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1997-10-15 第141回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月十五日(水曜日)    午前九時開会     ―――――――――――――    委員の異動  十月十四日     辞任         補欠選任      久世 公堯君     田浦  直君      沓掛 哲男君     岩井 國臣君      勝木 健司君     菅川 健二君      久保  亘君     本岡 昭次君      上田耕一郎君     笠井  亮君  十月十五日     辞任         補欠選任      大渕 絹子君     志苫  裕君      上山 和人君     瀬谷 英行君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岩崎 純三君     理 事                 岡部 三郎君                 小山 孝雄君                 永田 良雄君                 成瀬 守重君                 木庭健太郎君                 直嶋 正行君                 竹村 泰子君                 照屋 寛徳君                 山下 芳生君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 岩井 國臣君                 上野 公成君                 金田 勝年君                 田浦  直君                 田沢 智治君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 野村 五男君                 南野知惠子君                 平田 耕一君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 今泉  昭君                 牛嶋  正君                 加藤 修一君                 小林  元君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 浜四津敏子君                 益田 洋介君                 山本  保君                 伊藤 基隆君                 角田 義一君                 本岡 昭次君                日下部禧代子君                 志苫  裕君                 瀬谷 英行君                 笠井  亮君                 筆坂 秀世君                 山田 俊昭君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  町村 信孝君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        運 輸 大 臣  藤井 孝男君        郵 政 大 臣  自見庄三郎君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員  上杉 光弘君        会委員長)        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      鈴木 宗男君        (沖縄開発庁長        官)        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長  尾身 幸次君        官)        国 務 大 臣        (科学技術庁長  谷垣 禎一君        官)        国 務 大 臣        (環境庁長官)  大木  浩君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君         ―――――        会計検査院長   疋田 周朗君         ―――――    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        行政改革会議事        務局次長     八木 俊道君        阪神・淡路復興        対策本部事務局  田中 正章君        次長        警察庁警備局長  伊達 興治君        総務庁長官官房        長        菊池 光興君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁長官官房        審議官      瀧上 信光君        総務庁行政管理        局長       河野  昭君        防衛庁参事官   澤  宏紀君        防衛施設庁建設        部長       熊谷 悟朗君        防衛施設庁労務        部長       柳澤 協二君        経済企画庁調整        局長       塩谷 隆英君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興  直孝君        国土庁防災局長  山本 正堯君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省条約局長  竹内 行夫君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省体育局長  工藤 智規君        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生大臣官房審  江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省保険局長  高木 俊明君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省食品        流通局長     本田 浩次君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        中小企業庁小規        模企業部長    寺田 範雄君        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設省建設経済        局長       五十嵐健之君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査     ―――――――――――――
  2. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  予算執行状況に関する調査についての理事会における協議の結果を御報告いたします。  本日は、昨日に引き続き、総括質疑方式質疑を行うこととし、質疑割り当て時間は五十分とすること、各会派への割り当て時間は、平成会二十三分、民主党・新緑風会十二分、社会民主党・護憲連合七分、日本共産党六分、二院クラブ二分とすることに決定いたしました。     ―――――――――――――
  3. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 予算執行状況に関する調査を議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を行います。木庭健太郎君。
  4. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 平成会木庭健太郎でございます。  さまざまな課題がありますので、時間は短いですけれども、総理及び関係大臣に御質問を申し上げたいと思います。  まず一点、あしたから臓器移植法が施行されることになります。これは衆参いろんな経過をたどりまして立法され、いよいよ施行でございます。ただ、いずれにしても提供を待っていらっしゃる患者さんの問題、それからその期待にこたえられるか、提供する側の人権がどう守られるか、医療機関対応がどうなるか、さまざまな問題を抱えながらとにかく一歩を開くわけでございます。その意味で、それに向かっての総理の御決意とまた御感想も伺いたい。  もう一点は、皆様方にも来たと思うんです、私も持っておりますけれども、こういう臓器提供意思表示カードですか、厚生大臣はもう何か書かれていると聞きましたけれども、総理はこういうものにどうお取り組みになっているかも含めてお伺いしたいと思います。
  5. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まだ、私自身カードを持っておりません。私自身、献血は随分長い間続けてまいりました。多分二冊目の終わりぐらい、十七、八本が公式に提供した血液の量だと思います。  この問題は私は本当に大きな一歩を開いたと思いますとともに、依然として実は心臓移植というものについては自分の心の中で整理のできないものを持っております。他の臓器と違うものではないのか。これは大変不幸な記憶でありますけれども、移植手術の初期における南アのバーナード博士の例などを考えましたとき、医の倫理というものとの間に自分自身で整理し切れないものを持っておることを私は隠しておりません。その上で、他の臓器移植、これに御協力をする気持ちはありますけれども、カードに署名をする、そして持つというところまで自分を整理し切れておらないのが素直な気持ちでございます。
  6. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理自身の問題とともに、やはり施行する上で、これは厚生大臣がお答えになった方がいいかもしれませんね、体制整備をいろいろやっていただきました。それを受けて、あしたからに向かっての御決意厚生大臣の方がいいですかね、総理でも私はよろしいと思ったんですけれども、そこは調整していただいて。
  7. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) あすから移植医療法が施行されるわけですので、この移植医療が公平に公正に、そして円滑に実施されるように環境整備全力を尽くしていきたいと思います。  特に、今お話がありました臓器提供者意思表示カード、これの普及に当面は全力を尽くしていきたい。また、具体的にどういう環境整備状況にあるか詳しく知りたい場合は事務当局から答弁させてもいいですが、今のところ当面意思表示カード普及全力を挙げたいと思っております。
  8. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ともかく新たなスタートでございますので、政府としても、この問題、我々も苦悩しながら決断したことも事実でございますし、そこを御理解いただきながら施行く万全を期していただきたい、このことを御要望申し上げておきます。  さて、政治倫理の問題で一点だけ総理にお伺いしたいと思います。  佐藤入閣問題で総理国民に向かってもおわびをされ、またこの国会でも何回も陳謝をされた。お聞きしました。ただ、私どもが総理から伝わってこないものは何かというと、陳謝をされて、国民の怒りを感じたとおっしゃっている。では、それに対して総理自身が何をおやりになろうとしているのか。責任の重さを痛感するとおっしゃった。その重さを痛感して一体この政治倫理という問題にどうお取り組みになろうとしているのか、その姿勢がまだ見えてない、こう私は思います。その点について、総理からその責任の重さをどう具体的にやろうとしていらっしゃるのかをお聞きしたい。
  9. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 与党三党間で合意をいたしました「政治倫理等に関する三党確認」、この内容を改めて申し上げるつもりはございません。しかし、まさにこうした確認そのもの政治倫理という問題に対する取り組みを示すもの、そう受けとめていただけることを願っております。  それと同時に、この問題以外にも国政の中に多くの問題を抱えております状況の中で、一日一日それぞれの責任全力を挙げて果たしていくことが私の務めと、そのように思っております。
  10. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 要するに三党合意、確かに重要な与党の中での合意でございます。ただ、それだけを見た場合に、どうしても何か社民党さん、さきがけさんに押されて総理がいや応なくその問題に加わったという印象しか国民には映っていないと思いますよ。  総理自身、例えばこの入閣問題に絡んで、この入閣に対して総理としては基本的にこう考えているんだ、それをもとにして三党合意の問題をやっているんだ、こういう話ならわかる。政治献金の問題も自分としてはこうしたい、総理という立場でなくて橋本龍太郎個人ではこの問題についてこうしたい、こうする。その一方で、内閣としてこの問題にこう取り組む。そういうものが私はまだ見えていないと思いますが、いかがですか。
  11. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から具体的にお尋ねをいただきましたので、その三党合意をつくります。その前の段階、三党首の会談の中で私自身が申し述べたことを改めて申し上げてみたいと思います。  私が世論の重みを十分考えなかったと申し上げるその一言に含めておりましたものは、判決が出され、その期間が終了し、その後の国政選挙において議席を有し、永年勤続表彰全会一致で院として贈り、そしてそれぞれの特別委員会、WTO、国会移転、非常に重要な課題を抱える特別委員長全会一致をもって選任された、そうしたことも確かに私の判断の中にございました。そして、党の行政改革本部責任者として努力をしていただいていたこと、こうしたことが頭の中になかったとは決して申しません。その上で、過去にあったことをもって議員の身分に、言いかえれば議員を登用できる場所に線が引けるのだろうか、それも実は私自身が悩んだことですがということも申し上げました。そして、その議論の中から三党合意の一部が出てきたことは事実であります。  また、殊に社民党土井党首から強く主張されましたこと、それは、現行の政治資金規正法企業団体献金禁止の規定を繰り上げて今からでも実施するようにすべきであるという御意見がございました。  私自身改めてその時点で調べてみましたら、私自身政治資金の中で一割に満たなかった個人献金、制度の変わった中でできるだけ個人献金に切りかえて伸ばしていくようにということを関係の諸君には頼んでおりましたけれども、二割あるかないかというのが実態であり、八割以上が企業団体献金によって私の政治活動が維持されている。恐らく多くの方々がそうではないだろうかというようなことまで、これは私は正直に自分の例を引いて申し上げ、その上で、政治資金が必要であることは事実であり、個人献金拡大等を一方で図らなければ問題として実効性のないものになりはしないだろうか、そんな思いもその席では率直に述べました。その上で三党合意というものがまとめられました。  決意がわからないと言われれば大変残念でありますけれども、その事実を踏まえた上ででき得る限りの努力をしていきたいと申し上げております。
  12. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理としては、例えば入閣基準を設ける問題、それから個人企業団体献金の問題、いずれにしてもかなり難しい問題を抱えているということをおっしゃったということですよね。ただ、それでもその三党合意に参加したこと自体を見てくれと、こういうことでございますか。  私が言いたいのは、例えば入閣問題でも、それはいろんな難しい面はある。でも、この問題には何とか線を引く努力をするしかないと総理が決断をされて三党合意になったということなのかどうかという確認なんです。
  13. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ですから、私自身からそういう問題を提起いたしましたということは、何らか合理的なルールがつくれるものなら、そういう思いがございましたということも今正直に申し上げたと思います。
  14. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ただ、総理のお言葉を聞いていると、どうしてもどなたから言われでしょうがなくという感じ国民は受けてしまいますよ、御説明だけ聞いていると。難しい問題はあるけれども、例えば基準に向かってこうする、努力する。企業団体献金の問題は難しいです、総理がおっしゃったとおり。特に自民党は大変だと思う。でも、その中でもやるべきことをとにかく進んでやるべきだと、自分としてはそう考えて合意へ積極的に参加したんだということならまだわかる。ただ提案されたのでそれを受けざるを得なかったというだけだったら、一体何をされようとしているのか見えないんじゃないですか。
  15. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 繰り返して恐縮でありますけれども、過去の事件によって刑を受けた議員の取り扱いというもの、これについてのルールは現在ございません。この問題を提起いたしましたのは、私自身から提起をいたしております。  土井党首からの御発言も私は正確に御紹介を申し上げたつもりであります。その上で、事実の状況として私自身のケースを例に挙げ、いきなりは言ったようなことは現実に私は難しいと思いますと、五年という時間の中にこれが実行できるような状況をつくるためにお互いの知恵を絞りたい、そういうことを私は申し上げ、そのような合意になっていると思っております。  それがいかぬと言われるのであれば、これはもう私ちょっとつけ加えようがないのでありますけれども、その内容そのものを申し上げ、土井党首の御提案に対しては現実対応ができませんと。言いかえれば、対応できるように努力をしていく方途を探しましょうということで合意を得たと、私はそう理解をしております。
  16. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私はわかったとは申しません。ただ、総理がそこまでおっしゃるなら、あとはこれは結果ですから、どういう形のものを仕上げていくのか、その最終判断の場合に、また総理がどういう御判断をその三党首の中でされていくのか。国民が見るわけですから、そこの結果を私はこの問題では待ちたい、こう思います。  ところで、景気問題でも何点かお伺いしたいんですけれども、株価というのは上がったり下がったりするものでございます。ただ、そうはいうものの、きのうついに一時期ではありますが一万六千円台まで落ちてしまった。過去最低の値をさらに更新するような事態になっている。  この状況についてどういう認識を総理大蔵大臣は持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  17. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 総理大蔵大臣ということでありますが、委員が前段で言われましたとおり、マーケットはそれぞれの状況を反映するものであります。そういう点で、直ちにここでどうだという話は申し上げません。中立的な立場にありますことが大蔵大臣責任であります。  一つだけ申し上げますと、この動向を注意深く見守っていかなければならない、こういうことであります。
  18. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、政府として申し上げられることは大蔵大臣発言に尽きると思いますが、多少の補足をいたしますならば、そうした状況に対しましても、証券市場そのもの国民の信頼を取り戻し、殊に個人投資家が信頼して投資が行い得るように、現在の状況が、早く捜査が終了し、こうした問題はもうないと言い得る状況が生まれてくれることを願っております。
