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1997-11-27 第141回国会 参議院 厚生委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十七日(木曜日)    午後二時開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月二十七日     辞任         補欠選任      小山 峰男君     釘宮  磐君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         山本 正和君     理 事                 上野 公成君                 南野知惠子君                 浜四津敏子君                 清水 澄子君     委 員                 石井 道子君                 尾辻 秀久君                 田浦  直君                 中原  爽君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 木暮 山人君                 水島  裕君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 今井  澄君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第  百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提  出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回  国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(  継続案件)     ―――――――――――――
  2. 山本正和

    委員長山本正和君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、牛嶋正君が委員を辞任され、その補欠として水島裕君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 山本正和

    委員長山本正和君) 介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  第百四十回国会において成立した健康保険法等の一部を改正する法律が去る九月一日施行されたことに伴い、現在当委員会審査中の介護保険法施行法案について、条文の整理が必要となっております。  つきましては、その点について政府より説明を聴取いたします。江利審議官
  4. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 現在、御審議いただいております介護保険法施行法案において、健康保険法等医療保険各法の改正をすることとしております。介護保険関連法案国会提出後、さきの通常国会健康保険法等の一部改正法案が提出され、介護保険法施行法案改正することとしている健康保険法等関係条文項ずれが生ずることとなりました。  そのため、健康保険法等の一部改正法案附則第十四条で、お手元の資料三のとおりでございますが、項ずれを手当てすることとし、具体的には、資料二のとおり、下の段の介護保険法施行法関係条文を上の段のように改めることとしておりました。健康保険法等の一部改正法は、本年六月十六日に可決成立し、この附則も含め、本年九月一日から施行されておりますが、その段階介護保険法施行法は公布されておりませんでしたので、この附則は、いわば空振りの規定となり目的を達しないこととなりました。  この結果、改正箇所を正しく特定するため、健康保険法等の一部改正法附則で行うこととしていた項ずれの手当てを介護保険法施行法案自体において行う必要が生じたものでございます。
  5. 山本正和

    委員長山本正和君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  6. 山本正和

    委員長山本正和君) 速記を起こしてください。  次に、介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案につきまして、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 山本保

    山本保君 平成会山本保です。  私は、これまでこの委員会におきまして、特に二点に絞って質問をさせていただいたわけであります。  それは、まだこの介護保険中身に入る前の問題でございまして、一つ現実に存在している公私の格差の問題、これに対する調査もきちんと余りされていなくて、実情も把握せずに今度の介護保険法を施行する場合においてのいろんな数字、根拠にしているのではないかということを指摘いたしました。いろんな積算の方法があるようでございまして、一概に厚生省のやったのがいけないという意味ではございません。ただ、その中で当然、公的部分と私的な感じでやっておるもの、この問題をもっと重要視すべきではなかったかということを申し上げたわけであります。  第二番目には、これもさまざまな角度から今まで論議が出てまいりましたけれども、まさに今問題になっております、福祉が一方的でまた非常に定型的で、そして福祉を受ける方の権利に配慮していない処分になっているということの問題点は、実は法的な問題のほかに、そのサービスを行う分量が非常に少なくて独占形態になっている、このことがさまざまの現在の福祉問題点を生み出す大きな要因ではないかという観点を指摘しました。そのことから、すぐにできることとして、民間サービスを導入させるという前に、本来厚生省が率先してやるべきことは社会福祉法人に関する規制の緩和であり、現在一億円基金をつくらなければ認めないと指導している社会福祉法人をもっと簡便につくり、実際にさまざまなシルバーサービス、株式会社というような形、有限会社というような形でしか参加できないさまざまなサービスの形を社会福祉法人として取り込んでいって、厚生省がきちんと責任を持った福祉サービスを行うべきであるということを指摘したわけであります。  もっとこの問題は続けてやっていきたいところでありますけれども、時間的なこともあるということですので、きょうはそのことは少しおきまして、もう少しこの介護保険法運用について、細かなところですが、お聞きしたいと思っております。  最初に、この委員会で何度も問題になりました要介護度認定ということについて、また介護報酬についてお聞きしたいと思います。時間が限られておりますので、簡単に答えていただければと思っておりますので、その辺はよろしくお願いしたいと思います。    〔委員長退席理事上野公成君着席〕  最初に、今回の要介護度認定というのは非常に特徴的なものだと思います。といいますのは、介護といいますのは、きょう午前中、今井先生お話にもありましたように、現実には福祉介護が非常にごちゃまぜになっているというのがありますけれども、原理的に考えますと介護というのはやはりお年寄りの障害者問題の一環としてとらえるのが正しいと思います。障害を持たずに社会的な要因だけで介護が要るという場合においては、やはり本来の福祉制度が対応するべきであろうと思うわけです。  そういう点から考えますと、これまでの措置判定というのは、まさに障害者障害というものを見るときの有名な分類といいますか、多軸、三つの軸で障害を見ると言われておりますけれども機能障害、インペアメントというもの、そしてこれによって引き起こされます能力低下ディスアビリティー、そしてそれの上に社会環境的な要因によって社会的に実際に活動が行いにくくなるというハンディキャップ、この三つのものがある。しかし、この三つは決して個々ばらばらにあるわけではありませんで、やはり基本的には医療面基本になる機能障害があって、その上に順番に積み重ねていく、こういうふうに考えられているわけです。  今までの福祉措置というのは、この総合的なものの判定を行うという建前で、これが実際にうまくいったかどうかというのは難しいのですが、しかしこの三つ総合判定でこの方にどういう措置サービスをすべきであるかということを決めていたわけです。今度の介護保険法というのがこの点で非常に特徴があると思いますのは、この三つでいうならば真ん中のディスアビリティー、具体的に手が上がらないとか足が動かないとか、この場面だけをとらえてまず判定をするというところに非常に特徴があるわけです。このことが今までの福祉とは違うというふうに押さえまして、次に、そうなりますとここでいろいろな問題が出てくるということです。  まず最初にお聞きしたいのは、こうなりますと、きょうもお話が出ておりましたけれども、実はディスアビリティーというものは、そのもとに医療的な、精神医療も含めての医療的な機能の損傷というようなものがあった上に出てくるものだというふうになりますので、これはやはりますお医者さんがこのことをきちんと見なければならないはずなんですね。これはこの委員会でもお話が出ておりましたし、先回私ども名古屋公聴会へ行きましたときに、愛知県の医師会の副会長さんから医師会を代表して非常にこの辺についても厳しい御指摘があったと思います。    〔理事上野公成君退席委員長着席〕  この辺は一体、今のやり方ではお医者さんの介入というのは必要なときにすればよろしいし、何かお聞きしますとかかりつけのお医者さんがやればよろしいんだというふうに聞いておるんですけれども、これは専門的なお医者さんが診なければとてもわからないものじゃないかと思いますが、まずこの医療面といいますか、その最初機能障害のところがどういうふうに今回の要介護度判定にかかわるのかということについて、原理的なところですが、お答えをいただきたいと思います。
  8. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 要介護認定介護認定審査会判断されますが、その審査会のメンバーには保健医療福祉専門家ということで医療関係者が入るというふうに思っておるわけでございます。  それからまた、そこに書きます資料は、市町村の職員をして調査する日常生活調査票のほかにかかりつけ医意見書があるわけでございます。このかかりつけ医意見書では、身体上、精神上の障害である疾病または負傷等につきかかりつけの主治医の医師から意見を求めるわけでありますが、さらに現在どういう治療を受けているか、ほかにかかっている医者がいるかどうか、そういうことも含めて調査することになっているわけでございます。  そういうことで、そういう情報を踏まえながら介護認定審査会判断をしていただくことになっておりますので、その人にかかわります医療関係情報も十分考慮されて判定がされるものというふうに考えております。
  9. 山本保

    山本保君 全くないであろうというふうに言っておるわけではありませんで、これからもしこれが実際に実施されるときには、ぜひ医療関係者意見を取り入れられてもっと適切な対応ができるように、診断ができるようにしていただく必要があると思います。  もちろん、すべての例に必要だというふうにはお医者さんたちも言っておられないようですから、そこにある基準を設けて、それ以外については、それ以上のものといいますか、それにかかわるものについてはその専門のお医者さんの判断がやはりシステム的にもきちんと入ってくるようにしなければ、これは実際現場で、言うならば自分の親に本当は痛くなくても痛いと言えとか、本当は動くんだけれども動かないと言えとかということに当然なってくるわけでして、そういうことをさせないためにも、させないというかそんなことはだめだよというためにも、お医者さんがちゃんと診ておればそんなことはできないわけですから、その辺はまずお願いしたいということですね。  次の問題なんですが、そうしますと、ディスアビリティー段階だけで判断しますと、すぐに考えつきますのは、つまりどんなお金持ちでどんなに豊かに介護する人がいましても、この方については、こちらに逆に本当に年金暮らしの方がいても、全く同じ状況であれば同じ介護度ということになるわけですね。しかし、これは社会的な公正ということから見たとき、あそこは十分介護体制があるではないかというものに対してこれでは不公平であるというふうに思われると思うんですが、これは今の原理からいってどういうふうに整理されるわけでしょうか。
  10. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度に被保険者として入っているわけでございます。その人たち保険料を納めているということでありますので、介護保険制度に加入している被保険者につきましては制度としては平等に扱うということであります。  ですから、ある方が大変経済力が豊かでありましても、申請がありますとその人の状態に着目して要介護度認定を行うということでございます。そして、この介護保険で想定している標準的なサービスというものは給付を受けることができるわけでございます。その方がさらにそういうものを超えて、自分の資力を使ってさらに別途のサービスを加えて受けるということは、またその人の御判断で行われるところでございます。
  11. 山本保

    山本保君 しかし、それは今までの御説明で、この介護保険というのは社会保険であって半分は税金であるということを言っておられる以上、今の論理だけではおかしいんじゃないでしょうか。  なぜならば、その方が出しておるとしてもそれは保険料部分だけであって、税の方があるわけですから、この税の方までそちらに引きずられてお金持ちだが同じであるというのは、これは理屈に合わないんじゃないかと思いますが、そこはどうですか。
  12. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 現在の社会保険の中には、医療保険でも年金制度でも公費が入っているわけでございます。そして、例えば国民健康保険、お金持ちはその所得に応じて保険料を納めておりますが、給付につきましては半分国費が入っております。所得が高いからといって給付の制限があるわけではございません。いわゆる、財源的には公費が入っておりますが、制度考え方としては保険制度で運営されているということでございます。
  13. 山本保

    山本保君 きょうこれ以上このことについてはやりませんけれども医療保険がそうだからというのとはちょっとやはり一般的に考えて同じだとは思えないような気がするわけです。  それで、今のことに関連しまして、今度の介護保険認定というのは処分であるというふうになっているわけですね。その後に、いろいろ実際利用するときにサービスを行って幾らかかるかということを決めるというのはこれは処分なんでしょうか、処分ではないんでしょうか。
  14. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 要介護状態にあるかどうか、そしてまたその要介護度レベルかどうであるか、これは市町村認定するところになるわけでございます。そして、そのレベルに応じて限度額が決まりますので、限度額というところまではその認定行為に付随して決まるものでございます。  この中で、具体的にどういうサービスを受けるかということは介護支援専門員アドバイス等を受けながら、あるいは本人希望を入れていろんなものを選択していくわけでございまして、中身はそういう選択を踏まえて決まっていくということになります。
  15. 山本保

    山本保君 つまり、はっきり言えば要介護度を決めるまでは行政的な処分であるけれども、それ以後、実際幾ら使うかというのは自己決定だということですね。ここのところを余り今まで言われていなかったと思うんですよ。  羽毛田局長も、前に何かさっきのことに関連して、いや、いろいろ実際認定度が同じになっても使う幅があるんだ、それについて実際には、先ほどお答えがなかったけれども、いろんな方のまさに社会的な状況ハンディキャップ状況についてはその幅で対応できるからよろしいんだ、たしかそういうふうに二度ほどお答えになっていましたけれども局長、それでよろしかったですか。
  16. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、江利審議官からもお答えを申し上げましたように、要介護度に応じたいわば支給限度額、その範囲内においてどのようなサービスを受けるかということは本人が決定するわけですけれども、その本人選択に当たりまして、この仕組みの中ではいわゆる介護支援専門員等によるアドバイスをして、介護サービス計画というものをつくって、それによっていわばその人のニーズに合うようにやっていくという形での運用がなされるような仕組みになっていることを申し上げたつもりでございました。
  17. 山本保

    山本保君 今、厳密な言い方をされたのでそれでよろしいと思うのですが、しかしそうなりますと、やはり限度額があるけれども、ここに問題が二つ出てきますね、すぐ考えつくのは。つまり、一つの問題は、限度額があってもとても地域サービス体制が整っていないから全く使えない。ところが、これは今までの感覚ですと、そういうことができないのはこれは当然措置処分をする処分権限者責任になりますから、市町村はもっときちんとやらなくちゃいかぬというふうになるじゃないかと。  ところが、今度の場合は自己決定であると。こうなっていますと、実際には自己決定するときのもとがないにもかかわらず、しかし法的にはこれは自己決定だから、あなたが勝手に決めたんだからということになって、決してサービス供給を、立派な市長さんはやると思いますけれども法律的に言ったらサービス供給をしなければならないという理屈にはならないんじゃないかと思いますが、そこはどうですか。
  18. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度での給付の対象になりますと、一割の自己負担サービスを受けることができるわけでございます。そういう意味で、サービスを受ける人の購買力というんでしょうか、それが制度によって保障されることになるわけでございます。ですから、そういうことでニーズがありますと、私ども在宅サービス分野では特に民間活力の活用というようなことも言っているわけでございますが、そういう形でサービス提供が充実してくるのではないか。  それから、もし仮にその地域における例えばサービス基盤が少ないような場合、これは市町村において介護保険事業計画をつくるときに需要はどのぐらいあるか、そしてサービス提供はどのぐらいあるか、こういうことをもとに介護保険事業計画をつくるわけでありますが、これに基づいて保険料を設定する。サービス量がまだ本来あるべきところまで十分でないということでありますと、これは施行法の中に規定している経過措置でありますが、保険料水準を下げて提供するんだということになっているわけでございます。もちろんそれが望ましいということではなくて、できるだけしかるべきサービスが受けられるようにその水準を上げていくというのが基本ではございますが、制度上はそうなっているということであります。
  19. 山本保

    山本保君 もちろん自己決定だからサービスが上がらないというふうに決めつけることはできないと思います。もちろん自己決定ですからそのためにも情報を出されて、このようなサービスが必要なんだ、特に市町村もそういうサービスをすべきであるということを、やはりこれは個人責任だからその個人の要求を待って市町村が動くというのではちょっとこれは方法としては生ぬるいというか今までのやり方を余りにも変えるのではないか。実際には、要求しづらい、自分ではまず声を出せないような方が相手であるという、やはり福祉の大きな中の仕事ですから、そこは市町村に対してもある一定限度のといいますか、ある決まったタイプのサービス供給のモデルなどは示されて、そこまではやるべきであるということを御指導されるべきじゃないかというふうに思いますが、この辺はどうでございましょうか。
  20. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) すべての事業市町村自身責任で全部出すかどうか、これはまた別だとは思いますが、その区域内におけるサービスを確保するために市町村に努力していただくということは大切なことだと思います。
  21. 山本保

    山本保君 それでちょっと戻しまして、そのときにマネジメントで、ケアマネジャーですか、介護専門員アドバイスを聞いてということになりますけれども、この専門員介護を受けられる方との関係というのは、そうするとこれは私的な契約ということになるんですね。そうしますと、その場合、専門家アドバイスというかプランをつくったりするということは、本当にきちんとしたものができるのかどうかちょっと心配なんです。  具体的にちょっとお聞きしますと、例えば限度額があるといって自己決定で使えますよとなれば、だれだってその限度額いっぱいまで使うと言うんじゃないでしょうか。決してそれより低いのなんて要求しないんじゃないでしょうか。それ以上に言えば、つまり今まで家族がまた奥さんが働かずに御主人またはお父さんのことを一生懸命に見ておられたというものが、それをやっておれば限度額より下がってしまいますから、当然これは仕事に行ってここは公的にお願いしようというまさにモラルハザードが起こるというのはこれは当然じゃないかという気がするんですが、ここはいかがですか。
  22. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度でのサービス提供水準、それをどういうふうに考えるかということがあるわけでございますが、私どもは、例えば高齢者夫婦生活しているときに片方が寝たきりになっても自宅で一緒に生活できるようにと、そういうような水準を目指していきたいというふうに思っているわけであります。そういうことでいいますと、いわゆる標準的な水準というのはやはりこの制度基本的にはカバーするということが原則だろうというふうに思います。  そういう考え方限度額を決めて、その中であとどう利用するか。確かに、おっしゃいますように限度額いっぱいに使うケースが多いとは思いますが、それはまたそれでこの制度の保障する水準でございますので、そこを活用しながら、全体として家族も含めてできるだけ満足度の高い生活というんでしょうか、そういうものが送っていただけるようになれば、これはこれで制度目的を達したことになるのではないかと思います。
  23. 山本保

