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1997-11-21 第141回国会 参議院 国際問題に関する調査会対外経済協力に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十一日(金曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     小委員長        板垣  正君     小委員                 馳   浩君                 山本 一太君                 木庭健太郎君                 角田 義一君                 田  英夫君                 上田耕一郎君    事務局側        第一特別調査室        員        加藤 一宇君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○対外経済協力に関する件のうち、「国会とOD  Aの関わり」について     ―――――――――――――
  2. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) ただいまから国際問題に関する調査会対外経済協力に関する小委員会を開会いたします。  対外経済協力に関する件を議題といたします。  本日は、前回までのODA理念及びODAのあり方を中心とした意見交換政府及び参考人に対する質疑等を踏まえ、既に触れられております国会ODAとのかかわりについて議論を深めてまいりたいと存じます。  それでは、正午を目途に自由に意見交換していただきたいと存じますので、御発言を希望される方は挙手を願います。
  3. 山本一太

    山本一太君 この小委員会も何回かいろんな議論委員先生方とさせていただいて、いよいよ国会ODAかかわりということになったわけですけれども、これからの進め方について皆さんの御意見を私の方からもちょっと伺いたいと思ったんですが、ODA国会かかわりということで、やはり一回は参考人の方を呼んでこのテーマに絞ってお話を聞くということは有用ではないかというふうに思います。  この間、外務省大島局長をお招きしていろいろお話を伺ったわけですが、ODA国会かかわりという話を議論するということになりますと、大綱の問題を考える上でもODA基本法の問題を考える上でも、外務省立場をこの点に絞って十分はっきり明確にしてもらいながら進めるというのは、私は議論一つの基軸として大切だと思います。もう一度外務省を呼ぶ必要があるのかという御意見もあるかもしれませんが、このODA国会とのかかわりということに絞ってお一人ぐらいは外務省の方を呼び、またもう一人は有識者あるいはジャーナリストの方、こういう進め方の中であと一回は参考人を呼んで、どういう方向で取りまとめていくのかというのはまた小委員長のいろんなお考えもあると思うんですが、それについて皆さんはどうお考えになるかというのをお聞きしたいというのが一点です。それとあと、いよいよこれでODA国会とのかかわりということになりますが、木庭先生ODA基本法は必要だというふうに何度か発言をしていらっしゃると思うんです。私は、ODA基本法については両方の側面があるので、法律できちっとやるべきなのか、あるいは大綱実施を担保するやり方でやるべきなのか、あるいはスウェーデンみたいに援助目的議会決議でやるよりな形でやるべきなのか、あるいはほかの国みたいに経済閣僚あるいはODA関係者とパーラメンタリアンの定期的な協議みたいなものを強化する中でいろんなチェック・アンド・バランスをかけていくべきなのかということについては、まだ自分の中でははっきりと結論が出ていないところもあるんです。  ODA基本法について言いますと、田先生が提出された法案どもきのう改めて見てみたんですが、外交と非常に密接に関係しているということもありまして、詰めていきますと、外交弾力性を担保する、外交の足を縛らない、そんなことを考えながら、これはたまたま一つの例ですけれども法律として考えていった場合に多分に何か原理原則だけの法律になっていくわけです。結局法律にしたときに実際今やっているシステム余り違いがないというようなこともありまして、そこら辺のところ、かなり精神的あるいは原則的なものになっても本当に法律をつくる必要があるのかどうか、実質的にはこういう議論になってくるのかなという感じもいたします。  初めにそのことだけちょっと申し上げたいと思います。
  4. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) ちょっと小委員長からお願いいたしますが、運営の問題につきましては、次回を含めまして、この散会後に御討議いただきたいと存じますので、本論の方で御討議をお進めいただきたいと思います。
  5. 馳浩

    ○馳浩君 ODA国会かかわり方という面では、私は、いろんな講演会を通じてODAの話をしても国民皆さん関心が非常に薄いということと、我々が今回の予算削減国際機関からいろんな悲鳴をお聞きするに当たって切実に感じているのとは、一般国民の認識の違いに非常に差があるということを逆に懸念しております。基本法内容については非常に議論のあるところなのですが、まず国会みずからが法をもってチェックを図ることができるようなシステムはぜひつくるべきであるという考えを私は持っております。  中川参考人が来られたときに、外交的なプレッシャーを外務省にかけることによって、中国問題等々も我々与党の方でも厳しく言ったことが実際の対応にあらわれてきているという実績もあるわけでありまして、今後、このような問題でこそ日本国会として発言し、それがODAに十分反映されるようなシステムづくりが必要なのではないかと私は思っております。  もっと具体的に言うならば、年度計画などを出させて予算審議をするということは非常にナンセンスだという考えを持っておりますけれども、今回のようなこういう場が設けられて議論することによって、改めて外務省それからJICA、OECFなどの皆さん方からの現場の声を聞くことができ、その透明性を我々もわかった上で、それぞれ選挙区へ帰るなり、それぞれのシンポジウムなりでまた国民皆さん発言することもできますので、私は基本法をまず制定する方向中身を詰めていけないものかという考えを持っております。  その点をまず申し上げたいと思います。
  6. 田英夫

    田英夫君 私は、基本法案をつくった経験があるわけですから、つくるべきだということは当然考えておりますが、その中で今反省している点もあります。特に、きょう小委員長がおっしゃった国会とのかかわりというところは、今、馳さんも言われましたけれども、やはりかなり現実に合ったものでないと実際問題として運用できないと。私どもがつくったのは、五カ年計画中期計画をつくれ、それは国会承認を求めなくちゃならない、次に毎年度計画を出せと、余りにも理想案なんですね。そして毎年度の結果を報告しろと、こういう三段構えになっております。国会の今の審議の現状からしますと、どこが審議をするかということも想定しながら考えますと、結果を報告するという程度のところで透明度を、つまり国会報告することによってそれが国民皆さんにわかる、マスコミを通じてわかると、そういう効果を期待するといいますか、その程度現実的ではないかという気がいたします。  しかし、そうなるとやはり法律で決めませんと、政府としてその結果を国会報告するということが義務づけられないといいますか、慣習的にそうするという程度のことでは済まないのじゃないだろうか。私は、基本的にODA考えるときに、第一は透明度の問題もう一つは機構、実施体制の問題、そして一番根本に大綱がありますけれどもへあれでいいかどうかということを含めての基本理念、この三つがどうしても大切だと思いますから、その意味で、その一つである透明度ということは国会を通してということでやるべきではないか。となると、法律が必要ではないかということを考えております。
  7. 角田義一

