○海野義孝君
平成会の海野義孝であります。
私は、
平成会を代表して、ただいま議題となりました
持株会社の
設立等の
禁止の解除に伴う
金融関係法律の
整備等に関する
法律案及び銀行
持株会社の創設のための
銀行等に係る
合併手続の
特例等に関する
法律案について、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
冒頭に、十一月の三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券など大手
金融機関の経営破綻続出に対して、
橋本総理の
日本国最高責任者としての責任を明らかにしていただきたい。
橋本総理は、財政構造改革法案の
国会での審議がたけなわであった先月、一方では大手銀行、証券の相次ぐ経営破綻をどのような心境で受けとめられたのでしょうか。
私は、
平成七年八月の兵庫銀行、木津信用組合の倒産から最近の山一証券の自主廃業に至る十指に余る
金融機関の経営破綻の遠因は、一九八五年、昭和六十年のワシントンでのプラザ
合意に対して、その後の
政府及び大蔵省、日銀など
金融当局が漸進主義を取り続けたことによる
対応の稚拙さにあったと
考えます。
このグローバルスタンダード、すなわち国際標準からかけ離れた
金融行政は、その後のバブル発生による資産インフレと、その崩壊による資産デフレとなり、
日本経済の激甚を引き起こしたことは、
日本国民のだれしもが承知するところであります。つまり、現下の
日本経済危機の源は、十二年前に始まり今日に至るまでも旧態依然とした
金融行政と、それを黙視してきた
政府の責任にあると
考えますが、
総理の明確なる答弁を願います。
次に、
平成七年に発覚した大和銀行
米国支店の不祥事と、それに対する
我が国金融当局の
対応、その苦い教訓がその後の
金融行政にどのように生かされてきたかについて、
総理の率直な
意見を伺いたい。
大和銀行事件では、事件当事者の通知から実に四十二日後に
日米金融当局に
報告があった。このことが
米国金融当局のげきりんに触れ、大和銀行
米国関係者の有罪、敗訴による大和銀行の莫大な罰金、
米国金融界からの大和銀行の追放という厳しい処置となったのであります。
このことを
我が国政府、
金融当局はどのように受けとめたのでありましょうか。私の調査したところでは、この大和銀行事件が引き金となり、国際
金融市場で生じた信用失墜を挽回するため、住宅
金融専門会社の経営破綻処理を密室での談合による、
法治国家にあるまじきスキームで突破するという拙速な道を選択したのであります。
昨年六月に
金融システム安定化などを目途として
金融三法が成立しました。しかし、住専処理で
国民の反発を買ったため、
政府は
金融機関の経営破綻に対する抜本的な
金融行政改革をとれず、漸進主義的
金融行政は一向に改められないと思いますが、いかがでしょうか。
大和銀行事件以降、
政府は
金融行政をどのように変えたのか。また住専処理スキームの失敗がその後の
金融行政の足かせとなり、
金融機関の経営破綻による
国民の
金融不安を加速させることになったと
考えますが、
総理の責任ある答弁を求めます。
次に、拙速な
金融制度改革、すなわち
日本版ビッグバンと、後追いの
金融不安除去対策について
総理にお伺いいたします。
現在の不安定な
金融市場について、
総理はどのような
認識をお持ちでしょうか。また、どのようにしてこのイバラの道を切り抜けようとされているのか。私は、
総理が五大改革の構想を発表した原点に立ち返ることが重要だと
考えます。
総理は、一年前に
金融制度改革、すなわち
日本版ビッグバンを二〇〇一年三月までに実施すると発表されました。この目標に向かって来年四月から外国為替取引の完全自由化、
金融機関の
早期是正
措置が実施されます。
しかしながら、
日本の
金融機関は不良債権処理などで体力を消耗しており、この状態で
金融制度の完全自由化に立ち向かっため、
金融システムに種々のひずみが生じ始めています。
早期是正
措置に
対応する財務体質の
強化、そのための融資態度の抜本的見直し、貸し渋り等による史上空前の倒産、
金融機関、ゼネコンの経営破綻などであります。ビッグバンを三年余り後にして、既にビッグバンによる弱肉強食、自然淘汰のあらしが吹き荒れております。この状態を
政府は許容してよいのでしょうか。
昨年以来の
金融機関の経営破綻の続出、それに
対応する
金融行政は後追いであり、一貫したルールがありません。今回の深刻な
事態を予測できなかったのでしょうか。フリー、フェア、グローバルを掲げる
政府の
情勢判断の実際の甘さ、危機管理体制の不備をどう弁明されるのか、
総理の責任ある答弁を求めます。
次に、金利、為替、株式のトリプル安と
政府の市場に対する
認識について
総理に伺います。
政府及び
金融当局は、金利、為替、株式など市場の動向につき、殊さら平静を装い、実体経済との
関係を重視しなかったのであります。
政府当局など
関係者の不用意な
発言が往々にして市場価格形成をもたらしていること、自由競争の市場原理に基づく金利、為替、株式などが
政府の手の届かぬところにあるため、景気、
金融などの
判断材料として重用しなかったのでしょうか。
近時の
金融機関の経営破綻には、著名な格付機関のレーティング、株価、債券市況の厳しい評価が先行しております。銀行株のストップ安、円の対米ドルレートの五年余ぶりの安値、ジャパン・プレミアムの