    山本保君 今お聞きしていますと、この介護保険で提供するサービスというのはまさに最低限度サービスなんだから構わないんだということを言われたんじゃないかという気がして、ちょっとそれでは残念だなと思うんです。  ただもう一つ、それは今の財政的にはそういうことかもしれないけれどもケア中身論からいきますと、やはり欠けているのはケアマネジャー専門員の出すアドバイスなりプランというものが、やはり何らかの権限法律的に保障されていないからだと思うんです。ですから、ここはもちろんすべての人がマネジメントを受けなくちゃいかぬということはないと思いますけれども、しかし何らかの形で専門家が今までの経験またはその方に対する福祉の心でやられたものについて、それが何らかの意味で決定するときに位置づけられておる、そういうことが必要じゃないかと思うんですけれども、そういう仕組みはどうお考えですか。
  24. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護サービス計画につきましては、これを本人独自で作成するケースもありますれば、あるいは介護支援専門員等アドバイスを受けながら本人希望も入れて作成する場合もある、多様な選択というのか、それはあるわけでございます。また、ある程度の期間サービスを受けるわけでありますので、この一定限度額の中でできるだけ効率的にその人にふさわしいサービスを受けるようにするためには、計画的にサービスを利用することが必要ではないかというふうに思うわけであります。そういう観点からこういう制度を設けているわけでございます。  これは本人選択ということでありますが、介護サービス計画を作成して、それに従ってサービスを受ける、そういう形の中でその後の報酬の支払い等も行われてまいりますので、そういう意味制度の中では非常に大きな位置づけを与えられている計画だというふうに考えております。
  25. 山本保

    山本保君 そうしましたら、ここでちょっと介護支援専門員のことについてもう少し詳しくお聞きしますけれども、きょうも午前中にもお話があったんですけれども、五年の経験で試験がある。いただいた資料を見ますと、医師から始まって介護福祉士までの資格を持った方であって、しかも五年の経験があり、そして国家試験を受ける。ここだけ見ますと非常に高い資格のようにも思えますけれども、本当にそうなんでしょうか。逆にだれでも受けられるということになっていないかということですね。  それで、まず養成といいますか、その仕組みについてどうなっているのかということと、この人たちの格付はどうなっているのか。一番わかりやすく言えば、じゃ給料といいますか、このときの介護報酬はどの程度のものを、今もちろん決まっていないでしょうけれども、イメージがあると思いますが、どの程度の方としてこの専門員を位置づけておられるのか、その辺についてお聞きします。
  26. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員の養成に関します基本的な考え方でございますが、養成の対象者は、先生御指摘のように、医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、看護婦、OT、PT、社会福祉士、介護福祉士等専門職で実務経験を有している、そういうことでございます。この実務経験は関係専門の検討会におきましては五年ぐらい必要ではないかということが指摘されております。  この人たちにつきましての研修の仕方でありますが、都道府県が実施する試験、これは資格試験ということではなくて一般的な介護支援専門員として必要な介護にかかる幅広い知識とかあるいは介護保険法上の仕組みであるとか、そういうものについて基礎的というか必要な知識を持っているかどうか、これを確認するための試験でございます。  そうしまして、そういう必要な知識を持っておられるという方に対しまして研修を行う。この研修は、現在考えております案では二泊三日の研修を二回に分けて行おうと。例えば介護サービス計画のつくり方、こういうことを研修して、一回自分の職場等に戻っていただいて現場で少しそういう勉強の成果を使ってやってみまして、それでそういうやってみた結果でのいろんな経験や問題意識などを持ち寄って二回目の研修を受ける、こういう形で介護支援専門員を養成しようというふうに考えているわけでございます。  現在は、介護支援専門員の指導者の研修が行われているところでありまして、できれば今年度中にはその介護支援専門員の研修に入れるようにしたいというふうに思っているところでございます。  それから、その人たちの給与、格付というお話がございましたが、介護サービス計画をつくります。その費用は当然介護保険から給付されることになるわけでありますが、この単価というんでしょうか、そういうものを幾らで定めたらいいか、これはどの程度の業務を介護支援専門員にやっていただくかということを踏まえて検討する必要があるわけでございまして、これから関係の審議会に諮りながら、介護報酬を決める一環として検討してまいりたいというふうに考えております。
  27. 山本保

    山本保君 時間がないので一々お聞きしないで、その辺について整理して、私が今まで知り得た限りで考えますと、大体平成十二年のときに四万人から五万人をということになりますと、大体百六十万人ぐらい、全部は使わないにしても、数字的にいえば一人で四十ケースぐらいを持つということを想定しているんだろうと思うわけです。しかも、八十八条とか九十七条を見ますと、この方たちは各種の施設にも置くというふうに書いておりますね。施設には置くことが明示されております。  ちょっと済みません、ここは確認だけですが、支援センターに置くというふうには書いていないのかなと思ったんですが、それでよろしいですか。
  28. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 法律上それは書いてございませんが、実際は置かれるのではないかというふうに思っております。
  29. 山本保

    山本保君 そうしますと、これはまだ決まっていないということなのではっきりと断定するわけではありませんけれども、今までいろんなところでお聞きしたことによりますと、例えばそれは施設の職員が、アルバイトと言ったらおかしいですが、今でも実際にいろんな御相談を受けている。そのことにお礼を出す程度の意味であるというような感覚も受けておるんですよ。  それは、今のように、例えばどこに置くかということにしても、施設に置くということが明示されているのに、例えばセンターには置かないとか、それ以外にきちんと置くべきところといいますか、いるべき位置が書いていないんですね。  例えば、こういうふうにお聞きしましょう。はっきり言えば、この方たち専門員として独自性、専門性を持って商売ができるのかどうか、そういう位置づけになっているのかどうか、そこをお聞きしたいんですが、いかがでございますか。
  30. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 法律上、施設に置くということになっておりますが、施設に入っている人につきましても介護サービス計画をつくるということが必要でございまして、そういうことでそれを担当してもらう。単純な相談だけではなくて、そういうものがあろうというふうに思っております。  また、法律上は居宅介護支援事業者というのが位置づけられておりまして、これは介護支援専門員を置いて、そこで、主として在宅の要介護者だと思いますが、そういう人に対します介護サービス計画の作成を行うものでございます。  ですから、そういうような機関として法律上位置づけられているものもあるわけでございます。
  31. 山本保

    山本保君 これは要望でございますけれども、大きな考え方の違いかもしれません。私は、介護保険というものが数年前に構想されたときの大きなメリットといいますか、重要な改善策である、改革であるといった中に、マネジメントというものが、個々の弱い、障害を持たれた介護される方の立場に立って一番よろしい生活を応援するためのものである、こういうふうに言われていたはずなんです。  しかし、今お聞きしていますと、どうもそれはそういうふうには考えられていなくて、施設でやる程度のことをやるんだ、またはアドバイスをしても、それは別に法的には何の意味もなくて、いいアドバイスをしたからそれが使われるという保証も何もないというような、うがった見方ですけれども、そのようにも聞こえるんですね。  ですから、ここはもう少し、私は専門家がきちんとこの方たちサービスをいいものにしていけるような体制は、今申し上げたところに工夫をしていくことによってできると思いますので、検討していただきたいなと思っております。  続きまして、ちょっとこれと関連するんですが、介護報酬についてお聞きしたいんです。  本来、ここは牛嶋先生がバウチャー制をこの委員会の場で皆様に提起しまして、その基本的な効果などについてお話をするということであったんですが、いろんな事情でどうもできなくなったようなので、私としてもちょっと困っておるんです。  つまり、今のやり方ですと、介護報酬というのは厚生大臣が決めることになりますね。この額に結局近づいてというか、もうそのものになってしまって、実際には例えば現場でヘルパーさんや介護の方がもらっている給料と、それからその業者や施設が受け取る金の間に格差、まさに今の薬価差益と同じ問題が結局起こってきて、全部サービスというのは高値安定になってしまうんじゃないか。  もちろん、そのことがいいサービスを提供し、働く方によい条件を与えるという意味ではいいことなんだけれども、国民全体とすれば、それはこのことにかかる費用を際限なく上げてしまうんじゃないかという気がするんですけれども、それよりも低い価格でやることができるのかどうか、そして、それはどういうふうにしてそのことが進められるのか、つまり高くならないようにするような何か仕組みはあるのか、それについてお答えいただきたいと思います。
  32. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険法の第四十一条で居宅介護サービス費というのがあるわけでございますが、この居宅介護サービス費は、サービスの種類ごとにこういう形で厚生大臣が基準を定める、これが介護報酬というものになるわけでありますが、そういうものに対して九割を保険から給付しますと、そういうことが書いてある規定でございます。  ただ、厚生大臣が定める基準で一応介護報酬上のサービスの単価というのは決まるわけでありますが、現にサービスを提供する人がそれより低い価格でサービスを提供する場合はその価格にするというのが法律の中に書いてあるわけでございます。  そういう意味で、サービスをこれよりも低いサービスでやる者があれば、それは単価が適切に評価される。一割負担でございますから、その負担もそういう意味で若干ではありますが、軽減するというようなことにもなるわけでございます。
  33. 山本保

    山本保君 今の答弁は、それはやはりちょっとおかしいと思うんですね。  つまり、簡単に言えば、三千円と五千円のサービスがあるとすると、今のお話であれば、一割負担が三千円であるから五千円よりは安いので、当然安い方をとられるであろうから、この業者は三千円ということでやるでしょうと、こういう話ですね。五千円にはならないですよ、三千円であれば三千円でいくんだと。ところが、それは考えたってそんなことにはなりっこないわけですよ。  なぜならば、三千円と五千円で二千円高くなるけれども、受ける方は、本当にお金のない方は別にして、二千円以上の付加価値がつけば払いますね。どういうことかといえば、三千円だけれども、五千円にしますが、今までよりもよくしますよと。例えば、体を洗ってくれる方は向こうは機械と男性がやりますが、こちらはきれいな女性がいい音楽をつけて――これは実際に長野に行ったときにそんな話が出たんですから、見学のときに。いい音楽が流れて、美女がやってくれますよ、それでそのとき使う浴衣だとかそんなものは全部そのまま持っていってください一喫茶店かレストランの券もつきますと。こうすれば、当然五千円の方がだれが見たっていいでしょう。そんなことができるか、できますね。  だって、業者の方は三千円だったら三万円金が入るんだけれども、五千円にすれば五万円入るんだから、二万円ふえるんですからね。二万円より超えることはやらないけれども、そんなもの、二千円ぐらいふえたって構わないわけですよ。だから、必ずこれは一番高い方に行くに決まっているじゃないですか。それはちょっとむだ遣いを勧めるということになると思うんですよ。  ですから、このときに、方法としてバウチャー、切符ですね。つまり、サービスを受ける御本人に現金を渡すということは、今回までにいろんな問題があってなかなか難しいところもありますから、それについての切符を渡す。おばあちゃんが来た人にありがとうねと出す。こういうやり方をしなければ、結局サービスを本当に選ぶということはできなくなるんだと。幾らもとのお金が税金だろうが、保険であろうが、受けるおばあちゃんにとってはやっぱりお上のお金なんですよ、そのときになったら。  だから、ここで一遍にできないかもしれないけれども、ぜひこのバウチャー制というものは検討をしていただきたいなと思いますけれども、御答弁いただけますか。
  34. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) バウチャー制度のメリット、デメリット、それぞれあると思います。サービス選択が自由になるじゃないか、これが一つのメリットで言われております。  ただ、一方で、バウチャーを主張しています経済団体の人などに聞きますと、その上に自己負担を加えて買えばいいんだということで、何か差額負担を前提に言っているような方もいらっしゃるわけでございます。  それからまた、選択は自由だと言いながらも、実際に選択する人は高齢の寝たきり老人あるいは痴呆の入ったような方でありまして、いわゆる健全な消費者ばかりではないわけでございます。そういうときに、適切な選択ができるのかどうか、介護支援専門員を置いて介護サービス計画をつくるというのは、まさに専門家を入れて適切な選択をしてもらいたいということで入っているわけでございます。  ただ、御指摘のように、メリットもあるしデメリットもあるということでございますので、こういうものを果たしてどういうふうな形で活用することが可能かどうか、幅広く検討してまいりたいというふうには思っております。
  35. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  大分時間が来たんですが、ちょっと、多分牛嶋先生の分に食い込んでもいいということだと思いますので、少しだけあと二つほど聞きたいのがあるのでやらせていただきます。  ちょっと話が全然違ってきますけれども、具体的に、先日金曜日、土曜日に名古屋でミニデイサービスの方たちが、御存じだと思いますが、全国大会といいますか、まだ組織もないんですけれども、私も行ってまいりましたが、七百人ほど、もっと多かったかなと思うんです。お聞きしますと、全国に百五十カ所ぐらいそういうものがあって、はっきり言えば非常に安い単価だけれども、そして資格も公的にはなかなかない方などもたくさんいるけれども、逆にペーパーだけでヘルパー資格を取ったりまたは介護福祉士を取った方よりも本当に心のこもったサービスをやっているんですよという実践をいろいろお聞きしたんです。  ただ、今はこういう小さなサービスには公的な支援というのは全くないんじゃないかと思うんですけれども、この辺について何か考えておられるのか。まさにこの介護保険ができてもそういう方たちには全く何のメリットもないというのではこれはおかしいと思いますので、この辺について御返事いただけますか。
  36. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) ミニデイサービスと言われております、託老所ともよく言われていますけれども、こういったものについての扱いにつきまして、現行制度とそれから介護保険後におきましての扱いを御答弁申し上げたいと思います。  現在もいわゆる日帰り介護、デイサービス事業に対しまする補助につきまして、やはり入浴だとか食事介助だとかいろんな日常生活訓練等の一定サービスを実施するための必要な職員でありますとか、そういった一つの標準的なあれができている上に立って補助をしておりますものですから、どうしてもそこに一つの規制というものはあるわけであります。そして、一定規模以上ないと事業の効率性も保てない、そのことがひいては不安定になるということもありまして、補助対象に一定の基準を設けております。  ただ、先生お話のございますように、地域のまさに実情から生まれてきた小規模なものについての必要性というのも一面ございますので、実はそういった基盤整備を進めるという中で、利用定員についても弾力化を図るという形でその基準を下げてきたり、あるいは供給主体についても多様化を図るというような方向をしておりますので、今いわゆるミニデイサービスと言われているものの中でかなりの部分広げていわば補助対象にしてきているというのが現在までのところでございますし、そういった方向自体については今後もやっていかなければならないと思っております。  そして、そのことの延長線上で今度介護保険ができました際には、当然今のいわゆる託老所というようなものも、その事業内容はいろいろでございますけれども、一般的には日帰り型の介護サービスの一種というふうにまず類型としては考えられると思いますので、したがいまして、その日帰り介護の指定基準をどう定めるかになりますけれども、そういった指定基準を満たす場合には介護保険給付対象にしたいというふうに思います。  さらに、介護保険の中ではそこをもう一段弾力的な扱いということで、指定基準を満たさない場合でもいわば地域を限定して一つ市町村内の需要を満たすというような形でのものにつきましては、また日帰り介護類似の基準該当サービスという形で給付対象にする道も開いておりますので、より弾力的な対応という形の中で対応していきたいというふうに考えております。
  37. 山本保

    山本保君 今のお答えはよくわかりましたのですが、それに関連しまして、ちょっと飛びますけれども、今度七十条の二項一号に法人でないときはこの介護居宅サービス事業者を指定してはならないと、こうありますね。これは時間がないので言いますが、多分この法人でなければというのは、つまり憲法八十九条の公の支配に属すると、こういうことから持ってきたんじゃないかと思うんですけれども、この場合法人でないときに営利の法人はいいんだ、営利法人も含むんだと、こういうふうに言っておられるというふうに聞いておるんです。  まとめてお聞きしますが、営利法人までよろしいと、こう言っていて、しかし法人格がないからだめだというのは、ちょっとこれは理屈に合わないんじゃないかと。公益法人だけならわかるんだけれども、営利法人もこれに含むんだと言って、しかし片方では今のようなサービスは、いろいろ基準は下げるということは結構なんですが、原理的な話をしているんですけれども、この七十条二項の「法人でないとき。」ということの意味なんですけれども、この辺はどうでしょうか。
  38. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 都道府県知事が指定します介護サービス事業者、これは法人格があることが必要であるということになっております。この法人格は公益法人等に限らず株式会社であっても商法上の法人であってももちろん構わないわけでございます。  これはなぜそうしているかといいますと、事業が安定的、継続的に行われるということを担保するためでございます。それに至らないようなものについてでありましても、なおかつサービスとしてしかるべき内容があるというものについては、市町村が特例介護給付事業の対象としてそういうサービス活動を行える団体等を活用するということが別途講じられているところであります。
  39. 山本保

