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1997-12-02 第141回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月二日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十二月一日     辞任         補欠選任      聴濤  弘君     吉川 春子君      吉岡 吉典君     阿部 幸代君  十二月二日     辞任         補欠選任      狩野  安君     長尾 立子君      村上 正邦君     鈴木 政二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹山  裕君     理 事                 板垣  正君                 依田 智治君                 永野 茂門君                 瀬谷 英行君     委 員                 井上  孝君                 狩野  安君                 鎌田 要人君                 鈴木 政二君                 鈴木 貞敏君                 長尾 立子君                 村上 正邦君                 矢野 哲朗君                 荒木 清寛君                 鈴木 正孝君                 山崎  力君                 齋藤  勁君                 角田 義一君                 阿部 幸代君                 吉川 春子君                 北澤 俊美君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君    政府委員        人事院総裁    中島 忠能君        人事院事務総局        管理局長     尾木  雄君        人事院事務総局        任用局長     角野 敬明君        人事院事務総局        給与局長     武政 和夫君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        行政改革会議事        務局次長     八木 俊道君        総務政務次官   熊代 昭彦君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁恩給局長  桑原  博君        防衛庁長官官房        長        大越 康弘君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    説明員        自治省行政局公        務員部給与課長  浦山 紘一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○一般職職員給与に関する法律及び一般職の  任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 竹山裕

    委員長竹山裕君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨一日、聴濤弘君及び吉岡吉典君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君及び阿部幸代君が選任されました。     —————————————
  3. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。小里総務庁長官
  4. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本年八月四日、一般職職員給与改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、人事院勧告どおり改定を行うが、指定職俸給表適用を受ける職員については改定を一年延伸することが適当であると認め、一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律について所要改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  最初に、一般職給与法改正関係について申し上げます。  第一に、俸給表のすべての俸給月額人事院勧告どおり改定することといたしております。  第二に、初任給調整手当について、医師等に対する支給月額限度額を三十一万二千二百円に引き上げること等といたしております。  第三に、扶養手当について、扶養親族でない配偶者がある場合の扶養親族たる子、父母等のうち一人についての月額を六千五百円に引き上げるとともに、満十五歳に達する日以後の最初の四月一日から満二十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある扶養親族たる子に係る加算額を一人につき月額四千円に引き上げることといたしております。  第四に、特地勤務手当に準ずる手当について、支給割合限度俸給及び扶養手当月額合計額の百分の六に引き上げることといたしております。  第五に、新たにハワイ観測所勤務手当を設け、官署を異にする異動により国立天文台ハワイ観測所勤務することとなった職員に、俸給及び扶養手当月額合計額に百分の八十を乗じて得た額を月額として支給することといたしております。  第六に、宿直手当について、通常の宿直勤務に係る支給額限度額勤務一回につき三千八百円に引き上げる等、所要改善を図ることといたしております。  第七に、期末手当について、三月期の支給割合を百分の五十五とするとともに、行政職俸給表(一)の適用を受ける職員でその職務の級が九級以上であるもの等の特定幹部職員に対する支給割合を六月期は百分の百四十、十二月期は百分の百七十とすることといたしております。  第八に、勤勉手当について、特定幹部職員に対する支給割合を百分の八十とすることといたしております。  第九に、指定職俸給表適用を受ける職員に対して、期末手当にかえて新たに期末特別手当を設け、勤務成績が良好でない場合には、勤務成績に応じ各庁の長等が定める額を減じた額を支給することといたしております。  第十に、非常勤委員、顧問、参与等に支給する手当について、その限度額日額三万八千九百円に引き上げることといたしております。  次に、任期付研究員法改正関係については、任期付研究員適用する俸給表のすべての俸給月額改定することといたしております。  以上のほか、施行期日適用日、この法律施行に関し必要な経過措置等について規定することといたしております。  なお、指定職俸給表適用を受ける職員については俸給表及び期末特別手当支給割合改定を一年延伸し、平成年度から行うこととしております。  引き続きまして、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職職員給与改定にあわせて、特別職職員給与について所要改正を行おうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、内閣総理大臣等特別職職員俸給月額一般職職員給与改定に準じて引き上げることといたしております。  第二に、特別職職員である常勤及び非常勤委員等に支給する日額手当限度額一般職職員給与改定に準じて引き上げることといたしております。  以上のほか、この法律施行期日適用日等について規定することといたしております。  なお、一般職指定職職員と同じく、別表第一の適用を受ける内閣総理大臣等並びに別表第二の適用を受ける大使及び公使に関しては俸給表及び期末手当支給割合改定を一年延伸し、平成年度から行うこととしております。  以上がこれらの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  5. 竹山裕

  6. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて防衛庁職員給与改定を行うとともに、自衛官俸給表陸将、海将及び空将の欄または陸将補海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官に係る調整手当支給割合改定を行うものであります。  すなわち、第一点は、一般職職員の例に準じて参事官等及び自衛官俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校学生学生手当改定期末特別手当新設等を行うとともに、営外手当についても改定することとしております。  第二点は、自衛官俸給表陸将、海将及び空将の欄または陸将補海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官に対する調整手当制度について、その充実を図っていくため、自衛官俸給改定との兼ね合い等を総合勘案し、当該自衛官に係る調整手当支給割合改定することとしております。  以上のほか、附則において、施行期日適用日俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定しております。  なお、事務官等俸給扶養手当医師及び歯科医師に対する初任給調整手当期末手当等につきましては、一般職職員給与に関する法律改正によって、同様の改定防衛庁職員についても行われることとなります。以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  7. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 依田智治

    依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。  きょうは、給与関係閣僚会議の座長である官房長官においで願って基本的考え方を聞きたいと思ったんですが、ちょうど私の時間は外交日程ということなので、給与所管総務庁長官にぜひ政府立場をお伺いしたいと思っております。  先ほど説明がありましたような中身で本年度給与改定がなされるわけでございますが、人勧が八月四日になされて以来、政府としてもこの実施について慎重に検討の上、十一月十四日に公務員給与改定に関する取り扱いということで閣議決定をしたわけでございます。  そこで、中身はもうこれで読ませていただきましたが、給与担当大臣として、政府としてこの厳しい未曾有の構造改革の中で給与改定実施するということでございますので、これに対する基本的考え方をお伺いしたいと思うわけでございます。
  9. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 憲法上の労働基本権の制約にかかわる代償措置であります、しかもその代償措置の根幹であります、こういう基本的認識は堅持しながら対処いたしたつもりでございます。  本年度人事院勧告取り扱いに当たりましては、国民及び公務員双方理解納得が得られるよう給与関係閣僚会議等も四回にわたりまして開いたところでございまして、その趣旨におきましては論議を尽くしたつもりでございます。  今回決定をいたしました取り扱い方針につきましては、もちろん良好な労使関係維持等にも配慮しつつ進めなければならない、かつまた、ただいまお話しのとおり危機的状況にある財政事情のもと、総人件費の極力抑制あるいは財政構造改革推進についての閣議決定等趣旨も踏まえたものでございます。その結果、指定職以外の職員勧告どおりいたします、指定職につきましては改定を一年延伸することといたした次第でございます。
  10. 依田智治

    依田智治君 今、政府立場は御説明いただきましたが、きょうは人事院総裁に来ていただいています。  私は、今回質問するに当たりまして、また人勧が出て以来この問題についていろいろ研究してみました。民間だったらどうなんだろうか。例えば大会社が毎年赤字を出している。労働基本権があって労使交渉をしたら、会社はこんな状態だ、ちょっとことしはベースアップは難しいんじゃないか、こういうことで、仕方がない、ある程度でやむを得ない、もしそういうことだったら、そういうことになるような危機的状況かなと、こんな感じもするわけですね。公務員の場合には人事院勧告というのがあるわけですが、この勧告がなされると、特別職、さらには膨大な地方公務員もほぼずっと右に倣って改定されるわけでございます。  そこで、人勧の意義と、代償措置というけれども、どんな状況でも完全に払えというものなのか、そのあたりに関する人事院総裁人勧についての基本的考え方を改めて伺いたいと思うわけでございます。
  11. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 民間の場合には労働三権というものを労働者がそれぞれ持っておりまして、その労働三権を背景に労使が交渉して賃金を決めるということでございますが、ただいま総務庁長官が御答弁されましたように、公務員の場合には労働基本権が制約されておるということでございますので、現在までのいろんな積み重ねの結果、「給与決定する諸条件の変化により、」というふうに法文上は書いてございますけれども、今までの経験の積み重ね上、これが民間労働者並みということで運用され、一応そういうことで国民の御納得を得られているというふうに考えております。  そこで、私たち民間労働者賃金改定状況というのをよく調べまして、その結果こういう勧告を申し上げておるわけでございますけれども、その調査の過程におきましても、民間企業というのは先生が今おっしゃいますように非常に厳しい経営状況のもとで賃金改定を見送ったところもございますし、そうでないところもございます。そこで、公務員給与を決めるときには、いろいろな民間企業というものがございますけれども、その平均的な姿というもので公務員給与をお決めいただきたいということで勧告を申し上げておるわけでございます。  この勧告に基づくアップというのは、公務員にとりましては唯一の賃金改定の機会でございますので、私たちといたしましては民間労働者平均並み賃金というものをどうしても公務員に保障してあげていただきたい、そうすることによって、ただいま総務庁長官が御答弁されましたように、良好な労使関係が維持されるだろう、その良好な労使関係のもとにおいて国民に対して質の高い行政サービスが間断なく提供されるんじゃないか、このように考えておるわけでございます。そういうことによって公務全体として国民に対して責任のある行政サービスができる、こういうふうに考えるわけでございます。
  12. 依田智治

    依田智治君 私もその基本理解しているつもりでございますが、ただ先ほど総務庁長官国民にも公務員にも理解を得られると。山一はつぶれ、本当に果たして給料退職金まで払ってくれるかというような厳しい状況の中で、公務員はいいなというような面が逆にあるのかなと思います。  それにしては、そういう空気の中では指定職は一年延ばすのが適当である、こういうふうに書いてありますが、今回の人勧実施に伴う所要経費国家公務員の場合、総額幾らですか、総務庁
  13. 中川良一

    政府委員中川良一君) 今回御提案申し上げております給与改定に伴う所要経費でございますが、財政当局の試算によりますと、一般会計で約千四百十億円ということでございます。
  14. 依田智治

    依田智治君 地方なんかはわかりますか、自治省。——では、国家公務員の場合、指定職で今度一年延伸された場合の給与というのはどのくらいになるんでしょうか。
  15. 中川良一

