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1997-11-27 第141回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      猪熊 重二君     小林  元君      武田 節子君     浜四津敏子君      都築  譲君     荒木 清寛君      戸田 邦司君     高橋 令則君      千葉 景子君     伊藤 基隆君  十一月十九日     辞任         補欠選任      松村 龍二君     斎藤 文夫君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      石渡 清元君     楢崎 泰昌君      武見 敬三君     北岡 秀二君      田村 秀昭君     菅川 健二君      上田耕一郎君     緒方 靖夫君      佐藤 道夫君     西川きよし君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      北岡 秀二君     鈴木 政二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岩崎 純三君     理 事                 岡部 三郎君                 小山 孝雄君                 永田 良雄君                 成瀬 守重君                 木庭健太郎君                 直嶋 正行君                 竹村 泰子君                 照屋 寛徳君                 山下 芳生君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 板垣  正君                 北岡 秀二君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 鈴木 政二君                 田沢 智治君                 谷川 秀善君                 楢崎 泰昌君                 平田 耕一君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 今泉  昭君                 牛嶋  正君                 加藤 修一君                 小林  元君                 菅川 健二君                 高橋 令則君                 浜四津敏子君                 山本  保君                 伊藤 基隆君                 久保  亘君                 角田 義一君                 大渕 絹子君                日下部禧代子君                 緒方 靖夫君                 笠井  亮君                 西川きよし君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        山一證券株式会        社前代表取締役  行平 次雄君        会長        株式会社富士銀        行代表取締役頭  山本 惠朗君        取        日本銀行総裁   松下 康雄君        証券取引等監視        委員会委員長   水原 敏博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (金融証券問題に関する件)     —————————————
  2. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のうち、金融証券問題について、本日午前に、山一証券株式会社代表取締役会長行平次雄君及び株式会社富士銀行代表取締役頭取山本惠朗君を、また、本日午後に、日本銀行総裁松下康雄君及び証券取引等監視委員会委員長水原敏博君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 予算執行状況に関する調査のうち、金融証券問題に関する件を議題といたします。  本日は、本件について参考人方々から御意見を求めることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。  当委員会におきましては、予算執行状況に関する調査を進めておりますが、本日は特に参考人方々から金融証券問題について御意見を伺うことになりました。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 私は自由民主党の楢崎泰昌でございます。  きょうは、行平参考人山本参考人、それぞれ御苦労さまでございます。質問をさせていただきたいと思います。  先ほど委員長仰せになりましたように、山一証券営業停止をする、それから自主廃業をするというニュースが飛び込んできております。  山二証券は大手四大証券一つでございまして、資本金は千二百六十六億円、そして従業員は九千百六十二人、預かり資産は二十四兆円、筆頭株主富士銀行で三・六二%のシェアを持っておられるというぐあいに聞いております。  その山一証券が、十一月二十四日に当局に対し、簿外債務が約二千六百億円に達することを報告するとともに、自主廃業に向けて営業停止を決定したということであります。このニュース日本経済界のみならず世界経済界に大きな影響を与え、震骸を与えた事件であるというぐあいに認識しております。  大蔵当局はこれに対して、簿外債務等認識後でも千十億円の資本勘定を有しており、顧客、取引先損失を生ずる事態ではないと。そしてさらに、資産の返還のために必要な資金繰りについては、主力三行とともに日本銀行日銀法第二十五条に基づいて貸し付けを行うということを当局側としては既に対応措置を講じておられます。しかしながら、その影響はまことに甚大、そして先ほど申し上げましたように世界震骸させる大事件であるというぐあいに認識しております。  そこで、行平参考人山一証券責任者であられたわけですから、その経緯等についてこれからお伺いしていきたいというぐあいに思っております。  さて最初に、簿外債務発生についての御認識行平参考人からまず伺いたいと思います。
  6. 行平次雄

    参考人行平次雄君) まず初めに、ただいま楢崎先生から御指摘がありましたように、日本のみならず世界のマーケットに大きな影響を与えるような結果になった。また、そういうことに関しまして、国民の皆様、それから政府、日銀、あるいは株主皆様に本当に多大の御迷惑をかけまして、まず初めに心からおわびを申し上げたいと思います。  それで、また冒頭、私が申し上げる立場にあるかどうか甚だ迷うところではございますけれども、ただいま先生が御指摘のように、九千名から家族を含めまして約二、三万人の人間がおるわけでございますが、この生活がかかっております。そういった意味で、もう私としてはおわび表現のしょうがないということを初めにおわび申し上げたいと思います。何とぞ、その雇用等につきまして、先生方の絶大なまた御協力をいただければ本当にありがたいと思います。  それで、ただいま御質問の御要点でございますが、ここに至った理由というのは、この不良資産不良資産を出してしまいますと会社が存続しないと。どちら、右をとるか左をとるかという問題で、結局、不良資産ですけれども、営業成績を上げながら全体の信用を、山一証券としての信用を保って、そこで、収益を上げるということによって黒字を上げ、償却できると。そういう判断をいたしまして、実は、結果としてはこのように大変御迷惑をかける仕儀になったわけでございますが、基本的にはそういう判断でございました。
  7. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今概略的なお話があったわけですけれども、これは不良資産がいつ発生をしたのか。行平参考人は、大変失礼ながら一九八八年以来ずっと社長あるいは会長の職務におられたわけですね。いつごろからこの事件というんですか、簿外債務発生したんですか。その経緯をお述べください。
  8. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私が社長になりましたのは八八年、それから八九年の暮れにいわゆる株式相場が天井を打ったわけでございます。それから九〇年から相場が下がり始めた。その前に、御承知だと思いますが、タテホショックというものがございました。このタテホショック等によりまして、ちょっと細かい資料その他、きのう私呼ばれましたので現在手元にございません、ちょっときょうは準備不足でございまして、申しわけありませんが、相当な含み損があって、それを専心消していった。そこへ株式相場低落が始まったと。その間に、もう数年前の話でございますけれども、いわゆる特金営業特金という形で、当時はお金が非常に潤沢でございましたので、いろんな運用が行われていた。それで、当社でも、ちょっと細かい数字は覚えておりませんが、要するに何兆円台、兆円台のそういった特金を持っていたというか、一任勘定でお預かりしていたわけでございます。  それで、私が社長になって、当然もう相場欄熟期に入っておりましたので、それを解消すべく委員会もつくり、そして極力それを圧縮してやってまいった。最後ぎりぎりのところ、どうしても不良資産として残ったものがあるわけでございます。それが平成三年の暮れにぎりぎりそういう形で残ったというふうに私は現在認識しております。
  9. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今お話がございましたけれども、簿外債務というのは、報ぜられているところでは国内が千五百八十三億円、海外が一千五十五億円、計二千六百三十八億円と言われています。  まず、国内の方から伺っていきたいんですけれども、私はそもそも山一証券が破綻に瀕したのは、最近の株価低落とか格付低下、ムーディーズなんかの格付低下、それから急速な信用収縮等による資金不足というようなことがありますが、真の原因はやっぱりこの不良債権にあるというぐあいに考えております。  今のお話を承ってみますと、平成三年以前に相当の不良債権があった。不良債権というのは多分損失補てんだとか一任勘定ですから、多分お預かりをした株価が下落してしまった、あるいは債券が下落してしまったというようなことだと思うのですけれども、そういうのが平成三年以前に発生をしていた。それに対して実は平成四年以降飛ばしをしていたんじゃないのですか。  というのは、証取法が改正になりまして損失補てんはいかぬよということになって、平成四年一月一日以降は損失補てんができなくなったわけですね。その段階で幾らかの不良債権があった。それは平成四年の一月一日までに解消をしたのですか、どうですか。先ほどのお話だと、平成三年に−不良債権は極力圧縮したのだけれども残高が残ったというぐあいに言われましたけれども、幾ら不良債権が残っていたのですか。それで、それは平成四年以降償却をしたのですか、飛ばしで持っていったのですか、どちらですか。
  10. 行平次雄

    参考人行平次雄君) ただいまの御質問でございますが、平成三年末でどうだと。これは、そこまでにぎりぎり圧縮したものを、どうしても山一のものとして引き取らざるを得ない、つまり一種の借金の形になっておりまして、それを額面で、私の現在の記憶ですと、額面で約二千億、それからそのときの時価はちょっと、私は現在ここで申し上げられる資料を持っておりません。いずれにしても、一千億あるいは五百億に近い損がそこに残ったということでございます。
  11. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 それで、そのときに損が幾らか残った。幾らか今のところはっきりお話しになりませんが、結局、その残ったのがいわゆる飛ばしですね。要するに、A社に、実質がないものを百億円で後で引き取るよという約束をして、九十億円のものを百億で引き受けるよと言って、次の会社にどんどん転がしていく、そういう手法だと思いますが、それをやられたんですか、やられていないんですか。
  12. 行平次雄

    参考人行平次雄君) それからは、いわゆる転々とする格好は全くやっていないと思います。これは言いわけでも何でもないんですが、当時、今は故人でございますが、全面的にいろいろそういう処理をやっていただいた方がおりまして、その人はもうそこできちっとあるところにまとめて、そしてそこからは転々としていないはずでございます。
  13. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 転々としていないということになれば、そのときの不良債権損失というものは当然帳簿上表に出なきゃいかぬわけですね。それは表に出してないわけですか。
  14. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは当社にとって孫に当たる会社に入っていたんではないか。これは現在、証券取引等監視委員会が御調査中でございまして、私ももちろんそこでお話があれば、私の記憶している範囲で御協力申し上げるつもりでございますが、先ほど申し上げましたように、現在一切資料がございませんで、また、きのうのお昼に出頭するように言われましたので、ここで非常に的確にお答えするような事情、状況じゃございません、かえって誤解を招いては後で問題になると思いますので。
  15. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 誤解を招くって、冗談じゃないですよ、これだけオープンになっているのを。あなたは、せっかく参議院の予算委員会参考人として来ていただいているわけですから、知っている限りのことを述べていただかなければ事実を隠ぺいしたいということになりますよ。  今、孫会社と言われましたね。孫会社というのは、日本ファクター、エヌ・エフ・キャピタル、エヌ・エフ企業、アイ・オー・シー、エム・アイ・エス商会という山一エンタープライズペーパーカンパニーですね。そのことをおっしゃっているんだと思います。それはいつごろつくられて、どういう目的でつくられたんですか。
  16. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは正直、いつ設立して云々というのは、先ほど申し上げた人がやっていただいたのではっきりは申し上げられませんが、平成三年の暮れ、例えば十月とか十一月とか、そういった時点であろうかと思っております。
  17. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 余りよく知らないようなことを言われては困るんですよ。それは行平さんが当時の代表取締役社長であり、全責任を持ってやられていたわけですね。ある雑誌ではこのことを行平ファンドというぐあいに呼んで、全部行平さんが支配していて、ほかの人たちはノー、アンタッチャブルであるというぐあいになっていたと聞いているんです。  そのペーパーカンパニーの五つは設立した時期はよくわからぬということで、多少あいまいなお言葉でしたが、これは行平さんが指示をなさって当然つくられたんじゃないですか。そこに借金を集中するということでおやりになったんじゃないんですか。そして、それはいつ、だれに、どこで御指示になったんですか。
  18. 行平次雄

    参考人行平次雄君) いや、私は決して責任回避しているつもりはございません。  先生がさっきおっしゃったように、一九八八年の九月から現在、ことしの八月十一日まで長い間トップの座にございましたから、その意味では、当初に申し上げた重大な責任を負っているという前提のもとにお話ししておりますけれども、例えば会社を建てるとか、その辺にどういうふうに入れてくるかとか、そういった技術論につきまして、正直細かい話というのは今は故人となった人がやってくれた。ただそれだけでございまして、そういった会社をつくって、さっき申し上げた不良資産が入ったということは報告を受けております。
  19. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 亡くなった方に御指示をなさったんですね。それは行平さんが直接なさったんですね。  要するに、こういうペーパーカンパニーをこしらえて、そして不良債権を引き継げというぐあいに指示をなさったと理解していいんですか。報告を受けただけじゃないでしょう。最終的には報告は受けなきゃならぬでしょう。しかし、当時の代表者がこういうぐあいにやれということを指示しなければ、それだけの大事件を、山一の根幹を揺るがす大事件をできるわけないじゃないですか。お答えください。
  20. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私が申し上げたのは、私がつくれと、そういう積極性を持って、つまりいろいろな部門でいろんな技術にたけた人もいますから、そういった人たちがこういう案はどうだろうかと、もうやむを得ぬなと、そういう意味でございます。ですから、そういう意味で、亡くなった人に全部かぶせているとか、私の表現がよくなかったかもしれませんが、そういうつもりはございません。  ただ、こういう会社をつくって、こういうふうにこう持ってきてどうだこうだ、どこにどうあるということは、正直言って平成三年に入って損失補てんの問題も戦争状況でしたから、いろんな事業会社に謝りに行ったり、またその他もろもろの社内会議をやったり、一方では営業をやらぬといかぬ、そういうことで、全部タッチして自分で考えて指示してという時間的余裕がなかったことは事実でございます。  それから、先生一つよろしいですか。  先ほどの行平ファンドというのは確かに某雑誌に出ておりましたけれども、その行平ファンドというのは、それはためにする言い方であると私は思っております。といいますのは、先ほど申し上げましたようにやはり長い歴史がございます。それで、社長として受けたときに、正直言いまして相場としては欄熟期にあった、最後の整理をやらぬといかぬ。そうすると、二兆円というような特金を、しかも一任勘定でございますから、お客様はもうけさせてもらえる、そういう確信に満ちているわけです。それで、また口が滑って、そういう部分もあったと思います。  それをずっと抑えながら、場合によってはゼロクーポンとか外国債券を使いながら一生懸命償却して、それで平成三年の暮れに至ったということでございますから、その行平ファンドというのをどんどん推奨して私が全部支配してということはもう到底不可能でございます。そういうことはあり得ません。これだけはぜひ御理解いただきたいと思います。
  21. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 もちろんのことながら、行平さんが全部考案してと、そんなことを言っていませんよ。  そうじゃなくて、下の人であろうと何であろうと、こういう案でどうですかということに対して、行平参考人代表取締役としてそれを承認し、やれというぐあいに指示をしたかどうかということを聞いているんです。細かいことを、技術的なことを聞いているわけじゃありません。  お答えください。行平さんがおやりになったのか、承認したのか。
  22. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 確かにその点は、こういう形でやりたい、やむを得ぬなと、そういう話はいたしましたと思います。
  23. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そこで、ペーパーカンパニーをつくってそこに不良債権を押し込んだと。以後は飛ばしはやっていないという御発言が先ほどございました。それ以後、飛ばしはやっていないんですか、やっているんですか。
  24. 行平次雄

    参考人行平次雄君) その飛ばしというのは、いろいろな人によってみんな解釈が違っているんじゃないかと思うんです。
  25. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 その違うところを聞いているわけじゃない。
  26. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 済みません。  ただ、その飛ばしというのは、仮に簿外であるという意味の飛ばしなら確かにそうなんですが、普通、飛ばしというのはA社からB社B社からD社、こう転々と、先生御存じだと思いますが、行くわけでございますが、それはやっておりません。やっていないはずです、平成四年以降は。
  27. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 やっていないはずなんですか、やっていないんですか。どちらですか。
  28. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私は平成四年六月に会長になりまして、それから後のことは、もちろん細かいことはわかりません。ただ、平成四年の六カ月間、初めの六カ月間というのはございません。それは断言できると思います。  つまり、平成四年六月に私が社長から会長になったわけでございます。平成四年の一月に新法が施行されたわけです。その間はそういう飛ばしはございません。というのは、平成三年の末にそういうように埋め込んだわけでございますので。
  29. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、平成三年にペーパーカンパニー不良債権を全部押し込んだんだというぐあいに行平参考人仰せになりました。  そこで、この押し込む手法としては、新聞報道等で伝えられるところでは、某スイス系信託会社特金を設けて、その特金を利用してペーパーカンパニーに国債もしくは有価証券を流して、そしてそれを現先その他で山一証券資金繰りをやったというぐあいに報ぜられておりますが、それはそのとおりですか。
  30. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 詳しい資金の流れとか、どんな証券を使ったかはわかりませんが、先生が今おっしゃった大きな意味のメカニズムはそうだと思います。
  31. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると、平成四年以来今までずっとそのように続けていたというぐあいに理解してよろしいでしょうか。
  32. 行平次雄

    参考人行平次雄君) そうだと思います。
  33. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると、理解するところによれば、スイス系信託会社を利用して約二千億の資金を調達し、それをペーパーカンパニーに与えて、それに不良債権を抱かせていた、こういうぐあいに理解をいたします。  それからさらに、そうなりますと、今は国内の話ですけれども、国外に約千億強の隠し財源を抱えていた、それは山一オーストラリア会社外国債券を高く売りつけて、時価よりも高く売りつけることによって、しかもそれは簿外で抱かせていたんだというぐあいに報ぜられておりますが、それはいかがですか。
  34. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 基本的に先生がおっしゃるとおりだと思います。
  35. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そして、その際にさらに、山一本体の扱った為替の損失、それが五百億円とか六百億円とか言われておりますが、そういうものを上乗せして山一オーストラリアにかぶせたということはそのとおりでございますか。
  36. 行平次雄

    参考人行平次雄君) シドニー現地法人がございます、山一証券の。これは私の理解では、要するにここはブローカーでございまして、シドニー法自体がそういったものをかぶる資金力は到底ございませんから、要するにシドニー現法を経由して外国金融機関から金融を仰いでいた、こういうふうに理解しております。
  37. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 オーストラリアの現法ですね、それが千数百億の隠し資産があった、隠し簿外があったということですが、そんな多額の金を現法がよく資金調達できますね。山一が関与していたんじゃないですか。
  38. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは私はざっと一千億と理解しております。  それから、これは先ほど申し上げたようにシドニー現法は経由したと、こういうことでございます。だから、山一証券本体がお願いして、そしてシドニー現法を通じてインターナショナルなファイナンスをやった、こういうことでございます。
  39. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 山一現法が千億ちょっとの資金を調達し、しかもそれはいわゆる有価証券報告書には載らなかったということですけれども、そういう操作はどういうぐあいにしてなさっておられるんですか。大変恐縮ですけれども、細かいことになりますが、それはまたいつから始まったんですか。そしてだれが指示したんですか。
  40. 行平次雄

