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1997-12-09 第141回国会 参議院 法務委員会民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月九日(火曜日)    午後一時一分開会     ————————————— 平成九年十一月十八日法務委員長において本小委 員を左のとおり指名した。                 釜本 邦茂君                 清水嘉与子君                 長尾 立子君                 林田悠紀夫君                 魚住裕一郎君                 大森 礼子君                 千葉 景子君                 照屋 寛徳君                 橋本  敦君 同日法務委員長は左の者を小委員長に指名した。                 清水嘉与子君     —————————————    小委員の異動  十一月十八日     辞任          長尾 立子君  十二月五日     補欠選任        長尾 立子君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        清水嘉与子君     小委員                 釜本 邦茂君                 長尾 立子君                 林田悠紀夫君                 魚住裕一郎君                 大森 礼子君                 千葉 景子君                 照屋 寛徳君                 橋本  敦君    政府委員        法務省民事局長  森脇  勝君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君    説明員        総務庁行政管理        局行政情報シス        テム企画課長   藤井 昭夫君    参考人        法制審議会民事        訴訟法部会部会        長        竹下 守夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する件     —————————————
  2. 清水嘉与子

    ○小委員長(清水嘉与子君) ただいまから法務委員会民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する小委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび小委員長に選任されました清水嘉与子でございます。小委員長といたしましては、小委員各位の御支援、御鞭撻を賜りまして、公正かつ円満な運営に努め、職責を全うしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。     —————————————
  3. 清水嘉与子

    ○小委員長(清水嘉与子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する調査のため、本日の小委員会参考人として法制審議会民事訴訟法部会部会長竹下守夫さんの出席を求め、その意見聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清水嘉与子

