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1997-10-29 第141回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月二十九日(水曜日)    午後一時一分開会     ―――――――――――――    委員氏名     会 長         鶴岡  洋君     理 事        日下部禧代子君     理 事         聴濤  弘君                 小野 清子君                 尾辻 秀久君                 大野つや子君                 太田 豊秋君                 金田 勝年君                 鈴木 省吾君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 橋本 聖子君                 平田 耕一君                 三浦 一水君                 及川 順郎君                 木暮 山人君                 高野 博師君                 山本  保君                 和田 洋子君                 朝日 俊弘君                 小川 勝也君                 小島 慶三君                 青木 薪次君                 堂本 暁子君                 小山 峰男君     ―――――――――――――    委員異動  十月十七日     辞任         補欠選任      聴濤  弘君     有働 正治君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         鶴岡  洋君     理 事                 尾辻 秀久君                 中原  爽君                 山本  保君                 朝日 俊弘君                日下部禧代子君                 有働 正治君     委 員                 小野 清子君                 大野つや子君                 太田 豊秋君                 金田 勝年君                 中島 眞人君                 橋本 聖子君                 平田 耕一君                 三浦 一水君                 及川 順郎君                 木暮 山人君                 高野 博師君                 和田 洋子君                 小川 勝也君                 小島 慶三君                 青木 薪次君                 小山 峰男君    政府委員        大蔵省主計局次        長        細川 興一君        運輸省運輸政策        局長       土井 勝二君        建設大臣官房総        務審議官     小鷲  茂君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君    事務局側        第二特別調査室        長        村岡 輝三君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○国民生活経済に関する調査  (二十一世紀経済社会に対応するための経済  運営在り方に関する件)     ―――――――――――――
  2. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) ただいまから国民生活経済に関する調査会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日までに、笹野貞子君、一井淳治君、三重野栄子君、大島慶久君、片山虎之助君、牛嶋正君、海野義孝君、小林元君、但馬久美君、水島裕君及び聴濤弘君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君、小島慶三君、青木薪次君、中原爽君尾辻秀久君、山本保君、及川順郎君、木暮山人君、和田洋子君、高野博師君及び有働正治君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  3. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が五名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事尾辻秀久君、中原爽君山本保君、朝日俊弘君及び有働正治君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国民生活経済に関する調査のため、今期国会中必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  8. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) 国民生活経済に関する調査を議題とし、二十一世紀経済社会に対応するための経済運営在り方に関する件について調査を行います。  本日の議事の進め方につきましては、本年六月に議長に提出いたしました中間報告書における提言に関し、関連する施策現状課題、並びに予算編成時期を迎え、次年度以降の取り組みなどについて関係各省から説明を聴取した後、各委員から質疑を行っていただくことといたします。  質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に御質疑をいただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの方が質疑をできますよう各委員一回当たりの発言時間を一分程度とさせていただき、時間があれば二巡目を行うというようにいたしたいと存じます。  また、時間に制約がありますので、質疑内容各省からの説明に関連するものとし、簡潔に行っていただくようお願いいたします。  なお、各省からの説明、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、まず大蔵省及び自治省から説明を聴取いたします。最初に、大蔵省細川主計局次長
  9. 細川興一

    政府委員細川興一君) 主計局次長細川でございます。よろしくお願いいたします。  お手元に資料を配付しておりますが、その資料に基づきまして、公共投資あるいは公共事業につきまして御説明させていただきたいと思います。時間の関係もありますので、できるだけ簡潔に要を得た説明をさせていただきたいと思いますが、要を得るかどうかちょっと自信がございませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、資料に基づきまして御説明させていただきたいと思います。  まず、一ページ目をお開きいただきたいと思います。  社会資本整備現状国際比較ということで図を掲げてございます。  日本社会資本整備につきましては、まずフロー状況でございますが、上の表で各国比較いたしております。公的固定資本形成GDP比をここに掲げてございますが、民間を入れたところまでの全体の固定資本形成も図で書いております。黒い方が民間でございます。  これで見ていただけますように、全体の資本形成自体も非常に各国と比べてGDP比は高いわけですが、ここから申せますことは、一つは、まず公的資本形成につきましては、アメリカイギリスドイツ、フランスと比べていただきますと大体日本は二倍から三倍程度、六・六%という数字になっております。それが一つ特徴でございますし、また民間公的部門との関係を見ていただきますと、日本の場合はおおむね三対一で、一が公的部門でございますが、これが例えばアメリカですと九対一ぐらいになっているということで、一つフロー水準日本公的部門が非常に高いということが見ていただけると思います。  これを暦年的にずっと推移を見てまいりますと、下の表になりますが、例えば昭和四十五年のところですと日本は五・〇ぐらいで、これ自体もその当時も各国と比べて高いわけですが、近年の数字をずっと右の方へ追っかけていただきますと、非常に高い水準になっているということがおわかりいただけるんではないかと思います。  今申し上げましたのはフローの次元でございますが、ストックの面で見てまいりますと、次の二ページになります。各分野別道路水道下水道河川等について各国比較いたしております。  例えば道路舗装率で申し上げますと、国道と全体とが書いてございますが、国道ベースで見ますと、昭和四十年には五九%であったものが九八・五%ということで、各国と比較してもそれほど遜色ないところまで来ておりますけれども、全体で見ますと七三・五%ということでございます。水道はおおむね九五%という水準まで来ております。下水道につきましては、特に各国下水道整備というのは非常に歴史の古いものがございますので、この点は日本の場合には、頑張ってきてはおりますけれども、平成七年で普及率が五四%ということになっております。それから、大河川整備率を見ますと平成六年の水準で六六%ということでございます。一番下で、下水道につきまして都市部、特に東京、京都等につきましては一〇〇%近くまで来ているということで、地方がまだなかなか進んでいないという状況を示しております。  今申し上げましたように、フローでは非常に高い勢いでやっているわけでございますが、歴史が浅い、整備の出発が遅かったこともありまして、道路水道についてはかなり部分まで来ておりますけれども、下水道等につきましてまだ低い水準にありますということを示したものでございます。  三ページ目以降はそれぞれ社会資本整備ストックベースでどうなっているかということをややきめ細かく見たものでございますが、道路につきましては、国土面積当たりですと、ドイツは別でございますが、かなりのところまで来ておりますけれども、車一万台当たりで見ますと日本はまだキロメートルが小さいということがわかっていただけると思います。空港につきましても、人口百万当たりで見ますとまだ空港数は少ないわけですけれども、国土面積で見るとかなり高い。それから、住宅戸当たり平均床面積は、アメリカは別でございますが、おおむねイギリス等と肩を並べる水準まで来ている。それから、下水道は先ほど申し上げたような格好でございます。  ただ、次のページをおめくりいただきますと、水準国際比較で、まだそこまで届いてはおりませんものの、暦年でずっと伸びてきているという姿が、高規格道路道路舗装率、それから水道、特に下水につきましてはかなり勢い普及が進んできているという姿が見ていただけるのではないかと思います。  次に、公共事業関係予算が年代でどういうふうになってきているかということを五ページで、ちょっと細かい表で恐縮でございますが、ポイント的には一番右から二番目の一般公共の対前年度伸率のところを着目していただきたいと思います。  四十年代までの高度成長期におきましてはおおむね二けたの伸び推移いたしました。その後、第一次オイルショック後の総需要抑制期に、四十九年から五十年ですが、低率の伸びになっております。五十一年から五十四年、御承知のようないわゆる機関車論に基づきまして、積極財政もとで二〇から三〇%といった極めて高い伸びになっております。それから、五十五年以降平成年度までの約十年間、これは第二次オイルショック後の総需要抑制、さらに財政再建期間ということがありまして、ほぼ横ばいないし微減の動きとなっております。それから、三年から八年まででございますが、四、五%の伸びできております。  ことしの予算では、財政構造改革の趣旨を踏まえまして、前年度と実質同水準状況で、消費税率改定影響額を含めて一・三%という形で九年度予算がつくられております。ずっと四十年代からの歴史を見てみますと、こういうような形で公共事業関係費推移してきているという姿でございます。  次に、配分の問題につきまして状況を御説明させていただきたいと思います。  六ページ、七ページは九年度の姿でございますが、単年度では現状はこのとおりでございますが、もう少し長い系列で見させていただきますと八ページになります。  事業別シェア推移ということで八ページにその推移を掲げさせていただいております。上が四十年、四十五年、五十年と五年置きでずっとありまして、最近の六、七、八、九ということで事業別シェアを掲げております。  長期的に見ますと、その時々の国民ニーズ時代要請で、毎年毎年のシェアについていろいろ御批判もございますが、大きく見ますと、ここで見ていただけますように、例えば道路整備は四十年代は四七%程度であったものが現在、九年では二八%程度シェアがなっている。それから、住宅も四十年代は五・四四%であったのが九年度では一三%近くになっている。それから、特に着目していただきたいのは下水道、四十年代は二%程度だったものが現在一二%。それから、環境衛生も一%程度だったものが四%程度ということで、長いタイムスパンでとらえますと、それぞれ時代要請ニーズ等に応じてめり張りというかそういう形でシェアも変わってきているという姿を見てとれるのではないかと思います。  次に、さらに事業の最近の特徴的なことを申し上げますと、十ページでございますが、各事業において国民生活の質の向上あるいは経済構造改革といった点について、その大くくりの事業費の中でもそういうことに着目した事業別配分といったもので大きな特徴が見られると思います。  例えば、治水の中で三番目の市街地整備型高規格堤防整備、これはスーパー堤防と言われるものでございますが、伸び率で見ますと九年度は、全体の伸び率が一・三%でございますけれども、これが一三・三%伸びる。あるいは道路で言いますと高規格幹線道路整備、これが一三・七%、一般道路は抑えているという姿でございます。それから港湾につきましても、特定重要港湾等整備、これが大きく伸びておりますが、ほかは抑えているというような形が見られます。  また十一ページを見ていただきますと、農業農村整備の中、これは全体の伸びはゼロでございますが、農業集落排水あるいは担い生育成型圃場等、これらにつきまして大きな伸び確保しているという形でございますのでへそれぞれの事業の中でもやはり新しい時代ニーズに対応する部分重点を移すという形で予算をつくり上げているところでございます。  ただいま申し上げましたような点に着目して、十二ページにややビジュアルな形でその伸びの姿を図で掲げさせていただいているところでございます。  それから十三ページでございますが、これは事業別というよりも、それぞれの事業機能に着目して分類するというようなことの試算も行っているということで御紹介しておきたいと思います。  以上がこれまでの公共事業予算あるいは公共投資がどのような形で推移し、最近の特徴がどうであるかということを申し上げたところでございます。  そこで、ことし、御承知のようにさまざまな議論の中から財政構造改革推進ということが大変大事であるということで財政構造改革会議が行われ、六月には会議決定を受けて「財政構造改革推進について」という閣議決定を行ったところでございますが、そこに掲げられております公共投資についての考え方を御説明いたしたいと思います。  十四ページでございますが、まず全体の姿として御承知のように公共投資基本計画というものを持っていたわけでございますが、これの計画期間を三年間延長する、十年間から十三年間にするということで延長し、実質的に十年間の投資規模縮減して六百兆を四百七十兆程度にするということが書かれてございます。  これは上で書いておりますように、基本的な考え方としては、我が国の財政危機的状況等を踏まえて集中改革期間、今後三年間でございますが、その水準をおおむね景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の国民経済に見合った適正な水準にまで引き下げるという考え方もとにこのようなことが決められたわけでございます。  また一方で、基本計画そのものではなくて、各分野に持っております公共事業関係長期計画につきまして見直しを行うということが行われております。  まず住宅につきましては、住宅政策全体の見直しを図るということで掲げております。それから、九年度末に計画期間が終了します道路と急傾斜地の崩壊対策、ここにつきましては十年度に向けて適正な改定計画を策定する。今申し上げました以外の長期計画につきましては、十年間の計画である土地改良については四年、それ以外についてはそれぞれ二年延長し、計画内容見直しを行うということが決められております。計画関係がまずそういうふうにあります。  次に三番目に、これもいろいろ議論のございます建設コスト縮減につきましては、公共工事コスト縮減対策に関する行動指針というものが決められておりまして、これでは少なくとも三年間で一〇%以上の縮減を目指す、後ほどちょっと詳しく申し上げますが、それを踏まえてしっかりやっていくということが書かれております。  次に、配分あるいは国と地方関係について掲げられております。  まず地方につきましては、国と地方の適切な役割分担観点から、地方の判断にゆだねることによってよりそのニーズにこたえるような整備が進められるよう対象とか採択基準見直しを行う。それから、他方、国の助成につきましては、広域的な事業ナショナルミニマム確保といった観点等から、ナショナルプロジェクトに関連するものについて集中的に助成を行うという考え方が示されております。  次に、次のページでございますが、集中改革期間中の公共事業配分につきましては、経済構造改革関連社会資本、具体的には高規格幹線道路等ここに書かれているものでございますが、それらに物流対策物流効率化対策に資するものを中心として優先的、重点的に行う。  また、生活関連につきましても、引き続き立ちおくれている生活関連社会資本への重点化を図るという考え方が示されております。なお、地方経済への配慮を行って格差の是正といった観点にも留意する必要があるということも書かれております。  そこで、当面十年度予算においては、物流対策につきまして、事業間の連携プロジェクト性に着目して特別の措置を設け総合調整を図るということで、具体的には十年度予算で千五百億の物流特別枠が設けられたところでございます。  それから、五番に実施に当たっての留意点ということも書かれておりまして、例えば地域の振興・安全な地域づくりへの配慮あるいは情報通信高度化研究開発等々についての配慮の項目が掲げられております。  以上のような考え方もと、具体的な公共事業公共投資予算につきましては集中改革期間中においてその水準を引き下げていくということが決められておりまして、特に十年度については対前年度比七%マイナスの額を上回らないようにするということが書かれております。  以上が大体の財政構造改革会議で決められた内容でございます。  十六ページは、その前に出されました総理の五原則というものでございます。  なお、十七ページには、現在御審議いただいております財政構造改革推進に関する特別措置法案の中での公共投資の条文でございます。基本的には、先ほど申し上げました閣議決定を法律化すべきものを法律化しているというものでございます。説明は省略させていただきます。  十八ページ以降でございますが、これは先ほど申し上げました閣議決定に基づきまして公共投資基本計画改定を行うということで、六月十九日に閣議了解改定が行われております。具体的には、下線を引いている部分が今回の改定になったところでございます。  一つは、「基本的考え方」のところで、人口構成を考えると現在のうちに、経済構造財政構造改革を進め、経済の活力を維持しつつ進めるというふうなこと、基本的考え方、それから、年限が先ほど言いましたように十三年間になるということ。  それから、主要な施策の中で、基本的には前の計画と同じでございますが、十九ページ真ん中あたりに特に阪神・淡路大震災等の経験を踏まえた防災機能向上ということが掲げられております。  また、整備の主体につきましては、先ほど申し上げました地方と国との関係考え方を反映した改定が行われております。  それから二十ページでございますが、これは先ほど申し上げました配分考え方重点の置き方についての改定を行っております。  それから、二十一ページには社会資本整備運営に当たっての課題ということで、事業箇所重点化、あるいは先ほど言いましたコスト縮減の問題、それから費用対効果分析の活用、透明性確保といったようなことが改定で盛り込まれております。  以上が公共投資基本計画の中身でございます。  次に、二十三ページをお開きいただきますと、先ほど基本的に長期計画延長等を行うということを申し上げましたが、これは現状の十六本の計画をお示ししたものでございます。これを先ほど申し上げましたような基本的な考え方に基づきまして延長ないし見直しを行うということが決定されているところでございます。  以上がこれまで財政構造改革等議論され、見直しを行った姿について御説明したところでございます。  二十四ページ以降は、特に実施、執行に当たっての、いろいろ今までの御議論あるいは御指摘等も踏まえながら、各省が取り組んでいるものを幾つかピックアップして申し上げたいと思います。  とかく事業官庁別縦割りの弊害が多いということの御指摘もありました。そのために、その効率的、効果的な実施を行うという観点から、公共事業の大きな官庁でございます建設運輸、農水、この三省庁ができるだけ連携をとった形で事業を進めていくということで連絡会議を去年の八月に設置いたしております。ここにおきましては個別にテーマをピックアップいたしまして、例えば港湾と漁港との関係、あるいは汚水処理の二省にまたがった姿、あるいは港湾空港道路との関係といったことでこの三省庁連携を強化していくということを行っております。  例えば、事例といたしまして二十五ページに、類似事業間の調整例ということで道路農道につきまして、ここに問題点で掲げておりますように、農道においては道路事業整備している幹線道路と並行し大規模農道整備される等、二重投資の問題があるのではないか、あるいは農道につきましても相当数一般交通として利用する場合があり、安全対策あるいは管理維持の面で問題が生じている事例があるのではないかというようなことで、そういう問題意識もと、次のページを見ていただきますと、「道路農道に関する連絡調整会議」というところで、各都道府県ごと地域道路整備計画というものを策定して、いわゆる県ごと道路マップみたいなものでございますが、そういうものを決定し、それを公表して、それに基づいて効率的な連携を図ったものを行っていこうという形で進めているところでございます。  それから次に、二十七ページは、先ほどもありましたが、費用便益等の明確化ということで、これは建設省が行っているものでございますが、新規事業採択の際の重要な評価指標の一つとして、定量化できるものについては可能な限り費用効果分析実施するということで、例えば道路事業あるいは流域下水道事業等についてその手法を試行的に行って、さらにその充実を進めていく、他の事業についても九年度中にはそのような手法を開発していきたいということで、ここに書いてあるようなマニュアルのもと、試行的に進めているところでございます。  それから二十八ページは、コスト縮減の問題につきまして、ことしの四月四日に公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議ということで、先ほど御紹介いたしました行動指針というものを決めております。そのポイントを整理しましたのがこの紙でございますけれども、基本的には、二十八ページの一番下になりますが、計画から施工に至る四分野について数値目標をつくって、三年間で少なくとも一〇%以上の縮減を行うということを決めております。それで、十一年度末までにすべての施策を完了し、その縮減効果が得られるよう最大限の努力を行うということになっております。これに基づきまして各省において行動計画をつくって、着実にこの実現を図っていこうとしているところでございます。  以上、大変駆け足で申しわけございませんでしたが、社会資本整備状況、過去から現在までの推移現状、それから、特に財政構造改革会議議論され、今進めようとしている進め方、あるいは考え方配分、そういった問題、さらにその中で幾つか、特に実施についてのこれまでのいろんな問題意識を踏まえた取り組み状況についてお話しさせていただきました。
  10. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) ありがとうございました。  次に、自治省嶋津総務審議官
  11. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 自治省の嶋津でございます。よろしくお願いいたします。  お手元に「地方財政関係資料」をお配りしてございますので、それに基づきまして、地方財政一般的な問題点あるいは公共投資の進め方等についての御説明をさせていただきます。  まず一ページでございますが、地方財政の果たす役割ということで、地方財政白書から、歳出決算・最終支出ベース、最終支出ペースはお金の最終の出し方でございますので事務の配分と同じというふうにお考えいただいて結構だと思います。横軸に分野別、縦がその割合を示しているわけでございまして、トータルで申しますと、国と地方役割分担が、よく言われますように国が三五に対して地方が六五というような割合になっているわけでございます。  公共投資分野でございますと、国土保全及び国土開発あるいは災害復旧という分野でございますが、地方が七二に対して二八、国土保全。国土開発は七四に対して二六というような割合になっていて、全体に対してよりもやや地方の割合の方が公共投資分野においては高いということでございます。  二ページでございますが、地方財政のウエートの国際比較ということで示してございます。  ちょっと見にくい図でございますが、まず全体にいわゆる公的財政の比率、その中で国と地方を分けてございまして、その下にいわゆる公共投資一般経常支出の分野と分けております。  それで、まず日本特徴は、いわゆる公的支出において先ほど言いましたように地方の割合が非常に高い。GDPベースで一四・〇、国が三・五、こういう割合でございますが、それに対しまして、公共投資分野が、先ほど細川次長の説明でも国際的に非常に高い、その中でも地方のウエートが高いということで、GDPベースで六・七、国が一・三ということでございまして、下の方に諸外国の比率が示してございますけれども、アメリカドイツ、カナダというような連邦制の国家に匹敵する、あるいはそれよりも地方の方のウエートが高いという状況が読み取れると思います。  次の三ページが国と地方予算地方の方は三千二百三十二団体をグロスした予算というような性格の地方財政計画、国会に提出するものでございますが、それとのつながりを図で示してございます。国の予算地方財政計画が連動しているという姿を見ていただくための図でございます。  四ページはそういう形でつくっております地方財政計画平成年度の姿でございますが、まず第一番目に、国、地方ともに大幅な財源不足と高い公債依存度を示しておりまして、特に過去三年間、平成六年から八年までが減税先行期間でございまして、減税分の影響が毎年三兆円弱ございました。それ以外に、減税を除いた通常収支ベースにおきましても、平成年度三兆、平成年度四兆三千億、平成年度五兆七千億というように財源不足が拡大してまいりました。  平成年度におきましては、いわば減税先行期間が終わったわけでございますが、まだタイムラグがございまして、地方消費税等の増収効果の時期がおくれるということで一兆二千億穴があいて、その分赤字地方債を発行せざるを得ない状況になりました。それに対しまして、それ以外の通常収支ベースの財源不足も若干減りましたが四兆七千億に上っているということでございまして、地方財政状況におきまして、交付税特別会計の借入金とか大幅な地方債の増発等で対応せざるを得ない状況になって、地方債依存度も一三・九%、借り入れを含めた実質的な公債依存度は一四・九%ということで、大変高い状況になっているということでございます。  それから、ストックベースでも多額の借入金残高が残りまして、平成年度末では百四十七兆円ということで、対GDP比二八・五%というような大幅な借入金を抱えた財政になっているということでございます。  それから三番目は、個別の地方団体の財政事情も硬直化してまいりまして、公債費負担比率、我々は一五%以上が黄色信号で二〇%以上が赤信号と言っておりますけれども、赤信号の団体が一五%ぐらいになり、あるいは黄色信号の団体が三〇%ぐらいになっている、非常に硬直化してきている。  それから、Ⅳのところでは、今後も、過去に六、七、八、九と特別の地方債を含めた大量な地方債の増発をしておりますが、それの償還、地方債の償還が参りますので、そういうことでさらに公債費が財政を圧迫するだろうと。あるいは、地方団体が自主的かつ総合的に担っております事務に対する財政需要も増嵩いたしますし、あるいは現在御審議いただいております介護保険の導入を初めとする総合的な地域福祉の充実等、財政需要が非常にこれからも積み重なってくるということで、非常に厳しい状況になっているということでございます。  それから五ページでございますが、さらに平成年度地方財政対策数字的に見ております。  まず、歳出の全体といたしますと、歳出の伸びは二・一%、国の予算が三%の伸びでございますのに対しまして、より抑制した形にしております。特に、公債費を除いた一般歳出でございますが、七十四・五兆円ということで〇・九%の増、一%以内の伸びに抑えているわけでございまして、これも国の一般歳出の伸び一・五%を下回っているわけでございます。  ただ、そういう中で、投資的経費につきましては、そこにございますように、直轄・補助事業を補助としておりますが、十一兆円ということで、昨年度とほぼ同額、全体で正確に申しますと四十億円の増ということでございますが、これは国の予算の計上によりましてそういう形になっているということでございます。  それから、単独事業につきましては、前年度同額を見込んでおりまして、二十兆一千億という額で計上し、トータルでは投資的経費も消費税の分を含めまして横滑りという形で抑制をしております。  一般行政経費につきましても、補助関係経費は国の予算に合わせて伸ばしておりますが、これで四・二%に対して、単独事業系統の経費については一・五%の伸びに抑制しているわけでございます。  それから、歳入の方につきましては、先ほど申しましたように、財源不足が減税の未平年度化分を含めまして五・九兆円という形になりまして、それを交付税の借り入れによる補てんを二兆七千億行いまして、地方債の増発、通常ベース以上に財源対策債というのを発行いたしまして二兆円、それから地方消費税の補てんをするための赤字地方債を一兆二千億出すという状況でその財源不足を埋めて地方財政計画を組んだという状況でございます。  六ページでございますが、時系列で見てみますと、地方財政は、五十年代は財源不足の状況は国と同じでございました。昭和五十九年度地方財政対策見直しというのを行いまして、以降、交付税特会の借り入れをやめようということで、借り入れに依存しない財政ということをずっと平成年度までは続けてきたわけでございます。当初ベースで言いますと平成四年、五年も続いていたんですが、補正段階で国税、地方税収の減収に伴いまして借り入れを行いまして、そこで財源不足が生じました。集中的に生じておりますのは六年、七年、八年の減税先行期間中でございまして、そこにございますような巨額の財源不足が毎年拡大していった状況で、九年度に減税先行期間が終わってややそれを縮小したという状況でございます。  地方債依存度もその下に書いてございますような形で、特別会計の借入金も含めた地方債依存度の最高が平成年度の一八・三でございまして、平成年度はそれに対しまして一四・九ということで若干改善をしているということでございます。  七ページでございますが、ストックペースの地方財政の借入金残高でございます。  昭和五十九年に地方財政対策見直しをして以来、下の表にございますように、毎年度、税収の自然増等がございますと、それに伴って地方税あるいは交付税がふえますと、それを過去の借金の償還等、あるいは政府資金等で償還ができないものにつきましては財源対策債等償還基金の措置というような形で財政の健全化措置をいたしました。  六十一年以降平成年度までに国に交付税を特例減額してお貸しをするというような措置も含めて十四兆円ぐらいの財政健全化措置をいたしまして、平成年度時点ではほぼ交付税特会の借入金がゼロという状態になりました。ただ、四年、五年以降、バブルの崩壊等に伴いまして、さらに四年、五年は年度途中におきます交付税特別会計の借入金、六、七、八につきましては減税先行等、その他通常の財源不足を借り入れ等で賄いましたために巨額の借入金なり地方債残高の積み上げになり、現在、平成年度末で百四十七兆円になろうとしている状況GDP比の借入金残高も二八・五という形で史上最高の状況になっているということ貧非常に危機感を持っているわけでございます。  八ページが個別の地方団体の問題でございますが、地方財政は国の財政と全く違いまして三千二百三十二の集合体という性格でございます。その中には多数の零細で財政力の弱い団体を抱えているということでございます。一部の団体におきましては交付税の不交付団体等もございますが、大多数の団体が税収の依存度が非常に低い。ここにございますように地方税の歳入構成比が平均三三%でございまして、平均以下の団体が二千六百というふうな、八割弱が税収依存度が非常に低い、歳入における依存度が高い。これはグロスで、重みつき平均でございますので、富裕な団体は大きな団体ですから数が少ない団体で、税収で独自に財政運営をしている団体の数が非常に少ないという状況でございます。  それから、公債費負担比率は先ほどお話ししたような状況で、一五%以上の団体が半分近くになってきているということでございます。  九ページ地方財政一般歳出の分析でございますが、地方財政の性格から、地方財政一般歳出の七割を国の施策とか予算とのリンケージのもとに行われている公共事業投資的経費とか社会保障とか教育というような分野が占めているということでございまして、ちょっとわかりにくい表でございますが、歳出全体について六三%が公共事業、社会保障、教育というようないわゆる国の施策とのリンケージでやっているものであり、一般歳出ベースで言いますと、公債費を除きますと七割弱がそういうような経費に占められている。それ以外に義務的経費である公債費があるということでございますから、自由になるいわゆる財政支出というのはウエートが低いということでございます。  それから十ページ地方財政計画の歳出の分析をしますと、これも地方財政は八十七兆円という非常に大きな規模でございますが、その歳出の相当部分について何らかの形で国が関与している部分が多いという部分を斜線でつぶしてあるわけでございます。  例えば、給与関係経費につきましては、地方団体の職員が地方財政計画ベースで二百五十万人ぐらいおりますが、その給与費についても、いわば補助、これは義務教育職員の経費が七兆円弱を占める、あるいは地方単独ベース、補助金がないものにつきましても、警察官、消防、高校教員のように国が基準を示している職員の数が非常にたくさんある、それにかかる給与費のウエートが高いということ。  それから、一般行政経費につきましては、当然福祉とかあるいは医療とかそういう形で国が補助事業でやり、あるいはそれ以外にも国が基準を示しているような行政経費が相当のウエートを占めている。  投資的経費につきましては、直轄事業の負担金あるいは補助事業が三分の一ぐらいのウエートを占め、それから地方単独事業が最近、昭和六十年代以降相当そのウエートを高めておりますが、その中でも例えば地方道路の臨時交付金の事業とか各種の五カ年計画に関連するような事業ということで国の施策にリンクしている事業があるというようなことをこれで示してございます。  十一ページでございますが、「財政構造改革推進について」の地方財政部分のポイントだけ申し上げます。  「地方財政」の(1)のところにございますように、地方財政についても今のような非常に危機的な財政状況でございますので、地方財政の赤字の縮小というのは当然国、地方が足並みをそろえてやっていかなくちゃいけないということで、地方財政赤字につきましても、再建目標期間中に交付税特別会計借入金や財源対策債を圧縮することによりまして縮減し、国、地方合わせてGDP比三%以下を達成するんだと。  一ページちょっとめくっていただきますと、財政構造改革期間の図でございますが、これもよくごらんになられた資料だと思いますが、三%のウエートを一応計算してみますと、現在の赤字のウエートが五・四に対して、国が三・四、地方が二・二であると。このダブりが若干ございますのには、交付税特別会計借入金は国の借入金でありかつ地方の借入金というふうに整理をしているためでございます。それを十五年度までに地方の方は二・二を一・一にしようということでございますので、一・一をこの六年間で改善するためには〇・一八%程度改善するということでございます。  それから、また十一ページに戻りますと、(2)のところでは、地方財政の赤字を縮小するためには国、地方の歳出の抑制につながる施策というのが一番大事でございます。あるいは、地方単独の施策についてもそれを抑制していくということで、再建目標期間を通じた地方一般歳出の伸び率を国と同一の基調で名目成長率以下に抑えていこうと。  それから、「特に」のところでございますが、下から三行目のところで、投資的経費に係る単独事業については平成年度はマイナスにしようと。どの程度のマイナスの幅にするかは公共事業なり、そういうものとのバランスを考えていかなくちゃいけないと思いますが、マイナスにし、かつ「地方財政計画上の地方一般歳出を対九年度比マイナスとすることを目指す。」ということでございますが、「目指す」という、この時点ではそういう表現で書いてございますけれども、平成年度、我々の気持ちといたしますとマイナスとするという感じで当たっていこうと考えております。  そのためには(3)、(4)、(5)のところにございますように、それぞれの地方団体の歳出の抑制あるいは地方財政の健全化のための地方行革を推進していただく。それから、当然、先ほどの国の説明と同じように公共工事のコスト縮減とかあるいは箱物の建設の抑制、そういうものも進めていくと。それから(5)のところでは、地方行革を推進し、市町村の合併等についても、これを行政の効率化に結びつけるというような意味で集中改革期間中に実効ある方策を検討しようということで、現在、地方制度調査会等でも鋭意審議をしていただいているわけでございます。  十三ページは、これは地方交付税の性格の資料でございます。これはもう御説明するまでもないと思いますので説明は省略させていただきます。  交付税はいわば国の予算の上では歳出でございますが、地方団体にとりましては貴重な歳入でございます。そういう固有の財源としての歳入の位置づけがあるということを我々は大事なことだと考えております。  十四ページのところでは、どうしても地方財政調整をしなくちゃいけないという原因として税源の偏在というものがある。東京と最低の沖縄との間の税源では三倍の格差があるということでございまして、こういうものを調整するために地方財政調整制度の役割が非常に大きいということでございます。  それから、十五、十六ページは、分権推進委員会の第二次勧告で補助金あるいは税財源について指摘がされておりますが、これにつきましても後ほどお読みいただければ結構ではないかと思います。  以上で自治省としての説明を終わります。ありがとうございました。
  12. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で大蔵省及び自治省からの説明聴取は終わりました。  これより自由質疑に入ります。  質疑時間は七十分程度とさせていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。また、質疑はただいまの説明内容に関連のあるものとし、簡潔にお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 大蔵省並びに自治省に質問したいと思いますが、先ほどの説明で、国の財政地方財政が税収に占める依存度というものは非常に少なくなった、公債依存度が中央も地方も非常に大きいということなのでありますが、それぞれ国並びに地方の税収に占める財政の依存度について何%か、大ざっぱでよろしゅうございますが説明していただきたい。  それから、今の説明にありましたように、収入は大体国が二倍、地方が一倍ということで、三分の一対三分の二というような格好になるわけでありますが、支出の関係等については、国と地方公共事業並びにいろんなプロジェクト等についての重点化が図られたにしても、これは地方の方が倍、中央の方が二分の一というような、結果として逆転をする数字が示されておりますが、地方のこれから分権計画地方時代というものを目前に控えまして、その現状はどう変わっていくのか、またどういうような配慮が必要なのかという点について御説明願いたいと思います。
  14. 細川興一

