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1997-10-14 第141回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月十四日(火曜日)    午前九時開会     —————————————    委員異動  十月二日     辞任         補欠選任      福本 潤一君     市川 一朗君  十月三日     辞任         補欠選任      戸田 邦司君     高橋 令則君  十月九日     辞任         補欠選任      市川 一朗君     牛鳴  正君  十月十三日     辞任         補欠選任     大河原太一郎君     上野 公成君      斎藤 文夫君     野村 五男君      高橋 令則君     勝木 健司君      笠井  亮君     筆坂 秀世君  十月十四日     辞任         補欠選任      及川 一夫君     上山 和人君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岩崎 純三君     理 事                 岡部 三郎君                 小山 孝雄君                 永田 良雄君                 成瀬 守重君                 木庭健太郎君                 直嶋 正行君                 竹村 泰子君                 照屋 寛徳君                 山下 芳生君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 上野 公成君                 金田 勝年君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 田沢 智治君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 野村 五男君                 南野知惠子君                 平田 耕一君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 今泉  昭君                 牛嶋  正君                 加藤 修一君                 勝木 健司君                 小林  元君                 田村 秀昭君                 浜四津敏子君                 益田 洋介君                 山本  保君                 伊藤 基隆君                 久保  亘君                 角田 義一君                 大渕 絹子君                 上山 和人君                日下部禧代子君                 上田耕一郎君                 筆坂 秀世君                 山田 俊昭君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  町村 信孝君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        運 輸 大 臣  藤井 孝男君        郵 政 大 臣  自見庄三郎君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員  上杉 光弘君        会委員長)        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      鈴木 宗男君        (沖縄開発庁長        官)        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長  尾身 幸次君        官)        国 務 大 臣        (科学技術庁長  谷垣 禎一君        官)        国 務 大 臣        (環境庁長官)  大木  浩君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君         —————        会計検査院長   疋田 周朗君         —————    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣  洞   駿君        官房人事課長        内閣審議官    安達 俊雄君        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣  平林  博君        官房外政審議室        長        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制第一        部長       秋山  收君        内閣総理大臣官        房管理室長    榊   誠君        行政改革会議事        務局次長     八木 俊道君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁行政管理        局長       河野  昭君        防衛庁参事官   山崎隆一郎君        防衛庁参事官   別府 信宏君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  太田 洋次君        防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君        防衛施設庁長官  萩  次郎君        防衛施設庁総務        部長       西村 市郎君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        防衛施設庁建設        部長       熊谷 悟朗君        防衛施設庁労務        部長       柳澤 協二君        経済企画庁調整        局長       塩谷 隆英君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興  直孝君        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        国土庁土地局長  窪田  武君        法務省刑事局長  原田 明夫君        法務省入国管理        局長       伊集院明夫君        外務省総合外交        政策局軍備管   阿部 信泰君        理・科学審議官        外務省総合外交        政策局国際社会  朝海 和夫君        協力部長        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  高野 紀元君        外務省条約局長  竹内 行夫君        大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省証券局長  長野 彪士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        国税庁次長    船橋 晴雄君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省生涯学習        局長       長谷川正明君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省体育局長  工藤 智規君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  高木 俊明君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        食糧庁長官    高木 勇樹君        通商産業大臣官        房審議官     杉山 秀二君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        資源エネルギー        庁石油部長    林  良造君        中小企業庁長官  林  康夫君        中小企業庁次長  中村 利雄君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小鷲  茂君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        建設省住宅局長  小川 忠男君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  湊  和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査     —————————————
  2. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  予算執行状況に関する調査についての理事会における協議の結果を御報告いたします。  本日の質疑総括質疑方式とし、質疑割り当て時間は百六十分とすること、各会派への割り当て時間は、自由民主党六十九分、平成会四十五分、民主党・新緑風会十五分、社会民主党・護憲連合十五分、日本共産党十二分、二院クラブ四分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておるとおりでございます。     —————————————
  3. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、本日の委員会日本銀行総裁松下康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 予算執行状況に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。勝木健司君。
  6. 勝木健司

    勝木健司君 平成会・新進党の勝木健司でございます。  私は朝が弱いですから、夜は強いんですけれども、少し機嫌が、余りにこにこできませんけれども、よろしくおつき合いのほどお願いしたいというふうに思います。  総理も風邪を引かれておるということでありますから、きょうあたりはゆっくり寝られて、あしたに備えていただきたいというふうに思います。  さて、今回の改造内閣でありますが、新内閣発足以来二週間で農水大臣総務庁長官辞任された。あと一カ月もすればまた二、三人辞任されるんじゃないかといううわさも流れておるわけでありますが、この改造人事は何のためだったのか。行革実行内閣だと思いましたら、そうでもないような、族議員が復活をしておるということで、派閥順送り定期異動人事、目的のないおかしな改造だというふうに新聞も論評をしておるわけでありますが、今回の内閣改造必要性というのが本当にあったのかどうか、総理見解をお伺いしたいというふうに思います。
  7. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) たまたま、これは党のことでありますけれども、自由民主党総裁の任期が参りまして、総裁選挙が行われるということになるとともに、その時点人事を行うべきかどうかを考え、その中に、現在活躍をしていただいている、そして重要改革を続けていただいているそうした方々に残っていただきたいということと、同時に新たな人材を登用したいということと、双方の思いの中から改造に踏み切りました。
  8. 勝木健司

    勝木健司君 どうも総理記者会見等のやりとりの中では、新聞がそういうふうに仕立てたんじゃないかというようなことも書かれておったわけでありますが、やはり今回のこの改造内閣が何のための改造内閣かということがはっきりしておらなければ、国民はわかりにくいんじゃないかというふうに思います。  さて、佐藤人事でありますけれども、佐藤総務庁長官辞任については、これまでの内閣では入閣後の言動とかあるいはスキャンダルの発覚で辞任をされたというケースはあるわけでありますが、佐藤さんの辞任については今までとはちょっと違うんじゃないかということで、やはりこれは任命権者の問題であって、総理自身の問題じゃないかということで、責任は重いというふうに思うわけであります。  そこで、総理はいろんな発言をこの佐藤起用に際して、一度過ちを犯した者は二度とチャンスを与えられてはいけないのかとか、あるいは批判を承知の上で考えに考え抜いた決断批判を吹き飛ばす活躍をしてほしいということであえて起用をされておるわけでありますが、その後、間違った、ごめんなさいということでは済まされないだろうというふうに思います。橋本総理のこの起用に関しての見解、また政治感覚倫理感覚等々も含めて御所見をお伺いしたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、本会議でも申し上げましたように、「政治により高い倫理性を求める世論重み十分思いをいたさなかったことを深く反省するとともに、多大な御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。」という言葉を使いましたが、これがすべてを統一した上で私の率直な気持ちでございます。  そして、そこまでの中で私の頭の中に、例えば永年勤続表彰を受けておられる議員である、あるいはWTO、国会移転等の重要な特別委員会委員長として役割を果たしてこられた、さらに党の行政改革責任者として、かつて私自身も取り組んだことのある仕事でありますけれども、特殊法人への切り込みというのは非常な抵抗を呼ぶものでありましたが、こうした点を推し進めていただいていたこと、そうしたことにより、大きな期待をかけたいというのは率直な気持ちでありました。  ただ、その上で私は、世論重みというものに十分思いをいたさなかった、この点おわびを申し上げるというのは率直な気持ちでありますし、その責任は御指摘のとおり私自身が負うべきものであります。その責任を全うしますためにも、今取り組んでおりますそれぞれの仕事に全力を尽くしていくことが私自身責任の果たし方、そのように考えております。
  10. 勝木健司

    勝木健司君 今のお話を聞いておりますと、佐藤氏の任命に際しては間違っておらなかったというような感じで私は受けとめますし、後で世論重みがあってこういう形を痛感したということであったと。その起用に際しては、自民党の中での行革での貢献とかいろんな理由を言われまして、そういう形で起用されたということで、その起用に際しての判断は今でもやっぱり正しかったというふうに思っておられるわけですか、お伺いしたいと思います。
  11. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その当時そう考えましたということを今私は率直に申し上げました。そしてその上で、おわびを申し上げますと。これは所信表明に際しましても素直に私は自分の見方の誤りおわびいたしておるつもりであります。
  12. 勝木健司

    勝木健司君 おわびで済むような問題じゃないんじゃないかというふうに私は思うわけであります。  政官業癒着汚職事件を起こした者である、そういう人を、この国会の、政権の最重要課題であります、まして橋本総理の右腕として改革の先頭に立つべき総務庁長官起用しょうとされておった、あるいは公務員の綱紀粛正を行う、それを担う総務庁長官に相ふさわしいのかどうかということも含めて、やはり世論はそういうことで怒っておるんじゃないかというふうに思うわけであります。  そういった意味で、信念に基づく任命であるならば、世論はどうあれ、きのう小沢党首も言っておりましたけれども、トップリーダーとしては貫徹することがやっぱり大事じゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  13. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身に対する御批判は素直に甘受いたします。そして、その御批判も、自分自身のこれからの仕事への取り組みをより一層真剣に、より一層慎重に努力をしていく、その責任をより重くするもの、そのように受けております。
  14. 勝木健司

    勝木健司君 誤りを認めるのであれば、やはり任命権者自体の問題でありますから、辞任を待つ、辞任の工作をするというよりも、その前に罷免、更迭するのが筋じゃないかというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
  15. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、佐藤さん御自身辞任の際述べられましたような思いで辞表を提出されたと思いますし、私はそれを受け取りました。
  16. 勝木健司

    勝木健司君 それは、総理が言われる永田町だけの論理じゃないでしょうか。国民はそうは思っておらないというふうに思います。自発的辞任の強制じゃないかということで、これはやっぱり橋本総理責任逃れの何物でもないんじゃないかというふうに思います。  そして、今日のこの我が国の置かれた状況を考えますと、この改革への官僚、自民党内の抵抗の増大など、もう既にいろんな動きが、総理の言うことを聞かなくてもいいようなそういう動きがどんどん出ておるわけでありまして、総理のリーダーシップはどこにいったんだと。トップリーダーとしての責任は、そういう形で逃れたことによってもっと大きな問題に広がろうとしておるわけでありますが、その辺についての総理見解を、責任をどうされるのか。要するに、反省をされておるということであれば、反省を踏まえて何をされるのかということも含めて具体的にお伺いしたいと思います。
  17. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今たまたま行政改革を例にとられ、同時に進めております他の改革にも触れられたわけでありますが、私は、それぞれの改革は、この国の将来を考えるとき、確かに一時的な痛みを伴う部分を多数持っておりますけれども、その上でやり上げていかなければならない重要な問題ばかりだと思っております。  そして、その内容について、私は自由な議論が行われることを否定するつもりはありません。その上で、お互いがここまでなら、あるいはここまではやり遂げなければならないと合意したものに向けてまっしぐらに進んでいくべき課題だと思います。  そして、行政改革会議中間報告をまとめましたものにつき、いろいろな今御議論が、委員自民党と言われましたが、自民党だけではなく、与党、野党を問わず、国政に参画されるすべての方々あるいはそれを報道されるマスコミ方々も、それぞれの思いでさまざまな御意見をいただいております。よりよいものをその中からまとめ上げる、その努力を今後ともに続けてまいりたい。  そして、十一月末と申し上げておりますけれども、その時点行革会議として、与党の御意見も伺いながら、こういう方向でというものをきちんとお示しができるようにこの作業にできる限りの時間をとりたい、充てたい、率直に今そう考えております。
  18. 勝木健司

    勝木健司君 行革責任を果たすということだろうというふうに思いますが、行革のことについてはまた後ほど質問をさせていただきたいと思います。  次に、現閣僚また自民党政調会長とのかかわりということでありますが、泉井問題であります。  この大きな明治維新以来の大改革を強力に進めていこうとしますと、国民政治への信頼回復が大前提になろうかというふうに思うわけであります。  そういう意味で、この佐藤任命と相並びまして、橋本内閣主要閣僚あるいは党幹部への石油卸商泉井氏による献金疑惑の解明が今国会の最優先課題であり、国会の責務であろうかというふうに思うわけであります。  そういう点につきましては、総理はどういう考え方を持っておられますか。
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現に泉井氏は司法の手により裁判が行われております。そして、これについて私がいかなる形であれ言及することは司法行政の間において慎むべきことであると存じます。  その上で、政治自身さまざまな疑惑が取りざたされるなら、その場を選んでみずからその誤解を解く、これはそれぞれの方の責任でなされるべきもの、そのように私は思います。
  20. 勝木健司

    勝木健司君 主要閣僚小渕外務大臣あるいは三塚大蔵大臣献金の受領を認められておる、また自民党山崎政調会長も認めているということでありますが、そのとおりでありますかどうか、それぞれ確認をさせていただきたいと思います。
  21. 三塚博

    国務大臣三塚博君) そのとおりであります。
  22. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 衆議院で本会議でも申し上げましたが、過去さかのぼりまして、同窓の知人として私の政治活動に対して協力を得てきたことは事実でございます。
  23. 勝木健司

    勝木健司君 泉井氏も証人喚問には積極的に出る、いつでも呼ばれれば出るということでありますので、こういう証人喚問与党決断次第ですぐにでも可能な状況にあるんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、ここで総理自身、口先だけじゃなしに、心から政治に対する信頼回復をやろうというふうに考えるならば、やはり政府与党内にそういう泉井調査チームをつくって調査結果を国民に明らかにする、そういう国民に対する責任というものもあるんじゃないかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  24. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 泉井氏と申し上げるべきなのか泉井被告と言うべきなのか、多分、泉井被告と言わせていただきます。  現在裁判中になっております問題のみでなく、泉井被告が何カ月かの間捜査当局に取り調べを受け、あるいはマスコミにおいてもさまざまな報道がなされておりますように、いろいろなことを言っておられるわけです。法に違反することがあれば、私は当然ながら当局は厳正な対応をするものと思います。  その上で、与党三党は「政治倫理等に関する三党確認」というものを合意いたしました。そして、政治倫理の確立に向けて国民信頼回復に最大限努めていく、そういう決意を既に明らかにいたしております。  個別の事案を云々するという以前に、やはり政治全体の倫理というものを与党三党の中においては論議をする。その中には、当然ながら政治資金の問題もありますし、さまざまな角度からの議論が深められてまいる、そのように期待もいたしております。
  25. 勝木健司

    勝木健司君 与党三党の中でも自民党以外の二党は証人喚問を要求されておるんじゃないでしょうか。  また、信頼回復につながるということであれば、総理総裁である橋本総理が喚問をおくらせるのは、やっぱり総理みずからが疑惑隠しに加担しているんじゃないかというふうに国民には映るわけであります。積極的にみずからやるべきだ、それは当然やるべきだということであれば、山崎政調会長初めいろんな疑惑が持たれておる方に対して積極的に証人喚問を受けろという指導性を発揮されてもいいんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  26. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、我が党所属の議員の名前まで挙げられて御発言をいただきました。私は、証人喚問というものは本来院で御判断をいただくべきものであり、行政府の長がこれを云々する性格のものではないと思います。  その上で、私は本会議でも繰り返し申し上げたと存じますけれども、国民政治不信の払拭のために政治家が常に自戒し襟を正さなければならないと考える、その意味において、明らかにしなければならないことは、適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきもの、そう考えておりますということを申し上げております。行政府の長として申し上げられる限界までを申し上げていると思っております。
  27. 勝木健司

    勝木健司君 みずからの判断で求めるということでありますが、自民党総裁与党総裁でもあるわけでありますから、そこの政調会長初めいろんな主要閣僚については、そういう形でどんどん積極的にやるということが大事じゃないか。そういうことが国民信頼回復につながっていくし、これからのいろんな大きな改革の手始めにも、国民信頼回復にもつながっていくというふうにも思いますが、その点いかがでしょうか。
  28. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、改めて確認をした上で御答弁を申し上げておりますが、さまざまな形で紙上取りざたされております方々閣僚にお願いをいたします時点でそれぞれの方に、私はきちんと御説明はできますねという確認はいたしております。  今、大蔵大臣と話しておりましたのは、それを再確認したということであります。
  29. 勝木健司

    勝木健司君 三塚大蔵大臣証人喚問はいつでも受けて立つということですか。
  30. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 私がここで答弁しておりますことは証人と同じです。
  31. 勝木健司

    勝木健司君 それは場が違うんじゃないでしょうか。ここは予算委員会の総括質疑の場だろうというふうに思いますから、それはしかるべき証人喚問という場を設定していただいてやらなければ、本来の意味泉井被告自身も呼ばなければいけないんじゃないでしょうか、大蔵大臣。
  32. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 私は答弁で真実を申し上げておるわけでございます。  ここは同じように適切な場であろうと思っておりますし、院がお決めになるのであれば、当然それに従うというのは国民として義務でございます。
  33. 勝木健司

    勝木健司君 三塚大蔵大臣はいつでも受けて立つということでありますが、やはり証人喚問は当事者の泉井氏も同席した上でやるということが大事じゃないかというふうに思いますので、私は石油卸商泉井純一氏の早急な証人喚問を要求いたしたいというふうに思います。
  34. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまの勝木君の要求につきましては、後刻その取り扱いを理事会において協議いたします。
  35. 勝木健司

    勝木健司君 次に、今日、証券不祥事というのが前代未聞のいろんな会社経営トップを含めて数十人の逮捕者を出しているような状況でありますが、こういう不祥事問題、さきの証券不祥事も橋本総理が大蔵大臣時代のものだったというふうに思いますが、また再び今日の不祥事を招いたことを総理は今どう受けとめておられますか。感想を聞かせていただきたいと思います。
  36. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 前回、本院においても御論議をいただきました証券不祥事、これは補てんという行為に対するものでありました。同時に、銀行における偽造預金証書による不正融資というものが並行して起こりました。そして、ちょうどロンドン・サミットを控えておりました時期でありますだけに、ロンドン・サミットの大蔵大臣会合でその状況を説明し、それに対する対応をこうした方向で努力をしたいということで私は海外にも説明し、そのときも即座にやめろという声がたくさん、国会からもちょうだいをいたしましたが、しばらくの時間をかしていただきたい、少なくともなぜこのような問題が起きたかを調べ上げ、できるならその対応策の第一弾だけはスタートをさせてその上で辞任をさせていただきたい、そう申し上げ、証券取引法の一部改正まで御協力をいただき、成立をさせていただき、その直後に私は辞任をいたしました。  今回はそれとはまた質を異にする事件であり、私としては何とも情けない、情けないと言います以上に、金融システム改革のさなかにこの事件がむしろ明るみに出ましたことは、より思い切ってこのシステム改革を進めていかなければ市場の信用というものは回復しない、そのような思いでありますし、当初、この事件が起きましたときに、ある金融機関の当時の責任者辞任という形でこれを回避しようとしたときに、そのやり方はおかしいんじゃないか、むしろ事実解明が行われないうちにという発言をし、マスコミから多少の批判を受けました。しかし、その後事件は拡大をいたしました。  私は、捜査当局が厳重にこれを摘発し、あるいは証券監視委員会がその職責を忠実厳正に果たしていただくことにより市場の信用回復に少しでも役立つような結論が生まれることを、心から願っております。
  37. 勝木健司

    勝木健司君 三塚大蔵大臣、この今日の証券不祥事、また日産生命等々のいろんな問題で大蔵省の監督責任というのは感じておられるのかどうか。重大ではないかというふうに思うわけでありますが、その点いかがでしょうか。
  38. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 監督責任は私自身痛切に感じております。しかるがゆえに、再発防止に向けて法制の整備に万全を期しております。
  39. 勝木健司

    勝木健司君 行革会議中間報告では、財政と金融との分離が不十分というふうにも言われておるわけでありますが、この点については総理いかがでしょうか。
  40. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、この問題で議論が複雑になりました時期に、内部のやりとりを御紹介するわけにもいきませんが、銀行局の説明に対して納得をせず、その時点で、とっさに思いついたという言い方は不適切かもしれませんが、心配する事態をどう表現するかということで、市場信用秩序の維持に限定という言葉を選びました。ところがその後、その言葉は全く違った意味を持ってひとり歩きを始めました。  今、前回の行革会議において、その誤解を正すためにも、金融破綻処理あるいは金融の危機管理という言葉に置きかえていただきたい、より限定したものに置きかえていただきたいということを申し上げております。
  41. 勝木健司

    勝木健司君 そこまで限定する、破綻処理とかあるいは限定するということであれば、もっとはっきりすっきり分離してもそう問題はおかしくないんじゃないかというふうにも思われますが、その点いかがでしょうか。
  42. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この一週間ほどの間に、幾つかの金融機関における助け合いと申しましょうか、経営安定への努力と申しましょうか、こうしたものが紙上に報ぜられております。やはりそうした場合の破綻の処理というものは私は大切なことだと思います。
  43. 勝木健司

    勝木健司君 だから、破綻の処理は僕も大切だというふうに思いますが、それが大蔵省がやる仕事なのかどうかということだというふうに思いますが。
  44. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 少なくとも現時点においてこの役割は大蔵省の職員にやってもらう、現在の時点において大蔵省の職員に努力をしてもらう、それ以外のところが手出しのできるものではないと思います。
  45. 勝木健司

    勝木健司君 現時点ということであればよくわかります。しかしこれは中間報告でありまして、現時点でありますが、最終的にはきちっと大改革をやろうと思えばやはり今までの流れを断ち切るということが大事だろうというふうに思いますので、その辺の機転も大事にしていかなければ、来年四月からの金融ビッグバンにも本当に対応できないんじゃないか、できるのかどうかという危惧が起ころうかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  46. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 来年四月と言われますよりも、あるいはそれを二〇〇一年に置きかえていただいた方がいいのかもしれません。来年四月、確かに外為法が廃止をされる、また金融監督庁が発足し、金融の検査・監督というものが一元化をされるわけでありますけれども、その中には共同省令等で大蔵省に権限の残る部分があること、議員御承知のとおりでございます。  私は、金融の検査・監督の分離という御要請を受け、金融監督庁を構想いたしました。その上で、金融監督庁がスタートする時点におきましても、現実に生じ得る可能性のある金融機関の破綻処理というものは、やはり大蔵省が機能的にも対応すべき役割を持つと思います。その後の問題は、制度設計の上でどう対応していくかという種類のことと同時に、そうした場合のノウハウの蓄積がどこに存在をするかという設計の問題になろうか、私はそのように思います。
  47. 勝木健司

    勝木健司君 これはまた次の機会に。やはりそういうノウハウを蓄積しておったら、それこそそういう人たちを移動して、そういう形でやはりきちっと省庁再編をやるということが僕は大事じゃないかというふうに思うわけであります。  次に進ませていただきたいと思います。きのう株価はことし最安値の一万七千二百余円ということを記録したわけでありますが、これについて総理の感想はいかがでしょうか。
  48. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨日、一日衆議院の予算委員会におりまして、予算委員会が終わりまして出てきましたところ、そういう情報に接しました。さまざまな要因がこの状況をつくっておる、どういう対応策で株価を安定させていくべきなのか、こうしたことに今苦慮いたしております。
  49. 勝木健司

    勝木健司君 新聞等々の報道では、政府の経済対策の手詰まり感などから先行きを悲観しておるというところがそういう株価に反映しておるんじゃないかというふうになっておるわけであります。総理は、せんだっての本会議でも、最近の景気動向は厳しい状況にあるが、今年度後半には景気の回復傾向が見られると考えるという答弁をされておりますが、その根拠についてお伺いしたいと思います。
  50. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに先日、私は本会議におきましてそのような御答弁を申し上げました。それは、この見方、いろんな見方があると思いますけれども、現状認識として、非常に私は厳しいものがあるというとらえ方をいたしました一つのポイントは日銀の短観であります。殊に、中小企業における製造業、非製造業を含めて先行きに対する非常に厳しい見方がふえておりました。一方では、多少改善の傾向が見えるとはいいながら、雇用失業情勢もなお厳しいものがございます。  こうしたことを考えますと、あるいは個人消費の伸び悩み、一方では設備投資については堅調である、いろんな指標が混在いたしております。混在しております。その状況というものは、私はやはり景気回復の基調というものは続いていると思うんですけれども、これに力をつけるための対応というものは経済構造そのものが大きく変わらなければ出てこない。例えば、新しい業を生み出そうとしても国の規制によってそれがとどめられる。新しい業を官僚の諸君は自分たちがつくっていこうとしているんだと思いますけれども、結果としてはそれが実態に合わず、育っていかない。  ですから、私は、やはり規制の緩和、撤廃というもの、これは土地の流動化とかいろんな問題がありますけれども、そうした施策、今までまとめてまいりました計画そのもののフォローアップを行うとともに、新しい項目も追加していかなければならない。そして、構造自身を変えると同時に、失業状態を経験するのではなくいかにすれば雇用労働者の水平移動につなげることができるかを考えていかなければならない。  その意味では、例えば人材派遣一つをとりましても、従来のネガリスト、ポジリストの関係を多少変えましただけで人材派遣業が三〇%ぐらい伸びているというデータもございます。従来はやっていいことだけを限定していた。やってはいけないことを規制する方向に変えた。その間にふえた業種はそれほどではありませんけれども、そのわずかな人材派遣に対する規制の変化だけでこれだけのものを生み出せるとすれば、やはり構造的に変えていかなければならないという思いは一層強くなっております。
  51. 勝木健司

    勝木健司君 最近の景気動向は厳しい状況にある、こういう認識はそう変わらないというふうに思うわけでありますけれども、今年度後半に景気の回復傾向が見られると。そういう状況のデータがどこにあるのかということで、そういう根拠をお聞きしておるわけであります。
  52. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 先ほど総理から答弁をしておりますとおり、景気は、足元は回復のテンポが緩やかになっておりまして、企業の景況感にも慎重さが見られますが、民間需要を中心とする景気回復の基調そのものは続いていると認識をしております。  ただしかし、現在景気の回復に力強さが見られないのは、経済的な構造問題、それから消費者と企業に景気の先行きに対する信頼感というものが欠如している。消費者も、懐の方は、雇用もふえておりますし一人当たりの賃金もふえておりまして、収入はふえております。それから、企業の方も企業収益が上昇をしておりまして、設備投資もそこそこに伸びている。しかし、もう一つはっきりしないところがあるのはそういう点にあると思っている次第でございます。  私どもは、これに対しまして経済構造改革を進めるという考え方でおります。  経済構造改革というのは具体的には何をするかということでありますが、この点は現在検討中でありますが、考え方を申し述べますと、一つは、経済のグローバルな展開の中で、企業が日本という国を生産拠点として選ぶような環境条件を整えるということであります。もうちょっと具体的に言いますと、例えば法人課税の問題についても、外国並みの水準を目指して検討していく。それから有価証券取引税等の問題につきましても、東京市場をニューヨークやロンドンの市場に匹敵するような対応をしていくということであります。  二つ目は、今経済の大きなしこりになっておりますのはいわゆる不良債権の問題でございまして、この問題を解決するためにも、土地の流動化対策を促進していく、そして経済を活性化していくということであります。  三つ目は、全般的な規制を緩和いたしまして、新しい企業が経済活動を活発にできるように、そして日本経済の体質をそれによって強化するような、そういう対策をとっていきたいと考えております。  そういうしっかりとした政策をとることによりまして、企業や消費者の景気の将来に対するコンフィデンス、いわゆる期待感というものがしっかりしてまいりますれば、景気はしっかりとした足取りで回復基調に向かうものと考えている次第でございます。
  53. 勝木健司

    勝木健司君 私は、総理が本会議で本年度後半に景気の回復傾向が見られると言ったことでお尋ねしておるわけでありますが、それはすべて、今のこの三つの構造の政策を織り込んだ上での話なのかどうか。僕はそういうことじゃなかろうというふうに思いますが、その点、総理いかがですか。
  54. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、経済企画庁長官からも申し上げましたように、私どもはそうした構造改革を初めとする努力をしていくことによってこうした状況を生み出せると。そのためにも土地の流動化等あるいは規制の緩和、撤廃等努力をしていかなければならない。それは努力をしていく結果としてそうなるということであります。
  55. 勝木健司

    勝木健司君 今、民間のいろんなエコノミストの予測でも、成長率はもう一%を大幅に割るだろう、一%を割るというのが大勢だというふうに思いますが、政府の考えておられます一・九%の達成は可能だというふうに感じておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  56. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 先ほどお話し申し上げましたように、実は一−三月に消費税の引き上げ前の駆け込み需要というのがございました。消費の面でも設備投資の面でも住宅の面でもございました。それが四−六月にその反動が出まして非常に売れ行きが落ちた。そのことが実は非常に大きなマイナスになっておりまして、対前期比二・九%という数字になっております。七−九月もややその足を引きずっている状況でございますが、先ほど申し上げましたような三つのことを中心として経済構造改革をしっかり進めることによりまして、年度の後半にはいわゆる将来の景気に対する信頼感というものが回復をして順調に伸びていくだろうというふうに考えております。  ただ、前半がそういう数字になっておりますので、一・九%という数字そのものを達成するのはそんなに簡単ではないというふうに考えております。
  57. 勝木健司

    勝木健司君 そうしたら何%の見通しを立てておられるんですか、そういう形でいきますと。
  58. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 先ほど申し上げましたような政策をしっかり行って、できるだけ一・九%に近い数字を実現したいと考えております。
  59. 勝木健司

    勝木健司君 私どもはそういうふうには思いません。やはりこれは構造不況というよりも政策不況じゃないかというふうに思うわけであります。  最大の原因は、この国民負担増の九兆円、消費税を三%から五%に上げた、そしてまた特別減税を打ち切った、また社会保険料、医療費の自己負担増、そういうもろもろがやはり個人消費の低迷につながってきておるんじゃないかということで、そういう政策そのものが個人消費に明らかに水をぶっかけてこういう政策不況になったんじゃないかと思います。これでは、総理が火だるまになってやるということよりも、国民が火だるまに今やなっておるんじゃないかというふうに思うわけであります。  G7等々で我が国が公約した内需拡大策の内容というものをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  60. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 全体の会議は、マクロ経済、為替、金融等やりますが、特に報道に出ておりますルービン財務長官と大蔵大臣の会談において、景気問題についての言及いかんと、こういうことであります。  本件については、景気懸念は示されました。それに対して私からは、今六大改革、特に高コスト構造改善の経済改革、それと財政健全化は経済運営の基本であり行政運営の基本であるという観点から、その基本的原則をお話し申し上げました。金融ビッグバンは、一千二百兆に及ぶ個人預貯金、これがグローバルスタンダードによりまして活用されていく、我が国だけではなく諸外国の資本調達にもあずかって貢献するでありましょうと、こういう点を申し上げ、本計画を推進することにより政府目標達成に全力を尽くしておるところであり、見通しは決して暗くはないと、こう申し上げております。  そんな観点で、今後の運営についての理解を求め、アメリカ側も本件について理解を示した、こういうことの状況です。
  61. 勝木健司