    ○小委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 清水嘉与子

    ○小委員長(清水嘉与子君) 民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する件について調査を行います。  本日は、法制審議会における民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する検討状況について、参考人として法制審議会民事訴訟法部会部会長竹下守夫さんから御説明をいただき、また、情報公開法案検討状況について総務庁から報告聴取することといたします。その後、参考人法務省及び総務庁に対する質疑を行いたいと存じます。  この際、竹下参考人に小委員会を代表いたしまして一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ、当小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  本日の議事進め方でございますが、まず竹下参考人から二十分程度で御説明をいただき、次いで総務庁から二十分程度報告をいただいた後、小委員皆様方からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し添えますけれども、御発言の際は、その都度、小委員長の許可を得ていただきたいと存じます。また、各小委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。  なお、御発言はすべて着席のままで結構でございますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、法制審議会における民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する検討状況について、竹下参考人から説明聴取いたします。竹下参考人
  6. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 昨年七月から法制審議会民事訴訟法部会部会長を務めております竹下でございます。本日は、法制審議会民事訴訟法部会部会長といたしまして、昨年の国会で成立いたしました新しい民事訴訟法の附則第二十七条に基づく文書提出命令制度についての検討状況報告させていただきたいと思います。  民事訴訟法部会は、昨年二月二日に、法制審議会総会に上程するための民事訴訟手続に関する要綱案を採択しまして以来、活動を一時休止いたしておりましたが、第百三十六回国会において新しい民事訴訟法が制定されましたので、それを受けて昨年七月二十二日に新法立案及び成立の経緯等についての報告を行うための会議を開催いたしました。  同日の部会におきましては、民事訴訟法案国会審議されました際、文書提出命令に関する規定の一部について修正がなされ、第二百二十条第四号による文書提出義務対象から「公務員又は公務員であった者がその職務に関し保管し、又は所持する文書」が除外されますとともに、附則第二十七条におきまして、これらの文書対象とする「文書提出命令制度については、行政機関の保有する情報を公開するための制度に関して行われている検討と並行して、総合的な検討を加え、その結果に基づいて」新法の公布後二年をめどとして必要な措置を講ずるものとされましたこと、及びそれに関する衆参両議院の各法務委員会附帯決議内容等報告されました。  次いで、昨年九月六日の同じく民事訴訟法部会におきまして、今後の同部会審議すべき立法課題について審議をいたしまして、その際、国会における民事訴訟法案の修正の経緯に照らして、公文書文書提出命令制度についての検討が最優先の課題であるということになりました。  そこで、民事訴訟法部会は、特別の小委員会といたしまして文書提出命令制度小委員会を発足させて、衆参両院の各法務委員会における附帯決議の趣旨を踏まえ、行政機関の保有する情報を公開するための制度検討状況、それから公務員証人尋問に関する規定等をも視野に入れながら、この課題についての審議を行うということにいたしました。  また、国会審議の過程や附帯決議等におきまして、問題の性質にかんがみ、公文書提出命令制度審議に当たりましては、国民の意見に十分に耳を傾けながら検討を進めるべきであるという指摘がなされましたので、そのことを考慮いたしまして、小委員会とは別に、民事訴訟法専門家だけではなくて、それ以外の有識者や情報公開制度に精通をいたしました行政法学者の参加も得まして研究会をつくり、そこで検討を進めるということにいたしました。  その研究会におきましては、第一に我が国における行政情報公開制度やその検討状況についての調査、それから第二に一般世論動向等を知る意味で関係各方面からのヒアリング、それから第三に諸外国文書提出命令制度の比較法的な調査、さらに第四といたしまして文書提出命令制度に関する問題点の分析及び整理等の基礎的な調査研究を行う、これを研究会の任務といたしました。そして、この研究会の成果を随時文書提出命令制度小委員会報告するものといたしまして、小委員会による調査審議研究会による調査研究を並行的に行うという形で検討を進めることにいたしたところでございます。  以上のような民事訴訟法部会の決定を受けまして、文書提出命令制度小委員会がまず発足をいたしまして、昨年十月二十四日に第一回の会合が開催されました。小委員会メンバーはお手元資料一及び二にあるとおりでございます。民事訴訟法部会の十七名の委員の中から十三名の委員を選んでこの小委員会を構成いたしまして、部会長であります私が小委員長を兼ねております。  この第一回の会合では、公文書文書提出命令制度について調査研究を行うための研究会を早急に発足させるとともに、その成果がある程度まとまるごとに随時小委員会を開催するということが確認されました。  その研究会といたしましては、文書提出命令制度研究会というものが組織されまして、その第一回の会合が昨年十一月二十二日に開催されました。研究会メンバーはお手元資料三の名簿のとおりでございまして、民事訴訟法学者が三名、行政法学者が二名、日弁連推薦弁護士が三名、代表的な経済団体であります経団連からの推薦者が一名、これも代表的な労働団体であります連合からの推薦者一名がメンバーとなりまして、さらにこれに最高裁判所事務総局及び法務省民事局の各担当者が加わっております。ここでも座長は私が兼任をいたしております。  この第一回の会合におきましては、研究会の運営や今後の調査研究進め方について協議を行いまして、公文書に関する文書提出命令制度についての検討を進める上で必要不可欠と考えられる基礎的事項調査研究をするということになりました。  具体的に申しますと、一つは当時検討が進められておりました情報公開法要綱案についての研究、それから第二は行政文書文書提出命令制度についての関係方面からのヒアリング、三番目に諸外国文書提出命令制度の比較法的な調査等を行い、おおむね一カ月に一回程度の間隔で研究会を開催するということにいたしました。  その後、現在までの小委員会及び研究会開催状況はお手元資料四に記載されておりますとおりでございまして、その内容をかいつまんで御紹介いたしますと次のとおりでございます。  まず、本年一月十四日の第二回研究会及び二月十九日の第三回研究会におきましては、情報公開制度に関する調査研究を行うことといたしまして、当時の行政改革委員会事務局藤井昭夫主任調査員、本日もお見えでございますが、それから行政改革委員会行政情報公開部会審議に関与されました秋山幹男研究員及び宇賀克也研究員、さらに国学院大学の藤原静雄教授を講師としてそれぞれレクチャーをいただきまして、これらに関する質疑応答を行いました。  この第一回から第三回までの研究会が行われましたので、その後、三月七日に第二回の文書提出命令制度小委員会を開催いたしました。第一回から第三回までの研究会の結果を報告した後、フリートーキングの形式で議論を行いました。  