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1997-10-23 第141回国会 参議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月二十三日(木曜日)    午前九時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         山本 正和君     理 事                 上野 公成君                 南野知惠子君                 浜四津敏子君                 清水 澄子君     委 員                 石井 道子君                 尾辻 秀久君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 木暮 山人君                 水島  裕君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 今井  澄君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第  百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提  出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回  国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(  継続案件)     ―――――――――――――
  2. 山本正和

    委員長山本正和君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。  平成会は近日中に対案を提出準備中でございますが、それにつきましては別途審議の時間をいただけるということでございますので、本日は政府提出介護保険法案について質問させていただきます。  この法案の七条三項の関係ですが、七条三項で被保険者についての定めがあります。一号被保険者、二号被保険者、この二種類があるわけですけれども、このいわゆる二号被保険者、四十歳から六十四歳までの被保険者につきましては、この保険適用は条件がついております。いわゆる加齢条項がついているわけであります。この条文によりますと、二号被保険者特定疾病によって要介護状態あるいは要支援状態になった者のみが保険適用対象となる、こういうふうに限定されております。一方、一号被保険者、六十五歳以上については原因を問わず介護保険対象となります。  この年齢による保険事故の差別というのは大変混乱を招くのではないでしょうか。例えば、六十五歳で過って転んで要介護状態になった人は保険給付が受けられる。ところが、四十歳から六十四歳の人が同じように転んで要介護状態になった場合には受けられない。骨折した原因がうっかり転んだのか、それとも骨の老化なのか、それが恐らく争いになることだろうと思います。  要介護状態というのは加齢とかあるいは疾病関係なく生ずるものですから、こういう加齢条項をつけるというのは本来の立法趣旨に反するのではないでしょうか。保険事故原因によって保険適用を左右させることになりますとトラブルが続出するというのは、例えば労災保険過労死認定をめぐってもさまざまこれまで不服審査訴訟が絶えないわけで、この二の舞になることは明らかであります。  この四十歳から六十四歳までの二号被保険者について、その要介護状態となった原因を制限する理由及び根拠を説明してください。
  4. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 六十五歳以下で要介護状態になるといいますのは障害者であると。障害状態にある人に対してこの法律適用をどうするかということでございますが、それはこういう制度を検討しています審議会におきましても議論のあったところでございます  その議論の過程で、障害者につきましては障害者プランというのができていると。これは二〇〇二年を目標にした七カ年計画でございまして、障害者に対してさまざまな施策を充実していくということになっているわけでございます。障害者の場合には、単に身体的な介護だけではなくて、例えば外出支援であるとか社会参加の問題であるとか障害者需要というのはさまざまあるわけでございますので、こういうものは障害者プランで一体的にやるというのも一つ考え方ではないかという議論があったわけでございます。  そういう考え方から、この法律では基本的に高齢者、あるいは四十歳から六十五歳までの間におきましては加齢に伴う疾病に起因する障害、そういうものに着目した給付にいたしまして、そして六十五歳未満の方々につきましては一般的な障害に伴う要介護障害者プラン障害者福祉対策ということで対応しようということになったわけでございます。
  5. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今回の公的介護保険法案、その財源につきまして、社会保険なのか税なのかというのは周知の議論があるところですけれども障害者については措置でやると。この措置制度というのは欠陥が多いから社会保険制度でやるんだという御説明をなさってこられたわけですけれども、それでは、この四十歳から六十四歳までの要介護状態になった人、その原因特定疾病ではない、こういう人たちについて措置制度でいいんだという理由はどこにあるんですか。
  6. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 今度の介護保険では、高齢に伴う要介護状態、これは非常に一般的なリスクになっていると。つまり、私ども調査で六十五歳以上で亡くなられた方というのは亡くなる直前どうであったかというのを調べますと、期間はさまざまでありますが、何らかの支援を要するという状態があるわけでございまして、六カ月以上寝たきりであるとか介護を要するとか、何らかの支援を要する、そういう人は六十五歳以上で亡くなられた方の半分ぐらいそういう状態にあるわけでございます。そうしますと、そういう高齢に伴う要介護状態というのは一般的なリスクになってきている、そういう関係からこれは保険になじむ制度ではないだろうかということでございます。  一般的な障害者対策をこの介護保険に入れるのか、一般的な福祉施策でやるのか、これは議論としては両方ありますのでどっちかが絶対正しいということではございませんが、この法案をまとめる段階では、特に障害関係者も、現行制度のもとにおいて障害者プランがきちんと実現できる、そういうものを見きわめたいという意見どもありまして、いわゆるその関係者意見を踏まえてこういう形にしたということでございます。
  7. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 しかし、介護保障制度全体としてはどう考えても整合性がとれていない、こう思います。矛盾していると言わざるを得ない。  ところで、この特定疾病としてはどのような疾病を予定しておられるんでしょうか。
  8. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 専門家において検討していただいているところでございますが、例えば初老期痴呆であるとか、あるいは脳血管障害などによりまして障害が生ずるとか、こういういわゆる一般的に高齢化老齢化に伴って出てくるであろう疾病、そういうものを対象にするということで検討しているところでございます。
  9. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ところで、六十五歳以上の者が事故等身体障害者となって要介護状態になった場合には、医療給付あるいは身体障害者給付そして介護保険給付、この三分野の給付が理論上あり得るわけですけれども、これについてはどのように調整するのか、どれが優先するのか、そして重複して受けられるのか、また重なり合わない部分についてはいずれの給付でも受けられるのかについて伺います。
  10. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) まず、制度上は介護保険が優先をしますので、介護保険で受けられるサービスはそれを受けていただきます。ただ、障害者施策の中には当然介護保険の範囲に入らないいろんな施策がございますので、そういうものは当然その施策として受けられるということになります。
  11. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、同じ七条のサービス内容に移ります。  このサービス内容、七条で規定しておりますけれども居宅サービスあるいは施設サービス、これ内容が非常に限定的で狭いわけですけれども、これだけに限った理由。そして、高齢者方々虚弱化を食いとめるのに本当は食べること、食事というのが非常に重要な役割を果たしているというのは現場また専門家方々の一致した意見でございます。食の低下あるいは献立の貧しさというのは要介護状態進行を加速いたします。在宅においてお年寄り食事準備等もまた大変な作業でありまして、特にひとり住まいとかあるいは老人世帯、どうしても献立が貧しくなってしまう。  例えば、ニュージーランドでは配食サービスを一日一回お昼に行いまして、その摂食状態を見て要介護者健康状態をチェックしている。これが自立支援に非常に大きな効果を上げていると言われております。また、各自治体でいわゆる独自の事業としてこの配食サービスを実施しているところもありまして効果を上げておりますが、その大変重要と言われる配食サービスが今回の法案の中に含まれていないのはどういう理由でしょうか。
  12. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今回の介護保険制度におきます給付のうちで配食サービス対象になっておらないということでございますけれども、今回の介護保険制度に伴います給付というものは、介護状態に伴う特有のニーズというものに対応するということをまず第一に考えました。  そういう観点からまいりますと、配食サービス等につきましては、介護状態というだけではなくて、むしろひとり暮らしのお年寄りの方、こういった方々についても食事の問題というのが一つ大きな問題になってくるということがございます。したがいまして、介護保険制度給付だけではいわゆるお年寄り需要というものを満たし得ないと思いますので、介護保険と同時に、介護保険の周りで一般的な老人保健福祉施策を充実するということをあわせてやっていかなければならないと思います。  そういう意味合いにおきまして、配食サービスにつきましては保健福祉サービス全体の中でやっていくという観点に立ちまして、市町村等がやられる事業については国もそれを助成をしていくという形で、要介護者だけではなくて、先生まさにおっしゃった介護にならない前の、あるいはひとり暮らし方々も含めた、地域でのそういったネットワーク、かなりの部分がボランティアの方々で実際やられているところもございますから、そういったネットをいかに公的にバックアップしていくかというそのシステム支援をしていく。同じようなことをやはり健康づくりとかそういった側面にもさらに広げてやっていかなければならない、介護保険と同時にそういった大きな施策のすそ野が要るというふうに考えておりますし、そういった方向でやっていきたいというふうに考えております。
  13. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 そうしますと、要介護者だけではなくて、いわゆるひとり暮らし高齢者等を含めて幅広くこの配食サービスを国として支援していく、積極的に支援していく、こういうお答えですね。  その場合に、地方自治体がする配食サービスに対して国としてはどの程度助成をすることになっているんでしょうか。
  14. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 配食サービスというのは、まさに一人の人が生きていくための衣食住の食の部分という基本的な部分でございます。その部分を公ですべて賄っていくというような思想に立ってやっていくということではなくて、むしろ今申し上げましたように、地域でそういった人たちを支える配食サービスシステムというようなものができる。そういったことに対して、国としてそれをバックアップしていくような助成をしていくという形で、例えば直接に材料費を出していきますとかそういった形ではなくて、むしろ側面的な支援という側面でやっていくという方向がよろしいんではないかなというふうに思っております。
  15. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 地方自治体現場ニーズ状況を的確に把握しているわけで、そこが必要という判断配食サービスをやっているところが数多くあるわけですから、国としても側面的な支援という腰が引けた支援ではなくて、積極的にもっと支援していくべきである。今後どういう支援現実になされるのか、ちょっと見させていただきます。  次に、このサービス内容、もう一つ外出介助。これも要介護状態進行を食いとめる、また生活の質も高める大変重要なサービスであると考えられますけれども、これについても今回の法案の中には含まれておりません。これは要介護者にとっては必要不可欠な面が非常に強いと思われますけれども、この外出介助をここに含めていない理由はどこにありますか。
  16. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、いわゆるホームヘルパーの事業として介護給付にしております。したがって、ホームヘルプ事業の一環としての外出介助等については、これは対象になっております。  ただ、独立した一層サービス的なものとしてやるということにつきましては、先ほどの配食サービスと同様、地域の一般的な老人保健施策に対する支援という形の中で、今私ども高齢者在宅生活支援事業というような形の中でやっていくという方向でやりたいというふうに考えております。
  17. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 これにつきましても、やはり国としては積極的に支援をすべきであると、こう思います。  次に、これも七条の八項ですが、「この法律において「訪問看護」とは、居宅介護者等(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について、」、「療養上の世話又は必要な診療の補助をいう。」と、途中省略しましたが、こういう条文になっております。  これは、医師の裁量によるのか、なぜ主治の医師でなければいけないのか、要介護認定あるいはケアプラン作成時と重複するのではないでしょうか。また、医者にかかっていなければこのサービスを受けられないという結果になるんでしょうか。
  18. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 訪問看護制度というのは現在でもあるわけでございまして、老人保健制度のもとであるわけでございます。現在の老人保健制度のもとにありますのは、かかりつけ医師指示に基づきまして、寝たきり老人等の家庭を訪問して、病状観察であるとか清拭であるとか褥瘡措置等中心とした看護サービスを行うということになっておるわけでございます。  訪問看護というのは、医療的な措置というんでしょうか、こういうことも含まれているわけでございますので、医師指示のもとに行われることが重要であると。こういう業務は、介護保険に移りましても当然その性格が変わるわけではございませんので、同じように医師指示のもとに行われることが必要だと、こういうふうに考えているところでございます。
  19. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 同じくこの八項で、「その者の居宅において看護婦その他厚生省令で定める者により行われる」と、こうありますけれども、その他厚生省令で定める者というのは具体的にはどういう人を指しますか。
  20. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) ここで想定しておりますサービス従事者は、看護婦のほか、保健婦であるとか准看護婦であるとか理学療法士であるとか、そういう者を想定しております。
  21. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ここには看護指導は入るんでしょうか、入らないんでしょうか。
  22. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 看護指導という意味がちょっとよくわかりかねるのでございますが、基本的には先ほど申し上げましたように、訪問看護業務は、病状観察清拭褥瘡等措置、そういうものを中心とした看護サービスであると。看護指導という意味がちょっとわかりかねるんですが。
  23. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 現場方々に伺いますと、訪問看護の最も大事な役割看護指導だという声を聞きますので、この看護指導についても、厚生省令で定める者により行われる補助と、こういう中にきちんと位置づけるべきであると思います。  次に、十四条に移りますが、要介護認定の「審査判定業務を行わせるため、市町村介護認定審査会を置く。」と、こういうふうに定められております。  次の十五条で、「認定審査会委員の定数は、政令で定める基準に従い条例で定める数とする。」と。ここで政令で定める基準というのはどういう基準を言うんでしょうか。
  24. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 委員そのものは、二項にありますように、保健医療福祉に関する学識経験者、これを任命するわけであります。この任命をする数でございますけれども、当然申請の数に応じて審査会の規模を持たなきゃいけない、大きな市町村であれば当然ある程度の人数を持たなきゃいかぬということでございまして、政令では高齢者の数などを基準にして定める、そういう考え方を示したいというふうに思っております。
  25. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ほかのところでもそうですけれども、それであれば、例えば申請の数に応じて条例で定める数とするというふうに決めればいいわけであって、何も政令に委任することはないと考えられます。  今回の政府案の中に省令あるいは政令に委任する事項というのが大体幾つあるか数えたことはおありですか。
  26. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 政省令事項を全部拾い出しますと三百ぐらいあるというふうに思っております。
  27. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 また後でちょっと指摘いたしますけれども一つ法律で三百を超える政省令委任事項があるというのは前代未聞じゃないでしょうか。  つまり、法律だけを見ますと、当然法律できちんと明示してもいいはずのものを政令省令に委任する、こういう仕組みになっていまして、ですから、法律だけを読んでみましても制度の中身が全く具体的にわからない、本当に骨組みしかわからない、こういう法律になっております。  これはまた後に回しますけれども、同じく十五条の二項に、「委員は、要介護者等保健医療又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから、市町村長が任命する。」と、こうなっております。この学識経験を有する者というのは具体的にどのような職や立場にある人なのか、また実務経験者はなぜ入れないのか、お答えください。
  28. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 保健医療福祉に関する学識経験者ですので、医師であるとか看護婦であるとか介護福祉士であるとか、そういう福祉の方の専門家、そういう方を想定しているわけでございます。  ここに言います学識経験者とは、いわゆる公平な立場で御判断をいただける人ということでございますが、当然、実務についてもある程度は明るい人を選んでもらうことになろうかというふうには思います。
  29. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 私は、むしろ要介護認定というのは、単に学識経験を有するだけではなくて、まさに現場を知っている実務経験者こそが最も的確な認定ができるはずだと、こう思います。これが抜けているというのは欠陥と言わざるを得ない、こう思います。  次に、二十七条、要介護認定手続に移ります。この二十七条では、「要介護認定を受けようとする被保険者は、厚生省令で定めるところにより、」、またここでも省令委任事項になっているわけですけれども、「申請書に被保険者証を添付して市町村申請をしなければならない。」と、こういう手続が決められております。ここで厚生省令で定めるところによりというのは、何を定めるんですか。
  30. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 申請手続に関する関係でございますので、申請書に記載すべき内容、例えば主治医の氏名であるとか申請日であるとか、そういうようなことを定める予定でございます。
  31. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 申請から認定まで大体どのぐらいの期間厚生省としては予定しておられるんでしょうか。またさらに、申請から現実サービスが受給できるまでどれぐらいの日数を想定されていらっしゃるんですか。
  32. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 法律上は、申請がありましてから認定するまでを一カ月以内というふうにしているわけでございます。  実際、申請がありますと、一つには市町村職員をしてその申請者の御自宅に行って心身の状況を調べるということが必要になります。それから、かかりつけ医師意見書をいただく。そして、そういうものをもとに認定審査会で御判断をいただくことになります。必要があれば家族等意見を聞いたりすることもあるかもしれません。あるいはまた、例えば痴呆等がまざっていれば、精神科医意見を聞くというのが特別に必要だというふうなこともあるかもしれません。  そういう手続を経て決めていくわけでございますが、平成八年度にモデル事業をやりまして、そのモデル事業をやりました手続からいいますと、一カ月以内には認定処理ができるのではないかというふうに思っております。
  33. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 多くの関係者方々から御意見を伺いますと、大体現実には申請から二、三カ月かかるんじゃないかという声が圧倒的に多いわけです。  現行老人福祉法によるサービスに関しましては、手続が非常に簡単で迅速です。自治体申請して窓口で受け付ける、そして市または在宅介護支援センターなどの職員訪問調査をして状況を把握する、そしてすぐに必要なサービスが提供される。早いところでは申請したその日のうちあるいは翌日、遅くても一週間以内ぐらいにはサービスが提供される。現行サービスの方が格段に簡素であり迅速であるわけです。  これが、今回の介護保険制度を導入いたしますと、手続が非常に幾つも重なっていて煩瑣になる、時間がかかる。これはもう少し簡素化、迅速化できるものと思いますけれども、あくまでもこれを全部実際にやると、今一カ月とおっしゃいましたけれども、人手も足りず申請も多いということになりますと恐らく二、三カ月あるいはもっとかかるかもしれない。この手続を踏まなければいけない、現行よりもかなり後退させる、こういうことになるんですか。
  34. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 現在でも、特別養護老人ホームに入りますときなどは、そういう調査を踏まえて入所判定委員会にかけて入所を決めるという手続をとっているわけでございます。  介護保険制度を導入しますときは、この判断基準をできるだけ全国公平にしたいということで、調査票も統一化し、判断基準をつくり、いわゆる全国公平に運営できるようにしたいということでございます。  ただ、サービスにつきましては、この保険適用認定されますと申請日にさかのぼってその効力が生ずるわけでございますので、申請をしたときから介護保険給付は受けることができる。そして、償還払いという形になりますが、当然保険適用されますので、一割自己負担、九割が保険給付というふうになるわけでございまして、公平な判断手続をすることによってサービスを受ける機会を逸する、なくなるということではありません。
  35. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今、認定効力申請のときにさかのぼって効力を生ずると、確かにそういうふうに規定されております。  その点が出てきましたので確認いたしますけれども申請から認定までの間に仮にサービスが提供される、その受けたサービス認定されたサービス、実は認定されたサービスが実際に仮に給付を受けたサービスよりももっと低い、こういうふうに認定された場合にはどうされるんですか。
  36. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 市町村職員調査票を見たり、あるいはその人に暫定的なケアプランをつくるとなりますと介護支援専門員が見たりするわけでありますので、恐らく極端に離れた判断というのはないんだろうと。大体その人の状態を見れば、例えば要介護度のⅢかⅣかわからないけれども、そのぐらいあるだろうというのは大体わかるのではないか。そして、Ⅳの方が重たいということで限度額が高くなるわけでありますが、ひょっとしたらⅢかもしれないというような場合には、Ⅲを想定してサービスを考えてもらう、そういう運用の仕方になるのではないかと思います。  先生がおっしゃいましたような事例がたまたま出てくるというような場合には、保険給付はやはりその要介護度の限度額の範囲でしか出せませんので、それを超えた部分サービス自己負担をしていただくということになります。
  37. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 いずれにしても、ここで定めている要介護認定手続というのは非常にややこしい、煩環である、当然時間もかかる。現行では、今施設の話をされましたけれども、市によっては例えばホームヘルパーの派遣などは緊急性があればもうその日のうちに派遣される、あるいは翌日に派遣される、ショートステイを紹介する、こういう対応をしているわけで、この介護保険制度というのは、それをあえてややこしくして面倒にして待たせて混乱させる、こういう結果になりかねないというふうに思います。  この要介護認定につきまして、厚生省介護保険保険証一枚でサービスが受けられるんだと、こういうふうにいろんなところで述べておられますけれども、こういう手続が非常に煩瑣、そしてわざわざハードルを高くして利用しにくくしている。宣伝文句とは逆に、これは選択の制限、あるいは給付の制限のために機能する結果になるんだというふうに危惧いたします。この危惧が現実にならないように私たちもきちんと監視していきたいと思います。  次に、七条で定めております要介護状態、これも厚生省令で定めると。三百項目以上に及ぶ政省令事項のうちの一つですけれども、この要介護状態の区分、この中身はどういうことになっていますか。
  38. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) この介護保険給付対象となりますのは、要支援者と要介護者とあるわけでございまして、要支援者はいわば虚弱の人ということでございます。要介護者は要介護度の程度に応じて五つのレベルに分けようというふうに思っておりまして、非常に軽度の援助を要する人から非常に超重度の介護を要する人まで、それをその人の要介護サービス量に応じて五つのランクに分けていこうというふうに考えております。
  39. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 そうですね。要支援が第Iランクで、第Ⅱから第Ⅵまでが要介護と、こういうランクが分けられております。  ところで、施設サービスとして特養ホーム入所対象となるのはこのランクの中でどのランクになりますか。
  40. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 要介護者であればランクが軽い人も重い人も含めて施設サービスを受ける対象になります。
  41. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 そうしますと、軽度の第Ⅱランクあるいは中度の第Ⅲランク、この人たちも希望すれば特養ホームに入れるということですか。
  42. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 基本的にそういうことになります。  ただ、その人の置かれている家庭の状況とかその人の家の状況とかそういうことで、例えば在宅介護サービスがあれば十分家で生活できるというようなときには、介護支援専門員はそういうアドバイスを多分することにはなろうかと思います。十分家で生活できるじゃありませんか、こういうサービスを受ければよろしいんじゃないでしょうか、こういうアドバイスはすることになろうと思いますが、選択としましては特別養護老人ホームを選択することも可能でございます。
  43. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 例えば、特養ホームで、ホームの関係者の方が一生懸命リハビリをして一生懸命お世話をしてこのランクが軽くなった、要介護状態が非常によくなった、こういう場合には施設サービス対象外になったり、あるいは家族がいるということになったら退所してください、こういうアドバイスがある、こういうことになりますか。
  44. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 施設を選択するときにも恐らくアドバイスはあろうかと思います。その人に適したサービスは何だろうかと、そういう意味ではアドバイスはあります。  それから、施設に入っていまして、リハビリとかそういういろんな訓練や日常生活のさまざまな改善ができて要介護度が下がる、これは非常にハッピーなことだと思うんですが、あり得ることでございます。そうなりましたら、例えば本人が後は在宅支援で家にいたいということになれば当然家に帰すということになります。  今度の介護保険制度では、施設におきましてはその人の生活を改善することを目標にサービス計画を立ててサービスをしていこうということが基本的に書かれているわけでございます。ですから、そういうことで、その目標に沿っていろいろサービスをしていって、うまく生活能力が高まって家でも生活できますということならこれはもうみんなハッピーなことでございますので、そういうときにどうぞ御自宅にと、これは十分あるということでございます。
  45. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 現在、特養ホーム入所者のうちで、この介護保険制度の特養ホーム入所対象とされるランクに該当する人は大体構成比で何%ぐらいというふうに厚生省は把握しておられますか。
  46. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 御案内のとおり、現在の特別養護老人ホームにおきましても、特別養護老人ホームというのは介護を要する高齢者の方の施設ということで入所判定をしておるわけでございます。そういう意味合いにおきましては、いわゆる介護を要する人が入っているというのが本来の建前でございますが、現実にどのような形で今度の新しい保険制度ができましたときの要介護認定というもの、この基準も今専門家の御意見を聞きながら、それもシミュレーションをしながら客観的に全国的な基準を今決めている最中でございます。したがいまして、今の段階では現在の特養に入っておられる方が具体的に何%が今度の新しい物差しでどうかというところは確定的にちょっと申し上げられないところでございます。  しかし、いずれにしても、現在の特養もそういう意味では要介護方々を入れる施設ということでございますから、元気なお年寄りの場合には特別養護老人ホームには現在でも本来入る方々ではないということになろうかと思います。
  47. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 これまでの老人福祉法介護だけに焦点を当てた法律ではありません。ですから、現実に特養ホームに入っていらっしゃる方は、介護が必要だから入っている、そういう方ももちろんいらっしゃいます。しかし、これは老人福祉法のもともとの理念からいたしますと、その方々のよりよい生活支援する、こういう理念が入っているわけですから、帰るところがない、あるいは単身生活に不安がある、あるいは家族や住宅の事情で行き場がない、こういう方々も特養ホームでは面倒を見ておられるわけです。それが今回のこの要介護度六ランク、これでランク分けいたしますとどうしてもこの要介護のランクに当てはまらない人が現実にたくさん出てまいります。こういう方々について厚生省はどう扱われるおつもりでしょうか。
  48. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先生今お挙げになりました、現在の老人福祉法というものが単に要介護老人だけではなくてそのほかをも対象にした施策になっている、それはそのとおりでございます。  しかし、老人福祉法の体系の中では、特別養護老人ホーム以外にも、例えば経済的な理由をも含めていわゆる住むところが欠けているというような方々については例えば養護老人ホームという別のホーム体系を準備する、あるいはそのほかに低所得で住むところをという方のためには軽費老人ホームというような範疇を準備する、それからそれ以外に、地域生活をしながら支援を受けていただくために各種のホームヘルプ事業等を準備する、さらには健康増進的な生きがいづくりみたいなものを用意するという総合的な法体系になってございます。  したがいまして、老人福祉法が今、先生のおっしゃったような理念のもとに、またそういう人たち対象にしているということと特別養護老人ホーム対象範囲ということとはおのずとやはり違いがございまして、現在の特別養護老人ホームにつきましても、先ほど申し上げましたように、これは基本的には、言葉遣いは正確に申し上げなきゃいかぬかもしれませんけれども介護を要する方々のための施設として特別養護老人ホームというものは位置づけられております。  したがいまして、今後におきましても、介護保険ができましたから老人福祉法はそれで介護保険に全部のみ込まれて必要なくなるということはないわけでございまして、介護保険と同時に、今、先生おっしゃったような幅広いお年寄りに対する福祉施策というもののいわば基本法として老人福祉法は依然として残して、その中での体系、例えば先ほどの養護老人ホーム等については残すようなことでやっていくということで考えております。
  49. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 そうしますと、厚生省のお考えでは、現在特養ホームに入所していらっしゃる方々については要介護者なんだから介護保険制度がスタートした後も介護サービス対象となる、施設サービス対象となる、だから基本的には退所する必要はない、そのまま特養ホームにいられるということが原則になるわけですね。
  50. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 特別養護老人ホームの目的というのは、今申し上げたとおりでございます。  しかし、具体的にその基準、物差しがどういうところで決まるかということについては、先ほども申し上げましたように、現在要介護基準ということにつきましては専門家の御意見を聞きながら要介護基準を決めることにしておりますから、その物差しを当てはめて、現実に今入っておられる方々が、運用がどうかということをも含めてどうなっているかということは、物差しができました後にそれを当てはめてあれしてみませんと、現在の段階で現に入っておられる方が全部そうかどうかということは確定的には申し上げられないということでございます。
  51. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ところで、特養ホームに入所している方々について、今後、施設サービス給付をどうするかという件に関して、五年間の経過措置があるのではないですか。これはどういう理由で経過措置がとられたんですか。
  52. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 今、局長からの答弁にもありましたが、要介護判断基準というのはこれからつくるわけでございます。  今、現に特養に入っている人の中にその基準に当てはまらないそういうケースはあり得るわけでありまして、そういう場合がありましても、五年間に限り介護保険からの給付が行われる、そういう形にしよう、そういう経過措置を設けているわけでございます。
  53. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 五年間の経過措置がたった後はどうされるのか。  それから、特養ホーム以外の施設、いわゆる老健施設とかあるいは療養型病床群に介護保険のスタート時より前に入所している人々については経過措置はありますか。
  54. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 五年間の経過措置の間に、その人が要介護状態でないということであれば施設の退所を考えていただくということになります。それは、例えば在宅に戻ることが可能であれば在宅を考えていただくことになりますし、そうでなければ、例えばケアハウスのようなものへの入所を考えていくとか、そういうことをこの五年の間に考えて円滑に対処できるようにしてもらうということであります。  それから、老人保健施設でございますが、老人保健施設につきましてはこれも経過措置がございまして、法施行時に入所していた場合には、要介護者以外の者につきましては老人保健法の医療費を支給する、いわゆる老人保健法の世界でその人には対応するということでございます。  それから、療養型病床群の方でございますが、これにつきましては要介護でなければ何らかの入院治療を要する人ということになるわけでございますので、これは医療保険で対応することになろうというふうに考えております。
  55. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 私がお聞きしたのは、特養ホームについては五年間の経過措置があります。今の御答弁では老健施設についても経過措置があるというお話でした。これはちょっとこちらでももう一度勉強してみますが、少なくとも療養型病床群については経過措置はない、このように理解しております。どの施設に入所しているかによって経過措置があるかないか、これは大変不公平な結果になると思います。  また、厚生省モデル事業として、既に入所している特養老人ホームの入所者について、定員の大体一割程度の退所を指導している、こういうことを伺いましたが、これは事実ですか。
  56. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) そのような機械的な指導をいたしているということはないというふうに思います。
  57. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 九月二十五日の厚生省の全国課長会議で配付された資料によりますと、これはこのモデル事業内容といたしまして、退所計画については特養老人ホームの定員の一割程度、こういうことが明確に示されております。こういう指導がなされている。先ほどのお話で、要介護者であれば軽度であってもこれは施設介護サービス対象となるんだと、こういうお話でした。  ところで、これは一つの統計の数字ですけれども、現在、特養ホームに入所している人の要介護度六ランクの構成比ですけれども、いわゆる第Iランク要支援者、これが四・一%、軽度が一〇・四%、中度いわゆるⅢランクは一〇・六%、それから重度が一八・九%、痴呆が四一・〇%、最重度が一五・一%、こういう統計が出ておりますが、この一割というのは何を基準に出てきた数字なんでしょうか。
  58. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) そもそも、今回の今お挙げになりました事柄につきましては、特別養護老人ホームの入退所計画の実践のいわば試行事業としてやりたいというふうに思っておるものでございます。  これは、やはり今後の介護を要する方々サービスというものを考えました場合に、できるだけ地域であるいは家庭で生活できる方はしていっていただくという形の中で、その受け入れ体制をできるだけ整備をしていく。それから、特養ホームで生活をしておられる方々についても、処遇よろしきを得れば、あるいはそこでの先ほど先生はリハビリの例もお挙げになりましたけれども、そういうことのよろしきを得れば、あるいはちゃんと相談に乗ってあげれば地域での生活が可能になる、そのことが入所者にとっても幸せだということがたくさんあるわけであります。そういったことをやはりきちっとするということを今後やっていかなければ、とにかく特養ホームに預けておけば安心だというような風潮というものは今後の中で是正をしていかなきゃならないだろう。  したがって、そういうことのめどといたしまして、まさに前提として先ほど機械的なことはやっておりませんと申し上げましたとおり、入所者や家族の理解も得て、その事情もよくあれして、無理な計画にならないようなことで一割程度というものを一つのめどにして、そういう入退所計画というものをつくって、そういう入っている方にとっても、その方が地域でできるだけ生活ができるようになればその方が幸せですから、そういった方向での計画を立てるようないわば試行事業をやろうということで御説明を地方団体に申し上げたということでございます。
  59. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今、特養ホームに預ければ安心だという風潮が強まるのは困るというような趣旨の御発言でしたけれども、まさしく自宅ではヘルパーも不足していて、家族介護ではとても手に負えない、もともと行き場がない人が多い。先ほど退所後の受け皿として養護ホームとかあるいはケアハウスとかおっしゃいましたけれども、それだって絶対数が不足していて、とても退所後の行き先として十分にこういう人たちを受け入れられるとは考えられない。結果的に保険給付対象外とすることによって追い出す、こういう結果になるんではないか、こう思います。  また、もともと福祉的な配慮による施設入所も、これまでの運用では特養ホームに入所が可能ということになっていたわけですから、やはり仮にこの社会保険制度がスタートするとしても、これは福祉的な配慮による施設入所を可能とする道を残すべきであると、こう思います。その道がほとんど残されていない。  また次に、もう時間がなくなりましたので、この判定の基準あるいは判定表ですけれども、これが余りにも現実とかけ離れている。これは現場方々の声をほとんど聞いていないとしか考えられないほど非常にずさんなランクづけであると、こういう声が寄せられております。  例えば第Ⅵランク、これは寝たきり老人に限定されておりますけれども、ですから結果的に点数も高くなるわけです。重度の寝たきりの人の介護よりも、本当は痴呆の人の徘回とか、あるいは問題行動を起こす人、暴力的な行動を起こす人、そういう介護の方が介護量は大きいわけでして、こういう大変さが評価されない、このランクづけが実情に合っていないのではないか、もう一度この判定の基準をつくり直す必要があるのではないかという声が現場から上がっております。  この移動能力とかあるいは痴呆だけのランク分けでは本当の要介護度あるいは必要な介護量が出てまいりません。こんなことで、ぜひこれは見直すべきであると、こう思います。  また、介護報酬の点数についてもさまざまな矛盾がありますけれども、これについては時間の関係で次回に回させていただきたいと思います。  厚生大臣、今ほんの一部の問題点だけを指摘させていただきました。これは当初、介護保険制度というのは何か保険証一枚で必要なサービスがいつでもどこでもだれでも受けられる、こういう幻想が振りまかれました。その結果、どうも介護保険法の中身はよくわからないけれども国民の大多数が賛成であると、こういう世論調査の結果が出ております。  しかし、この法律の仕組みそのものも、先ほど申し上げましたが、三百を超える政省令委任事項があると、これも本当に異例のことだと思います。つまり、重要な事項は国会で決めるわけではない、全部厚生省で決められる、保険料をどれだけ上げようと国会の審査はない、国会の議論は通らなくて済むと、こういう法律になっております。余りにも問題が多過ぎると思います。  大臣は改革に大変前向きな、本当に日本のためにということでいろいろなさっておられる、その大臣ですから、この介護保険法案についてはもう一度仕切り直しをして、白紙に戻して、もう一度多くの国民の方々との議論を経て、また現場方々、特に介護に従事しておられる方々からたくさんの反対あるいは異論の声が上がっております。もう一度議論し直していただけないでしょうか。
  60. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) いろいろ問題が多いからもう一度白紙に戻して考えればいいじゃないかという御議論と、これは初めての制度である、介護状況も十人十色、それぞれ難しい点はあるけれども、これから家族だけに介護を押しつけるのは限界であろう、社会全体で支えていこうという気持ちから、まず導入してみて不備な点があったならば直していこうと、どっちをとるかの選択だと思います。両論あると思います。  私は、初めての制度ですから、一〇〇%でなければ全部なくして導入をおくらせようというよりは、今これほど介護の問題で切実に御苦労されている方、悩まれている方がいる現状を放置することはできない。むしろ現状で考えられる点、いろいろさまざまな意見を参考にしながら平成十二年度に導入してみて、その時点で当然現実の問題は出てくると思います。その時点でまた見直していこうという、どちらをとるかというと、私はまず導入してみて、その状況を見ながら少しでも一歩でもよりよいものに改善していこうという姿勢の方がいいのではないかなと思っております。
  61. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 導入してから直すというのは現実には非常に難しいことであろうと思います。急いで欠陥の多い制度を立ち上げますと、制度そのものが破綻するおそれが非常に大きい。一度制度として破綻いたしますと、本当にいい制度をつくろうといっても、もう二度と国民の信頼は得られない。ぜひこれはもう一度、ドイツの例もあることですから、ドイツは二十年かけて議論して導入しても、あれだけのいろいろ問題が出てまいりました。日本はまだ国民の間での本格的な議論というのはほとんどなされておりません。具体的な内容についてもほとんど理解されていない。もう一度これは初めから議論をし直すべきである、そのことを要請いたしまして私の質問を終わらせていただきます。
  62. 山本保

