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1997-11-18 第141回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十八日(火曜日)    午後三時十分開会     —————————————    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      阿部 正俊君     木宮 和彦君      鈴木 政二君     斎藤 文夫君  十一月十八日     辞任         補欠選任      大木  浩君     田村 公平君      木宮 和彦君     太田 豊秋君      中曽根弘文君     長尾 立子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉村剛太郎君     理 事                 沓掛 哲男君                 平田 耕一君                 勝木 健司君                 小島 慶三君     委 員                 太田 豊秋君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 田村 公平君                 長尾 立子君                 林  芳正君                 足立 良平君                 加藤 修一君                 木庭健太郎君                 平田 健二君                 前川 忠夫君                 梶原 敬義君                 山下 芳生君    国務大臣        通商産業大臣   堀内 光雄君    政府委員        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        岩田 満泰君        中小企業庁長官  林  康夫君        中小企業庁次長  中村 利雄君        中小企業庁指導        部長       永谷 安賢君        中小企業庁小規        模企業部長    寺田 範雄君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一月十四日、阿部正俊君及び鈴木政二君が委員辞任され、その補欠として木宮和彦君及び斎藤文夫君が選任されました。  また、本日、木宮和彦君、中曽根弘文君及び大木浩君が委員辞任され、その補欠として太田豊秋君、長尾立子君及び田村公平君が選任されました。     —————————————
  3. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 勝木健司

    勝木健司君 堀内通産大臣、あちこちで御苦労さまでございます。  けさの新聞等々で、十月の倒産件数は十一年ぶりの高水準であると、また一月から十月までの負債総額も過去最悪だった九五年の年間実績を上回ったという報道がなされておるわけでありますが、最近の特に中小企業景気状況につきまして御報告をいただければというふうに思います。
  5. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先生の御指摘のように、中小企業倒産件数は非常に厳しいものになっております。先ほどの御指摘のように、本年十月の倒産件数は一千六百四件に達しておりますが、そのうち一千五百九十五件が中小企業倒産となっておりまして、最近五カ年間の中小企業平均月間件数が一千百三十三件であることを考えますと、中小企業倒産件数は依然として高水準に推移をしているということが言えると思っております。  また、現在の倒産件数の内訳を見ますと、販売不振、赤字累積等を主因とする不況型の倒産件数が約六割を占めている状態になっております。こういう中小企業を取り巻く厳しい状況を踏まえまして、今後とも中小企業倒産動向について注視をしていく必要があると考えております。  こうした厳しい状況対応するために、倒産関連特例保証制度倒産防止対策などにより中小企業倒産防止に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  6. 勝木健司

    勝木健司君 中小企業の業況が非常に厳しいという御報告をいただいておるわけでありますが、こうした中で民間金融機関が今貸し渋りを行っているというふうに言われておるわけであります。そういう意味で、貸し渋りの実態把握等々について、日本商工会議所からも出されておりますけれども、つかんでおられましたら御報告をお願いしたいというふうに思います。
  7. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 現在、民間金融機関では、BIS規制を超えるためとかいろいろ資産内容の充実のために、結果として貸し渋りがあらわれていることは確かでございます。そういうような状態でございますだけに、中小企業に対しての貸し渋りをしっかりと受けとめていかなければならないと考えておりまして、最近の中小企業景況低迷の中で資金繰りがますます厳しさを増してきておりますし、年末に向かっての大変重要な時期でございます。  こういう時期でございますだけに、中小企業の厳しい状況を踏まえて、本日は政府として経済対策を決定いたしたところでございます。その中で、中小企業のための金融対策につきましては、政府系金融機関の本店、支店及び信用保証協会に即時特別な相談窓口を設置いたしまして、貸し出しあるいは保証手続迅速化を行う、一定の条件のもとでの返済猶予など今まで貸し付けている既往の債務に対する適切な対応も行う、また金融機関との取引に著しい変化が生じたために資金繰り支障を来すおそれのある中小企業者に対する別枠の融資制度を設定いたしまして、十二月一日から実施いたすことにいたしております。  例といたしましては、国民金融公庫の小企業等経営改善資金、いわゆるマル経という資金でございますが、この資金につきましては平成十年度末までの間、特別枠の設置をいたしまして、現在六百五十万円でありますか、さらに一千万円まで無担保保証の枠を広げてまいることにいたしております。  また、中小企業信用保険法特例保険に関しましては、小売関連業、建設関連業種等低迷している業種について対象業種を拡大いたしまして、普通倍額までの保証をいたす業種がございますが、その中には小売業建設業が入ってございません。それを特に加えまして、保険限度額をそれまで含めて倍額にするように措置を講じたところでございます。  また、経済対策に加えまして、政府系金融機関担保徴求のさらなる弾力化をしていこうということで、私の方から事務局に具体的な検討を指示いたしてきたところでありますが、今回、事業実績やその将来性から見て償還に懸念のないにもかかわらず担保不足原因資金調達に困難を来している中小企業、こういう業者に対しましては担保徴求について弾力的な運用を行うことといたしました。  当省としては、中小企業状況に関する情報収集中小企業対策に係る連絡調整を行うための体制整備を図りまして、政府系金融機関及び信用保証協会との連携をしっかりとりつつ、中小企業対策に万全を図ってまいる覚悟でございます。
  8. 勝木健司

    勝木健司君 中小企業対策、しっかりとよろしくお願いしたいと思います。  次に、倒産防止共済の問題について触れたいと思います。  先日、ある雑誌によりますと、建設会社連鎖倒産を防止するために倒産防止共済に加入し、取引先倒産したため申請したところ、審査に時間がかかり過ぎて結局倒産してしまったということであります。また、その背景には倒産防止共済を悪用する詐欺の多発があるとのことでありますが、このような事実が存在するのか否かを含めまして、事実関係についてお聞かせをいただきたいと思います。
  9. 寺田範雄

    政府委員寺田範雄君) ただいま先生指摘いただきましたように、中小企業倒産防止共済制度、これは取引先企業倒産したということに関連しまして、その企業に対して売り掛け債権がある企業がそれを回収できないということに伴って連鎖倒産をするおそれがある場合、それを防止するために、この制度にあらかじめ加入していただいている中小企業方々相互扶助に基づきまして掛金を拠出していただきまして、それをもと共済金貸し付けを迅速に行うという制度でございます。  それで、この制度は、こういった制度趣旨にかんがみまして、貸し付けに関する事務というのはできる限り簡易かつ迅速に処理するということを基本にしておりまして、これまで多くの中小企業者方々経営の安定に大いに貢献してきているところでございます。ただいま現在、およそ四十七万人の中小企業方々がこの制度に加入しておられるという現状にございます。  しかしながら、ただいま先生の方からも御指摘ありましたように、昨年に至りまして、できるだけ簡易迅速に手続を進めるというこの制度を悪用し、あるいはまたそれを逆手にとって虚偽の請求に基づき不正に共済金貸し付けを受けようとするという事件発生いたしました。そういったことを機に、共済金貸し付け請求を受けました際の貸し付け審査、これを強化するというようなことを昨年の夏以来とってきているところでございます。そういったことから、審査期間に若干の期間を要するようになったということは事実でございますし、またこの審査期間の間に不幸にして倒産されてしまったという事例も現に存在するわけでございます。  実際、倒産されるときの原因というのはいろいろな原因が複合化しているケースが多いわけでございますので、必ずしもこの審査期間の延長に伴う倒産かどうかということは私ども判定できないわけでございますけれども、いずれにしましても、できるだけこういったようなことがないように、引き続き審査期間迅速化といったようなことに最大限の努力をしているというところでございます。
  10. 勝木健司