次は、また研究会になりますが、四月八日の第四回研究会及び五月十三日の第五回研究会におきましては、文書提出命令制度あり方に関する一般社会の考え方を知るために各方面からのヒアリングを行うことといたしまして、マスコミ団体からの推薦者消費者団体からの推薦者経済団体からの推薦者及び労働団体からの推薦者から意見を伺いました。ヒアリング対象者の氏名は資料四に列挙されておりますので、ごらんいただければ幸いでございます。  続いて、六月十日の第六回研究会及び七月八日の第七回研究会におきましては、諸外国公文書文書提出命令制度の比較法的な調査研究を行いました。イギリス公文書に関する文書提出命令制度につきましては長谷部由起子研究員、ドイツにつきましては筑波大学の春日偉知郎教授アメリカにつきましては伊藤眞研究員、フランスにつきましては山本和彦研究員からそれぞれ報告を受け、研究を深めました。  第七回まで研究会が進みましたので、その後七月十八日に第三回文書提出命令制度小委員会を開催いたしまして、第四回から第七回までの研究並びにヒアリングの結果を報告いたしました後に、再びフリートーキングの形で審議を行いました。  九月十六日に第八回の文書提出命令制度研究会を開催いたしました。調査研究の結果をもとに文書提出命令制度に関する論点の整理及び分析を行いました。その結果がお手元資料五、文書提出命令制度論点メモにまとめられております。文書提出命令制度研究会による基礎資料の収集はこの回をもって終了いたしました。  そこで、十月二十四日に第四回文書提出命令制度小委員会を開催いたしまして、第一回から第八回までの文書提出命令制度研究会の結果を最終的に報告いたしました後に、文書提出命令制度論点メモに基づきまして各論点について実質審議を行いました。  十一月二十八日に第五回文書提出命令制度小委員会を行いまして、前回に引き続き、この論点メモに基づいて各論点について実質審議を行い、さらにその上で理論上重要と考えられる三つの論点、具体的に申しますと、文書提出義務の要件の立証責任、それから第二が第三者保護手続、第三が情報公開訴訟文書提出命令、この三つの論点を取り上げて討議を行いました。  現在までのところ、開催されました小委員会研究会での審議状況は以上のとおりでございます。  今後の予定といたしましては、第六回の文書提出命令制度小委員会平成十年一月三十日に予定いたしております。今後は、小委員会において改正案を取りまとめるため、詰めの審議を行う予定でございます。  ここで、お手元資料五の文書提出命令制度論点メモの概略について、時間の許す範囲で研究会並びに小委員会における審議状況の内容を御紹介する趣旨で申し上げたいと思います。  この論点メモは、民事訴訟法案審議の際に各政党から出されました修正案、それから本年七月十七日付で日本弁護士連合会から出されました改正案、それから文書提出命令制度研究会において行いましたヒアリングの結果、それから諸外国の法制に関する研究成果、それから最後に研究員意見、こういうものを文書提出命令制度について検討すべき論点ごとに分類し整理したものでございまして、小委員会における審議のために研究会での調査研究の成果を報告するという趣旨のものでございます。  新法附則二十七条及び附帯決議の趣旨を踏まえますと、公文書に関する文書提出命令制度について検討すべき事項は、大きく次の五つの点にまとめることができるのではないかと思います。それは、それぞれ論点メモの第二から第六までに対応してございます。第一は公文書に関する文書提出義務の要件、これは除外事由も含めたものでございます。第二は提出義務の存否についての判断権あり方、第三は提出義務の存否についての審理方式、第四が文書提出命令情報公開制度との関係、そして最後に第五といたしましては、公務員証人尋問する場合の証言拒絶権との関係でございます。  各論点に関する意見等の記載の順序はおおむね、民事訴訟法案審議のときに各政党から出された修正案をまず第一に、それから外国制度をその次に、ヒアリングの結果及び研究員意見を三番目に、そして最後に日本弁護士連合会の案を記載する、そういう順序になってございます。  それぞれの論点について申しますと、第一の公文書に関する文書提出義務の要件につきましては、私文書について新法によって文書提出義務一般義務とされましたために、これと不合理な官民格差を生じないようにするために、公文書についても一般義務化するべきであるという意見が大勢を占めました。除外事由につきましては、ヒアリング等で寄せられた意見の中には、これらの事由を規定する際に秘密という概念を安易に用いるべきではないという意見もございましたが、外国の例でも公務員の職務上の秘密を基準として提出除外事由を定めているというものが多数を占めておりまして、秘密という概念を使わざるを得ないのではないかという意見もございました。  それから二番目の提出義務の存否の判断権あり方につきましては、提出義務一般義務とした上で除外事由を設けた場合には、その除外事由に該当するかどうかをだれが判断するかということが問題となるところから第二の論点ということになったわけでございます。衆参両議院の附帯決議では、司法権を尊重する見地からこの制度を再検討することが求められておりますが、研究会でも最終的な判断権者裁判所とすべきであるという意見が多数を占めました。もっとも、国防や外交上の秘密、それから犯罪捜査等治安に関する秘密につきましては、行政庁の第一次的判断権をある程度尊重する外国立法例もありまして、秘密の種類によっては判断権あり方に多少の区別をするべきであるという意見も述べられました。  それから第三に、提出義務の存否についての審理方式でございますが、提出義務ないし除外事由の存否を審理するための手続として問題になりますのが、インカメラ手続と呼ばれるものでございます。新法は、この手続を私文書について採用しておりまして、公文書についてもこの手続を採用すべきかどうかということが議論されました。この手続の導入が裁判所にとって大きな負担になるということへの危惧をあらわした意見もございました一方、虚偽の陳述をさせないための担保としてこの手続公文書についても導入すべきだという意見も有力でございました。インカメラ手続は、文書提出義務を判断するための唯一の手続というわけではなくて、そのほかに例えば情報公開法の方で言われておりますボーン・インデックスというような方法もあるということでありまして、その点についても検討をいたしました。  それから四番目の文書提出命令情報公開制度との関係につきましては、ヒアリングにおきまして法律専門家以外の方々の意見が数多く寄せられました。ヒアリングにおきましては、情報公開法によって開示される場合と文書提出命令によって文書提出される場合とを比較して、文書提出命令の場合が広くなければならないという意見もあります一方で、単純には比較できないという意見もございました。  最後に第五点、公務員証人尋問する場合の証言拒絶権との関係でございますが、この点につきまして外国の例では、イギリスアメリカのようにいわゆる秘匿特権という構成をいたしまして、文書提出を拒絶することができる事由と証言を拒絶することができる事由とを基本的に同じに定めているところもございますが、しかし文書と証言とでは証拠方法としても性質に違いがあり、両者の整合性に必ずしもこだわる必要はないという意見もございました。  以上で論点メモについての内容の御紹介を終えることにいたします。  以上御報告申しましたとおり、新しい民事訴訟法附則二十七条を受けました公文書に関する文書提出命令制度検討は、現在、文書提出命令制度小委員会におきまして鋭意行っているところでございます。同条におきましては、新法の公布後二年を目途として必要な措置を講ずるものとされておりますので、今後とも、衆参両議院の各法務委員会附帯決議の御趣旨等を踏まえて、また情報公開法の制定に向けた検討状況十分視野に入れながら、精力的に検討を進め、できるだけ速やかに適切な成案を得るべく努力してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  7. 清水嘉与子