    政府委員中川良一君) 指定職の一年延伸に伴います節減額は約十億円というふうに承知いたしております。
  16. 依田智治

    依田智治君 私の手持ちの資料では、地方は二千四百億ぐらいというような話も伺っていますが、国の場合、千四百十億の中で指定職は十億と。幹部はそれくらい理解しろということかどうか。  それから、「指定職俸給表については、民間企業役員給与との間に相当の差が認められるものの、諸般の事情を考慮して、行政職と同程度の改定にとどめることとし、引き続き民間企業役員給与の実態に相応するよう検討する」と、人勧の中でも、相当差があるけれども、一般並みにしておくけれども、今後検討しますと。実際の実施上さらに一年延ばすというのは、この全体を見ると私は適当であるという理由がやや乏しいなという感じがするわけです。  むしろ、こういう厳しい状況の中では、私も昔公務員ですから、完全実施ということが、附帯決議もきょうあるみたいですが、やはりできることならやるんですけれども、国民に対して本当に示すのなら、こんな指定職の十億だけ削るというのでなくて、例えば一カ月延ばすという方がずっと効果があるなという感じもしておるわけです。  この点はそれとして、むしろ私は、先ほど人事院総裁が言いましたように完全実施する、その前提として行政が簡素で効率的に運営され今後としても行政改革の中で本当に総人件費を抑制する厳しい措置をとっていく、そういう前提のもとに成り立つ議論である、そういう中でこそ国民理解が得られるものだと理解しておるわけです。  そういう点で、総務庁長官、この閣議決定の中にもございますが、今後の人員削減というものについてはどんな方針を持っておられるのか、お伺いいたします。
  17. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいま議員もお触れになりましたように、財政構造改革の観点というのは私は重要な一つの視点であると思っております。お話がございましたように、簡素で効率的な政府の実現が極めて重要でございますから、国家公務員定員についても縮減が必要である、かように思っております。
  18. 依田智治

    依田智治君 ぜひ厳しく見直して、本券に効率的な行政を目指さないとこの人勧制度というものも生きない、こう思っておりますので、今後ともそういう努力をお願いしたいと思います。  きょうは自治省に来ていただいておりますが、この閣議決定の中にもございますけれども、国の水準を上回る給与水準、いわゆるラスパイレスで一〇〇以上というところは今どのぐらいありますか。
  19. 浦山紘一

    説明員浦山紘一君) 地方公務員給与水準を示しますラスパイレス指数で一〇〇以上の団体は、現在、全地方団体の三割に相当いたします千五団体でございます。
  20. 依田智治

    依田智治君 だから、三割はまだ国の水準を上回るということですね。これも閣議決定にございますように、引き続き適正化を図るため必要な措置を講ずるということが大前提だと思うんです。要するに右へ倣えをして、税収がほとんどないところも、まあ公務員という性格上仕方がないんですが、あとは国の方からもらって給料だけはばんばん払うというんでは国民納得はなかなか得られない、こう思います。  時間もありませんのでちょっと一言だけ、自治省の方としては地方団体に対するこういう給与改定という問題についてどんな指導をやっておりますか。
  21. 浦山紘一

    説明員浦山紘一君) 地方公共団体につきましては、給与も含めまして行財政改革をやる、積極的に推進するということが国同様現下の最大の課題でございます。そのため、各地方公共団体に対しまして、地方分権推進委員会勧告を踏まえまして、去る十一月十四日に事務次官名地方公共団体行政改革推進のための指針、これを通知いたしまして、この指針に沿って定員管理給与を初めとする行政改革を積極的に推進するよう強く要請をいたしたところでございます。  また、給与につきましては、国におきまして人事院勧告取り扱い方針閣議決定されました同じく十一月十四日付で、地方公務員給与改定に関する取り扱いの通知を出したわけでございます。その中におきまして、地方公務員給与改定に当たりましては、閣議決定趣旨に沿って国に準じて適切に対処するとともに、給与水準給与制度運用が不適正な団体にあってはその見直しを行うなど必要な是正措置をあわせて講ずるように要請をいたしたところでございますが、今後ともその適正化が図られるよう適切に助言等を行ってまいりたいと考えております。
  22. 依田智治

    依田智治君 今後、地方分権になれば、その受け皿としての地方団体効率化というのが大変重要なものになりますので、指導を徹底していただくようにお願いしたいと思います。  防衛庁一言お伺いしますが、防衛庁職員勤務形態やその給与体系というものに特殊性を持っていますが、今回の人事院勧告に基づく給与改定においては、一般職に右へ倣えの部分と、特別な部分もあるんじゃないか。どんな点で特殊性に応じた処遇改善という努力をされておるのか、わかる範囲で結構ですので、よろしくお願いいたします。
  23. 坂野興

    政府委員坂野興君) 防衛庁給与制度につきましては、基本的には職務の類似する一般職国家公務員との均衡を図りながらそれに準じて定めているところでございますが、その職務特殊性を考慮した防衛庁職員給与のあり方につきましては、隊員の処遇上、平素から最も重要な施策の一つとして留意しているところでございます。  今回の防衛庁職員給与改定は、人事院勧告取り扱いに関する閣議決定におきまして特別職につきましても一般職給与改定に準じて改定を行うこととされましたので、基本的にはこの閣議決定に基づきまして行うこととしておりますが、指定職以外の自衛官俸給改定につきましては、その職務特殊性を考慮し、超過勤務手当相当額調整手当として支給する分以外の調整手当相当額、さらには営舎内食事に要する経費等所要調整を行っているところでございます。  また、今回提案させていただいております指定職以外の自衛官調整手当支給割合の引き上げにつきましては、平成年度給与改定におきまして、それまで調整手当相当する額を平均して俸給に織り込んでおりましたものを、近年、民間における賃金物価及び生計費が特に高い地域における要員の確保が困難となってきたこと等にかんがみまして、当該地域に在勤する者に対して一定の支給割合調整手当を支給することとしたものでありまして、その充実を図っていくこととしたものでございます。この点は必ずしも自衛官勤務あるいは給与体系特殊性への配慮ということではないかもしれませんが、しかし勤務地に応じた適切な給与上の措置を図るということによりまして物価及び生計費の高い大都市に勤務する自衛官処遇改善を図ることができ、自衛官の士気の一層の向上につながるものというふうに考えております。
  24. 依田智治

    依田智治君 ひとつしっかりと処遇改善努力していただきたいと思います。  もう時間がないんですが、あと二点ばかりお伺いします。  総務庁長官は恩給の方も担当されております。さきの大戦等で戦死されたり負傷された方々は高齢化も進んでおり、本当に青春時代を国にささげたということでございまして、やはり国家補償的見地に立って、給与改定もありまた物価の上昇等もあるわけでございますので、この改善についてもひとつ真剣に取り組んでいただきたい、こう思っておるわけでございますが、この点に関する総務庁長官基本的考え方をお伺いしたいと思います。
  25. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) まず、恩給年額の実質的価値の維持、これが一つあると思います。それからもう一つは、ただいま先生もお話しのとおり国家補償的理念、その基本というものをきちんと念頭に置きながら誠意を持って対処するべきである、かような見解を持っております。
  26. 依田智治

    依田智治君 遺族会その他の団体からは給与改定等に伴ってしっかりと国家補償的見地に立ち改定するような仕組みも考えてくれということで強い要望もなされておりますので、今後とも引き続き御努力のほどお願いしたいと思います。  最後に一点、いわゆる官民交流法関係ですが、人事院総裁から三月ですか提案があり、さきの内閣委員会等でもこの臨時国会で法案を出して審議してもらうというようなことでしたが、一向に出てこない。現在どんな状況になっているのか、おくれている理由というものはどういう点にあるのか、総務庁の方からお伺いしたいと思います。
  27. 中川良一

    政府委員中川良一君) 官民の人事交流システムにつきましては、人事院からの意見の申し出を踏まえ検討を重ねてきておりますが、総務庁といたしましても、官民の人事交流が広い視野に立った職員の養成や効率的な経営手法を公務部門に導入するということで、総合的、効率的な行政運営に資するものと認識をいたしておりまして、そのために必要な法整備を図るべく鋭意検討を行ってまいりました。  この官民の人事交流の制度につきましては、公務員としての身分を保有したまま民間企業勤務するという新しい発想のもとに制度を構築するということでございまして、特に公務員の全体の奉仕者性との関係の整理とか、あるいは官民癒着を防止して国民の公務に対する信頼を確保し得るものであるべきであるということ、さらには官民でいろいろ制度が異なっておりまして、年金とか医療保険、災害補償等々多岐にわたる制度について規定の整備を行う必要がございます。こうしたことを通じて円滑な交流を可能とする必要があることなど、いろいろと難しい問題を克服しなければならないということでございます。  制度の整備に当たってはこのような幅広い課題について十分検討する必要がございまして、検討作業に相当の日時を要しているところでございます。今国会提出につきましては日程的に大変厳しい状況にあるわけでございますが、現在、先ほど申し述べました点につきまして法制的な最終的な詰めに努力をいたしておる段階でございます。
  28. 依田智治

