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1997-12-04 第141回国会 参議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月四日(木曜日)    午前九時二十分開会     —————————————    委員異動  十二月二日     辞任         補欠選任      北岡 秀二君     大木  浩君      畑   恵君     林  芳正君  十二月四日     辞任         補欠選任      大木  浩君     亀谷 博昭君      倉田 寛之君     大野つや子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉村剛太郎君     理 事                 沓掛 哲男君                 平田 耕一君                 勝木 健司君                 小島 慶三君     委 員                 大野つや子君                 亀谷 博昭君                 木宮 和彦君                 斎藤 文夫君                 中曽根弘文君                 林  芳正君                 足立 良平君                 加藤 修一君                 木庭健太郎君                 平田 健二君                 前川 忠夫君                 梶原 敬義君                 山下 芳生君    国務大臣        通商産業大臣   堀内 光雄君    政府委員        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        岩田 満泰君        通商産業省環境        立地局長     並木  徹君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        中小企業庁次長  中村 利雄君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    説明員        環境庁水質保全        局企画課長    斉藤 照夫君        環境庁水質保全        局土壌農業課長  西尾  健君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○工場立地法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     —————————————
  2. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二日、北岡秀二君及び畑恵君が委員辞任され、その補欠として大木浩君及び林芳正君が選任されました。     —————————————
  3. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 工場立地法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 平田耕一

    平田耕一君 おはようございます。  立地法審議でありますけれども、過日報道されました大店法のことにつきまして、我々の党内でも先輩方々からたくさんの意見が寄せられておりまして、ぜひひとつ御質問をしなければならないと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  もともと工場というのは二〇%の緑地規制を受けて設置をしたりいろいろ設備更新するわけなんですけれども、傍ら町の真ん中に、居住空間にどんとコンクリートの塊のスーパーがどんどんできていくということで、工場をつくる方から見れば随分不思議な法律だなということがありまして、立地法とも関係なきにしもあらずでございます。  いずれにいたしましても、規制緩和なのか、あるいはそれがどう日本小売店に影響を与えていくのか、日本の将来の経済構造にとってどうなのか大変な関心があるわけであります。まず、過日の報道につきましての御見解なりございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。あらかじめ通告してございますので、どのように御答弁いただけますでしょうか、ちょっと順番が前後いたしますが、大店法から。
  5. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 大店法の今後の取り扱いにつきましては現在、産業構造審議会中小企業政策審議会合同会議審議をいただいておるところでございます。これまで七回の審議を経て、合同会議において幅広く議論をいただいた内容の取りまとめが近々行われるという予定になっております。したがいまして、御指摘新聞記事のように現時点で審議会として本件にかかわる方針を固めたという事実はございません。ましてや、政府対応は全く白紙でございます。
  6. 平田耕一

    平田耕一君 難しい問題でございますので鋭意よろしく御検討をお願い申し上げたいんですが、小売高におきましてもやはり中小企業というのが多くのウエートを占めておることは御承知のとおりでありまして、こういう経済状況でもございますので、当面の景気もさることながら、長期的に安心して商売がしていけるようにどうぞぜひひとつ御誘導をお願い申し上げたいというふうに思います。  今各地で中心商店街の再活性化ということが叫ばれております。これは大変難しい問題でありますが、いずれにいたしましても白紙であられましょうとも検討していかなければならない問題でございますので、大店舗法云々ということと並行して、やはり全国中小小売業者に、中心商店街の再活性化も含めて、彼らの行く末につきましては、こういうふうに行きなさいと、こういう方法で援助しましょうとか、何らかの強力な働きかけというものを並行してやるべきではないかというふうに私自身思っております。それにつきましてぜひひとつお願い申し上げたいと思うんですが、方向なり御見解なりをお聞かせいただければありがたいと思います。
  7. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先ほどからの平田先生の御意見、まことに貴重な御意見と重く受けとめております。特に大店法の問題については、非常に現在厳しい経済環境の中でありますだけに、こういう問題をどういうふうに取り扱うかということについては、通産大臣としてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。  また、中心市街地活性化につきましては、市町村のイニシアチブを重視しながら、中心市街地における商業集積施設整備の促進だとか空き店舗の活用、駐車場その他の基盤整備などによる中心市街地商店街活性化に向けて、法制面も含めて抜本的な対策を講じていくようにいたしておりますが、細部につきましては政府委員から御答弁申し上げます。
  8. 岩田満泰

    政府委員岩田満泰君) お答え申し上げます。  今、大臣から御答弁したことでほぼ尽きておるわけでございますが、現在、関係十一省庁になりますが、中心市街地活性化のための方策を鋭意検討取りまとめをしております。予算、財投税制各面にわたりますので、この十二月にかけての一連の財政当局等々との折衝を踏まえまして、関係十一省庁で相連携をいたしまして、中心市街地活性化のためにまさに面的な対策と私ども申し上げておりますけれども、ゾーンとしてその地域に各省庁の施策を集中投入をして中心市街地あるいは商店街活性化を図っていきたい、このような対策を新たに講じ、今、大臣から御答弁申し上げましたように、法的な措置というものも視野に入れ、これを積極的に検討していきたい、このように考えておるところでございます。
  9. 平田耕一

    平田耕一君 これは世界とのいろんな協議という点もあろうかと思いますけれども、ジャスコやダイエーやイトーヨーカ堂というのが超大資本の露払いであったということにならないようにぜひひとつしっかりやっていただかなきゃならぬというふうに思います。  答弁は要りませんけれども、私自身大店法廃止云々よりも、それはいずれにしても自由競争という原則になっていくのはいたし方がないけれども、それをどうするこうするという後ろ向きたことよりも、地域経済あり方中小小売店あり方はこうだよということで、環境とか町づくりとかいろんなことを尊重しながら、地方分権の時代に合わせた、それぞれが自律的にやっていって、それは皆さんからは言えないでしょうけれども、実質的にはきちっと地域規制もできるというようなことになればいいなと思いますので、前向きなところでひとつ、理解いただけるところで強力にお進めいただきたいというふうにお願いをして、次に移ります。  なかなか立地法質問に行けませんけれども、その前にもう一つだけ、やはり中小企業の昨今の経済状況の中で、もう少し具体的な支援策をぜひお願い申し上げたいということで一点、これは御提案になるかもしれませんけれども、私は御検討いただきたいというふうに思います。  先日来いろいろ案を出していただいて、年末資金マル経だとか、その他政府系からも特別枠とか、それから民間銀行に対しても融資をせよという指導をいただくなど、資金的には努力をしていただいておるわけであります。でも、これから継続してやっていきたいという中小企業者というのが本当に今一番願っておるのは二つでございまして、月々返済資金を軽減したいということと金利減免であります。いかに年末資金五百万、一千万プラスしていただいたからとほっとして正月を越しても、一月からは返済額は多くなるわけですし、大変麻薬みたいなものでありまして、どうぞひとつ抜本的なことをしていただきたいというふうに思っております。  それは例えば、私が前々から申し上げておりますが、調べていただいた数字で言いますと、五%以上の金利中小企業関係に貸している政府系金融機関からの貸付金というのは二兆数千億、四・五%以上で全部トータルしますと五兆円あるわけです。片や、きょう、きのうの新聞でも、例えば林野庁の債務三兆円も金利負担が重いから借りかえようという状況でありまして、しからば中小企業に対する四・五%以上の五兆円という数字を重く受けとめていただいて、抜本的な対策をしていただくべきじゃないか。それはいわゆる財投資金から、資金運用部ですか、を経由しておってなかなか法律上繰り上げ償還できないということがあるようであります。まあしかし、それは法律を少し、触れるのか触れないのか知りませんけれども、必要があれば変更してでも、とにかく繰り上げ償還をすればいいんじゃないか。  それで、いろいろ政府保証ということをほかの局面で考えていただいておりますけれども、例えば今民間金融機関で、銀行なんかで長期で、北年、十年ということで調達しましても三%前後で借りられるわけでございます。例えばこれを政府保証ということで何らかの形で借り入れをする、そしてそれを繰り上げ償還分に回すということであれば、要は、その政府系金融機関負担にはならないし、資金運用部マイナスにもならずに、じゃ郵貯の窓口でプラス、マイナスがどうなのか。それは、もともと預入金利というのは三%より低いわけですし、一番経済原則にかなったやり方ではないか。  それから、そのときに、例えば今申し上げた四・五%以上の金利というのが五兆円ぐらいあるといえば、これは少し返還も始まっていますから、総じて五兆円に対する借入期間というものがあると思うんです、平均すると五年とか六・五年とかあると思うんです。しからば、それを借り入れのときに一年プラスして借りる、そうすると一年間余裕ができるわけです。これは、本当にこの抜本策ができるまで、その返済期限の差を利用しまして一年間は、全国にそういうことをウォッチする窓口をつくるということでつくっていただいたわけなんですけれども、これを機能させまして、本当に健全な再建計画を持っている中小企業に対しては一年間の元本棚上げということもその方法でいけば可能だろうというふうに思うんです。  今、年末資金をばたばた入れるよりも、本当に一番喜ばれて健全で将来のためにもいいのは、そういう半年でも、せめて三カ月でも、政府、国を挙げて、景気がこうだよと言えるようになるまで元本を一時棚上げということと、そしてそういう方法であれば金利も一%なり下五%なり軽減させることができるということがありまして、ぜひひとつそういうふうに具体策をやっていただきたい。  それは、そこまできめ細かい策をやっていこうと思えば、これは中小企業に対してもう通産省しかないわけでございまして、中小企業庁挙げての取り組みなりあるいは省全体でひとつこれをやつていただきますると大変就業者数が多いだけにいいんじゃないかと思いますが、その考え方につきまして御見解なり御感想なりございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。
  10. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ただいまの平田委員の大変貴重な御意見を承りまして大いに参考にさせていただきたいと思っておりますし、既往債務に対する返済について猶予をするとかそういう取り組みについても、後ほどまた政府委員から御説明申し上げますが、現に既往債務に対する対応というものも行うようになっております。  また同時に、ただいまお話のございました、過去に借りた債務金利が非常に高い、こういう高いものを返済したいという希望が非常に多いわけでありまして、なかなか簡単ではないのでありますけれども、そういう点についての対策を現在、中小企業庁の方に対して大蔵当局との折衝をさせるように命じているところでございます。
  11. 中村利雄

    政府委員中村利雄君) お答えいたします。  個別の中小企業者返済等に非常に苦しくなるという状況が当然あり得るわけでございまして、去る十八日に策定いたしました経済対策におきましても、特別な相談窓口設置しまして、その相談の中で返済猶予でございますとか繰り延べとかいうものを含めまして個別に十分御相談をさせていただくということにいたしております。
  12. 平田耕一

    平田耕一君 国鉄長期債務とかという大きなものが報じられるたびに、実際に月々百万、二百万という返済をしておる人たちというのはもう切歯扼腕して国のことを見ておるし、こういう大きな改革の時期でありますから、その辺に十分配慮した、先ほどの大店法に並行して中小活性化策をお願いしたのと同じようなことで大変重要なことだと思いますので、ぜひひとつよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  それで、工場立地法の方に移りますけれども、何を申しましてもいつも中小企業のことばかりに関連して申し上げる立場であります。  まず、自分自身が幾つか工場をつくったり改廃するときに立地法と直面してやってきて、この緑地二〇%というのは随分負担だなというふうに思っておったんです。これの対象になる事業所数があると思うんですけれども、その中で中小企業というものがこの法律にどの程度、この法律にくくられる中小企業数は何割ぐらいなのか、事務局から教えていただきたいと思います。
  13. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  工場立地法に規定いたしますところの特定工場でございますけれども、敷地面積が九千平米以上ということで規定しておるわけでございますけれども、従来この届け出がありましたものにつきまして調査したところによりますと、大体六割程度につきましてはいわゆる中小企業ということになると推定しておるところでございます。
  14. 平田耕一

