○
政府委員(小鷲茂君) 御
指名をいただきました
建設省の総
務審議官の小鷲でございます。
それでは、お手元に
説明資料が配付されておると思いますので、
資料に従いまして当省の
状況について御
説明を申し上げたいと存じます。
それでは、一
ページをごらんいただきたいわけでございます。まず最初に、
公共投資の
重点的
配分についてでございます。
ことしの六月、当
調査会からの御提言をいただいたわけでございますが、
重点的な
配分につきましては、最初のこの
ページには私どもの基本的認識が記載してございますが、依然として
社会資本整備につきましては欧米との格差がある。しかるに一方では、高齢化社会あるいは少子化、そしてまた国際化といったような
経済状況の変化もございます。こういった
状況を踏まえまして、今後さらに
社会資本整備を効率的に
推進していくためには
重点的な
投資が必要である、こういう基本的な認識でございまして、一番下の枠の中にそのことが書いてございます。
建設省におきましては、
公共投資基本計画、各
事業分野別の五カ年
計画等に基づき、
国民生活の質の
向上に直結する
分野、次世代の発展基盤となる
分野、安全、安心に関する
分野等に
重点的に取り組むなど、戦略的、
重点的な
投資を
推進することといたしております。
三
ページをお開きいただきたいと思いますが、
公共投資の
重点的な
配分の具体例といたしまして、来
年度平成十
年度の概算要求の
考え方について御
説明をさせていただきたいと思います。
御提言をいただきました趣旨を踏まえまして、真ん中のあたりにやや黒い線で囲ってあります五本の柱に政策を区分いたしまして要求をまとめてございます。第一が
連携交流を支えるネットワークの
重点的
整備、二つ目が
経済・社会活動を支える都市と
地域の再構築、第三が快適な暮らしを支える質の高い生活環境の創出、第四が住生活の質の
向上のための
住宅宅地の
整備、第五が安全で安心できる国土づくり、
地域づくりの
推進でございます。
まず最初に、
数字をちょっとごらんいただきたいと思います。五の二と
ページを打ってございますところをお開きいただきたいと存じます。
上の枠の中に
一般公共事業につきましての要求額が記載してございますが、国費で六兆三千二百三十一億円、
事業費で二十四兆九千四百五十三億円、それぞれ倍率が〇・九五倍、〇・九〇倍、こういうことになっております。
御案内のとおり、
財政構造改革におきまして
平成十
年度におきましては
公共事業七%減ということになっておりますけれども、ここでは国費が〇・九五倍ということになっております。つまり五%減という
数字になっておりますが、これは政府部内の
予算編成の都合上、
物流効率化の
関係の
特別枠あるいは
生活関連枠の
特別枠というのがございまして、この枠組みにつきましては若干多目に要求段階では要求してよろしいと、こういうことになっておりますので、その分が上積みをされておるわけでございます。恐らく、
年度末、最終的な政府
予算案がまとまる段階におきましてはこれが若干切り込まれてトータルとして〇・七三と、つまり七%減という
数字になるんではなかろうかと考えられる次第でございます。
矢印でやや事項別の
数字が並んでございます。
道路以下ございますが、右の国費の欄の括弧のところに倍率が書いてございますので、この倍率をごらんいただきたいわけでございますが、
分野別に見ますると、
道路整備につきまして〇・九七倍、治山治水が〇・九四倍、公園が〇・九五倍、下水が〇・九五倍、
住宅が〇・九四倍、市街地
整備が〇・九六倍、こういう倍率の要求になっております。
道路が〇・九七と高まっておりますけれども、これは昨今の
経済構造改革に資するための
物流対策ということで先ほど言いました
特別枠の要求が許されておりますので、その要求がここに追加されておる、こういう姿をあらわしております。それから、
住宅が落ち込んでおりまするけれども、これは御
承知と思いますが、
住宅金融公庫あるいは
住宅・都市
整備公団、いわゆる財投機関につきましてのいろんな
議論がございまして、
縮減を図ると、特に住都公団につきましては
民間部門との重複
部分については今後撤退をすると方針を決めましたので、そのことに伴います
予算額の減がこういう結果に反映されておるわけでございます。
一般会計のほかに財投の
数字を下に記載してございますが、御
説明を省略させていただきたいと思います。
当
調査会の御提言で言われております事柄につきましては、次の
ページ、五の三でございますが、先ほど申し上げました
物流効率化のための