    角田義一君 国会ODA関係について、実務的な立場から二、三疑問を呈しながら提起していきたいと思うんですけれどもODA効果なりあるいはお金の使い方なりが果たして適切に行われたかどうかということは、金額も今日大変大きいし、また日本外交戦略の上からも非常に重要な仕事をしているわけですから、国会はこれに当然いろいろの関係を持たなきゃならないと思います。  私は、恥ずかしながら決算委員をやったことがないものですから、今日の決算委員会状況について細かく知っているわけじゃございませんけれども、周りの先生方にいろいろ今回の問題についてお尋ねした限りにおきましては、ODAということで特定して決算委員会でその項目を設けてやっておられるということはない。外務省関係国際協力事業団、経済企画庁さらには海外経済協力基金の審査のときにODAの問題が当然触れられるということで、ODAを統括して決算項目として例えば予算のように集中審議をやるとかというシステムは今日とられていないということでございます。  さらにまた、御承知のとおり、技術協力等については十九省庁体制ですから、それは十九省庁ごとODAの問題を取り上げてもいいんでしょうけれども、かなり決算委員人たちODA関心を持っていただいて意識的に十九省庁のときにその問題について触れていただかない限り、その辺は見過ごされるという危険もあるんじゃないかというふうに私は思っております。  十九省庁いつでもできるということは、場合によれば、裏を返せば全然できないこともあるわけで、したがって、現実的な考え方をするとこれは現場現場で処理してもらわなきゃならぬ問題だと思いますけれども、今ある制度をどういうふうに活用するかということになれば、決算委員会でこのODAの問題をどういうふうに体系的に、組織的に、系統的に取り扱っていただけるのかということを、大変僭越であるけれどもこの小委員会として御提起申し上げるというようなことも、これは国会一つの仲間ですから、どうなんだという問いかけをやることも私は別に垣根を越えて権限を侵すことにはならないんじゃないかという気がいたします。それが一つ。  それからもう一つは、先生方案内のとおり、このODAの問題について会計検査院がたしか平成三年ごろから決算検査報告の中で取り上げるようになりまして、会計検査院は現地にも行っており、そしてかなりむだな、あるいは効果がないとか、いろいろな問題について具体的に指摘をするようになりました。したがって私は、この会計検査院ODA関係仕事といいましょうか領域というものをもうちょっと組織的に広げてもらって、それを国会報告してもらい、そしてそれについていろいろ私どもの方から尋ねるというようなことも意識的に考えなきゃならないのじゃないかというふうに思っております。  それから三点目ですけれども、御案内のとおり、井上先生が会長をやっておられます行財政調査会というのがこの前、行政監視等のための機関の設置についての案を出されました。その中で、「参議院改革の一環として、参議院に期待される行政監視機能を向上させる」ものとして、予算とか決算と同じような第二種委員会として行政監視委員会を設置することが提案されてございまして、恐らく議運等議論をされ、できれば来年の通常国会あたりにと、これは国会法を改正しなきやなりませんけれども参議院独自の案が提起されております。それで、その調査会提言では、所掌の中に「委員会自らが積極的に国政調査権を活用することにより、行政監視に必要な調査を恒常的に行う。」と、こういうことが目的に書かれてございます。  これは結構なことなんですけれども、問題は、その行政監視委員会というものが予算委員会決算委員会と同じような第二種委員会というふうに位置づけられておりますが、例えばその中で、仮にODAというものを問題提起して積極的に取り組んでいただくということになりますと、今の予算委員会あるいは決算委員会のようなスタッフで果たしていいのかどうかという問題があると思うんです。当然これは外国との関係もございますから、そうなりますと、これはこれからいろいろ国会の中で議論しなきゃならぬ問題ですけれども、この行政監視委員会というのは一種独特のスタッフなりを持った委員会にしませんと、実が上がらないんじゃないか。行政監視委員会の特別の予算もとってやったり、それから調査スタッフだとかそういうものもかなり充実させて場合によれば外国へも行くだけの体制というものもつくらないと、せっかくつくった行政監視委員会というものが意味をなさないんじゃないかというふうに思います。  したがいまして、実務的なことになりますけれども、せっかく行財政調査会というものが新しく行政監視委員会というものを提起しているわけでありまして、これは本会議でも承認をされた事項現実的にこれから動いていかなきゃならぬ問題ですから、そういうときにこの小委員会として国会との関係のいろいろこれから御議論を深めていただく中で、やはりそこの中に生かしていくというのが非常に現実的な方法ではないのかなということでございます。そうしますと私ども意見現実に生きていくということで、私はちょっと議運が長かったものですから実務的な話になって恐縮なんですけれども、そういうことも考えていただけたらなというふうに思っております。  というのは、個人じゃなくて民主党という立場に立つと、御承知のとおり行政監視院をつくれということを提起して衆議院法案も出していますけれども、それは各会派の理解が得られなきゃできないことですからなかなか難しいのですけれども現実的な対応とすれば、決算委員会あるいは会計検査院、さらには今後できるであろう行政監視委員会、これらに対してどういうふうに我々が具体的な提言をして充実させていけるのか、こういうことを考えたら非常に現実的ではないのかなということを申し上げたいと思います。  以上です。
  8. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きょうの議題に関連すると、平成元年六月二十一日の調査会の七項目合意事項、きょうの資料のトップに入っていますけれども一つ実施体制一元化の問題、二番目は国会関与を強める問題、それから三番目に立法化基本法制定問題があると思うんです。  実施体制一元化の問題では、参考人からも、今の縦割り行政の生んでいるさまざまな問題点矛盾点、いろいろ指摘がありました。きょう新聞で大問題になっているけれども省庁の再編問題でも、海外協力庁だったか、一元化の案が一時出たのに引っ込んだということもありました。  それで、一元化問題で私が持ってまいりましたのは、参考人経団連の方が見えたときの経団連国際本部がつくった資料であります。これを見ると今の縦割り行政が極めて複雑な実態になっている。長いODAの歴史の中で個別に進めてきたものがこういう十九省庁の網の目のようなものをつくり上げてしまったんだと思うんですけれども、総額一兆円を超えるような非常に大きな国民負担になって、七かも日本にとっても国際関係にとっても、非常に重要なODAである以上、これを一元化することは緊急の課題になっていると思うんです。  この資料の中で「わが国ODA担当省庁および関係機関等一覧」というのがありますが、十九省庁担当窓口というのは、各省の中でもまた課がいっぱいあるんですね。所管の関係機関というのがまたずらっと並んでいる。これが縦割りでやっていくということになると、本当に効果のある、また理念原則にふさわしい援助を進めていくことは非常に難しいだろうと。  先日の参考人からも、国別計画をきちんと立てる必要があるという主張がありました。この白書でも、人間開発とか地球環境重視とか、それ自体は非常に重要な積極的問題提起が次々にあるんだが、そういう問題提起を実際の援助に生かす上で、国別のちゃんとした分析と計画政策を立てることは非常に重要だと思うんですけれども、こういう状況をそのまま放置しておいては到底無理だろうと思うんですね。ここにODA白書があるけれども、これも外務省が主のもので、必ずしも全般じゃないというような状況になっていますね。  ですから、この一元化問題については、この調査会各党一致した主張というか呼びかけというか、勧告になるのか、どうしても一致した結論をぜひ出すようにしたい、そう思います。  二番目は国会関与ですけれども、これはODA秘密主義としばしば言われている問題で、そこに民主的な公開原則を生かすことも緊急の課題で、そのためには何よりも国権の最高機関としての国会関与することが不可欠の課題になっているというふうに思います。七項目合意事項では、各党一致で、国会と行政府との関係で四項目挙げてあります。  一は、国会関与を強めること。  二は、そのために本院に国際開発協力に関して審議をする場が必要だと。今、国際問題調査会で小委員会までつくってやってはいるけれども仕組みとしてこのODA国会として審議する場、常任委員会になるのか特別委員会になるのか、あるいは調査会でやるということになるか、それは今後の問題としても、国民に対する責任として国会でこの問題を任務として審議する場をどうしても制度としてつくっていくことが必要だと思うんですね。  それから三番目は、政府外交上特段の支障のない限り必要な資料国会に提出するとなっているんです。それは、外務省意見でも、全部公開してしまうとさまざまな問題が起きると。あの国に出しておれの国はどうなんだとか、いろいろな問題が生まれるというか外交上の支障が生まれ得るということがあって、それは確かに考慮しなきゃならないことだと思うんです。例えばODAを生かすために必要な外交上の配慮、これは国会としても皆賛同すると思うんですけれども、そういうもの以外の必要な資料というのは、国会審議に必要なものを提出していただくことが必要です。  それから四番目に、毎年国会に対してODA実施状況報告し、実績を初めとする関係資料を提出するということがあります。  これは当時、全党一致合意したもので、やはりこの方向国会関与を進めるべきだと思うんです。  日本共産党は、三年前の九四年に「新・日本経済への提言」という経済提言を、これは二回目のものなんですけれども、厚いものを発表しました。その中でこのODAの問題も一節設けてかなり論じてあります。  もう既に私は幾つか主張しましたが、例えば「①アメリカ世界戦略を補完するODA政策をやめる」、「②経済協力を大企業海外進出支援の手段とする政策を改め、発展途上国での大企業の横暴を規制する」、「③経済的自立に役立つ経済協力人類進歩をめざす連帯を最重点課題とする」、特に地球環境保全のための連帯、NGOの活動と連帯という問題を強調している。それで、この四番目の項目で「民主的公開制度をつくる」ということを提唱しているんです。  今ある仕組みは、円借款について言うと、まず借入国政府日本政府プロジェクト計画して申請する。日本の四省庁外務省、大蔵省、通産省、経企庁が協議し、借款の額、条件などを決める。借入国政府と交渉して交換公文に署名し、借款契約に署名する。それで始まるわけですね。  それで、日本国民に公表されるのは交換公文が締結されたということだけで、内容は公表しないということになっている。内容を公表しないで、ある円借款プロジェクト政府間交渉で決まって、交換公文に署名して契約に署名したという事実だけ公表される、中身はわからぬというんです。その後、すべてOECFがやるというんですね。だから、基金がやる中身も、基金がやる仕事は税金や郵便貯金などが原資なんだけれども国会関与できない。国民の目の届かないところで実際に進行していくわけですよ。中身が全部悪いとはもちろん言わないけれども相手の国の主権に属する問題だ、それから企業秘密もあるということで、全く内容が公表されないまま進んでいる。  今、多少改善されているのなら聞きたいんだけれども、九四年に我々がこの「新・日本経済への提言」を公表した段階ではこういうふうになっているというんですね。だから、こういう仕組みだといろんな問題点が生まれると思うんです。  例えば、前回山本参考人OECFの話で、インドネシアの問題で、ダムをアメリカがつくっていて、もうこれ以上やれないから日本がやってくれと頼まれたので引き受けたというふうな話がぽっと出てくるので、やっぱりアメリカはそういうことをやっているんだなと思いました。そういうことで、公害の問題とか熱帯林の乱伐とか、あるいは汚職とか、さまざまな問題点が生まれるわけで、どうしても民主的公開原則を確立して、必要な資料公開報告と、国会関与する必要があると思うんです。  何もかもこういうものを全部国会がやれといったってこれはもうできっこないけれども、やっぱり問題になるものは新聞その他でも出ますし、当該相手国住民運動なんかも起きるわけだから、そういう問題点国会できちんと審議できるようにする必要がある。だから、ガラス張りのODAをやる。そういう国会関与を行って、また、さっき言った一元化を行うためには、どうしても三番目の問題としての立法化基本法制定が必要になるだろうと思うんですね。  以上です。
  9. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まさにこの国際問題調査会というのは参議院だけにあるもので、ある意味では衆議院と違って長い目で外交、特にODAというものをきちんと見ていこうとこれまでさまざまな論議をしてきた。その中で、ODA大綱という政府大綱が生まれた。これは、まさに国際問題調査会先輩方田先生も当時からいらっしゃいますけれども、そういった方々がODA国民にわかりやすく、しかも透明性を確保するためにという努力を続けた中で出てきた一つの成果であることは間違いがない、私はそう思っております。そして、一つ基本理念という問題で政府としての考えが、参議院のこの調査会意見も反映しながらODA大綱ができ上がったと。  ところが、まずこの基本理念という問題でいうと、大綱だけでいいのかという問題は常に残されている。もちろん政府が決めることは大事なことだし、それは外交に対する情報発信であるけれども国民また各国に対して日本ODAをどうやっていこうかというメッセージをよりきちんと送るためには、やはりこの基本理念という問題についても国会としてどう考えているかというメッセージを送る必要がある。特にODA大綱ができてから、少し時間をかけてこの実効性の問題はさまざま論議いたしました。  そういった中で、日本ODAに対する基本理念をどう担保していくか、どう訴えていくかという問題でいえば、大綱の見直しで済むのかというと、私は、国会としてもそういった基本理念というものをうたいとげるために、まず基本理念という問題から考えても基本法という問題に進まざるを得ないのではないか、一つはこう思っております。  二つ目は、国会関与という問題です。  上田先生が御指摘なさったように、参議院外交安保調査会合意も、もうかなり前にやっておるんですけれども、ここで四項目を我々としては合意したと。しかし、ここまで時間がたったんですけれども、ではこれがこのままきちんと今参議院において行われているかといえば、それは我々の努力も足りなかったかもしれないけれども、残念ながら実現していないのが現実です。  その中でも、これはぜひ議事録とかいろいろ見ていただきたいけれども予算委員会でも決算委員会でも外務委員会でも、この国際問題調査会もそうですけれども、このODAという問題に関心を持ちながら論議してきたのはまさに参議院でございます。それほど関心を持ってきたからこれだけいろんな論議ができてきておる。やはり一つのきちんとした関与についての法的裏づけというのがないと、国会関与関与と我々が言って提言もするんですけれども合意はできていても担保できるかというとなかなか難しい。  逆に言えば、将来どういう国会議員が来るかわかりませんけれども、常に国会議員皆さんODAという本当に大事な問題について関心を持っていただくためにも、ある意味では国会関与のきちんとした法としての裏づけが不可欠であろうと思います。そのやり方については、まさに角田先生がおっしゃったようにさまざまな方法はあると思います。どこで受け取るかというのはこれから国会の中で協議していけばいい話です。  ただ、いずれにしてもそれをやるために、もちろんこの国際問題調査会から申し入れるということも大事な視点ですけれども、それ以上に、私は基本法というもので国会関与を裏づけておくと。その裏づけ方というのは、田先生おっしゃったように、僕らも随分悩みながらこの問題をずっとやってきて、余りに外交の手足を縛る、例えばアメリカ援助法みたいなやり方でやることがいいのかというと、それは現実的に不可能だと私は思っています。また、そのことがアメリカでは問題になっていて、外交の手足を縛り援助というものをゆがめた形になっているとさえ言われている。その意味では、個々の関与の仕方で我々がやるべきことは、ODA国民のお金を使いながらきちんとできているかどうかというまさに評価であり、報告を受けてODAがきちんと行われているかというチェックをすることが一番大事な視点ではなかろうか、こう思っているわけでございます。  そして、さらに一元化の問題。  これは極めて大事な問題なんですけれども、ここは基本法の中でやるべき課題なのか、もう一つはこちらから働きかけていくか。政府として今行政改革を行われていらっしゃるわけですから今の形が最終形だとも思いませんし、この国際問題調査会ODA委員会一元化の問題でもし合意が得られるならば、そのことについて政府に対して、例えば設置法の問題を含めてどうなんだという問いかけをまずこの問題についてはしていくという方法もある。さらに言うと、もっと強い形でやれというのであれば、これは基本法の中で盛り込む方法もあるんです。そこはまさにここでこれから論議できる話ではなかろうかと、私自身はそういう整理をしております。  逆に言えば、これだけ長い間、国際問題調査会でこのODA問題をずっとやり続けてきた。確かに大綱という一つの成果はあったにしても、これまで与野党を含めてずっと議論した経過をたどるならば、ODA全体の見直しの問題もある今、国会国会として、特にこのODA関心を持ってきた参議院としては、一つ方向性について、例えば基本法という形でそろそろ結論を出すべき時期に来ているのではなかろうかという気も私自身はしております。  以上でございます。
  10. 山本一太