    勝木健司君 当初はこの審査は二週間程度下あったというふうに聞いておりますし、またこれまでの商工委員会会議録を読んでみましても、それでも遅過ぎるんじゃないか、遅いからもっと早くしろという論議が行われていたように思います。詐欺事件を防止するためのチェックを強化するのは当然であるというふうに思いますから、それによって審査が遅くなってまた正規の共済組合加入者制度を活用できずに倒産をしてしまうという事態はぜひとも回避する必要があるというふうに思うわけであります。  そこで、実際にこの審査期間が短縮されるような格段の措置をぜひこの際とっていただきたいというふうに思うわけでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  11. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 中小企業倒産防止共済制度貸し付け審査状況につきましては、本年度から担当の部署の拡充、審査員増員等を実施しているところでございますが、今後とも審査期間の短縮に一層努めてまいると同時に、先生の御指摘のような問題のないように真剣にこの問題に取り組んでまいりますことを申し上げます。
  12. 勝木健司

    勝木健司君 次に、中小企業組合制度についてお尋ねをしたいというふうに思います。  今回の法改正対象となっております中小企業組合制度の問題は、二つに分類をされるんじゃないかというふうに思います。その一つが中長期的な課題でありまして、その二つが緊急に対処しなければならない課題でありまして、今回の改正はそういう意味では二つ目緊急課題対応したものと私は理解をいたしております。  そこで、まずこの中長期的課題、すなわち組合制度の根本的な課題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  堀内通産大臣及び林中小企業庁長官は、衆議院のこの前の商工委員会でも、現行組合制度自体にも問題があるということで認識をされておる、そして遅くとも二、三年で対応したいという答弁をされておるわけでありますが、まずこの現行組合制度においてどのような点について問題があると認識をされておるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  13. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 現在、中小企業関係組合の総数は約四万九千に上っております。また、毎年九百前後の組合が新設をされているわけであります。したがいまして、組合制度に対する中小企業ニーズは引き続き非常に強いものがあるというふうに考えております。  しかしながら、中小企業等協同組合法昭和二十四年にでき上がったものの、成立から四十八年たちました。中小企業団体組織に関する法律昭和三十二年に成立をしたわけでありますが、四十年が経過をしておりまして、中小企業組合を取り巻く経済環境も大変大きく変化をしてきているわけでございます。  具体的な問題といたしましては、産業構造変化など近年の急速な環境変化に伴いまして、一部の組合遊休資産発生によって財政的基盤が危機に瀕しているのもございます。その一方で、組合員の新分野進出あるいは事業多角化への支援商店街組合等による空き店舗への新規店舗の開設といったような組合に対する新たなニーズ発生をいたしてきております。  今のこうした変化に緊急的に組合制度対応できるように通産省として今回の法案を提出したわけでございまして、これによって抜本的解決が図られたとは思っておりませんが、喫緊の課題としての取り組みというふうに考えております。
  14. 勝木健司

    勝木健司君 中小企業政策審議会組織小委員会中間取りまとめに重要な事項が指摘されておるわけであります。それは、最近の中小企業を取り巻く経済環境変化一つとして、規模メリット、「「規模経済」の重要性相対的減少」を挙げている点でございます。  この中間取りまとめによりますと、いわゆる消費財を中心とした規格品大量生産型分野から、資本財生産財における小ロット、高付加価値品型の生産分野及び消費財におけるニッチ市場すき間産業ニュービジネス分野への移行が見られる。こうした状況の中で、企業価格競争力を確保するために、規模経済よりも需要動向あるいは国際競争情報化等競争環境変化への迅速な対応が必要となるというふうに述べられておるわけでございます。  このことは非常に私は重要なポイントであるというふうに思います。なぜなら、もともとこの中小企業組合というのは、共回生産、共同販売といった手段によりまして規模利益を獲得することをベースにしております。ところが、このメリットが相対的に減少しているということでありますから、まさに経済環境変化組合制度の根幹を揺るがしておるということであります。この点についての大臣の御認識対応策についてお伺いをしたいというふうに思います。
  15. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 今、先生おっしゃいましたように、組合制度、これは歴史的に申し上げますと、いろんな経営資源制約がある中小企業者が何社か集まって規模利益を追求する、あるいは大企業に対するカウンターべーリングパワーと申しますか、対抗力を獲得するという目的でつくられたものでございます。ただ、おっしゃいますように、経済環境が非常にドラスチックに変化している中で、規模利益だけ追求していていいのかという問題が出てきているということだろうと思います。  今、先生が読み上げられました組織小委員会報告書の中でも指摘しておりますけれども、例えば組合の能力を活用して高度な技術をどうやって活用していくか、そのために組合をどういうふうに使っていくか、そういうふうな問題がありますし、あるいは経営資源にいろんな制約がある中小企業が新しい製品とか何かを開発していくためには、まさに戦略的連携と申しますか、アウトソーシングと申しますか、そういうことでいろんな連携を強めていくということが重要なんだろう。  そういう方向に対する支援をどうしていくのかとか、あるいは組合以外の中小企業者連携の形態に対する支援というのをどうしていくかとか、そういうような新しい課題というのが指摘されているということでございまして、私どもとしてもこの指摘を踏まえて抜本的な部分についての適切な見直しというのをやっていきたいというふうに思っております。
  16. 勝木健司

    勝木健司君 衆議院商工委員会でも、見直しを、遅くとも二、三年で対応策をまとめるというふうに、そういう趣旨のことを答弁されておったというふうに思いますが、そうした対応では現在のこの経済環境変化対応できないんじゃないか、本当に大丈夫かというふうに心配をいたすわけでございます。  中間取りまとめに触れられておるような特に経済環境変化情報化という変化に極めて重要な側面を持っておるわけでございますので、そういう意味で、こうした長い時間をかけて対応策をまとめると、二、三年というのが長いかどうかということでありますが、そういうことよりもむしろもっと迅速な対応というのが今求められておるんじゃないかというふうに思いますが、その点について、大臣、いかがでしょう。
  17. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ただいまの御指摘のように、中小企業政策審議会組織小委員会報告による緊急に講ずべき措置ということでこの問題が出ております。こうした報告もとにいたしまして、やはりこれからの新しい方向に向かっての根本的な対応策を考えていかなければならないということで、ただいまの先生のおっしゃるように二、三年とかいう数字はございますが、私はその前にまくら言葉としてできるだけ早くということを申し上げているわけでございまして、そういう意味で私の気持ちとしてはもっと早く考えておりますが、事務的な問題その他ございますので多少の余裕はあるというふうに考えております。
  18. 勝木健司

    勝木健司君 二、三年でできるだけ早くということでありますが、実情把握とか資料の作成・収集法案の準備などにも確かに時間がかかるということは理解できるわけでありますけれども、やはり改善できる点もあるのじゃなかろうか。  例えば、審議会審議あり方審議方法についても、中小企業政策審議会だけではなくその他の審議会にも当然当てはまることでありますが、結論が出るまでに通常半年ないしは一年を要してしまうわけでございますので、場合によっては、報告書が出されるころにはその前提が大幅に変わってしまうということも出てくるんじゃないか、間々あろうかというふうに思います。  したがって、問題の緊急性とかあるいは重要性に応じてそういう審議会集中審議を行うという方法とか柔軟に変化をさせていく必要があるというふうに思うわけでありますが、その点も含めて、審議会あり方についても大臣の御所見を賜りたいと思います。
  19. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 審議会での審議あり方でございますけれども、これは先生がおっしゃるとおりでございます。  今回の組織小委員会報告でございますけれども、実は八月二十日に第一回目の会合を開きまして、それ以降四回ほど御審議いただきまして、九月二十日に一応今回の改正のバックボーンになりました報告書というのをお取りまとめいただいております。全く繰り返しになってしまうんですけれども、議題緊急性でありますとかあるいは重要性について各委員の意見を伺いながら適切に判断していただくことができますように十分配慮することが必要であると思っております。  したがいまして、正味一カ月と十日で四回の会議をこなして、今回の緊急に対応すべき部分についてこうやって法律改正をお願いしているということでございます。
  20. 勝木健司

