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1997-11-06 第141回国会 参議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月六日(木曜日)    午前十一時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月五日     辞任         補欠選任      大木  浩君     橋本 聖子君      金田 勝年君     木宮 和彦君      斎藤 文夫君     常田 享詳君      谷川 秀善君     中曽根弘文君      木庭健太郎君     荒木 清寛君  十一月六日     辞任         補欠選任      木宮 和彦君     鈴木 政二君      梶原 敬義君     大脇 雅子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         吉村剛太郎君     理 事                 沓掛 哲男君                 平田 耕一君                 勝木 健司君                 小島 慶三君     委 員                 木宮 和彦君                 倉田 寛之君                 鈴木 政二君                 常田 享詳君                 中曽根弘文君                 橋本 聖子君                 林  芳正君                 足立 良平君                 荒木 清寛君                 加藤 修一君                 平田 健二君                 前川 忠夫君                 大脇 雅子君                 梶原 敬義君                 山下 芳生君    国務大臣        通商産業大臣   堀内 光雄君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君    政府委員        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   上杉 秋則君        経済企画庁調整        局長       塩谷 隆英君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     朝海 和夫君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        岩田 満泰君        通商産業大臣官        房審議官     杉山 秀二君        通商産業大臣官        房審議官     古田  肇君        通商産業大臣官        房審議官     岡本  巖君        通商産業省通商        政策局次長    佐野 忠克君        通商産業省貿易        局長       今野 秀洋君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        通商産業省環境        立地局長     並木  徹君        通商産業省生活        産業局長     水谷 四郎君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        中小企業庁長官  林  康夫君        中小企業庁小規        模企業部長    寺田 範雄君        建設省建設経済        局長       五十嵐健之君        建設省道路局長  佐藤 信彦君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    説明員        環境庁企画調整        局環境影響評価        課環境影響審査        室長       小林 正明君        労働省職業安定        局民間需給調整        事業室長     東  明洋君        建設省建設経済        局調整課事業総        括調整官     望月 常好君    参考人        日本銀行理事   山口  泰君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (景気浮揚対策に関する件)  (温室効果ガス排出削減に関する件)  (経済構造改革に関する件)  (フランチャイズ契約に関する件) ○平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び  運営のために必要な特別措置に関する法律案  (内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨五日、大木浩君、金田勝年君、斎藤文夫君、谷川秀善君及び木庭健太郎君が委員辞任され、その補欠として橋本聖子君、木宮和彦君、常田享詳君中曽根弘文君及び荒木清寛君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、本日、日本銀行理事山口泰君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 おはようございます。自民党の沓掛哲男でございます。  一般調査として、現下景気経済対策等中心に質問したいと思います。  このたびの堀内通産大臣の誕生を心よりお喜び、歓迎申し上げます。内外政治経済のこの激動期に、経済産業界にあって肌で体験され、三十二歳の若さで富士急行の社長として現在の富士急行をつくり上げた本当にすばらしい経営者でもあり、実業家でもあり、そして政治家でもある堀内先生通産大臣としてお迎えした産業界、また通産省あるいはまた日本は大変幸運であるというふうに思います。大臣就任後、東奔西走されておられますのをテレビで拝見し、拍手喝采を送っておる者の一人であります。  十月十八日、十九日にはクアラルンプールでの日本ASEAN通商産業大臣会合出席され、御苦労さまでした。今回の香港に端を発した世界同時株安が起こる直前でもありましたが、会議の内容はいかがでしたでしょうか、お願いしたいと思います。
  7. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ただいま沓掛先生の御質問にございましたように、十月の十八日、十九日にマレーシアクアラルンプールで開催をされましたASEAN通商産業大臣会議出席をいたしてまいりました。  この会議におきましては、最近の通貨変動に伴うところのASEAN諸国経済状況を踏まえて、今後の政策対応のあり方について十分な議論を行ってまいりました。短期的な面で眺めてみますと経済的に大変困難な状態にもかかわらず、中長期的にはASEAN経済力の発展の潜在力というものは非常に高いということを改めて確認をし合いながら、私の方からはこういう潜在力を最大限に発揮させるための提案をいたしてまいりました。  一つは、人材育成を通じた産業競争力強化であります。すそ野産業だとか中小企業人材育成を通じたASEAN産業競争力というものをもっと高めてまいりたいということが一つであります。  もう一つは、民間資金を活用したインフラ整備であります。今までの公的な資金のみならず、今度は民間資金ASEAN諸国インフラ整備に活用をしよう、それに対して貿易保険を適用して日本からのあるいは現地に対しての投資を促進させるようにしようということであります。  また三番目には、規模の経済性を発揮させるための域内経済的なリンケージの強化競争力を持たせたり市場としてあるいは生産拠点としての魅力のあるASEAN各国を相互にリンケージさせながら、さらに競争力あるいは成長を高めていけるような対策をとっていこうということであります。  また四番目としては、投資環境整備ということを行いまして、この四つの柱を中心とする政策について提案をいたしました。各国の支持を得たところでございます。  今回の会合の結果を踏まえまして、今後とも日本ASEAN経済関係というものをさらに強化させてまいりまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  8. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 大臣のますますの御活躍を私たちお願いする次第でございますが、さて現下景気対策等に関連いたしまして、まず最初に経済企画庁に、景気現状をどのように認識されておられるのか、お願いしたいと思います。
  9. 新保生二

    政府委員新保生二君) お答えいたします。  最近の景気動向を見ますと、まず設備投資でございますが、全体として見ますと設備過剰感が薄れつつありますし、企業収益が緩やかに改善していることを背景製造業中心回復傾向にあるというふうに思っております。  御承知のように、中小企業の非製造業では依然弱い動きがあるわけでありますが、主要企業では、九七年度の計画は四・六ということになっておりまして、前年の四%を上回る伸び計画されておるということであります。中小企業でも製造業は〇・一ですから、比較的強い数字がこの段階では出ております。したがって、製造業中心設備投資については回復傾向にあるというふうに見ております。  個人消費は、御承知のように駆け込み需要の反動がありまして、それから立ち直りつつあるという局面でありますが、その立ち直りのテンポが我々が想定していたほど速くない、総じて低調だというふうに思っております。しかしながら、九月の家計調査を見ますと、実質消費が前年同月比で二・六でございます。七-九で見ますと、四半期でくくってみますと一・九ということで、四-六の前年比のマイナス二・五よりは少し回復してきておるということで、一応回復の方向に向かっているというふうには評価できると思います、  こういうふうに、民間需要中心とする景気回復基調は失われておらないというふうに見ておりまして、その観点から景気が腰折れという状況にはないというふうに思っております。  しかしながら、現在は、家電とか乗用車に典型的に見られますように、過剰な在庫を調整するという局面にありますので、足元の回復テンポが非常に緩やかになっておりまして、いわばやや足踏み状態というふうに我々は認識しております。特に、日本銀行企業短期経済観測によりますと、企業景況感というのが非常に厳しくなっておりますし、金融市場においても景気先行き不透明感というのが非常に強くなっております。全体としてムードが非常に厳しくなっているというふうに見ております。  こういう中で、政府としては可能な限り早期対策を取りまとめて、中長期的な日本経済を見据えた経済構造改革に取り組む政府の確固たる姿勢を見せて、消費者とか企業先行きに対する信頼感、こういうものを回復させるということが極めて重要であるというふうに考えております。
  10. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 ちょっと後から使いたいので経済企画庁にお尋ねしたいんですが、昨年、一昨年は設備投資は対前年比で大体六、七%ぐらい伸びていたと思うんですが一現状ではことしはどれぐらいの予測をされておられますか。
  11. 新保生二

    政府委員新保生二君) お答えします。  最近いろいろな調査が出ておりまして、御承知のように大企業は比較的堅調な設備投資計画になっております。  先ほど御紹介しましたように、日銀短観では全体で四・六%の伸びということでありまして、中身を見ますと、製造業は前年より高くて八・九%、それから非製造業は前年より下回って二・五ということであります。興銀であるとか最近出ましたほかの銀行の調査を見ましても、製造業については前年より高い伸び、非製造業は前年より低いというパターンで一致しております。したがって、主要企業については五%内外設備投資伸びが期待できるというふうに思っております。  ただし、中小企業については、特に非製造業におきまして非常に低い伸びになっております。非製造業は九月短観ではマイナス一二・三ということですから、前年の四・一よりかなり低い伸びになっておるということでございます。中小企業でも製造業の場合は〇・一ですから前年の二・二より低いわけですが、この九月の時点でプラスの伸びになるのは六年ぶりでありますから、中小企業の中でも製造業の場合は現時点ではそれほど弱い数字ではない、非製造業は非常に弱い、こういうふうに判断しております。
  12. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 それでは、景気にまたいろいろ影響しております世界同時株安についてお尋ねしたいんです。  十月二十三日、香港ハンセン指数は一一六七八が一〇四二六と一二・一一%減じました。少し二、三日おさまっているかなと思っていたら、十月二十七日、それが米国へ波及してニューヨーク・ダウで七千七百十五ドルが七千百六十一ドルと五・五%減になり、そうしたら翌日、また今度は日本香港へ返ってきて、十月二十八日、日本ダウ一万七千三十八円が一万六千三百十三円、七・二%減、香港は一〇四九八が九〇六〇、一四%減というふうに大きく変化しておりますが、この世界同時株安の起きた原因とか背景とかについて説明してほしいと思います。
  13. 新保生二

    政府委員新保生二君) お答えします。  今回の世界同時株安要因としては、一応三つぐらいに我々は整理しております。  一つは、御指摘があったように、十月二十三日以降の香港市場株価急落により、日本を含むアジア経済全般に対する懸念が増大したということが一点。  それから二点目は、こういうことの影響のためにアメリカヨーロッパにおいても、アジア市場への依存度が高い欧米企業、こういうものの業績悪化に対する懸念、これが広がったというのが二点目であります。  それから三点目は、これまで欧米主要国ではかなり急ピッチな株価上昇が年初来ありましたので、これが若干行き過ぎではないかという懸念が広がっていた、そういう背景もあった。その三点に整理できるのではないかというふうに思っております。  ただし、御承知のように欧米経済ファンダメンタルズは比較的良好であります。アメリカは、御承知のように、低インフレの中で失業率も低く、非常に強い基調を続けております。それから、ヨーロッパもこのところ回復に転じております。したがって、欧米ファンダメンタルズは非常にいいということが大きな下支え要因になっているのではないか、そういうふうに見ております。
  14. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 国際化というと非常に美しい名前なんですが、国際投機筋というのは、本当に少しでも人の弱みとか何かあればそれにつけ込んでやってくるという、大変油断のできない一面もあるなということを今のお答えを聞きながら強く感じました。  そこで、ではこの一連の株の世界的低下は今後防げるのかどうか、こういうことがまたたびたび国際的な投機筋によって惹起されるのかどうか、さらにそういうふうな危惧がないのかどうかというようなことについてお尋ねしたいと思います。
  15. 新保生二

    政府委員新保生二君) お答えします。  先ほども申し上げましたが、世界的に金融グローバル化というのが進んでおりまして、そういう意味為替レートマクロ政策整合性が崩れると非常に不安定な動きになるということが目立っております。したがって、マクロ政策運営をしっかりやっていくということが非常に重要だというふうに感じておりますが、そうした観点から見ますと、先ほど申し上げたように、アメリカヨーロッパ経済マクロのパフォーマンスといりのは、ファンダメンタルズが極めて良好であるという環境がありますので、これがどんどん広がって大きな問題になるというふうには必ずしも考えておりません。  ただし、先ほど申し上げましたように、年初来株が相当上がっておりますし、アジア経済については総じて成長が減速していくということが避けられないというふうに見ておりますので、こうした動きを今後とも注視していきたいというふうに見ております。
  16. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 今回の発端というのは、タイのバーツの通貨不安などがいろいろ発端になっておりますが、もう一つはやっぱり香港でございまして、香港香港ドルを守るために金利を高めた、株安へと動いていった、そういうことが今の大きな国際的な株安への一つ動きになっているんです。  そこで、中国との関係を見ると、香港返還後、中国、特に江沢民氏は、香港を一国二制度にし、香港資金を集め借金を返そうとしてきたわけですが、そこへ今次通貨問題が発生し、中国経済にも大きな打撃が与えられているんだと思います。現状では、中国経済が停滞し始め、工業製品在庫が五〇%を超えているとも言われております。中国香港の一国二制度を強調する余り、ちょっと力み過ぎているのではないかなという感じがするんですが、意見がありましたら差し支えない範囲でお願いします。
  17. 新保生二

    政府委員新保生二君) 中国状況は若干ほかのASEAN諸国等状況は違っておりまして、ASEAN諸国等の場合、今回の通貨下落背景としては二つぐらいあろうかと思うんです。  一つは、事実上のドル・ペッグで運営してきておりまして、内外の、つまりアメリカとのインフレ格差が大きいわけで、ほっておけば実質為替レートの切り上げになってこれが輸出の不振につながるという面が一つあります。  それからもう一つは、このところ金融市場自由化もあって先進国からの大量の借り入れによって相当建設不動産投資等に金が回るという形、民間金融機関からの借り入れという形で建設不動産投資が行われていた、これが若干行き過ぎがあった。大きな背景としてはそういう二つぐらいに整理できるかと思うんです。  中国の場合は、これまでの資金流入の形態がこれらASEAN諸国とちょっと違っていまして、借り入れよりも直接投資に大きく依存するという形が目立っておりますので、その意味ではもう少し安定性が高いというふうに見ております。
  18. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 そこで、今いろいろお答えもいただきました東南アジア諸国通貨危機とか世界同時株安がこの日本経済にどういう影響を与えているのか、また今後どういうことになるのかについて質問したいと思います。
  19. 新保生二

    政府委員新保生二君) 御承知のように、ASEAN諸国通貨が大幅下落しておりまして、特にタイとかインドネシアではIMFの主導による緊縮政策の導入ということもありまして成長率が大分ダウンするであろうというふうに見られております。インドネシアはまだそれほどはっきりした形になっておりませんが、タイですと、十月にアジア開銀の見通しが改定されておりまして、四月見通してはタイの今年の成長率は六・一%ぐらいと見ていたんですが、十月見通しては一・六から一・九ぐらいに下がるであろうというふうに言われております。ASEAN全体として、タイほどではないにしても成長率が少しダウンするということになるかと思います。ただし、一方で、東南アジア以外のNIESあるいは中国、この成長はそれほど鈍化しておりませんので、アジア全体が鈍化していくということでは必ずしもないというふうに思っております。  いずれにしろ、ASEAN中心成長が減速するとして日本経済にさまざまな影響が及ぶんですが、三つぐらいのルートから影響が及ぶというふうに思っております。  一つは、アジア諸国向け輸出の鈍化ということでございます。既にASEAN4、つまりタイマレーシアインドネシア、フィリピンの四カ国向け輸出金額ですが、四-六月期の前年同期比は一三%でございましたが、七-九月は三・六%へ鈍化しております。特に、タイ向けは七-九月は一六・九%減とかなり落ち込んでおります。  それから二番目のルートは、アジア諸国に進出した企業、これの収益がかなり悪化するという形が出てきております。  それから三番目のルートは、アジア諸国向け債権不良債権化ということが生じる懸念があるという点であります。  それから、以上の三つルート以外には、先ほど申し上げましたように、アジア通貨不安が香港株式下落を通して米国日本などの株式市場にも影響を及ぼしている。こういう間接的なルートもあるということで、今後そういうルートでどういう影響があるかしっかり見きわめていく必要があるのではないかということでございます。
  20. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 今、日本から東南アジアヘの投資額が約千二百億ドルあるわけでございまして、ASEANなど大体通貨を三〇%ぐらい切り下げているようなそういう状況ですから、この千二百億ドルがまた大きな不良債権になってきていろんなことになると大変だと思いますので、そういうことについてもこれからいろいろ対応していただきたいんです。  さて、今おっしゃったような日本にいろいろな影響が出てくるわけですけれども、三つおっしゃったから三重苦なら三重苦でいいんですが、その三重苦から抜け出すには一体どうすればよいのか。今の不良債権の問題もございましょう、輸出の減もございましょう、株安に伴う各種のいろいろな問題などなどあると思いますが、そういういろいろなものから抜け出していくにはどういう対策が必要なんでしょうか。これは経済企画庁か、通産省か。
  21. 塩谷隆英

    政府委員塩谷隆英君) お答えをいたします。  アジア諸国における通貨変動や世界的な株価変動などは、これまでのところは我が国経済にそれほど大きな影響を与えているとは考えておりませんが、経済グローバル化している中でその影響懸念される局面であることは確かであります。  東南アジア国々は、国際的な連携のもとで既にさまざまな対策をとってきております。先週末には新たにインドネシアIMF等国際機関との間で経済調整パッケージが合意され、公表されたところであります。また、為替市場におきましては、通貨当局が協調して行動することを確認しております。このほかの国々でとられております対策も含めまして、その成果が着実に上がって、各国通貨金融情勢早期に落ちつきを取り戻すことが期待をされるわけであります。  他方で、我が国経済状況は、先ほど調査局長が申しましたように、民間需要中心とする景気回復基調は失われていないわけでありますが、企業消費者のマインドが大変弱くなっており、金融市場においても景気先行き不透明感が続いているということなど、全体のムードは厳しくなってきております。そこで、こういうムードを払拭するためにも、何よりもこの景気回復基調をしっかりとしたものにいたしまして、中長期的な経済成長につなげていくことが必要なことであると考えております。  私ども、景気回復基調にいま一つ力強さを欠いているという要因背景は構造問題のあらわれではないかというふうに考えておりまして、今後の経済運営といたしましては、財政構造改革を推し進める中でしっかりとした経済構造改革を進めることが最も重要であると考えております。政府といたしまして、十一月の中旬を目途といたしまして、経済構造改革前倒し等によります効果的な経済対策を取りまとめるべく目下鋭意検討を進めているところであります。  このような経済構造改革に取り組む政府の確固たる姿勢を明確に示すことによりまして、企業消費者等景気に対するコンフィデンスを高めて景気回復基調をより確かなものにしていくことが、今御指摘いただきました通貨不安や世界的な株価変動影響を最小限にとどめていくための基本的な対策であると考えております。
  22. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 そういうことで、この緊急国民経済対策を自民党が第一弾をつくり、今第二弾をいろいろ検討しておりますし、今のお話のように政府として十一月中旬にそういう対策をきちっとつくってくださるということなんです。  さて、党内でいろいろ議論しておりますと、土地の流動化や住宅対策の問題、あるいは中小企業対策、あるいは税制のいろいろな改革、特に政策減税それから規制緩和の推進、そしてきのうは一生懸命財投を活用できないかという民活のことなどいろいろ議論をしているんです。実はここで一番難しい規制緩和について、通産省さんにその実態がどうなのか、また既に何年もやっているわけだからその経済効果がどうかというのをいろいろお尋ねしたかったんですが、時間がありませんし、きょうも法案が衆議院を通ってまいりますので、通産省さんにはこれからまだいろいろ質問する機会がございますので、あとの時間を日銀の方にちょっと使わせていただきたいと思います。  一応今いろいろな経済対策が言われておるけれども、なかなか財政を出動させるというのは非常に難しい。私は財政を出せ出せと出動を言っていますけれども、今財政構造改革の緒につこうとしているときに、私も非常に難しいと思います。公共事業であれ所得税減税であれ、なかなか私は難しいと思う。  そこで、今の経企庁のお話のように、経済対策をつくるにしても、そこをやってくれるのかと国民がはっとするようなそういうものがないと、難しいことばかり並べてみてもまたこんなのをやったのかというだけであって、なかなか私はぴしっとこないと思うんです。そういう点で、もしやれば国民がはっと思うことを質問したいんです。それは日銀さんにこれから質問させていただきたいんですけれども、金利を少し上げるということです。  きのう、日銀総裁が内外情勢調査会でいろいろ金利の問題についても触れておられます。タイミングを言っておられる。私はその幅も非常に重要だと思っています。例えば、余り空論ばかり言っておってもいけませんので具体的に言えば、私は今〇・五というのを二%ぐらいに上げれば、いろいろ日銀さんが心配しているような経済構造改革がどうとか設備投資がまた減るのではないかとか、ベンチャーがどうとかいうことをおっしゃっていましたけれども、そういうことでなくてやっていけるというふうに私は強く思うんです。  そこで、日銀さんに質問していきたいんですけれども、まず仮に〇・五から二%ぐらいに上げるというその程度の話です。〇・五を五%や六%に上げるというのではありません。そうすると、私は既にこの〇・五という超低金利というのは、そこまで行かなくても二%ぐらいに持ってきてももういい時代に来た。いわゆる〇・五というのは役割を私はもう果たしたというふうに思うんです。  この公定歩合が引き下げられたのは九五年の九月でしたが、その時期はバブル崩壊による資産価値の下落を背景に、昭和恐慌以来のデフレの底なし沼に陥るとの懸念が高まっていた時期ですし、この超低金利によってデフレに歯どめをかけ、景気を緩やかな回復軌道に乗せたという、そういう役割は私は既に果たしたというふうに思いますが、これについてはいかがでしょうか。
  23. 山口泰