    参考人行平次雄君) その方法は、実はこれは決して言いわけじゃなくて、仕組み債という一種のデリバティブですね、これを使っているだろうと思います、というふうに聞きました、最近。これはちょっと正直言って私はこの場では御説明できません、非常に複雑でございますので。また必要に応じてそれは資料をどこからか提出させるとか何かして御説明を必要であればさせます。  それから、だれがどうしたかというお話ですが、私が社長のときに海外のファイナンスは始まったということは事実だと思います。その後、先ほど申し上げたように平成四年から会長になりましたので、後はちょっと細かい実務にはタッチしておりませんので、明確なお話はできません。
  41. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 国内簿外債務一任勘定等に起因する顧客との間の不良債権というんでしょうか、損失というものを隠したと。そうすると、海外は一体何を隠したんですか。要するに、平成四年以降は国内についてはきれいな体、きれいじゃないですね、申しわけありませんが汚い手法で何かしら隠したということになりますが、海外の山一オーストラリアの方で隠すのは一体何を隠したんですか。  私がさっき申し上げたように、山一本体の為替差損だとかあるいは経営損がどういうぐあいになっていたのか知りませんが、そこら辺をお隠しになるためにそういう運用をなさったんじゃないんですか。
  42. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 総括的に申し上げて、先ほどの埋め込みもの、埋め込みの問題も、平成三年時まだ右肩上がりという意識が正直言って、もちろんその埋め込む行為自体はよくないと思いますけれども、不良資産を、ただ右肩上がりと、いろんな株だとかワラントだとか入っているわけですから、これはいつか回復すると、実はそういう気持ちが非常に強かったことは事実でございます。  それで、その当時、考えますと、先ほど申し上げた平成二年から株が下がり始めたわけですね。ですから、右肩上がりという気持ちが非常にまだ日本じゅう強かったと思います。まずそういう感じがございました。  一方、先生今御質問の海外の問題でございますが、当時、外債とかその辺につきましては、為替の動きが自由でございましたので為替損が出たことは事実です。それで、それも債券その他で償還できるだろうと。一種の運用で初めは始めたと思うんですが、それから御承知のようなことでなかなか金融情勢も難しくてうまくいかない、マーケットも難しいということに加えて、それをさらにうまくやろうとしてディーリングその他があって、それで約一千億になってしまった。これが実情であろうと理解しております。
  43. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうしますと、山一オーストラリア不良債権というのは、山一本体の運用の失敗によるところの損失、それの累積であると考えていいわけですか。
  44. 行平次雄

    参考人行平次雄君) はい。結果的にはそういうふうに理解しております。
  45. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると、それを隠ぺいするために山一オーストラリアを使ったということになりますね。  それでお伺いしたいんですが、いずれにしても、国内の原因、それからあり方、それから海外のあり方はわかったわけですが、二千六百三十八億円、それは九月末でおわかりになったと、締めてみたらそうなったということのようですけれども、それは今の社長は引き継ぎのときに知っていたんですかね。こんな大事なことを引き継がないわけにいかないでしょう。いかがですか。
  46. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 大変失礼ですが、今の社長というのは野澤でございますか。
  47. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうです。
  48. 行平次雄

    参考人行平次雄君) このときの引き継ぎの仕方というのは、御承知のように総会屋の利益つけかえ問題が起こりました、当社は。七月三十日に地検の捜索が入りまして、八月十一日に私を初め代表取締役が全員退任したわけでございます。それで現在の会長社長になったわけですが、そのとき前社長から現社長に、相当大きなものがあるがひとつ頼むと言ったことは事実だろうと思います。ただどういう、その具体的内容は二人の間の問題なので詳しく聞いておりません。
  49. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると、行平さんのお話によると、飛ばしの点は若干私としては疑問の残るところですけれども、飛ばしはやっていなかったけれども、そのときにスイス系信託銀行を利用して二千億円ぐらいの資金を調達して、そしてそれをペーパーカンパニーである五つの会社に押しつけたと、それ以後動いていないはずだというぐあいにおっしゃっている。それから海外分については、結局のところ山一の経営損失をかぶってもらったというぐあいに思っているということです。  それで、二千六百三十八億ですか、累積損があったということですが、実はきょうは山本参考人に御出席を願っております。何か富士銀行にその旨を知らせたという報道がございますが、それはいつごろどのような形でお伺いになったんでしょうか。山本参考人にお願いいたします。
  50. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) 私どもの記録によりますと、十月六日、経理担当常務、それから元副社長の顧問、それから私どもの窓口の担当役員、専務でございますが、ここに説明がございました。この説明の内容は、再建策を策定するので協力してほしいということと、その前提として簿外の含み損が存在していると、当局にも報告をするつもりであるということを口頭でお聞きいたしました。これが最初でございます。
  51. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 富士銀行に、簿外の債務があるなんという、恐らく何年間かにわたって必死に守ってこられた秘密なんでしょうけれども、なぜ富士銀行にしゃべられたんですかね。  要するに、山一の経営がだんだん難しくなってきていることはそのとおりで、今再建策と言われましたけれども、山一も何か再建するために富士銀行の協力が得たいということなんでしょうが、先ほど申し上げたように、大株主ではありますけれども、貸し付けばどの程度やっておられたんですか。要するに、メーンバンクとして富士銀行にあけすけに御相談になったというぐあいにとられるんですけれども、それはいかがなんですか。
  52. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) まず、お取引の内容でございますが、貸出残高につきましては、現在、山二証券本体への貸出金は約二十五億円、二十五億から五十億程度の取引がこのところ続いております。そのほかに、関連会社に対する貸出金が国内で約四百七十億円、海外で約四百二十億円、合計で内外関連会社の貸出金が八百九十億円ということでございます。  それから、山一証券さんが私どもに簿外債務の話をしたのはメーンバンクだからかという御質問でございますが、メーンバンクという言葉の意味するところが非常に幅広いものでございますから、私どものお取引についてちょっとどんなものかということを御説明させていただきます。
  53. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 簡単に。時間ありませんので。
  54. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) 山一証券さんは長年の取引先でございますが、役員の派遣はございません。  一般的に証券会社さんの資金繰りというのは、借り債、債券を借りまして、それを資本市場で現先などで調達をするということが中心でございまして、銀行の役割は相対的に小さいというのが取引の内容でございます。いろいろなうわさがございましたので、財務内容の開示を求めてまいりましたが、都度拒否をされてまいりました。例えば、ことしの三月に御要請のありました劣後ローンにつきましてもお断りをしたというような関係が最近の関係でございます。  以上でございます。
  55. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると、山一側から富士銀行にかかる重要なことをお話しになって、しかもそれを条件に恐らく援助を欲しいということだったと思いますが、行平参考人はそのとき、その時点ではもう既に退かれたとは思いますけれども、なぜ富士銀行だけにやったんですかね。恐らく大株主は三菱とか日興銀とかあるわけですね。そこら辺には一体連絡していたんですか、お知りになる限りで結構ですが。
  56. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私、顧問になりましてから一切関係しておりませんので、富士銀行になぜ絞ったかというのは、もちろん一番お取引先として今まで長い間御支援いただいておりますので、そういった意味でやったんじゃないかと思います。あとはわかりません。
  57. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 それはきょうの話題じゃないかもしれませんけれども、いずれにしても富士銀行には御相談になり、簿外債務があることを言われたわけですね。  私は、恐らくその当時において、もう富士銀行お話しになったわけですから、山一としては、それを開示するということを覚悟する、あるいはいつまでも隠ぺいすることはできないということを覚悟するということだったというぐあいに思うんですが、富士銀行の方は、その話を聞いていて、実は監督官庁の大蔵省も余りわかっていなかったようですが、監督官庁に対してそのことを通報する必要性をお感じにはならなかったんでしょうか。
  58. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) この報告の段階で大蔵省に報告を行わなかった理由でございますが、本件はそもそも当事者である山一証券さんが、監督当局である大蔵省に報告すべき事項であるというふうに私どもは認識したわけでございます。  銀行というのは大変微妙な立場にございまして、お客様との取引関係で知り得た事項の取り扱いについては慎重な対応が必要であるということも御理解をいただきたいと思います。  以上でございます。
  59. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 先ほどメーンバンクの話が出ましたが、今回の日銀法二十五条融資、それは富士銀行を経由しているというぐあいに聞きますけれども、それはやっぱり富士銀行がメーンバンクだったからじゃないんですか。
  60. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) 今回の日銀の特融について富士銀行を経由しているという事実はそのとおりでございますが、現在、大蔵大臣の御発表にもありましたように、富士銀行とそれから日本興業銀行、東京三菱銀行の三行が主要な関係金融機関ということでいろいろな仕事に携わっておりますが、日銀特融につきましては、事務の効率の観点から富士銀行一行で当面やるということに決定している次第でございます。
  61. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そこで、山一にまた戻らせていただきますが、行平参考人お話を承りますと、結局のところは粉飾決算を今までやっていましたと、簿外損失があるということで。そして有価証券報告書にはそれを記載しなかった。有価証券報告書虚偽記載、いわゆるディスクロージャー違反ということになるわけですね。それはまずお認めいただけますか。
  62. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 粉飾かどうかという問題につきまして、先ほど申し上げましたようにこれから証券取引等監視委員会等々、御当局の解明、それから企業会計あるいは法制、そういったいろいろな面の御解明があると思いますので、私はその御判断に一身をゆだねたい、こういうふうに思っております。
  63. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 冗談じゃないですよ。違法性のある損失を隠していた、それは虚偽記載じゃないと。認められなきゃ別だけれども、認めておられるわけだから、虚偽記載に決まっているじゃないですか。粉飾決算に決まっているじゃないですか。当然その責任はとってもらわなきゃいかぬ。その期間が、しかも行平さんが代表取締役をやっておられた時期、ずっと続いているわけですよ。それは当然責任をとってもらわなきゃいかぬということで、それは監視委員会の御結論を待ってなんて、そんなばかばかしい話はやってもらっちゃ困ると思っています。  そこで、けさの新聞を拝見しますと、実は行平さんと植谷さんがインサイダー的な取引で、それぞれ行平さんは十万株の売り逃げをやっている、植谷さんは五十万株だというぐあいに書いてありますが、この植谷さんのことは別として、行平さん御本人としては本年に至ってから株を十三万株持っていたというぐあいに報ぜられています。現在は二万株だというぐあいに書いてあります。これは事実ですか。売られたんですか、売られていないんですか。
  64. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私は一株も売っておりません。役員持ち株制度というのがございまして、私、ずっと買い増しておりました。現在手元にございます、十三万株。これは必要であればいつでも御提出いたします。
  65. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると、この新聞の記事は間違いで、観測記事だというぐあいにおっしゃるわけですね。
  66. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 全く間違いでございます。
  67. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 わかりました。  もう時間がないのであと一問だけです。  そして、山一をこういう状態に追い込まれた行平参考人としては重大な責任があると思いますけれども、その重大な責任をどういうぐあいにとろうと今考えておられますか。株主であるとか世間であるとか、そういうことに非常に大きな経済的損失を与えているわけですね。例えて言えば、大変きつい言い方になりますが、私財の提供をしてもこの事件は皆さん方におわびをしたいというような御心境なのかどうか、責任をどのようにとるおつもりなのかお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  68. 行平次雄

    参考人行平次雄君) まことに申しわけありませんが、まだとっさのことで、責任のとり方については十分今後考えたいと思います。今ちょっと御返事は、まことに申しわけありませんが、留保させていただきたいと思います。
  69. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 質問を終わります。(拍手)
  70. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 平成会の木庭健太郎でございます。きょうは、両参考人、ありがとうございます。  今回の問題、行平参考人、きょうはかなり具体的にお話しになられるんだろうと。今一番大事なことは、ある意味では不透明だった経営、隠し続けられたことが今回の自主廃業という形に持っていかざるを得なかった、その意味で、明確にいろんなことを答えていただくことが私は一番大事なことだろう、こう思っております。  そこで、幾つかお伺いしたいと思っているんですけれども、まずちょっと具体的なことで一つお聞きをしたいと思っております。  これは、山一証券については阪和興業グループの問題が、損失補てん及び飛ばしの問題がことし四月にある週刊誌を初めマスコミで指摘されております。この件でお伺いしたいんですけれども、行平参考人、あのときはこれを否定されております、そんな事実はなかったと。阪和興業グループに対する損失補てん及び飛ばしの問題ですね。  具体的に聞いた方がいいならば、まず阪和との間で一任勘定取引及び利回り保証による一任勘定取引というのを当時行っていたのは事実ですか。
  71. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 阪和興業との取引につきまして、それぞれ担当者、部長、役員というのがおりますので、細かいことはわからない点があります、正直言って。  私の理解しているところでは、相当金額で株式その他を運用された。それで株式の下落があった。そこで、一任勘定ではありますが、山一にすごいクレームがございまして、それでいろいろ折衝の末、一部週刊誌にも報道されているように、事実、私は阪和興業に参りました。それで、当時の北社長さんとお話しいたしました。非常にそこで厳しいお話がございましたけれども、これをお返ししますとかという確約はしておりません。  ただ、その後阪和興業さんは、これはもうきちんとディスクロした上で、山一は主幹事でございますのでしょっちゅう行き来はしておりましたから、一、二回ファイナンスをやった、そういうことでございます。  ただ、その間非常にトラブルの度合いといいますか、それから金額も結構大きかったので大きな話題になった、そういうふうに理解しております。
  72. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃいましたけれども、返済することは約束されていませんか、確認書を取り交わしたとかそういうことの確約を。九二年三月ですか、行平さんとトップ会談をなさったときにお約束されていませんか。もしくは確認書なりを取り交わされておりませんか。
  73. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私は確認書を見ておりませんが、先方様で私が伺ったときに用意されていたと思います。それに判こを押すようにという話まで出たと思います。しかし、それはできませんということで、したがって、私の理解するところでは、現在、先方様もそれは自分のところの社内文書であると。  それから当時の北社長が、現在やはり北さんでございますけれども御親族の方におかわりになられまして、まことに申しわけなかったんですが、御損を御償却になられたということで原則解決と。ただ、精神的な負い目は感じたわけでございます。ただその後、社長社長の間では非常にフレンドリーな関係で進んでおりました。
  74. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど、いろんなものを整理する中で九一年に結局不良資産が生まれた、こうおつしゃいましたね。これはどんなことによって不良資産が生まれたんですか。株価の下落だけの問題ですか。例えば損失補てんとか、当時は飛ばしをやっていた結果、それを買い取らざるを得なくなってそういうものが起きた、こういうことですか。御説明ください。
  75. 行平次雄

    参考人行平次雄君) ただいま木庭先生がおっしゃられますように、一つの形ですけれども、A社それからB社というのがあります。A社が決算時にB社に持っていく、それでまた翌期に戻すと。A、B、Aという形。これで済んでいる間は相手様と山一との間は通常のノーマルな形だと思うんです。ところが、AからBに移ってBからAに戻るときに、例えば株価が下がっちゃったとか、ちょっと今お金がないんだとか、いろいろ事情も出ると思います。そのときにCに持っていく、今度Cから場合によってはDに持っていく。そういう転々としている間に、山一証券、どちらかというとこれはあんたのものだよ、我々は知らないよというような感じのものが結構ふえた、これが実情でございます。つまり、自分の懐に入っちゃった、これが私どもが理解しているいわゆる飛ばしです、というふうに考えております。
  76. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、飛ばしというのは今言われたようなケースですよ、山一が始められたのはいつの話なんですか。何年ぐらいから、株価がいわゆる天井になっていますね、その時点ではそんなにないんですか。もう以前から慣行のように当然のようにやっていたものなのか、どんな状況だったか、教えてください。
  77. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは私が社長になったときもう既に若干はあったと思います。ただ、金額はどのぐらいとか、どこでどうだということは残念ながら今申し上げる資料はございませんが、また必要であればそれなりにお知らせしたいと思います。
  78. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほどペーパーカンパニーの問題が出ました。設立時期を見ると、五社とも行平参考人社長の時代にすべてでき上がっております。先ほど技術的な問題はある個人と、こうおつしゃいました。ただ、ペーパーカンパニー自体をつくるという技術的な問題を含めて、そのある個人という方がすべて勝手にやられて、それを行平参考人としては了承したということなんでしょうか。
  79. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 彼が全く勝手にやったということでなくて、最後の収束段階で何とかしないといかぬ、それで知恵を出してまとめますからと、そういう意味でございます。したがって、彼が勝手にやったということはございません。彼は彼として一生懸命知恵を絞ってやってくれて、最後にどうだと、やむを得ないなと、こういう格好でございます。
  80. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 確認をしておきたいんですけれども、結局平成三年暮れに残ったと。残るときに、先ほどの行平参考人お話では、不良資産を出すと会社が存在しないということを決意されて、そうなると今回のこの簿外債務の問題はそれを決定してこういう方法をとろうと。やり方はいろいろあると思います。それを決意され決められたのは行平参考人御自身なのか、それともどういう形でそれを決定されたのか。例えば経営陣で皆さん、役員会に諮るような話ではとてもないと思います。一体どこでどうこれをお決めになったのか。ここは明確にしておいていただきたいと思います。
  81. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 今、木庭先生の御質問でございますが、正直言ってどういう場できちっと決めたかというのは覚えておりません。ただ、平成三年暮れのぎりぎりのところでいわゆる関係者、簡単に言えば主要閣僚ですけれども、その辺ともいろんな議論を交わしてということは覚えております。ですから、多分そこでやむを得ないなということになったと思います。  ただ、時間的にはその前に、先ほど申し上げましたように十月、十一月ごろからそういう知恵を出した人が会社設立の動きに入っていたかと思います。
  82. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうなると、結局、方法その他は行平参考人を主体とした幹部クラスでこういう問題を一応お決めになって、不良債権というのは表に出さないんだ、こうお決めになった上で、その方法について知恵を出した人がいた。それについて行平参考人を初めとした幹部クラスが了承した。こういうことで簿外債務問題が、最初の段階は五百億と言われましたか一千億と言われましたか、始まったということでございましょうか。
  83. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 今、幹部クラスと申し上げましたが、社長は私でございましたから私は当然座長はやっていた、こういうことでございます。  ですから、幹部が同意したから云々ということか、日本式の衆知を集めたことは事実でございますけれども、先ほどから申し述べておりますように、長年の間私なりにずっと解消にむしろ努力したというつもりでございますけれども、私なりに重大な責任を感じております、その点につきましては。  以上でございます。
  84. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今回明らかにされました調査の結果出た二千六百四十八億円の簿外債務、このうち行平参考人が今おっしゃっている部分は国内で処理をした部分の問題でございます。  そうすると、もう一つの方の、先ほどもちょっとお答えが私よくわからなかったんですけれども、オーストラリア現地法人を使った問題というのは一体いつ発生をし、いつからお始めになり、何年何月から始まった話なのか。行平参考人はこれには全くかかわっていらっしゃらないのか、そこを確認したいんですけれども。
  85. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 為替損が出たのは例の湾岸戦争のときだったと思います、一番初め。ですから、湾岸戦争は九一年ですか、それでディーリング等もありまして、いずれにしても九二、三年にその分を、あるいは債券のディーリングも含めて海外のそういったファイナンス、運用を始めたのではないかというふうに理解しております。  ちょっと申しわけありません、詳しい年表がないので。誤って申し上げるとおかしくなりますので、この点はお許しをいただきたいと思います。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ですから、先ほど会長になられたからというようなこともおっしゃっておりました。ただ、このこと自体は、一番の始まりは、私は年度でいくとぎりぎり行平参考人社長のときに始まっていないとつじつまがちょっと合わないような気もするんですけれども。そのときにこれだけ巨額にあったかどうかはまた別ですよ、一千億を超えるようなものになったかどうかは別として、とにかく一番最初に、この問題の発生時に、これも方法はどなたがお考えになったのかわかりません、行平参考人がこうやれという形で言われたのか、だれかが知恵を絞ったのか知りません、わかりません、私は。ただ、いずれにしても時期からいうと行平参考人社長の時代としか思えないのですけれども、違うんですか。
  87. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは私の社長時代に始まっていると思います。  ただ、いわゆる関係部署は多数ございまして、それで先ほど申し上げたようにいろんな運用で何とかなるんじゃないかとか、いろんなことがございますから、正直言って詳しい仕組みその他は聞いておりません、その当時。ですけれども、私の任期中に始まっていると思います、間違いなく。
  88. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 報道によりますと、海外を使ったある意味ではこういう含み損を隠すという方法、これは何もオーストラリア山一を使っただけじゃないという報道がこの何日間か幾つもなされておりました。例えばケイマン諸島の問題もありました。そういう意味では、私たち、社内調査で今こういうことが発表されたというのは聞きました。ただ、それ以外にもあると思わざるを得ないと思います、国民は。行平参考人がある意味では海外の問題を始められたとおっしゃいました。そういう意味で、このオーストラリアのケースのほかにもあるのではないかという疑いを私たちは持っておるのですけれども、その点についてきちんと御答弁をいただきたい。
  89. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 実は私の任期中にその動きがあったはずだと、つまり海外ですね、ということは否定いたしませんが、これからやりますよとか、そういう報告は実は恥ずかしながらその時点では受けておりません。ただ、過程においてずっと報告が入ったりということは事実でございます。これは決して逃げているわけでも何でもございません。  それから、ケイマン諸島その他云々というのは正直言って私もよくわかりません、これは。必要であればまた資料を調べると言う以外ちょっと私にはお答えのしようがございません。
  90. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、行平社長の当時にこういう問題が発生して、行平社長のお考えは、先ほどおっしゃったように不良資産を出すと会社が存在しない、結局不良資産というものを隠すことによって信用を保つという方針で社長時代臨まれた、そういうことですね。  そこも御説明いただきますけれども、そうすると、次の社長に三木社長がいらっしゃいます。その際、こういった問題をどんなふうにしてまずは行平社長から三木社長お話をされたのか。全然何にも報告なしに、あなたは会長になっているときもあなただけが御存じであとの人が知らぬ話だったのかどうか、そこをお尋ねしたいと思います。
  91. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 大変申し上げにくい話でございますけれども、三本当時副社長は私が社長のときに大変いい補佐役で、そこのところは特に解説しなくてもスムーズにバトンタッチが行われたということでございます。
  92. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうなると、先ほどの国内の問題は、その後の経過もそこはお話しになっているんですけれども、会長になられても結局そうやってお二人で、社長、副社長でこの問題をある意味では処理されてきたと。会長社長という関係になったとしても、その後の動きというのは当然会長であるあなたのところにさまざまに報告が行く話であり、お互い二人手を携えてこの問題についてやってきた、こういうことですか。
  93. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは大変微妙でございますけれども、ちょっと余談のようでございますが御理解いただくために申し上げますが、証券業界、御承知のように取引所、証券業協会それから正会員協会その他もろもろのいろんな機関がございます。それで、会長になりますと大体そういったところの長を仰せつかるという慣例がございまして、そういったことでほとんど外向きの仕事をやる、それからあと社長の、例えば冠婚葬祭に出られないときは手伝いをする、そういったことに専念いたします。  そしてその間、三木前社長から時々困ったなというつぶやきは、なかなかうまくいかないんですよというつぶやきは聞きました。
  94. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 あなたの言によると、不良資産をそういうふうに一時横に預けておいてもいっか株価が上がってそれで返せるんだろうと、そんなことを最初おっしゃいましたね。始めた当時はそうなのかもしれません。それでもけしからぬことですよ、それは。  ただ、これはもうことしで七年目ぐらいを迎えるわけですか、六年目か、隠すことを始めてから。その間に株価の、あなた方は専門家ですから一番わかっているはずでございます、ある意味では途中の段階でこの問題、どこかであなたが責任を持って、あるいは三木社長責任を持ってやる時期というのは、ポイントは幾らでもあったと思うんです、どうしても取り返せないことがわかるわけですから。我々素人が見てもそうでしょう。  なぜそういうこともお取り組みにならずにずるずるやられたのか、理由をお聞かせいただきたい。
  95. 行平次雄

