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1998-05-08 第142回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月八日(金曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 大野 功統君    理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君    理事 実川 幸夫君 理事 林  幹雄君    理事 佐藤 敬夫君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       小野 晋也君    木村 隆秀君       河本 三郎君    菅  義偉君       橘 康太郎君    細田 博之君       宮島 大典君    望月 義夫君       森田  一君    山本 公一君       米田 建三君    渡辺 具能君       赤松 広隆君    田中  甲君       玉置 一弥君    長内 順一君       河合 正智君    久保 哲司君       達増 拓也君    寺前  巖君       平賀 高成君    秋葉 忠利君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 藤井 孝男君  出席政府委員         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       下平  隆君         運輸省海上技術         案全局船員部長 土橋 正義君         運輸省港湾局長 木本 英明君         海上保安庁長官 相原  力君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   矢代 隆義君         自治省税務学府         県税課長    片山 善博君         運輸委員会専門         員       長尾 正和君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   大島 理森君     河本 三郎君   森田  一君     山本 公一君   今田 保典君     玉置 一弥君   福留 泰蔵君     河合 正智君   久保 哲司君     達増 拓也君 同日  辞任         補欠選任   河本 三郎君     大島 理森君   山本 公一君     森田  一君   玉置 一弥君     今田 保典君   河合 正智君     福留 泰蔵君   達増 拓也君     久保 哲司君     ――――――――――――― 五月七日  海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第五九号)(参  議院送付)  船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六〇号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月七日  旧国鉄長期債務処理に係るJRへの追加負担の  押しつけ反対に関する陳情書  (第一  六五号) は日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林 野事業改革等に関する特別委員会に送付替えさ れた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第六七号)  海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第五九号)(参  議院送付)  船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六〇号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 大野功統

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
  3. 玉置一弥

    玉置委員 大変御苦労さまでございます。  今回、道路運送車両法の一部を改正する法律案が上程をされました。数日間でこれは国会を通過すると思うのですが、一つ流れとして、行政全体の規制緩和、こういう論議がずっとなされてまいりまして、その規制緩和もかなり積極的になったのは、経済対策として大きな効果を出そう、こういうことで政府の方からもかなり打ち出されるようになった。それまでは、逆に民間側といいますか、業界の方からもあるいはユーザーの側からも、本来のいろいろな手続上の問題あるいは認証の問題、こういうようなものについて規制緩和してほしいという話がありました。すべてそれが、今まで道路運送法そのものとか、運送車両法とかいう形で業界保護を中心にした法律であったわけでありますが、最近の傾向としては、ユーザー重視というような形で変化をしてきているという意味で、法律の中身が変わっていくのではないかというふうに片方では思うわけであります。  自由競争も、景気の悪いときの自由競争になりますと、いわゆる食い合いになって業界共倒れということもあるので、一つの方向を示しながら長期的な時間をかけてやっていくということが必要ではないか。それから、いろいろな規制とか検査とかいうようなものは、すべてコストに絡んでくる問題がたくさんあります。そういう意味で、コスト意識をぜひ持っていただいて、いろいろな業界団体メーカーコスト削減をやっておられる状況の中で、行政は大幅なコスト増加になるようなことはぜひおやめをいただきたい、まず冒頭にそういうお話を申し上げ、大臣の所見をお伺いをしたいというふうに思います。
  4. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えをいたします。  今御質問にありましたように、コスト意識というものをどうとらえるかという点からの御質問だったと思います。行政をつかさどる側といたしましても、この厳しい競争社会国際化の中で、やはりコスト意識というのを行政サイドはしっかり持たなければいけない、またそういった中で、国民負担を少しでも軽減をするということは極めて重要な点であると認識をいたしておるところでございます。  こうした観点から、運輸省といたしまして、着実に規制緩和を推進しているところでございますけれども、今回お願いしている車両法改正におきましても、規制緩和推進計画に基づきまして、相互承認制度導入あるいは分解整備検査の廃止、さらには完成検査終了証有効期間の延長、この三つの措置について法律案に盛り込んでいるところでございます。  今後とも、行政の立場として、とりわけ運輸行政は安全の確保というのが大変重要でありますが、その安全の確保並びに環境の保全に配慮をしながら、これから一層の規制緩和を行い、ユーザーメーカー等負担軽減を図っていかなければならないと考えているところでございます。
  5. 玉置一弥

    玉置委員 本来の道路運送車両法から見ていきますと、確かに、交通安全という面で、危険防止という観点からはかなり厳しくやらなければいけない。片方では、環境問題が、今といいますか、もうさなかでございますが、規制を逆に強化して、その部分におきましては政府一つの目標を達成しなければいけない、こういうのがあります。  もう一つは、国民負担ということから考えていきますと、もう既に税金は、いわゆる所得の中の三七%から八%、そして社会保障負担が一四ぐらいですね、トータルで五〇%を超えてしまっているというような状況でございますから、これから、産業活性化という面から考えますと、例えば自動車を持ったために苦しくなって生活ができなくなる、自動車業界ということでなくて、日本産業として考えた場合に、自動車が占めているウエートがかなり高いわけでございますから、自動車なりあるいは住宅なりという部分でいわゆる経済活動が縮小してしまうということになりますと、日本経済全体の損失になる。なおかつ、それがずっと回り回って国民所得減ということになってまいりますと、負担増加がもっと大きくなるわけですね。そういうことを考えると、やはり絶えずコスト意識、ある程度このぐらいが限界じゃないかという一つのめどはやはり立てていかなければいけない、こういうことでございます。  ちょっと順序が変わりますけれども、今回の車両法改正の中で、一番最初にございましたように、いわゆる装置リコール制度というのがありましたね。装置リコール制度をやろう、これは各部品についてリコール部品メーカーさんがそれぞれ対応しようというような計画であったわけでありますが、今までのリコールをずっと見ておりますと、全部車両ごとにどの車両のどの部品というふうに指摘をされて回収に至るというようなこと、それから保証につきましても、車両メーカー並びに販売会社がその部分について保証をする、残り販売会社と、あるいは車両メーカー部品メーカーとの話し合い、こういうふうになってきたわけです。  だから、残り部分はいわゆる任意という形での取引関係ということでありますが、その前段の部分はいわゆる社会的責任ということでやられてきているということでありまして、社会的責任の方は、自動車メーカーが存続する限り、その中に生きていくためにはということで、全世界の中で体制をとっているわけでありますけれども部品メーカーの方は、自動車メーカーに全部依存をしているというところから、今回の装置リコール制度につきまして強い反対があった。そういうことも熟慮されまして今回の改正案には含まれてなかったと思うのです。  ただ、運輸省から業界の方に出されている文面を見ますと、継続検討をする、こういうふうに書いてあるのですが、今申し上げましたように、新たな大変大きな費用が発生すると見込まれる、おまけに、十分今そういうエリアはカバーされているという面から見ると、このリコール制度、私ども考えた場合は、単なる費用を発生させるというだけで、この制度そのものが新たにつくられる必要はないのではないか、こういうように思いますが、それについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  6. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 今委員指摘の、装置リコール制度につきましての経緯、内容等は御指摘のとおりでございます。  現在、リコール制度は、今御紹介がありましたように、自動車ふぐあいがあった場合に自動車メーカーが市場から商品を回収するというリコールを行っております。その際は、自動車メーカー生産段階で組みつけました装置についてメーカー責任を持って回収するということになっておるわけでございます。この制度につきましては、今後とも有用であり、現行の制度のままで維持していくのが適当と考えております。  一方、ユーザー自動車購入後取りつけます後づけの装置がございますが、このリコール制度が今問題になった御指摘の点でございますが、このような装置リコール制度は、米国、カナダ、オーストラリア等において実施されております一方、欧州各国においてEC指令により今後導入される予定ということでございます。  世界的な流れとしてはこのようなことでございますが、現実にこの制度を実行するに際しましては、今御指摘がありましたように、部品メーカーというのは中小零細な事業者が多いわけでございまして、そのリコール負担というのは、新たな負担、時によっては大変重たい負担、社の存亡をかける負担が発生するという現実がございます。したがいまして、今後、このような諸外国の制度実態等調査は注視していきたいと思っておりますが、我が国におきまして、装置リコール制の必要につきましては、後づけにつけました装置ふぐあいがどのように今後発生する状況にあるのかというようなことも見ながら、慎重にその必要性について見きわめていく姿勢で臨みたいと思っております。
  7. 玉置一弥

    玉置委員 アメリカなどは、もともと認証制度すらないというような状況で、リコールについては結構厳しい、そういう状況であります。どちらかというと、ヨーロッパ制度日本が大体似通った制度にしているということでございますが、ヨーロッパの場合には、EU圏内相互乗り入れがありまして、お互いに余計な手間を省こうということで、一つの国として経済圏を見ていこう、今回通貨が統合され、経済的にはEU圏内自由通行みたいなことを今もう既にやっているわけですから、貿易の管理面では若干まだいろいろありますけれども、実際の手続としてはかなり簡略化されている。それと、圏外との取引、この辺で若干違ってくるのではないかという気がするわけですね。だから、EUの中でやられているからということではなくて、日本の場合は自動車メーカー海外にかなり大規模に進出をしている、EUの場合は本来は代理店特約店という形で海外進出をされているという大変大きな違いがあるわけで、いわゆる直営店か全く第三者かということになりますから、その辺がまず一つ違うのではないか。  それから、実際にリコールが起きた場合に、それを把握してどういう補償をするか対応していくのは自動車メーカーだと思うのですね。そういうことであれば、やはり自動車メーカーが実質的にタッチをし、これからもやっていかなければいけないゾーンでございますから、そういう面で、特に最近の競合激しい自動車業界でございまして、特に大型車などはちょっと採算は当分とれないのじゃないかと思われている状態なんですね。昔は、輸出でもうかって国内で損をしてというのをやってきたのですが、輸出ももうもうからなくなったという状態でございます。  そういうことを考えていきますと、やはりこれから採算がとれる中で考えていくならば、新たに費用負担になることをお考えにならない方がよりベターじゃないかというふうに思いますので、これは、きょう出ていませんから、参考に私の意見として申し上げておきたいと思います。  それで、今度、装置認証制度でございますが、先ほどお話ございましたように、一応選択制ということでございます。これも、自動車メーカーでやるのか部品メーカーでやるのかということを選択しなさいという、非常にありがたいようなありがたくないようなお話でございますが、その選択の基準といいますか、どこまでが部品なのかといいますのと、それから、部品でも、例えば私がおりました自動車屋さん、自動車メーカーでありますと、部品十二けた管理というのをやっているのですね。十二けたで、一番後ろの二つは余り関係ないのですが、実質的に十けた。十けたの中で部品をあらわす記号車種をあらわす記号とありまして、車種ごとに違えば部品が違うのか、あるいはその部品の中の大筋機能的な部分が合えば同一部品として見られるのか、そういう区分けがまだ全然提示をされないという問題があります。  それによって部品メーカーさんの方も、手間暇をかけて選択をするなら、それでは、何か問題が出てきたときに対応すればいいということで、今のメーカー単位認証にとどめておくということもあり得るわけですから、その辺はやはりある程度明確にされないと、新しいこの制度に乗ってこられるところは非常に少ないのじゃないか、こういうふうに思いますが、どういう区分けを今お考えになるのか、あるいは、そのときにどの程度の部品メーカーさんがこの制度に乗ってこられるのかという予測ですね、この辺をちょっとお聞きしたいと思います。
  8. 下平隆

    下平政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘のございました装置指定制度と申しますのは、最近の自動車部品共通化あるいは国際流通ということを踏まえまして、私ども自動車認証制度合理化簡素化を図ろうという趣旨のものでございます。  どのような装置区分けがあるのかというお尋ねでございますけれども装置型式指定は、自動車同一型式範囲にある装置につきまして型式ごと指定を行う、こういう制度でございますけれども、この同一型式範囲につきましては、その装置の構造とか機能に着目をいたしまして、どこまでが一定の型式なのかということについて定義を定めまして、これを明確にしていくつもりでございます。  一方、国連相互承認協定に基づく規則がございまして、これに基づいて相互承認を行う場合には、国連規則におきましても各装置ごと型式定義がなされておりますので、これに準じまして我が国においても定義を決めたい、こんなふうに考えております。  もう一点、自動車メーカーあるいは部品メーカーがこの装置指定に対してどう対応すべきかというお尋ねがございましたけれども部品の中で、例えばブレーキランプ、ヘッドライトというふうに、装置そのもの、単体で機能性能確認試験ができる、こういうたぐいのものにつきましては部品メーカーさんが装置申請をなさるということであろうと思っております。一方、ブレーキのシステムでありますとか排出ガス減少装置のように、自動車に装着をいたしまして自動車全体としての機能性能でなければ確認できないもの、あるいは試験できないもの、こうした装置につきましては、車全体についての開発について責任を有している自動車メーカー装置指定申請を行うということになろうと思います。
  9. 玉置一弥

