを語られましたけれども、そのことについてどういう御認識を持っておられるのかお尋ねをしたいというふうに思います
  7. 小渕恵三

    小渕国務大臣 沖縄には米軍施設区域が集中をいたしておりまして、そのことによりまして、沖縄県民皆さんが極めて大きな負担を強いられてきたということでございます。そういった意味で、政府といたしましては、その基地整理縮小統合というものについて今日まで努力をいたしてまいりましたが、特に、橋本総理クリントン大統領との間に取り決めましたこの普天間基地返還、移設という問題について、これを実行するということは大きな弾みになるわけでございますので、政府としては、ぜひこのことを地元の御理解も得ながら実行していくように、さらにさらに粘り強く努力していきたいと思っております
  8. 原口一博

    原口委員 予算委員会でもこのことについて審議がありましたけれども代替案のいわゆるヘリポートでございますが、総理はこのようにおっしゃっていますサンタモニカ日米首脳会談、これは一昨年の二月二十三日だったと思いますが、そこでこの話が出た。そのときに総理はこんなふうにおっしゃっています。「当時、サンタモニカに出発いたします前、政府部内における、また、そのほかからの私に対する助言は、サンタモニカ普天間の問題を取り上げるべきではないという意見貝岸のみてありました。」つまり行政当居は総理に対して、このことは持ち出さないでください、持ち出さない方がいいんだというふうなことをおっしゃった。それで、「それだけに、現地に参りますまで私自身が心の中で、取り上げるべきかどうかを自問自答」いたしましたというふうにおっしゃっています。  外務省お尋ねます。このときに総理に対してどういう御助言をなさったのか、どういう情報を上げられたのか、そして議題として適当と考えておられたのか、外務省お尋ねます
  9. 高野紀元

    高野政府委員 お答え申し上げます。  平成八年の一月でございますが、橋本総理大田知事との会談において知事より、普天間飛行場について、市街地の中に存在し住民の暮らしと隣り合わせになっており危険だ、一日も早く動かしてほしいという要請を受けたことを踏まえまして、今委員指摘の同年二月のサンタモニカにおける日米首脳会談に臨むに当たり、普天間飛行場の問題について触れないわけにはいかないと判断されて、クリントン大統領に対してこの問題を提起されたわけでございます。  外務省としては、当時、米軍施設区域が集中していることに伴う沖縄県民方々の御負担を可能な限り軽減するために、日米安保条約目的との調和を図りながら、沖縄における米軍施設区域整理統合縮小あるいは関連する問題について誠心誠意取り組んでいこうという姿勢のもとで、SACOにおける米国政府との共同作業を通じて、現在最大限の努力を払ってきているところでございます
  10. 原口一博

    原口委員 質問に簡潔に答えていただきたいのですが、先日、三日でございますか、アメリカ会計検査院レポートが出ました。いわゆるGAOSACO最終報告に関するレポートをまとめて議会に提出しているわけでございますが、これによりますと、移転に伴うアメリカ側負担は十年間で一億九千三百五十万ドル、こんな巨額なものになる。また、そのときに、仮に建設費を四十億ドルたというふうに見積もったとすると、年間二億ドルの維持費がかかる。あるいは、普天間飛行場を移す、そのときの有害物質の除去の負担をすることになれば、さらにそのアメリカ側負担は拡大する。また、技術的にも難しいし、サンゴ礁の環境、そういったものを考えても、非常にこれは難しいということをアメリカ側レポートが言っています。私はここで問うておかなければいけないのは、このときの詰めが非常に甘かったのではないか。政府部内での、あるいはSACOの対応の甘さも私は指摘されるべきであるというふうに思います。  これは、三月の三日、アメリカブルッキングス研究所がこういう指摘をしています海兵隊はオーストラリアと韓国に三分の二を展開して、そしてこういう巨額な費用を使うべきでない。これはマイク・モチヅキさんという方の論文でございますが、いわゆる今の政権を支えている政党のメーンのシンクタンクであるブルッキングス研究所がこういう論文を出している。  これはこの院の質問の中にも何回もありました。今の沖縄兵力、これがどうして今のままあるべきなのか、そのことについての明確な判断材料を私たち外務省は出していただきたい。なぜここに海兵隊が今のまま展開すべきなのか、そのことについての材料をお出しいただきたいと思うのですが、外務省、いかがですか。
  11. 高野紀元

    高野政府委員 ます、御指摘GAO報告でございますが、これは米国会計検査院でございます。カリフォルニア州選出のハンター下院議員要請により、SACO最終報告の実施、特に普天間飛行場代替施設としての海上施設が在沖米軍に及ぼす影響に関し調査の上、三月二日に報告書を提出したというふうに承知しております。  それから、ブルッキングスマイク・モチヅキ研究員等のいろいろ論文があることも承知しておりますし、米側にいろいろな形で意見があることは私ども承知しているわけでございます。  GAO報告書に関して申し上げれば、GAOそのもの連邦議会補助機関でございます議会の中の機関でございますが、これが独自に調査し、いろいろな試算をしたというふうに聞いておりまして、私どもも、米国防省、つまりSACOの問題を具体的に我々と協議している米国防省に確認しているわけでございますが、米国防省も、この報告書に記載されている金額についてはあくまでGAO推計値であり、国防省としてはその根拠承知していない、こういう回答をいただいているわけでございます。  最後の点でございますが、なぜ、海兵隊を含むと申しますか、在沖米軍部隊を維持する必要があるのかということの根拠でございます。  これは、いろいろな角度から御議論いただけると思いますが、基本的には、クリントン大統領橋本総理がまとめられました日米安全保障共同宣言にございますとおり、冷戦後の現在の国際社会においても引き続きこの地域不安定要因が存在するという中で、現在の米軍のこの地域展開というものは引き続き必要であるということは日米両国政府の共通の認識であるということが確認されておりまして、その共同宣言の中にいろいろな形で、そういう前提のもとにどういう努力をしていくかということが書かれているわけでございます。  その中で最も重要な点は、沖縄県に多大な負担をお願いしております米軍基地の存在、これについて整理統合縮小をできる限り進めていくということで、まさにSACOプロセスによって努力をし、一昨年の十二月に最終報告を得たということでございますので、SACOプロセスそのものが、ます現在のこの地域国際情勢に照らし米軍のこの地域展開水準そのもの前提としている、その中で最良の選択肢を考えてきたという経過でございます
  12. 原口一博

    原口委員 アメリカ連邦議会GAOがこれを出したというのは大変な重みを持つというふうに思います。国防総省の予算連邦議会が決めるわけです。私たちが、この立法府が行政府が出される予算審議し、それを決定するのと同じだけの重みを持つわけであります。  私たちがこの委員会沖縄を視察させていただいたときに、ある方がこういうことをおっしゃっていました。アメリカ軍用機日本軍用機と同じ音には聞こえないのです、アメリカ軍用機の音は耐えられない。これはどういうところに起因しているのか。私たちが最も大事にすべき沖縄皆さん主権、この主権が長い間侵害され続けてきた。沖縄皆さんからすると、これを、国会議員を選び、あるいは地方議員を選び、そして意思を表示することによって変えることができるのであれば、その二つの同じ軍用機の音は同じ音に聞こえるだろう。しかし、そうではない。これはどんなに声を大にしても、このSACO最終報告の中にも、確かに基地整理縮小というものは書いてある、しかし、米軍のプレゼンス、その米軍の人員を減らす、そういったことはどこにも見受けられない。この後沖振法の審議をいたしますけれども、その前提となる沖縄県民の人権、このことを一刻も早く回復する、これが政治の務めであるというふうに思います。  外務省にさらにお尋ねをしますが、我が国に駐留するアメリカの軍隊、その皆さん施設ごと区域別兵力及び日本の国が出している経費、この内訳をお出しいただけますか。
  13. 高野紀元

    高野政府委員 お答え申し上げます。  突然の御質問でございますので、検討させていただきたいと思いますが、御承知のとおり、日本政府は、日米安保条約に基づく地位協定に基づきまして必要な経費負担をしております。それに加え、例えば提供施設整備等も行っております。これを具体的には防衛施設庁の方の予算で毎年計上し、国会の御承認を得て米側に提供しているという経緯がございますので、その具体的な数字については別途御説明させていただきたいと思います
  14. 原口一博

    原口委員 委員長にお願いいたしますが、理事会でお諮りいただいて、この資料を提出していただくようにお願いいたします
  15. 前田武志

    前田委員長 理事会にてまた協議いたします
  16. 原口一博

    原口委員 私は、フォーリン・アフェアーズの論文を読んで愕然といたしました。この九月、十月号でございますが、ブレジンスキーさんという外交戦略家がこの中で日本について述べています日本は事実上アメリカプロテクタラットである。プロテクタラット、非常に耳なれない言葉です。プロテクタラツトというのはどういう意味ですか。
  17. 高野紀元

    高野政府委員 適切な訳であるかどうかは自信がございませんが、通常は保護国という言葉になろうかと思います
  18. 原口一博

    原口委員 今おっしゃったとおりです。保護国あるいは従属国ということを言っているのです。  このブレジンスキーさんという方はカーター政権大統領補佐官であります。そういう人がこんなことを言っている。これは冷静な地政学上の戦略研究の中でおっしゃっていますから、私たちも感情的な議論を返す気はありません。しかし、ここで私がぜひ指摘しておかなければいけないのは、日本主権日本の国益、これをしっかりと議論するためにも、そのもとになる材料外務省は私たちに出してください。  アメリカの中の世論も随分違うと思います。あの不幸な婦女暴行事件が起こったときに、クリントン大統領はみずからおわびをなさり、アメリカの上下院でもって議決がありました。そして、おわびがあった。アメリカ世論一つではありません。そういったことを踏まえながら、沖縄痛み思いをいたすということは現実に沖縄米軍を減らしていくことだということを強く訴えまして、私の質問にかえさせていただきます。  ありがとうございます
  19. 前田武志

    前田委員長 次に、長内順一君。
  20. 長内順一

    長内委員 平和・改革の長内順一でございます。  小渕大臣大変御苦労さまでございました。限られた時間の中だそうですので、外務省にかかわることを集中的に聞かせていただきたい、こんなふうに思っております。  先般、所信表明を聞かせていただきました。その中で、率直に私は、北方領土にかかわることにつきましてお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほどから同僚の議員質問しておりましたように、昨年のクラスノヤルスクでの会談というのは、これまでの日本ロシア、この関係の中では幾度かポイントになることがあったわけであります。例えば、鳩山総理が訪ソしたとき、田中角栄当時総理が行かれたとき、逆にエリツィンさんが来られたりゴルバチョフさんが来られたりしまして、一つ一つ戦後の日本ロシア関係というのが改善の積み重ねをされてきているわけでありますが、まさしく今回のクラスノヤルスクでの会談はそれに匹敵すると私も素直にこれは評価をさせていただきたいと思います。  そんな中で、大臣所信表明を聞かせていただいたわけでありますが、どうもいまいち私自身納得ができないのは、平和条約ということが随分大きく膨らんで先行をしているのではないだろうか。それで、確かに外交上の大変難しい問題があるにせよ、領土の問題がなおざりになってはいないかな、こんなふうに思うわけでございます。  確かに、小渕大臣所信表明演説の中で、三ページに、「北方領土問題を解決し、平和条約締結して日ロ関係の完全な正常化を達成することは、我が国の一貫した基本方針」である、ます前提でこのようにうたってございます。しかし、その後出てくるのは、次の四ページに、「特に領土問題については、」というところで、「東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約締結する」、これは文章としては非常によくわからない文章でございまして、領土問題についてはいわゆる平和条約締結する、こういうことでございます。そして、またその後には、「その後の日ロ外相会談では、平和条約交渉を行うことで」、またその後は、「平和条約締結問題日ロ合同委員会が設置されたところで」、また、二月の大臣ロシア訪問では北方四島の水域の操業の枠組みと同時にやはり平和条約に、こんな形です。  私は平和条約締結それ自体を否定したりなんかするものでは決してございません。しかしながら、やはり我が国の大事な問題、領土の問題、これがもう少しにじんできてもいいのではないかな、こんな気持ちを持っているわけでございますが、率直に小渕大臣の御所見伺いたいと思います
  21. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員指摘の点は極めて重要な点と理解いたしております。  そこで、このクラスノヤルスクでの橋本総理エリツィン大統領との間でお話し合いをされた点は、言うまでもありませんが、東京宣言に基づいて二〇〇〇年までに平和条約締結する、こういうことで合意をいたしておるわけでございますが、この点、委員は、はっきりと、例えばこの領土問題について、我が国の固有の領土たるこの島名も挙げてされれば極めてはっきりこの国境が設定されるということを御指摘いただいているのだろうと思います。  言うまでもありませんが、東京宣言におきましては、択捉、国後、色丹及び歯舞群島の帰属に関する問題について、「双方は、この問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の工作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、もって両国間の関係を完全に正常化すべきことに合意する。」という、この合意が成り立っておるわけですから、ぜひこの平和条約において今の点についてさらに確定をしていかなければならぬと思っております
  22. 長内順一

    長内委員 クラスノヤルスク会談の後、ロシアの方から、例えば領土棚上げ論ですとか、それから切り離し論ですとか、こういうのが随分伝わってきたわけでございます。また、ロシアの中でも、どうもいろいろ調べてみますと、—————当然のことかもしれません。大臣から言わせると、そんな具体的なことは言えないよ、それよりも、東京宣言の中できちっと押さえられているんだから、それを改めて四島の名前を挙げて、それでというのは相手を刺激することにもなるし、外交交渉であるからというような今のお話でございますが、私は、もう少しこの辺を何らかの形でにじませていかなければ、最後になりましてから、平和条約締結されたけれども何かもう一つの方は置いていかれた、こういうことであってはならないのではないかな、こういう危惧を正直持っているものですから、率直にお伺いをさせていただきました。  それで、大臣、さまざまな形で今、日本ロシアの間で、クラスノヤルスク以降、例えば経済交流経済協力共同開発、こういうようなことが行われております。私は、ストレートにお伺いしたいのは、二月に大臣ロシアに伺ったときに、ネムツォフさんとの会談、二月の二十二日でございますが、その中でネムツォフ第一副首相は、日ロ間の経済が進むことが政治面を含め両国関係進展のために非常に重要であると、経済問題を何か持ち出されたようでございます。そしてさらに、今後南クリルの陸地における共同経済活動についても話し合いを進めていけるのではないかとの発言があったようである。南クリルですから、我が国で言う北方地域というふうに受けとめていいと思いますが、ここでの経済活動についても話し合いを進めていけるのではないかと大臣の方にお話をしたということでございます。それに対して小渕大臣は、四島の経済活動は、双方立場を害さないという前提で今後も意見交換をしていく用意はある、こういうふうに答えられた。  これは新聞報道の抜粋でございますが、この大臣がおっしゃられた、今後とも意見交換をしていく用意があるというお答えは、具体的にはどういうことを想定しての話なのかお伺いをしたいと思います
  23. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員は御地元ですので、過去の経緯をすべて承知をされておると思いますが、日ソ時代から、平和条約を結ぶために我が国としては、固有の領土返還ということがます前提にあって、経済的な協力関係というものはそれをなし遂げた後ということで、俗に言う入り口論というようなことで経過してきたわけですが、事ここに至って、橋本総理としては、経済的協力は協力としてやろう、しかしこの領土問題についてはきちんとめどをつけなきゃならぬということと、この間について十分相手方の理解も求めながらいこう、こういうことだったと思うのです。  そこで、いわゆる共同開発という問題については、これは、九六年十一月にプリマコフ外相が来られまして、そのアイデアの提示がありました。そして、本年一月のモスクワの次官級協議におきまして、ロシアからも一定の提案がありました。また、二月の外相会談におきましても本件について話し合われましたが、今後さらに協議を続けていくということになったわけでございますロシア側としては、先般、北方四島周辺の漁業の枠組み交渉が行われまして、これについて、私自身が副首相と署名をともにいたしたわけでございますが、そういう難しい交渉の中でへお互いの利害を分かち合いながら事を進めていこうということについてのお話がございました。  ロシア側としては、今も申し上げたような観点で、四島におきましても同様のことが行えないかということも含めてのこの共同開発の提案だったと思いますが、私自身は、海の中で行うことと、きちんとした陸地で行うことになりますと、管轄権問題も必ずしも一致する問題でないということでありますので、将来にわたって相手方の意見も十分聞きながら、日本としてどのようなことができるかどうかということについて具体的案件についてこれから考えてまいりますということで実は戻ってきておるわけでございますので、恐らく、今後この問題につきましても具体的な案件として双方で事務的にも詰めていく問題があろうかと思います
  24. 長内順一