    山本保君 まさに安定的、継続的によいサービスが行われるというのが基本だと思いますので、形式論ではなくして、そこに着目した基準、七十四条で基準をつくるということですから、それをぜひつくっていただきたいと思います。  それで、大臣には最後にお聞きしますが、その前に、先回私も質問の中で、きょう最初に申し上げましたように、社会福祉法人をもっと簡便に状況に応じて、特にデイサービスであるとか通所型の施設については、今の一億円というような、しかもこの一億円は凍結させておく一億円ですね。普通の会社のように使っていいというんじゃなくて、その果実で運用というようなことが書いてあるわけですから、これは大変なことで、とてもこんなのはできないんじゃないかと思うんです。そういうふうに主張しましたら、きのうですか、「社会福祉の基礎構造改革について」というものをいただきまして、私が申し上げたようなことが検討として書いてあるので非常によかったなと思っているんですけれども、ただ、この会はどういう会で、今後これは本当に実現されるのかどうか、その辺について御説明いただけますか。
  40. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) ただいま先生が指摘されましたペーパーは社会福祉の基礎構造の改革というふうなもので、主要な論点について実は八月末に私ども社会・援護局の中に学識経験者十二名から成る方にお集まりいただきまして御検討いただいた結果でございます。  この報告の主な趣旨でございますけれども、実は社会福祉の基礎的な事項でございます、先生が前回も御質問され、今回も御指摘されました、例えば社会福祉法人のあり方とか、または福祉事務所のあり方とか、またそもそも社会福祉事業の範囲といったような事項については、実は昭和二十六年の社会福祉事業法というものが制定されたまま基本的にはほとんど変更されないで今日まで来ているという事情がございます。その間、福祉状況は随分変わってきております。したがって、社会福祉法人のあり方も、また福祉事務所のあり方も、そもそも社会福祉事業の範囲というようなものも今日の目から見てやや狭いんじゃないかなというふうな問題点がありますので、これを今後検討していかなくちゃいけないというふうに思っております。  ちょうどたまたま昨日、中央社会福祉審議会を開きまして、この論点をもとにして今後検討していただこうというふうになっております。審議会の中にさらに分科会をつくりまして、ちょうど明日第一回の会合ということでやっておりますので、精力的な御検討をいただきまして、この結果が出ればその所要の改正ということまで運んでいきたいというふうに考えている次第でございます。
  41. 山本保

    山本保君 ぜひやっていただきたいと思います。  具体的にはこの前いろいろ申し上げたんですが、そのことに関連して一つだけ追加で申し上げますと、この前お聞きしたら全国の施設の五%しか収益事業をやっていない、その総額自体もつかんでいないぐらい微々たるものだということだと思うんですね。その辺を詳しく聞いてみましたら、今の規定では、規定といいますか指導では、収益はすべて本来事業に突っ込まなくちゃいけないという、そういう規定になっているんだと。これは当たり前のように見えますけれども、考えてみますと、いろんな事業をするときに、そのための事業拡大といいますか、そのためにそのお金を使っていくということは当然のことでありますのに、どうもお聞きしていると、福祉の方はそういう発想ではなくて、単純に収入から元を引いたものをそれを全部収益でやって全部入れてしまうんだと。こういうやり方をやっておれば、収益事業といいますか、このための事業が拡大するといいますか、広がるわけがないと思うんですね。  大臣は、この福祉、特に介護に関しては税と保険と自己負担の組み合わせだとよくおっしゃるわけです。この辺はこれから今お聞きしますけれども、私もそうは思うんですけれども、この前から申し上げていますように、実はこの分野には寄附金という分野と、そして社会福祉事業に携わる地域人たちの応援による収益事業という分野があり、アメリカのデータなどを見せていただきますと、アメリカのこういう関係では、大体五割が公費で三割が寄附で二割が収益事業というような研究報告もあるわけであります。アメリカと日本をそのまますぐにというわけにはいきませんけれども、現在の日本のように、ほとんど全部が措置費であるというのはよろしくないと私は思っておりますので、この辺はぜひ検討の中に入れていただきたいと思っております。  最後に大臣、いろいろお聞きしたいんですけれども一つだけ、お得意の規制緩和ということについて、特にこの社会福祉に関してのこれからの御決意を述べていただきたいと思います。
  42. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 今お話しの、社会福祉法人のあり方について見直しを検討しよう、できるだけ社会福祉活動に参加しようという意欲のある人には参入してもらおうという視点での見直しというのは、これからのサービス水準を向上させようという観点からも必要だと思っております。  そういう中で、今後さまざまな活動家がこの介護活動のみならず、社会福祉活動に意欲を持ってもらうような環境整備を政治の面でも支援していくことが大事ではないか、そう考えております。
  43. 山本保

    山本保君 ありがとうございました。終わります。
  44. 木暮山人

    ○木暮山人君 平成会の木暮山人です。  介護保険法に関しましては幾多の問題があると思います。また、解明すべき点が多々あると認識しております。このうち、本日は特定疾病と利用料及び介護報酬の問題を中心にお伺いしたいと思います。  まず、特定疾病の対象についてであります。  先日の同僚委員に対する答弁では、例示として、従来どおり初老期痴呆、脳血管障害を示していました。一方、衆議院の確認質問では、ALSについても加齢に伴い発症頻度が高くなり検討項目の一つである旨の答弁がなされています。しかし、加齢に伴う発症率、状態の悪化という点から、これらの疾病のみならず、がん、糖尿病等、生活習慣病の多くがこれに該当することになると思いますが、いかがなものでしょうか。お伺いさせていただきます。
  45. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 四十歳以上、六十五歳未満の人につきましては、加齢に伴って生ずる心身の変化により、身体上または精神上の障害を起こす特定の疾病によって要介護状態または要支援状態となった場合に介護保険給付対象になるということでございます。そういう意味で、この特定の疾病をどう定めるかというのが先生の御質問でございます。  この範囲については、加齢に伴って生ずる疾病ということでございますが、高齢者医療専門家によって構成されます研究委員会で現在検討をしていただいているところでございます。そういう六十五歳未満の要介護者の方々の実態を踏まえながら、疾病の発生状況とか、あるいは加齢に伴ってどういう状態の悪化が生ずるかとか、そういうことを踏まえて現在検討していただいているところでございます。  脳血管障害とか初老期痴呆などよく例に挙がるもののほかに、がんとか糖尿病などの生活習慣病、これについても加齢に伴って発症率が高くなるのではないかと、そういう御指摘でございます。この生活習慣病につきましては、医療サービスとして対応するのか、介護サービスで対応するのか、そういうようなことも含めまして、先ほど申し上げました専門家の会議での意見、そういうところでの検討を踏まえて、公平な運営ができますような具体的基準を設けますよう検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  46. 木暮山人

    ○木暮山人君 まだ極めて不十分な答弁であります。検討中ということになれば、いずれ立派なものが出ると思います。もともと本法律案が若年障害者を排除し、加齢疾病条項を規定したところに無理があったと言わざるを得ません。ところが、厚生省は若年障害者を排除した理由の一つとして、障害者の皆さんの意見がまとまらなかったことを取り上げております。しかし、障害者団体が介護法にゴーサインを示さなかったのは、基盤整備が不十分で介護報酬等の水準が明らかにならない段階介護保険に移行すればかえってサービス水準が現在よりも低下するのではないかと懸念したからであります。  そこで、お伺いしたいのでありますが、介護保険で提供できるサービスが自治体の上乗せ部分を含めた障害者サービスよりも低くとどまった場合、介護保険の対象となる六十五歳以上の障害者介護保険を上回るサービスを受けることはできるのでしょうか。また、介護保険で実施していないが、ガイドヘルパー、社会参加事業等は利用できるのでしょうか。お伺いさせていただきます。
  47. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 障害者関係のお尋ねでございます。  介護保険制度が施行されました場合には、障害者が六十五歳に達した時点で要介護認定を受けまして、これまでの障害者施策によります介護サービス、これは介護保険制度サービスに移行いたしまして、介護サービス基本的に介護保険制度により給付されることになります。  その際、それまでの障害者施策の関係でございます外出介護人、いわゆるガイドヘルパー、それから授産施設の利用や手話通訳、リフト付福祉バス等の社会参加促進事業など、障害者施策に固有のサービスでございますが、六十五歳以上になりましても引き続き障害者施策の方から給付を受けることとしておりまして、障害者にとって必要なサービスが確保されるよう対応していく考えでございます。  以上でございます。
  48. 木暮山人

    ○木暮山人君 他方、厚生省は衆議院の確認質問において、障害者に対する介護サービスについて、高齢者に対する介護保険給付と遜色のないものとなるよう障害者プランに基づきその推進を図っていく旨答弁されていますが、現在の障害者プラン介護保険と遜色のないサービス水準の達成は可能と考えておられるでしょうか。逆に、公費による現在の障害者プラン介護保険と同等のサービスが提供可能であるとすれば、保険でなければ十分なサービスの提供を望めないとする厚生省の従来の主張と矛盾するのではありませんか。この点、ひとつお伺いさせていただきます。
  49. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 障害者施策の話と介護保険の話と、二つあったわけでございます。  障害者に対します介護サービスにつきましては、障害者施策は公の責任として公費で実施すべきという関係者の意見が強い、あるいはまた若年の障害者の場合、介護のほかに授産であるとか社会参加であるとかさまざまなサービスが必要である、こういうことなどを踏まえまして、基本的に障害者プランなどの障害者施策の枠組みの中で対応していくということになっているわけでございます。その水準につきましては、介護保険制度と同じようなサービスについては、介護保険制度と比較して遜色がないように整備を進めるということで目標を立て対応して取り組んでいるところでございます。  それから、介護保険制度でございますが、これは現在の高齢者介護につきまして、老人福祉施策というものと老人医療制度と二つの体系でその対応が行われているわけでございます。そのために利用者負担あるいは利用手続、そういうものに不均衡が生じている、あるいは利用しにくさというものがある。社会的入院といったようなもの、医療の面から見ますと医療費の非効率というんでしょうか、そういうような問題も指摘されているところでございます。そういうものを抜本的に解決を図る、そういうことで現行制度を再編成して、保健医療福祉にわたる介護サービスを総合的、一体的に賄う制度を創設する、こういうことで介護保険制度を考えているわけでございます。  我が国におきまして、高齢化が急速なスピードで進んでいるわけでありますが、それに伴いまして高齢者等の介護サービスに要する費用というものの増加は避けられないわけでございます。そういうことを踏まえて介護サービスの財源を安定的に賄う仕組みということを考えますと、給付と負担の関係が明確である、そしてそういうものを踏まえてこの制度をどうするか、国民の理解を得やすい社会保険方式が適当である、そういう理由から、社会保険方式によりまして介護費用を賄う仕組みを創設することにしたものでございます。
  50. 木暮山人

    ○木暮山人君 次に、利用料の問題についてお伺いいたします。  もともと介護保険においては、その利用限度額が設定された要介護者が最も適当な介護を受けられるようケアプランという要素も組み込まれております。このためモラルハザード等の問題も起きにくい仕組みになっております。にもかかわらず、介護保険において利用限度額という総量規制に加えて個別に利用料負担を徴収するという二重の縛りをかけているのはなぜか。このように二重の縛りをかけた制度はほかにどのようなものがあるか、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  51. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度におきましては、高齢者の心身の状況等を踏まえまして、その高齢者が介護を要する状態にあるかどうか、またある場合にはどの程度の介護を要する状態にあるのか、そういうことについて認定を行いまして必要な介護サービスを提供するというふうになっているわけでございます。認定されました要介護度区分に応じまして支給限度額というものが決まりまして、その支給限度額の範囲内で実際にサービスを利用するというふうになっているわけでございます。  御指摘は、そういう利用限度額がある上にさらに一割自己負担は必要だと、二重に縛りがかかっているのではないかという御指摘でございますが、その利用限度額というものにつきましては要介護度に応じてその人に必要なサービス量を保証するという意味で定められる、決まっていくものでございます。  一方また、利用時の一部負担といいますのは、サービスを利用する人と利用しない人がいる、そういう間の公平、あるいは多くサービスを利用する人と少なくサービスを利用する人ということもあるわけでございまして、そういう人たちの間の公平の問題。さらには、実際利用の都度自分でその費用の一部を支払うということによりまして介護費用全体についての意識というものを持っていただく。そういうような観点から利用時に基本的に一割の負担をお願いするということになっているわけでございまして、二つはそれぞれの目的に応じて置かれているというものでございます。  こういう例がほかにあるのかということでございますが、医療の世界におきましてもいわゆる定額制というんでしょうか、例えば末期のがん患者についての緩和ケア病棟、そういうところにつきましてはそういう定額制になっているわけでありまして、それに対しまして医療保険に基づくあるいは老人保健制度に基づく一部負担というのはあるわけでございます。  そういうことで、先生のイメージするものと同じ例かどうかはわかりませんが、一方で給付限度額があり、それに対してまた一部負担も入っていると、そういう制度の例はあるわけでございます。
  52. 木暮山人

    ○木暮山人君 現在の特別養護老人ホームに入所されたり在宅サービスを受けておられる方の大半は低所得者であります。この方たちにとって一割という自己負担は確実に負担増になります。  利用料を払えないために、これまで受けていたサービスが受けられないようになるか、あるいは施設を退所せざるを得なくなるお年寄りが続出するのではないか、厚生省はこの点どうお考えかをお伺いさせていただきたいと思います。
  53. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 特別養護老人ホームに入っている人につきましても介護保険制度からの保険給付の対象になるわけでございますが、通常の場合には、そういう施設に入りますと、サービスについての一割負担とそれから食費に関します一定の負担をお願いするということになっているわけでございます。  ただ、定率負担でありますと負担限度額が高くなってくるということがあるわけでございますので、この負担限度額を高額介護サービス費と、医療保険の世界での高額療養費と同じような考え方でございますが、上限を設けるというふうに考えているわけであります。  これを設けます際には、さらに低所得者に配慮するということになっておりまして、低所得者に一般の場合の高額介護サービス費の額よりも低い限度額を設定してその負担が高くならないようにということができるわけでございますし、また食事の標準的な負担につきましても、同じように低所得者については一般の場合よりも低い額を設定するということができるわけでございまして、こういう形によりまして利用料を無理なく負担をしていただけるよう配慮を行うこととしているところでございます。
  54. 木暮山人

    ○木暮山人君 なお、現在サービスを受けている方に対するサービスの確保という観点からは、要介護認定によって認定されなかった方たちの問題も大きいものがあります。ひとり暮らしのお年寄り等にとっては、たとえ要支援、要介護に該当しなくても、家事援助を中心とするホームヘルプサービスが予防、自立支援のために不可欠の要素があります。  一方、特別養護老人ホームについては五年間の経過措置があるとはいえ、ここに入所しておられる方のほとんどは、よくも悪くもついの住みか、最後の住みかとして入所されてきております。この方たちに退所を迫ることは、イコール生活の場を取り上げるということにほかなりません。  この点について、厚生省はどのように認識し、この方たちへのサービス確保のためにどのような方策をとるお考えか、お伺いさせていただきます。
  55. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お答え申し上げます。  特別養護老人ホームは、現行の制度におきましても、常時専門的な介護が必要だという方々のための施設でございます。したがいまして、そういう方々が本来お入りになる入所施設ということでございますから、その性格は今度介護保険制度に移行しましても同じでございます。したがいまして、そういう入所者の方々で現在も施設の対象と考えられる方については今度の介護保険制度下におきましても要介護あるいは支援ということになるわけでございます。  ただ、事実上のことといたしまして、なかなか在宅介護サービス等の提供が十分にない、したがって、バックアップが受けられないのでやむを得ず特養にお入りになるとか、あるいは要介護状態が改善したけれども、やっぱり帰る家がない、あるいは帰ってもそういった地域での在宅サービスが受けにくいというようなことから、事実上おられるというようなケースがあり得るわけであります。このような状況にどう対応していくかということにつきましては、やはり一つには訪問介護あるいは日帰り介護といったような在宅介護サービスを充実していくということが必要であります。また、住む家がないというような事情で特別養護老人ホームにというようなことにつきましては、例えば介護利用型の軽費老人ホーム、いわゆるケアハウスでございますとか、あるいは建設省と共同で進めております高齢者のお世話について配慮をしましたそういった住宅、こういったものの整備を進めていき、生活の場というものの整備を並行してやっていかなければならないというふうに思っております。  また、今お話の中で特別養護老人ホームだけではなくて、いわゆるホームヘルパー等につきましても、要介護に当たらないひとり暮らし等、そういった人たちの需要にこたえるような施策が必要だということでございました。こういったことにつきましては、この介護保険だけで地域のお年寄りの需要を全部満たすというわけではございませんので、ひとり暮らしのお年寄り等のためには、地域における一般的な老人保健、あるいは医療福祉サービス、あるいはさらには生きがい対策といったようなものも含めまして市町村の実情に応じました、そういった市町村における自主的な取り組みというものについて国としても支援をしてまいるという方向を目指したいと思います。  なお、特別養護老人ホームにつきましては、先般来お答えを申し上げておりますように、そういいましても事実上なかなか要介護の基準に該当しない方が入っておられるような事例もあるということで、それについて円滑に本来の施設に持っていくということで、五年の経過措置を設けまして、五年間は要介護認定を受けることなくこういった施設の利用を認めるという、特別養護老人ホームにつきましては経過措置を適用することにいたしておりますので、そういった経過措置の中で先ほど来御答弁申し上げておりますようなことを円滑に進めてまいるということをしたいと思います。
  56. 山本正和