  19. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もちろん、総理がおっしゃる四大証券の相次ぐ不祥事というのがこの大きな原因の一つであると私も思っています。ただ、それとともにもう一つ大きいのは、景気に対する不安感、これが極めて深刻になっている。私は一番大きな要因はこれだと思っております。  さらに言うならば、これは政府がいつまでたっても緩やかな景気回復、緩やかな景気回復という言葉を変えない、これに対してまさに市場が断を下しているんではないか、私はこう思っております。その意味では政府景気判断は誤っている、こう思っておりますが、総理経企庁長官の御答弁を求めたい。
  20. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 最近の景気動向につきましては、御存じのとおり、ことしの三月までにかなりの程度消費税引き上げを見越した駆け込み需要がございまして、これは予想以上に大きいものでございました。その反動としての四月―六月の減というのがこれまた予想以上に大きいものでございましたし、また七月以降もその影響、多少尾を引いているかなという感じでございます。  そういう中で、足元は回復のテンポが緩やかになっております。そしてまた同時に、企業景況感にも非常に慎重さが見られるというふうに感じておりますが、民間需要を中心とする景気回復基調そのものは続いているというふうに考えております。  一・九%成長を見込んでいたわけでございますけれども、そういう四月-六月の落ち込みが非常に大きかったということもございまして、この一・九%を達成できるかどうかについては難しい点があると考えております。
  21. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 経企庁長官は新しくなられたばかりですが、これは予算委員会のときに随分論議したんですよ。四-六は落ち込むという話を聞きましたよ。ただ、七月から順調に回復する、こう政府は、前経企庁長官は嫌というほど繰り返された。だったら、その根拠は何なのか、七-九から伸びる根拠は何なのか、四半期別に指標が示されないなら半期ごとぐらいに示してみろ、そうしなきゃ国民は信じられないよと私は何回も申し上げた。それでも回復する、この一言しかなかった。何でこんなに誤っているんですか、そうしたら。四―六に落ち込んで、七―九からは回復して後半は順調だ、だから一・九%だと何回繰り返しおっしゃったか。誤っているんじゃないんですか。
  22. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 御存じのとおり、輸出は極めて堅調でございます。雇用もこの春先には対前年比で六十八万人ふえているという状況にもございますし、一人当たりの賃金所得もふえております。そういうわけで、消費者懐そのものは対前年比でかなり上昇している、二%台の上昇をしているという状況でございます。  それからまた、企業収益につきましても回復をしてきております。そして、企業設備投資関係で申しますと、いわゆる設備過剰感というものが、ここ数年、需要が徐々に伸びていることによりまして過剰感がなくなってきている。  そういう状況でございまして、設備投資及び消費ともに伸びる余地はある。しかし、それが結果として消費予想ほど伸びていない。それから、設備投資はそこそこ伸びておりますけれども、そういう状況であるのは、景気の先行きに対する透明感といいますか信頼感といいますか、そういうものについて問題があるのではないかというふうに考えている次第でございます。  私どもは、財政厳しい折でございますけれども、経済構造改革、規制緩和あるいは法人課税の問題とか土地流動化の問題とか、そういう政策をしっかり行って、二十一世紀を展望する日本経済の将来を見通した方向づけをしていきたい。それによりまして将来に対する信頼感を回復していく。そういう状態になりますれば、年度後半には徐々に景気回復してくる、本格的な回復軌道もでき得る、こういうふうに考えている次第でございます。
  23. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、年度後半の話も少しされておりました。私は全く逆で、年度後半もかなり厳しい現状は変わっていないと思います。例えば、いい要素を挙げられましたけれども、消費の落ち込みであってみたり、住宅着工戸数は間違いなく今年度は前年度を下回るという数字も出てきている。  では、あと半期、どんなふうなことを予想されるのか数字で示されますか。これだけよくなるんだ、国民に向かってそのことが言えますか、確実に。どう上昇するんですか。国民に向かって約束ができますか。厳しい状況なら厳しい状況をきちんと伝えることが私は大事だと思いますが、経企庁長官、いかがですか。
  24. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 先ほど申し上げましたような状況でございますが、それからもう一つ景気に慎重さが見られる、回復に力強さが見られないのは、構造的な要因もあるというふうに考えている次第でございます。それに対しまして、私どもは、財政が厳しい折でございますから、公共事業をどんどん進めるとかそういうことは現実には適切でないし、難しい状況ではございますが、経済構造改革を進めていきたいということで現在検討中でございます。  その内容は、第一には、企業が国際的な事業展開をする中で日本という国を事業活動の拠点として選び得るようなそういう国にしていきたい。つまり、ほかの国と比べて企業に対する経済環境をイコールフッティングのような状況にしていきたいというふうに考えております。そのことの一つが法人課税の問題であり、有価証券取引税の問題でございまして、企業が日本を選ぶような状態の第一歩を踏み出していきたいというふうに考えております。  二つ目は、土地の流動化の問題でございまして、景気状況がなかなか思ったようにならない一つの原因は、いわゆる不良債権がしこっていることでありまして、この不良債権のしこりを解かなければならない。そのためにも、土地の流動化を図って経済の活動を活発化して、同時に不良債権のしこりを解きほぐしていくということが大変大事だというふうに考えております。  それからもう一つは、規制緩和でございまして、あらゆる分野の規制を緩和いたしまして、そして民間活力を生かして、新しい事業が起こり、新しい企業活動が活発になるような体制にいたしまして日本経済の活性化を図っていく、そして全体として民間活力中心の日本経済を構築していく、そういう方向づけをしていきたいと思っている次第でございます。  そして、先ほど来申し上げましたとおり、消費者企業も懐の方はそこそこゆとりがございますので、そういう将来に対する展望がしっかりしてくれば、需要の方もはっきりした見通しを持って伸びてくる、そういうふうに考えている次第でございます。
  25. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 国民は怒ると思いますよ、懐にゆとりがあるとか言われたら。私はゆとりはないと思う。消費税の問題、だから厳しいんでしょう、今上げたから。特別減税を打ち切ったから消費者の心が冷えているんでしょう。九月になったら医療費まで上げてしまった。それでどうして懐にゆとりがあると言えるんですか。  失業率の問題も、雇用の問題をおっしゃった。でも、失業率そのものは高どまりでしょう。これから不良債権の問題を処理したり、東南アジアのいろんな問題もある。いろんなことをやっていけば、企業は一生懸命リストラで頑張るかもしれないけれども、企業そのものは厳しい現状にあると私は思います。どこが本当にゆとりがあってどうぞお使いくださいという現状にあるんですか、今。
  26. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 雇用者数で見まして、本年の四月-八月の雇用者数で見まして、対前年比で雇用者数が六十八万人増加をしております。率にいたしまして一・三%の増加であります。それから、一人当たり雇用者所得も、最近の数字の推計も含めまして入れますと、一・五%伸びているわけでございます。合計いたしまして、雇用者の所得は対前年比で二・八%伸びているわけでございまして、少なくとも収入という面から見れば、前年と比較いたしましてその程度の伸びにはなっているわけでございまして、そこを私は懐はそこそこのものである、こう申し上げたわけであります。
  27. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 経企庁長官、いろんな今後の策も、景気回復策というか、これをやればどうにかなるんだということもおっしゃって、それはそれで経企庁のやることですから大事なことなんですけれども、私は、経企庁の一番大事なことは、今のこの景気というものをどう判断し、どういう状況になっているかというのを正しく総理大蔵大臣初め関係閣僚にきちんと伝えることだと思っているんです。それを、いまだにまだ緩やかな景気回復という言葉を変えない。だから大蔵大臣は、幾ら私たちが今厳しい状況にあると言っても、今は日本は体力があるんだから体力があるうちにこういう改革をやらなくちゃいけないと、こうおっしゃる。  私は、体力という意味でいけば、ことし四月からのいろんな問題が起きてきた中で、増税の問題もある、いろんな中で体力というのはかなり弱っていると思います。それを伝えるのが私は経企庁長官の仕事だと思うけれども、まだ状況としては緩やかな景気回復ですか。
  28. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 業況によりまして、例えば中小企業における小売業とか建設業とか、そういう面では厳しいところもございます。それから、情報関係につきましてはかなりの状況になっているというふうに考えております。  ただ、企業の業況判断といいますか、日銀短観等で見ます業況判断は少し下がりぎみになっているということでございまして、そういうことは、結局は景気の将来に対する信頼感、いわゆるコンフィデンスが少し落ちているかなということでございますから、政策的にきっちりとした将来に対する展望をしっかり示すような中長期的な展望を出すことによりまして、そういう消費者及び企業の皆様の将来に対する展望が開けてくれば、この秋口からは、年度後半からはよくなってくるだろうというふうに期待をしているところでございます。
  29. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これは幾らやってもそういうことですから、期待するというか、そうならなかったときの責任というのは、これは経企庁というより総理の問題になるのかもしれませんけれども、私は大きいと思います。  やはり私は、ここ最近のこの株価の問題を含め、景気が失速している、失速しかかっていると言った方がいいと思います。こういう状況を招いたのは、やはり消費税のアップ、特別減税というものを廃止する、さらに医療費を上げる、各省庁いろんな事情があり、財政構造を変えないという事情はあったにしても、一気にそういう問題を仕掛けた結果、デフレ予算を組んだ結果そういう現状を招いていると私どもは思っております。(「国民負担のオンパレードだよ」と呼ぶ者あり)後ろから声が上がっておりますが、まさに国民に負担をかけることしかしなかった、それしか見えなかった。これが今の現状を招いていると私は思っておりますが、総理の御見解を伺いたい。
  30. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、経企庁長官が述べられたことを私は繰り返そうとは存じません。そして、私自身の、殊に日銀短観等を見まして後の感覚は昨日も本院で申し上げております。  ただ同時に、九年度予算ということで御指摘をいただきましたが、先行して減税をいたしておりました財源、これを埋めるという要素が一つありましたことは御記憶のとおりであります。  同時に、歳出削減に取り組む予算でありましたが、経済構造改革に資する創造的、基礎的な研究の分野などに重点配分をするなどのめり張りをきかせている予算であったことも御承知のとおりであります。例えば科学技術振興費、前年度比一一・九%の伸び、こうした将来に向けての芽が生まれてくるように、育つように、こうした配慮もいたしてまいりました。  危機的な財政事情、また社会経済情勢の変化を踏まえながら、限られた財政資金を最適に配分しようとした、この点は申し上げておきたいと存じます。
  31. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 我々は、デフレ予算が失速しかかっているんではないかという指摘に対してお答えにならないということは、そうでないとお考えになっているということなんだろうと思いますが、私はそういう問題をきちんと認識をしていただきたい。  さらに今、経企庁長官からもいろんな施策がありましたが、我々平成会・新進党は、この問題はもう去年の選挙のときから言っていますよ、同じことを。そういうものを一つ一つ何かつまみ食いされているような気もする。  ところで、法人税減税の話まで最近は持ち出していらっしゃる。ただ、新聞報道を見る限り、この減税の問題、何か引当金とかそういう課税ベースの問題も含めてやられるようなお話も伺っておるんですけれども、これは結局、財源を考えると、赤字国債にならないような形、いわゆる引当金の整理をして法人税の減税をする、この両方合わせてゼロにしょうという考え方なんですか、これ。よくわからないんですよ、法人税。減税と言いながら、減税じゃないとおっしゃる方もいらっしゃるし。
  32. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 法人税の引き下げ、グローバルスタンダードにという目標の中で、経団連を初め要望がありますことは御案内のとおりであります。  本件は、ただいま総合経済対策ということで与党内で検討が進められております。党税調も本件についてどうすべきか、こういうことについて大局的な見地も含めて論議がスタートいたしたと聞いております。当然、政府税調、御勉強をいただくようお願いを申し上げております。  九年度政府税調の法人税に対する取り組みは御案内のとおりですから、省略をさせていただきます。  財政構造改革という極めて深刻な事態をどうやって乗り越えなければならないかということで、特別措置法という、戦後初めて予算編成についての、構造改革についての量的目標を、数値目標を明示しながら論議をいただき、取り組ませていただいておるところであります。  問題は、赤字公債の発行を六年間をめどに、七兆四千七百億円、平成九年度の発行額でありますが、これをゼロにしてまいりたい。健全な財政運営への第一歩をまず確実にスタートを切らせていただきたい。措置法の中にこれもうたわせていただいておるところでございます。  そういうことで、消費税も二%アップをいたしました。特別減税も取りやめをさせていただきました。財源なしに法人税を上げるということはでき得ない相談であります。ですから、課税ベースの拡大、それと適正……(「上げると言ったよ」と呼ぶ者あり)下げるということ、謹んで訂正を申し上げます。そういうことで、課税ベースの拡大と適正な措置を講じていかなければならない、こういうことになるわけです。  要すれば、減税という声はわからぬわけではございませんが、今日の状況を踏まえて中立的な、レベニュー・ニュートラルと言われておりますけれども、ここを大事にしながら増減税ゼロということでないのかというのが中立的な見方をしておる各位の御意見でありますことを御紹介申し上げて、答弁にかえます。
  33. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今お聞きしていると、法人税減税と言いながら、実質はそれは減税ではないと私は思うんです。ただ、国際基準でいえば法人税の今の水準というのは高過ぎる。これを下げるという問題は、確かに経企庁長官おっしゃるみたいに海外の企業の問題なんかを考えると極めて大事なことだけれども、そこで実質減税がなぜできないのか、それは赤字国債を出しちゃいけない、この繰り返しになるんだろうと思います。  私は、少なくともこの今の景気の問題でいうなら、ここ一連の株価の低迷、景気の後退というのは、私は逆に御指摘をしたいのですけれども、消費税、特別減税、そして医療費の値上げ、こういう問題の中で、橋本内閣は経済政策については失敗したと思っております。失政だと思います。  ですから、ある意味では、これを回復するためには大胆な案にしなくちゃいけない。おっしゃるみたいに、六年間をめどに赤字国債をなくすというときにどういう方向を目指していくかという問題だと思います。  これは総理立場の違いとおっしゃるかもしれませんけれども、私どもはやっぱりまずこの景気という問題を一番大切にしたい。それによって増収を起こすことによって財政構造改革に取り組んでいく、この方向でなければならない。よって、経済が失速しかかっている今こそ、所得税減税を含めた大胆な手を打つ必要があると私どもは思っております。総理の見解を求めます。
  34. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は経済情勢を決して楽観しているわけではありません。  しかし、同時に、これはぜひお聞きをいただきたいのでありますけれども、では財政はどうなんだ。近年のバブル崩壊後の景気後退に対処するために、減税あるいは公共事業の追加等の手法でこれを克服しょうといたしました。結果として巨額な赤字が累積をいたしました。そして、このままでは財政赤字を含めました国民の御負担、国民負担率が七〇%にも達する。財政赤字と国際収支の双子の赤字を抱えて国民生活の水準低下を招いてしまう危険性がある。将来世代に非常に過重な負担を負わせることになるというのは明らかであります。そのためにこそ、厳しいことを覚悟しながら減税に見合った増税を、消費税の税率引き上げ、特別減税の廃止という形でお願いを申し上げました。同時に、歳出面でも削減に取り組むように財政構造改革の一歩を本年度予算で踏み出しました。  その当時も申し上げたと思いますけれども、このような改革は確かに短期的に痛みを伴うことでございます。しかし、中長期的に考えたとき、国民負担率の上昇をある程度のところで抑えていく、さらに、当然のことながら、公的部門の簡素合理化といった努力をすることは当然のことでありますけれども、経済の活性化をもたらすことになると思っております。  言いかえるなら、民間事業中心の自律的な安定成長にどう持っていくかという視点から私は先ほど来の議員の御意見も拝聴しておりました。そして、財政構造改革と絡めながら、あるいは並びながら、規制緩和を初めとする経済構造改革の実現、これがますます重要だと私はそのように今受けとめております。
  35. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私はこの問題、これからいろんな状況が進んでいくと思います。その中で、やはり経済を完全に失速させてしまってはその後には手を打とうとしても打てない段階に至る可能性もあるということを非常に危惧しております。その意味では、財政構造改革は大事です、それでも経済も大事です。ここが完全に失速してしまえば終わりです。ぜひその点も見ながら対応を進めていただきたいと思います。  行政改革について一、二点だけお伺いしておきたいと思います。行革会議の中間報告というのがございました。これに対する評価、何人かの大臣だけお聞きしておきたいと思います。今後、どう取りまとめに動いていくかということについて、郵政大臣、建設大臣、農水大臣は新しくなられてまだ余り意見を発表されていないので農水大臣、以上三名、それをまとめるようにして総務庁官、以上四名だけにお伺いしたいと思います。