    平田耕一君 かなり大きな数字だなというふうに思います。  大企業は要するに対応力があるわけでありまして、もとより工場立地については、福利厚生施設等ありまして、緑地にカウントできる設備ももともと計画済みでありまして対応できるかと思うんですが、中小企業になりますとなかなかそれがしにくい状況にあるわけであります。ひいてはそれが直接的に競争力になるわけであります。そうしますと、もう一つの側面で、工場というのは、それぞれ大気汚染水質汚染騒音、振動等個別の規制というものがあって、それは当然クリアしなければならないわけであります。  いつも設備をして思うんだけれども、その数字周辺で六十デシベルとか騒音もきちんとしておる、大気汚染も粉じんも全部対応したとなって、例えば工場地帯真ん中で、なおかつ、もともと緑のないところになぜ緑を二〇%つくらにゃいかぬのかなと不思議さを覚えておったんです。その個別の規制とこの工場立地法であえて緑地を設けさせるということに、自分たちは二重規制といいますか二重に課せられたことなんだという印象を持っておったんですが、基本的なところで、立地法についてのそういう疑問についてどのようにお答えいただくのか、御返答をまずいただきたいというふうに思うんです。
  15. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  工場立地法におきますいわゆる環境に対する規制環境関連大気汚染防止法等との関係でございますけれども、この工場立地法につきましては、御案内のように、昭和四十八年に今申し上げましたような形におきまして改正をいただいたわけでございます。当時は、公害につきましてコンビナート等々におきまして大変大きな解決が迫られておったわけでございまして、この四十八年のときの改正におきましても、工場立地するまさにその段階で、環境負荷あるいはその対応策としての例えば緑地等設置ということにつきまして、いわば立地入り口段階で大きくレイアウト規制というものを設けてこれに対応するということで改正をいただいたわけでございます。  その後、私どものこの工場立地法の適正な運用が図られたわけでもございますし、もう一方で、御案内のとおり、環境公害関係の各法令等々も整備されてきたわけでございます。  そういった観点から、今般、その工場立地法の今後のあり方ということにつきまして、さまざまな規制緩和観点あるいは地方分権の推進の観点等々、総合的な立場から御検討をいただいたわけでございます。今、委員の御質問の点に関しましては、基本的には、公害関係環境関係規制との重複があるものにつきましては、これを整理していくということについての方向づけも出されておるわけでございます。そういった点につきましては、繰り返し申し上げますけれども、この立地法改正以降の関連法規整備の全体の中での整理というものも今回の措置の中で検討をさせていただいている、こういうことでございます。
  16. 平田耕一

    平田耕一君 方向は大体理解をいたします。  では、また、そういう観点と共通するのかもしれませんけれども、今、時あたかも京都COP3が開催されているわけであります。大臣も来週お出かけいただくというふうに思います。産業公害規制コストだけでいきますと相反するわけでありまして、では日本競争力はどうかということになってまいると思います。これは地球的な環境重視の傾向は、当然それを重く受けとめていかなきゃいかぬところでありますが、地球規模数字一つこれから出てまいるわけであります。炭酸ガスにいたしましても、恐らくそのほかのものにつきましても、いろいろこれから大枠の数字というのは、地球規模目標をつくるのか、あるいは物によっては国単位数値目標をつくるのか、地域単位でつくらなきゃいけないのか、行政単位で進めなきゃいけないのかとなった場合に、この数値目標というのが出てまいるわけであります。  そうしますと、これはざっとした話なんですけれども、立地法でうたうところの例えば緑地なるものはもう単なる視覚的なものでしかないのか、こういうことを思うわけなんですが、わかっていただけますかどうか。それぞれ、大きな地球、国、市町村、県という単位でいろんなそういう環境を阻害する要素に対して数値的な目標が出てきて全体で達成しよう。炭酸ガスであればボイラーの効率を何%上げなさい、燃料使用量をどのぐらい原単位を落としなさいというふうな話になってきたときに、それをみんなで達成していくということになれば、ではそれぞれの工場にある緑地というものは全く視覚的なものでしかないのか、こういう疑問を持つんです。  この大きなくくりで、地球単位で、COP3で二酸化炭素については数字が出てきた、これからそういう流れになるということとの整合性というか方向性はいかがなものか、事務局からちょっと考え方だけでも教えていただきたいというふうに思います。
  17. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  御質問の点につきましては、大変広範な御指摘でもございますので、十分お答えできるかどうかという懸念はございますけれども。  一つは、今御指摘のように、温暖化ということにつきましてのCO2等規制というものが、まさに国際的な約束としてこれをまとめようということで現在交渉がなされておるところでございます。そういった観点から、決められた場合にそれをどういうふうに達成していくかということにつきましては、もちろんエネルギーから出てまいりますので、いわば省エネルギー等々を図るような対策とか、あるいは供給手段といたしましてもそういったものを排出しないような原子力とか新エネルギーの増加ということも進めていく必要があるわけでもございます。一方では、大きく見ますと、科学的知見として森林等吸収効果ということも指摘されておるわけでございまして、これもどういうふうにその措置に加えていくかということについても、今鋭意詳細に議論がされつつあるところでございます。  そういった観点から、工場立地法におきます緑地というものをどういうふうに位置づけていくかということに戻るわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、昭和四十八年に法律改正してこの緑地規制を設けていただいたわけでございますが、この趣旨といたしましては、緑地というものを設けることによりまして住居等周辺環境との物理的な遮断効果を置くということは、これはやはり非常に大きな効果があるということが一つございます。それから、もちろん、御指摘の点とも関連いたしまして、そういう意味でさまざまな大気汚染等々の公害をいわば吸収、吸着するというような物理的な効果もあるというようなことで立地法におきまして緑地について規定しておるところでございます。ただ、CO2温暖化防止対策としての緑地効果ということにつきましては、繰り返しになりますけれども、今、京都交渉が続いております飲値目標の決定ということを踏まえつつ、その具体的な対応については、今後御指摘のような全体切な視点も含めて検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  18. 平田耕一

    平田耕一君 大きな流れを踏まえて、六割が対象になっているという中小企業負担にならないような方向でひとつ運営をお願い申し上げたいというふうに思うんです。それから、法律の中に、生産施設面積規制しておるものがあるわけなんですけれども、これはもともと生産施設面積業種別に規定しておること自体がなかなか妙だなというように思うんです。技術なんというのは一遍にして変わるわけでありまして、コストを下げるために一遍に倍の面積を使うようなことになることも多々局面であるわけでありますけれども、その生産施設面積規制というのはどういう意味があるのか、教えていただきたいというふうに思うんです。
  19. 並木徹

    政府委員並木徹君) 御指摘生産施設面積につきましては、工場立地法のいわば規則においてその具体的な数字を定めておるところでございます。具体的に言えば、今御指摘のようなことでございまして、一〇%から四〇%ということで業種別に五段階数値をもって規制しておるところでございます。  これは昭和四十八年にこういった方向生産施設面積につきましてレイアウト規制というものを導入したわけでございますけれども、当時の考え方といたしましては、これは具体的には例えば大気汚染でございますとかあるいは水質汚濁につきまして環境負荷の大きさというものを業種で大きく分類分けできるという考え方におきまして、その時点におきます当該業種の実態あるいはそれに対応した防止の能力等々も踏まえて、環境負荷というものを業種別に規定することによりまして環境負荷をいわば防止する観点からレイアウト規制考え方を導入した次第でございます。
  20. 平田耕一

    平田耕一君 ぜひこれも、生産技術はどんどん進歩いたしますし、生産機械なんというものもさま変わりになっておるようなことでありましょうから、できるだけ運用しやすいようにお願いを申し上げたい、企業側でやりやすいような指導をお願い申し上げたいというふうに思います。  変更点の主なところで、地方公共団体を主体にやっていきなさいよという方向はよく理解できますし、それは結構なことだというふうに思います。工業集合地という見方をして、かつて中核工業団地なんかへ行きますと、例えば造成した土地ののり面は緑地にカウントしていただいていいですよというようなPRがよくあったというふうに思うので、過去にもそういう場合はあったと思うんです。それが今度はそういう特例が随所にできる、こういうことでありますが、そのことにつきまして御説明いただきたいというふうに思います。
  21. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  今、委員指摘のように、今回の改正におきましていわゆる工業集合地に関する特例ということの規定を設けることとしておるわけでございますが、この考え方につきましては、集中しております工場というものを全体として一つ工場としてみなすことによりまして、その外側にいわば共通の緑地等を設けます場合に、個別の一つ一つ工場数字を義務として課すよりは全体として効果的に環境の保全が図れる。こういった考え方に基づきまして、これは従来、今御指摘のように工業団地につきましてこういった考え方で現に適用しておるわけでございますけれども、そういった考え方を広げまして、工場が集合しておる部分についてその外側に共通の緑地等整備することにつきまして合理的、効果的な運用を図っていく、こういう考え方で今度改正を行おうとしておるところでございます。この具体的な考え方といたしましては、工場の外に設けます緑地が計画的にかつ恒久的に生活環境の改善に寄与するというその条件が満たされることが必要、こういう考えでございます。  繰り返しになりますけれども、こういった要件につきましては、工業集合地と住宅地等を効果的に環境の保全の観点から遮断できる、こういう観点から要件を定めておるわけでございます。今申し上げましたような要件につきましては、そういった考え方に基づきまして、実際的には今回の改正におきまして都道府県が全体的な指導監督を行うわけでございまして、そういった実効的な観点、遮断の効果という観点というものを十分加味した運用が行われることを期待しておるところでございます。
  22. 平田耕一

    平田耕一君 これはなかなか効果のあることじゃないか、それは投資が進む場面が随所に出てくるというふうに思います。特に四十八年以前にできた工場とかは設備更新したくても緑地規制があってできないとかいろいろありますし、二〇%以上というのもなかなか難しいという場面もありますので、ほかへ緑地が求められていいよということであればこれは非常に大きな効果があるというふうに思います。ただし運用を、おっしゃられましたように、例えば住宅があれば遮断効果がきちんと確認できるとか、実際に新しく敷地外で設定した緑地というのが実質効果があるのであれば、それは必ずしも隣接にこだわることもないだろうし、やっぱり土地のことですからいろんな条件や制約があると思うんで、それについてはできるだけ幅広い解釈というんですか、それをお願い申し上げたいというふうに思います。  それから、これは最初に申し上げましたようにいろんな規制もあって、工場立地法もそういう形で緑地というものをきちんと求めていくんだということになったり、生産施設面積というのも法律として現存するわけでありますけれども、こんな形で見直しをしつつも規制が残るということになりまして、なおかつその適用がされるのが六割が中小企業ということになりますと、なかなかそれを維持するための費用というのは難しいんです。発展しようとか合理化しようとしたときに、新たに緑地をつくるなんということはこれもまた大変なことであります。では工業集合地という解釈で新しい緑地をつくった場合に、その費用負担についてはどんな形がそれでオーケーと認められるのか、一遍お教えいただきたいというふうに思います。
  23. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたとおり、こういった特例の場合につきましては基本的には生活環境の保全という観点からのいわば隔離という点を要件としておるわけでございますけれども、本法の目的自身が、企業立地するに当たりまして環境あるいは広く地域のそういった環境の保全に貢献していくということを期待しているのは当然でございまして、そういった意味でこういった特例におきます共通緑地等整備に当たりましては、そういった企業におきます負担というものについて期待されておるところでございます。  ただ、その負担あり方等々につきましては、今回の改正で自治体に全面的に権限を移譲しておるところでございまして、法律上はそういった費用等について事業者等からの報告を求めておるわけでございますけれども、その具体的な適用については自治体の運用ということに期待をしておるところでございます。
  24. 平田耕一