    参考人行平次雄君) この点につきましては本当に弁解のしようもございませんで、まことに申しわけないことだと思っております。  ただ、やはり出すと、その時その時の信用、特にマーケットがこれで非常に調子がよければそれなりに思い切って出せるということもあったかもしれませんが、全般的にずっと下がりづめでございましたのでなかなかその機がなかった、こういうことが事実でございます。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それで結局、ある意味では現社長になって突然こういう話が出てくるという結果になるわけですね。その意味で、社員の方たちが一番言っていらっしゃったのは、結局役員の皆さんは何をやっていたのか、そこは責任を明確にしてもらうと、これは当たり前の話ですね。  しかも、このことがある意味では証券業そのものの信用、うそをつき続け、結果的に最終的にこういう事態を招く。証券業界自体、あなただって証券業界のいろんな役職をやられたと言うけれども、まさにそこの、やりながらその裏では全く信用をなくすことだけを繰り返していたと、そういうことなんですね。どう認識されますか、これ。
  97. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは本当に、先ほども申し上げたようにまことに申しわけないの一語に尽きます。もう、ちょっとそれ以上申し上げようがございません。
  98. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど、証券取引等監視委員会とかいろんな形のものがあれば積極的に応じると、こういうお考えを示されました。その一方で、自己の責任をどうするかという問題については留保するとおっしゃいました。私はちょっとこれはわかりませんね。  今この事態を迎えて、本当にどう具体的な責任をおとりになられるつもりなのか。それは留保という言葉じゃ私は通用しないと思う。申しわけないという言葉だけでも通用しないと思う。  再度聞きます。
  99. 行平次雄

    参考人行平次雄君) ただいまのお話については、本当によく考えてみたいと思います。
  100. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 富士銀行の方にも少しお聞きをしなくちゃいけないと思っております。  先ほど、十月六日のことをお話をされました。その中で、大蔵省へなぜ通知しなかったかと言うと、顧客である山一との関係もあると、こうおつしゃいました。  ただ、私どもとしてみると、結局あの後、十月六日以降、山一株価を見ておって、また山一の株がどういうふうに動いていたかを見ますと、十月の初旬以降、かなり大きく山一の株が動きます。そうなるとある意味では、インサイダー取引とは申しませんけれども、結局そういう情報が漏れることによって、一般の投資家は何も知らない、ただ情報を知り得た何人かはこれは危ないというのでそういう動きをする、そんなことにもつながりかねないようなお話だと私は思うんです。  その意味では、きちんとその辺は、自分たちだけじゃなくて大蔵省にも報告する、その一方で山一証券にもそういう問題についてきちんと処理しろと、こう言うのが私は当然だと思うんですけれども、この辺の感覚はいかがでございますか。認識でも結構です。
  101. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) 私どもは、十月六日の時点で大蔵省等に必要な報告をするというふうに山一証券さんから言われました。それでその際に、簿外債務ということでございますので、公認会計士、弁護士等に十分相談の上、早い時期に報告をされるようにというアドバイスを申し上げました。その後も折に触れそういったアドバイスをしてまいったところでございます。  私ども自身は口頭で漠然とした報告を受けただけでございますので、その後詳細な報告を求めていたところでございます。  以上でございます。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、山一証券の、これは行平参考人にも再度聞かなくちゃいけないんですけれども、飛ばしの問題とか損失補てんの問題というのは、その報告がある以前からこれは随分言われていた話でございます。報道も随分されておりました。ことしで言えば四月にもそういう記事は見ましたし、六月には東急百貨店との飛ばしの問題が新聞に出ておりました。  そういう意味では、そういうものを受けて、メーンバンクである富士銀行としてこの問題をもっと早く知り得る立場にあっただろうし、本当は御存じだったんじゃないかなと私は思うんですけれども、いかがですか。
  103. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) 先ほども御報告申し上げましたが、私どもは新聞、雑誌にその種の報道がされるたびに山一証券さんには事実の開示をお願いしてまいったところでございますが、ついに、十月六日までは全面的な否定だけでございまして、お話を伺えなかった。したがいまして、ことしの春に御依頼のあった劣後ローンについてもお受けできなかった。そういう経緯でございます。  私どもは一切存じておりません。
  104. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いろんな形でこれからそういう問題は明らかになっていくと思うんです。  それから、転換社債の問題だけ一点。これは持っていらっしゃる方も随分いらっしゃるそうでございます。山一証券の転換社債というのは九本ございまして、うち三本が富士銀行さんが受託をされております。これはどんなふうに今後処理をされていくか。ヤオハンの場合は転換社債は紙くずになってしまいましたから、そういう意味でこの点はどんなふうに処理をなさるおつもりなのか、富士銀行山本参考人にお聞きしておきます。
  105. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) 私どもは、今の御質問のように国内の転換社債九本のうち三本につきまして代表受託銀行をやっております。  本件につきましては、山二証券さんについての業務改善命令で、転換社債は他の一般債券と同様、約定どおり元利金の支払いが可能というふうにされておりまして、そうした支払いに対する資金はまた必要があれば日銀特融で供給されているということでございます。このため、全額が社債権者に弁済されるはずでございます。この流れの中で受託銀行としては適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  106. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点、支援要請の問題も先ほどお話されました。ただ、いずれにしても何か、もちろん今回こういう自主廃業にいった原因の一番大きなものは、こういううそ、隠ぺいだったと私は思っております、信用をなくしたことが最大の原因だと思っておりますけれども、ある意味では富士銀行さんが途中で見捨てたという報道も随分ありました、山一を。その辺、どんなふうにお考えというか認識されているのか、一言で結構ですからお伺いしたいと思います。
  107. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) 見捨てたというような表現があるのは承知しておりますが、私どもは十月六日に具体的な再建の協力依頼があって以来、チームを組みまして実態の把握それから再建計画についてのアドバイスをやってきたところでございます。マーケットが異常に速い速度で進みまして、私どもの再建策が確立てきる前にこうした事態になったことを大変残念に思っております。  以上でございます。
  108. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう時間がありません。行平参考人に聞いても、ただただおわびするしかないというお話でございます。  いずれにしても、こういう隠ぺい工作について、結局、今まであなたは聞かれるたびに、こういうものがあったかと言ったら、今富士銀行さんがおっしゃったとおりです、ないないと言い続けてこられたわけですね、何もそんなものはないと。  まさにその意味では責任は重大ですし、司直の手によってそれはやられる部分もあるでしょうし、私ども、また機会があれば行平参考人をここにお呼びいただいて、今度はきちんとした証言ということで事実関係をただすという意味で証人喚問をやるケースもあると思いますので、その際は委員長、ぜひ取り計らいをいただきたいと思っております。よろしいですか、委員長
  109. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 後刻理事会におきまして協議をいたします。
  110. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 以上で終わります。(拍手)
  111. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 民主・新緑風の竹村でございます。きょうは御苦労さまです。  初めに、委員長にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、私どもは野澤社長参考人としてお願いをいたしましたけれども、きょうは御出席いただけなかった。お断りがあったんでしょうか、それとも御都合が悪かったのでしょうか、お聞かせください。
  112. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 山一証券に対しましては、理事懇で御決定をいただきましたとおり野澤社長出席を要請いたしました。ところが、健康上の理由によりまして出席が難しい状況にある、こういう返事がございました。  理事懇におきましては、決定されました参考人出席がかなわない場合にはしかるべき人を参考人としてお願いしたい、その件については委員長に御一任をいただいたわけでございますので、その理事懇の決定に従いまして、御本人、野澤社長が難しいということで、本日御出席を賜りました山一証券株式会社代表取締役会長行平氏をお願いいたした、このような経過でございます。
  113. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 行平さんにお尋ねをいたします。  あなたは、八八年から九二年まで四年間社長、その後は会長という、山一のトップでいらっしゃったわけですけれども、トップでいる方が、経営者が会社をつぶそうと努力するわけはないのでございまして、あなたはあなたなりに一生懸命この会社を救おうとなさったというふうに思いたいと思います。  しかし、今言われておりますとおり、三万人の職員がいわば路頭に迷い、そして多くの預金者を不安に陥れる結果になってしまった。先ほどからおわびをしておられますけれども、こういうことになるということを予測しておられましたか、どうですか。  けさの報道、先ほどこれは事実無根だというお話でございましたが、これはやがて後で委員会にコピーなり写しなりお出しいただくことになると思いますけれども、いっあなたはこういう事実を、もしかしたらうちの会社は危ないのかもしれない、報道されていることが本当だとするとかなり前にもう知っておられたということになりますけれども、いっそういう危険を感じておられましたか。
  114. 行平次雄

    参考人行平次雄君) まず初めに、今の株の売却のお話ですね、これは先ほど申し上げましたように、全く事実無根でございます。  それから、こういう場で何をとおしかりを受けるかもしれませんが、冒頭申し上げましたように、右肩上がりということを信じ過ぎたという判断の誤りはありました、それからやり方もよくなかったと。もちろん、もうすべて御指摘のとおりでございます。  そうして、いつどうなるかにつきましては、これは先ほども申し上げましたように、営業面で十分の黒字体質を持てば償却もできていくわけですし、それから例えばムーディーズのグレードダウンというようなこともなかったと思います。そこのところの一点に集中したわけでございますけれども、なかなかそれが実を結ばなかった。  気持ちとしては、この一、二年から非常に厳しいなと。それからビッグバン、これはもう既に二年前ぐらいから話は出ておりましたし、それから外国為替管理法等の改正も来年の四月一日からあるわけでございます。そういったすべてを含めまして、この一、二年、よほどのことがないと好転しないなと。  それで、また余談になりますけれども、今回八月十一日に現政権に、つまり野澤社長にバトンタッチするときに、私どものことは全く考慮せずに自由に行動していただきたい、ですからディスクロももちろん結構ですということで、時既に、ちょっと時期を失しましたけれども、そういう話を二、三回いたしました。  そういう感じでございます。
  115. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 米国の格付会社ムーディーズなどは何カ月も前に調査、採点をして、そして警告を発していたというふうに思いますけれども、そのことは公表しにくいことだから全く公にはなさらず、その間もやっぱり飛ばしという違法の行為あるいは行政とのなれ合い、MOF担という言葉が有名になりましたけれども、接待、供応などを繰り返しながら、数々のそういった違法と言われる行為を繰り返してこられたわけですよね。  預金者保護という言葉で公的資金導入とかいろいろ最近言われております。きょう私どもは非常に時間が短くしか与えられておりませんので、一つ一つ事実確認をするわけにはいきませんけれども、例えば山一グループで抵当証券のようなものを買っておられる方たち、MMFでありますとか中期国債ファンドなどは翌日にも返済ということが可能だと思いますけれども、自主廃業の前にこの山一グループの解約手続をしょうと思った預金者に対しても、これは返せないというふうに報道が伝えているのがありますけれども、その点はいかがですか。
  116. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 抵当証券の話に絞ってよろしゅうございますか。  私の理解するところでは、抵当証券保管機構という機関がございます。それで、だめになった会社が発行した抵当証券については、後の債権保全とかいわゆる抵当証券を買った方の保護につきまして、それはその保管機構が受け継ぐということになっております。  抵当証券はもちろん何か抵当があるから発行できると。ただ現在、では時価はどうなんだ、その抵当になっている物件がその金額どおり適切に売れるのか、これは正直、問題があると思います。  私も正直ここまで知りませんが、ちょっと耳にしたところでは、当社の場合は一〇〇まではあれだけれども、まあまあのところでというようなうわさも聞きました。ちょっと今会社を離れているものですから詳しいことはわかりませんが。それから、保管機構にもう移ったはずでございます。
  117. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 今ちょっとわかりにくかったんですが、一〇〇まではだめだけれども……。  もう一度おっしゃっていただけますか。
  118. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 例えば抵当証券を処理しますね、そしてこれらはほとんど不動産ですから、不動産が例えば一〇〇できちっと売れれば元本は保証されます。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕 だけれども、一〇〇で売却できなければ、例えば八〇しか売れなければこれは八〇しかお返しできない、こういう格好だと思いますけれども、これはちょっとこういう場でございますので、軽々に私からどのぐらいになっているか申し上げられませんので、ひとつその点は、恐縮でございますがお調べいただきたいと思います。
  119. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 テレビがずっと特集をしておりまして、昨晩もたしか、抵当証券になけなしのお金を預けたのにと、あるいは働きながらこつこつと積み立ててきたお金を山一さんだから信頼して預けたのに、これは返ってくるんでしょうかと、泣いておられた女性の方が大勢おられました。  管理機構に移っているからというふうなお話でしたけれども、これらを売るときには山一さんは、とても安心で、そして安全で損をすることは絶対にないから、金利もいいからということでお売りになったというふうに思います。  ですから、もう今会社がつぶれたんだから私たちには責任はないという意味でおっしゃっているとは思いませんけれども、しかしそのような言動では預金者は納得しない。今後の日本金融証券界においてもやはり非常に大きな問題になっていくと思います。  もう一度、どこまで責任がおとりになれるかどうか、もうあなたは現役ではいらっしゃいませんけれども、しかし山一会社をきょうは代表しておいでいただいていると思って、どのような責任がおとりになれるかおっしゃってください。
  120. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 今おっしゃった責任というのは二つあるかと思います。一つは経営的責任でございます。それからもう一つは、非常に具体的に山一ファイナンスという会社、ここは抵当証券を発行していたわけです。これが具体的に今保管機構に移って、それはどの程度どうなんだと、この二つの問題があると思います。  経営責任につきましては、これはもう先ほどから申し上げているとおり、ほかの人は関係なく、私としてはもう重大な責任、じゃ今おまえどうするんだと、これは私なりにもうちょっと考えさせてほしいということでございます。  それから、保管機構に移りますと、これは政府関係といいますか、要するに公立ですね、官がつくっていると見てよろしいんで、その点の権利保全は万全ではなかろうかと私は思いますが、ちょっと詳しい法律その他はここで申し上げられません。
  121. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 もう時間がなくなってしまいまして、富士銀行の頭取の方にはお聞きすることができませんでしたけれども、私どもはもっと徹底した情報公開をするべきだったのではないかと。後日集中がございますけれども、大蔵省は正しい情報を伝えない。山一あるいはほかの証券会社などは、正しい情報を伝えないばかりかうそをつくというふうなことまであっては預金者は救われないわけであります。  先ほどから、どう責任をとっていくのかというお尋ねに対しておわびをしていらっしゃいますが、おわびをなさるだけでは済まないのではないか。私どもは、日本金融証券業界を代表する山一の姿勢を問いたいと思います。一言お答えいただいて終わりたいと思います。
  122. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは現経営陣、もちろんもう山一証券の経営という意味ですから分割した話にはなりませんけれども、現経営陣つまり現在の社長ですね、これは私はまことに申しわけないことをしたと、これも内輪の話でございますけれども、そう思っております。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕  それから、旧経営陣、これはもう厳しい立場にあるということを重々感じております。ですから、ちょっとお答えにならないかもしれませんが、それでお許しをいただきたいと思います。
  123. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 終わります。(拍手)
  124. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  一般の国民から見ますと、四大証券の一角である山一証券がよもや倒産するということは考えられなかったというふうに思うわけでございます。情報というのも一部の金融機関がいわば独占しているということが現状でございますし、結局、最終的に被害、損をこうむるのは一般投資家、そして多くの国民だというふうに思うわけでございます。  今回も山一証券最後まで、最後までと申しますのは、お言葉によりますと十月六日富士銀行に、そして十一月十七日に大蔵省に御報告なさった、しかしながら一般投資家に対しては最後まで情報は開示されなかったわけであります。つまり、情報が開示されなかったということは事実がずっと隠されていたということであります。このことは一般投資家に対する裏切り行為というふうにはお考えになりませんでしょうか。そしてまた、このような透明性を隠した経営がいつまでも続くというふうにお考えでいらしたのでしょうか。行平参考人にお尋ねいたします。
  125. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 国民の皆様に対しましては本当に、繰り返しになって申しわけないんですが、おわびのしようもないと。  それから、内々のことでございますが、社員の雇用を一挙に失うということについてはもう言葉もないという状況でございます。あと、ディスクローズの問題、先ほど申し上げましたように、この一年、ともかく営業を黒字体質にしてということに死力を傾けたわけでございます。しかし、マーケットがこういう情勢である。そう悩みながら実は現在に至ってしまったということでございまして、その間無策であったと言われれば、これはまことに申しわけないことだと思っています。
  126. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 先ほどの同僚議員の質問に対しまして、山一証券株を御自身では売買なさっていないというふうなことを、これは事実無根であると打ち消されました。  しかしながら、山一証券の関係者がこの状況が発覚する前に山一証券株を売り抜けたのじゃないかという疑惑がささやかれているというふうなことは、これは火のないところに煙は立たないということもございます。御自身は事実無根かもわかりませんが、やはりこういううわさがあるということに関してきちんとした社内の調査を徹底的にすべきではないか。そのような調査の機関といいましょうか、場を設けるべきではないかというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  127. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 全く御指摘のとおりだと思います。  それで、インサイダーは証券取引法でも非常に重い犯罪になっておりまして、ないと思いますけれども、やっぱりチェックする必要は十分あると私は考えます。  特に、この二、三カ月の動きで急激に動いているわけでございます。その前に大変、具体的な名前を言って申しわけないんですが、拓銀さん、三洋証券さん、いろんな動きがどんどんあって、インターバンクの間のお金もスムーズに動かなくなっている。そういうことがわかっていれば、それは株価を見ていれば大体見当がつくわけですから、そういうことは全く私はないと信じたいですが、やっぱり御指摘のようにあるいはチェックの必要はあるかもしれません。
  128. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 それは、御自分たちのいわゆる自浄作用といいましょうか、社内でそのような調査をこれからなさるということと受けとめてよろしゅうございますか。
  129. 行平次雄