    政府委員細川興一君) 国の歳入の構成について申し上げますと、ことしの予算規模は、歳入歳出もちろん同じですが、約七十七兆四千億でございまして、そのうち公債金収入が十六兆七千でございます。したがいまして、依存度、いわゆる公債依存度は二一・六%という状況です。  ちなみに、そのうち建設国債は約九兆二千、特例公債、赤字国債が七兆四千七百。建設国債は正確に言いますと九兆二千三百七十。それぞれ建設国債の依存度が一一・九、赤字国債の依存度が九・七ということになっております。
  15. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 地方の方でございますが、資料の四ページのところにございますが、現在、平成年度地方財政対策地方債依存度は一三・九%でございまして、それに実は交付税特別会計で借り入れているものも実質的には赤字地方債のようなものでございますので、それを足しますと一四・九%ということになります。  それから、分権が進むと一ページにあるような例えば国と地方の最終支出割合とかそういうようなものがどういうふうに変わるのかということにつきましては、例えば機関委任事務を廃止するというのが分権委員会の答申の一つの骨格でございますが、機関委任事務が廃止されて法定受託事務なり自治事務に変わりましても、これは事務のやり方の内容が変わるわけでございますので、直ちに国と地方との仕事の分担割合の変更には結びつきません。したがって、この白と斜線部のところには影響はしないだろうと。  ただ、分権委員会でもあるいは財政構造改革でも、補助金を縮減していくんだ、計画的に整理をしていくんだ、制度的補助金その他の補助金につきましてもやっていくんだということになります。そうしますと、その補助金を整理し、それを地方一般財源化する、あるいはその部分を純粋の地方団体の仕事にする、あるいはやめるということをやりますと、この斜線の部分と白の部分は、徐々に補助金をやめてそれを地方の仕事にした分だけ少しずつ斜線の部分がふえていくんだろうというふうに考えております。
  16. 木暮山人

    木暮山人君 公共事業について、国民側のコスト意識の高まりや硬直的な事業配分に対する不信などを背景に、そのあり方にさまざまな批判がなされてきております。御承知のとおりです。これまでの公共事業投資コストや費用対効果に十分な配慮が払われてこなかった面があることは否めないことであります。  現在、財政構造改革が国会において論議されているわけでありますが、厳しい歳出削減の中で、公共事業の優先順位を決めて効果的、効率的に実施する方針はもっともであります。その際、事業間の優先度を決める客観的な指標として具体的に何をお考えなのですか。  今いろいろな御説明を聞きますと、説明の中では、いわゆる予定を引き延ばす、そしてやりやすいようにするけれども、これはもうこの先どれぐらい延びるか、この保証もないのが現状じゃないかと思いますけれども、その点、自治省と大蔵省の御意見等をお伺いしたいと思います。
  17. 細川興一

    政府委員細川興一君) 今御指摘ありました配分のあり方あるいはコストの問題それから費用対効果の問題についてさまざまな御批判もありまして、そのことは重く受けとめなけりゃならないと考えております。  そういう問題意識もございまして、先ほど申し上げましたように、配分につきましては、構造改革会議でも重点的な配分として、方向としては経済構造改革に資する、この集中改革期間中においては特に物流に着目する、あるいは生活関連でも立ちおくれているものについて、先ほど国際比較しながら申し上げましたが、そういうものについて重点を行っていくという指針が示されておるところでございます。  また、コストにつきましても、これも大変な議論をいたしまして、先ほどありました関係閣僚会議で数値目標をつくってやっていこうという取り組みを行っているところでございます。  なお、費用対効果のところにつきましては、まだまだなかなか数量化、計量化するところが難しいわけでございますが、建設省が中心になりまして、それについて積極的に取り組もうということで取り組みを始めているところでございます。  期間を延ばした云々というようなところでございますが、これは全体の公共事業あるいは公共投資の量をどういうふうにして実質的に縮減するかということで十年間を十三年間にし、先ほど申し上げましたように、近年大変高い水準で、フローのベースですが、整備を行ってきているところを累次の景気対策を行う以前の段階のところまで抑えて考えていこうというような方針、考え方もと水準決定したところでございます。
  18. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 地方財政の問題でございますが、受けとめ方でございますが、公共投資の進め方については、私どもは、国と地方役割分担、先ほど細川次長の説明の中にもございましたけれども、身の回りのものあるいは住民に身近な社会資本整備については地方団体主体でやると。たしかこの前の予算配分の中にも、骨格的な道路とか特定重要港湾整備あたりにウエートを国が置く、それ以外の身の回りの分野については国の方が少なくするわけでございますから、そうすると、その整備を進めるためには地方団体が地方単独事業でそれをカバーしていく、そういう大きな方向は、一つ一つ公共投資のやり方の、毎年毎年徐々ではございますけれども、そういう変化は一つはあるんだろうと。  それからもう一つは、地方単独事業の中におきましても、それぞれ地方団体は議会に予算を出し、審議をして、それぞれの住民の意見を聞いた形で公共投資を進めていくわけでございますから、その中でおのずとそれぞれの分野の優先度の調整がなされていくんだろうと。  我々は、国としますと、それ全体の枠組み、これを進めなさい、これを抑制しなさいという言い方ではなくて、抽象的には社会資本の基盤整備ができるような財源を地方財政計画を通じて、あるいは地方交付税の算定を通じて、あるいは地方債の配分等を通じて計画的に確保していくということを国がやるべきであって、全体にそれによって公共投資がどういうふうに変わっていくかについては私ども決算を通じて分析をしておりますけれども、ここ十年間の動き等を見ましても、例えば農業関係投資からいわゆる都市計画とかあるいは公園とかそういうようなものの整備、あるいは教育施設、文化施設等の整備等に相当ウエートがシフトしていることが決算、統計等を見ても分析できます。
  19. 小山峰男

    小山峰男君 今のとも関連しますが、財政構造改革で国庫補助負担金の整理合理化だとかあるいは国と地方役割分担を見直すというようなことによって地方単独事業なりがふえてくる。そこまでは方向としてはいいわけですが、ただ、補助金を減らすだとかそういう形の中で一体地方財政はどうなるのかなと。その辺の補てんが少なくとも確保されない限り、ただ国が財政再建ができても地方の施設整備等がかなりおくれていくみたいな話になってしまうというふうに思っておるわけです。  先ほど自治省の方から斜線の部分がふえるというお話があったんですが、これふえるのはいいんですが、その補てん対策を一体どういうふうに考えるのかということをお聞きしたいと思います。
  20. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 非常に重要な問題だと思います。  公共投資議論を絞りましても、今の国の財政の抑制ということで補助事業を少なくする、そうすると、じゃその分を地方団体が仕事を行う場合に、従来どおりの財源であってみれば、それは多少地方財政なり地方単独事業のウエートはふえても地方団体の仕事が進むということにはならないんではないかということはそのとおりだと思います。  したがって、補助金の整理合理化に伴って、その補助金の整理合理化した分の仕事を地方団体が従来どおり進めなくちゃいけない分野については、それに必要な地方一般財源を地方税あるいは交付税の形で確保しないとそれは事業抑制効果が出てきてしまうわけでございます。  昭和六十年代から平成五年ぐらいまでの間、非常に国、地方財政がそれなりに、特に地方財政状況が順調であったときは、地方単独事業を思い切って伸ばすことによって地方団体の単独投資が順調に伸びてまいりました。平成六年以降、地方の税収が国と同様落ち込んでまいりましたし、そういう地方財政の財源不足も減税先行等も含めて出てきたということで、地方団体の単独事業について抑制傾向がやはり見られます。  これも全体として財政構造改革の中で公共投資を抑制していくことが、ある意味で言いますと地方団体、地方財政が先取りされているような形で行われているんだと私ども見ておりますけれども、そういう財政の抑制の枠の中で、しかし必要な社会資本整備は進めていかなくちゃいけないから、その必要な社会資本整備を進める地方財政の単独事業を進める枠組みというものが、それなりにそれを地方財政の上で確保して、地方団体にそういうことを示して事業を着実にやっていただかなくちゃいけない、重点化計画化して進めていかなくちゃいけない部分についての財源確保措置は今後とも必要だというふうに考えております。
  21. 及川順郎

