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1997-12-02 第141回国会 参議院 厚生委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
平成
九年十二月二日(火曜日) 午前九時三十一分開会
—————————————
委員
の
異動
十二月一日 辞任
補欠選任
尾辻
秀久
君
阿部
正俊
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
山本
正和
君 理 事
上野
公成君
南野知惠子
君
浜四津敏子
君 清水 澄子君 委 員
阿部
正俊
君 石井 道子君 田浦 直君 中島 眞人君 中原 爽君 長峯 基君 宮崎 秀樹君 木暮 山人君 水島 裕君
山本
保君
渡辺
孝男
君
今井
澄君
西山登紀子
君 釘宮 磐君
国務大臣
内閣総理大臣
橋本龍太郎
君 厚 生 大 臣
小泉純一郎
君
政府委員
厚生大臣官房総
務審議官
田中 泰弘君
厚生大臣官房審
議官
江利
川 毅君
厚生省健康政策
局長
谷 修一君
厚生省保健医療
局長
小林
秀資
君
厚生省医薬安全
局長
中西 明典君
厚生省社会
・援
護局長
炭谷 茂君
厚生省老人保健
福祉局長
羽毛田信吾
君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫
延朗
君
説明員
労働省職業安定
局雇用保険課長
上村
隆史
君
—————————————
本日の会議に付した
案件
○
介護保険法案
(第百三十九回
国会内閣提出
、第百 四十回
国会衆議院送付
)(
継続案件
) ○
介護保険法施行法案
(第百三十九回
国会内閣提
出、第百四十回
国会衆議院送付
)(
継続案件
) ○
医療法
の一部を改正する
法律案
(第百三十九回
国会内閣提出
、第百四十回
国会衆議院送付
)(
継続案件
)
—————————————
山本正和
1
○
委員長
(
山本正和
君) ただいまから
厚生委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨一日、
尾辻秀久
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
阿部正俊
君が選任されました。
—————————————
山本正和
2
○
委員長
(
山本正和
君)
介護保険法案
、
介護保険法施行法案
及び
医療法
の一部を改正する
法律案
を一括して議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
上野公成
3
○
上野公成君
自由民主党の
上野
であります。 この
介護保険法案
と二法はもう既に参議院で五十六時間を超える
審議
をいたしました。
衆議院
が五十三時間でありますので、もう三時間既に超えているわけでございます。
中央公聴会
もやりましたし、二回の
地方公聴会
、四カ所でやらせていただきましたけれども、やはり
施行
までにきちっとしておかないとなかなか不安があるという
意見
も大変多いわけですし、
施行
後についてもきちっとしないといけないという
意見
が多いわけでございまして、後で
総理
には各省全体にまたがることについては
確認
をさせていただきたいと思いますけれども、
厚生大臣
につきましては三点について
確認
をさせていただきたいと思います。 そこで、まず要
介護認定
の問題であります。もう既に
モデル事業
を二年にわたってやっているということでありますけれども、その
モデル事業
についてもさまざまな
意見
が
地方公聴会
でも出されたわけでございます。 その中で一番大きな
指摘
がありましたのは、我が党からの
質問
でも出ましたように、どうも時間がかかり過ぎる、もう少し迅速に
サービス
ができないかという
指摘
が多数なされたわけでございます。
法案
におきましては、三十日以内に
認定
を行うということにされているわけでありますけれども、どうも三十日では少し長過ぎるんじゃないかという
意見
もございまして、
法律
上は三十日以内であってもできる限り短い
期間
に
認定
をするように
最大限
の
努力
をしていただきたいということでありまして、その点について
厚生大臣
にお伺いしたいと思います。
小泉純一郎
4
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 要
介護認定
の
手続
については、手間をかけないように、できるだけ迅速に対応するようにという御
指摘
でありますが、この点については多くの方が
心配
するところだと思います。 私どもも、この
認定手続
についてはできる限り迅速な
認定
が行われるよう今後
体制
を
整備
していかなければならない。と同時に、申請してから
認定
まで時間がかかり過ぎるという御批判もありますが、申請時にさかのぼって
認定
が出る前からこの
サービス
が行われるようなことも
考え
ておりますので、この点について必要な要
介護者
の
介護サービス
が妨げられないような配慮を十分していきたいと思っております。
上野公成
5
○
上野公成君
ぜひお願いしたいと思います。 次に、
保険料
の問題であります。
厚生省
の
推計
で、これは
平成
七年の
推計単価
ということではないかと思いますけれども、被
保険者
一人
当たり月
二千五百円という
数字
がどうもひとり歩きをしているような傾向があるんじゃないかと思います。 実際に法が
施行
するのは
平成
十二年の四月でありますから、
平成
十二年の四月に二千五百円でやれるということであればいいわけでございますけれども、その間五年もあるわけでありますから、相当この
数字
も違ってくるということが
考え
られるわけでございます。
物価
の
上昇
だとか
介護報酬
の設定だとかまだされていない
時点
でなかなか確定的なこともできないんじゃないかと思いますけれども、しかしなるべく
施行
より前に、幾らであるということをできるだけ早く算出して
数字
を
国民
の前に明らかにしていくということが必要じゃないか。 これは
大変信頼関係
が
国民
の皆さんとなくなってしまうのでできる限り早く、わかり次第そういう
数字
を出していただいて明らかにしていただきたいということが必要だと思いますけれども、いかがでございましょうか。
小泉純一郎
6
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 御
指摘
の趣旨、十分理解しております。 実際の
保険料額
は、
物価上昇
の影響や今後設定される
介護報酬額等
により
推計額
とは異なるものでありますけれども、まず
制度施行
時の要
介護者数
に大きな変動はないと見込まれること、そして現在も
介護サービス
が
運営
されている
公定価格
に基づく
推計
であること等から、
全国平均
としては大きく食い違うことはないものと現在
考え
ております。 実際の
保険料額
は、御
指摘
のような要素や被
保険者
の
所得
、
地域
の
サービス水準等
により異なるものであることについて、正しい理解が得られるように今後とも周知に
努力
をしていきたいと思います。また、国としては、
市町村
において
保険料額
の見通しが立てられるよう、
介護報酬額
の見込みを
早期
に示すよう今後とも
努力
をしていきたいと思います。
上野公成
7
○
上野公成君
それから三番目に、
基盤整備
につきましては後で
総理
に御
質問
したいと思いますけれども、特に要
介護者
の処遇の
あり方
として、それは
施設
の方が効率的に
サービス
できる、それから二十四時間の対応ができるということがあるという長所もある反面、
高齢者
というのはやはり長年自分で住み続けてきたところといいますか、そういった
地域
だとか環境の中で暮らし続けたいということがあるわけでありますし、今回、
在宅
で
介護
をするという
方向
に今後行くというのは大変必要なことじゃないかと思っています。 そこで、
介護
の効率からいっても、例えば
バリアフリー
にしたりしますと
工事
にはお金がかかるわけですけれども、
介護
の方は非常にしやすくなる。
一つ
の
試算
として、
住宅
の
バリアフリー化
の
工事
に大体五十四万ぐらいかけますと、
介護
に必要な段差がなくなるとかいろんなことがあって
介護
をする方が非常に楽になるということで、結果として
介護費用
の方は二百八十万ぐらい減少になるということで差し引きで二百二十六万の便益が出る。こういうような
試算
もあるわけでありまして、そういった
費用
全体を少なくするということも総合的に
考え
ていただいたらいいんじゃないか。 ちなみに、
デンマーク
では
施設介護中心
であったわけでございますけれども、一九八七年に
高齢者住宅法
というのができましてプライエムという
特別養護老人ホーム
の建設はそこで中止をいたしまして、一九八七年の
法律
ができた後は
高齢者住宅
をつくって、それは
住宅省
というところでやっているわけですけれども、それと
介護サービス
ですね、これは
保健省
がやりまして、協力をして全体の
費用
も
介護
の方も楽になるけれどもという方法をとっておりまして、かなり成功をおさめているんじゃないかと思うわけでございます。 やはり
住宅
の方と相当協力していくという、今までのような
介護施設中心
ではなくて、これから
高齢者
は二〇五〇年には三分の一がなるというような時代でありますから、
一つ一つ施設
でやっていくということじゃなくて、
住宅
全体との相当な
連携
をしていくということが、本当に今後のこれは
介護基盤
の
整備
という
意味
でも重要な問題になっていくと思うわけでございます。
厚生大臣
、その点
厚生省
としてどのようにお
考え
になるか、取り組んでいかれるか、お伺いしたいと思います。
小泉純一郎
8
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 今、
上野議員
御
指摘
の問題については、独自の見識を持たれて、先日、
上野議員
みずからが
作成
された
ビデオ
ですか、
デンマーク
に赴かれて現地の
介護サービス
、
福祉サービス
を視察されてこられたあの
ビデオ
を拝見しました。なるほどなと、非常に
日本
としても
参考
にすべき点があるのではないかと。今御
指摘
のように、
建設省
と
厚生省
が
連絡
せよと、都市の中においての
居住サービス
、隔離するのではなくて、
町づくり
として今後
高齢者福祉
を
考え
るべきじゃないかという御
指摘
、同感するところ極めて多いと思います。 今後、
介護サービス
の
基盤整備
を進めていくためには、
介護
と
居住
をあわせて提供する
サービス形態
についてもその施策の
あり方
を
検討
する必要がありまして、
建設省
と密接な
連絡
をとりながら、幅広い観点に立って
検討
を行う場を設けていきたいと思います。
上野公成
9
○
上野公成君
施行
までに二年四カ月近くあるわけですし、
施行
後も
高齢者
はどんどんえらい勢いでふえるわけですから、これはどんどんふえるに任せるということじゃなくて、
少子化対策
というので今後相当なことをやっていかないともう
日本
は沈没してしまうんじゃないかと思います。 いずれにしましても、この
介護保険法案
が保険あって
介護
なし、
サービス
なしと言われないようにするためには
住宅
との
連携
がぜひとも必要でありますので、どうか積極的に
連携
を進めるように
要望
いたしまして、私の
質問
を終わらせていただきます。
渡辺孝男
10
○
渡辺孝男
君
介護保険関連
三法に対しまして引き続き
質問
させていただきます。 新進党が本年十一月に行った
高齢者介護保障
に関する
自治体アンケート
でも明らかなように、
政府提出
の
法案
を早急に成立させるべきという声よりも、
税方式
を望む声や
慎重審議
、
開始
時期の延期を望む声が圧倒的に多い。また、約三百にも及ぶ
政省令委任事項
の
明確化
を求める声も強い。 したがって、私は、
厚生省
が試行している要
介護認定モデル事業
、
ケアプラン作成事業等
の結果を踏まえ、約三百にも及ぶ
政省令事項
の
具体的内容
を
早期
に確定し、
介護保険制度
の全体像を
保険者
となる
地方自治体
並びに被
保険者
となる
国民
に対してきちんと
情報公開
すべきであると
考え
ます。
厚生大臣
のこの点に関しましての御
所見
をお伺いしたいと思います。
小泉純一郎
11
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) この
介護保険制度
が導入されるに当たっていろいろまだ明らかな点が少ないのではないか、
政省令事項
が多過ぎるのではないかというような御
心配
、そしてできるだけ早くその
内容
というものを情報開示すべきだという御
意見
、これはもっともだと思っております。今後、
政省令
を定めるに際しても、
地方公共団体
の
関係者
にも早い段階から
基本的考え方
などの十分な
情報提供
を行いまして、公布については可能なものについて
平成
十年度中を目途に行うよう努めてまいりたい。 いずれにしても、
情報公開
というのは大事ですから、この点をしっかりと踏まえて誤解のないように、できるだけ理解されるように
努力
をしていきたいと思っております。
渡辺孝男
12
○
渡辺孝男
君 引き続き
厚生大臣
に
質問
いたします。 これら
政省令
の
具体的内容
が示され、
介護保険制度
の
具体的内容
が明らかとなった
時点
で、再度
国会
で
介護保険法
の
内容
の
細部
の適否に関しまして
審議
すべきではないかというふうに私は
考え
るわけであります。今後の
法案
の
細部
に対する
検討
、
厚生省
での
施行
後の
内容
を
考え
まして再度
審議
することを
厚生大臣
として約束できるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
小泉純一郎
13
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) この
介護保険法案
においては
政省令
に委任しているところが多いんですが、具体的な
手続
とが
技術的事項
について
法律
の範囲内で
政省令
に委任しているものでありまして、この
政省令
の
内容
によって
法案自体
の
見直し
が必要になることはないのではないかというふうに私は
考え
ているんです。 今後、この
法案全般
については、
施行
後五年をめどに
実施
後の
状況等
を踏まえて
検討
を加え、必要な
見直し
を行うこととされておりますので、必要な場合にはその機会に
見直し
を行っていきたいというふうに
考え
ております。
渡辺孝男
14
○
渡辺孝男
君 では、次の
質問
をさせていただきます。
法案
では、
居宅介護サービス費等支給体制
が二〇〇〇年の
開始時点
で不十分な場合には、
法定居宅給付支給限度基準
を下回る
基準
を設定することができる
経過措置
を認めております。このような
経過措置
をとる
自治体
の住民においては、本
法案
の目的であります
家族介護
の
負担軽減
がなされないおそれがあります。そのような懸念を払拭するためには、
平成
十一年度
施行予定
の
介護休業制度
の充実が不可欠と
考え
ます。 そこで、これは
労働省
の方にお伺いしたいんですが、
労働省
におきまして
休業
前賃金の二五%を最長三カ月間
給付
する
介護休業給付
というふうな形で
雇用継続
のための
経済的支援策
を
検討
しているというように聞いておりますけれども、
検討
しているか否か、簡潔にお答えいただきたいと思います。
上村隆史
15
○
説明員
(
上村隆史
君) ただいま先生からお話がありましたように、二年前に成立いたしました
法律
に基づきまして、
平成
十一年度から
介護休業制度
が
実施
、
施行
されることになっております。その
制度
に基づきます
介護休業期間
中の
労働者
に対します
経済的援助
につきまして、
雇用保険制度
の中で
介護休業
する
労働者
の
雇用
の
継続
を図るための
給付
を創設する
方向
で、現在
中央職業安定審議会
において
検討
いただいているところでございます。 その際、具体的な
内容
につきましては、
法律
上の
介護休業制度
、それから既に
平成
七年度から
実施
されております
育児休業制度
、それから
育児休業給付
でございますが、それらを
参考
にしながら現在
審議会
で御
検討
いただいているところでございます。
渡辺孝男
16
○
渡辺孝男
君 その点に関しまして
厚生大臣
にお伺いしたいと思うんですけれども、今後
介護保障
を進めるに当たりましてやはり
居宅介護
というものが
中心
になっていくんではないか、そのように私
自身
も
考え
るわけでありますけれども、
厚生省
としてもそのような
方向
でいくことを目指しているのではないか、私
自身
はそのように思っております。 そうであれば、今回、
介護保険制度
の導入という新たな
状況
に対応しまして、
厚生省
と
労働省
との間で、
介護休業
の時期や要
介護状態
の
認定
を含めた
休業
の
条件
というものがありますけれども、そのような
休業
の
条件等
を再
検討
する
協議機関
、そういうものを設けるべきではないか、そのように
考え
るわけでありますけれども、この点に関しましての
厚生大臣
の御
所見
をお伺いしたいと思います。
小泉純一郎
17
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 御
指摘
のように、
介護休業制度
という
制度
が効果的に機能が発揮されるというのは、この
介護保険制度
が導入された後も大変大事だと思っております。 今後、
労働省
と必要に応じ
連携
をとりながら
連絡調整
を行っていきたいと思っております。
渡辺孝男
18
○
渡辺孝男
君 やはり
介護休業
をとる場合にも、申請する場合に要
介護状態
であるということを証明しなければならないというようなこともありまして、その要
介護状態
というのが今回の要
介護認定
の、
認定
されるかされないか、どのような
認定基準
に
家族
の要
介護者
が当たるのか、そういうものがやはり
介護休業
をとる場合に微妙に影響してくるのではないか、そういうことを
考え
ているわけであります。 二〇〇〇年
時点
で、まだまだ保険あって
介護サービス
が十分に整わないという
状況
であるということ、多くの
自治体
がそのような
心配
をされているわけでありまして、やはり
国民
が安心して
介護サービス
を受けられる
状況
に二〇〇〇年
時点
でないのであれば、
介護休業
一勤務している
家族
がその間仕事を休んで
介護
しなければならないという
状況
はまだまだ
経過期間
中は続くのではないか、そのように私は
考え
るわけでありまして、やはり
厚生省
、
労働省
間で十分な
協議
をしてほしいと、そのように望むわけであります。
最後
の三点目の
質問
に入らせていただきます。
介護保険制度
が第二の国保となることを避けるためには、やはり
自治体
の
財政破綻
を来さない
方策
を適切に講ずる必要があると思います。そのために、各
地方自治体
からは次のような
要望
もされております。
介護財政
の
自治体間格差
を調整する
調整交付金
の財源は、
国費負担
の二五%の中の五%を充てるのではなく別枠の
国費
を充てるべきである、そのような
要望
も出されているわけであります。 このような点も含めまして、
自治体
の
財政支援策
に対します
厚生大臣
の御
所見
をもう一度お聞きしたいと思います。
江利川毅
19
○
政府委員
(
江利
川毅君)
給付費
の五%に相当する
調整交付金
、これは
国費
で見ます二五%のうちに入っているわけであります。 この
考え方
は、
調整交付金
につきましては
市町村
間における
後期高齢者
の
加入割合
、それから
高齢者
の
所得
の
相違等
を調整するものでありまして、
都道府県
、
市町村
の
負担分
も含めますと
公費
が既に全体の五割ある。それからまた、
調整交付金
の少ないところ、これは
所得水準
が高い
市町村
ということになりますし、あるいは
後期高齢者
の
割合
が少ない