    山本保君 平成会山本保です。  それでは、介護保険法に関しまして、きょうは実質的な第一回であろうということから、財源の問題と、それから権利論について私は主にお聞きしたいと思っております。    〔委員長退席、理事上野公成君着席〕  私は、各委員の方、皆さん御存じのように、確かに介護問題がこれからの日本の社会の大変な問題であるということについては全く異存がございません。であるがゆえに、国はもっと責任を持ってこれまで以上に、また一般的な社会福祉に対する態度以上に、もう少し手厚くまた温かい対応をお年寄りにすべきではないかと思うわけであります。  そう考えますと、この介護保険法というのは、今、浜四津委員からもございましたように、なかなか問題が多いというふうに思っておりまして、これからつくる制度であると大臣が今お答えになったわけでありますが、であるならばぜひその問題がより少なくなるようにきちんと話し合いをして直していくということが必要ではないかと思っております。  また、もしその中で、特に財源論といいますか、税にするか保険金にするかというようなものは、考えてみますとこれは厚生省が考える話ではなかったんじゃないか。これはまさに政治家が考えるべきであって、俗な言葉で言えば総理大臣があと二兆円持ってこいと、そういうことを言えばすべて解決、もちろんそれ以降の問題等もありますから、そんな簡単なものではないということはわかります。    〔理事上野公成君退席、委員長着席〕  しかし、一つの例えとして言えば、こういう政治の部門で本来まず介護に必要なお金をどのように国民が負担するのかという議論をして、その間にしかもいろんな今ある問題点、今の措置制度に伴う問題点というのが指摘されているわけですから、その問題点を改善しながら、その後で、しかしこれでも足らないので、例えばそのお金をどのようにするのかという議論をすべきだったんではないかと思うわけです。この辺に何かボタンのかけ違いがあった。  厚生省は大蔵省に遠慮したのかどうかわかりませんけれども、最初から自分で財源を持ってくるということではなく、社会保険をつくる、うがった見方をすれば、自分たちの都合よく使えるお金を持ってくるために新しい特別会計をつくるんだというふうに言われてもしようのないような判断をしたんではないかという気もするわけであります。  最初に厚生大臣、今私が申し上げましたことについて率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  63. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 税がいいか保険がいいかという議論になってくると思いますけれども、私は、現在の社会保障制度において、年金においても医療においても保険制度は定着していると思います。そして、昭和二十五年度における社会保障制度における勧告においても、あるいは平成七年度における社会保障体制の再構築における勧告においても、社会保障とはそもそも何かという理念的なことを考えてみますと、昭和二十五年度の勧告にはこういうふうに出ております。  国民が困窮におちいる原因は種々であるから、国家が国民の生活を保障する方法ももとより多岐であるけれども、それがために国民の自主的責任の観念を害することがあってはならない。その意味においては、社会保障の中心をなすものは自らをしてそれに必要な経費を醵出せしめるところの社会保険制度でなければならない。 これは昭和二十五年度の社会保障制度に関する勧告であります。  戦後五年、今に比べれば、経済もはるかに弱かった、福祉施設も貧弱だった、国民ははるかに今よりも貧しかったにもかかわらず、その社会保障制度の勧告では社会保険制度が基本であるという勧告を出しております。  平成七年度、はるかに昭和二十五年度に比べれば豊かになっております。整備も進んでまいりました。その平成七年度の勧告におきまして、社会保障の財源については今後、  高齢者介護など立ち遅れの著しい分野への配分を大幅に高めるべきである。この場合、増大する負担については、自立と連帯の精神にのっとり、国民のだれもが応分の負担をしていくことが必要である。   社会保険は、その保険料の負担が全体として給付に結び付いていることからその負担について国民の同意を得やすく、また給付がその負担に基づく権利として確定されていることなど、多くの利点をもっているため、今後とも我が国社会保障制度の中核としての位置を占めていかなければならない。したがって、増大する社会保障の財源として社会保険料負担が中心となるのは当然である。 これは平成七年度の勧告であります。  いずれにおいても、貧しいときにおいても豊かになったときにおいても、社会保障制度中心をなすものは保険制度が望ましいという勧告が出ております。私は現在、年金も医療保険制度中心であるならば、介護保険の方が妥当ではないかと思っております。
  64. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  最初に大臣にお願いしなかったところでお聞きしましたけれども、以前にもそういうことはよくおっしゃっておられると思います。この委員会で私、できれば率直な話し合いをしながら新しいものを引き出していけないかと先ほど申し上げましたので、大臣に今のことについて少し私の考えを述べますし、またこれから細かくは厚生省の方にお聞きします。  まず、今おっしゃった年金にしても医療にしても保険制度であるということは、まさに今その構造が問題になっているんではないかと思います。特に年金などは基礎部分に関して保険という形よりはもう少し公費導入という考え方が出てくるのではないかと思いますし、医療保険というのがどんな人でも可能性としてそのリスクを負う率が同じであり、またこういう自助的な保険制度になじむということは確かにこれはそうだと思います。しかし、その中でも例えば老人医療というような、非常に確率が高くなってきて、これは決して自助ではできないということはもう明らかなわけですが、この辺に関しては保険制度ではどうだろうかという議論が起こっておるわけであります。ですから、大臣おっしゃるように、ほかの制度がみんな保険でうまくいっているではないかというのは、ちょっと論拠が今私は怪しくなってきているんではないかという気がいたしますが、ここはすれ違いになるかもしれません。私はそれを含めて、老人医療も年金も含めて、もう少し全体の今の動きは変わっていくであろうというふうに思います。  それから、もう一つ。具体的におっしゃいましたので、その二十五年の勧告は、これは国がもう全く金もないときに、まさに国民に対して訓示的にみんなで頑張れと言っておったのじゃないかという気がするんですけれども、それと今度は平成七年のときの勧告で、これはまた意味が違うんではないか。平成七年の勧告は、まさに今まで福祉という形で何もかもすべて公費、国費、昭和六十年代以降、その割合は変わってきましたけれども、この全体を見直そうではないかというときに、もっと自助的なものを導入しようという意味では全く私も賛成でありますけれども、そのときにこの介護分野というのがそれに当たるかどうかということについてはもう少しきちんと、先ほど申し上げたような理由からとてもこれは保険制度にはなかなかなじまないのではないかという気がしております。  最初にちょっとそういう前置きをいたしまして、それについてもう少し具体的に見ていこうと思うんですが、最初は財源について少しお聞きいたします。  まず、現在六十五歳以上の介護サービスを受けている人、どんな人が何人ぐらい、どういうところにおられるのか、そしてそれは経費が幾らであるか、これをいわゆる施設サービス在宅サービスと、こういうことで議論、皆様もよく御存じだとは思いますけれども厚生省の方から整理して紹介をしてください。
  65. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  現在の高齢者介護サービスを受けている人数あるいは経費等についてのお尋ねでございますけれども、利用者につきましては、施設関係特別養護老人ホームあるいは老人保健施設に入所して施設サービスを受けている人数ということで申し上げれば、約三十二万人でございます。在宅サービス関係につきましては、実際上は一人で複数のサービスを受けておられるというケースがございますので、これを単純に足し上げますとかえって間違った数字になりますので、統一的な人数把握はいたしておりません。  経費につきましてでございますけれども平成七年度で申し上げますが、全体が二・二兆円、二兆二千億ぐらい、丸い数字で申し上げます。その内訳といたしましては、在宅サービスが〇・三兆円、三千億ぐらい、それから施設サービスが一・九兆円、一兆九千億ぐらいというふうに把握をいたしております。
  66. 山本保