    参考人山口泰君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘いただきましたように、日本銀行が九五年の九月に公定歩合を〇・五%に引き下げましたときに、頭の中に三つぐらいの目標を置いておりまして、その第一が今御指摘いただきましたデフレスパイラルに陥っていくのを何とか防止したいということでございました。幸いその点はうまくいったのではないかと思っております。  そのほかに、私どもは、当時非常に経済界のムードが悪くなっておりまして、将来についての悲観的な見方が強くなっておりましたものですから、極力そういう悲観的な見方を逆転させたい、企業や家庭のコンフィデンスを回復させたいということも考えました。  さらに、第三の目標といたしまして、経済を内需中心の自律的な回復の軌道、成長の軌道に何とか戻したいというふうに考えました。  この最後に申し上げました経済を自律的な回復軌道に乗せるという点につきましては、残念ながらまだ十分な状態ではないというふうに現在考えております。足元の景気状況につきましては、先ほど来、経済企画庁の方からるる御説明がございましたけれども、私どももほぼ同様の認識、考え方を持っておりまして、今年度に入りましてから経済の減速傾向が強まってしまいまして、一般経済界の景況感もこのところ非常に慎重なものになってきているというふうに考えております。  こういう状況でございますから、御指摘の金融政策につきましても、何はおきましても、まず日本経済が自律的な景気回復の軌道に向けてしっかりとした歩みを続けることができるようにということに重点を置いて運営してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  24. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 それはもう二%ぐらいの金利で、私は五%や何%にしろと言っているんじゃないですよ。二%ぐらいにすることで自律的回復軌道には十分私は乗っていくと思います。もう本当に破綻しそうになったときにこそ〇・五なんであって、そうでなかったら、では質問したいんだけれども、時間が本当にもうないので簡単にお願いしたいんです。  例えば諸外国の公定歩合を見てみましょう。一番低いのは今ドイツの二・五%ですね。そしてカナダが三・五、それからフランスが三・一ですか、アメリカが五、イタリアが六・二五、英国が七ですよ。こんな日本のように〇・五をとっている国はないし、アメリカ以外の国がそんなにいいわけでもないので、別段今の日本に比べてほかの国がぐっと経済が自律的にどんどん成長している、そんなことは全然ないんで、そういう国がこれだけ高いのに、日本だけなぜそうしなきゃいけないんですか。  それから、一つ一つ聞いていると時間がないのでまず言わせていただきたいし、ここで私は何も公定歩合を上げるとかなんとかいう、そういうことを議論するよりも、しっかり勉強していただきたいということを意味しているんですよ。私らは実際地元に帰ると肌でそういうことを感じていますから、これから申し上げます。  それからもう一つ、金利は経済によって生み出される果実であると、日銀の幹部や皆さんよく使っていますよ、金融機関の人は。いわゆる経済によって生み出される果実が金利なんでしょう。そうすると、超低金利の長期化というのは、日本経済の将来性にもう赤信号がともっている、日本のその果実が全然出てこない、経済によって生み出される果実は金利だから、ほとんどゼロですね。ということは、これから日本の先ももう真っ暗だ、もう真っ赤だという、そういうことを、日本経済の危機を日銀みずからが世界じゅうに発信しているんじゃないんですか。日銀さんという一番信頼できるところがやっぱりだめだだめだだめだと言うのなら、みんなやっぱりだめだだめだだめだということになるんじゃないでしょうか。そういうことを強く感じます。  おとといの読売新聞でも、いわゆる主要企業のアンケート調査を見てみると、企業はこれからの将来とかマクロ的な総論に対しては全部危機感を持っています。ところが、自分の会社の経営がどうかというと、物すごい底がたいんですよ。一昨日の読売新聞の、ここにもありますけれども、非常にみんな底がたいんで、要するに周りじゅうから寄ってたかってだめだだめだと言うから、自分のところは底がたいんだけれども、それじゃこれから暗くなるのかな、たまたまおれの会社だけいいのかな、これじゃだめだなという、先行き不安を持ってくる、そういうことがこの一つの〇・五という非常な危機感を示す数値であると私は思うんです。  しかし、そういう抽象論でなくてもうちょっと具体的な話をさせていただくと、きのう総裁も言っておるマイナス論への反論の一つ設備投資の話をしています。二年間でこれぐらい金利で免除したりしたことが利益につながって、それが設備投資になってきたという話をしています。設備投資は去年、おととし物すごい頑張ったし、ことしは先ほどの話でもまあまあいいところだけれども、去年、おととしよりはちょっと疲れていると。住宅投資というのは大体百四十万戸ぐらいが一年間あると平均的にいける数値ですけれども、ここ数年低金利で物すごいそれを上回ってきています。ですからまあまあのところへ来ているんです。  そこで、この金利を上げることによって少しは、設備投資や住宅投資もちょっと減るでしょう。それから銀行の不良債権処理の問題が非常に出てきます。しかし、もう二年数カ月も特別なことをやってきているんですから、まあやれる銀行はある程度立ち直るし、そういう不良債務の処理もいろいろやってきているんだと思います。  それからベンチャーの話をいろいろ、山口さん、言っておりますけれども、金利を上げるとベンチャー企業が、これからまだ可能性あるのがだめになるからというお話ですけれども、それはベンチャーという特別なところについては通産省さんがいろんなストックオプション制度金融についてはベンチャーキャピタル、さらにベンチャー財団、そういうものでそういうところは整理しているんですよ。ベンチャーという一部のところをつかまえて、だから上げられないというんじゃなくて、それは政策できちっとやればいいことだし、やっていくことだというふうに思います。  そしてまた、私はこれからそのプラスの面を言うんですけれども、ある程度そうやって金利も入り、みんなが豊かになって景気が少し温かくなってくれば設備投資だってよくなるし、いろいろ銀行の方だってよくなっていくわけですから、そういうプラス、マイナスを考えると決して私はなかなか設備投資や住宅投資というのはそう減っていかないと思うんです。  そこで、私が最初にさっき申した、やっぱり金利の場合はタイミングとその金利の上げる幅が非常に重要だと思います。そこでひとつ、ちょっと紙をつくってきたんですけれども、これをちょっと見てください。(図表掲示)  この縦軸は金利です。そして横軸は投資額です。まあ設備投資額と思えばいいわけです。金利がゼロのときの現時点における設備投資額というのは決まるわけですね。もちろん時代が変わればこれは動くわけです。設備投資額と金利との関係というのは、いわゆる経済学的に言えばずっとこの原点に対して凸なんです。最後は凹なんです。ですから、こういう形で金利が上がれば投資額は間違いなく減ることは減るんです。しかし、今〇・五という非常に低いところの金利というと、じゃ逆に〇・五を今ゼロにしたら設備投資がぽかっとふえるかといったらそんなことはないですよ、ほとんど。もう〇・五で来ていますから。そうすると、〇・五、これを二%ぐらいですと上げたってほとんど減らないですよ。減ることは減るけれども、ちょっぴり。  しかし、今言ったように金利を五%とか六%に上げれば、金利はこの辺に来るからがばっと減りますよ、それは。ですから、タイミングとともに金利の上げる幅というのは非常に重要でありまして、二%ぐらいにしたってほとんど設備投資影響ないし、逆にそれによって、所得がふえることによって景気がよくなり消費がふえていく。その方がかえって設備投資にもプラスで、ほとんどプラス、マイナス変わらないと、私自身はそういうふうに思います。  そこで、じゃ金利を上げたことによって国民の懐がどうなるのかということですけれども、これは矢野誠也さんといって元経済企画庁におられた方が計算したのが出ています。  日銀統計による九六年十二月末の個人貯蓄残高では総計千五兆円、うち金利を引き上げても個人所得の増加につながらない保険の二百四十七兆円を別として、残り約七百六十兆円の金利が一・五%、〇・五を二にするから一・五%上げると約十一兆円の所得の増加を生むと。そうすれば税金も二兆円ふえるんですよ。ですから、十一兆円もどんと入ってくる。  もちろん皆さん方は、じゃ住宅ローンも上がるじゃないかと言うけれども、それは今契約しているローンは急に上がらないんで、これからの人はローンが上がることを理解した上で払うわけで、ともかく所得がふえるということは大事なことなんですよ。これから支出は自分で考えればいいんですから。ですから、十一兆円どんと入ってくるということはもう大変なことだと思います。これをやったら、ばっと私は景気が明るくなっていくんだと思います。  そこでまた、あと二分しかないからもう一つ。では、やらなかったとしたらどうするんですか。今、このままでいきましょう、〇・五で頑張って銀はいく。そうすると来年四月、いわゆる改正外為法が施行され、内外資金の流れが自由になれば金利水準は国際的な調整にさらされるのは当然ですし、そのまましないで頑張ったとすると日本の円は外へ出ていきますから、そうすればどうなるかといえば、為替レートが下がって一ドルが百三十円とか百三十五円とかになる。そうすれば輸出がどんどんアメリカへ間違いなく行く。そうすればアメリカからクレームがばんと来る。そうしたら、初めてそこでああそうかといって〇・五を幾らかに上げるのか。頑張るといったって少なくとも来年の夏ごろまでは頑張れないですよ、国際的問題が起こってきて。ですから、余りそういうことよりも、やっぱりひとつぜひ私ども国民のことを考えていただきたい。  日銀さんは銀行へそうやって貸し付ける大銀行ですから、会社まではよく考えられるんです。しかし、国民の生活ということに対しては二次的なんです。会社がよくなりゃ国民がよくなるじゃなくて、国民がよくなりゃ会社もよくなるという、そういう思想もぜひ日銀さんにも持っていただきたい。そういう気持ちが強くありますので、きょりそういうことを申し上げたんです。  私らも帰ると、六十過ぎて定年になった人たちがたくさんいますが、そういう人たちは本当にみんな金利を当てにしていたんですよ。退職金二千万円もらってそれを金利と年金で。ところが、その金利が全然もうだめなんですよ。ですから、この人たちのこともよく考え、日本全体も考えれば、もう私はそろそろ〇・五を脱出してもいい時期だと。また、その前に来年四月という障壁もあるので、その辺をぜひお考えいただければという意味できょういろいろ私の意見を申し上げました。ひとつよろしくお願い申し上げます。  また、大臣にもひとつ大所高所から御高配をいただきますことをお願い申し上げまして、時間がオーバーしつつありますので、これで質問を終えます。  どうもありがとうございました。
  25. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      ―――――・―――――    午後零時四十三分開会
  26. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  27. 加藤修一

    ○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  私は、まず最初に、二〇〇五年に開かれます国際博覧会についてお尋ねしたいんです。  今のところ愛知が当該県になっているわけですけれども、この万博開催に当たっては、やはり生物のコミュニティーが道路によって分断されるとか、あるいは生物多様性、それの保全を確保する等々を含めてさまざまな形で自然環境を保全する上では課題があるように思いますので、こういった点については十分配慮していくべき必要性がある。そういった観点から考えて、やはり環境アセスメントについては厳正なる形で進めていただきたい。場合によってはストップになる可能性もなくはない、可能性の問題としてはなくはないわけでございますけれども、いずれにいたしましても環境アセスメントを厳正な形で行っていくことを強く要望しておきたいと思います。  それから、普通、環境負荷を増大させる事業行為等については、環境悪化については汚染者負担の原則、PPPというのが一般に言われておりますけれども、いわゆる汚染者に負担が帰着する考え方である。豊島の例なんかもそういうことになるわけですけれども、逆に環境を再生するあるいは創造する、環境を清浄にしていく、清らかにしていく、そういった点を考えていきますと、清浄者受益の原則、CPP、そういったものが考え方としてあっていいのではないかというふうに考えておりますけれども、そういった点のアプローチも含めた形で博覧会の開催ということを考えていっていただきたい、そういうことを要望しておきたいと思います。  それで、今回の万博については環境万博と、そういう言い方もされておりまして、そういった点から考えていきますと、NGO、企業、市民、あるいは研究集団、そういった方々の積極的に参画を進めていく必要があるのではないか。自然の英知を発掘するとか、あるいは環境産業の一層の振興を図っていく、あるいは環境技術の普及、あるいは環境教育、自然の驚異とか恵みを学ぶ、そういった向上の見地からも、例えばの話でございますけれども、国際環境技術賞とか、環境創造賞とか、あるいは環境保全大賞、あるいは地球環境賞、そういったものをこういった博覧会を開催していく中で設ける、そういったことがやはり博覧会の参画に当たって一つのインセンティブになるのではないか、そのように考えているわけですけれども、この辺についての御見解をお聞きしたいと思います。
  28. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 御指摘のように、この博覧会、環境あるいは資源エネルギーといった人類の共通の課題につきまして、世界の一人一人の方々に考える機会を提供するということを博覧会の内容として世界に訴え、今回開催が決定したところでございます。  お説のように、環境産業、あるいは環境技術、あるいは環境に関する教育といったようなものが自然と共生をしながら人類が発展をするために活用をされていくという、このように活用がされ得るのだという道をこの博覧会の中で示したいというのが趣旨でございます。  そういう意味で、この博覧会を契機として、御指摘のような賞を設けるというようなことはどうかということを含めまして、これから具体的な企画の段階におきまして検討をさせていただきたいと考えます。
  29. 加藤修一

    ○加藤修一君 博覧会終了後の関係についても、例えば地球環境村に指定するとか、あるいは今回は施設、箱物がどういう形でつくられるかということはまだ詳細にはわかっていないわけですけれども、そういった施設とか箱物、そういったもので勝負するということではなくして、やはり共生の環境の姿あるいは考え方が反映された姿がここにある、そういったことがいわゆる結果として世界にまねをされる、あるいは学習の機会になるような形のものをぜひとも念頭に置いて進めていただきたい、そのように思っております。  それでは次に、地球温暖化防止京都会議について質問をしたいと思います。  まず最初に外務省にお尋ねしたいわけですけれども、昨日の夕刊だと思いますが、この京都会議に関連して、「国会議員を代表団の一員として参加させた例はなく、」、させるのはどうかと、そういうことでさせることについては「今後の悪例となる」と、こういう記事を私は読んだわけです。私だけじゃなくて非常に不愉快に思った人がいると思うんですけれども、この辺について真意を確認したいと思います。
  30. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 昨日の夕刊に御指摘のような報道がございました。ただ、私どもとしましては、国会議員の方々の京都会議への参加を認めないという方針ではございません。むしろ、例えばアメリカでございますけれども、議会の人が京都には参るようでございますが、日本の国会議員の方々もできればなるべく積極的に京都の会議に参加していただいて、例えばでございますけれども、アメリカの議会人との交流、相互理解を深めることに活躍していただきたい、そのように考えているところでございます。
  31. 加藤修一

    ○加藤修一君 また、こういうことも言われているわけです。例えば今まで国会議員が参加したケースとしては、「人口と開発の世界会議などお祭り的性格の世界会議には顧問として参加」していただいたと、「お祭り的」という、そういうケースについては参加していただいたというような表現があるわけですけれども、この辺についてはどうお考えですか。
  32. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 御指摘の人口会議あるいは北京の女性会議、一昨年でございますが、こういった国連主催の大きな会議は過去にもございましたが、私ども決してこれはお祭り的なものというふうに考えているわけではございません。人口の問題にせよ、女性の権利、地位の問題にせよ、今日非常に重要な問題でございまして、そのような軽い意味での会議ではないと考えておるところでございます。
  33. 加藤修一

    ○加藤修一君 カナダのケースを引き合いに出してちょっと質問をさせていただきますけれども、カナダではこういった種類の国際会議については、国会議員だけではなくして、例えば非政府団体、非政府組織のメンバーも政府代表団の中に加えているというケースもあるということについてですけれども、こういうケースは将来的に日本においても可能性があるかどうか、その辺についてはどうでしょうか。
  34. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 御指摘の点につきましては、国によってそれぞれ事情が異なる点があろうかと思います。日本の場合ですと、三権分立あるいは国会法等のこともございますので、今後そういう点も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  35. 加藤修一

    ○加藤修一君 わかりました。この点で外務省に対する質問は終了いたしますので、お引き取りになって結構でございます。  それでは、次に通産省に質問いたしますけれども、温暖化の数値目標の関係です。昨日、環境特別委員会が行われまして、環境庁は、日本提案しています数値目標については、基準削減率が五%、それから差異化によって最終的に引き出される日本の数値目標は二・五%である、そしてこの数値については法的拘束力がかかる数値であるというふうに答弁しているわけです。  一方で、報道なんかを見てまいりますと、この二・五%の目標、これは最大限努力したと認められれば二%ぐらいは猶予される、そういうふうに大目に見てもらって、最終的に法的拘束力がかかるのは〇・五%だと、そういうふうに通産筋からも聞こえてくるわけですけれども、この辺についての見解は、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  36. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 十月六日に我が国の「数値目標に関する日本政府提案」を公表させていただいたわけでございます。この提案は、議長国といたしまして、地球温暖化防止に意味があり、デンバー・サミットにおいて提案をされました公平で実現可能な目標に向け各国の立場を収れんさせ、国際合意を形成すべく行ったというものの数値でございます。  本提案では、先進国の数値目標について、基準年の一九九〇年の五%を基準削減率ということとしながらも、各国のGDP当たりの排出量あるいは一人当たりの排出量あるいは人口増加率を指標としまして、それぞれ差異のある目標を設定することができるように提案をいたしております。それぞれの国の特徴がございますので、そういうものに配慮をしたものになっております。  日本の法的拘束力のある数値目標は、いろいろの違いのある中の、差異化の結果、二〇〇八年から二〇一二年においておおむね一九九〇年比二・五%程度の削減となるということになっておりまして、これは法的拘束力のあるものとなっております。表現としてはそういうことでございます。
  37. 加藤修一

    ○加藤修一君 じゃ、二・五%全部が法的拘束力を受けるというふうな理解でよろしいですね。
  38. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、二・五%は京都の議定書に向けての日本国の提案でございますので、法的拘束力を持つものとしてそれに向けて最大限の努力をしていく、そういう性格のものと私どもも理解をいたしております。
  39. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁で最大限の努力という中には、全体として五%ですけれども、例えばそれをさらにかさ上げするという考え方はありますか。
  40. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 私どもの提案は、基準削減率五%ということで、差異化の方式に三つフォーミュラがございますが、日本について言えばGDP当たりの排出量という指標こ着目した差異化の方式を採用することによって二・五%ということでございまして、これを達成することは決して容易なことではございませんので、五%をさらに積み上げるという考えは持っておりません。
  41. 加藤修一

    ○加藤修一君 我々野党でございますけれども、政府・与党という言い方をよくするわけですが、与党が今回事前協議に調査団を送って十月三十日にまとめた報告書、その中では、やはりEUや途上国、環境NGOから日本案に対する批判が非常に強い、そういうことを肌身に感じたというような表現がありまして、「国際的な合意をとりつけるためには、現在の日本案に拘泥することなく、必要であれば変更することも含め対応する必要がある。」と、そういうふうにまとめております。  それから、昨日の環境庁長官の話でも、それはリジッド、固まった、全く固まってもうかさ上げしないという話ではないような趣旨の発言もありました。  それから、自民党の政調会長も、それについては弾力的といいますか、かさ上げの方向というような趣旨の話をしているわけですけれども、この辺についてどういうふうにお考えですか。
  42. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 与党のCOP3のプロジェクトチームの先生方がボンに行かれたということは私ども承知をいたしておりますが、その結果現地でどういう所感をお持ちになってお帰りになられたかということについては、一部新聞を拝見することはございましたが、それ以上につまびらかにいたしておりませんので、その点を踏まえた御答弁は控えさせていただきたいと思います。  その上で、日本提案でございますが、ヨーロッパの一部の国とかあるいは途上国から、目標として余り野心的でないという批判があるのも事実でございますが、他方で豪州なんかはとても日本提案は厳し過ぎてついていけないということでございますし、アメリカの多くの方々も日本提案にはついていけないということで、先般アメリカは一九九〇年に対してゼロという提案を大統領が正式に発表した次第でございます。  私どもとしては、今回の日本提案というのは、今現在予見し得る技術というのを前提にして、産業、民生、運輸の各分野での最大限の省エネルギーの努力と、もう一方、エネルギーのサイドでCO2を出さない原子力とか新エネルギーとか、そういうものの導入を精いっぱい見込んだ上での対策の積み上げでございますので、これを現時点で変更する考えは持っておりません。
  43. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、差異化の件に行きたいと思いますけれども、日本政府提案の中は、差異化については三つの指標を考えていると。その中で人口増加率についてですけれども、今まで政府は確かに各国の過去の努力というものを配慮する、そういったことをたびたびおっしゃっているわけですが、この人口増加率を差異化の一つの指標として考えることについては、いわゆる公平性ということについて、過去の努力に配慮するという観点からすると極めて外れた話になるんではないかなというふうに思っているんですけれども、どうでしょうか。
  44. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 今、先生御指摘のように、差異化の提案は、温暖化ガスの排出削減についてのコスト負担を各国できるだけ公平にしようという、デンバー・サミットで合意されました三原則の一つの考えに即して提案いたしたものでございます。  削減コスト負担の公平という場合に、先ほど先生もおっしゃいましたように、省エネが進んでいるとか、あるいはCO2の排出の少ない方向にエネルギーの転換が進んでいるとか、そういう国の場合に、そこから追加的に削減する場合のコストが大変大きいということで、日本はGDP当たりの排出量というのは非常に低いものですから、それに着目して先はどのような差異化の提案をいたしているわけです。  もう一方、負担の公平ということで考えました場合に、人口が先進国平均を大幅に上回って増加しているような国の場合に、例えば二〇一〇年なら二〇一〇年という時点において削減をする幅というのは非常に大きくなってまいりますので、そういった意味で削減コストが大きくなる国の事情にも一方で配慮する必要があるという考え方から、人口増加率を指標とする差異化についても日本提案の中に含めているところでございます。
  45. 加藤修一

    ○加藤修一君 差異化について、今人口増加率の数値を考えていきますと、削減量が少なくなるという意味で有利な国を考えていきますと、一人当たりの排出量が五・四トン、一番大きいアメリカでございますけれども、二・六%の削減。二番目が四・七トンで二・三%の削減率。オーストラリア、四・六トンで一・八%。アメリカは除きますけれども、日本が二・五%ということですから、今取り上げた国については日本の二・五%より低い削減率で済んでしまうということになるわけです。通産省が常日ごろからおっしゃっていた公平性ということから考えていきますと、ちょっと違う値というか、違うことになりはしないかなという考え方を持っているわけですけれども、この辺についてはどうでしょうか。
  46. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 差異化の特に人口増加率を指標とします差異化のフォーミュラということについて、日本政府としていまだ正式な提案はいたしておりませんで、これから差異化という方式自体についてかなり議論があるのが今現在のAGBMという事務レベル折衝での各国の反応でございますが、先ほど先生がお挙げになりました数字一つの数式をとった場合の値かと考えられますけれども、日本としてまだ人口増加率の差異化のフォーミュラ、方式について正式な提案はいたしておりませんので、そういう意味先ほどの先生の御質問に対しては正面からお答えすることはちょっと御遠慮させていただきたいと存じます。
  47. 加藤修一

    ○加藤修一君 その点に関しては、人口増加率についてはフォーミュラが決定していない、提案はまだ差し控えているという話ですけれども、どういう提案になりますか。我々はちょっと議論できないのですよ、こういうことが全然出されていないと。
  48. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) この差異化の提案あるいは人口増加率を指標とする差異化の提案というのは、議長国という立場で各国のこの問題について複雑に絡み合う利害を調整しながら収れんさせていくという、そういう目的も一方で持った提案でございまして、そういう意味におきましてこれから公式、非公式に各国の意見というものを聴取しながら、そういう中で差異化の具体的なフォーミュラというのを固めていくという段取りになろうかと思いますので、そういう意味におきまして現時点で具体的な方式の中身については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  49. 加藤修一