    山本一太君 今、木庭先生お話を聞いて、私もこの国際問題調査会に入ってからそんなにたっていないんですけれども、二年ぐらいになるわけですが、先輩方議論が文字どおりODA大綱のもとになったということを思うと、参議院が中心になってこの問題をやってきたということの意味を改めて考えさせられました。  私は、正直言いますと、この小委員会に入る前から、最初に基本法ありきではなくて、反対ではないけれどもどちらかといえば慎重な立場で臨んでおりました。それは、まず一つには、木庭先生おっしゃったように、アメリカ援助法の失敗があって、歳出の発議権が議会にあるためにいろんなことが出てきて、これがUSAIDの手足を縛り、ほとんどUSAIDはモラールが低下しているような状態ですし、これはアメリカ外交にも決してうまく機能していないということで、今見直しなんかもあるということが一つある。それからあと木庭先生のおっしゃった、やはり日本ODAメッセージをきちっと外に送るというのは大変大事なことだと思うんですが、例えば援助先進国と呼ばれている国に援助基本法があるかというと、ないんですね。つまり、援助基本法というものは必ずしもODAメッセージを外に送るために必要不可欠でもないんじゃないかなというのがありました。  ただ、こういう議論をしていく中で、私はODA基本法ありきじゃないんですが、仮にODA基本法をつくる意味があるとすれば、さっき馳先生がおっしゃったように、つまりODAに対する一般の関心が非常に低いと。この間、イギリス大使館に行って援助省の役人と会って一時間ぐらいディスカッションする中で、これはこれから普及広報で参考にできることだと思うんですけれども、イギリスではODAの、援助のパンフレットをスーパーで配っているんですよ。スーパーマーケットでかなり配っていまして、不特定多数の人たちがそれをどんどん持っていくらしいんですね。それもすごくおもしろいなと思ったんです。仮に基本法をつくる意味があるとすると、木庭先生とか馳先生のおっしゃったように、基本法をつくるということで、我々パーラメンタリアンというか政治家もそうですし、国民の間にもODAというものに対する認識が深まるというか関心が高まるということはあるかもしれないな、万一基本法ということになればこれはやっぱり一つのキーワードなのかなという気はいたします。  あと、さっき馳先生からもありましたけれども中川参考人が前に、外交の手段としての基本法の活用ということを思いついた、本邦初公開だとおっしゃっていたんです。あの後、中川参考人とちょっとお話ししたんですが、スーパー三〇一条の話で、御存じのとおりアメリカはとにかく議会と大統領の違いをうまく利用します。議会が納得しないということでとにかくいろんなことを進めているんですが、日本アメリカというのは大統領制と議院内閣制ということで、これはやや違うんじゃないかなということは思ったんですが、その相手の国にある意味でプレッシャーをかけるという視点もなかなかおもしろいのかなという感じはしました。  木庭先生と私が一致しているところは、基本法内容というものは、ODAというものが日本外交一つの大きな柱である以上、その外交をがんじがらめにする内容というのは現実的にかなり難しいというところでは一致していると思います。  田先生、ちょっと今席を外されているんですが、先ほど田先生の方から、自分たちの出した法案については実は現実的でなかったというお話を伺って、先生もそこまで思われるようになったのかなというふうには思ったんですが、三重四重のチェックというのは、現実的には外交の柔軟性を担保するという意味ではなかなか難しいというふうには思うんです。ただ、先生がおっしゃったように余り手足を縛らないものということになると、極めて精神主義的な基本法になると思うんです。その精神主義的な基本法は、いろんな細かいチェック外交の手足を縛るからできない、それじゃ理念の問題はきちっとしなきゃいけないと。それは私も賛成なんですけれども、そういう中身として縛ることがかなり難しい中で、法律として出す意味があるのかと。私は結局こういうところの議論だと思うんで、それはっくり方だと思うんです。  ただ、一つだけ意味があるとすれば、馳先生もさっきおっしゃったように、国民に対する認識を深めるとか、政治家のODAに対する関心を非常に高めるという意味では、法律があるということは意味があるのかなとは思うんですけれども、そこら辺のところは今のメカニズムで対応できないのかというところもあります。角田先生がいろんなことをおっしゃったんですが、角田先生がおっしゃったことは、法律とかそういうものも一つのあれかもしれないけれども、今あるメカニズムを強化することで現実的にODAの問題に対応できるんじゃないかという一つの御示唆ではないかなというふうに聞いていたんですが。  この間、英国大使館に行ったときに、実はイギリスの援助法律を見せてもらいました。これはもう極めて何というんですか、手続みたいな感じで、これがまさか基本法だとは思っていなかったんですけれども、英国の援助省の役人がこれはファンダメンタルローだと。どこが基本法なのかと。だから、つくり方にもよるんだと思うんですが、やはり最後はそこら辺の議論になっていくのかなというふうに感じました。  それから、上田先生がおっしゃった一元化の話は、私も外交一元化ODA一元化というのはやはり非常に必要だというふうに思っているんです。木庭先生もおっしゃったように、例えばこの小委員会でもそれなりの提言を出すということも考えられますし、政治がリーダーシップを持って一元化方向努力をしていかなきゃいけないということは、先生の御意見にすごく賛成をしております。  ただ、一つだけ私が申し上げたいのは、一元化といっても細かく見ていくといろいろな要素がありまして、一番いいのは、今一生懸命外務省がやっているODA予算を全部まとめられるということなんですけれども援助庁がなかなか難しければ、とにかくどこかできちっとODAの流れを見られるようにする。例えば大蔵省ときちっと協議するあれぐらいないと、今全くばらばらですから、そんなこともあるんだと思うんですが。  しかし、私はJICA出身なんですけれども、あらゆる技術協力をすべてJICAに一元化するということが本当にいいことかどうか。例えば、民間を活用した援助みたいなものもAOTSでやっていまして、この間、衆議院の若手の河野議員と二人でタイの研修センターを見てきたんですが、少ないお金ですけれども、半分は国のODA、半分は独立採算でやっている。こういう民間の活力を利用したものもなかなかいいものがある。だから、そこら辺は共存させるところもある。  ただ、この間の参考人お話にも、同じ国から何か幾つもいろんな調査団が来て向こうも混乱しているという話があったんですが、いろんな団体がありますから、全く外務省が知らないうちに例えば農水省とかほかの省庁で行って同じような報告書をつくってくるような、そこら辺のところはまとめていかなきゃいけない。個別に見るとAOTSみたいな意外と民間の活力を生かしたところもあるということは、やっぱり考えながら進めていくべきじゃないかなと思いました。  あと、いろいろ言いたいことはあるんですけれども、余りにも長くなるんでこの辺で。
  11. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私が山本先生とちょっと違うとするならば、国会関与ということで随分悩みながら、このODAというものに関心を持っている議員は取り組んできた。関心を持っている議員は、それぞれ、先ほど角田先生がおっしゃるように、与えられた場で発言することで、このODA問題で政府をただし国民にも関心を持ってもらおうと思ってやってきた。その繰り返しをやってきたんですけれどもODAという問題できちんとした形でなかなか論議が集中してできなかったり継続的にできなかった面もある。そういった意味で、国会への報告ということを逆に言えば法で義務づけることによって、その対応はいろんなやり方があるんだろうと。さっき申し上げたとおりになるんですけれども、やはりそういう法的裏づけがないとこれは正直言ってなかなか厳しいんじゃないか、国会それと国との関係で言うと。そこを  一番感じているところです。  そうすると、これはどうやってやればいいんだと。決議でするのもあるだろう、この取りまとめでやるのもあるだろうけれども、一番いい形というのは、基本法という形で基本理念をうたう、そして基本理念をどう実行していただいているかを担保するためにはやっぱり国会への報告を義務づける。この場合は事後の報告になるわけですね。そういった形の一つのスキームを、参議院というか国会全体の問題ですけれども、そのどっちに付与するかという問題も起きてくるかもしれません、両方ということも起きるかもしれませんけれども、それが必要ではないか。こういうことを私の経験からすると感じているということです。  それと、これはちょっと話が外れてしまいますけれども、いわゆる民間の活用というのもあるでしょう。今、NGOがこういうODAの問題では盛んにやっているわけですから、そういったもののきちんとした活用というか、やっていただけるようなものも、ODAというのは単に政府だけでやる話じゃないので、そういった人たちができるような形を担保するようなものも、もちろんこの小委員会提言ができるならばする。草の根無償を今やっていますね。本当にわずかな額ですよ、でも極めて有効です。これからそんな問題も国際問題調査会提言をする。そういった問題に対してもっと政府は取り組めといった結果が起きているのも事実なんですよ。この小委員会でどこまで幅広く議論するかという問題ともかかわってくるんですけれども、そういった問題まで含めて整理できるならば、やることも有用だろうと思います。  以上、ちょっと山本先生の意見に対して申し上げました。
  12. 山本一太