    長内委員 大変経緯も含めてお話をいただきましたということはこれから、例えばこの間の日ロ経済協力の基本計画、いわゆる橋本・エリツィン・プラン、これに基づいて随分さまざまな経済協力の動きがあるわけでありますが、少なくとも、今の大臣の話は、それを促進していく、その話し合いを積極的にこれから行っていくんだというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  25. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 先生が今おっしゃられました橋本・エリツィン・プランと申しますのは、日本ロシアの間におきまして、経済協力経済関係を幅広く進めていこうという考えに基づきまして、両首脳がクラスノヤルスクにおきまして合意をいたしまして、現在進めているものでございます。  外務大臣が今おっしゃられました共同活動は、橋本・エリツィン・プランとは別の考え方でございまして、今大臣が御説明になられたような考えで私どもは対応しようと思っているわけでございます。したがいまして、橋本・エリツィン・プランとはちょっと別物であるわけでございます
  26. 長内順一

    長内委員 いえいえ、私はその橋本・エリツィン・プランのことを話したのじゃなくて、それによってこれから経済協力が促進されていくだろう。これは平和条約締結前提として、私は悪いことではないなと思っているのです。それで、先ほど小渕大臣が、四島の周辺においても、いわゆる双方で差しさわりがない限りという意味でしょうか、これからも話し合いをしてかかわっていくんだというようなお話をされたものですから、私は、これからも経済協力がどんどん進んでいきますよ、したがいまして、大臣がおっしゃったそういう四島の話、四島周辺の海の部分は別にしましても、陸の部分での話し合いには積極的に応じていくというふうに受け取ってもよろしゅうございますかという意味質問したのです。
  27. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今、西村欧亜局長からも申し上げましたが、橋本・エリツィン・プラン、これは急速に進んでおります。しかし、これはロシアにおける、極東あるいはサハリンその他の地域の問題もございますし、広くロシア全体の問題として、日本として協力すべきことはしていかなければならぬと思っております。  そこで、これと今言ったプリマコフさんの提案につきましては、今後、日本としてどういうことができるのかどうかということですが、少なくともこの地域については、言うまでもありませんが、我が国の固有の領土でございますので、その地域における経済活動についてはこれから十分話し合って検討していきませんと、橋本・エリツィン・プランという立場でこのことを進めていくということとはまた別の問題だ、こう御理解いただきたいと思います
  28. 長内順一

    長内委員 時間になりまして、恐縮でございます。  この機会、やはり非常に熟成した、今までの積み重ねの中でも大事な時期だと思います。今大臣から、短い時間ではございましたけれども決意そしてお考えをお伺いいたしました。昔の、あの共産党時代の、お一人の方がいて、スーパー指導者がいて、その方がイエスと言ったら右、ノーと言ったら左というような時代ではもうロシアはなくなってございますので、やはり交流を中心とした積極的なこれからの対応をぜひともお願いしたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  29. 前田武志

    前田委員長 鰐淵俊之君。
  30. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変御苦労さまでございます。時間が余りございませんから、私も端的に御質問申し上げたいと思っております。  今お二人の質問を伺っておりまして、要するに、この日ロ交渉の中で一体領土の部分がどの程度輪郭が明瞭になっておるのか、それがどうもわからないということで伺っているのではないかなと思います。  しかし、私は、政府皆さん外務大臣の御努力等によりまして、これまでになくロシア我が国との関係というものが良好な関係になっているのではないかと思います。それが、一つは、漁業交渉の操業の枠組みもあのように調印されておりますし、また総理の言った対ロ外交三原則、こういったことに基づいて、お互いに日ロの問題について詰めていこう、こういうように相なっていると思うわけであります。  御案内のとおり、以前は、ソビエトの時代は共同開発という提案が一時ございました。しかし、政府の方はこれは余り乗り気でなかった。なぜならば、そういう共同開発をやっていくということは、もう初めから北方領土の四島の主権というものを放棄することにつながってくるという考え方から、日本は非常に否定的な姿勢をとってきたことは御案内のとおりであります。  しかし、昨今は、ただいまお話ございましたように、橋本・エリツィン・プラン、あるいはまたそれぞれ交渉の中で、次官級の作業部会、あるいはまた外相級、あるいはまたロシアの要人の方が日本に来られるというようなこともございまして、帰するところ、やはり領土の問題について何とか進展を見るべく、多重的な交渉といいましょうか、経済も含め、文化も含め、いろいろなことを含めながら、外相は、この一番大切な、一番我々が考えていきたいと思うこの領土の問題の解決について、それぞれ環境づくりに苦労されている、こう思うわけでございます。  そこで、第一点は、ロシアに外相が行かれまして、その都度私どもロシア課の方からプリントをいただいておりますが、この作業部会その他について、領土の問題については、どのような話し合いで、感触、そういったものがどうなっておるのかということが、全くこのぺーパーの中でももちろん知る由もございません。したがいまして、当事者でございます外務大臣のそれらについての感触といいましょうか、所感といいましょうか、また今後の方向といいましょうか、こういったことについて、お話しのできる範囲内で御答弁をいただきたいと思います
  31. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先般の訪ロの折、プリマコフ外務大臣と第一回目の平和問題解決のための日ロ合同委員会の会合を開くことができました。これは、クラスノヤルスクでの橋本首相、エリツィン大統領との間に行われた合意を、その上に立って、具体的な方向を定めるべく外務大臣同士の第一回の会合をますとり行うことができたということは大変前進があったのだというふうに思っております。  領土問題についての具体的なやりとりにつきましては明らかにすることを差し控えたいとは思いますが、日ロ双方は、東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約締結するよう全力を尽くすという合意につき、先ほど申し上げましたように、外務大臣同士も改めてそれを確認し合ったということでございますので、意義深いことだと思っております。  なお、この問題をさらに具体的に詰めていくために、三月中、すなわち今月中に次官級分科会を行うことを一致いたしておりまして、同分科会は今月二十六日に、カラシン外務次官、我が方は丹波外務審議官との間において詰めていきたいと思っておりますので、こうした問題について、よりそれぞれ専門的な立場で具体化するべく作業を進めていきたい、このように考えております
  32. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大臣お話はわかりました。  御案内のとおり、今日まで、旧ソ連との交渉の中でも日ソ共同宣言というのがありますが、以降、外交領土問題についてかなり進展をする場面がありました。しかし、進展したようですけれども決裂してだめになってしまう。今度は、東京宣言という形の中で、それをもとに二〇〇〇年に平和条約を結ぶということですから、これは非常に大切にしていかなければならない問題だと思います。  しかし、御案内のとおり、ロシアの中には、いろいろアウトサイダーで言ってくることに、もう領土問題というのは解決しているんだと。また、ロシアの憲法の中にはもうそういった余分な領土というのはないんだ、こういうようなこともいろいろな印刷物やまた発言で伝わってくる、あるいはクリルの方からも伝わってくる。  私も、過去ソ連時代にジョイントベンチャーの会社を二つつくることにも一応関与いたしましたし、あるいはビルコフというカムチャツカの知事とも何回もお会いしておりますし、またサハリンのホルムスクとは姉妹都市、そういった関係から、多くのロシア方々との今までの交流はございますが、どの方もこの領土問題になりますと全く口をつぐんで一向に積極的な姿勢を示さないという中で、今回は非常に好機ではある。非常に微妙なことでもありますが、やはり我々の期待は、何とか今回はこの戦後五十年にわたった領土の問題をぜひ前進させ、日ロの中で本当の意味平和条約を結び得るような過程を進めていただきたい。こういうことが国民の要望でもあり、我々のまた期待でもあるわけでございます。  そういう意味で、これから難しい交渉に相なろうと思いますが、いろいろな経済協力その他やっていくわけでございますが、最後になります領土になってデッドロックに上がって、結局これがもとのもくあみといいましょうか、まただめになるというようなことを大変私どもは実は心配をいたしているわけであります。これからの進め方等について、最も主務大臣でございます小渕外相の環境づくりに対する決意といいましょうか、それをもう一度御答弁いただければ幸いだと思います
  33. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員指摘のように、半世紀にわたって平和条約が結ばれてこなかったということには、それなりの経緯があったと思います。  しかし、御指摘のように二〇〇〇年までということで、エリツィン大統領も、私がお目にかかった範囲では、非常にこの問題についてみずからの政治責任を果たしたいという意欲を私なりに感じました。しかし、事はそう簡単なものでないことは過去の例が示しておるわけございますので、何とかしてこの盛り上がった空気を最後には平和条約締結というものにまで向けていかなければならない。  特にロシア側におきましては、大統領のお気持ち気持ちといたしましても、客観的には、まだ極東に、それぞれその地域に、現在も四島に住んでおられる方々もおられますし、あるいは極東それぞれの州の政治家の考え方もありますし、またモスクワにおいての議会、学者その他、いろいろこの件について発言している方もおります。ですから、そういった方々に対しましても、できる限り日本側の立場を十分熟知していただくように、いろいろな角度から努力をしていかなければならないと思っております。  そういった意味で、議会のお力もいただきながら、十分各界各層の方々のお気持ちを集約のできるように努力をしていきたいと思っております
  34. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 最後になりますが、これからエリツィンさんも訪日される、そういうことでトップ同士の会談もされるわけでございます。これも非常にフォーマルな会談ではありますけれども気持ちの余裕を持ちながらお互いに何とかひとつ腹蔵なく話し合っていただいて、本問題について必ずステップ・バイ・ステップで前進する。途中で壊れてしまわない、それから、このせっかくの好機を逃すことによってまた半世紀もこの問題が漂ってしまう、こういうことのないように、ぜひひとつ外務大臣の御努力を切にお願いしたい、このように思います。  以上で質問を終わります
  35. 前田武志

    前田委員長 古堅実吉君。
  36. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほど質問の中に出てまいりました米会計検査院報告、その中には、防衛庁が昨年十一月に発表した「海上ヘリポート基本案について」という報告では全く触れられなかった新しい事実関係のものが幾つか明らかにされております。それで、それにかかわるものを二、三お尋ねしたいと思います。  最初に、建設費用についてですけれども、この米会計検査院報告は、四十億ドルの海上施設の設計・建設費用を基礎として、米国技術者は初めに施設の寿命である四十年間の維持費が八十億ドルと見積もった、したがって、普天間の二百八十万ドルと比べて、年間維持費は約二億ドルとなるだろうと述べています建設費用が四十億ドルというのは、一ドル百二十五円として五千億円、年間維持費は二億ドル、約二百五十億円です。その費用は日本政府の見積もりとほぼ同じか、違うというのであれば政府の見積もった数字を示していただきたい。
  37. 高野紀元

    高野政府委員 先ほども御説明申し上げましたが、このGAO報告で記載されております金額につきましては、日本政府としては承知しておらず、算出根拠は全く不明でございます。  さらに、同報告に記載されている金額につき米国防省に照会したところ、同金額はあくまでGAO推計値であるという回答を得ております
  38. 古堅実吉

    ○古堅委員 全く根拠のないでたらめなことが会計検査院報告という形で出ることはあるまいと思います。それであえてお尋ねますけれども建設費が四十億ドル、約五千億円、このような数字になる可能性があること自体、それも否定できないのではないかというふうに考えますが、そこらあたりどうですか。可能性の部分。
  39. 高野紀元

    高野政府委員 繰り返して恐縮でございますけれども、そもそもこの海上ヘリポートにつきましては、沖縄の海上ヘリポート案を政府として最良の選択肢として今一案をお示ししているわけでございます。それが決定した上で実施計画を詳細に日米間で作成するというプロセスになるわけでございます。その中で、いろいろな意味での建設費あるいは維持管理費等について明らかになっていくということでございますので、この段階で日本政府として何らかの見積もりがあるかどうかということについて申し上げることは困難でございます
  40. 古堅実吉

    ○古堅委員 あえてお尋ねますけれども、全く何の見積もりもしてこなかったなどというふうなことではありますまい。これが最良の選択肢だなどという形で押しつけてきた、こういう経緯がありますよ。  アメリカでは、そういうふうにして数字を具体的に、国会サイドとはいえ出ております先ほど申し上げたように、あえてそういうことがいいかげんな、全く根拠のないでたらめなことを書いたということでもありますまい。こういう数字が出てくるという可能性についてまで否定できないのではないかと思うのですけれども、そこらあたりは言えないのですか。
  41. 高野紀元

    高野政府委員 GAO連邦議会補助機関でございまして、議会要請に基づきまして種々の調査活動を行った上で、独自の試算に基づきこの報告書をつくったというふうに承知しております。  繰り返してございますが、この報告書に出ております種々の数字については、国防省に照会したところ、あくまでGAO会計検査院推計値であるということで私ども確認しております
  42. 古堅実吉

    ○古堅委員 報告書の要約の部分では、米国は日本政府に新しい海上施設維持費を払うよう要求したが、この報告の時点ではそうするという合意はないとも述べています。  そこでお尋ねますけれどもアメリカ政府はこういう要求をしたかどうか、それに対して日本政府はノーという立場にあるかどうか、その二点、明確にしてください。
  43. 高野紀元

    高野政府委員 先ほど来申し上げましたとおり、日米両国政府間で、このヘリポート建設にかかわる実施計画につき詳細な検討を行う中で協議が行われる性格のものと考えておりまして、現段階で日米間で具体的な協議が行われたことはなく、当然のことながら何らの合意もなされておりません。
  44. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間がありませんのではしょって前に進みます。  この会計検査院報告は、海上施設は米国の作戦要求に合致するように日本によって設計されていると述べると同時に、米国は、海上施設のために約四千二百フィート、約千二百八十メートルの長さの滑走路を要求した、空母艦載機の着陸を司僕にするために、アレスティングギア、着陸拘束装置が滑走路の両端から約千二百フィート、三百六十五メートルのところに装着されるだろうと述べています。これは、海上基地が空母艦載機にも使用されるということが明らかにされたところです。計画はそういうことになっておるのですか。明確にお答えください。
  45. 高野紀元

    高野政府委員 SACO最終報告でございます。  海上施設の建設を追求し、普天間飛行場のヘリコプター運用機能の殆どを吸収する。この施設の長さは約千五百メートルとし、計器飛行くの対応能力を備えた滑走路約千三百メートル、航空機の運用のための直接支援、並びに司令部、整備、後方支援、厚生機能、基地業務支援等の間接支援基盤を含む普天間飛行場における飛行活動の大半を支援するものとする。海上施設は、ヘリコプターに係る部隊・装備等の駐留を支援するよう設計され、短距離で離発着できる航空機の運用をも支援する能力を有する。 ということでございます。  いずれにいたしましても、これから実施計画をつくる過程で米側と協議いたしまして、米側の所要の必要な能力、運用能力等も維持しながらこの実施計画はつくられるということでございます。  今念のために申し上げれば、GAO報告書に、空母艦載機の着陸を可能とするアレスティングギアが設置される旨の記述がございますけれども、そもそも、海上ヘリポート案について地元の御理解を得られた上で、その建設に関する実施計画につき詳細な検討を行うということでございますので、その中で米軍の運用所要についても協議されるものと考えております
  46. 古堅実吉

