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1997-11-20 第141回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第11号 公式Web版

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  1. 財政構造改革の推進に関する特別措置法案一内 (会議録情報)

    平成九年十一月二十日(木曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十一月十九日     辞任         補欠選任      牛嶋  正君     吉田 之久君      高橋 令則君     平田 健二君      清水 澄子君     志苫  裕君      椎名 素夫君     江本 孟紀君  十一月二十日     辞任         補欠選任      西山登紀子君     吉岡 吉典君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 片山虎之助君                 高木 正明君                 野間  赳君                 三浦 一水君                 荒木 清寛君                 広中和歌子君                 伊藤 基隆君                 赤桐  操君                 笠井  亮君     委 員                 鹿熊 安正君                 金田 勝年君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 清水嘉与子君                 田村 公平君                 常田 享詳君                 長尾 立子君                 野村 五男君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 宮澤  弘君                 泉  信也君                 今泉  昭君                 岩瀬 良三君                 小林  元君                 菅川 健二君                 寺澤 芳男君                 平田 健二君                 益田 洋介君                 吉田 之久君                 小島 慶三君                 齋藤  勁君                 峰崎 直樹君                 志苫  裕君                 田  英夫君                 吉岡 吉典君                 吉川 春子君                 佐藤 道夫君                 江本 孟紀君                 山口 哲夫君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  町村 信孝君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        運 輸 大 臣  藤井 孝男君        郵 政 大 臣  自見庄三郎君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    上杉 光弘君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       鈴木 宗男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       谷垣 禎一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  大木  浩君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第三        部長       阪田 雅裕君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁経理局長  藤島 正之君        防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君        防衛施設庁総務        部長       西村 市郎君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        経済企画庁調整        局長       塩谷 隆英君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     朝海 和夫君        外務省中近東ア        フリカ局長    登 誠一郎君        外務省条約局長  竹内 行夫君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵大臣官房審        議官       尾原 榮夫君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        国税庁次長    船橋 晴雄君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        林野庁長官    高橋  勲君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        資源エネルギー        庁公益事業部長  奥村 裕一君        中小企業庁長官  林  康夫君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        運輸省航空局長  楠木 行雄君        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        事 務 総 長  黒澤 隆雄君        常任委員会専門        員        田中 久雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○財政構造改革推進に関する特別措置法案一内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 委員長(遠藤要君)(遠藤要)

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  財政構造改革推進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 おはようございます。  私は平成会平田健二でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  朝早くからこういうことをお尋ねするのは大変恐縮ですが、自治大臣、一部報道によりますと、静岡県の焼津警察署長が三千四百八十円の品物を万引きして諭旨免職を受けたという事件がありました。また、高知県では本日から、職員が飲酒運転をしたら免職、こういう厳しい方針を実施するそうでございます。さらに、新しい公職選挙法で、自分の知らない問題でも秘書あるいは家族選挙違反をしたら連座制議員の資格を失うことも起きております。これは大臣よく御存じだと思います。  このことは、大臣の所管する警察にしても地方公務員にしても選挙にしても大変厳しい規律が要求されているわけでございまして、自治大臣の職責と任務ということに対して、大臣のお考え方をまず最初にお聞きしたいと思います。
  4. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) お答えをいたします。  基本的には倫理観を問うということだと思いますが、各閣僚政治家でございまして、公職にある者として、政治行政への信頼を確保するためにみずから清廉さを保持することが大切と認識いたしております。家族も含めた資産等公開、株式の取引あるいは土地とかそういうものの取引の自粛などについても、閣議で申し合わせて実行に移しているのもこのような観点からだと思います。  そういう理解を私はいたしておりますが、私もこのような申し合わせというものを厳守していかなければならぬと考えております。
  5. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 大臣のお話を今お聞きいたしまして、まさに大賛成でございまして、公務員たるもの、あるいは私たち政治家たるもの、厳しく身を律していかなければならないと痛感をいたしました。  そこで、自治大臣にお伺いいたしますが、さきの閣僚資産公開で、大臣に一億二千五百四十三万円の借入金があり、その内容が不透明だという報道がございました。大臣、その内容についてひとつ御説明をお願いいたします。
  6. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 一つ資産公開という手続、制度に沿いまして報告いたしたことでございます。プライバシーに関することでございますので改めてここで説明をする必要は私なかろうと思いますが、しかしこういう政治を取り巻く環境のもとでございまして、不透明感という見方もあるかもしれませんので、私なりに御説明申し上げておきたいと思います。  平成三年十一月以後のものを報告いたしましたが、一億二千五百四十三万円というのは、これは私の自宅購入資金がございまして、その残りがまだ二千三百四十三万円ございます。あと、個人からの借り入れが一億二百万ございますが、これは五人の近しい友人、それから身内から借り受けたものでございまして、総体的には一億二千五百四十三万円になるわけでございます。
  7. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 大臣は十月十八日に、毎日新聞の報道ですけれども、今おっしゃった個人的な借入金で全く問題はないと断言をしておられますが、間違いございませんか。
  8. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 個人的な友達関係信頼関係県内在住友人、それから身内からのものでございまして、信頼関係人間関係に基づいてお借りしているものですから、問題ないという認識でございます。
  9. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 私もこれは大臣個人的な借入金の問題でプライバシーの問題だというふうに認識はいたしておりますけれども、大変申しわけございませんけれども、私どもは国会議員、まして大臣自治大臣、いわゆる政治とお金という問題に対しては世間以上にきちっと身を律しなければならない立場にある人間だというふうに私も思っておりますし、大臣もそう思っておられると思います。  そういう中で、大臣が今おっしゃられました一億二百万円の個人からの借入金につきましては、個人からあるいは親戚から友人からということで借りたから問題はないと。果たしてそう言えるだろうか。国民はそういう目で見ていません。  ですからこの際、大臣ちょっと言われましたけれども、今借入先の人数はございました。その借入先借り入れの時期、あるいは借り入れするためには必ず、それは千円、二千円、一万円の金じゃありません、億単位の金ですから、やはり契約書があるかどうか、担保があるかどうか、契約内容利息、期間、それから月々どういう返済をしておるか、それから今日までの返済実績はどうなのか、使い道は何だったのか、返済督促を受けておるか。こういったことは少なくとも明らかにする、しなきゃならぬと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 今お尋ねの件もプライバシーの問題でありますから、資産公開の諸手続に沿ってやったことでございますのでその必要はなかろうと思いますが、しかし、先ほどから申し上げておりますように、政治家政治倫理が厳しく問われ、また政治信頼がなくなっておるこのときでございますから、恥を忍んで申し上げます。  実は、この借り入れ平成三年十一月からずっとのものでございまして、個人的にはすべて借用書を差し入れております。しかし、私は家督を譲ってもらいませんでしたから担保がございません。したがって担保は差し入れておりません。期限もこれは別に決めておりまぜんが、夏と暮れに私じきじきに出向きまして、社会的常識的な線で二回に分けて私なりに利息は、もう要らないと友達身内も言いますが、しかしそれでは申しわけないので、そのように盆とそれから暮れにいたしております。  どういうふうに使ったかと言われますと厳しいわけでございますが、私の母親、父親とも高齢で入院をいたしております。母親はもう十年になりますが、そういうものもあります。それから、百八十年ぐらいたちました母屋を取り壊しまして、両親とそれからまだ弟が母屋に住んでおりましたから、一緒に住むということで、床もシロアリで抜けましたので、私の地元の自宅でございますが、これの修繕をいたしました。それから、ちょうどこの四、五年、私は四人の男の子がおりまして、みんな大学に行っておりました。そういう子供の教育、こういうものにも使ったと、こういうことでございます。
  11. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 今、大臣お答えになりました。  それでは、今お答えになったことをもとに国税庁へお伺いをいたします。あくまでもこれは一般論としてお尋ねをいたします。今の大臣の件ではございませんで、一般論としてお伺いいたします。  国税庁は、国民不動産を購入した場合にはお尋ねということで、あなたはこの土地や住宅を買ったときの資金はどう調達されましたかというお尋ねをいたしますが、これは不動産を購入したすべての国民お尋ねをしているわけでしょうか。お尋ねいたします。
  12. 政府委員(船橋晴雄君)(船橋晴雄)

    政府委員船橋晴雄君) お答え申し上げます。  御質問の、不動産を購入された場合に国税庁といたしまして購入資金についてのお尋ねというものを出しておりますけれども、これは適正な申告課税の公平を期するために、資産を購入された方のうち、収入の状況、年齢などから贈与税申告が必要と認められる者に対して、その購入資金資金出所などをお尋ねしているわけでございます。
  13. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 そこでお尋ねいたしますが、一般的に借り入れ贈与、これはどういうふうな基準がございますか。
  14. 政府委員(船橋晴雄君)(船橋晴雄)

    政府委員船橋晴雄君) お答えいたします。  一般論として申し上げますと、個人個人から貸借によって金銭を受け取っている場合においては通常課税関係は生じないわけでございますけれども、金銭貸借におきまして、それを借り入れと見るのかあるいは贈与と見るのかにつきましては、個々事例ごとに、当事者の定めた返済方法返済期限利息取り決めなどの契約内容返済実績及び借入人資力などに基づいて総合的に判断させていただいているところでございます。
  15. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 国税庁税務署が毎年出しておるんでしょうけれども、「贈与税申告のしかた」というのがございますね。出していますね。ここの「3 贈与税はどのような財産にかかるのでしょうか」、その中の(1)のイの(ハ)に、「子や孫が、土地や家屋を取得するために親や祖父母から資金援助を受けた場合に」云々とありまして、「その援助貸借の形式をとっていても、その返済が「出世払い」や「ある時払い催促なし」のように、実質的に贈与と認められるもの」云々と書いてありますが、これは貸借ではない、贈与だということですね。間違いございませんね。
  16. 政府委員(船橋晴雄君)(船橋晴雄)

    政府委員船橋晴雄君) お答え申し上げます。  税務署では毎年、贈与税申告の仕方につきまして、納税者の便に資するために、先生の方で今御指摘になられたようなパンフレットを作成しておりまして、その中に、今お読みになられた3の(1)のイの(ハ)の部分でございますが、書いてございます。  先ほど申し上げましたように、個々事例ごとに総合的に判断するわけですが、今、先生の御指摘のような事例については贈与税課税対象に  なろうかと考えております。
  17. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 これもまた一般論でお聞きをいたします。  一般的に、無担保、無期限、無利子という条件で貸借関係、貸し借りという契約が認められますか。さらに、一般論としてですが、借用書はあるということだけで貸借関係と認められるかどうか。それから、返済実績がなければ贈与として認定せざるを得ないと思うがどうか。貸し手から督促がなということになると、また贈与としての色彩が濃いと思いますが、どうでしょうか。一般的に、借入金がどんどんふえている人、返済能力という言葉が適当かどうかわかりませんが、ふえていて返していないということが疑わしい貸し付けば貸借として評価できるかどうか、まとめてお尋ねいたします。
  18. 政府委員(船橋晴雄君)(船橋晴雄)

    政府委員船橋晴雄君) お答え申し上げます。  幾つが御指摘をいただいたわけでございますけれども、先ほどお答えさせていただきましたように、ある金銭貸借借入金であるのかあるいは贈与とみなされるのかにつきましては、個々事例ごとに、当事者の定めた返済方法返済期限利息取り決めなどの契約内容、それから実際の返済状況あるいは借入人資力などに基づいて総合的に判断させていただいているわけでございます。
  19. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 報道によりますと、自治大臣借入金は、担保友情信頼返済気持ち程度、このような借入をそのまま借入として認定していいでしょうか。  上杉大臣のこのケースを、国税庁としては問題意識はございませんか。
  20. 政府委員(船橋晴雄君)(船橋晴雄)

    政府委員船橋晴雄君) お答えを申し上げます。  個別の事例につきましては、従来から答弁を差し控えさせていただいているところでございます。
  21. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 マスコミには、今申し上げましたように、担保友情信頼、まさにあるとき払い催促なし、こうやって大臣自身が言っているわけですから、調査する必要はありませんか。どうですか、もう一回。
  22. 政府委員(船橋晴雄君)(船橋晴雄)

    政府委員船橋晴雄君) お答えを申し上げます。  先ほど先主の御指摘になられた贈与税がかかる事例については、一つの例として挙げられているところでございます。  それで、今御指摘の、具体的な個別の事例について具体的に答弁することは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、国税当局としては、常に納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる資料の収集を通じて、課税上問題があると認められるような場合には調査を行うなどにより適正な課税の実現に努めさせていただいているところでございます。
  23. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 自治省にお伺いをいたします。  国税庁がもしこの借入金贈与だと認定したら、これは政治資金規正法で禁じている政治家個人への寄附に該当する可能性が高くなると思うんですが、いかがでしょうか。
  24. 政府委員(牧之内隆久君)(牧之内隆久)

    政府委員牧之内隆久君) 借入金として返還の義務を負っております以上、一般的には寄附に当たらないものと考えております。  なお、政治活動に関して受けた寄附でありますと、一般には贈与税対象にはならないものと考えております。
  25. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 さらに自治省お尋ねしますが、政治資金規正法では政治家個人への寄附は禁じられておるわけですね。どんな寄附でも、政治家が、いやこれは寄附じゃない、借入金だと言ったら、これは借入金になるんですか。
  26. 政府委員(牧之内隆久君)(牧之内隆久)

    政府委員牧之内隆久君) 借入金の名目でありましても、返済方法いかん等によりましては寄附と見なされる場合もあり得ると考えておりますが、いずれにいたしましても個別具体の事案に応じて判断されるべきものと考えております。
  27. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 上杉大臣、かつて総理大臣でありました細川さんも、実は、ある企業から金を借りた、いやそれは寄附だという疑惑を追及されて総理を辞職されたわけですね。このことは御存じだと思いますが、上杉大臣もはっきりとした契約内容返済実績、こういったものを御説明先ほど説明ではなくてきちっとした書類で説明していただかないと疑念が、疑いが晴れないわけですけれども、いかがでしょうか。
  28. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  細川さんのと一緒にされては私は困ると思います。  借入金でなければ、資産公開手続に沿って借入金としての報告は私はいたしません。また、支払いの意思があるから利子を、所定の利子は決めておりませんけれども、これは要らないと言われてもそういうわけにはいきませんから、盆と暮れの二回に分けて私でできるだけのことをしておる。また、期限がないと言われても、政治活動をやめるときには一切をすべて整理するのが政治家の責務であり、また社会人としてもそうしなければならない、そう思っております。
  29. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 それでは、ちょっと別な方向からお尋ねをいたします。  参議院お尋ねいたしますが、国会議員資産公開法では、毎年資産増減補充報告として報告しなければなりませんね。しかし、私の調査では、上杉大臣平成五年の再選後、平成五年の報告以来四年間、補充報告の中には借入金増減報告されていません。借入金増減も当然報告対象ですが、参議院報告はありますか。
  30. 事務総長(黒澤隆雄君)(黒澤隆雄)

    事務総長黒澤隆雄君) 御答弁申し上げます。  御質問国会議員資産公開法に基づく報告書については、同法に定められた要件に該当するすべての本院議員が法に基づいて資産等報告書、いわゆる本報告書に始まり、以降、各年末の資産等補充報告書が適正に提出されているものと考えております。上杉議員からも法の定めた資産等報告書等報告書が適正に提出されているものと考えております。  お尋ねの点は、議員個人の提出に係る個別の報告書の具体的な記載事項にかかわるものであり、この法律では資産等報告書等は第五条により閲覧方法でのみ公開されることになっております。現在、本院において閲覧に供しているところであり、事務局といたしましては、法令の定めるところにより閲覧手続を行っておるところであります。  個別の報告書の具体的な記載事項についてお答えする立場にはございませんので、御答弁は差し控えさせていただきます。
  31. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 閣僚資産報告あるいは議員個人資産報告もそうですけれども、借入金のみならず貸付金報告をしなきゃならぬ、こうなっております。そこで参議院に聞きたいわけですけれども、今のような御答弁ですと同じことですので……。  私の調査では、上杉大臣は確かに借入金報告が、記載があるんですが、貸付金については報告がないわけですね。報告されていませんね。  そこで、自治省にお伺いいたしますが、近代政経調査会という政治団体がございますが、これは上杉自治大臣資金管理団体で間違いございませんね。
  32. 政府委員(牧之内隆久君)(牧之内隆久)

    政府委員牧之内隆久君) そのとおりでございます。
  33. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 今、そのとおりとお答えがありました。  近代政経調査会には借入金記載されておりますが、平成四年から平成七年までの貸し付けをしている方の氏名と金額をお知らせください。
  34. 政府委員(牧之内隆久君)(牧之内隆久)

    政府委員牧之内隆久君) お尋ねのございました近代政経調査会の収支報告書及び官報により公表されました内容を確認いたしましたところ、借入金の部に、上杉光弘氏から、平成四年四百万円、平成五年四百万円、平成六年七百二十三万円、平成七年三百五十万円の記載がございます。  貸付金につきましては、ちょっと確認ができておりませんので、後ほど御報告申し上げます。
  35. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 先ほど申し上げましたように、大臣大臣資産公開国会議員資産報告それから閣僚資産内容報告、これには大臣からの貸付金は発生していないんですね。ところが、大臣の主宰される資金管理団体は大臣から毎年毎年借入金が発生しておるわけですね。これについてどうお考えですか。
  36. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) これは近代政経調査会の職員、女子職員でございましたが、その給料分を一々宮崎の本部から送ってもらうというのも何だというので、一年間ずっと私の口座から引き落として給料をお支払いしていた。その分は毎年近代政経調査会からお支払いをいただきまして、借入金は一年ごとに一年分、私の口座から引き落としております。給料ですから、ほかの職員と同じように扱わないと気分的にもどうかということでそういう手続をしていますが、ちゃんと年度末には近代政経調査会からお支払いをいただいて整理されておりますから、貸付金としては残っておりませんので報告をいたしておりません。
  37. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 いえいえ、そうじゃないですね。資産として残っておるわけですね、これ。平成八年末に資産として七百八十万円、平成八年の報告では残っておるわけです。ゼロになっておるわけじゃないんです。ですから、借入金が残っているわけです、政治資金団体には。清算されていないんです。平成六年も平成七年も平成八年も実は清算はされていないんですよ。いかがでしょうか。
  38. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 細かな事務に私は直接携わっておりませんから、調べまして御報告を申し上げます。
  39. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 今のお話でもわかりますように、これは資産公開法違反なんですね。国会議員は当選したらそれぞれ自分の資産報告する義務がある。毎年毎年補充をする。そこで借入金貸付金も全部記載をするというルールになっておりますね。それに抜けておる場合は違反ですよね。これについてはいかがでしょうか。
  40. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) そのとおりだと思います。
  41. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 これは規程を見ますと、政治倫理審査会に審査をお願いしなきゃいかぬということになるんですが、いかがでしょうか。大臣自身から、政治倫理審査会を開いていただいて、こういったことがあるということを御自身で説明されることは考えていませんか。
  42. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) やりくりをしてごまかすためにしたものではございませんで、出どころもしっかりわかっておるわけでございますから、それは私なりに調査をいたしまして、そしてそういう手落ちがあったとすれば、それはきちっとした修正申告の制度もあるわけでございますから、そのように手続をさせていただきたい。  それから、私きょうの時点では、そういうものは毎年ずっと整理してきましたので、整理されておるものという認識を私は持っておりました。
  43. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 大臣は確かに整理してきたものだというふうに今おっしゃいましたけれども、マスコミ等の報道によると、一億円の借入金についての内容は明らかにされていない。契約内容も明らかにされていない。あるとき払い催促なし、まさに担保友情信頼だと。こういうことでは国民は納得しませんよ、ほかの人は納得するかもしれませんけれどもね。十万、二十万の金じゃないんです、一億の金ですよ。しかも、政治資金だとか政治倫理だとか、その所管大臣じゃないですか。その大臣が、少なくともマスコミからそういった疑惑を投げかけられるようなことをすること自体が私は問題であって、即、実はこうだこうだと、そういったことをきっちりと私は明らかにすべきだと。それをしなかったからこういうことになっておるのであって、しかも一億円の借入金は正直に公表していながら貸付金については一切報告していない。私が今お聞きして初めてそういう回答があった。資産報告では貸し付けばないとなっている。しかも、一年じゃないんです、ずっとです、四年も五年も。自分の政治資金団体には個人から借り入れをしたようになっていて、しかもそれは清算されていないということです。やっぱりこれは疑惑を持ちますよ。いかがでしょうか。
  44. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 御指摘のとおりでございますが、私の認識は、一年分給与を立てかえまして、それを年度末には近代政経調査会から返済をいただいて整理できておるものと思っておりましたが、何かの事情があったかどうか、そういうことも含めてしっかり調べて御報告を申し上げたいと思っております。
  45. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 参議院お尋ねします。  今、資産公開法違反という事実が明らかになりました。これについて参議院としては報告を求めるだけ、後は何もしないということでしょうか。資産公開報告を求めるだけ、閣僚資産公開を求めるだけ、内容記載については、事実関係は別としても、そういう精査はしないんでしょうか。
  46. 事務総長(黒澤隆雄君)(黒澤隆雄)

    事務総長黒澤隆雄君) 御答弁申し上げます。  事実関係を承知いたしておりませんので個別問題についてお答えすることはできませんけれども、一般論で申しますれば、もし誤りがありますれば法規に訂正の手続をとることが定められておるところでございます。
  47. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 これもまた新聞で申しわけないんですが、大臣、新聞によりますと、この借入金の中では、ちょうど一九九二年の選挙の時期だったので選挙にも使ったような気がする、選挙にも使ったと、こうお答えになっておるんですが、このことは事実でしょうか。選挙に使った、あるいは政治活動に使ったとおっしゃっていますが、事実でしょうか。
  48. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 私の記憶がそういう形で、個人のことでいろいろございましたと。選挙ですか、こうおっしゃるから、個人政治活動に使った分もあるかもしれないと、そう申し上げたわけでございます。
  49. 平田健二君(平田健二)

  50. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 選挙には使っておりません。
  51. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 十月十八日の宮崎日日新聞によりますと、「選挙が途中にあったので借りたものもある」、選挙に使ったと。こういうふうな新聞報道がされておるんですけれども、これは間違いでしょうか。
  52. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 宮日新聞から私は取材を受けておりません。
  53. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 では、宮日新聞はうそを書いたということですね。  それでは、次に自治省にお伺いいたしますが、平成四年十月十二日、これは九二年の選挙があった年でありますが、このときの参議院の宮崎県選挙区の収支報告書の中で、上杉光弘候補の収支報告書をお持ちでしょうか。
  54. 政府委員(牧之内隆久君)(牧之内隆久)

    政府委員牧之内隆久君) 平成四年の参議院通常選挙選挙運動費用収支報告書につきましては県選管におきましてその要旨を公表いたしますが、その公表された要旨は私どももいただいております。
  55. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 先ほど大臣は、九二年に選挙があったのでという話でしたけれども、この選挙収支報告書には、収入の部で主たる寄附者の中に上杉光弘さんという方のお名前は載っていないんです。一億二百万円の中で選挙に使ったかもしれぬと、こう言っておるわけですけれども、実際にはこれは選挙の収支報告書に載っていないんですね、寄附したというのが。どういうことでしょうか。
  56. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 借入金選挙に使ったという記憶は私にないわけでございまして、そういうことはいたしておりませんから、そのように率直に申し上げたわけでございますし、宮日新聞の報道で御質問いただくとするなれば、宮日新聞から私取材は一切受けておりません。
  57. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 それでは、宮日新聞を名誉毀損で訴えてもらわなければ、うそを言っておる、こんなうそを書かれて。国民は少なくともこういったマスコミ、テレビとか新聞とかラジオでそれぞれの情報をとるしか方法がないわけですから、これの疑惑を払拭するのが我々政治家の務めじゃないですか。  しかも、いろんな報道によりますと、大臣は非常に地元では有力者で尊敬しておる人も多いわけですよ。大臣の紹介の文章を見ますと、農家の御出身で非常に苦労されて学校を出られてというような紹介がございます。まさに希望の星ですよ、宮崎にしてみたら。その人がこういう疑惑を持たれたら、これは宮崎県人はだまらぬですようちの議員先生大臣になった、東京でえらいものだと。それをこういうことを書かれて、大臣、どうも思いませんか。やっぱり払拭せにゃいかぬですよ、こういう疑惑は。
  58. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) 私は、後援会の資金個人のものとはきちっと仕切りをしなきゃならない、またそうしなければ信頼関係は支持者、浄財をいただく方にできないと、こう思っておりますから後援会と個人のことをしっかり仕切りしてこれまでやってきました。  さらに、疑惑とおっしゃいますが、私は疑惑を持たれておるとは思いません。私が貧乏しておることは県民は大方、身近な者であればなおさらよく知っていますので、そういうことにはならないと思います。
  59. 平田健二君(平田健二)