    山本保君 局長、今の数字をもとにして平成十二年度、この介護保険を立ち上げるときの推計値があると思いますけれども、それも紹介をしてください。
  67. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 平成十二年度の立ち上げのときには、ちょうど平成七年度からいきますと五年後ということになりますけれども、四・二兆円、そしてその中の内訳として申し上げれば、在宅サービスが一・三兆円、施設サービスが二・九兆円ということで、できるだけ在宅サービスを伸ばすという観点に立ちまして推計をいたしております。
  68. 山本保

    山本保君 今の推計の根拠というのはどういうことをもってその推計値を、よく言われます四・二兆円ということになりますが、現在の二・二兆円から四・二兆円になっていく、この推計の根拠はどういうところにありますか。
  69. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) まず、要介護者の数を把握するということが必要になります。これは、今までの調査で六十五歳以上の人を五歳刻みで、例えば痴呆の発生率とか要介護の発生率、虚弱の発生率を把握しておりますので、将来の人口推計で変わっていく五歳刻みの人口を二〇〇〇年のときの人口に当てはめまして計算して対象者を出していくわけでございます。  それから、どういうサービスを、幾らのサービス給付するかというのが当然その次には問題になるわけでございます。これについては、介護保険ができますと当然介護報酬等を踏まえた実勢価格を、実勢を調べた上で決めていく単価というのがあるわけでございますが、現段階ではそれがありませんので、現在の予算単価等をもとにサービスの単価を考えているわけでございます。施設につきましては、施設における平均的な費用、これを一人当たり単価というふうに考えまして、施設についても考える。それぞれの施設に入っている人はどのぐらいになるか。それから、介護度を分けまして、要介護度別に対象者はどのぐらいいるか、これと利用率、これを掛け合わせまして四・二兆円というふうに弾いたものでございます。
  70. 山本保

    山本保君 ちょっと一つだけ確認をさせてください。先ほど羽毛田局長の方からは、在宅サービスについてはつかめないがとおっしゃいましたけれども、今、現状一・九兆円という数字が出ましたが、これはつまり現在実際に使っているお金であると、そういう意味でございますね、確認です。
  71. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先ほど平成七年度で〇・三兆円と申し上げましたのは、実績でございます。
  72. 山本保

    山本保君 そうしますと、今お聞きしますと、数がふえていくであろうと。これは生物学的なとか、また人口数等でみんなで頑張って元気になっていけば必要ないんじゃないかという気もするんですけれども。しかし、これはこういうものを入れることはできないということで、確かに数が増加するということでふえてくるということはわかります。  もう一つは、単純に言えば結局人件費の伸びという意味だというふうに思いますけれども、審議官、それでよろしいですか。
  73. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 単価は七年度の価格で計算しておりますので、いわゆるそういうものは考えておりません。つまり、対象者がふえる、そうすると当然その分だけサービス量をふやさなきゃいかぬ、そういうことによるものでございます。
  74. 山本保

    山本保君 国民所得の伸び等を見込んでとおっしゃったはずですし、そういうふうに資料に載っておりますが、この意味はどういうことでございますか。
  75. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 二〇〇〇年段階における価格といいますのは、一応計算上は、費用の推計は、名目値でいきますと単価の伸びは三%ぐらいあるだろうと。これは単価ですが、大体人的サービスなので人件費等が上がっていくという計算でございますが、こういう計算をした上で七年度価格に戻すということで、大体物価が人件費と同じぐらい伸びていくだろうということで、三%で割り戻して二〇〇〇年の数字を出しているわけでございます。  ですから、結果的には、施設需要がふえる分、それから在宅サービス需要がふえる分というものが上積みになった数字が出てくるということであります。
  76. 山本保

    山本保君 どうもちょっとわからないんですけれども、基本的にこれはGDPの伸びというようなことで積算をしたというふうに伺っているわけですから、それは単純に言えば人件費の伸びだろうということでいいと思うんですが、細かいことはじゃ結構です。何かそれだけでは言いづらい、それだけでは説明しづらいというようなことがあるのかなと思うんですが。  そうしますと、四・二兆ということですが、今施設というのは民間施設と公費の施設があると。それで、これは措置費の形で出ていると考えればほとんど変わらないが、しかし実際には運営の単価というのは変わっていると。  また、特に在宅サービスについては、例えばここに東洋大学の坂田先生の雑誌に載った論文がありますけれども、いわゆる公的な公務員のサービス、またそれをベースにして委託をしているようなものと、それから民間のシルバーサービスと言われるようなものの調査結果が載っているわけですね。その結果として坂田先生は、民が公の二割から五割程度のコストで済む、こういう実態があるということを一つの結論に、これはもちろんサービスによっていろいろ違うようで、入浴サービスとかはそんなに差がない、といっても結構違うかと思いますが、特にホームヘルパーなどは今申し上げたような数字が出ている。これもよく御存じだと思うわけです。  こういう民間のサービスと公的なサービスとの割合というものはどういうふうに今の計算の中に組み込まれておるんですか。
  77. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 単価の計算は、現時点で介護報酬を決めていないわけでございますので、介護報酬は実態調査をしながら決めていこうと考えていますが、そういう実態調査をして介護報酬を決めているわけではないと、そういうことでありますので、平成七年度の平均的な費用、それに基づいて計算しているわけであります。ですから、公的な部分の割合がこれだけあって民間セクターの分がこれだけあると、そういうふうな仕分けはしておりません。
  78. 山本保

    山本保君 つまり、現在の割合がどういう実態にあるかはわからないけれども、総数としてそれをそのまま計算したわけですから、今の公的なサービスと民間サービスの割合をそのまま前提として出てきた数字が四・二兆であると、こういうことをおっしゃったと思うわけです。  しかし、これはどうなんでしょうか。これから本当に、民間サービスというのは伸ばしていこうというふうに言われているわけですし、そこがどうも、そんなことでいいのかなと思うわけですけれども、何かこの辺で民間サービスの実態、どれぐらいのお金が行っているのか、そういうものについて厚生省は本当に何も検討せずにこれを決めたんですか。
  79. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 費用推計でございますので、一つの前提を置きながら推計をしていくことになると。その前提の置き方としまして、単価につきましては平成七年度の予算の単価とかそういうものを前提に、そしてサービスの段階、要介護度の段階が虚弱を含めて六段階に分かれるわけでありますので、それぞれの段階に応じてこういうサービスであるだろう、そうするとそれの単価を考えれば幾らぐらいになるだろうと、こういうことをもとに推計をしたわけであります。  ですから、現在の民間と公的のセクターのそれぞれの単価をもとに、何かそれを平均して出したとかそういうものではありません。
  80. 山本保

    山本保君 平均していないといっても総数が同じであれば、総数をその中身について考えていないというわけですから、当然今の現状をそのまま当てはめていったということで別に違いはないと思いますけれどもね。  それで、じゃちょっと問題をもう少し細かくお聞きしますけれども、例えばホームヘルプサービスをやっている。これについては国の方からも補助金が出ているわけですから、そのわかっているところでいいですけれども、公的なところでやっているものとそれから民間でやっているもの、そしてその民間の中でもいわゆる社会福祉法人がやっているものとそれ以外というようなものについての調査結果があると思いますけれども、それをお示しください。
  81. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) いわゆる訪問介護、ホームヘルプサービスでございますけれども、現在の実態は、これは今、市町村がやり、その市町村が民間に委託をするというような形態で現在やっているわけでありますけれども、いわゆる直営以外に事業を社会福祉協議会でございますとかあるいは特別養護老人ホーム等に委託をしております市町村の割合が平成七年度末で八三%という数字になってございます。とりあえず手元にございますのはその数字でございます。
  82. 山本保

    山本保君 今の数字で結構なんですけれども、つまり八三%、ほとんどが市町村委託になっている。私いただいた資料によりますと、公表されているんでしょうか、社会福祉法人というのはその中でも特に四分の一ぐらいであって、実際にはその他はほとんど社会福祉協議会という形でやっている、こういうことですね。  細かい数字はこの辺にいたしますけれども、先ほど坂田教授のものの大ざっぱな結論だけを申し上げたわけですけれども、こういう事業について非常に今現実の場合において格差があるといいますか、乖離があるわけでしょう。非常に差が大きいわけですね。単に一割二割じゃないんですね、半分以上というような数字もある。これで、これから介護保険サービス単価を厚生大臣が決めると。もし平均値を決めれば、単純に言えば、公務員の方にとってはえらい安い金になるし、民間の方にとっては、今まで少なくとも営業がされているはずなのに、より高いところで安定するというか、つまり今の薬価の問題と全く同じで、これは全然現実に合わない数字じゃないかという気がしますが、どうですか。
  83. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今回の今申し上げました数字自体は、江利川事務局長の方から申し上げましたとおり、これはある種の試算としてやったものでございますが、現実に今後の進め方としていえば、私どもホームヘルプ事業につきましてもできるだけ民間の活力を導入していくという方向で考えたいと思っております。  ただ、先ほど坂田先生の論文をお挙げいただきました。これは自治経営学会での御報告をもとにしておられるものでございますけれども、これは現状でいえば、コストが差があるについては実は現在でもそれなりの背景も一方においてございます。それは例えば、現在ではなかなか民間企業が入りにくいようなところを公的がやっておられる。どうしてもコスト高になる。それから、いわゆる給与水準なり勤務期間というものがやっぱり違っているというようなところがございまして、したがってそういった中でのいわゆる高コストということがございます。  そして、それをも乗り越えてできるだけ民間の活用を図っていくという方向でございますけれども、今申し上げたような背景というのは、一挙に進むかというとなかなかそれは進まないだろうと思います。  したがって、できるだけそういう方向にし、そのことによってコストもできるだけ効率化していくという方向には行きたいと思っておりますけれども、数字的に直ちにそれがそういうふうになっていく、あるいは推計上の話として、そこのことは織り込まないと著しくおかしい推計になるというようなところまでは、ちょっと今の段階でこれを入れ込むのはやや危険かなというふうに考えます。
  84. 山本保

    山本保君 今の日本の行政と政治の関係からいきまして、資料を持ち、そしてそのノウハウを持っているのは役所だけですから、今そういうふうに言われますと、じゃそれにかわる数字を出してみろと言われても、残念なんですが、出せないわけです。  しかし、これについては、そうしますと四・二兆という数字も、やり方によってはというか、この数字は、まさに皆様方がいつも言われる、非常に問題があり実態に合っていないと言われている、私は余りそうは思わないんですが、そう言われている福祉状況によって出た数字をそのままスライドさせて出てきた数字じゃないか、これは論拠としておかしいんじゃないかと。  単純に言えば、例えば四・二兆じゃない、三・五兆で済むのかもしれない、三兆円で済むのかもしれない。こういう議論をきちんとした上でお金が幾ら要るのかというふうにしなければ、新しい施策をするときに基本的なところが、そんな現状をそのまま持っていってというような、もちろん利用者数だとか老人の数はわかりますよ、だけれども、これはそんなに大きな違いはないとしても、権利になればもっとふえると思いますけれども、それはそういうことはわからないんで捨象しても、現実に今のサービス単価というのに非常に差があるということが実際あるのにかかわらずそれを入れていないというのは、私はこれはちょっと怠慢ではないかと思います。以前にもそういうことは出してくださいと私は言ったことがあるんですけれども。  それで、論点を少しずらしまして、施設は社会福祉法人でなければやってはいけないわけです。済みません、これは通告のときにはきちんと書いていなかったんですが、常識的なところで結構ですから。この在宅サービスについて、これは法人でなくてはならないのかどうか、それはどういうふうに整理されておるでしょうか。
  85. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 在宅サービスは、社会福祉法人とか医療法人だけではなくて、民間事業者であるとか法人格を持ったその他の継続的に事業ができるような活動主体であるとか、そういうものは都道府県知事の指定を受けてサービス供給事業者になることができます。  さらに、特例的な扱いでございますが、法人格のないボランティアのようなもののサービスでありましても、市町村長サービス主体として認めるような場合には、費用の支払いは償還払いという形にはなりますけれどもサービスの提供主体として認めるというようなことになっております。
  86. 山本保