    ○古堅委員 ということは、米国の要求に基づけばそういうことも日本政府としては受け入れられるということですか、返事は。
  47. 高野紀元

    高野政府委員 まだ具体的な協議が始まっておりませんので、ここで、米側がどのようなものを政府として要請してくるかということが明確になっておりません段階でございますから、今の御質問に対する答えは差し控えさせていただきたいと思います
  48. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう時間がなくなりましたので、最後の一点ですが、空母艦載機の使用ということになると、NLP、夜間離着陸訓練も実施されることも考えられます。海上基地計画はNLPの機能をも持つものになる可能性がある。そこも含めてアメリカ側からの話として持ち込まれているかどうか、確かめたい。
  49. 高野紀元

    高野政府委員 今の御質問に対しては、そのような形での要請はまだ来ていないと考えます。  いずれにしても、米軍の運用所要について、現在の普天間基地における能力、こういうものを基本的に維持するということを前提にして、詳細が協議されるという考え方でございます
  50. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります
  51. 前田武志

    前田委員長 上原康助君。
  52. 上原康助

    ○上原委員 時間が十分しかありませんから、何を聞こうか迷っているのですが、外務大臣、お答えいただきたいと思います。  所信表明の中で、いわゆる米軍基地の集中により「大変な御負担をお願いしており、政府としては、その御負担国民全体で分かち合うことが大切であると考えております。」今まで外務大臣沖縄関係所信表明の中で、国民全体で分かち合うという文言は、私の記憶では余り見受けなかった、初めてではないかと思うのですね。その意味は、受け取りようによっては、前向きにもとれるし、あるいは大変抽象論で、何を分かち合うのか。先ほど来議論がありますように、分かち合っていないから今のような状態があって、常に不満があり、なかなか基地問題がうまく解決できないわけです。  改めて外相の決意と、その内容をもう少し具体的に明らかにしていただきたいと思います
  53. 小渕恵三

    小渕国務大臣 かつての外交演説の中でこの言葉が述べられておったかどうか、すべて承知をしておりませんが、私の気持ちといたしましては、長い間沖縄問題に取り組んでまいりまして、現在、沖縄県民が、全国の中で最も米軍基地が大きな面積を占めておるということについて、長い間御苦労いただいた。このことは、沖縄県民のそうした痛みというものを日本国民全体として受けとめて、そして、何ができるかということを真剣に私としては考えていかなければならないという気持ちを率直に申し述べたつもりでございまして、具体的には、基地整理縮小統合するためには、現実的には、普天間の移設も含めまして、何とかこのSACO最終報告というものを一つ一つ現実のものとしていくということもその一つにある、こう認識をしておるところでございます
  54. 上原康助

    ○上原委員 私は、予算委員会でもいろいろ、総理初め、もちろん外務大臣にもお尋ねしてきたのですが、改めて総理にも一度本意を、本音を聞こうと思っているのですが、国民全体で分かち合うということは、善意に解釈すれば、今外相おっしゃるように、沖縄にある米軍基地の比重、これは、私は質、量ということをよく言うのですが、質、量ともに軽減をする、その重圧感を国民全体が分かち合うということと理解すべきだと思うのですね。そうじゃないといけないと思うのですね。まさか、基地はそのまま、何とか沖縄県内で整理統合して、沖縄振興策に対する財政が沖縄に相当負担になるから、負担というか、投入しなければいけないから、その財政の負担国民全体で分かち合うというような意味じゃないでしょうね、外相が言わんとするところは。あくまで基地整理縮小のことを言っておられる、こう理解していいですね。
  55. 小渕恵三

    小渕国務大臣 外務大臣としては、現在のこの北東アジアも含めての平和と安全のために我が国における米軍の果たしておる役割というものは、これは評価しておるわけでございまして、その基地が、今申し上げたように、沖縄に集中をしておるということについて、大変御負担をいただいておることに、深い同情と言っては失礼ですが、本当にそれを何として解消するかということを考えていかなければならないということは申すまでもないことでございます。  ですから、単に経済的な振興策ということでありません。これも重要なことだろうとは思いますし、それぞれの沖縄県における地域の振興、発展ということに国全体としてその努力を傾けていかなければならないことは当然でありますが、今日の状況の中で、いかにこの基地をそうした形で、より効率的な形で縮小し、そして整理統合していくかということに今後とも全力を挙げて努力していくということも含んでおるわけでございます
  56. 上原康助

    ○上原委員 ここは、ごまかされるという表現は悪いかもしれないが、非常に大事な点なので、私は大変懸念をする面もあるわけですよね。  核抜き本土並みと言って、本土並みになるかと思ったら、安保条約を適用することが本土並みだと言われて今日の事態を招いているので、国民全体で分かち合うと言って、沖縄に金がかかるから、その面を国民全体で分かち合いましょう、そのかわり基地沖縄は我慢してくれと。外相の今の答弁はそうではないと思いましたので、その点あえてお尋ねしたわけです。  そこで、時間がありませんので、きのうの沖縄県側と政府審議官クラスの皆さんとの会合でも平行線のようだったですね。大変残念です。  そこで、端的にお尋ねますが、普天間飛行場返還は当面凍結せざるを得ないと考えておられるのか、今の状態を考えると。あるいは、代替案の練り直しを考えておられるのか。これについて、外相も沖縄担当大臣もお答えいただければありがたい。  もう一点。普天間の海上移設案に反対、県側の言い分ですよ、その他の施設整理縮小はケース・バイ・ケースで進めていきたいときのうの会合で表明をなさっておると言っているわけですが、その可能性はあるのか。普天間が暗礁に乗り上げると、その他のSACO関連のものもどういうふうにお考えになっておるのか。ここはみんなが聞きたいことなので、ぜひお答えをいただきたいと存じます
  57. 小渕恵三

    小渕国務大臣 昨日も、大田知事さんと審議官の皆さんと数時間にわたりまして熱心なお話し合いをされたということでありますが、結果は平行線であったと承知をいたしております。  この普天間の移設につきましては、やはり代替ヘリポートということで、これが最善の方策として政府は考えておるわけでございますので、昨日の経過はありますけれども、さらに粘り強く真剣に、沖縄県の知事さんの御理解も得ながら、協力を得て、この当初の目的を達していきたい、こういう考え方でお願いをいたしておるところでございます
  58. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、普天間普天間でこれから継続して審議をする、双方で検討していく、同時に、他の案件については、決まっておるものは、できることは、可能性のあるものは逐次進めていく、そういうことでいいのかというのが一つ。  それと、せっかく鈴木長官においでいただきまして、私は、普天間飛行場を全面返還させるというこの原点がある面ではぼけているのじゃないかと思うのですね。これをどうするかということをもう一度、やはり仕切り直しからやるべきという点を申し上げておきたいと思う。  それと、政治とか行政というのは、やはり結果や成果の比較論だと思うのですね。そういう意味で、私は、沖縄側にもその視点や発想がいま一つ欠落してきた面があったのじゃないかという懸念を持ちます。だが同時に、官僚に任せる、役人に任せるのではなくして、政治のリーダーシップで、SACOの問題を含めて日米間の新たな交渉のきっかけをどうつかむかということが外務省の最も重要な役割だと思うのです。これは沖縄開発庁も同じだと思うのです。  今私が申し上げたようなことを含めて、両大臣決意を披歴していただきたい。
  59. 小渕恵三

    小渕国務大臣 普天間の問題は橋本総理が本当に真蟄に取り組んでおり、この問題を解決することが、今後SACO最終報告が現実のものとなる大きなステップであろう、こう考えておりますので、政府としては全力でこの問題について取り組んでいきたいと思っております
  60. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 一昨年の十二月にSACO最終報告が出たわけでありますけれども、これを着実に実行するだけでも、間違いなく今沖縄にある基地の二一%がなくなるわけですから、五千二ヘクタールが少なくなるわけでありますから、これは知事さんのおっしゃられる基地整理縮小統合にも合致するものでありますから、私は、現段階におきましては、この海上ヘリポート問題も、日米両国で知恵に知恵を重ねて、議論に議論を重ねての結論でありますから、尊重しながらも、この話し合いの推移というものを今後とも見守っていきたい、こんなふうに思っております
  61. 上原康助

    ○上原委員 時間ですから終わりますが、やはり政府も、ただ、暗礁に乗り上げている、あるいは沖縄側が非常にきつい態度をとっているからということで、この問題を放置をするというか、しょうがないやと言っているわけにはいかないと思うのですね。やはりピンチはチャンスなのです。  この際、政府がむしろ長い間解決できなかった原因は何だったかということをしっかり受けとめて、主体ある外交をやって、外務大臣、期待も大きいわけですから、一層の御努力をお願いをして終わりたいと思います
  62. 前田武志

    前田委員長 仲村正治君。
  63. 仲村正治

    ○仲村委員 去る二月六日に、大田沖縄知事が、普天間基地代替施設としての海上ヘリポートに反対、こういうことの意思表明をされたために、このSACOの最も重要な、基地返還である普天間返還が今暗礁に乗り上げた形になっているわけであります。  そもそも、このSACOの最終決定というのがどういうふうになされたのか。もちろん、それ以前から沖縄県には基地返還要求というのはたくさんありました。例えば十八事案とか三事案とか二十三事案とか、いろいろあった中で、なぜこのSACOの作業が始まったかと申しますと、平成七年九月四日のあの不幸な少女乱暴事件が起こって、繰り返される米軍の事件、事故、被害に対して県民がもう我慢できないと、燎原の火のごとくと申しましょうか、怒濤のごとく県民が怒り狂って、基地整理縮小運動に立ち上がったために、日米政府が真剣にこれに取り組むようになったわけであります。  特に大田知事は、その中で目に見える形で基地返還をやるべしと。その代表的なものが市街地の真ん中にある普天間基地返還だ、繰り返し繰り返しこれを強調されたことを私は記憶いたしておるわけであります。  その中で、平成八年二月に橋本総理が、総理になって初めて訪米されたサンタモニカでの首脳会談の中で、沖縄基地返還要求をクリントン大統領要請された。例えば普天間基地の全面返還。その当時までは、例えばというふうな言葉を使って言われたわけであります。それが、その年の四月の日米首脳会談SACOの中間報告の形で、十一施設、約五千ヘクタールの基地を返すということの中間報告がなされ、そして平成八年の十二月にはSACO最終報告がなされたわけであります。  そこで私は、その中間報告がなされたときの大田知事の談話、これを古い新聞のスクラップを全部調べてみたわけでありますが、中間報告のときに、大田知事は、より望ましいのは無条件返還だが、厳しい情勢の中でそれを県が望めば実現はできない、こういうことを言われたのです。これは中間報告のときです。  それで、最終報告のときの談話は、こういうふうに述べておられます。完璧ということはあり得ぬ、基本的には県内移設には反対であるが、SACOの決定には一定の評価をする、こういうふうに述べられましたので、私は、このSACOの最終決定については大田知事が協力していかれる、こういうふうに思っておりましたら、去る二月六日に、海上ヘリポートは反対と。どういう心境の変化があったのかなということで、私たちも非常に理解に苦しむところでありますけれども、それによって、今まさにデッドロックに乗り上げたような感じになっておりますが、これについての政府の今後の対策として、いかように対処していかれるつもりであるのか、ますお答えをいただきたいと思います
  64. 小渕恵三

    小渕国務大臣 この普天間基地の全面移転ということの経緯について、仲村委員からもお話がございました。  橋本総理が、しばしば予算委員会等でも御答弁申し上げておりますように、この問題について政治的リーダーシップを発揮して端緒をつくられた。そのときに当然大田知事さんとの話も進められた経緯は我々も承知をいたしておりますが、残念ながら今日の時点では、今お話しのように、ある種暗礁に乗り上げた感なきにしもあらずでございますけれども、しばしば申し上げておりますように、政府としては、ぜひこの問題を解決し、そしてSACO最終報告が現実のものとなりますように努力する第一歩であるということでございますので、何としても理解を求める努力をさらに続けていくということだろうと思います
  65. 仲村正治

    ○仲村委員 この普天間基地と同じような形で移設条件つき返還を決定された那覇軍港、これは復帰直後に第十六回日米安保合同委員会で決定されたわけでありますが、これもやはり移設先が反対あるいは見つからない、こういう状況でもう二十四、五年もずっと引きずってきているわけでありますが、この那覇軍港の移設についてもSACO最終報告に入っているわけです。だから、これもこの普天間基地同様に恐らく返還は近い将来ないのではないかといって私は非常に心配をしております。これは御承知のように那覇の真ん中にあるのです。都市計画上、非常に重要な場所にあるわけですが、これが二十四、五年も未解決のままになっている。  この普天間基地の条件つき返還につきましては、最初は、アメリカとしては、嘉手納弾薬庫の跡に千五百メーターの滑走路をつくってほしいと。それがます地元から反対されてできなくなった。それで、キャンプ・ハンセンだと。キャンプ・ハンセンも地元が反対した。それで、嘉手納基地の中にと。これも地元が反対してできなくなって、四回目にこの海上基地にいったわけです。  したがいまして、さっきも同僚議員からお話がありましたが、海上基地に反対ということであれば、何かはかに方法はあるのではないかという気がしてならないわけであります。きのうの審議官との話し合いも、五時間続いて平行線であったということでありますが、この件について、政府としてはこの海上ヘリポートが最良の案であるというように、それをどこまでも押し通すということでなしに、何かやはりいい知恵は出てこないかなという気がしてなりませんけれども、現時点でそのようなことが言えるのかどうか、お答えをいただきたいと思います
  66. 高野紀元

    高野政府委員 お答え申し上げます。  SACO最終報告にもございますが、普天間に関する特別作業班に対して、三つの具体的代替案、すなわち、ヘリポートの嘉手納飛行場への集約、二つ目、キャンプ・シュワブにおけるヘリポートの建設、三つ目が海上施設の開発及び建設について検討するよう指示がございまして、それを受けて種々の検討の結果、平成八年十二月二日でございますけれども日米安全保障協議委員会として、海上施設案を追求するというSACOの勧告を承認したわけでございます。  政府として、普天間飛行場、何とかこれを返還するという中で、これを可能とする海上ヘリポート建設について地元の御理解と御協力を得られるよう引き続き粘り強く取り組んでいき、普天間飛行場返還以外の案件についてもこれを着実に実施していくべく引き続き努力してまいります。  その関係で申し上げますと、先ほど那覇軍港のお話がございましたが、同様に長い間の懸案でございました県道百四号線越えの実弾砲兵射撃訓練、これは本土において五カ所で実施しておるという経過もございますし、あるいは、嘉手納飛行場における遮音壁の建設等についても、つい先般、日米合同委員会合意いたしたという経緯がございます
  67. 仲村正治

    ○仲村委員 沖縄県は、平成八年一月に、基地返還アクションプログラムというものを政府に提出しているのです。これは、二〇〇一年までを第一期として基地の三分の一の返還をする、そして、二〇一〇年までを第二期としての考え方、第三期が二〇一五年までに基地の全面返還をする、こういう形で基地返還アクションプログラムというのを政府に提出していると思うのですね。  これについて、どのような県との話し合いをなされたのか、その点についてお答えいただきたいと思います
  68. 首藤新悟