    委員長山本正和君) 木暮君、時間になりました。
  57. 木暮山人

    ○木暮山人君 時間が参りましたので、これで質疑を終了させていただきます。  どうもありがとうございました。
  58. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。これまでに引き続き質疑をさせていただきます。  この間、地方公聴会あるいは本日の中央公聴会の中で、いわゆる民間の皆さん方、例えば住民参加型のサービスをやっている皆さん方とか、あるいは有限会社で訪問看護ステーションをやっておられる方の御意見もお聞きしましたが、そういう営利、非営利を問わず、民間活動を行っている皆さん方が介護保険が施行された場合に対象とされるのかどうか、大変心配をされておられるわけで、その点は情報開示が足りないために無用な心配をされている点も多々あったように思います。  そこで、最初に大臣にお尋ねしたいわけですが、先ほど山本委員からの御質問にもありましたが、大臣はこういう点について積極的に民間活用というお考えをお持ちだと思いますが、その点について、特に民間の中でも規模が小さいとか、法人格を取得できない、いわゆるNPO法案が成立するか否かにもかかってきますが、そういうところについても積極的に自治体、保険者を指導して、こういう介護サービスサービス提供事業者にしていくということについての御決意、お考えを伺いたいと思います。
  59. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 今後高齢者福祉サービスについてできるだけ多くの方々に関心を持っていただく、またこの事業に参加していただくということは、私は介護保険制度が導入された後はますます重要になってくると思います。多くの人が参加するという意欲を持つことは当然競争も激しくなりますし、サービスを効率化していこう、質をよくしていこうという意欲が出てまいりますから、この参入意欲をどのように健全に発展させるかということで考えていくべきではないか。でありますから、公的サービスだろうが民間のサービスだろうが、営利だろうが非営利だろうが、そういう意欲を持った方がどんどん参入していくような環境整備を厚生省としても積極的にとっていきたいというふうに考えております。
  60. 今井澄

    今井澄君 そこで、きょうもたまたま午前中あったわけでありますけれども、例えば生協あるいは農協、そういう協同組合がサービスをする場合、これは当然組合員に対するサービスをする組織という前提がありますから、員外利用の制限があるわけですね。この介護サービスについては現在のところ員外利用の制限を外しているものが四つありますね。老人保健施設、老人訪問看護事業、デイサービス、それから在宅介護支援センター。ところが、在宅サービスの中で非常に大事なホームヘルプサービスについてはこの項目にもないわけですね。現にきょう午前中の公述人などはその点のことを述べておられたわけですが、こういう生協、農協などが在宅福祉サービスを行う場合に、各種のサービスに参入してもらうには、これはこの法を改正していくのか、それとも別組織をつくってもらうのか、その辺についての見解をお願いいたします。
  61. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 生協、農協に在宅サービスヘの活動をしてもらうということについてでございますけれども、まず生協について御説明させていただきますと、先生も御指摘されましたように、生協というのは組合員に最大の奉仕をするということを目的にしておりますので、本来的に生協事業というのは組合員のみが利用するということを原則にしているわけでございます。しかし、法律の規定では正当な理由がある場合はいいということになっておりますので、今、先生御指摘されました生協が行うホームヘルプ、いわゆる在宅福祉サービスにつきます員外利用の許可については、これを今後の法律の規定を適用いたしまして、これができるように対応するという方向でいきたいというふうに考えております。  農協につきましては、既に法律の方で手当てをされておりますので、在宅福祉サービスの実施には支障がないというふうに承知いたしております。
  62. 今井澄

    今井澄君 ぜひそういうことで、重要な介護サービスについてできるだけ、いわゆるこういう意味では規制緩和をきちっと進めていただきたいと思います。  さて、民活ということは私自身も基本的には賛成なわけですが、最近ちょっと心配になるような記事が幾つか新聞でも報道されました。  それは二十四時間巡回型ホームヘルプサービスについて、現在はこれは行政がやっているわけですが、その入札のときに一部の民間の営利会社がダンピングとも言えるような非常識な安い値段で受注しているということが一つならずあるわけですね。これは一時的にはいいかもしれませんけれども、そんな安い値段でやっていけるわけではありませんから、そんな安い値段で受注をしている、あるいはその延長上に介護保険でのサービスをするということになると質が低下するんではないかというおそれがある。これはどう防止するのか。  それからもう一つ、こういうダンピングして受注しているというのは一つのねらいがあると思います。ある一定の大手業者と申しますか、そういうところが事業を独占しておいて、他の参入を阻んで独占した上で今度は値段を適当につり上げるとか、そういうおそれも考えられるんですね。こういう昨今報道されているダンピング、この弊害について、対策について厚生省はいかがお考えでしょうか。
  63. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 高齢者に対します介護サービスの需要に的確に対応するという観点からすれば、やはり良質な介護サービスの供給が推進されなければならない。そのためには健全な競争を通じてこういったことが確保されなければならないという点は、そのとおりだろうと思います。  新聞報道にもございました訪問介護、具体的に現在行われていますものがダンピング等の結果で質が非常に落ちているということは私どもまだそのようには承知しておりませんですが、この質の担保ということについては、本来的にはやはり質そのものを一定の指定基準等で担保するということにして、経済行為であります料金のところには、独占禁止法等のものを除きましては、価格そのものに介入をして、この価格に、市場でやられていることをしなさいというふうな方向はできるだけとらない方がいいだろうと思います。  したがいまして、今後もこういう質を確保しなさいということでサービスの質をきちっとする、それで仮にダンピング等の結果で質を割るようなことがあれば、そこについて指定基準等それから指導監督規定もございますから、そういったことを通じて担保していくという方向を基本的にやるべきではなかろうかと思います。しかし、独禁法等の規定に触れるようなことがあれば、これは言ってみれば論外でございますから、それはそのようなこととして対応することが必要であろうというふうに思います。現在新聞報道されておるもの自体は、まだそういった事態にはなっていないように私ども承知をいたしておりますが、なお注意を払って見守っていきたいというふうに思います。
  64. 今井澄

    今井澄君 もちろん現在はなっていないわけですけれども、永遠にダンピング、原価割れの価格で続けられるわけではありませんので、そういうことは十分注意して見守らなければならないと思います。  さてもう一つは、民間事業者の場合、特にこれから介護報酬がどう設定されるかということにも実は関係するわけですが、それはそれとして限度額が決められ、介護保険の範囲内でサービスをするわけですけれども、これだけでは足りないでしょうということで、現場で自己負担、自費を出していただければさらにプラスできますよと。例えば、ホームヘルパーの派遣が週三回、あと幾ら出していただければもう一回来ますよというふうな形で、過剰サービスを現場で要介護本人あるいは家族の方に売り込んでいくというおそれもないわけではないと思うんですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  65. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険法案におきましては、介護保険給付対象となるサービスといわゆる給付対象とならない、あるいは上乗せ云々、そういうようなサービスとの組み合わせの利用が可能ということになっております。ですから、先生がおっしゃいますようなことは現実問題としては起こり得る話ではございます。ただ、一つには不明朗な差額負担はいけないというふうに思っておりまして、これは例えば事業運営について、運営基準か何かでそういうものはきちんと対応するようなルールをつくりたいというふうに思っております。  また、保険給付の分とそうでないものを明確に利用者に説明するなど、しかるべき十分な情報提供をして説明をする、そういうことも必要だと思います。そして、そういう上で御本人が選ばれるというものは、これはこの制度としては許容されているところではないかというふうに思います。
  66. 今井澄

    今井澄君 実はその点、厚生省は前歴があるわけでして、例えば医療保険の方で自己負担が明示されているもの以外は自己負担はないはずだと言うんですけれども現実にはお世話料というので、厚生省調査では平均二万幾らとかというのが実際調べてみると十万幾らのお世話料が現実にどうしても特に都市部で払われているということもありますので、その辺はよく反省をしていただいて、今後もきちっと不当なサービスの押しつけや差額負担のようなことがないようにしていただきたい。  そこで実は問題なのは、先ほど木暮委員の御質問の中で、私の聞いたところでは、この制度は要介護度認定をして限度額を決めるのでモラルハザードは生じないというお話がありました。その前の山本委員の御質問では、これは実はモラルハザードを生ずるシステムであるということが言われました。これは非常に微妙な難しいところだと思いますが、私はやはりこの介護保険制度モラルハザードが内包されている危険性があると思っております。  と申しますのは、この間の審議の中で要介護度認定が低くされたらどうするんだという、低く認定されることばかりが問題にされてきました。そして、それはこの制度で要介護者や家族保険料を納めておきながら十分なサービスを受けられないというふうなことで言われてきました。私もそういう問題は現にあると思うんですね、低く認定されてしまうと。しかし逆に問題なのは、介護の場合には高く認定をされてしまう、あるいはより多くのサービス、必ずしも必要のないような、必要もないと言うと失礼かもしれませんけれども、客観的に見たらこれで過不足ないだろうと思われるよりも過剰なサービスが要求されることがあると思っているんですよ。というか、そもそも認定に不満を持つ構造になっていると思います。  というのは、医療においてもむだはあるわけですね、飲まないお薬をもらっていってためておいて捨てちゃうとか。それはただだからとか自己負担が安いからというのはあるんですけれども、しかし本質的には医療においては何でも患者さんがサービスを求めるという構造にはなっていないんですね。カメラをのんでもらったと、あしたものませてくれ、あさってものませてくれ、こういう要求はないんです。つらい、苦しい、痛いということがあるからなんですね。薬についても副作用という常識があるから、医療においてはむだが現実にあるんですけれども、本質的には無限に要望が広がるということは実はないんですよね。  ところが介護においては、介護サービスを受ける側にとっては苦痛は生じないんです、ふえても。場合によってはうるさいという苦痛が生ずるかもしれません。毎日ホームヘルプに来られるとうるさいという人もいるかもしれませんけれども、一般的には多々ますます弁ずなんですね、介護サービスは。したがって、この介護保険で注意しなければならないのは、ちょっと悪い言い方をしますと、要介護老人あるいは家族の人の希望を何でも聞いていたら無限にサービスは広がってしまう。  そうすると、今、月二千五百円でやりますよと言っているのが保険料が上がっちゃう。これは国民をだましたことになるんですよ。やっぱりこれは国民の皆さんにも、過不足ないサービスとは何かという、ある意味では科学的というか平均的なことをきちっとやってもらわなきゃならないと思うんですね。そういう意味では、要介護度を低く認定されるおそれだけではなく、高く認定されてしまうおそれについても、特に私ども政治家としては、政策を決定する側としては十分認識しておかないと無責任な垂れ流しの制度をつくっちゃうおそれがあると思うんですよ。  そこでお尋ねしたいのは、これにかかわる人々が随分いるわけですね。まず、サービスを受けたい、要介護度認定を受けるにはどうするかという相談をする。例えば、民生委員さんが相談を受けるか、市役所の窓口か在宅介護支援センターか、そこから始まる。あるいは、相談なしにいきなり市役所の窓口に要介護認定申請を持っていく人もいるでしょう。そこで要介護度認定をするに当たって、申請する資格を持っているかどうかという資格認定をする人もいるでしょう。そして、それに基づいて今度は調査員が調査をするわけですね。それから、それのデータに基づいて審査会が開かれて、そこに審査委員がかかわって、要介護、要支援の認定をする。そうすると、今度は介護サービス計画というんですか、いわゆるケアプランをつくるわけですね。そして、それに従って今度は各種の事業者からサービスが行われる。そのサービスの今度はレベルをチェックする人もいる。それからまた、主ないし六カ月ごとに今のケアプランでいいのかどうかというチェックも入る。こういうことにかかわる大勢の人たちがいるんですね。  そこで、これにかかわる人々について、厚生省としては、今どういう資格あるいは立場、職種、それが公務員なのか公務員でないのか、民間か、その辺のところについてどう考えているのかをちょっと整理してお答えをいただきたいと思うんです。
  67. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 要介護認定の申請は市町村に出されるわけでございます。これを受けまして訪問調査をする。この調査員は基本的に市町村の職員ということでございます。具体的には、法律で職種が特定されているわけではありませんけれども、やっぱり保健福祉関係に明るい担当者が派遣されることになろうかと思います。これは、市町村の職員であれば当然公務員でございます。それからまた、この訪問調査介護支援専門員を委託してその専門員に行わせることもできるわけでございます。この人が仮に公的な行政機関等に勤めている人であれば、あるいは公立病院等に勤めている人であれば公務員となるわけでありますが、民間事業者ということもあり得るわけであります。  それから、審査会委員でございますが、これは市町村に設置されます認定審査会市町村長が委嘱をして行います。保健医療福祉に関する学識経験者ということになっておりますので、その分野の専門家の方々でございます。委嘱をしますので、非常勤の公務員という扱いになろうかと思います。  それから、介護支援専門員でございますが、介護支援専門員は、在宅サービス事業者であるとか、あるいは介護保険施設などにおかれて介護サービス計画をつくる立場にあるわけでございますけれども、この居宅介護支援事業者なり介護保険施設が公立のものであれば当然公務員ということになりますし、民間立てあれば公務員ではないということになるわけでございます。  非常に簡単でございますけれども、よろしいでしょうか。
  68. 今井澄

    今井澄君 そこで、実は先ほども申し上げた過剰サービス本人に聞けば幾らでもサービスしてほしいわけですから、そうすると全体が膨らんでしまうということ。これは現にケアマネジメントの母国であるイギリスでそういうことが起こっているというんですね。それで、利用者よりもサービス供給者の便利なように誘導されるという結果が起こって非常に予算も膨らんじゃったということでその見直しが行われているという話もあるわけです。  そこで、今お聞きしたように各種関与するわけですが、保険者である市町村の公務員が適正な関与をしていないと、介護支援専門員には調査も委託できるわけですし、それは恐らく民間あるいは事業者に属する。独立した介護支援専門員というのは非常に少ないんじゃないかと思うんですよね。調査から委託すると調査のチェック項目もちょっと甘くして要介護度認定が高くなる。そして、ケアプランをつくるときも限度額目いっぱいでサービスをつくる。そして見直すときもやっぱりそれでやっていくということになると、利用者本位ではなく非常に事業者本位の、午前中から問題にされていますけれども、一見利用者の要望を入れたように見えながら、サービス提供側がより多くのサービスを提供したいという線に沿ってつくられてしまうおそれが十分ある。これは歯どめをかけなければいけない。  そうすると、この中の少なくともケアプランサービス計画を作成することに携わる者、それからそのチェック、見直しをする者、それからサービスの質をチェックする者はこれは供給事業者の側に身を置いている者ではだめなんじゃないかと思うので、公務員にしなくてもいいですけれども、そこはやっぱりある程度保険者が委嘱をしてきちっとその仕事に専念できるようにしていかないとモラルハザードを生み出すと思うんですけれども、その辺ちょっと大臣、御見解がもしありましたらお願いしたい。
  69. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 私は両方見ることが大事じゃないかと思っています、供給者の立場、利用する立場。今から心配すると本当にあれこれ心配の切りがないんですけれども、いずれの例を見ても実施してみてそういう問題が出てくるわけですね。心配も大事ですけれども、私は、この支援専門員というのは導入時は両方よく見られる人がいいんじゃないか。供給者の立場に立たないとどういうサービスが実際に提供できるのかというものもよくわからないでしょうし、それから利用者の立場から見ればどういうことを望むのかというのもわからない。偏らないで両方見られるというか、両方よく勉強できる人を置くということが大変大事ではないかと思っています。
  70. 今井澄

    今井澄君 そうなんですけれども、私が先ほど申し上げたのは、やはり供給者のサイドに立った人にみんな任せちゃうような結果にならないように、独立した介護支援専門員をきちっとどこかに確保しておかないといけないと思うんですね。今の医療費だって、ここまでふえちゃった医療費を今から減らそうといってもこれは無理な話ですよね、むだがあることはわかっていても。それは制度自身がここまで膨らんでしまったわけですから。そういうことを申し上げておきたいと思います。  さて、そこで問題は利用者の権利擁護なんですけれども、利用者の権利擁護という場合もいろいろあると思います。けさの公聴会で出てきたことでも、少なくとも利用者がサービスを利用する上で情報開示をしてもらわなきゃいけない、不服申し立ても身近なところでできなきゃならない、いろいろなことがあると思うんですけれども、もう一つ奇妙なことがありまして、本当は要介護者が権利擁護されなければならないんですが、家族はとにかく老人ホームヘほうり込んじゃうと。要するに家族によって要介護者の権利が損なわれている場合もあるわけです。  ぼけの問題、いろいろと出てきました。そこで、高齢者の権利を擁護するためには新たな成年後見制度を創設することが必要なんじゃないかということが叫ばれていると思いますが、聞くところによりますと現在法務省で検討が進められているということであります。厚生省としてはこの成年後見制の問題についてどういうふうに取り組むお考えなのか、これをお尋ねいたします。
  71. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先生御指摘ございましたように、やはり介護保険というか高齢者の介護問題を考えますときに、特に意思能力が十分にあれできない方の権利をどう擁護していくかという意味で成年後見制度が大事だというふうに私どもも考えております。したがって、先生今御指摘ございました法務省の検討に当たりましては、私どもも検討段階からオブザーバーで参加をさせていただきまして私どもなりの意見も反映をさせていただくようにするというような工夫はしながら、審議会で今検討が始まりましたので、これからもそういう形で法務省とよく連携をとりながらやってまいりたいと思います。  それからもう一つ、実質的な権利擁護のためのソフトの部分、つまり相談とかそういう業務の部分については、むしろ私どもの方でそういう相談体制の充実というようなことについて市町村、都道府県ともよく相談をしながら意を用いていくということをしていかなければならないというふうに考えております。
  72. 今井澄

