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1997-12-01 第141回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月一日(月曜日)    午後一時三十分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十一月二十七日     辞任         補欠選任      楢崎 泰昌君     石渡 清元君      菅川 健二君     田村 秀昭君      緒方 靖夫君     上田耕一郎君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      石井 道子君     長尾 立子君      久世 公堯君     清水 達雄君      鈴木 政二君     武見 敬三君      依田 智治君     三浦 一水君      荒木 清寛君     海野 義孝君      山本  保君     白浜 一良君      伊藤 基隆君     千葉 景子君      上田耕一郎君     筆坂 秀世君      西川きよし君     佐藤 道夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岩崎 純三君     理 事                 岡部 三郎君                 小山 孝雄君                 永田 良雄君                 成瀬 守重君                 木庭健太郎君                 直嶋 正行君                 竹村 泰子君                 照屋 寛徳君                 山下 芳生君     委 員                 阿部 正俊君                 石渡 清元君                 板垣  正君                大河原太一郎君                 金田 勝年君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 田沢 智治君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 長尾 立子君                 南野知惠子君                 平田 耕一君                 真鍋 賢二君                 三浦 一水君                 今泉  昭君                 牛嶋  正君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 小林  元君                 白浜 一良君                 田村 秀昭君                 高橋 令則君                 浜四津敏子君                 益田 洋介君                 久保  亘君                 千葉 景子君                 角田 義一君                 及川 一夫君                日下部禧代子君                 笠井  亮君                 筆坂 秀世君                 佐藤 道夫君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        通商産業大臣   堀内 光雄君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    上杉 光弘君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君    政府委員        内閣審議官    畠中誠二郎君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        経済企画庁調整        局長       塩谷 隆英君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省経済局長  大島正太郎君        大蔵大臣官房金        融検査部長    原口 恒和君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        証券取引等監視        委員会事務局長  堀田 隆夫君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        中小企業庁長官  林  康夫君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        建設省都市局長  木下 博夫君        自治省税務局長  湊  和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (金融証券問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、本日の委員会日本銀行総裁松下康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、金融証券問題に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  それでは、これより質疑を行います。斎藤文夫君。
  5. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 御指名を賜りました自由民主党の斎藤文夫でございます。  本日は、総理並びに大蔵大臣初め関係閣僚に率直に今の日本現状を訴えて御質問を申し上げたいと存じております。  それに先立ちまして、本日より京都におきまして地球温暖化防止京都会議開催をされまして、心から歓迎をいたすものでございます。  CO2などの排出量を直ちに地球規模で規制をしなければ、温暖化によりまして来世紀中には我々の地球が、そして六十億の人口が確実に危険に直面することが明らかでございます。墓穴をみずから掘っている現状、いかに人類の危機を防ぐか、これが現代に生きる私たちの務めでございます。京都会議世界各国の知恵を集めて地球規模防衛に大きな第一歩を示されるように、また議長国日本としてリーダーシップを発揮して実りのある会議にしていただかなければなりません。  その意味で、総理世界に対するメッセージをまずお聞かせいただきたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 地球温暖化の問題がいかに深刻であるか、そしてそれが人類あるいは自然の生態系にいかに深刻な影響を与える課題であるか、これを今さら申し上げる必要はないと存じます。そして、この問題に対して二〇〇〇年以降の温暖化対策の国際的な枠組み合意をする機会となる地球温暖化防止京都会議、これがいかに重要な会議であるかは申し上げるまでもありません。議長国として日本がこの合意形成全力を挙げて取り組んでいかなければならないことも議員指摘のとおりであります。  既に、デンバーサミット、そして先日のAPEC非公式首脳会合、こうした場を使いながら、あるいは日・EU首脳会合等のそれぞれの場を使いながら、私自身各国議論を重ねてまいりました。  しかし、先進国途上国の間、また産油国と非産油国の間、さらに先進国の中におきましても特殊な事情で非常に大きな削減の可能な国と、例えばEUバブルと一言に言われます。そのEUの中でも四〇%ふえてもいいんだという計画をおつくりの国もあります。  こうした中での合意形成は大変困難なものがありますけれども、先日のAPECにおきましても、アメリカ約二二%、中国約一一%、日本が五%前後、一、二、四位の排出国でございますし、APEC全体を足しますと地球上で発生するCO2のほぼ半分を排出している地域、こうした問題提起日本側から行いながら議論をし、この重要性温暖化防止に力を入れなければならないという基本線合意を得ることはできましたが、この議論の集約までは残念ながら到達できませんでした。  この京都会議開催中におきましても、国会のお許しがいただけますなら私自身現地に入り少しでも合意形成のために働いていきたい。そして、実現可能性のある公平な目標設定というものについて皆が意識をそろえられる、そのような場になることを心から願い、先日も環境庁長官と十分打ち合わせをし、現地に既に入っていただいておるのが状況でございます。
  7. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 もう一つ、ただいまお触れになりましたが、カナダバンクーバー開催されましたAPEC首脳非公式会談のことでございます。  時あたかもアジア通貨あるいは株式市場、極めて微妙な動揺をしておりますときに、しかも各国成長にもいろいろ影響が出るであろうと懸念されている時期でございまして、それだけに非常に難しい注文あるいは意見があったやに存じておるところでございます。そういう中で、アジア経済のファンダメンタルズあるいはまた潜在的な成長力、こういうものを総理自身が各首脳に御説明をされて、そして各首脳の御了解を得て宣言の中にアジア問題についての御提言が採択されたということは、大変私は総理の外交的な成果であったと喜んでおるところでございます。  また、我が国に対しましても、貿易投資自由化円滑化そして経済援助に加えまして、今日の金融の安定あるいは内需拡大等各国からもいろいろと注文が寄せられたと承知をしておるところでございます。世界の外貨を持つ有数の所有国である日本、あるいはまた世界一の債権を所有する富裕国日本、こういうような立場として、これからのAPECにおける経済あるいは科学技術の指導、援助等々、我々日本の果たす役割は依然として大きなものがあると思っております。  それにもう一つ大きな歴史的成果と私どもが深い感銘をいたしましたのは、来年からロシアベトナムペルーとともにAPEC参加することでございます。  思えば、ついせんだって、総理クラスノヤルスク会談でいろいろと懇談をされた。それからほどないこの時期に、総理自身が特に積極的にAPECへのロシア参加を提唱して実現をされた。私は大変な外交のこれまた成果であると思います。  APECがひところロシアに対する戦略のグループでもあった時期がございます。しかしながら、今の協調、対話の新しい世界枠組みの中で、アジア太平洋に対するロシア参加というものは新しい太平洋時代を築く、またアジアにおける日本アメリカ中国ロシア、この四カ国の協力体制こそアジアの安定、平和につながる、かたく信じておるところでございまして、こういうことを考えますと、まさにバンクーバー会議成果というものは、まことに地道のようでありますけれども橋本総理の大変大きな力量、手腕の発揮された場であったと、このように率直に拍手を送るものでございます。御所見を承りたいと思います。
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変大きなテーマを出されましたので、多少時間をかけて御答弁することをお許しいただきたいと思います。  まず私が御報告を申し上げたいこと、それは、今般のAPECにおきまして、最近のアジア諸国通貨あるいは株式市場の動向というものにもかかわらず、アジア経済の基本的な条件は現時点におきましてもやはり良好である、そしてなお高い潜在成長率を有しているという共通の認識をつくり上げることができました。そして、そのような認識のもとにアジア経済を安定させていきますためには、まず各国が適切なマクロ経済政策経済運営、そして構造調整努力を行うことによって、また域内通貨金融経済の安定に取り組む努力というものが必要だ、その決意を示すこともできました。  同時に、先般マニラ会合合意をされました金融通貨の安定に向けたアジア域内協力強化の新フレームワーク歓迎されるだけではなく、強くこれが支持されました。そして、そういう状況の中であっても、貿易投資自由化円滑化のモメンタムが損なわれてはならない。自由化円滑化に向けてさらなる作業を進めていかなければならない。また、経済技術協力を進めることについての合意を得ることができました。  さらに、最初に御質問をいただきました京都会議先進国途上国とも努力をすべきだという、この成功に向けた強い支持を強調する政治的なメッセージも発出することができたわけであります。  また、新規参加問題におきましては、明年のマレーシア会合からロシアベトナムペルー三カ国が新たに参加をする、同時に新規メンバーに対しては十年間のモラトリアムをしくということが合意をされたわけでございます。  ベトナム及びペルーにつきましては、昨年議論になりました時点から日本はその加盟を積極的に支持いたしておりました。そして、その時点では確かにロシアは全く問題になっておらなかったところであります。しかし、G7サミットと言われました会合が主要な部分にロシア参加を認め、むしろウクライナ問題とか一部の経済問題といった限定された問題のみが従来のサミット参加国の中で議論をされる。ことしのデンバーサミットから大きく状況さま変わりをいたしました。  その中で、サミット参加国の中に国交の正常でない関係があることは望ましいことではない。デンバーサミット機会を利してエリツィン大統領との会談を持ちました際に、お互いに本当に気楽な感じで思い切った議論のできるネクタイなしの会談をやってみましょうと申し上げたことがクラスノヤルスク会談につながったわけでありますが、その中で二〇〇〇年までに東京宣言を基礎に置いて平和条約を結ぼうという強い合意をつくることができましたのは、私は本当に大変幸せな思いでありました。  ただし、これを実現してまいりますためには幾多の課題があることもまた事実でありまして、委員のお力添えをも心から願わなければなりません。  同時に、ロシア側からその際APEC加盟の強い希望を持っておられることが述べられ、私は日本はそれを積極的に支持し、各国に働きかけるというお約束をして帰ってまいりました。  今回、いろいろな議論はありましたけれども、最終的には先行しておりましたベトナムペルーと並んでロシア加盟を認められましたことは、ある意味ではクラスノヤルスク約束をいたしました中の、まず具体的な目に見える成果が生まれたということで、私自身約束が守れてほっといたしております。  そして、この大きな意味、今まで日米あるいは日中、中米、いろいろな形での意見交換の場はありましたが、日米中ロという四カ国が作為的でなく自然に会える場というものはなかなかございませんでした。このAPEC非公式首脳会合が続きます限り非公式な形でこの四カ国の首脳が集まれる。そうした中で、ややもすると旧ソ連時代からヨーロッパに傾きがちでありましたロシア首脳部に、アジアというものをいや応なしに意識し、アジア太平洋国家としてのロシアという位置づけで物を考えてもらう場が今回確立をした。そして、これはアジア太平洋地域においても、ロシアが建設的なパートナーとして重要な役割を担ってくれることは将来大きな資産となっていくであろう、そのような思いでこれを受けとめております。  同時に、今回やはり非常に大きな時間をとりました論議のもとは、東南アジアあるいは韓国金融不安という問題についてでありました。特に驚きましたのは、私がカナダに参りまして最初カナダの方から受けた質問は、日本は大丈夫ですか、IMFにいつ支援要請をされますかという質問でありまして、これは本当に冗談かと思ったら本気でのお尋ねだったものですから相当びっくりし、日本世界最大債権国であり、外国あるいは外国機関から借り入れを持っている状況ではないというところから説明をし、というぐらい日本状況も混乱して伝わっておりましたことを肌で実感をいたしました。  実は、デンバーサミットの際に、タイのバーツについて私は懸念を持っておりましたので、そのタイ状況というものについて問題を提起いたしましたが、その時点では、参加国いずれもそれほどの問題意識をお持ちではなかったわけであります。しかし、今回のAPEC非公式首脳会合では、当然のことでありますが極めて関心は高く、活発に議論も行われましたし、コーヒーブレーク等の時間を利してさまざまな場での意見交換が行われたわけであります。  冒頭申し上げましたようなアジア経済全体についてのAPEC考え方というものが出てまいりました。何と申しましても、金融通貨の安定に向けたアジア域内協力強化のための新フレームワーク、これは通貨下落対応に際しまして、何よりもIMF関係国との間で政策調整プログラム合意されるということが重要でありまして、タイやインドネシアにつきまして既にそれが実施に移され、我が国もまたIMFとのプログラム合意ということを前提にしながら積極的な支援を行ってまいりましたが、そうした経験を各国が踏まえて国際協力フレームというものがマニラ合意され、これを全員が支持し歓迎するという姿勢になりましたことを非常に評価いたしております。  残りました問題点として、現在、韓国政府IMFとの間で韓国経済構造改革に関するプログラムにつきまして協議が行われております。実は、昨夜のうちにあるいはこれがまとまるかと大分待っておりましたが、きょうに持ち越しとされました。しかし、本日中にも合意が行われるのではないかという報告を受けておりまして、私は、IMF韓国との合意成立をすること、本当に一分一秒でも早く成立をすること、そして韓国に対する国際金融市場信認が回復することを願っております。  同時に、韓国IMFとの間における経済構造改革プログラム、これが原則合意がなされました場合には、我が国はこの合意を当然のことながら歓迎をいたしますと同時に、アメリカなどとともに韓国に対して金融支援を行ってまいるつもりであります。この点は既にクリントン大統領とも御相談をいたして帰ってまいりました。  その場合、我が国としては何といいましても最大限の支援に貢献をしていきたいと考えておりますが、問題は韓国の残っております民間債務、この中で五〇%弱がヨーロッパからのものであります。そして、そのG7の中におけるヨーロッパ諸国のものだけでも三七%をたしか超えております。日本が約三分の一、三五%余り、アメリカが一一%強でありますから、実は日米だけがこれに協力し支援しようとしても、最大ヨーロッパがそっぽを向いたのではどうにもなりません。そのためにもIMFとの合意が必要、韓国側もその点を理解された上で今最後の努力をしていただいておるものと、そのように思います。
  9. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ありがとうございました。  大変重要なことですから、本題以外でいささか私も時間を短くしましたので、どうぞこれから能率よく御答弁をいただきたいと思います。  いよいよ本題に入らせていただきます。  創業百年を誇る日本で最も古い歴史のある山一証券が自主廃業に追い込まれました。負債総額三兆七千億、日本金融市場にとって極めてショッキングな大事件でございました。日本経済のみならず、世界経済に及ぼす影響も深刻でございます。十一月に入ってから準大手の三洋証券が、そして都銀である拓殖銀行が、そしてまたこの山一に続いて仙台の徳陽シティ銀行がというように一連金融関連倒産破綻が相次ぎまして、これはただ単なる経営の失敗ということだけで済まされる問題ではございません。  要するに、一方でビッグバンがどんどんと進んでいく、したがってバブルのときの傷がいやされない前に淘汰をされてきた現象だと私は見ておるわけでございます。言うならば構造改革倒産のはしりでありまして、大競争時代の厳しさ、すごさというものをまざまざと見せられた出来事でございます。  総理の御見解をお尋ねいたします。
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から御指摘になりましたような声がまさにAPEC非公式首脳会合におきまして各国首脳から私に向けられた疑問でもございました。  そして、私が申し上げた一つのポイント、我々はあくまでも預金者を守る、我々はあくまでも投資家を守る、その中には海外のお客様をも当然含む、それらの金融機関取引先としていた善意の民間企業、これらが資金を得られなくなるような状態にしないための努力を行う、そして我々はシステムを守る、そうした姿勢で既に臨んでおるということを御説明してきたわけであります。同時に、従来の護送船団方式と言われたようなやり方で表面を繕うのではなく、我々は問題を世間にもお目にかげながらきちんと対応をしていくということを申し上げてまいりました。  確かに、これらの一連破綻の原因、これは資産内容の悪化、あるいは飛ばし、総会屋への利益提供損失補てん、いろんな問題が出されております。しかし、基本的には市場信認が得られなくなったということに要約できるのかもしれません。  しかし、これは金融機関の固有の事情あるいはマーケットとの関係が個々に全く問題を異にしておりますために、一概に論ずることは難しいと思います。しかし、その態様に応じ、我々が預金者保護する、取引先保護する、地域金融機能確保などに万全を期していく、こうした姿勢には全く変わりはございません。そして、金融というものがいわば経済全体の動脈の役割を果たしておるわけでありまして、システムの安定と内外からの信頼を確保する、維持していく、これが極めて重要であることは御指摘のとおりであります。  今、金融三法によりまして整備されました制度の基本的な考え方を踏まえ、私ども預金者保護金融システム安定性確保に万全を期してまいりますし、証券会社につきましても、仲介業というその性格にかんがみて、顧客資産分割管理の徹底などを図りながら顧客資産保護に万全を期してまいろうと全力を尽くすところであります。
  11. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 以下、何点かまとめてお尋ねをいたしますが、特に大蔵大臣日銀総裁総理の御不在中の出来事ではございましたが、国民に不安、動揺を与えない、そのためのしっかりとした談話をお出しいただいた。その成果があって世界金融市場もそれほど大きな動揺がなかったこと、これは大変よかったことだと思っております。  そこでまず、山一関係の問題でありますが、大体今まで店頭もそれほど大混乱はなかった。したがいまして、順調に解約等が進んでおると思いますが、大体今日まででどのくらいの額に上ったんでしょうか。また、十三会その他、山一関連企業がございますけれども、今回の影響連鎖倒産ということはいかがなものか、お話をお聞かせいただきたい。  あわせまして、簿外債務が二千六百四十八億とまことに驚いたところでありますが、この自主申告は間違いがないのか。いろいろうわさによると、海外では五千億ぐらいあるんじゃないかとおどかされておるところでありますが、その辺のところをどうお考えになっておられますか、お聞かせいただきたい。
  12. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 詳細な具体的な点は担当局長から報告させます。  日銀総裁と綿密な連携をとりながら、ただいま総理からも言われました預金者保護システムの安定、世界に向けての信頼の確保全力を尽くしてまいったところであります。  今後とも御鞭撻をお願い申し上げます。
  13. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) お答え申し上げます。  まず、山一証券の店頭におきます顧客資産の返還状況でございますけれども保護預かり有価証券等の返還を順次行っておりまして、特段混乱も生じていないと承知しております。現在、ちょっと株券をそのままお返ししますものの具体的な報告がまだ集計できる段階になっておりませんので、判明いたしましてからまた御報告させていただきたいと思います。  それから、山一証券系列の証券会社への影響についてお尋ねがございました。これらは独立の経営体としてリストラ等も図りながら健全経営に努力いたしておりますけれども、それなりの影響もあろうかと存じます。私ども自己資本比率規制等の健全性に関するチェックを常日ごろ証券会社に対して行っておりますけれども、これら証券会社に対しましても十分な注意を持って見守ってまいりたいと存じます。  第三点、簿外債務二千六百四十八億円につきましては、現在会社からそのような報告を受けておりますが、先週、私どもの官房検査部と証券取引等監視委員会で特別検査に入りまして、この計数に誤りがないかどうかも重大な事項としてチェックしてまいるつもりでございます。
  14. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 大蔵検査については後ほどお尋ねをいたしますが、十一月中に日銀が実施をした日銀特融は総額で幾らか、あるいはそれぞれにどのくらい個別でお出しになられたか、お聞かせをい  ただきたい。
  15. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 十一月末におきます日銀特融の残高は三兆八千億円でございます。その中におきまして、拓銀向けが約二兆二千億円、山一向けが約一兆一千億円となっております。
  16. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 日銀貸し付けば、御承知のように無担保、無制限でございます。ただ、幸い金利をおつけになっておるということでございまして、これは当然回収を目的としての話だろうと思っております。しかし、万一貸し倒れが発生しますと間接的に国民の負担になるわけでありますから、その回収ルールはどうなっているのか。また、今回の山一への融資は回収に問題はないのか、大体いつごろまでにこの回収というものがなされるのか。  それとあわせまして、今から三十二年前、日銀が山一に特融を行いました。爾来何件か特融を行っておりますけれども、それらに対してお出しになられた日銀特融がどうなっているのか、残債があるのかどうか、この辺を国民に明確にお示しをいただきたい。
  17. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもの特融につきましては、御指摘のとおり、私どももその回収に対しまして大きな関心を持ち、極力この全額の回収を行うように努めてまいってきているところでございます。  山一証券に対します特融につきましては、私どもは、現状では山一証券はなお資産超過の状態でございますから、この処理が全部終わりました段階で資産処分によって回収できるものと見ておりますけれども、ただ、今後の清算の進みぐあいによりましてはあるいは債務超過という事態が発生するかもしれません。そういったときには、私どもといたしましては、政府におかれても寄託証券補償基金の例えば財務基盤の充実や機能強化というようなことを含めまして種々財源の強化策を検討中であるということでございますし、こういった中で特融の返済財源は確保されるものと考えております。  なお、私どもの過去の特融につきましては、最近のものはコスモ信用組合向け千九百億円、兵庫銀行向け六千百億円、木津信用組合向け九千百億円等ございますが、これらは処理が終わりました段階で全額回収をいたしております。
  18. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 総裁のお話で、過去の特融については全額回収、しかもそれは利息を含めてですね。ぜひこういう立派な成果を今後も続けていただきたい。国民は、ともすれば日銀特融は垂れ流しになるんじゃないか、こういう心配をしているものですから、私はやっぱり何らかのルールを、ただ二十五条でお出しになり、今度は三十八条に変わるわけですけれども、その辺は今後きちっと詰められた方がいい、このように思っております。  次に、飛ばしあるいは簿外債務あるいは粉飾決算、そこまで行くわけでありますが、商法や有取法違反等々に抵触するような行為を繰り返してきた山一経営陣の責任というものははかり知れないものがあると思っております。ましてや、国を挙げて今財政再建に火だるまとなって頑張っておられるときに、日本金融システムにこれだけの不安を与えて日本経済の評価を下落させた責任はもう万死に値する、私はこのように思っております。  また、役員にインサイダー取引があったとかないとか新聞で報道されておりますが、これらは今行われている調査結果を見て御判断をされることだと思っておりますけれども、法的に違反があれば断固御処分を願わなければなりません。  法務大臣の御見解を求めるものであります。
  19. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) お答えいたします。  山一証券に関しましては、現在、関係行政当局による実態解明が進んでいる、検察当局も関心を持っているというふうに思います。  法務大臣として具体的事件にどうだこうだと言うことは差し控えさせていただきますが、ここまで国民が関心を抱いている重大な事件でもございます。検察当局としては、刑事事件として立件するものがあれば法律に照らし証拠に基づき適正に処理するものと思います。
  20. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 この際、大蔵検査についてお尋ねをいたします。  山一を廃業に追い込んだのは先ほど二千六百四十八億の簿外債務と申し上げましたが、日々を決済するインターバンク市場での資金調達ができなかったということが直接引き金になっております。それらを今までいろいろと調べてこられましたけれども、結局大蔵省の検査でも、あるいはまた法的に責任を持っております証券取引等監視委員会の人たちもどうしても発見することができませんでした。  兜町ではもう五、六年前から山一の飛ばしというのは常識的にうわさになっておった。また、本年六月、山一の飛ばしに関する証拠を写真として掲載した一流新聞もございますし、また本年三月の決算書を見ましても、特別金銭信託勘定が二千七、八百億に大変大きく膨れている。こういうことを本当に問題意識を持って、目的を持って見たらばおかしいなと、そういうことが常識的に我々ですらわかるんです。専門の大蔵省が何回検査してもわからぬというのは、大臣、これは総理も海外でいささか問題があるんじゃないかとお考えになられたのは私当然だと思っております。  既に刑事事件に発展をしております総会屋と銀行との間の融資問題でも私は質問させていただきましたが、巨額の延滞利子を追い貸ししてそしてラインシートから外して、正常取引ですと。なるほどこれは粉飾であり犯罪行為でございますけれども、そういうふうな操作をされるとどうしても不正を見つけることができないんですね。となれば、今までの大蔵検査、日銀の考査は一体何なのか。私はつくづく国民が不信に思うのは当たり前と思うんですが、いかがでしょうか。
  21. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 御指摘はそのとおり甘んじて受けなければなりません。人員が極めて限られておるということもありますが、その中でベストの限りを尽くせということで指示をいたしてきたところであります。簿外債務であり提出されない書類ということでありましたことがその辺の虚をつかれたことであったかとは存じます。  今日の経験を十二分に生かしまして、体制の強化と責任感また調査機能、こういうものをずば抜けたものに仕上げていかなければならないと存じます。
  22. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 もう一つ大蔵大臣に申し上げたいと思います。  そういう重大な不正が見抜けないにもかかわらず、最近銀行を調査されましてまさに重箱の隅をつっつくような指摘を検査でされるんですよ。それはどういうことか。中小企業の延滞を物すごく厳しくチェックされる。万一これに少しでも追い貸しをして何とか延命策をなどと思っていても、第Ⅲ分類を第Ⅳ分類にほうり込め、これは不良債権じゃないか、こうやられれば幾ら貸したくても貸せません。貸し渋りだ貸し渋りだと怒られているけれども、大蔵の検査だって大変なものですよと。こういうことを率直に言って金融機関の者が私に訴えているんです。中小企業はだからこそ大蔵検査に不信感を持たざるを得ないんです。これはもうぜひひとつ、それをやつちゃいけないということではありませんけれども、なれば大きな不正は絶対逃さない、この体制をつくっていただきたいと思います。
  23. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいまの御指摘は重大に受けとめながら対処をしてまいります。
  24. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それから不良債権についても、先ほど日本のディスクローズが不十分というような話の中で、特に世界日本を見ますと、一流企業が総会屋とつるんだ一連の不祥事、そしてまた今回の金融機関の連続倒産、まことに日本という国は不透明な不可解な、しかも不安な国だなと、こう判断するのはゆえなくはないと思うんですね。ですから、ディスクローズを積極的に進めていかなきゃいけませんけれども、今までの大蔵の御調査によるところの金融機関の不良債権の総額は一体どのくらいになるのか。それがこの一、二年、それぞれ決算期において、例えば銀行関係は積極的に償却をしておりますけれども、一体残りは幾らなのか、明確にお示しをいただきたい。  外国は、日本の不良債権は百兆円以上、中には百四十兆円あると。それがわからないからこそそんな誤解をして、我が総理IMFから日本も金を借りたらどうだの、こんな不遜な質問が出てくる。そういうところに私は素地があると思っておるものですから、ぜひひとつきちっと明確な答弁をしてもらいたい。
  25. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 今お尋ねの件はいわゆる公表不良債権額ということでございますが、公表不良債権はその基準をきっちり決めませんと各行がばらばらな基準で出すということになりますので、金融制度調査会の答申を受け、その後、全銀協で一つの基準をきっちり設けております。例えば破綻債権、延滞先債権、これは六カ月の金利の延滞がある場合、それから金利の減免、これはその当時の公定歩合以下の水準にまで金利を下げた場合という基準で統計をずっと連続してとっております。  ちなみに、八年の三月では三十四兆七千ございます。それが八年の九月、二十九兆二千でございます。ことしの三月、九年の三月でございますが、二十七兆九千でございます。これはそういう統計でもってあらわした数字でございます。  ところが、この債権は引き当てということで処理をしていきます。債権が全部帳簿から落ちてしまえばこれは不良債権から落ちてくるわけですが、不良債権として残しながら、なおかつ民間企業がその引き当てをするということを通常やるわけでございます。それで、もう完全に取れないとなったときに帳簿から落とすわけでございますので、どれくらいそれに対して処理をしているかということが問題になるわけでございます。  そうすると、要処理額というのを推計しますと、先ほど三つの数字を申し上げましたが、それがそれぞれ八兆三千、七兆三千、今は四兆六千と、こういう数字でございます。  しかし、よく議論がありますのは、不良債権というのはそれだけなのかという議論なんです。それは一つの基準でとってずっと時系列的に傾向を見ておりますからそういうことでございますが、各行各行は今自己査定を厳しくやっておりまして、ここは大丈夫だと思っているけれどもひょっとしたら懸念があるかもしれないということで、不良債権の管理というのをきっちりやり始めております。それは言ってみればリスク管理でございます。各行も真剣にやっておりますし、必要な引き当てをきっちりやらなきゃいけないということでやっております。
  26. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ただいまの政府委員のお話もございますが、実は各銀行が今必死になって体質改善に取り組んでいるわけです。ですから私は、今のようにどんどん年々償却されて不良債権が少なくなってきている、こういうことを世界じゅうによくPRして、日本の体質はよくなっているよ、だんだん健康を取り戻す過程に入っているよ、こういうことを知らしめることも私は政府としては大変必要なことじゃないかと思っておるところでございます。  私はここでひとつ具体的な、具体的というか例えで総理に申し上げます。  今まで日本は連合艦隊を組みまして、大蔵省を旗艦として各銀行を護送船団方式で組みまして、お互いが助け励まし合って努力をし、あらしの中でも乗り切ってきた。ところが、いよいよビッグバンの大競争時代を迎えますと、それらの船が今ばらばらになって、自力で荒海の中を航海しているんです。ところが、バブルのあの崩壊によってそれぞれの船には大きな傷がある。そうすると、荒波の中で沈没したり大きな損害をこうむる船が出てきた。それが山一であり北拓であったと言えると思っております。  構造改革や規制緩和がこれからどんどん進んでいく、情報公開もされるとすれば、お客が、国民が金融機関を選ぶ時代はそこまでやってきているんです。そうなりますと弱肉強食、そういう淘汰というのが、私はこの言葉は大変嫌いです、嫌いですけれども、どうしても淘汰という道を通らなきゃならないわけでありまして、これはもう総理、ぜひひとつそのためにもきちんとした危機管理の受け皿というものをおつくりいただかなければならないと思います。  時間がありませんから、もう一つ例で総理に強くお訴えをさせていただきたいと思います。  この山一等の状況を私は目をつぶって想像してみました。斎藤文夫の夢でも結構なんです。悪夢なんです。  どういう夢だったかといいますと、まず山一がああいう姿で倒産する。山一に取引のあるお客は目の色を変えて本店や支店、全国の窓口へ駆けつける。とてもすぐには自分のとらの子が回収できない。もしも日銀特融がなかったとしたら、それこそもう焼き討ち事件のようなひっくり返す騒ぎが起き上がる。それが今度は山一だけじゃなくて、各証券会社や各銀行、いわゆる昭和のあの世界パニック、それを十分思わせる騒ぎが起きるんではないのか。  そして、その極度の信用不安は日本金融市場の機能をもうその日のうちにストップさせてしまうんですね。そうすれば、今度は一流企業といえども代金決済その他の関係でぱたぱたと倒産する危機に直面する。これ以上日本経済が打撃をこうむる、命にかかわる出来事はない。そして、やがては失業者が町にあふれる、海外も大混乱を起こす、二十一世紀の日本はお先真っ暗になる。これが斎藤文夫の悪夢なんです。  こういうことにならないためにも、大蔵大臣そして日銀総裁は必死で、総理の御命令のもと、特融で本当にこの事件をこの程度で抑えて努力しておられるというのは、だからこそ敬意を払っておるところでございます。  ですから、一日も早く金融システムを安定させる。それには今の日銀特融という、法は決められております。今度は日銀が判断して大蔵大臣の認可をもらうように変わるわけでありますけれども、それだけで本当に日本の将来すべてを託すわけにはいかない。だからこそ、きちっとしたルールをつくる、受け皿をつくる、そしてそこにどういう金を調達してつぎ込んでいくか。まさに公的資金をどう有効適切に使い、しかも国民の皆様方が納得、御理解いただけるような方法を早急に考えていただかなきゃならない。  その意味で、きょう午前中、我が党を代表して宮澤喜一元総理大臣が橋本総理にじゅんじゅんとお説きになられたのをテレビで聞いておりました。私はもっと総理が一歩突っ込んで受けて立っていただけるかな、それでこそ私の信頼する橋本総理だと期待をいたしておったところでありまして、私もメンバーの一人でありますが、自民党も安定化対策本部で十二月十日を目指していろいろと知恵を出します。でも基本は、橋本総理が公的資金をどう調達して、どう投入して、そしてそれが機能して、国民の皆様方の生命に次ぐ重要な財産を守り、日本金融システムの安定化に資するか、ぜひ早急にこの対応をお考えいただきたいと思います。  御意見をお聞かせいただきたい。
  27. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員は悪夢と言われました。その悪夢は私も同じでありますし、私はそれに海外の混乱というものも悪夢としては当然のことながら浮かぶわけであります。そして、ちょうどAPECに出発するその日に山一破綻が生じたわけでありますから、まさに議員のお考えになりましたような悪夢というのは私の頭をよぎりましたし、そんな状況にしてはならないということが先ほどから申し上げておることなんです。  護送船団方式をやめる、市場原理を導入する、金融機関の間の競争が活発になることによって利用者の利便が向上する、これは確かに金融システム改革の意図することなんですが、だからといって何でもかんでも破綻に追い込めばいいというものではないと私は思います。  それは金融機関自身が自分の得意な分野に業務を重点化していかれる、あるいは合併、リストラ、いろんな努力の仕方はあると思います。そして、金融システムの安定性の強化を図るという観点から公的支援を伴ういろいろな考え方が出されております。我が党の中で御論議があることも承知しております。そして私自身が、公的支援によってセーフティーネットを完備すること、預金者保護することが極めて大切だということは繰り返し申し上げております。  ですから、いかなる事態が生じても対応できるように、預金者保護のために公的支援によって利用可能な資金を拡大していく、それを今後検討しなければならないのではないかということを申し上げているわけであります。そして、金融システムの安定について、預金者保護を目的として公的支援を含めて具体案を早急につくりたい、私自身も強い決意を持って金融システム安定性確保全力を挙げて取り組んでいきたいと今考えております。  しかし、そのためにも、金融機関自身がディスクロージャーの努力を積極的に行うこと、またそれぞれの金融機関自身がみずからの青写真を描くことが必要なことは言うまでもありませんし、同時に、でき得るならばそうした状態を考えなくても済むことが一番望ましいわけでありますが、預金者保護する、投資家保護する、そこを取引先として現に営業を続けておられる善良な中小企業の資金繰りに影響を来さない、これは我々としてはあらゆる手段を模索しなければならないことでありますし、当然のことながら全力を挙げてこうした問題に努力をしてまいります。
  28. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 景気対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  景気は日銀の論評によりましてもいささか後退の気味であるというふうにやっと書かれるようになってきたところでございまして、恐らく本年度のGDP一・九%目標は達成できない、このようにも考えておるところでございます。  我が党の第一次、第二次にわたる緊急経済対策、いろいろと規制緩和を中心にお願いしておりますが、私は本会議でも申し上げましたとおり、率直に言って隔靴掻痒、残念ながら即効性がない、このように思っておるだけに、もっともっと積極的な景気浮揚をお考えいただかなければならない。  国民の気持ちは、財革法の重要性は十分理解をしております。しかし、少しはテンポを緩めてもらって、この際は景気対策に全力を挙げてほしいと総理に熱望をいたしておるところでございます。  総理におかれては、まさに選択はハムレットあるいは平重盛、ああいう微妙な御心境であろうかと思いますけれども、景気を上げることが即税収にはね返ってくることであります。既に本年度の税収は三千億円足りないという発表もされておるところでございまして、せっかく財革法でこれから六年間で赤字国債体質を改善する大命題が、結局は角を矯めて牛を殺すような結果になってしまうのではないか。  ぜひひとつ積極的な景気対策をお組みいただいて、国民に希望と期待を与え、活力を与えて、そして逆に税収が上がって財政再建に使っていただければと、このように願うのは我が党のみならず多くの国民の希求するところでございます。  御感想をお聞かせいただきたい。
  29. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) こういう言い方をすると、おまえはばかかと言われるかもしれませんが、私は、我が国の財政が危機的な状況にあること、そしてこれ以上後の世代にツケが回せるかという問いかけは常に必要な問いかけだと思っております。  そして、同時に私は、今御答弁を申し上げてまいりましたように、現在の金融情勢というものを非常に深刻にとらえておりますし、午前中の衆議院での御論議の中でも、一九二九年のアメリカの大恐慌というものを思い出す、昭和大恐慌というものを思い出すという御意見に対して、そうしてはいけないんだというやりとりをさせていただいたばかりでありますし、個別金融機関の経営の破綻というもの、それが金融システム全体に影響を及ぼすようなことは絶対に避けなきゃならない、そしてシステムの安定、強化というものを預金者保護とともに行わなきゃならないということも繰り返して申し上げております。  同時に私は、そうした努力を払うこと、さらに構造改革等を行いながら経済の伸展を願うことが財政構造改革と矛盾するばかりだとは考えておりません。従来型のむしろ財政に過度の負担をかけるやり方が下支えの効果はありましても必ずしも景気上昇に結びつかなかったということを考えれば、我々は思い切った別なことを考えなきゃならぬときに既に来ているんだと思うんです。  ですから、我々はあらゆる可能性を点検しますし、矛盾しないぎりぎりの政策というものを真剣に考えていきたい、今も努力をしているところであります。
  30. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 もう時間がないので、大変雑駁な質問になりますが、一言お答えをいただきたいと思います。  労働大臣、いよいよ失業率が三・五%、最高に並びました。山一の失業、これが約一万人と言われておりますし、新規採用の四百九十人が一体どうなるか、社会に出る第一歩でつまずいております。  こういう数字を考えてみますと、私どもは、これからの構造的な失業者の続出、それに対して政府もきちんと失業問題、雇用問題というものに最大の注意を持って対応していただかなければならないと思っておるところでございます。大臣の御所見を一言承りたいと思います。
  31. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 基本的には、構造改革を進める過程で摩擦的な失業が出るということは私は否定できないと思います。しかし、大きな流れとしては、構造改革を達成することによって新たな雇用を創出するということも期待できます。したがって、その摩擦的な失業に対しては全力を挙げて対応いたしたいと思いますし、また関連の倒産が出たような場合に、まじめに働いている関連企業の人たちにそういうことが起こらないように雇用調整助成金の支給基準等を今見直しておりまして、今週中に金融機関等についてもすべて対応できるような対策をとりたいと思っております。
  32. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ありがとうございました。  まだ通産大臣に新産業創出をお聞きしたがったわけでありますが、持ち時間が終わりましたので、次回に譲ります。  ありがとうございました。
  33. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。清水達雄君。
  34. 清水達雄