    及川順郎君 先ほど御説明の中で、建設国債と赤字国債とそれぞれ今分けて行われておりますけれども、もう借換債が行われている今日ですからこれを分ける必要はないんじゃないかという思いもあるわけで、現にそうした指摘もあるわけですが、この財政出動の中における国債の位置づけといいますか、これを明確にして、分けないで取り扱う時期に来ているんじゃないか、こういう思いがありますが、これを阻害している何か理由があればそれを承りたいということが一つです。  それからもう一つは、ここでもありますように、公共事業といえば治山治水から始まりまして森林保全、都市幹線鉄道に至るまで、どちらかといいますと農業、土木、建築関係に絞られた感じがするわけですね。一般的に言いますと、教育、科学、福祉、医療分野においても公共事業として扱うべき内容のものがあるんじゃないかという今日の状況の中で、こうした公共事業そのものに対する将来的な見直しというような考え方が、今の財政当局にそういう議論があるかないか、あるとすればどういう展開で考えておられるのか承りたいと思うんです。
  22. 細川興一

    政府委員細川興一君) まず第一点でございますが、基本的には財政法上、建設国債はただし書きではございますが認められております。まさに釈迦に説法になってしまいますけれども、基本的には将来に資産が残るものについては国債を発行することをやむを得ず認めているという姿でございます。それは、確かに償還期限のこと、今赤字国債延ばしておりますので性格的にはまさに借金であることには変わりない、建設国債といえども借金であることには変わりはないわけですが、そういう資産の見合いで出しているというところはやはり性格として違っているんではないかと思います。  それから、これは財政運営から見てまいりますと、建設国債はある意味では建設資産に見合うものそのものに対する歯どめ、それ以上は発行できないということになりますので、そういう意味での歯どめは持っている。しかしながら、赤字国債は全くの歯どめを持っていないという面で、財政規律の面から見てもやはり性格が違うのではないかというふうに考えております。  それから、第二点目でございますが、私が御説明いたしました公共事業関係という範疇で御説明しておりますので、公共投資全体ということになりますと、今御指摘がありましたような教育とか科学技術とかそういう施設整備の系統もございます。  それで、これにつきましては、公共事業の範囲については、例えば六年度かなり問題意識を持って見直しまして、自然公園とかあるいは都市鉄道といったものは公共事業の中に入れるということを見直しで行っています。  ただ、科学技術あるいは教育、そういう関連につきましては、科学技術の政策の中でどうするかという政策の目的の親和性といいますか、そっちの方の観点からかなり考え的切り口として持っておかなければならないということで、私どもの主要経費別分類では科学技術振興費とかあるいは文教の方とかそういう方で整理いたしておりますが、公共投資全体あるいは景気に対してどう考えるか、経済運営をどう考えるかというときにはそこまでも含めた形で議論していかなければならないという問題意識は持っております。
  23. 及川順郎

    及川順郎君 再質問で済みません。  性格の違いを言われましたが、それは承知しているわけでして、しかしこれはもう国債であることは間違いないわけですから、そういうことも含めて検討の時期に来ているんじゃないかというのが問題意識なんですよ。そういう問題意識はもうはなから持っていないのか持っているのかということだけ確認しておきたいんですがね。
  24. 細川興一

    政府委員細川興一君) 逆のお答えになるかもしれませんが、先ほど申し上げました性格の違いと歯どめとは厳然としてあると思います。  ただ、むしろ建設国債だからどんどん出していいんだというような問題意識については、これはまさに建設国債といえども借金で、将来の世代に償還、元利等に負担が送られるわけですから、そこの点は建設国債だからといってどんどん出していいというものではないという問題意識として強く持っております。
  25. 有働正治

    有働正治君 地方財政の危機の問題で、まず事実確認の上に立って御質問したいと思いますけれども、百八兆円と言われる地方債と公共事業との関係を見たいのであります。  私、地方債残高がなぜ八九年度と九五年度ふえたかの原因をちょっと見てみたんですけれども、一つは、一般公共事業債と一般単独事業債の地方債残高に占める比率を見ますと、八九年度末が三四・〇%で、それが五〇・〇%に急増しているわけであります。それから、この期間、地方債残高の増加額が四十兆五千六百六十三億ですけれども、この中で一般公共事業債と一般単独事業債の増加額が二十八兆六千三百九十二億と、全体の七〇・六%になっているようであります。  一方、厚生福祉事業債の比率は、この期間三・一から二・六%と下落しているようでありますけれども、この事実関係を自治省に確認だけした上で一、二ちょっと御質問したいわけであります。
  26. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) そのとおりでございます。それは、八九年というのは平成元年、九五年は平成七年でございますが、平成元年というのは先ほどの六ページの表によりましても財源不足がほとんどない時代、時期でございまして、平成八年は財源不足が最高の時代でございます。  その財源不足をどういうふうに補てんしましたかにつきましては、先ほどの五ページの表のところで地方債の増発と交付税特別会計の借入金で補てんしていると申し上げました。その地方債の増発のうち、財源対策債、ことして言いますと二兆円、と申しますのは、これは最高で三兆円ぐらい出しておりますけれども、財源対策債は建設地方債で出しております。建設地方債をどこにはめるかといいますと、財源不足のない時代であるならば、公共事業地方負担額は大部分一般財源、税、交付税で賄うというのを私ども原則としておりました。  したがいまして、例えば例で挙げますと……
  27. 有働正治

    有働正治君 事実関係で結構ですから、後で聞きますから。
  28. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) したがいまして、地方債は、財源対策債は公共事業地方負担額を中心に、従来、一般財源で措置していた、交付税の基準財政需要額の中で措置していた分に集中的に地方債を入れていますので、今おっしゃいましたように、それは一般公共事業あるいはその他の下水道事業とか、下水道事業は大部分入っていますけれども、そういうような公共事業地方負担額に入っているために、今、有働先生がおっしゃったような状況になっております。
  29. 有働正治

    有働正治君 だから、事実関係からいいますと、公共事業が異常にふえた、これがやっぱり地方財政破綻の原因だと私は言えるわけだと思うのでありますが、その関係で、九二年八月二十八日の総合経済対策以降六回の対策の中で地方単独事業が次々に追加されていっている、合計で土地先行取得を含めますと十兆円近くになるわけであります。これが自治体に事実上押しつけられていった。もちろんまた補正予算も組まれていったわけであります。これが膨大な地方債増大の主要な要因になっているということになるわけで、この点でやっぱり大蔵省と自治省の責任も大きいと私は考えるわけでありますけれども、これについて両省はどう考えられるかが第一点。  その上に立ってどう反省なり教訓なりを受けとめて、どう改善されるのか。その中で私は、六百三十兆円の公共投資長期計画全体、ただ三年延長とかいうのでなくてそれ自体、あるいはその中で地方単独事業も二倍近くに、五カ年計画なり七年計画の中での地方単独事業として示されている金額を合計しますと二倍近くに前期長期計画に比べて膨れているわけでありまして、私は、この六百三十兆円の計画そのものの内容上を見直し地方単独事業それ自身も根本的に見直すということを抜きに地方財政破綻、今後の対応ができないんではないか。そして、その中で福祉や教育や暮らしにかかわる事業の比重、例えば厚生福祉事業債の比率というのはウエート自身も低くなっているわけですから、こういう事業こそふやすべきだと思うわけでありますが、それぞれの省庁の御見解をお尋ねしたい。  以上です。
  30. 細川興一

    政府委員細川興一君) 過去の六次にわたる経済対策につきましては、その時々において何とか経済状況を打開しようとしてとってきた対策であると思っております。  その中で、自治省ともよく御協議しながら、国ではどういう事業がどこまでできるかということ、どれだけ必要であるかということを議論し、地方の単独事業でどれぐらいできるかということを詰めながらその対策を打ってきたというふうに考えております。
  31. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 自治省としましても、景気対策平成四年以降の累次の景気対策によりまして公共事業の追加の地方負担額も地方債で措置をいたしましたし、それからあわせて、公共事業だけふやしたんでは先ほどの公共投資基本計画に書いてございますように公共施設整備のバランスがおかしくなってしまう、身の回りの社会資本整備も同時にやらなくちゃいけないということでございますので、そういう地方団体の意向も踏まえて単独事業もあわせて追加をしてくださいという要請をいたしました。  その財源は、年度途中でございますので一〇〇%、いわゆる景気対策のための追加の地方単独事業でございますので財源がございませんから、一〇〇%地方債で措置をいたしました。  したがいまして、それの元利償還が今参っているわけでございますから、その元利償還について先ほど示しましたような形で地方財政計画の中の公債費としてこれを計上し、その財源を全体として確保するという手段で景気対策をやったものについての措置をしているわけでございます。  単独事業の量をふやすことは、一つ景気対策ということもございますが、地方団体は景気対策ということと、もう一つ身近な社会資本整備がおくれているからそれを進めなくちゃいけないと、そういう地方団体の意向と両方が相まって効果的な景気対策がなされて、かつその効果も生じたものだというふうに考えております。
  32. 高野博師

    高野博師君 この調査会資料がきのう届いて、まだ目を通していないうちに先ほどの御説明をいただいたんですが、要領がよ過ぎてよくわかりません、正直なところ。幾つか基本的なことをちょっとお伺いしたいと思うんです。  公共事業については、景気対策という観点からすると、もう経済学的に常識として、高度成長期にあったときは公共事業というのは非常に効果がある、しかし安定成熟期に入ったときは景気の浮揚は個人消費に頼るしかないと、そういうことが言われているわけですが、そういう認識は当然大蔵省あるいは財政当局はあると思うんですが、その点について確認したいということ。  もう一つは、「社会資本整備現状国際比較等」というこの一ページ資料の中で、日本公的部門固定資本形成の比率がほかの先進国に比べて圧倒的に高い、倍以上。これは構造的に、後進国というのは政府とか国主導でやっていくところがあって、日本の体質というか構造というのは先進国ではないなという印象を私は持っているんですが、こういう体質が経済社会の硬直化というか、あるいは形式化している一つの原因ではないかと思うんですが、その点についてひとつお伺いしたいと思います。  それから、自治省に、予算の編成とか配分の中で、地方分権を推進するという観点からいいますと、どこを見ればそういう観点から予算の編成をしているのがわかるのか教えていただきたいと思います。  以上です。
  33. 細川興一

    政府委員細川興一君) まず第一点目でございますが、これは財政構造改革会議でももちろんでございますが、その前にこのような財政の危機的状況に陥った中で大蔵大臣の諮問機関の財政制度審議会で二年間にわたっていろいろ議論されました。  その中で、諸外国の経済政策あるいは財政政策についても相当出張しながら、調査しながら議論が行われたわけでございますが、先生御指摘がありましたように、諸外国においては、大幅な財政出動によって景気対策あるいは景気調整を行っていくということではなくて、むしろ財政を抑制して、それが中長期的に見れば経済社会の活力を生み出すという考え方もと、現在日本は先進国中最悪の財政状況になっているわけですが、相当早手回しというか前から特にアメリカにおいても相当な勢い財政改革が行われているという状況でございますので、そういう問題意識を持ちながらこの財政構造改革も進められているというふうに考えております。  それから第二点目でございますが、確かにそういう諸外国に比べますとフローのベースで見ますと二倍ないしあるいは三倍のところまで毎年の公的資本形成が行われている図をお示ししましたが、それについての問題意識もありまして公共投資を抑制していこうという考え方でございます。  他方、ストックベースで見ていただきましたように、例えば下水道であれば、先生よく御存じのように、ヨーロッパなんかは、かつて何年代だか忘れましたが、チフスがはやったときから問題意識を持って下水道をやっていくというようなところから始まっている。それが日本の場合は、戦後、問題意識を持って進めてきているという状況でございますので、ストックベースで見ますとなおやはり社会資本整備というものは必要であろうと。そういうことで公共投資基本計画をつくって整備水準を掲げて計画的に行っていこうということでございますので、水準は落とさなければならないと思いますが、なおやはり社会資本整備というものは大事ではないかというふうに考えております。
  34. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 今の高野先生の地方分権の進む度合いをどういうふうに地方財政計画なり地方予算の中で見ていくかということでございますが、歳入面で言いますとやはり税収だと思います。  この資料の十六ページのところに分権委員会の第二次勧告を示してございますが、その中の「地方税の充実確保」の中で、先ほど御説明しましたように国と地方の歳出の分担割合が二対一、地方の方が二で多い。しかし、税収の配分は国が二に対して地方が一である。したがって、そういう地方の歳出規模と税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ地方税の充実確保を図るべきだという中長期的な意味での答申、報告をいただいております。したがって、国と地方の税配分のあり方についても検討しながら地方税の充実確保を図っていく。  先ほど小山委員の御質問にございましたけれども、そういう補助金を整理合理化したら、そうするとこの補助金を整理合理化した分で仕事をしなくちゃいけない分については地方一般財源を確保しなくちゃいけない。その一般財源を極力地方税収で確保していく必要があると思うんです。それが自然増収で賄えるような程度のものであればいいわけですが、そういうものではない場合には地方税源の充実強化を考えていかなくちゃいけない。歳入面ではそういうことだと思います。  したがって、交付税依存度とかあるいは交付税の額なりそういうものは、いたずらに地方財政調整制度上額が大きくなったりそういうことは望ましいことではないというふうに思っております。必要に応じて交付税の総額を確保するわけでございます。  それから、歳出面で言いますと、先ほどの資料の十ページのところで地方財政計画の歳出の分析というものをやっておりますけれども、地方団体の歳出の中には国の規制なりあるいは法令の基準、そういうものによって確保しなくちゃいけない歳出以外にそれぞれの団体の独自の経費がございます。人件費についてもあるいは一般行政経費についても投資的経費についてもそうでございますが、そういうようなものを確実に地方財政計画確保していかなくちゃいけない。これも先ほど言いました歳入の確保ということとも結びついているわけでございます。  したがいまして、そういう意味で歳出上はそういう地方団体の単独、それぞれの行政需要についてそれを適切に評価して、税を中心に一般財源でその歳入を確保していくということではなかろうかと思います。
  35. 有働正治

    有働正治君 先ほどの私の質問の中で、最後の問題ちょっと御答弁いただけなかった気がいたします。  つまり、六百三十兆円の公共投資全体、地方単独事業そのものをやっぱり見直していかないと、今後、この期間のそういうものがふえてきたことが借金財政につながっていったということからいっても言えるんではないか。  あえて私は言いますと、日本公共事業と国際的な比較をやりますと、国と自治体の公費負担分を調べてみますと、大体公共事業が約五十兆円だと思うわけです。社会保障に対する公費負担分が約二十兆円、つまり公共事業のウエートが社会保障に対する公費負担分の二・五倍。  公的固定資本形成という形で国際比較をやりますと、公共事業費のGDP比をとりますと、日本の場合は欧米に比べて二倍、三倍と高いし、逆に社会保障の公費支出のGDP比は低いという状況があると承知しているわけであります。ですから、二十一世紀の社会に向かっていくには、この公共事業の異常な姿に対してしかるべきメスを入れていくということ抜きには国民生活本位の日本経済日本社会の発展は図れない。そういう点からいいましても、六百三十兆円なりの計画自体の根本的な見直し地方単独事業もそれに応じて見直す。地方単独事業の場合も、例えば九五年度決算で見ますと、道路、橋梁等の土木費が五二%ぐらいの比率で、民生費あたりは四・四%と非常に低いわけであります。    〔会長退席、理事尾辻秀久君着席〕  ここにもこういう形で示されているわけでありますから、この問題にメスを入れること抜きに二十一世紀への新しい国民本位の経済、社会発展はあり得ないという問題意識があるわけで、それについて本気で日本政府としては考えるべきではないか、そういう立場からお尋ねしたのでありますが、答えがちょっと得られなかったので、恐縮でございますけれども。
  36. 細川興一

    政府委員細川興一君) 公共投資基本計画見直しにつきましては、先ほど簡単に御説明いたしましたけれども、基本的には公共投資基本計画は、例えば十八ページを見ていただきますと、それぞれの事業に、社会資本それぞれにつきましてどの水準まで整備を行っていくかというその整備目標に基づいておおむねの金額を決定しているわけでございます。  したがいまして、先ほどフローでは確かに高い水準で、勢いでやってきておりますが、ストックベースでどこまでどういうふうに整備していくかということを検討した結果、基本計画というものができているわけでございまして、その整備水準を到達するペースをダウンさせるという考え方で今回の改定を行っております。  なお、非常に特徴的でございますが、先生御承知のように、先ほども申し上げましたが、もともとこの基本計画につきましては、八〇年代、生活環境あるいは福祉、文化機能、これは二十二ページのところの「注」でどういうものが含まれているかということを書いておりますが、全体の割合が五〇%前半であったものを今度の期間で六〇%台前半にまでこちらのウエートを高めていくということで、生活関連等について重点を移していこうという考え方で、その整備水準をできるだけ引き上げていこうという考え方でつくられているものでございまして、今回の改定については整備水準そのものは三年はおくれるものの維持していかなければならないという考え方改定したところでございます。
  37. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 有働先生の今のお話は、地方単独事業といわゆる福祉関係の経費との対立といいますか区分したようなお考えでございますが、地方単独事業の中には、当然のことでございますけれども、土木費的な単独事業も額としては多いわけでございますが、民生費、衛生費、清掃費というような単独事業も当然含まれているわけでございます。  それぞれの団体の御判断におきまして、特に現在ゴールドプランに基づいていろいろな老人福祉施設の充実等を図っているわけでございますから、そういう単独事業のいわば需要に充てる経費というのも相当額ふえておりまして、そういうのもひっくるめて地方単独事業伸びてきたというふうに言えるものだと思います。    〔理事尾辻秀久君退席、会長着席〕  したがいまして、財政構造的なことを申し上げますと、特に六百三十兆円の中でも身近な社会資本整備それから基盤整備地方団体が分担して進めていくんだということでございますから、そういう身近な生活環境、公園なりあるいは下水道なり、道路もそうだと思いますけれども、あるいは民生とか衛生施設、そういうようなものの充実を地方団体が単独事業を主体にやっていく、そういうようなものを重点的にすべきだと。  それから、財政構造改革会議で御指摘を別に受けておりますのは、そういう箱物整備というふうなものについては比較的それを抑制ぎみにすべきじゃないかというような御指摘も受けておりますので、地方団体に対しましてはそういう趣旨もよくお伝えをしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  38. 及川順郎

    及川順郎君 関連をお願いします。  今の公共事業費等、普通建設事業費、それに対して社会保障関係とか教育費というのが数字的にも非常に少ない。六百三十兆円をただペイするだけじゃなくて、その中身を、編成そのものの組み方を見直していかないと、これからの超高齢化社会を迎える中にあって豊かな国民生活の実現は難しいんじゃないか。やはりそこに質問の趣旨が私はあると思うんです。  私は先ほど、道路港湾等、この書類一つ見ましても、そちらの方は出ているけれども、教育、科学、社会保障、医療等、つまり社会保障関係費とか教育関係費の方はこれは明確に公共事業の中で出てくるという、そういう書類一つつくるのを見ても非常に偏っているということを指摘したいわけです。  ですから、その偏ったところを直していかないとこれからの社会構造に合った、国民生活を豊かにするための財政出動にはならぬのではないか、こういう問題意識を私も強く持っているんですが、この点について再度答弁をお願いできますでしょうか。
  39. 細川興一

