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政府委員(
山口公生君) 今、
先生のおっしゃいました
破綻金融機関というものはどういうものか、あるいは
あっせんするのはどういう場合か、あるいは
計画を出させるというけれどもどういったものを出させるかということにつきましては、一応
法律に
考え方は書いてございますが、具体的にどうかという御疑問がしばしば
提示されております。
ただ、数量的に一定の
基準を余りきっちりつくってしまうということは、逆にこの
特定合併の
制度を有効に、また機動的に運用するという
意味で難しいという面がありますけれども、あえて今私どもの方で、
基準とまでは言わないにしても、こういったことをチェックしながら見ていきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。
破綻金融機関というものの概念でございますが、これは
法律上、「
業務若しくは財産の
状況に照らし
預金等の
払戻しを停止するおそれのある
金融機関又は
預金等の
払戻しを停止した
金融機関」というふうになっておりますが、このおそれのある
ケースというのが問題になるわけでございます。これについては、
一般論としてはまず
債務超過の
状態になっている、これはこれまでの典型的な例です。この場合はこれは
当てはまりませんが、
債務超過には陥っていないが多額の
不良債権を抱えて現に
資金繰りに困難を来している、早晩必要な
資金が確保できなくなる
可能性が高い、これが当たるのではないかと。
そうすると、どういう場合かということでございますが、
マーケットがその
金融機関に対する信認を低下させている場合、
コール市場等で
担保をつけても
お金が借りられなくなってきたというふうなことが
一つあると思います。それから、
預金の流出がかなりふえていると。
預金もいろいろありまして、非常に足の速い
通常の
預金もありますが、いわゆる
基盤定期といいますか、
基盤預金といいますか、
通常は余り引き出されないんだけれども、そういったものがどんどん毎日抜けていくというような
状況というのは、これは
資金繰りにとって大変難しい問題を招来するわけでございます。それから、その
資金繰りのための
マーケット自身が非常に窮屈なのかどうか、非常に緩やかでだれにでも貸してくれるような
状態なのかということも影響するわけで、そういった三点をちょっと挙げさせていただきましたが、そういうのを考えて決める必要があると思います。
それから、
あっせんでございますが、この
あっせんにつきましては、あらかじめ機械的な
基準というのは
制度を有効に機能させるためには決めることはなかなか難しいと思いますけれども、例えばこういうことが考えるべき
ポイントかと思います。
一つは、ある
地域に
経営の悪化した
金融機関が複数存在するということでございます。これは、しばしば申し上げております
地域経済への配慮、あるいは連鎖的な倒産、
破綻のおそれということが
一つの要件であります。それから、それらが連鎖的に
預金払い戻し停止に陥るおそれがあること、これが二番目かなと。それから三番目としましては、その
業務の全部の
廃止または解散が行われる場合には
地域または分野における
資金の円滑な需給及び
利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。これが
原則的な三つの
ポイントかなと。
じゃ、それを具体的にどういうもので見ていくかということでございますが、
一つは
金融機関のその
地域で担っている
役割がどんなものか。
二つ目としまして、
金融機関の規模がどうか。例えば、
口座数がいかなるものか、
取引先数がどうなのかというような
ポイントだと思います。それから三番目に、
金融機関の
特色、これは
取引先の
特色であります。例えば、
中小企業、
零細企業が多いとかいうような点でございます。それから四番目には、
金融・
経済情勢全般の点でございます。これは
資金需要の程度、
貸し出し姿勢、そういったものを考慮すべきかなと思っております。それから最後に、
当局が
あっせんをしまして、それでその
銀行がそれを受けた場合、
計画を出していただきます。新しい
銀行に生まれ変わっていただくわけですが、その
計画としてどういうものを求めるべきかという
ポイントを考えてみますと、まずは
責任の問題があると思います。
したがいまして、
原則として
代表権のある
役員については
退任をしていただく。それから、その他の
役員についても
経営破綻に
責任を有する者については新
体制の
経営に参画させない。それから三番目に、新
体制の
経営者については、その
業務を的確、公正かつ効率的に遂行できる知識及び経験を有する人、要するに全部パージしてしまってもうだれもいなくなるという、有能な人がいないというと今度新しい
銀行が成り立ちませんので、三点目としてはそういうことを掲げさせていただきます。
また、それだけではなくて、大胆なリストラをやっていただく必要があります。具体的に申し上げますと、
経費等の大幅な圧縮、これをやっていく、その
計画を出してもらうということがまず必要だろうと思います。それから、そこには
役員の報酬とかそういうのも当然含まれると思います。それから、増資の実行などの
自己資本充実をやっていただく。やはり、
資本金がかなり毀損されるという形になりますから、それをカバーするための
自己資本充実策の
実施を出してもらうと。
そういったところがチェック
ポイントとして我々はよく見ていかなきゃいけないのではないかというふうに思っておる次第でございます。