  36. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 木庭委員にお答えをいたします。  行政改革の目的は簡素、また効率的かつ国民本位の行政を実現することにあるということは委員御存じのとおりでございます。今御指摘がございました郵政三事業につきましては、利用者の利便性に配慮しつつ、また特に過疎地を含む地方の視点、あるいは高齢者の視点を含む幅広い国民利用者の意向や利便を踏まえて、具体的な改革のあり方については今後さらに検討が行われるものというふうに考えております。  また、もう一点、情報通信でございます。  御存じのように、各国においては、アメリカにおいてはクリントン、ゴアが情報スーパーハイウエートあるいは欧州におきましてはTEN計画、アジアにおきましても、これはマレーシアではスーパーコリドー計画というのをやっております。国家を挙げて重視をしておる、そういった世界各国の事情があるわけでございます。そういったことを踏まえて、総合的、戦略的、機動的に対応できるように今後そのあり方が検討されていくものと考えております。  いずれにいたしましても、現在、中間報告を受け、最終取りまとめに政府与党の間で協議が精力的に行われておるところでございまして、そういった状況を見守りながら望ましい体制のあり方を考えていきたい、こういうふうに思っております。
  37. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 木庭議員にお答えをいたします。  行革の目的等については既に述べられておりますので申し上げませんが、国土に関する行政につきまして、国土の適正な管理を責任を持って的確に行ってまいる、こういう点に配慮をいたしつつ、具体的行革のあり方につきまして今後さらに検討が加えられていく、こういう過程にあるわけであります。よくこれらのことも見守りながら、行革の本旨に向かって努力をしたい、こう考えております。  特に河川行政でございますが、行政実務上重大な支障が生ずるおそれあり、こういう危惧を持ちながら、心配をいたしておるところであります。  いずれにいたしましても、政府与党間の協議が現在行われておるところでありますので、望ましい行政体制のあり方、このことの方向をよく見きわめて検証してまいりたいと思っております。
  38. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 中間報告の内容につきましては、現在与党内でいろいろ議論をされているところでございますので、これを見守っているところでございます。  当省の立場で申すならば、農林水産政策を基本といたしまして、国土・環境政策をもカバーする効率的な行政の展開が可能となるよう、省名も含めて関係方面の理解を求めてまいりたい、こう考えております。
  39. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) ただいまもお話がございましたように、私の立場は、広く各界あるいは政党関係等の御意見あるいは御主張をお聞かせいただきながら、これを責任を持って取りまとめていかなければならない立場でもあるわけでございます。  ただいまお話がございましたように、そのような意見などをお聞きしながら、政党とりわけ与党等の御意見などもよくお聞きいたしましてその合意を取りまとめてまいりたい、かように考えております。なおまた、中間報告におきましてまだ整理されていなかった問題等も、かなりその後の皆さんの意見でもお聞かせいただいておりますから、総体的に首尾よくまとめていかなければならない。  なおまた、この機会に余計なことを申し上げるようでございますが、断固皆様方の御意見をお聞きし、かつまた、最終的に来月の段階に至りましたときには、各位が節度正しくこれが取りまとめあるいはまた決行について御協力をこの機会に申し添えておく次第でございます。
  40. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 要するに、今この行革会議の中間報告というのが国民にちょっとわかりにくくなっているのは、一体この行革会議というのがどんな性格を持っていて、この中間報告というのはどんな位置づけなんだと。これが、いろんなほかの意見が出るものですから、見えなくなっている国民が私は多いと思うんですよ。  総理として、この行革会議の性格、中間報告の位置づけというのはどうなのか、これは総理の口からきちんと聞いておいた方がいいと思います。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 行政改革会議は、国家行政組織法第八条の規定に基づきまして、政令により総理府に置かれる合議制の機関であります。複雑多岐にわたる行政の課題に柔軟かっ的確に対応するために、必要な国の行政機関の再編及び統合に関する基本的かつ総合的な事項を調査審議することをその事務といたしております。  今日まで非常に熱心に論議が進められてまいりましたが、その中間報告、これはまさにその時点までにおける会議の真剣な検討の結果を取りまとめたものであります。同時に、まだこれから検討すべき事項も多数残されております。これは今、小里長官が述べられたとおりでありまして、現在も審議を進めておりますし、本日も夕刻から会議が開かれます。中間報告を骨格としながら、十一月末までに成案を得るべく努力を重ねてまいりたいと考えておりますし、その努力を現に続けている。  これが今、御質問に対し、中間報告はその時点までの真剣な検討の結果を取りまとめたものであります。同時に、検討すべき事項もその時点ではまだ多数残っておりました。今さらにその審議を進めている。実態そのとおりを御報告申し上げます。
  42. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、総理は議長ですから、あの中間報告、どれを骨格というのか、どう評価するのか。私はいろいろあると思います。ただ、いずれにしても郵政三事業の問題については、民営化の方向を出してみたり、省庁を割るときもまだ検討課題が残っているのがあります。しかし、一応の大枠を決めたものはございます。それについて、総理はその実現へ向かって中間報告を一番基礎として、現在決まった点についてはそれをベースにして与党及び閣僚の皆さんにも御協力を求めていく、こういうことでよろしいんですか。
  43. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、行革会議の中間報告というものはその時点までの真剣な検討の成果を取りまとめたものでありまして、これは私は今後の基本的な枠組みだと思っております。そして、現実にその中間報告を骨格としながら、現在もなお議論の足りていない部分についての論議が行われておりますし、未整理でありました問題についての議論も行われております。  これは今後の問題になりますけれども、与党においてもさまざまな角度から議論が一方で行われております。精力的に双方の作業が調整されてまいりますとともに、残された課題の詰めも含めて十一月末までに成案を得るよう全力を挙げていきたいと思っております。
  44. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、この問題で中間報告と違ったことが次々に出る。それは当然です、与党から出てくるのは。いろいろ意見があるでしょう。ただ、総理としては、少なくともこの中間報告というのを出した限りは、それへより近づけるように努力するというしかないんだろうと思います。  私は、総務庁長官言葉を聞いていて余りよくないなと思うのは、総務庁長官はこの中間報告というのを一番のベースの中でやっていくということですよ。皆さんの声を聞いてもらって結構ですよ。でも、総務庁長官は、せめて総理を守りながらこの方向にまとめるんだという努力はする。違った意見は出るでしょう。あなたの声を聞いていると、断固皆様の声を聞いてと、何か変えることを主眼に言っているように聞こえますよ。それじゃ総理を守れないよ。
  45. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 私は、あなたのおっしゃるような感覚、趣旨で物を申し上げておりません。私が先ほど断固という言葉を使いましたのは、その前提があります。各界各層の御意見は謙虚にお聞きいたします、それは自由闊達に議論があって結構じゃないですかということは連日申し上げております。しかしながら、いつまでも各方面のさまざまな意見を無節度に無期限にやってよろしいという筋合いのものじゃありませんから、来月の十一月いっぱいという目標がありますので、そのときが来たらば、断固皆様方の御意見もお聞きしますが、これを取りまとめをしなければならない。その取りまとめをするときには、私どもも節度正しくやりますが、皆さんもひとつそのときに至ったら協力をしてくださいと。そして、避けて通れませんよ、これは決断実行するのみが国益でありますと、そういう気持ちでございます。(「中間報告という言葉一言も出てこない」と呼ぶ者あり)
  46. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、声が出たけれども、総務庁長官からは中間報告という言葉一言も出ないわけです。それでは何か全く違うものをまとめようとしているふうに聞こえてしまいます。この問題はまだ今後も論議を集中審議とかでやらせていただけるようですから、やらせていただこうと思っております。  関連質疑がございますので、同僚の荒木議員にかわりたいと思います。
  47. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。荒木清寛君。
  48. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 国民政治政治家に対しまして最も不信を抱くのは腐敗という問題でございます。ですから、繰り返しになりまして恐縮ですが、大事な問題ですから、まず佐藤長官任命の問題につきまして総理にお尋ねをします。  総理は、反省する、おわびを申し上げます、あるいは批判を甘受するということを繰り返しておられますが、しかし総理政治家として、では一体どういう倫理観を持っていらっしゃるのか、あるいは持っていたのかということが私にはわかりません。そこで、そのことを議論したいと思います。  長官任命後の記者会見で、一度過ちを犯した人はそのレッテルを一生背負っていかなければいけないのか、償いを済ませて改めて世の中の役に立ちたいと思うことが許されないのか、私はチャンスが与えられていいと思う、総理の持論でございます。私はそのことを頭ごなしには否定をしませんが、しかしそれはあくまでもその本人が過去の過ちを過ちとして深く反省をしているという前提の話だと、立論だと思うんです。  そこで総理に、このロッキード汚職にかかわったということを佐藤氏が御自身深く反省していると判断をして任命されたのかどうか、まずお聞きします。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、御本人がどう思っておられるかということについて言及をいたしたことはございません。  司法の判断が下され、それに服された。そして、その判断に服され、判決によって与えられた時期を過ぎ、その後、国政選挙において国民が議席を与え続けてこられたということ。同時に、たしか平成四年だったと思いますけれども、永年勤続表、彰を受けられたこと。あるいはWTO、国会移転等の特別委員長に、院の特別な機関としてつくられた特別委員長全会一致をもって選任をされたこと。こうしたことを頭に置きましたことは事実でありますし、その後、党の行革本部長として活躍をしていただいているということについての意識があったことを、私は今、木庭議員にも率直に申し上げました。そして、院において全会一致で特別な役割を与えられている方が閣内において働いていただいてもよいと思ったことは事実でありますし、九月十二日の記者会見でそうした趣旨の発言をいたしたこともそのとおりであります。  その上で、こうした行為に対する世論の怒りというものは非常に大きなものでありました。世論の考え方、世論の赴く方向、そうしたものに十分思いをいたさなかったという点について私は率直におわびを申し上げております。
  50. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 佐藤氏にはそのような業績があったんだと思いますが、しかしこの政治改革の原点とも言えるロッキード汚職についてどういう認識を持っているのか。これは再びチャンスを与える上で大変重要な問題じゃないんでしょうか。  昭和六十一年九月二十五日、佐藤氏の東京高等裁判所判決でありますが、裁判所はこのように言っております。これは確定した判決です。「被告人が事実関係を全面的に否認していたずらに弁解のための虚偽の供述をくりかえしているのみならず、」中略しますが、そして「反省の情は皆無と認めざるをえないことなど」という断罪をしているわけですね。  この判決が確定してからもまた佐藤氏は二冊の本を出版し、あくまでもこれはぬれぎぬである、わいろとされている二百万円は受け取っていないという主張をしておられます。裁判で否定されたアリバイについても再びその本で取り上げている。特に、平成元年十一月二十五日に「われ、かく戦えり」、副題として「生き地獄十三年からの生還」という本を御出版ですが、そこの冒頭の部分には「わが人生を振り返って、良心に恥じるものはなにもない。もちろん、ロッキード事件を含めてである。」と言明されているわけですね。  総理としては、要するにわいろを受け取っていないというふうに言われているわけですから反省もあるわけはないわけでありまして、そういう人であるということは承知の上で任命されたということじゃないんですか。
  51. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ですから、私は司法の判断が示され、それに服されたということを先ほど申し上げております。そしてその上で、その後におきまして院の公式の永年勤続表彰を受けられ、あるいは特別委員長をせられた、十分な役割を果たされた、そしてそういう中で党の行政改革の責任者として努力をしておられる、一層働いていただきたい、そういう思いがあったことを私は決して隠しておりません。
  52. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 総理は、いろんな批判があることを考え抜いた上で私なりに出した結論だともおっしゃっております。そうであればなおさら、この総理倫理観と国民の常識との溝は埋めがたいものがあったと言わざるを得ません。  私は、この問題がどれほど国民と永田町の距離を広げたかということを考えますと、単に反省をする、おわびをします、これからしっかりやりますで済む問題なのかというふうに思うんですね。余りにも国民の腐敗ということに対する怒りを総理は甘く見過ぎているんではないでしょうか。  私は、これは総理としての資質が問われた一件ではないかというふうに考えておりますが、いかがですか。
  53. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 同様の御批判は今までにも本院、また衆議院でいただきました。私自身については一切何ら申し上げることはありません。その御批判は甘受いたします。
  54. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いや、私はこれは総理としての資質が問われたのではないかと言っているわけでして、それを簡単に甘受すると言われたのでは困るわけです。  最後に、ではお聞きしますが、一度過ちを犯した人は云々、冒頭申し上げました総理のお言葉、持論、この持論は誤っていた、そういうことなんですか。
  55. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 例えば、全く議員という身分とかかわりなく、交通事故を起こしたとか、これはちょっと引例が不適当かもしれませんけれども、酔っぱらいに絡まれてけんかをしたとかということでも有罪というものはあり得ます。そうした種類の問題とおのずから違うべき、変えるべきものがある、これは私自身そのように受けとめております。
  56. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは次に、同じく政治倫理に関しまして、泉井石油商会疑惑問題につきましてお尋ねをします。  政官界に多額の献金や接待攻勢をかけていたと言われております泉井石油商会の代表泉井純一被告人が九月八日に記者会見をしました。同人は、自民党の山崎政調会長に対して平成三年十月から七年八月までの間に二億七千八百六十万円を献金するなどし、そのうち二億円が故渡辺美智雄元副総理あてだったと会見で言っております。  もちろん、この一方当事者の言い分だけをうのみにするというわけにはいきませんが、しかしこの会見を聞く限り、一つ政治団体に対しては年間百五十万円しか献金できないという枠が従来からあるわけでありまして、それを超えた献金があったんではないか、あるいは政治家側の収支報告は適切になされておったんであろうか、あるいはもしこれほどの巨額の献金がされたとすれば、何らかの見返りをこの泉井被告人は求めたんではないか等々の疑惑が生じておりまして、この真相究明は言うまでもなく急務でございます。  山崎政調会長は反論されておりまして、この私個人への資金提供とされました七千八百六十万円につきましては全然違う、パーティー券その他で一千万円程度と、九五年の参議院選の際にある候補者の責任者をしているときに一千万を借り、その後返したと直ちに反論されているわけです。  そこで、この反論を前提に自治省にお尋ねをしますが、政治家が政治活動や選挙のためにお金を借りたという場合には、資金管理団体の収支報告書にその旨の記載をすることが必要ではないでしょうか。
  57. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 政治団体におきましては、その会計責任者が毎年その年の収入、支出のすべてを収支報告書に記載して提出をするということになっております。したがいまして、借入金でありましても政治団体は収支報告書に記載をしなければならないことになっております。
  58. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この平成七年の山崎拓氏の資金管理団体の収支報告書に泉井純一被告人からの借り入れと返済の記載はあるんでしょうか。
  59. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) お尋ねの拓政会の平成七年の収支報告書には、お尋ねのような借入金の記載はございません。
  60. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もちろん個人としての借用であったという余地は残るんですが、そうであれば借用書なり領収書なりの提示があってしかるべきではないかとも思うわけですね。あるいはこの泉井被告人が渡辺元副総理あてだったと言っている二億円については特に山崎氏の言及はないわけでありまして、どうなっているのかという疑問もあります。  泉井被告人はこの記者会見におきまして、その他の政治家に対する献金も言及しています。  小渕外務大臣もその一人でありまして、十三日の衆議院予算委員会におきまして、その金額は五百万円程度であるというふうにお述べになっております。それが政治個人政治団体に対するものかについては直ちに調べたいという御答弁でありましたけれども、その後、調査の結果、明細はどうなっておりますか。
  61. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 過去かなりさかのぼっておりますので、現在まだ調査中であります。
  62. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 三塚大蔵大臣にもお聞きします。  本年二月の衆議院予算委員会で、この泉井被告人からの献金、適正に処理しておりますということはお認めになった上で、田中慶秋代議士の道徳的にそういう献金は返すべきではないかという御質問に、「議員としての大蔵大臣としてどうするのかと。言わんとする趣旨はわかります。よく考えます。」という御答弁でありますが、よく考えられた末、この泉井被告人からの献金はどうされるんですか。
  63. 三塚博