    山本保君 社会福祉法人とその他の営利法人のことを言われたと思うんですが、ただ、そういうものとでは非常に税制面でも差がありますでしょう。社会福祉法人であれば、例えば寄附金は全部非課税になるわけですし、その他もあると。また、もっと言えば、立ち上げのときの費用についても、ほとんど自分の自己資産は、資金は一割でいいとかいうふうなことが言われるような背景があると。  こういうものと営利法人ということをちょっと考えたいわけですけれども、社会福祉法人をつくるには今大体幾らぐらいのお金とどういう要件が要るのでしょうか。大ざっぱなところで結構です。
  87. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 基本財産が一億円以上ということでございます。
  88. 山本保

    山本保君 そうしますと、これから在宅介護をしょうというような民間の団体で、基本財産が一億円というものはとても取れっこないと思うわけですね。厚生省はこれをもっと緩めてたくさんの団体に法人格を与えるというような計画をお持ちなんですか。
  89. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 社会福祉法人のあり方につきましては、現在、担当部局におきまして、審議会でそのあり方の見直しの検討をしているところでございます。方向については、私、定かに存じ上げませんが、その議論が始まったところというふうに聞いております。
  90. 山本保

    山本保君 ここで、この議論について少し整理をしますけれども、いわゆるNPO法人というものを想定しているのであろうとは思います。ただ、ここは御注意申し上げますけれども、社会福祉事業法には、はっきりと第二種事業についての届け出義務、その他ございまして、どんな団体でもよろしいというわけには当然いかないわけであります。厚生省がそのための中身をつくる必要があるだろうと思います。これは議論になりますので参考までに言っておきますが、残念ながら今の与党案では、このNPO法人の監督権限を基本的には経済企画庁長官が持っておるということで、厚生省としては一体何を考えておるのかと、この福祉介護の非常に重要なところを経済企画庁長官に任せておいていいんですかということがあるんですが、この議論はまた別のときにすることにします。  それで、今度はそのお金なんですけれども、つまり、寄附金控除というものがあるがゆえに今の日本の社会福祉法人といいますか、いわゆる民法上の特増法人というものが非常に優遇を受けているわけです。これはあらかじめお願いしておきましたけれども、日本のいわゆるNPOといいますか、民間の公益法人が集めている寄附金とアメリカのその寄附金というものについてデータがありましたでしょうか。比較ができるものがあるかどうか一応ちょっとお聞きしたいと思います、以前これはお話ししておきましたので。
  91. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 調べておりますが、まだ見つかっておりません。あるいは見つからないかもしれません。
  92. 山本保

    山本保君 それでは、私の方で今持っているもので御紹介をしますと、いろんなのがありますが、一番新しいもの、これは「公益法人」という雑誌の九月号に出た論文であります。  ここには、一九九六年度のアメリカの公益寄附金が一千五百億ドルであると。日本円にそのまま直しますと大体十六兆ぐらいになるんでしょうか、それぐらい集まっていると。これはしっかり調べたあれではありませんが、普通言われますように、たしかアメリカの財政収入、租税収入が一兆五千億ドルと言われていたかなと思いますので、アメリカは租税の十分の一のお金が公益寄附金として動いておると。この数字、またほかの、これは実は厚生省からも見せてもらったデータにあったんですけれども、ちょっと古い九五年ぐらいですか、九〇年代の初めのころの数字を見ますと、その寄附金の中でも保健医療については五割近いお金が使われているというような数字があるわけです。  ですから、これは非常に重要なといいますか、今、大臣も一生懸命構造改革を言われておるわけですけれども、日本の今の構造改革議論でこの公益寄附金、皆さんの善意を大蔵省に任せて、大蔵官僚がばらまくという体制、もちろんこれは国家、国益からいって非常に効率的な面もあり、重要なものであるから、これが全然だめだということは申し上げませんが、しかしアメリカでは一割、福祉などについてはもっと高い割合で、言うなら官庁が税を割り振るお金ではない自主的なお金が動いておる。  これは今、例えば橋本総理は国民負担率を五〇%にとどめると言われますし、それができるのかと思っていますと、今やっておられることは、大臣には申しわけありませんが、それは受益者の自己負担に転嫁しているだけじゃないかと。それをやれば公的負担は要りませんよ。それをやっておれば政府なんか要らないですよ、もともと。ですから、もちろん今のその割合がいいかどうかということでもっと負担をという意味はわかりますけれども、哲学なしで自己負担に転嫁していけば安くなるのは当たり前のことであって、こんなのだったら何も官僚も政府も要らない。  そうしますと、この公益寄附というのは、非常に形は似ていますけれども、全然違うんですね。つまり、お金のある方が自分で選んだところへ寄附をする。民間の、この場合でいえば介護の団体へ寄附をする。  もちろん、見返りをとなりますとこれはちょっと意味が違いますので、ここにはいろいろルールがあるわけですが、しかし自分で選べる。ですから、団体の方も、福祉分野にしても、役所の方を見て頭を下げるよりは、その地域の方をしっかり見てその方たちのニーズを受けとめるような努力をしなければならなくなる。もっといえば、そういうことでお金が集まってくるところに優先的に公費も入っていくと。日本のように、寄附がたくさん集まったら措置費を削るなんという、全然逆の発想ですね。  つまり、皆さんに支持されているようなところには、必要なものであれば、もちろんそうでないところで必要なものもありますからそこに出すわけですが、こういう制度、これが公益寄附金の制度であって、これは自己負担の転嫁とは違うわけです。お金のある方が負担をする。今のやり方ですと、まさにお金のない人にとって自己負担が大変だということが医療保険から今回も問題になっているわけです。  厚生大臣、しっかりお話しすることはなかったんですが、以前から時々そういうことを申し上げておったんですけれども、きょうは割と全体をお話ししましたが、どのようにお考えですか。
  93. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 私もかねがね税制議論の中でそのアメリカの例を参考にすべきだという意見を持っております。  もとより、一長一短あるのは承知しておりますが、考えてみれば、一方ではそういう寄附を奨励しますと税収が落ちるという面もあるけれども、逆に本来税で見るべきところを民間の活力を活用するといういい点もある。私は今後の税制改革の中でそのアメリカの例を十分参考にすべきだと思っております。
  94. 山本保

    山本保君 積極的なお返事をいただいたので非常にうれしいんですけれども、税収が落ちるということについてはそう単純にはならない。  今申し上げましたように、実は税でもともと負担するところを直接にしていただくわけですから、ほうっておけばあれですが、大臣も言われているように、もちろんむだ遣いをしないように当然そちらを引き締めていくことになります。ですから、理論的にいえば寄附分と国の税全体のマイナス面というのは見合いになるはずで、まさにレーガンはそのことで国家の財政を緊縮したわけですね。国家財政を緊縮すれば当然福祉なり弱い者に負担が行くのは目に見えているわけですから、ここは大臣、ぜひ頑張っていただかないといかぬと思っておるんですよ。  それで、もう一つ加えれば、NPOというこの分野はもうさっきから言っていますように、介護もそうですが、決してボランティアではありませんで、ただで働いていただくというものではなく、これは新しい経済セクターですから当然給与がいろいろ出てまいります。ですから、この場合の所得というのは、それでいえば実質上ふえていくということもあるんだということを追加させていただきます。  そうしますと、今、大臣がおっしゃったことは、例えば今一番重要なのはまさにこの介護問題じゃないか。介護で今から新しいサービスをやらなくちゃいけない。今までいろいろ厚生省議論を見ていますと、ここで財源論とサービス供給論が全然つながっていないんですね。新しい形のこういう法人を認め、そしてそこに今の社会福祉法人と同じように公益寄附金の優遇支援措置を入れれば、さっきの四・二兆円これ自体が怪しいんだけれども、しかしあれは税負担というか、大きく言えば公的な金なんですから、そのサービスの一割になるのか二割になるのかわかりませんが、それを私的な寄附で賄っていただければ額は減るわけですから、こういう議論をきちんとしていく必要がある。  そのために、今度の介護保険法でも七十条に既に法人でなければならないという規定があるわけで、ここをどう考えているのか。はっきり言えば、そういう税優遇のないような法人格を幾ら認めても、それはただ単に安上がりのサービスをやるというだけになってしまって大きな財政全体の問題、介護全体の問題にはならない、この辺にぜひ注意をしていただきたいと思います。  この問題については以上にさせていただきます。  次に、これは何度も言われていることでありますけれども、今の福祉が権利という面では非常に問題がある、これは保険制度でないからであるというような議論がされております。厚生省の方から税でするというのと保険でするというもののメリット、デメリットというようなものについて、全部読んでいただくわけにいきませんので一番大きなところだけで結構ですが、どういうふうに整理されているのか、御紹介ください。
  95. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 税方式のメリットあるいは保険方式のメリット、それはかなり相反する部分、裏表になるような部分があるわけでございますが、基本的に社会保障のあり方が我が国の場合にはまず保険方式になっているのではないか。それは、自助の精神を基本として、いわゆる一生涯における費用というものを働けるときから備えていく、そういう共助と言うんでしょうか相互扶助のような形で我が国の社会保障制度はできているのではないか。そして、公費方式と言いますのは、どちらかというとその事業は国なり自治体なりの責任で行われる事業、だからこそ税財源を充てる。  そうすると、例えば介護につきまして、これは物の考え方なんでございますが、介護を要しない元気なうちは社会保険、普通の自己責任の世界で考え、要介護状態になってからは国や自治体の責任でそれに対応するということになるんだろうかと。自己責任を前提に社会保障の仕組みができているんだとすると、そういう全体の考え方に果たして合うんだろうかと、その点が一点でございます。  それから、給付と負担の関係保険料の方が明確ではないかと。保険料財源は必ずその制度給付に使われます。税財源は、一般的にはそれが一般会計に入ったときにどこに使われるか決まっておりません。そういう意味で、税負担がふえたからといって必ず介護保障がよくなるということではありませんので、そういう負担と給付との関係が明確なのではないかと。介護サービスを上げるためにはもっと負担が要るとか、逆に負担が限度であれば介護サービスの範囲をどこまでにするか、そういうことを含めて、負担と給付関係を明確に国民の間で議論できるようになるのではないだろうか。  それから、権利性の問題でございます。保険制度は、保険料を掛けて、保険リスクに該当しますといわゆる受給権が発生します。そういう意味では権利として給付を受けることができる。公費の場合ですと、それは基本的に行政の責任として行われる。サービスを受けるのは、ある意味で反射的な利益的なそういうような色彩が強くなるのではないか。  また、民間活力の活用で言いますと、税金でやる、公的責任でやるといいますと、公的責任で委託するところにしか、いわゆるきちっとしたところしか委託できない。そういう意味で、民間活力の活用の範囲というのが狭められるのではないだろうか。保険でいきまして、一定要件を持っている人がいわゆる市場へ契約で参入するということになりますと、その選択を通じて質の悪いところは淘汰されるという形になりますので、参入そのものについての障壁は小さくなる、そういう意味では民間活力の活用が盛んにできるのではないだろうかというふうに思います。  一方、保険の場合ですと、保険料を未納するとか滞納するという問題が起こります。税金の場合には、そういう保険料の未納、滞納というのはないわけであります。ただ、税金でありましても、じゃ一〇〇%本当に税金を同じように納めているのかどうかということははっきりしない点があるわけでありまして、税金ならみんなが納めているんだということになるのかどうかはちょっと別問題だと思います。  それと、定率の保険料を取りますと逆進性があるというふうに言われます。税ですと、所得税のような累進課税で考えればそれはない。ただ、消費税みたいなもので考えれば同じように逆進性の問題はある。これは、どういう税財源を考えるかにおいて逆進性の議論というのはともにあり得る議論ではないでしょうか。  それから、事務負担でございますが、税でやりますと一般的な徴税組織に乗っかっていくわけですし、一方、保険料ですと新たに保険料を取るということになります。ですから、保険料の方が保険料徴収という事務的な負担では多くなるという問題はあります。  ただ、私どもの方は、例えばその逆進性につきましては、所得に応じて保険料を変えるとか、事務負担につきましてはできるだけ既存の仕組みの上に乗っかって保険料を徴収するとか、保険料の未納の問題につきましてもできるだけ所得段階に応じて取ることによって未納者が生じないような工夫をするとか、私どもとしては保険方式における問題をできるだけ制度のあり方として解決しよう、改善しようというふうに工夫はしているということでございます。
  96. 山本保

    山本保君 先ほどまでに出た議論もありますのでその辺は飛ばしますけれども、さっき申し上げましたように四・二兆というお金自体が実は余り大した根拠がなかったこと、そして保険料にはいろんな事務負担がふえてくること、そして私が新たに提案しましたように公的な寄附金というものを活用すればもっと必要な公費負担は減るのではないかということ、こういうことから考えまして、今の議論の中で財源に関するものは余り論拠がないんじゃないかなという気がします。民間活力が使えないというような委託型であるというのは、これは単に費用の支払いの仕方を変えればよろしいわけだと私は思います。  その問題はまた次の機会にするとしまして、きょう、主にお聞きしたいのは、今の御説明の中で一番最初に審議官が言われたように、これは保険と税がどちらも非常に極端なものであって、本来一緒にしてよくなるというようなものじゃないはずなんですね。社会保険という考え方はまさに一緒にしたものなんだけれども、これが一番意味があるのは、最初におっしゃった自助的な共助的な、国民がこれに参加している、責任を負担していると。実際には税で負担しているんだけれども、見えない税よりは目で見える保険料で負担していただいた方が、余り病気になったり介護が要らないようにしようというモチベーションもわくかもわからないし、実際には介護はなかなか難しいわけですけれども。それから、みんなで負担するんだからということで何も人様やお役人に頭を下げなくてもいいんだと、こういうための法律的な一つのフィクションだと思うわけですよ。  ですから、まずここで二つのことをちょっとやってみたいんですが、措置でやっても権利というものは十分担保できるのじゃないか。  これはこの前の国会で児童福祉法を改正しました。そこで、もう先生方よく御存じのように、保育所に関して措置という言葉を取りまして、市町村は保護者からの申し込みがあったらそれに対して保育しなければならないという規定を置いた。これは考え方によっては今おっしゃった憲法の反射的利益であるということも、あの条文だけ読んでいくと、もちろん憲法の枠内だという制限があるにしても、これは画期的な条文だと思うわけですよ。  であるならば、保険などつくる前に、まだ三年も先のことを言っておる前に、老人福祉法を早く改正して、老人福祉法にも同じように措置すべきと書いてあるわけですよ。ここをまず直して、そして我々がこの介護サービスを受けることは恩恵でも何でもない、私どもの当然の権利であるということをきちんとやり、そして児童福祉法でもやったように、さまざまな情報提示義務、そしてそれが確かに子供の親の判断と老親を見る息子やお嫁さんの判断とはおのずから違っできますよということになれば、その方たちの判断が違わないように専門家がいかにフォローするのかという体制をつくっていけばよろしいわけです。  きょうはそこまでいく時間がないですけれども、私はまず老人福祉法の改正を先にやるべきだと思います。これについてどなたか御返事をお願いします。
  97. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先生、今御指摘にございましたように、老人福祉法で公費でやったまま、いわゆる措置という形を先回の児童福祉法のような形にするということでの改正があり得たではないかということでございます。私も一歩前進という意味合いにおいてはそれはあり得たのかなというふうに思います。  しかし、そういう意味では介護サービスもいわゆる保育サービス現行措置制度のもとでは、もう児童福祉法は現行と言ったらいかぬのかもしれませんが、そのサービス選択がなかなかできないというようなことから、また所得に応じた利用者負担の差が大きいというような欠点があったわけであります。  しかし、それじゃ保育サービス介護サービスは同じかということになりますと、やはり保育サービスの場合にはいわばその端緒になりますものが自分の就労によってその必要性が生ずるというようなものでございますが、そういう意味でいわゆる保険方式というものになじむかなじまないかというところからいきますと、なじみが薄いといいますか、なじみにくいものである。そういうことに対しまして、介護サービスにつきましては、先般来申し上げておりますように、もう高齢者方々の一人の生涯という意味から見れば二人に一人弱ぐらいの方々は寝たきり等になる可能性があるというようなことを考えますと、やはりそういった社会保険になじむリスクであるというふうに考えられるわけであります。  そういった違いがございますから、公費でやりながら措置という中途段階の形をできるだけその制約の中で変えるという、いわば児童福祉法、かなりそこは苦肉の策のところもあったと思います。つまり、これは税方式のもとで市町村と利用者の契約関係みたいな形にしたわけでありますけれども、そこまでいかなくも、今言ったように今後の高齢者の要介護状態というものがここまでいわば一般的なリスクとして出てくるということを前提に考えますならば、もう一歩進めて、先ほど来申し上げておりますような社会保険方式のそのほかのメリットもありますから、また日本には社会保険方式に非常になじんでいるという側面もありますから、そこまでいった方がいいのではないかというのが一つ。  それからもう一つは、方式を別にいたしまして、やはり介護ということを考えた場合に、今までのいわゆる老人保健施設とかあるいは訪問看護というような形で既に医療保険の世界の中で保険方式でやってきたものと、いわば福祉措置の世界にあった特養等を一緒にして今回総合的なサービス展開を図ろうということにしましたから、もしそれを先生おっしゃるような公費の世界にしますと、老人保健施設とか訪問看護事業についてはもう一回公費の世界に戻すようなことになります。そういったことで、それじゃ、そういう再編成をするときにどっちの方式をベースにした方がいいだろうかということがそこにあったというのは、保育サービスをあの枠内で改善をした場合とは大いに違うと思います。  したがって、私どもとしては老人福祉法を児童福祉法類似の改正をするよりは、さらに一歩進めてこういう形にした方がいいし、今回のいわゆる医療の世界にあったサービス福祉の世界にあったサービスを一体にするという選択をとった以上、やはりこういうやり方が必要ではなかったかなとこんなふうに考えておるわけであります。
  98. 山本保