    政府委員細川興一君) 先ほども申し上げましたが、教育とか科学技術とかそういうところにも公共投資の、今申し上げました生活、福祉、文化機能の中にも厚生福祉あるいは学校教育、学術研究、それから社会教育、スポーツ、文化施設というものが含まれて議論されておるということを御紹介いたしましたが、先ほど申し上げようとしましたのは、社会福祉施設を進めるというのは、公共投資という切り口もございますが、社会保障あるいは社会福祉をどう進めていくかという観点からも論じられる必要がある、むしろそちらの方の議論観点に立った分類をしておいた方がいいのではないかということで今の主要経費別の分類をつくっているわけでございますが、公共投資、あるいは先ほど申し上げましたように公共投資基本計画、あるいは景気対策を行うときなんかは一緒の形で経済効果を考えながら議論しているということでございます。  ですから、先生おっしゃいました問題意識そのものは我々も強く持っているということでお考えいただきたいと思います。
  40. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) いわゆる地方財政の中で地方単独事業の財源を確保するという私どもは、その単独事業は全体に地方財政計画では一つで算定をしております。その地方団体のいろいろな分野の単独事業、これは国の五カ年計画に関連するような部分もございますが、それ以外にそれぞれ独自に行う事業を総括的に財源を確保しているわけでございますから、その中でそれぞれの団体がそれぞれの団体の政策目的、あるいは議会と御相談していただいた住民の意思等を反映した単独事業をこれからも構成していくべきだろう。そういうことがやりやすいように、我々としますと、そういう単独事業の財源なりその事業費の枠を地方財政計画を通じて確保していくべきだろうと、こういうふうに思っております。  その地方単独事業の割合がどういうふうに進んでいくのかは、まさに私どもはこれを、この分野をこういうふうに伸ばしなさいということよりもへ私どもはそれはそれぞれの団体の実績として決算等で分析していますけれども、先ほど申しましたように、いわば健康福祉センターをつくるとかそういうような財政需要も大変今ふえてきておりますし、あるいは社会教育施設、生涯学習のための施設、そういうようなものも十年前と比べますと相当ウエートが高くなっております。そういうような地方団体のそれぞれの政策決定というのを、それを許容するような地方財政措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  41. 及川順郎

    及川順郎君 私の質問に大蔵の答えも、私の質問は簡単なんですよ。要するに、六百三十兆円そのものも見直せと言われている時代でしょう。そういう状況の中で、当然そのものを見直せということは、中身も、先ほど来指摘しておりますように、中身についても今の時代に合っていない状況が生まれているんじゃないか、だからその中身について見直す視点を持ってそして取り組んでいるのかどうなのかということを例えればいいわけですよ。
  42. 細川興一

    政府委員細川興一君) 大きな方向としましては、公共投資基本計画をつくったときに、先ほどお示ししましたように重点を移しかえるというふうな形で行ったところでございますので、その大きな考え方もとで生活環境、福祉、文化機能を発揮するような公共投資に力を入れていくという考え方で進めていきたいと考えております。
  43. 和田洋子

    和田洋子君 今の及川先生の御質問とちょっと、でも私は同じだと思っているんですけれども、中身の見直しとか、そういう公共事業に対するいろんな言い方がされておりますが、私は地方の福島県の議員ですが、例えば国道舗装率九八・五、それで全体では七三・五。例えば福島県なんかをとりますと、国県道の整備率は五〇%いかないんじゃないかというふうに思います。冬になったら救急車も通れない道路とかそういうのがたくさんあります。そういうことを一律に公共事業をカットするというふうに言われたのでは、地方の人たちがどういうふうにして生きていこうかなという思いがします。  例えば、東京に電気を送る原子力発電所は福島県にたくさんあります。原子力発電所を福島県に送っている東京電力の一キロワットと私たちが使っている東北電力の一キロワットでは、東京の方が安いのに私たち東京に供給している福島県の電力は高い。一つ一つとってみても、米の値段は上がらない。そういう中で、全部一律公共事業をカットするよ、福島県もそうだよと言われれば、福島県の人たちはもう本当にがっかりしています。そういうことをどういうふうにお考えですかということ。  もう一つ、今財政見直しというふうに言われ、景気の対策も一緒にやらなければいけない。これ両方一緒にできるわけはないというふうに思います。財政をよくするには景気をよくしないとだめなんです。それを財政全部シーリングでカットするなんて言ったら景気がよくなるはずないんですよね。こんなに低金利の時代住宅を建てる人がいない。例えば財政の面はちょっと一時ストップしても景気対策の方にだけ重きを入れるというふうな、国民が少し歓喜するような何か計画というものはお考えではないんでしょうか。  二〇〇八年くらいになると、もう公共事業なんか全然できないで福祉に全部使わなければいけない時代が来るかもしれません。そんなときのために今公共事業をいっぱいしておいて、もうそのころはそんなものには使わなくていいよというような時代にするとか、何か大きなビジョンというかそういうものを、地方にも力をつけるようなすばらしい考えをぜひお願いします。
  44. 細川興一

    政府委員細川興一君) 地方経済に対する影響の問題につきましては、構造改革会議閣議決定におきましても、先ほどちょっと御紹介いたしましたが、「地域経済への配慮を行うとともに国土の均衡ある発展と整備水準についての地域間の格差の是正という観点にも留意する。」ということが掲げられておりますので、全体として抑制する中でこのような配慮も行いながら事業を採択していくということではないかと思っております。  それから、財政景気対策との関係でございますが、この点につきましては、先ほどもお答えいたしましたけれども、これまでの財政出動を行って景気対策を行っていくという考え方につきましてはむしろ中長期的に見た場合には弊害が大きいということで、諸外国でもおおむねその方向については、むしろ反省に基づいて財政の構造改革を維持していくという観点から進められておりますので、我が国の現在の危機的な状況財政が立ち至っていることを考えますと、将来への世代の負担を先送りしないためにも、一刻の猶予も許されない課題として財政構造改革に取り組まなければならないのではないかと考えております。
  45. 山本保

    山本保君 大蔵省の方にお聞きしますが、いただいた資料の最後に公共工事コスト縮減対策とあります。これは大蔵省が出されたんだからそちらが一応責任を持たれているんだろうと思うんだけれども、聞きたいのは二点。  二十九ページに、まとめて少なくとも一〇%縮減と。一〇%という根拠はどこにあるんですか。つまり、今公共工事の方が民間工事よりも一〇%むだがあるという何かちゃんとしたものを持っておられるのかどうか。一体どうしてこれは一〇%ということが言えるのか。  それから、こんな通知を出して、民間だったら当たり前のことが、今さらこんな通知を出して効果があると思っているのか。あるとすれば今までむちゃくちゃやっていたんじゃないかということになるし、ないんだったら出すこともないんだけれども、この辺は一体どうしてこういう一〇%削減というようなもの、そして個々の場合に六%、四%と非常に細かく決めてありますね。非常にでもないけれども、その中も。この根拠はどういうところからなってきたのか、これについてお願いします。
  46. 細川興一

    政府委員細川興一君) 関係閣僚会議でいろんな作業を進められたわけでございますが、それぞれの設計あるいは計画の段階、それから発注の段階、それから資材生産等の段階でどれぐらいのことがどれぐらいできるかということをかなり専門的に議論がなされまして、この程度はやらなければならないということで、ちょっと今具体的に何で六なのか四なのかという数字をここには持ち合わせておりませんが、そういう議論の積み上げの中で行われてきたものだと承知いたしております。
  47. 山本保

    山本保君 やらなければならないということとやれるということとは違うんだ。今のお答えはやらなければならないということを御説明されたようだけれども、私が聞いたのは、なぜこれができるのかということをお聞きしているので、今の担当者ではわからないということだと思いますから、追ってこれはきちんと教えてください。
  48. 細川興一

    政府委員細川興一君) 大変恐縮でございますが、数字のことでございますからそれぞれ積み上げて議論していると思いますので、特に専門家の建設省等々からよくお話を聞きまして、適切な者にちゃんと説明させるようにいたします。
  49. 小川勝也

    小川勝也君 先ほどの和田先生の御質問に関連するんですが、今東京も地方も大変な状況で、特に世界同時株安の中、北海道なんかでも金融機関や地方の中核ゼネコンが経営危機に陥っているなどという状況があって、それと同時に米価が非常に下がっておる。地方にとってはもう死活問題の状況の中、このような緊急財政構造改革を打ち出されました。  当然、赤字依存度がきのう、きょう上がったわけではなくて、今の山本先生の御発言のように、いつでも赤字は減らしたいと思っているのを今まで放置してきた。それはやはり経済に与える影響が大きいと思って、やりたくてもできなかったという部分が大きくあると思うんですね。そんな中、これは本当は政治的な話だとは思うんですけれども、次長と総務審議官地方に与える経済的な効果はどの程度まで予測してきようの御説明をしておられるのか、御確認をしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
  50. 細川興一

    政府委員細川興一君) 財政構造改革をこの時期に決断されてきました背景というか、そういうものをちょっとお話ししたいと思いますけれども、基本的にはやはり、ここまで先進国中最悪の状態になってきている財政につきまして、二十一世紀、特に高齢化が進みまして、いわゆる戦後のベビーブーマー、ちょっと恐縮でございますが我々の団塊の世代でございますが、これがリタイアしていく状況を考えますと、何としてもこの期間に財政構造改革を行わなければ、これは経企庁の経済審議会で出されましたが、いわゆる「破局のシナリオ」ということで、これは恐らく、とにかく高齢化が進んだ段階で確実に社会保障制度やあるいは日本財政制度が破綻することはこのままほうっておきますと明らかであるという強い問題意識もとで、財政構造改革会議という今まで余り行われていなかったようなそういう会議の場でこの問題について取り組まれたところでございます。  したがいまして、今法案が審議されておりますが、何としてもこれはぜひやり遂げなければいけないということで進めているところでございます。
  51. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 今の公共投資地域地方経済との関係というのは非常に重要な問題だと思います。特に、県内総支出に占める公的資本形成の割合というのは、一部大都市の県においては低いところもあるわけですけれども、大半の県は、四分の三ぐらいの県は全国平均よりも高いという地域が多いわけでございます。そしてその中で、例えば公共事業、補助事業と単独事業で言いますと単独事業のウエートが非常に高くなっているということでございますから、単独事業の総量をどういうふうに設定するのかというのは非常に地域経済に大きな影響を与えるものだろうと。なおかつ、ただ、これは国の予算地方財政計画とは違いまして、三千二百三十二の団体の予算を縛るものではありません。  したがって、来年度財政計画をつくるに当たっては、やはり地域経済等も考えて、財政構造改革を満足しつつ抑制をしていくんだけれども、しかし地域経済に与える影響をも考えてそういう適切な目標設定という意味で地方単独事業事業量の総量設定をしていかなくちゃいけない、そういうふうに考えております。
  52. 金田勝年

    金田勝年君 いろんな議論を拝聴して、今ちょっと関連で感じたんですけれども、公共事業のあり方について、例えば主計局の方から出ております投資基本計画改定の中身なんかを見れば、コスト縮減とか事業の後の費用対効果分析とか、これからいろいろとますます力を入れている、検討していっていただきたい話も盛り込まれておって、努力はしているなという感じはするんですが、今質問が出ましたけれども、私の地元の方を見ても、公共事業と一口でとらえるということが非常に、地域的な格差、それから大都市部と農村部、地方とがどういうふうな水準の違い、実態にあるのかということを私はもっと細かく分析をしていただきたい。これは事業実施官庁もそうですし、やはり自治省もそうなんですね。地方の単独事業が今ふえておるというようなお話もあったんですが、じゃその投資的経費の使われ方、これまでのストックのあり方がどういうふうになっておるのか。  例えば、下水道整備率からいったって、もう大都市部地方とは全然違うわけですね。限られた財源でどういうふうにしてやるか、もう頭を悩ませ、道路整備は市町村長が一番頭を抱えておるというふうな、それでニーズの強い事業なんですね。そういうことに対する分析をもっと国民の前に明らかにしていただきたい。これは全省庁が力を合わせてやることであって、そういう努力を今後していただくというのが非常に大事なことじゃないか。  その上で、同じ金を使うのには、都会で例えば一億円の金を使ってできる場合には、用地取得のために本当に微々たる事業しかできない。ところが、これが地方に行けば非常に大きな社会資本整備につながるというふうな実態もあるわけです。だからそこら辺を考えて、やはり財政構造改革というのは実現しなければいけない大事な課題ですけれども、そういう制約条件の中でもどういう公共事業投資配分のあり方があるのか、その辺をひとつ努力して、これから各省庁、力を合わせてやっていっていただきたいなと思うんですが、御所見をひとつお願いいたします。
  53. 細川興一

