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今泉昭君 ありがとうございました。
なぜこういう
質問をしたかと申しますと、実は今後の
雇用というものをどのように考えているかによりまして
労働行政というのは変わってこなきゃならないと私は思うわけでございます。
物すごく悲観的に考えて、とにかく
労働行政というのは、どちらかといえば働く
人たちの
生活を守り、いろんな
意味でマイナス点を行政の
立場から支えていかなければならないという、規制が大変必要な
分野であるというふうに私は思っているわけでございますが、余りにも厳しい
雇用というものを頭に描きますと、特に
経済界から何でもかんでも規制を外してくれと、こういう要求がたくさん出てくるわけでございます。それを受けて、
労働行政が厳しいということを
前提にしたやり方をするのか、それとも今
大臣が言われましたように、
日本はまだ潜在力もあるし労使慣行もあるわけだから、アメリカのような形じゃなくして、やはり
日本独特のやり方でやっていこうという考え方に基づいて
労働行政をやるのとは大分違ってくるわけでございまして、まずその
前提として今お聞きしたわけでございます。
そこで、まず当面の
雇用の問題についてお聞きしたいと思うんですが、とにかくいろんな
意味で当面している
雇用の問題というのは決して楽観できないものがたくさん周囲に渦巻いているわけであります。何といっても最大のものは、四月から行われます金融ビッグバンのいろいろな条件を満たすための金融を
中心とした
雇用不安というもの、これは避けて通れないだろうと思うわけであります。
例えば、アメリカの金融ビッグバンを見てみましても、九〇年代前後の三、四年間というのは銀行が年間二百社以上倒産し、いろんな
意味での救済を受けているわけでございまして、この時期というのはアメリカは七%台の大変な
失業率を記録しているという
状況にございます。
これを
日本の場合に当てはめてみますと、
日本は四千七百数十社からある金融機関、これらの中で全部が金融ビッグバンに生き残れるという証左は何もないわけでございます。全部悪いところは倒産をするということではなくして、整理される中では合併もするでしょうし、身売りをする場合もあるでしょうし、いろんな形のやり方がありますから悲観的にとることはないと思いますけれ
ども、今までのような形のものがそのまま存続していくとは考えられないわけであります。
そういうことを考えてみますと、
一つは、金融界を
中心とする今後の
雇用をどのようにとらまえ、この
対策をどうしていくかということが必要だろうと思います。それからもう
一つは、金融界と大変密接な
関係にある建設業界の不安というのも、いろいろ言われてはいませんけれ
ども隠されたもので大変危険なところがあるわけですね。特に、バブル
経済期において不良資産というか土地を買いあさった建設業界が大変な不良資産を抱えていることは事実でございます。
資料によりますと、例えば銀行から建設業に対する貸出残高が現在でまだ三十兆を上回るとか、あるいは不動
産業については六十二兆円もまだ残っているとか、あるいは、実は
仕事はやったけれ
どもその代金が回収できないというのが建設業界だけで四兆円近くあるとか、それからまた債務保証しているのが三兆円あるとかというような形で、大変な不良資産を銀行以上に抱えている。
そういうところを銀行系列として抱えていくのはとてもじゃないけれ
どもということで、御存じのように北拓と東海興業との
関係のようにさっと切られてしまうというようなことが起これば、これまた、これまでの我が国の
雇用吸収力の最先端を行っていた建設業界、ここの
雇用というものがもう大変危険な場にさらされるわけでございます。これらに対する
雇用対策というのは、
労働行政としてもあらかじめ当然考えていただかなきゃならないことじゃないかと思うわけでございまして、特にこの年末から来年にかけて、ぜひこれは
労働省に、心して前もっての準備をしていただきたいと思うんです。
今までのデータを拾ってみますと、私も行
財政特別
委員会で企画庁長官に
質問いたしますと、いや、建設業は
雇用者がふえているふえているとおっしゃる。確かにふえていますよ。駆け込み受注でもって抱えた
仕事を消化するために日雇い
労働者をいっぱい雇った、それで建設業の
雇用者数が伸びているわけでございます。最近の
状況を見てみますと、
新規雇用数というのがだんだん下がり初めているわけです。そして、
企業倒産を見てみますと、一月当たりの
企業倒産の約四割は建設業の倒産というのが目立っているわけでございます。
そういうことを考えてみますと、今は山一証券を
中心とする
雇用問題だけが脚光を浴びているわけでございますが、私はその問題だけじゃなくして、当面する短期間におけるところの今後の
雇用対策というものに相当腰を入れて取り組んでいただかなきゃならないんじゃないかなという危惧を実は持っているわけです。
そこで、山一証券の問題も含めまして、いろいろと
労働省が考えていらっしゃることが新聞紙上で伝わってくるわけでございますが、例えば
雇用保険の給付期間を山一証券の場合延長することも含めて考えるとか、あるいは
雇用調整給付金の指定基準を緩やかにして関連
企業に対してもそれが大きく広がっていくようにするとかということを検討されているという報道をちらちら目にするわけでございますが、山一証券だけのことではなくして、全体的な当面の
雇用の問題について、そういうことの検討などをされているかどうか、ちょっとお聞きしたいと思うわけです。