    清水達雄君 自民党の清水達雄でございます。  金融問題、大変話が難しい問題でございますので、国民にわかりやすいような質疑をしたいなというように思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、日本金融業とか金融システムがどうしてこんなに弱くなったのかなとつくづく思うわけでございます。不動産融資の総量規制というのが行われたのはたしか平成二年の四月ぐらいだったわけです。そのころはまだそういうことを言っておった。まだそれから七年ぐらいしかたっていないこういうときに金融機関破綻問題ということが非常に大きな課題になってきている。この問題を考えてみますと、やはり非常に厳しい資産デフレが発生して、膨大な不良債権が発生して、それがうまく処理できていないという問題が非常に大きな原因であると思います。  それからもう一つは、いわばビッグバンがもう始まっているんじゃないか。国民は金融機関の選択について相当神経をとがらせて、どこへ自分のお金を預けたらいいんだろうかというふうなことについて非常に真剣に考えている。ですから、危ない金融機関だなと思うとどんどん預金が引き出されていくということがあります。それから、今度の北拓や山一の問題にありましたように、金融機関の中においてさえ銀行間取引が滞るというふうなことがもう現に競争場裏で起きている。この二つがぶつかってこういった非常に厳しい状況ができてきているんじゃないのかなというふうに思うわけでございます。  そこで私は、きょうは不良債権問題と、それから当面の破綻処理問題で特にお伺いしたいことを御質問申し上げたいと思うんです。  まず、いわゆる金融機関につきましては、御承知のようにアメリカなんかではムーディーズとかそういった格付機関というのがあって、ここの査定といいますか、格付によって市場にいる人が大体経営の状態というものがわかるというような状況になってきている。ところが我が国では、国民がどこが安全な金融機関かと思っても、それだけの情報が開示されておりませんし、わからない。私自身もわかりません。ですから、一つには情報をもっと開示させる、これをやっぱり法規制のもとにきちんと出させるということ。つまり、開示させる情報の中身をもっと豊富にするということがどうしても必要じゃないのかなということが一つ。  それから格付会社の問題につきましても、日本の国内金融機関についてそういった経営の判断ができるような格付会社を育成する必要があるんじゃないかというように思いますが、この点につきまして、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  35. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 情報開示をし、その上に立って、国民、世界の人々に――ムーディーズというような格付機関がございます、我が日本にと、こういうことでありますが、我が国も情報開示ということが極めて重要な行政の基本でございますから、精いっぱい各省もやられておるものと理解をします。  そういう意味で、新たに格付機関のようなものをという委員の御指摘もかねがね承ってまいりました。新たにつくるのがいいのか、それともさらなる行政機関の情報開示を工夫してそのことにマッチできるのか、適応できるのかという点も検討しなければならぬ点でありまして、今後とも検討してまいりたいと思います。
  36. 清水達雄