    政府委員細川興一君) 我々の立場からも、地方経済に与える影響、格差の問題、その点について予算編成そのもの、あるいは実施計画の段階、各省と一生懸命議論していきたいと思っております。
  54. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 自治省としましても、今、金田委員のおっしゃったことは我々の考えでいることとほぼ同じでございます。地方団体が円滑に社会資本整備地域経済の動向もよく考えながら進められるような、そういう地方財政対策を来年度もやっていかなくちゃいけないというふうに考えております。
  55. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) これから建設省と運輸省がありますので、以上で前半の方の大蔵省、自治省に対する質疑は終了することにいたします。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  56. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) 速記を起こしてください。  引き続きまして、建設省及び運輸省から説明を聴取いたします。建設省小鷲総務審議官
  57. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 御指名をいただきました建設省の総務審議官の小鷲でございます。  それでは、お手元に説明資料が配付されておると思いますので、資料に従いまして当省の状況について御説明を申し上げたいと存じます。  それでは、一ページをごらんいただきたいわけでございます。まず最初に、公共投資重点配分についてでございます。  ことしの六月、当調査会からの御提言をいただいたわけでございますが、重点的な配分につきましては、最初のこのページには私どもの基本的認識が記載してございますが、依然として社会資本整備につきましては欧米との格差がある。しかるに一方では、高齢化社会あるいは少子化、そしてまた国際化といったような経済状況の変化もございます。こういった状況を踏まえまして、今後さらに社会資本整備を効率的に推進していくためには重点的な投資が必要である、こういう基本的な認識でございまして、一番下の枠の中にそのことが書いてございます。  建設省におきましては、公共投資基本計画、各事業分野別の五カ年計画等に基づき、国民生活の質の向上に直結する分野、次世代の発展基盤となる分野、安全、安心に関する分野等に重点的に取り組むなど、戦略的、重点的な投資推進することといたしております。  三ページをお開きいただきたいと思いますが、公共投資重点的な配分の具体例といたしまして、来年度平成年度の概算要求の考え方について御説明をさせていただきたいと思います。  御提言をいただきました趣旨を踏まえまして、真ん中のあたりにやや黒い線で囲ってあります五本の柱に政策を区分いたしまして要求をまとめてございます。第一が連携交流を支えるネットワークの重点整備、二つ目が経済・社会活動を支える都市と地域の再構築、第三が快適な暮らしを支える質の高い生活環境の創出、第四が住生活の質の向上のための住宅宅地の整備、第五が安全で安心できる国土づくり、地域づくり推進でございます。  まず最初に、数字をちょっとごらんいただきたいと思います。五の二とページを打ってございますところをお開きいただきたいと存じます。  上の枠の中に一般公共事業につきましての要求額が記載してございますが、国費で六兆三千二百三十一億円、事業費で二十四兆九千四百五十三億円、それぞれ倍率が〇・九五倍、〇・九〇倍、こういうことになっております。  御案内のとおり、財政構造改革におきまして平成年度におきましては公共事業七%減ということになっておりますけれども、ここでは国費が〇・九五倍ということになっております。つまり五%減という数字になっておりますが、これは政府部内の予算編成の都合上、物流効率化関係特別枠あるいは生活関連枠の特別枠というのがございまして、この枠組みにつきましては若干多目に要求段階では要求してよろしいと、こういうことになっておりますので、その分が上積みをされておるわけでございます。恐らく、年度末、最終的な政府予算案がまとまる段階におきましてはこれが若干切り込まれてトータルとして〇・七三と、つまり七%減という数字になるんではなかろうかと考えられる次第でございます。  矢印でやや事項別の数字が並んでございます。道路以下ございますが、右の国費の欄の括弧のところに倍率が書いてございますので、この倍率をごらんいただきたいわけでございますが、分野別に見ますると、道路整備につきまして〇・九七倍、治山治水が〇・九四倍、公園が〇・九五倍、下水が〇・九五倍、住宅が〇・九四倍、市街地整備が〇・九六倍、こういう倍率の要求になっております。  道路が〇・九七と高まっておりますけれども、これは昨今の経済構造改革に資するための物流対策ということで先ほど言いました特別枠の要求が許されておりますので、その要求がここに追加されておる、こういう姿をあらわしております。それから、住宅が落ち込んでおりまするけれども、これは御承知と思いますが、住宅金融公庫あるいは住宅・都市整備公団、いわゆる財投機関につきましてのいろんな議論がございまして、縮減を図ると、特に住都公団につきましては民間部門との重複部分については今後撤退をすると方針を決めましたので、そのことに伴います予算額の減がこういう結果に反映されておるわけでございます。  一般会計のほかに財投の数字を下に記載してございますが、御説明を省略させていただきたいと思います。  当調査会の御提言で言われております事柄につきましては、次のページ、五の三でございますが、先ほど申し上げました物流効率化のための特別枠、これは政府全体で千五百億というふうに設定されておりますが、私どもからは千七百億余り要求させていただいておりまして、大きく分けますと高規格幹線道路等整備、二つ目がいわゆる地方都市の中心市街地等の整備、そういったものについての要求をこの中で盛り込んでおる次第でございます。  それから次のページでございますが、生活関連等の特別枠でございますが、これは政府全体で二千五百億の枠がございますが、建設省からは二千五百億の要求を出しております。  内容的には、質の高い生活環境の創出といたしまして、細かい話でございますが、ふるさとの下水道であるとか雨水排水対策、交通渋滞対策、こういったものを特別枠で要求しておる次第でございます。  二つ目に、質の向上のための住宅宅地の整備でございますが、個別に見ますると、良質な市街地住宅の供給、昨今、都心居住ということが言われておりますが、そういった市街地型住宅の供給、それから高齢者向けの公共住宅の供給、こういったものをこの枠組みの中で要求いたしております。  次のページには、安全で安心できる国土づくり、地域づくりという視点からの要求を盛り込んでございますが、緊急土砂災害防止対策、密集市街地の整備のための事業、耐震化あるいは緊急的な渇水対策、こういったようなものがこの中で盛り込まれておる次第でございます。  前に戻っていただいて恐縮でございますが、四ページをちょっとお開きいただきたいと思います。全体を通じまして来年度の概算要求の要求のポイントをここにまとめてあるつもりでございます。枠組みの中に丸をつけて五項目記載してございます。  一つは、経済構造改革推進するための物流効率化、中心市街地の活性化、情報通信高度化、こういった分野重点配分をするということが一つ特徴でございます。  それから二つ目でございますが、生活関連社会資本につきましては、真に整備がおくれている分野、あるいはおくれている地域への重点投資を行う。全体としてマイナスなのでございますが、そういった状況の中でもこういった重点投資を心がけるということが二つ目のポイントでございます。  それから三つ目でございますが、昨年来、大変大規模な土砂災害等が発生しておるわけでございますが、こういった事態にかんがみまして、緊急に生命、財産を危険から守る施策への重点化。  第四が、昨今の経済問題を考えますると、なるべくフローとしての経済効果の上がる分野投資をしようと、こういうことを考えております。御案内のとおり、社会資本といいますのはフロー効果よりもストック効果、整備されることによってそれが長い間に社会に貢献するということが本来の役割でございます。しかしながら、フロー経済にとりましても大変大きな影響を与えるものでございますので、そういった視点を考慮いたしまして、なるべく用地補償費比率が低いものに振り向ける、つまり工事費に回るような事業実施を行おうと、こういうことにいたしております。  それから五番目でございますが、事業効率化、効果的な執行という視点から、国と地方あるいは官と民との役割分担をはっきりさせる。後ほど若干詳しく出てまいりますが、そういったこと、あるいはコスト縮減各省事業連携、費用効果分析、こういうものをより一層強化いたしまして効率化、透明化を図っていく、こういう姿勢で要求をまとめてございます。  下に具体的に幾つかの例がございますが、先ほど言いましたように、全体としては予算額がマイナスされる中で、重要なものにつきましてはここに記載いたしましたようにかなり思い切ってプラスの要求の内容といたしておるわけでございます。  例えば地域規格道路整備、大変これは地方の要望が強い事業でございますが、こういったものについては九%、あるいは高度情報通信社会に向けた情報ハイウエーの構築のための予算一二%増、あるいは次の生活関連といたしましては、高齢者向けの公共住宅につきましては三八%増といったような内容になっております。次のページにも幾つか記載がございますが、このように先ほど言いましたような考え方を要求の案に具体化いたしておる次第でございます。  次に、御提言いただきました第二の点でございます。六ページをお開きいただきたいと存じます。  公共事業のあり方につきまして御提言をいただいておりますが、ここでは幾つかこれに対する考え方を整理してございまして、枠の中に書いてございますように、公共事業予算の効率的、効果的な執行を図るために三つの点、重点化効率化、透明化、これを基本として事業見直し推進することにいたしてございます。  具体的なことが幾つか書いてございますが、その第一といたしまして省庁間の連携推進に努めております。  平成八年の夏に、農水省、運輸省、建設省、それから最近では国土庁にも参加をいただいておりますけれども、この四省庁の事務次官におきまして、各省連携をするとより効果が上がるようなプロジェクトを選び抜く、こういうことをやっておるわけでございまして、平成年度は十三の連携施策、そして来年度は十一の連携施策に着手しようということにいたしております。ここには具体例として複合一貫輸送インフラ事業推進運輸省さんとの連携施策を掲げてございますが、こういったものを大いに推進しようということをいたしておる次第でございます。  それから次のページでございますが、二つ目といたしまして、投資の質の向上という視点からさまざまな試みを、取り組みをいたしておる次第でございます。  まず、①のところに記載してございます新規事業箇所の削減でございます。  これは、予算全体が少なくなることに伴う削減ということよりも、むしろなるべく早く事業効果を発揮させるという意味からは、集中投資をいたしまして早くその効用を実際の社会に発揮させる、こういうことが必要ではないかということで事業箇所の絞り込みをいたしております。逆に一カ所当たり予算額をふやしておる、こういうことをやっておるわけでございます。ここにそれぞれの事業についての例がございますが、かなり思い切った新規事業箇所縮減をいたしております。  それから二つ目でございますが、用地補償費比率の減少でございます。  特に昨今、先ほど申し上げましたような経済に与える影響等を考慮いたしまして、用地補償費比率の比較的薄いものを優先的に扱うということをいたしておるわけでございます。  それから、三つ目が国と地方公共団体及び官と民の的確な役割分担でございます。  例えば、ここに書いてございます一般会計の補助金の件数でございますが、逐年いわゆる小さい補助金は廃止するということで補助金制度全体の絞り込みをいたしておるわけでございます。あるいはまた、二つ目の例示にございますように、幾つかあります補助制度を統合化するというような合理化努力をいたしておる次第でございます。  次のページでございますが、こういった努力の結果、棒グラフで書いてございますが、建設省の中におきましては、かなり中長期的に見ますると分野ごとの投資配分が変わってきておるわけでございまして、この姿がこの棒グラフでおわかりいただけるのではないかというふうに思います。道路かなり圧縮され、その分、都市部門の下水道あるいは公園、住宅対策、こういうものがどんどんシェアを伸ばしておるという姿がごらんいただけるかと思います。  それから、公共事業のあり方の第三点として事業効率化についてでございますが、内容といたしましては、類似の事業間の調整をうまくやるということとコスト縮減、大変大事なテーマでございますコスト縮減をいかに進めるかと、こういう二つの事柄があるわけでございますが、最初の類似事業間の調整につきましては、よく言われます省庁の壁によって重複投資をやっているんじゃないかというお話がございます。  ここでは農道との関係農道建設省の一般道路が並行して走っておる、むだな事例が多いのではないか、こういう御批判があるわけでございますが、この点につきましては農水省、建設省とで連絡調整会議を持つことにいたしております。それで、都道府県ごと農道一般道路との計画レベルでの調整をいたしております。平成八年十二月末までに東京都以外の四十六都道府県すべてでこの調整計画を策定済みでございますので、これからはかつて言われたようなああいった事例は生じないものと考えておる次第でございます。  それから、次の九ページでございますが、同じような問題が汚水処理についても言われておるわけでございます。建設省の下水道、それから農水省の農業集落排水、厚生省の合併処理浄化槽、これについても不連絡ではないかという御指摘がかつてあったわけでございますが、この点につきましても県レベルでの計画段階での調整を始めておりまして、ことしの九月末現在で三十六都道府県でこの計画を策定済みでございまして、残るところにつきましても今年度中に策定をし、かつての御指摘のようなことは起こらないようにする予定でございます。  それから、十ページに二つ目の大きなテーマでございますコスト縮減計画について記載してございますが、御案内のとおり、本年四月に政府全体といたしまして公共工事コスト縮減に関する行動指針を策定いたしたわけでございます。今後三年間、平成十一年度末までに全体として一〇%以上のコスト縮減を図ろう、こういう内容でございまして、この指針に従い各省庁はそれぞれ行動計画をつくって、懸命に現在その対策に取り組んでおるところでございます。  一〇%の内訳といたしまして、六%は発注者側の計画あるいは設計段階で合理化を図る、それから残りの四%部分は、資材でありまするとか工事の施行でありまするとか、そういうレベルでコスト縮減を図る、こういうことになっておりまして、施策のそれぞれについて各省それぞれ積み上げをいたしておりますので、現在その実施に努めておるところでございます。  ここでは二つ例を出してございまして、一つは、入札の段階で民間事業者の技術力をうまく活用することによって事業費を圧縮できないか、いわゆるバリューエンジニアリングという契約方式がございますが、これにつきまして当省で平成年度から、全部ではございませんが工事を選んで執行する予定にいたしております。それから二つ目といたしまして、各種の技術基準がございます。その合理化を図るということを現在進めておる次第でございます。  さて次に、公共事業のあり方の第四点といたしまして、ページで言いますと十一ページでございますが、事業計画実施過程の透明化の問題がございます。  この問題につきましても、何点か論点がございまして、まず一つ目が費用効果分析をいかにしてうまくやっていくかという問題、二つ目が、事業採択基準というのがございますが、これをきちっと決めて公表していくという問題、それから三つ目が事業実施段階で情報を提供して市民の皆様に十分御理解をいただくことができるようにするということ、それからそれと関連いたしますが、四つ目には国民の皆様が十分意見を出せるような、そういう機会をふやしていくというこの四つの事柄があるわけでございます。  最初の費用効果分析につきましては、私どもかなり積極的に取り組んでおるつもりでございまして、平成年度、今年度でございますが、道路事業と流域下水道事業につきましてはすべての新規箇所についてこれを実施いたしております。まだ試行の段階と御理解いただきたいと思うわけでございますが、全地区につきましてこれをやっております。他の事業につきましても、本年度中には分析手法を開発し公表いたしたい。したがいまして、平成年度からはすべての事業につきましてコストアナリシス分析を実施するということにしたいと思っております。  それから、二つ目の事業採択基準につきましてはもう既に平成年度予算配分時に各事業において公表をいたしておるところでございます。  以下、やや細かい話になりますので省略をいたしますが、先ほど申し上げました国民の皆様から意見をお出しいただく機会をふやすということにつきまして、十二ページの一番下に「大規模公共事業に関する総合的な評価システムについて」というふうに記載してございます。大規模事業につきましては計画から事業実施までかなり長年月を要するわけでございますので、その間、状況の変化によりまして新しい判断が必要である、こういうこともあろうかということで、私どもではこの見直しのシステムを現在つくっております。それぞれのプロジェクトごとに審議委員会をつくっていただきまして、そこに地元の方、民間の方に参加いただいて事業見直しを行う、こういうシステムをつくり上げております。  その結果が次のページに記載してございます。現在までの実施状況を記載してございますが、これまでダム、堰、こういった水関係が多いわけでございますが、ダムで言いますると十三の事業をこの対象といたしておりまして、このうち既に五事業につきまして計画の変更、中断、再検討、こういった御意見をいただいておりまして、そのように進めておる次第でございます。  次に、御提言をいただきました三番目の柱でございます良質な住宅確保でございます。十四ページでございます。  量から質へということを御提言でいただいておるわけでございますが、直近の平成年度住宅統計調査によりますると、全国におきまして誘導居住水準の達成世帯数が四〇・五%ということになっております。この棒グラフの一番右をごらんいただきたいと思います。そしてまた、最低居住水準未満の世帯数が七・八%とやや減ってきております。しかしながら、内容を持ち家、貸し家別に見ますると、まだまだ大きな隔たりがございますので、なお今後も努力をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  ちなみに、次のページでございますが、現在持っております第七期住宅建設五カ年計画ではこの居住水準についてどういう目標を持っておるかということでございますが、先ほど言いました誘導居住水準につきましては二〇〇〇年までに約半数を達成する。先ほどごらんいただきましたように実績は一九九三年で四〇・五%でございますが、これを五〇%まで持っていきたい。そして、最低居住水準未満の世帯でございますが、これは大都市地域の借家においても解消いたしたいというのが目標でございますが、まだ目標達成には大分差がある、こういうことでございます。そしてまた、この質の向上のために公営住宅あるいは特定優良賃貸住宅あるいは密集住宅市街地の整備、こういった関連施策もあわせて実施をいたしておるところでございます。  それから二つ目が高齢者に配慮した住まいづくりの推進でございますが、この点も御指摘をいただいておりまして、それぞれ施策実施いたしております。  例えば、公共住宅の長寿社会対応住宅供給の推進でございますが、公営・公団住宅につきまして既に古く平成三年から長寿社会対応仕様を標準化といたしております。そしてまた、これらの公営・公団住宅の建てかえの際には可能な限り長寿社会対応仕様に変えていくということもやっておる次第でございます。  十六ページでございますが、このほか民間住宅を念頭に置きながら長寿社会対応住宅設計指針をつくりまして普及に努めておる。あるいは、真ん中よりやや下でございますが、住宅金融公庫融資につきましても高齢者社会を念頭に置いた仕組みを導入いたしております。例えば貸付金利につきましても、従来は規模別に金利差をつけておりましたものを中身によって金利差をつける、例えばこのように高齢者向けの対応をした住宅については安い金利、あるいは省エネ型の住宅については安い金利、そういうぐあいに金利体系を変えてございますが、そういった対応、それから公庫につきましてはさらに割り増し融資、こういったことで高齢者対応を進めております。  そしてまた、福祉施策との連携ということもかなり努力をいたしておる次第でございます。これは、例えば公営住宅を建てかえる際にその中に高齢者対応施設に入ってもらう、老人福祉施設に入ってもらう、これは法律改正をいたしましてそういうことができるようにいたしておるわけでございますが、そういったような努力をいたしております。あるいはまた、公的な住宅をつくりますときにはなるべく高齢者福祉施設の近くに建てるといったような努力を進めておる次第でございます。  次に、御提言をいただきました第四の柱でございます。十七ページでございますが、快適な生活環境の形成でございます。  御提言の中身は多岐にわたるわけでございますが、まず何といいましても公園、下水道を初めといたします生活環境施設をしっかりとつくるということが大事でございまして、それぞれ五カ年計画に基づきまして事業に取り組んでおる次第でございます。  最初は、ここに書いてございますのは都市公園等の五カ年計画でございますが、総額七兆二千億円でございます。ただ、この計画につきましては、恐らく先ほど大蔵省からの説明等でもあったのではないかと思いますが、財政構造改革との関連で二年間延長する、五カ年計画を七カ年計画にするということで実質的には事業費縮減をする、これは政府の統一方針でございますが、そういうことが今後予定されておるわけでございます。  それから次のページでございますが、下水道整備につきましても同じように、現行計画は五カ年計画で二十三兆七千億円でございますが、これにつきましても、現在衆議院で御検討いただいております特別措置法におきまして二年間延長ということになっておる次第でございます。  なお、ちなみに下水道について言いますると、この下の表でごらんいただけますように、逐年整備率は上がってきておるわけでございますが、これまではどちらかというと投資効率の高い大都市を中心にやってまいったわけでございますが、今後の課題として、五万人未満の都市の整備率かなりおくれておりますので、この辺に重心を置いて整備を進めていく、こういう方針を立てております。  次に十九ページでございますが、安全で安心できる都市づくりでございます。ちょっと絵が見にくうございますが、広域避難地、その下にあります一次避難地、あるいはさらにそれよりも細々とした身近なグリーンオアシス、こういったものを整合的に整備を進めておる次第でございます。さらには、救援活動の拠点あるいは復旧・復興活動の拠点となりますような広域防災拠点等につきましても鋭意取り組んでおるわけでございます。ちなみに、この広域防災拠点につきましては平成年度全国で二十五カ所ほど取り組む予定にいたしております。  二十ページでございますが、安心、安全という意味では下水道整備によりまする緊急雨水対策といったようなこともやっております。下水といいますのは、汚水ばかりではなくて雨水も排除する、都市内の雨水を排除するという機能もございます。まだ残念ながら都市で五年ないし十年に一度ぐらいずつ川がはんらんするという実態でございますので、下水道によって緊急にこの雨水対策をサポートするといったようなことも進めておる次第でございます。  二十一ページは、先ほどから申し上げております防災上危険な密集市街地を整備しようということで、さきの国会におきまして密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律を御審議いただき可決をいただいたわけでございますが、全国でまだ二万五千ヘクタールほどこういう危険な地域があると言われておりますので、それの防災的な観点からの建てかえ、老朽住宅の建てかえ、こういったものを進めるために鋭意事業に着手し取り組んでおるところでございます。  二十二ページでございますが、安全で快適な暮らしを支える道路整備、それから次の治水事業につきましても身近な事業があるわけでございますが、時間の関係もありますので省略をさせていただきたいと思います。  二十四ページでございますが、歴史的、文化的資産を保全、活用した都市基盤整備推進ということを書いてございますが、いわゆる潤いのある都市づくりをしよう、こういう視点から、歴史、伝統、文化、そういったものをうまく生かした町づくりを進めよう、こういうことでございます。  それから二十五ページ(「バリアフリーの生活空間の形成」と書いてございますが、私どもでは省を挙げて、省の持ついろいろな政策手段を挙げて生活福祉空間づくりをやろうと、こういうことを既に平成六年の段階から宣言をいたしておりまして総合的な取り組みをいたしておるということでございます。詳細は省略させていただきたいと思います。  次に二十六ページ、これも御提言にございました住民参加の問題でございますが、特に都市計画への住民参加でございまして、この点につきまして第一点といたしまして、ことしの六月、都市計画審議会で答申をいただきました。現在、都市計画審議会は地方の審議会は都道府県にしかございません。市町村にはございません。したがいまして、市町村が決める都市計画も都道府県の審議会に上げなければならない、こういうことになっております点を改めまして、市町村ごとに審議会を置くことができるというふうにいたしております。これは法律改正が必要でございますので、今後法律改正を経た上でそういうことを実施するわけでございます。なるべく早急に実施に移したいと考えておる次第でございます。それから、市町村レベルのマスタープランづくりも進めておるということでございます。  それから次に、御提言の第五の柱でございます自然環境との調和の問題でございます。二十七ページ以下でございます。  この点につきましても、建設省では、どうも建設行政と環境行政は相対立するものという考え方があるわけでございますが、そうではない、建設行政自身が環境を保護しつくり上げていく、そういう行政なんだ、つまり環境というものを建設行政の内部目的にしようということを平成六年にはっきりと確認いたしまして環境政策大綱というのをつくり上げています。そのもとに、これも省を挙げて環境対策推進しておるわけでございます。  なお、ちなみに、これも前の国会でございますが、河川法の改正をお認めいただいておるわけでございまして、この中で、戦後久しく議論になっておりました河川の環境保持ということを河川行政の新たな目的として追加した次第でございます。ここでは丸でエコロードだとかエコシティー、環境共生住宅、いろいろ書いてございますが、これは余談になるかもしれませんが、例えばこういう国内向けのものばかりではなくて、地球地図の作成といったようなものを国際的に提唱したりして大変大きな反響を呼んでおります。これは、人工衛星を用いまして地球全体の地図をつくって自然環境の変化を時系列的に追っていこう、地球の砂漠化、そういったものもこういうことによってフォローできるのではないか、こういうことを提唱いたしております。御案内のとおり、建設省では国土地理院という地図の専門機関を持っておりますので、ここを中心に世界各国にそういう呼びかけをいたしておりまして、昨今では国連でも大変関心を持っていただいております。  次に二十八ページでございますが、水の循環利用でございまして、ここでは下水処理水の有効利用、あるいは雨水、中水道の有効利用システム、こういったものにも取り組んでおるということを記載してございます。  それから二十九ページ、排出ガス対策でございます。  これは道路交通を受け持っておりますので大変関係が深いわけでございますが、具体の施策の体系につきましては左隅の方に細かい字で恐縮でございますがいろいろ書いてございます。公共交通機関の利用促進、あるいは交通需要マネジメント、TDMと書いてございますが、これは交通需要マネジメントの意味でございます。それからITSの推進、これは高度情報交通システム、昨今の情報通信機器を活用いたしまして高度道路交通システムをつくり上げる、こういったような問題、こういう各種の施策に取り組んでおるところでございます。  三十ページに参りまして、リサイクルの問題でございます。  建設関係につきましては大変リサイクルの問題が重要でございまして、ちょうどことしの十月、ついせんだってでございますが、二〇〇〇年を目標にした建設廃棄物あるいは建設発生土についてのリサイクルの目標を掲げて取り組んでおります。  基本的な考え方といたしましては、なるべくこういうものを発生させない、廃棄物を発生させないような計画設計段階の工夫をするということが一つでございます。それから、やむを得ず発生するにしても、それをなるべくリサイクルするということが二つ目の考え方。どうしてもリサイクルができないものについては不法投棄ではなくて適正な処理をする。この三つの原則を基本としながら、リサイクルの目標はこの表に掲げてございますが、廃棄物、発生土ともに二〇〇〇年八〇%のリサイクル率を目標に施策に取り組んでおります。  ごらんのとおり、建設発生土の方は、括弧の中が実績値でございあすが、三二%と思わしくないわけでござします これはいろいろ技術的にも難しい問題がございましてこういうことになっておりますが、これにつきましても強力に施策推進したいと考えております。  三十一ページ以下、御提言いただきました六つ目の柱でございます総合的な交通ネットワークの整備でございますが、四角の中に書いてございますように、重要なことは交通機関相互の連携確保、改善することではないかと考えておりまして、このため、道路整備当たりましては空港港湾等へのアクセス道路整備、鉄道の高架化事業、こういったものに重点を置いておる、こういう次第でございます。  具体例が幾つか書いてございますが、最初は空港へのアクセス道路の例を掲げてございます。実は、運輸省さんいらっしゃいますが、空港本体の大体二倍から三倍ぐらいのアクセス道路整備が必要である、こういう実態になっておる次第でございます。  それから次の三十二ページでございますが、空港とか港湾へは従来一般国道でアクセスするということを目標にいたしております。上の四角の中に数字がございますが、おかげさまでほぼ一〇〇%近く国道はアクセスをすることになっております。  しかしながら、高速道路がどうかということになりますると、高速道路のアクセスがまだまだ不十分でございまして、二つ目の箱でございますが、九年度末、国際空港につきましては四六%、国際港湾につきましては三三%というアクセス率でございます。これは、最寄りのインターチェンジから十分以内でアクセスできる、こういう条件で調べたものでございます。こういう状況でございます。長期的には、大体九割程度は十分ぐらいで最寄りのインターチェンジに着けるようにしないと物流対策として十分でないんではないかと、こういうふうに考え、現在鋭意努力しているところでございます。  それから三十三ページでございますが、総合交通対策といたしまして、公共交通機関の利便性を向上させるということも先ほど言いましたように大変大事なことでございますので、鉄道の連続立体交差事業、これも大変地方で要望が多いわけでございますが、こういったもの、それから交通結節点の整備、駅前広場、バスターミナル、こういったものの整備を進めるということも取り組んでおる次第でございます。  大分時間がたちましたのでちょっとはしょりますが、三十五ページへ参りまして、道路特定財源についても御提言をいただいております。  特定財源につきましては、現在政府・与党でいろいろな議論がなされておるところでございますが、私ども建設省といたしましては、道路特定財源は受益者負担の考え方に基づきまして自動車利用者に負担を求めているものでございまして、目的外へ使用するということは受益と負担の関係を崩すことになりますので、なかなか納税者の理解が得られないのではないかというふうに考えておる次第でございます。  下に一覧表がございますが、現在、暫定税率ということで本則による税率の二倍ないし二・五倍の税を徴収させていただいておるわけでございますが、この暫定期間が五年ごとに切れます。来年の三月にはこの暫定税率の期限が切れますので、本則に戻すのか、暫定税率をさらに継続するのかということが現在問題になっております。  さらには、この財源を他に流用するのかどうかということも話題の一つとなっておりますが、この点につきましては先ほど私どもの考え方を述べさせていただいた次第でございます。  ちなみに、三十六ページをごらんいただきますが、特定財源が道路投資の中でどんなふうなウエートを占めておるのかということでございます。やや黒っぽく塗ってあります右のところが特定財源でございまして、道路事業費全体の四五%が特定財源でございます。  よく特定財源があり余っているので道路をつくると、こういうことが言われるわけでございますが、そうではございませんで、道路特定財源に加えて、場合によると借入金までして道路をつくっているというのが実態でございます。ちなみにこのページの下に、先ほど一般公共事業の中の道路の国費のシェアがどんどん減っておるということを申し上げましたけれども、重複しますが、ここでも記載させていただいておる次第でございます。  さて三十七ページ、御提言いただきました七番目のテーマでございます交通機関のバリアフリー化でございます。  一つは、安心して歩ける幅の広い歩道を整備する、俗に車いすが十分ゆとりを持ってすれ違える歩道が必要である、こういうことでございます。  現在、そもそも歩道が足りないわけでございますが、歩道につきましては現在必要と思われる大体五十数%、五三%程度歩道が設置されております、全国の道路の中で。その中で幅の広い道路、三メーター以上の幅員を持った歩道でございますが、これを持っているものが、そのうちの、ここにございますように設置率が二八%ということで、歩道は半分ほど必要箇所に設置されておりますが、なかなかまだ三メーター以上という幅員を持った歩道になっていない。これを何とか早く三メーター以上のものにしたいということで努力をいたしておるところでございます。なるべく早く半分ぐらいは三メーター以上にしたいということを目標に努力いたしております。  それから次に、駅前等における円滑な歩行環境の整備ということで、特に駅前を中心とした中心市街地でバリアフリー化のためのいろいろな支援施設を整備いたしております。次のページでございます。ここでは鉄道事業者と協力をしながら、特に鉄道駅前を中心に「駅内外歩行者快適化作戦」、こんな銘を打ちましていろいろな対策を講じておるところでございます。  それから三十九ページ、交通安全施策推進というところでございますが、これも御提言いただいております交差点の改良、道路照明の設置、こういった総合的な交通安全対策に取り組んでおるところでございます。  一番最後になりましたが、四十ページ、御提言いただきました第八といたしまして、情報通信基盤の整備でございます。  建設省と情報通信基盤というのは似つかわしくないようにも思われるかもしれませんが、私どもでは道路河川下水道、こういったネットワークを形成する施設管理を行っております。その施設の管理のためにどうしても情報ラインが必要でございます。そのために、情報空間を持ち、光ファイバーを敷くことを計画いたしておりまして、本年の七月、長期構想といたしまして、情報通信ネットワークビジョンと言いまして、全国約三十万キロにつきまして光ファイバーを主体とするネットワークを構築しようということを考えております。  しかも、この空間につきましては、私どもが独占するのではなくて、民間の通信事業者の皆さんあるいは公共団体の皆さんが共同して使えるように、そういったことを踏まえた施設整備を進めようとしておる次第でございます。先ほど言いましたように、来年度予算でも、この辺の予算は額がそもそも小さいという点もございますが、相当大幅な予算の拡充を図っておる次第でございます。  以上、御提言をいただきましたものにつきまして、来年度予算要求を含めまして、大変雑駁でございましたが、御説明をさせていただいた次第でございます。  どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  58. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) ありがとうございました。  次に、運輸省土井運輸政策局長から説明をお願いいたします。
  59. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 運輸省の土井でございます。座って御説明させていただきます。  お手元の説明資料に基づきまして御説明をいたしたいと思います。  まず最初に、一ページでございますが、運輸省の基本的な考え方を御紹介させていただきたいということでございます。  運輸省が行政として扱っているものは交通サービスでございますが、交通サービスの提供は、利用者の自由な選択と、それから各交通機関間の競争を通じたいわゆる市場原理によることを原則とすべきであるというふうに私ども最近考えておるわけでございます。この市場原理を最大限に活用しながら、各交通機関の特性を生かした交通システムを構築していくべきであるというふうに考えてございます。  これが原則だというふうに認識しておりますが、一方、離島や過疎化の進む地域におきましては、その住民の方の足の確保あるいは環境への配慮など、市場原理だけでは国民経済社会上の必要性に十分こたえられないことが生ずる。このような場合には政策的な対応を適宜行っていく。こういう原則と、それからもう一つそれを補完する考え方を持っているわけでございます。  それから、交通サービスでございますが、これを提供するために基盤となるいわゆる運輸関係社会資本整備が必要でございます。二十一世紀に向けた国際化の進展あるいは経済構造改革等に対応するため、この社会資本整備の必要性はますます高まっているというふうに考えております。そのために、極めて必要性の高い分野、緊急性の高い分野にいわば現在の財政状況の厳しい中で投資重点化していくということであると思っております。また、建設省さんからも先ほど来御説明ありましたように、建設コスト縮減にも取り組んでいく、また費用対効果分析計画的に策定していく、これによって事業採択に活用していくということを考えてまいりたい、このように基本的に考えております。  運輸省といたしまして、このような基本的な考え方に基づきまして、陸海空それぞれの交通機関の特性を踏まえた安全、この安全ということは運輸省にとって永遠の課題でございますので、安全でしかも低廉で利便性の高い交通サービスの提供を目指していくということで下に主なものを挙げておりますが、(1)から(7)の主要課題に取り組んでいこうというふうに思っておるわけでございます。  (1)は、国際的な交流の拡大に対応するための国際空港あるいは国際港湾整備でございます。社会資本整備で国際面でございます。  それから(2)は、同じく社会資本整備なんですが、国内の地域間の連携、交流の促進を図るための新幹線を含めた高速鉄道あるいは在来の高速鉄道、それから幹線道路、国内空港等、こういう国内幹線ネットワークの整備も当然必要である、大事なことだというふうに思っております。  それから(3)といたしまして、主に都市の生活者のための社会資本等でございますが、通勤の混雑あるいは交通渋滞の緩和等都市の生活環境の向上あるいは生活者重視の政策の推進、これを社会資本整備でも行いますし、後ほど御説明しますソフト的な政策もやっていこうということを考えているわけでございます。    〔会長退席、理事山本保君着席〕  それから(4)といたしまして、冒頭述べました離島とか過疎地域の問題でございますが、地域における生活の足の確保も大事である、それから安全の確保、交通弱者対策も、当然高齢者あるいは身障者の方々の対策も必要であるというところが四番目の柱になろうかと思います。  それから(5)でございますが、御案内のようにことし京都会議が開かれるわけでございますが、地球温暖化対策、特にCO2対策を初めとした環境問題への対応。これは、自動車という非常に便利な輸送機関による交通のサービスが行われているわけでございますが、これと環境との調和というものについて取り組んでいかなければいけないということでございます。  それから(6)に、経済構造改革実現のための物流効率化、これにも取り組んでいかなければいけない。  それから最後に、交通輸送面における危機管理対策。阪神大震災のときのような交通輸送面の対応、あるいは最近ですとナホトカ号の油流出事故等への対応、こういう輸送のみならず交通面全般における重大な事態に対する迅速な危機管理というのが行政として大事なポイントであるということでございます。  このような基本的な課題に取り組んでまいりたいということをまず申し上げたいと思います。  それから、二番目以降は御提言のお話につきまして私どもの考え方を述べております。  まず、二番目といたしましては、総合的な交通ネットワークの整備について考え方をまとめております。  二ページでございますが、まず第一に、モードごとの特性を生かした交通体系の整備を進めているということでございます。    〔理事山本保君退席、会長着席〕  下にございますように、各交通機関の特性というのがございまして、モードごとに例えば鉄道で言うと大量性、航空に次ぐ高速性、エネルギー効率が高いといった問題。それから、航空ですと当然のことながら高速性あるいは自由なネットワークの形成ができる。道路につきましては機動性、随意性であり、どちらかといえば近・中距離に対応している。海運については特に大量性、低廉性というのが大事なポイントである。こういった特性を生かしながら必要な交通サービスが安全、円滑、効率的に提供され得るような交通基盤の整備を進めていかなければならないというふうに思っております。  それから次のページでございますが、国際的な交流の促進ということでございまして、まず航空ネットワークの拠点となる国際ハブ空港あるいは羽田を初めとする国内拠点空港、これの整備を時期を失することなく進めて、空港がその交流のボトルネックにならないように努めていくというのが喫緊の課題だというふうに考えてございます。  そこに例示を挙げてございますが、成田の新東京国際空港の施設計画、これは現在は四千メートル滑走路一本で、いわば満杯状態、飽和状態で、新たな路線とか便の設定が不可能な状態になっております。その意味で、国際交流にとって率直に言って一つのボトルネックになりつつあるというふうに考えておりまして、特に平行滑走路というのがその絵の上に書いてございますが、これの滑走路の完成を今急いでいる。  ポイントは、まだ農民の方々がこの滑走路の計画地に土地を持って農耕をされているという状態が続いておりまして、ここ二、三年、非常に農民の方々との対話路線というのが定着して、次第に農地を売っていただけるという合意が進みつつありまして、私どもとしてはこの対話路線をさらに強めていって、西暦二〇〇〇年というのを目標にこの滑走路の完成を目指していきたい、これが日本全体のためにもぜひ必要だというふうに思っております。  それから、下は近畿圏の国際問題でございますが、関西国際空港の二期事業、現在三千五百メートルの滑走路で運営されているわけでございますが、二期事業に着手してB滑走路四千メートルというものの建設に取り組んでいきたい、これによりまして発着回数を約二倍にふやしていきたいということでございます。  ちなみに、関西空港もやや時間帯によってすいているところが一部ございますが、だんだん満杯状態になっているというのが現状でございます。  それから四ページは、今度は海運、港湾の問題でございます。  国際海運ネットワークの拠点となる国際ハブ港湾、具体的には東京、それから伊勢、大阪という三大湾及び北部九州における中枢国際港湾と私ども呼んでおりますが、この国際ハブ港湾ないし中枢国際港湾とこれを補完する全国八地域の中核国際港湾、これにおける国際海上コンテナターミナルの整備を最重点課題として取り組んでいるということでございます。下の斜線の引いた大きな丸が中枢国際港湾でございまして、白い小さな丸が中核国際港湾ということでございます。  それで、コンテナターミナルにつきましては、近隣の諸国と比べまして、例えば水深十五メートル級のコンテナターミナルというのが、現在の供用施設数は日本の場合は神戸港に二つしかございません。これを日本全体として全部で十四、おおむね二〇〇〇年までに十四の整備をしたい。近くのアジアの国または地域におきましては、既に香港やシンガポールに相当数の施設があり、これからも鋭意ほかの国もこれに取り組んでいくということでございますので、一種の国際競争になろうかと思いますが、我々としてもこれにおくれることなくこういう整備をしていきたいということでございます。  それから五ページでございますが、今度は国内の地域間の連携、交流の促進の取り組みでございます。  これも、国土の均衡ある発展あるいは地域経済の活性化を促進しまして経済構造改革を支援していく。このために国内の人の流れあるいは物の流れの効率化に資する高速鉄道ネットワークの整備あるいは高度化により全国的な基幹ネットワークの整備推進するということで、そこに挙げてございますのは全国新幹線鉄道網の整備でございます。営業中の路線千九百五十三キロメートルに加えまして、整備新幹線として三線四区間二百九十キロメートルが現在工事中で、その他の整備新幹線として千五十キロメートルが計画をされているということでございます。御案内のようにこの十月一日に高崎―長野間に新たな新幹線が開通し、いわば地域の活性化に資していこうということになっております。  それから六ページでございますが、新幹線以外の幹線鉄道の高速化事業も相当程度行われておりまして、地方の大きな都市を相互に結ぶ区間におきまして在来線の新幹線直通運転化であるとか高速化等を行っております。これによりまして、いわば新幹線と連携した形での高速鉄道ネットワークの形成を図っていくということでございます。  それから七ページでございますが、やはり国内の交流の問題として地域の拠点となる空港整備を進めているということでございまして、過去五年間に整備を行っている、これは先ほどの関西国際空港等も含まれますが、大都市圏拠点空港地域拠点空港、これの整備状況を示しております。左側の箱の中に完成した関西国際空港以下六つの国際空港の供用のぐあい、新たな滑走路ないし滑走路の移転の供用のぐあいが書いてあります。それから右下の方には、現在整備中のものが仙台空港のいわゆる三千メートル化を含めまして挙げてございます。  それから八ページでございますが、今度は大都市の都市圏内の通勤通学の問題でございます。  私どもといたしましては、豊かな都市生活を実現していくためにいわゆる交通需要マネジメントを推進していきたい。これは建設省さんや警察庁さんと協力をしながらやっていきたいということでございます。そういうソフト的な対策とともに、都市鉄道の整備による輸送力の増強あるいはバスを活用した地域の交通状況の改善を図っていくことが必要だというふうに考えてございます。これによりまして、公共交通機関の混雑を緩和して快適な通勤通学を実現していきたいというふうに思っております。  八ページの下にございますのは昭和六十年の運輸政策審議会の答申で、こういう路線、高速鉄道を整備すべきだという基本計画が答申されておりますが、それに対する既に完成して営業中のものとそれから工事中のものの割合、それぞれ約四〇%が既に営業を開始し、工事中も二七%がある、その他免特許済みないし未着手が三三%ある。そういう状況で、その意味でまだ現在都市鉄道の整備が進捗中であるというふうにお考えいただきたいと思います。  それから九ページでございますが、これはバスのサービスの高度化、特に情報システムを導入いたしまして、走行環境を改善したりあるいはお客さんにバスがいつ来るかというようなものとかどういう路線があるかというのがわかりやすい形で、特に鉄道ターミナル等において整備されていくものについてそういうシステムを促進していきたい。私ども、バス交通活性化システムというふうに総称をしております。  先ほど来申し上げました通勤の混雑の緩和、そのための路線の整備に取り組んでいるわけでございますけれども、今の状況を参考までに十ページで示しておりまして、現在東京圏の鉄道ラッシュ時間帯の混雑率というのが一九二%という状況になっております。  その下の折れ線グラフにございますが、昭和五十年度におきましては同じ対応した数字が二二一%で、これは十ページの下の絵を見ますと、体が触れ合い相当圧迫感があるとか、あるいは電車が揺れるたびに斜めになってしまうとかいうオーダーの混雑率であったわけでございますが、これが路線の整備あるいは輸送力の整備によりまして次第に右肩下がりに下がってきている。  その理由として、一つは通勤通学者数につきましてもやや頭打ちという状況も貢献しているという面がございますが、主としては輸送力の整備が進んだために、まだまだ大変な状況であるのは間違いないんですが、混雑率は徐々に緩和されているといったのが実態でございます。  それから十一ページは、今度は地方における生活の足の確保でございまして、やはり公共交通機関というのはその地域にとって特に必要だ、不可欠であるというものがあるわけでございますので、これについての維持あるいは活性化を図っていくということでございます。バスそれから海上交通の航路あるいは航空路線につきまして、関係地方公共団体と基本的に協調しながら所要の助成措置等を講じているという状況でございます。  それから十二ページでございますが、交通機関相互の連携及び整備でございます。  先ほど建設省の方からも御説明があったわけでございますが、まず空港アクセスにつきましては、特に鉄道と道路整備というものがないと空港の利便性というのは向上しません、あるいは十分に利用されませんので、空港へのアクセス鉄道、道路整備を一体的に連携してやっているというのがまずあります。  ここで例に挙げておりますのは羽田空港のアクセスでございまして、従来のモノレールを延伸したり京浜急行を新規に乗り入れしたり、首都高速湾岸線、環状八号線の延伸等多様なアクセスを確保しつつあるという状況でございます。  それから十三ページは、地方空港でも、例えば宮崎空港連絡鉄道というのが宮崎空港とJRの本線を結びましてかなり便利なアクセスになってきているという状況でございます。  それから次に、交通機関相互の乗り継ぎの問題で、十三ページの②にございますのはいわゆるパークアンドライドということで、マイカーで郊外からやってきて鉄道などの大量交通機関へ乗りかえるという手法でございまして、これは環境保全の観点からも、大都市内でマイカーが走り回るということがないわけでございますので、これについて推進をしているということでございます。  ここで例に挙げておりますのは札幌の例でございます。黒丸の地点においてマイカーから公共交通機関に乗りかえていただく、そういう駐車場を設けているわけでございまして、括弧内は参考までに駐車台数も書いてございます。  それから十四ページは、今度はマイカーで来ましてバスに乗りかえていただく。都市内はバスに乗りかえていただいて、バスはバス専用レーンを設置して渋滞を避けながら都市交通を行うという例で、これは徳島市の例でございます。高架下に駐車場を設けてバスに乗りかえていただくということでございます。  それから最後に④では、駅内外歩行者快適化作戦ということで、歩行者にとって連続性の高い快適な移動を確保するため、エレベーター、エスカレーター、それから情報案内システムの整備をしていく、あるいは駅前広場や自由通路の改善等の歩行環境の改善を、やはりこれも関係省庁連携もと推進をしているということでございます。  以上が総合的な交通ネットワークの整備でございます。  次の三番目は、公共投資重点配分でございます。かなり建設省さんが御説明されたのと考え方が同じというか、一部オーバーラップするものもあろうかと思いますので、なるべく簡単に申し上げます。  まず十五ページでございますが、重点的な政策課題に対応した事業への重点投資を行っているということでございまして、端的に申しますと、先ほど申し上げた中枢・中核港湾について大幅に予算を投入して、拠点空港と中枢・中核港湾という大空港、大港湾予算配分する、その他の地方空港地方港湾については大幅に減額するという考え方をやってございます。  ここに書いてございますのは十年度予算要求の九年度予算と比べた伸び率でございますが、空港について申しますと、大都市圏拠点空港は三二%増の予算要求をしておりますけれども、地方空港は逆に三三・五%のマイナスでございます。港湾につきましても、いわゆる中枢港湾については一三・七%の増額を要求していますが、地方港湾については一五%のマイナスということで、明確な差異化を行っているということでございます。  次に十六ページでございますが、もう一つ予算以外のものとして事業実施箇所数等の削減も行っております。  空港につきましても、これは継続事業が多いために劇的には減っていないんですが、平成年度におきまして、実施箇所数が二空港減っているというものとか、地方と国の費用負担を見直した新しい地方空港整備特別事業を二空港で始めているとか、そういうことをやっております。  それから港湾につきまして、これは相当減っておりまして、地方港湾事業実施港数でございますが、平成年度平成年度に比べて二十六港削減をしております。下の矢印にございますように、平成年度と比べますと、平成十三年度におきましては三七%削減するという計画を持っております。  それから、重要港湾につきましても、いわゆる工事を行う箇所数についても大幅に絞り込みを行っておりまして、平成年度は九年度に比べて百二十カ所削減をする、それから八年度と十三年度を比べましても三百五十六カ所、二五%削減するという計画でございます。  それから次の課題でございますが、公共事業のあり方でございます。十七ページでございます。  まず費用対効果分析実施でございまして、その公共事業の効率的、効果的な実施と合理的な投資決定のためにこの手法を改善していく、それから投資決定における評価手法を定めていく、特に総合的、体系的にこの事業評価の実施を行っていくということを考えているわけでございます。  それで、特に新規の大規模プロジェクトにつきましては、定量的な費用対効果分析を導入する。具体的に、アクセス時間とか、運賃その他のコストの節約とか、混雑緩和等についても分析の対象にしていくということで、そこに例示をしております。  それから、公共事業の総合的評価手法の確立ということで、一番下でございますけれども、地域開発効果、所得の増加、安全性の向上、環境への影響等の評価項目とそれらを計測するための指標を体系的に整理していくということでございます。  それから、次に十八ページでございますが、そのような費用対効果分析手法策定に向けまして、私どもにおける取り組みあるいは関係省庁との取り組みをそこに御紹介させていただいておりまして、主な取り組みとして、十八ページの真ん中ごろから書いてございますが、この一月にはプロジェクトチームを設置してこの検討をやっているとか、四月四日に行動計画を策定しております。  それから十九ページでございますけれども、この八月には公共事業重点化、費用対効果分析建設コスト縮減等に関するプロジェクトチームというのを立ち上げて、今鋭意作業を開始しているということでございます。  それから、関係省庁との間では、この八月十九日に連絡会議あるいはワーキンググループを設置して、情報交換及び連携を行っているわけでございます。  それから、十九ページの最後でございますが、九月二十二日に運輸関係公共事業の総合的・体系的評価に関する委員会というのを開催しております。次のページにその委員会の趣旨あるいは構成を書いてございまして、いわゆる個別の分野にわたる分析もワーキンググループをつくってやりますが、それをまた総合的、体系的に評価指標を定めたり事業の評価手法を策定するということをねらっているわけでございます。  それから、二十二ページに飛びまして、運輸分野における公共工事コスト縮減への取り組みでございまして、これは先ほど建設省が御説明になったものと基本的に同じ考え方でやっておりますので省略をさせていただきたいと思います。  それから二十三ページでございますが、施設・事業間の連携の強化、これも先ほどのものに関連することでございますけれども、例えば例示で挙げますと、二十三ページ港湾整備事業と一体となった空港整備ということで、港湾空港を一緒につくるという考え方を新北九州空港というところの建設計画で採用しております。これは関門航路等の港湾整備事業によって発生するしゅんせつ土砂をどんどんその計画の海域に埋め立てをしまして建設費の縮減にも貢献をするということでございますし、しゅんせつ土砂の処理にも役に立つということでございます。いずれこれは二千五百メートルの滑走路を持った空港に生まれ変わっていくという計画でございます。  それから二十四ページに移りますが、五番目に国際交流インフラ推進事業ということで、これは運輸省と建設省が連携をいたしまして、国際化への対応や高コスト是正に資する港湾空港道路ネットワーク等の機能向上計画的、重点的に推進をしていくということでやり始めているものでございます。  都道府県におきまして、地方公共団体、港湾建設局、地方航空局、地方建設局等から成る協議会を設けまして、長期計画との整合性を図りながら港湾空港、高規格幹線道路のネットワークを整備していく、あるいは広域物流拠点や情報通信インフラの整備を策定していくという中身でございます。  それから二十五ページは、公共事業関係省庁連携施策を主なテーマについて、特に運輸省の関係のものについて挙げさせていただいております。これは九年度です。  それから二十六ページは、その同じく十年度新たに取り組むとされている連携施策で、例えば二番目の中心市街地の再活性化のための目的市街地整備とバスターミナル整備の一体的推進、あるいは三番目の複合一貫輸送推進インフラ事業といったものがその中身になっております。  それから二十七ページでございますが、七番目にマルチモーダル施策推進ということで、運輸建設、国土の三省庁連携もとに、交通結節点、交通拠点及びアクセス整備等実現可能施策について九つの共同事業計画を策定して推進をしているということでございます。  それから二十八ページでございますが、今度は既存ストックの有効利用も図っていかなければいけないということで、例えば既存の在来線を改良いたしましてフル規格の新幹線との間で直通運転を行う。これはミニ新幹線と呼んでおりますが、既に山形新幹線あるいは秋田新幹線がこの方法によって新幹線と直通化されまして、大変乗りかえの不便を解消し、在来線を高速化して、トータルとしての所要時間の短縮が行われているということでございます。この効果といたしまして、その真ん中の棒グラフにございますように、これは一部航空の輸送のお客さんを奪っている面はありますが、そういう意味で移動があるんですが、全体として旅客の総流動はふえて地域の活性化に確実に役に立っているというふうに認識をしております。  あと、貨物鉄道の旅客線化につきましても、ラッシュ時の混雑緩和を目的として計画推進しているということもございます。  それから二十九ページは、港湾につきましても既存施設の改良を行うことによりまして貴重な社会資本の効率利用を図っていくということで、特に遊休化した民間・公社所有の港湾施設を公共利用に転換していくということ、それを推進していくための費用につきまして予算補助するという制度を今年度から創設しているわけでございます。  それから、既存コンテナターミナルの改良によって、先ほど来の十五メートル等の大水深化等を図っていくということとか耐震化を図っていくということをやっております。  それから、港湾の全体的な再開発も行っていると。ここでは清水港を例に挙げております。  それから、大きな御提言の柱の五番目の交通機関のバリアフリー化でございまして、三十ページにございますが、これも高齢者あるいは障害者を初めとした方々が使いやすいように適切に対応していくということで、鉄道駅などにおける、これはバスターミナルも含めまして、エレベーター等の整備あるいは低床バス等の導入を推進しているということでございます。  こういったバリアフリー化の状況は、五十七年度、これは国連障害者の十年の初年でございますが、この年と八年度末というのを比べますと、そこにございますように、エレベーターの設置としては五十七年度に八十二駅であったのが五百三十六駅にふえ、エスカレーターについて三百七十八駅であったのが約三倍の千五十二駅にふえている。あと、トイレとか誘導ブロック等の設置も相当大幅にふえているということでございます。  それから、自動車関係でございますと、低床・広ドアバスの導入というのが五十七年度末で約二万六千両でございますが、現在四万四千両ということで相当程度増加しているということでございます。その他、旅客船ターミナルとか空港旅客ターミナルにおきましてもそのような施設の設置等が行われているということでございます。  それから、少し絵を飛ばしまして、六番目の柱として自然環境との調和でございまして、二酸化炭素の排出による地球温暖化問題あるいは窒素酸化物の排出による大気汚染に対応するために、私ども環境問題というのをかなり力を入れてやっております。  まず、二酸化炭素問題でございますけれども、運輸部門というのは二酸化炭素排出量の全体の中で二〇%を占めております。当然のことながら、その大部分が自動車から排出されているということでございます。鉄道などについても間接的には電気を使いながらそのもとの電気について二酸化炭素が排出されているわけでございますが、そういうものを含めても自動車が九〇%近く占めているということでございます。  他方、輸送需要というのが大変まだ着実に伸びておりまして、いわゆる目標年次の二〇一〇年まででも相当程度伸びると私ども見ております。したがいまして、温暖化対策を強化しない場合には、運輸部門での二酸化炭素排出量が二〇一〇年には一九九〇年比で四割程度増加するだろうという予測を持っております。  それで、これに対しまして以下述べるような対策実施しますと、現在、政府全体の中で公式にコンセンサスがある数字として炭素換算で千二百七十万トンの二酸化炭素を削減するということでございまして、これは一九九〇年比で自然体でいくと四割伸びるんですが、九〇年比で約一七%増に抑えるということでございます。  この一七%増というのは、ちなみに一九九六年と比べますと若干減少しているという数値でございます。ということは、九〇年から現在までが非常に車の二酸化炭素がふえてきている。この背景として、車の大型化とか保有台数の増加とか、あるいは実際に利用されるトリップの数の増加とか、そういうもろもろの増加要因がありまして現在非常にふえている最中でございまして、これからこれを相当強力に抑制をしていかなきゃいけないというふうに運輸省として、また関係省庁建設省、警察庁等も含めまして今考えているということでございます。  それで、対策といたしましては、そこにございますが、自動車単体のエネルギー消費効率の向上を行わなければいけない。特に燃費の向上を図っていく。それから二番目に、クリーンエネルギー自動車、低公害車の技術開発や利用促進を図っていくということでございまして、これは二酸化炭素のみならず、窒素酸化物とか黒煙等の有害物質の排出が少ない自動車を開発する、それをまた税制あるいは財投等によって支援をしていくということになろうかと思います。  それから三十四ページに移りますが、三番目の対策として重要なものは物流効率化でございまして、現在トラックによっている物流の相当部分を、私どもとしては鉄道・内航貨物輸送の推進を図っていきたい、いわゆるモーダルシフトを行っていきたい。そのために、港湾整備をする、それからトラックの積載効率向上をする、それからトレーラー化及び車両の大型化等をするといったことで、いわば鉄道、内航海運へのモーダルシフトと、またトラック自身の積載効率の向上、エネルギー面から見た効率の向上というのを図っていく必要があるというふうに思っております。  それから四番目は、公共交通機関の利用促進でございまして、特に旅客の輸送あるいは大都市の輸送になるわけでございますが、地下鉄とか新交通システム、モノレール、ライト・レール・トランジット等の公共交通機関について整備を促進し、結果としてマイカーの抑制を図っていくというふうに考えております。  それから五番目に非常に大事なのは、いろんな施策を公的にあるいは行政上しても、個々の国民の方が車の利用の仕方について抑制をしていただかないとなかなかこのCO2対策というのは厳しい状況にございまして、やはり国民に対する啓発活動、いわゆるエコドライブ、そういうものについて国民全体として取り組みを推進していくということが必要だと考えております。  それから次に運輸関係の概算要求を書いてございますが、省略させていただきます。  ちょっと長くなりまして恐縮です。
  60. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) どうもありがとうございました。  以上で建設省及び運輸省からの説明聴取は終わりました。  これより自由質疑に入ります。  両省とも多岐にわたっておりますが、質疑時間の終了を大体五時ぐらいをめどにいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。また、質疑はただいまの説明内容に関連のあるものとし、簡潔にお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。
  61. 高野博師