    ○首藤政府委員 私ども、このSACO報告をまとめる際に、沖縄における米軍基地問題協議会、それから、いわゆるタスクフォースと言われるものの場におきまして、沖縄県の方々の御意見、その根底には今先生おっしゃられましたいわゆるアクションプログラム、国際都市形成構想に見られる基地のいろいろな返還要望、そういったものを勘案しつつSACOをまとめたということで、例えば三つの段階のうち、第一段階に入っているものは今回のSACOでほとんど網羅し、また、第二段階に入っているものも幾つか今回のSACOに入っているというようなことで、そういった御希望を取り入れて、御意見伺いながらやってきたというふうに認識いたしております
  69. 仲村正治

    ○仲村委員 それでは、県が言っている二〇一五年までに基地をゼロにするという考え方は、政府承知している、理解している、こういうふうに受けとめていいのですか。
  70. 首藤新悟

    ○首藤政府委員 あの三段階のものがすべて現実的に可能かどうかというようなことについてまで政府がコミットしたというふうには認識いたしておりませんけれども、私どもとして、できるものは米側との協議の上で極力盛り込んであのSACO報告をまとめたという認識でございます
  71. 仲村正治

    ○仲村委員 この県のまとめた基地アクションプログラムというのは、地球上に基地の要らないような世界になることを、願望としてはこれは一つの考え方であるかもしれませんけれども、まさに現実の世界の情勢からして全く非現実的な考え方である。そういうものをあたかもできるかのような幻想を与えるということは非常に危険な話だと思いますので、その辺はきちっと対応していただかなければならないということを私は強く指摘しておきたいと思います。  次に、鈴木長官にお尋ねをいたしますが、きのうは、これからの沖縄振興策について非常に強い決意をお述べになられました。  確かに復帰二十五年、五兆円余の国費が投ぜられて、復帰前の米軍占領下での軍事優先、民生不在の時代とは比較にならないほど発展をしてきたわけでありますけれども、しかし戦中戦後のいろいろな傷跡が残って、社会の各分野に本土との格差が存在していることも事実であります。特に、失業率の面においてはもう全国平均の二倍でずっと推移しておりますし、県民所得もずっと全国四十七番目、四十七都道府県の中の最下位。今、全国平均が一二百十一万と言われておりますけれども沖縄の場合は二百十五万。これは本当に悪い状態にあるわけであります。  したがいまして、これからも引き続き振興策については力を入れていただかなければならない、こういうふうに思います。特に、この時期は三次振計のもう後期に入っておりますし、私は、こういうものを含めて三次振計後期の課題に積極的に取り組む必要がある、こういうふうに考えておりますけれども鈴木大臣の御決意をお聞きいたしたいと思います
  72. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 今、仲村先生御指摘のとおり、復帰二十五年間で五兆三千億円を沖縄に投資しております。  そこで、仲村先生、いかに今まで政府沖縄に対して頑張ってきたかという一つの例として、この二十五年の間に沖縄に一平方キロ当たり二十億一千六百万予算を使っております。全国平均では一平方キロ当たり四億二千七百万ですから、沖縄には四・七倍やってまいりました。今御審議いただいております平成十年度の予算でも、七%の公共事業減でありますけれども、ことしは一平方キロ当たり沖縄には一億二千二百万です。全国平均が工千四百万ですから、五・一倍であります。数字は正直でありますから、この傾斜配分といいますか、沖縄に対する配慮といいますか、万般歴代内閣もやってきたけれども、今の橋本内閣ほど一生懸命やっている内閣はないということで私は自信を持っておりますので、これからも、沖縄が自立できるように、さらに沖縄が発展、活性化されますように最善を尽くしていきたい、こう思っております
  73. 仲村正治

    ○仲村委員 橋本総理は、昨年十一月二十一日の沖縄復帰二十五周年記念式典で沖縄経済振興策を発表されましたが、これらの考えを骨子としてさらに検討を深め、この春をめどに沖縄経済振興二十一世紀プランを取りまとめ、新しい全国総合開発計画においても今後の沖縄の基本的方向を明らかにしたいと明言されました。  私は、あの総理の式辞を聞いて、まさにこれはポスト三次振計、いわゆる第四次振計の骨子を発表された、こういうふうな受けとめ方をいたしました。そのとき総理は、来春をめどにと言われたので、もうこの時期が来ているわけでありますので、その二十一世紀プランの取りまとめ状況について、どのように運んでいるかということについてお答えをいただきたいと思います
  74. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答えを申し上げます。  二十一世紀プラン、仮称でございますけれども、先生御指摘のように、昨年十一月二十一日の沖縄復帰二十五周年記念式典におきまして、総理から言及があったものでございました。現在、この策定につきましては県ともよく協議いたしまして、県の考え方も十分お聞きしながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  策定の時期について今具体的に申し上げることができないところはお許しいただきたいと思うのですけれども、時期も含めて検討を行っておるところでございます
  75. 仲村正治

    ○仲村委員 さらに、総理はこの式辞の中で、新しい全国総合開発計画にも沖縄の振興策の基本的方向を明らかにすると言われました。国土庁は、三月二日に次期全国総合開発計画の素案をまとめて、三月末までに閣議決定をすると報道されております。その中には、多元的交流と国際貢献活動の結節点としたい、こういう位置づけをしておるわけであります。これは、今までも国際交流の拠点形成ということが振興開発の重要な柱になっていたわけでありますが、これとどのような関係、違いがあるのか、それがます一点であります。  さらに、復帰式典での総理式辞は、これこれをやりますという断言的なことを言われた。これはもうおやりになると私は信じておりますが、この式辞の中で述べられた振興策は沖縄経済振興二十一世紀プランとしてこの春をめどにまとめると述べられた。しかし、この取りまとめの委託を受けたNIRAでの最終取りまとめの会合では、策定時期を含めて検討中とか白紙の状態とか、あるいは、返還跡地を利用しての振興策の策定であるので、いや応なしにSACOと関連するので今の時点で具体的段階には入れない、こういうようなことが情報として入ってきているわけでありますが、この総理が述べられた二十一世紀プランの実現の可能性について、もう一度しっかりひとつお答えをいただきたいと思います
  76. 安達俊雄

    ○安達政府委員 今後の沖縄振興策の検討、特に沖縄政策協議会におきます検討事項を中心とした取りまとめにつきましては、今御指摘のありました新全総がどういう方向を出すかということも一つ踏まえていかないといけないというふうに思っておりますし、また、今お話がございました総合研究開発機構、NIRAでございますけれども、これの研究の成果ということも踏まえて進めさせていただきたいと思っております。  ちなみに、このNIRAの研究会でございますけれども、昨年十一月に中間報告を急ぎいただきまして、その研究報告を受けまして、関係各位の御協力を得ながら、また総理が式辞の中で具体的にこれこれを講じますと申し上げた、第一から第五まであったと思いますけれども、その中でも特に税制に関連する点につきましては、昨年の党税調での御審議もいただき、また一月の閣議決定を行い、また今回御審議をお願いしております沖振法の改正ということで、政府としてぜひ実現を図っていきたいと思っておるものでございまして、その中間報告の後にも精力的な検討をいただいておりまして、去る十日に最終会合が開かれました。その最終会合の意見を踏まえまして、三月末には官房長官に報告書を提出いただくということになっております。この報告書につきましても最大限反映させながら今後の振興策の取り組みを検討してまいりたいというように考えておるところでございます
  77. 仲村正治

    ○仲村委員 終わりますけれども、今のNIRAの協議の中で、よく振興策と基地返還とリンクさせるさせないの話がありますけれども政府の見方として、そういう低次元なものじゃない、しかしこの振興策というものは基地の跡地利用というのが主体になっているので、それが前に進まないと議論のしようがないのじゃないかという話もありますけれども、この点についてどう思っていますか。
  78. 安達俊雄

    ○安達政府委員 総理も、先々週の国会答弁で、意地悪な絡め方をするつもりは全くないということをおっしゃったわけでございます。ただ、総理の発言でもございましたけれども、私どもが非常に重く受けとめております県の振興策についての考え方、これは国際都市形成構想あるいは同基本計画の中に具体的に語られているものでございますけれども、それは一言で言いますと、基地問題の解決は重要。しかし、単に基地返還されるということではなくて、端的に言いまして、普天間の跡地を考えますと四百八十ヘクタールと膨大な敷地でございます。それを沖縄経済の自立化に向けてどううまく活用していくかという大変な取り組みになっていくわけでございまして、したがって、政府に対して、基地問題への取り組みとともに、それと即応する形で地域振興についてもしっかりと取り組んでほしいと。  そういった意味で、基地問題と振興策が表裏一体の関係にあるというのはもとより県の考え方でございまして、私どもその低次元の絡め方をするというつもりは全くございませんが、今沖縄政策協議会の中で各プロジェクトチームが研究をいろいろやっておりますけれども一つの例を挙げさせていただきますと、第三PTの中で沖縄の総合交通体系を議論しております。そこでは、普天間の跡地に南北の幹線道路をつくろうという非常に意欲的なプランが出ておったわけでございますけれども、それが実現するのかどうかというところが、今この普天間問題が不透明になってきている中で非常に難しい。仮説の議論としては議論は続けられるのですけれども、それ以上、本当に具体化するということについて議論をさらに進めるということについてはちょっと難しい状況になってきている。  そういう実務面の難しさということがあるということでございまして、きのう私も知事と六時間弱話をさせていただきましたけれども、その点についても、県のもともとの考え方であったわけで、我々意地悪な絡め方をするつもりはないのだけれども、そういう実態上の、実務上の問題ということについては県側にもよく御理解いただきたいということを重ねて御理解を求めたところでございます
  79. 仲村正治

    ○仲村委員 ありがとうございました。  終わります
  80. 前田武志

  81. 長内順一

    長内委員 それでは、初めに沖縄開発庁長官にお伺いをさせていただきたいと思います。  今回の鈴木大臣所信を先般伺いまして、非常に、言うならば思いのこもった文章でございまして、私も、まさしく沖縄の置かれている立場、それから戦後の苦渋の中から立ち上がろうとしている姿、こういうものを非常に強く感じたところでございます。  そこで、冒頭に大臣にお伺いいたしたいと思いますが、この鈴木大臣所信の一ページ目に「今日まで県民の皆様が長年背負ってこられた苦しみと負担の重さに思いをいたし、沖縄の心、沖縄の目、沖縄思いをしっかり胸に刻み、職責を果たしてまいる所存であります。」こういう一節がございます。並々ならぬ決意の一端だと思いますが、具体的に、この沖縄の心、沖縄の目、沖縄思いについて御所見伺いたいと思います
  82. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 私は、政治家になる前から沖縄とのかかわり合いを持ってきました。特に、サトウキビ等で沖縄の農家の皆さん方とは本当に長い関係をしております。同時に、国会議員になりましてからも、この沖縄北方特別委員会でずっと沖縄問題をやらせていただきました。私なりに、沖縄の選出の国会議員を除いては、私はだれよりも沖縄に対して強い情熱を持ってやっているのだという自負心を持ってやってきました。それゆえに、私なりに沖縄皆さん方の心や思いや目というものを肌で感じているつもりでありますから、その言葉を率直に所信表明で出させていただいたということであります
  83. 長内順一

    長内委員 今沖縄問題を語るときに、確かにテクニカルな問題、これは政治的なものも含めてなのでありますけれども、これも大事でありますが、やはりベースに沖縄の置かれている立場ということに思いをいたすというのは、私は、政治の場にいる私たちにとっては非常に大事な問題であるというふうに受けとめさせていただいているわけであります。  あすになるのでしょうか、いわゆる沖縄振興開発特措法、一九七二年の復帰のときに制定されたという法律でございますが、この改正案が出されておるわけでございます。これを読ませていただきますと、この中にやはり、「多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心を持って事に当たる」とうたつているわけであります。  私は、こういう一連の大きな流れ、それから、大臣が本当に決意を述べたこの所信、こういうことから考えまして、今回の沖縄の振興法そして振興対策、これが何かしら、例の非常に難しい問題、いわゆる海上の基地問題と一緒になってしまって、それで報じられているということに懸念を抱くわけであります。  大臣は、振興策と基地の問題は一体で考えていかなければならない、こういうふうにおっしゃっています総理は、沖縄復帰二十五周年の式典の中では、この振興策とそれから海上基地の問題を、二つを一緒にされるということは非常に悲しいというふうにおっしゃっているわけであります。ここで、大臣の、一体なんだということはどういうことなのか、御所見伺いたいと思います
  84. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 沖縄の振興は振興でこれまでも進めてまいりましたし、これからもやってまいります。  そこで、一部誤解がありますのは、昨年の十二月の八日に私は名護に行って北部振興のメニューを発表させていただきました。そのとき、継続事業は継続事業としてやりますよと言って、さらに新たな負担をお願いをする、その負担にこたえてもらうとするならば、さらなる振興策、市街化区域だとか、あるいは新しい港湾だとか、そういったことも考えていますよという話を私はさせてもらったのです。  ですから、その点が何かしら一緒にとられて、一部誤解があるのかな、こういう感じを持っておりますけれども、はっきり言わせてもらいますけれども沖縄の振興策は振興策でやってまいります。同時に、新たな負担にこたえてもらうということは、その場合はその場合でまたさらなる振興策があるということは、これは昨年の十二月の八日に私は明確に言っておりますので、この点きちっと、すみ分けといいますか仕分けはしておりますから、リンク論という簡単な言い方は私はしておりませんので、誤解のないようにしてほしいな、こう思っています
  85. 長内順一

    長内委員 いわゆる継続の部分とそれから海上ヘリポートにかかわる部分と二つあるのですよ、それで、振興策は振興策で継続の部分はもうやっていきますよ、ただし、ヘリポートにかかわる部分についてはこれは一体のものである、こういう認識でよろしゅうございますか。(鈴木国務大臣「はい」と呼ぶ)  そこで、そうなってきますと今度はヘリポートの話になっていくわけでありますが、少なくとも片っ方では振興策がそのように用意されている、そしてもう片っ方では普天間の問題が、先ほどから議論されておりますように、なかなか前に進んでいかない。沖縄のいろいろな声を聞きますと、普天間返還とよく言いますけれども、これはそうじゃなくて、普天間のいわゆる基地の移動だ、返還じゃなくて、沖縄にしてみれば中で動かすだけだというような表現も使われているようでございます。  この問題につきましては、問題がだんだん何か大変難しくなっているのではないかなと私は受けとめさせていただいておるのです。例えば、市民投票が当該地で行われた。ここでは反対の意思が確認された。そして今度は市長選があった。これはどちらかというと推進派の方が勝利をされた。しかし、勝利宣言をしたその後でまた、基本的な考え方、原点に戻って、知事さんの考え方になんというようなことも出ておった。そして、大田知事大田知事で、非常に私はこの問題については反対であるというような意思表示をされている。大変難しくなってきているのです。  そこで、先ほどからの皆さんの議論を聞いておりまして、大臣、このままいって、県では嫌だと言う、国の方では進めると言った場合、国に、県を説き伏せて、説き伏せるというよりも強硬にこれを設置していくというような手段というのは法的にはあるのでしょうか。これは開発庁の方がいいかもしれませんけれども、何を言いたいかというと、国とそれから県の意見が別々の場合、これを今後どういう形で推し進めていくようになるのかお伺いしたいと思います
  86. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 あくまでもこれは地元とは話し合いの中で進めていくというのが約束になっておりますので、あえて国がその点強行するというような考えは持っていない。それゆえに、きのうも五時間になんなんとする、知事初め副知事、出納長あるいは調整監、知事公室長、こちら側からは防衛庁、外務省、さらに内政室の審議官が行きまして、また地元の防衛施設局長も出まして協議をしているわけでありますから、あくまでも地元の理解を得ることに最善を尽くすというのが基本的なスタンスであります
  87. 長内順一