    平田耕一君 いろんな形の緑地の確保の方法があると思いますので、そういった方法でできるだけ拡大解釈をお願い申し上げたいというふうに思います。  工業団地を造成するときに山の中に造成される場面が多いです。工業団地を随分歩きましたけれども、ほとんどが山の中と言っていいだろうというふうに思うんです。例えば地域振興整備公団のやった新しい土地なんかはほとんど山の中なんです。それで、実際にその土地を買って工場をつくるのかなと思うと、山の中で緑ばっかりなのに、さらにまた二〇%、大きな木、小さな木、中間の木とそういう木の指定まであって、これはばかばかしいなというふうに思います。  そういう場合には、例えば一定の面積工場用地をつくったら、周りは山ばっかりですから、最終的にはそれの二割ぐらいは確実に緑を残しましょうという、それぞれの市町村の約束があればそれでいいんだと。先ほど来おっしゃられる遮断効果としてはそれで十分なわけでありますから、山の中にまたさらに二〇%わざわざ木を植えてというふうなばかばかしいことにならぬように、その工場用地をつくる、周りが山ばっかりなら、最終的に周りに二〇%町なり市が確保して残しますと、そこまでは絶対に開発しませんということがあればいいみたいな解釈まではできぬものでしょうか、どうでしょうか。
  25. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  立地法緑地に対する考え方につきましては、基本的にはやはりその周辺の住民等々の環境にどう対応するかということでもございまして、緑地設定に当たりましては、そういった遮断に対してどういうふうに対応するかということが基本であると考えるわけでございます。  現在の改正の案によりますれば、国が従来は一律ということで対応しておったわけでございますけれども、地域の実情に応じて上下限の幅を設けまして、その幅の中において自治体が条例等によって地域の指定と同時に具体的な数字を決める、こういう中で検討が行われることになるということでございます。
  26. 平田耕一

    平田耕一君 いろいろお伺いするとかなり楽にはなるなというふうに思います。この改正でもって設備したい、更新したいとかいろいろ考えている会社がたくさんあるだろうと思いますけれども、これは非常に有効な規制緩和だろうと思うんですが、ざっとどのぐらいの経済効果があるかとか、どのぐらいの設備更新が進むかというようなことは概略おつかみでございましょうか。もしつかんでいたら教えていただきたいと思います。
  27. 並木徹

    政府委員並木徹君) これは、そういった工場のリニューアルとかあるいはそれに関連した環境施設等々の整備というものが進むことが期待されておるわけでもございますけれども、これにつきましてはやはり今後自治体等におきましての具体的な運用ということを踏まえながら、我々としてはそういった立地とそれから生活環境の調和というものが相まって進むということを期待しておるということでございます。
  28. 平田耕一

    平田耕一君 通産省ですから、できたらひとつ経済効果があるようにすべての方向を持っていっていただきたいというふうに思いますけれども、まあ結構でございます。  いずれにいたしましても、物をつくる工場についての規制でありまして、先日も予算委員会のときに、九九%中小企業、一%大企業という構図がこの経済構造改革で変わりますかと総理に質問したら、変わらないよと、変わらないようないわゆる職人国家みたいなことを自分はイメージを持っているんだという答弁がありました。そういうふうになったらいいなというように思いますので、できるだけひとつ小さな規模の会社も対応できるように支援をお願い申し上げたいというふうに思います。そしてまた、明確に何らかのコストをかけてやっていかなきゃならぬという場合には、それこそ具体的な支援措置というものをぜひともひとつお願い申し上げたいというふうに思います。  概略のことを御質問申し上げまして、あといろいろ細かいことはあるんですけれども割愛させていただき、冒頭にも申し上げましたが、京都大臣お出かけであります。お出かけいただいて、どういう考え方で臨まれ、どうするんだと、こういう御決意なりございましたら現在の状況、それから今後の産業としての対応はどうあるべきだというようなことのお考えがございましたら、基本的なことで結構でございますので、お聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  29. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) COP3の問題につきましては、現在それぞれの国の間で毎日のように交渉が繰り返されております。  米国においては、一九九〇年レベルを守る、そこまで下げるというのが限度いっぱいであるという考え方、それと同時に排出権の取引の問題を加えるべきであるということ、またあるいは開発途上国の問題を何らかの形でこの京都会議において取り込むべきであるというような考え方。EUにおいては、EU全体をまとめて、当初においては一五%の削減。しかし、その中においては、各国がそれぞれ四〇%もふやすところもあれば、三〇%ふやす、片方では二〇%下げてもいいというような、全体を合わせてどこが責任を持つのかということが明確でないとか。日本の提案といたしましては、一九九〇年に対して五%削減というものを基本に置いて、各国のGDP対比の炭酸ガスの割合、あるいは人口増加率、そういうようなものを加えて、国別に一つの差異を出しながら結論を出していこうというような、それぞれこれが大きな三つの流れの中での交渉を行っております。  その中には、先ほど委員からお話のございました緑地による炭酸ガス吸収というような問題も今度は取り上げて考えるべきではないかというような意見もございます。さらに、炭酸ガスのほかにも代替フロンガスなども含めて六種類のガスを対象に取り組むべきだとか、いろいろな今意見が交錯をしておりまして、その中で徐々にまとまりつつあるというのが現状でございます。  そういう段階で、今度の会議の中におきましても、最終段階までにおいて、日本立場としては、議長国として、地球の将来の問題、人類の問題にかかわってくることでございますので、何としても合意を得られる方向に向かって鋭意今努力をいたしているというところでございまして、何とかまとめなければならないというふうに考えております。  そういう点から考えますと、いずれにいたしましても、一九九〇年レベル以下のものに炭酸ガスの排出を下げなければならないということになりますと、当然、産業界におきましてもそれに対応する努力をしていかなければならないことになってまいります。  今のクリーンエネルギーの問題、あるいは新しい太陽エネルギーの問題だとか、新エネルギーに対する開発の努力、あるいは石炭をできるだけクリーンエネルギーに変えろと言っても、鉄鋼の場合ですとどうしてもコークスを使わなきゃならない。そのためにコークスから出てくる今の排煙をもう一度取り込んで、それをエネルギーに切りかえていく、ロスをなくすというような開発努力、こういうものに大体三兆円ぐらいの開発費用がかかるわけでありますが、そういうものに対する援助も含めて、日本で約束をして取りまとめられたもの全体について、全力を挙げての取り組みを通商産業省としては支援をしながら実現に向かって取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  30. 平田耕一

    平田耕一君 終わります。
  31. 加藤修一

    ○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  本改正案につきましては、理由といたしましては、地方分権とともに、あるいは規制緩和、そういった方向性があるわけでありますけれども、経済についての規制緩和、そういったことも当然今後必要でありますし、慎重に考えなければいけない部分もあります。しかしながら、環境問題環境にかかわる規制ということについては、十分慎重に考えていくべきではないかと私は思っているわけでございます。  工場立地法研究会報告書によりますと、事業者においても「環境負荷を低減する必要性を認識し、設備投資、改善等公害防止対策の充実を図ってきた。」、そのように記述がございます。確かにSOx、NOx、含めてかなり改善されてきたということはございますけすども、ただ、事業者の環境に対する認識の定着度あるいは環境汚染の実態、そういったものは必ずしも環境に対する規制緩和できるようなレベルではない、そういった部分も私はあるように考えておりますけれども、この辺についての通産省の見解はどうでしょうか。
  32. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  今、委員指摘の点に関しまして、本法、工場立地法昭和四十八年以来の状況ということでございますけれども、緑地面積率につきましては、昭和四十八年の五・八%から平成八年におきましては一四・三%ということで二倍以上の増加というものが見られておりまして、総面積にいたしまして合計一万七千ヘクタールもの増加が見られておるところでございます。  また、環境負荷につきましても軽減の努力といりものが進んでおるところでもございまして、具体的には、大気汚染あるいは水質汚濁環境負荷を定量的にはかる代表的な指標としてのSOxとかNOxとか、あるいはCOD、BOD等々の単位生産施設面積当たりの排出量というものを調査、算出いたしましたところ、昭和四十八年当時に比べまして、大体それぞれ四〇%から七〇%程度の改善が見られておるところでございます。  このように、やはり国や自治体におきます規制あるいは地域住民等からの環境改善に向けた要請、こういったものにこたえて、企業が技術の導入でございますとか、あるいは全体的に環境問題に対して積極的に取り組んだ結果、こういったような環境負荷等におきます改善におきまして進展があったと考えておるところでございます。  こういった状況を勘案いたしまして、今般、地方分権推進委員会でございますとか、あるいは経済構造の変革のための行動計画等を踏まえ、今般の改正につきましては、地方分権の推進、効果的な環境緑地整備の推進ということにつきまして法律改正を行うこととさせていただいた次第でございます。今後もこういった方向を進めるべく、自治体と企業の努力が相まって環境保全につきまして一層努力が続けられることが期待されておるところでございます。
  33. 加藤修一

    ○加藤修一君 本年、アメリカのマイアミで主要国の環境関係大臣のいわゆるサミットが行われたわけでございます。その中で地球環境問題も取り上げられたわけですけれども、それだけじゃなくして、今までなかったような環境汚染の問題例えば環境ホルモンの問題だとか、いわゆるエンドクリン問題と言われているわけですけれども、有害化学物質によるそういった環境汚染の問題ということについて、従来の環境基準だけじゃなくして、子供の健康、そういった面を考えた、それに着目した、そういった点についての環境基準を考えていかなければいけない、そういったこともやはり世界的な広がりの中で今後検討していこうというふうになっております。必ずしも今までの借境の規制だけでは難しい局面もあらわれる可能性がある、そういうふうに私思っておりますし、虫除に世界の流れというのはそういう方向になっておりますので、今後とも十分環境規制については配慮していただきたい、そういうことがやはり望ましい。  また、アメリカの環境保護庁におきましてもさまざまな形で規制強化ということを考えておるわけでございますので、まして狭隘な国土に相当数の工場が集中しているということを考えていきますと、その辺については十分今後とも配慮が必要である、そういうことを主張しておきたいと思います。  それで、先ほど平田委員からもいろんな質問がございまして、大分重なっているところがございますのでスキップいたします。  立地にかかわる問題といたしまして、最近の事例を取り上げていきますと、とりわけ立地やあるいは工場をつぶしてしまう、そういった点でいろいろな問題が起こってきているところもございます。それはどういう問題かといいますと、やはり工場環境汚染、そういった観点を取り上げることができると思うわけでございます。  例えば、東芝の愛知工場の地下水が発がん物質、トリクロロエチレン、そういったものに汚染されていた。最高で八百倍の高濃度で検出された、そういった事故があったわけですけれども、これなどは環境庁への内部告発の形で発覚したわけで、ことしの十月でございます。また、茨城県の三菱化学鹿島事業所の地下の配管から石油類のベンゼンとエチルベンゼンが多量に漏れていたことがわかったわけです。これが三月ですけれども、消防署に通報したのはことし十月末であった。あるいは、千葉県で農業用噴霧機、そういったものを製造する会社でございますけれども、丸山製作所の工場跡地、そこから国の最高基準の二千四百倍を上回る六価クロムが検出された。これまで三千五百トンの汚染土を搬出しておりますけれども、今後も基準値をクリアするまで搬出するというふうに聞いております。  今、若干この三件のケースを取り上げましたけれども、いわゆる土壌汚染とか地下水汚染についてこういう事例を考えていきますと、ふだん通産省はどのように指導をされているか、あるいはこの三件についてどういった具体的な指導をされたか、伺いたいと思います。
  34. 並木徹

    政府委員並木徹君) 御指摘の三件でございますけれども、これらの地下水汚染あるいは土壌汚染の問題につきましては、御案内のように基本的には環境関係規制法規、具体的には水質汚濁防止法でございますとかそういった法規制に基づきまして、その問題につきましては地方自治体、この場合は県になるわけでございますけれども、具体的な個別の規制とその措置に関する点につきましては、そういったところにおきまして処理されるべきものかと考えておるわけでございます。  私ども通産省といたしましては、事業所管、こういった企業を事業的に所管しておるという観点から、今御指摘企業につきましては法令の遵守が適切に行われるように指導を行ったところでございます。
  35. 加藤修一