    山本保君 最後の論拠は老人医療というもの自体を見直すということからは意味のない議論だと思います。それは成り立たないと思いますし、一番大事なことは、いろいろおっしゃいましたけれども、聞いていましても積極的な理由はない、ただ一歩進めるよりは二歩進めた方がいいと。問題は、一歩進めた方がいいのか二歩進めた方がいいのか、これを決めるのは国民だということですよ。ならば一歩進めたときにはどういう制度が考えられ、どういうメリットとどういう問題があるかということをまず国民の前に出して、二歩進めたときにはこういうふうになるんだということを出して、そのどちらをとられますかというふうに提示するのが官僚の仕事じゃないかと私は思います。最初からこちらの方がいいんだというふうに進めた、ここに問題があった。  時間がないので、もう一つだけ言いますが、今の議論からいけば、もともと保険で持つということはフィクションなんですよ。何で五割にしなくちゃならないんですか。五割にした理由を言ってください。
  99. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度は、現在医療保険で見ている介護部分それから福祉で見ている介護部分、こういう現行制度のその部分を抜き出して再構築をするという形になるわけであります。  保険制度にする理由というのは多々あるわけでございますが、そのときに現行制度におきましても、例えば医療で見ている部分介護的な部分は公費が五割入っているわけでありまして、保険料五割、公費五割という仕組みになっている。それから、純粋に保険料だけで考えれば、保険料そのものは相当重たい負担になってしまうわけでございます。そういう保険料負担の緩和というんでしょうか、負担の軽減と、現行制度上特に医療保険で見ている部分については、介護的なものは五割公費が入っている。そういう現実を踏まえまして公費五割というふうな仕組みにしたわけであります。
  100. 山本保

    山本保君 医療費が五割だということと、この介護を五割にしなければならないというのは、ちょっと考えてもそれは何も連関はないと思います。これは、老人介護というものの意味、そして病気というものとの関係から考えてもそれは余り意味がないことですし、費用が高いからであれば、もっと高くなるところを安くしたなんということは、もともと保険料で見合う、保険料だけでできる問題じゃないということはもうわかっているから社会保険にしているわけですよ。ですから、お金がかかるからそれで五割なんというのは、それは五割の理由になりません。  もっと言えば、つまり今厚生省が言ったように一月二千五百円程度だというお話があるから、この程度なら皆さん、じゃやっぱりみんなで持とうか、こう言っているんですよ。もしこれで、さっきの議論と今度全然逆になりますけれども、この可能性もある、みんながいっぱい使うようになってくる、実際できるまでにもつともっとお金が要るようになってくる、とても二千五百円なんてものじゃないんだということがわかる、大変な混乱になるかもしれない。  私は、もともと社会保険というのが本当に要るお金は要るという考え方、みんなで持ってもらうというよりは、国民としてみんなで支え合いましょうという理念をもし体現しているんだとすれば、五割というお金を固定化しておいて、上がれば上がるだけ使うというような体制、そういう法律は非常にまずいと思います。ここはきちんと額を決めるなり、または国の負担率をもっと上げるなり、せめて最初の二千五百円というものがある程度定着するまでは、それがとまるようにしておくことをすべきではないかということを最後に申し上げまして、時間が来ましたのでまたこの議論は次の機会にしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  101. 今井澄

    ○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  きょうは朝から浜四津理事、それから山本委員質疑をお聞きしていまして、非常に内容の濃い、そして私とも問題意識の一致する大変いい質疑が行われたと思いますが、ただその中で印象的であり同時に問題だと思うのは、こういう委員会の質疑の形態やこの法案の問題だと思います。  浜四津理事から指摘された三百を超える政省令に具体的なことをゆだねるような法律が一体本当にいいのか、国会は一体何かということは私も重く受けとめなければならないと思いますし、山本委員からも、選択肢を出すのが役所の仕事なので、国会としてそれをきちっと議論して政策にしていくという、こういう形でこの介護保険法案も進まないかなというふうに思います。  私は、きょう質疑を一応は準備したわけでありますが、一部は山本委員の質問へのお答えにもありましたし、鉄は熱いうちに打てと言いますから、きょう出された問題で引き続いて私自身なりの問題意識でやらせていただきたいと思います。  ただ、私は今までのお二人の質疑者とはちょっと立場を異にしておりまして、社会保険方式というのはベターではあるけれどもいろいろ問題があるということで前回六月十七日にも質疑をさせていただきましたし、これは特に緊急的に迫り来る高齢化介護による家族の崩壊とを救うものとして、そして新ゴールドプランが一九九九年度に終わるとそれ以降の財源措置がないということから社会保険方式に賛成の立場でいます。  なお、こういう形ですのでちょっとフェアではないかもしれませんがお許しいただきたいんですが、先ほど浜四津理事の方から、ドイツでは二十年もかけて議論をしたと、なのに日本ではということについて、私の認識としては、この二十年の議論の四分の三以上というのは実は公的な介護保障制度をつくるべきか否か、これはもう家族、自分の問題じゃないかという議論で四分の三以上を費やしたと。ただ、そのうちに生活扶助、日本でいう生活保護費がもうパンクしてきたので、やむを得ずとにかく国家として何かしなきゃならないと。そこで保険か税かという話になったところが、東西両ドイツの統一で国家財政が非常に圧迫がかかって、もう税方式というのは議論として現実に成り立たないということから保険方式になって二、三年でできたとこう聞いておりますので、私は日本における議論が決して不足しているというふうには思っておりません。むしろ、この短い期間の中で非常に中身の濃い議論が行われてきているのではないかと。だからこそまた、残念ながらこういう形態でありますけれども厚生省の方からも誠意のある答弁をしていただかなければいけないと思っております。  そこで、先ほどの浜四津理事の御質問の中で、私もかねがね主張し疑問に思っていることですが、配食サービスですね。食事というのは生活の基本にかかわり、生活の基本にかかわるということはその人の要介護状態なり虚弱状態が悪化するか改善するかのポイントなんですね。私は絶対これは介護保険サービス内容に含めるべきだというふうに思っております。もちろん、材料費だとかあるいはそれを調理する上での水道・光熱費だとか、あるいは運搬する人件費に至るまで、どこまで負担をしていただくかということは別問題です。材料費まで出せなんとは私は言っておりませんが、こういうシステムを整備することは絶対に必要だと思うんです。  それに対して先ほど局長の答弁は、食事サービスというのは現に元気な人に対してもボランティアの人たちによって地域でやられていることでもあるし、何も要介護者に限らないと言うんですが、これは論理のすりかえだと思うんです。それはホームヘルプサービスだってそうなんです。ホームヘルプサービスにも各種いろいろあるわけです。そうすると、これは何も要介護者あるいは虚弱者に限らないホームヘルプサービスというのは現に家政婦だとかその他で行われているわけですよ。例えば医療をとってみれば、バリウムを飲んで胃の検査をするというのは胃のぐあいが悪い人だけじゃなくて健常者、全く自覚症状のない人を対象とするということで一年間に三百五十万人以上も行われているわけです。それは全く理屈にならないわけですよ。だから、そこはもっと誠実に答弁をしていただきたい。なぜこれを外したのか。何か本音があったら私は言っていただきたいと思いますし、後でもその答弁いかんによって大臣の御所見を伺いたいと思います。  そこでもう一つ局長はそれは一般サービス支援する形でやると。それはそういう方法もあるかもしれません。それはいろいろ選択の問題ですからね。だとすると、一般サービス支援するためにはそれなりに、さっきの山本委員のNPOに対する税制措置の問題を含めて何か法的な措置、税制措置、あるいは浜四津理事がお聞きした助成金とかそういう何か財政的な措置がなければ、ただボランティアの皆さんやってくださいよというのでは、国も応援しますよというのでは国としては責任がとれない。そこのところが先ほどの御答弁で非常に不十分だったと思いますのでお願いいたします。
  102. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  私ども、絶対的に介護保険給付対象になる、ならないというものであるというふうに考えたわけではございません。しかし、体が弱り、あるいは体が弱らなくてもひとり暮らしになる、そういった社会的に弱い立場に立たれたお年寄り方々に対するニーズあるいは行政的なかかわりというのはいろいろあるはずでございます。  そうした全体の中で、介護保険という部分でどこの部分保険給付に持ってくるかという議論の中で、その配食サービスというようなサービスにつきましては、要介護ということももちろんそれによる需要もございますけれどもひとり暮らしとか、そういった地域におけるいろいろな立場におけるお年寄り生活をどう支援していくかという側面というものをやはり考えていかなければならないだろうということで、そういった事業として、実はそういったものとしていえば配食サービスほど緊急性があるかどうかはございますけれども配食サービスなり先ほど出ました、ちょっと言葉はかたいですけれども移送サービスなり、あるいは寝具を乾燥してあげますとか消毒してあげますとか現にいろいろされている、あるいは在宅サービスのいろんな周辺サービスがございますが、そういったものとして少しすそ野を広げた形で地域の、しかもボランティア活動なんかも組み合わせながらやっていくという形が今後の中ではいいのではなかろうかと。地域一つのそういった活動として展開をされるという方向を志向すべきじゃないだろうかと。それを単に言葉だけでやるというのは確かに私どもの方もそれはいかぬと思いますので、私どもとしても、これはこれからの予算獲得の努力も含めまして、そういったことを支援するような財政的な支援事業というようなものも財政当局の理解も得ながらつくっていきたいということも含めて御答弁を申し上げたつもりでございます。
  103. 今井澄

    ○今井澄君 私は、それではまだ全然答弁になっていないと思うんですよ。  実は、これは村山内閣下での福祉プロジェクト以来のもう二年越しの議論なんですよね。私はいまだに疑問を持っているのは、何で厚生省がかたくなにそれを拒否するのか。今の政治構造の中で、残念ながら私どもが主張しても厚生省がオーケーしないと政策として実現できない、ここに私は日本の政治の問題があると思っておりますが、何で厚生省はかたくなに、これだけみんなが言うんですよ、これは市町村長の願いでもあるんです、配食サービスやいろいろなこと。お金がかかり過ぎるということなんですか。それとも何か意地なんですか、厚生省の、一たん言い出したので。私たち国民の代表である政治家が主張しているのに何で厚生省は頑としてそれに対して言うんですか。本音を言ってください、本音を。理屈になっていないですよ。
  104. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) もちろんそのことによって先ほど来ございますような介護費用の増、それは当然保険料の増等にはね返ってまいるわけでありますから、そういったことももちろんあって、それは財源のことがなければ広ければ広いほどいいという意味合いにおいてはそういったことがあることは事実でございますけれども、そこで、先ほど来申し上げておりますように、どこで線を引くかという議論だと思います。  それで、先生は与党内での議論もあったとおっしゃいました。厚生省は独断専行ではないかとおっしゃいましたけれども、そこで私が今申し上げたようなことを、もうちょっと上手な言葉で申し上げたかもしれませんけれども、同じようなことを申し上げまして、そのことを踏まえて与党の法案作成のときにはそういう形で最後出てきたものと思っております。したがって、与党の声を無視して出してきたというようなつもりはございません。
  105. 今井澄

    ○今井澄君 これはそれ以上は申し上げませんが、大臣、今の問題についていかがですか。
  106. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) これは介護にどこに線を引くかの問題だと思います。今後継続して議論対象になると私は思います。配食だけでなくさまざまな、どこに線を引くべきかというのはたくさん出てくると思いますが、その中でやっぱり検討していくべき問題じゃないかなと思っています。
  107. 今井澄

    ○今井澄君 これは水かけ論です。私はもう厚生省は意地としか思えないんですよね。配食サービス材料費もいただく、場合によっては配達料も一部自己負担いただくとかいろいろあれすればそんなに費用はふえないのに、これだけみんなが望んでいる配食サービスを拒否するのは厚生省の意地なのか、どこかに何があるのか、この問題はいずれ決着をつけなければならない問題だと私は思っております。もう水かけ論になるのでこれでやめますけれども、ある意味ではここに行政と政治との関係の残念な一面もあるというふうに私自身反省せざるを得ないと思っております。  さてそこで、先ほど浜四津理事の方からも、介護給付医療給付障害者施策は重複できるのかどうか、重複しないとすればどれが優先するのかということで、一応介護給付が優先すると。障害者給付はないものについてというお話があったわけです。私も実はきょう介護医療との関係についてちょっと御質問をしようと思って準備をいたしました。  介護保険については、これはもちろんそれ自体として介護保障の抜本的強化のためにやるわけでありますけれども、同時にこれは医療改革あるいは医療保険改革との関係でも重要な意味を持っているのではないかというふうに思いますが、その点は大臣としてはいかがお考えでしょうか。
  108. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度は、先生おっしゃいますように、老後の最大の不安要因である介護問題、これを国民全体で支えていこうということでありますから、介護問題にきちんと対応するというのが第一の目的であります。  それとあわせまして、この介護保険制度によりまして今医療に含まれている介護というものを医療から引き離していく、社会的入院というのを解消する、そういうことになりますと当然医療保険医療に純化していくことになりますので、医療保険のあり方を考える前提になっていくというふうに思います。  そういう意味で、全く先生がおっしゃいますように、介護保険それ自体、介護問題に対応するという意味合いと医療改革の一環、その前提としても重要な意味を持つ、両方持っていると思います。
  109. 今井澄

    ○今井澄君 そこで、きょうだけで質疑は、この医療介護の問題は終わらないと思いますが、きょうは入り口としてちょっと議論をさせていただきたいんです。  確かにそうなんですね。日本は介護中心とする福祉、特に老人福祉サービスがおくれているために医療でそれを抱えてきた、それが医療制度医療保険制度をゆがめてきたということから私も切り離すということはいいと思うんです。  そこで、どこまで切り離していくかということですが、先ほどの質疑にもありましたように、例えば訪問看護、これは医師指示のもとにということだとすると医療なんですよね。しかし、訪問看護は大部分今度は介護保険で見るんだろうと思いますし、例えばその中で褥瘡の処置なんかが行われる場合、これはどういうふうに扱っていくと考えているのか、どこまで議論しているか。あるいは、いわゆる外来の老人医療の場合に、マルメと言われていていわゆる慢性疾患の管理的なものが入っている、特別病状の変化が余りあるわけではない、お薬を出すことは医療行為であっても、例えばお薬を飲みながら食事も気をつけるとか運動もするというふうな指導をしていくことは、これは医療であると同時に高齢者の場合は介護の方に入ってくる面もあるのかなと。そうすると、ここのところの切り分けが大変難しいんですが、その辺厚生省としてはどこまで検討しているのか、あるいはどういう方たちと検討しているのか、そして今の段階で例えば訪問看護と言った場合には丸々これはもう介護保険で考えるということにしているのか、その辺をちょっとお答えいただきたいと思います。
  110. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) この問題は行く行く介護報酬をきちんと整理する中で決められる話でありまして、法律が通りました後関係審議会に諮ってきちんと議論をしていくということになります。ただ、私どもなりに少し内部で検討している、そして今の大まかな考え方でございますが、それを述べさせていただきたいと思います。  まず、介護保険制度は要介護者、要支援者の介護需要に対応する。それは、福祉サービスと一体的に提供されるのは医療サービスというんでしょうか、そういうものは介護保険で考えていくのがいいのではないだろうか。そういう考え方から、例えば、先ほど先生は多分在総診を頭に置いて言われたのではないかと思いますが、かかりつけ医師による基礎的な医学的管理、これは居宅療養管理指導費という形で介護保険で見ていく。ただ、その在総診全部を見るのかどうかというのはちょっと議論があるのかなと。その中の例えば薬を出すとか診察をするとかというのがありますので、もう少し基礎的な医学的管理、健康管理的な、その人を包括的に様子を見ていく、こういうものが介護保険で見る居宅療養管理指導というものになるのではないだろうか。  それから訪問看護でございますが、訪問看護介護的な側面が多いものでございますので、基本的にこれは介護保険で見ていくことになるのではないかと思います。ただ、その訪問看護でも非常に医療が濃厚に必要で手厚い看護が要るケースまで全部この介護保険の方になるのかどうかというのはちょっと議論があるのではないかと思いまして、その辺は今後少し具体的に詰めたいというふうに思っているところでございます。
  111. 今井澄

    ○今井澄君 法律ができてから関係審議会でと、それは公式に言えばそういうことになるでしょうけれども、実はこの辺非常に大きな問題ですから早目に始めなければならないわけですね。そういう点では厚生省の中で老人保健福祉局と保険局と健康政策局との間でこういう問題は詰めているのかどうかということ。  それから、これは医療現場、病院団体とか医師会とかからもいろいろ言われていると思うんですが、その辺は研究会でも早急につくるべきではないかと思うんですが、そういう定期的な研究会や話し合いというのは持たれているんでしょうか。
  112. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険を具体的に実施していくために検討すべきことはたくさんございまして、省内では十五のプロジェクトチームをテーマごとにつくって関係局を含めて議論をしております。いろいろと忙しいのでそう頻繁にかというとこれはなかなか頻繁ではありませんが、問題を共有しながら議論しております。  それから、私どもだけでは物の考え方になお限界がございますので、若干の学者先生と一緒にこれも非公式な勉強というのを少しやっております。  そういう形で頭を少し整理して、審議会にかけるときにはそれなりの材料を出して具体的な審議をきちんと進められるように持っていきたいというふうに思っております。
  113. 今井澄

