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沓掛哲男君 それはもう二%ぐらいの金利で、私は五%や何%にしろと言っているんじゃないですよ。二%ぐらいにすることで自律的
回復軌道には十分私は乗っていくと思います。もう本当に破綻しそうになったときにこそ〇・五なんであって、そうでなかったら、では質問したいんだけれども、時間が本当にもうないので簡単にお願いしたいんです。
例えば諸外国の公定歩合を見てみましょう。一番低いのは今ドイツの二・五%ですね。そしてカナダが三・五、それからフランスが三・一ですか、
アメリカが五、イタリアが六・二五、英国が七ですよ。こんな
日本のように〇・五をとっている国はないし、
アメリカ以外の国がそんなにいいわけでもないので、別段今の
日本に比べてほかの国がぐっと
経済が自律的にどんどん
成長している、そんなことは全然ないんで、そういう国がこれだけ高いのに、
日本だけなぜそうしなきゃいけないんですか。
それから、
一つ一つ聞いていると時間がないのでまず言わせていただきたいし、ここで私は何も公定歩合を上げるとかなんとかいう、そういうことを議論するよりも、しっかり勉強していただきたいということを
意味しているんですよ。私らは実際地元に帰ると肌でそういうことを感じていますから、これから申し上げます。
それからもう
一つ、金利は
経済によって生み出される果実であると、日銀の幹部や皆さんよく使っていますよ、
金融機関の人は。いわゆる
経済によって生み出される果実が金利なんでしょう。そうすると、超低金利の長期化というのは、
日本経済の将来性にもう赤信号がともっている、
日本のその果実が全然出てこない、
経済によって生み出される果実は金利だから、ほとんどゼロですね。ということは、これから
日本の先ももう真っ暗だ、もう真っ赤だという、そういうことを、
日本の
経済の危機を日銀みずからが世界じゅうに発信しているんじゃないんですか。日銀さんという一番信頼できるところがやっぱりだめだだめだだめだと言うのなら、みんなやっぱりだめだだめだだめだということになるんじゃないでしょうか。そういうことを強く感じます。
おとといの読売新聞でも、いわゆる
主要企業のアンケート
調査を見てみると、
企業はこれからの将来とか
マクロ的な総論に対しては全部危機感を持っています。ところが、自分の会社の経営がどうかというと、物すごい底がたいんですよ。一昨日の読売新聞の、ここにもありますけれども、非常にみんな底がたいんで、要するに周りじゅうから寄ってたかってだめだだめだと言うから、自分のところは底がたいんだけれども、それじゃこれから暗くなるのかな、たまたまおれの会社だけいいのかな、これじゃだめだなという、
先行き不安を持ってくる、そういうことがこの
一つの〇・五という非常な危機感を示す数値であると私は思うんです。
しかし、そういう抽象論でなくてもうちょっと具体的な話をさせていただくと、きのう総裁も言っておる
マイナス論への反論の
一つに
設備投資の話をしています。二年間でこれぐらい金利で免除したりしたことが利益につながって、それが
設備投資になってきたという話をしています。
設備投資は去年、おととし物すごい頑張ったし、ことしは
先ほどの話でもまあまあいいところだけれども、去年、おととしよりはちょっと疲れていると。住宅
投資というのは大体百四十万戸ぐらいが一年間あると平均的にいける数値ですけれども、ここ数年低金利で物すごいそれを上回ってきています。ですからまあまあのところへ来ているんです。
そこで、この金利を上げることによって少しは、
設備投資や住宅
投資もちょっと減るでしょう。それから銀行の
不良債権処理の問題が非常に出てきます。しかし、もう二年数カ月も特別なことをやってきているんですから、まあやれる銀行はある程度立ち直るし、そういう不良債務の処理もいろいろやってきているんだと思います。
それからベンチャーの話をいろいろ、
山口さん、言っておりますけれども、金利を上げるとベンチャー
企業が、これからまだ可能性あるのがだめになるからというお話ですけれども、それはベンチャーという特別なところについては
通産省さんがいろんなストックオプション
制度、
金融についてはベンチャーキャピタル、さらにベンチャー財団、そういうものでそういうところは整理しているんですよ。ベンチャーという一部のところをつかまえて、だから上げられないというんじゃなくて、それは
政策できちっとやればいいことだし、やっていくことだというふうに思います。
そしてまた、私はこれからそのプラスの面を言うんですけれども、ある程度そうやって金利も入り、みんなが豊かになって
景気が少し温かくなってくれば
設備投資だってよくなるし、いろいろ銀行の方だってよくなっていくわけですから、そういうプラス、