    山本一太君 ちょっとだけ今の木庭先生の御意見でお聞きしたいんですけれども、私はODA基本法推進という立場じゃありませんけれども、先生が考えられているODA基本法というのは、すなわち基本理念をまず明確にするということですね。
  13. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 国会関与を明確にする。
  14. 山本一太

    山本一太君 国会関与を明確にする、しかし現実的なものであって、外交の手足は余り縛らない形にすると。  すなわち、つくり方によっては法律議論になってしまうということも考えられると思うんですね、一つ一つODA政策をやっていく上で。そういうものではなくて、しかもやはりポイントとしては、時代によってかなり変わっていく、こういうモビリティーを持たせるようなタイプの基本法と、こういうお考えですね。
  15. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そのとおりで、一つメッセージの問題もありました、なぜ海外で基本法というのが少ないのかという御提起もありました。もっと言うと、この前も論議したように、大綱がある国自体が少ないです。こういう援助という問題に対して国として一つ方向を持つということ自体が少なかっただろうと思うし、その意味で私は大綱というのは基本法でぜひ位置づけてもらいたい。大綱になったときはちょっと悔しい気がしましたよ。参議院でやったことを勝手に先取りして、おいしいところだけ政府がとったんじゃないかと思ったぐらいのところはありますよ。  ただ、逆に言うと、そういうものもある意味では、ODAそのものを実施している国の数の問題、それから額の問題、いろんな問題で各国はなかなか取り組めなかったんでしょうし、その中で大綱というのはそれなりの世界に対するメッセージになったし、国民にも関心を持っていただいた。  ただ、それだけで済むのかどうかというところで言うと、私は、基本法というものの中で訴えることも、中川先生みたいなとらえ方もあるんだなと思って関心は持ちましたけれども、基本的には国民に対する、これだけ巨額のお金でやっていることに対する、極端に言うと今緊縮財政の中でODAそのものの有用性があるのかないのかということすら議論されている現状において、国会としては国民皆さんに、こういう意味ODAというのは大事なんですよということについて基本法理念をうたいとげ、国会関与というものを位置づけてあげると。  本当は、もっと細かなことをと、私ども議論したときはいろいろあったんですけれども山本先生おっしゃるような、まずはそこが一番ポイントになるし、国会として皆さん合意できるものから始めるにはそういう方法しかないんだろうと私は思っております。
  16. 馳浩

    ○馳浩君 いただいた資料で私もずっと見てきたんですが、我が国における基本法ということで十四の法律があるわけですね。その条文の概要というのが六つありまして、目的、方針、政策の目標、国の施策(責務)、国会への年次報告審議会等の設置と。これはむしろ国民に対するアナウンスメント効果という意味で非常に意味のある内容であると私は思います。この全部の教育基本法から始まりまして最近でいえば科学技術基本法まで、この国が目指す方向は何なのかと。そして、それによって年次報告を得るわけですから、それが本当に評価され得るものなのかということを国民の代表である政治家が、国会議員国会議論してチェックしておるということを担保することこそ、非常に意味のあるものだと思っております。  木庭委員のおっしゃるように、私も同じ意見ですけれども外交の手を縛るものであってはならないと。けれども、実際にODAの原資は国民の税金であったり郵便貯金であったり簡保の年金であったりということでありますから、いずれにしてもそのお金は国民からいただいている浄財であるわけでありますから、私は、国民に常に説明する責任というのは持たなければいけないという決意を私たちが持ってこそ、それを法律という形であらわしてこそ、意味があるのではないかと。もう何度も申し上げますけれども、我が日本国民は軍事的な貢献はできないという、平和憲法という立派な理念を持っておるわけでありますから、ならばこのODAが本当に国益に資するという形は明確にしておくべきではないかなと。ODA大綱を閣議決定しておる、円借款についても四省庁合意の上で契約しておるということを幾ら言ってみても、我々国会議員にしてみれば、十分な審議をする場もない、報告はあるけれどもいただきっ放しということでは、十分に責任を果たしているとは言えないと私は強く言いたいと思います。  具体的な事例なんですが、私はことしのゴールデンウイークに議員連盟でレバノンに行って、現地の人たちと話をしていたら、百三十億円ほどは地中海沿岸部の水道整備などで環境に資するということで非常に感謝されておりました。一方、少額ではあるかもしれないが三千八百万円で柔道の畳を無償でお与えしたんですけれども、現地のもう六十歳を過ぎた柔道の指導者が、頼むから若い人を送ってくれ、畳があっても積んであるだけで十分使えない。  改めて中近東課の人を呼んで事情を聞いてみたら、いや、実はそういう依頼は従来あったんですと。当地の柔道協会の役員に政治家が入っておって、日本のように講道館というものがあって国として統一して出場していればいいんですけれども、クラブチーム単位になっておって民間が中心の活動をしておるので、せっかくODA予算を使って畳を送っても民間の人が使うためのとり合いになってしまう。三十幾つぐらい民間のクラブがあるわけですけれども、そのどこに行って勝手に使われるかわからない。そういうような現状があるので、その様子を見ておるんだという報告を受けましたと。  ならば、協会内の政治的な争いがあるのならばそれを注視しながらも、指導者がおってこそ、日本の柔道というものの武道精神であったり、あるいは再来年レバノンでアジア大会が行われるときにレバノンの代表チームの選手の強化という面でいえば効果があるわけですし、そういった人のつながりによって感謝されるわけなのでありますが、その点に配慮して、向こうの協会内部の政治的な事情も注視しながらも早目に若い人を送っていただきたいということを申し上げたら、わかりました、その方向でひとつもう一度現地の大使館を通じて政府にも申し上げてそういう形をとりますと。  こうやって一議員の質問に対しては十分こたえてくれますけれども、それが私だけの情報になってしまうわけですね。そうすると、知らない人から見れば、国会議員が言ったから、そういうふうな発言をしたから青年海外協力隊員をレバノンに派遣したんだと、国会議員の越権行為だと悪い言い方で言えばとられてしまうわけです。私はそういう意味で言っているわけではないわけでありますから、設備を送ったならばそれをその国のたくさんの人に有効に活用していただければいいという観点で言っているにもかかわらず、もしそれが逆にとられたら、悲しい現実になってしまう。  ですから、国会で場を設けて、実際にどういうふうな形でODA原則にのっとって供与がなされたのか、そしてそれが本当に有効なのか、こういう外務省に対するチェックがあって初めて次に外務省外交判断するときの一つのプレッシャーをかけることができる、まさしく国会関与できるということになっていくわけでありますから、その点を考慮に入れて、基本法制定はもう避けては通れない道だということを私は申し上げたいと思います。
  17. 角田義一