市町村
ということになります。そういう一号被
保険料
と
調整交付金
を足し合わせますとその
割合
はどこの
市町村
でも同じになるということでございまして、そういう
意味
で現在の
仕組み
で十分調整できるんではないかというふうに思っているわけでございます。 また、一般的な
財政支援
ということにつきましては、
介護保険制度
全体がかなり
公費
の入った
仕組み
になっているということのほかに、例えば
介護保険
に要します
事務費
、要
介護認定
に関する
事務費
などにつきましては、その
費用
の二分の一に相当する額を補助するというような規定がございます。あるいはまた、
都道府県
に
財政調整交付金
の基金が置かれまして、それで
運営
についての助成あるいは
交付
なり貸し出しなりが行われるということになっております。 こういう
制度
全体を活用しまして、
市町村
の
介護保険
に関します
財政運営
が的確に行われるように対応してまいりたいというふうに
考え
ております。
渡辺孝男
20
○
渡辺孝男
君
厚生大臣
にもその点
確認
なんですけれども、やはり今回の
介護保険法
が
施行
されることになりますと、
未納者問題等自治体
はかなり財政的な面で不安が大きいと思います。そのような
自治体
に対する財政的な不安を取り除くように
厚生大臣
としてどのように対応していくか、その決意のほどをお聞きして
質問
を終わりたいと思います。
小泉純一郎
21
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 要するに、集約しますとこの
介護保険制度
というのは保険あって
サービス
なしという点が一番
心配
されている点だと思います。そういうことがないように
基盤整備
等必要な
サービス
が
給付
されるように
最大限
の
努力
を傾注していきたいと思います。
今井澄
22
○
今井澄
君 民主党・新緑風会の
今井澄
でございます。 きょうは、
幾つ
か
質問
を多目に準備いたしましたが、時間の
関係
がありますので、この中の
幾つ
かお願いしたいと思います。 まず最初に、一番
最後
に準備しました
質問
、順番は
最後
ですが、これは過日の
審議
の中でも申し上げたことですが、要
介護認定
や
介護サービス計画
、いわゆる
ケアプラン
の
策定
に当たっては、
サービス事業者
の意向に左右されてそういう
認定
や
策定
が行われないようにする必要がある。とすると、それにかかわる
介護支援専門員
いわゆる
ケアマネジャー
は、
サービス事業者
からの
独立
を担保すべきだと
考え
ますが、その点についての
具体策
はどのようにお
考え
でしょうか、
大臣
にお尋ねします。
小泉純一郎
23
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君)
介護認定調査
あるいは
介護サービス計画
の
策定
のための
介護支援専門員
が行う業務については、確かに
公平性
、
中立性
、いわゆる公正な方にやってもらわないとゆがんだものになってしまう、御
心配
は当然だと思います。 このため、この要
介護認定
の
調査
を行う
介護支援専門員
については、
民間人
でありましても公務員とみなすとともに、公平に幅広く
情報提供
を行うことや、
作成
された
介護サービス計画
について
本人
の
同意
を得ること等を
居宅介護支援事業者
の
運営基準
として定めることを
検討
しておりまして、
独立性
、
中立性
が損なわれることがないよう適正な運用に
努力
をしていきたいと思います。
今井澄
24
○
今井澄
君 今、御答弁の中にもありましたが、要は要
介護者
あるいは要
支援者
の
権利
がきちっと守られる、業者の恣意で過剰な
サービス
を与えられたり、
上乗せサービス
で自費を取られたりするということが起こらないようにしていくことが大事だと思うんです。 その点でもう
一つ
、四番目に準備した
質問
でありますが、とかく要
介護者
の
権利
というときに、実は
家族
との
関係
も案外大事な問題でありまして、
家族
の中には
厄介払い
でとにかく
施設
へぽんと預けたがっている、
本人
は
在宅
で
サービス
を受けたがっていると、こういうふうなこともあるんですね。そういうことも想定して、要
介護者本人
の
希望
が何よりも優先して生かされるような
介護サービス計画
の
作成
をどのようにして担保しょうというふうにお
考え
か、お願いいたします。
小泉純一郎
25
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 確かに、
本人
の
希望
を入れるということが一番重要なことだと思っています。 そのために、
介護サービス
について公平に幅広く
情報提供
を行うことや、
作成
された
介護サービス計画
について
本人
の
同意
を得ること等を
居宅介護支援事業者
の
運営基準
で位置づけることを
検討
しておりまして、この点については適切に今後指導をしていきたいと思います。
今井澄
26
○
今井澄
君 重ねて
本人
の
同意
ということです。このことを
考え
ておられるということは非常にいいことだというふうに思います。そうはいっても、現実には
本人
は
家族
に迷惑をかけたくない、そういうことで
社会的入院
を嫌々続けている、これも
本人同意
のうちなんですが、そういうことがありますので、今後そういうことの改善を図る必要があると思います。 ところで、
本人
の
希望
とか
同意
とかといった場合も、ここにぼけの問題とかが絡んできますとなかなか
本人
の
権利
が十分擁護されないというおそれがあるわけですが、そこで五番目に準備しました
質問
、
成年後見制度
の制定についての
厚生省
の姿勢と、この法が制定されることを前提とした具体的な
方策
についてお尋ねをいたします。
羽毛田信吾
27
○
政府委員
(
羽毛田信吾
君)
介護保険制度
の
実施
によりまして、
意思能力
が十分でない
痴呆性
の
高齢者
の
方々等
が適切な
介護サービス
を受けることができるようにするという観点から、契約に関しまする意思決定についての成年後見の必要性というものがますます高まるものと
考え
ております。 こうした観点から、現在法務省において
検討
が進められております
成年後見制度
につきまして、新たな
制度
が
関係者
にとって利用しやすいものになりますように、法務省と緊密な
連携
を図りながら法制化作業にできる限りの協力をまず行いたいと思います。 また、
厚生省
といたしましても、身近な相談の場の確保、あるいは適切な後見人が選任できるようなこと、こういったことにつきまして必要な取り組みについてさらに
検討
してまいりたいというふうに
考え
ております。
今井澄
28
○
今井澄
君 法をつくっていくのは法務省でありましょうけれども、現実にこの福祉分野で後見人になっていったり相談に応ずるのはやはり現実の福祉、
厚生省
の分野で働いている人が多くなると思うんですね。確かに行政相談員などもこういう福祉の問題、年金の問題、随分取り扱っておられるようですけれども、やはり民生
委員
とかそういった分野の方に大いにやっていただかなければなりませんので、
厚生省
としての受け皿づくりというか、これが法の実効を担保する
意味
で非常に大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。 そこで、次の
質問
ですが、要
介護認定
等にかかわる不服申し立てや実際に受けた
サービス
内容
等に関する苦情処理など、これは国保連合会の中にそれを受け付ける機関を設けるということになっているわけでありますけれども、国保連合会は
都道府県
に
一つ
ということで大分距離も遠いし、また実際にその
サービス
を受けている人、あるいは不服、苦情を持っている人と距離が遠いわけですね。そうしますと、最終的にはそこで何かが処理されるにしろ、もうちょっと身近なところで行えるように窓口を設けるとか、その窓口も単なる事務的に受け付けて上へ伝達するというだけではなく、かなり親身になって苦情や不服を聞くというふうな、そういう
体制
を
整備
することが必要だろうと思います。 もう
一つ
心配
なのは、そういう窓口から国保連合会に上がる、県に行く、そして戻ってくるまでに随分時間がかかると。これについて迅速な処理が必要だと
考え
ますけれども、そういうことについてはどのような
方策
をお
考え
でしょうか、
大臣
にお答えいただければと思います。
小泉純一郎
29
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 国保連で行われる苦情処理についても、
市町村
や
居宅介護支援事業者
等の身近な窓口で行えることにしております。確かに国保連だと
一つ
ですから、県単位の
一つ
よりも身近といえば
市町村
の方が身近だと思うのであります。そういう点についても、今後事業者等の協力を得ながら、できるだけ身近に苦情処理を受け付けるような
体制
を
整備
していかなきゃならないという御
指摘
は大事であり、そのように
努力
をしていきたいと思います。 また、迅速な救済が行われるよう、
介護認定
に対する不服が当然出てくると思います。このような不服申し立てについては、公益代表
委員
のみから成る合議体で取り扱うとともに、技術的、専門的事項についての
調査
を行わせる専門
調査
員を置くことができることとしておりまして、苦情処理担当
委員
の適切な配置をできるように努めていきたいと思います。
今井澄
30
○
今井澄
君 そこで問題は、
介護サービス
を各種の事業者、公的あるいは民間、民間の場合も営利、非営利のところにお願いをするわけですが、その場合の
介護サービス
の質の確保をきちっとするためにどのような措置を講ずるおつもりか。また、その中で事業者みずからによる
サービス
の質の評価や改善の
努力
もさせる、そういう
方策
を推進すべきだと
考え
ますけれども、いかがでしょうか。
小泉純一郎
31
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君)
サービス
の質を確保するという観点から、
介護
サービス事業者
が人員
基準
や設備・
運営基準
に違反する場合には、
都道府県
は必要に応じて監査を行い、指定の取り消し等の適切な措置を講ずることとしております。 また、
国民
健康保険団体連合会に苦情処理、いわゆるオンブズマン業務を行わせることとして、
サービス
に関する各種の苦情等を受け付け、
サービス事業者
に対する必要な
調査
や指導を行い、利用者の声というものをできるだけ反映するような
サービス
体制
を確保していきたい。 さらに、現在、
特別養護老人ホーム
、老人保健
施設
及び
在宅
サービス
において、
サービス
提供事業者、
施設
みずからが行う
サービス
水準の向上を支援することを目的として
サービス
評価事業を
実施
しております。
介護保険制度
のもとでも
サービス
の質の評価に関する
努力
義務が法定されることを踏まえまして、適切な
サービス
の評価が行われるようにしまして、それによって
サービス
水準の向上が図られるよう指導していきたいと思います。
今井澄
32
○
今井澄
君 終わります。
清水澄子
33
○清水澄子君
大臣
に
確認
のための
質問
をいたします。 政府は、保険あって
介護
なしにならないように
介護基盤
整備
に万全の施策を講じていくべきだと思います。そのためには、
介護基盤
の
整備
について、
市町村
の
介護保険
事業計画の集積を待っているのではなくて、政府として積極的に新ゴールドプランを達成し、引き続き新たな
介護基盤
整備
計画を
策定
し、それを実現していくことだと思います。 その財源については、
介護保険
が導入されますと、老人保健福祉
関係
予算で三千七百億円、そして病院への
社会的入院
費用
千三百億円の計五千億円が浮き財源になると。つまり、国の財政負担が軽くなるということ、これはみんな
国民
が知っていることでございます。私は、その財源を
介護基盤
整備
に重点的に振り向けていくべきだと
考え
ますが、
厚生大臣
、どのように御決意をお
考え
でしょうか。
小泉純一郎
34
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 保険あって
サービス
なしということがないように
体制
整備
に全力を尽くしていかなきゃならないわけでありますが、今回の
介護保険制度
において
市町村
というのが主体的な役割を担っていただきます。そして、
市町村
によって
地域
の実情が違いますから、その
地域
の実情に応じて掲げた
サービス
目標を全国的に積み上げたいわゆる新ゴールドプラン、これがまず確実に達成されなきゃいけない。この新ゴールドプランの目標が確実に達成されるよう
最大限
の
努力
をしていくということが大事ではないかと思います。 今後、
介護保険
導入に向けて
市町村
がいろいろな計画を定めてくると思います。
市町村
が定めた
介護サービス
の目標については、それが達成されるように必要な支援を
厚生省
としても確実に行っていくということが重要だと
考え
ております。
清水澄子
35
○清水澄子君 私がお尋ねをした財政措置なんですけれども、それはお金が余ってくる、そういうことに対して今後どのようになさっていくのかということをお尋ねしております。
小泉純一郎
36
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 今、私はそのお答えをしたつもりなんですけれども。 要するに、
市町村
が掲げた目標に対して必要な支援をしていくということは、保険あって
サービス
なしというようなことのないような
財政支援
を行うということで御理解いただきたいと思うのであります。
清水澄子
37
○清水澄子君 二点目ですが、
介護保険法
は
施行
後五年後に見直すということになっておるわけですが、その
制度
全般の
見直し
の際には、四十歳から六十四歳までの第二号被
保険者
の
給付
理由になっております「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」というこの項は私は当然外すべきだと思いますし、若年障害者をも広く対象としたそういう
内容
にすべきだと
考え
ます。そうなれば当然のこととして加齢疾病条項は削除すべきものと思いますが、その点についても
大臣
のお
考え
をお述べいただきたいと思います。
小泉純一郎
38
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) この
介護保険法
施行
後の
制度
全般の
検討
には、御
指摘
の
サービス
が受けられる者の範囲も含まれております。ですから、仮にこの
給付
事由が変更されれば、それに合わせて、必要な場合には目的規定の改正も行うことになると私は思います。
清水澄子
39
○清水澄子君 次に、ホームヘルプ
サービス
事業は
在宅
サービス
の中核であると思います。そして、ホームヘルパーの養成と就労の確保がこの
介護保険
の成否にかかっていると言ってもいいと思います。この
制度
が発足した後十年後には五十八万人のホームヘルパーが必要とされているわけですけれども、やはりヘルパーの身分保障などの社会的待遇や改善、
雇用
の安定が伴わないとそれだけの人材は集まらないということがさまざまな公述人たちからも明らかにされております。 私は、良質な
在宅
介護サービス
が安定的に提供されるようにするためには、ヘルパーについての現状を改善していくことを念頭に置いた
介護報酬
の設定を行うべきだと
考え
ますが、
大臣
の御見解をいただきたいと思います。
小泉純一郎
40
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) ヘルパーの問題で、
介護報酬
だと思いますが、人員、設備等
サービス
の質の確保に関する一定の用件を満たすことを前提に、
費用
の実態等を把握した上で、
サービス
内容
、事業所の所在地等に応じた平均的な
費用
を勘案して、今御
指摘
の趣旨を踏まえまして、安定した質のよい
在宅
サービス
が供給されますよう適切に設定していきたいと思います。
清水澄子
41
○清水澄子君 次に、これはなかなか
大臣
答えにくいんだと思いますが、現在の
介護保険法
が成立しますと、
制度
発足時の
介護保険制度
の総
費用
というのが
平成
七年度価格で四・二兆円と見積もられているわけですね。しかも、これは
在宅
介護
の四〇%を対象にしたものであって、これからの
介護保険
に対する
国民
の期待とかそういうものが高まっていく段階の中では、これでは非常に不安な
状況
があると思います。 国は、
介護保険
事業の
運営
が健全かつ円滑に行われるよう、保健・医療
サービス
及び
福祉サービス
に提供する
体制
の確保にやっぱり万全の策を講じていかなきゃならないと思うわけです。ですから、非常に各方面から、これは現場で働く人も、それから
自治体
の皆さんたちも大変な不安を述べられているわけです。 それで、私は先ほども御
質問
いたしましたけれども、いわゆる浮き財源というのは出てくるというのははっきりしているわけですから、
介護保険
導入前にも
在宅
介護
の
基盤整備
の達成率をどんどん向上させていく、やはりそういう積極的な姿勢が必要だと思います。それから、人的資源の養成も急がなければならないと思っております。 そういう
意味
で、私は、やっぱり
大臣
にこの問題について本当に体当たりで臨んでいただきたいんです。補正予算による上積み計上が私は不可欠だと思うんですが、その点について
厚生大臣
はどのように
努力
なさいますでしょうか。
小泉純一郎
42
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) この
介護保険制度
が評価されるか失敗だったかというかぎは、保険あって
サービス
なし、この問題に尽きると思います。それで、提案者としてもそのような
介護保険制度
導入は失敗だったと言われることがないように、やはり導入してよかったと言われるかぎはまさに
基盤整備
、これに必要な支援を行っていく、それが私は責任ではないかと
考え
ております。
清水澄子
43
○清水澄子君
大臣
、本当に頑張ってくださいよ。私どもはこれだけ長い間
審議
した中で、本当に
日本
の
介護
状況
をよくしていくということが私は
国会
に課せられた責任だと思いますし、
大臣
も何回もいろいろ一生懸命答えてくださったこと、本当に実行に移していただきたいし、私たちも一緒にやっていきたいと思います。 次に、
介護保険
施設
に薬剤師の配置を義務づけるべきではないかと思うんですけれども、その点はどのようなお
考え
でしょうか。
小泉純一郎
44
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 薬剤師の配置を義務づけるべきではないかという御提言だと思うんです。現在は義務づけられておりませんけれども、老人保健
施設
における適切な薬剤使用の
あり方
についてはいろいろ
委員
から御
指摘
がございます。 現在、全国老人保健
施設
協会の協力を得まして
調査
を行っているところであります。
介護保険
施設
において薬剤師の配置の必要性については、このような
調査
の結果とか、あるいは
施設
における医薬品使用の実態を踏まえながら、今後
検討
していきたいと
考え
ます。
清水澄子
45
○清水澄子君 終わります。
西山登紀子
46
○
西山登紀子
君
日本
共産党の
西山登紀子
でございます。
大臣
に
質問
をいたしますが、この間の
委員
会での議論や、あるいは公述人、
参考
人の
意見
を聞くほどに、この
法案
は
国民
の求めている公的
介護保障
制度
としての期待に大きな隔たりがあるということが明らかになってきたと思います。 今、
大臣
もお認めになったように、この
介護保険法案
の最も大きな欠陥というのは、保険あって
介護
なし、こういう
状況
で見切り発車させられようとしている点だと私は
考え
ております。 最初に、私も
質問
いたしましたように、特養
施設
そのものが非常に少ないですね。
調査