    高野博師君 それでは、建設省にお伺いいたします。  この資料の二ページに「住宅社会資本整備水準・目標、国際比較」というのがあるんですが、この中で、下水道とかあるいは都市公園、住宅道路、治水、これが二十一世紀初頭における目標で、例えば下水道の場合は五四%の現在の水準から九〇%、それから都市公園については七・一平方メートルから約三倍の二十平方メートル、それから道路についても約二倍以上、いろんな目標が掲げてあるんですが、これまで戦後五十年でこれだけしかできなかったものが、この数年でどうしてこんなにできるのか。予算の増大が見込めないわけですから、そういう中でこの数字を出す根拠は何なのか、ぜひ教えていただきたいと思います。  それから五の三の「連携交流を支えるネットワークの骨格となる高規格幹線道路等整備」、ここで四つ、国際交流インフラ推進事業とか二十一世紀活力圏創造事業とかいろいろ書いてあるんですが、一つ道路が完成したときに、それがどの予算で、その目的に合致してつくられているのかどうかというのは客観的にわかるんでしょうか。それから、この積算の根拠もどういうことでこういう数字が出てくるのか、その点もうちょっと教えていただきたい。  それから、七ページの「重点化等による投資の質の向上」の中で「平成年度における新規箇所数の減少見込み」というのが書いてあるんですが、下水道事業については百三十から百、あるいは最後の方は公営住宅建設戸数は四万一千から三万七千。この数字なんですが、先ほどの御説明だと一カ所当たり事業費は増大している。全体の予算として前年度比で言えば、例えば下水道事業については〇・九五倍、しかしここの平成年度から十年度の減少見込みで言いますと、百三十から百というのは〇・七六倍なわけですから、なぜ一カ所当たり事業比を増大しなくちゃいけないのか。これをもし増大させなければ、今までどおりであれば相当の予算の減少ができると思うんですが、この点についてぜひお伺いしたいと思います。要するに見直しになっていないのではないかと思うのですが、これもお伺いいたします。  あと幾つかあるんですが、時間がありましたらまたお伺いしたいと思います。  以上です。
  62. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 最初に、第一点の二ページの、現在の整備水準と二十一世紀初頭における目標値との間に乖離があるけれども、これは大き過ぎてとても目標は達成できないんじゃないか、こういう趣旨の御質問だと思います。  この目標値の設定につきましては、建設省なりの日本経済の将来予測をいたしまして、そのもとにおける公的固定資本形成投資可能量を推計いたしまして、その中で、目標でございますので、どちらかというと希望的な範囲内で設定しておる、こういうことでございます。今、手元に詳しい計算根拠がございませんが、考え方としてはそういう考え方でそれなりの目標を掲げておる次第でございます。  それから、第二点の五の三ページでございますが、いろいろ書いてあるけれども、どの予算でどういう事業が行われて、果たしてこういう目的が達成されているかどうかというのがわかるのかわからないのかという御質問でありました。  確かに、こういう数字の上ではおっしゃるような確認というのは難しいかもしれませんが、私どもとしては、全体の考え方としてはこういう考え方の枠の中で一つ一つ事業をチェックしながら着手している、こういうふうに御理解をいただきたいと思う次第でございます。  それから、七ページ事業箇所の縮小でございますが、縮小するとはいったって、一カ所当たり事業費をふやすのではいわゆる公共事業縮減につながらないではないか、こういう御質問であったと思います。  実は、ちょっと私の御説明が足りなかったのかと思いますけれども、ある一定の事業費が所要のものとしてあるならば、その所要の事業費をどのように使うことが効率的か、こういうふうに考えました場合に、多くの事業事業費を割いて工事中箇所をたくさんつくるのがいいのか、そうではなくて、経済スピードでつくり上げて早く完成させて次の事業に取り組むということがいいのか。そういうことを考えました場合に、なるべく早く経済効果を発揮させる、要するに仕掛かり期間中を短くするということが投資として効率的なのではないか。そういう反省の上に立って、限られた予算の範囲内であっても箇所数を減らして一カ所当たりの工事費をふやし早く完成させよう、こういう考え方でございます。
  63. 青木薪次