    角田義一君 私は一切の前提を抜きにして実務的なことばかりしゃべって誤解されるかもしれぬけれども、先ほど木庭先生がおっしゃったとおり、私は内容は見てないんですけれども、電車の中で週刊誌の見出しを見てびっくりしたんです。どこかの週刊誌に、もうODAなんかやめちまえと、こういう項目で何か出ていましたな。要するに、こういう財政状況になってくると、海外援助とかそういうようなものは切って、自分の国がまず生きていくのが先決だというような、ナショナリズムじゃないけれども、出るおそれが多分にあるわけですね。  私は、一番最初のときに、憲法の前文というものをこの際もう一回改めて大事にしてもらいたいなということをお話し申し上げました。その中で、当たり前の話ですけれども、国際社会において名誉ある地位を占めるということが憲法の前文に書いてあって、そのことは私はうんと大事に今でも思っているんです。そういうことになると、当然のことですけれども基本法の中へどういう内容を盛り込むかということはこれから詰めにやならぬと思いますけれども、きちっとした理念なり、あるいは国会関与なりというものは大枠きちっと基本法の中に決めておく必要があるだろうというふうに思います。それを一つの前提として、さっき私が言ったような基本的なことをお話し申し上げている。  一元化については、どこまで一元化するかという程度問題はありますけれども、これは今までの議論をずっと聞いておって、恐らく私は委員先生方も大体御理解いただけるんじゃないかなというふうに思います。  それから、これはもう当たり前の話だと思いますけれども外交の手足を縛っちゃいけないということをおっしゃいますが、私は基本的なところではやっぱり縛っておく必要があると思いますね。基本的なところというのは、それは理念なんですよ。だから、基本法理念というものがはっきりされれば、それは国権の最高機関である国会法律で決めるわけですから、その理念に沿うような形で外務省はやってもらわなくちゃならぬ。私はそういう意味では手足を縛るということはあり得る話だろうと思うんです。  何でもかんでも外交だからといってやってはまずいんで、それは今現実大綱とかそういうものがあってそれにのっとってやっておられると思いますから私はそう心配しないけれども、やはり言葉として外交の手足を縛るということだけははっきりしていないとするとちょっと困るんであって、そこはきちっと基本法理念を守ってもらう、尊重してもらう、それをやった上での外交をやってもらうということだけは私はやっぱりはっきりさせた方がいいんじゃないかと思うんですよ。  そんなに違わないと思いますけれども山本先生の言ったこととうんと違いますか、思っておることと。
  18. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほどの発言で若干訂正があります。それから、さらにつけ加えて意見を言いたいんですが、私は先ほど、「新・日本経済への提言」の中にある、交換公文が結ばれたことだけで中身は公表されていないと言ったんですけれども外務省については公表が官報で行われているということが調査室からもお話がありました。外務省の有償資金協力、円借款などについては交換公文は官報に載る、個々の案件、金額は公表される、それをまとめたものは毎年のOECF報告に概要として書かれているので案件名と突き合わせると具体的にある程度わかる、そういうシステムになっているというんですね。これは外務省経済協力局の有償資金協力課もそう言っているというんです。  ここで問題は、じゃ外務省はそうやっているけれども外務省所管以外の他の省庁のものも含めて全体が公表されているかというと、そこら辺は今のところまだ必ずしも明らかでないんですね。  先ほど山本海徳さんのことを触れたんですが、出てきまして、朝日の「論壇」です。五月八日の「ODA 政策現場一元化を」というんですが、最後のところにこう書かれているんですね。  日本ODAを論ずる者は、外務省編の「ODA白書」を参考にするであろう。これは、外務省所管のODAを中心によくまとめられているが、技術協力予算の半分を占める外務省以外の十八省庁の技術協力や、大蔵省所管の国際開発金融機関への出資・拠出などの詳細は記述されていない。そのため、日本ODA全体像を正確にとらえるにはかなりの労力を要する。縦割り行政のもとでは、ODAの全体像さえ把握できないのである。  山本さんは円借款問題ではもう一番のベテランで、非常によく知られているということもこの間知ったんですけれども、その山本海徳さんでさえODAの全体像をとらえるのはなかなか困難だと。我々は、こういう厚いものをいただいて、必ずしも全部目は通していないけれども、全部目を通せば大体わかるんだろうなと思っているんだが、技術協力予算の半分を占める十八省庁の詳細は書いていないというんですね。  それで、私は先ほど経団連資料も触れたんですけれども、だんだん積み重ねているうちに非常に膨大なものに、自然発生的に各省庁縦割り行政のもとで次第次第に大きくなっていった。全体像はだれも知らないということだと思うんですよ、全体像をつかまえるのに専門の学者が大変難しいと言うんだから。それで、その全体像がわからないで自然発生的に膨れ上がっていった中には、私たちがかなり強力に警告しているアメリカからの戦略援助への協力もあるんですよ。前も問題になって認められたんだが、アメリカの国務省の高官と日本外務省の高官が毎年協議していると。これは認められているわけだ。いや、各国ともやっていますと言っておられましたがね。  それから、前にも問題になったんだけれども、世界銀行やOECDの構造調整融資は発展途上国に対してかなり締めつけてやるわけですね。その融資の詳細なデータが決まると、それに基づいて日本はそのまま割り当て分を入れ込んでいくということが問題になって、何という参考人だったかな、私がそのことを指摘したら、確かに以前は日本はそういうときに一言も言わなかった、最近は物を言い始めていますというお話がありました。だから、アメリカを主としたいろんな圧力、それから世界銀行、OECDもやっぱり主力はアメリカですよ。そういうところが発展途上国に対するさまざまな緊縮財政を押しつける。構造調整融資等々決まるでしょう、そういうのが国際的に決まるとそれをぽっと受けるわけですね。それがまた縦割りでずっといく。  もちろん私は、本当に人道的な、また環境重視の、その国の自立を援助するものも多いことも知っています。木庭さんも先ほど言われたけれども、ベトナムに去年行ったときも、主に無償協力ですけれども、病院その他、日本援助が大変役立っている現場も我々は見ました。しかし、そういうさまざまな原因で、縦割りで、国際的・国内的問題、企業の圧力もあるでしょう、膨大なものになっていって全体像はだれもつかんでいない。外務省の部分はこういうふうに出るけれどもということだと、これはどうしても国会がやっぱり関与しなきゃいかぬと思うんです。  一元化も与党と政府に任せたらできなかったわけだから、我々は国会関与法律で決めろと言っているんだけれども法律を決めたり一元化させること自体も国会関与しないと物事は進まなくなっていると思うんですね。その関与をやるのは、参議院のこの国際問題調査会で小委員会が担当しているわけだから、先ほど木庭委員もそろそろ結論を出す時期に来ていると言われましたけれども、強力な関与をこのODAについては我々がこの機会にやらないと、ここで関与できなかったらまたしばらく何もできないということになりかねないと思いますので、我々小委員の責任も非常に重いと思うんです。  今臨時国会はもうそう日にちがありませんけれども、来年の通常国会にも向けて、強力な関与を各会派一致してできるようなことをどうしてもやらなきゃならないと思っています。
  19. 山本一太