    ○小委員長(清水嘉与子君) ありがとうございました。  以上で参考人からの説明聴取は終わりました。  次に、情報公開法検討状況について総務庁から御報告をいただきます。藤井行政管理局行政情報システム企画課長
  8. 藤井昭夫

    説明員藤井昭夫君) 早速御報告いたします。  資料は、お手元に「情報公開法案立案に至る経過」という一枚紙、それから「「情報公開法要綱案」の骨子」という一枚紙、あと「行政改革委員会情報公開法制の確立に関する意見 関係資料」という冊子がお配りしてあると思いますが、それに沿って御説明いたしたいと思います。  まず、立案に至る経過について御説明いたします。  平成六年十一月二日に行政改革委員会設置法制定されているわけですが、この法律の中で、情報公開法調査審議を行うこと、設置後二年以内に意見具申をすべきこと、それから委員会意見等を尊重する義務政府にあること等を法律上明確に規定されたわけでございます。これにより、初めて政府として正式かつ本格的な情報公開法検討が行われることとなったわけでございます。  次いで、平成六年十二月十九日に行政改革委員会設置されているわけでございますが、情報公開法の問題は非常に専門的な問題であるということで、法曹実務経験者公法学者等方々を中心に各方面からの専門家にお集まりいただき、行政情報公開部会というものが設置され、その中で五十七回の熱心な御討議とかあるいは幅広い外国制度条例等調査、それから関係方面の広範な意見聴取、あるいは中間的な報告を公表する等々の作業をされた上で、平成八年十一月一日に最終報告を出されているわけでございます。  行政改革委員会の親委員会としても御審議の上、委員会としては平成八年十二月十六日に内閣総理大臣意見具申をしておられるところでございます。  政府といたしましては、その翌日に、十二月十七日でございましたが、総務庁の中に情報公開法制定準備室というものを設け、早速立案作業を開始しているわけでございます。  また、平成八年十二月二十五日には、行政改革プログラムという閣議決定によりまして政府としての対処方針を明確に決定しているわけでございます。すなわち、「行政改革委員会意見を最大限に尊重し、できるだけ早期に法律案をまとめるべく作業を進め、平成九年度内に」、これは来年の三月ということになるわけでございますが、「所要の法律案国会提出を図る。」というふうに期限をはっきりと明示した上で作業に取りかかっているところでございます。  このような方針に基づき現在作業中のところでございますが、実際、本体法案作業につきましては、逐語的な吟味あるいは網羅的な裏づけ調査を実施しながら具体的な条文立案しているところでございますが、それに加えて、情報公開法というのは極めて包括的な法律でございまして、関係法律というものが極めて多うございます。六百を超え三千規定に上るというわけでございます。これらの各規定についてこれまで洗い直しをしていたところでございますが、これをほぼ終了いたしておりまして、その上で調整方針を固め、調整を要する法律を絞り込むとともに、今後は具体的な改正条文についての検討に着手しようとしているところでございます。今後は、来年三月までの法案提出期限を厳守するということで、引き続き全力を挙げて作業に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。  政府立案作業というのは基本的に行政改革委員会要綱案を具体的に条文化するというものでございます。したがいまして、行政改革委員会要綱案に沿って情報公開法骨子を簡単に御説明させていただきたいと思います。資料の方は、「「情報公開法要綱案」の骨子」の部分をごらんいただければと思います。  まず一番目に、情報公開法の目的ということでございますが、「何人も、国のすべての行政機関に対し、その保有する行政文書について開示請求できる権利を定める制度。」、これが中核制度でございます。「何人も、」ということでございますので、日本人であるか外国人であるかは問いませんし、自然人であるか法人であるかも問わないことといたしております。  それから、「国のすべての行政機関」ということでございますので、国の機関のうち立法司法を除くすべての機関、会計検査院も加わることとしてございますが、そういう行政機関が保有している文書対象とするということでございます。  それから、開示請求権制度中核とする制度ということでございますが、これは広義には、情報公開制度というのは開示請求権制度情報提供義務制度の二種類があると言われておりますが、本法は開示請求権制度中核とするということでございます。当然のことでございますが、権利を定める制度でございますので、その処分に対して不服等のある方々は、行政事件訴訟法とか行政不服審査法による争訟手続を行うことができるということでございます。  それから二番目は、開示請求の対象となる文書、それから開示される範囲の問題でございますが、ここの部分は何をおいても情報公開法のやはり中枢的な部分であろうかと思います。  まず、対象文書についてでございますが、「職員が職務工作成・取得した文書等のうち、」これは論理的に考えられるすべての行政部内にある文書であるということでございますが、「組織的に用いるものとして、行政機関が保有しているもの」としておるわけでございます。多くの条例では、決裁行為等の行政機関のいわば主観的な要件対象文書というものを扱っているわけでございますが、これは部会での御論議の中で、できるだけ客観的な要件で判断できるようにするということで、組織的に用いるものというような概念を使っておられるところでございます。  それから、範囲の基本的な考え方でございますが、これも情報公開部会では非常に何度も御論議のあったところで難しい問題なのでございますが、基本的には公開の必要性、それからプライバシー等保護すべき必要性、それぞれ法律上正当に保護する必要がある。相反する場合は、比較衡量で判断されるべきということが第一点かと思っています。  それともう一つ議論があったのは、基準は明確であるべきということと、できるだけ限定的であるべきということ、これは場合によっては相反する場合もあるわけでございますが、できるだけその要請にこたえるような基準にすべきであるということの御論議があったということでございます。  そのような御論議の結果、こちらにも書いてございますが、「公開すれば第三者の権利利益や公共の利益を害するおそれがあるものを除き、原則開示。」という一つの枠組みをつくられた上、それと基準のつくり方の問題でございますが、不開示情報を大くくりのいわば事項的と申しますかカテゴリー的というか、そういうような情報に分類した上で、それぞれのカテゴリーごとに典型的な支障のおそれ等を明示することによって、できるだけ定性的基準等によって限定できるようにということで構成されているところでございます。  そこで、続きまして、例えば事項的な分類の例は六つあるわけでございます。一つは、いわば行政機関とか請求者にとって第三者の立場にある個人とか法人等に関する情報、それから三番目から六番目は、いわば行政運営上の大きな意味での支障ということになるんですが、その中でも特別のいわば配慮を要するような国の安全等に関する情報とか公共の安全等に関する情報のカテゴリー、それから行政運営情報に関しても、どちらかというと横断的な意味での審議検討に関する情報、それぞれ個々の事務・事業のいわば適正な遂行に関連するような情報、こういう六つのカテゴリーに分けられた上で、さらにそれぞれの情報ごとにどういう場合に支障があって公開に適さないかというような基準をつくっておられるということでございます。  さらに、上記の基準では法律上は非公開というふうになる場合であっても、それを上回るような公益上の理由があるという場合は裁量的に開示するようにできる。  それから、行政文書存否に関する情報、これはなかなかわかりにくい概念なんですが、当然文書存否自体も一つの情報でございまして、存否情報自体が不開示情報に該当するという場合もあり得るわけでございます。その場合は、文書存否を明らかにすると、例えばプライバシーそのものを侵害するとか、不開示情報に該当する場合もあるわけでございます。そのため存否を明らかにしないで拒否できることとするとともに、その拒否というのは当然一つの処分でございますので、問題があれば行政不服審査なり訴訟にも係らしめるというような仕組みになっているわけでございます。  それから三番目は、第三者保護に関する手続とありますが、これは行政機関とか開示請求者にとって第三者に関する情報の場合、その方々の権利利益を保護するという観点から、その第三者の意見聴取し、意に反して公開する、開示するというような場合は、その開示の実施まで争訟が可能なような余裕期間を設けるということで第三者の権利利益を保護する、そういう手続規定を置くこととしているわけでございます。それから大きな三番目は、不服審査会でございます。通例の行政不服審査手続であれば、大体、処分した役所あるいはその上級庁が異議申し立て庁の審査庁となって判断するということでございますが、これに客観的で合理的な解決を図るということから第三者的な機関意見を加味する、そういう仕組みをつくるということがこの情報公開法の客観的で合理的な解決を図るため必要不可欠なことであるという御判断の上、いわば諮問機関型ではあるが非常に権威の高い不服審査会を設けることとしておるところでございます。  この不服審査会には、諮問機関ということであるわけでございますが、インカメラとかいわゆるボーン・インデックス、それから不服申し立て者から直接的に意見聴取する等々の充実した手続規定を設けることとしているところでございます。  最後は、その他の問題でございます。先ほどもちらっと申し上げましたが、情報公開法の実際の施行に際しては、いろいろな公開、部分的に公開を定めている法律とか、あるいは趣旨として公開できなくなるような規定というものがあるわけでございますが、その法律情報公開法との適用関係等についてあらかじめ調整しておくということが情報公開法趣旨を貫徹するという意味でも不可欠なわけでございます。これについても、要綱案では極めて抽象的ではありますが、一つ考え方を示されておりまして、それの考え方に沿って政府は今作業中のところでございます。  より具体的に申し上げますならば、例えば特許法とか登記法とか、それから刑事訴訟法関係のいろいろな資料のように、それはちょっと情報公開法趣旨とは違うといったぐいで、情報公開法として特に配意をしなくても問題ないような制度に基づく資料については適用除外するという方向を考えているところでございます。  それから、多くの法律では閲覧、縦覧等の規定があったり、あるいは期限つきでの閲覧の規定が定められたりしているところでございますが、これらについては行政改革意見でも指摘されておるところでございますが、基本的には、他法による閲覧とか縦覧とか、その期限内の部分については他法の閲覧、縦覧等に任せると。しかし、それ以外の、例えば閲覧だけならば写しの交付とかあるいは期限を超えた部分、それについては情報公開法を適用するというような形での調整を今考えているところでございます。  そのほかにも、大きな問題としては著作権法上の公表権とか複製権との調整の問題があるわけですが、これについても関係省庁と現在検討を進めているところでございます。  簡単でございますが、以上で御報告を終わりたいと思います。
  9. 清水嘉与子

    ○小委員長(清水嘉与子君) ありがとうございました。  以上で総務庁からの報告聴取は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。  本日は、あらかじめ質疑者を定めずに、小委員皆様方に自由に質疑を行っていただくようになっております。  質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って御発言願いたいと存じます。  なお、できるだけ多くの方が質疑をできるようにしたいと思いますので、できますならば、御発言は一回につき二分か三分程度お願いをいたしたいと思います。  それでは、質疑のある方の挙手をお願いいたします。
  10. 橋本敦

