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1998-03-18 第142回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    平成十年三月十八日(水曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 大野 功統君    理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君    理事 実川 幸夫君 理事 林  幹雄君    理事 佐藤 敬夫君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       江口 一雄君    江渡 聡徳君       木村 隆秀君    菅  義偉君       橘 康太郎君    細田 博之君       宮島 大典君    望月 義夫君       森田  一君    米田 建三君       渡辺 具能君    赤松 広隆君       今田 保典君    島   聡君       田中  甲君    吉田 公一君       長内 順一君    草川 昭三君       久保 哲司君    瀬古由起子君       寺前  巖君    平賀 高成君       秋葉 忠利君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 藤井 孝男君  出席政府委員         運輸政務次官  江口 一雄君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省海上交通         局長      岩村  敬君         運輸省航空局長 楠木 行雄君  委員外出席者         水産庁漁政部企         画課長     林  建之君         労働省労働基準         局監督課長   青木  豊君         建設省道路局有         料道路課長   久保田荘一君         運輸委員会専門         員       長尾 正和君     ————————————— 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   大島 理森君     江渡 聡徳君   吉田 公一君     島   聡君   福留 泰蔵君     草川 昭三君   寺前  巖君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     大島 理森君   島   聡君     吉田 公一君   草川 昭三君     福留 泰蔵君   瀬古由起子君     寺前  巖君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中部国際空港設置及び管理に関する法律案  (内閣提出第一一号)      ————◇—————
  2. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中部国際空港設置及び管理に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島聡君。
  3. 島委員(島聡)

    島委員 民友連島聡でございます。  中部国際空港につきまして質問を申し上げます。  きのう、当委員会でこの設置法案につきまして審議がされたわけでございますが、その中で経済効果四兆円だという話があったそうでございます。しかも、その見方は、その経済効果四兆四千四百億円の試算開港後五十年間の経済効果としてはかられた。まさに、開港後五十年間というような長期的なスタンスに立って、この問題というのは考えていかなくてはいけないと私は思うわけであります。その観点から本日は質問をさせていただきますので、お願いを申し上げます。  今月初めに、全国総合開発計画の素案が明らかにされました。国際交通体系整備を見ますと、ハブ機能を持つ国際空港東京圏関西圏中部圏に配置する、北海道、東北、中四国、九州、沖縄の各ブロックに地域のゲートとなる国際空港を配置するとなっております。特に注目しましたのは、午前中に出発して、その日のうちに現地で活動してまた帰ってくるという東アジア一日圏、東アジアに日帰りできるようなものをつくっていく、こういうことを実現するということがございました。まさにこれは、今申し上げたように、五十年のスタンスで考えれば実現する話だと思っているわけでございます。  ただいま審議中の中部国際空港設置及び管理に関する法律案が成立すれば、中部国際空港というのは空港整備法における第一種空港として位置づけられるわけでございます。成田空港関西国際空港と並びまして、我が国二番目の国際ハブ空港となるわけでありますが、私は、今のようなスタンスで考えると、どうしてもこの三番目のハブ空港というのは大きな意味があると思うわけであります。しかし、成田関空、それに中部国際空港国際ハブ空港の列に加わることになりますと、距離的に関西成田の真ん中にハブ空港ができるのだから、非常にそれを疑問視する意見もある。  そこで、まず大臣にお尋ねしますけれども我が国三番目の国際ハブ空港設置する意義を改めてお願いしたいと思います。
  4. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 お答えいたします。  二十一世紀を目前にいたしまして、また二十一世紀に向けて、我が国が今後とも国際社会の中で、やはり安定した、また活発な発展をしていくためにも、今委員の御質問にありましたように、三大都市圏において航空ネットワークを形成するための国際ハブ空港整備を、時期を失することなく整備しなければならないというのは、御理解いただけるところではなかろうかなと思っています。  そういった中で、中部圏における中部国際空港整備について、その意義と申しましょうか、そういう観点からの御質問であったと思いますが、現在の名古屋空港自体が二十一世紀初頭には処理能力限界に達する、こういうことが予測されますので、どうしてもこの中部国際空港を緊急に整備することが必要になってきたわけであります。そして、地元の地方自治体あるいは地域皆様方のまた強い要請もございまして、これにこたえていかなければならないということもございます。  また、こうした航空需要の増大と申しましょうか、昨日もお答え申し上げましたけれども、これからの大交流時代、人と物の流れが国際的にも本当に活発になる時代に対応するためには、やはりその中心となるのは航空分野ではなかろうかな、そういった意味で、この中部地域活性化のためにも、また地域発展経済社会発展のためにも、ぜひとも早急に整備する必要がある、このような認識整備を早急に進めたいと考えておるところでございます。
  5. 島委員(島聡)

    島委員 いわゆるハブ空港というものであれば、中途半端なものをつくらないでいただきたいと思うわけであります。関西空港が非常に鳴り物入りでつくられて、私、見に行ったときに、ハブ空港だ、ハブ空港だというのを見て、もちろん、 まだ途中であるということもありますが、世界ハブ空港から比べるとまだまだ非常に未熟であるという感じがいたしました。ハブ空港であるというなら、本当にハブ空港世界的な水準で、それこそグローバルスタンダードにきちんと合致するようなものをつくらなければ、あくまで、今地域のことを大臣はいろいろおっしゃいましたけれども、もちろん地域も大事でございますが、国策でございますから、国策としてふさわしい、日本という国の経済力にふさわしいハブ空港というのをきちんと整備していただきたいと思う次第でございます。
  6. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 私も、今、島委員のおっしゃられたのと同じ認識を持っているところであります。  まことに残念ながら、成田空港におきましても平行滑走路がいまだに整備されておりません。これは、話し合いを前提に今精力的に、二〇〇〇年度末までには何としても平行滑走路を完成させたい。また、関西空港につきましては、二期工事事業化に向けてスタートを切りましたので、この二本目の滑走路を早急に実現したい。そして、中部国際空港も、最終的な目標といたしましては二本の滑走路整備していきたい、こういう構想になっておるわけであります。  私も、先般アメリカに赴きましたときに、ロサンゼルス空港あるいはワシントンのダレス空港、それからニューヨークのラガーディア、ケネディ空港と、かいま見る感じでありましたけれども、空から見るだけでも、大変な規模の大きさといい、日本国際空港と称する空港に比べて格段の差がある。また、東南アジア諸国におきましても、お隣の韓国にいたしましても、ハブ空港について各国が積極的に整備を進めているところでありますから、そういう意味では、まだまだこれは十分ではない。これからグローバルスタンダードという中でやはり日本が伍して経済活動を活発にするためにも、そういった意味におきましても、まだまだこれは十分でないということを認識している中で、ぜひとも、委員おっしゃられるようなことにこたえられるように頑張っていかなければならない、そういう気持ちを込めてお答えをしたつもりでございます。
  7. 島委員(島聡)

    島委員 いわゆる公共投資には、需要創出効果と、供給サプライサイド創出効果というのがあります。今、公共投資のいろいろなスクラップ・アンド・ビルドが必要になってきていると思いますけれども、今回の場合、この中部空港というのは、需要創出効果だけじゃなくて、供給創出効果供給能力を高める効果もあると私は思っております。  特に、この中部国際空港を取り巻きます愛知県というのは、今産業空洞化とか国際競争力がかなり厳しくなっている製造業中心地でございます。藤井大臣も岐阜の御出身だから、よく御存じかと思います。このような産業競争力を今後とも維持していく、あるいはこの基盤に立って新たな産業を展開していく、そういう形で考えていった場合にでも、非常に空港の持つ意義というのは私は大きいと思っています。  特に、日本産業競争力をなくしている高コスト要因一つに、物流コストとか、運輸省所管港湾でも、これは港湾料金の例でございますが、平成八年の産業構造審議会の総合部会基本問題小委員会は、日本を一〇〇とした場合、アメリカ港湾は六七、ドイツが六六、韓国が四九、半分ぐらいなわけであります。というように、非常にコストが高い。  それで、今回の中部国際空港におきまして、そのような物流コスト効率化にどのように寄与するのか、お尋ねしたいと思います。
  8. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 今、私どもは、三大都市圏旅客需要というものを中心ハブ空港の概念を組み立て、その背景地旅客需要あるいは経済力ということを中心に考えておりますけれども先生今御指摘がございましたように、確かに貨物の面もあるのではないかというふうに思うわけでございます。特に、中部八県につきましては製造業出荷額日本全国の比率に対して非常に高いという面もございますので、おっしゃる点は十分考えられるかと思います。  ただ、現在、中部圏におきまして、圏域内を発着しております航空貨物の多くが、実は名古屋空港ではなく成田空港関西国際空港流れておる実態がございますbそういう意味で、航空輸送のスピードのメリットを生かすことが必ずしもできず、これが物流コスト増輸送の長時間化につながっていると考えられるのでございます。  しからば、二十四時間化の立派な中部国際空港ができてどうなるかということでございますけれども、今申し上げましたような実態成田関西空港航空貨物流れておるような理由につきましては、やはりさらに研究をする必要があると思いますけれども中部国際空港整備し、国際航空ネットワーク網が充実していけば、物流効率化に資することが可能ではないかと考えております。
  9. 島委員(島聡)

    島委員 今世界流れの中におきまして、例えば、産業空洞化をもっと超えた形の中においては、地域国際競争力を持つことが重要になってくるという話がありました。それはスーパーリージョンというわけでありますけれども基本的にポイントは空港だと言われております。空港があって、ぞこにいかに近いか。それがあってこそ、いわゆる新しい産業国際競争力のある地域になるということでございますので、それを念頭に置いてきちんとしていただきたいと思う次第でございます。  次に、開港時期についてお尋ねするわけでございますが、空港ができて、愛知県瀬戸市で開催されます二十一世紀万博というのが割と連動した形で行われる、連動かどうかわかりませんが、タイミングとしては似た時期に行われるわけでございます。二十一世紀万博開幕日というのは、二〇〇五年三月二十五日であります。空港自体経営に関しましても、そういうイベントがあって、世界から人が来てもらって使ってもらうということは非常に重要であります、その後、そこが使いやすくなりますから。となりますと、これまでにぜひとも間に合わせていくということは、空港経営上の観点からも重要なことだと私は思っております。  開港に先立つテスト運航期間などを差し引きますと一新空港は、遅くとも二〇〇四年ぐらいに完成しなくてはならないのではないかと私は思うわけであります。そうなりますと、例えば、その分工事期間が短くなるとか、関西空港のケースを見ても、これだと二年ぐらい短くなる、五年間ぐらいでやらなければいけないというような話になってくると思います。運輸大臣は、二〇〇五年に開港したいという強い御意向をお持ちだと聞いております。  そこで、お尋ねするわけですが、とはいうものの、今まで、空港をこれぐらいに立ち上げるといって、必ずいろいろなことがあっておくれてきた。その過程においては、いろいろな意味で民主的な手続における説得の方法が不得手であったとか、きちんとした説得ができていなかったとか、いろいろなことがあるわけでございます。今後、環境影響評価空港アクセス整備、行政上の作業や手続が滞りなく進むかどうか、開港に向けての現時点での見通しを聞かせていただきたいと思います。
  10. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 まず、開港タイミングでございますけれども中部国際空港につきましては、現在の名古屋空港滑走路等処理能力が二十一世紀初頭に限界に達することに対応するためのものでございますが、地元から二〇〇五年万博までの開港に強い御要望があることはよく承知しておりますので、できる限りこれに間に合わせていきたい。先生指摘のような、例えばフライトチェックとかいろいろなチェックもございますので、そういうようなものについてもいろいろ工夫をしてまいりたいと考えております。  そのためにどういったことが肝心かということでございますが、今先生指摘のようなアセスメ ントあるいはアクセス、さらに漁業補償、こういった点を迅速に処理すること、この辺のところが非常に肝心でございまして、私ども地元と一体になって、こういった点はよく工夫努力を積み重ねていきたいと思います。その前に、こういう点も含めていろいろな手続がございますので、工事の推進が可能となりますような地元関係者の理解を深めること、こういったこと等、工期を短縮する努力一つ一つ積み重ねることが重要であろうと考えておる次第でございます。  したがって、愛知県を初め関係者方々に私どもとともに一層の努力をしていただき、運輸省としても最大限努力を行ってまいりたいと考えております。
  11. 島委員(島聡)

    島委員 きのうの質疑でもありましたけれども中部国際空港整備というのは、民間資本を活用した新しい社会資本整備、いわゆるPFIモデルケースであると注目されているわけであります。モデルケースというのですから非常に名誉あることなのかなと、私も愛知県選出だからそう思っておりますが、ぜひとも名誉ある形にしてほしいと思うわけであります。  例えば、関西国際空港を見てみますと、もともとの計画よりもどんどん事業予算はふえてきているわけであります。先ほど、二〇〇五年に何としても開港を間に合わせるために努力されるとおっしゃいましたが、考えてみると、二〇〇五年と区切れば、その分いろいろな意味で追加的なコストも当然かかってくる、建設コストの上昇もあるということが十分に予想されます。関西空港の事例では、人間の予想を超えた、これはたまたま現実的に空港島とかそういうのがあったということでございますが、報道でございますけれども、総事業費が、当初一兆円ぐらいで予想していたのが一兆四千三百億円ぐらいになって、全部足すと一兆五千億円ぐらいになったとか、一・五倍ぐらいになってしまったわけですね。  中部空港空港整備法における第一種空港になれば、私は、設置管理責任はやはり国にあることになると思います。国の財政が厳しいですからと逃げるのじゃなくて、先ほど申しましたが、国策、国家として考える政策でありますから、今PFIというと、何か、負担の民間への押しつけとかつけ回しをするための言いわけにしてしまっているのじゃないかというふうに聞こえないこともない。この法案では、第一種空港管理責任を持つ主体として、国は、空港運営事業主体である指定法人に対して四百十億円の出資、千六百三十八億円の無利子貸し付け、政保債などによる有利子融資などを行うとなっておりますが、今申し上げたように、関西空港の場合は一兆円が一・五倍近くなったわけですね。将来、こういうようになったときには、当然追加的な財政支援念頭に置いておられると思いますが、いかがですか。
  12. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 中部国際空港につきましては、地元では中部方式と言われておるようでございますが、中部空港調査会財団法人でございますが、これをおつくりになって以来、国の関係者も入りまして、地元地方公共団体経済界方々がさまざまな会議をおつくりになり、十分な調整をされてきたわけでございます。  今御指摘がございました事業費増嵩するんじゃないかという点、特に御指摘がございましたけれども中部国際空港につきましては、事前の調査を十分に行う方針で進められてきておりまして、調査の結果から、新空港建設予定地は非常に水深が浅くて、しかも地盤は強固であるということが確認をされております。自然条件によります事業費増嵩というのは基本的にはないものと考えております。  また、昨年事業予算概算要求いたしましてから、大蔵省等との折衝を十分行い、最終的には大臣折衝まで、ぎりぎりとした折衝を行ったわけでございまして、そこでの大臣合意というのにございますように、七千六百八十億というのは、原則として最大限のものであるということは確認されております。  運輸省といたしましては、空港会社に対して建設コストの縮減について必要な助言を行うなど、事業費増嵩しないよう一層努力を行ってまいりたいと考えております。
  13. 島委員(島聡)

    島委員 日本国際ハブ空港、これは近くにはソウルもありますし、上海、香港などが競争相手になってくると思います。そういう競争のもとに、例えば私の近くの人でも、今、成田関空でなくソウルを経由して飛ぶというような状況になっております。旅行する人と航空会社、つまり空港施設を利用する人から見た場合、空港使い勝手の良さというのが、その競争の行く手を決めていくと私は思っております。今、民間を利用した社会資本整備PFIモデルケースということならば、できるだけ民間発想に立って、徹底的に利用者使い勝手がよい、いわゆるユーザーフレンドリーな空港を目指すべきであると私は思っております。  逆に言えば、そのようにユーザーから高い評価をかち得れば空港利用者もふえますし、航空会社も積極的な投資を行って、先ほどおっしゃった空港を基点としたネットワークもつくられていく、空港利用が拡大するというような好循環ができる、そうなってくると、PFIモデルケースだと思うのです。  着陸料とか施設利用料についてお尋ねをするわけでございますが、何か民間発想を十分に生かして着陸料を安くするなどして利用者使い勝手をよくしたいという意向が、先ほど地元の声も聞いてとありますけれども、そういう声も多いわけでありますが、価格設定の権限は民間企業経営の根幹なわけですね、コストをどうするかとかそういうのは。今、コストも抑えるように指導するとおっしゃった。指導するのは結構ですけれども、それをやっていくと、着陸料も、運輸大臣認可事項とは聞いておりますけれども、例えば指定法人が一生懸命努力した結果、安い価格設定にしたいと思っても、それをまた指導されると、結局がんじがらめになってしまうような状況になる気もいたします。  例えば、指定法人努力した結果、安い価格認可を受けようとしたときにも、それはちゃんと認められるのかどうか。成田関西空港よりも低い価格で申請が出された場合でも、快く認めていただけるのかどうかという点についてお尋ねしたいと思います。
  14. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 まず着陸料の決まり方でございますが、着陸料の決まり方につきましては、空港事業主体航空会社との交渉により決まるものでございます。関西空港なんかの場合ですと、関西空港株式会社とエアラインの集合体であります関空利用協議会との間で交渉して決めておるというものでございます。  その場合に、何が基本になるかといいますと、やはりそこにかかりましたコストにつきましての収支採算性確保というのが基本になるわけでございまして、そういったことを基本としつつ、空港事業主体航空会社との交渉によりまして決まっていく。そういう意味で、現時点において私どもの方からどうこうということではなく、中部国際空港着陸料というのはまだそういう意味で確定していない、こういう段階でございます。
  15. 島委員(島聡)