をいたしましたところ、一年半の間に二万人を超える新たな待機者が生じていると。ですから、新ゴールドプランの二十九万人を達成しても、今
時点
で既に四万人入れない人がいるということがわかってきたわけでございます。にもかかわらず、私の地元の京都大宮町の例を引きまして
質問
させてもらったことがありますが、実際、
自治体
が足りないから新たに建てたいと言っても、
厚生省
は新ゴールドプランの計画のときに計画していなかったからだめだといって建てさせない、こういう
状況
が地元であるということをこの
委員
会でも紹介しました。 実は、名古屋の公聴会で常滑市の市長さんが、私が
指摘
したと同じようなことを言っていらっしゃったんですね。常滑市は人口五万二千人で、特養老人ホームの待機者が百人いるということで、ますます
特別養護老人ホーム
の充実の
要望
が高くなってきたというふうに、ここに陳述書がございますけれども、言っていらっしゃるわけです。 そして、
在宅
介護
の
要望
も多いけれども、
介護保険
が導入になりますと
介護サービス
を
家族
や要
介護者
が選択できるようになる。特養老人ホームの数が多くない現
時点
では、
在宅
サービス
に仕向けるための何らかの
方策
が必要だと。それを明らかにしていただきたいと政府に求める公述をしていらっしゃいます。それが明らかにできないならば、特養の
整備
枠の拡充を認めてくださいというように陳述をしていらっしゃいます。また、計画数値以上の
整備
を
厚生省
が認めない方針であると聞いているということも、その市長さんは公述をなさいました。 ということは、
自治体
では足りないからふやしたいと言う。
厚生省
は予算をつけない、ふやすなと言う。
介護保険
は導入しろと言う。これでは
保険者
として
地方自治体
は、
サービス
の十分な準備なしに
保険料
を取る
介護保険制度
の
保険者
になれということではないでしょうか。予算を抜本的にふやして、新ゴールドプラン以上に箇所づけをするという意欲を持っている
自治体
にはそれも早く認めるべきで、
国民
の
要望
にこたえて
自治体
の信頼を回復するためにも、この
基盤整備
の予算を抜本的にふやすべきだと
考え
ますが、
大臣
の御
所見
をお伺いいたします。
羽毛田信吾
47
○
政府委員
(
羽毛田信吾
君) 現在の
特別養護老人ホーム
の
整備
につきましての
厚生省
の姿勢につきましてのお尋ねでございます。
介護保険制度
の円滑な移行のためにも
特別養護老人ホーム
等の
整備
を進めることが必要であるという点については御
指摘
のとおりでございます。しかし、そうしたときに、全国的に
整備
を進めていくときにどこを重点にやっていくかといえば、やはり現在それぞれの
自治体
においてこれが必要だということでお立てをいただいているそれぞれの老人保健福祉計画にまだ
整備
が追いついていないというようなところを重点にしていくという形で国の予算も配賦をさせていただいております。 一方、既にそこに到達をしながらなお入所待機者が増加をしているといったようなことを理由といたしまして、
自治体
からの
特別養護老人ホーム
の
施設
整備
の
要望
が寄せられる場合がございます。これにつきましては、やはり今後できるだけ
在宅
サービス
を
中心
に
整備
体制
を整えていくという観点からいたしましても、また
地域
における本当の実際の需要にこたえていく観点からいたしましても、各
市町村
におきましてまず
在宅
サービス
を十分に
実施
していただいているか、あるいはあわせてそういった二十四時間の専門的な
介護
を必要とする方々の本当のニーズというものが入所待機者という形になっているか、こういった実態をきっちり把握した上でその
整備
について
検討
するという姿勢で臨む必要があるだろうというふうに
考え
ております。
厚生省
としましては、やはり厳しい財政
状況
の中でできるだけ財源を効率的に使用していくという観点からも、
市町村
が必要な
サービス
量を見込んでつくられました老人保健福祉計画の
整備
ということをまず最重点にして、さらに
在宅
施設
サービス
の均衡を図りながら、まずは新ゴールドプランの着実な推進ということを第一目標に掲げて進めておるところでございます。
西山登紀子
48
○
西山登紀子
君 私は、そういう一般的な今までの答弁の繰り返しては納得することはできません。 常滑市長さんも、愛知県の計画をすべて達成しても全国最低の
整備
率にしかならないということも
指摘
をして、この
特別養護老人ホーム
は十分
整備
されておりいつでも入所できるという保証があって初めて
在宅
福祉サービス
を受ける余裕が出てくるということも
指摘
をされているんですね。
大臣
に私は御
質問
したんですけれども、
厚生省
は
基盤整備
、特養ホームの建設についても苦しい財政事情を説明されて
努力
されると言うんですけれども、私、
努力
されるでは許されないと思うんです。
保険者
である
地方自治体
というのは、強制的に住民の皆さんから
保険料
を取るという、こういうことをしなければならなくなります、
保険者
ですから。それならば、その見返りできちっとした
サービス
を保障するということもセットで同時に
地方自治体
が実現できるという見通しがなければ、これは
地方自治体
が不安に思うのは当たり前じゃないでしょうか。
大臣
、その点どうでしょうか。
小泉純一郎
49
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) それは、この
介護保険制度
導入に反対する立場からする議論というのはわかりますが、むしろ保険あって
サービス
なし、保険あって
介護
なしを一番
心配
するのは賛成者だと思うんです、せっかく導入を推進しているんですから。これができなかったら、何で賛成したのかという批判を受けるのを覚悟しなきゃならない。それがないために
努力
する。この点については、私は反対者よりも賛成者の方がより積極的に
努力
する必要があるし、その前向きの
努力
をぜひとも評価していただきたい、そういうふうに思います。
西山登紀子
50
○
西山登紀子
君
介護保険
に賛成する人も反対する人もこれが決まれば拘束されますよね。 私たちは
介護保険制度
というのは社会保険方式として否定をしているわけではありません。措置
制度
と社会保険方式を組み合わせるということなんですが、余りにも今の
基盤整備
を進めている政府の態度に私は大変な不信を抱かざるを得ません。 といいますのは、この特養ホームの伸び率にいたしましても、
平成
七年、
平成
八年、わずか二千四百三十二人分の定員増しかしていないわけですね。ところが、来年度予算は四百六十一億円というふうに増額分は半減されて失速していると。こういう
状況
では、本当に
大臣
がやると言ってもこれは本当に信頼ができない、
国民
を欺くことになるんじゃないか、こういう見切り発車は許せないというふうに
考え
るわけです。
質問
は次に移りますが、これも
中央公聴会
で出されましたけれども、現在特養ホームに入っていらっしゃる方が入院生活をした場合には、これは即特養ホームを退所しなければならなくなるんじゃないかということが佐野公述人から出されました。きちっとした
調査
があって、一年八カ月の間に二十九名の
居住
者の方が四十二回入退院を繰り返していらっしゃる、そういう人が病気になって入院したら特養ホームの退所を迫られることになる。これは大変な矛盾でして、現在よりも後退することになると思うんですが、この点は
大臣
、何としても回避をしていただきたい。
江利川毅
51
○
政府委員
(
江利
川毅君)
特別養護老人ホーム
につきましては、現行
制度
上は入院
期間
が三カ月を超えないと明らかに予測される場合には措置を廃止しないと、そういう取り扱いになっているわけであります。
介護保険制度
ができました後この問題をどう取り扱うかということでありますが、入院が一時的なものであるか長期的なものであるか、そういうことによって判断していくべきものだというふうに
考え
ているわけでございます。
介護保険制度
の場合においてそれをどういうところで判断していくかということでありますが、一方でベッドを確保するために
特別養護老人ホーム
にあきをつくっておくということになりますと、待っている人もいたり、あるいはそのための
介護報酬
での支払いをしなければならないということになります。また、病院に入っているということになりますと、そこには医療保険の
給付
が行われているわけであります。こういう
給付
の重複などをどう
考え
たらいいのか、こういう点なども含めまして、先ほどの短期的な一時的なものか長期的なものか、そういうことを踏まえながら
検討
をしてまいりたいというふうに思っております。
西山登紀子
52
○
西山登紀子
君
大臣
の御
所見
。
小泉純一郎
53
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 今お話ししましたように、慎重に
検討
が必要だと思っております。
西山登紀子
54
○
西山登紀子
君 それでは
最後
の
質問
ですけれども、私も特養
施設
、いろいろなところを訪問させていただきましたけれども、まだまだ四人部屋、よくなって四人部屋、悪いときには八人部屋ということで、お隣の方との間にカーテンすらありません。そういう
施設
がまだまだ残っているわけですね。これは
大臣
から改善を図るというふうに御答弁いただいたわけですけれども、四人部屋でもやはり雑居というような感じはします。 そして、個室化が進められているんですけれども、これは
厚生省
からもらった資料によりますと、
痴呆性
老人及び重篤な入所者の特別
介護
のための個室を
整備
する場合に限って補助金をつけている、定員の三割までしか枠が認められていないということなんですけれども、これは二十一世紀、新しい時代のホームの
あり方
としてはやはり個室化を促進するべきではないか。個人のプライバシーの保護、個人の尊厳という点からもぜひそういう点を推進していただきたいということをお願いしたいと思いますが、
大臣
の御
所見
をお伺いします。
小泉純一郎
55
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 個室化というのはやはり時代の流れではないかなと私も
考え
ております。今後、入所されている方々のプライバシーの保護とかあるいは個人の意向、趣向、それぞれ違いますから、大部屋よりは個室を
希望
される方も多く出てくると思います。その点を
考え
ながら、この個室建設の面について推進の
方向
で
検討
していきたいと思います。
釘宮磐
56
○釘宮磐君
介護保険法案
の
審議
もきょうが
最後
になるわけでありますが、これまでに数々の
指摘
がなされてきましたし、とりわけ三百を超す
政省令
にゆだねる部分が多いということ、これがこれから二年間の準備
期間
の中で
一つ
一つ
モデル事業
等を行いながらよりよいものにしていくということを私ども期待しているわけであります。 そこで、きょう
幾つ
かの
確認
をさせていただきたいというふうに思っております。 まず、要
介護認定
についてでありますが、先ほど
上野
委員
から、いわゆる要
介護認定
に時間がかかり過ぎる、
介護保険法
では三十日以内と
法律
で期限を限っているけれども、もっと短くするようにというような
指摘
もありました。これについては
厚生省
も前向きに答弁をなさったわけでありますが、これとあわせて、いわゆる要
介護認定
の申請後、これは
法案
では今言いましたように三十日近くかかるわけですけれども、
認定
結果が出される前の
時点
においても適切な
サービス
利用が妨げられないようにする必要があるのではなかろうか、このように思うわけです。 このような観点から、
費用
の支払い方法をもっと工夫すべきというふうに
考え
るわけでありますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
小泉純一郎
57
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君)
認定
結果に時間がかかり過ぎるのではないかという御
心配
だと思うのでありますが、この点については先ほどもお話ししましたように、申請時にさかのぼってまずは
サービス
給付
を行うということも
考え
ておりますし、運用面で今後そのような配慮や工夫をしていきたいと思っております。
釘宮磐
58
○釘宮磐君 今の答弁は、要するに申請時にさかのぼって対処するということですね。はい、わかりました。 次に、私は、この問題はたびたび
指摘
をさせていただいた件でありますが、今回、
モデル事業
の中で一次のコンピューター判定と二次の判定にそごが生じてきているということの中で、いわゆるぼけの、
痴呆性
の問題が加味されている部分が非常に薄いのではないかというような
指摘
をさせていただいたわけであります。これが実態に合わないとするならば、これから試行段階においてこれらを明らかにしていきながら、さらにはこのぼけの問題については別途の
認定
方式をとるというようなことも
考え
られるのではないかと思うんですが、その点について。
小泉純一郎
59
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 普通の
介護状態
よりもぼけの問題というのは難しいのではないかというのは、私もそのとおりだと思います。 そのようなぼけの問題についてどうするかという御
心配
だと思いますけれども、現在、いろいろな試行作業をしておりますけれども、このぼけの問題というものについても、かかりつけ医の
意見
書にぼけの
状況
に関する記入欄を設ける等改善を図っておりまして、今後ともそのような試行作業の結果を踏まえながら、要
介護認定
がまずは適切に行えるよう
検討
を進めていく方が大事じゃないか。この六段階のほかにまたぼけの問題というのは、まだ試行していない段階でそれは難しいのではないか。その六段階の中の
認定
作業の中でぼけをどういうふうに判断するかという
努力
が私は必要ではないかと思います。
釘宮磐
60
○釘宮磐君 ぼけの問題はいわゆる瞬間的に判断ができない。まだら痴呆だとか、かなり長
期間
にわたって観察をしなければ的確な判定ができないということを私はたびたび申し上げてきたんですけれども、その点についてもぜひ考慮に入れていただきたいというふうに思っております。 次に、保険
給付
についてお伺いをしたいと思います。 今回、配食
サービス
について
給付
サービス
から除外されているわけでありますが、これは
地方公聴会
等でも福祉後退につながるおそれがあるということで
自治体
の首長さんからの
指摘
もあったところであります。全国的に
地域
の実情に応じた配食の
体制
づくりを進めていかなければならないと思いますし、一般施策において積極的にぜひ支援をすべきというふうに
考え
ておりますが、この点についてまず
一つ
。 それからさらに、法
施行
後の
制度
全般の
検討
の際には配食
サービス
をぜひ
給付
に追加するよう今後
検討
すべきではないかというふうに思いますが、その点について。
小泉純一郎
61
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 配食
サービス
については、生活支援
サービス
の一環として
市町村
の実情に応じてこの支援
体制
をつくっていきたいと
考え
ております。 また、これを
給付
対象に追加したらどうかということなんですが、この問題については、この
法律
が
施行
された後、
制度
全般の
検討
の際には当然その問題が出てくると思いますので、
検討
対象にしていくべきものだと、そう
考え
ております。
釘宮磐
62
○釘宮磐君 次に、いわゆる過疎地における
高齢者
の足の確保が今後大きな課題となってくる、私はこのことはたびたび
指摘
をさせていただいたわけであります。いわゆる保健・
福祉サービス
利用のための外出介助、この問題については今後
介護サービス
なり、それから
高齢者
の
福祉サービス
なり医療
サービス
なり、こういうような問題の中で、なかなか車を自分で運転していけるわけじゃありませんし、ともするとタクシーが片道何千円もかかるというようなことも非常に過疎
地域
に住んでおられるお年寄りの
一つ
の財政負担にもなり、不安の要因にもなっているというふうに思うわけです。 このことを私はたびたび
指摘
をさせていただきましたが、これを訪問
介護
等の
サービス
の中で積極的に対応すべきではないかというふうに
考え
ますが、この点について。
小泉純一郎
63
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 今の御
指摘
の趣旨を踏まえて、通院とかリハビリのため必要性の高い外出の
介護
といいますか介助に対しては、訪問
介護
、ホームヘルプ
サービス
の中で対応していったらどうかということでありますが、そのとおりだと思います。
釘宮磐
64
○釘宮磐君 それでは
最後
の
質問
にさせていただきたいと思います。 今回、この
介護保険
の導入に際しては競争原理を利用しながら、より被
保険者
が選択できるということが
一つ
の大きなこの
制度
の中での魅力的な部分であろうかというふうに思うわけです。その際に、いわゆるその選択の自由を保障するためにはもっともっと
情報公開
をすべきだというような
意見
も多々あったというふうに思います。
都道府県
、
市町村
等による
介護サービス
に関する情報の提供をぜひ指導すべきではないかというふうに
考え
ておりますが、この点について
大臣
の御
所見
をいただきたい。
小泉純一郎
65
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) この
サービス
提供というのが実効あるものにするために、
情報公開
、
情報提供
が大変重要だと思います。
厚生省
のみならず
都道府県
、
市町村
、これらの機関が正確な、また選択できる
情報提供
をどのようにしていくかということにつきましても、
厚生省
としては
関係
団体というものに対してできるだけ指導をしていきたいと思いますし、今後、この
介護保険制度
がより水準を向上させていくためにも、
情報提供
によって各事業者が競争する、水準を上げるために競争するという点が大事でありますので、この点についてはしっかりとした
情報提供
が行われるよう指導していきたいと
考え
ます。
山本正和
66
○
委員長
(
山本正和
君) これより
内閣総理大臣
に対する
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
上野公成
67
○
上野公成君
自由民主党の
上野
でございます。
総理
、どうも御苦労さまでございます。 参議院の
厚生委員会
では、きょうを終わりますと六十時間に数分足りませんけれども、
衆議院
の方で五十三時間でありますから、かなり長い間時間をかけて
審議
をしてまいりました。
中央公聴会
も一度やりましたし、
参考
人の
質疑
もやりました。それから、
地方公聴会
は四カ所で行いました。
費用
の負担は別にいたしまして、
介護
について何らかの
制度
が必要であるということは、もうほとんど異論がないわけでございます。しかし、
施行
まで二年四カ月近くあるということもございまして、大変な不安も各方面にあるわけでございます。その中で三つだけ
総理
に
質問
をさせていただきたいと思うわけでございます。
一つ
は
基盤整備
でございます。 法
施行
が二〇〇〇年の四月でございますけれども、それまでに十分な
サービス
提供基盤ができるかどうか。保険あって
サービス
なしというふうにならないようにしなきゃいけないということがもう繰り返し言われたわけでございます。そして、
施行
後におきましても
高齢者
の人口はどんどんふえていくわけでありまして、
試算
によりますと、二〇五〇年には三人に一人が六十五歳以上ということで、
少子化対策
としてそんなことはあってはならないことでありますけれども、いずれにしましてもかなり
高齢者
がふえるわけでございまして、
基盤整備
をきちっと
施行
までにできるかどうか、
施行
後もきちっと追いついていけるかどうかということが最大のこの
介護
制度
のかぎであると言っても過言ではないんじゃないかと思います。 そこで、