    勝木健司君 内需拡大策は示されなかったわけですか。六大改革をやるということだけで向こうが理解を示したということなんでしょうか。
  62. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本件については、不動産の流動化促進、証券化ということで今法制の作成に当たっておりますが、通常国会にこの法律が出せるようにしたいと、与党との連携も今密にいたしておるところでございます。  この土地対策、証券化によって不動産担保の消化、不良債権の解消に向けての手だてを講じておると。本件については我が国の経験もこれあり、しっかりおやりすることによって前進するでしょう、こういうことでありました。
  63. 勝木健司

    勝木健司君 今言われた、そういう与党で検討されておる土地の流動化とか規制緩和の前倒しとか、あるいは税収中立型の法人税減税、そういう形での景気回復はやはり無理じゃないか。当然やらなければいけないことだろうというふうに思いますが、景気回復の即効性にはつながらないんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  64. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 私ども、先ほど申しました土地の流動化対策におきましても、都市部においては容積率の問題、地方においては農地の転用の問題などにつきましても考えておりますし、また土地の流動化が促進するような税制の見直しもぜひお願いをしたいと考えている次第でございます。  それから、規制緩和につきましても、電気通信分野の問題とかその他各般の規制緩和を行いまして、新しいベンチャー企業が育つような、新しい事業が起こるような、そういう体制を整えていきたいと考えている次第でございます。  金利も非常に低い水準でございますから、将来の展望が開けるならば、企業の収益も上がっております、新しい事業に乗り出す方々も、そういう企業もかなり出てくると思っております。  また、消費者の方も懐そのものは現状におきましては対前年比で二・六%、二%台のプラスになっているわけでございまして、将来の展望がしっかりすれば徐々に回復してくるというふうに考えている次第でございます。
  65. 勝木健司

    勝木健司君 消費者の方が、サラリーマンが二・何%所得増というのは、九兆円の国民負担増でチャラになっておるんじゃないでしょうか。
  66. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 雇用者数も対前年比で増加しておりますし、それから一人当たりの賃金水準も増加しております。それからストックで申しますと、いわゆる千二百兆円の個人金融資産もあるということでございます。  今、消費が伸び悩んでいるのは、先ほどのお話にあります消費税の導入時の駆け込み需要の反動という点と、将来に対するコンフィデンスの問題であるというふうに考えておりますから、そういう点について前向き、しっかりとした対応をいたしますならば、消費は順調に回復してくると考えております。
  67. 勝木健司

    勝木健司君 そんなものじゃないんじゃないかというふうに思います。やっぱり景気はますますこれから悪くなっていくんじゃないか。  企業業績も上がっておるというお話が経企庁長官からも先ほどありましたけれども、これはリストラによって業績を何とかしてつくろうということで、労働組合と話しながら思い切ってリストラをしながら、生産性を上げながら、効率を上げながらそういう業績をつくっておるわけであります。  また、雇用も増加しておると言われますが、失業率はそう変わらず、高どまりしておるんじゃないか。失業率はどうなっておりますか。
  68. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 三・四%という数字になっております。
  69. 勝木健司

    勝木健司君 三・四%をどう評価されますか。
  70. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 一時三・五%まで上がりましたが、今三・四%で横ばいになっております。
  71. 勝木健司

    勝木健司君 今後の見通しについてもお聞かせいただきたいと思います。
  72. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 景気の順調な回復が実現をする中でこれも回復していくと考えております。
  73. 勝木健司

    勝木健司君 経企庁は、ここ何年かずっと回復基調回復基調と言って、どうも国民をごまかしてきたんじゃないかという嫌いがあるわけでありまして、日本の産業の実態は中小企業も過去最低の業績に悪化しておるわけでありまして、そういう状況になっておるということを永田町は忘れておるんじゃないかということをよく国民の皆さん方から聞くわけであります。このままでいきますと、一層年末に向けて景気が停滞して、そして貿易摩擦の拡大によって将来は円高を招来する危険性を生じて、結局輸出が鈍化していく、そして景気は失速をするという、そういう見通しさえあるわけでありますが、その場合の責任はどうとられますか。
  74. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 私どもといたしましては、全力で対策を講じて国民の皆様の将来の展望を明るいものにしていきたいと考えております。  景気の気は気分の気であり、元気の気でありますから、元気を出してやることが必要であると考えております。
  75. 勝木健司

    勝木健司君 経企庁というのはその程度のものでございましょうか。  これはやっぱり経企庁に質問するような問題じゃなしに、為政者としての、最高責任者としての総理に答弁を願いたいというふうに思います。
  76. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現状に対する認識、厳しい状況を日銀短観等からも見る、これは私は今そのとおりのことを申し上げております。  その上で、しかし我々はそれでは今のままの状況でいいのか、我々の産業構造は変わらなくて将来に対抗できるか、これは変わらなきゃなりません。そして同時に、その中で、議員も触れられましたけれども、企業のリストラによって発生するおそれのある失業者というものをいかにして水平移動し、他の分野でその人々を吸収するか、これを考えなければなりません。そして、その企業の業況を変えていくためにも、バブルの遺産として残っております土地をいかにして動かすのか。当時は、本院においても地価をいかにして上げないようにするかという視点からの御論議が相次ぎました。今いかにこれを有効利用し、活性化するかという御論議をいただいております。  こうしたことをも含めまして、我々は全力を挙げてこの国の産業構造というもの、これを変えていかなきやならないんです。そのためにも規制の緩和、撤廃というものは必要でありますし、そうした視点からも、今の行政のあり方もまた、これは行政改革の分野に入ることでありますけれども、見直していかなければなりません。  冒頭、議員から触れられました一つに証券業界の実態というものを指摘されました。現在の大手証券すべてが特定の総会屋に金品の提供を行っておった。こうした空気も、これに対する国民の不満、不信というものも当然ながら私は証券市場に影響はないと言うことはできないと思います。  こうした問題一つ一つを我々は地道に積み上げていき、その中での短期の痛みに耐えながらも、あすを信じて努力をしてまいりたい、できる限りの努力は皆積み重ねていきたい、率直に私はそう思っております。
  77. 勝木健司

    勝木健司君 私どもも、今政府がとっておられるそういう規制の撤廃とか緩和とかあるいは土地の流動化対策、いろんな問題は積極的にやっていただきたいと思うわけでありますが、それだけでは今のこの景気の不況を、この局面を打開するにはちょっと足りないんじゃないですかということを言っておるわけであります。  財政構造改革も大事でありましょうが、経済構造改革なくして、そういう景気回復なくして財政構造改革もあり得ないわけであります。経済は生き物だということできのうも三塚大蔵大臣が衆議院でも答弁されておりましたけれども、そういう意味で、こうした今の景況が非常に緩やかになっておるとか、あるいはもう不況感が満ち満ちておるという状況の中で今構造改革を行うということは、弱り切った患者に手術を施すようなものであって、ますます患者の体力がなくなってしまう。思い切った経済構造改革をやるためには患者の体力の回復を待った上で手術を行うのが常識じゃないかというふうに思うわけであります。  そういった意味で、今の政治では経済の立て直しがやはり何よりも優先するべきだというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  78. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そこがどうも議員と私どもの分かれだと思うんです。議員は既に手術に耐える体力なしと決めて御議論を展開しておられる。私どもは、今手術をしなかったら本当に手術をする体力をなくしちゃう、そう思っております。そして、仮に従来と同じような手法の景気対策を我々がとったとすれば、それは本当に役立つでしょうか。これは真剣にお考えをいただきたいと思うのであります。  我々は今まだ体力のある間に経済構造改革も進めていきたい。国、地方を通じての財政構造改革も進めていきたい。そのために、その方向性をお示しする財政構造改革法案も国会に提出をさせていただいております。そういった中において、我々は、今ならそれだけのものに耐える体力が我が国にはまだある、これ以上体力を喪失して次の世代に弱り切った形でこの国を渡すわけにはいかない、私はそう思います。
  79. 勝木健司

    勝木健司君 私はそうは思いません。やはり今、そういう構造不況というよりも政策不況じゃないかということで、九兆円の国民負担増を課したことが重くのしかかっておる、そのまず手だてを、回復しなければいけないんじゃないか。  政府の今提案されておるような財政構造改革でも単なる財政収支の均衡法案であって、収支の帳じり合わせにすぎないんじゃないかと思いますし、また今までのシーリング方式に基づく予算編成をただ法案化したものであって、法案の本当の意味があるのか。逆に、憲法上の内閣予算編成権とか修正権を侵すものになりはしないかという懸念とか、あるいはこの財政構造改革自体も行政改革など六つの改革と一体となって進められるべきものであって、単年度単年度で進めていくということよりも、めり張りのきいた、景気の不況のときには一時凍結するとか、そういう弾力性を持たせなければ、やはり逆に国の姿をゆがめて、国の将来を危うくしていくだろうというふうに思うわけであります。  しかも、今政府の出されておる法案は、政策の優先順位の見直しとかあるいは構造改善には手をつけておらない。ただ公共事業の計画の単なる延長等によりまして、自民党の利権体質の温存そのものじゃないかということで、やはりサイレントマジョリティーたる国民に過大の負担増を求めるものということで、私どもは、財政構造改革はやるなと言いませんが、今直ちにやるべきものかどうかということについては疑念があるというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  80. 三塚博

    国務大臣三塚博君) もう既に御案内のとおり、先進七カ国は財政構造改革に突入をいたしまして、GDP対比財政赤字三%以下達成が遅いところで九九年には達成されるということであります。  シラク大統領、総選挙の真つただ中でこの必要性を訴えることにより与党は惨敗をいたしました。しかし、やらなければならないときは、総理も言われるとおり、体力のあるときに改革、改善をしておきませんと寿命を全うすることはできませんし、永遠の民族の生命は続かないわけであります。  そういう点で、ただいまの時点をどう見るかということで、先ほど経企庁長官が言われましたとおり、これは四−六の、四半期ごとの速報がマイナス二・九、まさに消費税導入による減でございます。ちなみに、経済の整合性をある程度高めるという意味で半期で計算をしてみますと、一時的な変動であることが明確にわかっております。九七年一−六月の消費は前期比二・〇%増であります。実質GDP成長率も前期比〇・四%、ちなみに前年同期比は一・二%増ということになっておるわけでございまして、経済はまさに生き物であります。その瞬間をとらえるという見方とロングでとるときというのは同じではありません。  経企庁長官が言われた、雇用もふえておると、七十万、そういう問題。所得も春闘を経て、それぞれ極限がありますけれども、ふえておる。環境が改善をされております。企業収益も、一部二極化と言われますが、順調に伸びておるデータもあるわけですから、私は後半期一・九を目指して諸改革を断行することにより、ペースを守ることによって達成されていくだろうと、こう思います。
  81. 勝木健司

    勝木健司君 長期的にやるものと短期的に手を打たなければいけないものと使い分けをしなければいけないんじゃないかと。それは整合性を持たせた上でやるべきだろうというふうに思います。しかし、そういう意味で、どうも今政府の考えられておるのは構造的なものであるということでありますが、私はやっぱり政府自民党のこういう政策不況そのものじゃないかというふうに思うわけであります。  そういう意味で、ことしの予算編成のときにも、消費税上げの一年凍結とかあるいは特別減税の据え置き等々を提案しました。残念ながら力及ばず否決されたわけでありますが、やはりそういうことをやっていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。そういう意味で、所得税の二兆円減税あるいは法人税四兆円規模の減税をやるべきだということで私たちはあくまでも主張をしていきたいというふうに思います。  また、春の予算案のときにも、与党合意によりますと、九七年度予算の執行に当たっては経費節減合理化に努め、その結果財源が生じた場合は国民生活を最優先した措置を講ずるという合意がなされておるというように聞いておりますが、その点はどうなっておりますか。
  82. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 勝木委員与党合意というのは税制についてですか。
  83. 勝木健司

    勝木健司君 与党三党合意じゃないんですか。
  84. 三塚博

    国務大臣三塚博君) いや、たくさんあるものですから、そのポイントのものをお聞かせください。
  85. 勝木健司

    勝木健司君 これは減税問題の解決のときの与党合意だろうというふうに思いますが、与党合意は、九七年度予算の執行に当たっては経費節減合理化に努め、その結果財源が生じた場合は国民生活を最優先した措置を講ずるというようなことが取り交わされたというふうに聞いておりますが。
  86. 三塚博

    国務大臣三塚博君) その件は、九年度予算編成の際に申し入れを受けて、引き続き経費節減のために努力をしましょうと、こういうことで取り組んでおります。前年も一千三百億円程度、本年も一千三百億円程度ぎりぎり出てくるかなと思います。その経費を使ってほしい、こういうことでございます。  しかし、来年度予算は集中三カ年と銘打ちました財政構造改革初年度に当たります。財政再建特別措置法でありますが、これも御提案をし、御審議を賜ることになるわけでございますが、歳出を対前年比〇・七削るという原点を決めました。三千二百億円のマイナスであります。  それと、御案内のとおり三%にGDP比財政赤字を抑える、六年計画でありますが、こういうことでスタートをいたします。平均いたしまして毎年一兆二千五百億円の特例公債減額をしてまいらなければなりません。全体の予算編成の中で節減いたしたものをどう使うかは、所管大臣といたしますと、これも歳出減の中に取り入れ全体の政策の中で生かしていくべきものであろう。そういう全体の中で生かすという意味で三党合意に沿うことができるのかなと思います。
  87. 勝木健司

    勝木健司君 ちょっと違うんじゃないかというふうに思いますが。経費節減に努められてそういう形でたまってきた、六年間たまるのを前倒しして政策減税をするとか、そういうこともこの際必要じゃないかというふうに思うわけでありますが、その点もよく検討をしていただきたいというふうに思います。
  88. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 前倒しをされるということになりますと、三年前倒しをしますと三千九百億円になります。その前倒し分の財源をどこに求めるか。経費節減は、それをやり抜くということで予算編成の際取り決めた既定事実であります。結果がこれから出るわけでございますが、前倒しで先取りをするというのは財政構造改革の原点に反するものでございますから、できないところであります。
  89. 勝木健司

    勝木健司君 私は、財政構造の改革は単年度で、一年度で終わるものじゃありませんから、五、六年かけてやるということであれば、やはり前倒しも、そういう政策があってもいいんじゃないかというふうに思うわけであります。  それでは、次に進ませていただきます。  六つの改革が大事だ、行革に命をかける、火だるまになるということでありますが、やはりこの改革でありますが、国民は、何のための改革なのかということで、二十一世紀の日本の青写真がないんじゃないかと。改革行革にしても地方分権にしても緩和にしても、すべてがあくまでもこれは目的じゃない、手段であるわけであります。どういう目標に二十一世紀をしていこうとしておるのかということが余り見えないということをよく聞くわけでありますが、その点いかがでしょうか。
  90. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何遍か機会をとらえて同じようなことを申し上げてまいりましたが、こうした問題に私が関心を持ち始めましたのは、高齢化ということが言葉として使われ始めるようになったころからでありますから大分以前になります。そして、人生五十年の時代に設計をされた行政の仕組みが、人生七十年、八十年という時代になって果たしてたえ得るんだろうか。それが行政改革というものに当初私が関心を持ち始めたきっかけでありました。  しかし、そのとき私の意識の中には、その影響というものは、当然ながら社会保障であるとか産業の構造であるとか、広く経済社会に影響を及ぼすとは考えておりましたけれども、出生率の低下がこれほど激しくなるという状況は想定をしておりませんでした。  また、こうした問題を考え始めましたときには東西二大陣営の対立という冷戦構造が消滅してしまうというような意識もなかったことは事実です。  しかし、その東西二大陣営の対立の消滅といった大きな変化の中で、国際的にむしろ経済のグローバル化というものが進み、ボーダーレス化というものが進み、企業がいかにすれば立地に有利な国を選べるかという競争をする時代になりました。そうした中で、今まで我々を支えてきてくれたそのシステムに今後ともに頼り続けたらどういう事態になるだろう、問題意識の発端はそこであります。  そして同時に、こういう危機感の中から私は六つの改革というものを考えました。それは、行革会議中間報告の言葉をかりますと、かつて国民の意欲を喚起し、社会に活力をもたらしたシステムが、今や、社会の閉塞感を強め、国民の創造意欲やチャレンジ精神を阻害する要因となりつつあると、行革会議が提起をいたしました言葉をそのままに今引用させていただいたわけであります。  この大きな変化の中で我が国が活力を持ち続けていこうとするならば、一人一人の国民がみずからの将来に対してさまざまな夢をお持ちでありましょう、その夢に対してチャレンジできる、しかも成功するチャンスのある、言いかえれば創造性のある国家というものに変わっていかなければならないと思います。そして、そのためには、物事をみずから考え、それに挑戦しょうと思える社会をつくるという言い方もできましょう。  しかし、そうした社会をつくっていこうとすれば、一つは、今国が抱えております仕事を見直すことによって、住民に身近な仕事ほどより住民に身近な自治体にお願いをする努力を進めていく、これはまさに地方分権でありますし、国の規制やあるいは関与によって新たな業が育たないというような状態があるならば、また国がこの仕事を実施しているために民間の能力が阻害されるということであるならば、官から民への移しかえというものも必要でありましょう。  そうした努力の上に、これが当然ながら中央の省庁のスリム化を促進するわけであり、その機会に今の縦割りの行政区分というものを全面的に見直してもっと大ぐくりな組織づくりはできないものだろうか、同時に、本当に各省に分散している権限、それが結果としては複数の省庁が一つの問題を自分のところが主管だといってとり合うといったようなそんな状況、こういうものを変えるためにいわば行政機関を横に通じるくしのような形で運営することはできないものだろうか、そうしたさまざまな思いの中からこのそれぞれのテーマに取り組んでまいりました。  そして、もしこういう言い方を許されますならば、今までややもすると中央が頼られ、中央がすべてをといった時代から、個人の尊厳と幸福というものに重きを置いた、自立的な個人というものを基礎とする自由で公正な社会というものを目指してまいりたい、私にとりましてはそのような思いの中からそれぞれの改革を進めております。  六つの改革と言いましたときに、欲張り過ぎだという声をいただきました。しかし、これは相互に全部絡み合っています。どれか一つ後に置いておいて後から追っかければいい、そういうものではないと私は思います。  ぜひ御理解を賜りたい、心から私はそう願っております。
  91. 勝木健司

    勝木健司君 今言われましたけれども、六つの改革は欲張り過ぎだというふうに私も思います。もっとシンプルに、二つ三つに絞ってきちっとやっていった方がいいんじゃないか。そうせぬとそれぞれがどう絡み合っておるのかということがはっきりわからない。二十一世紀の国家像をどんな形のものとしようとしておるのかが、それぞれの分野が先行しておるので、全体構想、全体構図があいまいになっておる嫌いがあるんじゃないかというふうに思うわけであります。  また、今出生率の低下とか超高齢化とか言われましたけれども、やはり夢のあるチャレンジ精神、そしてまた創造性ということはいいことだというふうに思いますが、その超高齢化・少子社会の中、出生率の低下の中で、お年寄りを一体二十一世紀はどう扱っていこうとしておるかということも見えないんじゃないかというふうに思います。そういう不安というのも国民の中には大変あるわけでありますが、その点はどう考えられておりますか。
  92. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) だからこそという言い方をするとしかられるかもしれませんが、だからこそ社会保障構造改革という柱がこの中にございます。そして、同時に、今我が国の社会保障制度あるいは福祉政策の仕組みの中で一番欠けております介護の仕組みにつきまして、私どもは介護保険という仕組みをつくりたい、院に御審議をお願い申し上げております。  今の仕組みをそのままに延長した場合どういう結果になるでしょうか。若い働き手がとても担い切れないと言い出すときが必ず来ます。そのとき、一体高齢者はどんな状況になるんでしょうか。  私は、国民皆年金、国民皆保険という日本の仕組みはこれからも続けていかなければならないし、続けていきたい仕組みだと思います。そのためには、その時代における働き手が担い得るその限度に設計を変えていかなきやなりません。そして、必要な給付が受けられるその状況をつくっていかなきやなりません。今までは、必ずしも若い人たちがどんどん減り続けるという状況の中ではない時代に設計されたものを部分的に手直しをしながら持ちこたえてまいりました。当然ながら、高齢者がふえれば疾病構造も変化をいたします。同時に、今まで以上にお年を召した方々もお元気であるなら社会で活躍していただける仕組みにも変えていかなければなりません。  そういった意味でいくならば、この社会保障構造改革というものも財政構造改革や経済構造改革と並行していかなければならないものでありますし、そういう中で育っていく。今まで平等ということを中心に私どもの世代は教育を受けてまいりました。しかし、これから先は自分で考え創造性を持つ、そういう人々に育ってもらわなければ、国際社会の中で新たな産業をつくり上げていくという競争一点においても我々は太刀打ちができなくなるのではないだろうか。とすれば、これも並行して進めていかなければならない、私はそう思うんです。
  93. 勝木健司

    勝木健司君 もう余り時間がなくなってきましたので小泉厚生大臣にお聞きします。  郵政民営化について力強い発言をされておりますが、郵政国営維持なら辞任するということが新聞記事を躍らしておりますが、その点事実でしょうか。
  94. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 去年の総選挙を思い起こしていただきたいんです。どの政党も、どの候補者も、もう増税はできない。所得税等の減税を先行実施して、その後、三%を五%に引き上げの際も抵抗は強かった。もう増税はできない。国債の増発も、これから借金を払うために納税するようになるからできない。これから高齢化社会、どうして皆年金制度、皆医療保険制度を維持していくか。あるいは介護保険制度をどう導入しようか。  そういう中で、今、橋本総理が言われましたように、行財政改革を断行しなきやならないというのは、どの候補者も公約として掲げたはずであります。それは、現状維持を続けていったら日本はおしまいだ、何としても現状を打破する改革をしなきやならないからということで行財政改革を掲げたはずであります。  今まで行財政改革というと、すぐ言われたのは特殊法人の整理統廃合でした。特殊法人を二、三いじってもしょうがない、そのもとの財投を改革しようという雰囲気になってきた。財投を改革するためには、そのもとの郵政事業も見直ししなきやならないということで、ようやく特殊法人と財投と郵政事業が一体として議論されるようになってきた。その中での見直しであります。  私は、現状維持を続けていたら日本にあすはない、現状を打破して改革の姿がきちんとわかるような結論を橋本総理は下すはずだ、私が辞任するような結論は下さない、橋本総理が行財政改革にかける熱意は揺らいでいない、本物であると信じております。
  95. 勝木健司

    勝木健司君 国営維持なら辞任するということでよろしいんですね、逆に。
  96. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今の基本的な国営維持という、現状維持という決断を下すはずがない、橋本総理の行財政改革にかける熱意は本物である、そんなはずはないと言っているんです。それを信じていただきたい。
  97. 勝木健司

    勝木健司君 橋本総理はいかがですか、この点。
  98. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、閣僚ばかりではなく、党の方に対しても自由な議論を全く封じておりません。そして、その上で決定したちまとまって支持してもらいたい、進んでもらいたい、そうスタートから申し上げてきております。  そして、自由民主党総裁選のときに、この問題で小泉さんと私とは意見が違いました。それを承知の上で、私は、小泉さんがその問題を議論されることに何ら拘束を加えることなく、六つの改革の柱である社会保障を担当する厚生大臣を受けてもらっております。  私は、利用者の利便性というものに配慮しながら、具体的な改革のあり方についてはこれからもさらに検討が加えられ、議論は続くであろうと思っておりますが、わざわざ閣内に亀裂を生むようなおそれのある御質問をされるよりも、私は、行政改革をまとめ上げる方に御協力をいただきたい、心より願います。  もし、今の答弁が失礼であるというなら、取り消します、おわびをいたします。ただ、私は、閣僚それぞれに対しても、決定するまでの間それぞれの方々が自由な意見を述べられることを何ら封じておりません。この点は改めて私は申し上げます。言葉が過ぎましたならおわびをいたします。
  99. 勝木健司

    勝木健司君 私は、行革総理が一生懸命火だるまになってやるということで大事だから質問をしておるんです。新聞でこういう形になっておるけれども大丈夫ですかという意味でやっておるわけでありまして、そういう総理が言われるようなことで私は言っているつもりはありません。やはりまとめ上げていかなければいけないと。  そもそもこの行政改革会議総理出席をされて陣頭指揮をとるということ自体がおかしいんじゃないか。やはり六つの改革を等間距離に置いて冷静に判断をしていくことがなければ、そこに入って自分が火だるまになってやっておって、その後閣議が不一致するということが目に見えているような嫌いがあるわけですから、それを懸念してきよう私も自由に発言させていただいておるわけでありますから、そういう意味でお許しをいただきたいというふうに思います。  小里総務庁長官、この郵政事業の民営化に対して御所見がおありだというふうに思います。よろしくお願いします。
  100. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 行政改革会議の推進につきましては、ここ一両年活発な議論が各分野におきまして展開されております。殊に、去る九月三日でございましたが、中間報告を公表いたしました。爾来、各政党、与野党のいかんを問わず、あるいはまた国会内外におきましても、関係機関、団体、あるいはもっとすそ野を国民的に広くいたしまして、いろんな方面から議論が展開されております。  今、総理も申し上げましたように、自由闊達に議論が行われることは私は極めて好ましい傾向である、こう思っております。  並行いたしまして、その活発な議論と同時に、行政あるいは政治は、これをまず直接的に取りまとめをいたしまして、そして具体的姿を決断し、推進する責任があるわけでございますから、私はとりあえず今の段階では、中間公表をいたしまして皆さんの判断材料を有効に提供いたしたところでございまして、これらをもって意見批判を仰ぎながら、十一月の中下旬にはきちんと取りまとめなければならない。しかもその際には、私ども政府あるいは政治の側のみならず、いろいろ関係者の皆様方も前向きで、先ほど総理が申し上げておりまするように、簡素でそして効率的でかつまた国民本位の透明な一つの結論を出しまして、これをちゅうちょなく断行する姿勢が今広く国民に求められておる、さように思う次第でございます。  なおまた、ただいまお話がございました郵政三事業につきましても、顕著に発言をいただいておるそれぞれの向きの方々に対しましても、私は忌憚なく情報交換をさせてくださいと、こういう御提言を二、三申し上げておる昨今でございます。
  101. 勝木健司

    勝木健司君 小里総務庁長官は、新聞の報道によりますと、当面は国営であっても将来の民営化をにじませる内容を考えておるということでありますが、その点どうですか。
  102. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) そのような具体的な内容を含めた提言をするに至っておりません。しかしながら、関係方面のそれぞれ経験の深い皆様方の御意見に耳をそばだてて、そして嗅覚鋭く今探っておることだけは事実でございます。
  103. 勝木健司

    勝木健司君 もう私の持ち時間がなくなりました。  総理は、国民が納得できる行政改革をなし遂げたいと、佐藤辞任問題のときにそういう発言をされておりますが、やはり十一月中旬から末ということでありますが、行政改革会議の最終報告が中間報告以下にとどまった場合、あるいは行政改革が中途半端に終わった場合は、橋本総理自身国民に約束したみずからの責任を明らかにする責任があるんじゃないかというふうに思いますが、その点、総理見解をお伺いしたいと思います。
  104. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 中間報告と最終報告とを前進とか後退とかという御評価は、外からさまざまな御見解の中にあり得るのかもしれません。しかし、最終報告というものは、行政改革会議として真剣に議論をしたその内容を盛り込んだものになると私は思っております。  そしてその上で、なおかつ私は、さまざまな議論というものが行政改革にはあるだろうな、よりよいものになるものであるならばその議論も承る必要もあるだろう。しかし、行政改革会議としては定められた期間内に最善の報告を提出する、そういうつもりでみんな作業をしておりますということを御報告申し上げます。
  105. 勝木健司

