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1997-12-12 第141回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月十二日(金曜日)    午前九時三十分開会     —————————————    委員の異動  十二月十二日     辞任        補欠選任      谷川 秀善君     片山虎之助君      保坂 三蔵君     西田 吉宏君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石川  弘君     理 事                 河本 英典君                 楢崎 泰昌君                 牛嶋  正君                 峰崎 直樹君                 上山 和人君     委 員                大河原太一郎君                 片山虎之助君                 金田 勝年君                 清水 達雄君                 谷川 秀善君                 野村 五男君                 保坂 三蔵君                 松浦 孝治君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 広中和歌子君                 岡崎トミ子君                 久保  亘君                 志苫  裕君                 笠井  亮君                 山口 哲夫君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        大 蔵 大 臣  三塚  博君    政府委員        大蔵政務次官   塩崎 恭久君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵省主計局次        長        細川 興一君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        大蔵省国際金融        局長       黒田 東彦君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○青色申告者に対する勤労所得控除六十五万円の  創設に関する請願(第三二三号外九三件) ○酒販免許制度堅持等に関する請願(第三六九  号外九二件) ○中小自営業者婦人の社会的・経済的地位向上に  関する請願(第四六八号外二五件) ○金融及び証券に係る事件の徹底究明に関する請  願(第六〇八号外二件) ○所得税基礎控除引上げ課税最低限の百八十  万円への改正に関する請願(第九一五号外二件  ) ○計理士に対する公認会計士資格付与に関する請  願(第二二四〇号外一〇件) ○大幅な所得減税実施住宅取得促進税制の拡  充に関する請願(第一二五一号外三件) ○消費税廃止制度融資改善に関する請願(第一  三五五号) ○日産生命契約者への負担転嫁反対保険契約者  保護制度の確立に関する請願(第二一八八号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 石川弘

    委員長石川弘君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員長から申し上げます。  平成会、民主党・新緑風会及び新社会党・平和連合委員出席を求めましたが、出席を得ることができません。  やむを得ませんので、議事を進めます。  預金保険法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 志苫裕

    志苫裕君 おはようございます。  会期末現象とでも言うんでしょうか、細切れ審議で調子が狂ってしまいまして質問する方も間が抜けてしまったんですが、少し辛抱してつき合ってください。  それでは、きのうの続きをやらせてもらいます。  改めて伺いますが、今話題の新型国債という耳なれない国債はどういうものでしょうか。ちゃんと法律の根拠は踏まえておりますという御返事でしたが、報道で見る限り、返済担保がある、この場合はNTTの売却益ということのようですが、そうすると累積五百兆円に近い今までの国債というのは返す当てがなかったんでしょうか、伺います。
  4. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本件につきましては、宮澤首相本部長金融システム緊急安定対策本部において論議が行われておるところでございます。三党協議が相並行して行われるわけでございまして、委員指摘ポイントなどもそこで整理をされ、財政法上また法制上の論点を整理して原案提示がなされるものと理解をいたしておるところでございます。政府とすれば、また大蔵省とすればその取りまとめに最大関心を持って対処いたしておるところでございまして、公的支援を含め金融システム安定性確保という観点で全力を尽くしておるところでございます。  結論的に申し上げますと、宮澤本部最終案、そして三党協議の中でそのことの合意が得られて提示をされるということでございまして、そのことを今申し上げました気持ちで、最大関心でお待ち申し上げておると。具体的な問題点指摘もそういう中で行われるものと存じますし、大蔵省としても、それはそれ、その場合を想定いたしまして万般の研究をいたしておるというのがただいまの現況でございます。
  5. 志苫裕

    志苫裕君 伺っても何を言っているのかちょっとわかりにくいんですが、総理の指示で与党の自民党が検討中というだけで当局としてのスタンスが別に決まったわけでもない話に、畳みかけるようでまことに恐縮だけれども、やがて政権を揺るがすような大問題に発展しそうな気配なのでちゃんと伺っておきたい。もう一度聞きますが、その新型国債というのは一体どういう定義ですか。報道による限り、先ほど言いましたように、返済担保がある、それが新型ということですけれども、国債はみんな返す当てがあるのでして、そのために国債整理基金を持ったりいろいろやっているわけですから、返す当てのない国債というのはあるわけはないんです。だれか具体的な専門家はいないですか。新型とは何ぞや。
  6. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま検討中ということで、新型とはということの論議も行われておると承知をいたしております。各紙一斉に報道されておるところということでありまして、その報道内容等、分析を事務方がいたしておるということでございます。その点、御理解を得たいと思います。
  7. 志苫裕

    志苫裕君 あわせてお伺いしますが、財政構造改革推進法との整合性はあるんでしょうか。きのうのお話を伺っていると、財政構造改革とは矛盾しないというお話の向きでしたが、そうでしょうか。何とか貯蓄投資差額とかいう財政赤字はふやさない、借金は重ねないと、国債をふやすのはもう法律違反だという雰囲気だったんですが、返す当てがちゃんとしておればそれは別枠になっていくんでしょうか。  念のために申し上げますが、私は責めているんじゃないんです。もともと私は財政再建のペースをスローダウンしてもやることはやった方がいいという立場の人間でしたからその立場で伺っておるんですが、その整合性の問題をもうちょっと答えてもらえますか。
  8. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 財政構造改革法を成立させていただきました。政府とすれば、この財政構造改革法基本的方針を踏まえて今後に対処してまいりますことだけは間違いございません。  そういう点で、本件と矛盾するようなことはできないというのが政府立場でございますから、整合性の中でそのことはきっちりと宮澤本部におきましてもなされるものと私は承知をいたしておるところであります。
  9. 志苫裕

    志苫裕君 まあ伺っておきましょう。  たわいもない話ですが、えたいの知れない国債を出すとか出さぬとかということのアナウンス効果で、九日の東京株式市場日経平均で五百五十四円高で引けたと報じられております。日経平均で五百五十四円というと、国民資産総額で幾らふえたことになりましょうか。
  10. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 日経平均株価というのは大変技術的な平均値を出しておりますから正確にお答えすることが難しゅうございますけれども、達観して申し上げますと、現在、日本株価が一万六千円台の半ばというところでございまして、それを時価に換算しまして総額を計算いたしますと約三百兆ということに相なります。したがいまして、大ざっぱに言えば百円当たりで一兆八千、二兆弱というようなことになりますので、五百円上がればその五倍ということが計算上出てくるかと存じます。
  11. 志苫裕

    志苫裕君 財政当局主税当局では食指の動く話でしょうけれども、増加資産は国の財政にも企業不良債権の償却にも必ず寄与するはずで、当然のことながらその株式売却益等々を当て込む税制改正にはこれは注意を払いますか。
  12. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 税制は公平の原則基本財源との見合いの中で行われるというのが基本でありますので、確定的な財源をもってこれを行うと、こういうことに相なります。
  13. 志苫裕

    志苫裕君 法案に戻りますが、特定合併裁量行政になってはいけないというのが懸念材料として指摘されておりまして、きのうの議論でも同僚委員からそれぞれ指摘がございました。破綻金融機関定義を初め、当局あっせんし、承認するという行為の基準などは法律には書いていないわけです。一般論訓示規定はありますけれども、具体的なものはない。それだけに透明性のあるガイドラインを設けておくべきだという意見も結構ございます。  その点についてはいかがでしょうか。
  14. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今、先生のおっしゃいました破綻金融機関というものはどういうものか、あるいはあっせんするのはどういう場合か、あるいは計画を出させるというけれどもどういったものを出させるかということにつきましては、一応法律考え方は書いてございますが、具体的にどうかという御疑問がしばしば提示されております。  ただ、数量的に一定の基準を余りきっちりつくってしまうということは、逆にこの特定合併制度を有効に、また機動的に運用するという意味で難しいという面がありますけれども、あえて今私どもの方で、基準とまでは言わないにしても、こういったことをチェックしながら見ていきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。  破綻金融機関というものの概念でございますが、これは法律上、「業務若しくは財産の状況に照らし預金等払戻しを停止するおそれのある金融機関又は預金等払戻しを停止した金融機関」というふうになっておりますが、このおそれのあるケースというのが問題になるわけでございます。これについては、一般論としてはまず債務超過状態になっている、これはこれまでの典型的な例です。この場合はこれは当てはまりませんが、債務超過には陥っていないが多額の不良債権を抱えて現に資金繰りに困難を来している、早晩必要な資金が確保できなくなる可能性が高い、これが当たるのではないかと。  そうすると、どういう場合かということでございますが、マーケットがその金融機関に対する信認を低下させている場合、コール市場等担保をつけてもお金が借りられなくなってきたというふうなことが一つあると思います。それから、預金の流出がかなりふえていると。預金もいろいろありまして、非常に足の速い通常預金もありますが、いわゆる基盤定期といいますか、基盤預金といいますか、通常は余り引き出されないんだけれども、そういったものがどんどん毎日抜けていくというような状況というのは、これは資金繰りにとって大変難しい問題を招来するわけでございます。それから、その資金繰りのためのマーケット自身が非常に窮屈なのかどうか、非常に緩やかでだれにでも貸してくれるような状態なのかということも影響するわけで、そういった三点をちょっと挙げさせていただきましたが、そういうのを考えて決める必要があると思います。  それから、あっせんでございますが、このあっせんにつきましては、あらかじめ機械的な基準というのは制度を有効に機能させるためには決めることはなかなか難しいと思いますけれども、例えばこういうことが考えるべきポイントかと思います。  一つは、ある地域経営の悪化した金融機関が複数存在するということでございます。これは、しばしば申し上げております地域経済への配慮、あるいは連鎖的な倒産、破綻のおそれということが一つの要件であります。それから、それらが連鎖的に預金払い戻し停止に陥るおそれがあること、これが二番目かなと。それから三番目としましては、その業務の全部の廃止または解散が行われる場合には地域または分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。これが原則的な三つのポイントかなと。  じゃ、それを具体的にどういうもので見ていくかということでございますが、一つ金融機関のその地域で担っている役割がどんなものか。二つ目としまして、金融機関の規模がどうか。例えば、口座数がいかなるものか、取引先数がどうなのかというようなポイントだと思います。それから三番目に、金融機関特色、これは取引先特色であります。例えば、中小企業零細企業が多いとかいうような点でございます。それから四番目には、金融経済情勢全般の点でございます。これは資金需要の程度、貸し出し姿勢、そういったものを考慮すべきかなと思っております。それから最後に、当局あっせんをしまして、それでその銀行がそれを受けた場合、計画を出していただきます。新しい銀行に生まれ変わっていただくわけですが、その計画としてどういうものを求めるべきかというポイントを考えてみますと、まずは責任の問題があると思います。  したがいまして、原則として代表権のある役員については退任をしていただく。それから、その他の役員についても経営破綻責任を有する者については新体制経営に参画させない。それから三番目に、新体制経営者については、その業務を的確、公正かつ効率的に遂行できる知識及び経験を有する人、要するに全部パージしてしまってもうだれもいなくなるという、有能な人がいないというと今度新しい銀行が成り立ちませんので、三点目としてはそういうことを掲げさせていただきます。  また、それだけではなくて、大胆なリストラをやっていただく必要があります。具体的に申し上げますと、経費等の大幅な圧縮、これをやっていく、その計画を出してもらうということがまず必要だろうと思います。それから、そこには役員の報酬とかそういうのも当然含まれると思います。それから、増資の実行などの自己資本充実をやっていただく。やはり、資本金がかなり毀損されるという形になりますから、それをカバーするための自己資本充実策実施を出してもらうと。  そういったところがチェックポイントとして我々はよく見ていかなきゃいけないのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  15. 志苫裕

    志苫裕君 局長、私は運営の基準記録にとどめようとして質問しているんじゃないんです。裁量行政になってはいかぬからちゃんとした透明性のあるガイドラインを、ガイドラインというのは何も防衛協力ばかりじゃないのでガイドラインを、透明性のあるものを設けておくべきだろうという主張をしているんですが、それはよろしいですね。
  16. 山口公生