    今井澄君 そこで、高齢者の権利の中でも大事な、いわゆる高齢者には低所得者が多い、少なからずいるという問題ですね。特に女性のひとり暮らしの低年金者や家族のない高齢者、先ほどからも低所得者対策の問題が出てきておりますが、きょう午前中の中央公聴会でも非常に事態が鮮明になってきましたけれども、私どもが今議論しているのは、これは要介護状態あるいは要支援状態にあって自立して生活することができない人の自立支援をどうするか。また、要介護者がいるために、それが家族の肩にかかっていて、家族が勤めにも行けないし、勤めに行けないところか体も壊してしまう。こういう家族介護の悲劇をなくすために介護保険制度をつくろうとしているわけですが、そこにどうしてもこれまでの福祉制度を引っ張ってきている。先ほどの特養のお話にもありましたように、本来特養の対象者でないのに特養に入っている人がいて、それは家がないとか低所得だと、これは介護保険の対象者じゃないんですね。これはあくまでも憲法に基づく国の福祉制度の対象者なわけですから、それはそれとしてきちっとしなければならないということが午前中の公聴会でも、先ほどの木暮先生等の質疑でも明らかになってきたと思います。  それにしても、介護保険においてはあまねく保険料をいただくということになっているわけですね、これはお互いに助け合うシステムということから。  それで、低所得者対策ですが、年金から天引きできる人は年金から天引きをする。それが高齢者の約七割。残りの三割は年金をもらっていない、あるいは低年金ということで天引きができないので市町村が普通徴収をする。それが約三割ということですから、平成十二年の段階で約六百六十万人でしょうか。その方たち所得に応じて五段階に分けるという案が現在厚生省から示されているわけですね。第一段階の人は老齢福祉年金受給者で、その方は保険料を月額半分にするというところから始まって五段階まであるわけですが、むしろふやしていただく。  厚生省としては、この第一号被保険者の中の普通徴収となる被保険者約六百六十万人のうち、第一段階から第五段階までのそれぞれの被保険者数を今どういうふうに考え把握しておられるんでしょうか。
  73. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 第一号被保険者、六十五歳以上の方々につきましては所得に応じて五段階にということでございますので、これは年金から直接天引きをされる方につきましても所得に応じて五段階水準がありまして、それで徴収をするというわけでございます。  それから、年金が一定額以下の場合には普通徴収ということで個別に徴収しますが、この普通徴収の対象になる方だけについて特別に所得分布を把握したというものは正直ございません。  ただ、一号被保険者、いわゆる六十五歳以上の方につきまして、全国ということではないんですが、幾つかの市町村について抽出をしまして所得の分布状況を調べたことがございまして、これは大まかな推計が入っているわけでございますが、所得段階市町村民税が世帯全体で非課税な者の割合、今のあれでいいますと一段階、二段階に両方含めて該当するレベルでございますが、これが抽出調査でやりましたら約三五%でございます。  それから、三段階目に該当するいわゆる平均的なところといいますのが三九%でございます。  それ以上のいわゆる四段階目、五段階目に該当する人、これが二六%ぐらいということでございます。
  74. 今井澄

    今井澄君 ちょっと確認したいんですが、そうするとこれまでの第一段階、老齢福祉年金受給者というのは、第一段階としているのは第一号被保険者全体ということですか、普通徴収だけではなくて。
  75. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) ただいま三五%と最初に申し上げたものでございますが、これは第一段階目と第二段階目を含めた数字ということで申し上げたものでございます。第一段階目はその中の老齢福祉年金受給者ということでございまして、老齢福祉年金受給者そのものの数は、平成七年度末現在で約四十万人ぐらいというふうに見込んでおります。
  76. 今井澄

    今井澄君 老齢福祉年金受給者は年金から特別徴収をする、天引きをする対象にも入るんですか。
  77. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 金額を幾らに決めるかということで変わってくるわけでございますが、現在の老齢福祉年金は三万三千円余りでございます。  ただ、一般的にそういうものを勘案しながら、年金から天引きする対象を考えているわけでございますが、福祉年金受給者はその天引きに含めない方向で考えるのかなというふうに思っております。検討中でございます。
  78. 今井澄

    今井澄君 そうしますと、第一号被保険者のうち、年金から天引きする中には第一段階の人はいなくなるということですよね。それとも、年金で老齢福祉年金相当額、月額三万三千五百三十三円ですか、それ以下の人は第一段階にするということですか。
  79. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 通常の老齢福祉年金を受給している人たちを念頭に置いているわけでございますが、その基準の決め方は、最終的にはこれから審議会等に諮って決めるわけでございますが、今までお答え申し上げましたとおり、老齢福祉年金などの水準を頭に置いて、三万円ぐらいというのが一つ水準かなというふうに思っているわけでございます。  ただ、この仕組みのときに、老齢福祉年金も対象にしてやるのかどうか、そこはやらない方向で、対象にしない方向で考えるのも一つの方向ではないかという議論もありまして、今後検討して決めていくということになるわけでございます。
  80. 今井澄

    今井澄君 時間が来ましたので、この続きは後日に譲りたいと思います。
  81. 山本正和

    委員長山本正和君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  82. 山本正和

    委員長山本正和君) 速記を起こしてください。
  83. 清水澄子

    ○清水澄子君 今まで何回も質問があった部分なんですけれども、やはりこの介護保険法というのは、目的のところに「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」という問題が入っているために、今後矛盾が起きてくるということが、この条項によって非常に多くそういうことが予測されます。  しかし、今回のこの法律では、第七条に、六十五歳以上の者を第一号被保険者と決めて、そして六十五歳以上は原因を問わず要介護者、サービス給付を行うとあって、そしてそこに四十歳以上六十五歳未満には特定疾病と、健康保険ですべて疾病は給付されるはずなのに、わざわざ今度はこの特定疾病を決めなきゃいけないという。そういう介護を必要とするという面でも必ずそれは疾病だけではない場合がありますし、それからやはり加齢に伴ってというのかどうかは区別できない疾病もあるわけですね。そしてさらに、若年障害者を含めて障害者プランを適用すると、介護を必要とする人たちがいろいろ年齢なりそれぞれの立場で区分されていく。  つまり、この法律は明確に六十五歳以上の人の要介護サービス法であるとなればはっきりするんですが、保険料を取るのは四十歳からということのために、非常にこれが矛盾を生んでいると思います。ですから、いろんな皆さんたちの質問の中でも、何かその辺がやっぱり納得できない、すっきりできないという部分があるんです。  ですから、この辺はやはり五年後の法案修正を視野に入れて、そして私はこの法第一条の「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により」というところを削除することが一番いいんじゃないかと。今回の場合、それをたとえ削除しても第七条でそのまま運営できるわけです。ですから私は、そういうことを厚生省はどうお考えでいらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。
  84. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 第一条の目的に先生御指摘のような文言があるわけでございます。これは先生のお話にもありましたが、その後の規定で第一号被保険者あるいは第二号被保険者給付の条件が書いてあるわけでございますが、そういう関係から第一条の目的の規定が書かれているわけでございます。つまり、一号被保険者、二号被保険者に共通する給付事由というものを挙げて、それ以外もありますので、「等」というふうに書いてあるわけでありますが、そういうことで、そういうものに対する給付なんだということを目的に書いてあると。  これがもし目的規定にそぐわなくなりますと、いわゆる一般的な介護給付を前提としていて、その目的は大きいのに各条の項目でそれを狭めてしまうということで、法律の体系からすると若干そごがあるのではないか、ある意味で法制的な考え方でこういう形になっているわけでございます。  ただ、先生のお話の中にもございましたが、当然今後実施状況を見ながら制度全体の見直しがあるわけでございます。そして、そういう中であるいはサービスの対象範囲も変わってくることもあり得るわけでございますが、二号被保険者サービスの範囲が変わってくればそれに応じて目的規定も手直しが必要になってくると、それはあり得ることでございます。
  85. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、五年後にはこの部分は修正することがあり得るというふうに私は受けとめましたが、そういう方向でぜひ進めていただきたいと思います。  次に、ケアプランの作成についてですけれども、この要介護認定を受けた被保険者ケアマネジャーによってケアプランが作成されることになるわけですが、このケアマネジャー介護サービス事業者に属しているわけですね。ですから、業者サイドに偏るということが心配をされます。こうした心配を払拭するために、自治体に一カ所はいわゆるきちんとした責任ある機関といいますか、そういう役割を持ったケアマネジャーの機関を配置するというようなことが、被保険者自分ケアプランを評価する上でも非常に安心できるわけですし、そういう意味で、厚生省は今後その点をどのように指導されようとしていらっしゃいますか。
  86. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員の業務が中立公平に行われることは必要でございまして、そういうようなことは今後運営基準等を定める中で担保してまいりたいというふうには思っております。  ただ、先生の御指摘は、さらにそれに加えて市町村等が必ずその圏域の中に一カ所は自分でそういうものを持つべきではないかという御指摘でございます。居宅介護支援事業者の整備につきましては、介護保険制度の運営上極めて重要なものでありますし、介護保険事業計画の中でも整備目標を定めて計画的に整備をしていくということになろうかと思います。その基盤整備にかかわる介護保険制度の運営の責任者という意味におきまして、市町村がみずから居宅介護支援事業者となってそういうような機関を設置すると、そういうことも必要になるんではないかというふうに思います。
  87. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。  次に、いろいろ医療の場合も、患者が医師の診断ミスなどで被害を受けた場合には損害賠償を求める、そういう医療訴訟などというのが特に最近よく起きるわけですが、介護サービスでも私は同じようなことが起きてくると思います。そういう点で、厚生省介護サービスを行う事業者に対して、介護ミスで被保険者に損害を与えたときどういう措置をする考え方をお持ちでしょうか。
  88. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護サービス事業者が介護に際しまして被保険者に何らかの損害を与えてしまったというような場合でございますが、基本的には当該事業者は民法上の使用者責任に基づきまして被保険者に対しまして損害賠償義務を負うということになろうかと思います。したがいまして、損害賠償に関しましては介護保険法案の中には特別の規定は置いてございません。  ただ、こういう御指摘のような利用者に対して何か損害賠償を行う事態が生ずるということを踏まえて、現在、民間事業者のサービス提供に係る指針というのを定めておりまして、その中でそういうような事態が生じましたら速やかに損害賠償を行うようにということが書かれているところでございます。  介護保険制度ができました後におきましても、このような指針と基本的には同様な基準を設けて事業者の指導等を行っていくことになろうかというふうに考えております。
  89. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、この保険制度はこれから広範な人たちが利用するだけに、利用者いわゆる被保険者の権利というのはやはり一緒に考えておかなきゃならないと思って今お尋ねをしているわけです。  被保険者介護認定を受けてそして介護サービスを受けることになった場合、介護サービス事業者と被保険者の間には今後契約が結ばれると思うわけです。この場合、本当に契約に基づいて介護サービスが契約どおりの内容で行われているかどうか、それをやっぱりちゃんとどこかで評価するといいますかチェックする、そういうシステムが必要だと思うんですけれども、保険を支払う立場にある市町村はその場合どのような手続でチェックをしたり事業者が行っているサービス内容を評価するのか、そういうふうな役割というのはどういうふうに考えておられるんでしょうか。
  90. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護サービス事業者と被保険者との間の契約の前提となると、その事業者がどういうサービスを行うかということにつきましては、介護サービス事業者についての人員基準であるとか設備・運営基準、こういうことを定めまして、それに基づいて都道府県が指定を行う、またその基準に合致しているかどうかということについては都道府県が監査を行うということになるわけでございます。  また、市町村におきまして、ある事業者が設備・運営基準に違反しているおそれがあると、そう認められるような場合には、市町村が都道府県に通知をして監査をしてもらうというようなこともできるようになっております。  また、運営基準の違反に至らない、契約内容から見て十分なサービスが、しかるべきサービスが提供されていないという先生の御指摘のようなケースでございますが、そういう場合にはまずは利用者から当然個別の苦情が出てくるだろうと。これは市町村に出たり、あるいは介護支援専門員を通じてそういう苦情が寄せられたりするわけでございますが、国保連におきます苦情処理の中でその対応をいたしていくということでございます。  もちろん市町村も、市町村事業の中で福祉相談などを行っているわけでございますので、そういうところでも当然相談が寄せられ、市町村として対応できることもあると思いますし、またそこに寄せられました情報を国保連の方に提供して、国保連で苦情処理をしてもらうということもあろうかと思います。  また、介護支援専門員でございますけれども介護支援専門員が被保険者の意向を聞きながら、あるいはサービスを提供する人たちと相談をして介護サービス計画をつくるわけでございます。その計画どおりきちんと行っているかどうか、これはまた介護支援専門員も把握をする必要があるわけでございまして、適宜そういう把握に努めていただく。問題があれば、事業者とふだん接触があるわけでございますので、必要な注意を促すなりしていただくほかに、問題があれば、国保連の苦情処理機関の方に連絡をしていただいて、それで対応するということもあるわけでございます。  そういうような形で実際行うべきサービスがきちんと行われていないというような事態に対応していくことができるんではないかというふうに考えております。
  91. 清水澄子

    ○清水澄子君 国保連合会の苦情処理機関は県単位ですから、なかなか県のところにまで普通の市民が、特に要介護者、またはそういう人を抱えている家族が行けませんから、そういう窓口はやはり市町村に置くと。さっき社会福祉事業とか事務所の中でということもありましたが、ぜひそういう点はきめ細かな対策をお願いしたいと思います。  同時に、サービス内容に関する利用者とサービス提供事業者との間で利用契約書を義務づけるということをひとつぜひ考えていただきたいと思うわけです。  その点と、それから最近新聞に出ていましたけれども、国民生活審議会が一九九九年を目指して消費者契約適正化法案なるものを考えていると。それは今後、ゴールドプランも含めて介護問題で契約関係というのが行われる。つまり、利用者は消費者でございます。ですから、供給者と利用者との関係で消費者の権利という問題も含めて、今後厚生省はこの問題をしっかり考えていただきたいと私は思うわけです。そういう意味で、この法案が審議されるところには介護サービスの問題を必ず提起していっていただきたいんですが、その点いかがでしょうか。
  92. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) まず一つは、契約書の義務づけでございます。  確かに、介護サービスの利用をする人とサービスを提供する人は一種の契約関係にあるわけでございますが、具体的にどういうふうにサービスを利用するかといいますのは、介護サービス計画の中で決めていくと。介護支援専門員が間に入って、本人家族の意向も聞いて、介護サービスを提供する各種の事業者と相談をしてそれで介護サービス計画をつくるわけでございます。その計画にのっとってサービスが行われるというのは、ある意味ではこれは契約的な行為になるわけです。  そして、その事業者から、例えばホームヘルプサービスを受けていても、この事業者のサービスは余りよくないということであれば、また事業者をかえて別の事業者からも受けることが可能になるわけでございます。  そういうことを一つ一つ契約行為でやるか、あるいは介護サービス計画の中の変更みたいな形で、当然事業者も本人も入って、間に介護専門員が入ってつくるものでございますから、実質上そういう意味での担保はできるのではないかというふうに思っております。  それから、消費者契約適正化問題の関係で、今後立法化のお話がございました。私まだ不勉強でございますが、先生の御指摘を踏まえまして勉強をさせていただきたいというふうに思います。
  93. 清水澄子

