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説明員(
藤井昭夫君) 早速御
報告いたします。
資料は、お
手元に「
情報公開法案の
立案に至る
経過」という一枚紙、それから「「
情報公開法要綱案」の
骨子」という一枚紙、あと「
行政改革委員会情報公開法制の確立に関する
意見 関係資料」という冊子がお配りしてあると思いますが、それに沿って御
説明いたしたいと思います。
まず、
立案に至る
経過について御
説明いたします。
平成六年十一月二日に
行政改革委員会設置法が
制定されているわけですが、この
法律の中で、
情報公開法の
調査審議を行うこと、
設置後二年以内に
意見具申をすべきこと、それから
委員会の
意見等を尊重する
義務が
政府にあること等を
法律上明確に
規定されたわけでございます。これにより、初めて
政府として正式かつ本格的な
情報公開法の
検討が行われることとなったわけでございます。
次いで、
平成六年十二月十九日に
行政改革委員会が
設置されているわけでございますが、
情報公開法の問題は非常に専門的な問題であるということで、
法曹実務経験者や
公法学者等の
方々を中心に各
方面からの
専門家にお集まりいただき、
行政情報公開部会というものが
設置され、その中で五十七回の熱心な御
討議とかあるいは幅広い
外国の
制度、
条例等の
調査、それから
関係各
方面の広範な
意見聴取、あるいは中間的な
報告を公表する等々の
作業をされた上で、
平成八年十一月一日に
最終報告を出されているわけでございます。
行政改革委員会の親
委員会としても御
審議の上、
委員会としては
平成八年十二月十六日に
内閣総理大臣に
意見具申をしておられるところでございます。
政府といたしましては、その翌日に、十二月十七日でございましたが、
総務庁の中に
情報公開法制定準備室というものを設け、早速
立案作業を開始しているわけでございます。
また、
平成八年十二月二十五日には、
行政改革プログラムという
閣議決定によりまして
政府としての
対処方針を明確に
決定しているわけでございます。すなわち、「
行政改革委員会意見を最大限に尊重し、できるだけ早期に
法律案をまとめるべく
作業を進め、
平成九年度内に」、これは来年の三月ということになるわけでございますが、「所要の
法律案の
国会提出を図る。」というふうに
期限をはっきりと明示した上で
作業に取りかかっているところでございます。
このような
方針に基づき現在
作業中のところでございますが、実際、
本体法案の
作業につきましては、逐語的な吟味あるいは網羅的な
裏づけ調査を実施しながら具体的な
条文を
立案しているところでございますが、それに加えて、
情報公開法というのは極めて包括的な
法律でございまして、
関係法律というものが極めて多うございます。六百を超え三千
規定に上るというわけでございます。これらの各
規定についてこれまで洗い直しをしていたところでございますが、これをほぼ終了いたしておりまして、その上で
調整方針を固め、
調整を要する
法律を絞り込むとともに、今後は具体的な
改正条文についての
検討に着手しようとしているところでございます。今後は、来年三月までの
法案提出期限を厳守するということで、引き続き全力を挙げて
作業に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
政府立案の
作業というのは基本的に
行政改革委員会の
要綱案を具体的に
条文化するというものでございます。したがいまして、
行政改革委員会の
要綱案に沿って
情報公開法の
骨子を簡単に御
説明させていただきたいと思います。
資料の方は、「「
情報公開法要綱案」の
骨子」の部分をごらんいただければと思います。
まず一番目に、
情報公開法の目的ということでございますが、「
何人も、国のすべての
行政機関に対し、その保有する
行政文書について開示請求できる権利を定める
制度。」、これが
中核の
制度でございます。「
何人も、」ということでございますので、日本人であるか
外国人であるかは問いませんし、自然人であるか法人であるかも問わないことといたしております。
それから、「国のすべての
行政機関」ということでございますので、国の
機関のうち
立法、
司法を除くすべての
機関、会計検査院も加わることとしてございますが、そういう
行政機関が保有している
文書を
対象とするということでございます。
それから、
開示請求権制度を
中核とする
制度ということでございますが、これは広義には、
情報公開制度というのは
開示請求権制度と
情報提供義務制度の二種類があると言われておりますが、本法は
開示請求権制度を
中核とするということでございます。当然のことでございますが、権利を定める
制度でございますので、その処分に対して不服等のある
方々は、行政事件訴訟法とか行政不服審査法による争訟
手続を行うことができるということでございます。
それから二番目は、開示請求の
対象となる
文書、それから開示される範囲の問題でございますが、ここの部分は何をおいても
情報公開法のやはり中枢的な部分であろうかと思います。
まず、
対象文書についてでございますが、「職員が
職務工作成・取得した
文書等のうち、」これは論理的に考えられるすべての行政部内にある
文書であるということでございますが、「組織的に用いるものとして、
行政機関が保有しているもの」としておるわけでございます。多くの条例では、決裁行為等の
行政機関のいわば主観的な
要件で
対象文書というものを扱っているわけでございますが、これは
部会での御論議の中で、できるだけ客観的な
要件で判断できるようにするということで、組織的に用いるものというような
概念を使っておられるところでございます。
それから、範囲の基本的な考え方でございますが、これも
情報公開