特別枠、これは政府全体で千五百億というふうに設定されておりますが、私どもからは千七百億余り要求させていただいておりまして、大きく分けますと高
規格幹線道路等の
整備、二つ目がいわゆる
地方都市の中心市街地等の
整備、そういったものについての要求をこの中で盛り込んでおる次第でございます。
それから次の
ページでございますが、
生活関連等の
特別枠でございますが、これは政府全体で二千五百億の枠がございますが、
建設省からは二千五百億の要求を出しております。
内容的には、質の高い生活環境の創出といたしまして、細かい話でございますが、ふるさとの
下水道であるとか雨水排水
対策、交通渋滞
対策、こういったものを
特別枠で要求しておる次第でございます。
二つ目に、質の
向上のための
住宅宅地の
整備でございますが、個別に見ますると、良質な市街地
住宅の供給、昨今、都心居住ということが言われておりますが、そういった市街地型
住宅の供給、それから高齢者向けの公共
住宅の供給、こういったものをこの枠組みの中で要求いたしております。
次の
ページには、安全で安心できる国土づくり、
地域づくりという視点からの要求を盛り込んでございますが、緊急土砂災害防止
対策、密集市街地の
整備のための
事業、耐震化あるいは緊急的な渇水
対策、こういったようなものがこの中で盛り込まれておる次第でございます。
前に戻っていただいて恐縮でございますが、四
ページをちょっとお開きいただきたいと思います。全体を通じまして来
年度の概算要求の要求のポイントをここにまとめてあるつもりでございます。枠組みの中に丸をつけて五項目記載してございます。
一つは、
経済構造改革を
推進するための
物流の
効率化、中心市街地の活性化、
情報通信の
高度化、こういった
分野に
重点配分をするということが
一つの
特徴でございます。
それから二つ目でございますが、
生活関連の
社会資本につきましては、真に
整備がおくれている
分野、あるいはおくれている
地域への
重点投資を行う。全体としてマイナスなのでございますが、そういった
状況の中でもこういった
重点投資を心がけるということが二つ目のポイントでございます。
それから三つ目でございますが、昨年来、大変大
規模な土砂災害等が発生しておるわけでございますが、こういった事態にかんがみまして、緊急に生命、財産を危険から守る
施策への
重点化。
第四が、昨今の
経済問題を考えますると、なるべく
フローとしての
経済効果の上がる
分野に
投資をしようと、こういうことを考えております。御案内のとおり、
社会資本といいますのは
フロー効果よりも
ストック効果、
整備されることによってそれが長い間に社会に貢献するということが本来の役割でございます。しかしながら、
フロー経済にとりましても大変大きな影響を与えるものでございますので、そういった視点を考慮いたしまして、なるべく用地補償費比率が低いものに振り向ける、つまり工事費に回るような
事業実施を行おうと、こういうことにいたしております。
それから五番目でございますが、
事業の
効率化、効果的な執行という視点から、国と
地方あるいは官と民との
役割分担をはっきりさせる。後ほど若干詳しく出てまいりますが、そういったこと、あるいは
コスト縮減、
各省事業の
連携、費用
効果分析、こういうものをより一層強化いたしまして
効率化、透明化を図っていく、こういう姿勢で要求をまとめてございます。
下に具体的に幾つかの例がございますが、先ほど言いましたように、全体としては
予算額がマイナスされる中で、重要なものにつきましてはここに記載いたしましたように
かなり思い切ってプラスの要求の
内容といたしておるわけでございます。
例えば
地域高
規格道路の
整備、大変これは
地方の要望が強い
事業でございますが、こういったものについては九%、あるいは高度
情報通信社会に向けた情報ハイウエーの構築のための
予算一二%増、あるいは次の
生活関連といたしましては、高齢者向けの公共
住宅につきましては三八%増といったような
内容になっております。次の
ページにも幾つか記載がございますが、このように先ほど言いましたような
考え方を要求の案に具体化いたしておる次第でございます。
次に、御提言いただきました第二の点でございます。六
ページをお開きいただきたいと存じます。
公共事業のあり方につきまして御提言をいただいておりますが、ここでは幾つかこれに対する
考え方を整理してございまして、枠の中に書いてございますように、
公共事業予算の効率的、効果的な執行を図るために三つの点、
重点化、
効率化、透明化、これを基本として
事業の
見直しを
推進することにいたしてございます。