    平田健二君 この行政改革の中で中心的な役目を果たされておる自治大臣、御自身では疑惑はないと今おっしゃいましたけれども、そうじゃないんですね。やっぱり疑惑はあるんです。  ですから、私はこの疑惑はしっかり晴らしてもらわなきゃいかぬ。でなければこの行革委員会の採決を、そんな疑惑も晴らさないまま採決をするなんということは私は承知できない。  この問題については総括質疑でもう一回きちっと質問をさせていただきたい。そして、大臣が今おっしゃいましたように、きちっと内容がはっきりしておるわけですから、やはり公開をしていただく、これはぜひ要望しておきたいと思います。  終わります。(拍手)
  60. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 平成会の今泉でございます。  財政構造の改革のために我々今大変な努力をこの審議に傾注しているわけでございますが、この問題を解決するためには二つの大きな壁を何とか乗り切っていかなきゃならないというふうに私は認識しております。  その一つは、昨日からきょうにかけての新聞でも大変大きく取り上げられておりますところの金融業界における不良資産の処理をどうするかという問題が一つ。それからもう一つは、国民が今大変な苦しみに直面をしている現下の景気の問題をこの財政構造改革との関連でどのように対処していくかという、この二つの大きな問題を避けることなくしてこの問題の解決はあり得ないというふうに私は考えているわけでございます。  けさの新聞にも報道されておりましたが、昨日の株価は一時は千円を超えるような下落、最終的には八百八十四円何がしで終わったわけでございますが、これは金融業界の資産目減りという意味で大変重要な重荷を実は我々の前にさらしているわけでございます。  特に、我々が考えなきゃならないのは、例の北海道拓銀処理の問題をめぐりまして一時千円を上回る大変大幅な上昇がございました。これは政府が本格的に金融業界の不良資産の解決に乗り出すんだなという意味合いを好感して、世界的にある意味では安堵の胸をなでおろして株価が戻したんだろうと思っていたところが、昨日は橋本内閣総理大臣が公的資金の導入問題に触れまして、そういうことはあり得ないという否定を契機にいたしまして再び大きな下げ幅を記録した、こういうことでござ、います。  この問題を私は洗いざらい実はさらけ出して根本的な解決を図らない限り、片っ方で財政構造改革などを叫んで論議をしていてもらちが明かないんじゃないだろうかという危険意識を大変持っているわけでございます。  もう一つは、またきょうの新聞にも出ておりましたけれども、富士銀行や三和銀行が来年の三月期におけるところの決算を赤字にしてでも不良資産の償却を行っていくという実は報道がございました。さきには東京三菱が一兆円を上回る不良資産の処分、さらにまた住友銀行は七千億に近いような不良資産の処置をもう既に発表しているわけでございまして、恐らく次から次へとこのような問題が出てくるのではないかと思うのでございますが、この問題は氷山の一角であろうというふうに考えているわけでございまして、今後この問題が特に中小企業を中心とする融資を期待している金融ショートにつながっていく危険性が大変大きくあるのではないかというふうに思っているわけであります。  さらにまた、これもまたきょうの新聞に大きく報道されました韓国の金融不安でございます。韓国は積極的に公的資金を導入してでも短い期間でこの金融不安を解決しようという姿勢を見せているわけではございますが、この問題に関しましても我が国の金融界も大変大きな影響を受けることは火を見るよりも私は明らかだと思うわけであります。  そういう中におきまして、実はきのう、日銀の松下総裁は記者会見におきまして、公的資金の導入という問題は大変重く受けとめている、必要だということは明確には申されなかったけれども、そういう発言をしているわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいと思うんですが、この大変重要な構造改革を推進していくために、金融界の問題を解決するために、政府としては、日銀総裁はそのような意向を持っているんだけれども、公的資金を導入するという問題について今どのように考えていらっしゃるのか。報道されるところによりますと、自民党内部においてもその問題が大変大きく浮上していて論議の対象になっているという話も聞きます。  そこで、公的資金の導入という問題について、大蔵といたしましてももちろんでございますが、政府全体としてどのように考えていらっしゃるのか、そしてまた、この問題と関連して、今の金融という問題をどのように解決されていこうとしているのか、お伺いしたい。
  61. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) ただいま来の御指摘お答えを申し上げさせていただきます。  不良債権についての解消、改善に向けては、金融制度調査会等の議論を踏まえまして、客観的な基準に基づきその推進を図っておるところでございます。そういう中で、松下日銀総裁の書を引用されましての御質疑であります。  私自身、預金者保護という基本、金融システムを維持してまいるというのは極めて重要なことであることは認識をいたしております。そういう意味で、松下総裁も、幅広い議論が行われることは有意義であり、重く受けとめるという会見であったと承知をいたしております。私もそういう趣旨は理解をいたしております。そういう中で、国会及び国民的な議論を御期待申し上げると個々申し上げてきたのであります。公的資金という重要な課題でありますから、国会及び国民の議論に期待をいたしながら今後の状況をよく見てまいる、こういうことではないかと思います。  基本的には、金融三法によって万全の体制はとってきておるわけでございまして、個々の問題につきましても、その決定を受けて適切な処理のために、といいますことは、三法に基づいた預金者保護そして金融システムの安定のため、こういうことであったことは御理解を賜りたいと存じます。
  62. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 我々は、昨年住専処理の問題で大変な苦汁を味わいました。六千八百五十億という公的資金を導入することに対して国民の大変な強い批判があったことは、御存じだと思うわけであります。  一貫して政府が言ってこられたことは、金融システムの安定のためにこれだけの公的資金が導入されれば金融の不安というのはなくなるんだということを一貫して主張されてまいりました。中身は農協系金融機関の救済というのに実質的に充てられたということはそのとおりではないかと私は思うわけでございますが、しかし結果はどうかといいますと、政府が一貫してきたあれだけの公的資金を導入したことによって本当にそれが金融システムの安定のために役立ったかどうか。私は全く役立っていないと思うわけであります。  というのは、あそこのときに発表された金融界の実態というのは、ごく一部の情報しか公開されなくて、重箱をつっついたような形で一部を解決したにすぎなかったんじゃないかと思うわけであります。現に拓殖銀行の倒産によりましてその支援のために預金保険機構の保険金がもう使われる、底をついてしまうような状態を見ながら、各国の目というのは、ああ日本の政府は本気になってこれを解決しようとしていないんだな、金融システムを抜本的に改正する気はないんだなというものがきのうの株価の下落につながっているんじゃないかと思うわけであります。  私は金融界の不良資産の解決、処置というのは国民的な大変重要課題だと思うんです。そこで、これまでどうでしょう、我が国にとってはそういう経験がないかもしれないけれども、私は与野党で救国的な立場に立って非公開委員会をつくって徹底的にこれを洗い出す必要があるんじゃないかと思うわけであります。恐らく、いろんなことをこういう会合で私どもが質問しましても、これは影響が大変大きいわけでございますから、当局は決して資料は出さないはずであります。そういう意味で、非公開特別委員会をつくって、これは与野党を超えて徹底的に金融システムの再建のための論議をするというような考え方はおありでございませんか。
  63. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 事柄の重要性にかんがみまして、国会においてしかるべく機関を設置して取り組みたいということでありますが、原則論を申し上げて恐縮なんですけれども、国会の御意思によってそのことが決められることでございまして、私からこれ以上申し上げることは、国会ということでございますから、御勘弁賜ります。
  64. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 それでは、これはいろんな対処の仕方があると思うんですが、この金融システムの問題に関しては、与党並びに政府が一手に責任を持つということのあらわれじゃないかと思うんですけれども、例えばそれはすべて金融制度調査会であるとかいろんなところで論議をして、結果を受けてその問題に対症療法を見出していくということになりますと、大変これは時間がかかることですよ。  ですから私は、内閣総理大臣を中心として、これはリーダーシップをとって積極的にそういう解決のためにも姿勢を示すということが、それは法的には国会がそういう意思を示すことが重要かもしれないけれども、政府の方からそういう提案をしていくというのも一つの手でございますから、そういう意欲が金融システムを実は、ああ積極的にやるつもりだなということを市場に伝えることにもなるし、世界にもこれは伝えることにもなるわけですから、そういう姿勢が今必要なんじゃないですか。どうでしょうか。
  65. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 先生の御提案は拝聴させていただきました。そういう点で、今後も論議が行われるということは意義のあることであると思います。
  66. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 もう何とも言いようがないわけでございまして、とにかく今必要なことはリーダーシップなんですよ。  実は私、我が国が行財政改革をこれから具体的に行っていくということで、一時的ではございますけれども世界的に大変評判になったニュージーランドの実態を二週間ばかり昨年の十一月調査をしてきたわけです。ニュージーランドの場合はわずか二百万そこそこの人口でございますから、ちょうど名古屋ぐらいの人口でございますから、日本の一億二千万の大きな国との比較は不適当かもしれませんけれども、国際機関からも評価された一応の成功を遂げたニュージーランドの実態を見てみまして、幾つか理由がございました。  その一つの条件として出てきたのが政府のリーダーシップなんですよ、あのときは。これがあってこそあの行政改革と規制緩和というのができたわけでございまして、今我が国に欠けているのは実はそれじゃないだろうかという気がしてならないわけであります。でありますから、私は強くこのことを内閣に要望しておきます。  そして、私は今回出されましたこの行財政改革の中身を見てみますと、どうも残念でならない点は、何といいますか、戦後の姿を見ているような気がしてならないわけですよ。戦後の我が国の経済実態、私もまだ終戦直後は小学生から中学生になる時期でございましたから細かいことまではわかっておりませんけれども、ある程度のことは今でも私の生活の中にしみついているつもりでございますが、国民全体が実はタケノコ生活だったわけです。一枚一枚脱いで実は生活をしていったような状態でございます。この財政構造改革の中身を見てみると、何か終戦後のタケノコ生活のような計画にすぎないんじゃないかという気がしてならないわけです。  前回も私は申し上げましたけれども、財政構造を根本的に直していくためには、ただ削減法だけじゃだめなんです。入るをどのように図っていくかということが必要なんであります。そのための施策というものが全く別な機関で論議をされている。例えば、我々はこれまでこの景気の危機的な状況において財政の投入も必要ではないかということを主張してまいりましたけれども、財政のいかに入るを図るかということもあわせて論議をしてきたつもりでございます。  ところが、この問題に関しまして政府側の答弁は、これは税調なり何らかの機関で別に審議をしている、年末にこういうものは出してまいりますということなのであります。これは一体のものでなきゃならないわけですよ。タケノコ生活の形だけのものを先に出してくるというもの自体に、国民からの大変な不満が、生活を削られるだけじゃないかという不満があるわけであります。そういう意味で私は、税制問題の根本的な改革という問題とこれはあわせて出してくるべき法案ではなかったかと思うわけです。  御存じのように、我が国の収入の大半は税収でございます。法人税と所得税が大体中心になっていると思うんですけれども、現在の我が国の税制に対して不公平感を持っている国民は大変多いわけであります。これは毎年のように言われてきて、毎年のように税調で論議をされてきたはずでございます。トーゴーサンという表現もある。いろんな表現で不公平の代表的な形にされていた。そういうものが全然、まだこれは別個に論議をされていますということで、支出するものだけの計画が出されてきたというところに、国民がこれに一生懸命に一緒にやろうじゃないかという気にならないわけですよ。  こういうことについて、大蔵大臣、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  67. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 本件、基本的な原点は歳出の大宗は租税によって賄われる、こういうことでございますから、租税のあり方については絶えず公平の原則の中で討議、決定が行われてきたことと存じます。  ただいま税制の審議は、御指摘のとおり、政府税調万般にわたって論議に入っております。その結論を待つというのが政府の立場であり、そういう中で経済対策が政府で先般発表されたわけであります。取りまとめの経企庁長官、通産大臣がおられますが、その項目の中におきましても税のあり方について検討を行うべしと、項目を幾つか挙げさせていただいてありましたことは委員御案内のとおりであります。  本件につきましても、繰り上げてやったらどうだというリーダーシップの話もございましたが、税は、御案内のとおり段々の論議の中で、ぎりぎりいっぱいの中で決められる。時期的な問題を申し上げたわけです。恒例によりますと十二月中旬、これが決まりませんと予算編成の骨格が定まらないということもございまして、その門限を切っておるわけでございます。そういうことで、その論議を踏まえて、予算編成の基本になる税でございますから決定をされていく、こういうことであります。  以上であります。
  68. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 大蔵大臣に対する質問を中心にしていますと時間がなくなってしまいますから、もう一点だけ大蔵大臣にお伺いをしておきたいと思うんです。  この財政構造改革が、最初、内閣におきまして二〇〇五年という目標を定められました。いろんな財政計算もされていたというふうに聞いております。これが二〇〇三年に二年間短縮をされたわけでございます。早期にこの問題を解決しようという意欲はわかるわけでございますが、最初は二〇〇五年を前提にいたしましてそこに三%の目標を定めておられたというふうに聞いております。その前提として我が国の経済成長率を大体三・五%ぐらいに置きまして、その中において公債発行の赤字の比率を一定に保たれるような計画がなされてきたと思うんです。だからベースと定められたのは、三・五%という、前半におけるところの我が国の経済成長が実現できるというものを前提にして計画が組まれていたんだろうというふうに思うわけでございます。現状の景気の動向を見ましても、もう三・五%なんて夢物語に等しいような状況に実はなってきております。  大体、経済成長の柱というのは、これはもう私が言うまでもなく、大蔵大臣も十分御認識のように、三つの大きな柱があってこそできるわけでございます。労働力がいかにふえ続けていくかということが一つ。労働力の投入量が一つであります。それから二番目は、ストックの増大、すなわち設備投資をどのように拡大していくかというのが二番目の柱。三番目は、技術革新がどのような形で進んでいくか。この三本の柱が経済成長というものを支える柱であることは、これは経済学的に経済学者が一般的に言っていることだと思うわけであります。  こういうものを分析した場合、我が国の場合は少子・高齢化ということで人口がだんだん長期的に頭打ちになっていくということだけではなくして、既にことしをピークとして労働力人口というのは減少に転じていくわけでしょう。労働力の投入量をふやすということは、今我が国で考えられることは、女子労働者をいかにして社会に参加させていくかということにしか救いかないわけですよ、経済成長を続けていくためには。一般的に言うならば、労働力の減少という意味でこれはマイナス要因にならざるを得ないわけです。  設備投資はどうか。設備投資は確かに輸出産業を中心としてここのところ伸びてまいりました。経済企画庁長官が盛んに設備投資は良好だ良好だと言われているけれども、それは輸出産業だけの話であって、輸出産業以外はむしろ停滞、頭打ちという状況であったわけであります。よほどの消費の伸びが期待されない限り、これは稼働率の問題もあるし、生産能力と需給ギャップの拡大を避けて設備投資というのは生まれてこないわけであります。  でありますから、我が国はかつての高度経済成長のような大幅な設備投資というのが、三・五%を実現できるような設備投資が期待できるかといったら、そういうような状況には我が国はないと思うんです。  加えて、技術革新を考えてみますと、かつてのような家電製品、乗用車を中心とした、あるいは新しい技術があるかどうか。確かにバイオあり、あるいはまた光ファイバーを中心とした技術開発があるかもしれないけれども、まだこれは大量の消費を生み出すような形の技術とはなり得ていないわけであります。大きく経済成長を持ち上げるような技術革新というものは、今の場合二〇〇五年の間に期待できないわけであります。  そういうことを考えてみますと、三・五%というそのものがもはや前提条件として崩れてきているんじゃないか。これはことしの経済成長一つ見ても同じです。一・九%を予定されていた経済成長はもう一〇〇%実現無理だと、企画庁長官は依然として譲らないかもしれませんけれども。これはどう考えても無理な仕事であります。もう前提が崩れてきているわけです。  ですから、そういう状態において、無理な次元に絞ってこの財政構造改革なるものを実現するよりも、多少、一年、二年延ばしてやっても、その期間に財政出動という形のものがあっても、私は大きなこの計画の実現には影響を与えないと思うんですが、大蔵大臣、いかがでしょう。
  69. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) この点がいつもすれ違いと申し上げましょうか、それはちょっと言い過ぎですね、訂正します、ギャップの存するところでございます。  それぞれの指標をベースに、この指標のとり方は実態の調査の中で出ております。委員の言っていることを全く否定するつもりは私もありません。そういう中にありながら、なおかつ労働力の雇用というのは伸びてきておると。女子労働者にチャンスを与えるということは全く同感であります。  そういう中で、御指摘の設備投資の問題も先行投資でやる機械受注の数字がその下支えをしておるというのも、これも数字があらわしておるということになりますし、しからば全体がもっと行くんじゃないか。これが消費税導入の影響が依然として残っておるということどもの中で影響を及ぼしておることはそのとおりでありますが、本件もこれからの運営の中で解消に向けてプラスの方向に行くようにしなければならぬというので、政府発表の経済対策の中に詳細に盛り込んでおられるのはそういうことでありまして、発表したから直ちにそうなるということではなく、その理解を得ていただく、また得るために政府全体として最大の努力をして理解をいただくということであり、それに対する下支えの問題は、規制緩和プラス金融等々について全力を尽くす、こういうことであろうかと思っております。  御見識は拝聴をいたしました。そういう中で私どもの考え方、実は待ったなしの集中三カ年に入るわけでございます。大変国民の皆様方、また業界の皆様方に痛みを伴うわけでございますが、この痛みを解消するための最大の努力を政府とともに共有をさせていただく、考え方を理解いただく、こういうことの中で取り組んでまいりますならば、着実に一歩一歩足元が固まっていくのではないだろうかと申し上げて、答弁にかえます。
  70. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 時間がなくなってしまいました。通産大臣、大変申しわけないんですが、あと企画庁長官お尋ねしたいことがありまして、通産大臣質問する時間がどうもなさそうでございますので、大変恐縮でございますが、結構でございますので。  企画庁長官に今度はお尋ねしたいと思うんですが、ことしの予算は一・九%の経済成長を前提といたしまして、大体税収を一一%ぐらい増を頭に描いて五十七兆何がしかの収入を予定されていただろうと思うわけであります。ところが、御存じのような経済状態でございまして、一一%の税収などというのはまず無理だろうという見通しになっていると私は思います。恐らくこれは補正予算の中でどう取り扱うかということが問題になると思うんです。  そこで、まずお聞きしたいんですが、最初ことし一・九%という経済予測を立てられました際に、企画庁長官、前年度のげたはどのぐらいの予定にされていたんですか。
  71. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) 九六年度の経済見通しは二・五%でございました。消費税に対応する駆け込み需要というのが住宅建築それから消費等でございまして、結果的に見通しよりも大きい二・九%という数字になったわけでございまして、主としてそれは消費税引き上げ前の駆け込み需要要因であるというふうに考えております。  その反面、四月-六月以降の落ち込みも、これまた予想外でございまして、私ども政府も見通しをその点はやや見誤ったかなと思っておりますが、一般のエコノミストと言われる方々もこの点についての見解が大体私どもと同じだったと理解をしております。いずれにしても予想以上に大きな落ち込みを四月以降いたしました。  したがいまして、もとの方が予想以上に高く、それから四-六の分が予想以上に落ち込んだということでございます。その他いろんな要因がございますが、四-六以後の七-九は四-六よりもある程度の実質成長、四-六と比べましてつまりふえているというふうに予想しておりますけれども、全体として今の状況のもとで一・九%というのはなかなか難しいことになったなというふうに理解をしております。  ただ、先日十八日に発表いたしました緊急経済対策によりまして、これから二十一世紀に向かって後半はよくなるなというふうに消費者あるいは企業の皆様が御理解をいただけると考えておりまして、それによりましてより積極的な経営行動に出ていただけるものと考えている次第でございます。
  72. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 具体的にげたの数値をお聞きしたがったんですが、それは結構でございます。  四-六月期の大きな落ち込みによりまして、実は一-三月期の大変な消費の伸びによりまして前年度の我が国の経済のげたは一・八%になったはずです。といいますと、三月の段階から一年間の間ほとんど横ばいの状態が続いても、実はことしは一・八%の実質経済成長率が記録できたわけですよ。ところが、四-六月期におきまして消費の落ち込みが二・九%ありました。したがいまして、げたはマイナスの一・三%、マイナスになっているはずでございます。そうしますと、マイナスの一・三%になっている段階から、仮に一%の成長でもいいですよ、年度間通じて、そこに持っていくためには今後どのくらいの成長を実現しなければいけないというふうにお考えになっていますか。どうでしょう。
  73. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) その辺の細かい数字を現在手持ちでございません。しかし、七-九から以後は、少なくとも四-六に落ち込みがございまして、その落ち込みの中のかなりの部分は七-九には回復しているというふうに考えております。  その後の秋口から来年にかけての動向がどうかということでございますが、私どもは、簡単に申しますと、ある意味で経済の見通しを立てる立場にもございますが、同時に経済運営の責任者でもございまして、このたびの緊急経済対策は相当程度消費者あるいは企業家の心理を好転させまして、即効性があるものもございます。そういうものによって経済は順調な回復軌道に乗っていくというふうに考えております。  今のところ、非常に心理が冷えている、景況感が悪くなっておりますけれども、まだ経済がよくなるか悪くなるかわからないうちに、一瞬早く立ち上がった人が二十一世紀における経済の勝利者になると私は考えている次第でございます。
  74. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 政府は二、三日前に景気対策を打ち出されました。特に、経済企画庁長官はテレビ報道では伝家の宝刀だということを盛んに言われていたわけですけれども、私どもは伝家の宝刀を抜いたとは思えないような内容だったんじゃないかなと思うわけです。特に、企画庁長官が強調されているのは、容積率の規制緩和によって相当な経済効果があるというふうなことを盛んに言われているわけでございます。私は、これはちょっと過大評価じゃないかと思うんです。  一つは、大体この容積率の問題というのは、東京とか大阪とか名古屋とかという、あるいは大都会だと思うんですよ。既に東京都知事は反対しているじゃないですか、この容積率の増大に関しては。だから、そういうような地方自治体の反発が一つあるということと、もう一つは、容積率の増大を発表したからといってすぐ仕事ができるわけじゃないんですよ。設計図を書いて、計画を立てて、実際に動き出すのは半年後ですよ。言わんとするところは、そういう心理的な明るさを与えて、それが景気に影響が出るよという意味ならわかるんですけれども、私は長官が言われているように即効的な効果がある経済対策としてはどう見ても思えないわけです。  それからもう一つ、中小企業対策を見ましても、御存じのようにもうきょうの新聞でも盛んに書かれています、中小企業は悲鳴を上げていると。しかも、年末になると資金の需要は大変なんです、中小企業は。ところが、ことしの場合は銀行が貸し渋りをしているということもありまして、先倒しをしながら中小企業は資金繰りを銀行に働きかけている。いかに銀行が貸し渋りをしているかということです。  大体、年末の中小企業の資金需要というのをどのぐらい考えていらっしゃるんですか。中小企業の貸出枠を政府金融機関を中心として広げられたと言っているけれども、私はとてもあれだけの資金量でもって対応できるようなものではないと思うんですが、いかがでしょうか。
  75. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) 最初の御質問の方は、私がぜひ聞いていただきたい質問一つでございまして、都市中心部における容積率の問題でございます。例えば銀座周辺で見ますと、あそこは容積率規制は八〇〇%ということになっております。ところが中をよく見ますと、中央区全体――中央区というのは銀座、京橋、日本橋でありますが、中央区全体で既存不適格というビルがございます。それは昭和三十年代につくったビルでございまして、いわゆる容積率規制というのは昭和三十九年に導入されました。つまり、それ以前の建物は高さ三十一メートルという高さ制限がございまして、その高さのもとであれば容積率の制限はなかったわけでございます。結果として、そういうビルが一〇〇〇%とか一二〇〇%とか、高いところは一三〇〇%、地下に潜らせておりまして、地下五階というようなところもございます。  そういう中で、一三〇〇%に至るまでの高い容積率を現在持っているものがございます。したがいまして、今こういうビルを建てかえをいたしますと、今までのビルよりも小さいビルにしなければ建てかえができないという規制になっております。  それじゃ、それでそのままほうっておいていいのかということになりますと、古い三十年代のビルでございますから、耐震性においても最近の昭和五十六年に規制が改正されましたころから見るとやや劣っている。五十六年から耐震性が強化されました。兵庫の淡路の例で見ましても、高いビルで最近つくったビルは全部残っております。そういう点を考えましても、やはり持っておられる方、経営者が建てかえをしたいと思っておられる。それから、最近の動向として、配線を床下にしないとOA機器をしっかり使えないということになっております。その両方の点から建てかえをしたいと思っているのでありますが、八〇〇%という制限のために、建てかえますと小さいビルになってしまう。  したがいまして、建てかえたいと思っている人がこの規制のために建てかえられないというのがかなりございます。そのビルの容積率、これが一〇〇〇%に建築基準法でなります。一番高いのは一〇〇〇%でありまして、例えば大阪あたりは一〇〇〇%になっておりまして、相当程度既存不適格というビルはございません。東京は、あの地域は八〇〇%でございまして、これを実質的に今までのビルと同じぐらいの大きさに建てかえるだけでも相当程度しっかりしたビルになりますし、OA化もできる。そしてお金がかからないで、しかも御本人、あそこにおられる方々は非常に喜んで、ぜひ建てかえたいというふうに思っているわけでございまして、あそこだけで見ても約六兆円の実は建てかえ需要があるわけでございます。  そのほかに東京全体で、例えば池袋とか新宿とかその他の地区を入れまして、本当にかたく見ても同じくらいございます。日本全体で見ますとそれのまた三倍ぐらいあるということで、約二十兆円ぐらいは、すぐにでも建てかえたいけれども容積率規制があって無理だということを言われております。東京都知事にも私お目にかかって、この話をいたしました。いろんな状況があるけれども、この問題は前向きに検討するというお答えをいただいております。この問題は大至急やりまして、本当の実需にすぐにでも結びつくというふうに考えております。  中小企業の金融の問題は、いわゆるクレジットクランチの問題で、私は早期是正措置等の関係でいわゆる一般の金融機関が貸し渋りをするかもしれないというおそれを持っております。したがいまして、それに対して政府系の中小企業金融機関に対する融資枠の拡大の問題とか運転資金の手当ての問題とか、そういう問題についてもしっかりとした対応をしていきたいと考えております。
  76. 今泉昭君(今泉昭)

    ○今泉昭君 時間が参りました。最後に一言だけ申し上げておきたいと思います。  この財政構造改革という問題は、我が国の金融システムの改善と、そして今回の不況対策を抜きにして解決のできない問題だろうというふうに思っております。  最後にそのことだけ申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
  77. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 連日御苦労さまでございます。民主党・新緑風会の齋藤でございます。  最初に、財政構造改革法案の質疑に入る前に、一、二、外務大臣そしてまた法務省関係についてお伺いさせていただきたいと思います。  最近の、ここ数日間といいましょうか数週間、中東の問題ではエジプトの襲撃事件あるいはイラクの経済封鎖以降の問題等が非常に紙面をにぎわしております。エジプトの事件につきましては大変痛ましい事件でございまして、外務省としての邦人保護、救出、さまざまな角度からの努力をされていると思いますが、今後旅行者の安全等につきまして格段の努力をお願いしたいというふうに思っております。  さて、イラク情勢でございますけれども、いわゆる国連の大量破壊兵器廃棄特別委員会、この米国人の査察官受け入れ問題についていろいろトラブルが今日までイラクと続いておりますが、外務大臣、まず現在の国連を中心とする動き、イラク情勢についてどう受けとめられているのか。現状について御報告、御説明いただきたいというふうに思います。
  78. 国務大臣(小渕恵三君)(小渕恵三)

    国務大臣(小渕恵三君) 御質問のありましたように、現在のイラク情勢が極めて緊張いたしております状況に憂慮いたしております。  一九九〇年八月のあのイラクのクウェート侵略を思い起こすまでもなく、二度と再びそうした不慮の事態の起こらないように最善の努力をいたしていきたいと思っております。  イラクに対しましては、累次の国連安保理決議によりましていわゆる経済制裁を科しておりますが、大量破壊兵器の廃棄及び国連による査察受け入れの義務をつけられておるにもかかわりませず、国連による査察に対してイラクの妨害がたび重なっておりまして、十月二十九日のイラクによる米国人査察の入国拒否、国外退去要求等の決定を受けまして、国連安保理において、イラク軍人等の海外渡航制限措置を含む決議や、国連の査察の無条件受け入れ等を求める議長声明等が相次ぎ出ておりますが、いずれにいたしましても、こうしたものをイラクは依然として無条件受け入れを行っておりません。  本件につきましては、国際社会が一致団結して対処する必要があるということでありまして、我が国としても、引き続き事態の推移を注視しつつ、国連安保理の場で現在審議に取り組んでおるところでございます。
  79. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 今の御答弁の中にもございましたが、率直に言って危惧するのは、クウェート侵攻そして湾岸戦争に至った経緯をついきのうのように思い起こすわけでございますが、イラクへの武力行使という、こういう国際的な雰囲気というのがあるのかどうか、いや、それは全く危惧はないという日本政府の外交、今の状況、さまざまな判断なのか。この武力行使ということについてはいかが分析されておりますか。
  80. 国務大臣(小渕恵三君)(小渕恵三)

    国務大臣(小渕恵三君) 武力によりまして制裁を行うということは、最後の最後の手段であろうと思います。  いずれにいたしましても、現在は外交的手段を講じてそうしたことの起こらないようにということで努力をいたしておりまして、現在、最も関係深い米、英、仏、ロ、この四カ国の外相会議を開催いたしておるところでありまして、報告によりますると、現在ジュネーブの時間では午前三時半ごろでございますけれども、オルブライト国務長官が午前二時に到着して三カ国の外相が待っておるところに参りまして、三時から緊急の会議に入っておるということでありますので、我々としては、特に関係深いこの四カ国が一致してイラクに対して有効な手だてを講じていただけるように今期待をいたしておるところでございます。
  81. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 私も、四カ国の外相の会談が成功に終わるということについて期待をしているところでございます。  過日、ロシアのプリマコフ外相が日本を訪れて、小渕外相もいろいろ会談をされたと思いますが、言ってみれば日本の外交の、何というんでしょうか、このイラク問題に限らず総体的に言えることなんですが、とりたてて今度のイラクの危機打開に向けて日本がどういう役割を果たすのかということが極めて大切ではないかというふうに思います。  そこで、四カ国の外相会議を見守るということだけではなく、さまざまな外交ルートを通じての日本の努力もされているというふうに思いますけれども、武力行使に至らないという見通しもあろうかと思いますが、私としては、このイラク危機打開に向けてどのような特徴的な、独自的な日本外交というのがされてきたのか、されようとするのか、非常に注目をしているわけでございますが、過日のプリマコフ外相との話し合いの中身も含めて御披瀝いただければありがたいというふうに思います。
  82. 国務大臣(小渕恵三君)(小渕恵三)