基盤整備
と申しましても人の問題、ホームヘルパーさんが一番代表的であります。
介護サービス
をするに十分な人が確保できるかどうかという問題が
一つ
あると思います。それからもう
一つ
は
施設
。
施設
につきましては、特に欠かせないのが通所
施設
と言われまして、
介護
を必要とされる方がそこに足を運んでいろいろな
サービス
を受ける、これが現状では各
市町村
全部には整っていないという状態でございます。 そこで
一つ
は、その人材の確保についての
総理
の決意、保険あって
介護
なしとならないようにするための最大の問題じゃないかと思います。そして、通所
施設
がある範囲内で最低
一つ
は必ずなきゃいけないということが必要だと思うわけでございますけれども、その点についても
総理
のお
考え
を伺いたいと思います。 そしてもう
一つ
は、法
施行
前、
施行
後を通じてでございますけれども、
介護
施設
というのは
整備
をしていかなければいけないということはもちろんでありますけれども、しかしこれは
高齢者
が四分の一になるとか三分の一になるとかという事態で、すべてこの
介護
施設
で対応していくということはもう事実上不可能であります。
在宅
ということが非常に大事でありまして、自分が育った家でできるのが一番いいわけです。その
地域
で生活できるということがいいわけでございます。 北欧の福祉政策では、
高齢者福祉
は
住宅
に始まり
住宅
に終わると、こういう言葉があります。この間の予算
委員
会でもお話しさせていただきましたけれども、
デンマーク
ではこうした
施設
中心
、プライエムという
特別養護老人ホーム
のようなものを
中心
にやってまいりましたけれども、これが行き詰まりまして、一九八七年に
高齢者住宅法
という
法律
をつくりまして、
高齢者住宅
で非常に
介護サービス
の効率が上がる。先ほどちょっと
厚生大臣
にお話ししましたけれども、
住宅
の
施設
をきちっとしますと
介護
の
費用
が人的な面におきましてもかなり軽減されるということがございます。 そこで、今後の課題としてでございますけれども、やはりこうした
高齢者住宅
みたいなものを
中心
にしていく、そしてソフトな面での福祉
介護サービス
というものと
連携
していくということがないと、長期的に見ますと
高齢者
介護サービス
というのがなかなか十分に得られないのじゃないかと思うわけでございます。その点、
住宅
政策との
連携
でいきますと
建設省
と
厚生省
との
連携
、これが必須の
条件
ではないかと思うわけでございまして、この三つの点についてまずお聞きしたいと思います。
橋本龍太郎
68
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) まず、
介護サービス
の
基盤整備
という点からの御
指摘
をいただいたわけでありますが、私どもといたしましては、新
高齢者
保健福祉推進十カ年戦略に基づいて
在宅
サービス
を基本とする、その
考え方
に基づきまして、まさに今御
指摘
のありました訪問
介護
員を初めとする人材の確保、あるいは日帰り
介護
施設
などの通所
施設
の
整備
など、着実な推進に今日までも
努力
してまいりました。また、これからも
努力
をしていかなければならないと
考え
ております。 その上で、一点私なりに
考え
てみますと、こうした分野の人材を確保していく上で
一つ
は給与体系、これをどう確保するかという問題がございます。そして、それについてのルールを明確にしていかなければなりません。もう
一つ
は、今北欧の例を引かれましたが、海外におきまして私どもいろいろな
施設
を拝見いたしましたり、そうした機会に気づきますことは、例えばボランティアの方々が
一つ
の
施設
に対して十年、二十年
継続
してそこでの活動を行っておられる、結果として非常にその
あり方
が
施設
内部に溶け込んでいる、こういう分野もあわせて
考え
ていく必要があると私は思います。しかし、国としてはまさに議員御
指摘
のようにホームヘルパーなど人材をいかに確保するか、こうした点についての
努力
をいたさなければなりません。 また、
住宅
政策との
連携
を図りながら
介護サービス
の
基盤整備
を進めていくことが重要だという御
指摘
は、私もそのとおりだと思います。そして、かつて世代間同居というものが柱になると
考え
ておりました当時、そうした視点から
建設省
と随分議論をしたこともありますが、そのころは正直そういうものはなかなか実りませんでした。しかし、今日のこの人口構造の変化の中で、まさに
高齢者
世話つき
住宅
とでも申しますか、こうしたものを推進していく必要性は議員の御
指摘
のとおりでありますし、これに合わせて有料老人ホームのほか、
介護
と
居住
を合わせて提供する
サービス形態
、こうしたものにつきましても幅広く
検討
を進めてまいりたいと思います。
上野公成
69
○
上野公成君
ぜひ保険あって
サービス
なしとならないように御
努力
をお願いしたいと思います。 次に、
市町村
長さんが大変な不安を持っておりまして、本当に自分の町や村でこういうことを引き受けていいのだろうか、大丈夫なのだろうか、こういう不安が大変多かったわけでございまして、公述人の方も
参考
人の方でもそういった不安を多く言っておられたわけでございます。 本来でありますと、
市町村
がこういった役割を果たすということは、
デンマーク
のようにきちっと地方分権をやって、
一つ
一つ
の
市町村
の力をそろえて、そして財源も直接税の四割は
市町村
に配分する、こういう
体制
を
デンマーク
の場合一九七〇年につくりまして、その後に
市町村
の方に役割を分担してこの
介護
を任せたわけでありますけれども、
日本
では二〇〇〇年までにそういうことは不可能でありまして、人口が千人に満たないような
市町村
も実際に現実としてはあるわけでございます。財源も十分でなくて、地方分権の基盤も進んでいないという現状ではないかと思うわけです。 そこで、
制度
の発足までに二年数カ月あるわけでございますから、
市町村
の
意見
をよく聞いて、不安のないように、三百もの
政省令
もあるわけですから、そういったところにできるだけ反映していただくと同時に、自分が住んでいる
市町村
によって不公平といいますか、そういうことが決してないようにするということが大変大切なことだと思います。特に、小さなところにつきましては、なかなか自分のところだけではできないということでございますので、広域的な取り組みを積極的に支援していかないと今言ったような二つの不安も解消できないと思うわけでございます。 こういった観点から、
市町村
の
実施
体制
を支援していくということ、それから広域的な取り組みを含めて支援していくということについての
総理
の御決意をお伺いしたいと思います。
橋本龍太郎
70
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 確かに、
財政運営
の安定化、あるいは事務
運営
の効率化といった観点から
考え
た場合におきましても、規模の小さい町村などにおきまして、広域的に
介護保険
行政の
運営
を行っていくことは
一つ
の有効な対応策だと
考え
ておりますが、それ以上に、その
サービス
を受ける方の立場に立ちましても、こうした取り組みは私は非常に有効な結果を生むだろうと思います。 ですから、今後、
市町村
の実情に応じまして、要
介護認定
事務の共同化、あるいは
市町村
間の財政調整を行う
市町村
相互財政安定化事業の活用など、広域化施策が講ぜられるように、
都道府県
に対しても
市町村
間の調整などの支援を行っていただくと同時に、国としても必要な技術的な支援は行ってまいりたいと思います。 こうした広域化の支援あるいは
事務費
の支援などのほかに、
関係
省庁間で十分
連携
を図りながら
市町村
の
実施
体制
づくりを支援していきたい、今そのように
考え
ております。これは事務的な問題だけではなく、
介護サービス
を受ける方の立場になっても必要なことだと私は思います。
上野公成
71
○
上野公成君
そして、三つ目でありますけれども、
高齢者
の中には、資産もないし、それからもちろん
所得
もないし、そして場合によっては
家族
もないという、生活実態から見ても本当に負担の大変な方がおられるわけでございます。 例えば、
認定
されて一番重いところになりますと、一割負担でいいますと三万円近い負担もあるわけです。それから、ふだんの
保険料
の負担、これは二千五百円になるか三千円になるかわかりませんけれども、年金生活者で年金額も非常に少ないという方にとっては
介護保険
の
保険料
の負担も大変ですし、万が一
介護
が必要になったときの自己負担というのも本当に大変なことじゃないかなと思っております。 そこで、こういった方に対する十分な配慮というのが必要だと思うわけでございますけれども、
一つ
の
考え方
として、例えば生活保護の
制度
があります。これは、
介護保険
の方は現金支給はないわけですけれども、生活保護の方は現金支給が原則でありまして、この辺も現金支給をやることによって
住宅
扶助費なんというのがあっても、町営
住宅
に入っていてもなかなかそれに払われないというような現状も多いわけでして、これを現物
サービス
中心
の方に切りかえていく。全部はできないと思いますけれども、生活費のことでありますから、そういったようなことを含めて社会保障
制度
の構造改革を今これからやっていく途中でございますので、そういった中でも、特にこの低
所得
者の負担の問題については十分に
検討
して配慮をしていくべきではないかと思いますけれども、
総理
の御
所見
を伺いたいと思います。
橋本龍太郎
72
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) もう既によく御承知のことでありますけれども、
介護保険
の
保険料
につきましては、第一号被
保険者
については
所得
段階別に定額の
保険料
、第二号被
保険者
につきましては、医療保険の算定方法に沿いまして負担能力に応じた
保険料
とすることによって無理なく負担をしていただけるような工夫、配慮を既にいたしております。 同時に、利用料の負担につきましても、無理のない負担になりますように、
所得
の低い方に対しては高額
介護サービス
費
制度
や食事の標準負担におきまして一般より低い額、こうした配慮を行っているわけであります。 その上で、なおその
保険料
などを負担することが困難な生活保護の対象になる
高齢者
の方々につきましても、当然のことでありますけれども、
介護保険制度
の被
保険者
として位置づけを行いますとともに、
保険料
はその生活扶助によって、また利用料の負担につきましては新たに創設する
介護
扶助によって必要な
給付
を行うことにいたしておりまして、我々なりにそうした御
意見
を十分取り入れてこの案を組み立ててまいった、そのように
考え
ておりますので、どうぞ御理解をいただきたいとお願いを申し上げます。
上野公成
73
○
上野公成君
どうもありがとうございました。 以上で終わります。
水島裕
74
○水島裕君
平成
会の水島でございます。
介護
三法のうち、私はどちらかというと余り
質問
がないんではないかと思われる
医療法
一部改正の方について主としてお尋ねしたいと思いますが、その前に、
介護
法そのものについて一点だけお尋ねいたします。 ただいま
上野議員
からも話がありましたように、問題は、
介護
法導入のときに
基盤整備
がちゃんとできているかどうかということ、皆さんおっしゃっているとおりでございますけれども、今、財政構造改革を進めているところで、本当に大丈夫だろうかと、今、ボランティアという話が出ましたけれども、何かよいお
考え
はあるか、そういうことについてまずお伺いしたいと思います。
橋本龍太郎
75
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
介護保険制度
、全く新たな
制度
でありますから、これを導入し定着させていきます上で
介護サービス
基盤をきちんと
整備
していく、この必要性が当然のことながら前提にあることは我々も十分理解をしておるつもりでございます。 ですから、財政構造改革の集中改革
期間
中におきましても、それぞれの規制の緩和、あるいは民間活力の導入など多様な手法の活用による事業の効率化等を図りながら、新
高齢者
保健福祉推進十カ年戦略の目的が達成できますように引き続き
努力
をしてまいりたいと
考え
ております。 その上で、先ほどボランティアについて何か
考え
があるかという御
指摘
をいただきました。我が国でも既に非常に多数のボランティアのグループがそれぞれの活動を続けていただいております。そして、その中でもごくわずかではありますが、自分たちの目的を設定し、特定の分野あるいは特定の
施設
に特化して
継続
的な
努力
をしていただいているグループがございます。そうしたグループの存在はもう当然ながらよく御承知であります。 先日もカナダに参りまして、本当に感じましたのは、これは私
自身
は時間がありません、家内が見にいかせていただいた小児の専門病院、伺ってみますと、十五年、二十年と
継続
してその
施設
をカバーする、そうしたボランティアのグループがその
施設
に定着をしている。結果としては本当に中に溶け込んで活動をしておられる、非常にうらやましいという気持ちを持って彼女は帰ってまいりました。これは、しかし同時に、ボランティアの方々を受け入れる
施設
側、あるいはそのボランティアの介助を受ける中におられる方々にとりましても非常に安心のできるものではないだろうかと瞬間感じた次第でございます。 今後、そういったものも我が国の中により大きく芽生えていくことを期待いたしますけれども、やはり基本的には、先ほどお答えをいたしましたように、国としてこの分野に人材をいかに確保するか、そうした
努力
も当然ながら払っていくべきものと、そのように思います。
水島裕
76
○水島裕君 それでは、
医療法
の方に入りたいと思います。
総理
もこの分野については大変お詳しいし、また各省庁にまたがりますので、よろしくお願いいたします。
介護
と医療の分担ということが大変大切であると同時に、医療の中での機能分担ということも極めて大切でございます。医療機関の機能分担で、いま
一つ
うまくいっていないことは、大病院が機能を十分に果たしていないのではないか。その中で問題は、かかりつけ医に行った方がよいと思われる人まで大病院に集中してくるということだと思います。 例えば、慶応病院でもいまだに外来は一日五千人来ますし、いろいろな人に聞いてみますと、どうも半分ぐらいは来なくてもいいんじゃないかというような、人によって随分違いますけれども、
意見
がございます。 それではどうしたらいいかと申しますと、やはり大病院に行かなくてもよいのではないかという人、つまり紹介がない人とある人とで自己負担に差をつける、経済的なインセンティブをっけまして、そういう方はかかりつけ医の方に行った方が自己負担が少なくていいというふうにするのが
一つ
の案ではないかと思います。 いずれにしましても、これだけ大病院に集中いたしますと、この
医療法
でうたっているようなことも、インフォームド・コンセントその他も余りうまくいかないということがございますので、そういう
考え
は
一つ
いかがかということ。その場合に大病院の方の患者さんが減りますので、そのことについてはむしろ一点を十幾らにするとか、そういうことについて診療報酬上経済的な考慮をしたらどうか。これは、実はこの間も小泉
厚生大臣
の方にお聞きしまして多少前向きのお答えをいただいているのでございますけれども、
総理
の御
意見
をぜひお伺いしたいと思います。
橋本龍太郎
77
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) これは、本来は患者の方々
自身
が選択をされることでありまして、法的に申すことは大変難しい部分を持っております。また、御自分の近所にいわゆるかかりつけ医という役割を果たしていただける医療機関が存在するかどうかということも現実の問題としてはありましょう。その上で、やはり大病院に外来患者が集中する、これを是正することは医療機関の機能分担の上から非常に重要な課題だと私も思います。 そして、この点に関しまして、与党医療保険
制度
改革
協議
会の抜本改革案及び
厚生省
案は、大病院については入院医療に重点を置く、これによりまして対応しようという
考え方
を出しております。こうした問題は、当然のことながら
国民
的な観点から今後議論をしてまいらなければなりません。 また、今御
指摘
の医療機関の機能に応じた診療報酬の評価、これにつきましては与党医療保険
制度
改革
協議
会、また
厚生省
のそれぞれの案においても提言をされておることでございます。今後、医療保険福祉
審議会
で御
審議
をいただき、その結論を踏まえて取り組んでまいりたいと思います。 私は、
一つ
の視点として評価をいたしますとともに、同一の医療に果たして複数の料金設定が可能なのかという、これは従来から実はこの議論ございました。それだけに、そうした点についての論議というものは十分にいたさなければならないと思いますけれども、大病院への外来集中という現実をも踏まえて積極的に議論をしていくべき課題、そのように思います。
水島裕
78
○水島裕君 入院ばかりでなく外来もやはり専門病院でした方がいいのと両方がございますので、その点も十分御配慮いただきたいと思います。 それから、値段が変わっていいかどうかということですけれども、やはりこれからは選択の自由、責任の所在、アメリカなんかでもそういうふうになっておりますので、ぜひそういうこともお
考え
いただいた方がよろしいんではないかと思います。 それでは次に、大病院、大学病院のもう
一つ
の重要な機能としましては、医療に貢献する医薬品の開発のための臨床試験、治験をどうしてもする必要があるわけでございます。ところが、御存じの新GCPの
施行
後、医療従事者に対する負担が非常に多くなって、そういう人たちが働かなくてはもうきちっとした治験はできないというふうになりましたので、現在、
日本
では大体これまでに比べて五倍ぐらいスピードが遅くなっているわけであります。外国からすごい非難と申しますか、
日本
はどうしてこういう状態になっているんであろうかという
意見
もたくさん寄せられてきております。 私も現在でも、治験調整医師をやっております。昔は責任医者と言っていたわけでございますが、それを二、三やっておりますので、もうこのことは間違いないのでございますが、いろいろこのための解決策はあるんですけれども、
一つ
やればできて重要なことは、治験受託機関、専門的にはCROその他でございますけれども、治験受託機関から治験のときに人を協力してもらう、派遣してもらう。なかなか大病院、大学病院にはそういう人はいないので、いないままやるとどうしてもうまくいかないのです。一方、そういうところではスタッフがいて、派遣してもいいというふうになっておりますが、それが今の現状ではうまくいかない。それだけでもうまくいきますと非常によくなるので、外部からの
体制
づくりということを至急
考え
ていかなくてはならないわけでございます。 私どもの大学で、今この臨床試験の
モデル事業
をやらせていただいておりますけれども、そこにはそういうスタッフをつけておりまして、よそでは治験が全く進まなくなっているのが、私どものところで今やっておりますのは今までの二、三倍ぐらいうまくいっている。もちろん治験はくだらない薬を今までやっていたという問題点がございますから、これからは必ず医療に役に立ちそうな、よくわからないわけでございますが、役立ちそうなものだけをするということはもう我々も心がけなくちゃいけないわけでございますけれども、今みたいなことをひとつ早急に
検討
していただくと、外国から非難されないような、外国から何か言われるからやるというのは私は嫌いでございますけれども、そういう
体制
にできるわけでございます。 その点について、多少専門的なところもございますけれども、
総理
はよくおわかりだと思いますので、よろしくお願いいたします。
橋本龍太郎
79
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) ちょうど私が