    依田智治君 この制度実施によって公務員自体が不利益をこうむるというようなことでは困るので、そういう点はしっかり詰めてもらうと同時に、やはり民間企業の厳しい実態をつぶさに見て体験して、そして全体の奉仕者としてしっかりと国民のために勤務する公務員を、質の高い公務員をつくる大変重要な制度だと私は思っていますので、ひとつ鋭意検討して、できるだけ早期に法案が提出できるように御努力いただきたい、この点を要望申し上げて、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  29. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成会の荒木でございます。  官房長官、早速でございますが、公務員制度にかかわる問題としまして、中央省庁再編のことをまずお尋ねします。  あす三日、政府行政改革会議は省庁再編についての最終報告を提出すると聞いておりますが、その内容につきましては、これまでの議論の結果、おおむね確定していると承知をしております。  去る九月三日に中間報告が出ましたが、その後の動きを見ますと大変残念でありまして、役所と族議員が一体となった反撃の前にこの中間報告からどんどん後退といいますか、大幅修正余儀なしというふうになっているわけでございます。戦後型行政システムからの脱却と二十一世紀型行政システムへの転換という崇高な目的を掲げての今回の中央省庁再編でありましたけれども、結果的にはその目標からはほど遠いものというふうに言わざるを得ません。事実、自民党の行政改革推進本部長で前総務庁長官の武藤氏でさえも六十点という辛い点数、辛うじて合格点ということでございましょうか、ということでございます。  そこでまず、行政改革会議の会長代理でもあられる小里総務庁長官は今回のこの省庁再編案についてどういう評価をしていらっしゃるのか、仮に点数をつけたら何点になるのか。この点につきましては官房長官からも所感をお伺いいたします。
  30. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 皆様方の御理解あるいはまた御指導をいただきながら進めてまいりました行革会議の最終決定もいよいよ明日に迎えたところでございます。  申し上げるまでもなく、将来の日本を見据え、そして国政の重要課題に、縦割り行政の弊害を越えまして、そして戦略的、効率的にかつ透明性を持って対応できる二十一世紀型の行政システムをつくり上げなければならない、こういう基本的な考え方から出発をいたしました今次の改革でございます。行政改革会議におきましても、この一年間、関係者の大変な御尽力をいただきながら集中的に討議を積み上げてまいったところでございますが、いよいよ明日が最終報告となっております。  一体これをどの程度と評価しておるのかというようなお話でございますけれども、政府・与党間の調整過程のことであるのでございますが、つぶさに申し上げるのは私の立場からはいかがかと思う次第でございます。これはまた後日、それこそまとめましたときに皆様方からあるいはまた国民立場から評価をいただくべき話ではないかと一思っております。  しかしながら、少なくとも現段階におきましては、二十一世紀の我が国の行政組織の基本的枠組みは示すことができた、さように認識をいたしておるところでございます。
  31. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 評価いかがかというお尋ねでございます。  小里総務庁長官と同様でございますが、この行政改革は、選挙前その他、各政党から、やはり今までの行政では金属疲労でなかなかうまくいかない、こういうようなもとで橋本総理が行革というものを提案いたしまして、先ほど総務庁長官が言ったような目的のもとに中間報告を出したわけでございます。中間報告どおりにいくときもございます。あるいはまた、中間報告でございますから、これをたたき台にしてなおよりよいものにしていく、実態にもし合ってなければ実態に合うように、こんな議論がまだ続いて、いよいよ大詰めに来ていると思います。  私は直接行革会議にも参加をしておりませんし、与党協議にも参加をしておりませんけれども、四十年あるいはそれ以上続いた今までの組織を一府十二省庁というふうな大くくりにしまして、局や課の削減あるいは将来人数の減少、こういうような大きなことが今決まろうとしておりますので、いろいろな面もございますが、私は大きく評価をしているつもりであります。  以上でございます。
  32. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今、総務庁長官からは二十一世紀型行政システムの基本的な枠組みを示し得たという評価でありました。要するに、この枠組みで二十一世紀は出発をするという話でありますが、確かに官房長官おっしゃったように局の削減あるいは人数の削減ということは私も評価をいたします。ただ、根本的に言いますと、国の仕事の中身それ自体は変わっていないという印象を持つわけですね。ですから、同じパイを三つに切るか四つに切るかという改革にすぎないんじゃないかというふうに私は思うんですが、国の仕事の中身自体がこれで根本的に変わるんですか。
  33. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 決して先生の具体的な御指摘の言葉をお返しするわけではございませんが、要するに一府十二省庁への再編によりまして中身もすぐれて変わらなければならない、その信念であり、またそういう構想のもとに一府十二省庁なるものもきちんと枠組みがつくられた、さように思っております。  その理由はと申し上げますと、御承知のとおり、行政改革会議におきましても、中央から地方へ、官から民へと、民間にゆだねられるべきものはこの際きちんとゆだねていきますよと。あるいはまた、片や地方分権基本に立ちましたもろもろの作業も閣議なりあるいはそれぞれの機関協議を順次進めてまいっておるところでございます。そのような各要所要所におきまする政府省庁のスリム化、簡素化、あるいは効率化を徹底して今探求中であり、あるいはまた確定をいたしたものも相当ございますし、それらを総合的にこれから五年間かけまして進めてまいるわけでございます。  ただいま官房長官の方から御説明申し上げましたように、一府十二省庁の中身をさらにそのような基本に立ちまして具体的に張りつけ作業を進めてまいるわけでございますので、途中の段階は当然でございますが、それらの仕上げの段階も各位の御指摘なりあるいは御支援をいただきながら進めてまいらなければならぬ、さように思っております。
  34. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、中身も変わらなければいけない、今後五年間というお話でありますが。そういう意味では、地方分権ということもさることながら、また規制緩和もおっしゃいましたが、私は大蔵省改革が一つこの中央省庁再編の試金石だと思うんです。  そもそも歴史的といいますか時系列的に見ましても、まず住専の経営破綻という問題で六千八百五十億円の投入があったわけです。大蔵省に権限が集中し過ぎているという弊害、あるいは時に利害の対立する財政と金融を一手に担っているという弊害がありまして、そのときに言われたのが大蔵省改革であり、また大蔵省解体という議論もありました。それからこの中央省庁再編へと発展していったのではないかというふうに私は思うわけでして、そうなりますと、まさに大蔵省の仕事の内容をどう変えていくのかというのが今度の省庁再編の試金石じゃないかと思うんですが、そういう認識は総務庁長官はお持ちになっていませんか。
  35. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 今次の改革の中におきまする大蔵省改革は議員御指摘のとおり極めて重要な目的の一つであったと、さように私も見解を同じくするものでございます。  殊に預金者保護という立場から市場の信用秩序をいかに確保するかというような面等につきましては、行政改革会議におきましても相当議論をされてまいったところでございます。去る九月三日の中間報告におきまして御承知いただいておりまするように、そういう視点から財政、金融の役割分担というものは基本線が引かれたところでございます。  さらに、ただいま議員御指摘のような趣旨におきまして、その中におきましても、金融の危機管理、そして破綻処理という最も厳しい焦点に絞って大蔵省にそれを継続するべきが妥当ではなかろうか、それ以外は独立した機関、機能によってきちんと国民の前にこれを担保するべきである、さような見解を示してまいっておるところでございまして、目下それらのことを一つ基本にいたしまして関係政党間におきまして協議が尽くされております。  私の立場から申し上げますと、お話し申し上げましたような、あるいはまた御指摘がありましたような趣旨がかなえられる形が、私どもに政党関係からお聞かせをいただきまして、明日より充実した対策ができることを念願いたしておるところでございます。
  36. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、あす最終報告があるわけですが、九月三日の中間報告に比べてより財政と金融の分離が徹底される方向だというふうに伺ってよろしいんですか。
  37. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいまも若干申し上げましたように、九月三日の中間報告よりも前進をいたしたものである、これは私は申し上げられると思います。それ以上のその趣旨、目的の結論がどのような形で得られるのか目下協議中でございまして、今の段階で申し上げられるべき状況に至っていない、さよう御理解をいただきたいと思います。
  38. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もう一点だけ総務庁長官にお尋ねしますが、私の記憶では、たしか総理も夏の段階では巨大な利権官庁をつくらないということをおっしゃっておったと思います。それが今回の行革の基本方針であるというふうに理解してよろしいですか。
  39. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 全くおっしゃるとおりでございまして、巨大かつ利権官庁的な印象を与える、あるいはそれらを憂えられるような組織構成というものは断じてよくない、私はこう思っております。  しかしながら、本来、省庁再編というものは簡素で効率的でかつ国民本位の枠組みをつくるべきであるという基本がございますので、その本質を忘れないように、そしてその本質にこたえられるものであれば、たとえスケールの大小が、一見してこれは大きいなという感じがあったといたしましても、その中身を縦横いろんな観点から十分議論をいただき、そして行政目的を達する意味におきまして整合性、合理性というものがあるものであればあえて越えていかれるものではなかろうか、かように思っております。
  40. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 といいますのは、今度の国土交通省構想は公共工事をほぼ独占するという形になるわけですし、あるいは御担当の総務省につきましても、今の総務庁自治省に加えまして新たに郵政行政を丸ごとのみ込むという大変な巨大官庁になるわけでありまして、これを利権官庁と言うのが適当かどうかはわかりませんが、これは一見して、大きいというよりも明らかに大き過ぎるといいますか、権力が集中し過ぎるという姿になっているのじゃないでしょうか。
  41. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) いわゆる不当な不明朗なイメージにおきまする巨大化というものは断じて許してはならない、そして行政の簡素化、合理化、そして国としての総合行政をどういうふうに升に振っていくかという基本的な妥当性というものはきちんと持っておかなければならないということを先ほども申し上げた次第でございます。さらに、先生の方から今御指摘がございましたように、余りにも組織が大きい、そして職員も大きくなりますよ、事業予算も大きくなりますよ、業務形態も複雑多岐になりますよという意味におけるお話であるといたしますれば、私はその点は十分留意をしなければならない話だと、さように認識するものでございます。  したがいまして、総理の特別な指示等もございまして、いわゆる国土交通省編成のときに、こういう各事業規模といえども大きくなるおそれがあるから、これをより効率的に合理的に、そしてまた一部憂えられるようなことを排除するためにも次のようなことを考えたらどうかという提案がありまして、それを中に入れ込んだ次第であります。  すなわち次のこととは、この機会に地方支分部局を整理統合する、行政改革の思想からそこを原点にして地方支分部局も整理統合しましょうと。同時に、整理統合いたしました支分部局に対しまして予算の請求権、予算の計上権、あるいは国会で予算を可決処理されたなればそれを執行する執行権等もその整理統合されたところに可能な限り譲与して執行せしめる、そして本部の権限、機能というものをできるだけ合理化して進めることが妥当ではないか、そういう御指摘などもございましたので、明日の取り決めにつきましてはその点も特に力を入れて配慮されたものが出てくるものと、さように存じておるところでございます。
  42. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、地方支分部局の整理統合のみならず、地方分権で公共工事も財源とともに地方に移譲するという観点がなければ、まさに危惧したような状況になると思います。  さて、今度の人事院勧告実施でございますが、総務庁長官からも労働基本権の制約にかかわる代償措置である、国の根幹にかかわるというようなお話がございました。そこで、官房長官総務庁長官にお尋ねするんですが、そうは言いながら今回提出された法案は完全実施ではないわけでございます。一部この指定職について一年間の先送りということで見送りになっているわけでございます。この人事院勧告完全実施にならなかったということにつきまして両長官はどういう所感を持っておられるのか、お聞かせいただきます。
  43. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 今回決定いたしました政府取り扱い方針におきまして、指定職以外の職員勧告どおり改定をいたしました。指定職についてはお尋ねのとおり改定の一年延伸を定めたところでございます。  この決定は、人勧制度尊重の基本姿勢のもと、良好な労使関係維持等にも配慮しつつ、危機的状況にある財政事情のもと、財政構造改革推進についての閣議決定趣旨等も踏まえ、国民的課題である行財政改革推進される中において、国民世論の動向も勘案し、国民公務員双方理解納得が得られるよう、給与関係閣僚会議を都合四回にわたって開催し議論を尽くして検討を行った結果でありますので、御理解をいただきたいと思っております。
  44. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 村岡官房長官の方から御答弁いただいたとおりでございますが、殊に人事管理、行政管理を所管いたしておりまする私の立場からは、この制約の代償である人勧というものを最大に御尊重いただきたい、そしてこれが完全実施を確信いたします、そういう立場から給与関係閣僚会議等にも臨んでまいった次第であります。総務庁長官の所感はというお話でございますが、結果として苦渋の一つの集約であったと、さように申し上げる次第でございます。
  45. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 例年ですと人事院勧告実施閣議決定の際には人事院総裁の談話の発表があるわけでありますが、今回はそれがなかったと聞いております。これはどういうことなのか。要するに、完全実施されなかったことが遺憾であるということなのか、総裁の見解、所感をお聞かせ願います。
  46. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今回の勧告を申し上げてから、ただいま官房長官からお話がございましたように、政府におかれましてはいろいろな角度からたびたび関係閣僚会議を開かれて検討された、そして大変な御苦労があったということはよく承知をいたしておりますし、そのことに対しまして人事院として感謝を申し上げたいというふうに思います。  ただ、指定職部分でございますが、一部といえども完全実施されなかったということについてはやはり遺憾の意を表明しなきゃならないというふうに思います。  ただ、今回談話を発表しなかったことにつきましては、特別の意図があったり背景があったということではございませんで、ことしは非常に厳しい環境のもとにおいて非常に苦労されてこういう結果になったということでございますから、一片の談話を発表するよりも、総務庁長官にお会いいたしまして感謝を申し上げるとともに、来年以降のことについてよくお願い申し上げる、そして意のあるところをよくお伝えする方が私としてはこれからのことを考えた場合にいいだろうということで今回は談話を発表しなかったわけでございます。
  47. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 人事院勧告を出すときの総裁の談話は、八月四日付でありますけれども、この勧告自体、諸事情を総合的に勘案した結果であるということを表明されていますね。もちろんこの中には、国の財政事情が厳しいということも含めてもろもろの検討をしてこのような勧告をしたという理解でよろしいんでしょうか。
  48. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 財政事情というものと公務員給与というものをどういう関係において議論すべきかということはかなり難しい問題だと思いますが、諸事情というのは財政事情等含めまして非常に厳しい環境にあるということを総合勘案したということでございます。
  49. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この人事院勧告自体、国の財政が非常に厳しいということも踏まえて出ているわけでございまして、それを一部といえども見送りにしてしまう、私は大変遺憾に思うわけでございます。  そこで、今回は一般職給与改定については完全実施で、いわゆる幹部職員についての実施の一部延伸というお話でございますけれども、私は来年以降の人事院勧告実施のあり方について非常に心配をするわけであります。うがった見方になるかもしれませんけれども、今回の措置人勧完全実施という問題に手をつけるための最初の突破口をつくったのではないか、来年はいよいよ一般職についても切り込んでいくよと。そういう心配を私は実際に公務員の方からお聞きをしているわけであります。  しかも、先週、財政構造改革法案が成立をしまして、特に今後、来年から三年間は集中改革期間である、人件費の総額を極力抑制するという項目もこの法案に入っているわけです。今回は指定職職員給与の問題のみでありましたけれども、来年度以降は一般の職員全体についての完全実施が見送りになるんではないか、そういう憶測が生じても私はけだし当然であるというふうに思っているわけであります。  そこで、このような見通しも踏まえた上で、来年度以降の人事院勧告実施の問題につきまして、官房長官総務庁長官にそれぞれお聞きをいたします。
  50. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 私は給与関係閣僚会議を主宰をいたしておりまして、役目は座長で、調整役でもあります。  今のお尋ねでございますが、これまで同様、人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢は変わりません。財政構造改革の集中改革期間初年度であることを踏まえまして、人件費総額極力抑制の要請を含め、国政全般との関連を考慮し、適切に対処してまいりたいと考えております。
  51. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 官房長官から御答弁いただきましたとおりでございますが、私も先ほどお話し申し上げたとおりでございまして、特に人事院勧告は最大に尊重しますよというそのことを最も大きく念頭に置きながら最大限の努力を尽くしてまいらなけりゃならないと、さように思っております。
  52. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私が冒頭に省庁再編の問題をお尋ねいたしましたのは、もちろんこの行革の大きな目的というのは行政経費の節減であろうかと思うんです。そのために公務員の定数も縮減される、私は賛成でございます。しかし、本質的には地方分権等によりまして国の仕事を簡素化して経費は節減すべきものでありまして、こういう人事院勧告実施しないというような形で経費節減をするのは私は大いなる誤りであるということを申し上げまして、質疑を終えます。
  53. 角田義一