    ○加藤修一君 ちょっと議論にならないんですね。国会でも審議しようと思ったって、提案の中身について、差異化の中身について、どういう具体的な計算式でやるかということについて何も提示されないなら何も議論できないじゃないですか。差異化によって日本はどの程度ということで、今報道されているものを考えていきますと二・五%減るという話ですよね。それはあくまでも二つ、人口増加率という考え方を含めてやった場合にそういう話が出てくるのであって、計算式が変わってくるとその辺のことも変わる可能性がありますよね、そうじゃありませんか。そうすると、ちょっと議論の進展が全くなくなってしまう、そういう判断をせざるを得ないわけですけれども、責任ありますよ、こういうことに対しては。
  50. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) GDP当たりあるいは一人当たり排出量を指標とした差異化フォーミュラについては、具体的な提案を持って、したがって日本については基準削減率を五にした上で二・五になるということを申し上げているわけでございます。  その上で、人口増加率の差異化の考え方というのは、基本的な考え方は先ほども申し上げましたけれども、附属書Ⅰ国全体の人口増加率の平均を上回る国々について一定の方式で基準削減率からの低減を認めるということで、その場合に先ほど先生のお話の中こもございましたように、一方でバランスをとるという視点が非常に大事でございますので、日本のようにこれまで大変な省エネの努力をしエネルギー転換も進めてきている、そういう国の基準削減率から差異化を適用した後の値、日本についての二・五、これと十分バランスのとれたようなものになっていくべしというのが私どもの基本的な考え方で、それを持ちながら関係国と今調整をしているところでございます。
  51. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、私ちょっと理解できないんですけれども、いずれにしましても、それぞれの国にとってはなるべく削減の幅が小さければいいというのが一般的に言われているところだと思うんです。それぞれの国にとって有利な方向にさまざまな差異化の指標を出してくる嫌いがある。今出ている段階では十個とか十数個という話がありますけれども、日本三つ出しているわけですね。各国がそういう形で差異化のためにいろいろやってきますと、各国にとって有利になる指標を出してくる可能性も十分ある。  そうすると、これは通産省のレポートなんかを読んでいきますと出てくる話ですけれども、多基準分析で評価の軸をふやせばふやすほどある意味で平均化してしまう。シンプルに言ってしまいますと、一律削減に似たような形に落ちついてしまうということもあり得るという話なわけですけれども、どうもこの辺はちょっと私よく理解できないです。別の機会にまた議論させていただきたいと思います。  それでは次に、ボローイングの話です。いわゆる借り入れの問題ですけれども、限度はどのぐらいを考えているかということですが、例えばお金を借りる場合については当然利息がつきます。じゃ金利はどのぐらいか、あるいは借りてくる対象期間は将来どこから借りてくるか、どういう期間で借りてくるか、その辺のところはどういうふうに決めているんでしょうか。
  52. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) ボローイングと申しますのは、今回京都で議論をします温室効果ガスの排出削減ということについて、第一期という、これをバジェットと呼んでいますが、多くの国が二〇〇八年から二〇一二年の間を第一期として、それに引き続いて第二期というのを予定してさらなる削減をするという、そういう方向で議論をいたしているわけでございます。  ボローイングと申しますのは、第一期の削減目標を仮に一期が終了する時点で達成し得ない場合に、第二期において間違いなく削減のめどがあるというような場合に一部前借りをしてくるという制度でございますが、私ども日本国といたしましては、一定の利息を払うべしということと期間についての限定を付すべしというそういう条件を付した上で、考え方としては、いろいろ各国難しい事情を抱えている中で、削減目標にコミットするについて必要であろうということで議論に臨んでいるところでございます。  期間については、そんなに遠い先ではございませんで、一期で借りてくるのであれば翌第二期のバジェットから借りでくるということになろうかと思いますが、利率その他の具体的な点については、ボローイングを欲している国を含めてまだ具体的な提案がAGBMで出ている状況ではございませんものですから、これまた具体的な議論はいましばらく、大枠が固まった上での議論ということにならざるを得ないかと今は考えているところでございます。
  53. 加藤修一

    ○加藤修一君 我が国のこの辺の考え方というのは具体的には決まっていないんですか。
  54. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 私どもは、今考えております日本提案につきましては、日本みずからの主体的な努力によって削減目標を達成するというのが基本と考えておりまして、その上でボローイングでありますとか、あるいは排出権の取引でありますとか、あるいはよその国との共同実施というような、いわゆる総称して柔軟化の措置と言われておりますが、柔軟化の措置については、いろいろ各国難しい事情を抱えている中で、意味のある削減目標に各国のコミットメントを引き出していく上においては必要であろうということでその必要性は認めております。  その上で、ただ野方図にこれをやったんでは真摯な温室効果ガスの排出削減につながらないということで、そこにたがをかけるという意味において、利息でありますとか期間限定でありますとか、そういう条件をつけるべしということを前提に、ボローイングということについても一定の場合はやむを得ないという、そういうスタンスで議論に臨んでいるものでございます。
  55. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、具体的な話がないんでちょっとわかりにくいんですけれども、いずれにしても国際社会で、会議場で日本の考え方も示すわけですから、早くしないと大変じゃないかなという気持ちでおります。  それから次に、政府が十月十三日にまとめました温室効果ガス削減対策というのがありますけれども、これは九〇年レベル比で〇・五%削減を目標にしているわけですね。先ほど法的拘束がかかるのは二・五%という話でした。〇・五%は具体的なめどということで決まっているけれども、残り二・〇%というのはどういうふうに考えたらよろしいですか。
  56. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 国内対策を各部門において積み上げをいたしました結果、エネルギー起源の炭酸ガスでは九〇年レベルに安定化することがぎりぎりのラインである。これにエネルギー起源の炭酸ガス以外のものを加えて〇・五%程度までが対策の裏打ちとして実現できるものであるという考え方でございますが、御指摘のありました二・五%の点につきましては、現在想定をされておりませんさらなる技術開発でありますとか国民各層におけるさらなる協力を期待することによって最大限の努力を重ねていくという性格と理解しております。
  57. 加藤修一

    ○加藤修一君 あえて確認しますけれども、先ほどの答弁では柔軟化条項のお話がありました。それが二・五の拘束がかかっているうちの二・〇%に弾力的な条項、それと今の答弁の二%、それについてはまだ具体的に固まっていないと、そういう答弁であったわけですけれども、よもや柔軟化の方に向けて残りの二%を考えるという話じゃないわけですね。要するに、二・五%はもう確実にやると。法的拘束力がかかっているから絶対やらなければいけない最低限の数値であるというふうな理解でよろしいですか。
  58. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 先ほど稲川長官から御答弁申し上げましたように、エネルギー起源CO2ということで申しますと、需給両面の対策を積み上げて今確実にやれると見込まれるのは〇%が精いっぱいという事実認識を持っておりますが、一方で、日本として議長国という立場で五%を基準削減率とする提案をまとめて、二・五という差異化後の日本の削減目標でございますので、これは冒頭にも大臣お答えになりましたように、法的拘束力を持つ削減目標ということで私どもも認識しております。  その上で、各国とも九〇年に比べて例えばゼロにするというのは、日本の場合で言えば二割以上自然体でいった場合よりもエネルギーの消費量を減らす。アメリカの場合で言えば二八%温暖化ガスがふえるのをゼロにするということも大変困難な作業になってまいりますので、各国からできるだけ意味のある削減を、確実に見込めるところだけじゃなくて、それにプラスしてさらなるものを引き出すためにコンプライアンスという、遵守条項というものが議定書の中でいずれ議論をされることになっているわけです。  その中において、限られた部分については、ごく限定された部分でございますが、それについては一定の弾力的な対応をするということを日本として議論していこうということもあわせ政府部内で意思の確認をして、その上で二・五%に向けて最大限の努力をするということにいたしたものでございます。
  59. 加藤修一

    ○加藤修一君 その削減量について質問したいわけですけれども、物流部門のCO2削減について三分の一に下方修正したという報道があったわけですが、三分の一、すなわち八百八十万トンから二百五十万トンに削減したというような、要するに我々から見れば随分と緩やかになったなという話なんですけれども、これはどういうことになりますか。
  60. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘の新聞記事があったことは承知いたしてございますが、事実関係は下記のごとくでございます。  ことしの五月に平成八年度の物流部門の物流効率化による炭酸ガス削減量について委託調査を行いまして、その発表をいたしてございます。これは、日本ロジスティクス協会に委託をしたものでございまして、先ほど申し上げましたように五月に発表をいたしました。  この試算は、効果の方向性を明らかにするという趣旨で、極めてある意味で大胆な前提を置いてございます。例えば、都市内物流はすべて天然ガス自動車であります低公害車を使用する、あるいは海運、鉄道の規制緩和によりまして自動車輸送分担率が大幅に削減をする、あるいは地域間輸送は全車二十五トントラックで運行する等々の前提を大胆に入れて計算をしたものでございます。  今回、合同会議向けて試算を行いました内容は、現在の現状を踏まえた実現可能性を勘案いたしまして、政策努力等を最大限行った場合について算出をしたものでございまして、委託調査とは本来全く別物でございますし、調査の結果を下方修正したという事実もございません。
  61. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の御答弁ですけれども、これは通産省調査を委託したわけで、通産省の流通産業課が指導して、運輸省や建設省、警察庁などと一緒に総合物流施策大綱をまとめる上で、要するに物流効率化政策の効果をはかる上で基礎とした資料じゃないですか。
  62. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 先ほども申し上げましたように、物流対策の効果をある程度明確に方向性を明らかにするという趣旨で非常に大胆な前提を置いてございます。したがいまして、その方向性においては常に考え方が定まっているわけでございますが、具体的な施策という観点から見ますと、先ほど申し上げましたような前提がかなり現実から離れたものでございますので、その使い方についてはいろいろの配慮が要るということでございます。
  63. 加藤修一

    ○加藤修一君 日通総研に並ぶ一、二を争う物流の専門のことを扱っている協会だと思います。通産省のOBも行かれてやっているところですね。現実離れしたようなレポートを、委託調査結果をもらって通産省は喜んでいるわけですか。
  64. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 前提を明らかにした結果でございまして、その前提を考えながら物流対策の効果の方向性を見るという趣旨でこれを利用しているものでございます。
  65. 加藤修一

    ○加藤修一君 これは、総合物流施策大綱を閣議決定しているわけですけれども、この資料になっているわけです。閣議決定している中身の資料になっているんです、基本的な資料に。  それじゃ、そういうある意味で現実的でない極めて大胆な想定のもとでやったものを使って最終的に閣議決定の方につながっていったという理解でいいんですか。
  66. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 物流対策の方向性を議論するために、その効果をある程度明らかに、方向性を明確にするという趣旨で使われたものでございます。
  67. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほど答弁の中にトラックによる関係がございました。低公害車の導入、そういうことも含めて、これ通産省、この辺の私が得ている範囲の資料というのは全部じゃないわけですけれども、この協会がつくった資料の提出をしていただきたいんですが、よろしいでしょうか。
  68. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 積算根拠の詳細についてのお尋ねでございますが、御報告申し上げます。
  69. 加藤修一

    ○加藤修一君 協会がつくったレポートの提出です。
  70. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 公表しているものでございますので、お届けいたします。
  71. 加藤修一

    ○加藤修一君 それから、二百五十万トンに下方修正した、その二百五十万トンに対応する詳細な中身についても提出をお願いしたいと思います。
  72. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 積算根拠でございますので、別途御報告申し上げます。
  73. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、炭素税についてお伺いしたいと思います。  通産大臣産業界との懇談会で、炭素税についてはいわゆる危険な税だと承知している、最後まで取り組むべきではない、そういうふうに報道されておりますけれども、この真意はどういうところにございますか。
  74. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) お答えをいたします。  炭素税に関しましては、先生御指摘のとおり、なかなか問題のある税だというふうに認識をいたしております。先月の十三日に、九つの審議会がまとまりまして、第三回の合同会議におきましてそのメリット、デメリット等について各委員から御意見をいただいておりまして、御議論を賜っているところでございます。  通産省といたしましては、炭素税については、国民に新たな負担を求め、また経済活動にも大きな影響を与える問題であるということを踏まえて慎重に検討することが必要だというふうに考えておるところです。  特に、本問題に関しましては、CO2の排出抑制の実効を上げるためには非常に高率な課税をしなければならない。国民生活、経済活動に与える影響というものは大変大きなものが出てくるんではないか。我が国の産業の国際競争力への影響も、炭素税の導入をした場合には相当の影響が出てくるんではないかというふうな問題を考えまして、炭素税の導入を非常に強く警戒する産油国の立場もございましたりしまして、そういうことを含めて十分かつ慎重な議論が必要だという意味での発言でございます。
  75. 加藤修一

    ○加藤修一君 そうしますと、決して否定的な発言ではない、十分審議し、慎重な討議も含めて今後やっていく、そういう理解でよろしいですか。
  76. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) そのとおりでございます。
  77. 加藤修一

    ○加藤修一君 経済企画庁にお尋ねいたします。  環境政策経済効果に関する調査レポートがございますけれども、その中で、要するに化石燃料に対する現在の個別税制、それを全廃し純粋な炭素税に再編するような提案がされているわけです。これに基づきますと、化石燃料と同じ炭素税の税収が約五兆円ということで、CO2削減効果としては五千万トン以上、そういう推定がある、しかもこれは可能であるというような一つ調査報告がございます。またさらにつけ加えて、こういう考え方によりますと増税への反対を和らげ、社会的に受け入れられる可能性がある、そのようにレポートの中には記されておりますけれども、この辺について経済企画庁の見解はどうでしょうか。
  78. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 委員御指摘の研究は、植田和弘京都大学教授を中心として、経済研究所の研究グループがその責任で取りまとめたものでございます。したがいまして、この研究成果は当該研究グループの研究試論でございまして、経済研究所及び経済企画庁の公式の見解ではございません。この研究では、揮発油税等既存の化石燃料諸税の税、税収総額を変更しないという条件のもとで、それらを純粋炭素税に変更した場合のシミュレーションを行いまして、その結果といたしまして、既存の化石燃料諸税よりも純粋炭素税の方が二酸化炭素排出削減効果が大きいことを指摘したものと理解をしております。  炭素税について申し上げますと、地球温暖化防止京都会議を十二月に控えまして、当面の国内対策を取りまとめるための関係審議会による合同会議におきましても検討が行われているところでございますが、期待されるメリット、デメリットの両面がございまして、引き続き慎重に検討していくことが必要であるとされているわけでございます。
  79. 加藤修一

    ○加藤修一君 炭素税の導入に関しては、こういったやり方も一つのオプションとして考えられるということですけれども、先ほど大臣の御答弁の中で、国民に対する負担が考えられる、あるいは経済的な活動に対しての影響も考えられるという話がございました。最近の調査によりますと、環境を保全していくための税導入、いわゆる環境税、炭素税、そういったことについては国民の判断は六〇%前後が賛成であるというような意見もございますし、今の経済企画庁の研究所のレポート、この内容を見ましても割と受け入れられやすいような考え方に成り立っているわけですけれども、この辺について御見解はどうでしょうか。
  80. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 炭素税についての基本的な立場は先ほど大臣から御答弁申し上げた次第でございますが、この問題について私どもが慎重に考えた方がいいというふうに考えています背景等を一、二補足して御説明申し上げたいと思うのであります。  アメリカヨーロッパあるいはアジアの周辺の主要国、いずれも環境税あるいは炭素税というものの導入の具体的な計画はございませんで、EUの中でも議論がまとまらないという状況にあるわけでございます。そういう状況の中で、ひとり我が国が率先してこれを入れた場合に、産業の空洞化がさらに進むという懸念、それに加えまして、温暖化の防止という面から考えました場合にも、日本産業というのは世界最高水準の省エネ、すなわちCO2を出す割合が少ない生産プロセスを採用して事業活動をやっているわけですが、これが例えば削減義務のかからないようなところに生産拠点を移した場合に、温暖化の問題というのはすぐれてグローバルな問題でございますので、その面から見ていかがなものかという、その点の心配を私どもはせざるを得ません。  それから、先ほど大臣もお触れになりました、サウジアラビアを初め産油国が、大変この税について警戒感を強めておりまして、これだけ石油輸入依存度の高い日本がほかの国に先駆けてそういうものに踏み切るというような場合の予想されるリアクションということについても慎重に見きわめる必要があるという、そういう意味において私どもは慎重にこの問題については考えていく必要があるんではないだろうかというふうに判断しているところでございます。
  81. 加藤修一

    ○加藤修一君 時間が参りましたのでやめますけれども、いずれにしましても環境税については積極的に推進していくことを私としては要望して、質問を終わりたいと思います。
  82. 平田健二

    平田健二君 平成会の平田です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、中小企業庁にお尋ねをいたします。  これは過日の参議院本会議でも我が党の都築議員が発言をしておるんですが、九月十三日の報道によりますと、「中小企業庁が不適切文書」、「違反黙認の文書流れ 中小企業庁回収指示」、いわゆる週四十時間労働制に関する問題でございます。こういったことが大きく報道されました。  私の手元にもことしの七月七日付の中小企業庁ということでの文書がございます。週四十時間労働制に関する内容で、二年間かかって平成十一年三月三十一日までに四十時間制に移行すればよい、さらには基本給を下げて対応すればよいと受け取られかねないような不穏当な文書が手元にございますが、この件について経過とそれから概要について御説明をいただきたいと思います。
  83. 林康夫

    政府委員(林康夫君) お答え申し上げます。  御指摘の文書でございますが、実は週四十時間労働制の実施が極めて困難で、労使とも対応策が見出せない個別の中小企業のケースにつきまして、労使による話し合いのたたき台として両者の考え方を整理して取りまとめたペーパーでございます。  当該ケースは、実は労使の話し合いによって既に週四十時間労働制が実施に移されているところなのでございます。その後、この当該企業が中央会の会員企業ということもありまして、全国中小企業団体中央会がこの文書を各都道府県の中央会に配付したわけでございますけれども、当該文書は御指摘のように一般化することは誤解を招くおそれがありますので、全国中小企業団体中央会に当該文書の回収を要請いたしまして、週四十時間労働制完全実施との当省の見解を改めて周知徹底するように要請いたしました。中央会では、直ちに同文書の回収を行いまして、改めて当省の見解の会員への示達を実施したというのが経過であり概要でございます。
  84. 平田健二

    平田健二君 九月十二日付の中小企業庁の文書によりますと、確かにそういった回収せよといいますか、してほしいという文書がありますが、ここにこう書いてあるんですよ。これ、お持ちですか。九月十二日、振興課長が出した文書ですね。三番目、「したがって、かかる文書が配布されていることは極めて遺憾であり、」、文書が配付されたことが遺憾じゃなくて、この中身が遺憾なんですよ。いいですか。文書が配付されたことは遺憾じゃないんです。  中小企業庁は、少なくとも、内部文書と今言われていましたけれども、まさに週四十時間労働制への移行について、二年間でやればいい、賃金の問題についても基本給を切り下げていいというような議論が内部でなされたんじゃないですか。だからこういう文章になったんじゃないですか。だから、文書が配付されたのが極めて遺憾じゃなくて、そういうことを中小企業庁の内部で検討されたことが遺憾なんですよ。その辺はどうですか。
  85. 林康夫

    政府委員(林康夫君) 実はこの中身でございますけれども、先生十分に御案内のように、昨年の中央労働基準審議会の報告書、これは十二月でございますけれども、この四十時間制の実施に当たりまして、少なからぬ事業場においてなかなか実施が困難となることは避けられないと見込まれていまして、これらの事業場に対しては罰則のみに頼る施策では十分効果が期待できないと考えられることから、この定着に必要な指導や援助を積極的に行うことが必要である、こう指摘されておるわけでございます。  当庁の考え方は、厳しい状況にある中小企業ではありますが、週四十時間労働制に移行することが非常に難しい事業場に対して、何とかこの国会でいただいた指導期間の間に一日も早い労働基準法の履行確保を徹底しよう、こういう意図で、その個別のケースについてはいろいろ相談に乗っていたと、こういう経緯でございます。
  86. 平田健二

    平田健二君 それは理解できるんですが、具体的な内容です、中小企業庁の中で個別企業からそういった相談があったときにはこういった方法もありますよということは、実はこういうことを考えておるということじゃないですか。いいですか。実はこの問題は、中小企業庁は御存じないと言うかもしれませんが、ことしの二月七日にも全国中小企業団体中央会に労働省から同じような文書が出て、参議院の労働委員会で紛糾しておるんです。そのことは御存じですか。
  87. 林康夫

    政府委員(林康夫君) 労働基準法の解釈について労働省の見解をいただいて、そして中小企業団体中央会がその趣旨を会員に送付したという点は承知しております。
  88. 平田健二

    平田健二君 先ほど質疑にもありましたように、経済が非常に好況じゃないという段階で、それは中小企業に限らずそれぞれ大変なことはわかりますけれども、やはり法律で決めた以上、しかもこれは単に昨年決めたとか二、三年前に決めたわけじゃないんですよ。もう十年前、その前から議論されて決まったことなんです。ですから、少なくとも週四十時間労働制については、労働省じゃなくても、中小企業庁でもやはり法の趣旨をしっかり理解して守れという指導をするべきだと思いますが、最後に大臣いかがでしょうか。
  89. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 御指摘のとおりだと存じます。  週四十時間労働制は本年の四月一日から施行されておりまして、これは直ちに完全実施されるべきものと認識をいたしております。  当省といたしましても、今後とも週四十時間労働制の完全実施について最大限努力をもって取り組むとともに、誤解が生じることのないように十分管理監督を行ってまいります。
  90. 平田健二

    平田健二君 よろしくお願いをいたします。  次に、繊維政策についてお尋ねをいたします。  ことしの六月に、繊維産業構造改善事業協会が中小企業事業団へ統合されるということが閣議で決定をされました。まず最初に、現在の事業協会の果たしている役割、機能についてお伺いをいたします。
  91. 水谷四郎

    政府委員(水谷四郎君) 先生御承知のように、繊維産業構造改善事業協会は、新商品開発等の繊維産業の構造改善に関する業務を行うことを目的としまして昭和四十二年に設立をされたわけでございます。以来、繊維産業をめぐりますもろもろの内外環境変化がございまして、時代ごとの繊維産業の課題に対応するために、債務保証業務、情報提供業務、指導助言業務、助成金交付、こういった多様な業務を遂行してまいりました。  特に、最近時点におきましては、我が国繊維産業の共通課題でございますマーケットイン型の生産流通構造、あるいはクリエーション、創造性をはぐくむ産業構造、こういったことの実現のために情報化支援等の業務を中心に重点を置いて遂行してまいったところでございます。
  92. 平田健二

    平田健二君 それらの役割と機能についてどう評価されていますか。
  93. 水谷四郎

    政府委員(水谷四郎君) 繊維産業につきましては、繊維産業構造改善臨時措置法に基づきまして、今の御指摘の構造改善事業協会がこの構造改善に関します業務の中核的な実施機関として、同法に定めます業務を着実に遂行してきたものと認識をいたしております。  特に、最近時点におきましては、各分野におきます情報化の動きが大変急でございまして、そういった意味で情報化等の分野で繊維業界に対する指導的な役割を果たすことによりまして、繊維産業の高度化の方向に一定程度寄与してきたものと、かように評価、認識をいたしております。
  94. 平田健二

    平田健二君 そういった評価をする事業協会が今回廃止されて中小企業事業団へ統合されるわけですけれども、中小企業事業団というのは融資を中心とした組織ですね。ですから、今お答えがありましたように、繊維産業のいろんなもろもろのことを中小企業事業団に統合して、今までのような手厚いいろんな繊維産業に対する施策がさあできるんだろうか。そういったことが非常に心配されるわけです。  そこで、繊維産業審議会等がございまして今議論しておるわけですけれども、今後の繊維産業のあり方あるいは審議会の姿勢について大臣の考え方をお伺いしておきたいと思います。
  95. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 御指摘のとおり、中小企業事業団は、中小企業構造の高度化のための必要な指導だとか、あるいは資金の貸し付けとか研修及び中小企業者のための共済制度の実施運営、こういうものを行う組織であります。中小企業政策の総合的な実施機関でもあるわけでありまして、具体的な実施事業は必ずしも一致するものではないと思いますが、繊維産業の大多数が中小企業でございますし、繊維産業構造改善事業協会の事業とも実質的に共通する面もあると認識をいたしております。  そんなことから、現在、繊維産業構造改善事業協会が行っております事業のうち必要なものについては中小企業事業団へ移管するなど、一般中小企業対策と一体となって実施する旨を閣議決定いたしております。この方針を踏まえて事業の見直しが必要になってくるとも感じております。  このために、現在、繊維産業審議会並びに産業構造審議会に対しまして今後の繊維産業及びその施策のあり方を諮問いたしておりまして、繊維政策全体のあり方について検討を進めていただいているところでございます。
  96. 平田健二