    参考人行平次雄君) きょうは、先ほど御質問がありました、山一証券の代表というのはちょっとおこがましいんですが、それで出てまいったわけですが、現在、御承知のように日銀さんの特融を受けております。したがいまして、いろんな監理団の方も入っておられまして、その辺の指揮権がどうなっているかちょっと私も判断しかねますが、これは社長に必ず伝えておきます。
  130. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 よろしくお願いいたします。  最近の株式市場の動向を見ますと、個人投資家のウエートというのがかつては五〇%ぐらい、もう半分ぐらいが個人投資家だったと思いますが、最近では一五%ぐらいまでに落ち込んでおります。この要因というものを行平参考人はどのようにお考えでございましょうか。  先ほど申し上げましたように、個人投資家には情報が手に入りにくいです。先ほど御指摘いたしましたように、情報開示ということ、あるいは情報量の不公平、つまり一部の金融機関には流されている、手に入る情報も一般投資家には入りにくいというふうなことも一つの原因ではないかなというふうに思います。あるいはまた、総会屋スキャンダルというふうなこともございます。そういう中で、個人投資家の入り込む余地が今次第に失われつつある。しかしながら、金融市場の活性化というのは、やはり個人投資家というものの信頼回復こそ金融市場の活性化につながるというふうに思いますが、この点も含めまして御見解を承りたいと存じます。
  131. 行平次雄

    参考人行平次雄君) かつては個人が約三割株を持っておられまして、市場での売買高は七、八割は個人でした。つまり個人が日本の株式市場を支えていた、そういう状況でございます。ただ、実際株を持っておられるのは銀行さんとか生保さんとかあるいは事業会社が多かった、そういう状況です。それが今、委員指摘のように全く逆転というか、個人はほとんど動かなくなった。これは一番大もとは、株がずっと右肩下がりで、もうやってもだめだと、これがやっぱり一番大きいと思います、ちょっと自分のことは棚に上げて申し上げますが。それから、今おっしゃったようなディスクロの問題等々いろいろあると思います。  そういったことで、かといって一方、御承知のように外証、外国証券会社、これがなかなか活躍しているわけです、自由に活動して。ですから、日本証券会社も今度のビッグバンに備えてそういった形で、例えば個人の財産をお預かりするのも、ラップ口座という形がありますけれども、いろんな世界の方策を取り入れてやっていけば必ず個人はふえてくるだろう。  それで、ちなみにアメリカの状況を申し上げると、アメリカは個人は非常にふえていると言っていますけれども、御承知のようにこれはほとんど投資信託を通じて入っているお金でございます。したがって、個人がどんどん株式を買っているということとはちょっと違うんではないか、そのように考えております。
  132. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 棚に上げない部分のこと、御自分の責任ということもお聞きしたがったのでございますが、時間がございませんので、次の質問をいたします。  一般国民にとりましては、山一証券に預けてあるMMFとかあるいは中国ファンドあるいは株券、投資信託というものが、それは元本プラス利子が全額保証されて返還されるかどうかということが非常に大きな問題でございますが、この辺について、先ほど山一証券の転換社債については富士銀行山本参考人からこれは大丈夫だというお答えもございましたけれども、このことも含めまして、行平参考人、いかがでございますか。
  133. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 有価証券等お客様からお預かりしている分は全部分別管理になっています。簡単に言えば、別の金庫に入れておりまして、これには絶対手は触れられないという格好になっております。したがいまして、これは絶対心配ございません。  それからあと、お客様が例えば株式を売却する、そうするとちょっとお預かりします、そういったお金というのは何百億か一千億かあるわけです。その見合いにいわゆるコールローンを出してすぐにお返しできる状況にはしてあるわけですけれども、ここに山本頭取いらっしゃいますが、金繰りという問題が出ますから、そこのところは今、日銀特別融資で御援助いただいている。したがって、その点は、委員今御指摘の御心配は全くないと思います。
  134. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 山一証券に働いていらっしゃる従業員の方は七千人を超えていると言われております。その御家族もいらっしゃるわけでございます。さらにまた、来春採用予定の新卒の人々が約五百人、その方たちの生活の問題、雇用の問題、これは大変な大きな問題だというふうに思います。それからまた、山一証券の今回の問題は国際的に日本金融に関しての信用ということを失墜させたと思いますし、そしてまた国民に対して大きな金融不安をもたらしております。  そういうことも含めまして、経営トップであられた行平さんとして大変な責任を感じていらっしゃると思います。またさらに、ことし山一証券は創業百年ということでございます。その百年をお祝いなさるどころか、このような形で名門と言われた山一証券の歴史に幕を閉じられるということになったわけでございます。  そういうことも含めまして、企業トップであられた行平さんの御見解、御感想、そしてどのような責任を感じていらっしゃるのか、どうしょうと思っていらっしゃるのか、お言葉をいただきたいと存じます。
  135. 行平次雄

    参考人行平次雄君) どうも繰り返しになりますけれども、要するに、これは言いわけじゃなくて、会社のためと思ってやったけれども、しかしその方法等、それが大変な御迷惑をかける結果になったと。もちろん国民の皆様全般でございますけれども、委員が今おっしゃったように、特に従業員のことには非常に心を痛めております。そういった意味で、今後どうするかという御質問でありますけれども、先ほどから何遍も同じお答えで申しわけありませんが、自分なりにしっかり考えたいと思っております。  以上です。
  136. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 時間が参りましたので、富士銀行山本参考人、御質問ができませんでどうも失礼いたしました。
  137. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  行平参考人にお尋ねしますけれども、十一月二十四日に山一から解任されたんですか、それとも辞任したんですか。
  138. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 済みません。八月十一日です。
  139. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 十一月二十四日、顧問。
  140. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 済みません。顧問、要するに引いてもらうことになったと、私どもの現在の会長である五月女という会長がおりますが、彼からそういう表現で参りました。
  141. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 解任ということですね。  それから次に、私は以前、参考人が当院の証券及び金融問題特別委員会で証人喚問されたときの議事録を全部読みました。当時、損失補てんの問題が大問題になって、そのとき参考人は、大変な不信を招いたとか、心からの反省、おわび、これを繰り返しているわけですね。今回と非常に似ていると思いますけれども、その後、損失補てん、これをやられていますか。
  142. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 先ほど申し上げましたように、その後最後の詰めをやって、それで平成三年末に詰め込んだわけでございまして、いわゆる補てん的行為はそういった意図では動いておりません。
  143. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 その後も例えば昭和リースの問題等々が明らかになっておりますが、これはやっぱり損失補てんなんですね。  それから、飛ばしも付随的に損失補てん、さらには利益追加ということも含まれるわけです。そういうことをやられていませんか。
  144. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私の知っている限りでは、先ほど申し上げましたように、ないと思いますが、決して言いわけでなくて、会長は現業じゃございませんので、報告が全部入っているとは限りません。
  145. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そうしたら、あなたの知っている、あるいはあなたが関与したあるいは指示したところで、飛ばしの問題について、これまで何社やったのか、それから全体の規模がどうなっているのか、その全容を示していただけますか。
  146. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これはまことに申しわけないんですがちょっとわかりません。何社、どうなったか。もっと言えば、さっき申し上げたいわゆるA、B、C、D、Eと動くような形で、こうなると非常に複雑で多数の社にわたりますので、それをずっと整理してきたわけです。  したがって、私の記憶にももちろんございませんし、これは全員でかかっていますから、ちょっと今のところお答えは御容赦いただきたいと思います。
  147. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 しかし、あなたが一番かかわっているわけで、その点でわからないでは済まない問題なんですね、これは。  したがいまして、今勉強不足だと先ほどから言われていますので、今の時点で言ってもらわなくても後で調べて当委員会報告していただく、これは当然のことだと思うんですね。  委員長、その点を協議願いたいと思います。
  148. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまの御発言につきましては、後刻理事会におきまして協議をいたします。
  149. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 この問題に関連して、日銀、大蔵省、証券取引等監視委員会から飛ばしについて聞かれたことはありますか。  それから、考査やあるいは検査で把握されなかったわけですけれども、隠すために何かされましたか。
  150. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私は聞かれたことはございません。それから、そういった工作は私はやったという事実は聞いておりません。
  151. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 先ほどの質問に、八〇年代から、ちょうど社長になったとき、これは八八年でありますか、に飛ばしについて若干あったと言われましたね。その額について、先ほどわからない、必要ならばお知らせしたいと言われましたけれども、これにも当時専務あるいは副社長として関与されている、そう考えてよろしいですね。
  152. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 私の経歴は、八六年にロンドンの会長になりました。一年ちょっとおりまして、それから八七年の総会で戻ってまいりまして、一年間副社長をやっておりました。それから八八年に社長になったという状況でございます。  したがって、その間、法人のそういったいろんな運用とか債権の運用とか、その辺では二、三年全然タッチしておりません。
  153. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それでは、社長になった時点で若干あったその額について、今は答える用意がないかもしれませんけれども、よく調べて後でこちらに、当委員会報告していただくということをお願いしてよろしいですね。
  154. 行平次雄

    参考人行平次雄君) きょう私は、先ほどからお話ありますように、山一証券の代表ではございますけれども、いろんな関連資料は、日銀さんの特融を受ける関係とか、あるいはその前に利益供与事件とか、あるいは今回の問題で証券取引等監視委員会の方が入っていますし、資料をすぐ調べるといってもちょっと私としてはここで確認というか確実なことは申し上げられない、お約束できないということでございます。
  155. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 先ほど参考人は若干あったと、必要があればお知らせしたいと言われているんですね。ですから、その言葉にのっとって、先ほどそう言われているのでそのことをお願いしたいと。よろしいですね、これは。
  156. 行平次雄

    参考人行平次雄君) いや、それで、さっきうっかりそう言っちゃったんですが、いや、うっかりというのはまことに申しわけありませんけれども、そういう意味では完全に現在の立場は会社を離れておりますので、こういった資料をちょっと出せとか、この辺はなかなか難しいかなと。ちょっと時間をかけまして考えまして、これが正直なところでございます。
  157. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そういうことを言うと、さっきからうっかり心からおわびしたということにもなるんですよ。ですから、委員長、その点で、この点についても先ほど参考人からのはっきりとした、必要があればお知らせしたいという言葉がありましたので、この点も理事会で協議していただきたいと思います。
  158. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 行平参考人の答弁が二つにダブっておるわけでございますから、慎重に理事会におきまして協議させていただきます。
  159. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 超過債務ということは今後起こり得ると考えられますか。
  160. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは、私は超過債務はないと思いますけれども、ならないと思いますが、確実に絶対そうだとも言い切れないかもしれません。
  161. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 断言できないというのは非常に重大な点で、そのことを参考人は言われたと思います。  次に、総会屋との関係なんですけれども、逮捕者が八名ですか出ておりますが、あなたはこのことについて御存じだったのか。あなたが指示したんじゃありませんか。お尋ねします。
  162. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 今の御質問は今度の総会屋の利益供与事件ですか。——これは全く指示しておりません。これは徹底的な御捜査がありまして、その点ははっきりしていると私は考えております。
  163. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 再度お尋ねしますけれども、全く知らなかったんですか。
  164. 行平次雄

    参考人行平次雄君) 全く知りませんでした。
  165. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 先ほどから責任についてはいろいろ話が出て、参考人は答えようとしないんですけれども、この議事録を読んでももう心からのおわびを繰り返しているんですよ、証人として出た時点でね。やはり二度の心からのおわびということは成り立たないと私は思います。  その点で私は具体的にお尋ねしたいんですけれども、今度、九千人の社員、三万人の家族、それから大変な方々に迷惑をかけているわけですが、その迷惑を補うために、あなた自身、みずからの個人財産を処分してでもという覚悟はありますか。
  166. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これは繰り返しになって申しわけありませんが、よく考えたいと思います。
  167. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日銀特融についてお尋ねしますけれども、日銀特融を求めるということをされましたか。
  168. 行平次雄

    参考人行平次雄君) いや、これは私はやっておりません、やる立場でなかったものですから。
  169. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 終わります。
  170. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。よろしくお願い申し上げます。きょうは本当に御苦労さまでございます。  まず、行平参考人一つ聞いてもらいたい新聞記事があるんです。十一月二十六日の朝日新聞の「声」という欄ですけれども、お聞きいただきたいと思います。  御主人が山一にお勤めになって、そして奥様が新聞社の方にお手紙を出されているわけですけれども、  「先のことは、まだわからない。今は、ただ、会社と自分を信じて、お金を預けてくれたお客さんのことだけだ」と、二十五日朝も、いつも通り出勤して行った夫。  うん、それでいい。それでこそ、山一の男だ。十年以上働いてきて、そのことで、後悔なんてないよね。  たくさんの人との出会い、やりがいのある仕事、鍛えられた精神力。この先の人生、それを無駄にしなければいいんだもんね。でもね、山一の夫と歩いてきた女たちだって、実は、とっても強いんだよ。こんなことでもなければ、その力を発揮できなかったかもしれないけど、この先、見ていてね、きっと、自分の妻を見直すことになると思うから。  大丈夫、家族皆で力を合わせれば、乗り切れるって。だから今、私たちに同情の声はいらないよね。  「さすが、山一出身者は違うなあ」って、皆に言ってもらえるように、頑張って行くだけだよね。 こういう新聞記事を目にさせていただきました。今読ませていただいてお聞きいただいたんですけれども、この記事について、そしてこの奥様に対して一言だけ参考人からいただければと思います。
  171. 行平次雄

    参考人行平次雄君) もう本当に社員、先ほどの奥様にも感謝といいますか、それと申しわけないという両方の気持ちでいっぱいでございます。本当に奥様ひとつ頑張っていただきたいと思います。
  172. 西川きよし

    西川きよし君 年の瀬、これからお歳暮だとか子供にはクリスマスだとか、お正月になればお年玉だとか、親戚の子供たちやそしてまた親戚の人たちもたくさんお集まりになったり、またふるさとへお訪ねしたりとか、いろんなことのある中で本当に大変だと思うんですね。  何度も出たんですけれども、もう一つ。同じ欄ですけれども、六十二歳の男性が「この不正に加担していた歴代の取締役全員が、私財をなげうって公的資金導入の責任を国民に対してとるのが当たり前ではないでしょうか。」というふうに書かれてあるんです。先ほどから株のお話もお伺いしたんですけれども、そういうものもお出しになって、何か形として伝わるようなことの方法はないものでしょうか。
  173. 行平次雄

    参考人行平次雄君) これまた同じことでおしかりを受けるかもしれませんが、十分考えまして、株式といっても、もちろん提供するにやぶさかでございませんが、もう金額的には少ないものになっておりますので、またそういった点を含めてよく考えてみたいと思います。
  174. 西川きよし

    西川きよし君 ぜひよろしくお願い申し上げたいと私は思います。  次に、山本参考人にお伺いしたいんですけれども、次々と金融不安が増大する中で、庶民、つまりお年寄りの皆さん方、私は老人福祉をやらせていただいているんですけれども、どこの銀行へ行ったらええのかもうわからなくなった、家に置いておいても危ない、この年の瀬、本当に泥棒なんかが入ってきたらということで、高齢者でお一人でお住まいの方なんかは特に大変です。  自己責任だといっても、日々の生活の中から絶対安全な金融機関を調べることは大変難しいことだと思うわけです。十分な知識がなくても理解のできる情報の提供が今求められているわけですけれども、山本参考人はどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  175. 山本惠朗