    国務大臣三塚博君) その答弁を申し上げたことはそのとおりであります。引き続きどうするか検討します。
  64. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いや、これは二月二十八日の話でございまして、またお聞きいたします。  それで、泉井被告人は、政治家への献金に関しまして、これは僕の記憶というよりは取り調べ中にはっきりした数字及び日時であると御理解いただきたいと。要するに、検察の捜査を引き合いにしまして自分発言の信憑性を強調しているわけでございます。  そこで法務大臣に、この検察の取り調べの段階で政治個人への政治献金の概要が明らかになったのか、またその点、何らかの違法性がなかったかどうか、御報告を求めます。
  65. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) お答えいたしますが、泉井純一被告人につきましては東京地方検察庁が捜査をいたしました。その結果、御承知のとおり、所得税法違反、さらに詐欺、関西国際空港株式会社法違反、これは贈賄の事実で起訴しているのは御承知のとおりでございます。  検察当局が起訴していない事柄につきまして、捜査をしたか、あるいは現在しているかどうかというふうなことにつきましては、捜査機関の活動の内容にかかわることでございますので、法務大臣としては答弁を差し控えさせていただきます。
  66. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いろいろ疑問点があるわけでございますので、どうか委員長国会法百四条に基づきまして、政府当局にこの泉井被告人に関する捜査の概況を報告するようにお取り計らいをいただきたいと考えます。
  67. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 後刻、理事会におきまして協議いたします。
  68. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に厚生大臣に。  本年二月二十四日の衆議院予算委員会におきましてこう答弁されております。「遺伝子組み換え食品が世界的に認められて多くの国民、日本国民にも食せられるというような状況になったならば、ぜひとも表示はしてもらいたいなと思っております。」と言われております。  しかし、こういう人ごとのようにおっしゃるんじゃなくて、厚生大臣なんですから、官僚をこのような方針で指示すればそのような方向になるんではないですか。そういうお取り組みをお願いします。
  69. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 食品等の表示については、安全性の基準にかかわるものは義務づけることはできますけれども、消費者の選択にかかわる問題におきましては義務づけるのは難しいと聞いております。  この点について、今盛んに食品についてはどこの産地であるとか、あるいは消費者が選択しやすいようないろいろな表示がされている食品がたくさん出てきております。それは、消費者の選択という観点から考えると好ましいものと思っております。  今後、遺伝子組みかえ食品につきましては、多くの消費者の間に何か不安とかあるいは懸念があるのは事実でありますが、国際的に専門家の間でも安全性の基準に関しては問題がないということのようでありますので、この遺伝子組みかえについて、これはどうかという義務づけは難しいんですが、今後食品につきまして、選択の観点からどういう検討がなされるか、これは農水省の所管でありますので、その辺よく農水省とも相談していきたいと思っております。
  70. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その点、厚生省の所管であります食品衛生法の適用によりまして、私は表示を義務づけることができると考えておりますので、さらに議論したいと考えます。  終わります。
  71. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で木庭健太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  72. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、伊藤基隆君の質疑を行います。伊藤基隆君。
  73. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤基隆でございます。  きょうは不況対策を中心に質問いたしたいと思いますが、実は昨日質問通告をいたしまして、レクチャーもしたのでございますが、私の持ち時間の中では到底こなせません。後刻、別途の時間帯、集中審議等の中でやりたいと思っておりますので、そのように御承知おきいただきたいと思います。  まず、経済企画庁長官にお尋ねいたします。  先ほど木庭健太郎委員とのやりとりの中にも出てまいりましたが、現在の経済状況についてお尋ねするわけでございます。  最近の個人消費動向については、私もデータを今持ってきておりますが、それを示すまでもなく、全体的に低迷をしているというふうに思います。  個人消費低迷の要因としては、一つは、消費税の引き上げ、特別減税の廃止、医療保険料負担など、国民負担増で総額九兆円というものが大きな原因となっているだろうと思います。日本総合研究所の試算によると、年収七百万円、夫婦と子供二人のサラリーマン世帯で年間十八万円の負担増になるというふうに言われておりまして、このトリプルパンチが重くのしかかっているというふうに思います。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕  第二は、かつては家計の負担がふえると貯蓄取り崩し等によって消費性向が上昇するメカニズムが働いていたわけですが、そのメカニズムは働きません。それは、先行きに大きな不安があるということが原因になっているのではないかというふうに思われます。  第三に、雇用、所得の改善傾向に陰りが見られる。有効求人倍率は八月に〇・七二と最近の改善状況が悪化しております。完全失業率は依然三・四から三・五%の高水準。これらの状況について経済企画庁長官がどのように認識されているか。  さらには、景気の現状認識について、一貫して景気回復状況にあるというふうに経済企画庁は述べてきましたが、十月の月例経済報告では、消費回復のテンポは緩やかという指摘をして当初のシナリオが狂ったことを認めました。すなわち、消費税率引き上げの駆け込み需要などによる四月以降の消費の低迷は一時的なものにとどまって九七年下期からは回復するという主張が狂ったというふうに思っています。  経済企画庁は判断を誤ったのではないかというふうに私は思わざるを得ません。政府の経済政策をミスリードすることにもなっているのではないかというふうに思います。これに対する見解と現在の景気の現状認識についてお尋ねいたします。
  74. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 消費の決定要因といたしまして実質可処分所得は極めて重要な要因でございまして、御指摘の要因が実質可処分所得にマイナスの影響を及ぼして家計が消費を抑制することは考えられるところでございます。こういう効果もございまして、四月からの消費税率の引き上げに伴うといいますか、引き上げ前の駆け込み需要予想以上に大きかった、そしてまた四月以降のその反動も予想以上に大きかったという状況でございます。その駆け込み需要の反動減という感じは薄れつつあるものの、個人消費回復テンポは緩やかであるというふうに認識をしております。  しかしながら、先ほどもお話を申し上げましたが、雇用も一年前と比べますと六十八万人、一・三%上昇しておりますし、雇用者一人当たり所得も一年前と比べまして一・五%程度上昇しているということでございまして、改善の動きが見られるわけでございまして、これは消費のマインドにもプラスの効果を及ぼしていると考えている次第でございます。  ただ、八月の雇用者数、現金給与総額は、やや伸び悩みが、伸びが鈍化しているという注意すべき点も見られるため、今後とも消費動向について十分見守ってまいりたいと考えております。
  75. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 経済の現状認識について先ほどお尋ねしましたが、ちょっとだけしか触れられておりませんので、もう少し述べていただきたいと思います。
  76. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 全体といたしましては景気の現状は平成五年の十月を谷といたしまして回復局面にございます。一-三月の数字あるいはその前の十-十二月の数字が、住宅あるいは消費を中心といたしまして消費税引き上げに対応する駆け込み需要というのが予想以上に大きかったわけでございまして、昨年度の成長率は見通しよりも上回っているわけでございます。そして、その反動といたしまして四月以降需要が停滞をいたしたために、四-六月の本年度第一・四半期はGDPが前期比マイナス二・九%という数字になりました。七-九月もややそれを引きずっておりますけれども、四-六よりはその反動の影響が少なくなってきているというふうに見ている次第でございます。  そういう中で、景気回復に力強さが感じられませんのは、私どもといたしましては構造的な要因もあるというふうに考えている次第でございまして、これに対しまして経済構造改革を進めていかなければならないというふうに考えております。財政が非常に厳しい状況でございまして、いわゆる公共事業をふやすとかそういう対策をとることが適当でない状況でございますので、経済構造改革を進めて民間需要中心の経済の活性化を図っていきたいというふうに考えております。  その一つが、経済活動が世界的な展開で行われてくる、そういうグローバリゼーションの中で、日本という国を日本の企業もあるいは外国の企業も生産拠点として選ぶような、経済活動の拠点として選ぶようなそういう経済環境を整えなければならないということが第一に重要であると考えております。このために、先ほど来お話にございますような法人課税のあり方あるいは有価証券取引税のあり方等につきましても、諸外国の状況とイコールフッティングになるような方向で対応をしていきたい、その第一歩を少なくとも踏み出していきたいというふうに考えております。  それから二つ目は、いわゆる不良債権の問題がございまして、これがしこりとなって景気回復の足を引っ張っているというのも事実でございます。それからまた、それに関連いたしまして、土地流動化ということが大変必要であります。土地につきましては、いわゆる地価抑制という政策から土地の有効利用という政策に転換をするということになっているわけでございますが、いろんな規制の問題も含め、それから土地税制のあり方も含めまして、まだ具体的な政策で実現していない部分もかなりございます。そういう点につきましても、新しい考え方のもとで対応をしてまいりまして、土地流動化を図ってまいりたいと考えている次第でございます。  それから三つ目でございますが、あらゆる分野の規制緩和を行いまして、新しいベンチャーを育て、また新しい事業活動が展開されるような活力を持った日本経済を実現していきたい。そして、そういう体制をつくるという中長期的な方向性をはっきり示すことが消費者あるいは企業家の景気の先行きに対する信頼感を高めまして、経済活動が徐々に活発化していくというふうに考えている次第でございます。  金利も大変低い水準でございますから、経済活動、新しい設備投資、新しい事業を起こすにはある意味で言いますと非常にいい状況になっているわけでございまして、私どもとしては、そういう消費者あるいは企業のマインドをしっかりとしていくことによりまして年度後半には景気回復を順調なものにしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  77. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、今、経企庁長官がおっしゃったことに半分は同意します。それは、今の経済の状況分析、これからの見通しの基本的な経済条件というものについては認めますが、回復に力強さが見られないというようなレベルではないのではないかというふうに思っております。  私は、「経済構造の変革と創造のための行動計画」に書かれておる構造改革をきちんとにらんで、その上での不況対策という立場は賛成でございます。しかし、それだけではなかなか行き切れないというふうには思っております。特に、今の不況の状況の中で、経企庁長官は押しなべて経済全体の動きを分析し、それに基づく判断を述べられましたが、突出して悪い部分はないのか、突出した悪い部分が起因となって経済全体を危機的状況に落とし込むということも考えられるわけでありまして、その辺についての認識をお聞かせいただきたいと思います。
  78. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) もちろん、まだら模様でございまして、やはりいいところと悪いところがございます。  例えば、中小企業の建設関係とかあるいは小売関係が大変厳しい状況であるというふうに認識しております。他方、情報関連などにつきましてはかなり順調な伸びをしておりまして、そういうものがまた経済を引っ張っていくというふうにも考えております。
  79. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 さて、不況は長引いてきて、国民はよくこの不況に耐えてかなり頑張っておる。生活が苦しくなっちゃったというような状況にはまだ至っていないけれども、生活の厳しさを増している家庭はかなりふえているのではないかと思います。  実は、この状況政府のどこがとらえているのかということについて私は、わかりませんけれども、厚生省ではないかと。厚生とは国民の生活を豊かにするという意味があるそうで、厚生大臣にお答えいただきたいんですが、国民の生活状況をどのように今とらえているか、このことをお答えいただきたい。
  80. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 景況感につきましては、専門の経企庁長官に譲ります。  社会保障を担当する厚生大臣として、将来の高齢化社会を臨み、二十一世紀にたえ得るような改革をしなきゃいけないということで、社会保障の構造改革も現橋本内閣の最重要課題一つになっております。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕  そして、今まで年金にしても医療にしても、新たに導入しようとしております介護にしても、多くの国民が期待している社会保障制度の基幹的な制度であります。これを考えると、二十一世紀にもたえ得るようにこの制度を維持していかなきやならない、あるいは改革し安定的に発展させていかなきやならないと考えますと、どうしても社会保障の問題は給付と負担の公平をいかに図るかというところに集約されてまいります。よりよい給付を得るためにはどの程度の負担が必要か。  日本は、特にヨーロッパの先進国を学んでまいりました。最近ではデンマーク、スウェーデン、まさに福祉の先進国であります。しかしながら、日本としてはスウェーデンやデンマークのような重税国家にはしたくない。いかに税の負担を軽くしながら、より効率的な合理的な社会保障制度を構築していくかというのがこれから大事な視点だと思います。私どもは、デンマークのように消費税二五%までというのは日本国民はとてもたえられないだろうと。五%でも多くの抵抗がある。できるだけ税負担を軽くしていく、そういう中で今後も社会保障制度の充実に努めていくということが大事ではないか。  そして、今の生活感、これは多くの国民努力して今日まで豊かな社会にしてきたと思います。当然、人それぞれでありますが、好況とは言えないまでも、世界の先進国に比べてむしろ日本は豊かな国だなと言われる水準に達した。世界で一番長生きできる国にもなった。より新たな、長生きするならより元気な、健康な気持ちと体で長生きしようという目標に今変えて、さらによりよい社会を目指している。  こういうことから考えますと、今も大事でありますけれども、もっと大事なことは、あすの若い世代に今の時代よりももっとよりよい制度を構築していこうという姿勢ではないかと思っております。
  81. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私が厚生大臣にお聞きしたがったことは、消費マインドの低下ということだけではなくて、生活が苦しくなっている状況にもう来ているのではないかということでございます。それらが将来の不安感をかき立てているのではないかというふうに思っています。  さて、本年四月三日、厚生省は、一月発表の将来推計人口に基づいてまとめた公的年金の見通しを発表しました。それによると、二〇二五年の保険料率は、これまで二九・八%としていた厚生年金の保険料率が三四・三%になる。また、四月十四日に厚生大臣は、政府与党財政構造改革会議の企画委員会で、個人的には支給開始年齢は六十五歳よりもおくらせる必要があるというふうに述べたと報道されております。  こうした厚生省の一連の根回しの中で、政府与党財政構造改革会議が、一つには支給開始年齢をもう一段おくらせる、二つに受給者の賃金スライドを廃止する、三つに高額所得者への給付制限を手始めに支給額を削減するとの方針を決定したと。日経新聞五月十五日号の報道でございます。  年金財政を圧迫しているのは、長期的には少子・高齢化社会であって、短期的には公定歩合〇・五%という超低金利が二年以上も続いている運用利回りの低下でございます。加えて、厚生年金の場合、自主運用を委託されている年金福祉事業団は九六年度単年度で四千百三十三億円の損失を計上し、累積損失は一兆四千二百四十五億円に達しております。同事業団が経営している保養地事業も九六年度は二億五千万の赤字を出したと聞いております。同事業団は廃止の方向にあるようでございますが、残された累積損失も結局は年金財政のツケとして残ることになるのではないか。このツケもみんな国民に押しつけるつもりなのか。  厚生省がこういつたことでは、安心があって初めて上昇する消費性向は、高齢社会を前に一層下がり続けるだろうと言わざるを得ないわけでありまして、こうした景気回復がおくれることが再び年金財政を圧迫するという悪循環を招くことになると私は思います。医療保険や年金が赤字になったから保険料を値上げするとか給付率を下げるとかという政策ならだれでも考えつくことでございまして、先ほど申し上げたように、国民の生活を豊かにすることが任務の厚生省は、本来の目的のために知恵を出すべきではないだろうかというふうに思っております。  国民生活の将来の安定化のために厚生大臣はどのように考えているのか、このことを私が引例しました事象の回答も含めてお答えいただきたいと思います。
  82. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 年金にしても医療にしても、将来のことを考えて今改革に取り組んでいるところであります。そして医療につきましても、国民の自己負担をふやすばかりではありません。薬価の問題、診療報酬の問題、医療提供体制の問題、公費、税金の問題、保険料負担の問題、そして自己負担、これをすべて総合的にとらえて抜本的な改革をしょうと着手しているわけであります。決して患者の自己負担ばかりをふやすものではないということを御理解いただきたいと思います。  そして、年金につきましても、これは、将来今のままの状況が続くと三〇%を超える保険料になる。私が個人的に言ったという発言をとらえられましたけれども、私は選択肢として言ったわけです。年金の問題を言えば、税金をどのぐらい投入するのか、給付をどのぐらいにするのか、若い人の保険料負担をどのぐらいにするのか、そして支給開始年齢を幾つにするのか、この四つの組み合わせしかないわけです。  私は個人的な考えとして、今の状況を変えないならば、現状維持ならば保険料負担は三〇%を超える、果たしてこれに耐えられるのか。じゃ保険料が二〇%だったら給付はどのぐらいになるか。あるいは二〇一三年で六十五歳が支給開始年齢になりますが、それを早めたらどうなるのか、あるいはさらに引き上げたらどうなるのか。給付と負担はどうなるのか、税金はどのぐらい投入するのか。幾つか選択肢を出した方がいいということを言っているわけであります。  いずれにしても、厚生省としてはこれ一つしかないという選択肢は出さないつもりであります。できるだけ情報提供をして、幾つかの選択肢を出して、国民的議論の動向を見きわめながら、しかるべき、あるべき改革の姿を提示していきたい。医療保険にしても年金改革にしても同様の考えでございます。
  83. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 建設大臣にお尋ねいたします。  突出した状況について先ほど経済企画庁長官にお尋ねしましたが、その認識に基づいて、今のゼネコンの経営状況でございますが、一つには、完成工事の未収金が一年以上滞留している十社という統計がございまして、熊谷組九百九十七億円、ハザマが八百八十八億円、以下、佐藤工業、大成建設、三井、清水、日本国土、青木、鹿島、住友の四百四十七億円までございます。  建設業向け貸出金残高上位十行は、さくら銀行一兆六千八百九十一億円、以下、横浜の五千五百四十億円までございます。  きょうの株価は、青木建設四十五円、フジタ七十八円等、百円を切っている一部上場が五社ございます。  これらの状況が直接景気動向または経済危機につながらないのかということについて、建設大臣の認識をお伺いします。
  84. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 伊藤委員にお答えをいたします。  極めて厳しい経済情勢下にあることは御案内のとおりでございまして、ここ五年間の建設投資が横ばいでございまして、建設業者数がこの中で、経済状況が期待されるほどでない環境下にありながら実は増加をいたしております。  こういつたことを勘案しますと、極めて経営環境は厳しい状況にあるわけでありまして、今、委員御指摘のように、不良資産、不良債権の処理のおくれと相まって、業界は懸命の努力をいたしておりますが、本年七月以降、一部の中堅クラスの建設会社において会社更生法の更生手続開始申し立てが行われるなど、厳しい状況にございます。  仮に今数字を申し上げますと、平成二年度におきまして業者数五十万九千でございましたものが、平成九年度では五十六万五千、また建設投資額について言いますと、平成二年で八十一兆四千億。これはピーク時が平成四年でございまして、八十四兆を超えたわけでありますが、平成九年度に至りまして七十九兆八千億。投資額は一方で減りながら業者数はふえておる、こういう状況にございますし、不良債権の状況を見ましても、内容は極めて厳しいものがございます。これらのことからいかに脱却するかということが当面の大きな課題でございます。
  85. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 状況認識については一致いたします。次の機会にまた詳しく討論いたしたいと思います。  そこで、唐突でございますが、一つの提案を行います。民間活力引き出しによる公共事業に準ずる拡大策の提案でございます。  電力の価格変動調整積立金の活用でございますが、電力各社は相当以前から価格変動調整積立金を積み立てておりまして、その総額はほぼ一兆円規模になっております。この積立金は、近年、為替変動に対応して料金を決定する方式となって意義は失われております。これを使ってロシアと協力してサハリンの天然ガス開発を進めるとともに、サハリン-日本間の海中にパイプラインを敷設することについてどうか、通産大臣にお伺いしたいと思います。  さらに、これらについて、十一月に日ロ首脳会談が開かれるようでありますが、橋本首相から提案する考えがあるかどうか、この二点をお伺いいたします。
  86. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。  一つは、ロシアとの協力のサハリン天然ガスの問題、一つは電力の価格変動調整積立金の利用ということでありますが、最初のサハリンの天然ガス開発及びその輸送についてのお尋ねでありますが、これは現在、サハリンーというのは日米ロ企業、サハリンⅡというのは日米欧企業の共同で石油及び天然ガスの開発を行う大型プロジェクトであります。我が国へのエネルギーの安定供給に資するものとしてその実現には期待をいたしているところでありますが、同ガス田からのパイプラインによる我が国へのガス供給については、現在関係事業者においてルート、経済性などについてのフィージビリティースタディーが開始されたところでございます。当省としては、このフィージビリティースタディーの進捗や需要業界との協議の動向を見守ってまいりたいというふうに思っておりまして、今のパイプラインについての直接のつながりということはちょっと考えられないのであります。  一方で、電力価格変動調整積立金一兆円規模というお話でありました。このもの自体につきましては有税積立の資金でございまして、これをこれからのものに使うということについては、やはりこの積立金を他の目的のために取り崩すということは電力料金の長期安定化のためにも、といいますのは、もともとこの積立金の理由が、価格の大幅な変動を起こさせないために、大幅な原価変動に対して直ちに料金を引き上げるのではなくて、この積立金を取り崩すことによって料金の安定に資するとして積み立てたものでございますので、この積立金を他の目的のために取り崩すことは電気料金の長期安定化の観点からもちょっと困難ではないかというふうに考えております。
  87. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 七月に私自身経済同友会で講演をいたしましたとき、シベリアあるいは極東地域に重点を置いたエネルギー分野を中心としたロシアとの経済関係の強化というものが、日ロ関係の発展の上でも有意義ではないかという問題提起をいたしました。  この日ロ首脳会談におきましてどのような話題が取り上げられるか、また想定されるか、現在の時点でもまだ詰まった状況にはございません。むしろ首脳間の個人的な友情をかたくするという主目的の中に、どのようなところまでが入れるか、これは実は未定のところであります。いずれにしても、こうした観点を含め、二十一世紀に向けた両国関係のあり方あるいは国際情勢に至る広範な話題が想定されるわけでありまして、議員から今御指摘のありましたような話題というものは、具体的なケースとしてはともかく、関連する分野の中に取り上げられる可能性もあろうかと思います。  多少これは出たとこ勝負のような部分がございますので、例えば確実にこれが提起されるとか、そう申し上げられる状況でないことは御理解をいただきたいと存じます。
  88. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 提案が時間の都合上ぶっきらぼうで、さらには唐突だったと思います。後刻また改めて詳しく私の考え方を述べたいと思います。  さて、不況からの脱出、景気回復と同時に、兵庫県南部地震の復興にも日本社会の重要な今日的な課題があります。この件について同僚の本岡議員に関連質問をしていただきますので、よろしくお願いします。
  89. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。本岡昭次君。
  90. 本岡昭次