    青木薪次君 国土開発幹線自動車道があるわけでありますが、将来的に一万四千キロを整備するという考え方に立っておりまして、昨年の国幹審で九百八十キロの整備計画格上げをしたわけであります。そのもとに、ことしは全体として今月の中旬までに二百八十キロの供用開始がされたということで、現在七千キロの国幹道が通って走っているわけであります。  この中で半分くらいはこれからまだつくっていかなきゃならぬということでありますが、先ほども小鷲総務審議官から話がありましたように、いわゆるガソリン税その他重量税等の関係がこの建設費の重要部分になっているわけでありますが、もう運賃は上げられない。しかも、ガソリン税その他燃料消費税等の関係について増嵩分については来年三月で終わりになる。どうするかの問題はこれからの問題と。しかし、トラック協会あたりでは、絶対にこの問題については当初の目的以外に使っちゃいかぬとか、あるいはまた、来年はもう増嵩するのはやめてくれというような、相当手厳しい御意見が私どもに寄せられております。  問題は建設費の関係で、今郵政省の国営の関係については民営化するというような、郵貯並びに簡保の関係等で財投が資金運用部を通じて大蔵省につながっているわけでありますが、これも廃止して自主運用というような問題になってくると、さらにいろいろ問題がある。  特に、低金利時代にどうするのかというような運用の関係もあるし、それから運賃は上げられないということになりますと、これはやっぱり相当自主財源というか、建設省の補助とか真水論とかというのがいろいろありますけれども、そういう問題についてどういうようなお考えでいるのかということ。  それから、今度の行革会議の中で十一月中には省の設置等について大体決められるわけでありますが、二年前ですか、いわゆる長良川の問題について河口堰が大変大荒れになりました。しかし今日、愛知県の東の知多半島付近の利水計画、三重県も含めて大体これで完全になっていくんじゃないかということ、それから治水計画、災害対策関係についても抜本的な解決ができるということなのでありますが、これは単なる保全じゃない。河川は、運輸省から話があったわけでありますが、道路やあるいはまた交通、通信と一体となって、やはり私どもが主張しておるいわゆる国土の整備という段階で当然大くくりにくくっていくべきじゃないのかというように考えるわけであります。  これを先般決められましたいわゆる河川法の改正によって、災害対策というような問題についても樹林帯の設置とかその他の問題が挙げられておりますが、ルール変更とか都市整備やその他にかかわって、河川を全然別の保全省として食糧対策と同じにするというのはまことにこっけいな話だと思うのでありますが、その辺の感想についてお聞きしたいと思います。
  64. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) いわゆる国幹道の今後の問題でございますが、国幹道の特に財源をめぐっていろいろな制約が今後出てくるのではないかというお話でございます。値上げができない、あるいは特定財源についてもなかなか厳しいんじゃないか、さらに財投の問題についてもいろんな議論が展開されておる、こういう状況でもう少し公費の支援が必要になってくるのではないかというお話でございます。  第一点としてお挙げいただいた料金の問題につきましては、昨今のような経済状況の中で、確かに値上げが難しいということは私どもも覚悟をいたしております。  それから財源問題につきましては、先ほど私が御説明したようなことで、従来どおりの暫定税率をお願いしたいということで関係方面に働きかけをお願いいたしております。最終的には、これは税法の改正になりますので、来年政府としても税法をまとめ上げてまた御審議を願う必要がございますが、建設省の立場で言いますると、ぜひとも今までの水準で今までどおり道路関係に使わせていただきたいというふうに思っている次第でございます。  それから、財投の議論建設省の立場でなかなか今お話がしにくいわけでございますが、あえておただしでございますので申し上げますると、やはり公的な介入がないと供給できない行政サービス分野というのはあるわけでございますので、そのために特殊法人をつくって、政府の関与のもとに財投を使ってやっておるわけでございます。そういった意味での財源面での何がしかの政府の関与というのはどうしても必要になってくるのではないかというふうに現在のところ考えておる次第でございます。  さはさりながら、御指摘のように、今後なかなか採算のよい路線がそうあるわけではございません。むしろ採算の厳しい路線の建設に向かわなければならないわけでございますので、そういう意味から財源問題、非常に難しくなってくるというのはまさに御指摘のとおりでございます。  そういう意味で、本来でありますれば国幹道というのは無料でつくってもいいはずのところを例外的に道路公団に有料でつくってもらっている、こういう建前でございますので、本来もっと公費をつぎ込むべきではないかという議論も一方ではあるわけでございます。  巷間、道路公団に対する公費の支出が赤字をカバーするものであるというふうに誤って伝えられておるわけでございますが、そういう性格のものではないというふうに思いますので、今後もその辺につきましては、どの程度の支援をするのかということについては、まさに大きな政策課題として広い御論議をいただく必要があろうかと思いまするけれども、おっしゃるような御指摘一つ考え方というふうに私どもも理解をいたしておる次第でございます。  それから行革、特に省庁再編のお話ではないかというふうに思います。  御案内のとおり、行革会議の中間報告では、国土行政関係を国土保全省と国土整備省と二つに分ける。その際、建設省の現在の組織はほとんど国土整備省に残るけれども、河川行政は国土保全省に持っていって、現在の農水省の大部分と一緒にする、こういう話でございます。  今、青木先生の御指摘は、河川を分離するということはいろいろ問題が多いんじゃないかという御指摘だというふうに思います。この点につきましてはいろんな立場でいろんな議論がされているわけでございますが、私どもでも、先生御指摘のとおり、河川行政を切り離すというのは大変国土行政をやりにくくする。やりにくくするばかりではなくて、かなり具体的にいろんな障害が出てくるというふうに思っております。  時間の関係もありまして、本当はこういう機会をいただきましたらもっとたくさん御説明をいたしたいのでございますが、それは省略いたします。  一つだけ申し上げますと、特に災害のときでございます。河川道路もともにやられる場合が多いわけでございますけれども、こういう場合には人員も資機材も現在共用で使っております。いろんな車両とか建設機械、こういうものも道路部隊、河川部隊共用で使っているわけでございます。もちろん指揮命令系統も一緒でございますが、これが二つに分かれるということは現場で大変混乱を来しますし、こういった体制は国ばかりではございませんで、都道府県、市町村に至るまで一体的な行政システムになっておりますので、市町村レベルまで大変この話にはびっくりいたしておりまして、現場に影響があるので困るということを大勢の市町村の方が言っていらっしゃるということを御紹介させていただきまして、答弁にかえたいと思います。
  65. 太田豊秋