    勝木健司君 国民が納得できる行政改革をなし遂げたい、最終報告がどうなるのかということで、やはりその時点橋本総理責任というのを明らかにすべきだというふうに私は思います。  こういう明治維新以来の大きな改革は、自民党だけじゃなしに、あるいは自民党、社民党、さきがけの与党三党だけじゃなしに、やはり超党派で、党派を超えて取り組むべき大きな課題だろうというふうに思いますので、その点もよろしくお願いをしたいというふうに思います。  終わります。
  106. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。浜四津敏子君。
  107. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 平成会浜四津敏子でございます。  まず、総理に伺います。  ことしのノーベル平和賞はジョディ・ウイリアムズさんに決定したと報道されました。総理、この方がどんな方か御存じですか。
  108. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、団体の名前は存じ上げておりましたが、その団体を代表される方のお名前は存じておりませんでした。
  109. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 これだけ世界的にも、また日本国内でも大々的に報道されている方でございます。世界的にこの方が対人地雷の禁止に一生懸命取り組んでこられた方だというのは大変有名で、総理が御存じないというのは大変意外なことでございました。  この人にノーベル平和賞が決定したその理由については御存じですか。
  110. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) お尋ねがありましたから私は正直に、キャンペーンそのものは存じ上げておった、しかしその代表者のお名前までは存じませんでしたというのを申し上げました。そして、今回の受賞の理由というのは、対人地雷の全面禁止や、地雷除去、犠牲者支援などの課題に対する国際的な取り組みの促進に大きな役割を果たしてきたもの、こうした努力が受賞理由として高く評価をされておるところであります。
  111. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 毎年約二万六千人もの人が地雷によって死んだりあるいは手足を失ったりして犠牲になっております。人道上国際的に大変大きな問題になっているからこそこの受賞が決まったわけです。  ところで、防衛庁長官、我が国は現在どのぐらいの数の対人地雷を保有しておりますか。
  112. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 我が国は、空中から散布する形式のもの、また地中に埋設するもの、地上に設置するものを有しておりますけれども、その保有量につきましては、これが継戦能力に関係するものですから、従来から公表を差し控えさせていただいております。
  113. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 しかし、公表を差し控えていらっしゃるといっても、もう既に報道等によりまして百万個も日本は対人地雷を持っている、こういうふうに公表されておりますが、御存じないですか。
  114. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 先ほど申しましたように、例えば今ちょっと話が出ましたけれども、防衛大綱等でも、艦船が何隻だあるいは飛行機が何機だというようなそういうものについては公表しておりますけれども、弾薬の数とかあるいは今言いました地雷の数とか、そういう継戦能力に関するものについては公表いたしておりません。
  115. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 約百万個というのは、これは周知の事実だと思います。仮に公表していないのに百万個という数が漏れているんだとしたら、防衛庁の機密保持はどうなっているんですか。
  116. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 何度も申しますとおり、今言われる百万個というその数字についても、それを公表しているわけではございませんし、それが正しいか否かについても答弁を差し控えさせていただきます。
  117. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 いずれにしても、大量の対人地雷を日本は保有しているというのは事実であると思います。  なぜこういう対人地雷を日本は持っていなくてはいけないんですか、その理由を言ってください。
  118. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 御承知のとおり、我が国は専守防衛に徹しておるわけでございます。そして、これまた起伏に富んで縦深性に乏しい、そういうようなことから、できるだけ前方で着上陸しました敵のいわゆる歩兵部隊をとめなければならない、そういうような問題がございます。  したがいまして、こういうためにいわゆる対人地雷が非常に有効であるというような、そういう考え方から従来から保有して、また必要に応じていろんな訓練を行っておるところでございます。
  119. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 世界では、湾岸戦争の経験からして、対人地雷というのは防衛上の有効性が非常に疑わしい、これが大きな流れになっております。だから廃絶しようと。しかも一方で、罪もない農民や子供たちがたくさん犠牲になっている。  こういう大きな流れの中で、日本がいまだにこの有効性を認める、あるいは今後も保有し続ける、こうおっしゃる。この地雷、今後はどうするおつもりですか。保有の数を減らしながら廃絶を目指す、こういうお考えはあるんですか。
  120. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私どもといたしましても、現在の国内外における世論等は十分承知いたしております。  その問題と、我が国の平和と安全を確保するという問題との、そういうような中でこれから先、最近問題になっております署名をどうしていくか、いわゆる調印を、オタワ会議の条約の署名をどうしていくか。こういう問題等も今政府内部で検討しているわけでございますので、そういう問題と一緒に含めながら、これらの問題についても検討していくべきものというふうに認識しております。
  121. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 九月十八日にオスロ会議で対人地雷全面禁止条約が採択されました。その採択に際して日本の代表は不満を表明した、こう報道されております。なぜ不満なのか、その理由を教えてください。
  122. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) これはあるいは私じゃなくて外務大臣からの御答弁になるのかもしれませんけれども、正直言いまして、私どもも世界すべてのところでこういう地雷がなくなるという、そういうことについては非常に賛意を表して、ジュネーブ会議等、条約等について推進を図ってきたところでございます。  しかしながら、オタワ会議の場合に、これを直ちに、この条約が発効いたしますと代替措置等の時間的余裕がないという問題もございます。それと同時に、アメリカあるいは中国といった、そのときはロシアもでございましたけれども、そういったいわゆる大量に有しておる国々、これらが参加しない形でその会議が決められてしまったときに、果たして実効性のあるものになっていくかどうか、そういうところを非常に危惧したわけでございまして、その趣旨等は十分私どもはわかっております。  しかしながら、全部これが廃止されるような方向に一日も早く進む、そのためには実効性あるものにならなければ意味がないというようなことがございまして、そういう意味である種の不満を持ったわけでございます。
  123. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それはおかしいんじゃないでしょうか。実効性が疑わしいと、こうおっしゃるのであれば、日本が率先して積極的にその実効性があるように対応されればいいと思います。  いずれにしても、最終的にはこの全面禁止条約、約百カ国が署名する見通し、こう言われております。署名しない、こういう国はほんのわずかにすぎない。この流れを見ても、日本は積極的に署名すべきではないですか。総理、どうお考えでしょうか。
  124. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 前のお尋ねに対してお答えも防衛庁長官がされましたが、正確を期して申し上げますと、日本側の軍縮大使林陽氏が発言を求めて、条約採択後に、発効までの期間が短く、合理的な期間を設定すれば多数の国が参加できたという不満の表明をされたわけでございまして、もう少し発効までの期間を、時間をいただければさらに多くの参加を得られたのではないか、ある意味では我が国の立場もその中に意を込められておったものだ、こういうふうに思っております。  それから、ただいまのお尋ねにつきましては、私自身も就任早々記者会見で同様のお尋ねをちょうだいいたしました。日本としても、特にカンボジアに対しての対人地雷の除去につきまして、カンボジアのみならずでございますが、世界に向けて三千万ドルに近い基金を提供しておるというようなこともございますし、また日本側がそこで被害を受けた方々に対して、ボランティアの皆さんが大変御苦労もされており、かつ日本から義肢、義手等の贈呈もされておるような実態にかんがみまして、率直に私どもとしてもこの問題に取り組むべきだ、こういう趣旨のことを御答弁申し上げました。  就任いたしまして以降、政府部内の各般の考え方をいろいろお聞きしておるところでございますが、ただいま防衛庁長官からも御答弁ございました。私自身も確信を持たなければならないということでございますので、明日、防衛庁当局から、日本における防衛、特に専守防衛の立場から、この対人地雷というものに対して、これを保有しなければその防衛が不可能なのかどうかも含めまして意見を十分聴取した上、政府部内の考え方を取りまとめて、何といっても十二月三日に期限が来るわけですから、それまでには政府としての対応を定めていかなきやならぬ、このように考えております。
  125. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 この条約の署名、どう見ても日本は当初から不満を述べ、ちゅうちょしてきた。こういう姿勢そのものが世界の失笑を買うことになる。結局、アメリカの顔色を見ていると批判されていますけれども、違いますか。
  126. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほど防衛庁長官も申されましたが、このオスロ会議での決定が実効性のあるものかどうかということにつきまして、大国がこれに参加をされるかどうかということは極めて重要な問題だろうと思っております。  聞くところによりますと、中国、韓国等につきましてもいろいろ疑念が出されておるということであります。アメリカ側も現在最終的な判断をまとめる努力をいたしておるということでありますが、かつて大統領からもこの問題については極めて難しいという発言もお聞きをしております。  私どもは、それぞれの国はそれぞれのお立場があるんだろうと思いますが、日本は日本として独自に判断をし、対応していきたいと思っております。
  127. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ほかの国がどうあれ、今おっしゃったように、日本として主体的に態度を決める、署名について積極的に取り組むべきだ、こう考えます。ぜひこの署名に向けて御助力いただきたい。  防衛庁長官、もう一度確認しますが、この条約に署名することになれば、日本が現在所有している大量の対人地雷、これも当然廃棄する方向で取り組まれるんですね。
  128. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) そういうふうになってまいります。
  129. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、地球温暖化防止京都会議について伺います。  地球と人類を滅ぼすものは核が先か地球環境汚染が先か、こう言われて久しいわけですけれども、中でも地球温暖化防止は人類全体にとって大変重要な、極めて深刻な、また緊急の課題であります。十二月の地球温暖化防止京都会議では、日本は議長国として強力なリーダーシップを求められている。  総理、日本はこの会議で何を求められているとお考えでしょうか、総理としてどう取り組むおつもりですか、また総理自身が議長となってリーダーシップを発揮されるべきではありませんか、お伺いいたします。
  130. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、日本自身が議長国として行っております努力そのものが日本の役割を示していると思います。それは、一つは途上国に対し、この会議に参加し、この会議の中での協力を取りつけていくこと、そして途上国も将来に向けてそれなりの役割を果たしてもらうこと、この努力が一方にございます。  同時に、今真っ向から対立をしてしまっておりますヨーロッパそしてアメリカ、途上国の中におきましても産油国と非産油国の間には意見の違いがございます。また、豪州等も違った考え方を述べておられます。こうした各国の意見の食い違いをいかに収れんさせていくか、そしてその中で、公平、実現可能性、意味のあるといった言い方を私はよく使いますけれども、議定書をまとめていくこと、こうしたことを目指しながら、今我々は努力をいたしております。  京都会議の議長をおまえがやるのがいいというお話でありましたけれども、これはだれがいいか、本当に今検討を加えているところです。  そして、今までデンバーのサミットにおきましても、対立するヨーロッパとアメリカの間で何とか一致点を見出すために私自身努力をいたしました。あるいは先般中国を訪問いたしましたときにも、大気汚染のモニタリングシステムに参加をしないか、我々はこういう協力ができるんだがという形で、中国の首脳部に対しましても環境問題の論議を通じてこの問題の大切さへの協力を求めました。昨夜、衆議院の予算委員会が終わりました後、南太平洋島興国の首脳たちにお目にかかりましたときにも、京都会議の成功に向けての協力をお願いしている。  こうした努力を一つずつ積み重ねながら、何とかして今非常に開いてしまっております各国の意見というものを収れんさせ、着実に国際的な合意が形成されるよう、これからも努力を続けてまいりたいと考えております。
  131. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 総理のその御決意のほどとは裏腹に、先般、日本のCO2削減の数値目標として五%という信じがたいほどの低い数値が政府提案として発表されました。一体なぜ五%なのか、その根拠をお教えください。
  132. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) ただいま総理から議長国としての日本政府の立場ということのお話がございました。つまり、各国の意見を収れんして何とかして京都会議意味のある結論を出したいということから考えまして、今おっしゃいました意味のあるとか公平とかあるいは実現可能だということを考えますと、あの程度の数字が一つの提案の要素になるのではないかということで、日本政府の中で一つの今の段階で出したものでございます。  そういうことでございますので、これはこれから各国の意見も聞いていろいろと調整はしてまいりますけれども、我々としては、先ほどから申し上げておりますように、一つの収れんのための提案としては非常に意味のあるものだと思っておりますし、各国もこれを基礎としていろいろと今検討するということで交渉しておるところでございますので、そのようにお受け取りいただきたいと思います。
  133. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 意見を収れんさせることがこの京都会議の成功だというふうにお考えなんでしょうか。この会議の成功というのは、国内的に各省庁間の利害や主張の調整を図る、あるいは対外的には文句が出ないように会議をおさめる、こういうふうにとらえておられるとしか思えない。本当の会議の成功というのは、この会議が地球温暖化の実質的な歯どめになる、そういう意味のある中身を決める、こういうことではないんですか。
  134. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 取りまとめるためだけの議論ではございませんので、やはりこれは、まず日本としてもどういうことが言えるか、できるかということが一つございます。そういうことでいいますと、この五%というのはなかなかきつい数字でございます。日本ばかりでなく、きついという意味におきましてはそういう国がたくさんあるわけでございますので、その点をまず御理解いただきたいと思っております。  それから五%につきましては、これは現在の日本のいろいろな炭酸ガスの排出量、いろんな原因がございます。民生、運輸、そして産業、それぞれの現在の姿というものを見ておりますと、二〇一〇年ぐらいでも、現在の姿をそのまま延ばしていきますと、これはなかなか五%ではなくてゼロに近いところ、しかしそれをこれから努力して何とかして二〇一〇年ぐらいのところで、日本につきましては例の差異化の問題もありますから一応目標としては二・五%でございますけれども、全体としての世界の目標としてはひとつまず五%を掲げるということで努力をしているところでございます。
  135. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 この五%の政府提案については、与党の中でも反対の声が上がっているというふうに伝えられております。この数値は与党調整で変わるんですか。見直すつもりがおありですか。
  136. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) いろいろと御意見は伺っているところでございます。  ただ、今申し上げましたように、現在の姿そのままではなかなかこれは達成が困難な数字ということでございますから、これからどうやってそれを実現していくかということも含めて今議論をしておるところでございます。その結果として与党でどういうことがあるか、これはまだ十分に手続は進めておりませんけれども、現在鋭意やっておるところでございますので、そのように御判断いただきたいと思います。
  137. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 極めて後ろ向き、消極的な姿勢で大変残念に思います。  日本は地球環境問題で世界に貢献できる絶好のチャンスを手にしたわけであります。むしろ、今回のことで環境問題に後ろ向きの国、到底環境大国ではないという評価を定着させてしまうのではないでしょうか。このままでは逆効果になると言わざるを得ません。先ほどの対人地雷の関係でも、平和や人道の問題についても後ろ向き、環境についても後ろ向き、そういうふうに批判されてもやむを得ない、こう思います。  次に、新たな日米ガイドラインについて伺います。  政府は九月二十三日に新たな日米ガイドラインに合意いたしました。総理は、この合意については国会の承認は要らないんだ、こう御答弁なさっておられますが、国会の承認が要らないとされる根拠をお述べください。
  138. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) このガイドラインにつきましては、日米いずれの政府も、指針によりまして立法、予算ないし行政上の措置をとることを義務づけられるものではございません。ですから、この新しい指針によりまして日米両国の間に国際法上の権利義務関係が生じることがありませんので、指針は条約ではなく、国会の承認の対象となる文書ではない、そのように考えております。
  139. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それは理由にならないと思います。  なぜかといいますと、この新たなガイドラインは、日米安保条約における地域的限定、これを実質的に骨抜きにする内容であります。そういう意味で、日米安保条約の拡大、変質でありまして、実質的な条約改定ではありませんか。いかがですか。
  140. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) ただいま総理からも述べられましたように、これは予算上も行政上もまた法律上も義務づけられるものではございません。  ただ、これを受けてどういう体制をつくっていくか、これらについては政府として当然いろんなことを考えていかなければならないわけでございます。そのときに、法律が必要になったり、あるいはまた条約が必要になったり、そうしてまいりますと、これは国会にかけまして皆様方の立法の方で決めてもらわなければならないわけでございますから、そういうときに初めてそれが実効あるものになっていくわけでございます。  そういう意味で、これは私どもとしてはいわゆる国内外に意思を鮮明にした、そういう声明の文書であると、本質的に言いますならば。そういうものでありますから、これ自体は承認の対象にはならないというふうに考えるわけでございます。  それともう一つは、安保条約を骨抜きにしたものだと言われましたけれども、あの文書の中にも書いてありますように、現在の安保条約並びに関連取り決め等は何らいじるものじゃないということがはっきりしているわけでございまして、これらについては従来どおりでございます。
  141. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ちょっと議論がかみ合っていないように思います。真正面にお答えいただきたい。  日米安保条約では極東というふうに地域的な限定を明確にしております。ところが、今回の新ガイドラインでは政府は地域的限定はないと、こう答弁しておられる。これがどうして改定でないんですか。
  142. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今度の指針で、米軍の活動に対する後方地域支援の場合は、はっきりと安保条約に基づいて活動する米軍の後方地域支援というふうにうたっているわけでございます。  ところが、今日、例えば我が自衛隊なら自衛隊をとりましても、あるいは政府でもそうでございますけれども、主体的に行う行動というのは安保条約と別の分野で結構広がっておるわけでございます。  周辺で何か起きて、わっと難民が発生してきた場合、これなんかの場合には、これがしかも我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす場合が発生したと仮定いたします。そうした場合には、これは安保条約に基づく米軍の活動じゃないわけでございますけれども、これらについて黙っていていいかというと、今日ではそういうわけにはまいりません。その場合は我が自衛隊としても主体的に活動いたしますし、また米軍も活動すると思います。  そういうときに協力をするという場合がございますので、これは地理的概念ではなくて、そういう事態が発生したときに日米がどういう協力をしていくかということでございまして、米軍の出撃に対する後方地域支援ということと違うわけでございますから、そういうもの全体を一くくりにするにはやはり周辺事態という概念でくくらないとくくれないんじゃないかということで、確かに中間報告を出しましてからこの周辺事態という言葉についてかなり議論が出てまいりました。私どももこれに変わるべき概念は何かないだろうかということも研究いたしました。  やはり結論として、このような周辺事態という概念でくくらざるを得ない、そういう形でやったわけでございますので、決して安保条約を骨抜きにしたわけではございませんし、そういうような新たないろんな最近におけるニーズが生じてきておる、それはしかも自衛隊あるいは日本国政府として主体的にやることを米国と協力しながらやっていく、そういうことを掲げたわけでございますので、どうかひとつその辺は御理解賜りたいと思うわけでございます。
  143. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 詭弁としか言いようがないと思います。法律上こういうのを改定と言わなくて何が改定に当たるんでしょうか。条約の改定については、憲法七十三条で国会の承認を要するとされております。今回のこういうやり方はこの手続を免れた脱法行為としか言いようがない、こういうやり方は、憲法について正面から議論することなく、ずるずると解釈改憲を広げていくのと全く同じやり方で、私は大変危険であると思います。  特に、国会は今後ますますこうした安全保障の面に関しましてはシビリアンコントロールの責任が大きく課せられてまいります。その国会を無視して政府与党の一部だけで勝手に事を進めていく、こういうやり方は民主主義に対する重大な挑戦であると言わざるを得ません。軍事や防衛についてはこういう手法で素早く決める。アジアの諸国から日本の軍事大国化を危惧する声があると言われてもやむを得ないんじゃないでしょうか。時間がありませんから、次に移ります。総理にお伺いいたします。政治家とか大臣、企業のトップあるいは高級官僚、こういう本来社会のリーダーとなるべき立場にある人たちに求められる倫理観とか道徳とか、あるいは遵法精神、公正さ、正義感、こういうものは一般の方々のそれと同じ程度でいいとお考えでしょうか、それとももっと厳しくなければならないというふうにお考えでしょうか。
  144. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は他の分野の方々のことまでお答えをすることは控えておくべきだと思いますけれども、政治家が国民の中に身を置いて国民の信頼を得て国政に当たる以上、常にみずからを見詰めて戒め、襟を正し、その倫理を高める努力を少なくとも常に払い続けるべきと、そのように思います。
  145. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ヨーロッパにおける指導者観の基本にいわゆるノーブレスオブリージュと言われるものがあります。高い地位についた者はその分大きな義務を負う、一般の人々よりもより高い正義感、自制心あるいは正直、責任感、こういう精神的な高潔さがなければならない、こういう基本があります。  どうも日本では正反対の方が多いように思います。高い地位になればむしろその権威、権力を利用して特権の甘い汁を吸う、こういった事件あるいは疑惑が余りにも多い。リーダーというのは人を出し抜いて特権の甘い汁を吸う人種ではなくて、イギリスでもわいろを取るジェントルマンなんというのはあり得ない、こう言われております。  また、先般の佐藤孝行氏の入閣問題、あのときに外国人のある記者の方はこうおつしゃいました。そもそもわいろで有罪になった人が議員であるということは民主主義国家ではあり得ない、大臣などもってのほかだ、こういう発言がありました。これについて、総理、どうお考えでしょうか。
  146. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現に、前回までの制度のもとにおきましても、新制度のもとにおきましても、国民の審判を受け議席を与えられておったと承知をいたしております。
  147. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 やはりそれは国民の皆様の常識とかあるいは感覚と余りにずれている、こう思います。  ところで、先般の報道によれば、企業や団体あるいは自治体などが建設省に補助金を申請する際、建設省ではその申請書に衆議院における小選挙区名を書けと、こういうふうに言っていると。本当ですか、建設大臣。
  148. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 浜四津委員に申し上げますが、公共事業の予算の配分、執行、このことは、狭い国土でございますし、脆弱な基盤を持っておる我が国でありますから、国民に安心、安全、そういったものを確保するために、厳正かつ公正に執行してまいるということは大切なことでありまして、政党及び議員の要請によって配分を変えるということはないわけであります。これが原則でございます。  今御指摘のことでございますが、いわゆる来年度の概算要求に向けて地方公共団体に作成を依頼した資料、平成十年度河川環境課所管補助事業概算要求について、これは河川は極めて小流から大河に至るかかわりにおきまして多岐に分かれて河川ができ上がっておるわけであります。言ってみますれば、小流積まずんば大をなすなし、こうなるわけでありますから、今度は選挙制度が変わるということは、言ってみれば市町村名を加えまして、いろいろ委員各位からも問い合わせがあるわけでありますから、迅速にこれに対応する、そういったことが必要でありますので、地域情報の一つとして整理をさせていただいた、こういうことでございまして、決しておっしゃるような恐意的なことでこれを使うというものではございません。  以降、誤解が生ずるといけませんから、かようなことはいたしてまいりませんが、以上のようなことで整理をさせていただいたという経緯であります。
  149. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 元の建設大臣は、新進党を勝たせた県や市は地獄に落ちる、補助金をつけないぞ、報復予算をやると、こういう発言を公然といたしました。これは申請をされた方々からもそういう声が出ております。疑惑を持たれること自体が問題だと思われませんか。
  150. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) さようなことは全く申し上げておるわけではありませんで、地方の要請と、また厳密にこれを勘案して予算は組み立て、執行いたしておるわけであります。以上、疑念のないようにお願いをしたいと思います。
  151. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 時間がありませんので、もう一つ具体例を挙げさせていただきます。余りにも政治が本末転倒している、こういう例として挙げさせていただきます。  先日、三重県の津歯科医師会が会員に対して、来年の参議院選に向けた自民党員獲得のための名簿を提出しなければ学校医に推薦しない、こういう文書を出していた。そして、名簿を提出しない会員に対しては二回にわたって、未提出の方は校医などの推薦を中止させていただきます、こういう文書を出した。自民党の選挙に協力しなければ公の職につけない、こうおどす。こうしたことが許されると総理はお考えですか。
  152. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) お答えいたします。  学校歯科医の任命、委嘱、これは各設置者の判断によって、学校や地域の実情を踏まえて歯科医師の中から任命をして委嘱を行っております。ただ、実際には地域の歯科医師会の推薦を受けて任命あるいは委嘱を行っている例が多いと承知をいたしております。  いずれにしても、文部省といたしましては、各学校において適切な方々が学校歯科医師に委嘱、任命されるように各地方公共団体に今後とも指導してまいりたいと考えております。
  153. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 その事実を調べたのかどうか、その事実があったのかどうかをお答えください。
  154. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 九月二日、それから十一日に歯科医師会の方から津歯科医師会長名で文書が発出された、こう承知をいたしております。その後、九月二十六日付の文書により、いずれの内容も撤回をされた、こう承知をいたしております。
  155. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 撤回すれば済むという問題ではありません。また、歯科医師会だけではなくて、多くの業界団体によるこういうやり方、党員集め、選挙のたびにあちこちから指摘されております。今後もこういうやり方を続けるとすれば、思想、信条の自由あるいは政党支持の自由を政権与党そのものが侵害している、こういうことになりませんか。総理、いかがですか。
  156. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、事実関係について文部大臣から御答弁を申し上げ、事実関係の解明を待って三重県においてしかるべき対応がとられるという答弁でございました。その上でお尋ねでありますけれども、選挙というのはそれぞれの方の自由意思によって投票が行われるべきものでありますし、それはすべての方々に通じることだと思います。
  157. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 最後に、厚生大臣に臍帯血の移植治療について伺います。  近年、白血病や再生不良性貧血などの血液の病気に画期的な治療法が見つかりまして、欧米諸国では既に国のシステムとして実施されております。この臍帯血の移植治療につきましては、欧米諸国では既に公的バンクがつくられ、五百例を超える症例があって、大変高い成功率が報道されております。日本ではまだほんの十七症例が報告されているにすぎません。  この暖帯血移植治療を推進するために医療保険の適用をぜひ来年の四月から実施していただきたい。また、公的バンクを設立していただきたい。また、これを臓器ではなく血液事業としてきちんと位置づけていただきたいと思いますが、厚生大臣の御見解を伺います。
  158. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 臍帯血移植治療について、私もこの問題に熱心な方からいろいろ話を聞きまして、大変いいことだと。今まで捨てられていたへその緒が骨髄移植治療と同じような効果を発揮する、しかも副作用がない。この捨てられていたものが貴重な利用価値があるということに気づいて、これをどうやって人類のために生かそうかというのは私は大変大事なことだと思いまして、これを何とかうまく利用できるように整備する必要があるということで、早速事務当局に、今の御趣旨を踏まえて、専門家の意見も十分聞いて、これが十分国民の理解を得て治療に生かせるような方法をとるようにと既に指示してあります。  大変医学的な、専門的な内容も含んでおりますので、どういう方法が一番好ましいかよく検討させていただきたいと思います。
  159. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ぜひ早期に実現していただくように要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  160. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で勝木健司君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  161. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、永田良雄君の質疑を行います。永田良雄君。
  162. 永田良雄

    ○永田良雄君 自由民主党の永田良雄でございます。  お許しをいただきまして、自由民主党を代表して、橋本総理、その他関係閣僚に御質問を申し上げたいと思います。  まず、総理、連日御苦労さまでございます。  また、昨年、総理になられて以来、数々の業績を上げられ、そして国民からも大変高い支持を得られている。さらに、自民党内の党員からも圧倒的な支持を受けられて先ごろ第二次橋本内閣を組閣されたわけであります。  ただ、その第二次橋本内閣の組閣の中で、閣僚の選任をめぐって国民世論批判を受けられたのは皆さん御承知のとおりであります。その際、総理は極めて率直に、私は世論を見誤った、申しわけないと、こういう率直な感想とともに、反省されて、その閣僚人事の構成をやられ、新たに立派な小里総務庁長官を選任されたわけであります。  ただ、世上、いろいろ責任がどうだこうだという議論はたくさんございます。しかし、私どもは選挙区、田舎へ帰っていろいろ話を聞きますと、今一番大事なのは財政改革、景気対策あるいは行政改革、これらをどうしてくれるんだ、それが一番大事なんじゃないかと。もちろん、倫理の話を我々はないがしろにしろと言うつもりは全くない。しかし、政治というのは前向きの話なんだよと、前向きの、日本をどうするかということを真剣に橋本総理にやっていただきたいんだと。したがって、いささかたりともひるむことなく、元気はつらつとしてこれらの改革に邁進していただきたい、こういうことを申し上げたいわけであります。  私ども自民党、そして与党は全力を挙げて橋本総理をお支え申し上げ、橋本総理がこの極めて厳しい難局に立ち向かって、身を焦がして頑張ると言っておられるのを支えてまいる所存でございます。よろしく頑張っていただきたいと思う次第であります。  前置きはそのくらいにしておきまして、まず財政構造改革について御質問を申し上げます。  橋本総理の六つの改革の中の先端を切って、財政構造改革法という法律を提出されてやられるということでございます。私どもも、財政構造改革は何が何でもやり遂げなきゃいかぬことだ、かように思っておりますが、国民にわかりやすく、今何でこれをやらにゃいかぬのか、やらぬとどういうことになるのかということを総理の口からひとつわかりやすく国民に語りかけていただきたいと思います。同時に、それをやらなきゃいかぬ総理としての決意を披露していただきたいと思います。
  163. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) わかりやすくと言われますと大変説明の仕方が難しくなりますが、世代間同居の御家庭、しかもお子さんが例えばお一人しかいないというような御家庭を考えていただきたいと思うんです。お年寄りの世代、時代に既に借金を開始していた。そして、その借金を現在の当主である息子さん夫妻が引き継いでこられた。しかし、その方の収入よりも、生活のレベルあるいはおうちを建てなきゃいけないとかいろんなこともあったでしょう、その時代にもっと借金をふやしちゃった。その借金は自分の世代では返し切れずに、これ以上ふえるとその利子を払うためにもまた新しい借金をしなきやならない。そんな状況になったときに、家庭であれば借金を続けていけるでしょうか。非常に乱暴な言い方でありますけれども、今の日本はまさにそんな状況におります。  そして、現在の財政構造というものを放置してこのまま財政赤字を拡大させていけば、私は必ず背負い切れないといって働き手の人たちが本当に担えない時代が来てしまうと思いますし、これは国民経済、国民生活が破綻してしまう。これはもう避けて通ることのできないことになると思います。それだけに、何としてもこれ以上日本の財政の赤字体質を拡大することをとめなきやならない、その思いから財政構造改革ということを皆さんに訴えてきました。そして、三塚大蔵大臣からもよくお話をいただいておりますように、来年度に向けて、それぞれ主要な経費の性質に応じてめり張りのきいた量的な削減、縮減の目標をつくりました。そして、今世紀残っております三年間、これを集中改革期間と位置づけまして、一切の聖域なしで歳出の、出ていくお金の方の構造も見直さなきゃなりませんし、総体の金額も減らさなきゃなりません。  そういう努力をするために必要ないろんな制度の改革の検討などを定めました財政構造改革法案を私どもは国会に提案をいたしました。これは、いわば将来の世代に対して我々の世代が責任を果たしていくための法律案でありますし、これによって少しでも住みやすい、負担の少ない、次の世代へのバトンタッチをしていけるような、そんな財政構造改革を着実に実施していくために何としてもこれを実現したい、この法案の成立をお願いしているのもそういった思いからです。
  164. 永田良雄

    ○永田良雄君 実は国民の側から言いまして、かつて赤字公債脱却ということを言いまして、平成二年ぐらいのときに一遍赤字公債を脱却したことがございます。それから、そのちょっと前は消費税を三%導入いたしました。それから、ことしは消費税をさらに二%増加して五%の消費税にいたしました。国民にすれば、いろいろ税金を納めてやってきているのに、何でまた急にこんなにたくさんの赤字を抱えるようになったのか、一体どうしてこうなったんだろうという素朴な疑問が私はあるような気がするわけであります。  大蔵大臣、どうして平成二年に赤字公債を脱却してやれやれよかったといっていたのに、赤字がこんなにふえたのでございましょうか。これもわかりやすく説明していただきたいわけであります。
  165. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 財政は歳入に見合う歳出を計上してまいるというのが基本であります。税は安い方、軽い方にこしたことはございません。しかし、財政の根本は、入るをはかり出るを制するということに尽きるわけです、上杉鷹山公の言葉ではございませんが。  基本はそこの原点にあるわけですけれども、多様な経済態様にどうこたえるか、またお一人お一人の多様な国民生活にどう対応するか。政治の目標は、生涯を全うしていただく、人生が豊かなものであったということに尽きるということになるわけでありまして、総理の言われる社会保障構造改革という原点、福祉国家という原点からいっても当然取り組んでいかなければなりません。一次産業、二次産業、以下たくさんあるわけであります。  前置きはそれくらいにしまして、要すれば現在の時点で五百二十兆という地方、国を合わせた債務がございます。この利子負担、平均五・二であります。超低利金利はここ二年でありました。利子が二十六兆円必要といたします。これを支払っていくのにまた借金をしてやらなければならないという形になりつつあります。国鉄がまさに運賃収入を上回る利払いになりましたとき破産になりました。親方日の丸ですから、行き着くところまで行き着こうというのを、総理とともに当時大胆な分割・民営方式を採用して今日の状態にあります。  要すれば、ほっておきますとそうなっていくわけです。もうその兆候が間違いなく見てとれました以上、わかりよく言いますと、今手術しなければ、体力があるときに手術をしなければ生き延びることはできない。先に延ばす、だましだましモルヒネを打って病状を、痛みを抑えていくところまでまいったものですから、ここは辛抱、まさに生きるために耐えるところは耐えていかなければなりません。  まず歳出カットからというので、量的縮減目標をつくらさせていただきました。聖域なしということであります。特殊法人、団体、これも全部見直す、こういうことであります。財投も全くそうであります。すべての分野にメスを入れることによって健全体に立ち戻るためのスタートが本年、財政構造改革に関する特別措置法を御提案申し上げたのはそういうことであります。  明るい二十一世紀をつくり上げますために、お互い辛抱し合いながら、知恵の限りを出して、借金で賄うのではなく税収に見合う歳出に戻ろう、こういうことであります。
  166. 永田良雄