    ○今井澄君 どうも今の答弁では厚生省内ではやっていないみたいな印象を受けたんですけれども、それでいいのか。  そこで、一つお願いしたいのは、やはり情報を公開していただいて、これはさっきの保険か税かという話にしても絶対的にこっちが正しいというのはないわけで、その時々の状況現実に合わせてどっちを選択してもらうかということですから、選択肢の形で出せるようにする、その前提は情報公開だと思うんですね。それはきちっとやっていただきたいと思うんです。  さてそこで、医療介護との関係の面ではデイケアというのとデイサービスというのがありますね。これは私は中身はほとんど同じだと思うんですけれども現実にはちょっと違っていますね。特に費用の点で違いがあるとすればそれを明らかにしていただきたい。  実は、このデイケアの問題をめぐって前もこの委員会でほかの委員から質問がありましたが、ある地域に行くと、医療機関がデイケアを盛大にやっているものですから、バスでみんな集めて行っちゃうと。老人クラブがゲートボール大会をやろうと思っても選手の数が足りなくなるぐらい元気なお年寄りをデイケアというところへ連れて行っちゃうというので問題になっているということが言われましたが、ついにこの七日にある県が調査の結果を発表したんですね。それで、デイケアで今見てもらっている六五%が実はデイケアの非該当者だということを市当局が発表して大問題になっているわけです。  デイケアとデイサービス、中身は同じだと思うんですけれども、この問題について特に医療福祉、あるいはそういうことをどういうふうに整理しようと、対処しようと考えておられるのか。特にこのデイケア問題、この七日に発表された以外にほかの都道府県で起こっている事例があったらちょっと教えていただきたい。
  114. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) デイケアとデイサービス、特にデイケアについての運用なりのお尋ねでございます。  デイケアとデイサービスでございますが、性格上申し上げれば、デイケアというのは痴呆、そういったこと等によります精神障害があります患者さん、あるいは脳血管障害等に起因する運動障害等を有します患者さんに対しまして、心身機能の回復あるいは維持を目的とした機能訓練、いわゆるリハビリテーションを提供するためのものでございまして、そういう意味からいえば在宅医療サービスの一環として実施をするということで医療保険の体系で支払いが行われているということでございます。  これに対しましてデイサービスは、おおむね六十五歳以上の体が虚弱あるいは寝たきり等の方に対しまして、日常生活を営むのに支障があるという方に対しまして、入浴でありますとか食事の提供あるいは機能訓練等を行うということで、これは在宅福祉サービスの一環、今でいえばいわゆる公費による老人福祉サービスの一環として行っているということでございます。  しかし、おっしゃいますように、一人の人間としてとらえてみると、そこの間というのがなかなかぴしっと線が引けないということがあることは事実でございますけれども、現在ではそういった別々の体系で出ております。  さてそこで、デイケアにつきまして今御指摘のようなお話、私どもの方もある市がそういうふうに発表されたこと、その中身自体がどこまで精査をされているか等々についてはまだ十分承知をしておりませんけれども、そのほかにも具体的に調査という形では承知をいたしておりませんけれども、同じようにデイケアの運用が非常に乱に流れて今申し上げたようなデイケアの目的を逸脱したといいますか、さらにそれを超えた形でやられているものがあるのではないかという御議論は私どもも見ました。  デイケアにしろデイサービスにしろ、それ自体は大変大事でございますけれども、やはり目的に沿った形でやられるということも大変大事なことでございますので、まずことしの四月の診療報酬改定におきまして障害老人の日常生活自立度、いわゆるADLというような要素もきちっと把握をして、そういう判定基準等も踏まえだ上でそういった老人のデイケアの対象を明確にするということをしました。また、医師方々の医学的な関与の問題でありますとか、あるいはそれを行っていただきます人の資格の問題でございますとか、そういったことについて一言で申し上げれば少し厳しく、今までよりも厳格にやっていくという方向でこの四月からスタートをさせております。  しかし、今日まだそういうことが非常に議論がございますから、今後とも指導の徹底を図って、さらにその実態によって今後どういうふうにデイケアの一層の適正化を図るかということは私どもなりの宿題だというふうに考えております。
  115. 今井澄

    ○今井澄君 何しろこのデイケア、その発表した市では外来の医療費の三割を超えるというのですから医療費問題としても容易ならぬことだというふうに思います。もし本当に非該当者が半分以上もいるということでゲートボールのできる人を集めて行ってリハビリだリハビリだといってやっているとすれば大変な問題だと思うんです。  だからこそ、ここである程度保険制度にまつわるモラルハザードをなくすために私は認定ということが必要だと思うんですね。認定には事務費もかかる、それから一定の時間もかかるということにならざるを得ないと思いますけれども認定ということがやはり必要になってくる。そうでないと非常に不公平が起こる。そういうふうにやっている地域もあれば全然やっていない地域もあるということになると、これは医療機関同士の不公平、あるいは地域の老人同士の不公平ということにもなるわけですから、私はやっぱりこれははっきりさせなければいけないと思うんです。  認定というのは、これは国が基準を決めるかそれぞれの自治体なり広域で決めるかは別としても、一定程度必要だと思うんです。きょうの質疑の中でも大分認定に時間がかかるんじゃないか、あるいは官僚的に処理されるんじゃないか、不満が出てきたらどうするんだというふうなこと、これは地域を回っても実は一番皆さんが心配しているところなんですね。  ただ、認定に一カ月もかかるとか、じゃ緊急の場合どうするんだと。まず自分で払っておいて、後で返ってくればいいけれども認定が低かったら返ってこないじゃないかという議論があるんですが、これは事実を踏まえると、私はこういう議論は軽々にすべきではないと思うんです。  なぜかというと、医療の場合には夜中に急に熱が出て保険証一枚持ってどこへでもすぐ行って診てもらわなきゃならないという必要性があるんですが、要介護状態というのは急に発生することはないんですよ。まず倒れるんですね。救急車で病院に運ばれる。そして、そこで治療を受ける。そして、治療が一定程度でもう症状が固まって、さあ退院だということになったときに、問題は家へ引き取れるか引き取れないか、ホームヘルパーさんをどうするか、老人ホームに入れるかと、こういう問題になるわけですね。急には発生しない。  ところが、現実に急に発生しているような、急に言われて困るということが起こっているのは何かというと、医療福祉の連携がとれていないからなんですよ。問題はそっちにポイントがあると思うんですね。  私は病院長をやっていたときに、実は自分自身の経験から、病院というのは非常に人権を無視したところだという認識を持ちまして、まず第一の問題は、入ったらいつ出られるかがわからない。これは人間にとって生活設計というか、病院での生活設計はないにしても、いつまでという期限がわからないぐらい人間にとって不安なことはないだろうと。だから、おおよそ大体一月で退院できますよとか三カ月ぐらいかかりますよということは言うべきではないかというふうに思いまして言ったんですが、なかなか現場の医者になりますとそれは言えないよというのでうまく進まないんです。  実は、入院した時点から、大体こういう病気だったら何カ月ぐらいで退院できるだろう、あるいはこのぐらいの重さだったら恐らくこれは自力歩行はできないだろうから将来どうしても車いすが必要になるかつえが必要になるか手助けが必要になるというふうなことをある程度予想できないわけじゃないんですね。だから、その時点から実は行政を含めて福祉との連携を医療が始めなきゃならないんだと思うんですよ。その点で私は今医療福祉が縦割りになっているところの問題があると思うので、実はここのことを解決すればいいと。  じゃ、そうすると急に起こらないかというと、急に介護が必要になるのは、本人が急に介護状態になるというよりは、介護していた人がぐあいが悪くなって急にあしたからホームヘルパーさんとか急に老人ホームに入れてくれということが起こる。むしろそっちの方なんですね、急に問題が起こるのは。見ている人が風邪を引いたとか腰を痛めたとかいうことなんですよ。これに対しては当然のことながら行政の責任で何かすべきですよね。もちろんこれは介護保険のルートに乗せて申請をして、認定をして、後でということもあるでしょうけれども、これは今でも行政が、先ほどの浜四津理事の御指摘にあったわけですから、これをなくすことはいけないというふうに思っております。  ですから、私ども議論をするときに、法文に一カ月以内と書いてあるから認定に一カ月、それからケアマネジメントするとさらに一カ月、二カ月もかかるのではという、そういう議論はできるだけ控えてもうちょっと冷静にやらなければいけないんじゃないかなというふうに思っているんです。  その点で、これは大臣あるいは健康政策局長どうですか。医療福祉との連携をもう少し地域でうまくする、どこかの人が入院したら、ああどうもこの人がいずれ要介護状態になりそうだよということで早い時期から情報を交換する、こういうことについて何かお考えがありましたらお願いします。
  116. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 介護保険医療福祉を切り離すという面もありますが、同時に連携する方がむしろ私は多いと思います。そういうことを考えますと、地域でそのような連携機関というものを充実させていく、拡充させていくということが非常に重要ではないかと。いろいろな地域で実際施行していけばいくほどその点が明らかになってくると思いますので、そのような支援体制の準備がぜひとも必要だと思っております。
  117. 今井澄

    ○今井澄君 今、そういうことを支援するようないろいろなモデル事業とかあるいは診療報酬上の手当てとか、何かそういうものが少しはあるんじゃないですかね。いかがでしょうか。
  118. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 今、入院をしている人が退院間近になるときに、相手の家に行って退院した後の生活指導というんですか、その後の訪問看護、そこを連携するというのは診療報酬上も手当てがされております。
  119. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) もう一つ、私ども福祉の世界で申し上げれば、今後介護保険ができましても、そういったいわゆる介護支援計画をつくる機関としての意味合いと同時に、在宅介護支援センターは今後介護保険を含むそういった供給体制と地域のお年寄り方々需要とをきめ細かくつないでいく役割として、今後の介護保険下におきましても今まで以上にそういったつなぎ役としての役割というのは一面大きく持つことになるだろうと思いますので、在宅介護支援センターのそういった役割は今後ともさらに充実をしていくということが、一つのまたそういうことの解決の道になるんじゃないかというふうに考えます。
  120. 今井澄

    ○今井澄君 それでもう一つ医療福祉との関係で言うと施設の方の問題なんですが、これは私の記憶では、厚生省の中に設置された高齢者介護自立支援システム研究会の報告の中で、そもそも同じような状態におる高齢者がたまたまのきっかけである人は老人病院に入った、ある人は老人保健施設に入った、ある人は特養に入ったということで費用負担も違えば受けるサービス内容も違うと。これはやっぱりおかしいんだと、こういうことは統合するべきだということでむしろ一元化の方向が出ていたと思うんですが、だんだんに今は療養型病床群は療養型病床群、特養は特養、老健は老健と固定化する方向に来ているようで、私は後退ではないかとちょっと心配しているんですね。  今回出されたこの介護保険法案に関連して医療法の改正案も出されておりまして、小規模療養型病床群の整備にかかわる法改正が出ているんですが、療養型病床群はたしか厚生省のお考えでは十八万床整備するという数字が出ていると思いますが、これは介護保険適用になる介護型の療養型病床群を十八万床ということでしょうか。そうだとすると、医療施設としての療養型病床群というのはそのほかにどのぐらいあり得ると考えているのか、全体の老人病院の病床数の将来の行方との関係でお答えいただきたいと思います。
  121. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 介護基盤の整備を図るということから療養型病床群の整備促進を図ることを考えておりますが、現在推計をしておりますのは、介護施設として療養型病床群あるいはまた介護力強化病院を合わせて、今、先生がお触れになりましたように、大体十九万床程度は必要だと、これは十一年度末ということで考えております。  ただ、療養型病床群そのものは介護保険の施設だけということではないと思いますので、その点は現在あります一般病床からの転換ということも含めて考えていかなきゃいけないわけで、これはもちろん今申し上げた十九万床ということも一般病床からの転換ということも含めて考えるわけでございますが、しからば全体として必要病床数をどういうふうに考えていくのかということにつきましては、この介護保険の施行ということとあわせまして現在ある必要病床数の考え方を変えていかなきゃいけないと。これは先般、八月の末にまとめられましたいわゆる与党協の報告書の中でも、また私ども厚生省案の中でも提案をさせていただきましたけれども、必要病床数の算定の考え方を急性期の病床と慢性期の病床というふうに分けて算定をすると。その前提といたしましては、必要な設備構造基準なりというものも考えていかなきゃいけないわけでございますが、病床数の全体の考え方としては、今の考え方を変えていくといいますか、介護の問題も含めて変えていく必要があるというふうに考えております。
  122. 今井澄

    ○今井澄君 時間ですので、終わります。
  123. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  一昨日、この部屋で参考人の質疑が行われたわけですけれども、さまざまな御意見とか実態などが御報告されたわけです。とりわけ、老人介護の基盤整備がおくれている問題だとか、保険料や利用料が払えない、また認定に非常に手間がかかって、そのハードルも非常に高いというようなこともるる出されたわけでございます。  私は、とりわけ甲府の介護支援センターの生松参考人の具体的な御自分の仕事の中で把握された実態例、大変リアルじゃないかというふうに思いました。  例えば、甲府市のホームヘルパーの派遣状況をお話しされたわけですけれども、利用者の約七〇%は利用料がゼロの世帯だというようなことなんですね。それからまた、甲府市の国民健康保険世帯、百万円以下の世帯を入れますと四二%が非常に低所得だということで、現在の国民健康保険料の未納世帯というのが新たな介護保険料の負担が非常に難しくなる、こういう未納世帯を増加させるような結果になるんじゃないか、予測ができるというようなこともお話しになりました。さらに、甲府市の特別養護老人ホームの待機者が現在百名いると。今、特養老人ホームに入っていらっしゃる方を分析しても、これから介護保険が導入されて一割負担が入ったときの概算額である四万七千円が負担できる方はわずか入所者の三割しかいないと、こういうふうな実態もるる報告されているわけです。  今のままの法案では、保険あって介護なし、悪くなってもよいことは何もないというような厳しい御意見を言われる方もあったわけですけれども、せっかくつくるものが国民の期待するものになっていなくてはいけないというふうに思います。  大臣にお伺いいたしますけれども、参考人質疑の中で出されたそういう意見に対して率直に耳を傾けて尊重すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  124. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 先日の参考人の質疑においては、賛成、反対の立場からいろいろな意見が交わされたと聞いております。もちろん、立場の違いによって否定的、肯定的、積極、消極いろいろあると思いますが、今回の介護保険制度は、むしろ多くの国民の要望にこたえて、この介護問題というものは放置できない、個人では限界がある、家族では限界がある、社会全体で支えるためにはどういう方法があるかということを考えてこの法案を提出したわけでありまして、その中での反対の立場意見も今後参考にしながら、少しでも前進できるようなものをつくっていきたいというふうに考えております。
  125. 西山登紀子

    西山登紀子君 意見というのは単純な反対、賛成ということでなくて、参考人質疑の中では積極的な提案とか問題提起があったわけですね。  私は、介護保険というのは、介護する人もされる人も理解をし、納得をして、そういう信頼関係、合意形成がなければ、強引にただ成立させてスタートさせても、信頼関係が壊されたもとではやはりうまくいかないんじゃないかと思います。  我が党は衆議院で修正案の提案を既にいたしておりまして、これは介護手当も創設するし、利用料は無料にしていくし、国庫負担は給付額の三〇%に引き上げることによりまして、低所得者の保険料は免除をして措置制度と組み合わせるという介護保険法案に対する積極的な修正案を提案しているわけです。  この間、私も、地元は京都ですけれども、京都府下の特別養護老人ホーム、七十三ありますけれども、三十七の施設にお邪魔いたしましていろんな角度から勉強させていただきました。随分新しい施設もたくさんできていたわけでございます。いろいろ御意見も聞かせていただきましたけれども、施設の最低基準をうんと改善してほしいだとか、もちろん介護手当もぜひ創設した方がいいとか、利用料は下げてほしいだとか、措置の方が安定していいというような御意見も中にはございましたが、まだよく内容がわからないんだというような御意見が大半でありました。  そして、参議院の審議、今国会では参議院先議ということで再開をされたわけですけれども、この法案が提出されたのは昨年の十一月です。既に一年近く質疑がされているわけですけれども、その間に、じゃ国民の暮らし、経済の状況はどうなっているかというと、最近の景気は非常に落ち込んでまいりましたし、四月から消費税が五%に上がった、九月からは医療保険の負担増、これはもう国民負担にとって非常に重大な事態が起こっている。とりわけ低所得者とかお年寄りの上に重くのしかかっているわけです。国民の皆さんの中からは、消費税、医療保険の負担増に加えて介護保険でまた負担がふえる、これは非常に困るというような声が強く出されるようになってまいりました。したがって、参議院の審議というのはこういう新しい状況も踏まえた慎重さが求められるというふうに思うわけです。  そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、現在、財政構造改革法案が提出されておりますが、今後三年間連続して社会保障費を減らすという前代未聞の法案でございます。そして、社会保障の現在の水準を維持するだけで八千五百億円必要なんだけれども、三千億円に抑えなければならないので五千五百億削らなければいけない、こういうことを小泉大臣も答弁なさっているわけです。さらに、医療の与党改革案では三百四十万人の被扶養者からもこれから保険料を取るというようなことも発表されておりますし、厚生省案では、医療費の本人は三割負担だ、高齢者は一割から二割の定率負担も入れたらいいというような提案がされているわけですね。  私は、介護保険を国民の期待にこたえられる制度にするためには社会保障費をもっとふやすということがもう大前提だと思うんですけれども、今行われていること、行われたこと、これから行われようとしていることは、全くその逆のことが行われようとしていると思います。  大臣、このような国民への負担増、社会保障は切り捨てる、こういうことは、先日の参考人の質疑のときにも出されました保険あって介護なし、この状況を拡大することになるのではないでしょうか。
  126. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 公的介護保険制度の導入、創設というのは社会保障制度改革の一環でありますし、今後よりよい給付を受けるためにはどのように負担していくかという給付と負担の公平を図るという観点からこの社会保障改革も進めていかなきゃならないと思っております。  そこで、今後増税をしない、そして赤字国債も発行しないという中で、できるだけむだを排除する、効率的な制度を構築していくということから考えなきゃいかぬと思います。今のままで現状を維持していきますと、国民の負担は相当なものになるなと。高齢者はふえます。年金にしても医療にしてもあるいは介護にしても、その給付サービスを受ける側はどんどんふえていく。一方、その負担する若い世代は減っていく。こういう問題を放置することはできない心その中であらゆる制度について見直さなきゃならない時期に来ているのは事実だと思います。  そういう観点から、いろいろ御議論ありますけれども、日本は戦後、廃墟の中から立ち上がったにしても、あのヨーロッパの揺りかごから墓場までという一つの、当時はすばらしい理想的な福祉制度だなと思っていた制度を見習いながらやってきました。国民の努力によりまして、今やそのヨーロッパの水準と遜色ない程度までになってきて世界で一番長生きできる国にもなった。いわば、介護というのは究極の社会保障制度ではないかと言う人もいますけれども、御議論していきますと、よくこの複雑な難しい問題を社会で支えようという機運が出てきたなと私は一方では感心しております。  何とかこの制度を導入して、今後とも年金、医療介護という社会保障制度の中で大きな柱となっていくものと思っていますし、これを国民の理解を得ながら進めていきたいと。ヨーロッパみたいに最低でも消費税が一五%、デンマークに至っては二五%という消費税、これは避けたい。何とか五%程度に抑えていきたい。できるだけ増税を避けて効率的な社会保障制度を構築していく上においては、お互いむだを排除しながら少しでも多くの国民の協力を得ながら構築していくのが大事ではないか。医療保険が導入されたときも、保険料を払ってもお医者さんがいないじゃないかという反対論があったようであります。しかし、今考えてみますと、むしろお医者さんが多過ぎてこれから減らさなきゃならないというような事実であります。  日本というのは目標に向かって進むと非常にその目標に向かって努力する賢い国民性を持っているのではないかということから考えれば、保険あってサービスなしというのではなくて、この保険に見合うような介護サービスをどうやって充実させていくかという多くの国民の熱意とお互い支えていこうという善意をうまく引き出して、何とか社会保障制度の柱となるような介護保険制度にしたいと思っております。
  127. 西山登紀子