    清水達雄君 ぜひこの情報開示を充実して強化させる、国民にわかりやすくするということについては、政府としても特段の御努力をお願いしたいというふうに思います。  それから、日銀総裁にお伺いするわけですが、拓銀や山一証券の場合に、いわゆる難しい言葉で言えばインターバンク取引という、いわゆるコールの短期資金を銀行間で供給したりなんかする、これがとまったと。これは三洋証券のコール資金が返済をされなかった、そういうことに端を発したと思うんですけれども、こういう状況というのは金融システムの維持のために非常に大きな問題なんですね。これが、本当に銀行がいわゆる債務超過であるとか経営が悪いということで起きるならばやむを得ない、当然の話なんだけれども、債務超過でもなくて、今回の場合を私はそうだと言っているわけじゃございませんけれども、健全な銀行についてこういった銀行間取引がうまくいかなくなるというふうなことというのは非常に大きな問題だろうと思うんです。  これは金融市場といいますか、これが非常に安定をしてくれば恐らくそんな心配はしないでも私は済むんだろうと思うんですけれども、ビッグバンが始まるとか競争が激しくなるとか、こういう過渡的な状況においてはそういった憂いというのがあるんじゃないかなという感じがするわけでございます。  こういうことについて日銀は何らかの、今こういうものを何とかうまく回避しようというふうな問題意識を持っておられるのか、これはもうしょうがないんだというふうにお考えなのか、あるいは今盛んに市場に対する資金の供給量をふやしておられますけれども、そういうふうな対策で補おうとしているのか、その辺についてお伺いをいたしたいと思います。
  37. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御質問の、市場による金融機関の一種の選別のような機能についてでございますが、これはやはり金融資本市場改革が競争原理の貫徹を目指していくということであります以上、ある程度そういう市場の機能というものが強化されていくことは避けられない点であると思います。  ただしかし、その間におきまして根拠のない風評によって個々の健全な金融機関、あるいはひいては金融システム全体に対する信認が低下するようなことはぜひとも避ける必要があると思っております。  こういった観点から、さきに、十一月二十六日に大蔵大臣と私の談話を共同で公表した次第でございますが、そこでも申し述べておりますように、大蔵省、日本銀行は、預金等の全額を保護いたしますとともに、インターバンク取引等の安全を確保することに万全を期する考えでございます。こういった観点からいたしまして、私どもとしましては、金融機関の預金の引き出しやその他の資金の決済が滞るようなことがないように潤沢かつちゅうちょなく資金を供給するという方針でございまして、私どもは、先週よりインターバンク市場におきまして日銀法二十条貸し出し、通常の貸し出しの実行を含みますさまざまな手段を通じまして通常時を大幅に上回る資金供給を行ってまいりました。これを受けまして、国内短期金融市場のレートも最近におきましては落ちつきを取り戻しつつございます。  また、この過程におきまして、おっしゃるような金融機関に対する風評が地方においても伝えられたところでございますけれども、この点につきましては、大蔵省の出先機関の財務局あるいは私どもの支店等を通じまして各地において説明会を開催して、そういう風評に基づく誤った情報が流れることを防止するように努力をしてまいったところでございます。
  38. 清水達雄

    清水達雄君 いわゆる今回のような金融システムの維持あるいは預金者保護等のために公的資金を導入するという問題が、世の中で非常に盛んに今議論をされているわけでございます。  それで、今までの議論を見ておりますと、預金保険機構につきましては、最終的な損失は預金保険機構で救済といいますか救わなきゃならぬ。そのために、例えば信用組合勘定だけではなくて一般金融機関の特別勘定でも政府が債務保証をするというふうなことは考えなきゃいかぬのかなとか、あるいは証券会社の問題につきましては、いわゆる寄託証券補償基金というふうなものが任意の形であるわけですけれども、これをちゃんと法制化して、強制拠出の形にしてしっかりした仕組みにしようかなという議論が行われているわけでございまして、多分そういうことは政府としてもおやりになるんじゃないかなというふうに私は思うんです。質問が重複しますから、そこのところはもうお聞きしません。  そこで、今一番問題になっておりますのは、貸し渋りとか、あるいは繰り上げ償還というのか、要するに金を早く返せというふうなことで、非常に金融が正常な状態ではない。  その裏には、やっぱり自己資本の基準をちゃんと確保して早期是正措置にも耐えられるようにしなければならない。したがって、資産を減らすかあるいは資本をふやすかどっちかしかないということがありますから、ちゃんとした金融をやってもらうためには銀行の自己資本等をふやしてもらわなきゃならぬ。こういうことがあって、今自民党の中におきましても、金融機関が発行する優先株とか劣後債を、公的資金、財投資金なんということも言われておりますけれども、こういうもので買うことにしたらどうかという議論があって、これは非常に難しい問題だろうと思います。  私もどっちに旗を上げていいのか自分でまだよくわからないのでございますけれども、この辺について総理は、今のところは大変お答えしにくいと思いますけれども、どんな感じでおられるのか、公的資金導入について。こういうぎりぎりの問題についてどうお考えになるかということをお答えいただくと一番はっきりすると思うんですけれども、お願いいたしたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 斎藤議員にも申し上げたところでありますけれども、私は、いろんな御議論がありますけれども、公的支援によってセーフティーネットを完備する、これによって預金者保護することは重要だということは今までも申し上げてまいりました。ですから、どんな状態が生じても対応できますように、預金者保護のために公的支援によって利用可能な資金を拡充していくこと、今後検討すべきことだと考えております。  これは先刻も申し上げたところでありまして、こうした考え方を、言いかえれば現時点において具体案を早急につくり上げなければならないという決意のもとに私自身も考え抜いておるところでありますし、金融システム安定性確保全力を挙げて取り組んでいきたい、そのように努力をしておるところであります。
  40. 清水達雄

    清水達雄君 優先株や劣後債を公的資金で買うということについてはとても今お答えできるような状況ではないので、預金者保護ということで総理はお答えになったと思うのでございますけれども、これは私ちょっと技術的によくわからないので、できれば大蔵省の事務当局にでも伺いたいんです。  優先株とか劣後債を公的資金で買うといった場合に一体どういう買い方をするのか。政府系金融機関が買うというようなことをするのか、技術的にどんなことが考えられるのか。これは大蔵省の事務当局が発案しているわけじゃないんですから申しわけない質問になりますけれども、その辺をちょっと教えていただければありがたいと思うんです。
  41. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 優先株あるいは劣後債あるいは劣後ローンとかいう資本勘定に組み入れ得るもの、株でありますとその購入者でございますね、そういったものをだれができるのかということにつきましては、私どもの方でもまだそういったことを余り議論しておりませんし、今種々の場でいろいろ御議論されていることを注目して聞いておる段階でございますので、ちょっと御容赦をお願いいたします。
  42. 清水達雄

    清水達雄君 大蔵大臣総理か、何かいいお考えがもしあるならば教えていただきたいと思います。
  43. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員自身が幾つかの例を挙げられながら自問自答の形で難しいという言葉を述べられました。今挙げられましたようなものばかりではなく、考え得るものはほかにもあろうかと思いますが、いずれも政省令あるいは財政法等の見直しを必要とするのではないかという議論、あるいはモラルハザードが心配されるといった議論がある。ですから、それは検討を必要とする課題、そして検討途中のものを公にし、いたずらに市場に期待感を強めることも、また失望感を強めることも避けるべきではないかと私は思います。
  44. 清水達雄

    清水達雄君 確かに総理のおっしゃるようなことでございまして、質問もその辺よく考えてやれということじゃないかというふうに思います。  続きまして、公的資金の投入につきまして、実は国民の中に疑問とか反発とかというのはかなりあるわけです。私も選挙やなんかでいろいろおつき合いする方々と話しますと、一つは、経営が破綻しておかしくなったときに中小企業の役員だとか農協の役員なんかは私財の投入をせざるを得なくなる、そういうことになるんじゃないのと。ところが、金融機関証券会社なんかは高い給料をもらって今まできていて、商売繁盛してきて、途端にこうなって、ただやめればいいのかという話が非常にあるわけです。  それから、日銀にちょっと聞いてみたら、昭和四十年の山一証券への日銀特融のときに、これは日銀の例の四原則の一つにそういう経営者責任みたいなことが書いてあるんですけれども、この条項に照らしてだったと思うんですが、三年間代表取締役であった者について私財の投入をやれというふうなことを言ったと。ただ、これが本当に実行されたのかどうかというのはよくわからないんですけれども、そういう例はあるんですね、前の日銀特融のときに。  これもまた私も自問自答で、会社というものと個人の資産というものは別のものですから、これは法形式上、会社が倒産したからといって個人財産をそこに投入しなきゃならぬなんということはもちろんないんですけれども、しかし中小企業とか農協の役員なんかがそうせざるを得なくなっているというような実態とか、何となく国民がそれでいいというふうに思わないということが非常にあるわけでございます。  これはどの辺の公的資金を出せばどうかという議論と当然結びついていきますから、一概にはなかなか言えないと思いますが、何かこういった問題についてもっと政府部内で検討、研究してみると。これは政治とか行政の責任ということが言われます。政治家は選挙がありますから次に落選させればいい、こういうことになりますけれども、行政は非常に難しいわけですね。何かこういうことをもうちょっと検討、勉強する必要があるんじゃないかというように思いますけれども大蔵大臣、いかがでしょうか。
  45. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 先週の月曜日に、実は事務方に私から、ありとあらゆる選択肢を列挙して、何ができるかできないか、問題点は何か、こういうことで点検しろということで、ただいま点検中でございます。こういう事態でございますから、万全を期していかなければならぬことは当然であります。  先ほど斎藤委員から御激励いただきましたが、日銀総裁と絶えず連携をとりながら、日本発の深刻な事態だけは食いとめなければなりません。それと、貴重なお金をお預けいただいておる預貯金者、この人の安心感に政治がこたえることが基本であります。  ですから、どんな場合でありましても、このことは保護します、お返しをしますと。それから、そのまま健全なところに置いていただいていればそのままでありますと万感を込めて申し上げさせていただいたところであります。同時に、これは金融システムが正しく機能しておる、安定しておるということで、金融機関はまじめにやれば必ず目的を達してお得意さんに、取引先に御安心をいただけるのだ、こういうことになります。根拠のない風間で押しまくられて倒産するなどという、こんなばかげたことは絶対防ぎ切らなければならない、こういうことであります。  その基本に立ってありとあらゆるものを考えると、あとは内閣がまた政党が、国会が考えてくるのであって、君らの責任ではない、指示であると、こういうことでやらせていただいておるところであります。国民世論の動向、国会の動向、これに重大な関心を持って見詰めております。腹を据えて見詰めております。こういうことであります。
  46. 清水達雄

    清水達雄君 それで、これから不良債権問題にちょっと入っていきたいと思うんです。  不良債権問題については、さっき事務当局から要処理額、今で言えば四兆円程度だという話がありましたけれども、この四兆円程度というのは、実際には今後純粋の損失がどの程度発生するかという予測が入った数字なんですね。今で言えば二十七兆九千億円の不良債権総額があって、債権償却特別勘定で手当でしているのが十二兆三千四百億ですから十五兆五千億ぐらいあるわけです、まだ積立処理をしていないものが。この中で本当にリスクにならぬだろうというのを除けば四兆何がし、こういうことだと思うんですけれども、その点をもう一回お答え願いたいと思います。
  47. 山口公生

    政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、債権償却特別勘定の引き当てを除きますと十五兆という水準でございますが、あと担保カバー分等を引きますと四兆六千。しかし、あと四兆六千しかないという御理解をされるとちょっと困るのでございまして、不良債権というのは一つの基準でやっておりますが、出ていくといいますか、処理が済むものと、それからまた入ってくるものもあるかもしれません。だから、私どもとしては時系列でずっと継続的に見るということも一つ大切な点だと思っているわけでございます。
  48. 清水達雄

    清水達雄君 それで、不良債権の処理がなかなか思うように進んでいないわけでございます。  まず総理に、今のような日本の不良債権処理の流れ方というんですか、こんなのでいいのかなと、まず概括的な御感想を私は最初に欲しいのでございます。  何で不良債権処理が進まないかということは、一つには、確かに銀行は帳簿上、今出てきましたような償却特別勘定みたいなもので手当てをするというようなことをやっていますが、その不良債権担保不動産の処分はほとんど進んでいない。共国債権買取機構で処分したのは一兆円にしかすぎないわけです。そういうふうなことでございまして、それはやっぱり土地が流動化しないから。土地取引がふえたよなんという話が大蔵省なんかから出ました、ついこの間も。これはマンションが売れたから取引がふえているんです。マンションの一戸一戸が全部土地取引の一件分なんです、あれは。だから住宅が売れると土地取引がふえたということになるんです。  ところが、実際はこういう本当の実需しか動いておりませんで、金が今あるから、二、三年先か五年ぐらい先には使うから今買っておこうかなんという買いはほとんどないというのが実態なんです。だからそういう意味で、ほとんど不良債権担保不動産というのは取引がなされていないのであります。これは一つには、地価が長い間低落を続けているということに非常に大きな原因があるし、それから銀行が金を貸さないというところに非常に大きな原因があるわけです。  それからもう一つは、土地税制が余りにも厳しい。私も平成四年に当選以来ずっとやりました。この予算委員会でもどのくらいいろいろ意見なり要請を申し上げたかわからないんですけれども、ではどれだけの税制改正ができたかといいますと、地価税が税率が半分になりました。それから、長期譲渡所得課税につきまして、一般税率が三九%だったのが、譲渡益四千万円までは二六%、八千万円までは三二・五%に軽減をするというのができたのと、それから登録免許税、不動産取得税につきまして、課税標準を登録免許税は四〇%に落とした、不動産取得税は二分の一に落とした。これは地価が非常に上がったから、当然そうしないと物すごく税が重くなっちゃうからそうしたわけですけれども、その程度の改善しかできていないわけです。  あとは今どんな状況にあるかというと、日本の土地にかかる税金というのは、取得時に三種類、保有時に四種類、譲渡時に一種類ということで八回税金を取られるんです。これは契約をしますから、印紙税もかかると九回税金が取られるわけです。こんなのを見ていたら、もうだれだって嫌になっちゃうと思うんです。  あと、実は固定資産税の問題で、地価税絡みで後から質問しますけれども、それが非常に重いわけです。だから、とてもじゃないけれどもこんなことで土地の取引が行われるはずがないというふうなこともあるわけでございます。  そういう意味で、もう非常に長い期間かかっているけれども、実態的には不良債権処理はほとんど進んでいないというように思うんですけれども、こんなことでいいのかな、これで金融ビッグバンを迎えてちゃんとした状況になれるのかなということについて、総理の御感想を伺いたいと思うんです。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員の御質問を拝聴しながら、本院で大蔵大臣として、土地基本法の御審議と並行して行われた土地に関する課税の議論思い出しておりました。  あのとき私は、税というのは双方に働かせようと思えば働く。言いかえれば、再開発の方に向ける税、先祖伝来お店をお持ちの方がそれを将来ともに引き継いでいける方向に向ける税、どちらの姿もあり得ます。土地の政策の基本を決めていただけば、それに応じて行動ができますということを申し上げてきました。そして土地基本法が生まれ、地価税をつくりました。その当時と状況が全く違ってきていることは議員の御指摘のとおりです。  そして、たまたま今、金融機関の不良債権の方から議員は御論議をいただきましたけれども、実は土地が不良資産化し経営の足を引っ張っているという意味では、不動産あるいは建設関係というものがございます。そして、つい先日慌てて、私も気づきませんでしたので、そうした実態を聞き、自治大臣、建設大臣からそれぞれ市町村にまで全部連絡のとり直しをしていただきましたけれども、例えば建設業者の方が御自分のところの経営をすっきりさせたい、そのためには一時的に損が出ても不良資産化している不動産を処分したい、当然その場合にはマイナスを背負うことに少なくともその年はなる、そうすると地方自治体の公共事業の入札に入れてもらえない、単年度赤字であるということのために入れてもらえない。そういう点の御注意をいただき、それは全部がそうしておられたわけではありませんけれども、全部各市町村にまで連絡をとり直し、そういう努力の結果の赤字で入札から排除することのないようにという連絡をとらなければならないような問題も生じてまいりました。  ですから、当然のことながら金融機関の不良資産処理、これは大変大事なことでありますけれども、この問題はそこだけにとどまるものではございません。そして今、政府自身がこの経済状況の中で土地を動かすということを考えなければこの資産デフレ傾向というものを食いとめられないという考え方のもとに、土地の有効利用を言い、土地取引の活性化を進めようとし、また現に規制の世界においてはそうした方向を進めております。  そうした中での地価税あるいは土地譲渡益課税などの土地税制、土地有効利用を促進する観点から見直しを進めていただく必要があると私自身も考えておりまして、これから始まります平成十年度の税制改正において、当然ながら政府税調においてもまた党税調においても御論議をいただくわけでありますから、その場合に土地の有効利用を促進するという観点からぜひ見直しを進める、そうした視点をとっていただきたいとお願いを申し上げたいところでございます。
  50. 清水達雄