具体的なことが幾つか書いてございますが、その第一といたしまして
省庁間の
連携の
推進に努めております。
平成八年の夏に、農水省、
運輸省、
建設省、それから最近では国土庁にも参加をいただいておりますけれども、この四
省庁の事務次官におきまして、
各省が
連携をするとより効果が上がるようなプロジェクトを選び抜く、こういうことをやっておるわけでございまして、
平成九
年度は十三の
連携施策、そして来
年度は十一の
連携施策に着手しようということにいたしております。ここには具体例として複合一貫輸送インフラ
事業の
推進、
運輸省さんとの
連携施策を掲げてございますが、こういったものを大いに
推進しようということをいたしておる次第でございます。
それから次の
ページでございますが、二つ目といたしまして、
投資の質の
向上という視点からさまざまな試みを、取り組みをいたしておる次第でございます。
まず、①のところに記載してございます新規
事業箇所の削減でございます。
これは、
予算全体が少なくなることに伴う削減ということよりも、むしろなるべく早く
事業効果を発揮させるという意味からは、集中
投資をいたしまして早くその効用を実際の社会に発揮させる、こういうことが必要ではないかということで
事業箇所の絞り込みをいたしております。逆に一カ所
当たりの
予算額をふやしておる、こういうことをやっておるわけでございます。ここにそれぞれの
事業についての例がございますが、
かなり思い切った新規
事業箇所の
縮減をいたしております。
それから二つ目でございますが、用地補償費比率の減少でございます。
特に昨今、先ほど申し上げましたような
経済に与える影響等を考慮いたしまして、用地補償費比率の比較的薄いものを優先的に扱うということをいたしておるわけでございます。
それから、三つ目が国と
地方公共団体及び官と民の的確な
役割分担でございます。
例えば、ここに書いてございます
一般会計の補助金の件数でございますが、逐年いわゆる小さい補助金は廃止するということで補助金制度全体の絞り込みをいたしておるわけでございます。あるいはまた、二つ目の例示にございますように、幾つかあります補助制度を統合化するというような合理化努力をいたしておる次第でございます。
次の
ページでございますが、こういった努力の結果、棒グラフで書いてございますが、
建設省の中におきましては、
かなり中長期的に見ますると
分野ごとの
投資配分が変わってきておるわけでございまして、この姿がこの棒グラフでおわかりいただけるのではないかというふうに思います。
道路が
かなり圧縮され、その分、
都市部門の
下水道あるいは公園、
住宅対策、こういうものがどんどん
シェアを伸ばしておるという姿がごらんいただけるかと思います。
それから、
公共事業のあり方の第三点として
事業の
効率化についてでございますが、
内容といたしましては、類似の
事業間の調整をうまくやるということと
コスト縮減、大変大事なテーマでございます
コスト縮減をいかに進めるかと、こういう二つの事柄があるわけでございますが、最初の
類似事業間の調整につきましては、よく言われます
省庁の壁によって重複
投資をやっているんじゃないかというお話がございます。
ここでは
農道との
関係、
農道と
建設省の
一般道路が並行して走っておる、むだな
事例が多いのではないか、こういう御批判があるわけでございますが、この点につきましては農水省、
建設省とで
連絡調整会議を持つことにいたしております。それで、
都道府県ごとに
農道と
一般の
道路との
計画レベルでの調整をいたしております。
平成八年十二月末までに東京都以外の四十六都道府県すべてでこの調整
計画を策定済みでございますので、これからはかつて言われたようなああいった
事例は生じないものと考えておる次第でございます。
それから、次の九
ページでございますが、同じような問題が
汚水処理についても言われておるわけでございます。
建設省の
下水道、それから農水省の
農業集落排水、厚生省の合併処理浄化槽、これについても不連絡ではないかという御
指摘がかつてあったわけでございますが、この点につきましても県レベルでの
計画段階での調整を始めておりまして、ことしの九月末現在で三十六都道府県でこの
計画を策定済みでございまして、残るところにつきましても今
年度中に策定をし、かつての御
指摘のようなことは起こらないようにする予定でございます。
それから、十
ページに二つ目の大きなテーマでございます
コスト縮減計画について記載してございますが、御案内のとおり、本年四月に政府全体といたしまして公共工事