厚生大臣
のとき、薬事法の改正に踏み切りましたのは、スモン、キノホルムの問題が非常に深刻な
状況
で、患者の方々との和解を進めていく上で、被害者救済の
仕組み
とともに薬事法を見直さなければならないという当時でございました。 そしてそのころは、むしろいかにして試験を厳重に行うかということと、医薬品というものは、本来人体に異物が入るわけでありますから何らかの反作用というものがあり、それを超えた薬効があるという点に着目をした議論、そのような形態を当時とったことを、今御
質問
を聞きながら思い起こしております。 その上で、改正薬事法によりまして、その治験を受ける方、被治験者に対する文書による説明及びその
同意
の取りつけ義務などを
内容
とするいわゆるGCPが定められたわけでありまして、現在、各医療機関、
関係
団体が
平成
十年四月の全面
施行
に向けて準備を進めておられる、そのように伺っております。 そしてその中に、今、議員が御
指摘
になりましたような、もっと率直に申しますなら、文書による
同意
それからその文書による説明というものがなかなか難しい問題を含んでいるといったような声も伺っております。 この新GCPのもとで臨床試験が円滑に行われますためには、その製薬企業の委託を受けまして治験を
実施
する開発業務受託機関、こうしたものの活用を含めて、医療機関内の治験
実施
体制
の
整備
のために必要な支援策の
検討
を現在進めております。議員の今の御
指摘
も重要なポイントの
一つ
と、そのように思います。
水島裕
80
○水島裕君 インフォームド・コンセントをもちろん今きちんととっておりますけれども、それでもほかのところを改善すれば治験は進むという見本もございます。ただ、このまま放置していたのでは本当にしなくてはならない大切な研究が壊滅状態になると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 今、インフォームド・コンセントという話をしましたけれども、インフォームド・コンセントをちゃんと行うためには、先ほど申しました病院の改革というのがどうしても必要で、数時間待ち数分診療ということではなかなかうまくいかないわけでございます。じっくりとその辺はしなくちゃいけないわけでございますが、このインフォームド・コンセントをすると医療がやりにくくなるとかそういうふうに
考え
る方もおりますけれども、私はむしろ患者さんに知らせて責任を持ってもらうということで、例えば末期医療をどうするか、尊厳死とか、安楽死はちょっとオーバーかもしれませんけれども、そういうこともこれからは可能になってきますし、また新しい医療技術を患者さんと相談して科学の進歩にも結びつけるというふうに前向きにとらえたいと思いますけれども、末期医療、尊厳死ということについて何か御
意見
がございましたらよろしくお願いいたします。
橋本龍太郎
81
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 私はそのインフォームド・コンセントというものを普及し定着させていくことは非常に重要であると思っておりますし、このため今御
審議
を願っております
医療法
の一部を改正する
法律案
におきましても、医療提供に当たっての患者への説明を医師等の
努力
義務として
法律
上位置づけております。 その上で、私
自身
が非常に自分の判断に苦しみましたけれども、臓器移植をめぐる議論というものが
国会
で真剣に行われます中で、私は人の生命あるいは尊厳といった観点から末期医療の
あり方
についても相当な御論議が交わされたと承知をいたしております。そして、
国民
の中にもそうした御論議を通じ、こうした問題を改めて見詰め直す、あるいは論議すべきという空気が生まれてきておりますことが随分過去とは違ってきた、そう思います。しかし、やはりそれでは
一つ
の形が既に定まったかといいますと、まだ残念ながらそこまでは私は
国民
の
考え方
が
一つ
に収束したと言える
状況
ではないと思います。 ですから、私はやはり今御提起がありましたように、患者にできるだけ事実を伝え、その上で患者の協力を求めるという姿勢は医療として極めて大切なものだという前提を置きました上で、末期医療につきましてはなお
国民
の意識を踏まえながらさらに
検討
を進める必要のあることだ、そのように受けとめております。
水島裕
82
○水島裕君 ぜひ
検討
を深めていただきたい、ぜひ医学、医療が好ましい姿になるようによろしくお願いいたします。
今井澄
83
○
今井澄
君 民主党・新緑風会の
今井澄
でございます。
総理
にこの貴重な機会を得て低
所得
者対策についてお尋ねをしたいと思います。 先ほど
上野
理事からも御
質問
があったわけでありますが、社会保障の
考え方
は大分ここのところで変わってきていると思います。かつては一部の貧しい方々に対する施策というふうな
考え方
が主流であったと思いますが、現在は対象者も
国民
あまねくということでありますし、特に老人福祉も一部の貧しい老人の人ということから
所得
、収入等に
関係
なくすべての例えば
介護
を要する
高齢者
ということで今度
介護保険制度
も
考え
られていると思います。 また一方で、確かに
高齢者
を含む
国民
の全般的な経済水準も向上してきていることも間違いありませんし、一方で少子・高齢化が進んでいるということも踏まえますと、負担と
給付
の公平という
考え方
、そういう形から今回の
介護保険制度
でも
高齢者
の方にも
保険料
を納めていただく、利用料も支払っていただくというふうになってきていると思います。 しかし、ここでやはり注意しなければならないのは、そういう
状況
の中でも特に
高齢者
の中には低
所得
の人たちがいる、生活の困窮者がいる。例えば年金の問題ですが、現在成熟してきて、現在被用者として年金をもらう方は二十万円をもう超えるというところまで来ておりますが、しかしまだこの成熟以前の受給者、特にひとり暮らしの高齢女性などは非常に困窮しているという事実があるわけであります。 そこで、まず第一にお尋ねしたいのは、先ほどの
上野
理事の
質問
にお答えになった中にもありますが、今度
介護保険
も
保険料
第一段階という軽減分を設けるというお話、御答弁がありました。これは老齢福祉年金受給者というのが要件なんですね。医療における低
所得
者に対する諸施策も老齢福祉年金受給者というのがまず第一の要件になっている。ところが、これは
制度
発足時にある一定年齢に達していてもう年金を掛けるそれだけの時間もないし掛けてももらえない人を特別に老齢福祉年金受給者としたわけですね。したがって、今ほとんど八十五歳以上なんですね。そうすると、八十五歳未満で老齢福祉年金ではなく例えば
国民
年金を老齢福祉年金相当額以下しかもらっていないというひとり暮らしの女性なんかも数おられるわけです。 そこで私は、これまでの
質疑
の中でも随分申し上げてきたんですが、例えば
保険料
軽減の第一段階を老齢福祉年金受給者ということに限るのではなく、老齢福祉年金受給者相当の、あるいはそれ以下の困窮者というのもこの第一段階に含めて
考え
るべきで、実態に見合った低
所得
者の要件というのを設定すべきではないかと思いますが、
総理
、いかがでしょうか。
橋本龍太郎
84
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 恐らく、これは
厚生省
、
大臣
以下御答弁を申し上げることと重複すると思いますけれども、
介護保険制度
におきまして
保険料
を軽減するその低
所得
者の範囲、これにつきましては、
所得
把握における
公平性
の担保、新たな
所得
把握事務を課さない、こうしたことを勘案しまして、世帯全員が
市町村
民税非課税ということを
基準
としているわけであります。 今、議員が御
指摘
になりましたような御議論、私は全くそれを否定するものではございません。しかし、実際上の問題として、低
所得
者の範囲としてさらに細かい区分、これを設けることは私は大変難しいのではないかと思います。将来、
保険料
負担に係る
所得
の低い方の範囲を変更する、そうした場合におきましても、無理なく御負担をいただくという観点から、これは
制度施行
後の
状況
を見ながらさらに
検討
していくべき課題ではないか、そのように
考え
ているところでございます。
今井澄
85
○
今井澄
君 今、
介護保険法
を
施行
しようという段階にあっては、
市町村
にいろいろな事務負担がかかるということから、確かに老齢福祉年金受給者以外で、例えば
国民
年金をもらっている額がそれ相当かそれ以下という人の
所得
あるいは資産、生活
状況
を調べるということは、新たな事務を課すことになる。したがって、今
市町村
が非常に大きな不安を持っている段階ではすぐにできないというのは私もわかるわけでありますが、今の御答弁の中で、この法の
施行
後、実態に合ったような形を
考え
ていかれるというふうな御答弁と受け取りましたので、これは
介護保険
だけではなく医療保険その他についても、低
所得
者ということについて実態に見合った
方向
で、これまでの定義にこだわらないで政府全体として取り組んでいただければというふうに思います。 そこで、今は
保険料
の問題でありましたけれども、今度は利用料の減免の問題であります。 これも、先ほどの
上野
理事の
質問
に対しまして
総理
の御答弁の中にもありました高額
介護サービス
費
制度
、これはちょうど医療における高額医療費
制度
と同じようなものを設ける、そしてそれも低
所得
者に対してはまた同じ上限、限度額も下げると、食事療養費もそうだという、医療における
考え方
と同じだと思いますが、しかしそこで問題がやっぱりあるんですね。この高額療養費
制度
もそうですが、これは大体入院の患者さんに適用になるわけです。外来の患者さんではそう高額療養費の対象者になることは余りない。
介護
の場合もそうだと思うんです。やっぱりこの高額
介護サービス
費
制度
は、例えば
施設
に入所している、あるいは
在宅
で見ていても非常に重度の場合、過酷な場合、月二十何万、したがって一割負担が二万幾ら、三万円近くになるという人の場合の軽減措置の話だと思います。 ところが、例えばひとり暮らしの女性で
国民
年金を三万ぐらいしかもらっていない人、本来だったら生活保護の対象になるかもしれないような人でも案外生活保護をもらっていない人が現実にはいるんですね。これは、やはり生活保護をもらうことが嫌だということもあったり、あるいはたまたま売ることもできないようなものであっても資産を持っているとか、いろんなことで生活保護の対象にならない。そうすると、自分の家は一応ある、それで家庭菜園もある。それを耕しながら三万前後の年金で細々と食べているという人もいるわけです。そうしますと、こういう方が一番低い要支援のランクに
認定
されて、週二回のホームヘルパーさんの訪問を受けたとしても、月に一割六千円の負担になるわけですね。そうすると、この六千円というのは高額
介護サービス
費
制度
には当然ひっかからない額だと思うんですが、しかしやっぱりこの負担というのは非常に問題になってくる場合があると思うんです。そうすると、高額
介護サービス
費
制度
だけではとても不十分ではないか。 そうすると、
所得
の実態、資産等の実態に合わせて減免をする、場合によっては
市町村
独自に補助をする事業というのもこれはあり得るという
考え方
があるわけですが、そういったことについてどういうふうにお
考え
なのか、御答弁をお願いします。
橋本龍太郎
86
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 今、
所得
の低い方の利用者負担という点からの御
意見
をいただきましたが、既に御承知のように、高額
介護サービス
費あるいは食費におきまして、無理なく負担をいただけるような配慮というものはいたしているわけであります。そして、利用者負担の減免、例えばこれは災害など特別な事情によって一時的に被
保険者
の負担能力が低下した場合に限定をしているわけでありまして、今、議員がお触れになりましたけれども、事務量の増大というものを
考え
ましたとき、この範囲を一般的に
所得
の低い方に拡大するということは現実問題としてできない、私どもは今そう
考え
ております。 将来、
所得
の低い方々に係る利用者負担、これは
所得
の低い方々においても無理なく御負担をいただくという観点から、やはり
制度施行
後の
状況
を見ながらさらに
検討
してまいりたいという御答弁にとどめさせていただきたいと私は思います。
今井澄
87
○
今井澄
君
最後
の方で、これは先ほどとも同じことだと思いますが、現実に
介護保険制度
を
保険者
として担っていただくのは
市町村
だと。その
市町村
長さん方が大変な不安を持っているという段階で、何から何まで
市町村
の責任でやれというふうなことは、円滑なこの
制度
の導入、
施行
という
意味
ではちょっと控えざるを得ない点があることは私も十分理解いたしますが、その先の話としての問題だと思います。 そこで、先ほど御答弁にもありましたが、特別な場合というのは確かに法の中にあるわけですね。その特別な場合を、
衆議院
での御答弁でもそうだったと思いますが、災害等の特別な事情というふうに今も御答弁ありました。しかしこれは、災害等というのは臨時的なということになるわけですが、臨時的な場合でなくても、
市町村
によって特別に配慮を要すると認めた場合は、やはりこれは災害等ということで狭く縛るべきではないと私は思っておりますので、何とか特別な事由というのは災害等のということに必ずしもこだわらなくてもいいというふうに
考え
て、御答弁いただきたいと思うんですが、それはいかがでしょうか。
江利川毅
88
○
政府委員
(
江利
川毅君) ただいまの点については前にも御
質問
があったわけでございますけれども、災害とかあるいは例えば企業が倒産したような場合とか、いわゆる一時的に
所得
がなくなったようなときを想定している規定でございまして、そういう形で
運営
をさせていただきたいというふうに思っております。
今井澄
89
○
今井澄
君 私としては、災害や臨時的なものでない
状況
にも特別ということがあり得るということを強く主張していきたいと思いますが、それはいずれ
施行
後、こういうことにこだわらず
見直し
ていくという先ほどの
総理
の御答弁の中で、将来的に解決されていくことを期待しております。 さて、次にもう一問
質問
をしたいと思います。この
質疑
の中でも大分明らかにな一,てきたことで、特に老人福祉
施設
、特養の
施設
長等からのいろいろな
心配
が出てきた中で、私どもは今、措置
制度
から社会保険
制度
へということで、老人
介護
の問題を新しい
制度
をつくって解決しようとしているわけでありますが、現在の措置
制度
の中での特養などの入所者の中には、本来特養に入った方がいいのかどうか若干疑わしい、要するに住む家がないとか低
所得
者であるとか見る人がいないというふうなことで、必ずしも
介護
を要しないのに入っているような人もいるという現実があるわけです。 そうしますと、ここで
介護保険制度
ですべて見るということになりますと、要支援に達しないような人々は五年間の
経過措置
があるわけですけれども、やはり今の
サービス
を受けられなくなるということになるわけであります。これは、
介護保険制度
から見れば当然それ以外にないわけでありますけれども、そうしますと、
介護保険制度
を導入したことによって、一方でいわゆる一般の老人福祉施策を残しておくというか、それを一層充実しないと、生きがい対策や何かも含めて大変なことになると思います。 これまでの
厚生省
の
政府委員
の答弁では、
市町村
がそういう一般施策はやっていくでしょうと、それを支援しますという程度の、ちょっとどちらかというと軽い答弁だったと思うんです。しかし国としては、医療は医療、そこからまた
介護
部分を今度抜き出す、措置
制度
から
介護
を抜き出すと同時に、そこに残っていく老人の一般福祉施策についても、十分国として責任を持って今後充実するということも忘れないでいただきたいと思うんですが、その辺についてのお
考え
をお述べいただきたいと思います。
橋本龍太郎
90
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 今、
厚生省
の諸君が軽い答弁というふうに仰せられたんですが、私はその言い方がどういう言い方であったかわかりませんけれども、やはりその
市町村
の実情に応じて、それぞれの
地域
において展開されるそうした自主的な取り組みを支援していくという
意味
では、私も同じ答弁を申し上げることになるのかもしれません。 なぜなら、私は
介護保険制度
が導入されました後におきましても、健康あるいは生きがいづくり、さらにはその
地域
の産業構造によりまして可能な場所、難しい場所があると思いますけれども、みずから仕事を持って自力で動いていく、それを支援する、いわば
介護保険
の
給付
とは全く異なった保健
福祉サービス
というものは存在すると思うんです。そして、そうした
サービス
がまた展開されることによって、
高齢者
の保健福祉の向上というものは図られるものだと、そのように思います。 しかし同時に、これらの施策は
地域
性を持ちます。それだけに、私はこれは保健、医療、福祉、どの分野においても同様のことが言えるわけでありますけれども、そうしたその
地域
に応じて形づくられるであろうこうした分野に対し、やはり
市町村
がみずから展開していかれるものを国としても支援していくという、言葉としては同じような言葉になると思うんです。 ただ、それは逆にそうした必要性を否定するのではありません。むしろそうした
サービス
というものはこれから一層必要になる、そしてそれはむしろ
地域
に根づいたものでなければならない。その根づいたものを国として支援する、私は多分そういう
意味
で
厚生省
の諸君も御答弁を申し上げたと思いますし、国としてそのような姿勢でまいりたいと思います。
今井澄
91
○
今井澄
君 時間が来ましたので、もう一言だけ申し上げますが、まさにこの低
所得
者に対する対策というのは、憲法第二十五条の精神に基づいて、これは国がやっぱり責任を持つべきではないかと私は
考え
ますので、それだけ申し上げて終わります。
清水澄子
92
○清水澄子君 社会民主党の清水澄子でございます。
総理
は厚生行政とのかかわりというのも非常に深く、また社会保障
関係
には深い見識をお持ちであるというふうに伺っておりますので、きょうは積極的な御答弁がいただけるものと期待して
質問
をさせていただきます。 先週は東京都から
厚生省
に、そして先々週には全国八十一の市長が
山本
厚生
委員長
あてに、
介護サービス
の供給が不足している現状で
介護保険制度
が
施行
されれば、
地域
に混乱をもたらすとの趣旨の要請がなされました。この本
委員
会でも六十時間を超える
審議
を行ったわけですけれども、与野党を問わず、現在の
介護基盤
の
整備
がおくれている、そしてそれは非常に、もっと急いで基盤の
整備
のために政策的な
努力
をしなければならないということが繰り返し強調をされました。 そこで、
総理
にお伺いをしたいのですが、今般の財政構造改革法の中で社会保障費の削減が最も具体的に出されておったわけです。これから超高齢化社会を迎えるに当たっての福祉や社会保障に対して、国はどのような責任を果たしていくべきとお
考え
なのでしょうか。その点について
総理
の明確な御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
橋本龍太郎
93
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 言うまでもなく、社会保障
制度
というものが将来にわたり
国民
の暮らしの中におけるセーフティーネットワークとして存在し続けること、我々はこれを何としても確保しなければなりません。そして、そのためには、この少子・高齢化という
状況
の中におきまして安定した
制度
をいかにつくり上げていくかということに非常に大きな問題があります。 少子・高齢化の進展に伴う負担の増大が見込まれます中で、経済の発展や社会の活力を損なわないように
給付
と負担の均衡を図ると同時に、利用者の選択の拡大あるいは民間事業者の参入、導入というものも含めて、いかに