    国務大臣(小渕恵三君) 齋藤委員も御承知かと思いますけれども、プリマコフ外相は中東問題の専門家でございまして、今般は日ロ問題で来日をされておるわけでございますが、私も専門家たるプリマコフさんに中東問題についてのいろいろ御意見も伺いました。  武力といいますか、実力をもってイラクの不当な行為に対してこれを抑制するということはそれこそ最後の手段であろうと思いますが、関係の深いロシアの外相におかれましても、ぜひ願わくば影響力を行使していただきたいということでお願いも申し上げております。  日本としては、現在は国連の場におきまして種々の決議に対して、決議案の提案国になるとともにこれに賛成して、安保理において全員一致でこの問題を処理するために日本としての責任を果たしていきたい。また同時に、日本としては、対イラクあるいは対米国、あるいは対P5諸国あるいはまたイラクに影響力を有しておりますアラブ諸国、こうした国々に対しまして、積極的に日本側としての意思を伝達しながら解決を目指しておるということでございます。
  83. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 積極的な解決に向けて努力をお願いしたいと思います。  ロシアそしてアメリカ、フランス、イギリス、それぞれ独自の外交をされて、その上での協議であるわけでありまして、日本は必ずしもアメリカに追随するわけではないわけであります。この四カ国外相の見通しも、非常にまだ危機的段階を脱していないんだというアメリカ側の分析もあるし、いや、そうではない、武力行使なんということではなくて、今は収拾の方向に行くんだというフランスのそんな独自の外交の立場の分析もあるようでありまして、日本の独自の外交努力をぜひお願い申し上げたいというふうに思います。ありがとうございました。  続きまして、いわゆるイトマン事件の関係でございますが、許永中被告が行方不明ということで、新聞に大きな活字として入ってまいりました。きょうも法務省の政府委員の方、いらっしゃいますね。  イトマン事件の許永中被告が大阪地裁から保釈を受けて、今日まで行方不明とされているわけですけれども、これは今行方不明であるということについて事実かどうか、まずお聞きしたいと思います。
  84. 政府委員(原田明夫君)(原田明夫)

    政府委員(原田明夫君) そのように承知いたしております。
  85. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 改めてお伺いいたしますが、この許永中被告の容疑内容、事実と申しましょうか、容疑について明らかにしていただきたいと思います。
  86. 政府委員(原田明夫君)(原田明夫)

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  お尋ねの被告人許永中につきましては、二件の商法違反、これは特別背任罪でございますが、それと一件の法人税法違反の事実によりまして、大阪地方裁判所に公判請求されております。  その公訴事実の骨子を申し上げますと、まず特別背任罪でございますが、被告人許永中は、イトマン株式会社の代表取締役社長であった河村良彦らと共謀の上、平成二年四月ころから五月ころまでの間、被告人が実質上経営するさつま観光株式会社のゴルフ場開発工事に関して、融資金が確実に回収される見込みもないのに、確実な担保を徴求することなく、イトマンの資金合計二百億円をさつま観光へ貸し付けさせ、もってイトマンに対し約百四十六億円相当の財産上の損害を与えたというのが一件でございます。  もう一件は、被告人許永中は、イトマンの取締役等であった伊藤寿永光らと共謀の上、平成二年二月ころから九月ころまでの間、イトマン及びその子会社をして、被告人が実質上経営する関西コミュニティ株式会社等三社から不当な高額で絵画等美術品を買い取らせた。すなわち、通常約百八十一億円のところを約五百二十八億五千万円で買い取らせた。もって、イトマン及びその子会社に対しまして約三百四十七億五千万円相当の損害を与えたという事実でございます。  また、法人税法違反でございますが、被告人許永中は、被告会社関西コミュニティの実質上の経営者であったが、ほかの数名と共謀の上、同会社の平成元年四月一日から平成二年三月三十一日までの事業年度の所得金額約七十六億五千四百四十七万円を秘匿いたしまして、法人税約三十億六千八十八万円を免れたというものでございます。
  87. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 この事件はたびたび国会の中でも取り上げられている事件でもございますけれども、私は、きょうの時点でこの事件の内容について、また司法の問題でございますので、内容についてお尋ねするつもりはございません。  ただ、一般的な国民の感情として、気持ちとして、裁判所で次々と事件の概要が明らかになり、真相が明らかになるということについて期待をしていたにもかかわらず、大阪地裁での保釈許可、そして行方不明ということについて、一体どうなっているんだろうか、そういう率直な疑問があります。法のもとの平等ということではだれでも同じような立場だろうということについては私も十分理解をしますけれども、今前段申しました、このような人物がなぜということについての疑問というのは私はだれでもが思うことではないかと思います。  そういう立場で、今回の許永中被告に対しての保釈手続についてはどうであったのか。新聞紙上では保釈金は六億円、こういう大変高額な保釈金であるわけでございますが、この保釈手続について明らかにしていただきたいというふうに思います。
  88. 政府委員(原田明夫君)(原田明夫)

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  お尋ねの趣旨が、保釈制度と申しますか、その運用に係る点を含んでおりまして、そのような観点からのお尋ねと存じますので、保釈というものはどういう仕組みになっているかということについて若干説明させていただきたいと思います。  保釈と申しますのは、裁判中勾留されている被告に対しまして、保釈保証金を納付させまして身柄の拘束を解く制度でございます。  刑事訴訟法八十九条によりますと、被告人等から保釈の請求がありました場合は、被告人が罪証、証拠でございますが、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」など一定の事由がある場合を除きましては、裁判所といたしましては保釈を許さなければならないとされているところでございます。  なお、裁判所は、刑事訴訟法九十三条三項によりまして、「保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。」とされているわけでございます。そこで、保釈を許す場合にはそのような条件を定めますほか、「保証金額を定めなければならない。」とされておりまして、保証金額はさまざまな犯罪の状況、被告人の性格、資産等を考慮いたしまして決定されるものでございます。  保釈保証金は、一定の取り消し事由が生じた場合には没取されるということがあるという心理的な負担を課すことによって裁判所への出頭の確保等を図るためのものとされておるわけでございます。  そこで、具体的なこの許永中の手続関係でございますが、平成五年十二月十四日に保釈請求がなされまして、同月二十一日に保釈許可決定がなされて、同日釈放されております。保釈保証金はただいまお尋ねにございましたように六億円と承知しているわけでございます。  そして、平成九年、本年でございますが、去る十月十四日に検察官から保釈取り消し請求がなされまして、裁判所は同月二十一日に保釈取り消し決定をいたしました。現在その行方を所在捜査しているという現状にあるわけでございます。
  89. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 大変多額な保釈金ですね。こういうような事例、六億円ほどの高額な保釈金を、手続をして保釈をしたという例というのがあるのか、そしてまた、今度こういうふうに取り消しをした例というのはこの間ありますか。
  90. 政府委員(原田明夫君)(原田明夫)

    政府委員(原田明夫君) 具体的な事例についての金額について直ちに手元にございませんが、最近はやはりいわゆる経済事犯を中心に、いわゆる犯罪を構成する事実にかかわる金額が大変多額だということもございまして、数億円の保釈保証金ということはさほど例外的なものじゃございません。ただ、本件につきましての六億円というのは相当、一般に考えますと多額な金額であろうと考えております。  その中で、どのような事例につきまして保釈が取り消されたかという点については、さまざまな事例がございますので、ここで申し上げるのは若干差し控えさせていただきますが、多額の保釈保証金が課された場合でも、法廷に出てまいらないという場合は極めて例外的にはあるわけでございます。  ただ、裁判所といたしましては、さまざまな状況を踏まえまして実際に保釈保証金を定め、なおまた現金で保証金を納めさせる範囲、また場合によっては関係者の保証書によってそれを認める場合等々さまざまな状況がございまして、それは被告人等の資産その他の状況を見て、これぐらいならば出頭を確保できるという金額を定めているのが実情のように承知いたしております。
  91. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 そうすると、今の御答弁ですと、局長の御記憶ですと、最近、このような高額な事例、保釈金はあるけれども、取り消した事例というのもあるかどうかわからないということですね、取り消しまで至った事例は。  私は私なりの知識で言いますけれども、そうないんではないかということを思いましてお話をさせていただいているんですが、冒頭申しましたようにこの事件の概要について、そして解明するそういった時間的余裕もございませんが、極めてこの許永中被告の行方不明問題というのは事件解明に向けて大変問題であろうかというふうに私は認識をしております。私以上に捜査当局の方も認識をされているんではないかというふうに思います。所在を確かめるということで頑張ってくれというのも変なんですけれども、変ではないかもわからないが、やっぱり真相解明に向けてぜひその点については全力を尽くしていただきたいということを現段階では言うしかないというふうに思いますが、この行方不明の捜査状況について、お話しできる範囲で御説明いただければと思います。
  92. 政府委員(原田明夫君)(原田明夫)

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点、捜査当局といいますか検察当局も極めて関心を持って全力を挙げてその対策を立てていると存じます。身柄の確保と裁判の適正な実現のために努力を続けるものと考えております。
  93. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 どうもありがとうございました。  保釈手続ということについて一般的な法のルールがあろうかと思いますが、このような大事件の渦中にある人物がなぜ保釈に至ったんだろうか、そしてなぜ行方不明になったのか、極めてなぞに包まれているわけでありまして、真相解明に向けまして捜査当局の厳重なるまた御努力をお願い申し上げたいというふうに思います。  さて、財政構造改革法案の質疑でございますが、許永中問題につきましても、この間の日本経済のゆがんだ構図の中での一つの事件というふうなことも言えるかもわかりません。私はこの間の自分自身の質疑や多くの諸先輩の方々の議論を聞いて  いる限り、今回の財政構造改革法案というのは、構造改革とは名を打っているけれども、全くこの構造改革というところにメスが入っていない、そういう法案であるということについて、多くの方々の議論というのはそうであり、そして残念ながら政府側の答弁というのはそのことについて真正面からそうではないんだということについて答弁がないというふうに判断せざるを得ません。  今日まで、最近では中央の行政組織いわゆる省庁再編のことが大きな話題になっておりますが、率直に申し上げまして、既存の諸関係を変えないまま見直しをするということについて膨大なエネルギーを要しているわけでございますが、何かむだなような気がしてならないわけであります。本当の行政改革というのは何だろうかということについては明らかになっているわけでありまして、真の行政改革、体質改善に向けて、既存の構造の平行移動あるいは単なる組み合わせの変化、こうしたことが行われていることについて、大変残念に思っております。  中央、地方、今注目をしております財政改革であるわけでありますが、私は過日の総括質疑の中でもお話をさせていただきましたけれども、真の財政構造改革というのは官僚主導の中央集権型の経済構造、経済にその根源、いわゆる日本経済が直面している困難というのはそこにあるのではないか。したがって、地域の社会資本は地域の住民がみずから決めるべきなのに、全国のお金を中央に集め配分をするという、そういう分け前にあずかろうというような陳情型の政治、そこに問題があるわけでありまして、中央と地方の税財源の見直し、分担の見直し、分権こそが真の財政構造改革の骨太のデザインであるということについて、私はあえて指摘をさせていただきたいというふうに思います。  そこで、具体的には三洋証券問題について触れさせていただきたいというふうに思います。  先日の質疑の中で、三洋証券の破綻に至った教訓ということについて一言大蔵大臣に御答弁いただきまして今日に至っております。改めて、今度三洋証券が会社更生法適用に至った経緯、これは概要で結構でございますので、簡単に御説明いただければというふうに思います。
  94. 政府委員(長野厖士君)(長野厖士)

    政府委員(長野厖士君) お答え申し上げます。  三洋証券につきましては、かねて関連ノンバンクにおきます経営の問題に端を発しまして、その関連ノンバンクを含めた経営再建というものが努力されておりまして、平成六年にはそういった立て直しを図るべく、主力銀行によります関連ノンバンク向けの債権の金利減免、あるいは野村証券等によります第三者割り当て増資、あるいは生保各社による劣後ローン供与等を内容とする経営改善計画が取りまとめられ、その実現に努力されてきておったわけでございますけれども、最近に至りまして、経済情勢の推移の中でこれ以上の現行経営改善計画の遂行は困難という判断に至ったということで、三洋証券から、十一月三日でございましたけれども、関連ノンバンク等について法的な措置をとることとした、その結果、三洋証券による関連ノンバンク等への与信の毀損等が生ずるため通常の事務の継続が困難となったので、法的枠組みの中で会社の再建を図ることが適当と判断し、営業の一部を休止するとともに、東京地裁に会社更生法の適用を申請することとしたという報告があったというのが経過でございます。
  95. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 十一月三日付でございますね。  今の御報告でもございましたけれども、顧客資産の返還に万全を期するための例外措置が講じられているということでございます。例外措置でございますから、第二、第三の三洋証券を期待するつもりは毛頭ないですが、これはだれでもが危惧をするんですが、第二、第三の証券会社が破綻したときは、例外措置でありますから適用はできないわけですね。適用できないというか、また別な次元の話になろうと思うんです。  そのために、今とろうとしている施策ということについては幾つかの検討をされていると思いますけれども、今法整備の検討ということでございますけれども、第二、第三の三洋証券が起きては困るということでのそんな法整備の検討、その内容についてお伺いしたいと思います。
  96. 政府委員(長野厖士君)(長野厖士)

    政府委員(長野厖士君) 証券会社が破綻いたしましたときに、顧客資産の保護を図る道は基本的には二通りかと考えます。  一つは顧客の財産。顧客は国債をお買いになったり株をお買いになったり、証券会社を取引の場として利用され、資産そのものは株式であったり債券であったりするわけでありますから、その顧客の財産を証券会社の財産から分別して管理して、顧客のものであるという形を打ち立てておけば、まずこれが一番保護されるということでございます。しかし、時によりまして、委託証拠金のように証券会社の資産の中に含まれざるを得ない債権というものも顧客との関係で生じてまいります。  それにつきましては、寄託補償基金というもので対応しておるということは御高承のとおりでございまして、したがいまして私どものとるべき方向という点で申し上げますと、まず第一点に、この分別管理というものをできるだけ広く徹底していくということが一番であろうかと存じますし、二番目には寄託補償基金といったものを、これは現在は財団法人で任意のものとして寄附金に基づく仕組みとして行われておりますけれども、できますればこれを諸外国と同様に法律上の組織にし、納付義務をきちんと法律上明定し、したがってそこへの拠出も税法上は損金算入にできる、そして今現在、一社当たり二十億円という限度措置がとられております。  先生指摘のように、これにつきまして今回特例措置ということでございましたけれども、一社当たり二十億という、顧客からすれば自分の資産が具体的には一千万の債権のうちどのくらい返ってくるんだというのが全くわからない仕組みがよいのか、それとも顧客お一人当たり一千万までは全額補償する、一千万以上はどうするという形にした方がよいのかというあたりを今後詰めさせていただいて、法律として御提案させていただければと考えている次第でございます。
  97. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 今答弁がございました寄託証券補償基金の法制化ですが、検討されているということについて承知をしております。  ここ最近、この寄託証券補償基金について証券業界から、証券業界の経営状況を反映している声かもわかりませんが、公的資金導入をしてほしいというような声がちょっと報道でも見られるんですが、それについてお尋ねしたいというのが一つ。  もう一つは、今度の三洋証券の救済で、特例ということで投資家の保護がされているわけですけれども、いわゆる外債なんですけれども、外債が保護されたんだろうか、あるいはこれから保護されるんだろうかということについての整備の検討というのはされているんだろうかという疑問がございます。  外債というのは、御承知のとおり海外の信託銀行あるいは国際決済機構が保管をしているわけでございまして、個別のいわゆる顧客の名義ではなくて証券会社の名前で保管をされているわけであります。当該の証券会社が仮に倒産をした場合は、債権者から外債は証券会社の資産として差し押さえられてしまうおそれがあるというふうに私は思います。  そこで、大蔵省といたしまして、この外債の保護預かりということについて、これからそのようなことは全く心配することはないんだと、いやそうではなくて、法制度について検討をしなければならないとか、そんな判断について伺いたいと思います。
  98. 政府委員(長野厖士君)(長野厖士)

    政府委員(長野厖士君) お答え申し上げます。  第一点の寄託証券補償基金につきまして、公的資金についてどう考えるかというお尋ねでございます。  今日まで英米の仕組みを見ますと、業界の拠出による仕組みとして法制上位置づけられた仕組みがワークいたしております。その面で今日日本では立ちおくれているような感じがいたしますので、まずもって預金保険制度と同じようにそういった仕組みをきちんと法制化し、先ほど税務上の取り扱いも、これは主税局にお願いすることになるわけでございますけれども、預金保険と同じような扱いのできるものとして構築するということが現時点ではまず第一段階ではないかと考えております。  二点目の外債に対する御指摘でございます。  三洋証券のケースにつきましては、先般も御報告したとおりでございますけれども、この点につきましては、御指摘のありました外債の国際的な受け渡し決済制度というものとの関係で何か改善できる点があるかどうかというのが一つの検討事項でございます。  ただ、世上若干混乱いたしておりますのであえて御説明させていただきますと、仮に外債に関して損失が発生した場合でも、そこから今度は寄託補償基金制度によって補てんをされて最終的には守られる。優先的にまず自分に権利があるかという問題と、その権利が他の債権者と平等になったときにロスがかかってくる、そのロスは寄託補償基金で賄えるかという二段構えでございますの一で、その点につきましては現在のシステムはまず十分なものと考えております。
  99. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 いずれにしましても、外債というのは国内低金利という中で非常に人気があるわけでありまして、今検討するということについても触れられておりますが、投資家保護という立場の中でぜひ御検討いただきまして、正すべき点、改正面があればそういう手続について入っていただきたいというふうに思います。  さてそこで、三洋証券の破綻に至る以前、九四年に既にこの会社は経営が非常な危機に至っているということで、いろいろ大蔵省も指導に入って手続をされているわけです。平成六年四月、経営改善計画の概要というのを私も見させていただいているんですが、とりわけその中に生命保険業界から総額二百億円の劣後ローンを組んでいて、これが今回生保業界に言わせますと紙くずになったということで、大変残念というか怒っているわけであります。  生保業界は、大蔵省からの指導もあり強い要請もあり、この平成六年の経営改善計画に取り組んだ。某生命保険会社のトップは、大蔵省を恨むのはおのれの無能の証明だと、こんなことを言っておりまして、これからはこんなことじゃうちの業界もということで、結果的に北海道拓殖銀行についての劣後ローンについては延長をしなかったというふうに至っているようでございます。  残り時間も短くなりましたけれども、今度の三洋証券以前にも二社証券会社が倒産等をしているわけでございます。私は、今回の三洋証券問題あるいは日産生命保険も通常国会のときに議論もさせていただいておりますが、三洋証券の今度の会社更生法の適用に至ったときのトップの記者会見のときに、投資家の皆さん方に申しわけないというような謝罪があったのかどうかということで、どの新聞を見ても申しわけないというのは出てこない。さらには生命保険業界も、この劣後ローンが紙くずになったと、大蔵省を恨んでいるけれども、まあ恨んでもしようがないということで、それぞれの企業の責任ということについて果たしてどう考えているんだろうかと思います。  それぞれ、そういうふうに思いますと同時に、大蔵省が今、護送船団方式から改めて金融ビッグバンに備えたさまざまな取り組みをされているというふうに思いますけれども、大蔵省のこの指導監督責任ということについて、大蔵省自身も日産生命のときにも間違っていましたと言うことについては非常に拒んだ。今回の三洋証券問題では、私はあえてその責任があったとかなかった、申しわけないということについて言ってもらうために時間を費やしていませんのは、多分言っても間違っていましたなんて言わないんじゃないかということを実は想定してこの話をしているんですけれども、極めてすべてが無責任体制であるということに国民全体の共通の怒りがあるんではないかというふうに私は思います。この怒りが先行き不透明という中で株式市場の低迷にも結びついているというふうに思っております。  生保業界あるいは証券業界、それぞれの企業責任がございますが、大臣、今度の三洋証券の破綻に至った経緯の中で取り組んできた大蔵省の教訓というものを、前回の中では最後にちょっと一言言っていただいたわけでございまして、大蔵省の立場としての教訓、今までの行政をこういうふうにしてきたけれどもということの中でのお考え方についてお示しいただければというふうに思います。
  100. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 齋藤委員の段々のお話、今後の反省の中で教訓として踏まえていかなければならぬだろう、このように思います。  一連の過程の中でありましたが、精いっぱい私も最終的に判断をし取り組ませていただきました。いつも寄託者、預金者保護というのが頭のど真ん中にあり、そしてそのことが達成されることにより金融システムが安定をしていく、そういう中で諸改革が確実に前進することを願いながら今日まで参ったつもりであります。  今回の問題を改めて教訓としながら、新時代への移行を確かなものとしてまいりますことが私の責任でありますが、大蔵関係事務当局の諸君の気構えでなければなりませんし、これからのあるべき姿、過去の反省、歴史の分析の中で新しい方向に向けて全力を尽くしてほしいと申し上げてきました。そのとおり、せっぱ詰まった環境の中で預金者保護と金融システムの安定に最大の努力を彼らもしておると私は理解をし、そしてまたその責任を私自身が果たすために今後も厳しくおのれを見詰めてともにやらなければならぬことだと思っております。
  101. 齋藤勁君(齋藤勁)

    ○齋藤勁君 三洋証券問題でいいますと、平成六年四月の経営改善計画のときに大蔵省の強い要請で生保業界は二百億の劣後ローンを組んだということで、生保業界はいろいろ問題点はあるとしても、この事実を見れば、強い要請でこたえた、しかし大蔵省のそのときの見通しというのは今紙くずになったということについては私は大いなる責任があろうかというふうに思います。  生保に対する保険者の、そこはやはり運営によって生保業界というのは成り立っているわけですから、これは国民の財産が無になっているということにもつながっていきます。さまざまな施策、法改正だとかいろいろするんですけれども、私は共通して政府の今までの態度というのは誤っていました、間違っていましたということについて率直に発言をしてこなかったということについては甚だ残念に思います。  業界に対するさまざまな指導もあろうと思いますが、政府としての指導責任、このことを明らかにすることが真の財政構造改革に向けての第一歩ではないかというふうに思いますので、そのことについて申し上げさせていただきまして私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  102. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 この間の審議を通じましても、今回の法案が社会保障などの国民生活のあらゆる分野に犠牲を強いるということが明らかになってきていると私は思うんです。また、日本自治体労働組合総連合、この労働組合の総連合の呼びかけに対して、今ほど伺いますと、既に現在で全国百八十五の自治体の首長から、この中には大蔵大臣の地元の宮城県や防衛庁長官の地元の長崎県も入っておりますが、全体を合わせまして百八十五の自治体の首長から、この法案にかかわって地方への負担転嫁や地方交付税の削減、この問題に強い危惧が表明をされております。こんな法案をこのまま通していいのかという声が日々広がっている中で、さらに徹底した審議を私は行うべきだというふうに思うわけであります。  国民生活関連予算のいわば自動削減装置というものをつくろうという本法案は、他方で膨大なむだをつくり出している公共事業の問題とともに、防衛費、軍事費の問題を温存するという仕組みになっていると思うので、きょうはこの問題について絞って伺いたいと思います。  日本の防衛費といいますか軍事費は九七年度で四兆九千四百十四億円と、先進国でも有数の軍事大国になっております。この十二年間に一・五倍。ドイツはマイナスですし、アメリカもほとんど横ばいという数字になっているわけでありまして、ソ連がなくなってから各国とも削ったのに日本はふやし続けているということになっていると思うんです。  そこで、この法案の第十九条に「防衛関係費について、節度ある防衛力の整備を行う必要があることを踏まえつつ、財政構造改革推進の緊要性に配意して、抑制するものとする。」というふうにございます。つまり、これを素直に読みますと、節度を持ってふやすことを前提にするが、財政構造改革があるので、ふやし方は青天井ではなく抑えぎみにするだけだというふうに思うわけであります。  防衛庁長官、そこで伺いますが、この法案は、防衛費は削るのではなくて増加を抑制するだけじゃないか、つまり名目的に前年度と同じならよいということなんじゃないか。  具体的に伺うわけですけれども、来年度の概算要求で九七年度、本年度予算に比べてどれぐらい減らしたか、何%削ったんですか。
  103. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) 今年度と同額以下ということでございますので、もうパーセントでいってもそれは端数の問題でございます。
  104. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 見事なくらいびた一文減らしていない、同額だということでございます。この間聞いておりますと、何か大変な努力をしているようなことを長官も言われているわけですけれども、削減になっていないことは明らかだと思うわけでございます。  そこで、具体的に防衛費関係について伺っていきたいと思うんですけれども、まずSACOの関連経費の問題でございます。  これも大蔵大臣の地元でありますが、今、宮城県の王城寿原で米海兵隊の実弾砲撃演習が行われているところでございます。これは沖縄県民の反対にこたえるということで本土の各地に移転されたということでありますけれども、実態を見ますと、各地でやれなかったことをもっと大規模かつ強烈にやっているということだと思うんです。  矢臼別、北海道ですけれども、私も何度か訪れました。ここの演習を実際見ましても、キャンプ・ハンセンでの演習と同量、同質ということをこの間政府は言ってきたと思うんですけれども、そう言いながら実際には夜間の砲撃訓練や通信訓練までやる。それから、砲撃弾数も十日間で二千八百一発ということで、これは沖縄の一年分に匹敵するということで大幅に拡大強化されているという実態があると思うんです。  この訓練は、訓練のための米軍の食費から夜間訓練のための夜食代、それから宿泊まですべて日本側の負担、それから民間の船舶、航空機、バス、トラックが動員されておりますけれども、兵員、砲弾、砲台の輸送費用も日本の負担ということになっていると思うのです。しかも、こういうふうにして訓練を移転した後も、では沖縄が軽減されて楽になって何もなくなっているかというと、そうじゃなくて、沖縄では砲撃演習を依然としてやっているということで、大変な許せない事態であると思うんです。  そこで伺いたいのは、ことしやった北富士と矢臼別、それから今やっている王城寺原、演習移転費として一体幾らぐらいずつ使ったのか、合計この三カ所で幾ら日本側が負担しているんでしょうか。
  105. 政府委員(西村市郎君)(西村市郎)

    政府委員西村市郎君) お答えいたします。  県道一〇四号線越え実弾射撃の移転訓練のための経費といたしましては、本年度予算におきまして三億七千万ばかりの予算を計上してございます。北富士、矢臼別は終わりましたが、現在、王城寺原でやっております。その支払い実績につきましては現在精査中でございまして、負担額を確定しておりませんので、現在それぞれ三カ所で幾ら、あるいは三カ所足して幾らというのは申し上げられないところでございます。
  106. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 これは事前に幾つか伺ってみますと、後からアメリカから請求が来るという問題もあるんだと。食費、輸送費のほか特別協定三条の追加的に必要なものもあるということも含まれていてわからないと今話がありました。アメリカからどういう項目を請求されるのか。それからいつまでに負担額が確定するのか、まだ精査中と言われましたけれども。  それから、アメリカの要求だけじゃなくて、民間の輸送会社やバス会社も使っていますね。それから、防衛庁や自衛隊が負担した分もあると思うんですけれども、それが幾らかというのもわからないのですか。
  107. 政府委員(西村市郎君)(西村市郎)