    平田健二君 次に、繊維のセーフガード、TSGについてお尋ねをいたします。  ポプリン・ブロードについての繊維のセーフガードに関しては、昨年の十一月にTSGにかわって新しく中国が自主規制をする、EL制度を導入するということで調査を見合わせたわけですね。この調査を見合わせるときに通産省はいろいろおっしゃっていただいておるわけですが、この制度はTSGの発動によって期待されるような事態と同じか、もしくはそれ以上期待できるということをおっしゃったわけですけれども、この制度の導入後も中国輸出攻勢は一向に衰えていない。むしろふえている。  通産省としてはこのEL制度をどのように評価しておるのか、成果が上がったと思われておるのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  97. 水谷四郎

    政府委員(水谷四郎君) 御指摘のように、昨年十一月の合意によりまして中国の自主規制によるポプリン・ブロードの輸入急増をコントロールする、こういった合意が成立したわけでございます。  それに基づきまして、本年一月から導入されました措置によりまして中国からの対日輸出分に関し今後三年間の輸出数量の水準の大枠が設定されますとともに、中国側で正当に管理されたものであるかどうかが日本の輸入通関時に確認することができるという体制になったわけでございます。これによりまして、これまで第三国・地域トレーダー、特に香港中心でございますが、このトレーダーが介在しまして、当該国・地域向け輸出許可を取得しながら現実には中国で船積みをして直接日本輸出されていた、ある意味でいいますと不正な貿易、不公正な貿易は日本での通関が不可能となったわけでございます。そういった意味で、これらのことから、今回の措置によりまして従来よりもきちんとした管理を行うことができるようになったものと考えております。  他方、中国原産の綿織物でございましても、中国側の自主管理措置の枠外にある実際に中国外の第三国・地域、例えば香港でございますとか韓国でございますとか、こういった地域で船積みをされます第三国ないし地域経由分につきましては、昨年は輸入全体の一割未満にとどまっておりましたけれども、本年に入りまして実は半数近くにまでこの迂回分が拡大しているということで、この事態は現在の日中間の枠組みの前提を揺るがしかねないということで、重大な問題として認識をいたしているところでございます。
  98. 平田健二

    平田健二君 重大な認識はいいんですが、これは不正というか、不公正な輸入です。中国にしてみたら輸出。どういう問題認識を持っておられますか。
  99. 水谷四郎

    政府委員(水谷四郎君) 先ほど申し上げましたように、中国輸出管理によって当該品目の日本への輸入急増を抑える、避ける、こういったことに基づきます合意でございましたので、この合意の根底を揺るがしかねないということで重大な懸念を持っておりまして、今のスキームの中でこの中国からの迂回輸出をいかに抑制し得るかという点につきまして、輸出国側及び日本、輸入国側双方からこの迂回輸入の抑制につきまして改善措置を講ずる努力をしていくべきだと、かように考えております。
  100. 平田健二

    平田健二君 努力はわかりますが、具体的にどういう努力をされておるんでしょうか。
  101. 水谷四郎

    政府委員(水谷四郎君) これまで大臣レベルにおきまして、昨年十一月のAPEC会合の際、また本年六月の通産大臣訪中時に佐藤前通産大臣より呉儀部長に対しまして迂回貿易の厳格な管理につき申し入れを行っております。これに対しまして中国の呉儀部長からは、迂回貿易問題は大変難しい問題でございますが、何とか日中で共同して問題に対処していきたい、かような回答を得ているところでございます。  また、事務レベルにおきましても、本年五月には局長級会談を実施しますとともに、三度にわたる課長級協議を別途実施しているところでございます。また、非常に迂回が拡大しました最近の情勢にかんがみまして、先月上旬にも北京に生活産業局審議官を派遣して話し合いを行いました。日本側からは、本年に入ってからの迂回比率の上昇は現在の日中間の枠組みの前提を揺るがしかねないということで善処を求めているところでございます。  また、昨年末以来、日本の輸入商社に対しましてヒアリングを随時実施いたしておりまして、第三国・地域経由によります輸入の抑制についての要請、これを避けるようにという要請を行っているところでございます。
  102. 平田健二

    平田健二君 いえいえ、そうじゃないんです。ですから聞いたんですよ。五月に話し合いをしたと言いますが、その後またふえているんですよ、迂回貿易が。それから、今、日本の商社に対しても云々と言いましたが、前回、この二月に私質問をしたときにこう答えておるんですよ。「日中繊維貿易に携わっております日本側の商社に対しまして相当厳密なきちんとしたヒアリングを実施いたしております。」と言っていますが、やっていないということじゃないですか。だからふえておるんですよ、迂回貿易が。しかも、これは全体にふえておるじゃないですか。ポプリン・ブロードは対前年同月比で大体一〇〇%以上ですよ。全く話し合いの効果がないということなんですよ。と私は言わざるを得ないと思っていますが、どうでしょうか。
  103. 水谷四郎

    政府委員(水谷四郎君) 本年に入りましてからの迂回の比率の拡大についてでございますが、本年一月一日から導入しました、先ほど申し上げました日本側の通関時確認制の導入というスキームの強化によりこれが行えない状況になって、第三国ないし地域からの迂回という形に表面化してきた、かように推測をいたしております。  これによりまして、日中間で御承知のような中国紡織品総公司、中大と言っておりますが、これを経由しない貿易の実態について、むしろこの措置の導入によりまして現在共通の認識が形成されたというふうに考えております。  これを踏まえまして、香港・華潤、韓国・環宇といった総代理店に対し、日本向けの再輸出が予定されているものを取り扱わないようにするよう指導を強化する、また中大の運営を効率化する、こういったことを中国政府に要請する。  同時に、国内的には、輸入商社に対しまして迂回品の取り扱いを減らすよう要請する。両サイドからこの迂回の圧縮に努めてまいりたい、かように考えております。
  104. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 午後二時四十分に再開することとし、休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ―――――・―――――    午後二時四十一分開会
  105. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 平田健二

    平田健二君 TSGについてもう一、二問御質問をいたします。  昨年の十一月に調査を見合わせるという発表をして、この八月に調査を延長すると。去年の十一月に調査を打ち切って、八月になったら、いやさらに調査を延長するんだと、こういうことですね。十一月から八月までの間にどう事情が変わったのか、調査を延長するという理由は何なのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  107. 今野秀洋

    政府委員(今野秀洋君) ただいまも御指摘のございましたように、昨年の十一月に、中国側が輸出自主管理措置を強化する、また日本側が輸入通関時確認制を実施する、こういう実態に対応いたしまして、本邦産業に与える重大な損害あるいは構造改善のための環境整備等に係る調査活動、こういったものの続行を見合わせることにしたわけでございます。いわばこの調査を休止いたしたわけでございます。  その後、ことしの八月まで当該品目の輸入動向を注意深く見守ってきたところでございますけれども、八月以降もさらに中国側の輸出自主管理措置の運用の仕方、また迂回輸入等の動向、状況、そういったものを反映して輸入動向がどうなるかということを引き続き注視して、その結果を勘案しながら綿製ポプリン・ブロード織物に係るセーフガード措置についてなお検討を要するということで、この調査活動ができる期間、いわゆる繊維セーフガード措置に係る調査期間というものを延長することにしたわけでございます。
  108. 平田健二

    平田健二君 この延長は、これは一年間ですから、例えば来年の八月が来たらまた延長するということもあり得るわけですか。
  109. 今野秀洋

    政府委員(今野秀洋君) 延長したばかりでございますので、来年どうなるかというのはまだ申し上げられる状況にはないのでございますけれども、少なくとも、この延長という措置をいたしました結果、現在政府としては、中国側がことしの一月から実施しております自主管理措置といったものの実効性等につきまして引き続き注視しながら、必要と認めた場合にはいつでもいわば業界の新たな要請を待たずして政府の判断で調査活動を再開するということができる状況にあるわけでございます。
  110. 平田健二

    平田健二君 調査活動を延長するんじゃなくて、もう数字はTSGを発動していいという数値ですから、TSGを発動しないんですか、調査を延長するだけですか。
  111. 今野秀洋

    政府委員(今野秀洋君) 現在は調査期間は延長されておりまして、そこの中で、その状況に応じて業界の要請を待たずして政府において調査活動を続行することができる体制になっているわけでございますけれども、仮に調査活動をそこで続行、再開するということになった場合でございますけれども、その場合には綿製ポプリン・ブロードの輸入の急激な増加があるかどうか、それによって本邦の産業に重大な損害が生じているかどうか、そういうことを見まして、さらにその構造改善のための環境整備あるいは消費者やユーザーへの影響などを総合的に勘案してこの品目に係りますセーフガード措置の発動の是非を判断するということになるわけでございます。
  112. 平田健二

    平田健二君 いや、そうじゃないんですよ。ここにデータがあるんですよ。もう既に発動していい数字になっておるんですよ、ポプリン・ブロードについては。対前年同月比をずっと見ても全部一〇〇%以上です。数字はもうWTQのルールに従ってTSGを発動してもいいデータが出ておるけです。にもかかわらず調査を延長するだけでは今までと同じじゃありませんか。ですから、もりここらでTSGを発動するのかどうか、具体的にお答えいただきたいんです。
  113. 今野秀洋

    政府委員(今野秀洋君) 現時点における迂回分を含めました輸入動向、これにつきましては、現在直ちに調査活動に再び着手するという状況にあるということはなかなか言えないのではないかというふうに考えております。なおこの状況について注意深く見守る必要があるというふうに考えております。
  114. 平田健二

    平田健二君 昨年の十一月にTSGの発動を見送った時点ではもう明らかにTSGを発動していい数字だったんです。そのことは前回のこの商工委員会でも御答弁をいただいておるんですが、にもかかわらずTSGを発動しなかったということです。  ですから、このTSGというのは日本政府は発動しないともう言い切ったらどうですか。業界に変な期待を持たせて、具体的にある一定の数量が輸入されればTSGが発動できるというルールがあるにもかかわらず何度も何度もそれを発動しないということですから、だったら、世界に向かって日本はもうWTOのTSGは発動しませんよということを言い切った方がいいんじゃないですか。業界の皆さんにも、いやもうTSGは日本は発動しませんよと業界に別な対策を考えなさいと言った方がいいと私は思いますよ。変な期待を持たせて、いつかTSGを発動してもらえるんだということを期待しておるんです、業界は。数字は、国際ルールに従っていけばきちっとTSGが発動できるデータがあるにもかかわらず発動できないということは、もうやらないということじゃないですか。はっきり言った方がいいと思いますよ。ですから、このTSGをめぐる問題についてはもういいかげんに結論を出してもらわにゃいかぬ。  通産大臣、最後に、この問題についてどういうふうにお考えでしょうか。繊維産業はこのTSGの発動について、効果があるかないかは別として大変期待しておるわけですよ。ぜひひとつ大臣、お考えをお聞かせください。
  115. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 繊維のセーフガード措置に関する第二回目の調査につきましては、本年八月に調査期間を、先生にただいま御報告申し上げたように、一年間延長して輸入動向を注視している状況であります。  現時点において迂回分を含めた輸入動向の推移というものを眺めると、先生の御指摘のような面も非常にあるのではないかというふうにも思いますので、そういう点をしっかり見きわめてみたいと思いまして、輸入の動向についてさらに注意深く見守ってみたいと思っております。  また、迂回輸入対策としては、中国に対して迂回分を含めた管理の強化をさらに要請するとともに、我が国輸入商社に対しても迂回輸入の抑制をさらに要請し、これによって輸入の急増を防止し得る体制の整備も行ってまいりたいと思っております。
  116. 平田健二

    平田健二君 時間がございませんので、次に流通政策についてお尋ねをいたします。  現在、大店舗法の見直しが審議されておると聞いておりますが、九五年に一部の大手スーパーで元旦に営業するという店舗が出ました。年々年々増加をしてきたわけですけれども、来年はさらに元旦に店を開くというスーパーが増加をするという一部マスコミの報道がございますけれども、元旦の営業に対する通産省としての考え方をお尋ねいたしたいと思います。
  117. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 御指摘のような元日営業の問題につきましては、私どもも労働組合を初めといたしまして各方面から問題の提起をかねてよりされておるところでございますが、具体的にどのような日を休業日とするかあるいは営業をするかということにつきましては、基本的に事業者の判断にゆだねざるを得ないテーマであるというふうに考えておるところでございます。
  118. 平田健二

    平田健二君 確かにそれぞれの営業のことですから、通産省があるいは国がああしなさいこうしなさいと言うことはなかなか難しいと思いますけれども、現在審議されておる大店舗法の中でやはりこの正月営業についての問題も審議されるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  119. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 御指摘のとおりでございまして、ただいま産業構造審議会と中小企業政策審議会の場におきまして大店法の見直しの作業をしていただいておるところでございますけれども、この中でも元日の営業問題がテーマとなって既に論議されております。  その中では、まさに御指摘のように社会的な問題としてこれをとらえるべきだという御意見がある一方におきまして、これを規制するというようなことは消費者利益の観点から適当でないとか、事業者の判断にゆだねられるべきだとか、あるいは意見によりましては元日に買物をするというのも国民の中における一つの選択、チョイスとしてあるべきであるというようなさまざまな御意見が出されておるところでございまして、そういう状況の中でございますけれども、こうしたさまざまな論点につきましてさらに御審議を深めていただければと、こう思っているところでございます。
  120. 平田健二

    平田健二君 大店舗法、出店するときにはいろいろと規制がございます、それがいい悪いは別としまして。しかし、今非常にこういった時世になりまして、町中にある大手のスーパーの店舗が撤退をするという問題が最近起こっております。それもまた個々の企業の選択によると言われればそれまでですけれども、出店するときにはいろいろと規制をして地元の商店街との協調関係だとかいろんなことを言いながら、撤退するときには実は何もないわけです。  今、大きな町中にあるスーパーが撤退をすると、それに付随する、付随するといいますか、それを取り巻く商店街が客足の流れが変わって衰退をしていくという、こういう問題が実は起きつつあるわけです。ですから、大店舗法の見直しを審議する中でぜひその撤退についてもある程度議論をする。条件をつけるというとおかしいですが、撤退についてもやはり地元の商店街と相談をしながらやるとか、そういった方法を大店舗法見直しの中で撤退についてもひとつ議論をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  121. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 御指摘の退店あるいは撤退の問題につきましても実はこの合同審議会の場で既に相当程度議論が出ておるところでございます。  おっしゃるように、退店についてしかるべき措置を講ずべきだという御意見もある一方で、一律のルールで規制するということは不適切だというような御議論がまさに真っ向から対立をすると申しますか、ぶつかり合っているという状況でございます。この問題にはなかなか難しい点が含まれているというふうに理解をしておるわけでございます。  ただ、私どもとしては、大型店の退店というようなことに伴いまして中心の市街地が空洞化をするという問題が結局は問題であるということでございまして、規制の問題とは別に、中心市街地の活性化を図るという観点から、この合同会議におきまして八月に中間の取りまとめをいただいたところでございます。中心市街地におきます商業集積の施設の整備でございますとかあるいは空き店舗の活用とか駐車場を整備するとか、そうした基盤整備をやるというようないわば前向きの対策を講ずることによって中心市街地の空洞化というものを防止する、このような方向性を出していただいているところでありまして、政府といたしましても、既に関係十一省庁とできる限りの連携をとりながら、中心市街地対策というものを来年度以降強力に講じていきたいということで所要の予算措置等々も今要求をして調整を進めているところでございます。
  122. 平田健二

    平田健二君 次に、万博についてお尋ねをいたします。  二〇〇五年の国際博覧会について、主に広域展開ということについてお伺いをいたしたいと思いますが、平成七年の十二月の閣議了解の中に、国、民間と同列の表現で「関係地方公共団体」というのがあるんですが、この関係地方公共団体とはどの範囲を指すのか、愛知県内だけなのか、この関係地方公共団体について御説明いただきたいと思います。
  123. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 国際博覧会を成功に導くためには、国、民間に限らず広く地方公共団体が一体となってこれに取り組んでいただくことが必要であると考えておりまして、こういう観点から幅広い地方公共団体の積極的な参加が望ましいと考えております。  先般設立されました博覧会協会には既に役員として広く中部地域、愛知県にとどまらず中部地域の地方公共団体からの参加をいただいておるところでございます。今後、基本計画の構想の具体化というようなものに伴いまして、例えば費用負担というような形で資金的な面も含めた御協力というようなことは可能性があるわけでございますけれども、そうしたことはまだこうした博覧会協会に参加をされている方々の間でお話し合いをしていただきまして、できる限り広範な方々の御協力をいただくことが重要ではないかと考えておるところでございます。
  124. 平田健二

    平田健二君 広域展開を図るとこう言っておりますけれども、具体的に広域展開とは何なのだろうかということなんです。イメージとしては、愛知万博ということで愛知県が中心になることはもう間違いありませんが、やはりこの万国博覧会を中部地方でやるわけですから、広域展開をするということは愛知だけじゃなくて東海、中部地方挙げてこの万博成功に向けてそれぞれの自治体が取り組むということが大変必要ではないか、重要なことだと思っております。  そこで、万博を開催するに当たって道路整備だとか鉄道だとかいろんな地域の公共工事、こういったものがあるわけですけれども、やはり広域展開をするということですから、そういったものも含めてイメージとしてま中部全体で万博を推進するんだという必要があると思うんですが、その辺について通産省として協会にどのように指導されるのか、わかっておる範囲で教えていただきたいと思います。
  125. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 広域展開ということに関連いたしますれば、特にこの博覧会は人間と自然との共生というようなテーマを掲げておりますので、その関係で一人一人の人にいろいろ考えていただく、問題提起をする博覧会でございます。博覧会の開催の前後におきまして、愛知県のみならず周辺の地方公共団体、地域も含めてそうしたいろいろなさまざまな事業というものが考えられると思います。  また、博覧会そのものにつきましても、この博覧会の基本構想の中では周辺諸施設の有効利用でございますとか、あるいは情報通信ネットワークを活用して広域の地域との連携を図るというようなことの具体的な提案がなされておるわけであります。もちろん、この博覧会構想については、その具体化は今後の作業にまたれるわけでございますけれども、今後博覧会協会を中心にいたしまして、既に提起されている広域展開の具体化というものを積極的に進めていっていただきたいというふうに期待をいたしておりますし、私どももそのような方向で指導をしていきたいと思っておるわけでございます。
  126. 平田健二

    平田健二君 二〇〇五年の博覧会、国家的な事業ですね。また、それぞれの地方公共団体が、あるいは自治体がこれからいろんな各都道府県で博覧会をするというケースもあると思います。この国家的なプロジェクトの愛知万博を成功させることも大切ですけれども、地方自治体が自分たちもまた博覧会をやりたいと、そのときの研修のために、やはり地方自治体からも万博の職員を公募するというようなことも考えた方がいいと思うんです。  先日、博覧会協会の職員二十九名が発表されたんですが、全部これは愛知県の人です。来年の四月になると国家公務員の皆さんも当然博覧会協会に出向されると思いますが、ぜひ希望する自治体から、あるいは民間の企業からも職員を早く出向させてノウハウを覚えさせるといったことも必要ではないかと思いますが、その辺についてお考えがありましたらお聞きしたいと思います。
  127. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) お答えいたします。  先生のおっしゃるとおり、この万博は何としても成功をおさめなければいけない、そのためには本当に人知を尽くして全体の総力を結集するようなことをしていかなければならない国民的な大事業だと思っております。そういう意味で、官民一体となった推進体制が不可欠でございます。  したがいまして、博覧会の準備、運営を円滑にして博覧会を成功させるためには、博覧会協会には過去の博覧会と同様に今回も必要に応じて国、地方公共団体等からできるだけ有能な方に集まっていただいたり、広く優秀な人に参加をしていただくようにしていくべきだと私も思っております。  したがいまして、そういう方向で、これは博覧会協会が行うべきことでございますが、我々もそういう気持ちを伝えてまいりたいと思っております。
  128. 平田健二

    平田健二君 これはけさの新聞なんですが、ここにございます、「通産、代替地も検討」と、こうなっています。大変センセーショナルな見出しがついておるんですが、これによりますと、アセスに備え、環境評価ですね、「通産、代替地も検討「海上の森」近隣2カ所」と記事になっています。これは、環境影響調査をやって非常に厳しい結果が出たその場合には通産省が予定地の近隣に代替地を検討している、こういうことなんですが、これは事実でしょうか。
  129. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) そのような事実はございません。
  130. 平田健二

    平田健二君 もう一度。
  131. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) そのような事実はございません。
  132. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ただいま申し上げたとおり、私もそのような事実は全くないということを申し上げます。
  133. 平田健二

    平田健二君 終わります。
  134. 小島慶三

    ○小島慶三君 両大臣、御苦労さまでございます。二、三質問をさせていただきます。  初めに、経済企画庁長官の方にお尋ねをしたいと思います。  その一つは、経済の中長期的な見通しというのはだれしも関心を持っている大きな問題であろうと思うんです。まして、今度提出をされた財政構造の改革というこの法案はきちっとした目標年次、目標値を持っております。それだけに、このバックデータはやはり相当詰めたものでなければいけないというふうに私は思っております。  それで、聞くところによりますと、大体年率三・五%の成長ということが想定されているようでありますが、私はこの三・五%の成長というものについては非常に疑問を持っております。  まず第一に、これからの経済というものは人口成長率ダウンいたします。その分はほかの何かでカバーしなきゃならない。例えば労働の生産性とかそういったものでカバーできるかということになりますと、これからは私のような年寄りがどんどんふえてくる、高齢化それから少子化ということになりますと、当然、経済を支えておる若年労働力というものはかなり趣が変わってまいると思うんです。そういう点から見ても、労働の生産性というものが果たして上がるのかどうか私は疑問に思っております。  それから、もう一つ大きな問題はやはり環境の問題でございまして、これからの環境の問題というのは決してないがしろにできない。別に議論をいたします万博の問題にしましても、環境との兼ね合いが一番大きい。それから、今後の温暖化の問題に関連しまして、CO2の削減ということも大きなやっぱり問題でなければならない。そうすると、このCO2の削減というのはいろんな意味成長の制限の要素になってまいります。  それからさらに、日本の国際的な地位というものを考えてみて、これから日本アジア諸国ヨーロッパアメリカ、こういうところとの貿易の環境というのが一体どうなるかという点もこれは大きな問題だろうと思います。したがって、従来のように貿易の成長率でどんどん伸びていくというふうなことは、為替レート関係がございますけれども、これが果たしてそれを大きな成長要因としていいのかどうかということも問題であろうと思います。当然、日本の海外投資、海外への進出というふうなものは国内のある程度の空洞化というものを伴ってまいります。工場だけではありません、銀行もまたそうであります。  そうして見ると、そういういろんな要素を考え合わせてみると、私はこれからの成長率というのは一%でも十分だろうというふうに思っております。  かつてケインズはイギリスの成長率について、イギリスが成熟期に来た今の段階においては一%の長期の成長にはたえないということを言ったことがあります。日本もそれほどの成熟期にやはり近づきつつあるのではないかというふうに思うわけです。そうしますと、この三・五というのはいかにも高い成長率ではないか。  ことしの成長率につきましても、ほとんど民間は一%以下というのを想定しております。そうしてみると、やはり目的のために三・五という数字が引き出されたような感じがないでもないというふうに思うのでございますが、その辺のところをひとつ企画庁長官から明快なお話を伺いたいと思います。
  135. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 長期にわたります日本経済成長率をどういうふうに考えていくかということで、労働生産性の問題とか環境とかあるいは国際関係とかいう総合的なお話がございました。  私ども、この財政構造改革法案の審議に際しまして大蔵省が「財政事情の試算」というのを出しているわけでございますが、これは現在の経済計画でございます「構造改革のための経済社会計画」、平成七年十二月こ閣議決定した成長率をもとにいたしまして、一定の仮定のもとに機械的に試算が行われていると承知をしております。この計画におきましては、物流あるいは電気通信、金融・サービス等の分野における高コスト構造の是正とか活性化の促進等、計画に盛り込まれました諸改革が進展した結果として実質三%、名目三・五%という数字を考えておりまして、一方、構造改革が進展しない場合には、この期間の経済成長率は実質、名目ともに一・七五%になるというふうにしているところでございます。  その考え方は、やはり規制緩和とかあるいはそういう経済構造改革を進めることによって名目三・五%程度の成長率を実現していきたい、こういう考え方であろうと思っておりまして、例えば電気通信分野の規制緩和を一層促進することによって情報化社会の実現を早める、そのことによって経済の効率を高めるというような手法によりまして所期の成長率を実現していきたいと考えている次第でございます。     ―――――――――――――
  136. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、梶原敬義君が委員辞任され、その補欠として大脇雅子君が選任されました。     ―――――――――――――
  137. 小島慶三