    玉置委員 その区分は、認証を受けるか受けないかという非常に重要な分かれ目になると思うので、その辺をやはり明確にやっていただきたいと思います。  それから、来週から何かアメリカといろいろ交渉事が始まるという話ですが、そういうようなのも、アメリカ認証の問題じゃないと思いますけれどもリコール問題とか、そういう調査もあると思います。ヨーロッパアメリカというのは全く違うのですね、自動車の使われ方が。その辺からいきますと、アメリカというのはまさに車がないと生きられないという世界でございますし、ヨーロッパの場合は、交通網からいきまして私鉄のかわりを自動車がしている、そんな感じですね。日本はどちらかというと、行楽もありますし、仕事もありますし、それから乗らなくても持っているという嗜好品みたいなところもある。言ってみれば、三者とも自動車に関しては性格が全く違う、そういうようなことでございますので、それぞれの国に応じてやっていただきたいというふうに思います。  それから、今回の中にあります車両検査分解整備につきまして、いわゆる自動車マニアが行った分解整備については国としての検査を廃止する、こういう話でございます。  認証全体の話の中でも、例えば公的な検査を谷田部の試験場とかああいうところに委託をされてよくやっておられますが、実際には自動車部品メーカーあるいは自動車メーカーがそれぞれ二重に本来いろいろなテストをしているわけですね。そういうものを認証していただくということになれば、できるだけそこの、まず工程管理ですね、品質はまさに工程からつくられるということでありますので、工程管理をまず認証としてやっていただいて、それだけで認めていただけるような、そういうふうな簡易的な認証制度というものがとれないかどうか。  簡単に言えば、相手が出してきた検査データをチェックするために工程管理を実際に見ていただいて、あるいは自分たちで精査をして、そこでつくられるものについては一応承認を得るというような形をとられれば、あと幾ら出てきても寸法の違いとか図面等のチェックとかということだけで済むわけでありますから、そういう意味では非常に簡素化されるわけですね。  ところが、今までは物が違えば全部テストをしているということが再三ありまして、結構それも長くかかる。順番待ちというのもあります。要するに時間と回数ですね、耐久的な問題もあります。検査そのものに非常にコストがかかっているわけです。  ということで考えていきますと、ずっと流れているものでございますから、そういうものにつきましては、工程管理等の、いわゆる従来の部品メーカーなり自動車メーカーがとっている品質管理方法というものを認めていただいて、それによって認証していただくということができるのではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  10. 下平隆

    下平政府委員 お答えを申し上げます。  装置指定制度をつくった場合には、その指定を受ける場合の負担部品メーカーになるべくかからないような配慮をしてまいりたいというふうに考えております。  具体的には、装置指定を取得する際の申請書類については極力簡素化をする、あるいは審査期間標準化をいたしまして短縮化をするというふうな手続面合理化を図りたいと思っております。  ただいま先生御指摘ございました工程管理というお話がございましたが、一たん装置指定をいたしますと、同じ部品装置ができるという前提でございまして、均一性確保という確認もさせていただくことになります。その均一性確保確認審査につきましては、例えばISOの規格に合っているものは認めるというふうな国際的な流れに沿いまして、できるだけ部品メーカーに御負担のないような装置指定制度の運用を図ってまいりたい、このように考えております。
  11. 玉置一弥

    玉置委員 製品によって不良率は大分違いますが、通常、つかめるようなかたいものでは精度管理が非常に行き届いておりまして、つかめないようなやわらかいものは、かなり温度によっても湿度によっても変わってくるというのが本来の部品性格でございますから、ここに出ておりますようなものはほとんど精度上大した狂いはないというふうに思いますので、ぜひ簡易的な検査方法認証手続というものの検討をお願い申し上げたいというふうに思います。  全体の流れとしてこれからの自動車行政というものがどうなっていくかということで、一つコスト面で、冒頭申し上げましたように、業界団体のいろいろな、今まで私も長年委員をやらせていただいて、コスト面でいろいろなことを調べたことがあります。  例えば運送費そのもの製品に占める割合というのは、昔は二%以内ということで、製造原価の二%を上回るような運送コストがかかるようであっては運送費が高いのだ、こういうふうに言われていたのですが、今や一〇%近くなってしまっている。それだけに、この流通コストが、運送費だけじゃなくて流通という面で見ますと、流通コスト製品に占める割合が非常に高い。これは、一つはトラック、バス、タクシーのいわゆる公共料金と言われる分野もあるかと思いますが、やはり原価意識がそう高くない業界だったということと、かなり保護されてきたという面があるかと思います、片方はそういうのがあります。  もう片方では、やはり交通混雑都市交通という面で見ていきましていつまでもこの混雑の中で本当にガソリンばかり出していいのかというのもあります。ということで、自動車メーカーの方もいわゆるハイブリッドカーとか電気自動車とかいうことでずっと研究開発をされているようでございますが、もうすべてそれにかわっていくような時代にはまだなっていないようでございます。これは、一つには電池、蓄電池の技術開発がなかなか思ったように進まない。これに画期的なものが出てくれば一挙にかわっていくのではないかというふうに思いますが、その他の部分は、モーターにしてもいわゆるコントロール装置にしても、大体もう限度まで行き着いているというような感じでございまして、もうぼちぼちいろいろなところに採用されていってもいいのではないかというように思うわけですね。  そういう面で考えますと、予算委員会でも若干話が出ていましたけれども、やはり税制上の措置とか、例えば公的な機関に対する運輸省からの依頼とかそういうようなものがあれば、ハイブリッドカーとか電気自動車等公害車導入というものに大きな力を出していくことができるのではないかというふうに思います。  それからもう一つは、昨年、京都で行われましたいわゆる環境会議、COP3ですね。これのときに日本責任分というのが決まったわけでありますが、そのときは二〇%ぐらいが自動車関係だというふうに言われていた。これについて国としてどうしていくかという一つ方針もあるかと思いますが、その辺も含めて考えていきますと、先ほど申し上げましたような、やはり運輸省として一つ方針を示すということもぼつぼつその時期かというふうに思いますが、この辺について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  12. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、運輸行政一つには大きな柱は安全の確保ということ。もう一方では、今御指摘のございましたように、これからの時代、いかに環境との共生と申しましょうか、よく言われるように、環境に優しい運輸行政ということも目指していかなければならない。京都会議の結論を踏まえまして、運輸省といたしましても、これからの低公害車導入の促進等々はより進めていかなければなりませんし、環境を守るというのも大きな柱の一つとなってきているのではないかと思います。  そこで、こうした低公害車等に対する自動車関係税制の軽減あるいは低公害バス導入の際の補助等、いろいろな角度から、環境に優しい、環境に対応する車両の普及のための施策を実施してきたところでありますけれども、十年度から新たにハイブリッドタイプの自動車に関して税の軽減の対象に加えていく、こういうことも実施をしてきているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも、こうした低公害車開発そして普及促進のために、行政としてなし得るものが、税制の面に限らず、いろいろな面でまた補助をしていかなければならない、このように考えているところでございます。
  13. 玉置一弥

    玉置委員 町の中で作業をされているいろいろな業界、例えば下水道工事とか水道工事とかあるいは電柱、看板、そういうものが取りつけられる、そこにいろいろな作業をする車があるわけですが、そういうところはまさにそのエンジン排気音がうるさいという話もありますし、片方では排気ガス問題というのがあるということで、もう既に、税制上の恩恵も何もなしにやらざるを得ないという業界もあるわけですね。片方では、バス、都市バスなんか採用されているところもある。しかし、全然まだ低いレベルなんですね。  そういうふうに考えていきますと、後押しをするということも、こういうときには、やはり行政としては、例えば環境問題の一つの目標を達成するという意味でもかなり重要なインパクトになるというふうに思いますので、それをまずお考えいただきたい。  一つは、やはり値段が高いということがあると思うのですね。普通の車に比べまして、かなり高いわけでございます。今のところ、燃費も予想されている燃費率までまだいかない。ですから、電気にしていてもそう変わらない、では買いたくないという方も多いわけですから、その辺について、やはり後押しをしてもらうと、またひとつ方向が変わっていくのではないか、そういうふうに思います。  それからへあと、例えば電気自動車ですと、一日の走行キロ数が七十キロとか百キロとかそのぐらいが限度だということがありまして、遠くへ行くときに、行って帰れないということがあるわけですね。そういうことを考えると、やはりいろいろなところにガソリンスタンドのような、電気スタンドというか、電気スタンドというのはおかしいですね、灯をつけるだけですから、要するに、電気を補充できるようなところとかバッテリーの貸し付けとか、そういうのができるようなことがもし行われればもっと利用度が上がっていくと思いますが、何か方法を行政として今現在どの程度考えられているのか、その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
  14. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 低公害車開発等、今委員指摘の、どのように使用を普及するかという具体的な事例の推進方策だと思いますが、電気自動車につきましても、長距離の運行に適していないということがございますので、例えばの話で、町の中で使ってもらう、ある町の中へ来ると、所有と使用というのを分離して、だれでも使える電気自動車を、コイン式電気自動車を置くとかといったようなアイデアはあると思います。それを、現実にそういう町をつくって、電気自動車が中心になって走る町をつくるというようなプロジェクトを推進するというような手法になってくるかと思います。  低公害車の普及というのは、一般的な普及でございますので、税制というのは大変有効な手段でございます。一方、使用の場を求めるという点で、地方公共団体等との協力というのは不可欠、あるいは各省庁の連携というのは不可欠であろうと思いますので、今後、車体の開発、普及と使用の場の拡大ということを並行していかなければいけないというふうに思っております。
  15. 玉置一弥

    玉置委員 荒井さんもよく御存じの奈良市、そこが周辺に駐車場を設けまして、そちらまで一応観光の客を誘致して、そこからはバスで市内の観光名所へ連れていっている、こういうことなんですね。  私、それを見ながら、ほかのところもやればいいのになと、我が京都は何にもやっていないので、ちょっと悪いのですけれども。そういうのも、まさに電気バスとかハイブリッドカーを利用してできる状態だと思うので、ぜひ今度帰られたときに一回見ていただいて、本当に都市交通という面では非常に有効な手段だと思いますので、ぜひまたその研究をお願い申し上げたいというふうに思います。  それから、今回ユーザーの整備について、ユーザーというか、要するに、よほどの技術の方だと思いますが、一応車体分解整備検査の廃止という、いわゆる整備記録だけでフォローしていくということでございますが、私は、今までの車検整備そのものが非常に高くなっているような気がするのですね。  いろいろあります。これは、自動車メーカー側の責任もあると思います。あるいは部品メーカー側の責任もある。それは何かというと、取りかえる部品単位が大きくなっているということですね。これは、取りつけ作業上そうなっているんだというお話をいつも聞くのですけれども、私どもから見ると、そこまで必要ないのじゃないかというのがあります。  片方では、例えば整備士の配置、これもかなり厳しくなっている。やはりどんどん若い方が独立されて工場を持たれるというのと、片方では、最低何人でこういう設備というのがありますというようなことで、自動車の台数が一応従来のように大幅に伸びているときはいいわけですけれども、微増横ばいみたいな形の状況の中でやっていきますと、ふえた分だけどこかでお金を取らないとやっていけないということになってくるので、この辺もユーザー負担がかかってくるというふうに思います。  そういう面でいきますと、今までは業界団体中心に運輸行政がやられてきた、まさにそういうことだと思うのですが、例えば、タクシー料金にしても、安い料金の車が最近出ていますね。今までは、運輸省が認可して、認可運賃を下回ると怒られておった、あるいは車両台数、認可台数も決まっていたというような状況でありますが、それもフリーにしろというふうに逆に業界の方から言い始めているというような状況でございまして、やはりユーザーを中心にというか、国民中心に目を向けていかなければいけないのではないか、こういうふうに思います。  そこで、もう時間がないようでございますから、大臣と局長の方からそれぞれ今のことに対して御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  16. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 今委員、基本的な仕組みあるいは考え方についての御見解でございますが、例えば整備の料金ということにつきまして、ユーザーの方の車のぐあい、あるいは整備をたくさんしてほしい、少々でいいといったようなユーザーの方の願いがやはり多様化しているように思います。  それを、今まではどちらかというと、言葉は悪うございますが十把一からげで、同じような、均一的なサービスが行われていた傾向があるかと思いますが、今度は、個別のユーザーの希望に沿ったようなサービスをしていかなければ生き残れない状況になってきておると思いますので、行政の方としては、そういう競争ということになるかもしれませんが、ユーザーの志向の多様化に対応するようなサービスを指導していく必要があると考えます。
  17. 藤井孝男

    藤井国務大臣 ただいま自動車通局長からお答えをいたしましたけれども、やはり、これは車に限らず我が国の消費者、車を使われる方々のいわゆる選択の幅というのが非常に広がってきて、そういうことに対するサービスというものはいろいろな形で行わなければならないと思っています。基本的には、先ほどから申し上げておりますように、安全の確保、そうしたことについてユーザーに対する情報の提供といったことも非常に大事なことではなかろうかなと思っております。  また、これからはインターネットの時代ということでもありますし、そういったインターネットを使う、あるいはさまざまな情報の中で、先ほど来申し上げておりますように、燃料消費率の公表等々、こういったことについても今申し上げたインターネットを通じて、できるだけ、ユーザーの方々がそういう情報を受けることによってどういう車種を、目的が非常に多様化しておりますから、サービスの提供、利益の享受が受けられるように、今後とも私どもは情報の提供の充実に努めていかなければならない、このように考えているところでございます。
  18. 玉置一弥