    政府委員西村市郎君) おっしゃるとおり、輸送会社と契約したもの、あるいは米軍から請求が来るもの、いろいろございます。  経費の内容といたしましては、訓練を移転することを日本側から要請した関係上、新たに追加的に必要になる経費でございます。それぞれにつきまして順次各演習場でやることになってございますので、年度末を目標に確定するように考えておるところでございます。
  108. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 結局、幾ら請求してくるか、これは年度末をめどにと言いましたけれども、幾らになるかわからないと。九年度予算三億七千万円ということですけれども、それを上回らないというような保障はどこにもないということだと思うわけであります。防衛庁長官うなずいていらっしゃいます。  もう一つ、SACOで言いますと、海上基地建設問題がございます。  政府は、五日に海上ヘリポートの案を出されました。長さ千五百メートル、幅六百メートルで、ヘリコプターが六十機、兵員が二千五百名常駐できる施設もあわせて沖合一・五キロとか三キロとかいうところでの話が出ておって、みんな大変心配しております。  海上基地は要らないと、当然の声が上がっているわけでありまして、そんな巨大な施設をしかも沖の方につくろうということで二つの案が出ているわけですけれども、一体やるとしたら幾らかかるというふうに今見積もっていらっしゃるんですか。
  109. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) あの場所で基本的な調査はやっておりますけれども、まだどの工法になるのか、しかもこれから先、また地元の理解を得て建設ということになりますと環境調査等もやるわけでございまして、そういう中でどういう問題が出てくるか、やっぱりそういうこともございまして、正直言いまして現在、具体的な見積もりはできておりません。  したがいまして、今度あそこの場所で地元の理解が得られましたならば、それを受けて実施計画等をつくって、それによって積算をするということになっていこうと思います。
  110. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 私は地元の理解は得られないと思いますが、いずれにいたしましても幾らになるかわからないと、数千億とかいうことも言われているところでありますが、わからないという返事でありました。  そうしますと、結局、SACOの関連経費、今二つ伺いましたけれども、幾らになるかわからない、上限がどうなるかわからない、こういうことが明らかになるわけでありますが、この法案を見ますと、二十条でこのSACOの問題に直接触れられております。「防衛関係費の量的縮減目標」の中に、沖縄のSACO関連経費は含まないというふうにあります。今見た大問題の実弾砲撃演習の訓練移転の問題、海上基地建設、そして陸上部にも二千五百人分の隊舎を建設する計画があるということも、きのうの衆議院の外務委員会で明らかになったということでありますが、合わせて一兆円とも数兆円とも言われるという経費が見込まれている。要するに、軍事費のうちSACO関連経費は枠外、例外にしているということであるわけですね。
  111. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) SACOは、御承知のとおり、沖縄に基地が集中している問題を解決するためにどういう方法があるかということで、特別行動委員会をつくりまして検討した結果、あの最終報告を得たわけでございます。  したがいまして、これについては、その最終報告の後も閣議決定を経まして着実にSACOの最終報告を実行していくということになっております。これにつきましては、沖縄の方々のいろんな痛みを少しでも、一〇〇%じゃないわけでございまして、これは今よりはベターだということで、SACOの最終報告をとにかく前進させたいということでやっておるわけでございますから、着実にやっていくということを閣議決定しておりますので、しかもその金額についてはまだ現時点でははっきりわからない点もございますので、今度の法案からは別扱いにさせていただいたところでございます。
  112. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 沖縄の痛みがあるからなんてとんでもないことを今言われました。とんでもないです。沖縄の痛みということで言われましたが、もう基地ある限り沖縄の痛みはなくならない。しかも、今問題なのは、もう今でも基地が集中しているのにさらに新たな海上基地建設までするということがあって、そして同時に、訓練移転して全国にその痛みを広げているということが問題になっているわけでありまして、その根本がまず問題だということを私は申し上げたいと思うんです。  そして同時に、その中で今、大臣は、だから枠外なんだと言われました。枠外なんです。しかも今言われたのは、幾らかかるかわからない、わからないから枠外にあえてしたと。そして、先ほど伺ったように、その関連経費についてはやってみないとわからない、請求が来ないとわからないと。すべてそういうことでありますから、もうすべてその上限がないということになると思うんですけれども、そういうことですね、それは。
  113. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) 今度の法案では別にしておるということでございまして、こういうのを予算化する場合には、御承知のとおり衆参両院に予算を出してきちっと決めてもらうわけでございます。だからそれは、この法案に入っていないから別だから全然もう関係ないんだということではございませんので、私どもとしては今の時点でそれがどれぐらいになるのかわからないという点もございますし、また沖縄の問題としてこの問題を着実に実行していく、そういうことをやっているわけでございますから、ぜひそこのところはそのようにとっていただきたいと思うんです。  それと、確かにSACOの最終報告を実行したからといって基地がなくならないじゃないかというのはおっしゃるとおりでございます。しかしながら、今まで県道一〇四号線越えの実弾演習をやめてもらいたいという要望が強くありましたので、本土の皆さん方にも受け持ってもらったわけでございます。また、普天間飛行場の返還のための代替施設としてこの海上ヘリポートを計画しておるわけでございますから、この海上ヘリポートの建設が全く新しく出るわけじゃございませんで、そのかわり普天間の飛行場の返還が進むわけでございますので、その辺については前進だということについてぜひ御理解賜りたいと思います。
  114. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 基地がなくならないということについてはそのとおりだと言われましたけれども、こういうSACOによるこの枠組みの中で沖縄県民は喜んでいるかと、喜んでいないですよ。キャンプ・ハンセンだって、もうこれであの砲弾の音から解放されると思ったら、全然事態は変わっていないと。本土に行ったけれども、依然としてあの周辺は大変な状況です。こういう問題としてきちっとこの問題はあるということを一つ申し上げたい。  それと法案の問題で、ここには入っていない、これは別扱いだということは認められた。国会でそれは審議してもらって枠をかけてもらえばいいと。そういう問題じゃないと思うんです。今ここで言っているのは、今度の法案というのはすべて例外なくキャップをかけるというんでしょう。ところが、SACOについては例外だと。上限は法律で決めない、決めてもらったら困るということであるわけであって、そういう問題だというふうに思うんですよ。国会で予算は毎年審議しているんです。だけれども、今問題になっているのはその点じゃないということははっきり申し上げたい。要するに、この法律によって例外にされ、上限はないということが保障されているということを私は申し上げたいわけでございます。  いずれにしても、こういうことを縮減目標の枠外にしているということはもう明らかになったと思うんです。幾らになるかわからない、しかも閣議決定に基づいて着実に進めるから、それについては文句言うなと言わんばかりのことであります。  考えてみますと、憲法では、争い事は武力ではなくて平和的な話し合いでということを一方でうたいながら、もう一方で、社会保障などの国民生活に直結する分野についてはきちっと保障しなきゃいけないと義務づけている、こういう立場だと思うんですよ。  ところが、今の政府や防衛庁長官のお話は、憲法にうたっている義務については減らすんだと、この法案で。そして、憲法では言われていないそういう問題について、むしろそれに逆行する問題については大いに上限なく保障してもらうと。まさにあべこべだというふうに私は思うわけでございます。  さて次に、もう一つ申し上げたいことは、総理が聖域なき見直しということを言われました。その点でいいますと、当然大きな問題にしなければいけないのが米軍に対する思いやり予算の問題だと思うわけでございます。  衆参で何回かこの問題も取り上げてまいりました。日本が米軍駐留のために日米安保条約に基づく日米地位協定上義務でない負担、本来アメリカが自分で払うべきところをいわゆる思いやりという名前で名づけられて出している予算でございます。これが一九七八年から出されているということで、もともとは根拠がない思いやりによって国民の税金で米軍住宅には四LDK、五LDKとすばらしい豪華住宅をつくり、ゴルフ場もつくる。それからクラブのウエーターのタキシードやちょうネクタイまで出している。  私、この間、委員会の派遣で岩国に行きましたけれども、すばらしい体育館がある。五十メートルプールにスカッシュが四面あるということで、一緒に行かれた他党の委員の方も、我が県にはこんな体育館は一つもないというふうな立派さだというふうに感想を述べられておりました。  当時、財政状況の厳しいアメリカへの思いやりで始まって、その後どんどんふえて、九七年度で二千七百三十七億円になりました。当初は六十二億円でしたから、これを見ますと実に十九年間で四十四倍。新ガイドラインを最終合意した九月の日米の会議後の記者会見で、アメリカのコーエン国防長官は、米議会による国防予算削減が続く中で、日本の思いやり予算を削減しないようにくぎを刺したというふうに言われておりますが、この巨額の歳出を来年度以降も続けるのか。アメリカが求めているし、これを続けていくのか。この問題いかがでしょうか。
  115. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) 思いやり予算という言葉は、最初は確かに予算措置で生じました。しかし、その後特別協定を結びまして、本院でもその特別協定について承認していただいて、今特別協定に基づいてやっているのも結構あるわけでございます。  したがいまして、そういうものにつきましては一定の条約に基づいてやっておりますから、今後見直す中におきましてもその枠内でどこまで合理的に圧縮できるか、今、在日米軍との間でもいろいろな部会の中で検討しているところでございます。また、それに基づかないものにつきましては、予算措置でやる部分については必要に応じてペースダウン等を図りながら、やはり今度の財政構造改革の趣旨に従いまして、私どもとしても極力、削減といいますか、低減に努めているところでございます。
  116. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 特別協定があるということを言われました。もともとは思いやりで根拠がなかったけれども特別協定があると言われましたが、これらの思いやり予算に相当する経費というのは、確認したいんですけれども、安保条約上それから日米地位協定上は米側の負担が取り決められている、そういうもので間違いないですね。
  117. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) 安保条約に基づく在日米軍の円滑な運用に資するということで、そのようになっているわけでございます。
  118. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 安保条約と地位協定には義務になっているかどうかを伺っているんです。そこのところをはっきり答えてください。わからないんですか。
  119. 政府委員(西村市郎君)(西村市郎)

    政府委員西村市郎君) お答えいたします。  まず、提供施設整備と申しますのは、地位協定二十四条の趣旨を踏まえてやっているということでございます。それから、労務費、訓練移転費等につきましては、安保条約の関連取り決めてございます特別協定に基づいてやっておるものでございます。
  120. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 安保条約上と地位協定上の義務があるかどうかを聞いているんです。そこだけ答えてください。あるのかないのか。長官、わからないんですか、こういうことが。これは通告しているしていないの問題じゃないですよ、基本的な問題ですから。安保条約と地位協定の上で、今、思いやり予算と言われている問題について義務になっているかどうかを聞いている。こんなのはイロハだと思いますよ。防衛庁長官、これがわからなかったらこれ以上続けていけないですよ、本当に。
  121. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) どこまでが条約上の義務になっているか、これは条約局の方できちんと答弁してもらわないと、正直言いまして私の方で間違った答弁をするわけにまいりませんので。これは調べさせていただきたいと思います。
  122. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 それじゃ、地位協定の該当部分を読んでください、二十四条。
  123. 政府委員(西村市郎君)(西村市郎)

    政府委員西村市郎君) お答え申し上げます。  地位協定二十四条、経費の負担等でございますが、  1 日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。  2 日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権(飛行場及び港における施設及び区域のように共同に使用される施設及び区域を含む。)をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが合意される。
  124. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 もういいです。
  125. 政府委員(西村市郎君)(西村市郎)

    政府委員西村市郎君) 地位協定二十四条は三項までございますが、よろしゅうございますか。
  126. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 はい。今の一項で明確なんですね。思いやり予算に該当する部分については地位協定にないんです。米側が負担と、これははっきりしていることで、正確なことを何とかということじゃなくて、これはもうはっきり書いてあることですから、解釈じゃないんです。  もともとそういうふうに根拠がなかったから、久間大臣も言われているんですけれども、特別協定というのが、そういう形で根拠がなかったものを特別協定ということでやって、しかも特別協定といったって、読んでみますと、全部または一部を負担するというんでしょう。すべて義務と言えないんです、特別協定があるからといって、ということだと思うんです。そのことはもうはっきりしていること、事実なので、これはもう大変私今驚きを持って答弁できないことについて受けとめました。  その問題を一つ確認しながら、ましてやこの財政危機の中でその特別協定こそ問題だと思うんです。前回特別協定を改定したのが九五年の秋でありました。まさに我が国の財政が最悪の危機的状況に陥ったときでありまして、他方、アメリカの財政状況は大幅に好転した時期でございました。当時の公債依存度を調べてみますと、日本は二八・〇%に急増して、アメリカは一〇・八%ということで大幅に減少したという時期が九五年秋で、特別協定、今のやつを結んだ形になっている。そのすぐ後にあの有名な財政危機宣言が大蔵大臣からされると大騒ぎになったということは記憶に新しい。その問題が今まさに問題になっているわけであります。  そこで、アメリカが双子の赤字に苦しんで思いやり予算を日本に要求してきたときとは大きく状況が変わっている、それなのにこの特別協定を改めるどころか新たに結んで、それを根拠にして思いやり予算はこの協定がありますからということで出し続けるというならば、これは財政危機を軽減どころかさらに進めるということを政府自身がやったということを言わざるを得ないと思うわけであります。  そこで、大蔵大臣伺いたいんです。総理も明言されております。今回の審議の中で我が国財政は先進国中最悪の危機的状況だということを言われております。もう繰り返しこれは言われている。世界でも有数の財政赤字国、この日本がどうしてこの問題でも今までどおり思いやり予算と言われるものについて負担し続けなきゃいけないのか。この間言われたように、日本の立場を、財政状況をもっとしっかりアメリカに言って、この問題についても対処すべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  127. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 我が国の財政構造改革推進につきましては、米国も理解しておると思います。私からも、財政構造改革により健全な財政をつくり上げることによって我が国の基盤が定まります、こういうことでございます。  よって、集中期間中の防衛関係費につきましても、全体として厳しく抑制してまいる必要があると考えております。
  128. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 財政状況については説明しているということで、一応説明しているというのではこれは済まないんです。  先ほど防衛庁長官は、この厳しい財政状況の中なのでさまざまな努力をしてこの問題についてもどう合理化するかとかペースダウンをするかとかというようなことをさまざま言われました。  防衛庁の資料を見ますと、そういう努力をしたというようなことで数字があたかも書いてあるんですけれども、概算要求、これを見ますと数字自身は若干減っているんですよ。だけれども、ちゃんと注がありまして、「在日米軍駐留経費負担の平成十年度概算要求額は提供施設整備の事業の繰延べによる減額(百五十九億円)及び年限延長による減額(七十八億円)後の数字である。」と。つまり、ツケ回し、後にしていると。集中改革期間があるのでとりあえずは形は減らしたみたいにして、三年間が終わったらこれは後回しでそれが回ってくるわけですよね、少なくともこの額についていえば。全然減っているふうになっていないんです。  だから、アメリカのさまざまな要求はあるかもしれないけれども、それに対して、通り一遍と言っては申しわけないですが、大蔵大臣、この問題についてアメリカには言っている、理解も求めているというだけでは済まない。そういう仕組みも含めて、この問題は根本的に考え直さなきゃいけない、こういう問題だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  129. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 財政構造改革推進について明示をいたしておるところでございますから、予算編成の過程において対処してまいる、先ほど申し上げましたとおりであります。
  130. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 社会保障の問題はこの間もさまざま質疑がございました。当然増というものを義務的経費として法律で決めている。しかし、それは財政構造改革だから三年連続で思い切って削るんだ、そのためには仕組みを変えるので法律も変えるということまで言われているわけですよね。  しかし今は、見てまいりましたアメリカに対するいわゆる思いやり予算の問題では特別協定がある、こういうことを言ったりされて、あたかも義務であるかのように国民の前で言われて、その中で削減の余地がないかどうか検討していると。検討しているというのは削るということじゃないんです。できるかどうかわからないけれども、やってみる。これは通らないと思うんですよ。  この際、アメリカにもっときっぱり言うべきだ。抑制とか削減とかいうんじゃなくて、こんな歳出は思い切ってやめるべきだし、やめますよと。そういう見直しをやることこそ私は正しい財政再建になると思うんですけれども、大蔵大臣、再度その問題いかがでしょうか。
  131. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) これは聖域なき見直しという原則がございます。そして、「財政構造改革推進について」閣議決定をいたしております。この法律が通りますと、原案作成者として、私はこの明示された基本を踏まえて、先ほど申し上げました予算編成時に厳しく抑制を図る、こういうことになります。
  132. 委員長(遠藤要君)(遠藤要)

    委員長遠藤要君) 時間です。
  133. 笠井亮君(笠井亮)

    ○笠井亮君 一言だけ、申しわけありません。  お年寄りや高い学費に苦しむ国民には法の改正もやって制度をどんどん改悪して痛みを求めるというのに、アメリカへの約束というのは、どんなに財政が危機であろうと、あくまで義務だといって支出を続ける、まさに聖域だと思うんです。予算編成ということじゃないんです。この法案を審議しているんですから、こういう問題を強いるような財革法は取りやめるべきだということを重ねて申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
  134. 山口哲夫君(山口哲夫)

    山口哲夫君 私も防衛費の問題で質問をいたします。昨日は軍縮の総論について若干質問をいたしましたので、きょうは極めて具体的な問題で質問をいたします。  まず戦車です。御案内のとおり、我が国には現在千百十両の戦車があると思います。そのうち何と六百四十両が私の出身の北海道に配備をされております。しかも、その戦車というのは世界最強と言われる九〇式戦車を中心に配備しております。  さて、なぜこういった強力な戦車を配備しているのか。これはもう申すまでもなく、いわゆる冷戦時にソ連が我が国に、本土に上陸侵攻してくる、そういうことを想定して配備したものと思います。しかし、ソ連邦が崩壊した今日、日本の本土に対して上陸侵攻する能力のある国はない、そう言われております。もちろん、今までソ連を対象にしておりましたけれども、そのソ連は崩壊をしてロシアになり、ロシアは専守防衛に徹するということで大変な軍縮を行っているわけです。こういった環境の中で、どうしてまだこれからも最強の戦車をつくり続けなければいけないんでしょうか。
  135. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) 戦車が火力、機動力、防護力にすぐれて、他の職種部隊の支援を受けつつ着上陸侵攻対処等における重要な場面に投入されて、戦闘全般の帰趨を決定づける重要な役割を担い得るものであることは委員も御承知だと思います。  確かに、委員おっしゃられるように、昨今の状況は変わってまいりました。それを受けまして新防衛大綱が一昨年できたわけでございますけれども、そのときにそういうような状況等も踏まえて戦車等の車両についても新防衛大綱では旧防衛大綱から減らすことにしたわけでございます。ただ、減らすといいましても、部隊の再編というのはすぐにできるわけではございませんので、時間をかげながら計画的に現在やっているということでございます。
  136. 山口哲夫君(山口哲夫)

    山口哲夫君 十年間かけて二五%の三百両を減らす。まことに少ないと思います。戦車そのものがもう本土決戦というときには全くその用をなさないと言われているわけです。  特に、この九〇式戦車というのは物すごい大きい戦車ですよね。ですから、北海道に運ぶのにも上と下と分けて運んでいって北海道で一つのものにしていく。しかも、走れるのは国道しか走れないと言っているんです。万が一、そんなことはないと思いますけれども、ロシア軍が日本に上陸をしてきたときに、そこにいる国民はみんな避難しますよ。避難するときに、これはもう恐らくみんなマイカーで避難すれば国道を使うのが当然だと思うんです。戦車、その中に突っ込んでいけますか。戦車そのものが全然動きがとれない。  有事立法でもつくろうと思っているんでしょうけれども、全く我が国に上陸してくる敵軍に対しては特にこの戦車というのはもう役立たずなんだ、そういうふうにさえ言われている。恐らくそういうことをわかっているから十年かけて三百両減らすんだろうと思うんですけれども。全くこの戦車というものはもう必要がないとさえ、これは軍事専門家の中でもそう言っている人がたくさんおりますよ。我が国には戦車は必要ないんだと。ぜひひとつこれは廃棄をしていただきたい。特に、来年度十八両も買うわけでしょう、発注するわけでしょう。これはもうやめるべきだと思います。どうですか。
  137. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) 戦車をふやしているわけではございませんで、古い戦車が退役するのに合わせながら、それから新しいのを、九〇式というのを発注しているわけでございまして、そういう過程の中で徐々に減らしていっている、そういうことでございますから、委員が今御指摘のように五年間で一遍に減らしてしまえというわけにはなかなかまいらないということでございます。
  138. 山口哲夫君(山口哲夫)

    山口哲夫君 幾ら言っても減らすとは言わないでしょう、防衛庁は。  しかし、常識で考えたところで、もう我が国に上陸侵攻してくる国はない。しかもこれは一いや、笑っているけれども、それがおかしいというのですよ。もう少し真剣に考えてごらんなさい。これは上陸してくればそれだけで済まないわけですよ。当然北海道なら北海道を占領しようと思ったら、その後続部隊として補給を全部しなきゃならないわけでしょう。兵員も補給する、武器も補給する、弾薬も補給する。そういうことがきちっとできる国が日本の周辺に軍事的に見てあるかといったら、これはだれに聞いたってないと言っていますよ、軍事専門家は。何にもないのにいきなり上陸だけしてどうなるんですか。  だから、そういうことを考えたときに、戦車というものはまさに必要がないときだと。来年度の予算編成では十八両も、しかもこの九〇式というのは約九億以上するんでしょう、こんなむだなものを我が国は買う必要ないと思うんです。大蔵大臣、少しその辺真剣に考えていただけませんか。防衛庁の言いなりになっていたら大変ですよ。
  139. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) 我が国に攻めてくる、もう何もないんだ、そういう前提ですべてのものを議論されますと、それはもう議論がかみ合わないわけでございます。しかも、戦車だけで守るわけじゃございませんで、陸海空それぞれがそれぞれの能力を発揮しながら守っていく。その中で着上陸作戦があった場合にどうするかということで、戦車もそのときに対抗できる有力な一つの装備だということでやっているわけでございますから、どうかひとつその辺については、我が国が万一ということについて備えるということについても御理解を賜りたいと思います。
  140. 山口哲夫君(山口哲夫)

    山口哲夫君 全く認識の違いでしょうね。日本に着上陸侵攻する国があり得るという考え方自体がこれはもう根本的に違っておりますので、これ以上議論したって時間を食うだけでありますので。  戦車だけではないと言っておりました。F2の問題ですよ。F2も今私が言ったその理論でつくられたわけです。ソ連が着上陸するそのときに戦車だけでは恐らくどうにもならぬ、したがって上から支援戦闘機としてこれをせん滅しようということでっくられたわけですね。F1の後継機ですよ。しかし、これは一機百二十三億円ですね。量産したところで百億近くかかるんではないですか。こんな戦闘機を大体今までの既定方針どおりこの財政困難なときにつくること自体私はおかしいと思うんですよ。これはF4で間に合うとさえ言われているんですよ。どうしてそういう間に合う戦闘機があるのに、世界最強のF2をこれからもつくらなければならないんですか。どうですか。
  141. 国務大臣(久間章生君)(久間章生)

    国務大臣(久間章生君) こういう、戦闘機もそうでございますけれども、装備というのは対相手のあることでございまして、相手との比較においてそのスピードとか性能、いろんなことがあるわけでございます。  そういうことで、性能のいい戦闘機を持つことが有利に立つ。特に、我が国みたいに専守防衛でとにかく防衛専門にやる国にとりましては必要以上に、よそのよりも少なくとも装備でまさるものを持っておかないと、とにかくこちらから攻撃するんじゃなくて攻撃されて初めて受けて立つわけでございますから、盾を大事にしなきゃならないわけでございますから、そういう意味では、やはり新しい支援戦闘機を用意する必要がある。  ただ、それが我が国の場合は量産して他国にたくさん売るわけにはまいりません。そういうことで、確かに単価的に高くなっているのは事実でございます。私も、外国の戦闘機と比べて、なぜアメリカと比べて高いんだろうかということで調べてみましたけれども、これは量産ができない、結局我が自衛隊しか使えないということだものですから、高くなっているのは事実でございます。しかしながら、高くてもこれは備えなければならない、そういう事情についても御理解賜りたいと思います。
  142. 山口哲夫君(山口哲夫)

    山口哲夫君 だから、基本的に日本に着上陸する国があり得るという想定に立つからそういう発想が出てくるんであって、しかもF1の後継機です。F1というのは七十七機だった。後継機であれば百歩譲って七十七機でいいはずなんです。それを百四十機もつくるというわけでしょう。しかも曲芸飛行に使うのを八機もつくると言っている。それで、私は内閣委員会でこれは問題があると。曲芸飛行に百二十三億もする飛行機を何で八機つくる必要があるんだと。結局、十機だけは減らして百三十機という計画になったようですけれども、それにも私は問題があると思います。  とにかく、これはどうも我が国の防衛ということを発想してそうは言うけれども、ちょうど日本が敗戦後、アメリカのアイゼンハワー大統領がこういう言葉を言っておりました。産軍複合体がアメリカの民主主義を破壊するであろう、気をつけなければならないと言ったんです。我が国でも、どうも最近考えていると産軍複合体の問題が出てきているんでないか。軍事産業を守るために必要もないようなものを発注している危険性が多分にあるということを考えたときに、ぜひひとつ大蔵大臣、これは今後予算編成のときに真剣に防衛問題について考えていただきたい、そのことを強く要請して、終わります。  ありがとうございました。
  143. 委員長(遠藤要君)(遠藤要)

    委員長遠藤要君) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ―――――・―――――    午後二時開会
  144. 委員長(遠藤要君)(遠藤要)