制度
を効率化し合理化するか、こうしたことを今我々は
考え
ていかなければなりません。 現在、御
審議
中の
介護保険
もその
一つ
でありますけれども、これから我々は医療あるいは年金等、それぞれの
制度
改革を順次進めていかなければならないわけでありますが、これが崩壊しないようにしていく。そしてその場合に、
所得
の低い方など社会的な弱者と言われる方々に対して過重の負担にならないように細やかな配慮を行っていく必要がある。一方で、その必要な
給付
や
サービス
を確実に保障して
国民
から信頼をしていただける、そうした
仕組み
づくりを我々はしなければならない。 我々は、今後ともに、
国民
の暮らしにおけるセーブティーネットワークとしての社会保障の重要性というものが維持できる
体制
を全力を挙げて築いていかなければならないと
考え
ております。
清水澄子
94
○清水澄子君 今回の
介護保険制度
によって
介護
が社会化されるということは、非常に大きな
意味
があると私は思います。ですから、これからの
国民
生活にこの
制度
は非常に大きな影響をもたらすものと
考え
ております。それは、
家族
の
あり方
とか
地域
の
あり方
とか、また
高齢者
自身
の自立した生き方とか尊厳とか、非常に私たち人間社会の構造そのものに対してこれから影響してくると思いますが、とりわけ私は女性の地位の向上と社会進出に与えるインパクトは非常に大きいものがあると思うんです。 しかし、先ほど
今井
議員もおっしゃっておられた、今現実に後期高齢にある女性は年金も持たない低
所得
者という層に入るんですが、その部分はこれまでも御
質問
いたしましたので、ここでは、これまで
介護者
と言う場合はそれは女性の代名詞でありました。そして、嫁の評価でも、
介護
をする嫁はよい嫁だというふうな評価をされてきて、女性はこれまでも非常に精神的にも肉体的にも大きな負担を一身に背負っていたわけで、そのために自分の職業とか生き方を変えなければならないという
状況
がありましたけれども、これを変えていく道がこの
制度
で開かれていくという点で私は評価をしたいと思います。 しかし、そのためにはそれをやっぱり完全なものにしなきゃいけないという面があるんですが、しかし一方ではヘルパーとか看護とか、福祉労働人口としての女性労働への期待というのが非常に大きく高まっておりまして、その場合また再び女性は身分の保障なき低賃金労働力として扱われる
心配
がございます。 そこで、私が
総理
にお伺いしたいのは、少子・高齢社会において男女共同参画社会を実現していくことの意義と評価についてどのような御見解をお持ちなのかということです。よろしくお願いいたします。
橋本龍太郎
95
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) こういう申し上げ方をすると多少おしかりを受けるかもしれませんが、私どもは例えば本年五月に政府として決定をいたしました経済構造の変革と創造のための行動計画の中におきまして、新たに成長を期待できる分野として医療・福祉関連分野というものを挙げておりまして、技術開発の推進や人材育成、規制緩和などについての総合的な施策の推進を図ることといたしております。そして、ここに係る部分は女性だけを指し、女性だけを規定しようとするものでないことは十分御理解をいただいておると思うのであります。 そして、まさにホームヘルパー等
介護サービス
の担い手となる人材を確保する、これは性別の問題ではなく、むしろそれだけの熱意と技能を持つ人材をいかに確保するか。そういう視点から、我々にとっては極めてこれは大きな課題でありますけれども、当然ながらそれを職業として
考え
ました場合におきましても、その中で女性の占める地位というものが、あるいは役割というものが非常に大きいことは当然想定をされますし、また期待をされるところでもあると思います。 これは議員に御承知おきをいただいておるかどうかはわかりませんけれども、私はよく今までも人事院に対して福祉職の給与表をつくってほしいということを言い続けてまいりました。それは、往々にして我が国においてこの
介護
ばかりではなくさまざまな福祉の分野において働く方々に善意が期待され、それはその個々の方の犠牲の上に成り立つ善意を期待されている、業として安定しないという問題点を持っていたからであります。 そして、医療職の給与表をある場合は参照にいたしましたり、いろいろな形でこれの対応を工夫してまいりましたが、なかなかうまくこれが組み立てられませんでした。それには、それぞれの福祉の分野の方々が、自分こそ一番その大変な部分を担っているという、その自負心と裏返しの感情的な論議というものがなかなか給与表をつくらせなかったという面もなかったわけではありません。しかし、私はやはりそうしたものがきちんと位置づけられることによって正当な業としての評価を得られるようにすることが、この分野に働いていただく男性であれ女性であれ、私は基本的な部分として確保されなければならないことだと思っております。 それだけに、今御
指摘
をいただきましたような観点も当然踏まえながら、
介護
を初めとする福祉の分野に関心を持っていただいている方々に対する研修の機会を確保することとか、あるいは個々の就労
希望
者の事情に応じた多様な就労形態というものも
考え
ていく必要があろうと思います。また同時に、民間事業者の参入といった中においてどのような形がとれるものか、そうした視点の中から人材の確保を募ってまいりたい。 そして、それは同時に、議員のお言葉をそのまま拝借いたしますならば、男女共同参画型社会というものを形成していく上でも非常に大きな役割を担うものだと、そのように思います。
清水澄子
96
○清水澄子君 ぜひ、正当な業の評価を得られるような、そういう政策を私は強力に推進していただきたいということを
要望
して、次の
質問
に移ります。 豊かな福祉社会の構築は、福祉マンパワーの
雇用
確保やそれから福祉インフラの
整備
など、経済的な面でも
日本
の経済社会を根底で支えていくことになると思うわけです。
所得
の再分配によって
高齢者
や障害者の
所得
を保障し、そして社会的弱者の自立を支援しようとするこれからの福祉の
あり方
といいますか、これは今まで言われてきたような福祉とかこういう問題は経済のお荷物という
考え
ではないと思います。
日本
の社会と経済を支えていく、そういう福祉であるし、また
日本
の経済にとっても大いにこれからのソフト面における内需の拡大でもあり
雇用
の拡大でもあり、そういう面でこれは非常に重要な政策だと思いますが、
総理
はどのように御認識をしていらっしゃいますでしょうか。
橋本龍太郎
97
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 今、男女共同参画という視点からちょうだいをいたしました御
質問
の中でも申しましたように、私たちは今後我が国の新規成長分野の
一つ
として、医療・福祉関連分野というものを産業構造の上からも極めて大きな役割を果たすものとしてとらえております。 そうした視点を持つ理由、それはまさに
所得
保障あるいは各種の
サービス
の提供、こうしたものを行います社会保障
制度
というものは、これを受ける、
サービス
を受ける
国民
にとりましてもそこで安定した購買力というものを構成いたします。また、違った角度からこれを見ましたときには、新たな産業であり新たな
雇用
の分野を創出することになります。 私は、そうしたものが相まって当然のことながら経済の発展に寄与する、そうとらえておりますし、そうした
意味
での積極的な役割があることを全く否定しておりません。むしろ、こうした分野がまさに全体との整合性を持った形で推進されていくことは、議員が御
指摘
になりましたような経済の発展という視点もあわせて、活力のある、安心して
国民
が暮らせる社会を築いていく上でも役割を果たしていくものと、そのように思います。
清水澄子
98
○清水澄子君
最後
の
質問
ですけれども、
介護基盤
整備
のためにはやはり補正予算を編成しなきゃならないんじゃないかと私は
考え
ます。特に、
介護保険
の
制度
化によって、先ほども
厚生大臣
に御
質問
申し上げたんですけれども、老人福祉
施設
関係
で三千七百億円のこれまで使っていた
国費
が浮くわけです。そして、さらに
社会的入院
という
費用
に使われていた千三百億円、つまり合計五千億円というものがこの
介護保険
が導入されることによって財源が浮く。それをぜひ私は、本当に前倒ししてでも新ゴールドプランの
早期
達成に使っていくべきではないか、そして
介護保険
によって需要が顕在化するこの
基盤整備
について、もっと積極的にこの
整備
を急いでいくということが非常に必要じゃないかと思います。 そしてまた、今、政管健保国庫負担繰り延べ金も八千億円あるわけですが、これは小泉
厚生大臣
も三塚大蔵
大臣
に早く返してくれと申し入れておられると伺っているんですけれども、私は、こういう財政的な面の裏づけがないと、今までお答えいただいたことが、この
介護保険
の
制度
がきょう成立するとしても、それが本当に保険あって
介護
なしということを絶対にやらせないという、それへの強い姿勢を示すことになると思いますので、ぜひ
総理
大臣
も大蔵省に対して今のこの
国民
健康保険の財政については
早期
返済を命じていただきたいし、そしてぜひ積極的に予算編成においてのリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、
最後
に一言御決意をお願いしたいと思います。
橋本龍太郎
99
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) これはもう申し上げるまでもなくよく御承知のことでありますけれども、新
高齢者
保健福祉推進十カ年戦略、これは各
市町村
が
地域
の実情に応じて掲げました
サービス
目標を全国的に積み上げてきたものであります。言いかえれば、これが確実に達成されること、これが
介護保険
サービス
の基盤をなす非常に重要なものであると私どもも
考え
ておりますし、当然のことながらこれが確実に達成されるよう
最大限
努力
をしてまいりたい、そのように思っております。 また、これで
介護保険
を導入いたしました場合、当然ながらそれによる財政の影響というものはあるわけでありまして、こうしたものも踏まえながら、
市町村
が
介護保険
事業計画などにおいて定めてまいります新たな
介護サービス
の目標に向けて必要な支援を行ってまいりたい、そのように思います。
西山登紀子
100
○
西山登紀子
君
日本
共産党の
西山登紀子
でございます。 私たちは、公的
介護保障
制度
として、社会保険方式と措置方式の組み合わせをずっと主張してまいりました。今回の
法案
には重大な欠陥があるということで、きょう採決をして見切り発車をするということについては反対の立場でございます。 そこで、まず第一に
総理
にお伺いしたいわけですけれども、この間の当
委員
会での
審議
、
中央公聴会
、
地方公聴会
、
参考
人
質疑
などでも、賛成の御
意見
もあったことはあったんですが、しかしやはり賛成された方の中にもたくさんのいろんな御
意見
がついているわけですね。さらに、強い不安とか批判もるる明らかになってまいりました。また、最近の主要全国紙には、「いまだ「欠陥」
介護
法案
」だとかあるいは「特養ホームの憂うつ 入所者選別の恐れも」といったような見出しが躍ると、こういうふうな世論の動向でございます。 そこで、さらに私が大変これは重要だなと思いましたのは、先ほども御紹介がありましたけれども、
自治体
の市長さんたち有志八十七人が直接
委員長
を初め、私たち各厚生
委員
のところにも陳情に来られたわけです。直接市長さんが名刺を持って数人私の部屋にも来られたわけですね。これはやはり異例のことではないでしょうか。その中身、もちろん
総理
は御存じだと思いますけれども、少し紹介をさせていただきたいと思います。 この「お願い」という形の陳情の文書の中には、「現在
国会
で
審議
されている
介護保険法案
については、重大な問題を含んでおり、現行のまま
施行
された場合には、
地域
に混乱と不信をもたらすものと懸念いたしております。」というふうに述べているわけです。
地域
に混乱と不信をもたらすと、現職の市長さんたちがこれほどに憂慮されているということは非常に重大なことではないでしょうか。 そして、その中身も、
介護サービス
供給
体制
が不足している現状では現場で混乱が生じるというようなこと、あるいは
介護認定
によって
特別養護老人ホーム
で退所を余儀なくされる、その場合の受け皿となる
施設
サービス
も必要となる、
市町村
の超過負担の問題や要
介護認定
が公平に行われるだろうか、あるいは事務処理について莫大な予算が生じてくる、こういうような点について抜本的な改革が必要だという立場を述べた上で、
国民
的論議が深まり、現場での
体制
整備
の見通しがっくまで、慎重に御
審議
いただきたいというような
要望
なんです。
保険者
として
自治体
の市長さんたちが大変憂慮されているという、こういう声を
総理
はどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
橋本龍太郎
101
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
介護保険
という
仕組み
そのものが全く新たな
制度
でありますから、公聴会等におきましても、必要性を認める、そうした御
意見
がある一方において、
基盤整備
を初めさまざまな課題を
指摘
される声があったと、そのようなことは私も伺っております。同時に、現在の少子・高齢化社会の中で、
家族
による
介護
というものが既に限界に達しつつある、そうした
状況
の中で、多くの
国民
は
制度
の創設を期待しておられる。こうしたことを
考え
ますと、私は
早期
に
制度
を創設する必要はあると、今もそう
考え
ております。 現行の
制度
、これは利用者負担の不均衡などによる
介護サービス
の利用しにくさあるいは
社会的入院
などの問題があるわけでありまして、公的
介護保険制度
は現在の老人福祉と老人医療を抜本的に再編成をする、そして総合的、一体的に
介護サービス
が提供できる
仕組み
をつくろうとするものでありまして、私はぜひとも必要だと
考え
ております。
西山登紀子
102
○
西山登紀子
君 日経新聞が行ったアンケートでも、早急に実現すべきというのはわずか八・三%であるわけです。私が
総理
にお伺いしましたのは、市長の有志の皆さんが陳情に来られて、このまま
実施
されたら
地域
に混乱と不信が起こると、そこまで
心配
していらっしゃる、その
心配
に対して
総理
がどのように受けとめるかということでお聞きをしたわけですけれども、次の
質問
に移らせていただきます力
審議
を通じまして、やはり
基盤整備
が非常に不十分だということが明らかになってまいりました。
一つ
の例ではありますが、私たちが直接
都道府県
の担当者に
特別養護老人ホーム
の待機者数を
確認
いたしましたところ、九月現在で九万八千三百十七人という待機者数でございます。これは、一年半の間に二万人以上待機者がふえていることになります。二十九万人という新ゴールドプランの目標を達成いたしましても四万人不足する、待機者が加速をし、また新ゴールドプランとのずれが倍加している、こういう実態が明らかになってまいりました。 また一方、
在宅
サービス
の方はどうかといいますと、登録ヘルパーの常勤ヘルパーの伸びが抑えられる一方で、実は非常勤の登録ヘルパーというのが急増しております。寝たきりなどの重度の身体
介護
、こういうことに十分対応できないような大変
心配
される事態が起こっているわけであります。 背景には、やはりヘルパー一人当たりの国庫補助六十万という余りにも低い額がありまして、
自治体
の持ち出しがないと十分なマンパワーが確保できないという事情があるわけですね。その中で新ゴールドプランの目標値は、早くこの数はふやさなければならないというところから、非常に身分的にも不安定なこの登録ヘルパーが急増しています。 私の地元は京都ですが、非常勤の登録ヘルパーの
割合
は八割です。常勤は二割です。東京都なんというのは登録ヘルパーが二十九に対して常勤は一、二十九対一という比率になっているわけであります。特養老人ホームにいたしましても、また
在宅
のヘルプ
サービス
にいたしましても、
状況
は今こういう実態です。ということは、やはり保険あって
介護
なしという不安が現実のものになるということは目に見えているんじゃないかと思います。 そこで、
総理
にお伺いいたしますが、そもそも新ゴールドプランの目標が低過ぎると思います。ですから、予算をうんとふやして、おくれた
基盤整備
を早急に進めるべきだという点について、お伺いをいたします。
橋本龍太郎
103
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 新ゴールドプラン、いわゆる新
高齢者
保健福祉推進十カ年戦略、これは、繰り返し私も今御答弁を申し上げてまいりましたように、全国の
地方自治体
が
地域
の
サービス
の必要量を踏まえて
策定
してこられた老人保健福祉計画を集大成したものであります。ですから、まずこの確実な推進を我々は図ってまいろうといたしております。また、図ってまいらなければなりません。 財政構造改革の集中改革
期間
中におきましても、私たちは、各種規制の緩和や民間活力の導入など多様な手法を活用しつつ、事業の効率化を図りながら、新ゴールドプランの目的が達成できますように、引き続き
努力
をしてまいります。
西山登紀子
104
○
西山登紀子
君 実は、全国市長会の社会文教部というところが
意見
を出しているんですが、その
意見
の第一は、
介護サービス
基盤の
整備
について、国の回答や明年度の概算要求においては、
介護保険制度
の導入時において新ゴールドプランの達成を目指すものとなっており、このような
状況
のまま
介護保険制度
を導入したら
介護サービス
供給
体制
が不足し現場で混乱を生ずることが懸念されるというふうに述べていらっしゃるわけですね。だから、やっぱり
見直し
をして、
基盤整備
の拡大が必要だということを全国市長会が言っていらっしゃる。時間がないので先に急ぎます。 次ですが、
保険料
、利用料が高過ぎて
制度
から排除されるという人々が多数生まれる
心配
が出てまいりました。 特養ホームに現在入所されている方の七割が
保険料
、利用料を払えないという実態が
中央公聴会
で川崎市にある緑陽苑の例で紹介されました。また、
参考
人
質疑
の中では、甲府の特養ホームでもやはり七割の方々が払えないという
状況
が出てまいりました。ホームヘルプ
サービス
でも、これは名古屋の公述人の方からですけれども、月額三万三千五百円の年金暮らしのお年寄りは、この
法案
が通りますと三倍以上に
介護費用
がはね上がって、生活費の半分が
介護費用
となって生活ができない、こういう声が出ていることが紹介をされましたが、
総理
はこういう
状況
をどのように解決をされるおつもりでしょうか。
橋本龍太郎
105
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 今の御
質問
の趣旨がもう
一つ
はっきりいたしませんけれども、それを
保険料
未納ととらえさせていただくとしますなら……
西山登紀子
106
○
西山登紀子
君 利用料です。
橋本龍太郎
107
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 利用料というところからでありますならば、無理のない負担になるようにということで、先ほど来も何回か申し上げましたように、高額
介護サービス
費
制度
の中において
所得
の低い方により一段低い限度額を設定し負担を頭打ちにすること、あるいは食費の標準負担について低い額を設定することなどの配慮を行っているわけであります。 また、
施行
時に
特別養護老人ホーム
に入所しておられる方でありましたなら、利用料の急激な負担増を避ける観点から、
施行
後五年に限りまして、その方の
所得水準
に応じてその利用者負担の緩和措置等を講ずることといたしておることは既に御承知の