    ○清水澄子君 それから次に、市町村は、被保険者から請求があった場合でいいんですが、請求があった場合には介護報酬明細書を発行していくということができるでしょうか。
  94. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 医療保険で今レセプトの開示の問題が出ておりまして、個人情報の保護とか本人が傷病名等を知っても本人の診療上支障がないこと等を十分配慮してレセプトの開示を行う、そういう基本方針が示されているところでございます。介護保険制度におきましても被保険者にとって必要な情報が開示されるということは重要であるというふうに考えております。  具体的にどういうふうな運用をするかということは詰めさせていただきたいと思いますが、医療保険制度における取り扱いなどを踏まえながら前向きにというのでしょうか、御指摘を踏まえて検討させていただきたいと思います。
  95. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、オンブズパーソンの設置なんですけれども、先ほどこれからは介護サービスが契約に沿ってうまくいくのではないかというお話なんですけれども介護認定を受けた被保険者の要望に沿って介護サービス事業者から本当に適切に行われているかということを、私はこれは市民なり被保険者の参画による第三者委員会でもいいんですが、介護事業の評価委員会のようなものを設置して、やはり市民参加の形でオンブズパーソンを市町村ごとに設けていくようなお考えはないでしょうか。
  96. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護サービスが適切に行われているかどうか監視をするあるいは評価をするということにつきましては介護保険法の中に幾つかの規定があるわけでございまして、先ほど申し上げましたように都道府県が介護サービス事業者を指定するわけでございますので、指定基準あるいは運営基準等の違反の問題があればこれは都道府県において対応する。それからまた、基準違反に該当しないような幅広い苦情の問題につきましては、各都道府県に置かれます国民健康保険団体連合会、国保連におきまして苦情処理のための仕組みをつくりまして対応するということでございます。  先ほど先生の御質問にございましたように、確かに都道府県に一つでは住民にとって遠いではないかというお話がございました。これは市町村あるいは介護支援専門員、いろんな方を通じて苦情処理が的確にここに届けられますような形で、いわゆる利用者にとっては身近なところで苦情処理の訴えができるというような形の運営を考えていきたいというふうに思っているわけでございます。  それから、御指摘のオンブズパーソンという話でございます。  オンブズパーソン制度といいますのは基本的には行政を監視するような形で行われる制度でございまして、各自治体において条例等を定めてやっているものがございます。今の先生の御指摘の趣旨は、行政というよりは介護サービス事業者を監視するというふうなことでこういうことが活用できないかという話でございました。  どういうふうに置くかということでございますが、いわゆる市町村自身もある意味サービス提供者になっていくわけでございますので、本当に市町村が窓口としてあるいは相談相手として乗るのはあれでございますが、そういう市町村サービス事業者であることも踏まえながら、サービス事業者全体についての苦情を的確に処理する、あるいは民間事業者も広域的なサービスを行う、一市町村にとどまらずにもつと広範囲で行うということでございますので、私どもとしましては、この国保連の苦情処理業務をできるだけ充実し、あるいはできるだけ機動的、円滑に運営できるようにしていくことが適切な運営ではないかなというふうに思っているところでございます。
  97. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、指定されたサービス事業たちがどういうサービスをしていくかということは、市町村がそれをある程度掌握している必要があると思います。やっぱり保険者ですから、お金を払うわけですから。ですから、業者は自分たちの業務を市町村に報告するということを義務づけるべきだと思うんですが、それはどのようにお考えですか。
  98. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護サービス事業者あるいは介護サービスを提供している施設、そういうものは事業者として都道府県の指定を受けているわけでございます。そして、もちろんどういうサービスを行うか、そういう業務の中身も都道府県に報告が出ているわけでありますが、そういう情報は当然市町村も持ち、それから介護支援専門員も持って、そういう情報をもとにサービスを利用したい人が一体どこからどういうサービスを利用したらいいか、それがわかるようにしてあるということは大事なことだというふうに思っております。  そういう意味で、市町村は都道府県と十分な連携をとりながら、サービス事業者がどういうサービスを行っているか、これを把握できるようにしていく、これはそのような形の運用になるようにしてまいりたいというふうに思います。  また市町村は、三年ごとに五カ年計画でありますが介護保険事業計画をつくる、三年ごとにそれを見直していくわけでありますが、そのときには、その地域における介護サービス需要がどのぐらいあるかを調べ、介護サービスの提供がどうなっているか調べていくわけでございます。当然、サービス提供者であります各事業者につきまして、どのようなサービスが行われるか、こういうものを把握して計画をつくっていくわけでございますので、そういうふうな形でいわゆるサービス事業者のサービス中身、そういうものが具体的に把握できるようになっていくものというふうに思っております。
  99. 清水澄子

    ○清水澄子君 そして同時に、いろいろ公聴会を開きましても、やはり保険事業者自身である市町村も、介護を受ける者も情報が十分じゃないというのはどこの公聴会でも聞きましたし、きょうの午前中の公聴会でも一番問題はほとんどその内容がわからないということでした。ですから、これからはこの介護サービス自分選択してよろしいと言いながら、選択できる情報というのが必要なんですが、私はやはりきちんと情報提供というものを義務づけていくというある程度強い指導が必要だと思いますが、その点についてはもう具体的なお考えはありますか。
  100. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 先生の御指摘のように、選択ができるんだと言いながら十分な情報がなければ実際上選択ができない、そういう問題が起こるわけでございまして、サービスを利用する人に対して十分な情報が提供されるということが必要でございます。  私どもは、当然まず事業者はみずからそういう情報を提供するだろうと。選んでもらうためにはそういうことが行われるというふうに思うわけでありますし、また都道府県は事業者を指定するわけでございますので、当然都道府県も情報を提供すると。それから市町村も保険の運営者でございますので、市町村も当然被保険者に対して情報を提供すると。それからまた、いろんな介護サービス計画をつくるときの相談相手になります介護支援専門員、こういう方々、あるいはそういう専門員を持っている居宅介護支援事業者、こういうところも当然情報を十分持ってサービスを利用する方に情報を提供する必要があるわけでございます。  それぞれの立場でそういう十分な情報が提供できますように、いろんな形でそれが実現できるようにしてまいりたいと思っております。
  101. 清水澄子

    ○清水澄子君 各地の公聴会で多くの施設関係者がやはり一様に問題にしていましたのは、施設に入所の後、リハビリなりまたはよいケアをする、そのことで入所者の自立度がどんどん改善されていく、そういうことはよいケアサービスをしたことになるわけですが、それによって介護報酬が減額されていくという矛盾を各地で訴えられたわけです。  こういうことに対して、ある施設の人は成功報酬的な介護報酬を検討してほしいと言っておりましたけれども、こういう問題について厚生省はどのように今後対処されますか。
  102. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護報酬につきましては、基本的にはサービスの種類ごと、あるいは価格の実勢等を調べまして、関係の審議会において諮って決めていくことになるわけでございますが、先生の御指摘にありましたいろいろサービスを受けて要介護者の要介護度が改善する、これは本人にとっても大変幸せなことですし、そうあるべきだというふうに思うわけであります。一方、改善していったら介護保険からの給付が下がっていってしまって、いわゆるそういうサービスを提供する事業者側から見るといかがかという問題が起こると。これはこの委員会でも何度か指摘を受けたところでございます。  それにつきましては、やはりそういう御指摘を踏まえて、何かそういう改善の動機づけというんでしょうか、そういうものが働くように介護報酬上で評価をする、これを検討したいというふうに思っております。重要な検討事項の一つというふうに考えております。
  103. 清水澄子

    ○清水澄子君 続いて、やはり施設関係者から、介護保険の導入時に保険請求から給付までニカ月ぐらいかかる、その間は施設がそのままケアしなきゃならないわけですから、そういう意味で運転資金に非常に不足が出てくるということで、何らかの措置をという要請があったんですけれども、こういうケースの場合にはどのような対応ができるんでしょうか。
  104. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  先生、今御指摘ございましたように、介護保険制度導入時には今までのいわゆる措置制度から変わってまいりますので、特別養護老人ホームの運営費が今後は医療保険と同様に請求があって所要期間で言えば二カ月後にその支払いが来るという格好になります。そうしますというと、いわばこの介護保険制度への移行時の特有の運転資金の金繰りの問題というのが当然そこに出てまいります。したがってその点については、その間に施設経営が不安定になっては困りますので、その間の金繰りをどのようにつけるか、これについては今後施行までにできるだけ早く早急な対応策をやはり考えるということでやっていきたいというふうに思います。
  105. 清水澄子

    ○清水澄子君 もう一つは、この社会福祉法人に対して法人経営者として経営努力が必要だと言われるんですが、社会福祉法人の経営努力というのは介護報酬を節約することが経営努力なのか、そこに余剰金が残るようにするのが経営努力なのか、この場合の経営努力というのは具体的に何を指していらっしゃるんでしょうか。
  106. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 社会福祉法人のほとんどの方は大変立派に社会福祉事業をやっていただいておるわけでございますけれども、従来の社会福祉事業措置制度というものが基本になって構成されておりました関係上、大変使途が制限されているということで、一律的なサービスを提供するとか非常に経営が非効率になっているという点が指摘されているわけでございます。  このような観点から、これからはより効率的でより質の高いサービスを行うというような工夫とか、またこれまでの社会福祉法人はともすれば法律で定められた事業だけを行う、だからもっと地域の需要にこたえるような法律に定められた以外のサービスにも積極的に乗り出すとか、また現在の社会福祉法人は大半は一法人一施設という状況でございます。これを一法人が幾つかの施設もあわせて経営するという多角化の努力というようなさまざまな経営努力というのがこれから必要になってくるんじゃないか、こういう面でこれから私どもとして検討していきたいと思っております。
  107. 清水澄子

    ○清水澄子君 最後に大臣にお願いします。  国の財政が非常に危機的状況だという中で、高齢者の年金収入の一部も財源に充てながら実施していく介護保険法に対して、やはり多くの国民はその必要性を認めながらも非常に多くの危惧と不安を抱いているわけです。それで、実際の運用に当たって改善すべきものはやはり速やかに改善して、高齢者の人間としての尊厳と人格の尊重に最大限の配慮をお願いしたいと思いますが、この点について小泉厚生大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  108. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 大方の人は、この介護保険制度の趣旨とか必要性ということに対しては理解をいただいているものと思っているんです。問題は、その趣旨どおりに制度が運営されるかどうか、そういう点でいろいろな不安やら御心配等があるのはわかります。  しかし、この制度平成十二年度から導入するということで、今国会でこの法案が成立させていただければその制度導入に向かって努力していかなきやなりませんが、その一番の重要な点は、利用者に真に喜ばれるような利用者本位の視点というのが一番大事ではないか。高齢者ですから、それなりに社会の経歴も経験も豊富な方であります。個人の自立を促し尊厳が守られるような利用者本位の制度運用に心がけるように精いっぱいの努力をしていかなきゃいけないと思っております。
  109. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  きょうは、私は在宅のヘルパー問題について質問をしたいと思っているわけですが、質問に先立ちまして、去る十一月二十五日に全国の市長会の有志の皆さんがわざわざ部屋を訪ねていただきまして、各厚生委員の皆さんのところにも届いておるかと思いますけれども、「介護保険法案慎重審議のお願い」という文書をわざわざ持ってこられました。その文書の中には、「現在国会で審議されている介護保険法案については、重大な問題を含んでおり、現行のまま施行された場合には、地域に混乱と不信をもたらすものと懸念いたしております。」と、こういうふうに述べられまして、最後に、「良識の府、参議院におかれましては、さらに実態に即したご論議が行われますことを切望いたします。国民的論議が深まり、現場での体制整備の見通しがつくまで、慎重にご審議くださるよう強く要望いたします。」というような内容が書かれておりますので、私もぜひ当委員会での慎重審議をまず要望させていただきたいと思います。  それで、きょうの質問に入りますけれども、基盤整備の問題で、特養施設の待機者の問題を私出したことがございます。調査をしたところ、一年間に二万人近い待機者がふえているという問題提起をいたしましたが、その際に、在宅のヘルパー、ヘルプ、こういうのが進めばそういう待機者も吸収されるというような意味の御答弁があったわけですけれども、それでは在宅の基盤整備は一体どういう状況にあるかということが非常に重要な問題ではなかろうかと思うわけです。  新ゴールドプランのホームヘルパーの目標十七万人、この十七万人の根拠になっておりますのは平成三年の実態調査だというわけです。平成三年の実態調査では、正規職員は三五・四%、あとは正規ではない人たち、つまり、常勤対非常勤というふうに言われておりますけれども、その比率がおおよそ三対七ということで、目標の十七万人というものも、それだけの要素で十七万と決めたわけではありませんけれども、常勤、非常勤の割合は三対七というように目標も決められ、それからその後の予算も、常勤が三、非常勤が七という割合で予算が組まれてきたということであります。当委員会でもこの三対七が、じゃ今もそういう比率なのかということが問題になってまいりました。九対一という数字も出されました。  私の地元の京都ですけれども、京都府はそれではどうかといいますと、常勤の比率は二二%、登録ヘルパーという項目で統計が既に出ているわけですが、七八%。それから、都市部の京都市は一体どんな比率になっているのかということで見てみますと、これは常勤が七・八%、非常勤は九二・二%という比率になっているわけです。今日、三対七というような状況ではなくて、常勤ヘルパーの割合が低下をしていっている、こういう傾向については厚生省はお認めになりますね。
  110. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) ホームヘルパーの雇用形態でございますけれども、これにつきましては、今、先生お挙げになりました平成三年時点での調査によりますと、正規が三五・四%、非常勤が二八・五%、いわゆる登録ヘルパーが三〇%ということでございましたから、三強対七弱という割合でございました。  その後の傾向につきましては、今申し上げましたものを直接フォローした調査はございませんけれども、やはり今の中で正規職員が多いのは市町村だとか社会福祉協議会が多いわけです。市町村、社会福祉協議会の割合というものが年々低下をしておりますことからいえば、そして民間事業者が多くなっているということからいえば、やはり傾向としてはだんだんに常勤の割合が若干減って、非常勤の割合がふえているというのが実態であろうというふうに思います。そのことのまた評価は別でございますけれども
  111. 西山登紀子

    西山登紀子君 そういう傾向はあるということをお認めになったわけですが、常勤の割合が減れば当然サービスの提供量というのは減少をいたします。十七万という目標自体が非常に低いというふうに私たち考えております。我が党の場合には、対象百万人の要介護老人の介護には、常勤対非常勤を三対七というふうにすれば約四十五万人のヘルパーが必要、常勤だと二十万人が必要であるというふうに考えているわけですけれども、今おっしゃったように、常勤が減って非常勤がふえております。  きょうは、その中でも私は、登録ヘルパーの伸びが非常に急増している、この登録ヘルパーがふえているということについて問題にしたいと思うんですが、この登録ヘルパーというのはどういう職種なんでしょうか。
  112. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) いわゆる登録ヘルパーということでございまして、登録ヘルパーという正式の法令上の用語があるわけではございませんけれども、通常申しておりますのは、ヘルパーとしてお働きになる方が、あらかじめ自分希望する日なり時間を社会福祉協議会だとかあるいは福祉公社等の事業主体に登録をされて、それに従いまして、利用される方の希望日時との調整を事業主体がしまして、それで特定の曜日であるとかあるいは時間だけ行って就労されるという形態のことをそのように申しておるというふうに承知をいたしております。
  113. 西山登紀子

    西山登紀子君 この登録ヘルパーというのはもうかなりポピュラーになっておりまして、登録ヘルパーの例えば研修については何時間だとか、登録ヘルパーという言葉が公文書の中にも出てまいります。  そこで、この登録ヘルパーの問題などに詳しい研究者はじゃどういうふうに言っているかということですが、岡山県立大学の山本隆先生は、登録ヘルパーはおおよそ次のような性格を持っているということで、こんなふうに分析をしていらっしゃいます。今、局長がおっしゃいましたように、名称のごとく市町村や社会福祉協議会などに名簿登録されていること、これが一つ。それから、直行直帰の就業形態をとっていること、これが一つ特徴なんです。何か一つのステーションに行ってそこから仕事に行くということじゃなくて、自分の家から直接行って直接帰る、こういう就業形態をとっている。時間決めのパート就業である。登録はヘルパーの申請に基づいて行われ、登録内容は住所、氏名、年齢などの基本属性、資格、提供できるサービスメニュー、活動できる時間帯。この時間帯も、その方の希望によって時間帯が決まる、こういう共通点を持っているというふうに研究者の方は規定をしていらっしゃるわけです。  この登録ヘルパーの数が非常に急増しています。一つは、例えばこの間、地方公聴会をやりました名古屋市なんですけれども、この名古屋市では、これは名古屋市の労働組合の調べでありますが、一九九二年度、職員ヘルパー、正規のヘルパーは百二名、五年たった九七年は一名しかふえておりません、百三名。ところが、いわゆる登録ヘルパーと呼ばれる人たちは九二年には四百三十八人だったのが、今、登録されている数は二千百二十六名という形で約五倍にふえているわけです。常勤はたった一人しかふえていません。登録ヘルパーは五倍にふえている。それがヘルパーだということで数が登録されていっているということになるわけですね。市の職員、常勤と、登録ヘルパー、非常勤の割合というのは一対二十一になります。三対七どころじゃありません、一対二十一です。  それでは、東京の場合はどうか。この大都市東京ではどうかといいますと、ここでも九二年には区市町村の職員ヘルパーは五百四十七名いらっしゃったわけですけれども、それが平成八年には六百七十四名ですね。全体のヘルパーの中でのいわゆる常勤ヘルパーの割合は七%から実に三%に率は減っております。  一方、その登録ヘルパーと言われる人たちはどれぐらいふえているかといいますと、一万九千六百五十六名ふえておりまして、結局は約三倍近くふえているわけです。常勤の方は一・二倍ぐらいにしかふえていないわけです、東京の場合は。ですから、ここでもやはり登録ヘルパーと常勤ヘルパーの割合というのは一二対七どころか一対二十九、こういうふうな開きが出ているわけであります。  こういうような状況厚生省は把握していらっしゃるか、またその急増しているということについてどのようにお考えになっているか、お伺いいたします。
  114. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) いわゆる登録ヘルパーの方々がふえているという実態について数字をお挙げいただきました。私どもも名古屋それから東京については数字を把握いたしましたけれども、今の先生の数字と若干違いますけれども、しかし東京都等についてふえていることは事実でございます。  しかし、これについては私どもとしましては、登録ヘルパーであるか、あるいは非常勤であるか、常勤であるかということが大事ということがまずあるわけではなくて、やはりその利用をされる要介護の方々の多様な需要にこたえるためにはどういう形態でサービスをしていくのがいいかというところから出発をする話だろうと思います。  したがいまして、三対七というのも、これは三対七というある種の規範と申しますか、そういうものでやらなければいけないということを申し上げているわけではなくて、そういうことで織り込めば実態に近いというところで織り込んだものでございまして、そこはあくまでも実態、そういう必要性に応じての対応ということが非常に大事だというふうに思います。  そういう観点で考えますと、やはりホームヘルプの場合でも、先ほど登録ヘルパーについての要件でお挙げをいただきましたように、むしろ利用者の方も、特定の時間で短くても頻回にとか、あるいは長くおってほしいとか、そういう組み合わせが当然ございますから、そういった中でヘルパーの勤務形態というようなものも決めていくことがむしろいいんではないかと。そういった実態を反映する結果の中で、登録ヘルパーという形が言ってみれば実態に合うという形の中で登録ヘルパーがふえてくること自体については、それを否定的に考える必要は私は必ずしもないんではなかろうかというふうに思います。  現に、これは私どもとしてもこれから詰めていかなきゃならないことなんですけれども、ホームヘルパーの方々の人員は順調に伸びておりますけれども、その中でやはり配置人員と稼働率というものの間に非常に差がございまして、人員は多く配置をされていますけれども必ずしも稼働率がよくないというようなものもございますので、そういった点について考えますと、そこはやっぱり逆に勤務形態というのがこういう形でいいだろうかというような問題提起も要るケースも当然あると思いますので、やはりそこは実態をまずどういうふうにしたら一番ニーズに合うかと。そのことを一番よく把握し考えていただくのは市町村でございますから、そういった市町村考え方に即しまして私どもの方も、ホームヘルパー等について出てまいりましたものについては、たとえ三対七でなくてもそれは助成等の対象にいたしておるわけでございます。
  115. 西山登紀子