    ○角田義一君 まず、総務庁長官にお尋ねいたしますが、過般の当委員会におきまして、私どもから人勧の早期完全実施総務庁長官にお願いいたしました。御奮闘をいただくということも言われましたし、現に閣僚会議の中で大変な御奮闘をいただいたということも聞いてはおります。  しかし、先ほど来いろいろ議論もされておりますが、結果的には一九八六年から十一年間少なくとも人勧というものは完全実施をされてきた、そういう実績というものもあるわけでありますし、しかもこれはもう釈迦に説法でございますけれども、労働基本権を奪ったその代償としてあるわけであります。そういうことを考えますと、ことし一部ではありますけれども完全実施ができなかったということは、私は人勧制度の信頼性というものが揺らぐ始めではないかという心配をいたしておるわけであります。  先ほど荒木議員の御質問に対して長官は苦渋だったと。私もその心境はよくわかりますけれども、給与担当大臣とすると苦渋だけでは済まないんじゃないか、やっぱり残念だ、遺憾だというせりふの一つぐらいは出てもいいんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがですか。
  54. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 関係者の皆様方の心情を考えますときに、それからもう一つは今次の人勧に対する政府の全体的最終決定をするに至るまでの過程におきまする私の責任ある主張を申し上げました立場からいたしまして、苦渋の集約でありましたと、かように申し上げた次第でございます。  率直に申し上げまして、関係者の諸君の事情もよく賢察しながらお互いに精いっぱいの努力を尽くした、甚だはばかりがあるかもしれませんが、いささかそういう自負も持たせていただいたぐらいの経緯もあったと思っていたものですから、お互いにこれは苦渋の集約だよと、君たちもひとつ士気を向上して頑張ってください、そういうあいさつを関係者の諸君に申し上げたものですから、その辺を率直に申し上げた次第です。
  55. 角田義一

    ○角田義一君 長官はベテランの政治家ですから、なかなか遺憾だとか残念だというせりふが出ないのかもしれないけれども、私どもの立場から言うと、私も一生懸命やったんだ、とことんやったけれども結果はこうなった、苦渋の選択だ、理解してほしい、しかし残念だなというぐらいのせりふは出てもいいんじゃないですか。どうです、もう一遍。
  56. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先ほども申し上げておるところでございますが、私はただ単にマスコミの皆さんを対象にしてそういうコメントを行ったというものではないのでありまして、労働者の代表と思われる皆さんとあの交渉中といえども数次にわたりまして議論をいたしてまいっておりました経緯からして、公式論は公式論、そしてまたお互いに一つの信頼関係は信頼関係で、ある意味では仲間意識を通していろいろ議論をしてまいっておったいきさつがあったものですから、きょうの結論は、あるいは三党協議の結論は、あるいは明日の関係閣僚会議決定は皆さん承知であるが、本当に忍びがたいけれどもひとつ理解をしていただきたい、これは苦渋の集約でありました、そういう意味のことを申し上げました。これが十分であるというような気持ちがあれば決してさようなことは申し上げなかったはずでございますが、今といえどもそういう気持ちを持っておりますということを御理解いただき、平成年度一つの教訓にして、さらに今後その気持ちを貫いて、そして他日なければならぬ、さように思っておる次第でございまして、まさに賢明なる先生こそ御理解をいただきたい、こう思う次第でございます。
  57. 角田義一

    ○角田義一君 余り賢明じゃないですけれども、今のお話を聞いてわかったということにいたします、私もさっぱりしなきゃならぬから。  そこで、人事院総裁、先ほど荒木先生からもお尋ねがあって、先ほど人事院総裁としての立場から言えば遺憾だということを言っていただいたわけですから、私はそれでいいと思うんですけれども、ただ国民に開かれていないといかぬと思うんですね、人事院というのは。  先ほど、談話を発表しなかった、そのかわり給与担当大臣総務庁長官のところに行っていろいろ来年のことについてもお願いをしてきたということですね。それはお立場でわかるんだけれども、開かれた人事院ということからいうと、国民に向かって人事院としてはこうなんだという談話というものはやっぱり出された方がいいと私は思います。来年どうなるかわかりませんけれども、その辺、これまた老獪な人事院総裁であるけれども、やっぱり国民に対して、人事院としてはどういう態度だということは、こういう場ではわかりますが、これは全国民わかるわけじゃないんですからね、残念ながら。その辺でもう一工夫あってもよかったんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがですか。
  58. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 私の立場は先ほど御説明をさせていただきました。ことしの非常に苦しいというか厳しい環境のもとにおいて総務庁長官が大変苦労されているいろ御努力された、そういう背景をよく知っておりますから、なかなか一枚のペーパーにまとめるには私の気持ちが十分表現できないなということで、一枚のペーパーにまとめ切らなかったわけでございます。  開かれた人事院というんですか、国民に話しかける人事院という立場からのお話でございますので、そのお話をよく伺いまして、来年また考えさせていただきたいというふうに思います。
  59. 角田義一

    ○角田義一君 総務庁長官にお尋ねいたしますが、今回の閣議決定に至るまで四回もやっているんですね。今までは二回ぐらいで決着がついておりましたが、いろいろ事情があって四回もやっておられる。  私が大変残念に思うのは、大蔵省の態度です。大蔵大臣はきょうはおられないので、大臣がいないところで言うのはいかがかと私は思うんですが、きのうの予算委員会の状況なんかを見ますと、大蔵の高級官僚は私からすればろくなこともやっていないで、それで人勧についてだけはくちばしを入れて、人勧抑制だ、このくらい削ればいいんだというようなことが公然と議論されてそれが新聞に出ておる。少し大蔵省は行き過ぎじゃないか。財政改革最優先で、人勧なんか無視してしまえばいいというような態度がにおってくる。これは私は大変なことだというふうに思うんです。  この前、総務庁長官は、人件費の総額を抑制するということと、人勧を尊重する、人勧制度というものを認めていくということは一応それは立場上切り離さなきゃならぬのだということをおっしゃっていましたが、私はそのとおりだと思うんです。それは今でもお変わりになりませんか。その基本的な立場、これだけはやっぱり聞いておきたいと思うんです。
  60. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいま議員お話しのとおり、原則として人勧と財政問題は直接的にしかも本質的につながるものではない、私はかように申し上げてまいりました。もっと平たい言葉で申し上げますと、定員を削減すれば人勧完全実施してやるよと、この話も私は聞こえないということを関係者の会議の中でも言ってきました。言葉をかえて申し上げますと、人勧を完全に実施しないのであれば定員削減しなくていいのかと、こういうことも私は私の立場において申し上げてまいったことも事実でございます。したがいまして、ただいま先生が結果として憂えられておりまする国の厳しい財政事情というものが今度の人勧実施決定について決定的影響を与えたということは私は認めません。  ただ、その間におきまして、大蔵大臣から、国の財政は厳しいよ、目下財政構造改革推進中だよ、このことだけは念頭に入れてくれないかというお話がありましたので、それはそれとして、政府全体としての立場から私は一応お聞きしなければならない、さように対処いたした、こういうことでございます。
  61. 角田義一

    ○角田義一君 給与担当大臣として見識を持って対応されたということについて私は敬意を表するものでございます。  真偽を聞きたいんですけれども、給与関係閣僚会議の議論の中で、大蔵大臣になるんでしょうけれども、国家公務員の純減というものを強く総務庁長官に迫られたと。そして、一説によりますと、両大臣のもとで、では千人ぐらい切るかとか切らぬとかというような議論もされたやに報道されております。まさかそういうことが給与担当大臣と大蔵大臣だけでやれるということは私はないというふうに信じておるんですけれども、公務員の定数を切るというような大問題、これはやるとすればやはり内閣全体としておやりにならなきゃならぬ問題だろうと思うし、それから当然関係の労働組合というようなものとも協議するということも私は大事だと思うんです。当事者の理解も得られずに勝手に政府が決めるということもいかがなものかというふうに思いますし、さらに当然のことですけれども、これは国民サービスとも関係が深いわけですから、大蔵大臣が余りにも強引にそういうことをやるということがもしあったとすれば私は越権行為じゃないかなというふうに思っておるのでございまして、この辺の率直な経過なり真偽というものをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  62. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 関係閣僚会議等におきまして定員削減の話が出たことは事実でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、私はそのことと人勧実施方法を決めることとはおのずから一線を画さなければならぬ、その自覚の上に立っておりますから、結果的に云々言われるような秩序を乱すがごときことはなかった、さように思っております。  しかしながら、これも事実でございますから、また公表された話でありますから申し上げまずけれども、人勧がありまして第二回、第三回目の給与関係閣僚会議のときに、一体公務員削減というのは今どの程度の計画、意気込みで総務庁はやっているのかと、そういう話が正式にありましたから、話の中でありましたから、これは今だから申し上げますが、私どもは平成年度定員削減作業はもう既にことしの四月、五月からやっておりましたから、その延長線上をもって私は一千人と申し上げた次第であります。  したがいまして、人勧が行われたからとて新たに要求があってそれを加えて対応を考えた結果の数値ではございませんでして、私どもは私ども自身で当然のことながら人員削減はやらなければならないと、これは先ほども御答弁申し上げたとおりであります。そういう延長線上で分母を五十数万、非現業でございますから分母を五十二、三万にして、その中で一千人、こういうことを私が申し上げたことは事実でございます。
  63. 角田義一