コスト縮減に関する
行動指針を策定いたしたわけでございます。今後三年間、
平成十一
年度末までに全体として一〇%以上の
コスト縮減を図ろう、こういう
内容でございまして、この指針に従い
各省庁はそれぞれ行動
計画をつくって、懸命に現在その
対策に取り組んでおるところでございます。
一〇%の内訳といたしまして、六%は発注者側の
計画あるいは設計段階で合理化を図る、それから残りの四%
部分は、資材でありまするとか工事の施行でありまするとか、そういうレベルで
コスト縮減を図る、こういうことになっておりまして、
施策のそれぞれについて
各省それぞれ積み上げをいたしておりますので、現在その
実施に努めておるところでございます。
ここでは二つ例を出してございまして、
一つは、入札の段階で
民間事業者の技術力をうまく活用することによって
事業費を圧縮できないか、いわゆるバリューエンジニアリングという契約方式がございますが、これにつきまして当省で
平成九
年度から、全部ではございませんが工事を選んで執行する予定にいたしております。それから二つ目といたしまして、各種の技術基準がございます。その合理化を図るということを現在進めておる次第でございます。
さて次に、
公共事業のあり方の第四点といたしまして、
ページで言いますと十一
ページでございますが、
事業の
計画・
実施過程の透明化の問題がございます。
この問題につきましても、何点か論点がございまして、まず
一つ目が費用
効果分析をいかにしてうまくやっていくかという問題、二つ目が、
事業の
採択基準というのがございますが、これをきちっと決めて公表していくという問題、それから三つ目が
事業の
実施段階で情報を提供して市民の皆様に十分御理解をいただくことができるようにするということ、それからそれと関連いたしますが、四つ目には
国民の皆様が十分意見を出せるような、そういう機会をふやしていくというこの四つの事柄があるわけでございます。
最初の費用
効果分析につきましては、私ども
かなり積極的に取り組んでおるつもりでございまして、
平成九
年度、今
年度でございますが、
道路事業と流域
下水道事業につきましてはすべての新規箇所についてこれを
実施いたしております。まだ試行の段階と御理解いただきたいと思うわけでございますが、全地区につきましてこれをやっております。他の
事業につきましても、本
年度中には分析手法を開発し公表いたしたい。したがいまして、
平成十
年度からはすべての
事業につきまして
コストアナリシス分析を
実施するということにしたいと思っております。
それから、二つ目の
事業採択基準につきましてはもう既に
平成九
年度の
予算配分時に各
事業において公表をいたしておるところでございます。
以下、やや細かい話になりますので省略をいたしますが、先ほど申し上げました
国民の皆様から意見をお出しいただく機会をふやすということにつきまして、十二
ページの一番下に「大
規模公共事業に関する総合的な評価システムについて」というふうに記載してございます。大
規模事業につきましては
計画から
事業実施まで
かなり長年月を要するわけでございますので、その間、
状況の変化によりまして新しい判断が必要である、こういうこともあろうかということで、私どもではこの
見直しのシステムを現在つくっております。それぞれのプロジェクトごとに審議
委員会をつくっていただきまして、そこに地元の方、
民間の方に参加いただいて
事業の
見直しを行う、こういうシステムをつくり上げております。
その結果が次の
ページに記載してございます。現在までの
実施状況を記載してございますが、これまでダム、堰、こういった水
関係が多いわけでございますが、ダムで言いますると十三の
事業をこの対象といたしておりまして、このうち既に五
事業につきまして
計画の変更、中断、再検討、こういった御意見をいただいておりまして、そのように進めておる次第でございます。
次に、御提言をいただきました三番目の柱でございます良質な
住宅の
確保でございます。十四
ページでございます。
量から質へということを御提言でいただいておるわけでございますが、直近の
平成五
年度の
住宅統計
調査によりますると、全国におきまして誘導居住
水準の達成世帯数が四〇・五%ということになっております。この棒グラフの一番右をごらんいただきたいと思います。そしてまた、最低居住
水準未満の世帯数が七・八%とやや減ってきております。しかしながら、
内容を持ち家、貸し家別に見ますると、まだまだ大きな隔たりがございますので、なお今後も努力をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