    参考人山本惠朗君) 御指摘のとおり、御利用いただいている皆さんに我々の実態が御理解いただけるような努力が必要だというふうに考えておりまして、その解説をしていただくマスコミそれからアナリスト、そういった方々向けの詳しい情報と、それから支店の店頭においてわかりやすく御理解いただきやすい情報と、二つの手段をもって私どもは努力をしているところでございますが、現在のような状況になりますと、それで十分かどうかということもございます。  引き続き努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  176. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。  終わります。
  177. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で両参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人御両名には大変御苦労さまでした。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時九分休憩      —————・—————    午後一時開会
  178. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。一 予算執行状況に関する調査のうち、金融証券問題に関する件を議題とし、参考人方々から御意見を求めることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ御出席をいただきまして、ありがとうございました。  当委員会におきましては、予算執行状況に関する調査を進めておりますが、本日は特に参考人方々から金融証券問題について御意見を伺うことになりました。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  179. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  松下参考人水原参考人、お忙しいところ本当に御苦労さまでございます。  午前中、山一の元会長さんと富士銀行頭取さんに参考人としてお越しいただいて、いろいろ質疑を聞きましたが、あきれてしまいますよ。あれでよう銀行なり証券会社のトップにおったなと。富士の方はまだトップでおられるわけですね。責任ということを本当に自覚しておられるのかどうか。非常に残念なお話をお伺いいたしましたので、私も忌憚のない御質問をいたします。両参考人の忌憚のないお考えをお伺いし、今後の参考にいたしたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  金融不安が起こってから相当日数がたっているわけです。きのうやきょう起こったわけではなくて、もうずっと続いているわけです。住専以来いろいろ処理がある程度私は進んできたかなと思いますが、根本的にはまだ相当進んでいないのじゃないか。低金利が相当続いて、ある程度の効果があったと思うんです。私は、低金利についてはいろいろ意見のあるところでございますので、これはまた後ほど松下参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、松下参考人は現在の状況をどう把握しておられるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  180. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 金融機関不良債権処理についてのお尋ねでございますが、各金融機関が引き続き積極的な償却引き当ての姿勢を維持しておりますので、今九月中間期の決算におきましても、全体として処理が一段と進捗をいたしたところでございます。  ちょっと細かい数字で恐縮でございますけれども、九月末の拓銀を除きます都長銀、信託十九行の合計で見ますというと、公表の不良債権の総額は十六兆一千億円で、一年前に比べまして二兆九千億円減少いたしております。これに対して貸倒引当金は十兆三千億円と、こちらは一兆一千億円ふえましたので、引き当て率が四八%から六四%までと大幅に上昇いたしました。  このように、金融機関不良債権問題への対応は、その最終的な解決に向けて着実に進展をいたしておりますけれども、私どもとしましては、今後金融機関不良債権問題に取り組んでまいります中で金融システムの安定が損なわれるようなことがないように、中央銀行の立場から最大限努力をしてまいりたいと考えております。
  181. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今お話をお伺いしますと、大分進んでいるような感じですが、一般国民の実感としては、何となくまだ金融不安がずっと続いている、これからももっと悪くなるんじゃないかなというような感じを実感として持っているんじゃないかなというふうに、私は現在の状況をそう考えておるわけです。  それで、金融問題というのは非常に難しいですね。なかなか一般国民はわかりにくいと思うんですよ。だから、おさらいの意味も兼ねて、国民の皆さんに向かって易しく一度御説明をしていただいたらなと思うんです。  といいますのは、会社がおかしくなった場合は、普通の場合は破産でしょう。ところが、山一証券自主廃業だ、こう言っていますね。その前の北海道拓殖銀行は営業譲渡だ、こう言うんです。三洋証券会社更生法の申請だと。それで、きのうおかしくなった徳陽シティ銀行は分割譲渡だ、こう言うんですね。それとこれはどう違うんですか。国民の皆さんから見ると非常にわかりにくい。一口で言えば破産かなという感じなんですけれども、いろいろ使い分けをしておられるわけですので、この際国民の皆さんにどう違うのかということをまず御説明いただければなと思います。
  182. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御質問証券会社及び銀行の措置につきましては、これはいずれもその会社の財務や業務の状況とか、あるいは将来の展望を考えまして自社の判断によって行われたものでございまして、その結果、御指摘のようにいろいろな形の処理方式が出てまいったわけでございます。  私なりにこれを御説明いたしますというと、まず三洋証券の場合でございますが、これは三洋証券会社の方から、自分のところは法的な枠組みの中で会社の再建を図るということが適当と判断をしました、そこで会社更生法の適用を申請することによって何とかして会社の再建を行ってまいりたいと、そういう考えを聞いたわけでございます。  これに対しまして、山一証券の場合には、これ以上通常の事務の継続が困難になりましたので、廃業及び解散に向けて臨時取締役会において営業休止を決議しましたということでございまして、これは事業を継続する見通しが立たないということで自主的に廃業の道を選んだということでございます。  それから北海道拓殖銀行と徳陽シティ銀行の破綻の場合におきましては、これは預金保険制度の活用もございまして、それぞれが何らかの形で銀行業務を継続してまいりたいと。  北海道拓殖銀行の場合には、特に北海道におきまして経済についても非常に大きな影響を持つ大型の金融機関でございますから、何とか北海道における金融業務というものは続けたいと。ただ、拓殖銀行自体はもうそれを続けていく能力がございませんので、その業務を今の預金保険機構の応援を得ながら地元の北洋銀行に譲り渡しまして、ここで引き続いて銀行業務は続けるようにいたしたい、そういう選択でございます。  徳陽シティ銀行の場合も、地域の金融機関でございますけれども、それぞれ地元の実情を考慮いたしまして、何とか金融業務を続けてまいりたいということで、業務は仙台銀行にこれを譲渡いたしましてここで継続をしてまいりたいと。ただ、その場合に仙台銀行だけに譲渡するということでなしに、これは拓銀の場合も同様でございますけれども、ほかに部分的に資産なり預金なりを引き受けてくれる先があればそちらにもあわせて譲渡をしてまいる、そういうふうに選択をいたしまして方針を決め、また私どももそれを認めているわけでございます。
  183. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それは一概に、全部つぶしてしまうというのは信用不安も起こるでしょうし取りつけ騒ぎも起こるでしょうから、いろんな種類があっていいのだと思いますが、非常にわかりにくいということだけは確かだと思うんです。  それと、この場合に大体日銀特融というのをやりますね。この日銀特融がこれまたわかりにくい。どういう場合に日銀特融をお出しになるのか。大体これを最初にやったのは、今問題になっている山一が大分昔に証券不祥事を起こしたときに初めて日銀特融というのが発動されたんだと思うんです。それ以後いろいろありますが、日銀特融というのはまずどの場合に発動されるんですか。
  184. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日銀特融と言われております貸し付けの形は、これは中身がどういうものかということを申し上げますと、日本銀行法の現在の法律の第二十五条によりまして、特別の場合において通常の担保をとらないで行うことができる貸し付けでございます。  このようなものをそれじゃどういう場合にこれまで発動してきたかということでございますけれども、私どもはこの発動につきまして、日銀の内部で決めております基準のようなものがございます。  これを簡単に御説明いたしますと、まず第一に、金融機関などが破綻をしてそれを処理するという場合に、そのままでほっておきますとそのために非常に大きな混乱が金融システム等の上に起こりまして、金融のシステム、信用制度でございますね、これ自体が非常に問題を起こす危険がある、そういった場合には、金融システムが破綻をいたしますとそれがひいては実際の経済にも非常に悪影響を及ぼしますので、こういった場合に対して発動をしょうということでございます。  ただ、そこには限定がございまして、どういう場合にでもそれだけで発動できるかと申しますと、例えば、それを発動する場合には、日本銀行資金を出さなければほかに出し手がいない、日銀資金が不可欠だという場合であることとか、それからその破綻を生じました金融機関の関係者の責任が明確化されるということ、あるいは日銀自身がこの特融をいろいろとやりますことで中央銀行としての財務の健全性を損なうようなことがあってはならない、そういう条件のもとに私ども特融を行ってきたところでございます。
  185. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それはこの日銀法二十五条で「信用制度ノ保持育成ノ為必要ナル業務ヲ行フコトヲ得」と、こうなっていますね。これは大体無担保で無制限ですね。だから、早う言うたらあるとき払いの催促なしみたいな話だ。これは中小企業の側から見れば、もうそれなら日銀特融を発動してくれませんかと、大阪では皆言ってますよ。銀行は金を貸してくれへん。それで、この日銀特融はわかりましたよ。信用秩序の維持と、こうなっているわけですから。  それで、この特融ですが、六五年の山一からずっとこうありまして、この辺は大したことないんです。当時の金にしたら大きいんですが、ピーク時で二百八十二億ですね。これはまあ返っているようですが、問題なのはこの阪和銀行からですね。これからむちゃくちゃ大きくなっているんです。これが大体二千七百億円。それで、北海道拓殖銀行が十一月二十五日までに二兆円、山一が八千億、これだけで三兆一千億ぐらいある。この前、住専でいろいろ公的資金を出せ、出す出さぬといってもめたのでも、せいぜいあれは六千八百億ぐらいでしょう。これは特融だけで三兆一千億。恐らくこれ、山一はこれからどんどんふえるかもわかりませんよ。その辺どうお考えですか。
  186. 松下康雄

    参考人松下康雄君) この特融の資金は、そういう信用秩序の維持ということの目的のために支出をするものでございますから、この支出の目的は、金融機関が破綻をいたします場合に、この破綻を円滑に処理をしまして、預金者に対してもそれぞれの預金の返済をし、またいろいろの債務についても弁済をするということが目的でございますので、そういった意味での内容的な限界というのはございます。  また、その際におきましては、さきにも申し上げましたように、中央銀行の財務の健全性を阻害しないように考えていきましょうという原則を立てておりますので、いろいろこの処理の方策を考えますときにも、将来この特融が回収できるということをいろいろと工夫をいたしまして供与をしてまいっているところでございます。  過去の例を申し上げますと、これまでのところでもう特融が終わりましたケースの中で一番大きなものは一九九五年の木津信用組合で、ピークの九千百五億円というのが一番大きな事例でございますけれども、それからさらにみどり銀行等がございますが、特融でもう既に終了いたしましたものにつきましては、これまですべての件について全額回収を行ってまいっております。  現在取り組んでおります特融は、御指摘のように非常に金額も大きくなっております。これは破綻をいたします金融機関が総資産が九兆円もあるような大きな銀行の破綻というような非常に大きな問題になっておりますために、特融の金額もどうしても大きくならざるを得ないと思うのでございますけれども、私どもはそれらのケースにつきましても、破綻の処理の中で判断をいたしました返済の可能性というものをしっかりと実行いたしてまいる考えでございます。
  187. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それじゃ、山一の場合、これはだんだん調査していって債務超過になった場合は特融を打ち切るんですか。どうでしょうか。
  188. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 債務超過になりましたらということではございませんで、やはり山一の場合におきましては、山一が考えております今のこの自主的な廃業の事業というものが終了する段階まで特融の対象となるわけでございます。  山一の事例でお尋ねでございましたので、山一につきまして申し上げますと、現在の場合は山一におきましては資産超過の状態でございますから、このままでまいりますというと資産を処分することによりまして日銀が融通しました特融は返済されるということになるわけでございます。
  189. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それは今の段階の話で、簿外債務が初めは一千億やと言っていたのが二千億になり、これは調査をしていったらわかりませんわ。資産といったって右から左にそんな売れるものじゃないでしょう、今のこんな経済状態で。そうすると、山一で今八千億出ておるわけですけれども、これは金利はどうなるんですか。
  190. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 金利は貸し付けを行いますときに条件を設定いたします。現在の金利は公定歩合に〇・二五上乗せをいたしました〇・七五%の金利で手形を書きまして融資をいたしております。
  191. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それで、今まではずっと返済がうまくいっていた。ところが、阪和、北海道、山一、また次に何が出てくるかわかりませんが、もし返済不可能になった場合はどうなるんですか。
  192. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもといたしましては、山一のケースにつきましても、仮に試算の上で何か問題が起こるようなことがありましても、いろいろな面での工夫によりまして極力返済を求めていく、それによって返済を完結させたいということで今後対応するつもりでございます。  今のお尋ねの、もしも万が一返済ができなければどうなるかということでございますけれども、そのときは中央銀行であります日本銀行損失でございます。回収できなかった特融の金額は日銀損失となるわけでございますけれども、今度はその損失の処理につきましては、日銀の中で必要に応じて準備金を積み立てるということにいたしておりますので、その準備金の使用によりまして損失を補てんするということにこれは理論上なるわけでございます。
  193. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 結局、準備金の取り崩しという格好になるわけですね、仮定の話ですけれども、そういうことが起これば。  そうすると、今準備金はどれぐらいございますでしょうか。
  194. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 本年の九月末の特融に対します準備金の残高は六百四十九億円でございます。
  195. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 貸しているのは三兆、もっと、四兆にもなるかもわからぬと。そして準備金は、そういうことは考えていないんだろうと思いますが、六百億だと。  そうすると、一つどこかがおかしくなればすぐに準備金はなくなつちゃう可能性というのがあるように思いますが、どうでございましょうか。
  196. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 六百四十九億円を積み立ていたしましたときは特融の残高が二千五百九十五億円でございまして、これに見合うものとして引き当てをいたしているわけでございます。したがいまして、今後大規模な特融がさらに追加で出てまいりますならば、これに応じました引き当てを行ってまいるということになるわけでございます。
  197. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 大体二千六百億ぐらいだったと。  そうすると、もう早急に準備金を積み立てないとこれは比率からいってもなかなかうまくいかぬように思いますが、今も三兆一千億ぐらい出ておるわけですから。その辺のところは松下参考人としてどうお考えでございましょうか。
  198. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 次回の決算の時期におきまして、私どももその時点での特融の残高を見ながら適切な額の引き当てを行ってまいることになるわけでございます。
  199. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 準備金は特融の比率で幾らと決まっているんですか、決まっていないんですか。
  200. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 準備金の中にはいろいろの準備金がございまして、私ども法定積立金、別途積立金というふうな積み立てをいたしております。  現状では、私どもが持っております全体の積立金の額を申しますと、四兆四千八百億円に上っておりますけれども、そういったことで各種ございますが、特融の場合におきましても、今後内容に応じまして適切な率の積み立てを行ってまいるということで考えてまいることになります。
  201. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今、松下参考人は、日銀特融をやる場合に、いわゆる金融機関の経営者の責任をちゃんととらすんだ、こうおつしゃつておるわけですね。経営責任をちゃんととっていただいた上で日銀特融をして、その中で経営責任をとらすと。ところが、午前中の話を聞いていたら、責任どころか何もないわけですよ。頭を下げるだけ、申しわけございませんと言って。あの人は少なくとも八年ぐらい山一社長をし会長をしていた。だから、あの原因をつくっていたのはほとんどあの人の期間だと思います。  この点について監視委員会委員長にお伺いしたいんですが、証券取引等監視委員会が前回の証券不祥事で設置されました。あれは平成三年でございますね。
  202. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 四年でございます。
  203. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 四年ですかね。だから、大分今までにいろいろ監視をされたと思いますが、その監視の状況をちょっとお知らせ願えませんでしょうか。
  204. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 山一証券に対しましては、平成五年と七年の二回にわたって証券取引等監視委員会は検査に入っております。  その際、私どもに与えられました職責といいますものは、前の証券不祥事の反省から、市場取引に不公正な取引があるかどうかということを十分監視しろよ、市場の監視人としての役目を十分果たせよということでございました。私が発足の当時一番危惧しましたのはどういうことかと申しますと、構成する職員の構成比率を見ますと、八十四名で発足しましたが、そのうちの六十四名は証券行政あるいは金融行政に関与した職員でございました。  そこで、一番大事なことは何かと考えました結果、今までのやり方が批判されたのだから、今度は批判されたことを頭に置いてマインドの切りかえを最初にやることが大事だということで、マインドの切りかえということを徹底いたしました。最初はいささかその切りかえの速度が遅かったと実感いたしておりますけれども、年々歳々きちっとしたマインドを持って検査してくれるようになりました。  したがって、平成五年のときはいささかどういうことであったかわかりませんが、七年のときにはきちっとやってくれたことを私は確信いたしております。あらゆる視点から検査をいたしましたけれども、残念ながら法令違背というものは見つかりませんでした。  しかしながら、営業姿勢に問題がある、あるいはこれで内部管理は十分行われているのだろうかといういろいろな点が問題として指摘されましたので、この点につきましては行政を担当しておりまず証券局といいましょうか大蔵大臣に対して検査の結果を報告いたしております。それで、行政において適切な措置がとられることとなっているわけでございます。  私どもは誠心誠意検査をいたしましたけれども、今回のような飛ばしの事件を発見できなかったことを非常に残念に思っております。
  205. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 また入っているんですね、きのうかおとといぐらい。やっぱり今度は本当に徹底的に原因と責任の追及をしていただかないと、なかなか国民が納得しないと思うんです。  そのためにも、今の監視委員会の組織と権限とでは無理なのか、今の監視委員会の組織と権限があればできる、やる気があればできる、もしだめならどこをいじればできるのかという御意見があればお伺いしたいと思います。
  206. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 私どもが今回の案件を把握いたしましたのは十一月十七日でございます。委員会で私が承知いたしましたのは十一月十八日でございました。そのときは二千億を超える簿外負債があるということでございました。  その内訳はどういうことかと確かめましたけれども、担当者の入れかえ等々でなかなか今のところはっきりしておらないんだということでございました。  しかし、簿外債務となりますと、そこには何らかの法令違背の可能性があってもおかしくないなというのが私の検察官生活三十七年の経験に基づく勘でございました。そこで直ちに、それまで既に全部検査官室は検査に出払っておりましたけれども、喫緊の課題だと考えまして、特別検査の体制を準備するようにということを指示いたしました。  二十四日になりまして、簿外債務のうちに飛ばしがあるということを山一から報告を受けましたので、直ちに連休明けの二十五日、委員会で特別検査を議決して、検査に入らせました。そこで、その入らせたときに私が特に注文をつけたことは、本件飛ばしの発生原因は何か、それからその後どういう経緯をたどって今日に至っておるのか、その間に法令違背の問題があるかどうか、それを徹底的に真剣に調べてもらいたい、それからでき得ることならば、なぜ今までこの案件が発見できなかったのか、その原因等をも十分念頭に置いて徹底した検査を実施するように指示いたしました。  ところで、ありがたいお尋ねでございましたが、権限が足りないのか、あるいは陣容が足りないのかという御質問をいただきました。  まず、権限の関係で申しますと、SECと比較して決して遜色のある権限ではないと私は考えております。ただ検査は、委員も御案内のとおり、あくまで犯罪調査でございませんので、犯罪の存在を前提とした検査ということはできないわけでございます。  したがって、そこに不公正取引があるかどうか、そして調べた結果、犯罪の嫌疑があれば直ちに特別調査課に通報するということになっておりますけれども、やっぱり任意調査の検査の限界というものがございます。これは証券会社等関係者の積極的な協力を得られなければならないんですけれども、現在のところは協力を得る一つの方法としては検査回避の罰則があるだけでございます。あとは、犯罪者でないとなりますと、誠心誠意私どもの方で、職責の重大性を自覚しながら情熱を燃やして真相を明らかにするほかに方法がございません。これはどの社会においても同じだと思います。  ところで、陣容の点でございますけれども、平成四年の七月二十日に発足いたしました当時、委員会は八十四名で発足いたしております。ほかに、財務局関係で百十八名おりました。当日、マスコミの方々からいろいろな質問を受けましたが、そのうちで一番大きな質問は、今、委員仰せの陣容の問題でございます。SECとの比較において、SECは三千人いるじゃないか、委員会は財務局を合わせて二百名足らずじゃないか、それでできるのかということでございました。  私が申し上げましたことは、私は証券業界のことは何も知りません。しかしながら、数の点で比較いたしますと、SECの対象としております登録証券会社は八千社くらいでございます。その当時は一万社ぐらいありましたでしょうか。私どもの所掌いたします免許業者、この数は二百四、五十社だったと思います。それで、単純に一人当たりの負担量を計算いたしますと、そんなに不足しているとは思いませんねと。しかし、委員会が発足してこれからどういう仕事があるかは発足した後実績を見なければわかりません。今の時点で考えますと、非常に厳しい財政事情のもとでこのような陣容をお認めいただいたことに対しては私としては感謝いたしておりますけれども、今後の仕事の内容を見ながら、必要に応じて補強をしていかなければならない事態が生じるのではないかというふうに記者のお尋ねに答えております。  ところで、まず職員の資質、能力向上から始めました。それから、先ほども申しましたように、マインドの切りかえというのは意欲に結びつきます。そういうことで、一生懸命に体制づくりをやってまいりました。やってみますと、証券検査に対する深度が深くなればなるほど陣容が足りません。  それから、特別調査の案件でございますけれども、取引審査部門で審査の技術といいましょうか、これがどんどん啓発されましてノウハウを蓄積いたしました。そこで端緒になる案件を相当発掘してもらっております。しかしながら、それに対応する特別調査課の職員の数が圧倒的に少ないということがわかりました。  その後、平成六年で二名、七年で二名、八年で一名、九年で二名という増員をお認めいただきましたけれども、七名の増員でございます。これでは到底与えられた職責を全うすることができない、私はそう思いましたので、事務局を通じて平成十年度の概算要求のときに、委員会として十五名、それから財務局の特調関係として十五名の増員をお願いいたしたところでございます。  非常に厳しい事情はよくわかっておりますけれども、そのような実情で、市場の監視、番人役としての役目を十分果たせるように、今回のような見逃しのない体制を整えるために、何とぞ当委員会委員先生方にも何分の御協力をいただきたいと思っています。
  207. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 済みませんけれどももうちょっと簡潔にお答えいただきませんと、予定しているところまでいきませんので。  よくわかりました。  だがしかし、私は、これはある意味では検察官的な職責を与える方がいいんじゃないかなと思っているんですよ、まだそこまでいくかどうかは別にして。やっぱりまだ、いわゆる犯罪でないわけですからね。だから、それで犯罪を見つければ告発をする、こういう役目をあの監視委員会がお持ちだと思いますが、この辺のところはまた後ほど考えなきゃならぬと思います。  この場合、簿外債務、これは日銀の考査でも証券監視委員会の検査でも残念ながら発見できなかった。そのぐらい巧妙であったのですか、どうなんですか。それぞれにお伺いしたいんです。
  208. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 現在問題になっております多額の含み損あるいは簿外債務につきましては、私どもといたしましても考査を行いましたときに、当時一般に報道されておりました飛ばし取引につきましては関心を持っていたところでございます。直近の考査、これは本年の六月、七月に実施をしたものでございますが、この際にやはりこの点につきまして質問をいたしたのでございますけれども、このときには、同社からは、証券取引等監視委員会指示を受けて現在調査中であるという説明しか得られなかったわけでございます。  このために、本行といたしましてはこれに対して、その調査を継続した上、実態が判明され次第遅滞なく報告するようにということを求めたのでございますが、これに対しまして山一証券側からは、十一月十七日になりまして、現経営陣が社内調査の結果、含み損と簿外債務認識したという旨の報告があったわけでございます。  私どもとしましては、考査におきまして直近まで山一証券から飛ばし取引に関する説明が得られなかったということはまことに遺憾であると思っております。私どもの行っております考査は、これは現在法律的な権限に基づく何らかの強制力を持った調査というものではございませんで、日本銀行取引先金融機関との間の信頼関係をもとにしまして、契約に基づいて取引先金融機関の協力に基づきながら行われるものでございますために、先方の協力が得られません場合に、実態把握という点で一定の限界があることは否定できないところであります。このような経験も踏まえまして、私どもも今後におきましては、内部管理体制の整備を含むリスク管理のチェックに一層重点を置くなどのことによりまして、考査内容の高度化、効率性の向上というものを期してまいる考えでございます。
  209. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 御案内のとおり、飛ばしは簿外で行われるわけでございます。したがって、社内に痕跡等というものをほとんど残しておらないのが実情でございます。  そして検査は、先ほども申しましたように任意の検査でございますので、相手方の協力をいただかなければならない。ところが、その中で、会社あるいは職員に法令違反に問われるようなこと、あるいは犯則、刑罰の追及のおそれのあるものについては、みずからあるいは組織ぐるみに否認する、否定するのは、私が長い検察官生活で体験した実感でございます。いわんや、任意の調査であるというところで御理解いただきたいと思います。  それともう一つは、国外に飛ばされているとするならばその調査の方法は非常に難しかろうなと。さはさりながら、簿外の取引であるといっても、性格上、発見ができない、困難であるといって放置していいものかと。とんでもない話だと私は考えております。  徹底的な解明、不正な取引が放置されていいはずがございませんので、解明するためにはどうしたらいいかということで、検査に入ります際には、痕跡はほとんどないとはいえ、どこかに少しの痕跡があったら、それを見落としたらだめだぞということと、それから、かつてコスモ証券が香港現法を使って飛ばしをやったことがあります。これはコスモ証券がみずから自主申告をしてきましたためにわかったことでございます。このときに私が職員に申しました言葉は、うちの検査でわからなかった、自主申告しなければわからないことを、この案件を通じてどういうふうに調べたならばわかるかということをひとつ十二分に勉強してくれぬかと。非常に難しいことではあるけれどもそういうことの努力の積み重ねをやっていきたい、このように指示をしたところでございます。  本件は、まことに残念ながらそういうことで、発見できなかったことを残念に思っております。
  210. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 いろいろ御苦労をされておられると思いますが、この際はもう徹底的にやっぱりうみを出していただくということをお願いいたしておきたいと思います。  そこで、山一有価証券取引法に違反しているということは大体もう明らかだろうと思いますが、飛ばしを要求した企業、山一が好きこのんで飛ばしをやったわけではないと思いますよ。だから、飛ばしを要求した企業の罪が非常に大きいと私は思うんです。だから、その飛ばしに関係した企業に何らかのペナルティーをかけるとか企業名を公表するとかいうことは監視委員会としてはお考えになっておられるんでしょうか、どうでしょうか。
  211. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 仰せのとおり、飛ばしを要求した側に、もし飛ばしを要求して補てん、利益の提供の要求があったとするならば、これは損失補てんの利益の要求に該当するわけでございます。五十条の三にその規定がございます、顧客に対する処罰規定が。  ところが、利益の要求がなかったときには、これは現在の法制では処罰規定はございません。それから、証券取引法上にも法令違反に問われることにはなっておりません。そうなりますと、法令違反でもない、それから犯則事件でもないという企業に対して、これを発表することはいかがなものか、このように考えております。  それで、今後ともその真相を追及するために、委員指摘のとおり大もとに戻って、どういう手順でどういう順序で要求が行われ飛ばしが行われたかということの徹底検査をいたしますけれども、ペナルティーを科すことあるいは公表ということについては、現下法制のもとでは困難であろうと考えております。
  212. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そうすると、やっぱり山一がみずから公表せぬ限り無理だ、こういうことでございますか。
  213. 水原敏博