    島委員 当然それは存じ上げておりますが、そういうときにぜひとも経営発想が生かせるような形でやっていっていただきたいと思うわけでございます。  次に、運輸省は、予算概算要求時の推計で、中部国際空港経営目標を、開港後八年に単年度黒字転換、二十八年間で債務完済というようにされたと聞いております。関西空港のときも、それは結構いろいろな意味で、何か本によりますと、それがにしきの御旗でおろすわけにいかない。そこからいろいろなものが決まっていった。関西のときは五年で単年度黒字、九年で累積赤字一掃、二十三年で借入金を返済するということだったそうでございますが、こういう経営目標が先立ちまして、そこからざあっと下がっていって使用料金等が設定されていった。これが着陸料などの高額化につながったと聞いております。  報道によりますと、中部国際空港経営目標試算前提として使われた数値は、やはり着陸料が、国際線機体重量トン当たり二千三百円、国内線が同じく千九百円。関西空港は国際的に高すぎると悪評を買っているのです。その同じ水準に設定して、その結果そのような経営目標が導き出されたと聞いておりますが、運輸省ではこの経営目標というのをどうお考えなのか。  お尋ねしますが、概算要求のときに使用された経営目標というのは、将来、指定法人経営方針を拘束することがないかどうかについて確認させていただきたいと思います。
  16. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 私ども概算要求いたしました際に、一つ試算として、先生がおっしゃいましたような採算計算におきまして、関西空港同一水準著陸料、すなわち国際線トン当たり二千三百円、国内線トン当たり千九百円ということを前提としていったわけでございます。  ただ、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、あくまで収支採算性確保基本としながら、空港事業主体航空会社との交渉によりまして決まるものでございます。  事業主体採算性につきましての目標的な年次の数値でございますが、概算要求時点で単年度黒字八年、累積損失解消十六年、債務完済二十八年と試算されていたけれども、今はどうかという点の御質問でございますが、先般、名古屋市で開催をされました中部国際空港民間出資促進委員会という組織がございますけれども、そこにおいて示されました中部国際空港株式会社事業概要というものによりますと、開港後おおむね五年強程度で損益上の利益を生じ、そして十年から十五年程度累積損失を解消することを目指すこととされたところでございます。  いずれにいたしましても、中部国際空港採算性につきましては、総事業費に占める無利子資金の割合を四割とするとともに、政府保証債開銀融資、税制上の特例措置を講ずることによりまして、事業を健全に推進していくための採算性確保されるものと考えております。
  17. 島委員(島聡)

    島委員 いろいろな前例が関西空港にあるわけでございます。これも報道あるいは書籍によるものでございますけれども関西空港の経験では、設立当時には民活プロジェクトとされまして、民間の知恵も生かしてというような発想があったようですが、実際には、役員、社員とも中央省庁からの出向、天下りが大半を占めてしまったというのが今の状況だそうでございます。  その結果、出向者は二、三年ですぐもとの職場に復帰してしまう。だから、組織の一体感に欠けるとか、あるいは、悪いことでありますが、問題の先送り傾向も定着してきた。現在プロパーの社員が関西空港の場合二七%にふえたそうでございますが、非常に官のウエートが大きくて、お役所に近い体質が残ってしまい、経営効率化の足かせになっているのではないかというような指摘があるわけでございます。  中部国際空港のケースでは、新会社の社長の内定が報道されたわけでありますが、新会社の経営陣の官民の構成は今後どのようになっていくのか。あるいは、PFIモデルケースというならば、民間の知恵を生かすというのは大事にあらわれるわけですから、その意味では民間からの人材登用等を含めてどのようにお考えなのか、御見解を伺いたいと思います。
  18. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 役員の方とそれから職員の方と両方あるわけでございますが、きのうもちょっとお答えしたわけでございますけれども、役員の構成につきましては、報道されておりますのは、あくまで指定会社のいわば人材に当たるところの候補でございまして、現在地元において検討中でございまして、まだ決まっておるわけではございません。  いずれにいたしましても、事業主体地元主導によります株式会社でありますことから、今後さらに地元において検討、調整が行われることになると思いますけれども運輸省といたしましては、できる限りスリムでかつ民間主導の体制により事業を推進したいとする地元意向というものを十分に踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。  それから、職員につきましても、この会社の出資比率がもともと民間が五〇%だということでございますし、そういう意味民間のイニシアチブがより発揮できるようにしてまいりたい。会社の人員構成についても、そういった意味でスリムでかつ民間の人材も多く活用したいとする地元意向を十分踏まえることによりまして、民間のノウハウが最大限活用できるようにしてまいりたいと考えております。
  19. 島委員(島聡)

    島委員 中部圏というところは、いわゆる国際競争力のある産業がたくさん残っているわけでありますから、いわゆるコスト削減とか民間の知恵というのは今最も日本の中でも残っている場所であります。そこの経営の知恵を生かして運営をしていけば、本当にモデルケースになると私は思います。  それから、きちんとこれは主張していきたいのですが、どうしても東京、大阪、名古屋といいますと、東京があって、大阪があって、名古屋があって、三番目という感じが多いわけであります。世界と直接結ぶわけでありますから、別に三番目である必要は全くないわけでございますので、中部国際空港、しかも国際競争力のある地域という意味では、今日本の中で一番ある地域であると言って過言ではないと思います。そこから考えたら、先ほど申し上げましたが、中途半端なハブ空港ではいけないし、本当に世界モデルケースとなるような空港をぜひともつくって、そして、二十一世紀最初の大きな事業だと思いますから、本当にすばらしいものにしていっていただきたいと思います。  以上です。
  20. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 次に、草川昭三君。
  21. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 草川でございます。  昨年の十二月三日、本運輸委員会質問をさせていただいたわけでございますが、私の地元の関係もございますので、皆様方の御協力を得まして質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。  まず第一に、昨年の概算要求のときの中部国際空港の事業スキームは、国からの出資金、無利子貸付金は運輸施設整備事業団を通じて行うというふうになっていたわけです。ところが、今度の法案では、運輸施設整備事業団を活用せず、国が直接行うというふうになっているわけです。また、国からの出資金が概算要求のときより多くなっているわけです。これは大変いいことだと思うのですが、その理由はどのようなものか、お伺いをいたしたいと思います。
  22. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 お答えいたします。  中部国際空港は、空港整備法上、我が国の国際的な拠点空港、第一種空港と位置づけられるものでございます。その整備事業は非常に公共的な性格を有するものでございます。国といたしましても所要の支援を行っていくべきでございまして、そのためには、事業主体についての公的性格を強めることが必要となってくるわけでございます。  今委員指摘の、概算要求から比べて出資比率が高いということ、運輸施設整備事業団を活用する形をとるいわゆる間接的な支援の形ではない、これはどういう理由かという御趣旨かと思いますが、国が直接事業主体に対して出資を行うというのは、冒頭に申し上げましたように、まさにこれが国際的な拠点空港一つ、やはり国がある面では大きなかかわりを持ち、そして責任も持たなければなりませんし、また一方ではPFIの、先ほど来御質問がありましたが、民間活力というものを十分生かしながら進めていく、こういうことでございます。  したがいまして、いずれにいたしましても、事業主体が公的性格を強めることが必要となるという状況にかんがみまして、この出資比率を高め、また、国が直接この事業主体に対して出資を行うようにしたところでございます。
  23. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 それは大変結構なことですが、かか る国際空港をつくる場合に、民間主導型ということが与党の方からも非常に強く言われてこういう結果になったと思うのですけれども、実際上法律をつくる立場の内閣法制局が審査をする、あるいは大蔵省の立場からいささか問題があるということから変わったといういうふうに我々は聞いております。  ですから、民間主導型の新しいプロジェクトをつくるときには、これからも運輸省はやられると思うのですが、よほど最初から法律のつくり方について十分な配慮をしていただかないと、地元としてはこれは大変ウエルカムですよ、大変歓迎をすべきことですけれども、結果としては、法律をつくるという立場からは若干問題があったな、私はこういう感じがいたします。そのことを一言申し上げておきます。  二番目に、無利子の資金が四〇%であることは、先ほど質問もありましたように、空港経営という立場からいうと大前提になると思うのですが、今後、今の程度事業予算ではとても足りない、一兆円を超すのじゃないか、私は素人ですけれども、そんなように考えます。当然のことながら、追加資金が必要になった場合の対応策もあらかじめ立てておく必要があると思うのですが、その点はどうでしょう。
  24. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 実は、先ほども前の委員の方にもお答えしたわけでございますが、中部国際空港につきましては、事前の調査を十分に行う方針で進められてきておりまして、調査の結果から、水深も非常に浅くて地盤が強固であるということが確認されております。自然条件による事業費増嵩というのは基本的にはないというふうに考えておる次第でございます。また、大臣折衝まで最終的にぎりぎりと行いまして、七千六百八十億円が最大限であるということも確認しております。  運輸省といたしましては、空港会社に対して建設コストの縮減について必要な助言を行うなど、事業費増嵩しないよう一層の努力を行ってまいりたいと思います。
  25. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 その決意はありがたいのですが、もしもの話を私はしておるわけです。もしもオーバーしたときは地元で持ちなさいよなどという結論にならないようなつもりで私は今質問をしておるということを、念頭に置いていただきたいと思います。  では、三番目でございますが、空港島というのか島、飛行場、前回も私は触れましたけれども空港島のために連絡橋の建設は当然必要であります。関西空港の場合と異なりまして、連絡橋の建設あるいは管理は今度の指定会社の業務の範囲に入っていないわけです。したがって、開港されるまでに確実に連絡橋が整備されるのか、あるいはその出資は、空港そのものと同じように国からの出資も導入することができないのかどうか。私、これは地元としては相当重大な関心があるところでございますので、お聞かせを願いたいと思います。
  26. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 この間、十二月でございましたでしょうか、先生の御質問にもお答えをいたしましたが、空港島の、ちょうど連絡橋を置きます。そのつけ根のところに、関連開発用地といったことで一般的な用地がございますので、やはりこの連絡橋につきましては、空港の指定会社とは別の主体でということを考えておるわけでございます。  それで、御質問がございました連絡橋の事業方式につきましては、鉄道と道路に分かれるわけでございますけれども、鉄道部につきましては、事業化に向けた検討及び事業主体となる第三セクターの設立に関する調整、協議を行うことを目的に、地元自治体、経済界、鉄道事業者等から成る中部国際空港連絡鉄道施設整備協議会という名前の協議会設置をされておりまして、その場におきまして、平成十年度の事業主体設立に向けて検討が進められておるわけでございます。  それから、道路部につきましては、愛知県が中心となりまして、受益の関係機関からの負担等により建設をする方向で検討が進められておりまして、早い時期に事業計画を確定するというふうに聞いております。  連絡橋の鉄道部、道路部とも、地域においては、平成十一年度には事業着手をいたしまして、開港までに整備するよう関係者間が調整を進められているところでございます。
  27. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 今の局長の答弁は、前回の十二月三日の答弁と同じなのですよ。それはそれで理解できるのですが、橋というのはやはり、千七百億とか千八百億と言われておりますが、いかに現場が浅瀬だといいましても、相当な費用がかかるわけです。今おっしゃいましたように、確かに、空港島の前島というのですか、前方のところの民間の企業団地だとかあるいはレジャーランドだとか、いろいろなことを考えておるようですから関西空港と一緒ではないということはわかりますが、さりとて、その償却をどうするかということになりますと、通行料というのは相当高いものになることが予想されます。  今の関西空港の場合でも、私どもいろいろと話を聞きますと、関西空港に勤務する職員は、駐車料等の関係もあると思うのですが、和歌山県側の方の安い農地を借りて、一たんそこにパーキングをして、鉄道に乗って関西空港に通勤をする、こういう例も聞くわけですよ。  そういう例を考えますと、現地の、常滑市沖にできるのですが、やはりこの従業員の足というのが非常に限られておりますので、マイカー通勤なんかが多いと私は思うのです。そういう方々がフリーでこの連絡橋を使用できないということも考えられるわけでございまして、ぜひとも私は、ここに本体と同様な国の無利子の融資というものが導入できないのか、こういう感じですが、国の無利子融資というものはこの連絡橋には導入できないのかどうか、ちょっと局長からお答えを願いたいと思います。
  28. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 私どもは、やはりこの空港施設整備につきましては、空港並びにその関連施設につきまして、空港整備特別会計等からの出資、無利子貸し付けといったことになっておりまして、先ほど来申し上げておりますように、これが空港の施設であるということがないと、その意味での財源と申しますか、出るところが非常に難しいということがございます。  関西空港の場合の連絡橋というのは、あくまで空港そのもの、全体である空港島と対岸を結ぶという観点から、空港施設である道路という観点からつくりましたので、そこは一部そういうものが出るということであったわけですが、そういう意味では、ちょっとその論理の成り立ちが違ってきてしまうというものでございます。
  29. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 これは押し問答になりますからあれですが、私としては、空港島を利用する人は九割以上はやはり空港関連の方あるいは空港を利用する方々、これがその連絡橋を使うわけでございますので、将来またこれは要求が出てくると思うので、しかと運輸大臣の方も、隣の岐阜県でございますから、岐阜県の方もこの橋は利用するわけですから、いずれはね返るわけですので、みずからの問題としてぜひ取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  では、次に、これも前回少し触れているのですが、空港会社の建設、立ち上がりに、どうしても国家公務員の出向ということを仰がなければならぬと思うのです。いわゆるデザインは地元でやっておみえになりますが、現実に島をつくるということになりますと、これは海洋構造物ということになるわけですから、関西空港の建設経験者というものが私は必要になってくると思うのです。  たしか関空の場合は国家公務員の方々が約二百名前後出向されたと思うのですが、もうそろそろ新しい会社が立ち上がるわけでありますから、内々地元運輸省との間には相談があると思うのですが、その間はどういう計画になっておるのか、経緯を説明を願いたいと思います。
  30. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 先生指摘のように、中部国際空港事業主体につきましては、地元主導による株式会社としたところでございます。このため、会社を構成する人員の規模とか国家公務員の出向 につきましても、今後、会社、地元において検討、調整されることになるわけでございます。  地元におきましては、できる限りスリムで民間の人材を活用したいとする御要望もございますが、一方で、御指摘のような、国等の持つ大規模埋立事業や空港の建設、運営に係るノウハウも必要としていると聞いております。従来から、中部地域におきましても、運輸省を初めとしていろいろ国関係も調査も行っておりますし、そういう点の活用というのも考えられるわけでございます。国といたしましても、このような地元意向を踏まえまして、この法案の第十一条にもございますが、人的、技術的援助につきまして必要な配慮を行ってまいりたいと考えております。
  31. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 もう一歩立ち入った答弁はできませんかね。どれぐらいの規模なのか、関空よりは少ないのか多いのか、その程度は答弁できると思うのですが。
  32. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 基本的には地元との調整でございますので、私どもから一方的に言うのはどうかと思いますけれども先生の御指摘のように、これはやはり関空よりは多くなるだろうと考えております。
  33. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 わかりました。関空よりは多くなるということは一つのめどだと思いますので、理解をしておきます。  では、その次に、先ほども答弁がありましたように、この空港会社民間主導の指定会社ですが、資金計画や、当然のことながら社債の発行などは予定をされていると思うのです。これは運輸大臣認可が必要だ、こう言われておりますが、それはそのとおりなのか、お伺いをしたいと思います。
  34. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 中部国際空港プロジェクトにつきましては、PFIの精神を生かしながら推進することとしておりまして、運輸省といたしましても、事業推進全般にわたりまして、会社の意向を踏まえて適切に対処したいと考えております。  しかしながら、中部国際空港は、先ほど大臣も申し上げましたように、第一種空港として国際、国内の航空ネットワーク形成の拠点となる空港でありますことから、その事業運営の適正さが求められること、あるいは、政府が直接出資、無利子貸し付け、債務保証等の支援を行っているとの立場から、その経営の健全性が求められること等によりまして、国の所要の監督措置として先生指摘のような認可等の制度をとることとしたものでございます。  運輸省といたしましては、先ほども申し上げましたように、大分民間等のあれも多くなるわけでございますけれども、こういった意味での許認可の運用に当たりましては、事業主体である指定会社の効率的運営に十分配慮して対処してまいりたいと考えております。
  35. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 最後の一言ですけれども、それは非常に、民間会社としてはある程度自由裁量が必要だと思うのです。  特に、膨大な資金計画なり短期の資金の運用をしなければいけない一当然外債の発行ということもあるでしょう。より安い条件のいろいろな商品を購入しなければいけない場合、それに依拠しなければいけないという場合があるわけでありますから、一々従来のように運輸大臣認可が必要だということになりますと、即効性にブレーキがかかるということにもなってくると私は思うのです。やはりこれは、規制緩和のこういう時代でございますから、規制緩和の時代に対応する運用の幅があってしかるべきだと私は思います。そこは、民間主導型とはいえ運輸大臣の許可が一々必要だということになりますと、問題が残ると思うので、十分注意をしていただきたい。これは要望をしておきたいと思います。  その次に、空港会社予算は単年度主義になると思うのですが、私は、単年度主義の予算ではなくて五年程度の中期計画の方が、前倒したとか繰り延べだとか柔軟な運用ができると思うのですよ。ですから、この際、民間主導型の新しいスタイルとしては、単年度主義の予算ではない運用ということが図られてしかるべきだと思うのですが、その点はどんなものでしょうか。
  36. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 お答えいたしますが、私、さっきちょっと勘違いいたしまして、民間の比率が高いという意味で申し上げたのですけれども、実は、先生質問があったのは官の方でございまして、これは関空の当初よりはかなり低くなるということでございます。おわびして、訂正させていただきます。  それから、今御質問がございました空港会社予算の形態でございますが、中部国際空港事業主体につきましては、直接国費が出資金等の形で投入されるということから、どうしてもその予算の運用に当たりまして、国の予算炉もともと単年度主義でありますので、それに影響されまして、これに即した対応というのが基本にならざるを得ないと考えております。  ただ一方で、本事業は民間活力を最大限活用しつつ推進していくものでありまして、その事業運営に当たりましては、できる限り中長期的な視点に立った効率的運営に配慮する必要があると考えていることから、事業運営全般にわたりこのような観点も踏まえて対応してまいりたいと考えております。
  37. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 ぜひ、中長期の視点に立つ計画なり資金繰り、特に資金繰りが大切だと私は思うのですが、そういうことを検討していただきたいと思います。  次の質問ですが、先ほども若干出ておりますが、いわゆる空港会社採算性でありますけれども、昨年の概算要求のときには、単年度の黒字目標を八年、累積の損失解消は十六年、こういうことでございましたが、今回国の出資もふえるというようなことから、今回の設立準備会の資料等によりますと、それが五年程度、あるいはまた、累積損失解消十六年が十年から十五年というように短縮になっております。  この短縮というのは、その分だけ新しい売り上げ、早く言えば売り上げというか収入がふえるということになるから、こういう計画になると思うのですが、その根拠というのは一体どういうところにあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  38. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 お答えいたします。  中部国際空港の事業につきましては、公共事業の効率化が強く求められていることを受けまして、できる限りの事業費の節約をまず目指し、また、事業実施上の工夫を積み重ねること、また、これが大きいのですが、昨今の金利情勢から比較的低金利での資金調達の可能性が従前より高まっていることなどによりまして、総事業費概算要求時よりも減少いたしまして、空港会社採算性の指標も変化したものでございます。
  39. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 えらいアバウトな答弁だと思うのです。  確かに、金利が低いことは事実です。大きい金額ですから、わずかの金利の差によっても償却の度合いが違うと思うのですが、それにしても、当初の計画、例えば八年が五年になりますよ、十六年が十年から十五年に短縮されますよというのは、今の答弁程度では、私はいささか納得できませんし、不安ですね、そういう内容では。もう少し、これは我々に納得できる根拠というものをぜひ説明を願いたいと思います。これは要望です。——答弁ありますか。では、答弁してください。
  40. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 大変失礼いたしました。一例だけ申し上げますと、金利につきましては、当初五%と見ておりましたものが四・七%。これはかなり長期のもの、平均いたします。これを長期に計算いたしますと、大分これがきいてくるということでございます。
  41. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 そのほかどのような、規模を縮小するのか、あるいは合理化をするのか等々もあると思うのですが、ぜひ私どもに後ほど説明をしていただきたいと思います。  それから、いよいよこれは私どもの本題なんですが、従来の名古屋空港を一部売却をする、それで、売却をしたものを空港特会に収入として入れる。まあこういうことが前提ではありませんけれ ども、それが回り回って国の出資ということにつながっていくのではないか、こう思うのですが、一体幾らで売るか、売る先は愛知県なのか、愛知県プラス民間なのか、あるいは愛知県、民間、地方自治体を含めた第三セクターに売るのかということを、前回の十二月の三日に質問をいたしました。それで、多分県も入るであろうという程度の答弁がありましたが、幾らで売るかということについては明らかにされておりません。  そこで、こういう質問に切りかえました。今まで国が管理していた空港が移転した例が、旧広島空港と旧高松空港があるのです。一つは県に、一つは市に売却しているわけです。そのときの売却条件というものを、この際明らかにしていただきたいと思います。
  42. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 先生指摘のように、最近では旧高松空港と旧広島空港が新空港に移っているという事例がございます。  旧広島空港の方から申し上げますと、平成五年度に広島県に公共用飛行場用地として売却をしておりまして、面積が約十三ヘクタール、価格は二百十二億円ということになっております。  それから、旧高松空港でございますが、平成二年度に香川県土地開発公社との間で新高松空港用地と交換をしているわけでございます。旧高松空港の用途は、図書館、美術館等公共施設の用地でありまして、その面積は約三十二ヘクタール、価格は約百五十九億円でございます。
  43. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 今度の中部国際空港の一元化に伴いまして、いわゆる従来の名古屋空港の方の売却を予定をするということになっておるわけでありますが、その金額というのも、十三ヘクタールかあるいは三十二ヘクタールか、計画によって多少幅があるわけでありますが、大体こういう程度の金額になるのでしょうかね、単価が。それを念のためにお伺いしたいと思います。
  44. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 まず、どういうふうにして処分価格が決まっていくかということでございますが、処分価格の決定までのプロセスにつきましては、買い受け要望者からの要望を受けまして、運輸省から国有財産の所管官庁であります大蔵省に対して処分依頼を行った後、大蔵省におきまして、周辺の取引事例価格とか民間の精通しておられる方、民間精通者の鑑定評価額を勘案して処分価格が決定されることになると承知をしているものでございます。  では、具体的に今度の点についてどうかという点でございますが、大変恐縮でございますが、現時点では処分相手方や範囲も確定していないのでなかなかお答えがしづらいわけでございますが、愛知県におきまして、ゼネラルアビエーション空港として活用したいとの意向があるものと承知しておりまして、これを踏まえ適切に対応してまいりたいと考えております。
  45. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 特別会計の国有財産の売却を厳正にしなければいかぬことは事実であります。そういう意味では、地価の評価については周辺地域価格というのは当然参考になる、こう思いますが、私は、名古屋空港を一たん第三者に売却をするということになりますと、これは将来の、例えば国内線が非常に多発する、あるいは会社が持つ、ゼネラルアビエーションというのですか、自家用航空機の数がふえてくるということになりますと、それは単純な国有財産の売却とは違うと思うのですね。そこは、よほど慎重に飛行場の将来性ということを含めながら価格を決めないと、地元としては大変なことになると思うのです。要望しておきます。  時間がございませんので、そこで、あと二点ついでに言いますから答えていただきたいのですが、中部国際空港の定期便の一元化ということで地元の方、地元というのは名古屋空港の方ですが、地域振興策がいろいろと今検討されております。それで、その中の一つに航空機の、例えば関連をする整備学校だとか操縦学校だとか、それに限定をしませんけれども、いわゆる学校を、専門学校ですが、そういうものをこの際名古屋空港に、設備等々もありますし、それから大きな航空機整備工場の三菱重工業もあるわけでありますから、最も適した地域じゃないかと私は思うのです。そういう関連する航空機関係の整備学校をつくるというのも一つの考え方だと思うのですが、この点の見解はどうか。  それからもう一つ、最後でございますが、地元は二〇〇五年の万国博覧会の前に強くこの中部国際空港開港を望んでいるわけですが、二〇〇五年に開港できるのかどうか。これは運輸大臣の決意を求めて、私の質問を終わりたいと思います。  以上二問ですが、一問は大臣、ぜひ答えてください。以上です。
  46. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 それでは、最初の御質問につきましてお答えをいたしたいと思います。  先生指摘のように、現在の空港の周辺二市一町、春日井市、小牧市、豊山町、それから名古屋市、愛知県、地元経済界、学識経験者で構成いたします名古屋空港将来構想検討会議におきまして、平成十年度中の地域振興策の構想取りまとめを目指して検討が進められているところでございます。  この会議では、一元化後の名古屋空港の活用方策につきまして、ゼネラルアビエーションを中心とした可能性を検討するとともに、こうした空港機能の活用を考えながら、地域振興につながる有効な方策について検討を進められていると聞いております。  具体的な方策につきましては、先生の御指摘もございました、この検討会議におきまして地元の要望も踏まえて構想が描かれてくるものと考えておりまして、運輸省としても、その結果を踏まえてできる限り協力してまいりたいと思います。  なお、先生のせっかくの御提案でございますので、この会議をやって中心になっております愛知県に伝達をさしていただきたいと思います。
  47. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 他の委員からも、二〇〇五年に向けての決意という趣旨の御質問、たびたびお受けいたしました。繰り返しとなりますけれども地元の方から強い要望がございまして、二〇〇五年の愛知万博までに間に合わせるようにぜひお願いいたしたいという要望は我々十分に承知いたしておりますし、私自身もそれに向けて最大の努力を払っていかなければならないと思っています。  ただ、やはり環境アセスメントあるいは漁業補償地元地域住民、関係者の皆さん方の御理解、御協力もいただかなければなりませんので、今後とも先生御自身にも御協力、御指導いただかなければなりませんけれども、私といたしましては、地域住民といえば私も地域住民の一人でありますから、ぜひ、それぞれの関係者が一致協力して二〇〇五年の万博に間に合うように、そして、その後の二十一世紀にふさわしいハブ空港として整備をされるように努力をしてまいりたいという決意でございます。
  48. 草川委員(草川昭三)