    ○加藤修一君 特に最初のケース、東芝の愛知工場に関しましては、いわゆる国際標準化機構、ISOの14001、これを取得した企業であるわけです。環境管理については十分にやっていると、そういう認証を受けた企業であるわけですけれども、このような事故を起こしたことについて非常に私なんかも驚くわけでございます。こういった点に関しまして、特定して言うわけじゃありませんけれども、通産大臣としてはどういうふうにこの辺について御所見をお持ちでしょうか。
  36. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 御指摘のように、環境問題への対応につきましては、一方では規制的な手法によって間違いを起こさせないように、あるいは環境保全をするように指導をしていく、一方では補助金等の経済的な手法などによってそれを援助するというような形、と同時に、企業における自主的な取り組みを喚起させて、適切に今の両方を組み合わせた形の中で対策を講じていくというのが基本の姿勢というふうに考えております。  ISO14001は、事業者がみずから環境に関する目標を掲げまして、その達成を図ると、う手続を定めた国際規格でありまして、事業活動全般にわたる環境負荷の自主的なあるいは自発的な低減を促進するために設けられたものであります。したがいまして、この資格の取得は土壌だとか地下水の汚染等が発生しないことを公的な意味で保証するものではないのでありますが、事業所における環境管理システムの整備を通じて、事業者の環境問題に対する自主的なあるいは自発的な取り組みを促す制度であるというふうに認識をいたしております。そういう意味では、私どもの承知いたしているところでは、先生の御指摘の事業所においてはISO14001の認定は取得をしていないというふうに聞いております。  通産省としましては、今後とも引き続き、工場における事業活動に伴う環境問題の未然防止に最大限の努力を傾けてまいりたいと思っております。
  37. 加藤修一

    ○加藤修一君 水質汚濁防止法が何回か改正されておりますけれども、平成元年に改正された中身について、第一番目のケースについて考えてまいりますと、東芝工場は先ほど申し上げましたようにトリクロロエチレンを使用していたわけですが、これは昭和三十三年から五十八年までである、漏れていたのもこの期間であるわけです。すなわち、この法律の届け出の義務は免れるわけであります。実際に平成元年以前に汚染してしまった地下水については要するに届け出義務は生じない、そういうことだと思うんですけれども、しかし実際に汚染は残る。これは非常に大変な話だと思うんですけれども、これを放置していていいという話になりますか、どういうふうに考えたらよろしいですか。
  38. 斉藤照夫

    説明員(斉藤照夫君) 御説明申し上げます。  平成元年におきまして水質汚濁防止法の改正が行われまして、先生御指摘のように、そのときから、有害物質が地下に浸透するというような事故が生じた場合には、担当の県もしくは市に届け出をして速やかに応急措置をとるという改正が行われたところでございます。  今回のケースにつきましては、元年以前の汚染でございましたのでこの適用はないわけでございますが、水質汚濁防止法におきましては、特定事業場から出されました汚染の対策につきまして県、市が指導をし、その復帰を図っていく、こういう改正の方は適用になりますので、現在、名古屋市におかれまして事業者の方に必要な調査をし、この対策につきましていろいろ御指導をされているという状況にあるところでございます。
  39. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、環境庁に質問いたします。  千葉市のケース、これは丸山工場ですけれども、六価クロム汚染は地下水でなくて土壌の汚染でありますけれども、これは汚染がわかった、そういったときには報告義務はありますか。
  40. 西尾健

    説明員(西尾健君) お答えいたします。  土壌汚染につきましては、環境基準を設定いたしますとともに、これを達成するために参考となりますところの調査対策指針、これを策定いたしまして、自治体に対しまして事業者あるいは土地所有者の指導を通知しているところでございます。  この中で、特に事業場等の土地改変の機会をとらえまして、土壌汚染状況の適切円滑な調査あるいは必要な対策が実施されるよう指導しているところでございますが、これは事業者に対しまして強制的な報告義務を課すものではございません。
  41. 加藤修一

    ○加藤修一君 要するに、工場なんかが過ってこぼしてしまったりいろいろな面で土壌の汚染があったとしても、そういう事故が起こったとしても報告義務はないということですね。  それでは次に、通産省の工場立地法、今回の改正対象となっている法ですけれども、いわゆる特定工場の新設の場合、とりわけこれは指定地区の二つの地域ということだと思うんですけれども、新設の場合については大気・水質汚濁物質の最大排出予定量、あるいは二番目として汚染物質が予定量を超えないようにするための当該汚染物質に係る燃料・原材料使用計画、あるいは三番目としては公害防止施設の設置措置の項目が必要になってくる。これは届け出をするわけですけれども、要するに工場立地するときはこういう届け出がある。  工場を廃止するあるいは移転、建てかえ、そういったときはこの項目についてはどういうふうになっているんでしょうか。要するに、それに関しての結果を報告することにはなっていないというふうに私は理解していますけれども、どうでしょうか。
  42. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  工場立地法におきましては、工場立地段階におきまして周辺の生活環境との調和が図られるようないわば基盤を整備する、こういった観点からの立地の際の入り口の規制ということを行うべく、例えば工場施設の面積でございますとか緑地面積でございますとか、そういったレイアウト等について規定するとともに、いわゆる大規模な立地が予想されるような地域、具体的には現在では鹿島と大分でございますけれども、今委員指摘のように、そういう地域につきましては公害関係の資料等につきましての報告を求めておるところでございます。  今申し上げましたように、基本的には立地段階でのいわば入り口規制というような観点からの規定でございまして、施設の操業運転とか、御指摘工場の廃止とかあるいは移転といった、そういうことに関連しました例えば検査でございますとか調査でございますとか、あるいは原状復帰に関するような措置というものについては、現在の立地法には規定がしておらないところでございます。
  43. 加藤修一

    ○加藤修一君 要するに、工場廃止、移転、建てかえのときについてはそういう報告をすることはないということなわけです。  それでは、環境庁にお伺いします。  先ほど私、三つの例を取り上げましたけれども、地下水汚染とかあるいは土壌汚染の件数、あるいは業種別の件数、それぞれについて御報告いだだけますか。
  44. 斉藤照夫

    説明員(斉藤照夫君) 御説明いたします。  まず、地下水汚染の状況についてお話を申し上げますと、環境庁が行いました全国の地下水汚染の実態調査によりますと、平成六年の三月末時点でございますが、全国で一千百五十一件の地下水汚染事例が判明いたしております。このうち、汚染原因者が判明しておりますものの主な業種別の内訳でございますが、洗濯業が三百四件、電子部品・デバイス製造業二十八件、金属被覆熱処理業二十七件などとなっております。
  45. 西尾健

    説明員(西尾健君) 土壌でございますが、環境庁では全国の自治体を通じまして土壌汚染事例の把握に努めておりますが、その件数は、平成六年九月末時点の累計でございますけれども、二百三十二件となっております。このうち、汚染原因者と見られます主な業種は、化学工業が三十三件、それから電気メッキ業が二十九件、それから電気機械器具製造業が二十九件となっております。
  46. 加藤修一

    ○加藤修一君 非常に多いという印象を受けますけれども、別の見方をすれば少ないという見方もできるかもしれません。つまり、欧米と比べますと極めて件数的には少ないような感じがいたしますけれども、これは規制法というものがある意味では不備であるから報告義務がないとか、そういうことも関連していると私は思うんです。  要するに、今までの議論を整理いたしますと、水質汚濁防止法では、平成元年以前の原因による地下水汚染については報告義務がない、あるいは土壌汚染についても報告義務がない。あるいは工場立地法について考えていきますと、地下水汚染、土壌汚染についても報告義務がないということになっているわけですけれども、ほとんどがやはり通産省の所管、いわゆる行政指導等々を含めて考えていく対象工場、そこにおける汚染がほとんどなわけです。  土壌汚染について、例えば通産省が何らかの措置をとるべきだと私なんかは考えるわけです。先ほど申し上げました工場廃止、移転、あるいは建てかえる、そういったときに大体土地が更地になるケースが多いわけです。また、一番土壌汚染を調査しやすい、そういうときにも当たるわけでして、工場立地法の中にこういった土壌汚染、地下水汚染の検査と報告、あるいは汚染した場合の原状復帰、そういったことを義務づけるということも一つ考え方として私は成り立つと思うんです。この辺について通産省はどういった見解をお持ちでしょうか。
  47. 並木徹

    政府委員並木徹君) 今、委員指摘の点につきまして、通産省としての考え方でございます。  御指摘の点につきましては、基本的には平成八年に改正されまして平成九年四月一日から施行された水質汚濁防止法のいわゆる地下水の水質の浄化等に係る措置命令などの規定によって、具体的には健康影響等が懸念されるような地下水の浄化措置などが講じられることによりまして、主要な市街地土壌汚染等につきましてはかなりの程度対応ができるのではなかろうかということを期待しておるわけでございます。  今御指摘のような構造的な課題につきましては、これはやはり政府全体として検討を行う必要もあるわけでございまして、関係省庁と十分相談しながら今まで検討を進めてきたわけでもございますし、通産省といたしましても、企業におきます対応あり方につきまして今後ともさらに検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  48. 加藤修一

    ○加藤修一君 とりわけ土壌汚染については非常に問題になる可能性がありますし、実際、先ほど申し上げましたように、さまざまな形で土壌汚染については問題化しているケースが多くなってきているということも言われておりますので、十分対処していただきたいと思うわけでございます。  これに関しまして、環境汚染物質排出・移動登録、PRTRですけれども、そういった制度が一九九二年のリオ・サミット、いわゆるアジェンダ21の中でも盛り込まれております。内容については、有害物質の大気や水、土壌への排出量や廃棄物を処理した量を企業が自治体へ報告し公表する、そういった制度というふうに理解していいと思うわけですけれども、OECDもこういったことについては勧告をして、PRTR制度をきちっとつくるべきであると。私はこれについては積極的に推進していくべきだ、そのように強く思っているわけですけれども、これについて通産省としてはどういった見解をお持ちでしょうか。
  49. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  今、委員指摘のように、まさにPRTRにつきましては、国際的レベルにおきましてもこの必要性、緊急性等について議論が進みつつあるところでございまして、私ども通産省といたしましても、事業者がこういった化学物質の排出の状況等を把握して、こういった物質の自主的な管理活動というものを活用するとともに、これを社会に公表していくということにつきましては、化学物質の適正な管理を推進する上で重要な課題として認識しておるわけでございます。  こういった観点から、通産省といたしましても、かねがね排出量の調査、データ収集のマニュアル、あるいは海外の状況等々の調査というものを進めてきておるところでございます。化学業界を初めとします関係産業界におきまして、こういった国際的な制度の導入につきまして自主的な取り組みというものを慫慂、促進してきておるところでございます。  こういった取り組み産業界全体に今広がりつつあるところでもございますし、ことしの九月からでございますけれども、私ども通産省の化学品審議会におきまして、こういった化学物質のあり方、総合管理のあり方について検討を行っておるところでございます。こういった審議会検討を踏まえながら、PRTRの導入というものを推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  50. 加藤修一

    ○加藤修一君 ぜひ積極的にやっていただきたいと思うわけでございます。  先ほどから非常に私も気にしていることはやはり土壌汚染についてなんですけれども、確かに水質汚濁防止法の関係では水の汚染については当然考えられている。しかし、土壌が汚染されてそれから地下水に伝わっていくということでございますので、事前に土壌の汚染が進まないように、なるべく早い段階でやはり食いとどめる必要が当然私はあると思うわけです。そういった観点から考えていきますと、企業対象というわけじゃないわけですけれども、企業も含めて、土壌汚染の防止法、そういったものは当然必要であろう。こういうことについて通産省からも環境庁に声をかける、そういう積極的な姿勢が私は必要ではないかと思うんですけれども、この辺についてどういう姿勢をお持ちでしょうか。
  51. 並木徹

    政府委員並木徹君) 土壌汚染の問題につきましては、環境基準の設定あるいは環境の測定、あるいはそれを踏まえた対策ということにつきまして、かねて重要な課題ということは認識しておるわけでございます。環境庁におかれましても、十分そういった点につきまして調査あるいは検討を進めておられるところでもございますし、私ども通産省といたしましても、企業におきましてそういった対策を今後進めていくという観点からこれについて検討を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  52. 加藤修一

