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山本一太君 今、
広中先生の
お話を伺ったんですけれども、私は
自分でオリジナル曲を書いていまして、政治を音楽を使って伝えようというバンドもつくっていまして、その中でステータスクオ・ノーモアというふうにいつもバンドで叫んでおりますので、現状維持派ではないですし、常に政治にいろんなブレークスルーをもたらそうという考えもあります。
さっき
馳先生から、
外務省からよく役人が来るという話があったんですけれども、別に
外務省の
立場に加担して
外務省が何か言うから
基本法に慎重なわけではなくて、やっぱり
自分なりに、
援助機関にいたり、それから
日本の
援助を考える中で、
基本法が悪いとは言っていないんですけれども、
透明性がないとか今まで
国会と
ODAとの
かかわりが薄かったということで
基本法にすぐ飛びつくことについて、ちょっと確信が持てないということがあります。
どういう問題があるのかというのは、もう言い尽くされたことですけれども、つくり方によっては当然
外交を縛るものになると思うのが一点。それから、これもつくり方でしょうけれども、やっぱり法律の
議論になるということはかなり大変なことだと思いますし、また、別に
ODA基本法を進めるということに水を差すつもりはないんですけれども、世界的に見たときに
ODA基本法というのはメーンストリームになっていないんですね。
アメリカの
基本法はかなりネガティブな
部分が多いですし、この間イギリス大使館に行ったときにイギリスの法律を見せてもらって、
最初ちょっと読んだときに、こんなものが
基本法かなと。単なる手続法みたいなものなんですね。何度も
援助省の役人に聞き直したんだけれども、これはファンダメンタルローかと言ったら、これが
基本法だという話だったんです。何でこれを
基本法と言うのかわからないんですけれども、こういう法律を出す必要があるのかなと。いろいろな考えの中で、
ODA基本法が全くよくないと言うつもりはないんです。
それは、
田先生が今までつくられた、苦労された田法案の中の例えば中期、
長期計画の提出というのは現実的じゃない、ではそういうものはやめて
理念だけでもきちんとしましょうということには
意味があると思うんです。確かに、
国民の間それから
議員の間の
認識を高めるとか、世界に対して
メッセージを送るとか。
ただ、いろんなことを総合的に考えてみると、現実に
ODA基本法をつくろうというときの問題点もいろいろ出てくると思うので、別にこれはステータスクオを守ろうとか、
外務省がこれを一生懸命心配しているからとかいうことじゃなくて、個人的に今の
段階ではちょっと確信が持てないということですから、それは誤解なさらないでいただきたいと思うんです。
ちょっと長くなるんですが、
一つ、今回のいろんな
議論の中で出なかった大きなポイントで、マルチとバイの
援助をどうするかということがあると思うんですね。マルチの
援助とバイの
援助をどうやって
日本が考えていくかというのは大きな問題だと思うんです。
マルチは、大きく言うと御存じのとおり国際開発金融機関、世銀とかアジ銀とかに対する
援助、あるいは
広中先生も今一生懸命なさっている
社会・人道分野の国連機関に対する
援助、ユニセフ、UNDP、UNFPA、UNHCRというようなところがあると思うんです。今皮肉にも、
日本の一〇%
削減というものが世界に間違った
メッセージを送るからといって反対してきたわけで、簡単に一〇%
削減が決まってしまったら、このことがかえって
日本の、
国際社会といいますか国連といいますか、
ODA貢献の存在感を逆に示すことになったと思うんです。もう悲鳴が毎日上がって、事務総長から書簡は来るわ、国連機関の長は来て総理に直訴するわ、こういう中で私も
広中委員と同じように、こうした国際機関への拠出金を三五%、四〇%削るということは世界に間違った
メッセージを送るということで運動してきたんです。
この間よく考えてみたら、これは与党の方の事情を申し上げてちょっと恐縮なんですけれども、総理初め首脳部の方にはこの国連のPRが意外と効いていまして、UNHCRとか幾つかの国際機関については余り減らすとまずいかなと、どうもそういう雰囲気は漂っているんですけれども、実はパイが限られているものですから。もう
一つ、
援助にはバイという大事な
部分がありまして、ここに
田先生がおっしゃった協力隊も含まれるわけです。
技術協力、無償
援助の方の
予算はどうも余り手当てができそうもなくて、国連機関の方だけ少し何とかしなきやというムードが何となく与党首脳の間に漂っている。
私も改めて考えたんですが、やっぱり
援助というのはマルチとバイと両方必要なんじゃないかなという
感じがありまして、もちろん
基本法、
国会との
かかわりの問題と、この
中間取りまとめの後、来期
国会にマルチとバイをどうやっていくかということも
議論の俎上にのせていったらいいんじゃないかなというふうに
感じました。
あと、もう
一つだけ言うならば、確かに国連機関の三五%、四〇%カットはいけないんですけれども、たまには
日本の
外交もフライングベビー
外交というのをやったらどうかなと。もう言うことを聞いてくれないんだったら出さないと。御存じのとおり、アメリカは極めてしたたかで、したたかなことがいいとは言いませんけれども、あれだけ滞納金をいつも持っていて、ちょうど職員の給料が払えるときに出すとか、それを国連改革の大きなバーターにしているわけですね。ですから、もちろん人道的な
支援ということも考えなきゃいけないし、
日本は滞納金なくきちっと払っているということも大事なんですけれども、これだけ大きな金額を国際機関に出しているということから考えると、少しそれを使って国連改革、国連
外交、
国際社会に対する
日本の
立場というものを主張したらいいんじゃないかなというふうなことを最近ちょっと思っておりますので、付言させていただきます。