○山下芳生君 以上二点を
前提として確認した上で、次に移りたいと思うんですが、私は既存の
組合の現在の
組合活動が
組合員の
ニーズにちゃんとこたえ切れているのかどうかということもやはり考えてみる必要があるのではないかと思っております。
この点では、協同
組合の共同
事業の問題点について商工中金が九六年七月に調査をしております。それによりますと、「共同
事業の
利用が一部
組合員に偏っている」と感じている
組合員が五四・九%、それから「
組合員の
ニーズが変わり
利用率が低下」していると感じている
組合員が三八・四%。つまり、少なくない
組合員にとって協同
組合の魅力が薄れているという
事態があるということを直視する必要があるんじゃないかと思うんです。これが実態だと思うんです。
こうした中で、いろんな
中小企業問題を研究されている学者、研究者の方の意見を聞きますと、今の
経済情勢の
もとで、不況の
もとで、各
組合員が各自の自社の将来展望をどう確立するか、それを援助する共同
事業が今重要になっているんじゃないか。つまり、個々の
組合員の自社の将来展望を確立するための援助ができるような
組合の共同
事業、これが大事じゃないかということをいろんな方がおっしゃっているわけで、これは魅力ある
組合活動という点では非常に大事な
指摘ではないかというふうに私も思うんです。
そこで、私、
一つ具体的な
事例を御紹介して
大臣の御
所見とそれに対する
政府の
支援もお願いしたいと思うんです。具体
事例の前に
一つヒントになる問題として紹介したいのは、
昭和六十一年以降に設立された
組合の構成、これも先ほどの調査にあるんですけれども、六十一年以降ですから約十年余り前、この十年近くで新たに設立された
組合の構成を見ますと、異
業種関連
組合が一二・〇%。これは、今日、
組合全体の中での異
業種組合の
比率というのは三・八%ですから、ここ十年間新しく生まれてくる
組合として異
業種間の
組合というものが非常にふえつつあるというのが事実なんです。こここ私は、今の特こ中小製造業の
組合に対する
ニーズが
一つあらわれているんじゃないかと思うんです。
私が聞いてきた具体的な
事例なんですが、私の地元であります大阪のナニワ
企業団地というのがあります。これは、大阪市西成区、住之江区にあります金属加工が過半数を占める二百六十
事業所が参加する異
業種工場団地なんですけれども、ここの工場団地も御多分に漏れずバブル崩壊後大変不況にあえいだ。そこで、何とか不況を打開しようということで、いろんな
事業の中の
一つとして、仕事おこし、それから受注対策につながる宣伝活動に力を入れてみてはどうかということになりまして、取り組み始めたんです。当初は、団地周辺の電柱二十本に有料の看板を掲示してみたり、それから
関係業界紙に広告を出してみたりしたわけですが、しかしいずれも費用の割に反応がいま
一つだった、余り効果がなかった。
一つの転機になりましたのが、九三年に大阪府
中小企業団体中央会から、第二十一回大阪国際見本市を行う、つきましてはおたくの
企業団地から出展をしてみませんかという案内が届いたんです。これまでだったら大体、国際見本市などというのは自分たちの工業団地の
組合員には余り
関係ないということで、どちらかというと無視、見向きもしない案内だったそうですが、そういう
状況の中で前向きに、数十万人の入場者があるしナニワ
企業団地のイメージアップにもつながるのではないかという
判断から、これはひとつ思い切って団地として出展してみようじゃないかという御決意をされた。
そして、
企業団地として三つの小さい区切り、スペースというんですか、これを借りようと。百万円近くかかるそうですけれども、
組合が五十万円出そうという条件で出展を募集したら、七つの
事業所とそれから金属加工のグループ、ナップというグループが会員四十五名であるんですけれども、七
事業所と一グループが応募することになった。ほとんど皆さん国際見本市などということに出展するのは初めての方ばかりなんですが、出展してみたら、多いところで十五、六件の問い合わせがあったり、受注に実際結びつくビジネスチャンスになったという
企業まで出た、
企業団地のイメージアップにもつながつた。非常にこれはいいということになりまして、これが転機になって大体年二回ほど展示会に出展をするようになったそうです。
翌年、九四年にも今度は
中小企業振興協会主催の
中小企業テクノフェアに、金属加工のグループ、ナップが、ナップとして初めて出展をされた。この九四年の際には、グループとして共同の作品をつくって出展しようということで、十七社が「動く看板」という作品をつくって出展をして、また引き合いがあった。そういう、団地内の加工業者の中にはこういうものをつくれる技術が集積していますよということを、実際に共同の作品をつくることによってアピールした。等々、そういう出展を年二回ほどやることを通じて、最近では出展会場に来てくださったいろんな
企業から、団地の
組合事務局へもう問い合わせや見積もりの依頼が日常化してうれしい悲鳴になっているというふうに聞きました。
私は、これは現下の
状況の中で中小製造業者あるいは
組合の目指すべき
一つの
方向なのかなというふうに思ったわけです。今非常に具体的な例を紹介したわけですけれども、そういう努力をされている中小製造業を中心とした
組合、それに対する
政府の御感想と
政府の
支援について、ぜひ
大臣に見解をいただければと思います。