    山本一太君 上田先生、それから木庭先生からもそろそろ結論を出すときだというお話がありました。  国際問題については上田先生田先生、もうずっと昔からかかわっておられて、ODA大綱の基本もつくり、いわば全体のODA議論を大げさではなくリードされてきたんだと思うんですが、やはり国際情勢、もちろん日本の国内情勢もそうですけれども、どんどん変わっていくと思うんですね。その中で、もちろん今まで積み上げてきた議論の大切さということもあると思うんですけれども、今特にODA一つの曲がり角を迎えて、米ソの冷戦も終わったこの新しい状況の中でまたいろんなことを考え始めるので、そろそろ結論を出すべきというお話もあるんですが、私なんかにしてみると、今のこういう転換期だから改めて原点に返って考え直してみようと。今までこれだけ話をしてきて法律に飛びつくというんじゃなくて、今の日本状況考えて、世界の情勢を考えて、ODAのあり方を考えて、何がオプションとして一番いいのかというところから考えていくのが健全ではないかなというふうに私は思っています。  馳先生がこれまでの基本法の話をされて、私も基本法のことをいろいろ調べてみたりしたんですけれども目的があって、理念があって、さっき言ったようにアナウンスメント効果ということもあると。科学技術基本法のときも、群馬県出身の尾身経済企画庁長官がやったわけですけれども、すり合わせとか議論の過程で随分いろんなところが落ちてぎりぎりのところでああいうふうにまとまったというようなお話も伺っているんですが、ただ、今までの基本法ODA基本法というのは基本的に私はちょっと違うと思うんですね。さっき角田先生外交の手足は基本的なところでは縛っていかなきゃいかぬというお話があって、それは私もある意味では同感で、きちっと政治がチェックをするというところは必要だと思うんですけれども、私の感覚からいくと、外交に直接関係したODAというのはほかのものとやや違う、もう少し慎重なアプローチが必要なんじゃないかなという気がいたします。  それは、この国際問題調査会を中心にこれだけ長い間一元化議論をし、そしてODA基本法の話をして、上田先生に言わせれば政府、与党がだらしなかったからだとおっしゃるかもしれませんが、まとまらなかった。まとまらなかったということは、もちろん時代の状況もあったんですが、それだけ個々の議員の間で、この問題は慎重に取り扱わなければいけないんじゃないかというそれなりの理由があったからだと私は思います。  ただ、この間、中川参考人が来られたときに、中川参考人は実は基本的にはODA基本法ということには慎重な方で、今のシステムを少し強化してむしろODA大綱を担保する、法律じゃなくてやり方を考えることが健全じゃないかというお話をされた。その中で、外交の専門的なところは官僚に任せてという話があったんですが、それについては私はちょっと異論があります。  木庭先生のさっきのお話を聞いていて思ったんですが、今までODAについていろいろなさってきたと、これは私は少数派だと思います。木庭先生田先生上田先生もスペシャリストでやってこられたと思うんですが、正直申し上げて、自民党の中にもODAに大変詳しい方はいらっしゃいますがかなり少数派で、事実、私の尊敬していた方は三人、四人、ODAを一生懸命やって一緒にアフリカに行った方はすべて選挙に落ちましたので、そういう意味ODAをやると選挙に落ちると、冗談抜きでですね。今は防衛庁は違うかもしれませんけれども、防衛関係ODAは選挙に弱いという事実もあったりしたんです。  何でこの問題が進まなかったかという一つの原因は、議員個々に本当に外交に対して考える余裕がなかったということです。私は議員になってから、木庭先生もそう思われているかもしれませんが、外交にもきちっと政治のリーダーシップを確立すべきだ、そして外務省外交だけがすべてじゃない、外交というものは議員外交というものがなければいけないし、民間も含めてあらゆる階層でいろんなチャンネルがつながっていることが、別に外務省をバイパスするんじゃなくて同じ目的のために協力するんですけれども、あらゆる階層で人脈がつながっていることが国家の危機管理だという信念を私は持っています。だから、中川先生の言うことについては少し異論があるし、この問題は政治家自身が興味を持ってリードしてこなかったということがODA関係が進まなかった理由だと思うんです。  それはそうですけれども外交ということに関しては、私は慎重にやっていくべきじゃないかなという気がします。さっき木庭先生が、確かにほかの国はないけれどもかえっていいじゃないか、日本には大綱もあるしと。これが一つメッセージになっているというのは事実だと思うんですけれども、ほかの国にないというのは、裏を返せば必要ないということだと思うんですね。  特に北欧なんというのは援助の先進国で、それはなぜかというと、国民の意識が援助に対して高い、援助専門家の地位が高い。そして、ボランティアを子供のころから自然にやっていて、北欧でPKOというのはかなりプレステージアスなわけです、あのヘルメットもですね。援助をやっていたということは意外とよく受けるし、何か知らないですけれども非常に自然に、それこそフィリピンの貧民窟に入っていって活動しているNGOの方がいるみたいな。  何で必要ないかということを考えると、国民ODAに対する認識がしっかりしているからそれを法律で縛らなくてもいい。例えば、意外なことに、スウェーデンなんて議会に提出する義務はないわけですね。ということは、国民の間である程度コンセンサスがあって、外交にも関係する、特に北欧の国々にとってはマルチの外交なんかが国のいわば力を発揮する場所だというコンセンサスもあるんです。  だから、法律ありきで国民の意識を変えるというのは一つのあり方かもしれません、ショック療法じゃないですけれども一つのきっかけで。だけど、それよりもまず地道に、角田先生もおっしゃったように、今のシステムを強化するということも考えながら、どうやって国民の意識を高めるかと。だから、ODA基本法というのはあらゆる場合に絶対必要だということでは必ずしもないと思うんで、だから一つのオプションとして、いろんな努力をする中で進めていくべきものじゃないかなという感じがいたしました。
  20. 田英夫

    田英夫君 中座をして皆さんお話につながらないかもしれませんが、今、山本さんのお話を聞きながら思ったことは、私は実は、この資料に出ている四会派のODA基本法案を出す前に、宮澤喜一さんが外務大臣のときだったことを記憶しておりますが、一九七〇年代に基本法基本法みたいなほんの五カ条ぐらいの法案参議院外務委員会に提出したことがあります、これはもうすぐ否決されたんですけれども。  そのとき頭にあったのは、韓国が当時はODA対象国であって、その中でソウルの地下鉄に対する韓国国内における汚職の疑惑がありました。もちろん日本から行くODAをめぐってのことなんで、これがきっかけになって実はその法案をつくる動機になりました。当時、参議院の法制局といろいろ議論をした中で、民主主義を守らないような国には経済協力をすべきでないという項目を私が入れたら、それはちょっと憲法の前文に触れるというようなことで議論したことを覚えております。  したがって、次の四会派の共同提案の場合も実はフィリピンのいわゆるマルコス疑惑というのが大きな動機になっていたことは事実なんで、今から思いますと、二つともODAをめぐる外国での汚職事件ということが絡んでいたんですね。これはさすがに最近ずっとなくなってきておりますし、そういう中でODA大綱政府がおつくりになった、こういういきさつがあります。  したがって私は、国会とのかかわり一つの柱とすることは当然ですけれども、もしODA基本法をつくるとすれば、政府ODA大綱とほぼ同じような、つまり基本理念を定める、これを法律できちんとうたう、うたうという言葉がいいかどうかわかりません、気持ちとしてはそんな気持ちです。あとは、国会報告する義務づけとか、そういうことのみにとどめる。本当の基本法基本法のような、こういうことを守ろうじゃないか、こういうことを守ってやらなくちゃいけないと。軍事的なものに転用されることがいけないというのは、これはもう当然大綱にもあるわけでして、あるいは開発の名において自然を破壊するようなことになってはいけないとか、そういう基本的な理念を並べていくべきじゃないか。  したがって、もしそういうことで御賛同をいただけるなら、その基本理念というのは一体何かということを議論する機会を持っていただければと思います。そういう意味では、この間、現場にいらっしゃるお二人の参考人の御意見ども聞いて私は大変参考になりました。そういうことをひとつお考えいただければと思います。  以上です。
  21. 山本一太

    山本一太君 今の田先生お話を伺って、実は田先生は七〇年代に既にODA大綱のアイデアを出されていたということがわかって、大変感銘を受けました。  透明度お話は、先生おっしゃったように当局側も努力しているところがありまして、前もちらっと申し上げたように、コンサルタントとか商社とか、そういうところのいろんな現地の関係につきましては全く進んでいないということはやはりフェアじゃないと思います。例えば、JICAの調査も最初に基礎調査に入ったところが本格調査にコンサルタントとして入れないとかいうこともありますし、向こうでいわゆる種を見つけてきたコンサルタントが必ずしも受注できなかったりするんです。かなりそういうことも減っていますし、それ自体はもう永遠の問題で、いろいろ透明度の話は出てくると思うんで改善する余地はあると思うんですが、かなり私は進んできたんじゃないかなと。私がJICAにいたときでも、フィリピンの例のレイテ島の船の、イメルダの関係なんかもあってさらにまた厳しくなったんで、そこら辺は随分改善はされているんではないかなと思います。  あと、情報の話で透明度ということなんですけれども、私自身も反省しなきゃいけないと思うんですが、実は調べてみるとかなりいろんな資料が出ていますが、正直言って厚いのを読む時間がないんです。実は、ほかの国に比べても、別に外務省立場を擁護するわけじゃないんですけれども、かなり情報公開が進んでいるところもあると思うんです。これは少しやり方を考えて、我々の目に届くようなやり方でと言ったら甘いかもしれませんけれども、そういうことはあるかもしれません。実はよく見てみると、さっきのENの締結とかRDとか、いろんな技術協力の話もそうなんですけれども、意外と細かく公表されているということは申し上げておきたいと思います。  あとは、田先生がおっしゃった基本法基本法というお話は、さっきちょっと木庭先生ともお話しした、つまりそういう基本法基本法をつくることの意味というところに戻ってくるのかなと。すなわち、基本法基本法、いわば大綱法律に持っていくということが意味があるかということになるので、国民への意識を高めるとか、それこそ政治への関心を高めるとか、そういうようなところに入ってくるのかなと思うんです。  先生がおっしゃった基本の理念だけを協議する場所というのは、ODA理念を協議するのはすごく意味のあることだと思いますし、大変興味深いお話なんですが、その理念を相談するというのがすなわちこの基本法基本法に入るための理念を相談するということになると、何かステップが一つ向こうに飛んでいるのではないかなという感じもするんです。その理念についてまたお話をするということは大変興味深いと思うんですが、そこら辺はどういうあれかなと思ったんですけれども
  22. 田英夫