    ○加藤修一君 企業が極めて大きい責任を持っているわけですけれども、先ほどISOの話も申し上げました。大臣からもその辺についてお話をお伺いいたしたわけでございますけれども、そういった中身を踏まえて考えていきますと、やはり企業環境管理、これは極めて重要だと思うわけですが、これについて今後通産省といたしましてどういうふうに取り組みをしていかれるか、通産大臣にこの辺の決意についてお伺いしたいと思います。
  53. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先ほどからの先生の御質問を通じて、土壌の問題についての大変御熱心な御討議をいただきまして、我々も先生方の御期待にこたえられるようにしっかり取り組んでまいらなければならないという感じでございます。  環境マネジメントシステムを初めとした環境管理制度というものは、やはり事業者の自主的な環境問題への取り組みを促進するための有効な手段であると認識をいたしております。このために、中小企業向けに年間全国で三十カ所で無料講習会を開催するなど、その啓蒙普及に通産省としても取り組んできているところでございます。環境調和型の経済社会の構築に向けて、今後とも通産省といたしましては、企業における環境管理制度の整備に向けての支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  54. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほど平田委員からも質疑がございました。京都会議関係政府は案を提出しているわけですけれども、今回のCO2、排出量の試算方法についてということで資料が通産省から出されていると思います。その中で、産業部門の対策ということで、とりわけ自主行動計画に基づく対策ということで、省エネ量としては千五百四十万キロリッター、炭素換算で千百三十万トンという試算を出しているわけで、こういったことが全部積み重なって最終的に原則五%という非常にわかりづらい表現になってきているわけですけれども、この省エネ量の算定、これはどういうふうに出しているんでしょうか。非常に私、理解しづらい部分が多いわけでございますので、明快な答弁をお願いしたいと思います。
  55. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 産業部門全体の省エネ量は二千百万キロリットルでございますが、その中で御指摘のありました自主行動計画のベースのものが千五百四十万キロリットル、その他これに追加をしたもの、それから中堅工場対策、技術開発等々が合わさったものがトータルの二千百万キロリットルでございます。御指摘のありました千五百四十万キロリットル、自主行動計画に基づいた省エネ量として計算したものの算出は二つの数字の差をとってございます。  一つ目の数字は、この対策を行った結果としての対策後のエネルギー消費量でございます。それからいま一つ数字は、自然体ケースで想定されるエネルギー消費量でございます。この二つの差をとりました。  まず最初の、対策後のエネルギー消費量でございますが、経団連が自主行動計画を出しました中で、個別業種ごとにこの計画の中身をヒアリングいたしまして、それぞれの業種ごとの対策後の数字を求めてございます。この対策後の数字は、各業種ごとに業界統計などでエネルギー消費のベースが必ずしも合っておりませんので、これを総合エネルギー統計ベースに戻しまして、この業種を合計して対策後のエネルギー消費量として求めたものでございます。その数字は一億二千七百三十万キロリットルという数字でございます。  次に、自然体ケースの数字でございますが、これは通産省が別途モデルを回しまして計算をしたマクロベースの産業部門の二〇一〇年時点における見通しでございまして、その数字は二億一千三百万キロリットルでございます。この二億一千三百万キロリットルに先ほど申し上げましたヒアリング対象業種のカバー率、六七%でございますが、この〇・六七を掛けまして、先ほど申し上げました対象業種の自然体エネルギー消費量として算定したものでございます。その数字は一億四千二百七十万キロリットルでございまして、この二つの数字の差を求めたものが委員指摘の千五百四十万キロリットルという数字でございます。
  56. 加藤修一

    ○加藤修一君 私、そういう答弁の中身というのは非常にわかりにくいし、ちょっと違うんではないかなと思うんです、そういう試算の仕方というのは。  なぜ違うかといいますと、マクロモデルから求めた全体量から業界の予測した個別に積み上げた量を引いているわけですね。そもそもが両者に何の関係性もない。マクロから積み上げたものを引いている、そのそれぞれが前提条件が違うんです。違うのにもかかわらず同じレベルで差し引きをやっている。おかしいじゃないですか。
  57. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 前提条件その他が必ずしも合っているものでないという御指摘はあるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、ある前提条件で想定される自然体のエネルギー量、そこから各業界が行動計画の結果として想定をしている二〇一〇年の実際の対策後の数字という二つがあれば、その差を省エネ量として考えることに大きな問題があろうとは考えておりません。
  58. 加藤修一

    ○加藤修一君 私が今まで経験した中で、こういう形でやったケースというのはまずないです、はっきり言って。通産省らしくない試算の仕方ですよ、これは本当に。スマートな人がたくさんいる省の出してきた案とは思えないと私は思っています。  先ほど答弁の中にありましたけれども、六七%という話をいたしました。ということは、残り三三%はカバーしていないということです。カバーしない業種、それは無視して削減の対象から外しますよということを言っているようなものです。どうですか、この辺は。
  59. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) ヒアリング対象数字は先ほど申し上げました六七%でございますが、残り三三%、この分野につきましては、そのうちの二〇%、要するに三三のうちの二〇でございますけれども、その他の対策として中堅工場に向けて対策を行うことにしてございます。講習を義務つける、あるいはさらに小さな工場については具体的な省エネ診断を行うという対策でございますか、こうした対策の結果といたしまして、講習の義務づけられる分野は全体の八%でございますけれども、年率で〇・五%ずつ原単位が減ることを前提に考えてございます。  また残り、極めて小さな工場が中心でございますが、全体の一二%の数字でございますけれども、診断を行いました結果として、半数程度が隔年〇・五%のエネルギー単位の改善が図られるこいう見通しを立てまして、その合計量百五十万キロリットルという省エネ量を算定いたしてございます。  申し上げましたことは、六七%の残り三三%のうち二〇%分については、こうした省エネの推定を行ってございます。残り一三%につきましては、極めて零細な工場でございますので、そこに今回のような省エネを期待することはいささか無理があるかということで、これは省エネの計算に入れてございません。
  60. 加藤修一

    ○加藤修一君 この辺については、さらに燃料構成で出していく必要も当然あるわけですけれども、この段階からさらに実は二酸化炭素に換算していく、炭素換算にしていくという話になってきているわけです。ですから、二〇一〇年の炭素換算の推定式、これについても非常に私は理解できない部分が多過ぎるんですけれども、この辺についてちょっと説明していただけますか。端的にお願いいたします。
  61. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 先ほど申し上げました千五百四十万キロリットルの炭素換算の方式は、第一にこの産業部門におきます省エネ量の中の燃科の削減に係るものと電力の削減に係るものとに分けてございます。この分け方は、現在のエネルギー消費比率をベースとして分けてございます。  それで、燃料の削減に係るものにつきましては、そのまま原油換算一キロリットル当たりの炭素換算トンを掛けまして削減量が出てまいります。  それから、電力の削減に係りますものにつきましては、その削減に係るほかに転換効率というものを勘案する必要がございますので、それを考慮しました単位省エネ量当たりの炭素換算トンというものを当てはめて計算してございます。具体的な数字は必要があれば申し上げます。
  62. 加藤修一

    ○加藤修一君 電力関係で削減される量については、二百万キロリッター掛ける二・一六という原単位を使っているわけです。この原単位というのは現状の値を使っているように私はとらえたのですが、そうですか。
  63. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 電力におきます場合の削減につきましては、省電力によって削減されるものは化石エネルギー起源の電力になる可能性が非常に高いものですから、まず化石燃料で削減をしたということを前提にしてございます。  それから、電力を考えます場合に、投入エネルギー量の約六割がロスをされることは委員御高承のとおりでございまして、これを考慮に入れて計算をいたしてございます。  そのさらに具体的な計算のやり方といたしましては、石炭、C重油、要するに炭酸ガスの多いものから減らしていくという前提で、石炭とC重油の現在の炭酸ガス単位、これは科学的にもはっきりしたものでございますが、それに発電効率を掛けた割り戻しをいたしまして二・一六という数字を出したものでございます。
  64. 加藤修一

    ○加藤修一君 要するに、燃料構成を考えてCO2への換算が当然必要なわけですけれども、それに関するところがどこの資料を見ても書いていないんです。使う燃料によって、石炭を使うか石油を使うか天然ガスを使うか、それによって炭酸ガス排出量というのは全然変わってくるわけです。そういうところについてないということもありますし、要するに燃料構成が明確に示されていない。二・一六というこの原単位の値それ自体がどういう意味を持っているのか、先ほども答弁がございましたけれども、それでもわからないです。明快な答弁をお願いします。
  65. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 委員指摘のような積み上げのやり方をいたしますと、企業種について、すべての技術、設備対策項目あるいはそれで用います燃料などを工場ごとに積み上げていくような作業になりますが、これは二〇一〇年にわたって各工場ごとに燃料別かつ対策というものを把握していくことは極めて非現実的なことは御高承のとおりでございます。  したがいまして、省エネ量の計算につきましては、先はどのような具体的な業界の積算を検証し、マクロの数字から引いて省エネ量を出しております。また削減量につきましても、電力と燃料については全体的な傾向値はわかりますが、燃料部分について、これを燃料油種別に各業種の内訳を積み上げていくことは非現実的でございますので、一般的な平均値をもってこの計算を行ったというものでございます。
  66. 加藤修一

    ○加藤修一君 なぜ非現実的であるかどうかについては、時間がございませんから別の機会に教えてほしいと思いますけれども、要するに燃料構成を考えながら、削減に向けての対策はまずどういうものがあるかということを洗い出しをしなければいけない。それから施策ごとに削減量を計算する、さらにそれを業種別に積み上げていく、そしてそれを総計していく、それが全体的な削減量になる。そういうやり方が普通に言われているようなアプローチであると私は思うんです。おやりになっていることは、いろいろ工夫されている感じがして、それなりに苦労しているということは十分わかるんですけれども、ほかの我々なんかも含めてどうも理解しがたいことが随分多いんです。私はこれはもう白紙撤回してもらいたいぐらいの気持ちでいますよ、私自身としては。  そういう気持ちでおりますので、要するに、具体的な施策は何をするのか、削減量はどうなるのか、それから生産額がどうなっているのかということが明確になっていない。そういう具体的な資料を私は提出していただきたい。それを要求いたします。
  67. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 二つの点を申し上げたいと思うのでございますが、日本全国工場の個別の対策を油種別に積み上げて二〇一〇年の数字をつくる作業というのは、先ほど非現実的という言葉を申し上げましたけれども、現実的な作業としてはむしろ不能に近いものだと思ってございまして、そういう性格が一つ。いま一つは、今回の対策というのが経団連ボランタリープランをペースにしたという趣旨からくるものでございまして、ボランタリープランによりまして、各産業、こういうことをしてこういう答えを出すと言っておられます。我々はその答えのところに非常に重点を置いてございまして、その答えに至るプロセスの中で、各種の設備を入れる、各種の技術を使うという周辺状況から見て、それだけの省エネ量は可能であろうという推定をする部分で努力をしたものでございます。  必要な資料は御要求がございましたらお届け申し上げます。
  68. 加藤修一

    ○加藤修一君 要するに、五%原則を打ち出したときに、ぎりぎりの案だ、ぎりぎりに積み上げたという表現になっていたわけですけれども、そのぎりぎりという中身がどうも不明確であるということを指摘して、私の質問を終わります。
  69. 小島慶三