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政構造改革推進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  145. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 私は、自由民主党を代表いたしまして質問をいたします。  総理は、今改革をしなければこの国の明日はないという非常な決意を持って六つの大きな改革を政府の重要課題として全力投球をしておいでになります。御労苦をまことに多とし、また敬意を表するものでございます。  財政改革は、行政改革とともに六つの大きな改革の基本を成すものであると思っております。しかも、現在は近く来年度の予算の編成期を控えているわけでありますので、この法案がなるべく早い機会に成立をして、そして改革の方向が天下に示されるように私どもは期待をいたしているところでございます。  最初に、景気の問題について二、三伺いたいと思います。  経済企画庁長官に伺います。  政府の景気判断というのが、これは月例経済報告にあらわれるわけでありますが、常に一歩、一歩ではない、三歩も四歩もおくれているような感じを一般の人が受けていると思います。  月例経済報告の述べているところを見ましても、例えば八月では「景気は回復の動きを続けている」、九月も「景気回復の基調は続いている」、それから十月、これもまた「景気回復の基調は続いている」、十一月になりまして、これは尾身長官の御指示があったというようにも聞いておりますけれども、ようやく「景気はこのところ足踏み状態にある」、こういうのが月例経済報告であります。  今、長官は足踏み状態であるというふうに言っておいでになりますけれども、世の中では、もう足踏みではない、後退をしているのではないかと、景気の腰折れを懸念する声が非常に高いと思いますが、この辺についてどうお思いになりますか。
  146. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) 景気の状況に対する経済企画庁の判断でございますが、経済そのものが生き物でございまして、時々刻々変わっている実情にございます。  私は、実は経済企画庁長官に就任以来、月例経済報告等で表現をいたします景気の判断につきましては、できるだけ客観的、公平に、予断を持たないで判断をすべきであるというふうに考えまして、事務当局にもその旨を指示しているところでございます。そして、私自身が納得のいくまで各種の数字を私なりにチェックして出した判断でございます。  そういう中で、全体として見て、消費はいわば横ばいと言ってもいいかと思いますけれども、消費税引き上げの反動減から立ち直りつつあるわけでございますし、それからまた、悪い方から申しますと、住宅建築は非常に大きな影響を受けて、三月までの間に非常に高い水準になった反動があって落ち込んでいるという状況にございます。それから、いわゆる公共事業の関係がこれから先この財政構造改革の中で落ち込んでいくだろうという大方の予想もございまして、その三つの要因は非常に低い水準であるといいますか、非常にという言葉は語弊がありますけれども、そういう状況でございます。他方、輸出がかなり順調に伸びている。それからまた、企業収益も昨年あたりと比べまして順調に上がってきているという状況でございまして、設備投資もそこそこの伸びを示している状況でございます。  以上、全体を総合して見て、生産は在庫調整の影響もございましてやや弱含みに推移をしているわけでございますが、何といってもこの景気につきまして大変企業の景況感が悪くなっているのは株価の影響等がかなりあったと思うわけでございますが、ここ数日の動きを見ておりますとやや持ち直してきているかなというふうに考えております。ただ、産業によりまして、例えば不動産とか建設とか金融関係とかあるいは一部の中小企業、そういうバブルの後遺症が残っているところは大変に厳しい状況でございますが、新しい電気通信の関係とかあるいは輸出関連とかそういうものがまた伸びている。  以上、総合して、民間需要を中心とする景気回復の基調は失われていないものの、企業の景況感に厳しさがみられ、景気はこのところ足踏み状態にあると、一言でいいますと全体として見てそういう判断を下しているという実情でございます。
  147. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 先般、緊急経済対策を政府はお決めになった。今回の経済対策は民間部門の投資や一般民間の購買を刺激する、こういう目標を持っているということになっているようであります。  これはつい一昨日でございましたか、電通が全国の消費者の景気についての実感を尋ねた調査、これを見ますと、景気の現状については「悪い」とした人が八〇%を占めたのに対し、「良い」は三%しがなかった。景気見通しも、「悪くなる」が三八%に上った。半数以上が「消費は回復に向かわない」と答えるなど、悲観的な見方が広がっていると。  申し上げるまでもなく、需要のうちのかなりの大きな部分が消費でありますので、これは非常に重大なデータであると思います。これについて今お伺いをいたしませんが、そこで伺いたいと思いますのは、先般お決めになりました経済対策の経済効果についてであります。  これにつきましては、経済効果は六兆円というふうに試算をしておられる。そして、最も効果が大きいと見ているのは大都市商業地域の容積率の緩和、これは十年間で二十兆円、それから次いで定期借家権の導入効果、これは二十年間で十六兆円、こういうふうに試算をしておいでになりますが、いかにも十年間とか二十年間ということが悠長に感じられてしょうがない。  しかも、経済企画庁長官、この席で容積率の緩和というのは非常に効果があるんだと熱弁をしばしば振るわれておいでになりましたが、果たしてそういう需要が出てくるんだろうかというふうに疑問を持ちますし、それから定期借家権に至っては、まだそういう制度を導入するかどうかということを議論している最中、これから法律をつくるとすればつくるということであります。  そういうことで、私は、今必要なものは今の景気の不透明感を払拭する、どちらかといえば即効的なもの、あるいはいわゆるアナウンスメント効果をもたらすようなものが期待をされているんではないかと思いますが、この点についてどう思われますか。
  148. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) 従来、景気対策と言われているものは、例えば減税とかあるいは公共事業の積み増しとかによりまして、住宅建設とかそういうものを財政出動と一口に言えるような体制で積み増しをしていくというものでございました。したがいまして、やや財政資金を使ってやるものでございまして、それはそれなりに即効性もありまして、非常に計算もしやすいものでございました。  今度、私どもは財政状況その他いろいろなことを考えまして、むしろ民間需要中心の経済拡大を図っていく、そういう日本経済の構造変化ということに主眼を置いていきたいという点が一点ございました。  それからもう一つは、即効性があるけれども単発的なものではなしに、二十一世紀における日本の経済社会の変革の方向を打ち出すというような趣旨も含めまして、二十一世紀を切り開く経済対策という点に重点を置いてやったつもりでございます。  それから、容積率の緩和と一口に申しますけれども、実は東京の中心市街地、例えば銀座あるいは中央区……
  149. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 簡単にお願いします。何遍も話は承っておりますから。
  150. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) そうですが。  そういう容積率を緩和していないためにビルを建て直したいと思っても建て直せないという潜在需要がかなりございまして、容積率の規制を緩和することによって直ちに実需に入ってくるというふうに考えております。  これは、その緩和が実現したならばもう待ちに待っているビルの建築が起こってくるというふうに考えている次第でございまして、そういう意味での即効性はあり、そしてそういう展望が開けることによって、私はいわゆる消費者とか企業家の心理が好転をして、景気がファンダメンタルズという点から見て正常な回復軌道に乗っていくものと考えている次第でございます。
  151. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 せっかく新しい経済対策をお出しになったんですから、大いに効果が上がることを私どもも期待をいたしております。  そこで、総理伺いたいと思います。  景況は極めて深刻でございます。ちまたでは金融システム安定のための公的資金の導入でありますとか、あるいは消費を刺激するための所得税の減税を求める声が高まりつつあるようにも見受けられます。不況は深刻でありまして、しかし安易な景気対策は将来世代の負担となることでありますので、まず財政構造改革が先決であるという認識は私も持っているわけであります。  そこで、今現在のこの状態において景気対策としての減税、特に所得減税、さらに公的資金の導入等を含む財政出動、この二つの問題について現在総理がどういうお考えを持っておいでになりますか、伺いたいと思います。
  152. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 経済企画庁長官と幅の広い現状認識についての意見交換の上での御質問でありますので、長い答弁はできるだけ避けたいと思います。  私は、やはり今景気回復に力強さがどうしても出てきていない、これは構造的な問題ととらえておりますことを繰り返し御答弁を申し上げてまいりました。同時に、我が国の財政状況がいかに厳しいかということも申し上げてきたことでありまして、その中で財政構造改革を行う、これは将来世代にツケを残さないということでありますけれども、短期的には痛みが伴う。その痛みの期間をどう縮めていくか、それが我々が議論をしていかなければならないポイントだと考えております。そして、それは決して行政、財政あるいは経済、社会保障といった分野での構造改革だけがすべてだということではありませんけれども、こうした改革を進めていくことというのが、実は基本的には最も大事なことだという意思は変わりません。  同時に、現在を考えましたときに、私は二つの視点が必要なように思います。一つは、バブルの後遺症そのものであります。そして、これは申し上げるまでもなく、企業に対しましてもまた個人の暮らしに対しましてもさまざまな影響を残しているわけでありまして、日本経済全体としてこれをどう解消し、国民の暮らしを健全な状況に戻すかという問題でありますし、もう一つは、まさに世界が一体化してかつ大きく動いている。金融システム改革あるいは経済構造改革についてはこうした視点を外すわけにまいりません。  そうした中で、今我々は財政構造改革という方向を選択いたしたわけでありますけれども、さまざまな角度からの御論議をいただきました。税制につきましてはこれから年末に向けて、与党内におきましても、また自民党内におきましても、政府税制調査会におきましても真剣な議論がされてまいることでありまして、私どもがそうした意味で果たして減税といった場合にその財源をどこに求めるかということを考えますと、現状においてはなかなか難しい問題があると考えておりますが、税制全体についての御論議がいただけるものと思います。  また、今、公的資金投入という言葉をお使いになりましたが、金融機関の不良債権、全体としては、私は不良債権問題というのは状況は改善しつつあると考えております。もちろん、個々の金融機関の経営状況はさまざまでありますが、全体としては状況は改善してきていると考えております。金融三法を成立させていただき、整備をされましたその制度の基本的方向を踏まえながら、引き続きこの問題には取り組んでいかなければなりません。  そうしたものを踏まえまして、公的資金投入という御論議があることは十分私も承知をいたしておりますが、さまざまな問題もございます。慎重に十分な論議を尽くすことが重要だと、今そのように考えております。
  153. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 高い、広い立場からのお答えがございましたが、具体的にもう一度承るわけでありますけれども、所得税減税については今は考えておいでにならないということでよろしゅうございましょうか。  それから、不良債権問題ということは問題意識としては非常に持っておいでになって、それについてはいろんなことを考えていかなければならない、こういうことでございましょうか。
  154. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) あえてそこまでお尋ねをいただきますと、特例公債を発行せざるを得ない状況下の所得減税は、現下の危機的な財政状況を踏まえますと、財政構造改革法案の目標を達成するという観点からもこれを実施することはなかなか容易なことではないと考えております。  また、今も申し上げましたように、私は公的資金投入という御議論があることは十分承知をいたしております。そして、この考え方については本院においても、非常に狭い想定で御論議をいただいた方もありますし、非常に幅の広い形での御論議をいただいた方もございました。ですから、私は、まさに慎重に、そして十分な議論を尽くすことが必要な分野と。  しかし、政府といたしましては、金融三法というものを国会により成立をさせていただきました。その基本的な考え方を踏まえて、引き続き取り組んでまいりたいと申し上げたいと思います。
  155. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 この問題は総理の片言隻句が大変いろんなところに影響を与える問題だと思いますので、この段階では今の総理のお考えをそのまま受け取らせていただいて、これ以上は伺わないことにいたします。  次に、今回のこの財政構造改革の法律につきまして二、三御質問をしたいと思います。  この法律の第二条を見ますと、「財政構造改革の趣旨」といたしまして、「経済構造改革を推進しつつ、財政収支を健全化し、これに十分対応できる財政構造を実現するために行われるものとする。」、こういうふうに書いてございます。財政収支を健全化すると。これを読みますと一まさに財政赤字をいかにして解消するかということに重点が置かれていることがうかがわれるのであります。  さらに、財政構造改革の当面の目標といたしまして、第四条が当面の目標についてでございますけれども、これにつきましては、平成十五年度までに一会計年度の国及び地方団体の財政赤字額、国民経済計算の体系における中央政府云々と難しいことが書いてございますけれども、GDPの百分の三以下にするということを初めとして、いかにして財政赤字に対応していくかということの具体的な目標が掲げられております。  大蔵大臣、これを見ますと、これは財政構造改革法案というよりは財政赤字解消法案というべきではないか、私はそういう印象を持ちました。無論、当面の財政赤字解消は目下の最大の問題でありますけれども、財政構造改革法案という、財政構造と銘を打ちます以上は、構造問題についてもっと大幅に検討し、メスを入れ、言及すべきものではなかったか、こういうふうに私は考えるものでありますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  156. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 宮澤委員から解説をされ御質疑をいただきました、まさにそのポイントでございます。  一言つけ加えさせていただきますと、ここに書かれておりますとおり、経済構造改革を進め、かつ構造改革という名に値する財政の全体的な見直し、そういうことの中で、不要不急と言われるものはないと言われておりますけれども、精査することによって任務が終わったもの、そして民営化、民間の力をかりることが正解であるという分野等々、仕分けが出てまいります。  そういうことによって、租税を大事に使わせていただくことによりまして、財政投資の効果が年度予算において築き上げられていくのではないだろうかということが大目的でありますが、手段はまさに今申されましたとおり、七・五兆の特例公債の本年度発行額を六カ年にわたりゼロにしてまいる。このことによって生ずるものは、歳出の聖域なき見直しが浸透してまいります、両々相まって効果を上げていかなければならない。同時に、そのことによって経済全体の構造改革もまた諸改革も前進するであろう、こう期しておるところであります。
  157. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 先ほども申しましたが、財政構造改革の当面の目標として、平成十五年までに一会計年度の国及び地方公共団体の財政赤字の対国内総生産比、GDP比を百分の三以下とする、あるいは一般会計の歳出は平成十五年までに特例公債に係る収入以外の歳入をもってその財源とし、あわせて平成十五年度の公債依存度を平成九年度に比べて引き下げるというようなことが具体的な目標として掲げられているわけであります。  どう見ましてもこれは財政再建が主で、我が国の国の財政構造、あるいは国、地方を通ずる財政構造を根本的に見直すという視点が乏しいと申しますか、あるいはもっと申しますと、視点が欠けているように私には思えるのであります。くどいようでありますが、大蔵大臣、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  158. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 財政構造改革の目指す方向ということになりますと、財政の健全化、歳出が決まりましてそれを受けて歳入を図るという方式。またもう一つ、歳入の限度内において歳出を立てていく。しかしながら、本件は義務的な経費もあるわけでございますから、その部分を構造改革によりましてありとあらゆる手法をそこに取り入れることにより、必要最小限の歳出に見合う歳入が立つ。これを六カ年において達成していかなければならないのではないだろうかと、こういうことでございます。
  159. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 私は、先ほども申しましたように、我が国の財政構造、あるいは国、地方を通じての財政構造については、基本的にかねてからいろいろ議論をされ、財政構造の問題として改めていかなければならない点があると思って伺ったわけでございますので、そういう観点から一つ二つさらに質問を続けていきたいと思います。  我が国の財政構造の問題といたしましてかねて議論をされた問題の一つは、公共事業のあり方であろうと私は考えております。  今回の法律案におきましては、公共事業について「公共投資」という項目がございまして、「公共投資関係費の量的縮減目標」ということで、これは十年度の当初予算を作成するに当たっては七%減であるとか、あるいは平成十一年度、十二年度の当初予算を作成するに当たっては公共投資関係の経費が前年度の当初予算における額を下回るようにするということでありますとか、あるいは公共事業に関するいろいろ長期計画がございますが、これは各計画を延ばしていく、現行計画に比べて長期の計画に改定をするとか、こういうことが書かれているわけであります。これらはいずれも財政赤字の解消策を公共投資、公共事業の面においても考えておられるということであろうと思うのであります。  ところで、我が国の公共事業といいますか公共投資でありますけれども、私はここに持っております資料をちょっと御披露申します。「国民経済に占める財政の役割」ということで、これは一般政府総固定資本形成、いわゆる公共投資であろうと思いますが、これが国内総生産、GDPに占める割合でございます。各国のがございますが、ちょっと参考までに申し上げてみますと、一九九四年、我が国は六・四%であります。米国が一・六%、英国が一・九%、ドイツが二・〇%、フランスが三・四%、スウェーデンが三・三%、こういう数字が出ております。財政構造という点から申しますと、我が国の数字はほかの国に比べて際立って高い、これだけを見ますとそういうふうに思われます。  無論、我が国におきまして社会資本の充実というものがもう終わったわけではない、まだやるべきことはたくさんあると思いますし、また都市部でも農山村部でも、道路整備に対する要望は極めて強いわけであります。あるいはまた下水道の普及率、これも十分とは言えない。  こういうことは十分お互いにわかっているところでありますけれども、しかし、これから二十一世紀の高齢化社会を迎える場合において、一体、公共事業、公共投資の総枠、枠組みを全体の予算の中でどういうふうに位置づけるべきか、どういうぐらいにおさめておくべきかというような総体の問題でありますとか、あるいはまた公共事業相互間のシェア、これは御承知のように、この数年間いろいろな公共事業、道路でありますとか河川でありますとか、あるいは社会施設でありますとか、そういうもののシェアはほとんど動いておりません。財政構造の問題として、そういう公共投資、公共事業の枠組み、総枠のあり方でありますとか、あるいは各事業間のシェアの問題ということは、これはかねてから問題にされていたところであります。しかも、今度新しい世紀を迎えるわけでありますから、こういう問題をやはり財政構造の問題として私は検討すべきだと思います。  それについて、大蔵大臣のお考えを承りたいし、また検討するとすれば、いついかなる場所において検討をなさるおつもりなのか、伺いたいと思います。
  160. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 本件につきましては、基本的な考えを申し上げますと、公共事業関係予算につきましては、経済構造改革関連の社会資本の整備につきましては優先的、重点的に整備するほか、相対的に立ちおくれております生活関連の社会資本への重点化、費用対効果分析の活用等によりまして、効率的な整備の推進等を図ることを基本方針として改革に取り組むということであります。  どこでどうやられますかということでございますが、本件については長期計画の延伸を行わさせていただきました。このことによって公共投資の効率的な費用対効果があらわれるということになりますと、おのおのの工夫が必要であります。それと、民間の活力を活用するということの工夫も、努力も必要であろうかと思います。同時に、建設コストの見直しを建設省において既にやっていただいておるわけでございますが、それを経済状況に合った形の中で節減をしていく努力は引き続き行われていかなければならない、こう思います。  検討する場はどうなのかということになります。  基本的には、政府機関である各省、公共事業を担当をするところが真剣に、費用対効果をあらわすために、また今申し上げました基本的な取り組みの中で努力をされることであろうと思います。政府原案をつくる立場の大蔵省、これに各省との深刻な議論を踏まえることによりまして費用対効果の是非について、また効果の程度について論議を既に行っておると思っておりますけれども、それを深めるということであります。  総体的に言いますと、関係事業省、第一義的に大きな責任であります。政府予算原案の作成者、取りまとめの役を持つ大蔵省、この法律が通りますとこれによって縮減目標が明示をされるものでございますから、その基本方針を踏まえて全力を尽くしてまいる、こういうことになろうと思います。
  161. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 無論、関係各省、公共事業の主管省でございますから、おのおのの事業についていろんな面から検討を加えるということは必要だと思いますが、私が申し上げましたのは、ここで財政構造の改革という非常に大きな面から申しますと、我が国の一般会計の予算の中で公共事業全般を一体どういうふうに位置づけていくかというような問題でありますとか、あるいは各省が所管をしております公共事業、公共投資の今のシェアというものについて、それを広い立場からどういうふうに考えていくかというようなことは、これは各省の仕事であると同時に、大蔵省の重要な仕事ではないか。  そういうことで私は、この財政構造の問題として公共事業という問題があるということを申し上げたかったわけでございます。いかがでございますか。
  162. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 今、総理を中心に、総理・総裁としての立場のあらん限りの努力をされて、行政改革の概要が明示されると思っております。  公共事業省が、ネーミングは別といたします、わかりよく言いますと公共事業関係省が一体化されて、それぞれのスリム化を目指し、効率化を目指しやられることに相なります。そういうことになりますと、一般会計のみならず、特別会計、特殊法人等々について、財政当局とすれば聖域なき見直しをすることによって、有効適切に貴重な租税が使われて、国民生活のため、地域振興のため、経済界の高コスト是正の目標に向けての活性化に取り組んでいただけるように、また取り組んでもらうように全力を尽くすことは当然であります。
  163. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 今財政構造改革の問題として公共事業の問題を挙げたわけでありますが、私はもう一つ挙げてみたいと思います。  それは、国の財政構造改革の基本問題の一つとして、国と地方公共団体との間の税財源の配分の問題、かねてからあるいは現在、将来にわたってこれは大きな問題であるというふうに私は考えております。  この点につきまして、租税総額中に占める地方税の割合、平成七年度決算でございますが、よく言われる数字で御承知であろうと思いますけれども、平成七年度の決算額で国、地方を通ずる租税総額は約八十八兆でございます。そのうち国税が約五十五兆、六二%、それから地方税が約三十四兆で三八%であります。六、三というか、六、四の比率でありますが、税金の比率はそういう比率であります。  今度はその税金を実際使う、お金を使う歳出の面で申しますと、国と地方の割合は逆転をいたしまして、国と地方の歳国会計額は百五十兆余りでありますが、国の歳出は五十三兆で三五%、地方の歳出は九十七兆で六四%、こういう数字になっていることは御承知のとおりであります。  そこで、租税の収入という面ではそういうふうなことでありますけれども、実際にお金を使う面においては逆転をしているということから申しますと、これはやはり税源が我が国において偏在をしているというような事情がございますけれども、この数字だけを見ましても、実際に仕事をしている地方公共団体の税財源を充実する必要がある。数字から見ましてもそういうことが言えるわけでありますし、またこのことは地方分権の推進を図る観点からも不可欠だと思います。  そこで、その点について、まず自治大臣の御見解を承りたいと思います。それから、引き続いて大蔵大臣の御見解を承りたい。両大臣の御見解が幸いにして合致をいたしますればそれで結構なのでありますが、もし合致をいたしませんようでしたら、総理の御見解を承らせていただきたいと思います。
  164. 国務大臣(上杉光弘君)(上杉光弘)

    国務大臣上杉光弘君) お答えをいたします。  本法案は、地方財政の健全化が緊急の課題であることはもう御理解をいただいておると思いますが、このことを踏まえまして、一つには、社会保障や公共事業に係る国、地方の歳出抑制につながる施策の見直しでございます。特に、社会保障や公共事業あるいは教育等に係る財政が総体地方財政の七〇%を占めておるわけでございますが、そのような意味で、社会保障や公共事業等に係る国、地方の歳出の抑制に対して施策を見直していくというのは、当然健全化の方向として避けられない方策だと思っております。さらにまた、財源の苦しい中で財源措置をしております地方単独施策の抑制でございますが、これも避けて通ることのできない問題である。  したがいまして、このようなことをしながら地方財政計画の地方一般歳出を抑制いたしまして、財源不足を補てんするための特例的な借入金に依存する財政構造の改革を進めていこうという考えであります。  また、この法案自体は、現行の国、地方の間の事務配分そのものを変更しようとするものではございませんので、税財源の配分の変更を伴うようなものではない点については御理解をいただいておると思います。  今後とも、地方分権時代にふさわしい地方財政制度を構築するため、地方分権推進委員会の第二次の勧告に沿って、地方歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小する観点から地方税の充実確保に努めるほか、特にこれまで補助金で地方負担分の財源措置をしてきたことも大きな財政の赤字といいますか、財政を苦しくしてきた基本でもございますから、補助金の整理合理化と地方一般財源の充実確保、地方財政制度の見直し等を積極的に進めてまいりたいと考えております。
  165. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 地方自主財源の充実のためには、まず地方団体が歳出を賄うために、みずから課税をし、みずから汗をかいて徴税を行うことが基本であろうと考えます。地方団体が徴税の困難さを実感することによりまして、地域住民が税金の使い道について意識を高めることに相なります。結果的に地方行革にもつながりまして、それが地方自治の基本をしっかりと支え、前進をせしめるものと考えておるところであります。  そのような観点から、地方分権推進委員会の第二次勧告、自治大臣も言われましたが、地方団体の課税自主権を尊重しつつ、地方税の充実確保を図っていくべきとする提言があります。これを踏まえまして、地方団体が課税自主権をより一層活用できるよう、政府としても真剣に対応してまいりたいと考えます。
  166. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 ちょっと私の質問自治大臣がやや力点の置き方を取り違えておいでになったのかとも思いますが、私は、やはりこの際、地方税源を徹底的に充実しなければ地方分権の推進は図れないと、こういうお答えがあるかと思いましたけれども、少しその辺が、私の質問が悪かったのか、ちょっと御期待を申し上げた答弁ではございませんでしたが、きょうはこの程度にいたしておきまして、総理の御答弁は必要ございません。ありがとうございました。  最後に一つ、ODA、政府開発援助の問題について質問をいたします。  今回の財政構造改革が聖域なくして一律に行うということで厳しい態度をもって臨んでおられる、これは当然であろうと思います。その結果として、政府開発援助、ODAにつきましても、それにならって概算要求がなされているのであります。  申すまでもなく、ODAは我が国外交の重要な柱の一つであります。そういう点で外務省の概算要求を見ますと、ちょっとこれではどうであろうかと思うものがございます。  一例を挙げて申しますと、ODAの中に国際機関に対する任意の拠出金というのがございまして、例えば国連児童基金、ユニセフでございますけれども、平成九年度の予算では三十一億円の予算でございましたが、十年度の概算要求を見ますと九年度予算に比べて十三億円削減をしております。四一%削減をしております。それから国連難民高等弁務官計画、これは緒方さんがコミッショナーをしておられるUNHCRという組織でありますけれども、平成九年度の予算が九十四億円でありますが、今度の概算要求におきましては三十七億円減額をして三九%減額している、これが実態でございます。  これは一体どうであろうかということを感じるのでありますが、この点につきまして、外務大臣、御答弁をいただきたいと思いますし、それからさらに総理にもこの点についての御答弁をいただければ幸いだと思います。
  167. 委員長(遠藤要君)(遠藤要)

    委員長遠藤要君) 小渕外務大臣、時間の関係があるので、短時間で。
  168. 国務大臣(小渕恵三君)(小渕恵三)

    国務大臣(小渕恵三君) ODAの国際機関拠出金につきましては、委員指摘のとおりでございます。  概算要求段階でそのような数字になっておりますが、このことにつきましては総理から、各所管を越えて総合的調整を行う必要があるのではないかというお話でございますので、予算編成段階におきまして十分財政当局とこの問題について相談いたしてまいりたいと思います。
  169. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 七月八日に示しました基本方針の中で、今、外務大臣からもお話がありましたように、私は所管の枠を越えた総合的調整を行うということを指示いたしておりまして、ODAの効果を最大限上げる予算配分を実現するように予算編成作業を進めてまいりたいと思います。
  170. 宮澤弘君(宮澤弘)