    西山登紀子君 今の局長の御答弁だと、利用者のニーズによって登録ヘルパーがぐんぐんふえたんだと、こういうふうな認識であるというふうに思うんですね。私はそうではないと思っております。利用者が登録ヘルパーがいいからもっとふやしてくださいというふうに言ってきたのかということであります。  そこで、名古屋の場合に例をとりまして、今配らせていただきましたけれども、重度のお年寄りを見ている家庭の場合にどのようなヘルプ、介護が求められているのかということで、少し問題を具体化してみたいと思うんですね。  今お配りしておりますのは、十一月二十日の名古屋の地方公聴会で、南区というところがあるんですが、そこの南医療生活協同組合みなみ訪問看護ステーションの方が御報告なさった調査結果のごく一部を配らせていただいた。私は、この実態調査はなかなかできないことをおやりになっているので、ぜひ国会で紹介したいというふうに思ったわけです。  この訪問看護ステーションは六十五人の五十一歳から九十八歳までの方を訪問していらっしゃるわけですが、五人のスタッフで常時回っていらっしゃるわけですね。  この調査は何の調査かといいますと、全介助五人、一部介助三人一八人の方を二十四時間ずっと密着調査した、どんな介護をしたのかということを五分置きに時間でずっとカウントしていったという記録でございます。ですから、このグラフを見ていただきますと、もうほぼ二十四時間ずっと拘束されて介護に当たっているというのがこのグラフなんですね。食事や排せつや清潔、身辺の整えもいろいろ全部入れてもう常時二十四時間神経の休まる暇がない、それが介護の実態です。  二枚目にはその数字がずっと分析されているわけですけれども、食事に百十分かかっているとか、排せつに四十一分かかっているとか、身辺の整えには五十三分かかっているとか、合計いたしますと、その二十四時間の緊張の中で実際具体的な介護は三百三十六分、約五・六時間相当の介護をいろいろな形でやっている。  三枚目は、その中でも状態像によってその介護の時間が違うわけですけれども、うんと寝たきりで全く訴えのないお年寄りと訴えのあるお年寄りでは、むしろうんと寝たきりの訴えのない方の方が介護時間は少なくて、訴えのある人の方が四百四分、それに対して二百二十五分というふうに違うわけですね。排せつのお世話だって、寝たきりで訴えのない方の方がむしろ時間は少なくて済むと。こういうふうな非常に実態に即したリアルな調査、これは二十四時間、五分ごとですからなかなかできない調査だと思います。  こういう介護に当たっていらっしゃる、在宅の介護に外からヘルプに入る、支援に入るということなんですけれども、そういうときに求められているヘルプは、家事援助はもちろんですけれども、食事を食べさせたりおむつをかえたり、重度ですからそういう身体介護もやっぱり求められているということになります。  それでは、それに登録ヘルパーのヘルプの内容がこたえられるのかという問題になるわけですね。  名古屋からいただいた別の資料を見てみますと、市職の常勤のヘルパーとそれから登録ヘルパーの方の活動の時間帯なんかを分析いたしますと、寝たきりの高齢者に対し、市の常勤のヘルパーの世帯は三〇%なんですけれども、登録ヘルパーの場合は一一%しかありません。登録ヘルパーの方が寝たきりの介護に当たっていらっしゃるのは一一%。それから、市の職員のヘルパーは五割身体介護に当たっていらっしゃるんですけれども、登録ヘルパーは身体介護は一七%しか行っていらっしゃらない。つまり、あと八三%は登録ヘルパーの方は家事援助、もちろんその家事援助も大切なんですが、家事援助に当たっているということになります。ですから、市の職員、常勤のヘルパーの方は寝たきりの高齢者や重度や重症者への対応というのが非常に重要な部分を占めているということがおわかりいただけると思うわけです。  ところが、名古屋市の南区の場合は市のヘルパーはたった八人しかおりません。寝たきりのお年寄りは五百二名もいるわけです。ですから、圧倒的にこの常勤ヘルパー、身体介護に当たれるヘルパーが足りないということが言えるのではないかと思うわけです。  登録ヘルパーはどんどんふえていく、常勤は五年間で一人しかふえない、こういう名古屋市の一つの例ではありますけれども、こういう状況が改善されないと、あるいは大半をこういう登録ヘルパーにゆだねるというような傾向があるわけですが、これで本当に要介護ニーズにこたえられるというふうに思われるでしょうか。私は、これでは要介護者のニーズにこたえられない事態が生まれているというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  116. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 具体的なケースを挙げてのお尋ねでございます。  それぞれの地域において実際にどういう業務をどれだけおやりになっているかということについて、その処遇が適切であるか適切でないか、あるいは対応する勤務形態が適切であるかどうかということについてにわかにはお答えしがたいわけでありますけれども、いずれにしましても、先ほどのお話で申し上げれば、登録ヘルパーであることがよいとかよくないとか、あるいは非構勤であることがよいとかよくないとか、常勤であることがよいとかよくないとかではなくて、地域の利用者に応じまして常勤で比較的長くやられるのが必要な部分についてはそういうふうにやられ、また地域の実情に応じてここは頻回にむしろ時間を区切ってやった方がいいというときに、それも常勤でもやれるということなら常勤でもいいわけです。  そういう形態としていえば、地域のマンパワーを得るという観点からも、登録ヘルパーあるいは非常勤という形が非常に利用を進めるという点でいいということになればそういう対応をされるということで、そこは市町村が一番いい利用者のニーズに合った形態なりあるいはヘルパーの雇用のされ方なりをされるということをまず第一にして、そのことを尊重する形で私どもも支援してまいったということであります。  ということは、先ほども申し上げましたけれども、現に、いわゆる整備率と申しますか配置率という意味でのヘルパーの方々の人数の整い方と、それからその方々がどの程度利用されているかということの間にかなり格差のあるところが相当あるということは、やっぱり利用率というような、利用者にとってみればどれだけ来ていただけるか、どれだけ自分ニーズにこたえていただけるかということが大事でございますから、そういった意味でいえば、そういった利用率が必ずしも高くないということについては、私どもこれは改善をしていかなければならない。そのときに、その一つとして必ずしも適切な形態でないとなれば、そこはできるだけ利用率を上げられるような形態を考えられるというのも一つ方法であろうというふうに思いますので、そういったことを総合的にそれぞれの市町村において勘案をいただきまして決めていただくということがよろしいのではなかろうかというふうに思います。
  117. 西山登紀子

    西山登紀子君 ちょっと歯切れが悪くてよくわからないんですけれども、登録ヘルパーというのは平成七年までは身体介護はできない三級の免許というようなことでしたね。平成七年から身体介護ができるようになったんですが、しかしまだ急増する登録ヘルパーさんの中にそういうきちっとした研修というのが行き届いていないわけですから、例えばこんな笑い話のようなお話があるんですね。  登録ヘルパーの人が利用者の要介護のお年寄りのところに行ったら、体のふき方知りませんと。そして、利用者の方がわざわざ体のふき方はこうするんだといって教えて、そして利用料を払ったと。一体私は何のためにヘルプに来てもらったんだろうという、こんな話が実際あるわけですね。  私は登録ヘルパーを全面的に否定しているわけじゃありません。そういう人たちの力ももちろんかりなきゃいけないと思う。しかし、それが急増し、九五%登録ヘルパーになりつつある。この事態を厚生省はもっとシビアに見なければいけない。  例えば、感染症のお年寄りには登録ヘルパーの方は今はまだ行けないわけですね。当然のことだと思います、ちゃんとした保証がないわけですから。そうすると、MRSAのような感染症のお年寄りのところに行くには、名古屋では常勤の方が行っていらっしゃると。午前一ケース、午後一ケース、間できちっと服を着がえて行っているんですよ。そういう常勤ヘルパーが五年間でたった一人しかふえていない。これで要介護者のニーズにこたえられるのかという問題提起です。  登録ヘルパーの方はケースカンファレンスもできないわけですね、直行直帰ですから。年末年始になりますと介護の必要度は高まるけれども、登録ヘルパーの方々は別の仕事があるということで、今度は供給の方が足りなくなる。非常に不安定感があります。というようなことなどなど、もう少し厚生省は実態をきちっと把握する必要があると思います。  この登録ヘルパーの方の身分保障ということについては、もうるるいろんな方も言われて、きょうも中央公聴会で言われた点であります。その生の声がここに届いていますけれども、利用者の状況は教えてもらえないとか、腰痛や胃の痛みが出て自費で通院しているとか、有給休暇や代替保障、失業保険、経験加算、こういうのがないとか、収入が少なくて生活ができない、身分保障をしていただきたい、雇用保険に入りたい、こういうような切実な御要望があるわけです。  こういう状態で本当に誇りのある仕事として、また安定的な仕事として、必要な人数を確保する、意欲のある人を確保するということができるのかと。私はできないと。改善を図る必要があると思いますが、厚生省のお考えをお聞きいたします。
  118. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 登録ヘルパーの増加ということ自体につきましては、あるその地域のやはり利用者の方々の需要というものが基本になっての話というふうに思います。  例えば、市町村の正規職員でございます訪問介護員が通常の勤務時間でそのサービスをされる、それから登録ヘルパーというような形の方あるいは民間の事業者のホームヘルパーが休日、夜間を分担されるというような形での対応というのは、これは一つの形態として当然あり得ることだというふうに思います。したがって、その勤務形態そのものでホームヘルパーのあり方を規定するという必要はなかろうかというふうに私は思います。  しかし、それにしても、今お挙げになりましたように、登録ヘルパーであろうとあるいは常勤ヘルパーであろうと、そもそも介護ができない人が介護に行くというようなことはあってはならないことでございますから、そういう意味での研修を今まで以上にやらなければならないということは、そのとおりでございます。逐年そういう意味で研修の内容につきましても充実を図ってきているところでございます。現在でも、登録ヘルパーにつきましても、感染症の理解と予防のための基礎知識も含めましてやっております。  しかし、どうしてもそれは、登録ヘルパーもそうですし、その他の方たちでもそうですけれども、例えば三級の養成課程を修了されてまだ日も浅いというような場合については専ら家事援助的なことを中心にしないと十分に回れないというときには、いわゆるチーム運営方式といったようなことの活用を通ずるというような方式もあるわけであります。もちろん常勤の方々にそういうときは行っていただくということもあるわけでありますから、そこは弾力的に取り扱っていければよろしいと思います。  それから身分に関しましては、やはりホームヘルパーの方々が安定して働いていただくということは大事でございますから、そういう意味で、原則として所属先団体との雇用関係にあることが望ましいというのはやはり原則でございますけれども、その勤務形態につきましては、先ほど来申し上げておりますように、弾力的なサービス提供ができる点、あるいはまたそのサービスに従事しておられる方も、先ほど登録ヘルパーの定義で申し上げましたように、自分はこういう時間帯で弾力的に働きたいという形もあるわけですから、そういった点も一面において配慮をしながら雇用関係の安定ということに努めてまいるということであろうというふうに思います。
  119. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は満足のできる御回答はいただけなかったというふうに思っております。  それで、市町村のお考えだとかいろいろおっしゃるんですけれども、私は、もちろん市町村任せであってはいけないというのは一点ありますけれども、これはやっぱり国の政策としてそういう方向が、むしろ流れがつくられているというふうに思います。  十七万のただでさえ低いヘルパーの目標を何としても数で達成していこうと思えば、これはもう登録ヘルパーをうんとふやすということの方が近道ですね。だから、どんどんふえていくということに、数だけ追えばそういうことになっていくわけです。厚生省がそういう方向をむしろ助長する措置をとっていらっしゃるということはわかりました。  問題は、私も大変驚いたんですが、平成九年、常勤、非常勤の壁を取るということで、ホームヘルパーに対する補助方式を変えております。これは七月に通達を出して変えていらっしゃるわけですけれども、今までは人件費補助方式というのをとっていたんですけれども、これを事業費補助方式。結局、出来高払い制で、一件行ったら何ぼ、そういうふうに変えて補助をするというふうに、常勤、非常勤の壁をなくしてしまった。常勤であろうとなかろうと、幾らのケースをこなしたかということで結局補助がふえていくということになっていることがわかって、これは私は非常に重要な問題だというように思うわけです。  ちょっと時間の関係で先へはしょりますけれども厚生省市町村とのQアンドAまでちゃんとつくっているわけです。例えば補助対象について、「ケース会議、ヘルパー会議、研修等の時間については、事業費補助方式において補助対象となるのか。」、こういう質問に対しては、「事業費補助方式の補助単価の中に上記勤務に要する経費がおり込んであるので、これらの時間は直接補助対象となりません。」という答弁が回答方式で書いてあるわけです。私は、こういうことをやっておりますと、ヘルパー会議をきちっと開こうという方向にはなかなか動かないと思います。むしろそれよりも、一件でも多く行った方がいいというふうに、経済効果というか、そういうふうに働くのではないでしょうか。  ですから、非常に重要なこのケース会議やヘルパー会議や研修などについても、結局はもうやらない、数だけこなすという方向に流れていくということを、厚生省介護保険への移行を展望し、変えるというふうにわざわざなっておりますから、この介護保険制度と大きな関係があるということで私は今までるる述べてまいりましたが、登録ヘルパーが急増しているという問題にさらに拍車をかける、そういうことを今政府がおやりになっているということは大変重要な問題だというふうに考えます。  最後に大臣にお伺いいたしますけれども、こういうふうにむしろ常勤、非常勤の壁を取っ払ってしまって……
  120. 山本正和

    委員長山本正和君) 西山君、簡単にお願いします。
  121. 西山登紀子

    西山登紀子君 ということで、大臣に、むしろきちっとしたヘルプの質を高めるという方向での予算の増額をぜひ考えていただきたいと思います。
  122. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 常勤、非常勤というのをどうやって適切に組み合わせていくか。要は、介護希望される方のいろんな要望にどのように応じていくか、その体制を整えることが一番重要なことではないか。その体制整備のために、厳しい財政状況ではございますが、格段の努力をしていきたいと思っております。
  123. 釘宮磐

    釘宮磐君 きょうは、今までいろんな問題について議論をしてまいりましたが、その中で幾つかの点について確認も含めて御質問をさせていただきたいと思います。特に、質疑の中で以前に出た分については、重複を避ける意味で角度を変えて質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  まず、要介護認定についてお伺いをいたしたいと思います。平成八年度のモデル事業の結果、これはもうこの委員会でもたびたび指摘をされてまいった問題でありますが、一次判定と二次判定の結果に大きな食い違いがあった。地域によっては六割近くに達しておった。さらに、その内容を見ても、一次と二次の判定で四ランク異なっていた、そういう事例もあったわけであります。今回のモデル事業の中で、特に痴呆性老人が非常に食い違う点で目立ったんではないかというふうに思います。  それで、厚生省に私は確認をしたいわけですが、痴呆性老人の問題については現行の調査票でいいのか。かつ、一回の調査で痴呆性老人の正確な要介護認定ができるのかというようなことが指摘をされたわけでありますが、この点について厚生省としては、このモデル事業における要介護認定を踏まえてどういうふうな改善を考えておられるのか、その点についてまずお伺いします。
  124. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 八年度に要介護認定の初めてのモデル事業をやったわけでございます。六十地域でやりまして、今年度は、その成果というか実績、あるいは反省、問題点、そういうものを踏まえて必要な改善を行い、現在四百を超える地域でモデル事業を実施しているところでございます。  今回、特にどういう点を痴呆の問題で改善したのかという御指摘でございますが、一つは訪問調査市町村の職員が訪問調査をするわけでありますが、その調査におきまして、八年度は調査時点における状況を記載するということでございました。今度は、その調査票の中に家族等から最近一カ月の日ごろの状況をいろいろと聞き取り調査して入れていくということで、一時点だけではなくて、ある程度の期間での生活状況を把握できるようにしたということが一つでございます。それから、かかりつけ医師からも痴呆の状況等につきまして意見を書いてもらうというようなことにしております。  そういうような点を改善しまして、八年度に比べまして幾つかの改善を行い、これで適切に審査判定できるようになったのではないかというふうに思っているわけでございます。  ただ、この調査票によりましてまたどういう問題が出てくるか、今年度のモデル事業の成果を分析して、必要があればまた改善をしていく、そういう考え方でいるところでございます。
  125. 釘宮磐