    ○永田良雄君 私は、何でこんなに赤字がふえたのか、こうお伺いしたわけであります。回答らしきものは、ほったらかしておくと多くなるという返事でありますが、現実、結果として多くなったわけでありますから、これは今さら私もいろいろそのことに議論を集中するつもりはありません。  もう一つお聞きしたいのは、それならばなぜもっと早くから財政構造改革に取りかからなかったのか、なぜ三年前でないのか、なぜ今なのかという理由があったら教えていただきたい。
  167. 三塚博

    国務大臣三塚博君) バブルの崩壊というのがあります。オーバーキルという言葉もございます。いわゆる、生涯サラリーマンとして働きましたならばマイホームを与えることが政治の基本であろう、こういうことでもございました。それを総需要抑制という観点から、金融、財政両面にわたって健全な経済運営に立ち戻るためにバブル退治をやらさせていただきました。  バブル退治の結果、健全な形になるわけでございますが、ここのところが辛抱であります。これをまたカンフル剤を打つことによりまして痛みを多少和らげていくということになりますと、カンフルはしょっちゅう打つちゃだめだというのがお医者様の言っている言葉であります。  そういうことで、永田さんもお役所にいてよくおわかりのとおり、要すれば予算編成は気が遠くなるほどの陳情を処理して、そこで有効適切、税金を大事に使うという観点からやり抜きます。税収が少なければ増税を図り需要にこたえなければなりませんが、それは難しい。こういうことでありますから、そういう観点から歳出予算の効率的な有効な見直しをやらさせていただく。  足らず前は建設国債でやりましょう、財産が残るのであるからよろしいのではないかという理屈がまかり通りました。しかし、建設国債といえども財政学の基本からいえば借金に違いありません。六十年で返すのか十年で返すのか五年で返すのかという観点、こういうことがあって財政の節度を大事にしながら健康体に戻ることであります。  過去のことを言いますと時間がこれくらいかかりますから、この辺でとどめさせていただきます。
  168. 永田良雄

    ○永田良雄君 これも余りすかっとした答えではないんですが、私から申し上げるのが適当かどうかはわかりませんが、私はこう思っているんです。  少なくとも、今まで取っかかれなかったのは、バブルの影響で景気が余りよくなかった、景気がよくないときに財政構造改革というのを打ち出すのは果たしてどうだろうかtいう考慮があったんではなかろうかというふうに一つ思いますし、先ほどの質問の意味は、私の考え方は、結局、バブルによって税収が極端に冷え込んだということが原因で建設国債も赤字国債も発行せざるを得なかったというのが原因だと私は思うわけであります。  だからこそ、総理が聖域なきあらゆる領域について削減をやらなきゃいかぬのだと。いろいろ過去の政策の云々だという話ではないわけでありまして、将来に向かってどうやるかということになると、財政改革はあらゆる部面でやらにやいかぬ。これは政府と与党幹部が相談されてやられたわけでありますし、私どもも大賛成なわけでありますから、何としてもやり遂げていただかなきゃいかぬと思います。  もう一つお伺いしますが、従来、大蔵省は予算が二年、三年にわたるものは、これは単年度主義に反するから嫌だ、反対だと、あるいは財政の硬直化を招くから二年、三年の予算はだめだ、こういう主張をしておったわけでありますが、今回の財政構造改革はかなり長期のことを、しかも法律で決めようということであります。法律で決めるということにした理由は何なのでありましょうか。  今までならば、大蔵省は単年度予算において、例えば平成十年度予算は直ちにシーリングでこれは何%減、これは何%減という格好でやってきたんじゃないでしょうか。それを今回は法律に変えたということの意味は何かということをお答えいただきたいわけであります。総理にお願いします。
  169. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 主計局長にかわりまして私からの答弁をお許しいただきます。  まさに私は、議員が質問の中にみずから提起をされましたような事象、バブルの崩壊、それによる税収の減、そして景気へのてこ入れという視点からの歳入を超えた財政への依存、こうした手法が今までとられてきたけれども、もうその手法が続く状態ではなくなった。これ以上そのようなやり方を続けていたら、本当にこの国はだめになつてしまう。  むしろ、歳入はもちろんできるだけ我々は確保したいです。徴収を一生懸命にしてもらわなきゃなりません。そして、その歳入の範囲で、既に本年度の予算も歳入の範囲内で歳出を抑え込んでいる。その意味では財政構造改革をスタートさせているつもりですけれども、それをなお一層抑え込んでいこうとすれば、今までと同じ手法では通じなくなった。少なくとも削減という目標については単年度主義ではできない。そういう思いを込めたものが今度の御審議をお願いしている法案に結実したもの、私はそのように位置づけております。
  170. 永田良雄

    ○永田良雄君 総理から今答弁あったわけでありますが、従来は義務的経費は削れないんですね、予算で。そうでしょう。ところが、あらゆる聖域なき領域で削らにゃいかぬということになるから法律が必要になったのではありませんか。今までの予算編成ですと当然増経費だから削れませんよと、こういう話になるわけです。それでは困るから、当然増経費も例えば法律を改正してまでやらにゃいかぬという大変な厳しい決意のもとの法律だと私は思っておるわけであります。  そういう決意でやられたわけでありますから、ここはひとつ大いに頑張ってやっていただかにゃいかぬわけであります。それこそ聖域なきあらゆる数々の問題を法律を改正してまでやってほしい、こういうことを申し上げておきたいと思うわけであります。  それからもう一つ、二〇〇三年までに国債費率をGDP比三%にするという目標が掲げられておりますし、もう一つ、二〇〇三年までに特例公債、赤字公債をなくしたいという目標になっておりますが、これの意味をわかりやすく説明していただきたいと思います、大蔵大臣。
  171. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 対GDP比財政赤字を単年度三%以下にしたいという悲願は、財政法の目的達成もさることながら、各G7構成国は、健全財政というのは何かということになりますと、フローで三%以下に赤字を抑えるということが大事ではないか、こういうことであります。  ですから、その延長線上に一つありますのは、赤字国債を減らすのか、いわゆる四条公債、建設国債を減らすのか、こういうことになるわけでございますが、まずもって赤字国債発行を六年目には発行ゼロとして、赤字公債に頼らない健全な財政運営の姿に戻したい。平成九年の赤字公債、特例公債と言っておりますが、御案内のとおり七兆四千七百億円の発行額でございます。これをゼロにするということでありますと、六年間でありますから、平均一兆二千五百億円ずつ赤字公債の発行を減額にしていかなければなりません。  健全な体質はやはり日常生活、毎日の生活は収入の範囲で行うべきであるというわかりやすい観点を言いましたが、そういうことで、借金してまで財政運営をするということは経済の破綻を伴うし、そのままそっくり後世の負担としてツケ回しになります。ツケ回しをするということは世代間の断絶を招きかねないし、この国の長い歴史の流れの上におきましても、やはり現世は辛抱しながらやっていかなければならない。  当然増経費、義務的経費と言われる社会保障関係当然増が八千億円になります。それを厚生大臣が中心となりまして法律改正をお願い申し上げ、御理解を得て負担をお願い申し上げる、また来年度お願いを申し上げると、こういう努力をされておるわけでございますから、歳出全面にわたって聖域なき歳出の見直し、これを行っていかなければならない、こういうことであります。
  172. 永田良雄

    ○永田良雄君 次に、道路特定財源の問題について、建設大臣にお伺いします。  財政審議会や行政改革委員会で、去年ぐらいまではいわゆる特定財源制度、ある目的を持った使途に使うためにそれの原因をつくった人から税金を納めていただく制度、道路の特定財源制度で言えばガソリン税、自動車重量税であります。いわゆる道路をつくるのには自動車を利用する人、ガソリンを使う人が原因者だから、その人たちに納めてもらうのが一番適切である、そしてそのことは行財政改革に合致するものだという議論が行われていたのは御承知のとおりであります。もちろん、道路が全く要らないというのならこれはまた別の観点でありますが、ここにおられる委員各位の地元へ帰られたら、やはり一番要望が多いのは私は道路じゃないかと思っておるわけであります。  ところが最近は、特定財源制度が財政赤字の原因だ、あるいは硬直化の原因だなんと言われておるのは極めて遺憾だと思うわけでありますが、私は、特定財源制度というのは極めて合理的な制度でありますから、道路だけじゃなくてほかの分野についても、そういう因果関係があるものについてはそういう財源制度をつくっていくことが財政健全化あるいは財政改革に資するものだ、かように思うんですが、まず建設大臣、お答えをいただきたいと思います。
  173. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 永田委員はこの問題の専門家でいらっしゃいますが、御指摘のように道路特定財源制度は、我が国の立ちおくれた道路整備を緊急に計画的に行うために、受益者負担の考え方に基づきまして自動車利用者に負担を求める制度として今日まで採用しておるわけであります。  道路整備に対する国民のニーズは極めて今日もなお強いわけでありまして、厳しい財政状況の中でこれにこたえていくためには受益者負担と、こういう国民の納得の得られる方法によって財源を確保するという道路特定財源制度は重要な役割を果たしておる、かように認識をいたしております。  平成十年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画案の策定を、総投資規模で七十八兆円を要求いたしておるわけでありますが、これらは受益者負担の考え方に基づきまして、ガソリン税、自動車重量税等の暫定税率の延長をお願いいたしておるわけであります。  道路特定財源を堅持いたしまして、国民のニーズにこたえ道路整備の積極的推進を図ってまいる、この手法をぜひこれからもとってまいりたい、こう考えておるところであります。
  174. 永田良雄

    ○永田良雄君 ところが最近、もう一つは、この原因者という格好でのリンクされている財源をそのままどこかほかへ使おうという話が出てきているわけでありますが、これは極めておかしな話であります。少なくとも原因者から、あなたの税金を取るのは、道路をよくするために出してください、しかも通常よりは倍もたくさん出してくださいということで出してもらっているのを黙ってほかへ持っていけるものでありましょうか。そんなことは国民が黙ってはおらぬと思うわけであります。  そういうことについて建設大臣はどういう覚悟でおられるか、しっかりと答えていただきたいと思うわけであります。
  175. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 地方にありましても社会資本整備、これらを求める熱意、熱望は強いわけでありまして、なかんずく道路整備につきましては、先ほど来委員の御質問、またお答えもいたしておるわけでありますが、これからも道路整備に対する地方の強いニーズにこたえまして、この道路財源の確保を図りまして緊急に道路整備をさらに進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。  特定財源の一般財源化、よって転用の余裕は見出しがたいわけでございまして、受益と負担の関係を崩すことに、今転用すればこの体制が崩れるわけでありますし、納税者の理解も得られなくなるわけであります。特定財源制度を堅持いたしまして、道路整備に充当する、そういうことでこれからも財政当局と、またそれぞれ政党間にもそういう熱意を持って承っておるわけでありますが、新たな五カ年計画の体制をとるべく努力をしてまいりたい、こう考えております。
  176. 永田良雄

    ○永田良雄君 大蔵大臣、お答えをよろしくお願いします。
  177. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 特定財源のあり方については、永田議員長年の御研究と、その中で御指摘のとおりでありますことを私から否定するつもりは全くありません。受益と負担という問題というのは、行政政治運営の基本であろうかと思います。受益者の理解を得てそれを原資としてその目的を進めていくということになるからであります。  ただ、そこで一般論として申し上げますが、特定財源ということが税収の大宗を占めるということになりますと、財政の柔軟性を欠く心配が出てまいります。そういうことで硬直性の問題が出てくるわけでございます。  そういう中において、先ほど申し上げました法律をもって財政構造改革特別措置法をやりましたことは、歳出を洗って適正なものにやるということと同時に、税収のあり方につきましても簡素、公平、中立なものを目指すことになることだけは間違いございません。そういう中で、税制のあり方も今後検討を進めていかざるを得ない立場に大蔵大臣というのはいるものだということを、永田議員、御理解を得ておきたいと思います。  特に、本年の六月三日の閣議において、財政構造改革推進についてのこの分野についての閣議決定の条項がございます。もうおわかりのとおりでありますからここで御披露は申し上げません。問題は、「受益者負担の観点にたった道路関係社会資本への活用など、集中改革期間における従来の取り扱い等の見直しについて総合的な観点から検討する。」、こう規定し、閣議決定をいたしております。  今後、この閣議決定、また危機的な財政を踏まえながら、予算編成の中で、その過程で検討をしてまいりたいと思っております。
  178. 永田良雄

    ○永田良雄君 大蔵大臣の言葉で、歳入を図らなきゃいかぬから見直しもあるというような話でありますが、国民をだますわけにはいかないわけでありますから、そこら辺は国民の理解を得てやらなきゃいかぬということを肝に銘じて考えていただきたいと思います。  次に、私は富山出身でございますから北陸新幹線の話を簡単にお聞きします。  この間、長野までの新幹線が開通しました。地方の、長野県知事を初め関係市町村長、住民、大喜びでございます。テレビで映りました。富山、石川の我々は極めて複雑な気持ちであります。二十数年間一番熱心に北陸新幹線を要請し続けてきたのは富山であり石川であります。今、財政改革で北陸新幹線が悪の権化のように言われておるわけであります。もうかるところだけ、採算の合うところだけ新幹線をつくるなら、政治は要らないのであります。(「赤字はつくっちゃだめだな」と呼ぶ者あり)もちろん赤字をつくってはいけないということも百も承知であります。だからこそ、昨年の政府与党会議でいろんな条件をつけ、JRも赤字にならないようにしてやっていこうということを決めたばかりでありますが、県民の間に、一体どうなるんだろうかという大変な不安が巻き起こっておるわけであります。  やはり長年要望し続け、しかも政府自民党がやるよと何遍となく約束されたわけでありますから、その不安を解消するために、今後ともあの政府与党の条件に合致することは着実にやっていくという言葉を運輸大臣からいただきたいわけであります。明確な答弁をお願いします。
  179. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。  整備新幹線につきまして、運輸省といたしましてはこれを着実に整備していくという基本方針は変わっておりません。  実は、今、委員おっしゃられましたように、十月一日に長野までの北陸新幹線が開通いたしまして、私はその出発式に出席をさせていただきました。委員おっしゃられたとおり、長野県あるいはまた群馬県のそれぞれの関係各位の御協力をいただいて開通したわけでありますし、また大変喜んでいただいている。  実は、前の晩、私は夜八時の在来線の信越本線の特急あさま号で長野まで参りました。三時間ちょっとかかったわけであります。翌日、出発式を終えまして、その後今度は新幹線の特急あさま号で東京駅まで戻ってまいりました。前の晩は三時間余かかりましたけれども、翌日の新幹線あさま号の所要時間は一時間二十分ちょっとでございました。  三時間かかったものが二十分、三十分変わったという、短くなったというイメージを乗り越えて、まさにこれは大変な、ある意味ではカルチャーショックと申しましょうか、こんなに短くなるとこれは長野県そのもののイメージが変わってくる、私はそういう印象を持ったわけです。  そういう意味からしますと、やはりこうした地域の要望、北陸新幹線、富山、石川、また福井も同じでございますけれども、そういう要望は大変熱望されていることを聞いております。私どもも着実に進めていきたいと思っております。  ただ、今、委員がおっしゃられましたように、昨年の政府与党合意というのがあります。それに基づきまして、本年七月より政府与党新幹線検討委員会というのが開始されまして、その中で、収支の採算性の見通しであるとか地方公共団体の合意であるとかあるいはまたJRの了解とかいろいろな条件がありまして、そうした基本的条件等をしっかりと見きわめた上で、確立した上で、さらに先ほど来お話がありましたように財政構造改革も進めなきゃならない、そういった財政構造改革に矛盾しない形でこれからも適切に対処、整備を進めていきたい、そう思っております。
  180. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ——————————    午後一時一分開会
  181. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。永田良雄君。
  182. 永田良雄

    ○永田良雄君 午前の質問で、運輸大臣から、北陸新幹線については昨年の政府与党の取り決めに従って着実に推進していくという大変力強い御返事をいただきまして、まことにありがとうございました。地元の県民もさぞやほっとしたことと思います。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、景気対策の問題についてお伺いします。  今盛んに、経済がおかしくなっている、景気対策をやらないかぬのじゃないかという議論があちこちでされております。聞くところによると、総理も、経済の動きについて多少慎重な見方があるので、政府の各省庁に対策を検討しろという指示をされたとかいう新聞を見たような気がするのでありますが、そこら辺、総理からそういう指示をされたのか、そこの認識について簡単に御回答をいただきたいと思います。
  183. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに足元の回復のテンポが非常に緩やかなもので、そして企業の景況感にも慎重さが見られる。そういう中で、民間の需要を中心とする景気回復の基調は続いているという見解を申し述べた後で、先般の日銀短観等を思い出してみますと、このままほっておいていいという状況ではない。そういう中で、個別の閣僚に対して、例えば土地の有効利用、流動化、活性化、あるいは構造改革のための規制緩和、撤廃、このフォローアップを急いでもらいたい、あるいはそれに追加をするものがあれば至急に動かしてもらいたい、そういった指示をいたしておることは事実であります。
  184. 永田良雄

    ○永田良雄君 経済の専門家である経済企画庁長官に、今の経済状況について、総理がああいう答弁をされたわけでありますから、一体その状況がどうであるから対策としてどういうことを検討しているのかということも含めて、少しわかりやすく御答弁をいただきたいと思います。
  185. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) お答えを申し上げます。  ことしの春の四月の初めに消費税の引き上げがございまして、三月の末までの間にいろんな意味の駆け込み需要がございました、自動車とか家庭電器とかあるいは住宅とか。その反動で四−六月が減、落ち込みまして、GDPが対前期比でマイナス二・九%になったという状況であるのは御存じのとおりでございます。  全体としては、先ほど総理からお答えもございましたように、基調としての回復基調は続いていると認識しておりますけれども、景気の回復に従来のような力強さを感じることができないというのは、一つには構造問題のあらわれではないかというふうに考えております。今後、財政が非常に厳しい折でございまして、私どもの方は余りお金を使わないで我が国経済を確実な成長軌道に乗せていく必要がある、そういうことでございまして、そのためにもしっかりとした経済構造改革を進めていかなければならないと考えている次第でございます。  現在、政府部内あるいは与党において検討をしているわけでございますが、私なりにこれを整理して申し上げますと三点あると思っております。  まず第一は、経済がグローバル化いたしまして企業が世界的な展開をしている、そういう中におきまして、どの国で企業活動をするか、どの国で事業を、設備投資をして生産をするかということにつきましては、企業が国を選ぶ時代になったというふうに認識をしております。  そういう現状におきまして、日本も外国の企業も含めまして、日本という国が生産拠点あるいは事業活動の拠点として選ばれるような国になる必要がある。そのためには、ほかの国とイコールフッティングで競争できるような経済基盤を整備する必要があるというふうに考えております。これを通じまして、産業の空洞化を防ぎ雇用確保をしていくことが必要であります。  このための対策といたしまして、かねてから議論になっております法人課税の実効税率、日本は四九・九八%、先進諸国は大体四〇%前後でございますので、課税ベースの適正化を図りつつも、外国に遜色のない水準を目指してその第一歩を踏み出す必要があるのではないかということがございます。  それからまた、有価証券取引税等につきましても、東京市場をニューヨークやロンドンに匹敵するようなマーケットとして育てるという意味からもこれを見直す必要があるのではないか。そういう具体的な対策を今検討していただいているところでございます。  それから、二番目は不良債権問題でございまして、不良債権の存在というものが金融機関あるいは企業にございまして、これが景気回復の大きなしこりになって景気回復を妨げているという点がございます。この問題を解決するためには、担保不動産の証券化とかあるいは土地税制の見直し等を行いまして、土地の有効利用や土地取引の活性化を促進するということが必要であると思っております。この土地の流動化などは不良債権の問題だけではなしに経済全般の活性化のためにも非常に役に立つことである、これが二つ目であります。  三つ目は経済構造改革に資する規制緩和でありまして、規制緩和は企業の自由な創造活動を引き出す、そしてそれによって新しい技術開発や新規事業とかベンチャーをつくり出していく。また、内外価格差の是正とかあるいは縮小を通じまして、新たな需要を生み出し雇用を増大させるというようなことで、民間の活力を活用して経済全体の体質強化、活性化につながるものでございまして、二十一世紀にふさわしい経済構造を構築する上で今後の経済運営の主軸になるというふうに考えております。  このような観点から、情報通信とかあるいは土地・住宅分野とかあるいは福祉分野、あらゆる分野におきまして経済構造改革に資するような規制緩和を加速していく必要があるというふうに考えております。さらに、新規産業を技術面から支援するためにも、産官学の連携によります研究開発を推進する、そしてその成果を活用するということも必要かと思っている次第でございます。  このように、経済構造改革に取り組む政府の確固たる姿勢を明確にしていくことによりまして、企業や消費者等に景気の将来に対する信頼感が高まりまして、年度の後半には景気の回復傾向が見られ、中長期的な経済成長につながるというふうに期待をしているわけでございます。  この具体的な内容につきましては現在詰めているところでございますが、私どもとしては、前向きに元気を持ってこの政策を進めまして、我が国経済を順調な回復軌道に乗せていきたい、そのように考えている次第でございます。
  186. 永田良雄

    ○永田良雄君 今、政府部内で検討しておる、それは一つは法人税あるいは有取税の改正、それからもう一つは土地の流動化対策、三番目は規制緩和、いずれも大変大事なことでありますし、これは中長期的な観点からぜひやっていただきたいと思っております。  ただ、もう一つ私に言わせていただきますと、土地の話は証券化だけで物は進みませんよということを申し上げたいわけであります。  もともと土地は経済の極めて重要な一環をなしていたものを、土地が悪い土地が悪いとぶったたいたわけであります。全く動かないような法制をつくっちゃったわけであります。したがって、ことしの四月でしたか、国土庁からもう土地は抑制する時代ではない、利用する時代だという方針の大転換があったわけでありますから、そういう観点からするならば、動かないようにがんじがらめにしちゃった土地の制度を変えていかなきゃいかぬ。それは何かというと税金の制度であります。この点についてはどなたからお答えいただいたのがいいのか、経済企画庁長官がいいのか。経済企画庁長官、まずどう考えておられますか。
  187. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 税制の問題につきましては従来から、委員御存じのとおり、自民党税調、それから与党税調、政府税調等で検討をしておりまして、十二月の半ば前に最終的な結論が出るというふうに承知をしております。  ただ、先ほど来お話しのとおりに、土地の問題につきまして流動化を図るためには、いわゆる規制緩和だけではございませんで、土地の譲渡所得の重課制度の見直しとか、あるいは買いかえ特例の問題等を十分御検討をいただきまして、本当に土地が流動化するような対策をぜひ御検討いただくようにお願いをしてまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  188. 永田良雄

    ○永田良雄君 土地の流動化の話については税制の問題も含めて検討するというお話でございます。自民党の中でも真剣にこれは取り上げていかなきゃいかぬと思いますので、経済企画庁長官、暮れにはよろしくまたお願いしたいと思います。大蔵省に言われてそれはだめですと言わぬように、ひとつしっかりやっていただきたいと思います。  それからもう一つは、私は地方財政の問題でひとつ自治大臣にお願いしたいと思うんですが、国は財政改革をやりますのであらゆる面で歳出削減をやります。公共事業については七%削減を言われました。もちろん、地方自治体も財政的な改革は必要であるというふうに言われているわけでありますが、今景気がおかしくなりかけたかなというときに、国と地方が一緒になって景気の足を引っ張るようなことをやるのはいかがなものか、こう思うわけであります。  特に地方では、いわゆる公共投資のその地域における経済に対するウエートは大変強うございます。例えば北海道、東北、北陸、四国、九州なんというのはほかの地域の倍ぐらいのウエートを占めているわけであります。それが国と地方と両方で景気の足を引っ張るような行動をやるのはいかがなものかと思うわけであります。  もちろん、賢明な知事さんあるいは市町村長さんはそういうことを考えて、国が幾らやってもおれの地域がおかしくなってはだめだよということでやらないとは思いますが、往々にしてそういうことを考えないでやられる方もあるので、余り政府が一生懸命になって、今のこの大事な時期にそういう削減だ削減だ、特に地方単独なんというのは制限がありませんから、半分にするとか三分の一にするとかというところもあり得るわけです。  これは大変重大な問題だと思うのでありますが、自治大臣、そこら辺のうまいかじ取りをひとつお願いしたいと思うんですが、いかがでありましょうか。
  189. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  先ほどありました分をちょっと、経企庁長官からお答えしました土地の流動化問題ですが、まずお答えする前にこれを説明しておきたいと思うんです。  土地の流動化を促進する観点から、これは総理からも特に強い指示を受けましたが、赤字企業を赤字であることのみの理由で公共事業の指名から外すと、これは土地の資産評価が下がりますから企業が赤字になる、それなれば公共工事はおまえのところは指名入れないよ、こういうことにならないように措置しろと、こういうことでございまして、これは当然土地の流動化を促進する意味で重要なことでございますから、直ちに対応いたしました。  所管大臣でもございます建設大臣とも相談をいたしまして、自治省にはファクスの通信があるわけでございまして、これで全国の知事、市町村長に徹底をお願いいたしたところでございます。また、景気対策の一助にもなるわけでございますが、そういう意味を込めて、建設省の次官それから自治省の次官、異例のことだと思いますが、連名でこのことに対する協力要請もいたした。今一生懸命やっておるところでございます。  ただいまの地方単独事業の件でございますが、この点につきましては非常に住民に身近なところで喜ばれておる。特に地方における生活関連施設の整備をする小回りのきいた事業であることは説明するまでもありません。あるいは地域経済を下支えする事業として重要な役割をこの地方単独事業が果たしておることも承知をいたしております。今後、地方分権の進展とともにその役割も増大するであろうという私どもは認識を持っておるわけでございます。  したがって、こうした点も踏まえて、平成十年度の地方単独事業の具体的な削減幅については三つ考えておりまして、地方公共団体におけるニーズがどこにあるのか、これを十分見きわめたいと思います。二つ目には、国庫補助事業における補助対象の縮減、採択基準の引き上げ、例えばごみ処理施設等の動向も十分見たい。三つ目には、御指摘の地域経済への影響等もございますから、これも十分見きわめて、平成十年度の地方財政計画の策定過程において決定をしてまいりたいと考えております。  なお、地方公共団体においては、これらを踏まえつつ、地域の実情等に応じ適切に事業を実施していただきたいと考えておるわけでございます。  また、地方債の配分や地方交付税の算定に当たりましては、地域の実情を踏まえ、また各地方公共団体の計画的事業執行に支障が生じないように十分配慮してまいりたいと考えております。
  190. 永田良雄

    ○永田良雄君 ただいまの自治大臣の答弁を聞いて安心いたしました。実情に合わせて適時適切に指導をしていただきたい、かように思う次第であります。  その次に、せっかく日銀総裁お見えいただいておりますので、私は経済のことは余りよくわかりませんので教えていただきたいわけでありますが、こういう意見があるわけであります。日本の今の個人の金融資産は一千二百兆あります。今、日本の長期金利はかってなかったほど安い。長期金利が一・七五%、公定歩合が〇・五%ですか、これが何年も続いておるわけであります。  今、景気が悪いのは消費がふえないからだ、ふえないからだと言っていろいろ騒いでおりまして、減税を幾らやるとか言っておりますが、この一千二百兆の一%上がれば十二兆円日本の預金者が金利所得を得るわけであります。二%上がると二十四兆円の所得があるわけであります。これはすごい消費に対する影響があるんではなかろうかと。そんなちゃちな、一兆や二兆のけちなあれぐらいではないんではないかという議論があるわけであります。  これは日銀総裁、どうなんでありましょうか。私も、うんそうかなと思わぬでもないわけでありますが、そういうことをやっぱり民間の方で、中小企業がそうだなと、あるいは老人の方がそうだなと思っておられる方があるわけでありまして、そこはわかりやすく、そうだから上げるとか、そういうことをおっしゃっていただきたいと思います。
  191. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 金利を引き上げました場合の個人消費、あるいは経済全体に及ぼす影響についてのお尋ねでございます。  確かに、家計部門におきましては預貯金などの金融資産が住宅ローンなどの金融債務を上回っておりますので、金利収入だけをとってみますというと、金利の上昇に伴いましてネットの利息収入は増加をするはずのものでございます。ただしかし、その一方で企業部門におきましては、金利の上昇は投資採算の悪化や企業収益の減少、あるいは資産価額への下押しといったような経路を通じまして経済活動全般を制約することになるものでございます。もちろん、このことは景気の基本的な力いかんにかかわることでありますけれども、このことがひいては雇用の悪化とかあるいは給与所得の減少というものを通じまして、家計部門にも総体としてマイナスの影響をもたらしかねないということになるわけでございます。  ちなみに、家計部門の給与所得は総収入の約八割を占めるものでございますので、仮に給与所得の減少というようなことが起こりますというとそのマイナスは大変に大きなものになるということも考えられるわけでございます。  こういう状態でございまして、金利の引き上げは、設備投資あるいは住宅投資を制約するとともに、全体としての家計所得を減少させる方向で作用することにもなりまして、一般的に申しますと、景気に対しましてはやはり全体としては抑制的な効果を持つというものでございます。  私どもは、現在の経済情勢のもとにおきまして、当面の金融政策の運営に当たりましては、このような点に配慮をし、引き続き金融の緩和基調を維持しながら景気回復の基盤をよりしっかりとしていくことに重点を置きまして、適切に運営をしてまいりたいと考えております。
  192. 永田良雄

