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斎藤文夫君 ただいまの
政府委員のお話もございますが、実は各銀行が今必死になって体質改善に取り組んでいるわけです。ですから私は、今のようにどんどん年々償却されて不良
債権が少なくなってきている、こういうことを
世界じゅうによくPRして、
日本の体質はよくなっているよ、だんだん健康を取り戻す過程に入っているよ、こういうことを知らしめることも私は政府としては大変必要なことじゃないかと思っておるところでございます。
私はここでひとつ具体的な、具体的というか例えで
総理に申し上げます。
今まで
日本は連合艦隊を組みまして、大蔵省を旗艦として各銀行を
護送船団方式で組みまして、お互いが助け励まし合って
努力をし、あらしの中でも乗り切ってきた。ところが、いよいよビッグバンの大
競争時代を迎えますと、それらの船が今ばらばらになって、自力で荒海の中を航海しているんです。ところが、
バブルのあの崩壊によってそれぞれの船には大きな傷がある。そうすると、荒波の中で沈没したり大きな損害をこうむる船が出てきた。それが
山一であり北拓であったと言えると思っております。
構造改革や規制緩和がこれからどんどん進んでいく、情報公開もされるとすれば、お客が、国民が
金融機関を選ぶ時代はそこまでやってきているんです。そうなりますと弱肉強食、そういう淘汰というのが、私はこの言葉は大変嫌いです、嫌いですけれ
ども、どうしても淘汰という道を通らなきゃならないわけでありまして、これはもう
総理、ぜひひとつそのためにもきちんとした危機管理の受け皿というものをおつくりいただかなければならないと
思います。
時間がありませんから、もう
一つ例で
総理に強くお訴えをさせていただきたいと
思います。
この
山一等の
状況を私は目をつぶって想像してみました。
斎藤文夫の夢でも結構なんです。悪夢なんです。
どういう夢だったかといいますと、まず
山一がああいう姿で
倒産する。
山一に取引のあるお客は目の色を変えて本店や支店、全国の窓口へ駆けつける。とてもすぐには自分のとらの子が回収できない。もしも日銀特融がなかったとしたら、それこそもう焼き討ち事件のようなひっくり返す騒ぎが起き上がる。それが今度は
山一だけじゃなくて、各
証券会社や各銀行、いわゆる昭和のあの
世界パニック、それを十分思わせる騒ぎが起きるんではないのか。
そして、その極度の信用不安は
日本の
金融市場の機能をもうその日のうちにストップさせてしまうんですね。そうすれば、今度は一流企業といえ
ども代金決済その他の
関係でぱたぱたと
倒産する危機に直面する。これ以上
日本経済が打撃をこうむる、命にかかわる
出来事はない。そして、やがては失業者が町にあふれる、海外も大混乱を起こす、二十一世紀の
日本はお先真っ暗になる。これが
斎藤文夫の悪夢なんです。
こういうことにならないためにも、
大蔵大臣そして
日銀総裁は必死で、
総理の御命令のもと、特融で本当にこの事件をこの程度で抑えて
努力しておられるというのは、だからこそ敬意を払っておるところでございます。
ですから、一日も早く
金融システムを安定させる。それには今の日銀特融という、法は決められております。今度は日銀が判断して
大蔵大臣の認可をもらうように変わるわけでありますけれ
ども、それだけで本当に
日本の将来すべてを託すわけにはいかない。だからこそ、きちっとしたルールをつくる、受け皿をつくる、そしてそこにどういう金を調達してつぎ込んでいくか。まさに公的資金をどう有効適切に使い、しかも国民の皆様方が納得、御理解いただけるような方法を早急に考えていただかなきゃならない。
その
意味で、きょう午前中、我が党を代表して宮澤喜一元
総理大臣が
橋本総理にじゅんじゅんとお説きになられたのをテレビで聞いておりました。私はもっと
総理が一歩突っ込んで受けて立っていただけるかな、それでこそ私の信頼する
橋本総理だと期待をいたしておったところでありまして、私もメンバーの一人でありますが、自民党も安定化対策本部で十二月十日を目指していろいろと知恵を出します。でも基本は、
橋本総理が公的資金をどう調達して、どう投入して、そしてそれが機能して、国民の皆様方の生命に次ぐ重要な財産を守り、
日本の
金融システムの安定化に資するか、ぜひ早急にこの
対応をお考えいただきたいと
思います。
御
意見をお聞かせいただきたい。