拡大など市場の警戒信号は点滅し続けております。特に懸念されるのは東京株式市場の低迷
状況であります。
総理はこれらの市場動向をどのように
認識され、
金融システムの安定化、信用不安除去にどう取り組まれるのですか、具体策をお示しいただきたいのであります。
次に、今回の法案について大蔵大臣に伺います。
金融システム改革、すなわち
日本版ビッグバンの重要な柱として、このたびの
銀行持ち
株会社の設立解禁が挙げられます。そこで、株主の権利
行使についていかなる変化が生じるのか、お聞きいたします。これまで銀行の株主であった者が
銀行持ち
株会社の株主となった場合、銀行子会社の経営につき、従前と同等の
発言権を
行使することができるのでしょうか。
銀行持ち
株会社の主たる業務は、銀行子会社の経営管理であります。したがって、間接的ではあるがかなりの部分で適正な権利を
行使することが可能とも思考されますが、いかがでしょうか、また、株式買い取り請求権は
行使できるのでしょうか、あわせて御答弁ください。
次に、
銀行持ち
株会社に対する
早期是正
措置の適用について大蔵大臣にお聞きしたい。
昨年六月に成立した
金融三法は、
金融システム安定化のための預金者保護や、
金融機関の財務体質
強化のための
措置であります。来年四月からその
一つである
早期是正
措置が実施されますが、同時に
銀行持ち
株会社の解禁を行うというのが本
法律案であります。その場合、
早期是正
措置は
銀行持ち
株会社及びグループ各社に対しどのように適用されるのでしょうか。連結自己資本比率規制など
基準を設けるべきだと
考えます。また、単体会社と
銀行持ち
株会社及びグループ各社の自己資本充実改善
措置についていかなるスキームを
考えているのかもあわせて御答弁ください。
次に、APECでの
金融不安に対する参加
各国の反応、クリントン大統領からの厳しい要望に対する
総理の釈明についてお伺いいたします。
今回のAPECの
会議は、
総理にとっては本来であれば胸を張り、リーダーシップを発揮すべき舞台でありました。しかるに、
金融機関の経営破綻続出で、
金融システムの安定化に追われているさなかの
会議でありました。この厳しい試練に立って、
総理は、国内、海外
諸国の要望にこたえなくてはなりません。我々も政治家として
金融市場の危機的
状況を打開しなくてはなりませんが、そのためには
総理が
国民の
協力を得るために
日本経済を一刻も早く成長軌道に乗せる抜本的対策を打ち出すことであります。
総理にこのお
考えはありますか。
また、クリントン大統領に預金者保護や
金融システムの安定に万全を期すと強調されたと聞きましたが、いかなる具体策があるのか、いつ実行するのか、お聞かせいただきたい。
次に、
日本再構築の核は何であり、具体的
施策に取り組む
決意を伺います。
政府は景気後退をしり目に、
国民に負担をお願いする一方で諸改革の推進に注力しております。しかし、こうした諸改革をなぜ急いでしなくてはならないのか、改革は実現できるのかといえば、甚だ心もとないのであります。六年間に六次にわたり六十六兆円の経済対策を実施しながらも、
日本経済は潜在成長力を取り戻せない状態にあります。東京市場の単純平均株価は、バブル崩壊後の最安値圏で低迷しております。
日本再構築の核といいますか、星といいますか、それをキャッチしない限り
政府の
施策は対症療法にすぎません。バブル経済のピークからボトムの過程で、土地は五百九十八兆円、株式は三百七十八兆円、時価で減少しました。この過程での不良債権、不良資産の発生が重圧となって
日本経済の活力を奪い取りました。現在、
金融機関を初め、広範囲にわたる企業がリストラとスリム化に注力しておりますが、景気の低迷と不良資産が足かせとなって効果が顕在化しない
状況にあります。
預金者保護と
金融システムの安定化のために、
国民負担である公的資金投入の声が各界から起こり始めました。
米国の
金融システムの安定化は、RTCによる
金融機関の刑事罰を含む経営責任の徹底追及と、五年間という短期間の処理により公的資金投入の
国民の
理解が得られたからであります。そして一方で、今日まで続く長期の経済成長、株式市場の活況があります。仮に、
我が国が公的資金投入の道を選択したとしても
金融システムの安定は確立てきません。
景気低迷の元凶である土地の流動化に
国民の千二百兆円の
金融資産を活用し、構造不況を脱却し、三%の潜在成長力をフル稼働することがビッグバンヘの万全の態勢にもなります。
総理の
日本再構築への責任ある答弁を求めます。
以上申し上げたことから、私は、橋本
内閣の退陣を要求いたします。
第一の理由は、
日本経済の見通しを誤り、デフレ
政策で景気を後退させたことであります。第二の理由、
金融不安の深刻化を助長した危機管理体制の脆弱さであります。第三の理由、行財政改革に固執し、
日本再構築の順序を誤ったことであります。第四は、ガバナビリティー、つまり統治能力の欠如と
総理に対する希薄な
国民の
信頼感であります。
速やかに
総理の座をおり、閉塞感の漂う
日本の政治、経済を一新する道を開くべきだと
考えますが、
総理の御決断をお聞かせいただき、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