    ○角田義一君 大変重大なことを長官はおっしゃっておられるわけなんですね。こういう時代ですから人員削減ということについて政府が真剣に考えなきゃならぬというお立場も私はよくわかりますが、そのときに二つの点を忘れないでいただきたいというふうに思います。  言うまでもないことですけれども、行政というのは国民に奉仕するためにあるわけですから、そのことによって国民がどういう影響を受けるのかということ、どういうサービスの低下になっていくのかいかないのかというようなことも配慮してもらわなきゃなりませんし、それからもう一つは、削減ということになれば当然、はっきり申し上げまして労働組合との合意、理解納得というようなものも私は必要ではないかというふうに思うんです。一方的に政府がどんどんやるよということに相ならぬ性格のものじゃないかというふうに思っておりますが、その二点について長官の御見解を賜りたいと思います。
  64. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) まず、今のお話は労働組合との関係のお話だと思うのでございますが、国の事務の範囲などをどう定めるか、あるいはどう運営するかにかかわるものでありまして、国の事務の管理及び運営等に関する事項は、率直に申し上げまして、私の認識では職員団体との交渉事項ではないのではないか、こういうふうに思います。国家公務員法百八条の五でございますか、これに原則が明記してあると思っております。しかしながら、このようなことであっても職員団体等の要望などは限りなく大事に聞く必要がある、いわゆる要望は聞く必要があります、これが私の見解でございます。  なおまた、今ここで事務局が書いてくれた文書に目を通しておるところでございますが、国家公務員法上、職員団体と当局との交渉は、職員給与勤務時間その他の勤務条件及びこれに附帯して、社交的または厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に限られておりと書いてありまして、私が前段で私の概念で申し上げたことと一致しておる、さように思う次第でございます。
  65. 角田義一

    ○角田義一君 時間がないので、それを議論すると大変なのですけれども、私が申し上げたいのは、定員を千人切るということは、最終的にはもちろん国家が決めることなんですけれども、そこに働く人たち労働条件とも絡むわけですね、人間が減らされるわけですから。残った者は一生懸命やらなきゃならぬことになるわけですよ、サービスがむしろ低下しないということになれば。  そういうことも考えると、形式論理的にはそういうふうになるのでしょうけれども、実態は長官が後段で言ったことに力点を置いてもらいませんといかぬことになると思うのでございます。ぜひその辺を心得ていただきたいということですね。  もう時間がありませんからあと一、二点申し上げますが、来年のことが大変心配になってくるわけです、ことしこういうことになりますと。来年もちろんまた人事院勧告は出るでしょうが、どういう程度のものが出るか皆目見当がつきません。つきませんが、例年やはり来年度の予算に向けて一定のものというのは予算計上するわけですね、しているわけですよ。そうしますと、財政事情が大変厳しいということはわかりますが、来年度の予算編成の中にこの給与アップということについては一銭も計上しないのか、ゼロ%でやるのか、それとも何ぼかは計上しないわけにいかないなという腹づもりなのか、その点、長官の所信を聞いておきたいと思います。
  66. 中川良一

    政府委員中川良一君) 給与改善費の問題でございますが、この予算計上については、従来、財政当局においてその時々の財政事情等を総合的に勘案して適切に判断されてきたということでございます。  総務庁といたしましては、人事院勧告取り扱いは、給与改善費が予算に計上されているかいないか、あるいはどれだけ計上されているかにかかわらず、完全実施ということを基本的な考え方といたしまして従来から努力してまいりましたし、必ずしも給与改善費が計上されていない時期におきましても完全実施がなされてきたという経緯もあるところでございます。
  67. 角田義一

    ○角田義一君 それは局長のお役人としての答弁。大臣、お願いします。
  68. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 来年度におきまする人勧に対する私どもの基本姿勢は今年度において申し上げたとおり貫かなければならないと思っております。そして、仮定して人勧がなされたときにはこれを最大限完全実施するべく努力いたさなければならない、殊に私の立場はそうだと思っております。
  69. 角田義一