    橋本敦君 総務庁にお伺いしたいんですが、情報公開法要綱案というのが資料にございますね。この要綱案自体はもう既に今いろいろ御説明がありましたが、これはもう基本的には確定したものとして扱って、これから法案化に向けてはこれがベースになるということで、特段ここのところでこの点を深めなきゃならぬ、この点を改正しなきやならぬ、そういった論議はこれからこの要綱案そのものについてはあり得るのかどうかということをひとつお聞きしたいことが一つです。  それからもう一つは、これは全然これとは関係のないことなんですけれども、アメリカなどでいきますと、御存じのとおり、一定期限、例えば二十年とか三十年で当然ディスクローズされるという制度があるわけですね。そういったことについて、政府側、つまり総務庁としては情報公開について御検討なさるお考えがあるのかどうかということが第二点目でございます。  それから第三点目として、公文書の意義について先ほど御説明がありまして、職員が職務工作成、取得した文書のうち「組織的に用いるものとして、行政機関が保有しているもの」と、こうありますので、「組織的に用いるもの」というのは一般的に行政庁行政庁の行政行為に関する文書として利用しておればいいのであって、なるべくこれは広く解釈されるということが妥当かと思いますが、「組織的に用いるものとして、」ということをおっしゃっている趣旨がどういうところにあるのだろうかと。  以上三点、お尋ねしたいということでございます。
  11. 藤井昭夫

    説明員藤井昭夫君) まず第一点の御質問でございますが、要綱案として文言が確定しているかという御趣旨だったと思いますが、もちろん要綱案そのものは行政改革委員会意見が既に出されているものですので、この文書自体は確定しているものと思います。この御意見に沿って政府条文化をしているということは事実なんですが、御趣旨要綱案の文言が一言一句修正が可能なのか不可能なのかという御趣旨であるならば、そこは、実はお手元資料をごらんいただければ、目次を見ていただきますと要綱案の部分と要綱案の考え方という部分の二つの部分がございます。要綱案の部分は結構趣旨的な、いわば骨子的な書き方になっているわけでございます。その要綱案のいわば立案意図をより明確にするためということで考え方の部分が書かれているわけですが、政府といたしましては、その考え方を含めて行革委員会の御意見というものをそんたくしながら立案作業を進めていきたいと思っております。  したがいまして、法律用語として適するのかどうかとか、一つの論理として文書構成がいいのかどうかとか、あるいは要綱案そのものが具体的な検討政府にゆだねているところもございます。そういった部分は考え方の部分も熟読しながら立案作業を進めていくということとしております。  それから、時限秘の問題について御質問がございました。これもちょっと細かくこの考え方の部分で記載されておりますので後ほどでもごらんいただければと思いますが、この問題も部会では実は御論議がございました。そこで御論議があったのは、外国なんかでの時限秘という場合は、実は秘密保護法制の中で規定されている問題でございます。一定期間秘密指定をしておくと、期間が過ぎるとその期間が過ぎた段階で一たん見直した上でできるだけ秘密を解除して、その上でさらに秘密として保護すべきものは秘密指定期間を更新すると申しますか、再度指定するというような形でシステムがつくられております。  アメリカ情報自由法なんかであれば、基本的にそういう秘密指定で正当に指定されているものについては裁判所においても実質的に尊重されているという運用がされているわけでございますが、我が国ではまずそういう仕組みがないということと、何よりも公開できるか非公開とすべきかという判断自体は、二十年なり三十年なりの期限が来る前に請求があった時点でまず判断すべきであると。その請求時点でそれぞれ判断すれば足りることであるという考え方から、その時限秘的な考え方はとらないというふうに御判断されておられます。  それから三点目でございます。組織的に保有するものの意味内容でございましたが、この問題も非常に部会で実は苦労をされた、苦心されたところでございます。  そこで問題になったのは、確かに行政機関の中にはいろいろな文書があると。個人的ないわば構想メモの段階のものから、あるいは組織としての正式な文書と申しますか、本来組織として保有すべきものも含めて、そういう文書もあると。その中で、そのメモ的なものは個人の頭の中を文書にしただけみたいなところがございまして、そういったところまで対象文書とすることはやっぱり問題があるのではないかということと、実際その運用上も、果たしてそういうことまで仕組みをつくって運用できるかということで、組織的に保有するというのは、拡大解釈することは御指摘のとおりあるまじきことだと思いますが、あくまでいわばメモのような個人的な段階の文書を除くという意味で使っておられるところでございます。  以上でございます。
  12. 橋本敦

