○西村(眞)
委員 この
委員会の冒頭でたびたび、
長官、本を読まれましたかということがありまして、
中国訪問の
報告を前提としたこの
質疑で私も二冊本を持ってきておりまして、
長官にぜひお読みいただきたいな、このように思っております。
一冊目は、「
日本人と
中国人、どっちが「馬鹿」か」という本です。孔健という孔子の御子孫が書かれた本だと思います。サブタイトルは「
中国人は腹の中で
日本人を恐れている!!知ったかぶりの「
相互理解」が最も危険だ!!」ということですね。もう
一つは、「
台湾独立運動私記三十五年の夢」、宗像隆幸さんという方が書かれた。サブタイトルは「「
台湾人の
台湾」のために闘った
日本人の記録」ということがあります。
五月五日、
長官が
向こうの
国防大学で
講演をされた。それは、私事ではございますがと言われて、
日本の
地域としては
自分の郷里の長崎が貴国とは最も縁が深いのだ、そういうふうに言われた。しかし、
台湾という
地域、国の歴史を
考えますならば、十七世紀後半まで清と戦った倭寇の頭目といおうか明の遺臣といおうか、鄭成功という人の母親はまさに
長官の御出身の長崎平戸の方なんですね。したがって、
台湾とも
長官の郷里は近いということを御紹介して、二つの本、お忙しいと思いますけれ
ども、読まれたら非常におもしろい本でございます。
さて、「
台湾独立運動私記」はともかく、なぜ「
日本人と
中国人、どっちが「馬鹿」か」という本を出させていただいたかといいますと、二月四日の遅浩田
国防相の我が防衛研究所での
講演と、今申しました五月五日の
中国国防大学における大臣の
講演を読み比べましたときに、ここにあらわれているそっくりの表現が当てはまるのじゃないか。
言いますと、「
中国人は、
日本人を、「○○先生」と尊称をつけて呼ぶ。呼ばれた
日本人は素直に喜んでいる。」「ところが、
中国人のほうは、
日本人を先生であるなどとは思っていない。ここは、
日本人をおだてて、しっかり、技術や会社経営のノウハウを学んでおこう、と
考えている。」だけである。それから、結論じみたことでは、「
日本人は、「
中国人はズルイ」「ウソつき」と評する。逆に、
中国人は「
日本人はお人好し」「馬鹿正直」「利己的」と思っている。」こういうふうに
相互理解の前提としての感情表現とか
自分の思いの表現のパターンが違うということを書いておるわけですね。
遅浩田さんの
講演集を読みますと、例えばミサイルを三発撃ち込まれている
台湾、また侵攻された
ベトナム、そして既に併合されたチベットの人から見れば、ようこんなあほなことをぬけぬけと言うわということなんですけれ
ども、彼はぬけぬけと言っているわけですね。片や、
防衛庁長官の
中国国防大学における
講演は、非常にまじめで、本当に
我が国内においてだけ通用する用語をもって淡々と御
説明されている。
やはり「
日本人と
中国人、どっちが「馬鹿」か」という、この両者、
日本人と
中国人を表現した言葉が当たるなと思いまして、きょう紹介させていただきました。決して失礼に当たるというような
意味ではないのです。読んでいただきたいなと思っています。
さて、
質問に移りますけれ
ども、先ほ
ども冨沢
委員の御
質問の中でありました
ガイドラインに関して、
中国は異常に反発して、もし
周辺事態に
台湾海峡を含むならこれは
主権侵害だとまで言っておるわけですね。私は先ほどの問答とは
考えを異にいたしまして、
政府は、
周辺事態は地理的概念ではないということを貫かれるべきだ。
ただし、惜しいかな、与党内に含まれないと言ったり含まれると言ったりしたことがあった。これは、私はある
意味では自民党が結党以来の大切な財産をどぶに捨てたなと思った。なぜどぶに捨てたかといえば、同盟国
アメリカからの
信頼をどぶに捨てた、このように思いました。そしてまた、これは非常に国益を毀損する
事態だな、
政府は当初からの答弁をこの問題では貫かれるべきだ、このように思っております。
それは、
主権侵犯というきつい用語をもって遅浩田さんは
長官に言ったわけですが、
ガイドラインは何を基盤としてでき上がっているかといえば、
日米安保条約ですね。
日米安保条約の六条には極東という文字がありまして、これについては歴代
政府は地理的概念だと言って
説明されておるわけですね。
したがって、この際確認をいたしますが、
ガイドラインの
周辺事態はいいのです、
周辺事態は今の地理的概念でないということで貫かれるべきでありますけれ
ども、今確認したいのは、
日米安保条約第六条に言う極東は
台湾海峡を含むのか否か、これは含むという
政府の見解が今でも維持されている、このように伺っていてよろしいですね。