    ○角田義一君 時間ですから、これで終わります。
  70. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 社民党の瀬谷であります。  いきなり本論に入りますけれども、一般職職員給与改定に関する人事院勧告といったような内容があって、「政府としては、その内容を検討した結果、人事院勧告どおり改定を行うが、指定職俸給表適用を受ける職員については、改定を一年延伸することが適当であると認め、」と、こうなっておりますね。何で一年延伸することが適当なのか、ちょっと私は理解に苦しむんです。一年延伸することが適当なら、二年延伸することはなお適当になってしまう。そういうものではなかろうという気がします。  ともかく、払うべきものを払わないで能率だけを上げろと言ったってそれは無理な話です。私は、人数を減らして人件費を節約することよりも、むしろなるべく今いる人間を有効に働かせて、そしていい知恵を出させて国家財政を豊かにする方法を考える方がいいんじゃないかという気がするんですが、この問題、適当であると認めた理由は何か。そのほかに、もっと積極的に仕事の内容を吟味する方がいいのか、その方法を考えることの方が私はいいんじゃないかという気がするんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  71. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいま議員もお触れいただきましたように、良好な労使関係あるいは指定職及び指定職相当職を含めた幹部などを対象にして考えても、人勧どおり完全実施してみたいものだという念願はだれしも持ったと思う次第であります。なかんずく、私の立場からはそのような悲願のもとに交渉をいたしました。  しかしながら、なぜ一年間指定職に限って延伸をしたか、そしてそれが適当な判断という表現云々のお話でございます。極めて国の財政事情が厳しいですという、先ほどの質疑でもお答え申し上げましたように財政云々の話が非常に厳しく出てきた、そして財政構造改革推進の関連法案等も審議の最中であったわけでございますが、その辺の状況等から考え、公務員及び国民双方の理解をと。この国民というところを考えましたときに、特に幹部の皆さん、この際、言うなれば国家公務員が公務につくその基本姿勢、その意気込みを表明するためにも御相談できないだろうか、そういうような基礎的な姿勢というものもその根底にあったということだけははっきり申し上げなければならぬと思いますし、また御理解をいただきたい点ではなかろうかと、さように思う次第でございます。  ただ、先生が非常に気にかけておられるのではないかと思いますが、一年延伸することが適当な判断と、適当なとおっしゃるその表現はなるほどと私も実は今お話を聞いて若干気にしたところではございます。
  72. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 「適当であると認め、」と、こうありますけれども、その認め方がむしろ適当じゃないかなという感じがするんですよ。  具体的な問題になりますけれども、ではだれが該当するか。この表に内閣総理大臣は二百二十八万八千円、国務大臣百六十七万円、こう書いてありますけれども、では仕事のしっぷりが適当かどうかというと、私はそうは思わないですよ。テレビを見ていればだれだってわかると思いますが、内閣総理大臣が高い給料をもらって楽しているふうには見えませんよ。国会へ来るというと、あっちの委員会だこっちの委員会だと暇なしに答弁に立たなきゃならない。答弁に立つ以上は少しは自分の頭を働かさなければ、側近だけの助言でもって済むものじゃないんです。ごまかしがきかないんです、これは。おまけに、あっちへ行ったりこっちへ行ったり外国旅行をしなきゃいかぬ。この外国旅行だって物見遊山じゃないんですからね。重大な使命を帯びて行って、結果が悪けりゃ何やっているんだということになってしまう。それを考えるならば、これはなかなか大変な仕事だと思いますよ。その一番大変な仕事をしている人間が一年間ストップだというのは、むしろこれはおかしいんじゃないかなという気がするんです。これは大臣の答弁が気に入る、気に入らないの問題じゃない。仕事の面からいうと、総理なり各閣僚というのはのんびりする暇がなかろうというふうに我々だって思いますよ、別に身びいきで言っているわけじゃないけれども。  だから、そういう一番大事な仕事で一生懸命に働いている人間の給与にストップをかけるということが果たして適当かどうかというと、余り適当じゃないと思うんです。よく働く人間にはそれだけの保証をしてやるということをやらなきゃ、ばかばかしくて仕事ができなくなってしまうんです。やっぱり仕事を一生懸命やらせようと思えば、それ相応の待遇を保証してやるということの方が重要じゃないかなという気がするんですが、私の考え方が適当であるかどうか、大臣の見解を伺いたいと思います。
  73. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先生から傾聴に値する御見識をお聞かせいただいた、そういう感想でございます。
  74. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いたずらに人間を減らせばいいというものじゃないんです。人間をいかに有効に働かせるかということの方が大事ですよ。  今いろいろ証券業界でも問題が発生しました。山一証券みたいに、今までの世間の常識からいうと、いい学校を出て高い給料をもらってうらやましいと思われるはずだったんですね、世間的には。ところが、あそこでもってぶつ倒れてしまうということになると、ちっともうらやましくはないですね。気の毒だなということになりますね。  だから、世間の評価はいろいろなんですけれども、私はこの財政構造を検討してみても、あるいは世の中の景気は確かに不景気ですよ。不景気だけれども、この景気をよくするためにはどうしたらいいかというと、泥棒をするわけにいかないんだから、みんなが頭を働かせて利潤を生むような方法を考えて、要らないものは節約をしてというところに尽きるでしょう。  そういうためにおのおのの政治家が率先して頭を働かせる、お役人さんにも頭を働かせてもらうということを工夫しなきゃならない。むしろ、そういうことを大臣なんかが率先してやらせるというふうにしないと、世の中はますます暗くなってしまうと思うんです。みんなに希望を持たせて、こうすればいいじゃないか、こうすれば収入が上げられるじゃないかと、そしてむだがないのかどうかということをお互いに検討してみて、そして明るい道を探るということが今一番求められているんじゃないかなという気がいたしますが、大臣はそのためにはどうしたらいいと思うか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  75. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 大変高邁なるお話をお聞かせいただいておるところでございますが、仮定いたしまして、先生がお話しになりまするように、総理大臣を初めそれぞれ政府省庁の幹部の諸君といえども、それらの対応等においては、考え方を違った次元からと申し上げましょうか、先生の御発言のような趣旨に沿っての対応はどうかというお話にも聞こえるわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、大変お聞かせいただくお話であると思っております。  なおまた、先生も御承知いただいておりまするように、むしろ先生の発言には反するかもしれませんけれども、多少趣旨が違うようでございますが、総理大臣以下国務大臣は日ごろ給料を一割は返上申し上げておる、そういう前向きと申し上げましょうか緊張感の中で対処をいたしておりますという一部は御理解いただいておるところでもございます。しかしながら、国政への国民の期待は限りなく大きくなる今日でございますから、ただいまお話しのことは十分留意をさせていただきたいと思います。
  76. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 たくさんの企業が倒れる。それには総会屋が絡んでいる。この総会屋の問題もこの間私は委員会でお聞きしましたけれども、どういう組織でだれがこの総会屋を動かしているんだか全然わからないんですね。何だか怪しげな人間が企業に絡んじゃって、そして悪いことは全部あいつらの責任だということで逃げられてしまったのでは、どうやったらいいかわからなくなるでしょう。そういうおかしな者を排除して、そして株主総会だって天地神明に誓って恥じるところがなければ時間をかけて株主の理解を得るようにする、その中に怪しき者があったならばそれをつまみ出すというふうな方法を考えるというようにしないと、いつまでたっても悪知恵の発達している連中にはかなわないということになっちゃうんですね。だから、そういうことのないようにした方がいいと思います。  結果には必ず原因があるんです。例えばJRの長期債務の問題、二十八兆と大変な金額ですよ。だけれども、この大変な金額だって十年前をさかのぼってみれば、既にそのときにこの原因というのがあったわけです。先延ばし先延ばしして、今日に至ってどうしようどうしようと言っているけれども、こういうものがどうやったら解決できるかということを考えるならば、そんなにたくさん方法はないんです。十年前の判断が間違っていたら間違っていたように、これからどうしたらいいかということを前向きに考えるということをしないと問題は解決しないと思うんです。  この長期債務が何で二十八兆になったか、我々はいろいろ勉強会をやりました。例えば各省庁から呼んで聞いてみる、大蔵省関係から呼んで聞いてみると、理財局と主計局の見解というのがちっとも合わないんですね。そういうことがあったんです。省庁の中でもそういうふうに見解が違っているところがあるんです。  これを考えると、省庁の再編といいますけれども、どういうふうにしたらば能率的に国政の運用ができるかということをまず第一に考えて省庁の再編をしなければいけないんじゃないか、そういう点において抜かりがなかったのかどうか、その点はやはり閣僚の皆さんによく考えてもらう必要があるんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  77. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 議員がおっしゃるごとくであると私も思っております。殊に省庁再編のごときは今次の行政改革の中におきまする重要中の最たるものでございまして、そのような大きな課題でございますだけに、お話がございましたように、最も簡素で最も効率的で、しかも国民本位の省庁再編でなければならない、さように総理を初め行革会議の皆さんも、あるいはまた政府閣僚の皆さんもそういう御理解のもとに御支援をいただいたわけであります。そして、おかげさまでその集約を明日最終報告として報告申し上げられる段階に至りました。ぜひあすを実現できまするよう念願を申し上げておるということも申し添えさせていただく次第でございます。
  78. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 時間の関係で終わりますけれども、行革のあり方ということを考えると、やっぱりおざなりじゃいけないと思います。  これも具体的な例を引き合いに出しますけれども、医師会の方から申し入れがありました。内容を見ると、厚生省の名称の問題で、労働福祉省とかいうふうな名称は適当でないと。適当でなければどういう名称がいいのかということが書いてあればいいんだけれども、それは書いていない。だから本当ならば、医師会が物を言いたかったら、おれの方はこういう名前がいいと思うんだというふうにそれぞれ言ってもらった方がいいと思うんです。名前だって各界から募集すればいいじゃないですか。簡単にいかないことはわかっているんだけれども、そのことができなければだめだと思うんですよ。  だから、厚生省をどうするか。昔、厚生省の始まりは保健社会省だったんですよ。保健社会省という名前でどこが悪いかというと、社会という字が気に入らないというんです、戦前の感覚だから。だから、いい名称だったならば、余り言いにくいような名前じゃなくて言いやすいような名前をみんなから募集して、頭のいい人がそれぞれそろっているんだから、考えた方がいいんじゃないかということを私は申し上げて、私の質問を終わります。
  79. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 先ほど来、あすの最終報告について長官の方からも自信のほどを披瀝されております。御努力は多としますけれども、しかし役所というのはなかなか度しがたいものでして、本当は役所というのは国民の役に立つから役所なんで、ところが煩雑になってくると、国民にとってはそれはもうただうるさいことを言うところで、ちっとも国民の役に立たないところに成りかわってしまうんですよ、組織が肥大化してくると。  そこで、具体的な質問をする前に申し上げますが、私の体験で、地方自治体もみんな行政改革を時々やっているんです。その中で、長野県の場合には下水道課というのを独立させて一時期やってきた。ところが、行政改革の中で幾つかの課を減らそうと、こうなったときに、都市計画課と下水道課を一緒にしたわけです。そうしたら、建設省の担当部長から、これは公式には言わぬけれども、陳情に来る町村長さんや県の役人に対して、長野県は下水道課を併設させたからもう出入り禁止だと、こう言うので困りましたと言うから、私も当時議会の方で担当をしていましたから行ってみたら、しかしそれを言ったという部長がなかなか温厚な品のいい、また話をしても人間的には極めていい人なんです。ところが、役所の上着を着てしまいますととんでもないことを言うんです。事ほどさように御苦労されていると思います。  もう一つついでに言いますと、流域下水道なんかで地域を設定していく。そうすると、外れた地域は一生懸命になって陳情でここも入れてくれと、こう言うと、こんな家屋の連檐権していないようなところは経費ばかりかかってだめだと威張っていたのが、農水省で農村集落排水をやり出したら、もう忘れたころになって呼びに来るんです、建設省から。この前のあの陳情、何とかできるから、どうだ、もう一回陳情しろと。これが役所です。これを今始末しようとしているのはなかなか大変だと思います。  そこで、具体的なことを順次お聞きしますが、今度、期末特別手当というのをやったのは、これはこれでいいことだと思う。その発端は多分厚生省や大蔵省の幹部職員の不祥事が引き金になったんだろうというふうに思います。今度の制度創設について、指定職職員に対する期末特別手当を創設した基本的な考え方、今私は推測で言いましたけれども、基本的な考え方をまず最初小里長官にお聞きをしたいと思います。
  80. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 今、指定職あるいは指定職相当職を延伸一年やったがというお話でございますが、指定職職員には期末手当のみが支給され、相対評価に基づく勤勉手当はなじまないといたしまして、いわゆる考課査定分と申し上げていいんじゃないでしょうか、その制度となっておりますから。  しかしながら、最高の職責を有し、そして職員の範たることが期待される指定職職員については、懲戒処分を受けるなど期待される職責を全うしていないと評価できる場合にまで一律に期末手当を支給することは公務に対する国民の信頼確保の観点から適当ではないのではないかというのがまず基本でございます。このため、指定職職員については期末手当を廃止し、職責を全うしているか評価を行いまして、そして懲戒処分を受けるなど勤務成績が良好でない場合には、その評価に応じて期末手当相当する額よりも少ない額を支給できる期末特別手当を新たに設けることといたしたものであると、非常に四の五の複雑な説明を申し上げておりますが、さような趣旨でございます。
  81. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そこで、指定職ということになると、今の日本のシステムからすると国家のかじ取りです。そういうところまで登用された人間に対するものを今度初めてこうしたわけですけれども、それ以前の段階で、入り口はみんな一緒に入ってくるが、それぞれの持ち味も勤務の形態もいろいろあるだろうけれども、そこへ登用される。例えばこの間の厚生省や大蔵省の不祥事を見てもわかるように、トップクラスの人間が不祥事を起こしたわけだが、そうすると、そこへ登用するまでの人事管理、登用のあり方、そういうものに問題があったんじゃないか、こういうふうに思うんですが、そのことが今回の法改正の中で何か担保されているかどうか。  それからもう一つ、これを百分の二十にしているんですね。何でこんな上限を、もちろん懲戒免職とかそういうのは別ですが、百分の二十におさめてしまったという意味、それをちょっとお聞かせください。
  82. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 国家公務員の中で指定職職員にまで昇進する職員というのは、先生おっしゃるように、今までは非常に高い倫理観のもとに職務遂行能力の高い人間が選抜されて指定職職員にたどり着くというふうに考えておりました。そういうことで成績率というのが反映しない期末手当一本ということで参ったわけでございますけれども、今御指摘ありましたように、大蔵省とかあるいは厚生省で不祥事が発生いたしまして国民から非常に厳しい批判の目が向けられるようになったと。そこで、期末手当というものにつきましても少し考え方を改めなきゃならないというので、成績が反映する期末特別手当ということに衣がえをしようじゃないかということにしたわけでございます。  おっしゃるように、指定職職員になるような人間は、一般の職員の模範になるような倫理観を持たなきゃならないし、職務遂行能力の面においても非常にすぐれた職務執行能力を持たなきゃならないというふうに思います。そういう職員のみが指定職に昇進されるように、各任命権者において厳しい選抜をしていただくように私たちの方から各所に対してよくお話を申し上げたいというふうに思います。
  83. 武政和夫

    政府委員(武政和夫君) 今、百分の二十の減額の歯どめについてのお尋ねでございます。  私どもがこの歯どめをかけましたのは、勤務成績が良好でない場合のうち懲戒処分を受けるに至っていない程度の者につきましてこの歯どめをかける。具体的に申しますと、法律上の根拠ではありませんが、各省の内規等に基づきまして指定職職員につきましては厳重注意とか訓告とかが間々行われております。こういった明確な形で注意を受けたような場合につきまして、その良好と認められない程度と職員の生活に与える影響との比較考量から二十程度ではどうかということで歯どめを設けさせていただきました。  なお、このような制限を超えるような悪質な場合といいますか、ひどいような場合につきましては国家公務員法にのっとった懲戒処分が当然行われるものと。したがいまして、懲戒処分が行われる場合につきましてはより厳しい割合の減額が行われる、そういう想定でございます。
  84. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 理屈はそういうことだろうと思うが、しかしこうやって規則で百分の二十までとなっちゃうと、懲戒免職になるというのは大変なことで、その間は俸給の面では何の制裁も受けないというようなことは、これはやっぱり身内をかばうことだと国民に言われても仕方がない、そのことだけ言っておきます。  それから次に、今度のこの法律案で、「各庁の長又はその委任を受けた者が人事院規則の定める基準に従って定める」、こうしていますね。これから人事院規則を決める、こういうことですね。
  85. 武政和夫

    政府委員(武政和夫君) はい。
  86. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 我々は法律をここで今論議していて決めるわけだけれども、その運用をあなた方に全部任せちゃうことになるわけですね。そうすると、今の百分の二十とかいうものは表に出てくるからわかるが、これを簡単に政令や省令だけでやられると、今まさしく中島さんもおっしゃったように、国民公務員に対する信頼感というのを失っているときに、私たちは本当にそれを全部ゆだねてしまっていいのかと。だから、法案の出し方として、人事院規則というものはおおよそこういうことだということを本来なら出してこなきゃいかぬと思うんだが、どんなふうに考えておるんですか。
  87. 武政和夫