状況
でございます。
西山登紀子
108
○
西山登紀子
君
総理
、そうおっしゃいますけれども、月額三万三千円の年金で暮らしていらっしゃる今御紹介しましたお年寄りは、生活費の半分が
介護費用
になってしまうんですよね。そして、このお年寄りは、ヘルパーが有料になったらもう断るしかない、もう早く死にたい、こういうふうに言っているということが名古屋の
地方公聴会
で紹介をされました。最も
介護
を必要とする人たちが
介護サービス
の外に追いやられてしまうこの
介護保険法案
というのは、やっぱり重大な欠陥を持っているんではないでしょうか。
最後
の
質問
ですけれども、近年、
国民
健康
保険料
が引き上がりまして、払いたくても払えない、いわゆる滞納者は激増しております。
厚生省
も初めて
数字
を明らかにされましたが、現在二百九十六万世帯に上っております。今後、これに
介護保険
料が加わりますとさらに未納者がふえてまいります。払えない方は医療からも
介護
からも排除されるということになるわけですが、
総理
はこういう事態をなくすためにどのように対処されるでしょうか。
橋本龍太郎
109
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
介護保険
というものが社会全体の連帯によって
介護
を支えようとするものであることは申し上げるまでもないことでありまして、
介護
というものはいずれだれもが直面をする問題でありますから、
制度
の趣旨や
内容
を十分御説明し御理解をいただくことによってこの
制度
というものは成り立っていくと思います。 そして、
制度
的にも、被
保険者
に無理なく
保険料
を負担していただけますように、
所得
段階別の定額
保険料
、二分の一の
公費
の組み合わせ、高齢看の
保険料
についての年金天引きなどの
仕組み
を設けておりますことから、未納の
割合
というものが大きくなることはないと
考え
ているという報告を受けているわけでありますから、仮に未納が発生をいたしました場合にも、
制度
運営
に支障が生じることのないように
都道府県
に設置される財政安定化基金によって支援されることになっております。
釘宮磐
110
○釘宮磐君 きょうは、
総理
をお迎えして
最後
の
質疑
を行っているわけでありますが、今までの議論にもありましたように、今回のこの
介護保険制度
の導入というものについては、
国民
は大変大きな期待と一方では不安を抱えておる。そのことがこの
委員
会
審議
の中でも今まで数々
指摘
をされてきたところであります。この
制度
が二十一世紀の超高齢化社会の中で本当に
国民
の
介護
ニーズをきっちりと受け取るそういう受け皿にしていくために、ぜひこれまでの議論を踏まえてよりよい
制度
をつくっていただくように私からも
総理
にまずお願いをしておきたいと思います。 そこで、数点、
総理
にお伺いをしたいと思うんです。今回の
介護保険制度
の加齢疾病条項というものが導入されたために、いわゆる難病患者を初めとする障害者に対する
介護
というものが除外をされたわけでありますが、実はALSを初めとする難病患者の皆さんが非常に切実な
要望
を我々に求めてまいりました。私はこの難病患者の皆さん方の気持ちというのは本当によくわかるわけでありまして、これはようやく障害者プランのスタートによってこういう難病患者に対する福祉施策の道が開かれたばかりであって、その緒についたばかりである。したがって、今回のこの
介護サービス
の中から除外されたということになれば、私はこれから難病患者に対する
介護
・
福祉サービス
の
整備
拡充ということは喫緊の課題であろうというふうに思っております。
総理
はそれこそ厚生行政の今日まで中核におられた方でありますので、この難病患者の皆さん方の思いを重く受けとめて今後の福祉
制度
の拡充に対して
努力
をしていただきたいと思いますが、決意をお伺いしたいと思います。
橋本龍太郎
111
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 今、議員の御
指摘
を受けながら、改めて
数字
も
見直し
ながら御
意見
を承っておりました。 難病対策というものが
制度
として発足をいたしましてからいつの間にか四半世紀を過ぎようとしているわけであります。そしてこの間、医学、医療の進歩など、患者を取り巻く環境というものが随分変化をしてまいりました。こうした変化を踏まえまして、重症患者に重点を置いて難病対策を質的に充実していかなければならない。そのためにも医療費の
公費
負担
制度
を含めて、
制度
全般について今
厚生省
は
見直し
を行っております。 この
見直し
の中で私どもが気をつけていかなければならないこと、それは特に重症者に対する拠点病院をいかに
整備
し確保するか。同時に、
在宅
の療養支援
体制
をどうするか。当然のことながら、こうしたものに対する強化を図っていかなければならない。私どもとしてはこの問題をそのように受けとめている次第であります。
釘宮磐
112
○釘宮磐君 よろしくお願いしたいと思います。 次に移りますが、今回の
審議
の中でもたびたび
指摘
をされた問題でありますが、保険あって
サービス
なしと、これをいかに解消していくかということが大きな課題になるわけです。とりわけ私は、過疎
地域
そして離島、こういうところにお住まいの人たちが本当に都市部の皆さんと同じような
介護サービス
、とりわけ
在宅
サービス
というのが今回は企業の参入によってその勢力に大きくゆだねる部分があるわけですが、こういうところにはなかなか企業参入も難しいんだろうというふうに思うわけです。 こうした過疎
地域
や離島に対する
サービス
提供についての
基盤整備
、この点については
総理
はどういうふうにお
考え
になっているか、お伺いしたいと思います。
橋本龍太郎
113
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
介護サービス
の
基盤整備
の必要性は議員から御
指摘
をいただくとおりでありますし、その中におきまして、私は必ずしも離島あるいは過疎
地域
において民間
サービス
が活用できないとばかりは思っておりません。むしろ、そうした点に視点を置いた民間
サービス
というものもあり得るだろうと
考え
ている部分はございます。 しかし、そうしたこととは離れまして、まさにその
地域
の特性に応じた対策が講じられますように、例えば小中学校の空き教室など、これを既存の資源ととらえて、こうしたものを活用していくこと、あるいはそうした
地域
にも恐らく存在するであろう農業協同組合などの組織、これを民間活力としてとらえて、これを導入していく、いろんな手法というものを我々はこれから
考え
なければならないと思います。 そうした多様な手法を活用することも含めて積極的に支援をしていきたいと今
考え
ておりまして、ぜひまたよきアイデアがありますならお知らせをいただきたい、協力をいただきたい、率直にお願いを申し上げます。
釘宮磐
114
○釘宮磐君 これから積極的なアイデアを凝らしながら、そういった不安を除去していこうという
総理
の前向きな御答弁をいただいたわけでありますが、確かに過疎
地域
や離島というのは高齢化率が高いところは四〇%というような
状況
になって、本当に若い人がいないわけですね。そういうところであればこそ、
介護保険
が導入された、その
制度
が導入をされたけれども、それによって本当に
サービス
が提供できるんだろうかという不安があるということ、これはぜひ理解をしておいていただいて、とりわけ配慮をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。 次に、
介護保険
の財源の問題についてお伺いをしたいと思うんです。
介護保険
の導入に伴って財源に対する不安というのは、これは保険主体となる
市町村
からも強く
指摘
をされてきたところであります。一部の
自治体
ではこうした不安から、
介護サービス
の需要の掘り起こしをしないようにという指導をしたり、
介護サービス
の抑制を図るというようなところも出てきていると漏れ聞いております。これは先行する医療保険において、国家財政が非常に厳しい中で診療報酬改定財源が捻出できずに
制度
改正を積み重ねてきた現状があるわけです。こうした中で、今回の
介護保険
が社会保険方式を導入したからといって本当に十分な
介護サービス
を提供することができるのかどうかというような不安が
指摘
されております。 厳しい財政
状況
が中長期的に予想される中で、このままではせっかくの
公費
投入がかえって
介護保険
の足かせとなりかねないというふうに
心配
するわけでありますが、安定した
公費
財源を今後どう確保していくのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
橋本龍太郎
115
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) もうよく御承知のとおりのことでありますけれども、現在の老人
福祉サービス
、これは
公費
のみで財源が賄われております。しかし、これを半分
保険料
財源にする、同時に、その要
介護
度に応じた定額的な支払いがその基本である、さらに民間活力の活用などによりまして
介護サービス
費用
の効率化が図られる、こうした
仕組み
が今回の
制度
の
一つ
の特色かもしれません。 こうした点を
考え
ました場合、現行の
制度
に比べまして
公費
財源の効率化にも当然のことながら資すると
考え
ておりまして、安定的な
制度
運営
が十分可能だと
考え
ておりますけれども、今後ともにそうした
意味
で必要な財源確保というものにも努めていきたい、そのように思います。
釘宮磐
116
○釘宮磐君 次に、
介護保険制度
における具体的な
サービス
水準についてお伺いをしたいと思います。 今回の
介護保険
の導入ということについて
国民
は、先ほども申し上げましたように、一方では大きな期待を持っている。期待を持っているがゆえに、保険に加入すれば即
介護
ニーズにすべて対応してもらえるのではないかという思いも、私はこれ当然の思いの中にあるんだろうと思います。 私は、今回の
審議
の中で、まずこの
介護保険
の
サービス
水準を早く明示すべきだと。というのは、上乗せだとか横出したとかというような、民間
サービス
のオプションがつくというようなことが今回の答弁の中でも入っていますけれども、そのベースとなるものをはっきり示さないと、実際に保険がいよいよ
施行
されるようになった、
制度
が
施行
されるようになったときに、何だこんな
状況
なのか、これではもう入ったってしょうがないということで、
保険料
を納入することをやめる、保険から脱退するというようなことが出てきて、保険の空洞化ということにつながっていってはこれは大変なことになるんだろうというふうに思います。 したがって、できるだけ早く
介護保険
による
サービス
水準を明示すべきだというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。
橋本龍太郎
117
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) これは本当に大事な点だと思います。そして、もう既に御承知のように、
介護保険制度
の中におきまして、巡回型の訪問看護などを組み合わせることによりまして、二十四時間対応を含めた、あるいは視野に入れた
在宅
サービス
水準というものを目指すことにしておりますが、
地域
の実情に応じて段階的にその水準は引き上げられていきます。 その
介護
の必要度に応じて利用できる
介護サービス
の具体的な
内容
というものは、標準的な利用事例をパンフレットなどでお示ししているところでありますけれども、なおその周知徹底を図れという点は、当然事務方の諸君も十分
検討
し、
都道府県
あるいは
市町村
とも御相談をしながら、
制度
の
実施
に向けて、
地域
の実情に応じて段階的に
サービス
水準を引き上げていく、こうした点についても正しい理解をいただけるように
努力
をしてまいりたいと思います。
釘宮磐
118
○釘宮磐君 我々が、例えば民間の保険会社と契約する、保険に加入する場合は、当然どういうものが
サービス
として出てくるかということは、それは明示された上で契約を結ぶわけですから、ある
意味
では当然のことだと思いますし、できるだけ早くそうした
サービス
水準を明示すべきだというふうに思います。
最後
に、今回の
介護保険
の導入によって、福祉
関係者
が非常に大きな不安を持っております。私も、長年
施設
の責任者として仕事をしてきた
関係
で、これは
総理
もその点は十分御承知だと思いますが、社会福祉
施設
というのは、従来措置費
制度
というもので運用されてきました。したがって、措置費
制度
というのは、これは
公費
がきて委託を受けるわけですから、その使途についてはかなりの制限があった。いわゆる規制が非常にあったわけであります。しかし、今回、
介護保険制度
が導入されることによって、いわゆる
医療法
人やさらには民間の企業、こういうところと同じ土俵で競争をしていかなきゃならない。 一方で、そういう手かせ足かせをされた中でこういう競争の中に突入していくことについて福祉
関係者
に大きな不安があるということをまず申し上げておきたいと思います。私は、これは小泉
大臣
にもしばしばこの問題については申し上げてきたところでありますが、特に今回、競争原理ということが強く言われているところでありますから、この社会福祉法人に対する規制緩和について、
最後
に
総理
の見解を聞かせていただいて私の
質問
を終わりたいと思います。
橋本龍太郎
119
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
介護サービス
というものがスタートいたしました段階では、恐らく多様な主体の参入が見込まれるでありましょう。そうした中で、確かに議員が言われるように公平な競争というものは存在しなければなりません。この
制度
の
実施
までに各種の規制緩和あるいは競争的環境の
整備
を
検討
しなければなりませんが、社会福祉法人につきましても、現在
関係
審議会
で進められている社会福祉事業の
あり方
全般の
見直し
の中において、その業務あるいは財務を見直すこととしておるとのことであります。 そうした
見直し
の中におきまして、創意工夫を凝らした活動ができるように所要の規制緩和を
検討
していきたい、そのように思います。
山本正和
120
○
委員長
(
山本正和
君) これにて
内閣総理大臣
に対する
質疑
は終了いたしました。 他に御発言もなければ、三案に対する
質疑
は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
山本正和
121
○
委員長
(
山本正和
君) 異議がありましたので、改めて採決を行います。 三案に対する
質疑
を終局することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
山本正和
122
○
委員長
(
山本正和
君) 多数と認めます。よって、三案に対する
質疑
は終局することに決定いたしました。
介護保険法案
及び
介護保険法施行法案
の修正について
今井
君から発言を求められておりますので、これを許します。
今井澄
君。
今井澄
123
○
今井澄
君 私は、ただいま議題となっております
介護保険法案
及び
介護保険法施行法案
に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び太陽を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その
内容
は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。 これより、その趣旨について順次御説明申し上げます。 まず、
介護保険法案
に対する修正案について申し上げます。
介護保険法案
に対する修正案の趣旨は、
介護保険
事業の
運営
が健全かつ円滑に行われるよう国が講ずべき必要な各般の措置として、保健医療
サービス
及び
福祉サービス
を提供する
体制
の確保に関する施策を明記することであります。 次に、
介護保険法施行法案
に対する修正案について申し上げます。
介護保険法施行法案
に対する修正案の趣旨は、第百四十回
国会
で成立した健康保険法等の一部を改正する
法律
が
平成
九年九月一日から
施行
されたことに伴い、
介護保険法施行法案
第二十九条等の規定について所要の整理を行うことであります。 以上であります。 何とぞ、
委員
各位の御賛同をお願いいたします。
山本正和
124
○
委員長
(
山本正和
君) これより三案及び両修正案について討論に入ります。 御
意見
のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
山本保
125
○
山本
保君 私は、
平成
会を代表して、
介護保険法案
及び修正案並びに同法
施行
法案
及び修正案に反対の立場から、また、
医療法
の一部を改正する
法律案
に賛成の立場から討論を行います。
平成
会は、国の責任を基本とし、
国民
の
権利
を保障する
介護
制度
の抜本的改革を直ちに進めるべきであると主張しております。しかし、今回の保険方式による
制度
の創設は、低
所得
者の切り捨てに象徴される重大な弊害が多く、財政の効率性の観点からも、
市町村
、
家族
、
サービス
提供者それぞれの円滑な
実施
が困難であることからも到底認めることはできません。また、ただいまの修正案によってもそれは解決することはできないと主張いたします。 具体的に申し上げます。 第一に、国は
介護
制度
の
基盤整備
をこそ真っ先に進めるべきであります。市長会有志の緊急要請に示されるように、
介護
体制
は
地域
で大きな格差があり、保険あって
サービス
なしの事態を招くことが危惧されておりますのに、この現状が全く配慮されておりません。 第二に、
サービス
供給
体制
を措置
制度
から私的な契約に転換するためにはその前提となる良質な
サービス
を十分確保するための社会福祉法人の
あり方
の
見直し
がおくれており、営利企業やボランティアや市民参加型公益法人が参入するための
条件
が適正、公正なものになっておりません。これに加え、
保険料
積算根拠たる
サービス
価格の実態も把握せず、これを
大臣
が一律に定めれば、薬価差益問題と同様に際限のない
保険料
の値上げに結びつくおそれがあります。 第三に、社会保険方式は事実上の目的税でありますから、その
給付
水準や
保険料
は
法律
に定めることが議会制民主主義の原則でありますのに、これが規定されず、行政の一存で
保険料
が改定できることは今後に大きな問題を残すものであります。 第四に、この
法案
は
制度
の具体像は三百にも及ぶ
政省令
にゆだねられております。これでは
国民
が知ることもできず、
介護
への合意形成もできないものであります。これらの
具体策
を立案してから
国会
に提出すべきものであります。 以下、項目だけを挙げますけれども、明らかに不合理な差別である六十五歳未満の障害を持たれた方の排除、要
介護
度
認定
の適正確保に関する不安、不服申し立てルールの不備、保険
給付
対象事業者の指定
条件
の未
整備
、ホームヘルパーや
介護支援専門員
等の身分保障や養成課程、配置
基準
等の未
整備
等、
制度
の
中心
が今後運用面で
努力
しますとの答弁に終始してまいりました。 これらにつきまして、本
委員
会ではすべての会派から不安が表明されました。
審議
時間は長かったとしても、その
審議
内容
が
制度
に反映されないのではないかといういら立ちを感じております。本来ならば、これらの不安を払拭しつつ、さらに
審議
を進めていくべきだというのが各
委員
の率直な気持ちではないかと推察するものであります。 よって、
平成
会は
介護保険法案
及び修正案また同法
施行
法案
及び修正案に反対いたします。 また、
地域
医療体系のシステム化やインフォームド・コンセントについての取り組み等を評価し、
医療法
の一部改正
法案