    ○小島慶三君 今お話を伺いましたが、これからの仮定として考えた場合に、恐らく公共事業というものが大きな成長率を引っ張るということはこれはちょっとないのではないか。公共事業の乗数効果がだんだん下がってきておりますし、全般的に予算の編成上から見ても公共事業で大きく成長を期待するというふうな方式、こういうシステムはとれないというふうに私思っておりますので、その点はこの三・五の中ではどういうふうにお考えなのか。  それから、もう一つの大きな成長要因としては輸出というものがありますが、輸出についてもどういうふうにこの三・五の中でお考えになっておられるか、これもお伺いしたいと思います。
  138. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 公共事業につきましては、最近におきまして、従来つくっておりました公共投資基本計画六百三十兆のうち、三十兆の調整額を除きまして、六百兆ベースのものを四百七十兆にするということで縮減をすることにいたしました。従来パターンの公共事業によって経済成長を支えるという考え方よりも、むしろ規制緩和とかあるいは土地の流動化とか経済全体の効率化を図るということによりまして民間活力中心経済構造改革を進めていく、そのことによって新しい形での日本経済成長を実現していきたい、こういう考え方になっていると考えている次第でございます。
  139. 小島慶三

    ○小島慶三君 今、規制緩和のお話がございました。確かに規制緩和というものが非常に大きなこれからの方向を考える場合の要素になっていると、私もわからないでもありません。例えば携帯電話というようなものが一つ出てきただけでも大変な影響を持つということはわかります。  しかし、規制緩和にはやっぱり規制緩和のマイナス面というものがあるわけでありまして、それによって競争激化、そしてまたある程度の整理といったようなものが当然随伴してくるわけであります。だから、規制緩和が決め手になって、そして今後のいろんな方向を成功に導くという考え方もどうも少し短絡的ではないかというふうに私思うのでございますが、恐縮ですが、もう一遍その辺をひとつお伺いしたいと思います。
  140. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 現在の財政構造改革を進める考え方は、これを進めながら同時に経済構造改革、六つの改革のうちの一つでございますが、それを進めるということでございます。もうちょっと具体的に申しますと、経済構造改革をパターンとして分類をいたしますと三つぐらいに分かれるかというふうに考えている次第でございます。  一つは、企業活動が国際的な展開をする経済国際化の中で、日本という地域が、日本という国が外国やそれから日本企業によって生産活動の拠点として選ばれるような体制をつくる必要がある、つまり企業が国を選ぶ時代になったことに対応して事業活動の基盤を同じようにする必要があるというふうに考えております。  そのことは具体的に何を意味するかといいますと、例えば法人課税、現在実質五〇%と言われておりますが、これを四〇%程度を目指して縮減していく。それから、例えば有価証券取引税についての見直しも行いまして、東京市場をニューヨークやロンドンのような国際市場に発展をさせていくというようなことがあろうかと考えている次第でございます。  それから、現在の経済の立ち上がりにとりまして大変大きなしこりになっておりますバブルの後遺症であります不良債権問題、これが経済の順調な発展のしこりになっているというふうに考えておりまして、このしこりを取る必要がある。そして、そのためには土地に関する規制を緩和して、土地の有効利用、土地の流動化を図って不良債権の処理を進める必要がある。これが経済を順調な回復軌道に乗せる大きな活性化の要因であるというふうに考えております。  それからもう一つは、規制緩和でございまして、例えば情報通信分野の規制緩和とかあるいは土地に関する容積率の規制緩和あるいは農地の転用等に関する規制緩和を進めまして、これまた土地の有効利用にも関係があるわけでございますけれども、全体としての民間の活力を十分発揮させるような経済の体質に持っていって、そして民間活力中心経済成長を実現するということが必要ではないかというふうに考えております。  ちなみに、経済企画庁で行いました試算によりますと、諸般の規制緩和を進めることによりまして成長率が〇・九%程度は上がるのではないかという試算もございまして、そういう民間需要中心経済活性化を実現して経済を正常な回復軌道に乗せていきたいというふうに考えている次第でございます。
  141. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  その〇・九%の成長率を民間活性化で求められるというのは、これは大変結構な数字だろうと思いますが、しかし政府の今進めておられるいろんな改革を拝見しますと、例えば特殊法人の民営化という問題についても余りぱっとした話は出てこない。それから、政府の中央省庁の統廃合という面につきましても、民営化でそういう方向を進めるんだという、私はそういうことかとかねて思っておったんですけれども、これも余りはっきり出てこないということで、民営化によって民間活動を活発にしてという今のお話がどうもむなしく響くわけでありますが、今後のいろんな御努力もございましょうから、これはこれとして承っておきたいと思います。  それで、聞くところによりますと、アメリカ経済は非常に活況を呈しておる。活況の原因というのは幾つかあって、アメリカがグローバルに、世界的に生産拠点を持つ、これが一つ。それから、情報通信の技術の発達によって需要と供給というものの時間的なずれがなくなる、したがって在庫も要らない、こういう形になってきている。それからもう一つは、組織労働者というものがだんだん減ってきて、それにかわって臨時のパートタイマーとかそういう形で労働力が賄われている。したがって、経済が活況になっても賃金がそれほど上がらない、賃金インフレにならないというふうなことが幾つか挙げられておるわけであります。  この幾つかの中で日本に適用できるとすれば情報通信のことぐらいかと思うのでございますが、私の申し上げました三・五という高い成長率には行かないのじゃないかという点もひとつお考えの中にお置きいただいて、それならばどういうシナリオがあるかという点も御研究いただきたいと思います。  もう一つ、これは通産省の方がいいのかもしれませんが、目標年次になった場合の産業構造は一体どんなものをお考えでございましょうか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  142. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 先生の目標年次というのが、我々の方の「経済構造の変革と創造のための行動計画」というのが二〇一〇年を目標にいたしてつくってございます。  その二〇一〇年に向かっての内容ということを申し上げさせていただきますと、市場規模の拡大とか良質な雇用の創出といったような問題、その点から今後の成長の期待される十五の産業分野というものを選んでおります。その分野に挙げたところの中には、医療・福祉というような面、あるいは先ほどのお話の情報通信という面、それから新製造技術の問題、バイオテクノロジーの問題、新エネルギー・省エネルギーの産業、航空・宇宙というような分野が含まれて十五分野になってございます。  これらの十五の産業分野におきまして、雇用規模で見ますと、現在、一九九五年の約一千六十万人が二〇一〇年で約一千八百万人、約七百四十万人の増ということを見込んでおりまして、市場規模で見ますと、今度は九五年の約二百兆円が二〇一〇年では約五百五十兆円、約三百五十兆円増を見込んだ計画になっております。  現在、通産省といたしましては、行動計画を踏まえて、これらの十五分野ごとの抜本的な規制緩和や技術開発等の推進と各分野の共通課題である資金だとか人材あるいは技術に関する横断的な施策を総合的に実施しているところでございます。  今後、この行動計画の着実な実施にとどまらずに、関係各省庁と連携のもとに計画の前倒しと新たな施策の追加を内容とするフォローアップを年内に行ってまいりたいと思っておりますし、現在の差し迫っての財政構造改革の実現に向かっては、年内のフォローアップ、それから十一月中旬、ちょっと先になります景気対策というようなものと、これはみんな関連をさせて取り組んでいるところでございます。
  143. 小島慶三

    ○小島慶三君 今の大臣の御説明にもありましたように、これからの増加分が約三百五十兆という数字を私どももいただいております。ただ、その中身を見ますと、非常に大きな百八十兆から二百兆ぐらいまでのものが情報通信それから医療、流通・物流関係、こういうもので占められておりまして、我々の常識と申しますか、通常の感覚で持たれる物づくりというか、そういったものの方が非常に低い伸びになっております。  例えば、これからの技術サイクルという点から見て、やはり新しい産業伸びてくる、そういう可能性が私は大きいのではないか。今の情勢を見ますと、確かに情報とかそういったものはあれですし、さっきのアメリカの好況の原因をいろいろ考えてみてもそういう点が大きい、これはわかりますけれども、もっと通産省としての、例えば航空・宇宙とかあるいは新材料とかあるいはバイオとか、そういった伸びがもっと大きいのではないかと思うのでございますが、その点はいかがなものでございましょうか。
  144. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 十分その点、先ほども申し上げましたように項目として取り上げて真剣にやっておるわけでございますが、何せこの問題につきましては、新しい技術の誕生だとか新製品の製作だとかいろいろ幅広いものが出てくるわけでございまして、さっきのCO2の問題と同じでございまして、さらに今の予想を上回るような問題についても取り組みを行っていくということでございまして、ここに限られて出しておりますのは、相当着実に堅実な数字を出しているというふうにお考えをいただければいいと思います。
  145. 小島慶三

    ○小島慶三君 それでは、ちょっと方角を変えまして、エネルギーの話に移りたいと思います。  将来のCO2の削減の見通しというふうなものの中で、非常に大きな要素が原子力に当てられているのではないかというふうに思います。  ただ、原子力二十基という数字が入っておりますが、それが果たして立地的に可能なのかどうかという点を私大変疑問に思っておるわけであります。私も多少立地の方を十数年かじってまいりましたから、いかに原子力の立地が困難であるかというのは身にしみてわかっているわけであります。ましてや、原子力あるいは動燃といったようなエネルギーの中核を担うべき成長要素は、非常に国民感情的に受け入れがたいという点があります。  それで、私の従来の経験からする勘定では、原子力としてこれから立地が望まれるのは大体三つか四つぐらいではないかというふうに思うんです。二十カ所もそれが見込まれるということは果たしてどうなのか。その点はやはり私は別のシナリオをお考えいただいた方がいいんじゃないかと。原子力二十基というのは少し無謀ではないかというふうに思います。いかがでございましょうか。
  146. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のように、現在、原子力立地をめぐって大変な国民の不信感に基づいた逆風が吹いていることは承知をいたしてございます。  現在運転中の原子力発電所、五十三基、四千五百二十五万キロワットでございまして、御指摘のございました炭酸ガス削減のための供給サイドの前提として、これを二〇一〇年に七千五十万キロワットの水準にすることが前提でございます。  ことしの三月に電気事業者から通産大臣に届け出られました電力供給計画によりますと、二〇〇六年度までに新たに運転を開始する発電所として九基、千百二十八万キロワットが計画されております。また、二〇〇七年度以降に運転開始を予定している原子力発電所も相当数考えられております。  今後二〇一〇年までの十三年間で約二十基を増設することは、重ねて確かに容易なことではございませんが、通産省としましては、原子力発電所の安全性の確保、これに万全を期しつつ、国民の理解を求める活動を強化し、また原子力発電所の立地地域振興策の充実に最大限取り組むことによりまして、その実現を目指して全力を挙げてまいりたいと考えております。
  147. 小島慶三

    ○小島慶三君 その間に廃炉の問題は出てまいりませんでしょうか。
  148. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 廃炉の問題についても出てまいりますが、現在廃炉について会計上の処理の基準などをさらに詰めておるところでございます。二〇一〇年までの間に東海発電所の小型のものが対象になる可能性がございます。
  149. 小島慶三

    ○小島慶三君 私は、この原子力の問題は日本経済のこれからのアキレス腱になるような気がして仕方がないのでありますが、この点は原子力でなければこうというふうな別のシナリオもぜひお考えをいただきたいというふうにお願いをいたします。  それから、これは全然別の話でありますが、最近ハイブリッド車なんというのが売り出されておりまして、このハイブリッド車によってかなりCO2のカットができる、こういうのがうたい文句になっておるわけであります。ハイブリッド車だけでなくて、あるいはガソリン車の燃費の向上ということもあるのかもしれませんが、こういった自動車と環境という問題につきまして、これはどの程度の可能性を持っておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  150. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 運輸部門におきましては、この自動車の燃費の改善等に非常に大きな期待をいたしてございます。直噴エンジン、リーンバーンエンジンなどの新技術の搭載によりますガソリン車、ディーゼル車の単体燃費の改善という問題と、それからハイブリッド自動車、電気自動車などのクリーンエネルギー自動車の普及と二つの側面がございますが、二〇一〇年におきまして約四百万トンのCO2排出削減が可能であるという見込みを立ててございます。これは運輸部門の対策の約三分の一に相当するものでございまして、残りの三分の二は、路上工事件数の半減などによる渋滞の解消、いわゆる交通対策でございます、それから物流の効率化、さらには国民による公共交通機関の利用等の施策が進められることによって対応する予定でございます。
  151. 小島慶三

    ○小島慶三君 あと二分しかございませんので、私の残りの質問は次の機会に譲らせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  152. 山下芳生

    ○山下芳生君 コンビニエンスストア、フランチャイズチェーンの問題について質問します。  コンビニは今や消費者にとって非常に身近な存在であります。また、流通業界全体が不況で苦しんでいる中で、店舗数、売上高をともに伸ばしていることもよく知られております。その多くはフ一ランチャイズチェーンであります。  そこで、まず大臣に、フランチャイズ制度の本来の特徴、特に本部と加盟店の関係についてこうあるべしというお考えをお聞きしたいと思います。
  153. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) フランチャイズ制というのは、小売業におきましてフランチャイズチェーンシステムは、加盟店である中小小売業者にとっては、本部からすぐれた商品だとか経営ノウハウ、そういうものの提供を受けまして、商標だとか商号の使用が可能になるというような、個人経営では得られないさまざまな情報や特典のようなシステム、ノウハウ、こういうものが享受できるというのがプラスな面であると思います。  また、一方、本部にとりましては、加盟店の方の資金負担による出店時の投資コストが非常に少ない、あるいは急速な多店舗展開が加盟店によってできるというようなことになりまして、規模のメリットの実現を容易にするという利点を有しているというふうに思います。  こういうようなフランチャイズチェーンシステムは、本部及び加盟店双方にメリットをもたらすものだということで、こういう長所が適切に生かされることによって小売商業の発達に寄与することができるというのが基本的な問題だと思います。
  154. 山下芳生

    ○山下芳生君 おっしゃるとおりだと私も思うんです。本部と加盟店がいわば共存共栄するシステム、これが本来のフランチャイズシステムだと思います。ところが、加盟店、コンビニ店主の実態を聞きますと、大変な事態が進行しております。  例えば、朝早くから夜遅くまで一年三百六十五日店主はお店に出て、それにもかかわらずほとんど利益が出ないだとか、あるいは人件費を抑えるために家族も店に出なければならなくて、家族の生活はすれ違い。病気になる家族も出てきたり、あるいはやめようと、もうこれは続けられないと思っても、多額の借金に縛られてやめることもできない。去るも地獄残るも地獄で、離婚や自殺者まで出ている事態が起こっております。本部を相手取った加盟店の側からの訴訟も起こっていることは御承知のとおりだと思います。  なぜこんな事態になるのか。私も非常に疑問に思いまして、少しフランチャイズ契約の仕組みについて調べてみました。  まず、加盟店が開店をするときにどういう資金が必要なのか。これは、本部への手数料、それからお店の改装費、それから初回の仕入れ代金、それから自前で店舗を持っていない方の場合は店舗や土地などの不動産の費用もかかります。これを全部借金でやろうと思いましたら、もう数百万円から一千万円を超えるというのが大体平均的な最初の資金の必要額です。  それから、そうやって開業した後どういう事態になるかといいますと、売り上げがあるわけですけれども、仕入れ額を引いた粗利の大体三割から七割が本部に対する商標利用と経営指導の代金、いわゆるロイヤルティーとして支払うことになる。それから、そのほかに仕入れ代金、それからレジだとか什器のリース料を毎月本部に支払うことになるわけです。そういう本部への支払いを全部差し引いた残りから、その店舗で働いてもらっているアルバイトの方への人件費を支払い、水光熱費を支払うということになるわけです。なかなか厳しい状況です。  私、今お配りした資料に、直接私がお話を聞いた大阪の高橋さんの実例が載っております。  左下の表を見ていただいたらわかるんですが、この高橋さんのお店の一カ月平均の売上高は大体八百二十八万円。これ年商にしますと一億円を超えているんです。ところが、いろいろロイヤルティーだとか、あるいは必要な経費を引いていきますと、お店の利益として残るのは月平均一万二千円なんです。これは決して特殊な例ではないと思うんです。  こういうシステムというのは一般的なフランチャイズチェーンの契約のあり方だと私は思うんですが、これはいかがでしょうか。
  155. 寺田範雄

    政府委員(寺田範雄君) フランチャイズチェーン、いろいろな各種のものがございますし、契約の内容もそれぞれチェーンごとに異なっておりまして千差万別ということでございますけれども、一般的には今委員御指摘いただいたようないろいろな項目についてあらかじめ契約をした上でフランチャイズの事業に取り組むというような形になっております。  千差万別ではあるんですけれども、一般論として申し上げますと、通常、本部が加盟店にいろいろ商標とか商号、これを統一的に提供するといったようなこととか、あるいは経営に関する指導を行うといったようなこととか、あるいは場合によりましては継続的に加盟店に商品・サービスを提供いたしまして、これらの見返りにその加盟店の方から加盟金とか保証金、あるいはロイヤルティーといったようなものを徴収するといったようなことでございまして、そういったような項目が、それぞれのケースごとに異なりますけれども、いろいろ盛り込まれております。  それで、具体的にそれでは徴収する金額はどのぐらいかとか、ロイヤルティーはどのぐらいかということになりますと、これまたそれぞれのケースによって千差万別ということで理解しております。
  156. 山下芳生

    ○山下芳生君 具体的な形態は千差万別だが、大体一般的にはこういうシステムがとられているということであります。  そこで大事なのは、やはりこういうシステムの中で利益を上げようと思ったら、売り上げがどれだけ上がるのか、これによってかなり利益というのは違ってまいります。ですから、本部に加盟する場合、あらかじめ加盟店、コンビニ店主になる方に、そういう売り上げが大体どのぐらいあるのかということを過大に説明したりしたのでは、これは後から大変な事態になるわけです。  ところが、高橋さんの場合を聞きますと、この方も脱サラで預金や退職金を注ぎ込んでオーナーになったわけですけれども、契約時、本部の側は、年収は五百万円あると思ってください、担当者が経営をサポートするので素人でも安心できますというふうに勧誘したわけです。高橋さんの場合だけじゃありません、何人もの方から私聞きましたけれども、例えば、絶対にもうかる、プロの私たちに任せてくださいという勧誘でありますとか、あるいは契約もこういうシステムになっているということを事前に文書で示して説明しなければならないはずなんですが、ところが話がどんどん進んでいって、手付金三百万円払ったところで初めて契約書を見せられたということも、私、本人から聞きました。  ですから、これは私はもう詐欺的な勧誘ではないのかというふうに思いまして、こういうことが事実だとしたらこれは違法ではないかと思うんですが、いかがですか。
  157. 寺田範雄

    政府委員(寺田範雄君) 個々のケースはさまざまあろうかと思いますけれども、現在の私どもが担当しております中小小売商業振興法におきまして、かかる特定連鎖化事業を行う本部事業者についてはさまざまな義務が課されております。それで、具体的には、本部事業者はあらかじめ加盟店に対しまして、あるいは加盟を希望する事業者に対しまして契約の内容を開示する、それから契約内容の事前説明を行う。そしてその際、必要最小限どういった項目について開示しなくてはいけないかといったようなことが法令上明示されておりまして、そういったことを基本的には本部事業者は義務づけられるという形になっております。  具体的に契約時にそういった法令上定められましたミニマムな情報開示を行っていないというケースがございました場合には、これは中小小売商業振興法の十二条及び十三条に基づきまして、要すれば必要な法的措置がとられるという形になっているわけでございます。
  158. 山下芳生

    ○山下芳生君 今、そういう事実があればとおっしゃったんですが、私は今これは個々の問題として対処する時期ではないのではないかと思っているわけです。こうした事例が最近広がっているということをやはり所管官庁として認識いただきたいと思うんです。  それにはちゃんとした背景がある。今こういう事態が起こる最大の要因一つが過剰出店だと思います。全国に今コンビニのチェーンストアは四万八千店舗ある。一店舗当たりの商圏人口は二千五百人にまで下がっておりまして、これは三千人で飽和状態になったとされるアメリカの水準を超えているという専門家の指摘もあるわけです。ですから、こういうコンビニの大量出店によってチェーンの本部の売り上げは全体として伸びているわけですけれども、個々の加盟店の売上高の伸び率というのは九五年度に初めてマイナスを記録しているわけですから、過剰出店の影響というのは数字の上にもあらわれているわけです。  それからもう一つは、実際に出店と同時に退店の数も急増しております。八三年に公正取引委員会が「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」というガイドラインを出しました。このときは、MCRの統計によりますと、一年間で出店したコンビニが三千六百四十六店、閉店したお店の数が百四十六、もう圧倒的に出店が多くて、閉店は少なかったんです。ところが、今、九六年は一年間で出店した数が三千二百十八、閉店数が千四百八十五店、もう二軒出たら一軒は閉店という状況になっている。  ですから、こういう事態が広く背景にある中で、やはりきちっとした説明をしなければ、あるいは詐偽的な勧誘がまかり通っていくような実態も背景としてあるんじゃないかと私は思うわけです。  こういうことが起こったら、人生設計を意欲的に、消費者に対する貢献だとかあるいは自分の新しい働き場所として、こういう意欲に燃えて道を選んだ方々が大変な事態に陥りかねないわけです。それを前提にしたような勧誘がまかり通るとしたら、これは私、大臣が最初におっしゃったフランチャイズシステムの共存共栄という理念からもうはっきり言って逆行する。オーナーを一人でもキャッチすれば本部は必ずもうかる仕組みがあるわけですから、そうじゃなくて共存共栄こそ本来あるべき姿なんだということから逆行するような事態を許してはならない。  こういう事態が広範に広がっているということについて、だれもが知っている企業グループの経営のトップでもあられた大臣の御感想と、それから改めてきちっとこういう事態について調査をするということについて、いかがでしょうか。
  159. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) フランチャイズ契約につきましては、先生のおっしゃるとおり、加盟者が契約内容を理解、検討した上で契約をするということが前提になっているわけであります。このために必要な情報の開示は重要であるということはもう認識してなきゃいけないと思います。こういう認識から、中小小売商業振興法で、本部事業者による書面の交付、記載事項についての説明を義務づけているところでございます。  そういう意味で、仮にこれらの情報開示規定に違反をしたり、あるいは適切な情報開示を行っていないと疑われる案件があれば本部の事業者から報告徴収をしっかりと行いまして、そして実態を把握した上で情報開示義務違反が判明すれば、中小小売商業振興法に基づいて情報開示の勧告あるいは名前の公表、そういうことを含めて措置をきちんと講じてまいりたいと思っております。
  160. 山下芳生