    参考人水原敏博君) そのように思います。
  214. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 これは日銀さんの方も指導していただいて、やっぱり情報公開というのはこれは一番大事だと私は思いますよ。これは何とかこういう真相解明をしていただいて、その結果を監視委員会で、いわゆる利益の要求がなければ非常に難しいということであれば、山一さん自身が明らかにするということがない限り、私はこれからの金融ビッグバンに向けて非常にうまくいかないだろうというふうに思いますが、日銀総裁はどうお考えでございましょうか。
  215. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 先ほども申し上げましたように、私どもにおきまして、任意の契約に基づくこの種の事例を発見するということには大変に困難もございますけれども、やはり何よりも基本は、ただいま御指摘がありましたように、今後、市場というものを中心にした日本金融制度の改革が行われるという場合におきまして、個々の企業が自分のやっている経営の内容につきまして今まで以上に徹底したディスクロージャー、情報開示をいたしまして、その結果を市場の判断にまっという仕組みを実行していただくことが何よりも重要なことだと思っております。  私どももその点で、各企業が責任感を持ってそれぞれの経営内容の解明とその公表ということに努力をしていくように指導もし、また協力もしてまいりたいと考えております。
  216. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 これは信用秩序を維持するということで大変な日銀特融をするわけですから、やっぱりその見返りもなければいかぬと思うんです。ただ、民民の話だからなかなか指導はできませんという話だと、何のために日銀特融をして救うのか。やはりディスクロージャーして原因をはっきりさせないと救うたことにならないと思いますよ。山一なんか前に一遍やっているんですよ、悪いことを。そうでしょう。またやっておるわけですよ。だからこの辺のところはしっかりと御指導を賜らないとだめだと思います。どうでしょうか。
  217. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもといたしましても、現在の考査の手法、内容というものにつきましてさらに改善に努めますとともに、やはり金融界、証券界におきまして事態の情報開示を徹底して行うように強く指導をしてまいりたいと考えております。
  218. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 監視委員会の方も徹底調査をしていただいて、犯罪事実が見つかればすぐ告発をしていただいて国民に明らかにする、同時にその経営にかかわった人は責任をとってもらう。これがないと、結局最後は国民にツケが回ってくると思いますよ、私は。ここなんですよ。私はやっぱり経営責任と。だから、午前中もお話を聞いていますと、全然感じていませんよ。本当に大証券会社会長さんをしていたのか。現在、大銀行の頭取をしておられる。けろっとしていますよ。ここをやっぱり我々も大いに追及をしていかなきゃいかぬと思いますが、松下参考人水原参考人もそれぞれそういうお仕事をしておられるわけですから、特に水原参考人については、これは徹底的にやっていただかないと、何のために監視委員会をつくったかわからぬですな。その辺のところは大体ノウハウも蓄積をしてこられた、そして職員も少ないながら頑張っておられるというお話を聞いて非常に力強く思っていますが、この際、この監視委員会の名を上げるためにも徹底追及をお願いしたい。その決意をちょっとお伺いしたいと思います。
  219. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 大変ありがたい御激励をいただきました。  もう御理解いただいていると思いますけれども、私どもの委員会が発足してまだ五年数カ月しかたっておりませんけれども、ガリバーと言われる野村証券損失補てんの不正があるということを私どもの委員会で見つけました。巷間、マスコミでは内部告発があったから委員会が動いたんじゃないか、あるいは内部告発があったにもかかわらず委員会が動かなかったじゃないかということをいまだもって書く方もいらっしゃいますけれども、そうではございません。私どもの努力と英知を集めて損失補てんを見つけました。  私ども決して悪を見逃すような組織になってはいけないということで、職員ともども設立の趣旨を反すうしながら、そして責務の重大性に思いをいたしながら、これからも徹底した検査と調査を一生懸命に実施して、そして市場の公正、公平、透明、健全性に少しでもお役に立つべく努力をいたします。お誓いいたします。
  220. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 終わります。(拍手)
  221. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 平成会の直嶋でございます。  きょうはお二方、大変御多用の中、予算委員会に御出席を賜りましてありがとうございます。  私も幾つか聞かせていただきたいと思いますが、まず水原参考人の方にお伺いをしたいと思います。  今回の山一簿外債務が総額二千六百四十八億円、こう言われておるわけです。これの今検査に入られているということなんですが、この簿外債務、先ほどお話しありましたように飛ばしと言われるやり方でこれが累積されてきたということなんですが、一般論の形で、これがどういう刑罰といいますか、法律に違反する可能性があるのか、ケースによって異なると思うんですが、ちょっとお聞かせをいただければというふうに思います。
  222. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 二十五日に特別検査に入ったばかりでございますので、現在、事案の内容は定かではございません。したがって、山一に関する問題ということではなくて、一般的に飛ばしの場合には法律上どのような問題があるのかということを申し上げたいと思います。  まず、飛ばしの仲介をした証券会社、この場合には飛ばしを引き受けてくれる会社に対して、今度はあなたに損をさせないように、あるいはいつになったならば買い戻させてもらいますからという有利な条件を付して勧誘をした場合には、特別の利益提供を約した勧誘ということで証券取引法の委任を受けた健全性省令で法律違反になります。しかし、これは罰則はございません。  それから、損失補てん損失補償、損が起きたときには私のところで補償をいたします、それから損失発生したときには補てんをいたしますよという約束のもとに飛ばしをして、そして結果において損失補てん、または損失補償をしたときには損失補てんの罰則がございます。証取法の五十条の三でございます。  それから、今度は法が改正されまして、損失発生したときには一定の利益以上のものを提供しますよということを約束して取引をした場合には、利回り保証という罰則がございまして、それに基づいて処罰されることになっております。
  223. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今のお答えの中で、例えばこれはこれからの調査次第ということかもしれませんが、いわゆる商法上の特別背任とか、そういうことに発展する可能性も一般的なあれとしてはあり得るということでございますか。
  224. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 私どもに与えられましたのは、不公正取引があるかどうか、そこに犯則事件があるかどうかということでございますので、今一般論として申し上げました。  しかも、それは飛ばしの内容によって今言うように利回り保証の成立する可能性がある、それから損失補てんの成立する可能性があるということでございますので、事実を調べて確定しなければわかりません。  なお、委員の今お尋ねの特別背任が成立するかということについては、私の立場からはちょっと答弁は差し控えさせていただきたいんですが、御容赦いただきます。
  225. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 答えにくい面があるかもしれませんが、何か顔には成立するかもしれぬということが出ていたような気もいたします。  それから、もう一点ちょっとお伺いしたいんですが、先ほど、今この特別検査に入っているということで水原委員長としての重点的なといいますか、目標のようなことをお話しされたわけなんですが、今回のこの特別検査はこれまでのいわゆる定期的な検査と、山一の方から簿外債務があるという報告がなされているという状況の違いもあると思うんですが、どういう違いがあるんでしょうか、その検査としては。
  226. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 一般の検査の場合は三つの大きな柱がございます。  その一つは、法令、ルールを遵守した取引が行われているかどうかという視点でございます。二番目の視点は、営業姿勢に問題がないか。すなわち、過当な短期損切り売買といいまして、短い期間に顧客に利益にならないような回転売買をしているとか、そういうふうな営業に問題はないのか。それから三番目は、公正を確保するための営業姿勢が守られているかどうか、それからルールが守られているかどうかということについての内部点検が十分なされているかどうか、すなわち内部管理が徹底されているかどうかという三つの視点を大きな柱として、その他もろもろの取引の公正確保のためにやっております。  ところが、特別検査の場合は、そういうふうに一般的な柱を全部網羅してやるのではなくて、本件飛ばしという問題、簿外債務という問題がありまして、簿外債務にまつわる不公正取引があったかどうかということを重点的に検査するという、その大きな違いがございます。
  227. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでもう一つ、特別検査の方は今実施中ということですからこれ以上お聞き申し上げません。ぜひ徹底的に解明をしていただきたい、こう思うわけであります。  ただ、もう一つ、先ほどもちょっとお話が出ていましたが、私たちから見て非常に残念なことは、山一証券がいろんな手段で飛ばしをやっている、あるいはひょっとしたらそういう簿外債務的なものもあるのではないかということがしばしば、もうこの一年以上前からマスコミで報道されていました。しかしながら、残念ながら十一月十七日に山一の方から報告があるまでこれは明らかにならなかった。この点は何といっても非常に残念なわけです。  それで、特に経過を少しお伺いしますと、いわゆる報告徴取権といいますか、これによって山一に六月ぐらいから報告を求めた、ただ報告が全然なかった、あったときにはもう廃業だ、こういうことなんですね。  ですから、素人判断としまして、本当にそんなやり方で、これはとてもじゃないけれどもこれからのことも考えましたときにこういう不正を発見はできないんじゃないか、例えばもっと大胆に検査に入るとかそういう方策がなかったのかどうか、さっきコスモの例もお話しになったわけですけれども、そういう気がするんですけれども、こ  の点はどうでしょうか。
  228. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 確かに、六月に一部マスコミで飛ばしの疑いが報道されました。そこで、委員会としましては直ちに山一証券側にその事実を明らかにするように調査指示いたしました。なかなか上がってきませんので、その間何回も催促いたしました。  ところが、今から考えてみますと、ちょうど時期が山一側にとりましても、損失補てんの嫌疑をかけられて強制調査も受けておりますし、それからそれに基づく当委員会からの照会、それに関する内部管理がうまくいっているのかどうかという注文もいたしました。もろもろの、もうひつくり返っているような状況であったという気がいたします。  それはそれとして、飛ばしについての報告を求めておるわけでございますので、疑いについて報告を求めているわけでございますから、もう少し真摯に山一側は対応してほしかったな、このように思っています。その点については遺憾に思っております。  ただ、委員の御指摘どおりに、ほかに何か方法がなかったのかということでございますが、報道されたからといってすぐに検査というわけにはまいりません。その報道がある程度客観性があるのかどうかということを確かめた上でないと、検査というのは相手方に対しても相当な負担をかけることになりますし、それから犯罪の疑いがその段階であるわけじゃございません、法令違背の疑いがあるかどうかの検査に入るわけでございますので、そのあたりは慎重に判断する、その兼ね合いが非常に難しいなと思っております。  本件の場合は、私は委員会の対応には誤りがなかったのではないかと考えております。
  229. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 けさ、山一の前会長行平さんが参考人出席されたんですが、例えば簿外債務の話でいいますと、これを出すと会社の存在にかかわるという判断をしていた、ですからこれを出すのか隠すのか、甘かったけれども隠すという選択をしたと、こういう言い方をされていましたが、恐らくこの種のものというのはそういう性格のものだと思うんです。  ですから、報告を求めてすぐ出てくるような話じゃないと思うし、報告が来ないことが逆に言うと疑わしいかもしれません。これをどうこれから法的な仕組みも含めてつくっていくかということが私は非常に重要だと思うんです。この点について水原委員長の御意見をお伺いしたい。  それから、実は簿外債務については、先ほどお話がございました九一年の証券不祥事のころからのいわゆるさまざまな飛ばしがどうも発端になっているというようなことなんですけれども、例えば、これは一部新聞で報道されたんですが、九三年二月、前の前の監視委員会の定例検査で実は飛ばしと疑わしき事実があったと。ただ、これはいわゆる証取法が変わる前の事実だったので処罰に値しないということで、法令違反を問えないということで、これは金額も百億円という金額がある新聞では報道されたんですが、例えばこういう定例検査のときに何らかのそういうきっかけがあったのではないかというふうにも思うんですけれども、この点いかがでございましょうか。
  230. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 簿外債務の発見方法については大変困難性があるということを先ほど御説明申し上げましたけれども、これは財務の健全性という見地からするならば官房金融検査部の所掌でございます。私どもは簿外債務があるかどうかということをも含めて、取引の過程で不公正な取引があるかどうか、公正に行われているかどうかという観点からの検査をいたしておりますので、官房金融検査部と両々相まったところで見つけていくことになるのだろうなと思っております。  なお、今回の検査の結果なぜ発見できなかったのかということも含めて大いに検討して、それで次善の策を早急に考究していきたいと思っております。  なお、二番目のお尋ねの百億に上る、これは飛ばしてございましたでしょうか。
  231. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そうですね、飛ばしです。
  232. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 飛ばしが前々回検査のときに問題にされたようだという御質問でございます。  その新聞報道のあることは私も読んで承知いたしております。しかし、その取引がどの取引であるのかということについて今記憶がございませんし、私どもの委員会としましては、もし問題があったとするならば、これは見逃すことなく徹底的に解明して、そして法令違背の疑いのあるものについては適切に処理してきたつもりでございます。これは、そのときの検査では行政処分の勧告はいたしておりませんので、法令違背にまで至ったという検査の結果は出てきておらなかった、このように考えております。  決して、手抜きの検査をしたとか、あるいはほどほどで相手の立場を考えてちゅうちょしたとか、そういうことは委員会が発足した後は一切ございませんことを御信用いただきたいと思います。
  233. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 最後の部分は、私もう一度お尋ねしょうと思ったら、先に答弁されましたので。  それで、もう一つお伺いしたいのですけれども、今、委員会の方の役割とそれから官房検査部の役割のお話がございましたが、この定期検査というのは、私お伺いしますと、これは九五年も九三年もいずれも合同で入っていますよね。通常これは合同でなされているような気がするんですけれども、合同で定期検査していますと、先ほどのお答えでいえば、相互に両々相まってというお話があったけれども、まさに財務の問題とそういう不公正取引との関係というのはむしろ情報がきちっと提供されるんじゃないかというふうに思います。  逆に言いますと、定期検査でこれだけ発見できなかったということを考えると、本当に官房検査と監視委員会と二つ検査をやる組織が、役割は違うとおっしゃるんだけれども、同じところに入っていくわけですから、逆にそれが本当にいい姿なのかなという疑問をちょっと持つんですが、この辺は体制の問題としていかがでございますか。時間がありませんのでなるべく簡潔にお願いしたいと思います。
  234. 水原敏博