    釘宮磐君 特に、痴呆性の場合は、まだら痴呆というようなものがありまして、ちょうど調査をしたときは全く異常がない、しかし時間が経過する中でいわゆる痴呆の症状が出てくるというような場合が非常に多い。実は、私の弟が痴呆を専門に扱っている精神科医ですので、特に痴呆の問題については、かなり長期間にわたって見ないと大きな誤差が出てくるだろうというようなことを言われております。  その点について、今医師の診断をということでありますが、とりわけ過疎地域においては精神科医が非常に少ないということも指摘をされております。こういう問題をぜひ平成九年度のモデル事業の中では注視をしていただきたいなというふうに、これは要望をしておきます。  それから、今回の認定の中で、痴呆性の疾患についてはおおむね要介護度Vに認定されるというように私どもは認識しているのでありますが、痴呆性というのはかえって寝たきりの方が介護しやすい、徘回が始まって、そのことによってもう職員がついていなければ飛び出てしまうこともあるんだというようなことも言われております。この点については、特に徘回等の非常に手のかかる部分についての介護度を一律Vにすることについていろんな指摘があったわけですけれども、これについてはいかがですか。
  126. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 前回のモデル事業におきましては、どういうふうに要介護度を区分するかというのは、厚生省の中でも、あるいは審議会にかけてもいろいろな段階があったわけでございます。その途中の段階で、痴呆の人は要介護度Ⅳぐらいになるのではないかということが議論されたことはございます。そういうことが定着していたために、逆に前回のモデル事業では痴呆の人は要介護度Ⅳに位置づけられるという傾向があったのではないかと思います。  ただ、実際のモデル事業で使いました調査では、決してそうなっているわけではなくて、要介護状況に応じて判断をするというわけだったんですが、そういう過去の議論の中での先入観といいましょうか、そういうものが影響した部分があったんではないか。今回はそれを改めてよく説明をしているところでございます。  ただ、徘回をします要介護の人が必ずVかというと、これは一概にそういうことではございませんで、やっぱり調査項目を見て要介護状態を調べる、それからまた専門のお医者さんあるいはその家族から聞きました聞き取り調査の結果、そういうものを見て介護認定審査会判断していただくわけでございまして、徘回を伴う痴呆の方が必ず要介護度Vになりますというわけでは必ずしもないというふうに思います。
  127. 釘宮磐

    釘宮磐君 私がここで指摘をさせていただきたいのは、要するに、痴呆性の方が普通の例えば療養型だとか特養だとか老健だとかそういうところに入所を希望しても、私は多分拒否されると思うんです。    〔委員長退席理事上野公成君着席〕  ほかの人はずっと寝たきりなんだけれども、一人だけうろうろされたら、その人のために職員をつけなきゃならないわけですから。だから私はそういう意味で、痴呆性の方のある意味では専門病棟というのは非常に整備が急がれるだろうというふうには思いますが、その要介護度VとかⅣとかというような問題以上に、痴呆性の問題というのは非常に私は深刻な問題だと思います。ぜひこの辺はモデル事業の中で十分確認をしていただきたい、これも要望させていただきたいと思います。  それからケアプランの問題であります。これは先ほど今井委員からの指摘もあったところでありますが、まずお聞きしたいのは、ケアプラン策定機関の主体、それから要件、これについて具体的にどのようなものを想定しているのか、聞かせてください。    〔理事上野公成君退席委員長着席
  128. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護サービス計画を作成する事業者、法案上は居宅介護支援事業者ということになっておりますが、その要件は、一つは法人であること。それからもう一つは、所要の人数の介護支援専門員を配置していること。所要の人数をどう定めるか、これは恐らくその地域における人口等を勘案しながら考える必要があろうかと思いますが、そういう専門員を配置していること。それから、運営基準に適合し適切な事業の運営ができること。運営基準を別途定めますので、このとおりに運営ができるということ。三つの要件を満たしている者につきまして都道府県が指定をする、その指定を受けた者が居宅介護支援事業者というふうになるわけでございます。  具体的な事業者としましては、当該業務を行うだけの事業者というのがあり得るわけでございます。それからそれ以外に、在宅介護支援センターであるとか訪問介護等の在宅サービスを行う事業者があわせてそういう居宅介護支援事業者となる、そういうこともあり得ると思います。  また施設等におきましても、介護サービス計画が当然入所者に対して必要でございますので、そういう施設を行う事業者があわせてそうなるというケースもあろうかと思います。
  129. 釘宮磐

    釘宮磐君 そこで、いわゆる介護支援専門員ケアマネジャーと言われる方ですが、これから国家試験を行って資格を認めていくわけですけれども、先ほど今井委員が指摘をしたように、いろんなサービス提供者の施設にこぞってケアマネジャーを置こうとすると思うんです。そうなると、やっぱり自分のところにお客を呼ぼうと思って、公平なケアプランというものが策定できるのかどうかということを先ほど今井委員は一番指摘をしたがったところだろうと思うんです。  先ほど小泉大臣は、提供者とそれからサービスを受ける人、両方の立場に立ってというお話、それはもっともなんですね。そういう意味で公平にやれることが一番大事なのであって、この前の大分では、この介護支援専門員の定数をやっぱり決めるべきではないのか、とにかくどこでもここでもみんなに取らせて、それぞれの民間業者も自分のところにケアマネジャーをつくるということになると、自分のところへ自分のところへというような傾向が出てこないかということを指摘する意見もありました。  私はその点についてまず江利審議官にお聞きしたいんですが、小泉大臣にぜひ、私は郵便局の職員にこういう試験を受けさせるべきだと思うんです。郵便局というのは、特に過疎地域なんかはそういう地域のことをよく知っていますし、そしてそういう新たな地域サービスをするのに非常に適しているのではないか、しかも公平性という面でも保てるのではないかというようなことを私は思うんですけれども、その点についてもあわせて答えてください。
  130. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員自分関係する事業主体からサービスを提供するように誘導を行うのではないか、そういう懸念がないかと、そういうのが最初の御質問だったと思います。  先生の御指摘にありますように、基本的にそういうことが行われてはいけないわけでありまして、この介護サービス計画をつくるに当たりましては、被保険者本人選択家族の意向、そういうものを踏まえて、サービス事業主体と相談をして介護サービス計画をつくってもらう、これが公平、公正に行われなくちゃいかぬと。そのためには、やはり運営基準というものの中にきちんとそれを担保するということが必要ではないかというふうに思います。事業者はそういう運営基準に従って公平に行う。そうしまして、自分関係あるところにサービスを誘導するようなことを禁ずるというんでしょうか、そうさせないような形に持っていくと。この運営基準は、それに違反すれば都道府県が監査を行うとか指定の取り消しを行うということができるものでございますから、そういう形で担保していくのかなというふうに思います。  また、介護支援専門員の定数を考えるべきではないかというお話がございました。介護支援専門員はこれから養成するわけでありますから、大変急ピッチで養成をしていくことになるわけでありますが、介護サービスを必要とする要介護者はどの介護支援専門員に頼んだらいいか、これもまた選択できるようになっているわけでございます。ですから、ある程度数がいて、そして適切でない介護支援専門員というのは選択されないというんでしょうか、評判のいい介護支援専門員が利用されるというか、評判がいいと言うと変な言い方かもしれませんが、適切な人が選択される。そういう意味では、初めから定数を考えるべきなのかどうかなと。まずはある程度の数の介護支援専門員地域にいることが重要ではないかなと、現段階ではそんなふうに思っております。
  131. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 郵便局員に介護サービスの研修をさせる、あるいは介護サービスに従事させるというのは、これは私は全く別の問題だと思っています。郵便局員は郵政三事業サービスで精いっぱいだと思いますよ。それに余分なサービスなり研修をさせるというのは、本人の特性もあります、適性もあります。そして、何よりもこの介護事業に意欲的な人でないと、される方も迷惑ですから、この点は私は全く別の問題だと考えております。
  132. 釘宮磐

    釘宮磐君 意欲のある人もいるのではないかと思いますので、特に過疎地域ではなかなかそういうケアマネジャー的な公平性を保てるような人材を確保するのが難しいという意味で、一つの私の考えとして申し上げたわけであります。  次に、これは清水委員からも先ほどお話があった件でありますが、情報提供の問題についてお伺いしたいと思うんです。  前国会で成立した児童福祉法の中には、市町村、保育サービス提供者の情報提供というものが責務として前面に打ち出されたわけでありますが、今回、介護保険ではこの点が若干希薄ではないかというふうに指摘をさせていただきたいと思います。きょうも清水委員から出ましたが、選択できる選択できると言っていながら、その情報が十分提供されなければ選択のしようもないわけでありまして、特に医療法では広告規制というものもあるわけですね。こういうものについての取り扱いがどうなるのかということがまず一点。  それから、清水委員の指摘の中にもありました、入った人が一生懸命リハビリをして介護度が軽くなったと、そうすると、ある意味ではその施設なりは減収になるわけですから、成功報酬的なことがいいのかどうかというお話が先ほどあったわけですけれども、私はこれも逆にいえば、情報提供の中で、この施設でこれだけの人が介護度が軽くなりましたよと。要するに、この施設に入ったら非常にいいサービス介護度が下がりましたよというような実態をやっぱり出していくべきではないか。成功報酬というのは、医者が入院した患者を治したら成功報酬があるかというと、そんなものはないわけですから、成功報酬というのはちょっとなじみにくい話だろうと思うんですけれども、しかし、あの介護施設に入ったらこれだけ介護度が軽減されたよということぐらいは、私は情報提供の中にやっぱりそれぞれの保険者なりが出していくということを義務づけたらどうなのかなというふうに思うんですけれども、その点についてお聞かせください。
  133. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 医療法の広告規制と情報提供、あるいは介護報酬に絡めての情報提供と二点ございまして、再度御質問がありますれば健政局長から答えていただくことにしまして、両方まとめてまず私の方からお答えさせていただきます。  医療法におきます広告規制につきましては、患者保護という観点から設けられているわけでございますが、一方、患者が自分の症状に合った医療機関を選択する、そういう観点からも情報提供というのは必要なものでございます。  広告事項としてどういうものを認めていくかということはあるわけでございますが、現在御審議いただいていますこの介護三法案の中の一つ医療法の一部改正におきましても、療養型病床群の有無等を法律の広告事項として盛り込む、こういうことが入っているわけでございます。またそれ以外の事項につきましても、医療審議会において御議論、御検討は今されているところでございます。  それから、成功報酬というんでしょうか、その施設に入って介護サービスを受けていわゆる介護状態が改善されたと。私は、介護保険制度目的が自立支援であるということを考えますと、一番大事な点だというふうに思います。そういう点がこの事業運営の中で全体として評価されていく、それはまた必要なことでありますし、恐らく、要介護状態になった人がどういう施設を利用するかというときには大変重要な判断の要素になる情報ではないかというふうに思います。  これを保険者たる市町村に義務づけてまでできるかどうかというのは少し検討が要るんではないかと思いますが、そういう実績というのは、事業者も自分のところに入った人たちがこうなりましたと当然報告をしていくと。そして、それは実績をもって裏づけられる。それからまた、介護支援専門員介護サービス計画をつくるときには、そういういろんなサービス事業者の情報を提供して本人の意向を聞きながら選択をしてもらうということになると思いますので、市町村だけではなくて、この制度全体の運営の中で先生の御指摘の趣旨が生かされる工夫はしていく必要があるというふうに思います。
  134. 釘宮磐

    釘宮磐君 それでは、介護報酬の設定、積算の方式についてお伺いをしたいと思います。  介護報酬がどのような考え方に基づいて設定されるのかという点であります。食事介助や入浴介助等、介助の種別、内容ごとに細かく積み上げて出来高払いを基準にするのか、それとも定額払いを念頭に置いているのか。またその積算方法については、例えば介助の種別、内容、所要時間ごとに細かく原価を設定して積算するのか、あるいは現行制度における施設・在宅サービスの国庫補助単価をベースに考えていくのか。さらに、この介護報酬はどの機関で検討されて、どのように決定されるのか、その点についてお聞かせください。
  135. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護報酬は、在宅サービスにつきましてはサービスの種類、内容、事業所の所在地等、施設サービスにつきましてはサービスの種類、要介護度、施設の所在地等を勘案しまして、そのサービス提供にかかる平均的費用を勘案して、審議会の意見を聞いた上で厚生大臣が定めると。この審議会は先般できました医療保険福祉審議会、ここで諮って議論をしていただくということになろうかと思います。  その介護報酬の決め方の中身でございますが、一つ一つの行為を細かく分析して、それを積み上げて出来高払い的にやるというのも一つの議論ではございますが、そういう決め方がいいのかどうかという議論もまた一方でございます。  例えば一つのホームヘルプサービスをすれば、ホームヘルプサービスというのはどんなふうなものかわかりませんが、例えば、A型、B型、C型があって一定サービスパッケージみたいなものをもって評価する、そういう形がいいんではないだろうか、こういうことを言う識者もいるわけでございます。  そういうことでございますので、そこはどういう仕組みがいいかということにつきましても、識者の意見等を聞きながら、関係審議会の意見を聞いて定めていくと。その単価につきましては、先ほど申し上げましたような実績等を踏まえながら定めていく、審議会の議を経て、最終的には厚生大臣が定めるということになるわけでございます。
  136. 釘宮磐

    釘宮磐君 ということは、まだ細部については決まってないということですね。  私は審議会、審議会という言葉が出てくるのがどうも気になるんですが、審議会が出てきていろんなことをお決めになるわけでしょうけれども、これについてやっぱり当厚生委員会に、実施に至るまでの間、私はぜひ十分報告をしていただきたいと思うんですね。審議会の委員は国民の代表じゃないわけです。国民の代表は我々なんです。いろんな現場の意見とか、また介護を求めている人たち意見を一番我々がわかるわけですから、その点についてはぜひお願いをしておきたいと思います。  時間が参りましたので、最後の質問にさせていただきたいと思います。  今回、地方公聴会、中央公聴会、数多くやりました。いろんな意見が出たわけでありますが、その中でも、幾つかの公聴会の公述人の皆さんが指摘した部分で、今福祉サービス現実に行われているサトビスが、介護保険が導入されたことによって切り捨てられるんじゃないかという指摘が随分あったように私は思います。  特に、今福祉施設でやっている在宅サービス、これはデイサービスというものですが、それと医療施設でやっているデイケアというようなものもあるんですが、特にデイサービス部分で要介護認定に入らない人も今かなり来ている部分があるんですね。これは例えばひとり暮らしであるがゆえに、病院に行くよりは来ていただいて、そして話し相手になるとか、お互いに友達をつくるとか、そういう精神的なケアというのがあるんですけれども、こういう人は多分私は今度の介護保険の中では切り落とされる人が何%か出てくるんだろうと思うんですね。特に市町村長あたりは、福祉サービスそのものの低下になるということで、これをどうしてくれるんだろうというような意見を私も聞いたわけです。この点をまず厚生省としてどう考えるのか。  それと、もう時間がありませんのでこの問題については後日にしたいと思いますが、給食サービス、それから移送サービスというような問題についても、既にもう地方の自治体でやっている。しかし、それが今回、介護保険の受給サービスの中に入っていないという問題についても非常に現場はお困りになっているようでありますが、その点についてまとめてお聞かせください。
  137. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 現在の運営の実態を踏まえての御質問だろうと思いますが、現在でもデイサービス事業につきましては、本来のあり方と申しますか、事業の対象としていえば、やはり身体上あるいは精神上の障害があって日常生活を営むのに支障のある高齢者の方々を対象にした事業として実はやっておるわけであります。その限りにおきましては、移行後も対象者にそごが生じるということは原則としてはないということになるわけでありますが、今お話しのような、場合によっては生きがい対策までいくのかどうかわかりませんが、予防、生きがいといったような観点も含めての、いわばそこはそういったいわゆる介護対策と地域におけるそういう保健医療福祉、老人福祉、広い意味でのそういった福祉対策とが混然一体となってやられているという実態からくることだろうと思います。  したがいまして、介護保険でそういった実態になっている部分を丸ごと受けとめるというのは、これは保険料できちっとしてやるとすればなかなか難しゅうございますが、先ほどお話のございました給食だとか移送サービスの点も含めまして、やはり介護保険と同時にそういった地域の一般的な老人保健医療福祉施策、それから生きがい対策といったようなものを幅広く展開していくということは、むしろ介護保険が導入された以後もますます重要になってまいりますので、そうしたこととしてそれぞれの地方団体においてそういった施策を展開される、そのことを私どもの方も極力支援をしていくという考え方でやっていかなければならないと思います。  ただ、デイサービスを取り上げて、それを介護保険にそのままのみ込んでしまう、どういう運営であれのみ込んでしまうというのは、やはり介護保険としてのあり方からいってなかなか難しいところがあろうというふうに思います。
  138. 山本正和

    委員長山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時二十三分散会