    本岡昭次君 阪神・淡路大震災の復興問題について若干質問をいたします。  十月十二日で阪神・淡路大震災発生以来千日目を迎えました。十月十七日が来ますと二年九カ月を経過するのでございます。そして現在、八割復興とか七割復興とかいう言葉が語られておりますが、政府として阪神・淡路大震災の復興状況をどのように認識しておられるのか明らかにしていただきたい。
  91. 亀井久興

    国務大臣(亀井久興君) 今、本岡委員から御指摘がございましたように、既に二年九カ月たつわけでございます。  復興状況でございますけれども、政府、地元の地方公共団体、さらには地方住民等の一体となった努力のもとで、最後まで残っておりました神戸港につきましても本年の三月末には港湾施設の復旧が完了するなど、主要なインフラ施設につきましてはおおむね復旧が行われたところでございます。  その一方で、御案内のとおり、現在でも約二万八千世帯の方々が仮設住宅で生活を送られているなど、一日も早く解決すべき課題が残っていることも事実でございます。  このため、地元の地方公共団体が策定されました恒久住宅への移行のための総合プログラムでは、平成十年度末までに約三万九千戸の公営住宅を供給することを目標としておりまして、これを前提に、地元の地方公共団体において仮設住宅から恒久住宅への移行に向けて鋭意努力されているところでございます。国といたしましても、これを積極的に支援していく考えでございます。  さらに、これからはこうした恒久住宅への円滑な移行を進めるとともに、産業の復興などの本格的な復興に向けての取り組みを着実に推進していくことが必要であると認識をいたしております。  今後とも、地元の地方公共団体等と密接に連携をしながら、阪神・淡路被災地域の一日も早い復興を目指して全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
  92. 本岡昭次