    ○永田良雄君 今、総裁のお話を聞いていると、ほかの方で都合の悪いところが出てくるから全体としては景気にはよくないよという話であります。これは計数的にわかると本当は一番いいのでありますが、なかなかそこまではできないことも私はわかっております。しかしまた、金利を引き上げるというのは一般論としては景気に悪いということはわかるわけでありますが、そういう声も一部にあるということを考えながら、少なくとも即効的な効果として金利の引き上げは預金者に対するかなり大きな所得増をもたらすということもあわせ考えて、これからの金利の操作をやっていただきたいと思うわけであります。  以上にとどめますので、総裁はこれで結構でございます。どうもありがとうございました。  それからもう一つは、いわゆる景気対策で、財政再建計画を立てておる時期であるから財政に悪影響を与えるのはよくないという主張はよくわかるわけであります。  例えば、ゼロ国債というのがありまして、いわゆる地方なんかでは大体四月に人事異動をやるわけです。そうしますと、あいさつ回りやら何やらをやっておりますから七月まで仕事はできないわけであります。その間、予算が三月末に通ろうと四月から七月までは空白期間であります。発注等はほとんどありません。それがまた景気の足を引っ張り、逆にそれは建設事業のコストを高めるという格好になるわけであります。これは予算を増加するわけではありません。来年度やるべき仕事を、全く来年度一文たりとも公共事業をやらぬというならそれは成り立たぬわけでありますが、やるとなれば、そのうちの何がしかを本年度に契約する権限を与えて四月から七月までの空白期間を埋めていくというのも一つの大きな経済対策、金を使わぬでやる経済対策になるわけであります。  その点については、これ例年やっているわけであります。公共事業をふやすわけではありません。来年の七%減の公共事業をことしに発注するというだけの話でありますので、それはぜひやっていただきたいと思うわけでありますが、大蔵大臣、お願いいたします。
  193. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 一つだけ先に申し上げますが、地方の取り組みが人事のあいさつ回り等で二カ月ぐらいずれるという話、聞かぬではありませんが、こういう大変な世紀の大転換期の中でありますから、私どももその対応を考えますが、先生からも、やはり一生懸命業務に専念するという体制で頑張っていただきたい、これだけ申し上げます。  そして、ただいまの御指摘でございますが、公共事業のコスト縮減及び効率的な事業実施をどのように図るかについては、財政構造改革の趣旨を十分に踏まえつつ、今後予算編成過程において検討してまいりたいと考えております。
  194. 永田良雄

    ○永田良雄君 どうも余り積極的な答弁じゃなくて私もがっくりしているわけでありますが、財政再建とは全く矛盾しないという前提で私は申し上げているわけでありまして、編成過程で考えるとおっしゃいますが、今の景気対策でいろんなことをやらないかぬということを全省庁で真剣に考えておるときでありますから、大蔵省はそこら辺のことは考えてもらわないかぬと思うわけであります。よろしくお願いします。余り一方的な判断だけで物を言っちゃあかんと思うわけでありまして、何としてでもやっていただきたい。  最後に私が申し上げたいのは、私は、今直ちに例えば所得税の減税をやれとかあるいは公共事業の追加をやれというようなことを言うつもりはありません。財政改革をやっておられる時期でありますからそこまでは言いませんが、先ほどから経済は生き物と大蔵大臣は言っておられます。腰折れでおかしくなったら大変なのであります。それをどうかと見きわめるのは私は政治家だと思うわけであります。総理であります。大蔵大臣であります。役人は大体データがそろわなきゃ判断はしません。私は役人をやっておったわけだから言うわけではありませんが、そこら辺が一番私は肝心なところであって、政治主導というのはまさにそれだと思うんです。ここ一番のときには何をおいても断固やるというような決意を持ってやられなきゃいかぬのじゃないかと思います。役人にだけ任せておってはこの難局は乗り切れないと思うわけでありましてそこら辺をひとつ大いに心して頑張っていただきたいと思います。私らも応援はぜひやらせていただきたいと思う次第であります。  それからもう一つ、これは大蔵大臣にお願いするんですが、地方で中小企業の人たちと会っていると、今金融機関なんかも、あつものに懲りてといいますか、金はあっても中小企業には貸さないわけであります。なぜかというと、金融機関は自己責任でやれと、これの大合唱であります。幾らそうやって中小企業やれと言われたって、そんなものは責任を最後にとらされるのは私ですよと、金融機関は。貸しません。中小企業の間では大変な不信感があります。やはり貸し出さないわけであります。またそれもわからぬではないわけであります。  したがって、そこら辺はいわゆる政府系の金融機関がまさにその役割をやるわけでありますから、そこら辺を十分活用して、そういう民間の一般金融機関では貸してくれないところに対する温かい配慮をしていただかにゃいかぬ。それから、それに伴っていわゆる信用保証の拡充とか信用保証協会の利用とかということを、これもまた大蔵大臣、真剣にやってもらわにゃいかぬのですよ。ぜひそういうことをやっていただきたいと思うわけでありますが、大蔵大臣、温かい返事をお願いいたします。
  195. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 永田議員の中小企業に対する思い入れ、私も同感であります。政治、経済の流れの中で努力をして報われないという状況があってはなりません。  政府系金融機関の督励はもちろんでありますが、民間の地銀各位に対しましても奮闘するように、特に政府機関の担当として重々その意を体しながら対応してまいります。
  196. 永田良雄

    ○永田良雄君 時間が来ましたので残余の質問はできなくなったわけでありますが、同僚議員の質問に譲ります。  最後に、総理に、私は財政改革と景気対策は二律背反だというふうには思っておりません。両立し得ることだと思っております。今は財政改革を専心してやっていただきたい。しかし、先ほど言ったように、いざこのときというときには断固たる決意でもって出動をして、景気が腰折れになり、経済が失速しないような対応をぜひお願いしたいと思いますので、それに対する決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  197. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 地方財政まで含めて議論を組み立てられました。その決意いかん。全力を尽くします。
  198. 永田良雄

    ○永田良雄君 終わります。
  199. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。野村五男君。
  200. 野村五男

    野村五男君 私は自由民主党野村五男であります。  まず、総理と大蔵大臣に、現在の景況感について私は国民政府の間に非常に乖離があるのではないか。例えば、私どもが予算委員会で今この問題について取り上げようとしておりますけれども、実際に今タクシーの運転手をしている人とか零細の企業の人はとんでもないほど不況であるというふうに私は感じていると思うのであります。構造改革であるとか日銀短観という考え方と全然別に、もっともっと実感的に不況であると私は感じていると思うのであります。  そこで、私は一番大事なことは、過去何年かの間にバブルが、バブルの発生からバブルの解消、この消し方がやはり問題があったのではないか。余りにも資産価値を減らしてしまったことが今日に至っているのだと思いますけれども、総理の御感想をひとつお願いします。
  201. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私、ちょうど大蔵大臣を拝命いたしましたとき、地価の抑制をいかにして行うか、国会も土地基本法を制定され、その中でまさに地価を抑えろというのが至上命題として与えられたことでありました。その結果、さまざまな問題が起きておりますこと、議員御指摘のとおりであります。  そして、先ほど上杉自治大臣から永田議員にお答えを申し上げました、これの一つの例でありますけれども、バブルの時期に、不良資産として抱えてしまった土地、企業がリストラのためにこれを手放そうとすれば、いずれにしてもその時点、単年度の赤字になる。そうすると公共事業の指名に入れてもらえない。大半のところはそうではなく動いておったわけでありますけれども、先般そういう声が届き、建設大臣、自治大臣にお願いをして、先ほど報告をされたような対応をしていただきました。  その意味で、私どもは気をつけなければならないこととして、まさに議員も今御指摘になりましたけれども、要するに行政当局はよくやっているわけですけれども、例えば今まで一カ月かかった審査を二週間に縮めれば、そこで調べたときには改善されたという答えは返ってきますが、その規制そのものがなくなればもっといいというケースはあるわけであります。  そして、いろいろなところにそういう指摘をぜひいただきたいというお願いもし、先ほど永田議員からの御質問にお答えをしましたように、そういうものの幾つかは個別閣僚に対してお願いも申し上げて対応してもらっております。  今後もそうした細かい努力を私どもは積み重ねていかなければ、一つの方法だけですべてが解決するような手法というものを今行うことは無理だと思っております。それだけに、地道な努力でありましても、一つ一つを着実に私どもは解決し、議員の御指摘のような状態を踏まえながら対応していかなければならない、そのように思っております。
  202. 野村五男

    野村五男君 財政の緊急性、財政をよくしなくては何も将来に見通しが立たないということで、国と地方を合わせて、旧国鉄の債務も入れれば五百兆円、こういうものをそのままほうっておくということが非常に将来への危険性があるということはわかるのでありますけれども、大蔵大臣、きのう京都共栄銀行が破綻するというような、いきなりこういうような問題が出てまいりましたが、例の拓銀と北海道銀行、これはどのようになっているのか、御説明願いたいと思っております。
  203. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 拓銀の問題の御質問でございますが、合併目標を延期いたしました。それは相互の情勢分析、それから不良債権の見方の食い違いがございました。よって、両頭取中心にさらにそこを詰めて共通の認識に立つということになりました。半年ずれを目標に合併に向けてただいま信頼関係構築とさらに再建のための企業改善、リストラの断行をいただいておるところであります。
  204. 野村五男

    野村五男君 大蔵大臣、今バブルの後遺症で例の証券会社の問題がたくさん出ております。そして、その中で一番問われていることは、日本が外国から見てやはり監査制度あるいは公認会計士のあり方、そういうものが問われている時代であろうと思っております。  そういう中で、こういう拓銀あるいは北海道銀行の合併問題に際して、双方が抱えております監査役あるいは公認会計士が、もしそういう相手は選んではいけないという判断をされた場合には、その場合はどうするんですか。
  205. 山口公生

    政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。  一般論としまして、銀行の合併等につきましては関係当事者が自主的に判断をし、決定するものでございます。  今、先生の御指摘のように、公認会計士や監査法人が内部でいろいろサジェスチョンを行う、それは通常よく行うわけでございますが、最終的には当該銀行が決断をするわけでございます。しかも、それは株主総会という手続を経て行うわけでございます。  当局としては、それが出てきましたときに、それが認可してふさわしいものかどうかのチェックを行うという形になってございます。
  206. 野村五男

    野村五男君 先ほど同僚の永田委員が話をしましたけれども、やはり本当に市中にお金が流れてこない。先ほど申し上げましたように実際に資産価値が下がったせいもあるんでしょうけれども、今ビッグバンを控えて、実際には銀行が、金融機関が、もう人ごとどころではない、民間に貸すどころではないんだ、いわゆるBIS規制といいますか、そういうものをクリアしなくてはならないということに明け暮れて、民間の方へ流れるどころではないというのが私は現状であろうと思っているのであります。  私は、この関連質問をするに当たって、今本当に国民は不安感を持っていると思うのであります。それは、教育の問題にしろ景気の問題にしろ、北朝鮮の問題も後で質問をさせていただきますけれども、すべてこの不安感というものがぬぐい去れない、こういう状態であろうかと思っております。  そして、財政改革のこともありますけれども、いろんな意味において先送りと。先送りで、ついてこられる会社あるいはついてこられない会社とか、そういうものが非常に今日の不景気をつくっている要因であろうと思っておりますけれども、金融機関も憶病になっている。それは、土地本位制であった日本の特徴がもう既に吹っ飛んでしまった。土地を買うのに借金をして買った人たちが、土地は物すごく恐ろしいものなんだと思ってしまっていることが私は現状だと思うんです。  運輸大臣、常磐新線についても先送りという問題からでなくして、いわゆるオオタカの問題と、それから千葉県の柏のあたりは、土地のいわゆる利用の仕方で、売るよりも運用したいと、今のままということでこれも大変おくれているようであります。  この辺の見通しについて、これは景気対策も含めまして非常に重要なものでありますので、お聞きしたいと思っております。
  207. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。  常磐新線につきましては、鉄道事業といわゆる宅地開発と一体化して行う事業でございまして、これによりまして首都圏における良好な宅地を提供する、あるいは現在の常磐線の混雑緩和等々考えますと大変重要なプロジェクトでございます。  しかしながら、今、委員おっしゃられましたように、都市計画の決定のおくれであるとか、あるいは予想外といいますか予定外の埋設物等々がございましておくれております。そのため、昨年十二月に開業時期を平成十二年から平成十七年、二〇〇五年までに延期をいたしました。  運輸省といたしましても、これ以上事業がおくれることのないように全力を傾注いたしますし、そのためには地方公共団体等の御協力をいただきながらこれから努力していきたい、こう思っております。
  208. 野村五男

    野村五男君 よろしくお願いしたいと思っております。  次に、新しくなられた農水大臣、大変期待しているんです。それは島村大臣の人間性にもあらわれていると私は思うのであります。  農業の問題は今本当に行き詰まっておりまして、もう数字、そういうものを見せてあげないとやる気がなくなったりして、限界である。国民の生命線であるということは、だれでも農業が大事であるということがわかっていながら、じゃ先ほど申し上げましたように、景気とか経済から見ますと非常にこれはやる気をなくしてしまうような現実なのであります。  減反をしても米の値段が下がる。じゃどうしたらいいのか。もっともっと減反をふやせばいいのか。在庫の問題もあります。在庫だって、一時七百万トンも在庫を抱えたことがあるのに、今はもう在庫はとんでもない、いっぱいであるからという。非常に展望が開けていないのが現状だと私は思うのであります。  そこで、島村大臣に、今農業は基本であるということはだれでも知っておりますけれども、いわゆる食料・農業・農村基本法を新たに策定中とお伺いしておりますが、まずそこからお聞きをしたいと思っております。
  209. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  まず初めに、私のような不敏な者に御期待を寄せていただきまして、心から感謝いたします。あえて申し上げるならば、十四年前に私は自分で志願して農林水産政務次官にしていただいた経緯がございます。爾来、この仕事にほれ込んでいる人間でありますので、ぜひこれからも御指導いただきたいと思います。  ただいま御指摘のとおり、社会情勢の変化や国際化の進展に伴いまして、新たな基本法の制定を含む農政の改革が必要になっており、現在、食糧の安定供給の確保、そして消費者の視点の重視、新しい農業構造のあり方、農業農村の有する多面的機能の維持発展、中山間地域を含めた農村地域の維持発展等につきまして幅広い議論が進められているところであります。食料・農業・農村基本問題調査会のこの御議論を十分に踏まえまして、二十一世紀における我が国農業農村の発展と国民生活の向上のための新たな農政の指針をつくり上げていく考えであります。  いずれにせよ、農村にあって、国土の保全あるいは自然環境の保護の面も含め、食糧の安定供給の基礎を担っていただいている方が将来に向かって自信と誇りを持ってお仕事に取り組んでいただけるように、都会出身者ではありますが、むしろ皆様と連携をしながら頑張っていきたい、こう思っております。
  210. 野村五男

    野村五男君 それでは、実際に今後のいわゆる米の在庫の増加の見通しと、それからそれがどのように米価に反映していくのか、それに生産調整はもう限界に来ていると思うのでありますけれども、これらについて、非常に難しい問題でありますけれども、やる気を起こすために抜本対策があればお聞かせ願いたいと思っております。
  211. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) まず、在庫の見通しについてでございますが、現在まだ年度途中であり確たることは申し上げられませんけれども、現在の販売状況を踏まえますと、本年十月末の在庫は、国内産の政府米が、備蓄米は二百五十万トン程度、それから自主流通米八十万トン程度、ミニマムアクセス米が約四十万トン程度、合計三百七十万トン程度が予想されるところであります。  また、価格の動向につきましてですが、去年産の自主流通米の入札取引価格は、三年連続の豊作等により需給は緩和基調にあることに加え、本年産米の生育が順調であること等を反映いたしまして、多くの銘柄が値幅の下限に近い水準で取引されているところであります。また、このような価格低下によりまして生産者手取り額が政府買い入れ米を下回る銘柄が生じている、こういう点が指摘できます。  さて、御高承のとおり、米の需給につきましてはそのような状況でございますので、米の需給と価格の安定を図るために米政策全般の再構築に向け今検討を進めているところであります。特に生産調整につきましては、正直者がばかを見るという不公平感が強く指摘されているところであります。そういう意味で、目標面積や仕組みなどについて現在鋭意検討を進めているところであります。  このような状況等を踏まえ、食糧法の目指す米の需給と価格の安定を図るため、現在、備蓄運営、生産調整、稲作経営等、米政策全般の再構築に向け検討を進めているところであります。
  212. 野村五男

    野村五男君 本当にお先真っ暗といいますか、地元では口ではいろいろ言ってあげてももう限界に達している。それで、もちろん嫁の問題、後継者の問題とかさまざまな問題を、日本の基本、原点であります、どうぞ離れないようにしていただきたいのであります。  そこで、先日の報道によりますと、米価下落に伴ういわゆる稲作所得の補てんのために保険制度の検討に入っているというふうな報道もありましたが、その辺についてお聞かせ願いたいと思います。
  213. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 御指摘の稲作所得を補てんする保険制度の意味するところがどのようなものかはまだよくわかりませんが、稲作経営安定対策につきましては、総合的な米政策の検討の一環として、各方面の御意見も踏まえつつそのあり方の検討を進めていきたい、その中でいろいろまた検討されるものと思っております。
  214. 野村五男

    野村五男君 農家の人が今一番期待してこれにということで、こういうような状態でありますが、ウルグアイ・ラウンドの農業合意関連対策としてこの予算をどのように反映させていくのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  215. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策につきましては、農業合意受け入れ後、農業の将来的展望を切り開き、農村の活性化を図るために真に必要な事業として決定されたものであり、今後とも着実な推進が必要であると認識をいたしております。  このため、平成十年度概算要求におきましては、本年六月三日の「財政構造改革の推進について」の閣議決定に示された、公共事業の対策期間を二年延長する、公共事業につきましては、その他の事業との比率、これについては公共事業と非公共事業を五対五の比率に改めましてこれを推進する等の見直し方針に即して要求内容をまとめたところであります。  今後、年末の予算編成に向けて本対策の着実な推進が図れますよう努力をいたしますので、よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
  216. 野村五男

    野村五男君 日本の原点であるということを常に頭の中に入れてお願いしたいと思っております。  次に、教育改革について質問をさせていただきます。  総理がこの間本会議におきましても、心の教育改革、こういうものが大事であるというふうに大変力説をしておられました。  私、今どういう世の中であるかなと、今の日本を見た場合に。私は、まずバブルの後遺症でいろんな問題があるということと、それから一方、心の教育といいながら、テレビをつければはっきり言って失楽園ブームである。それで、商売をやっている人は、先ほど申し上げましたように、零細企業の人はどうやって手形を落としたらいいのかと。こういう社会状況下において、私は、本当に心の教育というのは家庭、学校等、みんなそれぞれの責任の中においてやらなくてはならないことはわかっておるんですけれども、この現状が。  そして、先ほど銀行の話でも言いましたけれども、リストラ、リストラと言いましても零細企業はリストラができない、それどころではないと。リストラに走っているのはむしろ金融機関である。それはその後ろに大蔵がついているから大丈夫であると。じゃ、今商売をやっている人にどうですか景気はと言うと、銀行に聞いてください、私どもはそれをもう通り越しちゃっているんですというくらいに問題がある中に、教育という問題が非常に大事な問題になっておりますけれども、社会環境が余りにも悪過ぎるんではないかという感じを持って私は質問をするわけです。学校、地域社会、家庭の結びつきの強化を中心に息の長い地道な積み上げが必要と思いますが、この教育改革プログラムの中にこのような視点がどのように反映されているのか、総理にお伺いしたいと思っております。
  217. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は中教審の答申をここで繰り返す愚は避けたいと思います。  その上で数点について考え方を申し述べたいと思いますが、日本の教育制度の中で一つ本当に我々が力を入れていかなければならないそのポイントは、今まで平等な社会、平等な教育、すべて平等という部分から発してきたその考え方の中に、いかにしてもっと創意工夫を生かした創造性豊かな教育を取り込んでいくかということにあると思います。  これは初等教育の段階から、それこそ後期中等教育、さらには大学教育、修士課程、博士課程すべてを通じて必要な視点だと思います。そして、そのためには先生方が、現在既に我々より若い世代の先生方、まさに平等という教育の中で育ってこられた先生方にどうしたら個性を持つ教育をしていただけるかを一方では考えなければなりません。  そうした中で、今これは分権の一つの考え方でもあり教育改革でもあるわけですが、むしろ学校自身に権限と責任をもっと積極的に渡していこう、そして父母の方々にも積極的にその運営に入っていただき、それぞれの地域における歴史、伝統、独自の文化、こうしたものを初等教育の段階から織り込んでいくことによってそれぞれの郷土への愛を、通じてはこの国に対する愛を、そのような思いをつくるためにも積極的に学校自身に権限と責任を持っていただき、父母の声もそこに反映される仕組みはできないか、こうしたことを一方で模索いたしております。  今、議員が御指摘になりましたような、いわば寒々とした思いがあります中に、せめて自分の子供の通う学校が責任を持ち、その責任にふさわしいだけの権限も持ち、地域の父母の声も取り入れて教育をしてくれることができるとすれば、そこからでも変化をつくり出すことはできる、その上で週休二日制を定着させる、あるいはそれに合わせたカリキュラムの編成がえをする、中高一貫教育あるいは飛び級、さまざまな仕組みを取り入れていくことによってよりよい教育を模索してまいりたい、そのように思います。
  218. 野村五男

    野村五男君 ただいま話がありましたけれども、次にこれは総理か文部大臣にもお聞きしたいのですが、歴史教育というものの、あり方、これが非常に今大事になっている。それは、これから二十一世紀に向かっていろんな子供たちが海外なんかに行ったり、どこへ出しても誇れる人間をつくるということが大変大きな意味があると思うのでありますけれども、実際に今日、中学校教科書にもちろん従軍慰安婦の問題なども記載されている。こういう問題を含めて、この歴史教育のあり方について文部大臣にお聞かせ願いたいと思っております。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
  219. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 野村先生にお答えを申し上げます。  歴史教育の重要性、今、先生の御指摘のとおりだろうと思っております。国際社会になればなるほど、自分の国の歴史あるいは自然あるいは文化というものにどれだけきっちりとした理解を持っているのかということは非常に重要なことだと考えております。  特に、ややもすると、歴史教育というと一方的に自虐的に自分の国の悪い点ばかり取り上げる教育をするケースもあります。それと逆に、もう自分の国のやったことは全部いいといって一方的に賛美をする傾向もあります。私は、そのいずれも好ましくない、やはり自分の国には歴史を見ればいいときもあった、悪いときもあった、いいこともした、悪いこともした。その辺のバランスのとれた感覚を歴史教育の中で持っているということが私は非常に重要なのではないだろうか、こんなふうに考えております。  とどのつまりは、どういう教材、歴史教科書を使いながらどういう先生がそれを教えるのかということが大切だろう。ただいま総理から御答弁があったように、情熱のある先生、子供を一生懸命育てる、そういう先生のもとでいい歴史教科書が使われるということが必要であろうと、こう思っております。  先ほど従軍慰安婦の御指摘も確かにございましたけれども、御承知のように日本の教科書というのは、民間の執筆者が著作、編集したものを専門家から成ります審議会、教科用図書検定調査審議会が客観的な学問的成果や適切な資料に照らして検定を行っているところでございまして、私は、現在出されている教科書はいずれもそういう検定をパスしたものばかりであるから、そういう意味では適正につくられている、こう思います。ただ、いろいろなお立場があって、これで十分かどうかというようなこともあるでしょうから、もつといろんな種類の教科書が私はつくられてもいいんだろう、このように考えております。
  220. 野村五男

    野村五男君 農業も教育もこれから本当に二十一世紀に向かっていくんですね。ですから、本当に誇れるものをつくっていかなくてはならないという気持ちを強く持っているわけなのであります。  実は、少年法の問題について法務大臣にお伺いしたいのでありますけれども、神戸の中学生のあの事件が起きましたときに、本当かな、こういうことがあり得るのかなとだれも震えながら見た。そして、あの問題は一体教育の問題なのだろうか、医学的な問題なのだろうか、それとも家族そのものが問題なのだろうかということで、私は今推移していると思うのであります。  そこで、いろんな方面からいろいろな電話もあるのですけれども、少年法について下稲葉法務大臣は、少年犯罪が凶悪化しつつあるという状況下で、国民の少年犯罪に対する非常に関心も高まっている中で、その声をどう受けとめ、少年法改正が必要と考えているのか、御所見をお伺いしたいと思っております。
  221. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) ただいま少年に対する委員の切々たる思いを伺いました。少年問題は、単に学校だけにとどまらないで、家庭だとかあるいは社会だとか広くかかわり合いがあるわけでございまして、そういうふうな中で総合的にとらえていくべきだ、このように基本的に思います。  少年犯罪の動向でございますが、御指摘がございましたように、戦後、強盗、強姦、殺人あるいは放火等々の凶悪事件というのは昭和三十年代から四十年代にかけて増加したんですが、四十年代の後半から急激に減っている。一時鎮静化したような形でございましたが、最近また増加しているという現状でございまして、お話のような、神戸における本当にあってはならないような事件が発生しておるという現実でございます。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕  そこで、少年法の問題でございますが、少年法は昭和二十三年に、これはまだ占領下でございますが制定されました法律でございますが、基本的には少年の保護育成という考え方を基本にして、そして多様な処分の方法を提供しているわけでございます。その考え方自身には、私は基本的には賛成でございます。しかしながら、現実のこのような状態に対応いたしまして、また五十年近くたった法律が現在のままでいいかどうか、これについてはなお十分検討する余地があるのじゃなかろうかと。  その一、二の問題を申し上げますと、要するに、少年事件の実態を、真相を解明する手続というふうなものが十分なのかどうかという問題がございます。  具体的に申し上げますと、少年事件というものは一応四週間の間で少年審判というものを、強制力ができます四週間の間で決めなくちゃいけない。普通の否認事件なんかの殺人事件というものは二年も三年も数年も審理がかかるんですが、それをその間に決めなくちゃいけない。しかも、審判に当たる裁判官が家庭裁判所の裁判官お一人である、合議ではございませんという問題もございます。  それから、いわゆる裁判に該当する審判につきまして検察官の立ち会いが法律上できません。したがいまして、裁判官は裁判官と検察官の役割をなさる。片や子供の方、少年の方は付添人というのが認められている。そういうふうな中で審判が行われて、そして決定が出ますと、その少年側の方が不利になりますと抗告ができるわけでございます。ところが、いわゆる事件を送致した側は抗告ができない。等々、真実解明の問題でいろいろ検討しなくちゃならない問題がたくさんあろうと思います。  これにつきましては、つい先日、最高裁判所でもそのような御意見を発表なさっておりますが、私どもは、法曹三者ともよく相談いたしまして、少年法のあり方、特にその事実解明の問題、手続の問題等々につきまして、どういうふうにやっていくか、これは真剣に取り組んでまいりたい、このように思います。
  222. 野村五男

    野村五男君 少年法の問題も非常に重要な問題であると思いますけれども、私はこの問題を取り上げましたときに、日本は余りにも大人と子供の、例えばビデオ販売にしましてもその区別がついていない、こういう社会環境も物すごく何か不安材料を与えているんではないかというふうに危惧しているわけなのであります。  それでは、時間の関係もありますので、北朝鮮問題についてお伺いいたします。  金正日のいわゆる党総書記就任という問題が今日に至っているわけでありますけれども、私はこの間ソウルへ行きまして、金大中さんのすぐ下の人と実は会談をしたんです。金相賢さんという人なんですけれども、韓国の大統領選が今行われております、これは世論調査ですからどのような結果になるかわかりませんけれども、金大中さんが有利に運んだ場合に、北のカードが使われるんではないかという質問をしたんです。そうしましたら、私はある面では安心したのですけれども、韓国民の民意が非常に意識が高くなって、そういうことだけでは動かされないようになってきたというお話を聞いたんです。韓国は、今申し上げましたように、しかし党としては非常に心配であるという話をしておったわけであります。  そして、アメリカはどうも二つの考え方があるらしくて、北朝鮮に対する国務省といわゆるペンタゴンの考え方が違って、一方では何とかソフトランディングしたい、もう一方ではそもそも北朝鮮というものは経済的に崩壊してしまうのではないか、そしてそれが戦争に向かうのではないかという両方の考え方の中で動いている。  そこで、北朝鮮という国は本当に調べれば調べるほど、勉強すればするほど不可解なわけです。いわゆるチュチェ思想と申しますか、北朝鮮の人たちは、幹部の人たちは、これは同じ社会主義であったとしても、マルクス・レーニン主義を超えたものであると信じている国であるからこそ、日本のスタンスが非常に難しいと私は思っているんです。人道主義だけでいいのか、あるいは政策的にどのように使っていくのか非常に問題があると思います。  そこでお聞きします。この金正日の党総書記就任というものが対日それから対米関係についてどのように変わっていくのか、変化があるのか、その辺のことについてお伺いしたいと思います。
  223. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 北朝鮮におきまして、金日成主席死去後三年三カ月、金正日総書記が就任を正式に推戴されたということは承知をいたしております。  今、御質問の点につきましては、結論的に申し上げますと、対日、対米、どういう政策が遂行されるかということは、想定は甚だ難しいことだと考えております。願わくば、現在、四者会談も行われておりますし、あるいは南北の平和的な交渉もこれから進んでいくということが行われれば大変望ましいことであります。我が国に関しましては、いろいろ北朝鮮との間には、拉致問題を初めといたしまして日本人配偶者の問題等々、あるいは先般の麻薬船の拿捕の問題、拿捕ではありません、麻薬を積んでおった事件等がありまして、大変残念な状況であります。  しかし、この総書記の就任に当たりまして、先般、政府として行いました人道的援助に対しまして、直ちに朝鮮中央通信がこのことを国民に向け放送いたしまして、その中で、従来は日本の首相に対しましても首相橋本というような呼び方をされておりましたが、橋本龍太郎内閣総理大臣のもとで今度の支援問題は決定をしたというようなことの発表もありましたし、直ちに北京におきまして日本側に対して感謝の意も表されておるというようなことでございます。  このことをどう見るかということはなかなか難しいですが、私どもとしては、これが対日に対しましても前向きの姿勢を持つものであるとすれば歓迎をするということでございます。日本といたしましても、国連加盟百八十五の国の中でただ一つ国交正常化しておらない国でございますので、日本としては前向きにこれをとらえて、この北東アジアの平和も含め、我が国、北朝鮮ともどもにこの問題に対して前向きに進んでいくことができれば大変幸いだ、こう考えております。
  224. 野村五男

    野村五男君 食糧援助、それから人道主義、いろいろな問題が絡まってくるわけであります。日本は三十四億円ですか、国連の方を通じて食糧援助をするという話があります。  国交がないだけに、歴史的な背景でなぜこのような九万人とか何万人とか、在日朝鮮人の方々あるいは日本人の妻の人が朝鮮の方へ帰られたかというのは、いろいろな問題があって一概に言えない問題があると思いますけれども、巷間伝えられておりますように、今度向こうからいよいよ十五名とか何名とか日本に入ってきた場合、素人的な考え方でありますけれども、やはり北の楽園で非常に御苦労なさっている人がこちらへ入ってきた場合、これは心配し過ぎかもしれませんが、そのまま日本に永住したいという気持ちも絶対にあり得ないことではないと私は思うのであります。  そして、国交がないだけにビザなどいろんな問題があると思いますので、これは法務省にお伺いした方がいいと思うのですが、いわゆる北朝鮮に渡航した日本人妻の人数、実際にこの人数をどのように把握しているのか、お伺いします。
  225. 伊集院明夫

    政府委員伊集院明夫君) お答えいたします。  昭和三十四年十二月十四日から昭和五十九年七月二十五日までの間、約千八百人の日本人女性が在日朝鮮人等と結婚して、夫とともに北朝鮮へ出国したものと承知しております。
  226. 野村五男