    西山登紀子君 私がお聞きしたのは、保険あって介護なしの状況を拡大すると、国民の負担がふえるし、社会保障費を削減していけばそういうことになるんじゃないかとお聞きしたんですけれども、それについて私は明確なお答えはなかったというふうに思います。  財源論からいえば、代表質問で私も総理に質問させていただいたように、日本の場合はむだな公共事業に五十兆も使って社会保障には二十兆しか使っていない、こんな国は国際的に見てもどこにもないということについてはもうはっきりしているわけでございます。この点の使い方を、逆立ちしている状況をまともにすれば十分な財源があるというのが私たちの主張でございます。  さらに、質問に移らせていただきますけれども、この介護保険で一番の問題というのは、介護サービスの基盤整備がなおざりにされた現状のままで保険制度が導入されれば保険あって介護なしという事態になってしまうというところだということがいろいろな皆さんからも指摘されているところなんです。  この新ゴールドプラン、九五年度以降三年連続で一千億円増額されてきているわけです。ところが、九八年度の概算ではこの財特法の初年度ということで増額が四百六十一億円ということで半分になってしまって失速しているわけですが、これで新ゴールドプランの目標が達成できるのでしょうか。
  128. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お答え申し上げます。  介護サービス基盤の整備につきましては、今お挙げいただきました新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆる新ゴールドプランに基づいて着実な推進を図って今日までまいっております。  それで、平成十年度予算概算要求の今段階でございますけれども、ここにおきましても、もちろん財政構造改革の集中改革期間中ではございますけれども、各地域におきます事業の執行状況等を踏まえ、また各種の規制の緩和だとか、あるいはいろんな既存施設の活用というような多様な手法を活用しながら、そういった意味での効率化、それからむだのない整備というようなことについて一方において心がけながら、新ゴールドプランの目的自体は達成できるように引き続き努力をするという姿勢で概算要求をさせていただいております。  そういったことで、平成十年度概算要求も、基本的な方向といたしましては、新ゴールドプランで最初から枠組みを大きくつくりましたその中での計画に沿う形で概算要求をさせていただいております。  もともとの新ゴールドプラン自体が、平成九年度からいわば消費税が今度上がるわけでございますから、その消費税が上がる平成九年度から消費税の見合いでもって、国費ベースでいきますと千五百億円を新ゴールドプランの経費として充てようという枠組みが平成六年度の秋の税制改革協議において協議をされました。そういったことで、平成九年度、十年度と千五百億の基盤整備費用を充てていくという枠組みがございまして、ただ、平成九年度から消費税が上がるわけでありますけれども、新ゴールドプランはその前からスタートしておりますので、平成九年度からの消費税引き上げ前ではございますけれども平成七年度、八年度におきましてもいわば若干前倒しの形で国費をそれぞれ増加させる形で、平成七年度五百億、平成八年度一千億という形でだんだんに上げてきて、平成九年度からいわば税制改革との関係でいえば新ゴールドプランの財源ベースでは通常ベースの形にいたしました。  したがいまして、平成九年度、十年度はそういった意味での、平成八年度、九年度の間の対比でいえば、先生御指摘のように、増額が前年度よりは半減をするという形になっているではないかということですけれども、そういう枠組みで、もともと全体の新ゴールドプランの基盤整備を進めるということで税制改革との関係におきましても進めてまいったものでございますから、今回の財政構造改革会議での方針によりまして大きくそこの方針が変わったというわけではございません。
  129. 西山登紀子

    西山登紀子君 ちょっとよくわからないですね、聞いていても。  私は、達成できるのかというふうに聞いたんですけれども、はっきり達成できるというふうにおっしゃらなかったんじゃないかと思います。  それで、時間がないので先に行きますけれども、調べてみますと、平成八年度約一千億円増額されているんですけれども、進捗状況を見ると約一〇%しか計画は進んでいないわけですよ。一千億円増額されて一〇%しか進んでいない。ところが今度は半減された。常識的に考えても、伸び率が半減するんじゃないかと危惧するのは当たり前じゃないですか。もともと目標自体がニーズに比べて大変低い目標ですね。このことが問題なんですが、しかも日弁連の調査なんかでは、やはり全体の自治体の七二%がこの低い現在の計画も達成が困難だというふうに調査では判明しているわけです。  そこで、私は特養ホームの問題をきょうは取り上げたいと思うんですけれども、中でも一番整備の進捗状況が高いと言われている特別養護老人ホーム、その実態がどうなっているか、また待機者がどうなっているのかという問題です。この待機者の問題を私は全国の都道府県の担当者から直接聞き取りを行いまして、全部電話で、大変時間がかかりましたけれども、お聞きをいたしました。丁寧にちゃんと応答していただきました。  その結果、衆議院では児玉議員が九六年の四月に同じような手法で調べているわけですが、二万一千六百六十七人も待機者がふえている、深刻になっているということがわかったわけですね。つまり、全国で特養老人ホームの入所の判定をされながら入所ができない待機者の数というのは、私が調べた時点では九万八千三百十七人でございます。現在の特養ホームというのは九五年度の決算ベースでは二十三万三千五百六十人定数があるということですから、合計三十三万一千八百七十七人ということになります。新ゴールドプランの目標は二十九万人分ですから、既に現在四万一千八百七十七人分が政府の二〇〇〇年時点の目標を超えてしまうということになります。児玉議員が調べてから一年ちょっとたつわけですけれども、不足数が二万二百十名から四万一千八百七十七名ということで二倍以上にふえています。待機者が加速をしています。施設数が皆さんの努力、全体の努力によってふえているにもかかわらず待機者はふえている。加速している。これはもう本当に一刻も待てないですね。  待機者がこんなにも加速してふえているということは非常に重大なことではないかと思うんですけれども厚生省はこの事態をどのように受けとめていますか。
  130. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 一年間で待機者が倍増をしておるということでのお尋ねでございました。  私どもも、介護を要する高齢者方々がふえているという事態については大変深刻だと思いますし、そのことに応じた施設と言わず在宅と言わず、サービス基盤の整備は大変大事だというふうに思っております。  ただ、お挙げいただきました数字、今二万人が四万人を超える形でふえたということにつきましては、それ自体私どもが把握した数字ではございませんから何とも申し上げられないところがあるわけですが、一般的に私ども待機者という形で地方自治体等からお伺いをします中には、特別養護老人ホームにおきます二十四時間の専門的な介護を必ずしも必要としない方、いわゆる入所判定も経ない形で希望ベースでとっておられるようなケースも時々ございます。それから、在宅サービスを利用すればできるんだけれども在宅サービスを全く利用されていない。そういったものがございますから、その数字自体につきましては、やはり今後施設という箱物をつくっていくということになればそこを精査していかなければならない。  そういった考え方の上に立って、さらに介護保険ができればまた新しい事業計画をつくるわけですけれども、そういった需要をきちっと押さえるということは一面においてやっていかなければならないであろうというふうに思います。  私どもも、やはり一年間で倍、待機者がふえるというのは、その間における需要の増ということはあったにしても、かなりショッキングな数字ではあるなというふうに思います。ちょっと私どもなかなか理解しにくい数字であるなという気はいたしております。
  131. 西山登紀子

    西山登紀子君 これは私が恣意的に集めた数字じゃないんですよね。お役所に聞いたんです、各県の担当者に。入所判定がされながら入所できない待機者がどれだけありますかと聞いたんです。厚生省はこれと同じ数をつかんでいないんですか、担当者から。
  132. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 毎年度、施設整備をやりますときに各県の担当者からお声を聞きます。ただし、聞きますときに、どうもそこらのところの数字がそれぞれ希望ベースの数字であったり、先ほど申し上げましたように、本当に特別養護老人ホームでの介護ということで入所要件に該当するような人かどうかということの精査がないままのものであったり、あるいはこれも全体を把握しながら、ごく一部の事例を申し上げるということになってしまいますのでいかがかとは思いますけれども、例えば施設整備全体の予算を配賦いたします際に、もう一回そこは今後、国の予算ももちろんですけれども、その地域にそういう施設をつくるんだから需要をきちっと洗ってくださいというふうに申し上げましたら、いや、やってみましてもう一回当たってみたら、あれはいわば枠取りのような形で希望した人の数字でございましたというようなことも現実にはございました。  したがいまして、これは私どもとしても、そういう意味で過不足のない数字を今後押さえるという努力は並行してやっていかなければならないというふうに思っております。
  133. 西山登紀子

    西山登紀子君 希望ベースだとか在宅でもやれる人をカウントしているとか、児玉議員の質問にお答えになったことと同じことをおっしゃっているわけですね。その時点でも児玉議員はきちっと調べるべきだというふうに質問いたしました。これは私たちができることですから、厚生省というのは難なくできることじゃないですか。こういう数をきちっと把握してくださいよ、待機者の数を。
  134. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) それは私どもも、介護保険が通りますれば新たな事業計画も当然要るわけでございますし、そういった本当の意味での必要な需要というものを把握するということは大変大事なことでございますので、今、法案が通る前ではございますけれども、先般も各都道府県に、もう一度そういう形できちっとした需要を把握してくれるようにということで県にもお願いをいたしました。そういうことにのっとって、これから把握をする努力はいたしたいと思います。ただ、それにはそれなりの時間的なものほかかると思います。
  135. 西山登紀子

    西山登紀子君 把握するのに時間がかかるとおっしゃいましたけれども、私たちはこれを二日間ぐらいで手分けをして電話をかけて調べまして一覧表にしたんですよ。そんなに何年もかかるようなことじゃありません。何年もかかったらますます待機者がふえていきますよ。一年間で待機者が五〇%以上ふえた県は十三県あります。三〇%以上ふえた県は二十四県で、半数以上がこの一年間で待機者がふえているんです。  しかも、希望的ベースだなんておっしゃいましたけれども、私も児童相談所で判定員をしておりましたから、措置をするということがどれほど重要なことかというのはわかっています。判定委員会も開かれる、処遇委員会も開かれる、十分ケースワーカーの人が調査もして、物じゃないんです、一人の人間を措置するんですから、十分に検討をして、判定会議をやって、しかも必要だけれども入所ができない人を称して待機者と言っているんです。このことは間違いありませんね。
  136. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 言葉の本来の意味においてはそのとおりであろうと思いますけれども、私ども各県からのヒアリングをいたしました中には、各県御自身のお話として、これは実は判定委員会を経たものではございませんので、そういう意味では少し大き目の数字にあるいはなっているかもしれませんということを申し上げながら私どもにお話をされているようなものもございます。しかし、だからもうそれを把握できないからいいんじゃないかというようなことを申し上げるつもりはございません。やはり、把握をすることは必要でございますから、そういった努力は始めておりますし、そういうことで把握をしていきたいというふうに思っております。
  137. 西山登紀子

    西山登紀子君 実態を把握するということを御答弁いただいたということは確認をしたいと思います。直ちに把握する必要があると思いますが、私たちが数日でできたことですから、厚生省も同じような方法で、言葉のその待機者ということを認められたわけですから、同じように入所の判定をされながら入所ができない待機者、心配だとおっしゃるならその点も含めてきちっとお調べになって当委員会に報告をしていただきたいと思いますが、委員長、お願いいたします。
  138. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、電話で聞き取れば二、三日で出るではないかとおっしゃいましたけれども、先ほど来そこは申し上げていますように、県の段階あるいはもっと大きな大都市の段階でも、そういったいわば一番根っこのところからのニーズというものがきちっと積み上げられていないところにつきましては、やっぱりそういったものをあれした上でないと全体が積み上がってきたものが間違うことになりますので、まずそういった一番根っこのところの需要を押さえるという努力が要りますので、おっしゃるように各県に電話をかければそれで集まるというわけにはまいりませんので、そこは私どもの努力をします中で出てきた段階においてお願いをいたしたいというふうに思います。
  139. 西山登紀子

    西山登紀子君 各県に電話だけで把握したらいいというふうに申し上げているのではありません。私たちが電話をかけただけでも担当官はきちっと対応していただいたし、数日でこういう一覧表にまとめることもできたということを言っているんです。  ですから、厚生省が力を挙げて把握する気になれば今すぐにでもそれができるし、そういうことをやらなければ、保険あって介護なしということについて、これはそういう基盤整備もきちっとそろえてあるんですよ、そろえるんですよということが国民に言えないというふうに私は思うんです。ぜひその点、速やかに実態を把握するということをもう一度お約束してください。
  140. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) これはお言葉を返すようでございますけれども、実態を把握するというのは、単純にその地域のお年寄り方々がどういうふうな希望をしていますかということを把握するのではなくて、やはりすぐれてその市町村が、その地域がどういうふうにその地域における要介護のお年寄りサービス体系を組んでいくかという、その地域地域の言ってみれば方針、さらに言わせていただくならば、今後の方向としては、できるだけ地域でその在宅サービスを充実する中で地域でお暮らしをいただくような方針をとっていただきたい。そういう市町村あるいは都道府県あるいは私どもとの間の対話というようなことの中でやはり把握をしていかなければいけない事柄だというふうに思います。  と申しますことは、そういって把握をしたものは当然その後における施策のいわばベースになるわけでございますから、そういったことが必要だという要素があることを御理解を賜りたいというふうに思います。
  141. 西山登紀子