    草川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  49. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時二分休憩      ————◇—————     午後零時三十一分開議
  50. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。江崎鐵磨君。
  51. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 自由党を代表して、今回の中部国際空港法案並びに関連についての御質問をいたします。  きのうからの審議で、特に地元中心に各委員、大変格調の高い質疑を交わされておりましたので、私は簡単な質問をさせていただきます。質問が重複しましたら、藤井大臣、そして答弁者には簡潔にお答えいただいて結構であります。  私が特に強く思いますことは、この中部国際空港法案、これを速やかに成立させ、いち早く工事着工に当たることが、今日の景気低迷、これを景気浮揚させ、内需拡大に一番つながるものと強い確信を持つ次第であります。  中部国際空港につきまして、多少歴史を振り返ってみますと、愛知中心中部それぞれの県が、成田、そして関西国際空港に続き、中部にもぜひハブ空港をつくることが大切だといったことで、昭和六十年一月、中部国際空港建設期成同盟会、そして、昭和六十年三月には、中部国際空港建設促進議員連盟が発足、この六十年十二月には、財団法人中部空港調査会が設立され、自来今日まで十二年を経過いたしました。地方自治体並びに民間が一体になり、ハブ空港の必要性、そして早期建設を目指して、非常に熱心にこの運動が展開されました。  特に、私ごとになりますが、私が長年秘書として仕えました、もう既に故人になりましたが、元国会議員が議連の会長を長く務めました。平成五年の引退に当たって、もう馬齢を重ねたし引退は当然のこと、しかし、一番気がかりになることは、中部国際空港がこれからどう推し進められるか心配だといったことを申しましたことが、つい先ごろのように思い出されております。何よりも、今回の中部国際空港法案は、愛知県民を中心として、中部それぞれの県民がひとしく歓迎するものと私は深く信ずるものであります。  特に愛知県では、二十一世紀、第一回目の記念すべき万博開催が決定いたしております。これが成功するか否かは、何といっても、表玄関ができているかどうかといった成否にかかわっております。特に昨年の通常国会であったか、一部政党から中部国際空港万博をリンクさせることは決して好ましい状況でないといった御指摘がありましたが、中部国際空港の構想は、昭和五十年代の半ばから機運が盛り上がる、万博に関しましては、平成元年にBIEに代表が直接万博誘致を申し入れるといったことでありますので、決してリンクでもないといったことを御理解賜らなければなりません。  ただ、これは本当にいいタイミング万博誘致が決定し、そして、いよいよ第七次空整七カ年計画をもって、ちょうど二〇〇五年前後にこの空港が完成するといった、非常に愛知県並びに中部圏にとっても、前途明るい二大プロジェクトがこれから推し進められるわけであります。したがって、愛知県選出国会議員のみならず、中部のそれぞれの議員も、ぜひひとつ、二〇〇五年万博開会、そして同時に、中部国際空港開港されるといったことは強い願いでもあります。  本論に入りますが、我が国の二十一世紀におけるさらなる発展を考えた場合、航空分野整備は決して欠かすことのできない状況となっております。二十一世紀は、まさに空の時代、大航空時代と言われております。  世界航空輸送量を見てもこの傾向が顕著にあらわれ、IATA、国際航空運送協会による統計では、国際定期旅客数は、一九九三年で約三億二千万人であったのが、二〇〇〇年で約四億八千万人、二〇一〇年には約七億九千万人の予測が立てられております。  我が国にあってこの中部圏は、全国比で人口の約一六%、製造品出荷額では約二五%を占めるなど、人口、産業ともに高い集積がある地域であり、経済力を背景とした航空輸送需要の増大も十分に見込まれ、二〇二〇年代半ばでは、旅客国際線八百万人、国内線千二百万人、貨物国際線四十三万トン、国内線八万トンと予想され、アジアの重要な拠点空港として各国の航空会社によって十分な路線網が形成される必要があります。  特に、我が国を取り囲む東アジアの現状を見てみますと、地域内や欧米との航空ネットワークが急速に形成され、航空輸送に関する大きな需要の伸びが期待されておるところであります。このため、各国では、大規模拠点空港を国家戦略として積極的に建設、整備をしていることは御案内のとおりであります。  こうしたときに、アジアの中心的役割を果たしております我が国が、国際ハブ空港整備に、アジア諸国に決しておくれをとってはならないとき、我が国航空輸送空洞化を招くことにもつながるわけであります。  二十一世紀に向けて、経済的、社会的に今後とも安定した発展を持続し、国際社会における地位を確保していくためには、航空ネットワークの拠点となる国際ハブ空港整備を進めることが必要不可欠であります。これは、我が国自身の問題ではなく、国際社会からも日本に対する期待が非常に大きいといったことであります。  このような我が国にとって非常に重要な本事業、国際ハブ空港整備は、財政構造改革の中での大規模事業着手となりますが、中部国際空港の重要性、物流拠点整備という視点から見て、本事業はおくれることなく整備されなければならないものであります。厳しい財政事情の中にあって、二十一世紀に向けて我が国発展のため、公共事業費の削減を受けずして進められなければならない、さらに言うならば、重点投資を行ってでも進めなければならない大切な事業であります。大都市圏における国際ハブ空港整備、特に中部国際空港の建設に対する基本方針についてどのようにお考えか。  また、冒頭申し上げましたが、二〇〇五年の万博に間に合わせてほしいという地元のたっての要望がありますが^現時点における建設着工までの課題や、着工及び開港の時期についてどのように見ておられるか、大臣にお尋ねをする次第であります。
  52. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 お答えいたします。  まず、江崎委員が冒頭にお話をされましたが、御尊父の江崎真澄先生、この中部地域国際ハブ空港をつくるという大変熱心な活動をされておりまして、私も、江崎真澄先生の御指導を受けながら一緒にこの実現のために御指導いただいたことを、きのうのように覚えているものでございます。  そういう中で、今、大臣の決意いかんというお言葉でしたが、江崎委員のお話を承っておりますと、私が答弁することをすべて委員の方からもう述べられたような気がしないでもございません。  しかしながら、先ほど来他の委員方々からも御質問をいただきましたけれども、やはり私自身も、運輸大臣に就任いたしまして、精力的に国内の航空事情あるいは空港状況、また港湾状況を視察をしてまいりました。先般、かいま見る程度でございましたけれどもアメリカ空港等にも寄ることができたわけですが、正直申し上げまして、この大航空時代と申しましょうか、交流時代、激しく経済が、また世界が変動している中で対応していくためには、やはり拠点となる空港整備あるいは港湾整備を急がなければならない。  一方、大変な不況という中で、財政的にも非常に厳しい状況でありますけれども、所信でも申し述べましたようにまた政府の財政構造改革に当たりましても、そういう厳しい財政状況でありますけれども、やはりやるべきものは重点的にやらなければいけない。そういう中で、この三大都市圏におきまする拠点ハブ空港というのを早急に整備しなければならない、そのように位置づけておるわけであります。  したがいまして、私どもといたしましては、この御審議をいただいている法律につきましても、ぜひとも御理解をいただき、成立を図りまして、いち早く会社の設立に向けて準備をいたさなければなりませんし、またでき得れば、それぞれ環境アセス、地元の騒音問題等々の環境問題あるいは漁業補償の問題等々、地域住民の皆様方関係者皆様方の御理解、御了解をいただきながら進めていかなければならぬことはそのとおりであります。まさに国それから地方自治体あるいは関係地域皆様方、それぞれの関係者皆様方が三位、四位一体となってこの事業を進めなければ、二〇〇五年の万博に間に合わせるようにという強い要望にもこたえられないのではなかろうかなと思います。  いずれにいたしましても、委員がおっしゃられました今の世界状況、これからのいわゆる大航空時代に対応できるような立派な拠点空港をつくるべく、私どもは最善の努力をしていかなければ ならないと思っております。  着工の時期につきましては、見通しにつきましては、今申し上げましたさまざまな課題を乗り越えていかなければなりませんけれども、環境アセスあるいは漁業補償等々の御理解、そういった問題が解決されれば、平成十一年度には着工できるのではないかなと考えております。  いずれにいたしましても、関係の皆様方、地方自治体の皆様方、また江崎委員を初めとする先生方にもいろいろ御指導をいただかなければならない、そのように考えておるところでございます。
  53. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 藤井大臣の強力なリーダーシップのもとに、いち早い工事着工を心から願うものであります。  引き続きまして、本事業の内容についてお尋ねいたします。  平成十年度予算案には、中部国際空港の新規事業化が盛り込まれておりますが、その内容は、事業主体への出資と実施設計調査などとなっております。実際、十年度事業の具体的な内容は何か、お答えを願います。航空局長、お願いいたします。
  54. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 平成十年度におきましては、中部国際空港事業主体たる指定会社が、護岸・埋立実施設計、それから空港施設に関する調査、環境アセスメント調査など、空港建設に関する実施設計調査を行うことといたしております。
  55. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 中部国際空港に関連して、成田関空についてお尋ねをいたします。  我が国における国際ハブ空港整備としては、従来、主に東京圏、大阪圏の空港の能力不足を解消し、両地域航空需要の増加に対応して、航空ネットワークの充実を図るために空港整備が推し進められてきたことと思いますが、成田空港関西国際空港整備について、現状及び今後の進め方はどのようになっているのかお聞かせください。
  56. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 成田空港、新東京国際空港でございますが、その整備につきましては、平成三年から空港のシンポジウムをやり、平成五年から円卓会議をやり、その結論に従いまして話し合いによりまして進めていくべく最大限努力を行っているところでございますが、目標といたしましては、平行滑走路等を二〇〇〇年度に完成させることを目標としておるところでございます。  それから、関西国際空港整備につきましては、平成八年度から二期事業に着工しておるところでございますが、平成十年度におきましては、平成八年度から進めてまいりました実施設計調査の取りまとめを行いますとともに、現地着工のための準備を進めまして、二〇〇七年の平行滑走路供用を目指して整備を推進しているところでございます。
  57. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 先ほど来藤井大臣から、現地の環境とか漁業補償のお話がございました。中部国際空港の建設検討については、従来から国と地域が一体となって調査を進めております。特に、候補地の選定や関係者との調整等に関して、地域の果たしてきた役割は極めて大きいものがあったと認識をいたしております。このような地域の協力は、過去の大規模空港建設の例と比べてもまさり、今後事業がよりスムーズに進むことに大いに役立つものと確信をいたしております。  これまでの地域の皆さんに心から敬意を表する次第でありますが、大規模な国家プロジェクトである中部国際空港の建設は、今後とも関係者の十分な理解と協力を得つつ、事業の推進を図るべきでありますが、地元に対し十分に配慮しなければならないテーマの一つに、環境問題があります。  昨年は、京都で行われた環境会議で、二酸化炭素の排出量抑制を初め、さまざまな点について論議が交わされました。中部国際空港の建設は、環境問題についても、世界空港建設のモデルとなるべき事業にならなければいけないと考えておりますが、二酸化炭素排出やごみのリサイクル等、建設後を考えた構想をぜひお立ていただきたい。そして、特に建設後の環境への配慮に加え、環境影響調査などのアセスメントがまず地元に理解をされるといったことが先決かと思います。  環境アセスについては、規定上は現行制度が適用されることでしょうが、新アセス法が制定される中、二十一世紀に向けてのプロジェクトにふさわしい方法で進めるべきと思いますが、これについてはどうお考えか。  もう一つ漁業補償問題では、三重漁連がかなり強固に、今日まで、交渉を阻止するというか、話し合いが難航されることが予想されておりますが、現状はどうかといったことをお尋ねいたします。
  58. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 まず、先生指摘のように、地元では中部方式と言われておるようでございますけれども、私ども国も入りまして、国とそれから地方公共団体あるいは経済界、こういった方々におきまして推進調整会議というようなものをつくりまして、非常に円滑に計画が策定をされてきたと考えておる次第でございます。  また、先生指摘のように、この空港の建設、運営に当たりまして、環境面での配慮をする、当然のことだと思っております。お尋ねがございました環境アセスメントの話でございますが、中部国際空港につきましては、平成十年度に事業に着手する予定でございますので、アセス手続の実施もアセスメント法の施行でございます平成十一年六月より前となることから、基本的には現行制度で実施することとなるものと考えております。この場合でありましても、アセス法の趣旨を生かした対応を工夫したいと考えておりまして、具体的には、アセス法に基づき今後策定される技術的な指針を踏まえ、現行制度との相違点などを吟味した上で、できる限りその趣旨を生かして対応するよう事業主体を指導してまいりたいと思います。  また、漁業補償につきましては、非常に調整が必要なことでございます。現在、愛知県の漁連につきましては、当面必要なボーリング調査につきましての漁業補償につきましての御理解を得ていると聞いておりますし、それから三重県漁連についても、そのボーリング調査について、その実施を妨げないというふうに御理解を今賜っているというふうに伺っております。     〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
  59. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 ぜひ漁業補償の問題も、誠意を持って国も対応していただけば必ず話はいい方向へ進むものと確信する次第であります。  東海総合研究所では、昨年十月二十八日、中部国際空港建設の経済波及効果試算値を発表いたしました。発表後、建設費等が変わり、数値がかなり異なったようでありますが、開港までの空港と対岸部、アクセス施設の建設投資は一兆四千五百億円で、これに関連して発生する経済波及効果は、中部地区において二兆七千億円、全国で五兆五千億円に達する見込みとなっております。新規雇用効果は、中部で二十万人、全国で四十三万人の見込みであります。  また、運輸省試算においても、中部国際空港の費用対効果は、二〇〇五年の開港時から五十年間の旅客貨物輸送の時間短縮や費用低減効果などを現在価値に換算すると、四兆四千億円の便益が生じ、同じ期間の建設費、維持管理費などの総費用は八千五百億円で、差し引き三兆五千九百億円の効果があるとされています。  そして、採算性については、中部国際空港着陸料関空と同水準の場合は、開港後八年目で単年度黒字転換、十六年目で累積損失解消、二十八年目で債務完済試算しておられます。ここで関空の例を申し上げますと、開港三年が経過した関西国際空港の運営会社の九八年三月期決算は、経常損失が三百億円の赤字となり、乗り入れ便数の増加などでその前の期に比べ多少赤字は縮小したものの、いつ配当が出せるかといったことはなかなかまだ見通しが立っていないこと、関空による経済波及効果を見込んで工場団地開発を担当していた第三セクターが事実上倒産に追い込まれるなど、不安材料も存在しております。そうしたとき、後発の中部国際空港ではさらに収支が厳しくなるのではないかという心配をする向きもあります。  経済波及効果試算どおりに、あるいはそれ以上のものにするためには、国と地元が一丸となつ て真剣に取り組まなければいけないと強く思うものでありますが、運輸省や東海総研の試算どおりの経済波及効果が出るかどうかは、この空港の建設や運営に深く関与するものと考えます。大きな経済波及効果等による地域発展我が国発展に結びつけてこそ意味があると言えるわけであります。アジア東部諸国も空港整備に力を入れており、利用が大きく、経済波及効果が大きな空港を実現していくためにはどういったことが重要と考えておられるのか。  また、アジア東部における主要国際ハブ空港とするためには、空港使用料が国際的に見てリーズナブルでなければなりません。現在の国際線平均空港使用料はどの程度であり、日本のレベルはどうなっているのか。参考のために、世界の主なハブ空港における、主要機種だけで結構でありますので、空港使用料もお示しいただきます。