マイナスを考えると決して私はなかなか
設備投資や住宅
投資というのはそう減っていかないと思うんです。
そこで、私が最初にさっき申した、やっぱり金利の場合は
タイミングとその金利の上げる幅が非常に重要だと思います。そこでひとつ、ちょっと紙をつくってきたんですけれども、これをちょっと見てください。(図表掲示)
この縦軸は金利です。そして横軸は
投資額です。まあ
設備投資額と思えばいいわけです。金利がゼロのときの現時点における
設備投資額というのは決まるわけですね。もちろん時代が変わればこれは動くわけです。
設備投資額と金利との
関係というのは、いわゆる
経済学的に言えばずっとこの原点に対して凸なんです。最後は凹なんです。ですから、こういう形で金利が上がれば
投資額は間違いなく減ることは減るんです。しかし、今〇・五という非常に低いところの金利というと、じゃ逆に〇・五を今ゼロにしたら
設備投資がぽかっとふえるかといったらそんなことはないですよ、ほとんど。もう〇・五で来ていますから。そうすると、〇・五、これを二%ぐらいですと上げたってほとんど減らないですよ。減ることは減るけれども、ちょっぴり。
しかし、今言ったように金利を五%とか六%に上げれば、金利はこの辺に来るからがばっと減りますよ、それは。ですから、
タイミングとともに金利の上げる幅というのは非常に重要でありまして、二%ぐらいにしたってほとんど
設備投資に
影響ないし、逆にそれによって、所得がふえることによって
景気がよくなり消費がふえていく。その方がかえって
設備投資にもプラスで、ほとんどプラス、
マイナス変わらないと、私自身はそういうふうに思います。
そこで、じゃ金利を上げたことによって国民の懐がどうなるのかということですけれども、これは矢野誠也さんといって元
経済企画庁におられた方が計算したのが出ています。
日銀統計による九六年十二月末の個人貯蓄残高では総計千五兆円、うち金利を引き上げても個人所得の増加につながらない保険の二百四十七兆円を別として、残り約七百六十兆円の金利が一・五%、〇・五を二にするから一・五%上げると約十一兆円の所得の増加を生むと。そうすれば税金も二兆円ふえるんですよ。ですから、十一兆円もどんと入ってくる。
もちろん皆さん方は、じゃ住宅ローンも上がるじゃないかと言うけれども、それは今契約しているローンは急に上がらないんで、これからの人はローンが上がることを理解した上で払うわけで、ともかく所得がふえるということは大事なことなんですよ。これから支出は自分で考えればいいんですから。ですから、十一兆円どんと入ってくるということはもう大変なことだと思います。これをやったら、ばっと私は
景気が明るくなっていくんだと思います。
そこでまた、あと二分しかないからもう
一つ。では、やらなかったとしたらどうするんですか。今、このままでいきましょう、〇・五で頑張って銀はいく。そうすると来年四月、いわゆる改正外為法が施行され、
内外の
資金の流れが自由になれば金利水準は国際的な調整にさらされるのは当然ですし、そのまましないで頑張ったとすると
日本の円は外へ出ていきますから、そうすればどうなるかといえば、
為替レートが下がって一ドルが百三十円とか百三十五円とかになる。そうすれば
輸出がどんどん
アメリカへ間違いなく行く。そうすれば
アメリカからクレームがばんと来る。そうしたら、初めてそこでああそうかといって〇・五を幾らかに上げるのか。頑張るといったって少なくとも来年の夏ごろまでは頑張れないですよ、国際的問題が起こってきて。ですから、余りそういうことよりも、やっぱりひとつぜひ私ども国民のことを考えていただきたい。
日銀さんは銀行へそうやって貸し付ける大銀行ですから、会社まではよく考えられるんです。しかし、国民の生活ということに対しては二次的なんです。会社がよくなりゃ国民がよくなるじゃなくて、国民がよくなりゃ会社もよくなるという、そういう思想もぜひ日銀さんにも持っていただきたい。そういう気持ちが強くありますので、きょりそういうことを申し上げたんです。
私らも帰ると、六十過ぎて定年になった人たちがたくさんいますが、そういう人たちは本当にみんな金利を当てにしていたんですよ。退職金二千万円もらってそれを金利と年金で。ところが、その金利が全然もうだめなんですよ。ですから、この人たちのこともよく考え、
日本全体も考えれば、もう私はそろそろ〇・五を脱出してもいい時期だと。また、その前に来年四月という障壁もあるので、その辺をぜひお考えいただければという
意味できょういろいろ私の意見を申し上げました。ひとつよろしくお願い申し上げます。
また、
大臣にもひとつ大所高所から御高配をいただきますことをお願い申し上げまして、時間がオーバーしつつありますので、これで質問を終えます。
どうもありがとうございました。