    本岡昭次君 八割復興というふうに私は言いましたけれども、あと二割というのは、どういうところに二割という問題が残っていると認識されておりますか。
  93. 亀井久興

    国務大臣(亀井久興君) 先月、九月十六、十七日でございました、就任直後でございましたけれども、私は被災地にお伺いをいたしまして、仮設住宅あるいは仮設工場、仮設店舗、さらには公営復興住宅、そうしたところを視察してまいったわけでございます。  そうした中で、被災地が着実に復興の道を歩んでいるという感じは確かに持ったわけでございますけれども、今御指摘になりましたように、先ほど申し上げました仮設住宅で約二万八千世帯の方々が生活しておられる、その方々に一日も早く公営住宅等に移っていただく、そのことを今急いでおるさなかでございます。そのことに全力を挙げてまいりますと同時に、被災者の方々の生活再建の支援ということにつきましても精いっぱいの努力をしていくことが肝要だと思っております。  それからさらに、やはり災害の後、経済界からもそうした声が大変強く出ておりますけれども、産業が低迷をしているということでございますので、雇用の場を確保していくということから考えましても、産業が一日も早く立ち直っていくということが重要でございますので、そのためには総合的な施策がまだまだ必要ではないか、そのように考えております。
  94. 本岡昭次

    本岡昭次君 仮設住宅の問題は象徴的な問題でありまして、そのほかいっぱいあるんですね、問題は。  それでは、仮設住宅が解消するめどを立てていますか。いつ解消させるんですか。
  95. 亀井久興

    国務大臣(亀井久興君) 先ほど御答弁申し上げましたけれども、地元の地方公共団体が先ほどのプログラムの中で十年度末を目標にということで今一生懸命取り組んでおるところでございまして、御承知のとおり、現在約一万七千二百戸の一元募集をやっておるさなかでございます。その一元募集におきましても、仮設住宅に住んでおられる方々について優先的な枠を設けて募集を行っているところでございまして、地元の地方公共団体が強い意思を持ってその目標に向かって進んでおられるところでございますから、政府といたしましても何とかその実現に向かって御支援をしていきたい、そのように考えております。
  96. 本岡昭次

    本岡昭次君 九月十六日に長官は視察していただいたようであります。しかし、視察というのは、あなたが着実に復興しているというふうにおっしゃったように、そういうところだけ見せるんですよ。本当に問題になっているところ、例えばあなたが行ったらあなたに罵声を浴びせるようなところへは連れていかないんです。国会議員も大臣もです。そこを見なければ残りの二割はわからぬのですよ、何が問題なのかというのは。だから国が、阪神・淡路大震災、もうここまで来たらこれはもう地方自治体に任したらいいということではないという認識をぜひとも私は持っていただきたい、こう思うんですね。  それで、総理にお伺いしますが、私は総理と何回もこの問題は議論をして、総理の基本的なお考えはわかり過ぎるほどわかっているんですけれども、それでもなおかつ、あえて被災地の立場、被災者の立場に立って、出身議員として総理に物を申したいわけです。  というのは、八割復旧した、あとの二割は何なのかと。八〇%といえば大体うまくいっているじゃないかということですけれども、要するに人の生き死にの問題でありますから、この二割という部分に凝縮されたものは何か、これをしっかりつかんでいただきたい。これは要するに、生活基盤が崩壊してしまって、自立しようにも自立てきない、自分のことは自分でやりたい、だけれども、やろうとしても立ち上がれないという状況がやはり阪神・淡路大震災のこの根底にあると私は見ているんです。  そして、ここのところに国がいわゆる公的支援を行うということについて、一体それは国の責務なのかどうなのかという問題の議論が今あるわけです。私は、ここのところは国の責務の問題であるという立場をとっていただいて、そして完全な復旧・復興に対してさらなる新しい手だてを国が講じていただきたいという思いを持っているんですが、再度申し上げます。生活基盤を失った被災者が自力で立ち上がれるようにする、この最低のところの支援は、私は国の責務として公的支援のシステムというものが必要であると思うんですが、総理の御見解はいかがでしょうか。
  97. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本岡議員と友情を超えてこの問題については何回も議論をいたしてまいりました。そして、私は、担当閣僚としての国土庁長官の答弁になお補足をするとすれば、二つの点があろうかと思います。  一つは、まさに今、議員が御指摘になりましたように、現行の考え方の中でいけば、自然災害により個人が被害を受けた場合、それは自助努力による回復というものを原則としている。しかし、その将来起こり得る災害というものを考えたときに、被災者の生活再建というものを何らか公に支援する仕組みを考えるべきではないのかという御指摘でありましょう。  これは、現時点におきましても、災害救助法による救助あるいは各種の融資措置などの現行制度の運用によりまして、きめ細かく、また幅広く生活再建の支援をいたしております。公営住宅についてはもう触れません。また、地方自治体が阪神・淡路復興基金を活用して行っておられる被災高齢世帯や被災要援護世帯に対する生活再建支援金の給付などにつきましても地方財政措置による支援を行っておりますが、これからもこうした各種施策を、支援策を着実に進めていきたいと考えておるところであります。  もう一つは、より基本的な問題として、非常に高度の産業集積都市でありましたと同時に、港湾機能というものが神戸というものを支えてきた非常に大きな機能でありました。  破壊されました港湾、その港湾施設というものが復旧をするこの時間差の中で、かつては神戸港に集まりました荷物が海外の諸港に移ってしまい、現時点においても十分にこれが戻ってきておる状況ではございません。どうすればもう一度神戸港に荷物を呼び戻すことができるのか。これは、産業集積・港湾都市としての神戸、神戸港のこれからの極めて私は大きな課題だと思います。  同時に、その間において各国は、神戸港から分散する荷物をできる限り多く自国で受け入れるために、二十四時間港化あるいは通関手続等についての非常に積極的な集荷のための体制づくりと申しましょうか、そういう工夫をいたしました。  これを考えましたときに、ハードの部分の港湾施設のみがもとに復する、あるいはこの機会により近代化をする、それだけでは私は神戸港にもう一度荷物を呼び返すことはできないと思います。これは、港湾労働における労働慣習までを含めまして、私はやはり二十四時間港化を目指していただくべきではないんだろうか。そのための障害があるとすれば、これは国の仕組みでありますなら、私ども責任を持って変えてまいります。地方公共団体のそれが問題でありますなら、地方公共団体に御協力を願わねばなりません。  同時に、それが民間の例えば労働慣行等でありますならば、関係される方々にも、神戸港に荷物を呼び返すためにいかに工夫をすればよいか、そうした視点から今の慣行を再考慮していただく、そして一たん散った貨物をいかにしてもう一度神戸港に呼び戻し、神戸港を集出荷の基地として発展させることができるかを考えること、これが残された大きな課題ではなかろうか、そのように認識をいたしております。
  98. 本岡昭次

    本岡昭次君 総理と何回もやりとりをする中で、総理の今おっしゃっている神戸港の問題、絶えず言及していただいております。非常にありがたく思っていますし、総理の今おっしゃったことは文字どおり神戸をよみがえらせていくもう一番大事なところである、こう思っております。残りの二割というのもそこに多くの原因があります。だから、それはひとつ総理のリーダーシップで今おっしゃったようなことを具体的な施策でぜひともお願いしたい、このように思います。  もう時間が来ましたので、もっと幾つか御質問申し上げたかったんですが、最後に、総理、これだけの大きな犠牲を払い、そして三年、四年とかかってもまだ復旧しない、こういう自然災害を受けた状況に対して、この教訓を生かすために、政府また国会国民の安心システムの一つとして公的支援を国の仕組みとして法整備する必要がある。それはどういうものがいいかというのは国会の中で大いに論議してみんなで決めていけばいいんですが、それが必要でないというのじゃない、やっぱりそれが必要があるだろうという共通の認識だけはぜひ私は持ちたいと思って盛んに総理に論争を挑んでいるんですが、いかがでしょうか、共通の土俵に乗っていただけないでしょうか。
  99. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はこういう問題は土俵に乗るとか乗らないとかという種類の話じゃないと思うんです。そして、同じような思いの中から、お地元が阪神・淡路復興基金をおつくりになったと思います。そして、これを活用して現在さまざまな支援活動をしておられると思います。国もまたこれに対してのお手伝いを申し上げておるわけでありまして、より積極的に着実な推進を図ってまいりたいと先刻申し上げたつもりであります。
  100. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう時間が来ました。
  101. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で伊藤基隆君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  102. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、志苫裕君の質疑を行います。志苫裕君。御着席のままどうぞ。
  103. 志苫裕

    志苫裕君 私は体調がまだ十分でないので、座ったままの発言をお許しください。  諸般の事情で質問通告をしませんでした。御容赦いただきたいと思うんですが、質問は主として総理厚生大臣にお願い申し上げますし、大蔵大臣と自治大臣にも若干の質問が飛ぶかもしれませんが、あらかじめ御理解いただきたいと思います。  まず、厚生大臣、相次ぐ医療費の値上げ、患者負担の増大に高齢者を初め国民は率直に言って音を上げています。日本じゅうどこへ行きましても怨嗟の声が満ちておりまして、すこぶる評判がよくない。内閣支持率の低下もこれに負うところが大きいのではないかと思います。一生お国のために働いてきて、たどり着いた人生の晩年、これがお国からの報いかと腹を立てているわけです。そうでなくても、数年前から六十歳以上の年寄りにはもう既に診療制限が行われておりますから、年寄りには大変残酷なんです。  国際的にもすぐれた日本の医療保険制度だが、財政面で破綻してしまっては元も子もない話ですから、ある程度の事情は国民も理解できないわけではない。ですが、それにしても、財政収支の改善のために値上げと負担転嫁だけでは安易で能がなさ過ぎる。  私はここで思い切った発想の転換を主張したいんですが、それは特別そう奇想天外なことではないんです。医療費の総額を減らすことだけにきゅうきゅうとしないで、病気の総量を減らすということにもっと目を向けてはどうだろうか。回り道のようだが、病気と病人を減らす政策に大胆に切りかえられないか。汚れた大気、毒の入った食い物、そこで病気がつくられ病人がふえる、医療費がかさむという悪循環を断ち切る政策に厚生行政の高いプライオリティーを与えることが私の提案の趣旨です。厚生省という一部門だけではなくて、政府が一体となってこれに当たることができればより効果的です。  小泉さんは、個性的で知恵がある、無鉄砲だが勇気もある、その評価で再任されたという説もあるわけですが、郵政事業もいいけれども、本業の方で胸のすくようなことを言ってやってもらえぬだろうか。広く衆知を集めて、一大国民健康政策の旗を振ってはどんなものだろうか。期待してよろしいかな、どうでしょうか。
  104. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 基本的に議員の御指摘、私は賛成なんです。  というのは、医療改革というのは今総合的に進めていかなくてはならない。当然であります。患者の自己負担だけではありません。その中にあって、病気に対する治療も大事ですけれども、いかに病気にならないような、健康づくりをこれから若い人も高齢者も考えていかなきやならない。特に、これからの食生活というのは大変豊かになってまいりますけれども、健康の基本はやはり食生活、そして適度の運動、十分な休養、これが健康三原則だというのはどの国においても、どの時代においても私は変わらないと思います。  こういう観点から、具体的にこの例が適当かどうかはわかりませんが、人工透析患者等が最近大変ふえてまいりました。この問題は、確かに人工透析をしますと一時的によくなりますが、一度すると一生外せない、しかも一週間三回程度、数時間この人工透析をしなければならない。この費用は、考えてみますと月五十万円程度かかる、年間大変なものであります。しかし、患者さんの負担は一万円で済む。それで、糖尿病患者からそういうのが年々増加している。  ところが、この糖尿病患者に厳しい食生活を施せば人工透析をしないで済むという患者は結構いるというんです、専門家に言わせると。ところが、今の出来高払い制度、診療報酬体系によりますと、幾ら食生活を厳しく注意して治療してよくなったとしても、これは余り点数に関係なくなっている。ところが、ああ、これは人工透析をしなさい、患者さんは知らない、勧められたためにしちゃったらもう一生外せない。こういう問題はやっぱりよく情報提供する。医者も患者も本当に食生活というのは簡単のようで一番苦しいと言うんです、食欲というのは欲望の中で一番強いわけですから。そういう食生活と適度の運動と十分な休養をとることによって、薬もあるいは必要ないかもしれない、治療も必要でないかもしれない国民がたくさんいると思うんです。  こういう点で、これから予防は治療にまさると。特に食生活、運動、休養、これをできるだけ多くの国民に理解していただきまして、お互いに長生きするんだったら健康で長生きしよう、保険料を負担するんだったら、自分は病気にかからなくても、できたらああ人のために役立つんだなという気持ちを持ってもらうような低い保険料に抑えるという形で、お互い、いざというときにはこの保険で治療が受けられるという国民皆保険制度を維持していくような総合的な健康づくり、医療制度改革が必要ではないか。  御指摘賛成で、そのような方向に向かって最善の努力をしていきたいと思います。
  105. 志苫裕