    田英夫君 いろんな柱が考えられるんですけれども、当然基本法をつくれば一番最初のところに、第二条ぐらいのところになるんでしょうか、守るべき理念大綱にあるようなそういうものをずっと並べていく。私どもの四会派の場合は女性の方が発議者に入っておられたこともあって、中西珠子さんが非常に強く主張されまして、女性と子供に対する配慮というのが一つの柱になった経緯もあります。そういうことをずっと並べていく。それはどういうものがいいかということはかなり議論をしないと、ODAの憲法みたいなものをつくろうというわけですから。  あと国会とのかかわりが必要だと思いますけれども、私どものつくったのは政府の機構改革まで、ODA担当相、大臣をつくれというところまで一つ基本法の中で入れたわけです。これは、現在の状況の中ではもちろん必要ないと思います。したがって、行政改革の中で実はちょっと立ち消えになりかけているので、今終わりました財政構造改革法案審議の中でも自民党の宮澤さんと私がこのODAの問題を取り上げて、ODAの削減の問題と同時に機構の問題も触れたわけですけれども、そういう行政改革の段階できちんとやっていただければ法律の中に入れる必要はないと思います。  基本法基本法と言ったのは、守るべき項目を並べる、そういうことを主たる目的にしたODA基本法だと。こういうことで、山本さんの気持ちとしては、それなら大綱でいいじゃないかということをおっしゃりたいのかもしれません。確かに私どもが出したときは大綱はなかったわけで、もっと意地の悪い言い方をすれば、私どもの出した法律の中のうたいとげたい部分を大綱にさっと持っていかれたという気がしないでもなかったんです、当時。  そういう気持ちもありますけれども、それはそれでいいんです、守られればいいわけですから。大綱でいいか、法律基本法にするかという、そんな感じは私もわからないじゃありません。しかし、できれば基本法ということをうたっていただければと思います。
  23. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 山本先生は心配されて、非常に基本法に慎重だと、基本理念ということをここで論議すれば基本法というところに一歩進むんじゃないかというようなことをおっしゃいました。もちろん我々はそうなっていただきたいと思うけれども、その一方で、まさにODA大綱、今の大綱がそのままで本当にいいのかどうかという議論もこの小委員会の中でやることは重要だろうし、それがまさに基本法につながっていく結論になっていくのか、それとも山本先生がおっしゃるみたいに大綱の整理になっていくのか、そこはいろいろ最後の方になっていく話なんだろうと私は思います。  その意味では、この基本理念という部分をお互いにもう一度、この際この小委員会できちんと議論し合うということは極めて意味があると思います。私どもはやっぱり基本法という考えがある。でも、山本先生がそこには少し異論があるならば、逆に言えば、その異論を整理していく上でもこの基本理念という部分をこの小委員会論議することは大変重要な意味があるんだろう、こう思いますし、それはそれぞれの受けとめ方で私はできるんだろうと思っております。
  24. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今、非常に重要な時期にあると思うんです。その意味では、政府大綱をなぞるだけではまずいし、今の非常に重要な国際的時期に、額の上でも世界で一、二を争う日本で、このODAについてどういう理念、どういう原則、どういう実施体制、どういう民主的公開原則でやっていくか、そういうものを本当に深い議論をして国会で決めていくというのは重要だと思うんです。  国際的にもこのODAについてのさまざまな議論が出ているし、国連総会でもOECDでもいろんな決議が行われ、私も最初の発言で、国連人権規約委員会委員をおやりになっていた多谷さんという神戸大学の教授が、国連総会で採択された発展の権利に関する宣言を非常に重視されている、それも申し上げたし、それから人間中心の開発という問題も出ているし、地球環境の問題も出ている。  今、日本の経済状況からいうと、日経の一面で連載されている「危険水域の日本経済」だと。きょうの記事なんかは世界恐慌の元凶になる危険性があるんじゃないかという非常に深刻な議論まで出ていて、それでODAの総額は今一〇%削減という時期でしょう。そういう時期であるだけに、私は、政府大綱をなぞるだけでなくて、今の国際状況日本の国際的な責任を踏まえた国民合意方向をきっちりと、細かく決めないでも、原則的な問題点を決めるものはどうしても必要だと思うんです。  その点でいうと、理念それから原則、と同時に実施体制一元化問題は、今進んでいる行革の議論ともかかわりはあるんだけれども、先ほど私が言いましたように長い期間の間に自然発生的に縦割りでこれだけ膨大化してしまったというところは恐らく日本だけだろうと思いますので、この機会に体制そのものも抜本的に合理的かつ効率的なものにしていくというのはやっぱり非常に重要な課題だろうと思うんです。  それから、外交的配慮も当然考えながら、国会関与の仕方をどうしていくか、それから公開原則をどうしていくか、こういうものも基本法として決めることがどうしても必要な時期に来ていると思いますので、運営のことは小委員長は後で議論しようとおっしゃったようですけれども、少し具体的に文章面のお互いの検討まで踏み込んでいぐようにすると、いろいろ意見の違いや合意点がもっと明確になってくるんじゃないかとも思います。
  25. 山本一太

    山本一太君 上田先生がさっきの御発言でおっしゃっていた、縦割りの弊害をなくしていこうということは私は本当に賛成ですし、一元化を進めていこうということについては、何らかの合意が得られれば、やはりそれなりに提言をするということもいいのかなというふうに思います。  さっき木庭先生は、具体的なODA基本法議論に入ると私が心配をしているというふうなお話だったんですが、ODA基本法議論になっても全然構わないと思うんです。ただ私は、国会ODAとのかかわりの中でいろんなオプションがあると思うんです。それぞれ意見が違うと思うんですが、ODA大綱の見直しとか大綱を今のメカニズムの中で担保していくやり方とか、あるいは決議するやり方とか、そういうところも十分検証していく必要があるんではないかなというアイデアで、当然ODA国会とのかかわりの中で基本法というのも出てくると思うんですね。ただ、そこを議論している中で結論を急いで、ODA基本法中身を最初に検討していくみたいな進め方はどうかなという話で、別にそちらに行くことを恐れているというのともちょっと違うんです。  これはフリーディスカッションですからもうざっくばらんに申し上げますが、後で記録を削ってもらってもいいです。  それぞれ党にも事情がありますし、この経済協力委員会の性質というものもあると思うんです。例えば広中先生なんかも最初おっしゃっていたんですけれども、今のODAの削減の話に少し絡めてとかいうお話もあったし、アピールがどうのという話もあったんですが、やはり国際問題調査会というのは、先生の方がよく御存じですけれども、長期的な課題を検討するというところで、何かタイムリーにホットな意思をそこで何するというところではないというのが一つあるんだと思うんです。  それで、このODA委員会を立ち上げるときも、実施体制から始まって、もちろん国会とのかかわりもやって、全体的な中で、ショートタームじゃなくて長期のことを考えるというところで結構大変だったこともありまして、詳しくは申し上げませんけれども、小委員長の英断でできたというところもあるんです。  だから、そこはこの委員会の性質も十分踏まえた上で、提言提言としてあれしていくんですが、例えば法律案をこの委員会でつくるという性質じゃないと思うし、それは外務委員会があるわけですから。その提言の中で、基本法についてはこういう考え方もあり、あるいはODA大綱の強化についてはこういう考え方もあり、一元化についてはこういう話もありというまとめ方になっていくんじゃないかなと思ったので、ここで例えばODA基本法理念はこうだというような話をすることが果たして妥当かなという懸念もあったんです。  私は後で、後でというか、いろいろな我々の議論の中でまた小委員長に取りまとめていただけると思うんですけれども、これは単に私個人の考えですけれども提言は文書で例えば何とかかんとかでこれについてこういう議論が出たというよりは、やはり提言ということになれば二十一世紀の援助考え一つシステムチャートみたいなものをつくったらいいと思うんです。ここに例えばこの理念があって、ODAがあって、こういう要素をインプットする、あるいはODA国会とのかかわりだったらオプション一、二、三とあって基本法の場合の留意点、問題点と。そういうものはありそうで意外とないと思うんです。だから、委員会の中でそういった具体的な提言として出すものは、文書というよりはシステムの問題できちっと後になって議論のたたき台になるようなものを出していく方がいいのかなと。  そういう意味で、基本法に入れるべき理念についてここで協議するということはちょっと何か唐突な感じがしたということなので、それだけちょっと申し上げたいと思います。
  26. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 何か運営の問題まで踏み込んでしまったところもあるんですけれども、それぞれ各会派がいろんな意見を持っていることも事実であって、会派の中でもいろんな意見があると。ですから、せっかくここで論議し始めたわけですから、先ほど言われた基本理念をどう考えるかというような部分、もうここで既に論議を始めているわけです。国会関与の部分も少し整理してみる、そして一元化の問題も整理してみる、そしてそれがまとまるならば、整理ができていくならば基本法まで踏み込むことがもしかしたら起こるかもしれない。  調査会法律を出しちゃいけないということはないんであって、そこまでいけるならばそういう方向になることもある。ただ、ならないこともある。そこはそれぞれの小委員会の運営のあり方だろうと。いろいろここで議論していくうちにそういう方向が出てくれば、各会派それぞれお持ち帰りいただく。提言という形でもう終わるかもしれないし、もっと言うと、ここでそこまでつくっていいような形になるかもしれない。なかなか党内事情が山本先生の会派の場合は厳しいことも十分承知した上で、そういうことが起こり得ればそれはそこに進んでもいいだろうと。それはまさに小委員長に、どの時期でどうするかという問題はまたここで論議する中でとりまとめをいただいて私は構わないと思っています。  だから、幅広く考えながらまずは進めていく、そして最終的な形で基本法までできれば、これまでそれぞれ何なりかの法案を出せるところまで参議院にある各調査会というのは出してきておるんですね、残念ながらこの国際問題調査会はそういう法律まで踏み込むところまでまだ至っていないんですが。提言は何回かやったことがあるんですけれども。  だから、そんなものが実るならば実ったでその時点で考えればいい話だし、そこは各会派、最終的にはここの委員だけじゃ、皆さん、当然背景があるわけですから、大変な部分も重々承知していますから。そこは山本先生の案も一つだと思うし、もしかしたら基本法までできるかもしれない。そこは初めにありきということではないというお考えについてはそのとおりで結構だと思いますし、そんな進め方で私はいいんじゃないか、幅広く考えておいてまだいい時期ではないかなという気がいたしております。
  27. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 平成元年につくった七項目というのは政府の開発援助大綱にも非常にいい影響を与えたという経過があるので、もう繰り返しませんけれども、それからかなり時間もたち、問題点もいろいろ出てきている今の段階で、以前の七項目をさらに前進させて、日本ODAについていい刺激にもなるし、イニシアチブも発揮できるようなそういう仕事にしたいと思いますね。  各党内でもいろんな御意見があるでしょうし、特に与党の場合は外務省、大蔵省を初めそういう政府からのいろんな御意見の反映もあるでしょう。それだけに、ここでよくそれぞれの小委員が、単に個人意見じゃなくて、それぞれの党の意見をも率直に出していただいて、議論して、そしてここでの合意というのが本当に各党の合意になり得るようなそういう方向で、今、木庭委員も言われたように、可能なら基本法のある重要な問題点についての基礎的な合意ができるようなものができれば、非常にいい役割を果たせることになるんじゃないかというふうに思います。
  28. 山本一太