    長内委員 基本的には、姿勢としてはやはりそういう姿勢だと思います。  私が伺ったのは、法的にこういう問題がどうなっていくのかなと。うまくお互いに話がついて、それでいくのはもちろん望むことでございますし、そう努力していくのが政治の場にある者の務めだと思いますが、双方で、だんだん時間の経過とともに状況が見ていて非常に難しく感じております。しかも、沖縄担当の総理の補佐官が今度空席になる。また、ちょっと伺いますと、沖縄大田知事総理とは一年半ぐらいも話し合いもしていないだとかさまざまな報道がされていまして、こんな中で、今大臣は大変な決意話し合いで臨むとおっしゃるものの、果たしてこの先どうなるのかな、こういう懸念をするものですから、お伺いいたしました。
  88. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 実は、先週の土曜日、対馬丸の洋上慰霊祭が行われました。その際、大田知事も出席したものですから、私も一時間二十分ほど大田知事ともいろいろ話し合いました。大田知事さんは、総理に対しては申しわけない、総理には恩義を感じておりますよと再三言っておりまして、総理との信頼関係というものは守っていきたい、大事にしていきたいなという感じを私は受けておりました。  同時に、昨年の十二月二十四日ですか、官邸で大田知事総理会談をしております。そのときの会談は、海上ヘリポート問題については、私は、自分の支持団体だとか沖縄県下の諸団体からまだ意見も聞いておらぬ、県職員の意見も聞いておらぬから、十分その意見を聞いて、一月の中ごろにでも正式に総理のところにまた足を運んで報告をしたいということで、去年の十二月二十四日は別れているのですね。ところが、どういうわけか、その知事さんの言った言葉ではなく、知事さんが記者会見で、しかも名護の市長選挙の直前に一方的に反対ですという表明をしたというのが経緯であります。  ただ、先週の土曜日お会いしたときにも、できれば総理にはお会いしたい、総理の時間をとれた、都合のよろしいときにお会いしたいということは言っておりましたから、信頼関係という意味では懸念するものはない、私はこう思っております
  89. 長内順一

    長内委員 それでは、最後にビザなし交流の件について小里大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  平成四年にこのビザなし交流が発足をいたしまして、六年間を経過いたしました。私も一度北方の地に足を踏み入れたことがございますけれども、六年間の実績は実績として私は大変評価を実はしているところでございます。  しかしながら、平たい言葉で言うと、六年間の中で蓄積されたもので今度はこれでいいのかな。先ほど小渕大臣との話でもそうですが、状況がどんどん変わってきております。こんな中で、ビザなし交流も単なる親善交流の枠から大きく踏み出す必要があるだろう。例えば経済交流であり、それから文化交流でも結構ですし、これを一つの契機にしまして、平和条約領土問題の解決、ここへ向けてのステップにするためにも、ぜひとも、ただ単なる親善交流から一歩踏み出す必要があるのではないか、こんなふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  90. 小里貞利

    小里国務大臣 お話しございましたように、北方四島ビザなし相互交流事業、先生方のおかげによりまして、平成四年以来、六年間におきましておおむね延べ四千五百人。交流事業が成功いたした、そういう感じがいたします。しかも、四島在住ロシア人日本なりあるいは日本人に対する親愛感等も大分醸成をされまして深い理解をいただきつつある、そう思う次第でございます。なおまた、当面、いわゆる在四島ロシア人からの要請によりまして、ことしは日本語教師あるいは教育関係者の専門家等も派遣する計画がございます。  今議員の方から話がありまして、私は非常に強く感じておるところでございますが、まさに先ほど小渕外務大臣お話をいたしておりましたように、いよいよ対ロ外交というものは重要な局面を迎えてきておると思います。そのような極めて前進する一つの背景を持ちながら、いわゆる相互交流事業もこの辺でもう一歩知恵を絞ってみる必要があるのじゃないか、そういう気持ちを持っておりまして、私自身、実はけさ方も事務当局に、今申し上げましたようなこと以上の、ひとつ新しい視点に立った、そして具体的響きのあるもの、そしてこれがいわゆる領土問題に直接的に効果をあらわし得るようなものをお互い知恵を絞ってみようではないか、こういうようなことを関係の職員にも話をいたしたようなところでございまして、ただいまのお話は十分傾聴させていただきたいと思います
  91. 長内順一

    長内委員 今の状況だけじゃなくて、次世代にも影響のあるものですとか、それから医療ですとかコンピューターの技術ですとか、考えると交流の場というのはさまざまあると思いますので、ぜひとも積極的な対応をお願いいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  92. 前田武志

    前田委員長 鰐淵俊之君。
  93. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 それでは、私は総務庁長官の方にお尋ねしたいと思います。  今までは、小渕外務大臣を中心といたしまして、日ロの速やかな交渉といいましょうか、それが首尾よくいくようにということでいろいろ議論したわけでございますが、その中で、政府当局、関係者が一生懸命頑張れ頑張れと言っても、それを援護射撃する国民がさほど燃えないということになりますと、これはやはりいかがなものか、こう思うわけでございます。そういう点では、総理府はやはり北方領土返還運動という、国民に対する啓蒙という事務を所掌しているわけでございます。  そこで、ます一点事務方に最初申し上げるのですが、前総務庁長官に私もお願いをいたしまして、実はいろいろ調べてみましたら、小中学校の教科書では、小学校の社会科の四年生の下でもって北方領土の問題が書かれているわけであります。あるいは、副読本のある県、道もあります。これを見ますと、各地域では非常に北方領土問題におきましては温度差がございます。そこで、前の武藤長官は、ビデオをつくりまして、大いにひとつ小中学校の生徒等に北方領土問題について啓蒙したい、こういうことで御答弁がございました。したがいまして、この結果を踏まえて、実際ビデオを作成され、どのように配付し、それがどういった効果をもたらしたであろうかということについて、事務方の方からひとつよろしくお願いしたいと思います
  94. 川口雄

    ○川口説明員 私ども総務庁といたしましては、北方領土問題について、青少年の意識の喚起に重点を置いて広報啓発を進めているところでございます。  ただいま先生御指摘になりましたように、教科書には必ず載っけてもらうということになっておりますけれども、それだけでは足りないじゃないかということで、今年度、昨年末でございますけれども、青少年に北方領土問題を正しく理解してもらう、そして教育現場での教材としての活用ということでビデオをつくりました。ビデオの内容は、当然のことながら北方領土問題の解説、それから現在行われております北方四島との交流事業、この状況を写しましたビデオを全中学校に配付したところでございます。中学校一万一千二百校ございますけれども、この全中学校に配付いたしまして、教育の現場でありますとか、そういうところで活用していただくようにということでお願いいたしました。  そして、これ配りっ放しじゃどうしようもないので、この結果どんな活用をしているのか、あるいは生徒たちの反応はどうかということで、三千校を選びまして、その生徒の反応とかどんな使い方をされたかということを現在集計中でございます。  生徒の反応なんか見てみますと、北方四島の現状がよくわかったと、現在の北方四島の自然の状況も写っておりますし、それから北方領土問題の歴史的な経緯、こういったものも入っておりますので、非常に生徒からは喜ばれておるということを聞いております。  いずれにしても、現在、結果につきまして集計中でございます
  95. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 一つは、前の長官にこれは御質問したことがございますが、北方領土返還運動という啓蒙は非常に以前からなされておるわけであります。確かに署名は、七千万を目標にして六千万、かなりの署名が集まっております。これはしかし相当長い期間やっておりますから、国民皆さんは、果たして署名したかどうか忘れている方もいるのじゃないか、その程度になっているのじゃないかと思います。あるいは、一年に一回、北方領土の日ということで、都道府県、あるいは中央では東京でそういった式典をやりますけれども、どうもまだ型にはまったようなものだと思います。  そこで、やはり今時期は非常に熟した、しかも、この問題を長年の懸案として、また悲願として成就していくために、政府のそういった交渉をいわゆる後方支援といいましょうか、国民が支援していくということでこの啓蒙運動というのは非常に大事な時期になっているのではないか。そういう意味で、長官におかれては、本年はどんな新しい機軸といいましょうか、そんなことで御計画されておるのか、御答弁いただければと思います
  96. 小里貞利

    小里国務大臣 両国関係から見ましても、いろいろ長い間起伏があったわけでございますけれども、ただいまお話しのように、まさに、まれと申し上げまするよりも、本当に初めて絶好の一つのチャンスを迎えておる。先ほど外務大臣からもお話があったとおりでございます。  同時にまた、この種のことは、政治あるいは外交交渉は手がたく、そして忍耐強く進める必要があるわけでございますが、御指摘のように、あわせまして、国民としてあるいは世論としてこれを直接、間接、力強い一つの支援をしていく必要があるわけでございまして、今お話がございましたように、まさにその意味におきましても一つ機会である、そういうふうに考えております。  なおまた、先ほども若干お話しいたしましたが、ことし、インターネットを利用いたしまして、日ロ間の外交交渉の経緯やあるいは四島に対する我が国国民一つ気持ちを徹底して知らしめる。あるいはまた、来年度は、衛星を使って撮影した北方四島の画像を購入いたしまして国民に対して四島の情報を広く提供するなど、各種の啓発活動をいたしたい、さように段取りいたしておるところでございますが、さらにさらに、ただいま御指摘がありまするように、この際、広く衆知を集めて知恵を絞らなけりゃいかぬ、具体的に効き目のある方策を考えなけりゃいかぬ、そういう旺盛な意気込みで当たりたい、さように思っております
  97. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変長官の心強い御意見をいただきましくどうかひとつ、総理府挙げてこの北方領土返還運動における啓蒙活動に懸命な努力をしていただきたい、このように思います。  さて、時間も余りございませんので、次いで沖縄問題でございますが、これは今いろいろな御質疑がございました。鈴木長官も一並々ならぬ決意沖縄の振興開発について取り組む、こういう姿勢でおられるわけでありますが、御案内のとおり沖縄は離島ということでありまして、単位当たりの投入は本土よりもはるかに投入しているということは今十分わかりました。にもかかわらず、経済効果といいましょうか、それがなかなか上がってこない。これはやはりそういった地理的な面があると思います。あるいは、自由貿易ゾーンをつくってもなかなか商売が上手にいかない。何ゆえにそういういろいろな問題があるかということにつきましては十分検討されておるのではないか。  加えて、今度新しい沖縄の振興対策がるる出されてまいりました。こういったものによってこの沖縄の振興対策がより実効が上がり、沖縄県民にとっても名実ともに生活のレベルアップ、経済のレベルアップ、そして沖縄県全体のレベルアップにつながっていくのかどうか。こういったことについてぜひ有効な対策、今のこの振興対策がありますが、これについて私はいろいろ数量的なことも聞いたわけですが、これはなかなか難しいと思います。長官の決意をひとついただきたいと思います
  98. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 タイムリーな政策を展開ますと随分違うものだなという一つの例がありますが、去年、東京−那覇間の航空運賃を往復八千円安くしたんですね。そうしましたら、去年四十一万人観光客がふえました。その流れ、勢いはことしにもつながるんではないかと言っているんですね。沖縄県が目指している観光立県としての沖縄に対する流動人口は五百万なんです。しからば、私は、ここ三、四年で到達できるんではないかな、これだけでも相当な経済波及効果はあると思っているんです。  そのとき、今回沖振法の一部改正案を出すわけですけれども、これは、課税の特例、所得控除なんかも三五%ですから、あるいは那覇空港の中にデユーティーフリーショップもつくる、しかも上限は二十万までですから、今まで香港だグアムだハワイだと言っておった人が、逆に沖縄ですべて満足できるといいますか、用が足せるといいますか、納得いくといいますか、そういった環境になっていくんですね。沖縄が観光立県だと言うならば、間違いなくそれに資する今回の沖振法の改正であるし、また、昨年の航空運賃のいわゆる軽減化かなという感じを持っているんです。  そういった意味でも、ぜひともこの沖振法を早く通して沖縄経済に活力も与えたい。さらに、雇用が創出すれば、今沖縄の失業率というのは本土の倍ありますから、それが少しでも軽くなれば、これまた沖縄にとっても喜ばしいことでないのかなという感じを持っております
  99. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 確かに、今鈴木長官が言われたとおりに、その問題につきましては、航空運賃を安くしたことによりまして沖縄県の観光客は間違いなくふえておる。したがって、第三次産業における影響というのは非常にあったと思います。  やはり問題は、沖縄県全体の均衡ある産業の発展ということになれば、ます第一次産業、それで第二次産業、第三次産業。中でも、今長官の言われたように、この観光・サービス業というのは沖縄にとって言ってみればリーディングインダストリーですね。リーダーになり得るものだと思います。そういう意味で、ぜひひとつこの振興対策を総合的に掲げて、一次、二次、三次と各種産業間に余り格差の出ないような形でぜひこの振興対策を進めていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます
  100. 前田武志