    勝木健司君 次に、今回の法改正案に関しましてお尋ねをしたいと思います。  組合の遊休化している施設組合員以外の者の利用を許す範囲を百分の二百に拡大するという員外利用制限比率の緩和についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  衆議院商工委員会でも指導部長は、運営が困難になっている事例をサーベイしてこの比率を出したということでありますし、また組合施設の三分の一を組合員利用していれば相互扶助性は保たれるという答弁をされたと議事録に載っておるわけであります。前半の事情、実情については優先しているんだということで理解はできるわけであります。後半の組合施設の三分の一を利用していれば相互扶助性が保たれるという点についてはなかなかそう割り切れないんじゃないか、理解できないというふうに思いますので、その辺の根拠についてもう一度お伺いしたいというふうに思います。
  21. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 今回の員外利用特例でございますけれども、組合員組合事業利用が減少し組合事業運営に著しい支障が生じた場合に、その残った組合員のために組合事業を維持継続させるという目的でやっております。そういうことのために必要な期間に限って認められるという体裁になっております。  そういうことでございますので、具体的に申し上げれば事業の三分の二ということで、相当程度組合員以外の者が利用をするということになったとしても、組合員相互扶助組織たる組合の行う事業としての性格というのは保たれるのではないかというふうに思っております。  それから、御参考までにでございますけれども、森林組合法でありますとかあるいは水産業協同組合法におきましても、一部の事業につきましては非組合員利用組合員利用量の二倍まで認めるという、そういう先例もあるということでございます。
  22. 勝木健司

    勝木健司君 この百分の二百という比率については、確かに今おっしゃいましたように他の法律にも例があるということで、森林組合法とか水産業協同組合法にも書かれておるわけであります。しかし、この水産業協同組合法の中では、員外者利用組合員利用を上回ってはならないということを原則ということで規定しておるわけでありまして、そういう意味では組合員利用よりも員外者利用が上回る比率というものはやっぱり例外中の例外じゃなかろうか、そういうふうに考えるべきだというふうに私は思うわけであります。  中小企業者のために支援をして施設などを建設したにもかかわらず、実際に利用しておるのは大半が大企業であったという事態も生ずる可能性があろうかというふうに思います。そういう意味で、この利用比率というのは、現在の組合の窮状を救うための緊急避難的な措置というふうに私は理解しておるわけでありますが、そういう理解でよろしゅうございますか、どうですか。
  23. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 全くおっしゃるとおりだろうと思います。  まさに、ある意味では今の緊急事態対応するということで一定認可ということにかからしめるわけですけれども、認可前提にこういう特例を認めたいということでございます。
  24. 勝木健司

    勝木健司君 例外的な措置ということで考えますと、員外者利用組合員利用を上回っている状況が常態化しないように施策を講じていくことが重要であろうかというふうに思います。場合によっては、員外者利用組合経営基盤にとって不可欠のものとなる可能性も当然生じてこようかと思うわけであります。  そこで、今回の改正案において、主務大臣ないし行政庁判断することになっている「やむを得ない事由」並びに「当該事業運営に著しい支障が生ずる場合」について、その判断基準について具体的にお伺いしたいというふうに思います。
  25. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) やむを得ない事由というのは何か、その判断基準が何かということについてでございます。一番端的に申し上げれば、組合員の脱退というのがそういう例になるのだろうと思います。そういうことで、まさに組合員事業変化したことに伴いまして組合事業利用が減少する、組合自身の責任に帰すべきでない事由によるというのがやむを得ない事由の具体的な判断基準になろうかと思います。  それから、運営の著しい支障というのは何かということでございます。これは非常に単純化して考えますと、例えば組合員が半分になりますと一組合員当たりの利用料というのは二倍になるわけです。組合員が三分の一になりますと利用料が三倍になる。非常に単純化して申し上げますとそういうことです。それが今の状況の中で、まさに利用料が二倍になり三倍になりといったときに事業の継続が図られるのかどうかという問題になってくるのだろうと思います。そういうことで、運営の著しい支障が何かということですけれども、組合組合員に対して事業の妥当な利用料を設定することが困難となる、その結果としてその事業の継続が困難となるというようなメルクマールを想定しております。
  26. 勝木健司

    勝木健司君 さまざまなケースが存在するだろうということは十分わかるわけでありますけれども、そこでやはり行政庁の恣意性が高まる危険性というものもなきにしもあらずということで、私はそういう意味で、組合運営の適切化に向けてのガイドラインというものを作成したらどうか、そしてそれを公開していただくことも必要じゃないかというふうに思うわけでありますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  27. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 基本的にはおっしゃるとおりだと思います。  組合の多くの場合には所管行政庁が都道府県知事となっております。したがいまして、その所管行政庁が都道府県知事という場合には、員外利用特例認可についても、認可を行う主体というのは都道府県知事になります。  私どもとしまして、実際の運用に当たって、組合の所管行政庁たる都道府県の意見も聞きながら、御指摘のように認可の際の判断基準について一定の考え方を示していきたいというふうに思っております。
  28. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ただいま御説明申し上げましたように、実際の運用に当たっては、組合の所管行政庁である都道府県の意見が尊重されるということでありますので、都道府県が行動を起こす際に、認可の際の判断基準のようなもの、これはやはり当省の方から考え方としての方向づけ、ガイドラインとなりますか、そういう基準を示しておきたいというふうに思っております。
  29. 勝木健司

    勝木健司君 次に、新分野進出への支援についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  中小企業政策審議会組織小委員会中間取りまとめの中で、「現に組合員が行っていない事業分野に組合員が進出することについて支援するために、組合事業を行うことは、本来の組合制度からは許容できないとの考えも根強く存在する」、そういう記述がされておるわけでありますが、この点についての小委員会での議論の経過等について教えていただければ幸いだと思います。
  30. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 現行法のもとで、今組合が実際やっている資格事業に関連する事業については組合として支援できるということでございます。それを今回の改正におきましては、まさに組合員自身がある意味では生き残りをかけていろいろなトライ・アンド・エラーをやるということでございますので、新しい分野に進出を行うという場合には、新分野が何であるか、そこは問わずに、一般的に新分野進出に対して組合として支援できるようにしたいというふうに考えております。  昨今の状況にかんがみまして、今回の組織小委員会での御議論においても、まさに緊急にそこをきちっと組合としてできるということを明確にすべきであるということで、委員の意見の間でコンセンサスを見たということでございます。
  31. 勝木健司

    勝木健司君 冒頭私も申し上げましたけれども、現在の中小企業者を取り巻く環境はかつてないスピードで非常に変化しておるわけでありますので、そうした急激に変化している環境の中で、新分野へ進出する支援主体として組合が十分機能できるかどうかという点についても当然議論をしておく必要があろうかというふうに思いますが、その点いかがでございますか。
  32. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 事業協同組合だけで申し上げましても、ストックベースで今三万九千の組合がございます。そういうことで、中小企業組合の数というのは非常に多うございます。そういう組合の中で高い能力を有し、それから組合員の新分野進出支援をしたいとしている組合というのもいっぱいあるということでございます。  全国中小企業団体中央会が平成八年の三月にやった調査でございますけれども、約二二%の組合組合員の新分野への進出を進出先の分野の制限なしに支援したいという意向を持っているということでございます。  この二二%という数字が大きいと見るのか小さいと見るのかという話ですけれども、組合というのは本来組合事業をやっていくというのが目的でつくられたものでございますので、そういう組合の五組合一つ組合以上が新しい分野に進出したいということを言っているというのはかなりなものがあるんじゃないかというふうに思っております。
  33. 勝木健司

