○
参考人(
島田晴雄君) ありがとうございます。
冒頭に女性のポイントをおっしゃられたのは大変重要なことだと思います。
私、今まで申し上げたことは、男女共同
社会の中で行われてきたことだと思いますので、女性の
役割を過小
評価していたつもりは全くないんですが、しかし、男女平等というだけじゃなくて、あえて女性の
役割をもっと重視すべきではないかということについて実は私もぜひ申し上げたいのは、やっぱり女性の方が家庭を持ち、仕事をするというのが必ずしも容易でない、そういう
社会構造、
経済構造、
企業の仕組みになっているということです。
先ほど
上條先生が
人口が減っていくということは非常に憂慮される問題だとおっしゃったわけですけれども、今日、女性の方が学校を出ると仕事をするというのは当たり前になっている。しかし、そこで家庭も持って、子供もつくって、みんなで一緒にやれるということになっているかどうかというと必ずしもなっていないですね。もうスーパーウーマンでなければそれは難しい。
こういうのは異常な状態でございまして、ぜひ将来この仕組みを変えるということを本当は長期計画としてやらなきゃいけないんで、
橋本総理が六大
改革とおっしゃっている中に何でその問題が入っていないのかということは非常に重大な問題でございます。狩野先生、今度総理に、七大
改革にしなさいということをぜひ強く、これは長期の本当に重要な問題、働く女性が結婚して、子供を安心して持てる
社会全体の仕組みをつくる、七大
改革の一番重要なのはそこだとおっしゃっていただきたいと思います。
それを申し上げた上で本題に入りたいと思いますが、今この国と同じキャップを
地方にもかけて
財政支出削減に努めていただきたいということと、それから補助金も一〇%ぐらい減らすんだという個別のキャップを今回の
改革法案の中でうたっておるわけで、精いっぱいの努力だろうと思います。まだまだもっとその中身に入って議論しなきゃならないところは多々あると思いますので、その中身にぜひ私は入らせていただきたいと思うんです。
仮に、そのような補助金を
削減しますよというトータルのキャップをかける、数量
目標をかける、あるいは
公共投資は全体として前年よりふえないようにしてください、あるいは減らしましょうということをかけたら、本当にそういうものが減っていくのかどうかということについて、私はややそれだけじゃ足りないんじゃないかと思うんです。つまり、仕組みの問題に取り組まなきゃいけない。
どういうことかというと、今日、
国民は国税と
地方税を納めております。国税が七と言われ
地方税が三と言われていますが、国は七の
地方税を取った中でそのうちの四を
地方にまた戻すというか、交付税と補助金の形で戻しているわけですね。特に補助金で戻したときには、どういうふうに使うんだということを非常に細かく
地方に指定をするものですから、国家機関委任事務のような形でやるものですから、
地方は実は創意工夫の余地がほとんど残されていない。したがって、ついに
地方は余り逆らわずに言うことを聞いておった方がいいということになって私は思考を停止してしまうんだと思います。せっかく優秀な
地方の方がおられるのに、余り中央が過保護が過ぎるやり方をするものですから思考を停止する。
そして、仮に
地方の自治体の首長が本気になって
行政改革をして
予算を余したときにどう使えるかということなんです。私は、これの本道は
地方税を安くすることじゃないかと思うんです。しかし、
地方税は超過
税率を取ることはできるけれども安くすることは許されないんですね、事実上は。そして、あえてやると、これは当局の方からそんなことはないと言われるかもしれませんが、あんたのところは税金足りているんだからいいじゃないかということで交付金を減らされるんじゃないかと思うんです。
そして、
地方債を発行するというと、これもまた中央の許可を得なきゃいけない。自分で創意工夫でやるというと、元利償還優遇
制度で面倒見ませんよと言われる。これだけのいじめが入れば、
地方はもう考えないで中央のおっしゃるとおりにして、あとは補助金を下さい下さいと言っているのがいいに決まっているわけですね。ちょっとわかりやすい言葉で申し上げていますが、誤解を呼ぶこともあろうかと思いますがあえて
承知で申し上げております。
そうすると、
地方は思考をとめて中央依存という形になる。そして、どんどん補助金をいただいて、どんどんいろいろなものをつくれば選挙に受かる、こういう仕組みになっているわけです。この形を変えませんと本当に
財政改革はできない。
つまり、
財政改革法というのは水道の蛇口を一応とめようということになっているんですね。だから、次々ととめております。しかし、地下に入っている水道の栓のところが、全国三千三百の自治体、四十七都道府県、これの水道管に全部穴があいています。だから、じゅくじゅく出ちゃうわけですね、蛇口をとめても。そういう事態が起きてくるんだろうと思うんです。ですから、これを本当に