    政府委員山口公生君) 計量的あるいはきっちりした基準というのは運用上なかなか難しい面がありますが、おおよその考え方というのは、先生のおっしゃるように、一つきちっとした筋を通しておくということが必要だと思っております。
  17. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  きのうも申し上げたんですが、預金保険機構の存在に甘えて経営ミスを犯すような不心得者のためにお仕置きの仕掛けもちゃんと用意しておけという意見はそれぞれ各委員からも出されております。私も罰則の整備に関する法案審議ミスを犯した経営陣資産没収にまで及ぶような責任追及はきっちりするべきだという主張をいたしましたけれども、それに対して破綻法人法律的にもうなくするんです、消滅させるんですというお話でした。  それもそうですが、ミスを犯した経営陣といえども株主であれば新しい会社の役員になる可能性はあるわけでして、刑事民事の訴追でも受けていない限り株主権利はあるわけだし、株主総会の権限もあるわけで、これを大蔵省が奪うことはできないですね。この点はどうですか。
  18. 山口公生

    政府委員山口公生君) 経営者でそういうケースがあろうかと思います。それは法律上、権利権利として認める必要があると思います。しかし、先生の御指摘のように、責任というものをきっちりと追及していくということが一方で必要なことは申すまでもありません。  この場合に、具体的なイメージで申し上げますと、不良債権破綻金融機関から預金保険機構が買い取る形になりますから、預金保険機構が何らかの形でそうした不良債権を買い取ってそれを回収する過程においていろいろな事象と遭遇するわけでございます。その際に、いろいろな刑事民事上の問題が発生すると。そのため、預金保険機構の中に特別業務部というのがあります。そこに司法関係者警察関係者等を中心に刑事民事上の責任追及のための体制を設けてあります。これを充実したいと思っておりまして、こういったところで目を光らせ、それで買い取った資産の回収から来るいろいろな問題、あるいは総体的に見たときにあらわれてくる問題、そういった問題についてきっちりとチェックをしていく必要があるというふうに思っております。
  19. 志苫裕

    志苫裕君 新設合併の場合、破綻金融機関責任追及はどうなりますか。
  20. 山口公生

    政府委員山口公生君) 特定合併の場合におきましてもその考え方は同じだと思います。先ほど申し上げたような経営者退任の問題、それから責任追及ということが行われることは変わりありません。  先ほど申し上げたように、バブルを招来した責任のある人、あるいは代表権のあるような人、そういった者は経営に参加をまずさせないということは当然のことでございますけれども、預金保険機構におきまして刑事民事上の責任追及というのは、それは債務超過になって破綻した場合と同じ扱いだというふうに考えております。
  21. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵大臣住専処理の不手際のたたりとでもいいますか、その後遺症国民の間には財政資金投入にはアレルギーのようなものが強いと見受けます。それでもそれをしなければ預金者保護預金保護もできないし、金融システムの安定もできず、日本経済国民生活に重大な影響を及ぼす場合がありますから、問題はどちらのリスクを選択するかという場合も生じましょう。  さて、その場合にどうやって国民信頼を得、納得を求めるか、大臣の所信をしっかり伺って記録にとどめたいと思いますが、いかがですか。
  22. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本臨時会におきまして各委員会、特に大蔵委員会におきましてこの基本問題についての御質疑を賜ってまいりました。  預金者保護という大きな目的、そのことによって国民各位資産安心をして金融機関にお預け申し上げることができます。そういう点で、この点に万全を期するということをいたさせてまいりました。  第二点は、重要性においては兄たりがたく弟たりがたしという関係にあります金融システムの安定というものをしてまいりますことが国民各位の御安心をまたいただくことになります。  特に、G7構成国として外国等との連携の中で、その中の信頼の中で日本金融システムの安定に対する信頼度というのが保たれてきたわけでございますが、今日市場不安感経済不透明感等が心配をかけておる昨今でございますので、その点を国民の皆様に措置を講ずることによりまして御安心をいただくということ。その手だての一つといたしまして、今日の改正法におきまして御答弁申し上げてまいりましたのでありますが、破綻のおそれのある金融機関でも新設銀行として地域の期待にこたえる、そしてそのことが地域経済金融安定に貢献をしていく、また全体の日本システムに不安を残さず安定した中で前に進めるということで、大蔵大臣、もしくは金融監督庁がスタートになりますと監督庁長官のごあっせんによりましてその体制を万全なものにしていきたい、こういうことでございます。  総じて申し上げさせていただきましたが、国民各位資産、貯金をいただいたことについて万全の対策をとって、万が一の場合でも資産保護は完璧でありますと、こう申し上げさせていただきましたし、この基本は毫も揺るぐところではございません。内外の金融システム安定をそのことによってみずからが構築をして信頼をかち取ってまいりたい。国民生活はそのことによって安心体制に入らせていただきます。雇用と所得といずれも国民生活関係するものでございますから、国民生活金融安全保障、こういう体制に万全を期するためにはあらゆる選択肢検討、立案いたすことの中で国民各位合意を得るための最大の努力をしていかなければならぬというのは御指摘のとおりでありまして、私もそのことが極めて重要な今後のポイントであると考えております。
  23. 志苫裕

    志苫裕君 私がこう聞いたらこう答えてくれぬかな、こう聞いたらああ答えないで。  私が聞いているのは、大臣がおっしゃるようなそういう局面はある、しかし住専後遺症もあって、国民はそもそも財政資金投入に、はい、わかりましたというわけでもないと、そういう状況があるんだが、そういう状況国民信頼を得る、納得を得るにはどうするかということを聞いているのであって、これは法案の説明を幾らしてもだめなんです。  今もお話があったが、やれることは何でもやるということをしばしば強調するんですけれども、きのう来の参考人意見を聞きまして、結局ありのままを知らせるといいますか、素っ裸になって頭も丸めて包み隠さずに国民に訴えることだと、それ以外に私は方法はないと思いますね。何か言いわけしたり、一部隠したり、だれかを弁護したりするというやり方じゃなくて、そのまま真っ裸になって包み隠さず事情を述べることじゃないでしょうかね。そういう気がいたしますよ。どうですか。
  24. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 全く同感であります。
  25. 志苫裕

    志苫裕君 ところで銀行局長、なかなか毎日御苦労いただいていますが、きのう同僚議員に問われるままに預金者自己責任に関する話が出ました。しかし、私はあれは局長の少し不用意かなという感じがいたしました。それは金融機関に対するあられもない風評で預金者が右往左往しないでもらいたいという意味でなら理解できない話ではないんですが、それならそれで別のタイミングでの言い方もあるんですね。たまたま預金した銀行がつぶれたら、それは預けた方にも責任があると言われたんじゃ立つ瀬がないね、本当に。それは善意の預金者立つ瀬がない。ちょっと気になったので改めて申し上げますが、その辺は念のため申し上げておきます。  ところで、預金保険機構についてきのうも参考人の話を聞いたんですが、ふと疑問に思うことが私はあるんですよ。この機構役割を果たすには必要な資金を持っていなければなりませんね。その原資というと、まず金融機関が相互に援助で出し合う保険料、この機構公共性に着目して投入されるかもしれない財政資金政府や日銀の公的資金ですね。さらには、機構自身の債券といった選択肢が上ってまいりますが、よく考えてみますと、これらの原資はもともとは預金者のものなんです。財政預金者である国民のものですし、それから保険料といっても預金者から預かった銀行お金ですから、何のことはない、もともとは預金者のものですね。預金者自分お金を出して自分預金保護するということをする仕掛けになるわけですが、そうなりますと、際限なく原資があるわけじゃない、やっぱり限界のある話になっていくんですが、限界があるということになりますとこの預金保険機構破綻をすることになっちゃうわけですが、この辺はどういうふうに考えられますか。
  26. 山口公生

    政府委員山口公生君) マクロ的に、総括的に見ますと、先生のおっしゃるような形での巨視的な見方というのを一回やることも大変重要だと思います。それは破綻金融機関が存在し、ロスを出すという事態が発生したときにだれかが埋めなければいけないということになるわけでございます。だれも埋めないということになりますと、それこそ預金者が全部かぶらなきゃいけないということになります。そうすると、やはりだれかの負担で見ると。そこには保険料で見るかあるいは公的な資金で見るかという二つの方法しかないわけでございますけれども、いずれにせよ、保険料で見るという場合におきましては、先生おっしゃるように、もともと預金者にもう少し返すべき利息が削られることになるのではないか、これは御指摘のとおりであります。ただ、金融機関の事情からいいますと、かなり自分のところの自助努力もして経営努力もして、それで利益の中からそれを出しているんだと、これは損金処分ですけれども、そういう言い分もあるでしょう。  ただ、先生がおっしゃったように、保険料がもう少し低ければもう少し利息が高くてもいいんじゃないかという、そういう意味では預金者にはね返ってくる。そうすると、預金者間の相互扶助の制度ではないかという考え方もある意味では当たっていないとも言えないわけでございます。まして公的な関与となりますと、それは最終的には国民の負担というようなことにつながります。そうすると、一番大切なことは、そういった社会的なコストをいかに小さくするかということをやはり第一義的には考えるべきだと。それにはまず金融機関が自助努力をして破綻をしないことが一番大切であります。バブル崩壊後の不良債権をたくさん抱えている銀行がやはりそこは乗り切ってもらいたいというのがまず第一であります。  どんどん破綻させるべきだという御意見も確かにあります。ありますが、それがもたらす社会的な意味のコスト、その狭い意味先生の今申されたコストのほかに、雇用問題だとか地域社会への影響とかいう大きな意味の社会のコストというものを考えたときに、やっぱりコストを最小限にしていくということを考える。そうすると、やはり経営陣がもう少し頑張って何とかやってもらうということをやると同時に、万一破綻ということになったときもその影響が最小限におさまるように、社会的な混乱がどんどん広がりますと破綻しなくてもいいところまで破綻してしまうということにもなってしまいますので、それを食いとめる、これがいわゆるシステムの安定あるいはシステミックリスクを避ける、こういうことであります。先生のおっしゃっているような見方をしていきますと、一番大切なことは基本としてはそういうことで、だれが負担するかというのはそれは避けられない議論ではありますけれども、その根底にあるところはそういう考え方、だから社会としていかに不要なコストというものを最小限にしていくか、これをやはり国民の皆さんと同時に私どもも一生懸命考えていくべきことだと思っております。
  27. 志苫裕

    志苫裕君 これで最後にいたしますが、きのうも参考人に伺ったんですけれども、バブルの後遺症というか、不良債権の処理もままならぬ状態日本金融環境のもとでグローバルスタンダードにこだわってビッグバンを導入したのは、その時期判断は一体正しかったんだろうかという、そういう意見の交換も若干ありました。  病巣を持った病人を歩かせてかえって病状を悪化させたんじゃないかとか、あるいはがん細胞というのはメスを入れるともっと悪くなるそうですが、そんな比喩も出ました。ビッグバンというのは大爆発と言うんだそうですね。そういう意味なんだそうですが、日本版ビッグバンは導入の時期、すなわち操作を誤って暴発した、そういう嫌いかないのか、当局の判断を聞きたいと思います。
  28. 山口公生

    政府委員山口公生君) 確かに、先生が御指摘のように、ビッグバンの時期というものについてもう少しバブル経済の清算が済んだ後の方がスムーズにいくのではないかという御指摘、それはよく私どもも理解できます。  しかし、時代はどんどん変化し、諸外国の金融市場をごらんいただきますとかなりのスピードで進歩してきております。市場も活性化しております。金融産業が栄えております。そういったときに我が国がいつまでもまず後始末だけで済むのかどうかということを考えてみましたときに、やはり新しい時代へ踏み出していくということも必要なわけです。それは我が国の金融資本市場というものを活性化し、拡大していくということが逆に金融産業のウエート、その産業としての重要性というのをふやすわけです。  現に、ヨーロッパのロンドン市場等でも見られるように、思い切った改革でもって雇用もふえた、あるいは産業に占める金融業の地位も向上した、産業として誇り得る産業になったということを考えてみますときに、確かにその不良債権の処理も喫緊の課題でありますが、同時にやはり産業としてしっかりする、市場としてしっかりするということをまず始めなければいけないと。そのことがまた我が国の経済全体にとってもプラスであると。だから、ある意味では前向きと後ろ向きといいますか、それが同時に来ているという意味で大変であることは承知いたしております。しかし、これは避けられない動きで、またそこをいかにうまく両立していくかということが我が国に歴史的に課せられた課題であるというふうに考えて、ここは歯を食いしばってでも頑張っていく必要があるかなというふうに思っております。
  29. 志苫裕