ちなみに、次の
ページでございますが、現在持っております第七期
住宅建設五カ年
計画ではこの居住
水準についてどういう目標を持っておるかということでございますが、先ほど言いました誘導居住
水準につきましては二〇〇〇年までに約半数を達成する。先ほどごらんいただきましたように実績は一九九三年で四〇・五%でございますが、これを五〇%まで持っていきたい。そして、最低居住
水準未満の世帯でございますが、これは大都市
地域の借家においても解消いたしたいというのが目標でございますが、まだ目標達成には大分差がある、こういうことでございます。そしてまた、この質の
向上のために公営
住宅あるいは特定優良賃貸
住宅あるいは密集
住宅市街地の
整備、こういった関連
施策もあわせて
実施をいたしておるところでございます。
それから二つ目が高齢者に
配慮した住まいづくりの
推進でございますが、この点も御
指摘をいただいておりまして、それぞれ
施策を
実施いたしております。
例えば、公共
住宅の長寿社会対応
住宅供給の
推進でございますが、公営・公団
住宅につきまして既に古く
平成三年から長寿社会対応仕様を標準化といたしております。そしてまた、これらの公営・公団
住宅の建てかえの際には可能な限り長寿社会対応仕様に変えていくということもやっておる次第でございます。
十六
ページでございますが、このほか
民間住宅を念頭に置きながら長寿社会対応
住宅設計指針をつくりまして
普及に努めておる。あるいは、真ん中よりやや下でございますが、
住宅金融公庫融資につきましても高齢者社会を念頭に置いた仕組みを導入いたしております。例えば貸付金利につきましても、従来は
規模別に金利差をつけておりましたものを中身によって金利差をつける、例えばこのように高齢者向けの対応をした
住宅については安い金利、あるいは省エネ型の
住宅については安い金利、そういうぐあいに金利体系を変えてございますが、そういった対応、それから公庫につきましてはさらに割り増し融資、こういったことで高齢者対応を進めております。
そしてまた、福祉
施策との
連携ということも
かなり努力をいたしておる次第でございます。これは、例えば公営
住宅を建てかえる際にその中に高齢者対応施設に入ってもらう、老人福祉施設に入ってもらう、これは法律改正をいたしましてそういうことができるようにいたしておるわけでございますが、そういったような努力をいたしております。あるいはまた、公的な
住宅をつくりますときにはなるべく高齢者福祉施設の近くに建てるといったような努力を進めておる次第でございます。
次に、御提言をいただきました第四の柱でございます。十七
ページでございますが、快適な生活環境の形成でございます。
御提言の中身は多岐にわたるわけでございますが、まず何といいましても公園、
下水道を初めといたします生活環境施設をしっかりとつくるということが大事でございまして、それぞれ五カ年
計画に基づきまして
事業に取り組んでおる次第でございます。
最初は、ここに書いてございますのは都市公園等の五カ年
計画でございますが、総額七兆二千億円でございます。ただ、この
計画につきましては、恐らく先ほど
大蔵省からの
説明等でもあったのではないかと思いますが、
財政構造改革との関連で二年間
延長する、五カ年
計画を七カ年
計画にするということで実質的には
事業費の
縮減をする、これは政府の統一方針でございますが、そういうことが今後予定されておるわけでございます。
それから次の
ページでございますが、
下水道整備につきましても同じように、現行
計画は五カ年
計画で二十三兆七千億円でございますが、これにつきましても、現在衆議院で御検討いただいております特別
措置法におきまして二年間
延長ということになっておる次第でございます。
なお、ちなみに
下水道について言いますると、この下の表でごらんいただけますように、逐年
整備率は上がってきておるわけでございますが、これまではどちらかというと
投資効率の高い大都市を中心にやってまいったわけでございますが、今後の
課題として、五万人未満の都市の
整備率が
かなりおくれておりますので、この辺に重心を置いて
整備を進めていく、こういう方針を立てております。
次に十九
ページでございますが、安全で安心できる都市づくりでございます。ちょっと絵が見にくうございますが、広域避難地、その下にあります一次避難地、あるいはさらにそれよりも細々とした身近なグリーンオアシス、こういったものを整合的に