    玉置委員 今までは、業界が中心になっていろいろなデータを出していたんですけれども、今大臣がおっしゃったように、ユーザーが公平に見てどうなんだという情報がやはり不足していたというふうに思います。そういう面で、ぜひユーザーに目を向けた行政をお進めいただきますように、また運輸大臣、非常に頭のやわらかい方でございますから、新しい方針を出して、大いにまた頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  19. 大野功統

    大野委員長 次に、長内順一君。
  20. 長内順一

    ○長内委員 新党平和の長内順一でございます。  きょうは道路運送車両法の一部改正案ということでございます。先日の航空法の一部改正案もそうなんでございますが、今運輸省においては、時代の波にどういうふうに日本運輸行政を乗せていくのか、言葉をかえればグローバルスタンダード、ここにどう運輸行政を合わせていくのかということが直近の課題なのかな、こんなふうに思いながら実はこの法案を拝見させていただいたわけでございます。  規制緩和をして、国際基準に日本ものっとっていくといいますか、こういう行き方については私は賛成であります。しかしながら、何でも規制緩和していいわけがありません。特に運輸行政の中では、私は、安全の確保については規制は決して緩和してはいけないことである、こんなふうに考えております。与えられた時間はわずかでありますが、ここを基準にしながら率直にお伺いさせていただきたいと思います。  初めに、今回の改正案の中にただいまもお話がございましたが、分解整備検査が廃止になります。これは今までどうかというと、私はこれなんかは大変危惧をするわけでありますけれども、今までは、マニアだとか詳しい方が分解整備をやった、その都度チェックを受けていたわけであります。ところが、今度は、御自分で整備をして分解をして修理をして御自分で走る。どこからもチェックを受けないわけであります。言うなれば、試験の答案を自分でつくって自分で試験をして自分で採点をするようなものでありまして、私なんかは、これは果たしてどうなのかな、正直にそんな気持ちでいるわけでございます。  交通事故というのは、こちらの方だけが気をつけていても、要するに相手が不良車両でぶつかってきた場合には実際には起きるわけでございまして、そんなことを考えますと、今回のこの分解整備検査の廃止、果たしてこれによって安全性が本当に確保できるのかどうなのか、このことについてお伺いしたいと思います。
  21. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 お答えさしていただきます。  今御指摘ありましたように、分解整備と申しますのは、重要部品ブレーキ等の部品を取りかえるのを分解整備といっておりますが、それを使用者みずからが行った場合には国の検査を受けるという仕組みでございまして、これを今回廃止するわけでございます。  その裏には、今御指摘がありましたように、自分で行われる方はマニアというか能力のある方、ジャッキも要りますし、技術を有されておるという実態があるというふうに把握しております。また一方、ブレーキ等の交換につきましては非常に簡便な交換方法が最近浸透しておりまして、これはアメリカの思想でもあろうかと思いますが、ドゥー・イット・ユアセルフで、自分で交換しなさい、またそれを簡便に、ちょっとしたアドバイスで、自分でやりなさいというようなことも実態として反映しております。  今回、その都度の検査を廃止するということでございますので、その面、ユーザー負担軽減ということを目的にしておるわけでございます。一方、安全の確保というのは、一年または二年ごとに行われます継続検査、定期検査で行うということになるわけでございます。そういたしますと、安全が確保できるかということは、比重として、国の検査よりも自己の責任で安全を確保してくださいというふうに比重が変わるわけでございますので、使用者みずからの自己の車に対する安全の責任、自己車の管理責任ということが大変大きな比重になってくるということになります。今回の法律改正を受けましてその点をどのように確保するか、個人個人の話でございますので、国がもう少しやるべきじゃないか、あるいは個人に任していいか、大きな考え方の流れはあると思いますが、国の検査を省略するという、使用者の負担軽減というメリットを第一と考えてするわけでございます。  一方、安全の確保につきましては、各個人が分解整備を実施された場合には整備記録簿への整備内容の記載、これを次の車検時まで保存することを今回の法律で新たに義務づける、そういたしますと、それが売られた場合にも整備がされているかどうか確認できるというようなことを行うことによって安全の確保に努めるということに考えております。
  22. 長内順一

    ○長内委員 ですから、私が申し上げましたように、今までは、修理をして、それをその都度チェックを受けた。ところが、修理をした個人にその責任がゆだねられるわけですよ。  確かに、今いろいろな流れを見た場合に、今までの運輸行政というのは国が責任を持つ。ですから、さまざまな規制をずらりと並べて、それで安全の確保という大義のもとにその規制をどんどんどんどん強化し、実施をしていた、国の責任だったわけです。ところが、これからはきっと、今局長がおっしゃったように、個人の責任というのが非常にウエートが高くなってくるだろう、重くなってくるだろう、私はこんなふうに思うんですよ。  ですから、これまでの運輸行政の、国が全部責任を持っていく、そのためにはある程度厳しい規制でもやむを得なかった、それが今度急に、ここに来て、個人の責任ですよというふうに、今おっしゃったようになると、果たしてそれで本当に、冒頭に申し上げましたような安全の確保というのが担保されるのかどうなのか。この辺についてはいかがお考えでしょうか。通告しておりませんけれども、今の御答弁でちょっと考えたものですから。
  23. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 個人の責任という基本的な考え方については、これは慎重にやらなければいけないという面がある。それと、国の責任は、個別に審査するということから、全体に公平な情報を流して関係者の判断を仰いでいくというふうに、行政の役割の変化も潮流としてあろうかと考えております。具体的には慎重にしなければいかぬと思っておりますけれども考え方としてはそのような方向に行政の姿勢を向けていくのじゃないかというふうに思います。
  24. 長内順一

    ○長内委員 ですから、もうやめますけれども、グローバルスタンダードは結構ですし、さまざまな形で規制緩和をされるのは結構なのですが、やはりもうちょっと段取りを、スケジュールをきちっとして計画的にそういうことを進めていきませんと、ある日突然いろいろなものがどんどん緩和されて、この間の航空ビッグバンじゃありませんけれども、あるときどんと規制緩和の波が押し寄せてくるということは、私は、安全の確保を担保するという意味からは決してよろしくない、こんなふうに考えております。  次に進みたいと思います。  それで、今度、改正案の中に、装置型式指定制度、こういうこともうたわれているわけでございます。この装置型式指定制度の対象装置なのですが、今回はこれが五規則八品目、こういう形で指定になっております。中を見ますと、何でこういうものしか指定にならないのかな、対象装置にならないのかな、いわゆるライトですね、照明のものだとか、何か要するに簡単なものだけが今回品目指定になっております。この五規則八品目、ここに限定した根拠についてお示しをいただきたいと思います。
  25. 下平隆

    下平政府委員 お答え申し上げます。  相互承認を行うためには、そのもとになります基準について、日本自動車の安全・公害基準と相互承認のもとになります国連の協定の規則、この間に調和が図られていることがまず大前提でございます。かつ、その規則相互承認する場合には、その規則、基準に従って我が国の国内における自動車あるいは装置の審査ができるという実施体制も整っていなければいけないということになりまして、これらの条件を満足するものが、現在国連規則の中に百四規則がございますけれども、そのうち五規則八品目になるということでございます。
  26. 長内順一

    ○長内委員 ただいまの国内の審査の実施体制、これが整っていることが条件だ、どういうことでしょうか。
  27. 下平隆

    下平政府委員 自動車の安全あるいは環境の面から、その装置規則に適合しているかどうか試験をいたしまして、試験をした結果、基準に適合している場合には装置指定を行う、それをまた相互承認するということでございまして、その試験を行うための実施をする設備、技術、能力、こういうふうな体制が整っているかどうかということでございます。
  28. 長内順一

    ○長内委員 それはどこで認定するのでしょうか。
  29. 下平隆

    下平政府委員 我が国国連相互承認協定の中の規則選択的に適用することになりますが、その選択をするのは、ただいま申し上げました基準の調和ができているか、あるいは実施体制が整っているか運輸省が判断をいたしまして規則選択し、外務省から国連に通知をする、こういう形をとる予定でございます。
  30. 長内順一

    ○長内委員 こういう今回の型式指定、私は、各パーツの規格、これを国際基準に合わせていくのであれば、その段階において日本が技術的にもっとイニシアチブをとってそれで押し込んでいく必要があるのではないか、こんなふうに思うわけであります。何か、ほかの国の基準に日本が迎合してとは言いませんけれども、合わせていくという行き方が果たして正しいのかどうなのか。正しいかどうかということは、国益に照らして正しいかどうかという意味でございます。  例えば、業界は違いますが、アメリカの情報産業、ソフト産業やなんかでは、いち早くパテントを押さえて一つの型を世界じゅうに押し込んでいく、そして、それを世界じゅうがアメリカの例えばOSならOSを使わなければならない、そういう形にしてしまう。これは技術に対する自信と、アメリカの国益ということを考えて、それで踏み込んでそういう体制をとっていると思います。  私は、日本の場合も、これだけの技術立国、そうであれば、こういう国際基準をつくるときに日本がもっと踏み込んだ形で、今申し上げたようなイニシアチブをとって、日本の規格に逆に合わせていく、合わさせていくぐらいの姿勢が私は必要だ、こんなふうに考えております。  そこで、今回の改正案の中に、今度はECの基準、ここに相互承認協定という形で日本が加わるわけなのでありますが、なぜかここはアメリカが加入していないわけですね。自動車大国のアメリカがなぜこの相互承認協定に加わっていないのか、こんな懸念を抱くわけでありますが、なぜアメリカが加わっていないような協定に今回日本が加入しなければならないのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  31. 下平隆

    下平政府委員 お答え申し上げます。  御指摘いただきました国連相互承認協定といいますのは、政府認証を相互に認め合うというものでございまして、各国がそれぞれ政府認証制度を有しているというのがその前提になります。  一方、アメリカでは自動車の安全につきまして政府認証制度という形をとっておりませんので、こういった国内制度の違いから現在米国がこの協定に加入をしていないという状況でございますが、我が国は、今後、国内の審査の合理化認証合理化を図るためには相互承認を進めていく必要があるという見地から、今回協定に加入するということにしたわけでございます。  それから、この協定加入といいますのは、これまでは欧州中心の協定でございまして、欧州は陸続きでございますので、各国がお互いに相互に承認し合うということが必要でございましたので協定があったわけでございますが、欧州以外の国として加入をいたしますのは日本が初めてでございます。  その意味で、日本がこの協定に加入をいたしまして、内部からあるいは正式メンバーとして、この相互承認の拡大あるいはグローバル化ということに努力をしてまいりたいというふうに考えております。  先ほども先生から御指摘をいただきましたけれども、加入当初は確かに五規則八品目という限定された内容でございますが、正式メンバーになりまして、国連の基準、あるいは相互承認を議論する会議がございますが、そこに加入をいたしまして、日本の技術を背景とした貢献をし、活動をし、なるべく多くの規則に加入をする、そういう方向で努力をしてまいりたい、そんなふうに考えております。
  32. 長内順一

    ○長内委員 ちょっと時間がありませんのではしょらせていただきますけれども大臣に、私が先ほどから、運輸行政とグローバルスタンダード、そしてその中において安全性の確保ということを再三申し上げてございますが、このことに対しての御所見をお願いしたいというふうに思います。
  33. 藤井孝男

    藤井国務大臣 これは先般の航空法のときにもお答え申し上げておりますし、また先ほど玉置委員の御質問にもお答えいたしておりまして、安全基準と申しましょうか、安全を確保する観点、それからコストというものをいかに軽減させていくか、これはメーカーユーザーにとってもコスト負担減というのも図っていかなければならない、それから技術革新等々をあわせて進めていかなければならないわけであります。もう一方では、環境に対する配慮、私の考えといたしましては、そのときはたしか長内委員お答えいたしたかと思いますが、規制緩和という言葉は、私自身も余り好ましい言葉なのかどうかというのは、私なりに考えて、むしろ規制の見直しではないか、やはり環境を守ろうとすればある程度規制を強化しなければいけない、しかし、グローバルスタンダードに合わせようとすれば規制は緩和していかなければならない、そこのところのバランスをどうとっていくか、こういう趣旨の御答弁をさせていただいたと思います。まさに先ほど来長内委員がおっしゃることは、私ども十分同じ認識に立っております。  いずれにいたしましても、国際競争が非常に激しくなる中で、そうしたグローバルスタンダードに合わせるための規制の緩和をしなければなりませんけれども、一方においては、安全あるいは環境というものを考えてみますと、そこには、あるときにはやはり規制の強化もせざるを得ない、そこのところのバランスをいかに見ていくかということが大事ではなかろうかと思っております。
  34. 長内順一