    志苫裕君 局長、そうだけれども、今もお話のあった例えば早期是正措置でまだ生きている人間を脳死にしてしまうことはないんですか。
  30. 山口公生

    政府委員山口公生君) 早期是正措置については、かなり貸し渋り現象の話題からイメージが相当厳しいものだというふうに受けとめられておりますが、これは実はきのう上山先生お話にありましたけれども、これまでずっとやっておった指導を透明な形で一つ基準でもってきっちりやりましょうということであります。それで、そのベースとしてまた自己査定という、自分のことは自分が一番よく知っているわけですから、そこでリスク管理をきっちりやりましょうということをやるわけでございます。  したがって、この早期是正措置の導入というのは実は健全化のための措置でありまして、これは破綻させるための措置ではありませんので、そこはぜひ御理解いただきたいなというふうに思っております。
  31. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと時間がありますから上山理事から関連してございますので、よろしくお願いします。
  32. 上山和人

    ○上山和人君 志苫委員の質問に関連して、十分ほど時間が残っておりますから、御質問申し上げます。  今、局長志苫委員の御質問にお答えになって、金融機関破綻定義と合併をあっせんする際のあっせんの条件についてかなり整理をされて御答弁になりました。きのうも私の方からそういう内容について御質問を申し上げておりまして、同じように破綻金融機関定義、合併をあっせんする際の条件等について整理をされておりますけれども、問題はこれらのことに今一番国民関心を持っているということなんです。したがって、そういう破綻金融機関定義なりあるいは合併をあっせんする際の条件といったようなものを国民にどう理解させるかということは非常に大事なことでございますから、そういうことについて十分大蔵省としてこれから御検討になって有効な対策を講じていただく必要があるということが一つ。  あわせて、きょうの各紙が、先ほど大蔵大臣の御答弁の中にありましたように、自民党の金融対策本部が「公的資金「十兆円」投入を確認」という大きな、これは朝日新聞の一面の記事ですけれども、皆さんごらんになっているはずです。公的資金十兆円投入、これは自民党の金融対策本部の確認ですけれども、非常に大きな影響を国民に与える問題です。  公的資金の導入をする場合に、どういう原則、どういう条件のもとで公的資金が行われるかということが最大の問題だと思うんです。だから、公的資金をいたずらに導入することは許されないことでございまして、昨年の住専処理をめぐって六千八百五十億円の公的資金投入せざるを得なかったあの教訓に学ぶまでもなく、公的資金導入は慎重にも慎重を期さなければいけない。これしかないということを国民理解するものでなければいけない。したがって、公的資金導入の原則、条件は破綻金融機関定義あるいは合併をあっせんする際の条件など以上にもっと大蔵省としては明確にされないと、これほど公的資金、しかも巨額の公的資金の導入が報道されている状態ですから、私は早い段階で公的資金導入の原則、条件は明確にされるべきだと思うんです。  最初に申し上げた一、二の問題は、つまり破綻金融機関定義あるいは合併をあっせんする際の条件等について国民にどう理解させるか、そういう方策についても御検討いただきたいことと、公的資金導入の原則、条件を今こそできるだけ早く整理をして明らかにされるべきだと思いますけれども、それについてお答えください。
  33. 山口公生

    政府委員山口公生君) 最初の御指摘でございますが、破綻定義あるいはあっせんの条件、志苫先生に今かなり踏み込んで申し上げましたが、一応そういうことを検討していこうと思っておりますので、何らかの形で、御指摘のように、これを国民の皆様にもわかるような形でお示しして御理解を得るようにいたしたいというふうに思います。  それから二点目でございますが、確かに公的な支援といいますか資金という御議論があるときに、やはり先生の御指摘のように国民の皆様がいろいろ御疑問を持たれること、あるいはきちんとした原則、ルールがなければ野方図になるのではないかという御議論がどんどん出てくる。また、それにきっちり答えなければいけないということは私どもも必要だろうというふうに思っております。  ただ、今まだいろいろ検討なさっている段階でございまして、具体的な仕組み等も決まっておるわけでもございませんし、今後検討されるべき事柄でございますので、先生の御指摘等もよく踏まえて、その辺をよく心得てこの議論をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
  34. 上山和人

    ○上山和人君 これから検討するんだという局長の今の御答弁ですけれども、果たしてそういう時期なのかなと思うんですよ。住専処理の教訓に学ぶなら、公的資金の問題は早くから国民の間の関心事であり、また政治的にも重大な問題でございますから、そのことは大蔵省の皆ざんが一番御認識のはずなんです。  今からこれは整理するといったような問題ではないのじゃないですか。これまで既に一定の考えはもうまとめられているはずだと。ただ、まだこれから起こってくるいろんな状況などを考えると、確定的なものをお示しになる段階ではないにいたしましても、もう既に大蔵省内では公的資金投入する場合にはかくかくしかじかの原則、条件がなければならないということは十分深く検討されているはずだと私たちは思うんです。これから検討というのではとても国民理解は得られませんよ。そんな大蔵省なのかと。これは表現は悪いですけれども、大蔵省の役人の皆さんは各省庁の役人の皆さんよりも一級上にあるような言い方をされておりますよ、世間的には。そんな皆さんが今のような御認識で、公的資金投入原則、条件についてもこれからなんだと言われるようでは国民信頼を失いますよ。それは意外な御答弁なんですけれども、まだその程度なんですか。本当にこれからなんですか。素案も何もないんですか。
  35. 山口公生

    政府委員山口公生君) 私が申し上げておりますのは、これまでの法律の体系をごらんいただきますと、金融システム内での保険料原則として運営していくという形式をとっております。ただ、金融三法のときに信用組合特別勘定については政府保証をお認めいただいたということでございますけれども、原則として見ますと保険料で賄う、つまりシステム内での相互扶助制度ということ。ただ、それが民間だけでの自由な裁量で対応できるものでないということで預金保険法という法律をつくって公的な形で運営をしております。そこに公的な関与をして公平・中立性を確保してきておるわけでございます。  私が申し上げたかったのは、公的支援あるいは公的資金という話が出てまいりますと、それをさらに先生の御指摘のように議論を深めないと、自分たちのグループの中で原則としてやるから、その議論をその状況から国民理解をより得られなければならないという状況に至るであろうということは私ども認識しておりますということでございます。  それで、その公的資金の議論も今いろいろ議論されておりますし、そのスキームもまだ決まっておらない段階でございます。私どもとしては、この預金保険法改正をぜひ成立させていただきたいと今お願いしている段階でございまして、国民の皆さんにいかなる事態にも対処できるようにということでこの公的な支援あるいは資金の議論が出ておりますので、こういったものに謙虚に耳を傾けながら議論をさせていただきたいと思っております。  その際に、おっしゃったようないろいろな前提だとかあるいは条件だとか考え方原則だとかということをきっちりやって詰めていく必要があるということは全く同感ですと、こういうことを申し上げている次第でございます。
  36. 上山和人

    ○上山和人君 わからないわけじゃないけれども、とても納得はできないですね。  ちょうど時間が来ましたから、あとは総理に対して私はこの点は明確に御質問を申し上げることにいたします。  以上で終わります。
  37. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 銀行局長預金保険法をぜひと、こういうことで緊急に対応すると。基本は、公的資金という場合は、一般論でありますが、絶えず国家の緊急性に、国民の生活の安定のため、緊急的なものに対してスタートを切ると。その場合に法令に違反をしないということが第二点にあろうと思います。第三点は、国民の利益、国益にかなうことによってそれが還元をされていく、こういう三点があると、こう思っております。
  38. 笠井亮

    ○笠井亮君 昨日に引き続いて伺いたいと思いますけれども、ちょうど今、十兆円の新型国債の問題の議論がありましたので、事実の確認というか認識の確認といいますか、二点だけ簡単に冒頭にさせていただきたいと思うんです。  大蔵大臣、昨日私がこの新型国債について伺いまして、要するに四条国債でも特例国債でもないということでありました。私は、そういう国債だったら財政法上の根拠のないいわばやみ国債ということになってしまうんじゃないかと思うんです。これは財革法、財政構造改革法に言う二〇〇三年までに発行数をゼロにする赤字国債でもなく、それからまた公債依存度を引き下げるというふうにありましたけれども、その場合の公債にも入らないのか、それとも入るのか、それはいかがでしょうか。
  39. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ですから、昨日御答弁申し上げましたのは、一般論として財政構造改革財政健全化に向けて取り組む法律に決められました各条項を守りながら行くということであれば、法定されました建国、それと特例公債は御案内のとおりに縮減を図り、六年後には発行ゼロといたしますと、こう申し上げておるところでございます。  そういう点から、今後の対応は、まさに基本的な枠組みの中で何ができるかということを模索いたしておるということであり、党本部、宮澤本部長のもとにおける検討会が行われておる、また三党との協議が行われておる、そういう中で取りまとめられる原案はどういうものだろうかと、こういうことで私も事務方にその研究、検討をさせておるというのが現況であります。
  40. 笠井亮

    ○笠井亮君 法律を守るということですから、私が伺った点でいきますと該当する国債だということになると思うんですよ。  もう一つ伺いますと、歳出面の規制との関係もあると思うんです。財革法では、来年度の一般歳出の問題で今年度以下にするという縛りがここにもう一つあるわけですよね。  十兆円のものを出していくということになりますと十兆円の歳出増ということになってくると思うんです。そうしますと、その十兆円の新型国債のための財革法の改正なりがないとこれは財革法違反ということになると思うんですけれども、こういう種類の赤字国債を発行するためには、歳出との関係も含めまして、結局財革法の改正が要るんじゃないのか、あるいはそうではないのか。改正するのかどうか、その点についてはどうでしょうか。
  41. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これは何回も申し上げておりますとおり、財政構造改革法基本を踏まえて取り組むと、こういうことでございます。笠井委員が言われることに対する私の大蔵大臣としての答弁はその言葉に尽きるわけであります。  ですから、特例公債を発行しないと、こう申し上げて縮減の努力を六年にわたって行うということにいたしておるわけでございますから、その中でいわゆるマスコミ的に言われる、また党の論議の中で出ました新型国債というものの位置づけについてただいま私どもは研究、検討をいたしておると。いわゆる法令違反、構造改革の基本的な路線は法定事項でございますから、この件についてこれと矛盾をしないということの中で何ができるかということで検討をいたしておると。それはまさに宮澤本部から最終的にかくかくしかじかでという具体的なものが出てくるわけでありますから、それを受けてまた対応をしていくと申し上げておるところであります。
  42. 笠井亮

    ○笠井亮君 財革法の基本を踏まえて努力する、研究、検討すると。研究、検討は大いにされたら結構だと思うんですけれども、矛盾しない、あるいは整合性がとれるということは無理だと私は思うんです。そのことを明確に申し上げておきたいと思うんです。  その上で矛盾しない方法が出てくるのか。やるとすれば補正予算で十兆円組むのかということですけれども、もともと財革法で議論になりました、補正は抜け穴として幾らでもやれるんだということになると、これまた二〇〇三年、あるいは公債依存度、それから縮減目標、来年度は今年度以下にすると、すべてここのかかわりで大きな問題になってくるということを指摘しておきたいと思います。  続きまして、幾つか具体的に私伺いたいことがありますので本題に入りたいと思います。  抵当証券関係のことなんですけれども、山一証券の系列ノンバンク、山一ファイナンスが全国の山一証券本支店で発売していた抵当証券の元本と利子の支払いを停止したということに伴って購入者に大変に大きな不安が広がっているということがあると思うんです。具体的に声も聞いているんですけれども、山一証券に問い合わせたら、紙くずにはならないけれども全部返ってくるとは限らないと言われたと、あるいは山一に預けた一千六百万円が返らないという手紙が東京の本社から来たと、全く返ってこないのかと、いろんな声が上がっているというふうに思うんです。同様なことは十一月十九日に破産したたくぎん抵当証券にも起こっているということがあると思うんです。  まず、事実の確認なんですが、たくぎん抵当証券、山一ファイナンスから抵当証券を購入していた方の人数なんですけれども、口数、先数でどれぐらいになるか、それから債権の額は総額でそれぞれ幾らになるか、お答えをいただきたいと思います。
  43. 山口公生