    勝木健司君 最後に、堀内通産大臣に見解をお聞きしたいというふうに思います。  本年の四月に商工中金の商工総合研究所がまとめられました「二十一世紀の中小企業ビジョン」の中で、二十一世紀に活躍する中小企業組織化戦略として、「情報基盤を整備し、内外に情報ネットワークを構築する」、「企業間ネットワークや協同組合組織を活用する」、この二点を挙げておるわけであります。前者は、インターネットによる電子商取引など新しいテクノロジーに基づいて発展しつつあるネットワークであろうかと思いますし、後者は、組合制度などの長い歴史の中で発展してきた企業間ネットワークを指しているというふうに思います。  このように、もともと別次元で発展してきた企業間ネットワークでありますが、その二つをそれぞれのメリットを生かしながらうまく組み合わせれば、組合というのも活性化させることができるし、また組合離れを抑止することも可能ではないかと思うのでありますが、この点についての堀内大臣の見解を求めたいと思います。
  34. 中村利雄

    政府委員(中村利雄君) 御指摘のように、中小企業が今後の経済構造変化の中で生き抜いていくというためには、やはり外部のいろいろな経営資源というのを十分活用していくということが必要だろうと思います。  その場合のポイントが、御指摘ございましたような情報ネットワークを構築するとかあるいは多様な企業間のネットワークを構築していくということでございまして、これは今後の組織化政策の中で組合の果たす役割は大きいものだというふうに思っております。もちろんこれは組合員以外の方々にとっても重要な要素だと思っておりまして、私どもとしましても、情報化のためのいろいろな施策でございますとか、あるいは組合がいろいろなマッチングをするというふうな形で仲介の労をとるとか、いろいろな形で既にそのための取り組みを始めているところでございますが、今後一層それを強化してまいりたいと考えております。
  35. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先生の御指摘のように、情報ネットワークの構築だとか企業間ネットワークの活用、こういうものが大変重要になってまいります。  高度化するネットワークの環境組合の役割という問題についての御提案がございましたが、全く貴重な御意見でございまして、組合においても組合員情報化支援するための積極的な取り組みを行うことが必要であると考えると同時に、中小企業が戦略的な連携を構築する上で、組合中小企業間の情報の仲介をしたり、あるいは多様な連携促進をする機能を果たさなければならないと思いますし、その促進あるいは支援中小企業庁、通産省はしっかり行ってまいりたいと思っております。
  36. 勝木健司

    勝木健司君 ありがとうございました。終わります。
  37. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 大臣には、あちこちの委員会をかけ持ちで大変御苦労さまでございます。  本題の方に入る前に、先ほど勝木委員からも若干関連をして質問がありましたが、現在の中小企業をめぐる環境についてお聞きをしたいと思うんです。  先ごろ発表されました経済企画庁の月例経済報告でも、景気は停滞局面、こういう表現が実は使われております。その際のさまざまな最近の経済指標を見ておりましても、実は中小企業の経常利益の水準というのは、特に私の場合には製造業というところに視点を当ててみたいと思うんですが、製造業においては依然として大企業利益率に比べて中小企業利益が非常に少ない。  もちろんこれはすべてではないんですけれども、これまでの商工委員会の中でも何度か質問をさせていただいたんですが、平成七年当時に円が急騰いたしまして八十円を切るというような事態が一時ございました。このときに、輸出産業を中心にして、特に部品産業に対してはかなりシビアな価格引き下げの要請なり注文がつきまして、それまでは例えば三%とか五%という単位、オーダーだったものが、一〇%とか二〇%とかあるいは中には三〇%というような単位での価格の引き下げの要求が出てまいりまして、大変悲鳴を上げたということが実はあったわけです。もちろん、商取引ですから、例えば三〇%の引き下げであってもそれに耐えられたところはそれなりに耐えたんでしょう。しっかり頑張っているところもあるわけです。  問題は、その後、今、円安に振れています、百二十円台の半ばで。これが落ちつくかどうかの議論はちょっとおきます。ところが、これだけの円安になっているにもかかわらず、価格は一向に戻らない。このことが中小においては、仕事の量はふえた、量はふえたけれども要するに利益が上がらない。利益が上がらないということは、次の投資、もちろん人に対してもそうですし、あるいは設備に対してもそうですし、あるいは研究開発にしてもそうなんですが、そういうことに対する投資の余力というものが失われていく。私はこのことを一番実は心配をしているわけです。  確かに、下代法であったり、あるいは振興基準であったり、いわゆる商取引上のユーザーと下請あるいは部品供給のメーカー、中小企業との間のさまざまな仕組みはつくっていただいています。しかし、ほとんどが話し合いなんです。話し合いにおいて大手と中小との力関係がどうなるかというのは、これは自明の理であります。こういう実態をそのままに放置をしておいて、中小企業に対して一体本当の意味で通産省というのは力をかしてくれるのかという、実は悲鳴が上がっているんです。  このことについての大臣の所感をひとつ最初にお伺いをしたいと思います。
  38. 中村利雄

