○角田義一君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、先般開催されました
アジア太平洋経済協力会議、
APECバンクーバー会合について
質問をいたします。
総理、今回の
首脳会談は、昨今の
アジアに広がる
金融・
通貨不安の中での開催となりました。これは、
経済規模が
世界の六割近くまで占めるようになった
アジア太平洋諸国が直面する
共通の試練であります。右肩上がりの
成長の牽引役であった
APECがこの事態にいかに対応するか、その真価が問われる重要な
課題であると私どもは
認識いたしております。
一九八九年に緩やかな
経済的協調の
枠組みとして発足して以来、
アジアにおける自由
貿易体制の確立に
APECは取り組んでまいりました。メンバー間での
信頼醸成が図られるなどの政治的な効能も含めて、私どもは
APECを高く評価してきたところであります。
しかし、この
アジアでの
金融連鎖
危機の
状況は、
APECが重大な試練に直面していると言わざるを得ません。そして、
APECの中での今後の
日本は、非常に重要な
役割を果たさなければならないと思いますが、まずこの点に関する
総理の御
認識はいかがなものでございましょうか。そして
総理はそれにいかに対応されるか、
お尋ねをいたします。
APECの中で
日本自身が重大な
役割を演じなければならないとするならば、まず自己の
姿勢を正し、国際信用を確保することが何よりも重要であります。一連の
金融不祥事の続発は、
日本の
金融システムの根幹に決定的な欠陥があることを図らずも露呈したのであります。
責任をとるべき者がその
責任をとらずに居直る、情報公開どころか平然と虚偽の
報告をすることが放置されている
状況で、どうして国際信用をかち取ることができましょうか。
総理はこの事態を本当に深刻に感じておられるのか、御所見を承りたいと存じます。
次に、
ロシア、
ベトナム、
ペルーの
新規参加の決定について伺います。
ロシアの
新規参加には
APECメンバーの中で慎重論もあったと聞いております。それにもかかわらず、クラスノヤルスクでの
日ロ会談後一カ月以内で
ロシアの
参加が
実現をいたしました。これは
日本が、
総理が
APECメンバーと協調しつつ、
首脳会議と
閣僚会議の
議論を積極的にリードされたためと私どもは聞いておりまして、その労を私どもは高く評価いたしたいと思います。
ロシア政府も今回の決定及び
日本が果たした
役割を高く評価していると承知いたしておりますが、私としては、この決定が今後の
日ロ関係を前向きに動かしていくための
一つの契機となることを期待しているところでございます。同時に、
APECにおいて
日米中ロの四極が一層の
協力を進め、この
地域の安定と
繁栄のための
枠組みの整備強化に努めていくことが極めて大事であると考えております。
そこで、
ロシアが
APECに新しく
参加し、
アジア太平洋地域においてどのような
役割を果たしていくことを望まれておるのか、
総理の御見解を伺います。さらに、
日米中ロが
中心となった
地域の多国間安保体制の確立の必要性について
総理の御所見と、その
実現に向けてのステップをお示しいただきたいと思います。
一方、今回の
APEC会合におきまして向こう十年間の
新規参加のモラトリアム、すなわち
新規参加は認めない、凍結ということが決定されました。
地域の
成長と
発展や
経済的相互依存
関係の進展などの
APEC発足の
目的は、何よりも
地域全体の平和と安定なくして達成できないことは当然であります。
今、朝鮮半島におきましては、四者による本
会談の開催も決まって動いております。この動きを側面的にサポートしていくという観点からも、現時点では朝鮮民主主義人民共和国は
APECへの
参加を望んではいないとはいえ、将来的にはその
加盟をも視野に入れた対応が必要だと思います。十年間の加入の凍結はそのような情勢に対応できない事態が生じかねないと憂えるものでありますが、
総理の御見解を承ります。
また、
地域の不安定要因になりかねない問題に対しては、紛争を未然に防ぐという予防
外交に努めることが極めて重要であると考えます。
クリントン大統領はインドネシアのスハルト
大統領との
会談の中で東ティモールの問題を取り上げたと言われております。人権
外交は何もアメリカの専売特許ではございません。
我が国はODA大綱でも人権問題を重視する立場をとっております。かような立場から、東ティモールの問題、ミャンマーの問題について
総理もしくは外務大臣に、この
バンクーバー会談の中でどのような
役割を果たされたのか
お尋ねをいたします。
最後に、
地球温暖化防止京都会議について伺います。
この
APECの
首脳会議において、
総理は、
地球温暖化防止京都会議の
成功に向けたメンバーの
協力をアピールされました。その結果、
京都会議の
成功に向けた
支持が表明されるとともに、気候変動には
先進国、
途上国双方が協調的に
努力することが不可欠であることが確認されたと承知しております。
温室効果ガス排出削減に
全力で取り組んでまいりました私ども会派といたしましては、この
APECでの気候変動問題に関する
成果は
京都会議の
成功に弾みをつけるものと大変期待をいたしております。
我々は、将来の世代から
成功だったと評価されるような
京都会議にいたしたいと思っております。我々は、
政府案には反対でございますけれども、
会議を
成功させるために
総理に
協力すべきは
協力をいたしたいと思います。
京都会議が始まっても
各国の
意見対立は厳しく、
合意までの道のりは遠い
状況であります。
地球温暖化の
影響を考えるとき、この
会議の成否は
人類の未来を決定すると言っても過言ではありません。
今現地で我が参議院出身の大木
環境庁長官に大変な御苦労をいただいておる。
総理は八日に演説をされると承っておりますが、結構なことだと思います。しかし、演説をするだけではなくて、調整が厳しい場合には
総理みずからが調整を行い、
京都会議を
成功に導くための
努力をする、そういう気概を持ってこの
会議の
成功をさせなきゃならぬ、そういう決断、勇気を持っておられると思いますが、
総理の所信を承って私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