    橋本敦君 そういうリミットというのは限定解釈ができるというわけですね。
  13. 藤井昭夫

    説明員藤井昭夫君) はい。
  14. 千葉景子

    千葉景子君 何点かちょっと御質問したいんですけれども、基本的にまずきょうは、一方で情報公開法制定に向けた論議がされています。一方では民事訴訟法のもとにおける文書提出命令、これにかかわる問題でございます。  そこで、竹下先生に、この情報公開制度文書提出命令について、基本的に論議の中ではどういう整理がどういう関係にあり、あるいはどう違ってということがどう整理されて論議が進められているのか。片方はむしろ国民主権にのっとった情報公開制度文書提出命令の方はやはり基本的には裁判の公正ということが大きな柱であろうかというふうに思いますけれども、その辺の議論の整理がどうされているのか、お知らせをいただければというふうに思います。  それからもう一点ですが、審理の方式として、情報公開法のもとでも、それから文書提出命令の際にもインカメラ方式などが議論をされていますけれども、先ほど御指摘があったボーン・インデックスのやり方などもあるということもございますので、ちょっとインカメラ方式あるいはボーン・インデックス方式、あとその他の手法というものもございましたら、簡単に御説明をいただければ大変ありがたいと思います。
  15. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) それではまず第一点でございますが、情報公開制度民事訴訟法上の文書提出命令制度との関係はどのように議論の中で整理されておるのかということでございますが、先生今御指摘のように、もともとは情報公開制度文書提出命令制度とはそれぞれ異なる目的を持つ別個独立のものでございます。情報公開の方は、ただいま御説明がございました今回の要綱案の考え方によりますと、国民主権の理念にのっとって政府の諸活動の国民に対する説明の責任を果たす、そういう意味で行政機関の持っている情報に国民がアクセスできるようにしようと、こういうことでございます。他方、文書提出命令の方は、訴訟における真実の発見あるいは当事者の立証上の負担の公平の実現を図るということを目的としたものでございます。  ただ、そのようにもともとの目的は別個だといたしましても、特別の利害関係を持たない国民一般の立場でアクセスし得る情報の記載されている文書が、訴訟上の真実発見あるいは当事者間の公平を図るため必要とされたときに、それが提出されないということになったのでは均衡を失するのではないかというふうに一応考えられるところでございます。  そうなりますと、情報公開法のもとでアクセスし得る文書は、一応文書提出命令の方でも対象になるのではないかという考え方が出てくるわけでございます。  ただし、文書提出命令制度は、初めに申しましたように制度としては情報公開制度と目的を異にしておりますし、それからまた御案内のように、既に私文書につきましては新しい民事訴訟法ができましてそちらで提出命令制度ができておりますので、これとの均衡を図る、規定の上でもそれと矛盾のないような、あるいは国民が一般に理解しやすいような形で規定をしなければならないという必要がございます。そのために、公文書提出義務の範囲、あるいは逆に提出拒絶事由の定め方というものは、必ずしも情報公開法に準拠するような形になるとは限らないのではないかと。  そういうことで、ただいまのところ、両者は非常に関連はするけれども一応別々であるし、それから既にできている私文書提出命令制度との整合性というものを考えながら成案を得ていかなければならないということを考えているところでございます。  それから第二点でございますが、これは一応秘密ということが問題となるような文書についてどのような審理手続をすべきかということでございますが、この点につきましては、文書提出命令制度研究会及び同小委員会での議論の中で主として議論されておりますのは、御指摘のインカメラ手続とボーン・インデックスでございまして、インカメラの方は、先ほども申しましたように、公文書についても私文書と同じように広く適用すべきである、公文書の場合もインカメラ審理ができるようにすべきである、原則的にはそう考えるという考え方が多数でございます。  ただその場合に、同じインカメラというふうにいいましても、国家機密とかあるいは防衛、外交上の秘密というようなものの場合にその運用の仕方なり規定の仕方なりがほかの公文書と全く同じでいいかどうかということについては、なお慎重に検討すべきであるというようなことは言われております。  それから、ボーン・インデックスの方でございますが、これはマスコミ関係方々等のヒアリングをいたしましたときにも意見が両様に分かれておりまして、ぜひこのボーン・インデックスというような制度文書提出命令制度の中の一環として取り込んで、第一次的にはこういうもので審査をして、それからインカメラ手続を第二段の審査方法として予定すべきであるというような御意見と、それから必ずしもそうではなくてインカメラ手続だけを設ければいいのではないかというような御意見もございました。  小委員会の方の議論では、どちらかと申しますと、ボーン・インデックスは文書提出命令との関係でいうと制度として組み入れるというよりも、むしろ運用といいますか、裁判所が最終的にインカメラ手続で実際に文書を見るかどうか、閲読するかどうかということは一種の裁量にかかりますので、その裁量権を行使する場合にボーン・インデックスによって秘密性がどこまで明らかにされているかということを考慮する、そういう運用上の問題にとどめていいのではないかという考え方が多数でございました。  それ以外の特別な審査方法というものについては、特に議論がございませんでした。  以上でございます。
  16. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 竹下参考人、きょうはありがとうございました。大変参考になりました。  総務庁藤井課長に一点だけお伺いをいたしますが、私、県議会におるときに、沖縄県情報公開条例というのを議員立法でつくったことがございます。そのときに幾つか問題点がありましたけれども、請求権者はどうするかということと、それから開示請求権制度対象となる行政機関をどうするか、どの範囲にするかということで大きな論議がございまして、特に県議会を含めるかどうかということが争点になりました。私がつくった案では県議会も当然含めるべきだという案を提出したわけでありますが、最終的には県議会を含めないという修正がなされてしまいました。  情報公開制度というのは、私は、我が国の国民主権主義、あるいは論争はありますけれども、憲法上言われる知る権利との関係で民主主義を担保する大変重要な制度だというふうに理解をしておるわけでありますが、この開示請求制度対象となる機関として裁判所を除くのはよくわかりますけれども、国会を含めるかどうか、そのことについて諸外国制度はどうなっているのか。恐らく要綱では国会は除外しているんだろうと思いますけれども、私はやっぱり国民の知る権利との観点あるいは成熟した民主主義社会を目指していくという立場からすれば、国会対象となる行政機関として法制度を整備すべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
  17. 藤井昭夫

    説明員藤井昭夫君) 私の見解というか意見というよりは、恐縮ですが、行政情報公開部会でどういう議論があったかということを御紹介いたしたいと思います。  対象機関国会裁判所を入れるかというようなことは一応部会では話題にはなりました。ただ、一つは、行政改革委員会というのはあくまでも総理府に置かれる諮問機関でございます。三権分立の建前から申して、三権のうちの行政機関以外の国会裁判所について意見を言うのはいかがなものかということ、それから先ほど言いました行政改革委員会設置法そのものに行政機関に関する行政情報の公開に関する法律というような書き方をしているということで、一時話題にはなったんですが、最終的には行政機関情報公開制度についての意見を言うということでまとまったということでございます。  それから、外国対象機関国会を入れているかどうかというような御質問がございました。  たまたま私ども情報公開部会に出した資料がございまして、それの写しが手元にあるんですが、これちょっとあらかじめお断りいたしておきたいのは、なかなか外国制度というのはよくわからないところがございまして、対象機関自体も厳密にはよくわからないところがございます。いろいろな書き方、例えば政府機関としておるような場合、それに国会を入れているのかどうかというようなのはよくわからないところがあるんですが、数はお示しできませんが、国会を入れていると思われる国もありますし、行政機関だけというところもございます。  ちょっと後ほど、もしあれだったら資料を写しにでもしてお渡ししたいと思います。  以上です。
  18. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 まず、竹下先生にお聞きしたいんですが、参議院法務委員会審議附帯決議をしたんですが、その第三項、公務員証人尋問について言及をしておるんですが、文言は別として、あの当時は文書提出命令検討にあわせて公務員証人尋問についても改正も含めて検討をすべきではないだろうかという気持ちで実はこの附帯決議をつくった当事者の一人であります。  この文書提出命令制度研究会は、もう名前からして文書提出命令に限ってやっているような印象を受け、かっこの公務員証人尋問について言及すればいいのかな、そんなふうにも見えるんですが、真っ正面からこの制度について議論がどの程度進んでいるのかということをお教えいただきたいというふうに思います。  それから、藤井さんにちょっとお聞きしたいんですが、野党案も含めていろいろ出ているんですけれども、ただ、最近でも道路公団ですか、外債を発行するについていろんな理事者が海外に行って、幹事会社等、銀行にしても接待攻勢を受けているというようなことも新聞に出ておりますけれども、やはりそんなことを考えると今情報公開制度の最たるものではないのかなと。特殊法人だからといってすべてこれはないわよというようなことはいかがなものかというふうに思うんですが、一律にこれはまた別途検討すべきであるということなのか、あるいはさらに別途検討するんだったら別途検討するように今やっているのかどうかということを含めてお教えいただきたいと思います。
  19. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 先生御指摘のように、特に参議院法務委員会附帯決議の中では、公務員証人尋問の場合の証言拒絶権の問題との整合性ということも考慮すべきであるという御指摘があったのは私どもも重々承知してございます。したがいまして、先ほど申しました研究会でも、それからまた検討委員会でもこの点についても十分審議検討をいたしております。決して言及をすればよろしいという程度のものでないということは私どもも承知しております。  そのことは、先ほど触れさせていただきました本日の資料五の文書提出命令制度論点メモをごらんいただきましてもおわかり願えると思います。第六としまして証言拒絶権との関係というのを一つの論点に掲げておりまして、資料五の十三ページ、十四ページについてかなりいろいろな意見が出ております。外国制度につきましても、それぞれ証言拒絶権の問題と文書提出拒否事由あるいは拒絶事由との関係のことにつきまして調査をいたしました。  先ほど簡単に触れるにとどめざるを得ませんでしたけれども、イギリスアメリカの場合には両方ともいわゆる秘匿特権、つまり日本的に言うと公益上の秘密というものがある場合にはそれを理由として証言を拒絶できるし、また文書提出を拒絶できるということになっておりまして、その範囲は同じという形になっております。  それに対しまして、ドイツの場合には必ずしもそういう構成になっていないようでございまして、ドイツの場合には民事訴訟と行政訴訟とで違いがございますけれども、行政訴訟の場合には文書提出命令につきましては一般義務ということになっておりまして、国または州の安寧が害される場合その他公共に重大な影響がある場合に限って提出を拒絶できるということになっておりますが、証人尋問の方は必ずしもそういうことでないようでございます。  それから、フランスにつきましてもそこにございますが、「適法に要請された者はすべて、証言をしなければならない。正当な理由により正当化した者は、右証言拒絶義務を免れることができる」という規定が一方にございまして、文書提出拒絶の場合における拒絶事由は「適法な支障」がある場合という表現でございますけれども、内容的には同じものと解されているというようなことが報告されてございます。  そのほか、そこにございますようにいろいろな方々の御意見の中にも出てございました。私どもといたしましては、そこで両者の関係についてどう検討を進めていくべきかということを現在考えているところでございます。  御指摘のように、職務上の秘密を理由とする公務員証言拒絶権の定めと、公務員職務上保管しかつ所持する文書提出拒絶事由との間にも均衡があることが求められるであろうということは重々承知いたしているところでございます。ただ、具体的に公文書提出命令制度内容を定めるということになってまいりますと、公文書の場合には一体、提出命令の名あて人といいますか、これが個々の公務員になるのかどうかというような問題もございますために、制度の構造が証言拒絶の場合と同じようになるかどうか、あるいはまたそうすべきかどうかということについては慎重に考えなければいけないと考えているところでございます。  以上でございます。
  20. 藤井昭夫