改革するには、
地方自治体がみずからの創意工夫と自己責任において自分が
行政改革をした方が自分のためにもなり、
住民、県民、市民のためになるんだ、こういうメカニズムを構築しなきゃいけない。
それじゃ、どういうふうにすればいいか。三点セットを私は申し上げているんですが、
一つは思い切って本当に
地方自治体に
課税自主権を渡したらどうか。
税率を下げてもいい。行革をしたところで
予算が余ったら
税率を下げて、そして何々県は
日本で一番
税率の安い県だということになったらお金持ちも
企業も集まりますから、そういうメカニズムをつくってあげたらいいじゃないか。
もう
一つは、
財政自主権でございます。
地方債を発行したかったらどんどん発行したらいいじゃないか。ただ、
日本の
地方債というのは非常に奇妙な仕掛けになっておりまして、発行はするんですけれども、実は大部分の
地方自治体が自力で
最後まで返し切る力がない、あるいは意欲もないのかと言っては失礼ですが、そんな感じがある。そこで、中央に依存して
財政投融資その他の、あるいは交付金で面倒を見てもらいながらそれを
最後に賄うという形になっています。そうしますと、それを担当している中央省庁は、特に自治省でございますけれども、これは、
地方債というのはそういうことだから全国一律の利率だということになる。
こんなばかなことはないわけですよ。債券を発行するわけですから、頑張っている自治体と頑張っていない自治体との間には当然差があってしかるべきだ。私は教師だからそれよくわかるんですけれども、学生さんがいて、頑張っている学生さんとだめな学生さんに期末テストで同じ点数をつけたらどういうことになりますか。そんな学校は滅びちゃいます。しかし、
日本はそれをやっているわけですよ。
つまり、
地方はそれを払う能力がないから、国が面倒を見るんだから同じ利率でいいじゃないか。これじゃ資本
市場は全く無視されているわけです。だから、努力しようといったって努力しがいかない。ですから、みんな思考を停止して中央に依存する。これが
財政を膨らませる根本原因の仕組みでございます。
ですから、これを変えるにはどうしたらいいか。自己責任で
財政自主権を渡すということです。ただ、
課税自主権を渡して、
財政自主権を渡すというのは本当の
地方分権でございますけれども、果たして
地方の方々がそれだけで立派な
地方行政をなさるかというと疑問もあります。
ですから、これはあめだけじゃなくてむちも必要で、それで失敗をなさったところは破産させた方がいい。私はぜひ
地方破産
制度というのをつくっていただきたいと思うんです。そして、そういう自治体の
議会や首長を選んだ
住民もみずから責任を負って
財政再建をするんです。できなければ
地方の合併をしたらいいんですよ。隣の自治体が吸収すればいいんです。そうすれば、合併はしたい人がしてくださいなんて言ったって
日本じゅうやりはしませんのですからね。破産したところが吸収されればいい。そういう形でやっていくというような、これはまだまだラフな議論ですけれども、ぜひ先生方、考えてやっていただきたい。
私は
日本民族というのは聡明な民族だと思うんです。余り過保護がひどいから
地方の方は思考をとめているんであって、本当に責任を持たせて、失敗したら破産させるんだぞという
状況の中で自由を与えれば、これは創意工夫でもって頑張ると思う。そうすると、地下に眠っている水道管の穴がふさがってきて、蛇口を閉めたらちゃんと
効果が出てくる、こういうことでございます。そういうことをぜひやっていただきたい。
法人税の話ですけれども、
法人税は
上條先生が詳しくおっしゃられたわけですが、はっきり言って
日本の
法人税の仕組みは正直者が損をするという仕掛けになっております。利益を出しているところが
法人事業税を払う、あるいは
住民税の
法人税割を。
私はこういう言い方をすると問題かもしれませんが、あえて言わせていただきますけれども、
日本の
法人税は、
地方自治体は選挙権のある個人の方には余り税を取るということを強くおっしゃらない、選挙権のない法人から、取りやすいところから取るというのがあると思うんです。例えば、粗大ごみ回収の実費を取っている
地方自治体がどのぐらいあるかということです。かなり少ないんです。
ですから、
外形標準課税を導入しますと、
企業は赤字が出ても出なくても、
地方で水道を使い、土地を使い、ごみを出して、
地方公共サービスを要求しているわけですから、当然、
外形標準課税というのを払う必要がある。これは赤字の問題とは関係ありません。そうすると、努力する者が得をする、こういう仕組みになる。これも
地方行政を責任ある
地方自治に持っていく根本的なことだと思うんです。それを含めてぜひシステム
改革をお願いしたいというふうに思います。