    政府委員山口公生君) まず、山一ファイナンスが一般購入者向けに販売した抵当証券は、十一月二十五日、これは支払い停止日でございますが、現在で、販売枚数が一万四千八百五十枚、名寄せ後の購入者数が九千七百九十五先、金額が三百十九億円でございます。  それから、たくぎん抵当証券が一般購入者向けに販売した抵当証券は、十一月十八日、これは支払い停止日でございますが、現在で、販売枚数が九千二百十二枚、名寄せ後の購入者数は六千七百二十四先、金額は二百四十九億円でございます。
  44. 笠井亮

    ○笠井亮君 大変な数に上っているということだと思うんです。  山一ファイナンスから購入者に送られた「お詫びとお知らせ」というのをここに持ってまいりましたけれども、こういう一片の紙が来て、こう書いてあります。  お客様には、約定どおりの元利金のお支払いができなくなりましたが、お客様は引き続き原債務者に対する債権及び抵当権を有しておられます。   今後は、原債務者からの元利金の取立てならびにお客様へのお支払いにつきましては、財団法人抵当証券保管機構が必要な手続きを経た後に行うことができますので、財団法人抵当証券保管機構より送付される書類をよくお読み下さいますようお願い申し上げます。   なお、財団法人抵当証券保管機構は、元利金の支払いを保証するものではありません。 こう書いてありまして、下に抵当証券保管機構の電話番号三本と、さらにその下に山一ファイナンスの電話番号一本が書かれているということになっているわけでありますが、これでは、最初に紹介しましたけれども、全く返ってこないような印象を与えるということになっていると思うんですよ。さらに、うちはもうお手上げたからあとはすべて抵当証券保管機構に聞いてくれと言わんばかりの話が書いてあるということで、購入者の皆さんの不安が募るばかりということだと思うんです。これはもともと利回りがいいですよということで拓銀でも山一でも窓口で売っていたということでありますし、銀行証券会社の社員が売り回っていたわけでありますから、私は売ったところがすぐにでも飛んでいってきちっと説明すべきだと思うんですけれども、その点について大蔵省はどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  45. 山口公生

    政府委員山口公生君) 大変不幸なことにこうした抵当証券を扱っている会社が法的な整理等に入ったわけでございますが、そこで購入者の方々がいろいろ御心配になるということはよくわかります。  そこで、山一ファイナンス及びたくぎん抵当証券においては、抵当証券の購入者からの御相談に応じるために専用の電話を設けるとともに、全購入者向けの状況を説明する文書を発送しておるところでございます。そういうことで、できるだけ当事者もその仕組みをよく御理解を得るように説明をする必要があると思います。  この抵当証券については仕組みを御紹介しないとなかなか……
  46. 笠井亮

    ○笠井亮君 いいです、皆さん御存じのことですから。
  47. 山口公生

    政府委員山口公生君) それで、今後原債務者からの元利金の取り立て等をだれがやるのかということになりますが、それは財団法人抵当証券保管機構がやるわけでございます。ここが購入者からの相談に応じるためにこれもまた専用の電話を設けたりして、また全購入者に対して業務の説明書類を送付することとしておりまして、既にたくぎん抵当証券の購入者に対しては発送が済んでおります。山一ファイナンスの方も近くやるということになろうかと思います。  いずれにせよ、両社の販売した抵当証券の購入者に対しまして、今後どういう手続をやればいいのかというのを十分説明する必要があると思います。私ども当局としても、引き続き関係者を指導してまいりたいというふうに思っております。
  48. 笠井亮

    ○笠井亮君 大臣、これは本当に大変な問題だと思うんです。十二月十日になって山一から手紙が来たという話も身近に私聞いたんですけれども、代金の支払いを中止してから二週間もかかっているということでありまして、その後抵当証券保管機構からこのパンフレットが来るということなんですけれども、この保管機構というのが三十九名の職員で、一日に問い合わせの電話が百本から二百本もかかってくるという日がある中で、今一生懸命あて名書きをしているという現状を私は伺いました。  このようなことも含めて、今状況の説明の問題できちっとやる必要があると言われましたけれども、その説明と購入者の利益をどうすれば確保できるかなどの説明をやっぱり拓銀、山一、それぞれから必要な人も出させて速やかに周知徹底すべきだと、それは大蔵省も同じ認識でいらっしゃるわけですね。
  49. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今大変御苦労しています財団法人抵当証券保管機構は、こういった抵当証券会社の破綻がまた大きいものが次々に出たということで、もともとそれほどの人員を用意してはおりませんが、不幸にしてこういったことが続きましたので、今三十九名と申されましたが、これで精いっぱいの努力をしております。ただ、この一人一人の購入者の方にやはりきっちりと御説明しなきゃいけないということもありまして、やや作業が大変になっているということでございますけれども、さらに私どもとしましてもこの体制をより充実していく必要もあるというふうに考えております。
  50. 笠井亮

    ○笠井亮君 急ぐ必要もあるということだと思うんです。なぜそうかと申し上げますと、この抵当証券は木津の場合も兵庫銀行でも問題になりました。最後には裁判で和解をして、そしてそれぞれ木津信組が元本の八五%、兵庫銀行が元本の九〇%で買い取るということで決着がついているという問題もあるからであります。  拓銀にしても山一にしても対象となる人数が大変に多いわけでありますので、それぞれなくならないうちに裁判等の選択肢もとれるように最大限の努力を大蔵省としてもやる必要があるし、これは抵当証券規制法でしたか、こういう問題で大蔵省の指導、監督もきちっとすることになっていると思うのでその点はきちっとそれも含めてやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  51. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今、木津や兵銀のケースについて裁判等があったという御指摘がございましたが、裁判をするしないということは行政当局が関与すべき話でもございませんが、ただこういった破綻が起きたときに、購入者の方々にその手続等をきっちり説明していくということは大変大事なことだと思います。  私どもの指導、監督という点につきましては、そういったことをきっちりやるということだと思いますが、抵当証券業の規制の法律基本的には行為を規制しておりまして、空売りとか二重売りというような行為規制がその主たる目的であります。  したがいまして、私どもとしてはできる限り、そういった抵当証券というものの破綻した場合の仕組みがありますので、それを周知徹底していくということに現在は全力を挙げていくということが大事ではないかと思っております。
  52. 笠井亮

    ○笠井亮君 購入者の利益最優先で強力に指導を進めていただきたいというふうに私は思います。  その上で伺いますけれども、抵当証券担保となっている融資先への貸し出しが焦げついているんじゃないかという心配も聞くんですけれども、それが大丈夫なのか、拓銀、山一、それぞれどうなっているかについて大蔵省はつかんでいらっしゃいますか。
  53. 山口公生

    政府委員山口公生君) その抵当証券会社は、これは業を規制している法律でございますので、ほかの業をやっていけないという会社ではありません。したがって、抵当証券を扱っていると同時にほかのいわゆるノンバンクとしての業務をやっております。  いずれにせよ、それは貸金業の規制等に関する法律の適用があるわけです。したがって、私どもとしましては、その法律の行為規制、いわゆる高圧的な取り立てをやってはいけないとか、そういった法律の規制はきっちり守らせるようにしておりますけれども、貸し出しが適当か不適当かということについては把握をしてはおりません。
  54. 笠井亮

    ○笠井亮君 私は、これだけ大きな問題なのできちっと把握する必要があるというふうに思うんですけれども、拓銀で売っているわけだから絶対安心だと思ったという声もありますし、それから拓銀マンは利回りのよさだけを強調してリスクの面は説明しなかった、拓銀の行員に金を預けて、預金保護されて、抵当証券が全額返ってこないというのはとにかく不合理だという声も上がっているというふうに思うんですよね。もうそれは現実になっているということだと思うんです。  先月十八日に記者会見でたくぎん抵当証券の川田社長が、銀行の定期預金と違うものということをちゃんと説明していたかというと非常に心もとない面もあったということで、商品の説明不足をみずから認めておりました。山一にしても拓銀にしても、法律的には銀行証券会社で売っても問題ないと言うけれども、こういう売り方をしているのだから、結局、自己責任原則というふうに言われますけれども、その前提が崩れているというふうに言わざるを得ないんじゃないかと思うんです。  こういう売り方についてはまずかったという認識を大蔵省も持っていらっしゃると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  55. 山口公生

    政府委員山口公生君) 例えば、たくぎん抵当証券の抵当証券の取り扱いを拓銀の窓口でも行っておったわけでございますけれども、これはたくぎん抵当証券と顧客との契約の成約に当たって拓銀が取り次ぎを行っていたということであります。  ただ、銀行は、今、先生がおっしゃったように、預金と誤認させるような行為を行うことは適当ではないというふうに思いますし、その商品の性格等を説明するという適正な業務運営が必要であることは言うまでもないところでございます。この抵当証券の性格というのは、ハイリスク・ハイリターン商品ということでかなり知れ渡っている商品ではありますけれども、改めてそういった商品の説明というものをきっちりやっていくということは大変大事なことだと思います。  それで、これからいろいろな商品が出てまいります。複雑な商品も出てまいると思います。そこにリスク性の説明等を十分にやっていくということがこれからの新しい時代の金融機関等のあり方ではないかというふうに考えております。
  56. 笠井亮

    ○笠井亮君 まさにそのリスクを知らずに買った人がいたと思うというふうに川田社長も認めているわけでありまして、山一の看板、拓銀の看板を信用して購入したのにという、こういう声もあると思うんです。さらに、拓銀にしても山一にしても、抵当証券会社が元利金の支払いを保証しているということで、母体行である拓銀あるいは親会社である山一の責任はまさに重大だということだと思うんです。  そこで、たくぎん抵当証券についてもう少し具体的に伺っていきたいと思うんですけれども、たくぎん抵当証券の大口融資先ですね、大口融資先の上位三十社、額にして千五百億円分のデータというのを私ここに入手したんですけれども、延滞債権の状況平成九年三月末現在ということと、貸付金の明細表、同じく平成九年の三月末ということで、ここにずっと三十社について状況が詳しく書かれております。  これを見ますと、融資先の三分の二、実に二十社が不動産関連の企業であったり、土地売買に絡んでの融資となっておりました。また、延滞債権の上位三十社でも二十一社が土地取引に絡んでいるということが、この資料を見ますと具体的に出ているというふうに思うわけでございます。そして、その額は総計で約九百五十五億円ということで延滞額の六一・六%に当たっているということになっておりました。  抵当証券担保となっている融資先とは直接関係のないこのような不動産取引、土地売買に絡んでの融資が結局抵当証券の息の根をとめたというふうに言ってもおかしくないような状況だというふうに思うんです。そのために抵当証券の購入者が大変に大きな被害を受けることになったとしたらこれは納得いかないと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。
  57. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先ほどの説明にちょっと補足させていただきますが、私は金融商品の説明ということが大切だと申し上げましたが、ただ具体的な事実関係について一件、一件これがこうだということを申し上げている趣旨ではないことは御理解いただきたいと思います。  さて、今の御質問の件でございますが、抵当証券会社が土地売買あるいは土地取引の関連に多額のファイナンスをしているという御指摘でございますが、これ自身が違法なこととは言えないと思います。  それから、その抵当証券会社が抵当証券担保に入れているものとそうでないノンバンクとして貸しているだけのものというのがありますので、どの部分がその抵当証券そのもの、お客様の購入された抵当証券の裏づけになっている担保というものの一対一の関係は私はよくわかりませんので、不動産融資そのものがその抵当証券の購入者に直ちに迷惑をかけた、あるいは損害を与えたと断定することはできないと思います。  ただ、こういういわゆるノンバンクがそういう不動産取引において融資している、それが土地等の値下がり等でいろいろ担保価値が落ちたとかいうことで不良債権化してきたということは一般論としては言えると思うのでございます。  繰り返しになりますが、その抵当証券というのは、先ほどちょっと仕組みを御説明したいと思ったのですけれども、原債務者というのがいまして、そこに抵当証券業者が入りまして貸すわけですけれども、そのときの担保になっている土地等がございます。それを登記所に行きまして、そこで審査をいただいて、その不動産鑑定士がきっちりはかった価格の大体聞いておりますところによると八掛けぐらいの範囲内でその抵当証券の原本を出すわけであります。それを抵当証券保管機構が流出しないように預かりまして、それを見合って保管書を交付します。それをつけて一般の購入者の方々に貸すと。だから、そこにはもともとの債務者、つまりお金を借りている人がいて、そこが支払い能力があれば問題がないわけです。仮にそれがだめなときもその抵当証券のもとになっている不動産とかいうものの担保があるという、そういう二重の形になっているのがこの抵当証券でありますけれども、ただそれがもし値下がりしているときには全部返らないじゃないかという懸念は否定できないハイリスク・ハイリターン商品ではあります。  したがって、今、先生のおっしゃったように、ほかの事業でそういう不動産投資等をどんどんノンバンクとしてやっている場合もありますし、その一対一の対応でそれが直ちに抵当証券の価値を減じたということには断定はできないというふうに思います。
  58. 笠井亮