整備を進めておる次第でございます。さらには、救援活動の拠点あるいは復旧・復興活動の拠点となりますような広域防災拠点等につきましても鋭意取り組んでおるわけでございます。ちなみに、この広域防災拠点につきましては
平成十
年度全国で二十五カ所ほど取り組む予定にいたしております。
二十
ページでございますが、安心、安全という意味では
下水道の
整備によりまする緊急雨水
対策といったようなこともやっております。下水といいますのは、汚水ばかりではなくて雨水も排除する、都市内の雨水を排除するという
機能もございます。まだ残念ながら都市で五年ないし十年に一度ぐらいずつ川がはんらんするという実態でございますので、
下水道によって緊急にこの雨水
対策をサポートするといったようなことも進めておる次第でございます。
二十一
ページは、先ほどから申し上げております防災上危険な密集市街地を
整備しようということで、さきの国会におきまして密集市街地における防災街区の
整備の促進に関する法律を御審議いただき可決をいただいたわけでございますが、全国でまだ二万五千ヘクタールほどこういう危険な
地域があると言われておりますので、それの防災的な
観点からの建てかえ、老朽
住宅の建てかえ、こういったものを進めるために鋭意
事業に着手し取り組んでおるところでございます。
二十二
ページでございますが、安全で快適な暮らしを支える
道路整備、それから次の治水
事業につきましても身近な
事業があるわけでございますが、時間の
関係もありますので省略をさせていただきたいと思います。
二十四
ページでございますが、
歴史的、文化的資産を保全、活用した都市基盤
整備の
推進ということを書いてございますが、いわゆる潤いのある都市づくりをしよう、こういう視点から、
歴史、伝統、文化、そういったものをうまく生かした町づくりを進めよう、こういうことでございます。
それから二十五
ページ(「バリアフリーの生活空間の形成」と書いてございますが、私どもでは省を挙げて、省の持ついろいろな政策手段を挙げて生活福祉空間づくりをやろうと、こういうことを既に
平成六年の段階から宣言をいたしておりまして総合的な取り組みをいたしておるということでございます。詳細は省略させていただきたいと思います。
次に二十六
ページ、これも御提言にございました住民参加の問題でございますが、特に都市
計画への住民参加でございまして、この点につきまして第一点といたしまして、ことしの六月、都市
計画審議会で答申をいただきました。現在、都市
計画審議会は
地方の審議会は都道府県にしかございません。市町村にはございません。したがいまして、市町村が決める都市
計画も都道府県の審議会に上げなければならない、こういうことになっております点を改めまして、市町村ごとに審議会を置くことができるというふうにいたしております。これは法律改正が必要でございますので、今後法律改正を経た上でそういうことを
実施するわけでございます。なるべく早急に
実施に移したいと考えておる次第でございます。それから、市町村レベルのマスタープランづくりも進めておるということでございます。
それから次に、御提言の第五の柱でございます自然環境との調和の問題でございます。二十七
ページ以下でございます。
この点につきましても、
建設省では、どうも
建設行政と環境行政は相対立するものという
考え方があるわけでございますが、そうではない、
建設行政自身が環境を保護しつくり上げていく、そういう行政なんだ、つまり環境というものを
建設行政の内部目的にしようということを
平成六年にはっきりと確認いたしまして環境政策大綱というのをつくり上げています。その
もとに、これも省を挙げて環境
対策を
推進しておるわけでございます。
なお、ちなみに、これも前の国会でございますが、
河川法の改正をお認めいただいておるわけでございまして、この中で、戦後久しく
議論になっておりました
河川の環境保持ということを
河川行政の新たな目的として追加した次第でございます。ここでは丸でエコロードだとかエコシティー、環境共生
住宅、いろいろ書いてございますが、これは余談になるかもしれませんが、例えばこういう国内向けのものばかりではなくて、地球地図の作成といったようなものを国際的に提唱したりして大変大きな反響を呼んでおります。これは、人工衛星を用いまして地球全体の地図をつくって自然環境の変化を時系列的に追っていこう、地球の砂漠化、そういったものもこういうことによってフォローできるのではないか、こういうことを提唱いたしております。御案内のとおり、
建設省では国土地理院という地図の専門機関を持っておりますので、ここを中心に世界
各国にそういう呼びかけをいたしておりまして、昨今では国連でも大変関心を持っていただいております。