    太田豊秋君 大変心強く感じたことがあるわけでありますが、建設省の四ページのところに、経済に与える影響をも勘案して、用地補償費比率が低いところに重点的に配分していくというふうな公共投資の問題。来年から七%公共投資費が削減されるということの中で、地方にあっては、まさに公共投資依存型の地方自治体の財源の組み方、予算の組み方がなされている市町村が特に私ども東北にあっては多いわけであります。そういった中で、七%の公共投資費が削減されていくということになりますと、地方財政に与える影響というもの、あるいは建設業界そのものが大変な形になっていくだろうと。  そういったときに、用地費比率の低いところということになりますと、当然東北地方とかあるいは大都市圏を避けた形のところということになります。まさにその公共投資の用地費が、恐らく私どもですと田んぼ一反歩当たりで大体三百万ぐらい。ところが都会で買いますと、これが一坪一千万とかそういったところでありますから、こういう用地費が非常に安いところで公共投資をやっていきますと、事業費そのものは非常に大きくなっていくわけでありますから何倍かの事業ができていくということになります。まさにいろいろな資材を使っていく、これは経済に対する波及効果も非常に大きくなっていくわけでありますから、財政再建と言われながらも、ある意味では経済効果あるいは日本の景気浮揚にもつながっていくんじゃないのか。こんなふうなことが考えられますので、この事項については特に私どもはお願いをしながらも、ひとつ御覚悟のほどをここでお聞きしたい、こんなふうに考えます。  それから、もう一つ道路特定財源の問題ですが、先ほど来、ことして終わりで来年からいよいよこれがなくなっていく、時限立法なんだというようなお話があったわけであります。  私ども東北地方でも、ここに掲げてありますように、ガソリン税だとかあるいは重量税とか、こういったことはこの法律ができて以来数量的には少ないにしてもずっとお支払いをして、そして都市圏とかあるいは中心地域道路とかこういったものが早くでき上がっていって、そしていっかは私どもの方にも波及してくるんだろう、こういう期待感の中で我々はずっとお支払いをしてきたわけです、税を納税してきたわけなんです。  私どものところに来るんだろうなと思われるときに、これが財界とか何か都会の人たちからの、もう公共投資地方には要らないんじゃないかみたいな話から波及していって特定財源が例えばなくなっていってしまうとするならば、私どもは今までどういう理由でこれを払ってきたんだろうなと。自分のところはまだまだ砂利道とかそういったところが非常に多いわけでありますし、先ほど和田委員からも話がありましたが、本当に救急車も通れないような道路すら我々のところにはまだ残っているわけですから、こういったことを考えるならば、当然これは来年度以降も特定財源としてひとつ続けていってほしい。  そしてなおかつ、今言われているような、例えばこれを林野の赤字に埋めていくんだとかあるいは国鉄赤字に埋めていくんだとか、こういうふうなことが一方で言われている。これはもうまさに税そのものの目的から逸脱した形であって、新たに国民にこのガソリン税で国鉄赤字あるいは林野の赤字を埋めますよと提案したときに国民が納得するだろうか。こういったことまで含めて考えますと、これは道路特定財源という形で、大いにこれからも我々も一緒にやっていきますので頑張っていただきたい。この辺の所見もお伺いしたいと思います。  以上です。
  66. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 確かに、昨日以来の株価にも示されておりますように、大変経済状況は深刻であると私どもも考えております。そういう状況もと公共事業予算が削減される、これは財政構造を変えていくんだという大変強い決意のもとでの政府全体の姿勢でございますので、これに従わざるを得ないと思っておりまするけれども、そういう状況の中にあっても、先ほど来御説明しましたように、少しでも景気振興のお役に立てるように頑張りたい、こういう私どもの気持ちが今、太田先生御指摘のようなことにあらわれておる次第でございます。都市部の先生方からはけしからぬという御批判を受けるわけでございますので、私どもは大変つらいわけでございますが、トータルとしますると、やはり今の時期、こういうことに向かわざるを得ないのではないかというふうに思っております。  そしてまた、これは本日の御審議の対象外かもしれませんが、そのかわり都市部ではいろいろなビジネスチャンスもあるわけでございますので、規制緩和を図ることによって、いわゆる民活といいますか、民間のエネルギーを掘り起こすということによって全体としてのバランスをとっていくことは今必要なんではないか、そういうことを考えながらいろんな対策を検討しておるところでございます。太田先生の御激励もございましたので、省全体に太田先生の御激励の言葉を伝えましてさらに頑張ってまいりたいと思います。  道路特定財源につきましても、全く私どもの気持ちと同じ気持ちを代弁していただいたような気持ちがいたしております。そのこともあわせて、帰りまして省全体に伝えておきたいと思います。どうもありがとうございます。
  67. 小山峰男

    小山峰男君 建設省にちょっとお尋ねしますが、四ページあるいはほかのところにもありますが、この囲みの中に「国と地方、官と民の的確な役割分担を図るとともに」というふうに来年度予算の概算要求の特色を書いてございますが、具体論として、この部分、どんな形のものが九年度と変わったのかということが一点。  それから、先ほど費用対効果分析の問題が両省とも出ていますが、これをやっていくと、まさに大都市中心の施設整備になる可能性が強いというふうに思っております。一応の方向としてはいいと思いますが、過疎地だとかあるいは地方というのがこの分析からいけば全然比較にならない形になってしまう、そういう意味では大変危険な方向でもあるなというふうに思っていますので、その辺をどういうふうに考えるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  68. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 四ページ役割分担に関連しての御質問でございますが、官と民との役割分担、それから国と地方との役割分担、二つあるのではないかと思います。  まず、官と民との関係でございますが、具体的には、特に住宅政策分野におきまして、先ほども申し上げましたけれども、中堅層に対する住宅対策といたしまして、従来、住宅・都市整備公団というところが直接自分で住宅を建て供給しておったわけでございます。分譲住宅、賃貸住宅をやっておったわけでございますが、こういうところにつきましては民間のいわゆるディベロッパーさんの力ももう十分ついておりますので、多分に競合関係が生じているのではないか、こういうことが言われておりまして、既に住都公団の改革につきましては閣議でも、分譲住宅からは撤退する、分譲住宅はやらないという政府全体の方針を決めております。それから、賃貸住宅につきましても、原則的にはやらない、民間市場で賃貸住宅供給を誘導する、こういう方針に切りかえる、直接供給は要するにやめる。  ただ、そうは言いましても、賃貸住宅につきましてはまだまだ住都公団の役割が部分的にはあるんじゃないかということで、若干政策的に必要な分野については限定的にやる必要があるんじゃないかと思っておりますが、従来のような広範な形での賃貸住宅はもう廃止するという方向を決めております。  関連して言いますると、それじゃ賃貸住宅についてどうするんだということでございますが、これは民間の適正規模の安い住宅が出やすいような環境整備をすることによって賃貸住宅対策をさらに強化する、こういうことではないかと思っておるわけでございます。一つの例示としてそういうことを申し上げた次第でございます。  それから、公共団体との関係役割分担でございますが、これは公共事業分野についてはかなり制限や制約がございます。いわゆる地方分権の議論が昨年の暮れから地方分権委員会を中心に行われておりまするけれども、ここで建設関係の事務は相当思い切って地方に移譲するということを既に決めております。分権委員会の報告書でもまとめられておると思います。  例示で申し上げますると、よく都市計画が例示に出されるわけでございます。都市計画というのはそもそも都市の問題である、国が関与するというのはおかしいじゃないかという議論があるわけでございますが、実態を申し上げますると、都市計画決定の大体六割が市町村、四割が都道府県、そういう実績になっております。都道府県が決めます四割のうち約半分、二割でございますが、この部分が実は国の利害にかなり関係する部分でございますので、例えば承認であるとかそういう手続によって国のチェックを受ける、国との合意が必要である、実はこういう姿になっておるわけでございます。  先ほど御例示になりました国幹道のようなものですら現在都市計画決定をいたしておるわけでございますので、ああいうものにつきましては国が大変関係があるということで国と一緒に決めてほしいと。今言いましたように、都道府県が決める約半分については国と相談しながら決めるというのが実態でございます。  これにつきましても今回大幅に権限移譲の方針を決めておりまして、さっき六対四と申し上げましたが、それを二対八ぐらいにする。八割を市町村で決める、都道府県で決めるのは二割。そのうちの半分の一割を、これはどうしても国と相談しながらやらざるを得ないものが残りますものですからやむを得ないのでございますが、それについても従来二割だったものを一割ぐらいに減らす、こういったことをやっております。  それから、公共事業関係につきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、なるべく細々した補助金、つまりよく言われる零細補助金と言われているものでございますが、零細補助金といっても私どもの補助金は割合額が大きいのでございますが、そういったものについても思い切って廃止をしていこうというふうなことを既に平成年度の概算要求の段階から打ち出しておりますし、さらには先ほどちょっとお話しになりました省庁再編との関係もございまして、さらに一段とスリム化をするための権限移譲ができないかというふうなことでいろいろ検討を進めている段階でございます。  それからもう一つ、費用対効果分析を余り突き詰めていくと都市部投資が偏って地方に行かないのではないかという御心配でございます。大変ごもっともな質問であろうかというふうに思います。  ただ、公共投資経済効果、単純な経済的な評価だけで決めていいかどうかという側面があろうかと思います。いわゆる社会資本というのはいろんな意味での広範な役割を担っておるものでございますので、よく言われておりますようにシビルミニマム、国民生活を営む上でどこにあっても等しく受けるべきサービスというのがおよそ日本国民たるものはあるのではないか、そういう観点に立ちますると経済効果だけで物事を律するというわけにいかないわけでございます。  実は、海外におきましては、費用効果分析をやる場合も、地方部でやる場合には少しげたを履かせて、点数を上乗せしてバランスをとるとかいろいろな工夫をいたしておるわけでございますので、私どもも費用効果分析だけで投資のプライオリティーを決めるということはいかがなものかというふうに考えております。全体のバランス、地域間のバランス、その中においてやはり経済効果の高いものにプライオリティーをつけてやっていくという姿勢が大事なのではないかと思っております。
  69. 有働正治

    有働正治君 私は、社会資本整備をやる上での大きな柱の一つは、総合交通政策といいますか総合交通体系の整備が必要じゃないかという考えを持っているわけです。ところが、交通基盤整備の上で、運輸省は港湾空港、鉄道、建設省は道路という形で、一本化された交通体系にはなっていないわけであります。しかも、道路だけは道路特定財源等によって巨額の国費がつぎ込まれて整備され、保障されてきているという状況もあるわけであります。  同時に、こういう事態もあるわけであります。例えば、神戸のようなところには高速道路もあるわけです。港もあります。新幹線も通っています。近くには伊丹空港あるいは関西空港などの空港もあるわけであります。ところが、その上に立って今度は神戸空港までつくる。これはさきの神戸市長選挙で、地域住民の震災をそっちのけにしてこういうものは何事かと厳しい御批判も出されたやに承知しているわけでありますけれども、そういう状況が一方でありながら、地方に行きますと、公共交通機関が本当に衰退して、交通弱者と言われるお年寄りの方あるいは障害者等の方々が深刻な影響を受けている、こういう問題もあるわけであります。  そこで、運輸省にお尋ねするわけでありますが、第一は、地方ローカル鉄道の衰退だとか地方パス路線の衰退という状況の中で、地方の公共交通機関をどう確保していくか。やはり私は、モータリゼーション優先の施策を改め、地域の実情も考慮しながら、道路港湾あるいは空港、鉄道、こういうものの優先順位を住民合意のもとで整理して整備すべきではないかと思うのでありますけれども、ここらあたりについての運輸省の考え方。  第二点は、道路特定財源の問題でありますが、本調査会のことし六月の報告の中で、「交通ネットワークの整備をバランス良く進めて行くためには、特定財源の使途を見直し、交通基盤整備の財源となるよう、一般財源化の検討を進める必要がある。」と、こういう提言がなされているわけであります。  そして、こういう財源を総合交通政策体系を整備する方向で道路、鉄道、港湾空港等々バランスよく配分してやっていくことが大事ではないかと思うわけであります。どうも建設省はそうではなさそうだ、あくまでも既得権確保というお立場のようでありますが、運輸省として、同時に建設省としても本来そういう全体の立場に立つべきだと思うのでありますが、主としてきょうは質問は運輸省にこの点についてどうお考えか、この二点をお尋ねします。
  70. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 先生の今のお尋ねにつきまして、まず一つ地域地方の中で地方鉄道あるいはバスというのがなかなか経営が厳しい状況にあるということはおっしゃるとおりでございまして、また離島の航路についても同様でございます。  この点につきまして、私どもとして、冒頭に申し上げましたけれども、あくまで基本は市場原理の活用というのを図っていきたいという原則を持っておりますけれども、他方、交通弱者と申しますか、地域のマイカーが運転できない方とか老人とかあるいは学生とか、そういった方々が必ずその交通サービスを必要とするというのも事実でございまして、そういう交通サービスが単に経営という問題だけで撤退をしていくと地域全体がだんだん落ち込んでいくということが必ず起こり得ますので、私ども、大変厳しい財政状況の中でございますけれども、先ほどちょっと触れましたように、このような地域の交通の確保、公共交通機関の確保のために地方公共団体と一緒に必要な助成措置を講じていくということを考えているわけでございます。  それから、地域のそういう厳しい状況の中で、例えば新しいプロジェクトを他方やるということにつきましても、これは先ほど先生、神戸空港を例に挙げられましたけれども、私どもとして、まず基本的にその地域地方公共団体の意思というのを尊重しながら、他方、運輸省の交通ネットワーク論というか、必要な交通ネットワークを確保していくという観点をもあわせて考えていくということでございますけれども、我々としては、やはり地域の中のコンセンサスというのは非常にその地域の足の確保あるいは交通ネットワークの確保、新しいプロジェクトの設立の中で大変重要だというふうには考えておるつもりでございます。  それから、特定財源の見直しの問題でございますけれども、先ほど触れましたように我々としては交通のネットワークが、陸海空という交通手段がそれぞれの特性に基づきまして総合的、効率的に整備されていくということが大変大事なことだと思います。  それで、そこの間で特に重複的な投資とかサービスが行われるというのは国民経済的にも財政的にもむだなことになる可能性がありますので、その点、現在道路については建設省さんが取り扱って、その他の交通機関と違う省庁がやっておるわけでございますけれども、この点については先ほどもちょっと御説明しましたけれども、省庁間の連携協力あるいは情報交換ということについて具体的に局長級とか次官級とかかなり一生懸命やっております。  特に、例えば大空港整備などにおきましては、先ほど小鷲総務審議官も触れましたけれども、空港整備をするときに、例えば関西空港ですと一兆五千億の投資をしているわけですが、それの二倍とか三倍とか、ちょっと正確な数字は今わかりませんけれども、そういったオーダーの道路整備もそれに連携して行われているということでございますので、交通機関間の投資について、現在、省庁は分かれておりますが、かなり協力、連携というのは行われているのではないのかなというふうにまず思っております。  いずれにいたしましても、ちょっと繰り返しで恐縮ですけれども、そういった交通機関の特性を生かした整合性のとれた総合的な交通体系の整備というのが政府全体としてはぜひ必要だというふうに認識して、それに基づいて行政を行っていく、プロジェクトを推進していくつもりでございます。  それから、財源の問題でございますけれども、率直に言って大変難しいお尋ねだと思います。それぞれ財源が受益と負担のバランスを考慮して利用者負担という形で設定されておりますので、一つの施設のために支払われた財源が別の施設の整備に充当することについて利用者の御理解を得られるのかどうか、あるいは全体として国民のコンセンサスが得られるのかどうかという点で、そこのところは慎重に検討していかなければならないというふうに考えております。
  71. 有働正治

    有働正治君 運輸省はもう少し見直しは必要という立場なのかどうなのか、はっきりしないんですけれども。
  72. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 繰り返しで恐縮でございますが、ただいま申しましたような受益と負担のバランス、あるいは財源についての利用者の負担の理由あるいは理解というのがやはり非常にポイントになるのではないか。その意味で、直ちに見直すべきであるというところまで踏み切って発言することはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  73. 小川勝也

    小川勝也君 住宅関連で望ましい床面積あるいは都心の住宅などという問題がありました。これはさておきまして、私が指摘をしたいのは過疎地域における人口の流出ということであります。  先ほど都会と田舎の投資効率に差が出てくるのは当たり前だという議論がありましたけれども、昔こんな話を聞いたことがあります。ある村長さんが、自分の村に高速道路が来ると若い衆がそれを喜んで村に定着してくれるのかなと思った。しかしながら、都会に出ていってもすぐ帰ってこれるからということでみんな地方中核都市に出ていってしまった。そんな結果が我が国の投資状況だったのではないかなというふうに思っております。  ハードは充実しているけれども、ソフト面がいま一だといういろんな議論がありますが、私は投資効率を考える場合に、その地域人口がどのぐらい定着てきるのか、あるいはもっと簡単に言いますと、その地域で高校を卒業した若者がその地域で仕事にありつくことができるか。  先ほど来、運輸、農水、建設の三省でいろいろな協議をしているという話もお伺いしました。例えば産業という面で言いますと通産省などがその関係にあると思いますし、特に県や市町村の地方自治体、その地域にどのぐらい若者あるいは人が定着てきるのか、そんな観点から公共投資というのを考えることができないだろうか。素朴な疑問でございますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  74. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 特に過疎地域人口流出と社会資本整備との関係についてのおただしでございますけれども、高速道路などに非常に典型的に見られるわけでございますが、過去の開通の実例を見ますると、やはり高速道路が開通した地域における人口の集積度合いとかあるいは所得の伸びぐあいとか、かなり顕著なものが実はございます。ただ、インターチェンジが近いか遠いかによりましてその効果はかなり違うわけでございまして、その限界圏を越えますとなかなか高速道路の効用というのも及ばないということは事実でございます。  実は、先生がおっしゃったのはそういう地域の話じゃなかろうかと思いますので、要するに公共施設のつくり方が悪いから人口が流出する、そういう関係では必ずしもないのではないかと私は基本的に思っております。むしろ、地域全体、地方全体としてみると、やはり大都市圏へ行くことをかなり食いとめているんではないかなと。  私も地方の行政の経験がございますが、基本的には就業機会が決定的に足りないというのが地方問題点でございまして、工場等の進出度合いを見ましても、やはり高速道路が開通することによって新規の工場立地が活発化する、そういったような産業面での効用も非常に顕著にございますし、そういう意味では、私どもがやっております公共事業人口流出の歯どめになっていないというのはちょっと私としては違うんじゃないかなという思いが強いわけでございます。ただ、御指摘としては、人口流出を食いとめるための社会資本整備をもっと進めるべきじゃないかと、こういう御指示であるとすれば、そういう配慮は私どもは十分しなければならないと思う次第でございます。
  75. 鶴岡洋

    会長鶴岡洋君) 以上で建設省及び運輸省に対する質疑は終了いたしました。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。   午後五時散会