    ○長内委員 私は大変、大臣の今の姿勢といいますか、大事な点だと思います。ただ単に規制を緩和する、しかし、その中には大事な問題もいっぱい含まれているわけでありまして、さまざまな要素があるわけであります。それを的確に掌握してどう対応するかというのがここにいる我々の務めではないか、こんなふうに思うからでございます。  次に進みたいと思います。  車検制度について若干お伺いをいたしたいと思います。  実は車検の制度、これはほかの国では果たしてここまで厳格にやっているのかと思うぐらい厳格にやられているわけでございます。そして、車検を通過するということは、ともに任意保険それから自賠責、こういう保険がついてくるということで、裏を返せば車検切れの車は保険切れの車である、こういうふうに言えるのではないかと思います。最近、どうも車検が切れているのにもかかわらず平気で乗り回す不届きな人方が多いようでございます。かなりの数の事故がその結果発生している。そして困ることは、車検切れということは保険切れでございますから、事故を起こしてもその金銭的な責任を負うことができないという状況にある、このように聞いておるわけでございます。  そこで、運輸省にお伺いしたいんですが、現在無保険車、いわゆる無車検車といいますか無保険車による事故を運輸省ではどのように掌握しているのか、お願いしたいと思います。
  35. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 無保険車による事故の請求を運輸省で所管しております自動車損害賠償責任保険の保障事業に請求が上がってまいります、事故が起こった場合の保険ということで。平成八年度実績でございますが、自動車に係るものが四百十七件ございます。その他軽自動車九十八件、原動機付自転車百十三件、合計六百二十八件でございます。  このような事故につきましては、無保険の事故でございますが、保障事業というので無保険であっても国が被害者に対して政府責任で補償するということをしておる状況にございます。
  36. 長内順一

    ○長内委員 ただいま御答弁で計六百二十八、事故の対象になっておる。これは多いか少ないかというのは、御判断はちょっと違うかもしれませんが、私は、その当事者の立場に立った場合に、冒頭に申し上げましたように、車を走らせている、私が幾ら注意をしても、幾ら道交法を守っても、事故というのは相手のあることでございますから、相手がしっかりとした車両管理をしていないと事故が起きる可能性があるわけです。そしてその結果、相手の事故によってこちらが被害を受けた、にもかかわらず何らその金銭的な対応ができないということは、本当にあっていいことなのか。  そんな意味では、車検切れの車をどうするのか、車検切れの車をどう根絶していくのか、これは運輸行政のこれからの一つの課題になってくるんではないか、こんなふうに認識をしているわけでございますが、御所見を伺いたいと思います。
  37. 下平隆

    下平政府委員 委員指摘のとおり、車検切れといいますのは、自動車の安全あるいは環境問題に直接にかかわることでございまして、車検切れのないように努めているところでございますけれども、特に現在は自動車の前面ガラスに自動車検査有効期間を表示をいたしました検査標章というものの貼付を義務づけております。これによりまして検査有効期間が残っているかどうか外観から容易に判断ができるようなことをいたしまして、有効期間切れというものを抑止をいたしておりますし、あるいは警察当局と連携をいたしまして街頭で車両検査を行っておりますけれども、こういう機会に車検切れ車両の排除ということに現在努めているところでございます。
  38. 長内順一

    ○長内委員 ですから、私は、そういう前近代的というか、目視でこれだけ多くの車の中から車検切れの車を捜すというのはほとんど不可能なんではないでしょうか。まるっきりないとは申しませんけれども、非常に効率が悪いんではないかと思うんですよ。  例えば車検切れの車の把握はできますよね、だって車検が切れますよといってコンピューターではじき出されてきて、通知が来るんですから。コンピューターではじき出されるわけですから、それをもとにして、これは運輸省だけでは到底無理かもしれませんが、例えば警察庁だとかそのもとにありますさまざまな交通安全の団体がありまして、車を購入すれば何か、車庫があるかないかだとかわざわざ来るぐらいですから。  一つの例でありますが、これがベストですよと言うつもりはありませんけれども、少なくとも道路で車をとめながら果たして車検期限がどうなっているのかというのよりは極めて的確に対応できるんではないか、こういうふうに思うわけですよ。ですから、今の私の案は案として、ひとつこの問題について積極的にこれからどうかかわっていくのか、その辺についての御所見を賜りたいと思います。
  39. 下平隆

    下平政府委員 ただいまの御提案もその一つといたしまして、車検切れ車両がなくなるように、私ども、どうしたらより効果的にその排除ができるか、今後その方法等について検討してまいりたいというふうに思います。
  40. 長内順一

    ○長内委員 結局はちょっとした心の緩みで、車検切れの車にそのまま乗っているような確信犯もいると思うのですが、結局事故が起きてしまうと加害者も被害者も双方大変悲しい目に遭うわけでございます。ひとつぜひ英知を絞っていただいて対応策をお考えいただきたい、こんなふうに考えるわけでございます。  時間が若干ありますので、実はこれは十一月七日の朝日新聞で、富士重工、ここでリコール隠しをしていた。要するに、欠陥車両が発見された場合には法律で速やかに無償回収、無償修理をしなければならない、当然運輸省にもこの届け出をしなければならない。ところが、これは非常に危険な欠陥があったわけですね。エンジンが突然停止するだとか、それから何か違うデータでは原動機の回転が下がらず暴走するだとか、これはもう直接生死に至るような事故にかかわる可能性のある欠陥があるのにもかかわらず、この富士重工という会社は、約五年間にわたってこのリコール隠しをしていた、こういうことであります。これに対して藤井大臣は、七日の午前に、極めて悪質だということで、これは初めてなんでしょうか、道路運送車両法違反の罰則、いわゆる罰金を科すように東京地裁に通知をした、こういう記事でございます。私は、これなんかもやっていることが非常にけしからぬ、大体、欠陥車をつくったこと自体が社会に対する背任行為であるのに、それを今度はひた隠しに五年間も隠していた、こんなことは許されることではない、こんなふうに思うわけであります。  それで、このリコール隠しをやっている間に事故は発生していたのかいないのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  41. 下平隆

    下平政府委員 ただいま御指摘車種につきまして、リコールの届け出が行われるまでの間に事故が一件起きております。具体的には滋賀県で発生をした事故でございます。
  42. 長内順一

    ○長内委員 こういうリコールに関しては運輸省で立入検査を義務づけられていると思うのですが、私が言ったこの期間に運輸省は立入検査を行っておりますか。
  43. 下平隆

    下平政府委員 三回実施をいたしております。
  44. 長内順一

    ○長内委員 三回も実施をしていて何でこの実態が把握できなかったのですか。これは非常に大事ですよ。三回もやっている、どんな検査をしているのか。私は、ここでやはり検査の体制だとかなんかについても、しっかりもう一回見直さないと、ただ単に例の銀行の検査と同じようなことになるのではないかと思うのですよ。だから、冒頭に申し上げましたように、運輸行政というのは安全性の確保、人間の命に直接関連していくのだという姿勢がなければいけない、私はこんなふうに思うわけであります。  今回の法改正案の中で、過料の上限、要するに罰金の上限を二十万から百万に引き上げるように法改正がなされておりますけれども、私はこれでは足りないのではないかと思うのですよ。二十万を百万にしただけでは足りない。厳しくという意味で足りないのですよ。だから、ほかにもこのような欠陥車をつくり、そしてその欠陥が発見されたときにひた隠しにし、それで平気でいるような企業に対しては、もっと厳しく当たるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  45. 下平隆

    下平政府委員 私どもといたしましても、立入検査において今回の事案が発見できなかったということは大変残念でございます。この経験を踏まえまして、今御指摘がございましたけれども、方が一の場合の過料というものの重さを重くするということに加えまして、今後は、立入検査の充実強化であるとか、ユーザーの皆様からの車のふぐあいに関する情報の収集、こうした体制を強化するとか、あるいは車検の際にも車の故障の情報がございますが、こういう情報を広く集めるとかいう形の体制を強化をいたしまして、リコール制度という事故の未然防止に大変大切な制度の適正な運用に努めてまいりたいというふうに思っております。
  46. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほども安全の確保ということでお答えを申し上げましたように、まさに今委員指摘の、このリコール、なぜこれが立入検査で発見できなかったのか、私もこれは非常に大きな問題点としての意識を持っております。  したがいまして、こういったところにこそ、ある面での規制強化という言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、ユーザーの方々の安全を確保する、それからメーカーサイドの安全に対する認識向上、そういったことに対する行政側のあり方、残念なリコールの事件でありましたけれども、これを契機に、今御答弁を申し上げましたように、私どもとしては、一層安全確保のために、このリコールに対しましては、適切に対応できるような措置を講じていかなければならないと考えております。
  47. 長内順一

    ○長内委員 まじめに仕事をし、そして社会の中できちっとルール、秩序を守っていく、そういう人がばかを見ないように、そしてそのことが、冒頭から申し上げております安全性の確保であり、私は、広い意味で国益にもつながっていくのではないか、こんなふうに考えております。  これからの運輸行政、ますます難しいところに入ってきますけれども、ぜひともそのようなことをベースに置いてひとつ乗り越えていかれますようお願い申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  48. 大野功統

    大野委員長 次に、達増拓也君。
  49. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  まず冒頭、通告にはなかったのですけれども大臣一つ質問をしたいのです。  きのう衆議院本会議で、旧国鉄の債務について趣旨説明があって、質問と答弁のやりとりが行われたわけでありますけれども、非常に国民の関心も高く、いろいろテレビや新聞等でも報道をされておりました。これは非常に大きい問題、その大きさも問題でありますし、また質的にも、行政改革との絡みで、政府の役割、民間の役割の問題でありますとか、政府の行財政のあり方の問題ですとか、非常に論点も多く、さまざまな議論がなされているところであります。国会としても特別委員会をつくって、今理事の皆さんを中心に、どうやって議論をしていくか調整中ということですけれども、まず、政府の、大臣のこの問題に取り組む決意を伺いたいと思います。
  50. 藤井孝男

    藤井国務大臣 昨日、本会議におきまして、国鉄長期債務に関する関連の法案につきましての趣旨説明をさせていただきました。いろいろ各党からそれぞれの御質問があったわけであります。これから特別委員会において審議がなされると思いますし、今御質問にありましたように、特別委員会という中で、この問題を、私どもはむしろ国民のお一人お一人に理解をしていただくためにもぜひ審議を進めていただきたいと思っております。  いろいろな問題点も指摘されておりますけれども、私は、戦後、旧国鉄が日本の経済復興に果たした役割というのは非常に大きなものがあったと思っておりますし、また、あの敗戦によって満州等々海外から引き揚げてこられた方々の就職先の大宗を旧国鉄が引き受けられて、そして戦後のあの混乱期から今日までの経済発展の過程において、まさに旧国鉄が果たした役割は非常に大きいと思っております。  それは、我々の世代は、戦後の教育を受けておりますけれども、やはり若い世代には関係ないということではなくて、やはり旧国鉄が果たしてきた役割、その後またエネルギー革命というのが起きまして、昭和三十年代から、石炭から石油へという大きな変革がございました。それから、さまざまな国鉄内部のいろいろな労使関係等々いろいろな問題があり、またローカル線をどんどん整備していく中で赤字路線がふえていく、一方では自動車との競争、こういったことも生じてきて結果においては大きな負債を抱えるような事態になってきた。  そこで、昭和六十二年に国鉄を改革し、民営・分割化をされたわけでありますが、その後、旧国鉄が抱えてきた負債というのは非常に大きなものがございましたけれども、これを一日も早く解消すべく歴代の内閣、歴代の運輸大臣等々、与党、野党含めましてこの問題に対応してまいりましたけれども、結果においてこの債務が増大してきているということについては我々、謙虚に反省をしなければいけませんし、この点につきましては遺憾に存じておるところでございます。  しかしながら、これ以上この問題を先送りするということは許されません。これはむしろ、私はあえて申し上げますけれども、もちろん与党からの内閣提出の法案でありますけれども、与党、野党を超えて、あるいは国家的、国民的な課題として率直に国民に訴え、また議論を通じて国民に理解してもらい、この問題がもはや先送りをできないという認識で、ぜひとも御理解をいただきたい、このように思っております。  さまざまな御意見は私どもは謙虚に受けとめ、それを真摯に受けとめ、いろいろこれからも審議を通じて議論を重ねてまいりますけれども、ぜひともこの問題を先送りにしてはならないということで御理解をいただきたい、こんな姿勢をもって法案の審議に当たっていきたいと思っておるところでございます。
  51. 達増拓也