    西山登紀子君 時間が参りましたので、大臣に最後にお伺いしたいと思いますが、私がこの待機者の実態を速やかに調査をし把握すべきだと申し上げていますのは、待機者をなくするために特養ホームを一体どれだけつくったらいいのか、必要なのかということを厚生省自身がつかまなければ、保険あって介護なしという状況をなくすことができないからです。  地方自治体は、やはり増加してくる待機者を解消するために積極的に特養ホームをもっともっとっくりたいという計画をなさっているわけですね。ところが、厚生省はあくまでも二十九万人分だということでそれを抑えつけているわけですよ。地方自治体は、加速されていますから、どんどん待機者がふえてくるので大変だということで積極的な計画を持とうとしても、厚生省は、いや二十九万人分だということであくまでもその新設などを認めない、こういうふうな枠をはめている結果になっているわけです。  ということで、大臣にお伺いしますけれども、私の調査でも一年近くで二倍以上に待機者がふえているというこの状況をどのようにお考えになって、そして保険あって介護なしの状態をなくすためにも特養老人ホームの今の二十九万人というのは実態に合いません。ですから、目標を抜本的に見直して、財政的な手当ても加えて、そして介護保険がスタートするときにこういう状態が解消されていくという方向に努力をするべきだと。新ゴールドプランのときには見直しをされて予算もふやされたわけですから、そういうことを今期待したいと思いますけれども、大臣の御意見をお伺いいたします。
  142. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 今、局長が答弁しましたように、待機希望者、待機者と実際の必要量というのはどうかという問題が一つあります。特別養護老人ホームにおいて二十四時間の専門的な介護を必ずしも必要としない者や在宅サービスを全く受けていないという者も含まれているようであります。しかしながら、厚生省としては、当面はまずこの新ゴールドプランの着実な推進に努めていくということが大事だと思っています。  そして、この介護保険が導入された後については、各地方自治体が必要なサービス量というものはどういう程度かということを踏まえてこの介護保険に沿って介護保険事業計画を策定することになっております。それを支援するために介護基盤というものを、厚生省は各自治体のこの介護保険事業計画に基づいて必要な基盤整備を図っていくということでありますので、まずはこの新ゴールドプランの着実な目的達成に努力していくということが私は大事ではないかと思っております。
  143. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 きょう、午前中の議論の中でもたびたび出てまいりましたけれども、今回の介護保険の導入に際して、非常にわかりにくい、まだ決められていない部分が非常に多い。浜四津委員の御指摘の中にもありましたが、いわゆる省令で定めるという項目が非常に多くて現場サイドでは非常に困惑をしているというのが実態であろうというふうに思います。  当委員会でこういった部分、できるだけその全貌を明らかにしていくということがこの介護保険制度をより国民の皆さんの理解、さらには福祉関係者医療関係者の理解を得ていく上においても不可欠であろうと、このように思いますので、そういった観点できょうは質問をさせていただきたいと思います。  きょうは特に、私は、施設サービスの問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。  今回、介護保険制度が導入された場合に、施設サービスとして特別養護老人ホームさらには老人保健施設、療養型病床群、こういったものが想定をされているわけでありますが、現行制度では、理念上はともかく、現実には要介護者がこれらの施設に混在をしているというのが実態であろうと思います。  そこで、まず私は、整理をしてお聞きしたいと思うんですが、特養、老健、療養型、これらの施設がどういう対象者を念頭に入れて考えておられるのか、まずその整理をしていただきたいと思います。
  144. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 現行制度におきます特別養護老人ホーム老人保健施設、それから療養型病床群というものがどのような機能を果たしておるのかということでございます。  まず、特別養護老人ホームでございますけれども、これは専ら介護を行うことを機能といたしまする社会福祉施設という位置づけになっております。したがいまして、利用者は寝たきりでありますとかあるいは痴呆によりまして常時介護を要する高齢者ということになってございます。  老人保健施設でございますけれども、これは、いわゆる中間施設というような呼び方をよくしておりますけれども、家庭復帰のための療養を行う。急性期の治療はもう必要ないけれども、家庭復帰するまでにはまだ療養が必要だという人に対しまして療養を行うことを主な機能といたしまする、施設の性格からいうと医療提供施設の範疇に入るものでございます。その利用者は、入院治療をする必要はないけれども、リハビリテーションだとか、あるいは看護、介護中心とした医療サービスを必要とする寝たきり等の高齢者ということでございます。  それから、療養型病床群でございますけれども、これは法令上は病院の中の一部の病床ということになっておりまして、長期にわたります治療を行うということがその機能でございます。したがいまして、その利用者は主として長期の入院医療を必要とする患者ということで、それにふさわしい療養環境を有するものということになっております。  全体を通じまして介護という要素は貫いておりますけれども、それぞれの施設の中に特に医療サービスの濃淡があるというのが今の制度の上における理念型としての三施設でございます。  この三施設につきまして、介護保険の導入後におきましてはそれぞれの機能と特性を踏まえながら、私どものを人保健福祉審議会でも介護施設の一元化というようなことをいわば漸進的に進めるべきであるという御示唆もいただいておりますので、そういったことを踏まえながら今後の施設のあり方を考えていくということにいたしたいというふうに思っております。
  145. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今それぞれの役割といいますか、これは局長からあえてお聞きするまでもなく、このことは当然そういう整理になるんだろうというふうに思うんです。  私はなぜきょうこういう話をするかと申しますと、要介護認定というものを受けたときにI段階からⅥ段階までそれぞれ認定をされる。その人が例えば特養に行きたい、いや私は老健がいいんだ、私は療養型がいいんだというふうに、それぞれ自分の意思、家族の意思というものが出てくると思うんですけれども、そのときに、ある意味では今言った理念とかみ合わない場合にはどちらが優先されるんですか。
  146. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度におきましては、措置ではなくて契約ということになるわけでございますので、基本的に利用者本人の選択が優先されます。  ただ、本人なり家族なりではどういうサービスが本当にいいのかというのがわからない点がありますので、法律上は、介護支援専門員、その人がアドバイザーになって、例えば医療的なものも含めてサービスを受けた方がいいだろうと療養型病床群の方を推薦するとか、あなたの場合は軽いから在宅でのサービスがいいだろう、そういうアドバイスは当然あろうかと思います。
  147. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 そのアドバイスは当然あるんでしょうが、要は自分がここに入りたいという場合に、今、羽毛田局長が言われた理念と合わないからあなたはここはだめですよということにはなるんですか。
  148. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 選択は基本的に合理的に行われるというふうに考えておりますので、そういう意味で利用者も、例えば病気を持っていないのに医療的な療養型のところに行きたいという選択は基本的にないだろうというふうに思いますので、合理的な選択であればそれは尊重される、それが一般的に行われると思います。
  149. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 その辺が、厚生省のお役人さんが机の上で考えた整理と現場とは随分違うんですよ。  例えば、老健施設は今後どういうふうに制度を改めていくのかわかりませんが、今三カ月たったら出なきゃなりませんね。三カ月たったら出なきゃならない施設よりは、やっぱり特養のように入ったらずっとおられる、さらには療養型であれば長期入所が可能だ。しかも、これから療養型は生活空間もつくっていこうということになっていけば、当然入所希望者というのはより安定したところに希望が殺到していくのではないのか。  じゃ聞きますが、そういう状況の中で、老健施設のこの三カ月というのは介護保険制度がスタートしたときには改めるんですか。
  150. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先ほど理念型ということで、言ってみれば、家庭に復帰するについては、まだリハビリテーションなりなんなりをしてそれからいかなければならないということでの中間施設的な役割ということで申し上げましたけれども、そのことの具体的運用として、例えば三カ月たちましたら出なければならないというような強制の姿は今日もやっておりません。しかし、そういう施設の性格上、やはりそれごとにそういった入所者の方の状況把握というものをそういう頻度で行っていただいているということでございまして、そこはいわゆる強制というベースにはなってございません。
  151. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それじゃ、介護保険制度がスタートした場合は、老健施設というのはいわゆる介護医療、これは介護の方がどちらかというと比重が高い、そういう施設として理念上は考えているということであれば、今、局長は三カ月で出るような指導はしていないなんて言っておりますけれども現実にはそれはすごい指導が来ていますよ。だから、そのためにわざわざ一日か二日出してまた入所させたり、そういうことが現実に起こっています。  だから、そういう状況の中で、じゃこの介護保険制度がスタートしたときに老健施設というのはどういうふうにしていくのか、長期入所もこれを横並びで認めていこうとするのか、そこのところだけでも聞かせてください。
  152. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 介護保険ができまして、当面の施設体系につきましては、先ほど来の御議論もございましたけれども、今の機能を一応前提にしまして移行をいたしまして、いわゆる一元化という形で、全体の施設をいわば一元化をしていくという方向については段階的、漸進的にやっていくのがいいであろうという専門家の御意見もいただいておりますので、今回の場合にはまず同じ制度の中で各施設を位置づけますと同時に、同一の方針のもとで介護費用を賄うということにいたしたいと思います。  したがいまして、施設そのものについて、先ほどの医療サービス的な要素の濃淡でありますとか、そこに入る、期待をする人のいわば利用者像でございますとかは現行の姿を引き継いだ形で当面のスタートはすることになってまいります。  その場合にも、今おっしゃったような形で強制的に出すというような形にはならない。介護報酬なりなんなりの面ではそこの施設にふさわしい介護報酬ということになりますからそういった面でのあれはなります。  それから、先ほどの介護支援専門員によるいわばアドバイスという中では、そこにふさわしい人が入っていただくような指導をしていくということは当然あると思いますし、そのことによってむしろ老人保健施設ですと、今のようにただそこに長くおれないからというマイナスの評価だけではなくて、老人保健施設であるがゆえにリハビリができる、あるいは家庭とのつなぎができるというような、当然老人保健施設としてのいわば強みというものがあるわけですから、そういったものが生かされるような形の中で運用がされていくということに持っていきたいというふうに思っております。
  153. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私、老健施設も随分行ってみました。そして、老健施設が、この介護保険が始まったら一体どうなるんだろう、こんな施設始めなきゃよかったというような施設長さんの話を耳にするにつけ、いや、この問題についてはきっちり委員会で方向性がどうなるのかということを聞きただしますよということを私は実は申し上げたわけです。  正直言って、同じ土俵の上で、競争原理でやれと一方で言っておいて、そして一方にはある程度期限を限ったりというようなことになっていくと、今老健施設に入っているお年寄りの大半はやっぱり特養に入るような方が入っていますよ。今、局長がおっしゃるように、老健施設としての特性が発揮できるような施設をといっても現実はそうじゃないんです。  だから、そうなると一元化をしてある程度、おぼろげながらでもその違いを見せていく中で決着をつけていくのかなと、私はそういうふうに思っておるんですけれども、その辺はどうなんですか。
  154. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、釘宮先生おっしゃったような方向というのは、やはり私どもの方も従来の施設としてのそれぞれの特色なりなんなりというものは生かしていく、あるいはそれを将来に向かって一元化という中で機能分担なり役割分担というものをどう考えていくかということは宿題として考えていかなければなりませんけれども現実に入っておられる方が、いわゆるその理念とは別にして、お話しのような実態があるというのも確かに事実ございますから、例えばそこらのところ、今、先生が全体を残しながらぼわっととおっしゃいましたでしょうか、そういうふうに言われたそのお気持ちのような方向での検討、努力は要ると思います。  例えばで申し上げますと、老人保健施設に入られても、痴呆等であれされているとなると、どうしてもそれは期待をされるような短期で家庭に帰っていくというようなあれがなかなかとれないと。それから、そういうつもりで入られても、その中でそういうふうに長期になってしまうというようなものについての評価をどうするかというようなところはやはり今後考えていかなければならない、いわば漸進的にということの一つにもなりますでしょうか、そういった点はやはり今後考えていかなければならないことだろうというふうに思っております。
  155. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私が一番聞きたかった老健施設は介護保険制度が導入されたらどうなっていくのかという部分は何か明快にされなかったように思います。  私は、今回のこうした介護保険制度をつくっていくという法律の中に、浜四津委員も言われましたけれども、見えていない部分が非常に多いんですよ。だから、これが今回の法案の中で一番問題点だろうと私は思うんです。詰めても、まだそこのところは決まっていないし、審議会でこれから議論をしていく。私も介護保険はある程度スタートさせて歩きながら考えていくということについては、若干の異論はあってもそういうことでないとなかなかこの制度スタートできないのかなという思いはあります。  私がなぜこのような質問をするかといいますと、この後、特養の問題を話しますが、特別養護老人ホームにしろ老健施設にしろ、結局、もう既に今の制度の中でやっているわけです。これがさま変わりをしていくわけですから、当然準備をしていかなきゃならない。それは厚生省が、さきの通常国会の終盤に、二〇〇〇年からスタートさせるためには事務的な準備が要るんだ、だから何とか早く通してくれというふうに我々にも言ってきました。私もそのことは理解します。しかし、厚生省だけが準備するんじゃないんですよ。これは現場だって準備しなきゃならないんですよ。そこのところはこれからです、これからですと言っておいて、二〇〇〇年からさあスタートですよと。これでは現場はやっぱり混乱するし大変だろうと、私はこういうふうに思うんです。  そこでお尋ねしたいんですけれども、例えば、今、特別養護老人ホームに入っているお年寄り、必ずしもⅤ段階、Ⅵ段階の人たちだけじゃない、Ⅲの人も入っているんじゃないか。特養で何か花笠音頭を踊っているとかいうような話が以前あって、非常にそれが論議を呼んだ、今その方は参議院議員になっていますが。私はそういうふうに中にかなり混在しているだろうと思うんですよ。混在していることを考えたときに、特養の人たちが今何を心配しているかというと、五年間の経過措置はあります、五年間の経過措置はあるけれども、今入っている五十人なら五十人の人たちの中にはⅡランクの人もⅢランクの人も、Ⅴの人もⅥの人もいる。今まではⅡ段階の人もⅥ段階の人も同じ定額の措置費が来ていた。それが、スタートした日からⅡ段階の人はⅡ段階のいわゆる点数しか来ませんよということになったら施設は経営できないですよ、今、職員はちゃんとおるし。  ですから、そういう意味合いを考えたときに、私は施設サイドが少なくとも準備ができるような、その辺の見通しみたいなものを厚生省が早く示す義務があるだろうというふうに思うんですが、その点どうですか。
  156. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 御指摘はおっしゃるとおりだと思います。  基本的には介護報酬をどんなふうに整理するか。そして、これは要介護度別に今度は介護報酬を考えたいと思っておりますので、重たい人については重たい分限度額が高く、要介護度が低い人についてはその分限度額が低くと。それを、施設に入りますのは要介護度のある人ですから、五段階に分かれますが、五段階で対応すると。  その介護報酬をどう設定するかということですが、これはいわゆる介護報酬を検討する審議会のようなものをつくってそこで検討してもらわなくちゃできないわけでございますが、できるだけ議論をオープンにして、詰まったものから考え方をできるだけ明らかにして概要がわかるような努力はしていきたい。当然、在宅の場合ですと家にいますので、まさにサービス程度に応じてランクをつければいいのかなと、施設の場合には軽い人であっても重い人であっても共通にかかる経費がありますから、そういう意味では在宅の場合のような階段ではないんだろうというふうに思います。そういう考え方をまだ数字が見えなくても、明らかにしながら施設を経営する人たちにわかってもらえるようにしたい。  それから、あわせて五年間の経過措置の話が出ました。要介護度の低い人が入っていれば、一応入ってはいられるけれども、低くなったら、例えば幾らの数字かわかりませんが、仮に要介護度がⅣとか四・五平均ぐらいだったら成り立つ施設が、ⅡとかⅢの人がたくさんいたら費用が少なくなって、職員を一部首にしないと成り立たないじゃないかと、先生がおっしゃるのはそういう意味だと思いますが、そういう施設運営になることをもちろん望んでいるわけではございませんので、五年間の経過措置をいかに使うか、これも使い方でありますが、そういう問題を頭に置いて経過措置の間のあり方も議論していただく、そういうことで明示をしていきたいというふうに思います。
  157. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 いや、議論していただくじゃ困るんですよ。少なくともこれから特別養護老人ホームあたりは現実に今お年寄りを抱えているわけですね。その抱えているお年寄りについては五年間は経過措置を見ますと、だから動かなくていいですよということですよね。しかし、今なら平均二十七万の措置費が来て、その措置費に基づいて人事配置をし給料も払っているわけです。それが例えば五年間は、利用者にとってはある意味ではそこで救済措置があるわけですけれども、施設側にとってはそこに救済措置があるんですかないんですか。  私は、現実の問題、お年寄りはいてもいいんですよということになれば、少なくとも施設が今の状況が維持できるようないわゆる救済策みたいなものは当然とっていかないと、今少なくともⅡ段階、Ⅲ段階の人も入っているということは、これは厚生省も認めていますが、現場もそれは認めています。だから、それだったらそういう人はしかるべき施設に移りなさいということであれば、施設としては今の本来あるべき特養の入所者の人たちを新たに入れることによって施設経営というのは成り立っていくだろうけれども、五年間はいてもいいですよということになって、そして一方ではお金はそれぞれその要介護認定度に応じて出しますよということでは、施設はそれはやっていけないと思いますよ。
  158. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護報酬のあり方でございますので、審議会にかけて議論をしなきゃいけませんが、先生の御指摘を非常に重く受けとめさせていただいて、十分検討させていただきたいと思います。
  159. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 ぜひお願いしたいと思うんです。  それから、私は、これから競争原理だ、市場原理だということになりますと、入所者の立場とすれば、確かによりいいサービスが出てきて有利な面はある反面、施設は今度経営を念頭に入れてやるようになると思うんですね。ですから、例えばこれから老健施設をつくるというようなところになると、いきなり人は埋まりませんから、とりあえずは早く入れなきゃならないということで、お年寄りを集める。しかし、それではなかなかやっていけないからというので、今度は時期が来たらもう入れかえをどんどんするというようなことになりはせぬのかな、これから経過措置をスタートしてから数年間はそういう混乱が起こるのではないのかなということを思っているんですけれども、その辺は厚生省はどういうふうにお考えになっていますか。
  160. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) これからこの介護保険制度ができますと、施設に入りました場合にはその人に対するケアプランというんでしょうか、施設におけるケアプラン、処遇計画、こういうものをつくっていただいて、この人をどういうふうな状態にしていくのか、そのためにどういうサービスをしていくのかという計画のもとにサービスを考えていただくということになるわけでございます。  ですから、何というか、短期に人が入れかわっていくというような形に果たしてなるんだろうかというのは、ちょっと先生の御懸念がそのとおりなのかなという感じはいたしますが。
  161. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 いや、短期で動くのかなということじゃなくて、施設側がいわゆる経営上のテクニックの中でそういうことをやるということが私は起こり得るんじゃないのかなということを心配しているんです。  要するに、施設を開所して間もなくすぐ埋まるというような状況、しかも必ずしもいわゆる施設経営が成り立つレベルの区分の要介護認定患者がすぐそろわない場合に、とりあえずはみんな入れておこうと、そこから施設が落ちつくまでの間に入れかえていこうというような、そういうことがあるんではないのかなということをちょっと私は危惧しているんです。
  162. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 施設に入りますのも基本的に本人の意思で、契約で入るわけでありますし、出る場合も基本的に本人の意思を尊重して出るわけでありますから、施設側だけが本人の意思に反して追い出すということはできないわけであります。  ですから、そこら辺は果たしてあるのかなという感じがいたしますのと、あとは例えば施設を運営する場合には当然運営基準というのをつくっていくわけでありますが、そういう中にどういうことを書き込むか。それからまた、苦情がある場合には苦情処理というものをこの介護保険制度の中でも考えておりますが、そういうものを受けとめてどんなふうに考えるか。そういう形でいわゆる客観的に見て的確な運営を担保するような努力をする、そういうことになろうかと思います。
  163. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 ちょっとこの問題ばかりやっていると先に進みませんが、私は、先ほども本人及び家族の意思がどういうように反映されるのか。当然保険ですから、契約ですから、お互いが契約を履行するということが前提になるわけですから、問題は施設側がある意味ではこれから、当然施設経営を考えていきながらこれをやっていくというところと利用者の希望とのそごが出てこないかなということを私はちょっと危惧しているんで、その点について、これはまた長いこれからの議論の過程の中でまた議論させていただきたいと思います。  次に移りますが、いわゆる特養については五年間の経過措置を設けたということでありますが、先ほど浜四津委員の質問の中にもありましたが、老健施設とか療養型、こういうふうないわゆる施設に現在入所している人の経過措置というのはどういうふうになさるようになっているんですか。
  164. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 特養については御案内のように五年間の経過措置ということでございます。それから、老健施設につきましては、老人保健法の医療費の支給という形での経過措置が設けられております。それから・・
  165. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 もう一遍。
  166. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 老人保健施設につきましては、老人保健法の医療費を支給すると、つまり要介護者でない場合にですね。現にいわゆる施設は特別養護老人ホーム老人保健施設と療養型病床群とありますが、それぞれ基本的には介護が必要だということで入っている施設であります。  そして、介護保険制度の施行によりまして、介護認定で要介護と判定されない事態というのは、まあもともとの施設の機能はそうでありますから、基本的には多くないんだろうというふうに思っております。  ただ、もしそういう事態が生ずるとしますと、入所、入院の判断につきまして考えなきゃいかぬわけでありますが、仮にそういうような事態が生じました場合にも経過措置を設けていると。その経過措置考え方は、特養につきましては五年間は結構だと、それから老人保健施設は、そういう施設への入所サービスが必要なんだろうということでありますから、介護保険対象にならないというケースは老人保健法の医療費の支給で対応すると。
  167. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 介護保険対象になっている人は。
  168. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 施設が介護保険施設の要件を満たしていることが前提になりますが、当然対象になっている人は、その介護保険施設の中に入っている人は介護保険で対応するということになります。介護保険の要件に当てはまる人は対応する。  それから、療養型病床群につきましては、いわゆる介護でなければ入院医療が必要な方が入っているんだろう、これは医療費の世界で対応することになると、こういうことでございます。
  169. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 いや、要するにその施設になじまないという人、必ずしも施設入所が好ましくないというような人はこれはもう出ろということになるわけですか。
  170. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 老健施設の場合に経過措置がありまして、その人については老人保健法の医療費で見るということでございます。そして、これは状態に応じてどのぐらい長くいるかというのはありますが、基本的にそう長くなく移っていく施設でございますので、その必要な期間いる、それは医療費で見るという仕組みになっていると、こういうことでございます。
  171. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 もう時間がなくなりましたのでこれで終わりますが、どうも細部になると何かもごもごもごとなっちゃうんですよね。ここが非常に私ども現場を歩くたびにやかましく言われることなんです。  最後に大臣に、もう時間がありませんけれども、一言で結構ですが、きょうの議論をお聞きになって、御感想をちょっと聞かせてください。
  172. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 実際に導入された後もいろいろ問題点が出てくると思います。今想定していますけれども現実には、導入された後、想定しないような問題も出てくるのではないか。しかしそれは実地に見てよりよき改善に進めばいいのではないか。まずは、すぐといいますけれども、これは法案が通っても三年後ですから、そのための準備としてぜひとも今国会で成立させていただいく早く準備をさせていただきたいと思います。
  173. 山本正和

    委員長山本正和君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