    政府委員(中村利雄君) 先生が御指摘のように、最近の中小企業の景況でございますけれども、日本全体と比べまして非常に悪い業況にあると思います。それは業況だけではなくて、売り上げ、経常利益、いずれも悪い指標を示しておりますし、特に製造業では大企業との格差が広がっているということでございますし、また非常に構造的な変化の中で、例えば下請中小企業なんかにおいては、下請への依存度というのも、一社に対する依存度でございますけれども、こういうものも低下傾向にあるということでございまして、やはり今後の中小企業施策の行き方といたしまして、より自立した強固な中小企業をつくっていくという方向をもって対処する必要があると思っております。
  39. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 そこで私は、中小企業の問題で一番、ある意味では曲がり角、いわゆる橋本総理が言う経済改革の中で大変大事な問題は、これまでのいわゆる高度成長期といいますか、産業や経済が発展をしてきた過程というのは、ある意味ではいい循環を私はしてきたと思うんです。  例えば大企業は大企業なりの役割がある、そのすき間を中小企業が埋める、あるいは小回りのきく部分中小企業がカバーをする、あるいは部品供給をしていく、こういう仕組みがあったり、あるいは新しい製品が仮に生まれる、最初のうちは小さな企業でスタートをしても、ある程度その製品が国民の間に受け入れられる、販路が広がるとそれが大企業化をしていく、こういう仕組みというのがあったと思うんです。それなりのやっぱり技術も開発をされていった。そういう意味では相互補完の関係というのはうまくいっていたと思うんです。  ここ数年、大企業中小企業の分野に進出をする、もしくは、いわゆる子会社化し分社化をして、本来中小企業がカバーをすべき分野まで大手の企業が手を伸ばしている、こういう傾向が非常に顕著に見られるんです。これは何も製造業だけではありません。  そこで、私が問題だと思うのは、そういう状況の中で一体中小企業というのはどういう生き残り方あるいは生き残るすべがあるんだろうかというふうに思うんです。これは、ただ単に一つ企業の問題だけではなくて、例えば物づくりをしている産業にしてみますと、この今度の改正案のベースになっている中小企業政策審議会の中でも製造業の空洞化、物づくりの空洞化ということが指摘をされているんですが、例えば転業をしてしまうということになれば、例えば新分野に進出をしていくということになれば、それまでの固有の技術というのはそこで途絶えてしまうわけです。  確かに今度の改正案の中でも、新分野進出に対しての支援をするという仕組みが一応できております。このことは結構なんですが、それまで持っていた技術はどうなってしまうのかという問題。いや、それでも何とか引きとめておくということになるのか、あるいは別な仕組みの中でそれを救っていくのか。あるいは転業しましょうといったって、先ほど申し上げたように、そう簡単に人も集まらない、あるいは技術もそう簡単にはなかなか集積はできない、また海のものとも山のものともつかないような新製品にそう簡単に銀行も融資をしてくれない。ある意味じゃ三重苦みたいな状態に置かれるわけです。  そういう中で、今政府が言っているところの経済改革の中で、中小企業の本来の役割というのを一体どのように行政の側として考えていくのか。この辺の基本スタンスがはっきりしていないと中小企業は頑張りようがないんです。ぜひその辺についての大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。
  40. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 御指摘のように、我が国の中小企業は六百四十七万事業所でございまして、全体の九九%になりますし、従業員数も七八%と大変な大きなウエートを占めておりまして、これが揺るぐということは日本の経済が揺るぐことになってまいります。そういう意味で、我が国経済の基盤でありますし、活力の源泉というふうに認識をいたしております。  それだけに、この中小企業対策というものにしっかりと取り組まなきゃならぬと思うんですが、一方では、今日本の経済が大きな転換期に直面をしている。大変な構造改革をしなければならない時点になってきておりまして、この構造改革の中で、企業の活性化、それから新規産業の育成、新しい事業分野への参画、今のような開業率が閉店率を下回るような状態から新しい活力のある経済に転換をしていかなきゃいかぬという、その構造改革をしているわけであります。  やはり物をつくるという基本が崩れてしまうと日本の国の経済はだめになりますので、そういう意味で、経済構造改革の中で、ベンチャービジネスヘの支援を行ったり新しい事業の開拓に協力をしたりしながら、そして活力をふやし経済の拡大を図った中で、中小企業の存在がさらにそれに引き続いて伸長するというような、そういう流れをつくり出してまいりませんと、ただ、今の大企業、メーカーがリストラをしたり合理化をしたりした中で、どうやって今の中小企業を救っていくかというようなことは、なかなかこれは至難のわざだというふうに思います。  そういう意味合いで、今の構造改革に向かっての全力を挙げての取り組みというのが第一の手段だというふうに思っております。そのために、今の二〇一〇年に向かっての構造改革に対しての新たな事業の創造、雇用の創出、市場の拡大、そういうものについての対策を取りまとめて発表いたしましたが、そのスケジュールを追っていくということ以外にはないんではないかというふうに考えて、同時に、それまでの間、中小企業に対してはあらゆる方法をとりながら、生き長らえていくというか、頑張っていただけるような対策、融資の面だとかあるいは中心市街地の問題だとか、組法の問題だとか、新しい方向に発展するための応援だとか、そういうことにひとつ力を入れて頑張ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
  41. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 もちろん、本来は経営者が努力をし、新しい時代にふさわしい製品を開発する意欲というのもやっぱり経営者自身が持つことが私は基本だと思います。  ただ、そこでちょっと通産省自身の見解を一つだけお聞きをしておきたいのは、この中間報告の中にもあります商業の空洞化の問題です。私どもも大店法の問題は非常に関心を持っておりまして、大店法と市街地活性化法の問題とが相入れるんだろうかという視点でさまざまに党内でも実は議論をしているわけです。お聞きをするところ、「来年の通常国会にはまた新たな仕組みをひとつ考えてみたい」というお話も承ってはいるんです。  問題は、例えばこの大店法についても規制緩和の一環として、つい先ごろもアメリカから完全にこれを撤廃せよというあれがあったというようなニュースが流れておりましたが、通産省自身としてこの大店法をさらに緩和をしていくというスタンスなのかどうなのか、その辺についてひとつお伺いをしておきたいと思いますが、いかがですか。
  42. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 先生もう御案内のとおりと思いますが、現在、産構審と中小企業政策審議会の合同会議で議論をいたしておりまして、なお引き続き積極的な御審議をお願いしているところでございます。  御案内のとおり、大店法の扱いにつきましては、廃止をしろという意見から規制緩和反対という意見まで大変幅広い意見が寄せられておりまして、そういった中で、今御指摘のようなアメリカにつきましては、これは合同会議にも米国政府の意見書として既に提出されている内容でございますけれども、そういった意見が寄せられておるわけでございます。  アメリカの意見も幅広い意見のうちの一つということで私どもは受けとめさせていただくということにいたしておりますが、いずれにいたしましても、大変難しい幅の広いもろもろの御意見がある中でございますので、審議会でもう少し議論を重ねさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  43. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 緩和をせよという意見、あるいはもうこれで勘弁してくれという意見、さまざまあるんだろうと思うんです。問題は、例えば外国から、つまりアメリカからそういう圧力がかかったとか、あるいは消費者からそういうニーズが高まったとか、さまざまな条件があると思うんです。  あると思うんですけれども、行政、つまり通産省として、市街地活性化という、いわゆる町の商店街を何とかしょうということを考えながら、なおかつ今度は大店法をさらに緩めていくということは、時として二律背反するわけです。このことについてきちっとした行政としての整合性を持ったことをやってもらわないと、地域の商店街の人たちは一体行政というのはどっちを向いているんだということになるんです。  確かに、それは私どもだって例えば消費者の方から意見を聞けば、自分の身近なところに大きなスーパーができればそれは便利になりますよ。最近は駅の中心が必ずしも中心街ではなくなったとはいうものの、わざわざ駅の中心に出かけていかなくても済む。これは便利になります。けれども、反面、何かあったときに小まめに世話をしてくれるのは従来型の商店だというイメージもあるんです。  ですから、もちろんこれは最終的には個人のニーズの問題だということになるのかもしれませんが、やはり行政としてこの部分についてはこういうふうに変えていきましょうという柱のようなものがないと、今あれしたように、例えばアメリカから言われたからこうする、あるいは消費者から言われたからこうするでは実は困るわけです。ぜひその辺はきちっとしたスタンスを決めてやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、本題の今度の法改正の話なんですが、実は、例えば員外利用の問題につきましても、あるいは新分野進出に係る支援につきましても、私も今度の法案が出てきて初めて組合法やあるいは団体法の方も一通り目を通させていただいたんです。  確かに、税制上の問題や融資やあるいは補助というのでしょうか、そういうものがあるからさまざまな枠というのはかけておかなきゃならないというのはわかるんですけれども、あれを見ていまして、これは何か企業の活動を縛るための法律じゃないのかとすら思えるんです。例えば、員外利用なんというのはよほどでない限りはいいじゃないのと。何も主務大臣の、行政の許可を得なければできないとかということ自身が本来おかしいじゃないかというふうに私なんかからすれば思うんです。  ですからそういう意味で、何でこんなことをやるのだろうか、それは何々があるからだと。それでは何々があることによって助かっているのかという反間をされた場合にどんなふうなお答えをされるのか、そのことについてお聞きをしたい。むしろ、このことが逆に行政のひもつきの協同組合みたいになっているんじゃないかというような感じがするんですが、いかがでしょうか。
  44. 林康夫