    志苫裕君 総理も、六つの改革に一つ加えて、高齢化時代の国民健康増進計画を目標にしたらいかがなものでしょうか。所信をお伺いできますか。
  106. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、小泉大臣からお答えをいたしましたものに多少の補足をさせていただきたいと思います。  私も議員の御指摘に全く異論がありません。と申しますのは、かつて、例えば厚生省として脳卒中の発生を半分に減らしたいという計画を立て、これを実行いたしました。これは、まさに栄養と運動、休養というものを組み合わせ、そしてできるだけ早い時期にその兆候を把握するということでありました。あるいは、これは私がまだ幼かったころでありますけれども、現在も続いておりますものとして胃がんの検診車の活動があります。  そういう意味では、まず健康であること、そしてもし疾病にかかったときにできる限り早期にこれを発見すること、こうした意識というものは、むしろ第二次世界大戦後の早い時期には、あるいは昭和三十年代から四十年代、五十年代にかけて目立ちましたものが、このごろだんだん声として聞こえなくなりつつあります。  しかし、例えば民間の食生活協会の女性の方々がやっておられるように、それぞれの地域で一番入手しやすい食品でそれぞれの食生活を組み立てる、結果として非常に新鮮なその地域で得られる物をという食生活についての工夫を普及しておられる。この講習を受講された方々も恐らく十万人を超えているんじゃないでしょうか。  そして、そういった運動が現実に民間の力でじわじわ広がっておりますことを見ましても、議員の御指摘の方向、これはむしろ医療の世界にいかに予防という概念を取り入れるかと、問題意識として私自身も持っておりましたことだけに、非常にありがたい指摘をいただいた、そのように思います。
  107. 志苫裕

    志苫裕君 関連をしてなお若干の提案があるので、ちょっと聞いてください。  実は、私は加齢現象で脳血管障害を思い、二年近い療養生活を余儀なくされました。今でもリハビリに励む身の上です。  この病気になって見えてきたことですけれども、人間は生まれたときから死に向かって歩く旅人のようなものでして、その旅が長くなればなるほどこの病を避けて旅を続けることはできない。だが、幸いなことにこの病気はすぐに死ぬことはない。必ず一命は取りとめる。ですが、その後に、しゃべれない、歩けない、つかめないという後遺症が残る。しゃべる、歩く、つかむは人間としての機能でありまして、これを失った肉体は残酷で悲惨です。  この肉体に人間性を取り戻すこと、すなわち人間復権の医療が言うまでもなくリハビリテーションです。だが、なぜか診療報酬の面では比較的軽く扱われています。もう四年も前になりますが、六十歳以上の診療報酬には支払基金から半分しか支払われない。したがって病院も手を抜く。なぜかと聞いたら、枯れ木に水をやってもだめだと言うんですね。しかし、これは改善の余地があるんじゃないかなと身につまされて思いますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  108. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今後、リハビリ治療の重要性は十分認識しなきやならないと思っております。その点も含めまして、この抜本的改革案の中で検討させていただきたいと思います。
  109. 志苫裕

    志苫裕君 御存じのことですが、リハビリは整った施設や設備でなければならぬというものでもないんです。むしろ、地域のどこにでも、生活に近い場所にミニ治療室のようなものがあって、コンビニエンスストアのように気楽に行ける場所、そういうイメージの治療室の方が、大きい病院で長い待ち時間を待ってリハビリに励むよりはよっぽどいい。しかも、地域であれば知り合いがまずいる。知り合いと会うということだけでも精神活動が盛んになる。それは肉体にも必ずいい影響を及ぼす。そういう関係ではないかなと思います。  ですから、そういうところで、家族や近隣の人たちの参加によって寝たきりをつくらない、させない、そういうような体制がとられれば望ましい。できれば一定の広さにリハビリセンターのようなものがあって、そこから指導員が時々派遣されるというシステムになればこれはもう最良だと思います。  少子・高齢化社会と言うんですから、これからは学校があくはずですね。教室の一部にマット台でも置けば地域リハビリ治療室に早変わりできる。学校は年寄りにも思い出のある場所ですから精神活動にもいい。こんな施策が展開できぬものでしょうか。学校のそういう利用についての文部大臣の所見も、厚生大臣の後であわせてお聞かせください。
  110. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) まことにいい御指摘、御提案をいただきましたし、今回の介護保険制度でもそれに関連して出てくると思います。  今、本来治療が必要でない、むしろ介護サービスが必要な方までが病院に行ってしまう傾向が強い。これを何とか改善したいという点からも、この介護保険制度の導入によって介護基盤の整備が進んでいきますとそうなっていくと思います。  現に、病院では部屋にしても、あるいはふろ場にしても、治療が専門ですから、なかなか設備が整っていない。むしろ介護施設に行った方が住環境というのはすぐれていると思います。そういうような流れを介護保険制度の導入によって変えていきたい。これは今の御指摘に沿うような形に介護保険制度が定着していけばなっていくということを私は期待しております。  それと、校舎との合築ですが、これは文部大臣に譲りますが、厚生省でも既存の施設を拡充しなきゃいけないと。むしろ保育園等でも子供が少なくなってきます。その際、高齢者のための施設をつくるんだったら積極的に奨励していきたい。そのような形で既存の設備をいかに活用するかという方向で今後進めていくべきだと考えております。
  111. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) お答え申し上げます。  特に都市部の小学校、中学校は、子供の数が減りているものですから、空き教室が大分ふえてまいりました。そこで、それをうまく活用できないのかということで、福祉施設に一部使ったり、あるいは防災用の備蓄の物資をそこに置いておいたり、だんだんその辺弾力的にできるようにしょうということで、従前は文部大臣の一元的な許可が要ったようでありますが、二年ほど前から大分その辺は規制緩和を始めておりまして、非常に簡便な手続でそれぞれの市町村長の判断でそれを転用してもいいですよということにしております。  そのような意味で、広い意味の教育効果としても、学校の中にそういうリハビリをやる方がいらっしゃる、福祉施設でお年寄りと子供たちが同じ建物の中である種の共回生活をする、一緒に学ぶといいましょうか、そういうことをこれから大いに推し進めていきたい。基本的には各市町村長さんの判断でそれをやっても結構ですというふうにしてございますので、文部省としてもそういう方向で努めてまいりたいと考えております。
  112. 志苫裕

    志苫裕君 総理は六つの改革を標擁し、火だるまになってもこれを遂行したいと懸命でありますが、多といたします。それに関して若干尋ねます。  行革はこれまでのしきたりや権益を見直してメスを入れるものですから、一時的にせよ国民生活の広い分野に多かれ少なかれの影響を及ぼします。これは避けられない。  そこで、総理国民も応分の痛みを分かち合ってほしいと所信を述べるんですけれども、総理政治政府に信頼がなければおよそ説得力がありません。その意味政治倫理の確立は行革の要請でもあります。しばしば所見を述べていますが、改めて所信を問いたい。  なお、行革には経済の活動は市場に任せて国や政府は関与しないという新保守主義の観念や世界的な潮流があるものと解されておりますが、基本的な公共財以外の財やサービスは市場で調達するという国家論によるものと理解されています。  ところで、政府与党サイドでは景気対策として例えば地価税、有取税などの廃止などが取りざたされているようですが、行革や財政構造改革との整合性はあるんでしょうか、このことを伺いたい。政策減税は行革に対する背理とも思える。総理はどのように理解されますか。まず、これをお聞かせください。
  113. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 行政改革を初め一連の改革を行うときに、既得権益に守られていた部分において摩擦が生じる、あるいは規制によって優位な業をなしていた方にとってはその保護がなくなるわけでありますから痛みを生ずる、当然ながら不満が出る、それを克服するためには政治が信頼されなければならない、おまえ自身その点に気づいているのかという御指摘については、これはありがたく私はちょうだいをいたしたい、そして政治が信頼されるように努力もしてまいりたい、そのように思います。  また、確かに議員が仰せのように、今我々は財政構造を含めまして大きな変革をしょうといたしております。その中に当面の景気に対する配慮を加えろという御指摘も先ほど来相次いでおりました。与党の中にもそのような議論があることは当然であります。  そして、財政構造改革を進めていく中におきましても、その政策の優先度の判断の中で今幾つかの税目に具体的に触れられながら、それは財政構造改革あるいは行革等の背理にならないかという御指摘をいただきましたが、必ずしも私は背理するものばかりだとは思いません。  当然ながら、分権を進めていくこと、規制緩和というのは官から民への移しかえです。そういう行動を続けていく中におきましても、私はそれを政策的に誘導していくといった場合等を含めまして、税制がその役割を果たし得る場面があることは当然のことながら考えていくべきことではないかと存じております。
  114. 志苫裕

    志苫裕君 時間が来ましたが、もう一問で。済みません、お願いします。  大蔵大臣に尋ねますが、財政構造改革では、補助金に対して厳しい見直しを行い、大胆になたを振るうとされていますが、それはそれとして、同じ性質を持つ租税特別措置にも同様の対処をすべきものと思いますが、どうでしょうね。  この際、形を変えた補助金である租特も厳しく見直して、ソーシャルニーズ以外の法人に対する租特などで長く続いているものは原則として全廃する、こういうスタンスをとるべきと思いますが、いかがですか。
  115. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 志苫委員の御提言、共感します。  毎年、税制は見直しております。特に、特別措置法、政策的にやらざるを得ないものは費用対効果を考えながらやり抜いてまいるところでございますが、おっしゃるとおりでございます。
  116. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 時間ですので。
  117. 志苫裕

    志苫裕君 どうもありがとうございました。
  118. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で志苫裕君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  119. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、山下芳生君の質疑を行います。山下芳生君。
  120. 山下芳生

    ○山下芳生君 泉井事件について質問をいたします。  この事件は、三菱石油などから泉井被告に六十四億円もの資金が流れ、うち約二十億円が政官界にばらまかれたとされる国政上の重大問題、事件であります。  泉井被告は、去る九月八日、記者会見を行い、山崎拓自民党政調会長を通じて、故渡辺美智雄元副総理に二億円、山崎氏に七千万円余などの献金をしていたことを明らかにしました。  山崎氏にかかわる政治団体は、我が党の調査によれば、自治省届け出の拓政会、拓建会など四団体、都道府県選管届け出の新政研究会など十三団体となっています。合計十七すべての政治団体名は、十月十四日付の「しんぶん赤旗」に報道されています。  自治省に伺います。  事前に調査を依頼しているこれら山崎氏の十七の政治団体の九三年、九四年、九五年分の政治資金収支報告書に、泉井純一または泉井石油商会からの寄附の記載はありますか。
  121. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) あらかじめ通告をいただきました政治団体は、拓政会、拓建会、関西拓政会、中京拓政会、北海道拓政会、青森拓政会、沖縄拓政会、LPG拓睦会、新政会、新政研究会、新陽会、拓洋会、福岡県運輸経済研究会、山崎拓後援会、山崎拓後援会拓峰会、税理士による山崎拓後援会、洋々会の十七団体であったと思いますが、よろしゅうございますか。――これら十七の政治団体につきまして、自治大臣届け出分につきましては直接政治資金収支報告書あるいは官報によりまして、また都道府県選挙管理委員会届け出分につきましては関係都道府県選挙管理委員会に照会をして確認いたしましたところ、平成五年から平成七年分までの収支報告書につきましては泉井純一または泉井石油商会からの寄附の記載はございません。
  122. 山下芳生