    清水達雄君 総理から大変力強い御答弁をいただきまして、ありがたいと思っております。我々も一生懸命税制調査会で頑張りたいというふうに思います。  ちょっと資料を配ってください。(資料配付)  それで、今ちょっと資料をお配りしますのは、東京の中の固定資産税の地価に対する負担率がどのくらいになっているかというものでございます。実はこれは、今地価税が非常に議論の対象になっているわけですが、地価税を制定したときにどういう状況だったかと言いますと、固定資産税の地価に対する負担率が日本全国で〇・一九%ぐらいまで行ったんです。これは平成二年には〇・一九%までおっこちてしまった。昭和五十二年には〇・四四%だったんです、これは非住宅地ですけれども。非住宅地につきまして固定資産税の地価に対する負担率が〇・四四%、これがバブルによりまして地価が上がったということもあって〇・一九%までおっこちてしまった。これでは保有税が軽過ぎてどうにもならないんじゃないの、土地を持っていてもみんな売らないんじゃないのという議論が根っこにあって地価税というのができたわけですけれども、ところが今どういう状況になっているかと言いますと、平成九年では〇・四三%。ですから昭和五十二年の水準に戻ったわけでございます。  それで、これは全国でございますけれども、今お配りした図面は実際の負担率がどうなっているかということでございまして、一番黒い中央区は〇・七%以上ということになっております。それから、バツを二つ重ね合わせたようなのが新宿、千代田区、台東区、ここが〇・六%以上〇・七%未満。それから、いわゆる杉並とか中野とかこの辺の一帯が〇・五から〇・六。つまり東京都の区部ではほとんど〇・四%以上になっているわけです。  結局、保有税が一体どのくらいまで課せられるかということなんですけれども、昭和五十年代の前期というのは保有税が一番しっかりしていたと思われたころなんですね。それに戻ってしまって、しかも○.七ぐらいのところまで行ってしまって、大手不動産業界のビル五十棟ぐらいをやりますとほとんど一%に近いんですよ。  一%の固定資産税、地価税も合わせた負担率というのは、これは膨大な高さでございまして、今預金をして金利が幾らもらえるかというと年間○.二%か〇・三%しか預金利子というのは入らない。そういう世の中で、土地を持っているだけで地価の一%の保有税を取られる。これじゃだれも土地を買わないですよ、土地を買ってもそんなに収益が上がりませんから。こういうことでございまして、私はもう保有税、特に固定資産税がここまで来たら、もう地価税が要るか要らないかなんという議論をする段階では全くないというふうに思っているわけでございます。  そういうことでございますが、この点につきましてまず大蔵大臣から御意見を伺いたいということと、自治大臣につきましては平成九年の固定資産税改革、これは私も自治省と一緒になっていろいろ意見交換しながらやったんですが、これが非常にうまいぐあいに将来の望ましい固定資産税につなげる形をつくってくれていると私は思うんですけれども、その中身について自治大臣から御説明をしていただきたいというように思います。  まず、大蔵大臣からひとつ。
  51. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 地価税に関し、象徴的な土地税制のあり方ということについて深刻な御議論をいただいておりますことを承知いたしております。  地価税を含めた土地税制についてでありますけれども、土地政策全体や資産課税全体の中での位置づけを明確にするというのが一つあろうと思います。土地の二極化などの近時の土地をめぐる状況を踏まえながら、土地の有効利用に資するという観点から検討していく必要性がございます。  それと同時に、財政構造改革との関係をどう見るか、こういうことでございます。私は、政府税調、同時に党の税調、三党の税の協議会等に重大な関心を持ちながらこれを見てまいります。それと同時に、問題点は事務当局に私なりに指摘をいたしておるところであります。税は御案内のように政治そのものでございます。政府税調そして党の税調というものの論議を積み上げて、それを受けて真剣に総理とも相談をしながら最終的に取り決めていかなければならぬ問題と認識をいたしております。
  52. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  固定資産税につきましては、平成九年度の税制改正におきまして、負担水準、評価額に対する課税標準額の割合でございますが、これにばらつきがございますので、極力そのばらつきを解消いたしますために、税負担の上限を評価額の八割まで引き下げていく、そして一方、負担水準が六割未満の土地につきましては少しずつ税の負担を引き上げていくという、負担水準の均衡化それから適正化に着手をいたしておるところでございます。  このような均衡化策を平成九年度から平成十一年度までの三年間講じていくわけでございますが、ある程度負担水準の均衡化が図られますけれども、依然としてはらつきは残らざるを得ないだろう、こういうふうに理解いたしておるところでございます。  このために、平成十二年度税制改正におきましては、同年度の評価がえの動向等を十分見ながら、さらに負担の均衡化、適正化を進めることといたしております。この方針を本年二月に閣議決定されました新総合土地政策推進要綱にも盛り込んでいるところでございます。  なお、ここのところが大変大切なところでございますが、従来、固定資産税は三年に一度しか評価がえを行っていなかったわけでございます。しかし、このように土地が下落したり動きがあるわけでございますから、今年度新たに据え置き年度における下落修正措置を講じることといたしたところでございまして、最近地価が下落傾向にある地域につきましては、平成十年度の評価額にこれを反映させるため現在必要な作業を進めておるところでございます。
  53. 清水達雄

    清水達雄君 固定資産税につきましては、私先ほど申し上げましたように非常に負担が高くなってきちゃって、もうとてもじゃないけれどもこんな固定資産税払えるかというふうな状況に今なったわけですね。したがって、自治大臣が今おっしゃいましたように、固定資産税の課税標準としては公示地価の七〇%について税率一・四%で課税をするということにしていたんですけれども、この七〇%まで行っちゃうと負担が非常に高くなり過ぎるから、その八割、つまり七、八、五六%で頭打ちにしちゃったんですよ。だから七〇%まで課税をしない、五六%までの課税で頭打ちにした。したがって、それより上のものは税金を引き下げたわけです、固定資産税を。これが東京都二十三区で二八%引き下げました。全国で七%引き下げております。  それから据え置き、要するに税額を固定した、去年に比べてことし税金を固定したところが東京都二十三区で五三%、全国で二五%あるんです。合計すると三二%の土地については引き下げか据え置きなんですよ、固定資産税は。こういう状態において、その上にもう一つたんこぶの地価税を乗っけるという話は、とてもじゃないけれども税制の考え方としては普通なら通らない話だと私は思います。その点をぜひ御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。  それからもう一つは、譲渡益課税の問題でございますが、これは有価証券取引税も同じでございますけれども経済が成熟化をしてまいりますと、資産の間で円滑にその形を変えるというか、そういうことをやらないと経済というのは発展しません。ですから、資産間の取引について大幅な価格低下といいますか、価値の低下が起こらないような円滑な取引ができるようにしてやらないと経済はもっていかないと思いますよ。  そういう意味におきまして、土地の長期譲渡所得課税については今回大幅な軽減をぜひ図っていただきたいというふうに思うんですけれども大蔵大臣いかがでございましょうか。
  54. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいまのそれぞれの観点からの分析は承りました。  前段申し上げましたとおり、政府税調もこの問題について御論議を今真剣にいただいております。党においても論議が盛んであります。国会においてもまたしかりであります。その審議の動向に重大な関心を持ち、御案内のスケジュールで税は決まってまいりますものですから、対処をいたして、どうすべきか、これまた最終的に私の大蔵の基本方針を決めましたら総理と協議の上決定をしていかなければならぬことと思っております。  もちろん、政府税調、その議は大事にいたします。
  55. 清水達雄

    清水達雄君 最後に建設大臣にお伺いしたいと思います。  この土地絡みについては、なかなか金融機関が金を貸さないということもあって、民間都市開発推進機構が土地を取得して譲渡する場合に、十年後に実質的には所有権を移転するということでいいよと、言うならば十年間土地を貸すというふうなことをやっているわけです。ところが、十年後の決済は、その間かかった金は全部民都機構に払いますよと。このやり方が非常に効果的なんです、土地の譲渡とか有効利用について。私は、これをもっとうんと活用してほしいと思うわけです。  今、一兆円の枠があるのに二千五百億しか使っていなくて七千五百億も残っている。しかも、買い取り、譲渡の事業の期間が再来年の三月末だというふうなことになっているわけです。私はこれをもっと、自民党のこの間の経済対策ではさらに枠を一兆円ぐらいふやしてもっと事業をちゃんと促進しろ、そのかわり事業要件をもっと緩やかにしてやったらどうかというようなことが言われておりますけれども、この点を大いに私は推進してほしいと思うんですけれども、建設大臣、いかがでございましょうか。
  56. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 民都機構の活用の問題でございますが、委員指摘のとおり、現在の停滞した不動産市況を活性化する上でも極めて有意義である、かように認識をいたしておりますし、これまた御指摘のように、自民党におきまして、また加えて十一月十八日の経済対策閣僚会議におきましても、民都機構の活用のあり方につきまして幾つかの問題指摘をいただいております。  民都機構は、御案内のとおり民間都市開発事業が見込まれる土地を先行取得する、また譲渡する業務を行っておるところであります。これらに加えて、今さらなる枠組みを広げるとか、それらの問題につきましてはより検討してまいりたいと思っておりますが、三党間でも協議をされておるところであります。また、市況も見ながら鋭意努力をしてまいりたい、かように考えております。
  57. 清水達雄

    清水達雄君 終わります。  ありがとうございました。
  58. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で斎藤文夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  59. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、白浜一良君の質疑を行います。白浜一良君。
  60. 白浜一良

    白浜一良君 私は、まず冒頭に総理にお伺いしたいことがございます。  それは、きょうはテレビ中継していますから国民の皆さんも見ていらっしゃるわけでございますが、およそ考えられなかったような金融不安が到来しているわけでございます。証券会社でいうと、山一は四大証券と言われた名門の証券会社でございます。拓銀にいたしましても、いわゆる中核でございます都銀の一つでございました。そういうところが経営破綻が起こった。このいわゆる破綻処理をどうするかということで、総理もおっしゃっておりますが、公的資金の導入も含めて万全の体制をとらなきゃならない、これは当然でございます。  しかし、公的資金を導入するためには前提が要るわけでございまして、なぜその中核的な証券会社、銀行が破綻したのか、そういう原因の追求も大事でございますし、またそのような経営に至った経営者の責任問題、また監督官庁の行政側の責任、そういうことを明確にする、私はそれが前提だと。それがない限り公的資金の導入というのは考えられない、そういうふうに思うわけでございますが、まず冒頭に総理のお考えを伺いたいと思います。
  61. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、率直に申しまして、情報開示あるいは経営の責任などの明確化、これは行政ももちろん含みます、政治も含むかもしれません、これはその公的資金の導入を前提とするか否かを問わず、この問題の解明のためには進めていかなければならないことだと、私はそう思います。
  62. 白浜一良

    白浜一良君 それはそうですよ。当然そうだけれども日本を代表する証券会社、銀行がそうなっていないということが問題なんです。その破綻処理のために今公的資金の導入ということを言っているわけでしょう。だから、一般論としてもう当然だけれども、より増してそういうことがきちっとなければならないと言えるでしょうということを私は言っているんです。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 失礼しました。  私は、むしろ公的資金を前提に置かれて聞かれたものですから、それがあるなしにかかわらずそうした努力が必要だということを申し上げました。  私は、拓銀の問題は、都市行の一つという位置づけがあり、殊に北海道という地域には非常に大きな影響を持つ金融機関でありますから、そういった意味からの問題のチェックというのも必要だと思います。  しかし、山一の場合には、自主廃業というプロセスをみずから申請する以前の問題として、数年前にあれだけ厳しく問題になり、証取法の改正までお願いをした損失補てんがその後において行われたこと、総会屋への利益提供が行われていたこと、しかも飛ばしが行われ簿外の債務が隠され続けていたこと、全部違法行為です。こうしたことを当然ながらきちんと解明する、私はすべての前段にこうしたものがあるということは議員と同じであります。
  64. 白浜一良

    白浜一良君 そこで、総理も今おっしゃいましたが、企業側の経営責任という点に関して何点か具体例を通してお伺いしたいと思います。  二十七日に、本院の予算委員会、この委員会でございますが、山一も富士銀行も来ていただいていろいろ事実関係のお話をいただきました。  大蔵大臣、ちょっと伺いますが、山一の行平さんがおっしゃるには、十月六日にはメーンバンクである富士銀行には報告したと、こうおっしゃる。ところが、大蔵当局は十一月十七日に知ったと、こうおっしゃっている。随分時間の差があるわけで、事細かに監督指導されている大蔵省がこれを知らなかったとは私は思いません。  だけれども、たとえそのことが事実だったとしても、十一月十七日に初めて知ったとしても、聞いた富士銀行が守秘義務があって大蔵省に言っていない、こうおっしゃった。富士銀行だってもう都市銀行の一番中核の銀行ですよ。ましてや、一方で大証券会社山一に巨額な簿外債務がある。それは直接関係する企業でないかもわかりません。しかし、十一月十七日まで富士銀行からも連絡がなかった、大蔵当局も知らなかったと。実際は十月六日、一月半前にもう簿外債務が巨額にあるということは発覚している。こういう事実関係が国民の皆さん、わかりにくいんですよ。  大蔵大臣説明してください。そんなことがあっていいんですか。
  65. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) あってはならぬことであります。  それで、事実関係でありますが、私自身、御指摘のとおり十一月十七日、これは事務方からの報告を受けて直後でございます。現在、山一証券の本件に関する件は証券取引等監視委員会において調査が行われております。それに基づいて厳正対処されるものと存じます。  銀行の問題に触れられました。銀行の業務の公共性にかんがみまして、そのような事態はあってはならないことだと、これだけは明確に申し上げておきます。社会的批判を浴びるような事柄の対処はやってはならぬという意味であります。    〔委員長退席、理事永田良雄君着席〕
  66. 白浜一良

    白浜一良君 大蔵大臣、今の話、もう少し厳密に言ってくださいよ。富士銀行が重大な事実の報告を受けながら監督官庁である大蔵省に報告しなかったことはよくないと、そう認めているということですか。
  67. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) これは守秘義務があるといっても、そのときはやはり報告をする義務があるのではないでしょうか。ちょっと義務は言い過ぎでありますけれども、民間の会社運営という基本論であるということのようでありますから、それはそれとしても、極めて正確に言いますと、社会的批判を受けるような行動は厳に慎んでいただかなければならぬ、こういうことであります。
  68. 白浜一良

    白浜一良君 いやいや、社会的批判を受ける言動は慎んでもらわなきゃならないと、そういうことは私は言っていない。だけれども、大臣今よくないとおっしゃいましたね。銀行局長、大臣はよくないという認識を持っていらっしゃる。富士銀行に対して、なぜこういう重要な報告を大蔵省にしなかったんだと言いましたか、あなたは。答えなさい。
  69. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 大臣から御答弁申し上げましたように、この簿外債務に係る一連の証券取引法上の事実関係については、証券取引等監視委員会によって今調査が行われておるわけでございます。富士銀行の件をお取り上げになりましたが、一つ取引先等の情報でもございます。そういったことの取り扱いが法的に見てどういうことになるのかということは、そういった調査を通じて明らかにすべきものというふうに考えております。
  70. 白浜一良

    白浜一良君 そういうことを言っているんじゃないんですよ。皆さん方は事細かに、そういう所管の事業を細かく見ていらっしゃるんですよ。実態は知っていらっしゃると思う。だけれども、あなた方の発言を認めるにしても、それにしても、十月六日に富士銀行が知って、こういう重要なことが一月半も大蔵省に報告がなかったという事実はよくないと大臣がおっしゃっているんだ。よくないということであれば、なぜ富士銀行に注意しないかと、それを私は言っているんじゃないですか。
  71. 山口公生

    政府委員(山口公生君) まずは正確な事実関係と、それからそれが法に照らしてどういう問題があるかということを明確にした上で、種々の判断をすべきだと思います。
  72. 白浜一良

    白浜一良君 そういうことを私は言っているんじゃないんです。一月半も報告しなかったということは重要なことですから、大臣もそういう認識をおっしゃっている、よくないと。だからこそ、事実関係がどうかを含めて、富士銀行にそういうことの報告があったらちゃんと言うべきじゃないかと、あなたの方は銀行局長ですからね。そういうことを言いましたかどうかということを言っているだけの話なんです。単純に言っているんですよ。そういう事なかれ主義はだめなんだ。もう一度。
  73. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 富士銀行としては山一証券の事実をつかんだというのが十月六日だということのようでございますけれども、それが法律的に見てまたどういう関係にあるのかということは調査を待って判断せざるを得ない事柄であるというふうに思います。そういったことが明確になった上で、なおかつ道義的にあるいは社会的にどうかという問題はまた別問題でございますけれども、物事がはっきりした上で判断すべきものと考えます。
  74. 白浜一良

    白浜一良君 もうあなたと議論しても、それ以上あなたも言えない立場でしょうから。しかし、大蔵大臣がくしくも先ほどおっしゃったように、こういう大事なことを、たとえ証券会社と銀行という関係であっても、メーンバンクですから、報告がなかったということはよくないとおっしゃったので、その言だけにしておきたいと思います。  局長の答弁はこれ以上進まない、こういうふうに私も認識をしておきたいと思います。  それでもう一つ、この間の参考人質疑の中で私感じたことがございます。    〔理事永田良雄君退席、委員長着席〕  行平さんがたしかこうおっしゃった。簿外債務をつくるときに、不良債権を表面化してしまうと経営が成り立たなくなる、だから簿外処理を認めたと、こういう趣旨の発言をされたわけでございます。  この発言は、実態的に申し上げましたら粉飾決算しろと、明らかにこう言っていることになるのじゃないですか。法務当局、きょうは来ていませんか。法務当局か大蔵当局か知りませんが、そういうことになりませんか。監視委員会の方がいいかわからぬ。
  75. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 先ほど来お話出ておりますように、二十五日から私ども官房検査部と合同で特別検査に入っております。  その中で、今の簿外債務の発生の過程で証券取引法に違反する行為がなかったのかどうか、また今お話出ておりますが、これらの取引に関連して、その当該有価証券の評価損に関して適正な開示を行っていない、ディスクロージャーを行っていないということになりますれば、有価証券報告書の虚偽記載に当たる可能性もあるということでございまして、その辺の事実関係について現在徹底的に解明を進めているところでございます。仮に法令違反等があれば、厳正に対処したいと思っております。
  76. 白浜一良

    白浜一良君 そんな話をしていないわけで、行平さんの発言、要するにこの不良債権が一挙に表面化すると経営に支障を来す、だから簿外処理をすることを認めたんだと。この発言の件だけ私聞いているんです。それは有価証券報告書の虚偽記載にもなります。なりますが、明らかにこれは粉飾決算をしろということになるんでしょうと。そのことだけ言っているんです。
  77. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 今お尋ねの事実関係については現在進めております検査の中で明らかにしたいと思っているところでございます。
  78. 白浜一良

    白浜一良君 大臣、大臣答えてくださいよ。当局はそういう答えしかできません。私は、別に今調べていらっしゃることを言っているんじゃないですよ。この間、本院予算委員会に来て発言されたことを聞いているんです。御自身が発言されているんです。そういう発言は、簿外処理しろと指示されたことは、粉飾決算をしてもいいよというふうに経営の最高責任者が言ったことになるでしょうと。事実関係を私言っているんです。大臣、どうですか。
  79. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 私はその一問一答も聞いておりません。見出しだけでありますが、そういう事実はこれから解明されることでありまして、そういうことはその時点で判断をされることであろうと思っております。
  80. 白浜一良