    ○笠井亮君 実際に問題が起こっているわけですから、仕組みはそうだということでいろいろ説明されてもそれでは問題は解決しないというふうに思うんです。  たくぎん抵当証券の場合もお客様への「お知らせとお詫び」というのがございまして、これをちょっと読みますと、  バブル経済の崩壊に伴い、平成四年以降業況は低迷を続けるところとなりました。   このため関係各位のご協力、ご支援をいただ  きながら経営再建に懸命に努力して参りまし  た。しかしながら平成九年十一月十七日に主力  支援行である株式会社北海道拓殖銀行が、同行  の自力再建は困難である旨表明した事および当  社の経営の現況から、当社としましては、これ  以上経営を続けていくことが不可能と判断いた  しました。こういうふうに言っておりますように、バブルの影響がそもそもの原因となっていることはここでも書いてあるように明らかだというふうに思うんです。  このうち、事実上の破綻先が九二年に詐欺容疑で社長が警視庁に逮捕されたケン・インターナショナル、それからたくぎん抵当証券自身が九四年に第三者破産を申し出た千代田開発など十社がさっき言った中に入っているということなんですね。債務超過企業が十三社ということで、不良会社がこの三十社の中に並んでいるということであります。このほか暴力団など、やみの世界といいますか、やみの勢力との関係があると言われている件もあるようなんですけれども、いずれも不良貸出先として有名なところがこの一覧表を見ますと目立っているというふうに思うんですけれども、そういうことは承知されていますか。
  59. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先ほど申し上げましたように、抵当証券のどの貸し付けが対象になっているものかということは、私は一件一件存じませんので何とも申し上げられませんが、今、先生がおっしゃっているのが抵当証券会社がいわゆるノンバンクとして貸しているのを含めて融資先がそういったところが多いのではないかという御指摘でありますと、いろいろ雑誌等でも出ておりますし、そういったいろいろな話題になっている企業が含まれているということは承知しております。
  60. 笠井亮

    ○笠井亮君 きちんとそれを調べていただきたいと思うんです。  拓銀自身も、九三年以前からたくぎん抵当証券経営内容について危ないという認識を持っていたと。しかし、今申し上げた資料には三年前からの延滞額、延滞率も記されておりますけれども、率でいえば四二%、四四%、四六%、そして九七年三月が五一%ということでふえ続けて一向に改善されなかったことが見てとれる状況だと思うんです。  結局、きちんと清算に踏み出すべきときにノンバンクの処理の責任を負う拓銀が本気でやらずに抵当証券ごと不良債権を塩漬けにしてしまった、いわばそういうことになっているということだと思うんです。もし、日本生命とか第一生命とか住友生命、日本興業銀行、日債銀など、たくぎん抵当証券の出資者に拓銀本体の増資の手前もあって負担をさせられないなどの理由でずるずると塩漬け、いわばそういうような状況にするようなことをしていたとしたら、みずからの保身と拓銀の延命に多くの犠牲をまき散らしていたということになってしまうというふうに思うんです。いわゆる塩漬けという言い方をしたんですけれども、それをされたたくぎん抵当証券の犠牲者の典型例が拓銀の看板を信じていわばなけなしの退職金などで抵当証券を購入していた数千人の市民だということになると思うんです。  ですから、拓銀の責任はこの点でも非常に重大だということで、私は拓銀による買い戻しをすべきだというふうに思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  61. 山口公生

    政府委員山口公生君) 繰り返しになりますが、ノンバンクの清算時期がどうだったかという議論は、それは当事者間の判断が正しかったのかどうかという経営上の問題が基本だと思いますが、先ほど申し上げました抵当証券の場合は一本一本の貸し付けにその担保がある。その担保の評価をしてそれを八掛けにして、それで抵当証券が出せる範囲を決めて抵当証券が出て、それが抵当証券業者、ここで言いますとたくぎん抵当証券という会社がそれを扱うわけでございます。ぞれで購入者に売ってお支払いをするということですから、その抵当証券会社の役割というのは、いわゆる債務者、原債務者から元利の支払いがありますと、今度は抵当証券をお買いになった方にそれを支払うという受領及び支払いの業務をやっておる、それがいわゆる抵当証券業の本質でございます。したがって、倒産したことによってその業務ができないので抵当証券保管機構というほかの財団法人がそのかわりをやりますと、こういうことでございます。  ただ、仕組みの問題と先生がおっしゃっている拓銀のノンバンクの処理が遅かったではないかとかあるいは適切であったかというような話とはちょっと性格が違う問題だと。ただ、全く無関係の、すべてが無関係と言えるかどうかという問題はいろいろあると思いますけれども、基本的な形としては抵当証券というのはそういうものとして御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  62. 笠井亮

    ○笠井亮君 もう時間になりました。  今の御答弁については、私は、大蔵省はノンバンクに対しても土地関連融資の厳正化について十分指導を行っていくというような通達を何度も出していながら、結局、系列ノンバンクを使った迂回融資などさまざまな乱脈融資そしてこういう事態に至るということを防がなかった、防げなかったということがあると思うんです。このような破綻の原因となった不動産取引への融資が事実上無制限で行われていた結果については、大蔵省も重大な責任があるということを申し上げざるを得ないというふうに思うんです。  そして、たくぎん抵当証券の話では、投資家分はバブル期以降の融資がほとんどで担保保全率は高いはずというようなことを言う。つまり、破産の責任は一般投資家にはないということでありまして、それなのに全額は補償されない、しかも二十年先にならないと金が返らないという場合もあるということでありまして、被害者でもある国民にも結局そういうツケ回し、ツケ回しをやって税金投入ということになればまたさらに負担を強いることになる、そういう問題だということを最後に申し上げて、質問を終わります。
  63. 石川弘

