○円より子君
平成会の円より子です。私の持ち時間四十分の中で、きょうは
死刑制度と
民法改正について質問をしたいと思います。
まず、皆様御存じだと思いますけれ
ども、この参議院の
法務委員会というのは、かなり
死刑制度について真剣な議論が以前より行われてまいりました。まず、一九五六年にこの参議院
法務委員会で、当時の高田なほ子
委員長自身が加わって、羽仁五郎さん、市川房枝さんというような方々が提案者になって
死刑制度廃止の法案を議員立法で出していらしゃいます。そして、この
委員会で極めて真剣な議論が行われ、二日間にわたって公聴会も行われたということを聞いております。
それで、
日本では一九七四年には、その九年前に諮問がなされたこの
死刑制度について
法制審議会で答申もなされております。ただ、このときの答申である
改正刑法草案では、凶悪犯が後を絶たない犯罪情勢及び国民の大多数がその存置を希望している
現状に留意するとともに、他方で死刑の適用はなるべく制限していくのが望ましいという
考え方から、死刑を定める罪を縮減した上で
死刑制度を存置することとされております。
そして、世界的な潮流でいいますと、国連で一九八九年に死刑廃止条約を採択、発効しておりますが、このとき
日本は反対をしております。このときの反対は二十六カ国だったんですが、そのうちの
日本は
一つだったわけです。
さて、今、一九九七年九月現在の統計によりますと、世界百九十三カ国中、死刑廃止国は九十九カ国、存置国の九十四カ国を上回っているというのがアムネスティなどの調べで出ておりますが、国際
社会の潮流は
死刑制度を持たないでどうやって犯罪を防止するか、その模索中ではないかと思います。
私は、残虐に殺害された被害者、そしてその親族、友人、知人
たちの苦しみというのは大変よくわかりますし、その残虐な犯罪は知人、友人、親族でなくてももちろん許せないと思います。しかし、死刑によってそういった御親族や友人、知人の方
たちの気持ちがいやされるものなのでしょうか。その辺が甚だ疑問といいますか、それだけで済むのかどうかという思いをしております。
被害者遺族給付金
制度というものもできまして、少しはその被害者の親族の気持ちもいやされるような方向に向かっているとは思いますけれ
ども、カウンセリング等遺族への支援体制の拡充も含めて、いま一度この
死刑制度というものを国民に広く
情報を出し、そして知恵を出し合って議論を深めるべき時期に来ているのではないかという
観点からきょうは質問をしたいと思います。
ことしの八月一日に四人の方が死刑執行されたということを新聞記事やアムネスティの出したインターネットのリスト等で知っておりますけれ
ども、この件について、なぜ四人同時に執行が行われたのか。
このところ二十年間ほどの我が国の死刑執行を見ておりますと、死刑執行数が毎年一人か二人で推移していた時期と、執行数が全くなくゼロだった時期と、そして九三年の三月に三人が同時執行されてからは半年に一回ごとに同時処刑が続くというこの三段階に分かれているように思うんですけれ
ども、このところ九三年の三月以降、なぜ半年ごとぐらいに複数の同時処刑が行われているのか。その同時処刑について、例えば今まで時期がばらばらだった時期の
法務省当局の
説明では、一人一人の心情の安定を大切にしているからというような御
説明があったように思われますが、こういった
説明をみずから否定するものではないかと思うのですが、まずこれについてお伺いしたいと思います。