    白浜一良君 なかなかこれ答弁しにくいところかもわかりません。しかし、きょうはテレビで国民の皆さん見ていらっしゃるんです。  私はひっかけて言っているんじゃないですよ。おっしゃった発言をどう、いわゆる粉飾決算になるんじゃないですかと。これは単純に考えてもそんな難しい話と違いますよ。これから調査しないとわからないということじゃない。当時の経営者のトップが簿外処理しろと、簿外処理を認めた。  大臣、私何を言いたいかといいますと、後でちょっと言いますけれども日本の企業責任のあり方というのは甘いんですよ。先ほど清水さんもおっしゃっていました。私、それも後でちょっと述べたいと思いますが、これだけ世間を大騒ぎさせ、一般の国民の貴重な預金とか株を買おうという行為を踏みにじるような、そういう経営をしている方に対する責任追及が甘い。これは国民の皆さんが全部思っているんですよ。だから、答えにくいかもわかりません、関係者は。  しかし、みずからおっしゃっているんだから、当然だと、よくないことだと、それは粉飾決算に当たる、疑わしいと。そのぐらいは大臣、言ってくださいよ。国民は納得しないですよ。行平さん自身がおっしゃったんですよ。どうですか。
  81. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) まず、事務局長から。
  82. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 粉飾決算、有価証券報告書の虚偽記載は、罰則を伴う違法行為でございます。それは証取法の規定に照らしまして、証取法の規定は、重要な事項について虚偽の記載があり、かつその提出した者がそのことを認識していれば虚偽記載に当たるという構成要件がございますので、そういった構成要件に該当するかどうかというのは厳密に調査をしてみる必要があるということでございます。
  83. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 先ほど、富士銀行と山一の問題についてございました。それで、参考人としての前会長の御発言、その御発言の趣旨について、言われるように、それは事実なのかどうか、事実であれば厳正に対処していかなくちゃいけない。ですから、山一に対して監視委員会が、また司法がやられておることでございますから、そういうことを申し上げておることであります。法律に基づき取り進められていくのがこの国の基本でありますから、そこを踏まえて申し上げておるところであります。
  84. 白浜一良

    白浜一良君 私、押し問答になるからこれ以上言いませんが、なぜ私しつこくやるかと申しますと、先ほども言いましたように、日本の場合は企業のトップの経営責任が余りにルーズ過ぎるという、一般的なそういう認識だから国民の皆さんに不満の声があるんですよ。それで、私はしつこく言っているわけです。ちょっと具体例を引き続いて申し上げます。  今回は飛ばしが問題になったわけです。飛ばしというのは、どんどん粉飾して、時価が安いやつを高く買わして、そこへ利息をつけてどんどん回していくんだから、それは回せば回すほど穴がどんどん大きくなるのは当たり前なんです。この行為、私は法律の素人ではございますが、単純に申し上げまして、含み損がある、その含み損が表面化することを避ける行為というのは、これは厳密な判断が要るかと思いますが、概括的に言いましたら粉飾決算に該当するおそれがあると、こう解釈していいですか。
  85. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) いわゆる飛ばし行為それ自体につきましては、証取法上、特別の利益を提供することを約して勧誘する行為に該当するかどうか、あるいは損失補てんなり利回り保証という行為に該当するかどうかという問題がございます。  今お尋ねの粉飾決算、有価証券報告書の虚偽記載につきましては先ほど申し上げましたようなことでございまして、当該有価証券の含み損について適正な開示が行われているかどうか、情報開示が行われているかどうかということを厳密に調べる必要があるということでございます。
  86. 白浜一良

    白浜一良君 私は、別に山一の話をしているんじゃない、一般論として今言っているわけで、そういういわゆる法律違反のおそれがあるということが一つ。  それから、今ちょっとおっしゃったけれども、この名義をつけかえるために引き取る方は当然ちょっと利回りをもらうわけですよ。そういうことは今さっきおっしゃった証取法五十条の三、事前の利益保証になる、こういうおそれがあるという行為になりますねと。これもちょっと答えてくれますか。
  87. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 証券会社なりその役職員が企業間の転売を仲介いたします際に、仮に売買で損失等が生じた場合に、それを補てんするために一定の利益を提供するということを約束いたしますれば、それはいわゆる利回り保証に該当するということになります。
  88. 白浜一良

    白浜一良君 もう一点問題ございます。  その有価証券を時価よりもはるかに高い価格で買い取るような行為、それを認めること、これは企業間の寄附行為になる。だから厳密に言うと、これはもう厳密にやらなあきまへんが、そういう行為になる疑わしさがある。これは当然いわゆる税法上の問題が生じてくる。こういう解釈でいいですか。
  89. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) ちょっと税務当局がおりませんので、私からお答えするのをお許しいただきたいと思います。  いわゆる飛ばしに関連してのお尋ねでございますが、飛ばしの取引の場合には時価とかけ離れた簿価によります取引をいたしますけれども、それだけでは当然成り立たないわけでございまして、その買い戻し等のすべて先の取引まで約束した上でやるわけでございます。したがいまして、税務上どういう扱いになるかは、その単体の片側の取引だけではなくて、全体としての取引がどういう税務上の取り扱いになるかということによって判断されるのであろうと考えます。
  90. 白浜一良

    白浜一良君 私、このことは別に厳密にこの場で議論する気は全くないんです。ただし、私が言ったのは、飛ばしという具体例で申し上げましても、それだけ経営責任ということでいえばいろんな法令違反の疑いは実際あるんです。ところが、過去の飛ばしの具体的な実例からいいましたら、そういう法的な処分を全くされていない。  例えば、ちょっと具体的な例で申しわけございませんが、コスモ証券が九三年八月、七百二十九億円の飛ばし、これを監視委員会が勧告した、勧告だけです。十日間の業務停止。罰金はございません。過怠金が四千万円。一々私申し上げませんけれども、ほとんどこれ、大蔵大臣、そういう金融システムは守らなければならない一番産業の骨なんです、血液なんです。それは総理もよくおっしゃいます。その一番大事な産業の経営責任、それもさまざまな法令違反に相通ずる疑いのあるような行為、今までずっとこれ法令違反になっていない。ちょっと警告して、それで過怠金払わせて、業務停止を何日かする、そういう行政の範囲の中でしかしていない、法的な措置をしていない。大蔵大臣、これが事実なんです、過去の例が。  こういう事実があって、今こういう大きな問題になっていて、本当に厳正に対処しますということが、経営者の責任というものは重いんです。最初総理にも確認いたしましたが、これだけ公的資金を導入しなければならないという、それだけ大きな問題になっているだけに、より増して大きな責任があるわけです、企業の経営責任。ところが、実際問題そういうのが適用されていない。こういう事実を大臣としてどう思われますか。
  91. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) いよいよビッグバンが四月一日から本格スタートであります。それぞれの金融機関が引き続きの経営安定、活力を持って頑張り抜くということで強烈なリストラをやっておるものと理解いたしております。  そういう中における一般論として申し上げますが、数々の社会的批判を受ける、こういうことであり、なおかつそれが法によって処断される、こういうことがあるということは到底あってはならぬことである、こういうことであります。  それはそれとして、やはり経営の根幹にかかわる人が不祥事件によって世の批判を浴びるということについては責任を痛感していただくということは当然でありましょうし、その他の行動によって法律の訴追を受けるということであれば、これまた御案内のとおりであります。  行政については、全力を尽くしてその責任を果たすべく、本事件発生と同時にさらなる奮起を命じておるところであります。
  92. 白浜一良

    白浜一良君 大蔵大臣、私がなぜこれをしつこくやるかと言いましたら、私も選挙区に帰っていろんな話を聞くのですけれども、結局、大蔵省は銀行とか証券会社にたくさん天下っていらっしゃる、だから余り厳しいことはできないんだろうと。これは庶民の感覚ですよ。私がしつこく言っていますように、具体的に飛ばしの例で申し上げましたが、それだけいろんな法令違反の疑いがある事象にもかかわらず、過去の飛ばしは全部行政指導の範囲でとめていらっしゃる。だから、今これだけしつこく大臣に答弁を求めましたのは、今回は法的処理も含めて厳正にやる、それをここで宣言してくださいよ、大臣。
  93. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) それは御指摘のようなことに相なれば、法に照らし厳正に対処、処分というのは当然法の側でございますし、行政処分についても厳正に対処することは当然のことであります。
  94. 白浜一良

    白浜一良君 今ここで声を上げられても、私は、過去の事例からそうなっていないということを言っているんです。よっぽどの決意でやらなきゃだめですよということを私は申し上げただけでございます。  それともう一つ、先ほど清水さんがおっしゃっておりましたが、公的資金を導入しなきゃならないような破綻をして、経営者がやめたら終わりと。これがどうも一般国民の皆さんには理解できない。多大な損害を預金者にも投資家にも、また税金を投入するという面では一般国民全体にもそういう被害がこうむるわけです。ところが、当人は会社をやめて退職金をもらってずらかったら終わりと。厳しい目はしばらくだ、ほとぼりが冷めたら皆終わりと。こういうことが要するに納得できないんですよ。  今の法律の建前からいって、先ほども話がありましたように、私財の没収というのは大変難しいかもわかりません。今回どういう処理になるかわかりません、この金融破綻の処理全体のスキームが。しかし、住専のときだってあれだけ、六千八百五十億のときだって、あれはちょっと違う要素の問題点もございましたが、国民の大変大きな怒りがあったわけでございます。  今度は、拓銀にしても山一にしても、結果的にどうなるかわかりません、もっと傷つくところが出てくるかもわかりません。そのときに、経営陣がやめたら終わり、しばらくたってから退職金をもらって終わりと。これでは余りに負担する側の論理と企業の責任者の立場の意識の違いというのが私はあり過ぎると思うんです。  だから、先ほどおっしゃっておりましたが、何らかの形で、これは自己破産まで含めたそういう厳しい法的な整理をしなければならないと私は思うわけでございますが、大臣、いかがですか。
  95. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) その言を真剣に受けとめてまいります。国民間からも国会論議の中からもそのことが出ておるわけでありますから、真剣に受けとめ、今後に生かしてまいります。
  96. 白浜一良

    白浜一良君 それから、企業の責任ということで先ほどからも少し考えが出ておりますが、いわゆる経営実態のディスクロージャーの問題でございます。  きょう午前中の衆議院での議論、私、全部は聞いていないんですが、たしか大蔵大臣は、個別の金融機関の不良債権の公表を年末までに行うというように答弁されたと伺ったんですが、それはそう受けとめていいですか。
  97. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) これは、全体の不良資産の発表でございます。本年九月の決算期が終わったわけでございますから、それに基づくもの、それから来年でありますが、三月決算の前倒しのもの、中間報告ということであります。全体の基準に基づいて決められたものの総体の額を基準に従って早く出せと、こういうことで行っております。  念のためでありますから、中間報告は上場会社はすべて公表いたしております。上場しておりません金融機関がそのままになっておりますから、それらを集めまして、それによって全体を客観的に発表するのを、年末にはより早く取りまとめて公表する態勢に入れと、こう申し上げたところであります。
  98. 白浜一良

    白浜一良君 そこで、これも議論されていることだと思いますが、日本金融も国際的になっているわけで、総理も先ほどおっしゃっておりましたが、日本破綻するということは世界的に影響を及ぼす、そこまで日本金融界におきましても国際的にシェアと責任があるわけでございます。  しかし、それにしても大蔵大臣、いわゆる不良債権の定義が日本は非常に緩いんですよ、これは御存じだと思いますが。アメリカの場合はいろんな基準があるんですが、わかりやすいところだけ言いますと、九十日利息を延滞すると不良債権になる。私はわかりやすいところだけ言っているんです。日本の場合は六カ月以上延滞だと。この辺の基準が合わないから、実際、公表は少ないけれども、どぼんとつぶれてしまって、いざ清算してみますと公表の不良債権の二倍も三倍にもなる。こういうことを繰り返しているわけですよ。  ですから、そういう上場していない個別のところまで明らかにさせるということでございましたら、不良債権のいわゆる定義といいますか、そういうものを国際基準にする、そういう努力をされたらどうですか。
  99. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 六カ月と三カ月の差が日米の差であります。三カ月ごとに来ますから、より新しい情報が入り、判断ができる。また、それによってそれぞれの金融機関が頑張るということであります。御提言でありますから、検討をいたします。
  100. 白浜一良

    白浜一良君 前向きに受けとめておきます。  今、企業のさまざまな問題点を挙げましたが、今度は監督官庁の問題点に入りたいと思います。  まず、検査のあり方。これはよく考えてみますと、大蔵省も官房の検査部を持っていらっしゃって検査される。証券取引等監視委員会も検査する制度ですね。日銀の考査もある。大ざっぱに言ってこの三つがそれをされているわけでございます。しかし、今回の山一を例にとりますと、全然簿外処理がわからなかったということでございます。私、会計学のことは詳しくはわかりませんが、この程度がわからない、難しい、発覚するまでわからないというような検査は、どれほどの意味がありますか、大蔵大臣
  101. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 金融機関は自来、信用第一の社是でやってまいりました。国民間も銀行さんは心配がない、こういうことであったことは事実であります。大きくバブルのころから変わったのでしょうか、そういうこともあり、官房検査部の銀行検査はそれなりに重みを持って、日銀考査も同じだと理解しておりますが、それぞれの金融機関、銀行は受けとめて、自粛自戒をしながら、間違いはないのかと、こういうことでやられてきたと認識をいたしております。  また、検査部の仕事は犯罪捜査ではございませんものですから、法に基づいて適正に行われておるかと、ここに視点があることであります。  こんなことで、ここまでその徹底さ、その職務の遂行に遺漏があったのではないかという強い御批判はそれとして受けまして、より的確に実態把握するための具体的方策いかん、そしてまた厳正で実効性のある検査とは何かと検査部に対しまして強く指示をいたし、改めた形の中で取り組む気迫をつくれと、こういうことにいたしておるところであります。
  102. 白浜一良

    白浜一良君 一般論を述べていらっしゃるんですけれども、九三年、九五年、それぞれ山一を検査されている、それでそういう痕跡はあったと。  これは私も実際に見たわけじゃございませんから、報道によるわけでございますが、これは大臣ではわかりませんな、局長でいいですが、特に特金がこの山一の有価証券の報告書ではふえている。この時期で特金というのがふえるのは非常に粉飾されやすいというような痕跡はあったと。ところが、わからなかったと発言されている。この辺はどうなんですか。
  103. 原口恒和

    政府委員(原口恒和君) 委員指摘のように、過去二回検査をしております。また、その時点で御指摘のように特定金銭信託、預貯金等の項目に出ておりますが、この残高がふえておったことも事実でございます。  ただ、今回の事例そのものは、特定金銭信託そのものの中に不正があったということではありませんで、信託銀行を通して金銭信託を出しましたその先の関連ノンバンク、そこからまたさらに先の関連の子会社、これが簿外で取引先といろいろなやりとりをやっておったということで、その時点では把握するに至らなかったということでございます。  現在、特別検査を証券監視委員会と合同で実施しております。そういう実態等も踏まえ、また御指摘のありましたように検査で見抜けなかったという事実は重く受けとめております。そういうことを特別検査の結果を踏まえて今後の検査に生かしていきたいというふうに考えております。
  104. 白浜一良

    白浜一良君 このような検査のあり方そのものも、こんなのじゃしようがない。事件が起こってわからなかったと言いわけばかりしているような、そういう機関は本当は必要ないわけでございます。  それはちょっとこっちへ置いておいて、そういう検査しかできないという事実が一方であって、大蔵大臣、その一方であなたはこれ以上の破綻はないとおっしゃっている。どういう根拠でおっしゃっているんですか。
  105. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) これは、現段階において業務執行に障害があるということは聞いておらないと、こう申し上げたわけであります。
  106. 白浜一良

    白浜一良君 大蔵大臣の発言は大変重いから、いたずらに金融不安を呼び起こす必要はございません。それは私どもも同じ立場です。そんなことをあおるつもりで私は言っていない。ただ、大蔵大臣という立場が重いから、適切なそういう行政をしていただきたいから私は問題点を言っているわけです。  報告がないからこれ以上ないんだと。報告しているのは、部局から聞いているんでしょう。部局の検査能力はその程度しかないんですよ。何か事件が起こればわからなかったというような実態しかないんですよ。それをそのままあなたは聞いて、これ以上ないんだとおっしゃっているんですか。
  107. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 絶えず報告を責任者から受けておるわけであります。  そういうことで、先般、破綻についての会見がございました。私の大臣談話発表の際の質疑でありますが、現時点で業務の継続に支障を来すような金融機関はないと認識をいたしておると、報告を受けてそのとおり申し上げさせていただいたところであります。そのときはさらに申し上げましたのは、大蔵省としては、日本銀行とも協力して、金融市場が十分機能をし金融システムの安定が確保されるよう万全の措置を講じてまいりたいと考えている、こういうことで申し上げたところであります。
  108. 白浜一良

    白浜一良君 ここは大蔵大臣、なかなか答弁しにくいところだと思います、そうだとは言えないから。  しかし、一度発言をされたことは重みがあるんです。ちょっと間違うてましたと言えない立場が大蔵大臣なんです。もしおっしゃったらやめなければいかぬ、一切私が悪うございましたと。それぐらい重い立場なんですよ。  だから、私先ほど言いましたように、問題点を言えば、その程度の検査しかできない実態がある。その程度の検査しかできないところから報告を聞いて、ないとおっしゃっている。それで破綻が来たら、いや、それは検査がわからなかったと。これを時系列で見ましたら、国民はこの話を聞いて大蔵大臣の発言を信頼できますか、常識的に考えて。  もう一つ大蔵大臣の発言に関して言います。大臣は、三洋証券がつぶれたとき、このときも記者会見をされています。記者にいろいろ答えていらっしゃる。大臣という大事な立場だから言えないことはあります。だけれども、このときも、他の証券会社の経営に問題はないかと、こう聞かれてあなたは、聞いていない、ないと認識していると。大臣、これが十一月三日ですよ。そして十一月二十一日には山一証券が破綻した。大臣、申しわけないですが、この一連の発言、大臣のお立場の発言として見れば余りに信頼できない。どう釈明されますか。
  109. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 三洋証券のときに質問があったことであります。  それは、ないと聞いておると正直に申し上げたところなんです。事態が起きてまいりましたと、事後の分析について主管大臣として聞くのは当然ですし、また部下が報告するのも当然であります。そういうことであると御理解ください。
  110. 白浜一良

    白浜一良君 大蔵大臣の立場ですから、私よくわかるんですよ。記者から聞かれて、まだ心配なところはいっぱいありますと言うたら、もう一斉に問題になりますわね、それは。そういうことは私わかっているんですよ。そういうことはわかっているんですが、大蔵大臣の発言というのは重いから、この一連の発言と対応を見て国民は判断するわけですから、そういう意味大蔵大臣に対する信頼性は随分低下していますよということを私は言っているわけです。そういうことに対する現時点における大蔵大臣の受けとめ方と決意が要るんじゃないですかということを私は言っているんです。
  111. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 大蔵大臣という職務は、改めて申し上げるまでもなく、預金者保護金融システムの不安解消、言うなればシステムの安定性を保つ、破綻等の事実が起きましたときあらゆる対策を講じ、安定を図る、こういうことであります。  そういうことで、おのれを滅してやることは当然であります。これだけの経済大国でございます。間違ったことを言うつもりはありません。その都度その都度、部下に対して今後の展望の分析をさせるわけであります。そういうことの中で申し上げさせていただいておるところでございます。今後もそのことに全力を尽くしてまいることが大蔵大臣に与えられた職務、こういうことでございまして、そのとおり国民の皆様にもお願いを申し上げる次第であります。
  112. 白浜一良