    委員長石川弘君) これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 総理、連日お疲れのところお出ましをいただきましてありがとうございます。  現在の金融情勢は、三洋証券、北海道拓殖銀行あるいは山一証券破綻等、一連の騒ぎが続きまして、金融システムに対する不安が国民の間に増幅をしてきたという状況であります。  金融国民経済の血液、動脈であるというぐあいに言われていますけれども、経済全体が萎縮をし始めているということでこの悪循環、株価の低迷も含めてこういう悪循環を断ち切らなきゃならないときであるというぐあいに考えております。  今般の預金保険法改正案で本会議でも御質問申し上げましたけれども、これの持つ意義、重要性についてまず最初にお伺いをしたいと思います。
  65. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回、大変な御苦労をいただきまして預金保険法を御審議いただいておりますことに冒頭お礼を申し上げます。  今回の改正案には幾つかのポイントがありますけれども、特に御議論をいただく中心になっておりましょう、そう思われますものは、現行スキームの中において与えられておらない手段を政府に与えていただきたいという点に尽きようかと思います。すなわち、現行のスキームでは、債務超過に陥ってはいない、しかしその中に多額の不良債権を抱えており、もしかすると預金の払い戻し停止に陥るおそれのあるような金融機関、これを適切に処理する方法を見出すことが非常に難しい状況にございます。そして、もしこのような金融機関資金ショートに陥りましたときに、受け皿金融機関を見出せないままこれを放置いたした場合には窓口閉鎖を余儀なくされるわけであり、そうなりますといずれ整理清算型の処理をとらざるを得ないことになります。  仮にこういう金融機関がある地域に複数存在をいたしますとき、これを未然に防止をいたしませんと信用不安が連鎖的に波及をする、これは我が国金融システムに大きな打撃を与えることになりますとともに、借り手であります健全なお取引先、さらには地域の雇用、地域経済、こうした全体に深刻な悪影響を及ぼすことになりかねません。  今般の改正におきまして、こうした金融機関が合併をいたしますことによって新たに誕生いたします金融機関銀行、これは預金や健全な中小企業などとの取引を引き継ぐことが可能になります。当然ながらそれはかつて存在をいたしました金融機関は清算されるわけでありますし、その不良債権預金保険機構に引き継がれることによりましてスリム化した形でこれがスタートをすることになりますが、その結果として預金、また健全な中小企業との取引などを引き継ぐことが可能になりまして混乱を未然に防止することが可能になります。  現下の金融状況というものを踏まえましたとき、まさに今般の改正預金者保護金融システムの安定を図りますとともに、地域経済の混乱を防止するために厳格な制度的歯どめを金融機関に課しました上で、平成十二年度末までの特例期間中に限り破綻処理の手法を多様化させていただきたい、そういうお願いを申し上げておるものでありまして、ぜひとも今臨時国会中に成立をお願い申し上げておる性格のものでございます。
  66. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 総理がおっしゃいましたように、これによって預金保険機構の機能を多様化し、そして特に地域における混乱をこれで回避するという角度からこの法律案をお出しになっていただいておると思います。私は、現在の金融システム改善のための大きな一歩をやっぱり踏み出しているんだなという感じがするわけでございます。  そういうときに、日本全体が金融不安の中にあるわけですけれども、実は日本だけでなくてアジア諸国がどうも混乱をしているというような感じがいたしております。  先般、APECの非公式会談にお臨みになりまして、アジア経済のことについて大変御心配をいただいているというぐあいに思います。今、アジア諸国では、これは期間のとり方によるんですけれども、タィ・バーツが三割ないし四割、あるいはフィリピン・ペソが二割ないし三割、マレーシア・リンギットが正割程度、インドネシア・ルピアが四割程度通貨が切り下がっております。隣国の韓国でもウォンが三〇%ぐらい切り下がっているというようなことで、アジア諸国において通貨不安とともに金融不安が非常に広がっている、人ごとではないような気がします。人ごとどころか、我が国に対する影響が非常に甚大であるというぐあいに考えておりますが、お出かけいただきましたAPECその他でアジア諸国の通貨問題について御議論を願ったというぐあいに思います。  我が国の経済も非常に深刻であると同時に、アジア諸国の中では我が国が最も経済的に、今、金融不安金融不安と申し上げましたけれども、経済力その他から見て最も安定をした経済力を持っている国だというぐあいに思いますが、その日本立場からどのようにアジア通貨、アジアの金融不安に対して対処するのか、その方針を承りたいと思います。
  67. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) アジアの通貨、実はこの問題を最初に私が提起いたそうと思いましたのはデンバー・サミットにおけるロシアを除くG7の首脳会合でありまして、その時点におきましてはタイのバーツが私にとりまして懸念の材料でありました。しかし、その時点では残念ながら他の首脳たちにそうした問題での議論をお深めになるという状況がございませんで、帰国をいたしたわけであります。しかし、その後そのバーツが一つのきっかけをつくり、この不安が各地に伝播をし、それが世界経済にも影響を与えかねない心配の中で我が国におきましても金融機関の大型の倒産、自主廃業というものが出てまいりました。  そして、十一月十八日から十九日までアジア地域を中心にした十四カ国の蔵相・中央銀行総裁代理会合がマニラで開催をされまして、金融・通貨の安定に向けたアジア地域協力強化のための新フレームワーク、いわゆるマニラ・フレームワークと言われるものについての合意をいたしました。この内容は、既に御承知のことでありますので詳細は避けますけれども、域内サーベイランス、金融セクター強化のための技術協力、金融危機へのIMFの対応能力の強化、アジア通貨安定のための協調支援アレンジメント、この四つのポイントから成り立っているものでございます。  そして、まさにこのフレームワークが合意をされましたことで我々なりの対応策の基本的なルールというものが明確化をいたしました。そして、先般のAPECの非公式首脳宣言でもこれが支持され、強力にこれを進めていくということをお互いに申し合わせたわけであります。  これは、何といいましても、アジア諸国が協力して支援を行う枠組みを用意した、そして域内のサーベイランスの強化などを図るという点で、アジアの持続的な成長、ひいては世界経済にも貢献していく、こうしたものになるということを確信いたしております。  そして、現在日本も、このフレームワークに基づきまして、諸外国とも協力をいたしながら域内の金融・通貨の安定のために今後とも積極的に貢献していこうといたしております。  ちなみに、先般、韓国に対するIMF等の支援策が決定され、日本も第二線準備で百億ドルの対応を宣言いたしております。当然のことながら、IMFそのものがお金を持っておるわけではありませんから分担に応じて各国がこれを拠出するわけでありますが、日本は既にその資金当てを終わり、最初のものは韓国にIMFから届けられている、これもこのフレームワークの結果でありまして、これが十分機能していくことを私どもとしては願っております。  同時に、十四日に出発をいたしまして、十五、十六の両日、ASEAN・日本あるいはASEANプラス3と言われる会合がございますけれども、この折にもこのフレームワークに沿った各国の協力、協調というものが確認をされ、この処方せんに基づいた対応をお互いに確認していくことになるであろう、そのような予測を持っておる次第であります。
  68. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今、総理にお答えいただきましたが、マニラ会合における一つ原則、それについてAPECの非公式会談でもそれを支援され、そしてその方向に向かってやると。  今、最後に触れられましたが、韓国に対しても第二線準備としてIMF、外側として百億ドルというお話がございました。実はそのようにして、日本はアジア諸国の中では最も国力の高い国でありまして、大きな貢献をなさっておられるわけですが、そのことは同時に日本国の経済状態に対するはね返りもございまして、当然我が国としては国際社会の一員として貢献をしなきゃならぬという立場にあると思いますが、実は足元の我が国の経済がちょっとぐらぐらしているという状態にございます。そこでお伺いをしたいんですが、現在の金融環境のもとで公的支援論というのが今盛んに行われていますが、それについての総理のお考えはいかがでしょうか。
  69. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 最近の相次ぐ金融機関破綻によりまして、金融システムに対する不安あるいは戸惑いというものが一部に見られたわけでありますけれども、まさに金融システムというものの持つ性格、それは経済の根幹でありますし、またそれを通じて流れる資金、これは血液にほかなりません。これを安定させることは急務でありますし、その安定確保のためには私どもはあらゆる手段をとる決意でこれに臨んでおります。  そして、金融システムの安定性の確保というのは、先ほどの御答弁でも申し上げたわけでありますけれども、個別金融機関破綻が他の金融機関に伝播する、そして金融システム全体が揺らぐ、そうした状態を絶対に起こさないこと、そうした行動を明確にすることによって内外のマーケットの信認を維持し確保するということに尽きようかと思います。  金融システムの安定の強化のために今さまざまな場所でさまざまな議論を行っていただいております。私としては、公的支援によってセーフティーネットを完備する、そして預金者保護することが重要だと考えております。  したがって、いかなる事態が生じましても対応できますように、預金者保護のために公的支援により利用可能な資金を拡充していくことを今後検討すべきではないかと考えております。今、いろいろなところで御論議をいただいているわけでありますけれども、具体案を早急にまとめるべく強い決意を持って取り組んでまいりたいと考えております。
  70. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 日本に現在ありますセーフティーネットワーク、預金保険機構、まさにそれの改正案を今論議しているわけですけれども、実のことを言うと、五年間の財源としては二・七兆円あるけれども現在までに既に一兆四千億実行してしまった、あと一兆三千億残っているけれどもそれで十分かねということが当委員会でも議論されました。いずれにしても、経済のことでございますからいかなる不測のことが起こるかもわかりません。それに対して安心料と言うんでしょうか、しっかりした政策を我が政府が持っているということが重要なことではないかというぐあいに思っております。  先ほどの御答弁ではあらゆる手段を使ってと、こういうお話でございました。自民党では、宮澤喜一氏を本部長にいたしまして、きのうの緊急金融システム安定化対策本部の総会で預金者保護のほか一部の破綻金融機関の処理など金融システムの安定のために十兆円規模の公的資金投入があり得るのではないかと、それの最終調整を宮澤喜一氏に一任したというようなことになっております。  また、梶山前官房長官は十兆円規模の新型国債発行を論議の対象としておられます。さらに、破綻金融機関の受け皿となる金融機関などが発行する優先株とか劣後債とか、それを買い取って自己資金の充実を図ったらどうだというような提言も確かに行われているところでございます。  それらはまだまとまっておらず、詳細もこれから詰めなければならないという問題でございますけれども、自由民主党では、そう言ってはあれですけれども、民主的かつ自由濶達にこの議論を進めているところでございます。いずれにしても、金融機関安定のために公的資金が何らかの関与を行わなければ金融の安定化をもたらすことができないという状態になっているように思います。  こういう諸提言について、特に梶山前官房長官の言われた十兆円国債については検討を指示されたというぐあいに伺っておりますけれども、最終結論はどうも公的資金をどうするかという問題になると思いますが、それについて御検討を願えるのかどうか、そしてさらに総理としてこういう問題についての現在における御見解をお願いしたいというぐあいに思います。
  71. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、党として御議論を私自身が指示しお願いをしておりますことでありますから、余り個人的な意見を申し述べることはいかがかと存じます。  しかし、公的支援というものを考えました場合、何のためにそれが必要かというならそれはまさに金融システムの維持安定というもののために必要であり、これは非常に緊急性の高い政策として考えられるべきものだと思います。  同時に、法令に違反しないという言い方はちょっとおかしいかもしれませんけれども、財革法を初めいろいろな法律との整合性の問題も当然論議の対象でありましょう。そして、それは結果として国民の利益であり、国益に還元されるものというものが当然ながら求められるのではないか、一般論として申し上げるならそのようなことを申し上げる必要があると思います。  そして、あえて申し上げるといたしますなら、私は、金融システム安定というその仕組みは政府の意思表示によって不安が不安を呼ぶ状況を打ちどめにする、すべてはそこに尽きると考えております。  梶山前官房長官の提言につきましても、私はそうした意味で評価すべき内容のあるものと考え、党で御検討をいただくその一つの中に加えてもらいたいということを確かに指示し、検討を始めていただいているわけでありまして、私は政府にとってよりよい今後の具体策を準備する上で役立つ考え方を党から御提示をいただけることを期待いたしております。
  72. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 金融不安というんでしょうか、金融システムを整備するためには、実は今の保険機構というのは破綻金融機関あるいは破綻になる寸前の機関に対する手当てを考えているわけですが、さらに我が党では進んで、今ある金融機関で例えて言えば今度北海道拓殖銀行が営業譲渡をなさるという北洋銀行、あそこの資本の不足も考えています。そういうある程度健全、ある程度不安がある、そういう金融機関に対して劣後債であるとかあるいは優先株であるとか、そういう手当てもしていこうという前向きの考え方も示しているわけです。  そういう意味で、我が党からいろいろな提言をこれから出すというぐあいに思いますけれども、ぜひ政府としてもそれをしかと受けとめられて金融不安を解消される、そして総理が、総理がというよりも日本政府がその決意を示すことによって全国民、全世界の金融不安がなくなっていくというようなことを期待したいと思いますが、御決意のほどを最後にお願いしたいと思います。
  73. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうどAPECに参りましたときに山一証券の問題が表面化いたしまして、到着をいたしました瞬間からその説明に追われるという状況でございました。こうした事件がいかに海外において、海外の投資家ばかりではないさまざまな分野に波紋を呼ぶかということを身にしみて実感いたしております。  当然ながら我が国においては、これは国内の問題であり、国民のために我々が努力をすべきことでありますから全力を尽くして取り組んでまいりたい、そのように考えております。
  74. 上山和人

    ○上山和人君 総理、大変御苦労さまでございます。  社会民主党・護憲連合の上山和人でございます。  物には順序がございますから、最初に総理にお尋ねいたしたいのは、実は銀行の倒産が始まりましたのは平成四年からです。平成四年に東邦相互銀行、東洋信用金庫が倒産をいたしましてからこれまで、さきの北海道拓殖銀行、徳陽シティ銀行を加えますと実に十七の銀行金融機関が倒産をしているわけです。四年からですから六年間の間に十七の銀行が倒産をしている、つまりそれだけの銀行倒産の経過があるわけです。  その経過に大蔵省は多くを学んだはずなんです。二度とこういう事態を繰り返してはならないということをその都度お思いになったと思うんです。にもかかわらず、先ほどからいろいろ御答弁がありますけれども、今日非常に深刻な状態を迎えた、そのことの責任の所在について総理は一体どういうふうにお考えですか。
  75. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、基本的にはやはりこれは金融機関の個々の経営者経営判断というものがいかなるものであり、その結果としてどういう事態を惹起し結果を招来したかということがまず問われるべきものであると思います。これは基本であります。  その上で、私は個別の金融機関それぞれの状況を存じておるわけではございませんけれども、例えば銀行検査等の中で何らかの問題が発見をされ、それが注意をされたにかかわらず経営者がその判断を採用しなかったというようなことがあったのかなかったのか、あるいは発見し注意はしたけれどもフォローアップが行われていなかったというようなことがあるのかないのか、さらには全く発見できないような巧妙な帳簿操作が行われていたのかとか、いろんなそういうケースによっての対応はあろうと思います。  しかし、同時に従来、これは大蔵省をかばうということではございません、日本においては金融機関をつぶすのは悪といった考え方があり、金融機関経営が厳しくなりましたときにはどこか優良な銀行とこれを組ませることによって破綻を防ぐということを、そうした手法をとることがよいことという考え方がございました。  私自身が大蔵大臣のときにも、これは信組でありますけれども、非常に大きな問題を起こしたケースがありまして、私自身がそれを本当に腹が立ちつぶそうといたしましたけれども、結局それをつぶしてしまうという選択肢を最終的には断念せざるを得ませんでした。それは結局、預金者に対してその預金を保証する点において制度的に手抜かりがあったということでありまして、特にそこに中小零細の方々が多かったためにその手法を採用できなかったわけでありますが、そうした意味では、その金融機関破綻をした場合、いかにすれば預金者に対して影響を与えないようにするかという工夫を早目に国会に御相談をするという点においては、私はやはり一歩おくれた点があったということは御批判を受ける部分かもしれないと思います。  ただ、最初に申し上げましたように、やはり経営破綻をする、それは経営者がいかなる判断をし、問題が惹起し、そしてそれに対する対応策を経営者としてどう判断をしというプロセスの検証は大事なことではないかと思います。
  76. 上山和人

