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国務大臣(
尾身幸次君) 全体といたしましては
景気の現状は
平成五年の十月を谷といたしまして
回復局面にございます。一-三月の数字あるいはその前の十-十二月の数字が、住宅あるいは
消費を中心といたしまして
消費税引き上げに
対応する
駆け込み需要というのが
予想以上に大きかったわけでございまして、昨年度の成長率は見通しよりも上回っているわけでございます。そして、その反動といたしまして四月以降
需要が停滞をいたしたために、四-六月の本年度第一・四半期はGDPが前期比マイナス二・九%という数字になりました。七-九月もややそれを引きずっておりますけれども、四-六よりはその反動の影響が少なくなってきているというふうに見ている次第でございます。
そういう中で、
景気回復に力強さが
感じられませんのは、私どもといたしましては構造的な要因もあるというふうに考えている次第でございまして、これに対しまして経済構造改革を進めていかなければならないというふうに考えております。財政が非常に厳しい
状況でございまして、いわゆる公共事業をふやすとかそういう対策をとることが適当でない
状況でございますので、経済構造改革を進めて
民間需要中心の経済の活性化を図っていきたいというふうに考えております。
その
一つが、経済活動が世界的な展開で行われてくる、そういうグローバリゼーションの中で、日本という国を日本の
企業もあるいは外国の
企業も生産拠点として選ぶような、経済活動の拠点として選ぶようなそういう経済環境を整えなければならないということが第一に重要であると考えております。このために、先ほど来お話にございますような法人課税のあり方あるいは有価
証券取引税のあり方等につきましても、諸外国の
状況とイコールフッティングになるような方向で
対応をしていきたい、その第一歩を少なくとも踏み出していきたいというふうに考えております。
それから二つ目は、いわゆる不良債権の問題がございまして、これがしこりとなって
景気回復の足を引っ張っているというのも事実でございます。それからまた、それに関連いたしまして、土地流動化ということが大変必要であります。土地につきましては、いわゆる地価抑制という政策から土地の有効利用という政策に転換をするということになっているわけでございますが、いろんな規制の問題も含め、それから土地税制のあり方も含めまして、まだ具体的な政策で実現していない部分もかなりございます。そういう点につきましても、新しい考え方のもとで
対応をしてまいりまして、土地流動化を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
それから三つ目でございますが、あらゆる分野の規制緩和を行いまして、新しいベンチャーを育て、また新しい事業活動が展開されるような活力を持った日本経済を実現していきたい。そして、そういう体制をつくるという中長期的な方向性をはっきり示すことが
消費者あるいは
企業家の
景気の先行きに対する信頼感を高めまして、経済活動が徐々に活発化していくというふうに考えている次第でございます。
金利も大変低い水準でございますから、経済活動、新しい
設備投資、新しい事業を起こすにはある
意味で言いますと非常にいい
状況になっているわけでございまして、私どもとしては、そういう
消費者あるいは
企業のマインドをしっかりとしていくことによりまして年度後半には
景気回復を順調なものにしていきたいというふうに考えている次第でございます。