    ○山下芳生君 御感想は。
  161. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) その今の先生のお話の内容ですか。
  162. 山下芳生

    ○山下芳生君 そういう実態。
  163. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ちょっと想像を絶するようなものだというふうに感じますけれども、どういう事実であるかをひとつよく調査をしてみたいと思っております。
  164. 山下芳生

    ○山下芳生君 公取に伺います。  公取は既に八三年、あるべき姿としてガイドラインをつくったわけですけれども、それが残念ながらつくったにもかかわらず、今情勢の変化もあってこういう事態が横行しているというふうに私は認識しております。  改めて、このコンビニのフランチャイズ契約について一般的な調査を公取としてはやるべきだと私は思いますが、いかがですか。
  165. 上杉秋則

    政府委員(上杉秋則君) ただいま御指摘ありましたように、昭和五十八年に独禁法上いろいろ問題が起こる場合の具体的な考え方というのを取りまとめて公表させていただいたわけですけれども、その後、ガイドラインに基づきまして独禁法の運用に努めてきたわけでございますが、本日の御指摘をいろいろお聞きいたしますと、私どものガイドラインの内容というのは必ずしも周知徹底されていないのではないかという感じを持ちました。  したがいまして、私ども、ガイドラインの一般的な周知徹底に努めたいと考えておりますし、また、本日御指摘があったような点についての関連情報の収集に努めまして、関心を持ちつつ適切に対応していきたいというふうに考えております。
  166. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後に、労働省にお伺いします。  こういうコンビニに労働者が退職して転職する際の入り口になるのが、例えばリクルートが主催した転職フェア、この高橋さんの場合はそうでした。ですから、そういう労働省が管轄をすべき転職フェアなどで、本来新しい働き口に希望を持って進んでいける場であるべきなのに、希望どころか生き地獄ともいうべき入り口になるということはあってはならないと私は思いますが、どう対処されますか。
  167. 東明洋

    説明員(東明洋君) ただいま御質問の転職フェアでございますが、今御指摘の会社のみならず、就職情報誌系の会社、あるいは全国紙、地方紙を問わず新聞社の事業部、あるいは都道府県などの地方公共団体、あるいは商工会議所等の経済団体等が、転職に限りませず、新卒あるいは地方へのUターン、Iターン等につきましてこういったフェアをやっておるのは事実でございます。  これは、情報提供の場ということで、一堂に会しまして効果的に就職を進めるという意味合いがあるということで、現在の法体系上では特段規制にはなっておりません。ただ、今先生の御質問の中にございましたけれども、仮に職業紹介あるいは求人募集広告等の際に、具体的に虚偽の広告をなしたり、あるいは虚偽の条件等を提示したり、あるいは公衆衛生上、公衆道徳上有害な業務等につかせたりする場合におきましては、それなりの罰則の適用があり得るということも事実でございます。
  168. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  169. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  170. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 次に、平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  171. 平田耕一

    平田耕一君 自由民主党の平田でございます。よろしくお願いいたします。  大阪の万博と申しますと、私がちょうど学生時代でありました。近いものですからよく通ったわけでありますけれども、当時、岡本太郎先生の太陽の塔をシンボルとして、非常に活気に満ちた博覧会だったわけであります。熱気に満ちた会場に人があふれておったわけでありますけれども、まさに景気拡大をこれからするぞ、新しい国をつくるぞという契機となるような、象徴的な博覧会だったかというふうに思っておるわけであります。  このたび誘致に成功されました愛知万博につきまして、大臣におかれましては今日的な開催意義というものをどのようこお考えか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  172. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 今回の万博の目的あるいは理念という御質問でございますが、我が国として提案をしてまいりました、今までの見せるという万博から、問題を提起する問題提起型の博覧会、来るべき時代への実験場というような新しい博覧会のあり方というものが一つ大きくクローズアップされたと思っております。  そして、その目標が、人と自然の共生という理念でございました。広くBIEに加盟している各国の問題意識に合致したということが支持を得た理由だろうというふうに思いますし、この目標に向かって大いに取り組んでいかなければならないというふうに思っております。また、この誘致のために各界各層の皆様方の御努力というものも大きな成果を上げたものだというふうに思っております。
  173. 平田耕一

    平田耕一君 そういたしまして、いずれにいたしましてもこれから準備に入られるわけでありますけれども、その過程はくしくも財政構造改革下であるわけであります。そういった状況下の準備について国としてはどのように取り組むお考えか、基本的なお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  174. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 本博覧会につきましては、政府といたしましては平成七年十二月の閣議了解におきまして、開催のための諸経費については関係各省の既定経費の枠内で捻出することとされておるところでございまして、その前提で博覧会の中身を充実しつつ、工夫をして効率的な開催に努めていくという考えでございます。  また、本博覧会は、環境創造型の町づくりや人と自然との新たな関係について世界の英知を集め実験することによりまして、環境資源エネルギーなどの人類共通の課題の解決策を模索する新たな試みでございまして、エネルギー・環境政策観点からも意義深いものとなるような準備を進めていきたい、かように考えておるところでございます。
  175. 平田耕一

    平田耕一君 それでは、環境という言葉が出ましたのでお尋ねいたしますけれども、閣議決定をされた環境アセスについて具体的にどのようにお進めになられますか、お考えをお伺いしたいというふうに思います。
  176. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 本博覧会につきましては、平成七年十二月の閣議了解におきまして、「環境影響評価を適切に行うこと。」とされておるところでございます。環境影響評価法の施行前ではございますが、本博覧会につきましてはこのアセスメント法の趣旨を先取りいたしまして、博覧会事業の環境影響評価を実施することといたしておるところでございます。  環境影響評価法におきましては、大気、水、土壌などの良好な状態あるいは生物の多様性、人と自然の触れ合いなどの確保を旨として調査、予測及び評価の手法を選定するべきであるとされておるところでございます。  これを踏まえまして、通産省といたしましては、本年の十月に環境庁など関係機関と連携しつつ、二〇〇五年の国際博覧会に係る環境影響評価手法検討委員会を設置いたしまして、既に検討を開始しておるところでございます。来年三月までに結論を得た上で、当省としての評価の項目、手法を決定したいと考えておるところでございます。  この決定に基づきまして、博覧会の実施主体でございます博覧会協会は速やかに環境影響評価の手続を開始することとなる、このように理解をしておるところでございます。
  177. 平田耕一

    平田耕一君 どうぞ十分な県民の理解が得られますようにお願いを申し上げます。  先ほど一般質疑平田健二先生から、広域での開催という質問がありました。ちょっと違った観点で広域ということで、これからいろいろ社会資本整備もそれに合わせた形で進められるというふうにも思っておるわけでありますけれども、若干逆に心配な点を申し上げますと、例えばこういう考え方がございます。  御高承ではありますけれども、地道な町づくりこそ実は最大のイベントなんだという考え方があるだろうというふうに思っております。その中で、一過性と言うとちょっと言い過ぎでありますけれども、これは一つのいい機会になればいいわけでありますが、テーマを決めた、期限を決めたイベントということに向かって、例えば東海地区管内で社会資本整備がそこへ集中するということになりますと、その予算の割り振りにつきましてはその地区内の近隣が割を食わないように、こういうことを実は心配しておるわけであります。そのことについて十分御配慮いただけるようにお願いを申し上げたいし、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。建設省にお願いいたします。
  178. 望月常好

    説明員(望月常好君) 博覧会に関連する公共事業の計画関係とリンクしてくるわけでございますが、現在のところ、計画の前提となります博覧会協会が策定いたします具体の会場計画が策定されていないという段階で、検討はこれからということでございます。  今後関係省庁が協力して策定することになろうかと存じますが、その際にただいま先生御指摘の点を念頭に入れながら、それからまた平成七年十二月の閣議了解におきましては、「関連する公共事業については、その必要性等について十分な検討を行い、通常の公共事業費の中での適切な配分により対処する」というふうにされておりまして、これらを踏まえつつ検討してまいるというようなことになろうかと存じます。
  179. 平田耕一

    平田耕一君 終わります。
  180. 荒木清寛

    荒木清寛君 まず、今回の愛知万博の開催決定に至ります政府関係者を初め皆様の努力に感謝を申し上げます。  ただ、開催決定直後の総理のコメントは、記者団に対しまして、お金はないが精神的に応援をしたいと、まことに心細いわけなんです。総理が財政再建に真剣であるということはよく理解をしておりますけれども、先ほど通産大臣もおっしゃいましたように、これは国家的プロジェクトでございます。そういう意味では、財政面も含めまして国としては本格的な取り組みをしなければいけないというふうに思っておりますが、この万博の開催についての大臣の取り組み姿勢、まずこれをお伺いいたします。
  181. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 総理の発言は非常に精神的な面での強調をされたものだというふうにおとりをいただきたいと思いますし、本年六月の閣議決定後、政府といたしましては八月二十六日に博覧会担当の大臣を指定しました。また、九月二十六日には博覧会関係閣僚会議の設置を行いました。また、第一回のその閣僚会議を九月三十日に行って、博覧会推進体制の強化充実を着実に進めてきているところでございます。  また、この一環として、博覧会協会に対しましても、資金調達、人材の確保、そういう面で協力を行うことができるように、本日御審議をいただいている法案を提出したわけでございます。  そういう意味で、本博覧会は国を挙げて推進をする事業でございますし、国際的な期待を裏切らない内容にするためにも官民が一体となって、一丸となって取り組みをやっていくことが不可欠だと思っております。そういう意味で、政府といたしましても引き続きその円滑な準備の促進を図ってまいりたいと思っております。
  182. 荒木清寛

    荒木清寛君 会場建設費についてでありますが、いわゆる土地の造成を除いた上物の建設費、一千億円から一千五百億円程度という試算があるわけですが、政府としてこの点はどのぐらいの試算をもって今取り組んでおられますか。
  183. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 博覧会の会場建設費でございますが、会場計画の策定作業は博覧会協会におきましてこれから行われるわけであります。また、同時に環境アセスメントと並行して実施されていくわけでございまして、その具体化を待った上で、建設費の具体的な数値の確定はその後にならざるを得ないということでございます。
  184. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういうことかと思いますが、この会場建設費につきましては、閣議了解におきまして国、地方公共団体、民間資金でそれぞれ三分の一という話になっているわけです。ところが、国も地方も今は財政状況が逼迫ということはもう周知の事実でありますし、景気も大変悪いという状況でございまして、一部に規模縮小論というのが出ているわけです。  大変それだけの負担がそれぞれえらいぞという話なんです。しかし、この万博につきましては、環境保護への配慮によりまして、会場の規模とかあるいは入場者目標も当初の構想よりも随分と縮小されているわけでありまして、これ以上の縮小均衡論にならないようにぜひ政府としても、先ほど国を挙げて推進ということですから、御努力を願いたいと思うんです。この点、大臣の所見をお伺いいたします。
  185. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 本博覧会は、先ほども申し上げましたが、人と自然の共生という理念で国際的に高く評価をされた、そういうものの中で実現をしたものでございます。国を挙げて推進すべき事業と改めて申し上げます。  本博覧会につきまして、政府といたしましては平成七年十二月の閣議了解において、会場建設費については国、関係地方公共団体、民間が同率の割合で負担をするということをはっきり決めてございます。この閣議了解を前提としながら、博覧会の中身を充実させて、そして工夫をしてその効率的な開催にしっかりと努めてまいる覚悟でございます。
  186. 荒木清寛

    荒木清寛君 先ほども言及いたしましたが、今、国会におきましては財政構造改革法案が審議をされておりまして、参議院にも回ってくるわけです。いわゆるキャップ制でありまして、それぞれの歳出項目につきまして削減目標が掲げられているわけです。先ほど大臣あるいは審議官から既定経費の枠内でという話でありますから、当然このプロジェクトもこの法案がかかってくるわけです。  今おっしゃいました閣議了解における国が三分の一を負担する会場建設費につきましては、三分の一負担するというこの方針がこの法案の成立によって後退するということはありませんね。
  187. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) この御提案を申し上げておる法案の中では、博覧会協会が博覧会の準備及び運営のために必要な支援あるいは補助というものを予算の範囲内でできるということの御提案を申し上げているわけでございまして、その前提として、閣議におきまして国、関係地方公共団体、民間が一対一対一の割合で資金負担をするということでございますので、そのような決定された方針に従って、政府としてはこの法案の精神に基づき必要な支援体制をとっていきたいと考えておるところでございます。
  188. 荒木清寛

    荒木清寛君 やや具体的なことを聞きますが、この会場建設費についての財政支出というのは、これは一般会計から行うんですか、それともそのほかの支出になるわけでしょうか。
  189. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 今後の全体の各年度の予算編成の基本的な方針でございますか、その辺のものは長きにわたるプロジェクトでございますので、いろいろな変更が行われることもあろうかと思っております。その意味合いにおきまして、現段階から二〇〇五年までの国が負担をするべき予算が一般会計であるか特別会計であるかということは、今から直ちに申し上げることは困難かと思います。  いずれにいたしましても、この博覧会の趣旨に沿ったような予算が計上し得る会計から支出をさせていただくということになるのではないかというふうに考えております。
  190. 荒木清寛

    荒木清寛君 もう一つ、この地域、愛知県ですか、に係ります国家的プロジェクトの一つに中部新国際空港構想があるわけです。これにつきましては、実は二〇〇五年万博との同時開港といいますか、それまでに開港してもらいたいという期待が大きいわけです。もっと言えば地元の悲願であると言ってもいいかもしれません。  これは単にプロジェクトをつくってほしいという話だけではなく、今回の万博というのは交流新時代に向けた万博という位置づけもあるわけですし、特にアジア中心にそういう交流の場、また問題提起の場を提供していくというコンセプトでありますから、私は空港もその前に開港するということは非常に重要性があると思うんです。  大臣は所管ではありませんけれども、地元のこういう悲願に対しましてどういう認識をお持ちでしょうか。
  191. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ただいまのお話のように、中部新国際空港という問題につきましては、地元において大変御熱意があるということを承っておりますし、博覧会の開催に間に合うように早急に整備をしてほしいという皆様方の御希望をしっかり受けとめているつもりでございます。現在、各省庁間において調整が進められております。また、運輸省でも今度の予算の申請も行っているところでございます。そういう意味合いで、その動向に強い関心を持って私なりに最大の努力を払ってまいりたいと思っております。
  192. 荒木清寛

    荒木清寛君 ありがとうございます。力強いそういう御決意を聞きまして、私も私なりに頑張りたいと考えております。  そこで、建設省にお越しいただきましたので、この万博会場にアクセスをする道路整備の問題につきましてお聞きしたいんですが、きのう中部の民放のニュースでこういう報道があったわけです。愛知県の土本部長は、名古屋瀬戸道路について、万博に間に合わせるには大変厳しいスケジュールだが、開通に向けて努力したい。しかし、環境に配慮をするという愛知万博の性格上、マイカーの駐車場を会場の中にはつくらないことも検討されており、万博開催時に名古屋瀬戸道路が全線開通していなければならないという必要性はないと話しており、名古屋瀬戸道路の部分的な開通や、既にある道路をアクセス道路に手直しする考えもあることを示唆しましたという報道だったんです。私も地元からそういう話を聞きましてびっくりしたのでありますが、この名古屋瀬戸道路といいますのは、名古屋市内と想定されています瀬戸市の会場を結びますメーンの道路であるわけです。これが万博開催までに開通しないという場合には非常に大きい影響があるわけでありまして、大変私も心配をしております。  そこで、これは今県が主体でこの道路の計画をしているわけでありますが、建設省としましてはこの道路の開通についてどういう見通しを持っておられるのか。もしこれが万博開催時に間に合わないというふうになれば、代替のアクセス道路も考えなければいけないと思うんですが、その辺の所見、また今後の取り組みについてお聞かせをいただきます。
  193. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) 先生御指摘の名古屋瀬戸道路でございますが、これは名古屋市と瀬戸市等の周辺都市を結びます道路でございまして、東海環状道路と接続することによりまして名古屋圏の自動車専用道路網を形成する重要な路線でございます。  そういったことで、建設省といたしましても、既に平成七年八月に全線十九キロにわたって地域高規格道路、これは高規格道路を補助する道路でございますが、こういったものの調査区間に指定しているところでございます。このうち、西側の東名へのアクセスとなります日進インターから長久手インターチェンジの四キロ、これにつきましてはさらにことしの九月に整備区間に指定しておりまして進めているところでございますが、特に都市計画決定が現在手続中だというふうに伺っております。愛知県では、恐らくその決定が終わってからの事業化というふうに私ども聞いているところでございます。  それから一方、長久手町から瀬戸市の境界のところ、そこから東海自動車道までの間の六キロでございますが、これについては都市計画決定に向けて地元にこれから説明に入るといった状況と伺っております。  そういったことで、今後県においていろいろな検討がなされていくと思います。それを私どもの方が受けた形で補助事業とかそういう形になってくれば、それの御支援についてはいろいろ今後県の要望を踏まえながら検討していきたいというふうに考えております。
  194. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういう状況だと思いますが、重ねてお聞きしますが、建設省として万博開催時にそういうすべての手続を終えて開通できるのかできないのかという見通し、あるいは県からの相談というのはないわけなのですか。
  195. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) これは、万博の輸送計画についてまだ検討されているというふうに私ども伺っております。したがいまして、そこら辺の計画が進んできた段階で私どもまた検討していきたいというふうに思っております。
  196. 荒木清寛

    荒木清寛君 急な質問通告で、大変にありがとうございました。  そこで、通産大臣に、またこれも所管外と言われたらそういうことなんですが、今も言いました問題も含めまして、会場への交通アクセス等周辺の関連公共事業の推進についてもぜひ御尽力いただきたいと思うのです。会場だけつくればそれで皆さん来られるということでもありませんので、その辺も、大臣、取り組みの御決意をお聞かせ願えますか。
  197. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) これからこの博覧会について推進をしていくわけでございますが、「自然の叡智」をテーマとする魅力のある内容にすることにあわせて、全体としてこの本プロジェクトを円滑に実施をするためには、先生おっしゃるとおり関連の公共事業の着実な推進も大変重要な課題であるというふうに思っております。  この点につきまして、通産省といたしましても博覧会を成功させる観点から、必要に応じて、関係閣僚会議の場を利用したりいたしまして、また各事業を所管する省庁とさまざまな形で連携を図りながら、実現に向かって努力をしてまいる覚悟でございます。
  198. 荒木清寛

    荒木清寛君 財政再建に向けまして非常に厳しい折ではありますが、めり張りのきいた公共投資ということでぜひ御尽力願いたいど考えております。  そこで、自然と人間の共生を目標にした万博でありますから、環境影響評価を適切に行うということは極めて大事なことでございます。先ほども言及がございました。お聞きをしますと、今回のアセスにつきましては、博覧会アセスメントだけではなく、会場地における新住宅市街地開発事業というのがありますが、その点、あるいは道路の都市計画に係るものにつきましても、あわせてこのアセスメントをやるというふうに聞いております。  そこで伺いたいことは、それぞれのアセスをだれが実施するのか、そしてまた各アセスのきちんとした連携はとれていけるのかどうかということ、また費用負担の点につきましても御説明いただきます。
  199. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 御指摘の新住宅市街地開発事業等の環境影響評価につきましては、愛知県が事業者として実施されるものでございます。都市計画決定手続の一環として、現行の建設省の技術指針に基づいて実施されるものと私どもは理解をしておるわけでございます。  通産省といたしましては、こうした関連する事業がそれぞれ連携をとりつつ進められまして、全体として適切なアセスメントとなるということが望ましいと考えておるところでございまして、こうした関連事業のうち博覧会の会場候補地と地理的に重複する部分につきましては、関係者の調整の結果、通産省に設置されました二〇〇五年の国際博覧会に係る環境影響評価手法検討委員会という場の検討結果を尊重して行う、また二〇〇五年日本国際博覧会協会とも十分に連携をして、関連する事業全体を念頭に置いた環境影響評価を行う方針ということを決定したわけでございます。この旨はさきの関係閣僚会議においても確認をされているところでございます。
  200. 荒木清寛

    荒木清寛君 もう一つ、地元が心配をしておりますことは、二〇〇五年といいましても八年しかないわけでありまして、必ずしも余裕はないわけです。しかし、この環境影響調査は十分にやっていただかなければいけません。そこで、このアセスのすべての手続をいつまでに終えるという、そういう見通しを持っておられるのかお聞きをいたします。
  201. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 適正な環境への配慮が確保されました会場計画が策定されるためには、環境影響評価と会場計画の策定作業というものが並行して実施されまして、計画策定の節目ごとに博覧会協会が専門家の意見を聞くというような手順を踏みまして、環境影響評価の結果が十分に会場計画の策定作業に反映されることが極めて重要なことであるというふうに考えておるわけでございます。  本博覧会に関します具体的な環境影響評価の手続あるいは技術的事項、すなわち、どのような項目をどのようにして行うのかといった点につきましては、先ほど来御説明をいたしております通産省に設置されました検討委員会で環境影響評価法の趣旨を先取りして検討し結論を得るということにしておるわけでございまして、この結論に基づいて博覧会協会が環境影響評価の手続を進めることになる、このような段取りと考えておるわけでございます。  この協会のアセスメント及び会場計画の策定につきましては、あくまでもめどでございますが、二〇〇〇年早々までの終了をめどとしている、このようなことでございます。
  202. 荒木清寛

    荒木清寛君 大臣に二点ばかりお聞きをしたいんですが、先ほど万博の今日的意義ということで御答弁がありました。もう一つ、それを日本でやるということについてどういう位置づけといいますか、意義を認めていらっしゃるんでしょうか。
  203. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 国際博覧会は百五十年近い歴史を持っているわけでございます。そういう国際行事でありますし、博覧会条約によりますと、公衆の教育を主たる目的とする催しで、文明の必要とするものに応じるために人類の活動において達成された進歩もしくは将来の展望を示すものということになっております。  物を見せるだけの近来の博覧会はその意義が薄れています中で、我が国としては、環境資源エネルギー、人口、食糧等の人類共通の課題について世界の一人一人に考える機会を提供する博覧会、また人と自然の新たな関係の追求等の事項についての世界の英知を集める来るべき時代の実験場としての博覧会というような新たな構想を国際的に提示をしてくる博覧会であるというふうに思っております。  それだけに、国際的な競争の中で我が国での開催が決定いたしましたのも、この提案が国際的に高く評価をされた結果だと認識をいたしておりますし、今後も会場の構想とか展示のあり方とか住民参加等について既成の殻を破る新しい博覧会のあり方を提示して、日本においてこの博覧会を開催したことの意義、これをはっきりと世界に示すようにしてまいりたいと思っております。
  204. 荒木清寛