    白浜一良君 多分、今の大蔵大臣の答弁ではなかなかそれは理解できない。もうこれ以上は水かけ論になりますから。それはもう明らかだと思います。  それで、大蔵省の責任ということで、総理は厳密にどういうお言葉でお話しされたか知らないんですが、大蔵省にも責任があると、そういう趣旨のコメントが載っておりました。  この新聞によりますと、飛ばしを見つけられなかったというなら大蔵省の職務も当然ながら恥ずかしいものがあるだろうと、この新聞はこういうふうに書いているんです。何か大蔵省の責任にも言及されたというような報道がされているんですが、カナダでの話で。これは厳密にはどういう趣旨でどういう発言をされたんですか。
  113. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 質問者の質問は、いろいろな質問の中に、大蔵省のこの場合の責任はどうなりますかというような聞き方をされた質問であったと思います。そしてそれに対して、少なくとも要するに飛ばしを見つけられなかったという意味でこれは恥ずかしいものがあると。その上で、私は会計検査の玄人じゃないから帳簿の検査というのをやってみたことがない。何とも言えないけれども、もともと全く帳簿に載っていないものだとなかなか見つけるのは難しいだろうし、もしその手がかりがありながら見落としていればやっぱりこれは責任問題になるだろうしと、そういうような言い方をしたように思います。  その中で報道は、ですから引用した部分、部分は正確にとられたんだと思いますけれども、今申し上げたような流れ全体を会話としては交わしたように思います。ただ、それはトロントではなくてむしろもっと前ではなかったでしょうか。
  114. 白浜一良

    白浜一良君 いやいや、私、わかりません。
  115. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そういうやりとりをしたのはもうちょっと前だったような気がしたんです。いずれにしてもそういうやりとりはあります。
  116. 白浜一良

    白浜一良君 別にどこでされたかはここでは別に問題じゃないわけで、何をおっしゃったかということが問題なわけです。これは総理も微妙な言い回し方をされています。私は、きょうも本当はもう少しいろいろやるつもりでしたが、大蔵省の責任というか行政の責任という面では、別に検査だけの問題じゃないわけで、日常的な監督行政の問題もあるわけですよ。  よく護送船団方式と言われるように、きょうは時間がないのでやめますが、そういう問題点もあるわけで、結果としてそういうものが破綻してきている。それは悪かろうと思ってやっている人はいません。しかし、時代の流れの中でそういうやり方が従来の行政指導方式といいますかできるだけ傷を大きくしないようにという、それでいい時代はいいけれども、だんだんそういうことができなくなってきている。そういう監督行政そのものも含めていろいろ問題があるなと私は思っているわけです。これはもう少し議論しないと総理もそうだとは言えないと思うのでこれでやめます。  それで日銀総裁、長らくお待たせいたしました。日銀も考査をされているわけでございます。これも先日、二十七日にお越しいただいたときに、日銀の考査というのは大変緩いものでなかなかできない、そういう弱さを披瀝されております。特に、これはどこで発言されたかわかりませんが、本間理事という方の、新聞報道でいいますと、残念ながら考査では簿外取引を把握できなかったと、こういう発言をされている。それから総裁は、日銀の考査というのは――銀行との契約上の考査なんですかね、だからなかなか制約があるというような発言をされておりますが、これはこのままでいいとお考えでしょうか。もう少しきちっと把握できるようにすべきだとお考えでしょうか。この点だけお答えください。
  117. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもの行っております考査は、民間におきます日銀の取引先との契約に基づきまして実施をするものでございまして、その目的は二つございます。  一つは、取引先のことでございますから、その経営内容を十分私ども平素承知している、その信用度を承知している必要があるということが一つございます。もう一つは、やはり私どもの仕事といたしまして信用制度の安定を図っていくという立場から、どこかにリスクが存在しないかどうかということを発見するということがございます。  私どものそういう任意で行う契約に基づく考査という性質上、限界があることも事実でございますけれども、私どもといたしましては、この二つの目的は金融システム全体の安定から申しまして非常に重要なことでございますし、また日銀法の改正に伴いまして、契約を行うというそのもとの権限は新しい法律の中に取り入れられてもおります。  このような事情を考えまして、私どもとしましては、今後考査の手法をさらに改善させましてリスクの発見ということが十分にできるように、主といたしまして、例えばリスク管理に伴う内部管理を改善させるというようなことを眼目といたしまして考査を強化してまいらなければならないと思っております。
  118. 白浜一良

    白浜一良君 それで、もう少し議論をしたいんですが、時間がないので、ちょっと預金保険機構の話を総理にしたいと思います。  今、日銀から当面、特融という形で拓銀にもそれから山一にもいろいろされておりますが、山一はそういう預金保険機構に入りませんから、金融機関は銀行、それから信用組合ですか、預金保険機構でそこをベースにしていろいろ処理がされている、こういうことなんでございます。  ちょっとわかりにくいので申し上げますが、普通よく言われるのは、この預金保険機構を使う場合、不良債権の買い取りは普適時価でされる。それで、その時価と簿価の不足分は預金保険機構から融資をされる、当面お金がないから日銀から融資をされる、こういうシステムになっているわけでございます。多分これをお使いになるんだと思います。しかし、これはそれぞれに問題がある。例えば、不良債権を時価で買い取っても問題があります。どこで回収するのかと。信組の場合は整理回収銀行をつくりましたね。ところが、一般銀行、それから信用金庫の場合はない。  だから、ここでお聞きしたいのは、これは大蔵大臣ですか、そういう一般金融機関向けのいわゆる整理回収銀行をつくられるのかどうか。つくられても、これは必ず時価で買い取ったといっても二次ロスが起こるわけです。そのとき起こるロスはどうお考えか。
  119. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 今おっしゃいました御質問の中で、時価と簿価との差は預金保険でとおっしゃいましたけれども、正確に言いますと、まずその金融機関の自己資本で埋めるわけでございます。それで埋め切れないロスというものにつきましては預金保険で資金の贈与という形でカバーするわけでございます。  それで、不良債権を時価で買い取るというのは今御指摘のとおりでございますが、信組につきましては整理回収銀行というのが用意されております。一般銀行については、そういう組織はございませんので、預金保険機構そのものが買い取りまして整理回収銀行の方へ委託できるような規定がございますので、整理回収銀行の方へその回収を委託して努めてもらうということになります。  それから、二次ロスが出るのではないかというお話ですが、時価で買い取りますので益が出るかもしれませんし、ロスが出るかもしれません。いずれにせよ、その損益は結果的には預金保険機構の損益になるわけでございます。
  120. 白浜一良

    白浜一良君 今の整理回収銀行で、一般の金融機関のそういう処理もできるということですか。
  121. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 法的にいいますと、預金保険機構が買い取りまして不良債権の回収の委託ということは法律上もできるようになっております。  ただ、現実問題として、体制がどうかとか、そういったものをまず余り予想しておりませんでしたので、その組織はどうかという問題は別途あるわけでございます。
  122. 白浜一良

    白浜一良君 だから体制を強化される、こういうことですね。  それで、二次ロスの話はもういいです、これはもう少し議論せにゃあかんから。時間が足りません。  それから、当面日銀から特融で流されている。これは信組の場合は政府保証がついているんですね。ところが、一般の金融機関の場合は、政府保証はついていないわけです。これは流れとしてはやっぱりそうせざるを得ない。拓銀だけで二兆二千億、万々が一どれだけロスが出るかわかりません。その場合、日銀が倒れるわけにはいかないわけで、方向性としては一般金融機関勘定の方も日銀特融に対して政府保証するという流れは、これはもうそういう流れでしょうね。
  123. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私からお答えした方が簡単だと思いますので。  当然ながら議論はございますけれども、そのような方向に向かわざるを得ないのではないだろうか、私はそう思います。
  124. 白浜一良

    白浜一良君 その辺のスキームもまたつくられるということだというふうに受けとめておきたいと思います。  それから、日銀総裁、これもいろいろ議論したいんですが、九月末の準備金が六百四十九億円、日銀として。ところが、先ほど申されたようにもう既に特融は三兆八千億出ている。これからもどれだけ出るかわかりません。日銀もやっぱり銀行ですから、経営されているんです。それが傷ついてはならないわけでございますが、これは来年の三月に準備金を見直す、融資額が膨らんでいるわけですからこれは当然増資される、準備金をふやすというふうに考えられていると思いますが、その辺のお考えがございましたら。
  125. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもの自己資本金は、御指摘の額以外にいろいろの積立金がございますので、実質では合計四兆四千億円ございますけれども、仰せのように非常に大規模の特融を行っていくということをいたしますと、私どもの原則は回収を確保するということが第一でございますし、また戦後今日まですべて回収いたされてきているところでございます。そういうことでございますが、また私どもといたしましては必要な適正率で引き当てを積むことを考えております。
  126. 白浜一良

    白浜一良君 これはもう議論ができないので残念ですが、特融をされて返っていると言いますけれども、実態は預金保険機構から出ているんです。その預金保険機構は平成八年で保険料を七倍にして、それが五年間で二兆七千億。二兆七千億が五年間でたまると。その一兆三千億を先食いして返済しているだけじゃないですか。これは日銀だけが悪いのと違いますよ。そういう仕組みが問題、トリックされているということ。  私、これを議論するともう時間がないので、せっかく労働大臣に来ていただいたので、最後に雇用問題にちょっとだけ触れたいと思います。  これは山一が七千五百、関連で一万以上。これだけじゃございません。来年のビッグバンを含めてもうどんどん銀行もリストラに入っている。一般企業も大変リストラに入らなきゃならない。もう構造的な問題になっているわけで、もう一般的な答弁は要りません。私、具体的な対応をすべきだと、対策を。  そこで、以前九三年に雇用支援トータルプログラムというのをつくっていらっしゃる。これは緊急性を持ってつくられている。ところが、それ以後九五年でストップされたと聞いております。今そういう産業界全体がリストラ、これは金融だけじゃございません。大きな構造転換のときですから、雇用全体を支えるそういう方向性を、国民の皆さんに安心してもらえるように、そういう雇用支援トータルプログラムのようなつくり直し、緊急性を持ったそういうものをすべきじゃないかと私は思うわけでございますが、どこまでお答えできるかわかりませんが、答弁をいただきたいと思います。
  127. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 非常に大きな問題でございますが、基本的には、今いろいろ御答弁があったような措置、あるいは政府の確固たる意思を表明することによって、金融市場の過剰反応ということを抑えながら景気が安定していく、これはもう基本です。  しかしながら、今御指摘の雇用対策基本計画でございますが、これも構造改革が進んだ場合の失業率とそうではない失業率が書き分けられていることは先生御承知のとおりです。そして、現在、構造改革はやっと緒についてこれから浸透していくところでございますから、摩擦的な問題については継続雇用の調整金やあるいは職業紹介等で我々は対応いたしますが、基本的には経済の回復を待たねばなりません。  今やっと構造改革が始まったところですから、それを見定めてやらせていただきたいと思っておりますが、基本的に日本の実体経済は私は非常に強いということだけは信じております。
  128. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で白浜一良君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  129. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、角田義一君の質疑を行います。角田義一君。
  130. 角田義一

    ○角田義一君 まず、総理お尋ねいたしますが、今回の山一証券の破綻自主廃業という決定に関しまして、先ほど白浜議員からも御質問がございましたが、過般のAPECのたしか帰路ではないかと思いますけれども日本の新聞には、総理が大蔵にも責任があるかのごとき発言をされたということが大きく報道されてございました。  先ほどの質疑を聞いておりますと、簿外帳簿で隠されたんじゃわからないじゃないか、しかしそれを発見するきっかけというものがあって、それをももしも見落としておるとすればこれは大変重大なことじゃないか、行政責任というものも、それはもしそういうことがあるとすれば考えなきゃならぬ、こういうふうな御趣旨というふうに理解してよろしいでございましょうか。
  131. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 内政懇の議論の中のことでありますから、もし必要ならば後刻そのメモを取り寄せて改めて点検をしてみますが、質問と答えというのは、質問の方を抜きにして答えだけを言われますと、そのニュアンスは必ずしも正確なものにはなりません。  その上で私は、全く責任がないということを申してもおりません。同時に、これは本当に私はそうした分野は全く素人でありますから、帳簿に全く残らない取引というものを発見し得る手がかりというものがどのような場所にあるのかというようなことは存じません。ですから、そうした問題意識は、私はそのとき記者の諸君にも、諸君わかるかと、僕はわからないんだがというような形で議論をしてまいりました。  ただ、いずれにいたしましても、こうした問題が起こったわけですからこれを解決しなければなりませんし、同時に、山一自身の問題ではなく、海外も含めましてここを利用しておられるお客様の不安というものがないように、その資産が完全に保全されお手元に返るように、そういったことが証券の場合には特に大切なこと、これは間違いのないことだと私は思います。
  132. 角田義一

    ○角田義一君 長野証券局長は、山一破綻した際の記者会見でこう言っておるんですな。市場山一をつぶしたんだ、自分は言葉にならないというのが私の言葉である、隠すやつが巧妙に隠したと、こういうふうに言って、大蔵省には全く責任がないんだと言わんばかりの態度。しかも、私は見ておったけれども、これは私の印象を言って申しわけないが、薄ら笑いを浮かべているような印象すら私は見てとった。はっきり申し上げて、大変不謹慎な態度だなと思ったんです。大蔵省がこの簿外債務の存在を全く知らない、関知しないと、知らぬ存ぜぬと言っても、はっきり申し上げて私は国民はだれも信用していないと思います。  そこでお尋ねするが、一九九七年の四月二十六日―五月三日号の週刊東洋経済という立派な雑誌ですけれども、ここに阪和興業に対する山一証券の損失補てんの経過なり、詳しく記事が載っておる。この記事を見て大蔵省たるものが何もしなかったとは私は思わない。この記事を見てどういうふうに大蔵省は山一なり阪和なりあるいはその子会社なりに対応されたか、答えてください。
  133. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 先ほど私の記者会見を引用して御指摘ございましたけれども、私の発言として今お取り上げになりましたものは、記者会見の記録は全部残されておると思いますけれども、私自身が申し上げた言葉とは違った表現でただいまお取り上げになったような感じがいたしますので、その点はお許しいただきたいと思います。  私ども平成三年の証券不祥事におきまして、それまで私ども証券局の中に検査課というものを持って検査も私どもが所掌しておりましたけれども、アンパイアとコーチが一体となって検査がおろそかになるのではないかという御意見がございまして、証券局から検査機能を外すということで、私どもの検査課は廃止になりまして、証券取引等監視委員会において実態解明をする、事実関係の検査を行う。私どもはそこから勧告があった場合に行政的な手だてをするという形になっておりますので、具体的な検査につきましては私どもは言及する立場にございませんことをお許しいただきたいと思います。
  134. 角田義一

    ○角田義一君 私は、具体的な検査のことを聞いているんじゃないですよ。これだけの事態の雑誌記事が出て大蔵省が無関心でいるはずはないんです、今までの例からいって。大蔵省は事実上関係者を呼んでお聞きになったのか。当然、取引監視委員会も一緒になってやったと思いますけれども、やったかやっていないかということだけはっきり答えてください。
  135. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 先ほど申しましたように、監視委員会は私どもから独立した立場で職権を行使するということになっておりますので、私どもは監視委員会とそのようなことについて事前に意見調整することは控えております。監視委員会がどのような状況であったかは監視委員会の方から御答弁いただきたいと思います。
  136. 角田義一

    ○角田義一君 あなたは控えている控えていると言うけれども、大蔵省が持っている検査の権限を委任しているわけですよ、監視委員会には、いつも一体となってこれはやってもらわなきゃどうにもならないんですよ。そのことを踏まえた上で答弁してください。
  137. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 監視委員会といたしましては、山一証券に対しまして損失補てんの問題でずっと調査を続行中でございましたが、片方で、いわゆる飛ばしの問題あるいは損失補てんの問題等につきまして報道が行われまして、この六月の時点で私ども山一証券に対しまして内部調査をきっちりやって当局に報告するようにという指示をいたしております。再三にわたりその後社内調査を進めるようにという指示をいたしましたが、そうした経緯を踏まえまして、十一月十七日に山一証券の社長から多額の簿外債務があったという報告があったということでございます。
  138. 角田義一

    ○角田義一君 あなたね、質問に答えてくださいよ、それは今から聞きますから。  私が言っているのは、この四月の重大な東洋経済の記事の時点でどういう動きをしたかということが一つ。もう一つは、六月に今言ったように山一に社内調査を命じたと。ナンセンスですよ、前歴があるんだから、山一は。前歴があるものにおまえ調べなさいと。泥棒に泥棒を調べろというのと同じです、これは。そんなんじゃなくて、その時点ですぐに検査に入るべきなんだ。しかも、今あなたに聞いたら、六月に命じて十一月十七日まで五カ月何の返事もない。ほっておいたんじゃないですか。どうなんですか、そこのところ。  まず四月、どうしたんですか。
  139. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 四月の段階で阪和興業についての報道がございまして、その時点では私どもまだアクションは起こしておりません。  先ほど申し上げましたように、この春以降、いわゆる総会屋の事件それから大口法人顧客に対する損失補てんの事件で山一証券に対して犯則調査を実施しておりました。かたがたこういった問題が起きる背景となった内部管理体制のあり方についても検査を行っていたということでございます。その段階で二回にわたって報道が行われましたところから、六月の時点でまずは山一証券が自分で社内調査をして私ども報告してくるようにという指示を出したということでございます。  山一証券の報告が十一月十七日までおくれたということは非常に遺憾なことだと思っております。
  140. 角田義一

    ○角田義一君 簡単に他人事のように、非常に遺憾でございましたで事は済むんじゃないですよ。そんなもの一カ月ぐらい調べさせたら、返事がなければ乗り込むんですよ。そういう態度がないからこういう不祥事が起きるんじゃないですか。  どうですか、大蔵大臣、見解聞きたいですね。その態度、ああいう態度だからだめなんです。
  141. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) しっかりやってください。  もう委員からそういう質問が今後出ないように万全を期していかなければなりません。
  142. 角田義一

    ○角田義一君 長野証券局長お尋ねをしますが、あなたはその四月の時点で、その東洋経済の記事から私は大蔵省は調査したと思っているんですけれども、ある大蔵省の幹部に、山一はできが悪い子だ、できが悪い子だけれどももうちょっとしばらく見ていてやってくれと、こういうふうに言ったと言われております。あなた、正直に言ってくださいよ、もう四月の時点で、この山一というのはおかしいというふうにわかっておったのと違うんですか。
  143. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 山一証券の四大証券の中におきます経営の体力、能力というものにつきましては、私ども監督の立場でいろいろな事柄をチェックしたりすることはございます。  ただいま御指摘の具体的な飛ばしの問題につきまして、先ほど委任しておるから一体としてやるべしという御議論でございますが、大変恐縮でございますけれども、むしろこの監視委員会をつくりますときに、この独立性をいかに担保するか、つまり証券局長がこの検査に対して口をいかに挟まなくするかということが大変あのときから議題になりまして、これは大変重大なことと思って私どもは受けとめてきておりました。  したがいまして、今日まで証券取引等監視委員会の独立性を害するような挙動は私としては控えたつもりでございます。
  144. 角田義一