    ○小島慶三君 通産大臣、きょうは御苦労さまでございます。お忙しいところをおいでいただいて、ありがとうございます。  私、この問題をいろいろ考えておりまして、ごく大ざっぱに言いますと、日本の緑化率は大体六八%から七八%と言われております。これは世界の先進国では類を見ない緑化率であるわけでありますが、しかしそういう状態の中で、工場について非常に細かな、例えば緑化規制みたいなものが行われなければならない。これは考えるとちょっと不思議なんですけれども、日本の地形風土の特質、それからやっぱり何と申しましても工場とその地域というものの関係がかなりデリケートなものがある。招かれざる客という立場工場がなっているところもありましょうし、全然逆のところもございましょう。  いずれにしても、生活のリズムが違うものですから、これはやはりいろいろ問題が起こってくるということは理解できます。その場合に、緑化ということは工場地域の縁をつなぐ上で非常に大きな要因になるということも想像できます。  それで、緑化というものを進めていく場合に、例えば地元とのいろんな関係で緑化の中にこういうものを含めて考えていいのか。例えば、このごろハーブや何かもかなりつくっているところがありますが、花づくりとかあるいは園芸教室だとかあるいは木工関係、これは日航機が落ちた上野村でやっておりますが木工教室、それから陶芸とか、また方向転換して読書室とか休養室とか、たくさんいろいろそういう要請があるのではないか、またそういうふうにやっておられるところもあるんではないかと思うんですが、通産省の方としてはその辺の御指導といいますか、それをどういうふうにやっておられるか。例えば助成といったようなことも含まれるのか、その辺についてまずお伺いをしたいと思います。これは事務方の方でお願いしたい。
  70. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  工場立地法におきまして、緑地でございますとかあるいはそれに準じて環境施設ということで、いわゆる立地とそれから周辺環境との遮断と申しますか、調和を図る観点からそういった施設につきまして規定し、これを進めておるわけでございます。この趣旨といたしましては、企業みずからの社会的責任といたしまして周辺の生活環境との調和を保ち得る基盤というものを整備していく、そういう方向企業規制あるいは誘導していく、こういう考え方をその目的に持っておるわけでございます。  したがいまして、それぞれの工場がその周辺地域に及ぼします環境負荷の低減に努めることはもとよりでございますけれども、工場そのものが先ほど御指摘ございましたように周辺地域に与えます違和感でございますとかあるいは不安感でございますとか、そういうものを減少させていく効果というものを目指しております。そのほかに、広い観点も含めまして、さらに積極的に地域環境づくりに貢献することが重要だ、このように考えておるわけでございます。緑地もそうでございますし、例えば企業博物館でございますとかあるいは美術館、音楽ホール、こういったようないわゆる教養文化施設的なものが工場の敷地内に建設される場合でございますとか、あるいは体育館でございますとか屋内プールでございますとか屋内のテニスコート、こういったような運動施設でございます。  繰り返しになりますけれども、教養文化施設でございますとか屋内運動施設、こういったものにつきましても二つございまして、一つは先ほど来申し上げておりますように環境との遮断効果という側面、それからもう一つは、特に地域の住民に開放される場合には先ほどの地域社会に対する融和効果が高い、こういうことから、こういったものにつきましては地域に開放される場合にこれらの施設を環境施設ということにみなしておるわけでございます。  そういった規制を通じて今御指摘のような点につきまして進めるところもございますし、もう一方では、やはりいろいろのいわば助成的な側面ということもございまして、先ほど来御議論等がございましたように、特に中小企業等を含めましてそういった緑地、あるいは今申し上げましたような広い意味での環境施設も含めまして、この援助というものを進めるべく、法律の十五条の二にそういった規定もございまして、その規定を受けまして開発銀行でございますとかあるいは中小企業金融公庫等の低利の融資といったようなことを通じましての助成を進めておる、こういう概況でございます。
  71. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  それで、ついでにお伺いしますけれども、そういう指導なり助成なりというようなものは、複数の工場あるいは工業団地、そういったケースについても適用になる、むしろそちらの方のウエートが高いというふうなことはございますか。    〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕
  72. 並木徹

    政府委員並木徹君) 今御説明申し上げましたように、工場立地法に規定されております緑地あるいは環境施設等につきましてそういった助成を進めつつございますけれども、いわゆる団地でございますとかあるいは今度新たに改正によりつけ加えようとしておりますいわゆる工業集合地に関連いたしました環境施設、これは共同してそういうことで設けられるわけでございます。  そういった規定、規制が新しく設けられることによりまして、こういった工業集合地に関連する緑地あるいは環境施設ということにつきましても、そういった地域の融和の観点から積極的にこれを推し進めるという意味でのインセンティブが明確になっていくということによりまして自治体あるいは企業あるいは住民、こういった関係のいわば共同の理解なり推進というものが進んでいくことが期待されるわけでもございますし、助成については先ほど申し上げました措置を図っていくことが可能だと考えております。
  73. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  今までお話がありましたのは施設の面なんですけれども、施設以外に、例えば人の能力とかそういったものについての工場地域関係というようなものは、これも私大変重要だと思うのでございます。例えば、集落の集会だとかいろんな催し物だとか、そういった場合に、工場の持っている人的能力といいますか、そういうものを派遣したり応援したりというふうなケースはございますでしょうか。そういうものについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  74. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  委員の御指摘の点につきましては、工場地域のさまざまな交流、あるいは工場のリソースのさまざまな貢献という視点かと思っておるわけでございまして、やはりそういった観点は通産省といたしましても大変重要であるというふうに認識しておるところでございます。  具体的には、平成五年でございますけれども、工場立地及び工業用水審議会の答申におきまして、周辺地域と有機的に連携する新たな工場という観点からニューファクトリーという概念を打ち出しまして、さまざまな意味での施設のいわば開放でございますとかあるいはその他地域への参加ということについて、これを積極的に進めようという方向づけが提唱されておるわけでございます。そういった方向づけに基づきまして、先ほどの環境施設等の拡大といったようなこともそういった方向で進めておるわけでもございますし、今委員指摘のまさに人的な貢献というようなことにつきましても、これも大変重要な観点だろうと思います。  工場につきましては、さまざまな意味で、経営面あるいは技術面あるいはその他文化面等々、大変豊富な人材がおられるわけでございまして、こういったいわば人的な資源ということになりますけれども、周辺の例えば中小企業事業者でございますとかあるいはさまざまな技術講習会でございますとか研究会等々に派遣いただくというようなことは非常に重要なことでもございます。  そういった方向で、通産省といたしましては、こういった高度な技術に関する専門家を登録いたしまして、近隣の中小企業等の要請に応じまして、いわゆる技術アドバイザー等指導事業というような形で実施しておるわけでございます。こういった制度を発展させまして、地域活性化アドバイザー等支援事業というような形で拡充してまいりたい、このように考えておるわけでございます。    〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕
  75. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  これはちょっと施設の問題に逆戻りしますけれども、私の知っている、もっと端的に言うと私の主宰している小島塾というのがありまして、これは全国に三十五あるんですけれども、東京の小島塾のメンバーに酒井君というのがおります。この酒井君がやっている地域との結合、融合、そのシステムというのは、私非常に感心したことがありますのでちょっとここで申し上げておきます。  例えば、酒井君の主張しているのは、スモール・イズ・ビューティフルというか、そういう感じで分社制というのをやっている。今、世界の十七カ国語に翻訳されていますけれども、そういうので方々へ工場を持っていっているわけです。  その持っていっている一つの例が、岩手の藤沢というところでございまして、この藤沢の町長さんが非常に先進的、発展的、行動的な方で大いにそういったものを受け入れているわけであります。この酒井君の工場へ行きますと、工場のメーンストリートというか真ん中にどかんと大きな通路がありまして、その通路の両側にちゃんとソファーが置いてあって、この両側の壁にすばらしい絵がずらっとかけてあるんです。これは私は行ってびっくりしたんです。こんなことで工場が成り立つんだろうかというふうに思ったんですけれども、我々の考えでいる工場という概念と彼の考えでいるのは違うというふうに思いました。  そういう絵や何かを置くことによって、工場の人が仕事の疲れをいやすということもできる。町の人も、全く開放されておりますからどんどん来てそれを見て楽しんでいくというふうなぐあいで、これは私、そういった意味では理想的な工場だろうと思うんです。ただ、環境負荷という問題がありますから、その問題を克服しなきゃなりませんが、これから恐らく工場地域の問題を考え煮詰めていくとそういうこともあるいは出てくるのかもしれない。  工場に美術館をくっつけたようなそういうセンスですけれども、これもひとつ何でしたら通産省の方でお調べいただいて、そういった点を大いにPRしていただければというふうに思います。これはちょっと思いつきで申し上げました。  それから、これはちょっと話が変わりまして、大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、ひところ私どものやっておりました立地計画というものが、東京あるいは過密都市からの追い出しというそういう形をとった時代もございました。その結果、少しそういったことが行き過ぎまして、例えば皆さん御承知の大田の過疎化というか、こういう事例が生じた。これについて、その後通産省の方で法律をつくられて、そういった殊に大事な基盤技術については集積ということを考えてやっておられるというふうに承っておりますが、その辺の進行状態とかそういったものについての考え方とか、これはひとつ大臣からお話をいただきたいと思います。
  76. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先生の御指摘のように、経済環境が大変変わってまいっておりまして、一時のように都市から工場を出すというような状態が行き過ぎが出てきて、現在の厳しい景気の状態の中ではもう一度戻ってきてもらいたいというようなところも随分出てきているわけでございます。そんなことも含めまして、やはり一時代前のああいう形での工場を大都市から出していくというような、促進をするような法律がそのまま残っていいんだろうかどうかということは大変疑問視されたり議論をされているところでございます。  ただ、周辺の県からは、ああいうものをなくしてもらっては困るというような御意見もございまして、その点で今いろいろと研究をさせていただいたり検討をさせていただいておるわけであります。ただ、お話の中の集積活性化法といいますか、こういうような問題につきましては、我が国の物づくりを支えるとともに、今後も我が国の経済の発展の基盤になる産業集積の崩壊が懸念されるような状態はまことに憂慮しなきゃならぬというふうに思っております。  そのために、通産省としましては、大都市圏も含めた産業集積の活性化を図るということで、我が国の経済構造改革を推進するために、本年の三月に特定産業集積の活性化に関する臨時措置法を制定いたしました。これまで大阪地域や日立地域を初めとしまして土地域の基盤的技術産業集積活性化計画というものを承認しているところでございます。これらの地域では、活性化計画を策定した府県のみならず、地域内の市のレベルにおいても研究施設の整備だとか産学官連携による共同研究、人材育成等の積極的な取り組みがなされておりまして、今後基盤的な技術の高度化によって製品の高付加価値化や新規成長産業分野の創出などに期待をしているところでございます。  通産省としましては、これらの取り組みに対して関係省庁とも密接な連携を図りながら総合的な支援を行っていくとともに、現在活性化計画の作成を検討している地域については、そのニーズを踏まえましてさらに適切な対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  77. 小島慶三

    ○小島慶三君 どうもありがとうございました。  それで、今お話のございましたように、世の中はだんだん変わってまいりまして、これからの産業立地あるいは工業立地というものを一体どういうふうに考えていくのか、まさに今は転換期であろうと思います。その辺について今までの工場立地法は、私これは失礼ですけれども、少し古くなってきたというふうに思います。これをやはり新時代に沿って新しい、二十一世紀に向けてこの工場立地法といったようなものをもう一遍考え直す時期に来ているのではないかというふうに思うのでございますが、この辺につきましてひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
  78. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先生御指摘のとおり、この工場立地法自体、根本的に見直したり改正をする必要のあるところがいっぱいあるわけでございます。これにつきましては、今回の場合は、非常に各地からの要請や、特に地方自治体で今の緑地面積の判断だとかあるいはリニューアルをしたい、新しく工場をつくりかえたいというような要請が多くあるわけでございますが、それに対しての対応ができないというためにこういう緊急な問題としての事例だけを取り上げて修正、改正をするというような取り組みをいたしまして、また同時に、経済の活性化にも役立つようにという点も含めての対策でございます。そういう意味合いからこの後、この根本的な工場立地法の修正という問題を議論しながら改正に向かって取り組んでまいりたいというふうに思っております。  さらにこの機会に、先ほどの平田先生からの御意見もありました、ただいまの先生のお話とも関連いたしますのでつけ加えさせていただきますと、リニューアルなどが促進されて、工場の今度のこの法案の成立によってどういうような経済効果があらわれるかというようなお話がございました。試算ではございますが、五年間で大体四千億円という数字を計算いたしておりますこともつけ加えさせていただきます。
  79. 小島慶三