    荒木清寛君 最後に、今回はアジアの視点からのエキスポということも目指しているわけでありまして、いかにアジア国々を巻き込んで、また主体的に参加をしてもらうか、それを促進していくかということが大事かと思います。  この点、大臣あるいは政府としてどう取り組んでいかれますでしょうか。
  205. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 御指摘のとおり、本博覧会では環境資源エネルギーなどの人類共通の課題につきまして世界の一人一人の人たちに考える機会を提供する博覧会としたいということでございます。その中で、企画段階から国際的な多様な参加あるいはアジアの視座の反映というような提案を行ってきたわけでございます。  今後は、例えば企画についての国際的な検討の場を設けるとか、国際シンポジウムを開催するといったような手法によりまして、準備段階から国際的な多様な参加を図っていきたいと考えております。  こういうものを通じまして、例えば世界の先進的な環境技術を持ち寄って循環型の社会を実現する構想を推進するといったような、世界の英知を集めて博覧会構想が具体化されていくということを期待しておるところでございます。
  206. 荒木清寛

    荒木清寛君 終わります。
  207. 小島慶三

    ○小島慶三君 私、この問題を余りまだ突っ込んで考えていなかったものですから、今回の機会で非常にいろいろな角度からの御質問、またお答えで、この問題についての若干の私なりの進歩というものはあったと思っております。ありがとうございました。  ただ、私、非常に卒然として考えた場合に、なぜ今この博覧会なのか。財政困難、国歩艱難、そういう時代になぜこの博覧会に巨費を投じてやらなければならないのか。それから、なぜ愛知県の瀬戸というところが選ばれたのか。愛知県にもほかに適当な地はあったかもしれない、あるいは他の県にもあったかもしれない、そういうものを押しのけて瀬戸というものが登場してきた、これはなぜなのか。それから、なぜ博覧会なのか。今お話を伺っていますと、世界の英知を集めて世界に問い世界に答える、こういうふうな形の非常に新しい博覧会のようでありますが、これは博覧会と果たして言うのかどうか。そんな疑問を持ったのでございます。素人のそういった疑問でございますので、どうかよろしくお教えをいただきたいと思います。
  208. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 今度の博覧会が今までのただ見せるものから内容を持った博覧会に変わってきているということ、これはやはり時代の大きな流れのことではないかというふうに思いますが、本博覧会は環境だとか資源エネルギーあるいは人口、食糧等の人類共通の今問題になっている課題を世界の一人一人に考える機会を提供する博覧会ということでありまして、今の時代の世界じゅうで考えなければならない大きな問題、こういう問題を日本として取り組んだということであると思います。人と自然の新たな関係の追求というような事項、あるいは世界の英知を集める来るべき時代への実験場としての博覧会というような構想、これもまた今までの博覧会と違った新しい博覧会の形式を日本において行うということ、これは非常に意義のあることだというふうに思います。こうした博覧会を二〇〇五年に開催するという提案が世界じゅうの多くの国々から高く評価をされたという結果ではないかというふうに申し上げたいと思います。  また、本博覧会の開催を愛知県を中心にどうして行うのかというお話でありますが、やはり愛知県を中心に「新しい地球創造」というテーマ、あるいはこれを柱とする会場構想が当初提案をされてきておりました。また、平成六年三月から平成七年十二月にかけて、愛知県県内八十八市町村及び近隣の県からも愛知県での博覧会の誘致が決議をされたり意見が提案をされてきておりました。  こういうものを踏まえまして、通産省におきましてさらに検討を加えて、平成七年十二月に愛知県でこの国際博覧会を開催することにいたしたわけでございます。
  209. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  新しい試みという意味でのこの仕事を、通産省としてこれは非常に珍しい仕事だと私は思いますので、あるいは通産省の新しい方向を示すものかもしれませんが、そういう形で環境庁その他の役所と提携をされて立派におやりになることをぜひ期待をいたします。  それから、もう一つ私伺いたいのは、これは自然との共生とか、そういった意味の追求をこの博覧会でやろうということでございますが、しかし一方ではこの海上の森を利用するということで、かなりなそこにはいろんな建物も、従来の考え方で言えば箱物も建つでありましょうし、それから例えば子供を遊ばせるとか、そういった仕事もたくさん行われるでありましょうから、かなりな環境の破壊というものを伴う、あるいは自然の破壊というものを伴うということがあるのではないでしょうか。  自然との共存と言いながら自然の破壊を伴うということについて、どういうふうに考えたらよろしいかお教えをいただきたい。
  210. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) この博覧会の開催に当たりましては、平成七年十二月の閣議了解において、「環境影響評価を適切に行うこと。」ということがまず第一に記されております。環境影響評価法の施行前にもかかわらず、同法の趣旨をこの博覧会の環境影響評価に際しましては先取りをいたしまして、そして博覧会事業の環境影響評価を実施して会場候補地における自然環境の保全に十分に配慮をするということが大前提として取り組みの始まりになっております。  同時に、会場の候補地であります現在の瀬戸市南東部というのは、歴史的に明治時代以降、荒廃した山地からの土砂の流出等による災害が非常にあった。そういうものを防止するために緑化等の治山工事あるいは砂防工事が実施された土地であるということでございます。そういう意味で、会場候補地は原生的な自然とは異なった、都市近郊においてそこに暮らす住民とのかかわりの中で維持、育成をされた自然だということが特徴の場所でございます。  人と自然との共生というものを理念とするこの博覧会の会場の候補地としては、そういう意味では非常に適切な場所ではないかというふうに評価をしているわけであります。
  211. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  そういう意味の新しい実験場というか試みとしてこれが取り上げられたということをよく理解いたしました。  それで、これは後のお願いでございますが、私ども環境基本法をつくりアセスメント法をつくって、そしてこの実施の前にこれがスタートするわけでありますが、その辺、環境庁と通産省の間の連携というか、あるいは学識経験者等を集めた委員会の運営と申しますか、そういう点に十分に配慮をされて、そして最適な結論が得られるようにぜひお願いをいたします。  これはそういう意味のお願いだけでございますが、その辺の準備はどういうふうになっておりましょうか。
  212. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 環境影響評価につきましては、先ほど来御説明いたしておりますように、通産省の中に検討委員会をつくりまして、具体的に環境影響評価を行うべき事項ないしはそれぞれについての手法というようなものの開発と申しますか、御検討をいただいておる。委員の方々は、日本におきまして第一線級の環境関係のそれぞれの分野の先生方にお集まりをいただいて御検討いただいております。  また、政府内部の問題としては、環境庁と今御指摘ございましたが、専門家の集団としての環境庁に御相談をしながら、あるいはまたこの検討会の審議につきましてもオブザーバーという形で御参加をいただくとかというような形で連携をとりながら、アセスメントの内容が適切なものになるように対応していこうということで現在御審議を進めていただいておるところでございます。  なお、この検討委員会の結論につきましては、めどとして来年の三月ぐらいにはこの手法についてどのようにすればいいかという結論をいただきまして、その上で博覧会協会によってアセスメントを実施してもらおうということでございます。  アセスメントの終了時期でございますけれども、あくまでめどのことでございますが、私どもとしては大体二〇〇〇年早々ぐらいにはアセスメントを終了するということをめどとしているところでございます。
  213. 小島慶三

    ○小島慶三君 かなり周到な準備でお始めになったというふうに思いますので、その結果を我々首を長くして期待いたします。  ただ、二〇〇〇年初めまでにということでございますが、恐らくいろいろ検討されている間に生態系とかそういったものにいろんな影響が出てくる、必ずしも当初の想定どおりではないという事態が起こってくるかと思うのですけれども、そういう変化に対する柔軟な対応といいますか、そういう点もぜひお願いをいたしたい。初めこう決めちゃったからこうなんだということじゃなくて、ぜひそういうふうにお願いをしたい。  ともすれば、いろんな公共事業こおきまして、初めに決めたコースが周りのいろんな客観的な情勢が変わっているのに全然変わらない。それで、その点で非常に大きな問題を起こすということがございますので、そういうことになりませんように、これは老婆心でございますが、柔軟な対応をぜひお願いしたいというふうに思います。  終わります。
  214. 大脇雅子

    大脇雅子君 まず第一にお尋ねいたしたいのは、今回のいわゆる愛知万博と申しますのは、一九八八年の国際博覧会条約とあるいは新しい博覧会条約上どのような種類になるのかということであります。  今までは一般博、特別博と言われていたわけですが、今回、登録博か認定博かという区別がされているわけですが、このいわゆる愛知万博はどういう博覧会になるのか、大阪万博とどのような点が違うのかということについてお尋ねします。
  215. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) この博覧会につきましては、御案内のとおり平成八年四月十八日にBIEに対して開催希望通告がなされたわけでございます。その時点と今お触れになりました博覧会条約、いわゆる新条約の発効の時点との関係におきまして、あくまで結果のことではございますけれども、この博覧会につきましては旧条約が適用になるということになったわけでございます。同時に、パビリオンの建設費を開催国が負担するということになりました関係で、そういう意味におきまして旧条約におきます特別博覧会という形に位置づけられるというふうに考えておるところでございます。
  216. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうしますと、財政改革のもとで博覧会の規模はどの程度のものになるのか、とりわけ資金負担についてどのようなことになるのか。  国家財政の破綻もさることながら、愛知県の財政も目下のところ火の車でありまして、県債務残高が二兆四十四億円と言われ、県民当たり四十万円の借金がある。さらに、いわゆる基金の積み立ても取りましつつあるという状況の中で、会場建設費や関連公共事業で地元の負担がふえるということについて県民は大きな懸念を持っています。  この点どのような見通しなのかということについてお尋ねするとともに、もし赤字が出たらどちらがどのようにして負担するのでしょうか、お尋ねをいたします。
  217. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 平成七年十二月の閣議了解におきましては、会場の建設事業につきましては長期的な地域整備との整合性を十分図りつつこれを活用するということになっておりまして、会場建設費は極力圧縮したものとするようにということになっております。また、会場建設費の負担割合につきましては、御案内のことと思いますが、国、関係地方公共団体、民間等が同率の割合で負担をするということになっておるわけでございます。さらに、関連の公共事業につきましては、その必要性などについて十分な検討を行い、通常の公共事業費の中で適切な配分により対処するようにということになっておりまして、新たに特別の措置は講じないということが確認をされておるわけでございます。  今後、これらの方針に基づきまして、魅力のある博覧会を効率的な開催ということで目指していきたいと考えておるところでございます。  なお、赤字は生じないかという点でございますが、会場運営費につきましては適正な入場料ということで運営をするということがこれまた閣議で決定されておるところでありまして、適正な入場料の設定を図るということによって賄うということになるわけでございます。効率的な事業運営を行う一方で適正な入場料を設定するということで対応をしたいと考えておるわけでございます。
  218. 大脇雅子

    大脇雅子君 赤字が出ないという前提の事業計画ということも重要なんですが、赤字が出た場合はどうなるんでしょうか。これが一番県民の不安なんですけれども、どこが負担をするんでしょうか。
  219. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 過去に国際博覧会としては我が国におきましては四回開催されておりまして、いずれにおきましても運営上結果として赤字は生じていないわけでございます。  赤字が生じないような形での運営に努めるということでございますが、仮定の話としてということでございますれば、そこで関係者が協議をして適切な対応を考えるということにならざるを得ないのでございますけれども、これは論理の問題としてそういうことでございますが、あくまでこれは赤字の発生しないような運営、入場料の設定等に努めるということでございます。
  220. 大脇雅子

    大脇雅子君 現在のところ、博覧会の会場は瀬戸の海上の森というところが予定されておりますが、この海上の森が候補地となったいわばプロセスについて御説明をいただきたいと思います。
  221. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 会場候補地の選定に当たりましては、地元愛知県におきまして四つの条件を満たす場所が望ましいということで検討が進められたと承知をしておるわけでございます。  すなわち、四つの点と申しますのは、第一に大都市機能が活用できる地域であるということでございます。具体的には、日本万博の会場でございました千里丘陵が大阪都心から十五キロメートルであったことを勘案しまして、名古屋都心からおおむね二十キロメートル圏内を対象とするということが第一点目でございます。第二に、将来の地域づくりについて戦略的なビジョンがあって、その具体化に向けた取り組みが進められていることがございました。第三に、既に交通基盤整備計画があること。それから第四に、まとまった用地が比較的に確保しやすいこと。この四条件が地元において設定されたと承知しております。  地元愛知県では、愛知県瀬戸市南東部がこれらの条件をすべて満たす場所であるとして会場候補地に決定されたと承知しております。  政府としては、環境に十分配慮するというような観点に立って、この愛知県から提出された会場構想につきまして所要の修正を加えた上で、先ほど来御説明いたしておりますように閣議了解をいたしたところでございます。
  222. 大脇雅子

    大脇雅子君 それでは、環境庁にお尋ねをいたしますが、閣議了解でもアセスを十分にするように、加えてそのアセスの手法というのは新しいアセス法の手法にのっとってやるということになっていますが、その点どのようなアセスをされるのかどうかという点についてお尋ねをいたします。  加えて、アセスの対象地域というものをどのようなものとして行われるのかということについてもお尋ねいたします。
  223. 小林正明

    説明員(小林正明君) 今、先生からお話がございましたように、平成七年の閣議了解、またせんだって行われました九月の関係閣僚会議の場におきまして、環境影響評価を適切に行う、具体的には環境影響評価法の趣旨を先取りいたしまして充実したアセスメントを行うということになっているものでございまして、関連する事業なども含めまして適切な環境影響評価を行うということが政府の共通認識だというふうに考えております。  具体的には先ほど来出ております通産省の検討委員会において検討がなされますが、この中におきまして、環境庁としましてもこれまで蓄積された知見を提供するなど協力をしていきたいと思っております。  アセスメントの対象地域でございますが、今、会場候補地とされているところ、ここを中心としまして、具体的には検討会の見解を踏まえて定めていくものと考えております。
  224. 大脇雅子

    大脇雅子君 アセス法によりますと、いわゆる環境影響評価をする場合に、方法書というもので、その対象地域などもでき得る限り代替案も含めて対象とすべきだということであります。  環境庁に重ねてお尋ねいたしますが、海上の森だけではなく複数候補地もアセスメントの対象とされますかどうですか。
  225. 小林正明

    説明員(小林正明君) 今お話に出ておりました環境影響評価法、これは今施行準備の段階でございます。この法律におきましては、複数案を比較検討する、あるいはよりよい技術の採用というような幅広い観点から環境影響評価の評価を行っていくというようなことが課題になっておりまして、法律の中にも環境影響評価準備書の中で検討の経過あるいは状況というのを記載するというような形で位置づけているものでございます。  具体的に博覧会のアセスメントにおきましてこれをどのように取り扱っていくか。ここで言っております複数案と申しますのは、例えば建物の配置ですとかあるいは工事の方法ですとか、こういうことも含めました広い観点で提起がされておりますので、これを具体的にどうしていくかということは今後の検討課題かと思っております。
  226. 大脇雅子

    大脇雅子君 通産省にお尋ねをいたします。  けさの朝日新聞の朝刊で、通産が代替地も検討している、海上の森だけではなくて、現在、陶土・珪砂の採掘地約百八十ヘクタールのいわゆるグランドキャニオンと呼ばれる土地、あるいは愛知県愛知部長久手町にある愛知青少年公園の約二百ヘクタールというものも代替地としてアセスの対象にするというふうに書かれておりますが、これは間違いありませんか。
  227. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) そのような事実はございません。
  228. 大脇雅子

    大脇雅子君 事実はないというのはどういうことですか。  検討委員会の方にはそういう複数候補地としてグランドキャニオンと愛知青少年公園、それからその他豊田と瀬戸の緑地地帯等、そういった申し入れをされていると、検討委員会で議論されているというようなことも伝えられておりますが、それはどういうことですか。これは間違いですか、朝日の記事は。
  229. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) この検討委員会におきまして、環境影響評価の手法の検討を行っていただく検討委員会でございますが、その検討していただくための前提条件としてのさまざまな御説明あるいは経過の説明はいたしておるわけでございまして、その中で経緯の説明として、地元の一部に代替地という議論としていわゆるグランドキャニオンですとか愛知青少年公園とか、そういったようなものを挙げられる意見があるということを御紹介していたという経緯はございますが、それが代替地として御議論をいただくということではないということでございます。
  230. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうすると、環境庁が複数の候補地と言った場合に、アセスの対象として当然に自然保護団体が提起しているところとか、さまざまな代替地を含むべきだと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
  231. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 先ほど環境庁より御答弁のあったところでございますが、複数候補地の検討というお尋ねでございますけれども、環境影響評価法におきましては複数の候補地において環境影響評価の同時実施を義務づけているものではないというのが私どもの理解でございます。  環境影響評価法第十四条第一項第七号ロは、環境影響評価の対象となる候補地を選定するに至った経緯及び当該候補地において特定の環境保全措置を講ずるに至った経緯などを明らかにすることを規定していると承知いたしております。
  232. 大脇雅子

    大脇雅子君 もう一度環境庁にお尋ねいたします。  通産省はそのように言っておりますが、やはりこの海上の森だけを対象にしてアセスをする、この海上の森にはさまざまな希少の植物種や生物などが生息していて、そうした里山に対する保護ということが地元で言われていますけれども、新しいというか、省のアセスではない新しいアセスメント法によれば当然そういった候補地を視野の中に入れなければいけないのではないですか。
  233. 小林正明

    説明員(小林正明君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、この博覧会につきましてどのようなアセスメントを行うかということは検討途上でございます。  今、環境影響評価法がどうかということでございますのでお答え申し上げますが、この複数案は必ずしも代替地ということに限りません。建物の配置なり工事方法なり、いろんなレベルで複数案があるわけでございますが、こういうものを視野に入れまして広く評価をしていくということが重要という考えに立ちまして、複数案の検討が行われました場合にこれを環境影響評価準備書あるいは評価書に記載をしていくということが環境影響評価法には定められているところでございます。
  234. 大脇雅子

    大脇雅子君 博覧会特別措置法案の了承に当たって社会民主党は、「国際博覧会に係る環境影響評価については、環境影響評価法の趣旨に沿って厳正に行い、その結果を尊重するとともに、長期的地域整備との整合性を十分図った上で、博覧会会場計画を確定する」ということを言っておりまして、それは通産省も当然に御承知だと思いますが、この趣旨からいってもそうした代替地も含めて広い視野に立って環境アセスメントを実施されなければいけないと私は思いますが、そうではございませんか。
  235. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 会場計画につきまして適正な環境配慮が確保されるということのために、先ほども御説明させていただきましたけれども、計画の策定の節目ごとに専門家の御意見も聞くなどして環境影響評価等の作業と計画策定が並行して実施されるということが極めて重要であると考えておるわけでございます。  現在の候補地と場所ということに関して申し上げれば、現在の会場候補地である瀬戸市南東部というのは都市近郊にありまして、古くからそこに暮らす地域住民とのかかわりの中で維持、育成されてきた自然があるわけでございまして、今回の博覧会のテーマでございます人と自然の共生という理念と申しますか、につきましてまさにふさわしい場所ではないかと考えておるところでございます。
  236. 大脇雅子

    大脇雅子君 通産省の認識はそうでも、環境アセスメントの結果、海上の森が環境保全上問題があるといったら、これは当然に会場計画を見直したり、あるいは分散をしたりするということを念頭に入れなければいけないと思うんですが、そういう点で、アセスの結果が出た場合、それを見直すということについてはどのようにお考えですか。
  237. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 平成七年十二月に閣議了解をするに際しまして、愛知県から出されてきておりました構想について、当時の愛知県の調査あるいはさまざまな人々の御意見なども踏まえまして、その上で、愛知県のもともとの構想につきましてかなりの修正を加えて政府としては閣議了解に至ったわけでございまして、今後、アセスメントをし、計画の内容が環境に適正に配慮をされたようなものにするということには最大限努めているわけでございますが、場所の問題につきましては、この場所を基本として準備を進めていきたいと考えておるわけでございます。
  238. 大脇雅子

    大脇雅子君 それは県の意向なんでしょうか。ともかく、環境アセスメント法の趣旨に沿って厳正に行って会場計画自体を確定するということを了承されているわけですから、それを曲げられるんですか。
  239. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 社会民主党から与党調整会議の場において留意をするように求められました内容につきましては、その場におきましてメモと申しますか、資料をいただいておるわけでございますが、「国際博覧会に係る環境影響評価については、環境影響評価法の趣旨に沿って厳正に行い、その結果を尊重するとともに、長期的地域整備との整合性を十分図った上で、博覧会会場計画を確定する」というふうになっておるわけでございます。
  240. 大脇雅子

    大脇雅子君 だけれども、これはそういう会場の地域も含めるということではありませんか。なぜそんなに海上の森にこだわられるんですか。既に海上の森でアセスメントが行われたという実績をお持ちなんですか。ないんじゃないですか。これからアセスメントやられるんでしょう。それなのになぜそこにこだわられるんですか。おかしいじゃないですか。
  241. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、今回のテーマということとの関連においても、この地ままさに里山と言われる地でございまして、自然と人とが共生をしてきた長い歴史を持つところでございます。そこで行うことという意義というのはあるだろうというふうに考えている意味でふさわしいと先ほど来御説明をいたしておるわけでございます。  しかしまた、そこには希少な自然も現に存在をしていることも事実でございますから、そこで開く博覧会につきましては、環境アセス法の趣旨を先取りして十分な環境影響評価を実施して、その上で計画の内容もそういった趣旨に沿ったものにして実施をしたい、このように考えているということでございます。
  242. 大脇雅子

    大脇雅子君 環境庁にお尋ねいたしますが、あなたの方もちょっと歯切れが悪いんですけれども、環境影響評価法の趣旨をいかがなようにとらえているんですか。まさに会場計画地それ自体というものもアセスの対象にしなければ環境影響評価法の趣旨にのっとらないでしょう。そんなふうに法律を曲げて、前倒しと言えるんですか。
  243. 小林正明

    説明員(小林正明君) 環境影響評価法の趣旨は、先生には釈迦に説法でございますが、事業者がみずから環境状況を把握しまして、またいろんな方々の御意見も聞く中で環境保全対策を考えていく、それによって環境保全を期するというのが趣旨と、こういうふうに心得ております。
  244. 大脇雅子

    大脇雅子君 きちっと環境影響評価法の趣旨に沿って、複数候補地もあわせて、海上の森というのにこだわらずに、本当に事業計画環境保全とを十分に連携をとってやられるべきだと思います。  この万博の地域には地権者が数人おられますし、そこにいろいろな耕作者も入っておられますが、万博を理由に土地の強制収用はできませんよね、通産省
  245. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 博覧会事業は土地収用法の対象事業に該当しておりませんので、博覧会協会が土地収用を行うことは制度上できないというふうに理解をいたしております。
  246. 大脇雅子