    ○宮澤弘君 終わります。(拍手)
  171. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 平成会吉田でございます。  総理を初め各大臣、連日御苦労さまでございます。  それにしても、きのうの株価の急落、国民は一瞬青ざめたと思います。要するに、不良債権の処理に対して公的資金を導入することを僕は聞いてないよと総理がおっしゃったことで過激に反応した、過敏に反応したと思うんです。このように非常に株価が神経質になっておるということ、それから全般的に弱含みであるということ、今日のこの現象を見て、私は日本経済が危機一髪の状況に近づいていることを物語っているのではないかというふうな気がするわけでございますが、この機会に、総理が現在の日本の経済についてどう認識なさっているか、特に国民が景気の動向についてどう受けとめようとしているのか、その辺の御認識をお伺いいたしたいと思います。
  172. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 証券市場に限らず、市場というものは大変さまざまな要因に敏感に反応ずることは、今、議員が引用されましたような、全く私自身が使っておらない言葉が使ったかのように、そしてそういう言葉を使っていないでしょうと確認をしますとそれがまた一人で走る、それぐらい敏感なものでございます。それだけに、私自身、当然ながら非常に注視をいたしておるものでありますけれども、これについて具体的なコメントはお許しをいただきたい。  その上で、経企庁長官が繰り返し御答弁を申し上げておりますように、私たちは、景気回復の基調は失われていない、しかし足元が足踏み状態、そして心理的な面での冷え、そうしたものに懸念を示していることは従来から申し上げているとおりであります。  それだけに、そうした力強さが感じられない状況というものは何かということを申し上げるわけでありますが、私はこれを構造的な問題ととらえております。同時に、強いてつけ加えて申しますならば、バブルの崩壊の後遺症というものが企業の面にもあるいは国民の暮らしの面にもまだ尾を引いている部分がある。同時に、国境を越えた大競争時代というものへの対応という意味での要因もある。これを一つにとらえていくならば、やはり構造的な要因と申し上げることが一番適切だろうと思っております。  このため政府として、規制緩和を中心といたしました経済構造改革の大胆な実行、あるいは土地取引活発化と有効活用、魅力のある事業環境の実現、中小企業対策という四つの点に重点を置いた経済対策を先般策定したところでもありまして、こうしたものを私どもとしては積極的に強力に進めてまいりたいと思っているところであります。
  173. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 そこで、企画庁長官にお伺いをいたします。  先ほど宮澤先生からも御質問がありましたので重複を避けたいと思いますが、長官がまさにおっしゃったとおり、景気は生き物でありまして時々刻々動いておる、まさにそうだと思うんですね。だとするならば、同じところで足踏みをずっと続けるはずはないと思うんです。足踏み状況にあるというのは非常にあいまいな表現だと思いますけれども、それはそれとして、詳細に見れば足踏みしながら少しずつ後ずさりをしておるのか、あるいはちょっとは進んでおるのか。  大体この月例報告というものはいわば天気予報みたいなものでありまして、国民はあすを注視しておるわけです。きょうはお天気ですとか、きょうは雨が降っていますだけでは意味がないんですね。そういう点でなかなか難しいと思いますけれども、あすはどうなりそうだというような若干の示唆を含めて、長官というのはいろいろ国民に語りかけられるべきであると私は思うのでございますが、いかがでございますか。
  174. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) 景気の現状につきましては、ただいま総理から御答弁もございましたように、景気回復の基調は続いているものの企業の景況感にやや厳しさが見られ、足踏み状態にある、こういうふうに考えている次第でございます。なお時間があればもっと詳しく説明してもよろしいのでございますが、そこを飛ばさせていただきますと、結論としてはそういう感じでございます。  私ども、実は景気の動向といいますか経済の動向に対して、単なる予想をしている立場にはございませんで、この経済動向についてどういうふうにしようかということが私どもの最大の課題であるというふうに考えております。  去る十八日に発表いたしました「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」におきましては、都市中心部における容積率の緩和等の規制緩和、あるいは地域におきましては農地の転用の問題とか、都市計画法の開発許可を弾力化するとかいうことも含めました意味での住宅建設の促進などの対策をとっておりまして、電気通信分野の規制緩和もかなりやらせていただきました。  そういうものをしっかりと推進することによりまして、この足踏み状態から前へ向かって歩き出すような景気になるというふうに期待をしているところでございます。
  175. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 先を急ぎますので、今度は総理にお伺いいたしますが、失業率が平成三年では二・一だったのが、ことしの八月では三・四にふえております。比較してほぼ五、六割ふえていることになりますね、失業が。それから、有効求人倍率も平成三年には一・三五であったものがことし八月には〇・七二に下がっております。これは半減しております。今後の失業率の増加を非常に危惧するわけでございます。まともな青年が働く場もこの国は与えてくれないのか、そういう怒りの声が聞こえてくるようでございますが、総理はこの問題をどうお考えでございましょうか。
  176. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はこの数字を決して楽観しておりません。私どもの仕事は、どうしても自分の郷里の学生あるいは後輩等を通じて就職のお世話をする機会も多い職種でありますから、当然のことながらこうした厳しい状況というものは肌身に感じております。  そして、その上で私は一点申し上げたいと思うのでありますが、先日も本院におきまして、アメリカの経済が非常に失速しておりました当時、その雇用、失業情勢がいかがかと、当時の労働運動のリーダーの御体験の中からのお話も聞かせていただいたことがございます。ただし、実は数字の上でその部分がある程度消えました原因は何か。私はこの時期、アメリカは極めて巧妙に人材派遣というものを駆使したと。そして雇用のミスマッチを防いだ部分が相当あった。ただでさえ、終身雇用制ではないアメリカは、職場の移動というものに対しては寛容であり、また当然視される社会でありますから、ここで私は人材派遣というものが果たした役割というのは、今振り返ってみまして非常に大きかったと思います。  今、日本で一つ大きな問題として我々が考えなければならないのは、その雇用のミスマッチをいかに防ぐかということであります。私どもが、さまざまな機会に中小の小あるいは零細と言われるような企業分野の方々から、今まだ自分の企業がしっかりしているうちにこうした分野に伸ばしたい、あるいは変えたい、しかし自分のところに人材がないという訴えを聞きます。逆に、経済四団体等の中におられるような方々に伺っておりますと、自分の企業のリストラを進めていく中で、その人材をどうするかという悩みを聞くことがあります。言いかえれば、水平移動の仕組みが我が国には必ずしも十分存在するとは言えないのではないでしょうか。  これは、終身雇用制というものの中で労働力の水平移動というものを余り考えずに済んできた時代、その影響が今も残っておるような思いが私にはいたしまして、こうした点からも労働当局にいろいろな工夫を今までも依頼してまいりました。同時に、労働団体にも同じような視点での協力を要請したこともございます。私どもは、この雇用情勢を改善していく中において、こうした点も視野の中に一つ入れていただくことはできないものかと。  この機会に、あわせて思っておることを御答弁申し上げました。
  177. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 労働者の水平移動の時期にだんだん入ってきている中で、政府が人材派遣のためにもいろいろと施策を施しておられることは承っておりますが、なかなかその成果も十分まだ上がっているとは言えないというような実感でございまして、一層の御努力をお願いしたい。  次に、総理にお伺いいたしますけれども、この深刻な不況では今年末の倒産件数は最悪の状態を記録するのではないかと言われております。現に、東京商工リサーチがまとめた十月の全国企業倒産状況は千六百件を数えておりまして、ここ十一年ぶりの高い水準であったと言われております。大変深刻だと思います。  こういう問題を抱えて、年末にかけての中小企業等への資金繰りにどう対処されようとしているのか、お伺いいたします。
  178. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、今、議員が御指摘になりましたように、本年十月の倒産件数一千六百四件、しかもそのうちの千五百九十五件が中小企業の倒産となっております。これは、最近五年間の中小企業の平均月間件数は千百三十三件でありますから、中小企業の倒産件数が依然として高いということを申し上げなければなりません。  そして、その上で、取り巻く環境を考慮に入れますと、今後ともに中小企業の一これ、答弁資料をつくった人間は、倒産動向について注視していくと書いてあります。これはちょっと本当に私不謹慎な言葉を一瞬使いましたのは、中小企業のむしろ経営動向と私は言いかえさせていただきたいと思いますが、事務方にもこういう不用意な言葉は使わないようにしてもらいたいと思う、注視していく必要があると思います。  十八日に決定をいたしました経済対策にもございますように、こうした厳しい状況に対処するために、金融機関との取引に著しい変化が生じ、資金繰りに支障を来すおそれのある中小企業者に対する別枠の融資制度を創設する、十二月一日からこれを実施に移す、中小企業の資金繰りに支障がないよう万全の措置を講じますとともに、倒産関連特例保証制度等の倒産防止対策を引き続き実施することによって、こうした事態を防ぐことに全力を挙げてまいりたいと思います。  なお、信用保証等細かい部分について、補足がお許しいただけますなら通産大臣から補足をいたさせたいと思います。
  179. 国務大臣(堀内光雄君)(堀内光雄)

    国務大臣(堀内光雄君) 補足をしてお答えを申し上げます。  ただいまの総理からの御指摘のとおり、中小企業の倒産は本年十月の件数は非常に大きくなっております。特にその中で建設業、小売業が目立っておりまして、建設業が今の千五百九十五件中五百三十八件、小売業が四百八十二件というふうな状態になっております。それだけに、この年末に向かっての中小企業の厳しい状況を踏まえまして、今回の経済対策を決定いたした中の大きな柱にいたしておるところでございます。  この対策といたしましては、政府系金融機関の本店、支店及び信用保証協会に即時に特別の相談窓口を設定いたしました。そして、貸し出し、保証手続の迅速化と一定の条件のもとでの返済猶予など、既にお貸しをしている債務に対する適切な対応も図りたい。同時に、金融機関との取引に著しい変化を生じたために資金繰りに支障を来すおそれのある中小企業、こういうものに対しては別枠の融資制度を創設して十二月一日から実施をいたします。  国民金融公庫の小規模経営改善資金、いわゆるマル経資金でありますが、この融資については、平成十年度末までの間、別枠としまして貸付限度額を、現在六百五十万でありますが、それを一千万円まで広げるということと同時に、新規の開業者に対しても貸付対象にするということにいたしております。  中小企業信用保険法の特例保険につきましても、小売関連の業者とか、ただいま申し上げたように建設と小売が非常に厳しい状態でございますので、こういう関連した業種に対します枠を拡大するということにいたしまして、倍額に枠を拡大することにいたしております。  さらにまた、経済対策に加えまして、政府系金融機関の担保の徴求のさらなる弾力化を図るということにいたしまして、私の方からは事務局に対しまして具体的な検討を指示してきたところでありますが、今回、事業実績やその将来性から見て償還に懸念がないにもかかわらず、担保不足が原因で資金調達に困難を来している中小企業者に対しましては、担保徴求に対しての弾力的な運用を行うことといたしておりまして、全力を挙げて、万全を期して、間違いないように取り組んでまいります。
  180. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 くれぐれも万全を期して、最大の御努力をお願い申し上げる次第でございます。  次に、大蔵大臣にお伺いをいたしますが、金融機関の不良債権の総額は平成八年三月には三十四兆七千九百九十億円であった。ことし三月には二十七兆九千億円だと発表されておりますけれども、本当はだれもこんな数字は信用していないというのが通説のようであります。例えば、先日経営破綻いたしました拓銀の公表不良債権は約一兆円だと言われておりますけれども、本当は二兆も三兆もあるはずだという説もあります。  既に木津信用組合の処理に一兆円が使われるなど、預金保険機構の責任準備金、既に約二千億赤字になっていると聞いておりますが、日銀からの借入枠は二兆円であります。これで今後の破綻処理の財源は大丈夫なのか。住専のときの経過もこれあり、政府は今後公的資金は導入しないと言い切っておられますだけに、一体どうなさるおつもりなのか、承りたいと思います。
  181. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) さまざまな報道がなされております。  それはそれとして、政府として分析を確かにしなければなりませんし、万全の対策をとっておるところであります。それぞれの企業も全力を尽くして経営健全化に向けて頑張っておられますことは全体的な見方として吉田委員も御理解をいただけるのではないかと思います。  さて、御質問でありますが、預金保険機構の財源についてであります。平成八年度から平成十二年度までの五年間の財源見込みは約二・七兆、二兆七千億円、このうち実行済みの金銭贈与は木津信用組合処理の約一兆円を含め一・四兆円でありますので、今後、平成十二年度までに使用可能な財源見込みは約一・三兆円、いわゆる一兆三千億円となっております。したがいまして、この一・三兆円によりまして今後対応してまいるというのが基本であります。  しかし、そのことについて今後の財源は心配ないのかという御質問でございますが、今後発生し得る金融機関の破綻を現時点で予測することは困難であります。前段申し上げましたとおり、それぞれの機関が全力を挙げて信任を確保すべく経営リストラ、合理化に取り組んでおるところでございまして、仮に現在見込まれる預金保険機構の財源では対処が困難な状況が発生した場合には、遅くとも平成十年度末までに保険料率の検討を行うことといたし、対処してまいりたいと思っております。
  182. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 公的資金を導入しなければ、今、大臣がおっしゃったとおり民間銀行から納入する保険料を追加徴収する以外にないと思うのでございますが、このいわゆる奉加帳方式にも限界があるという説が広がっているわけでございまして、大変前途は多難だと思いますけれども、その点よく対応されなければならないと思います。  次に、最近の株価の低迷もありまして、株式の含み益もどんどん減っております。今月十日のアエラでは、「一万五千円割れで大不況」と論じております。そこでは、例えば北海道拓殖銀行は一万七千六百十円で含み益がなくなると指摘いたしておりましたが、まさにそのとおり既に破綻してしまっております。ちなみに、かなり著名な都市銀行数行も一万五千円を割れば含み益がなくなると予想しております。  このような状況下で、不良債権の処理はなかなか容易ではないと思うのでございますが、大臣はどうお考えでございますか。
  183. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 金融機関による不良債権の処理についての御質問でございます。  最大限の自助努力により行われることが基本であると考えております。そういう中で、各金融機関は、抜本的な経営合理化による業務純益の積み上げや内部留保の活用により不良債権の処理を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、株価の動向が金融機関の経営に与える影響については今後とも注意深く見守っていきますとともに、大蔵省といたしましては、昨年の通常国会において成立をいたしました金融三法により整備された制度の基本的考え方を踏まえながら、引き続き預金者保護を図りつつ金融システムの安定性確保に万全を期してまいることといたしております。
  184. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 次に、大蔵大臣にお伺いをいたしますが、税収の動向でございます。九月末の前年同月比は二・七%増になっておりますけれども、内訳を見ますと、所得税では七・一%増、これは特別減税がなくなったからそうなったんだと私は思いますが、それから法人税の方はマイナス一四・六と著しく落ち込んでいます。結局、消費税が二%上がったことによって、消費税三五・一%の増によって辛くもカバーされているというのが今日の実態だと思います。  税収の今後について大臣はどうお考えになっておりますか。
  185. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) ことし九月末の税収累計については、それぞれの税目の対前年度伸び率は吉田委員指摘のとおりであります。そこで、現在判明しております直近の租税収入額である本年度税収の九月末累計について申し上げます。  一般会計分計で前年度の九月末に対して一〇二・七%となっております。九月末における税収累計の前年比一〇二・七%は予算伸び率一一一%に比べ低くなっておりますが、これは消費税率の引き上げによる増収効果が今後、年度後半に集中してあらわれることによるものであります。  本年度税収全体の見通しいかんということでございますが、現時点で判明をいたしている平成九年九月までの税収の累計が予算額の三割程度であることなどから、具体的な見込みを申し上げる段階ではございませんが、今後、税収動向や経済状況を注視していく必要があると考えておるところでございます。
  186. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 だんだんとこれからなお税金は入ってくるはずでございますが、前年同月比との対比は一つの参考指標になると思うわけでございます。その点、なお一層真剣に対応していただかなければならないのではないかというふうに考えます。  ところで、大蔵大臣にお聞きしますが、国、地方の借金総額は約五百二十兆円だと言われておりますけれども、今度のこの改革法案に沿って今後予算削減が完全に実施されていくものとして、国の借金の総額は六年後には少しは減るのか、それともまだ若干膨らんでいくのか、その辺の見通しをお願いしたいと思います。
  187. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 本件は、御指摘のとおり五百二十兆と言われておりまして、六年後についての説明を求められたところであります。  財政構造改革法案における財政構造改革の当面の目標を踏まえながら、平成十五年、二〇〇三年度でありますが、財政事情を一定の仮定のもとに機械的に試算をいたしました「財政事情の試算」を示したところであります。国債残高は平成九年度末見込みで二百五十四兆円でございます。「財政事情の試算」における公債減額が実現した場合の公債残高の見通しは、平成十五年度末二百九十九兆円程度と試算をされております。  いずれにいたしましても、本法律案における国、地方の財政赤字対国内総生産比を三%以下とする目標を平成十五年度、二〇〇三年度までに達成をし、債務残高対国内総生産比の上昇に歯どめをかけた後には、一日も早く債務残高が絶対額で累増していかない姿、すなわち財政収支均衡の姿を実現するように努力をしてまいりたいと考えております。
  188. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 そこで、総理にお伺いをいたします。  要するに、この借金は昭和四十一年から始まったはずでございます、佐藤内閣のころに。その数年前に総理は代議士に当選なさっております。三塚大蔵大臣はその後当選なさっておりますし、私もそのころに議席を得たわけでございます。考えてみましたら、わずかこの三十年間に我々がこの国でつくってしまった借金であるということだけは免れることができないと思うんです。  三十年間で五百二十兆の借金をつくったということは、毎年、国と地方で単純平均いたしますと十六兆円ずつ借金をふやしていったということになります。また、今もお話ありましたが、国の公債残高が二百五十四兆円だといたしますならば、その金利だけで一年間に約十兆円、既に平成九年度は十一兆六千八百二十一億円になっておりますけれども、大体一年間に約十兆円の金利が要る。それは一日当たり何と三百二十億円になるわけでありまして、こうして質問している間に、一時間ごとに十三億円ずつ金利が支払われていかなければならないということなのでございます。これは容易ならざる金利負担だと思うのでございます。  このような赤字財政を放置したままで将来の世代に渡すことは、想像以上の負担にならざるを得ないと思うのであります。しかも少子化は進んでおります。かつ、非常に恵まれた今日の状況の中にあって育っている子供たち、いわば本当にお坊ちゃまとお嬢様が育っているような気がするわけでございますが、そういう人たちは将来、今の世代ほど本当に目をむいて働いてくれるだろうかどうか、ちょっと既に私も心配している次第でございます。よしんば懸命に働いてくれたとしても、働けど働けど納めた税金の中から二割も三割も昭和、平成の時代の人たちがつくった借金払いに明け暮れしなければならないということは、これは大変なことだと思うのでございます。  現に、平成八年度の国民年金の保険料納付率は八二・九%と過去二番目の低い水準になっております。とりわけ若者や自営業者の国民年金は、対象者の三人に一人が保険料を支払っていないという深刻な状況が既に始まっております。自分の年金を十分将来受けることができないのではないかという不信感がその原因であると私は思うのでございます。だとするならば、既に世代間の反乱が始まっているのではないかと危惧する次第でございますが、総理はいかがお考えでございましょうか。
  189. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、世代間の反乱という言葉をお使いになりましたけれども、私はその言葉は使いたくないと思います。また、そのような状態をつくり出してしまってはなりません。  その上で、経済審議会が行いましたシミュレーション、これは現在の構造をそのまま放置した場合という前提がついておりますけれども、一般政府純債務残高は二〇二五年度にはGDP比一五三%、とてもファイナンスのできる状況ではなくなります。また、経常収支の対GDP比が、一九九四年度の実績二・七%の黒字から二〇二五年度には一四・三%の赤字になるわけであります。そして、一般政府財政赤字を含みました国民負担率、これは九四年度実績の三九・二%から二〇二五年度には七三・四%に達する。これはまさに、二十一世紀といいましても二〇二五年、初めの四半世紀において我が国が破綻するという数字になります。  このような状況を考えますときに、私どもがこのような膨大な借金を次の世代に残してはいけないんだと申し上げておりますのは、本当に遠い先のことではない、二十一世紀が始まって最初の四半世紀で今のままの制度を続けていればこういう状況になるというシミュレーションが出ておるわけでありますから、何としても我々としてはこの状況から脱するための努力をしなければならない、そのような思いでこの財革法案も国会で御審議を願い、これを受けて次年度予算の編成につきましても厳しい予算編成を行っていかなければならない、そのような思いでおるわけでありまして、ぜひともお力添えを賜りたいと心からお願いを申し上げます。
  190. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 総理おっしゃるとおり、まさに待ったなしの状況に刻々近づいていると思うわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお聞きしたいのでございますが、今度の財政構造改革法案で歳出にしっかりとキャップをつけた、キャップをかけたとおっしゃっておりますけれども、それはあくまでも当初予算についてでありますね。  私が聞きたいのは、じゃ補正予算の場合にどうなるのか。補正予算については財政法第二十九条の規定によって厳格にやりますとお答えになるでありましょうけれども、例えばウルグアイ・ラウンドの対策費は、今度、補正に計上されないんでしょうかどうか。あるいは、そうしたくありませんけれども、いろんな災害が起こった場合にこれも緊急不可欠の予算を組まなきゃなりませんが、その予算の財源をどこに求めるのか。用意された財源がなければ、結局は赤字国債に頼っていかざるを得ないのではないか。  だから、この法案をいかに厳格にやっても、その部分でだんだんと国債の残高はふえていく傾向にあることだけは否定できないと私は思うのでございますが、いかがでございますか。
  191. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) よって、この法律案では、特例公債からの脱却、公債依存度の引き下げという財政健全化目標を掲げておるところでございます。補正後の数値という点から考えましても、財政構造改革の趣旨は補正予算にも反映されることになります。今申し上げましたのは、健全化目標は補正後の数値も含むと、こういう意味でございますから、その趣旨は補正予算にも反映されるということになります。  そこで、補正予算については、財政法二十九条に明示されておりますように、法律上または契約上国の義務に属する経費の不足を補う場合、二点目として、予算作成後に生じました事由に基づき特に緊要となりました経費の支出を行う場合等に限られます。財政の節度でございます。私は、財政構造改革を進めるに当たりまして、内閣としても補正予算の取り扱いについては財政法二十九条の趣旨を厳正に判断をし、適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  192. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 あと二分で小林委員に交代したいと思うのでございますが、そこで、最後に総理に申し上げます。  去る十一月九日の産経新聞の「論点」に、大阪学院大学の丹羽春喜教授がある論説を載せておりました。  それによりますと、現在、総需要の甚だしい不足のために、資本設備と労働力を総合した生産能力のうち、稼働している部分は六割ないし七割にすぎない。要するに、デフレギャップが三〇ないし四〇%に達しておる。これを全部動かせば年間二百兆あるいは三百兆の潜在GNPが実現されるはずだが、それが現にむなしく失われておる。だから、ここで思い切って明治初年に政府が導入いたしました政府紙幣を発行して、政府がお札を刷って、紙幣を発行する。これは金利はかかりませんわね。明治のころに政府は金がないときにそれをやって国家の再建をしたようでございますけれども、そういう思い切った導入をしてはどうなのか。決してそれはインフレにはならない、デフレギャップがそんなにある間は絶対にインフレになるはずはない。ならば、いっそ一人当たり、老いも子供も三十万ないし四十万のボーナスを一遍に配ったら一挙に景気は回復し活性化するのではないか。そういう政府の確かなコントロールによって大胆な方法を採用してこの危機を突破しなければならないのではないかとおっしゃっているわけでございますが、そういうことも総理のこれからの考えの片隅にお置きになって、いろいろと大胆な発想の転換をなさったらいいのではないかと思います。同時に、この行き詰まった状況では、この法案がたとえ成立をいたしましても景気は落ち込むばかりでありまして、したがって思い切って二兆円の減税あるいは四兆円の法人税の減税をまずやらなければならぬと思うのでございますが、そういうことを申し述べて、最後の質問にいたします。
  193. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 順序を逆にして恐縮でありますけれども、この財政状況の非常に厳しい中におきまして、今、議員が主張されましたような大幅な減税、それが税目を何にいたしましても、その財源というのは国債に依存せざるを得ないことを考えますときに、これは将来世代に残す借金がそれだけふえるということだけではなく、現実の問題として、私はなかなかこれにおこたえをすることは困難だと存じます。  また、思い切った発想の転換という例で、政府が紙幣をという論文を引用されました。これが紙幣といいますと、私率直に言いまして、これは日銀券との間にどのような関係を持つのか、問題を生ずるおそれがないとは限らないと思います。  ただ、今までにもさまざまな時期に、例えば何らかのクーポン、こうした御提案をいただいたことはございました。同時に、例えば現在既に存在しております雇用保険制度における介護クーポンというものが実質的にどの程度利用されているか、その利用の低い原因は何かということも本院においての御論議の中にございました。  いずれにいたしましても、今後さまざまな発想をしていく場合の一つの例として賜った御意見、そのように受けとめさせていただきたいと存じます。
  194. 吉田之久君(吉田之久)

    吉田之久君 ありがとうございました。(拍手)
  195. 小林元君(小林元)

    ○小林元君 平成会の小林元でございます。  まず、大変限られた時間でございますので、私も話し方は遅いのでございますけれども、できるだけ簡潔にお話ししたいと思いますし、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  総理初め関係大臣に御質問をいたします。  この財政改革につきましては、昨年来といいますか、いろんな動きの中で、ことしの六月三日に閣議決定をされ、そして今回の法案提出に至ったわけでございますが、量的な縮減目標、二年送りですとか、七%ですとか一〇%カットというようないわゆるキャップ方式、従来はシーリング方式というような形で査定をしていたわけでございますけれども、これによって財政の健全化を図ろうというものだろう、先ほど来宮澤委員からもいろいろ御質問があったとおりでございます。  この構造改革の内容としては、この法案には年金あるいは保険、いわゆる社会保障関係以外につきましての構造改革という中身は効率化、重点化、あるいは量から質への転換というような極めて抽象的な規定に終わっているわけでございますが、例えば社会保障関係につきましてはこのまま放置すればシステムが崩壊しかねない、そういう危機意識の中でかなり具体的に規定がされているわけでございます。  先ほど来、あるいは本会議で我が同僚の広中議員あるいは民主党の齋藤議員からもいろいろございましたが、先ほど大蔵大臣からも御答弁をいただきましたけれども、この構造改革とは一体何なのか、総理から直接御所見をお伺いしたいと思います。
  196. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、構造改革というお尋ねでありますけれども、財政構造改革ととらえてお答えをすることをお許しいただきたいと存じます。  これは既に何回か申し上げてまいりましたことでありますけれども、現在の我が国の財政状況は、主要先進国中最悪の状況にございます。そして、先ほど吉田議員にもお答えを申し上げたところでありますが、仮に現在の財政構造というものをそのまま放置をいたしておいた場合には、将来財政赤字を含めました国民負担率は七〇%にもなり、双子の赤字を抱える状態になり、これはいや応なしに国民の生活水準が低下するという状況になると見込まれております。このような将来を子供や孫の時代に残すことは絶対に避けねばならないという思いの中から、こうした事態を回避し、安心してセーフティーネットの役割を果たす福祉、また健全で活力がある経済というものを実現するためにもこの財政構造改革は何としてもなし遂げなければならない、そのように考えてまいりました。  ですから、今回提案をいたしました法律の中身におきましても、今世紀残りの三年を集中改革期間として定めております点は当然、当然と申しますか、そういう発想のもとに、十年度予算におきましても、公共事業につきましては前年度比マイナス七%とする一方で、例えば科学技術振興費については五%増を認める。主要な経費の性質に応じまして具体的な歳出の縮減目標というものを設定いたしてまいりました。縮減目標と申しますものですから全部がマイナスのような印象を与えますけれども、この科学技術振興のように、むしろプラスを積極的に与えておるところもございます。  こうした中で、歳出縮減の目標を設定されました部分、これは主要な経費について具体的な金額の上限を決めておりますけれども、これを達成するためには、議員から今社会保障で例を引かれましたように、それぞれの制度の改革といいますか、現在の歳出の中身に踏み込んだ改革を必要とすることになるわけでございまして、私どもは、こうした努力を積み重ねることによりまして、まさに次の世代への、と申しましても、吉田議員お答えをいたしましたとおり、もう間もなく始まります二十一世紀初頭から何とかしてこれ以上の赤字の拡大にブレーキをかけていきたい、そのような思いでこれを御提案し、財政構造改革という言葉にそのような意味を持たせております。
  197. 小林元君(小林元)

    ○小林元君 総理、釈迦に説法をするつもりはございませんけれども、ちょうど百年前に内村鑑三氏が「代表的日本人」という本を書かれました。私も昔読んだので忘れましたが、何かそんなことが書いてあったのかなと思って、実は昨日、国会図書館へ行って、昨晩一夜漬けでございますが読ませていただきました。もう二百三十年ぐらい前の米沢藩の藩主上杉鷹山の話が代表的日本人の一人として書かれてございました。この内村鑑三氏の言葉でございますが、「わが望み、わが力を惜しみなく注ぐ、唯一の国土」、我が国民の長所を世界に知らせたい、そういうことでその一人として取り上げられた。  そういうことでございますが、米沢藩は、徳川時代といいますか、豊臣になってから越後から会津、米沢と転封されました。百万石から十五万石に落とされたわけでございます。私は水戸でございますから、徳川親藩といいますか徳川御三家の一つでございますけれども。  それで、その当時、上杉鷹山は養子でございますが、何百万両という借金があった。現在の価値計算はちょっとできませんけれども、貧困にあえいで危機的状況にあった。破綻寸前といいますか破綻状態。そういう中で領地に赴任をする際に、家来が殿様の暖をとるために一生懸命小さい炭火を絶やさないようにと炭を吹いていた。それを見て絶望から立ち上がるという決心をされた。後のことはいろいろと聞いておられると思いますけれども、いずれにしましても、この改革はみずからやらなきゃいかぬ。自分の生活費である千五十両を二百九両に切り詰め、奥女中を五十人から九人にするということをスタートに、いろんないわゆる倹約令を出したわけでございます。  財政再建といいますか健全化といいますか、倹約令は結構でございますけれども、これはどうしてもスタートでございます。しかし、そうはいっても現在の日本、大変な状況だという認識は私も変わっておりません。そういう中でただいま総理もおっしゃいましたが、科学技術費について、科学技術立国、これが二十一世紀の日本のあるべき姿ということで五%増と、こういうことをおっしゃいました。法案にも盛り込まれております。  しかし、やはりここはそういうことの中で、桑を植え、コウゾを植え、あるいはベニバナを植える、そういうような殖産政策ということもやり、いわば景気対策かもしれませんが、そして最後には人心一新を行う、あるいは行政改革をやる、そしてまた藩校を復活させる、今で言えば医科大学をつくる、医学校をつくるというようなことをやったわけでございます。  ですから、各省の枠内でこういうキャップ方式でここを節減しろ、倹約しろということも大事でございますけれども、やっぱり省の枠を超えて、国としてこれはやるべきだと、そういうものを国民に与えてもらえないものだろうか。いかがでしょうか。
  198. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員も最後にお触れになりましたが、私も上杉鷹山公という方が大変好きでありまして、大学四年のときにわざわざその事績を訪ねて米沢に参りました。上杉神社に参りますと、上杉家列代のお墓がございます。鷹山公がその葬儀をとり行われました。鷹山公を養子に迎えられたときの御当主のお墓から墓地の様式すら全く変わっております。そして、二重の屋根から、入母屋づくりの屋根から単層の屋根に変わっております。それぐらいの節減に努められた。  しかし一方で、コイの養殖あるいは米沢つむぎ等々、さらに今も伝わるベニバナ、殖産興業、これはまさに経済構造改革でありましょう。こうしたことに努力をされた方として私の心にも残る偉大な先人の一人であると私は存じております。  その上で、今その節減を例に引かれましたが、私だけではなく、すべての閣僚は既に一割の歳費を国庫に返納しつつ、現在も職務に取り組んでおります。  そして、今科学技術関係における五%のプラスということを一つの例として申し上げましたが、各省庁の枠にとらわれずという御指摘がございましたので、例えば環境あるいは科学技術、情報通信など、経済構造改革の特別調整措置として総額千五百億円を予算編成の過程におきまして、官邸の主導により、所管の枠を超えた総合的な調整の財源として振っていく。あるいは、公共事業の重点化措置として、プロジェクト制に着目をしながら、事業間の連携を確保するという観点で総合的に調整していくものとして、物流効率化による経済構造改革の特別枠千五百億円、あるいは生活関連社会資本の整備、安全な地域づくりなどの課題に適切に対応し重点化を図るための生活関連公共事業重点化枠二千五百億円といった、そうした各省庁の枠にとらわれず、そのプロジェクト制に着目する、あるいはその将来に着目する、重点化を図る、そのような概算要求の基本方針の中に盛り込んだものもございます。  こうしたものを活用することによりまして、議員の御指摘にでき得る限り沿えるような努力もしてまいりたい、そのように考えております。
  199. 小林元君(小林元)