    参考人水原敏博君) この組織の問題については、私の立場ではちょっと申し上げることは御勘弁いただきたいと思います。
  235. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ではもう一点、ちょっと言わせていただきたいのは、今特に大蔵行政が変わらなければいけない、あるいは変わろうとしていると思うんですね。どちらかというと、いわゆる行政主導型から市場原理にのっとって、しかも行政はいわゆるモニタリング型に変わるということになると思うんです。そうすると、今回の山一のようなケースというのは、これからなおさらこういう事実をきちっと発見するということが重要なことだと思うんです、行政としても。むしろそういう意味で言うと、さっき申し上げたように、行政がやる検査として、もちろん不公正もあるんですけれども、いわゆるモニタリング型の検査としてこれからもっと強化していかなきゃいかぬという部分だと思うんですね。  しかし、それと同時に、今コメントは難しいとおっしゃったんですけれども、官房検査という形でやっているんではなくて、もっと申し上げれば、こういう検査組織が行政の中に入っているんではなくて、むしろある程度、さっきSECのお話をされましたね、ああいうようにもっと独立した形できちっとできる、そういう体制の方がこれからの我が国が進もうとしている方向に合っていると思うんですけれども、この点いかがでございますか。
  236. 水原敏博

    参考人水原敏博君) 御議論いただいております金融監督庁が来年発足することになると思いますが、そのときには官房金融検査部も監視委員会も向こうの方に移るわけでございます。移ることになっております。そこで新たな体制ができるので、議員の御指摘のあったことをも踏まえていろいろと検討されるのではなかろうかという感じを持っております。  それから、仰せのとおりでございまして、不正があったならば、法令に違背する行為があったならば、あるいは犯則事実があったならば、それに対して厳然たる姿勢で対処しまして、そしてそれに相応する厳しいペナルティーを科することが市場の活性化、公正性、透明性それから各企業の自覚、反省を促すことにつながることだと思っておりますので、今後ともそういう姿勢でやっていきたいと思っています。
  237. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今ちょうど大蔵の方でこの罰則の強化という法案が出ているんですが、私は、今の委員長の御答弁なんかを踏まえると、本当にあの程度でいいのかなというのは率直に言って思っておりまして、そのことをつけ加えさせていただきたいと思います。  それから、金融監督庁の話は、大蔵の部分が金融監督庁に移って、結局はこれは行政機構の中でおやりになる話なので、ちょっと私は違うかなというふうに思っていることを申し上げておきます。  時間がありませんので、申しわけないんですが日銀総裁の方にお伺いしたいんです。  さっきも日銀特融のお話が出ていました。きょうの新聞を見ますと、阪和銀行を含めて現在三兆八千億円という報道がなされていますが、今金融機関がこうやって立て続けに破綻をして、その処理のといいますかつなぎ融資ということで日銀特融がなされているんですけれども、さっき日銀融資の四原則のようなお話もございました。  ただその中でも、日銀の関与が不可欠で最後の貸し手としての役割ということをお話しされたんですが、昨今の状況を見ていますと、むしろ最後の貸し手というよりも唯一の貸し手と言いかえた方がいいんですかね。とにかく今三兆八千億という膨大な金額になっているわけです。私、率直に言って、こういう破綻処理において日銀の特融に頼り過ぎているんではないかと。  そのことが、さっきも御議論ありましたが、日銀の健全性を脅かすことになるのではないかということも心配もされますし、今そうなっているという意味じゃなくて、そういう心配もしておりますし、昨今見ていますと、きょうの報道なんかでも株価が大分下がったとか、あるいは円安が進んでいるとか、こういう議論もされています。やはりこれからこの金融システムを維持して、金融機関あるいは証券会社のこういう破綻への対応として考えましたときに、これからの問題としてはこの部分というのは大いに考えなければいけないのじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでございましょうか。
  238. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御指摘のように、私どもの行っております特融は、現在非常な勢いで増大をいたしております。それは昨今の、金融機関の破綻が急増いたしまして、かつそれらの事案が皆大型化をしているということから出ているわけでございます。ただ、私どもといたしましては、その特融の回収の可能性というものにつきましては、やはり金額が大きくなればなるだけ事前に慎重に判断をいたしまして、私どもとして大きな特融の回収に懸念を持たないでいいような、そういう仕組みというものをそれぞれのケースで考えてまいることが必要であると思っております。  それは、日銀の中央銀行としての最後の貸し手機能というものはやはり民間でかわってもらうことはできないわけでありますし、私どもがどうしてもこれを引き受けて、全体の金融システムの安定を図りながら、かっまた私ども自身の財務の健全性を維持することによりまして、ひいては通貨の信頼、信認というものも確保してまいるという両方の必要性を考えざるを得ないから、そういうことでございます。  私どもとしましては、そういうことでございますので、今後とも特融の場合には、四条件でございます最後の財務の健全性を損なわないという点に非常に重点を置きながら対処してまいらなければならないと思っております。
  239. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、例えば今度の山一のケースで見ましても、債務超過にはなっていない、そういう心配はないというお話なんですが、けさの参考人の話を聞きますと、あの簿外債務、これ以上ないとは思うけれどもわからないと、こういう言い方をされています。  それから、山一が債務超過に陥らないということと同時にもう一つ、今回の決定の中では、いわゆる寄託証券補償基金ですか、これを将来法制化する、大蔵省の方でその制度を強化拡充する、こういうことが松下総裁の特融を発動されたときの談話にも載っていますし、会見でもそのことを強調されております。  今回の特融が悪いと言っている意味じゃなくて、どうもこれまでの特融と違って少し無理をしているといいますか、そういう印象があるんですけれども、この点いかがでございますか。
  240. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 今回の特融自身につきましては、私どももその発生の都度、内容の点検をいたしまして、この事態を放置しておきますというと、それが日本金融システムに動揺を与え、ひいては海外の金融市場や、また日本経済自体にも悪影響を及ぼすおそれが強いという判断をいたしたものに限って実施をしてまいっているわけでございます。  そういうことでございますので、この措置によりまして金融システムの安定が保たれるということでありますと、それは今後の日本金融、経済の運営上大きなプラスを生ずることになりますところに注目をいたしまして、中央銀行の責任でこの措置を行っているところでございます。  この件に関しまして、山一につきましては、仮に債務超過というようなことになったときにはどういうふうに対処する考えかということを御質問を受けるわけでございますけれども、私どもとしましては、この件につきましては政府におきましても本件の最終処理を含めまして財源確保のためにいろいろな方策を検討されると。その中には、寄託証券補償基金の財務基盤の充実や、また機能の強化等を図ることも検討するということを聞いております。  その中で、今御質問でお触れになりました、これを法制化するかどうかということも一つの話題として出たわけでございますけれども、この点につきましては、私どもも法制化ということになりますと、これはもとより立法府の御判断であることは十分承知をしておりますので、これはこれで考え方の一つの例示として受けとめておりますが、全体としてそういう手段を含めました財源の強化というような努力を政府側もするということとの関連におきまして私どもも決断をいたした次第でございます。
  241. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そういう意味では非常に総裁としても苦しいお答えのようなんですが、私がちょっとお聞きしたいのは、結局このように常に日銀に巨額の融資を仰がなきゃいけないと。このことは、言いかえれば今の日本にいわゆるきちっとした金融機関なりあるいは証券会社の破綻処理のスキームができていない、ちゃんとしたものがない、その都度それぞれやっておる。それで結果的に日銀の方に過大な負担をかけているんじゃないか。  さっき国会の御議論ですがと言いながらおっしゃった部分も、言いかえれば、まさに制度的な不備そのものをあらわしているんじゃないかと思うんですが、この点についてはいかがでございましょうか、総裁の御見解をお伺いしたいんです。
  242. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 金融機関の破綻処理につきましては、昨年の金融三法の改正によりまして相当に破綻処理全体の仕組みは前進をいたしたと受けとめております。また同時に、破綻処理と申しますのは、第一にはそれぞれの機関の経営者責任でございますから、この点も私どもは十分認識をしてまいりたいと思います。  ただ、この問題につきましては、海外におきましても相当の公的資金を投入したというような事例もございますし、近時、この問題が議論をされることがふえているように私どもも認識をいたしております。私どもとしましては、この公的資金を含めての問題というものは、従来いろいろの経緯がございました点ですから、それらの経緯を含めて今後とも幅広い議論が行われまして、これが何らかの適切なまとめの方に向かってまいることに関心を強く持っているところでございます。
  243. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。(拍手)
  244. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤基隆でございます。  松下参考人金融機関のディスクロージャーについて質問いたします。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕  昨今の状況を少し述べてみますと、まず、大手二十行の一つ北海道拓殖銀行の合併断念からの破綻、証券準大手の三洋証券会社更生法適用申請、次いで四大証券の一角、本日の議論になっております山一証券自主廃業、さらには保険業界においても、四月の日産生命の破綻とその後相続く解約ということで経営不安説というものが流れておる。さらに、十一月二十五日、徳陽シティ銀行の破綻が起こりました。  これらの動きは、単に市場関係者にとっての金融不安を超えて社会的な金融不安に拡大するおそれがあるというふうに見ております。当予算委員会の議論も金融当局の言動も慎重さが要求されると思いますが、一方で金融システムの安定化に向けた、事実に即した確固たる方向が示されることが今重要というふうに考えます。  そこで、金融機関のディスクロージャーは、一般的に財務諸表の公表による経営状況の開示から、今、財務諸表に限定することなく広く経営方針を含めて経営に係る情報を自主的に開示する方向にあると聞いております。この動きは、肯定的にとらえれば、個々の金融機関が管理システムや体制を確立してリスク管理能力を向上させることによって市場での信任、評価を高めることができ、それが相互作用によって市場の健全性を維持するというふうに言われております。  すなわち、リスク量及びリスク管理能力に関する情報は、個々の金融機関の経営状況に関する重要な部分であって、当該金融機関株価資金調達コストに反映されると考えられているところだろうと思います。  現状を見ますと、日本金融機関、ひいては金融システムはそのようになっていないのではないか。基本的には情報開示の不十分さが今日の状況を招いていると私は考えます。その現状と解決への道筋を明らかにしていただきたい。  さらにはまた、早急な対応が迫られている不良債権の処理の仕組みについて明らかにするとともに、公的資金の導入についての考えを財政、金融当局が一体となって明らかにすることが金融不安の回避につながると考えておりますが、日銀総裁においてはどのように考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  245. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御指摘金融機関のディスクロージャーでございますけれども、それは金融機関の経営の透明性と同時にまた自己規律を高めるという意義があるものでございまして、私どもといたしましても今後一層の充実が必要であると考えております。  この点につきましては、平成十年四月から導入されますいわゆる早期是正措置のもとにおきましては、金融機関が大蔵省及び公認会計士協会のガイドラインに沿いまして適正な自己査定に基づいて所要の償却や引き当てを行うこととされております。  そして、このような自己査定や償却、引き当てにつきましては、外部監査法人によります会計監査と行政当局による検査によりましてその正確性や適正性がチェックされるということでございますが、また同時に私ども日本銀行の考査におきましても、金融機関経営の実態把握という観点から自己査定が正確に行われているかどうかという点につきましては十分チェックをしてまいりたいと思っております。  現在、金融機関は早期是正措置の導入を控えまして自己査定の体制整備を図るべく鋭意取り組みを行っておりますが、これによりまして金融機関資産内容の実態がより正確に客観的に反映をされました財務諸表がつくられ、公表され、ひいては金融機関の健全性を高めるのに役立つものであると理解をいたしております。  なお、金融機関の破綻に対する財源面の御指摘がございましたが、昨年の金融関連三法の成立によりまして破綻金融機関処理のための包括的な枠組みが整備される中で、例えば預金保険機構の財務基盤も大幅に拡充をされております。また、当然のことでございますけれども、この破綻処理の第一の責任は各金融機関の経営にあるわけでございますから、個々の金融機関の自助努力による対応ということも非常に重要なことであると考えております。  ただ、この点につきましては、諸外国におきましても不良債権問題の早期抜本的な解決を図りますための公的資金の投入が行われたケースもあることも事実でございますので、こういった点も念頭に置きまして、近時、我が国におきましても不良債権問題の早期抜本的な解決のために公的資金の投入を検討すべきであるという議論が活発化しているものと認識をいたしております。私どもとしましても、そういった問題提起は重く受けとめているところでございまして、これまでの議論の経緯を踏まえまして今後幅広い議論が行われてまいることを期待いたしているところでございます。
  246. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 ただいま情報開示について、早期是正措置による開示が進むだろうという答弁もございました。  橋本総理はバンクーバーでの記者会見で、守るべきは金融システムで、個別企業の存否に行政が責任を持たないと述べたようでございますが、金融システムにはミクロがシステム全体の安定性を規定しかねないという構造的な脆弱性があるというふうに思っております。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕  金融情報は、マクロ情報だけでなく、むしろ個別金融機関に関するミクロ情報の公開が必要と考えますので、この辺についての御努力をぜひお願いしたいというふうに思います。  さて、今の金融危機は、日本金融システムに深く食い込んだいわば複合的な構造汚染とも言うべき本質的な問題を次々に露呈しているというふうに思っております。  第一に、金融システムに生じた秘匿された巨大な不良債権問題と、これを許容し解決をおくらせてきた日本の企業社会と政治状況の問題。第二には、金融仲介機関の中枢部で進行したモラルの退廃ややみの世界とのつながり、さらに大和銀行による巨額損失隠ぺい事件以来次々と起こった国内外の金融スキャンダルが示す金融倫理の汚染、喪失問題であります。民間銀行界は、株主と預金者、一般社会に対する責任意識と自浄能力を全く失っていると言わざるを得ません。第三に、金融行政が急速な金融環境の変化に対応できなくなってきているのではないかというふうに考えざるを得ません。すなわち、制度疲労を起こしているとも言える状況と言わざるを得ないと思っています。  不良債権問題をここまで深刻化させ我が国の金融システムを混迷状態に陥れた原因はどこにあると考えるのか。私は金融と財政は一元的に機能しなければならないというふうに考えておりますけれども、新しい日銀法のもとで、大蔵省、金融監督庁との三位一体としてどのように機能を発揮するのか。  これは松下総裁自身が言った言葉でありますが、金融政策の効果は中央銀行の行動に対する市場の反応に依存している、金融政策に求められる条件は市場からの信頼回復と早目早目の対応である、このようにおっしゃられております。  今実際に、冒頭に申し上げたとおり問題が次々と発生している現状を踏まえてお答えいただきたいというふうに思います。
  247. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私ども日本銀行は、金融機関間の円滑かつ安定的な資金決済を確保するということを通じまして、中央銀行に課せられた目的の一つであります信用秩序の維持に資するという役割を担っているわけでございます。  さきに成立いたしました新しい日銀法が来年の四月には施行され、私どもの自主性が高められると同時に、私どもの責任もまたいろいろな面でより重くなると受けとめております。日銀と政府との間におきましては、これまでも信用秩序の維持を図りますために密接な連絡を通じて十分な意思疎通が図られてまいったと思っておりますが、この新日銀法のもとにおきましても、こういった点を踏まえまして一層効果的な関係を維持されていくというふうに理解をいたしております。  我が国の金融機関不良債権問題やビッグバンヘの対応など、取り組むべき課題が非常に多うございます。そういう中で、日本銀行と大蔵省、金融監督庁とがそれぞれの本来的な性格に基づきまして役割と責任とを分担し、また互いに連携協力をするということによりまして、信用秩序の維持と金融システムの安定の確保というその面での対応に今後とも遺漏なきを期してまいりたいというふうに思っております。
  248. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 終わります。
  249. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  松下参考人にお尋ねいたします。  北海道拓殖銀行の破綻、そして今回の山一証券の破綻ということで、ここ十日間で投入された特別融資の金額というのはもう既に三兆三千億という過去最大に上っているわけでございます。これからビッグバンを控えまして、金融機関における淘汰、経営破綻というのは、今回の山一証券の場合が最後ではないというふうに思います。特別融資の乱発という形になりますと、円の通貨価値の下落ということにもつながりますし、また日銀自体の財務の健全性ということも悪化しないとは限らないと思うんですね。したがって、一般の国民の気持ちとすると、経営責任が余り問われていないのに、何か歯どめはないのかしらというふうな気持ちがするわけでございます。  また、この特別融資の場合でも、銀行と、今回の山一証券のように証券会社とでは、その必要性が必ずしも同じではないというふうにも思うわけでございますが、特融の条件、目的等の区別は、銀行あるいは証券会社とでは違わないのかどうかということも含めましてお尋ね申し上げます。
  250. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもといたしましては、我が国の金融システムをめぐります内外の環境が急速に厳しくなっていることを踏まえまして、仮にも金融システム全体の安定が損なわれることがないように、中央銀行の立場から最大限の努力を行ってまいりますことが極めて重要な状況にあると認識をいたしているところでございます。  私どもといたしましては、そういった面で、最近発生いたしましたいろいろの案件の処理につきまして、必要やむを得ないと認められるものにつきましては特融の実行を行ったわけでございますけれども、それらの実行を行いますときには、それぞれの案件の内容をよく精査いたしまして、本当にこれらの案件を放置しておきました場合に金融システム全体に危険を及ぼすようなものであるかどうかということを慎重に判断することにいたしております。  そういった意味で私どもは、問題の内容に応じまして、必要やむを得ない場合に限りまして——必要やむを得ない場合と申しますのは、日本銀行以外にはもうその資金の出し手がいないという状況のことでございますが、そういった状況の中で、かつまたこの破綻の責任者責任が明確にされるということを踏まえました上でこの特融を実行するわけでございますけれども、その際には、特融の資金が回収をされ、そしてそれが私ども日本銀行の財務の健全性を損なわないということも重要な要件として検討をいたしているところでございます。  そこで、御質問の中の銀行と証券という関係でございますけれども、証券会社はいわゆる取引を通じます預金を受け入れて資金決済をするという機能を持っておりませんで、その業務といいますものは、それぞれの会社とその投資先等の関係はございますけれども、これが一つの大きな国全体の決済システムにつながっているという点がございませんために、通常の場合でございましたらば、証券会社が破綻をいたしましてもこのために日本金融システム全体が揺らぐというものではないのが普通でございます。そういった点から、従来、特融の対象となったことがめったにないわけでございます。  今回の場合には、日本金融市場の現状が厳しい環境にありますことと、山一自体が非常に広範囲な営業をやっておりまして、国の内外で多数の顧客との取引をやっているというようなことから見まして、これの破綻を放置してこのために顧客等が非常な迷惑をこうむるようなことになりますと、それは余りにも問題が大きくなりますし、ひいては金融システムに対する信任が揺らぐような事態になりかねない、そういう判断のもとで特融の実行を決めたわけでございます。  そのように件数に応じまして慎重に考え、また特融の回収にできる限り遺憾のないように努力をいたしますことで、ただいまの御質問の点につきましては、おこたえできるようにこれからもやってまいりたいと思っております。
  251. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 次に、公的資金の導入についてお尋ねいたします。  最近、金融機関不良債権の早期処理のために公的資金の導入論というものが浮上しているのは御承知のとおりでございます。その場合のいわゆる公的資金というものは、一般会計から税金として出すのか、あるいはまた財投などを利用するのかというふうなこともあると思いますが、何よりもまず公的資金導入に関しては国民が納得できるということが前提であろうかと存じます。国民が納得できる前提、例えば、それが単なる金融機関の延命策ではなくて、預金者とか消費者の保護のためであるということ、あるいはまた経営破綻の責任が追及されるということ、あるいはまた情報開示ということ、そういった前提がなければならないとも思うわけでございますが、松下参考人の御意見を承りたいと存じます。
  252. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 金融機関の破綻に対しまして公的資金を導入することの是非をめぐりましては、近来非常に議論が高まっていると私どもも考えております。  その中には、金融機関の破綻処理を迅速に行うことが経済の回復、安定とその成長を図る上で必要であるという考え方があると思っておりますし、また同時に、海外におきましても金融機関の破綻におきましてそういう公的資金の導入の例がいろいろ見受けられたということにもよるものであると考えております。  ただ、この問題につきましては、従来からもいろいろの角度からの御議論がございました。私どもといたしましては、この問題につきましては、これまでの議論の経緯を含めまして、今後幅広い議論が行われて結論が生み出されることを期待いたしているわけでございますけれども、その内容はともかくといたしまして、私どもはやはり金融機関の破綻処理を、公的資金の導入のある場合でもそうでない場合でも、ともかく国民全体が納得できるような非常に透明な、また首尾一貫した対応策というものをつくりながら対処していくべきものであると考えております。
  253. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 このような日本金融機関の破綻が続きますと、いわゆるジャパン・プレミアムがさらに上昇するという懸念がございます。今後、海外からの資金の取り入れ、ひいては国際競争力に影響がないとは言えないというふうに思うわけでございますが、その点に関してどのようにお考えでいらっしゃいますか。簡潔にお願いします。
  254. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 我が国の金融システムの動揺が懸念されるような状態になりますと、それはやはり海外からの日本金融機関金融システムに対する不信感の増大ということにつながりますので、いろいろな点で悪影響が生ずることになると思います。私どもとしましては、そういった事態を招かないように最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  255. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 最善をお尽くしになるのは当たり前なのですが、どのように防止するのかという、そのことを簡潔に言っていただきたかったのでございます。
  256. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 個別の金融機関の破綻に対しましてはそれぞれ的確に迅速に処理をするということでございますが、同時に、金融システム全体の活力を高め、透明性を高め、力を強めるために、金融証券関係で現在進行しておりますいろいろの改革をできるだけ早く確実に実行していくことが大事であると思っております。
  257. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 次に、水原参考人にお尋ねを申し上げます。  先ほどから同僚議員のさまざまな御質問もございましたけれども、大蔵省あるいは証券取引等監視委員会が、過去の考査、検査から今回の山一証券のこういった事件の実態を把握、発見できなかったということは事実だと思います。  先ほどの答えの中で内部報告を待たねばならない、あるいはまた検査も考査も信頼関係に基づいているというふうにお答えがあったように思いますけれども、信頼関係に基づくということは日本的な大変すばらしいことだというふうには思います。しかしながら、これからいわゆる国際的な金融競争が激化するにつれまして、生き残りのための違法行為のようなことも大変に複雑化、巧妙化してくるのじゃないかというふうに思います。  そうすると、現在の監視体制というものに対して、先ほど人数の点で非常に足りないというお言葉がございましたけれども、行政権限ということにつきましては、先ほどのお話にも出ましたが、例えばSECの場合には、違法行為に対しては証券会社の登録の取り消しもできる、あるいはまた違反者個人の証券業界からの追放もできるというふうなことがございますけれども、この行政処分権については、これから監視委員会の権限についてどのように考えていらっしゃるのか。あるいはまた別のもっと強力なものをつくらなきゃいけないというふうに思っていらっしゃいますでしょうか。
  258. 水原敏博