    大脇雅子君 建設省にお尋ねいたしますが、この万博の跡地利用で新住宅市街地開発事業というものが企画されておりますが、どのようなスケジュールで行われるのか、お尋ねをいたします。
  247. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 今、先生御指摘のように、二〇〇五年開催が予定されております国際博覧会はこの新住事業の行われる地区を会場にする、こういう予定と承知しております。  新住事業は、厳密に言いますと新住宅市街地開発法に基づく事業ということでありますけれども、これは都市計画の手続の準備を今始めたという段階でございます。したがいまして、まだ地元で詳細が出ているわけではありませんけれども、地元で町づくりの素案というのが公表されておりますので、これに基づきますと、研究施設あるい、は商業文化施設あるいは住宅、そういったさまざまな機能を備えた、かつ自然と調和した二十一世紀にふさわしい町づくり、こういうコンセプトで検討されているものと承知しております。  スケジュール等につきましてはまだ明らかになっておりません。
  248. 大脇雅子

    大脇雅子君 二〇〇五年の後であるわけですが、今地元で非常に大きな問題になっておりますのは、この新住宅市街地開発事業を隠れみのにして、いわゆる都市計画法に言う土地の強制収用が適用されるのではないか。万博という期限までにその土地の強制収用が行われると。それも、万博の制度としてはできないのにこの新住宅市街地開発事業のもとでやられるのではないかという不安が語られておりますが、よもやそういうことはないでしょうね。
  249. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 新住宅市街地開発事業は、健全な住宅市街地の開発それから居住環境の良好な住宅地を供給する、こういう目的で極めて公共性が高いということから都市計画事業として施行されるものでございます。  御案内のように、都市計画事業そのものは収用対象事業であります。現実にこの新住事業に基づきましてニュータウンをつくってきたわけでありますけれども、原則、地元の意向など十分いろいろ調整しながら事業が展開されてきたわけであります。今回もそのように進められるものと思っております。
  250. 大脇雅子

    大脇雅子君 しかし、万博の会場がこの新住宅市街地開発事業に適当かどうかということは、市街地から非常にかけ離れておりますし、さらにまた六千戸を建てるというようなことを言われておりますけれども、住宅地としての供給をしても需要がそれほど高くないというようなことがあって非常に批判が行われております。  万博を口実に関連公共事業をするということはないというふうにお答えですが、この点についてもそれは確認をさせていただけますか。建設省、お願いします。
  251. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 恐縮でございます。はっきりと御質問の趣旨がわかりませんでしたが、当該地域を新住事業で先ほど申し上げましたような町づくりをしたいというのは、愛知県におきましてはかなり前から計画されてきたものでございます。  事業主体は愛知県ということになりますので、今先生がおっしゃられたような点も、つまり需要等がちゃんとあるかどうか、そういったことも愛知県が総合的に勘案して今後進めてまいると思います。
  252. 大脇雅子

    大脇雅子君 それから、名古屋瀬戸道路建設計画についてお尋ねいたします。  名古屋瀬戸道路については、いわゆる生態系を中断して、断ち切るような形で企画されているということで、住民の人たちの大きな反対があります。名古屋瀬戸道路建設計画の概要とスケジュールについてお尋ねします。
  253. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) 名古屋瀬戸道路は名古屋市と瀬戸市の周辺を結びます県道でございまして、これは名古屋圏の自動車専用道路網を形成します重要な路線でございます。したがいまして、平成七年八月に全線十九キロにわたって地域高規格幹線道路の調査区間として指定されております。  そのうち、西側の東名アクセスとなります日進インターチェンジそれから長久手インターチェンジの四キロ間については、さらにことし整備計画区間に指定されまして、現在、都市計画決定の手続中というふうに伺っております。まだ一方、それより東の区間でございますが、これらにつきましても都市計画決定に向けて地元に入ったところというふうに伺っております。  したがいまして、まだ都市計画も済んでおりませんし、そういったことで本区間の事業のスケジュールについては現在まだ具体化しておらず、今後検討していくといったことを愛知県から伺っているところでございます。
  254. 大脇雅子

    大脇雅子君 この新住宅市街地開発事業も名古屋瀬戸道路建設計画も、これは万博とやっぱり一体として環境影響評価の対象になるんでしょうかならないんでしょうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  255. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 環境アセスメントにつきましては、博覧会に関することにつきましてはアセス法の趣旨を先取りいたしまして実施いたします。  その関係で、博覧会の開催される場所と地理的に重複する関連事業につきましては、通産省に設置されております検討委員会の検討結果を尊重し、かつ博覧会につきましてのアセスメントを実施いたします博覧会協会とも連携をして、全体として博覧会の開催場所にかかわるアセスメントが整合的なものになるようにということで対応することとしておるわけでございます。
  256. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうしますと、跡地利用の新住宅市街地開発事業は環境影響評価法のもとで行われるということですが、名古屋瀬戸道路は、地域的に関連するというと、どこら辺のことを考えていらっしゃるんでしょうか。
  257. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 地理的に重複をする部分でございますので、御案内と思いますが、まさにこの会場候補地五百四十ヘクタールと重複をする部分ということと理解をいたしております。
  258. 大脇雅子

    大脇雅子君 それでは道路の先っぽだけということになるわけですから、それは計画としては一体としてやはり環境影響評価法のもとでやらなければいけないというふうに考えます。  協会がつくられて、平成十年度の予算概算要求は幾らで、どのような内容に補助金を出すんでしょうか。
  259. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 平成十年度の予算でございますが、会場の基本計画策定に関連するもの、第二に環境影響評価に関連するもの、それからこの構想の企画に関して国際的な意見を聴取すると申しますか、反映をさせたいということで、そういった国際的な議論をする場をつくりたいと考えておりまして、こうした三つの項目に従いまして三億三千万ほどの予算要求をいたしておるところでございます。
  260. 大脇雅子

    大脇雅子君 何か、当初の計画では一億七千万というふうに言われているんですが、これは環境影響評価の実施の補助金としては変わらないんですか。
  261. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 御指摘のとおりでございまして、三億三千万と申し上げましたが、そのうち環境影響評価にかかわるものが一億七千万ということでございます。
  262. 大脇雅子

    大脇雅子君 時間がもうなくなりましたが、大臣にお尋ねいたしたいと思います。  さまざまな、環境影響評価法の前倒し実現とか、あるいは財源の透明化とかというような点で、情報公開が地元にされず、現地では果たしてそうした取り決め、閣議了解を初めさまざまな約束が守られていないということが言われています。それに対して、やはり法律を守ってきちっと厳正にアセスを実施していただきたい。とりわけ、住民合意というものについて細心の注意を払って計画を進めていただきたい。  現在、住民投票条例の運動も行われておりますので、住民の合意形成について大臣はどのように考えておられるのか、最後にお尋ねして質問を終わります。
  263. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) お答えをいたします。  地域住民を初めとして関係者の十分な理解を得られるように努めることは、御指摘のように本博覧会の成功に向けて非常に重要なことだと存じます。  これまで、本博覧会の開催については、愛知県を初め、地方自治体、地方議会、経済団体等二百三十七団体の誘致決議、二十余りの市民団体の推進活動等が行われているものと承知いたしております。  一方、本博覧会開催に批判的な方々とは、平成四年以降、愛知県を中心に、時には通産省も加わりまして、六回の公開討論会を含め総計四十回余りにわたる話し合いを実施いたしているところでございます。  今後も博覧会協会を中心に、環境問題について環境影響評価の手続の中で早い段階から住民の意見を聞く機会を設けたり、あるいは博覧会の具体的な企画に当たっては、シンポジウムの開催、インターネットによる提案募集等によりまして幅広い参加の得られる博覧会としていくように、十分な理解を得られるように最大限の努力を図ってまいる覚悟でございます。     ―――――――――――――
  264. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、木宮和彦君が委員辞任され、その補欠として鈴木政二君が選任されました。     ―――――――――――――
  265. 山下芳生

    ○山下芳生君 愛知県や通産省提案している愛知万博構想では、環境をテーマにした博覧会であるにもかかわらず、海上の森という貴重な里山を含む瀬戸市南東部が主会場とされ、自然環境破壊として重大問題となっており、根強い反対運動が起こっております。  我が党は、海上の森を会場から外し環境を守る、自治体の過重な財政負担の解消、住民合意の形成という観点から、現計画の撤回と抜本的な見直しを要求してまいりました。  本法案は、中部財界、中央財界、愛知県など、現在の愛知万博構想を推進してきた団体や個人が中心になって設立された博覧会協会、これが実施主体ですけれども、これに対して国が財政的に支援をするものであります。  そこで聞きますけれども、この法案が成立するならば、現構想での愛知万博を加速推進する契機となる、環境問題や自治体の過重負担問題を深刻化することになるのではないですか。
  266. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) この博覧会の開催につきましては、先ほど来御説明いたしておりますように、環境影響評価を適切に行って環境に対する影響を十分に配慮するということでございます。そういう前提で、自然環境の保全には十分配慮した博覧会としたいということでございます。  また、財政的な負担という御指摘でございますが、この点につきましても、国もあるいは地方自治体もなかなか厳しい財政事情にはあるわけでございますが、その中で工夫をし効率的な運営に努めるということでございますし、たまたま長期的な地域整備計画があるところで博覧会も開催されるということで、長期的な地域整備計画で御負担がいただけるところについてはこれを活用してやるというようなことで、全体として効率的な博覧会ということにいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  267. 山下芳生

    ○山下芳生君 では、具体的に一つ一つ聞きます。  まず環境問題ですが、この海上の森は、シデコブシ、オオタカ、ギフチョウなどの動植物の危急種やハチクマなど希少種などが生息する里山です。また、開催予定地には百五十七カ所の遺跡も存在をしております。ここに会場を設定することは、こうした貴重な自然環境と埋蔵文化財を破壊することになる。ですから、日本自然保護協会も六月二日、橋本首相や愛知県知事などに、「地域特有の自然が残る海上の森で開催すべきではない。」と、海上の森での万博開催に反対する意見書を提出しております。  海上の森を会場から外すんですか。
  268. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 現在の会場候補地でございます瀬戸市南東部といいますのは、都市の近郊にございまして、古くから住民の暮らしと大変深いかかわりを持って維持、育成されてきた自然であると承知をいたしておるわけでございます。もろもろの意味で、特に先ほど来御説明いたしましたように、明治以降につきましてはいろいろな人の手、治山治水事業等々によりまして現在の緑、自然というものが育成あるいは維持されてきておるわけでございます。  同時に、御指摘のように、もろもろの希少種などを含めまして、そうしたものが存在をするということも私ども認識をいたしておりまして、それがゆえに私どもはまさに環境の保全に十分配慮をした形で環境アセスメントを実施するという方針を先ほど来御説明させていただいておるわけでございます。
  269. 山下芳生

    ○山下芳生君 専門家集団である日本自然保護協会は、その意見書の中で、「海上の森のような」「落葉広葉二次林は、とくに人間環境の面からその重要性が広く認識されています。」と。全国的にこういう落葉広葉二次林の多くが消滅しつつある、非常に貴重なんだという御意見です。これは専門家の意見ですよ。環境をテーマにした博覧会を海上の森でやるということは両立しないと。それ自身が大問題です、環境をテーマにしながら海上の森でやるということが。  ですから、私は、アセスをやってとおっしゃいますけれども、アセスをやる以前の問題だと。言ってることとやっていることが違うじゃないかという批判が起こっているのは当然だと思います。  それから、アセスについても、私たちはアセス法について一定の評価はしつつも、手続法であって、主体は許認可権者にあると。住民の法的なかかわりを明確にしておらず、住民の意見が反映する仕組みがないなど不十分なものであるというふうにも認識しております。ですから、アセスをやってとおっしゃいますけれども、やったとしても海上の森が会場から外れる保証は全くない、こう言わざるを得ないというふうに思うわけです。  それから、二つ目の地元負担の問題なんですが、この愛知万博の実施に一体幾らかかってそれをだれが負担するのかという問題であります。  これは非常に大事な問題ですが、国から補助が出る会場建設費を見ますと、愛知県の試算では一千億円ないし一千五百億円となっております。閣議決定ではこの会場建設費に対する国の補助は三分の一しか出さないというふうになっておりまして、あとは地元の自治体と民間が負担するということであります。しかも、この会場建設費というのは建物など上物のみなんです。土地造成費は含まれておりませんし、道路や鉄道など社会基盤整備費用はもちろん含まれておりません。関連経費も入れると万博を実施するためには一兆円規模の財源が必要だという報道もされているわけであります。これを今愛知県など地元自治体が担い切れるのかと。  私、きょうここに文書を持ってまいりました。十月二十日、愛知県副知事が出された「平成十年度予算編成について」という通達であります。こう書いてあります。  「このような、経済情勢下にあって、平成十年度の本県財政は、歳入面においては、」「実質的な増収に大きく期待することはできず、基金が枯渇し、県債残高も増高しており、さらには、国の財政構造改革による大きな影響懸念され、極めて厳しい状況にあります。」。続けて、どうするのかということを書いてあるんです。「各部局ごとに平成九年度当初予算額の九〇パーセントの範囲内とする」と、予算を抑えなさいと。  ですから、こういう厳しい愛知県の財政状況の上にさらに総額一兆円、国はちょっとしか出さないと言っている万博の負担がかぶると、これは一県民の福祉や暮らしに必要な予算がカットされていくことになるんじゃないか、こういう心配が出ておりますけれども、これは当然だと思うんです。そうならないという保証できますか。
  270. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 会場建設費あるいは関連の公共事業と申しますか社会資本整備関係につきましては、建設省などからの御説明にもございましたとおり、それぞれ、私どもの方の博覧会の計画がまさにアセスメントの作業と並行して確定され、その上で関連の公共事業としてどのようなものが必要かということも並行して検討されていくということでございまして、現段階におきまして会場建設費並びに関連公共事業の規模について申し上げることは困難な状況にあるということは御理解をいただきたいと思います。  なお、三分の一ということでございますが、まさに国の財政も厳しいということで、平成七年の十二月に一対一対一という原則が決定をされたわけでございまして、国も既定の経費の範囲内で合理的な予算の配分ということが求められておるわけでございます。  地方自治体の財政も厳しい状況にはあると思いますが、その中で工夫をいたしまして、より効率的であり、また世界の人々に評価されるような博覧会とするということで、そこに最大限の努力をするということこそこれから必要なことではないかと思っておるわけでございます。
  271. 山下芳生

    ○山下芳生君 これから努力してみるということですから、これは極めて地元にとっては大変なことが待ち受けているというふうに私は思います。  次に、住民合意という点について伺います。  中日新聞が報道しているんですけれども、七月八日付です。これは万博が愛知にBIEで決まった後ですけれども、市民の意識調査、開催決定に対する評価は、「よかった」が四二%、次いで「複雑な気持ち」が三九%、「自然環境への影響などについての懸念もうかがわせた。」というふうに報道されております。  これは、やはりこういう環境問題それから地元負担問題、大変大きな問題を抱えたまま進められようとしていることに対して、愛知での万博開催決定後も、世論としてはなかなか複雑、全面的に賛成とはなっていない状況がある。これはもう事実だと思うんです。  同時にもう一つは、この万博をこれから推進していくことになる実施主体である万博協会の構成も、住民がなかなか参加できない、あるいはしていない構成になっているんじゃないかと私は思うわけです。一体、この万博協会はどんなふうな基準でどのように構成メンバーが決まったんですか。
  272. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 財団法人二〇〇五年日本国際博覧会協会のメンバーでございますが、まさに「自然の叡知」というテーマとして環境問題を中心に据えた博覧会をやるという趣旨に賛同して自主的にお集まりになられた方々であるわけでございます。  このメンバーには、産業界のみならず、地方公共団体、労働界、教育界、学界を初め、広く国民各界各層の代表の方々が参集されているというふうに理解をいたしておるわけであります。
  273. 山下芳生

    ○山下芳生君 どういうふうに決めたか聞いているんです。
  274. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 財団法人でございますので、設立発起人という方々がおられまして、その設立発起人の方々がこの博覧会についてのテーマその他の趣旨について呼びかけられ、それに対して自主的にお集まりになったものであるということでございます。
  275. 山下芳生

    ○山下芳生君 私、その協会のメンバーの名簿をいただきました。会長、副会長、常任理事合わせて二十三名いらっしゃいます。その中で、経団連会長の豊田章一郎さんが会長になっているのを初め、二十三名の三役中十四名が財界人、財界の代表の方々です。過半数ですよ。この万博構想に批判的な立場の方は入っておりません。  それから、今どうやって決めたのかということを聞いたんですが、趣旨に賛同する人が呼びかけ人の呼びかけにこたえて集まったと。全くそういうやり方でいいのかということが問われていると思うんです、これだけ世論が分かれているんですから。  そもそも、この協会のメンバーを見ますと、今地元でも環境問題等で非常に懸念されております現構想を打ち上げた方々がそのまま横滑りしているんです。このパンフレットを発行している二十一世紀万国博覧会全国推進協議会、二十一世紀万国博覧会誘致委員会、同推進協議会の名簿もそれぞれいただきましたけれども、やっぱりそれぞれトップに豊田経団連会長でありますとか中部、中央の財界人が名を連ねている。ですから、こういう方々がこの万博構想をつくった。つくったんだけれども、環境問題で大変大きな不安があるという、支持がなかなか全面的には得られない構想になっている。  しかし、その構想を打ち上げた人が、実施主体たる協会の中にほぼ同じメンバーの方々が入っているわけです。これでは、この構想が事実上そのままいく体制がとられている、批判的な意見が実施主体に反映されていないと言わざるを得ないんじゃないですか。
  276. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) この博覧会協会は博覧会を推進する機関でございますので、そこには推進をしようとする方々がお集まりになっているということでございます。  ただ、批判的な御意見をお持ちの方々が存在することは十分承知いたしておるわけでございますので、もろもろのお話し合いをするとかということはこれまでもやってまいったわけでございますが、これから具体的に計画策定をしアセスメントをしという具体的な事業に入っていくわけでございます。そのプロセスにおいて広範な人々の意見をさらにまたお聞きをし、できる限り多くの方々の理解を得て、この博覧会を成功に導きたいというのが私どもの気持ちでございます。
  277. 山下芳生

    ○山下芳生君 気持ちはそうなんですけれども、構造上それがそうならない構造がどんどんできていっている。そこにこの法律で国が財政的な支援をするということになると、環境問題や地元財政負担の問題での懸念が表明されている現構想がそのまま加速推進される契機になるということは、私は、今の答弁の中からも否定されなかった、その懸念が強まったと言わざるを得ません。  そもそもこの愛知万博というのはもともとどういう形で構想が上がったのか。これはもういろんな新聞報道で言われておりますけれども、中部国際空港等の三大プロジェクト、これを進めていく起爆剤としての位置づけが当初からされていたものであります。私はこういう万国博覧会を大型プロジェクトの起爆剤という位置づけで開催するというのは、長い万博の歴史の中でもやはりこれはあり方として問題が多いというふうに感じるわけであります。  最後に大臣に、こういう懸念が出されております今の万博構想は撤回して、開催会場も含めてもう一遍練り直す、その必要が大変強まっていると思いますが、意見を伺いたいと思います。
  278. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) 本博覧会につきましては、当初愛知県を中心といたしまして「新しい地球創造」とのテーマや、これを柱とする会場構想等が提案をされたものであります。また、平成六年三月から平成七年十二月にかけましては、愛知県、県内八十八市町村及び近隣県から、こうした構想を前提に博覧会の誘致決議及び意見書が提出をされてまいりました。本博覧会の構想は、これらを踏まえて通産省においてさらに検討を加え、平成八年秋に取りまとめたものでございます。  この過程におきまして、六回にわたるシンポジウムの開催やさまざまな意見交換を通じて、地域住民を初め幅広い意見の反映がなされていると思っております。国際的な競争の中で我が国での開催が決定したのも、このような各界各層の知恵によって練られた博覧会構想が高く評価されたものと認識をいたしております。  私といたしましては、本博覧会の担当大臣といたしまして、内外から心より評価される博覧会の実現に向けて、地元や関係各位と協力をして全力を尽くしてまいる覚悟でございます。
  279. 山下芳生

    ○山下芳生君 内外から心より歓迎される万博として開催されるためには、計画の抜本的な見直し、これが必要だということを感想として述べて、質問を終わります。
  280. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  281. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案に対し、反対の討論を行います。  愛知県や通産省提案している愛知万博の構想は、環境をテーマにした博覧会であるにもかかわらず、海上の森という貴重な里山を含む瀬戸市南東部を主会場としており、自然環境の破壊が重大な問題となり、根強い反対運動が起こっております。  我が党は、海上の森を会場から外し環境を守る、自治体の過重な財政負担の解消、住民合意の形成という観点から、現計画の撤回と抜本的な見直しを求めてまいりました。  本法案に反対する理由の第一は、本法案が、中部財界、中央財界、愛知県など、現在の愛知万博構想を進めてきた団体、個人が中心になって設立された実施主体である二〇〇五年博覧会協会に対して国が財政的支援をするものであり、事実上、現構想での愛知万博の開催を加速、推進する契機となるからであります。このままでは環境問題や自治体の過重負担など、深刻な問題になることは必至であります。  反対する理由の第二は、愛知県や中部財界は愛知万博を中部国際新空港など三大プロジェクト推進の起爆剤と位置づけており、また愛知県は学術研究開発ゾーンを海上の森に計画しており、愛知万博をこの計画の突破口にしようとしている状況のもとでは、国際博覧会を開催する本来の趣旨を損ねることになるからであります。  以上、反対討論を終わります。
  282. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  283. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  勝木君から発言を求められておりますので、これを許します。勝木健司君。
  284. 勝木健司

    ○勝木健司君 私は、ただいま可決されました平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案に対し、自由民主党、平成会、民主党・新緑風会及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行に当たり、平成十七年に開催される国際博覧会が、二十一世紀にふさわしい「自然の叡智」というテーマに合致した自然と人間が共生する地域づくりの姿を提示しうる博覧会となるよう、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。  一 国際博覧会が国民の理解と協力のもとに成功を収めるよう、広く各界の意見を聞いて企画、運営に努めること。  二 国際博覧会への招請は、できる限り多くの諸外国に行うとともに、特に発展途上国からの積極的参加が得られるよう努めること。  三 国際博覧会の開催に当たっては、諸経費の節減、効率的な事業運営の推進に留意するとともに、博覧会協会の財務、事業計画の透明化と情報の開示を図ること。  また対話やシンポジウム等を通じて地域住民を始めとする関係者の十分な理解を得るよう努めること。  四 国際博覧会に係る環境影響評価については、環境影響評価法の趣旨を十分に尊重して適切に行うとともに、その結果や長期地域整備との整合性を図りつつ博覧会会場計画を策定すること。  五 博覧会会場への旅客輸送に関する諸施設及び会場周辺の環境施設等を整備するための関連公共事業については、昨今の国、地方公共団体の財政事情に配慮して、効率的、効果的な事業を積極的に推進すること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  285. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) ただいま勝木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  286. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 多数と認めます。よって、勝木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堀内通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堀内通商産業大臣
  287. 堀内光雄

    国務大臣堀内光雄君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  288. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後五時三十九分散会