    政府委員(林康夫君) 御指摘のように、組合が会社と異なってさまざまな制約もとに各般の優遇措置を享受している、こういうことは事実でございます。  実は、組合に私企業と同様に自由な経済活動を一般的に認めるというのは、先生も御指摘されましたように、いろいろな税制上の措置とかさまざまな優遇措置を踏まえるとなかなか難しい状況でございます。特に、相互扶助性とか組合の本旨もございますので、この性格が変わってもし私企業と同じようになった場合には、全く優遇措置のない私企業との競争とかそういった面でさまざまな問題が生じてくるわけでございます。  ただ、相互扶助性とか組合法の趣旨の許す範囲内であれば、可能な限り組合に自由な活動を認めたいというのが私どもの意図でございまして、組合組合員の活性化のためにそれは寄与することになるだろう、こう認識しております。  したがって、今回の改正組合が進出先の事業分野について制限なくできるとか、あるいは員外利用が相当大幅にできるとか、こういった改正をさせていただければかなり組合としては自由な活動ができるのではないか。基本論はございますが、この改正によってかなり大きな前進ができるものと認識しております。
  45. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 これまでこの法律に基づくさまざまな支援措置がそれなりの効果を上げてきたということを私は否定しているわけではないのです。ただ、先ほどからお話をしていますように、これからの企業活動というのが何か法律で定められた組合の中に入って、あるいは組合のさまざまな条件の中でしかできない、あるいはその条件の中で活動することによって生き残っていくという発想が本当にいいのかどうかという点は改めて私は見直していった方がいいのじゃないか。  今、長官がおっしゃったように、例えば税制上の問題がある、国の税金を使う以上はそれなりの基準がなければならぬというのはわかるんです。わかるんですけれども、そのことで逆に縛っている部分があるんじゃないか。私は、そういう意味では、もっともっと自由な発想でいろんな事業を行う、例えばこの問題についていろんな企業がぱっと集まって、ある目的を達したらぱっとまた解散して、また何かをつくり上げていくというような、企業でいえば一つのプロジェクト的な発想の新しい企業の組み合わせが自由にできるようなものをむしろ考えてやっていった方がいいんじゃないか。そのことの方が先ほどの、これからの中小企業をどうするんですかという問題についての答えにつながっていくような私は気がするんです。  官製のさまざまな仕組みの中へ企業を押し込めること自身が本当にいいんだろうかという思いが実はあるものですから、今回の法律そのものについて私は反対をするつもりじゃありませんけれども、これからの方向としてもう少し幅広な自由な発想で活動ができるようなものを考えられないかどうか。  ぜひこれは、民間企業で大変御苦労されておられます大臣の所感みたいなものをお聞かせいただければありがたいと思います。
  46. 林康夫

    政府委員(林康夫君) 組織形態を例えば組合から企業へ等々非常にフレキシブルに変えるとか、あるいは一たん集まって解散してまた集まる、こういったフレキシブルな対応は、企業としてメリットを受けないという形であればもちろん自由にできるわけですけれども、組合としても税制上のメリットはほとんどなしということで、企業組合といった制度とか組合が結束できる仕組みは現在の組合法のもとでもございます。  ございますが、御趣旨は恐らく、そういったものに対してもうちょっと前向きな対応ができるように支援措置も含めてやったらどうかという御指摘でございまして、この辺はまさに中小企業政策審議会組織小委員会でも大きな方向として指摘されているところでございますので、私どもも今後の検討課題として引き続き検討させていただきたいと思っております。
  47. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先生のおっしゃるお話、まことにごもっともな御意見だと思います。  何しろ時代がどんどん急速に変わってきておりますし、昔は商店街というのが大変な中心市街の中核をなして、しかもそこにみんな人が集まるような状態であったというようなところから、今のように歯抜けのような状態になったり、いろいろと新しい産業が起きたり仕事が起きたりしているような状態に合わせて考えるということになりますと、これは昔のものを手直しするというような程度のものでは追っつかないのかもしれないという気が私はいたします。  ただ、今度の場合は、緊急に講ずべき措置として、非常に今行き詰まっている商店街の組合をどうやって活性化させるかというような意味で考えますと、これはぜひとも御承認いただいて、とりあえずこれを進めさせていただくということでありますが、基本的な問題は今度、中小企業政策審議会組織小委員会などの方ともよくお話をしながら、抜本的な問題として考えていかなければならないものだというふうに思っておりまして、それがやはり商店街あるいは中小企業の活性化、将来に向かっての大きな一歩を踏み出すことになることではないかというふうに思います。
  48. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 終わります。
  49. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今回の改正案につきまして、全く賛成でありますし、私の地元の中小企業団体中央会、県の方にも問い合わせをしてみまして、専務理事が言うにはぜひやってほしい、こういう強い要望もありました。むしろ大臣、何で今ごろかと、遅きに失した感があります。この点についてお伺いしますのが第一点。  それから、私はこれで今十五年目にいっているのか、そのうちたしか十三年ぐらい商工委員会におりまして、通産省が出してきた法律や何かの審議もずっとしてきました。大体いろいろ見てみますと、この種の、逆に現実離れしたような、違うところにも法律の中に改正した方がいいようなところがいっぱいあるような気がしてなりません。この際、全体を一回見直すような作業をしてもらいたいと思うんです。それが二点目。その二つをお願いします。
  50. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先生指摘のとおり、今回の改正は、実態調査あるいは各中小企業団体などからの強い要請、要望に基づいてのものでもございますし、組合遊休資産の問題等が顕在化してきているとの認識を得たために、可能な限り早期に対応しなければならないということで本臨時国会において改正を行うことにしたものでありまして、これは緊急やむを得ざる措置として行ったものだというふうに御認識をいただき、また基本的な問題は改めて取り組みをいたしてまいりたいと思っております。  細部については中小企業庁長官の方からお話を申し上げます。
  51. 林康夫