部会では非常に何度も御論議のあったところで難しい問題なのでございますが、基本的には公開の必要性、それからプライバシー等保護すべき必要性、それぞれ
法律上正当に保護する必要がある。相反する場合は、比較衡量で判断されるべきということが第一点かと思っています。
それともう一つ議論があったのは、基準は明確であるべきということと、できるだけ限定的であるべきということ、これは場合によっては相反する場合もあるわけでございますが、できるだけその要請にこたえるような基準にすべきであるということの御論議があったということでございます。
そのような御論議の結果、こちらにも書いてございますが、「公開すれば第三者の権利利益や公共の利益を害するおそれがあるものを除き、原則開示。」という一つの枠組みをつくられた上、それと基準のつくり方の問題でございますが、不開示
情報を大くくりのいわば
事項的と申しますかカテゴリー的というか、そういうような
情報に分類した上で、それぞれのカテゴリーごとに典型的な支障のおそれ等を明示することによって、できるだけ定性的基準等によって限定できるようにということで構成されているところでございます。
そこで、続きまして、例えば
事項的な分類の例は六つあるわけでございます。一つは、いわば
行政機関とか請求者にとって第三者の立場にある個人とか法人等に関する
情報、それから三番目から六番目は、いわば行政
運営上の大きな意味での支障ということになるんですが、その中でも特別のいわば配慮を要するような国の安全等に関する
情報とか公共の安全等に関する
情報のカテゴリー、それから行政
運営情報に関しても、どちらかというと横断的な意味での
審議・
検討に関する
情報、それぞれ個々の事務・事業のいわば適正な遂行に関連するような
情報、こういう六つのカテゴリーに分けられた上で、さらにそれぞれの
情報ごとにどういう場合に支障があって公開に適さないかというような基準をつくっておられるということでございます。
さらに、上記の基準では
法律上は非公開というふうになる場合であっても、それを上回るような公益上の理由があるという場合は裁量的に開示するようにできる。
それから、
行政文書の
存否に関する
情報、これはなかなかわかりにくい
概念なんですが、当然
文書の
存否自体も一つの
情報でございまして、
存否の
情報自体が不開示
情報に該当するという場合もあり得るわけでございます。その場合は、
文書の
存否を明らかにすると、例えばプライバシーそのものを侵害するとか、不開示
情報に該当する場合もあるわけでございます。そのため
存否を明らかにしないで拒否できることとするとともに、その拒否というのは当然一つの処分でございますので、問題があれば行政不服審査なり訴訟にも係らしめるというような仕組みになっているわけでございます。
それから三番目は、
第三者保護に関する
手続とありますが、これは
行政機関とか開示請求者にとって第三者に関する
情報の場合、その
方々の権利利益を保護するという観点から、その第三者の
意見を
聴取し、意に反して公開する、開示するというような場合は、その開示の実施まで争訟が可能なような余裕期間を設けるということで第三者の権利利益を保護する、そういう
手続規定を置くこととしているわけでございます。それから大きな三番目は、不服審査会でございます。通例の行政不服審査
手続であれば、大体、処分した役所あるいはその上級庁が
異議申し立て庁の審査庁となって判断するということでございますが、これに客観的で合理的な解決を図るということから第三者的な
機関の
意見を加味する、そういう仕組みをつくるということがこの
情報公開法の客観的で合理的な解決を図るため必要不可欠なことであるという御判断の上、いわば諮問
機関型ではあるが非常に権威の高い不服審査会を設けることとしておるところでございます。
この不服審査会には、諮問
機関ということであるわけでございますが、
インカメラとかいわゆるボーン・インデックス、それから不服申し立て者から直接的に
意見を
聴取する等々の充実した
手続規定を設けることとしているところでございます。
最後は、その他の問題でございます。先ほどもちらっと申し上げましたが、
情報公開法の実際の施行に際しては、いろいろな公開、部分的に公開を定めている
法律とか、あるいは
趣旨として公開できなくなるような
規定というものがあるわけでございますが、その
法律と
情報公開法との適用
関係等についてあらかじめ
調整しておくということが
情報公開法の
趣旨を貫徹するという意味でも不可欠なわけでございます。これについても、
要綱案では極めて抽象的ではありますが、一つ考え方を示されておりまして、それの考え方に沿って
政府は今
作業中のところでございます。
より具体的に申し上げますならば、例えば特許法とか登記法とか、それから刑事訴訟法
関係のいろいろな
資料のように、それはちょっと
情報公開法の
趣旨とは違うといったぐいで、
情報公開法として特に配意をしなくても問題ないような
制度に基づく
資料については適用除外するという方向を考えているところでございます。
それから、多くの
法律では閲覧、縦覧等の
規定があったり、あるいは
期限つきでの閲覧の
規定が定められたりしているところでございますが、これらについては行政改革
意見でも指摘されておるところでございますが、基本的には、他法による閲覧とか縦覧とか、その
期限内の部分については他法の閲覧、縦覧等に任せると。しかし、それ以外の、例えば閲覧だけならば写しの交付とかあるいは
期限を超えた部分、それについては
情報公開法を適用するというような形での
調整を今考えているところでございます。
そのほかにも、大きな問題としては著作権法上の公表権とか複製権との
調整の問題があるわけですが、これについても
関係省庁と現在
検討を進めているところでございます。
簡単でございますが、以上で御
報告を終わりたいと思います。