    ○上山和人君 わずか二十分しか時間がないんです。もう少し総理も端的にお答え願いたいんです。  けじめの問題、ですからこれほどの深刻な事態になって、六年前から銀行の倒産が続いているのに、それに深く学んで再発防止の対策を十分立てられなかったことによって起こっているというのは、これはだれが見ても明らかなことだと思うんです。これは与党であれ野党であれ、今みんなが真剣に考えなくちゃならない問題ではないかと思うんです。  したがって、私は、当該金融機関責任が第一義的にあるのはこれはもう当然のことで、今それを言っているんじゃないんです。監督官庁としての大蔵省の対応にやっぱり反省すべき点はなかったのか、もっと早く深く立ち入って予防措置を講じていたならば今日の事態を招かずには済んだのじゃないかというのは大方の国民の思いだと思うんですよ。  私は、きのう参考人が二人ここにおいでになって、御意見もお聞きしました。ある参考人は、今日の状態になったのはすべて大蔵に責任があると言い切っておられました。それはそれといたしましても、やっぱり今度の事態を招来した責任大蔵省にあること、またひいては総理にもあるんだということをお互いにしっかり、また国会にも現行法上問題があるかないか、特に山一証券の問題等の処理をめぐって考えれば国会にも反省すべき点が大いにあるんじゃないかと。  したがって、現行法の改正も含めて、もっと証券会社の破綻を防ぐ、銀行の倒産を未然に防ぐような対策をみんなで真剣に考えるべきときに来ていると思うだけに、大蔵省だけでなくて国会も含めて、政治責任も含めて、私は国民の前に本当に心の底からおわびを申し上げて、二度と過ちを繰り返さないという誓いを新たにされて今後の対策に臨むべきだ、そういう観点から申し上げているんです。  総理、端的にもう一度。
  77. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今の議員の御指摘のような角度でありますなら、我々その責任を持てと言われる点についてそれを認めないつもりはございません。  ただ、山一のように違法である損失補てんを行い、総会屋に利益提供を行い、許されていない飛ばしで簿外債務をつくりと、これは経営責任でありまして、経営者の判断でありまして、私は山一証券が飛ばしを行い簿外債務をつくった、ここまで政府責任と言われますと、これは私ちょっとそこまでの、不正行為までの責任はちょっといかがかと思います。  しかし、これはむしろ検査の段階においてそうしたものがチェックできなかったかどうかという点について反省する点はあるということは私従来もお答えに申し上げておりまして、そういう点で反省をしないと申し上げているのではございません。
  78. 上山和人

    ○上山和人君 山一の問題を取り上げる時間がないんです。証券局長にもお尋ねして、四月二十一日の産経新聞が大きく報道して以後、金融専門誌を含めて関係紙が特集を続けているのに、なぜもっと重大な危機意識を持って取り組まなかったかという指摘はしました。これはもう時間がありませんから、またいずれお互いの問題として考えたいと思うところでありますけれども、私はお互いに厳しい自己批判をしながら、反省をしながら、国民の皆さんの前に再び同じ過ちを繰り返さないという誓いを明らかにして再出発をする今段階だ、そういう大きな金融システム安定がための曲がり角に来ているのではないか、そのことをはっきり認識を共有したいという観点で申し上げましたのでこれ以上は申し上げません。総理も大変だと思います。次から次に難題が襲いかかって、非常に難しい時期に御苦労なさっていることには与党の一角にいる者として本当に御苦労だと申し上げるよりほかにない。私たちも同じ気持ちでこの難局を乗り切りたいと思うからいろいろ申し上げているわけです。  次に、私の本会議の質問に対しまして総理がお答えになりました新型国債構想については、総理は私の質問に対して、新型国債構想は金融システム安定化のための一つの真剣な提案である、したがって私は自由民主党に検討するように指示したとお答えになりました。  これは楢崎先生も今御質問のあったところでございます。この委員会でも随分取り上げられている問題でありますけれども、額にすれば十兆円規模の新型国債の構想だと思うんです。総理は本会議の楢崎先生の質問に対して十兆円という金額も明らかにお答えになりました。  まず、なぜ十兆円なのかという問題なんです。なぜ十兆円なのか。私はきのう銀行局長不良債権の実態等についてもいろいろとお答えもいただきました。だから、なぜ十兆円なんですか、十兆円の根拠。総理は真剣な提案として受けとめられて自由民主党に検討するように指示したとおっしゃったわけでございまして、一体この十兆円が、数字が最初から規模として出ている問題について、その十兆円はなぜ十兆円必要なんだということについてどこもまだお示しになっていない。総理はどのようにお考えですか。
  79. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、私が楢崎議員に対して十兆円という金額を付してお答えをしたように言われましたが、私は新型国債という言い方をいたし御答弁を申し上げ、その内容は、上山議員に対しましても私は金融システム安定性確保のための新型国債についてというお答えの仕方をしたと記憶しておりまして、金額を私からは申し上げたとは思いません。  ただ、それが巷間伝えられていることは私も否定をいたしません。そして、私は確かに一つの有力な考え方としてこれを検討すべく党に指示したこと、これは間違いございません。そして、楢崎議員からも今御質問がございましたように、党内において検討をされ、有力な一つ考え方として論じられておるということは事実でございます。そして、その十兆円という金額は梶山前官房長官が個人の立場として述べられた論文の中に記されている数字でありますが、私が十兆円という言葉を使って御答弁を申し上げたことはないと思います。
  80. 上山和人

    ○上山和人君 それは本会議の議事録を調査してみたいと思うんですけれども、私は本会議の席上でお聞きしておりまして、たしか十兆円という言葉、数字が総理の口から出たように思うんです。それはまあ後で、大した問題ではないです。  今、事実として十兆円規模の新型国債、十兆円新型国債という表現でずっと国民の前にそれが毎日のように報道されているわけでありますから、国民が重大な関心を寄せている問題なんです。しかも、それを総理は貴重な、真剣な提案としてお受けとめになって自由民主党に検討するように指示されたわけでありますから、十兆円というこの規模の問題についても梶山さんが御提言になっている内容として十分御存じで検討するように指示なさったと思うんです。  十兆円の規模、なぜ十兆円なのかということはみんなわからないわけなんですよ。
  81. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) だから、十兆円とは答えていないんですよ。
  82. 上山和人

    ○上山和人君 いやいや、今私がお尋ねしているんですよ。  ですから、十兆円はどんなふうに理解されているんですか。
  83. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変申しわけありません。失礼いたしました。おわびをいたします。  ただ、私はいかに考えましても、十兆円という数字を私から口に上せて答えたことがないものでございますから、今記憶をたどりましても新型国債という答え方をさせていただいたと思っております。これはもし、議事録を調べ、私が間違っておりましたら、これはおわびを申し上げますけれども、私は数字の話はいたしておりません。  ただ、むしろ考え方としては本当に貴重な考え方であると思いますし、考慮に値する考え方であると思いますし、市場を安定させていく上で有力な検討をすべきものと思いましたので、確かに私は党に対してこれを検討するように指示をいたしましたが、そのときもシステム検討することを指示したのでありまして、金額を指示しているものではないことは御理解をいただきたいと思うのであります。
  84. 上山和人

    ○上山和人君 まず初めに十兆円ありきなのかなという印象を率直に受けているんですよ。つまり、それは先ほどうちの志苫委員銀行局長に尋ねていたときにアナウンス効果という表現をされましたけれども、国民に対する総理あるいは今の政府の決意の表明として十兆円規模という大胆な提言をすることによってアナウンス効果等を含めた市場への影響、あるいは金融システム安定化のための政府の毅然とした決意を示すという意味で政治的な決断だったのかなと私たちは、こういう席にいる者としては受けとめざるを得ない。  数字の根拠は、銀行局長に聞いても何も相談にあずからなかったと言ってお答えになっているわけだから、大蔵省さえ御存じない。大蔵省さえ御存じないところで十兆円規模の新型国債というのは新聞紙面に毎日躍っているわけですよ。それを国民はみんなマスコミを通して知っていて、本当にいろんな心配もし、関心を高めているわけですからできるだけ早い機会に、今、自由民主党に検討するように指示したとおっしゃいましたけれども、なぜ十兆円なのか。  これはきょうの朝日の記事ですが、「公的資金「十兆円」投入を確認」、これは自民党の金融対策本部の記事として出ています。時間がないから公的資金導入の原則、条件について総理からお聞きすることはできませんけれども、これは今後いずれもっと明確にされることだと思いますが、なぜ十兆円なのか。  初めに十兆円ありきといったような大胆な提言、そして政府の決意を国民に示し、市場への影響等も勘案しながら必ず金融システムのこれからの安定化対策の出発点になるという思いで政治的な決断としてなさったのであれば、それはそのように国民にアピールされるべきだと思う大変重大な問題と思うだけに、不良債権状態から見てもどうやって金融システムの安定化対策をこれから進めるかという具体的な問題を考えるにしても、私どもには、少なくとも私には十兆円という数字の根拠がなかなか理解できないから申し上げているんです。政治決断なら政治決断、これは決意の表明だと、決意の表明なら決意の表明として国民にアピールされるべきだと、そこは責任を持って。  今、総理はみずからはおっしゃっていないとおっしゃいましたから、それはそれでいいんです。でも、自民党の総裁でもいらっしゃる。自民党の党側の問題として数字が明らかに出て議論をされていることでもありますから、総裁を兼ねていらっしゃる総理として、その点について私は責任がないとは言えないと思いますから、どうぞ国民に向かってメッセージを出してほしい、それだけをお願い申し上げ、総理の決意を聞いて、時間が参りましたので質問を終わります。
  85. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 金融システムの安定の仕組みというのは政府の意思決定で不安が不安を呼ぶ状況を打ちどめにすることであり、我々は日本発の経済恐慌を起こさないということは大蔵大臣以下私ども皆同じ気持ちであります。そして、その決意のもとに、今お話がございました新型国債というものもその中の有力な柱として検討するに足るものと私は思い、党に検討を指示いたしました。  今、党は検討中であり、近いうちにその結果は党としての意思として連絡をいただけるものと思いますが、いずれにいたしましても我々は日本発の金融不安というものを世界じゅうに拡散させることのないように全力を尽くしてまいりますので、どうぞ御協力を賜りたい、心からお願いを申し上げます。
  86. 笠井亮

    ○笠井亮君 限られた時間なので、幾つか絞って伺いたいと思います。総理にお願いいたします。  今、総理がお見えになる直前に私が質問をしていたこととのかかわりでまず伺いたいんですけれども、拓銀の破綻と山一証券破綻に関連して、これらの関連会社であるたくぎん抵当証券、山一ファイナンス、これも破綻をいたしました。  抵当証券は、低金利のもとで、銀行証券会社の勧めによってお年寄りだとかあるいは定年退職した方々がなけなしの資金を投じて買ったという方が大変多いわけでございます。現に私の身近にもそういう方がいらっしゃいます。大蔵省に先ほど数字を確認しましたところ、山一ファイナンスで一万人近く、たくぎんで七千人近い被害者というか該当者がいるということでありまして、抵当証券の方から手紙を受け取りまして、抵当証券の買い戻し代金を支払うことができなくなったということを聞いて購入者が悲嘆に暮れているということがあっちこっちで今起こっている状況だと思うんです。銀行預金保護されて、一方でまた株式に投資した人も基本的に保護されている中で、抵当証券の多くの保有者といいますか購入者はどうして私たちだけがといういわば恨みの声も聞こえるという状況であると思うんです。  そこで伺いたいんですけれども、我が国ではいまだこうした種類の金融取引の被害について消費者保護を図る法的な枠組みが整備されていないわけですけれども、このような状況のもとで現実に起きているこれらの被害者の救済のために政府としては全力を尽くすと言うべきだと思うんですけれども、それについての御所見を伺いたいと思います。
  87. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、本来専門家からお答えをすべき種類の話であろうと思いますけれども、私が存じます限りにおいて、抵当証券というものは本来リスクの高い商品ということはどなたも御否定にならないと思うのであります。そして、不動産を担保として行われました融資についてその債権と抵当権を有価証券化した、これはまさに購入者の自己責任を前提として、預金などに比べて相対的に金利の高い商品である、まさに本来リスクの高いものではないでしょうか。  そして、抵当証券業者が経営破綻に陥りました場合におきましても、抵当証券の購入者は原債務者に対する債権と抵当権は引き続き所有しておられるわけであります。こうした場合の原債務者からの元利金の取り立てなどにつきましては、抵当証券保管機構が元本保証を行うものではないけれども代行できることになっているわけでありまして、そうした意味でこれはある意味での自己責任とこの商品の有利性というその選択の問題そのようにお答えをせざるを得ないのではないでしょうか。
  88. 笠井亮