    政府委員(武政和夫君) 先生御指摘のように、できるだけ人事院規則等の内容というのは明らかにすべきだという基本的考え方を持っております。  ただ、本件につきましては、一般職員の関係あるいは今回は課長クラスの管理職との関係等々もにらみながら、そしてさらに民間との関係もにらみながらその率を決めさせていただくのが適当ではないか、しかも法律で決めますとなかなか弾力的運用ができない、そういったことで人事院規則にゆだねさせていただくということでございます。  中身としましては、懲戒処分の内容に応じまして、戒告、減給、停職といった内容がございますが、それを、せんだっての三月の国会で、免職というような場合はゼロということがございます。ゼロまで至りませんが、より管理職職員等に厳しいような率でもって減額ができるように、おおよその目安としましては百分の四十ということを基本として考えておりますが、個々に処分の内容におきまして一定の差、明確な差をもちまして人事院規則を決めさせていただきたい、そのように考えております。
  88. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 この問題でもう少しお聞きをしたがったが、もう時間もないので、この程度にしておきます。  防衛庁長官の顔を見るとどうしても質問したくなりまして、余り時間がございませんけれども、二つお尋ねをいたします。  一つは、きのうの私どもの方の信濃毎日新聞ですから、共同がきっと配信したんだろうと思うんだが、一面に、ガイドラインの実効性を米国が迫る中で、北朝鮮に有事があったときに十二万人の死傷者を想定して、日本の病院でほぼ千人ぐらいのベッドを確保するための法整備を迫っているという報道がされております。まず、このことについて、これが事実かどうか、事実であれば既に何らかの対応を考えて進んでいるのかということを伺いたい。  それからもう一つは、少しこれは古いが、この前私は欠席したのでお尋ねできなかったけれども、防衛庁長官が隊員に対して沖縄のヘリポートの問題でなかなか名文をお書きになった。ただ、私は、誤解を恐れずに言えば、軍人がその地域の民意に対して介入するようなことを最高責任者が言うということはどうかと思う。本来、軍人は民意については常につつましくなきゃいかぬ。与えられた任務について精励をする、そういう任務を本来軍人というものは与えられているはずなんです。その自覚がなければいかぬ。それを責任者が言っている。  しかも、ちょっと重箱の隅をつつくようなことを申し上げますが、最後に「是非ご鳳声いただきたいと思います。」、こう書いている。辞書にはいっぱい書いてあるけれども、簡単に言うと要するに尊敬する人、もっとわかりやすく言えば天子の声を出せと、こういうことなんです、鳳声ということは。鳳凰の声ですから。最高責任者が自分の部下に対して、あなた方、天の声を出せというのは、これはいささか、長官が知っていてやったのかだれかが失敗してしまったのか知らぬが、しかしこの文章の流れの中で最後に決めつけでこうなっているんですね。これは我が国の安全保障をつかさどる自衛隊のあり方として大変な逸脱だと私は思うが、この見解を伺いたいと思います。
  89. 久間章生

    国務大臣久間章生君) まず最初にお尋ねになりました件については、全く事実と違います。そういうことで、この問題については私どももびっくりしているぐらいでございます。特定のところとか、あるいはまたこういう具体的な話というのは一切出ておりません。今から先どうするか、もっと幅広く広範囲に検討しているところでございます。  それから、二番目の問題でございますけれども、これは御承知のとおり、普天間飛行場の代替ヘリポートにつきましては、現在、海上ヘリポート基本案を作成して名護市等に提示し、地元の皆様の御理解と御協力を得るために最大限の努力をしているところでございます。この内閣の最重要課題として政府を挙げて取り組んでいるところでございまして、またそういうときに名護市でも御承知のとおり十二月二十一日には市民投票まで行われる、そしてそういうことを市長さんの判断材料にされるというふうに承っております。  この御質問の文書は、こういう事情等を踏まえまして、普天間飛行場移設対策本部長として私は本問題の解決に全力で取り組んでおるわけでございまして、そういう意味では自衛隊、防衛庁ともどもに現在どういう状況かというのを知ってもらいたいわけでございます。特に沖縄出身の皆さん方にはこれは非常に関心もあることでございますから、本問題の重要性やこれまでの経緯、これに対する政府の取り組みについて改めてよく認識してもらうとともに、国民の皆さん、中でも名護市に関係のある方々にその内容等についてよく知っていただけるようにという、そういう私の気持ちをお伝え願いたいということを隊員の皆さんに言ったわけでございます。  今、御鳳声という言葉を言われましたが、実はこれは私が使った言葉でございます。役所が使った言葉じゃございませんで、私はよくいろんなときにいろんな方々に御鳳声を賜りたいということを前から使っておりました。まさかそれが鳳凰の声だというような意味とは知らずに、皆さん方によく伝達していただきたいというような軽い気持ちで使ってきたわけでございます。  政府は名護市の市役所、市議会の皆さん方あるいはまたいろんな団体の長には説明等を行っておりますけれども、それと同時にまた市民説明会も防衛庁、施設庁を中心としてやっております。しかしながら、防衛庁の一員であります自衛隊の皆さん方にもよく知っていただいて、そういう内容等について御理解願いたいというようなことを言ったわけでございまして、投票に賛成、反対というようなことじゃなくて、少なくとも政府が取り組んできたこれまでの経緯、重要性、この問題がどういう位置づけにあるか、そういうことについて理解してお伝え願いたいということを伝えたわけでございます。  天の声として伝えろというようなことじゃございませんので、もしそうとらえられたとすれば、私の知識が非常に浅薄であったということについては反省しなければならないと思いますが、鳳声という言葉はそういうような深い意味じゃございませんで、辞書を引いてみても単に伝えることというような訳になっておりまして、そういうような意味は本当に存じておりませんでした。
  90. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 このことはまた後ほど機会を見て議論をしたいと思いますが、いずれにしましても民意を問うのに軍が動くというような印象を与えることは厳に慎むべきで、このことについては見解の相違もあるかもしらぬが、それはこういう議会の場でしっかりやっていきたいというふうに思います。  それから、さっきラスパイレスの話がありましたが、これはいわゆる指定職を外して地方公務員と比較しているんです。私は地方立場からいっていつでもこれはおかしいと。そうすると、自治省は盛んにいろんな言いわけを言っていた。だけれども、あんなものはいろんなものを外してちゃんと指定職の常勤のものをやればいいので、それで地方公務員給料が高いとか安いとかということをあげつらうようなあの並べ方は、地方分権の時代にみずからがそれはやればいいことですから、そういうことだというふうに思います。  最後に、小里長官に激励を申し上げますが、今は未曾有の事態だと思います。そこで、よく国家を船に例える議論というのは政治家もみんなやります。ここに「国家は船のようなものだ。乗組員はどんな作業に従事していても、航海の安全を計らなければならない。それぞれの役割は決まっている。それぞれの役割を全うすることが善である」、こういうのがあります。これは二千五百年も前にアリストテレスがアレキサンダー大王の少年時代に最後に与えた訓示なのだそうです。いまだに同じことだというふうに思います。  あすの最終報告、我々はうんと期待しております。そんなに期待はできないだろうと思いながらも期待をいたしますので、御奮励をお願いいたしたいと思います。  終わります。
  91. 吉川春子

    吉川春子君 官房長官にまずお伺いいたします。  六月三日の閣議決定の中で、「十四、定員人件費」というところに、「集中改革期間中、適切な措置を講ずることにより、総人件費を極力抑制する。」としまして、人事院勧告制度の維持、尊重をうたった上で、「一方、事情変化が生じた場合、関係者は国政全般を考慮し、責任ある協議を行い、適切に対処する。」としています。  ここで言う「適切に対処」とは人件費の削減を意味すると思いますが、そうであるならば人事院勧告制度を維持、尊重するということと矛盾するのではないでしょうか。
  92. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) ただいま吉川委員御指摘の問題でございますが、「公務員給与については、労働基本権代償措置である人事院勧告制度を維持・尊重する。一方、事情変化が生じた場合、関係者は国政全般を考慮し、責任ある協議を行い、適切に対処する。」とあります。  国民世論の問題、いろいろな状況の結果、私は給与関係閣僚会議の座長として、指定職を一年延伸する、こういうように決めたところでございます。
  93. 吉川春子

    吉川春子君 人事院勧告制度を維持、尊重するということと矛盾するんですか、しないんですか。
  94. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 従来、六十一年から昨年まで人事院勧告は全部実施したわけでございますが、その以前は、指定職とか、また六・四七%を二・〇三%実施とか、いろいろな経緯もありました。私は矛盾はしないと思っております。
  95. 吉川春子

    吉川春子君 矛盾しないということは、人事院勧告制度を維持、尊重するという立場が内閣の立場であるということですね。人事院勧告制度を維持、尊重する、これが内閣の基本的な立場であるということなんでしょうか、それともそうじゃないんでしょうか。
  96. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 原則尊重するということでございまして、財政事情等いろんな問題でこのように決定したのでございます。
  97. 吉川春子

    吉川春子君 小里長官が衆議院の我が党の瀬古議員の質問に対して、一たび人勧が発動された以上はきちんと完全実施をすべく努力いたすべきものである、このように御答弁されておりますが、私は基本は憲法二十八条の権利を労働者に返還すべきだ、これが原則論であると思うんです。公務員からそういう憲法上の権利を奪っておいて、その代償措置として人事院勧告制度があるわけですけれども、それに切り込むというようなことを政府が打ち出したとすれば、それは幾重にも不当なことであると思うんです。  私は、人勧制度に切り込むかどうかということを議論する前に、公務員労働者労働三権を回復する、こういうことがまさに検討されるべきではないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
  98. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいまお話しのとおり、私はしばしば明言を申し上げてまいりました。一たん人勧があったなれば、これは代償措置として根幹です、完全実施、しかも早期にやっていただきたいということを努力をいたす立場でございますということを貫いてまいったわけです。そのこととただいま官房長官の方から御答弁いただきましたことと必ずしも矛盾はしないと私は思っております。  私が、完全実施を念願しますよ、それに向かって努力をしますよということは、私の立場から申し上げますと、責務であると同時に、結果としてこれが完全実施になれば最高、不幸にしてそれにならずともぎりぎり完全実施に近い、限りなく近いものを得たいというその念願から申し上げてきたと、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  99. 吉川春子

    吉川春子君 この閣議決定を受けて財政構造改革法が先日成立をしたわけですけれども、その三十二条に、「集中改革期間中においては、適切な措置を講ずることにより、人件費の総額を極力抑制するものとする。」、こういう条文があるんですけれども、これは人勧制度を維持、尊重するという内閣の態度と矛盾するんですか、しないんですか。
  100. 中川良一

    政府委員中川良一君) 「集中改革期間中においては、適切な措置を講ずることにより、人件費の総額を極力抑制する」というのが財政構造改革推進法の三十二条にございますが、この「適切な措置」云々というのも、もとをただせば六月三日の閣議決定の案文をそのまま条文化したという趣旨でございまして、その六月三日の閣議決定の中で、人勧制度の維持、尊重ということを述べているわけでございます。今後の給与取り扱いについて検討するに当たっては、まさにこの閣議決定趣旨に沿って検討がなされるべきであるというふうに思っております。
  101. 吉川春子

    吉川春子君 人勧制度公務員から労働基本権を剥奪したその代償措置であるわけで、私は、これはまさに労働者にこの三権を返すべきだ、そこが基本問題であるということを指摘しておきたいと思います。  そういうことを指摘した上で次の質問に移りたいと思うんですけれども、雇用機会均等法と労働基準法の改正が、括弧つきの改正が通常国会で行われました。それと人事院規則との関係をお伺いしたいと思うんですけれども、まず男女共同参画社会の実現について、今度の人勧では今後女性の一層の活用を図るとしていますけれども、国家公務員労働者の男女比率と女性の任用状況を課長以上の数字について御報告をいただきたいと思います。
  102. 角野敬明

    政府委員(角野敬明君) 私どもが行っております任用状況調査をもとに御説明させていただきますが、平成八年三月三十一日現在の行政職(一)適用職員について申し上げますと、総数が二十三万二千四百五十一人でございまして、そのうち女性が三万八千六十二人、一六・四%、男性が十九万四千三百八十九人、八三・六%となってございます。  御指摘の課長等の職としまして行政職俸給表(一)の九級から十一級について申し上げますと、女性が八十人で一%、男性が七千五百九十九人で九九%という状況になってございます。  また、指定職適用職員について申し上げますれば、男性が千六百六十三人で九九・四%、女性が十人で〇・六%という状況でございます。
  103. 吉川春子