次に二十八
ページでございますが、水の循環利用でございまして、ここでは下水処理水の有効利用、あるいは雨水、中
水道の有効利用システム、こういったものにも取り組んでおるということを記載してございます。
それから二十九
ページ、排出ガス
対策でございます。
これは
道路交通を受け持っておりますので大変
関係が深いわけでございますが、具体の
施策の体系につきましては左隅の方に細かい字で恐縮でございますがいろいろ書いてございます。公共交通機関の利用促進、あるいは交通需要マネジメント、TDMと書いてございますが、これは交通需要マネジメントの意味でございます。それからITSの
推進、これは高度情報交通システム、昨今の
情報通信機器を活用いたしまして高度
道路交通システムをつくり上げる、こういったような問題、こういう各種の
施策に取り組んでおるところでございます。
三十
ページに参りまして、リサイクルの問題でございます。
建設関係につきましては大変リサイクルの問題が重要でございまして、ちょうどことしの十月、ついせんだってでございますが、二〇〇〇年を目標にした
建設廃棄物あるいは
建設発生土についてのリサイクルの目標を掲げて取り組んでおります。
基本的な
考え方といたしましては、なるべくこういうものを発生させない、廃棄物を発生させないような
計画設計段階の工夫をするということが
一つでございます。それから、やむを得ず発生するにしても、それをなるべくリサイクルするということが二つ目の
考え方。どうしてもリサイクルができないものについては不法投棄ではなくて適正な処理をする。この三つの原則を基本としながら、リサイクルの目標はこの表に掲げてございますが、廃棄物、発生土ともに二〇〇〇年八〇%のリサイクル率を目標に
施策に取り組んでおります。
ごらんのとおり、
建設発生土の方は、括弧の中が実績値でございあすが、三二%と思わしくないわけでござします これはいろいろ技術的にも難しい問題がございましてこういうことになっておりますが、これにつきましても強力に
施策を
推進したいと考えております。
三十一
ページ以下、御提言いただきました六つ目の柱でございます総合的な交通ネットワークの
整備でございますが、四角の中に書いてございますように、重要なことは交通機関相互の
連携を
確保、改善することではないかと考えておりまして、このため、
道路整備に
当たりましては
空港、
港湾等へのアクセス
道路の
整備、鉄道の高架化
事業、こういったものに
重点を置いておる、こういう次第でございます。
具体例が幾つか書いてございますが、最初は
空港へのアクセス
道路の例を掲げてございます。実は、
運輸省さんいらっしゃいますが、
空港本体の大体二倍から三倍ぐらいのアクセス
道路整備が必要である、こういう実態になっておる次第でございます。
それから次の三十二
ページでございますが、
空港とか
港湾へは従来
一般国道でアクセスするということを目標にいたしております。上の四角の中に
数字がございますが、おかげさまでほぼ一〇〇%近く
国道はアクセスをすることになっております。
しかしながら、高速
道路がどうかということになりますると、高速
道路のアクセスがまだまだ不十分でございまして、二つ目の箱でございますが、九
年度末、国際
空港につきましては四六%、国際
港湾につきましては三三%というアクセス率でございます。これは、最寄りのインターチェンジから十分以内でアクセスできる、こういう条件で調べたものでございます。こういう
状況でございます。長期的には、大体九割
程度は十分ぐらいで最寄りのインターチェンジに着けるようにしないと
物流対策として十分でないんではないかと、こういうふうに考え、現在鋭意努力しているところでございます。
それから三十三
ページでございますが、総合交通
対策といたしまして、公共交通機関の利便性を
向上させるということも先ほど言いましたように大変大事なことでございますので、鉄道の連続立体交差
事業、これも大変
地方で要望が多いわけでございますが、こういったもの、それから交通結節点の
整備、駅前広場、バスターミナル、こういったものの
整備を進めるということも取り組んでおる次第でございます。
大分時間がたちましたのでちょっとはしょりますが、三十五
ページへ参りまして、
道路特定財源についても御提言をいただいております。
特定財源につきましては、現在政府・与党でいろいろな
議論がなされておるところでございますが、私ども
建設省といたしましては、
道路特定財源は受益者負担の
考え方に基づきまして自動車利用者に負担を求めているものでございまして、目的外へ使用するということは受益と負担の