    ○笠井亮君 この商品の場合、安心ですよという形で拓銀や山一の銀行員、社員からも直接勧められて、そして実際に拓銀、山一の窓口で売られていたと。そして、この間破綻したたくぎん抵当証券の川田社長は、リスクを知らずに買った人がいたと思いますということも認めているわけでありまして、そういう中で自己責任ということを言われましたけれども、確かにリスクは高いんですけれども、もうその前提が崩れているという状況の中で実際にこういうことで被害が起こっているということなので、やはりこれはあくまで自己責任ということではなく、政府としてそういう被害者の救済のためにこの性格は踏まえた上で全力を尽くすということでの総理からの指示もぜひしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  89. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) しかし、その抵当証券を購入されました方は原債務者に対する債権と抵当権を引き続き有しておられるわけであります。そして、これを取り立てようとお考えになります場合に抵当証券保管機構が代行できるという仕組みもあるわけであります。  これは、政府としては、もし本当に山一ファイナンスなりたくぎん抵当証券なりがそういう売り方をするとすれば別種の問題は生じますけれども、私はやはりこれはまさにその抵当証券保管機構が代行してその債権の取り立てを任ずるということではないかと思います。
  90. 笠井亮

    ○笠井亮君 この問題はまた具体的には大蔵省ともさらに詰めていきたいと思うんです。全額保証されないという問題とか二十年先にならないと返ってこない、あるいは、機構の問題も言われましたけれども、これも極めて、機構としてはわずか数十人ということで、大変に貧弱な規模のものでしかないということでありますのでその点ではそれがあるから大丈夫ということにはならないし、実際に被害を受けている方々はこれで本当に政府としてそういう対応でいいのかということで声も上がっている状況でございますので、そこのところはもう仕組みもあるし自助努力なんだ、要するに自己責任なんだということで終わらせてしまいますと、これからまたいろんなそういう種類の被害が出たときにこれまた大変なことになるということで、私はさらにこの問題は政府としても救済のための真剣な努力をしていただくということでお願いをしておきたいと思うわけでございます。  次の問題なんですけれども、今起こっている金融機関の相次ぐ破綻という問題は、バブルの時期に金融機関が乱脈経営をほしいままにしたという結果生まれたものであるということがかなりこれはもう共通の認識になってきているということだと思うんです。したがって、その処理に当たっては基本的にはその金融機関のまさに自己責任でやるべきであり、それができなければ関連の金融機関、さらには金融界全体の処理がきちっと行われるべきだということは大事な問題だと思うわけでございます。私もその点で本会議でも質問をさせていただいたときに申し上げたわけですけれども、総理御自身が昨年の衆議院の本会議の中で答弁されて、金融機関破綻処理は金融システム内の負担により賄われることが原則という形で明言をされておりました。  ところが、次第に破綻処理に対しての関係金融機関の負担というのが少なくなっているということではないかと思うんです。特に、昨年の預金保険法の改定以降を見ますと、関係金融機関の負担が木津信用組合の破綻処理に際して、これは予算委員会でありましたが、三和銀行が百二十二億円の拠出をしたという以外は、一覧表がありますけれども、一件もないということでございます。  その点で伺いたいのは、総理が従来明言されていた原則を改めることにされたのか。保険料のアップの問題あるいは体力の減とかいろいろありますけれども、私はこの間の超低金利政策のもとで銀行界が全体としては高い利益を上げることができたということがあることから銀行界全体に対して負担を求めることには道理があると思うわけでございます。少なくとも、その努力を最大限行うべきだ、負担を求めることで努力を行うべきだと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず、公定歩合について我々はこれがどうこうということは言うべきことではないと存じます。また、議員が仰せられました本来という部分についてそういう言い方を私が申し上げたこともございます。そして、同時に銀行など預金取扱金融機関というものが我が国の金融システムの根幹であることもそのとおりであります。  ですからこそ、昨年成立をいたしました金融三法において、金融機関ができる限りこれをお互いに助けていくという考え方を持った上でそれまでの七倍の預金保険料を課すと同時に、金融機関預金の払い戻し停止に陥りました場合に預金保険機構にペイオフコストを上回る特別資金援助を導入したわけであります。この活用によりまして預金の全額や借り手である企業の取引を保護する、これによって預金者保護金融システムの安全性の確保に万全を期しているわけであります。  いずれにいたしましても、今後とも金融三法の基本的な考え方を踏まえながら、預金者保護金融システム安定性確保というものを図ってまいりたい。しかし、個別のケースについて、必要がありました場合にその破綻金融機関関係の深い金融機関保険料負担のほかに応分の協力を行っていくというケースもそれはあり得るものだと私は思います。
  92. 笠井亮

    ○笠井亮君 時間が迫っておりますので次の問題を伺いたいんですが、乱脈経営などに何の責任もない国民に負担を負わせる税金投入は私は絶対すべきでないと思うわけでございます。破綻した金融機関のその破綻に至った原因や責任を十分追及しないままに、金融業界の負担と責任も求めずに、大蔵省の行政責任もあいまいなままに税金投入の方法だけが議論されているという問題についてやっぱり国民は非常に怒っているという状況だと思うわけでございます。  先ほど総理は御答弁の中で、政府の意思表示によって不安が不安を呼ぶことを防がなければいけない、まさに金融システムの安定ということが必要なんだということを言われましたが、私は、金融システムの安定ということをおっしゃるならば、金融界に企業倫理を確立して金融界のルール無視の体質を改めること、そのために経営の内容を徹底的にディスクロージャーすること、また行政指導の内容や経緯なども国民の前に明らかにするということこそが求められていると思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  93. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 金融システムの安定性を確保することによって内外のマーケットの信認を維持する、これは非常に重要なことであることは御指摘のとおりです。  そして、政府としては、預金者保護を目的としながら公的支援を含めて今後具体案を早急に得て、安定性確保に全力を挙げて取り組む決意でおることも先ほど来申し上げてまいりました。  そして、企業経営者に倫理の向上を求める、金融機関関係法令を遵守する、一層の情報開示を行う、こうした諸点は公的支援を前提とするかどうかに関係なく私は今後さらに徹底していかなければならない課題だと思います。これは支援の有無で決することではなく、本来こういう努力はもっとやってもらわなきやなりません。  同時に、金融行政につきましても、その市場規律というものを基軸としたより透明性の高い行政というものを目指している、また目指していくべき、そうした中で必要な対応を行ってまいりたいと思います。
  94. 笠井亮

    ○笠井亮君 最後に伺いたいと思います。  証券業界に対して自由民主党が毎年一億円規模の献金を要請していて、うち東京証券取引所正会員協会から平成八年で見ますと七千七百万円という形で受け取っておられると。ことしもそういう形になるのかというふうに思うんですけれども、そのうち四割は大手の四社の会費が占めているという状況で、当然その中には先ほど総理が不正行為の責任ということで強い言葉でおっしゃった山一の分も含まれているということになっていると思うんです。  片や公的資金を支出しながら片や献金を受け取るということになりますと、このようなことは国民納得できないということになると思うんですけれども、自民党総裁でもある総理が、金融問題がこれだけ重大になって公的資金導入あるいは公的支援という形で議論がさまざまされている中で、ことしも経営破綻した山一の分も含めて証券業界の団体から国民政治協会への献金を受け取るというようなことはきっぱりとやめるという御決断をすべきではないかと思うんですけれども、その点でいかがでしょうか。
  95. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 特定の団体が自由民主党の政策理念に共鳴、支持をしてくださる、そして自由民主党が政治活動を行うのに必要な政治資金を提供される、それ自体私は問題はないと思います。  そして、今御指摘のような問題については、その団体がそれぞれの時点でみずからの財務状況等をも勘案されて自主的に判断をされ、その判断に基づいてお決めになるべきことであろうと私は思います。
  96. 笠井亮

    ○笠井亮君 終わります。
  97. 石川弘

    委員長石川弘君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたします。  橋本総理大臣は御退席されて結構でございます。  他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  98. 笠井亮

    ○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、預金保険法改正案に対しての反対の討論を行います。  我が党は、本法案に対してその内容に反対であるとともに、不正常な状態で送付され、本院でも本会議、委員会とも不正常な審議が強行されてきたことに強く抗議してきたところであります。  その法案を、重要法案は二十日間という参議院改革の原則も無視し、衆議院に比べても約半分という短い審議時間にもかかわらず審議を打ち切り採決に付すことは、議会制民主主義の原則に照らしても、また参議院の重大な責務であるチェック機能をみずから放棄するものである点からも、本法案は参議院の良識に照らせば廃案とすべきであり、絶対容認できないことを冒頭ではっきりと表明しておきます。  第一に、本法案は、預金者保護を目的とする預金保険機構による資金援助を合併による新銀行をつくる場合にも拡大し、債務超過に至る以前の段階においても機構がその不良債権を買い取ることができるようにするものであります。これは明らかに預金者保護という預金保険機構の本来の機能を金融機関の救済へと大きく変質させるものであります。こうなれば、預金保険機構には買い取った不良債権が山と積まれることになりますが、その回収は容易に進まないことは言うまでもなく明白であり、将来ロスが膨らむことは必至であります。結局、その穴を埋めるという理由で際限なく国民公的資金、税金が投入されることが避けられないのであります。  第二に、本法案による特定合併大蔵大臣あっせんによって行われますが、そのあっせんの具体的要件は定められておりません。これではこれまでも厳しく批判されてきた大蔵省金融業界や金融機関との癒着や不明朗な行政を断つことができません。  第三に、本法案では特定合併による資金援助の条件としてリストラ計画の提出が義務づけられていることも重大な問題であります。既に金融機関の相次ぐ破綻のもとで金融機関の労働者は人員削減と労働条件の切り下げなどで深刻な状況に置かれています。本法案が成立すれば政府が労働者の犠牲を後押しすることになるのであり、到底容認できません。  そもそも本法案は、金融ビッグバンを推し進めるもとで、政府大蔵省が主導して大金融機関本位の金融再編を推し進めるねらいを持つものであります。その結果、中小の金融機関地域に密着した銀行は淘汰されてしまうおそれがあります。  最後に、乱脈経営破綻した金融機関に対して、その解明が不徹底であるばかりか、経営者や行政はまともに責任も問われないまま、何の責任もない国民に負担を押しつける税金投入は断じて認められないことを表明し、本法案に対する反対の討論といたします。
  99. 金田勝年

    ○金田勝年君 私は、自由民主党並びに社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました預金保険法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。  まず、本法律案に対する賛成の理由を申し上げます。  第一に、健全な金融機関破綻金融機関新設合併を行う際に預金保険機構からの資金援助を可能にした点であります。  今後、預金保険制度が機動的に金融破綻に対応し、もって金融システムの健全性を維持していくためには、かかる資金援助の要件を多様化し、適時適切な資金援助を可能にしていくことはまさに必要不可欠な措置であると考えます。  第二に、平成十三年三月までの時限的措置として、二以上の破綻金融機関をすべての当事者とする新設合併、いわゆる特定合併に係る預金保険機構からの資金援助を可能にした点であります。  この時限的措置の導入により、債務超過となる前に経営不振に陥った金融機関不良債権の処理を行うことを可能とし、もって預金者保護に加え、破綻金融機関経営地域における金融機能を失わしめることなく金融再編を進めることが可能となり、中小企業を中心とする地域経済への影響を最小限に抑えることができるものと考えられます。  第三に、さきに述べた特定合併に際し、金融機関経営者経営規律の低下を防ぐために制度的歯どめを設けた点であります。  最後に、政府におかれましては、今回の預金保険法改正について、預金保険機構責任準備金の枯渇に対し適切な処置を速やかに講ずるとともに、預金保険の発動に際し、金融機関経営規律の低下の防止に考慮しながら、破綻金融機関経営者責任追及経営合理化の実効性の確保に最大限の配慮を行うことを強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
  100. 石川弘

    委員長石川弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  預金保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  101. 石川弘

    委員長石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 石川弘

    委員長石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後四時五分開会
  103. 石川弘

    委員長石川弘君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、保坂三蔵君及び谷川秀善君が委員を辞任され、その補欠として西田吉宏君及び片山虎之助君が選任されました。     —————————————
  104. 石川弘

    委員長石川弘君) これより請願の審査を行います。  第三二三号青色申告者に対する勤労所得控除六十五万円の創設に関する請願外二百三十五件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第三六九号酒販免許制度堅持等に関する請願外九十二件及び第六〇八号金融及び証券に係る事件の徹底究明に関する請願外二件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第三二三号青色申告者に対する勤労所得控除六十五万円の創設に関する請願外百三十九件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 石川弘

    委員長石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 石川弘

    委員長石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  107. 石川弘

    委員長石川弘君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 石川弘

    委員長石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会      —————・—————