  60. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 先生指摘のように、東アジア諸国におきまして国際ハブ空港の建設、拡充が続いておるわけでございます。我が国の場合、二十一世紀に向けて我が国が今後とも国際社会の中で安定した発展を続けていくためには、交流の基盤施設であります国際ハブ空港等の整備を時期を失することなく進めることは不可欠である、もう御指摘のとおりでございます。  近年、東アジア諸国におきましても、大規模な国際空港整備が積極的に推進されているところでございますけれども、航空路線の数とか便数、これはやはり基本的には、その経済とか人口、そういう後背圏の大きさと申しますか、そういったもの、すなわち、航空旅客貨物需要の大きさによるものと思料いたします。したがいまして、中部空港の場合に言えますことは、やはり日本の三大都市圏一つであります。その経済力、人口、こういったものを十分に生かせるような、そういったところを配慮して空港整備を進めていくということではないかと思います。  我が国の場合は、今申し上げましたように、その後背圏の経済力東アジア諸国に決して劣るものではございませんので、大都市圏における空港整備を積極的に推進することによりまして、他の東アジア諸国の空港に伍して、今後とも国際ハブ空港として十分機能していくものと認識しております。  先生もおっしゃいました、問題の空港使用料の水準でございますが、確かに御指摘がございますように、日本の場合は少し高いという面がございます。一例をちょっと申し上げたいと思いますが、例えば、国際線につきまして、ボーイング747−400というものを例にとりますと、成田が約九十五万円、関西空港が九十一万円でございますが、それに対して、例えばアジアで申しますと、ソウルのキンポ空港は三十六万円、香港のカイタック空港は約四十二万円、シンガポールのチャンギ空港は三十一万円でございます。欧米でございますと、パリのシャルル・ド・ゴール空港は約四十万円、フランクフルト、マイン空港は約四十一万円、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港は三十六万円といったことになっております。  また、今申し上げましたのは国際線でございますが、国内線につきましては、ボーイング767−300を例にとって申し上げますと、羽田、東京国際空港の場合は約二十八万円でございますが、アジアのソウル、金浦空港は約二万円、欧米の。パリ、シャルル・ド・ゴール空港は約十万円、フランクフルト、マイン空港は約十三万円、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港は約十五万円というような状態になっておるわけでございます。  そして、こういう国際ハブ空港としての総力を強化するために空港使用料の水準をどうしたらいいかという点でございますが、国際ハブ空港としての機能を十分に発揮するか否かは、やはり一番の基本は、人口、経済力等の後背圏の強さ、すなわち多くの路線、便数を必要とする旅客貨物需要の大きさによるところが大きいものと考えられるところでございます。しかし、このほかにも空港の施設の容量とか地理的条件などさまざまな要素もございまして、空港使用料の水準国際ハブ空港の機能に直ちに大きな影響を及ぼすものとは考えていないところでございます。
  61. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 第一種空港はまさに国家プロジェクトであります。今回の中部国際空港民間負担、御案内のとおりでありますが、これからの航空大競争時代、何としても勝ち抜くには、やはり国としても十分な予算措置をとっていただかなければならない。そうした点につきまして、藤井大蔵大臣に意気込みを伺う次第であります。
  62. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 運輸大臣藤井でございます。  今、航空局長の方からお答えをいたしましたように、せっかく拠点ハブ空港として整備する、そしてそれが、大競争時代あるいは交流時代の中で、東南アジアはもとより世界ハブ空港と伍していくような環境を整備しなければならないという御指摘でございますけれども、それはそのとおりだと私も認識をいたしております。  ただ、それぞれ各国のハブ空港のいろいろな条件、各国の事情も違いますし、我が国は、御案内のとおり、大変狭隘な国土の中で、限られた土地の中で空港をつくらなければならない、そして、陸上にこうした大きなハブ空港をつくるというのはなかなか難しいという中で、関西空港におきましては泉南沖に第一期工事関空が完成しまして、中部圏におきましては常滑沖ということでございます。しかし、これもやはり騒音あるいは環境等々の問題もクリアしなければなりませんし、また、漁業補償という問題の制約もあります。そういう意味で、どうしても日本空港をつくるに当たりましてはコストが高くなる。これも、我々、これから建設コストも削減していかなければならない。  また、着陸料、使用料等々の比較も先ほどございましたけれども、これも大変高い。しかし一方では、大変厳しい財政事情の中で財源を確保する、そういった中で空港整備するに当たっては、本来であれば一般会計、いわゆる真水で手当てするのが一番いいとは思いますが、そういった状況にない中で、今申し上げているように、こうした拠点ハブ空港をつくるには、いずれにいたしましても、財源の確保という面からも必要であるということはぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。  しかしながら、やはりせっかくつくったものが結果的に世界競争に敗れるようなことがあってはならない。そのためには、昨日からの御質問にもございますように、空港をただつくるということではなくて、まさに空港に対するアクセス、鉄道それから道路を含めたアクセスも非常に効率的、効果的なアクセス整備しなければなりませんし、また、物流そのものも、空港の周辺はもとよりですがへ効率化に向けての整備もしていかなければならない。単にこれは旅客だけの問題ではありませんし、先ほど委員が御指摘のとおり、中部地域は製造品の出荷が非常に大きなシェアを占めておりますから、ますます物流が多くなればなるほどそういった機能的な、効果的、効率的な整備も進めていかなければならない。  このように考えておりますけれども、財源の問題等々含めまして非常に今厳しい財政状況であり、また、日本における空港をつくるという条件が、なかなか土地問題、補償問題等々において難しい面があることもぜひ御理解をいただきたいと思います。
  63. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 先ほど藤井大蔵大臣といった話がございましたが、来るべき場面で大蔵大臣になっていただきました折には、こうした国家プロジェクト、ハブ空港などには真水導入をどんどんひとつ考えていただかなければならないと思います。今こそ大蔵省に運輸省は遠慮なく物を言っていただく、それが大蔵省も襟を正すいい要因になるのではなかろうかといった思いがあります。藤井運輸大臣には、どうかそうしたことも御賢察の上、これから堂々と運輸行政のために力量を発揮していただきますよう、特にお願いを申し上げる次第であります。  指定会社の形態について、もう既に二日間各委員から質疑がなされましたが、運輸省愛知県や地元経済界に示した事業主体の人員構成では、当初の人員を約百人規模とし、このうち国や愛知県など地元自治体が七割、民間が三割の比率で人材を派遣するとなっております。これにつきましては、地元では、官民の比率を六対四あるいは五対五にする案が非公式に練られておりましたため、一部に多少抵抗があるとも聞いております。  また、中部国際空港の建設は、民間活力の活用というプライベート・ファイナンス・イニシアチブ、PFIに位置づけられておりますが、国や自治体の仕事に経営的な手法を導入し、施設をつくる際、設計、施工、維持管理などを民間に開放する、まことに結構なことでありますが、本空港は、昨秋の緊急経済対策においてこのPFI手法を導入することとなり、民間活力を活用しての事業推進がうたわれております。今までの公共事業のように政府が先頭に立つのではなく、民間の後押しをしていく方式を積極的に取り入れるといったことですが、今回の事業方式にはPFIの精神がどのような形で生かされているのか、航空局長にお尋ねいたします。
  64. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 二つ御質問がございましたが、後の方から先にお答えさせていただきます。  先生指摘のように、中部国際空港整備管理当たりましては、PFIという考え方に沿ったものを考えておるものでございますが、これは、空港事業主体につきまして、関空のような特殊法人ではなくて、商法上の株式会社として地元の主導によりまして設立をされるものといたしまして、その会社が空港の運営を行うというのがまず第一の特徴でございます。それから第二に、当該会社に対する民間部門の出資比率を二分の一まで引き上げまして、民間のイニシアチブがより多く発揮できるようにする等の措置を講じているところでございまして、かなりPFIの考え方に沿ったものであると考えておる次第でございます。  そういたしますと、事業主体地元主導による株式会社でありますことから、先ほど御質問がありました第一の、職員構成が関西空港などに比べて民間比率を高める必要があるのじゃないかという点でございますが、その職員構成につきましても、今後さらに地元におきまして検討、調整が行われることになるものと思われますが、地元といたしましては、できる限りスリムで民間の人材を多く活用したい、このような御意向と聞いておる次第でございます。  運輸省といたしましても、こうした地元意向を十分踏まえまして、適切に対処してまいりたい、この結果、関空に比べまして、中部の場合は民間の比率が高まることになると考えております。
  65. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 特に愛知県では、冒頭に申し上げました、二〇〇五年の万国博覧会、そして、この中部国際空港など、民間資金が求められるまさに大型二大プロジェクトを抱えるときに、新空港は企業の投資不安をなくして、民間発想を生かし、効率的な建設計画採算性を向上させる事業計画が当然求められております。  そのために、官民でのチェックとバランスがとれるようにする一方、中部独自の柔軟な運営ができる組織が必要であり、職員構成も関空に比べ民間の比率を高める必要があるのではないかと考えるわけであります。  次に、出資割合についてお尋ねいたしますが、中部国際空港事業主体に対する国、地方自治体、民間出資割合は四対一対五とされていますが、このような出資割合とした理由について、これも航空局長にお尋ね申し上げます。
  66. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 中部国際空港は、空港整備法の上で我が国の国際的な拠点空港一つと位置づけられるものでございます。その整備当たりましては、国による財政支援が必要とされる一方で、この事業は民間主導のプロジェクトでもございます。民間意向が十分発揮できるようにする必要もあるわけでございます。  そういうことから、事業主体に対する民間出資比率を五〇%といたしまして、残りを国と地方公共団体が、事業主体に対する無利子資金の拠出による支援割合、これは関西空港のときに四対一となっておりますが、ここでも四対一になっておりまして、これを踏まえまして、それぞれ四〇%と一〇%を拠出する、こういうふうにしたものでございます。
  67. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 特に、愛知県というか中部経済界関西経済界と比較するとかなり基礎体力が異なるときに、民間五といったことは非常に負担である。そうしたことも念頭に置いていただきながら、国でもこれから大いにいろいろな場面で協力をお願い申し上げる次第であります。  引き続いて、事業スキームについてお尋ねいたします。  先ほども申し上げましたが、今回の事業スキームは概算要求時に比べ国の出資が大幅にふえております。国も大幅出資するが地域主導、民間主導と航空局長のお話がありましたが、そうした方針は決して変わっていないかということ。  また、民間会社による大規模埋め立てや空港建設、運営の例がないため、専門的なノウハウを有する国の職員を積極的に出向させるべきといった意見もあります。  二日間の審議の中で、それぞれ委員から、出向が多過ぎるのはいかがなものか、天下りはどんなものかといったお話がございますが、私は、個人的な考えですが、全く空港のノウハウといったものを民間が熟知していないときには、積極的に国から職員を出向させていただく。天下りにもいい天下りも多くあるのではなかろうか。天下りをことごとく否定するといったことは決して私は好ましくないといった気持ちを強く持つ次第であります。  強いて言えば、こうした大変な事業、財政状況厳しき折には、私は国から職員をたくさんいただく。本当にいい天下りをあるポジションに置くことが、この新会社、人質をとったようなことにもなって、非常に効果が上がるのではなかろうかといった気持ちを持つものであります。  その点について、航空局長から御意見がございましたらお聞かせを願います。
  68. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 先生指摘のように、事業主体の公的性格を強めたり、あるいは国の出資、その出資比率も大幅に引き上げるということを概算要求時に比べましてやったわけでございますが、あくまで地域主導、民間主導という方針に変更はないわけでございます。  また、事業主体の職員構成につきまして、これは今後会社あるいは地元におきまして検討、調整されることになるわけでございますが、私どもはやはり国等の持つ大規模埋立事業とかあるいは空港の建設、運営に係りますノウハウも必要とするという地元の御意向も踏まえまして、国といたしましても、この法律の十一条にございますが、技術的、人的援助につきまして必要な配慮を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。  このため、この法案の十二条におきましては、国等の職員が指定会社に出向した際の退職手当あるいは共済年金、こういったものの通算の特例を規定することによりまして、国等の職員の出向のための法的整備を行っているところでございます。
  69. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 どうか積極的に有効な人材を派遣いただきますように、そして、私ども議員が特に考えなければなりませんのは、出向が多過ぎるとか、天下りはけしからぬとか言う前に、やはりこうした国の関係する事業は、議員たる者がよくチェックする、絶えず目配りをすれば、決して問題が起こらないのではないかといった気持ちを強く持つものであります。  次に、税制面についてのお尋ねでありますが、中部国際空港は第一種空港であり、このような公共性の高い空港については、事業主体の財務体質の健全化を通じて、その適切な業務運営の確保を図るべきと考えますが、本空港に係る税制特別措置はどのようなものとなっているのかお尋ねをいたします。
  70. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 第一種国際空港であるということから、私ども税制要望の段階から関西国際空港と同レベルのものをいただきたいということを要望してまいりまして、現在そういった点が税制上の特別措置ということで、諸法案の中に、国会に提出されているわけでございます。  具体的に申し上げますと、まず第一に、中部国際空港整備準備金制度を創設いたしまして、同準備金として積み立てた金額を所得の計算上損金に算入するというのが第一点でございます。  それから第二点は、登録免許税でございますが、滑走路等の用に供する土地の登記及び会社に対する政府出資分に係る増資の登記につきまして、登録免許税を非課税にする、これが第二点でございます。  第三点は、不動産取得税でございますが、滑走路等の用に供する土地等の不動産について、不動産取得税を非課税とする。  第四点でございますが、これは固定資産税及び都市計画税でございます。滑走路等の用に供する土地等の固定資産につきまして、固定資産税及び都市計画税の課税標準を二分の一とする。  それから最後に、五番目といたしまして、特別土地保有税でございますが、中部国際空港の用に供する土地につきまして、これを非課税とする。  以上五点でございます。
  71. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 よくわかりました。  特に、鉄道はもとより、これから道路アクセスをよくするには当然地権者との交渉問題が発生するときに、特に税制面において特別措置をしっかり組み立てなければなかなか道路は進捗が思うようにならないといったような気もいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。  続いて、アクセスについてでありますが、中部国際空港の将来における需要見込みは、運輸省からの資料によりますと、二〇〇五年におけるアクセスごとの一日平均は、航空関連者で、道路が三万六千四百人、鉄道が四万三千二百人、海上が二千四百人、航空関連以外では、道路が一万九千七百人、鉄道が一万四千八百人、海上が千三百人と予想されると言われております。  また、空港島へのアクセスは、名古屋都心から三十分から四十分、六十キロ圏内の主要都市から約一時間を想定されていますが、中部国際空港は、国際ハブ空港として開港後、多くの路線ネットワ一クの結節点として大いに利用されなければいけない空港でありますが、空港へのアクセスが、今一番大きなポイントになっているのではないか。空港島本体はできても、交通アクセスが全く推し進められない、こうしたことがあっては、万博二〇〇五年同時進行と言われても、不便な空港になってしまいます。鉄道、そして海上、道路アクセス整備の検討状況はどうなっているか。  道路アクセスについては、きのう建設省の方が来て、いろいろ御説明がありましたが、まだまだ具体化するには非常に道遠しといった感がございました。したがって、きょうは特に、運輸省所管である鉄道、海上のアクセスについてお尋ねする次第であります。
  72. 小幡政府委員(小幡政人)