    説明員藤井昭夫君) 特殊法人の取り扱いについての御質問でございました。お手元にこの関係資料がございますので、この四十八ページをお開きいただきますとおわかりいただけると思うんですが、実は行革委員会自体、「特殊法人の情報公開に関する制度又は施策を速やかに整備すべきである」というふうに御指摘していただいております。  ただ、そうはいっても特殊法人というのは、実はその性格が理論的には非常にあいまいなところがございまして、また現在八十六あるわけでございますが、公団、事業団のほかにも株式会社とかあるいは共済組合とか、いろんなものがございます。その法的性格というか位置づけ、これが全く国の行政機関と同様に扱っていいかどうか極めて理論的な問題が残っているということでございます。  そういうこともございまして、情報公開部会の御判断は、行政機関に対する情報公開法を直接適用するということはしないと。ただし、それは政府において必要な措置を講すべきであると。しかも、その必要な措置を講すべきという義務情報公開法に明記すべきであるということで、これもお手元資料の十四ページをお開きいただきますと、その第二十七というところに特殊法人の情報公開という一条を設けてございますが、ここで明確に書いてございますように、法制化すべき義務情報公開法に明記するというような御指摘でございます。したがいまして、政府としてはそういう要綱案に沿って今立案作業を進めているところでございます。  それとあわせて、特殊法人についての何か検討を始めているかという御質問でございました。これ、実は私ども立案作業をやっている最中なんでございますが、先ほど御指摘のように、国会だけじゃなしにいろいろマスコミを初め関係団体からも特殊法人の情報公開を早く進めるべきであるというような御指摘があったということを踏まえて、実はこの十月、特殊法人の情報公開の制度化に関する研究会というのを発足させてございます。  具体的には、行政法その他公法関係の実は特殊法人についての研究者というのは意外と少のうございますが、その中でも五人ぐらいお集まりいただきまして、既に二回ぐらい検討会を開いたところでございます。  まず、我が国の特殊法人制度とか外国の特殊法人に類するような制度いろいろあるわけですが、そういったような実態とかあるいは各国の情報公開制度対象としているような特殊法人はどういうものでどういう論理なのかと、そういったものを調査していただいた上で、特殊法人の情報公開制度のいわば理論的な険路みたいなものを解明していただければということで現在検討お願いしているところでございます。  以上でございます。
  21. 大森礼子

    大森礼子君 総務庁の方にお尋ねいたします。  要綱案の中で不開示情報として六つ挙げられております。その中の第五、行政機関なりまたは行政機関相互の審議検討または協議に関する情報の点なんですけれども、いわゆる審議会のあり方等についてなんですが、平成七年、宗教法人法の改正があったときに審議会のあり方が非常に問題になったわけです。そのときには、審議会そのものがいかなる根拠に基づいて設置されたかという点もたしか問題になったと思いますが、それ以上にその審議自体が非常に非民主的な運営をされたんではないか、こういうことが大きく問題になりました。  それで、一般に審議会等の答申がありますと、政府側はそれがもう神聖不可侵の意見であるかのように、審議会でこうお決めになりましたからと答弁されるわけなんですけれども、審議会の意見が尊重されるとするならば、それはあくまで審議というものが民主的になされており、または民意を反映しているからであろうと私は思うわけなんです。  こういう前提で要綱案を見ますと、例えば開示することによって率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるとか、こういう理由を挙げております。これは宗教法人法改正のときにも答弁があった点で、そのときの域を一歩も出ていないのかなという気がするわけです。こういう政策などの形成される過程を明らかにしていこうというのが情報公開の趣旨だと思うんですが、要綱案のこういう規定の仕方でよろしいのかどうか。  それからあわせて、平成七年九月二十九日に閣議決定というのがありまして、これは「審議会等の透明化、見直し等について」であります。原則公開ということで、非公開とする場合にはその理由を必ず明示することとし、議事要旨を原則公開と。閣議決定でこのレベルまで行っているわけですが、この要綱案というのはこの閣議決定よりさらに後退しているものではないかという気がするわけなのですが、いかがでしょうか。私は、原則公開として、不公開の場合を極めて限定的にとらえるという規定をすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  22. 藤井昭夫