    達増委員 一日一日利子が膨らんでいく問題でありますから、できるだけ早期の解決が求められるのはもちろんであります。他方、そのように債務が膨れた背景として、戦後の復興、高度成長からやがて成熟し、情報化、高齢化といった新しい経済社会状況に構造が変わっていくという背景、また、その中で日本の政治の体質というものがそこにうまく対応できない、そういう問題が今の我が国の政治の閉塞ですとか経済の低迷にもつながっているということで、そこの問題をはっきりさせないで前に進むことはかえって事態を悪化させる、そういう観点から我が党としても今鋭意準備しているところでありまして、あとは特別委員会での議論に期待したいと思います。  さて、きょうは道路運送車両法の一部改正法案であります。いわゆる国連相互承認協定という自動車の基準の国際調和と相互承認をやっていこう、そういう国際協力の枠組みに日本も入るということと相まって、国内的にも規制を緩和していこうということなわけであります。  まず、この国連相互承認協定、もともとヨーロッパ中心に始まったもの、随分前からあったものにいよいよ日本も参加ということでありますが、こういう国際協力が進めば、現在、自動車部品が国境を越えてかなり移動するようになってきているわけでありまして、つくる方にとっても売る方にとっても、また、買って使う方にとっても、国際協力が進むことは非常にいいことだと思うのですが、自動車の大消費国であります。アメリカですとか、これから大消費国になるだろうと言われている中国、こうしたところが今後参加してくると、これはまた意義があると思うのですけれども、現状では両国は参加していないわけですが、この点、両国の参加の見込みについて、政府はどう認識されているでしょうか。
  52. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 米国でございますが、先ほどの御質問にもありましたように、自己認証制度をとっておりますので、政府が基準を制定し政府が適合性を判断する政府認証制度を前提としております相互承認協定への加入につきましては、アメリカは困難という態度を表明しておりますが、日本及びヨーロッパ相互承認という仕組みを通じて基準の調和へ踏み出す、イニシアチブをとるという点は評価されているということでございます。  一方、中国は政府認証制度を採用しておりまして、将来、同協定に加入する道は開かれておるものでございます。我が国ヨーロッパ以外で初めてこの協定に加入することによりまして、大消費国の可能性があります中国を初め、アジアの国々の加入が促進される契機になる可能性もあるというふうに認識しております。
  53. 達増拓也

    達増委員 きょうは通商の話には余り踏み込まないようにしますけれども、通商の観点からもこういう協力の推進は意義あることだと思いますので、その点も考慮してやっていただきたいと思います。  さて、この自動車の基準認証について、国と国との間の協力を進めていく体制ができているわけでありますが、本質的には、つくっているメーカー等、民間の参加や民間同士の国際協力というものがなければ成り立たない世界だと思うわけでありますけれども、この点、我が国を取り巻く現状はどうなっているのでしょうか。
  54. 下平隆

    下平政府委員 基準の調和あるいは相互承認を進めるためには、自動車の製作あるいは装置の製作を行っている民間との調和、対話ということが不可欠であると思っております。  現在は、民間同士では、日米欧の自動車業界が集まりまして、自動車の基準・認証の国際調和について活動が行われておりますし、一方、官民の対話という点につきましては、この国連相互承認協定の運用を行っております国連欧州経済委員会のWP29という場において、官だけではなく民の参加も得て対話を行っているということでございまして、それぞれ民も、いわゆる世界自動車業界も基準調和の推進ということを目指して活動が進められている現状でございます。
  55. 達増拓也

    達増委員 自動車の基準とか認証相互承認制度、そもそも自動車の安全、そして、近年であれば環境保護といった観点からやっているわけでありますが、国内における基準や認証についての話ですけれども、これは一つの例なのですが、東北地方、特に北の方、冬、雪が多いようなどころで、以前、スパイクタイヤというものが広く使われていたわけです。これについて、環境上粉じんが出てよろしくないということで、今使うなということになっているわけです。  環境観点からはそうなのでしょうが、安全の観点から考えますと、かなりこれは、地元のタクシーの運転手さんとか、そういう運転のプロの人に聞いても、やはり雪道はスパイクタイヤがないと危なくてしょうがないと。それで、今、基準や認証というのは全国一律に行われているわけでありますけれども、安全と環境保護の関係とか、日本の中でも地域によってその地域性を考慮した方がいいのじゃないかと思われるところがあると思うのですが、この点いかがでしょうか。
  56. 下平隆

    下平政府委員 自動車の安全を確保し、あるいは公害を防止するために、自動車の構造、装置についての技術基準を定めておりますけれども、この技術基準といいますのは、自動車そのものが元来移動するものでございますし、特に近年では高速道路が発達をいたしまして大変広く自動車は移動するものでございますので、自動車の基準についても、移動するということを前提に全国同一の基準というのが基本的な考えでございます。  それで、今御指摘ございましたスパイクタイヤの件でございますが、環境問題あるいは道路の損傷防止という観点から、平成二年に法律に基づきまして環境庁がスパイクタイヤの使用禁止を始めておりますが、運輸省といたしましても、タイヤメーカーに対して、スパイクタイヤにかわるスタッドレスタイヤの性能向上ということを要請いたしますとか、自動車の構造面から、例えばABSとかあるいは四輪駆動車のように滑りづらい、あるいはとまりやすい、そういうふうな車をユーザーが望んだ場合には提供できるような体制の整備について取り組んでまいっているところでございます。
  57. 達増拓也

    達増委員 自動車は移動するものということで、全国共通の基準ということなわけですけれども、どうしても、日本の中の多数といいますか、東京、首都圏、近畿圏とかその辺の実情に合わせたような基準になってしまうのではないか、そういう懸念を抱くわけであります。ですから、地域によってかなり著しい気候とか環境の違いということも踏まえた基準の制度、そういう工夫をやっていただきたいと思います。  さて、自動車の基準でありますけれども自動車そのものが、いろいろな技術革新によりまして、新しい技術がどんどん取り入れられてきて、最近はもうガソリン車以外の、電気自動車ですとかハイブリッド車ですとか、そもそも自動車が発明されたときの、内燃機関で動くという、もう自動車の概念を超えていくような自動車開発され、一部商品化もされて実際走り出しているわけであります。このように、どんどん技術が革新され、新しい自動車、さらにその関連の装置ができていっているわけでありますが、まず、こういう電気自動車、ハイブリッド車等の低公害車について、そういう新しい技術についても、国際的な基準、相互承認、そういうことは進んでいるのでしょうか。
  58. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 低公害車の国際基準、あるいは相互承認の実態でございますが、公害の防止基準につきましては、各国において大気汚染の状況でございますとか自動車の走行状況、保有状況等が違いますことを反映いたしまして、規制値あるいはその試験の方法が各国において異なっておるという実態にまだございます。その結果、基準の調和を行う、規制の値にしろ方法にしろ調和を行うことというのは、現実には困難な状況にはあることでございます。  一方、新しい開発を目指して各メーカーが競争されておるという実態でございますので、我が国を中心といたしましても、トップランナーの便益をなるべく広げるということは必要かと思いますが、優秀な車種をできるだけとって、悪いのを広げる低位の基準調和じゃなしに、高位の基準調和を図るということが我が国の姿勢としては必要かと思っております。  ただ、基準の調和という観点からは、最初申し上げましたような、現状が分かれておる状況でございます。
  59. 達増拓也

    達増委員 関連して、新しい技術を利用した自動車開発の現状について幾つか質問したいと思うのです。  運輸省の交通安全公害研究所というところで、平成八年度から超小型車なるものの開発を始めている。新しい時代に合わせた省エネルギー、しかも安全性が高い、そういう超小型車の開発の現況がどうなっているのか、伺いたいと思います。
  60. 下平隆

    下平政府委員 御指摘をいただきました次世代の都市用の超小型自動車につきましては、環境に優しい、省エネルギーで、都市交通の円滑化を図るというふうなテーマに取り組むための施策といたしまして、平成八年度から研究会を設置して検討をしているところでございます。考え方は、二十一世紀における都市用の超小型自動車といたしまして、従来の自動車技術にとらわれない、そういう発想で技術的方向性を明らかにしようという取り組みでございます。  現在の検討は、自動車交通の諸課題というものを踏まえまして、各自動車メーカーからの試作などを踏まえ、あるいは諸外国における研究開発自動車の試作の状況を参考にいたしまして検討を進めております。今後は、超小型自動車を普及させた場合にどのような社会的な効果があるのか、あるいは超小型自動車としての必要な技術的な指針は何なのかということについて、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  61. 達増拓也

    達増委員 運輸省では、ASV、アドバンスト・セーフティー・ビークルなるものの推進検討会というものをつくって、いわゆるハイテク安全車、先端技術を使って危険物を察知して自動的に回避する、そういう運転手の手助けをする自動車開発を進めているということなんですが、これについて現在どういう状況になっているのか伺います。
  62. 下平隆

    下平政府委員 運輸省として自動車技術開発に取り組んでいる一つのテーマが、御指摘をいただきましたASVという取り組みでございます。  これは、エレクトロニクス技術を使いまして自動車を高知能化しまして、自動車の安全性を飛躍的に高めようというものでございまして、平成三年度から推進をしてまいりました。  平成三年から平成七年までを第一期といたしまして、五カ年の第一期の研究開発計画が終了いたしておりますが、その成果といたしましては、乗用車についてのASVの技術指針を策定し、十六台のASVの試作車を実際に公開をいたしましてデモンストレーション走行をするなどの成果が得られておりまして、現に安全対策技術の一部が実用化をされているところでございます。  現在は、平成八年度から第二期の五カ年計画を進めております。乗用車以外のトラック、バス、二輪車というものも含めまして、ASV開発に必要な要素となる技術の研究開発の推進あるいは道路施設などのインフラとの整合、連携というようなテーマを含めまして検討を進めております。今後、二十一世紀初頭の実用化を目指しましてこの研究開発を進めてまいりたい、そう考えております。
  63. 達増拓也

    達増委員 自動車の安全そして環境保護ということを考えたときに、やはりそういう技術革新というところが本質的なわけでありまして、そこでの努力はますます期待されるところなのだと思います。国際的な基準に関する協力も、そういう安全とか環境保護という観点から行われているわけでありますが、商業化されている、今走っているような自動車についての協力のみならず、例えば今のハイテク安全車のような開発段階での国際協力というのはどんな感じで行われているのでしょうか。
  64. 下平隆

    下平政府委員 自動車の基準の国際調和についてでございますけれども、各国が一たんその基準を採用いたしますと、各国間の基準を調和するというのは大変に多くの労力を要するわけでございますが、これからの新しい技術、新しい基準というものについては、その基準をつくる初期段階から、関係国間で基準調和を目指した研究開発、調整活動ということをし、基準の国際調和を進めることが望ましいというふうに考えております。  この観点から、日米欧主要五カ国で国際研究調和プロジェクトというプロジェクトを一九九六年から開始をいたしておりまして、このプロジェクトの中では、高度情報技術を利用した先進的な安全性を有する自動車、あるいは次世代の前面衝突とか歩行者保護といった技術についての研究開発を各国共同で実施をいたしておりまして、日本もその一部の幹事国として研究計画を推進しているところでございます。
  65. 達増拓也

    達増委員 やはり速さですとか乗り心地ですとか、そういうところでの競争というのはかなり自由自在にやってもらっていいのでしょうけれども、安全性とか環境保護というのは、新しい技術というのはできるだけ国境を超えて共有されるべきでしょう。ただ、そういう協力が開発する側のインセンティブを失わない範囲で協力していくという、こういう自由な技術開発とその調和、基準といったその関係というのは、自動車に限らずどんな分野でも難しい調整だとは思うのですけれども、特に安全と環境が重要になってくる自動車についてはポイントだと思いますので、この点しっかりやっていただきたいと思います。  自動車の技術革新は、さらに、単体の自動車開発を超えて、近年、システムとして開発が進んでいる。コンピューターですとか小型のいろいろな通信の装置ですとか、そういう高度情報通信技術を用いて、自動車のみならず、道路、交差点、それをサポートする仕組み、そういうシステム全体として安全や環境保護を追求していく、いわゆるITS、高度道路交通システムというものの開発が今、進んでいる、来る愛知万博での実用化も検討されているというふうに聞いているわけでありますが、この基準の問題に関する国際協力、こういうシステムについての開発段階での国際協力というものは現在行われているのでしょうか。
  66. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 今委員から御紹介がありました高度な情報通信技術を用いて、運輸の安全性でございますとか輸送効率の向上を目指すいわゆるITSの分野は、日本を初めといたしまして、欧米各国で積極的に取り組まれております非常に先進的で将来性のある分野でございます。例えば、カーナビでございますとか、バスの車両を優先的に通すために信号を自動的に変化させるとか、いろいろな応用が既に行われ始めております。  ITSの国際的な取り組みでございますが、ITS世界会議というのがございまして、アジア、アメリカヨーロッパで産官学が参加いたしまして、九四年の第一回から、最近、九七年のベルリンまで毎年行われておる状況でございます。この場におきましては、技術開発状況の発表とか意見交換をされておりまして、開発の分野の国際協力の非常に大きな組織でございます。アジア地域におきましては、アジア太平洋ITSセミナーを開催いたしまして、日本がイニシアチブをとってやっております。  運輸省としては、先ほどのASVも紹介いたしまして、積極的な参画者として評価を受けておる状況でございますので、今後、国際協力をこのITSの分野でも積極的に進めていきたいと思います。
  67. 達増拓也

    達増委員 そうした国際協力の成果が愛知万博で実際に我々の前に提示されることを期待したいと思います。  先ほど来の同僚委員質問の中で、個別具体的な、検査の問題点とか基準をめぐるいろいろな問題点が指摘されておりましたけれども、安全という観点について言えば、年間一万人くらいの方が交通事故で亡くなっているという状況、また環境についても、ますます地球温暖化等をめぐる国際的な取り組みが重要になってきている、そういう中で、自動車の基準について、国際協力の推進とともに、国内的にも、ますます慎重で徹底したそういう取り組みが期待されていくと思います。  最後に、今後のそういう自動車基準制度について将来どう取り組んでいくか、そういう決意、これも通告はなかったのですけれども大臣から一言例えればと思います。
  68. 藤井孝男