    ○角田義一君 長野さん、あなた、これだけの山一というでかい会社がつぶれたわけですよ。それで、六月には既におかしいと言って内部調査も入れているわけです。  しかも、私はっきり申し上げますけれども、あなた方は、釈迦に説法だけれども、この証券取引法でははっきりと取引の相手方さらには子会社、ここまでちゃんと調査する権限を与えられているんですよ。子会社がやったことだからわからぬわからぬといって逃げ回れないようになっているんです、これ。どうなんですか、山一の子会社までやりましたか。やっていないんでしょう。
  145. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 私ども証券監視委員会大蔵大臣から委任されております検査権限、あるいは報告徴取権限というものが、取引の相手先、顧客、あるいは子会社と取引をしているのでございますれば子会社に及ぶということになっております。  ただ、今の問題になっております飛ばしの案件につきましては、二十五日から特別検査に入ったところでございまして、その中で事実関係を徹底的に究明して、法令違反等があれば厳正に対処したいと思っているところでございます。
  146. 角田義一

    ○角田義一君 全然やっていないということだね。  大蔵大臣、大変御無礼な質問をして恐縮ですけれども一連のこの金融不祥事というものを考えたときに、御自身でみずからの出処進退についてお考えになったことはございますか。
  147. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 私は七十になりました。還暦のときから、神様の与えた六十年、一年増すごとに何を人生の基本としてやるか、一日一生と誓いました。一日一生ベストを尽くすことによってみずから対処していかなければならないと。大変、国家大事のときでありますから、きょう一日ベストを尽くす、こういうことの連続で取り組んできたつもりであります。今後もそう取り組んで責任を果たす。こういうことであります。
  148. 角田義一

    ○角田義一君 時間がありませんからちょっと総理お尋ねをいたします。  今、盛んに公的資金の導入問題が預金保険機構の強化と絡みながらいろいろ議論されておりますけれども、今日いわば銀行が買い取ります膨大な不良債権というものの償却は、御案内のとおり超低金利によりまして一般庶民も大変なある意味では被害をこうむっておる。ある意味では、はっきり申し上げまして、国民大衆の犠牲の上に銀行が膨大な業務純益を上げて、そしてそれが償却に使われておる、この事実を私は否定できないと思うんですね。もう国民は、ある意味では間接的に一種の税金を払っているんですよ、公的資金をぶち込んでいるんですよ、形態は違うけれども。  したがって、さらにこの際、この上に公的資金を導入するということになれば、住専のこともございますし、よほどその前提条件としての責任の追及なりディスクロージャーなり、そしてシステムが透明でなければ私は納得しないと思いますけれども、時間の関係がございますので、総理のその辺の基本的なスタンスだけをちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  149. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それこそバンクーバーにおける共同記者会見以来、同様の御質問を何回かいただきました。  私は、現在必要とするものは預金者保護であり、またこれは証券の場合には顧客の保護であり、そしてシステムの安全性を確保することだ、そう申し上げてまいっております。そして、その前提には当然ながら、先ほど白浜議員にもお答えをしたところでありますけれども、公的資金とかそういうことにかかわりなく、どうして、なぜ、例えば山一の場合も飛ばしが行われたりあるいは損失補てんが行われたり総会屋への利益提供が行われたりということに対しての解明は当然きちんとなされなければなりません。  また、こういう問題が起こるたびに情報開示がおくれているということを痛感いたします。ですから、そういう努力をしていくことも当然必要でございます。そして同時に、預金者保護金融システムの安定性強化という、そのためにまさに今いろいろなお考えが出ておるわけでありますけれども、公的支援によってのセーフティーネットを完備する、そして預金者保護することが本当に大事だと私は思います。  ですから、どんな事態が起ころうと対応できるように預金者保護のために公的支援によって利用可能な資金を拡大しておくということを今後検討すべきではないだろうか、そう思っておりますということをけさ以来お答えをしてまいりました。私はそうした視点でこの問題を眺めたいと存じます。
  150. 角田義一

    ○角田義一君 委員長、関連質問を同僚の千葉景子議員にお許しいただきたいと思います。
  151. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。千葉景子君。
  152. 千葉景子

    千葉景子君 先ほど既にお触れがありました相次ぐ金融破綻から雇用問題も大変深刻化しているところでございます。これまで政府の護送船団方式と言われるもので金融・証券業界の脆弱な体質を許してきた、それによる経営者の甘えあるいは無責任体質、これが経営破綻を生ぜしめ、結果的には多くの働く者が犠牲になる、こういうことにつながるわけでございます。  そういう意味で、細かいことは申しませんけれども、この今の金融不安を解消することに万全を期す、そういうお話を常々おっしゃっておられますけれども、やはり雇用についてもその働く者の生活不安、そして生活の基盤を守るために万全を期す、こういうお考えはないのか、まず総理にお聞きしたいと思います。
  153. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、率直に申し上げますなら、私には初めてその質問が来ましたから、今まで全然触れてまいりませんでした。  ただ、金融機関などにおけるさまざまな変化の中で、雇用問題が発生することをどうすれば最小限度のものにとどめられるかという思いは間違いなしにございます。最小限度という言葉を使いましたのは、みずから倒産いたしましたり自主廃業を宣するものがあるわけでありまして、こうしたものも含めまして、やはりどうすれば最小限度で食いとめられるかということを考えていくことは大変大切なことだと思います。同時に今、金融機関のみならず雇用情勢が決してよい状況ではありませんだけに、私どもとしてはどうすればできるだけ失業を経験することなしに労働移動が円滑にできるか、そういった意味での支援というものを行いますとともに、労働者派遣事業の見直しなどによる労働力需給調整機能の強化を図るといったことも考えながら対応していきたいと考えてまいりました。  今、再就職の支援ということとともに、特に関連企業においても発生する失業というものの可能性はあるわけですから、そうしたことを予防するための措置をとるなど、労働大臣にもこれから適切な努力をしてもらいたい、そう思っておりますし、先ほど労働大臣も同様の趣旨を御答弁申し上げております。
  154. 千葉景子

    千葉景子君 労働大臣、細かくお聞きできませんけれども、例えば雇用調整助成金の基準の見直しとかあるいは労働債権の保全について、今後基盤を整備するとか、そういう点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  155. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 今、総理から御答弁を申し上げました、特に当該企業ではなく、当該企業の結果生ずる関連企業の方々の立場を守るための雇用調整助成金の支出につきましては、金融機関にも大型倒産企業としての指定が及ぶように、今その指定の基準を変えるべく審議会に持ち回りで鋭意検討いただいております。今週中ぐらいには結論が出ると思いますので、早急にやりたいと思いますし、まじめに働いてこられた既往の、これまでの労働債権確保については、これは日本の法体系の中で労働債権の順位は一般債権よりは上位にございます。今関係方面から聴取をしておりますところでは、山一、北拓等については一応債権が債務を上回っておるということでございますから、その点については私どもは大丈夫だろうと確信をいたしておりますが、今後ともできるだけ関係方面と連絡をとりながら、まじめに働いてきた人の立場を守っていくように努力をいたしたいと思っております。
  156. 千葉景子

    千葉景子君 終わります。
  157. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で角田義一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  158. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、及川一夫君の質疑を行います。及川一夫君。
  159. 及川一夫

    ○及川一夫君 総理、閣僚の皆さん、御苦労さまです。  私は、最近の金融不安というものを目の前にして、やらなければならない政治家としての責任というものを非常に強く感じております。しかし、これからさまざまな具体策を打ち出すにいたしましても、国民の皆さんが感じていることと、とりわけ総理が御答弁をなされるそのレベルといいますか、あるいは気持ちといいますか、それが果たして一致した立場に立って総理はお考えになっているのかどうかということが大変私は問われるような気がいたしてなりません。  恐らく、公的資金の導入という問題についてはそうたくさんの人が反対をするというお気持ちではないと思うのであります。しかし、これまでの公的資金の導入という問題が、何かしら金融機関の会社の皆さんを保護するとか、あるいは住専の壊れた経営体を持ち直すために税金をつぎ込むとか、そういう不信感というものが今までありましたし、また今日なおかつ私は続いているというふうに思うんです。  したがって、私も住専処理の問題については政府が提案されたことに対して賛成をしてきた立場でありますから、私も反省を求められれば反省する気持ちは十分に持っているということを前提にして、特にこの住専問題の処理に対するこれまでの政府の対応、我々の対応というのは国民の皆さんは納得されていないと、私はこういう気持ちなので、今後の対策を打ち出すにしても、私はその辺のことについて総理としてどうお考えになっているか示していただくことが非常に重要ではないかと思いますので、御質問いたします。
  160. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から公的資金導入という言葉を使っての御質問がございました。私は、あえて今日ただいまも、公的支援によりということは申し上げておりますが、公的資金の導入という言葉は用いておりません。それは、議員が今いみじくも述べられましたような国民の中に持っておられる感情というものがあるであろう、そういう意味ではそうした国民の気持ちというもの、そことギャップが生まれてはいけない、そうした思いが確かにございます。  しかし同時に、私は、特定の企業への公金導入という誤ったイメージを消すためにもという議員のお話がございましたが、もうよく御承知のとおり、あれは住専というものをなくしてしまうための対応だったということを改めて思い出していただきたいと思うのであります。そして、情報開示あるいは経営者の責任の明確化といったものは、実は公的支援をするしないにかかわらず、私は当然これは進めていかなければならないことだと思っておりますし、経営努力というものもそうでありましょう。その上で今金融システムの安定性をどうすれば強化できるか、さまざまな御意見をさまざまなところで出していただいております。本日も衆参両院のこの予算委員会集中審議において、いろいろな御意見を我々もちょうだいをいたしました。  その中で、私が繰り返し申し上げてきましたこと、それは公的支援によりましてセーフティーネットを完備して預金者保護することが重要だということであります。どんな事態が起きても対応できるように預金者保護のために公的支援によって利用可能な資金を拡充しておくこと、これを今後検討していくべきものだということを申し上げております。  そして、金融システムの安定というのは、要するに預金者保護、あるいは投資家保護、あるいは投資家資産保護、こうしたものを目的として公的な支援を含めて具体案を我々は早急に固めなければならない、そして金融システムの安定性の確保全力を挙げていかなければならない、私はそのように思っております。  あくまでも預金者投資家保護するためにそれのシステムを安定させる、そうした中から我々は将来を考えていかなければならないと思うんです。
  161. 及川一夫

    ○及川一夫君 これからの具体的な対応に当たっては、総理も申し述べられますように、とにかく預金者あるいは投資家、こういった者の保護のために支援をするということであると私も思います。  ただ、そういったことを前提にしながらも、しからば証券業界なら業界の経営者としての、あるいは業界全体の集団としての努力というものが一体十分なんだろうかということも私は指摘をしなければいけないし、とりわけ経営者の責任というのは、どなたかも御質問なされましたが、要すれば私財の供出という問題を含めたやはりみずからに厳しいものでなければならないものだというふうに思っています。情報の公開、さらには行政上の監督責任という問題もこれまでさまざまな点でありましたけれども、なかなかもって胸のすくような行政責任あるいは経営責任というものをとったということがないことが今日本信感というものを倍加させている、こういうことではないかと私は思っております。  そういった点で総理の御見解をお伺いしておきます。
  162. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、議員がおっしゃらんとする意味はよくわかるつもりであります。私自身が前回の証券・金融不祥事のとき大蔵大臣として行政の責任を自分の立場で判断をし、職を引きました。  同時に、あのとき私が非常に痛感をいたしましたのは、本当に責任のある方々というのは時効の壁に阻まれてしまい、会社から去ってしまわれた方の中に本当はおられたんじゃないだろうか。たまたま今責任者の地位にある方、それはよく知っておられて引き継がれた方もあるかもしれません、あるいは十分な知識を持たずに従来の惰性のまま細かい説明を受けずに引き継いだ方があるのかもしれません。しかし、そういった解明をするには時効の壁というものは本当に厚いものだということを当時私自身が感じさせられました。  そうしたこともございましただけに、議員の御意見はよくわかるつもりでありますが、やはり法治国として、法の許す範囲内において最大限の努力をしてもらう以外に、調査をしてもらう以外にない、今そうお答えせざるを得ないと思います。
  163. 及川一夫

    ○及川一夫君 そのお答えを前提にしながら、特に情報の公開という問題では、それこそ経営者団体そのものもそうだし、経営者もそうでありますけれども、特に行政監督に当たられる大蔵省というのはやはり速やかに公開をすべきだという気持ちがしてなりません。  そういった点で証券局長にお伺いをするわけですが、少なくとも、十一月十七日、口頭で山一から受けられて、二十四日に文書でもって報告を受けた際には、簿外債務という問題を含めて廃業というところまで臨時の取締役会が踏み切ったという経過になっており、二十五日にそれが大蔵省をして発表されている、こういう経過なんです。  しかし、私から言うと、十七日から二十四日までの間に大蔵省は何の行政指導もあるいは接触も一切なかったのかどうかということについて、まずお聞きいたしておきたいと思います。
  164. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 十七日に簿外債務の存在につきまして報告を受けましてから、二十二日に、異例でございますけれども、私自身でこの簿外債務の存在を記者会見で発表させていただくという段取りでございました。通常でございますと当該証券会社自身において発表することでございますけれども、取引日でない土曜日をとらまえ発表を迅速に行うことを慫慂する意味で私自身から異例の発表をさせていただきました。  十七日から二十二日までの間、もろもろの状況がございましたし、その間いろいろな情報交換なり指導は山一証券に対していたしておりました。
  165. 及川一夫

    ○及川一夫君 大蔵の皆さんがおいでになって御報告を受けた際には、そういうお話は受けていませんでした。  しかし、恐らく何らかの行政指導なりいろんな接触はあったものという前提に立っておりましたが、これは内部告発というふうに言っていいのかどうかわかりませんが、社員なりあるいはまた家族の皆さんからの思いを含めて、実は大蔵省に対する批判というんでしょうか、それとも怒りというんでしょうか、そういったものが実はぶつけられてきたものが私のところにあります。  特に、十一月十四日に長野証券局長に簿外負債を報告した際に、そのときに会ったことも報告したこともなかったことにしてくれと言われたという情報とか、私が大蔵省の皆さんから御報告を受けたときには、十一月十四日の話はございませんでした。それで今初めて、何日とは言いませんでしたけれども、恐らくそんな話があったのかなというふうに思います。  さらには、十一月十九日に長野証券局長を訪ね資金繰り緩和を要望したが、逆に自主廃業を言い渡され、会社更生法の適用も拒絶、日時も二十六日と指定された、こういうことが実は私の手元に来ているのであります。  これは恐らく公表されたものと、それから恐らく山一関係者と思いますが、そういうベースでこのことが訴えられているわけでありまして、もしそういったことが事実とすれば、あったならあったことでもって本来なら証券局長が情報を公開すべきだ、少なくとも与党にはそういったものは知らせるべきだ、あるいは国会でも明らかにすべきだ、こういうふうに思うのであります。信じたくはありませんけれども、こういったことが多く流れているということを考えますと、私はやはりこれを放置しておけない、こういう気持ちがあるものですから、お尋ねしておきます。
  166. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 十一月十四日夜に山一証券の社長が、会社の資金繰りが大変困難になっておるということの報告に私のところに参ったことは事実でございます。そして、資金繰りが大変困難になっておる、どういう状況であるかという話の過程の中で、山一証券自身としてやや隠しておることがあるという心証を私は得ましたので、至急に事柄を整理の上報告してもらいたい、資金繰りがこんなに苦しくなった背景にいろんなことが何かあるのであろうということを申しまして、その結果十七日に具体的な報告が入ってきたということでございます。  そのような推移の中で、御指摘のとおり、こういった巨額の簿外債務につきまして早急にディスクロージャーをするということは大変重要なことでございます。しかし、また一方、簿外債務状況、その取引先あるいは顧客に対する影響というものがきちんと説明できる状況になっていないまま、ただこのことだけが不確かなままに世間に出ていくということにつきましては、先ほど斎藤文夫先生が御心配になられましたように、突然そういったことが不整理のままにマーケットに出ていった場合に大変な混乱が生ずることも事実でございますから、きちんと早急に整理をした上で投資家の方などに十分説明できるような形にしてから報告をしてもらいたいということを申し上げました。これは決して私から時間を放棄したつもりはございません。  世界金融監督当局にとって非常に重い思い入れがございますのは、ニューヨークにおきます第一勧業事件、それからシンガポールにおきますベアリング証券事件、これがニューヨーク、ロンドンの監督当局の大変重いこれまでの教訓でございますけれども、ともに簿外を監督当局が把握することができず、ある事情から把握したときにそれをどのような形でマーケットに伝え、そして信用不安を食いとめるかということでございました。ニューヨーク連銀におきましては、大和銀行からの報告を受けてからその事実を大和銀行に公表させるまで八日間という時間がとってある、そのことは私がこの作業を進める上で十分に念頭にございました。
  167. 及川一夫

    ○及川一夫君 それほどの内容があるなら、本来、大蔵省の報告ということで出された文書の中に記載してもらわなければならないんじゃないでしょうか。ここに書いてあるのは十一月十七日と二十四日の事態だけであります。  大蔵大臣、これは大切なことです。特に、廃業というものが言い渡されて、会社更生法の要求については拒絶をされたなどということがあるとすれば、これはなおのこと私は重要な問題だと思います。同時に、私が手元に持っているものには相手側のだれだれが会見をしたかということも書かれているものですから、ぜひ、これは情報公開の手始めと言ったらなんですが、やはりしっかりした情報を私らには与えてもらいたい、こういう意味大蔵大臣に私は調査を要求しておきたい、こういうふうに思います。  時間がありませんから、もう一つ。実はインサイダー取引があるのではないかというようなことがうわさをされています。ここに山一証券の中で整理をされたものがありまして、出来高というものを前提にして報告されているわけです。  この報告を見ますと、九月三十日から十一月二十一日までの間の株の出来高が記載されておりまして、平生は出来高が多くても四百万株、大体二百万株-三百万株、こういうような動きなんですが、十一月十三日は二千八百三十六万株、それから十四日には六千三百十八万株、そして十九日、二十日、二十一日ということになりますと八千三百万株から八千百万株、七千四百万株というふうに、端数は別にしまして、大変な出来高に実はなっているわけであります。  こういったことは監視委員会が私はお知りではないのかというように思いますが、まず知っているかどうか、監視委員会にお伺いいたします。
  168. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 私どもは、取引所等とも連携をとりまして、日常的監視と言っておりますけれども、日々の取引の中で特異な値動きをする銘柄、あるいは売買高が急増した銘柄など、そういった大きな変動のある銘柄につきまして、取引状況につきまして取引審査というものを行っております。その過程で不自然な動きが出てくれば証券会社からいろいろ事情を聞きまして、どういう顧客から注文があったのか、どういう取引動機で注文が出されたのかというようなことを分析いたしまして、あるいは関連するような情報を集めまして、事実関係を解明するよう努力をしているということでございます。  そういったことを日常的にやっておりまして、そういう中で法に触れる行為があれば厳正に対処するということになっております。
  169. 及川一夫