    ○小幡政府委員 交通アクセスの鉄道部分についてお答え申し上げます。  御案内のように、昨年の三月に中部国際空港推進調整会議の方から、アクセス整備方策案が取りまとめられたわけでありますけれども、この中で、鉄道のアクセスにつきましては、二点、方策案がまとめられております。  一点は、新空港開港時までに、名鉄常滑線から空港に至ります連絡鉄道施設を整備しますとともに、名鉄常滑線のスピードアップ、それに輸送力増強を図るというのが一点でございます。  二点目が、将来の航空需要の動向等を勘案しつつ、西名古屋港線を延伸いたしまして、新空港へ至る鉄道について、その整備に向け検討を進めるという、この二点でございます。  これを受けまして、現在、中部国際空港連絡鉄道施設整備協議会におきまして、事業主体となります第三セクターの設立に関する調整、協議が行われているというところでございます。運輸省といたしましても、この協議会に参画いたしまして、地元における計画の取りまとめに我々としても可能な限り御協力申し上げるということで、参画させていただいているところでございます。
  73. 岩村政府委員(岩村敬)

    ○岩村政府委員 海上交通アクセスでございますが、ただいま鉄道の方で御説明いたしましたように、中部国際空港推進調整会議という場で、アクセス整備の方策案が昨年の三月にまとめられております。  その中で、海上アクセスにつきましては、一つは、新空港旅客ターミナルに近接した位置に海上アクセス基地を整備するということ、それから二点目として、四日市港、津松阪港及び鳥羽港において地元市町村や運航事業者などで組織をいたします協議会設置して、検討を進めるというふうになっておるところでございます。  運輸省といたしましては、地元での協議会の結論、さらには地元の県の意向を踏まえまして、今後の需要動向、さらに事業の採算性などに留意しながら、その具体化について支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  74. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 きょう、午前中の質疑者からの御質問にもありましたが、今この中部国際空港で一番問題になっておりますことは、現在の名古屋空港のこれからの見通しといったことであります。名古屋空港周辺市町にとって、最も深刻な問題になっております中部国際空港は一元化が条件、さあ、そうしたときに、今までの名古屋空港はどうなるだろう。現在まさに中部の玄関であるのは名古屋空港であります。  一元化によって、地域事情が一変し、雇用や税収など、適切な対応をしなければならないと、地元住民が本当に頭を抱えております。二市一町、それぞれの首長も絶えず県に足を運んでおるのが現状でありますが、特に、名古屋空港の跡地利用というか跡の活用、例えば、チャーター便や、先ほど来のゼネラルアビェーション、コミューター航空などをもし残した場合、発着数の減少により、これらの面の使い勝手はよくなる可能性がありますが、入管や税関には多くの人員が当然必要であり、これを存続させることができるのかどうか。この名古屋空港において大きな問題とも言えます。  運輸省としても、まだまだ協議、検討中のことかと思いますが、後の活用といったことについて、多少なりとも構想がございましたら、お聞かせをお願いいたします。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 現在の名古屋空港の周辺の地域振興策につきましては、周辺の二市一町、春日井市、小牧市、豊山町、それと名古屋市、愛知県、その他地元経済界、学識経験者で構成をいたします名古屋空港将来構想検討会議というのがございまして、ここにおきまして、平成十年度中の構想取りまとめを目指して検討が進められているところでございます。  御質問がございました、名古屋空港の利用予測でございますが、一元化後の名古屋空港の利用につきましては、国際線国内線の定期便が新空港に移るということでございますので、愛知県が、小型機等のゼネラルアビエーション空港として活用したい、こういう意向を示している一方、防衛庁も、航空自衛隊によります使用を継続する希望があると聞いておるわけでございます。さらに、先ほど申し上げました名古屋空港将来構想検討会議におきましては、空港機能の活用を考えながら、地域振興につながる有効な方策について検討を進めているというふうに聞いておるものでございます。
  76. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 わかりました。  時間も迫ってまいりましたので、手短に御質問を申し上げます。  現空港の一部を地元が買い取ることについて、特に滑走路を除くターミナル部分など約百五ヘクタール、県が将来構想のたたき台を運輸省に提示し、一部を買い取ることになっているようであります。午前中の質疑者からもお話がございましたが、地元の負担軽減のため、購入価格はできるだ け配慮をいただきたいといった強い要請があります。この点について、でき得る範囲で結構ですので、お答えをお願い申し上げます。
  77. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 手短に申し上げます。  現空港の一部を愛知県または愛知県が中心となる第三セクターが買い取る意向があることは、私どもも承知しております。  いずれにいたしましても、その買い取りにつきましては、今後この案件が具体化いたしました段階で県と調整することになると思いますけれども運輸省といたしましては、この案件が国有財産であることも踏まえまして、適切に対処してまいりたいと思います。
  78. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 何分よろしく御配慮をお願い申し上げます。  特に、中部国際空港と言っておったころに一番難しい問題は、自衛隊との空域問題でありました。聞くところによると、解決がつくのではなかろうかといったことでありますが、その点について、もしお答えしていただけるようでしたら。
  79. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 なかなかこれは調整に時間がかかることでございますので、平成七年の十二月からスタートいたしまして、運輸省と防衛庁の間におきまして、中部圏空域利用調整会議というものを発足させました。そして、相互に必要とする空域につきまして調整を鋭意実施いたしました結果、中部国際空港及び周辺の自衛隊飛行場、これは浜松とか明野とか、それから今ございます小牧、こういうのがございますが、こういう周辺の自衛隊飛行場の運用の両立を図ることは可能であるということの認識を有しておるものでございます。
  80. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 それでは最後の質問に入らせていただきます。  国際ハブ空港整備に当たっては、我が国の国土事情を考えてみますと、航空需要を有する複数の大都市圏においてハブ空港設置し、これらが連携して我が国の交流基盤としての役割を果たしていく必要があると言えます。その意味では、中部国際空港整備は、地域にとって重要なばかりでなく、我が国全体として、また国際交流の観点から見ても必要であります。積極的に推進するべきであると確信しておりますが、最後に、このプロジェクトに対する、地元ゆえに特に中部は最も期待する運輸大臣でもあります、この決意をぜひお聞かせいただきますよう、お願い申し上げます。
  81. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、来るべき二十一世紀においでますます増大するであろう内外の交流、あるいは大航空競争時代に備えまして、航空ネットワークを基盤として、高度な人口あるいは産業集積を有するこの地域におきまして、この拠点空港が、二十一世紀中部圏地域の重要なプロジェクトであることはもちろんでありますが、発展する礎となるべきものと位置づけております。  そういう中で、第七次の空整におきましても最優先課題としてこの整備を推進することとしておりますので、先ほど来申し上げておりますように、今後とも、国はもちろんでありますけれども、地方自治体、民間の皆さん方あるいは関係地域の皆さん方、三位、四位一体となりまして、二十一世紀、そして、二〇〇五年の愛知万博に間に合わせるべく最大限努力をしてまいりますので、江崎委員のまた御指導、御協力のほどを心からお願い申し上げる次第でございます。
  82. 江崎委員(江崎鐵磨)

