○有働正治君 公共事業のあり方が
全国的にも大きな問題になってきているわけであります。本
委員会でも
地方単独事業との絡みで先ほど来
議論も行われているわけで、まずこの問題から若干お尋ねしたいと思うんであります。
つまり、公共事業の中でも
社会保障・
福祉部門、それは
施設、運営、人件費等々を含めた
投資でありますが、そういう
投資こそ一般に言われている建設部門よりも景気に対する影響、雇用に対する影響、
投資に対する効果、これが大きいという問題であります。これは、二十一世紀の
高齢化社会への対応の上でも私は大事じゃないかという点で、
地方自治体のあり方等々とも絡んで御
質問するわけであります。
つまり、一般的に言いまして、
投資効果だとか景気効果という点でいいますと、道路とか港湾等々の、いわゆる俗に言う公共事業という部門が大きいというふうに
指摘されているわけであります。そこで、私も素人ながら若干幾つかの問題を調べてみたんでありますが、生産への波及あるいは雇用効果という点で、そういう部門よりも
社会保障・
福祉部門の方が大きいという統計データ等も最近いろいろ出されてきているわけであります。
私は、最近、関西の幾つかの大学の
先生たちが共同でお書きになられました「
福祉は
投資である」という本も読ませていただきました。そこでは、現在使用されています
平成二年度の大阪府の産業連関表を活用いたしまして、一千億円を
投資した場合の
投資効果につきまして、その生産への波及効果、それから誘発される雇用増、この二つの部門について、建設部門でどうなのか、
社会保障部門、
社会保険、
社会福祉の
社会保障部門でありますが、これでどうか、医療保健、医療と
保健衛生の医療保健部門でありますが、その三部門について分析し、比較検討しているわけであります。
その際、
投資効果は、原材料費の生産に対する第一次波及と同時に、そこに働く労働者への賃金、そこから来る消費による需要増、それに伴う生産増といった二次波及、大阪の産業連関表は二次波及までしか出していませんので、そこまでの計算にとどまっているわけであります。
一方、生産に伴う雇用増という問題につきまして、産業連関表と大阪府の事業所統計から各産業部門の生産額百万円当たりの労働力係数を明らかにして算出しているわけであります。そして、いずれも一千億円の
投資効果として、統計上、
政府そして
自治体が示しているデータを使って比較しているわけであります。
結論だけ申しますと、第一の生産額への波及効果は、いわゆる公共事業と言われる建設部門は一千七百六十七億円であります。
社会保障部門は千八百五十九億円で、九十二億円も
社会保障部門が大きいわけであります。医療保健部門は一千七百八十六億円で、建設部門よりもプラス十九億円と、いずれも大きいわけであります。
第二の、誘発される雇用効果という点で、建設部門は一万三千百五人に対しまして、
社会保障部門は二万三千六百三十五人で、プラス一万五百三十人建設部門より大きい。医療保健部門は一万六千九百五十六人で、プラス三千八百五十一人。しかも、雇用階層で男女比で見ますと、建設部門は男性七に対し女性三の割合。これに対し
社会保障は男性三に対して女性七、医療保健部門は男性四に対して女性六と、男女比が全く逆になっているわけであります。
統計的な分析の上に立って、この本では、景気、雇用対策といえば建設というこれまでの図式、そして
福祉と
経済、産業上の役割、これは事実に基づいて見直し、検討が必要ではないかという問題を提起しているわけであります。つまり、
社会保障、
福祉というと、
投資に対してマイナス、あるいは
経済への影響という点では往々にして否定的な側面から
指摘される場合が多いわけであります。ところが、
福祉は
投資である、その効果も建設部門、一般に言われている公共事業よりも大きいというのをそういうことで提起しているわけであります。
建設省からも私は
平成二年度の産業連関表に基づく産業誘発係数と就業への影響の単位分析表を取り寄せましたけれ
ども、生産誘発係数で見ますと、
社会福祉施設など非住宅と港湾、空港、鉄軌道などとはそんなに差異はございません。雇用効果で見ると、病院、学校等々の方が港湾、空港等よりも大きいと。
つまり、
日本経済と産業、景気、雇用の上からいって、二十一世紀は
高齢化社会という点からいっても、
福祉は
投資であるとの
認識が大事ではないかという問題提起をされて、これは
地域、町や村の今後の発展の上、村おこしその他の問題とも絡んでくる問題だということで、
自治省も無関係ではないということで
質問するわけでありますけれ
ども、こういう学問的な、
社会保障、
福祉への
投資や雇用の影響が大きいというような
指摘、プラス効果を持つんだという
指摘、
大臣は
地方の問題に非常に堪能でございますので、どういう御
認識でおられるかというあたり、実態を含めまして、まず簡単にお示しをいただければと思うわけであります。