    前田委員長 松本惟子君。     〔委員長退席、原口委員長代理着席〕
  101. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 松本でございます。  私は、初めに開発庁長官にお尋ねをしたいのですが、なかなか代替基地の問題につきまして膠着状態で、これからどうなっていくのかということを大変懸念をしているわけでございます。やはりその場合に手順というのがあったのではないか。手順をかけ違うと後がなかなか難しいというのは、例えば成田空港の問題を見てみてもそんなような感じを持っておりますし、今回の沖縄の、住民投票から始まってさまざまなことがございましたけれども、もう少し何かうまくやれないのかという気持ちがございますので、お尋ねをしたいと思います。  ます初めに、沖振法の一部改正案は、そもそも二月十日に閣議決定をする予定であったというふうに聞いております。ところが、沖縄県の海上ヘリポートの建設反対の動きが伝えられましたら、それから沖縄県の反対の意思が表明され、つまり知事の意思でございますが、表明されますと、政府・自民党の中で、その法案に対して、海上ヘリポート問題とはリンクしているというような見解なり意見が出されたということが新聞報道でなされておりました。沖縄振興策と基地問題は表裏一体であるとか、振興策には基地関係のある振興策と、それから、先ほどもお答えになっておられましたけれども、継続の問題など関係のない振興策があって、今回のはヘリポートと関連を予定をしている振興策なのでリンクをするなど、さまざま意見が錯綜していたように思われます。  先ほど長内委員の方からも引用されておりましたけれども、こういった問題につきまして、橋本総理は、二つの問題を一緒にされるのは悲しいというような御発言をされたりしているようでございますけれども普天間移設が前提だとして法案の提出を先送りをするべきだとの発言が事実だとすれば、これは振興策を人質にしたようなものだと受けとめられてもやむを得ないのではないかというふうに思っております。  さらに、私が驚きましたのは、鈴木長官が新聞のインタビューで、海上ヘリポート基地問題と沖縄振興策はすべて一体的なものであるというようなことで、県が移設を拒めば振興開発措置法の一部改正は見送る考えをお示しになったようなことがテレビでも新聞でも、これは本当は事実でないのかもわかりません、ある部分が飛び出してきたのかもわかりませんけれども、そんなことを見るにつけ聞くにつけ、本当に驚いたりいたしました。  私は、沖縄経済振興は基地移転とは切り離して推進をすべきであるというふうに考えておりますし、沖縄の自立的な発展につながる振興策であれば大胆に促進をしていくということがあって当たり前ではないかと思っておりますが、また重なりますかもしれませんが、長官の御意見伺いたいと思います
  102. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 新聞、テレビは、正確なときもありますけれども、時々つまみ食いをして、都合のいい部分だけ引用されることがあります。私は、極めて不愉快ですし、これはメディアの横暴だという感じを時々持っているのです。  そこで、この沖振法、沖縄振興開発特別措置法案の閣議決定が二月の十日にされるのが、それが延びてしまった。人質云々という話もありますけれども、今の日本の制度は議院内閣制ですから、政府・与党一体ですから、沖縄開発庁は法案を出してお願いする側であります。与党の協議がまとまらなければ、これは閣議には持ち込めないのであります。  そこで、これは正確に言わせてもらいますけれども、一月二十三日、自由民主党の沖縄振興委員会では了承が得られませんでした。これは党の議論であります。二月三日に、さきがけさんの方は法案了承をしていただきました。二月五日に、さらに自由民主党では沖縄県総合振興対策等に関する特別委員会沖縄振興委員会の合同会議がありまして、ここでも、自由民主党というのは非常に幅広く意見を述べ合って議論をされまして、その結果として、このときは加藤沖縄特別調査会の会長、岡部沖縄振興委員会委員長及び法案を提出した私、鈴木宗男沖縄開発庁長官の預かりとなったのであります。二月の五日に社会民主党さんの沖縄委員会で法案の了承が得られました。そこで、自由民主党も二月の十日、政調、審議会、総務会で法案が了承され、同日、二月十日、与党政策調整会議で法案が了承されて、二月の十三日閣議決定となって、今、国会に提出され、あす本会議で趣旨説明をしていただくというのが本当の話なのです。  よく、人質にとった云々というのがありますけれども、党内での議論でありますから、私は、党内ではいろいろな意見があっても結構だ、民主主義というのは議論に議論を重ねて、そこで得た結論はお互いに責任を持つ、これが大原則だと思っておりますから、この議論の過程というのは何ら問題はないのでないか、こう思っております。  同時に、今新聞の方で、何か私が、振興策と基地問題がすべてリンクするもので一体のものだみたいな話がありますけれども先ほど同僚議員質問にもお答えしたのでありますけれども、私は、北部振興につきましては、新たな負担が出る場合さらにこういったことはしますよということは明確に言っております。同時に、継続の事業につきましては整々粛々とやらせていただきますということも言っておりますので、ぜひともこれはトータルで御判断をいただきたい、こう思うのです。  同時に、私は、沖縄振興開発特別措置法の一部改正案につきましても、大田知事さんが、国際都市形成構想ですか、こういったことを言っております、あるいは自由貿易ゾーンの話も出てまいります、それに沿ったこれは法案であるということも、ぜひともこれはおわかりをいただきたいということです。やはり沖縄の置かれた立場、しかも、沖縄においては何とか自立していきたいという強い希望がありますから、それに沿ったこれは法案であるということも、それと、思い切った、まさに一国二制度的とも言われるような大胆な、税制の面での措置、あるいは新しいデューティーフリーショップ等の、まさに目に見えた形での施策を展開しておりますから、この点は私は評価をしてもらいたいものだな、こんなふうに思っています。     〔原口委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 大変緊迫した状況の中でいろいろなことが錯綜いたしますと、スムーズにいくこともいかない場合もございますので、ぜひとも十分御留意をいただきまして、やはり国民県民理解というのが大切でございますので、その点お願いをしておきたいと思います。  次に、私どもはかねてから、政府は現在の海上ヘリポート建設案を見直して、その上で、県内移転がいいのか、本土移転がいいのか、海兵隊の米国本土への即応後方配備の交渉ができないのか、そういったことを基本に立ち返って検討すべきであるという主張をしてまいりました。そして、その際、今までのように検討結果だけを発表したりするのではなくて、検討の過程を、必要な情報を広く国民に伝えていくことが私は重要であるというふうに思います先ほどからの他の議員へのお答えを伺っておりましても、なかなか日本というのは必要な情報が開示をされないということをもどかしく思っております。  そういう立場から、三月四日付朝日新聞でございますけれども、元副総理の後藤田さんの提言、大変感銘深いものがございました。御承知のように、「安保と沖縄の原点に立ち返れ」として、兵力削減を含む見直しを提言しているわけでございますけれども、この中で、「沖縄の琉球処分以来一世紀を超える長い歳月の辛苦と現状を思えば、経済振興は基地対策とは別に政府が取り組むべき課題である。」というふうに指摘をされております基地兵力をそのまま維持するのが前提では見直しにならないのではないか、それから、二〇一〇年ですか一五年ですか、基地を全廃するという県民の願望に十分な理解を持って、政府はその解決に全力を挙げるべきだと御主張をされているわけでございます。  政治家として、また国務大臣として、鈴木長官の御感想をお伺いをしたいと思います
  104. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 尊敬してやまない、また大変な実績あるいは見識を持っておった後藤田先生の三月四日付の朝日新聞の記事を私も興味深く拝見させていただきました。  「安保と沖縄の原点に立ち返れ」ということで、移設前提返還は無理で、兵力削減を含む見直しをというお話であって、ボタンのかけ違いをしているのではないかというような御指摘文章の中にありました。これは後藤田先生の見解として傾聴に値する、こう思いますけれども、同時に、SACO最終報告も、あの沖縄の不幸な少女暴行事件を踏まえて、日米間でまさに英知を結集してなし遂げたといいますか、まとめた最終報告であるし、この決定も私は極めて重いものだと。  同時に、大田知事さんが、二〇一五年までに基地を全部なくしたいという流れに沿って、あるいはその中のますできる部分からやっていこうという判断の中でSACOの最終合意があった。少なくとも今の基地の二一%がなくなるということは私は極めて画期的な決定であったと思うのです。  特に普天間につきましては、知事さん自身が、これは四月十二日の記者会見で、県内の移設がどのような形になるのかは何とも言えない、より望ましいのは無条件返還だが、厳しい情勢の中でそれを県が望めば普天間基地返還は実現できない、だが、なぜ普天間基地返還かについては、普天間が町のど真ん中にあり人命の危険への懸念が強い、その懸念は解決できると明確に言っているのですね。この知事さんの発言なんかも踏まえて、十二月までの間、日米当局関係者が相当真剣に突っ込んだ議論をしてSACOの最終合意を得たという厳粛な事実は、私はぜひともこれは評価をしてもらいたいし、おわかりをいただきたいものだな、こんなふうに思っております
  105. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 昨日からまた県とのお話を再開されたというふうに伺っております。後藤田さんのこのお話によりますと、県民理解を十分得ていないし、自治体も、知事が十分調査をされた上で、やはり反対の空気は強いということの上に立って御見解を出されたのだと思いますから、このこともわきに置かれて、ぜひとも打開の策を柔軟にお考えいただきたいなと思うものでございます。  さて、御承知のように、沖縄開発の問題を考えるときに、基地の跡地の利用ということをどのように進めるかという点についても大切な問題だと思っております。この委員会におきましても、私何度か環境問題との関係質問をさせていただきました。それで、九五年六月に返還合意をいたしました恩納の通信所のように、返還後に発見された汚染によって跡地利用に着手をできない状態がございます。  アメリカは、自国の基地におきましては、例えばサンディエゴ市への返還をするときに、米軍の、海軍の責任によって百トンの土を新しく入れかえて、そして汚染除去が行われまして、国内法によっての点検も市民によって行われて、そしてきちんと返した。米軍が、返還に当たっての汚染除去につきましては、国内と国外、つまり日本でございますけれども、二重の基準をとっているということ、この点については、日本政府日米地位協定のもとで容認をしていることが私は問題だと思うのです。  地位協定の見直しの問題につきましては別の機会質問したいと思いますが、少なくとも、汚染を未然に防ぐため、立入検査を含めて環境法令の基地への適用と情報公開、これが必要だと思いますけれども沖縄の開発振興を担う長官としての御見解を伺います。  時間がありませんので引き続いて言わせていただきますと、環境問題と基地との関係では、辺野古の沖で撮影をされましたジュゴンの問題がございます。  このジュゴンにつきましては、現在、国内法では、例えば絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、この法律には指定されておりませんけれども、しかし、文化財保護法による天然記念物には指定をされている。この間から一回出てきて、そしてまたしばらくしたら、新聞報道によりますと、またジュゴンの姿が見えた。これが迷子で、いわゆる同一のジュゴンなのか、また違うのか、ここはまだわからないというようなことも報道されておりました。  さらに、国際的にはワシントン条約において、ジュゴンの問題につきまして附属書の一に指定をされております。それから、その条約の締約国では特別な場合を除いて国際取引ができないというふうにワシントン条約では言われているわけでございます。  ジュゴンは、国内に生息するという確かな情報がこれまでなかったためかとも思われますけれども日本の絶滅のおそれのある野生動植物において今記述がございませんということを私自身調べて、確認をさせていただいたわけですが、国内法での保護が十分でなかったようでございます。  しかし、仮に生息地として確認された場合、これは、GAO報告にも環境への懸念が示されておりますけれどもGAO報告指摘をしているように海洋汚染を引き起こす可能性があるとするならば、再検討が必要なのではないか。ジュゴンがあらわれたわけでございますので、再検討をぜひお願いをしたいと思うのです。  それで、沖縄で生息が確認されたジュゴンにつきまして、種の保存法に基づく緊急指定種に指定をして、そして調査を行った上で、国内の希少野生動植物種に指定するなどの保存施策をとるべきではなかろうかというふうに思っているわけでございます。すなわち、国内の希少野生動植物種に指定された場合には、採取規制がかかるほかに、生息地等が保護区として設定をされ、そして保護の増殖事業に道を開くことができるからでございます。  緊急指定種の問題は別にまた議論をさせていただきますといたしましても、政府環境対策に万全を期すというふうにおっしゃっているわけでございますから、できるだけ速やかにジュゴンの生息実態の調査そして保護策を講ずるべきであると思いますので、政府としてこの調査をされるのかどうか、明確なお答えをいただきたいと思います
  106. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 最初に、恩納通信所の関係についてお答えいたしますが、旧恩納通信所のPCB等有害物質含有汚泥につきましては、きのうから航空自衛隊恩納分屯基地の一時保管施設に運び込む作業が実施されまして、すべての工事を今月中に完了させる予定で、今着々と作業を進めておるところであります。  また、例の立入調査を含めた環境法令の基地への適用だとか情報公開が必要ではないかという御指摘でありますけれども米軍施設区域への立入調査を含め、環境法令の適用や情報公開につきましては、ます関係省庁において必要性等について検討がなされた上で、最終的には日米間で協議して決めるべき問題であろうかと思います。  なお、ジュゴンの保護あるいは生息実態につきましては、防衛施設庁の方で答えていただきます
  107. 首藤新悟

    ○首藤政府委員 御指摘のジュゴンでございますが、これにつきましては、当庁が現地調査をこの春から夏にかけて行った際にも、調査水域、これは既に御存じのように辺野古崎を中心といたします半径三キロの範囲でございますが、それの外側の海域を遊泳中のジュゴン一頭を目視したというところでございまして、昨年十一月に地元にお示しいたしました海上ヘリポートの基本案にも、私どもその旨を記したところでございます。  当庁としましては、この海上ヘリポートの建設について地元の御理解が得られれば、さらに細部にわたる所要の作業を行いまして、建設予定場所等が決定いたしましたその段階におきまして、環境庁など関係機関とも協議しながら、そのジュゴンの問題も含め、所要の環境影響評価を適切に行いたいというふうに考えているところでございます
  108. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、私の質問の不十分な点、お答えをもっといただきたい点につきましては、法案の審議の際にまた重ねて発言をさせていただきたいと思います。  大変ありがとうございました。
  109. 前田武志

    前田委員長 次に、古堅実吉君。
  110. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほど会計検査院報告にかかわる質問をいたしましたが、その続きをいたしますので、簡潔に、肝心な点ははぐらかさずにお答え願いたいと思います。  日本政府は、海上基地にどんな施設がつくられるのかということについて、これまでほとんど明らかにしてきませんでした。その中で、米会計検査院報告は、滑走路及び誘導路のほかに、航空機腐食防止のためのドライブスルー洗浄施設を初め、航空交通管制塔、航空機消火救助施設、飛行模擬試験装置、兵器組み立てエリア、さらには一万ポンドの弾薬を貯蔵する弾薬庫も含まれるというふうに明記してあります。このような施設がつくられるという計画になっているのかどうか、お答えください。
  111. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 ます、既に御説明があったと思いますけれどもGAO報告書でございますけれども、これは、まさにGAOが独自の調査に基づき作成し提出したもの、こういう性格のものでございます。  それから、海上ヘリポートにおける施設でございますけれども、この十一月にヘリポート基本案ということをお示ししているわけでございますけれども、その段階では細かい中身まで詰め切れておりません。  いずれにしましても、その海上ヘリポートに具体的にどのような施設が整備されるかということにつきましては、今後まさに地元の御理解が得られました後に、この海上ヘリポートの建設地であるとかあるいは工法を決定していく過程におきまして、細部の運用所要に係る米側との調整あるいは各種の技術的検討を経て決定されることになる、こういう段階にございます
  112. 古堅実吉

    ○古堅委員 この会計検査院報告指摘している、今読み上げましたような施設については、日本政府としては全く相談したこともない、それについては関知しないという立場ですか。そのうちに、こういうものについては話し合いがあったということを挙げられるものがあれば挙げてください。
  113. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 先ほど申しましたように、ますGAOのこの報告書につきましては、私ども政府といたしましては全く関与している話ではございませんで、そういう内容のものだ、こういうふうにますは御理解いただきたいと思います。  その上で、具体的な施設整備の中身ということになってきますと、それは、細部にわたります運用所要でございますとか、またそういったものを踏まえた技術的検討を経て決定していくことになりますので、今現在ではそういう中身についてまで詰めたものを持っているわけではない、こういうことでございます
  114. 古堅実吉

    ○古堅委員 では、今読み上げたGAO報告、そこに具体的に挙げられているものについての可能性はどうですか。
  115. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 繰り返しの御答弁で恐縮でございますが、いずれにしましても、具体的な運用所要等を踏まえて、それで検討する問題でございますから、今この段階で何らかの方向について予測を立てるというのは適当ではないのではないか、かように思います
  116. 古堅実吉

    ○古堅委員 海上基地なるがゆえに、そこでは塩害というものがかなり重大な問題とならざるを得ない。これはもう常識だろうと思います。その報告の中にも、塩害による航空機の腐食を防止するためには航空機を洗浄することが必要だということになっています。そのことは当然の前提だろうと思いますが、いかがですか。
  117. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 当然のことながら、そういった問題ももちろん意識をしているところでございます
  118. 古堅実吉

    ○古堅委員 それには大量の真水が必要になってくるであろうというふうに考えます。常識的に言って一日でどれほどの真水が必要とされ、それをどう供給するおつもりですか。
  119. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 現在、普天間におきましても、運用した後のそういった洗浄というのも行われていると承知しておりますし、それから、今申し上げましたような、実際それをどういう形でどういうふうにやっていくかというのは今後の検討でございますけれども、それに対しましてはいろいろな対策を講じて適切に対応していく、こういう考え方でいるわけでございます
  120. 古堅実吉