    ○小林元君 私、三月十七日の本会議におきまして、総理に地方分権推進についてお尋ねをいたしました。そのときは、分権推進委員会の諸井委員長総理がお会いになって、できる限り実現可能なものをというようなお話をされ、そしてそれは漠然としたものではなくて、すぐ使える、実現可能でしっかりした勧告をお願いしていると、こういう御答弁をいただきました。  最近のある週刊誌によりますと、地方分権の四次にわたる勧告についてはどうも物足りないと、これは首相自身の言葉かどうかわかりません、首相周辺とこう書いてあります。  私も、実はこの勧告を見まして、権限移譲の少なさ、あるいは宮澤委員からもお話がありました財源論について先送りをされている。あるいは、例えば地方事務官制度を地方には渡さないで逆に国の方へ近づける、手繰り寄せる。機関委任事務は廃止されたものの、そういうような内容でございまして、この財政改革といいますか、いろんな改革の中で中央から地方へ、こういう理念が十分に入っているんだと、そういうふうに言っていたわけでございますけれども、残念ながらどうも何か少し後退といいますか、景気の話ではありませんがそういう状況ではないか。  それから、行革の中で、一昨日でしょうか、国土整備省というような巨大な利権官庁をつくると。こういう中でやはり地方は、本来ならば補助金ではなくて一括財源を譲与して地方活性化のために有効に財源を使う、こういうことで、首相もこれについても懸念をされているというような報道も見受けました。  このことにつきまして、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  200. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、委員から御指摘がありましたように、三月十七日本会議におきまして、この分権推進委の関連につき地方分権推進委員会の方から説明をしたいというお申し入れを受けて二度お目にかかり、そのときこう申し上げたということはそのとおりでございます。その上で、御指摘を受けまして、その雑誌の記事も見てみました。私は、分権推進委が御努力をいただいたその内容について、物足りないなどという失礼な言葉を使ったつもりはございません。  ただ同時に、地方六団体から出された意見書を中心にして分権推進委がここまで作業をしてきていただいたわけでありまして、それに対するお答えは、四次勧告までに本当に御苦労いただき、まとめていただいたわけでありますけれども、その六団体に反映してきていない、例えば政令市の市長さん方からの意見書とか、いわゆる六団体という共通した意見以外の部分については、私はまだ分権を進めていく上で地方分権推進委員会から御意見をいただく部分が残っておると思っております。そして、そのような思いは分権推進委に対しましても率直に私自身としてお願いを申し上げ、ぜひ続けての作業をということも申し上げております。それに対して、議員から御指摘がありましたように、ここから先、踏み込んでいくとすれば財源の問題等にも入らなければならなくなるというお話もございました。  しかし、地方分権というものを進めてまいる上は当然その問題を避けて通ることはできないわけでありまして、現在ちょうだいをいたしております第一次から第四次の勧告を土台に、政府は当然ながら地方分権推進計画策定に既に入っておりますけれども、それとは別に、御意見はこれからもちょうだいしたいと考えております。  また、行政改革会議における議論は今大詰めの状況の中で最終的にいろいろな努力をいたしておるところでございまして、本日、この委員会が終わり次第私もそちらに出席をし、最終の意見調整に当たっていこうといたしております。
  201. 委員長(遠藤要君)(遠藤要)

    委員長遠藤要君) 時間です。
  202. 小林元君(小林元)

    ○小林元君 はい。  時間がありません。通告をしておりました文部大臣農林水産大臣、そして二回とも通告しながら質問まで至りませんで運輸大臣には、大変失礼をいたしました。  どうもありがとうございました。(拍手)
  203. 伊藤基隆君(伊藤基隆)

    ○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤でございます。  いよいよこの法案の審議も締め総の段階にやってまいりました。この委員会は、非常に人格円満な委員長のもとに、人格円満でありますが時に厳しく激しく出てまいりますけれども、我々理事会でも総理の今後の重要な外交日程のことも十分念頭に置きながら、しかも十分な審議時間を確保しようということで、与党はみずからの質問時間を割愛しても野党に回すというようなこともしながら本日を迎え、明日を迎えようとしておるわけであります。大変重要な議論をしてきたというふうに私自身も考えております。  さて、私もかねがね財政の危機状況については強い関心を持ってきておりますから、そのよって来る原因を含めて現状について承知をしておるつもりでございます。さらに、それに対する財政構造改革の必要性についてももちろん十分重要なことで、必要なことと承知しておるところでございます。  ただ、幾つかの議論をして疑問点も出してまいりましたが、私が総括質疑一般質疑を通じて印象に残ったことは、これらの今の日本の財政状況または経済状況の根幹がバブルの発生、崩壊過程の中にあったということを申し上げたところ、バブルの後遺症に対する厳しい認識をお持ちだということが総理答弁からわかりました。まさに、そこに根本的な解決しなきゃならない問題が、今日、財政出動問題等もありますが、日本の重要な問題になっておるだろうというふうに思います。六大改革のうちの金融システム改革ということが非常に重要だというふうに私は思っております。  ただ、私がこの際申し上げたいことは、総括でも申し上げましたけれども、問題は、政策の優先順位による政府のコントロール、予算編成、執行のコントロールというところにあるんではないかというふうに思います。  討論の中で私は、個人貯蓄の金利の引き上げ、または特別減税等について申し上げましたが、いずれも答えはノーでございました。しかし、一つ重要な問題として解決しなきゃならないのが景気対策ないしは金融システムの改革による財政基盤の活性化というところにあると思います。国民立場からすると、多くの人たちに私も触れてそのことを聞いてまいりましたが、今日あらわれている国民への負担増ということはどうしてもこれは納得のいかないというか、将来に対する不安感ないしは政府の経済政策に対する不満というものがあるのではないかというふうに思うわけでございます。  トリプル高というようなもの、トリプル負担というようなものがございます。このことが将来、日本の社会ができるだけ公平であることを求めてきた今までの日本が、姿を変えて公平を損なうような社会のシステムに転換していくのではないかという不安感があり、それはまた不信感にもなっていっているんではないかというふうに私は思っております。そのことについて、一番政治に携わる者、または政府、私たちももちろんでございますが、きちんと認識をした上でこの問題に対応していかなきゃならないだろうというふうに思うわけでございます。  そこで、まず総理大臣にお伺いするわけでございますけれども、予算の編成といいましょうか、総理大臣がどのように予算の編成にみずからの政治姿勢、意識を注入していくかという問題について、少し長くなりますが、幾つかの点について申し上げて、お答えをいただきたい、所感を述べていただきたいと思うわけでございます。  予算編成というのは、向こう一年間の国の施策を財政の側面からすべてを決定すると言ってもいいことだと思っています。国の施策を総合的にまとめる大作業でありますし、国の行政政治の中身が決まる予算編成について政治が真正面から責任を負っていかなければならないのは当然でございます。  今回の財政構造改革推進に関する特別措置法、この法案は、突き詰めれば、一つには平成十五年までに一会計年度の国及び地方公共団体の財政赤字の対国内総生産比を百分の三以下とすること、もう一つは、一般会計の歳出は平成十五年度までに特別公債に係る収入以外の歳入をもってその財源とするものとし、あわせて平成十五年度の公債依存度を平成九年度に比べて引き下げること、第四条の規定に尽きるのではないかというふうに思います。政府は、この目標を不退転の姿勢で実行することを繰り返し繰り返し表明してまいりました。  私は、そのことを聞きながら予算編成システムの改革あるいは予算編成権という視点から、今日盛んな議論が行われております行政改革の問題と関連させて考えてみたいというふうに思います。  行革会議の中間報告は、「内閣機能の強化」として、閣議における首相の基本方針、政策の発議権を内閣法上に位置づけること、首相の指揮監督に関する内閣法の規定の弾力的運用を掲げました。内閣における首相指導の原則の確立を意図したものと私は思っております。  もちろん、当委員会の総括質疑においても他の議員から触れられておりましたが、議院内閣制を前提とした制約要件は確立されていなければならないというふうに考えます。首相指導の原則は予算、人事、法制、組織、情報など多岐にわたると考えられますが、ここでは予算を取り上げて考えたいと思います。すなわち、予算編成に関する首相の指導原則の確立、首相が政治政策上の判断をするためのシステムの確立が必要と考えます。  ここでイギリスの予算編成システムについて、皆さんのお手元に「英国予算編成機構図」というものを配付させていただきましたが、これに基づいて少し説明をしながら、関連させていきたいというふうに思います。  私がイギリスの予算編成システムについて関心を持ちましたのは、大蔵省が派遣しました財政制度審議会基本問題小委員会の海外調査報告というのが二年ほど前に出されておりまして、これは大変勉強になる資料でございました。そこに、イギリスが「一九九三年度以来、各省から概算要求の後に公的支出の総枠の上限について閣議決定を行い、予算をこの枠内に抑制するべく主要閣僚からなる会合を通じ折衝を行うという制度を導入し、歳出の削減に努めている。」、さらには「内閣の決めた予算案が、議会において修正されることはほとんどない」という記述を読みまして関心を持ったわけでございます。  そこで、「英国予算編成機構図」を参照していただきたいわけでございますが、まず左下にあります「首相官邸」、「首相」のところに「ポリシー・ユニット」というのがございます。これは七人の民間人メンバーによって構成されているようでございます。ちなみに、これは前政権、メージャー政権の時代に調べたんですが、現ブレア政権時代はどうなのかということを問い合わせましたら、同じやり方でやっているということでございました。それが右の方に、官僚に対して政策案提示を求め、それをこのポリシー・ユニットが事前にチェックをするという制度でございます。これが首相と政治的な意識、目的を一体的に共有するメンバーによってスタッフとしてそのことを行うということでございます。  右の方に「大蔵省」という点線で囲った枠がございますが、これが実は予算編成の機構でございます。そのような各省庁との事前の折衝にあった首相が、この「大蔵省」の上の欄に「国会議員」という欄がございますが、ここに「首相」とありますけれども、この大蔵省の中における「首相」は第一大蔵大臣というふうに位置づけられておるようです。その下に第二大蔵大臣がおりまして、これが一般に言う日本における大蔵大臣、日本で言うと三塚大蔵大臣でございます。  その下にファイブ・ジュニア・ロードと言われるものがございます。これは正式な名前はロード・コミッショナーズ・オブ・ザ・トレジュリー、大蔵省の国会議員による委員会でございますが、与党若手の国会議員五人が幹事長主導のもとにこの中に参画をしている。さきのメージャー首相もこのメンバーだったようでございますが、このメンバーから優秀な人材が駆け上がってくるようでございます。政策決定、予算の優先順位を決めるこの国会議員のメンバーの中に政権党の幹事長が助言をする立場で位置しております。  さらに、第三大蔵大臣閣僚としております。閣外大臣が制度上三人おりまして、メージャー政権時代は二名が実際におりましたが、現在はどうなのか私はまだ調べが届いていません。大蔵省に属する閣外大臣が三人おるということでございます。その中に大蔵事務次官が官僚としてはただ一人この国会議員メンバーの中に参画をしております。  すなわち、そこにおいて予算は政策上、政治上の優先権によって議論されて方向を決定していく、これに基づいて官僚は相談を受けたり指示を受けたり原案を提供したりしながら予算をつくり上げていくというのがイギリスのシステムでございます。  他国のシステムそのままということを申し上げているわけではございません。イギリスが財政構造改革に当たって力強い歩みをしてきたということはそういうところに原因があるんじゃないかというふうに私自身が関心を持ったわけでございます。  私は総理に申し上げたいのは、政治そのものである予算編成、そのシステムを確立することが行革の最も重要な心棒ではないだろうかということを考えておるわけでございます。さらに、予算執行の監視機構を確立するということがこれに伴えば、私は財政の健全化、国の経済、政治の健全化というところに向かい得るんじゃないかというふうに考えて、冗漫になりましたけれども、あえて英国の予算編成を資料として出しまして考え方を申し上げたところでございます。  総理の所信をお伺いいたしたいと思います。
  204. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はまず、よくイギリスの行政府の組織をここまでチャートに仕上げられたということに対して敬意を表します。  というのは、私自身が一九八一年でありましたか、当時のイギリスの制度を調べに参りましてはとほと苦労いたしました。と申しますのは、設置法を持っている役所、持っていない役所、慣習法のある役所、成文法のある役所、各省の設置形態そのものが歴史をそのままに引き継いでおりまして、正確な事実把握の非常に困難だったことを今も記憶いたしております。  そして、今、議員がお調べになりました、例えばイギリス流のコントロールトータルと言われる仕組み、その中のEDXという決定権を持つ仕組みの中にも、日本流に調べますと下院の院内総務兼任の枢密院議長あるいはランカスター公領大臣、ランカスター公領大臣というのが日本ですと人事院総裁に当たるような役割をしている。名称と意味する役割が全く違う。ほとほと苦労いたしましただけに、私はこの資料自体に対して本当に敬意を表したいと思います。  その上で、議員が述べられましたような弾力性を我が国の行政組織として持つことがいかがかということになりますと、私は必ずしもイギリスのようなやり方が日本になじむとばかりは言えないと思います。  しかし、その中で、私は今回の行政改革会議の中間報告におきまして、内閣機能の強化策として、行政、財政運営の基本や予算編成の基本方針を含む国政に関する基本方針についての内閣総理大臣の基本方針発議権を内閣法上明確化する、同時に、内閣官房においてそうした国政に関する基本方針の策定事務を担うということを報告の中に入れていただいてまいりました。  恐らく、この中間報告の方向は私は最終報告においても変わらないと思います。そして、これがキープされますと私は随分状況は変わると考えておりますし、殊に、ここに民間の方々が中心というより、ほとんどがそうなるかもしれません。例えば科学技術に対する、あるいは経済、財政に関する、名称が最終的にどうなりますかわかりませんけれども、助言の仕組みが考えられております。  こうした仕組みを考えましたとき、私は現在に比べまして内閣並びに内閣総理大臣というものが、予算編成を例に挙げられたわけでありますけれども、こうしたところでその基本方針を策定していく上で、今までとは違った機能を発揮し得る体制が整備される、そのように考えております。
  205. 伊藤基隆君(伊藤基隆)

    ○伊藤基隆君 私もそのように期待をしながらイギリスの状況を少し調べて申し上げたわけでございます。総理がおっしゃるように、イギリスにはチャートというものがなかなかなくて、全部、私は学がないものですから、一生懸命字引を引きながらつくったわけで、間違っているところがあるかもしれませんけれども。  さて、大蔵大臣お尋ねいたします。  平成五年十一月二十六日に、大蔵省の財政制度審議会が大蔵大臣あてに公共事業の配分のあり方に関する報告を提出いたしました。それは、私も公共事業にかかわることに最大関心を持っているわけですが、配分の基準として、現行の各公共事業は、大別すれば、(A)生活環境整備、(B)国土保全、(C)産業基盤整備の三つの類型に分類される。三類型の優先順位は、(A)、(B)、(C)の順とすることが適当である。すなわち、  (A)生活環境整備については、国土保全、産業基盤整備に比べ事業の本格的実施が遅れたため、限られた期間に緊急に整備をする必要があるところから、当面、集中的に投資するよう努めるべきものである。  (B)国土保全については、我が国の自然的特性からいって、特定の時期に完了するといった性格のものではないので、長期的視点から着実に実施していくべきである。  (C)産業基盤整備については、これまでの投資実績や国民経済に占める比重の変化等を考慮すると、これからの我が国経済の成長のために必要な分野には適切な配慮をしながらも、全体としては、重点的かつ抑制気味に扱うべきである。 さらに、   高速道路、拠点空港等は、上記の三類型に分類し難いものではあるが、国土の骨格の形成、あるいは、国際社会との交流のための基盤的施設であり、各々の必要性を見極めながら、着実に整備していくことが必要である。 というふうにございます。  平成九年六月三日閣議決定の「財政構造改革推進について」によれば、公共投資について、「公共投資基本計画については、二十一世紀初頭に社会資本が概ね整備されることを目標としている計画の基本的考え方は維持することとする。公共投資の水準を、概ね景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の国民経済に見合った適正な水準にまで引き下げること」ということを基本的に決めながら、一つに、「住民に身近な生活関連の社会資本等については、国と地方の適切な役割分担の観点から、地方の判断にゆだねる」、「国の補助対象の縮減・採択基準の引上げ等を図る。」。さらに、「集中改革期間中の公共事業予算の配分に当たっては、経済構造改革関連の社会資本」、すなわち、先ほど申し上げた「(高規格幹線道路等、拠点空港、中枢・中核港湾、市街地整備等)について、物流の効率化対策に資するものを中心として、優先的、重点的に整備する。」。また、「公共投資基本計画の考え方を踏まえ、引き続き、相対的に立ち遅れている生活関連の社会資本への重点化を図る。」というふうになっております。  長々と引用しないと本旨がわかりませんのでそういうふうにしましたが、私は、財政制度審議会の判断は当時読みまして非常に適切な判断であろうというふうに思っておりました。平成九年六月三日の閣議決定には、政府の判断でございますけれども、当然にして生活関連重視から経済構造改革関連への重点の移動が見られます。  さらに、平成九年度公共事業別の伸び率の試算を大蔵省からいただきましたけれども、これによると、道路整備が伸び率〇・八%のところ、高規格幹線道路整備は一三・七%の伸びでございます。港湾全体がマイナス〇・二%の伸び率が、特定重要港湾整備等は一〇・五%でございます。空港は、平成八年度が七・三%であったものが八・八%の伸び率。住宅対策は全体で一・六%ですが、公営住宅建設等は〇・五%の伸び率、低いわけでございます。下水道についても二・〇%の伸び率が、公共下水道は〇・四%というふうになっております。  この考え方の変化は、平成九年度の予算から既に始まって、平成九年六月三日の閣議決定は実施をされているんではないか。その実施されている状況の追認ということで今回の法案が出てきているんじゃないか。法案決定以前に既にもう路線としてしかれているものを出してきたというふうに思われます。  この大蔵省の財政制度審議会から今日の閣議決定に至る変化は何ゆえか。または、既に実施されているということはどういう意味を持っているのかということについて、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  206. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) ただいま段々の経過のお話がございました。  御指摘の財政制度審議会報告につきましては、公共事業配分のあり方について、御説のとおり、生活環境整備について当面集中的に投資するなどの考え方が示されたところであります。  今回の六月三日閣議決定、すなわち「財政構造改革推進について」におきましては、引き続き相対的に立ちおくれております生活関連の社会資本への重点化を図ることに加えまして、我が国経済の活力維持のため経済構造改革を早急に推進する必要があることにかんがみまして、経済構造改革関連の社会資本につきましては、物流の効率化対策に資するものを中心として、優先的かつ重点的に整備することといたしたところでございます。  今後の公共事業予算につきましては、同閣議決定を踏まえまして、引き続き、重点化、効率化を図ることとしているところでございます。
  207. 伊藤基隆君(伊藤基隆)

    ○伊藤基隆君 今、大蔵大臣は、生活環境整備に重点を置きつつ、物流部門等経済構造の問題に対処しているというふうに言いますが、どうもやはり私は、この生活環境整備については、大蔵省自身がかなりおくれている部門という認識をお持ちだと思うんですが、そこに対して重点的に施策を進めようとしているというふうになかなか感じられません。  そこで、その閣議決定にございます公共投資の当面の公共事業予算の基本的考え方の中に、「各事業の実施等に当たっては、以下の点に留意することとする。」というのがございまして、これには、イは「地域の振興・安全な地域づくりへの配慮」、ロは「民間需要を誘発する事業への配慮」、ハは「情報通信」とずっとあります。この中で私は、イからトまでございますけれども、イの「地域の振興・安全な地域づくりへの配慮」、ハの「情報通信の高度化・研究開発の推進に資する事業への配慮」、二の「環境及び福祉の充実への配慮」、これに私は関心を強く持っているわけですが、これらの重点にはどのように予算編成上実践されるのか、それは各省庁が行うのか大蔵省がリードするのか、その点について、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  208. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) ただいま御指摘の点につきましては、六月三日閣議決定の「財政構造改革推進について」におきまして、公共事業各事業の実施に当たって留意すべき事項として掲げられたものでございます。  今後の公共事業予算につきましては、財政構造改革法案に基づきまして重点化、効率化を図ってまいらなければなりませんし、その実施に当たりましては、閣議決定に示されました考え方を十分に踏まえつつ、効率的、効果的に実施を図ってまいりたいと考えております。
  209. 伊藤基隆君(伊藤基隆)

    ○伊藤基隆君 そこで、かなり以前に質問通告した内容でございますので申しわけないと思っているんですが、総理にお伺いしたいと思います。  公共事業についてでございますが、これまでの公共事業投資は政治の利害調整に振り回される、これは政府がそのように言っているわけじゃございませんけれども、振り回されて、費用と便益の関係が無視され、本来投資しなければならないところに投資が行われず、社会的便益はそれほど大きくないところに行われてきたという面が否定できないというふうに思います。こうした結果、最近、日本経済の生産性の低下が問題になっておりますが、これからは限られた予算で行うわけでありますので、まず費用と便益の関係を重視し、費用を上回る便益が期待できるところに投資を重点的に振り向けることが重要と思われます。  第二に、建設業者のための公共事業ではなく、国民経済にとってどうしても必要な事業に限って行うわけでございますから、最小の費用で最大の効果が得られるような事業の効率性と透明性を高めることが重要と思います。  そのために、例えば公共事業費の高どまりの原因である談合を行った業者は公共工事入札の指名から半永久的に締め出すなど、厳格な対処が必要でございましょうし、入札制度改革による単価引き下げということも考えなきゃならないと思っています。  第三に、財投資金の低利融資や税制上の優遇措置などにより民間活力を引き出し、民間によるインフラ整備や経済の活性化を進めることが重要と考えております。  この点に対する総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  210. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変広範な公共事業についての御論議を含む御質問をいただきました。あえて総論でお答えをすることになります点はお許しをいただきたいと思います。  私は、まず第一に申し上げたいこと、公共事業というものが我が国の社会資本整備の上で相当程度の役割を果たしてきたこと、しかも、なおまだ欧米に比べまして整備のおくれている部分が残っておることは議員もお認めをいただけることであろうと存じます。  その上で、費用対効果という面から急がなくていいものが先行したのではないか、あるいは工事の進行の途中において状況の変化があったにかかわらずその工事が継続をされ、結果として不急不要の工事を進められたことはなかったかと。過去の委員会におきましていろいろ御指摘を受けましたようなものを加えて、その非効率性が存在したということを全く否定することは私にもできません。そして、そうした部分につきましては、当然ながら関係者の反省材料とし、これからの事業の上に生かしていくべきは当然であると思います。  その上で、公共事業全体にもう既に御承知のようなキャップをかけることになりました。そして、それぞれの五カ年計画もその期間を延伸してまいりますし、その上で、先ほど大蔵大臣も予算編成について述べておられましたような共通性あるいは相互連関といったものを、それぞれの事業を単独にとらえるのではなく、関連づけながらプロジェクトをきちんとチェックしていくという考え方もとっております。  また、談合という御指摘がございましたけれども、これはこういうこと自体が問題なわけでありますし、そうしたものが存在するということを前提に公共事業の発注を行うというようなことは私には考えられないことでありますが、こうした御指摘も、関係者としてもしそうしたものに対しじくじたるものがあるならばきちんと反省を求めなければなりません。  その上で、公共工事のコスト削減ということは非常に大きな問題として我々も論議をしてまいりました。そして、その公共工事が構想され発注され、完成して引き渡されるまでのチャートをすべて点検をしながら、どこにどのような問題があり、これを解決するために何が必要か。調べてまいりますと、たしか七省庁ぐらいのそれぞれの主管業務の中での調整をしなければコストが完全に下がらないという、そのような結果も出てまいりましたけれども、そうしたもの、例えば道交法の運用一つをとりましてもコストの上昇要因につながる要素を持っております。こうしたことをきちんと対応していくことで、三年間で一〇%程度のコストダウンを図るといった方向も既に出されております。  今後におきましても、公共事業の企画から執行、完成までの間にむだを省いていく努力とともに、そのコストをいかにして低減させることができるか、質的な面を担保することができるか、こうしたものをあわせて考えてまいりたい、そのように考えております。
  211. 伊藤基隆君(伊藤基隆)

    ○伊藤基隆君 個別の問題について、建設、運輸、郵政、文部、通産各大臣お尋ねしょうと思いましたが、時間が来てしまいましたので、郵政大臣に対して質問いたします。  「経済構造の変革と創造のための行動計画」の中に、「情報通信の高度化」としまして、平成十三年度までを来るべき高度情報通信社会の実現のための助走期間と位置づける。この間に、各種の対応策のすべてを集中的に講ずることにより、我が国の情報通信を世界最高レベルまで高度化することを目指す。まさに、日本の情報通信に対する戦略の位置づけとそれに対する構えが閣議決定されておるわけでございます。  それで、光ファイバー通信網について、冷戦構造が崩壊した現在、情報通信網の拡充は軍備にかわって世界の先進国に共通する二十一世紀社会の国家戦略というふうに言われております。  十一月六日の日本経済新聞によれば、これまで二〇一〇年とされてきた光ファイバー通信網の全国整備計画を前倒しして二〇〇五年とすることを政府・自民党内部で検討されているというふうに報道されております。  この点についてどのように実際はなっておるか、郵政大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  212. 国務大臣(自見庄三郎君)(自見庄三郎)