    山本一太君 木庭先生のおっしゃることは非常に賛同できるところもあります、幅広くという御意見ですし。いろんな慣例とかはあっても非常に国会というのは柔軟なところだから可能性はいろいろあるかもしれないんですけれども、私個人の意見としては、その法律案という話は、外務委員会というものがあるのでそっちで少し頑張ってもらわないといけないんではないかなと。そこは先生とちょっと考えが違いまして、ここで取り扱う性質のものではないんではないかなという個人的な感触は今持っております。進め方はとにかく幅広くディスカッションの中で出てくるものをまとめていくということは、先生のおっしゃるとおりだと思います。
  29. 田英夫

    田英夫君 山本さんにちょっと御参考までにという程度で申し上げておきたいんですが、上田さんが一番深くかかわられた外交・総合安全保障調査会一つ結論、これはここに七項目出ていて、これも小委員会をつくって大変熱心に議論された。実は私はそのとき委員じゃなかったものですからかかわっていないんですが、その前、宮澤内閣の末期に私どもが出した四会派の法案、これに対して、当時、参議院の自民党の大河原政審会長から私が発議者代表のようになっていたものですから、参議院自民党の政審のメンバーと話をしたいというお話がありました。今覚えているのは宮澤弘さん、それから下稲葉さん、こういう五人ぐらいの方が大河原さん以下来られて、私ども四会派の代表が出て、たしか二回ぐらいしか話し合いができなかったんですが。そのときの自民党の政審会長以下の御意向は、もし合意できるなら超党派というかみんなで議員立法で出そうじゃないかと、自民党も加わって。その場合に皆さんはどう考えているのか聞かせろということで、私ども考えを二回ぐらいお話ししたところで実は衆議院が解散になってしまったんです。それで細川内閣になってしまってこの話が途絶えたという、私ども努力不足だったんですけれども、そんな経緯があります。  それを受けて、今度は下稲葉さんも加わってくださった結果が例の外交・総合安全保障調査会結論になっていったと、そういう歴史があります。したがって、ずっと続いてきてまた今復活しつつあるというのがきょうのこの小委員会ではないかと思います。  議員立法で出すということになると、もうこれは、政府をつくっておられる自民党の皆さんも加わってということになるとなかなか簡単ではないでしょうけれども、二十一人とにかくそろえば議員立法は出せるというのが法的な根拠ですから、調査会であれどこであれ、それは構わないわけです。  ただ、おっしゃる意味はわかりますよ、外務委員会常任委員会として存在するんだということはわかりますが、原案をつくることは一向構わないんじゃないかという気がします。一番かかわって議論している当事者がいわば発議者のような形になって議員立法をつくると。一番最初に私が議員立法を出したときは、参議院もそんな数の制限はありませんでしたから、実を言うと私一人で出した。そういうのが今はきちんと提出できる数も決まっておりますが、それはみんなで合意すれば問題ないと。
  30. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 以前にこれをつくったときに私が調べたら、国会でこのODAに関する決議があったのは衆議院外務委員会で二つだけだった。山本さんが外務委員会がとおっしゃったけれども、やっぱりそれぞれの委員会に蓄積がないといけないんで、国会全体で決議があったのは衆議院外務委員会で二つで、それは軍事的用途のものを禁ずるということだけだったんです。それでここで、当時、外交・総合安全保障調査会という名前だったんですけれども、やろうということになりまして、国会決議まで行ったんですね。  だから、田さんたちが準備されたような法案そのものをここでつくれとは僕は言わないんで、もし一致できれば、こういう今の情勢のもとでODAが非常に重要性を高めているだけに、基本法をつくるべきだと。その内容については重点的に書いていけばいいんで、それでもしそういう合意ができたら、これは議員立法になるのかどうなるのかわかりませんが、とにかく各党合意参議院で発議していくと。  その手続やなんかは私は余り詳しくないんだけれども、しかしそういう立法が成立する政治的基礎としての各党の合意をつくり得る場として、この小委員会、また調査会があるんだと思うんですよ、各党代表が出ているわけなんで。だから、各委員が個人で意見を言い合い、多数意見があり少数意見があったというような報告書をつくってもこれは余りイニシアチブを発揮できないんで、それぞれ議論が煮詰まったら重要な問題ですから党に持ち帰って、国対にもかけるし指導部にもかけて、その各党合意が集中した形でこの小委員会あるいはまた調査会で実るということになるんじゃないでしょうか。  もし、理念につき原則につき実施体制につき、国会関与公開の問題等々で基本点がずっと出れば、これは法案化することも、それは技術的に問題がいろいろあるにしても、進行はそう難しいことじゃないんじゃないかと思うんです。だから、事務局長、余り消極的にならぬでください。
  31. 山本一太

    山本一太君 ODA基本法大綱も、あるいは決議も、それぞれの可能性としてそれぞれ検討していっていただきたいと思います。余り言うと、もうそうじゃなくてもバッテン二十ぐらいついているものですから、これ以上コメントできないところがありまして、いろいろ実は思いもありますけれども。これはもう削除してください。  そんなことで、全体を見ながら、いろんな可能性を探りながら、やはり木庭先生の言った方向でいろんな議論を積み重ねさせていただければと、このように私は思っております。
  32. 馳浩

    ○馳浩君 具体的なODA実施体制お話現場の人から伺いながら、方向性というものでは山本委員も私も大きな差はないのではないかと私は思っております。  私はもう最初に基本法ありきと言って姿勢を明確にしておりますから、そういう入り口論が違うというだけであって、積み上げてきた以上は皆さんとの意見合意できる部分があるのではないかと思いますので、これはあとは小委員長のお力だと思います。  私、国連難民高等弁務官の緒方貞子代表が、いや、こんなに減らされちゃ困ると個別に自分の立場で総理のところに行かれたということは、日本として非常に恥ずかしい姿勢だと思うんです。国連機関にたまたま日本の代表者がいるから、最大の供与国である日本の総理に個人的な人脈でもってお話をされる、それを我々国会議員は指をくわえて見ておるというふうなことは非常に恥ずかしいことだと思うんです。  ある意味では、基本法に基づいて我が国会一つ審議する場を持つということが、実施体制一元化という意味でも私は重要な意味を持っておると思うんです。そこに至るプロセスで合意できるところを我々はまとめ上げながら、各党へ持ち帰って、政調なりに上げて、執行部に上げて改めて議論し直してもらうというふうな材料を私たちは出すべき時期にあると思うんです。  そういう点から今回の小委員会議論をまとめ上げて、上に上げていただくような方向に持っていって、全く個人的な意見ですけれども、早く基本法にたどり着けるような道筋を私はつけていただきたいと思っております。
  33. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) まだまだ議論は尽きないようですが、予定した時間が参りましたので、本日の意見交換はこの程度とさせていただきます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十九分散会