    ○古堅委員 子供だましの答弁をされちゃいかぬですよ。普天間の現在の基地と海上基地とでは、塩害という意味で全く異なる重要な要素を持っているからそういうような質問に及ぶのですよ。普天間では現在でも洗浄はありますみたいな、そんないいかげんな答弁じゃだめなんですよ。  御存じのように、沖縄というのは、ちょっと干ばつが続けば水不足を心配しなくちゃいかぬような大変なところですよ。しかも、今つくろうとしているところは辺野古でしょう。その地域を中心として水を確保しなくちゃいかぬということにならざるを得ない。  一日でどのくらいの水が確保されなくちゃいかぬか、その水をどのように確保していくか。水不足が常時心配されるはどのような状況の中で、県民生活を節約させてでもアメリカに供給するということになっていくのか。そこらあたりは当然の前提として念頭にもあるし、検討の過程にも来ておると思うのですよ。隠さずに説明してください。
  121. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 この問題でございますけれども、海上ヘリポート案の検討に当たりましても認識していたわけでございますが、現段階でこの具体的な検討が行われているわけではございませんけれども、その洗浄水の使用、これを含めました水の使用ということにつきましては、海水からの造水あるいはその再利用を図る等の措置によりまして適切に対応できるもの、こういうふうに考えておるところでございます
  122. 古堅実吉

    ○古堅委員 それは、この基地の建設に伴って新たにそういう施設をつくるということですね、計画は。
  123. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 具体的な施設のありようにつきましては今後の検討でございますけれども、物の考え方といたしまして、今申しましたようなことで十分対応できる、こういうふうに考えているわけでございます
  124. 古堅実吉

    ○古堅委員 海上基地建設に伴って、キャンプ・シュワブの海岸に新たに住宅、食糧施設、医療、歯科施設が計画されるというふうに述べられています。それは事実ですか。
  125. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今度の海上ヘリポートの関係でそちらに人員の異動があるわけでございますけれども、そういった人員に対します隊舎の建設というようなことがキャンプ・シュワブに起こり得るだろう、こういうふうに認識しているところでございますが、具体的なその内容につきましては、これから検討を進めるということになろうかと思います。現段階では固まったものがあるわけでございません。
  126. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、環境庁にお尋ねますけれども、同じ会計検査院報告にかかわる問題です。環境汚染についてであります。  防衛庁が昨年十一月に公表した海上ヘリポート基本案、それでは、「自然環境への影響は最小限に止まるものと考えている。」というふうに述べております。米会計検査院報告は、海上施設の建設と運用は環境に損害を与えるとの見出しで、多くの科学的調査は大規模な建設事業がサンゴ礁や近くの海岸地帯に損害を与え得るということを示していると述べるとともに、環境もまた海上施設の日常的な運用を通じて汚染されるかもしれない、航空機を洗浄するために使用される洗浄物質の予期しない流出、あるいは無意識の燃料システムの漏れが近くの海洋環境を汚染するかもしれないとも述べております。  会計検査院報告のこの指摘のとおりだと思いますけれども環境庁、どう受けとめておられますか。
  127. 寺田達志

    ○寺田説明員 お答えいたします。  環境庁といたしましても、普天間代替ヘリポートの建設計画につきましては、地元の御了解が得られましてその建設が進められる際には、環境保全に万全の措置を講ずることが必要だと認識しておるところでございます。  先ほど防衛庁からも御答弁がございましたけれども、この普天間代替ヘリポートの建設計画につきましては、規模から申し上げますと現在のいわゆる環境アセスメン十制度の対象ではございませんけれども、このプロジェクトの性格、環境保全の重要性という点にかんがみまして、今後、適切な環境影響評価、いわゆる環境アセスメントを実施するということが必要であろうと考えているところでございます。  御指摘の問題等につきましては、この環境影響評価の手続の中で適切な調査、予測、評価が行われ、十分な環境保全対策を講じてまいるということになるのではないかと考えているところでございます
  128. 古堅実吉

    ○古堅委員 環境庁としては、この計画に、環境面からどうなるのかということについて、防衛施設庁など他の省庁との関係で、海上基地建設計画を進めるについての事前の話し合い、調整、そういうことはないのですか。
  129. 寺田達志

    ○寺田説明員 この普天間基地返還問題につきましては、政府においても横断的な検討組織もございますし、その一部には私どもも入っております。また、この普天間代替ヘリポートの建設計画につきましても、防衛庁等と常々連絡はとり合っているところでございます。  ただ、手続から申し上げますと、先ほど御答弁申し上げましたように、環境影響評価という手続の実施を通じまして十分な環境保全上のチェックを行ってまいりたいと私どもは考えているところでございます
  130. 古堅実吉

    ○古堅委員 この会計検査院報告指摘というのは、皆さんは、そうじゃないか、そう心配される面はあるなということぐらいは考えられますか。
  131. 寺田達志

    ○寺田説明員 これは、まだ環境影響評価の手続に入っておりませんので、今予断を持って申すわけにはまいりませんけれども先ほど来御指摘あった中で一例だけ、これは仮定として申し上げますけれども、例えば排水による海洋汚染というような問題につきましては、これは当然のこととして、そのまま流出した場合には一定の環境影響が出るということは想定されるだろうと思います。  ただ、環境影響評価におきましては、通常は、排水処理をどのような方法で行うのかというような環境保全対策がともに示されまして、汚染源とそれに対する環境保全対策を総合的に勘案した上で、環境保全上の支障があるかないかということを判定するということになるわけでございます
  132. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が迫りましたので、最後に長官にお伺います。  今も、長官がここに出席をされる前にも聞きましたが、米会計検査院報告は、これまで政府が明らかにしていなかったようなものを含めて、海上基地のいろいろな面からの重要な問題を指摘しています政府はまともにそれにかみ合った答えをしようとしていませんけれども、でたらめな、いいかげんなことを言っていると思えない内容ですよ。そういう面を持っています。  そういう中で、一方では、昨年の、海上基地にかかわる市民投票がありました。御存じのとおり、ノーという明確な答えが出ました。大田知事もそういうことを前提にして反対だという表明をされました。新しく市長になられた名護市長も、知事の決定に従うという態度をとっておられます。  私があえてそのことにかかわってお尋ねするのは、防衛庁長官ではない、沖縄の直接の担当でいらっしゃる沖縄開発庁長官、鈴木さんが、しかし、見ておりますというと、長官になられて以後、もう防衛庁長官以上に、海上基地をどう沖縄に受け入れてもらうかということで、本当に、従来の長官には見られなかったような形で積極的にやっておられる。大変残念です。  先ほども、これは政府日米間におけるところの、最良の、最高の決定だなどというようなことをおっしゃっておって、それを推進するかのように見えるような御答弁が行われました。そういう状況になっておっても、これからも沖縄担当であられる長官です。あえて長官が真っ先に、防衛庁や外務省にも先んじて、政府で、もうこれはやめようじゃないかと言うことになるべき立場の長官だと思いますよ。  その長官であられる鈴木さんが、これからも引き続き、この海上基地沖縄に受け入れてもらおうということで、あくまでもそういうような強引な態度をとっていかれるおつもりかどうか、そういうことをやめてほしいと思う立場から、最後にお聞きします
  133. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 GAOレポートにつきましては、上原康助先生が最初に質問されまして、そこで私も初めて知ったわけであります。今、防衛庁の佐藤防衛局長が答弁していることも誠心誠意なる答弁だ、私はこう思っていますし、GAOGAO報告書としまして、防衛庁は防衛庁でもきちっとした試算もしておりますから、これ、どちらに整合性があるやは、これからまた詰めていけばよろしい話でないか、私はこう思っております。  同時に、今沖縄開発庁長官たる鈴木宗男が海上ヘリポートを推進している、それはけしからぬと、短絡的に言えばそういう古堅先生の御指摘かと思いますけれども橋本総理が、六つの構造改革と沖縄問題は現内閣の最重要課題だと、これはさきの臨時国会でも今回の通常国会でも言っておられるし、総理は就任して以来、一貫してこのフレーズは守っております。しからば、私も内閣の一員として、その総理の意を体してやるのは当然であると思っております。  同時に、基地整理縮小統合沖縄振興は一体のものであります基地整理縮小統合をする、そして同時に沖縄振興もする、そのためにはあえて苦渋の選択もしなくてはいけない。私は、おいしいことを言うお世辞家よりも、政治家の道を整々と通っていきたい、こう思っております
  134. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わりますが、相変わらず強気なことをおっしゃる。沖縄県民は、そういうふうなことを言われても、沖縄のためにそういうことで頑張ってほしいということには決してならぬ。歴史の審判に照らして、おっしゃっていることは必ず県民の力によって取り除かれる、そういう方向であろうということを厳しく申し上げて、終わります
  135. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 今の古堅先生の御指摘でありますけれども、古堅先生のお考えはお考えで、そういう考えの人もいると思いますが、沖縄にもまたさまざまな考えを持った人もおりますから、私は民主的な判断で公正公平にやっていきたい、こう思っております
  136. 前田武志

    前田委員長 上原康助君。
  137. 上原康助

    ○上原委員 持ち時間が十分しかありませんから、端的に。  基地問題については、私は、海上ヘリポート基地建設は暗礁に乗り上げているし、しばらく推移を見て、もう一つの解決策というものを何とか政府努力をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。推移をよく見守りたいと思います。  そこで、後半は振興策についての時間ですので、先ほど仲村先生からもお尋ねがありましたが、あるいは鈴木長官からも、沖縄に過去二十五年間で、一平方キロに二十億一千六百万、本土は四億円余りだと。確かにそうかもしらぬが、それでも格差は是正されぬし、難問題山積なんですね。そこをどう解決するかというのが課題です。  そこで、私は安達審議官にも非公式にお願いをしたことも意見交換したこともあるわけですが、基本的なインフラがまだまだ不十分なんですよね。国際都市といいながら、国際都市を受け入れる受け皿というものが基本的になっていない、まだ十分でない。十分でないところか、やらなければいけない課題がたくさんあるのですね。  そういう意味で、総理が打ち出そうとしておられる、あるいはポスト第三次振計の二十一世紀プランでは、空港であるとか港湾であるとか道路であるとか、そういった本当に沖縄の五十年先、百年先の将来を考えた基本的なインフラというものをどうするかということをぜひしっかり受けとめてやっていただきたい。そのことについての長官のお考えがあればお聞かせを願いたいと思います
  138. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 昨年の十一月二十一日に、沖縄復帰二十五周年で、総理が、まさに沖縄経済振興二十一世紀プラン、こういうものを取りまとめたいということを言われました。  今先生から、基本的インフラの御指摘がありました。再々、上原先生から御指摘いただいておりますけれども、これは根っこの部分でまさに大事な問題だ、こう思っておりますから、予算の面では傾斜配分はしてきましたけれども、それと相まって、きちっとしたプランニングの中で空港だとか港湾だとかをどう位置づけるかというものも検討していくのが筋だ、こういうふうに私は思っております
  139. 上原康助

    ○上原委員 ですから、空港問題も、那覇空港は今自衛隊との共同使用ですから、共用ですから、これは民間専用にしてもらいたいという那覇市初め県民の強い願望があります。だが、現実問題として、そう簡単にいかないのですね。じゃ、嘉手納飛行場をどうするかということ。普天間飛行場を全面返還させるというならば、那覇、嘉手納、あるいはもう一つ飛行場が必要なのかどうかという、もう少しトータルで二十一世紀プラン、ポスト三次振計というものをお考えになっていただきたい。  そこで、その前提でもありますが、私はかねがね申し上げて、そんな夢のような話は難しいと言う役人さんがいらっしゃるのだが、基本的には那覇空港を起点に、那覇市を起点に、南は糸満の平和祈念公園まで、北は海洋博記念公園までモノーレールを延長するか、新たな沖縄的JRを設置するかどうか。  これは、投資効果とかあるいは独立採算制、そういう発想ではなくして、本当に沖縄の総合交通体系、未来をどうするか、夢をどう描いていくかという面で大事だと思いますので、この点は運輸省あるいは建設省とも相談して、むしろ二十一世紀プランで、安達審議官、開発庁も一体となって、ぜひそういう面をお考えになっていただきたいと思うのですね。  恐らくこのことには国民皆さん理解をしていただけると思うのですよ。また国会でも、私がそういうことを言うと、これは一緒にやろうじゃないかという先生方、たくさんいらっしゃいますので、そういうことも本当に誠意を持って国がやることによって、基地問題というものに対する打開策も一方で生まれてくるのじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  140. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答え申し上げます。  沖縄政策協議会でございますけれども、その傘下に十のプロジェクトチームを置いております。先生御高承のとおりでございますけれども、この中で、大きくくくりまして社会資本部会というものがございまして、そこに総合・地域計画プロジェクトチーム、また、基地跡地の利・転用プロジェクトチーム、そして第三PTとして通信・空港・港湾等のインフラ整備プロジェクトチームというものを設けまして、沖縄開発庁はもとよりでございますけれども、運輸省、建設省等々関係省庁すべて入りまして、総合的な議論をさせていただいているというところでございます。  二十一世紀プランのお話がございましたが、これにつきましては、策定の時期も含めて今検討しているわけでございますけれども、こういった検討に当たりましては、当然ながら、こうした沖縄政策協議会におけるこれまでの検討成果というものを生かしてまいりたいというふうに考えているところでございます
  141. 上原康助

    ○上原委員 鈴木長官、今お聞きのように、役人は非常に慎重なんですね、審議官は。これはなかなかいい答えは出ませんよ。しかし、いい答えが出なくても、私はこれをここにいる限り言い続けようと思う。軍転法も、あなたが沖特の委員長をして、私のやりとりの中から一つのきっかけをつくったのですよ。  これは、政治家として沖縄の現状を思うならば、鉄軌道問題というのは、私は必要だと思うのですね。もちろん、それにはいろいろな整備をしなければいけない、手だてをしなければいけないものがありますよ、バス会社とか、いろいろな今の交通機関を。これは内閣にぜひ大臣が持ち込んでもらいたい。ひとつお考えを聞かせてください。
  142. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 私は、一つ沖縄が観光立県というならば、やはり環境に優しい沖縄という面が必要かなと。そう考えた場合、あの風光明媚な自然を守る上では、これからやはり、COP3京都会議もありましたけれども、今のままで車がいいのかどうか、あるいは特に沖縄の場合はどうなのかというような視点からも、別な視点から見て判断することも必要かなと。  同時に、今モノレールが平成十五年開業に向けて工事が進んでおりますから、その進捗状況とあわせて、モノレールという話もありますけれども、逆に鉄軌道がいいのか、さらにはまた道路の問題も出てくると思いますから、道路はさらにもう一本引くぐらいの気持ちで振興しなくてはいけないかなという思いもありますので、ここら辺万般、いろいろなことを想定して勉強させてもらいたい、こう思っております
  143. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ方向を見出すようにお願いしたい。  最後に、北部振興についてお尋ねをさせていただきます。  確かに、ごれはいろいろ経過がありまして、県民理解の仕方あるいは政府のお考えもあると思うのですが、しかし、海上ヘリ問題がどういう展開になっていくか定かではございませんが、例えば名護市における市街地再開発の問題とか今後の企業立地動向と関連づけた、隣接港湾との関係も踏まえた名護湾の港湾整備というのは、鈴木長官、これはやはりヘリ問題と絡まさずに、北部全体の振興、私は北部は二十一世紀の前段に三十万都市ぐらいの構想を描いていいと思うのですよ。その中で諸課題をどうしていくかということを、もう少し中長期の政策課題を年次的に位置づけていく。それが二十一世紀プランに位置づけられていけばいいと思うのですが、例えば今私が指摘した点については、やはり進めていかれる、これは沖縄開発庁として一生懸命御努力をいただきたいと思うのですが、最後に御見解を聞いておきたいと思います
  144. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 北部は、沖縄の六割の面積を有し、しかしそこには人口は十二万、一割にも満たない人口でありますから、まだ間違いなく国の施策のサポートが必要だ、こう思っているのです。  そういった意味で、今上原先生が、名護の三十万都市構想のお話がありましたが、北部全体で、十二市町村で今十二万を三十万というお話であります。しからば、やはり港湾の活用なんというものも出てくるかなという感じもします。同時に、地理的に見まして、道路がやはり狭いですから、港を生かすことによって、逆に交通事故等安全の面でもまた相当解決される部分もありますから、あわせて私はこれは検討すべき問題かなという感じを持っております
  145. 上原康助