    野村五男君 日本人妻というのをどのような基準でいわゆる位置づけと申しますか、日本人妻というものを法務当局ではどのような基準で判断しているのか。  それに、一時帰国が実現した場合に、先ほど言いました我が国に到着したときにはどのような手続になるのか、この両方の点をお伺いします。
  227. 伊集院明夫

    政府委員伊集院明夫君) 日本人妻というのはどういう基準で判断しているかという点でございますが、北朝鮮へ帰還する在日朝鮮人等の夫とともに出国した女性であって、基本的には出国時に日本国籍を有していた者をいわゆる日本人妻と考えております。  それから、こういう方々が日本に来られるときにどういう取り扱いになるかということでございますが、旅券または日本国籍を有することを証する文書を所持する等、日本人であることが確認された場合は日本人として帰国手続を行い、また日本人であることが確認されない場合は外国人としての上陸手続を行うということになります。
  228. 野村五男

    野村五男君 これも非常に重要な問題でありますので、本当に慎重に、やはり人道的な問題、それからいろんな問題が絡んでくると思いますので、慎重に失敗のないようにお願いしたいと思います。  最後に、今回のいわゆる日本人妻の一時帰国問題について法務大臣の御所見をお伺いしまして、同僚に譲りたいと思います。
  229. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) いわゆる日本人妻の一時帰国問題につきましては、これらの方々の置かれている状況等を十分配慮いたしまして、例えば入国等の手続を迅速に行う等、法務省といたしましても最大限の御協力をしてまいりたい、このように思います。
  230. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。上野公成君
  231. 上野公成

    上野公成君 自由民主党上野公成であります。関連質問をさせていただきます。  まず、社会保障制度改革についてお伺いしたいと思います。  参議院では、今国会で介護保険法の審議をして何とかしたいと思っているわけでございますけれども、社会保障の費用の負担のあり方といいますか、そういうものを中心に議論をさせていただきたいと思います。  私はこのところ毎年のようにデンマークへ行っておりまして、デンマークの高齢者の問題、医療の問題を見ているわけですけれども、これは一つの非常に極端な例で、参考になるという点もありますし、また反面教師として我々が学ぶという点もありますので、その辺の比較をしながらいろいろお伺いしたいと思います。  デンマークは、御承知のように社会保障の費用は医療も介護の費用も全額公費であります。アメリカのように本当に限られた、どうしても困っている人だけに公費が出てあとは自己負担、これは多分民間の保険などを活用しているということが多いわけでございますけれども、その一番の極であるデンマークでも、これは全額公費ということは負担も多いということでありまして、所得税が五〇%平均であります。それから付加価値税、これは日本でいうと消費税ですけれども二五%、大変な高負担ですけれども、デンマークにおきましても高齢化がどんどん進んでおります。  若い人の数が少なくなりまして税金の負担はどんどんふえていっているところでありますし、また最近は若い世代が、将来自分たちが税金を払っているものだけでは非常に不安だということで、若い人が将来に備えて年金貯金をやっていくという、恐らく今まで考えられなかったようなことまで行われているわけでございます。  この負担については個人負担でやるというのがまずもともとの原則だと思います。将来の不安があるから保険を使う、これもしかし自分で払うわけですからそういった意味では同じわけです。それと公費をどれだけ使うか。この三つの割合が一番大事なわけでございまして、特に介護保険法の場合は、四十歳で払い始めて二十五年たたないと原則的には給付はないわけですから、これは少なくとも二十五年以上続くようなそういう制度でないといけないわけでございます。そのためには公費と、そして個人負担の一部ですけれども保険、そして個人負担、自己負担といいますか、そういった割合を余り固定的に考えていくとこういうものが長続きしないということになるんじゃないかと思います。  そこで、最初に総理に、この三つの割合についてどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  232. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) デンマークを初め北欧をよく調べておられるということで、それぞれの国における負担の割合は十分御承知の上のお尋ねだと思います。  これはいろんな私は考え方がある、またあり得ると思います。その上で、介護保険制度につきましても我々は、国民の老後の最大の不安要因となっております介護というものを社会全体で支える仕組みというものを考えるために、医療保険と同様に社会保険方式を採用いたしました。そして、公費と保険料、利用者負担の適切な組み合わせによって費用を賄っていくこと、これが大切なことだと思います。  一つは、これは具体的に申しますと、被保険者間の公平等という観点から、利用者から受益に応じて費用の一割の負担を求める。同時に、現行の老人医療などにおける公費負担割合あるいは保険料の負担水準を過大にしないといったことを考慮して、給付費の半分を公費、半分を保険料で賄うという仕組みを考えました。介護保険に係る給付と負担の関係あるいはその財源構成というのは、これは実は基本的には国民的な選択の問題だと思います。  法案でも、制度施行後の介護費用の状況あるいは社会経済の情勢などを踏まえながら財源構成など制度全般について検討を加える規定を設けておるわけであります。このような考え方を制度の中に取り込みましたのは、この制度が動き始めてから後も国民方々に広く情報提供を行い、御理解をいただきながら、財源構成も含め、制度全体のあり方というものについて検討を加える、そうした仕組みを最初から用意しておきたいという考え方をとったわけであります。
  233. 上野公成

    上野公成君 考え方としては非常に弾力的な組み立てになっているということでありますけれども、しかし、いずれの場合も個人負担をふやすということはなかなか大変なことでありまして、そのことを最初から十分にPRするということが長続きするということになるんじゃないかと思っております。  先日テレビを見ておりましたら、電話で介護保険に賛成か反対かというようなアンケートをやっていました。私は賛成の方が多いんじゃないかなと思いましたら、ほとんど同数なんですね。反対の人は何をしたらいいと思っているかというふうにちょっと考えたんですけれども、やはりそういった意味でも十分に負担の考え方というものを理解していない人が多いんじゃないかということであります。将来の経済、日本の国がどれだけの経済力があるかということにもよりますし、それから個人資産がある人についてはある程度やらなくてもいいんじゃないかというような考え方もあるでしょうし、医療費の負担とのバランスもあると思います。  一つだけ。デンマークの寿命は日本人の寿命より六歳も低いんですね、あれだけ医療はただで、制度は完璧にそろっているわけですけれども。これは聞いてみましたら、何でも最後は医者に行けばいいや、どうせただだということで、自分の負担を少しもやらないのでこういう結果になっているとあるお医者さんが言いましたし、ほかの方も言っておりますので、どうかそういうことも踏まえまして十分PRをしていただくということと、弾力的に負担割合を、こういう場合はこうしなきゃいけないということを十分考えていただきたいというので、六歳も違うということも考えまして、自己負担もある程度必要じゃないかなということの関連で、総理、もう一度お願いいたします。
  234. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、この介護保険のシステムというものを円滑に動かしていこうとする、そのためにも実は新ゴールドプランの目的がきちんと達成されますように介護サービスの基盤整備を引き続き努力していきたいと思います。  それと同時に、ちょうど一九七九年から八〇年代の初めにかけて、当時の厚生省の諸君が外部の人々と協力しながら非常におもしろい死亡原因別のマップをつくったことがございます。市町村単位、その地域における死亡者の中、例えばがんが多いのか、循環器系の疾患が多いのか、がんが多いとすればその部位はどこか、循環器系の疾患の場合はどこか。非常におもしろい試みと思い、私も注目しておりましたが、いつの間にかそういう作業がなくなってしまいました。  私どもは、これから先、本当に高齢社会というものの中できめの細かい対策を立てていこうとした場合、かつて先輩たちがそういう試みの中から何かを模索し、地域の特性を引き出し、それを医療の上に役立てたいというふうな発想で取り組まれたことももう一度思い起こしながら、よりよい状況をつくり出すため、特にサービスの基盤整備のおくれている地域に対して、その理由を分析しながら、必要な対策が講じられるように既存の施策を拡充していくこと、あるいは民間活力を導入していくのにどうすればいいか、こうしたことを含めて考えてまいりたい、そのように思います。
  235. 上野公成

    上野公成君 そこで、この介護保険をやった場合に認定という問題が出てくるんです。介護が必要だというふうに認定された人は給付が受けられることになるわけですけれども、認定されないとこれは全く受けられないわけです。しかし、受けられた人と受けられない人は、これは主観からいえばそんなに差はないわけで、やはり受けられない、認定で区切られるということを本当によく周知徹底させる必要があるし、そして認定が受けられなかった場合でも、必要な介護やその他のサービスは要るわけですから、それに対する対策というのも、これは民間の保険でも何でもいいと思いますけれども、立てておかないといけないんじゃないかと思いますけれども、厚生大臣。
  236. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これから参議院で御審議いただく介護保険法案の中にも、この認定の問題は重要視されている方が多いわけでありますが、今のところ六段階の認定を考えております。六万円から大体一番いいサービスが三十万円。一割負担ですから、三十万円のサービスを受けるためには三万円負担していただく、六万円のサービスでよかったらば六千円負担していただく。  この認定というのは大変難しいと思いますが、お医者さんとか専門家、地域の専門家を入れまして本当にどの程度介護が必要なのか、これをしっかりやってもらわなきやならない。それで、認定以上のより高いサービスを希望する方は、これから民間が参入してきますからいろいろなサービス展開がされると思うんです。それは自己負担していただく。認定に満たない、十分介護しなくてもまだ大丈夫だという方に対しても、配食サービスとか地域の老人保健事業とかでいろいろな事業がこれから展開されていくと思いますので、必要なサービスは本人の希望で受けられるような事業展開を整備していくよう努力していきたいと思います。
  237. 上野公成

    上野公成君 その認定の問題で、もうドイツの介護保険が非常に難しい問題に差しかかっているのは御承知のようなんですけれども、そしてその認定が仮に受けられたとしても、受けられるような人でも、実際に自分の介護をしてくれる人が見つからないとか、あるいは施設がないということになりますと、実際は給付が受けられないということなんです。  これはデンマークでも同じでありまして、九十六歳ぐらいになっても養老院、プライエムに入ったくても入れないという人が山ほどいます。入った人に聞いてみますと大体二年ぐらいは待ったということであります。今、総理の方から新ゴールドプランというお話が出たんですけれども、新ゴールドプランは二〇〇〇年の三月なんですね、その最後が。しかし、高齢化のピークは二〇二五年に二五%を超えて二六、七になると言われていますし、また少子化が進んでいますのでもう少し早くなるかもしれない。  ホームヘルパーについて言いますと、九〇年に七万人いたのがこのゴールドプランの最終年では十七万人ですね。厚生省で推計した数字だと二〇一〇年で五十八万人だということですけれども、一体その二〇二五年には何人になるのか。その辺まで見通さないとおかしいんじゃないか。  その見通しについてお聞きしたいのと、やっぱり二〇二五年までのプログラムがないとなかなか保険に入るといっても不安なんじゃないか。四十歳の人が掛けても大体二〇二五年に近いところまでいくわけですので、その点についてお伺いしたいと思います。
  238. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  まず、ホームヘルパー、訪問介護員でございますけれども、これの必要人数でございます。  私ども、一定の前提に基づきまして、その後における要介護者の増加等を見込みまして推計をいたしておるわけでございますけれども、今お話がございましたように二〇一〇年は五十八万人程度が必要であろうということを見込んでおります。同様のことで、その後の要介護高齢者の伸びを同様に見込みまして二〇二五年には約八十万人ぐらいになるのかなというふうな見込みを立てております。  これにつきましては、今、先生のお話もございましたように、新ゴールドプランの達成をもってこれで終わりというわけにはまいりません。やはりその後におきましても計画的な増加が必要でございます。したがいまして、介護保険の中におきましても、こういった施設あるいは人員の養成あるいは確保ということのために、介護保険の事業計画というものを市町村、都道府県、それぞれのレベルで立てることにいたしております。こういったことを通じて計画的に進めていく。  そうした中では、やはりいろんな就労形態についても今まで以上に多様な形を認めていく、あるいは民間事業者の参入拡大を図っていく、あるいは潜在的な、特に主婦層や何かでホームヘルパーで出たいという方も相当潜在的にはございますから、こういつたところをさらに養成して確保していくというような方法で計画的に進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
  239. 上野公成

    上野公成君 二〇一〇年に五十八万人というのは大変なことなんですね、これはホームヘルパーだけですから。ほかにいろんな高齢者を支える人たちというのは要るわけですから、やはり厚生省だけでやるということではなくて、労働省とか、もう政府を挙げてやらないと、介護保険をせっかくつくってもそちらの面から破綻するということになるんじゃないかと思います。また、施設についても、もうこれは今の人と同じぐらい足りないわけです。今の厚生大臣のお話にありました、民間を随分利用していくということですけれども、今までの民間の有料老人ホームなんかに対する指導も、施設はばかに立派なんですけれども、いざ介護が必要になると介護されないでほうり出されるというような、そういう批判も非常に多いわけですから、民間についてもきちっとした指導をしていくことが必要だと思います。  それから、施設がどうも田んぼの中ばかりに建っているんですね。それで、田んぼの中にいたんじゃ高齢者は散歩にも行けないわけです。これは今中心市街地の活性化という問題がありまして、人が随分少なくなっているわけですから、施設が整っているところで、孫の誕生日には車いすでもいいから町へ行って買い物ができるとか、そういう日ごろの動きができると随分これは違うんじゃないかと思うんですね。やはり町づくりの観点みたいなものを入れた方がいいんじゃないか。デンマークでは一九八八年に、施設はどんどんふえているから、これは社会省だけではやれないから施設は住宅省にしよう、それからサービスの方は社会省にしよう、そういう分担をして、分担関係が比較的うまくいっているわけですけれども、日本でもそういうことを考えられた方がいいんじゃないかと思うんですが、厚生大臣、どうでしょうか。
  240. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私もデンマークの事情を聞いたり勉強したりしまして、施設に任せるよりも、一般都市生活者として在宅と施設との両方のサービスが必要だと思っています。  特に、別々の省が独自にやるよりも、建設関係あるいは社会保障関係が連携を密にしまして、何でも要介護者は施設に入れればいいというんじゃなくて、できるだけ介護を要する人でも自立の意欲がある人はそれを助けていかなきやならない。そういう面で在宅サービスの基盤整備をまず先にやろうということで、介護保険法案を今御審議いただいているわけでありますが、今後施設と在宅サービス、そして介護をされている方でもできるだけ寝たきりにならないように自立してもらうような支援がぜひとも必要だと。  今、委員御指摘のとおり、そのような形で福祉先進国でありますデンマーク等の現状を勉強しながら、参考にすべきは参考にしていきたいと考えております。
  241. 上野公成

    上野公成君 特に、四人に一人が高齢者になるという時代は、恐らく三分の一以上、下手をすると四割ぐらいの家庭に高齢者がいるわけですね。そうすると、老人だけの施設というよりは、住宅は高齢者用になっても当たり前というようなことになるわけですし、今公営住宅や公団住宅は二百九十万戸ありますけれども、これも高齢者がほとんど入っていくというような方向になるんじゃないかと思うんですね。そのストックを最大に活用することと、それから、今、厚生大臣言われましたように、高齢者ができるだけ活動するということが重要なんですね。  全国の町村会長の黒澤さんという村長は、上野村の出身なんですが、八十四歳。高齢者の率は非常に高いんですけれども、厚生省で必要だとしている、高齢化率に対する介護の必要な人の割合は半分以下だそうです。村長が頑張っているからみんな頑張ろうと、こういうことなので、やはり活動する場というのをどんどんつくらなきゃいけない。公営住宅、公団住宅があるわけですから、そこを十分に活用していくということが必要じゃないかと思うんですが、建設大臣か総理か、どちらからでもいいんですけれども。
  242. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 二十一世紀は高齢化社会を迎えるわけでありますが、上野委員には住宅の問題につきましても大変多くの示唆をちょうだいいたしておりまして、この席をかりましてお礼を申し上げておきたいと思います。  殊に、今お話しのように、高齢者、障害者を含むすべての人が住みなれた町で生き生き人生を送る、暮らすことができる町づくり、こういったことが不可欠でございまして、建設省といたしましても、福祉分野を初めとする関係省庁と連携を図りつつこれからも政策を講じてまいりたい、このことは重要だと認識をいたしております。  御指摘のように、バリアフリーの公営住宅新規建設実績で、平成三年から八年でございますが二十六万五千戸、公団賃貸住宅新規建設実績で六万六千戸、将来を考えますとまだまだこうした分野の政策努力は必要だと思っておるわけであります。厚生省と連携を図りながら、住宅の分野におきましては公営住宅における福祉施設の併設の促進、いわゆるシルバーハウジングの供給、また町づくりの分野につきましては福祉施設と都市公園の一体的な整備、市街地再開発事業による福祉施設の立地誘導等、住宅整備、町づくりと一体となった施設が肝要でありますので、鋭意進めてまいりたいと思っております。  今後とも、関係省庁と相図りながら、高齢者に向けての住宅・社会資本整備を強力に推進していかなければならぬと、こう心得ておる次第であります。
  243. 上野公成

    上野公成君 これからも今の量とは比較にならないぐらいの施設も必要ですし人も必要なわけですから、役割分担をしていただいてぜひやっていただきたいと思います。  もう一つは、市町村が役割を担うことになっているんですけれども、デンマークでは一九七〇年に市町村合併したんです。千三百八十八を二百七十七にしました。それと同時に、所得税が五〇%と申し上げましたけれども、国が二〇、県が一〇、市が二〇、こういう割合にしまして、その二〇%を自由に市が使える。それだけの行政能力をそろえて市に任せたわけですけれども、日本の場合はなかなかそこまでいっていないんです。しかし、すぐ合併しろということも無理であります。何かそれに見合ったことをやらないと、もう少し市町村を助けるようなことをしないと保険がうまくいかないんじゃないかと思うわけでございますけれども、総理いかがでしょうか。
  244. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、全国に現在三千三百余りの市町村が存在し、その中には非常に巨大な都市、そして非常に過疎に悩む小さな町村、さまざまなものがございます。そして、これが自主的な合併が進んである程度の規模を整えていただくことができれば、私はそれが一番望ましい姿だと思います。  というのは、これは自分の郷里を振り返りましても、過去に強制合併を県が考え、結果として非常に大きな傷跡を残した地域等もございました。それだけに、自主的な合併というものが進み、ある程度の行政規模を備えることがこれはベストでありますけれども、必ずしもそうはいきません。ですから、地方分権推進委員の先生方には、例えばこの規模ぐらいの人口を抱える行政単位であればこの程度の権限までを市の段階におろせるのではないか、そういった検討もお願いをしてまいりました。  同時に、なかなか歴史的にあるいはいろんな事情で合併が難しいと言われるところ、私どもは広域連合、一部事務組合、使える手法はどんどんお使いをいただいて、市町村合併には至らなくてもその事業を推進していく上で必要な規模が備えられるための手法は今までも講じてまいりましたし、これからもそういう努力はしていきたい、そのように思います。
  245. 上野公成

    上野公成君 保険料はどこが高いとか安いとかということはないわけですから、どこに住んでいたから、その市町村が弱かったから不利だということのないようにぜひしていただきたいと思います。  次に、時間がなくなったんですけれどももうちょっと経済構造改革関連で質問させていただきたいんですが、国際的に魅力のある事業環境をつくるというので経済構造改革行動計画がことし五月にできました。その中で、いろんなコストを下げるということですけれども、電力料金を下げるということがあると思います。二〇%くらい下げるというようなお話も伺っていますけれども、いつまでにどのくらい下げるかということを通産大臣にお伺いしたいと思います。
  246. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) 上野委員の御質問にお答えをいたします。  電力料金がどのように下がるか、いつごろ下がるかというようなお話でございますが、これもちょうど規制緩和の一番いい例であるというふうに思います。電気料金は貿易財じゃありませんものですから、値下げの圧力がかかりません。そういうところがら規制の緩和をいたしまして競争原理を取り入れたということでございます。ちょうど平成七年十二月に電気事業法の改正を行いまして、電気事業者が許可なしに自由に参入できるようにいたしました。  したがいまして、電気事業者に卸売の電気が売れるようになったというところから非常に競争原理が働くようになりまして、平成八年には三百四万キロワットの入札を受け入れるような形になりました。電力会社の従来の上限の価格の大体一〇%から三十数%低い料金で卸売が入るというような状態ができたわけでありまして、こういう電源の価格のダウンというものが将来に向かって大きなコストの引き下げにもなるんだろうというふうに思います。ちなみに、九年度におきましては二百八十五万キロワットの応札をさせることになっております。  さて、電気料金の引き下げにつきましては、本年五月の、ただいまお話がありましたような閣議決定による「経済構造の変革と創造のための行動計画」によりまして、二〇〇一年までに国際的に遜色のないコスト水準にするということを目指して今電気事業全般の見直しを行っているところでございます。大体来年の初夏の取りまとめに向けて、電気事業審議会においてさらなる競争原理の導入の見地から取り組みを行っておりまして、また海外の規制制度の改革の実態も踏まえまして取り組みを行っております。  具体的には、電気事業者が来年のできるだけ早い時期に料金改定を行うと言っております。さらに、二〇〇〇年までにこの料金の引き下げを再度行うということになっておりますので、その方向に向かって今取り組んでいるところでございます。
  247. 上野公成

    上野公成君 細かく聞こうと思ったんですけれども、大体わかっていますので、こちらで承知していることだけ言いますと、電力の負荷率というのがありまして、能力に対してどのぐらい実際使っているかということですけれども、これは、昼は冷房でうんと使って、夜は使わないというのがあるんですけれども、昭和四十年代の前半は七〇%だったんです。今は五五、六%です。ドイツが六九、イギリスが六七です。これは冷房をしないということもあるわけですけれども。  そこで、負荷率を一%上げますと大体一%料金が下がるんですね。一%を全部蓄冷、夜の電力で氷でもつくっておいて、それを昼に使うということをしますと、大体二億四千万平米をやると一%下がるんです。今、ストックが十五億平米ぐらいあるんですね、非住宅が。住宅は三十七億あるわけですから、五十二億ぐらいあるんです。半分をやれば大体八%下がるわけです。そのために多少費用は違うわけですけれども、しかしこれをやると原子力発電所が大体十七基ぐらい要らない、つくらないで済む。それから今、CO2の削減の計画がありますけれども、大体私が計算したところによると、五%下げるということですけれども、〇・六%ぐらいはこれで下がるというようなことになります。  そこで、やはり蓄熱、蓄冷ということをできれば義務づけたらどうか。これは建設省と通産省がそういう協力をしていかないとなかなかうまくいかないんじゃないかと思うんですけれども、建設大臣はおられないかな。  じゃ総理、そういう両方、要するに構造改革を実現するためにはやっぱり本当に……
  248. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) お答えいたします。  先生のお話は太陽電池の電気の問題だろうと存じますが、違いますか。
  249. 上野公成

    上野公成君 違います。
  250. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 通産大臣、建設大臣にかわりまして。  今、余剰電力を利用しての夜間における蓄冷、その蓄冷を昼間の冷房に利用する。今、議員自分で計算された数値でこの必要性を述べられました。同時にコストのアップがあるということもお認めになりました。  私は、余剰電力を利用し、夜間のうちにそれを蓄冷することによって昼間の温度を下げるという手法は非常に魅力のある手法だと思います。しかし、その上で、それを今後住宅を整備される、あるいは居住用空間ではない工場施設等も含めてかもしれません、の建設に義務づけるということが果たして現実的だろうか。殊にコストのアップというものを考えますとそういう思いがいたします。  同じような視点で申し上げますならば、例えば複層ガラスを採用した場合の断熱効果、こういうものも論議としてございますし、あるいは太陽光利用の発電、発熱、いろいろなものが考えられてきておるわけでありますけれども、残念ながら現時点においては、これは有効なことであることがわかりながらも、コストを上げる要因になっております。言いかえれば、強制しなくてもそれが採用される価格水準にまでいかにこれを生産のラインに乗せていくか、そういう民間企業の行動に対してどういう誘導措置をとれば国としてその目的を達し得るか、今後に対する一つの切り口をちょうだいするような思いで拝聴をしておりました。
  251. 上野公成

    上野公成君 これはもう時間がありませんが、そんなに価格、コストは違いませんし、電気料で何年かである程度勝負できるということがありますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  終わらせていただきます。
  252. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で永田良雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)
  253. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、竹村泰子君の質疑を行います。竹村泰子君。
  254. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 質問に先立ちまして、一つお尋ねをいたします。先ほども小泉厚生大臣、郵政三事業国営化が継続されるなら大臣をやめると発言しておられるのですが、あるテレビは三人目の大臣辞任者が出るかもしれないというふうな報道をしておりました。  しかし、先ほども総理と厚生大臣からお答えがありましたけれども、やっぱり閣内不一致というふうに国民は見るわけでありまして、幾ら発言の自由があるとはいえ、そういったことではまたまた信頼を失うことにもなりかねない。  そういうことで、総理及び小泉厚生大臣、お答えいただきたいと思います。
  255. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 自由民主党は、自由闊達な議論を阻止しない大変おおらかな政党であります。内閣におきましても、議論は活発にやろう、議論を闘わせるうちにおのずから合意ができてくるであろう。そういう意味におきまして、この議論はしてはいけない、あの議論はしろというような指示は総理もしておりません。  そういう中で私が発言しているわけでありまして、この行財政改革におきましても、あるいは郵政事業の見直しにおきましても、必ずや調整できる、合意できる、現状を打破できる改革の姿が見せられるような案がまとまると思っております。また、総理はそのような決断をされると私は信じております。
  256. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現在その議論をここでもう一度申し上げることが適切かどうかわかりませんが、自民党総裁選のとき小泉さんと私はこの問題をめぐって議論をいたしました。一致しておりました点が二点ございます。  一つは、財政投融資をこのままにしておいてはいけないということであり、その財政投融資を改革していくためには特殊法人改革をしなければならないということでありました。そして、その問題の大きな部分が資金運用部への預託というところにある、ここまでは我々が一致して認めていたところです。その上での手法については議論がありました。  しかし、議論がなければ私は前進もないと思います。そして、決まれば従うというのは私どもの党の当然のことながらルールでありますが、そこまでの議論というのは、いろいろな角度から衆知を集めてよりよい結論を出すためのプロセスだ、私はそう考えております。
  257. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 その点は十分に橋本内閣御留意の上、国民の信頼をきちんと取り戻すことができるような、そういう内閣であってほしいと私も国民の一人としてそう思います。  それ以上この問題を追及するのはやめますけれども、今国会泉井石油問題、ガイドライン、そして景気対策、またCOP3など、やらなければならないことが山積なのでありますけれども、私どもにはそれほど時間が与えられておりませんので、きょうは私は財政構造の問題点と財政構造改革についてまず御質問したいと思います。  しかし、これらのことはやがて、私ども強く要求しておりますように、委員長にお願い申し上げますが、泉井証人喚問、また集中審議等、十分な審議時間を得られますように改めて強くお願いしたいと思います。
  258. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまの件につきましては、後刻理事会におきまして協議いたします。
  259. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 財政構造の問題点、財政構造改革とは一体何なのか、今日の政治の大きな焦点であります。国と地方を合わせた債務残高の総額が四百七十六兆円、いわゆる隠れ借金と言われる隠された赤字国債を加えますと五百二十一兆円にも上る、GDP五百十六兆円よりも大きくなるという惨たんたる状況であります。  政府は、やっとのことで重い腰を上げられまして、財政構造の改革に向けて特別法を策定し国会に提出されました。しかし、もう各方面から指摘されておりますように、名ばかりなんじゃないか、構造改革になっていないのではないか、単に経費に上限をはめ込んだだけのような気もします。この法案を読んでみましても、どうもよくわからないところが随分ある。  総理、法案には各歳出分野の改革の基本方針が一応示されておりますけれども、今後、法案に示した諸改革をどのように実現し具体化していかれるのか、改革はどこが進めるのか、諸改革の具体案の進め方をお示しいただきたいと思います。
  260. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) どこが進めると、おっしゃる意味がもう一つ私にはつかめません。と申しますのは、この財政構造改革法案、政府が提出をし、御審議を願い、国会で御了承いただいて、政府が実行していく性格のものであります。  そして、平成十年から平成十二年度までの集中改革期間中の主要な経費ごとの量的な縮減目標を定めますとともに、今御指摘がありましたように、各歳出分野について改革の基本方針というものを定めております。当然ながら、今後その量的縮減目標の達成に向けてそれぞれの歳出分野におきましてその歳出構造の見直しを行うわけであります。その見直しというのは、当然ながらその歳出分野それぞれに示されております改革の基本方針に従って行われるわけでありまして、その改革の内容というものは、それぞれの責任ある部署が各年度の予算編成においてこれを具体化することになっていくこと、これはもう御案内のとおりでございます。  ちなみに、量的な縮減目標を掲げておりません平成十三年度から平成十五年度の間につきましても、こうした改革の基本方針に沿って歳出構造の見直しをしてまいります。量的な上限がかかればいや応なしに、従来と同じ発想のままで施策の積み上げはできませんから、その内容に踏み込んだ見直しが行われることになると、私はそう考えております。
  261. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 総理のおっしゃる意味あるいはこの財政構造改革にかけておられる情熱はわかるんですけれども、それがなかなか国民に見えにくいところがあるということを私は申し上げております。じゃ少し細かいところについて聞いてまいりたいと思いますけれども、財政構造改革法案は今後特別委員会で詳細に審議をしていくわけですので詳細はそこに譲るといたしまして、きょうは二点だけ指摘したいと思います。  その一つは、財政構造改革及び同法案の中心をなす当面の目標である財政赤字の対GDP比率、これを二〇〇三年度までに三%以下に抑制するという目標、三%以下の目標はそれなりに理解いたします。しかし、政府が定めようとしている財政赤字の定義、これが実にわかりにくいんですね。中央政府と地方政府の貯蓄投資差額、この合計と言いますが、総理、大蔵大臣、この貯蓄投資差額とは一体どのようなものか、わかりやすく、私にもわかるように教えてください。
  262. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  本法案におきまして貯蓄投資差額という概念を使用しておりますが、この概念は国際連合が定めております国民経済計算の体系におきます貯蓄投資差額を財政赤字の指標として使用しているわけでございます。  これを単純に申し上げますと、まず政府の貯蓄と申しますのは、政府には税等を中心とする収入がございます。それから、支出の中では給与だとか物件費とかあるいは補助金のような経常的な支出がございます。それからもう一つ、政府の支出の中には投資的支出、その両方がございます。まずその政府の貯蓄といいますのは、租税等の収入から経常的な支出を引いたもの、投資の部分は入りません、それが貯蓄でございます。それから、さらに政府の公共事業等の投資的な支出、これを引いたものが貯蓄投資差額ということになるわけでございます。  家計におきましても一年間の黒字、赤字を判断する際には収入と支出の差額を見るわけでございますが、政府におきましても収支を判断する材料として収入と支出の差額である貯蓄投資差額を用いているわけでございまして、これは世界的にも用いられている指標でございます。
  263. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 総理と大蔵大臣、お願いします。
  264. 三塚博