    藤井国務大臣 達増委員の今の御指摘も大変重要な御指摘だと思っております。  先ほど来、安全の確保、そして環境の保全と申しましょうか、そういったことをこの運輸行政の中で、あるいは自動車がこれからどう対応していくかということについてさまざまな御意見がございました。  今、自動車通局長とのやりとりをお伺いいたしておりまして、人間というのは、ある面では非常に身勝手なところがあるのではないかなと思います。一方では、消費者として非常な利便性を求める。これは、言ってみれば、ITSもそうでありましょうし、ASVもそうでありましょう。利用者にとって、消費者にとって非常に利便性が高いものであり、本当にこれは便利になったなと。しかし、一方それは、ある面では非常に便利ではあるけれども、本当にこれが環境の面あるいは安全の面でどうなのかといった問題も、やはり私どもは常に十分チェックをしながら進めていかなければならないのではないかなと思っております。  また、コストの問題も先ほど来から質問が出ておりますけれども、やはり国際競争の中で我が国自動車産業が競争力を保つためにもいろいろな技術革新が求められるところでありますけれども、そういった中での行政の役割というものも重要であります。  さらに、今御指摘の国際的な基準、国際協力と申しましょうか、その点については、各国、この自動車規制一つとりましても、基準一つとりましてもまだばらばらだという実態でありますから、なかなか直ちにそういった国際的な基準というもの、協定、協力というものを結ぶわけに、なかなか難しい状況でありますけれども、常にそうした地球的見地から、あるいはグローバルスタンダードに合わせるべく、そういう面においては、我々は、むしろ日本がイニシアチブをとりながら進めていかなければならない、このように考えているところでございます。
  69. 達増拓也

    達増委員 質問を終わります。
  70. 大野功統

    大野委員長 次に、寺前巖君。
  71. 寺前巖

    ○寺前委員 きょうは、時間の許せる範囲で、二つの問題についてお聞きをしたいと思います。  まず最初に、自動車の販売といえば日常生活あるいは産業活動にとって不可欠の内容になっているだけに、この分野をめぐるトラブルというのが相変わらずあるんだなということをつくづく感じましたので、その緊急性の問題からまず聞きたいというのが一つです。  もう一つは、自動車をめぐって、日本では例の地球温暖化をめぐるところの国際会議もありましたから、その問題をめぐっての大臣の展望、現状を見てどうお考えになっているかという点を聞きたい、こういうふうに思っております。  まず第一の、自動車販売をめぐるところのトラブルの問題についてお聞きをしたいと思うのです。  かつて、私も、どこの委員会であったか覚えておりませんけれどもユーザーの問題をめぐって、このトラブルの問題を気にして質問をした覚えがあるのです。ちょっと前の新聞を思い起こしながら開いてみると、こういう記事が載っていました。一九八五年の三月二十八日の朝日新聞と読売のちょっと目についたものをとってきたわけですが、朝日新聞では、「中古車業者 取得税でも不正 代行納付悪用、差額懐へ」という問題で当時のトラブルの記事が載っていました。読売新聞では、「中古車取得税で不正横行 ユーザーユニオンが告発「だまし取り、年に五百億」 〝業者まかせ〟を悪用して」、こういう記事が載っていました。  もう一度調べてみると、七七年ごろにも同じような問題がやはり話題になっていました。その後、行政当局は一体どういう措置をとったのだろうかと若干調べてみました。そうすると、七七年の十二月には、「自動車販売に伴う各種手数料の徴収について」ということで、通産省の機械情報産業自動車課長の名前で通達が関係業界に出されていました。八五年の一月になると、「車検残のある中古自動車販売における「自動車重量税」の取扱いについて」という通達を見ることができました。八五年の九月になると、「自動車販売における流通の適正化について」ということで、この八五年の二つの通達、いずれも通産省自動車課長と運輸省地域交通局陸上技術安全部の当時管理課長名で出されています。  こうやってずっと振り返ってみると、この問題については、ともかく市場が大きな場であるだけに、よほどユーザーの皆さんに、どういうふうに問題点を持っているのかということを親切に答えてあげなかったならば、これはいつまでも続く問題なんだなということをつくづく私、感じ入った次第です。  そこで、きょうは具体的に三つの類型について、起こっている問題を例示をして、どういうふうに対応しておられるのか、どういうふうにお考えになるのかということをお聞きしたいと思っているわけです。  一つの問題というのは、この通達が出されるようになって、例えば七七年十二月二十七日の通達を見ますと、その中にはこういうようなことが書いてある。「各種業務に関する費用を一括徴収することは自動車購入者の誤解をまねくおそれがあるので、費用の徴収に当たっては、登録、納車、車庫証明、下取り及び査定の各項目ごとにそれぞれ区分し、購入者に対しあらかじめ明示する」というふうに書かれています。あるいは、八五年九月十八日の通達を見ますと、「自動車販売に伴う各種の付帯費用の徴収に当たっては、顧客に対し、誠意をもって、事前に、項目別に必要性等の説明を行い、かつ、本来顧客に属する領収証等の関係書類を渡すこと。」と書いてあるわけです。この類型の問題というのがいまだに起こっているなというのが一つの問題なんです。  例えば、資料の②に、お配りしておりますけれども、群馬の三菱自動車販売が九五年六月にK氏との間で結んだ注文書を見ますと、検査手続代行費用、納車費用、車庫証明手続代行費用などなどの諸費用の分類をしてありますけれども、ところが、記載は二万七千四百五十円を一括記載している。検査登録、車庫証明なども一括記載になっているというような事例を見ることができるわけです。あるいはまた、九六年二月にM氏と結ばれたところの岐阜トヨタ自動車の場合は、注文書を見ると、販売諸費用が五万一千五百七十円と一括記載されて、各項目ごとの金額は明記されていない。これは資料③にあります。  こういうようなことがやはり依然として行われているのじゃないだろうか。こういう問題について、従来出された趣旨との関連から見ても、逸脱行為をやらせておいていいのだろうかというふうに考えますので、この一括記載の問題についてその後も起こっているということについて、どういうふうにお思いになりますか。
  72. 下平隆

    下平政府委員 自動車の販売に伴います諸費用について、一部のディーラーとユーザーとの間で問題が生じたことから、今御指摘がございましたように、昭和六十年一月及び九月に通達を出しまして、自動車販売業界に対し自動車流通に対する消費者の不信を招くことがないように指導を行ってきております。  この通達に基づきまして、運輸省としてはこれまで関係業界を指導してまいったところでございますが、ただいまお示しをいただきました一括した記載につきましては、私はたった今これを拝見したところでございますので、にわかに判断をいたしかねますけれども、これまでの通達の指導内容からいたしますと、項目別に記載をし、かつその内容についてよく説明をするようにというふうに指導してまいっておりますので、その観点からは、この一括で記載ということが事実であるならば不適切な感じがいたしますけれども、この関係につきましては、ちょっと今直前に拝見をいたしましたので、よく調査をしてみたいというふうに思います。
  73. 寺前巖

    ○寺前委員 第二の類型というのは、今度は各種の附帯費用の徴収に当たっての問題なんですね。資料の④を見ていただくと、トヨタオートの長野の場合、九五年三月です。検査登録手続代行費用として一万二千円を徴収する。車庫証明手続代行費用として八千四百円が書いてある。それから、車庫証明預かり行政書士料として八千五百円を徴収する。さらに、登録代行センター利用料として千八百円を徴収するというような内容のものが、トヨタオートの長野の場合の取り扱いを見ていると出てくるわけですね。  それからまた、千葉スズキの販売の場合、これは九二年十一月ですが、検査登録届け出手続代行費用一万七千七百九十四円、それから、行政書士料として千七百円とか、預かり法定費用の中の検査登録として二千四百六十円を徴収するとか、そういうような問題がずっと書いてある。  八五年当時も、やはり販売店が公正証書を作成して役所に届け出をする行政書士法違反の行為をとっているのではないかというので、各地の行政書士会との間でトラブルが起こっているわけですね。こういう類型です。  要するに、本当に行政書士がこういう仕事をしたのかどうか。代行業務として勝手にやっているのだということでこういうようなことをとって、それでまたトラブルが起こるという問題が相変わらず今も続いているのじゃないだろうかということにおいて、こういうあり方はどういうふうにお考えになるのか。  あるいは、これがいけないというのだったら、個々のユーザーに対して理解できるようにするためには、そのユーザーとディーラーとの間の関係をどういうふうに扱ってやったらこういうトラブルがなくなることになるのか。そこのことについてどういうふうに見ておられるのか、お聞きしたいと思うのです。
  74. 下平隆

    下平政府委員 自動車の販売に伴う業務について費用がかかるわけでございますが、これらの費用については、その販売価格ではカバーされないものの徴収に当たりましては、法定費用と法定費用以外の人件費、交通費など、まさに直接の経費に限るというふうに指導をさせていただいております。かつ、その額は、各ディーラー、各社の実態に即して合理的に計算された実費であるという指導をこれまでさせていただいているところでございます。  ただいま御指摘をいただきました検査登録あるいは車庫証明の代行という費用については、これがまさに合理的に計算をされた実費であるならば、この指導の範囲の中ではないかなというふうに考えます。  一方、行政書士にかかわる費用、かの項目があるという御指摘がございました。これは、ただいままさに拝見したばかりでございますので、私もよくわかりません。したがいまして、この点につきましてはよく調査をし、その上で必要があれば指導の徹底を図ってまいりたい、そのように考えております。
  75. 寺前巖

    ○寺前委員 第三のトラブルが起こるいろいろな問題というのは、税金をめぐる問題なんです。それは地方税もあれば国税もあるわけです。  こういうような問題が起こっていました。日産プリンスの埼玉販売会社のケースの問題です。通達が出た以降の九〇年の二月に、埼玉県内のS氏との間で、日産のワゴン車ホーミーを改造したキャンピングカーの売買契約が締結された。その際、S氏に自動車取得税として十七万五千円を徴収した。ところが、日産プリンスが県税事務所に納税した額は、実際は十七万五百円であることがわかった、資料⑥を見ていただいたらわかります。このことが判明したのは、車両の欠陥問題を調査する中で、関係機関に資料請求をして初めてわかったのだ。S氏は、九五年十二月の二十日に、当時の自治大臣深谷さんにこの件での要望書を出しておられます。「自動車取得税横領防止の要請書」という内容です。返還請求の指導方を要請した、こういう問題が出されているのです。その要請書を見ると「領収証を申告書記載の本人に必ず手渡すよう強力な指導をお願いする」とまで最後に結んであるわけですけれども、この問題について自治省としてはどういう対応をされたのか、御見解をお聞きしたいというのが一つです。  それから、第二番目の問題は、アメリカンアールブィ社という販売会社のケースです。  九六年の八月、神奈川県内のH氏と契約書を結んで、同年十二月に登録をした、資料の⑦になります。アメリカンアールブィ社はH氏に対して自動車取得税十三万九千円を徴収。しかし、実際に納付した金額を調べてみると六万四千円。また、自動車税は一万二百円を徴収しているけれども、実際に納めた納付額は五千百円。これはどう考えても詐欺やな、横領やなというふうにしか考えられないのだけれども、こうなると悪質と言わざるを得なくなってくるのではないだろうか、調査して、神奈川県と連絡をとってでもしかるべき措置をとるべきではないのだろうかと思いますが、自治省として、この件についてどういうふうにお考えになるでしょうか。
  76. 片山善博

    ○片山説明員 課税当局であります都道府県におきましては、自動車取得税等の納税された額につきましては確認できましても、自動車購入者の方が、自動車のディーラーといいますか代行者に幾ら預けたのかは知り得る立場にございません。したがいまして、基本的には代行者と購入者との間で個別に解決すべき問題であるという認識を持っております。  ただ、事が税をきっかけにして起こっておりますので、特に、納税者に対して課税情報が的確に伝わるということは重要であります。私どもといたしましては、県の広報紙などを通じまして、自動車販売業者等に手続を代行させた場合には必ず自動車取得税の領収証を受け取るように啓発を行うよう、都道府県にお願いをいたしているところでございます。
  77. 寺前巖