    ○上原委員 よろしくお願いします。  終わります
  146. 前田武志

    前田委員長 下地幹郎君。
  147. 下地幹郎

    ○下地委員 鈴木大臣、お疲れさまでございます。  質問をさせていただきたいと思っております。  ます最初に、対馬丸の問題を御質問させていただきたいのですけれども平成八年の十一月に初めて私も遺族会の会長であります喜屋武会長から対馬丸の要請を受けたわけであります。そのときに、喜屋武会長のお話を聞きますと、沈没地点が四カ所あるのだ、そしてこの四カ所の地点で順番で慰霊祭をやってきたけれども、どうしても気持ちが伝わらない、だから沈没地点をはっきりと確認してくれ、そんな要請でありました。  私も、その要請を受けましてから私なりに対馬丸の問題にこの二年間一生懸命に取り組ませていただきましたけれども、もう大臣おわかりのように、大臣のところに何回となく遺族の皆さんを連れてまいりまして、陳情させていただいたわけです。そして、昨年の十二月の十二日、長官の御尽力によりまして、五十三年ぶりに対馬丸の沈没地点を確認することができました。そして、今月の三月六日、七日、鹿児島県の悪石島沖合におきまして対馬丸の慰霊祭が政府主催で行われ、大臣も参加をしたわけでありますけれども、一千四百八十四人のとうとい今、そのうちの七百三十八人が学童で亡くなった。まさに私も、あの慰霊祭を通じて、政治家として二度と戦争は起こしてはいけないという強い誓いをさせていただいたのです。  ただ、私が納得いかないのは、なぜ五十三年間、対馬丸の位置の確認ができなかったのかということ。そして、よく厚生省が言っておりました、三千隻近くの船があるから対馬丸だけを見つけるわけにはいかない、だからできないのだというふうな理論では、私は戦後処理の問題を解決していくことは難しいと思うのです。  この沈没地点を確認したことを契機に、対馬丸の引き揚げというものに対して国も真剣に取り組む姿勢を私は沖縄県民に見せていかなければならないと思うのです。遺族の皆さんも、もう年をとられました。自分の子供やそして兄弟や親の沈没地点がはっきりわかった以上、その写真に対馬丸の姿が写った以上、引き揚げに政府はもっと真剣に取り組む姿勢が必要だと思いますが、ます沖縄全体を担当する大臣として鈴木大臣お話伺いたい、そしてその後、厚生省の考えを伺いたいと思っております。よろしくお願いします
  148. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 私も、三月の六日、七日、この洋上慰霊祭に参加しまして、改めて、海底に眠るみたまに深甚なるこうべを垂れて、また平和のとうとさというものを感じました。そこで、遺族の皆さん方から、八百七十メートルの海底に眠っている、沈んでいる対馬丸を何とか引き揚げられないだろうか、今や宇宙に行うて宇宙遊泳もしている時代じゃないのか、しからば何とかなるのではないかというような、大変強い希望といいますか願望といいますか、言われました。私も、そのときの記者会見でも言ったとおり、技術的には無理だというふうに聞かされておりますけれども、さらに専門家等の英知を結集して、できるかできないか、これは早急に検討させていただきたいな、こんなふうに思っております
  149. 松永正史

    ○松永説明員 お答えいたします。  学童疎開船対馬丸の遭難事件によって最愛の肉親を亡くされた御遺族の心情は厚生省としても十分に理解できるものでございまして、御遺族の方々から、船体の引き揚げ、遺骨の収集を求める声があることは十分承知をいたしております。  厚生省においては、海底に眠る戦没者の御遺骨等については、人目にさらされ、その尊厳が損なわれている状況にあって、かつ引き揚げが技術的にも可能である場合には実施する、こういうことでやってきております。対馬丸については、残念ながら、八百七十メートルの海底に眠っているところでありまして、遺骨等の引き揚げは技術的にも極めて困難であるというような事情があるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、厚生省においては、今回、船の定員の関係等もございまして、乗船希望の御遺族全員の乗船、慰霊祭への参加が可能にならなかったということから、御遺族の皆様方の心情も踏まえまして、本年中にも再度同一地点で洋上慰霊をやりたいということを考えておりますので、御理解賜りたいと思います
  150. 下地幹郎

    ○下地委員 もう一度の慰霊祭、私はぜひ厚生省にやっていただきたいと思っております。  そこで、もう一つ。  技術的に難しいとおっしゃるのはよくわかりますけれどもます調査をしてみる。できるかできないかの調査をしてみるというのは大事なことだと私は思っておりますので、それの調査費を、大臣もおわかりのように、沖縄開発庁が動かなければ、鈴木大臣が動かなければ調査費もなかなかつくものではありませんので、調査費をつけて前向きに、本予算では無理だったら、補正予算がもし組まれるとしたならば、そう大きな予算ではなくてもぜひ組んでいただきたいというふうなことをお願いさせていただく。  そして、この沈没地点の確認に科学技術庁そして海上自衛隊が大きな貢献をしたということだけは、私ども認識を深くしておかなければならないというふうに思っております。  そして、話は海上基地の問題に変わらせていただきますけれども、昨日、三月の十一日、沖縄関係省庁の審議官と大田知事との会談が行われました。その会談の内容を安達審議官から少しお話をしていただきたい。余り長く答弁しないで、決裂したか、うまくいったかということだけ。
  151. 安達俊雄

    ○安達政府委員 昨日の会合でございますけれども普天間飛行場返還をめぐる諸問題について、問題の解決に向けて知事と私ども実務担当者の間で忌憚のない意見交換をしようではないかという御提案が知事のサイドからございました。私どももそういうことは非常に有意義ではないかということで会合を持たせていただきました。四時間の予定でございましたけれども、六時間近いミーティングになりまして、忌憚のない、ざっくばらんに互いの意見を述べ合うということで有意義であったと思います。  残念ながら、そこで一つの新しい方向が見出せたかどうかということについては、新聞で報道されているとおり、平行線であったというのは事実であろうかと思いますけれども、しかし、こういった県と国とのコミュニケーションが行われたということについては有意義であったと思っております
  152. 下地幹郎

    ○下地委員 平行線であったというのは、決裂と理解してよろしいのですね。
  153. 安達俊雄

    ○安達政府委員 決して決裂というふうには理解しておりません。
  154. 下地幹郎

    ○下地委員 平行線と決裂。平行線として、本当のところ話がまとまるかどうかわかりませんけれども、私は実質上決裂だと思うのですね。なぜかと申しますと、本人はノーと言っているのだから。海上基地をノーと言っているものを、本人はもう二月の六日に発表しているものを、これ以上お話をしても、それは無理な話なのですよ。これは決裂なのですよ。
  155. 安達俊雄

    ○安達政府委員 相互の考え方が隔たっておるということは事実でございますけれども、しからばそういった意見交換というものが必要ないのだということについては、そういう御指摘ではないと思いますけれども、私ども立場が異なっておっても相互に忌憚のない意見交換をするということについては有意義であったというふうに思っておりますし、繰り返しになりますけれども、平行線ということをもって決裂というふうにはとらえていないことを改めて強調させていただきたいと思います
  156. 下地幹郎

    ○下地委員 これは決裂なんです。  それで、大臣、ここが大事だと思うのですね。橋本総理予算委員会お話をしておりますけれども、これからも地元の理解を得ていきますという答弁をずっとなされているのですね。しかし、二月六日にノーと言っている。二年間を振り返ったら、政府、官邸は振り回されたということを言う人もいますよ。しかし、これから地元の理解を得てもっとやりたいというならば、今のような、海上基地の提案を、お願いしますお願いします、何とかできませんでしょうかという話は、私は建設的な話ではないと思う。平行線の話は、提案をしない限り平行線は変わらないのです。だから、そこで大臣は提案をすべきだと私は思うのですね。  どうしても国が海上基地でやりたいというならば、二〇一五年でこの海上基地をどこかへ移動しますよとか、なくしますよとか、大田さんが言っている二〇一五年という言葉に合わせますよとか、それとも、もう少し大田知事に妥協していただいて二〇二〇年にしましょうかと、沖縄県民の、いつまで基地があるのかという不安を解消することで大田さんが海上基地に対してイエスのサインを出せる状況を提案をしない限り、いつまでたっても、理解を求めます理解を求めますでは、これは政治のあり方じゃないと思うのですね。  その意味におきましても、僕はきょうのこの沖特は大事だと思うのです。沖縄開発庁長官というのは、今までの長官と違って、開発庁長官だけの話じゃなくて、大臣がさっきおっしゃったように、基地問題の整理縮小と振興策が一緒なんですね。基地を置いて、なくすことができないからお金をつけましょう、もうこんな話ではないのです。  基地整理縮小をすることによってどうしても振興策が必要だ、失業率の問題とか土地が遊休地になるからどうするかというときに振興策がどうしても必要だ、これも大臣のおっしゃるとおりなんです。それと同じように考えるならば、今、二〇一五年を大臣がしっかりと受けとめていただいて、総理に私の方から進言させていただきますという答弁は、私は新たな打開を生むものだと思うのですね。ぜひそのことを大臣の御答弁の中でお願いしたいのですけれども
  157. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 海上ヘリポートの前に、先ほど対馬丸の調査をしたらどうかという話がありましたけれども、私は、平成十一年度の概算要求に向けて、できるかできないかの調査費、技術的にどうかというその調査をすべく調査費はつけていきたいな、こう思っております。  そして今、下地委員から海上ヘリポートの問題が出されました。私もここまで出かかっている考え方もあるのですけれども、ちょっと私の職務外でありますから、これは遠慮をさせていただきます。  ただ、一つ言えますことは、いかにしたら理解を得られるか。あるときは発想の転換も必要かなという感じもありますし、特に私は興味深く聞いておった委員会での質問で、予算委員会で上原先生が、二千五百メートルの滑走路の飛行場をつくるのには幾らかかるかという質問をされたことがありました。それに対して運輸大臣もお答えをしておりましたが、またいろいろな基地整理縮小と振興策という中で何かいい知恵がないのか。私は、やはりこれもいろいろな角度から検討して、同時に知恵をまた出すべきでないかなという感じを持っています
  158. 下地幹郎

    ○下地委員 大臣は国務大臣なんです。全省庁の話もしっかりと認識をしていただかなくてはいけない。だから、大臣がこの場で答弁することは決して職務外の話ではないと私は思うのですね。  大臣、私は、先ほど申し上げました時限立法が政府として提案をできなければ、海上基地は断念をした方がいいと思うのです。そして新たな陸上基地の提案をすべきだと思うのです。もう一つ、それもできないというならば、もう今のままの普天間の状態が、普天間の、宜野湾の皆さんを苦しめる状態が二十一世紀にも続くという暗い将来になってくることは間違いないと私は思うのです。  やはりここは政治ですね。政治決断です。そのためにはやはり国務大臣鈴木宗男沖縄開発庁長官がこの場で決断することが必要だと思っています。いかがでしょうか。
  159. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 今の下地先生の貴重な御意見も十分頭に入れて私自身対応していきたいと思います。  同時に、よく防衛庁あるいは外務省皆さん方が、期限を切ったならば今の国際情勢に間違ったアナウンスをしてしまう、これが極めて懸念されるという話をしますけれども、私はどう考えても、今よりもより平和を求めて努力するのが政治家の役目でありますから、少なくとも、朝鮮半島にしろあるいは南沙諸島の問題にしろ、今よりも緊張が高まる、特に朝鮮半島では緊張が高まるということはない。私が政治家としての見解を言うならば、やはり南沙諸島の方が若干機微な問題かなという感じもしますね。しかしその問題も、より安定、より緊張緩和に向けて努力するのが日本外交である、こう思っておりますから、私は率直に、二〇一五年の前倒しもあり得る、その方向に向けて政治家は頑張るのだという気合いを込めてやった方が現実的でないか、こう思っております
  160. 下地幹郎

    ○下地委員 大臣は外務政務次官を二回やられております。そして、ロシアの問題には、選挙区の問題もありますけれども非常に真剣に取り組んでおります日ロ平和条約、これも二〇〇〇年に何とか可能性が見えてきました。朝鮮半島の問題も、日本が米を輸出することで、まあ機関を通じてやるわけですから、ある程度の安定をしてくると私は思うのです。そして台湾海峡も、今の中国と台湾の関係を見ますと、これ以上勃発的な大きなものが出てくることは、昔と違って可能性が薄くなってきた。香港が統一されて今安定して進んでいるから、私はそんなに悪い方向に行かないと思うのです。  それを考えると、先ほど大臣がおっしゃったように、二〇一五年の前倒しというのもあり得るということも真剣に考えて早目にこの問題に結論をつける、先延ばしをしないということは政治決断として大事だろうと思っております。  最後になりますけれども、石垣の空港の問題をお聞きさせていただきます。  大臣もよくおわかりのように、八百七十億円の土地改良のお金、新空港の調査費九億八千万、白保の補償に四億五千万、そして宮良牧中で農業生産をするのに六十億円、全体で一千三百八十一億円の、その大きな負担をするであろう宮良牧中で空港をつくってくれというのは、私は無理があると思うのですね。もしこれに沖縄開発庁が予算をつけるとするならば、農林行政そのものが問われる大きな問題になってくると私は思うのです。空港をつくるから農林行政はだめになってもいいという発想は無理があると私は思っておるのです。  そういう意味でも、今度の石垣の市長選挙の結果は、早く空港をつくってくれという一つ評価だと思っているのですね。だから、早くどちらに空港ができるかということを国がサゼスチョンをすることも非常に大事なことだと私は思うのです。  それは、三種空港でありますから、国がリードして物事の決定をするわけにはいかないと思います。しかし、沖縄開発庁の役割として、市と話をしながら、島民の願いである空港がどちらの方が早くできるかということをしっかりとサゼスチョンをして指導するのも沖縄開発庁の役割だと思うのです。  宮良牧中は私どもは絶対に無理だと思っておりますけれども、その辺に関して大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わらせていただきます
  161. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 私よりも下地議員の方が石垣の実情というのは詳しいことは、もうまさに釈迦に説法みたいな話ですけれども、私自身も、沖縄開発庁長官になる前からも、国民のとうとい税金を農業基盤整備に使ったあの場所を壊して空港というのはいかがなものかな。私は、明確に、あの宮良牧中に空港をつくるというのは無理があるのではないかな。しからば、今までの国民のとうとい税金の投資は何だったのか。あの農業基盤整備も地元の強い要望を受けてやってきたわけでありますから、こういった推移等を見るときに、私は、宮良牧中に空港をつくるということは極めて不整合だ、こんなふうに思っております。  同時に、地元の合意が一番大事でありますから、願わくば、早く地元でどこかきちっとした合意形成をしていただきたい、それにまた沖縄開発庁としても協力をしてまいりたい、こんなふうに思っております
  162. 下地幹郎

    ○下地委員 ありがとうございました。  政治決断でありますから、ぜひ大臣決断、海上基地も宮良牧中も、そして沖縄の振興策の問題も、決断一つ一つめり張りをつけてやっていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  163. 前田武志

    前田委員長 次回は、明十三日金曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することと し、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十一分散会