    吉川春子君 大体、国家公務員の女性の数自体が一五%ということで非常に少ないわけなんですけれども、その中で課長職以上に登用されている人が一%、つまり百人に一人という数でして、指定職になりますと〇・六%、全体でも十人なんですね。本当に女性の管理職への任用が非常に少ないということが今の数字でも明らかだと思います。  能力がありながら男女差別に泣く女性は少なくないわけですけれども、昨年十二月に政府策定の男女共同参画二〇〇〇年プランでは、国の政策方針決定過程の女性の参画の拡大についてこのように指摘しています。「特に行政の分野については、施策の対象の半数を女性が占め、また、同様に施策の影響も受けることから、とりわけ積極的に進める必要がある。」ということを言って、国家公務員等を中心にして女性の参画拡大のための取り組みを進めるというふうにしています。  官房長官、男女共同参画担当大臣という立場でお伺いいたしますけれども、女性の一層の管理職への登用は本当に緊急の課題だと思いますが、この点についてはどのようにお考えですか。
  104. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 男女共同参画担当の大臣として、今まで国対委員長もいたしましたけれども、国会の同意人事等、女性ができるだけ登用できるようにと心がけてまいりました。ただいま先生のおっしゃることは、私も担当大臣として、女性の採用、あるいは管理職というか、そういう登用の促進に努力をしていきたい、こう思っているところでございます。
  105. 吉川春子

    吉川春子君 雇用機会均等法にはポジティブアクションも盛り込まれておりますけれども、官房長官、女性担当大臣から名前が変わりまして共同参画大臣ですか、そういう立場でぜひ頑張っていただきたいと思います。  続いて、女子保護規定の廃止と人事院規則の点でお伺いいたしますけれども、現在、国家公務員の女性の残業規制は何時間になっていますか。
  106. 佐藤信

    政府委員佐藤信君) 三百五十時間ということでございます。
  107. 吉川春子

    吉川春子君 労働基準法上は女性の残業規制は百五十時間というふうになっているんですが、なぜ国家公務員の女性は三百五十時間という全く変な時間、多い時間が定められているのでしょうか。これは憲法十四条の法のもとの平等からいってもおかしいし、それから政府の国策として進めている時間短縮ということからいってもおかしいのではありませんか。
  108. 佐藤信

    政府委員佐藤信君) 申すまでもなく、国家公務員につきましては労働基準法は適用除外とされているわけであります。女性国家公務員の超過勤務の制限につきましては、当初、官民の所定内労働時間に差がございまして、この差、違いというものを踏まえながら官民の年間の実総労働時間の均衡を図るという考え方で、今申し上げました上限時間数三百五十時間ということになっているわけでございます。  同時に、公務というのは国民に対して適時適切にかつ遅滞なくサービスを提供しなければならないという公共性が存するといった公務の特殊性があることを踏まえて、現行の時間数で来ているということでございます。いわば公務についてのこのような特殊性という点から見まして、このような差というものも許される合理的な範囲ではないかというふうに考えているところでございます。
  109. 吉川春子

    吉川春子君 それは物すごくおかしいわけですね。女性の深夜業を原則禁止して、百五十時間という時間外も法定されているということは、女性は事実上家庭責任を負っている、それから産む性である、そういうことを考慮して歴史的にこの女子保護規定がやられたものでありますが、それがではなぜ公務員だけ三百五十時間なんだと。  労基法が適用されないというのはわかっています。それはほかの理由があるからなのであって、しかし労基法と人事院規則は全部横並びになっているんですが、この女子保護規定の百五十時間だけ公務員は三百五十時間というのはどう考えてもおかしいわけなんですよ。  今、所定内労働時間の差があった、それなのでこうしたというふうにおっしゃいました。それは式にあらわしますと、週四十時間掛ける五十二週、その差があるというとき民間は週四十四時間をとったんですね、それで掛ける五十二週ということで、答えをイコールにするためには、民間が百五十時間だと計算式上公務員は三百五十時間にしなきゃならない、こういう式を私は聞いています。所定内労働時間の差がない今、所定内労働時間の差がないでしょう、この四月から四十時間に移行しましたでしょう、そうすると三百五十時間を相変わらず公務員の女性に課しているというのは全くおかしいんじゃありませんか。公務の特殊性からだけでは説明できませんよ。
  110. 佐藤信

    政府委員佐藤信君) 経緯としてはただいま先生のおっしゃったような経緯がございますけれども、現在の立場に立って、公務上の必要というような点から見まして三百五十時間という数字を維持する必要があるのではないかということで今のようなことになっているということであろうかと思います。  いずれにいたしましても、平成十一年四月以降、労働基準法が改正され、国家公務員についてはまだでございますけれども、あるいは同じような措置を講ずるということになりますと、この三百五十時間なり百五十時間という制限自体がなくなってくるということでもございます。
  111. 吉川春子

    吉川春子君 それは全くおかしいですよ。そんなのおかしいですよ、人事院。だって、四月から四十時間に移行する段階で、それは百歩譲ってあなた方の四十四時間を基礎にした計算値に理由があったとしても、本来ことしの四月から百五十時間に直しておかなきゃならないことですよ。人事のあるいは給与の総元締めの人事院がこんなことじゃ困ります。  それからもう一つは、労基法が改正されたから矛盾がなくなるという御返事でしたけれども、そうじゃないんですよ。大体、男女共通規制をどうするか、あるいは三六協定の上限規制をどうするか、これが今議論されていて、どこに落ちつくかわからないじゃないですか。しかし、今の時点でまさに所定内労働時間に差がなくなった、あなたの言葉で言えば。その時点に相変わらず百五十時間と三百五十時間の差があるということは、これは納得できません。  これは全く法のもとの平等にも反するし、第一、人事院というのは民間の企業じゃなくて国家公務員の、しかも民間企業に対してお手本を示さなきゃならないところでしょう。そういうところがこういうことに気がつかなかったのか、怠けたのか、知っていてやったのかわかりませんけれども、これは許されないことです。人事院総裁、どうですか。
  112. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) ただいま職員局長からお答え申し上げましたように、経緯は経緯としてあると思います。しかし、やはり公務員労働者として国民に対して行政サービスの滞りない提供というものを義務づけられているわけでございますから、そういう観点からいきまして、この時間数というのは今までの経験からいっても必要だというふうに考えておるわけでございます。
  113. 吉川春子

    吉川春子君 労基法と全く違う規定を国家公務員だけにかぶせているというんだったらそれはわかりますよ。しかし、適用がないというのは、要するに人事院規則で決めるから労働基準法で適用されないだけの話であって、私はいいことだとは思うんですが、国家公務員の方が労働基準法より保護されている点というのはいろいろあるんですよ。それは公務の特殊性ということでは説明できないんです。民間の女性と国家公務員の女性のこの不平等だけ、過去の経緯はある、計算式はあるけれども、公務の特殊性ということで説明できますか。  私は、これは人事院の名誉にかけても、平成十一年に同じになるかならないか今のところわからないんですけれども、あと百歩譲ってなるにしても、この二年間の不平等、不公正というものはやっぱり改めていかないと、これは人事の公平あるいは官民の公平という立場からいってもとても納得できるものではないと思います。  その点、これは本当に人事院の重大なうっかりミスかどうかどうかわかりませんけれども、公務の特殊性などということで絶対説明できないものなんですよ。人事院総裁、ちょっとこの点については御検討いただきたい、そのことを強く要望します。
  114. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先ほど申し上げましたように、私たちはやはり人事院の名誉にかけても、国家公務員国民に対していついかなる時点においてもきちっと行政サービスができるような体制というのはとっておかなきゃならないというふうに考えております。
  115. 吉川春子

    吉川春子君 人事院総裁、私が言っているのは、一般の民間労働者国家公務員の全体の差じゃないんですよ。女性の国家公務員民間労働者の間に、しかも超勤の問題についてだけ不平等がある、不公平がある、この点を言っているんです。  公務の特殊性というのは何ですか。憲法十五条か何かを盾に言うんですか。そうしたら、では十四条との関係はどうなるんですか。そういうことを含めて私は今ここで指摘したわけですから、今即答はできないかもしれないけれども、職員局長、これは人事院においてもう一度検討して、本当に矛盾がないのかどうか、もう一度私のところに答弁を持ってきてもらいたいと思います。検討していただきたいと思います。どうですか、局長
  116. 佐藤信

    政府委員佐藤信君) 今御指摘になりましたけれども、公務の特殊性ということについて申し上げれば、憲法十五条の「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」、それを受けて、国家公務員法九十六条におきましても「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」と、そういう民間にはない特殊性を踏まえてこのような規定を置いているものでございまして、私どもとしては、このような違いというものは合理的な許される範囲内のものであるというふうに考えているところでございます。
  117. 吉川春子

    吉川春子君 時間ですので終わりますが、私はこれは人事院の名誉のためにも検討された方がいいと、そのことを最後にもう一度強く要求して、質問を終わります。
  118. 竹山裕

    委員長竹山裕君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、村上正邦君及び狩野安君が委員辞任され、その補欠として鈴木政二君及び長尾立子君が選任されました。     —————————————
  119. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  120. 吉川春子

    吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、提案されている給与関係の三法案について、一般職職員給与法案には賛成、特別職職員給与法及び防衛庁職員給与法の改正案には反対の立場で討論を行います。  まず、一般職については、人事院による勧告自体が改善率わずか一・〇二%という低過ぎるものであり、少なくともこれを速やかに実施することは当然のことと言わなくてはなりません。政府が財政状況理由勧告実施閣議決定と法案提出をおくらせたことは、公務員労働基本権剥奪の代償措置としての人事院勧告の役割からも許されることではありません。  なお、この法律の中で幹部職員の期末手番の一部が勤勉手当に振りかえられ、一般職員においても勤勉手当の成績率の幅を拡大することになっています。このような人事管理における成績主義の強化は容認できません。  また、特別職職員給与改正案の対象となっている国務大臣や高級官僚の給与は一般勤労者の賃金と比べ相当に高い水準にあります。勧告よりも実施時期をおくらせるとはいえ、これをさらに引き上げるものであり、賛成できません。また、この法律に連動することにより国会議員の給与も引き上げられることも、国民理解を得られるものではないと思います。  なお、財政構造改革法で総人件費抑制が決められているもとで、このたびの幹部給与改善の先送りが来年以降の人勧値切りの突破口にされるようなことがあってはならないということを強く指摘しておきたいと思います。  最後に、防衛庁職員給与法については、新ガイドラインによって自衛隊が一層危険な役割を増大させている中で、その防衛庁職員給与の引き上げは日本国憲法あるいは国民の平和への願いから見ても容認できるものではありません。  以上申し述べまして、反対討論を終わります。
  121. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  122. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  124. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  角田義一君から発言を求められておりますので、これを許します。角田君。
  125. 角田義一

    ○角田義一君 私は、ただいま可決されました一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、太陽の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     一般職職員給与に関する法律及び一     般職の任期付研究員採用給与及び勤     務時間の特例に関する法律の一部を改正     する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、人事院勧告制度労働基本権制約の  代償措置であることにかんがみ、公務員給与  改定については、人事院勧告を尊重する姿勢を  堅持し、完全実施するよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  126. 竹山裕

    委員長竹山裕君) ただいま角田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  127. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 全会一致と認めます。よって、角田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小里総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小里総務庁長官
  128. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨に沿い努力してまいりたいと存じます。
  129. 竹山裕

    委員長竹山裕君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会      —————・—————