    ○江崎委員 これからも藤井運輸大臣の強力なリーダーシップのもとに、この中部国際空港が必ずや二〇〇五年には開港できるように、大いに御尽力と御活躍をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  83. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 次に、平賀高成君。
  84. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。  私は、早速、まず空港の一元化問題から質問をさせていただきます。  東海地域国際空港をつくろうというこの計画が登場したのは一九六六年にさかのぼるわけでありますが、実際に本格的に具体化をされたのは一九八二年の中部経済連合会の二十一世紀中部ビジョンと言われ、中部圏の開発と一体となった開発型の空港として検討されてきたわけです。九五年六月の第七次空港整備五カ年計画中間答申によりまして、一元化を愛知県は突然受け入れまして、愛知万博の決定以来、財界をバックにしまして、愛知県は万博開催に中部国際空港開港を目指すとして、現名古屋空港周辺市町村の一元化反対の動きや、さらには常滑沖を漁場としている多くの漁民の皆さんの反対運動など、こうした関係の住民の皆さんの声をほとんど十分反映させることなく、空港整備を強行してきたわけです。  私は、ここにも持っておりますが、中部国際空港の建設推進に係る要望書、こういう要望書で、関係の市町村の署名を強要するということを愛知県はやっているわけですが、こういう実態大臣は御存じでしょうか。
  85. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 詳しくは存じ上げておりませんが、いずれにいたしましても、こうした大きなプロジェクトを整備する場合、あるいは新幹線の整備を進める場合におきましても、いろいろな地域の御意見があること、そして、それがいろいろな形であらわれることは当然なことだと思います。我が国は民主主義の国家でありますから、いろいろな意見を集約しながら、そこでその地域の皆さん方の最大公約数といった、そういったコンセンサスを得ながら大きなプロジェクトについて進めていく、これが基本であると思います。ですから、そういう御意見があるということは承知いたしておりますが、こうした大きなプロジェクトを遂行する場合には、いろいろな意見があることは当然のことだと私は思っておる次第でございます。
  86. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 実際にそうした動きがあるということは御存じだという話でありましたが、政府は、特に運輸大臣と三塚大蔵大臣が、昨年十二月二十四日に、「現名古屋空港における国内・国際定期航空路線については、中部国際空港開港時に同空港へ一元化する」という連名の取り決めを行っております。こういうことができるというのは、これは愛知県の方から、さまざまな自治体との関係で地元の合意をつくったとか、さらには一元化を責任を持ってやっていく、こういう文書が上がっているから、取り決めをやったのですか。
  87. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 まず、私どもがなぜこの一元化を前提とするかといった理由でございますが、関西圏あるいは首都圏、そういったこととの比較において、例えば関西は二つ空港があるではないかというような御意見もあるわけでございますけれども中部の場合は、例えば近畿圏などと比較した場合に、相対的に数字が少ない。したがって、やはり経済的にこの空港を運営していくためには、どうしてもそれを全部一元化をして新空港にやるべきである、こういったところから進めておるんだということをまずお話しを申し上げたいと思います。  そして、私どもの方も、中部国際空港整備につきまして地元状況がどうかという点につきましては、昨年の十二月に地元の二市一町の首長さんから愛知県知事に、定期便の存続は極めて困難であるとの認識を明示した上で、一元化を前提とした地域振興策等の要望が出された、そして、これを受けて、知事からは、県として責任を持って一元化を行っていくとの文書が運輸省に提出されたわけでございます。これらによりまして、一元化についての道筋がついているものと考えております。
  88. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 今、二市一町の地元の合意があるというお話がありましたが、私もその文書を見ましたけれども、これは両方の内容が書いてあると思います。一つは、ここの定期便を存続する状況が非常に厳しいということと同時に、もう一方で、地元の振興策がなければ同意できないという、読み方によってはどちらにもとれるような、そういういわば苦渋の選択とも言えるような文書であったと私は思います。特に、そういう地元の合意文書というものがいろいろあると思うのですが、私 は、これは現地の住民の皆さんの意見を正しく反映されているとは思えないのです。こういう今のやり方というのは、成田空港の建設のときのような、言ってみれば見切り発車だと私は思わざるを得ないんです。こういうふうなやり方をぜひやめていただきたいということで、昨年の十二月の十六日に私は申し入れもやっているんですが、この点についてどういう指導や是正がされたか、お聞かせいただきたいと思います。
  89. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 私どもの方は、この愛知県知事という、県として責任を持って一元化を行っていくという文書が運輸省に提出されましたので、これをもとに、閣議後の閣僚懇談会におきましても、運輸大臣がこれを報告をするといった形でこれを認め、一元化についての道筋がついていると考えておる次第でございます。
  90. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 今、経済対策の閣僚会議で決定をしているというふうなお話もあったんですが、これは昨年の十一月、「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」ということで、「中部空港については、二〇〇五年の愛知万博の開催をふまえ、PFI手法も活用しつつ、定期航空路線の一元化等の諸問題の早期解決を図り、予算編成過程における結論を得て、その整備を推進する。」と述べているわけです。私はへこういう決定をどんどんされていきますと、地元の住民団体や漁民の皆さん、こういう人たちにいろいろな形での圧力をかけることになることは明らかだと思います。私は、県も県ですけれども、こういうことを次から次へとやっていく国の方も国の方だと思うんです。  それで、実際に政府の経済対策の決定というのは、成田空港の強引なやり方を反省しまして、九四年の二月に航空局が公表した「空港地域との共生に関する基本的な考え方について」の文書があります。この精神に反することになるのではないかということを私は聞きたいと思います。
  91. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 私どもは、成田空港の問題につきましては、先生も御存じのとおり、地域づくりと空港つくりというものはやはり一体的に考えなければいけないということで、あのような共生策というのを出しておるものでございますけれども、今回の中部国際空港につきましても、いわゆる中部方式地元で言われておるようでございますけれども、国と地方公共団体民間が一体となりまして、中部国際空港に関する推進調整会議というようなものを持ち、十分にいろいろな調査も重ねてやったものでございますので、そういった意味で適切なプロシーダーを踏んでおるものであると考えております。
  92. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 その文書の中に、二ページ目に書いてあるんですが、「空港の立地にあたっては、基本的に、地域の納得を得るための丁寧なプロセスが求められるところであり、相互理解を深めながら段階を追って話し合いを深め議論を尽くしていくという民主主義社会の基本的なあり方を踏まえたきちんとした対応が必要」だ、こういう文書を航空局自身が出しているわけです。私は、こういう文書まで出ているわけですから、やはり地元の合意をつくる上では、本当に丁寧な対応が求められていると思います。  それで、実際に現地の事情というか実態を言いますと、例えば、空港があります豊山町の議会では、一昨年の十二月と昨年の十一月の二回にわたって名古屋空港国内線存続に当たっての決議が上がっております。愛知県は豊山町に対して、空港予算を獲得するためには運輸省と大蔵省への地元合意文書の提出を迫られているとして、町長に対しては、議会に諮らず町長の権限で提出せよ、こういう連日の催促がされているわけですし、町議会の議長に対しては、これは議会に諮らず正副議長と三人の常任委員長の了解を取りつけて十月中に一元化容認の要請文を出すようにと、副知事や部長が訪れて一元化を認めるようにという盛んな攻勢がかけられているというのが実態です。  豊山町では、現地で、名古屋空港の定期航空路の廃止につながる中部国際空港への一元化並びに自衛隊小牧基地の強化についての住民投票に関する条例制定の請求が行われて、これで署名が集まりまして、十二日の日に町議会に上程がされて、二十日の日に採決がされる、こういう予定になっています。  さらに、豊山町以外で、今度は美浜町で騒音対策と漁業の問題で、愛知万博に間に合わせるということで中部国際空港をどんどん建設することは反対だという、こっちの方も住民投票をやる請求が、千九百二十八名の署名が集められて選挙管理委員会に提出をされております。  政府は、愛知県からいろいろな形での合意文書だとかそういう一元化合意というようなさまざまな決議が上がるかもしれませんが、私は本当に、成田の教訓を踏まえてみましても、地元の皆さんがしっかりと合意をかち取る以前にどんどん見切り発車で進めるというやり方は、またしても同じ轍を踏むことになるわけですから、絶対にやってもらいたくはありません。この点で、間違っても、地元の反対運動や漁民の皆さんが反対しているにもかかわらず見切り発車は行わない、こういう言明をぜひ大臣にやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  93. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、こうした大きなプロジェクトを推進するに当たりましては、いろいろな意見があるということは十分承知をいたしております。  そうした中で、関係市町村、県、そういう各地方自治体の皆様方の御意見、そして御決議、さまざまな形で出てまいりますけれども、今回のケースも、そういった地元関係市町村の集約されたものを受けまして私どもはこの事業を進めてきたところでございますし、また、二〇〇五年というのも地元の強い要望がございます。しかし我々は、たびたび私も答弁をさせていただいておりますように、環境アセスあるいは漁業補償といった問題もやはり御了解を得ていただき、その上で、二〇〇五年に間に合うべく最大限努力をしていきたい。  したがいまして、地元の県、関係市町村のいわゆる御尽力をいただかなければ、二〇〇五年に間に合わないということも当然考えられるわけでありますし、決して私どもは性急に事を進めるというつもりで申し上げているのでは全くございません。
  94. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 重ねて伺いますが、航空局が出しているこの文書、本当に住民合意をつくるために丁寧に対応する、この立場でやっていただけるんですか。
  95. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 当然そのことを基本に置いて、しかし、いずれにしましても、主体はやはり地元の皆さん方のコンセンサスがどういう形で出てくるか、御理解をいただけるかということが一番大事でありますから、そういった環境アセスにつきましても漁業補償につきましても、まさに地元皆様方、あるいは県の御当局の皆様方の御努力を期待いたしたい、このように思っている次第でございます。
  96. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 この点では、本当に民主主義のルールをわきまえて対応していただきたいと思います。  次に、航空需要の問題で質問をいたします。  本法案の提案理由では、二十一世紀の初頭に現名古屋空港処理能力限界に達するというふうなことを一方で言いながら、中部圏空港の一元化を九六年十二月の閣議で決めているわけです。どうしてこのような閣議をするようになったのか、この理由を述べていただきたいと思います。
  97. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 まず、名古屋空港の現在の離着陸回数、これが平成八年度におきまして約十万五千回でございます。そして、その内訳が、定期便約七万一千回、自衛隊約一万三千回、その他が約二万二千回となっております。  中部圏における今後の航空需要の見通しにつきましては、二〇〇五年度におきまして、国際旅客約五百万人、国内旅客約七百十万人、合計約千二百十万人というふうに予測されるわけでございます。また、二〇二五年におきましては、国際旅客約八百三十万人、国内旅客約千二百二十万人、合計約二千五十万人を見込んでおるところでござい ます。  こういったところで、滑走路等処理能力につきましては、七次空整の需要予測をもとに、航空機材等を想定して算定された離着陸回数等から見ますと、二十一世紀初頭には限界に達すると予測されるわけでございます。  また、先ほどもちらっと申し上げましたけれども、なぜ一元化になるかという点でございますけれども中部国際空港国際ハブ空港として整備されるものでありますけれども、今申し上げましたような次第で、中部圏航空需要は、二〇〇五年において、国際旅客五百万人、国内旅客は七百十万人、二〇二五年においても、国際旅客八百三十万人、国内旅客千二百二十万人、こう予測されておるわけでございまして、これは、現在、平成八年度の例えば近畿圏の航空旅客実績が約三千万人ということに比べた場合には、かなり相対的に少ない数値であるわけでございます。  この程度需要の規模でありますれば、国際、国内の乗り継ぎ等の旅客利便の確保空港経営上の採算性確保等の観点から、すべての定期便を一つ空港で扱う必要がありまして、そのため、現在名古屋空港に就航している国際及び国内のすべての定期航空路線を新空港に就航させることが不可欠と考えており、年末におきましては、そのような前提で決定をしたということでございます。
  98. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 私は、なぜそういう閣議をしたのかということを聞いたわけで、回数のことを聞いたわけじゃないのです。ただ、一つ利用者の利便性と、もう一つは採算の問題だという趣旨であったと思うのですが、私、お話を伺っていまして、これは利用者の利便性ということも当然あるかと思うのですが、より根本的には、これは採算の問題が大きな問題だ、私はそういうふうに認識をしております。そういう認識で間違いありませんか。
  99. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 この需要の規模ということを考えた場合にやはり大きいのは、空港経営上の採算性確保という点でございますが、やはり国際、国内の乗り継ぎといった意味での旅客利便の確保、これもなかなか捨てがたい点でございまして、やはりすべての定期便を一つ空港で扱う必要があると考えておる次第であります。
  100. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 採算が重要だ、そういう点についてはお認めいただけたと思います。  それで、実際に、今の名古屋空港実態というのは、今お話しになったように、離発着の数で言われておりましたので、私の方は着陸の数で言いますと、大体年間六万回の着陸回数で、九六年度の実績は五万二千七百二十八回、こういう資料をいただいているわけですが、現空港処理能力が二十一世紀初頭に限界に達する、こういう予想がされると言われておりますが、現瞬間でもこれはまだ満杯になっておりません。きのうも他の党が伺ったと思いますが、国内旅客それから国際旅客合わせて、許容量の何%の利用実績なのか、この点について伺います。
  101. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 現在の名古屋空港、二千七百四十メーターの滑走路一本で運営しておりまして、その処理能力が年間約十二万回でございます。したがいまして、平成八年度の離着陸回数十万五千回というのについて、約八割ぐらいの充足度になっておると……(平賀委員国際線国内線だけでいいです」と呼ぶ)定期便が七万一千回でございますから、十二万回に対して定期便は約七万一千回。先ほど申しました自衛隊とかゼネラルアビエーションなんか全部入れますと十万五千回、こういうことでございます。(平賀委員「定期便だけだと」と呼ぶ)定期便だけでございますと、約六割ぐらいになるということでございます。
  102. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 今伺いまして、現時点でも航空の供給の方に余裕があるわけですし、それから、現時点の使用実態からいいましても、国内、国外線合わせて大体六五%というのが今の実態だと伺いましたので、私は、こういう現状を踏まえまして、現名古屋空港を定期航路優先のそういう空港に位置づけていくならば、自衛隊の方や、あと小型機などについても少し抑制していただいて、国内、国外の定期便を優先する、こういうふうな取り扱いをしていったら、二十一世紀の初頭になっても、もうしばらく対応することは可能だと思いますが、大臣の見解をちょっと伺いたいと思います。
  103. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 私どもの予測では、二十一世紀初頭には名古屋空港限界に達するという前提に立っております。いま一つ委員のおっしゃられることはわからないわけではございません。ただ、これから二十一世紀、この中部圏というものを狭い範囲で見るのではなくて、まさに国際航空競争時代というものを控えて、我が国が貿易立国として成り立っていくために、また、昨日来よりたびたび御質問がありましたように、近隣諸国におきましても巨大なハブ空港がどんどん建設されていく、このままで、我が国の三大都市圏ハブ空港等々の整備をここでやめるということになれば、まさに国際競争から立ちおくれる、そういうことも勘案し、また二十四時間使える空港という観点からもやはり必要ではないか。さまざまな観点、そして中部地域活性化するということは、結果的に我が国活性化発展につながる、そういう観点からも、ぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  104. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 いろいろ空港が必要だという趣旨のことは、私もわからないわけじゃないのですが、しかし、だからといって、直ちに空港建設というわけにも私はいかないと思います。それはやはり、今の財政事情を見ましても、これは国を挙げて財政構造改革だというような状況でありますから、私はその点をぜひ考慮に入れるべきだと思っています。  特に、一元化をしないと供給が過剰になって中部国際空港採算性がとれないことや、さらには、現在の実態はまだ余裕があります。工夫をすれば、まだ私は、対応することができると思います。それにもかかわらず、二十一世紀の初頭に現在の名古屋空港の定期便を閉鎖して、あえて中部国際空港をつくる、こういうことをやることについて、私はやはり納得をすることができません。  実態がどうなっているのか、私は、空港利用実態と、それから地元負担について質問をしたいと思います。  私はせんだって、名古屋空港に実際に行ってきました。びっくりしたのは、現在の名古屋空港は、国際線のターミナルビルの拡張工事をやっているのですね。それは結構大規模な工事をやっていました。それから、空港に行く途中に、これは名古屋高速道路の名古屋小牧線の工事がやられていましたし、さらには、これに連結するような、県単独の拡幅工事も行われておりました。なくそうというのに、ところが逆で、拡張工事をやっているわけですから、びっくりしたわけですが、今、この工事について、ターミナルビルは一体幾らの工事をやっているのか、それから、高速道路の建設は幾らの工事をやっているのか。これについて、運輸省と建設省の方から教えていただきたいと思います。
  105. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 国際線ターミナルビルの拡張に係る事業費について、私の方からお答えいたします。  近年急増をいたしました名古屋空港国際線需要に対応するために、平成五年度から、エプロン、駐車場等の国際線ターミナル地域整備を進めておりまして、これに要する事業費は約三百四十億円でございます。  また、御指摘のターミナルビルにつきましては、名古屋空港ビルディングが事業主体として建設しておりまして、事業費は約二百二十億円と聞いております。
  106. 久保田説明員(久保田荘一)

    ○久保田説明員 お答え申し上げます。  名古屋高速道路の名古屋小牧線でございますが、これは、名古屋環状二号線の楠ジャンクションから名神高速道路の小牧インターを結ぶ八・二キロの都市高速道路でございまして、名古屋圏の幹線ネットワークの一部を構成するものでございます。平成五年度に都市計画決定がされまして、 六年度から事業を進めております。現在、名古屋高速道路公社におきまして、橋梁の下部工とか上部工をやっているところであります。これに要する事業費は約一千五百億というふうに考えてございます。
  107. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 これらの金額を見ましても、これはなかなか大変な額だと思っています。私は、現空港利用者の利便性を考えなくてもいいとは思いません。しかし、二十一世紀の初頭にはここの定期航空便を閉鎖して新しい国際空港をつくるというわけですから、こういうことをやっていきますと、新しいむだをつくりかねないのではないかという危惧を抱かざるを得ませんでした。決して、道路の問題というのは、名古屋空港だけに使っているというふうな問題ではないかもしれませんが、しかし、実際にそういったところにつながっていくわけですから、私はそういうふうに思わざるを得ませんでした。  それから、現在、政府の方も財政構造改革だということで、昨年の十二月にはこういう新たな法案も通したわけで、実際に第七次の空港整備五カ年計画も七年に延長しまして一年間の建設費を下げる、こういうことをやっている状況であるにもかかわらず、なぜこの時期にこのような巨大なプロジェクトを、しかも急いでやらなければならないのか、私はやはり納得することができません。特に、二十一世紀の初頭までにこのような空港を建設しなかったならば、この中部圏の経済が直ちにパンクをするような状況にあるとお考えになっているのでしょうか。
  108. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 現在の名古屋空港国際線ターミナルの拡張あるいは周辺道路の整備、こういった点につきまして御指摘がございましたが、先生も御質問の中でおっしゃっておられますように、やはり現在の利用者に多大な迷惑をかけておる状況でございますので、私たち、それは対応しなければいけない。それから、道路につきまして、先生もおっしゃっていましたように、やはり一元化後の地域振興全体といいますか、そういうものにも必要なものであろう、こう思っておりますし、やはりこういったものにつきまして整備を進める必要がある力  具体的に申し上げますと、現在の国際線のエプロンとかターミナルビル等の施設、これは名古屋空港がもう国際線中心に非常に大きな勢いで急増をしておるものですから、これは施設が十分でなくて、増便の要望にも十分な対応ができないこととか、ビル内の混雑によって利用者に非常に大きな迷惑をかけている状況でございます。したがって、先ほど申し上げましたようなスケジュールで何とか早く整備をするということ、新国際線旅客ビルにつきましては、平成十一年春ごろの供用開始を予定しておるところでございます。  やはり中部国際空港開港までには一定の期間があるわけでございますので、その間の国際需要に対応するためには必要最小限の施設は整備する必要があり、一元化の考え方と矛盾しないというふうに考えております。
  109. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 経済振興の観点から、やはり空港建設も必要だというお話がありましたが、私は、この数年間で六十兆円も公共事業につき込んできて、なおかつ現在の水準にあるということで、こういうふうなやり方は経済の活性化にもなかなかつながっていないんだということをひとつ指摘をしておきたいと思います。  それから、現在、地元愛知県は、空港建設の本体以外に、関連してさまざまな工事が予定をされています。例えば、鉄道だとか道路や橋の問題、さらには前島の埋め立て、これらを含めますと、大体、少なくとも一兆円から一・二兆円の、そういう巨額の仕事をやらなければならない、こういう状況になっています。  それで、愛知県の九八年度の累積債務、県債の残高の見込みというのは、九八年度の末で二兆五千三百七億円です。この累積赤字額は、愛知県の年間予算額二兆七千百一億円に匹敵する莫大なものです。しかも、空港本体以外の関連事業で一兆二千億、これも愛知県の一般財源一兆三千八百九十九億円とほほ同額です。これだけ大きな負担を愛知県は受けるわけです。  しかし、愛知県の実態というのは、大変今景気が深刻な状況にありますし、結果として、これは住民の肩にかぶさっていくわけです。中部国際空港関連投資だけで、東海総研の試算によりましても、二〇〇五年までに約一兆三千億円、二〇二五年までに約三兆円の建設投資が行われる必要があると言われていますが、愛知県の負担がどれだけになるのかということはつかんでおられますか。
  110. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 正直申し上げまして、愛知県が具体的にどれぐらいになるのかということについては、承知しておりません。  先生指摘中部国際空港の関連プロジェクトにつきまして、現在愛知県から聞いておりますのは、地域開発用地の埋め立て等の関連プロジェクトの総事業費が八千億円から八千五百億円と想定しているというふうに聞いておる次第でございます。  この数字は、あくまでも現時点での概略の推定でございまして、今後、計画の進展に合わせて精査されるものと聞いております。
  111. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 私が先ほど一兆二千億円の関連プロジェクトがあると言ったのは、二月の二日に愛知県の県議会で出された資料に基づいて言っている数字です。  それで、そういう愛知県の実態そのものをつかんでいないこと自身が、私は重要な問題だと思うのです。大阪の関空で、関連事業がありまして、泉佐野のプロジェクトの問題があって破綻をして、今、実際に、ゼネコンがその負担をするのか、自治体が負担をするのか、銀行が負担をするのか、これで裁判までやっているのが実態でありますから、こういう事業でやはりもしうまくいかない場合の負担を一体だれが持つのか、こういう点についてもしっかりとした対策を持たなければ、私は本当に責任ある対策は打つことができないと思います。  次に、漁業問題について伺います。  空港をつくろうとしている常滑沖の海域は、今の伊勢湾の漁業から見ますと、本当に重大な場所に当たるわけです。この常滑沖の海域の果たしている役割について、農水省の方から一言お願いします。
  112. 林説明員(林建之)