    ○小島慶三君 どうもありがとうございました。私の質問はこれで終わります。
  80. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 通産大臣、一生懸命頑張られておる上に、さらにまた気にさわるようなことを申し上げるかもわかりませんけれども。  昔、昔というか大分前に田村元さんという人が通産大臣をやられまして、あの人は二期続けてやられたんですけれども、私も当時商工委員会におりまして、対外圧力の問題と同時にココムの問題もありましたし、また急激な円高に対する地場中小企業の問題もあった時期だと思うんですが、閣議の中でも通産省が所管する企業の実態、状況を内閣に反映する、そういう動きを非常によくやってくれたと思います。  私はぜひ通産大臣には、特に今は物をつくって売るということだけではなくて、金融改革やあるいはバブルの後遺症で非常に金融、証券、不動産会社、それから建設業・土建屋、こういうところが非常に厳しい状況であります。そういう面というのは新たな観点から見てもらわないと、既存の今までの通産省の仕事の延長線上ではどうしても見落としがちなところも出ると思うんです。私はこの際、通産大臣や政務次官を中心にして今置かれている実態というものをどんどん見ていただいて、それを積極的に行政に反映していただくような行動をどんどんとって、そして先頭に立たれるように期待をしているんですが、いかがでございましょうか。
  81. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 梶原先生の御意見、もうそのとおりでございまして、私もでき得れば各地を回ってしっかりと現状を把握しながら、それを政策あるいは現状の対応に反映させてまいりたいと考えているのでございますが、言いわけにはなりませんが、国際会議その他、それから次々出てくる現象に追いまくられましてなかなか現地に行く時間がなくて申しわけないと思っておりますが、時間をつくりまして各地をしっかりとこの目で見ながらこれから先の問題に取り組んでまいりたいと思っております。  ただ、今までも各地の情報などについてはしっかりと把握をいたしまして、例えば今回の山一の破綻の問題を含めて対応をしっかりするために、十一月の二十五日、APECから帰りまして直ちに省議を開きまして、全省の中における意見集約をすると同時に、全国中小企業関係の情報を確保するというために、ほかの仕事は滞ってもいいから十二月一日までの間に全部その情報収集をするようにということで十二月一日にはそれをまとめ上げました。現在、それに対しての中小企業の年末の金融問題について、今までに起きておるようないわゆる今までの経済状態とは全く違った中での新しい事態に対応するための対策というものを取りまとめて、逐次これを実行に移しているというのが現状でございます。  その点はひとつこれからも御指導を賜りながら、従来の仕事をそのまま続けていくという行政ではなくて新しい方向に向かって、経済変革の時代に向かって先頭に立って真剣に取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
  82. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ頑張ってください。  それでは、本法の改正案に対しまして若干質問をいたしますが、地方分権推進法とのかかわりとかいろんなことはある程度わかるんですが、やっぱり実態としてこういう緑地面積を地方自治体にやらせてほしいとか、地方自治体が、この審議会のメンバーじゃなくて、地方自治体の方から、例えば知事なりあるいは東京都なりとか、具体的にそういう話がこれまでどの程度一体来ているのか。それから、企業の方からはこういう問題について、具体的にどういうような希望が果たしてたくさん通産省の方に舞い込んできているのか一番原点になりますが、そこのところをお知らせ願いたいと思います。
  83. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  工場立地法運用等についての地方自治体等の意見、意向ということでございますけれども、こういった権限移譲でございますとかあるいは独自の緑地面積率等の設定ということにつきましては、全国知事会でございますとかあるいは地方自治六団体からそういった方向での要望が出されておるわけでございます。また、私どもこういった法律を的確に実施するという観点から、各都道府県に対しまして昨年とそれから本年アンケート調査というものを行ったわけでございます。これによりますと、先ほどの緑地面積率等の設定の問題につきましては全県のうち二十九の都道府県が、それから権限移譲の問題につきましては四十三の道府県が要望をしておるということでございます。また、御案内のとおり、地方分権推進委員会からもこういった趣旨の勧告が行われておるところでございます。  それから、企業関係でございますけれども、これにつきましては、御案内のとおり、規制緩和に関しますさまざまな産業あるいは企業からの要望というものがもちろん出されておるわけでもございます。それからあわせて、こういった法律改正、さらには規則、準則といったものにつきましても、私どもの工場立地及び工業用水審議会の議を経てということで方向性を御議論いただいておるわけでございますけれども、そういった中に自治体でございますとかあるいは企業の方に入っていただいて御審議をいただいて、こういう方向でのお取りまとめをいただいたわけでございます。  こういった自治体に対する権限移譲の観点と、それからもう一つ、今回、集合地特例ということについての改正を提案させていただいておるところでございますけれども、この点につきましても自治体それから産業界からも要望が行われておるところでございます。  以上でございます。
  84. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 恐らく知事のもとには、その地域企業からの要請というのは、国に来るような形じゃなくてまた違った形でぽんぽん行っているのかなと思うんです。  この前、卸電力の制度、これを認めましたね。それぞれ広い工場用地を持っているところは電力をつくって、そしてそれを電力会社に売ってという制度。この制度と非常にかかわりが出てくるような気がするんです。  これはちょっと質問通告になかったんですが、今の答弁を聞きながら、例えば私のところで言うと大分鶴崎臨海工業地帯というのがあって、そして新日鉄あたりがずっと緑地帯をつくっておりますが、その中にまた一つ発電部門をつくってそれを九州電力に売ると。あるいは九州石油という製油会社があって、そこがまたその中に発電設備をつくると。そういうものとの絡みというのは、恐らく緑地面積や何やというのは出てくるんじゃないかという気がしますけれども、関係ありますか、ありませんか。
  85. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  電力のいわば経営の効率化というような観点から、今御指摘のような方向産業界において進みつつあるということについては認識しておるところでございますけれども、私ども工場立地法におきましては、御案内のとおり、立地とそれからそれに対応した環境の調和という観点からの規制を自治体、それから企業、あるいは国の方で全体として円滑にこれを進めていくような方向運用がされておるわけでございます。  今御指摘の点につきましては、今回さまざまな意味で、自治体が地域の実情に応じた形で、先ほど申し上げましたような法目的に基づいて土地の利用とそれから環境の調和ということについて今後検討していくことになろうかと思うわけでございます。その中で、この立地法対象施設として、今御指摘にありましたような発電所でございますとか、あるいは鉄鋼会社でございますとか、あるいは石油会社というような施設も含まれておるわけではございますが、そういう意味では土地利用の観点の中で、あるいは御指摘のような観点から、今後さまざまな新しい方向性が出てくることがあり得るのかもという感じはしております。  以上でござします
  86. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは恐らく基準値内に入っているから大気汚染関係も大丈夫だと、あるいは排水とか、いろんなものが恐らく先ほど議論があったんだろうと思います。  この法律は、効果的な緑地整備の推進ということになって、効果的なと、こうなっておりますが、突き詰めていくと、六対四とかなんとかというような形で判断をすると、企業側にとってむしろ必要なことというか有利なことと、何対何で言うと企業側の方にこの法律はウエートがかかっているんだということになるんじゃないですか。どうですか、この緑地整備の問題。
  87. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  立地法の四十八年以来の運用ということを踏まえまして、先ほど来、地方分権でございますとか、あるいは規制緩和でございますとか、あるいは経済構造改革という、そういった視点からの、先ほど大臣の方からも御説明いただきましたような方向性が出されておるわけでございます。そういった観点から、今回の改正におきましては、自治体の自主性の尊重、あるいは工業集合地の特例といったような措置を設けるということの改正をお願いしておるわけでございます。  やはり緑地効果的に整備され、その結果として、さまざまな企業等におきまして工場のリニューアルでございますとか、大変厳しい状況になるわけでございますけれども、企業の活力あるいは地場の関連の下請企業を含めた空洞化防止といったような効果も期待されるということかと思うわけでもございます。あわせて、緑地でございますとかあるいは周辺環境との調和、あるいは防炎対策といったようなものも地域にとって非常に効果が大きいということでございます。
  88. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これ、五万平米以上の敷地面積は地方自治体に移すと。地方自治体は、そのよかろり悪かろうという判断は知事が大体やるのですか。それとも、審議会みたいなのを地方は地方でりくらせて、そしてその審議会をクリアして、行政のその担当部で判断し、そして知事が判断していくというような形をとるのですか。それとも、もう行政の枠の中でやってしまうんですか。
  89. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  今、委員指摘の五万平米という数字がございましたけれども、従来、私ども国におきましては五万平米というところで区切っておりまして、それより規模が小さい施設につきましては従来から、その届け出の受理等々の権限を自治体で行っていただいておるわけでございます。それより大きいものにつきまして国が行っておったところを、そういった指導監督につきましては全面的に今回自治体にその権限を移譲するということでございます。一つは、やはりそういった意味で、従来から自治体におきます行政部局、あるいは非常に高度な判断等がありました場合には当然知事等においてもそういう御判断もされておられたかと思うわけでございますが、そういった実績を踏まえて今回その権限を全面的に移行したわけでございます。それからもう一つ、従来は国が一律で二〇%という緑地面積率を規定しておったわけでございますけれども、今般、その上限下限、上下五%ということで考えておりますが、そういう上限下限の幅の中で自治体が地域を指定して、その幅の中で地域におきます。そういった緑化率の準則というものを定めることができることとしておるわけでございます。こういった準則、規則につきましては、これは結果的に、最終的には企業等の罰則に係るような、権利義務関係に係るものでもございます。そういった観点から、これにつきましては法律の中で、こういったいわば地域で定める準則については条例で定めることということにしております。これは、自治体のさまざまな緑化に関する条例等が現実に定められておるということも踏まえて今のような規定にしたわけでございます。こういった条例で準則を定めるということになっておりますので、そういった点につきましては、当然それぞれの議会等において議論していただくということになるわけでございます。
  90. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから、従前の狭い面積の場合と違って今度は非常に大きな面積でどかんと工場進出した場合に、それは条例のひな形みたいなものはある程度国でつくっておろすんですか。
  91. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、現在は国が一律で二〇%ということを定めておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように上下五%ずつの幅というものを示しまして、上に上げるものについては、例えば住工混在等でそういった住居に対する環境の保全がより必要な地域といったような考え方、それから下限の方の地域の指定にありましては、専ら工業等の地域でありまして周辺が運河でございますとか河川でございますとかそういうものに囲まれておって相対的に環境に対する隔離が行われておるところというようなことを含めて、考え方、ひな形を示しました上で、自治体の方で、先ほど申し上げましたようなプロセスによりまして、条例によりまして地域と基準値を定める、こういうことになると考えております。
  92. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう時間がありません、一言でいいんです。  恐らくそういう重要な、大きな規模や何かの問題を知事が扱うようになりますから、知事単独の判断じゃなくて、条例の中に、各界各層による審議会みたいな、そこの意見を取り入れて知事が判断するような形になっているんだろうと思いますか、そこは強く要請をしたいと思います。  終わります。
  93. 山下芳生

    ○山下芳生君 そもそも現行の工場立地法の制定の目的、もっと言いますと考え方は何かといいますと、私は突き詰めれば企業の社会的な責任ということだと思うんです。これは今でも私は企業の社会的な責任というのはやはりしっかりと守っていただくべきものだというふうに思いますが、これは今でも変わっていないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  94. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) そういう考え方は全く変わっていないわけでございます。  ただ、企業といいましても中小企業からすべて企業でございまして、その中で、今までの建物を建てかえようと思っても今までの面積まで建てかえられないというようなところも随分あるわけなのでありまして、そういう工場などがこの制限、実際にこの二〇%を守らなければならない地域にあるかどうかというような問題は地方自治体がはっきりと判断をした方がさらに、地元に密接しているところですからよく判断ができるんではないかというような問題も含めてこの問題は出てきているわけでございます。  そういう意味合いからまいりますと、昭和四十年代の公害問題の深刻化に伴って事業者の社会的責任を問われた中ででき上がった法律でございますし、公害、災害等の防止に万全を期することはもちろんのこと、工場の緑化等を進めて積極的な地域環境づくりに貢献するということは一切変わっていないわけでございます。  こういう段階の中で、工場周辺地域の生活環境との調和を図ることによって、工場立地環境の保全を図りながら適正に行われるようなルールを整備するという観点からこの今の法律が一部改正をされたわけでありますが、その際に大分、先ほどからも申し上げておりますが、工場の中における環境というものは、緑地面積というものは非常に大きくなってきている。しかし、ここでとまっているのは、二〇%が制限になってもう壊したらつくれないというようなことや、あるいは工場の中における運動施設だとかそういうものを大いに一般の人にも活用させることによって、さらに工場立地がしやすくなるような方法の便法も考えてあげようというような点が入っております。
  95. 山下芳生