関係を崩すことになりますので、なかなか納税者の理解が得られないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
下に一覧表がございますが、現在、暫定税率ということで本則による税率の二倍ないし二・五倍の税を徴収させていただいておるわけでございますが、この暫定期間が五年ごとに切れます。来年の三月にはこの暫定税率の期限が切れますので、本則に戻すのか、暫定税率をさらに継続するのかということが現在問題になっております。
さらには、この財源を他に流用するのかどうかということも話題の
一つとなっておりますが、この点につきましては先ほど私どもの
考え方を述べさせていただいた次第でございます。
ちなみに、三十六
ページをごらんいただきますが、特定財源が
道路の
投資の中でどんなふうなウエートを占めておるのかということでございます。やや黒っぽく塗ってあります右のところが特定財源でございまして、
道路事業費全体の四五%が特定財源でございます。
よく特定財源があり余っているので
道路をつくると、こういうことが言われるわけでございますが、そうではございませんで、
道路特定財源に加えて、場合によると借入金までして
道路をつくっているというのが実態でございます。ちなみにこの
ページの下に、先ほど
一般公共事業の中の
道路の国費の
シェアがどんどん減っておるということを申し上げましたけれども、重複しますが、ここでも記載させていただいておる次第でございます。
さて三十七
ページ、御提言いただきました七番目のテーマでございます交通機関のバリアフリー化でございます。
一つは、安心して歩ける幅の広い歩道を
整備する、俗に車いすが十分ゆとりを持ってすれ違える歩道が必要である、こういうことでございます。
現在、そもそも歩道が足りないわけでございますが、歩道につきましては現在必要と思われる大体五十数%、五三%
程度歩道が設置されております、全国の
道路の中で。その中で幅の広い
道路、三メーター以上の幅員を持った歩道でございますが、これを持っているものが、そのうちの、ここにございますように設置率が二八%ということで、歩道は半分ほど必要箇所に設置されておりますが、なかなかまだ三メーター以上という幅員を持った歩道になっていない。これを何とか早く三メーター以上のものにしたいということで努力をいたしておるところでございます。なるべく早く半分ぐらいは三メーター以上にしたいということを目標に努力いたしております。
それから次に、駅前等における円滑な歩行環境の
整備ということで、特に駅前を中心とした中心市街地でバリアフリー化のためのいろいろな支援施設を
整備いたしております。次の
ページでございます。ここでは鉄道
事業者と協力をしながら、特に鉄道駅前を中心に「駅内外歩行者快適化作戦」、こんな銘を打ちましていろいろな
対策を講じておるところでございます。
それから三十九
ページ、交通安全
施策の
推進というところでございますが、これも御提言いただいております交差点の改良、
道路照明の設置、こういった総合的な交通
安全対策に取り組んでおるところでございます。
一番最後になりましたが、四十
ページ、御提言いただきました第八といたしまして、
情報通信基盤の
整備でございます。
建設省と
情報通信基盤というのは似つかわしくないようにも思われるかもしれませんが、私どもでは
道路、
河川、
下水道、こういったネットワークを形成する施設管理を行っております。その施設の管理のためにどうしても情報ラインが必要でございます。そのために、情報空間を持ち、光ファイバーを敷くことを
計画いたしておりまして、本年の七月、長期構想といたしまして、
情報通信ネットワークビジョンと言いまして、全国約三十万キロにつきまして光ファイバーを主体とするネットワークを構築しようということを考えております。
しかも、この空間につきましては、私どもが独占するのではなくて、
民間の通信
事業者の皆さんあるいは公共団体の皆さんが共同して使えるように、そういったことを踏まえた施設
整備を進めようとしておる次第でございます。先ほど言いましたように、来
年度の
予算でも、この辺の
予算は額がそもそも小さいという点もございますが、相当大幅な
予算の拡充を図っておる次第でございます。
以上、御提言をいただきましたものにつきまして、来
年度の
予算要求を含めまして、大変雑駁でございましたが、御
説明をさせていただいた次第でございます。
どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。