    ○寺前委員 それで、啓発するといっても、実際にはやはりこういうことが起こっていますよという内容を具体的に提起をしないと、改善方はできないわけでしょう。  現に、僕などでも、あの自動車は一体何の税金が取られるのだろうか。この税金は、自動車重量税という税金があるな、あ、これは国税だなと。そしたら、国税としてその重量税は何ぼ納めなならぬものなのだろうか、重量税はちゃんと、次の車検まで、新車の場合には三年間あるから、その間はその車を中古車で買っても税金はわしは納めぬかてええようになるのかな。そんもの、わからへん。この間、僕は細かく聞いてみて初めてわかった。そうすると、国税の場合だって、ユーザーが基礎的な知識をどうして持つのかということによって初めて、あ、これは待てよ、調べてみょうがなということが起こってくると僕は思うのです。  だから、そういう親切な、自動車を購入された場合には、新車、中古車購入の場合には国税としてはこういうことがありますよということを周知徹底させる手段というのは、どういうふうにとっておられるのだろうか。私、これ、疑問に思うのです。  同じように、地方税の場合だって、自動車税もあれば取得税もある。こういう場合にはその対象になるとかならぬとかやはりわかるように、個々のユーザーに周知徹底できるような手段と、それで、それが納まったかどうかの領収証が徹底して本人に渡るようにするのにはどうしたらいいのかというのは、僕は、やはり依然としてこれはもっと研究をしていただいて、徹底することをやらなかったら、余りにも自動車の普及率が広がっている中で、今日のような不況になってくると、片方で、安く売らなんだら売れへんという問題が、違う形でまたインチキが入ってくるという要素がないというふうには言えない時代であるだけに、ここの周知徹底問題というのは非常に重要だというふうに私は思うのですが、今、何か考えていますか。今のやり方のままで、悪いのは本人だというふうに言い切れるのだろうか。
  78. 下平隆

    下平政府委員 取得税の件につきましては、ただいま自治省さんの方から御回答がございました、税の領収証を顧客に交付するように、納税をした場合にはこれを交付するようにこれまで関係の業界を指導してまいったところでございます。一方で、先生御指摘のように、自動車ユーザーの側、顧客の側がそうした知識を十分持たない場合には、これを防衛できないという観点も確かにあろうかと思います。  したがいまして、これまで、自動車の販売業界を指導し、販売業界は、それぞれ各ディーラーがとるべきマニュアルを作成し、あるいは、実際に取引を行う場合に、自動車の顧客、ユーザーに対して示すチラシのようなものをつくり、手続、経費についての説明を行うというふうな取り組みをしてまいっております。  また一方で、国におきましても、自動車の登録窓口に、自動車の登録関係の相談を受ける窓口を設けまして、そうした御要請あるいは御質問にこたえるような体制をとってまいってきております。
  79. 寺前巖

    ○寺前委員 それで、どんなものが置いてあるのだろうかなと、私、見に行きました。そんなもの、わかりまへんで、実際に配ってあるものを見てみな。「登録の手続案内」というものがあって、これは、運輸省関東運輸局の場合を見てきました。こんな事案が起こっているぞと。  例えば、自動車重量税など払わぬかてええ車があるかどうかということ自身、僕も知らなんだ。これはもうちゃんとそれで、登録してある車を転売する場合に起こる問題だから、この車は転売手続をやったら、いや、これは前の人が払っているから、もうこれは払わぬかて、いつまでは要りませんよということになるのだというようなことで、初歩的な知識すら持っていないから、厄介だから、ひとつ手続、よろしくお願いしますと言ってディーラーに任すのやから。だから、ディーラーがそこへ今度便乗してばっと入れることを考えたら、今のような事件が起こってくるわけです。僕はそこが心配なのです。  だから、もっと親切なあり方の、やはりユーザーの余りにも知らな過ぎる事態だといえばそれでしまいかもしらぬけれども、それでは不親切だと思う。その立場に立った知識をどうしてつくり出していくかということは親切に検討してほしいと僕は思うのですが、大臣、いかがですか。
  80. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほど来、委員からの資料の中で具体的な幾つかの例を示されての御質問でございます。  この資料については、これが実際どうであるかということを今にわかに判断はしかねますけれども、いずれ調査は進めなければなりませんが、いずれにいたしましても、自動車販売業界に対しましては、これまでもそうでありますけれども自動車流通に対する消費者の信頼、まさに不信を招くようなことがあってはなりませんので、引き続き指導を行っていかなければならないと思っております。  運輸省といたしましては、陸運支局等へのユーザー担当専門官の配置等を推進しておるところでございます。今後とも、引き続きユーザー行政の充実強化を図っていかなければならない、このように考えているところでございます。
  81. 寺前巖

    ○寺前委員 僕が一番聞きたいのは、ユーザーに親切な手続の方向というのは、そういう三つの類型でいろいろ事が起こっているだけに、よく注意をしなさいよ、わかりやすいものを何か研究してやってもらえぬものだろうかというふうに思うのだけれども、担当の部長さんはどうお思いになりますか。
  82. 下平隆

    下平政府委員 ただいま幾つかの例を御提示をいただきましたので、この内容をよく調査をさせていただきまして、その調査の結果を踏まえて、必要に応じ、ユーザーへの親切なPRということも含めまして、必要な措置について検討してまいりたいと思います。
  83. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、よく調査をして、お役に立つような行政機関としての仕事をやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  まだちょっと時間があるようですので、第二番目の問題に入らせていただきます。  今回の改正の柱の一つに、自動車型式指定制度合理化を掲げ、車両等の型式認定相互承認協定へも加入し、審査手続簡素化を図るとしておられます。大臣は、提案説明の中でこうおつしゃいました。自動車の安全の確保と公害の防止を図りつつ、諸制度を見直していくんだというふうに説明をしておられました。  国連相互承認協定の対象項目を調べてみますと、百四項目にわたって出ています。当面、反射器など五項目を採択する。ですから、九十数項目がこれからの問題としてまだいろいろあるわけですが、この百四項目の中には、排気ガスの規制などを対象にするような内容があります。ヨーロッパ日本との基準の違いがありますし、事情の違いもいろいろあるのでしょうから、そう簡単に調和するというわけにもいかないということから残っていると思いますけれども、これから日本自動車輸出大国として進めていくんだとか、あるいは外国からの外圧がいろいろあってとか、いろいろなことが世間でも言われるようになってきますけれども、要するに、公害に対する対応策というのをどういうふうにやっていくかというのは、僕は非常に大きな問題だろうというふうに思うわけです。同時に、地球温暖化防止京都会議の議長も担当なさったことでもございますので、この使命を私たちはやはりやっていく必要があるだろう。  運輸部門を見ますと、全体の中で、産業部門におけるところの果たしている役割が大きゅうございますけれども、半分近くありますが、しかし、自動車分野、運輸分野も、また大きなエネルギーの消費やCO2排出量の問題などを含んでいます一特に、九〇年度から九五年度にかけて一六%と大幅な伸びをしていますし、このままでいったならば大変な温暖化の方向になっていくだけに、運輸部門におけるところのエネルギー消費の増加とか、自動車の大型化の原因などをどう転換させていくのかというような、特別な施策を何らかやっていかなかったら、九〇年度比で二〇一〇年になると四〇%にもなっていくというような増大傾向、大幅な伸びになっていくと、五十年、百年将来を見たときに、無責任行政指導をやっておったのじゃないかというふうに言われることになると思うのです。  時間の都合もありますので、大臣に、五十年、百年将来を見越したところの問題として、現状について、このままでいいというふうにお思いになるのか、こういう点について直ちにメスを入れることを検討すべきだというふうに考えるのか、そういう所見についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  84. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えをいたします。  今御質問をいただきましたけれども、昨年の十二月の京都会議、COP3、具体的に我が国につきましては、二〇〇八年から二〇一二年に一九九〇年に比較して六%削減という厳しい数値目標が義務づけられたところでございます。  また、今委員おっしゃられましたように、運輸部門からの二酸化炭素、いわゆるCO2の排出量は、まことに残念でありますけれども、一九九〇年から一九九五年ということを比較しましても、御指摘のとおり一六%の伸びを示しておるところであります。  したがって、これは、このまま進めますと地球温暖化をさらに増長させることになりますので、運輸省におきましては、ことしの一月二十一日に運輸省地球温暖化対策推進本部を設置したところでございます。  今後は、先ほど来他の委員からの御質問にもありましたように、自動車燃費基準の強化、あるいは個々の輸送機器のエネルギー消費効率の向上、また低公害車技術開発、そういったものの普及促進、物流の効率化及びバス、鉄道等の公共交通機関の利用促進等の対策をより強力に推進していかなければならないと考えております。  いずれにいたしましても、これは本当に低公害車開発しなければなりませんし、利用者の皆さん方に、いわゆるマイカーで通勤される方あるいは旅行される方、大変利便性の高い自動車という乗り物でありますけれども、一方ではそういったCO2を排出するということもあり、こうしたことをやはりどうとらまえていくかということは、運輸省といたしましても、これから真剣に、また利用者、消費者の皆さん方にも御理解を求めつつ、目標達成、数値達成のために今後とも最善の努力をしていかなければならないと考えておるところでございます。
  85. 寺前巖

    ○寺前委員 もう時間が来たので終わりますけれども、私は、あえて三つの点を大臣に御指摘申し上げたいと思います。  一つの点は、日本自動車工業会の環境行動計画を見ても、ディーゼルエンジンの目標も対策も示されていないという実情にあるんだということが一つ。  第二番目に、二〇〇〇年までに普及目標が低公害車三十万台と言っているけれども、九七年度末で四千五百台にとどまっているという事態を考えたときに、こういうことで果たしていけるのかなというふうに思うということ。  三つ目に、アメリカのカリフォルニア州では、九〇年改正の大気浄化法と州の策定した低公害車導入プログラムを見ると、二〇〇三年からの販売車両の一〇%以上を無低公害車にするということを義務づけてやろうというところまで、真剣に問題提起がされていることを考えたときに、今のままで運輸行政よろしいかというふうに私は言わざるを得ないということをあえて申し上げて、質問を終わります。
  86. 大野功統

    大野委員長 次に、秋葉忠利君。
  87. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ここの委員会で現在審議されている法案ですが、今の寺前委員質問にもあったような環境面、さらには安全といったことが究極的にはこの法案の背後の目標として掲げられているというふうに理解をいたしております。  特に、そういった点から、ただ単に、例えば装置の点検とか国際的な互換性とかそういったところが十分機能すれば、それで全体のシステムがうまく機能するかどうかというところが実は大事な点だと思いますので、この法案そのものについては私は非常に前向きな一歩だと思いますが、その位置づけも含めて、これから二十一世紀を迎えるに当たって環境面それから安全面といったことを考えた際に、どういった総合的な交通システムを念頭に置いて、例えばこういった法案を考えているのか。  未来像について、大枠で、しかも都市交通といったところが当面は問題になると思いますけれども、まず大臣に、二十一世紀の我々が目指すべき理想的な交通システムといいますか、どういったものを想定された上で自動車の問題あるいはその部品、点検整備等について考えていらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。
  88. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答え申し上げます。  大変難しい問題でございまして、私どもといたしましては、安全と環境先ほど来それぞれの委員からも御指摘がございました。そういった中で、都市交通を今後二十一世紀へ向けて、そういった両面を確保しながら利便性の高い都市交通の整備がどうなされるのか、その御所見ということであります。これをまず消費者、国民の一人一人、私ども国民の一人でありますけれども国民の一人一人にやはり理解をしていただく。環境というものを守っていくためには、自分たち一人一人がどう協力して、理解していくかということが大事ではないかなと思います。  それには鉄道というものの再評価ということも言われてまいりましたし、もちろん一方では低公害車開発というものもどんどん進んできてまいります。また一方では、路面電車、東京都を見ましても、一路線しか走っておりませんけれども、逆に今路面電車も見直し、再評価されているような時代にもなってきてまいります。  そういったことを考えますと、やはり人、町、環境に優しいバスを中心とした町づくりを目指す、これも一つの構想でありますが、オムニバスタウン構想の取り組みであるとか、車とバスとの関係でパーク・アンド・バス・ライドといったシステム、あるいは貨物における共同配送システム、こういったものの構築が私は必要であろうかと思います。  いずれにいたしましても、これは国ばかりではなく地方自治体、そしてそこに住む人々、そういった三位、四位一体の協力があって、安全と環境配慮した都市内交通ができ上がってくるのではないかなと私は思っております。  答えになったかどうかわかりませんが、非常に大事な問題でありますけれども、一口にと申し上げてもなかなか難しい点であります。また、委員からのいろいろな御指導もいただければと思っておるところでございます。
  89. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 おっしゃるように非常に難しい問題であることはそのとおりだと思います。ただ、そういった難しさの中でやはり幾つか重要なポイントというのがあると思いますので、全体の交通システムについてはまたこの委員会で、一般質疑の時間も十分とっていただけるという委員長の御配慮もありそうですので、そこで改めて取り上げたいと思います。  特にその重要な面の一つとして、やはり自動車そのもののあり方、これは環境それから安全両面からということを考えると、自動車そのもの、どういった自動車をこれから使っていくのか、あるいは自動車そのものの使用を抑制していくのかといったようなことも考えるべきだと思います。とりあえず、運輸省として、それでは環境面それから安全面といったことを念頭に入れた場合に、どういう自動車が次世代の自動車として好ましいというふうに考えているのか。その中で、今回の法案はどういう位置づけになるのかといったところを伺いたいと思います。
  90. 下平隆