    国務大臣三塚博君) お答えします。それはわかりよく言いますと、主計局長の話もわかりいいと思うんですけれども、私流に基本的な三%という数字は何かということなんです。財政は今申し上げたとおり租税等収入によって賄われるわけでございます。それを超えて行うということになりますと、公債を発行しなければなりません。その公債発行高の歯どめをかけるということであります。  財政の節度が原理に基づいて運営されていくことにおいて、初めて国民生活はインフレに悩まされることなく生活が安定をし、そういう中で経済が進展をしてまいります。これは経済学の原則なんですよ、国連と言っていますけれども。ヨーロッパ先進各国が統一通貨に向けてスタートを切りました基準もまさにこの国連の定めたいわゆる国民経済計算という、SNAと言っておりますが、これを採用したことは間違いありません。  そういうことで、赤字公債に頼る財政支出は思い切って改めていくということが大事ではないか。特に、御指摘のように地方、国を合わせまして五百二十兆を超えると言われる債務を抱えております。GDPとやや同じであります。もうここが限界でございますから、その目標に向けて、赤字公債の発行を一挙に解消できませんから、六カ年で七兆四千七百億円は減額に立てて、その分歳出カット等、また税金の有効適切な使い方を諸制度を見直すことによって取り進めてまいらなければならぬ、こういうことであります。
  265. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど主計局長の説明で使っておりました言葉で私に一番わかりやすかったこと、それは家計が黒字か赤字か、これを判断するときに一年間の収入と支出の差を見る、それと同じだという言い方を彼が使いましたけれども、政府におきましてもその収支を判断する方法として収入と支出の差額であります貯蓄投資差額というものを用いたと。ごく自然なことではないだろうか、私はそのように思います。
  266. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 財政構造改革法の第四条に、今、大蔵大臣がお答えになり、総理もお答えになりましたけれども、「財政赤字額(国際連合の定めた基準に準拠して経済企画庁が作成する国民経済計算の体系(以下「国民経済計算の体系」という。)における中央政府の貯蓄投資差額及び地方政府の貯蓄投資差額を合算した額であって、零未満のものをいう。しと。そして、ゼロから差し引いた額を同年度の国内総生産、GDPの額で除して得られる数値を百分の三以下とすることと。これわかりますか。説明してください。
  267. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  単純には先ほど申し上げたとおりなんでございますけれども、法律というのは厳密な定義が必要でございますのでこういう条文にならざるを得ないということで、条文は確かに大変難しいんですけれども、説明を聞けばわかるのではないかと思います。
  268. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私だけじゃなくて、これはわからないので専門家にも聞いてみたんですけれども、計算できないというんですね。  大変失礼ながら、閣僚の皆さんも含めて国会議員の中にも、この貯蓄投資差額をきちっと理解しそして額が出せるという方がいらっしゃるのか。私は非常に数字に弱い人ですから基準にはならないんですけれども、数字に強い方でもそういうことがすぐおわかりになる方はほとんどいらっしゃらないんじゃないかというふうな気がするんですね。ごめんなさい、失礼なことを言って。まして国民はこのような言葉すら聞いたことのない人が大部分でしょう。  行財政改革は何よりもまず国民の理解と協力を得て初めてできるものだと思います。それなのに国民の大多数が理解不能。そして、計算の数字も数値もわからない。出てこない、なかなか。そういう言葉や数字を目標にすること、これが果たして適当でしょうか。  財政赤字とは、国債の発行額と地方債の発行額の合計額と簡単に言えばそれでいいんじゃないんでしょうか。みんなによくわかるんじゃないでしょうか。  国際比較ということもおっしゃいましたけれども、まあEUなどは十五カ国が通貨統合しなきゃならないわけですから、そういうことはきちんとやらなきゃならないでしょうけれども、我が国は別にEUの通貨統合に入るわけではありませんから、これは霞が関のお役人の理論の押しつけなのではないかと思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。
  269. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 私もそこは言ったんです、わかりにくい。これに対して、今、主計局長がさらりと言いましたが、法律構成になりますとこういう文章になりますと。こういうことで、しばし議論をやりましたが、法制局の審査もこういうことでなければと。率直に申し上げます。そういうことで、よって国会論議の中におきまして、竹村先生が言われましたようなことに私どもも率直にお答えを申し上げ、健全な財政は健全な家庭生活を保障する、国家財政もまたしかりと。  こういうことで、むだを省いて、必要なものはどんなことをやっても捻出をする。足らなければ御負担をお願いせざるを得ない。御負担をお願いするのには、前段において有効、適切、効果的に税金を使わせていただく、これに尽きる、こういうことであります。
  270. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大臣のお話を聞いていると、ますますわからなくなっちゃいます。  大臣は毎日数字の中で暮らしていらっしゃるんでしょうから、そして橋本総理も大蔵大臣をなさって非常に数字に強い方ですから、すぐにばっとお出しになれるのかもしれないけれども、やはりこれは非常にわかりにくい。  法律はわかりにくいとさつき主計局長はおっしゃいましたが、確かにそれはそうですが、もう少しわかりやすいものを数字の基本としてお出しいただきたいし、表現も工夫していただきたいというふうに思います。  これはここでずっとやっているわけにはまいりませんので、きょうは打ち切りますけれども、少し工夫をしていただきたいし、それから国民にどうわかってもらえるかという努力をもっとしていただきたいと強く要望しておきます。  次に、財政構造の改革は、財政という一つの体、その改革とともに、その体の中を流れる血液、その両方の改革が不可欠なのではないでしょうか。そうじゃないと健康とは言えないと思います。その意味で、一般会計の改革だけではなく、その下にある特別会計の見直しが必要だと強く考えています。国民には一般会計しか知らされないわけですよね。新聞に絵入りで解説が出ますけれども、あれは一般会計だけ。一般会計がその頂点にあって、その下に三十八の特別会計があって、そしてその下に政府が出資して設立した公庫や公団、事業団などの特殊法人が八十八あるのですか。そして、なおその下に子会社、孫会社まで含めると三千社を超える関連会社がある、こういうことは全然国民には知らされないわけです。  平成九年度でいいますと、一般会計の総額は七十七・四兆円、うち人件費、物件費、施設費、旅費という、行政を執行していく上での固定費用は八・一兆円、全体の一割強ぐらいです。そして残りが政策的経費。一般会計から直接支出される交付金や補助金、負担金などいわゆる補助金等は二十・三兆円、全体の約四分の一強を占めています。そして残りの大部分、四十五・八兆円、約六割は特別会計に流れていってしまうわけです。これはだれも監視することができない。一般会計はトンネル会計と言われるゆえんであります。  では、なぜこれほど多くの特別会計ができているのか。その理由は、特別会計の所管は各省庁であり、そして大蔵省の影響が及びがたい。しかもまた国民国会の監視の目が届きにくい。そして資金が余ればそれは蓄えておける。こういうメリットがあるために特別会計は非常に各省庁に優待されるわけだということなんですね。  新聞も情報公開されないこうした仕組みについてぜひ書いてほしいなと私は思いますが、大蔵大臣にお答えいただきたいと思います。
  271. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 一般会計の議案は提出をいたします。そのとき、特別会計も予算の分厚い書類には出させていただいております。公社公団、財投の資金を受け入れて事業をやっておりますから、本件についてもその計算書は出ておると存じます。  そういう中で、会計検査院も本件について監査を一生懸命やられておるということの中であります。委員言われますとおり、そのことがなかなか理解されないのではないだろうかということでございますが、このように御論議を盛んにいただきますと、その都度、本問題について私どもも真剣に答弁をさせていただく、会計検査院長にもその経過をお話しさせていただくということであろうかと思います。  いずれにいたしましても、今回の財政構造改革は聖域を設けず見直しをいたします。一般会計はもちろん、特別会計またしかりであります。そして預託制度は、最終的に中間取りまとめから最終取りまとめでそのとおり決定されると思います。そういう中で、財投の資金を受け入れるところがどうなるかということもあります。機関債なのか財投債を並行するのかという根本義の御議論も賜ることとなりますので、この財政構造改革に関する特別措置法ということを御提案させていただきましたのは、国民論議を国会を通じてまず盛んにしていただくことによって御理解をいただき、そして監視の目を、会計検査院だけではなく国民全部の関心と注目の中で論議が行われて、むだなものはむだなものとして削除、時にそれは民間移管、あるいは民間も受け取らないものはやめる、こういうことになるわけでございますから、そんなことでぜひとも御理解の中で御推進賜りたいと思います。
  272. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 時間がないので余り深追いできないんですが、これは分野によって大分違うと思いますけれども、ある委員会で特別会計の中身を、細目をある委員が要求しましたところ、全くその省庁からはいただけなかった。だから、我々も細目はわからずに大まかな大枠でもって承認をしなければならないという状況がありますので、またこれは別の機会にゆっくりとやらせていただきたいと思います。  次に、財政法二十八条なんですけれども、この財政構造改革の中で、ことし前半世間を騒がせました問題の動燃事業団、このずさんな実態が浮き彫りになるという問題がありました。その後も政府からの資金が目的外の支出に充てられていたという事件も発覚して、私たち、もうこれでもかこれでもかと繰り返されるずさんなやり方にびっくりしているわけであります。  そこで、その折に動燃の予算や決算はどうなつているんだろうかと調べようと思いまして、政府の提出している予算書や決算書あるいは財政法二十八条の参考書類等をめくってみました。しかし、どこにも動燃事業団のような特殊法人予算や決算はないんです。どこにもないんです。科技庁はわかっていらっしゃるのかもしれないけれども、ないんです。  そして、財政法二十八条をあけてみますと、その七号に政府出資の特殊法人等の提出すべき書類のことが記されています。そこには、「国が、出資している主要な法人の資産、負債、損益その他についての前前年度、前年度及び当該年度の状況に関する調書」と、二十八条にこうなっているんですね。どこにも予算や決算の文字がないんです。これはちょっと私の見間違いではないかと思ってもう一度よく見たくらいなんです。  総理政府が出資している特殊法人、認可法人等には同時に多額の補助金が毎年出されています。これら法人等の予算や決算がどのようになっているのか私たちが知るために、予算書、決算書の国会提出が絶対に必要だと私は思います。そうじゃないと、ああいう動燃のような特殊法人が次から次へといろんなことをやってくれることのチェックができない。  総理、約束をいただきたいんです。予算、決算もあわせて提出すること、そして国が出資している主要な法人だけではなくて、すべての法人について提出をするよう、財政法第二十八条七号を改正していただきたいと思います。  総理、大蔵大臣にお伺いします。
  273. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 財政法第二十八条の七号におきまして、国が出資しております主要な法人の資産負債、損益その他についての状況に関する調書を添付して国会予算審議の材料として提出しているところでございます。  なお、この予算を通じて行われる国の出資状況を示しまして、当該出資を基本財産として活動する主要な法人の事業活動を明らかにする趣旨から、これは昭和四十八年三月一日の衆議院予算委員会理事懇談会におきまして具体的な基準が示されております。政府としては、それに沿って現在提出しているところでございます。
  274. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大蔵省のお役人には私はそんな要求はしておりません。財政法二十八条七号を改正してくださいというのは、やっぱりこれは大蔵大臣にお願いするしかないのでありまして、御決意をお聞かせください。
  275. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 国会国民代表で審議をする場でありますから、不備な点は充足をしなければなりませんし、今後、御趣旨を踏まえて検討を申し上げます。
  276. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 通告をしておりましたアジア歴史資料センターについて、時間がなくなってしまいましたけれども、大変よい報告書が出ております、有識者会議から。  それで、私どもが真実の、ありのままの歴史資料センターをどのようにつくっていけばいいか、総理の御決意を伺って終わりたいと思います。
  277. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 平成六年八月の村山総理大臣談話を契機として有識者会議が結成され、アジア歴史資料センターについて非常に有益な提言がなされております。そして、このセンターの設立意義として、近現代史における日本とアジアの関係を見詰めようとする姿勢を世界に向かって示すもの、そして日本とアジアの間に真の友好関係を確立する契機になるもの、これがその骨子であります。  私ども、これは非常に大事な役割を将来において果たすであろうという期待を持ちながら、現在この構想の具体化に向けまして関係各省庁間で話し合いを継続いたしますとともに、センターにおきまして収集の対象となり得る各種の資料の所在確認、所在情報に関する概括調査等を所要の予算等をちょうだいしながら進めてまいりました。  このセンター構想は大変大事なものである、そういう意識を十分に持っておるつもりでありますし、この構想を今後とも着実に進めていきたい、そのように考えております。
  278. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ありがとうございました。
  279. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で竹村泰子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  280. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、照屋寛徳君の質疑を行います。照屋寛徳君。
  281. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。先に政治倫理の問題をお伺いいたしたいと思います。  今臨時国会重要課題の一つが政治倫理の確立てあることは論をまたないと思います。私は佐藤孝行を入閣させた任命権者としての総理責任は重大であり、同人の辞職をもって一件落着とはならないと考えております。改めて総理の所信を伺います。
  282. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本院におきましても何回か同様の御指摘をいただき、そのたびに私は自分の率直な気持ちとして、世論重み、すなわち政治により高い倫理性を求めるという世論重みに十分配慮をいたさなかった、この点についての反省おわびを申し上げてまいりました。  そして、ただいま議員が一件落着というような言葉をお使いになりましたけれども、この結果として私に課せられた負うべき責任は一層重いものになった、そのように自分で受けとめております。
  283. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 ゼネコン汚職の元建設大臣中村喜四郎被告人があっせん収賄罪で実刑判決を受けたことは極めて重大であります。私は同人の速やかな議員辞職を求めるものであります。総理は中村喜四郎議員に辞職を求めることについてどのようにお考えでしょうか。
  284. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この判決について、判決が出されました日、これを非常に重く受けとめるということを私は申しました。  その上で、与党三党の党首を交え合意いたしました政治倫理等に関する三党確認に基づいて、政治倫理の確立に向けて、また国民信頼回復に向けて最大限努めてまいりたいと存じます。
  285. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 泉井疑惑証人喚問等を通して徹底的に解明されなければなりません。政官業の構造的癒着を断たなければならないからであります。我が会派もプロジェクトチームをつくって疑惑解明の作業を続けており、既に大蔵官僚との不正の疑いを固めております。今後、当委員会で追及してまいりたいと思います。  そこでお伺いいたします。  総理は九月三十日の「政治倫理等に関する三党確認」をどのように実現しようとしておられるのか、所信をお伺いいたします。
  286. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員が引用されました、また議員の御発言前に私から申し上げました与党三党間で合意をいたしました「政治倫理等に関する三党確認」、これに基づきまして、私の記憶では十一名、与党三党から選ばれました委員がただいま協議を行っておる、そのように承知をいたしております。そして、その中でまとまりますものを私どもが誠心誠意推し進めていく責任を持っておると思っております。
  287. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 次に、総理に沖縄の基地問題についてお尋ねをいたします。  具体的な質問の前に、先般、中曽根元総理は在日米軍は番犬の存在だと言いました。沖縄はその番犬によってかみつかれたり、かみ殺されたりなどの被害を五十二年間受けてきたのであります。沖縄にとっては決して番犬ではなく、むしろ飼い主に危害を加えるどうもう性を有しているとしか思えません。総理は御自身も在日米軍は番犬の存在だと、こういうふうに思っていらっしゃるのでしょうか。
  288. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はそのような認識を持っておりません。
  289. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 沖縄の米軍基地を整理、縮小すべきだというのが百二十八万県民の願いであります。五十二年間続いた膨大な米軍基地が存在するがゆえにさまざまな負担と犠牲を強いられてまいりましたが、もうこれ以上耐えられないというのが率直な県民感情であります。ところが、SACOの最終報告、これによりますと、そのほとんどが県内移設を前提にした内容になっており、根本的な基地問題の解決にはならないと多くの県民は思っております。  総理は沖縄の基地問題解決に向けてどのような具体的かつ有効な方策を考えておられるのか、その道筋をお伺いいたしたいと思います。
  290. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員からはしばしば同じような御質問を受け、そしてしばしば同じような答えを私も申し上げてまいりました。  今回のSACOの最終報告、これは沖縄県から伺いました御要望も踏まえながら、行政府が、また関係者が最大限の努力を払った結果として取りまとめたものであります。そして、これを着実に実施していくことが県民の方々の御負担を一歩ずつでも減らしていくその最も確実な方法だと私は考えておりますし、その考えは今も、議員からはおしかりを受けるかもしれませんが、現実の選択肢としてはこれしかない、そういう思いでおることは事実であります。  殊に、議員は今回お触れになりませんでしたが、初めて知事にお目にかかりましたときに知事が切々と訴えられた、その声を受けて、初めてのクリントン大統領との会談の際、議論の爼上にのせましたものが普天間の基地でありました。そして、とにかく町の中のその危険を取り除いてほしいという知事さんの声に私は真剣に耳を傾けたつもりであります。結果として、その御要望を満たし、なおかつ現実に選択し得る、これは海上移設しかないという結論でありました。しかも、それは移設、撤去の可能なものという前提であります。  そして、今県内にいろいろな御論議がありますこと、私も承知をいたしておりますけれども、一刻も早く知事の指摘されましたような危険な場所から移設可能な海上施設へとこれを移したい、それが実現できるようにさせていただきたい、そのような思いを込めまして、先般設置をいたしました普天間飛行場移設対策本部を中心に政府を挙げて取り組んでおります。この議論にいたずらに長い時間を費やすことなく、基地が残り続ける日が少しでも少なくなるようにぜひ御理解を賜りたい、心からお願い申し上げます。
  291. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は沖縄で生をうけ沖縄に住んでいる者として、しばしばであれこれからも基地がなくなるまで基地問題を訴えてまいりたいというふうに思っております。  総理は今、普天間の飛行場問題について、知事が要望された、訴えられた、こういうお話でございましたが、知事が訴えたのは普天間飛行場を早期に返還していただきたいということであって、その代替施設を県内に求める、県内移設を前提として知事は総理に普天間飛行場の返還を求めたのではないと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
  292. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その点は知事さんの名誉にも関することでありますので、県内移設を前提にとも、県内移設を前提にしないとも、そういう一切の前置きはなく、現状の普天間の存在というものがいかに日々の周辺の方々の暮らしの上に不安を与えているかというお話でありました。県内移設是とも県内移設非とも、一切そういう言葉はついておりません。
  293. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 十一月二十一日に政府は沖縄県で復帰二十五周年記念式典を予定しておられるようでございますが、この式典はどのような目的、いかなる内容で構想されておるんでしょうか。また、この式典において沖縄宣言のような形で規制緩和や二十一世紀へ向けた沖縄振興策を総理が発表されるのではないか、こういうようなマスコミ報道もありますが、本当でしょうか、お伺いいたします。
  294. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 詳細にわたりまして現在の作業状況がどうなっておるか私も存じておりませんけれども、この式典を考えましたのは、二十五周年という一つの節目の年に当たり、間近に到来を控えている二十一世紀に向かって沖縄をよりよい県にしていくための、お互いのいわば誓いの場にもしたい、そのような思いで企画をしたものであります。  当初、誤解を受けまして、何かお祝いの場というような受けとめられ方をし、大変私は悲しい思いをいたしました。  沖縄復帰後二十五周年というものはいわゆる祭り、祝いという姿で迎えられるべきものではない。むしろ、この歴史を背負い、少しでも状況を変えていくためにも、二十一世紀に向かっての沖縄を国全体が模索し、羽ばたこうとする、そのような思いを込めた式典にしたい、私はそのように願っております。
  295. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 総理がおっしゃったように、私は、復帰二十五年の現実を率直に手放しで祝賀をするという県民の感情ではないと思います。同時に、私は、この式典をもって政府としてはもう沖縄問題は終わったんだ、区切りなんだ、こういうことであってもならないと思います。  まさに私は、もしこの式典が挙行されるのであれば、二十一世紀へ向けた新たな政府責任で沖縄の基地問題も振興策も解決していくんだ、こういう式典であればなと思っておりますが、再度、総理の決意をお伺いいたします。
  296. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今私が申し上げましたように、いたずらに祭り、祝いの場という思いでこれを企画したものではございません。  同時に、今、議員政府責任においてと仰せられましたけれども、やはりそれは県があり、それぞれの市町村があり、そこに住んでおられる住民皆さんの協力がなければ、政府がいかに羽ばたく計画をつくろうといたしましても、これは絵にかいたもちになります。  県民の将来であります。県民の将来を語ろうとする場であるならば、国も全力を尽くしますが、県も市町村も県民の方々も、一つ一つの問題をめぐる意見の違いはありましても、その未来を信じよう、そして行動しようという思いについてはどうぞ一つになっていただきたいものだ、私は本当にそう思います。
  297. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、沖縄の未来はやはりウチナーンチュが主体的にみずからの責任において選択すべきだというふうに考えております。これはもう多くの県民もそうだろうと思います。  ところで、総理所信表明で沖縄の振興策に触れられました。これから二十一世紀へ向けて、具体的に沖縄の振興策をどのように樹立していかれるお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  298. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今までも政府といたしましては、沖縄県経済が地域経済として自立できるように、そして雇用が確保され県民の生活の向上に資するように、同時にそれが我が国経済社会の発展に寄与する地域であるように、そのような思いで取り組んできたつもりであります。  そして、そのためにも内閣官房長官、関係閣僚と沖縄県知事さんから成る沖縄政策協議会を設置いたしました。現在、この政策協議会のもとに十個のプロジェクトチームを置きまして、県の御要望事項をも網羅いたしました三十四項目及びその関連のプロジェクトについて具体的に検討をしていただいております。  政策協議会での検討結果を踏まえまして平成八年度補正予算に計上いたしました五十億円の特別調整費は、県とも御相談をしながら活用され、既に各省において調査活動や事業に着手しておりますし、それは雇用の上にも生かされておることは議員も御承知でありましょう。今後ともに沖縄政策協議会において検討を深めていただき、沖縄県の地理的特性、伝統あるいは文化というものを生かした振興策を策定できるように、私どもとして努力をしてまいりたいと思います。  また、昨年十一月、沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会、よく御承知のとおりの懇談会からも官房長官に御提言がなされました。これも実現のために、既に今までも努力をしてまいりましたけれども、これからも努力をしてまいりたいと考えております。  こうした思いは、沖縄のすべての県民の方々が長い間背負ってこられたその苦難というものに思いをいたしながら、二十一世紀を担う沖縄の青少年が夢と希望に燃えることができるような、そのような沖縄をつくりたい、私なりにそう思い詰め、進めてまいりました。  先日、知事と相談をしスタートをいたしました沖縄県の優秀な人材を海外の大学に留学させる、修士課程、博士課程の代表の方々が尋ねていただきました。そのとき、私は本当に彼らの決意というものに感動いたしました。同時に、二年なり三年なりの留学期間が終わって彼らが帰ってくるときに、少しでもよくなったな、そんな印象を帰国したときに持ってもらいたい、そのための努力もしていきたい、率直にそう思っております。
  299. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 久間防衛庁長官にお伺いをいたします。  現在、キャンプ・シュワブ沖で代替ヘリポート建設へ向けた調査が行われておりますが、代替ヘリポートの実施計画はいつまでに策定されるんでしょうか。  また、地元の合意は大切です。どのように地元の合意形成を図るおつもりでしょうか、お伺いいたします。
  300. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 御指摘のように、今現地の状況を把握するためにボーリング等を行っております。また、米軍等におきましても運用所要を検討してもらっておりまして、早急にそういう作業を進めておるわけでございます。  しかしながら、実施計画というのは、たびたび総理もおっしゃっておられますように、これは頭越しにはしないということになっておりますから、そういう実施計画はもう少し先になるわけでございますけれども、今行っているそういう作業に基づいて、せめて地元の方々に、地方自治体も含めまして、概要といいますかイメージが描けるようなものぐらいは早く出さなきゃならないと思っております。できましたら今月中にでもそういう概要等をお示しして、それを一つの手がかりといいますか足がかりにしながら議論を深めていって、そしてこれから先どうするか、そういう議論をして、その上で、できるならば同意を得た上で実施計画をつくるという方向に持っていきたい、そう思っているところでございます。
  301. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 合意形成できますか。
  302. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) そういう形で概要を示しながら合意形成を得ていきたい、そういうふうに思っているわけでございます。
  303. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 小渕外務大臣にお尋ねをいたしますが、SACOの最終報告で米軍基地への立ち入りに関する新しい手続を実施することが日米間で合意されました。ところが、SACOの最終報告後、現地米軍は金武町議会、沖縄県議会、沖縄県収用委員会の基地立ち入りをことごとく拒否しておるんですね。これは私は非常にけしからぬ話だというふうに思います。  外務省として、アメリカにSACOの合意を履行するように外交努力を尽くすべきではないでしょうか。まるでアメリカの占領意識と治外法権で基地の立ち入りが許されないということは、私はこれはあってはいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  304. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 地位協定第三条に基づきまして、米軍は施設・区域への出入りを管理するため必要なすべての措置をとることができることは御案内のとおりでございます。立ち入り手続につきましての合同委員会合意によりまして、米軍は立ち入りが施設・区域の運営を妨げない限り立ち入り申請に対してすべて妥当な考慮を払うこととなっておりますが、場合によりましては認めないこともあり得ることでございます。  政府といたしましては、地位協定及び当該合同委員会合意を踏まえ、施設・区域への立ち入り許可申請を扱っていく考え方でございまして、今御指摘のように、種々の問題につきましては合同委員会等におきまして十分御相談を申し上げていくということに相なっております。
  305. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 残余の質問を同僚の上山議員にお許しいただきたいと思います。
  306. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。上山和人君。
  307. 上山和人

    上山和人君 社会民主党・護憲連合上山和人  でございます。  照屋委員の冒頭の政治倫理問題に関する質問に関連して御質問をさせていただきます。  私に許された時間はわずか八分でございます。単刀直入に御質問申し上げますので、お答えになる閣僚の皆さんは丁寧に国民の皆さんにわかりやすく、はっきりとお答えいただければありがたいと思うところでございます。  先ほどから終始、総理の御答弁をお伺いいたしておりました。また、衆議院の予算委員会での質問に対する御答弁も報道等でよく承知をしているつもりでございますけれども、いま一つ、残念ながら総理の御決意が伝わってきません。政治倫理を確立することに向けてどう総理としてのイニシアチブをとろうとなさっているかということについて、いま一つ、大変残念ながら伝わってまいりません。  そこで、私は具体的な問題を通して総理に改めて見解をお伺いしたいのであります。  実は、御存じのように、この九月十九日付で昨年一年間の政治資金収支報告書が公表されました。その中で、全国の病院や病院団体の政治組織から少なくとも、これは報道機関の集計でございますけれども、二百十六人の国会議員と政党の政治資金団体に政治献金が行われていることが明らかになっているわけであります。そして、医療関係団体の中で最大の組織と言われる日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、三師会と言われる団体からは実に総額三十一億七千百七十五万円もの政治献金が行われていることが公表されているのでございます。  私は、この報告書の内容をこのように知りましたときに、実は与党の医療保険制度改革協議会のメンバーの一人として本当に耐えられない思いでございました。そして、私の周りの多くの人たちも顔色を変えて驚いているのでございます。  これは昨年の政治献金の問題ではありますけれども、関係の深いまず郵政大臣に、なぜ関係が深いかということは後ほど申し上げたいと思うんですけれども、郵政大臣の御心境はこれをごらんになってどんなものでございますか、どういうふうにお感じになりましたでしょうか。
  308. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 上山委員とともに、今、先生お話しございましたように与党の医療保険制度改革協議会の同じメンバーでございまして、八カ月間ほどともに勉強できたことを大変感謝をいたしております。  御指摘の政治資金でございますが、御存じのように政治資金規正法に従い適正に処理をいたしておりまして、法律に従って国民にも公開をいたしております。浄財を出していただいた方には、当然憲法に保障された政治活動の自由に基づいて、政治活動の自由がございます。そういった中、政治資金の拠出は自発的意思によりなされたものと受けとめております。
  309. 上山和人

    上山和人君 今、郵政大臣は、まとめて言えば、適法に処理されているから問題はないと思うという趣旨の御答弁だったと思うんですけれども、適法に処理されていれば済む問題でしょうか。同じ協議会のメンバーにいて、ことしの九月一日から国民の皆さんに新たな負担を私たちは求めざるを得ませんでした。社民党としては、終始、制度改革による新たな財源の捻出なしに国民に新たな負担を求めてはならないと言って反対をいたしまして、与党協議会では合意に至らず政策責任者のレベルの協議に移った問題であります。しかし、そういう経過はありましたけれども、九月一日から新たな負担を求めざるを得ませんでした。  そういう状況の中で、昨年の政治献金だからといって、私は今度の一日からの負担、値上げの問題と無関係ではないと思うんです。昨年も一昨年も、その前から病院の経営がどんなに悪い状況になっているのか、先生は医師でもいらっしゃいますから、そしてまた関係者の状態がどんなに悪くなっているか、特に健康保険組合のほとんどの組合が赤字財政に陥って破綻しつつあるという状況はみんなわかっているはずなんです。そういうときに、適法に処理されているからそれでいいんだという答えで済むと思いますか。どうぞ協議会のメンバーの一人でいらした大臣として、もう一度お答えいただきたい。
  310. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 民主主義社会においては、上山先生御存じのように政治にコストがかかります。しかし、そのコストはきちっと政治資金規正法という法律によりまして、今さっき言いましたように、いろいろなお医者さんが御献金なさるときも自分の働いた、そして当然ですが所得税を払った残りで、まさに自発的意思によって政治献金をされるわけでございますから、自発的意思によって政治献金をしていただくということはこの民主主義社会において、政治においてこういつた現象があるということは法律にのっとったことでございますから、私はそういった適法なことをやっているという限りにおいてはきちっと社会的にもそれは認めていただけることだというふうに思っております。
  311. 上山和人