    ○山下芳生君 山崎氏は、泉井氏からの献金について、法にのっとって適正に処理しているなどと述べておられましたけれども、今の答弁でも重大な疑惑があることが明らかになりました。  きょうは、これらの疑惑の中で、九五年の資金提供に限って質問をいたします。  泉井被告は記者会見で、九五年八月十二日、山崎氏に一千二百万円の献金をし、同年十二月十一日に一千万円の返却を受けたことを明らかにしています。また山崎氏も、読売新聞のインタビューなどで、九五年の参議院選挙の際にある候補者の責任者をしているときに一千万円を借り、その後返したとコメントしています。つまり、出した側、受けた側、双方が認めた金であります。  自治省に伺いますけれども、山崎氏の十七の政治団体の九五年分の政治資金収支報告書に泉井純一または泉井石油商会からの一千万円の借入金の記載はありますか。
  123. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 先ほどの十七の政治団体につきまして確認いたしましたところ、平成七年分の収支報告書には泉井純一または泉井石油商会からの一千万円の借入金の記載はございませんでした。
  124. 山下芳生

    ○山下芳生君 それでは、九五年参議院選挙で山崎氏が選対責任者となっていた合馬敬候補者の選挙運動収支報告書の中に泉井純一または泉井石油商会からの一千万円の借入金の記載がありますか。また、合馬敬候補の政治団体である合馬後援会についてはどうでしょうか。
  125. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 合馬敬氏の平成七年参議院議員通常選挙における選挙運動収支報告書につきまして福岡県選挙管理委員会に確認をいたしましたところ、借入金の記載はございません。  また、合馬敬後援会の平成七年の収支報告書にも泉井純一または泉井石油商会からの一千万円の借入金の記載はございません。
  126. 山下芳生

    ○山下芳生君 山崎氏が言うように選挙の資金として一千万円を借りたというのであれば、その借入金というのは、山崎氏の政治団体か合馬候補の選挙事務所か合馬候補の政治団体か、いずれかで処理されていなければならないはずであります。ところが、いずれの場合も報告書に借入金の記載が一切されていない。今の答弁でも明らかになりました。これは重大ですよ。法にのっとって適正に処理されていない。  第一に、選挙資金として処理したとすれば、これは公職選挙法第二百四十六条五号の二の虚偽の記入に該当する疑いが強い。第二に、通常の政治資金として処理したとすれば、政治資金規正法第十二条第一項一号のリで、借入金については、借入先及び当該借入先ごとの金額を記載することになっておりますが、これに違反することは明白であります。  自治省、以上の点、間違いありませんか。
  127. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 選挙運動収支報告書の規定に違反をしまして虚偽の記入をいたしましたときは、同法二百四十六条第五号の二におきまして三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処することとされております。また、政治資金規正法におきましては、収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者につきましては、同法二十五条第一項第二号によりまして五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処することとなっております。
  128. 山下芳生

    ○山下芳生君 法務省にお伺いします。  九五年の泉井氏から山崎氏への一千万円のこの二つの法違反に関する件について、現在も時効になっていないと思いますが、いかがですか。
  129. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 公訴時効に関するお尋ねでございますが、刑事訴訟法に定める公訴時効につきましては、それぞれ法定刑に従いまして公訴時効期間の定めがあるわけでございますが、お尋ねは一定の状況を想定して犯罪の成否や時効の完成の有無を問われるものでございますが、それにつきましては法務当局としてはお答えいたしかねるところでございますので、御理解いただきたいと存じます。
  130. 山下芳生

    ○山下芳生君 一般論としてです。
  131. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 一般論といたしましては、先ほど自治省からお答えございましたけれども、その中で法定刑として三年以下の禁錮または罰金という事案につきましては公訴時効は三年とされております。また、長期五年以下という場合には、五年が膨らみますので、公訴時効期間は五年とされております。
  132. 山下芳生

    ○山下芳生君 つまり自治省の報告でも、一千万円選挙の資金として借りたと言っているはずなのにその記載がどの報告書にもないわけですね。九五年分については今時効でもないわけですよ。  法務大臣にお尋ねしますけれども、これは九五年の資金提供について時効になっていないわけですから、しかも記載がされていないわけですから、厳重に調査、捜査すべきではないでしょうか。
  133. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) 御答弁いたします。  その資金政治資金だったのか、選挙に使われたのか、あるいは個人の単なる借り入れだったのか等々、具体的な問題になります。  具体的な問題につきましては、法務大臣としてこの場で答弁することは差し控えさせていただきます。
  134. 山下芳生

    ○山下芳生君 これだけ国民の重大な疑惑に関して、記載がない、法に照らせばこれは違法だということが非常に濃厚な事実に基づいて私は追及しているんです。それを捜査ができない、差し控えるというのは、私は国民世論にはなかなか、答えた答弁ではないというふうに思います。  総理に伺います。  あなたは第二次改造内閣発足後の記者会見で、献金をしたと泉井氏が公表した山崎拓政調会長の登用に当たって問われ、登用する際には一人ずつ話を聞いた、きちんと対応されたと信じている、こう答えられました。しかし、山崎氏はきちんと対応していないじゃないですか。総裁として登用したあなたの責任が問われているというふうに思います。いかがですか。
  135. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、その泉井被告の事件というものが現在裁判中でありまして、立ち入って申し上げる立場ではないと思いますけれども、過去何カ月かの間、捜査当局の取り調べを受けている間、またマスコミにおいても随分いろんな報道がございました、その時点において、確かに私は山崎さんに説明のつくものですねということを尋ね、説明できますという答えを受けたと。私はそのとおりのことを申し上げております。
  136. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。筆坂秀世君。
  137. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、山下委員から泉井マネーをめぐる疑惑について質問がありましたが、私もまず政治資金問題についてただしたいと思います。  今この委員会でも議論されていますけれども、医療費の負担増というのが国民の暮らしに大きな負担となっています。ところが、そのときに医薬品メーカー、病院等々、医療関係の業界から多額の政治献金が自民党や橋本首相あるいは小泉厚生大臣にも行われている。例えば、私調べてみましたけれども、九三年から九六年の四年間で自治省届け出分だけでも、政党及び国会議員への献金は四年間で六十九億三千八百五十六万円、約七十億円です。地方分は入っていません。自民党が圧倒的に多くて六十一億円を超えている。うち、橋本首相には一億一千六百九十三万、小泉厚生大臣には二千八百九十六万円。  医薬品メーカーや病院の売り上げ収入というのは、その多くが医療保険財政に依存しているわけです。国民に医療費の負担増を求めているそのときにこういう業界から、これは昨日も質問ありましたけれども、政治献金を受け取るというのは、私は、企業献金を全部禁止すべきだと思いますけれども、少なくともこの医療業界ぐらいからは禁止すべきだと思いますけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  138. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 政治資金規正法におきまして、政治活動に関する寄附について、量的制限のほか、例えば国などから補助金を受けている団体は寄附をできないという質的制限はございます。しかし、特定の分野を対象とした規制はございません。  そして、私自身自分の資産をもって政治活動ができる状況ではございませんから、医療関係者を含め企業団体献金を受けていることは事実であります。そして、法に許されたものをもって自分政治活動を賄っております。  私は、政党また政治家それぞれによって立つ基盤が違いますところから、一概に活動の費用はかくあるべしと申し上げることはできませんが、何らかの質的な制限以外のものがあるといたしましたなら、当然それに従わなければなりません。しかし、特定分野の資金を受けてはならないというルールはない、そう思っております。  そして、今も申し上げたとおり、私は医療関係者を含め企業団体献金をいただいておることは事実であります。
  139. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、ルールがないからお受け取りになっていると。だからルールをつくるべきじゃないか。これだけ医療保険財政大変だということをおっしゃっている。今後、三年連続の負担増や給付水準の切り下げもある。そのときに、その保険財政が大もとになっているわけですから、ここからぐらいの献金はまず総理みずからがこれはおやめになると言うのが当然じゃないでしょうか。私は、医療改革というならまずそこから手をつけるべきだと思いますけれども、再度御答弁を求めたいと思います。
  140. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員の御忠告として承っておきます。その上で、私自身政治資金団体、政治資金がどうであるか。関係者は恐らく議員のお考えのようにはとらないのではないかと思います。  ただ、私の方から求めて、いただきたい、いただきたいと騒ぎまくったつもりは今までもありませんけれども、これからもそんなことをするつもりはありません。
  141. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 贈る側はそういうお考えかわからぬけれども、しかし私は、多くの国民はそういう態度には納得しないだろうということを指摘しておきたいと思います。  次に、そういう政治献金を受け取りながら、例えば財政構造改革法に基づいて、今度新たに難病患者にまで医療費の自己負担を導入されようとしています。  難病というのは原因が不明、治療法が未確立の病気であります。例えば筋萎縮性側索硬化症(ALS)、重症筋無力症、多発性硬化症、パーキンソン病、悪性関節リューマチ等々、現在三十八疾患が指定をされております。患者数は約三十六万人というふうに言われています。  今この患者さんの負担分というのは全額公費負担となっています。ところが、そこに三分の一程度の自己負担を導入しようとされています。この公費負担制度というのは、難病患者の皆さんにとっては文字どおり命綱なんです。これは総理も難病患者の皆さんがどういう状況に置かれているか、私はよく御存じだと思うんです。例えばベーチェット病の方は白いつえをついて、その白いつえをつないで役所に陳情して、そしてやっとこの全額公費負担が実現したというふうにおっしゃっています。  総理にお伺いしたいんですけれども、私は少なくともこうした難病患者団体の皆さんの声にやはり耳を傾けていただきたい、このことをお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  142. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 難病対策ですが、この二十五年間、医学や医療技術の進歩は目覚ましいものがあります。そして、難病に対しても今後その治療等については基本的には質的な充実を図っていきたいと考えております。  そこで、今どういう見直しをこれからしょうとしているかにつきましては、難病といっても今までの指定した難病だけでいいのかどうか、この難病の対象、さらにこれに加えるものがあるかどうか、あるいは除くものがあるかどうか。それと同時に、同じ病気でも、難病においても重症度に程度があります。同じ病名でも重症なものと軽症なものがあります。この点について、難病にかかっていなくても難病にかかっている以上に重症な方もいるわけであります。そういう問題。重症度、軽度の問題、これにどういうふうに対応するか。さらにもう一つ、軽度の方に対しての自己負担をどうするか。この三点について、専門家の審議会、患者団体の意見を聞きまして、今後適切な対応をしていきたいと考えております。
  143. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  144. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で山下芳生君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  145. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、山田俊昭君の残余の質疑を行います。山田俊昭君。
  146. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 ゼネコンの粉飾決算と公認会計士制度について、公認会計士の監督官庁であられる大蔵大臣に質問をさせていただきます。  ことしの夏、東海興業、多田建設、大都工業のいわゆる中堅ゼネコン三社が相次いで会社更生法を申請いたしまして、事実上倒産いたしました。ところが、不思議なことに、この三社の直近の決算はともに黒字でありました。多田建設と大都工業の二社に至っては、株主に利益配当さえされておりました。外部監査制度としての公認会計士による厳格なチェックがあるのに、黒字かつ配当金を払っている会社がなぜ倒産するのか、全く奇怪としか言いようがありません。  伝え聞くところによりますと、倒産した三社の決算書は公認会計士によって適正の意見がつけられていたとのことであります。もしそれが事実なら、適正な会社がなぜ数カ月後に倒産したのか、当該三社の監査を行った監査法人及び公認会計士の責任こそ問われなければなりません。  公認会計士法第三十条は、公認会計士または監査法人が虚偽または不当な証明をした場合の大蔵大臣の懲戒権を規定しております。  大臣は、この三社の監査を行った監査法人及び公認会計士に対して何らかの処分をお考えかどうか、あわせて一連のこのケースに関しての御感想をお伺いいたします。
  147. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 個々の事案でございます。監査手続の内容については、当局としてコメントする立場にございません。  一般論として申し上げます。  財務書類の監査に当たりましては、監査法人及び公認会計士には、その専門的能力と実務経験に基づき、独立かつ公平、不偏な立場から、職業的専門家としての正当な注意を払いつつ、適切な監査手続を実施していくことが求められているところであります。このため、会計士監査については、今後ともさらなる社会的信頼を獲得していきますため、会計監査実務及び監査体制等について検討を加えながら所要の改善を図っていくことが重要であると考え、今回の事件を一つの教訓としてまいりたい、こう思っております。
  148. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 マスコミその他で相当騒がれている問題なので、当然大蔵省としては事情聴取だとか真相究明はされたのであろうと思うんですが、その点の調査状況報告をしていただけるとありがたいんですが、いかがでしょうか。
  149. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 御指摘いただきました、本年七月から八月にかけまして建設業者三社の会社更生法適用申請が発生いたしました。個別につきましてはただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございますけれども、この会社の問題にとどまらず、開示会社が証取法に基づく適正なディスクロージャーを行っているかどうかにつきましては、一般的に私どもにおいて不断に審査を行っておりまして、関係法令に照らして何らかの問題があるとすれば適正に対処していく必要があることは当然と考えております。
  150. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 時間が来て申しわけないんですが、ゼネコンのこのような決算の不明瞭さが、国民に対しましてあとどれだけのゼネコンがつぶれるかわからないという信用不安をかき立てまして、株価の低迷を招いているとも考えられます。  そこで、決算の適正化を担保して信用不安を払拭するためにも、現状のような企業と公認会計士、監査法人とのなれ合い体質に抜本的にメスを入れて、その是正を図るべきは急務の状況だと思われますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  151. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 監査は会社、企業体の信任を得るために極めて重要でございます。今後ともただいまのような事件が起きませんように対応してまいらなければならぬと思っております。
  152. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よろしくお願いします。  終わります。
  153. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で山田俊昭君の質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十八分散会