    参考人水原敏博君) SECの場合は、委員も御承知のとおり、企画立案、検査、それから証券会社に対する監督、自主規制機関に対する監督、それから調査等を含むいわゆる証券行政全般を一元的に取り扱っている機関でございます。私どもはその中の一部、すなわち検査部門と法務執行部門、これが委員会に与えられた権限でございます。したがって、SECの場合は証券行政全部を一元的に扱っているところがら、登録の取り消し、それから強力な行政処分というのが行われるんですけれども、現状では私のところは今申し上げたとおりで、SECとは違った組織であるということを御理解いただきたいと思うんです。  ところで、それじゃ今後これでいいのかという御質問だと思いますが、今度、金融監督庁の方に移行しましたときには、金融監督庁の方で行政も一緒にやることになるだろうと理解いたしておりますので、今の形とは違った形になるだろうというふうに思っております。だからといって、それじゃ委員会がさらに行政を一元的にやっていいのかとなりますと、これは政策の問題でございますので、私の口からはちょっと申し上げるのを御容赦いただきたいと思います。
  259. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 時間が参りました。  ありがとうございました。
  260. 山下芳生

    ○山下芳生君 日銀特融について松下総裁にお伺いします。  山一に対して既に八千億円の特融がなされたと報道されておりますが、なぜ八千億円必要なのか、その額の根拠は何でしょうか。
  261. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 山一に対します特融は現在で完結したわけでございません。これは現在始まったところでございますので、なお今後継続をいたします。  この額につきましては、山一自主廃業、解散を選択したわけでございますけれども、それを行ってまいります際に、山一自身は現在資産超過の状態にあるということでございますから、資産を処分すればそれで負債が返済できるわけでございますけれども、顧客の預かり資産を例えば返済するというようなことはすぐやらなければなりませんので、これは時期的に一時的に支払いのための財源が不足するわけでございまして、そのように円滑な業務の継続を可能にいたすためにその差額の特融をやっているわけでございます。これはそういうつなぎの一時的な資金でございますので、最終的に処理が完結いたしますときには当然それまでの融資額をまとめて返済を受けるということになるわけでございます。
  262. 山下芳生

    ○山下芳生君 そのつなぎのために八千億円最初導入したということですけれども、そのつなぎの内訳をぜひ明らかにしていただきたい。山一から提出された資金繰り表というのがあると思います。その資金繰り表にどういうつなぎの融資が必要なのかということがあると思うんですが、それはいかがですか。
  263. 松下康雄

    参考人松下康雄君) これは日々の業務の中で債権の回収と債務の支払いというのが行われてまいりますので、私どもといたしましても、その全体を現在の段階できちんと把握をいたしまして差額を積算して総額を決めるということは実行上できないことでございますので、当面の山一証券資金繰りを算定いたしまして、これに必要なものをその都度融資をいたしてまいるわけでございます。  八千億とおっしゃいましたけれども、その金額で山一のこれから廃業までの全体の業務が全部賄われるというものではございませんので、これは当面の資金のつなぎに必要な金額でございます。
  264. 山下芳生

    ○山下芳生君 まだこれから膨れるであろう、しかし当面だと。しかし、当面なぜ必要なのかということを明らかにしていただきたいと思うんですが、なかなかお言いになりませんので聞きますけれども、山一が顧客などから現金のまま、たまたまだそうですけれども、預かっていたお金が約一千四十二億円、九月三十日現在あるというふうに聞きました。それはわかるんですよ、それを返してくれと言われたら返さなければならない、資金繰りが必要だと。しかし八千億円、そのほか何があるんでしょうか。
  265. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私もただいまその内容の明細を手持ちいたしておりませんけれども、資金の種類といたしましては、今の預かり金の返還に必要な資金はもとよりでございますけれども、そのほかに証券会社といたしましての内外の投資家との関係で発生いたしますいろいろの支払い所要額、また一般の債権者、つまり投資家以外の一般の債権者もございます。これらとの取引といいますものは、廃業いたしますまでの間、完結に向かいながら、しかし継続していくわけでございます。こういつたすべての支払いにつきましてそれを収入の中から賄っていくわけでございますので、その収入の例えば上がる早さというものは資産の処分がどれぐらいの期間でできるかということにもよるわけでございます。  そういった点から見まして、短期間に支払いと収入とを比較対照してきちんとした差額の計算をするということは難しいということを御理解いただきたいと思います。
  266. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう少し突っ込んで中身について聞きたいんですが、そのつなぎのために必要な融資の内訳の一つ富士銀行など出資銀行からの借入金も入っているんでしょうか。先ほど、午前中の参考人からの答弁で、富士銀行の頭取は、山一本社に二十五億円、関連会社八百九十億円、合計九百十五億円貸し付けている、残高があると。そういう出資銀行からの借入金返済のためにもこの日銀特融というのは使われるんですか。
  267. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 山一の出資の関係につきましては、これは山一におきまして損失発生いたしましたときに、株式を含めた自己資本はまず損失の補てんに充てなければならないものでございます。したがいまして、その出資者の持っております山一の株式見合いのものは損失の穴埋めに充当されます。  ただ、一般債権者として持っております債権債務関係は、自主廃業のやり方の場合におきましては通常のように決済をされてまいるということになると思います。
  268. 山下芳生

    ○山下芳生君 通常ですからそれも入るという御答弁ですが、私、これは重大だと思うんです。  一九六五年の山一問題のときには日銀は、百年史を見ますと、「本行は基本的には主力三行が責任を持つべきもの」だと、山一証券資金繰り問題についてこう主張されているんです。今そういう立場からえらい後退してしまっているということだと私は思います。  富士銀行に対して、山一の今回の問題で融資しなさいと提案されましたか。
  269. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私も、個別の取引についての指示の内容につきましては承知をいたしておりませんけれども、この取引行におきましての、何と申しますか、出資者としての責任というものは明確に実行を求めることができますが、その他の点におきまして、取引行としてどの範囲までの責任があるかという点は、これは一般の商事の関係の法律その他の条項に基づいて決定をされなければならないものであると考えております。
  270. 山下芳生

    ○山下芳生君 六五年の山一問題のときから姿勢は後退していると言わざるを得ません。  この日銀特融ですけれども、返済されるというふうに先ほどから繰り返し御答弁ですが、返済されると判断をした根拠を聞きたいんです。  融資をした二十五日、この同じ日に大蔵省と証券監視委員会山一に対して調査に入ったんですよ。調査に入ったその日に融資をして、返ってきますと言うのはおかしいじゃありませんか。
  271. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもは、山一証券の財務内容につきまして、これまで山一証券から聴取をしておりますところでは、当社は現在、財務的に分析をいたしますと資産超過でありますと、自己資本が四千三百億円ございまして、これは今回明らかになりました簿外損失等を差し引きましてなお純資産が残る状態でありますという報告を受けているところでございます。  私どもは、現段階におきましてその報告以外には材料がございませんけれども、この報告に基づきまして現在の山一証券において特融の返済能力があると判断をいたしたわけでございます。ただ、もとよりこれは、今後大蔵省の検査等も入りまして内容の精査をいたしますから、その過程の中でさらに明らかになっていくことでございます。
  272. 山下芳生

    ○山下芳生君 山一簿外債務も、先週の末、連休前は二千億円と証券局長がおっしゃった。連休明けたら大蔵大臣は二千六百億円と膨れ上がった。きのうの監視委員会調査によって、新たに二百五十億円の一任勘定による損失が生まれているということも明らかになった。やっぱり現在でも山一の経営実態というのはやみの中なんです。このやみの中にある山一に対して無担保で融資をするということは、これは焦げついた場合に、結局国民の負担になるということに道を開く危険性がある、そのことを指摘して質問を終わります。
  273. 西川きよし

    西川きよし君 本日は御苦労さまでございます。  もう一度原点に返りまして御質問をさせていただきたいと思うんですが、今回この山一の報道、土曜日だったと思うんですけれども、一斉にされたわけですが、当然店頭は休みでもありました。にもかかわらず、たくさんの方々が店の前で慌て、そしてまた声を震わせながらという姿を目にいたしました。  しかし、日銀特融によって保護されることを知って投資をされていた方々は一様に安心されたことだと思うわけですけれども、その一方で、銀行であれば預金者保護という意味で、多くの方々も人ごとではないということで、これもまた理解もできるわけです。ところが、この山一の場合は投資であって、この場合にまで保護されるのは投資に関係のない人からすればどうも脇に落ちないなという声もたくさん耳にいたしました。  そして、お伺いしたいのは、仮に日銀特融を発動しないとした場合に、全国の人たちは、何に対してどういつだ影響があるのかという部分が皆さんにお伺いするとわからないという方がたくさんいらっしゃいます。その部分について、ひとつ日銀特融を発動しない場合にどういうふうな影響があるのか。例えば年金がどうなるのか、簡易保険がどうなるのか。このあたりの説明が不十分ではないかと思いますので、松下さんにお伺いしたいと思います。
  274. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 仮にこの日銀特融というものを発動しないままに山一証券自主廃業という道を選んだといたしますと、やはりその結果としてまず考えられますことは、非常な流動性の不足が起こります。  つまり、資産と負債を比べてみて全体的には資産超過と申しますけれども、その資産を回収するのに必要な期間が長くかかり、また負債の方は、お客様からの預かり金でございますとか預かった有価証券とか、即座にお返ししなければならないものがたくさんあるわけでございますから、その間の資金繰りがつきませんというと、結局それは非常に大勢のお客様、山一の口座を利用して取引をされてきたお客様自身が直ちに御自分の債券有価証券なり現金を取り戻すことができない。このことは、将来もこれは取り戻せないんではないか、会社資産はありますと言っているけれども、それはいつのことになるかわからないし、また本当に取り戻せるかどうかわからないという点で、多数の投資家の方々が大変な不安と混乱を起こす可能性が非常に高いと思われます。  また、これまで行われておりました取引が、もう廃業ということになりますというと、その後は正常な状態で継続することが難しくなりまして、それでは取引を直ちに打ち切るから債権の取り立てをするというようなケースがいろいろ出てまいりまして、これらに対しても即座の対応ができない事態になるわけでございます。  それらのことから、それはひいては証券取引をやっていらっしゃる投資家、企業の方々だけでなくて、その企業、個人の方々が入っておられます金融制度全体の信用が失われて非常に混乱をする、そういう事態になることを心配したわけでございます。
  275. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  次に、もう一点、先ほど来議論がなされておりますが、「検査と考査に対する要望」ですけれども、千葉銀行の会長様からです。これを読ませていただきます。 検査、考査の重複性排除について、格段の配慮をいただきたい、ということである。  大変虫のよいお願いであるが、一方において、相当の事務負担を要するからである。事務負担を嫌っているわけではもちろんない。合理的な事務負担とさせていただきたい、ということである。  内容に立ち入ることは不遜であるが、あえていえば、大蔵省(監督庁)検査においては、資産査定とコンプライアンス(法令順守)に、日本銀行考査におぞは、経営の進め方とリスタ管理体制に、それぞれ、検証の重点を置いていただく。つまり、強いていえば、経営の静的な側面と、動的な側面に分けて、両者の検証の重点が置かれ、両者を合わせて一本ということではどうであろうか。 ということでございますが、これについて一言。
  276. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御指摘のように、日銀の考査と大蔵省の検査との間で両方の充実を図ってまいりますためには、他面で両方が過大な負担にならないような配慮は必要であると思っております。  また、それと同時に、私どもといたしましては、私どもの考査の重点を置いていくべき方向は、内部管理体制の整備を含みますリスク管理体制等のチェックによりまして、リスクそのものが顕在化しないようにあらかじめこれをよく注意して見ていくことであると思っております。  ですから、考査の重点化、あるいはこのための過大な負担を負わせない、負っていただかないための配慮という点は私どももそのとおりだと思っております。
  277. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  終わります。
  278. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で両参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人御両名には大変御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会