    上山和人君 そのお話をお聞きしますと、政治献金とはそもそも何だと御理解をなさっているのかという点についてやっぱりお尋ねしたくなりますね。  東大阪市の政治献金をしたある医療法人では、本当に病院会計から献金をすることは問題があると思っている、しかしうちだけが献金をしないとまずいと言っている。なぜまずいのか。そしてまた、これは兵庫県のある医療法人ですけれども、例えばベッドをふやすことを実現するときなども国会議員の皆さんに紹介していただくと実現しやすい、だから政治献金をやっているんだ、こんなふうに説明しているんですよ。それを純粋な、いろんなことをおっしゃるけれども、利害と絡まない政治献金が一体どれほどあるんでしょうか。絡まないものもあると思います。あるけれども、大部分の政治献金はやっぱり絡んでいるんじゃないでしょうか。どうですか。
  312. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 上山先生御存じのように、私は本職は内科の医者でございますから、医者の仲間が立派な政治をやっていただきたいと、そういった本当にありがたい気持ちで浄財をいただくことは、私はこの民主主義社会において本当にありがたいことだというふうに思っております。
  313. 上山和人

    上山和人君 これは、ある医療法人はことしから、とにかく病院は税制上も優遇されている、公共的性格も高いんだ、そして国民に新たな負担増をお願いした、そういう状況の中で診療費が政治献金に回ることは問題があると言って政治献金を中止したとも説明しているんです。  私は、もう二分しかありませんからこれから先は総理にまとめてお尋ねをしたいんですけれども、こういう状況の中で、政党別に見ると、二百十六人の国会議員の百八十二人は自民党議員の皆さん、新進党が十八人、民主党が十人、そして太陽党が三人、さきがけが二人、無所属一人です。広範に政党を問わずほとんどの政党の議員政治献金が渡っている。こういう状況について、九月一日から新たな負担増を求めた今、一体今までと同じような対応でいいのかどうか。これから先どうなさるおつもりですか。献金の額でいいますと総理がトップですから、決意をお聞かせいただきたい。これからどうなさるおつもりなのか。以前と同じなんですか。
  314. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身政治活動のために医療関係者を含めまして企業・団体献金を受けておる、これは事実そのとおりでありますし、そのおかげで私は今日まで自分政治活動を続けてくることができたと考えております。そして、今、議員のお立場からの御意見をちょうだいいたしましたけれども、私は、政党のよって立つ基盤それぞれがございますから、政党やあるいはその政党に属する政治家の政治活動の費用かくあるべしだとなかなか一概に言えるものではないように思います。  ただ、もし議員の御指摘が、特定の団体あるいはそれに所属するそうした人々からの寄附、それは一切受けるべきでないというような御主張であるといたしますならば、まさに社民党と新党さきがけ、自由民主党が合意をいたしました先日の「政治倫理等に関する三党確認」の中におきましても、附則九条及び十条については、その趣旨を確認し、平成七年一月施行後の実施状況を十分見極め、入念な検討を加え、今国会中の合意に努力する。  その際、わが国民政治における政党及び政治家の政治活動のあり方を検討しつつ、国民の浄財である個人寄附の拡大など政治資金について、諸外国の政治資金制度などを参考に、具体的な方途を講ずる。 このように明記をいたしており、鋭意検討をしていくべきことと、そのように思います。
  315. 上山和人

    上山和人君 総理、全く一般論なんですよね。私が総理に率直にお尋ねしたいのは、九月一日から少なくとも新たな負担を国民の皆さんにお願いをしているわけですよ。高齢者の皆さんも苦しんでいらっしゃる。サラリーマンの現役の皆さんだって、病院に行ったら二倍になったと大変驚いているわけですよ。そういう状況の中で、少なくとも病院や病院団体、医療関係団体の政治献金をめぐる状況は今までと同じでいいんですかと聞いているんですよ。状況は違うんじゃないですか。今からも総理献金をと申し入れられたら医療関係団体からの政治献金をお受け取りになるつもりですか。率直にお答えください。
  316. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何かどうも議論のかみ合わないところがあるんですが、それぞれの方々がそれぞれの意思で私に寄附をしてくださることを私は感謝しながら今まで自分政治活動を続けてきました。  今、議員が読み上げられました中には、そういう寄附をやめると言っていらっしゃる方もあります。おやめになる。それはその方の御意思であり、続けてやろうと言ってくださる方がありました場合、私は、ありがとうございますと、正々堂々と政治資金として活用させていただく、そう申し上げる以外にないと思います。
  317. 上山和人

    上山和人君 本当に国民が理解するんだろうかと思うんですよ。国民を苦しめながら、その負担増を含めた診療報酬が政治献金となって政治家に還流される。このことについてやっぱり今までと同じだということでは、総理、本当に一国の政治を預かる総理として国民の理解は得られない。あしたからでも医療関係団体の政治献金についてはきっぱりとお互いに国会議員は自粛しようではないか。そして、我が党が主張している企業・団体の政治献金の禁止については前倒しの実施に踏み切る決断をすべきときではないかと思うんですけれども、最後にお答えを願います。
  318. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、御党の党首をも含め三党首の会合の席上、私自身政治資金、企業・団体、個人の別がこの程度ということまで申し上げ、その上で議論をさせていただきました。ほかの方のを伺おうとは思っておりません。その上で、私はみずから全力を尽くして仕事をしていく、それに対して支援をしてやろうと言っていただく、そうした方々を私の方から区別はできません。  同時に、議員の御議論、例えば企業、収益を上げている、庶民に高いものを売りつけている、あるいは違うかもしれませんけれども、だから企業献金は受けるな、あるいはいろいろな関係の団体、全部団体献金は受けるなという御論議でありますならば、まさにその点が先ほど読み上げましたような三党確認の中で話し合われることではないでしょうか。  政党、政治家、それぞれよって立つ違いがございます。そして、私は私自身の資産で政治活動を続ける能力はございませんから多くの方々から寄附していただいている。その資金で政治活動をしておりますし、それが私の行動を制約しているわけではございません。これは私に寄附をしてくださる方々の名誉のためにもその点は申し添えておきたいと思います。
  319. 上山和人

    上山和人君 大変不満でありますけれども、時間が参りました。質問を終わります。
  320. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  321. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、筆坂秀世君の質疑を行います。筆坂秀世君。
  322. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、新ガイドライン問題について質問いたします。  新ガイドラインについて政府は、これは現行安保であるとか、あるいは憲法、国際法の枠内である、こういう説明をされておりますけれども、しかしその実態というのは、この説明とは正反対に、この制約というのを大きく踏み越えるものだというふうに言わざるを得ません。  そこで、まず総理にお伺いしますけれども、総理は本年九月四日、中国、李鵬首相との会談で、新ガイドラインについて日米間で中国を含め特定の国や地域を念頭に置いて議論したことはないと、こう説明をされました。  この説明に対して中国側は納得したんでしょうか。
  323. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私なりに主張を説明しましたことを理解された上で納得はされなかったと思います。
  324. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、これは当然のことだと思います。  そこで、この日中会談でも一つの焦点になりました台湾問題について伺います。  昨年三月のいわゆる台湾危機のとき、アメリカはインディペンデンス、ニミッツ、空母二隻を中心とする空母機動部隊を台湾沖に集結させました。この台湾危機については総理自身も、昨年三月二十六日、参四会という自民党参議院議員の会で、一週間ほど眠れない夜が続いたというふうに語っておられます。それほどいわば緊迫した事態が続いていたということであります。  そこで、防衛庁長官にお伺いしますけれども、このとき日本は、対潜哨戒機P3Cであるとか早期警戒機E2C、これを飛ばして中国軍の情報収集に全力で当たられたと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  325. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 具体的にどうこうしたということは把握しておりませんけれども、我が自衛隊におきましても常日ごろからいろいろと情報収集はいたしております。したがいまして、いろんな状況が、特に高まってまいりましたときには、それをより綿密にといいますか、頻度を上げて情報収集等はそれはするわけでございますが、今御指摘になられたことについてそれをやったかどうかということは、私自身把握しておりません。
  326. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 こんな重大な事態を防衛庁長官が把握していないでどうするんですか。じゃ、だれが把握しているんですか。
  327. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) 私の方からお答えいたします。  自衛隊は、御存じのとおり常日ごろから我が国周辺におきまして航空機等によりまして、航空機、艦船を含みます、こういうもので常続的な監視を行っております。  それで、今御指摘の件につきまして、台湾付近で実施された中国軍の一連の軍事演習活動、これにつきましては十分注意を払う必要があるということでございまして、先ほど大臣からお答えしましたように、航空自衛隊、海上自衛隊の通常の情報収集活動に加えまして、さらに航空機の機数や頻度を増加させることによりまして情報収集を強化しました。  その中で、当該演習の詳細についてどういうことを把握したかと。これは、事柄の性質上お答えを差し控えさせていただきたいということは大臣から申し上げたというふうに理解しております。
  328. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 一昨年の話でございますから、私が就任したのは昨年なので……
  329. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 昨年ですよ。
  330. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) いやいや、ことしの三月にはおりましたけれども、一昨年のことなので
  331. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 一昨年じゃない、昨年ですよ。
  332. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) いや、だから昨年の三月の時点では私はいませんでしたので把握しておりませんということを言ったわけでございまして
  333. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 一昨年と言ったから。
  334. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) いや、失礼しました。昨年でも同じことで。  私は、昨年の十一月に就任したわけでございますので、そのときのことについて私自身はつまびらかに把握しておりませんということを申し上げたわけです。
  335. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 こんな重大な事態を聞いてもいないということ自体が本当に無責任だ。  じゃ、聞きますけれども、要するに情報は詳細に掌握したということです、中身は言えないと。いいですよ。その情報は米軍に提供したんですか。
  336. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) 先ほど申しましたように、我が方の監視活動の一環として情報収集の強化をいたしました。その結果、収集した情報をどういう形で処理したか。今お尋ねの米軍に提供したかどうかについては、これは事柄の性質上、相手もありますことでございますので、差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
  337. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 おかしい、だめだ、そんなのは。今までだって答えているよ。  情報の中身を言えと言っているんじゃないですよ。情報を提供したかどうかですよ。それも言えなかったらどうするんだ。どうやってこれ審議するんですか。何言っているんだ。だめだ、これは。
  338. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) 先ほど申しました私どもの情報収集活動は、我が国の周辺におきまして我が国の平和と安全に資するために情報収集をしているわけでございます。それについてどういうふうに処理するかということについては我が方の判断に基づきます。  実際にその情報を米軍に提供したかという先ほどお尋ねでございますけれども、これは相手方との関係もありまして、その点についてはお答えを差し控えたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。(発言する者あり)
  339. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今までの委員会でもそういう答弁じゃないですよ。だめだ。そういう答弁じゃない。だめだ。(発言する者あり)
  340. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  341. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 速記を起こして。
  342. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) もう一度お答えいたします。  ただいま委員は、今回の、今回といいますか台湾の軍事演習についての情報収集をしたか、それについての情報を米軍に提供したかと、こういう御質問であったというふうに理解しております。  そこで、米軍との間には我が方は一般的に情報交換は行っております。だけれども、具体的にその情報について渡したかどうかというようなことについてはお答えを差し控えたいと、こういうことでございます。
  343. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 あなたは、これは参議院の決算委員会でこう言っているんですよ。一般論を申し上げまして、「平時、有事を問わず、いろんな形での情報交換を行っているということは言えます」、情報の中身についてはお答えを差し控えさせていただきたいと、こういうことを言っているんです。だから要するに、情報提供はやったということでしょう。どうなんですか。
  344. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 従来から一般論としまして、我が自衛隊が情報収集したものを米軍に対して情報を提供しているということは、それは言ってきております。しかしながら、個々の具体的なケースについて、これはやったとかやらないとか、そういうことは従来からも言っていないと思います。
  345. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 じゃ、防衛庁長官に伺いますが、あなたは六月十一日の衆議院外務委員会でこう言っているんですよ。日ごろ行っている情報収集あるいはまた警戒行動で出てきたものは、「自動的につながっていて、アメリカ軍に渡っているわけでございますから、それをある時点でとめる、とめないということはなかなか難しい問題でございます」、こう言っているんですよ。  つまり、自動的に全部渡っているんだということを認めているじゃないですか。
  346. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) あのときは、たしかAWACSか何かの問題に関連して質問されたと思います。そのとき、確かにそのとおり答弁いたしました。それは一般論として、そういうふうな常時情報が流れておるということを言ったわけでございまして、それはそれとして間違っておりません。
  347. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 じゃ、台湾危機のときはどうだったんですか。そのときだけとめたんですか。
  348. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 一般論として判断してもらう以外にないわけでございまして、個々のケースについて、これはやったとかやらないとか、従来からそういうことは言っておりません。
  349. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、一般論として理解してほしいということだから、このときにもやったということですよ、台湾危機のときにも。だってそうじゃないですか、自動的につながっていると言っているんですから。そうでしょう。じゃ否定しなさいよ、それだったら。だめだ、そんなの。結局何もそれじゃ答えていないということになるよ。そんな、だめだよ。
  350. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) いろいろと御推論されるのは結構でございますけれども、個々のケースについてこの情報を相手に伝えたとか伝えないとか、そういうことは相手の立場もございますし、我が方としては従来から言っていないということをぜひ御理解していただきたいと思います。
  351. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 じゃ、質問を変えますけれども、昨年三月の場合はいわゆる台湾有事という事態ではなかったですよ。幸い武力衝突という事態は起こらなかった。しかし、実際緊張状態が生まれたわけですから、総理だって一週間眠れない夜が続いたと述懐されているぐらいですよ。もしそこで台湾有事という事態が生まれていたなら、これはどういうふうにされるんですか。
  352. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) そのような仮定の上に立って議論をどんどん進めますと非常に問題が多くなるわけでございまして、私どもはそういうことにならないように日ごろから外交努力その他を通じながらやっているわけでございまして、私は、先ほど言いましたように、昨年の三月にはその立場に立っておりませんでしたので、どういう緊張状態だったのかどうか、後で話は包括的には聞いておりますけれども、個々具体的な動きというのは聞いていないわけでございます。したがいまして、その辺について、仮定の上に立って、衝突しておったならどうなんだというふうに言われましたとしても、こちらとしては答弁できないわけでございますので、その辺の立場も御理解いただきたいと思います。
  353. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 一般論では済まない、仮定の話では済まないんですよ。仮定の話じゃないんです。しかも、もう一方であなた方は、平時であろうと有事であろうと米軍と情報交換はしますということも言っているわけです。そうでしょう。しかも、アメリカは台湾関係法という国内法までつくって、台湾への脅威とそれによるアメリカの利益が侵されれば、これは武力行使だってあり得るんだということを国内法で明確に決めている国でしょう。そして、現に中国が昨年三月演習したときには、インディペンデンスやニミッツを派遣して軍事行動を起こしたわけです。これ現実の話ですよ。  例えば、ロード国務次官補は議会でどういう証言をされているかというと、確かにこの三月危機のときには、これは武力衝突に至らなかった、しかし万が一のこともあるんだ、そのときにはアメリカは武力行使も辞さないと、こういうふうに言っているじゃないですか。これ何で仮定の話なんですか。仮定の話じゃないでしょう。  そのときにしかも、この前私どもの志位書記局長もやりましたけれども、あなたの極東の範囲には台湾が入っているわけでしょう。日本、関係あるじゃないですか。日米安保条約、極東条項で台湾入っている。もう一方で、国内法で台湾関係法があって、いつでも武力行使も辞さないと言っている。日本だけ何が仮定の話ですか。みんな現実の事態としてこれやられているんじゃないですか。
  354. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) これまでも、総理もたびたび当委員会あるいはまた本会議でも答えておりますけれども、今回の場合、ガイドラインに基づきましてそれぞれの国が主体的に判断するということになっているわけでございます。我が国のしかも平和と安全に重要な影響がある場合ということになっております。  そういうようなことを考えまして、今言われたケースをもってして、これですぐ自動参戦だというような、そういうような話に持ってこられるのは……(発言する者あり)いやいや、そういうよな趣旨の話じゃございませんか、今の話し方はまさに。そういうようなことを、すぐそこまで話が飛躍して、その議論の上に立って、周辺事態がここで発生しているという前提に立って議論をされますと困るわけでございます。あくまでも我が国あるいは米国それぞれが主体的に判断をしながら、なおかつ我が国の平和と安全に重要な影響があるというふうに、はっきりそういうのを我が国自身が認識をして初めて周辺事態になっていくわけでございますので、その辺については即それが周辺事態だというような前提に立っての議論というのは、いささかやっぱり仮定の話じゃないかというふうに思うわけでございます。
  355. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 具体的な問題を出すと必ず仮定の話だと。衆議院でもそうでした。しかし、新ガイドライン自身が仮定の上にできているものでしょうが。新ガイドラインは仮定じゃないんですか。ある事態が生まれるだろうということを想定してあなた方は新ガイドラインをつくったんじゃないですか。仮定の話じゃないと言うなら、新ガイドラインはじゃ具体的にどこかの地域を特定してやっているんですか。おかしいじゃない、その話は。
  356. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) このガイドラインは特定の区域とかあるいは特定の国とかを、あるいはまた特定のケースを仮定してやっているわけじゃございませんで、大枠、いわゆるガイドラインでございまして、大筋を決めているわけでございますから、だから決して仮定の上に立ってシナリオを書いてやっているわけじゃございませんので、その辺についても御理解賜りたいと思います。
  357. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 さっきもロード国務次官補の話をしましたけれども、じゃ中国の側はどうかといいますと、徐信元中国軍副総参謀長はこう言っていますよ。新指針の名は防衛協力だが実際には侵略的要素を持つ。範囲が中国の領土の台湾を含むなら明白な侵略行為であり警戒せざるを得ないと。  アメリカはさっきも言ったように台湾国内法を持っている。中国もアメリカも台湾に対するスタンスというのは非常に明確なんです。事あれば軍事介入します、武力行使もやりますというのがアメリカ。もし何かやればそれは侵略行為だと言っているのが中国ですよ。  そして、日本は極東条項で台湾も極東の範囲に入る、こういうふうに言っている。あなた方は仮定の話だと言うけれども、情報提供を絶対にやらないとあなた方は言わないわけだから、情報提供をこのときにすることもあるわけでしょう。可能性としてはあり得るわけです。そうしますと、中国はそれは侵略行為だというふうにみなすというんですよ。重大じゃないですか。
  358. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 我が国のいろんな得た情報がアメリカに流れたからといって、我が国が侵略したということにはならない。我が国は御承知のとおり憲法九条がございまして、外国に対しては武力の行使をしないということになっておりますし、私どもがその武力の行使にならない範囲でいわゆる情報の収集その他自分たちが集めたものが伝わっていることはそれはあるかもしれませんけれども、それをもってして武力の行使にならない、したがって侵略にはならない、侵略するようなことには決してならない、そういうふうに思っております。
  359. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、答弁の中で情報が提供されることもある、あり得るということをやっとお認めになりました。ただし、それが侵略的行為にはならないと。(発言する者あり)今言ったじゃないですか。速記録を見なさい。  ただし、それが侵略的行為にはならないと。しかし、そんなことは日本が幾ら言ったって、相手のある話ですよ、日本が言ったから侵略にならないということにはならないんです。  私、なぜこのことを重視するかといえば、有事のとき、つまり戦争のときですよ、そのときに情報というのは決定的な意味を持つからですよ。  例えば、これ湾岸戦争の例でいいますと、日本も今年度二機導入しましたけれども、空中早期警戒機AWACS、あるいはE2C、これが非常に重要な役割を果たした。例えば、きょう持ってきましたけれども、国防総省の湾岸戦争最終報告書、これを見ますと、AWACSは多国籍軍の攻撃を支援した。イラク軍がサウジアラビアの石油施設に攻撃を加えようとしたときに、AWACSがイラクのF1を探知し、サウジアラビアのF15に知らせ、撃墜した。この結果、多国籍軍はイラク軍機を五十機撃墜した。AWACSやE2Cの情報が決定的な役割を果たしたというのが湾岸戦争最終報告書に書かれている。  日本も周辺事態、つまり周辺有事のときには情報提供することあり得るわけです。そうすれば、こういう戦闘行動の重要な一翼を日本が担うということにこれはなるんじゃないですか。
  360. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) まず、その前に考えていただきたいのは、今度のガイドラインの見直しは、周辺事態というのも確かに掲げております。しかし、それは我が国周辺の事態で我が国の平和と安全に重要な影響がある場合に米軍と協力するということでございまして、しかもその米軍と日本というのは日米安保条約を結んでいるわけでございます。そういうところに、武力の行使にならない範囲で例えば我が国が収集した情報がアメリカ側に提供されたとしても、それは、我が国が安保条約を結んでいない、日米安保体制がないならまだしも、そういう体制があって、しかも我が国の平和と安全に重要な影響がある場合において、お互い協力するときにその情報が流れたからといって、しかもその情報が流れること自体が武力の行使でないということならばそれは問題にならないんじゃないでしょうか。
  361. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 有事の情報提供が武力行使にならないなんて、それは日本政府ぐらいですよ、そんな解釈をしているのは。  例えば、一九二三年に日本も署名した戦時無線通信取締規則案というのがあります。これには、軍事情報を無線通信により伝送することは敵対行為とみなされ射撃せらるべきものとすと規定しているんです。つまり、あなた方はよく武力行使と一体か一体でない情報かと言いますけれども、そんな区分けはない。戦争をやっているんですから、そのときに軍事情報を提供することはすなわち敵対行為である、したがって射撃されても仕方がない、こういうふうに書いてあるんです。ですから、情報提供は参戦行為そのものなんです。あなただってそのことを認めているんじゃないですか。
  362. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 情報の提供は参戦とイコールでないというふうに理解しております。その情報の提供のすべてが絶対に参戦にならないかとぎりぎり言いますと、従来のこの委員会等の答弁にもありますように、それはそういう場合だってないことはないけれども、一般的にはそれは参戦にはならないというのが私ども政府見解でございます。
  363. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 じゃ、武力行使と一体となる情報と、そうならない情報はどこで線を引くんですか。
  364. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) かつてのこの委員会での答弁だったか、ほかの委員会だったかわかりませんけれども、議事録を読んでおりましたら、方位何度何分のこの方向に向かってこれを撃てというような情報を出した場合に、それは即武力の行使と一体になるんじゃないか、そういうような場合もあり得ると。だから、情報の提供だからといってこれは武力の行使にならないとは言えないというような、たしかそういう議事録を読んだことがございます。
  365. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 非常にはっきりしてきましたよ。つまり、撃てという指令を出さなければ、それは武力行使と一体でないということなんです。そうじゃないですか。そういうふうに言っているんですよ、当時の秋山防衛局長もそう言っているんです。防衛庁長官が今言ったとおり。  しかし、例えば、米軍は戦争をやっているんです、戦闘中ですよ。撃つ姿勢で待っているんです。そのときに敵はどこですと教えるんです。撃つのは当たり前じゃないですか。そんなもの、撃てと日本のAWACSが指揮しなくたって撃つんですよ。だから武力行使と一体なんです。線なんか引きようがない、全くナンセンスな線引きしかないということなんです。  しかも、幾ら日本が線を引っ張ったところで、相手国つまり敵国から見ればどうなんですか。日本がここで線を引っ張っているから日本は敵対行為じゃない、こんなこと言いますか。言うわけないじゃないですか。敵の米軍に協力している日本は当然敵対行為をやっていると見るのが当たり前でしょう。つまり、国会で皆さん、憲法の枠内だということをごまかすための方便にすぎない。そんなもの世界の国に通用しないじゃないですか。どうですか。
  366. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 何度も申し上げますとおり、私どもは憲法に反して武力行使をするようなことは絶対にしない、そういうような前提のもとに、どこまではやれるかということを真剣に考えているわけでございます。  それでは、真剣になぜ考えるかといいますと、アメリカと日本の場合は日米安保条約という条約を結んで、日米安保体制がこの平和に貢献しているというそれを理解した上で、いかにして協力できるか、しかし協力するにしても憲法という枠がございますから、その枠の限度内でどこまでやれるかということを真剣に考えて、武力行使にならない範囲でやるということを考えているわけでございます。
  367. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 情報提供をやれば、あなたも国会で答弁されているし、この戦時無線規則案でも書いているけれども、攻撃されてもしようがない、射撃されても仕方がないという立場に日本を進んで置くんですよ。何でそんな情報提供が憲法違反じゃないんですか。  一事が万事そうですよ。情報提供、機雷掃海、武器弾薬の輸送など後方支援、全部そういうごまかしをやっている。こんなものはもう明白に憲法違反である。私たちは、こういう新ガイドラインは絶対許さない、こういう立場で全力を挙げることを表明して、私の質問を終わります。
  368. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で筆坂秀世君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  369. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、山田俊昭君の質疑を行います。山田俊昭君。
  370. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 二院クラブの山田でございます。総理にお尋ねをいたします。  大臣及び政務次官の任命基準についてお尋ねをいたします。  憲法第六十八条は、国務大臣の過半数は国会議員の中から選ばれなければならないと規定しております。半数未満、すなわち九名は国会議員でない者を任命する余地が残されているわけであります。また、国家行政組織法第十七条は政務次官の任命を国会議員に限定しておりません。  にもかかわらず、歴代の内閣は、一名、多くとも二名程度の民間人をほんのお飾り程度に大臣に登用したことがあるだけで、さながら、大臣は国会議員の指定席の感があります。また、族議員の登竜門と言われる政務次官に至っては、私の知る限り国会議員以外の者が任命されたことはありません。  そこで質問するわけでありますが、在野には、刑事被告人になったり世間から疑惑のまなざしで見られることのない人格、識見とも大臣にふさわしい人材が幾らでもおります。内閣の活性化のためにも、もっと積極的に民間人を登用し、政府の中枢に柔軟かつ新鮮な感覚を吹き込むべきだと思うのですが、私見に対する総理の御所見をお伺いいたします。
  371. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 民間からお飾り程度という言葉はどうぞちょっと取り消していただきたいと思うんです。民間からお飾り程度に閣僚に一名という言葉だけはちょっと取り消していただきたいと思うんです。  後ろに長尾議員がおられますけれども、長尾議員が民間のとき、私は法務大臣にお願いをいたしました。これは、御承知のように夫婦別姓とか、ちょっと今まで我々が考える種類とは違うテーマがありましたので、お願いをし就任をしていただいたわけであります。  今、議員が述べられましたような自由な発想、確かに興味のあるものであります。政党政治の中でそれがどこまで生きるか、これはまた別種の問題であろうかと存じます。
  372. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 九名まで国会議員以外から任命できるわけなんです。過去歴代内閣が、一名ないし二名と言ったんだけれども、私の記憶では一人ぐらいじゃなかろうかと思うんです。それをお飾りという表現が不適切でしょうか。  私は、九名、総理大臣の権限として憲法に保障されているその権限を行使されて、なぜにもっと一般の、もちろん国会議員は有能であるわけですけれども、その道の専門家を任命されるということは、内閣行政執行上も極めて強力化を生むわけであって、決して内閣のお飾り一名を誹誇したり非難したりやゆするものではなくて、率直にそういう形で閣僚任命されていけば、より強力な内閣総理大臣のリーダーシップを発揮できる内閣閣僚ができ上がるのではないかという気持ちから質問した次第であります。  ところで、ちなみに橋本内閣総理大臣閣僚諸公は、民間人は一人も登用されておりません。しかも、当選回数が多い者を中心として選ばれているというふうに思うわけでありますけれども、なぜ今回の橋本内閣において民間人の登用がなかったのか、そして当選回数の多い人だけしか大臣にはなれないのか、若生起用、有能な人たちの登用はないのかということを具体的にお示しいただきたい。
  373. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 人事というのは率直に申し上げまして結果であります。そして、党総裁として党の三役、失礼しました党五役、正確に申し上げます、党五役とその相談をいたして決定いたします。結果として、御指摘のような民間人の登用、もう一つ申し上げておきますなら女性のない内閣になりました。しかし、それぞれの分野で私は活躍していただける方々を選んだ、そのように思っております。
  374. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 私に与えられている時間がないので、それに関連した質問をしたいんですが、次に政務次官の問題をちょっとお尋ねするわけです。  政務次官に国会議員を充てることは、単に若手議員の名誉欲を満足させて新たに族議員を生み出すだけで、百害あって一利なしたというふうに言われておるわけであります。法律上の要件とされていないにもかかわらず、政務次官をなぜ国会議員にのみ限定しているのか、納得のいく御説明をお願いいたします。
  375. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私も政務次官を経験いたしました。そして、それなりに勉強をさせていただいたと考えております。  同時に、例えば国会行政府、さまざまな形でかかわりを持ちます。それぞれの党との御連絡、閣僚自身が動けません場合のかわり、さまざまな役割を持っております。  なぜ民間人を考えなかったかという御意見につきましては、まさにそういう役割として政務次官の諸君に働いてもらう、国会議員の方がよりふさわしいと多分今までも判断をされたのでありましょう。先輩の方々がどういう判断でお選びになったか私にはわかりませんが、私はそのように考えます。
  376. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 次の質問ですが、野党の一部には官僚による政府委員の制度を廃止して、大臣のほかに副大臣や政務補佐官を設けて、もっと国会議論を活性化しようという意見があります。もし副大臣や政務補佐官に国会議員を充てるのであれば、少しも活性化にはつながらないと思われるのであります。  そこで総理に提案なのですが、もし政府委員による形式的な答弁を排除して国会審議をより活性化させようとするのであれば、その道の権威者といいますか専門家といいますか、法曹人だとか財政学者だとか科学者、医学者あるいは文化人等の人材を副大臣あるいは補佐官に登用して、これらの者の国会出席によって国会審議に新風を吹き込むべきだと思うのですが、私の意見に対する率直な御感想をお聞かせいただきたい。
  377. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、副大臣といった御論議があることもよく承知をいたしております。そして、現内閣におきまして閣僚経験を持つ、また前内閣におきましても閣僚経験を持つ人材を重要な省庁、特定の場所の政務次官に就任をしてもらいました。私は、本当にペルーの事件の起きていた間など、閣僚経験者である高村さんを政務次官に持っておりましたこと、対外的にも非常に助けられましたし、そうした意味ではいろいろな起用の方法は私はあると思います。  ただ、ある意味では政治任用のポストというものは確かに必要な場合がございます。内閣補佐官制度に現在三人の枠をいただき、二人私は使わせていただき、一人は何らかの問題のためにあけておりますが、こうしたポストというものが非常に有用であることは間違いありません。  同時に、さらにどういう名前をつけるにいたしましても、いわゆる政治任用のポストをふやしていく、これは三権分立のもとにおける立法府と行政府の関係、あるいは政治行政との関係、中立性といったことにも随分検討を要する部分があると思います。  その上で、議員の提起されました補佐官の仕組みを活用し、補佐官が国会においてそれぞれの専門分野における知識を活用し、あるいは一般的な知識を活用して働いていただく。そういった立場から民間の方々、あるいは学者、法曹人、あるいは文化人、さまざまな方々を恐らく頭に描かれてでありましょう、述べられました考え方というものは、これは私は一つの考え方として興味を持つ点でございました。
  378. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 終わります。
  379. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で山田俊昭君の本日の質疑は終了いたしました。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十七分散会