    説明員藤井昭夫君) お答えいたします。  一つは、情報公開制度とは何かということなのでございますが、情報公開制度というのは、あくまであるがままに行政機関が保有している文書がある場合、それを公開するかしないかというところまででございまして、例えば行政機関に対して新たに公開の必要性の高い情報の作成を義務づけたり保管を義務づけたり、そこまでの法制度というものではないと。御承知かと思いますが、アメリカでいわゆるサンシャイン法とか連邦諮問委員会法というのがございますが、こういったものは審議会等あるいは行政委員会等の議事運営そのものの手続の仕方、それから議事運営の仕方、そういうふうなものの公開義務を定めていると。もちろん議事録なんかの作成も義務づけたりしているわけでございます。  ということで別の制度なんでございますが、たびたびで恐縮でございますが、三十一ページをお開きいただきたいんですが、部会でも当然審議会は公開すべきであるということの御論議がございまして、考え方の中にはやっぱり審議会の重要性を考えて可能な限り開示するということが重要だよというような御意見をいただいているところでございます。  二点目は、ちょっと順不同になりますが、閣議決定との関係でございますが、その閣議決定は、別途議事録とか議事要旨を作成しなさいとか原則公開しなさいというような、いわばサンシャイン法とか連邦諮問委員会法とか、むしろそっちの方向の施策であるということでございます。  情報公開法の方は、たまたまという言い方はまた誤解を招かれるおそれがありますけれども、既に議事録なんかが作成してある場合、それが行政文書である場合、それを原則的に開示する義務があるというところまででございます。議事録を作成しろとか議事要旨を作成しろとか、そういう義務づけまではこの法律のカバレッジには入っていないということでございます。  そういう意味であるということと、ぜひもう一言だけつけ加えさせていただきたいんですが、現在の第五の審議検討情報規定ぶりでございますが、これもいろいろ誤解されることが多いんですが、いわゆる意思形成過程というような言い方をよくしておりましたが、意思形成過程であるものは原則不開示だというような取り扱い、これはやっぱり非常によくないことだと。委員御指摘のように、国民は政策形成過程の透明性を期待しているんで、むしろ公開すべきだと。  この要綱案の五に書いていますことは、審議検討情報であっても、以下の不開示の支障の例がありますが、例えば不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれとか、特定の人に不当な利益を与えたり不利益を与えたりするとか、そういう支障のおそれがあるもの、特に専門委員の方がこだわっておられたのは、不当にという言葉が入っているということです。この不当にということで非常にシビアに利益衡量できる。これは、後ほど裁判所なりで御判断する一つの基準になるわけでございますが、その上で支障のないものはやっぱり原則開示だという趣旨規定であるということを御理解いただければと思います。  以上です。
  23. 橋本敦

    橋本敦君 竹下先生、お忙しいところありがとうございます。  竹下先生にお伺いしていないので、二、三お願いしたいと思うんですが、いろいろと大変な御検討、御研究、本当に御尽力ありがとうございます。詳しい資料をいただきまして、いろいろと目を通してまいったんですが、概括的な結論として大体方向づけがどういう方向に行っているかということについてお伺いをしたいという趣旨の質問なんです。  一つは、公文書提出義務一般義務化という方向は、大体各研究会やそこらの意見で一致してきているのかどうか、これが第一点。  その場合、大事なのは除外事由になるんですが、その除外事由としてはやっぱり国家の利益または公共の福祉に重大な影響を与える、そういうところのくくり方で大体意見が一致するのかどうか。  それから、第二点の問題として、それを判断するということで、いわゆる裁判所の判断に係らしめるということで、先ほどもお話がありましたインカメラなりあるいはそれに近いボーン・インデックスの制度というのはやっぱりいいなという方向で大体行っているのかどうか。  そういう議論の検討が大体終わりに近づいているように思いますので、議論の大方の方向としてどう進んでいるか、ちょっとまとめてお知らせいただければ幸いだと思います。  以上でございます。
  24. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) それでは申し上げます。  これまで冒頭に御報告いたしましたように、研究会、小委員会を通じて鋭意検討を重ねているところでございますけれども、まだ具体案を作成してそれを目の前に置きながら議論をするというところまでは行ってございません。ですから、今お触れになりましたように、全体のこれまでの議論の流れのようなことと考えて申し上げます。  まず第一点、公文書についても一般義務化をするという方向に行っているのかということでございますが、この点は先ほど論点メモ説明でもちょっと触れましたように、それが大方の意見であるというふうに申し上げることができると思います。  それから、除外事由の定め方でございますが、これが一番なかなかまだ意見のまとまらないところでございまして、橋本先生が今お触れになりました公共の重大な利益とか、あるいは国家の重大な利益というような定め方をするというのが一つの考え方であると思いますけれども、他方では、情報公開法の方の不開示情報との整合性といいますか、そういうものを考慮すべきであるという意見もございますし、それからまたもとの政府原案にございました、現在の証人の証言拒絶権の理由となっております公共の利益あるいは公務の執行に重大な支障を生ずるというようなくくり方というものも考えられるという意見もございまして、ここのところはこれが大勢であるというふうに申し上げる段階にまだ至っておりません。  それから、最後判断権の点でございますが、これは衆参議院法務委員会附帯決議等でもお示しになっておられますように、司法権を尊重する方向でということでございますので、多くの意見はその方向を向いているというふうに申し上げることができると思います。  ただ、先ほどの論点メモ説明でも申し上げましたように、秘密の種類との関係で、例えばインカメラの審理の仕方等が全部同じになるのか、あるいは秘密の種類によっては情報公開法の方でも若干の区別をしておられるようでございますけれども、そのような考え方を取り入れてくるべきだというような意見もございますので、そこのところはまだ今後の検討にまたなければならないということでございます。
  25. 橋本敦

    橋本敦君 よくわかりました。ありがとうございました。
  26. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 法務省にお伺いしたいんですが、民事局長、今の竹下先生の参考意見は民事局長の御認識とも一致していると判断してよろしいでしょうか。
  27. 森脇勝

    政府委員(森脇勝君) 私どもも、こうした民事訴訟を含む民事、刑事の基本法についてその策定段階を含めまして法制審議会お願いしておるという実情にございます。したがいまして、参考人が今おっしゃった方向というのは私どもも同様の認識をしているところでございます。
  28. 清水嘉与子

    ○小委員長(清水嘉与子君) 以上で質疑は終了いたしました。  竹下参考人一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十一分散会