    ○山下芳生君 中小企業に関して特段の配慮が要るというのは私も同じなんです。しかし、それは行政などが必要な支援をするということでクリアすべきであって、環境規制中小企業に対してまけてやろうというのは私は邪道ではないかというように思うんです。  それで、今、大臣、しかし社会的責任が企業にもあるということはいささかも変わらないとおっしゃいました。  この法が制定されたときに、七二年十月、「工場立地」という雑誌に当時の通産省の企業立地政策課長の児玉さんが、これは立地法なんですけれども、「「工場法案(仮称)」の考え方について」という論文をお書きになって、私もそれを見させていただきました。大臣おっしゃったとおり、直接の契機になったのはやはり産業公害問題でありますと、四日市の公害裁判の判決をお挙げになって、そしてこう言っているんです。「いかなる企業立地段階から、生産活動の段階から、公害を絶対出さないということと、地域社会と十分融合していかなければいけないということが、非常に強く政策意識としてもたれるようになってきた」、これが企業の社会的責任なんだと、これは今でも変わっていないということなんです。  ところが、今回の法案は明らかに環境に対する規制緩和であるというふうに私は思うんです。しかし、我が国の都市環境あるいは生活環境の現状を見ますと、こういう環境に対する規制緩和していい状況に私はないと思うんです。なぜ今の時期に、今回の法改正でいえば緑地比率を引き下げることも認めるというふうなことをおやりになるんですか。
  96. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  今、大臣から御説明申し上げましたように、この法律の目的におきましては、やはり立地に際しまして環境それから地域という課題に対してこたえていくと、こういうことでございまして、これは変わっておらないわけでございます。先ほど来申しておりますように、現実のさまざまな状況ということを考えていきますと、一つは、こういった今の目的に関して言いますと、自治体の自主性と申しますか地域への権限移譲ということを行うことによりまして、まさに地域におきます環境工場立地の調和というものが進められるのではないかということでございます。  それから、工業集合地の特例の問題でございますけれども、これにつきましても、まとまって工場が存在する場合に、それをいわゆる外側に共同の、共通のそういった遮断を行うような緑地等がつくられる場合に、それは一つ一つ工場においてそういった個別の適用を行うよりもトータルとして環境の保全に資する可能性が高い場合もあるということでございまして、そういったことの適用ということについて今度改正をお願いしておるところでございます。  それで、その地域の具体的な緑化率の適用ということでございまして、先ほど申し上げましたように、こういった状況については自治体がまさによく熟知しておられるわけでございまして、いわゆる国が上限下限を定める幅の中で、現在は一律二〇%ということでございますけれども、現実的にはより環境の保全が必要と認められるような地域については自治体がそういうことで条例において地域指定とともに上の方に上げていただく。それから、工場の専ら専用的な地域等でありまして、河川とかあるいは運河等で遮断されておるようなところについては、自治体が条例によってそういう地域についてはそういった下の数字を適用することの可能性も今回の改正で行うわけでございます。趣旨はしかし、地域の実情に応じて自治体がまさに環境の保全を図るというような方向で今回の改正を行おうとしておるところでございます。
  97. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、地域の実情に合わせて規制を行うということはこれは一つ考え方だと思うんです。しかし、そのこととこの緑地比率を全体として下げるということを混同してしまってはまずいと思うわけです。  それで、例えば昨年通産省が公表されている規制緩和要望事項及びその検討状況というものがあります。この中にやはり工場立地法緑地規制緩和という要望が例えば日本化学工業協会、化成品工業協会、日本アルミニウム連盟、関西経済連合会などから出ておりますが、そのときの通産省の回答は、そういう措置は困難だと。その理由説明にこうあります。「緑地環境施設面積率については、法施行時に平均五・八%であった工場緑化率が、平成五年には約一四%まで高まってきてはいるものの、準則に定められた緑地比率二〇%には到達していないのが現状であること、近年の都市緑化への要請が高いこと等を踏まえると、引き続き現行の準則の水準を目標とした工場立地を推進していくことが適当である。」と、こう回答されて、やっぱり二〇%でいくべきだというふうに言われていたわけです。これは一年前ですよ。  ところが、今そうじゃなくなってきている。私は、このときの引き続き都市緑化への要請が高いからこの水準を維持すべきだという見方の方が、今の現状の都市の環境などを見るとすれば適当ではないかと思うんです。  例えば一つだけ例示しますと、大都市における一人当たりの公園面積という統計があります。これは、緑の面積というのはなかなか統計で出ませんので公園面積なんですが、ニューヨークは人口一人当たり二十九・一平米公園がある。バンクーバーは二十六・五平米。ロンドン二十五・三平米。パリは少し落ちて十一・八平米。ベルリン二十七・四平米。それに対して東京二十三区は二・九平米。大阪市も三・二平米。政令都市平均で五・四平米。全国の都市平均で七・一平米ですから、非常に日本の都市は国際的に見ても緑は少ないんです。公園が少ない。  工場も、そういう都市の中にある、あるいはそういう住民が住んでいる中にある社会的な存在として都市の緑化にもっと貢献する、もっとというか、やはり引き続き貢献する責任がある、そう思いませんか。
  98. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  今回の改正趣旨といたしましても、先ほど来申し上げておりますように、基本的には立地環境の調和を図るということをより効果的、効率的に進めるということでございまして 一年前にあるいはそういう方向で示したということではございますけれども、そういった緑地等についてはやはり着実にそういった進展が進められるということを期待しておるわけでございます。  それで、先ほど来御説明しておりますように、その後さまざまな経済構造改革とかあるいは規制緩和、あるいは分権の観点等の委員会から御議論をいただいた上でのそういった権限委任と準則、これを上下限の幅を持って自治体が地域の実情に対応した形で先ほどの目的を達成するような形で進めるべきであるという方向でその要望あるいは決定が行われたということを踏まえて今回の改正案をお願いしておるところでございまして、繰り返しになりますけれども、環境の保全ということについての方向性は何ら変わっておらないということでございます。  ただ、一言申し上げますと、やはりその地域の実情においてその下限の可能性ということについて先ほど申し上げましたように自治体等々の意見等々を徴する過程におきまして、古くから大変工場が集積しておるような臨海部の工業地といったようなところにつきましては、なかなかいわゆるリニューアルといったようなものが必ずしも進まないというような状況もございまして、極めてトータルとして緑地率というものも低い数字にとどまっておるわけでございます。これは自治体のまさに今後の運用ということであるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような基本的な方向の中でそういった地域を指定することによって、よりそういった既設の工場等が現実的に対応することによって緑地が進展する可能性が期待されるといったような要望もあることを踏まえまして、そういった上限下限の中で地域が実情に応じて定めるという規定を今回の改正法案においてお願いしておるところでございます。
  99. 山下芳生

    ○山下芳生君 なかなかちょっとかみ合わないんですけれども。  私は、やはり都市の緑をもっと引き上げるのが日本の都市生活環境にとっては大事だ。それに、工場も社会的存在として責任がある。この法案がそれに一体プラスに作用するのかマイナスになってしまうのかということなんですが、今の御答弁では、自治体がそういうことも判断しながらやるから自治体にお任せというちょっと気がするんです。  少し法律のスキームに基づいて聞きたいんですけれども、恐らくこの法案が通ったら、自治体が判断しながら、工場緑地も今の水準は維持される、あるいは向上されるであろうことを期待されていると思うんですが、そういう面はあるかもしれません。しかし、逆の面も私はあるんじゃないかと思うんです。  例えば、現在二〇%以上の緑地を持つ工場が、この法律が通ることによって自治体が定めた緑地面積率が一五%に引き下げられたりしますと、そうなると、今度その工場が建てかえする場合などに緑地を削減することができるんじゃないか、はぎ取ることもできるようになるんでしょうか。
  100. 並木徹

    政府委員並木徹君) お答え申し上げます。  今、委員の御質問の、自治体が地域基準を定め、もし国の一律の基準二〇%と違う値をその地域に適用した場合という御質問かと思います。御質問のとおり、そういった工場につきましては、法律上の規制義務としてはそういった方向で下げることも可能であるということでございます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、自治体が区域を限って、既存の工場等が非常に密接するような中で、そこの工場については、先ほどの一五%という数字に対して非常に低い数字の実績が大半であるようなところ、それが先ほど申し上げましたように、実態的な数値が実行可能な観点から提示されることによって、いわば実行可能性ということで多数のそういった二〇%とか一五%よりはるかに低いところの既設の工場等のリニューアルというものが期待され、そのことによって緑地というものがむしろ広がるという可能性も期待されるのではないかどいうことでございます。
  101. 山下芳生

    ○山下芳生君 そういう期待する面もあるけれども、削減される私は危険性もある。これ、やってみなきやわからぬという面が多いんです。  それから、もう一つお伺いしますけれども、今自治体が条例などによって独自の緑地比率の規制をやっているところがあります。二〇%以上の緑地比率を定めている自治体が四十一自治体ある。中には三〇%以上という厳しい比率を課しているところもある。  法ができて、自治体で決めることのできる上限が法律によって決められると、これらの独自の規制が引き下げられることになるんじゃありませんか。
  102. 並木徹

    政府委員並木徹君) 今、現存する自治体の緑地あるいは緑化に関する条例と本法の関係ということでございます。  この点につきましては、本法が規定する立地とそれから地域環境の保全という、そういった法目的に厳密な意味で同じものであるとした場合にはそういった問題が生じ得ると思われるわけでございますけれども、現行の緑地あるいは緑化に関する条例につきましては、さまざまな観点からの条例目的に基づいて制定されておるわけでございまして、工場立地法の法目的と違うような条例のあり方によるものについての規制については、一般論としてはそういったものを妨げるものではないわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、今回の改正によりまして自治体がそういったまさに準則を定めるに当たって、そういった関係についても考慮しながらその運用を図るわけでございまして、具体的な個別の事象についての発言は控えさせていただきたいと思います。
  103. 山下芳生

    ○山下芳生君 時間ですので終わります。     —————————————
  104. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、大木浩君及び倉田寛之君が委員辞任され、その補欠として亀谷博昭君及び大野つや子君が選任されました。     —————————————
  105. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  106. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、工場立地法の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。  反対理由の第一は、この法案が、企業が国を選ぶ時代、立地競争力の向上などという財界・大企業規制緩和要求を直接受け入れた新たな産業立地政策を前提としたものであり、企業の社会的責任をあいまいにするものだからであります。  政府環境白書でも、「短期的な利益の確保のみならず、環境への配慮を行うことが企業の存続の条件となってきている」と述べているにもかかわらず、企業利益優先で環境規制緩和を図ろうとすることは時代の流れに逆行するものであります。  反対理由の第二は、緑地面積率の引き下げが、現在、緑地面積率二〇%以上の緑地整備している工場緑地の削減を招き、全体として緑地面積率の引き上げ、維持に逆行するおそれがあるからであります。  第三は、工業集合地の特例は、本来、企業負担すべき緑地整備費などの費用を自治体すなわち地域住民に転嫁させることにつながる危険を持つものだからであります。  第四は、地域準則による緑地面積率の上限の設定等は、地方自治体の緑化条例や環境アセスメント条例などの自主的な条例の制定権を実質上侵害するおそれがあるからであります。  以上が反対の理由であります。  最後に、工場立地法制定の原点である四日市公害判決から四半世紀、立地企業の社会的責任を厳しく問い続けるとともに、工場密集地の中小企業などに対する適切な支援を行うべき通産行政の責任の重大性を指摘し、反対討論を終わります。
  107. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  工場立地法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  勝木君から発言を求められておりますので、これを許します。勝木健司君。
  109. 勝木健司

    ○勝木健司君 私は、ただいま可決されました工場立地法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、民主党・新緑風会及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     工場立地法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、本法に係る緑地面積等の規制の見直しについては、緑地等整備効果的に推進されるよう努めること。また、工業集合地における特例措置については、準則の改定に当たって、隣接する緑地等が適正に認知され、周辺環境との調和に配慮するよう努めること。  二、地域準則の導入に当たり国が定める区分ごとの基準については、地方分権の推進を図る観点から、地方の自主性を十分に尊重し、適時適切な見直しを行うこと。  三、工業集合地の特例の適用に当たっては、事業者の緑地等整備に向けた主体的な取組みが促進されるよう、制度の趣旨を周知すること。  四、企業地域市民の一員として地域と共生することを促進するため、工場内の環境施設(緑地を含む)を可能な限り市民が利用できるよう検討を行うこと。  五、内外の経済情勢の変化に応じた工場立地政策について検討を深めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  110. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) ただいま勝木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 多数と認めます。よって、勝木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堀内通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堀内通商産業大臣
  112. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  113. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二分散会