    政府委員(林康夫君) 御指摘のように、さまざまな要望を受けてのことでございますけれども、特にバブルの崩壊後、急速に遊休資産問題が顕在化してきたという事実がございまして、それを実態調査の上で今回の臨時国会にお願いをした次第でございます。  なお、組合の基本問題につきましては、先ほどの大臣答弁でもございましたけれども、中長期的な中小企業組織化政策のあり方について今後検討を行う必要があると中小企業政策審議会組織小委員会報告書でも指摘されておるわけでございます。  その組織化というのが、中小企業者の基本的な重要な課題であるということは認識しつつも、現在の組合法に掲げている、特に中小企業の戦略的な連携を促進するためのネットワークの整備とか、あるいは組合以外の中小企業者連携形態への政策的な支援体系の確立、あるいは先ほど御指摘のあった組合から企業へのフレキシブルな移動の問題等について検討を行うことが必要だと考えております。  こういった点については先ほどの報告書でも指摘されておりますので、報告書指摘も踏まえつつ、今後とも制度の適切な見直しを図っていきたいと考えております。
  52. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、今の景気、経済の問題ですが、通告をしておりませんが大臣にお伺いしたいのは、先ほど言いましたように、私は一九八三年、昭和五十八年から国会に来まして商工委員会でもずっと議論してきましたが、今ほど経済の悪い環境のときはない。円が一時百四十円とか百五十円になったあの円高不況等、その他何回も経験してきましたけれども、経済状況は悪いんじゃないでしょうか。  それで一方では、財政を均衡させるということで今法案が出てもう財政は動けない。そういう状況の中で、橋本総理を初めとする閣僚の中では経済の見方が少し今硬直化しているんではないか。むしろ、今の財政改革法案にウエートを置きながら、景気というものについてはちょっと冷静な判断ができていないんじゃないか。従来からこういうときには、通産大臣が現場を一番よく知っているはずですから、通産大臣がやっぱり閣議や何かで率直に状況というのを報告して内閣全体が間違った方向に行かないように努力をすべきだと。ほかにやる人がいないから、その辺については通産大臣の仕事というのは今非常に重要な気がしてならないんです。違っていたらあれですが、お考えを承りたいと思います。
  53. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先生のおっしゃるとおり、大変今は厳しい状態だというふうに思っております。今までの不景気というのは、景気、不景気は大体循環型の中で回転をしながら、在庫の調整だとかそういうものが終わると景気がよくなるというものであったわけでありますが、今回のは全く違った景気の状態になってきているというふうに認識をいたしております。  特に、製造業の大企業は非常に成績がよろしい、それに伴うところの製造業の中小企業はまあまあ何とか成果を上げている。非製造業にいくと大変よろしくない、と同時に、それに従うところの中小企業はもう凍りついているような状態。ですから非常にばらばらな状態で、総体的にまとめるとやはり足踏み状態というか、回復基調にあるというような数字が出てくるというような、今までではちょっと類のない不景気といいますか、景気の状態ということになっているというふうに感じております。  これはやはり構造的な問題、日本の高コスト状態だとかそういうような、これから先に行って高齢化社会を迎える状態だとかいうものをいろいろ考えますと、ここの景気対策というのはやはり構造改革に取り組んでそれを実行していくというところに大きな問題があるのではないかというふうに私も思っているわけでございます。  ただ、中小企業をそのままおいておいたらこれは大変なことになるというふうに思いますので、私も今通産省の中で、構造改革を行う中でも中小企業問題については相当突っ込んだ取り組みをするように指示をいたしているところでございます。  やはりいろいろと外国の、今までのアメリカの例なども見ましても、構造改革に本当に取り組んでそれを実行したというところで初めて今の長期の景気が根本的にでき上がってきているというような面もございますので、御指摘をいただきましたが、景気対策として財政の出動ではなくて、ここはひとつ、景気に対する判断というものは非常に厳しいということの認識もとにでき得る限りの努力と対策を通産省としては行ってまいりたいというふうに思っております。
  54. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 よくわかります。わかりますが、大臣は通産大臣ですから、悪いんだと今、これをどうするかと。このままじゃ、これはほっておいたら大恐慌になる可能性だって、がたがたっといく可能性がある状況ですから、通産大臣は、悪い悪いと、早くどうかせにゃいかぬぞというのをしっかり言ってもらいたいと思うんです。  それから、信用保証協会、この前特別委員会でもちょっと申し上げましたが、地方の信用保証協会の枠をふやすのと、もうちょっと無担保というか担保がなくても、これは代位弁済をやるんだから少しハッパをかけて指導していただきたいと思うんです。  時間が来ましたから、もう答弁はいいです。
  55. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) おっしゃるとおり、幅を広げたり、建設業だとか小売業が今まで倍額の枠の広げる対象になっていないものを加えたり、御指摘をいただいたような問題について最大限の取り組みをいたして十二月一日から実施に移すようにいたしておりますので、その点、またいろいろ御指摘をいただく問題がございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  56. 山下芳生

    ○山下芳生君 私もまず、十九世紀の前半、ロバート・オーエンによって提唱され、今日の我が国の協同組合法にも受け継がれております協同組合の原理原則に照らして、本改正案について考えてみたいと思います。  私は、協同組合というのは、一人は万人のために万人は一人のためにというのが原理であって、哲学であって、そして具体的には、組合員みずからが出資をする、そしてみずから利用する、そして運営にも参加をする、これが原則であろうかと理解をしております。平たく言えば、組合員が主人公ということだと思うんです。実際、我が国の中小企業等協同組合法にも、組合員相互扶助目的とするということが明記されておりますし、特定の組合員利益のみを目的として事業を行ってはならないということも明記されております。  そこで、まず二点聞きたいんですが、第一は員外利用の問題であります。  現行法では、員外利用の制限率について通常であれば百分の二十、二〇%、そして組合員が脱退したために事業運営支障が生ずる場合は例外的に百分の百まで員外利用を認めているわけですが、今度の改正案は百分の二百、つまり組合員の二倍の員外利用を認めることになるわけであります。  私は、これは組合員相互扶助という組織原則から見るならば、これが一般的に拡大してしまうとその原則から外れてしまうんじゃないかという危惧を持っているわけですが、そうならないためのこの改正案の中に改正をするに当たっての措置、保障、これは例外的なんだというために行う手だてについてまず説明をいただきたいと思います。
  57. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 先ほども申し上げましたけれども、基本的にまさに例外の緊急避難としてこの措置をやりたいというふうに思っております。  そこに対する歯どめということでございますけれども、基本的には行政庁認可にかからしめるというところで一つの歯どめを置いているということだろうと思います。
  58. 山下芳生

    ○山下芳生君 先ほどの答弁にも細かく説明があったというふうに聞きましたので、ここのところは非常に大事な問題として私も提起をしたいと思います。  二つ目に、新分野進出についてですが、協同組合関係者の中からは、組合が行っていない事業分野に組合員が進出することについて支援活動を組合が行う、事業を行うということは、本来の組合制度からは許容できないんじゃないかという考えをいろいろ聞くことがあります。  私は、通産省がこれまでいろいろ通達を出された、こういう場合は許容範囲なんですよという考え方をお示しになっていることは重々承知しております。しかし、その上で、そうはいっても、本来の例えば組合事業とは異質の事業を行ったものそれがうまくいかなかった、失敗した場合はやはりリスクを組合が負うことになるわけです。そういうこともあり得ることを考えますと、これは慎重に組合として新分野事業への進出に対する支援事業というのを行う、選択する必要があると思います。  その点で、私は、組合民主主義といいますか、組合員が主人公という原点に立って、参加している組合員の合意がかち取られた分野についてそれが組合員全体の利益に合致すると、そうなった場合には新分野への進出の支援組合事業として取り組むということがあり得ると思うんです。しかし、そこに民主主義がなかったら、やはり一部の組合員利益のみに勝手に新分野の支援がやられて、その結果、リスクも我々は負担せんとあかんようになったということになったのでは、これは原則からの逸脱ということにもなりかねないと思います。その点、私は組合民主主義が新分野進出には表裏一体のものとして大事だと思うんですが、いかがでしょうか。
  59. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) まさに先生が今おっしゃいましたように、組合民主主義、組合というのは相互扶助ということと、それから一部の組合員利益に偏してはならないというのが大原則でございます。したがいまして、新分野進出というのを組合として支援するということにつきましては、当然のことながらまさに組合員のコンセンサスが必要であると、当然の前提だろうと思います。
  60. 山下芳生