    国務大臣(自見庄三郎君) 伊藤委員から、光ファイバー網の整備についてどうなっているのかと、こういう本当に時宜にかなった御質問をいただいたわけでございます。  光ファイバー網は、もう御存じのように、二十一世紀を支える基礎的社会資本であり、国際競争力の観点からもできる限りその早期整備に努める必要があるというふうに思っております。  今、先生指摘のように、これまでは二〇一〇年までに整備完了を目指して、政府としても、事業主体は民間の事業者でございますから、各種支援を行っておりまして、平成八年度末、全国のおおむね一六%の地域をカバーするなど、当初の予想に比べて順調に整備が進んでおります。  また、光ファイバー網の整備は経済の持続的発展、国民生活の質の向上及び情報格差の是正に資するものでございますので、今般、先生指摘にありましたように、光ファイバー網の整備を二〇一〇年という目標を立てましたけれども、これを二〇〇五年の前倒しへ向けて早期に実現できるよう今努力をしておりますし、先般発表のありました政府の経済対策にも盛り込んだところでございます。  光ファイバー網については、基本的に、さっき申し上げましたように、民間主導で進めるものであることから、実は昨日、主要な民間事業者の方々にお集まりいただきまして、協力の要請を私から行わせていただいて、御意見を伺ったところでございます。  事業者の意見としては、先生御専門でもございますが、光ファイバー網の重要性あるいは早期整備の意義に対する共通認識が示されたところでございます。今後ともさらに光ファイバー網の早期整備を進めるために、現在、支援措置がつくってあります。財政投融資を使った低利融資、あるいは税制上の優遇措置がございますが、そういった拡充要望のほか、光ファイバー網利用に対する需要の立ち上がりのための期待、あるいは道路だとか河川だとか下水道などに光ファイバーを引こうという流れが今あるわけでございますけれども、そういった公共収容空間の円滑な活用のための環境整備等への期待があったわけでございます。  いずれにいたしましても、高度情報社会をつくるために大変大事な施策でございますし、これらを踏まえまして、今後具体的な推進方法について、景気対策の面も経済対策面も大変強くあるわけでございますから、進めてまいりたいというふうに思っております。
  213. 伊藤基隆君(伊藤基隆)

    ○伊藤基隆君 まだ質問はいっぱいあるんですが、時間が来てしまいました。この質問にかかりますと半端になってしまいますのでこれで終わります。  どうもありがとうございました。(拍手)
  214. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 座ったままで失礼します。  総理がお見えにならなかった十三日に、私はこの委員会で発言の機会をいただいたので、主に大蔵大臣質問させてもらいました。  要旨を申し上げると、この法案は財政の構造を変えるという表題を掲げているんだけれども、それらしい具体的な内容は見当たらない。財政収支の均衡のために徹底した歳出の抑制、削減を図るという趣旨は、これでもかこれでもかというように数値入りで条文にあらわれておりますが、単なる財政規模の縮小や歳出の軒並みカット、聖域なき削減をうたうだけでは構造改革とは言わない。そもそも財政構造とは何か。巨額の財政赤字を招いた構造的要因は何なのか。その要因のどれとどれを変えようというのか。財政の専門家でもない一般国民が容易に理解できるように話すことが肝要だということで、繰り返してお伺いもし、やりとりもしましたが、余り要領を得なかった。率直に言いまして、こういう席に座って緊張した雰囲気の中で、次の質問にも気を配りながら答弁をそしゃくするということは容易なことじゃないんです。  そこで、質問が終わってからゆっくりと記録を読み、衆参を通ずる審議記録を整理しながら私なりにまとめると、おぼろげながら法案の意義はこういうことになるんだろうと。まず、歳出の分野に例外なくキャップをはめて上限を設けて厳しい財政運営を求めれば、いや応なく従来どおりの当該事業を続けるのか、あるいは中止もしくは変更するのかを工夫し検討せざるを得なくなる。それが構造改革になるという意味に解せる。  おまえは与党だからそういう甘い評価をするんだというふうに言われる気もしないわけではありませんが、こんな理解の仕方でいいんでしょうか。
  215. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般は大蔵大臣が主としてお答えを申し上げたということでありましたので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  手厳しい表現もありましたけれども、先日の論議を整理され、最終で確認をされましたもの、平たい言葉で申せば、私は議員のまとめられた方向はおおむね私どもが考えているのと同じことだと思います。すなわち、その意味では、科学技術関係のように現在より五%多い要求を認めておるものもありますけれども、公共事業のように七%というかさをかぶせてマイナスを強いているものもございます。あるいは、社会保障費関係のように.二%程度の伸びを認めている、金額に一定の線を引いたものもございます。  そうしますと、いや応なしにこれは仕組みにまで立ち入らなければ対応ができないわけであります。それはプラスのものでありましても、マイナスのものでありましても同じでありましょう。そうしたことを平たくまとめていただきました議員のお考え、私は基本的にそのとおりだと思います。
  216. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 ところで、総理は財政赤字の構造的要因をどのように理解しておられるか。例えば、こういうことも構造的要因になるとお思いになりませんか。  それは、選挙区や支持基盤の個別利益を優先して圧力団体に弱い政治家の存在、その政治家に弱い事業官庁、この政と官と票のトライアングル。政治腐敗をもたらす諸悪の根源は政官財というんですが、どうも財政赤字の鉄の三角形は政官票ではないか、そういう気もしないわけではありません。  そのことを象徴するかのような記事が十四日の朝刊各紙に一斉に載っていささか唖然とさせられたのですが、見出しだけ読みましょう。「自民代議士の存在が予算確保に差つける」。委員長、これを総理に提示してもよろしいですか。
  217. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) いただきました。
  218. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 また、私は新潟県ですが、例えば新潟県や島根県など総理大臣の出身県になると、いきなり公共事業が一躍トップに躍り出るということも象徴的な出来事でしたね。  やがて予算編成の時期を迎えます。自民党会館の前の広場や事業官庁のビルの廊下は人だかりで埋まります。あの景色は民主主義のあかしでもありますが、財政構造の表現でもある。聞きたくない話だが、公共事業予算の多寡に応じて政治家には謝礼ともリベートともつかぬ政治献金がうわさに上らないわけでもない。総理の所見はどうでしょうか。
  219. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から御指摘がありました報道は私自身も拝見をいたしました。大変残念でありますし、私どもは国の予算配分、執行に当たって、その政策目的あるいは効果等を踏まえてきちんと対応してきているつもりでありますし、これからもそうしていくのが当然だと思います。  今本当に先進国中最悪と言えるような財政状況の中にありまして、財政構造改革を進めようとしている私どもにとりまして、今後とも本当に公平、公平という言い方がいいんでしょうか厳正、公正な予算の配分、執行というものに努力してまいりますという以上の言い方はないと思います。
  220. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 これは通告にあったかどうか、もしなかったらごめんなさい。  建設大臣にお伺いしますが、河川協会とか砂防協会とかもしくは港湾協会、これは運輸省ですね、といった部局名や公共事業名を冠した法人が間々見受けられます。この団体の運営費は公共事業予算に比例をして拠出される仕組みになっています。政治献金らしきものが支出されるという形跡もないわけではない。こういう団体は建設省と御関係がありますか。
  221. 国務大臣(瓦力君)(瓦力)

    国務大臣(瓦力君) 委員指摘の河川協会とかそれぞれの団体は建設省と関係があるかということでございますが、かかわりにおいてこれが存在することは申し上げるまでもありません。
  222. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 何かちょっとわかりにくい、かかわりにおいて存在するという意味も。できるだけ日本語を使いましょうよ、わかるように。  総理、与党の党首レベルで政治倫理確立の協議が進められていると聞きます。ですから、私が今申し上げたこういう面にも目配りをして、例えば国会議員のあっせん利得を封ずるような成果を上げることも期待したい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  223. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員指摘のように、与党三党首の相談の結果、与党政治改革協議会というものが生まれ、その席におきまして社会民主党から、国会議員等が請託を受け、他の公務員にその職務に関してあっせんをすること、またはしたことの報酬として利益を収受し、またはその要求もしくは約束をしたときは七年以下の懲役に処するとの規定を含む国会議員等のあっせん利得行為等の処罰に関する法律の制定のお考えが提案をされておるというのは、私自身報告を受けております。そして、これは一つの考え方だと私も思います。同時に、正当な政治活動を不当に制約しないように配慮する必要があるなど慎重に検討すべき点、問題点もあると思われるところでありまして、この論議の推移を見守りながら適切に対応をしていきたいと考えております。  なお、新党さきがけからも、条文の形態等は違いがございますけれども、恐らく同じような思いを持ってまとめられたと思われる案が提示をされ  ておることも申し添えます。
  224. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 橋本政権は六つの改革を標標して、それぞれの分野で目標や手順を固めて作業を進めておられます。本法はその中心的位置を占めるものと解するが、残念ながら、これらが総体としてどんな社会を国民にもたらすのかという肝心なところがまだ見えておりません。  明治以来百年、戦後だけでも五十年たったが、これまで機能してきた仕組みや経験がグローバル化してきた次の時代、次の世紀への発展の妨げにならないように、見直すものは見直し、諸改革を急がなければならないとくどいほど聞かされるんですが、その姿が映らない。今、景気の足取りも重いが、この法案を前にして国民の気持ちも重くて暗いんです。あれもだめ、これもだめ、お金のかかることは一切だめよと言われて、非常にしょんぼりしているんですね。毛利元就じゃないが、しおしおしているところですね。  きょうはこの法案の締めくくり審議ですから、総理からひとつ明るい話題として、国と社会の将来像を語ってもらえないだろうか。今は財政面で緊急事態だからとにかくしばらく我慢してくれというのであれば、幸い事態が好転したらどこのしわをまず伸ばすのか、その辺のことも含めて約束できないだろうか。  余談になりますが、徳川吉宗が将軍職についたのは享保元年で、元禄バブルが終わった直後で、幕府の財政はこっぴどい赤字だったんです。ですから、享保の改革と言われる、大奥の経費を全部たたき切るとか、そういう厳しい改革を行ったんですが、吉宗は、厳しい財政の中でも、一方で節約を強いながら、まず町の庶民の安全のために町火消しをつくり、小石川養生所をつくって、今でいう社会保障を拡充して病院もつくったんですね。それから、民意を酌むための目安箱をつくる等のいろいろなことをおやりになっておるようですが、詳しいことは、松平健の「暴れん坊将軍」でも見ていただくしかないわけであります。  総理、どうですか、明るい話題を提供する意味で、国と社会の未来像をここで語りませんか。
  225. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、徳川吉宗を引き合いに出されましたけれども、同時に私は、吉宗の治政の中で差別というものが固定化したこともやはり忘れてはいけない問題ではなかろうかと、今御意見を拝聴しながら感じておりました。  すべて物事に光と影の部分があり、また功罪がございます。そして、今確かに私は国民に厳しさを求めております。  そして、それなら明るい話題を提供しろと言われましたけれども、これは議員に本来申し上げては失礼かもしれませんけれども、今の状況がそのまま続く状態ということをお考えください。  先ほど来何回もお答えを申し上げておりますように、もしこのままの状況を続けていきますなら、西暦二〇二五年には我々は国家として完全に破産の状態に入ります。国民負担率は七〇%を超えます。そして、国民の生活水準もいや応なしに下がるでありましょう。そのような状況を来さないためにここで私どもが何をすべきか、そうしたことから私どもは今それぞれの改革に取り組んでおります。  それぞれの改革は、おのおの当然ながら目的が違います。しかし、それを総合して出てくるもの、それはこの戦後五十年余りの時代を支えて今日の繁栄をつくってきたシステムが限界に達したのなら、どう変えればいいのかということでありましょう。  そして、私はそこで必要なもの、それは一つは自己責任ということでありまして、これは厳しいようでありますけれども、逆に言えば国民一人一人が自分の夢、希望というものに挑戦するチャンスがあり、同時に成功するチャンスがあるという言葉に置きかえることもできましょう。あるいは、この言葉を子供たちの暮らしに置きかえましたとき、先生方から教えていただき、すべての子供が平等に進歩を期待されるのではなく、それぞれの子供たちが自分たちの得手を伸ばしていく、不得手を補ってもらう。そうした教育制度をつくっていくということにも通じましょう。同時に、自分の技術を磨くことによって将来を築きたい、早く実社会に巣立ちたいと思われる、そうした人生を選択することもできるでありましょう。  そうしたことを考えてまいりますと、経済的な面における規制というものは基本的にない社会であり、存在する規制というものは国民の安全というものを守る、そうした角度の規制というものに本来とどまる、そのような社会を我々は築いていくことが必要だろうと思います。同時に、住民が身近なところで求める行政ほど住民の身近な自治体にお世話をいただけるような分権を進めていくということも、またこの社会の目指す方向の一つであります。  そしてまさに、私は議員にお言葉を返すつもりはありませんでしたが、吉宗と言われましたとき反射的に差別を固定化したという言葉を使いましたのは、私は、個人の尊厳と幸福というものに重きを置きながら自由な個人を基礎とする、まさに自由で公正な社会が生まれる、そのために努力をしていきたいと考えております。
  226. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 総理、お言葉を返すようですが、今財政が大変だからいろんな我慢もしよう、改革もしょうというお話はもう十分聞いているんですよ、国民も。ですから、いささか気持ちも重いんです。  ですが、節約せい、けちけちせいだけでは気が晴れないんでして、節約というのは耐乏感はあるけれども一応将来の楽しみがあるんですね。節約が終わって経済がうまくなったら、あれ買おうこれ買おう、旅行にも行こうという楽しみがある。けちというのは、けちけちするだけであって、窮乏感だけであって、俗に言いますが義理を欠いて、恥をかいて、事を欠いているだけなんで、いいところ一つもないんですね。  そんなわけで、今は我慢してくれ、だが幸い事態が好転をしたらこんな社会、こんな国を約束しますよと、必死になってやりますから皆さん一緒にやりましょうというふうに国民におっしゃったらどうですかと言ってるんです。
  227. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、今申し上げたつもりだったんですが。
  228. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 そうですが、私には我慢せいしか聞こえなかった。
  229. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、私は、議員の御質問、その中に引用されました吉宗公の治政というものを逆さに例に引かせていただきながら、私は、自由、公正という一つの姿を基礎に置きながら個人の尊厳というものが守られる社会というものに、そして規制という面で、国民の暮らしや安全を守る規制は当然これからも必要ですけれども、そうではない規制というものが原則ない時代にしていきたい。ただし、その場合には自己責任というものも欠くことができない。要約すればそのような思いを申し上げたつもりでございました。
  230. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 お話を聞かせてもらいました。言うまでもないんですが、十九世紀は自由権の時代でした。二十世紀になって社会権というのが登場する。二十一世紀は社会権の時代になるでしょうね。そういう意味で、そういう社会権が抑圧をされたり放棄をされては困るんですから、やっぱりその辺についても十分な配慮をしてもらいたいというのが私の希望です。  経済企画庁にちょっとお伺いします。  ここ数年、景気が落ち込むとお定まりのように財政が出動して財政の累積赤字を膨らませてきました。だが、それほどの効果を上げたとは言えない。ところが、今度はその逆を行くように、この法案で財政の出動どころか動きが一切封じられる。歳出が抑制される。それがどのように影響を及ぼしてくるだろうかという予測をちょっと聞かせてもらえますか。
  231. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) 財政構造改革の基本的な方向は財政の再建をするということでございます。そういう中で、先ほど来のお話を私お伺いしておりまして、やはりこれからの二十一世紀に向かっての社会は、民間活力が十二分に発揮できていろんな意味での自由で闊達な経済活動ができるような社会になる、そういうふうになるのではないかと考えております。  そして、そのことの障害になっていることは実はいろんな形での規制でございまして、規制も安全性等の面において必要な部分はございますけれども、いわゆる経済構造についての規制というものが自由な民間活動の活発な発揮のために障害になっていることがございます。  そういう点で、今度の私どものつくりました緊急経済対策は、二十一世紀に向かって情報通信の分野も、あるいは土地利用等の分野におきましても、その他いろんな面で民間が自由に行動し、その競争原理の中から活発な経済活動を展開して、経済全体が活性化し、そして豊かになり、仕事もふえ、雇用もふえ、所得もふえる、そういう社会をぜひ実現していきたいという願いのもとにつくらせていただきました。
  232. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 財政の縮小によって財政の役割も減少する、したがって所得階層間の格差が拡大することが容易に想定できる。分配の不平等によって日本の活力の源泉とも言われた平準化社会、平等化社会が崩壊をしないかというのが懸念材料です。ただいま規制緩和が特効薬のように言われておりますが、公平を担保する規制だってあるわけでして、それを野方図に取っ払えば、さっきの吉宗の話じゃありませんが不公平を固定することになりますから。競争もいいですが、競争には勝つ人と負ける人がいるわけでして、いつも勝つ人は勝つ人、負ける人は負ける人と決まっておるのではこれでは競争にもならないんです。  それで、経企庁、どうでしょう、階層間格差は広がりませんか。
  233. 国務大臣(尾身幸次君)(尾身幸次)

    国務大臣(尾身幸次君) この財政改革法案でございますが、二つの点を私なりに申し上げたいと思うのであります。  一つは、いろんな経費を聖域なしに縮減するという中で、公共事業を初め、あるいはODAなど縮小いたしますが、伸びるものが二つございまして、一つは科学技術関係でございます。それからもう一つは社会保障関係の経費でございまして、ほかが全部減る中で、社会保障関係だけは二%程度以下ということで少なくともプラスになる。もとより支える人と支えられる人の人口の比率が変わってくるわけでございまして、厳しい状態ではございますが、そういう中でやはり社会保障がふえるという実態は、私としては、確かに厳しい財政状況の折にそこにアクセントを置いて、恵まれない人に対する対応をしているというふうに理解をしているわけでございます。  それからもう一つでございます。この法案の中の医療保険について第九条、それから年金について第十条でございますが、一定額以上の収入を有する高齢者に対する給付のあり方について検討し、その結果に基づき必要な措置をとるというふうなことでございまして、高齢者といえどもお金持ちもいる、それから若者といえども大変に厳しい経済状況の方々もいるということでございまして、そういう意味では、やはり豊かな方々に対しては自分でやっていただくような方向性も出している。そういう点では、所得の再分配機能を強化する面もあるというふうに私は理解をしているところでございます。
  234. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 この間、大蔵大臣お答えになったんですが、やみくもに目をつむって切るんじゃないんだ、必要なものはちゃんと工夫をしてでも出すんだ、これが財政改革の趣旨だ、財政運営の趣旨だというふうにもおっしゃっていますから、それで大船に乗ったわけにはいきませんが、国民も理解を容易にするだろうと思います、それは。  ただ、頭から、これからこの国は国土が荒れようが、行き倒れが出ようが、わしは知らぬよ、財政はもう働かないよと言われたんじゃ、国民も立つ瀬がないですね。そういう法案ではないということだけは、総理、確認しておきましょうか。
  235. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 限られた財源の中で最大限工夫を凝らし、必要な部分に予算配分をしていく、そのような予算であります。また、そのようにしてまいります。
  236. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 はい、わかりました。  これは大蔵大臣になりましょうか、これだけの歳出削減を行うとすれば、一方で負担増は避けられません。例えば、十六条の教育関係ではもうはっきりと受益者負担というものが明示されておりますように、どの層にどれだけの負担を求めるかということで問題になるわけですが、負担の偏りを是正し、公平を担保する手だてが必要であろう。例えば、租税以外の公共の費用の軽減等、いろんな手だてがあっても、そういう知恵があってもいいような気がしますが、何か所見がありますか。
  237. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 志苫先生の長い政治生活の中、政治活動の中で裏づけられました人生観、政治哲学に基づいて御見解をいつも御披瀝いただいております。  基本的には、私ども、そういうイズムをしっかりと体しながらやっていきますことが日本のよき伝統と文化が継承されていく。決して百年先の世代ではございません。子と孫の時代にこの国のよさ、この国に対する誇りが連綿として続けられるであろう、また続けさせていただくために、六番目になっておりますが、それはこちらから見ますと全く第一位でございまして、教育改革、これは我が国の歴史と伝統と文化、地方の伝統保有機能、連綿として続いてまいりました助け合い、協調、どんな困難もそれで乗り越えてきたことだけは間違いありません。  都市においては個の確立も自由主義の究極のものでありますから結構なことでありますが、これが利己主義になったり個人主義という悪い極端なことになってまいりますと、都市生活は窮屈になってまいるでありましょうし、これだけの大人口が住む大都市、地方中核、県庁所在地、ここにおきましても連綿として日本の伝統と文化が継承されるという観点から私どもは政治をやってきたつもりでありますし、今後もやらなければなりません。厳しい御負担、辛抱をいただきながら健全財政に到達をしょう。それは、集中三カ年においてそこが明らかに見とれるような形にするという意味で経済構造改革がございます。  そして、社会保障改革、福祉国家という大目標を掲げてここまでまいったわけでございますから、よき制度は医療、年金、特に障害を持つ方々、難病、奇病で苦しむ方々に、政治に愛情があるから民主主義であると思います。この制度は、制度だけではなくその理念をしっかりと将来に持ち越させていただくために、破産をしてどうにもならぬ状態になったときは既に遅しでありますから、そうなりませんために、受益と供給が国民各位の理解を得られるところで決着ができるのであればと思います。  そういう意味で、志苫委員が言われる、みずから寄附をしていただくか税制でというと、税制は公正、公平の原則なものでございますから、○○は相当もうけた、だからと。これはやっぱり所得税でその部分は回収、配分をされるわけでありますから、もうけられたという言い方はちょっと難しいんですが、このところ一生懸命頑張って所得を得た方には。アメリカ、ヨーロッパにあります私立大学の根幹は、国も州も支援をいたしますが、個人寄附、会社の寄附というのが私立大学の根幹になっておるわけであります。こういうよき美風が、日本の中にもヨーロッパの美風が少しずつであるようでありますが、やはり先進国並みにそれが進んでいかれるということが大事ではないのでしょうか。  ストレートな答弁になりませんでして、志苫先輩のいろいろなお考え方に同調する一人として、その歩みは遅々としていくのであれば辛抱が長引くことになりますから、集中元年に、今総理答えられた、きっちりとやるところはきっちりとやらさせていただく。これはまさに自分の力で頑張り抜こうと思っても頑張り抜けない方々に対する愛情でありましょうし、地方が経済政策によって衰退をして、村に人が住まないようになってはいかぬ。こういう点において、地方に対する思いも、地方の皆さんと、自治体の皆さんと一体になったところで、これに有効な政策がもたらされるということでなければならぬ。  以上、申し上げさせていただきました。
  238. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 この法案の成立によって失業率の増大など雇用問題が生ずる可能性はないか。財政改革の優等生と言われるニュージーランドの例で明らかですが、労働省の見解なり想定はどうですか。
  239. 国務大臣(伊吹文明君)(伊吹文明)

    国務大臣(伊吹文明君) 今ニュージーランドの例をお引きになりましたが、雇用は、基本的には商売が活気を持って行われていればふえるわけでございます。そこで、この財政構造改革によって財政を通ずる有効需要、つまり商売の元は減ると考えられますが、先ほど来お話がございましたように、条件が変わらなければ確かに先生のおっしゃったような危惧が私は生ずると思います。しかし、一番最初におまとめいただいたように、この法案によって歳出の内容が変わってくるわけであります。したがって、少ない歳出で多くの商売ができるようなものに変わってくる。そのことがまず一つあります。  それから、規制緩和、構造改革等によって将来的には新しい仕事が出てくる。しかしながら、短期的には今おっしゃったような心配する事態が生ずるということは、私は可能性としては否定できないと思います。その場合は、労働省としては継続雇用の助成金でありますとか、先ほど総理が申しておりますように、できるだけ仕事のやりたい方と仕事を与えたい人たちの間のマッチングに万全を期して、そのようなことのないように安定的に新しい構造改革に着陸できるようにできるだけの措置を講じたいと思っております。
  240. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 景気対策について一言だけ申し上げておきたいんです。  これは国土庁、経企庁の両方に申し上げますが、景気対策といいますとお定まりのように土地の流動化、有効利用が登場します。土地の需要があるのかどうか私には検証はできませんが、悪夢のようなバブルの危険性はないのか。容積率の緩和で住環境が悪くなって、優良農地をつぶしたあげくに景気効果はなかったというんじゃ泣き面にハチになつちゃうと思います。何よりも悪夢のようなバブルの危険性はないのか。地価は一時期に比べれば比較的安定はしたが、日本人の土地保有願望はまだ神話に近い。その有利性が衰えてもいないときに流動化一本やりでよいのかどうかいささか疑問であります。日本人の土地観念を正して公共性を確立するために基本法をつくったりさまざまな手だてを講じたのはそう古い話ではない。朝令暮改のように土地の政策をそう動かすべきではないと私は考える。  バブルに踊って膨大な不良債権をため込んで、それが金融クライシスの原因だと言って、また土地資産価値を高め、信用を膨らませようという発想はもってのほかで、国民をないがしろにするものだ。自分が働いてつくったわけでもない土地を、持っている者と持たない者との間で金持ちと貧乏人に分かれていくような社会をつくっていいのかということが、私が懸念材料として申し上げておきたいことであります。  大蔵大臣、財政収支の均衡を言いながら歳入の確保に一切触れていないのは手落ちじゃないでしょうか。
  241. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 本来でありますと、歳入を考えながらというケースがヨーロッパ諸国にございます。また、アメリカも第二次OBRAにおいてそのことをやられました。  我が国は、ただいまの段階で増税を考える状況にありません。三を二プラスの五ということで御苦労をいただいておるところでございますから、まずは経済構造改革を初め諸改革を着実に前進をさせることにより経済のベースをしっかりとしたものにし、そのことによって国民生活が安定をしていく、こういうことになります。  しかしながら、同時に毎年水平的公平、いわゆる公平の原則に基づいて税全体を見直してまいってきております。このことは当然の、ただいま言われました公正、公平の原則、政治の原点にもかかわることでございますから、そういうことで本年度も厳正にやってまいらなければならない、こう思っております。
  242. 志苫裕君(志苫裕)

    志苫裕君 歳入の確保というのも改革のテーマですので非常に大きい意味を持つわけでして、私がこういうことを言うと、財政当局は消費税という打ち出の小づちを持っておるかちすぐにでも振りたがるくせがあるのですが、それはだめだ。私が言いたいのはそうではないので、今も大臣から答弁ありましたけれども、俗に言う不公平税制と言われる課税ベースが虫食い図のように侵食されておるこの状況をふさいでいくことだ、そして税収の脱漏を防いで増加を図るべきだと。これは全く増税ではない。財政再建に増税のシナリオを入れることは、改革が中途半端になって失敗するからやるべきじゃない。私が申し上げておる増税ではない税収の増加は幾らでもまだ方法がある。  これを具体的に言いますと、一つは、分離課税や特別控除、割り増し控除などで、所得であるのに所得にしない、経費でないのに経費にしてとにかく税の減免を図るような税制をこの機会に、これだけ歳出で厳しい大なたを振るうんですから、歳入の方もこれはまさに容赦なく余計な例外を設けないでこの機会にやるべきだというのが私の主張です。  年度改正なんて生ぬるいことを言わないで、抜本改革をやりましょう、もう一度。どうですか。
  243. 国務大臣(三塚博君)(三塚博)

    国務大臣(三塚博君) 御提言をしっかりと体しながら、公平の原則に基づいて対応してまいります。
  244. 委員長(遠藤要君)(遠藤要)

    委員長遠藤要君) 質疑はこの程度として、先ほど来、内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。村岡内閣官房長官
  245. 国務大臣(村岡兼造君)(村岡兼造)

    国務大臣(村岡兼造君) 通産大臣につきましては、明日よりカナダで開催されますAPEC主要国関係閣僚会議に出席のため今晩から出張させていただきたく、明日の総括審議に支障のないようにいたしますので、何とぞ特別の御理解、御配慮を、委員長並びに委員各位にお願いを申し上げたいと思います。  なお、外交日程等につきましては、今後より一層緊密な連絡調整に努める所存でありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  246. 委員長(遠藤要君)(遠藤要)

    委員長遠藤要君) 官房長官の御発言を了として、明日は午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会