    ○及川一夫君 会長をやられた植谷さんの話とか、そういった問題がたくさん私は出てきているように思います。植谷さんは、たしか去年十万株売っただけだというふうにおっしゃられておりますけれども、有価証券の報告とかそれから社内の報告資料を見ますと、少なくとも十七万株は手放している、こういう状況。しかも、どうも廃業に近い、また廃業というものを知った段階でそういったことをされているというような私は疑いがあるというふうに率直に言って思います。  したがって、監視委員会の方はそういったことを十分に調査してもらいたい。そうでないと、山一の会長だ、社長だという方がそういうことをされているということになりますと、本当にこれは不信感どころじゃない、怒りが倍加します。したがって、これはどうしても見逃せない事実でございますから、調査をされるように要求をいたします。  いずれにしても、総理、この問題は我が国のこれからの国際的な意思とか信頼とか信用とかそういうものにかかわってくる問題だろうと思うのであります。したがって、京都会議の問題もこれあり、私は、信頼というものがなければ何を提案してもまとめることはできないし、まとまることもできないんだろうと思います。特に日本の場合には、国際的に非常に模範とされた国だ、とりわけ経済の面ではというようなことが言われておったことを考えますと、ぜひこの信用というものを失わないようにきちっとした対応をしていただきたいということを申し上げて、総理の御見解をお聞きして終わります。
  170. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この問題は、まさに議員指摘のように、国内において、国内経済の上で、また国民の資産運用という場の中に起きた事件として極めて問題の多いものであることは間違いありません。そして、これは公的支援云々以前の問題として徹底的な解明をしていく。それをまた反面教師にしながら情報の公開の仕方等も十分考えていかなければなりません。  同時に、この山一の問題というのは対外的にも極めて大きな影響が生じかねないものでございました。幸いに、大蔵大臣日銀総裁、手際よく談話を発表され、会見をされ、私自身APECに向かいながら、その後の香港、ロンドン、ニューヨーク、それぞれの市場の様子が気になって仕方がありませんでした。  幸い大きな影響を生ぜずに今平静を保っておりますけれども、そうしたこと一つをとりましても、我々はこれからこうした問題をどうすれば防げるのか、同時にどうすればセーフティーネットをつくれるか、それは、国民の預金であり投資家の方々が運用される資産であり、それを運用する場としてのシステムの安定というものでありますけれども、それを確保するために我々は全力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
  171. 及川一夫

    ○及川一夫君 終わります。
  172. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で及川一夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  173. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、筆坂秀世君の質疑を行います。筆坂秀世君。
  174. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 拓銀、山一、そして徳陽シティ等の破綻が相次ぐ中で、今、公的資金、要するに最後は財政資金、税金投入という議論が盛んであります。  きょう午前中、衆議院で宮澤元総理が、今の預金保険機構の信用組合特別勘定は政府保証がある、これを一般金融機関特別勘定にも拡大すべきではないかと。つまり、最後、穴があけばここにも税金投入という提案をされました。この大義名分になっているのが、預金保険機構は預金者保護のための機構であるということであります。しかし、果たして本当にそうなのかどうなのか、私これが今問われていると思います。  例えば、預金保険機構は、八六年の改変で、破綻金融機関を吸収合併する救済金融機関への資金援助が可能になりました。そして、昨年の改正で、一つは、金融機関破綻したときにペイオフコストを超えて資金援助を可能にする、こういうことがやられた。いわば青天井での資金援助であります。二つ目の点が、破綻した金融機関の不良債権を預金保険機構が買い取れるようになったということであります。  大蔵大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、九六年の改変以前、これはペイオフコスト内での資金援助しかできなかった。この間、東邦相互銀行から始まって太平洋銀行まで、十二の銀行、信組、信金が破綻しております。当然、預金保険機構からも資金援助がされた。しかし、この十二の例、すべて民間金融機関からも資金援助があったはずですけれども、これはいかがでしょうか。
  175. 山口公生

    政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。  昨年の通常国会でお認めいただきましたいわゆる金融三法ができます以前は、ペイオフコストまでの資金援助ということでございました。委員の御指摘のとおりでございます。  そうしますと、穴があいたときに埋められる、つまり贈与できる金額がその全部をカバーできないケースがしばしば起こります。そうしたときに、穴があいたまま援助しますと、やはりそれはカットされるという現象が起きるわけです。すると、今預金者の方々にその預金をカットという形で自己責任を問うていくことができるかどうかという問題がありまして、したがいましてその差額は他の金融機関等に御協力を仰ぎ、それで埋めておったわけでございますが、それがある意味では護送船団だ、奉加帳だという御批判も仰いだという経過がございます。
  176. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いろいろ言ったけれども、要するに、十二の破綻した銀行、信組、信金すべてに民間関係金融機関からの資金援助が行われてきた。例えば太平洋銀行でいえば、破綻してわかしお銀行というのが設立された。この際には、さくら、富士、東海、三和、都市銀行四行が千百億円、これは債権放棄という形で資金援助を行っています。  この間に、十二の金融機関に対して、預金保険機構は総額で八千四百八億円出している。民間金融機関の側は四千三百二億円出している。預金保険機構の負担のほぼ半分程度を民間金融機関も負担している。今言われたように、昨年法律が変わった。そしてペイオフコストを超えて資金援助ができるようになりました。これ以降、最近の拓銀、徳陽シティを含めると十の金融機関破綻しています。このうち民間金融機関が負担したケースは、木津信の場合の三和銀行百二十二億円、これだけですね。
  177. 山口公生

    政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。  先生のおっしゃる趣旨は、預金保険機構以外に民間の金融機関が応援をしたかという意味でありますと、御指摘のとおりでございます。
  178. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、それまでは十二すべて民間金融機関が応分の負担をやってきた。これは金融システム内の問題だからですよ。ところが、昨年法律が変わってペイオフコストを超えて資金援助ができるようになって、これはもう見事に民間金融機関は全部手を引いた。それで、木津信が破綻したときに三和が百二十二億持っただけ。これは当たり前の話なんだ。この木津信の破綻最大の原因をつくった元凶が三和銀行の四千億円近い紹介融資、迂回融資。しかし、三和銀行は最後まで持とうとしなかった。なぜなら、自分たちが持たなくたってみんな預金保険機構が出してくれる。結果、一兆三百四十億円出した。そして、大蔵省や大阪府が幾ら何だってひど過ぎるじゃないかと言うので、やっと渋々低利融資をやって、金利差百二十二億円負担するようになった。  きょう午前中、私どもの佐々木陸海議員がやりましたけれども、大阪信組の場合には、東海銀行が七〇年代から人をずっと送ってきた。しかし、全部預金保険機構にこの破綻のツケを回して、東海銀行は一つも持たなかった。預金者保護預金者保護と言うけれども、昨年以前だって預金者保護されていた。そして今だって一緒でしょう。  だれが救済されたのか。関係金融機関が救済されたんです。もし以前のままだったら、三和銀行は千億円単位の負担をせざるを得なかった。百二十二億で済んだ。東海銀行ゼロ、みんなゼロですよ、これ見事に。大蔵大臣預金者保護のためと言うけれども、一番助かったのはだれかといえば、関係した金融機関、都市銀行ですよ。そういうことになりませんか。これは大臣お答えください。
  179. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 金融三法が存在しておりませんと、必ずそのロスのうちの預金保険機構が埋められない部分を手当てしなきゃいけません。そのときに、関係のあった金融機関、あるいは関係のあった金融機関関係が薄い場合は皆さんにひとしく御協力願いたいということでお金を集めなければ預金者は守られないということになるわけでございます。金融機関が体力が非常にあるうちは、そういう私どもも御要請しますと応じていただけるケースがございました。しかし、だんだん不良債権処理の重荷を感じ、みずからそれを脱却しなきゃいけない、また国際的な競争力の問題もあるという事態になりましたときに、そこにおのずから限界が参ったわけでございます。  したがって、仕組みとしてきちんとそれを保険料を七倍に上げて負担すると。その負担も、御承知のように一番負担しておりますのは預金量の大きい大きな銀行でございます。大きな銀行は、みずからは倒れないとは確証は持てませんけれども、そのリスクは比較的少ない。そういうところが額としては相当な額の負担をしているという事情もあるわけでございます。少なくとも仕組みとして預金者を守るという姿をこの金融三法でお認めいただいたわけでございます。
  180. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 仕組みとしてだけじゃないでしょう。仕組みをつくった結果、みんな体力あるけれども責任逃れをしているじゃないですか。三和銀行に百二十二億円しか出す体力ない。そんなことはない。今、引き当て率、もう九八年三月期の八〇%を超すと言われている。千億円出したって十分体力はある。仕組みをつくっただけじゃないんです。仕組みをつくって確実に、事実責任逃れを許したんですよ。これが第一の問題。  二つ目の問題。不良債権を全部買い取ることになったでしょう。そして今度だって拓銀の不良債権を買い取ることになりました。大蔵大臣のたしか談話でも出ております。これは今、整理回収銀行に委託するなり譲渡するなりして回収をやっています。回収率は一体幾らになっていますか。回収率だけ答えてください。
  181. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 拓銀にいたしましてもこれから不良債権を買い取るということになるわけでございます。それを整理回収銀行で回収にかかるということでございます。もちろん貸付債権等は期限がありますから、期限が来るまで時間がかかるということも考慮に入れる必要がございます。
  182. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今の整理回収銀行の回収率は一三・六%です。もちろんこれは途中経過であります。しかし、これは正常債権じゃないんですからね。不良債権なんです。一〇〇%回収できたらこれは不良債権とは言わない。これは優良債権と言う、こういうのは。一三・六%です。  ここへ拓銀の不良債権が来るでしょう。徳陽シティもそうですが。そして、今国会で出されている預金保険法の改正案では、営業不振同士の金融機関を合併させる、そのときには優良資産だけ受け継ぐ、不良債権はやっぱりこの預金保険機構で買い取っていこうというんでしょう。一体これから先幾らになるのか、聞いたって当然おわかりにならない。幾らになるかわからないんですよ、預金保険機構で買い取る不良債権が。そして、回収率は今一三・六%です。何割になるか知りません。しかし、穴があくことだけははっきりしているんです。  宮澤元総理もきょう衆議院でおっしゃったでしょう。総理、穴があくかもしれないから、だから政府保証をつけるべきだと、一般金融機関破綻に対しても。こういうことを主張なさいましたよ。  つまり、結局銀行の責任を免罪して不良債権を買い取って、優良債権を全部新しい銀行とか別の銀行に引き継ぐわけですから、まさに預金保険機構は廃棄物処理場ですよ。ごみ箱扱いですよ。そして、穴があくことはほぼ確実。政府保証といえば税金負担ということじゃないですか。これを国民に持てと言って、国民は絶対納得できない。総理、そうお思いになりませんか。
  183. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 先ほども説明いたしましたように、保険料は一律になっております。  アメリカ現状を申し上げますと、大きな優良銀行はほとんど保険料を今は負担しておりません。むしろ調子が悪い銀行の方が負担している、こういう事実でございます。  したがいまして、金融機関が七倍の保険料でもって今の仕組みを支えているということでございます。その結果、どういうことが可能かといいますと、預金者保護される、それからシステムが壊れない、可能であれば健全な取引先が守られる、こういう我が国経済のベースになるものをここで構築しているわけでございます。  それで、先ほど申されました、いろいろ買い取り等があった場合にロスが出るとおっしゃいますけれども、これは時価で買い取りますから土地の価格等の変化によってそれは変わってまいります。したがって、最終的には預金保険機構の財源がロスに見合うだけのものがあるかどうかということになるわけでございます。  しばしば申し上げておりますように、二・七兆円の財源があって、今一・四兆円使っております。計算すると丁三兆円残ります。それで十分かどうかという点が問題になっているということでございます。しかし、このシステムがあるおかげで我が国は国際的にも信用不安をまき散らすことはありません。国内的にも、破綻が生じても混乱が現実に起きるということは防げております。そうしたことをぜひ御理解いただきたい。  なお、個別の金融機関について私どもから、ぜひそれとは別にまたこれを少し応援してくれと言うことは当然可能でございますし、そういうことも場合によってはやろうと思っております。
  184. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今アメリカの例を出されたけれども、もちろんアメリカは銀行の優良度によって違います。しかし、平均すれば日本の四倍でしょう。それぐらい保険料は高いんですよ。つまり、金融システム内で解決しているんですよ、借り入ればあるけれども金融制度調査会だって言っていたでしょう。だって、銀行はその金融システムの中で生きているんですよ、そこで商売やっているんです。まず、みずからその金融システムを守るために全力を挙げる、必要な負担はする。  さっき体力の話をされたけれども、例えば、きょうの日経新聞で全銀協の佐伯会長は何と言っているか。不良債権の「要処理額は四兆円台に減っている。年間の業務純益は八兆円ほどあるから、全体としては償却は終わりに近づいている。」、こういうふうに言っているんです。  先ほども指摘があったけれども、この間、超低金利政策で約四兆円、銀行はその分もうけているという指摘日本総研がやっている。十分体力はあるんですから、これは銀行に負担させるのが当たり前ですよ。  私、時間がなくなりましたから、最後にもう一点お伺いしたいと思うんです。  山一証券の破綻に関連して、行平前会長、植谷元会長らが自社株を売却していたという疑惑が指摘されて、ここで参考人として出席して、私は一株も売っていないと否定された。ところが、私はここに今の山一証券の社長、野澤正平さんが署名されている社内で従業員の皆さんにファクスで流された文書を持ってきた。こう書いてあるんです。  皆様、連日遅くまで大変ご苦労をおかけしています。  さて、本日の東京新聞の「前・元会長の自社株の大量売却」という記事を読み、私は愕然といたしました。  只今、その真偽を含め証券取引等監視委員会に徹底的な調査を依頼しました。もしも、事実であるならば、私は断じて許すことはできません。当然ながら、その罪状を徹底的に追求する覚悟です。 こういう文書であります。  私は、最後に総理にお伺いしたいと思うんです。  先ほど来議論になっていますけれども、経営者の責任というのは、刑事責任、法律に触れる責任、これがもし事実ならインサイダー取引ですから当然ですけれども、それ以上にやはり経営者としての社会的責任、経営責任、道義的責任、こういうものも含めて徹底的に追及していくということをやらないと、モラルハザードと言われるけれども、これは本当にそれを蔓延させることになる、こう思いますけれども総理の御見解を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  185. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 最後の部分で触れられましたモラルハザードに対する御注意も含め、御意見は承りました。
  186. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  187. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で筆坂秀世君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  188. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、佐藤道夫君の質疑を行います。佐藤道夫君。
  189. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後になりました。お疲れでしょうが、少しくおつき合いくださいませ。わずか五分でございます。  私は、今回の日銀特融に絞ってお尋ねいたしたいと思います。大蔵大臣日銀総裁ということでございます。  大蔵省の発表によりますれば、山一資産と負債が大体見合っておる、とんとんであるという発表のようでございます。日銀総裁はさらに積極的に資産超過という余り聞きなれない言葉を使っております。資産があり余るからこそ今回の日銀特融に踏み切ることができたんだ、融資した金はいずれ間違いなく戻ってきますということを先ほどもおっしゃったように思います。  聞いておりますと、何か山一というのは最近まれな優良企業かなという気にもなってくるわけであります。それがどうして廃業などに追い込まれることになったのか不思議だなという気もいたしますが、しかしここは政府説明、日銀説明をそのまま受けとめまして、資産があり余る、貸した金はいずれ返ってくると。ここまで来ますると、これはもう民間銀行、取引銀行の問題ではないか、こういう気がしてくるわけです。  要するに、資産があります、それを引き当てにして緊急融資を行って当座をしのぐ。廃業するかあるいは立て直すか、廃業するにしても迷惑をかけないようにきちっとした形で廃業させるということは、これは民間銀行、民間の手でやることではないのか。民間がぎりぎりの努力をして、それでもだめだったというときに、最後の最後で国が出る、日銀が出る、これは当たり前のことではないか。  皆さん方お忘れのようですけれども日本という国は資本主義国家であります。自由主義国家であります。社会主義ではないのですから、民間でできることは民間がやる、これは当然過ぎる当然なのでありまして、最初から日銀特融が飛び出してくる、大変おかしいなと私は思っておるわけであります。  それから、もう一つ大事なことをやはりお忘れのようですけれども、銀行の社会性、公共性をどう考えるか。銀行法第一条を読むまでもないと思いますけれども、銀行は国民経済の健全な発展に寄与する、そういう責務をうたいとげておりますから、自分が取引をしている会社が少しく揺らいできた、さあどうしようというのは取引のある銀行団がまず考えることではないか。そんなことは我々の仕事ではない、国がやるべきだと、そういうことは言えないわけであります。銀行というのは営利会社じゃありませんから、どうもその辺が納得いかない。  しかし、今度の銀行団というのは実は四十年のとき、第一次山一の場合と全く同じなんです。前科一犯といえば前科一犯でありまして、あのときも結局は逃げて日銀特融になった。ところが、山一が再建されましたら平然とまた取引を開始しまして、バブル期には山一を介して大変利潤を上げて、そしてこの山一がかしいだら今度はまた逃げ出そうとしている、こんなこと許していいんだろうか、こういう気がいたすわけであります。  当然今回の問題について、大蔵大臣は銀行団に対して私が言ったようなことを言ったんだろうと思います。当たり前のことですから、君たちの責任でひとつやってみてくれと。資産があり余っている、融資した金は日銀がぴしっと取り返すと言っているぐらいであるからして、君たちのプロの目で見れば必ず取り返せるはずだということを言いまして、まず第一次的に責任を銀行にしょってもらう、これは当たり前のことだろうと言ったろうと思いますが、言わなかったらこれは一体どういうことなのか。言ったといたしまして、そのとき銀行団がどういう回答をしたのか、その質問に対して。それをちょっとお教え願えればと思います。
  190. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) これは申しておりません。民間銀行に対して申しておりません。要請はその時点でしてありません、急な危機的状況でございましたから。
  191. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 率直に申し上げますと大変無責任な発言でございます。当たり前のことでございましょう。しかも銀行というのは免許事業でありますから、大蔵省が免許権限を持っておるのでありまして、相当なことは言えるはずであります。銀行法一条で何と書いてあるかと言えば、銀行さんも、はあ、なるほどな、我々の仕事ですなと。これだけの大騒ぎになっているわけですから、それを平穏裏にまず何とかやってみましょうという努力を要求するのがこれは監督官庁として当たり前のことだと思いますけれども、そんなことを気がつかなかった銀行局長その他がおるということは考えられません。彼らは東大を皆優秀な成績で出ているんですから、とても考えられないことなんですが、いかがなんでしょうか。本当に思いつかなかったのでしょうか。
  192. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 簿外債務が当時は二千億、最終的に二千六百億でありますが、それが違法な行為によって行われた、こういう事態があり、そのことが基本となりまして自主判断で廃業と、こういう決定をされたということで、山一が御案内のとおり破綻をいたした。政府とすれば、預金者保護のため万全を期す体制をとったと、こういうことであります。
  193. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 どうも前段だけで終わってしまいました。残念です。
  194. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で佐藤道夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて金融証券問題に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会