    下平政府委員 安全あるいは環境配慮した自動車自体の研究開発ということは大変大切なテーマであるというふうに考えておりまして、幾つかの取り組みを運輸省としてもいたしております。  その一つが次世代の都市用の超小型自動車研究開発でございますけれども環境に優しく、省エネルギーで、コンパクトがゆえに都市交通の円滑化にもつながる、また人に優しいというふうな観点から、この超小型自動車研究開発に取り組んでいるところでございます。現在は、研究会を設けまして、二十一世紀において求められる技術的な開発の方向性について検討を進めておりますけれども、さらに、超小型自動車の試作車等もございますので、これらの状況も踏まえまして、今後は一超小型自動車を普及した場合にどのような社会的な効果があるのか、あるいはその車の開発に必要な技術指針の策定ということを検討してまいりたいというふうに思っております。  それからもう一つ、車の技術開発につきましては、先進安全自動車、ASVの研究開発活動を行っております。これは、最近通信技術が大変進んでおりますから、こうしたエレクトロニクスの技術を応用いたしまして自動車自体を高知能化をいたしまして、安全性を高めようという取り組みでございまして、平成三年から平成七年度まで第一期五カ年計画が終了をいたしております。第一期の計画では乗用車中心に検討を進めてまいりましたが、第二期の平成八年度からの五カ年計画では、乗用車に加えまして、トラック、バス、二輪車というふうなものも含めましてASVについての研究開発を進めております。  この研究開発では、いわゆるITSプロジェクトが他の省庁等でも行われておりますけれども、こういうものとの整合化を図りつつ、二十一世紀初頭に実用化をするということを目指して推進をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  91. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 その超小型自動車現実的な、具体的な、例えば環境面における具体的な実現目標を伺いたいのです。  例えば現在の自動車、仮に四人乗りだとしますが、四人を運べる自動車がある。その自動車が排出する排気ガス総量といいますか、CO2でもいいのですけれども、それに比べて、超小型自動車をつくった際に、それが今だったら一台で済んでいるのが四台になるということになると、CO2の排出量は今の平均的な自動車の四分の一にならないと環境面では十分な効果が上がらない。もっとも、今の平均的な自動車が何人乗って走行しているかという平均値をとってもいいのですけれども、仮にそれが二人だとすれば、二分の一にならないと環境面での効果があらわれないというようなことは簡単にだれでも考えつくことなんですが、そのあたりの目標値はどうなっていますか。
  92. 下平隆

    下平政府委員 御指摘をいただきました、二十一世紀のあるべき自動車としての技術指針を検討いたしておりまして、その中にいわゆる環境面における排気ガスの影響等も含めてその指針を今まさに検討しているところでございます。  具体的には、最近ハイブリッド自動車というものが商品化をされ、一部使用されておりますけれども、電気ハイブリッド方式の動力源についても、こうした超小型自動車への適用ということも含めて検討させていただいているところでございます。
  93. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 要するに、そういう具体的な数値目標なしに計画を進めているということだと思いますが、それでは話にならないですね。やはり、CO2の問題でも、これは数値目標がはっきりとある問題ですから、そういったことを目標に掲げて、そもそも技術開発を行うのであれば、具体的な数値目標がなければ話になりません。それで、アメリカのように、ただ単に数値目標を掲げるだけではなくて、企業に対して、何年までにどの目標をクリアしなければ車を売ることができないというぐらいのきちんとした規制をかけて、リーダーシップを発揮することぐらいやっていただかないと、とてもとても目標は達成できないと思います。超小型自動車にしてもASVにしても、何かやろうという姿勢は結構ですけれども、具体性がなければその実現は非常に難しいと思います。  これは環境面についてですけれども、安全面について、ASVという話がありましたが、ただASVをつくればすべて解決するということではなくて、ここでもやはり具体的な数値目標を掲げた上で、その目標を達成するためには、では何が必要なのかという具体性のある施策が必要だというふうに思います。  その点で伺いますけれども、これは安全面ですから、現在、交通事故死亡者、年間一万人程度だということがよく言われますけれども、それは二十四時間以内に死亡する人の数ですが、その二十四時間という時間に問題があるんじゃないかという指摘もございます。そういうことも含めて、交通事故を減らす、あるいはなくすといったことで、運輸省としては、運輸行政の場で交通事故対策として、何年までにどのくらいの数値を達成すればいいと考えているのか、その目標を伺いたい。
  94. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 交通事故の減少の目標値という議論、端的でございますが、その前に少々、取り組む姿勢でございます。交通事故の最近の状況について、死者数は二十四時間以内が我が国の基本的統計でございますが、一方、事故件数及び負傷者数は増加しております。死傷者数は大まかに言って横ばいというような状況でございます。いずれにしても、事故件数が七十七万件、負傷者数は九十万人を超える数でございまして、十年前の一・三倍になっておりまして、事故防止が重大かつ緊急な課題であるということはもう疑いもない事実でございます。  それで、交通事故を減少させるためには、車両、運転手、道路など、原因が非常に複雑に絡まっているのが現実でございますので、事故原因の分析と適切な対策、医療でいえば診断と治療、交通事故では、分析なければ対策なしというふうに心得ております。その原因の分析と総合的かつ多角的な対策について、近々に体制を整備して、具体的なアクションをとって審議を進めたいと思っております。  目標値については、政府部内での交通安全計画の目標値はあるわけでございますが、運輸省としては現在そういうものはまだ持ち合わせておりませんので、原因分析とあわせて緊急に今審議を進めたいと思います。
  95. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 私の理解しているところでは、今おっしゃった政府部内での目標値ですか、運輸省として独自の数字がなくてもいいんですが、ともかく運輸省として賛意を示している目標値というのは、二〇〇〇年までに死者数を、これは二十四時間以内にということですけれども、これを現在の一万レベルから九千までというふうに理解をしています。  しかしながら、二十四時間以内というと、これは統計にだまされる可能性があるので、実は、今おっしゃったように事故件数も、それから負傷者の数もふえている。その中で、交通事故による死者の数だけが減っているということは、必ずしもいい、いいことと言っていいか、その価値判断は横に置いておいて、死者数だけが減っているということは、医療技術が進んでいることの反映であるというふうに恐らく理解すべき点だと思います。  そういたしますと、やはり目標値としては、例えば当面二〇〇〇年までに、目標値を掲げるとすれば、現在交通事故後一年間に亡くなる方というのが大体一万四千人と言われていますけれども、これを二〇〇〇年までには一万人に減らす、そのためには交通事故の件数、それから負傷者数もそれに準じて減らす目標を立てて、具体的な政策をそれに従って行っていくということが必要じゃないか、そのくらいのやはりきちんとした目標を立てるべきではないかと思いますし、究極的には交通事故による死者はゼロにすると、やはりはっきりした姿勢を示した上で取り組むべき問題だというふうに思います。  例えば、その中の具体的な施策の一つとして、自動車に乗る子供、赤ん坊も含めて子供の安全性を高める。道路で歩行している人が車にはねられるというのも、もう一つ非常に深刻な問題なんですけれども、近ごろよく目にしますのでこのことに気がついたんですが、例えば、運転席で車を運転しているお母さんのひざの上に赤ん坊が乗っているような状況をよく見かけますし、あるいは助手席でシートベルトもせずに子供が遊んでいる、高速で車を飛ばしている。ゴールデンウイークの中でも随分そういう姿を見かけました。  この問題についてはきちんとした対応策があるわけですから、安全なチャイルドシートをきちんとつけることによって、少なくともこの面では死者の数を減らすことができる、負傷者の数を減らすことができる、負傷しても、それをより軽いものにすることができるという対策があるわけです。ほかにもっと複雑な問題も確かにありますが、こういった、解決策が目の前にあるような問題について、少なくともそういった問題についてはチャイルドシートの義務づけを行うべきだというふうに思いますが、これは運輸省並びに警察庁の考え方を伺いたいと思います。
  96. 荒井正吾

    荒井(正)政府委員 交通事故の中で、歩行者、若年者、高齢者あるいは幼児、特に幼児の事故は、今、チャイルドシートが幼児、子供の被害の軽減に大きな効果があるということは統計上明確になっております。その使用を呼びかけるとともに、チャイルドシートの使用方法を誤って使用されると効果がなく、あるいは逆に被害を受ける場合もありますので、運輸省の立場といたしましては、チャイルドシートメーカーに対しての使用上の注意の徹底ということを引き続き指導をしたいと思っております。  それから、使用の推進でございますが、平成九年八月に、警察庁及び総務庁の連名によって使用の推進と使用上の注意事項をユーザーに呼びかけたというところまでは手を打っておりますが、今後の使用の徹底ということについては、まださらに推進を深めていく課題が残っていると思っております。
  97. 矢代隆義

    ○矢代説明員 御説明いたします。  チャイルドシートは、交通事故発生時における子供の保護に高い効果を有するものであり、交通安全の観点から、その一層の普及による着用率の向上が望まれるものであると考えております。  これまで警察では、一般国民に向けました交通の教則におきましてチャイルドシートの使用を奨励する内容を盛り込んだり、あるいは全国交通安全運動におきましてチャイルドシートの使用励行を呼びかけるなど、普及のための啓発活動を積極的に推進してきたところであります。  御指摘の着用義務の法制化につきましては、最近この問題に関する世論が高まっております。また、着用率につきましても、いまだ不十分ではありますが、徐々に向上しつつあると見られるところでありまして、国内におきます普及の状況国民の意識等について見きわめつつ検討を進めているところでございます。  特に、本年度は、警察庁におきまして予算措置を講じまして、チャイルドシートの着用促進を図る上で克服すべき課題を正確に把握するため、我が国におきますチャイルドシートの着用実態やチャイルドシートに関する諸外国の法制化の状況などの調査研究を行うことといたしております。
  98. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、やはり、義務化というのは、ゼロか一〇〇%かということではなくてもいいと思います。それから、子供をチャイルドシートに座らせるという場合、車に乗るときは、一番最初からもう、チャイルドシートに乗るものだということが子供の頭に入っていれば、割に簡単なんですけれども、途中からチャイルドシートに乗せようとすると難しいということで、経過期間を設けるといったことも、現実の問題として必要になってくるかもしれませんし、ゼロか一〇〇かではなくて、ともかく、導入すれば、そこのところでは事故が減るわけですから、死者数が減るわけですから、段階的でもいいから、できるだけ早く法制化をお願いしたいと思います。  これで質問を終わります。
  99. 大野功統

    大野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  100. 大野功統

    大野委員長 本案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  道路運送車両法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  101. 大野功統

    大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 大野功統

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  103. 大野功統

    大野委員長 次に、内閣提出参議院送付海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案及び船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。藤井運輸大臣。     ―――――――――――――  海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案  船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  104. 藤井孝男

    藤井国務大臣 ただいま議題となりました海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  海洋の汚染の防止につきましては、従前から、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律等により、油の排出等があった場合における防除等について必要な措置を講じてきているところでありますが、昨年島根県隠岐島沖で発生いたしましたナホトカ号油流出事故を初めとして、近年、我が国周辺海域において大規模な油流出事故が相次いで発生しており、これらを契機として、我が国の油防除体制の一層の充実強化を求める気運が高まっているところであります。  言うまでもなく、大規模な油流出事故が一たび発生いたしますと、海洋環境、地域経済に深刻な影響を及ぼすこととなるため、事故に伴う被害を最小限に抑えるためには、事故発生当初の段階において機動的かつ適切な措置を講ずることが肝要であり、そのための体制を早急に強化することが不可欠であります。  このような認識のもと、関係省庁が一丸となって油流出事故時における即応体制の整備に努めているところでありますが、その一環として、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律を改正し、必要な規定の整備を行うこととした次第であります。  また、あわせて、近年の廃油処理事業の経営状況等にかんがみ、廃油処理事業の経営の合理化、事業の効率化等を促進するため、廃油処理事業に係る規制の見直しを行うものであります。  次に、改正案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、海上保安庁長官は、特に必要な場合に、関係行政機関の長等に対し油防除措置の実施を要請することができることとし、当該要請に基づき油防除措置を講じた場合には、関係行政機関の長等は当該措置に要した費用を船舶所有者等に負担させることができることとしております。  第二に、海上保安庁長官は、領海外の外国船舶から大量の油の排出があった場合においても、海上災害防止センターに対し油防除措置を講ずることを指示することができることとし、当該措置に必要な費用を国が交付することとしております。  第三に、廃油処理事業の開始に係る許可基準のうち、需要適合性に関する規定を廃止すること等、必要な規定を整備することとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  次に、船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年の我が国の海上企業においては、その活力を維持、向上していくため、社会経済情勢の動向に柔軟に対応していくことが必要となっております。そのため、海上企業においては、必要とする人材を的確に確保していきたいとのニーズが高まっており、これに対応して船員の募集に係る規制を見直すとともに、外国人船員を日本籍船において船舶職員として活用していくため、船舶職員の資格制度について見直しを行う必要があります。  また、近年の海洋レクリエーションの進展を背景とした小型船舶操縦士の資格取得へのニーズの多様化等、船舶職員制度をめぐる各般の状況の変化にも適切に対応して、所要の措置を講ずる必要があります。  このような趣旨から、このたびこの法律案提出することとした次第であります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、文書等による船員の募集について、事前通報の義務を廃止し、自由に行うことができることとしております。  第二に、千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締約国が発給した資格証明書を受有する者については、運輸大臣承認を受けて船舶職員になることができることとしております。  第三に、新たに五級小型船舶操縦士の資格を創設する等、船舶職員の資格制度につき所要の改正を行うこととしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  105. 大野功統

    大野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十七分散会      ――――◇―――――