    ○山下芳生君 以上二点を前提として確認した上で、次に移りたいと思うんですが、私は既存の組合の現在の組合活動が組合員ニーズにちゃんとこたえ切れているのかどうかということもやはり考えてみる必要があるのではないかと思っております。  この点では、協同組合の共同事業の問題点について商工中金が九六年七月に調査をしております。それによりますと、「共同事業利用が一部組合員に偏っている」と感じている組合員が五四・九%、それから「組合員ニーズが変わり利用率が低下」していると感じている組合員が三八・四%。つまり、少なくない組合員にとって協同組合の魅力が薄れているという事態があるということを直視する必要があるんじゃないかと思うんです。これが実態だと思うんです。  こうした中で、いろんな中小企業問題を研究されている学者、研究者の方の意見を聞きますと、今の経済情勢のもとで、不況のもとで、各組合員が各自の自社の将来展望をどう確立するか、それを援助する共同事業が今重要になっているんじゃないか。つまり、個々の組合員の自社の将来展望を確立するための援助ができるような組合の共同事業、これが大事じゃないかということをいろんな方がおっしゃっているわけで、これは魅力ある組合活動という点では非常に大事な指摘ではないかというふうに私も思うんです。  そこで、私、一つ具体的な事例を御紹介して大臣の御所見とそれに対する政府支援もお願いしたいと思うんです。具体事例の前に一つヒントになる問題として紹介したいのは、昭和六十一年以降に設立された組合の構成、これも先ほどの調査にあるんですけれども、六十一年以降ですから約十年余り前、この十年近くで新たに設立された組合の構成を見ますと、異業種関連組合が一二・〇%。これは、今日、組合全体の中での異業種組合比率というのは三・八%ですから、ここ十年間新しく生まれてくる組合として異業種間の組合というものが非常にふえつつあるというのが事実なんです。こここ私は、今の特こ中小製造業の組合に対するニーズ一つあらわれているんじゃないかと思うんです。  私が聞いてきた具体的な事例なんですが、私の地元であります大阪のナニワ企業団地というのがあります。これは、大阪市西成区、住之江区にあります金属加工が過半数を占める二百六十事業所が参加する異業種工場団地なんですけれども、ここの工場団地も御多分に漏れずバブル崩壊後大変不況にあえいだ。そこで、何とか不況を打開しようということで、いろんな事業の中の一つとして、仕事おこし、それから受注対策につながる宣伝活動に力を入れてみてはどうかということになりまして、取り組み始めたんです。当初は、団地周辺の電柱二十本に有料の看板を掲示してみたり、それから関係業界紙に広告を出してみたりしたわけですが、しかしいずれも費用の割に反応がいま一つだった、余り効果がなかった。  一つの転機になりましたのが、九三年に大阪府中小企業団体中央会から、第二十一回大阪国際見本市を行う、つきましてはおたくの企業団地から出展をしてみませんかという案内が届いたんです。これまでだったら大体、国際見本市などというのは自分たちの工業団地の組合員には余り関係ないということで、どちらかというと無視、見向きもしない案内だったそうですが、そういう状況の中で前向きに、数十万人の入場者があるしナニワ企業団地のイメージアップにもつながるのではないかという判断から、これはひとつ思い切って団地として出展してみようじゃないかという御決意をされた。  そして、企業団地として三つの小さい区切り、スペースというんですか、これを借りようと。百万円近くかかるそうですけれども、組合が五十万円出そうという条件で出展を募集したら、七つの事業所とそれから金属加工のグループ、ナップというグループが会員四十五名であるんですけれども、七事業所と一グループが応募することになった。ほとんど皆さん国際見本市などということに出展するのは初めての方ばかりなんですが、出展してみたら、多いところで十五、六件の問い合わせがあったり、受注に実際結びつくビジネスチャンスになったという企業まで出た、企業団地のイメージアップにもつながつた。非常にこれはいいということになりまして、これが転機になって大体年二回ほど展示会に出展をするようになったそうです。  翌年、九四年にも今度は中小企業振興協会主催の中小企業テクノフェアに、金属加工のグループ、ナップが、ナップとして初めて出展をされた。この九四年の際には、グループとして共同の作品をつくって出展しようということで、十七社が「動く看板」という作品をつくって出展をして、また引き合いがあった。そういう、団地内の加工業者の中にはこういうものをつくれる技術が集積していますよということを、実際に共同の作品をつくることによってアピールした。等々、そういう出展を年二回ほどやることを通じて、最近では出展会場に来てくださったいろんな企業から、団地の組合事務局へもう問い合わせや見積もりの依頼が日常化してうれしい悲鳴になっているというふうに聞きました。  私は、これは現下の状況の中で中小製造業者あるいは組合の目指すべき一つ方向なのかなというふうに思ったわけです。今非常に具体的な例を紹介したわけですけれども、そういう努力をされている中小製造業を中心とした組合、それに対する政府の御感想と政府支援について、ぜひ大臣に見解をいただければと思います。
  61. 永谷安賢

    政府委員永谷安賢君) 中小企業の異業種間の交流を促進するために、我々としてどういうことをやっているかということをまず簡単に御紹介させていただこうかと思います。  一つは、下請企業振興協会が主体となって行っております中小企業テクノフェアというものでございます。中小企業のすぐれた加工技術でありますとか製品を他の企業に紹介するフェアでございまして、これは年三回、関東と関西、九州で開催しております。それからもう一つは、平成七年度から異業種交流・融合化グループ等の新製品、技術開発の成果を紹介する中小企業ビジネスメッセというのを年二回開催しております。  それから、あと若干予算面でのお話になりますけれども、中小企業組合とか何かにかかわらず、グループで行う新商品の開発等を目的とした研究開発等に対する助成、それから経営、技術等の専門家による指導を受ける場合の助成の拡充ということで、中小企業多角的連携促進事業と称していますけれども、そういうものの予算面での拡充を図ってきているところでございます。  いずれにしましても、中小企業はもう御案内のとおりいろんな経営資源制約がある、そういう中で、新しく事業をやるとか新しく製品を開発していくためには、まさに自分が持っていない部分を外から持ってくる、そういう意味での連携みたいな部分が非常に重要なんだろうと思っております。  私どもとしましては、そういう異業種間の交流でありますとか、あるいは多角的な連携でありますとか、そういう部分についてはきめ細かい配慮をしていきたいというふうに思っております。
  62. 山下芳生

    ○山下芳生君 大臣、御感想を。
  63. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 今のいろいろのお話を承りまして、熱心にそういう異業種間の取り組みをなさっている中小企業方々がいらっしゃるということを認識しまして、非常に頼もしく感じた次第でございます。そういう問題について、今も政府委員から御答弁申し上げたように、できる限りの努力はしてまいりたいと思っております。
  64. 山下芳生

    ○山下芳生君 ぜひよろしくお願いいたします。  ただ、出展に際して出展料が高いとか、今最初に御紹介したのは振興協会ですけれども、それは区画料二万円なんですが、例えば日刊工業新聞社主催のテクノピアは一区画三十万円。出展すれば非常に引き合いもあるんだけれども、結構出展料が高いという問題もありますので、ぜひそういうきめの細かい支援をよろしくお願いしたいと思います。  最後に、組織化対策で見過ごせない問題として私感じておりますのは、都道府県レベルの中小企業団体中央会への職員設置費の一般財源化がこれから進められようとしている点であります。中小企業対策にとって、私は、人は城だというふうに思っております。国や県の中小企業の政策、ハード、ソフト、いろいろメニューありますけれども、それが地域の実態やあるいは企業ニーズに応じてどれだけ有効的に活用されるのかというのは、やはり人、職員の中にそれが蓄積されていくというふうに思うわけです。その点で、職員設置費の一般財源化によって大事な蓄積がそがれるような、つまり人減らしにつながるようなことがないように政府としても留意すべきだと私は思いますが、この点見解を伺いたいと思います。
  65. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 都道府県中小企業団体中央会の人件費の問題につきましては、本年の六月に閣議決定をされました財政構造改革の推進、また七月の地方分権推進委員会の勧告、こういうもので指摘をされておりまして、この趣旨に沿って人件費等に係る補助金の一般財源化を図ることにしたわけでございます。  今回の一般財源化の実施に当たりましては、その財源の手当てをいかに安定かつ確実に確保するかが、そういう御懸念の点を払拭する上で大変重要なことだと思っております。このために、地方交付税措置等、必要な措置を講ずるべく事務当局に大蔵省及び自治省と現在調整を行わせておりまして、適切な措置がとれるように今後とも十分な努力を行ってまいります。
  66. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  67. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  68. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会      —————・—————