    ○林説明員 お答えいたします。  常滑沖水域におきましては、沿岸水域では、アサリ等の採貝漁業あるいはノリ養殖業が行われております。また、沖合水域におきましては、シラスあるいはイカナゴ、エビ等の漁船漁業が行われているところでございます。  なお、この水域の沿岸部には、藻場でありますとか干潟とかが多く分布しておりまして、伊勢湾におきます水産資源の生息あるいは生育の場として重要な役割を果たしているものと考えております。
  113. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 今言われましたとおり、ここの海域というのはまさに伊勢湾漁業の心臓部ともいうべき大事な場所です。ここの浅瀬について魚が産卵をし、隠れて、そこで大きくなっていくわけでありまして、まさにそこから魚がわいてくるというような貴重な場所に当たっています。ここで実際に愛知県、三重県の漁民の皆さん、全部合わせますと一万三千人を超えます。そういう人たちが、もしここがなくなったら我々は一体どこで漁業をやるのか、こういう深刻な問題にもなっているわけです。  それで、今、この空港建設に当たりまして、漁協の代表者のところにもさまざまな合意がいろいろ働きかけられているわけですが、例えば、知多半島の一番先に日間賀島とか篠島という島があるのですが、日間賀島の漁協では、漁民全員がこれは反対だ、ところが県漁連の方にいきますと、さまざまな圧力によってこの決定が覆されるような対応をせざるを得ないという、まさにこういう実態に置かれているわけです。  それで、実際にここの海域がつぶれますと、三重の方も、伊勢湾で漁業をしている人たちみんなが大変な状況に追い込まれるわけですので、特に 日間賀島の漁協の皆さんから言われますと、後継者が非常に多いのです。三十代の後継者がたくさんいます。日間賀島でも人口二千三百人のうち五百名が漁業をやっている状況で、そういう人たちがこれから三十年、四十年と漁業をやろうと思っても、一たんこれが壊されますと不可能になるわけですから、ぜひ、こういう漁協の皆さんとの合意をつくるに当たっても、本当に現場の人たちの声をよくつかんでいただいて、仮にも、現場と組合長の意見が違って、それで合意が成立しましたというおかしな実態は何としても避けなければいけないと思いますが、この点について、ちゃんとした合意を最後までとっていただけるかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。
  114. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 漁業関係者との調整につきましては、現在のところは、新空港整備に向けての当面の課題であるボーリング調査等について、愛知県漁連の合意を得るとともに、三重県漁連からも、同意はしないが、調査の実施を妨げないとの回答があったところでございます。  今後とも、地域と連携をいたしまして、漁業関係者の御理解を得つつ、新空港の円滑な整備が進められるよう努めてまいりたいと存じております。
  115. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 ぜひこの点でも、航空局において成田空港の反省の上に立って対応していただきたいと思います。  それで、時間もありませんので、今まで私は、一元化の問題や地元負担、さらには漁業問題などで質問をしてきましたが、私は、昨年の二月二十一日の運輸委員会の中で、空港建設の問題では、愛知万博と逆算で、こういうやり方はやるべきでないという質問も行いました。当時の古賀運輸大臣は、私も空港建設と万博は別個の問題だと認識をしている、こういう答弁がありましたし、地元の合意をつくるに当たっても、これは地元の共生の視点を十分踏まえて対応したい、こういう答弁があったわけです。  しかし、実際に愛知県の行っている対応というのは全く逆の対応で、一元化の問題でも地元合意や漁業問題、騒音問題、こういう合意を丁寧につくり上げていくことでは、一貫して強引な対応をしてきました。ですから、私たちは現地での合意というのは実質的にはできていないというふうに思っておりまして、こういう実態をこのまま見過ごすことになりますと、これは成田の二の舞になるわけですから、こうした経済情勢や政治情勢のもとで、あえて愛知万博があるからということで、逆算で急いでこのような大規模プロジェクトをやる必要はないということを私は強く訴えまして、私の持ち時間での質問を終わらせていただきます。
  116. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 次に、瀬古由起子君。
  117. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  残り時間、質問させていただきます。  騒音問題でも愛知県は、九七年の三月に公表した資料で、うるささ指数が七〇以下におさまることで問題なしとしております。地元の美浜町では、住民の六割を超える一万千六百三十二人の方が、計画の見直しを求める区長会の陳情を受けて、九七年の六月に飛行経路の見直し等を求める要望書を県に提出しています。県は、離陸後の飛行コースの百メートルの沖出し、このように言っていますけれども、百メートルではとても納得できない、このような地元の皆さんの声があります。事業主体として出資金の四割を拠出する国として、この騒音の問題をどう解決していくのか、大変重要な問題だと思うのですね。  先ほど大臣がお答えになりましたように、日本は民主主義の国だ、そういう点でいうならば、住民の声、特に被害の大きい美浜町の声をきちんと聞いてこの問題を解決すべきだ。まさか、この美浜町や住民の声を無視して空港建設を強行するということはないでしょうか。お聞きいたします。
  118. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 お答えいたします。  中部国際空港計画立案に当たりましては、航空機騒音にかかわる環境基準を守ることはもちろん、陸域への騒音の影響を極力抑える計画とするよう努めてきているところでございます。また、愛知県が中心となって、住民に対しまして計画案や環境影響予測の説明を行いまして、理解を深めるよう努力が行われているところでございます。昨年三月の空港計画案や環境影響予測案の中間まとめの公表後も、これを地元に説明をいたしまして、その要望にこたえて、空港位置をできるだけ陸域から離すなどの対応が図られてきているところでございます。  これらのことから、地元の理解は深まっていると考えておりますが、愛知県は今後とも、他空港の相当地点における騒音の体験などを通じて、不安が解消されるよう努めていく予定と聞いておるところでございます。
  119. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 理解が深まることと、実際にはそれをオーケーする、了解するということとは違うわけですね。そういう意味では、県では問題ないけれども地元はこれでは納得できない、こういう場合には、少なくとも一番被害のあるこうした町民の意見を尊重して進める、こういう立場から運輸省はこの建設問題、騒音問題を考えるべきであると思いますけれども、それでいいですか。
  120. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 私は、たびたびお答え申し上げておりますように、この中部国際空港整備するに当たりまして、環境アセスメント、それには当然騒音の問題等々が入りますし、また漁業補償につきましても、地域住民、地元住民関係者の御理解を得つつ進めるということを申し上げておるわけであります。それは一に、地元愛知県であり関係市町村、そして、関係者の皆さん方のお互いの努力によって、御尽力によって解決するもの、このように信じておるところでございます。
  121. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 関係の自治体、関係住民の皆さん、その方々に理解していただけるように、きちんと誠実な対応を運輸省としてもするべきだというように考えます。  そこで、空港建設の事業にかかわってのアセスメントが実施されることになりますけれども、今まで行われてきた環境調査というのはこのアセスメントに含まれるものではないと思いますけれども、いかがですか。
  122. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 これまでの中部国際空港にかかわります環境影響予測につきましては、空港計画案の作成段階におきまして、その計画案と一体のものとして行われてきたものでございます。今後行われる環境アセスメントにつきましては、中部国際空港事業化当たりまして、環境影響評価制度に基づいて事業者が行うものであります。
  123. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 事業主体が新しく環境影響評価をやるという問題ですけれども、実際には、住民の本当に納得できる環境アセスメントをする場合に、新しい環境評価法に基づいてやるべきではないか、それが今、環境に配慮する空港だというように運輸省も言ってみえる趣旨からいっても当然だと私は思います。特に、環境のアセスを行う場合には、いろいろな事業主体がばらばらに行うのではなくて一体のものとして行う、このことが大変大事ではないかと思うのですね。一つのところでゴーサインしたら、あとのところはいろいろ問題があっても強行するということが出てまいりますので、その点では、新しい環境評価法に基づいた形で、一体のものとしてアセスを行うべきだというように思いますけれども、いかがでしょうか。
  124. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 中部国際空港につきましては、平成十年度に事業に着手する予定でございます。そのため、アセス手続の実施も、アセス法の施行でございます平成十一年六月前となることから、基本的には現行制度で実施することとなるものと考えております。しかし、この場合でありましても、アセス法の趣旨を生かした対応を工夫したいと考えておりまして、具体的には、アセス法に基づき今後策定される技術的な指針を踏まえまして、現行制度との相違点などを吟味した上で、できる限りその趣旨を生かして対応するよう事業主体を指導してまいりたいと思います。  二点目の、空港だけでなく全体のプロジェクトを含めて一体として取り組むべきではないかとい う点でございますが、環境アセスメントは現在、通常事業ごとに実施されておりまして、現行の閣議アセスにおきましても、新アセス法におきましても、個別の事業ごとに実施することとされております。中部国際空港にかかわります環境アセスメントにおきましても、こういった実情というものを踏まえた考え方で行われるものと考えております。
  125. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 今言いましたように、ばらばらでは本当に、あなたたちが言っている新しい環境アセスメント法の趣旨に基づいた形ではなかなか生かされない、そういう点では、全体的な形で、一体のものとして、やはり責任を持ってやるべきだというように思います。  そのためには、住民からも御意見が出ておりますから、一定の時間が必要な場合も出てまいります。そういう点でも、先ほどお話がありましたように、何が何でも二〇〇五年に間に合わさなければならぬという形でやりますと、無理が生じてくるわけですね。きちんとした、住民が納得できるアセスメントをやることが大変大事だというように私は思っております。  時間がございませんので、二点目に入ります。  もう一つは、官官接待の問題です。  今、大蔵省の接待、腐敗問題は、大変大きな問題になっております。朝日新聞の九五年九月三日付の報道によりますと、愛知県の情報公開資料で、中部国際空港の建設を推進しております愛知県の航空対策局の九四年十月から九五年三月までの食糧費は、半年で五十四回、千四百万円に上った、年間二千万円を超えるという報道をしております。三日に一回の割合で官官接待が行われておりました。同じ日に二十二人が飲み食いする懇談会が二回も行われて、一日百万円を超えている、こういう場合もあったと報道しているわけです。  この時期は実は、九五年六月に、知事が名古屋空港の定期便を新空港に移転を約束する、いわゆる一元化、これが問題になっていたときです。そして、九五年の八月には定期便の移転を前提に事業の推進を図るという第七次五カ年計画の中間報告が取りまとめられる、こういう時期、その直前に猛烈な官官接待が行われていたのですね。  運輸省、この期間に愛知県の航空対策局に出向していた職員は何人でしょうか、その役職とあわせて教えていただきたいと思います。また、運輸省の航空局の職員がこの間に愛知県の航空対策局関連で出張した件数は何件でございますでしょうか。
  126. 梅崎政府委員(梅崎壽)

    ○梅崎政府委員 お答え申し上げます。  まず、出向者でございますが、平成六年度の下半期におきまして、運輸省から愛知県の企画部の航空対策局に出向していた者は五名でございます。  この五名のポストは、航空対策局長、航空対策局の調査課長それから調査課の主幹、調査課長補佐、調査課の主査、以上でございます。  それから出張者でございますけれども、同じく平成六年度の下半期におきまして、運輸省の航空局の職員で愛知県庁へ出張いたした者、これは二名でございます。そのほかに、空港整備調査等のために、名古屋にございます第五港湾建設局、また名古屋市役所へ出張した者がそれぞれ一名おりまして、これらを合わせまして、合計四名という状況でございます。
  127. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 この出張というのは、愛知県の方向へ出張していたということなのですけれども、実際には東京でも接待が会席料理中心で行われていたという報道もございます。一万円から三万円の飲み食いが行われていた。  航空対策局というのは、中部国際空港を実現するための組織であったわけです。運輸省からも官僚が出向して、先ほどお話がありましたように、局長とか重要ポストにいるわけですね。そして、運輸省とのパイプ役を行っていた。いわゆる運輸省から出向に行っていた役人が運輸省の幹部を接待する、こうやって身内で飲み食いしていた。それも愛知県民の税金ですよね、こういうやり方が許されるのだろうかということなのです。  運輸省、この件について、この報道があって、どういう内容になっていたのかと今までに調査しましたか、いかがですか。
  128. 梅崎政府委員(梅崎壽)

    ○梅崎政府委員 確かにそのような報道がございましたことは承知しております。この報道に関しまして、愛知県の航空対策局の方に、当時、私どもも、運輸省職員との会食の事実の確認を求めましたけれども、県の当局におかれましては、情報公開条例に従いまして、食糧費につきまして、月日、人数、金額、一件当たりの料理の単価等につきまして公開したものであって、相手方については公開しないということでございまして、事実関係は確認できなかったというのが当時の状況でございます。
  129. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 実際には、運輸省自身が接待を受けているわけです。県は、官僚にこういう接待が行われていたということをはっきり言っているわけですね。そして、県の航空対策局は、一般感覚からすれば確かにやり過ぎだった、このように説明をしているわけです。  一九七九年十一月には、官房長等の会議で、「官庁綱紀の粛正について」という申し合わせがされているわけですね。「官公庁間の接待及び贈答品の授受は行わないこと」、こういう申し合わせがされているわけですけれども運輸省は、愛知県に聞くのではなくて自分で、こういう問題が起きたのに、なぜ、自分の省庁でこういう事態がなかったのかあったのか、調査しなかったのですか。なぜですか。
  130. 梅崎政府委員(梅崎壽)

    ○梅崎政府委員 ただいまお答え申し上げましたとおり、県の情報公開の方は、条例に基づきまして、先ほど申し上げましたような範囲でやっておりまして、個々の相手方につきましては申し上げないということでやっておられます。当時の県の方々の御説明を、これは私どもも新聞で見るわけでございますが、当然運輸省の職員も入っておるようでございますけれども、他の官庁とか他の自治体なども入っておられるようでありましくここら辺をやはり正確に調べるには県の方々から教えていただく必要がある、こう私どもは思ったわけでございますが、その点が、県の方ではそこまでは申し上げられないということでございます。  それから、職員の方でございますけれども、当時の事情を今の段階ではつまびらかにできない部分もございますが、やはり正確を期すためには県の方から教えていただく必要があるということで、先ほど申し上げましたように、県の方に確かめ、これで県の方から申し上げられないということでございますので、正確な調査はやはりできない、このように考えたのではないかと今は考えます。
  131. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 県の説明では、東京では運輸省の航空局の官僚を接待した、事業を進めるために、国に理解してもらうためだこういうふうに話していると報道にもあるわけですね。今大蔵省の汚職が問題になっている、接待が問題になっている、大蔵省はみずから今調査しなければいかぬと言って、どこまで調査されるかわかりませんけれども、大蔵大臣は言っている。ところが、運輸省は知らぬ顔、それは県の問題だなんて、そんないいかげんなことで済まされるのでしょうか。やはり、県に確かめるということはありますけれども、みずからきちんと調査をすべきだというふうに思います。  そして、この飲み食いの結果、どうなったのか。結果は中部国際空港が第七次五カ年計画として組み込まれる、こういう事態になったわけですね。何だか運輸省は接待や飲み食いによって事業を有利にする、こういう方針があったのではないかと思われかねないような事態が起きている。これだけ報道されて問題になっているわけですから、みずからきちんと調査をすべきだと改めて思いますけれども、いかがですか。
  132. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 お言葉を返すわけではございませんけれども、今の瀬古委員の御質問を聞いていますと、あたかもこの第七次空整におきまする中部国際空港の事業云々が接待によって決められたようなお話でございましたけれども、断じてそれ はございませんし、ぜひそういったことはお慎みいただきたいと私ども思う次第でございます。
  133. 瀬古委員(瀬古由起子)