については賛成いたします。 なお、
最後
に、今後
介護保険制度
の全容が
国民
の前に明らかになるにつれ、この
制度
の大幅な
見直し
をしなければならなくなるでありましょう。その際には、各党また行政
関係者
とも真摯な再
検討
をお願いいたしまして、討論といたします。
今井澄
126
○
今井澄
君 私は、民主党・新緑風会を代表して、
介護保険関連
三
法案
と修正案に賛成する立場から討論を行います。
日本
は、二十一世紀に向け急激な少子・高齢化を迎えております。そして、寝たきりや痴呆などを含む要
介護
高齢者
、虚弱
高齢者
が、現在でも約二百万人おりますが、二〇二五年には五百二十万人に達すると見込まれております。 そうした時代に
高齢者
がみずからの能力を生かし、みずからが望む環境の中で人間としての尊厳を保って生活することができる、自立と選択の可能な
介護
システムの構築が求められております。そのことを別の面から見れば、
家族介護
が強いられている現状で、
介護
地獄とも言われる
状況
から
家族
を解放し、ひいては愛情あふれる
家族
による支えを実現するために、
介護
の社会化を保障する
介護
システムの構築が求められております。 そういった
介護
システムとして、
介護保険制度
は
国民
の支持と期待も高く、
早期
の確立が必要とされております。負担と
給付
の
明確化
、要
介護者
の
権利
性の確立、財源確保の確実性、民間活力を活用することの容易さなど、社会保険
制度
によるシステム創設が現実的な選択肢であります。 しかしまた、本
委員
会において多くの
委員
が
指摘
し、多くの
参考
人、公述人が述べているように、幾多の問題が残されております。 第一は、
介護基盤
の
整備
の必要性であります。要
介護者
が選択できるためにも、良質の
サービス
が競って提供されるためにも、多様な主体による
サービス
の十分な提供が保障される必要があります。そのためには、国及び
地方自治体
の一層の
努力
が必要とされております。 さらに、保険財政の安定的
運営
への国の支援、低
所得
者への
保険料
や利用料の減免など、要
介護認定
が迅速かつ公明、公正に行われること、不服や苦情の申し立てが簡便かつ迅速に行われるなど、被
保険者
にとって利用しやすい
制度
として運用される必要があります。また、
介護サービス
のメニューも拡充する必要があります。 一方、詳細な
内容
が
政省令事項
にゆだねられており、また、新しい
制度
はあらかじめ予見できない問題を含んでいると
考え
られますので、本
厚生委員会
においても、引き続き、
制度
の仕上げに向けて取り組みを続ける必要があります。 以上の観点から、
介護保険制度
を、すべての人々の手で支え、国、
都道府県
、
市町村
が協力し合い、二十一世紀の展望を切り開く新たな
制度
として育てていくことを切に願いながら、私の賛成討論を終わります。
西山登紀子
127
○
西山登紀子
君 私は、
日本
共産党を代表し、
介護保険法案
及び修正案、同
施行
法案
及び修正案について反対の討論を行います。 反対理由の第一は、
介護
の
基盤整備
について国の責任が明記されておらず、また新ゴールドプランも不十分であり、保険あって
介護
なしとなることです。
特別養護老人ホーム
の場合、全国の
都道府県
の担当者から直接聞き取り
調査
を行った結果、九万八千人を超える待機者がいることがわかりました。現
時点
でさえ、新ゴールドプランの
整備
目標二十九万人より四万人以上も足りません。また、ホームヘルパーも非常勤の急増などで、
介護
の
要望
にとても追いつける
状況
ではありません。 反対理由の第二は、
保険料
、利用料の負担が重い問題です。特に、六十五歳以上の
高齢者
は新たに月額平均二千五百円の
保険料
と一割の利用料を支払うことになり、現在より負担が重くなります。これでは
保険料
の滞納者がふえることは間違いありません。
施設
入所者の七割が
保険料
や利用料を払えないことも報告されています。 第三の理由は、要
介護認定
の問題です。九六年度
モデル事業
によれば、コンピューター処理の一次判定と
認定
審査会で行う二次判定では、約三割のずれが生じています。要
介護認定
の方法、
基準
、
体制
については、実態を反映した信頼できる方法を確立すべきです。 さらに、
介護
手当はなく、四十歳から六十四歳までは加齢に伴って生ずる疾病に限定されるなど不公平な
内容
となっています。 しかも、重大なことは、財政構造改革法によって、二〇〇〇年まで社会保障
関係
費の大幅削減が図られることです。これでは公的
介護
の
基盤整備
が困難になるだけでなく、
高齢者
を初めとする
国民
にさらなる負担を強いることになり、ますます保険あって
介護
なしにならざるを得ません。 このように問題のある政府の
介護保険法案
に対し、
参考
人や公述人、そして全国の
自治体
、さらにマスコミなどからも深刻な不安や懸念の声が広がっています。それを無視して見切り発車すべきではありません。修正案もこの声にこたえるものとは到底言えません。
介護保険法案
は廃案にし、抜本的につくり直すことを強く求め、私の反対討論を終わります。
清水澄子
128
○清水澄子君 私は、自由民主党並びに社会民主党・護憲連合を代表して、
介護保険法案
、
介護保険法施行法案
及び
医療法
の一部を改正する
法律案
並びに
介護保険法案
に対する修正案及び
介護保険法施行法案
に対する修正案について賛成の討論を行います。
介護保険法案
は、
衆議院
で、
市町村
介護保険
事業計画について、被
保険者
の
意見
を反映させること、
法律
の
施行
後五年を目途に
介護保険制度
の全般に関する
検討
を行う旨の修正がなされ、参議院に送られてきました。 私が
衆議院
送付案に賛成する理由は、次のとおりであります。 まず、
介護
を再定義して、終末期のお世話から
高齢者
の自立を支援することとしたことです。福祉理念の画期的な転換であり、
介護サービス
の提供が利用者本位に行われることが期待されます。 第二に、
高齢者
の世代内連帯と世代間の連帯とを適切に組み合わせたことであります。社会保険方式にはさまざまな批判があることは承知しておりますが、
介護保険制度
全体では、
介護保険
料と同額の
公費
が投入されることになっている点も強調しておきたいと思います。 第三に、住みなれたついの住みかに、医療、
介護
、福祉の専門的な
サービス
を取り入れたことです。
高齢者
自身
も
地域
社会の一員として、積極的に
地域
に参加して生きることが期待されます。 第四に、
保険者
である
市町村
の行政に、住民、特に当事者である
高齢者
や女性が参画する道を開いたことであります。
介護
から広がる
地域
のデモクラシーとは、
介護
問題に取り組んできた人々の願いでもあります。 人はだれしも老いを迎えます。
介護
が必要になっても、みずからの能力を
最大限
に生かして、みずからが望む環境で、個人の尊厳を保持しながら人生を過ごせるような社会にすべきであります。豊かな長寿社会の実現は、福祉と市民とのきずなを結ぶ今日の政治に課せられた重い使命であることを深く自覚するものであります。 当
委員
会におきましても、
介護保険関連
三
法案
について六名の
参考
人から御
意見
を伺いました。そして、高知県、山梨県、愛知県、大分県の四カ所で開会した
地方公聴会
、さらに
国会
における
中央公聴会
で、延べ四十名の公述人から貴重な御
意見
を伺いました。
衆議院
を上回る六十時間にも及ばんとする
審議
を経て、
介護保険法案
には少なからず問題があることも判明しましたが、これらの問題点は今後の政治の
努力
によって乗り越えられるものであると信じます。それが私どもに課せられた責務であるとの決意をここに表するものであります。
介護
を待つ
高齢者
やその
家族
を思うとき、もはや一刻の猶予も許されません。できる限り速やかに
介護保険制度
を発足させるとともに、改善すべき点を明らかにして、
国会
はその責任を全うすべきであります。 ただいま
介護保険法案
に対する修正案が提出されましたが、この修正案は、国の責務に保健医療
サービス
及び
福祉サービス
を提供する
体制
の確保を明記しようとするものであり、人材や
施設
といった
基盤整備
に関する国の責任を明確にするものとして高く評価できます。 以上、
衆議院
送付案及び修正案は、我が国の立ちおくれた
介護
問題の解決を図り、社会全体で
介護
を支えようとするものであり、利用者本位の良質な
介護サービス
を提供しようとするものであります。多くの
国民
の期待にこたえるものと確信いたします。
最後
に、政府に対し、
法律
の
施行
までの間においても、福祉の人材の確保と
雇用
の促進、
介護
施設
の充実など、
介護基盤
の
整備
が十分に図られ、
市町村
に対する
財政支援
、低
所得
者に対する施策の充実、
介護サービス
の質の確保と
情報公開
、利用者の
権利
擁護などの
検討
と必要な措置が十分に行われるべきであることを強く要請して、私の賛成討論を終わります。
山本正和
129
○
委員長
(
山本正和
君) 他に御
意見
もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより三案について順次採決に入ります。
介護保険法案
について採決を行います。 まず、
今井
君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
山本正和
130
○
委員長
(
山本正和
君) 多数と認めます。よって、
今井
君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
山本正和
131
○
委員長
(
山本正和
君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、
介護保険法案
は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 次に、
介護保険法施行法案
の採決を行います。 まず、
今井
君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
山本正和
132
○
委員長
(
山本正和
君) 多数と認めます。よって、
今井
君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
山本正和
133
○
委員長
(
山本正和
君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、
介護保険法施行法案
は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 次に、
医療法
の一部を改正する
法律案
について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
山本正和
134
○
委員長
(
山本正和
君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、浜四津君から発言を求められておりますので、これを許します。
浜四津敏子
君。
浜四津敏子
135
○
浜四津敏子
君 私は、ただいま議決されました
介護保険法案
、
介護保険法施行法案
及び
医療法
の一部を改正する
法律案
に対し、自由民主党、
平成
会、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び太陽の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。
介護保険法案
、
介護保険法施行法案
及び
医療法
の一部を改正する
法律案
に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう
努力
すべきである。 一
介護保険制度
の円滑な
施行
を図るため、新ゴールドプランの確実な達成を図るとともに、早急に
介護保険
事業計画等の
策定
に向けた準備に取り組み、
制度施行
後においても、
介護サービス
基盤の着実な充実が図られるよう、
介護保険制度
導入に伴う財政影響等を踏まえて、
地方自治体
が
策定
する
介護保険
事業計画等の達成のため、所要の支援措置を講ずること。 二
介護保険法
施行
法に基づき
在宅
介護サービス
に係る経過的な
給付
水準を定める
市町村
について、できる限り
早期
に全国標準的な
給付
水準の達成が図られるよう、積極的な支援措置を講ずること。また、離島、中山間
地域
等の過疎地における
介護基盤
の早急な
整備
を支援すること。 三
市町村
による安定的な保険財政の
運営
及び円滑な
保険者
事務の執行が行われるよう、
市町村
の実情を踏まえた、適切な支援措置を講ずること。 四
在宅
介護サービス
については、民間企業、農協、生協、シルバー人材センター、ボランティア団体等多様な事業主体の活用が図られるとともに、
介護サービス
の質の向上につながるよう、事業者の指定
基準
の設定や
サービス
提供方法の在り方等において、配慮すること。 五
介護
施設
については、一元化の
方向
を目指しつつ、その機能・役割分担の
明確化
を図るとともに、社会福祉の構造を見直す観点から、
施設
整備
費補助金の在り方、社会福祉法人の在り方等について
検討
を進めること。特に、
介護保険制度
の
施行
に向け、
地方公共団体
において、
社会的入院
及び
特別養護老人ホーム
の入所待機者の解消を図るため、長期入院や入所待機の実態の把握、適切なケアマネジメントの方法、
在宅
サービス
と均衡の取れた
施設
整備
の在り方等について具体的な
方策
が講じられるようにすること。 六 療養型病床群については、
介護保険制度
の円滑な
施行
を図るため、適切な療養環境を確保しつつ着実な
整備
を進めるため、
介護
力強化病院からの転換の支援等所要の措置を講ずること。 七
介護保険法
の
施行
日前に
特別養護老人ホーム
に入所している者については、法
施行
後も、その処遇が急激に変化することのないよう十分に配慮するとともに、法
施行
後における養護老人ホームの在り方については所要の
検討
を行うこと。 八 ホームヘルパー、
介護支援専門員
等
介護サービス
を担う人材の安定的な確保が図られるよう、民間事業者の参入促進、潜在的な人材の掘り起こし、適切な養成研修システムの確立及び
介護報酬
上の評価等の措置を講ずること。 九
介護報酬
については、民間事業者の参入を促し、質の高い
サービス
の選択が可能となるような水準とするとともに、その設定に当たっては、
介護
の困難度、
地域
差、要
介護
度の改善への動機づけ等を勘案すること。また、
特別養護老人ホーム
等事業者が円滑に
介護保険制度
に移行できるよう必要な配慮を行うこと。 十 要
介護認定
業務については、
介護保険制度
の
施行
までの間に十分な試行を行い、公平、公正な審査判定
基準
の設定等に努めるとともに、申請
手続
の簡素化及び
認定
業務の迅速化を図ること。あわせて、痴呆の要
介護
度については、
介護
の実態に応じた
認定
が行われるよう配慮すること。また、
介護認定
審査会は
介護保険
の根幹をなす重要な機関であることにかんがみ、その
委員
については、保健・医療・福祉の幅広い専門家による
公平性
と専門性を重視した構成とすること。 十一 第一号被
保険者
の
保険料
及び利用料に係る高額
介護サービス
費の設定に当たっては、
高齢者
の
所得
・資産・生活の実態を踏まえ、困窮する低
所得
の
高齢者
に対して配慮すること。 十二 被
保険者
による
サービス
選択という
介護保険
の理念を実現するため、
地方公共団体
において、
介護
事業者等
介護サービス
に関する情報が、広く被
保険者
に提供されるよう配慮するとともに、
介護保険
事業計画の
策定
等に係る被
保険者
の
意見
の反映について、適切な
方策
が講じられるようにすること。また、
サービス
提供事業者及び
介護保険
施設
が自ら
サービス
の質の評価を行い、その質の向上に努めるよう指導すること。 十三
国民
健康保険団体連合会が
実施
する苦情処理業務の運用に当たっては、被
保険者
が申し立てしやすいように、身近な窓口での受付、申立ての方法等に配慮すること。 十四 配食
サービス
等の
介護保険
給付
に含まれない
サービス
並びにデイ
サービス
や福祉用具の利用など、
介護保険法
及び老人福祉法に共通する
サービス
については、
地域
での
高齢者
の自立生活を支援する観点から、相互の
連携
に留意し、その総合的な推進に配慮すること。また、独居老人等で
介護保険
の
給付
対象とならない者に対する総合的な
福祉サービス
の推進を図ること。 十五 難病患者を含む若年障害者に対する
介護サービス
について、
高齢者
に対する
介護保険
給付
と遜色のないものとなるよう、障害者プランに基づき、その拡充を図るとともに、その確実な達成のため、障害者基本法に基づく
市町村
障害者計画が全ての
市町村
で
策定
されるよう、
地方公共団体
に対して適切な指導を行うこと。また、障害者が六十五歳に達し、
介護保険
の
給付
対象になることがあっても、それ以前に受けていた
福祉サービス
の水準を維持することができるよう、必要な措置を講ずること。 十六
介護支援専門員
や
在宅
介護
支援センターにおける相談助言、要
介護者
の立場に立った適切・公正な
介護サービス計画
の
作成
、要
介護認定
等に関する不服申立
制度
の周知等を通じ、要
介護者本人
の意向を尊重した
サービス
が提供され、被
保険者
の
権利
が擁護されるよう努めるとともに、自己決定の理念を尊重した新たな
成年後見制度
の創設について、立法化を含めた
検討
を行い、必要な措置を講ずること。 十七 要
介護認定
の
基準
、特定疾病の範囲、
介護
事業者の指定
基準
、
介護報酬
、
保険料
の算定方法等、
介護保険制度
の基本的事項については、適正な
手続
の下に決定過程の透明化を図りつつ、できる限り早急にその
基本的考え方
等を明らかにすること。また、
法律
によって
政省令
に委ねられた重要事項については、本
委員
会に報告すること。 十八 今後の高齢化の進展を踏まえ、社会保障構造改革を進めるに当たっては、歳出の効率化を図るとともに、その財源の在り方については、社会保障の負担と経済活動との
関係
、
国民
負担全体の中での直接税、間接税及び社会
保険料
の在り方、若年層と
高齢者
層の負担の均衡、
給付
と負担の
関係
の明確性、自己負担と公的支援の役割分担と
連携
等を総合的に勘案し、
検討
を加えること。 十九
地域
医療支援病院とかかりつけ医の機能分担・
連携
をさらに進め、大病院への患者の集中を是正するための適切な措置を講ずること。また、医療機関の広告事項に関しては、
認定基準
の
明確化
等を図った上で専門医資格を追加するなど医療における
情報提供
の推進を図ること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、
委員
各位の御賛同をお願い申し上げます。
山本正和
136
○
委員長
(
山本正和
君) ただいま浜四津君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
山本正和
137
○
委員長
(
山本正和
君) 多数と認めます。よって、浜四津君提出の附帯決議案は多数をもって本
委員
会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、小泉
厚生大臣
から発言を求められておりますので、これを許します。小泉
厚生大臣
。
小泉純一郎
138
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し
努力
いたします。
山本正和
139
○
委員長
(
山本正和
君) なお、三案の審査報告書の
作成
につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本正和
140
○
委員長
(
山本正和
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十五分散会 —————・—————