    ○瀬古委員 そう言われるなら、みずから身の潔白をきちんとさせるべきですよ。そのことが今国会の論議で問題になっているのでしょう。それが、うちは関係ないなんて、はっきりとみずから調査もしないで、そんなことは言えないわけですよ。  実際には、この東京での接待は、運輸省の官僚だけではなくて、大蔵省や自治省の関係者も接待した、こういうふうに言われております。腐敗しているのは大蔵省だけではないわけで、腐敗の上に重要な航空行政をゆがめて、住民合意を無視して、ともかく強引に突き進む、こういう中部国際空港の強行というやり方は本当に私は許されないと思います。法案の撤回を要求して、質問を終わります。  以上です。ありがとうございました。
  134. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 次に、秋葉忠利君。
  135. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。  時間がありませんので、三つの分野について簡単に質問したいと思います。  最初は、この空港関空と同じような形で埋め立てを行うことによって建設されるわけですが、関空の場合、非常に大量の海砂利が必要とされた。その結果として、瀬戸内海、特に私が住んでおります広島県の沖合の海砂利が違法に採取をされるような事態になった、そういうことが報道されております。その関空の問題についてきょうは議論をするわけではありませんけれども、私が伺いたいのは、この中部国際空港工事に当たって、例えば、海砂利が必要であるからといって、これが直接運輸省責任になるわけではありませんけれども、環境を破壊したり、あるいは間接的に違法行為が起こったりする可能性ということまで視野に入れて十分な対策を講ずる必要があると私は考えております。運輸大臣から、その点についての責任は明確に果たすということをまず確認したいと思います。
  136. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 中部国際空港の用地造成に伴います埋立土砂につきましては、海砂利の利用は予定しておりません。  いずれにいたしましても、埋立土砂の採取に当たりましては、環境面への配慮が十分なされる必要があると考えて、これからその点については十分注意をしていかなければならないと思っております。
  137. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 その点、十分お願いしたいと思いますし、ただ、環境だけではなくて、法律的な違反事項も起こらないよう、間接的なところまで十分な措置をお願いしたいと思います。  次の分野に移りたいと思いますけれども、こういった空港、結局は飛行機が飛ばなくては話にならないわけですけれども、その点について、特に安全性等の面について伺いたいと思います。  ハブ空港という言葉が出ておりますけれども、そもそもハブ空港というような概念が出てきたのは、アメリカの航空業界における一九七〇年代の航空自由化とともにそういった概念が出てまいりました。したがいまして、この空港の将来を考えるに当たって、どうしても規制緩和の問題に触れないわけにはいかないというふうに思います。  規制緩和では、特にアメリカにおける一九七〇年代の航空自由化法が非常に重要な役割を果たしたわけですがへその結果が一もう二十年以上たつわけですけれども、それから始まって八〇年代、そして今九〇年代ですから、この自由化、規制緩和の結果、どういうことが起こったか、かなりの量のデータがございます。  運輸省としては、このアメリカの航空業界の規制緩和の結果をどう見ておられるのか。始まったときにはすべてバラ色で、航空会社にとってもすばらしい、利用者にとってもすばらしいし、雇用もふえるし、小さな都市にもきちんと飛行機の定期便が入るようになるのだと、ともかくバラ色のことばかり言われた規制緩和ですけれども、その結果、本当にすべてバラ色だったのかどうか、その評価を伺いたいと思います。
  138. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 アメリカにおきましては二十年前に航空規制緩和法が施行されまして、路線参入規制の廃止や運賃規制の廃止が実施されたと承知をいたしておるところであります。  その結果、評価ということでございますが、一般論で申し上げますと、参入機会の増大や競争の促進による運賃の水準の低下あるいは合理化、効率化による競争力の向上といったプラスの面が挙げられておりますけれども、他方では、路線によっては寡占化が進み、寡占化による普通運賃のむしろ上昇といったマイナスの面もそれぞれ指摘されており、見方はさまざまな評価があると理解をいたしております。  規制緩和という言葉が、今秋葉委員がおっしゃられましたように、これはすべて光の部分だけではございません。常にこれは光と影の部分がございますから、そのバランスをどうとるか、そのマイナスをどう薄めていくかというのが非常に大事なところだと思っております。したがいまして、規制緩和という制度は、むしろこれを強引と申しましょうか推し進めますと、まさに大変ドライな面がありますので、非常に競争が激しくなる。しかし、ある面では、その競争によってリストラが図られ、先ほど申し上げたようなプラスの面、それが利用者にとりましては、利便性の向上、サービスの向上あるいは運賃の値下げ、そういったことの効果もあることも事実でございます。  いずれにいたしましても、痛みを伴うことは避けられませんので、先ほど光と影と申し上げましたが、マイナスの面をできるだけ減らしていく努力が必要だと考えておるところでございます。
  139. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 規制緩和のその後の結果については、さまざまな評価が確かにありますけれども、今おっしゃった何点かについて、実はここで、時間がありませんので詳しいことは申し上げられませんが、デンバー大学のP・S・デンプシー教授が「規制緩和の神話」という本を書いております。  その中でデンプシー教授が指摘をしていることは、例えば、寡占が進んだ、確かに参入した飛行機会社は多いですけれども、そのほとんどがつぶれてしまって、寡占状態が進んでいるということ。例えば、アメリカの航空業界の第四位、第五位にいたイースタンもパンナムもつぶれた、その後デルタもつぶれたというようなぐあいで、ともかく国内旅客市場の九五%が最大手の八社に独占されるようになってしまった。寡占化が進むということです。  航空運賃についても、規制緩和が行われる前十年間の航空運賃の低下率、それと規制緩和が行われた後の十年間を比べますと、運賃の低下率というのは、実は規制緩和前の方が勾配が急だった。値段が安くなる傾向は規制緩和する前の方がはるかによかったということで、例えば運賃が安くなるということ、これも残念ながら神話であって事実ではないということがわかっております。  それから、機内食その他、機内サービスの質は顕著に低下した。  安全面についても非常に大きな問題が起こっているということが、例えば、最近ですと、一九九七年の三月二十一日朝日新聞の朝刊に載りました、成田空港における頻発する航空機事故において詳細に検証されております。  そういったところで、ぜひこの本をお読みいただきたいのですが一大事な点は、このデンプシー教授は、実はカーター政権のもと、この規制緩和をみずからの手で行ったチームの一員であるという点です。自分が行った規制緩和について、大学に転出をした後、あれは非常に大きな誤りであったということをみずから検証して責任を果たすということですので、この点について、ぜひ運輸省としても謙虚に取り上げていただきたいと思うのですけれども、そこをお願いします。
  140. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、規制緩和というのは大変ドライな面があります。ですから、これを単に推し進めるということになりますと、今デンバー大学のデンプシー教授の御披瀝がありましたけれども、そういった面は私はあると思うわけであります。  ですから、そういうバランスというものをよく見て、これは航空路線に限らず、これから規制緩和を進めてまいりますし、一昨年、我が省は需給調整という規制を廃止するまさに大転換をいたしたわけでありますが、そこにおきましては、一方では生活路線、地域の足としてどうしても必要な鉄道、バス、航路あるいは航空にいたしましても、そういった面は十分配慮していかなければならないと思っています。  ですから、規制緩和、規制緩和ということが何かバラ色のような感じを受けますが、委員の御指摘のとおりの面があるということを十分認識すれば、むしろ私は、これは私の個人的な意見でありますが、規制緩和というよりは、規制の見直しという面からも十分見据えていかなければならないと考えておるところでございます。
  141. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 そのお答えを聞いて大変安心いたしました。個人的な見解ということですが、これは省の見解として、ぜひバランスのとれた政策を推進していただきたいと思います。  今申し七げた中で、実はアメリカで進んでいる規制緩和が日本にも非常に大きな波として既に押し寄せているということで、問題点があればそれについては対処をしていくという趣旨のお答えをいただきましたので、ぜひ対処をしていただきたい問題、その一例として、コンチネンタル・ミクロネシア航空についての問題点をここで提起させていただきたいと思います。  もう新聞の報道等で御存じかもしれませんけれども、このコンチネンタルというのは、アメリカの航空企業の中でも実は生き残った航空会社一つです。現在でも黒字です。そして、例えばその一例としては、ことしの二月の十二日に、コンチネンタル、親会社の方が非常に業績がよかったために、小会社であるコンチネンタル・ミクロネシアの従業員にまで特別ボーナスが出るというくらい業績はいい会社ですけれども、その会社が、二月の二十三日、成田をベースにする客室乗務員三十四人全員に対して、これは正社員ですが、その正社員に対して早期退職を強制するような行動に出ている。事前の通告も何もなく、一斉に首切りを行うという暴挙を行っております。それだけではなく、それを強制するために、七時間近く監禁状態に近いような状況で、この三十四人の客室乗務員の皆さんに早期退職を求めた。  それで、その早期退職の結果として、一時的なベネフィットがある、あるいは契約社員として雇う場合もある、しかしながら、契約社員として雇う場合には最高五年間の期限つきで契約は一年ごとに更改するというような形で首切りを行おうとした事実がございます。それに対して、客室乗務員の皆さんが三月二日に、自分たちが組合をつくるということで、日本支社にそれ以来団体交渉を求めていますけれども、いまだに団体交渉が行われていないという状況です。  これは、アメリカのいわば規制緩和の余波というべきものが、日本で一生懸命働いている客室乗務員の皆さんの身の上に、自分たちの雇用という形でしわ寄せが来たということだと思います。きょうも傍聴席に、実際に首切りを迫られたその客室乗務員の皆さんが傍聴に来ていらっしゃいますけれども、ともかく、これは現実の問題として非常に大きな問題、こういったことが日常的にアメリカで起こっていた、それが現実に今私たちの目の前で起こっているということだと思います。  それで、現実問題として一体どういうふうにすればいいのか。正規に働いている人を、正当な理由がなくしかも何の通告も行わず、しかも働くことそのものに対する侮辱、それを侮辱するような言辞があり、首切りを行うということは、やはり許されないことだと思いますし、日本の憲法や労働法の考え方からいっても到底許されないことだというふうに私は思います。  もう一つ、この点で大事なのは、やはり飛行機の乗務員というのは、乗客の安全について非常に大きな責任を負っているということだと思います。例えば、七時間も監禁状態に近いような状況の中で、団体交渉も行われない、その結果として乗務をして万一事故があった場合に、乗客に対する責任が十分に果たせるか、そういったことを現場の皆さんは大変心配しているという現実がございます。  安全性確保という面からも、運輸省として、私は当然この問題について事実調査を行う、あるいはコンチネンタル・ミクロネシア航空に対してきちんとした指導を行う必要があると思いますけれども、どうお考えになっていますでしょうか、お聞かせください。
  142. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 ただいま先生お尋ねの二月二十三日に起こった事案のことでございますが、私ども、国際航空課という課が航空局の監理部にございます。そこで、この三月六日に、全国労働組合連絡協議会事務局長以下関係者計七名の方から本問題について相談を受け、誠実に対応したところでございます。  ただ、先生指摘のような航空機の安全性との関係でどうかという点につきましては、例えば日本の企業の場合でございますと、これは実は、運輸大臣が航空法によります免許をいたします際に、運航規程という規定がございまして、その中で、いろいろ緊急事態が発生いたしました場合に乗務員が一致協力してその克服に努めなければならないというような規定がございますけれども、外国の場合にはこういった規定というのがないわけでございます。運輸省といたしましては、外国企業の労使問題につきましては基本的に関与する立場にはないと考えておりますけれども、しかし、今後この問題について注目しながら、フォローしたいと考えております。
  143. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 それに対しては異論がありますが、労働省、これは労働省の管轄である問題だと思います。労働省としては、この問題についてこれまで調査を行ったのか、あるいはこれから調査を行う必要を認めるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  144. 青木説明員(青木豊)

    ○青木説明員 この件につきましては、所轄の労働基準監督署に対する申告等は行われておりませんし、また労使間での話し合いが持たれるやに今聞いておるため、具体的な調査は行っておりません。  労働省としては、まず今回のケースについて、特に解雇の動向に関しまして、労働基準法違反の問題が生ずるのか否かについて、労使の動向を注視しつつ、その把握に努めていきたいというふうに思っております。
  145. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 重大な事実誤認があります。労使間の話し合いが行われるやに聞いているとおっしゃいましたが、私が申し上げたとおり労使間の話し合いは行われていない。労使間の話し合いというのは、これは団体交渉権を組合側は当然持っているわけですから、その団体交渉に応ずるというのが労使間の話し合いです。それを逸脱したような形で、例えばグアムにおいて、個人的にグアムに客室乗務員を勤務させて、そこで会社側が一人ずつ別々に説得を行うというようなことは、労使間の話し合いではありません。それどころか、団体交渉権を侵す非常に私は重大な事態だと思います。  労働基準監督署に対しての申請が行われていないというお話ですけれども、いやしくもここは国会ですから、立法府の一員である我々がこの問題について労働省に対して問題提起を行っている。それは、労働基準監督署における申請と同じ力を持つものだというふうに私は考えております。早速、この問題について本当に労使間の話し合いが行われているのかどうか、実態はどうなのか、労働省としてやはり責任ある調査を行っていただきたい。
  146. 青木説明員(青木豊)

    ○青木説明員 私ども、新聞等の情報でございますけれども、今回のその新聞等の情報によれば、労働基準法違反となるような案件かどうかということもございますし、解雇の当、不当そのものについては、むしろ民事上の事件ということになろうかと思っております。  しかし、現実にそういった解雇が労働基準法違反の問題を生ずるかどうかとか、そういったこと についても十分注視して把握に努めてまいりたいと思いますし、労使の求めがあれば、判例等必要な情報を提供することによって問題の解決に協力していきたいというふうに思っております。
  147. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 最後のところですね、問題の解決に協力をしていきたいというところを、そこを特に強調したいと思います。そのために必要な事実調査をぜひやっていただきたい。  ただ、今の答えを聞いていますと、労働省というのは一体だれの味方なんですか。不当な労働行為があるときに、今みたいな形で官庁のメンツだけを中心にして、一生懸命働いている労働者の権利を守らないなんというのは、労働省の資格がないじゃないですか。外務省にしても、アメリカがイラクを攻撃するときに、アメリカの肩を持って何か戦争省みたいなことを言うし、労働省も労働者の肩を持たないとしたら、一体この国の政治は何をやっているのかということが国際的にも問われてくると思います。  最後に、運輸省、安全性の問題とかかわりはないとおっしゃいましたけれども、やはり客室乗務員は乗務するに当たって、安全な運航を担うための重要な責務を負っている。そのために、例えばアメリカのFAAでは客室乗務員に対して一年に一回きちんとした試験までして、その試験をパスしなければ実際に乗務はできない。それはもう既に、安全性というところで乗務員がどのような責任を負っているかということの一つの立派な証拠だと思います。  安全性の確保といったところから考えただけでも、運輸省としても重大な関心を持たなくてはいけない私は事例だと思います。その点についてぜひ事実調査をしていただきたい、そのことをお願いします。
  148. 藤井国務大臣(藤井孝男)

    藤井国務大臣 運輸行政の基本は安全の確保だということは、当然のことであります。ただ、今までのお話、質疑を聞いておりますと、運輸省といたしましても、安全という面であれば、これを確保するためにあらゆる努力をしなければならない。ただ、外国企業の労使問題について基本的に私どもは関与する立場にございませんが、今後ともこの問題につきましては注目し、フォローすべきところがあればフォローしていきたい、このように考えているところでございます。
  149. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、外国企業の労使問題について口出しをしてくれと言っているのではないので、航空の安全性の観点からきちんとした事実調査を行ってくださいということを言っているわけです。時間がありませんから、そこのところを最後に申し上げて、もういいです、答えはわかっていますから、そこのところをきちんとやっていただきたい、それで私の質問を終わります。やってくれるのですか。
  150. 楠木政府委員(楠木行雄)

    楠木政府委員 大変舌足らずで恐縮でございましたが、日本の航空企業については日本運輸省が運航規程の、これは世界的なグローバルスタンダードで面倒を見ておるということで、アメリカの企業についてはそういう点はアメリカの航空当局が面倒を見ておる、こういうことを申し上げたかったわけでございまして、安全についておろそかにしておるというつもりではございません。
  151. 秋葉委員(秋葉忠利)

    ○秋葉委員 いや、その点はわかっているのですが、働いている人は日本人なんです。安全性の問題がかかわってくるのも日本人の乗客がほとんどなんですから、やはりこれは日本の問題なんです。そういう国際的な官僚主義を持ち出して、それで話が済んだということにはしないでいただきたい。やはり安全性の問題というのは国境は関係ないですから、ともかく事実調査はぜひやっていただきたい、それを最後にお願いして質問を終わります。
  152. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  153. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。平賀高成君。
  154. 平賀委員(平賀高成)

    ○平賀委員 私は、日本共産党を代表しまして、中部国際空港設置及び管理に関する法律案に対する反対討論を行います。  反対する第一の理由は、未曾有の国家財政危機のもとで、しかも国民生活予算の充実こそが緊急に求められているこのような時期に、中部国際空港整備促進をすることには反対であるからです。  第二の理由は、現名古屋空港地元である豊山町では、一元化問題の賛否を住民に問うための条例制定を求める運動が広がり、美浜町では、町長と議会が、騒音対策など環境アセスメントや漁業補償問題が未解決であるなど、空港建設に反対が表明されている中で、愛知万博の開催に合わせた開港のために整備が強行されるからであります。  第三の理由は、地元合意を無視して整備を強行した成田空港や、いわゆる民間活力による関西国際空港では、地元負担や環境問題など空港整備に関する重大な問題が山積していながら、これらの問題から教訓を学ばない無責任なものであるからです。  以上が反対する理由でありますが、そもそも中部国際空港整備は、アメリカの要求で決まった公共投資基本計画の一環として、また、アメリカに特別に参入を認めるプロジェクトとして進められるものであります。しかも、政府からの出資や無利子貸し付け、税制の支援など、財界、ゼネコン優遇の空港整備であります。  改めて、中部国際空港整備を見切り発車しようとする本法案に反対であることを表明して、討論を終わります。
  155. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  156. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 これより採決に入ります。  中部国際空港設置及び管理に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  157. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  159. 大野委員長(大野功統)

    大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時散会